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平成23年第321回定例会(第3号 2月28日)

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  1. 愛媛県議会 2011-02-28
    平成23年第321回定例会(第3号 2月28日)


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    平成23年第321回定例会(第3号 2月28日) 第321回愛媛県議会定例会会議録  第3号 平成23年2月28日(月曜日)   〇出席議員 43名   1番  菅   秀二郎   2番  玉 井 敏 久   3番  横 山 博 幸   4番  木 村   誉   5番  石 川   稔   7番  福 羅 浩 一   8番  三 宅 浩 正   9番  青 野   勝   10番  欠     番   11番  欠     番   12番  豊 島 美 知   13番  豊 田 康 志   14番  笹 岡 博 之   15番  西 田 洋 一   16番  中 田   廣   17番  大 西   渡
      18番  梶 谷 大 治   19番  鈴 木 俊 広   20番  徳 永 繁 樹   21番  欠     番   22番  欠     番   23番  阿 部 悦 子   24番  欠     番   25番  佐々木   泉   26番  泉   圭 一   27番  高 山 康 人   28番  住 田 省 三   29番  毛 利 修 三   30番  渡 部   浩   31番  西 原 進 平   32番  欠     番   33番  欠     番   34番  欠     番   35番  欠     番   36番  河 野 忠 康   37番  戒 能 潤之介   38番  明 比 昭 治   39番  竹 田 祥 一   40番  赤 松 泰 伸   41番  本 宮   勇   42番  田 中 多佳子   43番  岡 田 志 朗   44番  欠     番   45番  土 居 一 豊   46番  横 田 弘 之   47番  村 上   要   48番  寺 井   修   49番  薬師寺 信 義   50番  清 家 俊 蔵   51番  森 高 康 行   52番  篠 原   実   53番  中 畑 保 一   54番  山 本 敏 孝   55番  欠     番   ―――――――――― 〇欠席議員 1名   6番  野 口   仁   ―――――――――― 〇欠  員 3名   ―――――――――― 〇出席理事者  知事            中 村 時 広  副知事           高 浜 壮一郎  知事補佐官         上 甲 啓 二  公営企業管理者       三 好 大三郎  総務部長          長谷川 淳 二  企画情報部長        横 田   潔  県民環境部長        上 甲 俊 史  保健福祉部長        仙 波 隆 三  経済労働部長        東 倉 勝 利  農林水産部長        佐 伯 滿 孝  土木部長          井 上   要  会計管理者出納局長     岡 本   靖  公営企業管理局長      栗 田 史 朗  教育委員会委員       関   啓 三  教育委員会委員教育長    藤 岡   澄  副教育長          保 木 俊 司  人事委員会委員       木 村 スズコ  公安委員会委員       亀 岡 マリ子  警察本部長         岸 本 吉 生  監査委員          岸     新   ―――――――――― 〇出席事務局職員  事務局長          村 上 哲 義  事務局次長総務課長事務取扱 川 口 和 男  議事調査課長        玉 井 秀 昌  政務調査室長        山 岡 敏 章  副参事総務課長補佐     田 中   淳  副参事議事調査課長補佐   兵 頭 典 子   ―――――――――― 〇本日の会議に付した事件  定第1号議案ないし定第61号議案      午前10時30分 開議 ○(西原進平議長) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の会議録署名者田中多佳子議員石川稔議員を指名いたします。   ――――――――――――――――― ○(西原進平議長) これから、定第1号議案平成23年度愛媛県一般会計予算ないし定第61号議案を一括議題とし、質疑を行います。 ○(笹岡博之議員) 議長 ○(西原進平議長) 笹岡博之議員   〔笹岡博之議員登壇〕 ○(笹岡博之議員) (拍手)おはようございます。  公明党の笹岡博之でございます。  公明党・新政クラブを代表して、質問をいたします。  中東におけます独裁政権や長期政権の崩壊は、新しい世界を予感させ、民衆のパワーに対して期待感を持つとともに、不安感も抱く自分があります。過渡期であるのは間違いないと思いますし、ある意味、混乱しつつある世界の中での日本の果たすべき役割は大きなものがあると確信していますし、当然、日本にはその力もあります。しかしながら、日本の政治がこれほどふらふらしていますと、世界においてリーダーシップを発揮するなどということは夢のまた夢、残念のきわみでもあります。  民主党政権に対しては、昨年の参議院選でレッドカードが突きつけられていると思いますが、そのことに対しての明確な総括がないまま、今日まで来ております。マニフェストの内容は、既に破綻しているのは明らかで、このわけのわからないマニフェストに沿って、財源の確保もしないまま借金を増大させてもらっては困るというのが民の声であります。無駄を省くと言いながら、国家公務員の総人件費2割削減も立ち消え、事業仕分けも中途半端、一体、何をやりたいのかよくわからないのであります。  そうした中、先日の名古屋市長選愛知県知事選では、河村市長の圧勝による再選と、河村氏と連携した大村氏の圧勝という結果となりました。私も、30年ほど前のサラリーマン時代に、名古屋に3年ほど住んでいたということもあり、興味を持って注視をしておりました。河村市長の特異なキャラクターや、選挙戦略の巧みさなど、勝因は幾つか挙げられると思いますが、名古屋の知人何人かに聞きますと、既存制度に対しての物足りなさや不信感を全員が指摘したことには、大きな意味があると思います。熱狂的に河村陣営を支持したわけではなく、消極的な支持が多かったのかもしれません。投票率にも、そのことがあらわれているように感じます。  1月末に実施されました読売新聞による「統一地方選・地方自治」に関する全国世論調査では、知事や市長が政策を実現するために独自の政党をつくり、地方議会選挙に候補者を擁立するという手法について聞いたところ、「好ましくない」が53%と、「好ましい」の31%を大きく上回っておりました。また、地方議会が「住民の意思を反映した活動をしていない」との設問には、64%の人がイエスと答え、行政に対するチェック機能を「果たしている」と考える人が33%、「果たしていない」とする人が57%となっております。記事では、首長の力が強くなり過ぎることへの警戒感とともに、地方議会に対する国民の強い不満がうかがえると報じております。裏返しますと、地方政治における二元代表制のシステムは肯定する。議会は、首長や行政に対しては是々非々の対応をしっかりやってもらいたいという、ごく常識的で当たり前のことができていないと思っている人が多いという結論であろうと推察するものであります。  橋下大阪府知事率いる大阪維新の会や、河村名古屋市長率いる減税日本は、時代のあだ花であるか、次の時代への大きな潮流となり得るのかということもありますけれども、地域住民の声をよく聞き、代弁し、提案するのが地方議員本来の大きな役目の一つであるということを再確認しつつ、質問に入らせていただきます。  まず初めに、知事の政治姿勢について質問いたします。  平成22年の国勢調査結果の速報が出ました。それによると、愛媛県の人口は143万957人で、5年前の17年の調査に比べ、3万6,858人の減少であります。減少率で2.1%と、大幅な減少率となっております。平成2年の国勢調査から、5回連続して減り続ける本県の人口ですが、この5回の調査のうち今回調査が、減少数も減少率も最大ということであります。少子高齢化が進む中で、ある意味、いたし方のない部分もありますが、2.51%の減少率は重くのしかかってくるのであります。四国の他県に目を向けますと、香川、高知、徳島とも人口が減少し、高知の減少率が最も大きく4.02%、徳島が2.97%、香川が1.64%となっています。  人口減少に歯どめをかけるため、雇用の場の確保や経済活性化が大事であることは言うまでもありませんが、最近、いろいろな人の話をお伺いして気づいたことがあります。正確なデータがあるかどうかわかりませんが、転勤等で愛媛に来て、そのまま家を建てたとか、住みついたという年配の方が、結構多いという事実であります。その理由はさまざまですが、「気候が温暖」、「人が温かい」などと並んで、「愛媛の教育がよかったから」、「愛媛の教育レベルが高かったから」と、教育面を挙げる人が多くいらっしゃいます。教育という要素は、人を残し、人を呼べる要因となると思うわけでもあります。  さて、新年度の予算編成については、愛顔あふれる愛媛県づくりというテーマに沿って、厳しい財政状況の中、各所に目配りをされながらの編成に対しては、御苦労があっただろうと推察をいたします。このような限られた財源の中では、全体を通してめり張りのきいた予算であると評価をするものであります。2月補正予算では、各種基金への積み増しも計上されているようですが、県債管理基金を初め緊急時の財布が乏しいのは、いかにも不安であります。これは、今後の課題として取り組まなければいけないと思います。  以下、質問をいたします。  1つは、今回の予算編成について、知事はどのように自己評価をされているのか。また、編成過程で苦労したことについても、あわせてお伺いをいたします。  2番目に、少子高齢化が急速に進む中で、人口減少に対しどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
     今回の国勢調査の速報では、人口が増加した自治体は、松山市と東温市だけでありました。人口の移動形態の詳細な分析も必要であると思いますし、地域ごとのニーズにいかにこたえていくかも大事だと思います。日本全体の人口構成から、ある程度やむを得ない側面もあるとは思いますが、地域間格差も含め、断固たる決意で取り組まなければ手おくれになり、地域は崩壊してしまうとの危機感を強く持つのであります。  3つ目に、知事は「徹底して無駄を廃し」と「削るべきものは削り」と常々言われており、行財政改革をさらに進める視点で組織を立ち上げられたとお聞きしておりますが、具体的にどのように取り組まれるのかお伺いをいたします。  4つ目に、歳入の状況を見ると、県税収入は引き続き減少傾向にあり、地方税である法人関係税に景気の影響があらわれていると思うのであります。知事は、地方税のあり方についてどう考えているのかお伺いをいたします。  5つ目に、知事は県の機構改革に、どのような方針で、どのような効果をねらって取り組まれるのかお伺いをいたします。  続きまして、新しい公共支援事業について質問をいたします。  この新しい公共支援事業は、総額1億3,700万円で基金を設置し、NPO等の活動基盤強化や多様な主体の協働による地域課題解決に向けた活動を支援するための事業と聞いておりますが、ぜひ過疎地の交通対策や、都市部における買い物難民対策なども含め、喫緊の課題解決に向けて効果的に活用していただきたいと要望するものであります。  地域課題解決に向けて努力しているのは、地域住民や行政、企業、NPOなどさまざまであります。この事業は、イメージ的にはNPO主体の事業のような印象を持ちますが、課題解決に向けて前進し、将来にわたって共助が定着するのであれば、どこが主体となってもよいのではないかと考えるものであります。NPOとの協働ということを否定するつもりは毛頭ありませんし、まじめに活動しているNPOには大いに支援をしていただきたいとの立場でありますが、地域によってはNPOが主体となるとハードルが高いと思われるのではないかと懸念もするのであります。  ここで、お伺いをいたします。  新しい公共支援事業グランドデザインをどのように考えておられるのかお聞きをいたします。事業案を募集する際のガイドラインや、今後のタイムスケジュール住民ニーズに応じた地域課題をどのように選定していくのか、NPO等活動基盤強化支援事業地域課題解決活動創出支援事業への配分比率をどのように考えているかも含め、お答えを願いたいのであります。  次に、飲料用自動販売機設置者の公募について質問をいたします。  ここ数年の流れとしまして、自治体に設置されている飲料用自動販売機公募入札が一般化し、「自販機に埋蔵金」などの表現で騒がれたときもありました。先行した自治体では、採算を度外視した業者の高値入札により、飲料の品質確保に問題があるのでは、との懸念が示されたとの話もあります。いずれにしても、大きな流れの中で、自販機の公募入札は導入すべきだと考えますし、無理のない範囲で県収入の一助とすることは賛成であります。県は、飲料用自販機公募入札を、県立学校に設置されているものを主に対象として3月上旬に行い、新年度より新たな制度により自販機を設置すると聞いております。  そこで、お伺いをいたします。  1つは、飲料用自販機には、缶、ペットボトル用紙カップ用、牛乳などの紙パック用などがあります。県立学校の生徒に聞きますと、それぞれの需要があり、例えば男子生徒はペットボトルを好み、女子生徒は量より値段を重視するなどの傾向があるようです。正確な統計ではないですが、私の周りの子に聞くと、値段を重視する生徒は多いと思います。  同じ施設に複数の形態の自販機がある場合、その比率はできるだけ変えない方が、生徒たち初め消費者のニーズにこたえられると思いますが、入札における既存自販機への配慮はどのようにしているのかお聞かせ願います。また、そのような配慮に立つならば、同じ施設にある自販機を1社が独占するのもどうかというふうに考えますが、御見解をお聞かせ願います。  2つ目に、今までの飲料用自販機設置者は、大手事業者ばかりとは限らず、零細事業者は入札などの事務手続を煩雑に感じ、今回の入札を辞退するケースも考えられます。入札における地元の零細事業者への配慮はどうかお聞かせ願いたいのであります。また、今回の公募入札で、県はどれくらいの収入を見込んでいるか、あわせてお聞かせください。  続きまして、がん対策について質問いたします。  松山市においては、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成による無料の接種が中学1年生から高校1年生の年齢の女子を対象に、今月15日より始まりました。私たち公明党愛媛県本部では、署名活動や議会質問などを通じてワクチンの公費助成による無料化を訴えてまいりましたので、関係の皆様方の御英断には心からの敬意を表するものであります。この予防ワクチン接種の普及により、子宮頸がんに罹患する女性が大きく減ることを心から望むものであります。  ただワクチンの接種で子宮頸がんを予防できる率は、5割から7割とも言われますので、一定の年齢に達した後の検診もあわせて行われれば、子宮頸がんの予防はほぼ完璧であると思われます。20代、30代の女性のがん死亡原因の1位である子宮頸がん、対策が大きく進んだことは、大いに評価をするものであります。  さて、愛媛県がん対策推進条例が施行されてから、間もなく1年になろうとしております。  そこで、お伺いをいたします。  1つは、地域医療再生基金を活用したがん対策への取り組みについてお伺いをいたします。  国の補正予算で盛り込まれた地域医療再生臨時特例交付金の拡充分2,100億円を活用する地域医療再生計画案の中に、がん対策への取り組みを盛り込んでいただくことを熱望いたします。国への計画案の提出期限が5月というふうに聞いておりますが、地域医療再生基金を活用したがん対策にどのように取り組まれるのかお聞かせを願います。  2つ目に、がん登録の推進についてお伺いをいたします。  がん対策推進条例の第7条に、がん登録の推進がうたわれています。条文では、  県は、がん対策の効率的な推進を図るため、医療機関と連携し、がん登録がん患者のがんの罹患、転帰その他の状況に関する情報を収集し、及び分析するための制度をいう。)の推進に努めるとともに、当該がん登録の精度の向上を図るために必要な施策を講ずるものとする。  となっております。地域がん登録は、がん対策の企画や評価をするのに欠かせないデータとなりますし、院内がん登録は、今後の効果的な診療や治療を進める上での貴重なデータとなります。例えば、「日本人の二人に一人が一生のうちにがんに罹患すると言われている」というように、国立がんセンターによる推計値では、今後の施策の企画や評価にも説得力を持たせることができません。がん登録の現状と今後の推進にどのように取り組むのかお聞かせを願います。  また、がん診療連携拠点病院における現状も、あわせてお聞きをいたします。特に、地域がん診療連携拠点病院である県立中央病院におけるがん登録の現状と、今後の推進にどのように取り組むのかお聞かせを願います。  3つ目に、がん患者の治療における経済的負担についてお伺いをいたします。  NPO法人おれんじの会の皆さんが、昨年末にがん診療連携拠点病院に入院中のがん患者の皆さんからの患者満足度調査をまとめられております。それによりますと、療養生活に関する不安や負担の分析の項で、医療費に関する不安が上位に来ており、経済的負担により治療の継続が危ぶまれる患者さんも約3割に上るとの調査結果でありました。  がん治療には、高額の費用がかかる場合も少なくありません。高額療養費助成制度もあるとはいえ、この調査での医療費の平均値が月あたり18万円近くというのは、改めてがん治療にはお金がかかるとの印象を持つわけであります。条例の第8条に、がん患者等の負担の軽減に関することがうたわれております。まず、県として、がん患者の皆さんへの経済的な負担などの実態調査を行う必要があると考えますが、御所見をお示しください。  その上で、自助、共助、公助、それぞれの面でどういうことが必要か、県民の命を守るという観点からタブーなき議論をすべきだと考えるものであります。そこには、さきの議会で木村議員からも質問がありました、がん対策募金や基金を創設、活用し、がん患者や家族の皆さんの経済的な負担の軽減に役立てるということも、視野に入ってくると思うわけであります。  4番目に、子宮頸がん予防の啓発についてお伺いをいたします。  ワクチンの接種で100%子宮頸がんが予防できるわけではないことを、この項の冒頭で述べたわけでございますが、若い女性の命を守るために、20代以降の検診をあわせて啓発していただきたいと思います。学校現場との連携も、当然考えられますし、ワクチン接種を行う医療機関で行うことも必要だと考えます。また、ワクチン接種は、半年の間に3回行わなければ効果が薄いとの認識も、接種を受ける本人はもとより家族にもわかっていただき、必ず3回を半年の間に受けるような啓発も進めていただきたいのであります。子宮頸がん予防の啓発についてどのような対策を講じられるかお聞かせを願います。  次に、犬、猫などのペット対策について質問をいたします。  「犬たちをおくる日」という本を読みました。舞台は愛媛県動物愛護センター、副題が「この命、灰になるために生まれてきたんじゃない」となっております。県動物愛護センターには、委員会の視察を含め3回ほど行かせていただきましたが、表面的なことしかわかっていない、また、わかろうとしなかった自分の無知蒙昧を恥じました。この本には、職員の皆さんの熱き思いが、県動物愛護センターの日常を通して描かれています。殺処分の現状などを通して、命の大切さや人間の身勝手さ、それを許す社会のあり方など、いろいろなことを考えさせられました。  もともと野生動物だった犬と猫は、犬が約1万5,000年前、猫が8,000年前に、人間が飼いならし、人間と共存するようになったと言われております。我が家にも愛犬がいますが、家族の一員として欠かせない存在であります。  犬は、動物の中で唯一神を見ることができる動物というように、飼い主に対して抱く信頼には驚くべきものがあります。盲導犬や救助犬、警察犬などは、その代表的なものでありましょう。また、心の面でも、治療法としてのアニマルセラピーなどがよく知られています。会話しなかった高齢者の方が犬と触れ合うことで明るくなったり、心を閉ざしていた子供が周りの友達と仲よくなったりというような事例が報告をされています。  米国のデータでは、動物と一緒に暮らした経験のない子供は、経験のある子供に比べて、大人になってから犯罪に手を染めてしまう確率が、約6倍にもなると言われております。ペットフード協会の調査によりますと、日本では、ペットの飼育世帯率は、犬が17.8%、猫が10.6%にも上り、犬1,200万頭余り、猫1,000万頭余りが飼われているというふうに推計されております。まさに、ペットも社会を構成する一員であるということが言えると思います。  動物愛護センターに送られてくる犬や猫は、飼い主が県下の市町に持ち込むケースがほとんどであると聞いておりますが、譲渡会で救える命というのはほんの一部であります。平成21年度に動物愛護センターでは、犬約2,000頭、猫約3,500頭を殺処分しているとのことであります。職員の皆さんは、捨てられた命を1頭でも救う社会から、捨てられる命を1頭でも減らす社会を目指して情熱を燃やされていることが、この本を通じて、殺処分という現場にいるからこその臨場感を持って伝わってまいります。  例えば、動物愛護センターのしつけ教室についてのお客さんと職員のやりとりでは、  「しつけ教室とは、犬のしつけではなく、実は飼い主さんのしつけのことなんですよ」  「飼い主のしつけ?」  「そうです。まず、犬という生き物をよく理解してもらい、犬を幸せにできる飼い主さんになってもらうためには、どんなことが必要か。それを知っていただく教室でもあるんです」  「そうです。これは、ただ犬をかわいがる、犬のいうことを何でも聞くこととは全くちがいます。犬は自分で自分がコントロールできない生き物です」  「たとえば、繁殖です」  「人間は産む子どもの数をみずからコントロールできますが、犬はそれができません。飼い主さんがコントロールしてあげなくてはいけないんです。このセンターで飼えなくなったと持ち込まれる犬の半分が子犬です。飼い主さんが、自分の犬の避妊・去勢手術をしなかった結果なんですよ」  というような会話が交わされております。  不妊・去勢手術については、飼い主によってさまざまな考えがあると思います。しかし、年間で約2,500頭もの子犬や子猫が殺処分されている現実を考えると、飼い主の責任としての不妊・去勢手術をしなかったがための結果であるとも言えます。  この本の最後の方で、職員の方の言葉が紹介をされております。  「ぼくが目指すのは、この愛媛県の動物愛護センターを、日本一の愛護センターにすることです」  「ぼくらが日本一の愛護センターを目指すってことは、愛媛県民を日本一幸せな県民にするということですね」  「動物が幸せな社会って、決まって人間も幸せなはずです。日本一動物にとって居心地のいい社会づくりを目指すことは、県民にとっても日本一居心地のいい社会をつくることになりますよね」  「動物が幸せな社会は、人も幸せか。ほんま、そうじゃけん」  「ぼくらの仕事は動物のためだけの仕事やない。ほんまの幸せ。動物の幸せ=県民の幸せ。ますますやる気がでるな」  まさしく動物の一生涯を大切にする社会こそ、命の尊厳を大切にする社会であると思います。  ここで、質問をいたします。  1つは、動物愛護センターによる広報や啓発活動には、敬意を表するものです。同時に、殺処分される命を減らす取り組みには、より一層の市町の担当課の協力が欠かせません。市町は、飼育放棄しないよう説得するなどの対応を一段と粘り強く行うよう願いたいものです。  そのために、場合によってはNPOなど民間との協働も視野に入れた対応が必要であろうと考えるものであります。動物愛護センターにおける殺処分の現状と推移、今後の殺処分を減らす取り組みについてお伺いをいたします。  また、動物愛護センター主催の新しい飼い主になるための講義を、NPOやボランティアとの協働により進めていると聞いておりますが、拡充してはどうでしょうか。あわせてお伺いをいたします。  2番目に、学校で子供たちに命の大切さを教えるため、動物愛護センターをどのように活用しているのか、現状と今後の取り組みについてお伺いをいたします。  最後に、小児救急医療電話相談事業について質問をいたします。  #8000へ携帯電話や固定電話からダイヤルすると、小児科医や看護師の担当が応対をしてくれる小児救急医療電話相談は、子育て中の皆様から好評であり、認知度も高まりつつあります。私は、平成16年6月議会の一般質問で、#8000小児救急医療電話相談の導入提案をさせていただきました。その後、会派要望においても、導入を主張してきた者の一人として、導入・運営にかかわってこられた御関係の皆様に、心からの敬意を表するものであります。  #8000小児救急医療電話相談は、平成20年1月に開始。その後、充実が図られ、現在は夜7時から11時まで、年じゅう毎日休みなく運営をされております。  先日、急患医療センターの関係者と話をする機会がありました。この小児救急医療電話相談が導入され、認知度が高まってくるにつれて、急患医療センターで受診をする小児が減ったとのお話をお伺いいたします。その分、他の急患に対しての対応に当たることができると話しておられました。  そこで、お伺いをいたします。  小児救急医療電話相談の利用状況はどうか。また、若いお母さん方と話すと、この事業の認知度も上がってきていると実感をいたします。同時に、時間延長を望む声も多くあります。小児救急医療電話相談事業の拡充に向け、今後、どのように取り組みをされるのか、あわせて御見解をお聞かせ願います。  以上で私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(西原進平議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(西原進平議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 笹岡議員に、まず今回の予算編成についての御質問についてお答えをさせていただきます。  今回の予算編成は、一括交付金の詳細が国から示されないなど、現時点での限られた情報をもとにした編成作業となり、また、景気の低迷により法人関係税を初めとする県税収入の減少傾向が見込まれるなど、必要な行政サービスに対して歳入が不足し、結果として財源対策用基金の繰り入れを行わざるを得ない厳しい予算編成を余儀なくされました。  このような中ではありますが、23年度当初予算は知事に就任して初めてのものであり、自分なりに精いっぱい知恵を絞り、効果的・効率的な財源配分を行って、公約を着実に実現するための施策を可能な限り盛り込むことができたのではなかろうかと考えてもおります。具体的には、県内経済の下支えを図るための県単独緊急経済対策や、県立学校校舎の耐震化促進など、喫緊の課題に取り組むとともに、東予のものづくり産業のデータベース化や県産農林水産物のブランド化などの経済活性化対策のほか、医療体制の整備や教育、子育て支援の充実など、財政状況が厳しい中にあっても、未来志向でのきめ細かな対応に努めさせていただきました。  また、笹岡議員お話のとおり、枯渇状態に近づいている財源対策用基金については、今後の長期的な財政運営を見据え、22年度2月補正予算において積み増しを行い、当面の目標である財源対策用基金残高200億円は何とか達成できる見込みとなったところではありますが、全国レベル、他県との比較ではまだまだ低水準であり、決して十分とは言えない状況にあると思っております。  さらに、23年度末の県債残高は1兆円を超える見込みでありますが、県の責任で返済する建設地方債残高は、着実に自助努力によって縮減してきたにもかかわらず、本来、地方交付税で措置されるべきものが、国の方針によって、後年度、国が負担するとは言っておりますが、臨時財政対策債の発行を余儀なくされており、しかも、近年、その発行額が大幅に増加していることによるものであって、国のこうした一方的な政策によって、県債残高総額が見かけ上、減少しないように見られる状態に置かれていることに大変苦慮をしております。これは、全国どこでも同じ状況にあります。  なお、今回の予算編成は、就任後2カ月余りの短期間であったため、公約実現の予算は芽出しの段階のものが多く、いわば離陸前の助走予算的な位置づけであり、今後、知恵と工夫によりさまざまな取り組みを本格的に実施したいと考えており、県民の皆さんとともに、愛顔あふれるふるさとづくりの実現に邁進する所存でございますので、議員各位の一層の御理解とお力添えを賜りますようお願い申し上げる次第でございます。  次に、行財政改革をさらに進める視点で組織をどう考えているのかということについてでありますが、県政の最重要課題である行政改革や地域主権改革を推進するためには、迅速かつ機動的に対応できる体制を整備する必要があるものと思います。  このため、知事就任早々の12月には、行政改革と地域主権改革の2つのプロジェクトチームを立ち上げるとともに、1月には全庁的組織となる行政改革・地方分権戦略本部を設置したところであります。今後は、この体制のもとで、私みずからが本部長として陣頭指揮に当たり、全庁挙げた総合力を発揮して、全県的視野で改革に取り組んでまいりたいと考えております。特に、行政改革については、加戸前知事のもとで職員数の削減や給与の抑制など、さまざまな取り組みが実施されてきたところでありますが、「行政改革に終わりはない」を旗印に、事務事業評価の再徹底等により、さらなる無駄の洗い出しや施策の充実を図り、めり張りのきいた予算編成を今後とも心がけてまいりたいと思います。  また、地域主権改革についても、本県の実情に即した地方分権のあり方を追求し、市町としっかり連携して国へ強く提言を行い、その実現を働きかけていく必要があるのではなかろうかと考えております。これらとあわせて、専門的見地や県民目線に立って、行政改革の方針や地方分権のあり方などについて幅広い議論を行うため、戦略本部のもとに民間有識者等から成る行政改革・地方分権推進委員会を設置することとし、条例の改正案を本議会に提案させていただいているところでございます。  こうした取り組みにより、知恵と工夫で効率的な行財政運営に努めるとともに、国に対しては、国と地方のあるべき姿を積極的に提示し、それに見合った財源と権限の移譲を確実に行うよう、強く主張してまいりたいと思います。  次に、地方税のあり方についてでございます。  地方税は、地方の自主財源のかなめであり、これからの地域主権の時代にあって、地方がみずからの判断に基づき地域のニーズに即した政策を進めていくための財政基盤として、その充実強化が求められているものと認識しております。  しかしながら、現行制度では、必要な歳出に見合う地方税収入が不足していることに加え、都道府県の場合、議員お話のように、景気の変動に左右されやすく、都市部と地方との偏在性が大きい法人関係税が基幹税の一つとなっており、県民サービスを安定的に提供するためには、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築することが不可欠であろうと思います。  これまでも地方税制は、所得税から個人住民税への税源移譲など、分権型社会を支える税源の充実が一定程度図られてきたところでございますが、地方は医療、介護、保育など社会保障に対する応分の負担や現場でのサービス提供などの重要な役割を担っており、急速な少子高齢化の進展により、社会保障負担が地方全体で毎年度7,000億円程度増加していく中、社会保障制度の見直しとあわせて地方の社会保障サービスを支える地方税の充実確保が、地方にとっても喫緊の課題となっております。  なお、この社会保障制度につきましては、国が制度の根幹を決めて、実施を地方がという形になっておりますから、この制度の問題について地方が知恵と工夫を凝らす余地がほとんどございません。いわば、放置されれば自動的に地方の負担が増大していくわけでありますから、この点についてももう待ったなしの状況にあるのではないかということを、国に訴え続けなければならないと考えております。  このため、政府・与党においては、現在進められている社会保障と税の一体改革の議論において、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税の引き上げについて、全国知事会等を通じてみずからも、私、主張していく所存でございますので、議員各位もぜひ皆さんの立場で関係者に働きかけをお願いしたいと思います。  なお、おととい、全国知事会が招集されましたので、そのときでも、その場においても同じような趣旨で発言をしてまいりました。とりわけこれは、社会保障改革及び地方消費税を含めた税制改革については、結果としてどちらも、恐らくというよりは確実に、国民の負担が増大することにつながる結果が待っているように思います。であるがゆえに、それを提案する国、そしてまた間接的にそれを主張する我々も、あくなき行政改革を断行することによって姿勢を示さなければならないと思いますし、特に実施主体となる国につきましては、みずからが身を削る姿勢というものを国民に示さない限り、こうした負担を国民に呼びかけても、なかなか聞く耳は持ってもらえないだろうということを主張してまいりました。とりわけ前回の選挙で大方の政党が約束した国会議員の定数削減、そして国会議員の世襲制限、そして地方分権の推進、特に国と地方の法定協議機関の設置を含めた基本法の成立については、ほとんどの政党が約束していたはずなんですが、1年半たった今日においても成立すらしていないというのは、どう考えてもおかしいというふうなことを強く打ち出すべきだということをお話しさせていただきました。こうしたことを、ぜひこれからも主張する中で、国に対して物申していきたいと思います。  次に、県の機構改革について、どのような方針で、どのような効果をねらって取り組むのかについてでございます。  私は、公約に掲げた愛顔あふれる愛媛県の実現を目指し、各種の政策課題について、早速23年度から本格的に取り組ませていただきたいと思っておりますが、そのための体制づくりとして、主に企画部門と総務部門を再編強化する方針のもと、企画部門については、部の名称を企画振興部へ改めるとともに、総合政策課や地域振興局を設置する、総務部においては、行財政改革局を設置する、こうしたことなどを柱とする組織改正を行いたいと考えております。  これらの組織改正により、部局横断的な政策立案、調整機能の強化による政策立案型組織への転換や、文化、スポーツを含めた地域振興施策を、市町とも連携しつつ総合的、一体的に推進することによる相乗効果、本県の実情に応じた地域主権改革や行財政改革の強力な推進などの効果があるのではなかろうかと考えております。  なお、今後も引き続き、県庁組織がどのように機能しているかを十分見きわめるとともに、地域主権改革の動向や市町との連携、一体行政の進展などの諸情勢も踏まえながら、スクラップ・アンド・ビルドを基本に、機動的、効率的な体制づくりに努めてまいりたいと思います。  その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○(三好大三郎公営企業管理者) 議長 ○(西原進平議長) 三好公営企業管理者   〔三好大三郎公営企業管理者登壇〕 ○(三好大三郎公営企業管理者) 笹岡議員にお答えします。  がん対策の3問目、地域がん診療連携拠点病院である県立中央病院におけるがん登録の現状と今後の推進にどのように取り組むのかという御質問です。  県立中央病院では、平成19年1月に、地域がん診療連携拠点病院の指定を受けております。がん登録の体制につきましては、国立がん研究センターによる研修を受講した専従職員一人のほか、専門業者に委託しまして、診療情報管理士二人を配置して、医師の指導のもとにがん登録に当たらせております。
     地域がん登録につきましては、平成19年分から20年分までの診療データ2,126件を四国がんセンターに提出しておりまして、現在、登録手続中でございます。また、院内の院内がん登録につきましては、平成20年分と21年分の診療データ2,268件を院内登録し、国立がん研究センターに提出しております。  県立中央病院では、平成21年度にがん治療センターを立ち上げておりまして、地域がん診療連携拠点病院としての機能強化を図っております。今後とも、院内のがん治療の向上とがん登録の推進に努めまして、地域のがん医療への貢献を図ることといたしたいと思っています。  以上でございます。 ○(長谷川淳二総務部長) 議長 ○(西原進平議長) 長谷川総務部長   〔長谷川淳二総務部長登壇〕 ○(長谷川淳二総務部長) 笹岡議員にお答えをいたします。  飲料用自動販売機設置者の公募につきまして、2点お尋ねがございました。  まず、入札における既存の飲料用自動販売機への配慮はどのようにしているのかとのお尋ねでございます。  県では、財源確保の一助とするため、すべての県有施設に設置しております飲料用自動販売機につきまして、公募入札の導入の可否を検討いたしました結果、福利厚生団体や福祉団体などが設置しております自動販売機を除く83施設、228台を対象にいたしまして、平成23年度からこれまでの行政財産の使用許可方式を貸し付け方式に変更いたしまして、公募入札を行うこととしたところであります。  今回の公募入札に当たりましては、それぞれの施設管理者がこれまでの設置機種についての利用者の意向も踏まえまして、議員から御指摘のありました缶・ペットボトル用紙カップ用など、自動販売機の機種を選定することとしておりますほか、特に県立学校の自動販売機につきましては、生徒、保護者の負担も考慮いたしまして、引き続き割引価格が設定されるよう入札条件を付すこととしているなど、生徒を初め利用者のニーズに配慮しているところであります。また、同じ施設内の自動販売機を1社が独占するのではないかとの懸念に対しましては、特定の飲料メーカーの商品に偏ることなく、できる限り複数の業者が参入できるようにするため、自動販売機1台ごとの入札を原則としておりまして、これによりまして業者の参入機会と利用者の利便性に配慮した設置を行ってまいりたいと考えております。  次に、地元の零細事業者への配慮はどうか。また、飲料用自動販売機設置者公募入札で、どれぐらいの収入を見込んでいるのかとのお尋ねでございます。  今回の公募入札では、入札に参加する事業者は、他の業務と同様、まず県の製造の請負等に係る一般競争入札に参加する資格の審査を受けた上で入札手続を行うこととなりまして、これまでの使用許可方式に比べ、必要となる手続を踏んでいただくことになりますが、透明性や公平性を確保するために必要なものであり、御理解をいただきたいと考えております。  一方で、これまで長年にわたり地元の個人商店等の協力で設置されてきました乳製品などの自動販売機につきましては、施設管理者が入札に当たりまして、地元の業者で所在市町内の公共施設への設置実績があること、これを入札の参加要件とすることができることとしておりまして、地元の零細事業者に対して一定の配慮を行っているところであります。  今回の公募による収入額につきましては、現時点で確たる見込みを立てているわけではございませんが、これまでの売り上げ実績や業界での標準的な収益配分などを参考に試算いたしますと、年間で2,000万から4,000万円程度の収入になるのではないかと想定しております。  以上でございます。 ○(横田潔企画情報部長) 議長 ○(西原進平議長) 横田企画情報部長   〔横田潔企画情報部長登壇〕 ○(横田潔企画情報部長) 笹岡議員にお答えをいたします。  知事の政治姿勢についてのうち、少子高齢化が急速に進む中で、人口減少に対し、どのように取り組んでいくのかとのお尋ねでございます。  笹岡議員のお話のとおり、今回の国勢調査は本県にとって本格的な人口減少社会の到来を実感させる結果となっており、さまざまな面で地域の活力維持どころか、存続そのものにも影響を与えるおそれがあるという強い危機感を持っております。ただ率直に言って、人口減少に歯どめをかける特効薬を見いだすことは困難であり、まずは、えひめ・未来・子育てプラン後期計画に基づき、えひめ結婚支援センターの運営による未婚化対策などに加え、多様な保育ニーズへの対応や、放課後児童クラブの充実などの子育て支援策にしっかり取り組み、出生率の向上につなげるとともに、新事業の創出、企業誘致等を通じた雇用の確保拡大や移住促進により人口の流出抑制と流入促進を図るなど、人口減少のスピードを少しでも緩める方策を着実かつ地道に講じていきたいと考えております。  また、人口減少が前提となるこれからの時代において、地域に活力を呼び込むためには、交流人口の拡大や、成長著しいアジア地域のダイナミズムをいかに活用するかといった視点を持つとともに、成熟社会における価値観の変化に対応して、県民が幸せを実感できる愛媛づくりを進めることが課題であると認識しており、来年度策定予定の新しい長期計画において、目指すべき将来像や、その実現の方向性を示していきたいと考えております。  以上でございます。 ○(上甲俊史県民環境部長) 議長 ○(西原進平議長) 上甲県民環境部長   〔上甲俊史県民環境部長登壇〕 ○(上甲俊史県民環境部長) 笹岡議員にお答えをいたします。  新しい公共支援事業グランドデザインについてどのように考えているのかとのお尋ねがございました。新しい公共支援事業は、県がこれまで進めてきた愛と心のネットワークづくりと共通の基盤に立ち、ボランティア、NPOの育成支援や協働の取り組みの成果を継承し、地域課題の解決に共助の精神で取り組む仕組みづくりや活動を支援するものでございまして、その基本方針や事業計画は外部の専門家やNPO関係者、行政関係者等で構成する運営委員会の意見を参考に、平成23年度早々には決定したいと考えております。  この事業を効果的に実施するためには、新しい公共の担い手となる民間非営利団体の活動基盤を強化する必要があり、NPO法人や社会福祉協議会などの中間支援組織等から、会計などの個別指導の専門家派遣、各種講習会の実施、寄附募集などの企画提案も公募の上、決定し、これらを通じて新しい公共の担い手の自立的活動を後押ししてまいりたいと考えております。  また、地域課題解決活動創出支援事業につきましては、NPOに限らず、自治会や町内会等の地縁団体、企業等の多様な主体が協働して、公共的なサービスの提供主体となり、医療、福祉、教育、子育て、まちづくり等の地域課題の解決に取り組むため、モデル的に行うものでございまして、具体的には市町等を通じて買い物難民対策や商店街再生支援など、それぞれの地域課題に対応した事業を募集し、選定していくこととしております。  この活動創出支援事業は、喫緊の地域課題の解決に直接つながるものでありますことから、国が示しました基金額の2分の1という上限額まで活用したいと考えております。  以上でございます。 ○(仙波隆三保健福祉部長) 議長 ○(西原進平議長) 仙波保健福祉部長   〔仙波隆三保健福祉部長登壇〕 ○(仙波隆三保健福祉部長) 笹岡議員にお答えをいたします。  まず、がん対策について、4点ございました。  1点目は、地域医療再生機関を活用したがん対策にどのように取り組むのかとのことでございます。  国の平成22年度補正予算で措置されました今回の地域医療再生基金は、県を単位とする広域医療圏におきまして、高度専門医療に関する連携体制の構築等を基本コンセプトとして、県が新たに地域医療再生計画を策定実施する場合に、15億円の基礎配分の上に、国の評価に応じて基金が加算をされる仕組みでございまして、本県といたしましても地域医療の基盤強化のために、有効に活用したいと考えております。  このため、計画策定に先立ち、地域のニーズを把握するため、医療機関や医師会、市町、大学等から幅広く提案を募集いたしましたところ、これまでに70件余りの応募がございまして、がん対策についても複数の医療機関や患者団体等から、がん患者の在宅医療の充実や相談支援、情報提供体制の強化等に関する具体的な提案が挙がっているところでございます。  県といたしましても、県民の死亡原因の第1位であるがんについて、基金を活用し、全県的な視野で対策の拡充強化に取り組む必要があると考えておりまして、寄せられた提案等をもとに、今後、がん対策推進委員会や保健医療対策協議会での議論、また幅広い県民からの意見等を踏まえながら、患者、家族の視点に立った実効性のある取り組みを地域医療再生計画に盛り込んでまいりたいと考えております。  2点目は、がん登録の現状と今後の推進にどのように取り組むのかとのことでございます。  がん登録は、正確なデータに基づき、がん対策を効果的に推進する上で重要でありまして、本県では国に先駆け平成2年度から地域がん登録を開始いたしますとともに、平成19年度からは国のがん対策推進基本計画に基づきまして、全国標準方式による地域がん登録を四国がんセンターに委託して進めております。これまで、平成19年分で約7,800件、平成20年分で約8,800件の診療データが提出をされ、順次、その登録作業を行っているところでありまして、そのうち県内7カ所のがん診療連携拠点病院のデータが9割以上を占めております。  また、院内がん登録につきましては、がん診療連携拠点病院において実施が義務づけられておりまして、がん医療の均てん化を目的として、全国標準方式により登録が行われており、県内では平成19年分で約6,700件、平成20年分で約7,900件、平成21年分で約8,600件の診療データが登録をされております。  県といたしましては、今後とも四国がんセンターを初め、がん診療連携拠点病院との連携を強化いたしまして、がん登録実施医療機関の拡大と届け出データの精度向上に取り組むなど、がん登録の着実な推進に努めてまいりたいと考えております。  3点目は、がん患者の経済的な負担などの実態調査を行う必要があると考えるがどうかとのお尋ねでございます。  がん患者やその家族の方々は、精神的、肉体的な不安や苦痛を抱えておりますほか、長期の療養や高度専門医療等にかかる経済的負担も大きく、その実態を把握することは、患者や家族の視点に立った実効性のあるがん対策を講じる上で重要であると考えております。  このような認識のもと、県では、笹岡議員、お話のございましたように、患者団体に委託をいたしまして、がん診療連携拠点病院の入院患者を対象に、患者満足度調査を実施したところでありまして、現在、通院患者につきましても、拠点病院の協力を得て、医療費の支払いが困難な方々の実態調査を進めております。また、在宅患者につきましては、来年度、拠点病院の退院患者や患者会の会員を対象に、在宅療養ニーズ等についての面接調査を全県的に実施する方向で検討をしております。  県といたしましては、これらの各種調査を通じて、可能な限り経済面を含めた患者負担の実態や支援ニーズの把握に努めまして、その結果をもとに、がん対策推進委員会で必要な対策について十分に議論をいただきまして、がん患者やその家族が安心して療養生活を送ることのできる対策について検討してまいりたいと考えております。  4点目は、子宮頸がん予防の啓発についてどのような対策を講じるのかとのことでございます。  子宮頸がんは、20代、30代の若い世代から罹患するがんでありまして、ワクチン接種とともに20歳からスタートするがん検診の定期的な受診が重要であると考えております。  このため、県といたしましては、ワクチン接種の対象となる中学生、高校生や、その保護者等に対する接種の目的、効果、副作用などの情報提供にあわせ、子宮頸がんの原因や検診の重要性など、正しい知識の普及を目的に、市町や保健所、教育関係者を対象とする研修会の開催、啓発用スライドやリーフレットの作成等に取り組みますとともに、県医師会において、医療機関を対象に子宮頸がん撲滅をテーマにした研修会を開催し、ワクチン接種時には3回接種の必要性や、将来の検診の重要性などの指導を徹底するよう周知をいただいているところでございます。  来年度は、ワクチン接種が本格実施されますことから、市町や学校等における啓発用スライド等を活用した効果的な啓発活動の実施、接種医療機関の医師によるきめ細かな教育指導などを強化いたしますとともに、無料クーポン券事業やピンクリボン運動との連携協働によりまして、若い女性に重点を置いたがん検診の受診促進に努めますなど、子宮頸がん予防の啓発を積極的に推進してまいりたいと考えております。  次に、ペット対策についてのうち、動物愛護センターにおける殺処分の現状と推移、今後の殺処分を減らす取り組みについて問うとのことでございます。  県におきましては、平成14年に動物愛護センターを設立し、動物愛護教室やフェスティバルなどを通じて、動物愛護思想を普及啓発いたしますとともに、殺処分施設の公開や引き取り窓口となる市町における飼い主への指導の徹底などに取り組んでおりまして、犬、猫の処分頭数は、平成15年度の8,425頭から21年度には5,563頭と3割を超える大幅な減少となってはおりますが、センターの設置目的である人と動物が共生する豊かな地域社会づくりに向けまして、処分頭数のさらなる減少を目指す必要があると考えております。  このため、今年度は中予地方局におきまして、管内市町やNPO等と協働し、飼い主に適正飼育を啓発するキャンペーンやパトロールを実施いたしますとともに、来年度、平成23年度には動物愛護センターと金融機関が連携をし、店舗網を生かした啓発リーフレット等の配布やパネル展等の開催を計画するなど、新たな取り組みを展開することとしておりまして、笹岡議員、御提案のございました新しい飼い主になるための講義につきましても、市町やNPO等の協力団体と協議しながら、動物愛護センターが実施しておりますしつけ方教室の拡充について検討し、捨てられる命を1頭でも減らすことができるよう努めてまいりたいと考えております。  最後に、小児救急医療電話相談の利用状況はどうかとのことでございました。  小児救急医療電話相談は、平成21年4月に、それまで休日等の夜間に限定しておりました相談時間を、平日の夜間にも拡充をいたしますとともに、啓発チラシの配布や県政広報番組の活用等、積極的な周知に努めました結果、1日当たり相談件数は、本年度実績では平均10.2件と、事業開始当初の平均1.7件から大幅に増加しておりまして、県が毎年11月に実施しております調査結果では、時間外に二次救急病院を利用する小児、乳幼児の受診者数が大幅に減少するなど、この事業が小児救急医療の負担軽減に一定の成果を上げてきたものと受けとめております。  一方、事業の普及定着が進む中で、利用者や小児医療関係者等から、回線が混雑し電話がつながりにくいとの御指摘や、相談時間の延長について御提案をいただいているところでございますが、県といたしましては、まずは相談頻度の高い現行の相談時間帯の混雑緩和に優先して取り組むことが望ましいとの判断から、昨年実施しました電話会社による回線利用状況調査結果を踏まえまして、本年4月から2回線に増設をいたしまして、相談体制を強化することとしたところでございます。  なお、相談時間の延長につきましては、今後、深夜、早朝の利用ニーズや他県の状況等を調査し、小児医療や救急関係者で構成をいたします小児救急医療電話相談事業運営協議会での議論を踏まえながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(藤岡澄教育長) 議長 ○(西原進平議長) 藤岡教育長 ○(藤岡澄教育長) 笹岡議員にお答えをいたします。  ペット対策についてのうち、学校で子供たちに命の大切さを教えるため、動物愛護センターをどのように活用しているのかとのお尋ねでございました。  県教育委員会では、子供たちが動物に直接触れ合うことを通して、動物愛護の精神や生命尊重の態度を身につけることは大切であると考えており、児童生徒の発達の段階に応じ、愛情を持って小動物を育てる活動や、動物の成長過程を観察する活動などを学校の教育課程に組み入れ、命を大切にする教育に積極的に取り組むよう指導いたしております。これを受けて、県内の小中学校では、これまでも動物愛護センターが実施いたします動物愛護事業を活用した教育活動を行っており、今年度はセンター職員を学校に招いて、動物を飼うときの心構えなどを学ぶ動物愛護教室が小中学校8校で、また動物との正しい接し方を学ぶ動物ふれあい教室が中学校1校で実施されているところでございます。  今後とも、動物愛護センターの動物愛護事業や、センター職員の外部講師としての活用などを通じ、生き物を愛護する態度を育てますとともに、命あるものすべてを尊重し、大切にする心を養う教育に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(西原進平議長) 休憩いたします。  午後1時から再開いたします。      午前11時45分 休憩   ―――――――――――――――――      午後1時 再開 ○(西原進平議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(玉井敏久議員) 議長 ○(西原進平議長) 玉井敏久議員   〔玉井敏久議員登壇〕 ○(玉井敏久議員) (拍手)民主党の玉井敏久でございます。  2月22日、ニュージーランド・クライストチャーチを襲った大規模地震、5年余りが経過した今でも、白とグレーのコントラストが美しかった大聖堂や、市街地とは思えぬ景色の中、澄んだ水が緩やかに流れるエイヴォン川が、このまぶたに焼きついております。自分探し、あるいは国際感覚を磨くためにと、夢を描きながら渡航し被災された皆様の奇跡的な救出を、今はただただ願うばかりです。  さて、重要な来年度当初予算を審議する2月定例県議会の代表質問は、各交渉会派とも代表者が登壇し論陣を張ってほしい、議会人として伝統を重んじる心と、真摯に答弁していただける理事者に対する礼儀であり、誇りの問題でもあると、尊敬する先輩議員から議会人としての心得をひもといてくださったことが思い出されます。一方、在職35年以上の永年功労者として、全国都道府県議会議長会から名誉ある表彰をされました我が会派、土居一豊県議からは、「若い者がやったらええんじゃ」と、私の背中を後押ししてくださいました。父親と同い年、土居県議が、有終の美を飾られる今議会、少数会派ゆえの人選を御容赦いただくとともに、議会人としての誇りと感謝の気持ちを込めながら、会派を代表いたしまして質問に入らせていただきます。  知事の議会に対する考え方等については、さきの12月議会において、我が会派、横山議員から質問したところですが、最近の情勢変化なども踏まえ、改めて知事の政治スタンスについてお尋ねします。  私の、「なぜ一昨年、政権交代が起きたのか」の問いかけに対し、交流が深い小川淳也衆議院議員は、「政権交代の最大の構造要因は、経済成長の鈍化と人口減少だと思っている。自民党政権の本質は、経済成長を前提とした利益の配分の政治だったが、分配する資源ははるか以前になくなっていた。バブル崩壊から20年、分配するものはもはやないはずなのに、ひたすら借金を積み重ねることで過去と同じことができるような幻想を振りまき、それによって延命されてきた。しかし、これが限界に差しかかった。このことが、政権交代を起こした最も根源的な構造要因だと思う。裏を返せば、民主党政権に求められるのは、成長期の分配機能ではなく、低成長時代の国家経営機能である。これが私なりの定義だ」と語ってくれました。また、「低成長時代を生き抜くためには、意思決定のシステムをトップダウンに切りかえなければならない」とも。「方向感覚と資質を備えたトップリーダーが全体を俯瞰して、捨てるべきものを見定め、その理由を説明しながら新たな方向へ打って出る、まさに国家が経営体として機能しなければならない。本来、政権交代で求められたのはそのことであった」と。  今、地元を歩いていると、市民の皆様から、「民主党には失望した。ほやけど、自民党にも期待していない」、こんな声が多く寄せられます。この国の政治の現状は、また政権党を変えればよくなるというほど単純なものでもない。そのことを、多くの県民の皆様は感じておられるのだと思います。  私は、これは党の問題というより、右肩上がりのときとは決定的に違う、その新しい時代のリーダーを生み出していかなければならない、そのことにつきるのだと感じております。既存政党への国民の失望感は、二元代表制の地方選挙だとはいえ、さきの愛知トリプル選挙がそれを裏づけるがごとくの結果となりました。政治経験が豊富で、行政手腕があり、絶大なる人気を誇る中村知事の誕生や、政治経験はなくとも民放出身で知名度抜群の野志氏が当選を果たされた松山市長選挙も、それだったのかもしれません。  また、地方分権、地域主権時代へと進む今、これまで以上に知事の権限が強まってまいります。個性的な政策を立案し、地方から全国に発信していた改革派知事の代名詞で思い出されるのが、宮城県浅野氏、岐阜県梶原氏、三重県北川氏、岩手県増田氏、高知県橋本氏、鳥取県知事であって、現在、総務大臣の職にある片山善博氏らの名前が頭に浮かびますが、改革派と呼ばれるには幾つかの共通項があります。それは、社会にある閉塞感の打破や、その空気をうまくつかむことができる年齢、政党など既成の団体に縛られない無党派、職員の意識改革や県庁組織改革の断行、外側の顔として県民と行政との垣根を低くする徹底した情報公開や政治の透明度アップなどの行政手腕などであり、改革派知事のリーダーシップが、地域のことは地域で決めるという地方分権、地域主権時代のかぎを握っていることに間違いはないのです。  多くの県民が、昨年11月28日に1票を投じた中村知事も、これらの要素を秘められていると私は思っていますし、その流れは変容しながら、知名度の高い東国原前宮崎県知事や、大阪府の橋下府知事、河村たかし名古屋市長など、第2世代ヘと受け継がれたのではと指摘する書き物もあります。さらに、知事は松山市長時代、ラジオ番組の中で、「政党の垣根を越えて合意を目指すのが、まちづくりの本質だ。地方議員は給料の支給を受けているそれぞれの地域のことを最優先で考えるべきであり、党本部や国会議員の兵隊のような地方議員は、地方分権時代には必要なくなるのでは」と結論づけ、市議会という公の場で議員に対し、みずからの立ち位置を考えるときではないかと呼びかけ続けていたと触れられています。また、盟友でもある民主党原口一博前総務大臣が、全国の改革派首長らと連携する政治団体、日本維新の会の立ち上げを目指すとの報道もあります。  そこで、お伺いいたします。  知事は、マスコミ報道によると、愛媛でもすべての既成政党が中央の下部機関でいくということなら同じ行動を起こす。地域第一、政策中心、国政自由とも述べられ、地方議員に自立を促したとありますが、これら日本維新の会やローカルパーティーとの連携、地方議員の立ち位置をどのように考えられているのか。また、二元代表制を構成する首長と議会との関係はどうあるべきだと考えているのか、あわせてお伺いいたします。  次に、一国二制度をもたらす総合特区制度についてお伺いいたします。  政府が、新成長戦略の21の国家戦略プロジェクトとして平成23年度の創設を目指す総合特区制度は、地域を厳選し、我が国の経済成長のエンジンとなる産業、機能の育成に関する先駆的な取り組みを限定して対象とし、産業分野における国際競争力強化を図るとともに、我が国の経済成長に資する分野の活性化を通じて、需要、雇用の拡大などを図る国際戦略総合特区と、地域資源や創意工夫を最大限活用した先駆的な地域活性化の取り組みを対象とし、地域の持久力向上と課題解決を図る地域活性化総合特区から成り、税制、財政、金融上の支援措置などが実施予算や税制面の優遇措置となり、成長戦略の推進はもとより、地域主権改革の推進に寄与するとしています。制度設計のために実施されたアイデア募集では、地方公共団体から延べ152団体、327件、企業・団体から延べ126団体、145件が提出され、重複提案を除いた450件のうち92件が国際戦略総合特区で、358件が地域活性化総合にかかわる提案だったようです。  地域の提案に基づく総合特区のイメージでは、大きくグリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略、ライフ・イノベーションによる健康大国戦略、アジア経済戦略、観光立国・地域活性化戦略らに分類され、その中には本県が提案した電気自動車を軸とする低炭素型地域交通の確立や、本県基幹産業である農林水産業に関連した食品ビジネスの展開、今治新都市における大学獣医学部や関連企業などの集積支援の3構想のほか、松山市及び今治市から提出のあった4構想、計7構想も含まれております。直近では、特別養護老人ホームの設置が、老人福祉法により自治体と社会福祉法人だけにしか認められていませんでしたが、民間事業者にも参入の道が開かれるとのことであり、現在、10項目の規制緩和の特例が示され、このほかにも各自治体からの提案に応じて、規制の特例が順次、認められることとはなっております。  しかしながら、条例制定は法律の範囲内でとの縛りもあり、地方が施策の個性と早さを発揮しようにも、国の許認可や法的手続が障壁となることがあると聞きます。  そこで、お伺いいたします。  国は、特区の件数に制約は設けないこととしておりますが、仮に特区認定が1都道府県につき1件であるならば、政府が掲げる地域主権改革の目玉とは到底言えず、大胆な展開が望めません。特区は、規制緩和と地域主権を両輪として投資拡大につなげてこそ意味があり、関係省庁の組織防衛や平均値主義が地方の自立を阻むことになります。不公平感が伴っても、特定の地域に絞る一点豪華主義へと発想の転換が必要でないかと思うし、逆に言えば、愛媛の底力が試されることになると考えますが、民間出身で発想豊富な中村知事に、総合特区制度の所見についてお伺いいたします。  さらに、昨年3月に策定された愛媛県経済成長戦略2010において、時代の潮流や国の施策の動向を踏まえながら、本県の地域特性や企業集積、成長産業の核となるシーズやニーズを分析し、従来の産業分野の枠にとらわれない新たなビジネスモデルを創出するため、食品ビジネス、低炭素ビジネス、健康ビジネス、観光ビジネスを成長分野と定め、成長型の産業集積を戦略的に進めるとしています。県は、経済成長戦略2010推進のため、総合特区制度をどのように活用していこうとするのかも、あわせてお伺いいたします。  次に、資源管理・漁業所得補償対策についてお伺いいたします。  「消費者にとって高い関税などで維持されていた値段が下がる」、「国産米も価格が抑えられる」などの肯定的な御意見や、「改善や改良の意欲が起こりにくい」、「全体に占める生産額が少ない維持農家への補助金が農業振興策となるのか疑問だ」など、メリット・デメリットが論じられながら、今年度より米農家を対象に、モデル事業として農業者戸別所得補償制度がスタートしました。また、23年度スタートに向け、漁業における補償制度についても検討が進められてまいりました。政権を握る民主党の政策により、愛媛の水産業を何とかしたい、南予地方のリアスの入り江で浜の生活を送る漁業者の姿を思い浮かべながら、高橋英行衆議院議員が衆議院農林水産委員会の初質問に立って約1年、民主党政権による新たな水産政策として、資源管理・漁業所得補償対策が創設され、養殖業も含めた大物をつり上げることができました。  平成23年度水産予算の概算決定額は総額2,002億2,100万円、対前年比183億5,400万円、10.1%増。そのうち資源管理・漁業所得補償対策に、水産予算全体の4分の1に当たる518億1,800万円が計上されています。折しも地方紙には、疲弊する南予の真珠養殖業の特集記事が連載されていましたが、地元の皆様への希望の光となったのではないかと推察いたします。
     日本の漁業経営は、安価な水産物の輸入による漁価の低迷や、消費の減退、燃油等コストの上昇により、大変厳しい状況にあります。抜本的な制度改革をしない限り、その経営は成り立たず、水産食料の安定供給が不可能になるおそれもありました。「とにかく、多面的機能を持った漁業を維持していくためにも、現場で苦労されている漁業者の声を反映した施策を講じなければ」。高橋議員が民主党水産政策ワーキングチーム座長として心血を注ぎまとめたのが、資源管理に取り組む漁業者に対する減収補てんなどを実施する漁業所得補償だったのです。  補償対策のポイントは、漁業共済、異常事象や不慮の事故による損失の補てんと、積立ぷらす、収入減に対する補てんの仕組みを活用した施策により、資源管理に取り組む漁業者の漁業収入に減収が生じた場合、漁業共済と積立ぷらすで最大9割まで補てんすることにあり、このため漁業者がこの制度を利用しやすいよう、国から掛金助成などが行われることになっております。未来に向けた永続的な漁業資源の確保にあわせて、不漁、漁価安、自然災害などから漁業経営を守るための非常に有効な事業だと、漁業関係者の評価も高いものがあります。  そこで、お伺いいたします。  我が国漁業の持続的発展のために、資源管理は避けて通れない課題だと業界では共有認識されていると言われておりますが、いざ実行となると、個々の漁業者の意識や実態とのギャップが大きく、困難もあるとも聞きます。水産政策の目玉であり、切り札とも言われるこの事業を、過密なスケジュールの中にあって円滑に遂行するため、国・県・関係団体が一丸となって取り組む必要がありますが、県としてどのような工程対応を考えられているのか。また、資源管理・漁業所得補償対策の導入は、愛媛県の水産政策や予算にどのような好影響をもたらすのか、あわせてお伺いいたします。  次に、四国の地方公共団体では、いまだ導入されていないと言われる経営管理手法についてお伺いいたします。  総務企画委員会の県外視察で訪れた千葉県佐倉市は、人口約17万6,000人、職員数993人、平成21年度の決算状況は、歳出決算額403億円、経常収支比率95.6%、財政力指数1.00のまちです。ここ佐倉市では、土地、建物、設備や、それらを取り巻く内外の環境であるファシリティを経営資源ととらえ、経営的視点に基づき、コストの最小化や施設効用の最大化を図るための総合的・長期的視点からファシリティを戦略的かつ適正に管理、活用していくという経営管理手法、ファシリティマネジメントを導入する全国トップランナーの市でした。  ファシリティマネジメント導入のきっかけは、地方公共団体による耐震改修促進計画の策定であり、公共施設の老朽化にあったようで、一元化されたデータの不在、ストック量の多さとその老朽化、厳しい財政状況、所管部署ごとによる分散管理体制、少子高齢化など社会情勢の変化や環境問題への対応と、全国どこの地方公共団体もが抱える問題を、良質な資産として次世代に適正に引き継ぎ、次世代の負担を軽減できないかと、平成19年4月、銀行マンだった市長就任により、そのスピードが加速したようです。  ポイントは、発想の転換。縦割り構造からファシリティの横ぐしへ、施設管理から施設経営へと、規模の適正化をまずは目指したそうです。これらの取り組みにより、小学校上下水道料金が年間1,300万円削減され、削減の一部を施設保全や修繕費として運用したり、市立保育園改築事業では、仮設園舎を建てず、近傍で市が所有する公園に新築させて、仮設園舎建築費2,500万円を削減、消防署分署の耐震補強工事では、不要な上層階を減築することで耐震補強工事費総額を約6,400万円削減したり、共用車と専用車の稼働を実態調査し、各課で持つことの不合理性の解消と利用者の満足度の向上、総量縮減、そして望ましい車種への提案へとつなげ、5年間で約1,000万円のコスト削減を目指しているのです。このほかにも、学校体育館改修事業、低床型ステージの提案により500万円の削減や、直近の平成22年11月には、市有財産の一時貸し付け、自動販売機設置事業として年間1,100万円の新たな歳入の確保に取り組まれております。  これらの保全情報システムは、すべて汎用品で構築され、佐倉市のレベルで年間100万円程度の経費で運用が可能。全国各地から、地方公共団体のみならず、私立大学など多くの諸団体からの視察受け入れや、ファシリティマネジメント推進を全国各地へ広げようと、講演にも出かけられているようです。もちろん、ファシリティマネジメントを実行するためには、議会の議決や市民、県民の皆様の御理解が求められるところとなりますが、党派に関係なく推進すべしとの声ばかりで、反対の声は全く上がっていないとのことでした。  愛媛県においては、平成18年度より県庁本庁舎に導入したESCO事業により、経費削減目標額を上回る効果をはじき出しています。一方で、ファシリティマネジメントの取り組みについては、同年度より建物ストックの有効活用や維持修繕、改築計画などに係る情報共有化を図る観点から、各機関が保有する床面積100平米以上の県有施設をデータベース化するため、建築住宅課で基礎的情報を入力し、随時更新しているとのことですが、県庁内各部局で共有するシステムや光熱費管理システムなどについては、いまだ研究段階で実用化には至っていないとのこと。県庁本庁舎へのESCO事業導入から実に5年が経過しようとしておりますが、施設経営の取り組みを強化していくことが必要ではないかと感ずるところです。  そこで、お伺いいたします。  中村知事が、就任のあいさつの中で、「なぜできないか」から「どうすればできるか」へ、「情報に振り回される」のではなく「情報を活用する」へと、地方が自立を迫られる時代を迎え、職員に対し、意識改革の必要性を披露されました。新たな財源の確保や削減費用の有効活用をしていく上で、広域的な連絡調整業務を司る県が住民に直結する基礎自治体と一緒になって取り組むことにより、相乗効果が期待できるファシリティマネジメントの積極的な導入を検討してみてはどうかと考えますが、御所見をお伺いしたいのであります。  また、大学では、研究テーマに公共のデータを持つことがなく、分析や評価ができないとも聞きます。地元の大学へ参画を呼びかけ、官学連携を図ることもこれからは必要だと考えますが、あわせて御所見をお聞かせください。  次に、地域医療を再生するための施策についてお伺いいたします。  医師確保に関する主な施策として、平成19年度からスタートさせたドクターバンク事業、ドクタープール事業、医学生を対象とし、夏休み期間を活用した滞在型の医療実習や、愛媛大学との共催による県内臨床研修病院の研修プログラムなどの合同説明会が実施されています。また、平成18年度からは、県内の地域医療を担う意欲を持つ医学生に対し奨学金を貸与する、へき地医療医師確保奨学金制度がスタートされ、21年度からは知事が指定する医療機関で9年間診療に従事した場合に限り、貸与額が全額返済免除となる地域医療医師確保奨学金制度を実施し、愛媛大学医学部の地域枠の定員増に対応して、入学生10名分の貸与枠が設定されました。同奨学金は、平成22年度入学生から、香川大学2名枠を含め、貸与枠が7名増員となり、現在、26名の医学生に学費や生活費が貸与されています。さらには、全国の医学部3年生から6年生及び研修医を対象とした貸与期間と同期間を指定医療機関で勤務した場合、返済を全額免除する短期奨学金制度など、全国各地で取り組まれている医師確保施策は、我が愛媛県も漏れなく取り組んでいる現状にあります。中でも地域医療医師確保奨学金制度は、一人の医学生に入学料、授業料約300万円、月10万円の生活費が6年間で720万円と、約1,000万円を投資することから、卒業後の適正配置により、地域偏在状態の完全解消を期待したいところです。  他方、自治医大では、卒業した医師を僻地診療所などに配置し、地域医療の最前線で活躍しているとも聞きます。自治医大の財政事情を見てみますと、大学会計の平成22年度予算では、全収入の17.8%に当たる60億5,300万円が地方公共団体負担金で、文部科学省の私学助成金などと合わせると90億3,300万円余りが補助金収入として計上されております。各都道府県の定員枠は2名ないし3名で、都道府県負担額は一律1億2,700万円の基本額に、3名入学時は毎年170万円の上乗せをして負担をしており、愛媛県の場合、平成23年度の負担金は1億2,870万円となっています。  平成23年度当初予算案には、今年度9月補正に続き、ふるさと愛媛医療再生ネットワーク事業費が盛り込まれています。疲弊する地域医療を憂い、関東県人会副会長で埼玉医科大学総合医療センター外科教授の職にある橋本大定先生が、加戸前知事の思いを形にしようと御奮闘され、ふるさとを愛媛に、あるいは学生時代を愛媛で過ごした熟達医師たちが愛媛をきずなに、高次専門医療支援者として地域医療の再生を目指す組織として、熟達医師連合、その名も「愛医援隊」を結成していただいたのです。  私は、昨年12月に開かれた第2回地域医療再生研究会に参加をさせていただきましたが、当日お集まりいただいた関東圏在住医師のふるさとへの思いは熱く、うまくコーディネートができれば地域医療再生のモデルケースになるのではと期待するところとなりました。  そこで、お伺いいたします。  第2回地域医療再生研究会には、県内各地の病院から院長クラスが出席し、地域医療の窮状を訴えられておりました。その不足する医師数を合計すれば、到底、今の政策で定数を賄うことはできません。  全国的に医師不足問題が顕在化した平成17年ごろから、奨学金制度を設ける自治体がふえており、その成果が出るまでにはまだしばらく時間がかかりそうですが、生活環境や勤務条件の厳しい離島を多く抱え、昭和45年に他県に先駆けて奨学金制度を開始した長崎県では、義務年限を満了せず制度を離脱する医師や学生が目立っていると聞いており、地方に勤務する若手医師の意欲を引き出すことが大きな課題となっております。このような現状を踏まえ、県では愛媛大学との連携のもと、奨学生医師をどのように育成、配置していこうとするのかお示しいただきたいのであります。  愛媛県出身で、自治医大の三瀬順一准教授から、地域医療再生研究会の中で、自治医大への地方公共団体負担金1億2,700万円の拠出について、コストパフォーマンスに耐え得る人材を送り出すよう努力する旨の御発言をちょうだいしました。県として、毎年度、多額の経費を拠出している自治医科大学制度の現状をどのように認識し、今後、その効果的な活用にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  さらに、地域医療の再生を目指す組織、熟達医師連合「愛医援隊」と地域の医師たちが連携し、難しい症例の診断や専門医による直接教育、手術などの侵襲を伴う治療に対しては、都市部の医師が愛媛に直接出向き、治療の協力をしてもらうなど、近い将来、一人でも多くの首都圏在住医師がふるさと愛媛に定着するよう、より実効性の上がるものとするべきだと考えます。単なる交流に終わらせることなく、ネットワーク化を急ぐべきだと考えますが、今後の方向性について御所見をお聞かせ願いたいのであります。  最後に、全国各地へ感染拡大した高病原性鳥インフルエンザ対策についてお伺いいたします。  宇和海を隔てた隣県宮崎県は、畜産王国。東国原前知事、そして昨年末の選挙を経て先月下旬に就任した河野新知事の就任早々の大きな職務は、家畜伝染病、高病原性鳥インフルエンザの対応だったように思います。昨年の口蹄疫被害では、約29万頭もの牛や豚などの家畜が殺処分され、畜産農家が大打撃を受けた宮崎県は、ことしに入り2例目の高病原性鳥インフルエンザの感染が先月23日に確認され、生産性の向上と衛生面にも配慮し、建設・稼働し始めたばかりの新富町の近代的な養鶏団地での感染に、養鶏関係者の衝撃が走ったのです。政府は、高病原性鳥インフルエンザ防疫対策本部を設置し、緊急支援チームを増員するなど徹底した態勢を敷くとともに、感染拡大防止に警察や自衛隊に協力を求めるなどの対応を取りましたが、約41万羽が殺処分、埋却されることとなりました。  本県においても、県内165の養鶏農家を対象に聞き取り調査を実施。立入検査では、鶏の様子や野鳥の侵入を防ぐ防鳥ネットの完備などが確認されました。素早い対応に県民が一様に安堵いたしましたが、大分市での発生に関連し、今月3日には家畜伝染病予防法に基づく疫学関連農場に西予市の採卵養鶏場が指定され、家畜保健衛生所が監視を9日まで継続。さらに、一般会計予算の予備費から、発生県以外の防疫費用では全国最大級の約1,550万円を費やし、鶏舎の出入り口や鶏の飲料水の消毒剤と、防鳥ネット補修資材の緊急配布など、防疫強化に当たるとしております。  今冬の高病原性鳥インフルエンザは、島根県、宮崎県、鹿児島県、愛知県、大分県、和歌山県、三重県の7県20例、2月27日現在と、全国的な広がりを見せております。衆議院農林水産委員会では、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病で殺処分した家畜を評価額の全額補償とすることや、異常の発見や通報がおくれるなど防疫意識の低い農家には罰則規定を設けるなどの家畜伝染病予防法の改正を検討していると聞きます。  そこで、お伺いいたします。  野鳥が飛来する地域は、全国どこでも被害発生の可能性があります。リレー感染の可能性があるネズミなどの野生動物を含めた侵入防止対策の強化や風評被害の防止、殺処分を行った養鶏農家への経済支援、感染経路の徹底究明など、養鶏農家、国・県と、それぞれが取り組むべき対策が数多くあると思われますが、本県ではどのような侵入防止対策がとられているのか。また、万が一、県内で発生した場合には、高病原性鳥インフルエンザを封じ込めるため、どのような防疫対策を講じていくのかお伺いしたいのであります。  終わりに、理事者の皆様を初め、議員各位の今日までの御厚情に深く感謝を申し上げ、民主党会派を代表しての質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(西原進平議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(西原進平議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 玉井議員に、まずローカルパーティーや地方議員の立ち位置についての御質問にお答えをさせていただきたいと思います。  先日も、村上議員にも答弁させていただいたんですが、地方を取り巻く環境というのが激変していることは、御案内のとおりでございます。  その主たる変化の要因というのは、1つには、右肩上がりの経済成長が望めなくなり、自然増収ということが確保できないという非常に大変な時代を迎えているということ。  2つ目には、選挙制度の改正に伴いまして、国政においては中選挙区から小選挙区制へ移行し、その制度が定着を見始めてきたということ。このことによりまして、政権交代も現実に起こりまして、今後も場合によっては起こっていくというふうな時代に入ったということ。  そして3つ目は、地方分権の推進でありますけれども、この地方分権も国の財政事情というものから端を発した要因と、そしてまた独自のまちづくりを求めるという地域、地方からの積極的な要因、全く要因は異なっているんですが、たまたま同じ時期にそのベクトルが同方向を向いたということで、一気に時代の課題として浮上したと思っておりますけれども、とりもなおさず分権というのは、国と地方の役割分担をいま一度しっかりと議論して、地方には地方のやるべきことがある。それに従って、権限と財源をしっかり移しかえるというふうな作業であろうと思っております。いわば中央集権的構造が、大きく変わっていくわけでありますから、おのずから地方の役割も、これまでのメニュー選択型の行政から政策立案型の行政へ、がらりと脱皮をしていかなければならないということになろうと思っております。  一方、先ほど申し上げましたように、国においては小選挙区制が導入されましたので、恒常的に政権選択の対立軸というものが、これからも続いていくものと思います。また、ここ数年間、私は市長として拝見させていただきましたが、政党の内紛、あるいは揚げ足取り、また地方の現場の混乱というものを考慮しない政策の展開、こういったことがずっと続いてまいりました。こうした中央政界における混乱を、地方に持ち込まれてはたまったものではないというのが率直な感想でありました。  かかる状況の中で、地方の政治家、これは首長も議員も一緒でありますけれども、どういう立ち位置に立つべきなのかということが問いかけられているのではなかろうかということを考えてきたわけであります。すなわち、その結論として、私が個人的に思ったことが、地域第一、施策中心、国政自由というところであったわけでありますが、地方の場合も中央政党の、例えば単なる下部機関の一員としての役割を担うのではなく、あるいは国会議員の言うがままに動くのでなく、自主性・自立性を持って地域のために活動することが何より重要ではないかということを、松山市長時代から唱え続けてまいりました。  また、現在、地方の行政の立場からすれば、国に対しては、地方分権をめぐって同じ立ち位置に立って、「この権限は地方に渡すべきだ」等々の議論を、日々日々、ぶつかり合いながらやっているさなかであります。これは、理事者だけではなくて、やはり二元代表制の議会も一緒になって行動を起こして、初めて大きな声になって国に届くのではなかろうかと思っておりますので、そういった意味も踏まえて、今後とも地方の政治家の立ち位置はいかにあるべきかということを自分にも言い聞かせながら、しっかりと活動をしていきたいというふうに思っております。  そういう意味で、確かに地域ごとに構造も違います。産業構造も違いますし、地理的な要因も違いますし、人口の規模も違いますから、政策課題はおのずから相違がありますけれども、それぞれ各地域で起こっている行動については、地域第一、政策中心、国政自由というところが共通項ではなかろうかと思いますので、それぞれの今後の動向には大いに注目をしているところでございます。  知事と県議会とは、県民の負託を受け、県民の幸せと愛媛の発展を目指すという点で共通しているところでありまして、それぞれが地域の声に真摯に耳を傾けながら、自身の信念に従って十分な議論を重ねることで、相互に刺激をし合いながら信頼関係を構築し、愛顔あふれる愛媛県の実現に向けて、一致協力して取り組んでいければと考えているところでございます。  次に、総合特区制度についてでございますが、これは地域限定で規制の緩和を行うのが現行の構造改革特区でありますけれども、こちらは規制緩和のみならず、税制、財政、金融の支援措置を総合的かつ集中的に実施することにより、我が国産業の国際競争力の強化や地域の活性化を図ろうとするもので、私は基本的に国の権限と財源を配分しようという点では、地方分権に向けたワンステップになるのではなかろうかと思っております。  その意味からの評価はしているところでありますけれども、しかしながら、構造改革特区にせよ、総合特区制度にせよ、やはりこれはプランを立てて、一々、国にお伺いを立てるということは、何ら変わりはありません。いわば地方の視点から見れば、あるべき地方分権策を実現させるための一つの手段としてとらえているところがありまして、ゴールではないというふうに考えております。  国は、自治体等から数多くの提案を実際受けているわけでありますが、現在、国会で審議中の法案における規制の特例措置は、民間事業者による特別養護老人ホームの設置など、わずかに10項目にすぎません。霞が関の壁は、本当に高いです。だからこそ、先ほど申し上げましたけれども、行政側と地方議会側が一緒になってこの壁を突破していく力を発揮しなければ、なかなか乗り越えることはできないということを改めて感じております。  ただ今後、特例措置の追加ができることとなっておりますので、本来の大胆な規制緩和の実現ができるよう、しっかり対応していただきたいというふうに思っております。  本県においては、現下の厳しい県内状況を踏まえ、今後、特区制度の詳細な制度設計や国会審議の状況を十分に見きわめながら、さきに提案した3つの構想をベースに、本県の知恵と底力を結集した計画を策定し、7月とも言われる国の指定獲得を目指していきたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、根本的には地方分権を進めて、地方独自の権限と財源で主体的に地域活性化が図れるようになることを強く望んでいるところであります。  次に、高病原性鳥インフルエンザ対策のうち、侵入防止対策に関してでありますが、玉井議員お話のとおり、高病原性鳥インフルエンザは、全国のどこで発生してもおかしくない状況にありますことから、本県では渡り鳥の飛来が始まった昨年10月以降、家畜保健衛生所の獣医師が個々の養鶏場を3回にわたって巡回し、ウイルスの侵入防止対策の徹底を指導するとともに、異常な鶏の有無や防鳥ネットの点検、モニタリング検査等を繰り返し行ってきたところでございます。  このような中、隣県の大分県を含め、全国各地で本病の発生確認が相次ぎ、その発生原因として、ウイルスを渡り鳥が国内に運んできた可能性が指摘されており、その感染経路の究明等は、現在、国の疫学調査チームが中心になって調査を進めているところでありますが、その中で、ネットの破損や消毒されていない飲み水を使っているなどの不備が明らかになったところでございます。  このため県では、養鶏農家の不安解消を図り、本県への侵入防止に万全を期する観点から、緊急対策として今月2月5日に発表を行ったように、人、野鳥、飲み水の3つの感染ルートを絶つため、消毒薬や防鳥ネット等の防疫資材を養鶏農家に配布する、他の県に先んじた総合的な対策をいち早く講じさせていただいたところであり、今後とも発生防止に万全を期してまいりたいと思います。  次に、発生した場合の防疫対策についてでありますが、高病原性鳥インフルエンザが県内で発生した場合には、すべての防疫作業を迅速かつ的確に行って、他の養鶏農家に感染を拡大させないことが何よりも重要であることから、去る2月1日に、これまで副知事を本部長としていた県対策本部の体制を改めまして、私みずからが本部長となって陣頭指揮をとるような新たな体制を構築し、さきの大分県の発生時には、臼杵港に先んじて八幡浜港での車両消毒を指示するなど、全庁を挙げてより迅速に、防疫マニュアルに基づき防圧に取り組んだところでございます。  また、現地での防疫活動に従事する家畜保健衛生所の獣医師を初めとした第一線の関係者が、殺処分や埋却、消毒ポイントの設置等の作業に迅速に従事できるよう、毎年度、各地方局単位に防疫演習や研修会を実施しているほか、万が一の発生に備え、県建設業協会との間で埋却作業に係る支援協定を締結するとともに、消毒剤、防疫着などの防疫関連資材の備蓄を行うなど、人員と資材の両面で万全の備えを講じているところでございます。  なお、現在、国では、宮崎県での口蹄疫の感染拡大や、高病原性鳥インフルエンザの全国各地での発生を教訓に、家畜伝染病予防法の大幅な改正が検討されているところでございますが、その改正案では、国のリーダーシップの明確化を初め、予防的殺処分及びその全額国費による補償など、中身は画期的なものであろうと思っておりますが、日々、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの侵入に不安を抱いている本県畜産農家のためにも、この法案は一日も早い成立を願っているところでございます。  その他の問題につきましては、関係理事者の方から答弁をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○(長谷川淳二総務部長) 議長 ○(西原進平議長) 長谷川総務部長   〔長谷川淳二総務部長登壇〕 ○(長谷川淳二総務部長) 玉井議員にお答えをいたします。  ファシリティマネジメントの積極的な導入を検討してはどうかとのお尋ねでございます。  国・地方ともに財政が逼迫する中、庁舎、学校などの公共施設の老朽化に伴いまして、その維持補修等の負担の増加が大きな課題となってきており、近年、一部の自治体で公共施設の管理運営コストの最小化などを目的とするファシリティマネジメント導入の動きが見られることは十分承知をしております。  本県では、これまで厳しい財政状況を踏まえ、すべての公の施設について、施設そのものの存廃も含めた見直しを行いますとともに、本庁舎でのESCO事業や県立中央病院へのPFI事業の導入、既存の空き施設を耐震補強しての保健福祉関係機関の集約化、さらには維持管理業務の群管理委託や遊休県有地の売却など、ファシリティマネジメントの発想を取り入れながら、施設の整備運営に努めてきたところであります。  今後は、これらの取り組みを継続いたしますとともに、施設情報のデータベース化を進めながら、先駆的に取り組んでいる自治体の状況や成果なども参考に、効果的かつ効率的なマネジメントのあり方について検討してまいりたいと考えております。  玉井議員から御提案のございました、市町と一緒になっての取り組みという点につきましても、先日立ち上げました県・市町連携政策会議における議論を通じまして、まずは双方の連携による公共施設のさらなる有効活用策を検討してまいりたいと考えております。また、地元大学との連携につきましても、今後、機会をとらえて、大学側の意向やニーズなどを確認してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(仙波隆三保健福祉部長) 議長 ○(西原進平議長) 仙波保健福祉部長   〔仙波隆三保健福祉部長登壇〕 ○(仙波隆三保健福祉部長) 玉井議員にお答えをいたします。  地域医療再生施策について、3点お尋ねがございました。  1点目は、県は、愛媛大学との連携のもと、奨学生医師をどのように育成・配置していくのかとのことでございます。  県におきましては、平成21年度に地域医療医師確保奨学金制度を創設いたしまして、現在、愛媛大学等に毎年度17名の奨学金貸与枠を設定しておりますが、奨学生を地域医療に貢献できる高いモチベーションと能力を持った医師として育成していくためには、医学部在学時から初期及び後期研修に至る一貫した教育研修体制を整備いたしますとともに、義務明け後においても生涯を通じたキャリア形成への支援を行うことが重要であると認識をしております。  このため、市町振興協会と連携をいたしまして、愛媛大学に地域医療学講座を開設し、僻地医療拠点病院での実習等を通じて、地域医療への動機づけを行いますとともに、地域医療を担う医師の養成拠点として、愛媛大学内に整備を進めております地域医療支援センターに対し地域医療再生基金による助成を行うほか、地方の医療機関で勤務しながら、高度専門医療についても習得する機会を得ることができる奨学生医師の育成・配置プログラムについて、具体的な協議を行っているところでございます。  さらに、今後は、義務年限終了後の地域定着化や、生涯を通じたキャリア形成を支援する方策につきまして、愛媛大学や奨学生医師を受け入れる関係市町等との間で検討を進めたいと考えておりまして、計画ではピーク時に100名程度を擁する見込みの奨学生医師を、地域医療再生の原動力として育成をいたしまして、救急医療等の政策医療を担う地方の公立病院に効果的に配置することによりまして、県民が安心して医療を受けることのできる体制整備に努めてまいりたいと考えております。  2点目は、自治医科大学制度の現状をどのように認識し、今後、その効果的な活用にどのように取り組んでいくのかとのことでございました。  自治医科大学は、卒後9年間の義務年限を僻地等で勤務した場合、就学資金が返還免除される制度となっておりまして、本県ではこれまでに72名が卒業をし、現在、研修医を除く義務年限内の自治医科大学卒業医師―いわゆる自治医と言っておりますが、自治医14名を僻地診療所等に配置をし、また、義務年限終了後も30名の医師が、引き続き県内の医療に貢献をしていただいております。また、経験豊富な自治医には、僻地診療所での代診業務を担う、へき地医療支援機構の専任担当者や地域医療学講座の担当教授としても活躍をいただいておりまして、中山間地域や離島の多い本県にとりまして、自治医制度の果たす役割は極めて大きいというふうに評価をしております。  このため、近年の医師不足の深刻化等に対応いたしまして、自治医の限られた人的資源をさらに有効活用する観点から、診療所中心の配置のあり方の見直し、義務年限終了後の県内定着化に向けた環境整備のほか、プライマリーケアを担う総合医の特性を生かしまして、保健・介護・福祉関係機関との連携促進等にも取り組む必要があると考えております。このため、奨学生医師の育成と連携した教育研修体制の強化や、キャリア形成に対する支援の充実、自治医が所属する医療機関を核とした地域包括ケア体制の構築方策等について、関係市町や医療機関、愛媛大学等と協議しながら、具体的な施策の企画推進に努めてまいりたいと考えております。  3点目は、首都圏等に在住する本県ゆかりの医師との連携について、どう考えているのかとのことでございました。  県内の医師不足が深刻化する中、首都圏におきまして埼玉医科大学の橋本大定教授が中心となりまして、県人医師のネットワーク化と、本県の地域医療に対する支援の輪を広げる取り組みを進めていただいておりますことは、大変心強く、ありがたく感じております。  県では、これらの取り組みが直接的な医療支援に発展するように、橋本教授の協力を得て、昨年12月、東京で、愛媛の医療の現状と課題について理解と関心を深めるフォーラムを開催いたしますとともに、玉井議員、お話のございました愛医援隊への参加を呼びかけたところでございます。  現在、この愛医援隊には、30人以上の医師の方々に登録をいただいておりまして、県といたしましては3月には愛医援隊登録者や県内医療関係者等の参画を得て、県人医師を活用した本県の地域医療の再生・活性化方策につきまして、検討を開始することにしております。さらに、来年度はUターン等を希望する医師を対象にいたしました県内医療事情視察会、また高度専門医療分野の第一線で活躍する県人医師を招聘してのセミナー等も開催をしたいと考えておりまして、こうした取り組みを通じて、首都圏における県人医師のネットワーク化と県内医療関係者との実効性のある交流、連携の促進に努めまして、医師不足を初めとする本県の医療課題の解決につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(東倉勝利経済労働部長) 議長 ○(西原進平議長) 東倉経済労働部長   〔東倉勝利経済労働部長登壇〕 ○(東倉勝利経済労働部長) 玉井議員にお答えをいたします。  総合特区制度についてのうち、県経済成長戦略2010推進のため、総合特区制度をどう活用していくのかとのお尋ねでございました。  県では、愛媛県経済成長戦略2010におきまして、食品、低炭素、健康、観光の4つを重点戦略分野と位置づけ、成長分野に果敢に挑戦する企業の育成や新たなビジネスモデルの創出等に努めているところでございますが、こうした成長戦略の推進に当たりましては、企業の新分野参入障壁の改善や新規事業化リスクの軽減が不可欠でありますことから、県独自の取り組みに加えまして、総合特区制度を活用し、国の規制緩和や税制、財政、金融上の支援措置などの後押しが重要であると考えております。  このため、本件といたしましては、昨年夏の総合特区のアイデア募集におきまして、成長戦略を核に2つの構想を掲げまして、食品ビジネス推進総合特区では、植物工場設置に係る法規制の緩和、農業参入企業への税制優遇や食品輸出に関する財政支援、また、えひめグリーン・モビリティ構想総合特区では、改造電気自動車の検査基準の緩和や税制優遇、さらには導入補助制度の創設などの各種支援措置を提案しているところでございます。  今後は、特区制度の内容を見きわめながら、これら構想に掲げる規制緩和や財政支援などの実現に向けまして、本県の特色や企業等の創意工夫が生かせるよう計画づくりを進めまして、本県産業力の強化と地域経済の持続的な発展につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(佐伯滿孝農林水産部長) 議長 ○(西原進平議長) 佐伯農林水産部長   〔佐伯滿孝農林水産部長登壇〕 ○(佐伯滿孝農林水産部長) 玉井議員にお答えをいたします。  資源管理・漁業所得補償対策に、県はどのような工程で対応するのかとのお尋ねでございます。  本県では、漁業者が中心となり、休漁や種苗放流による水産資源の回復、水質改善や過密養殖の是正による漁場環境の改善に取り組んでおりますが、漁業収入は不安定な状況が続いていることから、今回、制度化されました漁業所得補償制度の活用により、安定して漁業に従事できる環境を整備することが重要であるというふうに考えております。  このため、県では、本制度を円滑に導入・運用するため、昨年12月から国、系統団体と協力をいたしまして、県内の漁業関係者に対し、制度の内容、仕組み等について説明をし、積極的な活用を働きかけているところでございます。このほか、国の支援を受けるために必要となります資源管理計画や漁場改善計画が3月末までにスムーズに策定できるよう、地域の漁業実態に応じたきめ細かな指導を行っているところでございます。
     玉井議員お話のとおり、この漁業所得補償制度の導入によりまして、漁船漁業では水揚げが減少した場合、また養殖業では災害時などにおきましても、漁業収入の安定確保が図られれば、県の水産政策や予算との相乗効果によりまして、意欲ある担い手が確保されるといった本県水産業の再生につながるものというふうに期待をしておるところでございます。  以上でございます。   ――――――――――――――――― ○(西原進平議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。  明3月1日は、議案調査のため休会いたします。  2日は、午前10時から本会議を開きます。  日程は、全議案に対する審議の続行であります。  本日は、これをもって散会いたします。      午後2時3分 散会...