香川県議会 2022-11-04
令和4年11月定例会(第4日) 本文
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高 城 宗 幸 君 新 田 耕 造 君
氏 家 寿 士 君 松 岡 里 佳 君
里 石 明 敏 君 城 本 宏 君
植 條 敬 介 君 鏡 原 慎一郎 君
秋 山 時 貞 君 森 裕 行 君
米 田 晴 彦 君 木 村 篤 史 君
氏 家 孝 志 君 高 木 英 一 君
白 川 和 幸 君 岡 野 朱里子 君
山 本 悟 史 君 樫 昭 二 君
松 本 公 継 君 高 田 良 徳 君
三 野 康 祐 君 西 川 昭 吾 君
十 河 直 君 松 原 哲 也 君
谷 久 浩 一 君 広 瀬 良 隆 君
山 田 正 芳 君 香 川 芳 文 君
斉 藤 勝 範 君 尾 崎 道 広 君
宮 本 欣 貞 君 山 本 直 樹 君
黒 島 啓 君 五所野尾 恭 一 君
花 崎 光 弘 君 大 山 一 郎 君
都 築 信 行 君 鎌 田 守 恭 君
平 木 享 君 石 川 豊 君
欠 席 議 員
竹 本 敏 信 君
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地方自治法第百二十一条第一項による出席者
知 事 池 田 豊 人 君
副 知 事 西 原 義 一 君
病院事業管理者 太 田 吉 夫 君
審 議 監 大 山 智 君
政 策 部 長 淀 谷 圭三郎 君
総 務 部 長 椋 田 那津希 君
危機管理総局長 田 中 一 裕 君
環境森林部長 木 村 士 郎 君
健康福祉部長 三 好 謙 一 君
商工労働部長 寺 嶋 賢 治 君
交流推進部長 佐 藤 今日子 君
農政水産部長 新 池 伸 司 君
土 木 部 長 安 西 愼 君
文化芸術局長 小 川 剛 君
知事公室長 尾 崎 英 司 君
子ども政策推進局長 井 元 多 恵 君
会計管理者 小 川 秀 樹 君
病 院 局 長 岡 田 総 一 君
デジタル戦略総室長 井手下 慶 博 君
教 育 長 工 代 祐 司 君
公安委員会委員 岡 みゆき 君
警察本部長 今 井 宗 雄 君
代表監査委員 木 下 典 幸 君
監査委員事務局長 田 井 慎 二 君
人事委員会委員 西 川 隆 治 君
人事委員会事務局長 森 岡 英 司 君
労働委員会事務局長 河 内 一 裕 君
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議 事 日 程(第四号)
令和四年十二月十三日(火)午前十時開議
第 一 県の一般事務に関する質問
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◯議長(高城宗幸君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付のとおりであります。
日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。
植條敬介君。
(植條敬介君登壇、拍手)
◯植條敬介君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
初めに、一言申し上げさせていただきます。
私ごとですが、約三十年前に大学を卒業いたしまして、
楽器メーカーに就職いたしましたが、起業したいという思いが強く、一年で退職、そしてその後に会社を設立し、様々な団体や中小企業の皆様に御指導をいただき、さらには、ともに地域のまちづくりに取り組んでまいりました。
あれから三十年の歳月がたとうとしておりますけれども、特に、地方は中小企業並びに
小規模事業者の割合が九九%を占めるなど、地方の暮らしと働く場の支えとなっております。
時代は変わってきたものの、コロナ禍の上にロシアの
ウクライナ侵攻が重なり、社会経済は一変し、大変厳しい状況にあります。
十年先に来るであっただろう社会経済の変化が一度に訪れた気がし、いかにこの時代を乗り切るか、県民の暮らしを守っていくか、私も今の政治に携わる責任世代の一人として、しっかりとその職責を全うしなければならないと痛感しております。そういった気持ちを込めまして、通告順に従いまして質問させていただきます。
最初の質問は、
カーボンニュートラルポートの取組についてであります。
二〇二〇年十月、当時の
菅内閣総理大臣は、二〇五〇年までに
温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年
カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと述べられております。また、二〇二一年四月には、二〇三〇年度には
温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指す。さらに、五〇%の高みに向け、挑戦を続けていくと表明されております。
本県におきましては、今議会の代表質問にもありましたように、
地球温暖化対策に向けた中長期的な工程表となる香川県地域脱
炭素ロードマップの策定に向け、香川県地域脱
炭素推進協議会で検討を進めていると積極的な答弁がなされたところであります。
そこで、
カーボンニュートラルの実現に当たっては、海外からの輸出入貨物のほとんどが経由することから、発電所、鉄鋼、
化学工業等の立地が進み、臨海産業の拠点かつ
エネルギーの消費拠点であって
二酸化炭素排出量の多い港湾は、重要な役割を担う地域となっております。
その港湾地域におきましては、現在は各産業で利用される
化石燃料等が港湾を利用して輸入されておりますけれども、今後は化石燃料に代わる脱
炭素エネルギーに転換していくことが想定されております。特に、水素・
燃料アンモニア等の活用による
二酸化炭素削減の余地が大きい港湾地域において、脱炭素化に向けた先導的な取組を集中的に行うことは、二〇五〇年
カーボンニュートラルの実現に効果的・効率的であると考えられております。
さらに、国土交通省では、水素・
燃料アンモニア等の大量・安定・安価な
輸入貯蔵等を可能とする
受入れ環境の整備や、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する
臨海部産業との連携等を通じて
カーボンニュートラルポートを形成し、我が国全体の脱炭素社会の実現に貢献することとされております。
そこで、坂出港においては、香川県のほぼ中央に位置し、江戸時代より塩の積出港として栄えた坂出市の管理港湾になります。昭和二十六年に重要港湾に指定され、その後、
番の州埋立てに伴う大
規模臨海工業の誘致、塩田跡地を活用した港湾開発などにより、香川県の工業と坂出市の発展に大きく貢献し、現在、
四国北東部における流通拠点として重要な役割を果たしております。
もちろん、現在もその重要な役割を担っている港湾ですが、近年では関連企業の集約により、岡山県水島港に移転する企業が出てくるなど、坂出港だけでなく、香川県内の港湾の将来に大きな不安を覚えるところでございます。
そういった中で、政府の目指す二〇五〇年の
カーボンニュートラル実現に向けた取組としては、令和三年度に
四国地方整備局が主催となり進めた四国における
カーボンニュートラルポート形成に向けた勉強会におきまして、県内では高松港と坂出港がモデル港に選定されており、
県管理港湾である高松港においても、今後、
カーボンニュートラルポート形成に向けた取組を進めていくところと思われます。
今後は、県としても
カーボンニュートラルポート形成に向けて、高松港の現状把握と様々な観点からの検討・取組を進めていくと思われますけれども、このような取組は一つの自治体だけで進めていくことはできず、民間企業の技術開発や、国、県、市町が連携し、足並みをそろえて効率的に進めていく必要があると思われます。
坂出港についても、現在構成している
坂出港カーボンニュートラルポート形成協議会は、坂出市が主体で進められておりますけれども、香川全体の港湾競争の強化を図るため、協力して進めていくべきであると思います。特に、坂出港は
エネルギー資源を活用した企業が数社ありまして、そういった企業も
カーボンニュートラルを視野に入れながら将来の事業展開も検討されていると思われます。
そこで、香川県の港湾行政をより一層推進していくためにも、高松港及び坂出港の
カーボンニュートラルポート形成に向けて、関係団体と今後どのように連携を取り、どのように進めていこうとお考えなのか、知事にお伺いをいたします。
質問の二点目は、今後の工業団地の整備等についてであります。
新型コロナウイルス感染症の
感染拡大防止に伴う行動制限や、
ウクライナ情勢の影響を受けた
サプライチェーンの混乱、円安の進行などにより、
輸出競争力の強化をにらんだ製造業の国内回帰の動きが相次いでおります。
そして、
経済産業省が公表している全国での
工場立地動向調査におきましても、
新型コロナウイルス感染症の影響により一旦減少した
工場立地件数及び
工場立地面積が、令和三年度はそれぞれ前年比三%増、一一%増と、企業活動の回復の傾向を示しているところであります。
さらに、長期化する
新型コロナウイルス感染症の影響により、各企業では、テレワークのような場所にとらわれない新たな働き方が広がってまいりました。こうしたことが本社機能の分散化や地方移転の検討など、企業立地の考え方にも影響を与えているものと考えられ、巣籠もり需要の拡大なども背景に、一部の製造業や物流業では、将来に向けた積極的投資の動きが見られるようになってまいりました。
このような状況の中、本県が地域間の競争を勝ち抜き、持続的な発展を目指していくためにも、積極的に企業誘致を行っていくことが重要であり、その実現には、
企業ニーズに合致した用地確保などの基盤整備をさらに推進していくことが必要と考えられます。
本県では、これまで
高松東ファクトリーパークや坂出市の番の州地区において工業団地を造成し、企業の誘致に努めてまいりました。それぞれの工業団地における企業誘致には長期の時間を要し、スムーズに進まなかった点もあるかもしれませんが、
番の州臨海工業団地におきましては、令和二年度には
最終分譲地が売却され、結果的には全分譲地に企業等が入ったこととなり、この取組が雇用の創出や本県経済の活性化に寄与するものとなったと考えられております。
一方で、今後の企業誘致という観点で見ますと、県として確保していた分譲地はなくなり、新たな事業を進めたり、あるいは、事業所の移転により事業の効率化を求めたりする企業などに対して、県から積極的に案内できる場所がない状態になっているのではないか。
現在、令和六年度の
坂出北インターチェンジの
フルインター化と
五色台トンネルの開通を見越して、多くの企業から問合せが来ていると聞いております。しかしながら、企業誘致ができる規模の土地がなく、坂出市の総社沖埋立てについても、完成は見通しが相当先になると思われております。
県外からの企業誘致を促進していくだけでなく、
県内既存企業の投資の促進、さらには海外から国内回帰していくなど、企業の求める投資の在り方の変化に対応する必要があるのではないか。今後の
工業団地整備について、どのように進めていく予定か、知事のお考えをお伺いいたします。
また、企業誘致は
地元自治体にも大きなメリットを生み出します。特定の場所に企業を誘致するに当たっては、
地元自治体と連携した誘致施策の展開や、
地元自治体と協力した
企業用地確保も考えられると思いますが、どのようにお考えか、知事にお伺いいたします。
質問の三点目は、
インキュベーションのさらなる推進についてであります。
開業率と
GDP成長率には正の相関関係が見られ、経済の活性化には開業率の上昇が重要であると言われております。日本の開業率は、欧米諸国と比べて低い水準にあり、起業・開業の促進は大きな課題となっております。
新規事業の立ち上げに際しては、多くの人が新規事業についての経験がないという状態から事業展開を検討することになります。したがって、何から手をつけてよいか分からない、何となくのイメージは頭にあるけれど、具体的にどうすれば事業化できるか分からないという状況になっているのではないでしょうか。また、事業に最適なオフィスや作業場所、資金を用意できないということがあります。事業が軌道に乗っていない段階では、家賃を払う余裕がないことに加えて、そもそも場所を借りるための信用がないといったケースもございます。どれだけいいアイデアや専門的知識を持っていたとしても、資金が足りなければ事業の推進どころか創出さえもできないという状況になってまいります。こういった障壁を取り除き、新規事業の展開を推進することによって
経済活性化につなげていくために、様々な形での支援が求められるのではないでしょうか。
また、企業が設立されると、それに伴う雇用が生まれることから、地域雇用の促進にもつながります。さらに、その企業が地元に根づけば、新しい企業が次々と生まれ育っていくという流れが構築され、地方創生の基礎となります。
そうしたことから、
地方自治体は地方創生を目的とした起業家の支援に力を入れており、全国の
地方自治体において様々な形での起業支援が取られてきております。
さらに、国や
地方自治体だけでなく、民間企業においても起業支援の取組が行われております。
大手通信会社のKDDIでは、「ムゲンラボ」という
インキュベーション組織を設立し、インターネットの技術やノウハウを使った新事業の創出や、同社の非
通信事業拡大のきっかけとなり得る
スタートアップを支援しております。
また、愛知県とソフトバンクは、日本最大級となる
スタートアップ支援拠点の整備・運営について協定を締結し、産業力を維持するため、官民が連携して
スタートアップを育成する計画を進められております。
起業支援を行う
民間企業側の最先端の知識と経験を基に、強みのあるイノベーションを活用することにより、新たな事業が育つことで経済活動の活性化や好循環が図られ、社会全体でプラスの方向に動いていくことが一つの狙いになってきております。
特にコロナ禍においては、会議の手法から企業の在り方など多くの変化がもたらされたことから、今後は公民連携を一層活用しながら、
インキュベーションのさらなる推進を図るべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお伺いいたします。
質問の四点目は、
県有公共施設等総合管理計画の推進についてであります。
社会情勢の変化や
少子高齢化の進展等により、
公共施設等の利用需要の変化が予測され、
社会保障経費をはじめとした行政経費の増加も予測されることから、今後、長期的な視点から維持管理や更新、統廃合、
長寿命化等を計画的に行うことにより、財政負担の軽減や平準化を図るとともに、その最適な配置を実現することが必要となっております。
本県の人口も、二〇四〇年には八十一万人になると予測されておりまして、目指すべき
公共施設管理の在り方を議論していかなければならない中、平成二十八年三月、県が所有する全ての建物やインフラを対象とした香川県
県有公共施設等総合管理計画が策定され、平成二十八年度から令和七年度までの十年間における
公共施設等の維持管理や更新、統廃合、
長寿命化等の総合的かつ計画的な推進について定められております。
これまでも、出先機関の統廃合や県立高校の再編整備などにより行政のスリム化、
効率的運用を進められてまいりました。出先機関や警察署の統廃合を行うとともに、小豆地域や三豊・
観音寺地域においては
高校再編整備を実施されておりますが、現在は東讃地域での
高校再編整備も進められております。
また、県有建物については、ファシリティーマネジメントの考え方を取り入れ、全庁的かつ統一的な視点から、
ESCO事業の導入や照明のLED化の推進などにより、
維持管理経費の縮減や施設の長寿命化などに取り組んでおられます。施設の管理運営については、施設の状態を的確に判断し、安全性を確保した上で、先を見据えた最適な判断が求められております。県は、財政状況も踏まえながら、効率的・効果的な運営を行うために、何が必要かを考えていかなければなりません。
そこで、平成二十八年の計画策定後、状況の変化を踏まえた計画の見直しを行うとともに、毎年度、その取組実績が公表されております。令和三年度においても、各施設の
長寿命化工事や点検、修繕等による
ライフサイクルコストの縮減や平準化、LED照明の導入や耐震化の推進などを行ったとのことでありますけれども、さらなる施設運営の効率化に向けて、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。
また、県のみでの経費削減、施設の集約化には限界があると思います。市町や国、時には民間も含めた施設の集約化や
維持管理経費の縮減を進めていく必要があると私は考えております。国や市町を含めた公共施設の集約化、さらには国・市町と連携した
維持管理経費の縮減等についてどのようにお考えなのか、知事の所見をお伺いいたします。
質問の五点目になりますが、行政組織におけるDXの推進についてであります。
十一月三十日の
自民党本部において、令和五年度に向けての
予算編成大綱案、これは
地方創生関連についてでありますが、また、
デジタル田園都市国家構想総合戦略骨子案が示されたところであります。そこには、地方創生の取組を継続しつつ、地方の社会問題を解決するための鍵として、地方創生の取組を加速化・深化していく。特に企業人材から成る
DXチームを派遣し、
デジタル人材の育成・確保を積極的に進めていくと示されております。
特に、長期にわたる
新型コロナウイルスとの闘いにより、行政機関で働く多くの職員が疲弊し、コロナ禍前と比較して労働時間が増加している職場も見受けられております。行政機関の職員が、やりがいを持って継続的に仕事を行っていくためには、その環境を整えることが重要であり、その一つの手法として、行政機関におけるDXの推進が挙げられるのではないでしょうか。
本年九月、厚生労働省は
ウィズコロナの新たな段階への移行に向けて、全数届出の見直しを行いました。この見直しによりまして、患者の発生届出の対象を限定することなどで、医療機関や保健所等の業務量は一定の低減がなされ、職員の負担軽減にもつながっていると聞いており、業務の見直し、効率化は大きな課題の一つとなっております。
そういった中、全国の自治体においてビジネス・プロセス・リエンジニアリングと呼ばれる活動が活発化しております。これは、業務改革や過程の再構築という意味になりますが、私はこういった考えの下に、DXの推進により限られた人員の中で山積する課題を効率的に解決していくためには、二つの取組が重要である考えております。
まず、一点目は、
デジタル技術のさらなる活用であります。
デジタル化の重要性が叫ばれるようになって長くなりますが、行政組織内での業務のDXに係る取組は進んでいるのでしょうか。AI、RPAなどの
デジタル技術の活用による業務の効率化や
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにも、効果のある
テレワーク環境の確保、行政機関の内部での文書のやり取りに係る事務の
デジタル化など、DXを進めることにより、作業にかかる時間とお金を削減する可能性は様々な場面にあると考えられます。
また、行政手続の効率化を図る上で不可欠である
マイナンバーカードの普及促進も重要であります。国では、令和三年十月から
マイナンバーカードの
健康保険証利用が開始され、また、令和六年度末に予定されていた
運転免許証との一体化は前倒しが検討されており、住民側と
行政側双方での
利便性向上が図られることから、県としても、国や市町とともに
マイナンバーカードの普及に努めていく必要があります。
二点目は、職員の
リスキリングです。
本県では、令和三年四月に
デジタル戦略総室を立ち上げ、県全体の施策のDXを横断的に推進していくこととなりました。DXの旗振り役となる部署は必須ですが、デジタルを真に業務改善・
業務効率化に生かしていくためには、個々の業務に精通している各部局の職員こそが、デジタルで何ができるかを理解し、DXの推進主体となる必要があります。そのためには、DXの基本スキルを持った職員が各職場にいるということが組織として目指すべき状況であり、DXに関心のある職員を各部局から発掘し、DX人材として育てていく、いわゆる
リスキリングの取組が欠かせないものであると考えます。
このように、各部署ごとにDXのさらなる取組について検討を進め、やり方を見直しながら、
リスキリングによって必要な知識を習得し、実行に移していく、こういったことが県民のサービスの向上につながるものと確信しております。
以上のことから、本県においても行政におけるDXを推進し、業務の効率化を進め、職員の負担軽減や経費削減、ひいては
住民サービスの向上につなげていくため、こういったさらなる技術の活用を進めていく中で、この二つの取組が欠かせないと思いますが、どのようにお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
以上で私からの質問を終わります。(拍手、降壇)
◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。
池田知事。
(
知事池田豊人君登壇)
◯知事(
池田豊人君)植條議員の御質問にお答えいたします。
まず、
カーボンニュートラルポートの取組についての御質問がございました。
カーボンニュートラルポートの形成は、脱炭素化の推進及びそれを通じた新しい産業の振興の観点で、重要であると認識をしております。
このため、県内では、重要港湾である高松港及び坂出港において、
カーボンニュートラルポートの形成を目指すこととしております。
高松港は、令和二年の入港船舶数が全国十四位で、多くの船舶が出入りする港であることから、船舶燃料の低炭素化などにおいて有効な取組が期待できます。
一方、坂出港は、電気や石油などの
各種エネルギー関連企業が集積し、四国の
エネルギー拠点としての役割を担っていることから、それらの企業の脱炭素化や、
次世代エネルギーの
受入れ環境の整備などにおいて有効な取組が期待できます。
これらの取組を実施し、
カーボンニュートラルポートの形成を目指すには、今御指摘がありましたとおり、国や県、市、
関係事業者が連携して進めていくことが重要だと考えております。そのため、両港においては、学識経験者や国、県、市及び
関係事業者などで構成する協議会を設置することにしております。
高松港につきましては、これまで
関係事業者から脱炭素化に向けた取組についてヒアリングを実施しており、来年度には協議会を設置し、国が求めております
カーボンニュートラルポート形成計画の策定に着手したいと考えております。
一方、坂出港につきましては、坂出市が本年九月に協議会を設置し、既にこの形成計画の策定に取り組んでおります。
この形成計画の策定後においても、計画の進捗の確認や見直しなどに、この協議会を活用し、国や県、市及び
関係事業者が一層の連携を図りながら、
カーボンニュートラルポートの形成に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、今後の工業団地の整備などについての御質問がございました。
本県の企業誘致の取組を進める中で、近年、県外企業の
サプライチェーン対策のための製造拠点の国内回帰及び地方拠点の整備、また、県内企業の事業拡張や事業所移転に伴いまして、県内の用地情報の提供に関する相談が寄せられております。
こうした企業の立地ニーズに沿った候補地を提案するために、現在、各市町や協定を結んだ不動産事業者などから収集しました未利用地情報を提供するとともに、県が分譲する既存港湾埋立地を提案するなどの取組を進めているところであります。
今御指摘がありました工業団地の整備につきましては、近年では、県外において民間のディベロッパーや不動産事業者が参入している状況も踏まえまして、本県においても民間資本による工業団地の整備を促進し、実効性のある企業誘致につなげていくため、今後、民間事業者による工業団地開発に対する支援を検討していく必要があると考えております。
また、
地元自治体との連携につきましては、県内の市町と協力し、未利用地になっている農地や山林などの情報収集・提供に努めるほか、用地の開発・造成に伴う各種行政手続のワンストップサービスによる支援及び企業立地の活動を支える上下水道などの各種インフラ環境の整備、また、交通・物流網の機能強化などにも取り組んでまいりたいと考えております。
次に、行政組織におけるDXの推進についての御質問がございました。
デジタル技術の活用につきましては、令和元年度からAIを使って音声から自動で文字起こしを行うシステムや、手書きの文字をデータ化するシステムを導入し、会議録の作成などで全庁的に活用しているほか、パソコンの手作業の操作を自動化するRPAにつきましては、現在、十六業務で活用をしております。これらの活用によりまして、試算ではありますが、年間約六千三百時間分の
業務効率化を図っております。
また、令和二年度から全ての職員用パソコンをモバイル化しておりまして、昨年度は約八割の職員がテレワークにより業務を行ったほか、本年一月からは新文書管理システムを稼働させ、電子決裁を推進しているところであり、稼働後の各月の電子決裁率は九八%前後で推移をしております。
マイナンバーカードにつきましては、マイナポータルを通じた電子申請により窓口の混雑緩和につながることから、
マイナンバーカードの申請機会の拡大に資する取組や、分かりやすい周知広報を実施しております。
こうした取組によりまして業務の効率化を進めることで、行政サービスのさらなる向上につながるよう、今後とも費用対効果を見定めながら、
デジタル技術の活用を推進してまいります。
次に、DXを推進するための人材育成につきましては、主に職員の意識醸成、データ利活用方法や先進事例を学ぶ研修を実施しております。講座数を昨年度の二講座から今年度は五講座に増加させまして、延べ四百四十一名が受講したところでございます。
また、職員が能動的にデジタルに関するスキルの向上を図れるよう、資格取得など自己啓発に対する支援を実施してまいります。
今後、こうしたDX研修や自己啓発の支援をより一層充実させ、併せて育成された人材が各所属の中で業務の効率化や県民サービスの向上に向けた改革に取り組むことができるようにしてまいります。
なお、その他の御質問につきましては、担当部長よりそれぞれお答え申し上げます。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)椋田総務部長。
(総務部長椋田那津希君登壇)
◯総務部長(椋田那津希君)植條議員の
県有公共施設等総合管理計画の推進についての御質問にお答えいたします。
本県では、建築後四十年以上経過している県有建物の割合は約三五%と老朽化が進んでおり、計画的に修繕・建て替えなどを行い、経費の平準化を図る必要があります。
このため、県有建物のうち、長寿命化による費用削減効果が大きいと見込まれる建物について、今年度までに四十一棟の保全計画を策定しておりますが、引き続き令和七年度の五十五棟の目標に向けて計画的に策定をしてまいります。
この計画において、老朽化により躯体への直接的な影響が生じる屋上や外壁などの改修工事や、照明のLED化などの省
エネルギーにつながる設備や機器の導入による
維持管理経費などの
ライフサイクルコストの縮減に努めてまいります。
加えて、老朽化が進み、長寿命化による費用削減効果が期待できない建物につきましては、その更新に当たって、人口減少等の社会情勢や利用状況の変化等を踏まえ、建物の集約化や転用、ダウンサイジングなどを検討することとしており、今後も効率的な管理運営に取り組んでまいります。
国や市町との連携につきましては、国や市町とともに香川県国公有財産最適利用連絡協議会を設置し、将来的な公共施設の最適利用のため、各団体が保有する施設の空きスペースや未利用地などの情報を共有してきたところでございます。
来月には、近隣市町がより具体的な意見交換を行えるようにするため、県域を東西に分けたブロックごとに協議の場を設けることにしており、類似施設の集約化や相互利用に向けて、成果が上がるよう取り組んでまいります。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)寺嶋
商工労働部長。
(
商工労働部長寺嶋賢治君登壇)
◯
商工労働部長(寺嶋賢治君)植條議員の
インキュベーションのさらなる推進についての御質問にお答えいたします。
議員御指摘の起業や新事業の立ち上げを支えながら育成する、いわゆる
インキュベーションにつきましては、県経済の活性化につなげるためにも重要であることから、県では、かがわ産業支援財団等と連携しながら様々な支援を行っております。
具体的には、同財団におきまして、地域課題の解決に資する事業を行う者に対して経費を補助するほか、起業や新事業へ進出する上で生じる様々な課題に対応する相談窓口を設置し、各種支援制度や融資制度を案内するなど、国や金融機関とも連携しながら寄り添った対応に努めております。
また、新たに起業しようとする者などを対象として、香川インテリジェントパーク内でITスクエア等のインキュベート施設を提供しているほか、ビジネスプランの策定支援から創業に必要な知識を体系的に習得する創業支援塾を開催しており、平成二十七年度からこれまでに二百八名の方が修了されました。
一方で、県内の金融機関や各経済団体、大学等におきましても、創業関連の融資やビジネスコンペなど様々な起業支援への取組を実施しており、各機関におきまして、情報やノウハウが多く蓄積されているものと認識しております。
県といたしましては、
インキュベーションをさらに推進するためには、専門的な知見を持つ各機関との連携を強化していくことが必要であると考えており、今後、各機関と積極的に意見交換しながら、これまで以上に効果的な支援ができるよう取り組んでまいります。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。
山本悟史君。
(山本悟史君登壇、拍手)
◯山本悟史君 少し時間がたちましたが、池田知事に当選のお祝いを申し上げます。
何度かインターン生を事務所や街頭演説に連れて行きましたが、そのたびに温かく接していただきました。インターン生は全員香大生でしたが、本県のことを考えるよい機会になったと思います。
今回の選挙に関しては、投票率が過去最低になったことは残念ですが、それも含めての民主主義です。池田知事には、真摯に公約の実現に取り組んでいかれることで、県政への関心を高めてほしいと考えております。
そして、特に若い人が、ここ香川県で、都会でなくてもそれぞれの夢を実現できる、そんな香川県を目指して県政を担ってほしいと考えています。
私ども国民民主党会派も、「対決より解決」の理念で、理事者側の皆さんや他会派の皆さんと切磋琢磨しながら、よりよい香川県を築いていきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
それでは、質問に入ります。
日常的な安全・安心のまちづくり、さらに、いざというときの備えと対応は、行政の大きな役割かつ責任です。日本一小さい本県では、市町との連携・協力も欠かせません。そうした認識で、最初は県内消防の一元化について質問いたします。
先月、被災地支援団体が主催する講演会がありました。講師は佐藤誠悦さん、東日本大震災発災時は気仙沼消防署指揮隊長でした。三月十一日は非番の日だったそうですが、これまでにない大きな揺れを経験し、自身の身の安全を確保した後、すぐに消防署に駆けつけ、他の消防署員と共に夜を徹して火災現場の消火作業に当たったそうです。
翌日、火災現場から戻り、同僚から見せられた行方不明者のリストに、思いも寄らず奥様の名前を見つけます。しかし、そのことはすぐには誰にも言わず、消防吏員としての使命感で市民の人命救助を優先し、時間ができたときに独りで奥さんの捜索をしていたそうです。
震災から六日たち、奥さんの遺体が見つかります。それから二年間、佐藤さんは、人命救助の専門家だった自分が奥さんを助けられなかったことを悔やみ続け、だんだんと人前に出たり話をすることが嫌になっていったそうです。ただ、自分でもおかしくなっていくのが分かったので、退職を機に震災の語り部になり、あの日何があったのか、自分は何を考え、何をしたのか、人に語ることで被災者の思いをつなぐという新たな使命感を持って、今は全国各地で講演を続けています。
私は、佐藤さんの話を、何度も胸にぐっとくるのを我慢しながら聞いていました。私自身、震災後に十回以上東北の被災地を訪れ、ボランティアをしたり、被災された方々の話を聞いたりしてきました。議会でも、そうした経験を基に被災地支援と防災・減災の問題を何度も問うてきました。
四年前、総合防災対策特別委員長に就任した際には、こだわりを持って福島を視察先に選びました。ただ、震災から十一年がたち、コロナ禍もあり、私自身被災地を訪れる機会がめっきり減りました。しかし、変わらず全国の被災地と交流を持ち、各地の防災・減災につなげていこうという人たちがいることに、改めて敬意を表する次第です。
さて、さきの佐藤さんの講演には、県内の消防関係者も何人か参加していました。佐藤さんも初めての香川県での講演で、消防関係者が参加していたことに感激していました。やはり、消防士というプロ同士で通じ合うものがあるのだと思います。
自助・共助・公助というスローガンが言われて久しいですが、最後に公助があるからこその自助と共助だとも言えます。日本で一番小さい本県においては、その公助の部分をさらに効果的かつ効率的にしていく必要もあるのではないでしょうか。
私は、二〇〇四年、平成十六年の台風高潮災害時に危機管理課に所属していましたが、その当時から議論がなされていたのが県内消防の一元化です。
現在、本県では、高松市消防局、丸亀市消防本部、坂出市消防本部、善通寺市消防本部、多度津町消防本部、三観広域行政組合消防本部、大川広域消防本部、小豆地区消防本部、仲多度南部消防組合消防本部の九消防本部体制となっています。直島町は消防団しかないので、県内の常備化率は一〇〇%には達していません。
二〇〇八年、平成二十年には香川県消防広域化推進計画が策定され、直島町の常備化を含む県内十七市町全ての広域化の推進がうたわれています。国も、昨年には改めて「消防の広域化及び連携・協力の更なる推進について」という通知を行い、一層の検討の加速を要請しています。ただ、全国的には本県も含めて、広域化が進んでいるとは言い難いのが現実です。
広域化が進まない理由としては、地域とのつながりが薄れる、消防力の流出や負担増加の懸念、さらには首長の理解がない等々が挙げられています。逆に広域化が進んだ理由としては、消防力の向上や負担軽減、指揮系統の一本化による広域災害時における対応能力向上への期待などが挙げられています。
私も、高松市議時代に、県内消防の一元化について高松市消防局に聞いたことがあります。当時の消防局の考えとしては、既に国の基本方針に基づく広域化の基準は満たしており、現実問題として、他消防の管轄地域に人員や装備の流出が考えられる以上、市民を守る消防力が低下するような事態は避けたいとのことでした。確かに、高松市民と、今は業務委託がされている三木町民の立場からは、そうした考えももっともと言えます。
一方で、別の管理職は、「個人的には、日本で一番小さい香川県で管轄にこだわる理由はないと思っています。どこの地域であろうが、救うべき命は救うべきと考えている消防士は少なくありません。」とも言ってくれました。私は、その発言を聞き、とても力強く感じました。
そこで、知事にお聞きいたします。
本県の消防一元化について、これまでどのような議論が行われ、現在はどのような状態にあるのか、お答えください。
全国で市町村間の消防広域化が進んだ最大の理由は、構成する自治体の首長のリーダーシップです。本県では、分野は異なりますが、他県に先駆けて農協や水道で県単位の一元化がなされています。
もちろん、何でもかんでも県単位で一元化すればよいとは考えていませんし、メリット、デメリットも冷静に考える必要はあります。
しかし、特に県民の命に直結する公助の部分は、知事の強いリーダーシップにより県単位の一元化を積極的に検討していくべきと私は考えています。知事のお考えをお聞かせください。
次に、犯罪被害者等への支援について質問いたします。
今月四日、玉木雄一郎と語る会が開かれました。ゲストは、泉 房穂明石市長。子供を核としたまちづくりを行い、明石市は十年連続で人口増、税収も三十億円以上増えました。全国から注目を浴びている泉市長ですが、その発言も注目を浴び、暴言の責任を取る形で今期限りの引退を発表しています。
しかし、泉市長が進めた子育て支援策そのものに対しては、評価する声が圧倒的です。そんな泉市長は、子育て支援のほかにも、数々の先進的な取組を行っています。その一つが犯罪被害者への徹底した支援策です。
泉市長は、もともと国会議員時代に犯罪被害者等基本法の制定に奔走しており、さらに弁護士時代の経験も相まって、二〇一三年、平成二十五年には明石市犯罪被害者等の支援に関する条例を改正し、支援策を一気に充実させました。犯罪被害者への支援は、被害に遭った過去の被害者や遺族といった少数者への施策ではなく、明日被害に遭うかもしれない全ての市民のための施策であり、被害者への責任は、加害者は当然として、犯罪被害を防止できなかった社会にもその一端があり、被害者に近い存在の
地方自治体こそが、被害者に寄り添える支援に適しているというのが泉市長の考え方です。
そして、兵庫県には当該条例がないこともあって、二年から四年置きに条例改正を行い、相談・情報提供の支援、日常生活の支援、経済的な支援等々を、その都度充実させています。中でも特徴的なのは、二次被害防止と、そのための市民への配慮が明記されている点です。分かりやすく言うと、市民はうわさ話などで被害者を追い込まないようにという配慮のお願いです。ここまでするのが泉市長ということでしょうか。子育て家庭だけではなく、犯罪被害者も含めた誰もが住みやすいまちづくりを進めた結果が、人口増という答えになっていると私は考えています。
本県の犯罪被害者等支援条例は、犯罪被害に遭った人たちへの支援活動を行っていた若手弁護士の人たちが、条例制定の声を上げたことが始まりです。二〇一九年、令和元年に私も紹介議員となった請願が受理され、関係各位の協力の下、二〇二〇年、令和二年に当該条例が制定され、翌年四月から施行されました。
先月二十五日の犯罪被害を考える週間初日には、昨年同様、高松駅において、県と高松市の職員、警察官やかがわ被害者支援センターの皆さんによる啓発活動の様子が報道されました。一年前の一般質問でも、そうした活動の紹介と併せて県が実施している犯罪被害者等への経済的支援施策である見舞金給付制度の解釈を取り上げました。浜田前知事からは、親族間の見舞金の給付については、国の犯罪被害給付制度を踏まえて給付を行う旨の答弁があり、現実的で役に立つ施策が行われていると評価するところです。
一方で、見舞金の給付件数自体がそもそも少ないという現実もあります。これは、見舞金の給付対象が重傷病見舞金という名称のとおり、大けがなどをした場合に限られているからです。もちろん、軽微なけがにまで当該見舞金で対応しろという気はありません。今回考えてほしいのは、深く傷つけられたにもかかわらず、見舞金の給付要件に該当せず、必要な支援が受けられない被害者、具体的には性犯罪による被害者への対応です。性犯罪は、心の殺人と言われています。今でも警察やオリーブかがわ、子ども女性相談センターなどが心理面を中心に対応してくれていますが、休職や転職、さらには転居が必要な場合があっても、関係機関を紹介される程度で、中長期的な対応はできていません。それは被害者本人がやるべきというのは、あまりに酷ではないでしょうか。さきの若手弁護士の人たちからも、苦しんでいる人を助けられる制度にしてほしいという切実な声が上がっています。
そこで、知事にお聞きいたします。
一点目は、当該条例施行に併せて運用を開始し、二年目を迎えた見舞金給付制度の適用状況はどうなっているのでしょうか。
二点目は、見舞金給付制度を性犯罪による被害者に対しても適用できるようにしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
三点目は、県内市町の当該条例制定の必要性についてです。残念ながら、県内ではどこの市町も当該条例はいまだ制定されていません。繰り返しますが、被害に遭われた方の生活再建について、一番力を発揮できるのは基礎自治体です。県条例では対応できていない部分を含めて基礎自治体が必要な支援をするのであれば、それにこしたことはありません。仮に、県条例があるからいいだろう、被害者から言われたときには必要な対応をしているはずなので大丈夫という程度の認識だとしたら、それはあまりに残念だと言わざるを得ません。
そうじゃない、住民が、いつ、どこで事件に巻き込まれるか分からないから、自分たちは県ができない部分を含めて、しっかりとした条例をつくって積極的に対応していくという県内の市町でこそあってほしいと私は思っています。
以上の三点を踏まえて、知事の考えをお聞かせください。
さきに述べた犯罪被害を考える週間の前、十一月十二日から二十五日までは、女性に対する暴力をなくす運動期間で、県庁本館一階でも、啓発パネル等が展示されていました。
犯罪が起こらないのが一番ですが、犯罪が起こってしまった場合は、加害者への必要な刑罰と併せて、被害に遭っても、助け合いながら、支え合いながら暮らしていける香川県であることを心から願って次の質問に移ります。
三点目、地域経済振興につながる子育て支援について質問いたします。
今度は、明石市の子供を核としたまちづくりについて紹介いたします。明石市は、十八歳までの医療費、第二子以降の保育料、満一歳までのおむつ、中学生の給食、親子の遊び場の五つの無料化を所得制限なしで行い、手厚い子育てサービス第一位をはじめ、各種民間調査で軒並み高評価を得ています。実際の市民満足度も、九一・二%の人が住みやすいと回答しています。
市長就任時から数年は、変わった市長が変わったことをしているというのが周囲の評価だったようですが、今は周囲の自治体が、軒並み同じような政策を取り入れています。そうしなければ、明石市への人口流出が止まらないからです。
それだけの実績を残している泉市長が、暴言の責任を取って引退することは、いろいろな意味で残念です。本人も、暴言は絶対に許されないことだったと言っていますが、市民からは、やめないでという声が圧倒的です。
余談ですが、泉市長が町を歩いていると、おなかの大きい妊婦さんがやってきて、あなたがいるから明石に来たのに、このおなかの子の責任をどう取ってくれるのと、人前で怒られたそうです。泉市長は、ありがたいけど、その言い方は誤解されますやんと大いにろうばいしたそうです。
そんな泉市長の今の目標は、全国で暴言を吐かない明石市長をつくることだそうです。その軽妙なトークに会場が大いに沸いたことは言うまでもありません。泉市長のあのキャラだからこそ、明石市は結果を出せたと言う人も少なくありませんし、私も否定はしません。
しかし、首長の性格だけで結果を出せるほど現実は甘くはないと思います。その根幹には、子育て家庭の負担を軽減することは、決して施しではなく、地域経済を回していくのに必要な政策という市長の信念があります。私は、そうした視点を本県も大いに参考にすべきと考えます。
今定例会の代表質問への答弁で、知事は、庁内に部局横断型の子育て支援推進プロジェクトチームを設置し、関係者の意見も聞いた上で、子育て支援施策全般の基本的考えと方向性を定める旨を答弁されました。大いに期待するところですが、私は各種の支援策が子供に関連して、より積極的な家計支出につながるようにしてほしいと考えています。大抵の保護者は、子供のためになると感じれば、それが勉強に関係するのなら、なおさらお金を出します。家計が苦しくても、何とかやりくりしてお金を捻出します。子供に関連する支出は、経済波及効果も高いと言われています。
泉市長は、就任直後に子供関係の予算を倍増しましたが、高齢者や建設業界、商店街の人たちから強い批判も受けたそうです。少し待ってほしい、まずは子供からと答え、実際の結果を出すまでに三年、周囲の評価が完全に変わるには、さらに三年かかったそうです。
県と基礎自治体は政策の中身が違いますし、同じことをすれば同じ結果が出るとも思っていませんが、いずれにしろ、石の上にも三年なんだろうなと感じています。
本県にとっての三年後、二〇二五年、令和七年は、大阪万博と瀬戸内国際芸術祭の年です。サンポートには県立アリーナが完成し、大学キャンパスの移転があり、最高級ホテルの営業も始まります。当面の県政は三年後を時間軸として進んでいくと思いますが、知事が展開していく子育て支援についても、大事な大事な三年間だと思います。
そこで、知事にお聞きいたします。
子育て支援策については、地域経済振興につながる視点も取り入れ展開していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、県は子育て支援のどの部分を重点的に取り組み、どの部分を市町と連携し、どの部分は市町独自で頑張ってもらいたいのか。そのための県と市町の役割分担と連携・協力についての考え方も、併せてお答えください。
最後に、ふるさと納税の展開について質問いたします。
今さらの説明で恐縮ですが、ふるさと納税制度は、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域など、これから応援したい自治体に寄附をすると、相手先の自治体から特産品などのお礼を受け取ることができるというものです。寄附した金額は、その年の所得税還付と翌年度の個人住民税の控除対象になり、控除の上限額に達するまでは、幾ら寄附しても自己負担額は二千円です。
寄附する側からすると、どうせ納めなければならない税金を、ほかのところに回すだけで返礼品がもらえるわけですから、お得感満載のネットショッピングと感じている人も少なくありません。結果的に制度創設時の理念とは異なり、自分の欲しいもの、還元率の高い返礼品が返ってくる自治体に寄附が集中することになりました。
寄附を受ける自治体側も、返礼品を充実すればするほど全国から寄附が集まるわけですから、必然的にふるさと納税の市場は急拡大してきました。同時に、地元の特産品とは呼べない食品や高級品、さらには商品券などを返礼品にする自治体も現れ、地場産品で正直に運営しているところが報われないといった批判と不満も急速に高まりました。ある首長は、自治体のモラルハザードと評しました。
こうした状況を受け、総務省は三年前に法律を改正し、新たなルールを定めました。返礼品は地場産品で、寄附額の三割以下、募集のための広告費や返礼品の送料等も含めても、経費は寄附額の五割以下とされました。守らない場合は当該制度の対象から外され、寄附する側も優遇措置を受けることはできません。
私は、制度が変わった直後の総務委員会でも、この問題を取り上げました。当初、私はふるさと納税の在り方には、さきの首長と同様の感想を抱いていましたが、ふるさと納税のコンサル業務をしている友人の話を聞いて、見方が変わりました。
ふるさと納税は、本気で取り組むほど寄附が集まります。そのお金で、子育て支援や介護など、今までやりたくてもできなかった住民のための施策ができるようになるんです。決断するかどうかは首長としてのセンスです。そう熱く言われて、なるほどそういう考え方もあるのかと、ある種のショックを受けました。
返礼品の制度が変わって以降も、コロナ禍があっても、ふるさと納税の市場は大きくなる一方です。総務省の調査では、昨年度のふるさと納税の総額は約八千三百二億円で、前年度比約一・二倍、件数は約四千四百四十七万件で、前年度比約一・三倍の増加です。
こうした現実は、都会の地方交付税不交付団体には深刻な税収減という事態を招きましたが、人口減と税収減に悩む地方の立場からすると、そこまでおもんぱかる余裕はありません。さきに、自治体のモラルハザードと言った首長の自治体も、実際には返礼品の種類はほかの自治体に負けず劣らずの状態でした。
ちなみに本県内の市町で最高額の返礼品は、小豆島町のトラベルクーポンで、寄附額は五百万円、次が宇多津町の四国水族館夜間全館貸切り利用入場券で、寄附額は三百六十七万円です。コロナ禍の影響を受けた観光業への支援の意味合いもあるのか、旅行関係の返礼品が、このほかも目立ちます。
また、複数の自治体間で取り扱うことができる共通返礼品という制度もあります。当事者となる自治体間で話がまとまれば問題はありませんが、ブランド牛や海産物などの人気返礼品の有無は寄附額を左右しますから、取り扱う自治体が増えれば、自分のところの寄附額が減る可能性のある共通返礼品を出すことを認める自体は多くはありません。本県内でも、市町間の共通返礼品はありますが、うどんの食べ比べセットなど、種類と内容は限定的です。共通返礼品は、市区町村が他の市区町村と調整した上で共同で行うほか、県が市区町村の間に入って調整する役割も求められています。
話を都道府県のふるさと納税に移します。都道府県では、それこそ共通返礼品の問題と同じで、基礎自治体の地域産品と競合することになりますから、ふるさと納税への取組を強化することは正直難しい面もあります。
本県の昨年度実績は六千万円超ですが、基礎自治体トップの北海道紋別市は百五十二億九千七百万円です。全くレベルが違います。高知県のようにふるさと納税は市町村に任せ、地産地消ではなく、県外で販路を開拓する地産外商を全面的に応援している県もありますが、それでも県への寄附額は本県の倍以上です。ちなみに都道府県のトップは山形県で約二十四億円です。
繰り返しますが、県内市町との兼ね合いもありますから、トップを目指せとまでは言いませんが、都道府県の大多数が一億円以上の寄附額になっているのを鑑みると、本県がふるさと納税に取り組む余地はまだまだ残っていると思います。
その際、いかに有能な中間業者に委託するかという点も大きいと私は考えています。一般的なふるさと納税サイトへの掲載料に加えて、中間業者への委託料が加わると、自治体への実入りがさらに減るとして委託を嫌う自治体もあるようですが、私はそこはプロに任すべきと考えています。プロに任せて、自治体への実入りは制度上最低でも五割は残りますから、寄附の総額が増えるほど実入りの絶対金額も増えてきます。そこは自治体経営上の割り切りだと考えております。
ふるさと納税は種々の問題はあるとしても、地方にとっては実利的な制度であり、本県ももっと取り組んでいく余地があると私は考えています。
そこで、知事にお聞きいたします。
県として、ふるさと納税を積極的に展開していくことについて、どのように考えているのでしょうか。県内市町との関わり方も含めてお答えください。
新型コロナウイルスや鳥インフルエンザがこれ以上広がらないことを願い、来年は笑顔になる人がもっともっと増えることを心から願いまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。
池田知事。
(
知事池田豊人君登壇)
◯知事(
池田豊人君)山本議員の御質問にお答えいたします。
まず、県内消防の一元化についての御質問がございました。
消防の広域化につきましては、県では平成二十年に十七市町全てを対象とし、県内九消防本部を一消防本部に統合する香川県消防広域化推進計画を策定し、県と市町などで構成する検討委員会で検討を行ってきたところでございます。
しかしながら、これまでのところ広域化に向けた具体的な動きは出ていない状況にあります。
消防の広域化につきましては、初動体制の充実や現場到着時間の短縮など
住民サービスの向上や現場要員の増強及び業務の専門化など人員配備の効率化と充実、高度な消防設備などの整備など、消防体制の基盤の強化といった消防力の強化につながるものと考えております。
一方で、市町長からは、災害時における市町長の消防本部に対する指揮権についての懸念に加え、「広域化によるメリットが明確に見えない」、「住民との関係が希薄になる」などの意見を伺っているところでございます。
消防職員の減少や高齢化によりまして、将来的に消防力の低下が懸念される中、広域化につきましては、引き続き検討していく必要があるものと認識しております。この過程におきましては、今御指摘がありましたとおり、私をはじめ市町長のリーダーシップが重要になると考えておりますけれども、現状では、まずは消防本部や市町と十分議論を行っていくことが重要であると考えております。
次に、犯罪被害者などへの支援についての御質問がございました。
犯罪被害者などの被害を回復、また、軽減するためには、きめ細やかで切れ目のない継続的な支援が必要であると考えております。このため、県では、香川県犯罪被害者等支援条例を制定し、相談体制の充実や見舞金給付制度の創設などにより、犯罪被害者などに対する支援を推進しているところであります。
議員御指摘の見舞金給付制度は、犯罪行為により被害者が死亡または重傷病を負った場合に、犯罪被害者などに一定の見舞金を給付するものであり、これまでの給付状況は、昨年度は遺族見舞金が一件、今年度は先月末時点で重傷病見舞金が一件となっております。
また、当該制度は国の犯罪被害給付制度による支給が一定の期間を要している実情などを踏まえまして、犯罪被害者などにいち早く経済的支援を行うことを目的に導入したものであり、給付対象者などにつきましても、国の制度に準じた運用を行うこととしております。
性犯罪による被害者につきましては、国の制度では、他の犯罪被害者と同様に、重傷病などの一定の給付要件を満たすことが条件になっております。
一方で、議員御指摘の内容も含め、性犯罪による被害者に対する対応には様々な意見があることも承知をしており、引き続きこうした状況や国の動向などを注視しながら、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
さらに、市町の対応につきましては、県条例では、市町の責務として、地域の状況に応じた施策を策定し、実施することとしており、ワンストップ相談窓口の設置や公営住宅への優先入居などの支援策が順次講じられております。
なお、市町における条例制定の必要性につきましては、各市町において判断していただくべきものと考えております。
次に、地域経済振興につながる子育て支援についての御質問がございました。
子育て支援施策全般の再構築につきましては、現在、子育て支援推進プロジェクトチームにおきまして、経済的支援策も含め施策の点検を行い、検討を進めているところでありますが、その検討に当たっては、子育てへの投資と地域経済の好循環を図るという視点は重要であると考えております。
具体的には、経済的支援につきましては、医療や教育などの費用を直接かつ個別に助成することで、それぞれの家庭におきまして、他の子育てに係る支出の増加につながるように努めてまいります。
また、子育て支援施策の効果的な推進には市町との連携が不可欠であります。これまで香川県・市町トップ政談会などにおいて、市長、町長から子育て支援施策につきましても御意見や御要望を伺ってまいりましたが、このたびの再構築に当たりまして、改めて市長、町長と意見交換の機会を設けていきたいと考えております。
この市長、町長との意見交換では、県全体として重点的に取り組んでいく施策は何なのか、その際、県と市町がどのように分担するのか、また、市町が地域のニーズに応じて独自で取り組んでいくのはどのような施策なのか、その際、県の支援はどうあるべきなのか、このような点についてしっかりと意見交換をしていきたいと考えております。この意見交換を通じまして、香川県の子育て支援を全体としてレベルアップしてまいりたいと思います。
なお、対応が急がれる子育て支援施策につきましては、今定例会に御提案しているところでありますけれども、今後、市長、町長との意見交換を踏まえて実効性のある再構築の検討を進めまして、次の一手、またその次の一手と計画的に取り組み、子育てしやすい香川県の実現を目指してまいります。
次に、ふるさと納税の展開についての御質問がございました。
ふるさと納税制度は、ふるさとや
地方自治体の取組を応援する気持ちを形にする仕組みとして創設されたものであり、県の実施する様々な取組に対する理解の促進や取組に必要な歳入確保策としての観点からも有効な制度であります。
県では、これまで寄附使途の拡充をはじめ、返礼品の充実や携帯キャリア決済の導入など、寄附しやすい環境の整備などに努めておりますけれども、令和三年度の本県の寄附実績額は六千百三十六万円余と全国第三十三位にとどまっております。こうした背景には、議員御指摘のとおり、県と県内市町との返礼品の競合や、情報発信に工夫が必要などの課題があるものと考えております。
このため、本年十月には、県内各市町と共通返礼品を含む返礼品の新規開拓や効果的なPRの方法、委託する民間事業者の選定方法などの課題について意見交換を実施いたしました。
引き続き、こうした意見交換の機会を通じて県内各市町との連携を図りながら、他自治体の取組や民間事業者の活用も含めて検討するなど、できる限り多くの方に応援していただけるよう努めてまいります。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。
樫 昭二君。
(樫 昭二君登壇、拍手)
◯樫 昭二君 一般質問を行います。
まず初めに、知事の政治姿勢について、三点お尋ねします。
第一は、コロナ禍での医療体制の拡充についてです。
既に第八波の入り口にあると言われているように、新規感染者が大きく増加してきています。また、
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念される中、ワクチンの接種が思うように進んでいないと言われていますが、現状はどうなっているのでしょうか。ワクチン接種率の向上に向け、どのような対策を行うのか、まずお伺いをいたします。
九月二十六日よりコロナ感染者の全数把握が簡略化され、六十五歳以上の高齢者や妊婦など重症化リスクの高い人に限定され、対象外の人は感染動向を把握するため、年代と人数の集計を行うことになりました。このことにより、検査を受けるべき人が受けないままになったり、発生届の対象にならない人が医療機関にアクセスしにくくなってはなりません。現状はどうなっていますか。治療が必要な全ての人が、速やかに受診できる医療体制の構築が必要だと考えます。知事の御所見をお示しください。
二十一世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会は、全国の特養と養護老人ホーム一万三百八十二施設へアンケート調査を行い、国が推進してきたコロナ感染者の施設内療養中に入院できないまま亡くなった入所者がいる施設が百三施設あることを公表し、どんなに高齢になっても等しく医療を受ける権利がある、命の選別の異常事態だと告発しています。本県でもこうした事例があるやに聞いておりますが、どうなっていますか。私は、コロナ病床を増やし、施設で感染した高齢者の入院を県として徹底するよう求めるべきと思いますが、お答えください。
改正感染症法が国会で可決、成立しましたが、医療や公衆衛生体制の強化をせずに、医療機関に対し罰則つきで感染症病床の確保を義務づけることは、結果的に一般病床の削減を義務づけることになってしまうのではないでしょうか。現場での人員不足を解消し、医療・公衆衛生体制の拡充を図るべきと考えますが、お答えください。
なお、財務省の財政制度審議会は、第七波での重症化率の低下などを理由に、新型コロナワクチンの特例廃止を打ち出しました。ワクチン接種を有料化せよということですが、ワクチン接種は新型コロナ対策で最も重要なものであり、接種率を高めて集団免疫を得る必要があるため、私はワクチン接種の有料化は絶対にやるべきではないと思いますが、知事の御所見をお示しください。
第二は、物価高騰から県民の暮らしと経済を立て直すことについてです。
物価高騰と国民生活の悪化が深刻になっています。ところが、岸田政権は、物価高騰と異常円安をもたらしているアベノミクス、異次元の金融緩和に固執し、構造的賃上げと言いながら、中身はなく、物価高騰のさなかに医療や介護の負担増を次々と押しつけるという血も涙もない政治を行っています。総合対策を打ち出しましたが、物価高騰は全ての分野で起きているのに、電気・ガス料金の抑制など、部分的・一時的対策に終始しています。
現状を打開するためには、賃上げが鍵であることは、政府も日銀も経済界も、誰もが否定しません。しかし、実質賃金を十年間で二十四万円も減らしたアベノミクス、新自由主義を継続・継承するというのでは、まともな賃上げはできません。私は、働く人が豊かになってこそ経済も強くなるものと考えます。
そこで、以下四点を提案いたします。
第一の提案は、大企業の内部留保に時限的に課税し、大企業も中小企業も賃上げを実現することです。大企業の内部留保は、アベノミクス以降で百五十兆円以上増え、五百兆円に達しています。大企業の内部留保を賃上げや国内投資で経済に還流させ、実体経済を立て直すことが必要です。そのためには、中小企業の賃上げへ直接支援を行い、最低賃金を千五百円に引き上げること、男女の賃金格差の是正、労働法制の規制緩和をやめ、賃上げと正規化を進める、国や自治体で働く非正規労働者の時給を千五百円以上に引き上げることなどが重要です。
第二の提案は、消費税の緊急減税、物価高騰の中だからこそ、社会保障と教育の負担軽減を行うことです。そのためには、消費税を緊急に五%に減税する、年金は物価高騰に見合った額に引き上げる、生活保護、就学援助、児童扶養手当などの増額と拡充、学費の値下げと奨学金の抜本的拡充などを行うことです。
第三の提案は、中小企業・
小規模事業者を潰さないため、大量倒産・廃業の危機を打開する本格的な支援を行うことです。そのためには、インボイスの中止、消費税の減税とともに過剰債務問題の解決を図ること、コロナ対応融資、いわゆるゼロゼロ融資を別枠債務にして、事業継続に必要な新規融資が受けられるようにすることです。
第四の提案は、食料・
エネルギーの自給率を向上させることです。これは、国民生活と経済の安定のためにも、食料危機・気候危機打開という人類的課題のためにも重要です。円安、コスト高から食料生産を守るためには、農業・漁業への資材・飼料・燃油高騰に対する支援を抜本的に強化すること、農業の基幹的な担い手を維持・継承し、耕作放棄地の縮小を図るためには、他の先進国で実施されている価格保障・所得補償に踏み出し、自給率を向上させることです。また、省エネ・再エネを強力に推進し、気候危機打開、国民負担抑制、地域経済の振興が重要です。
以上四点の提案に対し、知事の御所見をお示しください。
第三は、岸田政権の専守防衛をかなぐり捨て、軍事費を二倍化することについてです。
岸田政権は、年末に国家安全保障戦略など安保関連三文書の改定を目指し、自民・公明両党が相手国のミサイル発射拠点などをたたく敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有で正式合意しました。
一九七〇年に中曽根康弘防衛庁長官は、日本の防衛の限界については専守防衛を主とするとして、目的において防衛に限る、地域において本土並びに本土周辺に限る、手段において核兵器や外国に脅威を与える攻撃的兵器は使わないという三つの限定的要素が確立されていると答弁しています。
このような歴代政府が掲げてきた専守防衛をかなぐり捨て、戦後の安保政策を大転換させ、戦争する国づくりを進めるものであり、私は、敵基地攻撃能力の保有を許さず、憲法第九条を生かした外交で東アジアに平和をつくる政治の転換が何より求められていると思います。
また、それに伴い、軍事費を五年以内にGDPの二%へ二倍化する方針を打ち出しています。十一兆円もの軍事費を捻出するには、消費税増税か、医療・福祉や教育の予算を削減するかでしかないではありませんか。
私は、国民生活を犠牲にする軍事費の二倍化に、県民の代表である知事としてきっぱり反対すべきだというふうに思いますが、知事の御所見をお示しください。
次に、霊感商法など旧統一教会被害をなくし、県政との関わりを断ち切ることについてお尋ねします。
旧統一教会は、信者らに対し、ありったけの財産を巻き上げ、家庭崩壊や一家離散にまで追い込んでいます。国民の批判が高まる中、被害者救済のための新法が国会で可決、成立しました。
新法では、寄附の勧誘に際し、寄附をすることが必要不可欠であることを告げることにより個人を困惑させることを要件としています。しかし、マインドコントロール下では、必要不可欠であることを告げることも、困惑させることもありません。したがって、私は、正常な判断ができない状態にあることに乗じた勧誘は禁止すべきだと考えます。私は、新法を修正し、実効性のある救済法にすべきと思いますが、知事のお考えをお示しください。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によりますと、旧統一教会の違法行為を認定した司法判断は、民事事件で少なくとも約三十件。伝道、献金、物販、集団結婚式という旧統一教会の主な活動のいずれについても違法判断が確定しています。
マスコミの世論調査でも、国民の八二%が「解散命令を請求すべき」となっています。私は、宗教法人法に基づき、旧統一教会は解散させるべきと思いますが、知事はどうお考えですか、お答えください。
なお、旧統一教会は政治家に対し、選挙の応援を条件に推薦確認書を取り、憲法改定と安全保障体制強化、個人の尊重・尊厳を否定する家庭教育支援法制定、少数者の人権を否定するジェンダー平等敵視などを約束させています。これは、韓国という外国に本部を置く団体からの内政干渉で、絶対許されないものと私は思います。
マスコミの世論調査では、国会議員だけでなく地方議員も調査すべきであるが七四%に達しています。本県では、秋山議員が九月議会で取り上げましたが、平井卓也衆議院議員が実行委員長を務めるピースロード二〇二一年のイベント、二〇二二年の知事表敬訪問に、我が県議会の議員が写真に写っています。また、実行委員会の名簿案には八名の県議、元県議の名前が記されています。
また、旧統一教会は日韓トンネルを造るとして、佐賀県唐津市の山間部に地質調査の斜坑を掘り、日韓トンネル推進組織の結成で全国からの視察が行われ、本県でも二〇一七年九月二十四日、県議が当日の議長を務め、日韓トンネル推進香川県民会議の結成大会が開かれていますが、その一か月前の八月二十四日に香川県議の視察ツアーが行われ、県議六人、市議一人を含む十人が参加しています。こうした事実が明らかになっているにもかかわらず、マスコミのアンケート調査結果を見ますと、本県では、県議四十一名のうち、旧統一教会と接点があったと答えたのはたったの二人、無回答は七人で、いずれも自民党議員であります。
池田知事は、全項目で「なし」と答えられたようですが、ピースロードに参加したり、日韓トンネルツアーなどに参加した議員は、それを自ら公表すべきではないでしょうか。私は、旧統一教会と県政との癒着を断ち切り、清潔公正な県政を実現させるべきと考えますが、知事の決意をお示しください。
次に、子供の医療費無料化の年齢引上げについてお尋ねします。
全国では、約九八%の市町村で入院医療費助成の対象年齢が中学まで引き上げられ、さらに約九五%の市町村で通院医療費助成も対象となっています。県内では、全ての市町で、中学卒業まで自己負担なしの医療費無料化が実施されており、善通寺市と綾川町、琴平町、小豆島町、土庄町、直島町の一市五町では、高校生まで無料化が実施されています。都道府県レベルでは、医療費助成の対象年齢を十八歳までとしているのが、鳥取、福島、静岡、茨城、鹿児島に続いて、来年度から東京都でも実現されます。
ところが、本県では、乳幼児医療費の支給事業として、就学前の子供に対し、本人負担分の二分の一の補助でしかなく、所得制限まで設けている現状です。これは先進県に比べ、あまりにも遅れているのではないかと思いますが、知事はどのように受け止めておられますか。御所見をお示しください。
今、子供の貧困が社会問題になっており、子供を高校に通わせることは親の経済的負担が非常に大きく、特に医療の点では、中学まで無料だったものが、高校からは医療費負担が必要となると、慢性疾患や歯科での治療の中断につながり、将来の健康にも影響を与えるものになりかねないと思いますが、知事はどう思われますか。
去る十一月二十二日、香川県市長会から、子供の医療費助成の対象年齢を現行の小学校就学前から、少なくとも中学卒業までに引き上げることの要望がなされ、知事は前向きに答弁されたと聞いておりますが、来年度に向けて、知事のお考えをお示しください。
次に、学校給食の無償化についてお尋ねします。
七人に一人の子供が貧困状態にあると言われる中で、「親が給食費を払えないから食べない」、「朝御飯を食べられない子もいる」、学校現場からはこんなひどい話が聞こえてきます。物価高騰も重なり、給食費が子育ての重い負担となっています。
憲法第二十六条では、「義務教育は、これを無償とする」とされていますが、さきの文教厚生委員会の秋山議員の質問に対し、教育長は、学校給食法の十一条「食材費は保護者負担」を根拠に、できないという答弁でした。
しかし、今年四月の文科省の事務連絡は、食材高騰による保護者負担軽減のために、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用を可能とするとしました。これは行政による補助を政府が認めたという事実です。
また、我が党日本共産党の小池書記局長は、十月七日の参議院本会議での代表質問で、学校給食法は自治体の判断で給食費の全額を補助することを否定しないと自治体に徹底すべきだと求め、岸田首相も自治体が補助することを妨げるものではないと認めています。
以上の明確な事実を認識するなら、いまだに食材費は保護者負担だというのは、私はおかしいと思います。教育長の明確な答弁を求めます。
学校給食の無償化を求める声は急速に広がり、給食費を無償とする自治体が増えています。全国で二百二十四自治体、五年間で三倍に増えています。県下では、坂出市、小豆島町、三木町、直島町などで多子世帯への支援も含め、全額または一部負担が実施されており、高松市や丸亀市、多度津町でも期間限定で実施が予定されています。住む地域によって教育費負担に格差を生じさせることがあってはなりません。私は、今こそ県が市町と連携して、一時の物価高騰対策にとどまることなく、全県での学校給食の無償化を実現すべきときではないかと考えますが、いかがでしょうか。
また、国に対し、憲法第二十六条の立場に立ち、学校給食の無償化を国の制度として実施するよう強く要望すべきと考えますが、教育長の御所見をお示しください。
最後に、香川県個人情報保護条例についてお尋ねします。
政府は、二〇二一年五月に成立させたデジタル関連法で、国や自治体が持つ膨大な個人情報のデータ利活用を成長戦略に位置づけ、外部提供した企業にAI(人工知能)で分析させ、もうけの種にさせることをデジタル改革の名で進めようとしています。
その重要な柱の一つが、個人情報保護法の改正です。自治体が定めた個人情報保護条例の規定がデータ流通の支障になるとして改正された個人情報保護法の全国的な共通ルールを基に一元化するとして、来年四月の改正法施行までに各自治体の条例改正を求めています。
本県の条例では、一、個人情報の収集は本人から直接収集するなどの収集の制限、二、目的外利用・外部提供の制限、三、オンライン結合の制限などの原則が定められていますが、これを一旦リセットさせるというものです。条例リセット、法による共通ルール化の最大の目的は、匿名加工情報制度(オープンデータ化)と情報連携(オンライン結合)を自治体に行わせることです。
私は、これは大きな問題であると考えます。そこで、以下三点についてお尋ねします。
第一点は、自治体が保有する個人情報は、医療、介護、子育て、教育など
住民サービスに関わる情報が膨大にあるわけで、それを企業のもうけのために外部提供することが行政の仕事と言えるのでしょうか。
第二点は、加工したとはいえ、個人に関する情報を外部に流通させ、目的外利用させることであり、最近でも個人情報の漏えい事件が相次いでおり、住民の不安は解消されておらず、このような状況下で匿名加工情報の提供を行っていいのでしょうか。
第三点は、国の個人情報保護法の第一条(目的)では、法によるルール化は、個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人の権利利益の保護は、個人情報の適正かつ効果的な活用や個人情報の有用性に配慮しつつ行うものとなっています。国の法改正に基づく今回の条例改正後も、今までと同様に個人情報が守られるものになっているのでしょうか。
以上三点について知事にお尋ねし、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。
池田知事。
(
知事池田豊人君登壇)
◯知事(
池田豊人君)樫議員の御質問にお答えいたします。
まず、私の政治姿勢のうち、コロナ禍での医療体制の拡充についての御質問がございました。
ワクチン接種につきましては、四十歳未満の三回目の接種率が六割を切っており、接種率の向上を図るため、先月から県広域集団接種センターを再開いたしまして接種枠を拡大するなどにより、多くの希望者に接種いただけるように取り組んでおります。
また、発生届出の対象外となった方につきましても、体調急変時にはかかりつけ医や健康相談コールセンターに御相談いただくことにより、必要な受診につなげているところでございます。今後とも、治療が必要な方が速やかに受診できているかにつきましては、注視をしてまいりたいと思います。
本県でも、高齢者施設などにおきまして療養中に、残念ながら亡くなられた感染者がいることは承知をしております。改めて亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方にお悔やみを申し上げます。
県では、高齢者施設などにクラスター対策チームを派遣する事業を活用するとともに、患者を受け入れる病床の確保につきましても、引き続き医療機関に対して御協力をお願いしてまいります。
また、医療・公衆衛生体制の拡充につきましては、看護職員の処遇改善や衛生資器材の購入などに係る財政措置につきまして、国に求めてまいりたいと思います。
ワクチン接種の有料化につきましては、現時点では時期尚早と考えております。今後、感染状況やワクチンの接種状況などを踏まえ、国において慎重に検討をしていただきたいと考えております。
次に、物価高騰から県民の暮らしと経済を立て直すことについての御質問がございました。
まず、賃上げの実現につきましては、今回の物価高騰などの経済状況に応じました必要な支援を行うこと及びかがわ産業支援財団における販路拡大や経営改善の支援などによりまして、企業の競争力が強化され、賃金引上げにつながるよう、今後とも取り組んでまいります。
消費税や生活保護などにつきましては、国の制度でございますが、現下の社会情勢などを踏まえ、国において検討すべきものと考えております。教育費の負担軽減につきましては、家庭の経済状況にかかわらず安心して教育を受けることができるよう、引き続き取り組んでまいります。
中小企業・
小規模事業者の経営支援につきましては、
新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資につきまして、事業者の返済負担の一層の軽減策が講じられるよう国に要望してきたところでございまして、現在、ゼロゼロ融資からの借換えに加え、新たな資金需要にも対応した保証制度が検討されていると伺っております。
食料や
エネルギーの自給率につきましては、県産農水産物の生産拡大及び生産を後押しする需要拡大によりまして、食料自給率を向上させることが重要であると考えております。また、省
エネルギーの推進や再生可能
エネルギーの導入促進によりまして、
エネルギー自給率を高めることも併せて重要であるというふうに考えております。
次に、防衛費についての御質問がございました。
防衛費につきましては、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、政府において国民の命や暮らしを守るためにどうあるべきなのか、まずは国会の場で十分な議論が尽くされ、その上で必要な予算額が適切に判断されるべきものと考えております。
次に、旧統一教会と県政の関わりなどについての御質問がございました。
世界平和統一家庭連合いわゆる旧統一教会の被害者救済に向けた新法につきましては、法人などによる寄附の勧誘に関する禁止行為に加え、配慮義務についても、その違反に対する措置が盛り込まれるなど、被害者救済の観点からは、一定、実効性が確保されたものになっていると考えております。
また、宗教法人法に基づく裁判所への解散命令の請求につきましては、国において適切に対処されるものと考えております。
本年九月定例会でお答え申し上げましたとおり、県といたしましては、今後は旧統一教会や関連団体を含む社会的に問題が指摘されている団体との関わりは持たないように徹底してまいります。
次に、子供の医療費無料化の年齢引上げについての御質問がございました。
県においては、子育て支援に資する施策として、独自に乳幼児医療費支給事業を設け、平成二十三年八月には、その対象年齢を就学前までに引き上げるなど、制度の拡充に努めてまいりました。
他県におきましても、所得制限など一定の要件の中での上限年齢の引上げを行っている県も複数あると承知をしております。
子供の医療費につきましては、子育て家庭に対する経済的支援の充実を図るため、国の責任において子供の医療費に関わる全国一律の制度を創設する必要があると考えており、家庭の経済的理由により医療機関受診をためらうことが生じないよう、来年度の政府予算の要望においても全国一律の制度の創設を求めたところであり、今後とも国へ継続的に強く求めていきたいと考えております。
こうした中、議員御指摘のとおり、先月二十二日、香川県市長会から、県の乳幼児医療費支給事業の対象年齢を、中学校卒業まで引き上げることについて要望があったところであります。
子育てに係る経済的支援につきましては、効果的な支援方法や制度の持続可能性などについて十分に検討する必要があり、現在、子育て施策全般の再構築について検討を進めているところでございます。
議員お尋ねの乳幼児医療費支給事業の対象年齢の引上げにつきましても、本県の子育て施策と医療施策全体の中で、県と各市町の財政負担の関係や施策の効果などについて、様々な観点から十分に検討していく必要があると考えております。
なお、その他の御質問につきましては、
知事公室長よりお答え申し上げます。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)尾崎
知事公室長。
(
知事公室長尾崎英司君登壇)
◯
知事公室長(尾崎英司君)樫議員の香川県個人情報保護条例についての御質問にお答えいたします。
まず、行政機関等匿名加工情報を利用する民間事業者等からの提案内容の審査に当たっては、その事業の目的及び内容が、「新たな産業の創出」または「活力ある経済社会」もしくは「豊かな国民生活の実現」に資するものでなければならないと個人情報保護法において規定されており、この規定に沿って対応してまいります。
また、行政機関等匿名加工情報の提供に当たっては、個人が識別できないよう個人情報保護委員会規則において氏名や個人識別符号の削除など加工基準が詳細に定められており、この基準に沿って適切に取り扱うことで個人情報の保護に万全を期してまいります。
その他の個人情報の取扱いにつきましては、条例改正後も、これまでと変わりなく個人情報が適切に守られるものとなっております。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)工代教育長。
(教育長工代祐司君登壇)
◯教育長(工代祐司君)樫議員の学校給食の無償化についての御質問にお答えいたします。
学校給食費については、学校給食法において保護者の負担とすると規定されている中、同法の施行に関する事務次官通知においては、自治体等による学校給食費の負担軽減への支援を妨げるものではない旨が記載されております。近時、県内外の自治体において、子育て支援策等として無償化等を行っている事例が増加していると承知しております。
県教育委員会といたしましては、人口減少や少子化が進む中、子育て支援の取組は大変重要であり、学校給食費を含む保護者の負担軽減等については、県の子育て支援施策全般の考え方や方向性を定めていく中で、総合的に検討する必要があるものと考えております。
また、国において、学校給食費を含めた義務教育に係る費用負担について種々議論されていることは承知しており、今後、それらの議論の動向を注視してまいりたいと考えております。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。
樫 昭二君。
(樫 昭二君登壇、拍手)
◯樫 昭二君 三点、再質問したいと思います。
第一点は、旧統一教会の問題です。
私は、この新法が成立したけれども、これは問題だと。国会の答弁でも、洗脳から、マインドコントロールから目覚めないまま一生ハッピーなら取消し自体が起きない、こういう答弁があるんです。だから、新法は洗脳下の被害救済に最も必要な場面での機能が果たせないと、こういうことだから、実効性のあるものにすべきだというのが私の考えなのですが、一定の効果があると知事はお答えしましたけれど、これはやっぱり問題だと思います。もうちょっと答えをきちっとしていただきたい。
それから、解散命令、これは国において対処されるものと言われましたけれども、岩手や秋田、島根、この三県の知事は、解散命令すべきというふうにお答えされております。知事も明確にやっぱり答えるべきではないですか。県内で、いろいろ県議の方も関連がある。だけど、自ら名乗り出ない。こういう状況だからこそ、私は知事としてはっきりすべきだというふうに思います。
それから、二点目は、子供の医療費無料化についてです。
私は、先進県に比べ、あまりにも遅れているのではないですかというふうにお尋ねしましたが、そのお答えがありませんでした。遅れているのかどうなのか、この認識について、私は知事にお答えいただきたいと思います。
それから、三点目なのですが、学校給食の無償化、教育長にお尋ねします。これ、物価高騰で高松市や丸亀市などが短期間ですがやりますが、ここの高松や丸亀では特別支援学校もありますし、県立中学校もあります。だから、同じ市にいる子供たちに、県がやらないとすれば、格差が私は生じると思うのですよ。だから、その期間、やっぱり学校給食の無償化はしないといけないのではないか。このように考えます。
だから、県としても、もう市町がやるんだから、県はそれを見守る、こういう姿勢では私はいけないというふうに思います。
事実の認識も、とにかく国会での答弁等も御理解されているようなので、こういう点について、学校給食の無償化、今後どうしていくのか、これも併せてお答えをいただきたいと思います。
以上で再質問を終わります。(拍手、降壇)
◯議長(高城宗幸君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。
池田知事。
(
知事池田豊人君登壇)
◯知事(
池田豊人君)樫議員からの再質問にお答えをいたします。
世界平和統一家庭連合いわゆる旧統一教会の被害者救済に向けた新法につきましては、寄附の勧誘に関する禁止行為に加えまして、配慮義務においてもその違反に対する措置が盛り込まれることから、被害者救済の観点から一定、実効性が確保されたものになっていると考えております。
また、施行後二年を目途に、施行状況や社会情勢の変化を勘案して必要な措置を講じるとされているところでございます。
次に、宗教法人法に基づく裁判所への解散命令の請求につきましてでございますけれども、この点については、国において適切に対処されるものと考えております。
県といたしましては、今後、旧統一教会など社会的に問題があると指摘されている団体との関わりは持たないように徹底をしてまいりたいというふうに思います。
次に、子供の医療費無料化年齢引上げについての再質問でございます。
他県との比較につきましては、進捗の状況について明確な判断というのは難しいという面はあるとは思いますけれども、子育てに係る支援については、今後、子育て施策全般の再構築について検討を急いでおります。
今の乳幼児医療費支給事業の対象年齢の引上げにつきましても、様々な観点から、今後、十分に検討をしてまいる必要があるというふうに考えております。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)工代教育長。
(教育長工代祐司君登壇)
◯教育長(工代祐司君)樫議員の再度の御質問にお答えいたします。
給食費の物価高騰に対する対応といたしましては、九月議会で県立中学校、特別支援学校の給食費の高騰部分の支援について、支援するということで御議決いただいたところでございます。(降壇)
◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁は終わりました。
暫時休憩いたします。
午後零時零分休憩
午後一時七分開議
─────────────────────────────
出 席 議 員
新 田 耕 造 君 氏 家 寿 士 君
松 岡 里 佳 君 里 石 明 敏 君
城 本 宏 君 植 條 敬 介 君
鏡 原 慎一郎 君 秋 山 時 貞 君
森 裕 行 君 米 田 晴 彦 君
木 村 篤 史 君 氏 家 孝 志 君
高 木 英 一 君 白 川 和 幸 君
岡 野 朱里子 君 山 本 悟 史 君
樫 昭 二 君 松 本 公 継 君
高 田 良 徳 君 竹 本 敏 信 君
三 野 康 祐 君 西 川 昭 吾 君
十 河 直 君 松 原 哲 也 君
谷 久 浩 一 君 広 瀬 良 隆 君
山 田 正 芳 君 香 川 芳 文 君
斉 藤 勝 範 君 尾 崎 道 広 君
宮 本 欣 貞 君 山 本 直 樹 君
黒 島 啓 君 五所野尾 恭 一 君
花 崎 光 弘 君 大 山 一 郎 君
都 築 信 行 君 鎌 田 守 恭 君
平 木 享 君 石 川 豊 君
欠 席 議 員
高 城 宗 幸 君
─────────────────────────────
地方自治法第百二十一条第一項による出席者
知 事 池 田 豊 人 君
副 知 事 西 原 義 一 君
病院事業管理者 太 田 吉 夫 君
審 議 監 大 山 智 君
政 策 部 長 淀 谷 圭三郎 君
総 務 部 長 椋 田 那津希 君
危機管理総局長 田 中 一 裕 君
環境森林部長 木 村 士 郎 君
健康福祉部長 三 好 謙 一 君
商工労働部長 寺 嶋 賢 治 君
交流推進部長 佐 藤 今日子 君
農政水産部長 新 池 伸 司 君
土 木 部 長 安 西 愼 君
文化芸術局長 小 川 剛 君
知事公室長 尾 崎 英 司 君
子ども政策推進局長 井 元 多 恵 君
会計管理者 小 川 秀 樹 君
病 院 局 長 岡 田 総 一 君
デジタル戦略総室長 井手下 慶 博 君
教 育 長 工 代 祐 司 君
公安委員会委員 岡 みゆき 君
警察本部長 今 井 宗 雄 君
代表監査委員 木 下 典 幸 君
監査委員事務局長 田 井 慎 二 君
人事委員会委員 西 川 隆 治 君
人事委員会事務局長 森 岡 英 司 君
労働委員会事務局長 河 内 一 裕 君
─────────────────────────────
◯副議長(新田耕造君)再開いたします。
一般質問を続行いたします。
氏家寿士君。
(氏家寿士君登壇、拍手)
◯氏家寿士君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私からは四点、一般質問をさせていただきます。
質問の第一点目は、弘法大師・空海御誕生千二百五十年を契機とした誘客促進についてであります。
空海ゆかりの寺院をつないだ巡礼路・四国八十八カ所霊場は、約千二百年前に開創されました。一番から八十八番札所に至る全行程約千二百キロメートルの四国遍路を巡礼するお遍路さんは、国内外から一度のみならず何度も巡礼に来られ、また、その沿道の住民からは、お遍路さんに対し、挨拶や道案内、お接待などおもてなしがなされてきました。
空海御誕生の地であり、私の地元善通寺市には、第七十五番札所総本山善通寺があります。八〇七年に唐から帰国した空海が創建した真言宗最初の寺院で、六年の歳月をかけて完成し、父の佐伯善通にちなんで名づけた特別な場所です。総面積約四万五千平方メートルに及ぶ広大な境内は、伽藍と呼ばれる東院と誕生院と呼ばれる西院に分かれており、白装束をまとったお遍路さんをはじめ、参拝がてらに散歩に訪れる地元市民の姿も日常の風景となっています。また、市内の五か所を含む七十一番から七十八番札所をつないだ七ケ所まいりは、八十八か所全てを巡ることが難しい場合、一日で巡拝することが可能な遍路コースとして江戸時代から親しまれているところです。
そのような中、来年二〇二三年は空海御誕生千二百五十年を迎える記念の年であり、全国の空海ゆかりの地域で様々な記念行事が開催されると伺っております。善通寺市においても、令和五年四月から六月にかけて、総本山善通寺を中心に実施が予定されている弘法大師御誕生千二百五十年記念大法会と併せ、今年度から様々な関連イベントが実施されております。
新型コロナウイルス感染症の影響により減少した観光客の回復に向けて、大きな期待が寄せられています。
このほか、善通寺市には乃木希典将軍が率いる旧陸軍第十一師団の名残をとどめるレトロな町並みや、国の重要文化財である旧善通寺偕行社、大小四百基もの古墳が点在する有岡古墳群などがあり、様々な歴史と文化がある町です。最近では、市内にある西日本有数の黒板メーカーを活用し、善通寺市が中心となって善通寺市まちなか黒板アート事業に取り組み、市内各所に黒板アートが設置されています。二〇二〇年には、市内にある県立高校の三年生が卒業制作として作成した黒板アートの動画がニューヨークフェスティバル広告賞学生部門においてファイナリストに選ばれるなど、「黒板アートのまち」としても広く知られるようになってきました。
県内外からの誘客促進を図るためには、核となるイベントを中心に、観光客が何度も訪れたいと思ってもらえるような、その地域ならではの魅力を生かした仕組みづくりやおもてなし意識の醸成が重要であると考えます。
また、善通寺市は、讃岐のこんぴらさんで有名な金刀比羅宮の門前町として栄えた琴平町や、お城とうちわ、骨つき鳥で有名な丸亀市などとも隣接しており、全国有数の観光資源をうまくつなぐことで、さらなる誘客促進が可能と考えています。
コロナ禍で厳しい経営状況にある観光業は、全国旅行支援の実施や瀬戸内国際芸術祭二〇二二の開催などにより回復傾向にあると伺っています。インバウンドについても、高松空港国際線のうち、ソウル線が先月二十三日から運航を再開し、台北線も来年一月十九日から再開されるとのことであり、本格的な観光需要の回復が期待できます。しかし、現時点では、いまだコロナ禍前の水準には戻っておらず、完全な回復には一定の時間を要するものと思われます。
それだけに、瀬戸内国際芸術祭のような大規模な誘客イベントがない来年度は、弘法大師・空海御誕生千二百五十年祭記念行事を誘客の柱として生かしていくとともに、善通寺市を中心に近隣の観光資源とを組み合わせた誘客促進に取り組んでいくべきと考えます。
そこで、弘法大師・空海御誕生千二百五十年祭を契機とする誘客促進への取組状況について伺うとともに、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、知事にお伺いします。
質問の第二点目は、空き家対策についてであります。
近年、全国的に、空き家は人口減少や
少子高齢化の進行に伴い増加する傾向にあり、
地方自治体においても地域の住環境を向上するために、その利活用や適正な管理の促進が急務となっています。
平成三十年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によりますと、本県の空き家率は一八・一%と、全国平均の一三・六%を上回っており、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、令和二年の三十九万九千六十世帯をピークに、本県における世帯数も減少に転じる見込みとされていることから、住宅が空き家となり、これまで以上のペースで空き家が増加することが予測されます。
こうした空き家は個人資産であり、適切な維持管理は所有者の責務ではあります。しかし、放置された空き家は、管理が不十分になると老朽化が進み、資産価値を損ねることはもとより、倒壊したり屋根や壁が落下するなど、周辺に危険を及ぼすおそれや、ごみの不法投棄、治安の悪化など、様々な問題が生じ、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすこともあります。
このような問題が全国的に顕在化する中、地域住民の生命、身体または財産の保護、生活環境の保全、空き家等の活用促進のため、行政が総合的な空き家に対する施策を推進することを目的として、平成二十六年に空家等対策の推進に関する特別措置法いわゆる空家法が公布、一部施行され、平成二十七年五月に全面的に施行されたところです。
この空家法においては、市町が空き家対策の実施主体とされており、当該空き家が地域や環境に多大な悪影響を及ぼすものなどを優先的に特定空家等として認定します。認定されると、強制力を持った対策も可能とのことです。市町は空き家対策へ主体的に取り組むことができ、対策の計画作成や協議会の設置、立入調査の実施などができることとなっております。また、県は市町に対して技術的な助言、市町相互間の連絡調整等、必要な援助を行うと定められております。
県においては、この空家法の施行を受け、平成二十七年度に香川県老朽危険空き家除却支援事業を創設し、老朽化して危険な空き家の除却に補助を行う市町への財政的な支援を開始するとともに、各市町と連携して空き家の利活用を促し、老朽化させないための様々な取組を実施してきたと思います。
しかしながら、先日、県内のある市町からは、老朽危険空き家等の除却に対する空き家の所有者への補助については、国及び県の補助金を財源の一部として取り組んでいるところであるが、ここ数年は、除却の要望がある空き家数に対して県費の充当率が要望額に満たない状況にあり、県費の補助を前提とした老朽危険空き家の除却にも支障が生じているという御意見や、倒壊のおそれがある空き家等の対応を早急に実施するため、緊急でやむを得ない事例については、各市町の負担で賄っているが、このまま運用を続けることは財政的にも非常に厳しい状況であるといった御意見をお伺いしております。
冒頭に申し上げたように、今後、これまで以上のペースで空き家の数が増加することになれば、これまでの対策だけでは空き家を原因とする様々な問題を解決することはできず、これまでにも増して深刻化することが懸念されます。
県内の各市町においては、それぞれの地域の実情に応じた対策を実施していると思いますが、空き家問題については共通の課題も抱えており、県全体で対策を進めることも必要ではないかと考えております。
そこで、空家法施行後、各市町が空き家対策に主体的に取り組むため、これまで県はどのような取組を実施してきたのか、お伺いします。
また、今後も空き家は増加していくと思いますが、今後、市町に対する財政措置の拡充を含め、空き家対策にどのように取り組んでいくのか、知事にお考えをお伺いします。
質問の第三点目は、人と動物との調和のとれた共生社会づくりについてであります。
私たちは、社会生活を営む中で、身近な動物、特に犬や猫と共に暮らしてきました。そして、その犬や猫たちは、日々の生活の中で、悲しいときや楽しいときなどに、家族の一員として歩んできた大切な存在です。
しかし、香川県では、全国で一番犬の殺処分数が多い状況が続いてきました。
そこで、県は平成三十一年三月に、さぬき動物愛護センターしっぽの森を高松市と共同で整備し、動物愛護管理の普及啓発や犬猫の譲渡推進などに取り組んでいるところと承知しております。こうした取組により、殺処分数は年々着実に減少してきているものの、残念ながら依然として全国と比較すると殺処分数が多い状況が続いています。
このため、私は、まず地元である善通寺市で野良犬・野良猫の殺処分ゼロを目指すことを公約とし、取り組んでいるところです。ぜひ、こうした動きが善通寺市外の市町にも広がってほしいと考えています。
本県の総合計画では、人と動物との調和のとれた共生社会づくり事業のうち、動物愛護管理施策の推進の取組について、飼い主の責任である終生飼養や不妊去勢措置、所有明示、逸走防止、動物の遺棄・虐待防止などの適正な飼養管理等の普及啓発推進、さぬき動物愛護センターしっぽの森を中心に、ボランティアや関係機関と連携しながら適正な譲渡を進める。また、飼い主のいない犬猫の減少に向けて、住民が主体となった地域活動を促進するとともに、飼い主のいない犬猫に対する無責任な餌やりや犬猫の遺棄防止対策を図り、収容数の削減に努めるなどとしています。
この中で、飼い主のいない猫については、飼い主のいない猫が増えて、ふん尿や騒音等に悩まされているといった生活環境悪化の問題を地域の課題として捉え、地域住民、市町、保健所が一丸となって解決に取り組んでいる地域が増えています。しかし、猫の繁殖速度は速いため、数が増加し、地域住民や住民から相談を受けて支援しているボランティア団体もお手上げの状態となっていると聞いています。
飼い主のいない猫をこれ以上増やさないためには、不妊去勢手術が大変有効な手段でありますが、その費用の負担が重くのしかかってくる上、活動している各ボランティア団体間の連携が取れていない状況です。
市町によっては、飼い主のいない猫の不妊去勢手術等に対する助成をしているところもありますが、その費用を県から市町への補助だけでは賄えず、クラウドファンディングやふるさと納税等を活用する市町が増えており、こちらもばらばらな対応となっております。
飼い主のいない犬や猫については、保健所に収容された後、しっぽの森から譲渡されていますが、本県では温暖な気候に加え、無責任な餌やりが多いことから野犬が多く、特に犬の殺処分数が多い状況が続いています。
私の地元である善通寺市では、この二年間、あるボランティア団体のおかげで殺処分はゼロに近い状況が続いています。しかし、これにも限界があり、ボランティアの方々の協力だけで、いつまでも殺処分数ゼロの状況を続けるのは難しいと感じています。
私は、動物愛護や殺処分の問題を解決していくためには、県だけの取組だけでは限界があり、各市町や地域住民、行政に協力してもらえるボランティアの方々との連携が重要であると考えています。実際、県内にも積極的に保護活動や譲渡活動をしているボランティアの方々がいらっしゃいます。県がそうした人たちとも積極的に連携することで、協力してくれる人が増え、野良犬や野良猫が減り、殺処分も減ってくるのではないでしょうか。
そこで、飼い主のいない犬や猫を減らし、本県が掲げる人と動物との調和のとれた共生社会づくりの実現に向けて、各市町や地域住民、ボランティアの方々との連携も含め、今後どのように進めていこうと考えているのか、知事にお伺いします。
質問の第四点目は、特殊詐欺対策についてであります。
警察庁によりますと、昨年の特殊詐欺の認知件数は、前年比七・〇%増の一万四千四百九十八件、被害総額は同一・一%減の二百八十二億円となっています。被害額が過去最高となった平成二十六年と比べると半減したとはいえ、高齢者を中心に依然多くの被害が発生しています。特殊詐欺は、常に私たちの身の回りに潜んでおり、警戒の手を緩めることはできず、あらゆる対策を講じ続けていかなければなりません。
今後、ますます高齢人口の割合が増えていく中で、特殊詐欺等の被害防止は、我が国においてまさに喫緊の課題であります。そこで政府は、令和元年に特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として、オレオレ詐欺等対策プランを策定し、国民、各地方公共団体、各種団体、民間事業者などの協力を得ながら、各府省庁において施策を推進するように取り組んでいるところであります。
本県においては、過去十年で見ますと、平成二十六年に認知件数が百三十二件、被害総額が約五億円とピークを迎え、その後、件数、被害額とも減少傾向であったものの、昨年は被害額が二年ぶりに一億円を超え、令和二年に発生のなかった還付金詐欺が十三件と急増するなど、被害実態や犯行手口に変化が見られたようです。
そして、先日の新聞報道によりますと、今年確認された特殊詐欺は、十月末時点で前年同期比十三件増の五十四件にも上り、過去五年で最多となったそうです。
被害の内訳を見ますと、架空請求詐欺が二十七件で最も多く、続いて介護保険料などの還付金があると偽りATMに誘導する還付金詐欺が十二件、また、息子や孫をかたったオレオレ詐欺は、昨年はゼロ件だったものの、今年に入り八件も発生しているようです。その全てが十月に起きており、犯行グループが県内の高齢者を集中的に狙ったものと見られています。
このように、犯行の手口は巧妙化・多様化しており、特殊詐欺への対策はまさに急務であります。県民の不安をあおり、一生懸命働いてためた大切な財産を一瞬にしてだまし取る卑劣な犯罪行為を断じて許してはなりません。
県警察においては、芸能人によって結成された特殊詐欺予防プロジェクトチーム「ストップ・オレオレ詐欺47」で、特別防犯対策監を務める俳優の杉 良太郎氏と連携して被害撲滅に向けた共同宣言を行ったり、総本山善通寺をはじめとする四国八十八ケ所霊場会と連携した周知啓発を行うなど、インパクトやユーモアのある被害防止活動にも取り組んでいると聞いています。
こうした取組を重ねて家族や地域の絆を再認識してお互いに声を掛け合いながら、社会全体で特殊詐欺に対する危機意識を共有していくことが重要であると考えています。
そして、何より被害のターゲットとされている高齢者に重点を置き、被害に遭わないような対策を講じるとともに、犯行グループの検挙に大きな期待が寄せられるところであります。
そこで、特殊詐欺の根絶に向けて、今後どのように取り組むおつもりなのか、
警察本部長にお伺いします。
以上で私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(新田耕造君)理事者の答弁を求めます。
池田知事。
(
知事池田豊人君登壇)
◯知事(
池田豊人君)氏家議員の御質問にお答えいたします。
まず、弘法大師・空海御誕生千二百五十年を契機とした誘客促進についての御質問がございました。
来年は、空海御誕生千二百五十年の記念の年となることから、善通寺のみならず、四国遍路や周辺地域をPRする絶好の機会でありまして、県も財政支援を行いまして参画します御誕生祭実行委員会におきまして、様々な関連事業に取り組んでいるところでございます。
今年度は、意識の醸成を図るポスターやポストカードの作成をはじめ、空海に関連するスポットを巡るツアーや黒板ワークショップなどの各種イベントを開催いたしました。また、今後、歴史ある建物や懐かしい風景が点在する善通寺市内の見どころをPRする特設サイトを開設することとしております。県では、来年度の財政支援についても検討したいと考えております。
そのほか、県では千二百五十年祭を全国にPRし、誘客を図るため、首都圏や関西圏で開催された観光商談会におきまして、旅行会社に対し、善通寺や琴平、丸亀などの中讃エリアの観光スポットや四国遍路を組み込んだ周遊コースを紹介するなど、商品造成と送客を強く働きかけております。
また、テレビ番組や雑誌を通じまして、善通寺の歴史や文化をはじめ、アートや遍路、食など、県内の魅力ある観光資源を広く情報発信してまいります。さらに、今後、回復が見込まれるインバウンドに向けても、高松空港国際線が就航する国や地域を中心に、イベントやSNSを活用して千二百五十年祭を強くPRしてまいります。
来年の千二百五十年祭が広域にわたる観光振興につながるよう、実行委員会とも連携をしまして一層の誘客促進に取り組んでまいります。
次に、空き家対策についての御質問がございました。
県では、老朽化して危険な空き家などの判断基準を作成しまして、市町の担当者への実地研修や技術的助言を行うとともに、老朽化して危険な空き家への除却補助を行う市町に対して財政的支援を行い、これまでに約千三百件の除却が完了しております。今後、空き家の除却が一層進むよう、必要な予算確保に努めてまいります。
しかしながら、増加する空き家への対策は、県や市町だけの対応では十分でなく、不動産や建設業界の民間団体などと利活用などについて連携した取組も必要であります。
そのため、平成三十年度から、不動産、建築、法律などの専門家や事業者による空き家利活用サポートチームの登録制度を立ち上げております。現在、十八チームを登録し、空き家に関する様々な相談に対応しております。
これまで、このような空き家対策を実施してきておりますけれども、議員御指摘のとおり、今後はこれまで以上のペースで空き家の増加が見込まれております。このため、県全体でどのような対策を進める必要があるのか、改めて検討したいと考えております。
現在、各市町に対して、空き家に関する課題や要望などをお伺いしているところであります。今後は、その回答も踏まえ、市町がより効果的な空き家対策に取り組めるよう、必要に応じ、制度の改正や拡充などを国に要望するとともに、市町に対する財政的支援の拡充も含め、総合的な空き家対策について検討したいと考えております。
次に、人と動物との調和のとれた共生社会づくりについての御質問がございました。
本県では、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向け、市町、ボランティア、関係団体などと連携し、県民の皆様と一緒に取り組むための具体的な計画として、香川県動物愛護管理推進計画を定めております。
その取組の一つに、「飼い主がいない犬猫の減少に向けた地域活動の促進」がありまして、人への危害や生活環境被害を地域の課題として捉え、解決を図ることとしております。
議員御指摘の飼い主のいない猫につきましては、地域住民が餌・水の管理や排せつ物の処理、不妊去勢手術を行い、地域の中で適切に管理する地域猫活動を支援する市町に対し、県は費用の一部を助成しており、市町によっては、この地域猫活動以外に実情に応じて不妊去勢手術への助成などを行っていると伺っております。
また、さぬき動物愛護センターしっぽの森を中心に、ボランティアの方々や関係団体などと連携して、動物愛護管理に関する普及啓発に努めるとともに、最後まで責任を持って飼うことのできる方へ犬猫を譲渡できるよう取り組んでおります。
具体的には、地域で活動を行う動物愛護推進員の御協力を得て、犬猫の飼い方相談などを実施しているほか、保健所に収容された犬猫の譲渡を行う譲渡ボランティアや、幼齢の犬猫などを一時的に預かり世話をする預かりボランティアの制度を設けて、適正な譲渡の推進や適正飼養の普及啓発に協力いただくなど、センターや保健所との連携を図っているところであります。
このような取組が、保健所への犬猫の収容を減らし、殺処分数の減少にもつながると考えており、今後とも人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指してまいります。(降壇)
◯副議長(新田耕造君)今井
警察本部長。
(
警察本部長今井宗雄君登壇)
◯
警察本部長(今井宗雄君)氏家議員の特殊詐欺対策についての御質問にお答えいたします。
本年十一月末現在における県下の特殊詐欺の認知件数は六十八件と、前年同期比で二十三件増加し、高齢者の被害が全体の約七割を占めるなど、依然として深刻な状況にあります。
手口別で見ますと、架空料金請求詐欺が三十六件と最も多く、次いで還付金詐欺が十六件と、いずれも前年同期比で増加しているほか、昨年は発生がなかったオレオレ詐欺が八件と急増しております。
県警察では、こうした情勢を踏まえ、高齢者を重点とした被害防止と犯行グループの検挙が特に重要であると認識し、抑止と検挙の両面から総合的な対策を推進しております。
抑止対策については、被害の大半が犯人からの電話を受けたことに端を発している実態を踏まえ、振り込め詐欺撃退装置の貸出しを通じ、防犯機能付電話機の設置や留守番電話の常時設定の働きかけなど、犯人からの電話を直接受けない環境づくりに取り組んでおります。
また、地域全体の防犯意識を高めるため、高齢者等を対象とした防犯教室をはじめ、先月、特別防犯支援官を再委嘱したSTU48の啓発動画や各種広報媒体等を活用し、幅広い世代に対し最新の犯行手口を注意喚起しているほか、金融機関やコンビニエンスストア等と連携し、利用客への声かけを促進する水際対策にも取り組んでおります。
取締りについては、犯行に利用された電話番号の利用制限等の犯行ツール対策など、多角的な取締りを推進しているほか、迅速、的確な初動捜査により、実行犯や犯行に関与している暴力団員等を検挙しております。
県警察といたしましては、今月十日から始まった年末年始の特別警戒の活動重点に特殊詐欺の被害防止を掲げており、引き続き関係機関や団体と連携した各種対策や取締りを一層強化し、特殊詐欺の撲滅に向けて全力で取り組んでまいります。(降壇)
◯副議長(新田耕造君)一般質問を続行いたします。
里石明敏君。
(里石明敏君登壇、拍手)
◯里石明敏君 自由民主党香川県政会の里石でございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
質問の第一点目は、保育の質向上に向けた取組についてであります。
先日、速報値として公表された本県の十月一日現在の保育所等の利用待機児童数は百七十三人と、前年同期と比べると七人増加しました。市町別では、高松市九十八人、丸亀市六十三人と、都市部を中心に三市二町で待機児童が発生しています。また、年齢別では、共働き世帯の増加等により、ゼロ歳児の申込みが増加したことで待機児童数が百三十人と、昨年十月の九十八人から増加しています。
本県では、保育の受皿確保として、施設整備や保育士の確保・養成を進め、施設数や定員は着実に増加してきました。しかしながら、地域や年齢によって需要の偏りが生じており、なお解消に至っていない状況です。
一方で、入所児童数は令和三年十月の二万四千百十五人をピークに、令和四年十月は二万三千九百六十人と、百五十五人減少しています。保育所等の定員は増加しているため、定員の充足率が低下している施設もあると考えられます。
このような状況を踏まえますと、引き続き待機児童対策に取り組む必要はありますが、今後は、より地域や子供年齢に応じた対策や、保育ニーズと施設のミスマッチを防ぐ対策も求められるのではないかと考えられます。また、地域によっては待機児童対策に一定のめどが立ちつつあり、他の課題にもこれまで以上に取り組む必要があると考える次第です。
そこで、待機児童対策以外に目を向けますと、保育の充実に向けて取り組むべき課題は多くあります。
一点目は、質の高い保育士や保育教諭の育成・確保です。
保育とは、子供一人一人の行動と内面を理解し、心身の健全な発達を促すよう適切な援助を行う高度な専門性が求められる営みですが、先日、静岡県裾野市の私立認可保育所では、園児に対する虐待が発覚し、保育士三人が逮捕されるなど、園の管理体制や保育士の資質が問われる事態となっています。
あってはならない事件ですが、全国的にも保育士は慢性的に不足している中で、質の高い保育士を育成・確保し、子供が安心して成長できる環境を築いていく必要があります。
本県においても、令和四年四月の保育士の有効求人倍率は一・四八倍であり、求人が求職を上回っている状況が続く一方、本県の保育士の平均勤続年数は五・四年と、全産業十二・八年に対し、短くなっています。
仕事量や労働時間を離職理由として挙げる割合は三割に上り、不足する保育士を頑張って確保しても、厳しい勤務条件から続けられないといった悪循環が生じているおそれがあります。
加えて、保育の受皿拡大に伴い、経験の浅い保育士も増加しています。業務の効率化を進めるなどして保育士の負担を軽減し、安定した職場環境で経験を積めるようにしたり、キャリアに応じて適切な指導を受け、専門性を高められる体制の充実が求められます。
二点目は、保育ニーズの多様化です。
これまで市町においては、保育の受皿確保と併せて、延長保育や一時預かり、病児保育など、地域の事情に応じた子育て支援を進めてきました。しかし、地域によってまだまだ利用可能な施設が少ない状況です。
また、核家族化の進行や地域のつながりの希薄化などにより、子育て家庭の孤立が進んでいると言われています。特に、ふだん保育園や幼稚園に通っていない未就園児を持つ家庭では、精神的な負担や子育てについての悩み、不安を感じている割合も高いと考えられます。
国は、未就園児等について、実態把握や保育所等の空き定員の活用等による支援を推進するとしています。本県でも、既存の保育所や地域資源を活用しながら、これらの多様な保育ニーズに応える取組が求められるのではないでしょうか。
子育てしやすい香川の実現には、保育の質を高め、多様な保育ニーズに応えられるようにすることが欠かせません。来年四月には、こども家庭庁が設置されるなど、本格的に取り組む環境が整いつつある中で、これらの課題にどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
質問の第二点目は、本県における
スタートアップ支援についてであります。
国が本年六月に閣議決定した新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画では、
スタートアップの育成は日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会的課題を解決する鍵であるとされています。先月二十八日には、
スタートアップ育成五か年計画が決定され、
スタートアップへの投資額を現在の八千億円規模から五年後には十兆円規模と十倍増にすること、さらに、将来においてユニコーン企業を百社創出し、
スタートアップを十万社創出することなどが目標として掲げられています。
スタートアップの明確な定義はありませんが、誰も取り組んだことがない新しいビジネスをゼロから開始し、急成長している事業や企業であることが特徴とされています。加えて、社会に価値をもたらすことを目的とする事業内容であるとされることも多くあります。
「失われた三十年」と言われ、日本経済が長年停滞する一方で、アメリカなどでは
スタートアップによるイノベーションによって経済成長が持続してきました。我が国においても経済の活性化を図り、さらに社会課題を解決するという観点からも、
スタートアップによる挑戦が欠かせないところであります。
本県においても人口減少が進む中、経済の活性化を図るには、チャレンジ精神あふれる起業家による創業が増えるような環境整備が必要です。
スタートアップは、様々な起業家や関連する研究機関、投資家等が集い、協調的なネットワークが構築されることで継続的に誕生すると言われています。これらが特定のエリアに密に集積し、偶然の出会いも含めて交流が行われることで、イノベーションにつながりやすくなると考えられています。
他方、地方においては、このようなネットワークは自然発生的には形成されにくく、若者などが身近な起業事例に接する機会も限られています。
スタートアップに必要な交流コミュニティー等の情報を得る場、
スタートアップが成長する際に必要な専門人材、資金調達環境の確保は課題であり、行政をはじめ関係機関が連携して、
スタートアップが創出される環境づくりに取り組む必要があります。
本県には、香川大学をはじめとする研究機関や、ニッチトップ企業などの高度な物づくり基盤技術を有する中小企業が多くあります。本県の企業支援を生かしながら、創業を志す若い方々と、これらの機関等が交流して刺激を与え合い、有望な事業に資金が流れるようになれば、本県における起業も活性化するのではないでしょうか。
今や県の顔となる製品の一つとなり、世界に広く知られるようになった希少糖も、香川大学の研究室からベンチャー企業が羽ばたき、産学官で研究開発を進め、事業化を推進してきました。改めて、次なる
スタートアップ企業が誕生することを願うところです。
そこで、知事は、デジタル田園都市100計画においても、
スタートアップや成長産業の支援強化に取り組むこととしていますが、県として
スタートアップ支援等にどのように取り組むか、お伺いします。
質問の第三点目は、サンポート高松地区のプロムナード化についてであります。
本県においては、サンポート高松の周辺整備について、これまで香川県立アリーナへのアクセス向上を図るため、この地域における安全で快適な動線確保等の検討を行う中、令和二年度からは、高松市が組織する高松市サンポート地区都市再生検討委員会に参画して具体的な検討を進め、令和三年十月には、県と高松市で構成する高松市都市再生協議会において、サンポート高松地区都市再生整備計画を取りまとめています。
この中では、JR高松駅から県立アリーナまではアーケード及びキャノピーを整備する。高松港フェリー乗り場から県立アリーナまでは、フェリー乗り場前交差点にデッキを整備し、立体構造とするほか、エスカレーターを設置するなどにより、安全で快適な移動を可能にすることとし、令和四年度からは、この整備計画に基づき国庫補助事業の都市構造再編集中支援事業を活用し、より詳細な検討を進めていると伺っています。
このような中、池田知事が就任され、「人生100年時代のフロンティア県へ」をスローガンに、大事なものを「まもる」、新しいものを「つくる」、「誰一人取り残さない」の三つの理念の下で、香川New100PLANを進めることを表明されています。
そして、「県民100万人計画」、「デジタル田園都市100計画」、「にぎわい100計画」の三つの100計画を掲げ、サンポート高松地区については、風光明媚な瀬戸内海に隣接する優れた環境に加え、商業、官公庁、文化、交流、情報などが集積する香川を代表するエリアとして位置づけられております。
現在、進められているJR四国による駅ビルや徳島文理大学の移転等による施設整備に併せ、この地区により一層のにぎわいを創出するためには、歩行者が安全で快適に歩ける空間づくりが課題です。このため、サンポート地区全体としてにぎわいがある一大プロムナード化を図ることを提案されており、十月のトップ会談の際にも、今後、高松市と連携協力し、取り組んでいくことを確認されたと伺っています。
高松市においては、サンポート地区に関係する様々な人材の意見・要望を取りまとめた未来ビジョンを作成し、この中で、交通モードの連携、中央商店街とのアクセス改善、玉藻公園北側等における回遊性の向上など、当地区における短期及び中長期でのまちづくりのイメージや課題を共有しております。
私は、このプロムナード化には賛成でありますが、周辺への影響などの課題もありますことから、サンポート地区全体のまちづくりを円滑に進めるためにも、高松市や関係機関とより密接に連携を図りながら、段階的に推進していってもらいたいと思います。
そこで、今後のサンポート高松地区プロムナード化への取組について、知事の考えをお伺いします。
質問の第四点目は、県道三木綾川線バイパスルートについてであります。
現道の県道三木綾川線は、東讃地域と中讃地域を結ぶ主要な幹線道路であります。この県道三木綾川線は、高松市南部地域の国道百九十三号との交差点付近において、慢性的な交通渋滞が発生しており、この交差点西側において令和二年度に県で実施した交通量調査では、平日の昼間十二時間自動車類交通量は、平成十七年と比較し、ほぼ同数の一万四千台を超えている状況であり、朝夕のラッシュ時には一時的に最長約一キロメートルの渋滞長となっていると伺っています。
これは、県道三木国分寺線から県道三木綾川線までの間に幹線となる東西軸がないことから、この道路に交通量が集中することが要因と考えられます。
また、平成十八年一月に旧香川町及び香南町が高松市と合併したときに策定された合併によるまちづくりプランでは、この地域を東西に結ぶ新たな幹線道路として、県道三木綾川線バイパスルート構想の検討が盛り込まれております。
この高松市からの県道三木綾川線バイパスルート構想の要望を受け、県において総合渋滞対策の検討などを行った結果、平成二十年に県の方針としては、幹線道路としての通過交通の快適性、自転車・歩行者の安全性の向上を図るため、現道の機能強化を基本とし、これまで右折レーンの設置等による交差点改良や歩道整備による歩行者・自転車の安全性の確保などの対策を実施してきていると伺っております。
しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、いまだ慢性的な渋滞は解消されておりません。当時の県道三木綾川線バイパスルート構想では、西は綾川町の県道綾歌綾川線と、東は高松市の県道西植田高松線の交差点を結ぶ路線が想定されておりました。このことにより、東西に結ぶ新たな道路ネットワークが形成され、渋滞緩和に加えて、高松空港へのアクセス道路としての機能向上も図られるものと思います。
高松市では、合併によるまちづくりプランにも登載され、このルート上にあり、香東川を横断する橋梁を含む高松市道下川原北線と、この路線と県道三木綾川線を結ぶ高松市道城渡吉光線を整備し、本年七月に供用を開始しております。これにより、この周辺における道路環境にも変化が生じているものと存じます。
そこで、この機会に広域的な道路ネットワークを構築する観点から、県において整備ルートや将来交通需要推計など、このルートの必要性について改めて検討し、高松市と協議を進めていく必要があるものと存じます。
そこで、県道三木綾川線バイパスルート整備の必要性について、知事の考えをお伺いします。
質問の第五点目は、災害時におけるドローンの活用についてであります。
昨年七月に発生した熱海市土石流災害の現場では、消防など複数の機関が捜索活動にドローンを導入しました。報道によると、静岡市消防局は、災害発生当日にドローンを被災地に持ち込み、二次災害の危険から安易に近づけない中、状況を素早く確認し、活動範囲を設定するのに役立てるとともに、県の依頼で、堆積した土砂の量を推計する調査にも活用したとのことです。
消防庁によると、ドローンを活用する全国消防本部は年々増加しており、平成二十九年の七十本部、割合にして九・六%から、令和三年六月時点で三百八十三本部、五二・九%にまで増加しています。
活用としましては、火災発生時に原因や損害状況を調査する火災調査が千八百九十六件、四六・八%と半数近くを占めていますが、救助活動・捜索活動が八百六十一件、二一・三%、地震・雨などの自然災害での活用も二百件、四・九%となっています。
火災など常時発生する災害に対して、ドローンによる情報収集が行われているほか、大規模災害時にも着実に活用されるようになってきています。
ドローンには、上空から俯瞰的に被災現場を撮影でき、人が立ち入れない危険な場所でも近づけるといったメリットがあります。その結果、一刻も早い対応が求められる災害発生初期に迅速かつ安全な情報収集が可能となり、本格的な救助活動等につなげることができるのです。
このような特性を踏まえますと、本県でも風水害や南海トラフ地震といった大規模災害に備え、また、様々な災害対応でドローン活用を進めることは有用であります。
また、法制度面でも、その素地が整いつつあります。令和三年六月に航空法が改正され、今月からドローンに係る機体認証制度や操縦ライセンス制度が開始されました。人口密集地帯上空の飛行など、これまで必要であった個別の許可や承認が、機体認証や操縦ライセンスにより不要となるなど、合理化・簡略化が行われますとともに、これまで禁止されていた有人地帯での目視外飛行、いわゆるレベル四飛行についても可能となり、今後、普及が進む見込みです。
高度な運航を安全に行う環境は整ってきた一方で、裏を返せば、求められる運用のレベルも上がってきているということでもあります。全国的な課題として、操縦者の育成や運用体制を整えるための人員確保が追いついていない状況が生じているようです。
私の地元高松市においても、消防局に本年一月より情報収集活動用ドローンが配備され、運用を開始していますが、運用マニュアルの作成、高度な技能を有する操縦者や飛行状態等を確認する安全管理者の育成など、安全かつ効果的に運用できる体制を構築するよう努めているようです。
消防庁でも、
機体整備の支援やドローン運用アドバイザー派遣等を行っているようですが、県としても、市町の消防本部におけるドローン活用に向けた人員確保や体制整備を後押しすることで、災害時の対応力強化に資すると考えられます。
そこで、県として、災害時のドローン活用をどのように評価しているのか、また、操縦者の育成など、市町の消防本部の体制整備を進めるために取り組めることがないか、お伺いしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(新田耕造君)理事者の答弁を求めます。
池田知事。
(
知事池田豊人君登壇)
◯知事(
池田豊人君)里石議員の御質問にお答えいたします。
まず、保育の質の向上に向けた取組についての御質問がございました。
質の高い保育士などの育成・確保につきましては、県では、これまで、保育士資格の新規取得者向けの支援や保育士人材バンクにおける就職・復職支援などによる保育人材の確保に努めるとともに、職位や経験年数に応じた研修などによる保育の質の向上に取り組んできたところであります。
また、保育士などの離職防止を図るため、昨年度より臨床心理士や社会保険労務士などの専門家を保育所などに派遣し、働きやすい職場環境づくりを支援しており、今後も保育士の業務負担の軽減を進めるための施策について、さらに検討をしてまいります。
保育ニーズの多様化につきましては、今後、保護者の就労・在宅を問わず、一時預かりや病児保育など子育て家庭が必要なときに必要なサービスを受け、安心して子育てができる環境整備を進めていくことが必要であると考えております。
また、地域において保護者からの未就園児の育児に係る相談に応じたり、助言を行う機能を持つ認定こども園などもあることから、そうした情報が子育て家庭にしっかりと届くよう、市町や関係機関と連携して取り組んでまいります。
今後も地域における安定した保育サービスの質・量を確保・持続していくとともに、多様な保育ニーズに応えられる地域の子育て支援の拠点として、保育所などの機能を高めるよう努めてまいります。
次に、本県における
スタートアップ支援についての御質問がございました。
県では、かがわ産業支援財団において、
スタートアップを支援するためのインキュベート施設を提供するとともに、創業に必要な知識・ノウハウを習得するための創業支援塾を開催しているほか、地域活性化関連などの社会的事業分野において、地域課題の解決に向けた新たな取組を資金面から支援する起業等
スタートアップ支援事業を実施し、今年度は十一件を採択したところであります。
さらに、創業後においても、企業の成長段階に応じ、創業者などが抱える様々な課題に対応するための相談窓口を設置し、各種支援制度や制度融資を案内するなど、中小企業診断士などの経験豊富な専門家が、相談者に寄り添った対応に努めております。
また、サンポート高松シンボルタワー五階に設置しておりますSetouchi─i─Base(セトウチ・アイ・ベース)では、起業家マインドやビジネスモデル構築の手法などを学ぶ、かがわアントレプレナーシップ養成講座のほか、先輩起業家との交流イベントや起業、投資経験などのある専門家の相談対応など、積極的に取り組んでおります。
今後とも、起業家マインドの醸成から創業後のサポートまで一貫した支援策を展開することで、香川県内だけでなく県外の起業家にとっても、香川を創業の場として選択してもらえるよう、創業しやすい環境整備に取り組んでまいります。
次に、サンポート高松地区のプロムナード化についての御質問がございました。
サンポート高松地区におきましては、香川県立アリーナの開設に向けて、サンポート高松地区都市再生整備計画に基づき、安全で快適な歩行空間を確保するために、キャノピーや連絡デッキなどの整備に取り組んでいるところであります。
しかしながら、駅ビルや大学などの新たな施設整備に併せて、地区全体でより一層のにぎわいの創出を図るためには、JR高松駅からウオーターフロントまで快適に歩くことができる一大プロムナードとすることが必要であると考えております。
十月十九日に開催いたしました私と高松市長とのトップ会談では、プロムナード化の必要性について、市長とも十分に共有ができたと思っております。
プロムナード化に当たりましては、地区内における高松市道の在り方が重要となります。今月八日の高松市議会における自由民主党議員会からの代表質問に対しまして、大西市長からは、プロムナード化に向けて、歩行者専用道路等を整備することとなりますと、地域住民等との合意形成はもとより、周辺交通に及ぼす影響や整備効果の検証などの様々な課題もある、諸課題を解決しながら、一大プロムナード化に向けて、県としっかり協力して取り組んでまいりたいとの答弁があったところでございます。
県としましても、道路管理者でもある高松市と一体となり、地域住民や多くの関係者の皆様の御理解、御協力をいただきながら、プロムナード化の実現に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、その他の御質問につきましては、担当部局長よりそれぞれお答え申し上げます。(降壇)
◯副議長(新田耕造君)田中危機管理総局長。
(危機管理総局長田中一裕君登壇)
◯危機管理総局長(田中一裕君)里石議員の災害時におけるドローンの活用についての御質問にお答えいたします。
災害時におけるドローンの活用につきましては、災害現場での広範囲な状況確認をはじめ、避難誘導や行方不明者の捜索など、様々な場面での効果が期待できることから、県では、令和二年に、空中撮影等を行う企業などで構成される香川県ドローン安全協議会等との間で協定を締結しており、災害時にはドローンを活用した被災状況の収集などが行えることとなっております。
現在、市町消防本部では、県内九消防本部のうち三消防本部でドローンが導入されております。一方、他の消防本部につきましては、操縦者の確保・育成など体制整備に課題があり、具体的な導入のめどが立っていない状況にあると伺っております。
このため、県では、ドローンの操縦技術を持つ消防職員の確保・育成に向け、消防学校において、令和元年に国から無償貸与を受けた画面伝送装置を備えた大型機や、操作練習を目的とした小型機を活用して、基本操作などの研修を行っているところであります。
また、昨年度から実施されているドローンの実技体験や活用事例の紹介、運用体制などの助言が受けられる国のドローン運用アドバイザー派遣等制度についても、今後、積極的な活用を検討していきたいと考えております。
ドローンの活用は、迅速な災害対応、被害の軽減という観点から非常に有用であり、県としては、消防本部の御意見も伺いながら、その導入が進むよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。(降壇)
◯副議長(新田耕造君)安西土木部長。
(土木部長安西 愼君登壇)
◯土木部長(安西 愼君)里石議員の県道三木綾川線バイパスルートについての御質問にお答えいたします。
県道三木綾川線につきましては、これまで渋滞対策や交通安全対策として、交差点改良や歩道整備などを実施してきたところであります。
また、議員御指摘のとおり、本年七月には、バイパス構想のルート上で高松市が整備していました橋梁部を含む市道が供用を開始しております。
このように、周辺の道路環境に変化が生じてきていることから、まずは現在の交通量や渋滞状況について調査を行い、これまでに実施してきた渋滞対策等の効果を検証したいと考えております。併せて、広域的な道路ネットワークを構築する観点も含め、バイパス整備の必要性についても検討したいと考えております。
一方、このバイパス構想のルート上には市道が連続する区間もありますことから、今後、適切な役割分担も含め、バイパス整備の必要性について、高松市と十分協議を行いたいと考えております。(降壇)
◯副議長(新田耕造君)理事者の答弁は終わりました。
県の一般事務に関する質問を終局いたします。
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◯副議長(新田耕造君)お諮りいたします。
委員会審査のため、十二月十四日を休会といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◯副議長(新田耕造君)御異議なしと認め、そのように決定いたします。
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◯副議長(新田耕造君)以上で本日の日程は、終了いたしました。
次会は、十二月十五日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時十三分散会
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