香川県議会 > 2021-06-04 >
令和3年6月定例会(第4日) 本文

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  1. 香川県議会 2021-06-04
    令和3年6月定例会(第4日) 本文


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    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君
      欠  席  議  員    西  川  昭  吾 君    石  川     豊 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    泉     雅  文 君           警察本部長      那  須     修 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    高  濱  和  則 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第四号)                   令和三年七月八日(木)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(十河 直君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  岡野朱里子さん。    (岡野朱里子君登壇、拍手) ◯岡野朱里子君 お許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。  まず最初に、新型コロナウイルス対策としての飲食店の認証制度についてお伺いをいたします。  本県におきましては感染者数が減少傾向にありますが、東京では感染拡大傾向が見られることから緊急事態宣言が発令されるとの報道や、変異株によると見られるクラスターが発生するなど、新型コロナウイルスとの闘いが収束するにはまだまだ時間がかかると思われます。この間、感染拡大防止のためには人流の抑制が何より大切だと言われ、経済活動が大幅に制限をされてきました。特に、観光業や飲食業に大きな影響が出ました。倒産や廃業に追い込まれた事業者も少なくありません。そのような中、ワクチン接種の加速化と飲食店の認証制度の普及は、本県の経済活動の活性化の大きな鍵になると考えます。  本県においては、本年に入り四度、飲食店に対して時短営業の要請をしており、第三次においては、お酒の提供は午後七時まで、閉店は午後八時とされ、お酒を提供する飲食店にとっては、その間、実質的にはお店を閉める選択をせざるを得ない状況がありました。飲食店もテークアウトを始めたり、開店時間を前倒しするなど様々な工夫をされていましたが、なかなか売上げにはつながらない厳しい状況が長らく続きました。もちろん、県は国の対処方針や通知に従って、要請に応じてくれた飲食店には支援金を支給していますが、繁華街の飲食店や大規模店舗においては、「支援金では家賃も出せない」とか、「従業員の給料にも満たない」などの声が寄せられました。また、お金をもらっても、お客様を迎えられないことは、経営者本人はもちろん、従業員のモチベーションを維持することが困難で、メンタルケアが必要になっているとの声に事態の深刻さを改めて感じました。  感染拡大によって飲食店に対する時短要請が再び出されることがないよう、かがわ安心飲食店認証制度について広く知っていただき、多くの飲食店の皆さんに積極的に申請をしていただきたいと願っています。  さて、飲食店の認証制度は、昨年、山梨県が実施したやまなしグリーン・ゾーン認証制度から始まりました。山梨県では、現在約五千五百件の飲食店などが登録されており、感染拡大防止や経済活動の継続等に一定の効果があったことから、本年四月三十日には、政府から、このような先行自治体を参考に各都道府県が同様の制度の導入を進めるよう事務連絡があり、現在は多くの都道府県で認証制度が導入されています。  事業者の皆さんから、認証制度に対して多くの質問を受けたり、制度が面倒で手間がかかるなどの御意見をいただくことがありますが、私としては、県は飲食店の現場の声をくみ上げて制度設計をしていて、その必要項目は他県に比べハードルが高いものではないこと、そして、他県ではあまり対象とされていない接客を伴う飲食店やカラオケボックスなど歌唱を伴う飲食店についても、追加項目はあるものの認証を受けられるなど工夫がされていることをお伝えしています。しかしながら、想定される対象店舗の数は約五千件にもかかわらず、七月五日現在で申請件数は二百六十二件にとどまっています。例えば、ほぼ同時期に制度を開始した大阪では、対象店舗の数は違うとはいえ、六月末で二万六千件もの申請がありました。ほかにも同様に、本県以上の速度で申請が進んでいる県が見受けられます。  やはり、その差はよく言われるように、認証取得のメリットやインセンティブではないかと思います。本県の認証制度のホームページには、メリットは検討中とありますが、具体策が示されず、また、行政からのメリットを検討しているというアナウンスが少ないため、人流が戻りつつある今、認証制度を取得するべきかどうかちゅうちょしている飲食店が多いのが実態です。例えば、大阪は、まん延防止等重点措置区域ですから、国からの通知に加え、知事が、認証店とそれ以外では何らかの差別化をすると明確に打ち出しています。また、山梨モデルと言われる山梨県の場合は、認証店をGo To Eatの対象店としていますし、岩手県においては、いわて飲食店応援事業「いわてGo To Eatキャンペーン」第二弾として、いわて飲食店認証制度の認証店を対象としたプレミアム付食事券事業を計画しています。また、時短要請に応じた際に支払う協力金の額の差別化を検討している自治体もあります。  まだまだ感染拡大の可能性がなくなったわけではないですし、人流を完全に戻してもいい、いわゆるアフターコロナといった状況でもないため、メリットやインセンティブを打ち出すのが難しいタイミングだとは思いますが、本県で認証制度を着実に推進するためには、今、飲食店の皆さんに認証店に対するメリットなど、認証制度に対する知事の強いメッセージが求められていると考えます。知事の御所見をお聞かせください。  次に、身体障害者手帳の申請と医療機関に対する国及び県の医療費助成制度の周知についてお伺いをいたします。  先日、知人から、指定難病の申請と障害者手帳(以下手帳)の申請について相談がありました。知人の家族が病院で診断を受け、二つの病院で入院治療を受けていたところ、最初の病院で診断がついていたにもかかわらず、それぞれの指定医が申請書類の作成をしてくれなかったため、指定難病の申請も手帳の申請も一か月以上遅れてしまい、難病法に係る特定医療費障害者総合支援法による更生医療費の助成が適用とならず、その間の医療費の自己負担が全額発生してしまうので、どうにかならないかということでした。指定難病については申請日まで遡れますが、一方で手帳交付については申請日まで遡れず、障害福祉相談所での決裁日が交付日になります。いずれにしろ、診断がついた日まで遡ることはできず、病院が不手際を認めたとしても、知人のケースでは医療費の自己負担部分については救済されませんでした。  このことから、二つ指摘をしたいと思います。  まずは、手帳交付日についてです。先ほど申し上げましたように、本県では手帳の交付日は県が決裁した日となっていますが、これは法律で定められているのではなく、それぞれの都道府県等の裁量によって決めることができ、本県と同様の取扱いをしているところもあれば、指定難病申請同様、申請日まで遡り、申請日を交付日としているところもあります。中四国だけで比較すると、本県同様の取扱いをしているのは広島県のみです。特に愛媛県においては、医療費の自己負担が一割となる更生医療との同時申請の場合は、自己負担部分の減額が遡って適用されます。本県でも、更生医療のうち心臓については申請日まで遡れますが、更生医療が全ての手術において遡れる県が三県あり、障害のある方に、より寄り添った運用となっています。  また、本県では、市や町が行う身体障害者手帳の一級から三級を持つ方に対しての医療費助成において、独自に重度心身障害者等医療費等助成(以下重心医療)を行っており、対象の方々は、ほぼ自己負担なく全ての医療を受けることができます。本県の要綱では、身体障害者福祉法に基づく更生医療、児童福祉法に基づく育成医療が適用された場合、受給者が現に支払った自己負担相当分を支給対象としていて、もし、更生医療の適用が、身体障害者手帳の申請日まで遡れるとしたら、こちらの重心医療も遡れる可能性があり、身体障害者手帳を申請する多くの方にとっては大変心強い支援になります。現在、本県の重心医療は、多くの場合、身体障害者手帳の交付日が申請日となっていますが、それらの市や町では重心医療は申請した日の属する月の初日まで遡ることができ、この間の医療費は、後日医療費の還付手続が行われていることから、身体障害者手帳の申請日まで遡り還付を受けることは手続上困難なことではないと推察できます。  これまで述べてきたように、身体障害者手帳の交付日を申請受付日とすること及び更生医療全般についても適用を申請日に遡れるようにすることは、重心医療の運用についても好影響を及ぼす可能性もあり、多くの障害のある方や御家族の安心や希望になると思います。  そこで、知事にお伺いします。  同じ制度の中で、身体障害者手帳の交付日の決定や医療費の取扱いなどが、都道府県によってはより障害のある方々へ寄り添った運用となっていることの受け止めと、本県においても身体障害者手帳の交付日を申請受付日とすること及び更生医療全般についても適用を申請日に遡れるようにすることについて、知事の御所見をお聞かせください。  二点目は、冒頭お話しした知人のケースの中で、最初の病院で医師が指定難病であると診断した日から、二つ目の病院で難病指定医身体障害者福祉法第十五条の規定に基づく医師それぞれが診断書を記入し、御家族に申請手続の必要性を伝えるまでに一か月以上を要し、足かけ二か月にわたるその間の医療費助成制度が何も使うことができなかったという点です。このことにより、医療機関医療費助成制度についてしっかり把握できておらず適切な時期に申請ができていないことや、把握はできていても医師等の多忙等を理由に患者や御家族に適切に申請手続などの説明がなされず、医療費支給認定申請が遅れたケースがほかにも多いのではないかと推察できます。  さて、大阪府において、重度障害者医療制度などの福祉医療費助成制度(以下福祉医療)の適切な運用について実態把握をすることを目的に、大阪府内の医科病院と診療所二千機関を対象にアンケート調査を実施したところ、国の行う公費負担医療制度等が大阪府が行っている福祉医療より優先する制度であることを知らなかった医療機関が三割弱あったことや、福祉医療のみ適用して国の公費負担に係る請求が適切になされていない医療機関が一割程度あったこと、及び大半の医療機関の方は現状の広報・周知が不十分と感じていることが分かりました。この調査結果から、患者や御家族が情報を正確に持っていないと、受けられるはずの医療費助成が受けられていないケースがあることも浮き彫りになりました。  そこで、大阪府においては、難病法が施行された平成二十七年、医療機関に対し、国の公費負担医療制度の優先使用と福祉医療の適正な運用について分かりやすくまとめた冊子を発行し、これまで二回改訂がされているところです。複雑な医療費助成制度医療機関の方々に周知徹底されることで、ひいては、制度が適用される本人や御家族の必要ない負担が発生する事態を防ぐこともできます。  そこで、お伺いいたします。  国の公費負担医療制度医療費助成制度について、本県の医療機関においても取扱いの適正さに疑義があるケースが見られる現状についての知事の御所見と、例えば、大阪府のように医療機関に対し、制度の詳細について伝える冊子などを作成する等して、医療機関への啓発と周知徹底を通し、患者の皆さんや御家族が不利益を被ることがないような取組を行うお考えについてお聞かせをください。  次に、児童相談所(以下児相)における子どもアドボカシーについてお伺いをいたします。  子どもアドボカシーとは、児童虐待等の苛酷な環境下に置かれている子供の意見に耳を傾け、その権利を守ることを意味します。その実現には、子供が自分自身の思いを伝えられるように支援をしたり、本人に代わり代弁してくれるアドボケイト(代弁者)が常にいる仕組みづくりが必要とされています。  児相における子どもアドボカシーについては、二〇一六年に発覚した、相模原市児童相談所に保護を求めていた中学二年生の男子生徒が、彼の保護してほしいという意見が酌み取られなかったために自ら命を絶った事件や、二〇一九年一月、千葉県野田市の小学四年生の女の子が父親からひどい虐待を受け、学校などでその事実を訴えていたにもかかわらず十分に尊重されず、家庭にとどめられたため死亡してしまった事件で、子供の悲痛な声が届かなかった問題が表面化し、二〇一九年六月に成立した改正児童福祉法の附則で、施行後二年を目途に要保護児童の意見を聴く機会の確保や支援の仕組みを検討するとされました。そして、本年五月、厚生労働省は、虐待を受けたり親元で暮らせなかったりする当事者の意見を聴き、権利を守る子どもアドボカシーに関する提言を取りまとめました。提言では、来年度、児童福祉法改正を見据え、児相が親子を分離する一時保護や一時保護の解除、また、里親委託や施設入所を決定する際、子供から意見を聴くことを児童福祉法で義務づけるよう提案すると同時に、都道府県に対する意見表明に関する支援環境整備の努力義務も含まれていました。  さて、子供の意見を聴くことはとても大切ですが、自分の育ってきた環境しか知らない子供たちは、虐待する親をかばったり、生育歴から親が望むようなことを発言する傾向もある上、一時保護所や一時保護委託先での慣れない環境に適応することは困難なケースもあり、自宅に帰りたいというような発言をする場合も多く見られます。また、愛着形成ができていない子供が大人に心を開くのには時間を要します。さらには、家に帰る以外の選択肢について想像することがとても難しい環境に育っていることなどを考えれば考えるほど、一時保護の短い期間の間にどれくらいの子どもアドボカシーに対する取組ができるのか、現状では想像がつきません。  さきに厚生労働省が行った全国の児相に対する調査によると、「一時保護所に入所する児童に対するアンケート調査を行っている」と回答したのは二三・四%、また、「一時保護した子供に対する第三者による意見聴取を行っている」と回答したのは一四・四%でした。本県では一時保護所へ意見箱を設置し、第三者委員を選任して相談ができる旨を児童に伝えているということですが、果たしてこれは子供たちにとって使い勝手のいい制度でしょうか。  実は私は、現状では、子どもアドボカシーの仕組みが運用された際、今よりも虐待の悪化や虐待の世代間連鎖が増えるのではないかとすら心配をしています。なぜなら、先ほども申し上げたように、虐待に遭った子供たち、特に愛着関係をつくれていない子供たちと信頼関係を築くには、関わりを深めるために粘り強い努力と一定時間が必要です。しかしながら、前から指摘をしていますように、本県では、令和元年の一時保護期間が全国平均三十一・三日に対し本県は十八・五日と短いことや、短期間に複数回、一時保護所入所と退所を繰り返しているケースが目立つこと、そして、県の設置する一時保護所で保護するケースより里親や施設に一時保護委託をするケースのほうが多く、児相の関与の程度が分かりにくいこと、そして何より、令和元年には六百六十五人もの子供たちが一時保護や一時保護委託をされており、しっかり子供の意見を聴き出す児相のマンパワーが確保されているのか大変不安だからです。  一方で、二〇一九年度の改正児童福祉法を受け、子どもアドボカシーの取組を始めていたり、取組の計画を立てている自治体もあります。例えば、大分県の児童相談所では二〇二〇年から子ども権利擁護調査員を雇用していて、また、山口県の児童相談所では権利擁護調査員意見表明支援員を県の社会福祉会に委託しています。  そこで、知事にお伺いいたします。  厚生労働省子どもアドボカシーに関する提言に対する受け止めと、来年の法改正に向け、苛酷な生育環境の下に育つ子供の未来を守り、希望をつなぐための子どもアドボカシー制度について、本県としての取組や課題、また、さらなる児童相談所の機能強化の必要性についてお考えをお聞かせください。  最後に、教育職員等による児童・生徒に対する性暴力の防止についてお伺いをいたします。  さて、先月、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が公布されました。この背景には、わいせつ行為などで懲戒処分などを受けた公立学校等の教員が二〇一〇年度には百七十五人だったのに対し、二〇一九年度には二百七十三人と急増しているということと、小児わいせつの特徴として、ほかの性犯罪と比較し高い再犯率と常習性があり、法務省の調査によると、小児わいせつの五年以内の再犯率は九・五%と最も高いこと、また、性犯罪前科二回以上の者については小児わいせつ型の性犯罪は八四・六%となっており、早急な対応が求められていました。  文部科学省においては、この問題に対応するために、わいせつ行為などで懲戒処分を受け官報に掲載された教員について、検索システムで確認できる期間を三年から四十年と大幅に延長するなどの対応を行いました。しかし、今の教育職員免許法では、わいせつ行為などで懲戒免職となり教員免許を失効しても、三年が経過すれば再び取得することが可能で、懲戒免職となっても適切に官報に掲載できていなかった県などもあり、教員免許を再取得後、ほかの都道府県に行き、当該人物の性犯罪歴について確認できないまま採用され、再び児童・生徒に対しわいせつ行為を働くという事件も起きました。  今回の法律では、わいせつ行為を行ったことにより免許状が失効した人については、第三者による審査会の意見を踏まえた上で、都道府県の教育委員会が免許の再授与の可否について判断できる権限を与えられ、わいせつ行為で免許を失効した人の氏名などの情報を共有するデータベースを国が整備し、教育委員会が教員を採用する際に活用することとしています。また、児童や生徒からの相談に応じたことなどで、そのような事実を知り得た教員が、当該教員をかばったり事実を隠蔽したりすることがないように、性犯罪の疑いがあると思われるときは警察へ通報し、犯罪があると思われるときは告発を必ずしなければいけない義務を課しました。  そこで、教育長に確認も含め、お伺いをいたします。  最初に、法律では児童生徒性暴力等対策連絡協議会の設置ができるとされていますが、本県における設置の検討状況について教えてください。  また、本法律に基づき、教職員等に対する啓発と研修が必要と考えます。文部科学省通知では、効果的な研修の工夫など、わいせつ行為の防止に向けた予防的な取組を進めることが求められていますが、どのように取り組むのか、お聞かせください。  次に、法律では、通報及び相談を受け付けるための体制の整備等に必要な措置を講ずるものとすることとされています。とてもデリケートな問題であり、私は専門の相談窓口が必要だと考えますが、被害者が相談する窓口の設置についてお伺いするとともに、加害が疑われる者が同じ学校の教職員である場合には、学校長にも言いにくいケースがあると考えられ、教職員からの相談窓口が教育委員会かもしくは全くの第三者機関に設置されることが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。  次に、子供は性暴力被害を受けた場合に、その加害行為を認識できなかったり、教員との関係性から声を上げにくい場合があり、顕在化しにくいという特性があることから、法律では、児童・生徒の性暴力等を早期に発見するため、児童・生徒等及び教職員等に対する定期的な調査その他の必要な措置を講ずるものとされていますが、具体的な措置の検討状況についてお伺いをいたします。  最後に、過去に教員によるわいせつ行為があったにもかかわらず、適切な懲戒処分を行うことなく依願退職を認めたため、教員免許が失効されず、他県において同様のわいせつ行為を行う者がいたため、文部科学省から、児童・生徒に対するわいせつ行為があったにもかかわらず、懲戒処分を行わずに依願退職等を許すことは、学校や教育委員会の信用を著しく損ねる行為であり、決してあってはならないという通知が出ていますが、本県でこのことが全学校においてどのように共有されているのかをお聞かせください。  また、本法律は私立の学校にも適用されることから、学校設置者が、または、内容によっては学校設置者と教育委員会が連携しながら適切に対応する必要があります。  そこで、知事にもお伺いをいたします。  私立の学校に対する周知や私立の学校における取組状況、教育委員会との連携状況についてお聞かせください。  本法律はまだ施行されていませんが、今も子供たちに被害が出ているかもしれないと考えると、施行に向けて早急に対応が必要なことばかりだと思います。被害者はもちろん、加害者を出さない取組を心からお願いし、私の一般質問とさせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)岡野議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス対策としての飲食店の認証制度についてであります。  県では、大人数・長時間の飲食、マスクなしでの会話といった場面が生じやすい飲食店における感染防止対策の徹底を図るため、国から第三者認証による認証制度を速やかに導入するよう要請があったことも踏まえ、先月十四日にかがわ安心飲食店認証制度の運用を開始いたしました。今月五日の時点での申請件数は二百六十二店舗であり、今後、より多くの飲食店に認証を取得していただくためには、認証取得に必要となる経費の補助に加えて、議員御指摘のとおり、認証を取得することに対するメリットを明確に示すことが重要であると考えており、今後、他県の動向や国の基本的対処方針を参考にしながら、県が独自に営業時間短縮を要請した場合の対応など、感染状況や普及状況を見極めつつ、早期に対応して検討してまいります。  併せて、今月中旬までには専用のウェブサイトを立ち上げ、店舗の検索機能やグーグルマップを活用した位置情報を表示するなど、認証店舗を分かりやすく掲載するほか、県の広報誌により周知を図るなど、あらゆる機会を通じて県民の皆様への積極的なPRに努めてまいります。  私といたしましては、県民の皆様には、感染対策が徹底されていない飲食店の利用を控えていただくようお願いするとともに、飲食店の皆様には、積極的に認証を取得いただき、感染防止対策の徹底を図ることにより、県民の皆様が安心して飲食店を利用できる環境づくりを進め、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を図ってまいります。  次に、身体障害者手帳の申請と医療費助成制度の周知についてであります。  身体障害者手帳制度や医療費助成制度につきましては、本県では障害者の状況に配慮し、関係機関との合意の上で、緊急を要する心臓の手術の場合は交付決定を申請日まで遡って手帳を交付し、更生医療の支給対象としているところでありますが、手帳の交付や心臓以外の更生医療について遡る対応をしている県もあれば、そのような対応をしていない県もあるということを承知しております。  こうしたことから、身体障害者手帳の交付につきまして、一律に交付日を申請日に遡ることとするためには、手帳に関する事務を取り扱う市町や医療機関、また、手帳を使用したサービスを提供する関係機関など多くの関係者の御意見をお聞きする必要があることから、他県での実施状況を詳細に調査するとともに、高松市内の手帳交付事務を所管する高松市の御意見も伺いながら検討してまいります。  また、更生医療につきましても、心臓以外の手術について遡ることの影響を整理し、県医師会や国保連合会などと協議してまいります。  議員御指摘のように、国や県の医療費助成制度の周知につきましては、国や県において所掌する制度が多数規定されているため、医療機関においても個々の制度や制度間の優先順などについて理解しづらい場合も推測されることから、今後は大阪府が作成したハンドブックも参考にしながら、本県においても周知のための冊子の作成を検討し、身体障害者福祉法第十五条の規定に基づく医師が集まる研修会等で周知するなど、理解促進に努めてまいりたいと考えております。  次は、児童相談所における子供の権利擁護への取組についてであります。
     御指摘の厚生労働省ワーキングチームは、児童虐待防止対策の強化を図るための改正児童福祉法の附則を踏まえ、子供の権利擁護に関する課題の検討等を行うことを目的に設置されたものであり、本年五月、その結果が取りまとめられ、今後、政府において必要な措置が検討されるものと考えており、県としても、その動向を注視しながら必要な対応を行い、児童虐待防止対策を一層強化してまいります。  子どもアドボカシー制度につきましては、本県の社会的養育推進計画においても、子供からの意見聴取や第三者により意見を代弁する方策等を推進することとしており、また、児童相談所において、現在、支援の質向上のための自己評価の実施に向け、一時保護時の説明や児童の意向の把握等に関する評価についても検討を進めているところです。  その一方で、年齢や理解に応じて的確に気持ちを酌み取ることや、子供の意見に添えない場合の丁寧な説明が課題となっていることから、職員の専門性向上が求められており、今年度から、児童相談所職員だけでなく子供の一時保護委託を行う施設等の職員に対しても、子供の特性に応じた支援技術向上のための研修を行っております。  また、本県では、一時保護を繰り返さないため、適切な時期に施設入所等を判断し、職員との信頼関係を築きながら支援するよう努めており、保護者には、今年度から新たに、医師等と連携した保護者指導・支援プログラムを実施するなどにより、子供と保護者双方の意向に沿った家族再統合を図ってまいります。  児童相談所においては、国の定める児童福祉司等の配置基準を満たすため、令和元年度から児童福祉司等を段階的に三十人増員してきたところであり、私といたしましては、引き続き児童相談所の機能強化を一層進めることにより、児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応に向けて万全を期してまいりたいと考えております。  次は、教職員等による児童・生徒に対する性暴力の防止についてであります。  議員御指摘のとおり、教職員等によるわいせつ行為から児童・生徒を守るため、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が公布され、一部の規定を除き、公布の日から一年以内に施行されることとなっております。同法の私立学校に対する周知につきましては、既に法制定の通知を行っておりますが、今後、校長会などの機会を捉えて、その内容の周知徹底を図ることとしております。  次に、私立学校における取組状況につきましては、任命権者である学校法人において、それぞれの就業規則に基づきわいせつ教員の処分を行うとともに、コンプライアンスを含めた教員研修の実施などの取組がなされていると伺っております。  また、教育委員会との連携につきましては、学校法人が教員の懲戒解雇等を行った場合には、県を通じて教員免許を所管している県教育委員会へ報告等を行うこととなっております。  今後も、学校法人に対して、わいせつ教員の調査・処分に当たっては、法制定の趣旨を踏まえ厳正に対処していただくとともに、職員採用時には、国によるわいせつ教員のデータベースを活用し、問題のある教員を教育現場から事前に排除するなど、私立学校においてもより一層の実効的な対応を行うよう依頼してまいります。  私といたしましては、児童・生徒を守り育てる立場にある教員による児童・生徒に対するわいせつ行為は、児童・生徒の権利を著しく侵害し、生涯にわたって回復し難い心理的外傷などの重大な影響を与えるもので、決してあってはならないことと考えており、今後、国が策定予定の基本指針を十分踏まえ、県教育委員会はじめ学校法人などとも緊密に連携を図り、児童・生徒等が安心して教育を受けられるよう適切に対応してまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)岡野議員の教育職員等による児童・生徒に対する性暴力の防止についての御質問にお答えいたします。  教員による児童・生徒への性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に生涯にわたり重大な悪影響を及ぼすものであることから、決して許されるものではないと考えております。  児童生徒性暴力等対策連絡協議会の設置につきましては、近年わいせつ行為の内容や程度が深刻化している中、関係機関等との連携はますます重要であると考えます。今後、国が定める基本方針の内容を踏まえ、わいせつ事案に迅速かつ適切に対応するための関係機関等との連携の在り方について検討してまいります。  教職員に対する啓発と研修につきましては、県教育委員会が作成した研修用資料「信頼される教師を目指して」や、わいせつ・セクハラ事例集等により啓発等を行ってきたところですが、今後は、各学校において教職員が自身の言動や職場の環境を点検し、わいせつ行為の予防的な取組が推進されるような研修方法を検討してまいります。  相談窓口の設置につきましては、児童・生徒にはスクールカウンセラー等への相談や県教育センターへの電話相談、メール相談、教職員には県教育委員会において、担当課が必要に応じ個別に相談を受けております。今後、相談をオリーブかがわ等専門機関につなぐための知事部局等との連携や、教職員が相談しやすい窓口の設置を考えてまいります。  調査等による実態把握につきましては、児童・生徒を対象とするアンケート調査や教職員調査票の申告欄への記入などにより行っておりますが、今後、調査方法を工夫するなど、より早期に発見できるよう努めてまいります。  教職員の依願退職につきましては、県教育委員会では、これまでも児童・生徒にわいせつ行為をした教職員は懲戒免職とし、依願退職を認めておりませんが、国からの通知を受け、全ての教職員に対し、改めて周知したところであります。  県教育委員会といたしましては、これまでも教職員による児童・生徒に対する性暴力の防止に努めてまいりましたが、今般の法律成立を受け、より実効性のある取組を推進してまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  森 裕行君。    (森 裕行君登壇、拍手) ◯森 裕行君 私は、かがわ立憲みらいの森 裕行でございます。  ただいまから一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、若年層の子供たちの介護の問題についてです。  ヤングケアラーという言葉を最近マスコミ報道などでよく見ることがあります。子供たちが家庭において、介護が必要な家族の世話をするということですが、単純に聞いていればいいことであるし、これを家族思いの子供と一くくりにする傾向があるのも事実です。  ヤングケアラーの実態とは、どのようなものなのでしょうか。ヤングケアラーが担っている家族のケアとは、家事の一部を手伝うといった意味合いだけではありません。障害や病気のある家族の介護に加えて、あらゆる家事や兄弟姉妹の世話などを一手に引き受けているのです。  ヤングケアラーは十八歳未満の子供たちを指す言葉ですから、多くの子供たちが学校に通いながら毎日のケアを行っているということになります。このため、介護や家事の負担が大きく、睡眠不足になったり、家族の体調が悪いときには学校を休みがちになってしまいます。周囲に理解のある方が多く存在し、サポートが行われていれば問題は減少していきますが、理解されていない場合は、ヤングケアラーと言われる子供たちは社会から孤立していってしまいます。  ヤングケアラーが生まれてしまう背景には、介護を担う大人が家庭内にいないことが上げられます。家族を取り巻く環境はこの間大きな変化を見せており、三世代同居率の低下や専業主婦世帯の減少が進む一方で、独り親家庭は増加傾向にあります。このように以前に比べて家族の形は縮小の一途をたどっている状況であり、家庭内にケアを担うことができる大人がいないため、必然的に子供が引き受ける結果となってしまっているのだと思います。  保護者が働けない状況では、どうしても経済的な厳しさを抱えることになってしまいます。こうした中では、施設への入所や入院といった選択がしにくいため、ヤングケアラーを生む原因ともなっています。未成年であることから行政の支援も届きにくく、十分なサポート体制もつくられていない状況ではないでしょうか。  さきにも述べましたが、ヤングケアラーたちは家族の介護や家事に多くの時間を取られ、勉強に集中することはなかなか困難です。介護などの負担によって睡眠不足に陥りかねないほか、家族の体調次第では学校を休む必要も出てきます。その結果、授業の内容についていけず、成績不振につながっていきます。子供たちの社会の中でも、放課後や休みの日に友人と交流ができないため、徐々に孤立していき、その結果、クラスになじめず、自然と教育の場からも足が遠のいていくことも考えられます。  多くの人は、介護や看護に対して社会保障があることを知っていますが、介護者が子供であり、保障制度に対しての認識が低いため、適切な保障を受けられていないということが多々あります。また、申請方法などの知識がないために、本来であれば担保されるべき水準より低い生活を強いられている可能性も多くあります。  ヤングケアラーは、介護や家事の忙しさから学業に集中することが困難な状況をつくり出されています。そのために、中学・高校卒業時の就職の選択肢も狭められ、思うような収入が得られていない可能性があります。また、ケア生活の負担から心身のバランスを崩し、将来に対して希望が持てなくなってしまう無気力状態も懸念されています。その結果、子供の将来の経済状態に大きな影響を与えているということです。  イギリスでは、一九八〇年代末から国を挙げてヤングケアラーの実態調査や支援を実施し、早くから介護が必要な人をケアする家族の負担や、子供の教育を受ける権利にまつわる問題を重視してきて、二〇一四年には介護関連の法律を統合したケア法が制定されています。  家族の介護は、お手伝いや家族愛だけで片づけていい問題ではなく、支援組織、行政によるサポート体制が不可欠だと思います。県内にも多くの事例が存在していることだと思いますが、県として実態はどの程度把握しているのでしょうか。また、対策についてどのように考えているのか、知事にお尋ねいたします。  質問の第二点目は、生理の貧困問題についてです。  コロナ禍による影響として、生理の貧困という問題が表面化してきました。この問題は、二〇一九年十月の消費税一〇%への増税の際、日本でも軽減税率が導入されましたが、女性の必需品である生理用品が軽減対象に含まれなかったことに疑問の声が上がったことで、生理の貧困の問題が盛り上がる一つのきっかけとなりました。  活動の中心となっているのが、二〇一九年から軽減税率の適用を求める署名を始めるなど、生理や女性の健康にまつわる調査や啓発を行っている若者の団体「♯みんなの生理」です。この団体が今年、一年以内に生理を経験した学生を対象に、ツイッター等のSNSで回答を募集したアンケートの中間報告、有効回答六百七十一件によりますと、約五人に一人が過去一年以内で、経済的理由により生理用品の入手に苦労したことがあると回答しています。生理用品でないものを使ったり、交換する頻度を減らしたりするなどの経験を持つ人も三から四割に上がっています。日本の生理用品は世界一品質が優れていると言われていますし、金額も数百円で決して高いものではないと思いますが、国内の学生の約二割が、一時的であっても生理用品を買えない生理の貧困状態にあると言われています。  愛知県の小学生からは、「どこのトイレにもトイレットペーパーは常備されているのに、どうして生理用品はないの」という問いかけがあり、自治体も動き出しました。この発信を受け、ほかの小学生からは、「生理用品を学校の個室に常備していただければ、お金もかからないし、小まめに交換できて、心も体も健康になると思います」との提案もありました。  こうした声に対して、生理用品の数百円が出せないような貧困レベルなら、既に生活していること自体に無理があるのではないか、実際はそんなことはないのではないかと言う人もいます。確かに、彼女たちの中には、メイクをしたり髪型を変えたりしている子もいます。ただ、その部分だけを見ていろいろ言う前に、彼女たちの見えない部分に気を配ることも必要だと思います。彼女たちにとってメイクや髪型を変えることが、他人が考えるよりとても重要で、特に精神的に必要な場合があることも考えられます。  生理の貧困は、若年層に限った問題ではありません。大人でも生理用品を後回しにしている人は少なからず存在しています。仕事に行くために最低限の身なりを整えなくてはならず、限られた収入の中では見えない部分は後回しになるからです。生理の貧困が問題になってきたのは最近のことですが、実際には、ずっと以前から存在していた問題ではないでしょうか。これまで、生理にまつわる問題は本人の内々に解消すべきものというような風潮が存在していたため、問題が表面化していませんでしたが、ようやく当事者たちが声を上げるようになりました。  最近、大きな災害により避難所に避難されて過ごさざるを得ない人たちが多くいますが、その中でも食べ物が欲しいとか、着替えが欲しい、風呂に入りたいなどの言葉は出すことができますが、生理用品が欲しいとは、なかなか声を上げづらいということもよく聞きます。  この間、私どもの会派でも知事に要望書を提出させていただきましたが、その中には、この生理用品の問題についても入れているところです。  そこで、県としてこの問題にどのように取り組んでいこうと考えているのか、知事にお尋ねいたします。  質問の第三点目は、地域の文化発信と伝承についてです。  美しく魅力あふれる地域には、必ず地域独自の生産・生活様式、すなわち地域の個性があります。地域の個性は、それぞれの地域が有している固有の文化によって形づくられています。地域の中で長い時間をかけて伝承されてきた固有の文化を核として、歴史の重みと民俗の薫りを帯びる地域文化が存在します。地域文化は多くの人々を魅了してやみません。地域文化を大切に保全して創造し、活用していくことは、地域づくりの重要なテーマです。  同じ地域で暮らしている人々の間には、継続的な生活の共同性が保持されているために、風俗や伝統、話し方、思考や生活の仕方、制度やしきたりなど、様々な場面において共通性を発展させます。そうした共通性は、ほかの地域社会から見れば個性あふれる様式として捉えられ、それが地域の独自性としての魅力の源泉となります。このような意味で、地域文化は地域社会の統合性の根拠として捉えることができます。  地域独自の文化が形成され、地域社会が躍動感に満ちあふれ、個性を輝かせているところは大変魅力的です。そこでは、家屋の建築様式、郷土料理、方言、農作業様式など、あるものは苦労しながら、あるものは無意識のうちに次世代に伝えてきたその地域ならではの様式が、現代にしっかりと根づいています。これらは遠い過去から現代までを貫いている村の精神であり、地域にしかない共通の財産、よりどころでもあります。近年、多くの人たちが地域の文化に引きつけられるのは、村の精神を求めているからにほかありません。  地域に伝承されてきた文化は、地域で生きていく上での生産・生活の様式そのものですが、その中でも伝統文化は、そこに歴史性と民俗性を見いだすことができます。具体的には、歴史的に伝承されてきた衣食住などの日常の生活行為、言語、生産技術、空間の利用形態、祭礼神事など、生活の中に随所に散りばめられている様々なものが該当します。  また、伝統文化の性質として、第一に生活に必要な中で構築され、第二に各世代の役割として意識されて伝承し続けられ、第三に伝承の過程で少しずつ変容しながら地域独自の形態がつくり上げられ、そして、第四に当たり前にあるものとして現在の生活の中で潜在化していく、すなわち根づいていくという傾向を挙げることができます。そのため、各時代、各世代において、あえて意識して未来に受け継いでいかない限り、目先の利便性や機能性、流行などに押し流されて消滅してしまうものも存在します。したがって、次世代へ伝える方法や仕組み、すなわち伝承様式そのものも重要な要素の一つとして捉えることができるのです。  伝統文化の再評価とは、自分たちと生活空間の絆を再確認し、しっかりと結び直すこととも言えます。自ら住まう地域社会への愛情と誇りを生み出すためには、地域固有の文化を問い直すことが最も有効な手段の一つです。地域社会を我が愛するふるさとと呼べるように、住民みんなが伝統文化を育んでいくことこそ、魅力あふれる美しい地域社会の目標と言えるのではないでしょうか。  伝統文化とは、その時々の地域住民が、暮らしを通じて地域の環境を認知・理解、評価し、様々な働きかけを行いながら築き上げ、世代を超えて継承してきた世界観や規範です。それぞれの地域社会ならではの知恵と技を含んでいると言えます。そこで行われる信仰や行事儀礼は、住民相互の関係を永続させようとし、夏祭りや盆踊り、神楽等は住民の連帯感を醸成します。また、正月行事や盆行事等の家で行われる行事では、地域の基礎である家内部の絆を約束します。  これらの伝統的な行事は、地域社会の維持・保全の担い手を組織化し、世代を超えて継承させる機能を持っています。地域には、その土地固有の伝承文化事象があります。また、塞の神関連の信仰や虫送り等の境界儀礼は地域の範囲を確定し、祖霊信仰は地域のまとまりを祈念し、その豊穣・幸福を約束するものでした。そして、生業、行事儀礼は、地域の品格をつくり上げてきました。これらの儀礼様式により、地域社会全体で保全すべき地域の特質と範囲を、郷土愛とともに意識して伝承してきたのです。  農林漁業に関わる様々な技術としての伝統文化は、資源循環型の農林漁業の原点であり、今後、地域における有機無農薬栽培など高品質の農作物を生産する技術を確立する上で参考になります。  また、伝統的品位や地域特有の生産技術・環境管理技術は、地域の特産物を作る上での貴重な資源であり、生物の多様性や景観、住環境を含めた豊かな地域環境の維持管理に役立ちます。  地域の疲弊という言葉が語られ出して随分長い期間がたってきたと思っています。その中で、各方面においていろいろなアプローチがされていることは存じていますが、まだまだ十分ではないと思います。今後進んでいくであろう人口減少問題においても、解決策の一つとされるのがこの問題ではなかろうかと思います。人口を増やすのは難しい状況の中で、地域活性化を考えていくためには、こうした部分からの対策も一つの方法であると思いますが、知事のお考えをお尋ねいたします。  質問の第四点目は、若者のひきこもりについてです。  最近では、八〇五〇問題としてマスコミ報道などでも取り上げられるようになり、関心を持つ人たちが増えてきたと思います。中でも特に問題なのが、若年層の早い段階からひきこもりになる人も多いということです。社会人になって働き始めてから後にひきこもりになる人もいると思っていますが、やはり最も心配なのは、中学生や高校生、大学生のときにひきこもりになってしまい、ひきこもりが長期化・深刻化していることではないでしょうか。  子供たちがひきこもりになるきっかけは、成績の低下や就労の失敗、失恋やいじめなどの挫折体験と考えられています。内閣府の調査でも、病気や仕事、学業でのつまずきがひきこもりの要因となっているケースが多いことが分かっています。  通常では、個人、その家族、個人と家族を内包する社会について、それぞれが接点を持ち、相互作用しながら安定を保っているのですが、ひきこもりの状態になりますと、ひきこもっている個人と家族の接点がなくなり、また、家族と社会の接点がなくなってしまい、お互いに影響を与え合うということができなくなります。本来、相互性のあるコミュニケーションが重要なのですが、それぞれがばらばら状態になり、その状況で安定化すると、ひきこもり状態を長期化させるシステムとして稼働していきます。  ひきこもりのシステムが具体的にどのようになっているかというと、個人の段階では挫折体験などをきっかけにひきこもり状態に陥り、それに対して家族の焦燥感や不安感が強まっていきます。この状態において当事者と円滑なコミュニケーションが築かれていない場合には、説教や叱咤激励といった形になり、一方的なプレッシャーを与えてしまうことで、さらにひきこもり状態が深まってしまいます。これに加えて、家族と社会がつながっていないと、悪循環がより強まってしまいます。社会とのつながりとは、学校へ行ったり、働いていたりといった社会への参画という意味ではなく、ひきこもりの状態を対外的に公表・相談しているかどうかということです。  多くのひきこもりの当事者は、ひきこもり状況に苦しみ、脱出を望んでいます。また、ひきこもりによる長期の孤立状況は、心身に様々な悪影響を与えてしまうという医学的な根拠もあります。当事者や家族が何らかの支援を望む場合には、医療を含む様々な支援や社会資源を利用する必要があると考えます。ただ、ひきこもり事例を見たことのある精神科医は多いとは言えません。しかし、不登校などの思春期事例を扱ったことのある医師は、ひきこもり治療が可能な場合もあると思います。近くに通える病院がない場合は、ひきこもり地域支援センターや精神保健福祉センターなどで相談することも一つの方法です。  ひきこもることに危機感を抱いているのは当事者本人です。当事者にプレッシャーをかけることでひきこもりの悪化を招くこともあるので、当事者の話をしっかりと聞いて、考えを共有する姿勢を持つことが大切です。家族の中でも母親は子供に献身的に尽くし、自分の時間もなく疲弊しているケースもあり、状況によっては親子共倒れになる可能性も考えられます。そのためには、ひきこもりの家族を持つ方々が悩みを共有してお互いに支え合う家族会の集まりや、ひきこもりに関する講演会や勉強会に参加することにより孤独感を和らげ、様々な事例を認識し、落ち着いて状況に対処することができるようになる可能性もあります。ひきこもり状況にある子供たちに、早くからあらゆる対策を講じることで大人のひきこもりを減らすことにもつながり、ひいては社会現象化する八〇五〇問題対策にもなると考えます。  そこで、若者のひきこもりについて、どのように認識して対策を取っているのか、また、この問題を解決するためにはどのような施策が必要と考えているのか、知事にお尋ねいたします。  また、学校教育の現場において、どのような取組を行っているのか、教育長に併せてお尋ねいたします。  以上をもちまして、私の一般質問を終了いたします。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)森議員の御質問にお答えいたします。  まず、若年層の子供たちの介護の問題についてであります。  本県の児童相談所や各市町の要保護児童対策地域協議会において支援している児童の中にも、議員御指摘のようなヤングケアラーとされる児童がおり、学校生活や成長への影響を防ぐよう、個々の状況に応じた対応を行っているところでありますが、児童や家族、周囲の大人がヤングケアラーと認識していないことなどから発見に至っていない児童がいると考えられ、県全体の実態を把握することは難しい状況です。このため、各市町に、ヤングケアラーへの理解促進と関係機関の連携による支援を働きかけながら、本県における状況を把握していく必要があると考えております。  また、このような中、国では、本年三月に全国の要保護児童対策地域協議会や、学校、中学生・高校生を対象としたヤングケアラーの実態に関する調査研究を取りまとめ、五月には、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームにより、国が今後取り組むべき施策として、「早期発見・把握」、「支援策の推進」、「社会的認知度の向上」が報告され、早期発見・把握において、「地方自治体による現状把握の推進」が掲げられているところであります。  県といたしましても、先月、全国知事会を通じてヤングケアラーへの支援の強化について提言したところでもあり、私といたしましては、国の動向を注視しながら、実態調査の実施も含め、支援体制の構築など必要な方策を検討し、各市町、学校等と連携して、ヤングケアラーへの支援に積極的に取り組んでまいります。  次に、生理の貧困問題についてであります。  経済的な事情などで生理用品を購入できない、いわゆる生理の貧困の問題につきましては、先般、国においてまとめられた女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二一において、対策の柱の一つである「コロナ対策の中心に女性を」の中に、支援の必要性が盛り込まれるなど、長引く新型コロナウイルス感染症の影響が、就労面や生活面で女性に大きな影響を及ぼす中、顕在化してきた課題の一つと認識しております。  こうした課題に対応するため、県内では、高松市と三豊市が国の地域女性活躍推進交付金を活用し、相談事業の拡充などを進めているほか、丸亀市など四市四町において、小・中学校などで災害用の備蓄品等の配布を始めていると承知しております。県においては、災害用に備蓄している生理用品を更新に合わせて今月中に社会福祉協議会やNPOなどの支援団体を通じて配布するとともに、希望する私立学校において活用いただくことといたしました。また、県立学校においては、必要とする児童・生徒に対し、確保した生理用品を提供しております。  私といたしましては、困難を抱えた女性への支援のより一層の充実に向け、各市町に対して地域女性活躍推進交付金など国の事業内容や、県や県教育委員会、他の市町の取組について情報提供を行うとともに、各種相談窓口においても、一人一人が抱える事情に寄り添った、よりきめ細かな支援に努めてまいりたいと考えております。  次は、地域の文化発信と伝承についてであります。  議員御指摘のとおり、それぞれの地域には、独自の生産・生活様式の中で長い時間をかけて根づき、伝承されてきた固有の文化があり、それを守り、伝承し、広く発信することは、地域社会の魅力を高めるとともに、地域への愛情と誇りを生み出し、その維持にも寄与するものと考えております。  このため、県立ミュージアムや瀬戸内海歴史民俗資料館では、地域の生業や行事儀礼などの文化資源につきまして、地元関係者への聞き取り調査などを行い、整理・保存に努めるとともに、展示会や公開講座の開催などを通じ、その魅力や価値を発信しております。  また、伝統文化や郷土への関心を深めていただくため、香川県文化芸術振興財団の助成金を活用した地域の保存会等への活動支援、県内小・中、高等学校等が参加するかがわ郷土芸能フェスタの開催、中四国文化の集いへの郷土芸能団体の派遣など、活動機会や鑑賞機会の提供にも努めております。さらに、さぬき映画祭においては、令和元年度から県内の祭りを題材に、その勇壮な情景とともに地域の伝統文化への思いや絆を描き出したドキュメンタリー作品を上映し、多くの皆様に共感をいただいており、今年度は仁尾の竜まつりを取り上げたいと考えております。  また、県教育委員会では、香川県文化財保存活用大綱に掲げた三つの方針、「地域の歴史文化の探求と発信」、「文化財の保存と担い手づくりの推進」、「文化財を核とした地域づくり」に基づき、地域の文化財の総合的な把握とそれを踏まえた保存と活用に取り組むこととしております。  私といたしましては、地域社会の活性化を図るという観点からも、地域の誇りであり貴重な財産である伝統文化を将来にわたり伝承、活用していけるよう、今後とも積極的な支援と発信に努めてまいります。  次は、若者のひきこもりについてであります。  ひきこもりの原因は、家族、友人、地域等の本人を取り巻く様々な問題が複雑に絡み合っているものと考えられ、個人や家族の力だけでは解決することが困難であることから、社会全体で支援していく必要があると認識しております。また、県が平成三十年度に実施した実態調査では、一九・五%の方が二十年以上引き籠もっているなど、ひきこもり状態になると長期化する傾向がうかがえることから、ひきこもり傾向にある方を早期に発見し、支援につなげることが重要であると考えており、議員御指摘のように、若者への働きかけは早期支援の観点からも効果があるのではないかと考えております。  このため、県ではこれまで、精神保健福祉センター内に設置したひきこもり地域支援センターにおける相談支援や、ひきこもりサポーターの人材養成、県民の皆様への普及啓発を行ってまいりましたが、早期発見・早期支援の観点から身近な市町での体制の充実を図るため、今年度新たに、ひきこもり地域支援センターに専門的スキルを有した職員を配置し、各市町の支援体制の現状や困り事などを把握し、改善のアドバイスをするなど、各市町の相談支援体制づくりを進めております。  また、若者のひきこもり対策として、家族への支援が有効な手段の一つであり、精神保健福祉センターなどで家族向けの研修会や集いの場の実施などに取り組んできましたが、昨年度から新たに、保護者に対して子供への関わり方や育て方を学ぶためのペアレントスクールを実施するなど、支援の充実を図っているところであります。  私といたしましては、今後とも、教育委員会や各市町、関係機関と連携しながら、本人や家族が早期に相談でき、早期の支援につながるよう、若者のひきこもり対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)森議員の若者のひきこもりについての御質問にお答えいたします。  ひきこもりの一因とも考えられる不登校の実態について、文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、本県では、令和元年度、三十日以上欠席した不登校児童・生徒は、小・中学校においては千百二十三名、高等学校においては三百五十四名であり、そのうち小・中学校においては、年間一日も登校していない者が三%程度となっております。  児童・生徒のひきこもりや不登校の背景には、児童・生徒の心の面と、家庭や友人関係など児童・生徒を取り巻く環境の面が複雑に絡み合っていることも多く、児童・生徒一人一人に応じた原因や背景の適切な見極めを行うことが重要と考えております。  このため、各学校においては、担任等の教職員やスクールソーシャルワーカーが家庭訪問をするなど、継続的に個々の児童・生徒の状況把握に努めています。また、再登校することのみを目標とするのではなく、社会的自立を目指し、社会との接点を維持していくためには、学校だけに限らず、市町の適応指導教室や民間のフリースクール等との連携が必要であると考え、本年度から児童福祉や児童心理の専門的知識や技術を有する者一名を不登校対策コーディネーターとして委嘱し、関係機関と小・中学校をつなぐネットワークづくりに取り組んでおります。  併せて、保護者へのケアが必要な場合もあることから、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等を活用し、医療・福祉等の関係機関とも連携を一層進め、組織的に対応できるよう努めてまいります。  県教育委員会といたしましては、今後とも関係部局や各市町、関係機関と連携し、児童・生徒や保護者の思いに寄り添いながら、子供たちの社会的自立を支援してまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。
     樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 一般質問を行います。  まず初めに、知事の政治姿勢について二点お尋ねをいたします。  第一は、新型コロナウイルス感染症対策についてです。  菅政権は、PCR検査もワクチン接種も後手に回り、科学に基づくコロナ封じ込めの戦略がないという致命的欠陥を持っています。今必要なことは、コロナ封じ込めを戦略目標に据え、次の三つの点で責任を果たすことが重要だと考えます。  一つは、ワクチンの迅速な接種と大規模な検査をセットで行うことです。  ワクチン接種ですが、二回の接種が終わったのは全人口の七・七%、日本のワクチン接種は世界百七位です。人口比のPCR検査数は世界百四十一位です。ワクチンと検査という封じ込めの科学的基本が極めて遅れています。ワクチン接種の迅速化のためにあらゆる手だてを講ずることは当然ですが、ワクチンによる集団免疫が得られるのは秋から冬にかけてになると言われており、一定の時間がかかります。ワクチン接種が進んでいるイギリスでも、感染力が強いデルタ株が広がり、新規感染者が一日一万人を超える事態になっているなど、ワクチンは万能ではありません。ワクチンの迅速な接種と基本的感染対策、特に大規模検査をセットで行ってこそ封じ込めに道を開くことができます。  補正予算では、環境保健研究センターや民間検査機関等の検査体制の強化のための検査機器の整備費一億九百万円余の予算が計上されていますが、公費で検査するための予算は組まれていません。今強く求められているのは、いつでも、誰でも、何度でも、無料でPCR検査が受けられる体制づくりだと思いますが、知事の御所見をお示しください。  二つは、県内事業者への十分な補償と生活支援を行うことです。  菅政権は、緊急事態宣言を三回出しながら、中小業者の命綱であった持続化給付金、家賃支援給付金を一回で打ち切りました。長期にわたる自粛要請によって経営が疲弊し、店を閉めるか、自粛をやめるかのぎりぎりの選択に追い込まれている現状を放置したままでは、感染抑止への十分な協力を得ることはできません。私は、国に対し持続化給付金の第二弾の支給を強く求めるべきと考えます。  また、生活に困窮している方々への十万円の給付金も急務です。コロナの下、巨額のもうけを上げている富裕層や大企業に応分の負担を求め、消費税を五%に減税することを求めるべきと考えますが、知事の御所見をお示しください。  本県では、国の制度の上乗せとして県独自の持続化応援給付金、二次にわたる営業継続応援金などの給付は評価できるものの、申請書類の作成が大変だという声が上がっています。収支内訳表がなくても確定申告書など事業内容が分かるものの添付で済むよう、申請の簡素化と迅速な支給が求められています。また、農業・漁業では、野菜や魚価の生産者価格が大きく下落しています。建設業では、ウッドショックで木材価格が高騰し、やっていけないという悲痛な声が上がっています。厳しい状況に置かれた全ての業種の事業者に対し、事業継続の支援を行うべきと考えますが、御所見をお示しください。  三つは、菅政権がさきの通常国会で医療を破壊する二つの法律、消費税を財源に病床削減を推進する法律と七十五歳以上の高齢者の医療費窓口負担を二倍にする法律を強行したことについてです。  コロナ禍で、こんなことをしていいのかと強い怒りの声が高まっています。本県では、厚労省の再編・統合の対象とされた病院は、高松医療センター、さぬき市民病院、滝宮総合病院、済生会病院の四病院ですが、地域に根差した医療機関であり、県として守らなければなりません。また、高齢者の医療費二倍化は、経済的負担を増やすだけでなく、受診抑制・中断を広げ、重症化を招くことになります。県として、国に対し、病床削減をさせないこと、早ければ来年十月からの高齢者医療費の引上げを中止するよう求めるべきと考えますが、お答えください。  第二点は、香川県次期総合計画(素案)についてです。  今回発表された計画(素案)では、基本目標に「将来にわたって持続可能な香川をつくり、次代を担う子どもたちに引き継いでいくために」として、本県の計画が、「誰一人取り残さない」ことを理念としたSDGsと方向性を同じくするものであり、「本計画を推進することにより、SDGsの達成につなげていく」としていることは大いに評価できるものです。しかし、菅政権が打ち出したSDGsアクションプランでは、個人情報保護をないがしろにするデジタル化推進や大型公共事業を推進する国土強靱化などが重点に据えられています。私は、そうした方向ではなく、県民の願いに添った計画となることを強く望むものです。  さて、SDGsとは、一言で言えば、世界から貧困をなくすための目標であり、続かない世界を続く世界へ、持続可能な社会に変えるための目標です。計画の素案では二十二の重点施策が定められ、それぞれの施策に方向性を同じくするSDGsのゴールが示されています。しかし、五年後に達成すべき具体的施策の目標は、従来の目標を多少高める程度の目標でしかないように思えます。これではSDGsの理念とは大きな開きがあると言わざるを得ません。  コロナ禍の中で、貧困と格差がさらに広がっています。夏休みや冬休みが終わって登校すると体が痩せた子がいる、学校健診で「要受診」と診断されたのに病院に行かない子供が五割から六割もいると報道されています。食料の支援や学校給食の無料化、子供の医療費無料化年齢の引上げを計画的に実施すべきではないでしょうか。  また、低所得の大本に、非正規労働の増加、男女の賃金格差などが原因としてあります。正規雇用が当たり前、八時間働けば生活できる社会の実現が求められています。中小業者や農業、漁業は、家族労働が中心です。家族が支え合って暮らせる施策こそが今求められています。SDGsの視点は、私はここにあると思います。  なお、本県では一九八四年に県議会で、非核平和都市宣言を全会一致で議決していますが、平和の施策が見当たりません。私は、SDGsの十七のゴール全てを見据えた施策立案を強く求めるものでありますが、知事の御所見をお示しください。  次に、東京オリンピック・パラリンピックの開催についてお尋ねします。  政府や東京都、オリンピック組織委員会などは、七月の東京オリンピックについて観客を入れて開催することを決定しました。しかし、その後、東京の感染者は急速に広がり、また緊急事態宣言を発出する事態になろうとしています。仮に無観客としても、多くの人が東京を中心に国内を動き回ることには変わりなく、感染症にとって最も重要な人流を極力抑制することとは真逆の方針です。政府のコロナ対策分科会の提言で尾身会長は、「観戦のための都道府県を越えた移動が集中して発生し、人流・接触・飲食の機会が格段に増加する」と、感染リスクが増大する危険を強く警告し、リスクを直視した対応を政府や組織委員会などに迫っています。さらに、提言では、夏は帰省など長距離の移動により、感染が落ち着いた地域での急拡大の可能性、感染力の強いデルタ株の影響も指摘しています。  そこで、以下三点について、知事並びに教育長にお尋ねします。  第一点は、児童・生徒から、「運動会はできないのになぜオリンピックはいいの」という声です。教師も保護者も何と答えていいか分からないと言っていますが、これをどう思われますか。  第二点は、オリンピックは夏休みとも重なり、人流も増加します。分科会の提言で、感染が落ち着いた地域でも感染の急拡大の可能性が指摘されていますが、どのように対処するお考えか、お示しください。  第三点は、世論調査でも、オリンピック開催で感染再拡大の不安が八六・七%を占め、東京都議選の結果からも明らかなように、オリンピックの中止・延期を求める声が多数となっています。私は、オリンピックより国民の命が大切だと思います。国に対し、オリンピックの中止をきっぱりと求めるべきだと思いますが、お答えください。  次に、教育問題について三点、教育長にお尋ねします。  第一点は、少人数学級の推進についてです。  コロナ禍を機に高まった国民の声が政治を動かし、四十年間変わらなかった学級編制四十人を、小学校全学年で三十五人に引き下げる改正法が国会で成立しました。衆議院予算委員会で、少人数学級について、一学級二十人から三十人という世界の流れを示しての我が党の質問に、菅首相が「望ましい指導体制を検討していく」、「中学校を念頭に言った」と明言し、一人一人にきめ細かな教育が可能と少人数学級の効果を認め、萩生田文科相も「中学校も含め、最終的には三十人以下が理想だ」と踏み込んだ答弁をし、文科省は国庫負担一千七百億円で小・中全学年を三十人学級にできるとの試算を初めて示しました。  教育長は、国会での答弁をどのように受け止めていますか。私は、三十五人学級ではなく三十人以下学級への道が開けたと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。  本県では、今年度より小学校全学年と中学一、二年生で三十五人学級に移行しましたが、その教育効果はどうでしょうか。また、来年度は中学三年生も含め義務教育全てで実施すべきと思いますが、お答えください。  私は、国会答弁にもありますように、少人数学級は三十人以下二十人学級にまで学級編制を行っていくことが、世界的流れからしても求められています。そのためには、教員の抜本的増員が必要だと思いますが、国に対し財政措置を強く求めるとともに、本県として教員の長時間労働をなくし、変形労働制の導入をやめ、教員の増員を先行実施していくことが重要だと思いますが、教育長の決意をお伺いしたいと思います。  第二点は、学校の校則の見直しについてです。  大阪府立高校で黒染めを強要され深刻な被害を受けたとして女子高校生が二〇一七年に裁判を起こしたのがきっかけで、校則の見直しが社会問題になっています。ツーブロックの髪が見つかったら丸刈りにされる、下着の色を白と決め、下着をチェックされたなど、いわゆるブラック校則の見直しを求める声が全国に広がっています。子供たちからは、「自分の持ち物を調べられるのは囚人のようで嫌、教師不信になる」などの声が寄せられていますが、本県での小・中学校、高校での現状を教育長はどのように受け止めておられますか。  私は、校則問題を考える上で大切なことは、憲法や子どもの権利条約から見てどうなのかの検討が必要だと思います。頭髪や服装などのライフスタイルを自ら決めていく自己決定権、私生活の自由は、基本的人権に属する問題で、憲法や子どもの権利条約で保障されたものです。なお、子どもの権利条約には、子どもの意見表明権の保障も明記されています。  校則は教育活動ですから、その見直しには、生徒の意見を十分に聞くとともに、生徒、保護者、教員による自主的・主体的な議論と納得が重要だと思いますが、教育長の御所見をお示しください。  萩生田文科相は国会答弁で、「おかしな校則を変えようと高校生や中学生が声を上げることはいいことだ」と述べ、文科省は六月八日付で、児童・生徒の実情や保護者の考え方などを踏まえて校則を絶えず積極的に見直すよう求める事務連絡を、全国の教育委員会に通知しました。教育長は、この事務連絡をどのように受け止め、深刻な校則問題の見直しに取り組むおつもりか、決意をお伺いいたします。  第三点は、学校の女子トイレでの生理用品の無償配置についてです。  全国で生理の貧困が社会問題になる中、本県でも大きな問題に発展しています。私ども日本共産党議員団は、去る五月十七日、自民党香川県政会、無所属議員と共に、学校に通う児童・生徒に対する生理用品の確保策についての要望書を県教委に提出しました。これに対し県教委は、保健室等での無償配布を行うことにしたと聞いております。理由は、女子トイレに置くことは衛生上問題であり、保健室等で渡すことにより適切な保健指導ができるということのようであります。  しかし、小・中学校のトイレに設置している自治体では、洗面スペースにプラスチック容器に入れての設置や、個室内に巾着袋に入れてフックにつり下げるなど、衛生面はクリアできています。衛生面を言うなら、児童・生徒が保健室に行きづらいことでトイレットペーパーを代用することのほうが不衛生ではないでしょうか。子供たちからは、「家庭のことを探られたくない」、「毎月だと言いにくくなる」、「他の生徒がいると恥ずかしくて言えない」などの声が上がっています。子供たちのことを考えれば、トイレで自分が使いたいときに使えることは一番だと思いますが、教育長はどうお考えでしょうか。  生理の貧困は、経済的貧困だけが原因ではありません。女性の生理は、人類が子孫を残すための必要不可欠な生理現象にもかかわらず、日本の社会では、生理は恥ずかしいことでタブー視する誤った認識が定着しています。男性に対しても女性の生理への認識をオープンにし、生理に対する認識を正しい方向に導いていくことが重要です。SDGsの目標五「ジェンダー平等」を達成するためにも、女性の生理現象におけるあらゆる負担をなくすことは必要です。  こうした立場から、私は生理用品は保健室等だけでなく、女子トイレにも衛生面を配慮して設置すべきことを強く求めるものでありますが、教育長の基本的なお考えをお示しください。  次に、県議会議員に支出されている政務活動費の使途の適正化と透明性の確保についてです。  県の監査委員からは、議会に対する要望として、「政務活動費は全国的に住民の厳しい目が注がれ、住民監査請求や住民訴訟が数多くなされている」、「公金の支出であることから、その使途の適正を確保するため議員自らが厳正に取り組むことが求められる」と監査の結果が公表されています。私は、議員の一人として監査結果の公表を真摯に受け止め、県民の立場に立って、政務活動費の厳正な支出と全ての支出に対する領収書添付など、使途の適正化、透明性の確保に徹することを固く誓って、知事に三点お尋ねをいたします。  第一点は、市民オンブズ香川が訴えた政務活動費返還訴訟について、意見交換会の名目の支出は違法だとして、当時の議員二十三人に総額約九百七十万円の返還を求める地裁判決が出されましたが、私どもはこれを重く受け止め、控訴せず判決を確定させるよう申し入れました。しかし、知事は控訴に踏み切りました。これはどういう理由からでしょうか。県民の願いに逆行するものと思いますが、知事の御所見をお示しください。  第二点は、控訴は、公金の返還を先延ばしするだけではないでしょうか。二〇一三年度の政務活動費ですから、既に八年たっています。さらに、二〇一四年度以降も違法とされた意見交換会費がずっと支出され続けています。これでは、県民との信頼関係が損なわれてしまうのではないかと思います。六月に市民オンブズ香川が、検察に公選法違反、寄附行為として告発したのもその表れです。この点について、知事の明確な答弁を求めます。  第三点は、監査委員は、五年も前から政務活動費の改善として、一、政務活動費マニュアルの改訂、二、会派からの収支報告書の検討、三、的確な審査、適正な運用、四、さらなる透明性の確保と効率的・効果的な支出を行うことを求めていますが、これは県民の目線から見て当然のことであります。知事の御見解をお示しください。  最後に、聞こえのバリアフリーについてお尋ねをいたします。  加齢性難聴は、加齢とともに誰にでも起こり得るものです。六十歳代後半では三人に一人、七十五歳以上では七割以上になると言われています。年のせいだからと放置し、補聴器を使用せずにいると、社会から孤立しがちになり、認知症や寝たきりになりやすいと言われています。WHO(世界保健機関)は、難聴は認知症の最大の敵と位置づけ、中等度から補聴器装着を推奨しています。重度になる前から補聴器を使用することで、生活の質を落とさず社会参加できることが望まれます。難聴児童の場合には、軽度・中度の段階から補聴器購入等の補助は行われていますが、高齢者の場合には、障害認定を受けた重度・高度の難聴でなければ支給の対象となりません。  次期総合計画では、福祉のまちづくりとしてバリアフリーの推進が掲げられています。私は、県として難聴者支援のための聞こえのバリアフリーに取り組むことは大変重要なことだと考えますが、知事の御所見をお示しください。  なお、難聴者に占める補聴器所有率は日本では一四・四%ですが、イギリス四七・六%、フランス四一・〇%、ドイツ三六・九%と、日本の二倍から三倍です。日本とヨーロッパ諸国の格差の要因は、一、補聴器購入の補助金が大きいこと、二、公共の場所にヒアリングループ、これは磁気ループとも呼ばれ、聴覚障害者の聞こえを助ける補聴システムのことですが、この設置を公共施設や劇場、映画館、スーパーなどに法律で義務づけて、聴覚障害者の社会参加を促しているからです。  補聴器の購入価格は平均二十七万円と高額です。それに対する補助制度が、東京都など全国の自治体に広がっています。ヒアリングループも京都市などで進んでいます。本県としても、高齢者が安心して暮らせる福祉のまちづくりのため、聞こえのバリアフリーの取り組みとして、補聴器購入への補助並びにヒアリングループなどの設置等を行うべきと思いますが、お答えください。  以上で一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の御質問にお答えします。  まず、私の政治姿勢のうち、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。  PCR検査につきましては、感染が疑われる方など、医師が必要と認めた検査は全て行うとともに、感染者が発生した際には、濃厚接触者だけでなく、接触者など幅広く検査を実施しているところであります。また、感染拡大時には、介護施設等集団感染が起こりやすい施設の従事者の方を対象に、一斉検査も行ったところです。  議員御提言の、いつでも、誰でも、何度でも、無料で検査ができることにつきましては、感染拡大防止のためには有効な手段の一つと考えられますが、検体数が極めて多くなることが想定され、検査体制や財源面の制約があることから、引き続き対象を見極めて、必要とされる検査に取り組んでまいります。  次に、事業者支援及び生活支援につきましては、持続化給付金や家賃支援給付金の再支給や要件緩和等に加え、生活が困難な方を支える生活福祉資金貸付等の各種特例措置の継続等について、全国知事会を通じ、国に要望しております。  議員御指摘の税負担に係る問題につきましては、所得、資産、消費による課税のバランスの中で、国会において十分に議論、検討されてきたものと承知しており、国に求めることは考えておりません。  また、県独自の事業者支援策といたしましては、これまでも国の持続化給付金の上乗せ支援などに取り組んできたところであり、加えて、今定例会に御提案しております第二次の営業継続応援事業により、売上げの減少に直面している多くの県内事業者の皆様へ幅広く支援してまいります。  次に、病院の再編・統合等につきましては、再検証の対象とされた四つの医療機関は、地域医療を支える重要な役割を担っていると認識しており、地域医療構想調整会議において、現在の医療機能を継続する必要があるとの結論を得ていることから、国からの指示があり次第、その結論を国に対して報告することとしております。  また、後期高齢者医療制度における医療費の窓口負担の見直しにつきましては、少子高齢化が進む中、現役世代の負担上昇を抑えるために導入されるものであり、国に中止を求める考えはありませんが、制度導入が受診抑制につながらないよう、香川県後期高齢者医療広域連合と連携しながら、県民の皆様に制度の目的や内容等について丁寧に周知してまいりたいと考えております。  次に、次期総合計画の素案についてであります。  持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指すSDGsの理念や目標は、本県がせとうち田園都市の確かな創造を目指して取り組む各施策と方向性を同じくするものであり、次期総合計画を着実に推進することにより、SDGsの達成につなげていくことにしております。  議員御指摘の貧困や格差の解消につきましては、SDGsの目標の「貧困をなくそう」及び「人や国の不平等をなくそう」などの達成に向けて、独り親家庭の子供の学習支援などの子供の貧困対策のほか、女性・高齢者・障害者等の就労支援や、雇用情勢の悪化の影響を受けやすい非正規雇用労働者等の正社員就職に向けた支援などに、また、平和の実現につきましては、「平和と公正を全ての人に」の達成に向けて、犯罪のない安心で安全なまちづくりや、女性へのあらゆる暴力の根絶などに、それぞれ取り組んでまいります。  私といたしましては、こうした次期総合計画の各種施策に積極的に取り組んでいくことにより、SDGsの十七の目標の達成につなげてまいりたいと考えております。  次に、東京オリンピック・パラリンピックの開催についてであります。  東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、政府や東京都、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等において、開催地域の直近の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、開催方法、観客の有無等について判断がなされているものであり、学校の運動会の実施方法につきましても、その時々の感染状況や、国、県の対処方針等を勘案し、主催者において適切に判断されているものと認識しております。  現在、本県では、県民の皆様に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象区域である都道府県との不要不急の往来につきまして自粛をお願いしているところですが、オリンピック・パラリンピック開催時期の対応につきましては、その時点における感染状況等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症に対する香川県対処方針に基づき、お示しすることになると考えております。  私は、東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、「コロナによって分断された世界で人々のつながりや絆の再生に貢献し、スポーツの力で再び世界を一つにすること」がその価値であるとの考え方に共感するものでありますが、いずれにせよ、何より安全・安心の確保を最優先に徹底した感染症対策を図った上で開催する必要があると考えており、関係者において、そのための準備が鋭意進められているものと理解しております。  次は、政務活動費の使途の適正化及び透明性の確保についてであります。  政務活動費は、地方自治法や香川県議会政務活動費交付条例等の規定に基づき、県議会議員の皆様が県政の課題及び住民の皆様の意思を把握し、県政に反映させる活動に要する経費に対して交付されるものであり、県議会の活性化を図る観点からも重要な制度であります。  政務活動費に関する第一審判決につきましては、政務活動費の趣旨を踏まえ、会合参加費の経費性や飲食を伴う会合参加費など、政務活動費の解釈に関する重要な事項を含む内容であると考えられるため、弁護士とも相談の上、同判決を不服として控訴したものであります。このたびの判決につきましては、様々な受け止めがあると思いますが、今後、控訴審の場で司法により判断されるものと考えております。  なお、御指摘の告発につきましては、詳細を承知しておらず、意見を申し上げる立場にはございません。  また、政務活動費の見直しにつきまして、監査委員から議会に対する要望が出ていることは承知しておりますが、これらは議会において適切に判断されるものと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、健康福祉部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(十河 直君)土岐健康福祉部長。    (健康福祉部長土岐敦史君登壇) ◯健康福祉部長(土岐敦史君)樫議員の難聴者への支援についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘の補聴器を利用する高齢者をはじめ聴覚に障害がある方々に対する地域社会におけるバリアフリー化を推進することは、重要であると考えております。  バリアフリー化の取組のうち、補聴器購入の補助につきましては、聴覚障害を認定され、身体障害者手帳を所持している方には国の補装具費支給制度により補助を行っており、手帳を所持していない若年者には、医師が発育等の観点から補聴器が必要であると認めた場合、平成二十五年度から、県の単独事業として補聴器の購入費用に対して補助を行っております。一定の聴力レベルがあり、身体障害者手帳を所持していない高齢者の方に対する補助については、厳しい財政状況の中で、県の新たな補助制度の創設は困難なところですが、他県の状況や国の考え方などについて、引き続き調査をしていきたいと考えております。  一方、ヒアリングループは、磁力によってマイクを通した相手方の音声を明瞭に聞き取ることを可能にするもので、補聴器を利用している方にはおおむね有用であります。現在、県では、県庁の受付や各保健福祉事務所などに加え、レクザムホールや県社会福祉総合センターなどにヒアリングループを配備しており、補聴器を利用する方に対するバリアフリー化を推進してきましたが、県民の皆様には、その存在が十分に知られていない状況にあります。  県といたしましては、引き続きホームページや広報誌を用いた発信を行うことにより、多くの県民の皆様にこうした機材に関する情報提供を行うとともに、あらゆる機会を捉えて民間企業にも周知し、補聴器を利用する高齢者をはじめ聴覚に障害がある方々に優しい環境づくりに努め、積極的に社会参加できるよう取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)樫議員の御質問にお答えいたします。  まず、東京オリンピック・パラリンピックの開催についてであります。  東京オリンピック・パラリンピックについては、政府や東京都、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等において、開催地域の直近の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、開催方法、観客の有無等について判断がなされているものと認識しています。  また、県内の学校の運動会の実施方法につきましては、その時々の感染状況や国、県の対処方針等を勘案し、各学校が適切に判断することとしており、現時点では、多くの学校において、感染防止対策を講じた上で実施または実施予定であると聞いています。  現在、本県では、県民の皆様に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象区域である都道府県との不要不急の往来を自粛するよう協力要請がなされているところであり、オリンピック・パラリンピック開催時期においては、その時点における感染状況等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症に対する香川県対処方針に基づいて示される対応を受けて、県教育委員会としても、県立学校等に対し通知を行いたいと考えています。  東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、何より安全・安心の確保を最優先に徹底した感染症対策を図った上で開催する必要があると考えており、関係者において、そのための準備が鋭意進められているものと理解しております。  次に、教育問題についてであります。  少人数学級の推進につきましては、国による教職員定数の抜本的な見直しと、それに伴う教員確保や教室不足解消のための財源措置が必要であり、県教育委員会としては、今後も国の動向を注視してまいりたいと考えております。  本県では、今年度から小学校は全学年で、中学校は一、二年生で三十五人学級を実施しているところであり、中学校三年生については、学習指導面等の効果検証を進めた上で、今後、実施時期を検討してまいりたいと考えております。  今後とも、国に対して教員の増員や財源措置の要望を行うとともに、働き方改革を推進し、教育環境の一層の改善に努めてまいります。  学校の校則につきましては、これまで校長会や生徒指導主事会等を通じて見直しを行うように指導した結果、小・中学校及び県立高校では、時代にそぐわない校則の見直しが行われ、改善が進んでいると認識しています。各学校においては、これまでも生徒総会やPTA総会、学校評議員会などで生徒や保護者等の意見が反映できる機会を設けているところであります。また、文部科学省からの六月八日付事務連絡にある他県の校則の見直し事例を参考にしながら、引き続き学校や地域の実態に応じた校則の見直しを促してまいります。
     県立学校での生理用品の提供については、生理用品を自身で用意できない背景には、経済的な理由以外の様々な問題を抱えている可能性もあることから、児童・生徒に寄り添った対応を行い、状況に応じ、適切な支援につなげていくことが必要であると考えています。このため、保健室や相談室などでの受渡しをきっかけに、養護教諭等がコミュニケーションを図り、児童・生徒が抱える不安や困難を早期に発見し、学校全体で問題解決が図れるように努めてまいります。  県教育委員会といたしましては、学校現場と連携を図りながら、生理用品の支援の状況について確認していきたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 政務活動費について再質問をしたいと思います。  先ほどの知事の御答弁では、議会において適切に判断されるものというふうに言われましたが、私はこれは納得できません。なぜならば、この裁判で被告は知事だからです。だから、知事が責任を持ってこの問題は対処しなければならない。議会に丸投げのような言い方は、私は問題だと思います。  それで、意見交換会名目の支出が政務活動費マニュアルの使途基準に適合しているかどうか、これが裁判で争われています。一審判決では、使途基準該当性の主張立証責任は、原告ではなく被告の側にあるとされています。その理由は、原告側が知り得る情報は県議会に提出されている収支報告書などで、使途基準に反して違法であることが推認されるだけである。議員が提出した領収書には意見交換会等と記載されているが、会合の趣旨が祝賀や記念、懇親であるもの、祭りや盆踊り、イベントやバザー等、通常想定される目的や内容からして、議員の行う調査研究などと合理的関連性がうかがわれない。だから、具体的な使途をもっとよく知る議員自ら、または被告である知事が立証すべきであるということです。  今回の判決は、マニュアルの使途基準に適合していることが立証できなかったから違法とされ、九百七十万円の返還が求められたのではないでしょうか。今後、適法だと立証できますか。私は、できないのであれば控訴を取り下げ、判決を確定させるべきだと思います。それが県民への信頼回復の道だと思いますが、知事の再答弁、もう一度答えていただきたいと思います。  この問題は、本当に今、県民が注目をしております。私は、できるだけ早くこの問題に議会として決着をつけるべきだと思いますが、やはり知事の判断が重要だと、こう思いまして再質問をいたしました。  以上で終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の再質問にお答えいたします。  まず、今回の控訴理由の要旨でございますけれども、一番目には政務活動費の趣旨として、この条例に基づき、参加費や会費への充当が認められておりますけれども、県政の課題は多岐にわたり、議員の活動も広範に及ぶことから、議員の自主性や裁量を過度に狭めることは適当ではないと考えた次第であります。  次に、会合参加費の経費性として、社会慣習として、議員の立場で参加費を支払わずに会合に参加することは困難であること、会合の参加に際し、会合開催に要した費用や他の参加者の負担金額を主催者に尋ねることは社会常識として不可能な要求であること、支払った金額は高額ではなく、社会通念上適正な範囲内のものであることから、会合参加費の支出は違法とは言えないと考えております。飲食を伴う会合参加費についても、制度上認められているにもかかわらず、飲食を伴う会合参加費について、事実上一律に違法との判断を下しており、著しく狭く解釈していると考えております。  また、議員御指摘の立証責任につきましては、通常の民事事件と同様、訴える側に不当利得請求権発生の具体的事実を主張立証する責任があるにもかかわらず、一般的外形的な主張・立証をするだけで、知事や議員側が具体的に反証しなければ違反と推定するというのは立証責任の転換であり、認められないと考えられます。  予備的主張といたしまして、議員間の同じような支出について、適法、違法の判断が分かれており、その合理的理由が示されていないと考えております。  なお、議会において適切に判断されるものと考えていると答弁した件につきましては、私が言及したのは、監査委員から議会に対する要望が出ているということで、それにつきましては、議会において判断されるものと考えていると申し上げた次第でございます。(降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時五十六分休憩                         午後 一時  七分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    西  川  昭  吾 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    十  河     直 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    泉     雅  文 君           警察本部長      那  須     修 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    高  濱  和  則 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  斉藤勝範君。    (斉藤勝範君登壇、拍手) ◯斉藤勝範君 私からは、五点につきまして、知事、教育長並びに警察本部長に質問させていただきます。  質問の第一点目は、ため池等の転落事故防止対策についてであります。  本県には、大小合わせて一万二千を超えるため池が存在し、その数は兵庫県、広島県に続き全国第三位となっています。しかしながら、県土の総面積に対するため池の密度では、一平方キロメートル当たり六・五か所と、二位の兵庫県の二・九か所に倍以上の差をつけた全国第一位であり、まさに、ため池王国香川を表すデータとなっています。また、県土が狭いことに加え、耕地面積比率も高いことから、住宅地に隣接したため池が多く存在するのも本県の特徴であると言えます。  ため池や、そこから田畑に向けて張り巡らされた農業用水路は、降水量が少なく、渇水被害に悩まされてきた本県農業を空海の時代から支えてきた重要な存在ですが、特にため池は農業用水の供給という役割以外にも、洪水調整や砂防堰堤、消火用水などの防災インフラといった役割や自然学習や人々が憩うことができる身近な親水空間といった役割などもあり、地域になくてはならない存在となっています。  このように、ため池をはじめとした農業水利施設は、我々の生活の一部となっていますが、それゆえに直面している課題があります。それは、転落による死亡事故です。本年五月には、釣りをするため丸亀市のため池を訪れていた小学一年生の男の子とその父親が誤ってため池に落ち、溺れて亡くなるという痛ましい事故がありました。また、三豊市のため池で、二〇一〇年と二〇一五年に当時三歳と五歳の姉弟が相次いで転落して亡くなったという非常に悲しい事故が起きたことも、まだ記憶に新しいところです。農林水産省の調査によると、平成二十六年度から平成三十年度までの五年の間に、全国のため池や用水路で七百九件の人身事故が発生しておりますが、本県においても今申し上げた死亡事故以外にも転落事故が発生しており、ため池を多く有する県ならではの特有の課題であると言えます。  このような事故を防止するには、まず、周辺をフェンスなどにより囲み、物理的な侵入を防ぐほか、看板などで周辺の住民や釣り人などのため池等の利用者に対し危険性を周知するなど、管理者側でのハード面の対策が考えられます。私の地元三野町においても百六十一か所のため池が存在しますが、今回の転落事故等を受けて、危険なため池には、まず注意喚起の看板を設置するよう対策をしてまいりたいと考えております。  転落事故防止の対策については、ため池等の農業水利施設を実際に管理している施設管理者において講じていくことになりますが、費用面をどうするのかという問題のほか、ため池等は地理的条件や管理形態などがそれぞれ異なることから、その対応に苦慮している管理者も多いと聞きます。  農業水利施設での転落事故を防ぐには、県としても個々の施設管理者に対して、適切な指導や資金面・技術面での支援などを行うことが重要であると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。  また、農業水利施設の管理者側のハード面での対策と併せて、利用者等に向けたソフト面での対策も重要であると考えます。ため池だけをとっても、県内で一万二千か所も存在するため、ハード面だけの対策ではどうしても限界があります。また、仮にハード面での対策が一定取れていたとしても、幼稚園児や小学生のような、水の怖さや危険性を十分に知らない小さな子供が管理の隙を突いて侵入し、事故に遭うようなことも考えられます。  これまでも県や警察においては、そうした小さな子供を中心に転落事故防止の啓発活動を行ってきたと思いますが、改めて今後どのように取り組んでいかれるのか、知事及び警察本部長にお伺いします。  質問の第二点目は、田んぼダムの推進についてであります。  農業・農村は、農作物を生産するということのみならず、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承など多面的な機能を有しており、食料・農業・農村基本法においても、その機能を将来にわたって適切かつ十分に発揮されなければならないとされています。そうした中、農業・農村の持つ機能として近年注目されているのが防災機能です。  一方、近年、大規模な豪雨災害が日本中で多発しています。全国的な災害としては平成三十年七月豪雨などが記憶に新しいところでありますが、局地的な災害は毎年のように発生しています。先週土曜日には、静岡県熱海市において、活発化した梅雨前線による大規模な土石流が多くの建物に被害を与え、死者も出すなど、甚大な被害を発生させています。地球全体での気候変動を考えれば、今後もこのような豪雨による災害が頻発するという流れは加速していくものと予想されることから、その対策が急務となっています。  そうした中、新たな治水の在り方として、流域治水が国土交通省を中心に推進されています。国土交通省によると、流域治水とは、気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化等を踏まえ、堤防の整備、ダムの建設・再生などの対策をより一層加速するとともに、雨水が河川に流入する地域から、河川等の氾濫により浸水が想定される地域にわたる流域に関わるあらゆる関係者が協働して水災害対策を行うという考え方とされています。この中でも「流域に関わるあらゆる関係者が協働して」という点が重要でして、これまでの河川管理者の取組だけではなく、森林保全等による治山対策、利水ダムなどの防災活用も含んだ対策を実施するということです。その中には、水田やため池も含まれていますが、特に近年注目されているのが水田を利用した田んぼダムです。  農林水産省によりますと、田んぼダムとは、田んぼの排水口に排水管より小さな穴の開いた調整板を設置し、水の流出を抑制することでダムの役割を果たす田んぼのことであり、多くの田んぼで取り組むことで、大雨のときに水田内に水を貯留させ、下流域の洪水を軽減させる効果があるとのことです。  田んぼダムについては全国でも取組が進んでいますが、その中の一例として兵庫県の取組があります。兵庫県の淡路島にある三原川は、古来より何度も氾濫を繰り返してきた河川ですが、平成十六年の台風二十三号の際には約五千軒の家屋が床上床下浸水するなど甚大な被害を受けています。こうしたことから、兵庫県では国の動きに先駆けて流域治水を推進し、平成二十六年に三原川の総合治水計画を策定していますが、この中で田んぼダムの推進にも取り組むこととしているほか、その貯留能力が二十七万立米あり、河川管理施設や下水道施設以外での治水対策である流域対策の中でも、最も貯水能力が高い取組であることが分かります。  田んぼダムは既存の水田を活用することから、治水ダムのように一からダムを造る必要がなく、コスト的にも格段に安価で、なおかつ設置に時間がかかりません。もちろん、取組を進めるに当たっては、水田を活用し農家の方々に御協力いただくことになることから、農家の方の負担を少しでも軽減したり、メリットを感じさせるようなことも必要であると考えます。  本県についても、農業・農村の多面的機能の推進、そして、防災力強化の観点から田んぼダムを推進すべきと考えますが、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。  質問の第三点目は、移住・定住の促進についてであります。
     昨年から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、押し寄せる波のように、収束したかと思えばまた新しい波が起こりを繰り返しており、国内全体での新規感染者数のピークは過ぎたものの、東京などでは再度拡大傾向にあり、まだまだ予断を許さない状況にあります。新型コロナウイルスは、経済や人流を停滞させる非常に厄介な存在であり、一刻も早い収束が望まれますが、その一方で、テレワークの浸透や地方移住への関心の高まりなど、人々の生活スタイルを変化させています。  内閣府が今年四月から五月にインターネットで実施した調査によると、東京圏在住で地方移住へ関心を持つ人の割合が全体の三三・二%となっており、新型コロナウイルス感染症拡大前の二〇一九年に実施した調査より八・一ポイントも上昇していることから、人々の意識の中に、都市から地方へという流れができていることが分かります。事実、住民基本台帳人口移動報告によると、東京都の人口は二〇二〇年七月から二〇二一年二月まで八か月連続の転出超過を記録し、その後、入学・就職シーズンである三月、四月には一旦転入超過に転じましたが、五月には再び転出超過となっています。東京都の人口は長期にわたり転入超過が続き、さらに近年はその傾向が拡大し、まさに東京一極集中が加速していたことを考えると、隔世の感があります。  そうした中、先日県が公表した令和二年度の移住者数は二千七百二十一人、前年度から七百五十一人、三八%の増加となっており、統計を取り始めた平成二十六年度以降、最多の移住者となっています。移住者を移住前の住所別に見ますと、人数として一番多いのは近隣の中国・四国地方で九百三十二人となっていますが、前年からの伸び率で見ますと、近畿地方が五八%増の六百八十二人、関東地方が五二%増の六百十一人と、都市部からの移住者の増が目立ちます。これは、瀬戸内海に面し、風光明媚で災害が少なく、田舎でありながらも適度に便利という香川県の特性が評価されるとともに、コロナ禍における都市から地方へという流れも反映されたものではないかと考えます。  一方、同じ四国の各県に目を向けますと、愛媛県は本県と同じような傾向にあり、対前年度比で二九%の増となっているのに対し、徳島県と高知県はそれぞれ九%、五%の減となっており、地域間での競争が激しくなっていることが読み取れます。本県においては、このような地域間競争に勝つためには、本年度新たにテレワークによる移住を促進する目的でサテライトオフィス等の開設を行う事業者等を支援する補助制度を開設するなど、これまで以上に移住促進施策を充実させています。  しかしながら、幾ら移住促進のための各種サポート制度が充実していても、また、本県自体が移住者にとって魅力あるものであったとしても、その情報が移住希望者に届かないと意味はありません。都市から地方へという大きな流れの中で、本県を移住先に選んでもらうためには、各市町と連携するなどして、本県の魅力や移住施策について、さらなる情報発信が必要ではないかと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。  また、移住者の増加に向けた施策を進めるとともに、重要であるのは本県に移住した方々を定住につなげていく取組です。地方は都市部に比べると地域コミュニティーのつながりが強いことから、都市部にいたときとの御近所との距離感にギャップを感じたり、既に人間関係が完成されたコミュニティーの輪に入っていけなかったりするなどして、地域にうまくなじむことができず、せっかく移住したのに短期間で県外に転出する方も一定数いらっしゃるとお聞きします。住み慣れた土地を離れ、新天地で生活をスタートし、地域コミュニティーに溶け込んでいくというのは、想像以上にハードルが高いことです。県としても、地域住民との交流を促進するなど、移住者の定住が進むようなサポートを進めるべきだと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。  質問の第四点目は、詫間港の現状と活性化についてであります。  県管理の地方港湾である詫間港は、香川県西部、三豊市詫間町に位置し、荘内半島、粟島等によって囲まれた詫間湾、三野湾にまたがる天然の良港であります。旧詫間町は、戦後の昭和二十八年には、本県でもいち早く町発展の基本方針を港湾開発へと転換し、同港は昭和四十五年の関税法による開港指定を受けて以来、バルク貨物を中心に工業港、木材流通港として地域の発展に大きく寄与しており、現在までに約百十ヘクタールの工業用地を造成したほか、六十六ヘクタールの水面貯木場、マイナス七・五メートルの岸壁等の港湾施設が整備されてきました。その間、港湾周辺の広大な塩田跡地と埋立地には、鉄鋼、化学、木材等をはじめとする各種企業が進出し、県内でも有数の港に成長してきたところであります。近年では、粟島が瀬戸内国際芸術祭の会場となり、会期中は詫間港の須田地区から多くの観光客が粟島を訪れており、大いににぎわっている状況となっております。  また、防災面では、香川県地域防災計画において、大規模災害発生時の緊急物資の輸送拠点となる防災機能強化港に位置づけられており、台風等による高潮への備えや将来発生が見込まれる南海トラフを震源とする地震や津波への対策について、港湾管理者である県において、これまでに整備が進んできたところであります。  そこで、詫間港で整備が進められてきた港湾施設や海岸施設の現状について、知事にお伺いします。  一方で、詫間港は、三豊市のみならず西讃地域の企業にとって重要な物流拠点でありますが、現状としては平成九年に約百八十万トンだった港湾取扱貨物量も減少の一途をたどっており、水面貯木場についても利活用がなされていない状況となっております。コンテナ取扱貨物についても、平成二十年の高速道路料金の値下げを機に四国開発フェリーのオレンジフェリーが詫間港への寄港を休止して以降は減少を続けており、現在、コンテナターミナルにある県のジブクレーンは大規模修繕が必要なため、平成三十一年四月から使用を中止した状態と伺っております。このような中、地元企業においては、詫間港を利用せずに高松港や三島川之江港を利用するといった状況も見受けられるところであります。  地域経済の持続的な発展のためには、詫間港の利用が促進され、再び港を活性化させることが必要不可欠と考えますが、そうした意識は地元においても同様であり、令和元年五月には、法人六十社、個人三千五百十三名もの賛同者の総意の下、詫間港の積極的活用や水面貯木場の有効活用等を内容とした請願書が三豊市に提出されたところであります。  私は、令和元年の十一月議会においても詫間港の活性化について一般質問を行いましたが、その際にはコンテナターミナルの利活用について、三豊市が地元企業に行っているヒアリング結果も踏まえ、幅広く検討し、三豊市と連携して、本県経済の発展に資する詫間港の活性化について取り組んでいくとのお答えをいただいたところです。現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、企業活動等の先行きは不透明でありますが、詫間港の活性化に向けた取組を休まず続けていくことが必要であり、そろそろ真剣に検討しないといけないと考えるところです。  そこで、詫間港全体における現在の利用状況はどうなっているのか、また、県では県管理港湾である詫間港の活性化について、今後どのように取り組むお考えか、併せて知事にお伺いいたします。  質問の第五点目は、オリンピック開催を通じた県内スポーツの振興についてであります。  夏の大会としては、前回から五十七年ぶりとなる東京二〇二〇オリンピック競技大会が今月二十三日に、東京二〇二〇パラリンピック競技大会が来月二十四日に、それぞれ開会します。新型コロナウイルス感染症の影響で開催が一年後ろ倒しになり、一時は開催が危ぶまれましたが、本県において四月十七日、十八日の二日間にわたって実施されたオリンピックの聖火リレーも、明日九日から開催地の東京に入り、開催に向け、いよいよ最終段階に入ったと実感しております。オリンピックの開会からパラリンピックの閉会までの約一か月半の間、選手たちのすばらしいプレーに日本中、世界中が熱狂することを思うと、期待に胸躍る気持ちです。  オリンピック憲章では、オリンピズム、いわゆるオリンピック精神の目的として、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。」と示されています。紆余曲折あったオリンピック・パラリンピックの開催ですが、開催するからには、出場するアスリートが一生懸命に自己の限界に挑む姿を日本中、世界中の人々が観戦し、感動を共有することで、新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴う景気の停滞などで混乱し、疲弊した状況にある世の中に少しでも光を見出し、オリンピック憲章にあるような平和な社会の推進につながることを期待しています。  さて、県内に目を向けますと、オリンピックにおいては、これまで三豊市出身のバドミントン男子の桃田選手や、県警所属のライフル射撃の堀水選手のほか、計七名の県出身の選手が代表内定を勝ち得ています。前回、二〇一六年に開催されたリオデジャネイロオリンピックの出場選手が一名で、これまでの最高も一九八四年のロサンゼルスオリンピックの五名ですから、今回史上最多の選手が選出されたことになります。この結果については、当然ながら選手自身の努力によるところが一番大きいとは思いますが、指導者の方の指導や御家族の方のサポートに加え、本県が今回オリンピックに向けて取り組んできた選手強化事業も有効であったのではないかと考えています。  今回のオリンピックは五十七年ぶりに日本で開催されるということに加え、多くの郷土出身の選手が出場するということで、今まで以上にオリンピックを身近に感じることができるのではないかと考えます。特に子供たちにとっては、郷土出身の選手の活躍を見ることにより、その選手が行う競技やスポーツ全般に興味を持つとともに、努力や諦めない心の大切さを学ぶことにもつながるのではないでしょうか。また、子供の運動不足やそれに伴う体力低下が社会問題となって久しいですが、オリンピック開催を通じたスポーツへの関心の高まりにより、そうした問題を少しでも解決するきっかけになることも期待されるのではないでしょうか。  そうしたことから、今回のオリンピックの開催によって高まるスポーツへの熱気をうまく生かすことにより、子供たちがスポーツへの関心を高め、県内スポーツの振興につながるための取組を進めるべきではないかと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いします。  以上で私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)斉藤議員の御質問にお答えいたします。  まず、ため池等の転落事故防止対策についてであります。  本県では、ため池や用水路等への転落事故が相次いで発生していることから、昨年度、県及び各市町等で構成する用水路等転落事故防止対策検討委員会を設置し、転落事故防止に向けた検討を行い、本年三月に対策の方向性を示した香川県用水路等転落事故防止対策ガイドラインを策定したところであります。現在、このガイドラインに基づき、施設管理者である市町や土地改良区において、転落の危険性が高いと考えられる箇所を抽出しているところであり、ため池につきましては、釣りをする人が多く訪れるため池や過去に転落事故が発生したため池などを、また、用水路につきましては、農道が用水路と並行する緩いカーブや農道の路肩が傾斜している箇所などを調査しております。今後、抽出した危険箇所において、学校や病院、通学路など、農業水利施設周辺の状況も踏まえ、施設管理者と連携しながら防止対策を講じるための実施計画を策定した上で、優先度の高いものから農業水利施設のフェンスや看板などの安全施設整備に取り組んでまいりたいと考えており、整備に当たっては、これらの安全施設の設置を今年度から補助対象に加えた単独県費補助土地改良事業を有効に活用して、計画的に進めてまいります。  一方、ソフト対策としては、施設管理者に対し、事故発生防止のための安全対策の徹底について働きかけを行うとともに、幼稚園や小学校等に転落事故防止の啓発用ポスター等を配布し、子供たちに対する安全教育についても促しているところであります。  私といたしましては、今後ともため池や用水路等への転落事故の抑止に向けて、各施設管理者と連携した対策の実施に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、田んぼダムの推進についてであります。  田んぼダムは、河川流域全体のあらゆる関係者が協働して水害を軽減する流域治水における有効な取組の一つとされるとともに、国においては、農業・農村が持つ多面的機能の増進を図る取組と位置づけ、今年度から、農家や地域住民の皆様などによる農地や農業用施設の保全管理等の協働活動を支援する多面的機能支払制度に、田んぼダムに取り組む場合の加算措置が新たに設けられました。  このように、田んぼダムは、農家の方々を中心に地域が一体となった取組が不可欠であり、そのためには、多面的機能支払制度の活用も図りながら、まずは地域の方々が互いに支え合い、洪水から地域を守るという協働意識や防災意識の醸成を図ることが重要であります。早くから田んぼダムに取り組んでいる他県の状況を見ますと、地域主催のイベントを活用した啓発活動や度重なる豪雨の経験による地域防災意識の高さなど、地域の強みを生かして取組を拡大している例がある一方で、地域によっては狭隘な農地や高低差のある水田の畦畔など、地形上の理由からうまく進まなかった例も指摘されております。  こうしたことを踏まえ、本県においては、畦畔機能が健全で、一定のまとまりを確保できる圃場整備が完了した地域を基本として、多面的機能支払制度に取り組む地域や、過去に浸水被害のあった河川流域にある地域につきまして、重点的に田んぼダムの取組を進めるため、各市町や関係機関で構成される多面的機能発揮促進協議会主催の研修会等において、田んぼダムに対する理解を促進し、農家等の意識醸成を図ってまいりたいと考えております。  私といたしましては、先進県の取組事例も参考にしながら、各市町と連携して、農業・農村が持つ多面的機能の維持・発揮に加え、流域治水の一環として、水田の貯留機能を強化する田んぼダムの取組を推進してまいります。  次に、移住・定住の促進についてであります。  議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした地方移住への関心が高まる中、本県を移住先として選んでいただくためには、効果的に情報発信していくことが重要と考えております。県では、これまで大都市圏での移住フェアや、東京や大阪などに配置している移住・交流コーディネーターによるきめ細かな相談対応を通して、かがわ暮らしの魅力発信に取り組んできており、今年度は移住を検討する際に参考となる移住ガイドブックの全面改訂を行い、移住ポータルサイトと連携させながら情報発信の強化を図ることとしております。さらに、県内全市町と連携して設置する香川県移住・定住推進協議会において、新たに移住促進プロモーション動画を制作し、若者や子育て世代等に向けてSNSなどで積極的に情報発信してまいります。  また、テレワークを活用した移住促進につきましては、テレワークの場所として香川を選んでもらえるよう、県の支援策を取りまとめてリーフレットの配布や県のホームページなどによる周知に加え、大都市圏などにおけるインターネット広告を活用した広報も実施しております。  移住後の定住に向けたサポートにつきましては、移住者同士の交流を支援するため、県内各地域で移住者交流会を開催するとともに、安心して本県に住み続けてもらうため、先輩移住者に移住後の相談窓口となる定住支援サポーターを委嘱し、相談などに個別に対応できる体制を整備しており、今後も地域でのネットワークづくりも含め、定住に向けた取組をより一層進めてまいります。  私といたしましては、本県を移住先に選んでいただき、長く住み続けてもらえるよう、各市町や関係機関と連携しながら、これらの施策を積極的に実施することにより、移住・定住の促進を図ってまいりたいと考えております。  次に、詫間港の現状と活性化についてであります。  詫間港につきましては、水深七・五メートルの岸壁や離島への往来に必要な浮き桟橋などの整備に加え、臨海部の土地造成により多くの企業が立地し、早くから発展してきた港湾であります。このような中、平成二十五年度に粟島への旅客船が発着する須田地区の浮き桟橋を更新するとともに、水出地区での航路の維持しゅんせつや、経面地区などの老朽化した護岸の修繕等を計画的に行ってきたほか、地震・津波対策では、香川県地震・津波対策海岸堤防等整備計画のI期前期計画として宮の下地区の約五百メートル区間において、護岸のかさ上げなどの対策が令和元年度までに完了したところであります。  一方、詫間港の利用状況としましては、議員御指摘のとおり港湾の取扱貨物量は減少傾向にあり、昨年のコンテナ貨物の取扱量は平成十八年のピーク時に比べ三%程度まで減少しているほか、原木の取扱いにつきましても、全国的に原木から製品に輸入形態が移行する中、平成元年をピークに取扱量が減少しており、平成二十二年からは三豊市が設置している水面貯木場が利用されていない状況となっております。  このような中、詫間港の活性化に向けて、平成二十六年度から三豊市と共に中西讃地域の企業へのポートセールスを行っており、昨年度からは海上輸送へのモーダルシフトを促進するため、九社を対象に取扱貨物の種類や量、搬入・搬出先などのヒアリング調査を行い、その結果を踏まえ、貨物船を運航する船会社とのマッチング支援に努めております。  私といたしましては、詫間港を利用する企業が増加するよう、今後も三豊市と連携し、個別企業へのポートセールスを行うなど、詫間港の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)斉藤議員の東京オリンピック開催を通じた県内スポーツの振興についての御質問にお答えいたします。  東京二〇二〇オリンピック競技大会の代表には、バドミントンの桃田選手、ライフル射撃の堀水選手、新体操の喜田選手、ハンドボールの塩田選手、大山選手、フェンシングの宇山選手に加え、今週五日にはバスケットボールの渡邊選手の代表入りが発表されました。また、パラリンピック競技大会には、カヌーの今井選手、車椅子フェンシングの阿部選手、卓球の皆見選手が代表選手に決定されております。  県教育委員会では、東京オリンピックに向けて本県出身選手が五名以上出場するという目標を掲げ、平成三十年度から東京オリンピック候補選手強化事業を実施しており、指定選手に対し、国内外の試合への旅費や競技用具の購入費、体のコンディショニングに必要な検査等を支援してまいりました。代表選手には、県民の皆様の応援を力に変え、練習の成果を最高の舞台で最大限発揮されるよう、子供たちと共に心から応援したいと思います。  議員御指摘のとおり、自国開催かつ本県史上最多選手の出場という今回の状況を、本県のスポーツ振興に生かすことは大変有意義であると考えております。県教育委員会では、トップアスリートによるスポーツ教室や講演会を開催するかがわドリームスポーツ教室や、学校の授業において、オリパラ選手に触れ、理解を深めるオリンピック・パラリンピック教育推進事業に取り組んでおり、東京オリンピックやパラリンピックに出場した本県出身の選手の皆様にも、今後、協力をお願いし、指導や講演を行っていただくことで、子供たちがスポーツへの関心を一層高め、夢や希望を育む機会を設けたいと考えています。  県教育委員会といたしましては、子供たちにトップアスリートに触れる機会の提供や、これまで築き上げてきたジュニア期からの一貫指導システムを通じた競技力の向上とともに、生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境づくりなどに努めることにより、県内スポーツの振興に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)那須警察本部長。    (警察本部長那須 修君登壇) ◯警察本部長(那須 修君)斉藤議員のため池等の転落事故防止対策についての御質問にお答えいたします。  昨年、県内のため池において三件の水難事故が発生し、当事者となった三名全員の貴い命が犠牲となりました。議員御指摘のとおり、県民の命や財産を守ることを責務としている県警察といたしましては、子供をはじめ県民の皆様が水難事故に遭わないための各種活動を行うことが重要であると認識しております。  そのため、県警察では、園児や小学生を対象とした水難事故防止教室を開催して、子供や保護者に水の怖さや水難事故防止の留意点を指導しているほか、地域安全推進委員をはじめとする地元ボランティアとの合同パトロール活動や注意喚起のための水難事故防止啓発看板の設置活動を行うとともに、その活動状況を新聞やテレビ等で報道していただくなどして、広く県民に水難事故防止を呼びかけております。また、水難事故防止のため、自治体やため池の管理者と合同で危険箇所の現場点検を行い、その点検結果をパトロール活動や広報啓発活動等に反映させているところであります。  県警察といたしましては、今後とも園児や小学生など小さな子供やその保護者を対象に、交通安全教室や防犯教室などあらゆる機会を捉え、水の怖さや危険性等を十分に周知し、ライフジャケットの着用を呼びかけるなど、水難事故防止に係る広報啓発活動を推進するとともに、自治体をはじめとする関係機関や地元ボランティアと連携したパトロール活動や見守り活動を推進するなど、県民の大切な命を水難事故から守るための様々な活動を継続し、ため池等における転落事故防止対策に努めてまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  氏家孝志君。    (氏家孝志君登壇、拍手) ◯氏家孝志君 議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、デジタル化の積極的な推進についてであります。  昨年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大により社会環境が大きく変化しておりますが、その変化の一つとして、デジタル化の急速な進展が挙げられます。我が自由民主党の菅内閣におきましても、目玉政策の一つとして、デジタル化の積極的な推進を掲げており、先月十八日には本年九月のデジタル庁創設を見据え、デジタル社会の実現に向けた重点計画が策定され、その中では、国、地方、民間をはじめとする社会全体のデジタル化に関係者が一丸となって取り組むこととされたところであります。  一方で、行政分野におきましては、新型コロナウイルス関係の各種給付金の受給申請手続の一部に遅れや混乱が生じるなど、デジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。近年、地方の業務は複雑化・多様化し、業務量自体も増加しておりますが、人材面でも財政面でも行政の資源には限りがあり、このままでは行政サービスの低下が大いに懸念されるところであります。このような状況を克服するためには、国と地方が一体となって、行政のデジタル化や社会全体のデジタル化を強力に進めていくことが必要であると強く感じているところであります。  このような中、本県におきましては、今議会において報告のありましたかがわデジタル化推進戦略(仮称)の骨子案において、「安心・便利・豊か 人が主役のデジタル社会・かがわの形成」を基本理念として、全ての県民がデジタル化による利便性を享受できるようなデジタル社会を形成するとの方向性が示されたところであります。  これまで、社会全体においてデジタル化が進まない要因の一つとして、個人情報の流出などのリスクに対する不安があると推測いたしますが、技術革新を実現するためには、このようなリスクを最小化するためのたゆまぬ努力を行った上で、果敢にチャレンジしていくことが重要であります。  また、本県では情報通信産業の育成・誘致に取り組んでいるところでありますが、情報通信産業により生み出される成果物はあくまでも便利なツールであり、利用する側の視点に立って、誰もがストレスや不安を感じることなく利用できるデジタル環境を整備してこそ、真のデジタル化を進めることができるということを指摘させていただきます。  また、デジタル化の推進に当たりましては、遠い未来を語るだけではなく、まずは、できることから即時に開発・利用し、利用する方に少しでも便利さを実感していただくことが大変に重要であると考えております。例えば、行政手続のオンライン化、テレワークやウェブ会議の推進をはじめ、令和二年二月定例会で質問させていただいた選挙における投票所での電子投票などが実現できれば、多くの方々にその便利さを実感していただくことができ、このことが、デジタル化の推進に対する理解の深まりにもつながるのではないかと考えております。  また、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、国におきましても感染拡大を防止するための時限的・特例的な措置として、初診からの電話や情報通信機器を用いたオンライン診療が認められました。本県ではこれまで、いわゆるK─MIXをはじめとした医療分野の情報化に全国に先駆けて取り組んできたところであり、これにオンライン診療を組み合わせることにより、本県にとっては県民の健康と生命を最優先に守る医療先進県として飛躍する絶好の機会であるとも考えております。  そこで、国の動向も踏まえ、今後、デジタル化の推進に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、また、医療分野の情報化の推進にどのように取り組んでいくのか、さらに、時間を置かずに取り組むことのできるデジタル化としてどのような事例を考えているのか、知事にお伺いいたします。  質問の第二点目は、四国デスティネーションキャンペーンを契機とした観光振興についてであります。  県が発表している新型コロナウイルス感染症に伴う県内宿泊施設への影響に関する調査によりますと、本年五月の宿泊人数は、新型コロナウイルス感染症の影響がなかった前々年度の実績と比べて約三四%の六万九千九百九十七人泊、金額で見ましても約二八%の約五億七千万円にとどまっているなど、観光事業者にとりましては依然として厳しい状況が続いております。  一方、令和三年版観光白書によりますと、日本交通公社が実施した旅行実態調査において、新型コロナウイルス収束後の旅行意向として、本年一月には約二二%の人が「これまで以上に旅行に行きたい」と回答しており、昨年五月の約一五%と比べ、潜在的な旅行意向の高まりがうかがえます。また、白書では、新型コロナウイルス感染症がもたらした観光トレンドの変化として、旅行先の文化や暮らしを体感し、じっくりと滞在を楽しむ滞在型観光への関心の高まりや、一人旅の旅行に伴って、ぜいたくな旅行商品が人気となっていることなど、これまでとは違った旅行スタイルが定着しつつあることが挙げられております。  こうした変化する旅行ニーズに対応するため、県は今年度、OTAを活用した新たな滞在型の旅行商品の造成や販売強化に取り組むとともに、新しい生活様式に対応したイベントや体験型コンテンツづくりを行う民間事業者等への支援を行うこととしており、これらの施策の確実な遂行により、新型コロナウイルス感染症が収束した暁における新たな旅行需要の取組が大いに期待されているところであります。  このような中、今年は、JR各社が全国的に展開する国内最大の観光キャンペーンであるデスティネーションキャンペーンが十月一日から十二月三十一日までの三か月間、四国四県を舞台に四国デスティネーションキャンペーンとして展開される予定であります。四年ぶり六回目の開催となる今回は、「しあわせぐるり、しこくるり。~四国の風・水・色を感じて~」をテーマに、本県からは栗林公園や金刀比羅宮、四国水族館など、現時点において五百件を超える魅力ある観光素材がホームページで紹介されるなど、観光需要の喚起が大いに期待でき、新型コロナウイルス感染症の拡大により大きな影響を受けている観光業界にとっては、久しぶりの明るい話題と言えます。  無論、全国各地からの観光客の受入れに際しましては、県において新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえた適切な対応を取るとともに、受入れ側におきましても万全を期した感染症の拡大防止対策を講じることが前提ではありますが、この機会を確実に捉え、新たな旅行スタイルに対応するとともに、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据えた観光振興につなげていくことが必要であると強く考えております。  そこで、四国デスティネーションキャンペーンに向け、JRをはじめとした関係団体とどのように連携していくのか、また、観光事業者の感染症防止対策を含め、四国デスティネーションキャンペーンを契機とした観光振興に県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  質問の第三点目は、農業の担い手確保に向けた取組についてであります。  今定例会において、令和三年度から令和七年度までの本県の農業・農村の目指す姿と施策の方向性を示す、新たな香川県農業・農村基本計画の素案が報告されました。この素案では、農業者の高齢化や就業人口の減少が進んでおり、今後もこのような状況が続くと見込まれることから、本県農業を持続させるためには、新規就農者や認定農業者など農業生産の核となる人材を確保し、多様な担い手を育成することが必要であるとされております。  私は、かねてより喫緊の課題である農業の担い手確保に力を入れて取り組む必要があると強く考えており、さきの二月議会でも担い手の確保・育成に向けた取組について質問いたしました。その際、知事からは、新規就農専用サイトでの情報発信やオンラインによる就農相談の実施などにより、多様なルートからの人材の掘り起こしを強化するとの答弁がありました。現在、新規就農者は一年当たり百五十人程度が確保されており、新規就農者の確保に対する県の取組は、一定の成果を上げていると言えます。しかし、一方では一年当たり千百人を超える基幹的農業従事者が減少しており、全体としては農業従事者の減少や耕作放棄地の増加に歯止めがかかっていないことから、現在の担い手確保策は不十分であると言わざるを得ません。  さらに、農林業センサスによれば、令和二年の本県の個人経営体数は、平成二十二年の二万四千九百六十四人から、十年間で約三六%に当たる八千九百四十一人が減少し、一万六千二十三人となりました。この内訳を見ると、主業農家と準主業農家が合わせて約五八%と大幅に減少しているのに対し、それ以外の副業的農家は約二四%の減少となっており、全体の約七八%に当たる一万二千四百四十五人が副業的農家となっています。このようなことから、主業として農業に従事する新規就農者の確保については継続的に取り組む必要がありますが、農業従事者の中で大きな割合を占める兼業農家などの副業的農家が、農地の維持や本県農業の持続的な発展に果たす役割は非常に大きなものであり、現在は農業に従事していない農家の子弟などを、兼業農家や定年帰農者などの就農につなげ、農家の後継者として育成していくことが重要であると考えております。  そこで、県がこれまで取り組んできた認定農業者や集落営農組織の立ち上げなどによる担い手の確保が進まない中、農業・農村を守っていくために、これまであまり力を入れてこなかった兼業農家や定年帰農者などの幅広い人材の就農促進にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  質問の第四点目は、高松港におけるアクセス機能の強化についてであります。  高松港と坂出港につきましては、現在、有識者等による高松港・坂出港長期構想検討委員会を設置し、おおむね二十年から三十年先の長期を見通した港湾の姿を議論していると伺っております。今定例会の我が会派の代表質問において、高松港・坂出港の長期構想の検討状況について質問したところ、知事からは、長期構想では、それぞれの港の特色を生かした将来像を描くことが重要と考えており、道路との有効な連携を図るため、県道高松坂出線の四車線化など、幹線道路におけるアクセス機能の強化に取り組むとの答弁がありました。  また、先日、我が会派において国土交通省の幹部の方々をお招きして高松港・坂出港の中長期的課題について勉強会を開催いたしましたところ、その中で、高松港が抱える課題の一つとして埠頭へのアクセス改善が必要であるとの指摘がなされました。具体的には、さぬき浜街道や国道三十号を利用し、朝日地区に搬入される県西部・県中央部からの貨物では、高松琴平電気鉄道の本町踏切が交通のボトルネックとなっており、道路管理者である高松市から関係する団体に対して大型車両の迂回についての協力依頼がなされているとのことであります。この課題につきましては県としても認識しているところであり、前述の代表質問においても知事から、琴電本町踏切における交通対策について、琴電連立検討委員会で検討を進めているとの答弁があったところであります。この検討委員会での議論を踏まえ、都市計画が存続する場合は問題ありませんが、都市計画が廃止となった場合には本町踏切というボトルネックが将来的にも存続することとなり、高松港整備の効果を十分に生かし切ることができないと強く考えております。  一方、高松環状道路につきましては、檀紙町から寿町までが計画段階評価を進めるための調査箇所とされており、各種手続を経て新規事業化されることとなりますが、事業の完成には相当の年月を要することに加え、事業化が計画されているのは中央通り西側までであり、本町踏切を含めた中央通り以東への延伸は、さらに相当の年月を要することが明白であります。しかし、高松港の整備効果を十分に生かすためにはアクセスの改善が必要不可欠であり、例えば、将来的に高松環状道路に接続できる構造での中央通りから瀬戸大橋通りの詰田川西側付近までの高規格道路の暫定的な整備等が有効であると考えております。  財政的な観点から公共事業に対する評価は非常に厳しいものがありますが、地域経済の発展に必要な投資は積極的に展開すべきであり、これが社会保障制度の維持など、将来の貴重な財源確保の一助になるものと強く確信しております。  また、サンポート高松付近につきましては、新県立体育館の建設や徳島文理大学のJR高松駅隣接地への移転も計画されているところであり、一層交通上の大きなボトルネックとなるものと強く懸念しております。  そこで、高松港におけるアクセス機能の強化にどのように取り組むのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第五点目は、新県立体育館の整備についてであります。  新県立体育館は、競技スポーツ施設、生涯スポーツ施設、交流推進施設としての機能を併せ持った多目的な施設として整備することとされており、本県スポーツの中核的な機能を有する施設として、また、人口の減少や少子化により地域活力の低下が懸念される中、新型コロナウイルス感染症の収束後において、地域活性化の起爆剤となる拠点施設として整備されることを我々といたしましても大いに期待しているところであります。  また、今定例会において、令和四年度から令和六年度までの総額百九十億円の債務負担行為の議案が提案されておりますが、新県立体育館整備事業につきましては、これまで県立体育館整備等に関わる特別委員会における審査など、県議会においても設計内容や建設工事費等について様々な議論が行われてきたところであります。  このような中、定例会初日における知事からの提案理由説明の中で、実施設計については、県議会をはじめ各方面の御意見を承りながら、様々な検討、工夫の上取りまとめたものであり、工事費等についても適切に見込んだとの説明がありましたが、この建設工事費の遵守については、本県の厳しい財政状況を十分に踏まえ、県議会としても、これまで再三にわたり強く求めてきたところであります。  その理由といたしましては、例えば、高松市が整備している屋島山上交流拠点施設につきましては、当初は事業費六億円で計画されていたものが、相次ぐ入札不調により四回目の入札において当初の予定事業費の倍近くの十一億一千八百万円で落札され、工事が行われてきました。さらに、工事の終盤に差しかかり、屋島は天然記念物に指定されているため、地盤調査を実施していたものの、掘削することのできない岩盤の出現により、完成時期が予定より九か月遅れの来年五月末になるとともに、さらなる事業費の増額が必要となる事例が間近で発生しております。  一方、新県立体育館の建設工事費等は百九十億円で計画されておりますが、先日の我が会派の今後の県政運営等に対する代表質問に対して知事からは、県の財政状況は大変厳しく、新型コロナウイルス感染症による県内経済への影響も踏まえれば、従来にも増して効率的かつ効果的な財政運営が求められており、徹底した事務事業の見直しを行う中で歳出削減策を検討し、持続可能な財政運営の新たな指針を策定したいとの答弁がありました。このような状況からも、今後、仮に請負契約後の賃金や物価変動等により変更が生じる可能性があったとしても、あらゆる方策を講じることにより最終的な建設工事費を百九十億円に抑えることがコストコントロールの面からも非常に重要であると考えております。  そこで、厳しい財政状況の中、将来の本県の持続的発展に欠かすことのできない事業である新県立体育館の最終的な建設工事費を百九十億円に抑えるため、予算管理等についてどのような方策を講じようとしているのか、知事にお伺いいたします。  また、本県立体育館のメインアリーナは、アリーナと交流エリアとの間に壁を設けない構造としていますが、これは同等規模のアリーナとしては全国に例を見ない構造となっています。通常、アリーナにおいて行われるコンサートに参加する場合、まずは外部より扉を開けて施設内に入り、入場券等の確認を行っていただき、通路や階段を通ってアリーナ入り口の扉を通ってアリーナ内に入っていくという二重構造となっていますが、本県立体育館は通路として利用される交流エリアとアリーナの間に壁や扉がないために、通常のアリーナでのコンサートとは全く違った運営方法が求められます。この構造の場合、アリーナと交流エリアの間の遮音が全く行われないことから、コンサート中の入場券の確認や物販、一時的な観客の休憩場所などに交流エリアは活用できません。また、通常アリーナと異なり、遮音が交流エリア外周壁のみとなるため、アーティストが嫌う外部への音漏れを封じ込むこともできません。  私自身、住民の方々から新県立体育館の建設において様々な議論が行われている理由をよく聞かれますが、デザイン重視はもとより、このことを説明すると、ほぼ全員の方が納得し、アリーナの構造に対して不安視されてしまいます。また、比較的詳しいと思われる方々の中にも、このような構造であることを理解している方は非常に少ないと感じています。なぜ、このような全国初の構造の社会実験を、様々に厳しい状況に置かれている本県で行わなければならないのか、疑問でなりません。  そこで、交流エリアとアリーナが一体となっている他に類を見ない構造形式であることと、それに伴うデメリットをどのくらいの関係者が理解していると考えているのか、また、このような構造、デメリットを利用関係者にいつの段階でどのように詳しく周知していくのか知事にお伺いし、一般質問を終えさせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。
     浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)氏家議員の御質問にお答えいたします。  まず、デジタル化の推進についてであります。  議員御指摘のとおり、先月、国においてデジタル社会の実現に向けた重点計画が策定され、今後、国、地方、民間等が一丸となり推進すべき取組が示されたところであります。こうした動きを踏まえ、県においても今後、生活、産業、行政のあらゆる分野のデジタル化を進めるため、現在策定中のかがわデジタル化推進戦略(仮称)には、従来のやり方にこだわらず、技術の進展を踏まえた新たな取組を積極的に取り入れてまいりたいと考えておりますが、まずは、それらを支えるデジタル社会の基盤整備とデジタル人材の育成につきまして、今年度から取組を進めてまいります。  具体的には、デジタル社会の最も基礎的な構成要素となるデータの有効活用を促進するため、行政等が保有するデータを県民の皆様や企業等が利用しやすい形で積極的に公開するオープンデータ化の取組を充実させるとともに、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードについても各市町と連携し、より一層の普及を図ってまいります。  また、デジタル人材の育成につきましては、昨年十一月に開設したSetouchi─i─Base(セトウチ・アイ・ベース)を拠点とした、AIやIoT、アプリ開発等に関する講座の開催に加え、新たにアイデアコンテスト等の実施などに取り組むほか、職員のデジタル化の意識醸成を図るため、デジタル技術を活用した行政サービス改革についての研修を実施することとしております。  医療の情報化につきましては、全国に先駆け、全県的に取り組んできた医療情報ネットワーク、いわゆるK─MIXにおいて、本年四月からかかりつけ医と中核病院、薬局が双方向で診療情報等を共有し、利便性の向上に努めているところであり、加えて、全国で初めて患者の病歴や治療歴等を診察に活用するシステムを構築し、新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場での問診に活用するなど、先進的な取組を行っております。今後とも、国における検討も踏まえ、本県で構築してきた情報通信技術を用いた医療基盤を十分活用しながら、医療の効率化・高度化に積極的に取り組んでまいります。  さらに、時間を置かずにできることから始める取組としましては、既に整備している県民の皆様から県への各種の手続に係る電子申請・届出システムにつきまして、より一層の充実を早期に図ってまいります。  私といたしましては、デジタル化は目的ではなく手段であるという考えの下、スピード感を持って施策展開を図り、県民の皆様一人一人がデジタル化による利便性を享受し、主役となって活躍できるデジタル社会の形成を目指してまいります。  次は、四国デスティネーションキャンペーンを契機とした観光振興についてであります。  四国デスティネーションキャンペーンは、本年十月から十二月までの三か月間、JRグループ六社が中心となり実施するものであり、全国から四国に向けた集中的な送客が図られることから、落ち込んだ観光需要を回復し、本県への誘客を図る絶好の機会であります。  このため、県では、四国各県や四国ツーリズム創造機構と連携して、昨年十一月に全国の旅行会社を対象に開催した全国宣伝販売促進会議において、新しい観光素材やモデルコースなどの情報を提供し、商品造成や送客の働きかけを行ったところであります。また、現在は県内の各市町や観光協会が推薦する観光地などを取りまとめた専用パンフレット等の販促物を作成しているほか、観光客をお迎えする地域においては、観光協会などが中心となり、おもてなしの準備が進められており、今後は全国のJR主要駅や列車をはじめ、時刻表やテレビCMなどを活用して集中的な宣伝を行う予定と伺っております。  今後の新型コロナウイルス感染症の感染状況につきましては、予断を許さない中ではありますが、昨年実施した宿泊施設等の感染防止対策物品の購入等に対する支援や、各宿泊施設の感染防止対策への第三者による評価、さらには業界団体が行う感染対策の現地検査に加え、今議会に御提案している宿泊施設の感染防止対策設備の導入支援等により受入れ環境を整えることとしており、併せて、こうした取組状況につきまして、県公式観光ホームページやSNSなどで情報発信してまいります。  私といたしましては、四国デスティネーションキャンペーンにより高まる四国への注目や、キャンペーンを機に構築された旅行会社との関係を十分活用するとともに、今年度新たに取り組むワーケーションやアウトドア観光などの新しい旅行スタイルに対応した、多様な客層に向けた旅の提案を行うことで、継続した誘客活動につなげてまいりたいと考えております。  次に、高松港におけるアクセス機能の強化についてであります。  高松港では、これまで約十六ヘクタールの埋立てを伴う国際物流ターミナルの整備を進めるなど、物流機能の強化を図ってきたところであり、こうした整備効果を生かすためには、高松港におけるアクセス機能の強化を図ることが重要と考えております。  議員御指摘の本町踏切への対応につきましては、当該踏切が琴電連続立体交差事業の都市計画の存廃と密接な関係があることから、琴電連立検討委員会の中で検討を進めております。今年度は、主要踏切やその周辺の交通量等の現況調査を実施して、交通対策やまちづくりの姿の検討を行っており、連続立体交差事業の都市計画の存廃について一定の結論を得たいと考えている来年度末に向け、検討を深めたいと考えております。また、道路管理者である高松市では、平成二十八年十一月に本町踏切渋滞等対策検討委員会で取りまとめた暫定整備計画に基づき、本町踏切における交差点改良工事に今年度着手する予定と伺っております。  一方、高松環状道路の高松市寿町以東の道路整備につきましては、先ほど申し上げた連続立体交差事業の都市計画の在り方とも密接に関連することから、まずは国において、昨年度に計画段階評価を進めるための調査箇所とされた高松市寿町から檀紙町までの区間につきまして、今後とも国に対し、直轄事業としての早期事業化を要望してまいりたいと考えております。  私といたしましては、引き続き国や高松市と連携し、高松港におけるアクセス機能を強化することで、高松港がより一層本県経済の発展に資する港となるよう努めてまいります。  次は、新県立体育館の整備についてであります。  新県立体育館の実施設計につきましては、県議会をはじめ、イベントやスポーツ関係者等各方面の御意見を承りながら取りまとめたものであり、多目的アリーナとしての機能性や利便性を確保するとともに、工事費等についても適切に見込んでおり、建設工事の着工に向け、今議会に建設工事費と工事監理費、合わせて百九十億円の債務負担行為を補正予算議案として御提案したところであります。  建設工事費の遵守につきましては、議員御指摘のとおり、私といたしましても極めて重要な課題として取り組んできたところであり、その算出に当たっては、施工段階においても増額が生じないよう、地盤調査結果に基づき、くい工事の工法検討を行うとともに、ドーム部分の鉄骨建て方につきましても、具体的に想定される施工方法・工期に沿って工事費を積み上げるなど、工事の際に起こり得る懸念事項について、できるだけ想定した上で、工事発注までの物価上昇分も見込み、予算額を算定したところであります。新県立体育館の工期は三十二か月と長期間にわたり、物価や労務単価の変動を予期することは困難ですが、仮に物価上昇等により工事請負契約金額の増額が必要となる場合においても、建設工事費の遵守については十分意を用いなければならないと考えており、例えば、工事後半に施工される外構や内装仕上げ等の内容見直しによる減額などの対応について幅広く検討を行い、可能な限り全体としての増額幅の圧縮に努めてまいります。  観客席後部に壁がないことにつきましては、アリーナ面と観客席、交流エリアに一体感をもたらすとともに、大空間にすることにより、コンサート時の音響障害の低減など、快適な音環境に寄与するものでありますが、議員御指摘のとおり、防音や遮光、空調効率や物販場所の確保などの懸念事項もあり、これまで県議会においても御議論いただいてきたところであります。これらにつきましては、基本設計の段階から、コンサート等のイベント主催者や舞台設営業者、県内のスポーツ競技団体等に図面等をお示しし、実際の利用方法をお伺いしながら検討を進めてきたところであります。実施設計においても、県議会や利用される方々からの御意見を参考に、防音合わせガラスや電動遮光カーテンの採用、適切な居住域空調、利用者動線の新設などの対策を施すとともに、運営のしやすさに配慮した諸室配置の見直しや、イベント時の途中入退場にも対応できる設備の追加も行いながら設計を取りまとめ、その内容につきまして、改めてイベント主催者等に御説明したところであり、おおむね御理解をいただいていると考えております。  また、県民の皆様に対しましては、現在、県ホームページにより新県立体育館の特徴等をお知らせしているところでありますが、今後は広報誌による周知も行いたいと考えており、新県立体育館を利用される方々に対し、引き続き丁寧に説明してまいります。  私といたしましては、県民の皆様の待ち望む新県立体育館が、利用しやすく魅力ある施設となるよう、全力で取り組んでまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして農政水産部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)新池農政水産部長。    (農政水産部長新池伸司君登壇) ◯農政水産部長(新池伸司君)氏家議員の農業の担い手確保に向けた取組についての御質問にお答えいたします。  県ではこれまで、認定農業者や集落営農組織など核となる担い手の確保・育成に取り組んできましたが、今後も農業者の減少や高齢化が見込まれる中、このままでは将来にわたって農業生産や農地の維持管理を行うことが厳しい状況となっております。こうした中、本県農業を持続的に発展させていくためには、地域の実情も踏まえつつ、これらの担い手に加え、議員御指摘の兼業農家や定年帰農者、さらには兼業就農者、いわゆる半農半Xなど、多様な形で農業に関わる人材を幅広く確保・育成するほか、農業生産活動や農地の維持管理作業等を支援する仕組みを導入するなど、新たな発想を取り入れながら地域農業を支える多様な担い手づくりに取り組む必要があると考えております。  そこで、これまで農業に携わっていない兼業農家の子弟や農業経験の浅い定年帰農者の方などに、農業を身近に感じていただくための入門出前講座を県内各地で実施するほか、今年度新たに、水稲の基本技術を学ぶ農業入門セミナーを開催することとしています。  また、地域における農業を支援する新たな仕組みとして、農業生産活動や農地の維持管理作業等を共同で受託する農業支援グループの組織化を、今年度から進めてまいりたいと考えております。このため、来月から県内全域でグループを担う人材の掘り起こしに向けた周知を広く行うとともに、農業改良普及センターに窓口を設け、各市町等と連携した組織化の支援のほか、グループでの作業に必要な機械導入等の助成も行ってまいります。  県といたしましては、こうした新たな取組を通じ、本県農業の持続的な発展と活力ある農村づくりに向け、意欲ある多様な担い手の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁は終わりました。  県の一般事務に関する質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)お諮りいたします。  委員会審査のため、七月九日を休会といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ◯副議長(高城宗幸君)御異議なしと認め、そのように決定いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、七月十二日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時二十一分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....