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  1. 香川県議会 2021-02-01
    令和3年[2月定例会]総務委員会[総務部、危機管理総局、人事委員会、公安委員会] 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 高城委員長  理事者の説明は、一昨日の委員会で聴取しておりますので、直ちに総務部及び人事委員会関係の質疑、質問を開始いたします。 松岡委員  私からは、多文化共生のまちづくり促進事業についてお伺いします。  6月の総務委員会で、「私の地元は、比較的外国の方との触れ合いを大切にしてきた地域でありますが、近年、企業や農業での就労目的等で来る新たな外国人との交流ができていないと感じており、さらに、交流の機会がほとんどないので、どこに、どんな外国人の方が住んでいるのか、住民同士でも把握できていないという現状があるため、交流イベントや外国人を受け入れる環境づくりが大切で、それを支援することが必要ではないか。」という質問をしたところ、知事公室長より、外国人自身が地域住民の一人であることを十分に自覚して、様々な行事に積極的に参加するなど、自ら地域に溶け込んでいこうとする姿勢が大事であるので、どういった支援ができるか、しっかり検討していきたいという御答弁をいただきました。  そういった中で、来年度の当初予算に、地域での多文化共生の推進の核となる人材育成の体制づくり技能実習生をはじめとする外国人との交流を通じて、地域の活性化を目指すため、新たに「多文化共生のまちづくり促進事業」に取り組むことになったとのことですが、具体的に、どのように外国人住民日本人住民が共に、地域の活性化を目指すのかをお伺いします。 尾崎知事公室長  多文化共生のまちづくり促進事業は、今定例会で294万3千円の予算をお願いしているところですが、この事業については、この委員会での議論も含め、これまで約3,000人の県内在住の外国人を対象にしたアンケートや、県政モニターアンケートの結果、市町や日本語ボランティア団体などの関係団体の方々との日々業務に接する中での意見などを踏まえ、外国人の方は積極的な交流を求めていることや、日本人側においても、交流や相互理解の場が必要であるとの声があったため、立ち上げに至りました。この事業は、自治体国際化協会の補助金を受け、事業の実施場所は綾川町を考えています。  この事業は、自治会活動や地元に密着した地域交流イベントを通じた日本人住民外国人住民の交流や相互理解のための場の設定と、それを支える「多文化共生のまちづくりサポーター(仮称)」の人材育成を、2つの大きな柱として実施していきたいと考えています。  具体的な内容については、綾川町や県国際交流協会と協議を進め、この事業は地域全体での取組を目指していますので、夏頃までには、地元自治会や学校、警察、企業など幅広い分野の方々の参加協力をお願いし、それらの方々との連絡会を開催し、御意見も参考にしながら、外国人住民日本人住民が交流する各種の行事や、それを支えるサポーター養成講座などを実施していきたいと考えています。  また、これは自治体国際化協会の補助金をいただいているため、取組の事業成果を積極的に他の市町等にも紹介し、横展開を図りたいと考えています。 松岡委員  綾川町は私の地元ということもあり、この分野に関して興味を持っています。地域の理解や住民の声を聞き、綾川町全体を巻き込みながら取り組んでいただきたいと思います。人口減少が続く綾川町ですが、その内訳を見ると、地域を支える若者が大きく減少しています。代わりに増加しているのが外国人であり、この5年間の総数で179人増加しています。その内訳は、143人が20歳から39歳の若者です。また、5年前と比べ、現在、2倍の286人の外国人が綾川町に住んでいます。  高齢化が進んで日本人の住民が減少する中、その地域に関わる外国人の方も、同じ住民として、経済活動だけでなく地域活動にも参加していただき、地域を支えていくことが、さらに活性化にもつながるのではないか思います。  これは、綾川に限ったことではなく、県全体でも言えることだと思います。今、コロナ禍で難しい状況ですが、落ち着けば、減っていくのではなく増えていくのではないかと思います。だからこそ、外国の方の受入れ体制や社会の在り方を整えていく必要がありますし、このような交流の機会を多く持つ意味はあると思います。  多文化共生のまちづくりには、人と人とのつながりが一番大切であると思います。日本語が拙く、右も左も分からない外国人にとっては、ちょっとしたことを聞くことができる環境があるかないかで違ってくると思います。例えば、民間企業では、新入社員が入社してから職場に定着して業務に慣れるまでの期間、先輩社員が教育担当者として面倒を見るバディ制度があります。日本に初めて来た外国の方も、日本社会のルールやマナー、生活知識、書類の書き方など、ちょっとしたことを相談できる世話役的な方がいれば、安心感が違ってくると思います。  そこで、「多文化共生のまちづくりサポーター」とは、一体どんな役割をしているのか、どのような目的や考えがあるのか、お伺いします。 尾崎知事公室長  サポーターは、外国人住民日本人住民のつなぎ役ということで、委員御指摘のバディ制度をイメージしています。この事業の実施場所として綾川町をモデル地域とした背景をまず説明いたします。綾川町は、技能実習生をはじめ、外国人住民の方がかなり増えてきていること、オイスカ四国研修センターがあるため、早くから国際交流協会の活動が地域で盛んであり、県下の中でも取組が進んでいることから、事業の実施場所として選定しました。先進的にサポーターになっていただく方は、これらの取組を経験されている方に、まず御協力いただきたいと考えており、サポーターの役割をこれから決めていく中でも、そういった方の意見をお聞きしながら、サポーター養成講座作りにも参加していただきたいと考えています。  いずれにしても、現在、綾川町に限らず、国際交流に携わっている方が御高齢になっている地域があるという実態がありますので、サポーターには、事業終了後も外国人住民日本住民双方のニーズをしっかり酌み取っていただき、地域に根差して、多文化共生のまちづくりを進めていただきたいと考えています。これからサポーターの役割や人物像など、綾川町や地域の方などとも話し合いながら、委員のお話のあった外国人の相談役的な役割なども担っていただけるよう、しっかり関係者と意見交換していきたいと思っています。 松岡委員  「香川県全体的に外国の方はいるが、触れ合える機会がない」、「外国の言葉を学びたいのだが、そういう場所がない」などと興味を持っている方や交流したいという若い方はたくさんいます。どこまでこの取組の声が届くのか、発信力が大事になります。こういった方に興味を持ってもらうことで、高齢者の方の若返りにもつながるのでないでしょうか。  同じ日本人同士であっても、ほかの地域から来た方と親しくなるまでには、時間がかかります。ましてや外国人となると、言葉の壁もありますので、ますます難しさがあると思います。だからこそ、日本人でも、帰化された方でも、あるいはその地域に長く住む外国人の方でもいいのですが、外国の方とその地域住民とを結ぶつなぎ役、中心人物となる人材を掘り起こしていかなければいけないですし、つくっていかなければならないという意味においては、まちづくりサポーターは大事な役割になると思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  最後、要望になりますが、交流イベントなどでも、その機会をつくるだけでなく、外国人の方や地域の方の声を聞いていただきたいと思います。お互いが文化の違いを認め合い、理解を深め、地域社会の一員として共に生きられるよう、改めて多文化共生の理解を根づかせていただきたいと思います。この輪が綾川だけではなく、県全体に広がれば、必ず本県の強みとなると思いますので、頑張って取り組んでいただきたいと要望して私の質問を終わります。 松本委員  私からは、次期「かがわ多文化共生推進プラン」の作成についてお尋ねします。  香川労働局のまとめによると、2020年10月末時点での県内で働く外国人労働者数は、昨年同期比で2.4%増の1万422人であったということです。新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用情勢の悪化などが影響したようですが、前年からの増加率が6年ぶりに10%を下回ったということでした。国籍別で見ると、ベトナムが3,184名、中国が2,782名、フィリピンが1,481名、インドネシアが905名の順番で、ベトナムが全体の30.6%、中国が26.7%で、上位4か国合計で全体の約8割を占めており、ベトナムが中国を上回って今回初めて最多になりました。
     また、在留資格別で見ると、技能実習が前年同期比で0.9%増の6,275名で最多となっており、次いで、日本人との配偶者身分に基づく在留資格が1,860名、留学などの資格外活動が896名と続き、2019年4月に新設された特定技能による在留資格が農業や食品製造業への活用が進んだこともあり、前年同期と比べて4.4倍の53人でした。外国人を雇用する事業者も8.4%増え、1,777か所で、様々な業種で外国人の雇用が進んでおり、特に事業の規模が小さい30人未満のところが1,150か所で、全体の6割を占めたようです。小規模な事業者では、外国人の方々が大きな力となって、地域のコミュニティーでも御尽力いただいているということです。  今、グローバル化が進んできて、せっかく香川に来てもらった方々に、雇用だけでなく、香川県の文化や地域になじんでもらうためには、かがわ多文化共生推進プランをしっかりやっていかなければいけないと思っています。  このプランに関しては、令和2年度が最終年度でしたが、コロナ禍を踏まえ、策定時期を変更し、上位計画である県総合計画に合わせ、次期プランを来年度に作成するということで、策定予算が来年度の予算に計上されています。  これまで議会での質問に対して、外国人住民に関する施策については、指針であるプランに基づき実施してきたとの答弁をいただいてきました。そこで、来年度に策定する次期プランについて質問する前に、次期プランの前提である現在のプランの実績と評価、取組内容とその経過についてお尋ねしたいと思います。 尾崎知事公室長  かがわ多文化共生推進プランは、上位計画である県の総合計画の下位計画として、平成28年度から今年度までを計画期間として、大きく5つの施策体系で取り組んできました。「コミュニケーション支援」、「生活支援」、「防災面における支援」、「暮らしやすい地域づくり」、「体制の整備」の5つの体系に基づき、多文化共生の推進を図っているところです。  計画については、アイパル香川ホームページアクセス数や通訳等のボランティア登録者数を数値目標として掲げて取り組んでいます。  この現状を申し上げますと、まず、ホームページアクセス件数ですが、目標値は今年度末で15万件を設定していますが、今年度の状況は、12月末現在で約8万件であり、3月末までの達成は厳しい状況であると考えています。また、通訳のボランティア登録者数の指標ですが、1月末現在で354名で、登録のボランティア数の目標値が436名ですので、大きく下回っています。これは、様々な要因がありますが、今年度は、コロナ禍での影響等により各種イベント等を中止したことや、海外からの観光客が減るなど、ボランティアが活躍する場が少なかったということで、数値目標については厳しい状況です。  一方で、この5年間の大きな取組として、県のアイパル香川と連携し、在留手続や雇用、医療、福祉など外国人住民からの生活に関する相談をワンストップで行う「かがわ外国人相談支援センター」を令和元年度の4月に開設しました。  また、委員御指摘のとおり、この5年間の計画期間内に外国人がかなり増え、その多くは技能実習生ですが、県としても、多文化共生の取組を続けています。意欲ある市町等に対し、1団体当たり50万円を上限に様々な市町の取組を支援する「多文化共生のまちづくり推進モデル事業」を立ち上げ、今年度は、高松市で、イスラム教徒のハラールに対応した「多言語食べ物表記ガイド」の作成や、坂出市では、「在住外国人のための生活ガイドブック」の多言語化の取組を支援しています。  外国人住民によるアンケートでは、前回の計画策定時の平成27年度に実施した結果と比較すると、日本人が親切であるという好印象については、前回の53.8%から60.9%と7.1ポイント増加し、冷たいという負の印象については11.7%から8.3%と、3.4%減少しています。徐々にではありますが、県内における多文化共生の雰囲気が、このような効果に表れているのではないかと思います。数値目標については、コロナ禍の影響等もあり、厳しい状況ですが、県としては、多文化共生の取組を、様々な新規事業を立ち上げながら取り組んできたことによる変化ではないかということで、一定の取組成果があったのではないかと考えています。 松本委員  新型コロナウイルス感染症が始まった頃、ちょうど昨年の今頃ですが、外国人から、「どこで情報を取っていいのか分からない」という話がありました。自国のホームページなどを自分の言語で見やすいということで見るのですが、日本全体のニュースや都会などの情報はニュースなどで流れるらしいのですが、特に香川県のような地方では、コロナの発生も少なかったため、世界的な情報の中で、香川県の情報を調べるのは厳しかったようです。  私は、アイパルや県のホームページなどで情報を取れると説明をしました。ホームページアクセス数の数値目標で15万回であったのが、8万回だったというお話がありましたが、これを機会に、事業者などにも、積極的に周知すべきだと思います。担当者も、3年に一度くらいの頻度で人が代わっていきますので、途切れる場合があるかもしれませんが、周知することにより、アクセス数が増えることにつながると思います。  また、国際交流団体ボランティアが高齢化している問題については、ボランティアの方々がしっかり活動できる場をつくりながら、今やってくれている方の子供などが活動しやすい環境づくりをすることも、ひとつヒントになってくるのではないかと思います。次期プランの策定に当たって、現在のプランの実績や評価をお尋ねしましたが、これらを踏まえて、明日の香川づくりのための施策を検討する必要があるのではないかと思います。  そこで、今後、多文化共生の社会づくりに取り組むために、次期プランの内容及び策定のスケジュールについてお伺いします。 尾崎知事公室長  まず、プランの策定スケジュールですが、上位の総合計画の骨子案が出てきていますので、それを踏まえ、下位計画である「かがわ多文化共生推進プラン」については、3月に策定委員会を開催したいと考えています。有識者や国際交流に関わっている団体の方、大学の先生などに参加いただき、意見をお伺いする場を設けたいと思っています。この場では、アンケートの結果や県内のこれまでの成果などを示して、様々な御意見をいただきたいということで、今後、数回程度開催する予定です。また、県議会にも御意見を伺いながら、最終的には総合計画のスケジュールに合わせて策定していきたいと考えています。  それで、次期プランの内容ですが、総務省でも、「地域における多文化共生推進プラン」を設けており、昨年の9月に改定されました。その中で、多文化共生施策を推進する今日的意義として、「外国人住民による地域の活性化やグローバル化への貢献」や「地域社会への外国人住民の積極的な参画と多様な担い手の確保」などが掲げられています。これは、我々とも同じ考えであり、この辺りが次期計画の中心になってくると思いますので、今後、議論を進めていく中でいろいろ御意見を伺いながら骨格をつくりたいと思っています。  また、現プランは、平成27年度、東日本大震災の後に更新した計画なのですが、外国人への防災面での支援を重視して取り組んでおり、事業としても、外国人の方の防災訓練などを市町と連携し実施しています。今回のアンケート結果でも、かなりの外国人の方が防災面で不安に思っているとの結果をいただいていますので、次期プランでも、引き続き、防災面については取り組んでいきたいと考えています。  いずれにしても、いろいろな関係の方の御意見をいただき、また、パブリックコメントなども実施しながら、計画策定に取り組んでまいりたいと考えています。 松本委員  最後に、要望ですが、先日、鳴門市の副市長とお会いしました。今、徳島県は2015年から2045年の30年間で約25万人の人口が減ると予測されているそうです。そのうち、生産年齢である15歳から64歳が、この30年間で3.5万人減るということで、鳴門市の場合は1.5万人減るそうです。では、今、外国人の方はどの程度いるのかというと、1,000人を超えているそうです。鳴門市としては、これから市としてやっていくには、外国人の力がすごく大事であるので、私にヒントをくれないかということで、いろいろと意見交換をしました。先ほどの議論と同じで、地域になじむことや、災害対策で協力しながら交流を深めること、また、研修生だけでなく、香川県でも1,800人を超えて結婚されて住んでいる方もいます。先日も、東南アジアの方とお会いして、日本で結婚して20年過ぎたという方とお話をしたのですが、大学に留学で来て、恋愛をして日本で住んでいるとの話でした。外国から来られているので、いろいろなパイプを持っており、住んでいる香川県のために頑張ってみたいが、なかなかそのきっかけがないというお話もしていました。せっかくこういったプランをやるのだから新しく来る研修生だけではなく、既に来られている方にもしっかりとアプローチをして、アイパルで行うイベントなどを通じて、お誘いをしながら、みんなでほんわか、多文化交流をしていくのも一つのやり方だと思います。  香川県も人口減少の中で、県内経済の活動には、技能実習生をはじめとした外国人の住民に依存していかなければならなくなってきていると思います。外国人住民に香川県のことを知っていただきながら、地域住民とよりよい関係を築いていくことが重要ではないかと思います。外国人住民の異なる文化的背景や視点を生かした地域活性化に貢献する機会をつくる取組も大切だと思います。今後とも、外国人住民日本人住民とが、共に地域づくりに取り組める多文化共生の社会づくりができるようなプランをつくっていただきますよう強く要望して質問を終わります。 森委員  私からは、外国人児童日本語対策についてお伺いします。  現在、県内に多くの外国人の方が来ています。大人たちは、自分の意思で香川に来ていますが、全員が単身で来ているわけでなく、子供たちと一緒にこの香川に来ている方たちも多くいますし、これからも増えていくと思います。  日本の小・中学校義務教育制ですから、当然、就学年齢になれば小学校や中学校に行くわけですが、その子供たちは、日本語が堪能な子供ばかりではないと思います。そうなると、言葉が分かりませんから、小学校、中学校へ行っても、調和が取りにくいし、独りぼっちになる状況が多々あると思います。不自由感を覚えると思います。ほとんどの日本人の子供たちは、言葉の壁はありません。沖縄や東北から来たといっても、基本的な日本語は分かります。数学などの教科がわからない子供に特別授業などをしていると聞きますが、日本語が分からない子供への特別事業はされていないと思います。しかし、学校で学ぶには、基本の言葉が大事だと思います。  三豊市で夜間中学校を設置するという話が出ていますが、この夜間中学は、学校に行けなかった外国人の大人が対象ですので、子供たちを対象とした学校が必要ではないでしょうか。子供たちの中には、いずれ香川に定住する子供たちも含まれると思います。特に、中国の帰国子女の方たちが来た時期に、言葉が分からないため地域や学校に溶け込めず、一部暴徒化したことが一部マスコミで報道された時期がありました。言葉が分かり、周りと協調できたり、つながりができれば、そういうこともなくなると思います。  そういう意味で、県が音頭を取り、小さな子供たちを対象に、県内3か所ぐらいの各地区に分けて、言葉を教える場を設けるべきではないでしょうか。県で難しいのであれば、各市町に委嘱する形で、まず日本語を覚えてもらい、協調したり友達になったりする状況ができれば、それ以降の学校での対応も変わってくるのではないかと思います。教育委員会というよりは、県として、言葉だけを教えられる施設があればいいと思いますが、県の考え方をお伺いします。 尾崎知事公室長  今、現状では、外国人の小・中学校の児童・生徒の場合、言語教育の中心は県教育委員会等で、外国人児童・生徒が在籍している学校や市町教育委員会の要請に応じ、日本語指導のための教育活動支援員を派遣しています。高松市のように、独自で支援している自治体もあります。  県国際交流協会では、県教育委員会からの要請などに応じて、小・中学校日本語指導教科学習補助を行うボランティアの派遣に取り組んでいるところです。また、夏休みや春休みの期間中、県内在住の外国にルーツを持つ子供たちが、生活や学習に必要な日本語を学ぶことができる日本語教室アイパル香川で開催しています。  現在、県内11の市町で日本語教室日本語サロンが、土日や平日の夜に開設されており、ボランティアの方や市町と連携するなど、様々な形態があります。  言葉の壁の問題は大事なことだと思いますので、現状をさらに調べ、検討してまいりたいと思います。 森委員  私も、基本は教育委員会で取り組むことだと思う一面、学校の基本とするのではなく、学校でやるのであれば、時間も、小・中学校の時間帯にやることになるし、当然、教育委員会がやるのであれば、その時間を外してすることになります。ですから、多くの子供たちが時間内にやっている中で、別のところで子供たちだけ、学校規模の中でやるというのは、少し違和感があります。そういうのでなく、外国人の方に集まっていただいて、小さなお子さんから中学生ぐらいまでが言葉を覚える中で、県などが支援できればいいと思っています。市町が今やっていると言うのですが、基本的には教育委員会レベルの話です。ですから、学校の勉強についていくためということが基本であるため、社会に適応するという、コミュニティーの中での生活を考える中で、学校を外して、別でやれるようにすればいいのではないかと思います。  こういう言い方をすれば教育委員会に怒られますが、学校は、変に規定すると、子供たちは嫌います。そうではなく、もっと遊びの中でというか、子供たちだけで、それを認識した上で支援していただける仕組みをつくることが大事だと思います。1か月したらこれだけの成果がなければいけない、とか、半年すればこういう成果がなければいけないというのではなく、そこへ通うことによって、気がつけば、ある一定のレベルの言葉がしゃべれて、聞けるという、そういう感覚で対応できればいいのではないかと思います。  どうしても人間は成果を求めますから、成果がでないと、教えるほうも、そのレベルでやっていこうとするのが今の教育だと思いますので、そういうのを取っ払って、取りあえず聞けて話せるとか、書くのは、それができてから小学校へ行ってでも、中学校へ行ってでもいいと思います。端的な例が英語教育で、日本人は話せない、聞けないのですが、文章は分かるという部分もあります。そういうのではなく、まず話せて認識できるという、そういう感覚を、ぜひ教育委員会を外して、県としてできないかということです。県ができないのであれば、市町などに、できる施設もしくは状況をつくっていただけるような支援をお願いできないか、お伺いしたいと思います。 尾崎知事公室長  言葉の壁ということで、先ほど来の議論で、言葉がしゃべれないと、多文化共生や、積極的に地域の行事に参加することに対して、積極的になれないことは御指摘のとおりであり、学校のレベルについていく前の日常的な会話のことと思いますが、確かに日本に来て、ある程度の日常会話ができれば、いろいろな活動に参加でき、また学習意欲も湧いてきて、しっかりと取り組んでいけます。外国人住民への支援の一つとして、言葉は重要であることは認識しています。  先ほど申し上げたとおり、こうした取組は、県よりは、市町に対して日本語教育をしていただくことではないかと考えていますが、今後の策定プランをつくっていく中で、そういった課題も含めて、関係団体等の方なり有識者の方の御意見もお伺いしながら、県としてどういった事業が取り組むことができるのか、しっかり考えていきたいと思います。  現在、日本語教室のない市町に対しては、国の事業ですが、地域日本語教育スタートアッププログラムというのがあり、そちらの支援メニューで、現在、宇多津町が取組を進めていると聞いています。こういったプログラムの策定に、県も参画して、協力を行っているところです。  また、先ほど委員が申し上げました三豊市の夜間中学についても、県教育委員会に確認すると、県教育委員会から検討委員会に参加して、いろいろと側面的な支援を行うと聞いていますので、こういった様々な取組を市町が積極的に行えるよう、支援をしていきたいということ、また、主体的にできることにつきましても、今後の計画策定の中で検討してまいりたいと思います。 森委員  いろいろ考え方もあるし、難しい部分もあろうかと思いますが、私自身が思っているのは、県教育委員会市町教育委員会から発信するというのではなく、なぜ県からかというと、それぞれの子供たちが、いずれ帰る子供たちもいるし、香川県に定着する子供たちもいるわけです。帰る子供たちは、この日本のよさをその国で発信していただきたいし、定住する子供たちは、定住人口を増やすという言い方でいくと、プラスになると思います。  ですから、本当に子供たちが気楽に来て、気がついたら、言葉がある程度分かって話せるようになっていたという経験があると、子供たちは積極的にいろいろな地域行事や地域の人たちと触れ合うことができるし、積極的な対応ができるようになると思います。どうしても消極的な対応をすると、日本人は言葉が分からないだろうという認識の中で、無視とは言いませんが、聞こえないふりや知らないふりになってしまいますが、たとえ片言でも、日本語的な言葉で対応されると、大人たちも、分からないことがあるのかなと、言えば分かってくれるとかといった対応ができると思います。そういう意味で、それぞれの市町なりに県として金銭的な支援も含めた積極的な支援をしていただきたいと思います。  教育委員会を見ている限りでは幅が狭いので、広く県としていろいろな情報を取って、市町の教育委員会などもそうですが、こういう事例があると、もし対応するのであれば、こういう対策の中でやっていったらどうかと、そういった助言を積極的にしていただき、多くの外国人の子供たちが、この香川という土地に来てよかったと、そう思えるような状況をつくり出していただきたいと思います。積極的な対策を心からお願いして、私の質問を終わります。 谷久委員  私からは、税収見込みと納税者への対応等についてお伺いします。  政府や民間シンクタンクが、景気の持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあると判断していることなどを勘案すると、来年度の税収見込みにおいては、今年度にも増して税収不足が考えられます。来年度の一般会計当初予算案における税収は、今年度予算額に比べ105億円余の減少となっていますが、主要な税目を挙げて、具体的にどのように見込んでいるのか、お尋ねします。 東田総務部長  令和3年度の当初予算においては、県税収入全体で1151億円余を見込んでいますが、令和2年度と比較し、率にしてマイナス8.4%、額にして105億円余の大幅な減収としています。個人県民税、法人二税、地方消費税が全体の約4分の3を占めますので、これらについての見込みを御説明します。  個人県民税については、330億円余、対前年度比マイナス3.3%、11億4100万円余の減収と見込んでいます。具体的には、昨年12月時点において、令和2年度の調定見込額を348億円余と試算し、これを土台として、個人住民税は前年所得に課税されることから、令和2年度の個人所得は減少するであろうと想定し、その減少幅としては、内閣府の「年央試算」においてGDP成長率が名目でマイナス4.1%程度であることを勘案して見込んでいます。  法人二税については、法人事業税について224億円余、対前年度比マイナス14.2%、約37億700万円の減収を見込んでいます。具体的には、令和2年度の調定見込額を263億円余と試算した上で、その見込額を令和2年11月末実績額における大企業、中堅企業、その他の企業の調定額割合で按分した上で、法人の業種、規模ごとに国の「法人企業景気予測調査」12月期の経常利益の対前年度増減率を乗じて推計しました。また、法人県民税についても、法人事業税と同様の推計を行った結果、これら法人二税全体では、対前年度比マイナス17.7%の大幅な減収を見込んでおります。  ただし、国においても、令和3年度の国の法人税収については対前年度マイナス25.4%と、さらに大幅な減収を見込んでいます。これらを分析したところ、県における法人事業税については、令和元年度実績ベースで法人事業税収の約42%が所得に影響しない外形標準課税の対象法人であることから、国の法人税ほど、本県の法人二税は企業業績の悪化の影響を受けていないと分析しています。  最後に、地方消費税については、300億円余、対前年度比マイナス7.2%、約23億4200万円の減収を見込んでいます。この地方消費税については、国内取引に係る譲渡割と輸入取引に係る貨物割から成りますが、具体的には、譲渡割については、令和2年度の調定見込額を261億円余と試算した上で、令和3年度の消費は減少するであろうと想定し、内閣府の「年央試算」における名目成長率の伸び率を考慮して推計しています。また、貨物割については、本県特有の事情として、輸入総額の約3割を占める石炭の輸入が対前年度比マイナス44.9%程度と大きく落ち込んでいることを踏まえて試算したところです。  今年度の税収見込みについては、現在、税務課において精査中ですが、法人二税を中心に厳しい状況であり、来年度の税収についても、今申し上げたとおり、厳しさは続くものと考えておりますので、これまで以上に適正課税に努めつつ、税収の確保についてしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。 谷久委員  先ほど部長から、税収の確保に努めていきたいと御答弁いただきましたが、税収の確保の取組にしても、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、納税したくても納税ができないという事業者や個人の方々がいるのではないかと思っています。  新型コロナウイルス感染症の影響により、事業収益が対前年比で20%以上減少し、一度に納付が困難になった納税者に対し、無担保で延滞金もかからず、1年間の税金の納付を猶予する「徴収猶予の特例制度」が昨年4月に新設されましたが、どのくらいの申請があり、どのように対応したのか、お伺いします。  また、新型コロナウイルス感染症がこのまま終息するとは考えられませんが、2月1日の申請期限が過ぎた後に、なお納税が困難な納税者に対して、今後どのように対応するのか、併せてお伺いします。 東田総務部長  徴収猶予の特例については、昨年5月1日より受付を開始し、期限である今年の2月1日までに477件の申請があり、その全てを許可しています。猶予額の合計は5億3700万円余であり、約9割は法人からの申請となっています。  今回の「徴収猶予の特例制度」の申請期限は、2月1日までとなっていますが、感染症の影響により、申請できないことにつき、やむを得ない理由があるときは、期限後の申請であっても柔軟に対応していきたいと考えています。  また、「徴収猶予の特例制度」が適用できない場合であっても、既存の徴収の猶予や換価の猶予について丁寧に納税者に説明し、できる限りこれらの制度を適用してまいりたいと考えています。 谷久委員  柔軟に制度を適用していただけるということで、納税者の方々は少し安心されるのではないかと思います。  このコロナ禍にあっては、金融機関などの窓口まで行かずに納税できる環境を整えることも必要ではないかと思います。昨年2月定例会の一般質問で私から「キャッシュレス化の推進」について質問させていただき、昨年9月定例会の我が会派の代表質問でも、「県税収納におけるキャッシュレス決済の導入」について質問しましたが、知事から、11月から利用できるよう準備を進めていると答弁のあった「PayPay」や「LINE Pay」の導入状況を含めたキャッシュレス化について、現在どのような状況になっているのか、お伺いします。 東田総務部長  納税におけるキャッシュレス化として、本県は、平成20年度から「クレジット収納」、令和元年度からは「インターネットバンキング」や「eLTAX」での収納を行っており、また、昨年11月からはスマートフォン決済アプリの「PayPay」及び「LINE Pay」を利用した収納を導入しています。  今年1月末までの今年度の収納件数では、全体が44万1000件余のうち、「インターネットバンキング」による収納が1万2000件弱、「スマートフォン決済」による収納については、昨年11月に導入したばかりであるため、3か月間で280件程度と、まだ利用者は増えていませんが、新型コロナウイルス感染症への対応もあり、非接触型のキャッシュレスでの納付の機運は高まっていると考えています。  県民に身近な税金である今年5月の自動車税の納付からは、納付全体の8割以上が窓口納付やコンビニ納付の接触型の納付ですので、インターネットバンキングやスマートフォン決済というキャッシュレスによる収納が相当増えてくると思いますし、増やしていくべきだと考えています。  例年、5月中旬に知事と新規採用職員による「自動車税納税キャンペーン」を実施していますので、こういった場も活用しながら、スマートフォン決済アプリによる納付についてしっかりとPRし、非接触型のキャッシュレスによる納付率を高めていきたいと考えています。 谷久委員  新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方に対して、今後とも丁寧な対応をお願いすると同時に、「3密」を回避する意味合いでも有効な手段として、キャッシュレス化を推進していただくようにお願いして、私の質問を終わります。 樫委員  1点目は、人権相談・支援事業の推進についてお伺いします。  本県では、県民の人権に関する様々な悩み事について、相談・支援事業を行っていますが、今年度の相談・支援の件数と特徴について、お尋ねします。  併せて、いわゆる「コロナ差別」についてですが、県内でも感染者や家族、医療従事者らに対する差別が相次いでいると言われています。インターネットの掲示板やSNSでは、感染者を特定しようとする書き込みが目立つほか、医療従事者がタクシーへの乗車を拒否されるといったケースもあると聞いています。「コロナ差別」は人権の侵害であり、絶対にあってはならないことだと思いますが、この現状についてもお伺いします。 松崎人権・同和政策課長  本県では、平成19年度から、人権・同和政策課内に人権相談員を置き、主に電話による相談を受け付けています。人権相談員においては、相談内容に応じ、適切な助言、関係機関への紹介、取次ぎを行っています。今年度の相談件数は、1月末現在で、電話相談150件、面接相談1件で、合計151件となっており、特定の数名からの近隣トラブル相談が多くなっているのが特徴です。また、新型コロナウイルス感染症に関する相談は10件で、感染者への誹謗中傷や医療従事者への差別などに関する相談が寄せられています。  コロナ差別の現状についでですが、感染者等からの相談については、健康福祉部において相談窓口を設けていますが、個人情報であり、具体的な情報提供は受けていないため、総務部において差別の全体像は把握できていません。  先ほど申し上げた人権・相談窓口に来た10件のコロナ関係の相談については、内容に応じて担当部局に情報提供しているところです。 樫委員  コロナ差別については、健康福祉部と連携しているということですが、大変な状況であると聞いています。うわさがうわさを呼ぶということで、実態と違う話に発展していることもあると聞いています。  コロナ差別を許さない啓発活動は、県民ぐるみで展開する必要があると思いますが、その点はいかがでしょうか。テレビや新聞を見ていると、シトラスリボンを作って啓発活動を行うという動きもあるようですが、こうした啓発活動について、どのような方針を持たれているのか、お尋ねします。 松崎人権・同和政策課長  差別、中傷等が大変な状況にあるということですが、人権相談事業に加え、本県では、昨年の4月1日からインターネットの監視活動も行っています。人権侵害につながると思われるものについては、サイト管理者に情報提供し、削除してもらっています。  全県的な啓発活動については、シトラスリボン運動が香川県でも広がっていることは承知しています。当課においては、人権・同和行政を所管する立場として、新型コロナでの差別も許さないと、県民総ぐるみで展開する啓発活動「NOコロナハラスメント啓発キャンペーン」を、昨年8月17日から展開しています。この啓発活動は、各市町をはじめ、学校や地域の団体、企業や個人までもが実施主体となって、啓発キャンペーンに取り組んでいただく「参加型」、「ボトムアップ型」のアプローチを組み込んだものです。県の人権啓発マスコットキャラクターの「人権かがやきくん」を用いたロゴマークを作成し、市町や学校をはじめ、これまでにキャンペーンに賛同していただける企業・団体など約200団体へ配付、また、知事や市町長を含め31のメッセージ動画や、11件の啓発ポスターを御提供いただき、県のホームページに掲載するなど、キャンペーンの拡大を図っており、差別に反対する方々の声が表に出て、差別に苦しむ方々を応援する啓発キャンペーンとなっています。 樫委員  県民総ぐるみで啓発活動を展開しているとの積極的な内容のお話しがありましたので、今後も、「コロナ差別を許さない」という取組をさらに積極的に展開していただきたいと強く要望して、次の質問に入りたいと思います。  これも、いわゆる人権侵害につながるのではないかという観点でお尋ねしますが、改正感染症法、それからコロナ改正特措法について、立ち入ってお話をさせていただき、見解を求めたいと思います。  これは、罰則を導入することが国会で通り、14日から施行されましたが、この論議の中で、日本公衆衛生学会や日本疫学会の共同声明では、新型コロナウイルス感染症の患者や感染者に対する偏見や差別、医療従事者への差別が報告される中、これらの事態に対処せずに、個人にのみ責任を押しつけることは倫理的に受け入れられないという立場で批判をされていましたし、ハンセン病家族訴訟弁護団は、現行の感染症法は、日本政府が過去にハンセン病患者などへの人権侵害を行った歴史的反省を踏まえて成立したことに触れ、罰則による一方的な入院調査等の強制は、患者等の人権を不当に侵害するものであって、憲法違反と言わざるを得ないと、法案そのものの撤回を強く求めていました。こうした世論の批判もあり、刑事罰は削除して過料にとどめるということになったわけですが、こういうことが、私は人権侵害や制約につながるのではないかと思います。この点について、総務部長はどのように受け止めているのか、お尋ねします。 東田総務部長  うわさ話やSNSなどで新型コロナウイルス感染症に感染された方やその家族に対する差別、また、誤った情報により感染していない方々への差別が広がっており、医療関係者やその家族までもが、いわれもない差別で苦しんでいます。  このような不当な差別や偏見、誹謗中傷は決して許されるものではないと認識しています。その上で、本年2月13日に施行された改正感染症法等については、飲食店等の営業時間短縮など、新型コロナウイルス感染症対策の実効性を確保するために改正されたものと認識しています。  担当部局は健康福祉部となりますが、実効性を確保するために、一定の権利制限を行うことはやむを得ない部分もあるかと思いますし、罰則の適用など、実際の運用に当たっては、人権侵害事案が発生することのないよう、慎重に運用していただきたいと考えています。 樫委員  罰則としては、入院拒否や保健所への調査拒否、虚偽回答といった場合に過料が科せられるということですが、誰が認定して、誰が罰則を科すのかなど、どのような流れになるのか、お示しいただきたいと思います。 東田総務部長  改正感染症法の罰則の適用については、担当部局は健康福祉部となるため、申し上げる立場にありませんが、一般的に、その罰則である過料の具体的な手続としては、非訟事件手続法の過料事件の規定に基づき行われることとされていますので、認定し、罰則を科すのは裁判所になると考えています。 樫委員  その場合、医療機関、医療関係者などが認定していくと思うのですが、そうなると、医療機関、医療関係者の負担が増え、本来、コロナ抑止に集中すべきであるのに、そういった問題まで入ってくると、大変になるのではないでしょうか。そうなると、患者との信頼関係にもひびが入って、医療関係者と患者の間で疑心暗鬼になるのではないでしょうか。また、罰則を恐れるあまり、検査結果を隠したり、検査を受けなくなるなど、感染状況が把握しにくくなり、さらに感染抑止が困難になるおそれがあるのではないかと思いますし、改正感染症法は、民間医療機関に対して、厚労省や都道府県知事がコロナ患者の受入れを勧告し、従わなかった場合には機関名も公表するとしています。コロナ危機による医療機関の減収があるにもかかわらず、そういう制裁を科してまで医療機関に協力を求めるということに、問題があるのではないかと思うのですが、その辺りについてはどういうお考えでしょうか。 東田総務部長  個別法の運用や医療機関への支援については、担当部局でないため、申し上げる立場にありませんが、一般的には、信頼関係等は重要であって、関係者の理解と協力をいただきながら、この施策を進めていくべきであると考えています。 樫委員  そのようにやっていただきたいと思いますが、この改正特措法では、緊急事態宣言で営業自粛などの要請に応じない業者に知事が命令を出し、従わない場合は30万円以下の過料を科し、また、まん延防止等重点措置では、時短営業などの命令に従わない事業者に20万円以下の過料が科せられるということですが、重点措置は知事が市町村や地域を限定して実施することができるとなっています。この法の第45条では、要請や命令をするにあたり、専門家の意見を聞く必要があると書かれているのですが、どういう機関をつくって意見を聞くようになるのでしょうか。憲法で保障された私権制限にあたるため、慎重にしないといけないと思うのですが、お答えいただきたいと思います。 東田総務部長  何度も申し上げているとおり、この個別法に関する担当部局でありませんので、私から申し上げる立場にありません。 樫委員  そうであれば、健康福祉部に対して、慎重にするように、申入れをしていただきたいと思います。  それと、国や地方自治体が「支援に必要な財政上の措置を講ずる」ということも書かれていますが、実際には、営業自粛や時短に対する補償の規定がありません。自粛と補償は一体でやらなければならないと思いますが、その点について、法に規定がないというのはどういうことなのでしょうか。  最後に、時事通信の世論調査を見ると、事業者への罰則について、不要が49%、必要が32%で、不要という意見が上回っています。また、罰則について、人権に配慮した運用に努めなければならないと政府も言っていますが、そう言わざるを得ないこと自体、人権侵害の危険性を示していると思います。そういう点で、人権侵害はあってはならないという立場をきちんと示していただきたいと思います。健康福祉部と連携しているということでしたが、そういう立場でやっていただきたいと思うのですが、併せて御答弁をお願いいたします。 東田総務部長  まず、事業者に対する支援について、こちらも担当部局でないため、申し上げる立場にありませんが、様々な考え方があるのではないかと考えています。  人権侵害はしないという明言についてですが、新型コロナウイルス感染症による不当な差別、偏見、誹謗中傷など、人権侵害はあってはならないものと認識しています。人権行政を総括的に所管する部長として、人権侵害事案が生じないよう最大限努力していきたいと考えています。 樫委員  それぞれの立場でしっかりと対応をお願いしたいと思います。  最後に、デジタル化推進における個人情報保護についてお尋ねします。  来年度より、新たな行政課題や県民ニーズを踏まえ、政策部にデジタル戦略総室を設置するということですが、このデジタル化の推進の中で、プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権であり、今必要なことは、このデジタル化の中で個人情報を保護し、情報の自己決定権を保障する制度をしっかりと整備する必要があると思っています。  その立場で何点かお尋ねしますが、2020年度版情報通信白書によると、企業などが提供するサービスを利用する際に個人データを提供することについて、8割が「不安を感じる」と答えています。インターネットを利用する際に感じる不安については、「個人情報や利用履歴の漏えいの割合」が88.4%にも上っています。この結果をどのように受け止めておられますか。  また、全国のマイナンバーの取得は約25%にとどまっており、昨日の質疑でも、本県はそれをさらに下回っているというお話がありましたが、マイナンバーカードの取得が進まない原因は、政府が個人情報を掌握、管理することについて、国民が強い不信を抱いているからではないかと私は思うのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。 尾崎知事公室長  まず、情報通信白書における御指摘のアンケート結果などの調査結果の受け止めについてですが、その調査結果を見ると、最近では、スマートフォンの普及や高機能化等に伴い、例えば、商品の支払いがスマートフォンから簡単に行えるようになるなど、デジタル化の推進に伴い、国民の方々がインターネットに接する機会が増えたことから、個人データの提供やその活用、漏えいに多くの方が不安に感じているという結果ではないかと認識しています。  また、マイナンバーカードの取得が進まない理由については、所管は政策部になりますが、さきに知事の答弁にあったように、現時点では用途が限られていることや、御指摘のような安全性に対する不安があるようでありますが、現在、政策部で利便性だけでなく、高い安全性を有していることなどについても、各市町と連携を図りながら広報・啓発に努めていると承知しています。 樫委員  デジタル化の推進に当たっては、県民の個人情報を守るという立場から、個人情報保護条例を見直す必要があるのではないかと思います。私は、情報の自己決定権について明記すべきだ思いますが、この点についてはいかがでしょうか。 尾崎知事公室長  個人情報保護条例の見直しについては、直ちに見直す状況にはないと考えています。  ただし、現在、国では、デジタル化の推進に伴い、個人情報の保護の万全を期すため、個人情報に関する法律が「個人情報保護法」、「行政機関個人情報保護法」、「独立行政法人等個人情報保護法」の3法があり、個人情報の取扱いが、それぞれ法律によって、民間、行政、独立行政法人と異なっていますが、その3法を1本の法律に統合すること、それから、地方公共団体の個人情報保護制度についても、その3法統合後の法律において全国的な共通ルールを規定するということで改正法案が通常国会に提出され、現在審議されているところですので、県としては、この国会の審議や国の動きを注視し、条例の改正等について検討してまいりたいと考えています。  また、情報の自己決定権についでですが、現在、香川県の個人情報保護条例については、県の各実施機関が保有する個人情報については、条例の第14条で、本人からの開示、請求権、第28条には訂正権、第36条には利用を停止する権利、停止請求権を規定しており、個人の権利利益の保護を図っているという状況です。 樫委員  日本の国会審議の流れと世界の流れには大きな開きがありますし、個人情報が今の国会審議の模様でどのように進んでいくか分かりませんが、個人情報が全部だだ漏れになり、企業に全部流れるなど、これが進んでいくと、国民を監視するようなことになっていくのではないかという不安の声も多く出ています。  そういう状況の中で、今、デジタル先進国と言われる国では、個人のプライバシーを守り、安全性やデータ保護を確実にする規制やルールの設定、監視機関の設置が進んでいます。EU諸国や、台湾、韓国などでは、自分のデータの完全削除・消去と利用停止を求める権利、忘れられる権利などと呼ばれているそうですが、自分のどのような情報が集められているかを知り、不当に使用されない権利などの情報の自己決定権が確立をされています。こういうことをやっていかないと、国民の不安は拭い切れないと思います。
     また、フランスやデンマークでは、個人データ保護局を設置して監視を強めており、ドイツでは、患者データ保護法を制定して医療保険加入者の信頼を高めているとされているようです。  私は、国に対し、個人情報保護法の見直しと、今申し上げた制度の確立、これらを県として、国に対しても強く求めていくべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。 尾崎知事公室長  先ほども申し上げましたとおり、現在、国において個人情報保護制度の見直しが行われているところです。これに対して、これまでも県では、全国知事会デジタル社会推進本部を通じ、国の法律改正に対し、意見を申し上げる機会を設けており、個人情報保護条例の法による一元化を含めた規律の在り方などについて意見を申し上げているところです。  いずれにしても、デジタル化は、コロナ禍で推進されていく流れの中にありますが、個人情報の保護について、適正な管理に努めていくことに変わりはありませんので、引き続き、国の動きを注視しつつ、必要であれば全国知事会とも連携を図りながら、意見等を国に申し上げていきたいと考えています。 樫委員  最後に、このデジタル化の推進に当たっては、個人情報保護の規定をしっかりと充実させるという立場で取り組んでいただきたいと強く要望して質問を終わります。 高田委員  まず1点目に、高病原性鳥インフルエンザ防疫業務に従事した職員への対応についてお伺いします。  11月定例会において、部長自らこの防疫作業に参加しての御感想をお聞きしました。そして、県職員の皆さんの幾度もの動員の状況や、健康管理についてもお聞きしたところです。現状、終息していると思いますが、今後の備えも必要であります。  そこで、今回、最終的に延べ何人の職員が動員されたのか、どういう作業に延べ何人という形でお答えいただきたいと思います。併せて、今回の対応で、人事管理の面で、今後に向けての教訓があったのかどうか、お尋ねします。  そして、この劣悪な作業の手当が、290円では安過ぎるではないかと申し上げました。今回、2,000円を遡って支給するということで、質問した私自身、驚いているところですし、すばらしい対応に感謝したいと思います。  しかし、この2,000円が適用になるのは、汚染地域内での作業のみだと聞いています。動員者の中で、どの程度の割合が2,000円の適用になるのでしょうか。同じように劣悪な作業をされた方は、同じ手当にしていただきたいと思いますし、そういう意味では、もっと適用範囲を広げるべきではないのかとも思います。  また、フォークリフト等の運転については、たまたま免許を持っている方がフォークリフトの運転をし、作業ができたので役に立ったということで、こちらも特殊勤務手当の根拠にもなるのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。 東田総務部長  まず、今回の鳥インフルエンザは、13件もの事例が集中的に発生するという全国的にも例を見ないものであり、令和2年11月5日から12月25日までの約1か月半にわたり、発生地における殺処分、消毒、資材調整、作業従事者の健康調査などの要員として、家畜防疫に本来業務として従事する職員を除き、延べ約1万1000人の県職員を動員し、合計179万羽の殺処分を行ったところです。  人事管理面での今後の教訓についてですが、私自身が作業した中では、作業中のインターバルが必要といった声も聞こえたところですが、今回の鳥インフルエンザの対応については、今後、農政水産部で全体的な検証が行われることとされていますので、その中で、この動員も含めた防疫の体制についても、併せて検討してまいりたいと考えています。  また、今回の防疫作業は、発生件数、発生頻度、作業量、動員数、1人当たりの動員回数も多く、特に汚染区域内における防疫作業については、職員の心身両面に与える影響も著しく大きいものであったことを考慮し、その特殊勤務手当の額については例外的に措置するため、今定例会に条例の一部改正議案を提案させていただいています。具体的には、防疫作業に従事した職員のうち、獣医師に対する特殊勤務手当が日額880円、汚染区域内において作業に従事した職員が日額290円であるところ、いずれも日額2,000円に引き上げるようお願いしています。  動員された職員のうち、日額2,000円の特殊勤務手当が支給される職員については、家畜防疫に本来業務として従事する職員のほか、それ以外の動員者延べ1万1000人のうち、約8割の方が対象となる見込みです。  また、その適用範囲ですが、この鳥インフルエンザの防疫作業に係る特殊勤務手当については、作業が著しく不快、不健康であることだけでなく、病原体への感染のおそれがあることに着目して設けられているものですので、「病原体に汚染されている区域」において行う作業について支給することとしています。  最後に、フォークリフトの運転に対する特殊勤務手当についての考え方ですが、今回の鳥インフルエンザの防疫作業については、殺処分した数十羽の鳥の死骸を入れた袋を作業所内で移動する場合や、その死骸を入れた袋や感染のおそれがある大量の卵を入れた袋を埋却場所に運搬するためのトラックに積み込む場合に、フォークリフトの使用が必要となり、その免許を有している職員に協力をいただいたところです。  フォークリフトを運転した場合に支給する特殊勤務手当については設けていませんが、フォークリフトの運転の多くは、この病原体に汚染されている区域で行われている作業であることから、今回提案させていただいている鳥インフルエンザの防疫業務に従事した場合における日額2,000円の特殊現場作業手当が支給されるものと考えています。  特殊勤務手当の新たな創設については、国や他の都道府県との均衡を考慮するとともに、社会経済情勢の変化、民間の状況等にも留意しながら、その必要性を適宜・適切に検証してまいりたいと考えています。 高田委員  樫委員の人権の質問の中で気がついたのですが、テレビに、防護服の背中に大きく名前を書いていた画面が出ていたような気がします。高病原性鳥インフルエンザという、ウイルス関係の作業に関わって名前が出るということは、例えば、珍しい名字の方であれば完全に特定されるし、体格で分かるということがあるかもしれません。そういう意味で、まずかったのではないでしょうか。これはマスコミが悪いのでしょうか、それとも、こちらから画像が出たのでしょうか。その辺り、突然ですが、思いついたので教えてください。 東田総務部長  基本的には担当の農政水産部になるとは思いますが、私も防護服を2枚着て、名前を背中と胸に書いていました。もともとテレビで放映されることを想定したものではありませんので、テレビに映る際には、通常であれば、マスコミが配慮すべきものかと思います。  では、なぜ名前を書いているかということですが、農政水産部が検討したと思いますが、私自身の経験上、中に誰が入っているか、顔が全く見えない状況になりますので、その身分、県職員なのか、それ以外の方なのか、または、その作業内容、殺処分に従事しているのか、フォークリフト作業に従事しているのか、そして、名前を書くことによって何かがあった場合に、その方をすぐ特定して対応できるようにしているものであると思います。 高田委員  そういう意味で、名前を書くのはいいのですが、それにより、作業従事者の子供などが、何らかの差別やいじめがあるかもしれないぐらいは頭を回してほしいと思います。というのも、マスコミが勝手に出したのであれば、抗議はしておかないといけないでしょうし、コロナハラスメントと一緒で、同じような意識を持っておかないと、普通どおりと思っていたのでは駄目なのではないかと思います。これは、コロナの人権の問題とも重なるような気がしましたので、そのあたり意識をしていただきたいとお願いしておきたいと思います。  2点目は、行財政改革基本指針についてです。  9月定例会だったと思いますが、尾崎委員からの質問に答える形で、指導力の育成のため、グループ制の見直しの一環として、グループリーダーの年齢の引下げを検討しており、補佐級38歳、自治大組は30代半ばとするとの答弁がありましたが、これはいいことだと思います。ただ、年齢を引き下げることも一つの手法だと思いますが、それだけでは不十分だと思います。逆効果であるかもしれません。ですから、県職員の人材や能力をどのように生かしていくのか、今のグループ制で生かし切っているのかという検証をしていただきたいと思います。メリット、デメリットについては、9月定例会でお話をいただきましたが、これを検証するためにどのような手法で検証し、どのような課題があるのか検証する必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。 東田総務部長  県では、平成13年度から本庁を対象にグループ制を導入し、組織のフラット化を推進してきました。このグループ制を運用する中で、グループ制については、意思決定の迅速化など当初考えていた効果が現れている一方で、部下を持ち、部下の指導や育成を行う時期がグループ制の導入前より遅いことから、中堅職員の管理能力や指導力が十分に育成されにくい、グループリーダー昇任までの職員のモチベーションの維持が難しい、グループリーダーの業務が加重になっている、などの課題も見受けられたことから、これまでサブリーダーの設置やグループ規模の適正化を行ってきました。グループ制のメリットを維持しながら中堅職員の管理能力や指導力の育成といった点については、一定改善していると考えますが、なお課題が残っていると考えています。  また、このグループ制については、導入から20年近く経過しており、職員にとっては、一定浸透している組織運営体制だと思いますが、現在は、グループ制を導入した当時3,500人程度だった職員数が、2,800人程度になっていることや、30代半ばから40代半ばの職員が総体的に少なくなっているなど、職員数や職員の年齢構成も大きく変化していることから、この点も踏まえ、本県の組織運営体制を見直す時期に来ているのではないかと考えています。  こうした点を踏まえ、今回の見直しに当たっては、基本的な考え方として、意思決定の迅速化、職員の総戦力化、組織全体の活性化といったグループ制のメリットも残しつつ、課題となっている中堅職員の管理能力や指導力の育成を図りたいと考えており、現在のグループ制を維持しつつ、グループリーダーである課長補佐への昇任を前倒しすることで、中堅職員の管理能力や指導力の育成を図りたいと考えています。  また、委員から御指摘のあった、それだけでは不十分ではないかという点についてですが、この指針を策定するに当たり、外部有識者による行財政改革推進会議の意見を聞いています。この会議の中において、グループリーダーへの年齢引下げに関して、委員から、「40代前半でいきなりリーダーとなって部下を持つというのは、民間企業ではあまりない」ということで、この引下げについては肯定的な意見が出され、それについて、他の委員からも異論はありませんでした。  一方で、「部下を持つ年齢を引き下げることは必要だが、部下がいない状態で、いきなりグループリーダーから部下を持ち、さらに、そこに仕事が集中することの問題点について、何らかの対応を行うことを検討してもよいのではないか」といった意見もいただきましたので、サブリーダーを複数設置するなど、職場のコミュニケーションの活性化を図るための取組を進め、次世代を担う職員を育む組織づくりを行う旨、今回の指針に明記していますので、今後、このような観点からも検討を進めたいと考えています。 高田委員  サブリーダーを複数配置する、そして、少し早い段階から部下を持つ経験をするという検討は当然必要だと思います。ただ、研究職や少数職場など、そういうところをどう対応していくのか、そことの格差が出ないのだろうかと思います。この行革基本指針の中には2つのことが書いてあって、様々な職務を経験することで職員の能力を向上していく、これはゼネラリストの考え方なのだろうと思います。それと併せて、分野ごとのスペシャリストとしての複線型人事のことも書いてあります。このバランスが難しいと思うのですが、何が県政に役に立つかというと、職員が自分の得意分野で天職だと思う、例えば、情報処理の仕事のスペシャリストとなるとか、福祉のスペシャリストなど、そういうことがあると思います。スペシャリストとして、職員の天性の能力を県民のために引き出せれば、もっと県民のためになると思います。そうなったときに、逆にポストがなくなって給料が上がらないなどということがあっては、スペシャリストの方も全然やったかいがないことになりますので、このあたりを含めて、人材、そしてその能力を最大限活用できるような、得意分野を生かすことができ、賃金についても、それなりに対応できることを目指していただきたいことをお願いして質問を終わります。 尾崎委員  今、高田委員からお話がありましたが、私自身も、スペシャリストを県でも育てていかなければいけないと思い、スペシャリストを養成して取り組んでいける人事管理を進めていくべきだと申し上げてきましたが、なかなかそういった方向に進んでいないというのが現実の姿ではないかと思います。  県庁職員全ての職員と言ってもいいぐらい、多くの職員がゼネラリストを目指しています。ところが、全ての職員がゼネラリストとして必要とされていません。そうした中で、それぞれの優秀な県庁職員の能力が生かせることが大事なのだと思いますが、それぞれの能力を生かすためには、いわゆるスペシャリストとして生きていく道を選んでいくことも、一つの大きな課題であると思います。  なぜそういう方向に進んでいかないのかを考えていましたが、一つには、スペシャリストのきちんとした位置づけができてない、そして、同時に処遇です。ふさわしい処遇が得られるかどうかが未知数であります。そこで、ほかの制度であるチャレンジ制度を設けてどうでしょうか。その中で、それぞれの能力を生かしていくことが必要であると思っています。  難しい時代ですし、それぞれがそれぞれの思いを持って県庁職員として働いているわけですが、そういう視点から、スペシャリストを目指そうとする意識を持てるようにするためにも、処遇の改善も含め、制度改正をしていくことが肝要でないかと考えていますが、部長の御意見をお聞きしたいと思います。 東田総務部長  県では中間層、具体的には、副主幹以上の職員がスペシャリストとしてのキャリアを選択できるよう、複線型人事制度を平成24年度から実施しています。具体的には、専門知識や経験が必要とされる困難業務等の分野、情報、税務、県産品振興など12分野において、希望する職員の中から任用することで、通常は3から4年の人事異動サイクルをさらに延ばすことにより、その専門性を図ろうというものです。これまでに17人の専門職、スペシャリストを配置してきたところです。  また、来年度からは、より若い世代がスペシャリストとしてのキャリアを選択できるよう改正を行っています。具体的には、応募資格について、副主幹または係長級10年以上の職員ということで、最短で41歳以上の方が応募できるところを、今回、副主幹または係長級歴4年目以上の職員ということで、最短で35歳以上の主任の方も、応募が可能となるような改正を行っています。  また、現在、スペシャリストとして専門職に任用されると、その後8年間、勤務を続ける必要がありましたので、この期間が少し長過ぎて、複線型人事への応募をちゅうちょする声がありましたので、この期間を8年から6年に短縮する改正を行っています。  高度化、複雑多様化する行政課題に対応していくためには、高度な専門知識を有するスペシャリストの重要性というのは増加してきていると感じており、この複線型人事管理制度の活用、そして見直しを行いながら、その育成に努めてまいりたいと考えています。  併せて、スペシャリストとなった方々に対する処遇についても、委員の御指摘も含め、研究してまいりたいと考えています。 尾崎委員  要望にとどめますが、いわゆるスペシャリストを目指そうとする意欲をさらに進めていくためにも、処遇の改善等を含めて諸制度の整備を心から要望して終わります。 高城委員長  以上で、総務部及び人事委員会関係の質疑、質問を終局いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) 高城委員長  御異議なしと認め、総務部及び人事委員会関係の質疑、質問を終局いたします。  暫時休憩いたします。  午後は、1時から再開をいたします。  (午前11時47分 休憩)  (午後 0時58分 再開) 高城委員長  再開をいたします。  これより、危機管理総局及び公安委員会関係の質疑、質問を開始いたします。 西川委員  私からは、犯罪被害者等への支援について、質問させていただきたいと思います。  さきの11月定例会において、犯罪被害者等支援条例が議決され、今年の4月から施行されることになりました。まずは、私から、条例制定に御尽力をいただいた職員の方に感謝を申し上げたいと思います。  そこで、いよいよ4月から、この条例に基づき、具体的に支援策が実施されるわけですが、おととい総局長から支援策に関する指針の骨子についての説明がありました。改めて、今後、具体的に、どのように進めていこうと考えておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。 寺嶋危機管理総局長  骨子案を御説明させていただきました犯罪被害者等支援に関する指針については、昨年の11月定例会において御議決いただいた香川県犯罪被害者等支援条例に基づき、県が、県警察や庁内各部局、教育委員会をはじめ、犯罪被害者等早期援助団体である「かがわ被害者支援センター」などの関係機関等と連携して実施する様々な具体的な支援策を体系的に整理し、犯罪被害者等支援を総合的かつ計画的に推進するため、策定するものです。  このたび、これらの関係機関等からも御意見を伺い、指針の骨子案を作成いたしましたが、この骨子案で御了解いただければ、関係機関等と引き続き調整を行いながら、5つの重点課題である「損害回復・経済的支援等への取組」、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」、「刑事手続への関与拡充への取組」、「支援等のための体制整備への取組」、「県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」について、詳細な内容を取りまとめ、本年4月からの条例施行に合わせて、指針を運用できるよう取り組んでまいりたいと考えています。  また、指針に盛り込む具体的な支援内容等については、広く県民の方々に知っていただく必要があることから、県の広報誌「THEかがわ」4月号や県のホームページへ掲載するとともに、県弁護士会などの関係機関に対しても周知したいと考えています。  併せて、各市町に対しても周知し、市町における犯罪被害者等支援施策の充実が図られるよう働きかけてまいりたいと思います。 西川委員  次に、肝腎の具体的な支援策について伺いたいと思いますが、さきの定例会では、私の質問に対し、総局長からは、かがわ被害者支援センターが実施している弁護士相談や、臨床心理士による心理カウンセリングの拡充などを例に挙げ、これまでの支援の取組を整理した上で、さらに充実させたいとの答弁があったと記憶しています。また、見舞金制度について、現場の声を踏まえ、ぜひとも導入してほしいと私から要望をしたところ、前向きに検討したいとの答弁をいただいたと記憶しています。  さきに説明のあった支援策に関する指針の骨子を見ると、「見舞金の給付」という項目もありました。4月からの条例の運用に際して、支援策として新たに導入しようとするものや、拡充する主な施策について、もう少し具体的にお伺いしたいと思います。 寺嶋危機管理総局長  現在、具体的な内容については調整中ですが、主な事業としては、弁護士相談や心理カウンセリングに関する相談体制の拡充、また、見舞金給付制度の創設、再提訴費用の助成、さらには、県独自の「犯罪被害を考える週間」による広報啓発などを行いたいと考えています。  これらのうち、まず、弁護士相談や心理カウンセリングに関する相談体制の拡充については、かがわ被害者支援センターが、現在、それぞれ、月2回実施している定期の相談に加え、被害者等のニーズに柔軟に対応できるよう、基本的に随時受付できる体制にしたいと考えています。まず、これらにより被害直後の支援が手厚くなるものと考えています。  また、見舞金給付制度については、国の犯罪被害給付制度が整備されているものの、給付までに一定の期間、平均で半年程度を要しているという実情等も踏まえ、県においても支援策を講じてほしいとの、犯罪被害者や民間支援団体など、現場からの御意見も十分にお聞きした上で、他県での事例も参考にして新たに導入することとしたものです。  給付額については、遺族見舞金として、犯罪被害者が死亡した場合に、遺族に対して50万円を、また、重傷病見舞金として、犯罪被害者が負傷し、療養を要する期間が一月以上かつ通算3日以上の入院を要すると医師に診断された場合に、被害者に対して20万円を給付したいと考えています。  それから、被害者等から加害者等に対する民事上の損害賠償請求については、すぐには十分受けられていないという事例もあると伺っており、本来であれば償うべき加害者に対する損害賠償請求を、時効によって諦めてしまうことのないよう、他県での事例を参考に、息の長い支援策として、新たに再提訴費用の助成も行いたいと考えています。  さらに、県民の犯罪被害者等支援に対する理解を深めるため、国の定める「犯罪被害者週間」に合わせ、新たに県独自の「犯罪被害を考える週間」を、11月25日から12月1日に定め、期間中に犯罪被害者等支援に関するパネル展を実施するなど、より一層の広報・啓発を行いたいと考えています。  また、犯罪被害者等支援については、住民に身近な市町との連携が求められることから、全ての市町において、総合的対応窓口でのワンストップサービスや、公営住宅の入居における特別の配慮等を行うことができるよう、今後、研修会などを通じ、市町に働きかけたいと考えています。  いずれにしても、犯罪被害者等支援については、県や県警察、市町、かがわ被害者支援センター、県弁護士会など関係機関や民間支援団体等が連携して取り組む必要があると考えており、条例制定を契機として、より一層連携を深めながら総合的かつ計画的に被害者支援に取り組んでまいりたいと考えています。 西川委員  よく分かりました。要望させていただいた見舞金に対しても、導入していただき、改めて感謝を申し上げたいと思います。  不幸にも突然の犯罪に巻き込まれ、深い悲しみの中、途方に暮れる被害者やその家族に対し、その罪を償うべきは加害者ですが、現実は、加害者にその資力もなく、相応の補償すら受けられないケースが多いと聞いています。私は、こうした犯罪行為は、社会の様々なひずみなどから生まれてしまうという側面もあると思いますので、国において犯罪被害者等に対する相応の給付金制度を設けるのは当然のことであると思いますが、それはそれとして、被害者の身近な県や市町が、被害者やその家族に対して、寄り添って、見舞金も含め、必要な支援をしていくことは、公助として大事なことではないかと思います。ぜひ、県としても引き続き積極的に市や町の見本となり、取り組んでいただきたいと思います。  最後に、こうした支援策について、様々な機関や部署が対応することになると思いますが、被害者やその家族の相談窓口は、前にも申し上げましたが、ワンストップで早急に対応しなければならないと思います。かがわ被害者支援センターがその役割を担っていくと考えていますが、今後、条例制定を機に、センターの相談窓口としての役割は、関係機関の情報連携も含め、ますます重要になると思います。  そこで、県警として犯罪被害者等への支援について、今後、どのように取り組んでいこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。 谷山警務部長  県警察では、平成28年7月に策定した「香川県警察犯罪被害者支援基本計画」に基づき、各種相談やカウンセリング等を通じた心のケア、刑事手続に関する情報提供等や再被害防止等、個々の事情に応じた支援施策を通じて、早期の被害回復や軽減に努めております。  条例が制定されるのを機に、知事部局や公益社団法人かがわ被害者支援センターとの連携をより一層強め、事件・事故の発生段階から支援に必要な情報交換を行いながら、犯罪被害者等に寄り添った支援施策を推進してまいります。  また、司法、行政、医療等の犯罪被害者支援に携わる関係機関・団体等で構成される香川県被害者支援連絡協議会においても、実務担当者による研究会を開催して活性化を図るとともに、犯罪被害者等の置かれている立場の理解を深めるための研修会や具体的事例を想定した実践的なシミュレーション訓練を実施するなど、事案への対応能力の向上を図ってまいります。  このほか、キャンペーン等におけるパンフレットの配布による被害者支援の呼びかけや、中学生、高校生を対象とした講演会「命の大切さを学ぶ教室」の開催、広く県民の参加を募った犯罪被害者等による講演会の開催を実施するなど、様々な機会を利用して「社会全体で被害者等を支え、被害者も加害者も出さないまちづくり」に向けた機運の醸成を図ってまいりたいと考えています。 西川委員  最後、要望で終わりたいと思いますが、これまでも県警では、犯罪被害者や家族に対して様々な面でサポートはしていただいていると聞いていますし、認識もしています。犯罪被害者の状況であったり、心理状態であったりというのは、現場で対応する方が一番分かることであり、これからもよろしくお願いしたいと思います。  犯罪被害者等支援条例が制定され、県でも各種支援策を実施していくことになります。県と県警との連携や市町との円滑な連携が大切になってくると思います。今後、こうした行政機関同士の連携に加え、かがわ被害者支援センターや弁護士会などの関係団体とも十二分に連携して、被害者やその家族には、今まで以上に寄り添ったサポート体制を充実させていただきたいと要望して、質問を終わります。 松岡委員  私からは、防災意識の向上対策についてお伺いします。  先日、2月13日に、宮城、福島で最大震度6強の地震がありました。報道では、多くの方が10年前と同じ揺れだった、当時の記憶がよみがえったという声がありました。津波を心配して避難する住民も相次いだとのことでした。  私も、その報道を聞いた翌朝、ふと思い立って、しばらく確認せずに置いてあった非常用避難袋を確認したのですが、袋を同じ場所にずっと置いてあったため、日に焼けてしまい、持った瞬間に、袋自体が破れてしまいました。危機感を持つようにと、こちらが言う立場であるにもかかわらず、自分自身の危機感が足りなかったと反省した次第です。  昨日も、政策部関係の質疑で取り上げましたが、県民の皆様の意識に、香川県は災害がなく、住みやすいまちだとの認識があるようです。これは、確かにいいことなのですが、それ以上にそのような認識を持っているからこそ、実際に、災害の被害がゼロではないので、気を付けなければならないということを、周知、啓発することが大切であると感じています。  平成16年には、4つの台風が本県に大きな被害をもたらし、8月の台風16号では、高松市の市街地が大規模な高潮被害に遭い、この年は19名の方が風水害で亡くなりました。また、昭和62年の台風19号での被害や、昭和49年、昭和51年には、小豆島で台風の影響による集中豪雨で甚大な被害が出ました。特に昭和51年の集中豪雨では、僅か数日間で1,400ミリという想像を絶する豪雨が小豆島を襲い、土砂災害で50名の方が亡くなったと伺いました。  ですから、本県は、たまたま今まで災害が少なかっただけで、全くないというわけではありません。こうした過去にあった災害を、地域の方は伝え聞いていると思いますが、例えば自分が生まれる前の話であれば、その被害がどこまであったのかという過去の災害の詳細を周知していく必要があると感じています。  本県も、こうした風水害の経験を踏まえ、高潮、津波、河川、ため池の浸水被害や土砂災害に対する施設整備が進められてきていると認識をしています。ただ、ハード整備には、費用も期間もかかるため、おのずと限界もあると感じます。そういったハードとソフト対策のバランスをとることが大事だと思いますが、そのためにも、国土強靱化地域計画に基づき、ハード、ソフト両面から計画的かつ総合的に対策を推進していただきたいと思います。  そこで、1つ目の質問ですが、ソフト対策としては、県民の防災意識の向上、日頃からの災害への備えや適切な避難行動の普及啓発が必要と考えますが、これまでの県民の防災意識の向上対策としての県の取組と、その効果について、どのように考えているのか、また、来年度の取組としてどのようなものを考えているか、併せてお伺いします。 寺嶋危機管理総局長  県では、これまで広報誌やマスメディアを活用した広報のほか、昨年7月の県民防災週間において、防災をテーマとしたシンポジウムを開催するなど、様々な機会を捉えて普及啓発を行っているところです。また、平成26年度には「南海トラフ地震に関するDVD」を作成し、これを活用した防災出前講座等を毎年実施し、昨年度は延べ72回、計4,100名を対象に防災・減災対策の普及啓発を図ったところです。  委員お尋ねの、県民の防災意識の向上施策の効果について、推しはかることは難しいと考えていますが、例えば、平成18年度から毎年実施している県政モニターアンケート調査における過去15年間の推移によると、地域の災害リスク、例えば、南海トラフ地震が発生した場合の被害の予測について、「知らない」と回答した割合が、最初の5年間の平均が35%に対し、直近5年間は平均14%と減少しています。また、家庭での備蓄についても、「していない」と回答した割合が、56%から18%へと大幅に改善しているところです。  一方で、県政世論調査においては、防災・減災対策は、毎年、重要度が高いという結果ですが、満足度は常に低いという状況であり、この理由について、一昨年度に詳細な調査を行ったところ、不満に思っている対策としては、自分や家族で取り組む対策が最も多いということが分かり、その中でも、例えば、家具類の転倒防止対策を実施している割合は低い状況であり、先ほどの県政モニターアンケートの比較でも、家具の転倒防止対策について、「行っていない」と回答した割合は、15年前とほとんど変わらず、60%程度が行っていないという状況でした。  こうした状況から推察すると、地域における災害リスクや備蓄に対する意識は高まっているものの、それを踏まえた具体的な避難準備や防災対策など災害に備えた行動にはつながっていないと思われます。このため、適切な避難行動を考えてもらえるよう、昨年6月末にハザードマップを活用した避難行動のポイントを示したリーフレットを全戸に配布したほか、今年度導入した防災アプリについて、より多くの方々に有効に活用してもらえるよう、来年度以降、様々な広報媒体等を通じて広くPRをしてまいりたいと考えています。  また、家具類転倒防止対策については、なかなか伸び悩んでいるところがありますが、昨年度から、ようやく県防災士会に委託し、転倒防止器具の取付けを支援していただいています。これらをきっかけに家庭での防災対策を促進しており、地道な防災対策につなげる行動を後押しする取組を、来年度以降も力強く頑張りたいと考えています。 松岡委員  家具の転倒防止は、私も以前に質問させていただきましたが、経験者からすると、これが一番であるぐらい大事だということです。置いている場所や、裏の板の具合など、いろいろな要素があります。以前に、家具の転倒防止対策をするといっても、時間がかかったり、人出が足りないということを質問させていただきましたが、大切なことですので、引き続き対応していただきたいと思います。その部分については、市町にも伝えていただき、連携を取っていただきたいと思います。  東日本大震災で「釜石の奇跡」は有名ですが、防災意識の向上と言っても、世代交代していきますし、時代も変わります。そのような中で、子供の頃からの防災教育は、子供から大人が学ぶということもあるでしょうから、大事だと思います。  施策の中で、防災教育連携事業として、「防災教育副読本」を活用した防災教育の推進というものがありますが、どのような事業なのか、お伺いします。 寺嶋危機管理総局長  防災教育副読本については、「地震がやってくる前に みんなで考える香川の防災ブック」と銘を打ち、平成27年10月に作成し、これまで県内全ての小学校に配布して、防災教育用の図書として活用してきましたが、昨年度、リニューアルし、来年度までの3年間で全児童に配布する予定です。授業や避難訓練などで災害や防災を学ぶとともに、児童が副読本を家庭に持ち帰り、家族と一緒に防災について話し合う機会を持ってもらうことにより、防災教育の充実や家庭における防災意識の向上を図ることとしています。  昨年2月に県内小学校を対象にして、防災教育副読本の活用についてのアンケートを実施したところ、避難訓練等の事前・事後学習や総合的な学習の時間、授業参観において活用したり、持ち帰って家庭でも話し合うように呼びかけているということで、学校や家庭での防災教育に役立っているのではないかと考えています。  また、防災教育副読本の実際の活用状況について、昨年度、危機管理課の担当職員が小学校3年生の授業を参観したところ、地震の歴史や津波の起きる仕組みなどを学んだ後、地震が起こったときに自分が取るべき行動を班ごとに分かれて検討し、発表するなど、自分の命は自分で守るということを、身をもって深めている様子がうかがえたと報告を受けています。  東日本大震災での「釜石の奇跡」については、日頃から子供たちが保護者とともに地域を歩いて津波防災安全マップを作成したり、下校時に津波避難訓練を実施していたことが、学校や地域、保護者、行政がワンチームとなって、地域全体で避難することにつながったと思っています。  このように、小さい頃から防災の意識を身につけることが、実際の避難につながるということですので、学校だけでなく、家庭においても地震への備え、家具転倒防止などを、これからも積極的に進めてまいりたいと思っています。本当に地震が起きたときの行動を考えて、地域が一体となって訓練等を実践することにより、いざというときに地域の防災力が発揮できるよう、今後も、教育委員会、市町と連携して、防災教育の充実に努めてまいりたいと思います。 松岡委員  引き続き、しっかりと教育委員会との連携も取っていただきたいと思います。  私がこの防災教育副読本を見て思ったことが、確かに慶長伏見地震や熊本地震など、歴史も大事なのですが、県内でどういうことが起こったのか、あるいは、どの地域でどういった被害があったのかを伝えることが大事だと思います。ここに書いていないところで、先生が授業の中で指導しているのであればいいのですが、せっかく家に持ち帰って家族でお話しをする機会があるのであれば、家族の方にも知っていただきたいと思います。
     また、地域の被害状況を載せるということは、その地形を知ることにもつながります。地形を知ることは、防災において、避難経路を判断するためにも重要です。例えば、香川県はため池の密集地となっていますが、香川県に新しく来た方は、ため池がどこにあるのかを知らない人もいます。もう管理されていないため池や小さいため池もそうですが、自分の住んでいる場所から、少し高台にため池があり、それが崩れてきたときには、被害を受ける可能性がありますので、徹底して、その地域にあった情報を伝えていただきたいと思います。  今の防災教育副読本の情報は、一口メモのようなものしかありませんので、充実していただきたいと思います。なぜかというと、自分が生まれて以降、記憶がある中での出来事は伝えることができますが、体験していないことは分かりません。何年に一度あるかも分からないような状況では、その歴史を知るということが大事ですし、東日本大震災や阪神大震災などでもそうでしたが、後世に残すためにも、記録が大事です。子供はこういったものを見て、家に帰ったら伝えたがると思います。ささいなことかもしれませんが、改めて香川のことを知ってもらう、災害を知ってもらうという意味で、リニューアルする機会があれば、検討していただきたいと思います。 寺嶋危機管理総局長  香川県の地震での事例は入れていますが、全国で何千人も亡くなっている中で、香川県は28人と少ないこともあるので、油断につながることのないよう、香川県での被害状況などをPRして、それを踏まえてどうすべきかということまで、将来的には改訂できるよう頑張りたいと思います。 松岡委員  思いは十分伝わりましたし、携わっている皆様が努力されているのは承知の上で、私の思いを述べさせていただきました。これでこの質問は終わります。  続いて、高齢者の交通安全対策について、お伺いします。  昨年の県下における交通事故情勢については、発生件数と負傷者数は、前年よりも減少したものの死者数は大幅に増加し、4年ぶりに50人を超え、人口当たりの死者数としては8年ぶりに全国ワースト1位になりました。特に高齢者の死者数が前の年から20人増えて44人となり、死者に占める高齢者の割合は74.6%と、1948年に統計を取り始めてから最も高くなったとの報道がありました。  確かに、高齢者の人口が増えているため、それに準ずるものなのかもしれませんが、県警も、高齢者をはじめ、各年齢層やそれぞれの立場に応じた交通ルールの遵守と交通マナーの向上に向けた様々な取組や広報・啓発をしていると思います。特に、運転する際には、「自分の運転能力を理解した上で事故を起こさない運転を心がけてほしい」と呼びかけています。特に高齢者は、加齢による身体能力の衰えもあり、若い運転者に比べて事故に遭遇する可能性が高くなっていると感じます。  高齢者だけでなく、私たちも含め、交通に関わる者が皆、安全に道路を利用することが大切ですが、その中でも、高齢者に対しては、そのような特性も踏まえた交通安全の教育を推進していく必要があると思います。  そこで、県警察では、高齢者の運転に対する安全教育について、どういった取組をしているのか、お伺いします。 佐藤交通部長  本県における昨年の高齢運転者が当事者となる交通事故は1,294件で全体の34.8%を占めており、特に原付以上の死亡事故52件中17件が高齢運転者によるもので、過去5年間を見ても高い水準で推移しています。  委員御指摘のとおり、今後の高齢化社会の進展を考えると、高齢運転者の交通安全対策は重要な課題であり、特に高齢運転者に対する交通安全教育を充実させることが必要であると認識しています。高齢者講習の対象である70歳以上の運転者に対しては、より効果が上がるよう、県下の交通事故情勢や特徴を踏まえた内容の講習を、75歳以上の高齢運転者に対しては、認知機能検査の結果に応じたきめ細かな講習を実施しています。  また、本県では、75歳以上の高齢運転者のうち、頻繁に交通事故を起こす運転者、いわゆる頻回事故者に対し、警察官が訪問して個別指導や家族の支援を呼びかける「高齢運転者支援プログラム」による重点指導を行っています。さらに、65歳から69歳までの運転者に対しては、本県独自の安全教育として、運転免許更新時講習の特別学級である「シニア安全学級」を実施しています。  そのほか、セーフティーアドバイザーによる高齢者世帯訪問活動を通じた個別の交通安全教育や危険予知トレーニングを活用した参加・体験型の交通安全教育等を実施しています。  加えて、運転に不安を感じる高齢運転者やその家族等からの安全運転相談に対応すべく、運転免許課に看護師資格を有する職員を配置しているほか、全国統一の安全運転相談ダイヤル、「♯8080(シャープハレバレ)」の運用を開始するなど、きめ細かな相談業務に努めています。 松岡委員  70歳、75歳というと、見た目は若い方が多く、まだまだ自分では若いと思っていても、身体的な判断能力の衰えは、自分ではなかなか感じづらいところがあると思います。高齢者ドライバーの事故が多い、その真の問題は、技術の衰えや判断力の低下にあると思います。いずれは、私もそういうときが来ますし、仕方のないことで、当然のことなのですが、大切なのは、本人がどこまで自分の技術力や判断力を客観的に見ることができるのかということにあると思います。  また、免許返納の制度もありますが、御家族が運転能力の低下を指摘して免許返納を促しても、場合によっては、感情的になるなど話合いが進まないことがあるとも伺います。  客観的に見るという意味では、例えば、ドライブレコーダーの活用は、有効ではないかと思っています。御承知のとおり、車の運転状況を記録するものであり、事故に遭った場合、自分の車の運転状況や、事故相手の通行状況等が記録されることから、双方の見解に食い違いがあるような場合でも、その事故の原因究明に大きな役割を果たします。また、事故のときだけではなく、ふだんから自分の車の運転状況を記録していることから、自分では気づいていない癖なども記録されており、自分の運転を客観的に見詰め直すいい教材になるのではないかと思います。  また、いつも運転状況を記録されていることは、緊張感を持つことにつながり、運転のルールやマナーを守らなければいけないという気持ちになり、安全運転の意識を醸成する上でも、有効なツールだと思います。  こうした特性を踏まえ、県警察では、ドライブレコーダーを活用した交通安全教育にどう取り組んでいるのか、お伺いします。 佐藤交通部長  委員御指摘のとおり、ドライブレコーダーは、交通事故や交通事故に至らないヒヤリ・ハットの映像を運転者目線で記録できることから、当該運転者のみならず、その映像を教材として交通安全教育に活用できるものと認識しています。  県警察では、高齢者講習等において認知機能に低下のおそれがあると判定された方については、ドライブレコーダーを搭載した車両による実車講習を行い、その映像を踏まえた個別の安全指導を行っているほか、実際の交通事故の映像については、プライバシーに配慮しつつ、公開できるものについては、交通安全教室等の教材として活用しています。また、ドライブレコーダーに関しては、警察部内の教養にも積極的に活用しているところであり、その有効性については部外にも広めてまいりたいと思います。  県警察としては、引き続き、高齢運転者をめぐる環境や情勢の変化に対応するとともに、ドライブレコーダーの活用を含め、各種取組の深化を図り、交通死亡事故の抑止に努めてまいりたいと考えています。 松岡委員  そもそも、なぜ今回このような質問をしたかというと、この半年の間に、ドライブレコーダーにまつわる出来事が2つありました。共通していたのは、事故を起こした当事者が、誰もドライブレコーダーをつけていなかったことと、高齢者だったということです。たまたまですが、一つは、私が通りかかったので、ドライブレコーダーの映像を提供しました。もう一つは、事故をした人が、ドライブレコーダーがあれば、なぜその事故が起こったか、どのような運転をしていたのか、自分は止まっていると思っていたが、止まっていなかったのか、実際のところが分からないことを悔やまれていました。この半年という短期間で2件もあるということは、こういったことは多々あるだろうし、高齢者の増加にともなって増えていくと思います。そういう社会になったとき、ドライブレコーダーを活用して、どのようなことができるのだろうかと思いました。  高齢者講習や、教材として使える範囲内の教材を使っていくことはもちろんですが、高齢者だけに限らず、時には家族の中や、時には地域の勉強会などの中で、自分の運転を見直す機会を持ってもらえるような働きかけが必要ではないかと思います。  私も映像を提供したとき、初めて自分の運転する状況を見ました。そうすると、自分の癖などに映像を見ることで客観的に気づかされることがありました。お年寄りであれば、もっと自分の認識とのずれがあるのではないかと思います。  ドライブレコーダーを取り付けて終わりではなく、取り付けた方は、その先に見直す機会が必要であり、その必要性を周知していただきたいと思いますし、つけていない人も、つけるきっかけとなるかもしれません。自分の運転を見直す機会を少しでも広めていただいたら、少しは交通死亡事故の減少に役立つかと思いましたので、要望としてお伝えし、私の質問を終わります。 松本委員  私からは、防災対策についてお尋ねします。  早いもので、東日本大震災から10年を迎えようとしています。直接死が約1万6000人、関連死を含めると約2万人の命を奪い、現在も2,528名の方の行方が分かっていません。また、令和2年1月14日現在の全国の避難者数は約4万8000人で、その内訳は、応急の仮設等及びそれ以外の民間賃貸等が2万4000人、親族、知人宅等が2万4000人、病院等が218名となっており、全国47都道府県全てのところに避難をされています。  また、復興庁によると、2020年9月現在、直轄国道の1,161キロがほぼ全て復旧しました。県や市町村が直轄する道路も、約99%で復旧工事が完了したとのことです。また、東北地方整備局によると、国が進めている復興道路、復興支援道路の延長584キロのうち、昨年の12月までに約8割の458キロが開通したとのことです。また、防潮堤、護岸の整備も、この2020年度末までには全て完成するという方針で進めているとの報道がなされています。  お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様並びにその御家族の皆様方に、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。皆様方の安全と被災地の一日も早い復興を、心からお祈りしています。  この10年の間にも、熊本地震をはじめ、毎年、全国どこかで大規模な風水害が発生し、そのたびに、新たな課題や教訓が指摘をされ、今回改定する予定の国土強靱化地域計画もその一つですが、県の地域防災計画も毎年何らかの修正がなされています。  私は、こうした計画の改定も大事だとは思いますが、常に訴える県民の防災・減災に対する意識の向上が大事ではないかと思います。災害になったときにどう行動するのか、慌てずに必要な対応ができるかなど、これらのためには、防災訓練が欠かせないと思っています。  そこで、県では今年度、どのような意図で、どのような防災訓練を計画し、実施していたのか、お伺いしたいと思います。また、コロナ禍の影響で、防災訓練や研修などをたくさん中止したと思います。このようなときだからこそ、訓練は大事ではないかと思っていますが、未確定の部分はあると思いますが、来年度はどのような訓練を実施するのか、お伺いします。 寺嶋危機管理総局長  災害時において、迅速かつ的確な応急対応を行うためには、様々な訓練を日頃から行い、平時から職員それぞれの危機管理能力のスキルアップを図るとともに、防災関係機関や協定締結団体などと連携を密にし、いざというときに備えた協力体制を整備しておくということが重要であると考えています。  今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響から、様々な行事やイベントの開催が見送られる中、感染症があっても災害は待ってくれませんので、そういった認識の下、災害が発生したときに、感染症にどう対応していくのかという観点を取り入れた訓練を行いました。  感染症対策という新たな課題に対しては、昨年6月に県が策定した「避難所における新型コロナウイルス感染症対策指針」などを踏まえ、県の災害対策本部運営訓練や総合防災訓練などを実施しました。具体的には、昨年7月の災害対策本部運営訓練では、発熱症状のある方が避難所に避難してきたという状況付与を行い、隔離スペースの確保や、保健師の派遣等の必要な対応を施す訓練を行いました。また、昨年8月の総合防災訓練においては、飛沫防止のための拡声器やフェイスシールドを使用しての医療救護訓練を行うとともに、避難所の受付窓口で検温や手指消毒を実施し、避難された家族ごとに一定の距離を保つパーティションを設営する訓練など、感染症対策を考慮した避難所運営訓練も併せて実施しました。  また、職員の危機管理能力のスキルアップを図るため、本年1月の災害対策本部運営訓練では、県職員の迅速な初動対応につなげるための安否確認訓練も実施したところです。  さらに、関係機関との連携を一層深めるため、災害対策本部運営訓練や総合防災訓練に、自衛隊や警察、消防、電力会社、通信事業者など、各種防災関係機関に参加いただくとともに、昨年8月には、香川県トラック協会や香川県倉庫協会などの協定締結団体にも御協力いただき、支援物資物流訓練も実施したところです。  さらに、3月2日には、災害時において島嶼部に物資をスムーズに搬送する訓練を、昨年度協定を締結し、松本委員が会長を務める香川県地区小型船安全協会の呼びかけの下、初めての支援物資の海上搬送訓練に参加することとなっています。  今年度はこうした訓練を行ってきましたが、来年度においても、新型コロナウイルス感染症の下でどう動くべきなのか、関係機関とどう連携を深めていくのかといった実動訓練や本部運営訓練を行っていくとともに、職員の危機管理能力のスキルアップや防災関係機関との連携強化といった観点を重点にしながら、来年度以降も訓練を実施していきたいと考えています。 松本委員  今月13日の23時8分に、福島県沖でマグニチュード7.3の地震が発生しました。この地震は、新聞等でも報じられているとおり、10年前と同様に広範囲に影響しました。私も、地震発生後、何人かの友人と連絡を取りました。現地では、発生後から1時間、2時間程度は特に混乱していたようで、避難をしたらいいのかどうかという情報が、現地では入っていなかったということでした。その原因は、被災地で広範囲で停電が発生し、テレビが見ることができなかったということと、もう一つは、携帯電話の問題で、家のWi-Fiの電源が落ちてしまい、アクセスが一気に集中してしまい、つながりにくくなったということでした。  最新の情報が取れなかったため、県外や、周辺の方と連絡を取って、今の、テレビでの報道の情報や、津波が来ていない情報を聞いて、家で待機しようといった対策をしたそうです。それと、もう一つの原因が簡易電池です。ポータブルの充電器や発電機のことですが、福島や宮城などでは、持っている方が多いかもしれませんが、今回は静岡あたりまで停電が起こりました。静岡などの関東方面では、あまり持ってなかったようで、そうなると、停電がいつまで続くか分からないため、携帯の充電を使いたくないということで、インターネットの閲覧が抑えられたということで、情報が来なくて不安な夜を過ごした方もいました。東日本大震災から10年がたち、いろいろと備えているつもりだと思っていましたが、実際は備えられていないということでしたので、こういうところも、今後の課題であると思います。  そして、3月11日をもって、東日本大震災から10年を迎えたということで、新型コロナウイルス感染症が終息していれば、私も被災地へ出向き、新たなステージに向けての様々な式典やイベントに参加していたでしょうし、現地では、10年という一つの節目になっていたと思います。今回発生した地震では、人によっては、10年前の地震より強く感じた人がいたり、心の傷や心配が拭えたところに思い出した部分もあると思います。災害は忘れた頃にやってくるといいますが、いつ起こってもおかしくないと、気を引き締めなければなりません。私がよくしていただている先輩である宮城県議会の議長からも、常日頃からの訓練や点検が大事であるという意見を伺いました。  訓練も新型コロナウイルス感染症の影響を受け、今年に関しては、厳しい中でも、しっかりと新たな総合防災訓練のような新たな形で実施したり、いろいろと工夫して実施している中で、ひとつ気になっていることが、防災アプリについてです。  県では、今年度の4月から、新たな防災情報システムの運用を開始し、防災アプリをはじめ、市町とスムーズに情報共有が図れるよう様々な機能を追加しています。こうしたシステムは、日頃から使わないと、いざというときに、使い方がわからないし、アプリを使っていなければ、そのアプリの存在自体を忘れてしまいます。  先ほど、県外で情報を取るのに苦労をしたという話をしましたが、我が県に関しては、防災アプリがしっかりと整備されていますので、宝の持ち腐れにならないように、しっかりPRして活用していかなければならないと思います。  そこで、県で新たな防災情報システムを使った訓練について、今年度の取組と、併せて、今後の取組についてどのように考えているのか、お伺いします。 寺嶋危機管理総局長  県では、昨年4月に新たな防災情報システムや防災アプリ「香川県防災ナビ」の運用を開始したところです。このうち、防災情報システムには、被災状況を時系列で市町と共有するクロノロジー機能や、災害現場で撮影した画像をシステム内で共有する機能を追加したほか、新たに導入した防災アプリ「香川県防災ナビ」には、スマートフォンの位置情報を使い、洪水や土砂災害などの危険が差し迫った場所にいる利用者に対し、危険であることをプッシュ通知する機能を取り入れるなど、情報収集・伝達体制の強化を図ったところです。  県では、各市町においても、新たな防災情報システムの研修を行っていただけるよう、操作方法を収録したDVDを全市町に配りました。また、偶数月の第2木曜には、市町とともに、システムの定期操作訓練を定期的に実施し、災害時におけるスムーズな情報収集・伝達体制の確立を図っているところです。  また、防災アプリ「香川県防災ナビ」をダウンロードしていただいた方に対しては、昨年11月の香川県シェイクアウト訓練時に、津波浸水想定区域内にいる利用者へ、プッシュ通知を用いて実際に訓練配信し、危険である旨の訓練情報を配信することで、アプリのプッシュ通知をイメージできる訓練を実施しました。  県民の皆様に、防災アプリ「香川県防災ナビ」を活用してもらうには、まずアプリをダウンロードしていただく必要がありますので、来年度、県の広報誌や新聞広告などを活用した積極的な広報を行うとともに、「香川県防災ナビ」を活用した訓練の事例集を新たに作成し、各地域の自主防災組織等に配付することなどにより、地域における訓練に香川県防災ナビを取り入れてもらい、日頃からなれ親しんでいただく契機にしたいと思います。  県としては、新たに追加した機能や強化した機能もあることから、そうした機能を災害時に十分活用できるよう、迅速かつ的確な応急対応を行えるよう、より一層、市町や防災関係機関と連携し、訓練を繰り返し実施してまいりたいと考えています。 松本委員  最後に要望で終わりたいと思いますが、東日本大震災は、ちょうど議員になる前に起きた災害で、最初、テレビを見たときは、夢というか、映画でも見ているのかというぐらい強烈な印象で、災害に対してすごく意識は持ったのですが、それでも、自分が何をすればいいのか分からない人は多いと思います。  一般質問や委員会での質問などで常に県民意識の向上を訴え、先ほど松岡委員が質問された防災教育副読本も作っていただきました。松岡委員から、もっと改善してほしいという要望が出たことは、防災意識が上がってきたことの一つの現れだと思います。防災教育副読本は、県全域で1つだと思いますが、もっと詳細な情報を載せるのであれば、東讃、西讃、中讃などでも結構ですので、地域を分けて、歴史的な被害状況などを載せて、自分の住んでいる地区ではこんなことが起こるだろうとか、過去にこんなことが起こったということが分かる防災教育副読本を作るのも一つだと思います。  また、手軽なのが先ほどのアプリです。アプリであれば、だれでも、全国どこからでも、わざわざペーパーを見なくても入手できます。ただ、我が会派の代表質問でも質問があったとおり、このアプリの導入件数をもっと伸ばしたいというのが本音だと思います。  提案ですが、教育委員会と連携するのも一つだと思います。なぜかというと、タブレットをこれから全生徒に配布して活用するということですので、携帯やタブレットなどは、これからの子供たちにとって、一生付き合っていかなければならないツールだと思います。そこに防災アプリがあることを知ってもらえれば、家へ帰って、「こんなのがあるよ。」「こんな情報が載っているよ。」と子供が親に伝えることになると思います。  また、先ほど危機管理総局長からお話があった香川県地区小型船安全協会についてですが、一昨年の6月に、県と災害時の小型船による輸送等に関する協定を締結し、昨年の8月の総合防災訓練に参加させていただきました。訓練に参加した会員からも、協定の書面上の内容はわかっているのだが、実際に自分がやってみないと、小型船にどれぐらいの荷物を積めるのか、どれぐらいの時間がかかるのかといったことはわからなかったし、普通に物資を運んだり載せればいいと思っていたら、水しぶきで箱がぬれるから、箱が濡れないようにブルーシートが必要だということがわかるなど、個別に訓練をすることにより、いろいろな点に気づくことができたということがありました。  いろいろな団体と協定を結ばれていると思いますが、様々な形と様々な想定で訓練することはいいことだと思いますので、今後とも、こういう協定先の団体ともしっかり連携をしながら、訓練をしていただきたいと思います。  また、コロナ禍の中で、地域で様々な防災訓練や研修が中止になっていますが、災害は、いつ起こるか分かりません。そして、スーパー南海地震、相模沖と南海トラフが連動した場合、50万人の被害が出るのではないか、という話を先日しましたが、これは、東日本大震災からすると、30倍以上の被害になるということで、こうなったら手に負えないというか、どこまで手をつけたらいいのかと思いますが、逆にそれぐらいの想定が出てきたということは、話半分以下で聞いたとしても、大きな災害がいつかは来るということだと思います。非常時だからこそ、訓練は大事です。日頃からの訓練により、しっかりとイメージして、想像力を働かせていかなければならないと思いますので、大変だと思いますが、訓練やアプリなど、総合的に一人でも多くの県民を救うために、来年度もしっかりと施策等を計画していただき、防災訓練等をしていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。 森委員  歩行者・自転車の交通安全対策についてお伺いします。  香川県は、交通事故死者数が10万人当たりワースト1位という不名誉な状況ですが、この中では、道路の横断中における死亡事故が多いと言われています。自動車の運転手に注意喚起を求めることについては、当然のこととして理解しています。ただ、それだけでは防げないのではないかと思うことが、最近、よく目に付きます。何かといいますと、歩行者信号が赤になっても横断する人たちが、歩行者、自転車ともに多くいます。信号が点滅状態になって、きちんと止まるのは小学生ぐらいで、それ以外の人は、ほとんど走るようにして横断していくというのが目につきます。  自動車の運転手を擁護する気はありませんが、左折や右折をしようとするときに、歩行者や自転車が、信号機が赤であるのに渡ってくることがあります。自動車側も、特に矢印信号がないような交差点では、どうしても早く曲がろうとしますから、無理をして速いスピードで曲がってしまいます。こういったことも事故の原因の一つではないでしょうか。  また、横断歩道を渡らず、その前後を横断してしまう人たちもいます。これはお年寄りに多く見られます。当然、自動車を運転する人が、確実に前方を確認できていればいいのですが、100%は難しい状況もありますので、自分の身を守るという観点から、歩行者や自転車も気をつける必要があると思います。歩行者や自転車の対策は、今以上に地道な対策に取り組む必要がありますし、難しいと思います。  現状を見ると、死亡事故を防ぐためには、加害者側だけでなく、歩行者や自転車側の原因にも着目する必要があると思いますし、これは自分の身を守るためにも、こういう人たちに対する注意喚起が必要になるのではないかと思います。このことについて、どういう対策が必要か、また、今後どういうことに気をつけていかなければならないか、お伺いしたいと思います。 佐藤交通部長  昨年、本県の交通事故発生状況は、死者数が12人増加し、人口当たりの死者数は6.17人と、平成24年以来の全国ワースト1位になるなど、極めて厳しい結果となっています。特に、歩行者及び自転車乗車中の死者が全体の過半数を占めることに加え、人対車両の死亡事故の半数以上が横断中の歩行者であり、歩行者側にも何らかの法令違反があったとの分析結果からも、歩行者や自転車利用者に対する交通安全対策が必要であると考えています。  県警察では、横断歩道の利用促進と横断歩行者の安全確保を目的に、「横断歩道安全利用促進事業」として、歩行者及びドライバー両面からの安全対策を図るなど、交通事故情勢に応じた各種対策を展開してきました。来年度は、新たに路面に「わたるな」と表示したシートを貼る「わたるなシート」の整備を進めるとともに、歩行者や自転車利用者に対する効果的な広報啓発及び交通事故の原因となる歩行者・自転車による信号無視や横断禁止場所横断などの指導取締りを強化します。  また、自転車に対しては、通学に利用する中学生を中心とした交通安全教室を強化し、歩行者に対しては、通行車両の直前を横断するなどの危険な行動を取る高齢者を中心に警察官が声かけを行う「なんしょんな大作戦」やセーフティーアドバイザーによる高齢者世帯訪問活動等の機会を通じた交通安全指導を強化してまいります。  県警察としては、引き続き、本県の交通死亡事故の特徴や課題を踏まえた取組の深化を図り、交通死亡事故の抑止に向けた諸対策を強力に推進してまいりたいと考えています。 森委員  現状の人員で、その対策をするのは大変だと思いますが、よろしくお願いします。香川県は、小さいといっても、相当面積がありますし、道路が整備され過ぎて、難しい事故が多くなるということで、痛しかゆしの問題もあります。ただ、一面的な取締りだけでは難しいし、先ほども指摘しましたが、横断歩道で確実に止まっているのは小学生です。特に、信号が点滅のときには、大人は走ってわたってしまいます。また、信じられないことに、年寄りは真ん中ぐらいまで走って、後は歩くのです。もう完全に信号は赤になっています。はねてくださいと言っているようなものです。本来であれば、それぞれの横断歩道に警察官や指導員がいて、渡ったらいけないと声をかけることができれば、そういうことにはならないと思いますが、物理的に無理だと思いますし、広報活動を通じてお年寄りに指導してもらいたいと思います。  老人会などを通じて広報活動を行い、対応するしかないと思いますが、そういうところに出てこない人が、無理な横断をする傾向があるので、市町や地域の警察署などを通じて、できるだけ多くの方が、広報活動や講演などに参加していただくよう発信していただきたいと思います。  それと自転車の関係ですが、県も自転車条例を作っていますが、ヘルメットをかぶっているのは中学生ばかりです。小学生が最近、ようやくかぶるようになりました。高校生はまずかぶっていないし、大人もかぶっていません。大人でかぶっているのは、ほぼ外国の方です。外国では、自転車は危ないという認識がありますので、必ずヘルメットをかぶります。これは自分の身を守るという意味から、転倒したときには頭から落ちますから、死亡事故につながりやすいという認識があるからかぶるわけです。ところが、日本の方は、中学生までは、学校で言われるからヘルメットをかぶっていますが、高校生になったら、なぜヘルメットをかぶらなくなるのでしょうか。このことについては、教育委員会を通じて、きちんと指導していただきたいと思います。  最近、校則の問題でマスコミをにぎわしていますが、そういう校則がないというのもおかしいと思うところがあります。自分の身を守るのは自分だということを伝えていただきたいと思います。自動車に乗っている運転手の方が、歩行者や自転車の身を守るのではなく、自動車側が強い力があるから、できるだけ事故が起こらないように注意しているのであって、歩行者や自転車に乗っているときに、ちょっとした接触や急な方向転換などが原因で事故が起こりますので、そういう部分についての積極的な対策も必要だと思います。これは警察も、危機管理総局も、両面から教育委員会や高齢者の様々な団体に対して、発信していかなければならないと思います。それ以上の対策があれば、教えていただきたいと思いますし、今後の対策として、これからできるようなことがあるのか、お伺いしたいと思います。 佐藤交通部長  高齢者、とりわけ交通安全教室等の会合に出席されない高齢者については、現在、セーフティーアドバイザーの高齢者世帯訪問活動を実施しています。これは、交通警察に携わったOB14人が7個班、2人1組で高齢者宅を回り、ヘルメットの着用促進に関しては、実際に自転車の乗車ヘルメットを持って各戸を訪問し、高齢者と面接する際にヘルメットを見ていただいています。高齢者の方は、ヘルメットは重いという認識ですが、実際は、軽くて快適で、なおかつデザイン性もあるということを体感していただき、自転車に乗車する際のヘルメットの着用を促しています。併せて、県警察のホームページでは、従前は、自転車乗車中に交通事故に遭われた少年が高次脳機能障害で半身不随、社会復帰ができないような状況になった方の手記を掲載していましたが、それだけでは具体性がないということで、昨年、高齢者の方で、四輪と自転車の事故で自転車に乗車されていた高齢者が、ヘルメットをかぶっていたことにより一命を取り留め重傷程度で済んだという事故事例など、具体的な事例をホームページで記事として掲載しています。  本年についても、自転車のヘルメットの着用率が3%程度と、本県は着用率が低いことから、いろいろと模索し、関係機関の協力を得てヘルメットの購入予算を確保すべく、現在検討しており、購入できるような道筋がつきましたら、総務委員会の場で発表できるものと考えておりますが、具体的なヘルメットを配付する事業を検討しているという状況です。 森委員  それと、これは危機管理総局の関係になるのでしょうか、高校生のヘルメットの着用についてお伺いします。自転車条例もできていますので、実際は、教育委員会の高校教育課になると思いますが、先ほど言いましたように、20年も30年も前の校則をいまだにしゃくし定規に使っている状況ですが、新しい条例ができたのですから、積極的にヘルメット着用の対策が必要ではないかという呼びかけが大事だと思いますが、その辺りについてお伺いします。 寺嶋危機管理総局長  昨年夏に、県政世論調査を実施し、そのときに自転車条例の活用等についても質問をしました。ヘルメットの着用に関しても、併せてアンケートをしました。「常に着用している」が3.7%で、「ヘルメットを持っていない」という方が80.9%と最も多いという状況です。「ヘルメットを持っているが、着用していない」という方は8.8%という結果でした。ヘルメットを着用しない理由について質問したところ、「持っていない」という理由以外に、「面倒だから」、「他の人も着用していない」といった理由がありました。また、「頭が蒸れて暑い」、「髪形が崩れる」といった意見もあり、着用が進んでないという状況です。  県では、平成30年4月に自転車条例を施行しましたが、ヘルメットの非着用時の死亡率が着用時に比べて高いことを周知するチラシを平成30年度に作り、これまで県内の学校等に配付していますが、着用すれば、その何分の1かに死亡率が減るということをさらに強調するように、県教育委員会と連携しながら、高校、中学含め県民の方々に周知徹底をしてまいりたいと思います。 森委員  何でも法的に縛るのがいいとは思いませんが、どうしてもできないのであれば、法的に縛る必要もあるのではないかという気もしてきますが、基本的には自分のことですから、各人が自分で自分を守るということが大事なのだということを積極的に理解できるような広報活動を、大変だと思いますが、これからも対策を取っていただくことをお願いして、私の質問を終わります。 谷久委員  まず1点目は、自転車の安全利用の促進についてお伺いします。県内の交通事故発生件数や負傷者数は前年から減少しているが、死者数は大幅に増加しています。人口10万人当たりの死者数は全国ワースト1位であり、厳しい状況です。  交通事故を抑止するため、交通マナーの向上に向けた広報啓発や、高齢者ASV購入補助制度、AIを活用した潜在的な交通事故危険箇所の予測、自転車条例の制定など、様々な施策を推進したところです。このうち、自転車条例については、平成30年4月1日に条例を施行し、3年が経過しようとしています。様々な方法でこの条例の周知を図ってきたと思いますが、依然として、スマートフォンを操作しながら自転車を運転している方や、電動アシスト付自転車で爆走している方など多くいると思います。一時停止線がある場所でも、一時停止せずに飛び出すなど、危険な運転をする自転車を多く見かけます。  また、新型コロナウイルス感染症の影響により、混雑する公共交通機関を避け、自転車で通勤される方や、外出や運動不足解消のために自転車で移動される方も増えてきています。このような中、本県の自転車の事故の状況について、お伺いします。 寺嶋危機管理総局長  昨年の県内の自転車事故の状況としては、発生件数が770件、負傷者数が733名、死者数が13名という状況です。発生件数を年齢別で見ると、10代が最も多く281件で、全体の36%を占めています。次に多いのが65歳以上の178件で、全体の23%を占めています。死者数については、13名のうち12名が65歳以上という状況です。  自転車条例が施行される前の平成29年から昨年までの事故状況の推移を見ると、交通事故発生件数と負傷者数は、条例施行前に比べて2割近く減少している一方、死者数については、一昨年は7名であったところ、昨年が13名と倍増するという残念な結果になっている状況です。 谷久委員  事故全体は減少しているということですが、死亡事故が倍増となったとのことです。条例制定を契機に、意識づけもできてきたのかとも思いますが、条例を制定後、県では、発信も含め、具体的にどのように取り組んできたのか、お伺いします。 寺嶋危機管理総局長  県では、これまでに条例の周知に努めるとともに、条例に定める様々な施策の推進に取り組んできました。  まず、条例が施行された平成30年度は、条例そのものの周知啓発を図るため、県広報誌や県政テレビ、ラジオ、新聞広告など、様々な媒体を活用して広報啓発を行いました。特に、自転車事故の発生比率が高い若年層に関心を持っていただくため、ドラマ仕立てのWeb動画を作成し、動画投稿サイトを活用した広報を行っています。  条例では、「自転車の交通ルールの遵守」、「自転車の点検整備の実施」、「ヘルメットの着用促進」、「自転車損害保険等への加入促進」の4つの大きな施策を定めており、この4つの事項について、重点的に取り組んできたところです。  まず、「自転車の交通ルールの遵守」については、具体的な事例を挙げて、分かりやすくルールを説明したリーフレットを昨年度に作成し、県広報誌により全世帯に配布したほか、県内の中学校や高等学校に配布して周知に努めています。  「自転車の点検整備の実施」については、点検箇所をイラストで分かりやすくイメージしたリーフレットを平成30年度に作成し、学校や事業者、自転車販売店等に配布しています。  次に、「ヘルメットの着用促進」についてです。ヘルメットの着用をしなかった場合の死亡率が高いということで、平成30年度にリーフレットを作成し、こちらも学校等に配布しています。  それから、「自転車損害保険等への加入促進」については、自転車損害保険を取扱いを行っている県内の金融機関や県PTA連絡協議会との協定を平成30年度に結び、保険の加入促進を行うとともに、日本損害保険協会四国支部と連携し、自分に合った保険を選択するためのチラシを昨年度作成し、損害保険会社や金融機関等に配布したほか、今年度、県内の学校へ配布しております。  また、高齢者の死亡事故が多く発生していることから、自転車事故は誰にでも起こり得る身近な問題であることを認識していただくため、高齢者の自転車安全利用に関するチラシを作成し、市町を通じて配布したほか、老人クラブを対象に実施している高齢者交通事故防止教室でも、教材として活用していただいているところです。さらに、明日の四国新聞においても、「シニアの安全、快適な自転車ライフ」と題する広告を行うところであり、高齢者においても、事故に遭わない安全運転やルールを守った運転を心がけるよう訴えることとしています。 谷久委員  自転車の点検整備や自転車の損害保険の加入促進などに取り組んでこられたということですが、今月初め、自転車を利用している県民のうち、3割が自転車損害保険に加入していないとの記事が出ていました。県で促進を図ってきた点検整備や自転車保険の加入等がどの程度行われているのか、県で状況を把握しているのであれば、お伺いしたいと思います。 寺嶋危機管理総局長  今年度、条例施行後3年目となることから、5月から6月にかけて実施した県政世論調査において、自転車の点検整備の実施状況や自転車損害保険の加入状況の2点について、詳細な調査を行いました。それによると、まず、条例で義務化している点検整備ですが、日常の簡易な点検整備や定期的な点検をしている方が57%、何も実施していない方が38.6%、無回答は4.4%という状況です。  また、条例で努力義務としている自転車損害保険等への加入については、加入していない方が28.1%、分からない、無回答は20.3%、加入している方が51.6%という状況です。いずれの施策も、実施している方は半数程度という状況であるため、引き続き、促進を図る必要があると考えています。 谷久委員  本県の自転車事故が減少傾向にあると先ほどおっしゃっていましたが、自転車事故でも、事故を起こしてしまえば、高額な賠償金を支払わなければならない場合があります。本県でも自転車保険の加入は、後々のことを考えて、必要なのではないかと思っています。全国的に自転車保険の加入を条例で義務化する自治体が増加していると聞いていますが、本県ではどのようにお考えでしょうか。 寺嶋危機管理総局長  自転車損害保険等の加入を義務化している都道府県を調べたところ、本県の自転車条例が施行された平成30年4月1日時点では6府県でした。その後、国から平成31年に保険加入の促進に関する通知もあり、昨年末、令和2年12月末時点では、義務化している都道府県が19道府県と、実に3倍に増えています。  自転車事故で相手の損害を補償する保険には様々な種類があります。自転車事故に特化した保険以外にも、例えば、自動車保険に附帯するもの、火災保険の特約でつけるもの、PTAの団体保険、自転車の車体に附帯したTSマーク保険など多岐にわたっており、本県では、保険の種類についての情報提供や保険の必要性の周知に努めてきたところです。  一方で、国が作成した資料によると、保険加入を義務化している自治体の保険加入率は、本県の加入率より高い傾向にあるとのことですので、今後、本県のこれまでの努力義務という取組の効果を検証するとともに、保険加入率を引き上げるための方策について、様々な観点から検討を行いたいと考えています。 谷久委員  まだまだマナーの悪い乗り方や危険な乗り方をする人もいます。万が一、大けがをするような事故に遭った場合、保険加入は大事なことだと私は思います。
     保険の義務化は一つの案ですが、自転車保険の加入率を上げるための効果的な方策を考えているようですので、そのことも含め、検討していただくように要望いたします。  次の質問は、未成年者の行方不明事案についてです。  先日、警察庁のホームページを拝見しました。全国の行方不明者の数値が公表されており、それによると、令和元年に全国の警察が受理した行方不明者の総数は約8万7000人であり、その数の大きさに改めて驚いたわけですが、さらに驚いたのは、その2割の1万7000人が二十歳未満の未成年者ということでした。未成年と言っても、乳幼児から二十歳未満までと年齢幅は広く、乳幼児や小学校の低学年の児童のような子供と、大学生、社会人といった、自らの意思で大人と変わらない判断力を持っている方々とを同じように論じることはできませんが、それでも1万人を超える未成年が行方不明になっているということは、大きな問題だと思います。  子供たちは社会の宝であり、私たちがしっかり目配り、気配りしながら育てあげていくことも、大人としての責任であり、その健全育成を図ることは大事なことであると思います。そこで、本県の行方不明事案の受理状況と未成年者の行方不明事案の受理状況についてお伺いします。 上杉生活安全部長  県警察において、令和元年中に受理した行方不明事案については842人であり、そのうち141人が20歳未満の未成年者です。これは、行方不明者全体の約15%に当たり、全国統計数約20%と比べると、若干割合は低くなっていますが、県内においても相当数の未成年者の行方不明届を受理している状況です。 谷久委員  全体では、3日に一度ぐらい、行方不明事案の届けが出ているという計算になるかと思います。相当数の行方不明事案が発生していることはよく分かりました。また、未成年者の行方不明事案も多く発生しているようですが、未成年者については、その後どうなったのでしょうか。事件に巻き込まれたのか、そういったことも気になります。  未成年者の行方不明事案を受理した場合、発見に向けて警察ではどのような対応を取っているのでしょうか。また、先ほど、令和元年中に141件の未成年者の行方不明事案が発生したとの答弁がありましたが、どのくらい解決しているのでしょうか。 上杉生活安全部長  まず、行方不明事案を受理した場合の対応についてです。  届出を受理すれば、行方不明者の住所、氏名、生年月日をはじめ、身体特徴、服装、所持品、使用車両、行方不明時の状況、立ち回り先など発見活動に必要な事項を聞き取りし、この情報を基に行方不明届受理票を作成し、県内での捜索活動はもとより、全国警察にも手配を行うなどして迅速な発見活動に努めているところです。加えて、18歳未満の、いわゆる児童の行方不明事案を認知した場合は、児童は、成人と比べ、判断能力や意思能力が未熟であることを踏まえ、誘拐や監禁、福祉犯等の犯罪被害、あるいは、いじめや児童虐待が背景にあることも考慮して、事件、事故の両面から迅速かつ的確に捜査、調査を行い、児童の安全確保を最優先に、組織を挙げて発見活動に当たっています。  そして、委員お尋ねの令和元年中に受理した未成年者の行方不明は141人おり、そのうち105人が、いわゆる18歳未満の児童でありますが、児童全員を無事に発見、保護し、保護者等に引き渡しています。 谷久委員  行方不明になるといっても、その理由や態様は千差万別だと思います。年齢によっても違ってくると思いますし、10歳に満たない幼児と18歳を超えた大学生や社会人では、事情も理由も違うと思います。未成年者が行方不明になる原因や動機について、一体どういったものがあるのか、お分かりになるようであればお伺いしたいと思います。 上杉生活安全部長  未成年者が行方不明となる原因や動機については、一般的に、家族との不仲、学業の悩み、恋愛問題などが大半でありますが、過去に他県では、自殺願望を有する児童を、SNSを通じて巧みに誘い出し、殺害に至るという悲惨な事件も発生していることから、常に、こうした最悪の事態を想定して、迅速かつ適切な対応に努めているところです。また、発見以降も、家出に至る原因の問題解決に向けた支援を行うため、必要に応じて児童を継続補導の対象として定期的な面接指導や助言を行い、再び行方不明にならないようにする取組も行っています。  県警察としては、今後とも児童の健全育成を図るために、学校や児童相談所など関係機関などとの連携に努めながら、SNS対策も含めた児童の行方不明事案防止対策を進めるとともに、行方不明事案が発生した際は、児童の安全確保を最優先とした迅速かつ的確な発見活動に心がけてまいります。 谷久委員  この4月から犯罪被害者等支援条例も施行されることもあり、事件後の対応も充実してきていますが、まず、事件、事故に巻き込まれない、それと併せ、そのような事案が発生しないような環境づくりをすることが大事なのではないかと思います。  家庭、地域、学校、教育委員会などの関係者の方々が、家出をする子たちを出さないよう、しっかり取り組んでいく必要があると思います。総合力を持って、児童の健全な成長を見守っていくことに努めていきたいと思いますし、併せて、行方不明事案が起こったときには、早急に対策を練っていただくようにお願いをして私の質問を終わります。 樫委員  まず、防災対策についてお尋ねします。  2月8日に、四国地方整備局、四国4県、市町、大学などで構成する「災害に強いまちづくり検討会」が開かれたという報道がありました。新たな防災対策として、地震や津波だけでなく、近年、多発傾向にある豪雨災害に関するハザード情報も重ね合わせ、地域のリスクを分析することを確認したとのことですが、新たな防災対策とはどういうことでしょうか。具体的にお示しいただきたいと思います。 寺嶋危機管理総局長  「災害に強いまちづくり検討会」を担当しているのは土木部になりますが、確認したところ、この検討会は、四国地方整備局が主催し、四国の防災・減災まちづくりの促進を図る観点から、学識経験者や県、市町と協働して、平成22年度から毎年度継続して開催しているもので、平成24年1月には、災害に強いまちづくりを進める上で参考となる、市町向けのガイドラインを策定し、随時更新等を行っているとのことです。  新たな防災対策については、2月8日の検討会の資料を見ると、「防災の観点を考慮したまちづくりを検討していくためには、各種ハザードマップを収集し、それらのハザード情報をもとに、地域のリスク分析・評価を行い、今後発生すると考えられる各種災害を踏まえて、土地利用や防災・減災対策を検討していくことが重要」と記載されており、新たな項目として、「各種災害ハザード情報等の重ね合わせ」をガイドラインに新たに追加することとなったものです。  具体的には、洪水や土砂災害、高潮、津波など、各種のハザードマップがあり、これらを全て重ね合わせることにより、その地域の構造や災害リスクの「見える化」を行い、地域におけるリスク評価を行うことにより、行政や専門家と地域住民との間に合意形成を図り、災害に強いまちづくりにつなげていくことを想定しているというものです。このガイドラインの改定内容については、年度末に四国地方整備局のホームページで公表される予定であると伺っています。また、具体的な事例としては、高知県中土佐町では、今年度中に役場庁舎や消防庁舎が高台に移転する予定であると聞いています。  本県においては、昨年4月に運用を開始した「かがわ防災Webポータル」に、新たに、全てのハザードマップを重ねて表示できる機能を盛り込んでおり、県民の皆様には、かがわ防災Webポータルを見て、御自分の地域や職場における災害リスクを認識していただき、いざというときに取るべき行動を考えてもらうための一つのツールとしていただけるよう、県としても取り組んでいます。 樫委員  この検討会には、土木部が参加しているということでしたが、災害に強いまちづくりということで、防災の観点も入っているのであれば、危機管理総局として参画しないのでしょうか。県として総合的にやらなければならないと思いますが、そのあたりの連携はどうなっているのでしょうか。 寺嶋危機管理総局長  検討会に土木部長が委員として参加していますが、土木部を通じ、情報はもらっており、情報共有は図っておりますし、危機管理総局としても、災害に強いまちづくりについては、一つの課題と認識していますので、今後とも、熱心に頑張ってまいりたいと思います。 樫委員  ハザードマップも、いろいろな種類があり、それを重ね合わせることで、地域の実情に合った内容にするとのことであり、これは大事なことです。そういう意味でも、総合的に対応するという意味で、土木部と危機管理総局との連携が重要だと思いますので、今後とも防災対策に力を入れていただきたいと思います。  今、コロナ禍での災害への備えということが強調されています。自治体の防災計画では、避難所として学校の体育館が指定されていますが、避難する場合に、クラスターを生まないための避難体制が求められています。この避難所運営マニュアルが、自治体によっては、まだできていないということが昨年来から指摘されていますが、どのような状況になっているのでしょうか。  また、高齢者や障害者へのサポート体制は、高松市でも力を入れて取り組んでおり、私も地元で、それをどう具体化するのか、いろいろと検討をしています。  併せて、パーティションなどの設備についてです。パーティションなどを設置して、3密にならないよう、また、マスクや消毒剤、ベッド、食料、水などの備蓄の備えが求められていますが、まだまだ不十分であると思います。この点について、各市町に対してどのような指導をしているのでしょうか。また、県としてどういう支援をしているのか、その辺りについてもお伺いしたいと思います。 寺嶋危機管理総局長  県では、避難所における新型コロナウイルス感染症対策について、十分な備えをしていく必要があることから、昨年6月に、「避難所におけるコロナウイルス感染症対策指針」を策定し、県民の方々の適切な避難行動への理解促進や、避難所における3密の回避、より多くの避難場所の確保、さらには、避難所における必要な物資等の確保などを示したところです。  避難所のマニュアルについてですが、全ての市町において、感染症を踏まえた避難所の開設手引き等のマニュアルを作成しています。より多くの避難場所を確保するため、指定避難所以外の公民館や体育館、民間施設などの避難場所の確保、さらには、複数の市町で、ホテルや旅館等の組合との協定等に基づく活用が進められているところです。  高齢者、障害者の避難行動要支援者へのサポートにいては、現在、全ての市町において、個別の支援計画の策定が進められているとともに、ホテルや旅館の活用に際して、こうした要支援者の優先順位を検討しているところです。  また、避難所における設備について、まず、食料品や飲料水等の備蓄については、最大クラスの南海トラフ地震が発生した場合に備え、県と市町において1日分を現物備蓄により、2日分は小売業者等との協定による流通備蓄により確保していますが、新たに感染症対策としての備蓄物資が必要であるとのことで、県と市町が協力し、マスク、消毒液、体温計、パーティション、段ボールベッドなど、感染症対策に必要な物資の確保を行っているところであり、県としても、今後、こうした感染症対策物資の備蓄がさらに進むよう、県の災害に強い香川づくり集中対策推進事業などの補助制度も市町に活用していただきながら、避難所における感染症対策に万全を期してまいりたいと考えています。 樫委員  私の属する自主防災組織から、地域のそれぞれの避難所ごとのコロナ対策を踏まえた収容人数の問い合わせをしましたが、それに対して明確な答えが返ってきていません。ですから、県として、学校の体育館の標準的な広さは分かっていると思いますが、3密対策をした上で、各小学校に避難できる人数は何人なのか、収容人員を超える場合はどうするのか、そういった具体的な部分が重要だと思います。その辺りについては、どのように県として市町を指導しているのでしょうか。 寺嶋危機管理総局長  県が昨年6月に作成した感染症対策指針では、避難所において、世帯間で概ね2メートル、最低でも1メートル以上の間隔を確保してスペースを取るという指針を示しています。これを踏まえ、各市町では、各避難所における収容人員の試算をしているところであり、スペースが不足する場合は、空き教室やコミュニティーセンターの会議室を使用するなど、より多くのスペースを確保するように努力していると伺っています。より多くの避難場所を確保されるよう、県としても、引き続き、指導してまいりたいと考えています。 樫委員  前にも同じような答弁を聞いた気がしますが、言っている割には進んでいないという気がします。もっとスピード感を持って、県も各市町に対して、マニュアルに基づいた対策ができているかどうかの確認をしなければならないと思いますが、確認はできているのでしょうか。 寺嶋危機管理総局長  昨年、各市町に対して、風水害や台風に備えた浸水に対しては、現状の避難所で足りるとのことでした。  ただ、最大クラスの南海トラフ地震が起きると、県内で11万9000人の方が最大で避難する見込みであり、3密対策をした上で収容人員が足りるかどうかは不明確な部分があるため、市町に的確に把握するよう指示しています。 樫委員  しっかりとスピード感を持ってやっていただきたいと思います。  風水害についてですが、流域治水の推進が大事なのではないかと感じています。ダムの洪水調整には一定の限界があります。計画を超える豪雨ではダムは満杯になり、最終的には流入量と同じ量を放流する緊急放流が行われるわけです。洪水低減の役割を果たせない事態がダムでは発生するということです。2018年7月の愛媛県の肱川洪水では、緊急放流で9人の方が犠牲になっています。ダムというのは、緊急放流という牙を持っているということを、防災の基本として認識しなければならないと思いますが、この点についてはどのように認識されていますか。 寺嶋危機管理総局長  ダムの緊急放流についての担当は土木部であり、土木部に確認した内容の答弁しかできませんが、ダムの緊急放流は、ダムごとに定められた操作規則に基づき、洪水時最高水位を超えることが予測される場合に、ダムからの放流量を流入量まで増加させるものです。その際は、サイレンを繰り返し鳴らすとともに、直接、市町長等へのホットラインや警察、消防など関係機関への連絡、さらには、防災行政無線やかがわ防災Webポータル等での周知など、多様な伝達手段により住民の皆様に情報の伝達を行うとのことです。  こうした中、平成30年7月豪雨や、毎年のように全国各地で豪雨災害が発生していることから、土木部では、今後も、出水期前には市町と連携して、こうした情報伝達訓練を行うとのことであり、危機管理総局としても、災害時の情報伝達体制の強化や、防災意識の向上を図るなど、土木部と引き続き連携して、ハード、ソフト両面から防災対策に取り組んでまいりたいと思います。 樫委員  国交省は、激甚化する風水害や切迫する大規模地震への対策として、ダムや堤防だけでなく、ため池の治水利用や遊水池の整備、危険区域からの住宅移転促進などを組み合わせた流域治水を推進しているということですので、本県としても、こうした観点から、防災において、ダム中心から流域治水への転換を図っていただきたいと思います。これは土木部と総合的な観点で危機管理総局が一緒に、先ほどのハザードマップと併せて、流域治水にどう対応していくのか、そういった計画を持っていただきたいと、これは要望にしておきます。  次に、防災士の活用についてお伺いします。  NPO法人日本防災士機構によると、今、全国で防災士が20万人を超えたと言われていますが、本県には何人いるのでしょうか。全国水準から見てどうなっているのか、お伺いします。 寺嶋危機管理総局長  本県の日本防災士機構に登録されている防災士は年々増加しており、今年1月末現在で2,854名です。全国では、20万3000人余の登録があり、人口1,000人当たりでは、全国では1.6人ですが、本県では1,000人当たり2.9人という状況であり、全国の平均より多くの方が登録されている状況です。 樫委員  全国水準を倍近く上回っているということで、いいことだと思いましたが、この防災士も県の防災士会に組織をされており、いろいろな活動を展開されています。先ほどの質問でもありましたが、家具の転倒防止事業など、県の事業を含め、活発に活動されていると思いますが、それ以外にどのような活動をしているのでしょうか。  さらに、防災士の資格は取ったが、あまり活動してない人もいると思います。2,854名の防災士の活動率は、調査しているのでしょうか。防災士は、すごい知識を身につけているのですから、こういう人こそ地域の中に入って、各自主防災組織と一緒になって活動することが、防災にとって大きな力になると思います。その辺りについて、現状はどのようになっているのでしょうか。 寺嶋危機管理総局長  県の防災士会は、国や県、香川大学、日本赤十字社など防災関係機関と連携し、地域の避難訓練や、地区防災計画や避難所運営マニュアルの講習会、地区コミュニティーとの協議、学校での防災学習アドバイザーなど、地域に根差した様々な防災活動を活発に行っています。  活動率そのものではありませんが、令和元年度の実績では、避難訓練や避難所運営マニュアルの講習会、地区コミュニティーとの協議等を96件行っています。また、学校防災アドバイザー派遣事業として、延べ23校・園で31回行っているという状況です。  さらに、本県では、平成28年度から、自主防災組織などに対して助言等を行うため、香川県自主防災活動アドバイザー事業を実施しており、県防災士会を中心に、かがわ自主防連絡協議会や香川大学、さらには、樫委員にもアドバイザーになっていただき、防災士の方々に幅広い活躍を行っていただいており、昨年度は、地区防災計画の策定や避難訓練などの助言活動も行っていただいています。 樫委員  2,854名もの方がいるのに、活動状況が少ない気がします。有資格者でも、地域とのつながりができていないなど、いろいろな人がいると思います。県から各市町に、防災士の資格者と自主防災組織との仲介役を果たすよう促していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 寺嶋危機管理総局長  危機管理課にも、女性の防災士の方がいます。一生懸命勉強して、防災士の資格を持ち、いろいろ知識を持っておられる方ですので、その方も大洲市に派遣され、実際に避難の支援をしました。せっかく2800人以上の方が防災士の資格を有しているので、有効に活用するということは大事なことだと考えています。  今後とも、地区防災計画や避難所運営マニュアルの策定、避難訓練の実施に当たり、幅広く活躍してもらいたいと思っており、県としても、防災士を広くPRしてまいりたいと思っています。また、昨年度から実施している家具類転倒防止事業でも、防災士会には、地域に密着した活動を行ってもらっていますので、県としても、より多くの防災士の方が活躍できる場を設けていきたいと思っています。 樫委員  次は、交通安全対策についてお伺いします。  2020年の本県の交通事故死者数は59人となっており、8年ぶりに全国ワースト1位になりました。来年度予算では、ワースト脱却に向け、今年度実施した、押ボタン式信号機の利用を促す「おもてなシート」を増やすとともに、新たに、歩行者に横断禁止区間を分かりやすく伝える「わたるなシート」を設置するとことや、「横断禁止」標識の平仮名表記、「飲酒運転根絶BOX」のホームページを開設するなど、積極的に施策を打ち出しています。そこで、県警察として、全国ワースト1位脱却に向けた決意をお伺いしたいと思います。 佐藤交通部長  昨年の本県の交通事故死者数は前年より大幅に増加し、人口10万人当たりの死者数は6.17人と、平成24年以来の全国ワースト1位という極めて厳しい結果となりました。特に、死者に占める高齢者の割合が、統計開始から初めて7割を超えたほか、人対車両の事故死者の半数以上が道路横断中であること、飲酒運転やシートベルト非着用に起因する死亡事故が多いことなどが挙げられます。  県警察では、悲惨な交通事故を1件でも減少させるため、交通事故分析に基づき、交通事故抑止に資する交通指導取締りの強化、県民一人一人に届く交通安全教育や広報啓発活動、交通事故の起きにくい道路交通環境の整備など、総合的な交通死亡事故抑止対策を推進してまいりました。  来年度は、これまでの対策に必要な見直しを加え、継続実施するとともに、新たに歩行者横断禁止区間の乱横断を防止するための路面シート「わたるなシート」の整備、重大交通事故に直結する飲酒運転を根絶させるための情報受付窓口「飲酒運転根絶BOX」の設置、シートベルトの重要性を指導し、着用を意識づけるためのシートベルトカバーの配布を予定するなど、本県の交通死亡事故の特徴や課題を踏まえた対策を講じてまいります。  県警察としては、これらの取組を的確に推進していくとともに、関係機関や団体等と緊密に連携し、より効果の高い対策を展開することにより、交通死亡事故を減少させることで、全国ワースト返上に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えています。 樫委員  全国ワースト1位脱却に向け、力強いお話をいただきましたが、大いに頑張っていただきたいと思います。  私は、昨年の9月定例会で、発想の転換による新しい交通政策が必要ではないかと質問をさせていただきました。そのときに、寺嶋危機管理総局長は、AIを用いて潜在的な交通事故危険箇所の予測、自動運転実用化に向けての小豆島での実証実験を行ったということでした。こうした取組を交通政策に生かしていきたいと答弁をされましたが、従来の発想にとらわれない新しい考え方を取り入れることは大事ということなのですが、自動運転実用化やAIの活用について、進展状況をお伺いします。 寺嶋危機管理総局長  従来の発想に捉われない新しい交通安全対策について、自動運転に関しては、全国的な状況として、昨年11月に世界で初めて、特定条件下で運転者に代わってシステムが運転するレベル3の車両が、国土交通省から型式指定され、今年度内に発売される見込みであると伺っています。  県では、平成30年度から毎年、政府予算等に関する政策提案・要望の中で、自動運転の技術開発の推進・安全性の確立について、国に要望書を提出しているところですが、より高度な自動運転である、常にシステムが運転するレベル5が実現すれば、運転者が起因する交通事故の大幅な低減につながることが期待されることから、今後も国に対して、より高度な自動運転の早期実現を要望してまいりたいと考えています。  また、AIに関しても、昨年、交通事故の危険度予測マップを作成しましたが、今年度、本県と包括連携協定を締結している三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社と連携し、同社が保険契約者に提供している通信型ドライブレコーダーを通じて、危険箇所をリアルタイムでドライバーに通知できるようにしています。  具体的には、AIの危険度予測マップに掲載している県内100か所を損害保険会社のサーバーに登録し、車が危険箇所に近づくと、ドライブレコーダーから音声でドライバーに注意喚起を行う全国で初めての取組であり、今年の1月28日からサービスが始まっています。これにより、これまでのマップによる啓発に比べ、リアルタイムかつピンポイントで注意喚起できるようになったことで、ドライバーの安全運転意識が高まるほか、100か所の危険箇所の中には、交差点付近だけでなく、直線道路も含まれていることから、音声での注意喚起により漫然運転や居眠り防止の効果も期待されています。  今後とも、先端技術の研究や開発を注視し、交通安全施策に生かしたいと思います。 樫委員  自動運転のレベル5はいつ頃実現されるのでしょうか。また、AIを使って、危険箇所を音声で知らせるシステムがあるとのことですが、どうしたら、その音声が出るようになるのでしょうか。その辺り、1月からスタートしたと言っても、活用の方法が分からないので、そういう周知もしてほしいと思いますが、それについてもお尋ねします。 寺嶋危機管理総局長  まず、自動運転ですが、今、レベル3が2020年度に目標を達成したということです。国交省の資料では、今後、レベル4として、高速道路での自動運転が2025年度を目途とされています。レベル5は、明確な目標の記述はありません。  ドライブレコーダーに関しては、現在、包括連携協定を結んでいる2社の保険会社が提供しているドライブレコーダーを設置した利用者に対して、会社から音声で案内するというシステムですので、先ほど申し上げた2社で保険契約に加入した上でサービスを利用することとなります。 樫委員  分かりました。  最後に要望ですが、AIの活用をしっかりやっていただき、香川県として全国ワースト1位の汚名返上に、県警と危機管理総局が一体になって努力をしていただきたいと要望して終わります。 高田委員  私からは、第11次香川県交通安全計画の策定についてお尋ねします。  この計画は、第11次計画ということで、もう50年を超えています。昭和45年の交通戦争を機に計画を策定しました。当時は、香川県内の死者数は、年間232人でしたから、それから考えると、全国的にも、香川県でも死者数は減少してきました。ただ、香川県は、20年前にワーストワンを取ってしまい、それから、上がったり下がったりしながら、今の状況になっている状況です。  まず、この計画ですが、私、全部は読めませんでした。なぜかというと、全て大事なことは書いていると思いますが、80ページもの膨大な量だったからです。一番大事なのは、年間39人以下にするという目標管理が大事なのだと思います。そんな中、第10次計画までの総括があって、それを踏まえて第11次計画をつくっていて、今ちょうどパブリックコメントを受けているところですから、80ページの中には少し回りくどいのではないかと思う面があり、例えば、シートベルトを備えている幼児用座席に幼児を乗せるときは、シートベルトを着用させるよう広報するとか、幼児、児童の保護者に対して、自転車乗車時にはヘルメットを着用させて被害軽減効果を理解促進し、着用徹底を図るほか、全ての年齢層の方々にもヘルメットの着用を促すなど、自転車条例により定められたことであるのに、事細かに書いています。これはこれでいいのかもしれませんが、逆にポイントが分かりにくくなるのではないかと思いました。ただ、事細かに書かれていることは、行政を推進する上で、一つ一つを点検していくためにはいいとも思いますが、今度の計画のポイントを短い言葉で教えてください。 寺嶋危機管理総局長  香川県交通安全計画は、国の交通安全基本計画を県版に落としこんでいるものです。第10次計画では、「高齢者と子供の安全確保」、「歩行者と自転車の安全確保」、「生活道路における安全確保」、「先端技術の活用推進」、「交通実態等を踏まえたきめ細やかな対策の推進」、「地域ぐるみの交通安全対策の推進」の6項目を重点項目として、それぞれの分野で施策を展開してきましたが、交通事故死者数39人以下という目標には全く届かず、ワースト1位という残念な結果でした。  今後の課題としては、死者数の75%を占める高齢者の死者数をいかに減らすかということが、一つの着眼点であると思っています。第11次計画案では、現行計画と同じ6項目を重点事項としており、目標については、過去5年間の死者数の推移や交通環境、社会情勢の変化等を踏まえ、令和7年までに死者数を39人以下にするとともに、国の計画が、従前の「死傷者数」から「重傷者数」に変わったことから、県の計画も重傷者数200人以下にすることとしており、現在、パブリックコメントを実施しているところです。  次期計画のポイントですが、高齢者対策については、高齢者が日常運転する自宅周辺の道路において、自動車教習所の指導員による実地運転講習を、高齢者以外については、住民の身近な市町庁舎のロビーやエントランスホール、病院の待合室等に設置された案内モニターでの広報や、市町の広報車等を活用した広報などを来年度から新たに実施することとしており、きめ細かな交通安全対策についての啓発をあの手この手で頑張りたいと思います。 高田委員  いろいろな手を使ってやることは当然であると思います。それでも、交通事故死者数39人以下という目標は、しっかりと意識をしなければ難しいかもしれません。そういう意味では、県警と連携し、いろいろな知恵を絞って、目標に向けて突き進んでほしいと要望しておきたいと思います。  次に、県警察本部における健康管理室、留置管理課の設置についてお伺いします。  いずれも、コロナ禍における感染予防体制の強化が設置理由の一つになっています。そういう意味であれば、コロナ収束後も必要であるという認識なのかどうか、この辺りをまず教えてください。 谷山警務部長  人事課の留置管理室においては、警察署に設置している留置施設の管理や被留置者の処遇に関する業務の企画・立案、指導及び調整に関する業務を行っています。近年、全国的に発生している逃走事故や困難を極める問題被留置者への対応が求められています。このため、新型コロナウイルス感染症収束後においても、より一層、高度で専門性を求められる職員の指導教養や、事故防止と適正な処遇のための施設や資機材の整備、共犯者がいる場合の留置施設の分散に向けた警察署長に対するきめ細やかな調整等、留置管理業務に万全を期すため、指導・調整機能の強化に向けた必要な組織再編であると認識しています。  また、健康管理についてですが、健康管理室を設置することにより、新型コロナウイルス感染症対策の強化に併せ、健康管理そのものの強化も進めてまいります。第1は、「健康管理における指導力の強化」です。厚生課内の係から健康管理室に格上げすることにより、健康管理室長の所属長クラスを配置することで、警察署等の各所属に対する指導教養を強化します。また、警察職員の一人一人が最大限に能力を発揮するためには、その健康が大前提であるとの認識を浸透させ、必要な健康指導を必要なレベルで推し進めてまいります。  第2は、「能動的な健康管理の推進」です。ここ数年、職員の定期健康診断の受診率、異状が認められた際の精密検査の受診率は、共に100%でした。その結果、病症の早期発見、治療に至った事例は多々あるところですが、残念ながら隠れた大病の前兆を抽出できなかった事例も発生しています。  今後は、健康管理室において、定期健康診断等の結果をベースとして、職員個々の血圧や体脂肪率等といった体質変化の推移を綿密かつ継続的に分析し、嘱託の健康管理医の細やかな指示を受けるなど、以前よりも一歩踏み込んだ健康指導を推し進めます。  第3は、「職場復帰等支援の強化」です。健康管理室として、各所属と横並びで連携を強化することができるようになります。病気は、病院での治療が終わればゴールではありません。職員の中には、大病と闘いながら職務に取り組んでいる者も多くおります。健康管理においては、治療後の職場復帰に向けた支援、復帰後の長期的なサポートが重要であり、今後、各所属とさらに連携を強化していく方針です。  以上3点を重点に推し進め、県民の期待と信頼に応える力強い警察職員の健康を維持してまいりたいと考えています。 高田委員  コロナ禍が収束しても必要な部署であることで、留置管理室については、調整を含めて県警として各警察署にある部分の管理をしていくということで、よく分かりました。  健康管理室については、現職死亡も最近ありましたし、警察官という職業柄、職務への責任感で、自分を犠牲にするというようなすばらしい方々ばかりですから、そういう意味では、私は心配になります。ですから、特に、健康管理の中でもメンタルヘルス的な部分で、人との関係の中で仕事をしていくわけですから、カウンセリング体制も重要になると思います。その辺りはどのようにお考えでしょうか。 谷山警務部長  警察は、日々、昼夜を問わず、県民の安全・安心を守るという重要な責務を担っているため、健康管理を自己管理のみに任せることなく、組織的に管理するという観点から、継続的に、職員の健康管理に関する体制強化を図る必要があります。  健康管理においては、平素の予防と不調がある場合の早期対応が要諦になります。特に、メンタルヘルスにおいては、不調に至る前の兆し段階での早期把握と対応が重要であり、これまでにも、ストレスの自動診断システムを活用し、このストレスチェックにより高ストレスと判定された職員、あるいは、一定基準を超える長時間勤務者に対しては、必要に応じて健康管理医による面談を実施しているほか、各所属に配置した「ピアサポーター」と呼ばれる相談担当者や部外カウンセラー等の活用により、メンタル不調の未然防止に努めてきたところです。 高田委員  健康管理室を設置することによって、具体的に、これから健康管理でどういったことが警察職員に対してできるようになるのでしょうか。 谷山警務部長  所属長クラスの室長を配置することにより、関係所属へのメンタルヘルス対策等に関する指導・教養の強化や、外部相談窓口のカウンセラーとの連携強化、健康管理室保健師のカウンセリングに関するスキルアップなどをさらに進め、職員の持つ多様な不安や悩み、ストレスに迅速かつ的確に対応し、職員が日々の活動に安心して専念できる職場環境づくりに努めてまいりたいと考えています。  さらに、メンタルヘルスだけではなく、定期健康診断等の結果から、職員個々の体調変化の推移を綿密かつ継続的に分析し、嘱託の健康管理医の細やかな指示を受けながら、以前よりも一歩踏み込んだ健康指導を進めるほか、病気の予防だけではなく、治療後の職場復帰時の支援、復帰後の長期的なサポートに関しても、さらに所属との連携を強化し、県民の期待と信頼に応え得る力強い警察職員の健康を維持してまいりたいと考えています。 高田委員  警察官の皆さんは正義感が強いものですから、自分を犠牲にして、休みの日も、捜査をしてしまうといった部分があります。長時間の労働や、精神的な圧力などを感じるのだろうと思います。そこをしっかり、ストレスを取るようなセクションとして、この健康管理室の効果があるように期待をして、質問を終わります。 高城委員長  以上で、危機管理総局及び公安委員会関係の質疑、質問を終局いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) 高城委員長  御異議なしと認め、危機管理総局及び公安委員会関係の質疑、質問を終局いたします。  本日は、これをもって散会いたします。 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....