香川県議会 > 2020-11-03 >
令和2年11月定例会(第3日) 本文

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  1. 香川県議会 2020-11-03
    令和2年11月定例会(第3日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    西  川  昭  吾 君    十  河     直 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君
       鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    東  田  晃  拓 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  内  浩  二 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員長   溝  渕  香代子  君           警察本部長      那  須     修 君           代表監査委員     三  谷  和  夫 君           監査委員事務局長   岡     興  司 君           人事委員会委員    高  濱  和  則 君           人事委員会事務局長  岡  田  総  一 君           労働委員会事務局長  豊  島  正  人 君           政策部次長      椋  田  那津希  君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第三号)                  令和二年十二月十日(木)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(西川昭吾君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程に入るに先立ちまして、諸般の報告をいたします。  職員に朗読させます。    (職員朗読)   諸般の報告 一、議案第三十三号の先議に伴う議案第一号の計数整理の結果につきまして  は、十一月二十六日に配付いたしております。 ◯議長(西川昭吾君)以上で諸般の報告を終わります。    ───────────────────────────── ◯議長(西川昭吾君)日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  氏家孝志君。    (氏家孝志君登壇、拍手) ◯氏家孝志君 議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  質問に先立ち、高病原性鳥インフルエンザの収束と新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に御尽力されている医療従事者、陸上自衛隊、建設業協会、県市町職員をはじめ、社会を支えるために必要不可欠な仕事を担う全ての皆様方に対し、改めて敬意と感謝を申し上げます。  質問の第一点目は、コロナ禍における雇用対策、積極的な経済対策についてであります。  厚生労働省の集計によりますと、十一月六日時点で新型コロナウイルスの感染拡大に関連した解雇や雇い止めの人数が見込みも含めて初めて七万人を超えるなど、雇用情勢の厳しさが改めて浮き彫りとなりました。また、業種別では製造業が最も多く、飲食業、小売業、宿泊業の順に多くを占めている状況であります。  本県におきましては、十月の有効求人倍率が前年同月差マイナス〇・五一ポイントの一・二九倍、正社員有効求人倍率が前年同月差マイナス〇・三二ポイントの一・〇五倍と減少し、求人が求職を上回って推移しているが、求人が大幅に減少しており、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に十分注意する必要があるとの見解が示されております。また、十一月二十七日時点の累計で雇用調整を行う可能性がある事業所の数は香川県では三百八十四事業所、新型コロナに関連する解雇や雇い止めは既に予告したものを含めて三百二人に上り、雇用への影響が深刻になっております。  さらに、厚生労働省と文部科学省が実施したサンプリング調査によりますと、来年春に卒業する予定の大学生の就職内定率は十月時点で六九・八%と、去年の同じ時期より七ポイント低くなりましたが、十月時点の内定率が七〇%を下回るのは二〇一五年以来であり、まさに就職氷河期の再来とも言われております。  反面、人材不足に苦しむ中小・小規模事業者にとっては優秀な人材を確保する絶好のチャンスではありますが、同時に多様な働き方の導入やテレワークの環境整備など人材確保力を高めるなど、魅力的な求人活動を行うための取組が求められています。  そこでまず、この状況を回避していくためには、積極的な就職支援と人材不足に苦しむ中小・小規模事業者への支援が重要であると考えますが、県としてどのように取り組まれるのか、知事にお伺いをいたします。  また、コロナ禍の現状、さらにコロナ禍の終息後における落ち込んだ地域経済の早期の回復も雇用対策に直結する非常に重要な課題であり、国とともに県のかじ取り、果たすべき役割は非常に大きいものがあると強く考えております。  本定例会初日の知事の提案理由説明の中で、中期財政概算見通しについて、今後五年間で百二十七億円から二百六十五億円の財源不足が見込まれるなど、厳しい状況にあるとの発言がありましたが、本県経済の先行きが不透明な現状におきましては、不要不急の事業の中止、縮小、延期などにより財源を生み出し、また、国の事業の拡大や県債、各種補助金の有効活用等により、本県の経済対策に積極的に取り組むことが最重要課題であると考えております。  このような中、先日の決算行政評価特別委員会において、昨年度は目標としていた元金プライマリーバランスを実現し、臨財債を含めた県債残高も減少に転じたことが報告され、また、実質公債費比率も全国の上位にあることが判明しましたが、特にコロナ禍の現状である今は、財政健全化を優先するのではなく、経済再生に重きを置く必要があると考えております。  地方自治体は中央政府とは異なり通貨発行権を持ち合わせておらず、また、県債の発行に関しても厳しい制限があることは十分に理解をしておりますが、コロナ禍の厳しい現状を乗り越え、コロナ禍終息後における経済再生のためには、今は何としても事業を継続していただくことが重要であり、そのための積極的な財政運営が必要不可欠であると強く考えております。  そこで、経済対策について、特に財政面からどのように取り組むのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第二点目は、小児慢性特定疾病への支援についてであります。  先日、慢性疾病の治療のために長期入院や入退院を繰り返す子供とその御家族が社会から孤立しないように支援されている丸亀市のNPO法人のお話を聞く機会がありました。小児がんや慢性の心臓病、腎臓病などの病気を抱える子供たちは、幼少期から疾病に罹患しているため、学校生活での教育が十分に受けられず、また、社会性の形成に遅れが見られ、自立が阻害される場合もあるそうです。御自身もお子様を小児がんで亡くされた経験を持つ代表者の方は、教員免許や保育士資格を持つ仲間の協力を得て任意団体として活動されてきましたが、このたび本格的に活動するため、NPO法人の認証を取得されました。  この団体では、これまで四国こどもとおとなの医療センターや香川大学医学部附属病院において、クリスマスなど季節のイベントを開催したり、チーム・グッドブラザーと呼ばれる学生ボランティアによる学習支援を行ってこられました。最近では新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、病院での面会も制限されるようになっていますが、コミュニケーションロボットを無償で貸し出し、ウェブ会議システムを活用して子供同士の交流を促進しておられるほか、退院後も在宅療養をしている子供と引き続き交流しています。また、メールや電話でも子供やその御家族の相談を受けており、子供の学習の遅れや、長期入院しているために元の学校に戻ることができるか分からない不安や孤立感など、病気と闘う御家族の切実な相談が寄せられ、病気であっても成長を続けるべき子供さんや、そのきょうだい児と家族に寄り添う様々な支援を行っていきたいとのことでありました。  国が小児慢性特定疾病として定めている疾病は七百六十二あり、これらは治療期間が長く、医療費負担が高額となることが多いことから、医療費の公費助成があり、県内では約八百三十人の受給者がいるとのことであります。もちろん経済的負担の軽減は必要と考えますが、長期にわたる療養により、病気を抱える子供とその家族が社会から孤立したり、教育や健全育成に遅れが生じることがなく、希望を持って自分らしく暮らせる社会の実現を目指し、御紹介したNPO法人が行っているような子供の健やかな育ちや自立を支援することも重要であると考えております。  また、このNPO法人をはじめ、ボランティアで社会貢献を行っている民間団体の方が活動を続ける上で行政との連携は大切であることから、県をはじめ行政とのつながりを求めており、「自分たちの活動を知ってもらいたい」、「行政と連携して活動すればもっと活動の幅が広がるのではないか」、「一緒にやれることがあれば協力したいと思っている」という声をお聞きいたしております。  そこで、県では、このような小児慢性特定疾病の子供やその御家族について、これまでどのように支援してきたのか、また、このような民間団体との連携も含め、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第三点目は、地域特産品に対する積極的な支援についてであります。  今、我々は、急激な高齢化の進行や人口減少といった課題にさらされております。こうした状況に歯止めをかけるためには、各地域が特色を生かして、自律的かつ持続的で魅力ある社会をつくり出す地域の活性化の取組が必要不可欠であります。  本県は、住みやすい気候風土や品質の高い農水産物、加工食品等、数多くの宝に恵まれており、こうした強みや財産を最大限に活用し、おいでまい、さぬき讃フルーツ、オリーブ牛など競争力のあるブランド農産物の生産を拡大するほか、地域特産品の開発・振興に積極的に取り組んでいるところであります。特に、中山間地域は農地が狭く、また、それに起因して農作業の機械化が難しい状況にあります。また、平野部に比べて農業者の高齢化も進んでおり、担い手が不足しているなどの問題を抱えているなど、生産基盤は脆弱であり、条件的に不利な地域が多くなっております。こうした条件に恵まれない地域でも、特色ある農産物を生かした特産品づくりにより地域の活性化を図ろうと、知恵を絞って特産品の開発や振興に意欲的に取り組まれております。  このような中、先日、まんのう町内でヒマワリや薬草、ソバやマコモダケなどの地域特産品の振興に積極的に取り組んでおられる方々と県の担当課長の皆さんとの現地視察と意見交換会を開催し、地域特産品にかける熱い思いや問題点、御要望をいただきました。その中で、今後の展開のためには、地域で生産される農産物の特産品化のさらなる推進と商品開発、販路開拓等が特に重要であることが示され、欠かすことのできない機械などの導入、販路開拓等に対する積極的な支援について強い要望がありました。  本県では、特色ある農林水産物や優れた食品加工技術など、強みとなる資源が数多くあることから、農林漁業者と中小企業者らが連携した新商品の開発や販売促進など農商工連携を支援しているところであり、地域で生産される農産物の特産品化の推進は、所得の向上や雇用の創出、観光客の増加、地域のブランド化など、総合的な地域活性化政策として期待されております。  このように中山間地域における活性化の取組が求められる中、地域の実態に即して特色ある農産物の生産、商品開発、販路拡大の各段階に応じた支援が必要であります。また、物的な支援だけではなく、技術的・精神的な県の支援は、地域の特産品づくりに励む農業者らの強い支えとなります。そうした観点からも、中山間地域の特産品づくりに対して積極的な支援をしていただきたいと考えております。  そこで、県として地域特産品の支援について、今後どのように取り組むのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第四点目は、農業振興地域制度についてであります。  農業従事者の減少や高齢化等を背景とした耕作放棄地の増加や宅地等への転用などにより、我が国の耕地面積は年々減少し、令和元年では前年比二・三万ヘクタール減の四百四十万ヘクタールとなっております。  また、農業振興地域の整備に関する法律では、国が農用地等の確保等に関する基本指針を定め、県が国の基本指針に基づき基本方針を定めるとともに、一定地域を農業振興地域として指定し、市町が農業振興地域整備計画を定めることとなっております。その計画の中で定めた農用地利用計画の農用地区域内におきましては原則として農地転用が禁止され、農業振興の基盤となるべき農用地等の確保が図られることとなっております。  この農用地区域に指定されている農用地を住宅用地など農用地以外の用途に転用する場合には、いわゆる農振除外の手続が必要となり、具体的には、市町が県の同意を経て農業振興地域整備計画を変更することとなります。この手続において、本県は農家住宅や分家住宅を除き、隣接する二辺以上で農用地以外の土地と接していること等を求めていますが、本県と同様に二辺接続を求めているのは十三県と伺っており、他の都道府県と比べて厳しいのではないかとの意見が数多く寄せられています。また、これらの厳しい条件は各地方自治体の担当者は認識していますが、多くの地権者、農業者は説明不足等から十分に認識しておらず、このこともトラブルの一因となっております。  農地は多様な公益的機能を有していること、また、優良農地を保全・確保するためには面的な農用地利用計画が重要であることは十分に認識しておりますが、他方で、本県は農業従事者が著しく減少し耕作放棄地が増加していること、人口密度が比較的高いこと、さらには農地の面積規模にあまり左右されない野菜の栽培が農業産出額の中で高いことなどの事情を踏まえた農業振興地域制度の柔軟な対応が必要であると強く考えております。  特に、人口減少やそれに伴う地域経済の縮小が著しい地方部において、企業誘致や企業規模の拡大は経済的な波及効果が期待できるものでありますが、農振除外が認められず、せっかくのチャンスを逃し、地域経済の発展の障壁となっている事例が数多くあると伺っております。また、家族構成の変化や耕作者の離農等から耕作が難しくなった農地について、宅地等を目的とした土地購入希望者が現れても、前述の厳しい変更条件をクリアすることができず、耕作放棄地となっているといった非常にお気の毒な事例も多く見受けられております。県幹部の皆様方には、ぜひとも現場において直接当事者からお話を伺っていただきたいと思います。  一方で、農村地域において新たな雇用を創出することを目的とした農村地域への産業の導入の促進等に関する法律では、農用地区域からの除外の特例等が認められており、このような新たな事業の立地に伴う土地利用調整の機能を組み合わせて活用することにより、地域における雇用の創出や経済の活性化に資する事業への支援を実施できることとなります。このように、この課題につきましては農政水産部だけではなく、商工労働部など全庁を挙げて取り組むべき課題であると強く認識をいたしております。  そこで、他の都道府県に比べて厳しいと言われている農業振興地域整備計画の変更条件についてどのように考えているのか、また、人口減少や経済の衰退に苦しむ地域において、他の産業や宅地開発との土地利用調整を図りながら、農業と産業の均衡ある発展に対して全庁を挙げてどのように取り組むのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第五点目は、県内宿泊施設の利用促進とワーケーションの推進についてであります。  新型コロナウイルス感染拡大防止のため、世界規模で人の移動が渡航規制や自粛などにより制限され、観光とビジネスの双方において国内外からの人の流入が激減しました。海外旅行の本格的な再開は、ワクチンや治療薬の開発が欠かせないと考えておりますが、その後も旅行を控える動きが続く可能性も否定できません。また、地域経済の観点からすると、観光産業、特にインバウンドを一つの軸にするとしても、偏った戦略の危険性が今回のコロナ禍で明らかとなり、多角的な産業構造を形成することの重要性を改めて思い知らされているところであります。  県が発表した新型コロナウイルス感染症に伴う県内宿泊施設への影響に関する調査によりますと、国のGo To トラベルキャンペーンや県のうどん県泊まってかがわ割による宿泊助成等がきっかけとなり、宿泊数の対前年比は、五月の約九〇%減を底として、七月、八月はそれぞれ五〇%減、九月、十月は約四〇%減となっており、徐々にではありますが需要の回復が見られます。しかし、十一月以降の予約状況は、十一月は約四五%減、十二月以降は六〇%以上の減少と、厳しい状況となっております。  また、帝国データバンクの集計では、新型コロナウイルスによる倒産件数は十一月二十七日時点において全国で七百四十四件、うち業種別での最大が飲食店の百十七件、次いでホテル・旅館が六十七件と観光関連産業が上位二位を占めております。本県の倒産件数は今のところ低水準に抑えられていますが、新型コロナ関連の助成金などで一時的にしのいでいる中小企業などが再び資金繰りに苦慮し、年末にかけて息切れし、倒産に至るケースが出てくる可能性も否定できません。  観光は関連する業種が多く、影響は多方面にわたります。本県経済の柱の一つである観光業界をどう守るかは県政の喫緊の課題であり、重要なことは事業者をコロナ倒産させないことであります。飲食、物販などは、インターネット通販、テークアウトの強化などビジネスモデルの転換の余地がありますが、宿泊業においてはビジネスモデルの転換が容易ではない上、施設の建設に当たり金融機関から多額の借入れをして大規模な投資をするケースが多く、一旦業績が悪化すると返済が滞るリスクが高まります。宿泊施設が激減してしまった場合、今後訪れるであろう反転期に得られるはずの利益を逃してしまうチャンスロスが発生してしまうため、何としても宿泊施設の維持のため、一層の利用促進を図る必要があります。宿泊施設を地域の重要なインフラとして捉え、もっと評価すべきであると強く考えております。  そこでまず、県内宿泊施設の利用促進を図る支援策についてどのように取り組んできたのか、知事にお伺いいたします。  また、環境省は国立公園などで仕事と休暇を両立するワーケーションを実現できるように環境の整備を進めており、具体的には宿泊施設などへのWi─Fiなどのネット環境整備や設備改修費用などの取組に対して支援を実施しております。このような中、高松市では男木島、女木島、塩江の三地区においてWi─Fi環境の整備や仕事などに利用できるワーキングスペース等を設けた事業者に対して最大で二百万円、また、滞在中に楽しめる地域ならではの体験プランを企画した場合も最大百万円を補助する制度を十月に創設しました。さらに、十一月には県内の産・学・官有志が、ワーケーションの普及促進に向けて香川ワーケーション協議会を琴平に設立しました。  ワーケーションの普及により国内観光需要が増加・多様化すれば、経済の活性化、関係人口の創出による地方創生などにつながり、コロナ以前から抱えている課題を解決する有効な手段の一つとして期待することができます。一方、国や県からの補助金がなくなっても継続できるビジネスモデルとなっているのか、情報セキュリティーをどう守るかなどの課題もありますが、地域活性化、宿泊施設の有効活用などの観点から、ワーケーションの誘致に積極的に取り組むべきであると考えております。  そこで、ワーケーションについての認識と、今後本県においてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いして私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)氏家議員の御質問にお答えいたします。  まず、コロナ禍における雇用対策及び経済対策についてであります。  本県では、香川県新型コロナウイルスにかかる経済・雇用対策ワーキングチームを設置し、県内の雇用及び経済状況について継続的に把握・分析を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響は幅広い業種に及び、現在も引き続き厳しい状況にあるものと認識しております。  このうち雇用につきましては、解雇や学生の就職活動の遅れなど、感染症が雇用に大きな影響を及ぼしている一方で、人材不足となっている中小・小規模事業者も多いことから、求職者と事業者とのマッチング支援等が重要であると考えております。
     このため、学生や離職を余儀なくされた方などと人材確保を希望する企業との就職面接会として、本年八月にかがわーくフェアを、十一月にかがわ正社員就職フェアを関係機関と連携し、感染症対策を徹底した上で対面式により開催したところであります。また、中小・小規模事業者の採用活動や人材確保のための環境整備として、ウェブ面接の導入方法を説明した動画の配信やテレワーク等の導入経費の助成、働き方改革推進アドバイザーの派遣などに取り組んでおります。こうした取組に加え、ワークサポートかがわにおいて専門のコーディネーターがきめ細かなマッチング支援に努めるなど、求職者の就職と中小・小規模事業者の人材確保を積極的に支援してまいります。  また、地域経済を回復・活性化することは、現在、県として優先的に取り組むべき重要な課題であると認識しており、これまでも累次にわたって補正予算を編成し、県内需要の喚起、事業者の事業継続や前向きな挑戦への支援などに取り組んできたところであります。  一方で、議員御指摘のとおり、本県財政は、財源対策用基金等を全額取り崩すなどしても財源不足が解消されない見通しであることや、地方は国と異なり経済不況に対応する手段が限定されていることなどを踏まえますと、直面する諸課題に対応していくためには、歳入・歳出の両面について、これまで以上の見直しを積極的に進めることで財源を生み出すことが不可欠であると考えております。  私といたしましては、県民生活や県内経済への影響等に留意しつつ見直しに向けた検討を進めるなど、財政規律に意を用いながら、国の経済対策の状況も十分に見定め、本県の経済にとって効果的な対策を検討の上、積極的に対応してまいりたいと考えております。  次は、小児慢性特定疾病への支援についてであります。  小児慢性特定疾病は、治療期間が長く、長期の入院を伴うなど医療費負担が高額となることから、その御家庭の経済的負担を軽減するため、県と中核市である高松市が国の制度に基づき医療費の自己負担に対する助成を行っており、また、成人後の自立が円滑に進むよう、自立支援員を配置して相談窓口を設けているほか、各保健所において保健師が保護者からの電話や来所による相談に対応しているところであります。さらに、在宅で人工呼吸器を使用しているなど医療的ケアを必要とする子供の療養の支援と、御家族の急用時等に子供を一時的に受け入れる小児レスパイト事業を四国こどもとおとなの医療センターと香川大学医学部附属病院において実施しております。  今後の取組につきましては、学校を休むことによる学習の遅れや、友人等との交流が制限されることによる社会からの孤立が課題であり、それぞれの子供の成長過程や病状に応じた将来の生活のための支援、保護者やきょうだいなどの精神的な負担を軽減するための支援を充実していく必要があると考えております。  議員御紹介のNPO法人は、多くの小児慢性特定疾病患児を治療している病院において患児同士の交流や学習支援などを行っているほか、退院後も引き続き保護者からの相談を受けるなどノウハウを有していることから、今後、連携・協力しながらこのような取組を進めていくことを検討してまいりたいと考えております。  私といたしましては、次代を担う子供たちを安心して生み、健やかに育てることができる子育て県かがわの実現を目指す中で、民間団体も含め医療機関など関係機関と連携して支援体制の強化を図り、小児慢性特定疾病への支援に積極的に取り組んでまいります。  次に、農業振興地域制度についてであります。  農業振興地域制度は、長期にわたり総合的に農業振興を図る地域を明らかにし、農業と農業以外の土地利用を調整することにより農業の健全な発展を図る制度であります。県では、農地の面積が狭小で、農地の中に住宅が分散して建築されるなど混在化が進む本県の特徴を踏まえて、法律や国のガイドライン上の要件を具体化した統一的な基準を定めております。  市町が農業振興地域整備計画において定めた土地を農用地区域から除外する、いわゆる農振除外の際には基準に基づいて運用しているところでありますが、最近の社会経済情勢の変化を踏まえ、議員御指摘の地域経済の活性化や市街化の状況などの観点から、各市町等の御意見を十分に伺いながら適切に対応してまいりたいと考えております。  一方、各市町が農村地域への産業の導入の促進等に関する法律などに基づく必要な計画を策定することにより農振除外が認められる土地利用調整制度があり、農業振興地域においても地域経済の活性化を図ることが可能となっております。  このため、各市町が、農業振興地域制度はもとより、農村地域における産業の導入の促進に関する制度等についても理解を深め、計画的な土地利用調整を行うことができるよう、企業誘致等の担当部局とも連携するとともに、研修会の開催などを通じて実務に関する情報共有を図ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、直近の調査では、本県の耕地面積に占める農振除外面積の割合は中四国各県の中で平均以上にあると承知しておりますが、私といたしましては、今後とも自然的・経済的・社会的諸条件を十分に考慮しながら農業振興地域制度を適切に運用し、農業の健全な発展を図るとともに、計画的な土地利用調整を図り、農業と他産業の均衡ある発展に努めてまいります。  次に、県内宿泊施設の利用促進等についてであります。  宿泊施設の利用促進に向けては、本年六月から県民限定の宿泊助成を実施し、一億六千万円余が利用されたほか、八月からは国のGo To トラベルと連動し、県外在住の方も対象とした宿泊助成を実施しており、先週末現在の予約販売額は予算額の八二%となる一億八千万円に達し、九月、十月の宿泊数は昨年の六割以上まで回復しております。  また、これら需要喚起策に併せて、秋冬の絶景と美食をテーマとした観光誘客キャンペーンを開催するとともに、SNSを活用し、コロナ禍においても楽しめるアウトドアやマイクロツーリズムなどの観光情報の発信を強化し、宿泊客誘致に努めております。  さらに、各施設が取り組む感染症対策への助成をはじめ、感染予防のための研修会の開催や専門家の評価・助言により対策の徹底を図るなど、本県の宿泊施設が安全・安心を志向する旅行者に選ばれるよう支援しているところであります。  一方、ワーケーションにつきましては、コロナ禍におけるテレワークなど働き方の変化に伴い、職場以外で働きながら休暇を楽しむという新たな旅行形態として注目されており、ワーケーションの普及促進は、地域の観光振興や地方創生にもつながる取組であると認識しております。本県も先月、香川ワーケーション協議会や全国の自治体によるワーケーション自治体協議会に参画したところであり、今後、先進事例の共有をはじめ、本県ならではの特色を生かしたワーケーションプランの紹介や、利用可能な宿泊施設等の情報発信を行うなど、誘客や交流の促進に向け、宿泊施設をはじめ関係機関と連携し、取り組んでまいります。  私といたしましては、今後の感染状況を注視しながら、県内宿泊施設の利用促進や多様化する旅行形態に適切に対応し、観光需要の回復による地域経済の活性化に力を尽くしてまいります。  なお、その他の御質問につきまして、農政水産部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)新池農政水産部長。    (農政水産部長新池伸司君登壇) ◯農政水産部長(新池伸司君)氏家議員の地域特産品に対する積極的な支援についての御質問にお答えいたします。  特色ある農産物を生かした特産品づくりは中山間地域の活性化に資する取組であると考えており、地域特産品となる農産物の安定生産を図るため、農業試験場での栽培試験や農業改良普及センターによる雑草防除等の技術指導を行うとともに、先進地から講師を招き、薬用作物のミシマサイコの栽培管理に関する研修会を開催するなど、生産面で支援しているところであります。また、選別機など必要な機械の整備に対する助成や国から配分される産地交付金を活用し、ソバや採油用ヒマワリなど加工原料となる農産物の作付面積に応じた助成を行い、特色ある農産物の生産振興に取り組んでまいります。  一方、農業者自らが行う地域特産品の商品開発や販路開拓を推進するため、六次産業化プランナーの派遣による助言・指導をはじめ、かがわ六次産業化ビジネス塾や異業種交流会、インターネット販売等の取組を希望する農業者に対するインターンシップ研修の開催、さらには無料経営相談を行う香川県よろず支援拠点の専門スタッフの紹介など、段階に応じて支援しているところであります。  また、農業者や食品関連企業などの関係者がネットワークを構築して、試作品製造や商品デザイン作成、販路確保等を支援する地域食農連携プロジェクト推進事業が国の来年度の概算要求に盛り込まれていることから、その情報収集に努めるとともに、活用について検討してまいりたいと考えております。  県といたしましては、地域の特色ある農産物を生かした特産品づくりを積極的に支援し、中山間地域の活性化を図ってまいります。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  辻村 修君。    (辻村 修君登壇、拍手) ◯辻村 修君 質問に先立ち、先月から県内で発生が頻発している高病原性鳥インフルエンザにより多大な被害を受けられた養鶏農家の皆様にお見舞い申し上げますとともに、その対応に献身的に二十四時間体制の激務に当たられた県や市等の職員、関係団体の皆様、そして最も頼りがいのある活動をしていただいた陸上自衛隊第十四旅団の自衛官の皆様に心から感謝申し上げますとともに、これ以上被害が広がらないことをお祈りして質問に入ります。  とどまるところを知らない新型コロナウイルスの感染拡大で、グローバル化が進んだこの世界は、昨年の今頃には想像もできなかった社会に変貌してしまい、出口が見えない不安にさいなまれています。集団免疫が成立する見込みがない以上、安全で有効なワクチンが開発され広く接種されるか、十分な治療法が開発されるまで、社会の様々な場所で何らかのやり方で感染防止を続けていかなければなりません。また、SARS、MERS、COVID─19と新型のウイルスは周期的に発生しており、仮にCOVID─19が終息したとしても、今後は新たなパンデミックを覚悟した社会づくりをしなければなりません。  このような状況下ではありますが、二十一世紀を展望すると、香川県にとって最大の課題は人口減少であります。コロナ前から顕在化していた少子高齢化や人手不足、東京一極集中による地方の衰退等の問題が深刻さを増しており、県民の皆さんの関心はコロナ対策に集中していますが、これらの問題も先延ばしすることはできません。  今回の新型コロナウイルスへの対応において、国内のデジタル化の遅れや人材不足、システムの連携が不十分であることなど、デジタル化における様々な課題が明らかになりました。未来の日本社会の理想像は人間中心のデジタル田園都市国家であり、九月に発足した菅内閣も、地方創生やデジタル化の加速に力点を置いています。デジタライゼーションにより大都市の優位性は低くなり、地方における働き方、医療、教育が進化します。香川県がポストコロナ時代の田園都市構築に向けてどう取り組んでいくべきなのか、以下の項目について知事、教育長に質問いたします。  第一点は、ポストコロナ時代の香川県経済を担う企業の支援についてであります。  日本のGDPの約七割は、L型産業と言われる小売、卸売、飲食、宿泊、エンターテインメント、地域金融、物流、建設、医療、福祉等の地域密着型のサービス業と農林水産業が担っていると言われています。コロナショックで直ちに大きな影響を受けたのが、東京、地方を問わずにこのL型産業ですが、香川県においても例外ではないため、経済を復興させるにはL型産業を担っている中小企業を成長モードにシフトすることが必要となってきます。  近年大きな伸びを見せてきたインバウンドがゼロとなり、先が全く見通せない観光関連産業、三密を避けるために壊滅的な打撃を受けている飲食やエンターテインメント関連産業、コロナの影響で患者数や利益が激減している医療関連産業等々、業種や規模によって事情は異なっており、一律の支援策ではこの苦境を乗り切ることは困難であることから、きめ細やかで将来を見通した支援策が必要であると考えます。  まず、コロナ危機により影響を受けている中小企業への資金繰り支援についてであります。  コロナ危機を受け、国や県による各種金融機関を通じた金融支援策により、県内の企業倒産件数も抑制できていると聞いています。香川県においても香川県新型コロナウイルス感染症対応資金という融資制度に取り組んでおり、三年間無利子、保証料ゼロで四千万円という使い勝手のよい制度となっていることから、かなりの数の県内企業が本制度を利用し、資金繰りに活用していると聞いております。しかし、この融資制度は現時点では来年一月までという期限が設けられており、来年度以降このような制度が存在するかどうかは不透明な状況となっています。本年度は、このような制度融資に加え、国の持続化給付金や香川県の持続化応援給付金等の各種補助制度もありましたが、いずれも一時的なものです。年末を目前にして第三波が猛威を振るう今現在、コロナが終息するまで売上げの激減状態が続くところやコロナ対応で利益率が大幅に落ち込むところ等々、先が見通せないコロナ終息を待つことのできない、まさに死ぬか生きるかの正念場に立たされている経営者が少なくなく、このような方々を救うためには継続的な支援が必要です。このまま来年度以降何も手を打たずにコロナ禍が長期化した場合、廃業者や自殺者も増え、せっかく築き上げてきた県内の経営資源が国外、県外のハゲタカファンドに乗っ取られてしまうなど多大な損失を被るのではないかという懸念があります。  いまだコロナ禍の終息が見通せず、長丁場の戦いとなることが予想される中、県内の中小企業の資金繰りを支え、県内の経営資源を守るために、コロナ禍に苦しむ県民に寄り添い、県としてどのようなことができるとお考えでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。  次に、県内企業のCX、DXの推進についてであります。  制度融資をはじめとした資金繰り対策は県内企業救済のための最優先策ではありますが、どんな好条件の融資であっても借金であることに変わりがないことから、コロナ終息後に立ち直るためには企業自体の生産性を高めることが必要です。コロナ禍によってデジタライゼーションが進むと、大都市の優位性は低くなります。周期的に発生する感染症のリスクを考えると、これまで地方から東京へ一方通行だった人の流れが変わってくる可能性があります。地方の現状は、生産性と賃金水準が低いものの、住居費、生活費は安いことから、地方の産業の生産性が高まり、賃金水準も上がれば、地方で暮らし、働くことの魅力が高まり、コロナ後の復興のみならず地方創生も成し遂げられる可能性があります。  そのためには、地域の中堅・中小企業のCX(コーポレートトランスフォーメーション)が不可欠となります。CXとは、これまでのような連続的に変化が起こる時代から、グローバル化とデジタル革命により不連続な変化、すなわち破壊的イノベーションが起きる時代となった今、これまでの大量生産型産業において連続的な改善・改良を行うことにより成功を勝ち得るという日本的経営を、現在ある事業を深化させつつ、新しい領域にも対応できるような柔軟かつスピーディーな構造へと経営の根本から変革することを言い、例えば、富士フイルムが写真フィルム会社から、デジタルカメラの登場により、化粧品や医療品などの新規事業へと事業構造を変革させたことが一例として挙げられます。  CXには生産性を上げるための組織管理、戦略的経営等様々な改革が必要であり、これに成功するためには、経営再編や統合を行ったり、優秀な経営者を呼んでくるなどして優良企業化しなければなりませんが、先週、政府の成長戦略会議において取りまとめられた実行計画においても、こうしたCXの考え方が盛り込まれており、国としても重要な施策であると位置づけています。  そうした中、人口減少が加速するポストコロナ時代に向けて、県内の中堅・中小企業においてもCXを進めることができるよう、企業の実情やニーズに寄り添った経営支援を進めていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  また、地方の産業の生産性を高め、賃金水準を上げるためには、CXと併せてDX(デジタルトランスフォーメーション)、企業がデータとデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織等を変革することを進めていかなければなりません。しかし、県内の中小企業では、そこまでの進捗状況にある企業は少なく、まずはデジタル化をいかに進めるのかということを検討する必要があります。  そのような中、セキュリティー対策の脆弱な中小企業を対象とするサイバー攻撃が顕在化するなど、デジタル化の過程においては中小企業だけでは対応が難しい課題も出てきているという話も聞きます。今後、様々な分野でのデジタル化が進んでいきますが、小規模事業者のICT利用実態は個人利用者と大差がありません。今後、香川県として中小企業のデジタル化をどのように推進していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  第二点は、リモートワークの推進による地方創生についてであります。  リモートワークについては、これまでも新しい働き方の一つとして先進的な一部の企業等を中心に導入されていましたが、今回のコロナ禍を契機に一気に普及が進みました。厚生労働省がLINEで実施した全国調査によると、緊急事態宣言前は全国平均で約一四%であったテレワーク実施率が緊急事態宣言後には約二七%となるなど、事業継続に有効な手法としてテレワークを採用する企業が増加したことが分かります。  リモートワークの特性は、デジタル空間を主な職場とし、物理的な職場から解放されることにあることから、我々の働き方や生き方のみならず、都市と地方の在り方まで大きく変える可能性があります。デジタル田園都市実現のためには、リモートワークがコロナ禍における一時避難的なものとならないよう、県としても普及拡大に努めるとともに、その特性を生かした施策を展開することが必要なのではないでしょうか。  まず、リモートワークの普及による移住やサテライトオフィス等の誘致の推進についてであります。  若者は高賃金が期待できる大都市に流入しますが、高い住宅費や生活費をペイできる職業ばかりではなく、大半は大都会のL型産業に従事しており、副次的に東京の出生率が低くなっているのは、このメカニズムに起因していると言われております。密閉・密集・密接の三密を避ける生活スタイルは社会的ストレスを生み出していますが、生産活動の中心が知的生産に移っている中で、リモートワークの普及がさらに進めば、多くの人がいつも一つの場所に集まって仕事をする必然性はなくなってきます。ストレートな地方への機能分散や移住だけではなく、リモートワークによる自宅勤務や東京と地方の二拠点生活、サテライトオフィスやワーケーションの誘致など、地方、地域を活用した働き方、生き方の選択肢は増えています。  このような流れを加速化するために、香川県としてどのような支援策を講じて取り組むつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  また、デジタル庁についても、本気で国がデジタル田園都市国家の構築をやるつもりがあるのならば、その象徴として地方に設置するべきというふうに考えます。平成二十六年に東京一極集中の是正を狙って政府が打ち出した中央省庁や独立行政法人などの地方移転は見事に失敗に終わりました。政府がまとめた検証内容を見ると、「テレビ会議では大人数での意見調整がしづらい」、「全国からのアクセスが問題」などと移転できない理由ばかりが並べ立てられていますが、リモートワークの普及が進むことにより解消される問題点も出てくるのではないかと思います。  また、デジタル庁を地方に設置する際には、その立地条件として、津波や大雨のリスクが低く、地盤が強固で気候温暖であることが緊急時にも優位であると考えられ、G7のIT大臣会合も開催した我が香川県にぜひとも誘致すべきと考えますが、併せて知事の御所見をお伺いいたします。  次に、県庁のリモートワーク推進のための制度・ツールの整備及び意識の醸成についてであります。  周期的に発生する感染症のリスクに対応し、香川県のデジタライゼーションを推進していくためには、県庁は率先してリモートワークを推進しなければなりません。県庁では、これまでもテレワーク制度を設け、育児・介護に従事する職員の在宅勤務や、出張先及びサテライトオフィスでの勤務を可能としており、この十一月からはモバイルパソコンを配備し、全職員がテレワークを行える環境を整えていると聞いております。これをさらに推し進めるためには、制度面では、押印の廃止やリモートワークに即した就業規則、評価制度などの整備や見直しが、ツール面では、ウェブ会議システムやセキュリティーツール、電子決裁システムなどの整備や見直し等が必要となります。また、リモートワークを浸透させるためには、知事の強力なリーダーシップの下、職員の意識の醸成が必要だと考えます。  そこで、県庁でのリモートワークを推進するために、どのように制度やツールの整備を行い、職員の意識の醸成を図っていくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  第三点は、新たな医療の推進についてであります。  デジタル田園都市では、どこにいても適正な診療や処方が受けられるべきであり、本年のコロナ禍では緊急事態を受けて時限的に認められたオンライン診療が、感染拡大防止のみならず、高齢者や地方の通院の労苦を減ずる上でも、また、限られた医療資源の有効活用の上でも効果的であることが立証されました。現状では、電話等再診のほうがオンライン診療に比べ診療報酬が高い上に、緊急時の利用や診療可能な疾患などの制限が少ないため、オンライン診療を行う医療機関の多くは実際には電話等再診を利用しており、オンライン診療は有名無実になっているという話もあります。  これまでも香川県では医療機関の役割分担と連携による地域医療の充実を目指す全国初の全県的な遠隔医療ネットワークK─MIX+で病院間のカルテなどの診療情報のやり取りを可能にし、医療の効率化を図ってきました。このノウハウを進化させ、高齢社会が深刻な課題となるポストコロナ時代に、デジタライゼーションを取り込んだ医療のさらなる効率化・高度化により、新たな医療体制を構築しなければなりません。  まず、オンライン医療の推進についてであります。  オンライン医療の推進に関しては、医療関係者中心から、人(患者)中心の考え方で諸課題を見直していかなければなりません。また、単にリモート機能を使っての診療を行うというものではなく、医療・健康分野のインターフェースの標準化や医療機器のオンライン化、遠隔オペレーションを可能にするための医療の仕組みや体制の構築、電子カルテや処方箋、お薬手帳の標準化とその連携、中核的な病院や地域医療を担う医療機関、薬局等の関連機関との連携体制の構築、本人の同意の仕組みや体制の強化、万全のセキュリティー等々の考え得る課題を解決し、オンライン医療を推進していくべきと考えますが、これらの課題についてどのように認識し、どのように解決していくべきであるか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、データを活用した感染症予防策についてであります。  今回のパンデミックでは感染者や感染経路の正確な把握とプライバシーの保護の両立が問題となりました。押さえ込みに比較的成功していると言われている中国では、人権無視のロックダウンや行動制限を強制し、また、同じく韓国でも人権を制限し、GPSを使った陽性者の完全監視体制を取りました。欧米をはじめとする世界の感染拡大国でも軒並み強制的ロックダウンをしてその収束に取り組もうとしておりますが、なかなか成果は現れておりません。今後も周期的に発生するパンデミックに対応するため、GPS情報の活用を含めたクラスター対策などのデータを活用した感染症予防策を取ることが必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  第四点は、新たな教育の在り方についてであります。  コロナ禍における小・中・高等学校、特別支援学校の三月から五月の臨時休業は、パンデミックに対応できない教育環境の脆弱性を露呈しました。第三波が猛威を振るう現在も、本年度の学習内容が年度内に消化できるのか、高校や大学入試を予定どおりの日程で行うことができるのか等の様々な不安が付きまといます。  コロナ禍以前より、世の中のデジタライゼーションの進展に対応するため、デジタル教科書、プログラミング教育、デジタル機器の整備が計画的に予定されていましたが、コロナ禍に対応するために導入スケジュールが大幅に前倒しとなっております。今後も周期的にパンデミックが発生することを前提に新たな教育の在り方を模索していかなければなりません。  まず、ハイブリッド型教育体制の整備についてであります。  今回のコロナ禍により休校の長期化を経験したことや都市部を中心にオンライン教育を実施する学校が相次いだことから、児童・生徒や保護者の価値観も変化しました。今後想定されるパンデミックの対応を考えても、オンライン教育の導入により、緊急事態でも極力休校せずに済むような体制にしなければなりません。  また、文部科学省が全国の教育委員会や知事等に発出した「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知によりますと、義務教育段階においては条件付でオンライン教育が出席扱いとなったことに加え、青森市が行ったオンライン授業では不登校の生徒の参加率が高く、一定の効果が認められたという報告もあるなど、緊急事態における教育体制の継続以外の場面においてもオンライン教育の存在意義が増してきております。  一方で、オンライン教育では、双方向のやり取りができるようになったとしても、画面を通してでは、直接児童・生徒の顔を見ながら意思疎通やコミュニケーションを図ることは難しく、児童・生徒の表情や態度を見て対応することもできません。また、学校教育は勉強だけではなく、部活動や集団生活をする中で学ぶこと、かけがえのない友達をつくることも重要な要素であると考えます。不登校児童・生徒に対しても、学校生活に戻るための過渡期のものでなくてはなりません。  このようにオンライン教育には対面指導に勝る点もあれば、劣る点もあります。COVID─19後の教育の新常態(ニューノーマル)は、いつ緊急事態が訪れても対応できるようにオンライン教育を取り入れつつ、これまでの対面指導と併存させたハイブリッド型の教育体制となるべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、高校教育のデジタライゼーションの推進についてであります。  ポストコロナ時代のデジタル社会の基盤となる人材育成教育は、今後加速していきます。プログラミング教育については、本年度から小学校で必修化されたほか、中学校では来年度から、そして高校では再来年度から教育内容を充実することが求められることになっています。また、二〇二四年度から大学入学共通テストにおいて、「情報」を新設するという検討がされています。また、これら新科目への対応と併せて、さきに質問しましたハイブリッド型教育体制を県立高校でも進めるために必要な人材、ソフト、ハードの整備も急がれますが、ハード面を例に取ると、義務教育である小・中学校ではGIGAスクール構想の前倒しでハード整備が行われていますが、そうではない高校教育ではその体制整備が遅れるなど、義務教育との対応に差が出ることも懸念されています。  デジタル化社会に対応した人材を育成するためには高校教育のデジタライゼーションの推進が必要と考えますが、新科目への対応や人材、ハード、ソフト両面への体制整備についてどのような課題があると認識し、その進度をどのように加速すべきと考えているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)辻村議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた県内中小企業への支援についてであります。  中小企業の資金繰り支援につきましては、県の制度融資において三年間無利子で全期間保証料ゼロの新型コロナウイルス感染症対応資金融資や、さらに別枠で融資金額八千万円を上限とし、信用保証料を県において全額補給する危機関連融資を本年五月から民間金融機関を通じて実施しており、一昨日までに二つの融資で一万一千四百二十四件、約二千三十五億円の融資申込みを受けるなど、多くの中小企業に活用していただいているところであり、今後の資金繰り支援策については、国の動向を注視しつつ、必要に応じて追加的な対応も検討してまいりたいと考えております。  議員御指摘の企業の経営を根本から変革するCXにつきましては、先月、「コロナ危機を克服する企業経営」をテーマに、コロナ禍における新たな商品・サービスの開発や働き方の見直しなどについて企業経営者の皆様と意見交換を行い、私といたしましても、現在の経済情勢の下、企業が変革していくことの重要性を改めて認識したところであります。  県におきましては、制度融資において新事業への進出を対象としたフロンティア融資を設けているほか、かがわ産業支援財団と連携して、新事業や経営革新などに関する相談事業や、新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用して新分野へのチャレンジの支援に取り組んでいることに加え、今後、コロナ禍により生じた需要を取り込む事業に対しても新たに支援することとしております。  中小企業のデジタル化の推進につきましては、県内企業が人材育成など様々な課題を抱えている中、AIの実践的な知識・技術を体系的に学習するかがわAIゼミナールの開催や、RPA、ソフトウエアロボットによる事務業務の自動化やIoTの導入を検討する中小企業に対し、専門家による個別コンサルティングを実施しているところであります。  私といたしましては、今後ともこうした事業を積極的に推進することで、県経済を担う中小企業に対し、将来を展望したきめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。  次は、リモートワークの推進による地方創生のうち、移住促進やサテライトオフィス等の誘致についてであります。  新型コロナウイルス感染症の拡大により大都市圏への過度の集中のリスクが改めて認識される中で、デジタル技術の活用により、テレワークやオンライン会議など、場所にとらわれない新しい働き方が浸透しつつあることや、国の調査では、テレワークの経験者等の地方移住への関心が高まってきているとの報告もあることから、議員御指摘のとおり、地方・地域を活用した働き方・生き方の選択肢は増えていると考えています。このような流れの中では、様々な支援策を講じることにより、多くの方に選んでいただける地域として認知されることが重要であります。  このため、県では、県外に本社を有する企業等に対して、県内にサテライトオフィスを新設する際の施設改修費等への補助制度を設けるとともに、国の来年度予算の概算要求では、テレワークにより地方への新しい人の流れを大きくするための交付金の創設が盛り込まれていることから、この交付金を活用したサテライトオフィスの誘致などの施策の充実を検討してまいりたいと考えております。  また、新たな働き方の形態として注目されているワーケーションにつきましては、関係事業者等で構成する組織に参画し情報収集を行うとともに、具体的な動きにつながるよう、その誘致に向け、利用可能な施設等の情報発信などに取り組んでまいります。  私といたしましては、経済団体等とも連携して都市部の企業の動向等の情報収集を行いながら、本県を暮らす場所、働く場所として選んでいただけるよう、新しい働き方・生き方に対応した施策の推進に、なお一層積極的に取り組んでまいります。  また、デジタル庁につきましては、現在、その設置に向けて、デジタル改革の基本方針の検討など、国において各種の準備がなされており、議員御指摘のデジタル庁の設置場所につきましては、平井デジタル改革担当大臣が、「全員が一つのビルに入って仕事をするということにはならない官庁になると考えているが、具体的な検討をする段階になっていない」と発言されていることから、デジタル庁の組織体制等に係る国の考え方を注視してまいりたいと考えております。  次に、県庁のリモートワーク推進についてであります。  在宅勤務をはじめとするテレワークは、ICTを利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であり、ワーク・ライフ・バランスの実現、人口減少時代における労働力人口の確保などに寄与することに加え、今般の新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点からも、社会全体に定着しつつあるものと認識しております。  本県では平成三十年九月からテレワークに取り組んでおり、議員御指摘のとおり、今年度、職員の一人一台パソコンをモバイル化したところでありますが、今後は押印の見直しや行政手続のオンライン化を進め、これまで以上に取り組みやすい環境を整備する一方で、在宅勤務の実施に伴う人事管理などの課題については、国や他の自治体の動向も注視しながら検討していく必要があると考えております。また、来月には、モバイルパソコンを使用して会議や研修等をオンラインで円滑に実施できる環境を整備するほか、令和四年一月からは新たな文書管理システムを導入し、財務会計システムと連携させることで電子決裁を推進することとしており、こうした取組も職員のテレワークの実施を後押しするものと考えております。  本県では昨年十月に、ICTを活用した業務の効率化や働き方改革の推進による県民サービスの向上を目的に、各部主管課等で構成するスマート県庁推進プロジェクトチームを設置しており、テレワークに関しても全庁的な情報共有を図っているほか、モバイルパソコンの配備が完了した後の部長会において各部局長に対し、モバイルパソコンを活用したテレワークの実施や在宅勤務を実施しやすい職場の雰囲気づくりに努めるよう周知したところであり、引き続き機会を捉えて職員の意識醸成が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次は、新たな医療の推進についてであります。
     オンライン医療の推進につきましては、県では、これまで全国初の全県的な医療情報ネットワーク、いわゆるK─MIXにより情報通信技術を活用した医療提供体制を構築し、がんなどの遠隔読影診断などに活用してきたところであり、来年四月からは、かかりつけ医と中核病院が診療情報を双方向に共有する機能や薬局の投薬情報を共有する仕組みを新たに追加することとしております。  また、個々の患者の病歴や治療歴などの診療情報を把握できるレセプトデータを臨床現場において利用することのできる診療支援システムの整備費用に係る補正予算案を今定例会に御提案するなど、医療分野におけるデータ活用について先進的な取組を行っているところであります。  今後、高齢化が進む中、医療の効率化・高度化を図る上でオンライン医療の推進は重要な取組でありますが、一方で議員御指摘のとおり、これまで構築してきたシステムとの連動やオンライン化されていない情報の取扱い、セキュリティー対策など、解決されなければならない課題も多いと認識しております。加えて、オンライン診療につきましては、医療の現場からは患者に直接診療を行わないことへの安全性・信頼性の問題も提起されております。  これらの課題につきましては、現在、国において、それぞれ議論や検討が行われているものと承知しており、私といたしましては、こうした動きを十分に注視するとともに、現在、本県が取り組んでおりますK─MIXやレセプト情報活用診療支援システム等の運用を行う中で、その発展の方向性を探るなど、オンライン情報を活用した本県医療の高度化に、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、データを活用した感染症予防策につきましては、県では本年八月から、LINEアプリを利用したかがわコロナお知らせシステムの運用を開始しており、アプリの利用者に店舗などが提示するQRコードを読み込んでもらうことで、同じ日に店舗等を訪問した方の中から新型コロナウイルス感染者が発生した場合、利用者に対し、感染者との接触の可能性をお知らせしております。また、適法なGPS情報の活用や症状のセルフチェックアプリの開発など、今回の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえた感染予防のための対策が必要と考えられますので、今後、利用可能なものがあれば検討を行ってまいりたいと考えております。  私といたしましては、今後ますます高度化が予想される情報通信技術を活用し、次のパンデミックを展望した取組を検討してまいります。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)辻村議員の新たな教育の在り方についての御質問にお答えいたします。  学校教育におきましては、教員と児童・生徒が同じ空間でコミュニケーションを図る対面指導が基本となりますが、GIGAスクール構想による一人一台端末など教育のICT化の急速な進展に伴い、対面指導と遠隔・オンライン教育を状況に応じて使い分ける、いわゆる教育のハイブリッド化による指導の必要性が一層高まるものと考えております。  今後は、日常の授業においてICTを効果的に活用する方法の検討を早急に進めるとともに、災害等の非常時において、学びの保障のために学校と家庭をつなぐだけでなく、不登校等の児童・生徒への対応や、学校を相互に結ぶことで多様な考えに触れさせる協働的な学びを展開したりするなど、様々な場面において遠隔・オンライン教育の推進を検討してまいります。  デジタル技術により新たな利益や価値を生み出す、いわゆるデジタライゼーションについては、大学教育において導入が推奨されているもので、高校教育においても同様の考え方で進めていくことが大切であると考えております。現行の学習指導要領では、共通教科「情報」において情報社会に積極的に参画する能力や態度を育んでまいりましたが、AIやIoTが急速に広がるなど新たな時代を迎えていることから、新学習指導要領においては教育内容が改編され、共通教科「情報」においても論理的思考力を養うためのプログラミング教育の一層の充実が図られることとなりました。また、大学入学共通テストにおいては、教科「情報」の新設が検討され、情報科目を担当する教員の一層の指導力の向上が重要であると考えております。  ハード面の整備として、現在、タブレット端末は三クラスに一クラスの割合で導入を進めておりますが、より学びを深めていくためには一人一台の環境が重要であると考えており、国の高校に対する端末整備の方向性を注視するとともに、生徒個人の端末を使用することも含め、検討を進めてまいります。  県教育委員会といたしましては、人と人との関わりを重視した対面指導の重要性を踏まえつつ、ICTを活用した学習活動の充実や遠隔・オンラインによる学習環境の整備を推進することにより、時代に応じたICT教育の展開に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  松原哲也君。    (松原哲也君登壇、拍手) ◯松原哲也君 本日三番目に質問させていただきます。三番ということで、まず思い浮かぶのは、何と申しましてもあの栄光の背番号三、ミスタージャイアンツこと長嶋茂雄さんではないかなと思います。二〇一三年には国民栄誉賞を受賞され、今なお多くの方から親しまれ、愛され続けております。それはなぜか。やはり現役時代に見せた華麗なるプレーの数々、そしてピンチ、チャンスにも動じない勝負強さにあったのではないかなと思います。私も、今後とも県民、町民の信頼そして期待にいつでも応えられる、大舞台に強い議員になれるよう、ミスター県議会を目指して精進してまいります。引き続き御指導、御鞭撻、よろしくお願い申し上げます。  それでは、質問に入らせていただきます。御清聴よろしくお願い申し上げます。  まず初めに、ドクターヘリの導入による救急医療体制の充実についてお伺いします。  瀬戸内国際芸術祭をきっかけとして、アートの島として国内のみならず海外からも多くの方が訪れる豊島で、救急搬送を担う地元の消防団が観光客の搬送を当面取りやめるという報道を耳にしました。新型コロナウイルスの感染者が全国で拡大する中で、特に感染者が多い都市部からの観光客を搬送する中で、もし消防団員が感染してしまえば島民の救急搬送ができなくなってしまうため、豊島の消防団としても苦渋の決断だったようです。  今回、豊島のケースが報道されましたが、県内には二十四の有人島があり、そのうち消防署があるのは小豆島だけです。小豆島以外の島では、消防署の救急隊員による一時搬送が物理的に困難であるため、地元の消防団や自治会、民生委員などが協力しながら島民の命を守っているのが現状です。  しかし、島嶼部は県内でも先駆けて人口減少と高齢化が進んでおり、平成二十七年の国勢調査によれば、豊島の人口は八百六十七人で、十年前の千百四十一人から二割以上減少しています。高齢化率も十年前の四三・七%が五〇・三%と、半数以上が六十五歳以上となっています。他の島においても傾向は同様で、統計数値からは豊島より厳しい状況の島も多くあり、島嶼部で救急搬送を担う住民の負担が非常に大きくなっていることが懸念されます。また、そもそも島内の医療体制が脆弱である中で、今回のように感染症のリスクという特殊な要因が加わると、その負担はさらに大きくなると考えます。  このような中、県では搬送時間の短縮などを目的として、医師や医療機器を乗せて救急現場へ急行できるドクターヘリの運航を令和四年度から開始することを目指しています。重篤な救急患者の治療においては、発症から三十分以内に適切な治療を開始することが重要であり、現場で素早く治療に取りかかることができるドクターヘリの導入により、救急患者の救命率向上や後遺症の軽減につながることが期待されます。また、救急現場から搬送先の病院にダイレクトで患者を運ぶことも可能となるため、島嶼部においては、島内での搬送距離が短縮されるだけでなく、現在のように消防団員が船に同乗して四国本土側の港まで付き添うケースも減ることで、地元消防団員の負担が軽減される可能性もあるのではないでしょうか。  一方で、導入に向けては課題もあります。より効率的かつ効果的な救急搬送体制を構築するためには、ドクターヘリの要請基準の明確化や搬送先の医療機関との連携、安定運航のための費用の確保に加え、現在、本県でドクターヘリの代替的機能を担っている防災ヘリとの役割分担や、飛行範囲が重複する近隣県との平時並びに災害時における連携体制の構築、さらには救急搬送の重要性が高い夜間について、安全性を確保しながら運航することができるかどうかなど、運航までに検討が必要なことは数多くあります。  私としましては、島嶼部を中心に県民の期待が高いドクターヘリについて、一日も早い運用開始に向けて検討を進めていただきたいと考えておりますが、現在の検討状況について知事にお伺いします。  また、併せて、ドクターヘリの導入も見据え、本県の救急医療体制の充実にどのように取り組むのか、お伺いします。  次に、移住促進と連携した技の伝承についてお伺いします。  地方創生という言葉が二〇一四年九月、第二次安倍内閣により打ち出されてから六年が経過しました。この間、同年に制定されたまち・ひと・しごと創生法に基づき、本県においてもかがわ創生総合戦略が策定され、国の地方創生推進交付金も活用しながら地域活性化に向けた様々な施策に取り組んできました。  地方における高齢化や人口減少は、大きな視点では、地方経済の先行きを暗くしている最たる要因であり、地方創生により人口減少を克服し、将来にわたって成長力を確保することは、本県だけではなく、全ての自治体に共通する目標であると考えます。そうした取組を推進していく中でも私が特に重要だと考えているのが、地域を支える人であり、人の持つ技術であります。  本県には、香川漆器や丸亀うちわなど、全国に誇る長い歴史と伝統を有する伝統的工芸品が多数あります。これらの製造者の多くは、優れた技術や技法を有するものの、近年のライフスタイルの変化や製造技術者の高齢化、海外からの低価格商品の流入などの影響により厳しい経営環境にさらされ、担い手の確保・育成など技術の伝承の面において課題を抱えています。このまま、これらの優れた技術を伝承する後継者がいなければ、近いうちに先人たちがつないできた技術は廃れ、取り戻すことができなくなります。昨年十月に起きた首里城の大規模な火災では正殿を含む六棟が全焼しましたが、そこで使用されていた赤瓦は二〇一四年に亡くなった瓦職人が焼いたもので、独特の色や艶は、現在では再現不可能なものだそうです。本県においても、伝統的な技術が気づいたときには継承できていなかったということにならないよう、今のうちからしっかりと対策を行うことが必要です。  私は、伝統技術を継承していくためには、産地内での後継者確保や技の伝承に固執するのではなく、他の地域から新しい感性や視点を持った人がもたらす刺激を加えることで、時代に必要とされる新たな技術伝承が望めるのではないかと考えます。  この点について、本県では、地方創生の柱の一つである「地方への新しいひとの流れをつくる」ための取組として移住促進に力を入れており、移住ポータルサイト「かがわ暮らし」を開設し、本県での生活に関する様々な情報を提供しています。都市部からの移住希望者の中には、本県の優れた伝統的工芸品に魅力を感じ、それに携わりたいという思いを持つ方もいるのではないでしょうか。私としては、商工労働部と政策部が横断的に連携し、移住希望者の中で伝統技術の分野に興味を持つ人に対し、本県の優れた伝統的工芸品の魅力を伝え、少しでも技の伝承に関われるように橋渡しすることができれば、移住と伝統的工芸品の技の伝承の両面で効果が期待できると考えます。  そこで、移住促進と連携した伝統的工芸品の技の伝承に対する県の考えについて、知事にお伺いします。  次に、用水路等への転落防止対策についてお伺いします。  晴天の日が多く、雨量が少ない本県の気候において、ため池や用水路は農業を中心に県民の生活に不可欠なものであり、我々にとって生活に根差したなじみ深いものとなっています。それらは、豪雨時の一時貯留や排水により、浸水被害を緩和する防災上の役割も持っています。  このうち用水路は、農地の宅地化に伴い用水路周辺に住宅地が建設されるなど、子供や高齢者が転落するリスクが高まっています。農水省の調査では、平成二十六年から三十年の五年間の合計で五百八十七名もの方が命を落としています。本県においても昨年一年間で四件の死亡事故が発生しており、本年も八月末までに六件と、既に昨年を上回る件数となっています。  このような状況に対し、本県では平成二十九年度から土木部が中心となって、県管理道路において対策が必要な延長約二十六キロメートルを抽出し、優先度の高いところから順次整備を進めてきたと承知しています。さらに、今年度から有識者や各市町等による用水路等転落事故防止対策検討委員会を立ち上げ、対策を強化していくこととしています。検討委員会では、過去に事故が発生した場所のうち人的被害が大きかった約三百六十か所を抽出し、各道路管理者において現地調査を実施して道路状況をまとめたカルテを作成しており、年度内に対策のガイドラインを策定すると伺っています。  しかし、農地周辺にある用水路には土地改良区等が管理しているものも多く、整備するには管理者の同意が必要となるため、道路管理者の意向のみで改良が実施できるわけではありません。用水路の整備目的である農業水利に支障を来すような改良を実施することは避けなければなりませんが、毎年のように人命が失われている状況を踏まえ、対策が必要な箇所については、例えば、道路と用水路の境目を示す照明や、ラバーポールのような簡易な形状の柵を設置するなどの代替策も視野に入れつつ、管理者の合意を得られるよう粘り強く調整を図っていただきたいと考えます。  また、予算的な制約により、優先順位が高い箇所への対策が時期を逸することも望ましくありません。国は令和元年度補正予算から、農業水利施設の安全対策について令和二年度まで全額補助を行うこととしており、本県でも当初予算に約九千万円が計上されております。本県の財政状況から無尽蔵に対策を打つことは困難であるため、緊急性の高い箇所や規模の大きい改良についてはこのタイミングで対策を実施できるよう、地元関係者の意見も聞きながら速やかに事業を進めていただきたいと思います。  さらには、過去に事故が発生した箇所への対策だけではなく、例えば、農地転用で造成された新興住宅団地など、地理的な条件から事故の発生確率が高い箇所についても優先区間と捉え、対策を講じていくことで事故を未然に防ぐことを目指すことが望ましいと考えます。地震などの大規模な災害への備えは当然必要ですが、日常の暮らしの中で発生している危険を取り除くことも、県民の安全・安心に不可欠な取組ではないでしょうか。  そこで、用水路等への転落防止対策の実施状況について伺うとともに、今後の対応方針について知事にお伺いします。  次に、新形式の学力・学習状況調査についてお伺いします。  子供の可能性は無限大と言われますが、子供たちを見ていると、どんなものにも興味を示し、「なぜ?」という問いかけは自分が納得できるまで収まることがなく、この強い好奇心こそが成長の源になっているのだと気づかされます。子供は本来、学ぶことが好きです。好奇心が強い時期に子供たちの学びたいという意欲を後押しすることは、本県の明るい未来のために本当に大切なことだと思います。  さて、本県を含め全国の小・中学校では、児童・生徒の学力や学習状況を把握・分析するために、小学六年生と中学三年生を対象に毎年学力・学習状況調査が行われています。学習状況の把握は、教育水準の向上や教育指導の充実の基礎となる重要なものであると考えますが、現在の実施方法は、その年に実施対象年次となった児童・生徒に行うものであり、単年での学力平均は把握できますが、同じ児童・生徒の学力の伸びを経年で把握できる調査にはなっていません。  学力の伸びが分かる調査を実施することで、児童・生徒にとっては自身の学力の向上度合いを認識しながら今後のさらなる向上や改善につなげることができるとともに、教員にとっても指導する児童・生徒がどの程度学力を伸ばせたかをデータとして把握できるため、それを見ながら今後の指導改善等に生かすことができると考えます。  他県の例では、埼玉県において平成二十七年度から、一人一人の学力の伸びを把握するため、調査対象が小学校四年生以上の児童・生徒に拡大されたところであり、導入以降、全国学力調査の結果も向上していると伺っています。そして、今では福島県をはじめ鳥取市や高知県梼原町、宮城県白石市、島根県益田市など市区町村単位でもこの経年調査を実施しており、その動きは全国の自治体に拡大しているようです。  また、これらの自治体の多くでは、心の力を測る非認知能力の調査も取り入れています。非認知能力とは、IQや偏差値、学力テストの点数など数値で見える認知能力に対し、自制心や自己効力感、協調性、やり抜く力といった数値化しにくい分野での能力のことをいいます。一般に「社会情動的スキル」とも呼ばれ、これまでは数値など目に見えて分かる能力が重視されてきましたが、最近の研究では、子供の成長においてはこの非認知能力こそが大変重要であるとの報告もあり、国際機関であるOECDにおいても重要視されています。学校はテストの結果を競うなど、単に頭をよくするだけではなく、人間としてのスキルである非認知能力も伸ばすべき場所であり、それを備えるための学びが、認知能力すなわち学力向上にもつながるのではないかと思います。  そこで、我が県で現在行われている学力・学習状況調査についても、経年調査など学力の伸びを把握する方法に変更し、より一層の学力向上を目指すべきではないでしょうか。さらには、その調査方法により、教員は自分の指導で児童・生徒がどのように成長したかをデータで把握することができ、教員の指導改善につながるのではないかと考えますが、それらについての見解を教育長にお伺いします。  また、学力だけではなく、非認知能力の調査を実施することについての考えも併せてお伺いします。  最後に、高校のデジタル化についてお伺いします。  政府においては、教育におけるICTを基盤とした先端技術の効果的な活用のため、一人一台端末と高速大容量の通信ネットワークを令和五年度までに全国一律で整備するGIGAスクール構想を打ち出し、一人一台端末の実現に向けた取組を加速しています。  この方針を受けて県では、県立高校、中学校及び特別支援学校において、国の整備目標を前倒しして、学校におけるICT環境の整備を進めているところであり、六月定例会での私からの学校のICT環境整備の加速化についての質問に対し、高校で三クラスに一クラスの割合での端末整備を、小・中学校で一人一台の端末整備を進めているとの答弁をいただいたところです。  教育現場のICT化を推進するに当たっては、子供たちにネット・ゲーム依存症のようなマイナスの影響を与えないことや、機器整備だけにとどまらない教育カリキュラムの充実などについて十分検討する必要がありますが、子供たちを誰一人取り残すことなく、その資質・能力を一層伸ばしていくため、また、ICT教育分野での世界的な後れを取り戻すため、一人一台端末の実現は不可欠であると考えます。  これまでの本県での取組は、過去の状況から比べれば大幅な前進であると言えますが、高校に限って考えると、小・中学校が一人一台となることと比べれば、その学習環境に格差が生じることとなります。この点について、国では、昨年六月に閣議決定された規制改革実施計画の中で、パソコンなどのデジタル機器を、机や椅子と同等に児童・生徒一人一人に用意されるべきものとし、一人一台端末の環境を実現するため、生徒自身が個人の端末を持ち込み、学習に活用するBYOD(ブリング・ユア・オウン・デバイス)も視野に入れています。  BYODによる整備に当たっては、端末の種類を何に決めるか、インターネットへの接続回線をどうするか、端末整備費を保護者負担とする場合に理解が得られるかなど様々な課題もあります。  神奈川県では、「生徒のスマートフォン所有率が高い」、「スマートフォンを持っていない生徒に(各校二十台程度)タブレット端末を貸し出すことが可能」といった県立高校の置かれた状況を分析し、限られた予算の中で、できる限り早期に一人一台端末を実現するため、生徒の持つスマートフォンを中心に据えてICT環境を整える選択をしたと伺っています。プログラミングなどはパソコンがなければ難しいかもしれませんが、語学学習での録音・再生や実験の記録、教員と生徒の間の情報共有などであれば、スマートフォンでも十分に対応可能です。実際に、導入後は生徒間の意見交換がスムーズになったり、充実した教材での学習が可能になったりと、短期的な効果も出ているようです。  そこで、このような他県での事例がある中、県として高校のICT環境整備について、その中でも、特に一人一台端末の整備に向けての方針について教育長にお伺いします。  また、新型コロナウイルスについて、本県での十一月の感染者数が月別で過去最多を更新するなど感染が再び拡大している中で、学校運営についても引き続き感染症対策に細心の注意を払う必要があります。この点について、本県の令和三年度高校入試は、現段階では例年と同様の時期に試験が実施される予定と聞いておりますが、どのように感染症対策を行う方針であるかをお伺いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松原議員の御質問にお答えいたします。  まず、ドクターヘリの導入による救急医療体制の充実についてであります。  本県におけるドクターヘリの導入につきましては、基地病院となる県立中央病院と香川大学医学部附属病院をはじめ、患者の受入先となる医療機関や医師会、消防などで構成するドクターヘリ運航調整委員会を本年七月に設置し、令和四年度の運航開始に向けた課題の検討や、その準備を進めているところであります。現在、他県の事例等を参考にしながら、ドクターヘリの要請基準や搬送患者の医療機関への受入基準などの作成に取り組んでおり、今年度中に同委員会において運航要領の素案を取りまとめることとしております。  また、運航に必要となる施設の整備につきましては、給油施設を香川大学医学部附属病院に整備することとし、香川大学が主体となり、今年度内の着工に向けて準備を進めております。  さらに、ドクターヘリの運航につきましては、民間の運航会社に委託することとしており、プロポーザル方式による公募を実施の上、今月七日に開催した選定審査会において運航会社を選定したところであり、今後は、機体や乗務員の確保、実機訓練の実施など、運航会社と連携を図ることとしております。  ドクターヘリの導入を展望した救急医療体制の構築につきましては、地元市町や消防機関の御協力も得ながら、島嶼部をはじめ必要な地点での離着陸場を設定するとともに、患者の状況に応じた防災ヘリとの連携や、近県のドクターヘリとの広域的な協力体制の構築に取り組むなど、ドクターヘリの導入効果を最大限に生かした体制整備に取り組んでまいります。  なお、ドクターヘリの夜間運航につきましては、飛行の安全性や人員体制の確保が困難なことから、現時点においては全国的にも行われておらず、研究課題と認識しております。  私といたしましては、基地病院をはじめ関係機関等との連携を図りながら、令和四年度のドクターヘリの運航開始に向けて、着実に準備を進めてまいりたいと考えております。  次は、移住促進と連携した技の伝承についてであります。  香川漆器や丸亀うちわなどの伝統的工芸品を取り巻く環境は、生活様式の変化や海外からの低価格商品の流入、製造技術者の高齢化などにより大変厳しい状況にあり、技術の伝承に向けた担い手の確保・育成は、非常に重要な課題であると認識しております。  このため、県ではこれまで、製造技術・技法の次代への継承と後継者の育成が図られるよう、産地として一定の競争力と集積を持つ香川漆器や丸亀うちわなどの組合が行う人材育成の取組に対し、地元自治体と連携して支援を行ってきたところであります。  議員御指摘のとおり、実際に県外の方で、香川漆芸の高度で洗練された独自の技法に興味を持ち、県の漆芸研究所で技法を学んだ後も引き続き県内で制作活動や後進育成に精力的に取り組んでいる若手作家の方がいるように、移住希望者の中には、本県の優れた伝統技術の分野に興味を持ち、その技の伝承に関わりたいと希望する人もいると思われます。  そこで、移住促進に向けて、本県の魅力と併せて伝統的工芸品の魅力も発信していくとともに、東京や大阪等の移住・交流コーディネーターが、移住相談窓口での相談において、伝統的工芸品に関心があり、それに携わりたい方に対しては、その御希望を丁寧に聞き取り、産地組合や製造事業者への橋渡しを行うなど、相談者の希望の実現に向け、きめ細かな対応を行ってまいります。  私といたしましては、引き続き地元市町や産地組合等とも連携しながら、伝統的工芸品の技術の伝承が図られるよう、移住希望者も含めて、担い手の確保・育成に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、用水路等への転落防止対策についてであります。  用水路等への転落事故により平成二十九年に七名の方が犠牲になったことなどを踏まえ、県では平成二十九年度に県管理道の現地調査を実施し、対策が必要な約二十六・五キロメートルにおいて、水路管理者などと協議し、昨年末までに転落防止柵や視線誘導標などの設置を完了しております。  しかしながら、本年も用水路等に転落して亡くなる交通事故が六件発生しており、このうち県管理道以外での事故が五件となっていることなどから、本年八月、学識経験者、市町、消防、県警察、庁内関係課で構成する用水路等転落事故防止対策検討委員会を設置し、より一層の転落事故防止対策に取り組むこととしたところであります。  この委員会では、各道路管理者において、事故発生箇所における用水路の形状や道路等の位置関係などに関する情報をまとめた用水路等転落事故カルテを作成し、このカルテを基に事故の現状分析などを実施するとともに、転落防止対策の基本方針や事故の発生確率の高い箇所を優先的に整備するという考え方などを取りまとめ、先月開催した第二回委員会において、用水路等転落事故防止対策ガイドライン(仮称)の骨子について了承を得たところであります。  議員御指摘の国の補助事業を活用した農業水利施設への安全対策につきましては、高松市の古高松土地改良区ほか七土地改良区が今年度に約三・九キロメートルの転落防止柵等の安全対策を実施することとしております。  私といたしましては、今年度内に各道路管理者が効果的な転落防止対策を講じるための指針となるガイドラインを策定するとともに、引き続きガイドラインに沿って、各市町と連携し、水路管理者など関係者の皆様の御協力をいただきながら転落防止対策に取り組み、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松原議員の御質問にお答えいたします。  まず、学力・学習状況調査についてであります。  本県における学習状況調査は、指導方法の工夫・改善や指導体制の継続的な検証・改善を目的として平成十四年度から毎年一回実施しており、現在では小学校三年生から中学校二年生までの児童・生徒を調査対象とし、小学生は四教科、中学生は五教科で実施しております。本県の調査においても児童・生徒の学習状況をきめ細かく把握し、児童・生徒の理解の程度に基づく個に応じた指導につなげておりますが、一人一人の児童・生徒に学力の伸びをフィードバックする形は取っておりません。  また、教科に関する調査と並行して児童生徒質問紙調査を実施しており、非認知能力に該当する「意欲」を含む幾つかの項目を質問し、教科に関する調査とクロス集計を図ることで授業改善に生かしております。  議員御指摘のとおり、児童・生徒に学力の伸びを実感させることは学習意欲の醸成にもつながり、非認知能力に着目することは、急速に変化する社会を生き抜く力を育成するためにも重要であることから、今後、児童・生徒に対するフィードバックの方法や非認知能力に関わる質問項目の追加など、より効果的な調査になるよう検討を進めてまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、これまで積み上げてきた学習状況調査に基づく教育に関する継続的な検証・改善サイクルを維持しつつ、調査方法の不断の見直しに努めることで、学力向上に向けた教育活動の一層の充実につなげてまいります。  次に、高校のデジタル化についてであります。  県立高校においては、国において令和四年度までの整備目標とされている三クラスに一クラスの割合での端末整備を前倒しして進めており、来年度は時間割の工夫などにより端末を効率的に活用し、一人が一台ずつ端末を使用した授業展開やグループに一台での調べ学習など、ICTを活用した効果的な授業を積極的に行ってまいります。  しかしながら、小・中学校において一人一台端末が整備される状況の中で、今後、高校においても一人一台端末の環境が重要であると考えております。議員御指摘の個人の端末を持ち込むBYODの活用につきましても、一人一台端末の整備手法の一つとして考えておりますが、家庭における経済的負担や端末の統一など課題も多くあることから、今後、他県の事例や国の動向も踏まえ、総合的に検討してまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、今後とも県立高校におけるICT環境の充実を図るとともに、ICTを活用した教育の一層の推進に取り組んでまいります。  令和三年度高校入試につきましては、中学校三年生の学習状況について、入試までに臨時休業中の遅れを取り戻せる見込みであることを確認していることから、現時点では出題範囲を変更することは考えておりません。また、マスクの着用や手指消毒など、受検会場等における感染症対策に万全を期してまいります。  なお、新型コロナウイルス感染症に罹患し、一般選抜入試及び追検査を受検できなかった受検生に対して、特別の追検査の実施を検討しております。現時点においては、大学入学共通テストでの対応と同様に、濃厚接触者であっても検査の結果、陰性であり、受検当日も無症状で、公共交通機関を利用せず、かつ人が密集する場所を避けて検査場に行くことができれば、別室で受検できるようにし、受検機会の確保に努めてまいります。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                          午前十一時五十分休憩                          午後 一時 七分開議
       ─────────────────────────────   出  席  議  員    十  河     直 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    西  川  昭  吾 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    東  田  晃  拓 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  内  浩  二 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員長   溝  渕  香代子  君           警察本部長      那  須     修 君           代表監査委員     三  谷  和  夫 君           監査委員事務局長   岡     興  司 君           人事委員会委員    高  濱  和  則 君           人事委員会事務局長  岡  田  総  一 君           労働委員会事務局長  豊  島  正  人 君           政策部次長      椋  田  那津希  君    ───────────────────────────── ◯副議長(十河 直君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  米田晴彦君。    (米田晴彦君登壇、拍手) ◯米田晴彦君 日夜見えない敵との闘いに御奮闘いただいております全ての皆様に敬意と感謝を申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。  一点目は、小児慢性特定疾病を抱えて生きる子供や家族への支援について伺います。  小児がんや心臓病など慢性的な疾病で長期にわたる治療や入院が必要な子供たちとその家族がいます。国が支援している小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となる疾病は、現在七百六十二もの数に上っています。日本全体で十一万三千人余りの子供が小児慢性特定疾病を患い、言いようのない苦労をしながら生きておられます。慢性疾病を抱える子供とその家族に、行政はどのような支援をしていけばいいのでしょうか。  小児がんを患ったお子さんと闘病生活を経験する中で味わった絶望感、不安、孤立感、そんな中で自分たちに寄り添って支えてくれた支援団体の存在、その体験から、自らも支援組織を立ち上げ、活動を開始されているNPO法人未来ISSEYの代表吉田ゆかりさんのお話を伺う機会を得ました。大切な子供さんが突然の難病宣告。「治療のために長期入院してください。学校も仕事も人との交流も全部我慢してください。治療のためですから。」、一瞬にして社会、学校から遮断。家族でさえも会うのを制限され、一遍に失われるこれまでの日常。家庭からどんどん笑顔が消えていく。我が子の前では気丈に振る舞いながらも、どうして私たちがこんな思いをしなければならないのか。どうしていいか分からない。繰り返される葛藤。相談できない。相談してもどうせ分かってくれないという気持ちになり深まる孤立感。子供も孤立。ぎくしゃくし出す親子関係。そんな自分たちを支えてくれたのが支援組織だったと言います。「できることがあったら言って」と近くで寄り添ってくれる他人の存在がいかにありがたいか、不幸が一瞬幸せへと形を変えると強調されておられました。  先の見えない闘いを強いられている子供たちとその家族にとって、経済的な支援や治療に関する情報はもちろんのこと、それだけでなく、繰り返し襲ってくる不安や動揺に立ち向かえるよう、心に寄り添ったサポートが必要なことを示してくれています。まだまだ日本で育っていない部分ではないでしょうか。  吉田さんらは、まずは経済的支援、治療に関して、あふれる情報の中から必要な情報を探し出す手間を省き、情報弱者を減少させようとウェブの充実に力を注がれています。また、香川県内で同じ境遇・経験をした方々がつながるための情報発信や、病気の子供たちや家族の現状を知ってもらい、ボランティアや支援の輪を広げるための広報活動にも力を注いでいます。ネットワークづくりです。そのほか学習支援の充実にも奔走しておられ、経験したからこそ分かる必要な支援策を次々に具体化しておられます。  県をはじめ行政は、こうした支援団体とつながることで必要なニーズの把握もでき、行政として何を支援していかなければならないか、施策展開の大いなるヒントを得ることができると思います。こうした支援団体としっかり連携し、支援・育成していくべきではないでしょうか。数少ない経験をした子供たちが負の経験を未来への正の経験に変換できるよう、行政として患者、家族の方々が抱える問題に真正面から向き合っていただきたいと考えます。  そこで、知事に伺います。  本県の小児慢性特定疾病の子供はどれくらいいるのか、その患者児童への公的支援の現状はどのような状況にあるのか、その家族の抱える課題にどのように支援をしていこうと考えているのか、支援団体はどのくらいあって、県はこうした団体をどのように位置づけ、関わりを持っていくおつもりか、お答えください。  また、小児慢性特定疾病によって長期の入院生活を強いられている子供たちへの教育支援の充実に、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。  次に、自殺予防体制の強化について伺います。  全国で新型コロナウイルスの影響で自殺者が大幅に増加し、深刻化しています。本年の自殺者の推移は、六月までは前年同月比で減少していたものの、七月以降は増加に転じ、十月(暫定値)は前年同月比で約四割増加するなど、非常事態と言うべき深刻な状況に陥っています。いのち支える自殺対策推進センターが十月二十一日に公表したコロナ禍における自殺の動向に関する分析(緊急レポート)によりますと、本年の自殺の動向は例年とは明らかに異なっており、様々な年代の女性や中高校生の自殺、相次ぐ芸能人の自殺に関する報道の影響と見られる自殺が増えていると報告されています。本県も十月末現在で百二十九人、男女比七対三、昨年比五・七%増で、交通事故死者数の二・六倍となっています。  十一月十六日、超党派の自殺対策を推進する議員の会が、社会的な自殺リスクがますます高まっていると、自殺対策の強化を求める要望書を厚生労働大臣に提出し、対策の強化を求めています。要望の中では、財政状況が悪化している地方自治体が全国的に多いことを踏まえ、このことが足かせになって自殺対策が停滞することのないよう、地域自殺対策強化交付金の補助率を十分の十とする臨時的措置も求めており、政府の英断が待たれます。歩調を合わせて、対策の最前線である地方自治体からも、もっと声を上げていくべきです。  相談の現場の大変さが伝えられています。香川いのちの電話協会にお聞きしますと、相談員の養成が十分できてなく、さらに最近のコロナ禍のため相談員の二割が活動を休止しており、相談者にとって最も大事な時間帯である深夜帯では無人になる時間帯も発生している状態だそうです。今年の対応件数自体はほぼ前年並みだといいますが、電話を受けられず、つながらなかった着信件数を考えますと、早急な対応策が必要と考えます。相談員の確保は喫緊の課題です。  さらにお伺いしますと、「相談員養成講座の受講生募集は県広報の中で四、五行と扱いが小さい」、「相談員養成講座参加にもっと県からの呼びかけを強めてほしい」、「養成講座の開催費用は国と県から全額補助を受けているものの、協会の運営費は駄目だと言われている」、また、「相談員養成の交通費、駐車場代は大半が自己負担、協会の経費は講演会開催などによって募った寄附金や県等の支援金で賄っている」、「相談員は無償奉仕をしており、その上かなりの方がいのちの電話活動に金銭的な支援も行っている」とのことでした。財源を確保し、相談員を本気で増やしていくための支援が必要ではないでしょうか。  自殺対策で厚生労働省にもアドバイスをしているNPO法人ライフリンク代表の清水康之さんは、「自殺対策は生きることの包括的な支援であり、それは当事者本位でなければならない。自殺対策とは、地域・社会づくりだ。まず、行政が命を包括的に守っていくというメッセージをしっかり打ち出すこと。自殺で亡くなった人は平均して四つの悩み、課題を抱えているという実態調査結果が出ており、一人の自殺を防ぐためには四つの組織、四つの分野の人たちが連携をして支援に当たらなければならない。当事者本位を追求するのなら、その悩みや課題を抱える当事者との溝をしっかりと埋めていくことが大事だ。」と語っておられ、個々のケースに寄り添って対応のできる専門人材の養成とネットワークの体制づくりが急務だと改めて感じたところです。  また、自分がどういう立場でどういう問題を抱えているのか、どこに住んでいるのかといったキーワードを検索項目に打ち込んでいけば、自分に合った適切な最新の支援策の情報が得られるような検索の仕組みを打ち立てると同時に、相談を受ける側の自治体や民間団体の人たちが、最新の制度を入手して理解できるようなバックアップも行政に求めており、かなり技量がいることで、十分な予算措置がなければ具体化しません。  自殺者数は昨年、一九七八年の統計開始以来、最も少ない二万百六十九人で、統計的には十年連続で減少していますが、失業者数が減るのとはわけが違います。亡くなった人は生き返るわけではありません。年間の自殺者数を指して「減った」というのは、あくまでも自殺者数が増えるペースが少し遅くなったにすぎません。毎日平均五十五人が自殺で亡くなり続けている現実を重く受け止める姿勢が必要です。とりわけ今、未成年あるいは児童・生徒の自殺が増え続ける深刻な事態に陥っています。自殺したいというよりも、生きるのをやめたいと訴える若者たちが増えています。若い世代に生きる意味がないと思わせない社会をつくっていかなければなりません。  その点で自殺未遂者への支援は十分でしょうか。自殺未遂をして医療機関に運ばれた方々が、医療的な処置は受けられても、そこから包括的な支援にはなかなかつながっていないという問題が指摘されています。自殺行為に及んだ本人からすれば、死ねなかったというのは失敗です。次は失敗しまいと、より致死性の高い手段で自殺行為に及んでしまうかもしれません。そもそも、なぜ、その人がそうした行為に及ばざるを得なかったのか。背景にどういう悩みや課題があるのか。身体的な治療とその後の精神的な治療、そして具体的な課題の解決につなげていく包括的な支援が必要です。  東京の荒川区では、区民が自殺行為に至って病院に搬送されると、御本人の了解を得た上で入院中に保健師が訪ねてきて、どういう悩み、課題を抱えているのかを聞き取り、それに基づいて地域でどういった支援が可能か、様々な機関と連携して、退院する前から御本人が戻っていく生活環境の課題の解決まで結びつけているそうで、これが非常に効果を上げていると聞きました。  弱かったのは個人ではなく支える力でしたと、個人を切り捨てるのではなく、そこまで追い詰めてしまう社会の構造を変える構えで体制の見直しを進めることが必要ではないでしょうか。  知事は、いのち支える香川県自殺対策計画の中で、「県では、現在取り組んでいる全事業の中から生きることの支援に関連する事業を総動員し、全庁的な取組みとして自殺対策を推進する」と決意を述べておられます。感銘を受けました。交通死亡事故ゼロに向けた情熱と同じような対応を望むところです。  そこで、知事に伺います。  自殺対策の緊急対応と抜本的見直し、強化が必要と考えますが、現在の動向をどう分析し、どのような認識で今後対応されるのか、相談・支援体制をどう強化していこうと考えておられるのか、お聞かせください。  次に、今後の水稲の品種改良に向けた方針について伺います。  令和二年産の米の出荷状況を事業概況で拝見しました。本県は、七月の長梅雨、八月の高温、台風などの気象要因により、八月には土壌水分不足、九月初旬の台風によって実りが悪かったこと、トビイロウンカの発生が収量に影響したと分析されています。  県産オリジナル品種のおいでまいの実績はというと、一等の比率が九一・二%と昨年の六五・二%から飛躍的に改善し、登熟期の高温に対して強い品種であるという特性が遺憾なく発揮された結果が出ています。ただ、JAへの出荷量の前年対比では九〇・九%と思わしくありませんでした。県内全体で水稲の作付面積が減少しており、おいでまいの作付率も伸び悩んでいると聞いています。農家の中には、おいでまいの作付をやめて他の品種に変更したいという意見もいただいております。その理由として共通しているのは、「単収が少ない」ということでした。また、食味については特Aを取り続けていますから一定の高い評価が得られていますが、様々な声にも真摯に耳を傾けて対策を考えていくことにこしたことはありません。単収が少ないという課題は農家の経営に直接的に響きますから、改良が図られないとしたら、今後の作付に関する戦略に大きな影響が出ます。改良は可能なのでしょうか。  この農家の疑問に対して明確な返答がない中で、「新たに香川県の特性に合った品種を」との声が出ています。聞けば、一つの品種が実際に農家で栽培・改良され、そして定着するには十数年の年月と絶え間ない改良の意志と意欲が大切だと伺いました。そのためには、人材の育成と財源の確保が必要になります。県の姿勢をしっかりと農家、県民に示すときです。  県オリジナルのおいでまいの次世代品種の育成が求められています。この点、香川県農協や香川県農業経営者協議会からも意見をいただいていることと思いますが、どのような意見があって、県としてどのように受け止めておられるのでしょうか。県の水稲の品種改良の現状についてどのように認識し、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。  次に、歩行者優先社会の創造について伺います。  「車より人が優先讃岐マナー」、今年九月の秋の全国交通安全運動のスローガンです。また、県警発行のチラシには、「横断歩道は「歩行者絶対優先」」の大きな見出しが躍り、県民意識を変えようと御苦労いただいているところです。  「横断歩道のあるところでは、減速・徐行が基本」、「横断歩道を渡ろうとする歩行者を発見すれば、必ず一時停止」、「横断歩道の直前で停車している車両の側方を通過するときも、必ず一時停止」、「横断歩道やその手前三十メートルでの追越し、追抜きの禁止」、ここまでは何となくそうだろうと思っていましたが、もう一つ、「横断歩道のない交差点での歩行者優先」、これは知りませんでした。恥ずかしい限りです。これだから、他県から来られた方から「香川の運転マナーはどうなっているの」と手厳しい指摘をいただくのだろうと反省しきりです。  過去五年間の人対車両の死亡事故の約七割が横断歩行中であるとの事態を重く受け止め、今年度、県警は横断歩道安全利用促進事業として当初予算二千三百四十七万円を計上し、人身事故が多発する県下二十路線を重点路線として指定、歩行者を横断歩道に誘導するおもてなシートを県下五十一か所で整備、運転者に注意を促す赤色LED回転灯を県下約二百二十か所に順次整備していくことになっています。  また、消えかかった横断歩道の塗り直しにも力を入れ、謙虚に、「気がついていないところもありますからどんどんお知らせください」と横断歩道の整備にも力をいただいているところです。さらに、運転者の止まる機運を醸成していくために、岡山県が取り組んでいるプロのドライバーに率先して実践してもらうよう県警とタクシーやバス、トラックの事業者協会との歩行者優先に関する覚書を交わす取組も参考に、さらに徹底していってほしいと考えています。  そこで、県警本部長に伺います。  対策途上にあると思いますが、対策の効果をどのように自己総括しておられるのか、今後、車優先から歩行者優先に県民意識を変えるためにどのように取り組んでいかれるのか、お答えください。  最後に、地方公務員災害補償基金香川県支部の在り方について伺います。  現在、厚生労働省において、過労死等(脳血管疾患、心臓疾患及び精神障害)の労災認定基準の見直し・改定作業が行われています。その背景には、過労死を巡る社会運動の高まりがあります。二〇一四年、過労死等防止対策推進法が衆参両院において満場一致で可決、成立され、今やその社会運動を主導してきた過労死弁護団や全国過労死を考える家族の会が労働局主催の過労死等防止対策推進シンポジウムで主導的役割を果たすなど、光景はさま変わりしています。厳しい社会の目線を無視できないとの認識が、政府部内で広がりつつあることを物語っています。  ところが、過労死ゼロを掲げる割には、まだまだその実務は追いついていません。過労死の認定基準が厳し過ぎる問題があります。令和二年版過労死等防止対策白書によれば、二〇一五年度の就業者の脳・心臓疾患の死亡者数は二万七千十九人ですが、その年の労災請求件数は二百八十三件で僅か一・〇四%、うち支給決定されたのは九十六件で三〇%台にとどまっており、二〇一五年から二〇一九年の五年間についても同様に推移しています。現行の過労死の認定基準は、「発症前一か月間におけるおおむね百時間または発症前二か月間ないし六か月にわたって、一か月当たりおおむね八十時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強い」と、高いハードルを設けて被災者と被災家族を退けてきました。  人間の体はロボットのように均一でしょうか。疲れやすい人もいれば、ストレスに弱い人もいる。既往症を持っている人もいる。業務の負荷はそれぞれ個々人によって異なるにもかかわらず、画一的な基準で一刀両断。一体誰のための労災補償制度なのでしょうか。  職場において労働者の安全と健康を確保するのは事業者の責務です。にもかかわらず、十分な安全配慮義務が果たされていない事実は見逃したまま、あまりにも厳しい認定基準に固執し、過大な立証責任を被害者に負わせる理不尽な状況が続いてきたのです。ところが、全国各地で展開された被災者とその家族による果敢な裁判の闘いは、認定基準の枠を超える判例を各地で勝ち取ってきました。判例が先に動き出したのです。これではたまらないと、ようやく厚生労働省も重い腰を上げたというのが今回の改定の真相のようです。  地方自治体も、過労死防止推進の担い手として、こうした動向に敏感でなければなりません。また、知事は県内の地方公務員が過労死に見舞われることのないよう、気を配るべき地方公務員災害補償基金香川県支部の支部長でもあります。真面目で責任感の強い人が過労死や過労自殺に追い込まれるケースが起こっていないか、そして、万が一被災した場合には速やかに救済が行われるように全力を挙げる責務を負っています。被災によって人生が一変した職員とその家族を、間違っても救済すべきものを私傷病として退け、救済の網から漏らすようなことがあってはなりません。
     脳血管疾患、心臓疾患という複雑な案件に対して、県支部は被災者に寄り添うような体制が取れているのでしょうか。県支部には脳血管疾患・心臓疾患の専門医がいません。被災者と家族の無念に寄り添う体制を充実させるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)米田議員の御質問にお答えいたします。  まず、小児慢性特定疾病への支援についてであります。  小児慢性特定疾病は、治療期間が長く、長期の入院を伴うなど医療費負担が高額となることから、その御家庭の経済的負担を軽減するため、県と中核市である高松市が、国の制度に基づき、医療費の自己負担に対する助成を行っており、令和元年度の受給者数は八百二十七人となっております。また、成人後の自立が円滑に進むよう自立支援員を配置して相談窓口を設けるとともに、各保健所において保健師が保護者からの電話や来所による相談に対応しているほか、在宅で人工呼吸器を使用しているなど医療的ケアを必要とする子供の療養の支援と、御家族の急用時等に子供を一時的に受け入れる小児レスパイト事業を県内二か所の医療機関において実施しております。  御家族の抱える課題への支援につきましては、学習の遅れや社会からの孤立に対するそれぞれの子供の成長過程や病状に応じた将来の生活のための支援、保護者やきょうだいへの精神的な負担を軽減するための支援を充実していく必要があると考えております。  県内の支援団体につきましては、ダウン症候群の子供と御家族を支援する団体など数団体あると承知しておりますが、今後、議員御紹介のNPO法人のような民間団体のノウハウを生かした活動による支援との連携・協力を検討してまいりたいと考えております。  私といたしましては、民間団体を含め、医療機関など関係機関と連携して支援体制の強化を図り、小児慢性特定疾病を抱える子供とその御家族への支援に積極的に取り組んでまいります。  次に、自殺予防体制の強化についてであります。  本県の自殺者数は、前年と比べて八月までは減少傾向にありましたが、九月から増加に転じており、適切な支援を迅速に受けられる相談体制の充実に加え、早期に身近な人が関わり、相談や支援につなげることが重要だと考えております。  このため、精神保健福祉センター、保健所、各市町において、電話相談や来所相談に対応しているほか、香川いのちの電話協会の相談員養成に係る経費を助成するなど民間団体とも協力し、相談体制を確保しており、また、新型コロナウイルス感染症の影響に対する新たな取組として、精神保健福祉センターにおいて電話相談の回線数の増設や、各市町等に対して、精神科医師による技術的助言を随時実施するなど相談体制の強化を行ったところであります。このほか、若い世代の方に心のケアに関する知識を持ってもらうため、昨年度から出前講座を実施しており、今年度はこれまでに小学校、中学校、高等学校八校で実施したところであり、年度内にさらに三校で実施する予定としております。  また、自殺未遂者への支援につきましては、県立中央病院と連携し、身体的治療の終了後、精神保健福祉センター職員が面談を行うことなどにより、昨年度は三十八名の方の支援を行ったところでありますが、今後は他の医療機関との連携を強化するなど、一層の支援に取り組んでまいります。  自殺の背景には過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立など多様で複雑な要因が関連しており、自殺リスクを抱えている方の様々な社会的要因を減らすための包括的な取組が重要であることから、関係機関とこれまで以上に密接に連携し、効果的な相談体制を検討するとともに、国の財政措置の拡充を要望するなど、相談・支援体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。  次に、水稲の品種改良に向けた取組についてであります。  本県の耕地面積の八割を占める水田において作付面積が最も多い水稲は、本県農業の基幹作物であることから、本県に適した水稲の品種を改良し、普及させていくことは重要と考えております。  近年、夏場の高温や多雨などの異常気象により水稲の品質低下が問題となっていたことから、県では、一等米比率の向上による農業者の収入増に向けて優れた水稲品種の育成に取り組み、夏場の高温でも品質が低下しない新たな品種としておいでまいを開発したところであります。おいでまいは、本格栽培が始まった平成二十五年からこれまでの七年間の平均で、一等米比率は七三%という高い水準を保つとともに、御指摘のように一般財団法人日本穀物検定協会の米の食味ランキングで特A評価を四回獲得するなど品質面で評価され、その作付面積は、コシヒカリ、ヒノヒカリに次ぐもので、本県の水稲を代表する品種となっております。  このような中、県では、おいでまいの高い品質を確保しながら収穫量を増やすため、土壌診断に基づく適正な施肥や稲の生育状況に応じた適切な水管理などの栽培技術の改善に取り組み、生産者にその技術の普及を図っております。一方、生産者からは、おいでまいの課題として、いもち病に弱いと指摘されていることから、それを克服するため、農業試験場において品種改良を進めているところであります。  私といたしましては、今後とも水稲の生産技術の改善や現場への普及を推進するとともに、品質向上に向けた品種改良に取り組むことにより、本県水稲の生産振興を図ってまいりたいと考えております。  次は、地方公務員災害補償基金についてであります。  公務災害の認定につきましては、地方公務員災害補償基金の理事長から香川県支部長に委任されており、脳血管疾患や心臓疾患など公務に起因するかどうかについて慎重な判断が求められる場合には、その認定に際して理事長との協議を要するものとされております。この場合において、理事長は、公務起因性の判断が複雑かつ困難と思料する事案については、複数の医学専門家から対象疾患の発症機序、鑑別診断等に関する医学的知見を徴するものとされております。香川県支部においては年間二百五十から三百件ほどの認定申請がありますが、その多くが負傷に起因するものであることから、支部専門医としては整形外科医に委嘱しております。  このため、脳血管疾患や心臓疾患など理事長との協議を要するものにつきましては、本部において委嘱している脳血管疾患や心臓疾患の専門医の医学的知見を得て、慎重に認定判断を行っているところであります。現在、厚生労働省における労災認定基準の見直しの検討を受けて、基金本部においても対応を検討中と聞いており、その動向を注視するとともに、併せて整形外科医以外の支部専門医の委嘱についても検討してまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)米田議員の小児慢性特定疾病への支援についての御質問にお答えいたします。  小児慢性特定疾病等により長期の入院生活が必要な児童・生徒に対しては、個々の病状やニーズに合わせて、指導内容や方法を工夫しながら学習指導を行うとともに、病気への不安や家族・友人と離れた孤独感を抱える子供たちの心情に寄り添いながら、健康回復への意欲や病気を改善・克服するための自己管理能力の育成等に取り組んでまいりました。  義務教育段階の子供たちの学びの場としては、小学校で三学級、中学校で三学級、合計六学級の院内学級が県内三か所の病院に設置されております。また、県立善通寺養護学校においても、隣接する病院と連携し、病院内において一人一人に応じた教育を行っております。高等学校においては、これまで長期入院をする生徒については、休学した上で治療に専念し、退院後、体調の回復を待って学校での学びを再開することが一般的な対応でありましたが、ICT化の進展や文部科学省通知により病気療養中の生徒に対する遠隔教育について単位認定等の要件が緩和され、状況によっては、入院しながらもICTを活用して学習を続けることが可能となりました。  県教育委員会といたしましては、病気療養中の児童・生徒に対するICTの効果的な活用方法の研究を進めるとともに、学校と病院の連携の強化や教職員の指導力の向上、病気の子供への理解の促進など、長期入院中の子供の療養生活や退院後の生活の質の向上につながるよう、教育支援の充実に、より一層取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)那須警察本部長。    (警察本部長那須 修君登壇) ◯警察本部長(那須 修君)米田議員の歩行者優先社会の創造についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、横断歩行者の安全確保に対する取組として、現在、横断歩道安全利用促進事業を展開中であります。この事業は、横断歩行者が被害者となる交通事故の分析を踏まえ指定した重点路線等において、交通環境の整備、安全教育や広報啓発、横断歩行者妨害等の指導取締りを、歩行者と運転者双方の視点から総合的かつ一体的に実施するものです。これらの事業につきましては、現在整備中であるため、効果の検証は整備後になりますが、過去に試験的に整備した箇所における検証結果では、おもてなシートについては、押しボタン信号機の利用回数が平均三三%増加したほか、整備付近の交通事故の発生はありません。また、赤色LED回転灯については、実勢速度が平均八・五%減少するなど一定の効果が認められており、本事業の整備と併せて各種対策を講じることで、交通事故の減少はもとより、歩行者絶対優先などの県民の交通安全意識の高揚に高い効果が期待できると考えております。  現在、県警察では、事業所を中心として「横断歩道での歩行者優先」、「制限速度内での走行」、「早めのライト点灯とハイビームの上手な活用」の三つの安全行動を実践するセーフティリーダー車運動を推進しており、十一月末現在、一千百三十五の事業所が参加し、歩行者を優先する模範運転の実践と啓発に御協力いただいております。  県警察といたしましては、これらの各種取組の強力な推進のほか、いわゆるダイヤマークが「横断歩道または自転車横断帯あり」を意味する道路標示であることの周知徹底や運転免許の更新時講習内容の改善等によって、歩行者優先への県民意識の変更を図り、併せて歩行者に対しては、基本的な交通ルールの遵守を定着させることにより、交通死亡事故の抑止に努めてまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  都築信行君。    (都築信行君登壇、拍手) ◯都築信行君 コロナ禍の中、その対応に心を砕き、共に乗り越えようとしていただいている全ての皆様、そして鳥インフルエンザ、海難事故など突発的な事案にもスピーディーに対応してくださっている全ての関係者の皆様に敬意を表し、感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。  まず最初に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。  今回取り上げさせていただくのは、観光・公共交通産業です。県内の観光産業は裾野が広く、宿泊、運輸、飲食、小売業など関連する業種が多岐にわたっており、新型コロナの影響により大きな打撃を受けております。事業継続や雇用維持などの支援策に加え、Go To トラベル事業などにより観光産業は回復の兆しを見せていましたが、ここに来て大都市圏での感染拡大や同事業の制限などにより、需要の先行きに陰りが見え始めております。  過日、赤羽国交相も香川県を訪れ、県内を走る観光列車や直島の美術館等を訪ねられ、視察後、「観光や文化芸術が地方創生に結びついた成功事例であると確信した。Go To トラベルなどを活用して多くの人に作品に触れてもらえるよう、今後も支援に努めたい。」と語るなど、瀬戸内海を含めた香川の観光振興による地域活性化に期待を寄せられておられました。  不透明感が増す中、地域経済を支える中小のホテルや旅館、旅行業者、飲食・土産店などの経営の安定や雇用の維持が大切であります。  そこでまず、県内におけるGo To トラベル事業の効果と観光産業の状況、さらなる支援についてのお考えについてお伺いをいたします。  また、生活や観光の足として地域を支え続けているバス、タクシー、鉄道、航空、旅客船などの交通事業者への一層の支援も大事です。例えば、旅客船・フェリー事業者は、県民生活に必要不可欠な公共交通機関として、また、海事観光の担い手として極めて重要な役割を果たしていただいておりますが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、旅客船・フェリーの利用者が著しく減少し、予約キャンセルが相次ぐなど、かつてないほどの厳しい経営環境に直面していると伺っております。それに対し県も、地方創生臨時交付金を活用し、本年四月から六月分の係船料相当額の支援を実施していただいており、評価をしております。しかしながら、この厳しい経営状況は七月以降も続いており、支援の延長が必要ではないかと考えます。広島県では、既に来年三月までの減免を決定、お隣の愛媛県でも同時期までの支払い猶予措置を講じております。  また、鉄道・バス事業者においても同様で、観光需要だけでなく、日常的に利用している一般路線客も減少しており、行政支援も活用してコスト削減にも努め、減収の穴埋めに取り組まれておられますが、予断を許さない状況とお聞きをしております。  つきましては、新型コロナの第三波が県内でも心配される中、県内交通事業者へのさらなるきめ細かな支援について、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、視覚障害者支援についてお伺いいたします。  新型コロナウイルスの感染拡大は、視覚障害者の暮らしにも大きな影響を及ぼしました。まずは具体的な困難事例について、お知りおき願いたいと思います。屋外では人との適切な距離が取りにくく、感染を防ぐためのソーシャルディスタンスを保てない場合、心ない言動を受けるケースがあります。移動には同行援護従事者や移動支援従事者など、いわゆるガイドヘルパーとの意思疎通が欠かせませんが、その際、極力小声で会話するよう心がけていても嫌がる人もいます。移動にはガイドヘルパーの肩や肘をつかむ必要があるため、どうしても密接になります。また、点字や物の形などを識別するためには手で触って確認せざるを得ませんが、電車やバスなどに乗る際も、安全のため、手すりやつり革を使う機会は健常者の方よりも多くなり、手洗いや消毒には人一倍気を遣います。そして、買物時のスーパーでは、新型コロナの感染が広がってから、レジには飛沫感染予防のためのアクリル板などが設置されたり、間隔を空けるため、足元には案内用のマークが標示されるなど、店の様子が大きく変わっておりますが、注意されるまで何も気づかず困惑したという方もいらっしゃいます。  日本視覚障害者団体連合が三月に開設した緊急の相談窓口には、「スーパーやコンビニで店員による買物のサポートが受けられなくなった」などの相談が多数寄せられており、コロナ禍で視覚障害者へのサポートが減少していることが懸念されております。同団体では、これまでどおり積極的な声かけをお願いしたいと呼びかけられておられ、同様に、日本歩行訓練士会が八月、新型コロナの感染を予防しながら視覚障害者を安全に誘導するためのガイドラインを公表しており、県としてもコロナ禍での視覚障害者の生活のしづらさを深く認識しつつ、こうしたガイドラインも参考に、寄り添う支援をお願いしたいと思います。  さて、視覚障害者の皆さんのコミュニケーションには点字が活用されておりますが、高齢になっての途中失明などのケースでは、その習熟に大変な困難が伴います。そこで、近年ではスマートフォンなどに、画面に表示された文字を読み上げたり、文書作成で変換した漢字を音声で説明したりするなど、視覚のハンデを補い、暮らしやすさを提供する機能が搭載されております。一方で、それを使いこなす技能も必要になってまいりますが、現在こうした機能を持つアプリなどに習熟した人は少なく、指導者も不足しております。販売店でも基本操作は教えていただけますが不十分で、視覚障害者に操作技能を指導するサポーターの養成が望まれております。こうした点に、県としてもきめ細かな支援をお願いしたいと思います。  関連して、昨年六月、視覚障害者や発達障害がある人などが、読書をしやすい環境を整える視覚障害者等の読書環境の整備に関する法律、いわゆる読書バリアフリー法が公明党など超党派の議員立法で成立しました。点字図書や音声読み上げに対応した電子書籍の普及を国や自治体の責務とし、国には基本計画の策定のほか財政措置を義務づけ、自治体にも計画策定の努力義務を課しております。  香川県でも、その制定を受け、視覚障害者等が身近に読書が楽しめるような環境づくりに努めることを、現在策定作業を進めている第六期かがわ障害者プランに新たに盛り込んだとお伺いしております。本県の点字図書館においては、点字図書が約六千六百タイトル、電子書籍が約六千七百タイトル所蔵されており、平成二十二年度末に比べて点字図書を五百タイトル、電子図書書籍を千七百タイトル増やしてくださっており、評価しております。ただ、後者の活用には再生機が必要な方がいらっしゃいますが、県内での設置台数は少ないと聞いておりますので、その充実をお願いしたいと思います。  そして、視覚障害者の安全対策も大事です。本県の交通死亡事故の状況は止まる気配がありません。視覚障害者にとっても、外出時の安全な移動確保は大変重要であります。特に気を遣うのが道路横断の際で、信号機のある横断歩道を渡る際はいつも緊張するといいます。最近では音の出る装置をつけた信号機が設置されるようになりましたが、県下でも視覚障害者用付加装置が七十九基、音響式歩行者誘導付加装置が三十七基で、その数はあまり多くありません。その背景には、発生音が騒音として捉えられ、設置を拒まれるケースもあるようです。そのため、最近ではスマートフォンを通じ、音声や振動、画面で視覚障害者らに歩行者用信号機の情報を伝える歩行者支援装置を活用する自治体もあります。スマホに専用アプリをインストールするだけで利用できるなど汎用性が高く、高齢者にも活用ができそうです。誰もが安心・安全に道路を利用することができるよう、一段の取組をお願いいたします。  同様に、駅ホームからの転落事故も全国で多発しております。鉄道事業者とも連携し、安全対策を施していただきますよう要望をしておきます。  以上、視覚障害者支援について、知事並びに警察本部長の御所見をお伺いいたします。  次に、ヤングケアラーへの支援についてお伺いをいたします。  本題に入る前に、若干、少子化対策について述べさせていただきます。  昨年の我が県の合計特殊出生率は一・五九と、前年の一・六一から〇・〇二減少、平成二十六年以来再び一・六を下回っており、出生数も六千六百三十一人と統計開始以来最少となるなど、少子化は想定を上回るスピードで進んでおり、効果的な対策を継続的に取り組むことが不可欠であります。  さて、若い夫婦から子供を多く持てない理由として最も多く挙がるのが経済的問題であります。その点、不妊治療については、早期の保険適用や公費助成の抜本的な拡充に向けて政府において検討をいただいており、過日、公明党全国大会に出席された菅総理は、「不妊治療への保険適用についても公明党女性委員会から強い要請を受けている。できるだけ早くしたい。それまでの間、助成金を思い切って拡大したい。」と決意を披瀝されておられましたが、我が党も全力で推進を応援していきたいと思います。  関連して、明治安田生命保険が先月発表したアンケート結果によると、乳幼児のいる既婚男女のうち、「さらに子供が欲しい」と答えた人の割合は三〇・五%と昨年よりも約一〇%増え、調査を始めた二〇一八年以降で最多となりました。子育て費用が低下傾向を見せ、「幼稚園・保育園代に負担を感じる」と答えた人の割合も六六・九%から四三・三%への減少となりました。その理由として、同総合研究所は、「政府の幼児教育・保育の無償化の効果が明確に現れていると言える」とコメントをしております。昨年十月からスタートしたこの幼児教育・保育の無償化については、私ども公明党も強く推進してまいりました。  同調査では育児休暇についても触れており、妻が夫に求めるのは平均九十四日だそうですが、実際の平均取得日数は七日にとどまっております。フランスでは夫が妻の産後二週間、有給で休暇を取得できるそうですが、この二週間は、男性が父親になるトレーニング期間と位置づけられており、おむつの替え方や沐浴の仕方、ミルクの作り方を習うなど、父親になる貴重な期間だと言われております。その点、公明党は出産直後の男性の産休制度の創設を主張しておりますが、働き方改革の先鋒を務める県においてまず導入するなど、官民にわたる積極的な推進をお願いしたいと思います。  それでは、本題のヤングケアラーへの支援について質問に入らせていただきます。  ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されるような家事や家族の世話などをすることで自らの育ちや教育に影響を及ぼしている十八歳未満の子供を指します。核家族化や高齢化、共働き、独り親家庭の増加といった家族構成の変化により、子供がケアの担い手とならざるを得ない状況が背景にあります。総務省が行った二〇一七年の就業構造基本調査では、家族を介護している十五歳から二十九歳の方は全国で推計約二十一万人とされますが、ヤングケアラーの数字は現状定かとなってはおりません。  厚生労働省が、被虐待児童をはじめとした要保護児童の早期発見や適切な保護を図るために市町村が設置する要保護児童対策地域協議会を対象とした調査を実施しており、昨年三月に公表された報告書から、その概要をうかがうことができます。この調査結果によると、ヤングケアラーの半数近くは独り親家庭でした。ケアを行っている相手は「きょうだい」が七二・六%と最も高く、「母親」四六・九%、「父親」一二・五%となっております。ケアを行っている相手の状態は、母親は「精神障害」が半数以上を占め、父親は「依存症」の割合が高く、ケアに費やす時間は一日平均五・四時間と長時間に及び、夜間のケアも一日平均二・六時間となっております。学校生活への影響も深刻で、学校を休みがちな子供が三一・二%、授業に集中できなかったり学力が振るわない子も一二・三%に上っております。  ヤングケアラーの社会での認知度は低く、十分な支援の手も届いていないのが現状で、その背景には、介護は家族が担うものとの日本の風潮や、子供が家族の介護で苦しんでいることを周囲に打ち明けづらいということがあるようです。日本ケアラー連盟の森田久美子氏も、「様々な人のサポートやケアに携わるのは自身の人間的成長につながるが、過剰なケアへの役割を担うことは子供の将来や社会生活に影響を及ぼす」と警鐘を鳴らしております。国も、年内に実態調査を行う予定とお聞きしておりますし、自治体レベルでも、埼玉県が今年三月に全国初のケアラー支援条例をつくり、国に先んじてヤングケアラーの実態調査を始め、本年度中に支援計画を取りまとめる予定だそうです。  つきましては、ヤングケアラーの認識と今後の支援について、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、子供の性被害の防止についてお伺いいたします。  「性暴力は一つあるだけでも多過ぎる」、米国のオバマ前政権が二〇一四年に発信したこのメッセージは、性暴力の深刻さを改めて世界に示しました。国内でも、六月、政府が性犯罪・性暴力対策の強化の方針、いわゆる強化方針を発表する際、橋本聖子内閣府特命担当相は、このメッセージに言及して方針の着実な実施を約束されました。その方針では、今年度から三年間を性犯罪・性暴力対策の集中強化期間と決め、国民に対しても「加害者にも、被害者にも、傍観者にもならない」とのメッセージをその冒頭に掲げ、協力を呼びかけております。  また、公明党の提言を受け、国においても夜間休日に対応できるコールセンターの来年度中の設置に向けた検討を進めるとともに、この十月からは、被害者を相談先につなぐ全国共通短縮ダイヤル♯八八九一がスタートしており、県内でも広く周知が必要であります。  本県で設置されている性暴力被害者支援センターオリーブかがわでも、より充実した支援ができるよう、県内窓口の増設とともに、二十四時間三百六十五日化や、若年層が相談しやすいSNSを含む多様な方法の提供について要望しておきたいと思います。  さて、性被害に関して子供に目を向けた場合、さらに状況は深刻で、特に学校現場等での性被害の防止は喫緊の課題であります。文部科学省の調査によると、二〇一八年度に全国の公立学校などでわいせつ行為やセクハラを理由に処分を受けた教員は二百八十二人で過去最多となり、残念ながら我が県でも、今年に入って教員が中学生にわいせつな行為を行い懲戒免職となった事件などが立て続けに発生しております。中には、学校内でわいせつ行為に及んだ事例もありました。安心して学べる場所の学校で、子供たちが被害に遭うことは断じてあってはなりません。被害に遭った子供はどれほど深い心の傷を負い、長きにわたって苦しみ続けることになるか。他の生徒や学校全体に及ぼす悪影響も計り知れません。  一方、今、このコロナ禍の学校現場では、教員の皆さんが子供たちと一緒に、この災禍を乗り越えようと必死で頑張ってくださっております。ほんの一部の教員等により、その信頼が失われることになれば、大変に残念なことであります。  これまで県教委でも、子供の性被害防止には様々取り組んでいただいております。まず、教員が性犯罪を犯した場合、それが児童・生徒に対するものであれば免職とする懲戒処分の基準が定められています。懲戒免職となった教員の教員免許失効歴は令和三年二月中に、検索可能な期間が三年から四十年に延長され、処分歴を隠して別の教委に採用されることを防止する手だてが国により講じられております。また、もちろん教員研修や各校長への指導も行われてまいりました。しかしながら、こうした事案はやむことなく、学校現場にある死角とも言うべき隙を突かれ、性犯罪が起こっております。  なお、学校内での盗撮事犯については、警察本部の御尽力で条例改正により規制強化が図られており、感謝をしております。  さて、子供等に対する性暴力は、被害者の性知識の浅さや訴えの弱さなどから、その早期発見が難しいとされ、特に学校現場では、特有の環境が存在いたします。例えば、性犯罪は上下関係、力関係のある中で起こりやすいと言われますが、生徒と教師の間には、まさに大きな力の差が存在します。また、教師は生徒の個人情報を入手できる立場にあるため、それを利用しようと思えば可能であります。  もちろん、私も教員の皆さんには全幅の信頼を寄せており、県教委も同様だと思います。しかし、こと犯罪防止に向き合う際は、県教委としても、ぜひそうした環境への意識と、教職員の犯罪は県にも法的賠償責任が生じるという緊張感を持って対応していただきたい。決して、犯罪を犯す人はどこにでもいるとか、個々人の私生活まで全て見張れないなど、単に教員個人の責任で終わらせることなく、一歩踏み込んだ組織的な取組をお願いしたいと思います。犯行が防げなかった具体的な事例を検証し、何が足りなかったのか、どのような研修が効果的なのかをいま一度見直していただけないでしょうか。その際、他県のように外部の有識者による第三者機関等を設置し、事件検証や本格的な対策を練っていただくことも一考です。  また、静岡県教委のように、生徒らを対象にアンケートを行い、潜在的な被害の実態把握に努める自治体もあります。確かに我が県においても、小・中・高ともに学期ごとなどに学校生活アンケートが行われておりますが、性被害に関しては、残念ながら十分機能しているとは言えず、事件発覚後、初めてその概要を知るという後手後手の状況になっているのが現状ではないでしょうか。抑止力にもつながることから、現場での実態把握の意義はあると思いますが、現場に負担がかからない効果的な手法が必要です。  次に、さきの強化方針では、児童・生徒がSOSを出しやすくなるよう、学校側で相談を受ける体制の強化や相談を受ける教職員の対応についての研修の充実を図ることとしています。性犯罪には様々なケースがあり、特に子供の場合デリケートな対応が求められることから、現場の職員等では対応に苦慮してしまうこともあるようです。先日伺ったかがわ被害者支援センターの専門員の方からも、ぜひ教員等への研修にも当機関を活用してもらいたいとのことでしたが、そうした専門機関等とも連携し、特に、学校での対応の中心となる関係者には、必要な研修を丁寧に行っていただきたいと思います。  また、性被害の相談支援を行う民間団体との連携も大切です。外部の目から見た行政の課題も参考にすべきですし、行政とは少し距離を置いた民間の相談窓口のほうが相談しやすい場合もあります。信頼の置ける民間団体にも協力を求め、活用すべきと考えます。  そして、何よりも児童・生徒自身の性犯罪防止への高い意識醸成が重要であります。強化方針でも、子供を守るべき家庭がその機能を十分に発揮できない場合もあり、性暴力の加害者や被害者、傍観者のいずれにもならないよう、学校教育がより大きな役割を果たしていくことが求められております。  そこで、来年四月より実施が予定されている、いわゆる「生命(いのち)の安全教育」においては、学齢に応じて性被害につながるリスクケースと対処の仕方なども教えることとしています。喫緊の課題に鑑みれば、来年度を待つことなく、有効な取組は直ちに取り組んでいただきたいと思います。  つきましては、子供の性被害撲滅への決意と、具体的な防止に向けた取組について教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)都築議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた観光・公共交通への支援についてであります。  新型コロナウイルスの感染拡大によって落ち込んだ観光需要を回復するため、本年七月下旬から開始された国のGo To トラベル事業等により、九月、十月の宿泊数は昨年の六割以上まで回復したほか、観光庁の観光消費動向調査によりますと、本県の七月から九月期の実績は、四月から六月期と比べ、旅行消費額が約五倍の二百五十二億円余、延べ旅行者数が約三倍の七十一万人に改善するなど、この事業が観光需要の回復を牽引しているものと考えております。  現在、県においても中四国在住の方を対象とした宿泊助成事業や、秋冬の絶景と美食をテーマにした観光キャンペーンのほか、宿泊施設等の感染防止対策への支援を実施しているところであり、事業期間内に十分な成果が上げられるよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。  また、議員御指摘のとおり交通事業者は、感染症の収束が見通せない中、依然として厳しい経営環境に置かれているものと認識しており、県におきましては、交通事業者が実施する感染防止対策や新しい生活様式に対応する利用促進等の取組を支援するとともに、これまでも事業存続に向け、既存制度の拡充など重ねて国に要望を行ってきたところであります。  さらに、旅客船・フェリー事業者に対しては、事業等に係る収入が一定以上減少している場合に港湾施設使用料等の納付を猶予できる制度を定めるとともに、九月定例会で御議決をいただいた定期旅客船事業者支援事業による支援を行っているところであり、今後も国の動向や定期旅客船等の利用状況などの把握に努めてまいります。  私といたしましては、引き続き国に一層の支援を働きかけるとともに、観光需要の回復や公共交通機関の利用促進等に積極的に取り組むことにより、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。  次に、視覚障害者への支援についてであります。  コロナ禍にあっては、障害や障害のある方についての理解を深め、障害者に寄り添うことがより重要であると考えております。このため、現在策定を進めている第六期かがわ障害者プランにおいても、基本目標の第一番目に「障害への理解促進と権利擁護」を掲げたところであり、障害特性等に配慮した支援が行われるよう、様々な機会を通じて県民の皆様への周知啓発に努めてまいります。  また、議員御指摘のガイドラインにつきましては、香川県視覚障害者福祉センターのホームページで紹介しておりますが、今後は、改めて障害福祉サービス事業所に対してお知らせするなど、より円滑な意思疎通を支援してまいります。  次に、視覚障害者のコミュニケーション支援につきましては、香川県視覚障害者福祉センターを運営管理する香川県視覚障害者福祉協会に委託して、これまで百九名のパソコンボランティアを養成してきましたが、近年はスマホやタブレットの利用に対するニーズが高いことから、研修内容を見直し、新たなニーズにも対応できる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。  さらに、障害者向け電子書籍の活用につきましては、現在、香川県視覚障害者福祉センターで四台の専用再生機を保有しておりますが、読書バリアフリー法の施行を受け、より身近に読書を楽しめる環境づくりを進めるため、新たに六台の機器を追加購入したいと考えており、必要とする方への貸出しや操作方法を学ぶ研修会の開催などを通して、視覚障害者の読書環境の整備を一層進めてまいります。  私といたしましては、新たに策定するプランに沿って、障害に対する正しい知識の理解促進や障害者の社会参加の促進に努め、「障害者が住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らせる香川」の実現を目指してまいりたいと考えております。  次に、家族の介護や世話を行う子供への支援についてであります。
     議員お尋ねのヤングケアラーにつきましては、本来大人が担うと想定されるような家事や家族の介護、世話など、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任を担うことにより、学校生活や自らの成長等に影響が及んでいる子供たちであると承知しております。  本県の児童相談所において、養育放棄や虐待により支援している児童の中にもこのような児童がおり、個々の状況に応じて対応しているところでありますが、ヤングケアラーについての概念が十分に知られていないことや、家庭内の状況は周囲から気づかれにくいことから、支援につながっていない児童がいると考えられ、早期に発見し、適切な支援を行っていくことが重要と認識しています。  こうした中、議員御指摘の国の要保護児童対策地域協議会を対象とした調査結果を受けて、各市町に対し、ヤングケアラーに対する理解促進と関係機関の連携による支援を依頼したところであり、児童相談所においても、これを踏まえた対応が必要と考えております。具体的には、児童相談所において、早期発見に向け、各市町、学校等と連携して、ヤングケアラーではないかとの観点を持って家族全員の状況把握を行い、介護を必要とする方がいるなどの場合には、介護保険サービスや障害福祉サービス等につなげられるよう、それぞれの家庭に応じた支援の充実を図ってまいります。  国においては、今年度中に全国を対象とした実態調査が実施されると伺っており、また、先月には全国知事会を通じてヤングケアラーの支援体制の強化について提言したところでもあり、今後、国の動向も注視しながら、県として必要な取組について検討してまいりたいと考えております。  私といたしましては、各市町、学校等と引き続き連携しながら、ヤングケアラーの学びや健やかな成長を促すよう、積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)都築議員の子供の性被害の防止についての御質問にお答えいたします。  性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであることから、社会全体で子供たちの被害防止のための対策に取り組まなければならないと考えております。また、子供たちを守り育てる立場にある教員が、児童・生徒等に対してわいせつ行為を行うことは、決して許されないものであります。  県教育委員会では、わいせつな行為やセクシュアルハラスメントの防止について、機会あるごとに注意喚起をしてまいりましたが、先月、小・中学校の臨時校長研修会を開催し、より一層の指導の徹底を図ったところであり、来月には県立学校の校長会も開催することとしております。先月行った小・中学校の校長研修会では、不祥事防止に向けた教職員への留意事項や校内の環境づくりのポイントを示すとともに、SNSを利用したやり取りがきっかけとなる事案が少なくないことから、各学校において、SNSの私的な利用について指導の徹底を呼びかけたところであり、今後は各校長に対しアンケート調査を実施し、自校の教職員に対する具体的指導の取組の把握に努めてまいります。  また、知事部局と連携し、性被害に関するワンストップ支援センターであるオリーブかがわの相談窓口等を生徒に周知しているところですが、児童・生徒の意識の醸成が重要であることから、今後、国の強化方針に基づき子供を性暴力の当事者にしないための教育や啓発に一層取り組んでまいります。  県教育委員会といたしましては、今後とも知事部局や市町教育委員会、関係団体と連携し、教員一人一人の意識改革を図るとともに、児童・生徒の発達段階に応じた適切な指導に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)那須警察本部長。    (警察本部長那須 修君登壇) ◯警察本部長(那須 修君)都築議員の視覚障害者への支援についての御質問にお答えいたします。  視覚障害者や高齢者等が安心して外出できるよう、道路の横断を音で誘導する信号機の視覚障害者用付加装置等の整備は極めて重要であると認識しております。これまでも県警察では、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき、高松市及び丸亀市の重点整備地区の生活道路をはじめ、県下で百十六基の視覚障害者用付加装置等の整備を進めてきたところであります。しかし、これらの装置は、付近の住民から誘導音が騒音として捉えられる場合があり、その音量を小さくしたり、特に夜間においては約三分の一の信号機で装置を停止している現況にあります。  議員御指摘のスマートフォンを通じ、音声や振動、画面により歩行者用信号機の情報を伝える歩行者支援装置については、昨年度末時点で宮城県、千葉県及び静岡県に七十四基が整備され、今年度から正式運用が開始されております。また、来年度以降警察庁において、東京都や政令指定都市を有する府県で導入する計画があると承知しております。  県警察といたしましては、視覚障害者等が安心・安全に道路を利用することができるよう、スマートフォンを利用した歩行者支援装置の整備等に向けて、他県の導入状況や有効性を調査・研究するほか、県下の情勢を踏まえつつ、必要な対策を進めてまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  白川和幸君。    (白川和幸君登壇、拍手) ◯白川和幸君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問させていただきます。  質問に先立ちまして、一言申し述べさせていただきます。  十一月五日を一例目とした高病原性鳥インフルエンザの感染に係る防疫措置において、県職員の皆様はじめ中国四国農政局、四国地方整備局、陸上自衛隊第十四旅団、香川県警、三豊市職員、観音寺市職員、香川県建設業協会西讃支部、香川県内の医師、保健師の皆様のほか、多くの方々の献身的な作業に対し、心より感謝申し上げます。  発生当初は、不謹慎かと考え、訪問をためらっていたのですが、私の地元でもあり、現場で作業された方や周辺住民の皆様から様々な要望も含めた電話をいただき、また、山下三豊市長からも現場を見るべきだという助言をいただいたことから、中継基地を訪問いたしました。  六例目、七例目は非常に大規模で、陸上自衛隊第十五即応機動連隊が駆けつけてくれており、中継基地を山本町農村環境改善センターと辻小学校跡の二か所に構え、二十四時間以内の殺処分という苛酷な任務に従事していただいておりました。山本町農村環境改善センターでは、今まさに現地に向かう県職員の皆様のグループが出発するところでありました。見送っていると、日頃よく顔を合わせる職員さんに声をかけられました。防護服に身を包み、マスクにゴーグルで最初は分かりませんでしたが、胸と背中に作業内容と名前が書かれており、その姿に心打たれるものがありました。七度この作業に従事していただいた職員もいたと後日伺いました。感染拡大の終わりも見えず、現場には疲労の色も出ており、一回ごとに廃棄される防護服や長靴などの資材が次々搬入されており、総括責任者の方も情報の処理に四苦八苦されている現状を目の当たりにいたしました。  この中継基地では、現場の手を止めてはいけないとの思いから、こちらから声をかけることはいたしませんでしたが、もう一か所の辻小学校跡は三豊市職員が資材管理、作業指揮は陸上自衛隊第十四後方支援隊が行っており、自衛隊のための中継基地ということもあり、三豊市職員の方や自衛官の方にお話を伺うことができました。  八例目発生後に再度中継基地を訪問し、自衛隊第十五即応機動連隊の連隊長より細かな説明をいただき、厳しい現場の状況をお伺いしました。粛々と作業を進める中で処理能力が向上し、一時間に七千羽を処理することができるようになり、全体の終了時刻は何時ですとおっしゃる姿に本当に頭が下がりました。実際はその時間よりも早く終わったと連絡をいただき、指揮系統のすばらしさと任務遂行のスキルの高さには、数々の震災や災害での経験が生かされているのだなと強く感銘を受けた次第であります。  自衛隊では一回の作業終了ごとに終了ミーティングを行い、現場で感じたことやつらかったことをお互いに話し合い、自分だけが不安に感じているのではないということを共有する時間を設けておりました。県職員の皆様の中にも、そういったストレスを感じていらっしゃる方もいると思います。しっかりとケアしていただき、かつて例のないこの災害で心痛めることのないよう、衷心よりお祈りして質問に移らさせていただきます。  質問の第一点目は、消防団の充実強化に向けた取組についてであります。  高病原性鳥インフルエンザに係る防疫措置における中継基地での状況を拝見して感じたのは、二〇一一年の東日本大震災の原発事故への対応、最近では平成三十年七月の倉敷市真備地区を襲った豪雨災害への対応などにおける現場でも、非常に多くの方々が御尽力されたであろうということであります。現場には様々な物資、人員、情報が前触れもなく大量に流入し、マニュアルを確認する余裕もないほど雑然とした状態であろうことは想像に難くありません。日常ではあり得ない事態が次々と起こるのは災害発生時直後だけではなく、その後しばらく続くと考えておく必要があります。そして、その作業の終わりが見えない不安や疲労からストレスに襲われ、災害対応に接する多くの方が疲弊していくのです。  日頃、本来の業務に携わる県職員が緊急時での指揮を執り、即応していくには課題が多いと感じました。今後三十年のうちに七〇%から八〇%の確率で起こると言われる南海トラフ大地震や、気候変動による台風やゲリラ的な豪雨災害に対応する防災訓練等の実施は非常に重要で、今後ますますその中身を充実させていく必要に迫られていると再認識させられました。  今回の高病原性鳥インフルエンザでの対応を教訓に、今後発生が予想される災害において、県はその役割をきちんと担っていただく必要はありますが、市町、自衛隊、県警、消防団や自主防災組織とのより一層の連携を図っていただくことも必要だと考えます。特に、それぞれの市町には、消防組織法に基づき設置される消防団があります。地域における消防や防災のリーダーとして、平常時、非常時を問わずその地域に密着し、住民の安心と安全を守るという重要な役割を担っています。  消防団は、常勤の消防職員が勤務する消防署とは異なり、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を生かした消火活動、救助活動を行う非常勤特別職の地方公務員であります。さきの東日本大震災の折にも、自身が被災者であるにもかかわらず、行方不明者の捜索、倒壊危険家屋の撤去や炊き出しなどに多くの消防団員が従事していた話を耳にしたことがあります。また、その名のとおり、火災発生時には消防署員と共に消火活動に当たり、消防署員の撤収後の残火処理のため、一晩中現場で放水活動をした後、仕事に戻るといった献身的な活動をされる団員も数多くいると聞いております。消防団では毎年、出初め式の折に消防団員の永年勤続表彰とともに家族賞が贈られます。ある消防団の方にお話を聞くと、火災の多い冬場の消火活動で凍えた体を温めるためにお風呂を沸かして待っていてくれる妻には、本当に感謝していると言っていました。家族の理解と応援こそが彼らの活躍の源泉なのです。  災害時においては、消防団が現場の最前線で救助活動等を行うことになります。拠点となる消防団屯所では、水、アルファ米などの保存食、毛布や土のうの袋などを貯蔵している屯所もあり、災害時にはそれらを配布、利用しますが、市町の財政面の問題もあり、その整備はまだまだ十分とは言えないものと思われます。消防団の屯所は収集した情報を適時に共有するための施設としても利用が可能となる利点があり、その地域の住民が団員ですので、誰がどこに住んでいるのかを一番分かっているという強みを持っていることから、十分な体制を整えていくことが重要と考えます。  しかしながら、団員数の減少が喫緊の課題であり、その原因にはいろいろありますが、その大きな要因の一つに団員が勤める雇用先の理解が不可欠だということです。雇用主に対して、従業員が消防団員になることによるインセンティブを示す必要があると考えます。  そこで、消防団屯所につき、拠点施設としての機能充実と、減少する消防団員確保に向けた雇用主に対する一層の啓発・支援が必要と感じていますが、これまでの取組と今後の方針について、知事の御所見をお伺いします。  質問の第二点目は、人口減少対策についてであります。  中期財政概算見通しでは、対応可能な財源対策を見込んだとしても、今後五年間で百億円余りの財源不足が生じるとの想定ですが、人口減少、コロナによる自粛、企業倒産の増加、有効求人倍率の低下などにより、今後の税収の落ち込みは想定を超えるのではないかと不安になります。  ある金融機関の方からお話を聞きますと、コロナ禍において政府支援で行われた融資のうちには、もともと業績の悪かった企業への無利子無担保の融資が含まれており、それらの内部評価で下位に属する企業に対する貸付金について、銀行は貸倒引当金を積まなければいけなくなっており、今後の景気回復が強く望まれると話していました。  私が今、非常に懸念しているのは人口減少です。十一月十五日付の日本経済新聞に、日本全体の世帯数は二〇二三年の五千四百十八万世帯をピークに減少に向かっていくとの記事があり、人口の推移を調べてみますと二〇五三年には一億人を割るとの予想が出されています。この人口減少に関する取組については、十月に公表された令和元年度の施策評価で人口の社会増減がD評価となっており、真剣に考えていかなければいけないと思います。  ところで、私の地元である三豊市は、次世代モビリティーや離島の医療体制を補う遠隔医療、県内の自治体で初めてのオンライン授業など様々な取組を進めており、メディアの注目を集めております。先進的な取組を実施し、市民が都市に対して誇りを持てるようにするとともに、都市をよりよい場所にするために関わってもらうことを目指しているのですが、このような都市に対する市民の誇りをシビックプライドと言います。シビックプライドが醸成されると、市民から様々なアイデアが出てきて、よりよいまちづくりにつながり、定住人口の増加などにも寄与すると考えられます。三豊市では、まだまだ人口減少に歯止めはかかっていませんが、市長から考えを伺い、住んでいる人が自己肯定感を持てる場所にしていくことの大切さを知りました。  シビックプライドは、主に都市について使われる概念ですが、県でも他県に先駆けて先進的な取組を行い、県の価値を高め、それを広く情報発信して、県民の誇りを醸成していくことは重要だと思います。私自身が重視する商工業、農業の振興には人口減少を抑止する効果もありますが、県民の郷土に対する誇りを醸成することがその中心にあるべきと考えます。  三豊市では、積極的に住民が中心となり、様々な社会課題の解決に取り組む機運が生まれつつあります。これまでは制約の中でできなかったことや、挑戦するには何をどうすればいいのか分からなかったことが、SNSの発達やクラウドファンディングといった資金調達の多様化の恩恵を受け、小さな資本と少人数で始められるようになり、ソーシャルベンチャー創設の動きが加速しています。このような三豊市の動きが全県に広がり、香川県に行けばやりたいことが実現できるというマインドが他県や他の国の人々に広がれば、移住促進や交流人口、関係人口の増加につながるものと考えます。  従来からの方法でD評価になり、そこから抜け出せないのであれば、新しい発想が必要ではないでしょうか。これまで日本人の多くは失敗で傷つくことを恐れ、挑戦することにちゅうちょすることが、逆に慎重で堅実だと捉えられてきたかもしれません。しかし、コロナ禍で社会生活は大きく変わり、新しい生き方、考え方を模索する時代になりました。本県での生活に誇りを持ち、より前向きでよりよい環境づくりのために何かできることはないかと考えている県民も多いと思います。それには県行政の積極的な情報発信と、社会の変革に伴う条例や規制の柔軟な緩和を進めることが必要と考えます。  そこで、人口の社会増減の指標がD評価になったことについてどのように受け止めているのか、また、人口減少対策のためには何が必要と考えているのか、どこを伸ばせば人が集まると分析しているのか、知事の御所見をお伺いします。  質問の第三点目は、ウィズコロナ時代における県産品振興策の強化の必要性についてであります。  御存じのように、コロナ禍により人々の移動が制限され、経済に大きな影響を及ぼしています。Go To キャンペーンは現在継続中ではありますが、Go To トラベル事業では十二月九日現在、感染拡大に伴い、札幌市、大阪市の両市を目的とする旅行の一部停止等の措置が取られるなど、全国的に予断を許さない状況です。  県下では消毒の徹底をはじめとする感染予防対策が浸透し、一部ではありますが店舗にも人が戻り始め、行列ができる飲食店も散見されるようになりました。この冬の感染再拡大によるさらなる感染予防の徹底は重視すべきではありますが、県経済の停滞を防ぎ、生活を安定化させるためには、人と物の交流を止めてはいけません。感染患者の精神的・体力的な回復に重点を置き、病床をしっかりと確保し、県民の不安を払拭することにより、ウィズコロナ時代を乗り越えていく必要があります。  香川県ではコロナの影響がなかった頃に組まれた年初の計画、つまり海外旅行者によるインバウンド需要やふるさと納税でにぎわいを見せた県産品事業があり、多くの事業者が期待に胸を膨らませておりました。東京二〇二〇オリンピック開催と相まって、四千万人の海外からのお客様の受入れ、そして県産品の海外販売も着々と準備が進められておりましたが、コロナ禍での状況は一変しています。海外旅行者は海外便の一部欠航で縮小してしまいましたが、Go To キャンペーンを通じて日本国内の移動が回復し、また、旅行に行けない分、国内のおいしいものを食べようと、ネットによる食品の販売が盛んに行われています。  また、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、愛媛県と連携し、瀬戸内の魅力を発信しつつ観光サービスや地域産品の開発を支援したり、観光関連事業者への経営支援や資金支援を行うせとうちDMOに関する事業や、県単独の「かがわの食」Happyプロジェクト事業など産業振興に資する事業がありますが、コロナ禍による状況の変化に合わせて、これらの事業のさらなるアップデートが必要ではないかと考えます。  県産品振興は、単なる地域の特産品の販売だけが目的ではなく、さきに質問した人口減少対策の一つである関係人口の増加につながるものと考えます。たまたま検索したところ、その地域の特色や人々の暮らし、イベントの内容により、あの場所を訪れたい、あの食事を楽しみたいという好奇心をかき立てられ、次第にその地域について深堀りするようになり、転職や結婚などを契機にその地域に住もうという動機づけになったという話を地元の移住者の方から伺いました。  結婚もそうですが、肩書や写真でその人に興味を持ったとしても、それだけで結婚を決める人は今の時代そう多くはいないでしょう。会ってみて、話してみて、より一層の興味を持ち、気持ちが深まっていくものと思います。移住・定住もそういった過程を踏みながら、より豊かに、そして幸せに暮らせる安住の地を決めるのではないかと考えますと、その最初の取っかかりとなる手にする県産品には、作り手の思いのほか、作り手を取り巻く環境を感じ取れる仕組みが必要であると考えます。  今、コロナ禍で県経済は大きな打撃を受け、それに伴う県税収入の減少の懸念による事業の見直しが必要との意見に疑いの余地はありませんが、地域振興策は香川県の今後十年、二十年先の隆盛につながるものと期待しており、さらなる施策の拡充をお願いする次第であります。  そこで、ウィズコロナでインバウンドの急激な回復が見込めない中、国内旅行の呼び水となるだけでなく、香川県の魅力向上につながる県産品振興について、これまでの取組と、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。  質問の第四点目は、中学校の部活動指導員についてであります。  今年は、プロアマを問わず、スポーツの環境はコロナ禍により大きく影響を受けました。プロスポーツチームは、無観客試合や観客の人数制限などにより観客収入が減り、厳しい経営状況に陥ったと想像されますし、学校の運動部活動も一斉休業を機に休みが続き、試合や大会などが中止となったことから、目標を見失った生徒も多いと思います。学校の部活動の成績が高校・大学進学の評価に影響すると考える生徒やその保護者も多く、また、成長段階の生徒にとって、活動の制限や休止、大会の中止や延期は残念の言葉で片づけられるものではないと感じるものであります。  本県の四つの地域密着型スポーツチームは、試合の開催にとどまらず、スポーツ教室や中高生の部活動指導など地域に根差した活動を展開しており、地域の財産と考えられます。経済的に厳しい状態にあると思われますが、地域活力の向上のほか、交流人口の拡大に寄与するものでもありますので、現状をしっかり調査し、影響が大きいと判断された部分に対し、効果的な支援が必要と考えます。  学校の運動部活動は、生徒が生涯にわたってスポーツに親しむ資質や能力を育てるとともに、体力の向上や健康の増進など大きな役割を果たしています。今年の三月以降、部活動ができない状況が続き、全国大会など大きなものも中止となりましたが、教育委員会の後押しもあり、各地で代替大会が開催されるなど、中高生の部活動の集大成となる場を設ける動きが広がったことは大変望ましいことと考えます。  現在はこのような状況ではありますが、しばらくはウィズコロナの状況が続くとしても、子供たちの健やかな成長のためにはスポーツは欠かせないものだと思います。特に、心身ともに成長が著しい中学校では運動部活動の役割は重要ですが、顧問となる教員は、通常の教員の業務に加えて部活動を担当するため勤務時間が長時間となったり、休日返上での対応が必要となったりと、大きな負担がかかっているとよく耳にします。さらには、担当する部活動の競技経験がない教員にとっては精神的にストレスを感じる場合があるとも聞いています。担当する部活動の競技経験がある場合や保健体育の教員である場合であれば、比較的受け入れやすく、むしろ積極的に顧問をしたいと考えている教員もいるかもしれませんし、国民体育大会等で活躍したような教職員もおられると思いますので、指導方法や内容について言及は控えますが、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革といった言葉が書籍やネットでも話題になっている現代では、この問題に対し何らかの対策を打つ必要があり、その必要性を教育長も認識されていると思います。  部活動指導員制度は、教員の過度な負担を解決するために国が制度化したものですが、県内の市町立中学校の部活動における部活動指導員の配置状況は、まだまだ現場の要望に応えられている状況にないと感じています。市町からは、国や県からもっと補助がもらえれば、多くの部活動指導員をつけられるのにという声が届いております。しかし、部活動指導員制度で支払われる金額では、本業を持っていないと生活はできませんし、生徒への指導時間に合わせて仕事を調整できる人材はそう多くはありません。よって、県にはより一層、国に対して要望していただくとともに、県の財政的支援の仕組みを考えないと、この制度は形骸化していくのではないでしょうか。  そこで、部活動指導員制度の課題をどのように受け止め、今後の教職員の働き方と指導力向上のバランスをどのように考えているのか教育長の御所見をお伺いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)白川議員の御質問にお答えいたします。  まず、消防団の充実強化に向けた取組についてであります。  議員御指摘のとおり、消防団は、火災や大規模災害などから県民の皆様の生命や財産を守るため、地域防災力の中核的存在として大きな役割を果たしており、その充実強化を図ることは大変重要と考えております。  このため、各市町においては国庫補助や地方債を活用した消防団の施設・設備の整備を進めているほか、県では今年度創設した「災害に強い香川づくり」集中対策推進事業で「消防団の機能強化」を重点分野の一つに位置づけ、消防団屯所の資機材の整備などに支援を行い、消防団施設等の機能充実に取り組んでいるところであります。  また、消防団員のうち、会社員などの被雇用者が約七割を占める現状を踏まえ、消防団活動に積極的に協力し、地域貢献を果たす事業所を評価する消防団協力事業所表示制度の実施を各市町に働きかけ、現在、県内五市二町が導入しており、一層の拡充に努めております。さらに、県としましても平成二十八年一月に消防団員応援制度を創設し、現在三千を超える飲食店や販売店などの事業所に御協力いただいており、地域ぐるみで消防団員を応援する体制整備に努めるとともに、女性消防団員や学生消防団員などによる、特定の活動・役割のみに参加する機能別団員の拡充を促すなど、新たな担い手確保にも取り組んでおります。  私といたしましては、今後とも各市町と緊密に連携し、消防団の機能充実や団員確保に対する取組を支援することにより、地域の消防・防災力の強化に努め、災害に強い香川づくりを実現してまいります。  次に、人口減少対策についてであります。  県では、これまで人口減少対策に取り組んできたところでありますが、人口の社会減は続いており、依然として若者の大都市圏への流出に歯止めがかからず、大変厳しい状況にあるものと認識しております。  このため、若者の県内定着を図るには、若者が魅力を感じる働く場の確保が不可欠であると考え、本年三月に策定した第二期かがわ創生総合戦略に、新たな施策として「若者に魅力のある働く場の創出」を掲げ、先月オープンしたSetouchi─i─Base(セトウチ・アイ・ベース)を拠点に、若者の就業比率が高く、将来の成長が見込まれる情報通信関連産業の育成・誘致に重点的に取り組んでおります。  人口減少対策としては、単に定住人口のみに着目するのではなく、交流人口や関係人口の観点から様々な取組を総合的に推進し、地域社会としての暮らしやすさなどの魅力を高めていく必要があると考えております。そのような考え方の下、魅力ある大学づくりに加え、社会環境等の変化も踏まえて、企業の先端技術の活用支援や外国人労働者の受入支援、働き方改革の推進のほか、関係人口の創出・拡大にも取り組んでまいります。  また、新型コロナウイルス感染拡大により、地方への関心やデジタル技術を活用した働き方、生活様式への移行の機運が高まっていることを踏まえ、行政や企業のデジタル化の推進、テレワークを活用した企業誘致や移住促進などにも積極的に取り組むことで本県の魅力を高め、議員御指摘の若い世代の希望の実現や郷土への誇りの醸成にもつなげてまいります。  私といたしましては、県民をはじめ、企業、団体、各市町などのあらゆる主体と連携・協力し、戦略に基づく様々な施策を積極的かつ効果的に推し進めることにより、県政の最重要課題である人口減少問題の克服に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。  次は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた県産品振興策の強化についてであります。  多品目で高品質な本県の県産品につきましては、販路拡大のターゲットと産品を定め、様々な取組を通して、ブランドイメージの向上と販売促進に取り組んでまいりました。具体的には、首都圏などにおいて百貨店での香川県フェアの開催のほか、東京のアンテナショップ香川・愛媛せとうち旬彩館における特産品の販売やテレビ通販の活用などの販売促進、さらにはバイヤー等を対象とした「かがわの食」魅力体感プロモーションや食材セミナーなどで、県産食材の情報発信に努めてきたところであります。  また、今年度からは、来県いただいた観光客に向けて、オリーブ牛をはじめとするオリーブ関連食材を使用した特別メニューや、地魚を使った瀬戸内まるごと握り寿司を県内の飲食店で提供するキャンペーンを展開し、特色ある県産食材の魅力発信に取り組んでおります。  今後は、コロナ禍により通販サイトの利用が増えていることから、首都圏の百貨店のオンラインストアでの県産品販売を今月下旬から開始するほか、かがわ物産館栗林庵の通販サイトにおいては、商品の説明に加えて、作り手の思いやこだわりなどを動画で紹介するとともに、それらを育んだ本県の豊かな気候風土、さらには関連する観光地情報を発信するなど、県産品の販売はもとより、県産品を介して関係人口の創出や効果的な誘客に取り組んでまいります。  私といたしましては、社会経済情勢の変化に柔軟に対応し、あらゆる販売手法を駆使しながら販路拡大を図るとともに、香川県そのものの魅力向上につながるよう、その情報発信やブランドイメージの向上に努めるなど、積極的な県産品振興に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)白川議員の中学校の部活動指導員についての御質問にお答えいたします。  中学校の部活動につきましては、スポーツや文化活動を通して生徒の心身の成長と豊かな学校生活の実現に大きな役割を果たす一方で、議員御指摘のとおり、教員にとって、その指導は休日を含め長時間労働の一因であり、特に指導経験のない種目や分野を担当する場合には大きな負担となっております。  県教育委員会では、生徒の心身のバランスの取れた健全な成長と教員の負担軽減のために昨年三月に部活動ガイドラインを策定し、休養日や活動時間の基準を設定するとともに、技術指導や学校外での活動の引率等を行うことができる部活動指導員の配置促進に努めてまいりました。部活動指導員につきましては、専門的指導ができる人材の不足に加え、国の補助要件が厳しいこともあり、今年度は七市町十六名の配置にとどまっております。  県教育委員会といたしましては、国に対し引き続き補助事業の継続・拡充や補助率のかさ上げ等を強く求めるとともに、市町教育委員会や関係団体と連携して、部活動指導員の資質・能力の向上に向けた研修や指導者のデータバンクの充実を図るなど、部活動指導員の活用に一層取り組んでまいります。  また、国においては、将来的には部活動を地域単位の取組にし、学校以外が担うことを進めるため、休日の部活動を地域の人材が担う地域部活動へ段階的に移行する方針を打ち出し、来年度から全国のモデル地域で実践研究を行うことが検討されております。本県におきましても、こうした制度の導入について、運営体制の整備や経費の負担など課題の把握に努めたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、教員の負担軽減に加え、生徒にとって望ましい部活動の実現を図るために部活動指導員の充実に努めるとともに、地域部活動に関する研究を進めてまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(十河 直君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、十二月十一日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十六分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....