香川県議会 > 2020-09-03 >
令和2年9月定例会(第3日) 本文

  • 肺炎球菌(/)
ツイート シェア
  1. 香川県議会 2020-09-03
    令和2年9月定例会(第3日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    西  川  昭  吾 君    十  河     直 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君
       都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    な        し    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   太  田  吉  夫 君           審  議  監   大  山     智 君           政 策 部 長   淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長   東  田  晃  拓 君           環境森林部長    木  村  士  郎 君           健康福祉部長    土  岐  敦  史 君           商工労働部長    近  藤  清  志 君           交流推進部長    佐  藤  今日子  君           農政水産部長    新  池  伸  司 君           土 木 部 長   西  川  英  吉 君           知事公室長     尾  崎  英  司 君           危機管理総局長   寺  嶋  賢  治 君           文化芸術局長    小  川     剛 君           子ども政策推進局長 吉  田  典  子 君           会計管理者     田  中  一  裕 君           病 院 局 長   岡  内  浩  二 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     那  須     修 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監査委員事務局長  岡     興  司 君           人事委員会委員長  関  谷  利  裕 君           人事委員会事務局長 岡  田  総  一 君           労働委員会事務局長 豊  島  正  人 君           政策部次長     椋  田  那津希  君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第三号)                   令和二年十月六日(火)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(西川昭吾君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程に入るに先立ちまして、諸般の報告をいたします。  職員に朗読させます。    (職員朗読)   諸般の報告 一、監査委員から、地方自治法第二百三十五条の二の規定に基づく報告一件を   受理いたしました。 ◯議長(西川昭吾君)以上で諸般の報告を終わります。    ───────────────────────────── ◯議長(西川昭吾君)日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  佐伯明浩君。    (佐伯明浩君登壇、拍手) ◯佐伯明浩君 本来であれば、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックも無事終了し、国内が沸き立ち、県内におきましても経済活動のさらなる成長、インバウンド等の充実に向け、ギアをもう一段階上げ、フルスロットルで走っていく予定でありましたが、御案内のとおり、今年の一月末あたりから、全世界において新型コロナウイルス感染が見え始めました。そんな中、私たちの生活も一転いたしました。マスクをかけた日常、重い気持ちでの自粛、自粛で数か月がたちました。そんな中におきましても、国内、県内におきましては爆発的感染は何とか防げていると思います。これはもちろん医療従事者の皆さん方の御尽力はもとより、介護・福祉施設の皆さん方、行政、政治、そして一人一人が高いレベルで対策をしているからだと思っております。  また、いろんな支援策につきましても、国からの支援を受け、県がいろいろな支援策を講じておられます。一〇〇%とは言いませんが、いろいろな方々からよくやっているということをよく耳にいたします。国際的にもトップレベルではないかと感じております。  しかしながら、一つだけ海外より劣っていることがあると思います。それは、コロナに感染した方々に対する誹謗中傷、偏見ではないでしょうか。これほど国民性が高い国なのに、なぜここまで強く誹謗中傷を平気でするのか、それが悲しくてなりません。これが全て解消して、本当のウィズコロナの時代がやってくると思います。  私の東京の知人のそのお友達もコロナに感染されまして、症状を聞いていますと本当に風邪の軽い症状だったということで、今は完治され、バリバリ仕事をされております。コロナは不治の病ではありません。治る新型インフルエンザであります。過度におそれることなく、正しくおそれることが大切であります。コロナにかからないためには家でじっとしておくことが大切でしょうが、私たちは県民の皆様方の負託をいただいて仕事をさせていただいております。時にはリスクを負うこともあると思います。リスクなくして前に進むことはできないと思います。  そんな中、八月の下旬、有志議員と、整備新幹線の全国の進捗状況及び四国の新幹線の導入に向けた取組について、国土交通省の担当部局の課長のところを訪問させていただきました。課長ほか数名の方々と一時間数十分にわたりまして勉強、また、意見交換をさせていただきました。今工事中の中で二〇二二年度には武雄温泉・長崎間が開業予定であり、二〇二二年度末には金沢・敦賀間、二〇三〇年度末には新函館北斗・札幌間が開業の予定と聞いております。新大阪・敦賀間も既に調査研究に入っているそうであります。これが全て終わると、財源を含めたスキームが変わる可能性があるということを言っておられました。  また、問題点は何かありますかと聞きますと、九州新幹線長崎ルートの新鳥栖・武雄温泉間、佐賀県部分がいまだに工法が決まっておらず、当面は在来線を使うしかないということでありまして、非常に利便性に欠けるわけであります。今有力視されております岡山駅から児島、瀬戸大橋へ入るルート、岡山県に対して御支援、御協力、御理解を強く求めていかなければいけないと感じたわけであります。  また、四国の新幹線はフル規格が妥当だということでありますが、単線にした場合どのぐらいのコストカットができるかと言うと、一〇%から一五%というほどで、思ったほどの数字は出ていませんでした。しかしながら、今一キロメートル造るのに百億円のお金が必要でありますので、しっかりとこれも議論する必要があると思いました。  また、これはニュアンス的に感じましたが、優先順位を早くつけなければいけないと感じたわけであります。横断にするのか、縦断にするのか、そして、どこまでまず最初に導入していくのか。これは、国会議員の先生方、知事の皆さん方で早くトップレベルでの政治決着をしていただきたいと感じたわけであります。  コロナ時代に入りまして、大都市一極集中から地方分散型へと国土の利用形態も変わってこようかと思っております。ふだんは地方でいて、週に一回から二回、首都圏等に移動する中長距離移動が増えてこようかと思っております。大量高速輸送できます新幹線網を全国に張り巡らせまして有機的に活用する。それは非常に重要だと思います。新幹線活動は目に見えませんが、走り出すと一気に動き出します。そのためにもエネルギーを蓄える。我々地方議員が県民の皆さん方の一人でも多くの方に御理解をいただくために地道な活動も必要だと感じました。  その後、大手航空会社に参りまして、役員の方々と二時間弱にわたっていろいろな現在の航空産業についてお話を聞きました。経験したこともない、思ったこともない、今、時を迎えている。幾ら何をやってもお客さんが来ない。しかしながら、しっかりと今やれることをやっていきたいということを言っておりました。すぐ支援を求めるのではなく、自助、共助、公助、この気持ちでいきたいということを言っておりました。また、ユニークな案としては、成田発着のハワイ便を飛ばしたところ、非常に好評であったということでありまして、終息後は爆発的輸送のためにもしっかりと整備をしておきたいということを言っておりました。  高松空港も、民間委託後、瀬戸内ナンバーワンの空港を目指しております。収束後には路線の維持・拡充を、また、新規路線を要望してまいりました。一気にこれはコロナが終わった後、経済活動を香川県も発展させねばいけません。そのためにも、人、もの、情報、お金を県外・海外から呼び込む。そのためにも高松空港の計器着陸装置の導入、港湾整備を含めました交通インフラ整備をしっかり今だからこそやっていかないといけないと強く思ったわけであります。皆様方の御鞭撻の下、皆様と一緒に前に進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げまして質問に入らせていただきます。  質問の第一点目は、新型コロナウイルスの時代になすべきことについてであります。  新型コロナウイルスについては、県内での発生予防や感染拡大に向け、県当局におかれましても、知事を先頭に、国とも連携しながら、水際対策の強化をはじめとして懸命の対策を講じてこられました。県民各位の協力もあり、何とか抑制してきており、鎮静化に努めてこられたことに敬意を表したいと思います。  これから冬に向かい、従来型のインフルエンザと並行して発生することを警戒しなければなりません。その意味で、引き続きウイルスの流入防止のための水際対策の強化、新型コロナウイルスの感染拡大の予防と医療体制の確保への目配り、県民の理解と協力を得られるよう丁寧な説明に努められるなど、適切な対策を講じられることを強く望みます。  さて、世界的にもまだまだ流行の勢いは収まっておらず、ワクチン開発もまだその途上にあることなどを考慮しますと、これからの時代、少なくとも当面はこの新型ウイルスと共存していかざるを得ないと考えます。また、移動や交流を前提とするビジネスモデルは、その在り方を抜本的に見直すことが必要だという方々も多くいらっしゃいます。  しかしながら、私は、移動や交流の需要は人間本来の行動の基本であり、いかなる時代にあっても必ず求められるものと考えます。まして、香川県においては、これからの人口減少が確実に、大幅に進展していくことが想定されております。このような状況を踏まえますと、中長期的視点から見て、国内外からの人の往来の受入れを進めることが産業の発展、県民の生活基盤の維持・確保、地域の活性化の観点からは不可欠であります。  現時点では新型コロナウイルスの再拡大の懸念もあり、また、世界各国ともいわゆる鎖国政策を取り、海外との人の往来を厳しく規制していますから、今直ちにそれに逆らって受入れ施策を講じても意味がありません。必ず訪れる将来の人の往来の再開に備えて、コロナ禍の今のうちだからこそやるべきことを行うことが重要です。具体的には、インフラ面の対応強化、コロナの拡大前の昨年までに直面していた様々な受入れ環境に関わる課題の克服、香川県の飛躍のための基盤整備などに取り組むべきであります。  なお、だからといって、今、観光客の受入れや人の往来の確保、観光・外食産業の維持活性化などについて手を尽くさなくてもよいと言っているわけではなく、観光事業の安定的な継続・活性化の観点からの施策は喫緊の課題であります。これらについても、国の施策とも協調しながら適切に施策を講じる必要があり、十月からはGo To トラベルの対象に、七月の制度スタート以来対象外としていた東京都も対象に加わりますから、Go To イートなども含めて、うまく活用すべきであります。  そこで、当面の対策としてのGo To トラベル、Go To イートとの連携をどのように進めるべきか、県として具体的に国の施策との共用施策としてどのような措置を講じようとするお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。  次は、移動・交流を受けるための将来不可欠な基盤整備づくりのためになすべきことについて、具体的な項目を例に挙げて、県の取組を促すべく、そのお考えを質していきたいと思います。  まず、質問の第二点目として、空港・航空に係る機能強化向上等のための諸施策についてであります。  高松空港は、本県のみならず、四国におけるインバウンド、訪日外国人の受入れの玄関口であり、国内各都市との交流の入口となる重要な機能を担っております。さらには、本県の最優先課題である人口減少対策地域活力向上対策等の取組を進める上で、産業や観光振興等において重要な役割を担う広域交通の要衝であります。その意味で、高松空港は四国の航空ネットワークの重要拠点であり、本県の広域交通ネットワークの要でもあります。  高松空港は、一昨年の二〇一八年四月から民間による空港運営が開始されました。当初は、施設の整備やサービスの改善・向上も見られ、経営も順調でしたが、今年に入っての新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、航空需要は減少、激減、蒸発、消滅し、空港利用者も一時は皆無となり、航空会社も大幅な減便、機材の小型化などによる供給力減少に迫られました。それに伴い、空港運営会社は着陸料収入も駐機料収入も減少し、空港利用者の減少による空港内での買物、食事の需要も激しく落ち込んだと承知をいたしております。  さきの一般質問においても、私は、新型コロナウイルスの問題もあり、航空便の減便・休止が全国でも相次いでおり、高松空港の路線もその例外ではなくなりつつあると思いますと述べた上で、知事の状況認識や今後ますます減便されるのではないかという危惧への対処方針を伺い、このような航空便の縮小の動向を受けて、空港会社や航空企業に対し何らかの支援、施策を講じていくお考えの有無についても質しました。  御承知のとおり、事態は一層深刻化いたしております。将来の高松空港の機能強化に向けて活動を強化していく観点からは、まず、運営会社の適切な事業運営の確保と経営の基盤の維持強化が求められます。本県の重要な社会インフラであり、株主でもあります県として、この空港運営会社に対し適切な措置を早い段階から先手、先手で講じていくべきと考えます。  また、航空便あってこその空港であります。航空会社も需要大幅減少で収入も上がらす、減便措置を続けております。これに対しても必要な措置を機動的に講じていくべきであります。  四国の拠点空港として、その機能を十分に発揮させるため、県としてもしっかり取り組んでいく必要があると考えます。県として、空港運営会社や高松空港に乗り入れる航空会社に対してどのような支援措置を講じてきたのか、また、これからどのように支援していくお考えか、知事の見解を伺います。  高松空港のさらなる発展、利用者の利便向上、航空安全の確保等の観点から、CATIII、計器着陸装置の整備は重要であります。このことは、私が常に変わらず主張してきたところであります。この新型コロナウイルスの感染拡大の中でも、将来の移動交流の活性化のステージに備えて、今まさに、これについての取組を真剣に進めるべきです。  CATIIIの課題については、まさに県自身が国に対して諦めることなく働きかけを続け、その実現を図るべき課題であります。これについて国の言い分は、整備費用の多額さに比べた便益の向上の小ささ、いわゆるBバイCが低いという点に集約されていると聞いておりますが、県ではこれに関連して独自の試算を行い、用地造成に特殊な工法を用いることにより整備コストを国の想定よりも二五%削減できること、安定運航の確保ができるということから、費用便益比率は一を超えるなどとした試算結果をまとめられたとのことです。  まず、その事実関係をつまびらかにしていただきますとともに、その試算結果を使って、今後、国にどのように働きかけを行い、どのように早期実現を図る予定であるのかをお示しください。  本件は、何よりも県のやる気と覚悟が重要であります。欠航率が下がり、安定運航が確保されれば、機能強化とそれに伴う利用者利便性の強化が図られ、将来コロナが収束した時点での爆発的な移動交流需要の受入れの基盤が盤石なものとなります。香川県の広域交通ネットワークの要の役割を十分に発揮できる前提条件であります。改めて知事の見解、覚悟とやる気をお伺いいたします。  質問の第三点目は、四国の新幹線の整備についてであります。  鉄道のネットワークの維持向上、高速化の観点からの四国の新幹線の実現に向けた取組の重要性についてであります。  鉄道の果たす社会的便益の効用、県民の生活基盤としての位置づけ、地方創生、地方の活性化に果たす基軸的な役割、今後の高齢社会における交通手段の確保、環境性能の優位性、バス等の労働力不足の深刻化、四国への商業や旅行客の誘致の基盤としての役割などから、四国における鉄道ネットワークの重要性はますます高くなっているものと考えられます。そのような考えの下、四国の新幹線が必要であり、その実現に向けた取組を強化していくべきであります。  ただ、国が現在進めている整備新幹線事業はまだまだ残っております。私は、先般上京し、国の担当部局をはじめ関係者から最新情報を聴取してまいりました。具体的には、現在進行中の整備新幹線事業の進捗状況、四国の新幹線の法定調査の将来的な可能性とその課題、現在進行中の整備新幹線事業の目途のついた時点での基本計画路線の扱いの課題など多くの論点を研究することができました。  そして、まず、国の財源の問題があります。また、現在、JR各社への新幹線貸付料や将来の貸付料収入を財源に充てておりますが、その扱いはどうなるのかという課題もあります。現在のスキームでは、JR四国の負担が求められます。関係自治体として、岡山県の負担もお願いしなくてはなりません。並行在来線の扱い、地元負担の扱いなどの課題もあります。そのほかにも、財源が十分見込めないという発想から、単線の新幹線としたらどうかという意見もありますが、速達性の減少を招き、一方で、期待するほどの整備コストの削減は見込めないのではないかとの意見もあります。  費用対効果についても、一般財団法人運輸総合研究所に委託した調査によると、岡山から瀬戸大橋を通って四国に入り、四県都を結ぶルートの費用便益効果を算出し、数値として一・〇三となること、つまり一を超え、四国の新幹線整備の便益が整備に要する費用を上回ること、経済波及効果は年間百六十九億円に及ぶこととなった試算を出したとのことですが、これについても建設費を一キロメートル当たり五十億円で試算しておりますが、最近は一キロメートル当たり百億円に高騰しているという事実もあるようで、一を超えたとの根拠も揺らぎます。  なお、私は、費用便益効果が一を超えるかどうかのみで判断することに疑問はなしとはせず、仮にそれが下回ったとしても数字に表れない整備効果もあると考えますので、それに一喜一憂するべきものではないと考えております。  このように多くの課題、高いハードルはありますが、それは以前から承知していたことであり、私たちはそれにひるんではなりません。このような課題について、個別に一つずつ県庁の考えを求めるものではありませんが、これから一つ一つの課題に挑戦し、クリアし、目標に近づかなくてはなりません。個々の問題の課題も、大きな方針と意義、効果の大きさが全て解決してくれます。  ウィズコロナの時代が大都市集中から地方分散への流れを加速させる、地方に移住し週に二日大都市圏に移動するという形態の増加が予測される、新政権も地方の強化をうたっているなどといった、四国の新幹線の重要性のサポートとなる動きも見られております。そして、何よりも重要なのは、四国の新幹線の実現に向けた取組を粘り強く着実に進めることであります。コロナ禍の下では、関係者が多く集まって、理解を深め、運動を強化する取組も行いづらい状況にあります。しかし、このような時期だからこそ、県庁が先頭に立ち、中心的な役割を果たしながら、県民の理解と支持をいただきながら、実現に向けた取組を進めるべきと考えております。  四国の新幹線問題は、繰り返し知事の見解を求めてきておりますが、以上のことを踏まえ、知事としての固い決意と強いやる気を示していただき、改めて明確な所見をお伺いいたします。  質問の第四点目は、デジタル化に向けた取組についてであります。  官民のデジタル化推進を目指し、デジタル庁が創設されることとなりました。これまでは総務省、経済産業省等複数の省庁が関係しており、省庁横断的に事業の実施ができなかったところですが、デジタル庁の創設により、今後はデジタル行政の権限が一元化され、マイナンバー制度を含めたデジタル化が加速すると期待されます。  デジタル化のメリットとしては、例えば、行政手続の効率化、ペーパーレス化、遠隔授業やテレワークといったオンライン通信、最近ではAIといった先端技術を活用した大量のデータに基づく精度の高い分析結果の利用などが考えられます。一方で、デメリットもあります。初期投資だけでなくランニングコストが必要になることや、データの改ざん・紛失、個人情報・プライバシー情報の流出など重大事が発生する可能性があることが考えられます。マイナンバーカードの普及が進まないのも、個人情報やプライバシー情報が流出しかねないという心配を払拭し切れないからだと思います。こういった課題・問題点にはきちんと対応し、デメリットを最小化した上で最大のメリットを享受できるようになれば、社会は便利で快適で、さらには新しい生活様式にも強いものになると思います。  日本は、先進国の中でも行政手続のオンライン利用率が最低レベルにあるなど、デジタル化が遅れていると言われております。特に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的影響への緊急経済対策の一環として一律十万円が給付される特別定額給付金は、マイナンバーカードを活用したオンライン申請により迅速な給付を想定しておりましたが、申請手続などはオンラインでも、受付後の確認などは職員による手作業であったことから、当初の想定よりも大幅に給付に時間がかかりましたし、マイナンバーカードの普及自体があまり進んでいないとも聞いております。私も恥ずかしながら、まだマイナンバーカードは持っておりません。  国がデジタル庁を創設し、デジタル化を進めようとする流れの中で、県としても今こそデジタル化の推進が求められると思いますが、どのようなお考えで取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。  併せて、マイナンバーカードについては、来年以降には健康保険証と一体化が図られ、運転免許証との連結も進められる方針となっておりますが、県においてマイナンバーカードの取組を進める上での問題点や対応について知事にお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。
       (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)佐伯議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた地域活性化策についてであります。  議員御指摘のとおり、観光事業の安定的な継続や活性化の観点からの施策の展開は喫緊の課題であり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動の回復との両立が強く求められております。  こうした中、国のGo To イートにつきましては、全国的に実施するオンライン飲食予約事業が今月から既に開始されており、都道府県単位で実施する食事券発行事業は、県内の商工会議所と商工会が連携して、来月七日からの開始に向け準備を進めております。県では、この事業が感染症予防対策に取り組みながら頑張っている飲食店に対する需要喚起策として最大限の効果を発揮するよう、国や商工会議所、商工会等と連携し、積極的な周知に努めてまいります。  一方、Go To トラベルにつきましては、今月から東京発着が対象に追加され、さらに地域共通クーポンの利用も始まったことから、今後、より一層の旅行需要の回復が期待されております。県では、本格的な秋の観光シーズンに向け、今月から観光誘客キャンペーン、さあ!香川キラリ旅を開始したところであり、これまで実施している県内宿泊促進事業はもとより、Go To トラベルやGo To イートと連動し、飲食店や土産物店などを含む地域の観光関連産業に幅広く経済効果が及ぶよう、宿泊施設と飲食店とのセットプランの造成を促進するなど、積極的に取り組んでまいります。  私といたしましては、県内外の感染状況を注視しながら、県民の皆様が安心して観光客を受け入れられる環境づくりを行うとともに、観光需要の喚起や消費拡大に向けた様々な取組を国の施策との相乗効果が得られるよう着実に進めることにより、県内観光の再生や地域経済の活性化に力を尽くしてまいりたいと考えております。  次は、高松空港の活性化に向けた取組についてであります。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、高松空港では現在も国内線の一部の便に加え、全ての国際線が運休しておりますが、地域経済を早期に回復させる上で、基幹的交通インフラである高松空港の航空ネットワークの維持・充実は極めて重要であると考えており、感染状況に応じた対策を機動的に講じていく必要があります。  このため、県では、高松空港株式会社が実施する消毒液の設置などの感染拡大防止策に対する支援を行ったほか、空港や航空機内で実施している感染拡大防止策の幅広い周知活動や需要回復に向けたPRなど、同社の行う新しい生活様式に対応した利用回復の取組を支援するため、今定例会に補正予算案を御提案しているところであります。  また、航空会社に対しては、現在、運航が継続されている国内線につきまして、各航空会社とタイアップした利用促進キャンペーンなどを実施しており、今後も、感染状況を踏まえながら各種プロモーション活動に取り組むとともに、国際線につきましても、事態が収束し運航再開が図られた際に早期の需要回復が図られるよう、各航空会社と運航再開後の取組について協議を行っているところです。  お尋ねの計器着陸装置の高カテゴリー化につきましては、県独自の検討では、カテゴリーIIIが整備された場合の条件付運航の減少により、鉄道からの利用転換人数を年間約四万二千人と推計し、定量化する等の便益向上策や補強土壁工法の採用等による費用削減策により、推計を伴いますものの、費用便益比が事業化の目安とされる一を上回る結果を得られたことから、国に対し、改めてこの結果を踏まえた費用対効果の検討を強く要望するなど、その早期整備を粘り強く働きかけてまいります。  私といたしましては、本県の産業や観光の振興、拠点性の確保等において重要な役割を担っている高松空港が四国の拠点空港として発展できるよう、高松空港株式会社等と連携しながら、高松空港の活性化に積極的に取り組んでまいります。  次は、四国の新幹線の実現に向けた取組についてであります。  人口減少、少子高齢化が全国に先駆けて進展する四国地域におきまして、新幹線の整備を図ることは、交流圏や交流人口の拡大による経済活性化に加え、災害耐力の向上や在来線の維持確保等の観点からも極めて需要であり、その一日も早い実現が望まれます。  このため、昨年八月に四国新幹線整備促進期成会におきまして、リニア中央新幹線が新大阪まで延伸され、スーパー・メガリージョンが誕生する二〇三七年に四国の新幹線の開業を目指すことが決議されたところであり、これを実現するには、まさに整備計画格上げに向けた法定調査が必要な時期であることから、私自ら国等への要望を行っているところであります。  具体的には、七月に行われた四国新幹線整備促進期成会の国等に対する要望活動に参加するとともに、八月には本県単独でも国に対する要望活動を行ったところであり、先月四日にオンラインで参加した自由民主党整備新幹線等鉄道調査会のJR二島経営問題等ワーキングチームのヒアリングにおきましても、四国の新幹線の必要性等を訴えました。さらに、先月十九日に赤羽国土交通大臣が来県された際にも、私から直接、四国の新幹線の法定調査を可能な限り早期に実施するよう強く要望したところであり、今後も、今年度中に再度行う予定の四国新幹線整備促進期成会の要望活動に参加するなど、あらゆる機会を捉え、四国の新幹線の早期実現に向け、国等に対し強力に働きかけてまいります。  私といたしましては、四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会IIの中間整理で示された新幹線を骨格とした公共交通ネットワークの構築を目指し、国政の動きを一歩でも前進、拡大していけるよう、県議会をはじめ関係国会議員の皆様等の御尽力を賜りながら、リニア中央新幹線の新大阪延伸に合わせた四国の新幹線の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。  次に、デジタル化に向けた取組についてであります。  デジタル化は、様々な手続のオンライン化などによる県民生活の利便性の向上や県内企業等の業務・システム改革による生産性向上、競争力強化などに資するものであることに加え、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、人の移動に制限があった中で、テレワークやオンライン会議、遠隔教育などの活用、定着が進みつつあり、デジタル化の動きが加速しているものと認識しております。  こうした中、我が国においては、今般の感染症対策の実施を通じて、不十分なデータ連携による手続や給付の遅れなど、特に行政分野のデジタル化が先行諸国に後れを取っていることが明らかになったと言われており、デジタル庁の創設により、こうした様々な課題の解決やデジタル社会の実現が強力に推進されるものと考えております。  県では、行政分野のデジタル化に向けて、昨年三月にかがわICT利活用推進計画を策定し、行政手続のオンライン化やオープンデータの推進及びAI等を活用した業務の効率化などに取り組んでいるところでありますが、今後、様々な行政サービスがデジタルで完結される利用者中心の行政サービスの実現に向けて、本県が立ち後れることのないよう、国のデジタル庁創設の動きも注視しながら検討を進めてまいります。  また、マイナンバーカードにつきましては、現時点では用途が限られていることや安全性に対する不安感などから、これまでのところ普及が十分に進んでいない状況でありますが、議員御指摘のとおり、来年三月以降、健康保険証としての活用が予定されていることに加え、運転免許証との一体化も検討されているなど、今後、利便性が向上する見込みであることから、こうした利点や、カードのICチップ部分には税などの個人情報は記録されていないなど高い安全性を有していることについて、各市町と連携して積極的に広報・啓発を行い、普及に努めてまいりたいと考えております。  私といたしましては、行政分野のデジタル化の推進は、行政運営の一層の効率化のみならず、県民の皆様の多様な暮らしや働き方を実現し、生活を豊かなものとするため、さらには感染症のリスクに対応した強靱で持続可能な経済社会を構築するために必要不可欠なものであると考えており、各市町とも連携し、これまで以上に、本県における様々な分野でのデジタル化の推進に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  松本公継君。    (松本公継君登壇、拍手) ◯松本公継君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私からは四点、一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、災害時における情報伝達と避難行動対策についてであります。  全国的に記録的な猛暑となったこの夏ではありましたが、今年も日本各地では大規模な自然災害が発生しております。令和二年七月豪雨並びに九月に九州地方を中心に大きな被害をもたらした台風によってお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたします。また、被災された方々に謹んでお見舞い申し上げますとともに、被災地域の一日も早い復旧・復興を心からお祈り申し上げます。  昨今は台風による水害以外にも、線状降水帯といわれる雨雲の連なりにより極地的かつ長時間多量の雨を降らせているという状況が多く見られ、今年も七月に九州地方で豪雨災害が発生し、令和二年七月豪雨として激甚災害に指定されることとなりました。熊本県を流れる球磨川で大規模な洪水が発生し、線状降水帯が十一時間以上にわたって停滞するという状況になり、横石地区では十二時間雨量最大値が三百六十一ミリ、計画降雨の二百六十一ミリを大幅に超えるという事態になりました。これは、一時間における降水量が二十から三十ミリだと強い雨と言われる中、傘を差していてもぬれる土砂降りの雨が長時間降り続いたことになります。  線状降水帯はこれまでに中四国エリアでも発生しており、いつ香川県に同じような災害をもたらしてもおかしくない状況にあると思います。記憶に新しい平成三十年七月豪雨では、愛媛県、岡山県も線状降水帯による多量かつ長期間の豪雨により大きな災害が発生しており、その復興は現在も続いているところであります。  一方、集中豪雨や線状降水帯発生の予測は、気象庁等による予報において、一定の場所や発生時間、停滞時間等を予想することはできますが、ピンポイントの地域で降る雨量等を的確に予想することは現在の予報技術をもってしても難しいと言われております。  今年八月二十一日、水害や土砂災害時における避難情報の在り方を検討している内閣府の作業部会は中間報告を公表し、避難を促す場合に使用される避難勧告を廃止し、避難指示に一本化する方針を明らかにしました。これは、豪雨災害が多発する中で、避難勧告と避難指示との意味の違いが住民に十分理解されておらず、適切な避難行動につながっていないとの現状評価から検討されてきたものであります。私自身も、この違いについては正直分かりづらいと感じていたところでもあり、発信する情報をシンプルにすることで、いかに適切な時期に避難行動を起こすことの重要性が議論された結果で、よい改善ではないかと思っております。  私も地域住民の方と接する中で、防災についてお話をする機会が多々ありますが、自然災害に対する危機意識はあるものの、地域の防災訓練には参加したことがない、家庭での防災備蓄を全くしていないなど、自分事として捉え、日頃からの備えを進めている方は非常に少ないように感じております。本年二月の定例会でも一般質問の中でお伝えさせていただきましたが、一昨年度、県が香川大学と連携して実施した平成三十年七月豪雨に関するアンケート調査結果では、避難指示の発令について約九割の方が知っていたものの、そのうち「避難せず」が六三・七%、「後で避難」が一一・三%と、四人のうち三人が迅速な避難行動には移せていないという状況でありました。  県は、私も以前から訴えておりました防災情報システムに防災アプリの導入などを今年度から行い、リアルタイムの情報提供に努めておりますが、高齢者等についてはスマートフォンの活用は苦手な方も多く、避難を迅速に行うことが困難な方に対していかに正確な情報を提供し、自助、共助、公助の考えの下、まずは早期に適切な避難行動を取っていただくことが命を守るに当たり大変重要なことだと思っています。  そこで、県民に対して正確かつリアルタイムで有効な避難情報の提供をどのように行っていくのか、知事にお伺いいたします。  また、幾ら情報を提供するツールの精度が向上したとしても、最終的に命を守る行動を取るのは地域住民一人一人の判断となるところが大きく、これまで以上に県民一人一人の防災意識の向上を図っていくとともに、ハザードマップ等の情報を正しく把握した上で、日頃からどのような状況下においてどこへ避難するかの計画を各自で準備しておく必要があります。それでも、いざ避難しようと思ったときには、今避難所に行ってよいのか、車でも行けるのだろうか、近所に住んでいる家族や親族と一緒に行きたいなど、避難行動の開始を遅らせたり、判断を誤ったりする状況が起こるのが実情ではないかと思います。備えあれば憂いなし。  そこで、地域住民が自ら避難行動を計画し、自主的な避難行動へ動き出すきっかけを考え、有効的な避難行動が行えるよう、どのような対策を講じていくのか、知事にお伺いいたします。  質問の第二点目は、コロナ禍における妊産婦のケアについてであります。  香川県の人口は、香川県人口移動調査報告によりますと、令和元年十月現在、九十五万六千六十九人となり、平成十二年から二十年連続で減少している状況となっており、地域の活力が低下し、社会経済活動に深刻な影響を与えることが大変危惧されております。また、出生数についても、厚生労働省の人口動態統計によりますと、令和元年の全国の出生数は八十六万五千二百三十九人で、前年の九十一万八千四百人に比べると五万三千百六十一人減少しています。香川県における令和元年の出生数は六千六百三十一人で、前年の六千八百九十九人と比べると二百六十八人減少しており、さらに十年前の平成二十一年の八千三百六十六人と比べると千七百三十五人と大きく減少している状況であります。  分娩を取り扱う県内の医療機関数も、平成二十九年度には二十二か所あったものが平成三十年度には十九か所になり、令和元年度末時点では十七か所となっています。このような中、高度な周産期医療を提供する総合周産期母子医療センターと地域の医療機関等が連携して、県内の周産期医療体制の整備を行い、地域での分娩等に支障を来さないように御尽力いただいている状況にあります。  ベネッセコーポレーションの育児ブランド「たまひよ」が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響について、妊婦や子供がいる女性に尋ねたアンケート結果を発表されておりました。「事前の両親学級の中止などで情報不足に不安を感じる」が六一%、「入院中の面会ができなくなった」五五%、「出産時に配偶者・パートナーの立会いができなくなった」五二%となっておりました。  また、先日、たまたま居合わせた妊婦さんと会話をしておりますと、「新型コロナウイルスの母子感染のリスクがあるか分からない。生まれてくる子供に対しての感染予防として何をするべきか分からない。県外へ里帰りして出産したり、出産後に何を気をつければよいのか心配。新生児を抱え、健診などで必ず人混みへ行かなければならない機会があるときの対応が心配。」と、様々な悩みを抱えているようでありました。  今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、出産を迎える妊婦の環境も大きく変化しました。先ほどのアンケートのとおり、妊娠期に各病院等で実施している妊婦教室や両親学級を個別指導に切り替えたり、感染予防の観点から出産の際の家族立ち合いや出産後の面会に制限を設けている病院もあり、新型コロナウイルス感染症の流行は、妊娠・出産する当事者にも多大な影響を与えており、安心して子供を産むことができる環境を整備することの重要性が改めて浮き彫りになっている状況であります。  このため、分娩を取り扱う医療機関が減少している中、今後、再び感染が大きく拡大する局面も見据え、医療機関においても、医師や助産師などの医療従事者が、新型コロナウイルスに感染しないために徹底した対策を講じ、妊婦が安心して出産に臨むことができるような医療機関の体制を確保する必要があると思います。  さらに、出産後、新型コロナウイルス感染症への対応策として、乳幼児の集団健診の延期や個別健診へ切り替えて対応する市町もあり、子供が生まれた喜びとともに大きな不安も抱えるようになる母親に対して、いつでも相談ができる窓口等の確保や子育てに対する正しい情報提供を行うことが必要であると考えております。  他県では、一部民間事業者が、妊婦や母親の孤立を防ごうとLINEなどのツールを使用して医師等が相談に応じる事業を行っており、自治体とも連携してケアを進めている事例もあると伺っています。やはり、相談できる窓口を行政が設置し、そこに相談ができるということを知っておくだけでも、妊産婦の安心につながるのではないでしょうか。  そこで、これまで県においては新型コロナウイルス感染症に対して、感染防止や支援施策等、様々な施策を講じて成果を出してきているところではあると思いますが、コロナ禍において妊婦が安心して出産を行うことができるよう、医療体制や相談体制などについて、どのように産前産後の環境を整備していくのか、知事にお伺いいたします。  質問の第三点目は、瀬戸内国際芸術祭二〇二二に向けた取組についてであります。  「島のおじいさん、おばあさんの笑顔が見たい」、「海の復権」をテーマとして、昨年、第四回目の開催が無事成功を収めた瀬戸内国際芸術祭二〇一九。地元住民の方々や国内外から参加した多くのアーティスト、こえび隊や企業・団体・学校等のボランティアサポーター、そして瀬戸内国際芸術祭実行委員会の構成メンバーの尽力により、本県の地域活性化やイメージアップに大きく貢献するなどすばらしい成果が得られました。新たな観光資源を生み出すことが非常に難しい中で、サイトスペシフィックと呼ばれる、地域やその場所の個性や特徴を生かした作品づくりによって多くのファンを生み、また、国内外の人々に会場の島々を訪れていただき、瀬戸内の豊かな自然の中にある地域の文化や歴史、さらには人々の暮らしを知っていただくことで、新たなつながりをつくっていただきました。  昨年開催された瀬戸内国際芸術祭二〇一九の総括報告書によると、パブリシティーの実績では、二〇一八年十一月からの約一年間で千五百を超える国内外のメディアに取り上げられ、また、過去最高となる百十八万人の来場者の中で、約四分の一が国外からの来場者であると報告されております。このことを考えると、まさに瀬戸内海の美しい景色や会場となる島々の文化や歴史を現代アートを通して感じていただき、この瀬戸内海の魅力を国内のみならず世界中へ発信する香川県にとって非常に重要な事業となっていると感じています。  まさに順風と言える状況にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により事態が一変しました。現在は海外からの旅行者のみならず、日本へ来るための航空路線そのものがいまだ欠航したままのものが多い状況であり、また、国内に目を向けても、人々の移動や会食には新しい生活様式の中で一定の制約があり、イベントやスポーツ観戦などが制限されるなど、予断を許さない状況にあります。さすがに、二年後の二〇二二年には芸術祭が開催できるような環境にあると思いますが、これまでのように海外から多くの来場者やアーティストが会場に来ることができるのか、企業や団体などの協力を得ることができるのか、また、これまで芸術祭を支えてきたボランティアサポーターを確保することができるのかといったことが懸念されるなど、まだまだ先行きが見通せない状況にあります。  こうした中、七月二十八日に開催された瀬戸内国際芸術祭実行委員会第二十七回総会では、次回の芸術祭の会期や会場、重点的な取組の視点、広報や受入れ体制などの基本的な事項を定めた瀬戸内国際芸術祭二〇二二取組方針が示され、また、先月末には芸術祭二〇二二のアートプロジェクトの一般公募の受付が終了するなど、再来年の開催に向けて着々と準備が進められてきております。今定例会の開会に際しても知事から、次回の瀬戸内国際芸術祭について、新型コロナウイルスを巡る国内外の状況も踏まえながら、地元市町や関係機関と連携し、開催に向けた準備を進める旨の御報告があったところであり、私としても大いに期待するところであります。  芸術祭二〇二二の取組方針には、新型コロナウイルス感染症を巡る国内外の動向等を踏まえ、ICTを活用した新たなつながりの手法を見いだしながら、国内外のアーティスト等との交流をより質の高いものとするという記載もありましたが、コロナ禍の中で、インバウンドの減少を想定した対応についても検討しておく必要があると感じております。例えば、国内の来場者の増加に向けてどのように取り組んでいくのか。特に、アンケート調査などにおいて、来場者に占める割合が比較的少ないとされた年齢層や地域へのアプローチを強化する必要があると考えられ、また、その一方で、リピーターのようないわゆる岩盤層へのアピールも怠ってはならないと思います。そうしたことを踏まえて、これまで以上に国内に向けた広報戦略を練っていく必要があり、また、岩盤層に向けては芸術祭の魅力そのものをブラッシュアップしていく必要があるのではないでしょうか。今後、取組方針をおおむね半年ごとに見直していくと聞いており、現在、その準備を進めているところだと思います。  そこで、現時点で次回の芸術祭に向けた国内向けの広報戦略や魅力向上策についてどのように考えておられるのか、知事にお伺いいたします。  質問の第四点目は、学校教育におけるICTの効果的な活用についてであります。  今年度から令和四年度にかけて、小・中学校及び高等学校で順次実施される新学習指導要領において、情報活用能力が各教科の学びを支える資質・能力の一つとして位置づけられ、情報技術を適切に活用した学習活動の充実を図ることが求められております。新学習指導要領において求められる情報活用能力を育成し、ICTを活用することで学習活動の充実を図るために、文部科学省の教育のICT化に向けた環境整備五か年計画やGIGAスクール構想などによって学習用端末及びLANの環境が整備され、県内の教育施設においても学習のICT化が進められてきております。  今年は、予想だにしなかった新型コロナウイルス感染症の影響で、本県においても約三か月にわたる臨時休業期間中、児童や生徒に対して十分な学習環境ではなかったかと思います。授業の遅れを取り戻すべく、これまでに各機関では夏休み期間の短縮や時間割編成の工夫を行ってきておりますが、児童・生徒やその家族はもちろんのこと、教育委員会や学校の先生方におかれましても、いまだかつて経験したことのないことへの対応で非常に御苦労されたことと思い、私自身も子を持つ親として、今後の動向に注目しているところであります。  さて、これまでの学校教育では、プログラミング等の情報化社会に向けた授業等は行われてきておりましたが、授業そのものがタブレット端末等を用いて、かつ、非常時には遠隔でも実施するようになると、教育とは何なのか、その本質から考えながら授業方法を検討していく必要があると思います。  コロナ禍において、学校が休業となったことで学校教育におけるICTの効果的な活用について改めてクローズアップされることとなりましたが、ICTを活用した学校教育については、全国的にまだまだ模索中であると言えるのではないでしょうか。  思い起こせば、私が義務教育を受けていた頃は、授業は教師と生徒の対面方式で行われ、先生が授業の中で質疑応答やテスト等により各生徒の学習状況や理解度を把握することはもちろん、休み時間や放課後などでのコミュニケーションの中で理解しやすい雰囲気づくりを行うなど、人と人とが向き合う中で、一つの教室で同じ授業を受けていても、個々の習熟度を把握しながら、学習だけではなく、個性に合った教育が進められる環境がありました。このように、学校の役割というのは、いわゆる教科書から学ぶものだけではなく、教師とのコミュニケーション、友人との会話、部活動等を通じた好ましい人間関係の形成の中でアイデンティティーを築き上げ、社会へ出ていくための準備をする役割も担っているものだと思います。  教育のICT化は、新型コロナウイルスが発生していなくても、現在の世界の流れを考えれば、なお一層整備することは大切なことだとは思いますが、子供たちに必要なコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、さらには相手を思いやる力や諦めずやりぬく力等を、どのようにICTを活用しながら授業の中に取り込んでいくかという点も非常に重要になってくるのではないかと思います。  教育委員会では、本年五月に香川県立学校ICT活用教育プロジェクトチームを設置し、ICTを活用した教育に対する在り方等を検討することとされている旨を伺っておりますが、その中でも、ぜひこの点について御検討いただき、次の時代を担う子供たちが学校教育を通して、変革する環境とともに成長していけるよう、香川県の教育環境を整備していくことが大変重要だと思い、強く望むものであります。  そこで、本県の小・中学校、県立高校、特別支援学校においてICTをどのように活用し、画一的ではない個々の個性を伸ばす教育を推進していくのか教育長にお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松本議員の御質問にお答えいたします。  まず、災害時における情報伝達と避難行動対策についてであります。  県では、大規模災害発生時において、県民の皆様に適切な避難行動を取っていただくため、防災行政無線はもとより、緊急速報メールや登録制メール、ホームページ、SNS、マスコミへの提供など、様々な情報伝達手段を通じて避難情報などの各種の防災情報を伝達してきたところでありますが、今年度から新たな伝達手段として、防災アプリ、香川県防災ナビを導入したところであります。この防災アプリのダウンロード数は、現在約一万七千件であり、今後、より一層定着させるため、新聞広告やチラシ配布などによる普及啓発を進めるとともに、来月五日に予定している香川県シェイクアウトにおいて防災アプリを活用した情報伝達訓練を実施するなど、防災情報の伝達体制の充実・強化に取り組んでまいります。  また、こうした防災情報を避難行動につなげるためには、県民の皆様が、日頃からハザードマップ等により地域の災害リスクや避難所までの経路などを把握し、いざというときに自分が取るべき避難行動を考えてもらう必要があります。このため、これまでも広報誌やマスメディアなど様々な機会を捉えて周知啓発してまいりましたが、より一層意識を高める契機となるよう、避難の準備やタイミングなど避難行動を時系列で整理した行動計画、いわゆるマイ・タイムラインの作成など、実際の行動につながる取組を検討してまいります。  私といたしましては、大規模災害から県民の皆様の生命を守るため、災害時の情報伝達が迅速かつ的確に行えるよう体制整備に努めるとともに、より一層、各市町や防災関係機関と連携して県民の皆様の適切な避難行動に向けた対策を講じ、災害に強い香川づくりを推進してまいります。  次は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた妊産婦への対応についてであります。  核家族化や地域のつながりの希薄化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により妊産婦の不安感もより高まっている中、次代を担う子供たちを安心して出産いただくための支援は大変重要であると考えております。  このため、まず医療体制につきましては、本年六月から新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための取組を行う周産期医療機関等に対して、感染拡大防止対策や診療体制確保などに要する費用を補助するとともに、先月、新型コロナウイルス感染症対策に関する医療機関向けの研修を実施したほか、十二月には周産期医療関係者を対象に研修会を実施するなど、周産期医療機関の体制強化を図っているところであります。  妊産婦の方に対する相談につきましては、各市町では保健師が中心となり、妊娠初期からの相談に応じているほか、母子に対する心身のケアや指導を行っており、県では、全ての市町で支援の質を高められるよう助言等を行っているところであります。また、各市町において対応が難しい週末や夜間にも、メールによる相談対応や妊娠出産サポート事業により、医師や助産師等が相談や情報提供を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の相談にも対応しているところであります。  安心して出産を迎えられるよう、分娩前に実施するPCR検査につきましては、七月末から一人一回を限度としてその費用を助成しており、現在のところ陽性事例はありませんが、万一、感染が認められた場合には直ちに治療を受けていただくとともに、保健所が医療機関等と連携して心のケアを実施してまいります。さらに、県独自に、分娩医療機関等を通じて、産婦に育児相談窓口等を紹介するリーフレットを添えたマスクを配付し、産婦の不安解消に努めているところであります。  私といたしましては、こうした取組を積極的に進めることにより、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた産前産後の環境を整えてまいりたいと考えております。  次に、瀬戸内国際芸術祭二〇二二に向けた取組についてであります。  議員御指摘のとおり、次回の芸術祭に向けては、インバウンドが減少することも想定して、国内からの来場者の増加に向けた取組を充実させることが重要であると考えております。このため、国内来場者の年齢層等の傾向も踏まえつつ、様々な手段や機会を活用して戦略的な広報を行っていきたいと考えております。  まず、来場者に占める割合が小さい中高年層には、現代アートは難しいと、いわゆる食わず嫌いをされている方も多いと思われるため、美術系以外のメディアも活用しながら、瀬戸内の豊かな自然やグルメ、島の人々との交流と一体となった芸術祭の魅力や楽しみ方を伝えていきたいと考えております。  また、居住地域別のアプローチとしましては、掘り起こしの余地の大きい大都市圏等に向けた大手広告媒体への露出の強化とともに、近隣県では、地域情報誌やケーブルテレビ等の身近な媒体とのタイアップ企画や協賛企業の店舗等での広報の充実などを進めてまいります。  一方、リピーター層は、新たな作品展開への期待や関心が高いと思われるため、作品制作の早い段階からアーティストの活動状況やインタビューなどの情報をSNSなどでタイムリーに発信するとともに、他県の芸術祭等と連携した広報を行うなど効果的な情報発信を行っていきたいと考えております。  また、魅力の向上に向けては、本県の里山・里海の魅力や環境、医療など地域の課題に対してアーティストが美術的な工夫を凝らした作品の展開をはじめ、祭りなどの伝統行事やまち歩きとの連携の強化、県下全域の農水産物を活用した食の充実、オフィシャルツアーの拡充などに取り組んでまいります。  私といたしましては、国内来場者の増加を意識した効果的な情報発信や魅力の向上に取り組むことで、次回芸術祭を成功に導き、地域の活性化や本県のイメージアップにつなげてまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松本議員の学校教育におけるICTの効果的な活用についての御質問にお答えいたします。  学校教育におきましては、教育のICT化が進む中においても、対面授業を基本とした教育活動を通して幅広い知識と教養を身につけ、教師や児童・生徒同士の関わり合いの中で豊かな人間性を育んでいくことが重要であると考えております。  ICTの活用については、各教科等の特質や学習過程を踏まえて、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげていくことが重要であります。例えば、総合的な学習の時間や探究の時間において、児童・生徒一人一人が課題を設定し、ICTを活用して効率的に情報を集め、個々の調べたことや考えをクラスなどで発表する際、映像や音声データを用いて分かりやすい発表資料を作成することなどを通して、プレゼンテーション能力を育むことができると考えております。また、一人一人が海外の生徒等とオンラインでつながり、ディスカッションやディベートを行うことでネーティブな発音に触れるとともに、英語によるコミュニケーション能力を育むことができます。特別支援学校においては、ICTの活用により、見えにくさや読み書きの困難さなど障害による学びにくさを補うことができるため、児童・生徒が主体的に学習に参加し、成功経験を積み重ねることで、諦めずに学びに向かう力を育むことができます。  県教育委員会といたしましては、ICTの効果的な活用方法の研究も進めつつ、これからの新しい学びにおいても人と人との関わりを重視し、児童・生徒一人一人の個性を伸ばす教育の一層の推進に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  岡野朱里子さん。    (岡野朱里子君登壇、拍手) ◯岡野朱里子君 議長のお許しをいただきまして、一般質問をさせていただきます。  まず最初に、大学に対する寄附の控除についてお伺いをいたします。  さて、国立大学では、政府から拠出される国立大学運営費交付金の削減が顕著で、外部資金の獲得は重要な課題となっているようです。受託研究や受託事業などの収益もありますが、寄附金も大きな収益の柱と言われています。  東洋経済によると、二〇一七年度全国立大学の寄附金収入額一位は東京大学で百三十二億四千二百万円、件数は八千九百二件でした。一方、香川大学はというと、全八十六校中三十四位で七億九千九百万円でした。また、寄附件数は千八百九件。四国を見ますと、徳島大学は十七位、十六億五千八百万円、二千八百八十五件、愛媛大学は二十位、十四億二千五百万円、六千五百五十三件、高知大学は順位は四十位で六億七千万円ですが、件数は香川大学の二倍の三千八百六十八件となっていて、本県の県内大学に対する寄附の額の低さはもとより、件数の低さも大きな課題と感じます。  一方で、私立大学では国や自治体からの補助金もありますが、収入の柱は学生が支払う入学金や授業料といった学費であるため、少子化や学生数の減少により減収となっているため、近年はより積極的に寄附金集めを行っているようです。私立大学の寄附金についても、東洋経済が二〇一八年に二〇一六年度寄附金収入額の統計を出しており、一位の慶應義塾大学約八十八億円から百五十七位の立正大学約一億円までの間に、残念ながら本県の大学は入っていません。
     つまり、本県の国立大学及び私立大学ともに、重要な収入源となり得る寄附を集める余地がまだまだ残されているということが分かりました。そして、県として、大切な本県大学の寄附集めに対し、どんなお手伝いをすることができるのか考える必要があります。  そこで、私は昨年の十一月議会の一般質問において、中四国では香川県を除く全ての自治体で、自身の県にある大学への県民からの寄附は住民税の寄附控除の対象になっていること、そして、本県においても一部の市町では、住民が四国学院大学をはじめ大学に寄附した場合、寄附控除の対象としていることなどから、他県同様に本県も県内大学に対する県民の寄附については住民税の寄附控除の対象にすべきと質問をさせていただきました。その際には、検討するとの御答弁をいただきましたが、その後の検討の進捗状況について改めて知事にお伺いをいたします。  次に、瀬戸内国際芸術祭についてお伺いをします。  七月末に瀬戸内国際芸術祭二〇二二の取組方針が発表されました。会期は昨年の芸術祭同様、三会期に分け、春会期、夏会期、秋会期合わせて百五日間開催されることが決定されました。また、十二の島と二つの港周辺が会場となります。  昨年の来場者数は約百十八万人で、経済波及効果は百八十億円と報告されていて、関係者の皆さんの御尽力で国内外から大きく認知される芸術祭に育ちました。瀬戸芸の注目が高まるにつれ、コロナ感染拡大以前は海外観光客が年々増加しており、世界の旅行市場に影響力を持つ複数の旅行雑誌が、二〇一九年の旅行業界のトレンドをつくるきっかけとなる「二〇一九年行くべきデスティネーション」を発表し、SETOUCHI(瀬戸内)が六つの雑誌でランクインしました。「ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー」誌英国版では第一位に選ばれ、その他の雑誌においても、世界の旅行先の中から日本で唯一選出をされています。さらには、世界最大規模の旅行予約サイト、ブッキングドットコムが発表した二〇二〇年に訪れるべき目的地トップテンに日本で唯一高松が選ばれ、うどん王国としての側面や栗林公園なども併せて紹介をされています。また、世界中で利用されている旅行比較サイト、スカイスキャナーが発表したアジア太平洋地域の二〇二〇年の旅行トレンドにおいて、注目すべき新興目的地のトップテンに、日本で唯一高松が選ばれ、ますます欧米諸国から本県への期待値は上がっています。  国内外の観光客の方々の増加が見込まれる本県において、観光客の皆さんの満足度を向上していくために、幾つかまだ可能性が残されていると私は考えます。  まず、一つ目は、この多島美を誇る美しい瀬戸内海と瀬戸内に浮かぶ島々の利用をさらに進めることができるという点です。私も家族も釣りや海遊びが好きなので、春先から初冬まで、家族や知人とよく瀬戸内で船釣りをしたりクルージングをしたりします。その刻々と変わる海の色、空の色、風の音に本当に癒やされますし、毎回毎回新しい発見をし、飽きることがなく、時期になるとプライベートな釣り船やヨット、自家用クルーザーなどがかなりの数、海に出ています。海が好きな皆さんは口々に、高松駅周辺や各島々の浮き桟橋の整備を行い、プライベートの船やボート、ヨットが停泊できるようになれば、もっともっと県外からの富裕層の観光客も取り込めるだろうし、県民のレジャーの選択肢も広がり、瀬戸内で暮らす価値が向上するとおっしゃいます。  そこで、調べたところ、海で囲まれている日本では、瀬戸内はもちろん、日本各地でビジターバースと海の駅の整備が進められています。ビジターバースとは、海からの来訪者のための一時係留施設のことで、海の駅とは、ビジターバースに加えてトイレやマリンレジャーに関する情報提供のための施設を備え、海の駅ネットワークを構成する施設として国に登録されているものです。海の駅の定義としては、プレジャーボートによる来訪者のために、いつでも、誰でも気軽に安心して立ち寄り利用できる憩える港です。  なお、海の駅は海上からのアクセスポイントとしてだけではなく陸上からも気軽に利用できることから、海の駅を中心に地域の特性を生かしたイベントを行うなど、地域振興の拠点としての活用が期待をされています。  確かに、本県のホームページによると、ビジターバースも海の駅も数か所ずつありますが、内容をよく調べると、ビジターバースと明記されているものの、係留には様々な制約があったりスペースが小さかったりして、決して使い勝手のいいものとはなっていません。また、海の駅も、その大体が周辺に買物ができる場所や飲食店が整備されてはおらず、地域振興の拠点とは言い難いのが現状です。  日常の暮らしの質の向上と国内外観光客の方々の満足度の向上、そして二〇二五年に開催される大阪万博からの波及効果を取り込むためには、瀬戸内海とそこに浮かぶ島々の活用を幅を広げることが不可欠で、ビジターバースと海の駅の充実が必要と考えます。  そして、二つ目は、キャッシュレス化とデジタル化の促進です。もともと地方都市はキャッシュレス整備が立ち後れていましたが、ようやく高松でもタクシーや飲食店、スーパーマーケットなどでキャッシュレス化が進み、大変利便性がよくなりました。また、本県では、SNSやアプリ、LINEなどの活用を推進し、多言語化にも取り組むなどして、IT活用をした観光事業に力を入れてまいりました。  しかしながら、昨年開催された瀬戸芸においてはキャッシュレス化とデジタル化が十分でなかったために、特に外国からのお客様には不便をおかけしました。作品を巡るパスポートは紙だけでしたが、携帯を活用したデジタルパスポートが併用できれば、様々な機能が搭載できるため活用の幅が広がります。もちろん、この部分の改善は、外国人のお客様だけでなく国内、県内全ての人の利便性の向上につながり、やはり地域の価値を上げる取組となります。  そこで、知事にお伺いをいたします。  次回の瀬戸内国際芸術祭に向けて、また、二〇二五年の大阪万博の波及効果をしっかり取り込むためにも、高松駅周辺、そして瀬戸内の島々のビジターバースの整備や県内の海の駅の登録を進める必要性について御所見をお聞かせください。  また、瀬戸内国際芸術祭でのキャッシュレス化とデジタル化の推進の必要性についても併せて御所見をお聞かせください。  次に、ネット・ゲーム依存症対策についてお伺いいたします。  我が会派では、ネットやゲームに対する依存傾向の改善のために有効な手段の一つであるデジタルデトックス、具体的には文部科学省の委託事業として、国立青少年教育振興機構が行っている青少年教育施設を活用したネット依存対策推進事業について勉強会を開催しました。ネット依存傾向の青少年を対象に、青少年教育施設を活用して自然体験や宿泊体験プログラムを実施するもので、事業の狙いは、一、ネット依存状態からの脱却のきっかけづくり、二、集団宿泊生活による失われた基本的生活習慣の回復、三、仲間と活動することによる低下したコミュニケーション能力の向上です。二〇一四年に始まったこの事業は、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターと連携し、治療としてだけでなく、教育的観点も取り入れた体験活動プログラムを実施し、教育と治療の融合による事業を行ってきました。また、学校関係者や医療機関、そして行政機関などの多岐にわたる幅広い専門家の方々が企画運営委員会に入り、PDCAサイクルにより継続をしています。  まず、重要な点は、心理学系や教育系、そしてボランティア経験のある大学生を中心としたメンターを組織し、研修を行い、依存傾向にある参加者に寄り添える年齢の近い人たちでの支援体制をしっかりとつくること、そして、メインキャンプとして各種専門家とメンター、そして参加者で宿泊体験事業を行い、その後同じ参加者でフォローアップキャンプ、セカンドフォローアップキャンプと年間三回のキャンプを実施することで継続的支援及び経過観察を行います。また、プログラムの中に認知行動療法を取り入れ、ネット依存という学習された行動を、新たな学習により考え方や行動の癖を変えていけるように促してまいります。  この事業で、子供たちに変化が見られることが実証されたことと、小・中・高校生のうちネット依存傾向にある子供たちの割合が増加傾向にあることが調査で明らかになってきたなどの理由で、国立青少年教育振興機構が作成しているネット依存対策キャンプ実施運営マニュアルを参考に、既に幾つかの県でネット依存対策キャンプが実施されています。兵庫県では二〇一六年から人とつながるオフラインキャンプを、神奈川県ではチェンジライフキャンプを二〇一八年から、ほかにも静岡県、秋田県、大分県でも同様な事業が実施されています。キャンプの日数や参加人数、対象年齢は様々ですが、各地域の報告書によると、キャンプ中に、そしてキャンプ終了後にも子供たちの言動やネット・ゲームとの関わり方や意識に変化が見られ、リアルの友達をつくる努力をしたり、家族とコミュニケーションが増えたり、学校に行けるようになったなどの成果が出ています。また、新たな気づきとして、発達障害の傾向にある子供たちとネット依存傾向にある子供たちに親和性があることや、ネット依存傾向にある子供たちの低年齢化、家族の持つネットとの関係性と子供のネット依存傾向との親和性などが挙げられています。  ネット・ゲーム依存は、ネット・ゲームを取り上げて解決するものではなく、自分の生活を大切にしながら家族や人との関わりを深められる人生を送るために、ネット・ゲームと関わるルールを自らつくるようになることがまず第一歩ですので、そのきっかけづくりとなるこのキャンプは大変有効だと思います。  そこで、知事にお伺いをいたします。  ネット・ゲーム依存対策として本キャンプの有効性についてのお考えと、本県においてもこの事業に取り組むお考えについてお聞かせください。  次に、重度心身障害者等医療費等支給事業、以下重心事業、についてお伺いをいたします。  これは、障害がある方とその家族の経済的負担を軽減するため、医療機関を受診した場合の医療費の一部負担金を県と市町村で助成する制度です。その対象や内容はそれぞれの自治体で決定していることから、住んでいる都道府県や市町村によって障害のある住民の方々が受けられるサービスが異なります。香川県では、対象は身体障害者手帳一、二、三級を持っている人、また、療育手帳マルA、A、マルB所持者、もしくは戦傷病者手帳特別項症、第一~第四項症かつ身体障害者手帳四級所持者の方も対象となっています。また、保険医療の医療費の自己負担分が対象で、本人もしくは扶養義務者等の所得により対象にならない場合もあります。この県の制度に上乗せをして助成対象を拡大している自治体も県内にはございます。  先ほど申し上げましたように、本県の重心事業では精神障害者手帳をお持ちの方は対象ではなく、その方々は国の制度である自立支援医療制度の枠組みに入ります。二つの医療制度の違いは、前者は、当事者が受ける医療全般が助成の対象であるのに対し、後者は、当事者が持つ手帳の疾病に関する通院医療を受けるときのみが助成の対象となります。戻って、そもそも重心事業の制度の成り立ちはというと、障害のあることで継続的に働くことが困難な状況の中、本人及び家族に過度の経済的負担を強いることがないようにとつくられました。  さて、一方、精神障害者手帳一級をお持ちの方の状態がどうかというと、厚生労働省によると、一級とは、「精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」とあります。つまり、一級をお持ちの方は日常生活を送ることができない人であり、ほかの手帳をお持ちの方と同様に継続的に働くことが困難であると言えます。ここから導き出すと、精神障害者手帳一級をお持ちの方は、助成対象の狭い自立支援医療制度から、助成対象の広がる重心事業に移行することが妥当であると考えます。  そもそも重心事業は昭和四十年代に始まった一方で、精神障害者手帳は平成七年からの制度ですので、精神障害者の方が重心事業の枠組みから外れてしまっているのが実情で、近年、他の都道府県におきましても、当初は重心事業の対象ではなかった精神障害者手帳をお持ちの方々をその対象にする自治体が増加をしています。平成三十一年に東京都が、本年度から千葉県、石川県、富山県が加わり、半数近くの都道府県で精神障害者手帳一級をお持ちの方まで対象が拡大をされており、その数は、本県が対象拡大している障害者手帳三級をお持ちの方、療育手帳マルBをお持ちの方を対象としている都道府県の数を大きく超えております。  そこで、知事にお伺いいたします。  精神障害者手帳をお持ちの方も、そしてその御家族も、世間の厳しい風潮の中でなかなか声を上げられず、厳しい生活をされている方々がたくさんいる現状の中、全国的に重心事業の対象を精神障害者手帳をお持ちの方に拡大していることについての知事の御所見と、併せて本県でも対象を拡大をすることについて、知事のお考えをお聞かせください。  次に、ひきこもり支援についてお伺いいたします。  県によると、令和元年度に精神保健福祉センターと県内五か所の保健所で引き受けたひきこもりに関する相談は延べ千四百六十九件で、その数はますます増加傾向にあります。また、若年無業者数は約四千人と高い水準で推移していて、このアンケートでは拾い切れていない三十五歳以上の方を入れると、かなりその数が増加すると思われます。  社会の中で息苦しさを抱えている当事者や、その御家族の支援の必要性がここ数年各所で取り上げられ、本県においても様々な事業に取り組み始めました。一方で、実態把握に努め、施策を展開したからこそ、支援における課題についても分かってきたことがあります。まずは、ひきこもりには不登校や学校の中退、就職してからすぐ社会に適さないことがわかっての離職という若年層特有の課題があり、一度つまずいたらなかなか社会復帰できない日本特有のものがあること。また、本人の発達障害や家族の心身の病気、貧困など複合的要素があること。そして、ひきこもりの長期化により八〇五〇問題と言われる、社会につながれない当事者が五十歳で、その子供を観護する親が八十歳という当事者及び家族の高齢化。これらの課題解決のため、さらなる支援策を縦横に張り巡らせる必要が出てきました。  そこで、本県では、ひきこもりの相談機能の充実は当然のこと、学校や社会にまだ接点を持つ準備のできていない子供・若者に、まずは外に出てきてもらい、誰かとリアルなコミュニケーションを取ってもらう居場所をつくること、相談に来てくれる当事者や御家族が増加しているため、相談支援をするサポーターを養成し増員すること、相談者の必要に応じて御自宅に伺うなど、アウトリーチ型支援の充実、そして、長く社会と接点を持たずにいる高齢化した中高年の当事者の居場所づくりなどの事業を展開してまいりました。  私は、県は率先してひきこもり対策の様々な事業を立ち上げてくれていると思っています。ただ、このどの事業も、県が直接か、もしくはどこかに委託する形でなければ継続は不可能です。なぜなら、これらの事業はどこからもお金が発生するものではなく、事業者や支援者の努力や工夫ではどうにもならないものだからです。かつ、今、県が行っているどの事業が欠けても、せっかく前に進んでいける包摂社会の構築、そして自分の人生と社会の未来を自らの力で切り開くたくましい子供・若者をつくるというかがわ子ども・若者育成支援ビジョンにも逆行をしていきます。  こうした中、県が取り組んでいる子ども・若者孤立化防止支援事業が来年度に最終年度を迎えると聞いております。この事業がなくなれば、十代、二十代前半のレスパイト的居場所を必要としている子供や若者はどこで社会とつながることができるのでしょうか。学校卒業や中退、そして離職直後からの切れ目ない支援こそ、ひきこもりの長期化、高年齢化を防ぐ大きな予防策です。社会課題解決型事業で、かつ実績が大きく上がっている取組については、これからも継続して行政が支えていく必要があると私は考えます。  そこで、知事にお伺いをいたします。  今後、本県のひきこもり対策事業について、居場所づくりも含めてどのように進めていこうと考えているのか、御所見をお聞かせください。  最後に、性教育についてお伺いをいたします。  日本では、行き過ぎた性教育に対する批判が起こったこともあり、すっかり性教育後進国になっています。しかしながら、ネットによる性にまつわる映像や情報の氾濫、また、SNSなどを使った出会い系などの気軽な出会いが発端となる大きな事件が連日報道され、子供たちが被害者にも加害者にもなってしまっているのが実態です。そして、性犯罪が多様化し、被害者が女子とも限らなければ、被害者の年齢はますます低年齢化もしています。大人のほうが性に関する社会環境の変化についていけていない状況をいつまでも放置しておくのは問題だと考えます。  さて、本県において十代で中絶する人の数は、平成二十八年度百二十六人、平成二十九年度百十九人、平成三十年度九十八人で、全体の中絶する人のうち、約一割でずっと推移をしています。調査が始まった昭和五十三年以来、本県で十代で中絶する人の割合は全国平均を大きく上回ることが多く、ようやく初めて一昨年度、全国平均をやや下回りました。また、平成三十年、十代で出産した人は九十二人で、出産と中絶を合わせると約二百人の十代の方々が妊娠を経験しています。また、本年に入ってからは、コロナの影響で十代の中絶や中絶相談が増加しているとの報道もあり、例年以上に子供たちは性にまつわる悩みを抱える年になっています。  さて、本県教育委員会では、他の都道府県教育委員会同様に、昭和五十年代から小・中、高校と、それぞれ性に関する指導の手引きを作成し、授業等で活用されてきました。この手引きですが、冒頭に述べましたように、性に関する社会環境の急激な変化、子供たちの性意識や性行動の変化に対応するため、また、より体系的な、かつ個人に合わせた指導を実現するために、どの自治体においても度々改編がなされています。特に、平成三十一年に東京都で出された性教育の手引きは、何年も調査・研究の結果、改編され、話題になりました。ほかにも平成二十八年に鳥取県、茨城県では性に関する指導の手引きを改訂し、同年、大分県でも性に関する指導の手引きを新たに策定しています。また、教育委員会内に関係機関や専門家とともに性教育の手引き検討委員会が設置されている自治体もあります。  一方、本県はといいますと、高等学校は平成七年、中学校は平成八年、小学校は平成九年に作成されて以来約二十五年、一度も改訂をされていません。高等学校の性に関する指導の手引きには、不妊手術(優生手術)についてのページがあり、優生手術がどんな手術でどんな効果があるかとともに、重大な健康上の理由や遺伝的に大きな問題がある場合、精神病などの際には考慮してみるのもよいという当時の優生保護法に準ずるような記載も残っており、それが文字としてあること自体がいかがなものなのでしょうか。その時々に、今日的課題は教えているのかもしれませんが、体系的で適切な指導を行うことはもとより、指導する先生方にも認識を共有してもらう意味でも、本県において当時の指導の手引きを改訂する必要があると思います。  国においては九月三十日に、性犯罪や性暴力を巡り、年齢に応じた被害予防教育を学校現場に取り入れるため、有識者による初会合が開かれ、二〇二〇年度中に専用教材や教員向け手引き書を作成し、二〇二一年度以降に本格導入を目指しているとの報道もあり、受皿となる本県教育委員会においても、性教育について、香川の課題について、しっかりとした議論を始める必要があると考えます。  そこで、教育長にお伺いをいたします。  情報の氾濫する現代社会を生きる子供たちが正しい情報や知識を得て、自分を守ることができる、生き方を選択することができるよう、時代遅れの性に関する指導の手引きを改訂することや、検討委員会の設置等を通して学校現場での性教育の在り方を見詰め直す必要があると考えますが、いかがでしょうか。  以上で私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)岡野議員の御質問にお答えいたします。  まず、県内大学に対する寄附の控除についてであります。  県内大学等が魅力を高めることにより地域の方々から支えられ、地域との連携を深めていくことは、県内大学等への進学者や県内就職者の増加につながり、地域の活性化を図るためには重要であると考えております。  このため、県では、県内大学等が行う地域貢献や地域への愛着を深める取組、県内企業について知ってもらう取組などに対して補助を行うとともに、大学コンソーシアム香川を通じて県内大学等の魅力について積極的に情報発信を行うなど、県内大学等が地域との連携を深める取組への支援を行っております。  議員御指摘の住民税の寄附金控除につきましては、今回、県内大学等からの要望も受け、検討を行ったところ、県内大学等への寄附金が増え、その寄附金を新しい研究など大学等の魅力づくりに活用することで、地域貢献にも寄与するものと考えられることから、これら県内大学等を新たに寄附金控除の対象としたいと考えております。このため、速やかに香川県税条例施行規則の改正を行い、県民の皆様への周知期間を設けて、来年一月一日以降の寄附金から適用となるよう進めてまいります。  次に、瀬戸内国際芸術祭についてであります。  議員御指摘の県内のビジターバースにつきましては、県有施設が高松港をはじめ五港で七施設、市町及び民営のマリーナ等の施設が女木港をはじめ十九港で二十八施設あります。ビジターバースにつきましては、島嶼部の活性化を図る上で重要な施設であると認識しており、県有施設の拡充や活用促進策等について検討するとともに、各市町等の施設についても地域振興に資する活用策等について働きかける方向で検討してまいります。  また、海の駅につきましては、国土交通省の海の駅事業を推進するための任意団体、海の駅ネットワークが設置認定を行っており、現在、県内では民間団体等により九施設が運営されております。海の駅に認定されることで、利用者が海の駅のホームページを通じて施設等の情報を入手できるなど利用促進につながるとともに、広く海洋レクリエーションの普及啓発等に資するものと考えられることから、今後、県有施設や各市町等の施設の新たな認定について、他県の状況についても情報を収集し、検討することとしてまいりたいと考えております。  次に、芸術祭でのキャッシュレス化とデジタル化の推進につきましては、来場者の利便性の向上はもとより、新型コロナウイルス感染症の感染リスクの低減にもつながることから、重要性を増していると認識しております。このため、前回から公式ショップや主要な案内所で導入したキャッシュレス決済の拡充を図るとともに、会場となる島の事業者等による導入の促進に向け、地元市町等を通じるなどして利便性や必要性について周知してまいりたいと考えております。  また、作品鑑賞パスポートのデジタル化につきましては、メリットも大きい一方で、コストの問題や紙のパスポートとの併用による作品受付用務の煩雑化などの問題も想定されることから、それらを整理しながら、現在、検討を行っているところであります。  私といたしましては、いずれにいたしましても国内外からの多くの来場者に安全かつ快適に芸術祭を楽しんでいただけるよう取組を進め、地域の活性化と本県のイメージアップにつなげてまいりたいと考えております。  次は、ネット・ゲーム依存対策についてであります。  ゲームやインターネットの過剰な利用は、自分で自分の欲求をコントロールできなくなる依存症につながることや、睡眠障害、ひきこもりといった二次的な問題まで引き起こすことなどが指摘されており、若者が陥りやすく、一度そのような状態になると抜け出すことが困難となるため、未然に防ぐための正しい知識の普及啓発や、早期発見・早期治療のための相談支援に加え、医療提供体制の充実などの対策は大変重要であると考えております。このため、来月三日にネット・ゲーム依存予防対策講演会を開催するなど、ネット・ゲーム依存に関する正しい知識や予防等に関する普及啓発を図るとともに、医療従事者等の養成や、新たに回復プログラムの作成に取り組んでおります。  議員御指摘のとおり、ネット・ゲーム依存傾向の青少年等を対象とした自然体験や宿泊体験プログラムの実施など、キャンプを活用した体験活動事業につきましては、ネット・ゲーム依存状態からの脱却のきっかけづくりとなるほか、集団宿泊生活による失われた基本的生活習慣の回復や、仲間と活動することによる低下したコミュニケーション能力の向上が期待され、ネット・ゲーム依存症対策の有効な方策であると考えております。しかしながら、この事業に取り組むためには、治療や体験活動プログラム等の実施内容や実施場所、参加者と共に過ごすメンター、助言者や指導者の人材養成、事業実施後のフォローアップや検証方法など、検討すべき課題もあります。  私といたしましては、今後、国における事業の実施状況について情報収集を行うとともに、他県における先行事例についても調査を行うなど、本県における活用について検討してまいりたいと考えております。  次に、ひきこもり支援についてであります。  ひきこもりは、家族、友人、地域等の本人を取り巻く環境の問題などが複雑に絡み合っているものと考えられ、個人や家族の力だけでは解決することが困難であることから、社会全体で支援していく必要があると認識しております。県では、これまで精神保健福祉センター内に設置したひきこもり地域支援センターにおける相談支援や、ひきこもりの家族等の支援に携わるひきこもりサポーターの養成・派遣、民生委員・児童委員などに対する研修、県民の皆様への正しい知識の普及啓発を行っており、各市町や関係機関と協力しながら進めてまいりました。  また、ひきこもりの状態から回復するためには安全・安心な環境の中で理解のある人とつながることが重要であり、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者が気軽に集える居場所を提供する団体を公募し、平成三十年度から一か所当たり三年間のモデル事業を五か所で行っているほか、今年度からは特に多いとされている中高年のひきこもりの方を対象に、社会参加・体験などができる居場所づくりとして県内三か所でモデル事業を始めたところであります。  今後は、これらのモデル事業の成果を当事者、支援者、各市町などの関係機関と分析し、居場所づくりの在り方を含めた実施方法の検討を行うことにより、それぞれの地域における居場所づくりを促進するとともに、ひきこもり地域支援センターを中心に、ひきこもりサポーターなどの人材育成や普及啓発を進め、多くの市町でひきこもりの支援に取り組める環境づくりに力を入れてまいりたいと考えております。  私といたしましては、今後とも各市町や関係機関と連携しながらひきこもり施策を進め、安心して暮らせる地域づくりに努めてまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして健康福祉部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)土岐健康福祉部長。    (健康福祉部長土岐敦史君登壇) ◯健康福祉部長(土岐敦史君)岡野議員の重度心身障害者等医療費等支給事業についての御質問にお答えいたします。  この事業は、重度の心身障害児者等の健康の保持及び増進並びにその生活の安定に寄与するために、各市町が行う医療費助成に要する費用に対して県が補助するものであり、昭和四十九年の事業創設時に手帳制度の存在した身体障害児者及び知的障害児者を対象として実施してきました。その後、平成七年の精神保健福祉法の改正により精神障害者への手帳制度が創設されましたが、精神疾患を対象に通院医療費の自己負担額の一部を助成する制度があることなどを踏まえ、本事業の対象とはしていないところであります。  精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方に対する助成につきましては、現在において本県も含め、四国四県では重度心身障害者等医療費等支給事業の対象としているところはありませんが、全国的には十八都府県において、手帳一級の方を全て対象に加えているものと承知をいたしております。  重度心身障害者等医療費等支給事業につきましては、本年八月から、受給者の方からの要望の多かった、医療機関の窓口での支払いが生じない現物給付について、全ての市町において実施ができるよう統一するなど、随時制度の見直しを行ってきたところでありますが、精神障害者への事業対象の拡大につきましては、今後実施主体である各市町の意見も伺うとともに、既に導入している都道府県の状況について研究してまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)岡野議員の性教育についての御質問にお答えいたします。  近年、児童・生徒を取り巻く社会環境の変化や性に関する情報の氾濫、LGBTへの理解の深まりなどにより、児童・生徒の性に関する意識の変容や価値観の多様化が進んでおります。こうした中、性に関する指導は、生涯にわたり命を尊重し、自他を大切にできる児童・生徒を育成するために大変重要であると考えております。  県教育委員会では、学習指導要領にのっとり、各学校が学校教育全体を通して教科横断的に性に関する指導を実施できるよう年間指導計画に位置づけ、児童・生徒の発達段階に応じて適切に実施することを指導しているところであり、各学校では、保健体育や学級活動を中心に保健体育科教員、学級担任、養護教諭が中心となって指導を行っています。しかし、近年において児童・生徒の心身の成熟には個人差が大きく、性に関する今日的な課題の指導について戸惑いを感じている教員がいることも事実であると認識しております。  また、議員御指摘のとおり、本県の性に関する指導の手引きは平成七年から九年に作成したもので、現在では内容が古くなり活用しておりませんが、中四国各県で手引きを活用している県は五県あります。そのうち近年改訂済みが二県、今後改訂予定が一県であり、いずれも学習指導要領の改訂に伴うものと聞いております。今後、手引きの内容や活用状況、改訂の方向性などについて全国調査を実施したいと考えています。  県教育委員会といたしましては、今後、市町教育委員会や関係部局と連携し、本県における学校現場での性教育の課題の把握に努めるとともに、他県の性に関する指導の手引きの改訂状況も参考にしながら、本県の実態に即した効果的な性に関する指導の在り方について検討してまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時四十九分休憩                         午後 一時  七分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    十  河     直 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君
       竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    西  川  昭  吾 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   太  田  吉  夫 君           審  議  監   大  山     智 君           政 策 部 長   淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長   東  田  晃  拓 君           環境森林部長    木  村  士  郎 君           健康福祉部長    土  岐  敦  史 君           商工労働部長    近  藤  清  志 君           交流推進部長    佐  藤  今日子  君           農政水産部長    新  池  伸  司 君           土 木 部 長   西  川  英  吉 君           知事公室長     尾  崎  英  司 君           危機管理総局長   寺  嶋  賢  治 君           文化芸術局長    小  川     剛 君           子ども政策推進局長 吉  田  典  子 君           会計管理者     田  中  一  裕 君           病 院 局 長   岡  内  浩  二 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     那  須     修 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監査委員事務局長  岡     興  司 君           人事委員会委員長  関  谷  利  裕 君           人事委員会事務局長 岡  田  総  一 君           労働委員会事務局長 豊  島  正  人 君           政策部次長     椋  田  那津希  君    ───────────────────────────── ◯副議長(十河 直君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  鏡原慎一郎君。    (鏡原慎一郎君登壇、拍手) ◯鏡原慎一郎君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、私は五つの項目について知事及び警察本部長にお伺いをいたします。  まず初めに、予防接種の免疫を失った子供の再接種への助成についてであります。  現在、県内市町において、公衆衛生の向上及び増進を図るため、予防接種法に基づき、伝染のおそれがある疾病発症及び蔓延の予防のための定期接種が行われています。定期接種の対象は、ヒブ、小児の肺炎球菌、風疹などがあり、市町が実施主体となり、その費用は今現状では無料となっております。なお、市町の財源の約九割を国が交付税措置しております。  しかしながら、小児白血病や小児がんなどにより骨髄移植や抗がん剤治療を受けると、それまでに予防接種で得た抗体がなくなり、その効果が期待できなくなります。この場合は、治療後に再度予防接種を受け直すことになりますが、現行制度では任意接種扱いとなり、費用は全額自己負担となってしまいます。必要な予防接種を全て受けると、その総額は約二十万円程度の負担となります。がん患者などを支える家族の身体的・経済的・精神的負担は相当なものであるにもかかわらず、制度的にさらなる負担の上乗せとなるのが現状であります。仮にも、経済的理由により必要なワクチン接種ができないということはあってはなりません。  こうしたことから、県内においても、昨年三月に東かがわ市で、東かがわ市特別な理由による任意予防接種費用助成金交付要綱を定め、骨髄移植手術などの理由により接種済みの定期予防接種の予防効果が期待できないと医師に判断された満二十歳未満の方について、予防接種に係る費用を基本的に全額助成する制度を新設しました。また、全国的にも同様の制度を始める自治体が多くあります。都道府県においては、大阪府が再接種費用を助成する基礎自治体に対し、府として助成を行う事業を実施しております。これは、各基礎自治体の助成制度創設を促進することが目的となっています。  そこで、骨髄移植や抗がん剤治療といった特別な事情がある子供が、その予防接種の効果を失うことについて及び予防接種の再接種を受ける必要性についてどのようにお考えなのか、知事にお伺いをいたします。  また、再接種の費用を独自に助成する制度が全国的に創設されていることについての見解及び特別な事情により身体的・経済的・精神的負担をせざるを得ない人たちがいるという課題をどのように捉えているのかお伺いした上で、大阪府のように市町に対する補助事業を創設し、県内市町における制度創設を後押しする必要が私はあると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。  二点目は、県内の観光振興についてです。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、本県の観光も大きなダメージを受けています。県内の観光施設や宿泊施設でもキャンセルが相次ぎ、宿泊人数は対前年比で五月には約九〇%減となってしまいました。その後、うどん県泊まってかがわ割などで七月、八月と持ち直しつつあったものの、九月以降の伸びはよくない状況です。今後、国のGo To キャンペーンの本格化や新型コロナウイルス感染症の感染状況などによって少しずつでも上向き傾向になると思われますが、そのときに、まず香川へ行こうと思ってもらうためのことを今やっていかなければならないと考えます。  特に、このたびの新型コロナウイルス感染症により、旅行の形態は団体旅行から個人旅行に変化することが予測され、個人がどこを選ぶのかが今後の鍵になると考えます。また、これは国内旅行者だけではなく、インバウンド、海外旅行者も同じ傾向にあるものと思われます。今から本県の魅力をPRしていくために何が必要なのか。これまでは、旅行雑誌やインターネット上の観光サイトなどを使って調べる人が多かったように思います。もちろん、現在でも少なくない方がそうであると思います。  しかし、若い方や海外の方で最近多いのがSNSの利用です。SNSは情報発信ツールだけだと思われがちですが、そこから信頼できる個人の情報を抽出し、情報を得るツールへとなっています。要は、SNSが買物やお店選びなどのための検索行動の場に進化しており、情報との出会いは「ググる」から、ハッシュタグを検索するという意味の「タグる」へシフトしてきているということです。特に、「インスタ映え」という言葉が二〇一七年に流行語大賞の年間大賞に選定をされましたが、その中でもインスタグラムは多くの方が利用し、本県でもそうですが、全国的にもインスタグラムからの発信で火がついた観光地などが多くあります。情報媒体は、時代の流れとともに大きく、そして早く変化をしていきます。  本県においても、そういった流れに乗り遅れることのないように、有名ブロガーやインフルエンサーの方に本県の魅力を自身のSNSなどで発信してもらうという取組を行っています。このような取組については評価するところでありますが、さきに述べたように信頼できる個人からの情報をタグるというのが今の流れだと思います。ですので、そういった方々だけではなく、本県にいる大学生や社会人、外国の方など全ての県民に協力をしてもらって本県をPRしていく、していける仕組みを考えていかなければならないと思います。  そこで、本県がコロナ後一番に訪れたい県に選ばれるようにこれまでどのような事業を展開してきたのか、また、今後の取組について知事にお伺いをいたします。  併せて、SNS、特に現在ではインスタによる本県のPRを大学生や社会人、外国の方などに協力してもらえる仕組みづくりをしていくお考えはないのか。まずは大学生や県内外国人など特定の集団での仕組みづくりも考えられますが、知事の御所見をお伺いいたします。  また、現在県では、本県を来訪される皆様が手軽に観光情報などにアクセスでき、さらには災害発生時に素早く緊急情報などを取得することができるよう、無料公衆無線LANサービスかがわWi─Fiについて、市町や民間施設などへの設置を働きかけ、官民協働によるお接待の心でその取組を進め、順次整備を行ってきているところであり、昨年度末までに、かがわWi─Fiを含む県及び市町等が関与して整備したWi─Fiスポットの数は千七百六十五か所となっています。  しかしながら、インバウンド客に対するアンケート調査では、「ネット使用で困っている」と答えた人はいまだに少なくはなく、より一層の事業の推進を行っていかなければなりません。その推進に併せて、首都圏や海外では既に普及し始めているモバイルバッテリーの貸出サービスを本県でも導入検討していくべきではないかと考えます。  自治体としては神戸市が初めて導入をしており、住民サービスや来訪者へのサービス向上だけではなく、サービス事業者と協定を結ぶことにより、設置場所を無償提供する代わりに機器に付随するデジタルサイネージ機能を使用する権利を市が持つようにしています。それにより、多くの設置場所で神戸市が発信したい情報や、災害時には災害情報を一括して配信することが可能になり、非常に効果があるとお聞きをしています。また、借りたモバイルバッテリーは、同システムが設置されている場所であれば、借りた場所と返却する場所はどこでもよく、例えば海外で借りて神戸市で返却することも可能であります。  モバイルバッテリー貸出サービスを導入する利点はほかにもあり、それはかがわWi─Fiの設置目的の一つでもある災害時の対応です。神戸市では、災害や停電発生時にモバイルバッテリーの無償貸出しやサービス事業者からのバッテリーの優先調達に関する協定も締結しております。同様に福岡市でもサービス事業者と協定を結び、市役所や市民センター、体育館、そのほかに地下鉄や商業施設にも設置しており、神戸市同様、災害時には無償でモバイルバッテリーの提供を行えるようにしているということであります。  観光推進県である本県においても、例えば瀬戸内国際芸術祭で多くの方が利用する飛行機、電車、船、バスなどの各施設やその乗り物、観光スポット、行政施設にモバイルバッテリー貸出サービスを設置するだけで多くの方の利便性が向上します。利便性の向上、安心の向上のために、お接待の心で整備の推進を検討すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。  三点目は、タンデム自転車の規制緩和についてお尋ねをいたします。  私は先日、高松市で開催されたタンデム自転車の試乗会に参加をしてきました。当日は、香川県視覚障害者福祉協会の方々も来ており、ふだんは経験がなかなかできない自転車に乗って爽やかな風を体いっぱいに感じて、全員が笑顔いっぱいの試乗会でありました。  タンデム自転車とは、一台の自転車でありながらペダルとサドルが二組ついており、二人で乗ることができる自転車であります。開催予定の東京オリンピック・パラリンピックでは、パラリンピックの自転車競技において、視覚障害がある選手のクラスで晴眼のパイロットとタンデムに同乗して行う競技があります。また、本県においても、私の知るところで、国営讃岐まんのう公園でタンデム自転車を楽しむことができます。  このようなタンデム自転車は、視覚障害者の方々や自転車愛好家の方々、また、観光地や公園などを中心に親しまれてきました。前方に誘導者がいることにより安心して乗車でき、障害があっても健常者と同じように自転車に乗って、風を切る感覚や疾走感を感じることができます。  しかしながら、現在、香川県内における公道では、道路交通法施行細則により自転車専用道路でのタンデム自転車の走行は認められているものの、県内には現在自転車専用道路はなく、実質走行することができない状況であります。また、公道走行ができないとなると、公道を利用して行われているトライアスロンやサイクルイベントなどの各種自転車競技において、視覚障害者の方の出場機会を奪うことにもなります。  全国の状況を見てみますと、公道におけるタンデム自転車の走行が可能となっている都道府県は増えております。私の調べたところによりますと、本年八月までに三十三道府県でタンデム自転車の走行が可能、二県では検討中となっており、四国を見ますと愛媛県、高知県では既に走行が可能で、徳島県においても規則改正に関するパブリックコメントが終了し、来年一月一日からの施行を目指し準備が進められています。  本県においても冒頭申し上げたように、高松スポーツ・健康感謝祭二〇二〇における体験イベントの開催や、今後県サイクリング協会や香川県視覚障害者福祉協会を中心に機運を盛り上げようとする動きも出てきています。当然、規制緩和に向けてはタンデム自転車の特性や本県における事情等も踏まえ考えていく必要はありますが、先ほど申し上げた全国的な広がりや本県における観光へのプラスアルファとしての効果、そして何より、平成二十八年四月に施行された障害を理由とする差別の解消に関する法律、いわゆる障害者差別解消法や、平成三十年四月から施行されている香川県障害のある人もない人も共に安心して暮らせる社会づくり条例の趣旨や目的にも沿うものであり、障害者福祉の向上の観点からも意味があるものと考えております。  そこで、本県においても、タンデム自転車の公道走行が可能となっている道府県の状況や内容を参考に、タンデム自転車の公道走行が可能となるよう規則の改正について早急に検討していくべきだと考えますが、警察本部長のお考えをお尋ねいたします。  四点目は、県内の中小企業振興施策についてであります。  今年に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、海外や県外での人の行き来が制限されています。また、県民の生活においても不要不急の外出や各種行事、イベント等が中止されたことにより、経済活動は低迷し、県内事業者においても様々な影響が出ています。このような中、県内経済を立て直していくためには、県内企業の九九・八%を占める中小企業の活性化をどのように図っていくかが重要であります。今までも、本県では県内中小企業振興に資する各種施策を実施してきているところでありますが、今回のようなコロナ禍においては、特に県内の中小企業の置かれている状況や中小企業がどういったことを今必要としているのかについて、早急に把握することが重要であります。  本県では、平成二十四年に議員立法として香川県中小企業振興条例が制定されており、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進し、県内経済の活性化を図っているところであります。その中には、中小企業振興施策を実施するに当たっては、国、市町、大学、中小企業団体その他の関係機関との連携に努めなければならないとの規定もあります。連携の仕方にもいろいろあると思いますが、中小企業のニーズを把握するためには、県と関係団体の代表者などで構成するような組織を立ち上げることも一つの方法ではないかと考えます。これまでも関係団体との話合いの場などは持たれてきたと思いますが、どのような形で意見聴取をしてきたのでしょうか。私は、単に現状の施策に関する意見交換だけではなく、中小企業振興条例に基づき、総合的な意見交換の場を意識的に設けることが必要であると考えていますが、いかがでしょうか。  そして、幅広く収集した意見を中小企業施策に的確に反映させていくべきであると思いますが、県においては中小企業振興施策についてどのように現状を把握し、事業を組み立てているのか、併せて知事にお伺いをいたします。  また、県において、中小企業振興施策として様々な観点から事業を実施していると思いますが、県が行っている事業内容を十分に活用し切れていない中小企業も多いのではないかと感じています。今回のコロナ禍では、本県経済の回復・活性化に資する施策である総合補助金制度を設け、予想を上回る申請があったところです。中小企業が望む制度となっており、かつ十分に周知されていれば、今回の総合補助金のように多くの中小企業が申請を行うことができ、まさに事業者にとっても、中小事業振興のために県は連携をしてくれていると感じてくれるのではないでしょうか。  そのほか、本県において既に実施している事業でも、情報が十分に知れ渡っていないために県の実施事業と中小企業の要望がミスマッチとなっている事例もあるのではないかと思います。本県で行っている事業の内容や実績を県内の中小企業や県民によく認識していただくことも必要であると考えます。  そこで、県の中小企業振興施策について、どのように県内の中小企業などに情報提供を行っているのか、現状の取組と今後の対応について知事にお尋ねをいたします。  五点目は、新型コロナウイルス感染症を契機とする人口等の地方分散についてお伺いいたします。  本年八月末、総務省が公表した七月の人口移動報告によりますと、東京、埼玉、千葉、神奈川の東京圏において他の道府県への転出が転入を千四百五十九人上回り、集計に外国人を含めるようになった二〇一三年七月以来初めて、転出が転入を上回りました。これは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、転入者が前年同月に比べ大きく減ったことが要因であります。東京圏への昨年七月の転入者は三万四千六百九十四人で、転出者は三万二千四百十九人となっており、本年七月は転入者が二万九千百三人で、転出者が三万五百六十二人となっています。繰り返しになりますが、メディアなどでは転出超過や人口流出という見出しで書かれておりますけれども、現状では転入者が減ったのであって、転出者が増えたわけではありません。今後、東京一極集中を是正し地方分散を進めていくにあたり、この点はしっかりと把握をしておかなければならないと考えます。  そこで、本県における転入転出の状況とその変化についてどのように捉え、分析をしているのか、また、他の自治体の状況についてどのように把握をしているのか、知事にお伺いをいたします。  その上で、今回の新型コロナウイルス感染症を機に地方移住やテレワークに光が差し、多くの地域でその取組が進められてきています。現在、移住促進や企業誘致、サテライトオフィスの開設などに対し、本県においても取組を進めているところであります。私は、今後、自治体の強みを生かした移住政策や移住者を誘致するブランディングと広報戦略が必要になってくると思っております。  移住者を誘致するためにどうするのかを考えるときに、先ほども申し上げましたが、その受皿を用意することは重要な施策の一つであります。しかしながら、移住希望者はどのようにしてそこにたどり着くのでしょうか。私は、まず、移住希望者の選択肢の一つに香川県を入れてもらうこと、その次に最終的な移住先に選んでもらえるように、それぞれの段階に応じた施策の展開が必要ではないかと考えています。特に、香川県を選択肢に入れてもらうことは、観光の先ほどの質問でも申し上げましたが、その発信についてしっかりと考えていかなければなりません。そして、総花的な政策になりがちな移住施策を、自治体の強みを生かしたニッチトップを目指すような政策に転換することが必要ではないでしょうか。本県としても、東京一極集中の是正と地方分散を目指し、その中でも、本県香川が選ばれる県として強く光り輝ける県となるよう取組を進めなければなりません。  そこで、知事にお伺いをいたします。  本県にはどのような強みがあると分析し、整理をしているのでしょうか。また、移住者を誘致するための戦略、特に香川県を選択肢の一つに入れてもらうための戦略について知事のお考えをお伺いいたします。  そして、それをPRするためにどのような広報戦略をお持ちなのでしょうか。観光の質問でも申し上げたように、県民の力を結集し情報発信をしていく仕組みづくりはここでも生きてくると思います。これまでのようなイベントやホームページだけでの発信ではなく、さらなる広報戦略について知事のお考えをお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)鏡原議員の御質問にお答えいたします。  まず、予防接種の再接種への助成についてであります。  骨髄移植等を受けると、予防接種により免疫を付与された血液細胞が消失し、予防接種の効果がなくなることから、感染のリスクを下げるためには、再度予防接種をすることが必要であると存じます。予防接種法に基づき各市町が費用を負担して行う定期の予防接種につきましては、疾病の発生及び蔓延を防止するために、罹患しやすい年齢等を踏まえ、対象となる疾病、接種年齢、回数等が法令で定められておりますが、骨髄移植等の医療行為により免疫が消失した場合の再接種につきましては、法令上定期接種の対象となっていないため、費用は全額自己負担とされているところであります。  再接種費用の助成につきましては、厚生労働省が平成三十年七月に全国の市区町村を対象に実施した調査によりますと、八十九の自治体が助成事業を行っているとの結果であり、東かがわ市を含め、各地で取組が始まっているものと受け止めております。また、小児がんにつきましては、近年、治療成績が向上しているものの、長期間の入院治療等を要することが多いことから、精神的・身体的な負担が大きいことに加え、経済的な負担も生じていると認識しております。  一方で、議員お尋ねの骨髄移植等の医療行為によって免疫が失われた方への再接種につきましては、副反応への対応等も含め、国において統一的に検討される必要があると考えられ、現在、国の予防接種基本方針部会において再接種を定期接種とすることも含めた議論がなされておりますことから、私といたしましては、こうした国における検討状況を注視していきたいと考えております。  次は、県内の観光振興についてであります。  議員御指摘のとおり、近年、インバウンドを含む観光客の誘致を進める上でSNSは欠かせないツールの一つとなっていることから、県でもフェイスブックやインスタグラムなどの公式アカウントを開設して鮮度の高い観光情報を随時発信しているほか、影響力のある著名なブロガーやインフルエンサーを招聘し、本県ならではの観光資源等を取り上げることで、本県の魅力を国内外に広く発信しております。とりわけ視覚的な要素の強いインスタグラムにおきましては、本県の風景や食などをテーマに、指定のラベル、いわゆるハッシュタグをつけて画像を投稿いただくインスタグラムフォトコンテストを実施しており、本県の魅力を多くの方々に発信し、共感いただく中で、特色のある画像は多くの注目を集めるなど、新たな観光資源の発掘にもつながることから、引き続きこれらの取組を積極的に進めてまいります。  議員御提案のSNSを活用した本県をPRする仕組みづくりにつきましては、若者や訪日外国人観光客などへアプローチを図る上で有効な手段の一つと考えられることから、実際の活用事例も参考にしながら、効果的な情報発信の手法について検対してまいりたいと考えております。  また、御指摘のモバイルバッテリー貸出サービスは、観光振興の面だけではなく、災害発生時の課題の一つである携帯電話の充電対策等にも有効なサービスと考えられ、県内では既に民間商業施設等を中心に設置されていると伺っておりますが、高松空港やJR高松駅など公共施設等への設置の可能性についても、関係者の御意見をお聴きした上で、先進事例も参考に研究してまいります。
     私といたしましては、今後の観光のトレンドを見極めながら、本県を旅行先に選んでいただけるよう、高付加価値で持続可能な観光地域づくりを推進するとともに、ターゲットを明確にした効果的な情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、新型コロナウイルス感染症の影響による転入転出の状況と移住施策についてであります。  本県人口は、本年二月以降、転入、転出とも前年値の割り込みが続いており、人の移動が大きく縮小するほか、直近半年では、転出は前年同期比で二千二百二十九人減となったものの、転入も二千六百一人減となり、合わせて三百七十二人減と社会減が拡大傾向となっております。また、四国の他の三県につきましても、人口移動規模の縮小は同様な状況となっております。これらの要因は緊急事態宣言等に係る移動自粛が大きいものと考えますが、一方、国の調査では地方移住に関する関心は高まっているとの報告もあり、地方移住を働きかける好機とも捉えているところであります。  移住の促進に当たっては、瀬戸内の温暖な気候や災害が少ないという自然環境、コンパクトな中に都市の持つ利便性と豊かな自然が調和した住みやすい環境などが本県の強みであると考え、移住の検討を始めた方や本県への移住を本格的に検討している方など移住への意識の程度に応じて、移住フェア等での魅力発信をはじめ、東京や大阪に配置している移住・交流コーディネーターによるきめ細かな相談対応、仕事や住まいのマッチング支援などの施策を総合的に展開しております。また、本県に移住された方に、香川の魅力や暮らしのよさを自身の経験を踏まえてPRしていただこうと、かがわ暮らし応援隊を委嘱し、個人のSNSなどでの情報発信を行っているところであり、さらに効果的な魅力発信について、各市町と知恵を出し合い検討を進めたいと考えております。  私といたしましては、各市町等とも連携しながら、移住先として本県を選んでもらえるよう、創意工夫を凝らした移住の促進に、なお一層積極的に取り組んでまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして、商工労働部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(十河 直君)近藤商工労働部長。    (商工労働部長近藤清志君登壇) ◯商工労働部長(近藤清志君)鏡原議員の県内の中小企業振興施策についての御質問にお答えいたします。  中小企業振興施策の推進に当たりましては、商工会議所、商工会や中小企業家同友会などから広く御意見を伺うとともに、中小企業の支援を行う信用保証協会やかがわ産業支援財団からも情報提供を受け、意見交換を行いながら施策に反映させるとともに、こうした機関と連携しながら事業を実施しております。県内企業等が広く交流を図るかがわ産業振興クラブに御協力いただき、企業経営者と知事との意見交換会を毎年行っているほか、このたびのコロナ禍では商工団体や中小企業支援機関、金融機関の代表者から、感染症の影響等についてお伺いしているところです。  議員御指摘のとおり、中小企業振興条例では、中小企業振興施策の実施に当たっては、国、市町、大学、中小企業団体その他の関係機関との連携に努めなければならないと規定されており、今後とも関係機関と率直な意見交換を行いながら、経済環境に応じた中小企業振興施策が推進できるよう努めてまいります。  県施策の中小企業への情報提供につきましては、毎年度末に次年度の事業を紹介する企業向け説明会を開催いたしますとともに、県のホームページに目的ごとに分かりやすく整理した事業一覧を掲載しておりますほか、各市町や商工団体、産業支援機関、金融機関などにも施策の周知に御協力をいただいております。  新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の皆様に対しましては、こうした周知に加え、かがわ産業支援財団が企業等に電話をかけ、国や県等の施策を紹介する取組を五月から実施しており、先月末までに延べ二千六百三十四件の対応を行ったところであります。  今後とも、国や県の施策が中小企業の皆様に着実に届くよう、とりわけコロナ禍のような厳しい状況におきましては、より多くの中小企業の皆様に施策を活用していただけるよう、関係機関と連携して周知に努めてまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)那須警察本部長。    (警察本部長那須 修君登壇) ◯警察本部長(那須 修君)鏡原議員のタンデム自転車の公道走行についての御質問にお答えいたします。  タンデム自転車は、複数人が力を合わせて同じペースで走行し、目にした風景について感想を話しながらツーリングを楽しむことができ、また、障害がある方々による自転車利用の道を開く福祉の観点からも有用な乗り物であると理解しております。  他県でも、観光や自転車ツーリングの振興、視覚障害者の行動範囲の拡大、サイクルスポーツの普及といった視点からの要請を受け、公安委員会規則の改正が進んでおり、議員御指摘のとおり、本年八月一日現在、三十三道府県において規制緩和がなされたことも承知しております。  当県におきましては、現在のところ、小回りが利かない、速度が出やすいなどといったタンデム自転車の問題点等を考慮し、走行できる道路を自転車専用道路に限定しておりますが、今後、他県の状況や安全性等について調査・研究を進め、実施すべき安全対策等の検討を踏まえた上で、二人乗り用のタンデム自転車について一般公道で走行できるようにする香川県公安委員会規則の改正について、検討を進めてまいる所存でございます。(降壇) ◯副議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  広瀬良隆君。    (広瀬良隆君登壇、拍手) ◯広瀬良隆君 中国武漢から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行は収束の時期が見えないまま、いまだ猛成を振るい、世界の累積感染者数は三千五百万人を超え、死者数は百万人を超えています。本年三月十一日にはWHO世界保健機関よりパンデミック宣言が出され、全世界の人々が経験のない感染症禍にさらされています。日本においても、感染を防ぐために国民はマスクをつけ、三密の場を避け、他人との距離を維持するという今までにない生活を余儀なくされています。街のにぎわいはいまだ戻らず、観光客も鳴りを潜め、経済停滞により倒産する会社も多く出ています。  ただ、日本のこの感染症による被害状況は九月末時点で累積感染者八万三千七百人、死亡者千五百七十五人と、欧米諸国のそれに比べてはるかに少なく、なぜこれほど差が出ているのか不明のまま、欧米と同等の、あるいはそれ以上の感染症対策を講じて目の前の感染症禍にじっと耐えているというのが日本の現状です。  国内での感染が始まった初期は、武漢での恐ろしい感染の広まりを報道等で目の当たりにして、我が国もいずれあのような事態になるのではという恐怖と不安を持って推移を見守っていました。しかし、日本にこの感染症が上陸して九か月が過ぎ、事態を冷静に見るにつけ、日本の感染被害の小ささに内心安堵しながらも、欧米の流行との違いに不可解な思いを抱き続けている人は多いと思われます。  そうした中、今、日本の免疫学の専門家等から、この不可解な現象に答えを与える学説が出て、注目されています。それは京都大学大学院特定教授上久保靖彦教授と吉備国際大学の高橋 淳教授が共同研究の成果としてケンブリッジオープンエンゲージというオープンサイトに本年五月三日付で投稿した論文で、原文は英文ですが、論文の題名を私なりに和訳すると「集団免疫と抗体依存性感染増強による新型コロナウイルスの逆説的ダイナミクス」となります。査読前の論文を公表し、世界に評価を問おうとしたものです。この論文では以下のことが述べられています。  昨年、恐らく中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、正確には三種類ある。S型、K型、G型である。これはウイルスのスパイクと呼ばれる突起部分が変異したもので、突起部分が人間の受容体にはまり込んで感染を起こすが、最初にS型が発生し、これがK型に変異、そしてG型に変異した。S型、K型は弱毒性で、G型が強毒性である。中国から世界への感染はS、K、Gの順番に広がっていった。強毒なG型がイタリアをはじめとしてヨーロッパ、アメリカへと感染し、パンデミックを引き起こした。日本にもG型は中国や欧米から入り広まったが、そのとき既に日本には新型コロナウイルスの免疫が獲得されていて、大きな被害には至らなかった。同じG型が上陸したのに、日本と欧米の違いはなぜか。論文では、その原因はS型の次に上陸したK型にあるといいます。K型に感染すると、弱毒性で軽く済むばかりでなく、T細胞免疫というものが形成され、強毒性のG型を撃退する働きを持つ。このK型が日本やアジア諸国に上陸して広く感染した。欧米にはこのK型は上陸しなかった。なぜなら、日本では長らく武漢以外の中国からの入国を許していたのに対し、欧米では早くに中国からの入国を遮断したためである。欧米ではS型が入ってK型は入らず、G型が入った。そのためにK型による免疫はできなかった。そればかりかS型の抗体がマイナスに作用して、G型の感染、炎症を重篤化する抗体依存性感染増強、ADEという副作用を引き起こした。日本及び近隣諸国はK型によるT細胞免疫によってG型が軽症で済み、欧米諸国はS型による抗体依存性感染増強によってG型が機能増強され、重篤化したというのが今世界で起きている新型コロナウイルスの感染実態であると論文は述べています。  こうした新型コロナウイルスの感染経緯は何から分かったかというと、インフルエンザの流行曲線からといいます。論文で示された資料によれば、本年一月十三日頃にK型が日本に上陸した途端に、それまで増え続けていたインフルエンザの流行は極端に衰えています。インフルエンザ新型コロナウイルスは相互に干渉を起こす逆相関の関係にあるといいます。インフルエンザにかかると新型コロナにはかからないし、新型コロナにかかるとインフルエンザにはかからないということです。インフルエンザの流行は世界各国、各地域で詳しくモニターされているので、精密なデータが取れる。そこで、インフルエンザの流行曲線の変化から、新型コロナウイルスの感染状況が正確に把握できるといいます。  インフルエンザと新型コロナが相互に干渉するのであれば、新型コロナ後、この夏初めてインフルエンザの感染期を迎えた南半球の国々のインフルエンザ感染状況が気になります。WHOのインフルエンザサーベイランスレポートによれば、この夏、南半球でのインフルエンザ患者数が劇的に少ないことが分かります。多くの報道では、これはインフルエンザワクテン接種を徹底したことや、マスクやディスタンスなど新型コロナウイルスへの対策が効いたのではとしていますが、論文が言うインフルエンザと新型コロナの相互干渉性を実証しているものかもしれず、今後の研究結果が注目されるところです。  ウイルスというものは人間社会に常在して変異を操り返しているものであって、せっかくできた免疫もウイルスに暴露され続けていないと維持されない。暴露されることによって維持される。現在のように人間をウイルスから隔絶しようとする対策は、かえって免疫を廃らせる可能性があると上久保教授は指摘します。  現在、政府はGo To キャンペーン等で日本の社会経済的ダメージからの回復を図ろうとする試みを始めましたが、期せずしてこの政策が日本の集団免疫を守るためにいい方向に作用するのかもしれません。それを願うものです。  さて、そこで私の一般質問に入ります。  最初の質問は、今後の新型コロナウイルス感染症に関わる県の対策の進め方についてです。  本県に初めて感染症が出たのが三月十七日。その日から約二百日がたちました。この間、発生した感染者の数は百人足らず。つまり、二日に一人感染者が出るというペースです。人口比率でいうとほぼ一万人に一人ということになります。死亡者は二人。ICUに入ったり、人工呼吸器や人工心肺装置を装着することになったいわゆる重症者は一人と聞いています。こうした実績データからいえば、本県における新型コロナウイルスの感染被害は小さいと言えます。こうした結果となっている背景には、県下の行政担当者、医療従事者等の献身的働きがあったればこそであり、関係各位に心より敬意を表するものであります。  感染被害の小ささの一方、この期間に発生した新型コロナウイルス禍による社会経済的被害はリーマン・ショック以上と言われるほど大きく、飲食店やホテル、観光業から始まり、今も様々な産業に影響が広まっている状況です。これは、ウイルスの蔓延による被害というより、ウイルスに対する恐怖心、警戒心が蔓延し、その結果、社会経済活動に麻痺的症状が出た結果の被害と言ってよいと思います。感染を恐れて神経をすり減らし、精神的ダメージを受けている人も増えているといいます。感染症による直接被害の小ささに比べて、社会的二次被害の大きさに愕然としてしまいます。これが感染症の怖さでしょうか。  これまでは、感染症発生当初の中国武漢やその後の欧米での、重症者や死亡者が多発する感染状況へのおそれから、我が国においても、本県においても、感染拡大を抑える対策やそれに備える対策が重点的に取られてきました。しかし、新型コロナ騒ぎも九か月以上が経過し、我が国の、そして本県の感染症被害状況の実態が明らかになるにつれ、今後はこれまでの感染拡大防止策を取りながらも、対策の軸足を社会経済的被害の回復に重きを置いていくことが必要と考えます。感染拡大はないか、石橋をたたいて進むような慎重さが必要ですが、県民の安心感を醸成し、社会経済活動の麻痺的状況を解消していく政策が求められます。  本県に初めて感染者が出た三月から半年以上が過ぎ、この間の本県の感染被害の実績データから判断して私は以上のように考えますが、知事はこの点どのようにお考えになるか、御所見をお伺いいたします。  次の質問は、コロナ禍におけるがん対策の在り方についてです。  新型コロナウイルスの感染拡大が、がん対策にも影響を及ぼしているといいます。がんの検診や手術の休止・延期が相次ぎ、がん対策にとって重要な早期発見や治療の遅れも懸念されています。がん医療の第一人者である東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一氏も、こうした状況に警鐘を鳴らしています。新型コロナは未知のウイルスであり、慎重かつ適切に対策を講じなければならないことは当然です。しかし、国内での新型コロナウイルス感染症による死者が、この九か月ほどで約千六百人ほどである一方、がんによる死亡は年間約三十八万人です。現在の日本の医療が新型コロナウイルス感染症に重点的に向けられるあまり、その他の医療が手薄になり、犠牲者が増えるようなことはあってはなりません。国民の健康、国民の命を守るために、新型コロナ対策だけでなく、医療全般にわたって変わることのない、確かな、手厚い対策が講じられていくことが求められています。  そうした中、コロナ禍におけるがん対策の課題として、中川准教授は、生活習慣の悪化、早期発見の遅れ、がん治療への影響の三点を指摘します。  一番目の生活習慣の悪化は、テレワークや在宅勤務の恒常化が、がん対策への悪影響を招くというものです。在宅の時間が長くなれば、運動不足にもなるし、喫煙や飲酒の量が高まるかもしれません。米国の研究では、座っている時間が長いとがんで死亡するリスクが高まるというデータもあるといいます。理由は十分に解明されていませんが、ホルモンバランスや血流の問題ではないかとも考えられています。もともと日本は座る文化の国だから、在宅勤務でその傾向がより強まるともいえます。中川准教授は、長時間座るときは、時々いわゆる貧乏揺すりをしたり、三十分に一回は立って動いたりすることを勧めています。  二番目の影響である早期発見の遅れに関しては、今年は新型コロナウイルス拡大の影響で、がん検診を受ける人が例年より三割以上減ることが見込まれるといいます。日本対がん協会が実施するがん検診では毎年一万三千人のがんを発見していますが、受診者が三割減れば約四千人のがん発見が遅れる計算です。また、胃がんで亡くなる人はこれまでずっと年間五万人前後で推移してきましたが、二〇一九年はなんと四万三千人を切りました。これは、ピロリ菌除菌の保険適用が慢性胃炎にも拡大された際、胃カメラによる検査が条件に盛り込まれたことが大きいと言われています。年間百五十万件の胃カメラ検査が実施されるようになり、百件の検査で一件のがんが見つかることから、単純計算で年間約一万五千件の胃がんが早期に発見されているのです。検診が減れば、こうした明らかな効果が目に見えて減ってしまいます。  がんは早期発見できれば約九割が完治するのに、コロナ禍でまともに受診できなければ、がんが一挙に増えるおそれがあります。乳がんは、一センチのがんが二センチになるのに二年弱しかかかりません。一回の検診の遅れが命取りになりかねません。早めに受診できるための環境整備が強く求められていると中川准教授は訴えます。  三番目の治療への影響は、医療従事者が新型コロナへの感染を避けるために、また、実際に感染してしまったために手術を休止する事態も発生しているといいます。そうした状況下で重要性を増しているのが放射線治療だといいます。患者との濃厚接触による医療従事者の感染リスクが手術よりも少なく、通院で治療できるほか、照射技術の進歩で副作用が少なくなり、通院回数も減っているので、仕事と治療の両立もしやすいといいます。費用面でも九九%程度の治療が保険適用となります。ただ、日本では放射線治療を受けている患者は全体の三割程度にすぎません。手術の方が適切なケースもありますが、放射線治療が選択肢として患者にしっかりと示されることも重要と中川准教長は言います。  こうしたがん対策の専門家の意見を踏まえながら、従来行われてきた県としてのがん対策が、コロナ禍により後退することがないようにどう取り組んでいくのか、とりわけ、がんの検診率向上、早期発見の推進のためにどう取り組むのか、知事の御所見を伺います。  私の最後の質問は、ネット・ゲーム依存症対策の推進についてです。  香川県の条例が策定・施行されて半年がたちました。策定の段階から様々な反響を呼んだ条例でしたが、ひとまず県民、とりわけ子供たちのネット・ゲーム依存を防ぐための県の取組の基盤ができたことは喜ばしいことです。  この条例策定に専門的知見をもって惜しみなく協力の労を取ってくださったのが、ネット・ゲーム依存の臨床研究の第一人者である久里浜医療センターの樋口 進院長と、香川県の御出身で、大阪で心療内科クリニックを営む岡田尊司院長のお二人でありました。樋口先生は、ゲーム障害やギャンブル障害などの行動嗜癖やアルコール関連問題の予防・治療・研究などを専門とし、WHOにおいて行動嗜癖に関するWHO会議及びフォーラムの座長も務められた方でありました。岡田先生はパーソナリティ障害や発達障害治療の最前線で活曜され、二〇〇五年に著した「脳内汚染」は、ゲームやメディアが子供たちの脳に与える影響について論じられ、大きな反響を呼び起こしました。これ以前にある大学教授が提唱した「ゲーム脳」が一時脚光を浴びながらも、医学的根拠に乏しいと急速に評価を落としたのに対し、「脳内汚染」で論じられたことは、それまでの様々な研究によってなされた、ゲームを含む映像メディアの心や脳に対する影響についての調査・研究を踏まえた上での問題提起であると、著名な学者の絶賛を受けるなど高い評価を得ました。  岡田先生は、本県の条例検討委員会で、依存症の予防対策で重要なことは二つとおっしゃっていました。一つは、安心できる親子関係など人間関係の構築ということで、不安定な愛着や環境への不適応は依存症のリスクを高めるということでした。もう一つは、依存症教育です。生徒だけでなく保護者も対象として依存症教育を実施することが重要であり、知らず知らずのうちに依存症に陥ることの怖さを家族で共有することが大事で、家族、社会の課題として取り組んでいく視点を重視すべきだということでした。  そこで、まず、お伺いいたします。  条例第十二条にも規定されたネット・ゲームに関する正しい知識の普及啓発及び依存症教育をどう推進していくのか、知事及び教育長のお考えをお聞かせください。  ネットやゲームがこれだけ子供たちの生活の中に取り込まれている現状では、子や孫が激しい依存の状況に陥って、心配でたまらないのにどこにも相談できずにいる人は大勢いると思われます。岡田先生の著作にもそうした事例は山のように載っています。こうした不安に応えるために、ネット・ゲーム依存の相談支援窓口を設けることが求められています。  かつて、それまで法的に障害とみなされていなかった自閉症、アスペルガー症候詳などを発達障害として定義し、法的な位置づけを与えたのが発達障害者支援法でした。そして、この支援法の中でうたわれ、実施の中心となったのが発達障害者支援センターでした。同センターが全国各地に設立され、発達障害という病状が認知され、発達障害に悩む家族の大きな支えとなり、支援の窓口となったのです。これと同じように、今、ネット・ゲーム依存に悩む本人や家族のために、相談支援体制を整備することが急務であります。条例の第十五条にも、相談支援等を推進するために必要な施策を講ずるとあります。これにどのように取り組むのか、知事の御所見を伺います。  また、そうした相談対応ができる人材を確保しなければなりません。条例第十六条にあるように、ネット・ゲーム依存症に関し十分な知識を有する人材の確保・養成及び資質の向上にどのように取り組まれるのか、併せて知事にお伺いいたします。  条例第八条では、国との連携等について言及しています。国と連携協力して対策の推進を図るとともに、必要があれば国に対し、他の依存症対策と同様に法整備や医療提供体制の充実などの必要な施策とともに、ネット・ゲーム依存症の危険要因を踏まえた適切な予防対策の策定及び実施を講ずるよう求めるとあります。  条例検討委員会のメンバーであった私は、あるとき樋口先生に、日本の将来にこれほど重要な意味を持つネット・ゲーム依存症対策なのだから、国もしっかり取り組むべきだが、国の動きはどうかとお聞きしたとき、先生は、国の動きはまだまだである。であるからこそ、香川県が頑張って全国初の条例を制定し、国の対応を促してもらいたいという意味のことをおっしゃっていました。実はその後、樋口先生は、我が公明党の機関紙公明新聞に「ゲーム・スマホ依存 特徴と対処法」と題して十三回にわたって寄稿してくださいました。その最終回の最後の結びに先生は、香川県の条例について触れ、「若者のゲームの過剰使用に起因する問題や依存を予防することを目的にした条例で、画期的なものだと思います。今後、適切に施行され、その有効性が評価された上で、アルコール健康障害やギャンブル等依存症のように、国の基本法として結実していくことが期待されます。」と述べて稿を閉じておられます。まさに樋口先生の期待どおりに、本県から国の一層の対応を促し、国に基本法が策定され、それに基づいて全国規模でネット・ゲーム依存症対策が講じられるようになることを願うものであります。  国との連携協力にどう取りむのか、知事の御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)広瀬議員の御質問にお答えいたします。  まず、今後の新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。  本年三月に本県で初の感染者が発生して以降、四月十六日には本県を含む全都道府県が国の緊急事態宣言の対象地域となり、外出自粛や休業要請等の感染拡大防止策を講じてまいりましたが、五月十四日に本県を含む三十九県で、五月二十五日に全都道府県で解除されたことを踏まえ、その後は県民の皆様、事業者の皆様に適切な感染防止策を講じていただくことを前提に、段階的に社会経済活動のレベルを引き上げてきたところであります。七月には再び感染者が増加する場面もありましたが、その後は一定の感染者数にとどまっており、八月二十一日には、感染防止と社会経済活動の維持・回復との両立にきめ細かくかつ柔軟に対応できるよう香川県対処方針を見直し、本県の感染状況等を踏まえ、先月十二日からは準感染警戒期に移行しております。  また、庁内に設置した経済・雇用対策ワーキングチームにおきまして、議員御指摘の飲食サービス業、観光宿泊業をはじめ幅広い業種において需要の落ち込みによる影響が生じているほか、感染リスクに対応し、新しい生活様式への移行への取組の必要性が増しているなどの状況を把握したところであります。  これまでの間、事業者の皆様の事業継続と雇用の維持、県民の皆様の生活支援につきまして、国の対策に呼応しながら各種施策による下支えを一定程度担ってきたものと考えておりますが、今後も当面はこうした支援を継続するとともに、落ち込んだ消費需要を喚起し、県内経済を回復するための対策を行う必要があると考えております。  私といたしましては、今後の状況の変化なども踏まえて不断に検証を進めつつ、県民及び事業者の皆様に、新しい生活様式の実践や感染防止対策の徹底を講じていただくことを前提として、感染防止と社会経済活動の維持・回復の両立のために全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえたがん対策についてであります。  がんの発症予防につきましては、バランスの取れた食生活や節度のある飲酒など、がんを防ぐための新十二か条について、県の広報誌やホームページで周知するとともに、「一日三食 まず野菜!」運動としてレシピ集を配布したり、かがわ健康ポイント事業「マイチャレかがわ!」で歩数を競うグループ対抗戦を実施するなど、感染防止に留意した上で、望ましい食習慣や運動習慣の実践を促す環境づくりに努めております。  また、がんの早期発見につきましては、新型コロナウイルスの影響で、今年度前半に予定していた集団検診を延期や中止した市町もありましたが、検診の日時を指定したり、回数を増やしたりすることにより三密を避けるなど感染対策を講じた上で、住民の皆様の受診機会の確保に努めていると伺っており、県といたしましても引き続き各市町と連携して、がん検診の受診促進に取り組んでまいります。  加えて、毎年十月の乳がん月間に合わせて、休日に乳がん検診を実施するかがわマンモグラフィーサンデーについて、今年度も今月の休日等に二十一の医療機関の協力を得て実施するとともに、新たに乳がん検診のほか、子宮頸がん検診を行うこととしております。  さらに、がんの治療につきましては、県内五か所のがん診療連携拠点病院等において、専門的な知識を有する複数の医師等が、患者のニーズも踏まえ、治療方針について総合的に検討しているほか、高度な放射線治療を含め、患者が適切な医療を受けることができる体制の整備に努めているところであります。  私といたしましては、今後も、がん対策推進条例やがん対策推進計画に基づき、「県民一人ひとりが、がんを知り、お互いに手をたずさえてがんと向かい合う香川の実現」を目指して、がんの発症予防や早期発見・早期治療等の推進に取り組んでまいります。  次は、ネット・ゲーム依存対策の推進についてであります。  ネット・ゲーム依存対策に当たっては、家庭や学校など社会全体で対応していく必要があり、県においては、依存状態に陥ることを未然に防ぐための正しい知識の普及啓発や、早期発見・早期治療のための相談支援に加え、医療提供体制の充実などの対策を総合的に推進していくこととしております。  このため、ネット・ゲーム依存のリスクや家庭におけるルールづくり、条例の趣旨等について、県広報誌八月号に折り込みチラシを入れるなど、広く県民の皆様に周知しているほか、来月三日にネット・ゲーム依存予防対策講演会を開催するなど、ネット・ゲーム依存に関する正しい知識や予防等に関する知識の普及啓発を図ってまいります。  県による相談支援につきましては、精神保健福祉センターを中心に各保健所で行っているところでありますが、現在作成している回復プログラムを来年度からはセンター等でも活用し、相談者により適したアドバイスを行うなど相談支援体制の充実に努めてまいります。また、相談に必要な専門的知識を持つ人材を確保するため、昨年度より依存症対策の全国拠点である国立病院機構久里浜医療センターが主催する研修へ県職員を派遣しており、今後とも継続的に相談支援に必要な人材養成を行ってまいります。  国との連携等につきましては、本年六月に実施した政府予算等に関する政策提案・要望において、私から医療提供体制の充実や人材育成などの必要な対策に取り組んでいただくよう要望を行ったところであり、今後とも機会を捉えて国に対して働きかけてまいります。  私といたしましては、引き続き教育委員会など関係機関と連携し、効果的なネット・ゲーム依存対策を推進し、本県の子供たちをはじめ、県民の皆様をネット・ゲーム依存から守るための対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)広瀬議員のネット・ゲーム依存対策の推進についての御質問にお答えいたします。  子供のネット・ゲーム依存の未然防止や早期発見、早期対応のためには、正しい知識の普及啓発及び依存症教育は重要であると考えております。  県教育委員会では、まずは子供に関わる教員等が正しい知識を身につける必要があることから、教育相談担当の指導主事等を国立病院機構久里浜医療センターの研修に派遣したり、教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を対象とした研修を実施するなどの取組を行っております。  依存症教育については、子供が自らのネット・ゲームとの付き合い方について、これでよいのかと立ち止まって考えることが何より重要であります。このため、今年度、新たにネット・ゲーム依存予防対策学習シートを作成し、七月に各小・中学校に配付しましたが、学習シートの活用を通して子供自身が生活を振り返り、依存の程度を確かめたり、過剰な利用による身体面・生活面の影響を学ぶことで依存症についての理解を深め、その危険性を自分のこととして切実感を持って捉える機会となっております。  また、家庭と連携した取組として、保護者の理解と協力を得るため、教員が個人懇談会において、学習シートに現れた子供の実態を保護者に伝え、ネット・ゲームとの付き合い方についての課題を共有することで家庭でのルールづくりを促進しております。さらに、ネット・ゲーム依存の未然防止には幼児期からの対策が重要であることから、医師等の専門家による講話や親子の関わり方についての動画教材を作成し、先月、幼稚園、認定こども園、保育所、小学校等に配付し、保護者への啓発に活用していただくよう呼びかけているところです。  県教育委員会といたしましては、これらの取組の効果を検証しつつ、知事部局や市町教育委員会をはじめ、学校や保護者、関係機関等と連携・協力しながら、より効果的な普及啓発や依存症教育に係る取組を一層推進してまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  高木英一君。    (高木英一君登壇、拍手) ◯高木英一君 「自助・共助・公助、そして絆、規制改革。」、菅 義偉新総裁が発せられた言葉です。少子高齢化、人口減少、異常気象による自然災害の大規模化と多発化の時代にあって、とりわけ自助・共助・公助の精神が重要であると思います。  今、世界が新型コロナウイルス禍に襲われています。しかし、人類の歴史は、十三世紀のハンセン病、十四世紀のペスト、十六世紀の梅毒、十七世紀のインフルエンザ、十八世紀の天然痘、十九世紀のコレラと結核、二十世紀のスペイン風邪など、感染症に脅かされた歴史でしたが、人類はその災難を乗り越え、世界は大きく発展してきました。このような史実から、今回の新型コロナウイルス禍も、間もなくワクチンが開発され、落ち着くものとは思いますが、ペストやスペイン風邪と違うのは、症状のない新型コロナ感染者が、感染に気づかずに日常の生活を送り、知らないうちにウイルスを飛散させ、感染が拡大していることです。  しかし、二〇一九年、訪日外国人旅行者数が三千百八十八万人と大きく伸びたものの、二〇二〇年上半期の訪日外国人は約三百九十五万人と前年同月比七六・三%減になるなど、八月の訪日外国人旅行者数は前年同月比九九・七%減の八千七百人で、九九%以上の減になるのは五か月連続となりました。  今、大切なことは、アフターコロナ、ウィズコロナ社会において、急ブレーキを余儀なくされた経済社会活動を再開させるために、感染抑止と経済のバランスを取りながら、何に取り組み、何をしておくかであると考えますし、本県において、その早い取組が新型コロナウイルス禍が終息したとき、本県経済の早期の復活と活性化に生き、かつつながるものと考えます。  それでは、一般質問をさせていただきます。  大きな一点目は、アフターコロナ・ウィズコロナ社会における企業誘致の取組についてであります。  先月九月一日、人材サービス大手パソナグループは、東京にある人事、財務経理、経営企画等の本社機能を淡路島に移転すると発表しました。東京本社には約四千六百人が働き、うち本社機能社員が約千八百人で、このうち千二百人を二〇二四年五月までに段階的に移すそうです。決断のきっかけは、新型コロナウイルス感染拡大です。  私は、昭和五十年代初め、仕事の関係でよく淡路島へ行っていました。当時は交通の便も悪く、ビワとタマネギを主とした農業と漁業、そして三洋電機や窯業等の工場があるのみでした。しかし、明石海峡大橋が架かってからは、東京ドーム約二十八個分の県立淡路島公園やイングランドの丘、高田屋嘉平記念公園などの公園や記念館が整備されました。神戸や大阪からも一時間前後で来ることができるようになった淡路島は、島全体の魅力が大幅に増したおかげで、橋が架かる前に比べて大幅に来訪者が増え、活性化しました。  そして、四国と本州間には今、三本の橋が架かり、本県は日本第二の巨大経済圏エリアである京阪神とも近くなるとともに、高松自動車道には多くのインターチェンジが整備され、高い利便性を有しています。本県にも、豊かな発想と創造を生むのにふさわしい白砂青松に恵まれた瀬戸内海の景観など、淡路島に勝るとも劣らない優位性があり、こうした魅力を情報発信していくことが重要であると考えます。  そのような取組と実現が、地域の魅力を増し、ひいては地域の新たな稼ぐ力の創出となり、持続可能な地域づくりにつながります。磨けば光り輝くであろう地域の宝はいっぱいあります。今までの本県経済は、納税者・納税企業の自助努力に支えられ、本県は名目県内総生産GDPが三兆八千億円余となるなど、真面目で勤労意欲旺盛な県民に支えられ、活力を維持させてきました。今回のパソナグループの淡路島への本社機能の移転は、架橋後の兵庫県の官民挙げての、淡路島の秘めたる宝に磨きをかけ、光輝かせた努力が実ったものと思われます。
     一方で、今回のような本社機能の移転は地元の雇用創出につながりにくく、移転先の地域にとって、どのような利点が期待できるのか見えにくいとの指摘もあります。もちろん、パソナはこれまで島内の観光施設で地元の人を雇用する取組もしていますが、今回の本社機能移転は、長期的視点で見れば地元自治体への法人税、住民税等の税収増に加え、人口が増えることによるにぎわいの創出と消費拡大等による持続的経済効果が見込めますが、直接的な雇用創出効果は大きくはないものです。本県も県外からの企業誘致を積極的に推進していますが、地元住民にも歓迎されるためにも、働きの場の増嵩による地域の安定と活性化につながる地元での雇用創出が欠かせないと考えます。  そこで、一般質問させていただきます。  質問一、企業誘致の効果を上げるためには、本県が持つ特性、すなわち先ほど申し上げた利便性の高さや優れた景観のほか、災害の少なさ、京阪神への近さなどについての効果的な情報発信が重要であると考えますが、これらにどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いさせていただきます。  質問二、地元での雇用創出と地域の活性化につなげる本県への企業誘致について、特に香川県に近接した京阪神地域を中心にどのように推進していかれるのか、知事にお伺いさせていただきます。  大きな二点目は、アフターコロナを見据えた戦略的観光推進についてであります。  アフターコロナ、ウィズコロナ社会におけるライフスタイルは大きく変容していくと言われています。郊外型や田舎暮らしといった生活が注目され、人々の価値観も変わり、健康、家族、リラックスといったキーワードが重要視されるようになると考えます。また、余暇についても郊外指向となり、ウオーキング、サイクリング、ジョギング、キャンプなど、家族で三密を避けながらアウトドアライフを満喫する過ごし方が広がってくると考えられます。新しい生活様式が到来し、今までのライフスタイルは完全には以前どおりには戻らないと予測されています。  瀬戸内海の一角を占める本県は、白砂青松と瀬戸内海に浮かぶ百十二の多島美に代表される風光明媚な景観に恵まれています。特に、高松東部エリアそして東讃エリアは、入り組んだ地形、半島、海岸線があり、大型船が入港する港には不向きなことから、昔のままの白砂青松の瀬戸内海の景観が多く残っており、庵治半島の竜王山公園や太鼓の鼻、高尻の高台等からの景観はすばらしいものがあります。  対前年比九九・九%減少した訪日外国人旅行者に、再度、日本、とりわけふるさと香川に来訪いただくには、まずは日本第二の巨大経済圏エリアである京阪神に住む方々に来訪いただき、瀬戸内海のすばらしい景観を堪能いただきたいと考えます。また、安全・安心してウオーキングやサイクリングを楽しみ、さらにはヨットやクルーザーが来やすくなる環境が整えば、健康づくりと心の癒やしづくりエリアとしてのブランド価値が増すのではないかと思います。  新型コロナウイルス禍の終息後の本県経済のV字回復を目指すための積極攻勢をしかけ、一気呵成に本県経済を安定的成長軌道に戻すために、香港の例が参考になると思われます。二〇〇二年十一月、中国広東省で発生したSARSは、アジアを中心に感染者が急拡大し、とりわけ香港では二〇〇三年四月にWHO世界保健機関からの渡航自粛勧告を契機に、観光業は壊滅的打撃を受けました。香港政府と香港政府観光局は二〇〇三年四月に特別チームを編成し、感染終息後の観光復興計画策定に着手し、六月のWHOによる渡航自粛勧告の解除の数日後には、短期間ではあったものの、綿密に準備を進めてきた観光復興プロモーションを全世界で大々的に展開しました。日本円で約六十億円かけたPRキャンペーンを実施し、世界中の人々に香港のSARSからの完全復活をアピールしたことで観光危機からの早期の回復につながりました。  このような事例から、本県においても、新型コロナの終息の見通しが立っていないからこそ、本県独自あるいは四国ツーリズム創造機構、せとうちDMO等と連携し合ってインバウンド観光の復興計画を策定し、より積極的展開を図ることも必要ではないかと考えます。これまでは新型コロナウイルスの感染防止が最優先でありましたが、それぞれの観光地、観光施設では苦心しながらも必要な感染防止対策を取っており、一方でウェブ会議システムを使ったバーチャル観光など、様々な創意工夫を凝らして感染防止と観光の両立を図り、何とか今後の誘客の回復につなげようとしているところであります。  今後は、それぞれの地域において、より付加価値の高い、本県観光の質的転換を目指したブランディング観光を目指した取組に注力すべきであり、そのことによりアフターコロナのリカバリーになると考えます。また、感染防止への意識の高まりによって、インバウンド観光から国内観光、あるいは人が密集する都市部や有名観光地から地方での観光へ需要が移ってくることも考えられます。そうした観光スタイルの変化にも目を凝らしながら、需要を的確に捉えていく必要があると考えます。  そこで、質問させていただきます。  質問一、アフターコロナを見据え、本県経済復活に向けたインバウンド観光とブランディング観光推進への取組を、どのような戦略的視点を持って進めていかれるのか、知事にお伺いさせていただきます。  質問二、早期の観光需要の回復に向けて本県の各種キャンペーンをPRすることも重要ですが、今後、アフターコロナを見据えた中長期視点に立った場合、どのように本県の観光を売り込んでいくことが効果的だと考えられるのか、知事にお伺いさせていただきます。  大きな三点目は、グリーンリカバリーへの取組についてであります。  新型コロナウイルス感染拡大からの経済復興に当たり、世界ではヨーロッパを中心に、環境や社会よりも経済政策を優先させるのではなく、むしろこの機会をきっかけに脱炭素に向けた気候変動対策をさらに推し進め、生態系や生物多様性の保全を通じて災害や感染症などに対してもよりレジリエント、すなわち強靱で回復力のある社会・経済モデルへと移行していくグリーンリカバリーの考え方が広まっています。  琵琶湖の総貯水量の二倍、約五百五十三億トンの降雨に見舞われた一昨年の西日本豪雨、今年の九州豪雨、台風予報で何度も「過去に経験したことのない」という枕言葉を使って報道されるほどの大型台風であった台風十号など、近年、日本を襲う異常気象は甚大な被害をもたらしています。この巨大災害の原因は地球温暖化にあると言われています。それとともに、今年二月より日本のみならず世界各国でパンデミクスを引き起こしている新型コロナウイルス感染症の流行は、日本のみならず、世界で社会・経済に大打撃を与えており、その経済的ダメージは二〇〇八年のリーマン・ショックを超えると予測されています。  そうした中、各国で様々な経済復興のためのプランが立てられ、実行に向けて進められつつありますが、カナダ、イギリス、フランス、特に欧州委員会が提案している復興プランは、大きく環境対策にも貢献するグリーンリカバリープランとなっており、世界的にも注目を集めています。日本の環境省は公式にグリーンリカバリーという言葉こそ使っていないものの、同様の考え方でサステーナブル アンド レジリエント リカバリー フロム COVID─19を掲げています。  新型コロナウイルス禍の影響で、大型台風や集中豪雨などの巨大災害が過ぎ去った後、とかく忘れがちになる、人や生物がすみ、生息するのにふさわしい地球環境を回復させ守ることの重要さ、単なる過去の姿を取り戻す復興プランではなく、気候変動への対応など、持続可能な、サステーナブルな社会づくりを目指したグリーンリカバリー政策は重要だと考えます。OECD経済協力開発機構は、グリーンリカバリーは決して不可能なことではなく、新型コロナウイルス感染症のダメージからの復興こそが、まさにその機会であるとして、各国政府に対してグリーンリカバリーの実施を推奨しています。日本においても、環境省が九月三日にオンラインの閣僚級会合を開催するとともに、オンラインプラットフォームを立ち上げ、新型コロナウイルスからの復興に関連する気候変動・環境対策に関する具体的な行動や知見の共有に取り組んでいます。  そこで、質問させていただきます。  質問一、グリーンリカバリーについて、知事はどのような認識をお持ちであるのか、お伺いさせていただきます。  質問二、ゼロエネルギー住宅、電気自動車、自然エネルギーへの取組や製造業をはじめとした企業の取組など、グリーンリカバリーは多種多様な分野で考えられますが、こうした取組を普及させていくためにどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いさせていただきます。  大きな四点目は、県立高校の統廃合と今後の学科編成についてであります。  本年三月に取りまとめられた「魅力あふれる県立高校推進ビジョン~未来を生きる力を育む 特色ある学びの場をめざして~」によりますと、県内中学校の今後の卒業者数の推移予測では、令和元年度の八千九百四十九名に対し、令和十二年度は七千六百七十名程度と千名以上減少するとのことです。ということは、県内の高校入学生と卒業生が減ることであり、ふるさと香川を支える人が減るということでもあります。  このような時代にあって大切なことは、社会のニーズに合った学科で学べる教育環境の整備と教員の育成・確保であります。それとともに重要なのは、切磋琢磨して学ぶ学校の規模であり、現状、本県の令和二年度の定員は最大で三百二十名、最少が九十六名となっていますが、他の都道府県では多くが標準定員を定めており、最大は八学級三百二十名、最少は四学級百六十名と定めています。本県でこの基準に当てはまらないのは一校のみですが、入学定員で考えると九校が百六十名を下回っています。令和二年度現在では今申し上げた数値ですが、令和二年度の県内中学校の卒業生は八千四百九十八名、十三年たった令和十五年度は六千七百六十六名と、千七百三十二名減少する見込みです。  香川の全ての子供たちが魅力を感じ、ここで学びたいと心から思えるような高校づくりとともに重要なのは、地域で雇用を生み、納税していただき、地域を支えていただいている地元企業が必要とする人材の育成と輩出が重要であり、そのためには経済界のニーズを十分に把握し、それに応えられる学科の設置と教員の確保が前提になると考えます。  今回の東讃地区における志度高校、津田高校、石田高校の三校の統合においては、今申し上げた項目とともに、新設校に通学する生徒に配慮した通学の利便性も検討項目に入れるべきと考えます。私の地元の高松北高校は、ことでん志度線とJR高徳線が走っており、多くの生徒はことでん六万寺駅と八栗新道駅、JR高徳線では八栗口駅と讃岐牟礼駅を利用しています。今回の新設統合校の設置場所についても、通学する生徒と通学エリアを考慮しながら決定していく必要があると考えます。  また、それとともに大切なことは、今後、統廃合により発生する廃校の有効活用であります。パソナが本社移転する淡路島では、廃校が地域活性化に生かされています。また、八月二十日、国立青少年教育機構から事業課長をお迎えして開催された我が会派自由民主党香川県政会の勉強会で、ネット障害の生徒を対象にした国立赤城青少年交流の家における八泊九日の規則正しい長期合宿で、障害からの回復に大きな効果があったと教えていただきました。再編整備の検討に当たっては、廃校の有効活用についても考慮しながら進めていただきたいと考えています。  知恵と学び、そして先進事例の研究により道は開けると思います。今後の本県における県立高校における統廃合においては、人口動態の予測、設置場所、地域貢献、経済界のニーズを最大限考慮した上で意思決定すべきであります。本県では、高松西高校、高松北高校、高松桜井高校、香川中央高校、三木高校とこの四十年余りで五校を新設してきましたが、生徒数の減少を見据えながら、過度に小規模化しないよう留意する必要があると考えます。  それでは、質問させていただきます。  質問一、県下全域における県立学校の再編統合については、より具体的なエリアや時期の検討を今後どのように進めていかれるのか、教育長にお伺いさせていただきます。  質問二、東讃三校の再編統合における設置場所について、どのようなことを考慮しながら決定していかれるのか、お伺いさせていただきます。  質問三、県内各地域における地域活性化に寄与できるよう、学科や定員を設定していくに当たり、卒業生の雇用の受皿となる経済界のニーズをどのように取り入れていかれるのか、お伺いさせていただきます。  最後の質問は、効果的なオンライン学習についてであります。  教育現場におけるICT環境の充実は、児童・生徒に一人一台の端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するGIGAスクール構想として政府が推し進めてきたところでありますが、新型コロナウイルス感染症による臨時休校措置で家庭におけるオンライン学習の必要性が高まったことを受け、これをさらに前倒しで進めていくこととされています。  これらの環境整備により、児童・生徒たちが早い段階からICTに親しむ機会を得ることができるだけでなく、うまく活用することで児童・生徒一人一人学習進捗状況を把握したり、図や画像、動画を授業に取り入れることで、これまで以上に深く分かりやすい学びを提供することが期待されるものであり、本県教育委員会においても、市町教育委員会と連携し、端末機器や通信環境の整備などICT環境の整備を進めているところであります。全国一斉に端末の購入を進めているため、メーカーの供給が追いつかず、一部の自治体では端末の整備が予定どおりに進んでいないところもあると伺っていますが、できる限り早急な整備が望まれるところであります。  オンライン学習は、授業を行う場所や時間を柔軟に設定できることで、学校同士をつないだ合同授業の実施や外部人材の活用、幅広い科目開設など、学習の幅を広げる様々な効果が期待されます。一方で、学校による管理の目が行き届きにくくなることから、家庭学習で端末を使用するには自己管理が重要になったり、児童・生徒間で進捗に差が出ないようケアが必要であったり、インターネットを使って何でもすぐに調べてしまうことができるようになることから、児童・生徒の想像力の低下につながる懸念があるとの指摘もあります。  新学習指導要領において、情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力と位置づけられ、学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実に配慮すると明記されるなど、ICTを活用したオンライン学習は、今後ますます重要性が高まってくるものと思われます。オンライン学習を効果的に実施していくためには、教員だけでなく、授業を受ける側の児童・生徒もそのメリット、デメリットを理解した上で授業に臨まなければならないと考えます。  そこで、質問させていただきます。  質問一、端末等の整備状況には、学校によってまたは市町によって差があると思われますが、整備状況による格差が次年度からの学習の格差につながらないようにどのような対策を講じていかれるのか、教育長にお伺いさせていただきます。  質問二、家庭におけるオンライン学習での自己管理の必要性や、自分自身で考えることの重要性について児童・生徒にしっかりと理解させた上で授業を行うためにどのような指導をしていかれるのか、教育長にお伺いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)高木議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業誘致の取組についてであります。  企業誘致に当たり、本県が持つ交通の利便性や瀬戸内の魅力を効果的にPRしていくことは、県外からの立地を促進し、雇用創出や地域の活性化につなげていくためにも非常に重要であると考えております。このため、これまで県外企業の誘致に当たっては、交通網の充実による利便性の高さや温暖な気候と自然災害の少なさ、医療や教育の水準の高さ、世界に誇れる瀬戸内の景観など、優れた立地環境を備えている本県の強みを積極的にアピールしてきたところであります。  こうした中、先般、京阪神地域からゴム・ビニール手袋最大手のショーワグローブ株式会社、広島県から東証一部上場企業のハローズ株式会社が、番の州臨海工業団地への立地を決定したことにより、新たな経済効果や雇用が創出される見込みであり、企業立地の実績としましても、新・せとうち田園都市創造計画に掲げている平成二十八年度から五年間の立地目標件数百四十件に対し、先月末現在の実績は百四十七件となり、既に目標を上回っているところであります。  今後の企業誘致の取組に当たっては、本県が持つ特性や立地環境について、各種企業フェアへの出展やホームページ、パンフレットなどによる広報活動に加え、東京、大阪在住の産業活性化アドバイザーの人脈を生かした積極的な情報発信にも努めてまいります。また、特に京阪神地域につきましては、昨年三月に高松自動車道が全線四車線化され、京阪神地域への所要時間が大幅に短縮したことにより、生産・物流拠点の投資先として本県の魅力が増していることから、大阪事務所を活用し、積極的に企業訪問を行うことで本県への立地を促進してまいります。  今後とも、私自身が直接企業のトップにお会いして、本県の立地環境の優位性や支援施策のPRに努めるとともに、各市町などとも連携し、ワンストップサービスの一層の充実を図ることにより、地域での雇用の創出と地域経済の活性化につながる元気な企業の立地を進めてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた観光施策の推進についてであります。  県では、これまで高松空港国際線の就航先をはじめ、滞在日数が長い欧米豪地域等を主なターゲットとしてインバウンド誘客活動を積極的に展開し、その結果、過去七年間の外国人延べ宿泊者数の増加率が全国一位となるなど、一定の成果が見え始めたところです。こうした中、新型コロナウイルス感染症の拡大によりインバウンド需要は大きく落ち込んでおりますが、収束後の反転攻勢のためには戦略的な誘客対策に取り組んでいく必要があることから、これまで以上に地域が有する魅力を掘り起こし、それを磨き上げた上でデジタルマーケティングなどの手法を用いて効果的に情報発信を行うとともに、次回の瀬戸内国際芸術祭や大阪万博等で来日される方々をターゲットとして本県の魅力を積極的に発信してまいりたいと考えております。  また、お尋ねのアフターコロナを見据えた中長期的視点に立った観光プロモーションにつきましては、旅行形態が団体旅行から個人旅行へシフトしており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今後さらにその傾向が加速すると考えられることから、SNSなどの情報発信ツールを効果的に活用し、本県ならではの魅力を積極的に発信してまいります。  加えて、多様化する旅行者のニーズを踏まえ、スポーツツーリズムに代表される目的を明確に設定したテーマ性のある体験型旅行を提案するとともに、観光地で働きながら休暇を過ごすいわゆるワーケーションなどの新しい旅行スタイルの動向も注視しながら、滞在型観光の一層の推進に取り組んでまいります。  私といたしましては、新型コロナウイルス感染症の収束を見通しながら、今後の観光需要の変化に的確に対応し、香川ブランドの価値を一層高めていくとともに、インバウンドの回復と持続可能な観光振興に全力を尽くしてまいります。  次は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた脱炭素社会に向けた取組についてであります。  地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出抑制が求められている中、新型コロナウイルスからの経済回復において、脱炭素化を同時に進めようとするグリーンリカバリーの考え方は、EUを中心に環境をより重視する取組として広まっており、私といたしましても、将来的に環境と成長の好循環が実現する社会を目指していく観点から重要な考え方であると認識しております。  こうした考え方を広く普及させていくためには国全体として取り組んでいく必要があることから、先月二十三日に全国知事会を通じて、ゼロカーボン社会への転換と経済再生を同時に成し遂げるための要望・提案を行っているところであり、環境省の来年度予算の概算要求におきましても、脱炭素社会への移行などを柱とする持続可能で強靱な経済社会の再設計として同様の考え方が示されたところであります。  また、県では、温室効果ガスの削減に向け、香川県地球温暖化対策推進計画を策定し、省エネルギー行動の拡大や再生可能エネルギーの導入促進、低炭素型まちづくりの推進、森林整備と都市緑化の推進など幅広い分野の取組を行っており、こうした取組を着実に進めていくことが必要と考えております。  私といたしましては、地球環境保全と経済社会活動の両立が図られるよう、グリーンリカバリーの考え方について十分に意を用いながら、地球温暖化対策をはじめとした環境保全施策により積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)高木議員の御質問にお答えいたします。  まず、県立高校の再編についてであります。  県内全域における県立高校の再編整備につきましては、令和三年度から十年間の計画である魅力あふれる県立高校推進ビジョンにおきまして、少子化が進行する中で、子供たちが切磋琢磨できる一定の学校規模を維持しながら、生徒の多様なニーズに応じた学びを、全県的な視野に立ち、総合的に保障するため、地方創生の観点も踏まえた上で適正な高校及び学科の配置について検討を進めることとしております。  本ビジョンでは、現在再編整備を進めている東讃地域に加え、県内各地域ごとの再編の在り方について基本的な考え方をお示ししているところでありますが、具体的な地域や時期につきましては、議員御指摘の生徒数の減少を含めた人口動態の予測、経済界のニーズや地域活性化の視点等も考慮し、今年度立ち上げた県立高校の魅力化に関する協議会をはじめ、関係各方面の方々の御意見を伺いながら、今後、さらに検討を深めてまいります。  東讃三校の再編整備につきましては、生徒たちが切磋琢磨して学べる教育環境の整備のためには、三校を一つにした一定の規模の学校とすることが必要であり、現在、関係各方面の御意見を伺いながら統合校の教育内容等の検討を進めているところであります。  学校の設置場所につきましては、その教育内容が効果的に実施できる施設・設備の整備が可能であるか、また、地域活性化の観点や生徒たちの通学の利便性などを総合的に勘案しながら検討してまいります。  学科や定員の設定に当たりましては、卒業生の受皿となる経済界等のニーズは大変重要な要素であると考えており、県立高校の魅力化に関する協議会の委員にも、香川経済同友会、県商工会議所連合会、日本政策投資銀行四国支店の代表者の方々などを委嘱し、この協議会を通じて御意見を伺うとともに、地元事業者の方々からも様々な機会を捉えて情報収集を積極的に行ってまいりたいと考えております。  次は、効果的なオンライン学習の取組についてであります。  本県の小・中学校における一人一台端末の整備については、幾つかの市町では本年中に完了しますが、その他大半の市町については遅くとも年度内には完了予定であると聞いています。  県教育委員会といたしましては、来年度から全ての市町においてオンライン学習が開始できるように支援することとしており、県教育センターにおいてオンライン学習に関する教員研修を今月から開始するとともに、情報教育担当指導主事を学校に派遣し、機械操作や効果的な授業づくりなどの教員研修をサポートすることとしております。こうした研修に加え、ICTを活用した効果的な実践事例を広く県内に普及することで、速やかに授業などで活用できるよう、各学校を支援してまいりたいと考えております。  家庭におけるオンライン学習につきましては、学校とは異なる環境での学習のため、集中力が持続しなかったり、主体性に欠ける学習になってしまうなどの課題があると認識しています。小学校低学年では、長時間の集中力の持続が難しく、保護者の協力が必要な場合も多く、そのため、家庭の実情に応じて学習方法やルールづくりを進めていく必要があると考えております。また、学習に対する主体性を育成するためには、日頃の授業から、調べたことについて自分なりの意見や考えを持たせ、まとめや表現を行う際に端末を活用するなど、自分自身で考えさせるための授業づくりが重要と考えております。  県教育委員会といたしましては、県内全ての市町において効果的なオンライン学習が実施できるよう、研修や必要な助言、情報提供などの支援を行ってまいります。(降壇) ◯副議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(十河 直君)以上で本日の日程は終了いたしました。  次会は、十月七日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十六分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....