• "農業競争力強化支援法"(/)
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  1. 香川県議会 2020-09-01
    令和2年[9月定例会]経済委員会[農政水産部] 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 松原委員長  これより質疑、質問を開始いたします。 高木委員  1点目に、県産農畜水産物消費拡大の取組について質問します。  6月定例会の本委員会で、新型コロナウイルス感染症による県産農畜産物の影響について質問しましたが、3か月が経過し、状況も変化していると思います。そこで、現時点における県産農畜産物への影響について、どのような状況にあるのかお伺いします。 新池農政水産部長  県産農産物への影響については、イベント観光需要の減少、飲食店の休業などにより、和牛や水産物、花卉などの需要が4月から5月にかけて低迷したため、市場での取引価格も4月から5月は底値で推移しましたが、6月時点では回復傾向の兆しが見えました。その後、7月に入ってから、再び首都圏をはじめとした全国的な感染拡大により、8月のお盆時期の県外への移動自粛や大型イベントなどの中止により、和牛と水産物については需要の回復が伸び悩んでいると聞いています。  まず、和牛については、過去3か年平均に対する卸売価格が、4月には平年の68%まで低下していましたが、6月以降は飲食店での需要増を見越した取引も見られたため、七、八月と緩やかに回復し、8月には9割程度まで回復しているところです。  水産物については、外食産業での需要の高い天然鯛やヒラメなどについては、卸売価格が低下したことにより、水産物全体としては、5月には平年の7割まで低下しました。その後、六、七月と平年の85%程度まで持ち直していたものの、8月には、76%と低下に転じ、取扱量も、7月の平年の92%から、8月には76%へ低下している状況です。その要因として、市場関係者からは、8月に感染者が増加したことや、お盆の時期のイベントなどの中止、また、帰省者の減少などにより、需要が平年と比べて減少したと伺っています。  これら以外の農畜産物については、市場関係者JA香川県から大きな影響には至っていないと聞いていますが、コロナウイルスの影響が長期化し先行きが不安と感じている方が多いため、今後とも取引状況については注視してまいりたいと考えています。 高木委員  新型コロナウイルス感染症による影響についてはよく分かりますが、長雨などの天候による影響はなかったのとでしょうか。  北海道では地元の道の駅のようなところでは、ミニトマトがたくさん入って1パック100円で売っています。ところが、私の地元のスーパーでは、1パック約280円で売っています。ミニトマトやキュウリについて、天候が生産や需要に影響を与えたということはなかったのでしょうか。 新池農政水産部長  今年の場合、猛暑や、それ以前の長雨の影響により、出荷量が減った野菜については、値上がりが見られましたが、コロナウイルスによる影響については、生産量はあるものの需要がないため値が下がりました。天候不順による値段の値上がりや供給量の不足は、野菜で見受けられました。 高木委員  香川県は狭い県で農業従事者も少ないため、お互いに植え付ける前に作付量などの情報があれば、生産者も喜ぶのではないかと思います。私の地元の大根農家の方は、何年かに1回は値段が下がるので、出荷をしないこともあります。バランスよく作っておけばこうしたことも避けられますので、そうした情報提供もしていただきたいと思います。  次に、今定例会に補正予算として提案され、先ほど部長から概要説明のあった「かがわの美味しい食材需要喚起事業」についてです。旬の時期に各種キャンペーンを実施することになっていますが、取組内容についてお伺いします。 新池農政水産部長  今回、補正予算議案として提案している「かがわの美味しい食材需要喚起事業」については、11月以降のお歳暮の季節や、年末年始にかけた需要が出てくることを見据え、県産農水産物全体の需要喚起を図るもので、3本柱でのキャンペーンを考えています。  その一つが、「かがわ旬のイチオシ食材キャンペーン」であり、今までは野菜や畜産物、水産物は、各品目別でイベントをしていましたが、今回は、県産農畜水産物が一堂に会する、初の横断的なキャンペーンとして実施したいと考えています。来月下旬に、県産農水産物の旬を前面に打ち出したイベントを、高松市丸亀町の壱番街前ドーム広場で開催して、お歳暮などの需要期に向けた消費拡大を推進したいと考えています。  また、目立つ大きさでの新聞広告の実施や、販売店や事業所の協力を得てポスター・のぼりを掲示することにより、消費喚起に取り組みたいとも考えています。  一方、この春以降の傾向として、家庭での食品需要が増加し、インターネットによる通信販売取引が増えていることから、消費者が自宅から県産農水産物を取り寄せるのに役立てるため、県のホームページ「香川の農業・水産業」の中に、県内事業者インターネット販売や電話注文による宅配サービスを実施している生産者を紹介するポータルサイトを追加したいと考えており、既存の事業を活用して、できるだけ早く立ち上げたいと考えています。  今回の補正予算では、このホームページをさらに拡大し、ビジュアルなどを一層充実させることとしています。また、農業改良普及センターや生産者などの関係団体を通じて、ポータルサイトのお声掛けをしたところ、果物やオリーブ牛、いりこ、オリーブオイルなど22件の応募をいただきましたので、今月中に開設して、前向きに頑張る生産者の取組を応援していきたいと考えています。  2つ目が、オリーブ牛を対象とした「オリーブ牛消費拡大キャンペーン」として、オリーブ牛生誕10周年記念キャンペーンを讃岐牛・オリーブ牛振興会が実施するのに併せて販売促進のPRをしていきたいと考えています。  3つ目は、水産物を対象とした「かがわの水産物消費拡大キャンペーン」であり、ハマチや鯛、いりこ、海苔の消費拡大を中心に、新聞広告でのアピールや、全国雑誌などへの掲載を考えています。また、香川の地魚を提供する飲食マップの作成などについても考えています。  さらに、これからプレミアム付き食事券による、KAGAWA Go To Eat キャンペーンが、高松商工会議所の主催で実施されているため、連携を図りながら県産農水産物需要喚起に努めたいと考えています。
    高木委員  以前、私が視察した八郎潟にあるあきたこまち生産者協会は、オールネット販売を行っています。これからは、農作物もネット販売が重要になると思いますので、売れる商品や成功事例などの情報提供をしていただきたいと思います。  今後、新型コロナウイルス感染症の再度の大きな波が来る予測もありますので、引き続き県産農産物の影響について注視していただきたいと思います。  また、イメージアップという点でいうと、香川県ではカキが獲れます。香川県のカキは、私の地元の志度湾で戦後始まったと言われています。戦後間もなくある方が岡山県の牛窓に行ったときに、カキの養殖を知り、技術を持ち帰り、志度湾でのカキの養殖が始まりました。カキの養殖は、牟礼のみならず多度津の白方などでも行われています。健康にもいいなどのアピールをしていただき、お歳暮シーズンや、11月から始まるカキの旬の時期に併せて、関係団体などと連携して売り込んでいただきたいと思います。  2つ目は、米の需要拡大についてです。  最近の新聞報道において、新型コロナウイルスの影響により、特に外食産業で米需要が減少し、本年産の米の相対取引価格が6年ぶりに低下する可能性が大きくなり、JAが生産者に前払いする概算金が、新潟県の魚沼産コシヒカリなどの主要銘柄の多くで前年に比べて減額になるとの報道がありました。  そこで、本県の令和2年産米の概算金についてお伺いします。 新池農政水産部長  米の概算金は、JAが米の販売額を見通して、生産者の出荷の際に支払う仮渡金であり、卸売業者との取引価格米販売店店頭価格、いわゆる米価にも大きな影響があると認識しています。委員指摘のとおり、先月の報道で、東北や北海道といった米どころの60キログラム当たりの金額が出ていますが、米の需要量の減少や新型コロナウイルスの影響による業務用の減少、また、米の民間在庫の増加などにより、ほとんどの産地が令和2年産の概算金を前年産より下げている状況です。  全国の主な産地の90の品種銘柄の令和2年産の概算金について調べたところ、ほとんどの品種銘柄について下げる予定となっています。例えば、新潟県の「新之助」という新種のお米が前年より1,800円落ちています。北海道では約300円、新潟県では900円とそれぞれ幅はありますが下落している状況です。近隣の中四国地方においても、100円から1,000円ぐらいの幅で、ほとんどの銘柄が下落しています。そのような中、本県では、JA香川県に確認したところ、他県の概算金に相当する仮渡金単価については、前年産と同じ価格に据え置くと聞いています。  こうした状況から、全国的には米の需給動向や概算金の下落により、米価が下落すると見込まれていますが、本県産米については、JA香川県の提示する概算金が据え置かれることから、生産者には大きな影響はないと考えています。 高木委員  人口が減っているため、米を維持するのは難しいかもしれませんが、生産者とすれば概算金が下がると生産意欲はなくなってしまいます。  一方、先月2日の新聞では、「米需要22万トン減の衝撃」「毎年10万トン減の定説を超える」「生産抑制で米価維持 限界」という記事がありました。米離れが一段と進んでおり、農林水産省がまとめた2019年7月から今年6月における2019年産米の需要は前年比22万トン減の713万トンとなっており、「年間10万トンずつ減る」という業界の定説をはるかに上回る減少幅に衝撃が走った、とありました。  また、総務省の家計調査では、2019年10月の米購入数量は、前年同月比11%減少する一方、パンと麺類は2%増えたそうです。  米は、日本人の食を支える大切なものです。生活環境の変化などにより米の消費が減少していますが、何とか減少を食い止めるべく米の消費拡大に向けた取組を地道に行っていかなければなりません。  米の消費拡大を図る上では、学校給食での米飯給食の一層の推進が大切です。あるテレビ番組で見たのですが、小学校の廊下の棚に炊飯器を設置し、そこで給食用の御飯を炊いていました。御飯のいい匂いがするので、子供たちの食欲を刺激し、残飯も少なくなったとの報道でした。学校給食教育委員会の管轄になるとは思いますが、お互いが連携し合った取組も重要であると考えています。  そこで、本県の米消費の現状と米飯給食のより一層の推進も含め、今後の米消費拡大に向けた取組について質問します。 新池農政水産部長  本県の米消費の現状についてですが、香川県に限った統計データがないのですが、農林水産省の国全体での米の1人当たりの年間消費量のデータによると、昭和37年度の118キログラムをピークに一貫して減少しており、令和元年度には、その半分以下の1人1年間53キログラムの消費となっています。また、毎月、米の消費動向調査を行っている米穀安定供給確保支援機構のデータによると、令和元年度の1人1か月当たりの精米消費量は4,626グラムとなっており、20年前の平成11年の5,142グラムに比べ、1割程度減少しているとのデータもあります。  今後の米の消費拡大に向けた取組については、消費実態として、県産米は、県内で約6割が消費されていますが、約4割が県外で消費されている状況です。委員指摘学校給食での取組については、県とJAが連携して、県産米での米飯給食を推進しており、「おいでまい」を中心に県内の学校給食で、1週間に平均3.3回使用していただいており、「おいでまい」が使用されていない学校においても地元産は使用しており、現在、給食においては100%県産米利用となっています。  また、小学校において、田植や収穫体験する機会の提供や、給食に合わせた啓発などもしており、小・中学校の時から米に親しんでいただく啓発をしています。  また、県では「おいでまい」を推奨しており、「おいでまい」の消費を呼びかけるため、地元新聞、ラジオ、メデイアなどの各種団体で構成する「おいでまい」委員会において、マスコットを使った啓発事業などのPRを対外的に実施するなど、米の消費拡大に努めています。 高木委員  米の消費が減っていることはよく理解できました。私も以前、学校の世話をしているときに、米飯給食に力を入れたことがあります。米飯給食が1週間に3.3回とのことでありますが、4回や5回の学校もあれば、3回に満たない学校もあるかと思います。市町ごとのデータはありますか。 新池農政水産部長  今、手元にデータがありませんので、確認させていただきたいと思います。 高木委員  私の知人は、米飯給食が成長にいいとのことで力を入れています。私が地元で頑張っているときには、週4回が米飯給食でした。日本人なので、最低週4回は米飯給食となるよう取り組んでいただきたいと思います。  また、米を精米して食べる方法もありますが、玄米は体にいいと言われています。末期がんの方も、玄米と新鮮な野菜を食べたところ毒素が出ていき、医者が驚くほどの回復をしたとの事例もあります。最近は玄米パンもありますので、そうした形からの普及促進にも努めていただきたいと思います。  食料は人が生存する上で基礎となります。日本は、これから毎年50万人から80万人の人口減少が予測されていますが、世界の人口は増加しています。安全・安心の社会を将来世代に継承するためには、食料と自然環境が重要です。耕作放棄地の解消や圃場整備と大型機械が導入できる取組、畦畔のカバープランツ化など、農業を守るためには農業をしたくなるような省力化と機械化できる環境整備、もうかる農業となる取組が重要と考えていますので、課題はたくさんありますが、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  最後に、本県で栽培されている県産フルーツの生産技術の保全について質問します。  今、中国で日本果物のコピーが生産されており、数年後には中国から日本に輸出してくるかもしれないという情報に接しました。広州のスーパーで売られている「香印青堤」とは、「香印」は「シャイン」の音訳であり、「青堤」は緑色のブドウのことをいい、つまりは「シャインマスカット」のことです。このスーパーの食品売場では、メロンも売られており、どちらも日本に比べ格安で食べることができる上、おいしいそうです。  日本の品種がコピーされていることは問題ですが、優秀なコピー品で魅力にはまれば、本物を味わいたいとの思いも湧きます。そのような消費者の声が日本産農産物の中国への輸出拡大を後押しするのであれば、コピー品が日本を前面に押し出してくれたことは、一種の宣伝と捉えることができなくもありません。  しかし、日本からイチゴやメロンなどの生産技術が流出し、大量生産され、万が一、日本国内に安く輸入され始めると、本県を含めた生産農家が困ることになります。  そこで、県産農産物の生産技術保全状況はどうなっているのか、また、現時点での日本や本県への輸入状況についてお伺いします。 新池農政水産部長  委員指摘のとおり、シャインマスカットなどが中国に流出し、中国や韓国などで栽培され、さらにタイやマレーシアなどに輸出された事例については承知しています。  県産農産物のうち、県が開発し、種苗法に基づく登録制度で新品種として登録したイチゴの「さぬき姫」や、キウイフルーツの「さぬきゴールド」などについては、知的財産権育成者権という権利により保護が図られています。  さらに、県では、県オリジナル品種が不正に流出しないように、種苗法に基づいて県が所有した育成者権について県で取扱要領を制定しており、この要領により「品種の利用許諾契約」を種苗の生産をする方と締結し、海外はもちろん、県外に持ち出さないように利用権の範囲を取り決めています。  また、県産オリジナル品種の多くは、この許諾契約の中で譲渡する範囲を県内に限定する規定や、別途許諾を受けた利用者が、さらに品種を栽培する者に対して無断譲渡禁止とする条件も付し、栽培者からの流出も防ぎ、優れた品種を守るための県独自の対策を講じています。 高木委員  最近は、電機業界においても日本のいろいろな技術が韓国や中国に流れているケースもありますので、部長から答弁のあったとおり取り組んでいただきたいと思います。そのためには、教育や情報提供も必要であると思います。先日も、和牛の精子を持ち出そうとして捕まった人もおり、モラルの問題もありますが、首が絞まるのは農家なり農業です。  最後に要望ですが、「日本の種苗、中韓で無断流通か、「紅ほっぺ」など36品種、農林水産省が調査」との情報に接しました。中国と韓国でインターネット通販されている果実の種苗の中に、静岡県が開発したイチゴ「紅ほっぺ」や山形県が開発したサクランボ「紅ゆたか」、韓国では「甘平」という愛媛県産のかんきつを思わせるハングル名の種苗が売られていたとありました。  商品が日本の登録品種そのものか、名称のみが使われているかは不明で、仮に名称だけであったとしても、低品質の種苗に使われ輸出されれば、日本産ブランドが受ける打撃は大きいものとなります。中韓で日本の開発者が品種登録していれば販売差止めなどの対応ができますが、多くは未登録で出願期限も過ぎているとのことです。  かつて日本のイチゴ品種が韓国に流出して無断栽培された例では、日本産の損失額は5年間で最大計220億円に上ったと推定されています。政府は、さきの通常国会で海外への無断持ち出しを規制するための種苗法改正案を提出しましたが、残念ながら審議期間が足らず法改正は先送りされました。今申し上げましたが、先般も和牛の精子を無断で持ち出ししようとした事例がありました。これから香川県農業、また日本農業のために、こうした技術の保全に努めていただくことをお願いして質問を終わります。 秋山委員  私から3点お伺いします。  初めに、コロナ禍での米価の暴落について伺います。  新型コロナウイルスの影響で米価の暴落が報道されていますが、県内における影響は今のところないとの答弁がありました。JA香川県が頑張っていて、仮渡金の価格が下がっていないとのことでしたが、新型コロナウイルスの先行きが見通せないこともあり、これが続くとなると不安はあると言われていました。  我が党は、農林水産省に対し、政府の備蓄米の買入れを大幅に増やすこと、また、買い入れた主食用米コロナ禍で苦況にある国民や学生、子供食堂に供給すること、非主食用への転換に際しては、主食用米に見合う転換加算を行うこと、戸別所得補償制度を復活すること、国が需給安定に責任を果たすことを明確にすることなどの要請を行ってきたところです。また、JA全中も令和3年度水田農業対策等に関するJAグループ基本的考え方の中で、備蓄米の追加入札など翌年産に向けて柔軟な対応を検討していくことが必要であると指摘しています。  あらゆる対策を講じて、何としても2014年産米のような大暴落の悪夢の再来を防がなければならないと思います。先ほども米の需要喚起の話がありましたが、県としてどのように認識し、対応していく考えでしょうか。また、私が今述べたようなことを国に対して、県や地方からも求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。 新池農政水産部長  米価が下落した場合、一番影響を受けるのは生産者であるため、生産者の収入減に対するセーフティーネットが現在2つあります。1つは、よくナラシ対策と言われていますが、国の経済所得安定対策の米・畑作物の収入減少影響緩和対策に加入している農業者について、米麦などの当年産収入額の合計が標準的収入額を下回った場合には、その差額の9割が補填されるというものがあります。  もう1つは、収入保険に加入している農業者については、保険期間の収入が基準収入の9割を下回った場合には、下回った額の9割を上限に補填されます。これらの制度については、積立金の75%は国庫から補助される仕組みとなっています。  これら2つのセーフィティーネットが構築されていることから、県としては、引き続きこれらの制度を十分周知していきたいと思っています。  一方、米価については、他産地の生産状況にも大きく影響されますので、県からも国に対しては、全国的な米需要調整が今後も円滑に機能するよう必要な対策の実施などの対応を要望しているところです。 秋山委員  生産者のセーフティーネットについてしっかりと対策を取っていくとの話がありました。農家においては、人手不足や後継者不足もある中、途切れることなく食料供給の責任を果たしていただいています。中でも、米は主食ですので、重要な作物になります。地域社会、経済、文化を支える米ですが、一方で、お米だけではやっていけないという農家はたくさんいると思います。私がお話を聞いた中でも、年齢のこともあり、腰も悪くなってきたし、本当は規模を縮小したいと考えているが、補助金をもらわないとやっていけないため、無理して規模を大きくしてやっていると伺いました。先ほどセーフティーネットの話がありましたが、そうした農家の実態が多くある中、海外では所得補償価格補償が当たり前になっています。  農業を日本の基幹産業に位置づけて、こうした補償をしっかりと行うことも含め、農業政策の転換や手厚い家族経営個人経営、大規模化、集約化ではなく、そうした細かなところまで見て、農業を守っていくという政策に転換すべきと考えますが、いかがでしょうか。 新池農政水産部長  委員指摘のとおり、米だけで農業経営をしていくのは厳しいと思いますので、米と麦による二毛作に加えて、米と野菜などとの複合経営によって水田を最大限に活用して所得を向上していく必要があると考えています。  県は国に対して、水田における所得補償としての機能を持つ「水田活用の直接支払交付金」や「経営所得安定対策」についても、毎年、着実な実施の要望をしています。  今後も、こうした国の交付金に加えて、本県農業の実態も踏まえた県独自の支援策も通して米などの水田農業に取り組めるよう、県としても積極的に支援していきたいと考えています。 秋山委員  農家は何とか所得を確保するため、二毛作や複合栽培などで一生懸命努力されています。それに対する支援についても、努力されているとのことですが、農家が一生懸命やられているところに、さらなる努力をと求めてばかりでは限界が来ますので、政策として所得補償価格補償も含めて、引き続き国に対して強く求めていただきたいと要望します。  次は、種子条例について伺います。  地域の風土に合った種子を開発して、安価に供給することで農家の生産を支えてきた主要農作物種子法が2018年4月に廃止されました。種子法の廃止に伴い、大阪府、奈良県、和歌山県などでは、2018年度から稲の種子生産に関する審査や証明業務を実施主体として行わない代替措置として、種子生産の民間関連団体に業務を移行しています。品質の保証が不透明、種もみ代の上昇なども不安視されていることが現実に起こっている点についての県の認識と、県として種子法が廃止された中で、どのような対応を行ってきたのかについてお伺いします。 尾室農政水産部次長  まず、大阪府や奈良県の話については承知しています。今回の大阪府、奈良県の対応については、法廃止に伴って原種及び原原種の生産や種子の審査などについて、今まで全国一律に義務づけられてきたのが地域の実情に合わせて選択可能になったことに伴った地域での判断と受け止めています。  大阪府や奈良県はお米がメインであり、麦、大豆はほとんど作っていません。また、地域で開発した品種もなく、コシヒカリを中心に作っていて、面積も小さい状況にあります。一方、本県については、県が開発した優秀な品種である「おいでまい」や「さぬきの夢2009」といったオリジナルの品種を持っていることから、種子法廃止後も、こうした品種については、従来と同水準、品質、価格で安定的に供給できる体制の維持が重要と思っており、今まで種子法で規定されていた県の役割について、香川県主要農作物採種事業実施要領を改正し、明記して対応しており、今でもJAなどと連携して、従来と同様、優良な種子の生産と供給が円滑に行われていると考えています。 秋山委員  この質問をするに当たり、私もいろいろと勉強し、皆さんにも教えていただく中で、「種子法廃止前後で対応は全く変えてないので、安心してほしい」との話もあり、努力をしていただきありがたく思います。  しかし、要領をつくって対応されているとのことですが、要領は、あくまでも内規的なものです。全国では、種子への公的な責任の後退を止め、地域農業を守ろうと種子条例が制定されています。私が調べたところでは、現在21の道県で条例が制定され、さらに岩手県や島根県でも条例制定に向かって動いているとのことです。埼玉県では、危機と捉えた自民党の県議団が提案して全会一致で採択しています。三重県では、県の責務をしっかりと明記して、県による業務指導責任などを規定して、指定種子団体の指定、種子生産団体の業務に対する指導責任を明確にしています。群馬県では、従来の奨励品種などの選定、種子の安定供給の柱はもちろん持ちつつも、新品種の育成を行うとのことで育種事業に予算の裏づけをするとの画期的な内容となったと聞きました。  県は、このような全国的な条例制定の広がりをどのように認識されているのでしょうか。また、簡単に変えることができる内規ではなくて、条例をつくって県としての責任を明記すべきと思いますが、いかがでしょうか。 尾室農政水産部次長  委員指摘のとおり、9月1日現在で21道県において種子条例が制定されていることは承知しています。これらの県では、地域の農業の状況に応じて、ほとんどが従来の種子法の規定を条例に落とし込んだ形にはなっているのですが、それに加えて、委員がおっしゃったお話や、米、麦、大豆以外の品種、地域で特産のソバなどを盛り込んだ条例になっていると承知しています。  本県では、現時点で、従来どおり種子が供給されている状況なので、直ちに条例を制定することは考えていませんが、引き続き本県の主要農作物である米麦の振興を図る観点から、県が責任を持って種子の安定供給体制を構築することにより、農業者が安心して高品質な農産物を生産して消費者に供給できるように、今後も種子の生産と供給状況や各方面の意見などを踏まえ、必要な措置を講じてまいりたいと思っています。  なお、県民の方々には、種子法を廃止して、これから種子の供給がどうなるのか不安を持たれている方もいますので、種子法が廃止されても、これまでどおり優良種子の生産と供給体制の堅持を周知するチラシの配付や、全農家に配布している「さぬき水田営農だより」にも同じ趣旨のことを掲載して不安の払拭に努めています。 秋山委員  種子法が廃止された年の2018年6月に「種子法廃止後のたねのゆくえ」というシンポジウムが行われ、47都道府県に採ったアンケートの結果が示されました。2017年度と2018年度の種子法廃止前後の対応の違いについて採ったアンケートを比較したものですが、先ほど例に挙げた大阪府や奈良県以外にも、例えば種子生産圃場の指定について、これまでは46の自治体が実施していたものが、2018年度に種子法が廃止されて以降は25自治体の実施になったとも表れていました。香川県では圃場の指定をしているとは聞いています。しかし、種子を守るときに取るべき圃場の確保すらも、もう県が手放している事例が起こっているとのことです。根拠法がなくなることは、こういうことだと思います。だから、今、内規的に要領でやっていますが、条例をつくるべきだと思いますが、根拠法がなくなることによる危険性という点について、もう一度答弁してください。 尾室農政水産部次長  根拠法の廃止により、全国一律の義務づけを廃止して地域の判断に委ねる形になっていますので、当県においては、水田農業は重要な位置づけにあることを踏まえた対応を取っていくべきと思っています。 秋山委員  現時点では条例にするまでの必要はないとの話がありましたが、「現時点では」と言っても、その時の判断によって、条例は不要という判断も起こり得ます。根拠法がなくなるというのは、そういうことだと思いますので、全国に後れを取ることなく条例をつくっていただきたいと要望します。  関連して、安定した農作物・食料を確保する観点から、政府が進めようとしていた種苗法の改正について伺います。  このことについては、農家の種取りの権利が制限されるため、多くの農民や団体から批判が出ていて、ツイッターでは、「♯種苗法改正に抗議します」というハッシュタグが大きく広がりました。世論の反発を重く見て、政府はさきの国会での成立は見送っていますが、まだ諦めていない状況です。  自家増殖の禁止は、種子の多様性や地域に適した作物栽培を妨げ、地球規模での気候変動による食料不足が心配される中で、食料自給率が低い日本の食料安全保障の観点にも逆行していると思います。知的財産権を守り、海外で登録をしていくことを進めていくのは必要ですし、それでしか守れないと思うので、この種苗法は、地域農家や消費者の権利を守って、安定した農作物・食料を確保するためにも、種苗法の改正は行うべきではないと思います。また、併せて、先ほど来言っていますが、種子法の根拠法の復活こそが必要であると、国に対してしっかり求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 尾室農政水産部次長  種苗法については、先ほどの高木委員からも話がありましたが、従来の法体系の中で不備があったとのことで、既にシャインマスカットが中国、韓国などアジアの多くの地域で産地化するといった問題が生じています。国は、こうした状況を踏まえて、優良品種の流出防止とその持続的な利用を確保していくために改正法をさきの国会に提出して、今、継続審議という形になっていることは承知しています。  改正案においては、種苗の海外への持ち出しの制限、登録品種の増殖について育成者権者の許諾を得て行うことなどが公表されており、農家の自家増殖については、一律禁止ではなくて、育成者権者の許諾に基づくこととし、また、農家の負担を増やさない観点から、許諾は農業団体などがまとめて行うことができるといったように手続の簡素化についても示されているところです。  この種苗法改正案については、法改正により自家増殖が禁止されるという誤解が広まっていました。懸念される声が広まっていることも承知しています。この件については、前回の定例会でも議論があったのですが、種苗法の適用範囲は、品種登録をされてから一定期間の品種に限られており、また、本県で栽培されている多くの野菜品目は、この規制の対象外です。さらに、法規制の対象となる品種についても、自家増殖は禁止ではなくて、育成権者の許諾を得れば可能となっていて、本県の育成品種「さぬきひめ」「さぬきのめざめ」などについても、JAなどの種苗の販売業者と県が許諾契約を行うことで従来どおりできます。また、「おいでまい」については、現在でも自家増殖を認めていません。そういう意味では、法改正により新たな大きな不利益が本県農業者に生じないと考えていますし、あったとしても限定的であると思っています。  一方、新聞記事にあったとおり、36品種が流出している可能性があるとのことで、この中には、「紅ほっぺ」や「さがほのか」というイチゴの品種が8品種含まれているとのことです。また、隣県で開発されたかんきつである「紅まどんな」「甘平」も含まれている状況を見ると、我々が持っている「さぬきひめ」や「さぬきのめざめ」といった優良な品種も無関係な状況にはないと考えていますので、海外流出防止に向けた措置は速やかに講じられるべきではないかと考えているところです。  種子法の復活法案についても、継続審議となっていることは承知しています。県としては、今、要領に基づいて安定供給を行う体制を堅持しており、引き続き県が責任を持って安定供給体制を構築することにより、農業者が安心して高品質な農作物を生産して消費者に供給できるよう、今後とも必要な措置をしっかりと講じていきたいと思っています。 秋山委員  種苗法については、改めて質問もさせていただきたいと思いますが、種苗を開発して品種登録可能にして、投資額と開発時間などによって、主に公的機関か大企業が占めることが想定されます。その公的機関を縮小して開発知見を民間に移管すると、農業競争力強化支援法の下では、特定外国籍企業による占有が危惧されるとの声もあります。それから、意図しない国や地域への流出を防止するとしていますが、日本の公的機関が持つ育種知見が外国籍企業に移管されれば、むしろ日本の税金で育成された種苗が外国に合法的に流れてしまうとの意見もあります。  国は、自家増殖の禁止が、世界のスタンダードであるかのように言っていますが、アメリカやEUでも、主食などその国に重要な作物については、例外として許可しています。今回出されている改正案は、例外なしで一律に許諾制にして、その使用料などの負担を農家にそのまま押しつけるようになっていますので、私は反対をすべきだと思います。  これまで一生懸命頑張ってきた農家の方が悲哀を見るようなことがないように、県農業を守り、発展させていく立場で、引き続き県がやるべきことをしっかりとやっていただき、国に対しても強く求めていただきたいと要望します。  最後に3点目ですが、地域ブランドと新規就農支援について伺います。  先ほど来も話がありましたが、香川にはマンバ、ナス、イチジクといった地域に根差した地域ブランドの野菜や果樹がたくさんあります。香川の農業の発展のためにも、こうした地域ブランドをしっかり継承して、さらに伸ばしていくことが大切だと思います。  現在、香川県では、「さぬき讃フルーツ」や、今度は新たに、「さぬき讃ベジタブル」もつくられると聞きましたが、そこに含まれてないフルーツや野菜も含めて、県として今後どのように取り組んでいくのか、伺います。 新池農政水産部長  指摘のあった「さぬき讃ベジタブル」は、今年に入って愛称として決定し、この愛称を商標登録の出願をしているところです。「さぬき讃ベジタブル」は、イチゴの「さぬきひめ」などが入っている「さぬき讃フルーツ」とは異なり、今回決めているレタスやブロッコリーなどの主要野菜や、比較的作付面積が少ないモロヘイヤやセルリーなどもこの範疇に入れており、指摘のあったマンバや三豊ナスのようなものがあることから、これらも伝統野菜として、できるだけ広く22品目を「さぬき讃ベジタブル」に入れようと考えています。  「さぬき讃フルーツ」は8品目限定としていますが、今回の「さぬき讃ベジタブル」については、広く考えていて、これまでもかがわ「旬のイチオシ」農産物フェアでは、量販店でいろいろPRしており、今、指摘のあったイチジクは入っていませんが、「さぬき讃ベジタブル」「さぬき讃フルーツ」とが一緒になり、そうしたフェアの中で広く認知されるように県民にプロモーションしていきたいと考えています。 秋山委員  イチジクもおいしいので、それを加えることも考えていただきたいと思うのですが、今、答弁のあったイオン綾川店で行っていた「買って応援!食べて応援!かがわ「旬のイチオシ!」農作物フェア」に私も行き、盛り上がっていました。大使も来られていてよかったのですが、私もシャインマスカットを買い、家族でおいしく頂きました。こうしたPRで消費喚起を行っていくということは大切だと思います。  同時に、販路拡大を支援するという意味でも、今、オンライン販売なども注目されていますが、先日、ある農家の方から、「インターネットホームページといったウェブデザインの支援やコンサルのようなものなどはやっていないのか」との要望をいただきました。新しい時代に即した新しい販売方法として、若い人たちが積極的に入っていけるような支援、対応が求められてくると思うのですが、いかがでしょうか。 新池農政水産部長  県内では、国が設置している無料の経営相談所として、高松市林町のインテリジェントパーク内に、香川県よろず支援拠点があります。そこでは、販路拡大やIT活用の相談事に対して、それぞれの専門スタッフやコーディネーターを置いて相談を受けています。ここで、たまたま今月の29日に、丸亀市内の事業者が、SNSやホームページでの活用方法のセミナーを開催すると聞いており、こうした機会を活用していただきたいと考えています。 秋山委員  ありがたいと思います。そういうことは取り組んでいただきたいと思います。これから新しい若い人にもどんどん入ってきてもらうための新規就農支援として、様々な整備に対する助成や、師匠に就いて研修できる里親育成事業などをやられていると思います。最近、農業を始めた若い農家から、憧れや夢を持ち、仕事を辞めて農業を始めようと思っても、これまで学べるチャンスがなく、農業をしたいと思う人がみんな農業大学校に通っているわけでもなく、農業経営や農業を系統的に学んでいけるセミナーをやってほしいという要望があったのですが、いかがでしょうか。 新池農政水産部長  県では、就農希望の社会人が体系的に農業を学べるように、農業大学校において社会人向けの技術研修科を設けており、6回の講義と3回の実習を土日や夜間に行う就農基礎講座があります。このほか、農業経験のない定年退職者などを対象とした短期4か月の就農準備研修と、長期では1年の就農実践研修の3つのコースを設けて、就農希望者のニーズに即した効果的なカリキュラムを設けて対応しています。 秋山委員  私が話を聞いた、この若い農家の方は、「たまたまお師匠さんに就けたから、よかった」と言い、そのお師匠さんは、「やっと後継者ができて、ありがたい」と、泣きながら喜んでいました。一生懸命苦労して守ってきた地域のブランド、野菜、果物を若い人が継いでいくことは、こういうことなのだと私も実感しました。  その点では、頑張っている小規模農家をないがしろにする大規模化・集約化を進めるといった農政を続けてきた結果、耕作放棄地も増えて、今度は、その対策もしないといけないからと、別に予算立てして事業をやるというやり方を抜本的に転換していくことと、新規就農者に対する給付金などの直接支援のさらなる拡充・拡大を国に対して求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  また、県としても、若い人や新しい人が選択肢として当たり前に農業を選べるような環境を国と連携してつくっていただきたいと思うのですが、その決意も含めてお伺いします。 新池農政水産部長  小規模農家等の支援については、国が3月に制定した食料・農業・農村基本計画の中で、小規模経営や家族経営などの多様な経営体がJAの品目部会等によって産地単位で連携・協働して統一的な販売戦略・共同販売などを通じて農業生産を行い、地域社会の維持に重要な役割を果たしていると新たに記載されています。そうした生産基盤の強化の取組と併せて、中山間地域の直接支払制度などの産業政策、地域政策の両面から支援を行うことで農業全体を底上げしていく方針が出ていますので、県としても、県独自の政策もいろいろ考えて、小規模経営農家も含めた本県の持続可能な発展に取り組んでいきたいと考えています。  また、新規就農者に対する給付金などの直接支援の拡大については、国の交付金で、2年間や5年間、年間150万円ずつを給付する制度の「農業次世代人材投資事業」を本県も活用しており、本交付金については、国に対して予算の十分な確保を要望しているところです。  若い人たちが農業を選べる環境づくりについては、早い段階から意識啓発する必要があるとのことで、県としては、新規就農相談のワンストップ窓口として、高松市松島町の合同庁舎に県の農地機構があり、そこで香川県新規就農相談センターを立ち上げ、県内の高校生を対象とした農業法人等を見学するバスツアーの実施や、農業改良普及センターがいろいろな窓口となって、若い方からの相談に応じ、安心して香川で就農できることを広くPRすることにより、若い人に農業を職業として選んでもらえるよう、身近に農業を感じてもらう工夫に取り組んでいます。 秋山委員  部長が答弁したような立場で、県の農業を守り発展させていく、若い人たちが当たり前に農業を選ぶことができ、香川で安心して就農できる体制づくりをしていただきたいと強く要望して終わります。 都築委員  私からは、大きく2点質問させていただいています。  その前に、前者二人の質問に対する答弁の関連で、質問させていただきたいのですが、新型コロナウイルスの影響により、香川県産の野菜の需要喚起については関心が高いところであり、今回の補正議案でも取り上げていただいています。その中で、「かがわのイチオシ食材応援キャンペーン」については、イベント新聞広告、のぼり、ホームページを改修して、熱心な農家の方をたくさん掲載していくなど、いい取組をされていると思います。先ほどの部長の答弁において、インターネット販売の促進についても強調していたように見受けましたが、県内で、インターネットを介して直販で売っていこうという農家の方は結構いらっしゃいますか。 新池農政水産部長  何年か前から6次産業化を推進していましたので、単に作るだけでなく、売っていこうといった意識はある程度広がっていますが、実際は作るだけで労力が大変という方が多くいらっしゃいます。特に今回は、春の時期のコロナウイルスの関係で、生産したものをどこへ売ったらいいのかということがありました。JAを通している方は問題ないのですが、そうでない方については、行き先がなくなったりすることもあったので、ネット販売をしてみたらどうだろうかと、新たに取り組んでいる個人の方もいます。ただ、今までネット販売をされている方は法人が中心であり、ある程度は限定的であると感じています。 都築委員  そうしたところにも力を入れていこうとされているのかと思います。10年以内に農業を始めた経営者や新しい新規参入者の約4分の1の方がペイできない状況であるとの全国的な調査があるようです。特に中小規模の農家は、大規模マーケットに対する効率化や量産を求められており、そうしたところへの対応も難しい状況です。今回のコロナ禍で、飲食店あるいは直売所は影響を受け、さらに厳しくなっていて、県外でも同じ状況と思います。  そういう意味ではいい取組だと思うのですが、国においても、「元気いただきますプロジェクト」により、全国的にオンラインで販売していこうとのことで、送料も無料としており好評だと伺っています。全国のゆるキャラも出てきているのですが、香川県の「うどん脳」というゆるキャラも登場し、踊りながら販売促進するなど盛り上がっているようです。この話と、先ほどのネットの話が、私の中で被ったので、何かタイアップできないものかと思い、事前にお話をさせていただいたところ、県内では、オンラインやネットによる販売をする人はあまりいないとのことであったため、厳しいとは思いました。しかし、各農家に合わせた形でのそうした販売は大事だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。  また、国の「元気いただきますプロジェクト」とのタイアップができない理由の一つが、産品が限られているためとのことでした。そうであれば、そのプロジェクトでは「送料無料」が消費者に受けているとのことでしたので、香川県で実施する独自のインターネット販売においても、少しでも消費者受けするような取組も検討が必要ではないかと思いますので、要望しておきます。  交流推進部が取り組んでいる栗林庵での県産品のネット販売については、1,000件限定で送料無料としていたのですが、好評であったため、2,000件まで広げるとの話がありましたので、そうしたことも検討していただきたいと要望します。
     それでは、本題のスマート農業の推進について、質問させていただきます。  最近、農家の高齢化が進んでいるのは承知のことと思います。加齢により、農作業中の事故も後を絶ちません。これから、秋・冬野菜の根つけや収穫が盛んとなり、トラクターやコンバインなど農業機械を使った農作業事故も起こりやすい時期を迎えます。9月から10月は、全国的な秋の農作業安全確認運動の実施期間でもあるようですが、本県の農作業事故の発生状況についてお伺いしたいと思います。 丸尾農業経営課長  本県の農作業における農業機械事故の発生件数は、香川県農業共済組合調べによると、令和元年度は1,195件となっており、直近5年間では、平均1,236件です。主な事故原因の内訳は、衝突・接触事故が97%で、3%程度が墜落や転覆事故となっており、ほとんどが衝突・接触事故となっています。また、機械別の事故発生率としては、コンバインが47%、トラクターが42%となっており、両機種を合わせて約9割を占めている状況です。  また、平成27年度に一般社団法人日本農村医学会が全国規模で調査した結果においては、人身事故で多いものとして、トラクターや草刈り機、コンバインの3種類が挙げられています。トラクターにおいては、走行中の転落・転倒が多く、次いで後ろの爪の付け替え作業中の事故となっています。また、肩掛けの草刈り機については、斜面や不安定な場所での転倒や、滑って用水に落ちる事故や、小石が飛んで事故をするということがあります。また、コンバインについては、詰まったわらを取り除く時などに事故が多く発生しているとのことで、本県についても同様の状況と考えています。 都築委員  県内の農作業中の事故について、農機具よるものに限らない場合の、多い順から並べた事故の状況については把握されていますか。 丸尾農業経営課長  今年のように夏場が暑い場合には、作業中に脱水症状が起きてしまう熱中症による事故が多くなっています。 都築委員  データ元はJA共済の支払いデータかと思いますが、それを見ると、どういった事故が起こっているのか把握できると思います。他県でも不慮の転倒が一番多く、農機具は4位となっています。県によって違うのかもしれませんが、幅広くそういった事故が起こっています。  秋の農作業安全確認運動の実施期間にもなるわけですが、具体的に、そうした農機具以外も含めて、防止に向けた取組についてお伺いします。 丸尾農業経営課長  県では、農業機械の使用中の事故防止による農作業安全の推進を図るため、農繁期の田植時期や稲刈りの時期に当たる春の4月から6月、また、秋の9月から10月を農作業安全確認運動期間として位置づけ、集中的な啓発活動を行っています。具体的には、市町、JA、農機具商工業協同組合などを通じて農業者への啓発資料の配付、農業改良普及センターにおいては、新規就農者、女性農業者を対象とした農業機械の安全使用セミナーなどを開催し、農作業の安全意識の喚起を図っています。  さらに、本年6月には、JA香川県など関係機関・団体と連携して、香川県農作業安全推進協議会を設置し、農作業安全対策に対する情報の収集・普及と農業用機械に関する研修会を実施し、農作業事故の防止に向けた安全対策の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。 都築委員  代表質問でもそうした答弁があったと思いますが、きめ細かく農機具だけでなく、齢を重ね足元もふらつくといった身体的な低下も見られる場合もありますので、そうした点も含めて、関係機関とも連携しながら、講習なども含めて取り組んでいただきたいと思います。  そこで、本題のスマート農業について質問します。  本県においても、生産性の向上や先ほどのような事故防止等に向けて一層推進していく必要があると考えますが、まず、県が目指すスマート農業の将来像についてお伺いします。 丸尾農業経営課長  農業・農村をめぐる情勢は、農業者の高齢化や減少による労働力不足、また、農産物の価格低迷など依然として厳しい状況です。これらに加え、本県の農業は、農地が狭小で分散しているため、いかに集約化や作業効率を上げるかが課題となっています。  こうした状況の中、近年、技術発展の著しいロボット技術やAI、IoTなど先端技術を活用した生産性の高い農業、いわゆるスマート農業を現場にいかに実装化していくかが重要であると考えています。このため、自動走行のトラクターやドローンなどスマート農業機械の導入によって、農作業の身体的負担の軽減や安全性の確保、作業の効率化・省力化などを図ることができるようになると考えています。  スマート農業を促進することにより、高齢者や農業経験の未熟な新規就農者でも安心して農業経営に取り組める環境づくりや、農業法人による経営規模の拡大につなげ、より本県農業の成長産業化へ向けて、実現を目指していきたいと考えています。 都築委員  余談ですが、農業情報学会というのがあり、ここでも、そうしたスマート農業についての議論が、専門家の先生方の中で行われているようです。今年、農林水産省が農業機械の安全性確保の自動化レベルのレベル3、無人状態での完全自律走行を目指していましたが、現在はレベル2の段階で、人による監視が前提となっているようです。  いわゆる水田農業での農業機械の三種の神器と呼ばれているトラクターや田植機、コンバインのうちトラクターについては、もう既に市販されているようです。また、田植機についても、精度の高いものが近く市販化されるそうです。コンバインについては、技術的な面で難しく、少し時間がかかるようですが、数年で市販化されると専門家は見ているそうです。着実に、こうしたロボット化が進んでいるようです。  ただ、ロボットの操縦が必要となるため、通信コストが高くなることが、問題なのですが、徐々に低コスト化が進んでいるとのことです。今は5Gの通信が整備されているようであり、その活躍が見られるのではないかと思っています。これは情報提供でした。  既に県でも、国の補助金を活用して、スマート農業導入加速事業などによって、スマート農業技術の実証なども行っています。国の補助事業は実証事業とのことで、令和元年度から2年間で実施する事業であるため、まだ事業は終わってはいませんが、うまくいっている代表的な取組と評価について、教えていただきたいと思います。 丸尾農業経営課長  委員指摘のように、本県においては、国の補助事業を活用し、現在、2つの課題に県が代表機関となり取り組んでいるところです。1つ目については、令和元年から善通寺市の大規模な露地野菜の加工業務用葉ネギ生産法人と連携してスマート農業に取り組んでおり、具体的には、経験不足を補う生産方式の導入と作業時間の短縮効果などの実証に取り組んでいます。具体的には、熟練作業者でなくても、直進アシスト機能を有する真っすぐ畝立てができるGPSつきのトラクターの後ろに施肥とマルチングを同時にできる機械を導入しています。また、もう一つはドローンを導入し、葉ネギの生育状況を確認しながら、その状況に応じて肥料散布を行うものです。  今年度が2年目ですが、昨年度の取組の結果によると、植付け準備の作業時間が約3割削減したとの成果が得られています。しかし、当初、圃場の周りに建物があった影響による電波障害のため直進アシスト機能がうまく働かなかったとのことでしたが、固定式のアンテナを移動式のアンテナにすることにより、不具合が解消したとのことでした。  また、2点目については、本年度の6月からさぬき市のキャベツ、ブロッコリー、葉ネギの大規模法人において、省力生産技術の実証に取り組んでいるところです。これも、先ほど来と同じような直進アシストを使って機械の省力化の試験と併せ、直進アシスト機能を有する乗用型の防除機を導入して、植付け準備や防除の作業時間を4割から6割削減することを目的に取り組んでいるところです。  また、このさぬき市での今年の取組については、10月8日に農業大学校の学生に作業の状況を見てもらい、スマート農業の理解を深めてもらうこととしています。  いずれの取組も、未熟な作業員であっても精度の高い作業を効率的に実施することが可能となる技術体系と考えており、今後の労働力不足の解決の一助になると期待しています。 都築委員  実証的には、概ね順調に進んでいるとの評価でよろしいでしょうか。ただ、国の補助事業であり、2か年限定の事業でもあります。今後、これを踏まえて、どこまで予算立てをするのか、また、国から予算を引っ張ってくるのかは分かりませんが、個人的には進めていただきたい思いはありますが、次の段階として、スマート農業の普及・展開ということになるかと思います。  そこで、先ほどの農業情報学会でも、このスマート農業への農家の意識について議論が行われています。なかなか取りつきにくいスマート農業ですので、ネガティブな意見とポジティブな意見があったようです。長年、このスマート農業は目指され、議論はされていたようですが、スマート農業の講習会などを開かれている会社の社長の話によると、昔は農家以外の企業がよく来られていたのですが、最近は、スマート農業に興味のある農家自身が来るようになったとのことで、このスマート農業に対する意識が高まってきている感覚があるという話もありました。私は、スマート農業の技術をうまく活用したいと考えている農業者が香川県でも増えているのではないかと思っています。今後、コロナを契機として、さらに増えていくのではないかと思います。  県でも、戦略を持って、スマート農業の取組を進めていると思いますが、力を入れていくということであれば、スマート農業に特化した戦略計画も必要ではないかと思います。また、農家への啓蒙、スマート農業に関してのAI人材も必要になります。その手当ても含め、今後、スマート農業の推進にどのように取り組むのかお伺いします。 丸尾農業経営課長  県では、平成29年3月に作成した「かがわ農業ICT導入・活用戦略」に基づき、ICT技術面を中心にスマート農業の推進に取り組んできたところです。この戦略も、策定後既に3年を経過しており、その間、AIやIoTなどデジタル技術やドローンをはじめとしたスマート農業機械の進歩・発展は著しいものがあります。こうした状況を踏まえ、県としても、今後の展開方法について十分考えていく必要があると考えています。  また、スマート農業技術の現場への実証に当たっては、農業者の意識改革が重要と県としても考えています。現地実証は、JAなどの生産部会などが主体的に参画できるよう、また、スマート農業の有効性を十分理解・認識し、そのノウハウを習得できるよう取組を進めたいと考えています。  委員指摘のとおり、AI人材の確保は重要と考えています。農業者のニーズに対応できるよう最新の情報を収集するとともに、現地実証への参画や研修への参加などにより普及指導員の指導能力の向上にも努めたいと考えています。また、スマート農業の効果的な実装には、データ解析など高度な専門知識を有する場合もあります。そうしたことから、国の農研機構や機械メーカーなどと連携し、取り組んでいきたいと考えています。  このような取組に加え、必要となるスマート農業機械機器などの導入についても支援するなど複合的な取組を進め、本県農業の維持発展のため、スマート農業を積極的に推進してまいりたいと考えています。 都築委員  いろいろと前向きに考えていただいているのが伝わってまいりましたので、積極的に進めていただきたいと思います。  最後に、もう一点、盆栽の輸出促進について質問します。  今日の新聞にも載っていましたが、政府の目標として、5年後の2025年に2兆円、2030年には5兆円の農産品の輸出を考えているようです。香川県は、コスト面などを考え合わすと、なかなか進んでいないとの話も伺いました。その中でも、盆栽が業界でもこれまで積極的に取り組まれているとお伺いしました。  国内需要だけでなく、海外でも盆栽は人気ですが、本県における盆栽の生産状況や輸出の状況についてお伺いします。 新池農政水産部長  本県の盆栽の生産状況については、栽培面積が約12ヘクタールで、出荷量が5万8000本となっており、このうち、松盆栽が約9割を占めています。  また、盆栽の輸出については、神戸植物防疫所坂出支所のデータによると、ここ数年は増加傾向であり、令和元年では約1万3000本が海外に輸出され、このうち、台湾への輸出が約9割を占め、その多くはクロマツ盆栽です。 都築委員  積極的に輸出が行われていると思いますが、輸出先の9割が台湾とのことで、その理由をお聞きすると、植物検疫の関係や病害虫の侵入警戒から、特に人気の高いEUへの輸出ができていなかったとのお話でした。  今般、8月28日にEUの規則が改正され、輸出ができるようになったとお聞きしました。これまでクロマツ盆栽のEUへの輸出解禁に向けて、県も熱心に取り組まれていたと思うのですが、どのように取り組み、今後の輸出拡大に向けてどのような取組を行っていくのかお伺いします。 新池農政水産部長  委員指摘のとおり、病害虫の関係で、EUにはクロマツが輸出できなかったため、国に対してEUとの輸出解禁に向けた交渉を加速するよう、平成27年度から毎年働きかけを行ってきたところです。こうした中、EUとの技術的協議を重ねていただき、今般8月下旬に、10月からクロマツ盆栽がEUへ輸出することが可能となったところです。  ただし、今回、規則が改正され、その中身には、いろいろな植物検疫上の措置を取った上で輸出しなければならないことがあり、植物防疫所の検査を約2年間ずっと受けたものでないと輸出ができないため、本格的なEUへの輸出は令和5年からになる見通しです。  今後の取組としては、国の植物防疫研究所と連携し、クロマツ盆栽の植物検疫条件の詳細や輸出手続などについて、高松市やJAなどの関係機関とともに、生産者へ説明することとしています。令和5年からが本格的な輸出となりますので、クロマツ盆栽のEUへの輸出が促進できるよう、今からジェトロ香川や交流推進部などと連携を図りながらプロモーション活動を展開し、販路開拓・拡大を図っていきたいと考えています。 都築委員  部長の答弁のとおり、まだ整えなければならない条件などもあるようですので、きめ細かく業者と連携していただき、アドバイスや、必要によっては財政上の措置なども視野に入れ支援を行い、盆栽の振興や産地の活性化、にぎわい創出につなげていただきたいと思います。  最後に、6月定例会で取り上げた花卉の活性化について、迅速に手を打っていただき、また、花いっぱい運動もしていただいているとのことで、現場の皆さんも喜ばれていたことをお伝えし終わりたいと思います。 松原委員長  暫時、休憩いたします。  午後は1時から再開いたします。  (午前11時54分 休憩)  (午後 0時58分 再開) 松原委員長  それでは再開をいたします。  質疑、質問を続行いたします。 斉藤委員  代表質問でも農機具の事故防止や農機具に対する大型特殊免許についてお伺いしましたが、トラクターの幅が1.7メートル以上や、その高さによっては、大型特殊免許が必要になるため、今年1月頃から、大型特殊免許のニーズが増えてきていると認識しています。  知事からの答弁では、10月から県が農業試験場で行っている研修以外に、JAや農機具メーカーで構成した協議会において新たな枠を設けて、10月から募集し、県が農業試験場で行っている以外の研修枠について、今年度60名広げるとの答弁をいただきました。この募集状況とどのような内容で、行うのか教えていただきたいと思います。 丸尾農業経営課長  委員指摘のとおり、今回、新たにJA香川県や香川県農機具商工業協同組合、香川県農業会議、香川県農業共済組合、そして県もメンバーに入り、協議会を立ち上げ、大型トラクターの走行技能を高めるため取り組んでおり、今回、1回10名の計6回で60名の定員で開催することとしています。  第1次募集は、6回開催するうちの1回目と2回目の募集を9月23日から10月16日まで募集します。また、第2次募集として、3回目から6回目の4回分の募集を10月19日から10月30日の間で実施することとしています。  受講対象者については、県内に居住地があり、普通免許を取得している農家の方とし、農業法人の従事者の方も対象としています。  また、開催場所については、農業大学校のトラクターの実習コースで実施することとしています。今回は協議会のJAや香川県農機具商工業協同組合が事務局となり、自らの農機具を持ち寄るため、受講料については、現在の募集段階では2万9700円としています。また、申込み先は、最寄りのJAの農機センターや香川県農機具商工業協同組合に入っている販売店となっています。  定員を上回った場合は、公平性を保つ観点から抽選としています。  今後も、県内農業者のトラクターの公道での安全性を高める意味で、こうした研修を関係機関や団体とともに一生懸命取り組みたいと考えています。 斉藤委員  昨年に比べ、農業大学校での研修のほか、新たに協議会を立ち上げて民間と一緒になって免許を取得できる枠を今回60名広げていただき、ありがたく思います。  ただ、農業大学校の60名の枠についてもそうですが、農業法人に入っている方などが対象とお聞きしました。香川県の農業は、家族農家の方も多くいます。家族や個人の農家の人たちは、県内の自動車学校のうちの5つの自動車学校でしか大型特殊免許を取れないとお聞きしています。そうした点から、枠を広げながら、そういう人たちにも免許を取っていただき、安心して農業ができる環境をつくることは行政の責任でもあると思いますが、どのように思っていますか。  併せて、今年、農業大学校の枠も昨年の倍にしていただき、今回、民間でも枠を広げていただき助かっているわけですが、自動車学校へ行くと十二、三万円かかるわけですから、安く取りたい人たちのニーズが、どれぐらいあると認識しているのか、その2点についてお伺いします。 丸尾農業経営課長  農業大学校での研修は、農業大学校の学生や担い手と言われる新規就農者や集落営農組織、農業生産法人の方を中心に行っています。今回の協議会で取り組むのは、あくまでも農業者一般の方を対象としており、小規模な方でも安心して走行運転ができるように対処していますので、活用いただきたいと考えています。  また、今回のような農業者のニーズは、まだまだあると思いますし、新たな新規就農者も毎年150名程度増えていますので、そうした方にも安心して農業ができるよう継続的な取組を進めていきたいと思っています。 斉藤委員  農業従事者のある程度の皆さんに免許が行き渡り、研修ができるように、また、香川県警の免許センターの方にも出てきてもらい、試験をしていただく苦労もあるかと思いますが、県の農業の発展のために、ある程度落ち着くまで回数を増やしていただけるよう要望させていただきたいと思います。  次に、6月定例会でも質問したため池について質問したいと思います。6月の定例会の時には、ため池管理保全法に基づき、所有者・管理者から県への届出が必要とのことで状況なども含めてお伺いしました。ため池の現状の把握や届出などを適切に市町と連携しながら行っていかなければならないわけですが、そこでまず、ため池の管理保全法に基づく現在の取組状況についてお伺いします。また、香川県のため池の数は、ため池台帳上約1万4600箇所とのことですが、ため池の数について、どのように認識しているのかお伺いします。 新池農政水産部長  まず、ため池の数の認識についてですが、現在、公表されているのは、1万4619箇所であり、これは平成12年時点の数となっています。それ以降、小規模なため池を中心に受益者がいなくなり、管理もされず、水がなくなったため池や、あるいは、正式な届出があり廃止されたため池もあります。このため、現状では、現場へ行って一つ一つ確認させていただいている中では、今申し上げた1万4000箇所余りの数字に比べて、数は減っているものと考えています。20年間、きちんとした調査ができていなかったため、ため池の数は減るのではないかと思っています。  それから、ため池管理保全法に基づく現在の状況ですが、基本的にこの法律は、民有ため池についての届出の義務を所有者などに課しています。このため、1万4000箇所余りのため池のうち、民有ため池の6,312箇所について、今まで未調査となっており、市町や香川県土地改良事業団体連合会と協力し、存在の位置の確認や利用実態を調査しており、現時点で6,312箇所のうち6,079箇所の96%については現地調査が完了したところです。残りのため池についても、鋭意、現地調査を進めているところであり、できる限り速やかに調査し、ため池の届出の促進につなげていきたいと考えています。  ため池の届出の促進についても、以前は全体の約6割しかできていませんでしたが、それ以降、いろいろな市町を通じ、また、現地での聞き取りなども行い、9月末現在の届出状況は4,395箇所となり、届出率が70%と以前の約6割と比べると約10ポイント上がっています。まだ所有者がはっきりしなかったり、所有者と連絡が取れないため池がありますので、適切な把握に努めていきたいと考えています。  それから、ため池管理保全法により、防災重点ため池における民有ため池について、県が指定を行う必要が新しく生じています。6,300箇所余りの民有ため池のうち、特に決壊したとき、周辺に水害を及ぼすおそれのあるため池である防災重点ため池については、第一弾として、8月31日に181箇所を指定しました。今、市町において浸水状況の検証をしており、年末までに2回目の取りまとめを行い指定を追加し、さらに、年度内に3回目の指定を追加し、年度内には全ての防災重点ため池に当たる民有ため池についての指定を終了させたいと考えています。 斉藤委員  私は、ため池の数の実態は、年内までにはつかめないのではないかと思います。平成12年から調査がされておらず、それ以前では昭和45年に調査され、その当時のため池台帳では1万8620箇所が確認されています。このため池の数は、地元マスコミと県職員OBが一緒に作成し、昭和50年に発刊された「讃岐のため池」という本の中に記載されていますが、この当時で、香川県のため池の数は、2万や3万とも言われています。だから、実態としては分からないのが昭和50年現在の状況であり、平成12年のときも1万4619箇所とのことでしたが、それよりは多くあったのだろうと思います。  先日、県の依頼を受けてため池の現状調査に回っていた業者の方に会いましたが、「行ってみてもため池がなく、いったいどこにあるのか」と思ったそうです。ため池が鬱蒼とした林の中にあることになっているのに、現状では堤体もなければ余水吐きも分からないという状況で困っていました。  そのような中、昨日、県と市町と香川県土地改良事業団体連合会などにより、ため池サポートセンターが立ち上げられたわけですが、ため池の実態を把握していなければ、センターは立ち上げたが、どう運用していくのか先が見えず、絵に描いた餅になってしまいます。公共ため池については、ある程度整備できていますが、民間ため池は漏水しているなど、整備がなされていないのが現状です。その原因は、ため池の改修にお金がかかることや、農業の受益地がなくなり、水の必要がなくなってきているなどであり、ため池が管理されていないのが現状です。  そのような状況から、まずは正確な池の状況を把握し、誰が管理しているのかを把握しておかなければ、サポートセンターができても事業が進んでいかないと思います。ため池の数と状況、また、誰が管理をされていて、誰が総代であるのか、連絡先などもきちんと把握しておくことが必要と思いますので、市町を含め、地元水利組合などとも一緒になって、整理していただければありがたいと要望します。  それから、昨年、ため池管理保全法ができ、今年はため池工事特措法ができました。午前中にも話がありましたが、種子法とため池工事特措法が国会で議論されていましたが、コロナの関係などいろいろとあったため、国においては、種子法を切り捨て、ため池工事特措法一本に絞り、全会一致により議員立法を通し、10月1日から10年間の時限立法で施行されることとなりました。それに合わせて県がサポートセンターを10月1日に立ち上げたと思いますが、今回施行されたため池工事特措法に基づき、防災・減災対策について今後どのように取り組んでいこうとしているのかお伺いします。 新池農政水産部長  ため池工事特措法については、先ほどのため池管理保全法と異なり、民有に限らず公有も含めた全ての農業用ため池について対象としています。ため池工事特措法の中にも新たな指定があり、公有・民有全てのため池について、この法律に基づいて、先ほど申し上げた防災重点ため池を指定することとなっています。  先ほども答弁したように、民有ため池に合わせ、当然、公有ため池についても、現在、実態調査をしており、浸水状況の検証についても行っているところです。最終的には、先ほど申し上げたように民有ため池が3回に分けて年度末までに指定されますが、公有ため池については一度にまとめて指定することになりますので、民有・公有合わせた指定は、今年度末を目途に現在作業を進めているところです。  また、ため池工事特措法においては、推進計画を県が策定することとされており、昨日立ち上げたサポートセンターが中心となり防災重点ため池の劣化状況調査を行いながら、今後必要となるため池の改修工事や、改修工事は不要だが点検はしていくといった内容を随時書き込むことになっているので、年度末に向け、第一弾の計画の策定に取り組んでいきたいと考えています。 斉藤委員  今後、ため池工事特措法に基づいて、民間ため池を防災重点ため池に指定していくとのことでありがたいと思います。しかし、劣化状況やため池の維持管理については、サポートセンターと市町、地元土地改良区、水利組合が一体となって、考え方を同じ温度差に上げて維持管理しなければなりません。行政がサポートセンターを立ち上げて取り組んでも、地元で実際に管理している人たちの意識が、「災害は起こるかどうかも分からないし、常日頃池の管理もしていないし、名前は名義だけだ」ということであれば、前へは進んでいかないと思います。同じ土俵の上に乗って、温度差を同じに保ちながらため池の管理をしていくため、どのように取り組むのかお伺いします。 新池農政水産部長  今、指摘のあったことは重要なことだと思いますので、まずは、6月に市町、県土地改良団体連合会、県で協議会を立ち上げ、会を既に3回開きました。正直申し上げて、きちんとしたことは考えられておらず、市町もばらばらだと思います。これから、各市町において、土地改良区、水利組合、地元の方や受益者なども入れて調査することによりため池台帳を整理し、それに基づいた今後の持続的な管理が大事だと思いますので、市町や地元へどのように意識啓発をしていくか検討していきたいと思います。 斉藤委員  検討していただけるとのことですので、11月定例会でも状況を見ながら、質問しますので、頑張っていただきたいと思います。  もう一点は、県内の農地維持の取組についてですが、香川県内の農業の耕作放棄地はどのような状況になっているのでしょうか。圃場整備もされておらず、農作物を作れなくなった耕作放棄地の現状と、耕地面積に対する作付けの割合である耕地利用率の状況について、今、農政水産部としてどう把握しているのかお伺いします。 新池農政水産部長  本県の耕作放棄地の面積は、平成30年度で7,143ヘクタールと、前年度に比べ、192ヘクタール増加しており、耕地面積に対する割合は19.1%となっています。  また、耕地利用率については、先月公表された令和元年は81.6%となっており、全国平均の91.4%と比べて低くなっています。  本県は平野が広く、田畑と住居の混在が多い地勢的な特徴があり、どうしても宅地や道路などの非農業的な土地需要が強くなることや、兼業農家の割合が高く農家1戸当たりの耕作面積も小さくなっています。加えて、農業従事者の減少や高齢化による耕作放棄地の増加があります。また、耕地利用率が低くなっているのは、統計上、二毛作をしていれば作付面積を倍にカウントできるため、九州などでは稲と麦の二毛作をしているため作付面積が2倍となり、耕地利用率が100%を超えています。しかし、本県の場合は二毛作がそれほどないため、耕地利用率を下げる要因になっているのではないかと分析しています。 斉藤委員  耕作放棄地が19.1%とのことですが、何も対策を打たなければ、耕作放棄地は増えていくと思います。耕地利用率についての部長の分析を答弁していただきましたが、私も香川県の場合は農地で稲だけを作って、冬の間は何も作らない人が多いため、率が上がらないのが要因として高いと思います。  そこで、国では、食料自給率をカロリーベースで45%との目標を立てており、県も国に準じた目標は立てていると思います。このようなコロナ禍で輸入が止まったときに、国内で食料自給をしていかなければならないとの問題が出ている中、カロリーベースでの食料自給率について、どこに目標を置き、どのように考えているのかお伺いします。 新池農政水産部長  国の食料自給率は、カロリーベースで令和元年が38%となっています。本県の食料自給率は、国の統計により1年遅れで公表されますが、カロリーベースで、平成30年度が33%となっており、平成20年前後の三十七、八%と比べると、最近でいうと過去最低のレベルとなっています。  食料自給率についての目標は設けていません。というのも、今までは、国の統計が1年後れで県の数値が公表されることもあり、県独自でデータを持ち合わせていない事情があり、目標にしにくい点があります。いずれにしても、食料自給率は高めていかなければならないと認識しています。  そのためには、生産基盤の拡充と消費拡大を両輪として、生産を増やすとともに、県民であれば県産農畜産物消費拡大、国民であれば国産農畜産物消費拡大していくことによって全体で食料自給率のアップにつなげていかなければならないと考えています。 斉藤委員  カロリーベースの食料自給率と耕作放棄地、耕地利用率は全部が重なってきますが、これを高めていくことで農業が盛んに、また頑張る農家の人たちが出てくることになっていくと思います。いかにして耕作放棄地を増やさず、減らすように、圃場整備や農業の集約化、また、香川県の場合は家族農業も一部必要だと思いますので、それらをうまくかみ合わせて圃場整備をしながら、次の時代に送っていくことが大事だと思いますが、その辺の取組についてどのように考えているのかお伺いします。 新池農政水産部長  本県の場合、平野部が広いため、平野部の優良農地を守っていかなければならないと思っています。そのためには、ハード面においては圃場整備が重要です。統計によると、圃場整備をしたところとしていないところでは耕作放棄地の発生に差があり、基盤整備ができていたところは0.2%ですが、全国での耕作放棄地の発生率は6%となっており、30倍以上の差があるとのデータがあります。  それから、ソフト面においては、農地の集約や多面的機能支払制度を活用しての維持管理も、荒廃農地の増加を防いでいるため重要になってきています。  さらに、昨年度から、地域の農業について農業者の間で決めていく「人・農地プラン」の実質化の取組として、地域の農地を将来一体誰に継いでいただくのかという実質的な話合いを進めていく取組も、耕作放棄地を防ぐのに重要であると思っていますので、ハード整備とソフト対策を併せて耕作放棄地をなくし、農地を維持していきたいと考えています。 斉藤委員  優良農地を維持していくとのことですが、維持するのではなく、作っていくことに取り組んでいただきたいと思います。また、多面的機能支払交付金制度はあくまでも農地でないと基本的に取り入れられません。農林水産省の個々の政策を一つずつ行うのではなく、横に広げて連携を取りながら、多面的機能、中山間、直接支払の3本セットについて、一緒になって農地の圃場整備も含めてうまく活用していただくことが、今後の香川県の農業の発展につながっていくのだと思います。今日は時間がありませんので、また、11月の経済委員会でお願いしたいと思います。 竹本委員  最初に、クロマツ盆栽の輸出についてお伺いします。  生産状況については、県の把握によると栽培面積が12ヘクタール、出荷量が5万8000本とのことで、海外への輸出先では9割が台湾だと聞いています。今、盆栽そのものの国内消費が落ち込んでいるので、海外に販路を求めていくことになりますが、今まで再三にわたり県にお願いし、国に対してもEUなどへの輸出について陳情にも参りました。こうした中、10月1日からEU圏に向けての輸出が可能になるとのことで盆栽農家の方も喜ばれています。しかし、防疫の関係があり、2年間は置いておかなければならないとのことで、すぐに出荷とはいかない状況ではあります。  盆栽については、どこの国へ行っても「BONSAI」として共通語になっていて、需要はあるわけであり、そうした意味では、光が見えてきたと感じています。今の輸出先は9割が台湾とのことですが、EUへ輸出できるようにはなったものの、盆栽農家からすると中国市場のパイが大きいので、中国への出荷ができるようになれば、盆栽農家の後継者ができて経営も安定してくると思います。国の中国などに対するアプローチは、どのようになっているのか教えてください。 尾室農政水産部次長  香川県は、EUとの協議を進めるにあたっては、国とも連携して、香川県の職員もEUへ行くなど歩調を合わせ、解禁に取り組んでおり、ようやくこのたび解禁となりました。しかし、中国に関しては、そうした取組を本格的に行っている状況ではありませんので、今日いただいた意見も踏まえ、国にも思いを伝えていきたいと思います。 竹本委員  EUへの輸出については整理がついたわけですから、中国についても、近くて人口も多く、また、中国の人は盆栽に対して関心も持っていますので、アプローチをできるだけ早くしていただきたいと思います。オーストラリア、カナダなど世界中に盆栽に興味を持っている国があります。そうした意味からすると、夢は大いにあるのですが、素人考えでは、EUに防疫体制をつくって出荷ができるようになれば、同じような形を中国でもできるのではないかと思います。特に部長には頑張ってもらわないといけないし、農林水産省にも、中国との関係も念頭に置いて、EUへの輸出と同じような形で中国へも話ができないのか、県、国含めて働きかけを今後してほしいと思います。
     また、これからどんどん輸出できるようになると、登録圃場を増やしていかなければなりません。登録圃場を増やすために、県としてどのように考えていますか。 岡崎農業生産流通課長  委員指摘のように、EUに向けてのクロマツ輸出については、植物防疫所に登録された圃場で2年間栽培管理する必要があります。それに加えて、土壌にいるセンチュウの侵入を防ぐため、50センチメートル以上の棚の上での栽培に2年間努めなければならないことになっています。  県としては、こうした盆栽棚の施設整備には一定経費がかかるため、この施設整備に対して県単独の補助事業を準備し、できるだけ多くの方に事業を実施していただけるよう、高松市やJAとも連携しながら進めているところです。 竹本委員  全部自前でしてくださいと言っても、盆栽農家も経営的に困難な状況を迎えています。また、もう一つは、今、登録圃場を増やしておかなければ、2年経過したが、これだけしか出荷できないというのではなく、注文があれば、多く出荷できる体制を整備しておかなければなりません。県としては、もっと盆栽農家の人にも圃場の関係についてPRしていただき、また、EUに出荷するためには、たくさんの圃場が要るということも含めて、説明会をやっていただきたいと思います。  次に、県産畜水産物についてですが、6月の委員会でも質問させていただき、そのときはオリーブ牛を子供たちに給食で提供するとのことでしたが、希望した何校かだけにしか提供しないとの話でした。今回は、ハマチなどを提供するとのことで、全校に提供されるとは聞いているのですが、どうでしょうか。 新池農政水産部長  魚については、全市町が対象となっており、給食センターごとの希望となるため、ほぼ全校に提供されます。しかし、畜産物については指摘のとおり、市町の中で調整した結果、活用しないという市町もあったため、全校が対象ではないという状況になっています。 竹本委員  香川県で生まれ育った方が、香川県の特産品やおいしい食べ物を一度でも味わうと、また食べてみたいとなって、消費の拡大につながりますので、いい取組だと思います。  今、コロナウイルスの関係によって、漁業者などを含め大変な状況にあります。スーパーでは、養殖のタイが、これぐらいの大きさで480円と、「これはどうなっているのか」という値段で販売されています。これは、タイが大きくなっても出荷できなければ餌をいくらでも食べてしまって採算が取れなくなるので、もう出荷するしかないとのことです。料亭へ持っていこうと思っても、料亭にはお客さんが来ないので料理が出せません。しょうがないので、スーパーに安く出荷するのですが、スーパーでは高く売っても、お客さんは買いませんので、安くしてでも売らないと維持ができないという状況になっています。そうした意味では、今後は予算の関係もあるとは思いますが、オリーブハマチだけでなく、いろいろな県産水産物へどんどん広げてほしいと思います。  次は、個人ため池の関係についてですが、これについては、先ほど斉藤委員からも話がありました。ため池工事特措法が1日から施行されたわけですが、その中で、農業用水として利用の見込みがない場合は、廃止が適当という答申が出ています。香川県の場合は、5,000トン未満のため池は埋立てしてもやむを得ないこととなっていますが、埋立てが妥当となったときには、どこが費用負担し、どこが工事を行うのでしょうか。今までと同じように、県と市が半分ずつ出すのでしょうか。 井川土地改良課長  ため池の埋立てについては、ため池の保全に関する条例に基づき適正に進めてきたところですが、特定農業用ため池は、ため池工事特措法においては、劣化状況調査を行い、劣化が進んでいるため池のうち工事が必要なものと工事が必要ではないものに分け、必要なものについては適正に工事をしていきます。  工事が必要であるが管理者がいないため池について、どのように工事をしていくかが、国においても大きな問題となっているところです。県においては、平成25年度に小規模ため池防災対策特別事業を創設し、受益がなくなり、管理者が不在となったため池や、農業従事者の高齢化などによって保全管理が困難となったため池などが増加している状況を踏まえ、地域の中で協議会をつくり、こうしたため池の埋立てについて貯水の廃止も含め、この法律に基づいて検討していきたいと考えています。 竹本委員  個人のため池となると、もう維持管理ができていない状況だと思います。そうしたため池が多くあれば、県や市町も予算がないので進んでいかないと思います。こうした場合は、余水吐きを切って放っておくという管理の方法も考えているのでしょうか。そうしなければ、ため池を全部埋めるといっても、お金の関係もありますので、余水吐きを下げて水がたまらないようにする方法を採らざるを得ないのではないかと思います。そのようなときには、余水吐きを切る工事費は行政が負担するのでしょうか。 井川土地改良課長  受益者がいなくなったため池については、今回、法律に基づいてサポートセンターを立ち上げ、劣化が著しいため池については定期的にパトロールを行って、漏水が増えているといった漏水状況やクラックが沈下しているなどの定期的な監視をしていくこととしています。また、できるだけため池をそのまま残し、管理していただくのが法律の趣旨となっているため、地元の受益者がいなくなれば、地域の土地改良区や水利組合、地域住民全体に草刈りのお願いをして促進していきたいと考えています。どうしても危ないため池については、小規模ため池防災対策特別事業を活用したり、委員指摘のように余水吐きを切り落としたり、底樋管を開けて水がたまらなくなるような低水管理の方法も採りながら、できるだけ下流の防災・減災に努めていきたいと考えています。 竹本委員  6月の経済委員会でも話しましたが、農業の基本は水であるため、ため池がなくなれば食物は育ちません。しかし、高齢者が増え、田んぼを作っていない農家の方も増えているため、ため池の維持管理や堰堤などの草刈りをする人でも、「もう年を取って足や腰が痛いので、もう草刈りにはいけません」という状況が今増えていて、水利組合の組合員でさえも出てこられません。  そういう意味では、自動草刈り機が有効かと思います。「前向きに頑張る事業者を応援する総合補助金」では、こうした草刈り機などについて、補助が5分の4か、4分の3であったかと思います。そのようなものを水利組合に活用してもらえば、リモコン操作で傾斜地も刈れるし、機械が転んでも人間は離れた場所にいるので怪我はしません。水利組合の自己負担は要りますが、そうした補助制度をつくればいいと思うのですが、いかがでしょうか。 新池農政水産部長  確かに今、ラジコンで動く草刈り機があり、高いものでは600万円もします。ほかにも300万円や150万円など4種類ほどの自動草刈り機があるようです。これらについても、多面的機能支払制度の交付金を活用すれば、地域の皆さんでまとまって1台買えるという形になっています。労力の省力化にもなりますし、安全面においても有効だと思いますので、まずは、多面的機能支払制度の交付金を活用していただきたいと考えています。 竹本委員  耕作面積が少なくても、機械は一人前いるというときは、昔は近所同士で機械を共同購入していたのですが、今ではほとんどなくなりました。「あなたが使っていて壊れた」「いや、私は壊していない」といった、いろいろな揉め事があったため、農家で1つずつ買うようになってしまいました。草刈り機も、毎日使うわけではないため、近くの水利組合同士で話合いをして1台買うなどの利活用をして、ため池の維持管理に役立て、また、多面的機能支払制度などを県がPRし、こうしたらいいのではないかなどの提案をしていくことで、香川県のため池の維持管理が図られると思いますのでよろしくお願いします。 十河委員  私からも、ため池について質問します。  10万トン以上のため池については、全て堤防の改修整備ができたと聞いています。5万トン以上のため池についても整備が進んでいると思いますが、それ以外の小規模なため池については、現在、調査しているとの話ですが、今にも危ないため池も多くあると思います。その状況についてお伺いします。 新池農政水産部長  令和元年度末までに計画的に整備する約3,500箇所のため池の整備率が現在約24.1%となっています。規模別では、貯水量5万トン以上のため池は全ての整備を終えていますが、5万トン未満の中小規模のため池については、1戸当たりの農家負担が大きくなるため整備が進まず、現在約22%の整備率となっています。  特に1,000立方メートル未満の小規模ため池については、約9%の改修状況にとどまっており、老朽化したため池が多く残っている状況です。 十河委員  1,000立方メートル未満となると、山の中などにあるため池だとは思いますが、田んぼがあれば直さないわけにはいかないと思います。農家の負担率は、単県事業であれば2割や3割になると思いますが、それではますます進まないと思います。受益戸数が少ない場合、農家の負担がどのぐらいになるか教えてください。 井川土地改良課長  ため池の負担率は、ため池の規模に応じて国費・県費の負担が変わってきます。基本的には、2ヘクタール以上の大きいものについては、県営事業となり地元負担は2%ですが、2ヘクタール未満であれば団体営事業となり、地元負担は5%となります。それ以下の簡易な整備を行う単県事業であれば、県が50%、残りの50%について市町と地元で負担となり、市町・地元の負担割合は各市町により変わりますが、単県事業になると補助率が低くなります。 十河委員  1,000立方メートル未満のため池といっても、堤防の全てを整備するとなると相当の金額になると思います。負担する戸数が少ないものについては、整備が進まず、いつまでも放っておかれるのではないかと思います。  最近はゲリラ豪雨などにより堤防が切れやすいため、地元負担を下げることも考えて整備を推進する必要があると思いますが、どのように考えていますか。 井川土地改良課長  団体営事業で実施する小規規模なため池の整備は地元負担率が5%ですが、1箇所当たりの整備費については、大きなため池も小さなため池もそれほど大きく変わらないため、小規模ため池については農家負担が増嵩し、農家の方の整備意欲が湧かない状況となります。このため、現在、県では、「地域ため池」という、ある一定のエリアをくくって、大きいため池も小さいため池もまとめて整備をする事業を推進しています。この事業であれば、小さいため池と大きいため池を合わせた面積が10ヘクタールになると、県営事業として取り組めて、2%の地元負担で進めることができます。そうした有利な事業を活用するように地元調整を行い、一部のため池から要望が出たら、できるだけ大きくまとめると県営事業として実施できるため、周りのため池についても整備の要望の有無を調べ、エリアで整備していけるように事業を推進しています。 十河委員  ため池の問題は、これからも出てくると思いますが、できるだけ改修していく方向で各市町と相談しながら進めていただきたいと思います。  次に、農業分野における外国人労働者についてお尋ねをします。  今年に入り、東南アジアの研修生が行き来できないため、それを頼りに農業をしているところは、大変なことになっていると思います。2月ぐらいに研修が済んで帰国したので、その代わりが来るようになっていたのですが、代わりが来なくなったため、結局は地元の人を集めて仕事をしてもらうことになり、大変なことになっていると思います。最近では、外国からの研修生が入ってくる方向になりつつあるとは思いますが、どう把握しているのかについてお尋ねします。 新池農政水産部長  農業分野での外国人労働者数については、1年に1回、香川労働局が発表するのですが、それ以外の時期については、実態としての数字が把握できないため、県では、農業者に代わって外国人技能実習生を扱う県内の36監理団体のうち、4団体で全体の7割の方を扱われているため、その4監理団体に聞き取りを行っています。  その4団体に聞いたところでは、4団体が扱っている実習生の人数は、8月末現在が568人であり、6月末の588人に比べ、さらに20人減っていました。20人減っている理由をお尋ねすると、基本的には、出国も入国もできない状態が続いていましたが、カンボジアやインドネシア、ベトナムでは、どうしても帰らなければならない方については、高いお金を出せば帰れることや、技能レベルが上がって他県へ行かれた方がいたという2つの理由から減っている状況です。  また、その4団体に聞きましたら、今年2月から12月の間で入国予定であったのに一切来られていない外国人が106名いました。その代わりに、出国の見通しが立って帰ることができた方もいますが、そのまま残っている方も87名ほどいる状況です。 十河委員  個人の農家については、外国人を頼りにしているところが多くあると思います。今、難しい状況であり、数字を把握しにくいとは思いますが、できるだけそうした情報を流していただきたいと思います。経営者の方も、外国人が帰ったのに、代わりが入ってこなければ大変なことになると心配していますが、いかがでしょうか。 新池農政水産部長  農業者の方も不足のまま来なければ、パート募集も必要になりますので、県として、県内の主要監理団体や関係機関と連絡調整の会議を行い、その際には情報をお伝えするようにしています。  委員指摘のとおり、10月1日から、ある程度外国との出入りが、ビジネス、留学生、技能実習生については緩和していくとの国の方針があるものの、1日1,000人という限定的な入国であり、今後、新規感染者数などの状況が変われば、どうなるか分からないため、今、100人を超える方がすぐに入国できるかといえば厳しい状況ですので、外務省の情報もキャッチしながら、先ほど申し上げた連絡調整会議において、監理団体を通じ、農業者に伝わるように留意したいと考えています。 十河委員  そうした連絡を取って、農業者に不便や人手が足りないといったことが起こらないように進めていただきたいと思います。  もう一点、先ほどスマート農業の話がありましたが、さぬき市では13の農業法人があるのですが、高齢化し、今後農業がどうなるかという心配しています。スマート農法、機械化が進んでいくのだと思いますが、現在は、それほど大きな機械は入っていませんが、1箇所の農家も大きい農家ではなく、これから農業を進めようとすれば、そうしたものを取り入れていかなければ、農業は廃れると思いますが、どのようにお考えですか。 新池農政水産部長  委員指摘のとおり、高齢化が進んでおり、人手不足が一番の大きな問題となっており、これをロボット技術で代替するのがスマート農業であり、人手不足を解消する目的では大きな要素を持っています。コンバインやトラクターの自動運転は、自動車と一緒でまだまだ実験段階ですが、人工衛星のGPSでコントロールして直進し、曲がるときだけ人手で曲げるぐらいは、近々実用化される見込みとなっています。  また、ドローンも、薬剤散布のみならず、いろいろな意味で使えますので、そうしたものを人手不足の代わりに、省力化・超省力化していけるかが、農業を継続していくために大事なところであると思いますので、これからのスマート農業に期待したいと考えていす。 十河委員  スマート農業には期待しているのですが、その知識については、ぴんとこないところもありますので、県でスマート農業に関する勉強会を開催すれば、前へ向いて進んでいくのではないかと思います。農業法人の規模拡大の方向に進めていくことも大事だと思いますので、そうした勉強会を行うことについて検討していただきたいと思います。 五所野尾委員  農業におけるデジタル化の推進について質問します。  スマート農業が午前中から話題になっていて、被る分野もありますが、概念が少し違うデジタル化という観点から質問します。  現在、世界的には第4次産業革命と言われる大きな変革が進展していますが、そういう中にあって、産業競争力の強化はもとより、社会全体の変革を目指し、主要国では、IoTやビッグデータ、AIなどのデジタル技術の世界的な実装を国家レベルの戦略として推進している状況にあります。  そうした中、我が国では、人口減少社会に入り少子高齢化も進み、産業の競争力の低下や地域社会の活力低下が懸念されていますが、デジタル技術の活用による産業や社会を変革するデジタル・トランスフォーメーションが最重要の課題になっています。新しくスタートした菅内閣においても看板政策の一つとして、デジタル化の推進を取り上げており、香川県出身の平井代議士がデジタル改革担当大臣に就任し、陣頭指揮を執られている状況です。  農業分野においても、農業従事者の高齢化や労働力不足が進んでおり、デジタル技術を活用して農業の成長産業化を進める必要があります。従来の営農体系に単にデジタル技術を導入するのではなく、ビッグデータを駆使して戦略的な生産を進めるなど、デジタル技術を前提とした新たな農業の変革を実現していくことが重要であると思います。本県の農業政策の点からも、デジタル技術の積極的な活用を前提として施策を推進することが求められており、今後はさらに強まってくるのではないかと思います。  そこで、農業におけるデジタル化についての認識と本県における取組の状況があれば、お伺いしたいと思います。 新池農政水産部長  スマート農業の定義には、ロボット、AI、ICTという大きな区分けがあります。そうした中、デジタル化というのは、概要的な言い方であり、スマート農業は、農業のデジタル化に当たると思います。デジタル・トランスフォーメーションも、先ほどの委員指摘のとおり、デジタル技術で世の中を変革していこうとのことであり、それぞれの分野でもそうですし、農業分野においても、先ほど申し上げた技術を使って変革すれば、これがデジタル化によるDXというものであり、言い方でいろいろ重なっていると思います。  農業におけるデジタル化の本県での取組についてですが、トマトやイチゴなどを作っているビニールハウスの中には、いろいろな環境条件があり、温度や湿度、二酸化炭素濃度、水分などを、人為的に制御することが環境制御と言われており、それを機械的に行うのが環境制御システムや環境制御技術と言われています。香川県のスマート農業の一つとして「らくちん栽培」がイチゴ栽培などで用いられており、これを、さらに、外からインターネットやスマートフォンに結びつけて、ハウス内の栽培条件をデータ化して、見える化をすれば、それが一つのデジタル化と考えています。  本県では、そのデータを活用して収穫量を増やし、品質をよくしていく取組として、イチゴ栽培と小原紅早生のかん水に応用するため、平成28年度からICTを活用した情報通信システムの開発に取り組み、今年完成しました。  このシステムは、栽培環境の様々なデータを収集し、データをスマートフォン上でグラフなどの見える化にして、リアルタイムに生産者はもちろん、指導する方も情報を共有して比較分析できる情報通信システムであり、名称を「さぬきファーマーズステーション」として立ち上げ、今後、普及に向けた実証に取り組んでいきたいと考えています。イチゴについては、先ほど話の出た「らくちん栽培」が主流であり、本県には300戸余りのイチゴ農家がありますが、その3分の2の200戸余りで、「らくちん栽培」のシステムが現在取り入れられています。  従来、10アール当たりの収穫量の平均は3.8トンですが、栽培技術が長けている方については6トン以上の収穫があり、収穫量や品質に差が出ているのが以前からの課題でした。その課題を解決するためには、従来のベテランの勘や経験だけではなく、環境データをきちんと見える化し、今こういう状態なので、二酸化炭素濃度を上げたり水分を多くしたり、または、気温を低くするなどの判断をする「さぬきファーマーズステーション」を今回構築したものです。  このシステムでは、ハウス内の環境制御がスマートフォンにより遠隔で行えます。例えば、二酸化炭素濃度や室温のコントロールや、温度、二酸化炭素濃度の異状を知らせるアラーム機能もついているため、省力化を図ったハウス管理も行えるようになっています。  もう一点は、小原紅早生などのかんきつ類においては、土壌の水分コントロールが難しく、糖度を高めるためのかん水をどういうときにしたらいいかは、今までは生産者の勘や経験に頼ったところがありました。しかし、新規就農者の方にも分かるようにできないかというデジタル化であり、ミカンの直径や糖度を測ってパソコンに入力すれば、システムが今そのミカンの木が受けている水分ストレスを推測して、「今はストレスが大きいので水をやらないといけない」といったコメントが出てくるシステムも「さぬきファーマーズステーション」において立ち上げたところです。 五所野尾委員  香川県でも、そうした取組がスタートしているという実例を挙げていただきましたが、全国的にも既にこうしたデジタル技術を導入して、新しい価値を生み出していく取組が始まっており、いろいろとあるようです。今、話のあったような水分管理の面からも、自動給水管理システムを使ったり、ドローンによるピンポイントの農薬散布や、家畜の健康や繁殖管理のシステムなどの消費者ニーズの的確な把握と効率的・効果的な生産をやろうという取組も始まっているようであり、これから、さらに勢いをつけて、こうしたものが進んでいくという状況になってきています。  こうしたことにより、最終的には労働時間の削減にもつながり、経営コストの削減や反収の向上などいろいろな面で効果を発揮してくれるのではと期待しています。こうした取組については、県内の農業者に広く紹介し、普及を図っていく必要があると思います。その点では、農業改良普及センターや農業試験場の果たす役割も大きいと思いますが、現在どのように取り組んでいるのか、今後どうするのかお伺いします。 新池農政水産部長  先ほど答弁したようなシステムでは、ハウス内の環境条件などを見える化にするのですが、グラフを見ても、それだけでは今何をしたらいいのかの判断が難しいという問題があります。このため、農業改良普及センターや農業試験場の職員なども一緒になって、そうしたデータを見て今どうしたらいいかという技術を身につけることが大事であると思っています。  今後については、農業者自身が、これまでの勘や経験だけというのでは難しいため、ある程度データを活用できる栽培管理を生かすことができる果樹や野菜については、そうした形に取り組もうとする意識改革も重要です。さらに、そのデータを見て分析した結果、今、何をしたらいいのかをデータで比較するのは、いきなりすぐにはできませんので、本県の普及指導員も一緒になって勉強したいと考えております。さらに、先ほど申し上げたように本県のイチゴ農家は300軒程度あり、その3分の2の約200軒については、既に「らくちん栽培」を導入していますが、ファーマーズステーションのデータは、まだ約10軒のデータの共有となっていますので、これから普及するため、少しでも農業者の皆さんに理解いただきながら、普及員も一緒になって勉強してまいりたいと考えています。それには、こういうデータのときには、こうして温度を上げるや下げる、二酸化炭素を上げるや下げるといったレベル勘など、何をしたらいいかをマニュアル化する必要があるため、そのマニュアルについては、これから作成してまいります。  マニュアルについても、一定人数のデータを集めてからになるかと思います。システムを導入すれば、すぐに高品質化ができるのではなく、データに基づいて変えていこうという意識や技術がポイントであると思いますので、そのあたりについてもこれから取り組んでいきたいと考えています。 五所野尾委員  いろいろな取組を行っていただいており、これから課題もたくさんあるとのことです。農業のデジタル化の推進は、農業の様々な課題の解決にもつながりますし、農業の成長産業化にも欠かせないものとして大きな期待があります。逆に、行政にしても、行政事務については、デジタル化を進めることが不可欠になると思います。そうした意味で、農業のデジタル化を積極的に推進し、香川の農業の再生・成長を図る大きな力にしていただきたいと要望します。 松原委員長  以上で、農政水産部関係の質疑、質問を終局いたしたいと存じますが、異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) 松原委員長  異議なしと認め、農政水産部関係の質疑、質問を終局いたします。  本日は、これをもって散会いたします。 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....