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令和元年11月定例会(第3日) 本文

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  1. 香川県議会 2019-11-03
    令和元年11月定例会(第3日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    大  山  一  郎 君    西  川  昭  吾 君    松  岡  里  佳 君    鏡  原  慎一郎  君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    山  本  悟  史 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    三  野  康  祐 君    森     裕  行 君    五所野尾  恭  一 君    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    都  築  信  行 君
       鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    花  崎  光  弘 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   太  田  吉  夫 君           審  議  監   安  松  延  朗 君           政 策 部 長   大  山     智 君           総 務 部 長   東  田  晃  拓 君           環境森林部長    木  村  士  郎 君           健康福祉部長    安  藤  照  文 君           商工労働部長    浅  野  浩  司 君           交流推進部長    新  池  伸  司 君           農政水産部長    国  分  伸  二 君           土 木 部 長   片  山  秀  樹 君           知事公室長     淀  谷  圭三郎  君           危機管理総局長   土  岐  敦  史 君           文化芸術局長    佐  藤  今日子  君           子ども政策推進局長 小  川  秀  樹 君           会計管理者     宮  武  卓  朗 君           病 院 局 長   岡  内  浩  二 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     岡  部  正  勝 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監 査 委 員   亀  井  孝  行 君           事 務 局 長           人事委員会     関  谷  利  裕 君           委  員  長           人事委員会     岡  田  総  一 君           事 務 局 長           労働委員会     山  本  浩  司 君           事 務 局 長           政策部次長     椋  田  那津希  君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第三号)                 令和元年十二月十三日(金)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(大山一郎君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  谷久浩一君。    (谷久浩一君登壇、拍手) ◯谷久浩一君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。  質問の一点目は、県職員のマイナンバーカード取得についてであります。  マイナンバー制度は、公正・公平な社会の実現、住民の利便性向上や行政事務の効率化などを目的に導入されました。県民にとっても行政にとってもメリットが大きい制度でありますが、その実効性を確保するためには、県民へのマイナンバーカードの普及が肝要であります。そして、カード普及のためには、住民が利便性を実感できるよう、しっかりと周知していくことが必要です。  総務省の調査では、十一月一日現在のマイナンバーカード交付枚数は、全国で約千八百二十三万枚、人口に対する交付枚数率は一四・三%でした。本県の状況は、約十一万二千枚、交付枚数率は一一・四%となっています。本県でも着実に交付枚数率が増加してきているものの、依然として全国平均を下回っている状況にあります。  国においては、マイナンバーカードを活用した消費活性化策健康保険証としての利用などといった、カード普及のための取り組みを予定しており、二〇二二年度、令和四年度中に、ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していることを想定しています。九月三日の第五回デジタル・ガバメント閣僚会議では、ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有するに至る具体的なスケジュールに加え、保険者、医療機関等、市町村における時期ごとの具体的な取り組み方針について決定され、普及をさらに加速させています。  その一方策として、公務員の取得の推進があります。六月四日の第四回デジタル・ガバメント閣僚会議で「国家公務員及び地方公務員等については、本年度内に、マイナンバーカードの一斉取得を推進する」と決め、各自治体への通知で、職員らに取得を促し、その後、六月末時点の同カード取得状況と十月末時点の申請・取得状況を報告するよう指示したとのことであります。県としても、引き続きマイナンバーカードの普及促進のため、県民に対する周知啓発や市町への支援を行っていく必要があります。  しかし、県民に取得を促す立場でありながら、県職員みずからがマイナンバーカードを取得していないとすると、幾ら必要性や利便性を訴えても、説得力に欠けることになります。あるいは、県民からマイナンバーカードに関する質問を受けても十分な回答ができないおそれもあります。  職員のマイナンバーカード取得を推進し、ほとんどの職員が取得しているという状態を県民に示すことができれば、取得に当たって不安を抱えたり、面倒だと感じたりしている県民の心理的ハードルを下げることになり、普及に向けての効果は大きいと考えます。職員が実際に使ってみて、その使い方や利便性、安全性、留意点などについて理解を深め、機会を捉えて県民に伝えていくことができれば、普及は大きく前進するのではないでしょうか。  また、取得だけでなく、使用してもらわなければ更新がされず、普及率は再び下がることになります。マイナンバーカードについて理解し、納得した上で取得し、そして使用する、それが本当の意味での普及になると考えます。そのために職員の取得を推進していく必要があると考えます。  そこで、本県職員のマイナンバーカードの取得状況についてお伺いをいたします。  また、職員の取得状況の現状に対する知事の認識と、今後の対応をお聞かせください。  質問の二点目は、瀬戸内国際芸術祭の評価と今後の考え方についてお伺いをいたします。  瀬戸内海の十二の島と二つの港を舞台に開かれる瀬戸内国際芸術祭二〇一九が、先月四日、春・夏・秋の三会期、合計百七日の開催期間を無事に終えました。昨年の末ごろから、欧米の複数のメディアでことし行くべき場所として瀬戸内エリアが注目され、その理由の一つに、瀬戸内国際芸術祭も取り上げられるなど、これまでにも増して開幕前から高い期待を背負っての開催となりました。  今回は、過去からの経験と社会環境の変化も踏まえて、作品展開に加えて、来場者サービスにおいてもさまざまな新しい取り組みを行ったことが功を奏し、来場者数は過去最多の百十七万八千人余りとなり、会場となったほとんどの島で、前回よりも来場者数が増加いたしました。  会期の日程を変更し、春会期にゴールデンウイークを含める一方、暑さの厳しい夏会期を前回より短縮し、秋会期を八日間延長するなど、より訪れやすい環境を整えたことも好結果につながったようです。また、来場者アンケートでは、海外からの来場者の割合が二三・六%で、前回の一三・四%から大幅に伸びたほか、四割を超えるリピーターだけでなく、初めての来場者も増加しており、事前の期待に十分応える結果になったのではないでしょうか。  初回から「海の復権」というテーマを掲げ、過疎・高齢化が進む島々を中心に地域の活性化に取り組んできた瀬戸内国際芸術祭は、約十年にわたる取り組みによって、期間中の集客はもとより、移住者の増加や本県のブランドイメージの向上など、多くの効果をもたらしました。  一方で、一部の島においては、一時期に余りにも多くの来場者が来ることによるオーバーツーリズムの問題も指摘されるようになっているほか、猛暑や台風など気候の変化による自然災害への対応も必要になるなど、新たな課題も浮かび上がっています。  瀬戸内国際芸術祭は、関係市町、ボランティアサポーター「こえび隊」、航路事業者、経済団体や民間企業、そして地元住民の方々など、非常に多くの関係者の協力のもとに成り立っています。来場者の声や、開催・運営にかかわっていただいた多くの関係者の御意見もお聞きしながら、今回の成功要因や課題・改善点をしっかりと検証する必要があると考えております。  そこで、今回の結果を踏まえて、瀬戸内国際芸術祭の取り組みについてどのように評価しているのか、また、次回の瀬戸内国際芸術祭の開催についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。  質問の三点目は、オリーブの品質向上への取り組みについてであります。  小豆島で日本初のオリーブ栽培が始まったのが一九〇八年、それからことしで百十一年がたちます。オリーブは、地中海沿岸が発祥の地で、その歴史は数千年とも言われています。  先月、私はスペインのアンダルシア州にあるハエン県などを視察してまいりました。スペインの最南部に位置するアンダルシア州は、冬は温暖で雨量が多く、夏は日差しが強く乾燥する典型的な地中海気候で、まさにオリーブ栽培に最も適した気候の土地です。  スペインは世界一のオリーブ生産国ですが、中でもハエンは、スペインにおけるオリーブ栽培の中心と言える都市です。スペイン大使館経済商務部が紹介するところによりますと、スペインがオリーブ産業で世界一となった要因の一つとして、科学的進歩と実験の結果を重要視したことを挙げています。これによりオリーブオイルの品質と多様性を史上最高水準まで上げることができたとのことです。高度な栽培システム点滴かんがい、一貫生産、環境に優しい栽培方式により、オリーブの実の油分が最高の香りと風味を帯びた成熟時に実を収穫することが可能になり、オリーブの実の行き届いた手入れとその収穫に加えて、各オリーブの品種の特徴とそれぞれの熟成ぐあいに適応した革新的な抽出技術を採用したことで、実に含まれるさまざまな微妙なニュアンスを残したままオイルを製造することができるようになったということであります。現在もこうした科学的アプローチによる取り組みは続けられており、今回訪れたアンダルシア州立農林水産研究所は、世界中から九百品種以上のオリーブの品種を収集・保存し、品種特性を調査しており、オリーブ遺伝資源バンクとしての機能を果たしています。  本県では、昨年十一月、小豆オリーブ研究所に設置しているオリーブオイル官能評価パネルが、IOC、インターナショナル・オリーブ・カウンシルから公式パネルとして認定を受け、オリーブの品種や果実の熟度、採油方法、生産環境により味や香りの特性を人の感覚を使って判断・評価しています。私は、スペインが科学的なアプローチによって成功したことに触れ、これまでも一般質問を通じて、その必要性を訴えてきたところでありますが、改めて化学分析に関するIOC認定の早期取得を実現していただきたいと考えております。取得に向けどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  また、本県では、今年度からオリーブ関連商品認証制度が開始し、第一回の認証商品にはオリーブの果実や葉のほか、オリーブ牛オリーブ夢豚オリーブ地鶏オリーブハマチなどのオリーブ畜水産物を使用した加工食品等が認証され、一層のPR効果とブランド力の向上が期待されます。これらオリーブ畜水産物は、オリーブオイルを搾油した後の残りかすや葉を餌として活用して生み出されたオリーブブランド畜水産物ですが、このようにオリーブを余すところなく使い切っている点は、世界的オリーブ産地アンダルシア州にさえ、驚きをもって受けとめられています。このことは、本県の取り組みを世界に発信する大きなチャンスと言えるのではないでしょうか。私としては、アンダルシア州やハエン県とオリーブの生産に関する技術や利用の事例などを相互に提供し合う交流をしてはどうかと考えます。こうした交流は、双方に課題解決の気づきをもたらすことが期待できるだけでなく、交流を通じた関係の構築によって、本県オリーブの販路拡大につながる契機ともなると考えます。  そこで、アンダルシア州やハエン県など、海外のオリーブ産地との交流について、知事のお考えをお伺いいたします。  質問の四点目は、健康に着目した野菜の次世代栽培システム研究・実証事業についてであります。  私の地元である土庄町に、土庄町植物栽培システム研究所、通称「小豆島やさい工房~シーサイドファーム~」が開設されて二年が経過いたしました。土庄町が事業主体となり設置したこの研究所は、健康長寿の実現と地域産業の活性化を目的とし、現在、県のほか、理化学研究所や慶應義塾大学、香川大学などの全面的な協力のもと、運営がなされています。  一般的な植物工場は、室温や湿度を制御して最適な栽培環境を整えるもので、季節や天候に左右されることなく、安定的な生産を実現するものです。しかし、生産に際しての歩どまり率の低さ、コストの高さなどから、多くのところで赤字となっており、ビジネス展開に向けては、多くの課題を有していました。  そこで、土庄町植物栽培システム研究所では、昨年度は低カリウムレタス、今年度はエディブルフラワーベビーリーフを素材として、環境の計測、採算のシミュレーションや歩どまりの計測などの実証研究が行われてきました。私といたしましては、本事業については、健康長寿の実現に大きく関連する食と農業を対象とした研究の成果が、将来にわたって小豆島の地域産業にも貢献し、健康長寿に資するようなものになるよう取り組んでいただきたいと考えます。  今年の二月十三日と七月五日には、本事業の取り組み内容を地元の住民や企業の方々に周知するための小豆島やさい工房交流会があったと聞いております。そこでは、エディブルフラワーベビーリーフを使った生春巻きやスープ、サラダやクッキーといった料理が振る舞われたとのことです。参加者からは、「おいしかった」といった味についての好意的な感想が多かったようですが、企業からは、「自社商品に活用したい」といった商品化への前向きな意見もあったということです。特にエディブルフラワーは、華やかな見た目だけではなく、ビタミンAなど栄養素も豊富に含まれているということであります。このような作物が安定的に生産され、地元企業がどんどん活用していけば、小豆島だけではなく、香川県全体の健康長寿のブランド化も進んでいくのではないでしょうか。  そんな中、先月には、来年度からこの研究所を使用する民間事業者が決まったと聞きました。しかし、民間事業者が決まったとしても、そこに任せたままでいると、先ほど述べました課題もあることから、研究所の運営はなかなかうまくいかないのではないでしょうか。  そこで、この健康に着目した野菜の次世代栽培システム研究・実証事業について、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、そして、民間展開に向けてどのような対策を講じていこうとお考えなのか、知事にお伺いをいたします。  最後に、アニメツーリズムによる地域の活性化についてであります。  アニメ、小説、ゲームなどの作品の舞台となった土地や建物は、熱心なファンから聖地と呼ばれ、その聖地をファンが旅行で実際に訪れることをアニメツーリズムと言います。聖地巡礼と呼ばれることもあります。  十月二十九日に、全世界のアニメファンから投票をもとに毎年更新される「訪れてみたいアニメ聖地八十八」の二〇二〇年版が発表され、アニメ「からかい上手の高木さん2」の舞台である土庄町が選ばれました。「からかい上手の高木さん2」は、中学生の西片君と同級生高木さんの二人を描いた漫画がアニメ化されたもので、高木さんにからかわれる西片君が、何とかやり返そうとしつつも、見破られて失敗してしまうというコミカルなやりとりが人気を呼んでいます。原作者の山本崇一朗さんは小豆島出身で、作品の舞台は、土庄中学校を初め、小豆島がモデルとなっています。  アニメ聖地八十八の選定は、国内外のアニメファンを対象とした投票結果をもとに、協会事務局が権利者や地方自治体等との協議を行い、その結果をもとに理事会で総合的に判断し、決定されます。決定は、作品の舞台やモデルとしてファンに一定の認知を得ていることや、観光による振興が可能な地域・作品であるといった基準に基づいて行われているとのことであり、今回、香川県では土庄町のほか、観音寺市や高松市も選ばれています。  アニメツーリズム協会は、平成二十八年に、観光立国・日本の地域活性化を促進するアニメ聖地を八十八カ所選定・組織化することで、観光資源の掘り起こしや訪日観光客のエリア送客を促進する官民連携の組織として設立され、会長は、機動戦士ガンダムなどの人気アニメを手がけた富野由悠季さん、理事長は、株式会社KADOKAWA取締役会長の角川歴彦さんが務められています。およそ五十の多様な企業や団体が会員として参加しており、内閣府のクールジャパン拠点連携実証プロジェクトにも採用されるなど、アニメ聖地を活用した事業や地方創生を行っています。  アニメツーリズムは、聖地を訪れることで、作品の中に登場するシーンと目の前に実在する場所とを照らし合わせ、作品の登場人物と同じ場所に来たような感覚を覚え、より一層作品の世界を感じられる点が魅力です。地元の人だけにしか知られていなかった神社が、アニメの舞台として登場するや否や、全国から若い人も含め大勢の人が訪れる一大観光スポットになる可能性も秘めているのです。  しかし、もちろん、聖地というだけでいつまでも観光客が訪れる状態を維持できるわけではありません。確かに、作品人気が出ることで、一気に知名度や来訪者数が急増するケースはありますが、あくまでそれはブームであり、一過性のものです。聖地以外の魅力がなければ、アニメツーリズムは成り立たないのであります。  聖地巡礼は、アニメに限らず、漫画、小説、映画などの作品のファンには珍しくない行動であり、聖地を訪れるほどの熱心なファンは、そこでしか見られない、手に入らないものなど、特別な価値を感じられるものにお金を使います。目の肥えた来訪者にしっかりと訴求できる魅力を用意しておく必要があります。  訪れてみたいアニメ聖地八十八の発表の場で観光庁の田端長官は、アニメが人を動かす力について国内外から注目が集まり、再認識されていると挨拶されました。土庄町長も、島を挙げて観光資源の一つとして観光客がふえるように取り組んでいきたいと話されています。国も町も、今回の選定を機にアニメツーリズムに注目している中、県としてもアニメを活用して地域の活性化につなげていくべきと考えます。町と連携し、効果的な情報発信を行うなど、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをし、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)谷久議員の御質問にお答えいたします。  まず、県職員のマイナンバーカード取得についてであります。  県では、これまで、マイナンバーカードの普及に向けて、県民の皆様に利便性や安全性について御理解を深めていただくため、広報誌、テレビ、ラジオなどを活用した広報活動を行うとともに、各市町に対し、マイナンバーカードを活用した住民票の写しなどのコンビニ交付サービスを導入するよう働きかけてまいりました。  こうした中、議員御指摘のとおり、国において、マイナンバーカードを取得した方へのプレミアムポイントの付与や、マイナンバーカード健康保険証としての利用を来年度中に順次開始することが決定されたところであります。これに伴い、マイナンバーカード取得者数の増加が見込まれることから、全国の市町村の窓口における交付事務の平準化を図るため、公務員等が今年度中に先行取得するよう推進することとされましたが、本県職員の取得率は、本年十月末時点で一五・六%であり、取得が十分に進んでいるとは言いがたい状況であると認識しております。このため、庁内掲示板において「マイナンバーカードかわら版」を四回にわたり掲載し、マイナンバーカードの申請方法や安全性等についてわかりやすく説明し、取得を呼びかけているところです。  また、このような呼びかけを行う中で、職員から、平日の昼間にマイナンバーカードを受け取りに行けないといった声も聞いており、このことは、多くの県民の皆様にも共通するものであることから、各市町に、土曜・日曜日や平日夜間の開庁についてお願いしてきた結果、ほとんどの市町で来年四月までには、土曜日、日曜日、または平日夜間の開庁を行う予定であると伺っております。今後ともこうした取り組みを粘り強く行うことで、職員のマイナンバーカードの取得促進に努めてまいりたいと考えております。  次は、瀬戸内国際芸術祭についてであります。  四回目の開催となった今回の芸術祭では、前回までの課題や社会環境の変化などを踏まえ、さまざまな面でこれまでの取り組みを発展させようと取り組んでまいりました。作品等の展開につきましては、香川の特産品に焦点を当てた作品や体験型の作品を多く設置したほか、アジアとの交流を深める取り組みや、高松港の一部作品での開館時間の延長など、インバウンドや夜型観光を意識した取り組みも行いました。  来場者サービスにおいては、作品鑑賞パスポートオンライン販売の導入や高松港など一部案内所でのカード決済対応混雑予想カレンダーの発信、大島航路の一般定期航路化や男木島・大島間の航路開設、公式ガイドツアーの実施といった新たな試みは、いずも好評をいただいたと考えております。  また、住民の皆様に、作品制作、船のお見送り、お接待などの御協力やボランティアサポーターなどとの交流を深めていただいたことで、地域活動の活発化や元気の創出にもつながっており、このような地域が一体となって盛り上げている姿は、多くの来場者の心を動かしたと感じております。
     こうした成果の一方で、議員御指摘のとおり、繁忙期における船や島内交通などの受け入れ体制のほか、夏の暑さや台風など自然災害への対応、ごみや自転車事故など来場者の増加に伴って発生する問題など、引き続き課題もあると認識しております。  瀬戸内国際芸術祭の開催は、本県のブランド力や海外での知名度を押し上げるとともに、交流人口のみならず移住者の増加、地域の活性化など、その効果が本県の活力向上につながると考えられることから、私といたしましては、県議会を初め、関係市町や関係団体、地元住民の方々などから御意見を伺い、課題への対応を行いながら、三年後の二〇二二年に次回芸術祭を開催したいと考えております。  次は、オリーブの品質向上への取り組みについてであります。  県産オリーブオイルの高品質化に向けては、評価体制の強化などに努めてきたところであり、官能評価については、議員御指摘のとおり、小豆オリーブ研究所に設置している香川県オリーブオイル官能評価パネルが、昨年十一月に国内初のIOC、インターナショナル・オリーブ・カウンシル公式官能評価パネルとして認定されました。化学分析については、これまで長年にわたり発酵食品研究所が中心となって担ってきたところであり、化学分析に関するIOCの認定を取得するには、設備の整備や人員体制の強化が必要な一方、認定を受けることで、官能評価と化学分析の両面で、県産オリーブオイルの品質向上のための評価・分析の体制が整うことから、こうした効果や課題を勘案しながら、今後の対応を検討してまいります。  次に、アンダルシア州など海外のオリーブ産地との交流につきましては、これまでも本県のオリーブオイル製造事業者が、アンダルシア州の大学やオリーブ関連企業に社員を派遣するなど、民間レベルでの交流が進められており、県でも栽培技術や官能評価技術の調査のため、職員を派遣するとともに、IOCの講師を招聘して研修会を開催するなど、交流を図ってまいりました。  こうした中、議員が訪問されたアンダルシア州立農林水産研究所は、国連食糧農業機関が世界で三カ所設置しているオリーブ遺伝資源バンクの一つであり、国際的認知度の向上に向け、本県オリジナル品種の香オリ三号、香オリ五号を同研究所に提供し、品種特性調査等を連携して進める方向で検討してまいりたいと考えています。  また、海外のオリーブ産地とのオリーブの二次産品利用などの情報交換による交流についても検討を行い、本県オリーブ産業の振興と産地の活性化につなげてまいりたいと考えております。  次に、アニメツーリズムによる地域の活性化についてであります。  人気アニメや漫画などの作品の舞台となった場所を訪れるアニメツーリズムを推進することは、国内外からの観光客の増加につながり、経済波及効果も期待されることから、地域の活性化を図る上で有効であると考えております。  議員御指摘の「訪れてみたい日本のアニメ聖地八十八」二〇二〇年版に選ばれた土庄町や観音寺市などにおいては、アニメを活用して観光ポスターやふるさと納税の返礼品を作成するほか、作品の舞台をめぐるためにまち歩きマップの配布やスタンプラリーを実施するとともに、民間事業者と連携して、キャラクターを使用したコラボ商品や切手の販売、ラッピング自動販売機の設置を行うなど、交流人口の拡大や地域での消費喚起につながるよう取り組んでいるところであります。  また、県では、本県が舞台となったアニメ「うどんの国の金色毛鞠」を活用して、県公式観光サイト「うどん県旅ネット」に特設サイトを設けるとともに、ロケ地マップを作成し、作品に登場する場所に加えて、本県の食や自然、歴史、文化などの魅力を情報発信することにより、知名度の向上や観光客の誘致を図っているところであります。  今後は、こうした取り組みに加えて、より一層波及効果を高めるため、SNSやパンフレットなどにより情報発信に努めるほか、百万人の来場者がある世界最大規模の文化発信イベントである香港ブックフェアなどでプロモーションを展開するとともに、国内外の旅行会社にアニメで取り上げられたスポットを回るツアーの造成を働きかけるなど、本県ゆかりのアニメ作品や舞台とあわせて、香川県の魅力を積極的にPRしてまいりたいと考えております。  私といたしましては、市町等と連携して、アニメをきっかけに多くの方々に本県を訪れていただき、にぎわいのある地域づくりが進むよう、アニメを活用した地域の活性化を推進してまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして、政策部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(大山一郎君)大山政策部長。    (政策部長大山 智君登壇) ◯政策部長(大山 智君)谷久議員の健康に着目した野菜の次世代栽培システム研究・実証事業についての御質問にお答えいたします。  本事業は、植物工場における健康に着目した野菜の栽培についての研究・実証を行いながら、低コスト化や販路の確保等といった植物工場が抱える課題整理に取り組み、そこで得られた成果を用いて、地域産業の活性化や健康長寿の地域社会を実現しようとするものであり、国の地方創生関連交付金の採択を受け、土庄町を実施主体として、平成二十七年度の後半から開始したものです。  具体的には、土庄町に植物工場を整備し、理化学研究所と連携して、植物工場の低コスト化等に関する研究・実証に取り組んでおり、昨年度には、腎臓病患者のようなカリウム摂取を制限されている方からのニーズがある低カリウムレタスの栽培を行ったところ、歩どまりが九五%を超える結果となり、その際の水温等の栽培条件のデータが得られました。  また、今年度からは、より多くの県民の皆様の健康長寿に資するもの、土庄町で栽培する意義のあるものという観点で、ベビーリーフ及びエディブルフラワー(食用の花)を栽培素材として研究・実証を行っております。議員御指摘のとおり、土庄町では、先月、来年度から植物工場を使用する民間事業者を決定したところであり、この事業者による円滑な植物工場の運営につながるよう、蓄積されたデータとともに、栽培のノウハウ等を提供していきたいと考えております。  また、農業における安定生産の実現に向け、本事業で得られた成果について、植物工場にかかわる民間事業者に広く活用していただけるよう、積極的に普及・PRしていきたいと考えております。  県といたしましては、今後も土庄町、理化学研究所及び民間事業者の主体的取り組みを促す中で、必要な調整を行うことにより、より民間の展開が進み、地域産業の活性化、健康長寿の地域社会を実現できるよう取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)一般質問を続行いたします。  松本公継君。    (松本公継君登壇、拍手) ◯松本公継君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私からは四点、一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、災害に対する事前の備えについてであります。  ことしも早いもので、残すところあと二十日を切りました。この時期の恒例である「今年の漢字」が、漢字の日である昨日に「令」と発表されましたが、平成最後であった昨年の漢字は「災」、災いという字でした。  昨年は、北海道胆振東部地震や大阪府北部地震、西日本豪雨など、災害が相次いだ年でしたが、ことしも残念なことに台風十号や十五号、十九号などの風水害により甚大な被害が発生するなど、災いの多い年になりました。  昨年も強く感じたところですが、自然災害の恐ろしさ、自助・共助の大切さ、災害に対する備えの必要性を改めて痛感した年だったように思います。  十月に発生した台風十九号では、静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方を中心に、広い範囲で記録的な大雨となり、河川の氾濫や土砂災害が各地で発生し、死者・行方不明者が合わせて百名を超え、負傷者も約四百八十名、全国で九万棟以上の家屋が倒壊・浸水に遭うなど、甚大な被害に見舞われました。  未明に堤防の決壊や土砂崩れが多発したことから、就寝時間帯で避難せずに犠牲になった人も多く発生しており、住民に自分事として危機感を持ってもらい、適切な避難行動につなげていくことの難しさや大切さを改めて感じたところであります。  台風十九号では、事前にラジオやテレビ等で避難情報が幾度となく流されておりましたが、自分は大丈夫だろう、自分には関係ないという、いわゆる正常性バイアスが働いたものと考えられ、その結果、逃げおくれた方が多く出たようです。  また、いつ発生するかわからない大規模地震においては、事前の避難は難しく、それだけに災害が発生した際に適切な行動がとれるよう、日ごろからの心構えや備えが必要になってくるように思います。  災害に備えるためには、訓練がとても大切であり、一度だけではなく、繰り返し行うことが重要であります。発災時に災害対応に当たる県においては、的確な初動対応が被害の最小化につながるため、日ごろからの訓練や準備が大変重要であります。備えあれば憂いなし。  そこで、県では、毎年災害対策本部の運営訓練を行っておりますが、どのような観点でどのような訓練を行っているのか、また、住民の適切な避難行動につなげていくため、どのような取り組みを行っていくお考えか、知事にお伺いいたします。  また、このたびの台風十九号においては、各地で広範囲にわたり浸水被害が発生したこともあり、使えなくなった家財道具など、多くの災害廃棄物が発生しました。廃棄物の総量は、昨年の西日本豪雨の百九十万トンを上回るとみられており、最終的な処分には、二年以上かかる見通しとのことです。多くのボランティアの方々が現地に入り、水没した家具や家電の運び出しのほか、泥のかき出し、室内清掃などを手伝っておりますが、被災者の生活再建は道半ばであります。  私も、ボランティア活動としてさまざまなところでお手伝いをさせていただきましたが、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの経験から、大震災時の災害廃棄物の発生量は、他の災害と比べ、非常に大量であると感じております。特に印象に残っているのは、二〇一六年に発生した熊本地震での災害廃棄物です。災害廃棄物は、瞬く間に道路や空き地を占領し、歩行者や自動車の交通、復興のための重機の作業を妨げていました。  また、本県の平成十六年の台風災害の際にも、家屋や車など、ありとあらゆるものが高潮や洪水によってつかってしまい、未分別の混然一体の巨大な災害廃棄物の塊を見たときには、自然災害の猛威を実感させられました。これらの事前の対策として、家庭内で不要になった古い家電や日用品などの断捨離を進め、早目に処分することも大切ですが、緊急時の災害廃棄物の処理は、被害が発生してからではなく、事前にどのように処理をすればいいのか、しっかり検討しておく必要があるように思います。  そこで、県は、災害時に発生する災害廃棄物について、これまでどのような備えを行い、今後、どのように対応していくお考えなのか、あわせて知事にお伺いいたします。  質問の第二点目は、さぬき動物愛護センターにおける取り組みの状況と、ボランティアとの協働・連携についてであります。  一般社団法人ペットフード協会が公表した平成三十年の全国犬猫飼育実態調査によりますと、我が国の犬猫の飼育頭数の推計は、犬が約八百九十万頭、猫が約九百六十五万頭で、合わせて約千八百五十五万頭と、十五歳未満の子供の数よりも多くなっています。  近年、核家族化や単身世帯がふえ、また、少子化に伴って犬や猫などのペットを飼う家庭がふえており、家庭や社会でのペットの存在が大きくなっています。気持ちが落ち込んでいるときやストレスを感じているときに、動物と触れ合うことによって不思議と元気が出たり、自信や勇気が出てきたりと、動物を通した癒やしが見直されています。近年の研究では、ペットとの触れ合いにより発生する、いわゆる癒やし効果と呼ばれるものが、気分的なものではなく、生理学的根拠に基づいたものという数多くの研究、報告も寄せられています。  しかし一方で、飼い主の不適切な飼い方による近隣とのトラブルや動物の遺棄・虐待などの問題、無責任な餌やり行為によって生じる野良犬・野良猫の増加といった事例も後を絶たない現状にあります。本県における平成二十九年度の状況を見ますと、犬の収容数は二千四百六十七頭、猫の収容数は千六十五匹で、前年度と比べて犬は四十二頭、猫は三百二十二匹減少しており、また、殺処分数についても、犬が千七百十一頭、猫が六百五十七匹で、前年度と比べ、犬は百六十四頭、猫は四百二十二匹減少しており、ここ数年は減少傾向となっておりますが、このうち犬の殺処分数については、全国と比較して高く、依然ワースト上位が続いている状況にあります。  このような中、私もかねてから心待ちにしていたさぬき動物愛護センター「しっぽの森」が、ことし三月にオープンしました。九月の動物愛護週間には、動物愛護フェスティバルが「しっぽの森」で開催され、犬や猫の譲渡会や獣医師体験、迷子札づくりなどのイベントを通じて、来場者は動物と触れ合いながら動物愛護への理解を深めることができたとの記事も目にしたところであります。動物愛護センターの必要性を訴え、センター開設を強く願っていた私にとっては、とても喜ばしいことであり、これからの子供たちにも動物と触れ合いながら、命の大切さや慈愛の心を学んでもらいたいと思います。  そして、今後ますます県民の方々が利用する施設となり、犬や猫の譲渡の促進や動物愛護の推進のための拠点となる施設になればと考えています。  そこで、まず、さぬき動物愛護センター「しっぽの森」が開所してから九カ月が経過しましたが、センターにおける犬猫の譲渡の現状とこれまでの取り組み状況、そしてセンターの活用も含め、今後、どのように取り組んでいくお考えか、知事にお伺いいたします。  また、譲渡ボランティアとして活動されている方々は、保健所で収容した犬や猫を譲り受け、手元に置いて人になれるよう飼いならしながら、新聞への広告掲載や個人での譲渡会の開催などにより、新しい飼い主を見つける取り組みを行っているとともに、動物の特徴を丁寧に説明した上で譲渡するといった堅実な活動をされており、本県における犬猫の譲渡数増加、殺処分数減少に大きく貢献いただいております。私は、ボランティアの方々の日々の御尽力に頭の下がる思いであります。  また、これらの活動を支援することができるトレーナーなどの常駐も必要ではないかと思います。私自身も譲渡ボランティアとして、微力ながら犬や猫の譲渡のお手伝いなど、動物愛護のための活動を行ってきたところであります。実際に保護した犬猫の中には、虐待を受けていたのか、極端に痩せていたり、体中に傷があり、なかなか人に対して心を開いてくれないこともありました。  しかし、無償の愛で根気よく献身的に世話を続けていくことで、犬や猫たちが本来持っていた人懐っこさを徐々に取り戻し、無事里親さんに譲渡することができたことなど、さまざまな体験をしてまいりました。私は、殺処分数を減少させていくとともに、犬猫の譲渡の推進のためには、献身的に活動をされているボランティアの方々との協働・連携がとても重要ではないかと考えており、こうしたボランティア活動が、本県でより一層広がればと強く願っております。  そこで、犬猫の譲渡がより一層進むよう、今後、ボランティアとの協働・連携にどのように取り組んでいくお考えか、あわせて知事にお伺いいたします。  質問の第三点目は、市街地における有害鳥獣対策についてであります。  イノシシやニホンザルなどの有害鳥獣による県内の農作物被害は、新聞記事によると五年連続で減少しており、平成三十年度の被害額は約一億五百万円となっています。被害額を鳥獣別で見ますと、近年、被害額がトップであるイノシシについては、初めて五千万円を切ったとのことでありますが、全体としての被害額は一億円を超えており、依然として深刻な状況にあります。このため県では、平成二十八年度に第二種特定鳥獣管理計画を策定し、イノシシについては、令和三年度末までに生息頭数を二万九千頭から二万頭に削減することを目標に、年間一万頭から一万二千頭の捕獲に取り組むこととしています。市街地周辺や離島等における県捕獲隊による個体数調整や市町が実施する有害鳥獣捕獲などの対策により、平成二十七年度からは四年連続で捕獲数が一万頭を超えており、捕獲は順調に進んでいることは承知しております。  しかし、ことし十月以降、高松市屋島西町において、市道交差点で自転車に子供二人を乗せた主婦が飛び出してきたイノシシに衝突されて転倒し、自転車に同乗していた幼い子供がけがをした事例や、民家の裏庭にイノシシが侵入し、庭にいた住民の男性が襲われ、負傷した事例がありました。  また、さぬき浜街道では、イノシシが突然車道に飛び出してきて、走行中の二輪車を運転していた男性が避けようとして転倒し、その後、イノシシが運転していた男性にかみついたという、大変危険な事例も発生しております。幸い男性は軽傷とのことでしたが、車道での事例で大きな交通事故を引き起こしかねないケースではないかと考えます。  さらに、サンポート高松では、高松港の護岸に泳いできたイノシシが上陸し、市街地を走り回り、路上で高齢女性に体当たりをして負傷させた後、高松駅構内に侵入したとの報道もありました。そのほか、東かがわ市の市道脇で男性がイノシシにかまれたり、小豆島オリーブ公園で観光客が襲われるなど、市街地におけるイノシシの出没事案が、十月以降増加しているようであります。  また、高松市の市街地でイノシシの出没が相次いでいることを受け、高松市市街地におけるイノシシ等対策連絡会には、市や香川県、警察などが参加したとの報道を見ました。会議では、イノシシがあらわれた際の関係機関の連携の確認と、サンポート高松周辺だけではなく、他の海からの上陸への対策や屋島の西側での捕獲の強化にも取り組むということでした。実際、私の友人も、ことしは瀬戸内海を泳いでいるイノシシをよく見かけるようであり、ことしは異常だと話をしていました。  県では、例年九月から十一月は市街地に最も多くイノシシが出没する時期でもあり、これまでも人身被害を防止するための対策を実施するとともに、広報誌やホームページなどで県民の皆さんへの注意を呼びかけてきたところであります。イノシシに出合った場合には、大きな声や音を出したり、こちらから追い払おうとするなどの刺激を与えず、落ちついてその場を立ち去るようにすることが大切だと承知していますが、私自身、実際に友人と登山中にイノシシの親子と遭遇しましたが、そのときはみんなで言葉も発せず、動かずじっとしていたので、イノシシも何もなかったかのように目の前を通り過ぎていきました。  しかし、市街地でイノシシに出合った場合にはパニックになってしまい、どう対処していいのかわからなくなってしまうこともあり得ます。実際、突然イノシシと遭遇した方のお話を聞きますと、襲われたらいけないと思い、とっさに大声を出したり、棒などを探そうとしたという方もいました。このように間違った行動を起こさないためにも、遭遇したときの対処法など、徹底した広報と、市街地でのイノシシの出没については負傷者の発生につながりやすいため、これまでの取り組みに加え、より一層の対策が必要と考え、早期に取り組まなければなりません。  そこで、県として、市街地における有害鳥獣対策についてどのように取り組んでいくお考えか、知事にお伺いいたします。  質問の第四点目は、家庭教育の充実についてであります。  家庭教育は、心身の健康を育み、基本的な生活習慣、倫理観、自立心や自制心、社会的なマナーなどを身につけていく上で重要な役割を担っており、全ての教育の出発点であります。本県の子供たちが、たくましく、優しく、そして郷土愛を持ちながら、人生を豊かに、楽しく生きていくためには、家庭の教育力を向上させていくことが大変重要であります。  しかし、現代社会では、核家族化、共働き家庭やひとり親家庭の増加、地域のつながりの希薄化など、家庭を取り巻く環境が大きく変化しており、全ての保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう、条例化に向けた検討を行うなど、家庭教育に対する支援をより一層充実させていく必要があると考えております。  家庭教育における親子のかかわりについて私が思うのは、幼児期は体を伸び伸びと動かす心地よさを味わったり、夢中になって遊ぶ楽しさを感じたりすることが大切な時期であり、自制心や社会性など、非認知スキルを向上させる上でも、その土台となる親子の愛着形成がとても大切であるということです。そして、親子の愛着を形成するためには、日ごろからの親子のコミュニケーションやスキンシップが何より大切です。  子供は、親と同じ時間を過ごし、親に話を聞いてもらい、時には慰めてもらい、褒めてもらい、時にはきちんと叱ってもらうことで、自分は愛されている、存在意義があると感じます。家庭での親子の深いかかわりを通じて、子供は自己肯定感が増していき、他者も認めることができる人に育つようになります。  一方、親から愛情を余り注がれずに育てられた子供は、夜泣きやおねしょをしたり、人とのコミュニケーションが苦手だったり、不登校にもなりがちなど、近年の子供たちを取り巻く問題へとつながっているように思います。このように子供の人格形成においては、親子のかかわりがとても重要であり、家庭教育の充実を図ることがとても大切だと考えます。  そのような中、昨年度、県教育委員会においては、家庭教育支援に係る施策の浸透状況を検討するとともに、保護者の意識の変化や実態を把握するため、家庭教育状況調査を実施しました。そして、本年二月定例会の一般質問において、調査結果を踏まえ、家庭教育の支援にどのように取り組むのか教育長にお伺いしたところ、調査結果からわかった現状とともに、家庭教育の一層の充実に努めていくとの答弁をいただいたところであります。  調査結果は、家庭の教育力の低下が指摘される中、「一日三食、栄養バランスのとれた食事をする」や「身の回りの整理整頓をする」といった基本的な生活習慣に関する項目について、「自分の子供はできている」と答えた保護者の割合が、過去の調査結果に比べて増加しており、家庭教育に対する保護者の意識の高まりが見られました。  その一方で、約七割の保護者が、「家庭での教育について不安や悩みがある」と回答しており、中でも「子供のテレビ、ゲーム、ネット等のメディアの利用」に対する不安や悩みの度合いが高く、「不安や悩みがかなりある」、「多少ある」と回答した割合は、約六割を占めているとのことでした。実際、「スマホ育児」、「スマホ子守」という言葉があるように、子育ての場面において、子供に簡単にスマートフォンを与えてしまう場面を私もたびたび見かけます。ネットなどの使用開始年齢が低いほど、依存のリスクが高まると言われておりますので、そういった保護者に対して、自分事の問題として認識してもらい、子育てにしっかり向き合ってもらえるよう意識啓発を図っていく必要があると考えます。  また、不安や悩みを抱える保護者に対しては、必要な情報を提供するなど、子育てに自信が持てるよう支援を行うことも重要であると考えます。  そこで、家庭教育の充実に向けて、県教育委員会はこれまでどのような取り組みや支援を進めてきたのか、また、今後、どのように取り組んでいくお考えなのか、教育長にお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松本議員の御質問にお答えいたします。  まず、災害に対する事前の備えのうち、災害対策本部の運営訓練等についてであります。  県では、大規模災害発生時において、県、各市町及び防災関係機関が、迅速かつ円滑な災害応急対応を行うことができるよう、災害対策本部運営訓練を年二回実施しており、本年七月には、台風接近に伴い、県内で大規模な土砂災害が発生したとの想定で、被災した市町との連絡調整を図りつつ、自衛隊の派遣要請を初め、県警、消防の救助活動の調整等を円滑に行うための訓練を実施したところであります。来年一月に実施予定の訓練では、南海トラフ地震による停電の発生を想定して、四国電力等の防災関係機関と連携し、電力の優先供給の調整や早期復旧に向けた道路啓開等の訓練を行うこととしており、昨今の大規模災害の教訓も取り入れながら訓練を繰り返し行い、的確な初動対応がとれるよう、災害対策本部の機能強化に努めてまいります。  また、大規模災害発災時に県民の皆様に適切な避難行動をとっていただくためには、お住まいの地域における災害リスクや避難場所などを正しく知り、災害の状況に応じた避難の準備をしておくことが重要でありますことから、県広報誌「THEかがわ」の今月号の私のコラムで、ハザードマップの周知を行ったところでありますが、今後とも、あらゆる機会を捉えて、一層の普及啓発に取り組んでまいります。  私といたしましては、大規模災害発生時に、自助、共助、公助が相まって被害を最小限に抑えられるよう、各市町や防災関係機関と連携した訓練を重ねるとともに、県民の皆様の防災意識の一層の向上にも積極的に取り組み、災害に強い香川づくりを強力に推進してまいります。  次に、災害廃棄物の処理についてであります。  南海トラフ地震の発生確率が高まる中、平成三十年七月豪雨や本年十月の台風第十九号など、豪雨災害は激甚化の傾向にあり、本県においても、大規模災害はいつどこで発生してもおかしくない状況となっております。  大規模災害発災時には、大量の災害廃棄物が発生するため、あらかじめ災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理する体制を構築しておくことが、生活環境の保全、公衆衛生の悪化の防止や早期の復旧・復興を図る上で重要と考えております。このため、県では、国の災害廃棄物対策指針を踏まえ、南海トラフ地震等の災害廃棄物の発生量や処理能力などの基礎的なデータを整理し、処理に関する基本的事項などを定めた香川県災害廃棄物処理計画を平成二十八年三月に策定するとともに、県内市町における災害廃棄物処理計画策定の支援に努め、昨年度末までに全市町が策定し終えたところであります。  また、大量の災害廃棄物を迅速かつ適正に処理するため、発災時に職員が遅滞なく、主体的かつ円滑に災害廃棄物処理業務を遂行できるよう、県と全市町において、災害廃棄物処理行動マニュアルを本年七月までに作成し、この行動マニュアルの実行性を検証するため、災害廃棄物処理広域訓練を県や市町、一般社団法人香川県産業廃棄物協会等が参加し、本年七月と十一月の二回実施したところであります。  私といたしましては、今後、訓練で明らかになった課題を検証し、行動マニュアルがより実行性の高いものとなるよう見直しを行いながら、継続して訓練を実施するなど、大規模災害発生時の災害廃棄物の処理が適正かつ円滑・迅速に行われるよう各市町等と連携し、体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、動物愛護施策の推進についてであります。  高松市と共同して運営するさぬき動物愛護センター「しっぽの森」につきましては、本年三月の開所以来、先月末までに約一万六千人の方が来所されており、今年度における先月末までの譲渡数は、一般の方とボランティアの方への譲渡を合わせて犬七百九十四頭、猫四百四十一匹、合計千二百三十五頭であり、昨年度同時期の保健所での譲渡数に比べ、三八・五%増加しております。  センターにおきましては、動物愛護管理に関する普及啓発を図るため、動物愛護フェスティバルなどのイベントを実施するほか、小・中学校の校外学習や職場体験の受け入れなど、子供たちを対象とした動物愛護教室を今年度十七回実施し、県独自のテキストを活用して、理解を深めていただけるよう努めてきたところです。  また、犬や猫の譲渡推進に当たっては、飼い主としてのルール等を学ぶ譲渡前講習と、受講者に、実際に犬や猫と触れ合う譲渡会をそれぞれ週二回開催するほか、センターの活動を広く知っていただくため、ホームページやインスタグラムを活用し、情報発信にも取り組んでおります。こうした施策の推進に当たりましては、御指摘のように、ボランティアの方々との協働・連携が重要であることから、これまでも譲渡する犬や猫の診療費用への補助を初め、適正譲渡のための研修会や意見交換会、県主催の譲渡会の開催などにより、その活動を支援してきたところであり、現在、収容動物のケアなど、運営面での連携強化に向け、検討を進めているところです。  私といたしましては、引き続きボランティアの方々や関係機関等との連携を緊密にしながら、さぬき動物愛護センターを最大限活用し、動物愛護管理について県民の皆様の理解が深まり、犬や猫の譲渡がより一層進むよう積極的に取り組んでまいります。  次に、市街地における有害鳥獣対策についてであります。  議員御指摘のとおり、県内での本年十月と十一月の二カ月間における市街地でのイノシシの出没件数は百七十四件となっており、前年同期の二十九件から六倍に急増し、人的被害も六件発生していることから、市街地におけるイノシシ対策の強化は喫緊の課題となっております。  県では、これまでも市街地周辺においてイノシシの捕獲事業を実施するとともに、市町が実施する侵入防止柵の整備や捕獲資機材の購入等に対する助成を行うほか、追い払いや緊急捕獲の手順を定めた市街地イノシシ緊急対応ガイドラインを作成し、これを活用した研修会を各市町や猟友会を対象に毎年開催するなど、市街地にイノシシが出没した場合の対応力の強化に努めております。今年度は、高松市沿岸部の市街地で人的被害が相次いで発生していることから、県主体の捕獲事業を屋島西町や女木島において集中的に実施するとともに、先月初めには、猟友会に対して、市街地周辺でのわなの増設や捕獲エリアの拡大を緊急に要請しております。  また、十月十三日には、サンポート高松のハーバープロムナード西側からの上陸を確認したことから、先月八日に、上陸防止のネットを約四百メートルにわたって設置し、効果を上げている事例もあるほか、各市町が行う船舶による巡視や海上での捕獲を新たに助成の対象としたところであります。  さらに、県広報誌、ラジオやテレビ番組、メールマガジンなどにより、イノシシが出没した際の対処方法等について広く周知し、県民の皆様への注意喚起を行い、人的被害の未然防止に努めております。  私といたしましては、今後とも各市町を初め、関係者と緊密に連携し、県主体の捕獲事業や各市町が行う侵入防止柵の整備等に対する支援、イノシシ出没時の対応力の強化など、市街地における有害鳥獣対策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(大山一郎君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松本議員の家庭教育の充実についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、家庭教育は全ての教育の出発点であり、子供の健やかな成長に重要な役割を担っていることから、子育てに悩みを抱える保護者には、悩みを軽減し、安心して子育てを行えるような支援が重要であると考えております。  県教育委員会においては、「早寝早起き朝ごはん」など、望ましい生活習慣づくりに向けた啓発や、保護者同士で子育てについて学び合うワークショップの開催、子供の非認知スキル向上に効果的なプログラムづくりなど、家庭教育の充実に向けた種々の支援に取り組んでまいりました。
     こうした中、県教育委員会の調査において、スマートフォン等の利用の低年齢化とともに、幼児のメディア等利用に対する保護者の悩みや不安が高くなっていることが判明しました。このため、本年十一月、幼児の保護者向けにスマートフォン等の適正利用に関する啓発冊子「ネットパトロールぴっぴ隊」を作成し、幼児期における取り組みを強化したところです。冊子は、県内の幼稚園・保育所・認定こども園を通じて、三、四歳児の保護者に配付するとともに、今後、非認知スキル向上に取り組むモデル園や子供のスマートフォン等の利用に関する保護者学習会等で活用することとしております。この冊子では、依存症リスクを踏まえたスマートフォン等とのつき合い方について、依存症の専門医がわかりやすく解説するとともに、ネット依存防止にも効果があるとされている自制心の育て方や親子の愛着形成など、子供の非認知スキルを向上させる保護者としてのかかわり方を、専門家の解説を交えながら具体的に紹介しています。  県教育委員会といたしましては、今後とも家庭教育の重要性についての周知・啓発に努めるとともに、社会環境の変化によって生じる新たな課題にも適切に対応しながら、保護者に寄り添った支援に一層努めてまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)一般質問を続行いたします。  松原哲也君。    (松原哲也君登壇、拍手) ◯松原哲也君 ことしも、あと残すところ二十日を切ったところであります。令和最初の一年が、最後の最後まで皆さんにとりましてよい年でありますように、そして迎えます令和二年が、本年以上にすばらしいものになりますことと、えとはねずみでございます。どうぞ健康、交通安全等々には十分御注意いただきながら、御健勝、御活躍の一年となりマウスことを心から御期待、御祈念申し上げまして、私の一般質問を開始させていただきます。御清聴よろしくお願いいたします。  まず初めに、県税収入確保と県内経済の活性化についてお伺いします。  本定例会の開会前に公表されました財政運営指針の見直しによりますと、令和六年度までの五年間の財政見通しは、現指針と同様の歳入確保策及び歳出抑制策を講じても、五年間でなお百八十二億円もの財源不足が生じるとされています。こうした厳しい財政状況にある中で、今後、どのように財政運営を行っていくかという我が会派の代表質問に対し、知事からは、県政の大きな課題である災害に強い香川づくりと人口減少問題の克服、地域活力の向上に力点を置き、最終年度を迎える新・せとうち田園都市創造計画の仕上げに向け、二十一の重点施策を着実に推進してまいりたいという、大変力強い御答弁をいただきました。  知事肝いりの県の重点施策を前進前進また前進でしっかりと進めていくためには、安定かつ自立的な財源の確保が必要不可欠であります。県の歳入は、県がみずからの権限で収入することのできる自主財源と、国から定められた額を交付されたり、割り当てられたりする依存財源とに分けることができますが、平成三十年度一般会計決算のうち、県の自主財源は歳入総額の五一・六%を占め、そのうち最も多いのが県税収入です。つまり、重点施策を実行していくためには、安定かつ自立的な財源である県税収入を確実に確保し、増加させていく取り組みが必要です。  県税収入を確保するため、これまでもその徴収に力を入れてきたと思いますが、まず現在の徴収率の状況をお伺いするとともに、今後、県税徴収率の向上に向けてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  また、県税収入を増加させていくためには、県税徴収の取り組みはもちろん大事ですが、それに加えて、県内企業の成長を支援したり、県外から企業を誘致したりすることによって県内経済の活性化を図り、成長の好循環を生み出し、県内企業が元気になることで、その企業からの法人事業税などの税収拡大を図ることが、より効果の高い財源確保策と言えるのではないでしょうか。  今定例会には、防災・減災、地域活性化対策として四十五億円余が提案されていますが、国においては、経済下振れリスクに対応した中小企業などへの支援、復旧・復興の加速と国土強靱化の推進、東京五輪後の経済力の維持・向上を三つの柱とする経済対策としての補正予算が、今月初旬、閣議決定されました。県内経済を活性化するためには、来年度当初予算とあわせた切れ目のない県内企業を支援する施策展開が必要であり、財源として国の予算を獲得し、活用していくことが重要と考えます。  日銀高松支店が十一月に発表した香川県金融経済概況によりますと、香川県内の景気は「回復している」との判断が示されていますが、米中貿易摩擦の影響や高い有効求人倍率が示している人手不足感を踏まえれば、今後の見通しは決して楽観視できるものではありません。新聞報道等によりますと、政府予算の今年度の一般会計税収は、日本からの輸出が減速し、企業の業績悪化によって法人税収がふえていないことから、当初に想定していた六十二・五兆円から大幅に減少する見通しとなったとのことです。国税収入の下振れは、本県の税収の中でも高いウエートを占める法人事業税等の税収にも少なからず影響があるのではないかと思います。こうした状況を打開するためにも、県内経済の活性化に向け、企業の成長や企業誘致に向けた取り組みなど、県内企業等を支援するさまざまな取り組みが必要です。  そこで、県内経済の活性化を図るため、県内企業の成長への支援のほか、県外からの企業誘致に今後、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  次に、旧中央病院跡地の利活用についてお伺いします。  旧中央病院跡地については、平成二十六年三月に県立中央病院が高松市朝日町に移転した後、現在まで未利用の状態が続いています。本跡地は、高松市中心部に位置する約一・五ヘクタールのまとまった規模の土地であることや、本県の中枢拠点機能の向上につながるような施設等での利活用が期待できること、将来、同様の土地を確保することは極めて困難であることなどを考慮した場合、今後の本跡地の取り扱いについて、さまざまな角度から一定の時間をかけて検討することも必要との判断から、平成二十八年四月に病院事業会計から一般会計に有償移管されました。その後、平成二十八年十二月から始まった解体工事が本年十月末で完了し、現在は更地の状態となっています。  昨年六月定例会の代表質問において、我が会派の宮本議員から、旧中央病院跡地の利活用に向けた取り組みについて、今後、どのように検討を進めていくのかをお尋ねしたところ、知事からは、今後、本跡地における市場性、実現可能性の高い活用方法や事業スキーム等について、広く民間事業者の御意見を伺うサウンディング型市場調査を実施し、本跡地の利活用に向けた事務的な検討を進める上での参考にしたいとの御答弁をいただきました。このサウンディング型市場調査は、事業発案段階や事業化段階において、事業内容や事業スキーム等に関して、直接の対話により民間事業者の意見や新たな提案の把握等を行うことで、対象事業の検討を進展させることを目的とした手法で、対象事業を検討段階で広く対外的に情報提供することにより、当該事業への民間事業者の参入意欲の向上が期待できるとされています。  その後、昨年九月にサウンディング型市場調査の実施要領が公表され、本年一月には事業全体のコンセプトや事業内容、事業方式や跡地を活用する際の課題、要望などについて対話が実施されました。そして、本年五月に、本調査結果の概要が公表されていますが、その内容を見てみますと、対象地の利活用方法として多くの事業者から、県の庁舎のほか、さまざまな施設を配置する提案があったようです。  一般会計移管後三年半余が経過し、建物の解体工事が完了した中、本調査による提案結果を踏まえた上で、本跡地の取り扱いについて速やかに検討を進める必要があると考えます。県では、未利用地の処分、利活用に関する基本的な考え方に沿って、まずは、公共による利用を検討しているとのことですが、本跡地は面積が広く、公共による跡地全体の利用が困難な場合には、民間による活用も検討すべきと考えます。  そこで、今回のサウンディング型市場調査の結果を踏まえ、こうした民間による活用の検討も含め、本跡地の利活用についての検討状況と、今後、どのように検討を進めていくお考えなのか、知事にお伺いします。  次に、ブロック塀の安全対策についてお伺いします。  昨年六月に発生した最大震度六弱を記録した大阪府北部地震では、小学校のプールを囲うブロック塀が約四十メートルにわたって倒壊し、通学路を歩いて登校していた小学四年生の女の子が、倒壊したブロック塀の下敷きとなって亡くなるという痛ましい事故が発生しました。過去にも地震によるブロック塀の倒壊は多く発生し、記憶に新しいところでは、平成七年の阪神・淡路大震災、平成十七年の福岡県西方沖地震、平成二十八年の熊本地震においても同様にブロック塀の倒壊による死者が発生しております。  こうした中、文部科学省から各教育委員会に対して必要な安全対策を実施するよう通知があり、また、国土交通省においては、学校施設以外の広く一般の建築物を対象とした既設のブロック塀の安全点検のためのチェックポイントを作成し、このチェックポイントに基づく安全点検の結果、危険性が確認された場合には、付近通行者への速やかな注意表示及び補修、撤去等が必要であることを注意喚起するよう都道府県等に対して要請があったところです。  そこで、私は、昨年六月の県議会定例会一般質問において、この要請に対する県としての対応状況及び県有施設についての対応状況をお尋ねしたところ、知事からは、県のホームページや相談窓口、各市町等を通じて広く県民に注意喚起するとともに、県有施設については、各施設のブロック塀の点検による調査結果がまとまり次第、速やかに適切な措置を講じてまいりたいとの答弁をいただきました。  また、教育長からは、県立学校における基準に適合していない疑いのあるブロック塀については、今後、危険性の高いものについては順次撤去してフェンス等に置きかえるなど、関係部局等とも相談の上、安全対策を計画的に行ってまいりたいとの答弁をいただきました。その後、平成三十年九月定例会、十一月定例会において、県有施設・県立学校ブロック塀等安全対策事業が補正予算としてそれぞれ議決され、今年度当初予算でも関連予算が計上されているほか、今定例会においても六千百万円余の補正予算案が提案されています。  そこで、県有施設・県立学校のブロック塀の安全対策について、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後、どのように取り組んでいくつもりなのか、知事及び教育長にお伺いします。  また、同じく昨年六月の県議会定例会一般質問において、大規模な地震によりブロック塀が倒壊すると、人的被害の危険性が高まるだけではなく、災害発生時に避難経路を塞いだり、その後の救助や物資輸送の妨げになるなど、その対策は急務であることから、民間住宅の耐震補助と同様に、ブロック塀等の撤去・補強改修に対する助成についても検討を進めるべきではないかとお尋ねしたところ、知事から、さまざまな角度から検討してまいりたいとの答弁をいただきました。その後、今年度当初予算の新規事業として、道路に面した危険ブロック塀等の撤去を行う所有者等に対し補助を行う市町を支援する民間危険ブロック塀等撤去支援事業として二千百三十万円が計上されたことは、大変意義深く、ありがたいことであると感じています。  そこで、今年度新たに創設された民間危険ブロック塀等撤去支援事業について、市町での補助制度の創設状況とこれまで市町へどの程度の補助申請があったのか、また、危険なブロック塀等を一刻も早く解消するために、今後、どのように取り組んでいくつもりなのか、知事にお伺いします。  次に、産婦人科医の確保についてお伺いします。  全国的に医師確保が課題となっているところですが、厚生労働省が発表している平成二十八年の医師・歯科医師・薬剤師調査によりますと、全国の医療施設に従事している医師数は、平成十年の約二十三万七千人から約三十万五千人と年々増加しているのに対し、診療科別に見ますと、産科・婦人科を含めた産婦人科の医師数は、平成十年の約一万二千人から一万三千人と微増にとどまっていることから、全ての診療科で均等に増加しているわけではないことがわかります。  また、医師数を都道府県別に見てみますと、人口十万人当たりの医師数は、全国平均が二百四十人なのに対し、本県は二百七十六人と全国平均を上回っていますが、産婦人科においては、全国平均の十・四人に対し、本県は十・二人と、全国平均を下回っています。  さらに、産婦人科を地域別に見ますと、高松圏域の十三・五人に対し、小豆圏域では三・五人、大川圏域では五・〇人と、全国平均を大きく下回っており、産婦人科の医師が不足しているとともに、大きな地域偏在があることがわかります。  このような中、大川地区唯一の分娩取扱機関として周産期の診療を実施してきたさぬき市民病院は、常勤医師の退職等に伴い、本年八月以降は分娩の取り扱いを休止している状態となっています。現在は、香川大学医学部附属病院から常勤一名と非常勤一名の医師派遣を受けているようですが、いずれも分娩を取り扱える医師ではないことから、十月以降は、分娩は香川大学医学部附属病院等で行い、分娩後にさぬき市民病院に転院するセミオープンが開始されています。さぬき市民病院においては、昨年度に取り扱った出産は二百二十六件となっていますが、東讃地域に住んでいる住民にとって、出産といういつ何が起こるかわからない妊婦さんが安心して分娩できる施設が近隣にないというのは、大きな不安材料なのではないでしょうか。私の地元である三木町についても状況はよく似ており、分娩を取り扱える医療機関は、香川大学医学部附属病院の一件しかありません。  そこで、三木町においては、平成二十五年度から産婦人科医療施設整備助成金として、町内に産婦人科医療施設を開設しようとする医師に対し、開設に要する経費について、最大二億円を助成する制度を開始しましたが、制度開始以来、まだ一件も実績がないと聞いています。知事は、子育て県かがわの実現に向けて精いっぱい取り組んでおられますが、まずは安心して子供を出産できる環境を整備することが重要であります。中でも、その中心となる産婦人科の医師については、現在不足している状況であり、産婦人科の確保は、本県における喫緊の課題であると思います。  そこで、本県における医師確保のうち、特に産婦人科医の確保について、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後、どのように取り組んでいくつもりなのか、知事にお伺いします。  最後に、女性・高齢者の就業支援についてお伺いします。  総務省の人口推計によれば、昨年十月一日現在の我が国の外国人を含む総人口は、前年より二十六万三千人少ない一億二千六百四十四万三千人と八年連続の減少となり、そのうち十五から六十四歳の、いわゆる生産年齢人口の割合が五九・七%と、一九五〇年以降で過去最低となっています。  本県においても、人口は一九九九年をピークとして減少に転じており、平成三十年香川県人口移動調査報告によりますと、生産年齢人口の割合は五六・〇%と、前年に比べ〇・四ポイント低下し、近年は低下が続いています。一方、老年人口の割合は、三一・五%となっており、上昇が続いています。  こうした状況や近年の景気回復などにより、直近二年間の有効求人倍率は、全国では一・六倍前後の状況が、本県においては一・八倍前後の状況が続いています。これらを踏まえると、全国的に働き手不足の状況が進み、人手不足が深刻化している中で、本県においては、さらに厳しい状況にあるのではないかと推測されます。  また、百十四経済研究所が四半期ごとに実施している「香川県内企業経営動向調査による景況感の現状及び見通しについて」においても、経営上の問題点として、十八期連続で「求人難」が最も多く挙げられており、県内企業にとっても人手不足は最も重要な課題と認識されています。  こうした中においては、働き方改革などによる労働生産性の向上はもちろんのこと、人手不足が地域経済の成長の制約になることのないよう、女性や高齢者などの多様な労働人材の活用を図ることが重要であると考えます。  このうち女性については、平成二十九年就業構造基本調査によれば、本県の女性の有業率は、五年前の調査に比べ伸びていますが、男性の有業率よりも約二〇ポイント低くなっているほか、出産・育児期に当たる年代に有業率が一旦低下し、子育てが一段落した時期に再び上昇する、いわゆるM字カーブは解消には至っていないなど、女性労働力の活用が期待されているところです。  さらに、高齢者については、今後も老年人口の増加が見込まれますが、これに加え、平均寿命や健康寿命も上昇を続けている中、こうした方々の持つ経験や技術などを生かしていくことが、事業活動の発展や継続には欠かせないものになってきています。  県では、今年度新たに、高松市常磐町にかがわ女性・高齢者等就職支援センターを開設し、女性・高齢者等の新規就業の促進のための取り組みを開始していますが、人手不足が深刻な中、女性・高齢者の活用を進めていく意味でも、こうした取り組みは推進していくべきであると考えます。  そこで、かがわ女性・高齢者等就職支援センターにおいて、女性や高齢者の新規就業に向け、これまでどのような支援に取り組み、就業等の実績はどうなっているのか、また、より多くの方の就業につなげていくため、センターの取り組みを広く周知し、支援対象者を掘り起こすとともに、企業やハローワーク等と十分に連携を図る必要があると考えますが、今後、どのように取り組んでいくのか知事にお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松原議員の御質問にお答えいたします。  まず、県税収入の確保と県内経済の活性化についてであります。  まず、県税の徴収率につきまして、個人住民税の徴収率は、県と市町で構成する香川県滞納整理推進機構を活用した滞納整理や特別徴収の推進により、昨年度は九六・五%となっており、また、自動車税の徴収率は、差し押さえ予告書を目立つ封筒に入れて送付するなど、滞納処分への早期着手により、昨年度は九九%となっております。これらの取り組みの結果、県税全体の徴収率は、昨年度は九八・八%で、十年前と比べて一・四ポイント上昇しております。今後は、徴収率が相対的に低い個人県民税について、市町と連携して積極的な滞納整理や特別徴収の徹底を図るとともに、キャッシュレス決済サービスの利用など、納税しやすい環境の整備を行い、県税の一層の徴収率向上を目指してまいります。  一方、企業の成長を促し、県内経済の活性化を図るためには、企業の先端技術の活用などによる技術革新や成長分野への進出の促進、国内外での販路の拡大への支援が重要と考えております。このため、かがわAIゼミナールの開催や産業技術総合研究所と連携して行う先端的な研究開発への助成、産業技術センターによる技術力向上への支援など、企業の技術革新の促進に努めるとともに、企業の新分野進出のための商品開発や独創的な研究開発への助成などにより成長分野への進出を促すほか、国内大手企業との商談会の開催や、高松空港からの直行便就航地域を初め海外でのビジネス展開への支援を通じて、企業の国内外での販路拡大を支援しているところです。  また、県外からの企業立地は、立地時の設備投資効果とともに、立地後の企業活動による県内企業との取引の拡大や新たな雇用の創出など、県内経済の活性化に大いに寄与するものと考えております。このため、企業誘致に当たりましては、私自身が直接企業のトップにお会いして、本県のすぐれた立地環境などをPRしているほか、企業を誘致しやすい環境を整えるため、助成制度を本県の実情や企業のニーズを踏まえて見直すとともに、本県で立地を検討している企業には、きめ細かで迅速なワンストップサービスでサポートするなど、県外からの企業立地の促進に積極的に取り組んでいます。  今後とも、こうした企業の技術革新や成長分野への進出、販路の拡大などへの支援により、企業の成長を促すとともに、地域経済を牽引し、良質な雇用の場を提供する元気な企業の立地を通じて、県内経済の活性化を図り、県税収入の確保につなげてまいります。  次は、旧中央病院跡地の利活用についてであります。  旧中央病院跡地につきましては、県民の皆様の貴重な資産であり、未利用地の処分・利活用に関する基本的な考え方に沿って、まずは公共による利活用について検討を進めているところです。その検討の中で、議員御指摘のとおり、昨年九月から本年一月にかけて、民間事業者との対話を通じて、本跡地に関する活用方法や事業手法等について、自由かつ実現可能なアイデアを広く求めるサウンディング型市場調査を実施しており、その結果の概要を五月に公表したところであります。十グループに上る事業者の参加があり、多くの事業者から、土地をゾーニングし、県の庁舎のほか、健康・医療施設、子育て・高齢者施設、住居施設など、さまざまな施設を配置した提案が寄せられるなど、改めて本跡地の利活用に対する市場の関心が非常に高く、多様な利活用の可能性を確認することができたことから、今後の事務的な検討を進める上での参考にしてまいります。  一方で、事業実施に当たり、大きな歳出を伴うものであることから、他の大型事業との兼ね合いなど財政状況も考慮しつつ、時期や手法を含めて慎重に検討していく必要があると考えております。  いずれにいたしましても、高松市中心部に位置するまとまった規模の土地であり、将来、同様の土地を確保するのは極めて困難であることも踏まえ、私といたしましては、今後とも県議会の皆様の御意見を伺いながら、本跡地の利活用について、さまざまな観点から幅広く検討を進めてまいります。  次に、ブロック塀等の安全対策についてであります。  昨年の大阪府北部を震源とする地震後に、県立学校以外の県有施設についても、全てのブロック塀等について点検・調査を実施しており、その中で安全対策が必要と判断したブロック塀等は三十一施設にあり、総延長にして約千六百メートルに上ることから、危険性や緊急性を検討し、優先順位をつけて計画的に撤去及び改修を進めているところであります。既に工事を完了したものと現在工事中のものを含めると、総延長の約七一%について対策が進んでいる状況であり、今回の補正予算で対応を予定している箇所を含めれば、全体の約八七%まで対策が進むことになりますが、早期に対策を完了できるよう、引き続き取り組んでまいります。  今年度創設した民間危険ブロック塀等撤去支援事業につきましては、道路に面した危険なブロック塀等の撤去を行う所有者等を補助する市町を支援するもので、現在、全ての市町で補助制度が創設されており、先月末現在で、市町への補助申請の件数は、高松市百二十一件、丸亀市六十五件を初め、全市町合計で四百三十五件となっております。  また、県では、所有者等に対して撤去のための補助制度を周知するための啓発用ポスターの作成や、各市町の窓口等で配布するためのリーフレットを作成するとともに、県のホームページや広報誌等を通じて、危険なブロック塀等の安全対策の必要性を広く周知しているところであり、引き続き各市町と連携して、一刻も早く道路に面した危険なブロック塀等の解消が図られるよう努めてまいります。  私といたしましては、県民の皆様の安全・安心を確保するため、ブロック塀等の安全対策を初め、周到な防災・減災対策に今後とも積極的に取り組んでまいります。  次は、産婦人科医の確保についてであります。  私は、県民の皆様が良質かつ適切な医療を持続可能な形で受けられる体制を構築することが重要であると考えており、議員御指摘のとおり、安心して子供を出産できる環境を整備するためには、産婦人科医師の確保は、喫緊の課題であると認識しております。このため、医学生に対する修学資金の貸し付けに当たっては、継続的に医師の養成が必要な、または県内での不足感が強い産婦人科を初めとした六つの診療科を、専門診療科選択の際の推奨診療科としているところであります。  また、臨床研修後の若手医師等の県内定着を図るために策定した香川県医師育成キャリア支援プログラムにおいても、六診療科の専門研修プログラムに参加する若手医師に対し、研修奨励金を支給しており、産婦人科を専攻する医師につきましては、これまでに七名を支援しております。  さらに、今年度から新たに、県外からの若手医師の流入を促進するため、県外で臨床研修を修了後、県内で六診療科の専門研修プログラムに参加する専攻医に対し、研修資金を貸し付ける制度を新設したところであり、現在、産婦人科研修プログラムに参加する専攻医一名に貸し付けを行っているところであります。  加えて、産科医等の確保を図るため、医師等への分娩手当などを支給する県内医療機関を対象に、その経費の一部を助成しており、昨年度は、さぬき市民病院など、十四の医療機関を支援しております。  私といたしましては、引き続き香川大学医学部や県内医療機関等と密接に連携しながら、これらの取り組みを実施するとともに、施策の充実を検討するなど、より一層の医師確保、特に県内で不足している産科医の確保に全力で取り組んでまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして、商工労働部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(大山一郎君)浅野商工労働部長。    (商工労働部長浅野浩司君登壇) ◯商工労働部長(浅野浩司君)松原議員の女性・高齢者の就業支援についての御質問にお答えいたします。  生産年齢人口の減少が進む中、働く意欲のある女性や高齢者が、その個性と能力を十分に発揮でき、生き生きと働き続けられる社会の実現を図ることは重要であると考えております。このため、現在職についていない女性や高齢者等を掘り起こして新規就業につなげ、地域の中小企業の人材確保に資するよう、本年四月にかがわ女性・高齢者等就職支援センターを開設したところであります。  同センターは、就労相談のノウハウを持つNPO法人に運営を委託し、相談経験を有する相談員が、来所や電話による相談に応じるとともに、コミュニケーション、生活設計といった個別セミナーを行うほか、専門カウンセラーによるキャリアカウンセリングや短期間の職場実習の実施など、個々の状況に応じたきめ細かな支援を行っており、先月末までに六百九十七件の相談を受け付け、四十六人が新たに就業しております。  議員御指摘のセンターの取り組みの周知については、これまで実施してきた各市町やハローワークを通じたチラシ配布や、かがわ長寿大学に職員が出向いての広報に加え、今後は、女性や高齢者等が多く利用する施設等へチラシを設置するなど、幅広く周知を図ってまいりたいと考えております。  また、センターの運営につきましては、香川労働局や経済団体等の関係機関から成る協議会を設置し、意見交換を行いながら進めておりますが、より一層連携を密にして、県内企業のニーズを把握しつつ、女性や高齢者等が働きやすい就業先を開拓するとともに、ハローワーク等へ出された求人と個々の就業希望とを効果的につないでまいります。  県といたしましては、働くことを希望する女性や高齢者が、それぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できるよう、きめ細かな支援に積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松原議員のブロック塀等の安全対策についての御質問にお答えいたします。  昨年六月に大阪府北部地震が発生したことを受け、県立学校においても全てのブロック塀等について点検・調査を実施した結果、高校と特別支援学校を合わせた三十七校のうち、二十八校のブロック塀等で安全対策が必要であることが判明し、応急的な措置として注意喚起のための表示を行うとともに、安全対策が必要なブロック塀等のうち、公道に面しているものなど、特に危険性が高く早急な対応が必要なブロック塀等、総延長にして約五千八百メートルについては、撤去してフェンス等に置きかえるなどの安全対策を昨年度から計画的に行っているところです。これまでに改修工事が完了したものと現在工事中のものを合わせると約二千八百メートル、全体の約四八%について対策が進んでいる状況であり、既に予算措置がなされ、これから工事に着手する箇所と今回の補正予算で対応を予定している箇所を含めると約三千四百メートル、全体の約六〇%まで対策が進むことになります。  県教育委員会といたしましては、今後とも児童・生徒や周辺住民の方々の安全・安心を確保するため、道路管理者など関係機関との調整を早急に進め、関係部局等とも緊密に連携を図りながら、改修工事が早期に完了できるよう取り組んでまいります。  あわせて、各学校における防災教育の充実にも一層努めてまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時五十三分休憩                         午後 一時  七分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    西  川  昭  吾 君    松  岡  里  佳 君    鏡  原  慎一郎  君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    山  本  悟  史 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君
       三  野  康  祐 君    森     裕  行 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    大  山  一  郎 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   太  田  吉  夫 君           審  議  監   安  松  延  朗 君           政 策 部 長   大  山     智 君           総 務 部 長   東  田  晃  拓 君           環境森林部長    木  村  士  郎 君           健康福祉部長    安  藤  照  文 君           商工労働部長    浅  野  浩  司 君           交流推進部長    新  池  伸  司 君           農政水産部長    国  分  伸  二 君           土 木 部 長   片  山  秀  樹 君           知事公室長     淀  谷  圭三郎  君           危機管理総局長   土  岐  敦  史 君           文化芸術局長    佐  藤  今日子  君           子ども政策推進局長 小  川  秀  樹 君           会計管理者     宮  武  卓  朗 君           病 院 局 長   岡  内  浩  二 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     岡  部  正  勝 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監 査 委 員   亀  井  孝  行 君           事 務 局 長           人事委員会     関  谷  利  裕 君           委  員  長           人事委員会     岡  田  総  一 君           事 務 局 長           労働委員会     山  本  浩  司 君           事 務 局 長           政策部次長     椋  田  那津希  君    ───────────────────────────── ◯副議長(西川昭吾君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  鏡原慎一郎君。    (鏡原慎一郎君登壇、拍手) ◯鏡原慎一郎君 議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして一般質問を行います。  私は、五つの項目について、知事、教育長及び病院事業管理者に対してお伺いをいたします。  まず初めに、県内水産業の振興についてであります。  県では、平成二十八年度に現在の香川県水産業基本計画を策定し、「魅力ある水産物の生産・流通・販売で元気な浜の復活」を基本目標に、五カ年計画として取り組みを進めています。本年度は、水産振興総合対策事業やノリ養殖等総合対策事業、水産物供給基盤整備事業、漁業の担い手確保・育成対策事業の推進を行っており、その中で、水産物の生産と消費拡大・販売強化、漁場の改善、意欲ある就業者の確保・育成等を図っているところであります。  しかしながら、本年八月に公表された二〇一八年漁業センサスを見てみると、五年前と比べて本県の漁業経営体数は二二・四%減の千二百三十四経営体にまで、漁業就業者数も二三%減の千九百十三人にまでそれぞれ減少しており、担い手の減少に歯どめがかかっておりません。また、就業者の年齢構成を見てみると、六十五歳以上の方が四四%を占めており、漁業就業者の高齢化も進んでいる状況にあります。また、経営体ごとの漁獲物・収穫物の販売金額を見てみると、一億円以上の経営体が二十六経営体から四十五経営体へと増加しており、一定の成果もあらわれていると考えますが、五百万円未満の経営体が全体の五八・五%を占めており、やはり新規就業者には、収入面の不安が残る現状であります。  昭和二十八年には、一万三千人を超える方が漁業に携わっていました。日本全体、香川県全体で人口が減る中、特に一次産業従事者の人数は大きく減少しています。その中でも、危険を伴い、労働環境や体力、収入の面から見ても厳しい漁業への後押しをしっかりしていかなければ、漁業・漁村地域の衰退は免れません。瀬戸内の豊かな恵みを県内外に届けるためにも、基本目標に掲げている豊かな浜の復活をなし遂げなければなりません。  また、本県には、香川ブランドハマチ三兄弟として、ひけた鰤、なおしまハマチ、オリーブハマチを初め、讃岐さーもん、初摘み香川県産のり、讃岐でんぶくや伊吹いりこなど、多くの県産ブランドがあり、これまで香川の特長を生かし、高品質で特色のある養殖魚や良質なノリを県内外に出荷してきました。  しかしながら、オリーブハマチは非常に有名になったものの、他の水産物のブランド名は浸透が弱いなど、認知度や消費などに偏りも見られます。いま一度、本県のブランド水産物の振興に漁業者や漁連と協力し、取り組みを行う必要があるのではないでしょうか。  また、私は、瀬戸の海はアジやイワシ、イカナゴなどの小魚が魅力ではないかと思っています。この瀬戸の小魚をいかに売り込むかも非常に重要なポイントであると考えます。  そこで、香川県水産業基本計画のこれまでの取り組み状況と進捗状況、そして、見えてきた課題とそれを踏まえた最終年度に当たる令和二年度の取り組み方針についてお尋ねいたします。  とりわけ担い手の育成、ブランド水産物の消費拡大・販売強化策へのてこ入れ、瀬戸内の小魚の魅力発信と販路開拓については、今後、どのように取り組んでいかれるのか、詳しくお答えください。  二点目は、子供の貧困についてです。  本年十一月に政府より、現在から将来にわたって全ての子供たちが前向きな気持ちで夢や希望を持つことのできる社会の構築を目指す必要があり、目指すべき社会を実現するためには、子育てや貧困を家庭のみの責任とするのではなく、地域や社会全体で課題を解決するという意識を強く持ち、子供のことを第一に考えた適切な支援を包括的かつ早期に講じていく必要があるという考えのもとで、子供の貧困対策を総合的に推進するため、新たな子供の貧困対策に関する大綱が公表されました。大綱には、将来の貧困につながりかねない高校の中退予防や低所得者世帯の子供たちを対象とした大学等の授業料減免などの対策が盛り込まれています。  また、貧困の実態をより正確に把握するため、使用する指標を二十五から三十九にふやしました。具体的には、「ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合」、「電気・ガス・水道料金の未払い経験」、「食料または衣服が買えない経験」などであります。地方公共団体には、子供の貧困対策を効果的に推進するためには、教育分野、福祉分野等の地域における多様な関係者等の連携・協力を得つつ、地域の実情に即した施策に取り組むことが重要であるとし、子どもの貧困対策の推進に関する法律が改正され、都道府県の努力義務として書かれていた子供の貧困対策についての計画の策定が、市町村も策定に努めるものとされました。  このような中で、本県で策定されている香川県子どもの貧困対策推進計画も、計画期間の最終年度を迎えております。本年八月には、次期香川県子どもの貧困対策推進計画の見直しについて意見聴取のため、第一回の県子どもの貧困対策検討委員会を開催しているようであり、今後、パブリックコメントの実施も行うようであります。  貧困の定義は、大きく絶対的貧困と相対的貧困に分かれます。絶対的貧困は、人間として最低限の生存を維持することが困難な状態を指しており、一方で、相対的貧困とは、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態を指します。相対的貧困の状態に陥ると、社会で多くの人が享受している標準的な生活を送ることができません。例えば、親が病気のために家事をしなければいけない子供、食費を切り詰めるために母親が十分に食事をとっていないという子供などであります。日本では、ひとり親家庭の貧困率は、親が仕事をしている場合でも、諸外国と比べて高い割合となっています。  また、外見からはわかりにくく、住居や衣服の状況からは、貧困を認知するのが難しいため、支援の手を差し伸べにくい問題もあります。そして、何より子供の心理的な面に大きく影響を及ぼします。一つ一つの貧困による機会の喪失は小さなことかもしれませんが、生きていく中で、「何で僕だけ」、「何で私だけ」と、何度も何度も繰り返します。そして最後に、「どうせ僕なんて」、「私なんて」と、さまざまな機会を失い続け、諦めの感情を持ってしまいます。このような中で、夢や希望を持って将来に向かうことはできません。将来を担う子供たちを誰ひとり取り残すことのないよう、行政としての取り組みが求められています。  そこで、相対的貧困とはどのような状態のことを指すと県として認識しているのか、知事にお伺いをいたします。  また、教育長に対しては、学校などのさまざまな公の場で、貧困が問題でほかの人と違う行動をしなければならない子供の状況についてお伺いをいたします。  その上で、計画期間であった平成二十七年度から本年度までの本県の相対的貧困の状況と取り組み状況、その成果、これを踏まえて次期香川県子どもの貧困対策推進計画をどのように策定しようとしているのか、知事にお伺いをいたします。  教育長には、親の経済格差が子供の心身を傷つけない教育環境をつくるため、修学旅行や部活動関係などの学校負担金・納付金を軽減する必要性についてどのように考えているのか、お尋ねをいたします。  また、先ほども述べましたが、今回の国の大綱では、地域の実情に即した施策に取り組むことが重要であるとされ、各市町の役割も今回の国の大綱に記されましたが、県として、今後、どのように各市町と連携し、また、各市町への支援を行っていくのか、知事にお伺いをいたします。  次に、観光行政についてお伺いをいたします。  十一月四日に瀬戸内国際芸術祭二〇一九が、盛況のうちに閉幕しました。「ふれあう春」、「あつまる夏」、「ひろがる秋」の三会期百七日間を合わせた来場者数は、百十七万八千四百八十四人で、前回と比べると一三%増加し、過去最多を記録しました。米国のファッション・ライフスタイル誌「VOGUE」電子版での特集「二〇一九年秋に行くべき旅行先五選」の一つとして、イタリアの観光都市フィレンツェなどと並び、「瀬戸内」(Setouchi Islands)が紹介されました。この愛称は、以前ニューヨークタイムズが「二〇一九年行くべきデスティネーション」で「Setouchi Islands」として紹介したことで、この呼称が浸透し、VOGUEのような有力媒体で用いられたようであります。  知事が日ごろより、アジアだけではなく、欧米諸国に向けてもしっかりと発信していきたいとおっしゃられていることが実を結んでいる一つではないかと思います。  また、今回もボランティアサポーター「こえび隊」の協力を初め、初めてゴールデンウイークに会期を重ねたことなどが成果につながったと考えます。今後、さらに瀬戸内の訴求力が高まる中で、さらにこの機運をどう本県に点在するさまざまな観光資源につなげ、結び、面にしていくかが、これからの重要課題であると考えます。  さて、私の地元でもあります東かがわ市にも、歴史ある地層ジオや歴史文化を感じていただける歴史的町並みなどもあります。特に、先日、東かがわ市引田にあります引田城跡が、国の史跡指定へ答申されました。二〇一七年には、日本城郭協会が発表した「続・日本百名城」にも選ばれ、全国各地から観光客が訪れるきっかけとなり、現在も多くの方に訪れていただいています。今回、国の史跡に認められれば、さらににぎわうのではないかと期待をしているところであります。  観光資源とは、あるものではなく、つくるものであります。観光庁のホームページにも記載されておりますが、近年、日本各地において観光地域づくりのかじ取り役となるDMOを初めとしたマーケティング・マネジメント機能、多様な関係者との調整機能などを備えた組織形成のほか、組織体制の構築に欠くことのできない人材と財源にも着目し、新たな観光地域づくりを進めております。本県においても、複数の地方公共団体にまたがる区域を一体とした観光地域として、マーケティングやマネジメント等を行うことにより観光地域づくりを行う地域連携DMOの登録を香川県観光協会が行っており、県全域を対象に活動をしております。旅行目的・形態が多様化する中で、地域に伝わる歴史・文化・技術等を観光に生かした新たな取り組みが必要ではないかと考えます。現在、本県においても、歴史的建造物など、特別感や地域特性を演出できる場所、いわゆるユニークベニューにおける地域伝統芸能の実施などを行っています。しかしながら、まだまだ地域に偏りもあり、さきに申し述べたように、本県に点在するさまざまな観光資源をつなげ、結び、面にしていくことができていないように感じます。  私は、地域がつくり育てる観光資源を結んで線にし、それをさらに面にしていく作業を行うのが、広域自治体である香川県の役割・役目であり、香川県観光協会とともに、これまで築いてきた本県の観光文化の効果を全県に広げ、さらなる効果を生み出すことが、これからの香川県の観光行政には必要であると思います。これらを踏まえ、観光客を一層誘致するため、また、観光資源を有効に活用し、県内全体へとその効果を広げるために、今後、どう取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。  また、あわせて、地域の皆さんが観光資源を見つけ、つくり、育てる活動に対し、市町とともに支援していく考えはあるのか、知事にお伺いをいたします。  四点目は、公共施設の維持管理計画についてであります。  現在、本県においては、平成二十八年度より十年の計画期間で、香川県県有公共施設等総合管理計画を策定し、県内の公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針及び施設類型ごとの管理に関する基本的方針を示しています。また、県有建物の長寿命化の取り組みの基本的な方針として、平成二十五年三月に公表された香川県県有建物長寿命化指針に基づき、LCCの縮減や平準化が図られていると承知しています。  県有建物の状況を見てみますと、平成二十五年度には築後三十年を経過するものが全体の約半分を超えました。また、昭和三十七年度から昭和五十八年度には教育委員会の建築が多くあり、平成五年度から平成十五年度には、知事部局の建築の大きなピークがあります。このことから、今後、改修・修繕の増加、建てかえ、設備関連のオーバーホールなどが集中することが予測されており、そろそろ施設の大規模な修繕を行う周期に来ていると思われます。  しかし、一方で、先般の財政運営指針の見直しで示されたように、この先財源不足が予測されており、より一層の歳入確保及び歳出抑制の取り組みが求められていることから、同指針においても、県有建物の長寿命化への取り組みを進めることにより、改修・修繕の総額抑制による財政負担の軽減や、大規模改修や建てかえ時期の分散による財政負担の平準化を図る必要があることとされています。このような必要性は、具体的な施設を念頭に置いて想定してみるとよくわかるのではないかと思います。例えば、レクザムホールは築後三十一年が経過し、大規模修繕等を検討するタイミングにあるのではないかと思います。しかしながら、当該施設は指定管理者制度を導入しており、大規模改修を行うとなれば、基本的には指定期間を考慮して改修を行わなければならず、その時期を逃すと、さらに五年と先送りせざるを得なくなります。ほかにも同様の条件の施設もあり、個別具体的な計画を策定し、計画的に修繕を行っていかなければならないと考えますし、そのことによって香川県県有建物長寿命化指針が求めている改修・修繕の総額抑制による財政負担の軽減や、大規模改修や建てかえ時期の分散による財政負担の平準化を図ることができるのだと私は考えます。  そこで、県有建物長寿命化指針の対象となる施設ごとの具体的な大規模修繕等を含む維持管理計画の策定はできているのでしょうか。国は、令和二年度までに公共施設等総合管理計画に基づき、個別施設ごとの具体の対応方針を定める計画として、インフラ長寿命化基本計画及び公共施設等総合管理計画を踏まえた個別施設計画の策定を求めています。できていないのであれば、早急に計画策定を進めなければならないと考えますが、計画策定の状況について、知事にお伺いをいたします。  最後、五点目は、県立白鳥病院のあり方と県内病院の再編・統合についてお伺いをいたします。  まず、県立白鳥病院のあり方についてです。  現在、本県では、中央病院、丸亀病院、白鳥病院の三つの病院が運営されています。第三次県立病院中期経営目標の中には、三つの病院にそれぞれ病院の果たすべき役割が設定されています。中央病院は、全国トップレベルの医療を提供する県民医療最後のとりでとしての役割、丸亀病院は、県の精神医療の基幹病院としての役割、そして白鳥病院は、特色のある地域の中核病院としての役割であります。  一方で、課題として、医療制度改革への対応、医療機能の充実・特化、医師・看護師不足への対応、資金収支状況の改善が挙げられております。このような中で、それぞれ三つの病院に与えられた役割を果たすことが現在できているのか、また、維持することができるのかなど、不安に感じる点があります。特に白鳥病院においては、特色のある地域の中核病院ということでありますが、地域からは、「医師がかわるスパンが短過ぎて、医師とのコミュニケーションがとりづらい」との声や「小児科はあるが入院できないので、結局は他の病院へ行かざるを得ない」などの話もあります。先ほど挙げた課題がそのまま浮き彫りになった形ではないかと感じます。  そこで、これまでにこのような白鳥病院の課題を解決するために、どのような取り組みを行い、その効果はどうであったのか、病院事業管理者にお伺いをいたします。  さらに、今後厳しくなるであろう白鳥病院の運営をどのように考え、その役割強化を行っていくお考えなのか、あわせて病院事業管理者にお伺いをいたします。  次に、県内病院の再編・統合についてであります。  厚生労働省が九月に再編や統合などの議論が必要とし、再検証対象医療機関として、県内では、さぬき市民病院、香川県済生会病院、滝宮総合病院、国立病院機構高松医療センターの四つの病院の名前が公表されました。この公表について知事は、九月議会の我が会派の松岡議員の質問に対して、事前の十分な説明のないまま、地域の個別事情を踏まえず、全国一律の基準による分析のみで病院名が公表されたことは、極めて遺憾であると答弁をされ、今回公表されたいずれの医療機関も、地域医療を支える重要な役割を担っている医療機関であるとの認識を示されました。その後、十一月二十六日に高松市内で厚生労働省の県別説明会が開かれ、県や病院関係者が出席し、説明、意見交換がなされたものだと認識をしております。メディア報道を見ると、各病院関係者から反発の声や地域の実情を反映していないなどの指摘があったようであります。先日の文教厚生委員会でも質疑がありましたが、厚生労働省からの説明がどのようなものであったのか、改めて知事にお伺いをいたします。  また、今後、県地域医療構想調整会議で再編・統合の議論を行い、来年中に結論を出すとしているようでありますが、今後の予定と知事として九月議会に述べた答弁に変わりない姿勢で今後もこの課題に取り組まれるのか、お伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)鏡原議員の御質問にお答えいたします。  まず、県内水産業の振興についてであります。  県では、香川県水産業基本計画に基づき、「魅力ある水産物の生産・流通・販売で元気な浜の復活」を基本目標に、香川の特長を生かした水産物づくり、流通・販売促進、消費拡大を推進するとともに、元気な漁業者の確保・育成に積極的に取り組んでおります。こうした取り組みにより、讃岐さーもんや小豆島島鱧のブランド化等は、おおむね順調に進捗しておりますが、一世帯当たりの魚介類購入金額は伸び悩む等の課題があり、計画最終年度に向けて、より積極的に取り組んでまいります。
     まず、漁業の担い手対策につきましては、依然として漁業就業者数の減少に歯どめがかかっていないことから、かがわ漁業塾による育成、就業時の漁船・漁具リース事業などを実施し、就業から定着までの一貫したサポートを行ってまいります。  また、ブランド水産物の消費拡大・販売強化策として、今年度は、初めて仙台での販促活動を実施し、オリーブハマチに加えて、いりこ、ハモ等の県産ブランド水産物の消費拡大を図るとともに、東京、大阪の量販店では、私みずから先頭に立ち、県内水産物をPRし、販売促進に努めたところです。  さらに、魅力あふれる瀬戸の小魚については、小・中学生を初め、幅広い世代を対象にした食育教室等を通じて、県内水産物の消費拡大を推進するとともに、本年五月からは新たに業界団体と連携して、旬の魚やイベント情報などを紹介するツイッター「地魚 TIMES KAGAWA」を開設し、広く情報発信をしております。  今後とも、担い手確保、ブランド水産物の消費拡大・販売強化策等を積極的に展開し、本県水産業の振興を推進してまいりたいと考えております。  次は、子供の貧困についてであります。  相対的貧困については、おおよそ平均的な所得の世帯の半分に満たない所得レベルで生活しなければならないという状態であると認識しております。  また、相対的貧困の状態にある子供の割合を示す子供の貧困率は、国民生活基礎調査において、三年に一度算出されており、平成二十八年の調査では、全国で一三・九%と、平成二十五年の調査より二・四ポイント改善されておりますが、県別の内訳は公表されておりません。  そこで、平成二十七年に策定した香川県子どもの貧困対策推進計画で指標として設定している「生活保護世帯における子どもの割合」で見ると、この計画の基準値である平成二十五年度に、県が一・〇五%、国が一・三九%であったものが、平成二十九年度には県が〇・七四%、国が一・一六%と同様に改善しておりますが、我が国の子供の貧困率を諸外国と比較すると、依然として高い水準であることから、全体として厳しい状況にあると考えております。  県では、これまで子供の将来が、その生まれ育った環境に左右されることのないよう、この計画に沿って教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援の四つの支援を柱として、子供の貧困対策を総合的に推進してまいりました。この計画で設定している十九の指標においては、生活保護世帯に属する子供の高等学校等進学率などが上昇するなど、成果が見られるものもありますが、改善が必要な指標もあることから、引き続き子供の貧困対策に取り組む必要があると考えております。  このため、次期計画につきましては、現行計画の基本的な考え方を継承しながら、先月閣議決定された新たな子供の貧困対策に関する大綱において、親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目ない支援を行うことなどが基本方針として定められたことや、本県の実情などを踏まえ、策定を進めてまいります。  子供の貧困対策に当たり、地域や社会全体で課題を解決する必要があることから、県ではこれまで、各市町において貧困家庭への支援を行う人材の養成を行ってきたところであり、今後は、地域における支援ネットワークの構築・強化を支援するなど、引き続き各市町や関係機関等と密接に連携を図ってまいります。  次に、県立白鳥病院のあり方と県内病院の再編・統合のうち、県内病院の再編・統合についてであります。  議員お尋ねの、先月二十六日に本県で開催された説明会につきましては、厚生労働省から、冒頭、今回の公表が地域住民に対して不安を抱かせてしまったことや、関係者に事前説明ができていなかったことなどについて反省しているとの言葉がありました。  また、公表は、地域医療構想調整会議での議論を活性化させるためのものであり、再検証の対象とされた病院の再編・統合を強制するものではないとした上で、再検証の要請に係る診療実績の評価方法等について説明があったところです。  さらに、今回の分析だけでは判断し得ない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら、地域医療構想調整会議において、議論を進めてほしいとの発言に加え、議論の進め方の具体的な論点・プロセス等について、国が整理し、提示するとの説明がありました。  再検証の対象とされた四つの医療機関につきましては、いずれも地域医療を支える重要な役割を担っているとの認識に変わりはありませんので、今後は、国から示される通知の内容も踏まえ、地域医療構想調整会議において、各医療機関がそれぞれの地域で担っている役割や、他の医療機関との機能分化・連携の状況等について丁寧に伺い、協議を行った上で、国が求める期限までに、その検証内容を報告することになると考えております。  私といたしましては、引き続き各市町や関係団体と緊密に連携し、地域の実情を十分に踏まえながら、良質かつ適切な医療が持続可能な形で提供される体制を構築してまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、それぞれ担当部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)東田総務部長。    (総務部長東田晃拓君登壇) ◯総務部長(東田晃拓君)鏡原議員の公共施設の維持管理計画についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、厳しい財政状況の中、県有施設の老朽化が進行している現状等を踏まえ、その長寿命化を図り、更新や修繕について計画的に取り組むことは、財政負担の軽減や平準化を図る観点から重要であるものと考えております。このため、本県では公共施設等の総合的な管理を推進することを目的として、平成二十八年三月に香川県県有公共施設等総合管理計画を策定し、令和七年度までの十年間を計画期間として、目指すべき施設管理等のあり方や施設類型ごとの施設管理の方針を定め、この管理計画のもとに、県有の建物をより長く使用するために県有建物長寿命化指針を定めております。  お尋ねの県有施設ごとの具体的な維持管理計画の策定につきましては、この指針に基づき、建築経過年数や修繕等の現状を分析し、ライフサイクルコスト削減の観点から、各建物の基本情報等をデータベース化した保全情報システムを活用し、施設ごとに簡易の中長期保全計画を作成しているところであります。この保全計画を参考に、個々の建物の使用状況などを考慮しながら、長寿命化の優先度が高い建物を毎年五棟程度選定し、より具体的な短期の保全計画を策定した上で、外壁改修や屋上防水など、建物の長寿命化を図るための予防保全工事を計画的に実施しております。  県といたしましては、財政負担の軽減や平準化を図るため、引き続き各施設の状況を踏まえながら、効率的かつ計画的な県有施設の長寿命化に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)新池交流推進部長。    (交流推進部長新池伸司君登壇) ◯交流推進部長(新池伸司君)鏡原議員の観光行政についての御質問にお答えします。  県では、県内全域で滞在型観光を推進するため、観光圏整備法に基づく香川せとうちアート観光圏の認定を全国で唯一、県全域をその圏域として受け、観光圏を基盤としながら、地域独自の豊かな資源を掘り起こし、磨き上げるとともに、買い物、食事、体験などを含めて楽しんでいただく周遊型の体験プログラムづくりを進めております。  議員御指摘の、地域の観光資源を結んで線にし、面として広げることは、県内各地の観光資源を有効活用する上で、その相乗効果により魅力を高めることから重要であり、これまで県では、県内の魅力ある観光資源を組み合わせた訴求力のある旅行商品の開発や観光周遊ルートを造成し、効果的にPRしてきたところであります。  今後は、周遊・滞在型プログラムとして、地域の自然や歴史、文化、食など、テーマ別の周遊やシーカヤックなどの昼間の体験メニューと夜型観光コンテンツの組み合わせ、写真映えする絶景スポットをめぐるツアーなど、周遊バリエーションが豊富になるよう企画し、旅行会社等の専門家の意見を伺いながら、売れる商品に磨き上げ、本県ならではの過ごし方や楽しみ方を提供してまいりたいと考えております。  お尋ねの地域住民等の活動支援につきましては、地域独自の観光資源を掘り起こし、磨き上げる取り組みを促進するため、今後とも市町と一体となり、先進地域を視察する研修会の開催や、旅行商品の造成に関する専門家の派遣などを行ってまいりたいと考えております。  県といたしましては、市町等との緊密な連携のもと、地域の観光地づくりに向けた取り組みを積極的に支援し、本県のさまざまな特長ある観光資源を磨き上げるとともに、それらを結びつけて、観光客の県内全域の周遊・滞在をより一層促進することにより、交流人口の拡大による地域の活性化につなげてまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)太田病院事業管理者。    (病院事業管理者太田吉夫君登壇) ◯病院事業管理者(太田吉夫君)鏡原議員の県立白鳥病院のあり方と県内病院の再編・統合のうち、県立白鳥病院のあり方についての御質問にお答えします。  白鳥病院は、地域の中核病院として、高齢化が進む地域医療を支えるため、循環器系の先進的治療や五名診療所での僻地医療、二次救急医療などに早くから取り組むとともに、平成二十九年度には、高齢者に患者の多い泌尿器科と在宅復帰に向けた医療を行う地域包括ケア病床の設置などに新たに取り組んでまいりました。  具体的には、循環器医療では、不整脈の治療に有効なカテーテルアブレーション治療など、年間百件以上の心臓カテーテル手術を実施するとともに、泌尿器科では、昨年度から手術や入院対応も行っており、さらに、地域包括ケア病床は、患者数に応じて順次増床するなど、地域のニーズに適切に対応してまいりました。こうした地域医療を担っていくためには、医師の確保が何より大切であり、これまでも関連大学に働きかけてまいりましたが、昨年度、消化器内科医師二名が減となり、診療だけでなく経営面にも大きく影響したため、今年度から香川大学医学部へ寄附講座の設置により医師の派遣を受け、医療提供体制の維持に努めているところであります。  今後は、人口減少や深刻化する医師不足などにより、一段と厳しい経営環境が見込まれますが、関連大学に優秀な医師の派遣を積極的に働きかけ、医師確保に努めるとともに、新たな施設基準の取得などによる収益確保や費用の適正化に一層努め、特色ある地域の中核病院として、地域の皆様の期待に応えてまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)鏡原議員の子供の貧困についての御質問にお答えいたします。  家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供が質の高い教育を受け、能力や可能性を最大限伸ばしてそれぞれの夢に挑戦できる環境づくりは、重要であると考えております。このため、学校現場において教員は、日々、児童・生徒の様子や学校生活の状況を注意深く見守っておりますが、児童・生徒のさまざまな行動が経済的困難性を要因とするものであるかどうかは、保護者等からの相談や援助の申請がなければ把握が難しいのが実情であります。  また、修学旅行や部活動等に要する費用について、小・中学校においては、市町教育委員会が国の要保護児童生徒援助費補助金を活用して行っている就学援助事業や、生活保護法に基づく教育扶助や生業扶助により、経済的に困難な状況にある児童・生徒の保護者に対して負担軽減を図っており、入学時の費用についても、新入学児童・生徒の学用品費の入学前支給を市町に促し、今年度からは県内全市町で実施されております。高校においては、生活保護世帯及び住民税の非課税世帯には、奨学のための給付金を支給しており、昨年度、公立高校では二千七十人が利用し、また、一定の所得要件を満たす家庭の生徒に対しては、無利子の奨学金の貸し付けを行っており、昨年度は公立高校で四百七十人が利用したところです。  これらの支援制度については、真に支援が必要な家庭が利用できるよう、引き続き周知徹底を図ってまいります。  県教育委員会といたしましては、各学校において、児童・生徒の日常的な観察や家庭訪問等により家庭の状況を把握するとともに、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーの積極的な活用や、関係機関との連携を通して、子供の貧困対策に引き続き取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  都築信行君。    (都築信行君登壇、拍手) ◯都築信行君 まず最初に、子育て支援についてお伺いいたします。  幼児教育・保育の無償化が、十月一日からスタートいたしました。公明党は子育て家庭の声を受け、二〇〇六年に発表した少子社会トータルプランで幼児教育無償化を掲げ、所得の低い世帯や多子世帯などを中心に、無償化や負担軽減を段階的に推進してまいりました。今回、政府・与党として、全世代型社会保障の構築に向け、消費税率一〇%への引き上げの増収分の使い道を変更の上、財源を生み出すという大きな決断をし、「国として少子化を克服する」、「子育て世帯の負担を軽くする」という強いメッセージを発信できたことは、未来の宝である子供たちを社会全体で育てていくというチャイルドファースト社会への大きな第一歩になるものと確信をしております。  さて、実施から二カ月半、実現した政策の効果について検証を怠らず、課題が見つかれば迅速に対応することは、政党の責務でもあります。そのため、実施後の評価や政策ニーズを把握すべく、公明党は全国の議員が子育て家庭や施設関係者にアンケートを行う実態調査活動を実施し、六日に中間報告をいたしました。その時点での回答数は約一万四千件、今月二十日までの調査を終え、来年一月下旬に最終報告を発表する予定です。  まず、利用者からの回答では、幼児教育・保育の無償化を「評価する」と答えた人が六六・八%、「やや評価する」人の二一・一%を含めれば、利用者の約九割の方が評価するとしております。そして、無償化により「負担が減った」と答えた人は六六・二%に上り、「負担がふえた」と答えた人は三・四%でした。また、今後、取り組んでほしい政策として挙げられたのは、多い順に、「保育の質の向上」四七・五%、「ゼロから二歳児の無償化の拡大」三七・八%、「待機児童対策」三四・一%でした。  次に、事業所からの回答では、「事務負担がふえた」が約六割に上り、給食費や延長保育料が無償化の対象外になり、園児ごとに書類作成をすることが背景にあるようです。現場での事務負担軽減に向けた適切な対応が急務であります。無償化の前後で保育料を「値上げした」事業所は四・八%、「保育の質の向上のために何が必要か」という問いには、多い順から「処遇改善」八二・九%、「スキルアップ」七六・六%、「配置改善」五一・七%でした。保育の質の向上には、多面的な支援策の早期実施が必要であります。  一方、事業所が期待する政策では、多い順に「人材の育成・確保への支援」八八・二%、「事務負担の軽減」六一・六%、「運営費の補助」五八・八%でした。安定的な経営のためにも、保育に携わる人材の育成・確保への支援が最重要であります。  このほか、アンケート回答以外にも三千百七十五件、約二十五万字に及ぶ自由記述によるさまざまな御意見が寄せられております。例えば、「新たに給食費が取られるようになった」という声があります。給食費のうち、おかずやおやつ代など、副食費分は、幼稚園では従来、実費負担であることなどから、保育所でも三歳から五歳児は保育料から切り離して、実費負担になりました。このため、保育料を独自に無償化するなどしていた自治体の中には、負担が増すケースもあることが判明しております。このほか、園庭の狭さや運営形態などを理由に幼稚園として認可を受けていない幼稚園類似施設は無償化の対象外となっていますが、幼稚園と同様の教育を行っており、支援を求める声は多く、無償化の恩恵が広く行き渡る視点で、きめ細やかな対応が求められます。  また、待機児童増加の懸念も指摘をされております。今回の無償化では、待機児童の約八八%を占めるゼロから二歳児については、無償化の対象を住民税非課税世帯に限定しております。今後、待機児童の状況が実際にどうなっていくのかを把握し、保育士の確保策なども含めて手を打っていく必要があります。事業者からは、事務負担の増加が挙げられ、行政への提出書類の書式や期限などが自治体によってばらばらで、改善が要望されるとともに、保育士等教職員の確保や処遇改善への支援・充実も挙げられております。  以上のような御意見・御要望については、国の課題については、国会質問等を通じ、その改善を求めております。つきましては、幼児教育・保育の質の向上や事務負担の軽減、便乗値上げの防止等の課題など、地方で取り組むべき点についてどのように改善していくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、高校教育の無償化についてお伺いいたします。  来年四月からは、所得の低い世帯の学生を対象に、大学などの高等教育無償化を、返済不要の給付型奨学金と授業料減免を拡充する形で実施するとともに、私立高校授業料の実質無償化も始まります。現在、高校生がいる年収約九百十万円未満の世帯には、国が就学支援金を支給し、授業料を補助しています。公立高校は授業料相当額が支給され、授業料は実質無償化されております。  一方、私立高校の場合は、世帯所得に応じて段階的に授業料が補助されています。来年四月からは公明党の強力な推進で、年収約五百九十万円未満の世帯を対象に、就学支援金は私立高校の平均授業料を勘案した水準まで引き上げられます。  これに関連して、二つ質問させていただきます。  国からの授業料支援は、先ほどのとおりでありますが、現在、私学については、県において国の就学支援金を受けてもなお残る授業料負担部分について、年収五百九十万円未満の世帯を対象に、令和元年当初予算ベースで約一億一千万円の上乗せ補助を行っていますが、来年四月からの国の支援制度の拡充により、これまでの単独県費による負担部分が国により賄われることになります。授業料等の公私間格差が指摘される中、ぜひ、その予算をこれまで同様に、私立高校の授業料や入学金等のさらなる補助拡充に充てていただきたいと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。  また、これまで公立・私立ともに授業料に対する国の支援がなかった高校の専攻科について、政府は授業料実質無償化の対象に含める方針を固めました。無償化の対象から漏れていた専攻科を加えるよう求める公明党の主張を受けたもので、文部科学省は、二〇二〇年度予算概算要求に十六億二千六百万円の必要経費を盛り込んでおります。  専攻科は、三年間の高校本科を修了後、看護や水産などに関する資格取得のため、公立高校は高松南、飯山、多度津高校において、私立高校は寒川、香川西高校において、一年以上のより高度の教育を行っております。国の予算が成立すれば、来年四月から、授業料は就学支援金の水準まで支援される見込みであり、全国で約八千人の生徒が対象となる見通しです。県下でも、本年度時点で、前述五校で合わせて二百五十二名の生徒が学んでおられますが、このうち相当程度の生徒が支援の対象になるものと考えられます。国の概算要求によると、専攻科に対する新たな修学支援制度は、都道府県が支援事業を行う場合に、国が都道府県に対して所要額を補助する仕組みとされているため、まずは各都道府県で実施を決める必要があります。  そこで、県におかれては、国の動きに合わせ、速やかに制度を実施していただきたいと考えますが、知事及び教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、就職氷河期世代の活躍のための取り組みについて質問をいたします。  就職氷河期世代とは、学校卒業時と雇用環境悪化が重なった世代で、バブル崩壊後の厳しい雇用環境の中で、不本意ながら正規雇用につけず、非正規雇用として働いている方や未就職を余儀なくされた方のことを言い、現時点で年代からいえば、三十代半ばから四十代半ばの方々が当てはまります。実際に就職氷河期を経験した方からも、「バブル崩壊後に就職は一気に厳しさを増し、個人的に思い出したくない、繰り返したくないことの一つに、この氷河期の就職活動が挙げられます」という声もあるとおり、トラウマとして残っている方もおられます。  就職氷河期世代のうち、正社員を希望しながら不本意に非正規で働く人は少なくとも全国で五十万人に上り、ひきこもりの人や長期無業者も含めると、支援の対象は百万人程度と見込まれています。また、厚生労働省の推計によれば、香川県においても不安定な就労状態にある方が三千三百人、長期にわたり無業の状態にある方が二千人余りいるとされています。厚生労働省の二〇一七年派遣労働者実態調査でも、四十代前半の年齢層が最も多く派遣で働いていることが明らかになっており、五年前の前回調査で最多だったのが三十代後半だったことから、団塊ジュニア世代を含む就職氷河期世代が、不安定な雇用環境から抜け出せないまま中高年化していることがうかがえます。  就職氷河期から約二十年。社会で中心的役割を担う働き盛りの年代にもかかわらず、経済的に安定しない非正規雇用であるため、家庭を築くことをちゅうちょする人も少なくない。また、長期にわたり無業等の状態にありますと、老後の経済的支えとなる被用者年金を受給することができない場合もあり、一生の生活設計も立てることができません。  そこで、その改善のため政府は、この世代に特化した就職氷河期世代支援プログラムを策定し、支援に乗り出しており、先日、総務省からも、就職氷河期世代の就労を後押しするため、地方公務員の中途採用を強化するよう求める文言を盛り込んだ通知が発出されております。この国の動きに連動して、地方自治体でも就職氷河期世代に対する就業支援の取り組みが始まっております。和歌山県では、就職氷河期世代を支援するため、三十六歳から四十五歳の非正規労働者に限定した職員採用試験を導入するそうであります。  一方、民間企業側の理解も必要であります。失業や非正規雇用の期間が長いことによる職場でのコミュニケーション能力の不足や年功序列型の賃金体系のもとで就職氷河期世代を採用するのは企業の負担が大きいとの理由から、採用に二の足を踏む企業もあるようです。  しかし、この世代は若手と年配の中間に位置する年齢で、例えば、厚生労働省のキャリア形成に関する報告書のとおり、企業における世代間の価値観の差を埋めるつなぎ役になれる可能性があるとの指摘もされております。また、やる気に関しても、兵庫県宝塚市が同世代を対象に正規職員を募集したところ、定員の六百倍を超える申し込みがあった事実は、就労意欲の高さを物語っていると言えます。  就職氷河期世代を貴重な戦力と見る人材戦略を企業に求めていく必要があるとともに、戦力となるよう技術等能力開発も大事となってまいります。神奈川県では、就職氷河期世代に対する就業支援のため、県内二校の総合職業技術校に入校優先枠を新設したり、先日、埼玉県の例がテレビで特集されておりましたが、正社員採用を後押しする狙いで、県内企業の合同説明会を先月十一月十五日に開くなど、具体的な取り組みを始めております。  つきましては、これまでも県は、地域若者サポートステーションでの職業的自立に向けた就労支援などの対策を講じていただき評価しておりますが、就職氷河期世代の雇用改善を一層進めるためにも、国の支援と連動し、具体的な目標を設定するなど、集中的施策を展開すべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、地域を守る建設土木工事の担い手を育てる施策の推進についてお伺いいたします。  近年、大規模な震災や水害、風害と、想定を超える自然災害が頻発しております。これらの自然災害に対して住民の安全を確保し、被害を最小限に食いとめるためには、地域の建設土木事業者の協力が必要不可欠です。少子高齢化、人口減少社会において、地域の人材確保が年々難しくなっている中で、建設業界の活性化による担い手確保のためには、県として打てる手は、確実に具体的に打っていくことが大事であります。  そこで、まず第一に、建設土木技能者の処遇改善についてです。  国では、技能労働者の処遇改善を図ることなどを目的に、かねてより建設業法令遵守推進本部の設置による指導監督体制の強化や、建設業法令違反行為の情報収集を目的とした駆け込みホットラインの開設、建設企業が守るべき下請取引上のルールを示した建設業法令遵守ガイドラインの策定等、下請契約や下請代金支払いの適正化等に向けた取り組みを行っております。  また、技能労働者の適切な賃金水準の確保を図るため、毎年、国土交通大臣から建設業団体に対し、直接具体的な取り組みの実施を要請しているほか、各団体や建設企業に対し、現場を支える技能労働者の隅々まで公共工事設計労務単価の上昇を踏まえた適切な水準の賃金の支払いが行われるよう努力を行うことや、下請負人においては、みずから雇用する技能労働者の賃金水準の引き上げを図ることなどを内容とする通知をしております。  しかしながら、全国では、依然として元請負人と下請負人の間において赤伝処理等による一方的な代金の差し引き、指し値発注による不適切な下請取引など、下請負人へのしわ寄せが存在するとの指摘がなされており、昨年度、国土交通省が実施した実態調査によると、高次の下請負人において、賃金を引き上げたとの回答の割合も低くなっていると聞いております。  そこで、本年六月に、適正な額の請負代金及び工期による下請契約の締結等を規定する公共工事の品質確保の促進に関する法律が改正され、市場における労務の取引価格を的確に反映した適正な額の請負代金での下請契約の締結や、技能労働者に係る賃金を含めた労働環境の改善が、全ての下請負人も含めた受注者等の責務として規定されたところであります。  県でも、毎年、国から発出される通知にあわせた周知・啓発を行っているようですが、いわゆる品確法の改正を受け、改めて国から厳格化を内容とする通知が発出されており、そこでは、建設業者への周知徹底に加え、助言・指導体制の充実や知事許可業者に対する指導監督の強化、建設業者等に対する研修会の開催など、一段の取り組みが求められており、県としても国の動向等を踏まえたより一層の厳格な取り組みが必要だと思います。県工事に携わった全ての技能労働者の賃金が、公共工事労務単価の上昇を踏まえた適正な単価となっているかを確認するとともに、それが反映するように具体的な取り組みをしていくべきではないでしょうか。  また、通知では、圧倒的なボリュームを持つ民間工事についても、公共部門での単価の引き上げの反映や法定福利費の別枠明示、支給の実現が図られるよう求めておりますが、県からの政策的な誘導を図っていくべきと考えます。  つきましては、官民での建設土木技能者の処遇改善に向けた実効性ある具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  第二に、建設キャリアアップシステムの登録推進についてです。  建設キャリアアップシステムは、国土交通省が建設業界と連携して四月に本格運用を始めた制度で、登録した技能者の就労履歴や保有資格をIDカードに蓄積する仕組みです。技能者の能力や経験を客観的な基準で評価できるため、事業者に適切な待遇改善を促し、将来的な人材確保にもつながると見込まれております。  現在、国が制度の普及を進めておりますが、県によってはいち早くその普及に努めているところもあります。山梨県は、建設業関係者の待遇改善や担い手確保につなげたいとの考えから、ことし十月から総合評価方式で行う県発注工事の入札で、建設現場の人材の仕事履歴を蓄積していく建設キャリアアップシステムの登録事業者を加点対象とする措置を講じております。我が県の登録状況と今後の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  最後に、盗撮事犯への規制強化についてお伺いをいたします。  近年、スマートフォンの普及や技術の進歩により、高性能で小型のカメラやカメラ機能を搭載した機器が普及し、公共の場所や公共の乗り物以外の場所における盗撮行為が全国で多発しております。報道によると、最近では本年十月、北海道内の公立病院の女子トイレに盗撮目的で小型カメラを設置したとして、男性診療部長が「苛酷な勤務によるストレスでやってしまった」と設置を認め、懲戒免職となっているほか、県内においても、過去には学校の教職員用の簡易更衣室において、男性教諭が着がえ中の女性教諭を上部のすき間からスマートフォンで盗撮した事案が発生しております。もちろん公務員だけでなく、民間人によるものも場所を問わず後を絶ちません。  この卑劣な盗撮行為を取り締まる法規としては、香川県迷惑防止条例があり、駅や公園など、不特定多数の人が自由に出入りし、利用できる場所を「公共の場所」と定め、盗撮を禁止しており、それに違反した場合、六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金、常習であれば、一年以下の懲役または百万円以下の罰金の刑に処せられます。  しかし、冒頭の事案のように、人の出入りに制限がある校舎内や会社等の建物内は「公共の場所」に該当しないとして、条例の構成要件から外れ、取り締まりの対象外となっております。そのため、そうした場所での盗撮の場合、立件が見送られる場合や、条例ではなく軽犯罪法違反等の他法令で検挙する場合もあります。  しかし、その量刑は、条例に比べ相当軽いものになっております。被害者にとっては、重大犯罪を犯しながら、なぜ重い罪に問えないのか、その悔しさははかり知れないものがあります。先日、テレビ報道の特集でも県内の盗撮事案が取り上げられておりましたが、被害者だけでなく、条例の不備を指摘する声が県内でも高まっております。他の都道府県では、学校や職場、自宅等での盗撮行為を罪に問えるようにするため、盗撮を禁止する規制対象範囲を拡大し、卑劣な行為をより徹底して取り締まる環境を整えており、秋田県や京都府が条例改正案を今十二月定例会に提出するなど、今や二十五都道府県が既に条例を改正済みであります。  つきましては、我が県においても条例改正を行い、場所を問わず、憎むべき盗撮行為を徹底して検挙、厳罰に処し、県民が安心して暮らせる香川県にしていただきたいと考えますが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。  また、ふだんからの抑止活動も大事であります。岡山県では、盗撮などの不祥事を抑止するため、教員向けに約二十分のドラマ形式で啓発DVDを千部作製、その中では、中学校内で発生した男性教員の盗撮が、被害者の生徒や保護者、学校関係者に与える影響の甚大さを伝え、抑止に向けた取り組みを行っております。岡山県では、教員における盗撮事案が相次いだことが背景にあるようですが、我が県においても、盗撮抑止に向けた啓発活動を、県の教職員を初め、県民向けに行っていただきますよう、強く要望させていただきます。  以上で私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)都築議員の御質問にお答えいたします。  まず、子育て支援のうち、幼児教育・保育の無償化についてであります。
     議員御指摘の課題のうち、幼児教育・保育の質の向上につきましては、施設の監査等を通じて、適正な保育環境を確保するとともに、保育士の働く環境の改善を進めていく必要があると考えております。このため県では、職位や経験年数に応じた研修や専門分野別の研修の実施に加え、県教育委員会と連携して幼児教育スーパーバイザー(指導・助言者)を派遣し、保育士の資質向上を図るとともに、保育士の平均勤続年数や技能・経験に応じた人件費への加算を行っているほか、保育士の業務負担を軽減するために保育士支援員を配置するなど、保育士が働きやすい職場環境の整備に努めているところです。  無償化に伴う事業者の事務負担につきましては、三歳以上で保育の必要性がある子供に係る副食費が、各施設での実費徴収となったことなどにより、これまでよりも増加していると認識しております。こうしたことから、これらの事務負担の軽減に向けて、県においては、県内市町との連絡会を開催し、参考となる事例等の情報共有を図るとともに、保育行政を担う各市町においては、保育施設等を対象とした説明会や個別の相談などを行っており、今後とも事業者の事務負担の軽減が図られるよう、監査等を通じて実態を把握しながら、各市町と連携して適切に対応してまいります。  また、無償化に伴う保育料のいわゆる便乗値上げにつきましては、現在、県内において、合理的な理由のない保育料等の引き上げが疑われる事案は確認されていませんが、今後、保育料等の変更が行われる場合には、保育施設等に対して、保護者に対する十分な説明を求めるとともに、変更理由の妥当性について確認し、必要に応じて指導助言を行ってまいります。  私といたしましては、各市町や関係機関と連携し、子供たちがよりよい幼児教育・保育を受けられるよう、保育の質の向上等に積極的に取り組んでまいります。  次に、高校就学に対する支援についてであります。  高等学校の授業料等における公私間格差については、県では、これまでも私立高校に対する経常費補助を通じて生徒納付金全体の抑制に努めるとともに、国の就学支援金に上乗せする授業料軽減補助を行うほか、低所得世帯の高校生を対象に、授業料以外の保護者負担の軽減を図る奨学のための給付金を支給するなど、さまざまな方策を通じて、私立高校の保護者負担の軽減に努めてきたところであります。  国においては、来年度から世帯年収五百九十万円未満の私立高校生を対象に、授業料の実質無償化を実現することとしており、授業料負担は大きく軽減される見込みでありますが、私立には公立にない生徒納付金である施設整備費や、公立に比べて高額である入学金等による公私間の保護者負担の格差が存在することについて認識しております。  また、高等学校本科を卒業後、さらに高度な学習を行う専攻科につきましては、県では、これまでも私立高校においては、低所得世帯等の専攻科の生徒を対象に授業料軽減補助を行っておりますが、来年度、国において検討されている専攻科の生徒を対象に、本科生徒と同水準の授業料軽減を行う新たな修学支援制度が創設された場合には、必要な要綱改正を行ってまいります。  いずれにいたしましても、私としては、家庭の経済状況にかかわらず、全ての意志ある高校生が安心して教育を受けることができるよう、国の動きを注視しつつ、さまざまな御意見も伺いながら、来年度の予算編成の中で、幅広く検討を行ってまいりたいと考えております。  次は、就職氷河期世代に対する就労支援についてであります。  就職氷河期世代のうち、不安定な就労状態にある方や、長期にわたり無業の状態にある方等の活躍を支援することは、多様な就労や社会参加を促し、誰もが活躍できる社会の実現を目指す上で重要であると考えております。こうした方々への就労支援につきましては、これまで若者の就労支援をする地域若者サポートステーションにおいて、四十歳未満の方を対象にセミナーや職場実習などを行うとともに、県立高等技術学校において離転職者向けの職業訓練を実施するなど、支援に努めてまいりました。  こうした中、来年度以降、香川労働局を中心に、県や経済団体、労働団体等から成る都道府県レベルのプラットフォームを構築し、就職氷河期世代の活躍促進を図るための事業実施計画の策定や、KPI、重要業績評価指標の設定などの取り組みを進めることとなっており、県としても関係機関と緊密に連携しながら、積極的に役割を果たしてまいりたいと考えております。  さらに、支援対象年齢の拡大が見込まれている地域若者サポートステーションにおいて、県の事業の対象年齢を四十歳代まで拡大することや、高等技術学校の民間教育訓練機関を活用した職業訓練において、職場での対応力を高める実践的な訓練を実施することについて検討してまいりたいと考えております。  また、現在、県で行っている職務経験者採用には年齢制限はなく、一定期間の職務経験は必要となるものの、その職務内容は問わない試験区分も設けており、就職氷河期世代の雇用にもつなげてまいりたいと考えております。  私といたしましては、就職氷河期世代の方々が、希望に応じて意欲や能力を生かして活躍できる環境づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、地域を守る建設産業の担い手を育てる施策の推進についてであります。  建設産業では、労働者の高齢化や若年労働者の不足により、将来にわたる社会資本の整備や維持管理、防災・減災対策などに支障が生じることが懸念されることから、官民が共通認識のもと、一体となって若年の人材の確保や育成、その定着に向け、効果的な対策を講じていくことが必要となっております。そのためには、議員御指摘のとおり、技能労働者の処遇改善を図ることが重要であることから、県では、これまでも技能労働者の適切な賃金水準の確保や必要な法定福利費を含んだ下請契約の締結、下請代金の支払いなどについて、建設業団体に文書で要請するとともに、団体の総会の場等において、直接要請を行っているところです。  しかしながら、国の調査では、三次下請以降の高次の下請業者において、依然として技能労働者の賃金が低く、十分に法定福利費を受け取れていない工事の割合も多い傾向にあることから、県としても、今後、これまでの取り組みに加え、毎年実施している建設業許可業者に対する説明会や、経営事項審査の機会に各事業者への周知・啓発を行うなど、法律改正の趣旨も踏まえ、よりきめ細かな取り組みを進めてまいりたいと考えております。  また、本年四月から運用が開始された国の建設キャリアアップシステムは、技能労働者の処遇改善が図られる環境を整備し、将来にわたり担い手を確保しようとするものであり、国や他県において、企業の評価と結びつける動きがあることも承知しておりますが、本県の登録状況は、先月末現在で事業者登録が三百三十一社、技能者登録が二千百二十五人と、いまだ少数であることから、県といたしましては、国や他県の動向も注視しながら、まずはシステムへの登録が進むよう、制度のより一層の周知に努めてまいりたいと考えております。  私といたしましては、社会資本整備の担い手であるとともに、災害発生時の応急復旧活動や公共土木施設の維持管理にも重要な役割を担う地域の守り手である建設産業が、地域の産業の中核として持続的に発展できるよう、今後とも国や市町、建設業団体とも連携を図りながら、建設産業における人材の確保・育成に的確に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)都築議員の子育て支援の御質問のうち、高校就学に対する支援についてお答えいたします。  高等学校等就学支援金制度は、家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、保護者の所得が一定の要件を満たす生徒の授業料相当額を国が負担し、家庭の教育費負担を軽減するものであり、県内の公立高校においては、約八割の生徒がこの制度を利用しております。  県立高校では三校に専攻科があり、高松南高校及び飯山高校に看護科を、多度津高校に海洋技術科をそれぞれ設置し、看護師や三級海技士の資格取得を目指して、専門性の高い知識の習得ができることとしております。  専攻科については、現在、就学支援金の対象となっておりませんが、経済的な理由により修学が困難な生徒に対しては、奨学金の貸し付けを行っているほか、生活保護世帯など、学費の支払いが著しく困難であると認められる場合には、授業料の全額を免除しております。  議員御指摘のとおり、国の来年度予算の概算要求において、新たに専攻科の生徒にも就学支援金を支給するための経費が盛り込まれており、家庭の教育費負担を軽減し、教育の機会均等に寄与すると考えられることから、本県での実施について、国の動向を注視しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、今後とも、将来を担う若者が経済的理由で就学や専門性の向上を図る機会を失うことがないよう、取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)岡部警察本部長。    (警察本部長岡部正勝君登壇) ◯警察本部長(岡部正勝君)都築議員の盗撮行為の規制強化についての御質問にお答えいたします。  香川県迷惑行為等防止条例は、県民及び滞在者の平穏な生活を保持するため、公共の場所または公共の乗り物等における盗撮等の卑わいな行為や、嫌がらせ行為等を禁止しているものであります。  議員御指摘のとおり、近年、スマートフォン等の普及や撮影機器の高性能化、小型化により、盗撮の手口が悪質・巧妙化しているほか、現行の条例では規制の対象となっていない職場の事務所やトイレ等における盗撮事案の発生も散見されております。これらの行為に厳正に対処し、県民及び滞在者の平穏な生活を保持するため、県警察といたしましても規制対象範囲を拡大するなど、条例の一部改正の必要性を認めており、既に改正に向けた作業を進めているところであります。  そして、条例の改正作業を進めるに当たり、県民の皆様からの御意見等を広くいただくため、本年十二月九日から翌年一月八日までの一カ月間、改正案の概要を公表してパブリックコメントを実施しているところであります。  県警察といたしましては、県民の御意見や県議会での御議論等を踏まえながら、実情に応じた条例改正を行い、盗撮事案に対して適切に対応してまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  岡野朱里子さん。    (岡野朱里子君登壇、拍手) ◯岡野朱里子君 早速一般質問に入らせていただきます。  まず最初に、同性カップルの県営住宅の入居についてお伺いをいたします。  二〇一五年、渋谷区でパートナーシップ条例が成立して以来、各自治体の取り組みが進み、現在、全国で三十一の自治体でパートナーシップ制度が導入されています。また、十六の自治体で導入の検討が進んでいるようです。  本県においては、来年一月から三豊市が、そして四月から高松市がパートナーシップ制度を導入することが先ほど公表され、大きな話題となっています。いずれも条例ではなく要綱で定め、パートナーシップ宣誓書に署名したカップルに証明書を交付する形です。先日の高松市の大西市長の会見では、パートナーシップ宣誓制度は、申請があった同性カップルに対し、結婚に相当する関係を認める証明書を市が発行し、市営住宅の申し込みや市が運営するみんなの病院での手術の同意などで家族同様の扱いを受けられるようにするとのことでした。  さて、先ほども述べましたように、三豊市・高松市でのパートナーシップ制度の導入に当たり、同性カップルの市営住宅の申し込みが可能になります。かつて私は、総務委員会において、市や町がパートナーシップ制度を導入し、市・町営住宅が入居可能となった場合、県として該当自治体にある県営住宅入居において、該当自治体と同じ取り扱いをするのかどうかと質問をした際、県としては、性的少数者の方々への差別のない社会の実現に向けて他県の動向も参考にしつつ研究し、住宅課とも情報共有を図ってまいりたいとの答弁がありました。例えば、神奈川県と熊本県は、それぞれ県内自治体がパートナーシップ制度を導入し、同性カップルの市営住宅申し込みを可能にしたのに合わせ、県営住宅も同じ取り扱いに変更しています。  また、逆に、都道府県で唯一パートナーシップ制度を導入した茨城県では、県営住宅の取り扱いに合わせ、水戸市など十一市三町が、市・町営住宅を同様の取り扱いに変更しています。  本県の県営住宅の多くが高松市にあることを考えると、高松市が証明書を発行した同性カップルは市営住宅に入居できるが、県営住宅には入居できないという状況になるとすると、違和感を感じざるを得ません。ぜひ、県営住宅についても該当する市に合わせた取り扱いにすべきです。  このような質問をした場合、よくニーズがあるかどうかという話になりますが、ニーズが問題ではなく、これは一人一人の人権や尊厳に対する自治体としての姿勢を問われていると考えなければいけません。  改めて知事にお伺いいたします。  本県の市や町がパートナーシップ制度を導入し、同性カップルの市・町営住宅の入居を可能にした場合、県営住宅についても同様の取り扱いにすべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、不妊治療休暇制度についてお伺いいたします。  かねてより一般質問において、県庁職員の不妊治療休暇制度の導入について指摘をしてまいりましたが、本年十月に出された「職員の給与等に関する報告と勧告」において人事委員会から、職員の仕事と家庭の両立を支援する観点から、不妊治療を受けやすい職場環境の醸成を図るとともに、現在七府県で導入されている年六日間を限度とする不妊治療のための特別休暇制度の創設について検討する必要があるとの報告がありました。  そこで、今回の総務委員会において、その報告を受けた本県の対応について質問をしたところ、平成三十年に厚生労働省が公表した調査結果報告書によると、働きながら「不妊治療をしたことがある」と答えた人の割合が一三%あり、本県においても、働きながら不妊治療を受けている方が少なからずいるものと考えている。県職員にとっても、不妊治療と仕事の両立は重要な課題の一つと認識しており、不妊治療を受けやすい職場環境づくりを進めるため、導入済みの七府県の状況も参考にしつつ、人事委員会と協議をしながら、休暇制度の創設について現在検討をしているところだと総務部長より答弁があり、具体的には、男女年間六日までで有給休暇とし、取得単位は、通院実態等を考慮し、日、半日に加えて、時間単位でも取得可能とすること、休暇取得の手続については、導入済みの七府県のいずれにおいても、医師の診断書等の提出を義務づけしていないことから、本県においても、プライバシーの問題や休暇のとりやすさに配慮し、簡易な手続での取得を可能にする内容で検討をしていると答弁がありました。  厚生労働省も、仕事と不妊治療の両立支援を推進しており、不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究を行っていて、それらの調査結果を取りまとめて本年度中を目途に企業向けマニュアルを作成中と伺っています。まだまだ大企業でのみ進んでいる仕事と不妊治療の両立支援を、事業主としての県が率先して取り入れることは、県内企業に対する意識の醸成という意味では、大変よい影響を及ぼすものと考えますので、ぜひこの機を捉え、県民の皆さんや県内企業に周知をしていただきたいと思いますし、仕事と不妊治療の両立支援を行う企業へのさらなる支援策を御検討いただきたいと思います。  さて、働き方改革の推進の中で、テレワークの普及拡大もその重要な方策の一つと考えられており、各都道府県でその導入が進んでいます。本県のテレワークには、一、モバイルワーク、二、サテライトオフィス、三、在宅勤務の三形態があり、一、二については、全職員が対象ですが、三については、育児中の方や家族の介護をしている方などに限定をされています。  一方で、総務委員会では、平成三十年七月に他県が実施した調査では、全国で在宅勤務を導入している十九都府県のうち、九都府県でその対象を全職員としているとの説明がありました。Fineが発行した「不妊白書二〇一八」によれば、仕事をしながら不妊治療をしていた女性の二割が、仕事と不妊治療の両立が困難になって退職をしているそうです。そのような現状から、厚生労働省では、ホームページや「仕事と不妊治療の両立支援のために」というパンフレットの中で、企業の仕事と治療の両立支援策として、休暇制度と同様に在宅勤務も紹介をされています。  そこで、知事にお伺いいたします。  まず、県職員の不妊治療の特別休暇制度の周知方法と企業の仕事と不妊治療の両立に対する支援策について、次に、在宅勤務対象職員に不妊治療中の職員を加えることについて、知事のお考えをお聞かせください。  次に、大学に対する寄附の控除についてお伺いをいたします。  本県におきましては、これまでも県内大学を支援するために、中四国において唯一県独自に大学等魅力づくり支援事業とし、県内大学が高校や企業などと連携して行う若者の県内定着に向けた取り組みに対して補助を行ってきています。また、県と県内大学等で設立した大学コンソーシアム香川においても、大学とともにさまざまな取り組みを行っているところです。  しかしながら、本来の目的である県内大学への進学者数の増加にそれらがつながっているかというと、まだまだ結果が出ていないのも事実です。先日の総務委員会において、その理由の一つに、県民の皆さんの中に、県内の大学を私たちの地域の大学という意識が薄いのではないか、地域住民が香川県の大学の魅力を感じ、誇りを持ち、地域で大学を盛り上げ、支えていくという考え方が必要ではないかという質問をしたところ、住民、企業、自治体など、地域の方々が県内大学の魅力を感じ、盛り上げ、支えていくことは、地域の活性化に当たって重要であり、県内大学からも、地域に根差した大学として、より地元との連携を深めていきたいと伺っているという答弁がありました。  そこで、一つ提案をさせていただきます。  ある方から、出身大学に寄附をしようとしたところ、その大学に関係する自治体在住の方を対象に、大学に寄附した場合、住民税の寄附控除の対象となっているとお伺いをいたしました。そこで調べてみたところ、大体の都道府県で、中四国では香川を除く全ての県で、自分の県にある大学に対する県民からの寄附は、住民税の寄附控除の対象にしていることがわかりました。特に国立大学では、政府から拠出される国立大学運営費交付金は年々削減されており、外部資金の獲得は重要な課題となっていると聞きます。受託研究や受託事業などの収益もありますが、寄附金も大きな収益の柱のようです。大学が寄附で集まったお金を有益に使い、研究成果を上げたり、興味深い取り組みをして、大学の魅力をつくり出していってくれることが何よりです。  東洋経済によると、二〇一七年度国立大学の寄附金額一位は東京大学で、百三十二億四千二百万円、寄附件数は八千九百二件でした。一方、香川大学はというと、全八十六校中三十四位で、七億九千九百万円でした。また、寄附件数は千八百九件、悪くない順位ではありますが、お隣の徳島大学は十七位、十六億五千八百万円、寄附件数二千八百八十五件、愛媛大学は二十位で十四億二千五百万円、寄附件数は六千五百五十三件、高知大学の順位は香川大学よりも低い四十位で六億七千万円ではありましたが、寄附件数は香川大学の約二倍、三千八百六十八件となっています。この結果を見ると、寄附控除適用をすることで、寄附の裾野が広がるのではないかと可能性を感じます。ちなみに香川県においても、一部の市町では、市民が四国学院大学を初め大学に寄附した場合、寄附控除の対象としているところもあります。  そこで、知事にお伺いいたします。  県内大学への進学者をふやすため、まずは、これまで以上に大学と県、そして県民がお互い支え育ち合い、頼りにする存在になることが大切だと考えます。そこで、他県同様に本県も県内大学に対する県民の寄附については、住民税の寄附控除の対象にすべきと考えますが、御所見をお聞かせください。  次に、災害薬事コーディネーターとモバイルファーマシーについてお伺いをいたします。  災害薬事コーディネーターとは、災害発生時に医療救護所等の医薬品過不足状況等を把握し、必要な医薬品等の調整を行ったり、人手不足の医療救護所等に薬剤師班を差配する役割を担います。東北地方を襲った三・一一の経験から、まず最初に、東北において広がりました。直近では、平成三十年七月に発生した岡山豪雨災害において、要請される医薬品の重複や無謀な数量の医薬品の供給要請等の情報整理ができず、適切な対応ができなかった状況を受け、本年五月に岡山県においても災害薬事コーディネーター養成事業が始まりました。  現在、本県では、災害時における薬剤師が行う医療救護活動に関し、薬剤師会と応援協定を締結しています。その中で薬剤師会から派遣された薬剤師班は、救護所における調剤、服薬指導のほか、医薬品等集積所等における医薬品等の仕分けや管理を行うこととされています。  しかしながら、全国的には、さらに充実した研修体制にするため、災害薬事コーディネーター養成講座を都道府県が実施し、薬剤師の災害時の役割を災害支援に従事する全ての人に認識を共有してもらうため、防災計画に位置づけを行っているところです。  そこでまず、知事にお伺いいたします。  近く発生が予想されている南海トラフ地震への対応等に鑑み、県として災害薬事コーディネーターの養成及び任命等を行い、県の地域防災計画にも位置づけをする必要があると思いますが、御所見をお聞かせください。  次に、モバイルファーマシーの導入についてお伺いをいたします。  モバイルファーマシーという名称は、余り聞きなれないかもしれませんが、これは薬局機能を搭載した移動薬局車両です。車両には、ポータブル発電機、ディープサイクルバッテリー、ソーラー発電機、水タンク等を搭載しています。そのため、電力や水などのライフラインが寸断され、薬局機能が停止するような大規模災害に見舞われた被災地でも出動が可能で、自立的に調剤作業や被災された方々に医薬品の交付を行うことができます。そのような目的で、現在、国内では宮城県、大分県、広島県、和歌山県など、十六自治体に導入されていて、徳島県も今年度中に整備されると伺っています。これも最初に導入されたのは、三・一一で未曽有の被害に遭った宮城県でした。そこから各自治体に広まり、熊本地震や記憶に新しい昨年の広島・岡山の豪雨災害でも導入済みの自治体から派遣され、各救護所において薬剤を必要としている被災者支援を行っていた状況がありました。  課題になるのは、千二百万円から二千万円ほどかかる初期費用負担です。十六台それぞれの導入負担のあり方は違っていて、例えば、自治体と薬剤師会、例えば、自治体と薬剤師会と薬科大学、また、そこに製薬会社が加わったケースなどがあります。そして、管理運営は薬剤師会が行うというのが一般的です。  そこで、知事にお伺いをいたします。  ライフラインが寸断されるような災害時に薬剤を必要とする被災者に、薬剤が足りずに二次被害が発生するというようなことにならないため、本県におけるモバイルファーマシー導入の必要性について、知事の御所見をお聞かせください。  最後に、児童虐待対応についてお伺いをいたします。  本県の平成三十年度の児童虐待対応件数は、子ども女性相談センター七百六件、西部子ども相談センター六百六十九件で、計千三百七十五件、前年度比一六・四%増で、過去最高となりました。子供の面前での夫婦げんかやDVなどによる警察からの通報ケースが八百三十五件で、警察からの通報は毎年百件以上増加している状況です。  また、昨年度、夫などからの暴力及び交際相手からの暴力についての相談受け付け件数は八百三十四件でした。また、深刻なDVなどで婦人保護施設に保護した人は、単身が十七人、母子が十人で、延べ日数は六百九十四日で、平成二十九年度の延べ日数四百六十七日、平成二十八年度の延べ日数が二百八十二日だったことを考えると、年々、そのDVや家庭状況の深刻さが増していることがわかります。  さて、先般行われた本県から目黒区に転居して虐待死した結愛ちゃんのお母さんの優里被告の裁判で、そして、千葉県で虐待死した心愛ちゃんのお母さんの裁判で、共通して、子供の虐待の裏に夫から妻に対する深刻なDVがあったことがわかりました。そのDVが強烈なマインドコントロールを生み出し、思考停止、無気力をつくり出していました。  マインドコントロールとは、大体次の三つの状況によりつくり出されます。一つ、相手を孤立させ、外からの情報を遮断する。二つ、恐怖を繰り返し与え、たまに優しくすることで混乱させる。三つ、おまえが悪い、おまえのせいだと相手を非難する。連日行われるこれらの行為で自己肯定感は破壊され、自分で感じることや考えることができなくなり、支配者の機嫌を損ねないことだけに集中し、びくびく生活を送るのです。繰り返しになりますが、このマインドコントロールに至るDVが、深刻な児童虐待を生み出します。結果、お母さんもそして子供も自分の人生を生きられなくなるのです。家庭内で起こっているこの最悪の負の連鎖から、一日でも早く、一人でも多く救い出す役割が私たちにはあります。  先日、県が主催した「DVと子ども虐待併発家庭への支援の方法とそのスキル」と題した講演会に参加いたしました。講師は、アメリカと日本で三十年以上にわたり、子供・女性への暴力防止専門職の養成に携わっておられる森田ゆり先生で、中身の濃いあっという間の二時間でした。  森田氏が開発した虐待親、DV被害者支援プログラムは、MY TREEペアレンツ・プログラム、以下、MTと呼ばれ、これまでに大阪府、大阪市、堺市、京都府、京都市、奈良県、埼玉県などの児童相談所で取り入れられたり、東京都や横浜市、宮崎県などの民間団体が導入しています。  彼女の著書から引用すると、虐待に至ってしまった親、DVをしてしまう人、受けている人の回復支援は、母親支援でも父親支援でも子育て支援でもなく、その人の全体性回復への支援。女性や子供への虐待行動に悩む親たちは、今までの人生において他者から尊重されなかった痛みと深い悲しみを怒りの形で子供に爆発させています。加害者の更生は、被害によって傷ついた心身の回復からしか始まらない。親である前に一人の人間として尊重される体験を得ることによって、自分を回復する礎とするのだとあります。大変時間もかかり遠回りのようにも感じるかもしれませんが、このように実績を上げているプログラムを活用することによって、一つの家庭でも立て直すことができればと心から思います。  また、先日、四国こどもとおとなの医療センターで、発達障害と診断されたり、その傾向のあるお子さんを育てるお母さんに独自の支援プログラムを行っている牛田先生とそのプログラムを受けたお母さんからお話を伺いました。日本中から子育てに困難を抱えるお母さんが集まっていらっしゃるそうです。支援プログラムを経験したお母さんによると、お母さんが一人の人間として認められ、自分でその価値を認識できたとき、子供との関係性が変わるそうです。お母さんと子供の信頼関係が強固になることで、子供の問題行動などがなくなり、結果、発達障害の診断がつかなくなり、普通学級に通うようになるそうです。じっくり話をお聞かせいただき、私は大変納得をいたしました。  さて、先ほどのMTを取り入れている奈良県の児童相談所の方が、森田先生の著書「虐待・親にもケアを」の中で、このように話されています。「対応する虐待件数は増加の一途をたどり、現場は子供の安全とその確保に奔走することが日常化しています。一方で、虐待をした親への支援、親子分離となった後の家族支援については、日々の対応に手いっぱいで、十分な支援ができにくい状況です。虐待の世代間連鎖解消や親との生活を望む子供の権利を保障していくためにも、虐待をした親への支援が必要不可欠であり、効果的な取り組みの一つとして、本県はMTを導入しました。対象となる親の多くは、言いようのない不安、怒りを抱えており、そのネガティブな感情を子供にぶつけることで、ある意味子供を依存対象とした虐待関係を形成しています。こうした親に対して、児童相談所の立場から、「虐待はいけない」と伝えるだけでは、虐待に至った親の背景や根本の問題は変化しません。MTは、虐待をとめるために、第一に親がみずから回復できる力を得るようになることを目的としています。これは、児童相談所による子供の安全を第一とした指導的な立場からのかかわりとは異なるアプローチです。MTを終了した親のその後については、心身ともに回復し、子供との生活を再開した親、みずからの課題に向き合いながら、子供との交流を少しずつふやしている親、これまでの依存的な人間関係をみずから絶った親など、さまざまです。しかし、どの親にも共通して言えるのは、MTを通して、生きづらさを抱えていた今までの自分から抜け出せる変化に出会えたことです。」と。そして、その方は最後にこう締めくくります。「児童相談所が支援を終えた先の未来においても、親がみずから築いて得た自己回復力は、何より、その子供にとってのエンパワーメントにつながっていくものだと思います。」と。  毎年出される子ども女性相談センターと西部子ども相談センターの業務概要を見ると、その仕事量の多さ、内容の重さ、幅、職員の皆さんの努力と献身が読み取れます。本当に大変で、新しい事業をすれば、それだけ負担もふえます。それでも結愛ちゃんと結愛ちゃんのお母さんを救えず、幼い命を失ったお母さんを加害者として被告人にしてしまったという責任と反省に立ち、考えたいです。MTだけでなく、牛田先生の行っているようなほかの支援プログラムもあるかもしれません。  改めて知事にお伺いいたします。  ぜひ、香川県においても、全ての県民が自分の意思により自分らしい人生を力強く送れるようになるために、虐待やDVの被害者加害者支援プログラムを導入していただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。  そして、本年出された業務概要によると、平成三十年度の児童虐待を含む児童相談受け付け件数は五千九百四十五件で、平成二十七年度に比べ千件以上増加をしています。面接相談も五千百八十七件、平成二十七年度に比べ、これも千件以上の増加です。つまり、時間を要する案件がふえているということがわかります。  また、センターのもう一つの機能である女性相談はというと四千六十九件、過去三番目に多い件数でした。つまり、年間約一万件にも上る相談があり、正直、全ケースに全身全霊を注いでくださいと職員さんに言いにくい環境があるのも事実です。  しかしながら、人間の人生を左右する責任の大きな仕事をされていることに違いはありません。センターは、県民の皆さんの最低限の暮らしの安心・安全を守る大切な大切なセーフティーネットであることを考えると、職員の皆さんの労働環境の改善こそ、喫緊の課題と改めて考えます。  そこで、知事にお伺いをいたします。  本年出された業務概要について、率直な受けとめ、そして児童相談所で働く皆さんの業務負担についてどう思われるのか。  最後に、ことしから国の方針に伴い、児童相談所の児童福祉司の大幅増員や弁護士の配置、警察官の配置を行い、人員強化に努めてくださっていますが、まだまだ人手不足を解消できていないのが実情であり、来年度以降も児童相談所にかかわる職員の継続的増強に努めていただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。  以上で一般質問終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)岡野議員の御質問にお答えいたします。  まず、パートナーシップ制度を導入した市町における県営住宅の入居についてであります。
     県営住宅への入居については、香川県営住宅条例の規定により、同居できる方は親族となっており、この場合の親族は、「婚姻の届け出をしないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む」とされています。このため、県営住宅への入居に当たっては、同居人の親族関係を証明する住民票等の公的な証明書の提出を求めているところであり、議員御指摘の同性カップルについては、事実上婚姻関係と同様の事情にあることを証する公的な証明書がないことから、親族とみなすことができないこととなっています。  このような中、高松市や三豊市においては、性的少数者のカップルがパートナーであることの証明書を発行する制度、いわゆるパートナーシップ制度を導入することを明らかにしています。こうした証明書により、既に神奈川県など三県で県営住宅への入居を認めている一方で、パートナーシップ制度が導入された自治体にある県営住宅のみ入居を認めた場合、県全体での県営住宅入居の公平性にバランスを欠くなどの理由により、現時点では入居を認めていない県もあると承知しております。  私といたしましては、今後、他県等の動向を踏まえながら、パートナーシップ制度を導入した市町における県営住宅の入居について検討してまいりたいと考えております。  次は、不妊治療と仕事の両立支援策についてであります。  県職員の不妊治療休暇制度の導入については、本年の「職員の給与等に関する報告と勧告」において、人事委員会から、不妊治療のための特別休暇制度の創設について検討する必要があるとの報告を受け、現在、国に先駆けて制度導入に向けての準備を進めているところであり、議員御指摘のとおり、人材確保や働きやすい職場環境づくりを進めるため、県が率先して制度を導入するとともに、機会を捉えて紹介することにより、県内への波及効果もあると考えております。  また、企業等に対しては、働き方改革の推進に関する自主宣言制度や表彰制度の対象となる取り組み項目の一つとして、仕事と不妊治療の両立を明示するとともに、働き方改革関連法のポイントを解説するセミナーにおいて啓発を行ったところであり、こうしたセミナー等の場を通じた啓発に加え、企業等に派遣する働き方改革推進アドバイザーによる働きかけなどに努め、仕事と不妊治療の両立への理解が一層深まるよう取り組んでまいります。  在宅勤務につきましては、職員の働き方を柔軟なものとし、ワーク・ライフ・バランスを推進するものでありますが、公務という職の性質上、業務は職場で行うことが基本であることや、勤務時間の適正な管理などの観点もあり、不妊治療中の職員を含め、その対象の拡大については、慎重に検討する必要があるものと考えております。  次は、県内大学に対する寄附の控除についてであります。  県内大学等が魅力を高めることにより、地域の方々から支えられ、地域との連携を深めていくことは、県内大学等への進学者の増加や県内就職者の増加につながり、地域の活性化を図るため重要であると考えております。このため県では、県内大学等が行う地域貢献や地域への愛着を深める取り組み、県内企業について知ってもらう取り組みなどに補助を行うとともに、大学コンソーシアム香川を通じて、県内大学等の魅力について積極的に情報発信を行うなど、県内大学等が地域との連携を深める取り組みへの支援を行っているところです。  税制上の優遇措置である住民税の寄附金控除については、税収の減少も伴うため、寄附の相手方を公益性が高い法人に限るとともに、寄附金控除の限度額が定められているなど、公平・公正な税制に対する県民の皆様の信頼感が損なわれないよう、限定的に講じられています。  一方で、議員御指摘のように、大学を地域で育てるという観点からしますと、住民税の控除を一つのきっかけとして県内大学等への寄附金がふえ、ふえた寄附金を新しいイノベーション研究など、魅力づくりに向けた取り組みの原資として県内大学等が活用することも考えられます。  県としても、魅力ある大学づくりに取り組み、若者の県内定着促進を図っているところであり、県内大学等における大学の魅力づくりに向けた取り組みを支援する観点や、税収の減少、全国的な状況等も総合的に勘案し、寄附金控除の対象範囲について検討してまいりたいと考えております。  次に、児童虐待等への対応についてであります。  虐待を行った保護者への再発防止プログラムにつきましては、これまでも児童相談所において、施設入所した児童の家庭復帰に向け、親子双方が段階的に課題を解決しながら、お互いの関係の改善を図るための取り組みを実施してまいりました。こうした中で、議員御指摘の講演会につきましては、近年、児童虐待とDV、ドメスティック・バイオレンスが併発する家庭への支援の充実が重要となっていることから、そのような家庭への支援方法を学ぶために開催したところであります。この講演会の講師の方が開発したMY TREEペアレンツ・プログラムにつきましては、保護者同士がグループで話し合うことにより、虐待を行った保護者の気づきやDVを受けた保護者の回復、子供へのかかわり方の改善に効果が期待できるものと考えておりますが、実施に当たっては、プログラムに習熟した人材が必要などの課題もあることから、他の自治体での実施状況や効果などを参考にしながら、活用について検討してまいります。  また、子ども女性相談センターや西部子ども相談センターでの相談受け付け件数は、DV等の女性相談を含め増加傾向にありますが、これは、子供や家庭を取り巻く環境の変化や児童虐待・DVに対する社会的関心の高まりを反映しているものと受けとめており、二十四時間三百六十五日体制で対応する職員の負担感も増しているものと考えております。  こうした状況や児童福祉法等の改正に基づき、本年四月には、児童福祉司等を新たに十五名確保し、人員面での体制を強化したところでありますが、児童虐待対応件数の増加や国の配置基準を踏まえ、引き続き体制強化を検討してまいります。  私といたしましては、今後とも、虐待を受けた子供や保護者への支援の充実を図るとともに、これらを担う児童相談所の体制強化により、児童虐待の未然防止、早期発見・早期対応に向けて全力で取り組んでまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして、健康福祉部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)安藤健康福祉部長。    (健康福祉部長安藤照文君登壇) ◯健康福祉部長(安藤照文君)岡野議員の災害薬事コーディネーターとモバイルファーマシーについての御質問にお答えいたします。  災害発生時の医薬品等の供給につきましては、地域防災計画に基づき、県は市町からの要請に応じ、総合的な供給調整を行うこととなっており、また、香川県薬剤師会と締結した災害時の薬剤師医療救護活動に関する協定書により、派遣された薬剤師が、県の医薬品集積所や市町が設置する救護所等において、医薬品の仕分けや情報提供を行うなど、要員面で県に協力することとしております。  御指摘の災害薬事コーディネーターは、法令等で定められるような全国的な制度ではありませんが、先行事例によると、被災地からの医薬品の供給要請が頻発する事態に備え、これまでの薬剤師会との協定をさらに強化し、災害医療本部や救護所等に災害薬事に精通した薬剤師を派遣し、本来、県が担う総合的な供給調整業務に従事・協力するものと認識しています。  こうした制度を導入するに当たっては、災害薬事に精通した薬剤師人材を養成することが課題であると考えており、まずは県薬剤師会の御意見も伺いながら、必要な人材育成について検討してまいりたいと考えており、その上で、災害薬事コーディネーターの制度化や地域防災計画への位置づけについても研究してまいります。  また、車内に調剤室機能を初め、発電機や水タンク等を搭載し、被災地でも調剤作業が行える車両、いわゆるモバイルファーマシーにつきましては、災害発生時に自立して調剤ができるという効果が期待できるものの、いわゆる医薬品医療機器等法では、平時には調剤行為ができないなど、活用方法に課題があることや、導入状況は全国で十六台、このうち県が主体的にかかわっているものが八台にとどまっていることなどから、他県の状況を調査し、薬剤師会の御意見を伺いながら、その必要性を含め、導入について研究してまいりたいと考えております。  県といたしましては、引き続き薬剤師会等関係機関と連携し、災害時に円滑な医薬品等の供給が確保できるよう、体制の一層の強化を図ってまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(西川昭吾君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、十二月十六日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                            午後三時三分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....