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森委員長 これより、質疑、質問を開始いたします。
白川委員 先ほど、教育長から、「
県立高校の在り方を示す
次期計画の素案」についての説明がありました。私としても、香川の
県立高校が、香川の
子供たちのそれぞれの資質を伸ばし、そして、
子供たちが自分の将来の夢や希望、目標をかなえることができる学校になることを大いに期待します。
少し話がそれますが、先週、農業の
GAP認証の関係で、
西讃農業改良普及センターに行ってきました。GAPとは、農業の
生産工程管理のことです。そこでのお話の中で、
笠田高校がその
GAP認証をされていて、ことし、更新を受けたそうです。
笠田高校では、果物の梨やアスパラガスの認証を取り、
生徒たちがその栽培管理に当たっているそうです。
農業生産におけるGAPは、付加価値にはなかなか結びつきにくいのですが、学生が
生産工程管理を学ぶことは、社会に出た上で重要なスキルとなります。そういった意味で、
笠田高校の生徒が、卒業後に就農することを、私としても大変望むところではありますが、お話を聞くと、実際は、卒業しても就農する者は少ないとのことです。また、先ほどの
次期計画の説明の中で、専門学科の高校を卒業しても、大学、その上の学校に進む者が半分以上といったこともありました。今の教育は、高校を一つのステップとして上の段階に進んでいくようになっているのではないかと思います。
社会に出て、雇う側からすると、高校もしくは中学から学んできた、そして、大学で積み重ねてきた学業は即戦力として期待する部分ではありますが、今は、学校で覚えたことがすぐに役立つような
カリキュラムにはなっていないのではないかと感じます。そういった意味でいうと、この日本社会を支えていく上で、
学生たちがどのように育っていくかが大事なことです。これまでは、画一的な教育の中で、堅実に職務をこなす人材を送り出すのが高校のイメージでした。これは、製造業を中心とするこれまでの日本の産業構造の中では重宝されてきましたが、製造業はどんどん海外へ進出し、成熟した日本の経済の中で、これから求められるのは、新しい発想と海外につながる
コミュニケーション能力ではないかと思います。アメリカに目を移すと、GAFAと呼ばれる、グーグル、アマゾン、
フェイスブック、アップルといったアメリカの主要なIT企業の創業者は、皆20代で創業して、
学生時代に起業された方が多いと聞きます。そういった成功者の方はまれですが、
学生時代の経験や人脈が、それぞれの人生の中で役立って、そして、世界へと広がっていったように思います。そういった意味で、今後の
高校教育のあり方を考えると、日本の社会の10年後、20年後をどう引っ張っていくのかといった、人材育成の場にならなくてはいけないのではないかと思います。
そういったことも踏まえて、
先ほど教育長から、今回の計画は、過去2回のものとは違い、
県立高校の
在り方そのものを示していくことをお伺いしましたが、その内容となった理由について、教育長の思いの部分をもう少し詳しく説明いただきたいと思います。
工代教育長 御承知のとおり、今、我が国は、急速な人口減少・
少子高齢化、社会経済の
グローバル化、情報化にありまして、社会の
あり方そのものが劇的に変わるとも言われています。このように、変化の加速度が増し、将来を予測することが困難な社会にあって、
高校教育も、令和4年度より、学年進行で実施される新しい
学習指導要領における内容の大幅な改訂もあり、総じて、戦後最大とも言われる大きな変革期を迎えていると認識しています。
そのような状況を踏まえ、「
県立高校の在り方を示す
次期計画」の策定に当たっては、これからの香川の
子供たちが、どのような状況に際しても、みずから考え、解決に向けて進んでいくために必要な資質・能力を明らかにする必要があると考えています。その上で、そのために必要となる
教育活動を行うための環境整備を挙げた結果、従来のような
学校規模だけの問題にとどまらず、
地域課題の解決学習の場の充実や、
ICT環境の整備、
中高一貫教育の充実、重点校の指定等、多岐にわたる
計画内容となっています。
このように、今回の計画は、
県立高校が、未来を生きていく香川の
子供たちにとって必要な資質・能力を育成することができるように、これからの
県立高校のあり方についての基本方針を示すものであるとともに、必要な
教育活動を含め、
県立高校の特色ある
魅力づくりを一層推進するものにしたいと考えているところです。
白川委員 そういった思いを、この計画の中にしっかりと盛り込んで、進めていただきたいと思いますが、気になるのは統廃合の部分ではないかと思います。後ほど、
木村委員からも話があると思いますが、学校の特色を伸ばしていくのは重要な部分であります。先ほど、
笠田高校の話をしましたが、「
石田高校や
飯山高校はどのようなことをどのようにして進めていくのか」と
西讃農業改良普及センターの方がおっしゃっていました。それぞれが持つ特色を存分に生かしてもらうためには、合併の効果もあるとは思いますが、地元の高校がどうなっていくのかということが、存続も含めて気になる部分であります。特に、
東讃地区の統廃合の話が出たときに、西讃でも、もしかしたら統廃合が進むのではないのかといった話が聞こえてきます。そういった中で、東かがわ・さ
ぬき地域の高校について、現在ある4校から2校に、これから再編するとのことですが、再編するに当たって、この計画の中にもありましたが、どういったビジョンで、どのような生徒を育てていくのかをお伺いしたいと思います。
また、高校にはそれぞれモットーがあるようです。三本松には三本松、また、ほかのさぬき市の3校についてもそれぞれの学校に、目指す生徒像のようなものがあると思いますが、それぞれの高校が合併した後の学校の役割をどのように捉えているのかを教えていただきたいと思います。
工代教育長 小学校にしても、中学校にしても、高校でもそうですが、学校が統合されるというのは、地域の方々にとっては複雑な思いだと思っています。しかしながら、東かがわ・さ
ぬき地域については、
中学校卒業者数の減少が著しいということで、
次期計画の最終年度に当たる令和12年度の
入学定員の予測では、現在の4校だと、1校当たり90名程度になる見込みです。そこで、この地域の
県立高校が必要な
教育活動を行うことができるよう、一定の
学校規模を保った上で、
子供たちの通学に著しく支障が出ないよう、エリアの中での学校の配置のバランスを考慮し、各高校の伝統や教育の特色を今後一層発展させていけるよう、これからの高校の可能性についても考え合わせた結果、
三本松高校については、これまでの伝統を生かしながら、地域のニーズにも対応した高校を目指し、さぬき市の
石田高校、
志度高校、
津田高校の3校については、これまでの伝統と特色ある教育を生かし、これをさらに発展させるため統合し、新たな高校を設置したいと考えています。
今後、東かがわ・さ
ぬき地域の高校においては、1つ目としては、生徒が減少していく中で、より地元に密着した
高校づくりを進めるということです。2つ目としては、幅広く生徒の進路に対応していく必要性を鑑みながら
高校づくりをしていくということです。こういった2つの大きな柱のもとに、それぞれの学校を魅力化していきたいと考えています。
具体的に申し上げますと、
三本松高校については、県内で最も東にある
県立高校であるという地理的な環境と、国の内外で活躍する人物や地域をリードする人物を輩出してきた伝統を生かしながら、地域のニーズにも考慮することが大事ではないかと思っています。例えば、商業や工業の学びを取り入れるなど多様な学びを保障し、進学だけではなく就職を志望する生徒を受け入れることができる高校にしていければと考えています。
石田高校、
志度高校、
津田高校については、普通科、農業科、工業科、商業科、家庭科といったさまざまな学科があり、それぞれの伝統を生かすとともに、1つの高校に複数の学科があることを活用し、既存の学科の枠にとらわれず、これからの社会で必要とされる力を育成できる学校としていきたいと考えています。例えば、学科横断的な学びによって、6次産業化への対応や
起業家精神の育成等も可能になると考えています。具体的な学科やコース、学びの内容等の新設校の
グランドデザインについては、本計画の策定後、地元の意見もお伺いしながら、どうすれば魅力的な高校になるかの検討を開始し、来年度中をめどに明らかにしたいと考えています。あわせて、どのような校舎や施設、設備が必要になってくるかを検討し、それらをどこに設置するかといったことも考えていきたいと思います。
白川委員 この資料にありますが、
高松地域から
東讃地域の高校に行く生徒は少ないですが、
東讃地域から
高松地域に行く生徒は割合に多いと思います。先ほど、学校の
魅力づくりといった話をしていましたが、
地域密着型ということで、そういった弾力的な学区の運用になると、ますます高松に集中していくイメージを持ってしまいますが、もっと学校の魅力、そこで学べるスキルが上がっていくことによって、域外に出る生徒をとめること、逆に言うと、域外から入ってくる生徒をふやすことができると思いますが、そのあたりについては、どうお考えでしょうか。
工代教育長 委員がおっしゃられたとおり、
東讃地域から
高松地域の
公立学校に来る率が高く、絶対数でいうと、
高松地域から
東讃地域に行く生徒の数と、
東讃地域から
高松地域に行く生徒の数自体はほとんど一緒ですが、パーセンテージで見ると、
東讃地域から
高松地域に来る生徒の方が今のところ大きいということです。これは、とりもなおさず、委員がおっしゃられたように、高校の魅力をいかに高めていくかに尽きると思います。そして、私どもは、各高校は地域ともっと連携し、地域の学校として、地域のニーズも踏まえた
魅力づくりをしないと、なかなか
少子高齢化の中では、やっていけないのではないかと考えています。
学区の弾力的な運用ということで、今回の計画では、定員の5%程度は別の学区からの生徒を受け入れることができるようにしようとしていますが、これもそれぞれの高校がある意味必死になって、地域と一緒になって、それぞれの
特色づくりをするといったことの上に立ってできることだと思います。そういった意味では、一極集中的なことにならないようにしたいとも考えています。そのために、各学校への支援もしていくつもりです。
白川委員 そういった、偏りのない、動きが見える、学校それぞれの
魅力づくりをしていただきたいと思います。
また、前回の委員会でも話をしましたが、中讃地域への
中高一貫教育の設置の検討について意見がありましたが、
高瀬のぞみが丘中学校の経験や反省も踏まえて、どのように地元のニーズを受けとめていくのか、また、どのような総括をしたのかといったことについて、お伺いします。
工代教育長 中高一貫教育といいますと、平成23年度に
高瀬のぞみが丘中学校を閉校したこともあり、新しい
中高一貫教育校の設置について、さまざまな方から心配していただいており、そういった御意見も十分踏まえたいと考えています。
高瀬のぞみが丘中学校の閉校については、
定員割れが続いたことが直接的な理由ですが、
定員割れにつながった原因は、地元の皆さん方からは大学受験に絞った学力向上に対する期待もありましたが、当時は、6年一貫とすることでゆとりある教育を行うといった理念のもとで設置されたものでしたので、地域の中学校へ進むことが自然であるといった考え方が強い中で、地元の支持が得られなかったのではないかと、大きくは総括しています。
それ以降、県としては、
中高一貫校を新たに設置することには慎重な姿勢をとってきましたが、近年、
高松北中学校・高校の
大学進学実績やスポーツの実績が向上してきていることと、もう一つは、毎年一定数の生徒が学力面の充実を求めて県外の私立の
中高一貫校へ進学していること、それから、公立の
中高一貫教育校においても、
カリキュラム編成の自由度が増してきたことを踏まえると、今回の計画に、学力面の充実を特色とする教育の選択肢の一つとして、
中高一貫校についての検討を盛り込むことが必要であると考えました。そこで、今回の計画では、中讃地域において、
中高一貫校を設けるための
検討委員会を設置し、地元の
中高一貫教育のニーズを十分に確かめた上で、
教育目標や
設置形態等について、具体的に検討していきたいと考えています。具体的に目標を設定しないと、総花的では、なかなかうまくいかないのではないかと思っています。
白川委員 私も、
高瀬のぞみが丘中学校が閉校する折の
PTA会長とお話をしましたが、閉校は残念であるということでしたので、目標を絞ってやっていくのは大切なことだと思います。
しかしながら、いい
中高一貫校が中讃地域にできると、目指すのはそこになり、
西讃地域の親御さんも、そこへ行かないといけないといった形になるのではないかと思います。そういった意味で、
西讃地域の中でも、同じように進学に特化したといった部分もこれから盛り込まれていくと思いますが、そういった配置、学校のどこに何を置くのかといったところもしっかりと検討して、先ほど、弾力的な学区の運用で5%といった目標を掲げていましたが、それがどのように影響してくるのかといったこともしっかり踏まえ、また、検証しながら、よりよいものになることをお願いして、この質問は終わります。
2番目の質問は、
教育機会の確保についてです。「
夜間中学、全国6カ所で新たに
設置構想」ということで、徳島県と高知県は、2年後に
夜間中学を開校するといった産経新聞の記事がありました。「
文部科学省は、
教育機会確保法に基づき、各都道府県に最低1校以上の
夜間中学の設置を促しており、今後、設置に向けた動きが加速する可能性がある」といった書き方をしています。社会情勢が急速に変化し、人々の価値が多様化する中で、
義務教育段階でさまざまな理由で学校に行けなかった方は多いと思います。私の周りでも、保健室に通って卒業はしたといった生徒がいたと思います。学校の先生方とお話しをすると、なかなか所在確認も難しい生徒がいるとのことでした。そういった生徒が県下にもたくさんいるのではないかと思います。先生方もそういった部分をすごく気にしていますが、その
生徒たちが将来どのような生活を送っていくのかは、想像にたやすいのではないかと思います。
また、ことし4月の
出入国管理法の改正によって、在留資格のある外国人が本県でもどんどんふえているようです。こうした外国人の中には、本国で十分な
義務教育が受けられなかった方も存在すると聞いています。また、少し話がそれますが、きのうの委員会でもお話ししましたが、
日本語能力試験でN1やN2と、日本語が堪能な外国人の方が留学されていますが、その一方で、
技能研修生として入ってこられた方も、「日本でどのようなことを勉強したいですか」と聞くと、一番に「日本語を学びたい」と答えられ、「もっと日本語が上手になりたい」といっていました。
平成28年12月に、「
義務教育の段階における
普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が制定され、
義務教育の段階における教育を十分に受けていない者は、「年齢または国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにする」こととされていて、個々の状況に応じた支援や、多様で適切な
教育機会の確保が重要となっています。
県教育委員会として、こうしたさまざまなニーズにどう応えていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
工代教育長 不登校になっている児童・生徒や
義務教育未修了者、外国籍の方など、一人一人の多様なニーズに対応した
教育機会の確保は重要であると考えています。「
義務教育の段階における
普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」、いわゆる
教育機会確保法の基本理念では、個々の不
登校児童・生徒の状況に応じて必要な支援を行うことや、
義務教育段階における
普通教育に相当する教育を十分に受けていない者に対し、その能力に応じた教育を受ける機会を確保することが規定されています。このうち、不登校の児童・生徒数については、全国的に増加する傾向の中にあって、香川県では、平成24年度から小・中・高いずれもほぼ横ばいで推移してきましたが、平成29年度に小学校において、やや増加傾向が顕著となってきました。平成30年度の数字はまだ
文部科学省から発表されていませんが、やや増加といった傾向が続くのだと思っています。
不
登校児童・生徒に対する支援の一つとして
適応指導教室がありますが、県内16市町に17カ所が設置されていて、児童・生徒の状況に応じた学習の場を設けています。また、御承知のように、不登校になる原因には、
家庭環境等が複雑に絡み合っているケースも多いことから、家庭への働きかけや
児童相談所等の
関係機関との連携を深められるよう、スクールソーシャルワーカーの市町への配置の促進や、不
登校児童・生徒及びその保護者への対応のために、全ての小・中・
高等学校で
スクールカウンセラーを活用できるよう配置し、学校の
教育相談体制を支援しています。昨年6月に策定された、国の「第3期
教育振興基本計画」では、不
登校児童・生徒の
教育機会の確保や、
夜間中学の設置や充実など、多様なニーズに対応した
教育機会を提供するための方策が示されていて、本県においても、国の動向を注視するとともに、
義務教育段階の学びを必要としている方の実態を把握し、
市町教育委員会と連携して
教育機会の確保に今後も努めていきたいと考えています。
白川委員 ニーズといえば、年齢であったり、外国の方であれば国籍であったり、さまざまなニーズがあると思います。
夜間中学を設置するにしても、さまざまな人材が必要であったり、教室の問題もあると思います。先ほど言いました、「
夜間中学、全国6カ所で新たに
設置構想」ということで、徳島県や高知県でも2年後に開校とのことですが、本県の現在の検討状況について、市町も含めて、どのように連携をとって、話が進められているのか、教えていただきたいと思います。
工代教育長 夜間中学ですが、
義務教育未修了のまま学齢期を過ぎた方だけではなく、先ほどもおっしゃられていたように、
義務教育期間中、不登校であった方や日本語が十分ではない外国人の方が基礎的な学習を行う場として利用されています。全国の
夜間中学設置状況については、令和元年4月現在、9都府県27市区に33校が設置されていて、各地の実情に応じて教育が行われていると聞いています。四国4県では、現時点で
夜間中学は設置されていませんが、委員がおっしゃられたように、徳島県と高知県の両県とも、令和3年度の開校を目指して、今、検討を進めていると聞いています。また、岡山県においても、岡山市
教育委員会が
ニーズ調査などをして、今、検討に入っていると伺っています。本県では、県内全ての市町において、
夜間中学の設置に向けた具体的な動きには至っていないと思います。
県の考え方としては、
夜間中学に入学を希望される方が県内にどの程度存在するのかを把握するため、今年度、
ニーズ調査を行うことにしています。
ニーズ調査の方法については、
夜間中学が設置されている県や
ニーズ調査をされた県に聞きますと、ただ
ニーズ調査の紙を公的な図書館や役場などに置いても、なかなかそれに書き込んで返ってくることが少ないといったこともお聞きしていますので、真に
夜間中学を必要としている方に調査が届くように、2段階での調査を考えているところです。
第1段階では、
若者サポートステーションや
若者自立支援団体、
更生保護協会、
国際交流協会等、
入学対象者の情報を持っていると思われる
関係機関や団体等を私どもの職員が訪問して、調査の趣旨説明や協力依頼を行うといったことをしています。そうすることによって、学びたい方が何人ぐらいいるのかといったことが把握できますので、まずは、今、それをやっている段階です。
それを受けて、第2段階では、先ほど申し上げた団体と協力しながら、
入学対象者に対し、直接意向を確認する
アンケート調査を行いたいと考えています。既に、第1段階の
関係機関からの情報収集については開始していて、全ての調査の終了は2月末を予定しています。結果については、今後の検討材料になるので、
市町教育委員会と共有していきたいと考えています。
白川委員 ニーズ調査の内容はよくわかりました。2段階というのは私も思っていたところですが、ただ
アンケートを配っても、書いてくださる方はなかなか集まりにくいのが現状だとのことですが、協力団体と協力して
ニーズ調査をして、また、その深掘りもきちんとして、結果が2月に出るということなので、そこを目標にして、こちらのほうでもまた勉強して、再度質問します。
さまざまな理由で、働きながらもっと学びたいと思う方がいると思いますが、そういった方のニーズにしっかりと応えられるような
夜間教育が実現することを心から願っています。この質問はこれで終わります。
続いて、3番目の質問になりますが、
通級指導教室と
特別支援学級についてです。
これは、保護者の方から直接お伺いしたのですが、子供を通常の学校に行かせて
通級指導教室で学ばせるか、また、
特別支援学校に行かせるかといったことを医師に相談しに行ったところ、「通常の学校でも大丈夫です」と言われたそうですが、小学校に相談すると、「学校で受け入れする側のキャパシティーが人数的にも十分ではないため、受け入れが十分できません」とのことでした。
通級指導教室のことを調べると、他県に比べて少ないように感じます。逆に、
特別支援学級は、私がPTAの役員をしているときにお伺いしたのでは、昔の特殊学級とは違って、それぞれの生徒の状態に合わせて先生がついて、教室も分かれたところで取り組まれているように思います。県内の
通級指導教室の状況と
特別支援学級の現状と課題などについて把握していたら教えていただきたいと思います。
廣瀬特別支援教育課長 特別支援教育は、障害のある幼児、児童・生徒の
教育的ニーズを把握し、適切な指導及び必要な支援を行うもので、通常の学級、通級による指導、
特別支援学級、
特別支援学校といった多様な学びの場で行われていて、それぞれの場の充実を図ってきました。
このうち、通常の学級に在籍し、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、
通級指導教室において障害に応じた特別な指導を必要な時間受けている児童・生徒は、
公立小・中学校・
高等学校で、10年前の約6倍の423人であり、31校に設置しています。また、障害のある児童・生徒のために編成される少人数の学級で、障害に応じた指導を受ける
特別支援学級に在籍している児童・生徒は、
公立小・中学校合わせて、10年前の約2倍の2,239人で646学級あり、主に増加しているのは、知的障害及び自閉症、情緒障害を対象とする
特別支援学級の児童・生徒です。増加の原因としては、
インターネット等の普及により
特別支援教育に関する情報を容易に得られるようになったことで、
特別支援教育への理解が深まったことなどによるものと推察しています。指導体制においても、特別な支援の必要な児童・生徒の増加に伴い、指導に携わる教員は10年前に比べて約170人増加しています。義務標準法上の人数は確保していますが、学校現場の状況を見ますと、適切な指導や支援を行うためには、十分な人員を確保できているとは言いがたいと感じています。
また、個に応じた支援を充実させるために、担当教員及び市町が雇用する
特別支援教育支援員の
特別支援教育に関する専門性の向上が課題となっています。県では、新しく
特別支援学級や
通級指導教室の担任になった教員に対して、悉皆の研修会を実施するほか、
特別支援学校の教員や専門性の高い退職教員等が小・中学校を訪問して指導・助言を行い、児童・生徒への支援や校内体制の充実を図っているところです。また、
市町教育委員会の要請に応じて、
特別支援教育支援員の研修会に指導主事を派遣しています。
県教育委員会としては、引き続き、
特別支援教育に対する専門性を高めるための取り組みになお一層努めるとともに、児童・生徒の抱える困難さが多様化していることから、福祉・医療・労働等の
関係機関との連携を今後とも推進していきたいと考えています。
白川委員 特別な支援を必要とする
子供たちがいるのと同時に、それを支える先生方の能力も問われるところだと思います。そういった意味で、研修や人材確保などで、県も苦慮しているのではないかというのが正直なところです。校区をまたがってさまざまな施策をしているとは思いますが、それぞれの学校に必要な教員数があると思います。国が定める適正な教員の数だけではなく、県独自の施策を特に望むところです。支援を受ける
子供たちがふえている状況の中で、サポートする仕組みをしっかりと整備していただきたいと思います。
学校の先生の募集になかなか人が集まらないのが現状と聞いていますが、通級、
特別支援学級だけではなく、小・中・高に先生方を集めるための学校の
魅力づくりや教員としての
魅力づくりをこれからもお願いして、私の質問を終わります。
秋山委員 先ほど、
白川委員が
夜間中学の話を出されていましたが、私も6月定例会の委員会の中で
夜間中学を取り上げました。今、
ニーズ調査が、段階的に進められているとのことでしたので、それをしっかりと進めていただいて、その実現のために力を尽くしていただきたいと、最初にそれをお願いします。
私からは、まず、
県立高校の統廃合についてお伺いします。
今、教育長からも報告がありました。これは、本会議で教育長が言われる前日の9月19日に、新聞報道でさぬき市の3校が統合されることを知って驚きました。議会にもまだ出ていない状況でこれが出てしまっていいのかとも思いましたし、計画の中では、来年度中には場所なども決めていくとのことですが、まだそういったことがはっきりと決まっていないタイミングで、統廃合ありきで計画を進めていこうとしているのはいかがなものかと思っています。
9月11日に、地元の「
東讃地域の
県立高校を守る会」が
県教育委員会に要望を行いました。そのときにも、小・中学校も病院もみんななくなってしまって、高校までなくなったら何もなくなってしまう、地域から若い人がいなくなってしまう、これ以上は後戻りできないと、さらなる過疎化と地域衰退を懸念する声がたくさん出されました。また、津田地域を一軒一軒回って署名を集めた方が、地域を回っていると、ほとんどの人が
津田高校をなくすことに反対だと言われるし、それだけでなく、よく署名を持って回ってきてくれた、反対だったがそういったことを言う機会がなかったとも言われたとのことでした。皆さん、怒っていらっしゃいました。私は、こういった地域住民の声をしっかりと受けとめて、今回の計画を見直すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
工代教育長 本計画においては、
県立高校で学ぶ高校生が主役であると考えていて、彼らの学びに必要な高校とはどのようなものかといったことを主眼とし、今後の
県立高校のあり方を考えてきました。その中で、生徒が予測困難な未来を生きていくために必要な資質・能力を育成するためには、多様な価値観を持つある程度の集団でともに学ぶことが重要であることから、高校に一定の規模があれば、こうした資質・能力の育成に必要な
教育活動を充実させることができると考えました。
東かがわ・さ
ぬき地域の中学校卒業生数は、来年3月、今の中学校3年生が600人程度であるのに対し、10年後には400人程度と、約3分の2になると見込まれていることから、現在の4校のままでは、「クラスがえができなくなり、人間関係が固定化する」こと、それから、「これからは協働的な学びが中心になると思われますが、これには、ある程度以上の人数の生徒がともに学ぶことが必要であるため、生徒数が減少すれば選択授業の数が制限され、生徒が興味・関心や進路に応じた内容を選ぶことが難しくなる」こと、また、「学校行事の種類が制限される」ことや、「部活動の設置数が減って、生徒の部活動へのニーズに応え切れなくなる」こと、「教員の配置数は、法律により標準的な人数が定められていて、それに県独自の加配をして充実させていますが、それにも限界がある」こと、こういったことが考えられますので、高校には一定の規模が必要であると考えたわけです。
そういった中で、私たちとしては、さぬき市であれば3校を1校に統合して、より強力で魅力的な高校を地域につくるという考え方であり、学校をなくすといった考え方ではありません。教育が充実した魅力ある高校を新たにつくっていきたいと考えています。9月11日の要望については、
高校教育課長が拝領し、私もその内容を見させていただいています。そういった内容にもできるだけ即したもので、この計画を成立させて、充実した高校をつくっていきたいと考えています。
秋山委員 高校をなくすわけではなく、新しい高校をつくるとのことですが、3校を1校にするということは、現実にその地域の近所にあった高校が間違いなくなくなります。だから、これは、その地域にとって、物すごく大きな問題になってくると思います。地域の実態や実情も含めて連携しながら、従来どおりの整備を中心としたものではないということで、この計画にも書かれているように、統廃合ありきで進めていくのはおかしいし、間違っていると思います。懇談会も開かれたとのことで、過去の記録も全部見ましたが、その懇談会で出されているコメントを拾っただけでも、心配する声や反対する声がたくさん上がっているように見えます。また、
白川委員からもお話がありましたが、
石田高校は農業をしていますが、実習用農地に実際に行ってごらんになられたのかわかりませんが、これを統合するのであればどのようにするのかなど、それぞれの特色を生かしてといいますが、そんなに簡単な話ではないと思います。それぞれの魅力などが損なわれて、地域から高校がなくなってしまうだけになりかねないと思っています。
一定の規模が必要だといったお話がありましたが、現実に少人数でうまくやっているところもあると承知しています。
県教育委員会が懇談会の中で出された、島根県の津和野高校や隠岐島前高校は少人数で高校を立て直しているとのことです。地域ぐるみでその活性化を考えて、独自の塾や特別進学コースをつくるなど、魅力的な取り組みで入学者がふえることにもなっています。世界的にも、一人一人に行き届いた教育をということで、小さな学校づくりが主流で進んでいることもありますし、そういった方向で進めていくべきだと考えています。懇談会の場で、隠岐島前高校の成功例なども出されていたということは、こういった
高校づくりやまちづくりをしていくことが必要ではないかとか、こういったことをやっていこうではないかと、
県教育委員会としても考えていたのではないかと思います。住民の方も、こういったやり方があるのかと希望を持たれたと思います。その結果、このような統廃合というのでは納得できないとの声が上がっています。こういったまちづくりの例に倣って行っていくことについて、香川県ではどのように考えているのか、お答えください。
工代教育長 実際に、1学年1学級規模の高校は他県にもありますが、その多くは教育の充実のためにあえて小規模にしているのではなく、過疎化が進む地域において、その高校がなくなれば、地域の中学校卒業者が自宅から通学可能な範囲に高校がなくなるために残さざるを得ないなどの理由からのものであると聞いています。先ほどもお答えしたとおり、一定数以上の生徒が在籍し、校内での多様な
教育活動が可能であることが、これからの生徒に求められる資質・能力の育成の上からは、最終的には必要ではないかと考えたわけです。
島根県の隠岐島前高校については、島で唯一の高校であるこの高校がなくなれば、中学校卒業後には島から出ていかなければいけないといったことから、地域が危機感をお持ちになって、地元自治体の支援を受けて魅力化を進め、現在では島外からも生徒を集めるようになっています。しかし、現在でも1学年約60名規模であり、
教育活動には幾つかの制約や制限があるとも聞いています。
また、外国では小規模校でも十分な教育を行うことができているとの御意見もありますが、諸外国では学校に対し、学力面の育成のみが求められているとのことです。日本では、日本型教育とも言われていますが、知・徳・体の一体的な育成が学校に求められていて、学校に求められている役割が、外国と日本とでは異なるのではないかと考えていて、同一に議論するのは難しいのではないかと考えています。
秋山委員 隠岐島前高校の話ですが、住民の方がこのままでは過疎も進んでいくし、大変だといっています。高校がなくなったら困るということで、このように一生懸命考えてやっているとの話だったのですが、それはさぬき市でも同じだと思います。だから、住民の皆さんが、こうして反対して、このまま統合されたのでは困ると言っているのだと思います。部活動や必要な教育がなかなかなどといった話がありますが、懇談会の中でも出されましたが、例えば、野球であれば地域の合同チームにするとか、もう少し他の競技にも広げていくとか、小規模校にレスリング部ができて人気が出たとか、競技かるたを始めたとか、そういったいろいろな創意工夫で越えられるものもあると思います。それから、ITが進んでいる中で、そういったものを駆使したら、必ずしもその場にたくさんの人がいないと何もできないといったことではないと思います。
学校がなくなったら、次世代をその地域で育てられなくなり、地域存続の重大な条件の消失につながり、学校の統廃合は、それだけで地域の不安の象徴だと思います。防災の面からも、学校などの公共施設は残すべきだといった指摘もありました。いざというときに老朽化で使えないのでは話にならないとのことです。
志度高校や
津田高校は、さぬき市で、今、避難場所としても指定されています。この点についてはどのようにお考えですか。
工代教育長 地域をどう捉えるのかといったこともあると思います。委員がおっしゃられていることもよくわかります。防災拠点としては、市で考えられることで、ここでなければどこかに移すことも可能ではないかと考えています。先ほども申し上げたように、私どもとしては、今の素案としては、3校を1校に統合して、学びを深める規模にすることが、さ
ぬき地域にとってはよいことではないかと考えています。
秋山委員 その地域で防災拠点になるところについては、別で考えることだと言われますが、例えば、津田地域には3階以上の建物が
津田高校以外にはないと言われています。住民の命を守るといったことも行政の責任であり、高校をなくすなどといったことを勝手に判断していくべきではないと思っています。そういったことも含めて、住民の声をしっかり聞いて、それに寄り添っているようにはどうしても思えません。
今回こういった計画を発表されましたが、住民説明会のようなものについては、具体的にどのように考えているのでしょうか。
工代教育長 先ほども申し上げたように、「東かがわ・さ
ぬき地域の今後の
県立高校の在り方に関する懇談会」を設置し、今まで4回開催し、御意見を伺ってきました。今後もこの懇談会は開催し、素案に対する御意見を伺う予定です。また、パブリックコメントを行い、広く県民の御意見をお聞きすることにしています。
秋山委員 引き続き、住民の声を聞いていただきたいと思います。懇談会で出された全部の意見をきちんと聞いて考えたら、今の段階でこのように3校を一緒にするといったことは絶対に言えないのではないかと思います。
三本松高校はきれいに建てかえをしたばかりで、それ以外の、
志度高校、
石田高校、
津田高校、これらの高校は、耐震の問題で建てかえをそろそろ考えないといけない時期に来ているとも聞きました。3校を直すよりも新しく1校つくったほうがいいと判断されたのではないかと思っています。
子供の教育などいろいろと大切なことが計画に書かれていますが、それよりも、全国で進められている統廃合の目的は、人件費などの教育費を抑制することが第一にあります。この削減であることは明らかです。諸外国と比べるのはといった話がありましたが、先進国と比べて教育にかける予算が日本はとりわけ少ないのですから、そういった教育にかける予算をさらにどんどん削っていこうというのは、日本の未来を狭めていく自殺行為だと思います。
こういったことも含めて、再度、教育長にお伺いします。今回の統廃合の計画を、住民の立場に立って見直すべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。
工代教育長 委員の御意見として承ります。
1つ申し上げますが、私どもとしては、行革的な観点からは一切考えていません。今、お伺いして、そういったこともあるのかと思ったぐらいで、そういったことは一切考えていません。東かがわ・さ
ぬき地域の高校の教育といった観点から議論してきましたし、御意見もいただいたので、今後、そういったことを深めて、成案にしていきたいと考えています。
秋山委員 学校づくりは地域創生の柱であり、懇談会の中でも、出された課題はチャンスだといった言葉がありましたが、そのとおりだと思います。過疎に歯どめをかけて、一人一人が充実した学びができるように、地域と力を合わせてやっていくことが、今、大切です。まず、安易な統廃合といった計画はやめて、魅力ある高校や魅力ある地域をつくっていき、そのために住民の話をもっとしっかりと聞いていただくことを強く要望します。これだけは言って、次の質問に移ります。
続いて、
特別支援教育についてです。
白川委員への答弁の中で、
特別支援教育が必要な
子供たちがふえている状況での
県教育委員会の対応といったお話がありました。これはニュースで見ましたが、近年、外国人がとてもふえてきていて、先ほどお話がありました入国管理法の改正で家族帯同が認められるケースがふえてきている中で、外国籍の子供が、日本語が理解できないために知能指数、IQ検査の結果が低く出て、知的障害などと判断されて、
特別支援学級に多く在籍していると言われています。これは、
特別支援教育のあり方としては違うのではないかと思いますが、それについてのお考えと、その意味では、言語教育がこれからますます大切になってくると思いますが、このあたりのお考えについて、お伺いします。
工代教育長 特別支援教育とは、障害のある幼児、児童・生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するものであり、外国籍の児童が、日本語が理解できないというだけで
特別支援教育の対象となるのは適切でないと考えています。外国籍の児童・生徒は、簡単な読み書きや日常会話がある程度できても、授業で用いられる学習用語は、日常会話に比べて難しい言葉が多いため、学習におくれが見られる場合もあり、その原因が、障害なのか言葉の習得の問題なのかを判断するのは時に難しいこともあるとお聞きしていますが、そこは適切にきちんと判断しなければならないと思っています。
秋山委員 なかなか見きわめるのは難しいとのことですが、それぞれの
子供たちにとって必要な教育がきちんと受けられるようによろしくお願いします。
障害者の権利に関する条約の中で、教育についての障害者の権利を認め、この権利を差別なく、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容する教育制度等を確保することとし、その権利の実現に当たって確保するものとして、個人に必要とされる合理的配慮が提供されることと位置づけられています。
子供たちが安心して学べる学校や学級の環境が必要で、これは行政の責任です。その一つとして、
特別支援学級の学級編制基準を、現行の8人につき1クラスから6人につき1クラスに引き下げるべきだと思います。今、
特別支援学級は、全学年を1クラスにまとめてもいいことになっていますし、8人の学年がばらばらの生徒は、レベルもすることも全然違う生徒がいる中で、こちらでこちらの子にこのことを言って、こちらの子には待っていてと言って、待てる子も待てない子もいたりします。そういった中で、先生方は大変な状況です。保護者から、きちんと見てくれているのか心配だといった思いもありますが、先生にこれ以上の負担をかけるようなこともなかなか言えないといった心配の声も寄せられています。こうした実態を考えると、せめて、
特別支援学校の単一障害の基準である6人に1人というクラス基準にするべきだと考えますが、いかがでしょうか。
小柳
義務教育課長
特別支援学級や
特別支援学校の学級編制の標準については、「公立
義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」、義務標準法で定められた数を標準として
県教育委員会が定めるものです。
特別支援学級の場合は、1学級当たりの学級編制の標準は8人であり、学級数に応じた教員がそれぞれ定数措置されています。一方、
特別支援学校の場合は、1学級当たりの学級編制の標準は6人で、障害が重複している児童・生徒で学級を編制する場合は3人とされています。
本県の現状ですが、今年度、本県の市町立小・中学校に設置されている
特別支援学級の総数は646学級で、1学級当たりの児童・生徒数の平均は3.5人でして、6人を超えるのは約10%の64学級です。しかし、
特別支援学級の1学級当たりの児童・生徒数が6人を超えていて、対応に苦慮している学校があることや、
特別支援学校に通う児童・生徒の障害の程度に該当すると判断された児童・生徒も在籍しているといった実態がありますので、今後、さらに
特別支援教育の充実を図る必要があると考えています。
そのため、
特別支援学級の学級編制基準の引き下げ等については、国に対し、義務標準法の改正による教職員定数の改善を強く要望するとともに、引き続き、学校の実情に応じた教員の適正な配置に努めていきたいと考えています。県でも、
特別支援学級の障害の種別が多岐に及んだりしている小・中学校に対して、県独自に17人を加配措置しているところでもあります。
秋山委員 義務標準法の話も出されましたが、これは必ず守らなければいけない、これを超えたらいけないというものでは決してないのです。今、言われていたように、児童・生徒数が6人を超えるのは10%、64学級ぐらいしかないとのことで、努力されているとのことです。大規模校ぐらいでないと、そういった児童・生徒の多いところはないとのことなので、そういったところに1人や2人の配置ということであれば、それほど一気に物すごくということではないと思うので、県独自でその実態に合わせた加配をしていただきたいと思います。
その関連ですが、
特別支援教育の充実に向けた課題は、通常学級にも及んでいると思います。先ほど、
白川委員からもお話がありましたが、通常の学級にも特別なニーズを必要とする児童・生徒はたくさんいる中で、さきの代表質問で自由民主党議員会の辻村議員からの少人数学級についての質問に対して、児童・生徒の学びの質を高めるといった視点で、その充実の必要があるとの教育長からの答弁がありました。充実を図るという点から、通常学級も含めて少人数学級の実現が必要だと思います。30人以下学級を実現するべきだと私は考えますが、
県教育委員会としての教育指導体制の充実についての考えをお伺いします。
小柳
義務教育課長 現行の義務標準法では、小・中学校の学級編制の標準は、小学校1年生が35人、小学校2年生から中学校3年生までは40人となっています。
本県では、香川型指導体制により、国や県による加配を活用して、小学校1年生から4年生までと中学校1年生で35人以下学級を実施しています。また、小学校5、6年生と中学校2、3年生については、学習の基盤である学級を安定させることを目的として、学校等の実情に応じて35人以下学級が実現できるよう、学級編制の弾力的な運用を可能としており、学校や
市町教育委員会からの要望がある場合には、少人数指導のための加配定数を活用した少人数学級を実施しています。通常の学級に在籍する特別な支援を要する児童・生徒への対応については、通級による指導や市町が雇用する
特別支援教育支援員による支援などが考えられますが、こういった児童・生徒が増加していますので、適切な指導や支援を行うための体制整備が課題となっています。
少人数学級については、児童・生徒の学びの質を高めるといった視点で、その充実に向けて検討する必要があると考えています。
県教育委員会としては、今後とも35人以下学級を全ての学年で実施するため、国全体で義務標準法による学級編制の標準を見直すことについて、引き続き、要望していきたいと考えています。
秋山委員 先ほども言いましたが、義務標準法も変わって、加配などは、県としてやろうと思えばやれないことではないものになりました。国に対して、引き続き、要望をしていただき、強めていただくのは当然ですが、教員の確保や処遇改善といった点でも、6月定例会でも言いましたが、ここが待ったなしの課題だと思います。学校内の細かな対応をしていくのは教員ですが、学級編成や学校整備は行政の責任であり、何とかしてほしいといった声を先生や保護者の方から聞きます。このことを
県教育委員会としてもしっかりと取り組んでいただくように、これも強く要望して、質問を終わります。
木村委員 きょうは2点質問します。
1点目は、
東讃地区の
県立高校再編についてです。再編なのか、とり方によっては統合や廃合なのではないかと言われています。具体的には、2年前の10月25日の新聞に大きな見出しでこの内容が取り上げられ、市民の皆さんも心配しました。教育長が説明されたとおり、
東讃地区の4校とは、普通科が
三本松高校と
津田高校の2校で、実業系が
志度高校と私の母校の
石田高校の2校です。この東かがわ・さ
ぬき地域の
中学校卒業者数は、説明いただいたとおり、ここ20年で4割以上減少していて、平成29年度の東かがわ・さ
ぬき地域の
中学校卒業者数は639人とのことです。今後10年間で、その639人が500人を割り込むと予想されています。実際、
三本松高校はこの4校の中で最も定員が多いのですが、以前、
定員割れを起こしていて、平成19年には、東かがわ市引田の大川東高校と一緒になるということで、大川東高校は閉校に至りました。
県では、高校生を取り巻く環境の急激かつ大きな変化によって予測困難な時代を迎えていることや、
学習指導要領が抜本的に見直されるなど大きな変革期であること、加えて、生徒の学びのニーズが多様化していることなどから、令和3年度からおおむね10年間の
県立高校の基本方針を示すことにしており、その検討に当たっては、平成30年7月に、今後の
県立高校の在り方に関する協議会を設置したとの説明を受けました。
また、10月には、東かがわ・さ
ぬき地域の今後の
県立高校の在り方に関する懇談会を設置し、地域の高校の魅力化やあり方について意見を伺ってきたと聞いていますが、まず、その具体的な内容を説明していただきたいと思います。
工代教育長 県教育委員会では、県全体の協議会を6回開催し、東かがわ・さ
ぬき地域の懇談会は4回開催したところです。
県全体の協議会では、特に高校の再編整備の部分については、「幅広い知識の習得や個性、創造性の発揮は学校の規模があってこそ成立する。」、「生徒にとって学びの選択肢がたくさんあることは重要で、
県立高校全体としてできるだけ多くの専門分野を準備する必要がある。」、「高校再編は県全体で考えて、長いスパンでの
グランドデザインを描くことが重要。」などといった御意見が出されました。
それから、東かがわ・さ
ぬき地域の懇談会では、保護者団体の代表からは、「この地域の4校の特色は残してほしい。通学圏内にさまざまな特色のある高校や学科があり、生徒が希望する進学ができるのがよい。」、「進路選択の際には、部活動も重要な要素である。団体競技でチームが組めて、個人でも団体でも大会に出場でき、チーム内で切磋琢磨できる環境が欲しい。」といった御意見が出されました。自治会の代表者からは、「4校の学校の特色を生かした学校再編が、東かがわ・さ
ぬき地域の活性化には不可欠である。質の高い
高校教育とある程度の
学校規模が必要ではないか。」といった御意見が出されました。教育関係者からは、「他県であれば、このエリアなら1校から2校であることが普通だと思う。」、「小規模校になれば活力が落ちる。生徒は、学習と部活動、この2つが相まって高校生活を満喫する。」、「それぞれの高校が担ってきたものを大切にしてほしい。」、「小規模校では十分な教育ができないのか、小規模校も特色として捉えられないのか。」といった御意見が出されました。経済界の代表者からは、「人間形成においては、ある程度の
学校規模や生徒数は必須だと考える。」、「学校がなくなると地域の活力がなくなってしまうのではないか。」といった御意見が出されました。また、これまでの4回の懇談会を通じて計24名の傍聴の方がおられましたが、傍聴者からの意見を伺うための
アンケートでは、「少子化を理由に学校を減らすべきでない。小規模校でもやり方次第で魅力的な
教育活動はできる。」、「学校の統廃合が進めば地域の衰退につながるのではないか。」といった御意見をいただきました。また、懇談会の様子は、毎回、さぬき市ケーブルテレビネットワークの取材を通じて、同局にて地域のニュースという形で地域の皆さんにお知らせされたと聞いています。
さまざまな御意見が出ましたが、協議会、懇談会ともに、全体としては、小規模化が進む中にあっても活力を失わず、一定の規模を維持しながら、生徒の多様なニーズに応じた学びを、全県的な視点に立って総合的に保障してもらいたいといった御意見が多かったと総括しています。
木村委員 ケーブルテレビは市民の皆さんが多く見ているので、強く要望していましたが、早速実行していただいて、ありがとうございました。
それで、
東讃地区の高校再編と銘打っていますが、実質的にはさぬき市内の学校再編計画ということで、この3校が対象となって、この2年間、
志度高校、
津田高校及び
石田高校の3校のそれぞれのOBは、皆さん、残してほしいというのが本音です。その根幹には、これはさぬき市の話ですが、さぬき市学校再編計画で、小学校は14校が7校に、中学校は6校が3校に、それぞれなりました。旧町に中学校は1校以下となりました。特に、秋山委員も言ってくれましたが、津田校区には中学校がありません。大川町のさぬき南中学校に行っていますから、津田地区は、市民感情として署名も多く、話を聞いてほしいのだと思います。私もお伺いするのは、津田地区が多いです。
先日の代表質問で、教育長は、2校に再編し、三本松及び新しい学校といったことが望ましいと答弁されましたが、その具体的な真意といいますか、再編も含めてどのようなお考えなのか、お尋ねします。
工代教育長 今後、東かがわ・さ
ぬき地域の高校については、生徒が減少していく中で、より地元に密着した
高校づくりを進めるとともに、幅広く生徒の進路に対応していく必要があると考えています。素案の御説明の中でも申し上げましたが、この地域の生徒は、
高松地域に来る率が高いということで、それをこれ以上進ませないためにも、ある程度の規模の高校をつくっていきたいと思っています。3校を新しい1校に統合することで、その場所や内容などは、今からまだまだ議論があるところですが、それぞれ3校の卒業生の皆様等におかれましては、いろいろと御心配な点などもあることは重々承知していますので、そういったことを払拭するような高校にしていきたいと考えています。
木村委員 中讃地区についても説明していただきましたが、中讃地区は、今後、3市5町で10校にプラス
中高一貫校をつくるという御予定ですか。
工代教育長 この計画は素案ですが、
東讃地域が4校から2校に再編整備するということがクローズアップされていますが、中讃地域についても記述しています。中讃地域については、「計画期間の後半には少子化が進行し、小規模化を余儀なくされる高校が多く出てくることが予想され、今後早急に再編整備の検討を始める必要がある。その際、旧綾歌郡の多くの中学卒業者が
高松地域の高校に進学する一方で、
西讃地域から毎年100名以上の生徒が中讃地域の高校に進学していることに留意する。」と書かれていて、この計画期間中に中讃地域の高校のあり方についても再検討する必要があると考えています。
木村委員 あり方ではなく、校数はとりあえず11校になるということですか。
工代教育長 中高一貫校を全く新たにつくるのか、既存の高校を
中高一貫校にするのかは、現段階ではまだ決めていないということです。
木村委員 それでは、とりあえず今のところは10校ということですか。わかりました。
なぜそれを聞いたのかといいますと、意見交換をしたときに、大体人口で言ってくるのです。中讃地区3市5町は人口でいえば28万三、四千人です。東讃はいろいろと区切られます。高松と一緒に東讃だとか、三木と一緒に東讃だとかです。しかし、この学校再編計画では、東讃2市で人口は約8万人です。中讃地区では、11校だと思っていましたが10校です。
東讃地区では2校です。高松から東讃に行くのと東讃から高松に行くのとでは、パーセンテージは大きく変わりますが、人数では余り変わりません。ですから、ニーズに合わせてとか、皆さんの地元に合わせてなどと言っていますが、学校が減ったら高松へ行くのは当たり前ではないですか。中讃はそれだけの学校があるから、まだ選択肢があるのではないですか。そういったお話を聞きたかったので、そこも含めて、改めてお尋ねします。
工代教育長 先ほども申し上げましたが、東讃から高松へ行く生徒と、高松から東讃へ行く生徒とでは、人数的にはほぼ同数です。それが、
東讃地域の高校が小規模化してしまうと、高松へ向かう数のほうが絶対数にしても多くなるのではないか。学校数よりも規模で高松への流れのほうが強まるのではないかと懸念をしているわけです。そこで、統合してある程度の規模の高校をつくります。また、
三本松高校についても多様な学びを取り入れるといったことで、そういった流れを逆にできないかと考えています。また、全国からの生徒募集もしたいと考えていますので、
三本松高校等において、そういった流れもつくっていけるのではないかと考えています。
木村委員 地域ともっと連携していくと先ほど答弁されました。ですが、人数が少なくなるから質を上げていかないといけないということとは別です。地域のこととして言っています。例えば、
志度高校であれば商業高校の特性を生かして、志度の源内さんのイベントで、
志度高校の生徒がつくった商品を売りますし、教育長もよく知っていると思いますが、「てくてくさぬき」で観光案内をするときに、
志度高校の生徒も、県内外からの観光客や地元の人と一緒に地域を回って、志度の歴史を学んだり、紹介したりしています。
津田高校については、先ほどもお話ししたとおり、津田校区内に中学生がいません。ですから、津田駅からおりて高校へ行くときに、地元の人は挨拶をしたり笑い声を聞いたりしながら癒やされるとのことです。
また、
石田高校は、10月の収穫感謝祭で、家政科がつくったおいしい食べ物、農作物、畜産物などを販売し、2日間で2,000人規模の多くのお客さんが来ます。そして、先ほども農場の話をしていましたが、
石田高校でつくったランなどの観葉植物やタマネギの苗などを
石田高校の生徒がイベントでさぬき市に販売して、販売力や営業力をつけています。普通科、工業科、商業科、農業科、それぞれに特性があります。しかも、津田町の人も、大川町の人も、寒川町の人も、長尾の人も、地域の皆さんが恩恵を受けています。
この計画のことはわかりました。しかし、中高一貫の話が出ましたが、今、高知などでは4校で普通科が連携型で取り組んでいます。どちらかといえば合併町の中でも旧四万十町などは小さい町ですが、それでも合併町で取り組んでいます。私の地域も合併町のさぬき市です。規模はさぬき市のほうが大きいです。高知は連携型なので、小学校や中学校は町立や村立などで、高校は県立です。1校にして、きちんとこれでいくのだと答弁されましたが、そういった連携型で地域の特色を生かしていくために、1校ではなく2校にするといったことを考えたり検討したりはしなかったのですか。
工代教育長 中高一貫校については、この期間内の設置を目指すという意味では、中讃地域ということで申し上げましたが、他の地域における
中高一貫教育については、それぞれでまた検討を進めるということです。委員がおっしゃられた形態の学校連携を考えないということではありません。
木村委員 御意見はそれ以外にも多くお伺いしています。その御意見は、時間も過ぎましたので、また今度、具体的にお話ししたいと思います。最後に、現在、
県立高校は29校あると書いていました。これが、今、お聞きしたところでは27校になるとのことです。全国的には鳥取や福井が20校台で、徳島や高知でも30校台です。全国的にも20校台というのは3県の中に入ります。そういったバランスといいますか、規模が適正なのかどうかについてもお伺いします。
工代教育長 高校が県の中に幾つあるのが適正であるかというのは難しく、基準はないと思っていて、県土の広さや地形なども影響すると思います。高知県の場合は、香川県の4倍の面積があり、山間部が多くありますから、小規模校だからといって廃校にすると、そこの
生徒たちはどこか別の町に移らなければいけないといったことがあって、小規模でも高校を残していくといったことをお聞きしていますので、そのあたりは、それぞれの県の大きさや地理的な条件も深く関与すると思っています。香川県の場合は、このような面積で、ある程度、ほかの県と比べて交通の利便性も高いということで、20校台になっていると考えています。
木村委員 最後に要望になりますが、お隣の徳島県の美馬市、阿波市、吉野川市、小松島市は合併市です。小松島市はさぬき市よりは少し少ない人口ですが、すべて2校です。普通科と実業系を再編して地域に残しています。面積もさぬき市と同じぐらいか少し広いぐらいですが、さぬき市民の皆さんの御意見は、徳島のほうが頑張っているのではないのかとのことです。徳島の阿南光高校は、新野高校と阿南工業高校の、徳島で初めて農工商の合併に取り組み、去年、開校しました。普通科まで一緒になるというのは、東讃では初めてだと思います。そういったところに市民の不安もあると思うので、しっかりと検討していただきたいと思います。
それから、もう一つ要望があります。さぬき市の、全部で約380の自治会の自治会長と16の支会の支会長を対象として、年に一回開催される市政懇談会で、こういった再編計画の説明もできればしていただきたいと思います。これに合わせて、一人でも多くの皆さんに御周知いただきたいと思います。
以上で、質問を終わります。
森委員長 暫時休憩いたします。
午後は、13時から再開いたします。
(午後0時06分 休憩)
(午後1時04分 再開)
森委員長 再開をいたします。
質疑、質問を続行いたします。
木村委員 委員長、一点目の最後の再々質問だけ残っていたので、よろしいですか。
再々質問ですが、平成30年の6月定例会の代表質問で、
東讃地区の高校再編に当たって、再編計画のめどがついてからになるかと思いますが、さぬき市長尾西にある香川東部養護学校も組み入れていただきたい旨を質問しました。これも市民からの御指摘があります。
香川東部養護学校は、耐震基準はクリアしているものの、校舎全体は石田
高等学校の分校跡です。現場も田園が広がっていましたが、最近では住宅がふえました。児童・生徒数は140人から150人で推移しています。多くの
子供たちがスクールバスを利用していますが、学校まで徒歩で行っていて、集団で登下校をしている児童・生徒もいるとのことです。しかし、あそこの道は教育長も見たことがあると思いますが、学校の四方が狭小な道路に囲まれていて、歩道と車道との区別もつかないとのことです。
そこで高校再編に当たり、例えば、旧高校の跡地に
特別支援学校を新設でつくるなどといったことができないかといった意味で質問したところです。
また、常時ではありませんが、学校の先生も多いので駐車場がなかなか確保できず、送迎のときなどは運動場の一部を駐車場がわりにしているといった御指摘も伺っています。代表質問では、そういったことも含めて、教育環境の充実を図るということでやっていきたいとの答弁でしたが、その後どうなったのか、お尋ねします。
工代教育長 委員御指摘のとおり、私も、香川東部養護学校に、二、三度参ったことがありますが、道が狭いとか、校舎も一部が古くなっているといったことで、そのあたりの整備は必要だと考えています。
一方で、香川東部養護学校は、ことでんの長尾駅や大川バスの本社に近いことから、電車やバスを利用しやすい位置にあり、将来の社会自立に向けて、中学部と高等部の生徒を中心に公共交通機関を利用しての自主通学に力を入れているとのことです。学校の場所はさぬき市にありますが、先ほど申し上げたとおり、公共交通機関の利便性がよいことから、約38%、52人の児童・生徒が高松市から通学しているとのことです。
そういったことで、香川東部養護学校のあり方については、県内における
特別支援学校の児童・生徒数の推移を踏まえ、県全体で
特別支援学校の配置を検討する中で、今後、総合的に検討していきたいと考えています。
木村委員 今後とも、引き続き、御意見を頂戴して、いろいろな面で検討していただきたいと思います。
それでは、2点目の質問に移ります。
非認知スキル向上事業についてです。私の地元のさぬき市立長尾小学校が、
県教育委員会生涯学習・文化財課とタイアップしてこの事業を実施しています。毎月一回、学校通信「けやきのように」が、長尾小学校から御家庭や近隣自治会に配布されています。この事業の背景や目的は、学校と保護者、地域が連携し、家庭教育の大切さについて理解を深めてもらい、さまざまな実践を通して、子供の将来に好影響を及ぼす人間としての総合力とも言える非認知スキルを伸長させていくものです。
社会環境が大きく変化する中、地域社会から孤立しがちな御家庭や、子供との接し方、しつけ方がわからないなど、子育てに不安や悩みを持つ保護者がふえていて、家庭の教育力の低下が指摘されています。非認知スキルとは、自尊心ややり抜く力、自制心、思いやり、協調性、社交性、勤勉性、意欲など、人間が生きていくために大切な能力全般を指すものであり、人生のあらゆる段階で不可欠な役割を果たし、自己実現の原動力となる能力のことで、長尾小学校が発行する「けやきのように」の中にも、その旨、記されています。
この非認知スキル向上事業について、年間を通じてどのような活動をしていくのか、家庭や学校でのかかわり方や実践状況についてお尋ねします。年に2回、PTAを対象にして、香川大学の先生がコミュニティーに特化したお話や家庭の中でのことについてのお話などをされているのを聞いたことがありますが、それ以外にも何かありましたら教えてください。
原田生涯学習・文化財課長
県教育委員会では平成29年度から、香川大学の協力のもと、非認知スキルを高めるためには、学校や家庭でどのような働きかけが効果的であるかについて、モデル校において実践・検証する非認知スキル向上事業を実施しています。
今年度は、長尾小学校を含む2園2校をモデル校に指定して、保護者に対して、子育て講座や親子の触れ合い遊びを紹介する講座の開催、子育て通信の発行などを実施して、非認知スキルを伸ばすための効果的な取り組みを具体的に示しながら、その実践を進めているところです。
長尾小学校では、学びのときめきのある学習活動の工夫、学びを支える学習習慣の形成と家庭での連携、思いやりの心と自主性、継続性の育成といった3つの柱を掲げ、教職員の校内研修や他校との交流、触れ合い参観等を行っていると承知しています。また、保護者に対しては、「けやきのように」という家庭教育だよりを毎月発行しているほか、家庭教育学級において、家庭教育推進専門員によるワークショップを開催して、保護者同士が家庭での教育について話し合う場を設けるなど、非認知スキル向上のためのさまざまな取り組みを実施していると承知しています。
木村委員 この事業は、
子供たちが、これからこの地域で楽しく生活をし、楽しく学んでいき、家庭で愛情を受けて育っていく中で、非認知スキルを向上させて、勉強を重ね、会話を重ねて、よい方向に取り組んでいくということで、現在、長尾小学校を含めて2園2校で実施しているとのことでした。この取り組みを、今後、全県的に広めていく御予定があるのですか。
昔でしたら、小学校区ごとでお祭りをしたり、地域と一緒になっていろいろなイベントをしたりしていましたが、共働きになって、お父さんもお母さんもどうしても休めません。以前は、おじいさんやおばあさんも来ていましたが、なかなか来づらくなっています。午前中の質問でもお話ししたように、学校も減り、学校がだんだん遠いところになりました。そういった事情がある中で、こういった取り組みを広げていくのは大事なことだと思いますが、今後の計画を教えていただきたいと思います。
原田生涯学習・文化財課長 非認知スキル向上事業の今後についてですが、長尾小学校を含めたモデル校での取り組みを踏まえ、令和2年度には、平成29年度から令和元年度までのモデル校、合計5園6校での成果を生かしていくための集大成として、例えば、挨拶や清掃などの生活習慣の定着、集団遊びや親子での体幹づくり、児童会活動や班活動、異学年交流活動を通じた交流、地域学習や地域交流を通じた体験活動など、非認知スキル向上に役立つ効果的なプログラムをまとめて、県内全域の小学校や幼稚園等に周知して、普及啓発を図ることとしています。
木村委員 特に、現代の
子供たちは、ゲーム世代やネット世代と言われています。話すことや聞くこと、また、家族や地域の方と触れ合う時間がだんだんと減ってきているように思います。そういったことで、学校がみずから自立性を持って、また、教員と連携して実施する非認知スキル向上事業は、いいことだと思いますし、現に、長尾小学校の多くの
子供たちが、朝はおはようございます、帰りはさようならと、元気な声でのあいさつができています。これだけではないとは思いますが、そういったところに効果があらわれていると思います。いい事業は広げていただくよう要望して、私の質問を終わります。
佐伯委員 私からは、2点ほど質問します。
先般、中学校の先生方と意見交換をする機会があり、いろいろとお話を聞かせていただきました。学校の先生は聖職や公僕といえども、いろいろなものの犠牲の上に成り立っていて、頑張っていることをつくづく感じました。学校の先生の働き方改革を一生懸命やっていかなければいけないと感じました。特に、
文部科学省や
県教育委員会からの調査が余りにも多過ぎると言っていました。資料をつくるのに精いっぱいで、徹夜でしなければいけないなどと言っていましたので、何でも文書にして上げていくということではなく、もっと現場を重視していかなければいけないと強く感じました。いろいろなことを言われた中で、特に、私が印象に残ったものについて、2点ほど質問します。
1点目は、少人数学級についてです。中学校1年のときは35人学級ですが、2年、3年に上がると40人学級にふえると、中学校の先生が言われていました。香川県は、35人学級にするために相当頑張っていただいていますが、まだ2年生や3年生が35人学級ではない学校もあるとのことで、それをどのように捉えているのか。そして、どのぐらいの数が35人学級になっているのか。また、全国的にはどのぐらいの割合で35人学級になっているのか。まず、教えていただきたいと思います。
工代教育長 学級編制の標準や教職員配置については、御承知のとおり、義務標準法で決められていて、平成23年に一部改正されて、学級編制の標準が、小学校1年生で40人から35人と決められました。当初はそれをだんだんふやしていって、中学校3年生まで全部35人以下学級にする計画でしたが、なかなか計画が実行されず、平成23年以降、法改正は行われず、平成24年に小学校2年生について、35人以下学級が実施できるよう加配措置されました。要するに、国の制度のもとで35人以下学級にしたのは、小学校1年生と小学校2年生の加配配置によってということです。
御承知のように、香川県では、香川型指導体制により、国による小学校1年生と2年生に加えて、県単独の予算措置で、小学校3年生と4年生で、35人以下学級を実施しています。さらに、平成27年度から国による加配定数を活用して、中学校1年生で35人以下学級を実施しています。小学校5、6年生と中学校2、3年生については、学習の基盤である学級を安定させることを目的に、学校等の実情に応じて35人以下学級が実施できるよう、学級編制の弾力的な運用を可能としていて、学校や
市町教育委員会からの要望がある場合は、少人数指導のための加配定数を活用した少人数学級を実施しています。
その結果、香川県では、小学校では
特別支援学級を除く県内1,812学級のうち98.2%に当たる1,780学級が、中学校では753学級のうち86.2%に当たる649学級が、35人以下学級となっています。ほかの都道府県で、無条件で全て35人以下学級にしているのは、7府県あります。本県は、それに次いでの位置づけになっているものと考えています。
佐伯委員 今、教育長が言われた香川型指導体制を伺っていますと、他県に比べて頑張っていると感じます。学校の先生をふやさなければいけないということは、予算計上などお金もかかってきますから、いろいろな面で大変だと思いますが、加配等によって頑張っていると感じており、これからも進めていただきたいと思っています。
小学校はほぼ100%で、中学校も86.2%と高い数値になっていますが、残り13.8%あります。50%とか60%ぐらいであれば大変だからもっと頑張ってくださいと言いますが、100%まではあとほんの少しだと思います。数字的なことかもしれませんが、中学校も100%まで持ち上げていくように今から措置を講じていきたいと思っているのか、それとも、このぐらいで維持していこうと思っているのか。その辺りについて教えていただきたいと思います。
工代教育長 香川県としては、35人以下学級を100%にしていきたいと考えています。そのためには、国の責任において、義務標準法を改正して、35人学級編制にすることが原則です。常々、重点要望等で国に対して要望していますが、強く要望していきたいと思います。それに加えて、県単独予算措置や国の加配の活用を丁寧に行い、できる限り35人以下学級にしていきたいと考えています。
佐伯委員 国にもしっかりと要望していただき、また、教育県である香川県とすれば、香川県独自のやり方もあると思いますので、そのあたりもしっかりと前に進めていただきたいと思っています。
そして、35人学級とか少人数学級などと昔からよく言われていますが、少人数学級になったらどういったメリットがあるのか。そして、もしかしたらデメリットがあるのかもしれません。少人数学級のときに、改善していかなければいけないデメリットについても、教育長の個人的な考えや思いでもいいので、お話しいただきたいと思います。
工代教育長 私のころはもっと大人数の学級でしたので、35人以下学級を自身で体験したわけではありませんが、全国学力・学習状況調査が毎年ありますが、その中で、香川県の児童・生徒に「授業がよくわかりますか」といった問いをすると、「よくわかる」といった答えが、こういった香川型指導体制をしてから、だんだんふえている傾向にあります。35人以下学級がふえたために授業が「よくわかる」と答える生徒の割合が増加したという、明確な因果関係はわかりませんが、40人や50人の学級に比べると、35人の少人数で先生が丁寧に教える成果が上がってきているのではないかと思います。デメリットはなかなか思いつきません。
佐伯委員 少人数学級だから、授業がよくわかり勉強がよくできるといったことは、一番大事なことだと思います。しかしながら、上京していろいろな大企業の方々とお話をしていると、今の子は勉強もできてすばらしいのですが、がつがつしたガッツが全くないと言われます。皆おとなしくていい子ですが、ガッツが感じられず、特に、地方の子はのんびりしているとのことです。それはそれでいいのですが、競争社会ですから、がつがつさもなければいけません。少人数学級ばかりであれば、みんなおとなしくなってしまいます。私たちのときでも確かに45人から50人はいたと思いますが、がつがつしていたと思います。私も勉強はできませんでしたが、がつがつしていたと思います。教育もしていかなければいけませんが、少人数学級でおとなしくなって、皆さん優秀でいい子で、教科書どおりの子ばかりとは言いませんが、それに近い子が多くなっていると思います。先生方も授業をしやすく、教えやすいのかもしれませんが、ガッツというか、がつがつさがなかったら、一度転んでも、また、起き上がることが厳しくなってくると思います。
少人数学級になったら、皆さん、授業が理解できるのはいいのですが、がつがつさがなくなっているような気がするので、難しいかもしれませんが、少人数学級とあわせてそのあたりもしっかりと組み入れていただきたいです。粗削りの学生も多少は要ると思いますので、そのあたりも教育の中に含めていただきたいのです。個性もありますからなかなか難しいのかもしれませんが、ただ単に少人数学級になって、授業がよくわかって勉強ができる子だけではなく、その中からいろいろな子がたくさん生まれるようにして欲しいです。勉強もありますが、音楽が得意な子、体育が得意な子、技術が得意な子など、いろいろとありますが、そんなところもしっかりと伸ばしてあげられるように少人数学級をさらに進めていただきたいと思っています。要望にして、次の質問に入ります。
2点目は、中学校における部活動指導員についてです。学校の先生の働き方改革に照らし合わせて導入されたと認識しています。これは、各学校単位で申し込みをしたらいいのかと思ったら、各市町単位で、全部の中学校が欲しいと言わないと、なかなか指導員は来てくれないと聞きましたが、部活動指導員設置促進事業の詳しい内容を教えていただきたいと思います。
工代教育長 部活動指導員配置促進事業は昨年度から始まりました。特に、中学校における部活動で先生方が忙しくなっているということで、それをできるだけ削減するために、この事業ができ上がりました。補助割合は、国3分の1、県3分の1、市町3分の1です。部活動指導員は、身分を特別職の非常勤職員として、責任を持って引率などができるといったことが学校教育法施行規則で定められています。ただ、働き方改革を背景にしていますから、国の補助要件が厳しいです。国のガイドラインに示されている適切な休養日として、平日は少なくとも1日、土日は少なくとも1日以上というものがあり、活動時間も、平日は2時間程度、土日は3時間程度というものがあり、また、1つの市町の中で1校だけがそうするというのでは補助がつきません。その市町全体で、この基準に応じて、全ての学校がするということでないと、この補助金が受けられないといった制度になっています。
県としても、もっと多く補助をつけたいと思っているのですが、それぞれの市町に御事情がありますし、各学校も地域的な事情もあって全ての統一ができず、平成30年度は3市町で計4人の部活動指導員の配置となり、令和元年度は少しふえて5市町で計12人ということです。
県としては、働き方改革ということで、部活動指導員をもう少しふやしていきたいと考えています。各市町における取りまとめやガイドラインの作成等も進んでいますので、今後、もう少しふえていくと考えています。
佐伯委員 市町の中でも、学校によって温度差もあると思いますし、国のガイドラインがあり、守るのが大変だと思いますが、国は現場をわかってくれていないと思います。
別の例をいいますと、私は土地改良関係のいろいろな行事に出ていますが、国から年1回、キャラバン隊が来るのですが、毎年同じことを言ってきます。大規模な土地改良区のことしか頭になく、小さい現場のことなどがわかっていません。だから、毎年、「よくわかりました。それよりも時間がもったいないので、もっと現場を見てください。」と国の方に言います。現場を見なければ、いいものはできないと思います。「全部一律で」のほうが国にとってやりやすいからだと思いますが、そんなことはできるわけがないので、「それは違います」といって、市町や県が、国への要望をどんどんしていかなければ、なかなか変わらないと思います。県も、市町と比べると現場のことはわからないと思いますが、市や町から現場の話をいろいろと聞いて吸い上げて、それを県から国にどんどん言っていかなければ、こういったいい制度ができてもなかなか前に進んでいかないと思います。そのあたりもしっかり見据えて、現場の声を吸い上げることをもっとしていただきたいと思っています。
そして、この部活動指導員には、主にどういった方が、今、なられているのか、また、なれるのか。元学校の先生とか、元公務員とか、こういったことをやっている人とか、何か資格制度や試験のようなものがあるのか。そのあたりについてわからないので、教えていただきたいと思います。
工代教育長 今、部活動指導員になられている方を見ますと、元教員の方や、民間企業でいろいろとスポーツの指導をされていた方が多くいらっしゃいますが、特に、資格的なものはありません。
佐伯委員 それでは、部活動指導員になりたいといって手を挙げるなどして、合格すれば部活動指導員の資格は得ると理解すればよろしいですか。中学校でも伝統的に強いクラブや部活動がたくさんあると思います。私の地元の大野原中学校では伝統的に陸上が強かったし、私が学生であったころはまだ柔道も強かったのですが、幾ら柔道部の指導員になりたいと言っても、教えることもできず、ただ引率するだけでは不十分です。昔、部活動や民間でこんなことをやっていたのでこういったことを教えられるといった、専門的で特質的な方々を、もし希望があれば、部活動専門員にどんどん入れていただいて、活用していかなければいけないと思います。中学校ぐらいから、専門的な方にどんどん教えてもらわなければ、スポーツも強くならないと思います。学校の先生の働き方改革で労働時間を少なくするためにただ単に引率していって、ただ見ているだけでは、なかなか部活動に活力が出てこないと思います。県として、部活動指導員の活用について、どのようにしていこうと思っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
工代教育長 この部活動指導員配置促進事業を進めるために、1つは、各市町で働き方改革に資するものに整えていただくということと、もう一つは、委員御指摘のとおり、教えられる人をどう確保していくかがあります。
県教育委員会では、平成30年度から、スポーツ6団体と武道9団体の、関係競技団体に情報提供を働きかけて、「運動部活動における指導者データバンク」を作成しています。ことし3月には、スポーツ団体から66人、武道団体から130人のお名前を出していただき、そのデータバンクを市町に提供して支援を行っているところです。このあたりについて、県全体から教えられる人を見つけて各市町にお知らせして、その中から優秀な指導者を選んでいただけるように、もっと充実させていきたいと考えています。
佐伯委員 こういった突出した部活動指導員が欲しいといった要望も市町や学校から出てくると思いますので、それに対応できるようにしっかりと部活動指導員を見つけていただきたいと思います。
それから、最後に1点だけお伺いします。部活動指導員に年齢制限はあるのですか。何歳から最高で何歳までなどといったものがもしあれば教えてください。
工代教育長 年齢制限はないと思います。体が動いて指導ができればよろしいと思います。
佐伯委員 私もよく地元のスポーツ施設に出向いてサウナに入りますが、70代や80代でもお元気そうな方々とよくサウナで会います。サウナに行ったら、必ず会います。「私は一日することがないので4回も5回もサウナに行っているのだ」と、時間をもてあましている方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々も、年齢に関係なく、いろいろなものをお持ちですから、シルバーパワーの活用の場にもなるのではないかと思います。しっかりと部活動指導員の間口を広げて、いろいろな施策をしていただくと、香川県の中学生のスポーツの向上にもつながっていくと思いますし、スーパー讃岐っ子もこういったところから生まれてくるのかもしれませんので、しっかりと進めていただきたいと思います。要望にして、質問を終わります。
新田委員 1点だけ質問します。
県立体育館の話ですが、一つの例でいうと、車を買うときにどうするかということがあります。車を買うまでは、大きさや色など、外見を見ます。でも、乗ってしまったら、そのようなものは自分に見えるわけではなく、外の見ばえだけの話なので、結局、乗り心地や燃費、加速、そういった中身が必要とのことであり、それが判断材料になると思います。
この間、鶴岡市文化会館に視察に行きました。鶴岡市文化会館の建物は確かにすばらしいと思ったのですが、四、五十億円の建築費が大体倍ぐらいになっています。説明の後の質問の中で、予算がふえたことについてどう考えているのかと聞いたら、回答は「文化施設だから」の一言でした。文化施設であれば、ある程度赤字でもいいというのが一般的な常識になっているのかと思いました。言いませんでしたが、私たちには、それは違うのではないかといった思いがありました。
美術館などの文化施設は外見がいいといったことが必要なのかもしれません。ですが、これは体育館なので、できた後で、どのように使うのか、使い勝手がいいのかなど、機能面が必要だと思います。おととい、県立ミュージアムに建物の展示を見に行きました。そのときに、確かに、建築家がすごい建築をしていて、それはそれでいいのですが、誰がそれに感激したのかと思いました。余り言ってもいけませんが、香川県のある施設の建築がすばらしいということで、私もその施設の視察に行きましたが、別に何とも思いませんでした。ですから、外身もありますが中身が必要ではないかと思います。
きのうから、過去にプロポーザルで選定された5案を見直しているのですが、大体同じような案があります。22番は落ちた案ですが、SANAAと同じようなドーム型です。そういったなかからSANAAが選ばれたということです。それで、いろいろと出てきた話に対して、我々がこれはどうかと注文をしていく中で、常に設計案が変わってきています。プロポーザルで選定されたときのものから、今までに、二、三種類の案が出てきていて、よくわかりません。余りにも大きな変更であれば、どこまでが認められてどこまでが認められないのかが最大の問題だと思います。先ほども言ったように、同じような提案がたくさんあるので、いろいろな変更が認められるのであれば、ほかの落とした人の案でも同じではないかと思います。「同じようなものだから、私のほうがすばらしい」という人もいるかもしれません。だから、そのあたりで、どこまでの変更が認められるのかが、わからないのです。当初の案をジャッジしたときに、どういった発言があったのですか。当時の選定委員会の発言記録があるでしょうから、出していただきたいと思います。その記録を見たら、選定委員がどのような基準でこれを選んだのかがわかります。その記録を見て、選定過程の中で、今の最終的な案がどうなっているのかを考えないといけないと思います。というのは、先ほども言いましたが、5案の中にはドーム型の似たような提案もあります。変更できるのであれば、ほかの人から、「そんなことは考えられます」と言われたらいけません。そのあたりで、どこまでの変更が許されるのかが一番の問題だと思います。白と黒とがあれば、どこまでが白なのかがわかりません。灰色はいいとしても、それではどこまで灰色なのかがわかりません。より黒に近くても灰色だといえば灰色になるのかもしれません。そのあたりの基準が曖昧模糊としています。
それから、もう一つ、コンストラクションマネジメント業務を委託しています。この間の、総務委員会における、大山委員からの質疑の概要を読んで、確認します。コンストラクションマネジメント業者に対して、金額はもちろんですが、機能性や安全性、後年度負担、ランニングコスト、お客さんが呼べる施設になっているか、本当に利便性がいいのか、あるいは環境など、いろいろなものがあり、こういったものもコンストラクションマネジメント業務の中に入っているのかどうか。単に設計案が出てきて、これでできます、計算したら合っていますということではなく、機能的なものが入っていないと、それはいいとは思えないのです。そのあたりが入っているのかどうか。
それから、何回も言いますが、最初の案と細かいところで、どこがどのように変わっているのかが、私たちにはわかりません。最初は、海から見た景観の話まで出ていました。そうすると、景観がジャッジしたときのものになっているのかどうかもあります。また、いろいろと点数をつけて評価したと思います。大山委員の話の中でも、ポイントが5つか、6つぐらいあって、そこが欠けていれば、順番が変わるのではないかといった話もあったように思いますが、そのあたりについても、今の考え方を聞かせてほしいと思います。
近藤新県立体育館整備推進総室長 何点かありましたが、最初に、プロポーザルからの変更についてです。制度としてはということになりますが、プロポーザルは図面そのものを審査するコンペ方式とは違い、提案をもとに最適な設計業者を選ぶものですので、設計段階で、よりよいものになるように内容を変えていくことは一般的なことと承知しています。その上でということになりますが、今、お話もありましたように、技術提案を出してもらって、それをもとに審査していくといった経緯もありますので、プロポーザルで提案された趣旨や評価された点、これらを踏まえて設計を進めていかなければならないと考えているところです。そういったこともありますので、SANAA事務所に対しては、まずは基本計画に沿ってということになりますが、プロポーザルの趣旨の範囲内でよりよい設計になるように指示しながら進めてきており、最終的には全体の中で県として判断したいと考えています。
それから、2点目に、コンストラクションマネジメントについてです。コンストラクションマネジメントについては、大きくいえば、発注者の側に立って多角的な視点から設計内容の検討を行うというものでして、この県立体育館の重要性を鑑みて、昨年の11月定例会で、この業務を予算上も認めていただいた経緯があります。そういった中で、仕様書を定めて業務を行っているところですが、お金の面については、コスト管理という項目を設けています。設計者から提出された工事費の積算と設計内容が整合しているかどうか、また、さまざまな手法を用いて、実勢価格を把握していただくようにしていて、発注者である県に対して報告を行うといったコスト管理を行うということです。それにあわせてということになりますが、委員から御指摘のありました品質管理といった項目も入れていて、設計内容が基本計画で県が示している要件を満たしているのか、そして、その上で必要な機能がきちんと確保できているのかといったことについても、確認して報告いただくことになっています。もう少し具体的に申し上げますと、例えば、構造計画、空調計画、騒音、振動、想定される課題、こういったことについても、設計者から示される対策について妥当性を検討して報告をいただくということで、事業に関するコストコントロールだけではなく、安全性、利便性、機能性、将来的な維持管理を含めた関係、こういったものについても知見を求めて報告をもらうということで、今も並行して進めているところです。
新田委員 コンストラクションマネジメントで、そういったことをきちんとやっていただきたいと思います。
もちろん御存じだと思いますが、高松市の屋島山上の施設については、2、3回入札不調になっています。高松市も行政なので同じようなことをやっている結果としてこのようになっています。そういったことも頭に入れておかなければいけないと思っています。これは、我々がずっと言っていることです。何回も言うように、私たちは、国内外の施設を見に行っています。中には県議会議員は遊びに行っているのではないかと言う人もいますが、そうではなく、私たちは、体育館について、世界的にみてどんなものがいいのかといったことで見に行ったのです。そういった実感を踏まえて、いろいろな意見を言わせていただいているので、我々の話は、重いと考えていただきたいと思います。私たちは別に体育館がだめだと言っているわけではありません。だめだと言う人もいるかもしれませんが、私たちはぜひともやろう、これを地方創生の起爆剤にしよう、香川県を元気にしようということで、つくってほしいということでやっているので、そのあたりは誤解のないようにしていただきたいと思います。ただし、きちんと予算内におさまり、機能性等も含めてきちんとやっていただくことをお願いしたい。それをきちんと見ていきたいと言っているので、そのあたりについては、県においても理解していただきたいと思います。
それから、この間、日曜日の夕方に現地を見に行きました。そうしたら、市民の方もいて、海岸を見ていました。確かにあそこはいいところだと思います。体育館の設計の中では、海を眺められるレストランがあるなどと書いているではありませんか。ですが、今の設計の中で、果たしてそういったものができるのかと、物すごく疑問を持っています。どこにお茶を飲んだりするようなレストランがつくれるのか。それは詳細設計になったらと言われるかもしれないので言いませんが、そういった疑問があります。書いたことを実施していただきたいと思いますが、そのあたりについてはどのようにお考えですか。
近藤新県立体育館整備推進総室長 お話がありましたように、機能性をきちんと確保して、決められた事業費の範囲内でということで、今、設計を進めているところです。そういった中で、レストランや喫茶の話がありましたが、6月にこの委員会でも報告したと思いますが、もともと、SANAAの設計は、メーンアリーナはどちらかといえば丸い形で、小高い丘の2階部分が主に観客の方がいらっしゃるような設計になっているところでして、今の案ですと、一番景色がよい北側の東寄りのあたりに、デッキも含めて、余り大きな本格的なレストランというよりは、喫茶、レストスペースを確保することで考えているところです。いずれにしても、きちんと設計を進めて、県議会にもきちんと御説明させていただいた上で、進めていきたいと考えています。
新田委員 計画としては絶対にできるとのことですが、できたところで本当に人が行くかどうかという意味で聞いています。坂を上がっていって、わざわざお茶を飲みに行くのか、駅から四、五分以上かかりますが、本当に行けるかどうかについては、ある程度の
魅力づくりをしていかなければいけないと思います。それから、根本的な話になりますが、丸いと使いづらいです。それは細かい話になるからいいのですが、とにかく頑張っていただきたいと思います。質問を終わります。
辻村委員 大きく3点お伺いします。
第1点目は、
特別支援教育における医療的ケアの体制整備についてです。
春ごろ、NHKの報道で、医療的ケア児がふえているということで、その対策の報道番組を見た記憶があります。また、新聞等によりますと、たんの吸引などの日常的な医療的ケアが必要なゼロ歳から18歳の子供がふえていて、香川県内にも少なくとも160人はいるとのことでした。近年の新生児医療の発達により、NICU、新生児集中治療等が増設された結果、超未熟児や先天的な疾病を持つ子供など、以前であれば出産直後に亡くなっていたケースでも助かることが多くなってきていて、そういったことが主な原因であると聞いています。
そこで気になるのは、香川県内の学校に在籍している児童・生徒の状況です。それとあわせて、どのような課題があると思われているのか、教育長にお伺いします。
工代教育長 学校における医療的ケアについては、医療技術の進歩等を背景にして、全国的に学齢期の医療的ケアを必要とする児童・生徒が年々ふえていることや、小・中学校等へ通学する事例がふえているなど、医療的ケアを取り巻く環境が変化していることから、
文部科学省の「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」において、全ての学校における医療的ケアに関する基本的な考え方が検討され、本年2月末に最終まとめが出されたところです。
この最終まとめにおいて、学校は、児童・生徒等が集い、人と人との触れ合いにより人格の形成がなされる場であり、学校における
教育活動を行う上では、医療的ケアの有無にかかわらず、児童・生徒等の安全の確保が保障されることが前提であるといった観点から、学校における医療的ケアの実施は、医療的ケア児に対する教育面や安全面で大きな意義を持つものであるとされています。さらに、医療的ケア児のニーズに応じた多様な教育の場を確保するために、各地域の医療的ケア実施体制の一層の整備や充実が求められているとともに、各
教育委員会が、教育条件整備の一環として、医療的ケア実施体制の一層の整備にリーダーシップを発揮することが期待されています。
県内の
公立学校における医療的ケアの状況については、小・中学校に在籍する医療的ケアを必要とする児童・生徒数は、平成28年度は4校に4人、平成29年度は7校に7人、平成30年度は12校に12人となっていて、少しずつ増加しています。平成30年度に、医療的ケアを必要とする児童・生徒が在籍する小・中学校12校のうち、3校で看護師を学校看護師として配置して、医療的ケアを行っています。学校看護師が配置されていない学校では、主に保護者が医療的ケアを行っているといった現状です。また、県立
特別支援学校の8校においては、今年度、医療的ケアの必要な幼児・児童・生徒数は、73人です。ここ数年、人数的には横ばいの状況となっています。そのうち、自宅への訪問教育対象の児童・生徒や、入院している児童・生徒34人を除いた39人について、14人の学校看護師を配置して、医療的ケアを行っています。
なお、公立
高等学校については、今年度、学校生活の中で医療的ケアが必要な生徒は在籍していないとのことです。
辻村委員 医療的ケア児は年々ふえているとのことです。また、平成30年度において、12校のうち3校にしか学校看護師がいないとのことで、県内の医療的ケア児の教育現場での受け入れ体制がまだ十分ではなく、家族に大きな負担がかかっているのでないかといった感じがしました。
平成28年度の児童福祉法改正で、医療的ケア児への支援は自治体の努力義務となりました。現在、学校には学校医、いわゆる保健の先生、養護教諭を委託・配置している体制ですが、
教育委員会として、
公立学校における医療的ケアの実施体制を、今後、どのように充実させていくつもりなのか、お伺いします。
工代教育長 実施体制の現状ですが、県立
特別支援学校においては、平成17年に策定した
特別支援学校における医療的ケア実施要綱に基づいて、各校に医療的ケア校内委員会を設置し、対象児童・生徒の実態や施設整備の状況など、各校に応じた医療的ケアの運営方法や実施内容等について、検討、実施、改善を重ねながら、また、対象児童・生徒の増加に合わせて学校看護師の増員をしながら、実施体制の充実を図ってきたという経緯があります。小・中学校においては、増加傾向にある、地域で学ぶ医療的ケアが必要な児童・生徒の学習環境の整備について、学校看護師の配置を含めて、その取り組みが始まったところです。
今後ですが、
県教育委員会としては、先ほど申し上げた、国の最終まとめを受けて、今年度、医療的ケアに精通し、学校の環境等にも理解のある医師を、香川県立
特別支援学校医療的ケア指導医として委嘱し、学校看護師の専門性の維持・向上に関すること等について助言を得るとともに、指導医、関係
特別支援学校長、保護者代表等で組織される香川県
特別支援学校医療的ケア運営協議会を設置して、
特別支援学校において実施される医療的ケアの基本方針や課題等について協議を行うなど、県立
特別支援学校の医療的ケアの実施体制の強化を図ってきたところです。
運営協議会を中心とした新たな体制のもと、県立
特別支援学校でこれまで積み重ねてきた、医療的ケアを必要とする児童・生徒の安心・安全な学校生活づくりをさらに充実させ、そのノウハウや看護師配置に関する国の制度、担当者の専門性の向上に関する情報を、今後、
県教育委員会から
市町教育委員会へ情報提供するとともに、
特別支援学校のセンター的機能の一つである教育相談についても、直接、小・中学校等にしっかり伝えていきたいと考えています。
また、医療的ケアのある幼児、児童・生徒への生活全般にわたる切れ目のない支援体制の構築のために、県の障害福祉課が中心となって運営している香川県自立支援協議会医療的ケア部会に、引き続き、
県教育委員会として参画して、保健、医療、障害福祉、保育等の各分野における取り組み状況や課題を共有して、連携の一層の促進を、今後、図っていきたいと考えています。
辻村委員 医療的ケア指導医の設置や、医療的ケアのある児童等がいる
特別支援学校に学校看護師をふやしていき、拡充させていくということで、すばらしいことだと思いますが、現状、看護師が不足しているわけですが、それでは実際にそういった看護師不足に対応できるのか、また、先ほど国の制度といった話がありましたが、予算的な面ではどのような課題があり、どのように取り組むつもりなのか、教育長にお伺いします。
工代教育長 今、市町の
教育委員会において、これは大きな問題になっています。市町の教育長とお話しする機会がありますが、委員のおっしゃられたように、学校看護師と言っても、適当な方を配置するのもなかなか難しい状況ですので、そのあたりの情報共有などについて、
県教育委員会も支援していきたいと思いますし、基本的に市町で学校看護師をお雇いになるときには市町の負担とのことですが、そのあたりについても国等へ要望していきたいと考えています。
辻村委員 医療的ケアは、
子供たちの安心・安全な学校生活のために、すばらしいことだとは思いますが、その負担を市町に押しつけるとなかなか厳しいのではないかといった気もします。できるだけ国に要望するなり、県でも独自に少しでも支援できるのかどうか御検討いただいて、
子供たちが漏れなく安心・安全に学校生活を確実に行えるような実施体制の整備について、市町と力を合わせて取り組んでいただくよう要望して、この質問を終わります。
第2点目は、善通寺養護学校の給食についてです。
6月定例会に引き続いてですが、善通寺養護学校の給食について、前回の答弁で、児童・生徒と教員分の普通食の150食については、善通寺市、琴平町、多度津町が合同でこの夏から運営を開始した学校給食センターにお願いし、また、障害に応じた形態の特別食の20食程度は、四国こどもとおとなの医療センターがアウトソーシングしている民間の給食業者にお願いする方向で、
工代教育長を初め、井元次長や廣瀬課長もはせ参じて、交渉していただいたように聞いています。
その交渉の後、普通食や特別食のそれぞれについて、どのように進捗しているのか、お伺いします。
工代教育長 委員がおっしゃられたように、善通寺養護学校の給食については、特別食が20食から25食程度必要になり、普通食が150食から175食程度必要になります。普通食は、この夏に開設された、善通寺市・琴平町・多度津町学校給食センターにお願いできないかということで、善通寺市を初めいろいろと今までにお話を申し上げてきたところです。この給食センターでは特別食は無理だとのことでしたので、特別食は、四国こどもとおとなの医療センターが入院患者の給食をつくっていますので、善通寺養護学校の分も加えてつくっていただけないか、お願いしたところでして、私も医療センターの院長にもお会いしてお願いしたところです。
今の進捗状況ですが、医療センターのほうは、院長から、一義的には県と業者でお話し合いくださいということでしたので、医療センターが委託している業者ともお話ししていますが、医療センターは、ちょうど来年度にかけて、給食の委託業者が変更になる時期を迎えているということで、業者としては、来年度以降も継続して受託できるかどうか、まだ決まっていない段階で、県と具体的な話をするのは少し待ってほしいとのことでしたので、この年末にかけて、どこの業者になるかが決定してから、具体的な話をしたいと考えています。
一方、善通寺市・琴平町・多度津町学校給食センターにおいては、各学校に給食を配送する食缶等を全部一律に並べて、一斉に御飯、みそ汁といったように入れて、食缶を積み込んだコンテナをトラックに積載して、同時に出発するという、一番効率的なやり方をとっていますが、今、その施設に、善通寺養護学校のクラス分の食缶を入れるコンテナを置くスペースが不足しています。もし、その状況でするとなると、クラスごとの食缶ではなく、もっと大きな食缶に給食を入れて配送しなければならなくなり、そうすると善通寺養護学校のほうで食缶をクラスごとに分ける場所や施設が必要となるので、そういった課題も含めて、今、検討しているところです。
辻村委員 今、おっしゃったとおりでして、配膳室が要るわけで、これには多額の費用がかかります。
先ほども言われましたが、特別食については、四国こどもとおとなの医療センターがアウトソーシングしている給食の会社がいつ決まるのかわからないわけです。でも、特別食を受注できるようになってから普通食のほうを頼んだのでは間に合いません。来年度の当初予算に事業費をつけるのであれば、タイムリミットが迫っています。私は、そんなことはとんでもないと言われましたが、普通食だけでも、とりあえず来年度の当初、もしくは2学期ぐらいからスタートするつもりで予算組みをしていただきたいと考えます。
また、特別食についても、医療センターだけにこだわるのではなく、どこが受注できるのかは分かりませんが、引き続き、受注できる可能性があるところに当たって、普通食と同時にスタートができるように努力はしてもらいたいと思いますが、少なくとも、予算さえつければ可能性がある普通食のほうをスタートするような準備をしてほしいのです。
クラス別の食缶にする必要があるなどと言っていましたが、超少人数学級ですから、そのような心配をしなくてもいいと思います。そのあたり、教育長には柔軟な体制で臨んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いします。
工代教育長 今まで申し上げたように、普通食は給食センターに、特別食は医療センターに、それぞれお願いしていますが、もう少し時間がかかるということで、第3の道がないかといったことについても、今、調べたり探したりしているところです。
いずれにしても、最初にも申し上げましたが、設立当初の善通寺養護学校は、病棟生だけでしたから、学校で給食を実施することを考えていなかったという経緯がありますが、今では、自宅からの通学生が全体の80%に達している段階で、学校として給食を実施すべきと考えていて、できるだけ早く給食を実施したいということで頑張っていきたいと思います。
委員のおっしゃる普通食のみを先行することは、実質的にはできますが、学校としては、特別食を含めて、
子供たちに対して同時に実施したいという気持ちを持っていますので、そのあたりを御理解いただきたいと思います。
辻村委員 公立の小学校で給食がないのは、中四国では善通寺養護学校だけとも聞いています。そういった中で、善通寺養護学校は、他の
特別支援学校に比べても、重度心身障害のある子供が多いとのことで、負担がかかっている御父兄や子供のために、11月定例会では前向きな答弁をいただくことを要望して、この質問は終わります。
第3点目は、不
登校児童・生徒の状況についてです。
これも、6月定例会に引き続いてお伺いします。6月定例会の委員会の答弁では、不
登校児童・生徒の状況は、平成24年から平成29年の調査ではほぼ横ばいで、小学校がやや増加傾向であり、県下17カ所の
適応指導教室や
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置等により、全国平均よりも抑えられているとのことでした。本年度も、全国的に、また、県でも不登校生徒について調査をしたようですが、その結果がわかるのであれば教えていただきたいと思います。
小柳
義務教育課長 毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によりますと、本県においては、先ほど委員から発言がありましたとおり、平成24年度からはほぼ横ばいで推移していましたが、平成29年度は小学校で増加傾向となりました。そして、最新の調査結果である、平成30年度は、国においては未公表ですが、本県においては、小・中学校ともに前年度より増加傾向にあるという憂慮すべき状況です。
辻村委員 小・中学校とも増加傾向とのことです。それでは、
教育委員会は、不
登校児童・生徒対策について、どのように考えて、実行しているのか、お伺いします。
また、以前、私は、
適応指導教室に通っているはずの生徒が、実際には適応教室に通わずに喫茶店でアルバイトをしていて、その生徒が学校に来るなと先生に言われたと、お母さんが泣いて訴えられたといった事案に遭遇したこともあります。
適応指導教室の実態と成果について、どのように分析しているのかについても、あわせて、お伺いします。
小柳
義務教育課長 各学校においては、不登校の要因となる学業の不振を招かないためのわかる授業を推進したり、欠席日数が多くなるほど再登校が難しくなる傾向がありますので、例えば、病気以外で1日休めば電話連絡、2日休めば家庭訪問、3日休めばチーム対応といった対応をしているところです。また、先ほどもお話がありましたが、
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用して、相談体制の充実に尽力している次第です。
また、
適応指導教室については、県内の16市町に17カ所設置されていて、そちらで相談・指導を受けている児童・生徒は、年々増加しています。県内で約50人の小学生と、160人の中学生の合計210人程度が通っています。平成25年度には150人程度でしたから、ふえている状況です。
適応指導教室では、個人に応じた個別の活動の場が提供されていて、集団活動や体験活動も重視されています。また、保護者との連携として、教育相談や保護者懇談会、カウンセラーを招いた親の会等を実施しているところもあります。
辻村委員 そういった活動をしながら、かつ、子供は減っているのに、不登校の子供や
適応指導教室に通う子供の数はふえています。その原因はどこにあると考えているのですか。また、
適応指導教室に通っても、もとの学校生活に戻れるようになっているのかどうか、そのあたりについても、再度お伺いします。
小柳
義務教育課長 不登校の原因ですが、単純明快にこういった理由でと説明できない子供が多くいます。また、不登校を取り巻く家庭環境などもいろいろとありますが、どの児童・生徒にも起こり得るものとして捉えて、不登校というだけで問題行動であると受け取らないように配慮することも基本的な考え方としています。ただ一方では、不登校の未然防止や早期対応などの取り組みの強化が重要だと考えています。
適応指導教室で一定期間過ごした子供については、何人かは学校に復帰できる子供もいますし、
適応指導教室から高校に進学する子供も最近は多くなっています。
辻村委員 小・中学校で一度不登校になると難しい問題になると、今、お伺いしました。もう少し研究して、11月定例会でお伺いします。
続いて、高校における不登校の状況についても、どうなっているのか、お伺いします。
通信制の高校の
次期計画がありましたが、通信制の
県立高校の生徒は減っているというお話がありました。現実的には私学や広域の通信制を入れると、通信制の子供は急増しているとお伺いしていますが、そのあたりの高校の実態について、お伺いします。
金子
高校教育課長 まず、平成29年度の不登校の生徒数は211人になっています。その前の平成28年度が176人でしたので、高校では若干ふえている状況です。と申しましても、多いときには240人近くの生徒が不登校であった時期もあります。ここ最近は少し減っていましたが、それがまた、若干ふえつつある状況です。
もう一点、通信制へ進学する生徒数についてです。この春に県内の中学校を卒業して、通信制に進学した生徒の数は198人です。このうち、県内は127人、県外は71人となっています。通信制へ進学する生徒数は、ここ三年は200人前後で推移していますが、これも平成25年が115人、平成26年が151人であったものから比べると、少しふえている状況です。また、県外と県内を比べると、県外が少しふえている状況です。
辻村委員 通信制は、ある意味バーチャルな教育であり、因果関係はわかりませんが、不登校の生徒の中には学校生活から離れた
高校教育を望む人がふえているとのことです。個人的には、社会に出るとそういった仕事もありますが、ほとんどの仕事で人間関係が切っても切れないわけであり、社会に出るまでずっと人と接することなく、集団生活の基礎を学ばないで社会に出ていくことは、難しいのでないかと考えます。一昔前は、
県立高校に受からなかったら、私立学校が受け皿になっていたのですが、最近は、私立学校が厳しくなって、余り一生懸命やらない子は行くところがなくなっていて、そういった子が通信制教育を必要としているといった事例も多いように聞いています。
そういった実態がある中で、今回の
次期計画では、県立の通信制高校は人数が減っているので、通信制高校の需要はないというようなことを書いていましたが、子供を実社会に出て対応できる人間にするための受け皿としての施設が必要ではないかと思います。それについての御所見をお伺いします。
金子
高校教育課長 まず、県内の県立通信制高校の状況について申し上げます。先ほど、県内の生徒が若干減っていると申し上げました。県内には、高松高校と丸亀高校に通信制課程があります。委員御指摘のように、確かに、通信制ですので日常的には家庭でレポートを仕上げて、添削指導してもらうのが基本ですが、週に1度は学校に登校する、いわゆる、スクーリングがあります。スクーリングは、大体毎週日曜日にありますが、ほぼ毎週生徒が登校してきて、同級生と一緒に机に座って授業を受けます。また、学校行事として、1年間の中で、例えば、体育祭、文化祭、修学旅行などのような全日制高校でもやっている学校行事の中で、他の生徒と一緒に、共同で学ぶ活動も取り入れていますので、一定の集団生活は経験できるのではないかと思っています。
もう一点、先ほど言われていたのは、いわゆるチャレンジスクールなどの学校のことではないかと思いますが、小・中学校のときに学校になじめずに不登校であった生徒や、あるいは、これも不登校にかかわるものですが、高校を中途退学した生徒の受け皿的な立場としてつくられている学校が東京都に5校あります。これがチャレンジスクールと言われるものですが、これについては定時制課程の高校ですが、本県にあるような夜の課程だけの定時制ではなく、朝昼晩のそれぞれの時間帯に授業が受けられるというものです。本県においては、このチャレンジスクールのような学校が今のところありません。ですが、先ほど申し上げたように、本県の
県立高校における通信制や定時制の課程においては、不登校生徒に対する学び直しの場としての位置づけもあります。先ほど、
次期計画の素案の説明をしましたが、その16ページに、定時制・通信制課程についても記載しています。その中にも、定時制・通信制課程は、「生徒の学び直しの場」であるといったことも書いていますし、少し踏み込んだ形ではありますが、今後は、定時制や通信制の課程の単独校や独立校のあり方などについても検討してみたいと考えています。
辻村委員 チャレンジスクールの話を聞こうと思ったのですが、先に答弁されてしまいました。東京都では、不登校の生徒を受け入れるチャレンジスクール以外にも、小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育てて社会生活を送る上で基本的な学力を身につけさせるエンカレッジスクールといった制度もあります。
また、ひきこもりや、物理的に通学が困難な人のための、ネットを使った教育を行うトライネットスクールなどもあり、多様な学校教育制度を東京都ではつくっています。大阪や神奈川でも、クリエイティブスクールという名称で、社会に出る人材を育てています。先ほど、高松や丸亀の通信制でもきちんと1週間に一回は登校しているとの説明がありましたが、1週間に一回程度登校しても無理だと思いませんか。私も近年まで認識不足でして、定時制の受験生はみんな合格していると思っていましたが、半分ぐらいしか合格できていません。残りの半分の人は行くところがありません。高校の資格を取るためには通信制に行くしか香川県では選択肢がなく、復活の場が香川県にはありません。だからこそ、東京のチャレンジスクール、エンカレッジスクール、トライネットスクール、また、大阪や神奈川のクリエイティブスクールのようなものを
県立高校の
次期計画の中に含めてもらいたいのです。
次期計画では、通信制や定時制の部分が物すごく短いです。その人たちに対して物すごく冷たい計画だと思います。その人たちも社会に出ていきます。その人たちに手を差し伸べないと、余り好ましくない人生をたどる可能性が高いです。そういったところにも配慮した
次期計画にしてもらいたいと考えます。一人でも多くの子供に復活のチャンスを与えてあげて、社会に貢献できる人材になるような、香川版チャレンジスクールをつくるなどといったことも盛り込んでいただきたいと思いますが、教育長の御所見をお伺いします。
工代教育長 小・中・高を通じた学校教育で、香川県の力になる人材を育成するということですから、どの段階でどういった手立てでやっていくのかといったことを考える必要があると思います。
確かに委員のおっしゃるとおり、東京のチャレンジスクールにしても、ある意味、定時制の変形型なので、本県の定時制の位置づけなどをどうしていくかについて考えることが大きな課題であると考えています。それも含めて、総合的に考えていきたいと思っています。
辻村委員 総合的に考えるのではなく、「
県立高校の在り方を示す
次期計画」に含めていただきたいと考えます。再度、教育長の御答弁をお願いします。
工代教育長 それも含めて、成案になるまでに考えていきたいと思います。
山本(直)委員 今まで、いろいろとお話をお聞きしていたのですが、佐伯委員が、先生の仕事が忙しく、事務処理が多いなどといった話もしていました。
答弁の中でも、いろいろな
アンケート調査を毎年しているとか、それから先ほど
義務教育課長からも、毎年ずっと調査をしているという話を聞きましたが、そういった調査についても、悉皆調査の必要があるものとないものとがあると思います。そのあたりについて教えてください。
工代教育長 調査はいろいろとありますが、私が申し上げた、「全国学力・学習状況調査」の中で行われている
アンケートは、
子供たち全員が回答しています。
山本(直)委員 100%そうなのですか。
工代教育長 そうです。
山本(直)委員 分かりました。それで、1点お伺いします。新聞などでもよく言われていますが、校舎がかなり古くなっています。
高等学校は県立ですから県で対応しています。小学校や中学校は市町立ですから市町が対応しないといけないのですが、なかなか進みません。
それから、市町の小学校や中学校に、1人に1台パソコンを配置しようとしていますが、なかなか進んでいないとのことです。国は「児童・生徒3人に対して1台」といった話をしていて、少なくともそれに合わせる形でやろうとするのですが、市町では、今の厳しい財政状況の中でなかなか配置が難しいとのことです。例えば、水道については、全県で一元化して、全部企業団で対応するなどといった話があり、市や町だけで対応していたらなかなか厳しいと思います。先ほどお聞きしたら、今のところ、県による補助制度はないとのことです。しかし、今のままではなかなか配置が厳しいのであれば、県が手を差し伸べるやり方もあるのではないでしょうか。県にはいろいろな単県事業があると思います。そういった単県事業の中に、この補助を組み込む必要もあるのではないかといった気がしますが、どう思いますか。
工代教育長 委員御指摘のとおり、公立の小・中学校は市町立ですから、設置者は市町ということです。小・中学校の施設整備については、市町に対する交付税措置と交付金、補助事業があり、これらを合わせると市町の実質的な負担は15%から30%ぐらいになるとのことです。また、このごろは、ICT教育機器を整備しなければなかなか教育もできないようになっていますが、ICT教育機器の整備についても、国が「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」を策定していて、1805億円の地方交付税が措置されているところです。このように、一義的には市町が交付税や交付金を使って、市町が自分たちの学校をつくっていくことになります。県としては、市町の教育が効率的に回るように、モデル校等でのいろいろな実証結果を市町に流したり、教育センターでいろいろな研修をしたりして、教師の資質向上や学校運営の効率化を図るための支援をしていきたいと考えています。
山本(直)委員 いろいろとお聞きしました。今のところは単独県費での補助などは考えていないとのことです。ただ、全国的にどうなのかと思います。全国のどこでもしていないというのか。そのあたりで、何かしようとしていることはあるのですか。
工代教育長 施設整備については、全国の都道府県で、東京都が一部補助をしているようですが、私どもが把握している限りでは、ほかの道府県ではしていないとのことです。ICTや情報化については、調べられていません。
山本(直)委員 東京都は区なので少し特殊です。東京都と一緒にはできないと思いますが、将来的なことを考えると、県から市町への補助についても、そろそろ考えてもらわないといけない時期かといった気がしています。
もう一つ、
県立高校の在り方を示す
次期計画について、1点だけ、お伺いします。
普通科の場合は、別の学区からの受け入れ枠を5%設けるということで、それから、県外からの生徒募集も進めたいとのことです。別の学区からの受け入れ枠の5%については、「準備が整った高校から受け入れを開始する」とありますが、いつごろから始めようと考えているのですか。
工代教育長 令和3年度からの計画ですから、令和3年度の高校入学者選抜から、準備が整えれば、やれるところはやるといったことになると思います。
山本(直)委員 昔、高校の小学区制のときにも5%枠といったものがあったような気がします。昭和38年以前のことです。ですが、そのときは、例えば、丸亀の高校には、丸亀と多度津の子しか行けないという制度だからというので、特別に5%枠をつくったということでした。それを、大学区制にしたら必要ないだろうということで、二学区制で今まで来たのです。それを今ごろになって、県外の生徒を呼ばないといけないので、そのためには香川県の中の流動性もなかったらいけないなどといった話ですが、私は違うような気がします。
それで、5%枠にしたらどうなるかということです。もしかしたらある高校の優秀な生徒の5%の子が全部、特定の高校に行くこともあり得ます。そうしたら、今でも偏差値で輪切りにされているのが、これからどうなるのかと危惧しています。今、問題になっている東讃の学校の問題についても、東讃の子が高松の公立へどんどん行っているから、高松の子が高松の
公立学校に行けないから東讃の学校に行っているということです。計算したら大体そういった感じです。学校の全部に特殊性や個性を持たそうというのですが、なかなか今の、偏差値で輪切りにされた状況の中で、個性を持たせてというのは難しいと思います。それから、5%枠といいますが、計画の素案を見ると、「他学区からの志願状況や他の高校への影響等も検証した上で、受け入れ枠の拡大も検討する」とあり、この時点で、5%からの受け入れ枠の拡大を考えているようです。これはどういうことなのかと思います。まだやる前から、その次のことも考えているのは、少し見え過ぎでないかと思いますが、どうですか。
工代教育長 計画の素案の中で、弾力的な運用を書き込んでいるのは、ここにも書いているように、「
県立高校全体で多様な学びの場を提供し、生徒がみずからの興味関心に基づき高校を選択できる体制を整える」ということです。その中で、それぞれの高校が特色ある魅力的な
高校づくりをするということで、他学区からの受け入れ枠を設けることによって、そこに魅力ある
高校づくりを促進するインセンティブが多少なりとも働くのではないかということです。ですので、現段階においては5%でやってみようということであり、「受け入れ枠の拡大も検討する」といったところまで書き込んではいますが、すぐに持っていくということではありません。その5%の枠を設けて、
生徒たちがどういった高校を望んで、どのように移動できているのかをきちんと見きわめた上で、もし、Aという校区からBという校区へ移るのであれば、Aというほうの高校の
魅力づくりをもっと増さなければいけないと、そういった検証もやっていきたいと考えています。
山本(直)委員 いろいろとすばらしい説明を聞きますが、実際にはなかなか難しいと思います。というのは、今や学習塾などは、どこの高校に何人入ったなどといったものを大きく貼り出して、頑張ってやっているようです。あれを見たら、私たちみんなが、この地区ではこの高校が一番いいといったことがすぐにわかります。いろいろな特色を持たせて、そこがすばらしいからその高校へ行くのではなく、まずは、偏差値で輪切りにされているという現実があると思います。だから、いろいろと考えるのはわかりますが、よほど頑張ってやらないとなかなか難しいと思います。
それで、もちろん
教育委員会なので公立だけではありますが、今、
高校教育課長もチャレンジ学校の話をされていましたが、実際子供にしてみれば、公立も私立も一緒であり、同じ教育を受けないといけないので、私立のことは知りませんということではいけません。例えば、丸亀にある村上学園は何になるのですか。
金子
高校教育課長 村上学園は通信制課程です。
山本(直)委員 村上学園は、全日制のように普通にやっています。また、私は丸亀高校の定時制の生徒をたくさん見てきましたが、かなりの先生は全日制との兼務になるのですか。全日制に教えに行っているが、定時制も見ているといった先生がかなりいるような気がします。そういった意味では、その先生に物すごく負担がかかっている気がしています。学校の先生は確かに一生懸命やっていて、大変でしょうから、もっと楽にしてあげたいのです。そのあたりも含めて、これからもっと子供の教育に特化できるように頑張ってやっていっていただきたいと思います。答弁は要りません。質問を終わります。
森委員長 以上で、
教育委員会関係の質疑、質問を終局いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
森委員長 御異議なしと認め、
教育委員会関係の質疑、質問を終局いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
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