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令和元年6月定例会(第4日) 本文

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  1. 香川県議会 2019-06-04
    令和元年6月定例会(第4日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    大  山  一  郎 君    西  川  昭  吾 君    松  岡  里  佳 君    鏡  原  慎一郎  君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    山  本  悟  史 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    三  野  康  祐 君    森     裕  行 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君
       都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    な        し    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   太  田  吉  夫 君           審  議  監   安  松  延  朗 君           政 策 部 長   大  山     智 君           総 務 部 長   東  田  晃  拓 君           環境森林部長    木  村  士  郎 君           健康福祉部長    安  藤  照  文 君           商工労働部長    浅  野  浩  司 君           交流推進部長    新  池  伸  司 君           農政水産部長    国  分  伸  二 君           土 木 部 長   片  山  秀  樹 君           知事公室長     淀  谷  圭三郎  君           危機管理総局長   土  岐  敦  史 君           文化芸術局長    佐  藤  今日子  君           子ども政策推進局長 小  川  秀  樹 君           会計管理者     宮  武  卓  朗 君           病 院 局 長   岡  内  浩  二 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     岡  部  正  勝 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監 査 委 員   亀  井  孝  行 君           事 務 局 長           人事委員会委員   平  尾  敏  彦 君           人事委員会     岡  田  総  一 君           事 務 局 長           労働委員会     山  本  浩  司 君           事 務 局 長           政策部次長     椋  田  那津希  君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第四号)                   令和元年七月一日(月)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(大山一郎君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  岡野朱里子さん。    (岡野朱里子君登壇、拍手) ◯岡野朱里子君 さて、一般質問に入ります前に、新たな任期をいただきましたことを県民の皆様に心から感謝を申し上げます。  東京大学の入学式での上野千鶴子さんの祝辞が話題になりました。これまでの結果は、「あなたたちの努力の成果ではなく、頑張ったら報われる環境のおかげだった」とおっしゃいました。裏返すと、頑張ったら報われる環境のない方々が、諦める方々がたくさんいらっしゃるということです。だからこそ、私は、頑張る意欲をつくり出せる社会を引き続きつくっていきたいと思います。  また、「女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムは決して女も男のように振る舞いたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。」とおっしゃいました。私は、引き続き弱い立場に置かれがちな方々の課題にともに向き合い、誰ひとりも取り残さない社会の実現のため、努力を続けていきたいと思います。  それでは、一般質問に入らせていただきます。  まず最初に、不妊治療における治療と仕事の両立についてお伺いをいたします。  今回、この質問原稿を書いているタイミングで、厚生労働省が本年度中に不妊治療と仕事の両立支援のために企業向けのマニュアル策定を行うとの報道がありました。  厚生労働省マニュアル策定に至った経緯には、平成二十九年に行った不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合調査がございました。この調査は、女性の活躍推進企業データベースでデータを公表している七千九百九社のうち、従業員が十人以上の四千社を対象にアンケート調査ヒアリング調査を行うと同時に、約二千人の男女労働者にアンケート調査をしたもので、その結果、全体の九%の企業においてのみ、「不妊治療中の従業員に対する支援制度がある」と回答があった一方で、両立が困難なため退職をした人が約一六%、また、治療を諦めた人が約一一%に上りました。女性活躍推進企業としてデータを公表している企業であってもこの結果ですので、それ以外の企業についてはもっと厳しい数字が出るかもしれません。  また、同年に不妊治療を受ける方を支援するNPO法人Fineが行った調査でも、不妊治療を受けたうち、九五%以上の方が「両立は困難」と回答し、そのうち四割の方が「働き方を変えざるを得なかった」上に、さらにその四割のうちの半数が「退職をした」と回答しました。また、同じ時期に株式会社F Treatmentが運営する「不妊治療net」が行った不妊治療と仕事についての実態調査では、不妊治療を経て妊娠した人の五二%が、治療に際して退職・転職・休職をするなど、働き方を変えたという結果が出ています。妊娠しなかった人のうち、働き方を変えていたのは三二%にとどまっていることと比べると、不妊治療を成功させるためには、現在の働き方を変える必要性があるようにも思われます。  これらの調査で、どのような支援策を企業に求めるかという設問に対する回答は、ほぼ同様で、一、不妊治療のための休暇制度、二、不妊治療のための休業制度、三、再雇用制度、四、不妊治療に係る費用等を助成する制度の導入などでした。  このような不妊治療経験者の方の声や厚生労働省の動きなどを背景に、先進自治体においては、不妊治療と仕事の両立支援に対し、積極的な施策が始まっています。一般的には、企業を対象に、不妊治療と仕事の両立支援に関するセミナーや講演会を開くことが多いのですが、さらに踏み込んだ取り組みをしている自治体もあります。例えば、三重県津市では、平成二十七年度から不妊治療休暇奨励金制度を導入し、市内で不妊治療を行うための入院や通院を目的とした休暇制度を就業規則等で定めて、労働基準監督署に届け出を行った中小企業などにおいて、従業員が不妊治療休暇制度を利用して休暇を取得した場合、対象事業者に一人当たり二十万円の奨励金を支給しています。この三年間で約百社が制度を新設し、そのうち五社で休暇取得の実績がございます。  また、東京都は、昨年度から不妊治療と仕事の両立可能な社会の実現に向けて、働く人のチャイルドプランサポート事業を開始しました。事業内容の一つに、不妊治療と仕事の両立支援をする企業に対し、最大四十万円の奨励金の支給がございます。  さて、御承知のように、不妊治療を行うカップルの数は著しく増加傾向にあり、二〇一五年調査によると、五・五組に一組が治療を行っていて、同年に生まれた赤ちゃんのうち五・一%、五万一千一人が不妊治療により誕生しています。  私は、少子化対策として子供を産んでほしいとは思わない立場ですが、それでも子供を産み育てたいと思う方々の選択をしっかりサポートしていく体制整備は必要だと考えます。また、実際に会社の退職を余儀なくされたり、望まないけれどパートタイムへと働き方を変えなければならなかったという方々のお声を聞きました。一方で、高額の治療費を払うために、心身ともに苦しいけれど、働かなければいけないんだというお声もお聞きします。  県では、独自の助成金などを通じ、不妊症に対する支援の枠を広げていっていただいているところではありますが、これからは県内企業の皆様にも、ともに不妊に苦しむ方々の、そして不妊治療をしながら働く女性、男性への応援隊になっていただく必要があると考えます。また、不妊治療をしている方々は、主に三十代から四十代前半の働き盛りであり、貴重な戦力を離職に追い込まない仕組みは、企業にとっても有益だとも考えます。厚生労働省が企業に対し両立支援マニュアルを策定するというこのタイミングは、本県におきましても、両立支援の取り組みを進める好機であると思います。  そこで、お伺いをいたします。  まず最初に、事業主体としての香川県が、率先して不妊治療の休暇制度及び休業制度を導入するお考えについてお聞かせください。  次に、企業が不妊治療と仕事の両立に果たすべき役割についてのお考えと、本県としても、先進自治体のような不妊治療と仕事の両立支援に積極的に取り組む企業の表彰制度や奨励金制度の創設について知事のお考えをお示しください。  続きまして、DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者への支援についてお伺いをいたします。  県子ども女性相談センターの発表によると、二〇一八年度に配偶者からのDVの相談件数は七百八十八件、前年比二二・四%増で過去最多になりました。高齢者からの相談は九十一件で増加傾向にあり、前年比一七六%増となっています。全体の相談内容は、身体的暴力が約五〇%、精神的暴力が約四〇%、性的暴力が約二%。同センターで一時保護されたのは、前年比七人増の四十八人に上り、うち子供連れが二十六ケースありました。  平成二十八年度の全国調査「配偶者間における犯罪被害の性別割合」によると、総数六千八百四十九件のうち、暴行が四千三十二件で女性の被害割合が九一%、障害は二千六百五十九件で女性の被害割合が九三・五%であるにもかかわらず、殺人となると百五十八件のうち、女性が加害者となるケースが五五%と被害と加害が逆転します。この数字から、ぎりぎりまで我慢して、我慢して、どうにもならなくなり、重大犯罪に至ってしまう家庭内の様子が想像できる気がします。  また、香川県から目黒区に転居した結愛ちゃんの事件、沖縄県から千葉県に転居した心愛ちゃんの事件など、重大虐待事件が発生した家庭内には、父親や内縁の夫から母親への精神的暴力、身体的暴力があり、そのことにより無気力化、無抵抗化した母親が、子供に対する父親の支配の暴走をとめることができなかったという背景が明らかになっています。  また、多くの場合、お金を渡さないなどの経済的暴力や社会との接点を切られる社会的暴力もともにあることをつけ加えます。  冒頭申し上げましたが、昨年度、本県でセンターが保護した方は四十八人。一方で、相談件数は七百八十八件に上り、もしかしたらこの四十八人以外にも、本来は逃げるべきケースもたくさんあるのかもしれないと推察できます。長い年月をかけて、自分の自尊心や生きる力をそぎ取られてきたDV被害者に、その人らしく人生を歩んでもらうため、また、暴行や殺人、または虐待死など悲しい事件を発生させないためには、私たち行政には、相談に乗ったり逃がすだけではなく、これらの思い込みや不安を払拭し、自尊心や生きる力を取り戻してもらう丁寧な作業が求められています。  具体的には、平成二十八年に策定された第三次香川県配偶者暴力防止及び被害者支援計画の五つある基本方針の中でも、特に三番の「安心・安全な保護を受けられる体制づくり」、四番の「被害者の自立を支える体制づくり」、五番、「被害を繰り返さない仕組みづくり」は、まだまだ改善の余地があるし、着手できていないものすらございます。  政府は五月三十一日、DV被害に対応するため、先進的な取り組みを行う民間シェルターへの財政的支援を発表しました。検討委員会の報告書では、DV被害者支援において、民間シェルターは地域社会における不可欠な資源であり、SDGs(持続可能な開発目標)の「誰一人も取り残さない社会」の実現とジェンダー平等と女性のエンパワーメントの観点からも、民間シェルターの果たす役割は大きいと評価をしています。  一方で、課題として、財政の脆弱さや、人材不足、高齢化、専門性、地域偏在、加えて行政機関との連携不足などが挙げられており、これらの課題に対する支援を国が行政と一緒に進める必要があるという報告書になっています。  民間シェルターが必要な背景には、公的一時保護所が満員だからという理由より、むしろ公的一時保護所には行きたくないという声があります。なぜなら、公的一時保護所は規制が多く、携帯が持てないとか、仕事などでも外出ができないとか、また、入居者と自由に会話ができないなどの理由と、連れて逃げる子供の年齢によっては母子分離が必要になるなど、精神的に不安定な中でさらに孤立化を高める可能性があるということです。  さて、ことしに入り、本県におきましても新たな民間シェルターが有志の方々の思いによって始動しました。私も応援している一人ですが、既に警察や児童相談所からの連絡により入所したケースもあると聞いています。平成二十七年度の全国調査によると、二十二都道府県において、民間シェルターに対して、家賃補助のほか運営補助として、委託費、研修費などに対する支援を行っています。平成三十年の調査でも同様の結果が出ています。  残念ながら、香川県では、これまで民間シェルターに対する財政的支援の実績はありません。部屋を借り、最低限の電気製品や生活用品をそろえ、送迎をし、食事を用意し、自立に向けた支援をする。それら全てを寄附とみずからの持ち出しで行っていらっしゃいます。本当に頭が下がります。  冒頭にるる述べましたDV対策は、本県の抱える喫緊の課題であること、また、民間シェルターに対するニーズが高まっていて、本県からも保護の依頼をしている現状、政府の方針決定などを受けると、本県におきましても民間シェルターに対する何らかの財政的支援とともに、連携強化が必要だと考えます。  知事のDV対策、そして民間シェルターに対する御認識と、民間シェルターへの財政的支援と連携強化に対するお考えをお伺いいたします。  また、先ほども申し上げました計画の基本方針三の安全な保護のため、逃げるための交通費の支給を御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。中には小さな子供や身の回りのものを抱え、お金もなく、公共交通の利用ができない人がいることを私も承知していますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  最後に、計画の基本方針四、被害者の自立、五、被害を繰り返さない仕組みづくりには、被害者・加害者への効果的な精神的支援プログラムが必要不可欠です。早急に充実されることを求めます。知事の御所見をお聞かせください。  続きまして、児童虐待防止法等の改正についてお伺いをいたします。  今国会において、全会一致で児童虐待防止法等の改正が成立をしました。この改正に向けての動きは、ふえ続ける児童虐待の中で起こった本県から目黒区に転居した結愛ちゃんが虐待死した事件が一つの契機になっていて、当事者県である私たちは、改正内容をしっかりと落とし込み、着実に施策推進をしなければいけません。  来年四月一日から施行される改正法において、主には、しつけという名の体罰の禁止、児童相談所の機能強化のための医師や弁護士の配置及び児童福祉司等専門職の増員、転居時の引き継ぎの徹底、個人情報の保護の徹底等が盛り込まれました。そして、SNSでの相談体制づくりや、一時保護の受け皿の増設や中核市や特別区での児童相談所の設置など、異例の二十四項目もの附帯決議がつけられました。  改正法の中で、私が改めて本県において検討を重ねる必要があると考えるのは、一、児童相談所職員の適正配置、専門性の向上及びそのための人事の配慮、二、虐待をした保護者への再発防止プログラム実施の努力義務、三、子供の意見が尊重される仕組みを施行後二年をめどに検討という部分です。  先日、結愛ちゃんの主治医であった四国こどもとおとなの医療センターの木下医師にお話を聞きにお伺いをいたしました。年間三百ケース近い虐待案件に対応しているそうです。だからこそ、結愛ちゃんの体のあざやお母さんの心理状況に敏感になり、常に児童相談所に警鐘を鳴らしてくださっていました。また、目黒区に転居する前、一時的に加害者の夫と距離を置いたことで、お母さんも結愛ちゃんも少しふっくらし、声も大きくなり、心も安定しているように見えただけに、虐待ケースとして引き継がれた目黒区が、その重篤さを見落とすかもしれないという危機感から、直接目黒区にもコンタクトをとってくださった。それでも命は救われませんでした。  この教訓を生かすために、本県では、事件後すぐに転居後の引き継ぎの徹底を図り、この春から弁護士の配置拡充と現役警察官の児相への配置、児童福祉司の大幅増員、さらには支援と介入をする部署の分離などにより、児童相談所の機能強化を図りました。  しかし、木下医師と話す中で、人をふやすことは大前提とし、二年、三年でかわる通常人事と同じように児童相談所の人事を行うと、人の命や人生にかかわる専門家は育ちにくいのだなと納得できました。また、一時保護をしている最中、そして、もし一時保護を解除したとしても、虐待をした親に対し、継続的かかわりを行い、虐待防止プログラムを実施しなければ、虐待は繰り返される実態があること。さらには、結愛ちゃんのケースでも、事件の報告によると結愛ちゃんが家には帰りたくないと言ったとか、一方で帰りたいと言ったとか、相反する言葉が残されています。もちろん、小さな子供だから気持ちが揺れるのは仕方がないのですが、それでも、もっと丁寧に子供が発言する環境に考慮し、一時保護の解除等のタイミングにおいて、子供の意見がさらに尊重される仕組みをつくる必要性も感じています。  そこで、知事に、児童虐待防止法の改正の受けとめと、特に、一、児童相談所職員の適正配置、専門性の向上及びそのための人事の配慮、二、虐待をした保護者への再発防止プログラムの実施、三、子供の意見が尊重される仕組みづくりに対する今後の本県の取り組みに対するお考えをお聞かせください。  最後に、児童虐待などで子供を保護する一時保護のあり方についてお伺いをいたします。  さて、先ほど申し上げました改正法では、附帯決議において、一時保護所等受け皿の整備の必要性が盛り込まれました。また、これまで本会議において議論をされ、今議会の文教厚生委員会におきましても、同会派の山本委員と新田委員より、県内における一時保護所の増設、再整備について質問があり、たびたび検討してまいりたいというやりとりを繰り返してきました。  さて、昨年、厚生労働省は、平成二十八年に出された新しい社会的養育ビジョンの提示を受けて、一時保護は子供の権利擁護が図られ、安全・安心な環境で適切なケアが提供されることが重要であるという前提のもと、現状、一時保護について指摘されている問題の解決に向け、実効ある見直しを進めることを目的とした一時保護ガイドラインを作成しています。その中の「一時保護の環境及び体制整備等」という項目におきまして、一、適切な定員設定、二、委託一時保護の活用、三、ほかの自治体が管轄する一時保護所との連携、四、混合での支援を回避し、全ての子供に適切な支援を行う、五、開放的環境で、子供の安全確保や必要なアセスメントが可能な場合には、子供の地域での生活を可能な限り保障するため、外出や通学について可能な限り認める、六、原籍校への通学が可能となるよう、一時保護の場の地域分散化を進める、七、施設への一時保護委託については、措置により入所している子供と混在しないよう配慮する必要があるため、施設保護定員枠を別で確保するとあります。しかしながら、本県でそのような体制整備状況があるのかというと、疑問を感じざるを得ません。  一時保護には、児相が所有する施設での一時保護と、乳児院や児童養護施設、または里親などに委託する一時保護委託があり、平成三十年度本県で一時保護をした子供は二百五十九人、施設などに一時保護委託をした子供は二百五十一人、合わせて五百十人です。そして、一時保護した子供のうち、一定期間内に再保護をした子供が五十五人、一時保護委託により再保護した子供は五十六人。つまり全体で五百十人中、百一人、実に五人に一人の子供たちが、家庭と施設を行ったり来たりしています。全てが虐待案件ではないにせよ、自分の暮らす場所がたびたび変わる子供の心や生活が安定するとは到底思えません。だからこそ、一時保護施設は、少しでも子供たちが安心できる場所に改善をしていかなければいけません。  また、私は、この間、県が一時保護委託をしている施設を四カ所回りお話を聞きました。どの施設も子供たちのために努力をしてくださっています。しかしながら、一人につき一日二千円にも満たない委託費では、なかなか十分な環境を子供たちに提供するのは困難だと感じておられます。どの施設も人員的にはいっぱいいっぱいの中で運営をしていますから、夕方から急にお願いしますと委託をされた子供のために人を加配することは、人員的にも財政的にも困難な状況のように見受けます。  また、一時保護委託されている子供たちが、自身の在籍する幼稚園や学校に通うか、それとも施設内で一日過ごすかもその施設ごとの対応になっていて、特に決まりはなく、児童相談所が施設の、そして委託中の子供一人一人の状況について把握できていないことも大変不安です。県の一時保護所で保護した場合は、講師が子供たちの勉強を教えるなど、一定の学習権が守られていることから、私は、委託中の子供で学校に行けない子供がいる場合、施設にも講師の派遣なのか、それに見合った人件費支給なのか、どちらかの方法で一時保護中の子供たちの学習権の確保もしていく必要があると考えます。  これまでは、質の改善について述べてきましたが、次は数的・地理的問題について考えたいと思います。  さて、本県には現在定員二十名の一時保護所が高松にあるのみです。昨年度の一時保護所における一日当たりの平均保護人数は十三・五人で、増加の傾向にあると聞いています。また、一時保護所が一カ所のみの県は、本県を入れて十六県しかないとも聞いています。現在も一時保護委託をたくさんお願いしている状況を考えれば、一時保護所の整備は喫緊の課題と改めて感じます。また、本県には、西部子ども相談センターもあり、西部の抱えるケースから乳児院や児童養護施設に一時保護委託されているケースも目立ちます。先ほど触れた善通寺にある四国こどもとおとなの医療センターにおいて、たくさんの虐待ケースを取り扱っていただいており、医療機関との連携強化のためにも、中讃もしくは西讃地域において、自前で建てるのか、それとも既存施設等に常時委託のための整備をするのか、そろそろ最終判断しなければいけない時期であるように考えます。  また、委員会の議論の中で、昨年国から示された児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策において、将来の見込みを踏まえた整備に加え、施設などにおける家庭的養育、里親への委託の推進が求められているという答弁がなされましたが、現実を見てください。里親がふえないことと里親の高齢化は、何年も前からの本県の懸案事項です。里親をふやす努力は必要ですが、一方で毎日十三・五人の子供たちが保護されている。そのこととまずは向き合い、早急な整備が求められております。  そこで、質問をいたします。  一時保護のあり方として、厚生労働省が出した一時保護ガイドラインにのっとるためにも、施設などへ子供たちを一時保護委託する際に、委託費の増額や学習権の確保など、行政が今すぐできることを行うべきだと考えますが、一時保護の役割、ガイドラインの受けとめと現状が必ずしもガイドラインに沿ったものとなっていないという御認識が知事にあるのか、施設などへの委託費の増額等に対する知事の御所見をお聞かせください。  最後に、安定した一時保護所があってこそ、子供たちも親御さんたちも次のステージに進めると考えます。一時保護所の数的・地理的現状について、知事の御認識と中讃・西讃地域への一時保護所の整備について御所見をお聞かせください。  以上で一般質問を終わります。(拍手、降壇)
    ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)岡野議員の御質問にお答えいたします。  まず、不妊治療と仕事の両立についてであります。  県職員の不妊治療への支援につきましては、平成三十年職員の給与等に関する報告と勧告において人事委員会から、国及び他の都道府県の状況を注視しつつ、不妊治療を受けやすい職場環境の醸成等を図っていく必要があるとの報告を受けており、不妊治療のための休暇制度等を含め、職員への支援のあり方について検討してまいります。  また、議員御指摘のとおり、働きながら不妊治療を受ける方が増加傾向にある中、企業が、仕事と不妊治療の両立について職場での理解を深め、従業員が働きやすい環境を整えることは重要であり、有能な人材を失わないという点で、企業にもメリットがあると考えております。  議員御提案の表彰制度については、柔軟な働き方や働きやすい環境整備などに取り組む企業等を表彰するかがわ働き方改革推進大賞を昨年度創設しており、企業の取り組み項目の一つに、「病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立」を掲げ、不妊治療と仕事の両立もこの項目の対象としておりますが、より明確になるよう、具体的に記載したいと考えております。  さらに、企業に対する助成制度については、昨年度から社内労働環境の整備や在宅勤務の導入等の柔軟な働き方を推進する中小企業等のうち、すぐれた取り組みを行うものに対し、その取り組みに要する経費の一部を助成しており、テレワークの導入など、不妊治療を行う従業員が働きやすい環境づくりにも活用できることについて啓発してまいります。  私といたしましては次代を担う子供たちを安心して生み、健やかに育てることができる子育て県かがわの実現を目指す中で、議員御提案の他県等の先進事例の導入効果も調査するとともに、企業向けセミナーの場を通じて啓発に努めるなど、職場における不妊治療への理解が一層深まるよう取り組んでまいります。  次は、DV被害者への支援についてであります。  DV、ドメスティック・バイオレンスは重大な権利侵害であり、その対策は社会全体で取り組まなければならない喫緊の課題であると考えており、県では子ども女性相談センターにおいて、休日・夜間も含めた相談対応や一時保護、さらには被害者の自立に向けた支援を行っているほか、講演会の開催等による啓発にも取り組んでいるところであります。  御指摘の民間シェルターにつきましては、公的機関と比較すると先駆性や柔軟性などの強みがあると考えており、本県においても本年五月に開設されたところであることから、御提言の財政的支援と連携強化について、今後、民間シェルターの運営者の御意見等も伺うとともに、先進的な取り組みについての情報を収集するなど、その必要性も含め検討してまいります。  また、保護を必要とする方の避難に当たっては、警察や各市町等と相談し、これらの機関の支援を受けて避難できるよう連携を図っているところであり、御提言の避難に要する交通費の支給については、他県の事例も参考にしながら研究してまいります。  被害者の自立等に向けた支援につきましては、心のケアが必要な被害者に対しては継続的なカウンセリングを行うとともに、個別面接やグループワークの方法により、心理面からの教育を行っているほか、必要に応じて精神保健福祉センターや精神科医などとも連携して支援に努めており、引き続きこれらの取り組みの充実を図ってまいります。  なお、加害者に対する指導につきましては、被害者を加害者から隔離する必要があることから、現在、子ども女性相談センターでは取り組んでおりませんが、被害者の安全・安心を確保する観点からは有効であると考えられるため、加害者更生プログラムの実施基準等の作成に向けて検討を行うこととしている国の動向を注視しながら、効果的な実施方法等について幅広く研究してまいります。  次は、児童虐待対策についてであります。  今回の法改正は、児童相談所の体制強化や関係機関の連携強化等について定められたものであり、私といたしましては、今後、二度と痛ましい事件が発生することのないよう、法改正の趣旨を踏まえ、児童虐待対策を一層強化していく必要があると考えております。児童相談所職員の適正配置、専門性の向上につきましては、本年四月に児童福祉司等を新たに十五名確保し、人員面での体制を強化したほか、対応に当たる職員の専門性の向上を目的として、介入的な対応を円滑に進めるための研修等も今年度新たに実施することとしております。  なお、人事面の配慮につきましては、新規採用時から計画的な人事ローテーションを行うとともに、一定の経験を積んだ後は、本人の適性を見きわめた上で、異動サイクルを長くすること等により、専門性の高い職員の育成も図っているところであります。  また、虐待をした保護者への再発防止プログラムについては、これまでも児童相談所において施設入所した児童の家庭復帰に向け、親子双方が段階的に課題を解決しながら、お互いの関係の改善を図るための取り組みを実施してきたところでありますが、今回の法改正により、当該保護者への再発防止のための指導が努力義務とされたことを踏まえ、民間団体等で実施されている治療的なプログラム等も参考にしながら、取り組みをより一層充実してまいります。  さらに、子供の意見が尊重される仕組みづくりについては、改正法の施行後二年を目途として、政府において必要な措置を講ずるものとされていることから、児童相談所において法改正の趣旨を踏まえた対応に努めるとともに、国の検討状況を注視してまいります。  私といたしましては、こうしたさまざまな取り組みを積極的に進めることにより、虐待の未然防止、早期発見、早期対応に向けて全力で取り組んでまいります。  次は、一時保護のあり方についてであります。  一時保護については、児童の安全の迅速な確保を図るとともに、安心感を持って生活できる環境の中で、保護者等との関係調整や生活の再構築を行う役割を担っているものと認識しております。国のガイドラインについては、一時保護所がこうした役割を果たせるよう、体制整備や環境整備に関し作成されているものであり、このガイドラインによると、一時保護の場の地域分散化などを進めることが望ましいとされておりますが、本県の現状では地域分散化が十分でないことから、必ずしもガイドラインに沿ったものとなっていない点もあると認識しております。  お尋ねの、施設に一時保護を行う際の委託料については、国の定める単価に基づき支出しているところでありますが、施設からは増額の要望もあることから、財政措置の拡充について、引き続き国に対して要望してまいりたいと考えております。  一時保護所については、高松市内に一カ所設置しておりますが、西部子ども相談センターが一時保護所での保護を行った場合には、訪問により児童の状況確認等を行うほか、電話やテレビ会議システムを活用し、一時保護所の職員と情報共有や連絡調整を行うなど、工夫しながら対応しているところであります。  こうした中で、御提案の中・西讃地域における一時保護所の整備については、施設整備に要する経費や職員の確保等の課題もありますことから、他県の状況等を調査するとともに、関係者の御意見を伺いながら検討を進めているところであり、できるだけ早期に結論を得られるよう努めてまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)一般質問を続行いたします。  米田晴彦君。    (米田晴彦君登壇、拍手) ◯米田晴彦君 早速一般質問に入らせていただきたいと思います。  まず、初めに、介護事業所の育成方針について伺います。  誠実に利用者に寄り添い、熱心にケアに当たってきた居宅介護支援事業者が苦しんでいます。事業運営に必要な介護支援専門員の有効期間が切れていると思わず事業を継続してしまったのです。気がついてからの「ホウレンソウ」、報告、連絡、相談は機敏でした。そして、何より利用者への対応が一番ですが、これも連携している事業者に急ぎ引き継ぎ、利用者に大きな迷惑をかけずに済んだと安堵されていました。ですが、残った資格要件と人材のもとで事業を継続していく大変さを考えると、前途多難です。  国は、こうした必要な資格のないままの事業を防止するため、法律で「登録消除、五年間業務資格を失わせる」という厳しいペナルティーを科してきました。しかし、日常業務に追われて更新の手続を忘れるケースが発生しているという現状、「ケアマネジャーとしての能力・経験に関係なく更新手続を行わなかったというだけで業務ができなくなるというのは厳し過ぎる」、「小規模事業所では新たな人材確保の負担が大きい」、「新しい介護支援専門員との信頼関係を改めてつくらなければならず、利用者にとっても負担が大きい」との声を踏まえ、昨年、法律を改正、登録消除の判断が県に付与されました。これで資格を再取得するのに五年待たなければならない苛酷な罰則は改善されたのですが、それでも、再度必要な研修を受け直さなければならないのです。  私が相談を受けたケースの場合、主任介護支援専門員の研修を終えての出来事でしたから、同じ状態に戻るには介護支援専門員の再研修が十五日間、専門研修が二つで十三日間、そして主任介護支援専門員の研修十二日間の受講が必要で、早くて来年十二月以降です。その費用は十五万三千円。ここまでのペナルティーを科さなければならないのでしょうか。ちゃんと事業運営に必要な能力を担保する研修を受けているのにです。  経緯を聞いてみますと、本人は主任介護支援専門員の研修を受け、修了証明書をいただいた際、県から介護支援専門員証の有効期間とそろえるかどうかの希望が聞かれたので、「希望する」と回答したことをもって介護支援専門員の資格も延長したものと思い込んでいたのです。希望を聞いたのですから、それに沿う手続をその場で指示していれば、勘違いは防げたはずです。県にも事の重大さに対する認識に弱いところがあったのではないでしょうか。  必要な研修を受けないまま事業を行っていたのならいざ知らず、事業運営に必要な研修を受けている、ただ誤って理解していた、また、そのことを気づかせてくれるアプローチも機械的だと感じています。影響度を考えると、まだまだ処分が苛酷過ぎるのではないでしょうか。  法改正の通達には、介護支援専門員が更新研修の受講や更新手続をうっかり忘れたまま業務を行うことのないよう、「案内等の徹底については、引き続き遺漏なきよう期していただきたい」と行政の側も細心の注意を払うべきことが明記されています。  地域包括ケアシステムの構築に向けて、欠かすことのできない居宅介護支援事業所、地域で懸命に頑張っておられる良質な介護事業所を破綻へと追いやることのないよう、救済の道を考えるとともに、今後、このようなケースが起こらないよう、研修と更新手続の一体化や事業所が必要な免許が失効したまま運営するケースが起こらないよう、市町と連携してチェックできるシステムをつくるなど、対策を講じるべきと考えますが、知事のお考えをお聞きします。  次に、除草剤ラウンドアップの使用禁止等の措置について伺います。  ホームセンターなどで家庭用として市販されている除草剤ラウンドアップの人体への影響を心配する声が広がっています。主成分はグリホサートという化学物質です。販売しているアメリカのモンサント社は、日本語版でA4、四十ページもの冊子をつくって有益で安全だとしています。しかし、「食卓塩より安全」、「飲んでも大丈夫」、「動物にも鳥にも魚にも事実上毒ではない」という広告がうその広告だと二〇〇九年に有罪判決を受け、ニューヨーク州ではラウンドアップを安全な農薬と宣伝することは禁止されており、うのみにできません。  これまでグリホサートをめぐって「安全だ」、「危険だ」の攻防が繰り返され、今も続いています。発がん性の有無、思春期にラウンドアップにさらされると生殖の発達に障害を起こし、脳内ホルモンのバランスを崩すことで、体が思うように動かなくなったり、気分を自分でコントロールすることが難しくなったりする内分泌腺攪乱の可能性、母乳への蓄積、腸内環境を破壊することで、アレルギーなど自己免疫疾患などの原因ではないのか、精子の数の激減、胎児の発育に影響を与える可能性、肝疾患など、本当に多岐にわたっています。モンサント社は、これら全てを否定し、「健康へのリスクは無視できる程度だ」と言い切っています。  事実を押さえておきたいと思います。デンマークは、二〇〇三年、地下水を汚染していると散布を禁止しました。二〇〇八年、ラウンドアップ製剤とその分解された後の代謝産物が試験管の中でかなり低い濃度であっても人間の胚、胎盤、へその緒の細胞に死をもたらすという科学的研究での発表がありました。EUは「環境に危険であり、水生生物にとって毒である」としています。カナダでは、二〇一二年末までに、全州で芝生や庭での使用を禁止しました。二〇一五年に世界保健機関WHOの下部組織国際がん研究機関が、「恐らく発がん性がある」と発表、一七年には米国政府の研究で急性骨髄性白血病との関連が発表され、同年カリフォルニア州がラウンドアップを発がん性物質のリストに載せました。ことしに入って一月、フランスが一部販売禁止に、二月にはワシントン大学の研究チームが「グリホサートにさらされると発がんリスクが四一%増大する」との研究結果も公表しています。  また、アメリカにおける裁判の状況も、昨年八月、ことし三月と五月の三回にわたって、ラウンドアップを使用してがんになったとしてモンサント社を訴えていた原告が勝訴しています。同様の訴訟は一万三千件以上も起こされているといいます。直近の五月十三日には、カリフォルニア州の夫婦が、ラウンドアップが原因でがんを発症したとして賠償を求めた訴訟では、州裁判所の陪審は、モンサントに対し二十億ドル、約二千二百億円もの支払いを命じています。使用禁止、販売中止の動きは、世界三十カ国以上に広がっています。  しかし、日本政府は、世界の動きと逆行する動きを見せています。グリホサートの残留基準を二〇一七年十二月に緩和しました。小麦粉の残留基準で言えば、五ppmから三〇ppmに緩和です。これは、〇・二ppmと規定している中国の何と百五十倍です。トウモロコシは一ppmから五ppmに、ソバは〇・二ppmから三〇ppmというぐあいにです。  なぜ緩和したか。それはひとえにアメリカの事情でした。アメリカでは、作物の収穫直前に作物に直接グリホサートを散布して、作物の茎を枯らせて乾燥させ、収穫をスピードアップさせるハーベストエイドと呼ばれる使用方法が盛んになり、その結果、残留濃度が高くなりました。その事実を隠すため、アメリカは基準値を大幅に緩和、それに合わせただけというとんでもない事情でした。小麦の残留基準三〇ppmは、何と一九九三年の基準、〇・一ppmの三百倍です。ハーベストエイドを禁止したドイツ、それに引きかえ日本政府は、ここまで同盟国のために尽くすのでしょうか。  県の窓口は、「国において安全が確認されている」と言い切りました。事情をつかんだ上で言っているのでしょうか。安易な対応は、行政不信を募らせるだけです。謙虚に、「ひょっとしたら命よりもアメリカの国益が優先されているのじゃないか調べてみます」という態度こそが、何を信じていいかわからないと不安を覚える県民にとって、自分たちを守ってくれる最後のとりでだと位置を与えてくれるのではないでしょうか。  日本人は、明治以降、公害、薬害事件を繰り返してきました。足尾鉱毒事件、神通川イタイイタイ病、森永ヒ素ミルク事件、水俣病、サリドマイド、カネミ油症事件、スモン病、薬害エイズ、ダイオキシン、アスベスト。共通しているのは、まず企業側の否定、隠蔽。否定し切れなくなって謝罪、賠償。そして、行政は常に後手の対応でした。行政は一体どちらの側に立っているのか、民の側には立たない、根強い不信が横たわっています。  かけがえのない命は、一旦傷つけられれば戻ってきません。グリホサートの問題で私たちがとるべき態度は、疑わしきは使用せずではないのでしょうか。資本力をバックに専門性を前面に押し出して、素人は黙っていろと言わんばかりの企業の前に、民の立場に立って徹底して懐疑的に行動する、それが行政の役割ではないのでしょうか。行政の立ち位置が問われています。  そこで、知事に伺います。  グリホサートの危険性をどこまで認識されているのか、世界各国でラウンドアップの使用禁止や販売中止、輸入禁止が広がる中で、こうした各国の動きをどこまでつかんでいるのか、それらをどう見ているのかお答えください。  安全、危険が定まらない中では、県は安全性が証明できるまで使用禁止措置をとるべきと考えますが、県民の不安を払拭するために、どのようなことを行っていくのか、お答えください。  オリーブハマチの生産の中で、餌となる葉っぱへの農薬散布には敏感に対応されていますが、その周辺ではラウンドアップの使用はないのでしょうか。残留検査は行われているのか、お答えください。  さらに、県の公共施設等での使用状況はどうなっているのか、お答えください。  そして、幾つかの自治体で始まっている公共施設での農薬の使用指針を策定し、実施状況を住民に情報公開していくべきと考えますが、お考えをお聞かせください。  三つ目に、主権者教育のあり方について伺います。  文部科学省によると、主権者教育とは、「単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身につけさせること」とされています。言うとおり、知識として知るだけでは身につかないのです。なのに、我が会派の代表質問に対する答弁では、この文科省の定義をなぞるだけで、どうやって主権者であるという意識を芽生えさせ、主体的に社会に参画しようとする力を身につかせていくのか、全く見えてきません。  実際に主権者として尊重されたという実感、そして自分の意思表示によって物事が動いたという体験があればいいのです。それを本気で教師集団がつくろうとしているのかだと思うのです。今の学校にその用意が果たしてあるのか、また、それを実現しようとする教員の政治意識はどう見ておられるのか、まずお尋ねします。  子供は親の映し鏡だと言われます。子供たちを通じて、親の姿が、そして社会の姿が見えてきます。日々子供たちや家庭、地域から持ち込まれる問題こそが主権者教育の課題だと言えます。問題にふたをせず、ありのままに受けとめて、子供たちを交えて問題解決に向かう教員の姿こそが、生きた主権者教育だと思うのですが、いかがでしょうか。  それからすると、ギャップのある出来事に遭遇いたしました。多度津高校のサッカー部が、コート全面を利用できずに半面で練習しています。理由を聞くと、土ぼこりがして困るという住民からの要望に応えての対応のようでした。どれだけ関係者の間で議論が交わされたのかわかりません。ですが、その決定に生徒はいません。学校が決定して生徒に伝えるだけ、異議を唱える生徒の動きもない、どこに一番の関係者として尊重されているという生徒の存在があるのでしょうか。これは運営であって、教育ではありません。  プロセスを省略して結論だけを押しつける、そんな経験しかない生徒に、急に十八歳になったからさあ政治参加だと選挙権を宛てがってもうまくいくはずがありません。そこには、みずから政治参画を求めるエネルギーがないのですから。そもそも権利というものは、虐げられ、差別され、人間社会の中で起こる理不尽なことを変革しようというエネルギーによって戦いとられてきました。それがないまま上から与えたって、うまくいかないのは当たり前のことです。日本における十八歳選挙権は、その成立のときから限界性を持っているのです。  ですから、主権者教育の課題は、どれだけ学校でみずからの問題はみずからが解決するという実地体験を積ませるかです。教師も生徒もです。できるだけ問題を起こさないでくれじゃなく、問題大いに結構、また勉強できる機会がふえたじゃないかという構え方こそが重要なのではないでしょうか。  先日、東京の世田谷区が、区立中学の校則を全て学校のホームページで公開すると発表しました。親子で、地域で、学校で校則の是非について考える機会を提供する、決して大人が勝手に決めるものではないということを保障する、いい取り組みが始まりました。私の小学時代、中学校男子は丸坊主でした。丸坊主が嫌だなあと思っていたら、私たちの学年から長髪が認められるようになり、喜んだ記憶が今でも残っています。その結論を出したのは、当時の中学の生徒会と学校でした。今、自治の体験こそが求められているのではないでしょうか。  主権者教育について、教育委員会の中で構え方について根本的に直す必要があると考えますが、教育長のお考えをお聞きします。  四つ目は、理容師の養成についてです。  香川県内から理容師を養成する学校が消えようとしています。ことし、坂出にあった県内唯一の理容学校が新年度の生徒の募集を停止し、学校自体も閉校する方向を打ち出したのです。近年、生徒の応募状況が芳しくなく、やむなく募集停止に踏み切ったようですが、閉校と知って関係者の間で心配の声が広がっています。県内で理容師を目指す道が絶たれてしまう、これから若者の理容師養成に向けて力を入れていこうとしていたやさきの出来事で、動こうにも動きがとれない。何とか香川県内での理容師の養成の道を残してほしい、切実な要望をいただいています。  理容業の現状は、厚生労働省の衛生行政報告例によれば、理容所の施設数は、昭和六十一年に十四万四千九百九十四店をピークに微減が続き、平成二十七年度は十二万四千五百八十四店と率にして一四%低下しています。理容師の数も、平成二十七年度で二十二万七千四百二十九人と平成十五年度と比較して約一割低下しています。また、厚生労働省が行った平成二十七年度生活衛生関係営業経営実態調査結果によれば、七割以上の施設が「後継者なし」と回答し、今後の経営方針については、二割弱の施設が「廃業」と、将来に悲観的な回答を寄せています。経営環境の厳しさに加え、今後の後継者問題、若い消費者の取り込みのためにも、若手の理容師の養成は喫緊の課題になっていると言えます。  国も調査結果をもとに、ことし理容業の振興指針を全面的に改正して、振興に力を注いでいく姿勢を見せています。理容業がこれまで地域の中で果たしてきた役割を評価し、さらに少子高齢化の進行の中で、共生社会を実現していく上でなくてはならない存在として、これまで以上に地域社会への貢献を求める姿勢を打ち出しています。これを具体化していくためには、行政の支援は欠かせないものと考えます。  そこで、知事に伺います。  県内の理容業の動向についてどのような認識をお持ちなのか、まずお聞かせいただいた上で、今回の理容学校の募集停止、閉校について、理容師養成の根幹にかかわる問題だと考えますが、県に対する相談はなかったのか、こんなに簡単に学校側の判断だけでできるのならば改善が必要と考えますが、今回の経緯と、どこが理容師養成に責任を持つものとお考えか、お聞かせください。その上で、今後、理容業の振興に県がどのような役割を果たしていくのかについてもお答えください。  最後に、職員集団の自治意識の醸成について伺います。  知事は、職員がどれだけ自治の気概を持って職務に向かっているとお考えでしょうか。私は、危機感を持っています。  私は四月の選挙で、県民を守るためには県が防波堤にならなければならない。そのための人材づくりが必要だと訴えてきました。働きがいをつくる人材、国際的な人権の基準を実現する人材、県民の命を守る人材、地域を再生する人材、民主主義を育てる人材を育てようと。本気で県民を守る集団にしていく必要があると。  それは、六年間の議員活動の中で一番感じてきたことだからです。種子法廃止の問題、TPPへの対応、インクルーシブ教育の問題、エネルギー政策の問題、農協法、漁業法改正の問題等々、どう考えても亡国の構図が広がっているにもかかわらず、県としての防御策が出てこない。「国がこういう結論を出しているから、まずはそれを信用してください」、「国、他県の動向を見ながら」、「それは市町の仕事」、何度このフレーズを聞かされたことでしょうか。国は間違いを犯さないのでしょうか。間違いを犯していたときにどう責任をとるのでしょうか。同調してもみずからの責任は免責されるとでも考えているのでしょうか。どこに顔を向けて仕事をしているのか、自治の気概のなさにぞっとしています。議会は、地方に不利な政策や立法には政権与党会派も加わる中で国に物申す決議をしてきています。  県民を守るためには、国で出された結論であったとしても、まず自分の頭で考えてみる。間違っていると思ったら声に出す、形にする、そんな姿勢こそが県行政への信頼を高めるものと確信しています。  私は、国の決定に唯々諾々と従うだけの自治へのこだわりが弱い行政集団になっていると考えますが、知事は職員集団の自治意識の現状と醸成をどのように考えておられるのか、見解をお聞かせください。  以上で私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)米田議員の御質問にお答えいたします。  まず、介護支援専門員資格の更新手続等についてであります。  介護支援専門員につきましては、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有する者として、介護支援専門員証の交付を受けて業務を行うことが定められており、その有効期間は五年となっています。この有効期間を更新するためには、介護保険法第六十九条の七の規定により、それぞれの実務経験等に応じた研修を受講し、更新交付申請手続を行うことが必要であり、有効期間が切れた場合には、再研修を修了して交付申請を行うことで、新たに交付を受けることが可能であります。  県では、介護支援専門員証の更新手続については、これまで県のホームページによる広報や更新研修の修了時における説明のほか、毎年五月には、翌年三月から一年の間に有効期間が満了する方に対し、更新研修を受講し、有効期間満了日までの一カ月前までに更新交付申請を行うよう文書で通知し、注意喚起を行ってきたところです。こうした中で、主任介護支援専門員更新研修の際にも、介護支援専門員の更新に係る申請の手続について一般的な説明はしておりますが、御指摘の事例もあることから、今後、ホームページや文書による通知での注意喚起をより一層わかりやすい内容にするとともに、更新研修の際に事前に受講者に更新交付申請書を配布し、研修修了日に提出できるようにすることにより、更新手続の案内等を徹底してまいります。  さらに、介護事業所に対しても、県が毎年実施している集団指導や各市町が行う居宅介護支援事業所への個別の実地指導において、所属する介護支援専門員の資格を適切に管理するよう、各市町とも連携し、周知を徹底してまいります。  次は、グリホサートを含む農薬の使用についてであります。  グリホサートについて、御指摘のような動きの概要については把握しております。こうしたことを受け、国会でも質疑がなされており、グリホサートを含む農薬について、国からは平成二十八年に内閣府の食品安全委員会による安全性評価が行われ、「農薬としての使用方法を遵守して使用する限りにおいて、発がん性は認められなかった」と評価をされていることから、直ちに評価や登録の見直しは行わないものの、引き続き農薬の安全性に関する情報収集に努めつつ、改正農薬取締法を踏まえ、二〇二一年度から全ての農薬について再評価を開始する旨の答弁がされております。県としては、今後ともこうした国の動向等を注視する必要があると受けとめており、当該農薬に関する情報収集に努めてまいります。  また、農薬の使用禁止については、農薬取締法に基づき、国による登録の取り消しにより行われることになっておりますが、県としては、引き続き使用者に対して定められた使用方法を遵守するよう、周知・指導を行ってまいります。  また、オリーブ園地で使用できる除草剤として、グリホサートを主成分とする農薬が登録され、使用されていますが、当該農薬の登録に当たって、農業試験場小豆オリーブ研究所が実施した残留農薬検査の結果では、国の残留基準値の十分の一以下の数値であったことを確認しております。県の公共施設等でも使用事例はありますが、農薬の使用については、関係部局に「国の住宅地等における農薬使用について」の通知や公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアルに基づき適切に対応するよう周知を図っているところであり、公共施設での農薬の使用指針の策定については、今後とも他県の状況等について情報収集に努めてまいります。  次は、理容師の養成についてであります。  平成二十七年度に国が実施した生活衛生関係営業経営実態調査によると、理容業における経営上の課題として、「客数の減少」や「後継者なし」が多く挙げられており、平成二十九年度の県内の理容所数は千百七十七施設で、十年前の十九年度と比較すると九十七施設減少し、従事している理容師数は二千二十一人で、十年前から百四十五人減少するなど、本県においても理容業は厳しい経営環境にあると認識しております。  お尋ねの理容学校につきましては、一般社団法人が開設している専修学校であり、数年前から生徒数の低迷が続く中、今年度の昼間の課程の入校希望者が皆無であったことなどから、在校生の卒業にあわせ、令和三年九月に閉校することを本年五月の総会で決定したとのことでありますが、それまでに、このことに関し相談は受けておりません。  県は、理容師法等に基づき、養成施設の指定、変更、廃止等に係る承認を行う立場にあり、県内に養成施設がなくなることは、理容師の確保に影響があると思われますが、入校希望者がいないという状況を踏まえると、廃止に係る承認を行わないことは難しいと考えます。また、理容師の養成に係る責任については、法律等では明確にされておりませんが、理容業の振興のためには、人材育成は不可欠であることから、今後、県理容生活衛生同業組合など業界の御意見を伺いながら、養成施設がない他県における取り組み等も参考に、どのような対応が必要か検討してまいります。  さらに、理容業の振興に当たりましては、県が出資している生活衛生営業指導センターと同業組合が連携し、個々の事業者を対象に、経営相談や融資のあっせん、研修会の開催等を実施しており、県といたしましては、今後ともこうした事業を支援するなどの役割を果たしてまいります。  次に、県職員の育成についてであります。  厳しい経済状況や急速な人口減少、少子高齢化が進む中、高度化・多様化する県の行政課題を解決するためには、高い使命感を持ち、県民本位・地域本位の視点に立って業務を遂行することができる職員を育成することが重要であると考えております。このため、県においては、職員育成の基本的な考え方をまとめた人材育成方針において、求められる職員像として、「明日の香川づくりに情熱を持ち、県民本位で行動するプロフェッショナルな職員」を掲げ、政策立案や地方自治に関する研修のほか、階層別に行う意識改革についての研修を行うなど、人材育成に努めているところであります。また、職員による政策立案の過程で、国に対し制度の創設や見直しを求める必要がある場合には、政策提案や要望を行っております。  私といたしましては、県庁は、職員一人一人が香川県にとって何が必要かを真剣に考えながら、責任を持って職務に取り組んでいる組織であると認識しておりますが、引き続き職員の意識改革や資質・能力の向上に努めるとともに、御指摘のような県行政への信頼を高めるため、行政課題に主体的に立ち向かい、みずから解決することのできる組織づくりを進めてまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)米田議員の主権者教育のあり方についての御質問にお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、自分の提案が実現に結びついたという経験を生徒に持たせることは、民主主義の意義を実感的に理解させ、将来、主権者としての自覚を持ち、課題解決に向けて主体的に行動することにつながるものであり、各学校の教員もその重要性を十分に認識して、日々の指導に当たる必要があると考えております。  中学校や高等学校では、課題解決に向けて主体的に考え、行動できる資質・能力の育成が重要であり、社会科や公民科の授業、総合的な探求の時間などにおいて、単に知識を習得させるだけでなく、自分の生活や身近な地域にかかわるさまざまな課題について現地に出向いて調査を行ったり、クラスで議論を重ねて深めた研究成果を全校生徒の前で発表したりするなど、生徒みずから探究する学習を一層重視していきたいと考えております。  また、生徒会活動においては、生徒会執行部など一部の生徒に限られた活動とならないよう、学校生活の問題についてクラスごとに議論する機会を設けたり、学校行事ごとに異なる生徒で組織された実行委員会を立ち上げたりするなど、全ての生徒が当事者意識を持ち、議論を通して合意形成を行うよう、主権者教育を意識した指導をより一層進めてまいります。  さらに、地域活性化に向けて、地元の市町などが主催する会議に、小・中・高校生が参加して、児童・生徒の視点から提案を行ったり、高校生が主体となり、地域の住民や企業と連携して、広報や商品開発などを行ったりする活動にも力を入れてまいります。  県教育委員会といたしましては、これらの主権者教育につながる多様な取り組みを通して、自立した主権者として、他者と連携・協働して社会に参画し、地域の諸課題を主体的に解決しようとする資質・能力の育成に一層努めてまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)一般質問を続行いたします。  白川和幸君。    (白川和幸君登壇、拍手) ◯白川和幸君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問させていただきます。  六月二十六日の四国新聞によりますと、県内主要二百社を対象とした景気動向アンケートで、景況感は大半の業種が拡大局面としたものの、米中貿易摩擦などによる海外経済減速の影響を受けやすい製造業のほか、個人消費の冷え込みが起因し、小売業や卸売業が悪化を示すなど、業種によりその動向はまだら模様が目立つ結果となったとのことでした。とりわけ、小売業や卸売業の景況感については、消費税引き上げの影響を想定したものと見られ、また、増税前の駆け込み需要も、これまでと違い、現時点で大きく話題に上がっていないことからも、今後の景気の不透明さをあらわしているものと感じます。  世界は今、大きな変革の波にのみ込まれています。情報技術を核に、ヒト・モノ・コトにとどまらず、さまざまなソースが世界中を駆けめぐり、これまでの常識を超えた新しい経済活動が動き始めております。しかし、その経済活動の大義は、人の心の豊かさにつながるものでなくてはなりません。およそ一万二千年前に穀物の貯蔵が行われ、経済が生まれたとされています。その時代から変わらないことは、市場における需要と供給のバランスにより、物の価値、すなわち価格が決まるという原理であります。供給が需要を上回ると価格は下落し、それをつくる人、売る人の収入も下がります。人の心の豊かさにつなげていくために、事業者においても雇用の確保にとどまらず、次世代を担う人材の育成に努め、さらには情報技術等を駆使し、新たな価値の提供に努めるため、日夜不断の努力を尽くしております。  そのことに対し、私は県議会議員として、県民の皆様が夢を持って生活できるようなビジョンを持ち、そして地域経済はもとより、世の中がよりよい方向に向かえるよう努めなければなりません。そのためには、地域の声に真摯に向き合い、また、広い視野と、人と人とのつながりを大切にしながら、あらゆることとつながっていくことで、これからの政策に反映させていきたいと思うところであります。  さて、あらゆることとグローバルにつながるということにつきましては、二十カ国地域首脳会議ことG20大阪サミットが先日開催され、世界各国の注目を集めたところです。また、世界的イベントとしましては、御承知のとおり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会もあと一年余りと間近に迫っています。  つい先日、大会組織委員会において、来年三月二十六日から四十七都道府県をめぐる五輪聖火リレーのルート概要が発表され、本県では四月十八日に宇多津町を出発し、二日間の行程で島嶼部を含め、県内八市九町全てをめぐることとなりました。最終地点の高松市の玉藻公園では、式典が催され、その後聖火を高知県へ引き継ぐこととなると聞いております。徐々に盛り上がるこの機運の高まりからも、本県の活力向上につながることに期待したいところであります。  質問の第一点は、GAP認証取得の推進及びコールドチェーンの現状についてであります。  東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会では、大会に必要な物品やサービスの調達についての基準を公表しています。そこには、選手村や競技会場で提供する農産物についての基準が規定されており、農業生産工程管理、いわゆるGAPに基づき生産されたものを使用することが記されています。GAPとは、Good Agricultural Practiceという英語の頭文字のことで、よいとされる農業の仕方を意味しており、食品の安全性の向上、環境負荷の軽減や保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みのことであります。これを多くの農業者や産地が取り入れることにより、結果として生産管理や品質の向上につながり、農業経営意識の向上や効率化にも資することとなり、さらには農業競争力の強化にも有効と考えられています。そして、消費者等の信頼の確保が期待されることとなるのであります。  先日、東京の大田市場を現地視察し、大田市場での現状の取り組みと小売業者が何を求めているのかということについて、仲卸事業者の方々にお話を聞いてまいりました。そこでは、これからの農産物の流通には、GAP認証とコールドチェーンの二つが重要との力点を置いた説明がありました。大田市場の一角には、航空貨物用のコンテナが並んでいる状況を目の当たりにし、人口減少下の対策として、海外販路も視野に入れた取り組みは喫緊の課題であると強く認識したところであります。  本県においては、農産物等の普及促進や農業の担い手不足等、数多くの農業行政に関する課題が存在します。しかし、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、日本食の国際的な安全基準に対する関心が集まる機会を生かし、GAPを普及させることは、農産物の安全性と経営効率を高め、競争力を醸成する上で、この上ないチャンスが訪れたのではないかと考えるのであります。マスコミが選手村で提供する食事や使われる食材を取材する機会は、今後、一層ふえることとなるでしょうし、このことにより国民の関心も自然と高まるものと思われます。また、生産者にGAP認証の取得を求める量販店もふえているとの声を耳にしますが、国内消費が頭打ちの状況で、これまでの販路のみに依存することにとどまらず、グローバルな展開を進めていくことが、知事の標榜する「成長するかがわ」につながるのではないでしょうか。私はそのように確信いたします。  全国でのGAP認証数は、ことし三月の時点で千八百余りとなっており、国では今年度末までに昨年六月時点のGAP認証を取得した経営体数の三倍以上となるよう目標を掲げています。一方、本県の状況を調査いたしますと、五団体にとどまっているものの、県内の各農業改良普及センターには、GAPに関する問い合わせが増加していると耳にしています。GAP認証取得は、本県農業課題の改善の一手になるものと、私としましては非常に期待するところであります。  そこで、県内事業者のGAP認証取得へ向けた本県における現在の推進内容を伺いますとともに、大幅に問い合わせがふえてはいるものの、認証取得数が伸び悩んでいる現状でありますが、今後、どのように取り組まれるのか、あわせて質問させていただきます。  また、仲卸事業者の話にもありましたコールドチェーンとは、農産物等の生鮮品等の鮮度維持を目的とした低温管理物流のことであります。コールドチェーンが登場したことで、物流が飛躍的に発展したことはもとより、物流対象品目も広がりを見せているとのことであります。コールドチェーンは、農産物のブランド化を図る上でも、新たな販路を拡大する上でも、非常に有用な取り組みであることから、これに対する本県の取り組み状況もお伺いします。  質問の第二点は、中小企業に対する事業承継の促進についてであります。  中小企業においては、経営者が亡くなった後、また、経営の担い手が見つからない場合、どうやって事業を継続していくのかという我が国の産業界を覆うような大きな問題が表面化しています。中小企業とは一般に、製造業では資本金額が三億円以下、または常用雇用の従業員数が三百人以下の会社等であり、小売業では資本金の額が五千万円以下、または従業員の数が五十人以下と定義づけられています。そして、その数につきましては、国内に約三百五十八万者を数え、全体の九九・七%にも及び、従業者数も全体の六八・八%を占めているのであります。この数値からもわかりますように、中小企業は、いわば我が国の雇用の屋台骨であり、基幹業態とも言える存在であります。  本県の状況につきましては、中小企業の数の割合は国全体とほぼ等しく九九・八%を占め、一方で従業者数は、国をはるかにしのぐ八三・五%にも及んでいます。本県の経済は、このシェアからもわかりますように、まさしく中小企業に支えられており、高度な技術を有し、世界を市場に展開を行う企業のほか、類いまれな技術やブランドを誇る企業も数多く存在します。県内企業の後継者不足率は四三・五%と全国平均を大きく下回り、全国で二番目に低い状況にあるものの、経営者の高齢化は年々進行している状況であり、決して楽観できるものではありません。  戦後から高度成長期を通して勃興してきた数々の中小企業ではありますが、創業者の高齢化が進行の一途をたどり、引き継ぐ先を考える時期に多くの企業が差しかかり、事業体として黒字経営であるものの後継者が見当たらない、世代交代の時期を見誤った、世代交代の準備ができていなかった等の理由から、うまく承継できずに苦しむ事業者がふえ、問題が進展しています。この状況を放置し続けることは、雇用の不足にとどまらず、逆に多くの失業者を生み出すことになりかねず、また、国内総生産や我が国の成長性にも大きな影響を与える可能性も容易に推測できるものであります。大企業と異なり、資本力が弱く、そこで雇用される従業員も不安を感じる部分でもあり、その不安の連鎖を食いとめる必要があります。高齢化は、本県でも年々進んでいることからも、既に喫緊の課題と化しており、さらに目前で発生する危機を打破することも鑑み、事業承継の促進を図る策を検討しなければならないステージに来ているものと考えるのであります。  事業承継ができずに中小企業の廃業が増加すれば、県経済にとっても大きな損失となりますし、表面上だけ事業承継ができて会社が延命したとしても、経営が悪化して生き残れず、数年で倒産という結果になってしまっては意味がありません。私としましては、真の意味で中小企業が生き残れる環境づくりのために、事業承継を個々の会社の問題として捉えることなく、地域全体の課題として総力を挙げて取り組む必要があると考えます。  そこで、本県の中小企業の事業承継について、どのようにして、今後、より一層促進していくのか、知事に質問いたします。  質問の第三点は、県立高校の魅力づくりによる教育力の向上についてであります。  本年、文教厚生委員会副委員長となり、改めて教育とはどういうことなのかと思い辞書を調べてみたところ、「人間に内在する素質、能力を発展させ、これを助長する作用。」と記されていました。また、教育の目的について、教育基本法では、どのような目標に向かって人を育てるか、どのような人を育てることを到達の目標とすべきかについて規定がなされています。私にとってあまたの行政課題の中でも教育は根幹をなすもので、永続的に繁栄していくことにおいてもその基礎となるものであると強く思うところであります。  また、少子高齢化による人口減少社会の到来、熾烈なグローバル競争、技術革新によるIT等先端技術の進化、生活の多様化など、これまでとは大きくさま変わりしており、まさに社会の変革期を迎えている状況です。だからこそ、その解決の糸口として、教育を主軸に考える必要があるのではないでしょうか。みずからの力で社会を生き抜き、みずからを律しながら社会を支え、さまざまな困難にも果敢に立ち向かい、豊かな未来を切り開く資質・能力と個性豊かな人間性を持つ人に育ってもらいたいというのが子供たちに対する私の願いであります。本県の子供たちが豊かな教育を受ける機会を提供できるよう、議員として全力で取り組み、子供たちが将来の選択肢を一つでも多く持てるよう尽力していきたいと常々考えています。  本県には、現在、四十二の高等学校が存在します。本県につきましては、かつて日本一の教育県と呼ばれたことがあるほどすぐれた実績を残していましたが、今や過去の話と化してしまっている現状と言っても過言ではなくなりつつあります。本県屈指の進学校である高松高校は、東大や京大等いわゆる旧帝大と呼ばれる大学への進学実績において、全国でも常に上位を競ってきたのですが、今や東京の日比谷高校や大阪の北野高校、愛知の旭丘高校といった各県の公立上位校と比較して、大きく水をあけられることとなっております。  有名大学への進学も生徒の志向としてあることから、進学実績も大事なことであると承知しておりますが、教育のあり方を鑑みますと、今の時勢柄、視野をより広げる必要性について考えてしまいます。本県の実情を見てみますと、よくも悪くも画一的で、枠におさまった教育に感じざるを得ません。グローバル化、IT化、多様化の時代であることを意識した教育体制、すなわち子供たちの将来の選択肢を見据えたものがもっとあってよいと思います。経済環境に目を向けますと、これまでの製造業主体の構造からクリエーティブなものへ変革しており、人材育成のありようも変わってきているのです。学ぶことの大切さや働くことの意義、世界や地域の課題等、また、自分自身の存在意義について見詰め直す教育があるべきではないでしょうか。世の中の進行速度と同様に、子供たちの志向も私たちが考える以上に大きく速く広がっているのが今の実情です。  生徒一人一人が人生・社会、そして願わくば本県の未来を切り開く資質と能力を育むような教育環境を想像しますと、まずは県立高校の魅力化・特色化の取り組みは必要なものではないでしょうか。子供たちの多様性を尊重し、個々に応じた教育を実現するステージの提供は、未来の本県、我が国の力を維持していく意味でも有益で、本当の地方創生、地域活力の向上にも結びつくことと思います。  社会をリードする人材育成を目標とした高校、グローバルや先端技術人材等専門性を追求する高校、高大連携や産学連携により地域課題解決を目指す高校、スポーツの世界舞台で活躍する技能を身につける高校、一方で、生徒に寄り添い、学びの楽しさや知識・技術を会得することをサポートできる環境を提供する高校等、考えは尽きません。また、県立高校のあり方を示す次期計画において、県外生徒の受け入れや中高一貫教育、学区の弾力的な運用について検討することもこれまでの議会を通じて伺っております。現行の教育基本計画は来年度が最終年度となり、新たな計画が検討される時期となっており、教育のあり方についてこれまでの取り組みを総括し、見詰め直す必要があると私は考えるのであります。  少子高齢化が進み、県内の生産年齢人口は減少の一途をたどる昨今、将来を担う若者に、これまで日本人が経験したことのない時代変化が進む世の中において、子供たちが自分たちの力で未来を切り開く教育が必要と思います。  そこで、県立高校の魅力づくりによる本県の教育力の向上を目指し、今の世の中の流れや他県の状況等を踏まえ、県としてどのような教育のあり方がふさわしいとお考えか、教育長に質問いたします。  質問の第四点は、八〇五〇問題への対応についてであります。  八〇五〇問題とは、ひきこもりの子供を持つ家庭が高齢化し、五十歳代の中高年のひきこもりの子供を八十歳代の後期高齢者に差しかかった親が面倒を見るケースがふえているというおおむね二〇一〇年以降、発生が顕著になっている社会問題のことをいいます。こうした親子が社会的に孤立し、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが近ごろ目立ち始めているのです。  昨年一月、北海道札幌市のアパートの一室で、八十二歳の母親と五十二歳の娘の遺体が発見されるという事件が発生しました。ガス事業者が検針の際、不審に感じたことから発覚したものでありますが、発見時には死後数週間が経過していたとのことでした。死因はともに栄養失調による衰弱死とのことで、母親の死後、しばらくして娘さんも死亡に至ったようで、近所の人によると、娘さんは十年以上ひきこもりの状態で、母親があらゆる世話をしながら他人との関係を避けるように暮らしていたとのことです。  ひきこもりに至った経緯はさまざまあろうかと思いますが、最近耳にする自治会加入率の低下など、近隣の住民とのつながりが希薄になる中、気軽に話ができる相手がいれば、解決に結びつかなくとも気持ちが救われたり、民生委員、児童委員などの専門的なスタッフに相談してみようかというようなきっかけが生まれたかもしれないと思うと、現代社会の問題が浮き彫りになったと言っても過言ではないと思います。年齢が上がれば上がるほど、社会復帰は難しくなることは容易に想像できます。就学児童のひきこもりも大きな社会問題ではありますが、寄り添える身内の高齢化により、八〇五〇問題は緊急的な課題であると感じる次第であります。  内閣府がことし三月に発表した調査結果では、自宅に半年以上閉じこもっているひきこもりのうち、四十歳から六十四歳の世代の人数が全国で推計六十一万三千人に及ぶとのことでありました。しかし、実際にはそれ以上に存在するとの意見を発する専門家も数多く見られる状況です。家庭によっては、そのことに対する世間体を気にすることもあり、さきの札幌市の事件でもありましたように、家族が周囲に隠す隠れひきこもりや、親の身の回りを世話するという名目で同居するパラサイトシングルに潜む実態もよくよく見ていくと、その数は恐らく大きく膨れ上がるものと考えられるのであります。また、県が、民生委員・児童委員を対象にひきこもり状態にある方の概数を把握するために実施し、先日結果を公表したひきこもり実態調査では、県内では七百二十六人の方がひきこもり状態にあり、年齢層別に見ると、四十歳代以上の中高年が三百七十八人と五〇%以上を占めており、ひきこもりの高齢化が見られるとのことでした。  八〇五〇問題、ひきこもりの対応・対策を検討することにおいては、そのいずれもが家庭内のことであり、なかなか表面化しにくい問題であることが複雑化する要因であります。また、例えば学生時代のひきこもりは、学校への欠席などにより状況がつかめる可能性があるものの、中高年の場合は、一度、社会から孤立すると非常に把握が難しくなるのは言うまでもありません。さらには、本人はもとより、家族にとっても繊細な要素が多分に含まれることから、その調査・把握には非常にハードルが高くなることも否めません。  しかし、我が国は、既に少子高齢化社会に突入しており、本県はさらにその先を進んでいる状況であり、この問題の社会問題化の進展速度を鑑みますと、本県においても一刻も早く一定の対策が必要なことは言うまでもありません。八〇五〇問題については、地域社会と断絶しないよう対策を講ずることはもとより、繊細な問題であることから、引きこもった人の立場に寄り添う施策も十分検討していかなくてはならないことを踏まえ、県として調査結果をどのように捉え、八〇五〇問題にどのように対応していくのか、知事に質問して、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)白川議員の御質問にお答えいたします。  まず、GAP認証取得の推進及びコールドチェーンの取り組みについてであります。  GAPの認証取得を推進するため、昨年度までに農業改良普及センターにおいてGAP指導員を四十八名養成し、農業者への研修会や個別相談を行っており、今年度もさらに指導員を増員し、その指導体制を充実してまいります。また、認証取得を目指す農業者に対しては、具体的な取り組みのポイントや手順について助言する専門のコンサルタントを派遣するとともに、認証取得に必要な審査費用等を支援するなど、認証取得の推進に努めております。こうした取り組みにより、露地野菜農家や笠田高校など五経営体がGAP認証を取得しており、現在、レタスなど露地野菜に加え、オリーブやアスパラガスなどを生産する五経営体が認証取得を申請しているところであります。  コールドチェーンにつきましては、本県では、鮮度保持による農産物の品質の高さを強みとして、他産地との差別化を図っており、今年度、春先のブロッコリーにおいては、氷詰めに加えて、鮮度保持効果の高い包装資材での流通試験に取り組んでおります。また、昨年度までの検証結果を踏まえ、県内の青ネギ産地では、出荷前の予冷処理の徹底に取り組むほか、アスパラガスにおいては、鮮度保持効果にすぐれた包装フィルムでの販売が県内量販店で試験的に開始されることとなっており、今後とも鮮度保持技術の実証・普及に積極的に取り組んでまいります。  私といたしましては、農業競争力の強化や消費者の信頼の確保を図るため、GAPの認証取得の推進に取り組むとともに、高品質で高鮮度な農産物の提供により、ブランド力の強化と新たな販路拡大にも積極的に取り組んでまいります。  次は、中小企業における事業承継の促進についてであります。  事業承継は、中小企業に蓄積されたすぐれた技術やノウハウを次世代に引き継ぐものであり、安定的な雇用を確保するとともに、有用な経営資源の散逸を防ぎ、本県経済の持続的発展を図るために、議員御指摘のとおり、地域全体の課題として取り組む必要があるものと考えております。事業承継の促進を図るためには、まずは準備の必要性を認識していただくことが重要であることから、県では、県商工会連合会や県商工会議所連合会と連携したセミナーの開催や、香川県事業承継ネットワークを活用した事業承継診断の実施等により、中小企業経営者への意識啓発を図っております。  また、単に承継することが目的とならないよう、現在の事業の強みや弱みを分析し、将来に向けて事業を磨き上げることが重要であり、次の段階である経営状況等の把握や経営改善のための支援では、かがわ産業支援財団の事業承継支援窓口や、よろず支援拠点等において、専門家による相談対応や問題解決に向けた助言を行っております。  さらに、事業承継に至る最終段階の支援として、県内中小企業に対し、専門家を活用した事業承継計画の策定や第三者への事業の引き継ぎに必要な経費の一部を助成しているところであります。国においても、法人版事業承継税制の拡充に続き、今年度から個人版事業承継税制を創設するなど、集中的に取り組んでいることから、国のプッシュ型事業承継支援高度化事業の地域事務局であるかがわ産業支援財団を初め、商工会・商工会議所、金融機関等の支援機関と連携しながら、各段階に応じて、税理士や中小企業診断士など地域の専門家によるきめ細かな支援に努めております。  私といたしましては、事業承継問題の解決なくして本県経済の持続的発展はないとの認識のもと、こうした地域の関係機関と一丸となって、県内中小企業の事業承継の促進に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、八〇五〇問題への対応についてであります。  議員御指摘のとおり、八十歳代の高齢の親とひきこもりなど無職の五十歳代の子供が同居して生活が困窮するなどのいわゆる八〇五〇問題が深刻化しており、中高年のひきこもりの状態にある方やその家族が孤立しないよう、社会全体で支援していく必要があると認識しております。  県では、これまで精神保健福祉センター内に設置したひきこもり地域支援センターにおける相談や居場所の提供、ひきこもりサポーターの養成・派遣、民生委員・児童委員などに対する研修、県民の皆様への正しい知識の普及啓発など、各市町や関係機関と協力しながら対策を進めてまいりました。  こうした中、本年一月から二月にかけて実施した本県のひきこもりの実態調査において、七百二十六人の方がひきこもりの状態にあり、そのうち一九・五%の方が二十年以上引きこもっているとともに、五二・一%の方が四十歳代以上であるなど、長期化・高年齢化の傾向が見られました。今回の調査は、民生委員・児童委員に対しての調査であったことから、ひきこもりの状態にある方の経済的な状況まで詳細には把握できておりませんが、五十歳代以上の方の四六・一%が親と同居しているなど、八〇五〇問題に直面している家族も相当数いるものと推測しております。このため、今年度、ひきこもりサポーターの養成講座を開催し、支援を行う人材を育成するとともに、当事者への接し方などを記載した家族向けのパンフレットを作成し啓発を行うなど、支援体制を充実させることに加え、私といたしましては、今回の実態調査で得られたニーズや課題を踏まえ、国の新しい施策の検討状況も注視しながら、各市町や関係機関と連携し、八〇五〇問題への対応も含め、ひきこもり対策を進めてまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)白川議員の県立高校の魅力づくりによる教育力の向上についての御質問にお答えいたします。  現在、社会は、グローバル化、高度情報化、少子高齢化の進展等により、急激かつ大きく変化し、生徒の学びのニーズも多様化する中で、議員御指摘のとおり、全ての県立高校が、これまでの実績や伝統、地域の資源等を生かして、その高校でしか学べないような特色ある取り組みを進め、生徒がこの高校で学びたいと思うような魅力づくりを行っていくことが重要であります。県全体でさまざまなタイプの高校をそろえ、中学生が、みずからの興味・関心に基づいて、将来の夢に向かって挑戦できるような高校を選び、そこで意欲的に学ぶことにより、一人一人の生徒の資質・能力を大きく高めていきたいと考えております。具体的には、国内外のリーダーとして活躍できる資質・能力を育成する高校を初め、海外との交流を積極的に進める高校、複数の学科の学びを横断的に行う高校、地域の企業や大学等と多様な形で連携し、より専門性を高める高校などについて、他県の先進事例も参考にしながら、幅広く検討を進めてまいります。  また、各高校において、特色を踏まえたスクールポリシーを策定した上で、中学生やその保護者に、自校の魅力を積極的に発信していくことも重要であると考えています。  県教育委員会といたしましては、現在、策定中の県立高校のあり方に関する次期計画の中で、全国からの生徒募集や学区の弾力的な運用、中高一貫教育の充実など、生徒の多様な学びのニーズに対応するための環境整備や各高校の特色化・魅力化の方策等についてさらに検討し、県立高校全体の教育力の向上を目指してまいります。(降壇) ◯議長(大山一郎君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時四十一分休憩                         午後 一時  七分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    西  川  昭  吾 君    松  岡  里  佳 君    鏡  原  慎一郎  君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    山  本  悟  史 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    三  野  康  祐 君    森     裕  行 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    有  福  哲  二 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    大  山  一  郎 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   太  田  吉  夫 君           審  議  監   安  松  延  朗 君
              政 策 部 長   大  山     智 君           総 務 部 長   東  田  晃  拓 君           環境森林部長    木  村  士  郎 君           健康福祉部長    安  藤  照  文 君           商工労働部長    浅  野  浩  司 君           交流推進部長    新  池  伸  司 君           農政水産部長    国  分  伸  二 君           土 木 部 長   片  山  秀  樹 君           知事公室長     淀  谷  圭三郎  君           危機管理総局長   土  岐  敦  史 君           文化芸術局長    佐  藤  今日子  君           子ども政策推進局長 小  川  秀  樹 君           会計管理者     宮  武  卓  朗 君           病 院 局 長   岡  内  浩  二 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     岡  部  正  勝 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監 査 委 員   亀  井  孝  行 君           事 務 局 長           人事委員会委員   平  尾  敏  彦 君           人事委員会     岡  田  総  一 君           事 務 局 長           労働委員会     山  本  浩  司 君           事 務 局 長           政策部次長     椋  田  那津希  君    ───────────────────────────── ◯副議長(西川昭吾君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  山田正芳君。    (山田正芳君登壇、拍手) ◯山田正芳君 まことに久方ぶりの一般質問でございます。  それでは、私からは、浜田知事に対して、かねてより知事が並々ならぬ決意で取り組んでおられます四国の新幹線の誘致活動についてお尋ねをしてみようと思います。  今から三年前、北海道新幹線が開業いたしました。当時、テレビ番組の中でレポーターが、「これで北は北海道から南は九州鹿児島まで、日本列島は一本のレールでつながれました。」とやや興奮ぎみに伝えておりましたが、何だ、四国はのけものかと、そもそも眼中にはないのではないかと、そのとき私は孤立感といいましょうか、焦りのような気持ちになったことを記憶いたしております。  建設中のものも含めまして、今では全四十七都道府県中、三分の二の地域で新幹線網が整備されております。今や四国地方だけが空白地帯となってしまいました。新幹線は、現在では大都市圏に住む人々のための特別な乗り物というのではなくて、地域にとりましても、高速道路と同じように、基幹的な交通インフラの一つと言うことができるわけであります。  新幹線が整備されますと、内外からの交流人口が飛躍的に拡大をいたします。また、観光振興はもちろんでありますが、さまざまな面で地域経済の活性化に大きな起爆剤となることは間違いありません。そればかりでなく、東北大震災の際に、被災地の中でいち早く復旧した交通インフラは新幹線であったこと、皆さん御承知のとおりであります。新幹線が東北の復興に果たした役割は、非常に大きいものがあったと言えます。したがいまして、大規模災害発生の際に、地域の耐久力を高めるという意味合いでも、新幹線に寄せる期待は大きいということが言えます。  また、現在、全部で九つの在来線を運行いたしておりますJR四国でありますが、御存じのように、瀬戸大橋線以外は赤字であります。このように、経営環境の厳しいJR四国にとりまして、この赤字ローカル線を維持確保するためにも、四国新幹線の導入というのは喫緊の課題ではないでしょうか。  それでは、これまでの四国新幹線誘致について、地元での動きを振り返ってみたいと思います。  平成二十三年、四国四県と四国経済連合会を中心として、四国の鉄道高速化検討準備会が設立されました。これは、四国の鉄道の抜本的高速化に関する基礎調査を実施するために立ち上げられたものでありますが、三年後にようやくその最終報告がまとまりました。それによりますと、フル規格で新幹線を整備しても、やりようによっては採算がとれるという費用対効果、いわゆるBバイCが一・〇三、つまり一を超える数値がそこで初めて示されたのであります。そうなってまいりますと、俄然空気は変わってまいりました。それまでなかなか重い腰を上げなかった四国選出の国会議員の方々も、これは与党自民党の中での話でありますが、四国ブロック両院議員会の中に新幹線プロジェクトチームが結成されたのであります。もちろん、我が議会におきましても、平成二十二年、早くも平木会長を中心として、香川県議会地域公共交通活性化促進議員連盟が結成されております。この議連は、県民の皆さん方に、新幹線に対する理解を深めていただこうということで、県の期成同盟会などと一緒になって、高松市や観音寺市、その他の町でこれまでたびたびシンポジウムを開催してきたのであります。  このように、官民一体となって誘致活動が盛り上がりを見せる中、先ほど私が申し上げましたけれども、四国の鉄道高速化検討準備会が拡大発展をするという形で、四国新幹線整備促進期成会が平成二十九年、旗上げとなったわけであります。この期成会は、毎年のように東京で決起大会を開催し、そしてその都度、自民党本部はもちろんでありますが、国土交通省を初め政府関係機関に要望活動を実施しております。ことしは八月二十二日に東京で決起大会が開催される由、議員の皆さん方におかれましては、一人でも多くの方々に御参加をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、ここで、この期成会が提言をしております四国新幹線の構想について触れてみたいと思います。釈迦に説法と思われるかもしれませんが、我慢してお聞き願いたいと思います。  昭和四十八年、田中内閣が閣議決定をいたしました北は北海道旭川から南は九州鹿児島まで、新幹線で日本列島を張りめぐらそうという、この壮大な計画の中で、四国新幹線は二つのルートで位置づけられております。一本は、新大阪を出発した新幹線が、和歌山を通り、紀淡海峡トンネルを抜けて徳島に上陸。さらに新幹線は西に向かい、高松、松山を経由して豊予海峡トンネルを抜けて最終地大分に到達するというもの。もう一本は、岡山駅を出発した新幹線は海を越えて四国に上陸、さらに南下を続けて高知市に到達するというものであります。ただ、この基本計画では、海底トンネルを二本も掘らなければならず、コストがかさみ、現実的には採算がとれないのではないかということでありました。  そこで、期成会が提言をしておりますプランは、次のようなものであります。岡山駅を出発した新幹線は、海を渡り、四国に上陸。そのうちのレールの一本は東に向かい、高松を経由して徳島市に至るというものであります。四国に上陸したレールのうち、もう一本は西に向かい、松山市に至るというもの。途中このレールは分離され、南下を続け高知市に到達するというものであります。つまり、岡山と四国の四つの県庁所在地との間のみを結ぶという極めて限定的でコンパクトな新幹線構想であります。これなら何とかなるだろうというわけであります。  私は、北陸新幹線あるいは北海道・東北新幹線など、出張の際に乗車をさせていただいたことがございますが、車窓の風景ときたら、山また山、途中ちょっと寂しげな集落があったかと思うと後はトンネルばかり、非常にへんぴな印象を受けたものであります。それに対しまして、このプランでいうところの四国新幹線、もちろんその沿線上に大都市が林立しているわけではございませんが、松山から徳島市の間など、沿線上に幾つもの小都市が点在をいたしております。  人口集積という面から見てみましょう。北陸新幹線は、これは群馬県高崎市から福井県敦賀市までの間でありますが、沿線人口が一キロ当たり六千五百人であります。また、北海道・東北新幹線は、これは岩手県盛岡市から札幌市までの間ですが、沿線人口は一キロ当たりたったの六千人であります。それに対しまして、我が四国新幹線は、沿線人口が何と一万一千二百人であります。当然ながら、四国新幹線は、整備されるべきプロジェクトなのであります。  そして、ここで私たちが最も深く認識しておかなければならないことがあります。それは、この四国新幹線において、最大の難工事がもう既に完了しているということであります。この事業で最も多額の費用を要し、そして技術面でも非常に難しい部分、それは四国と本州との間の海峡に橋をかけるということでありました。しかしながら、御存じのように、これはもう三十一年前に既に瀬戸大橋として完成をいたしております。先人たちは偉かった。田中内閣が閣議決定した基本計画があるがゆえに、必要以上にぶっとい橋、新幹線でも優に通れる構造、つまり新幹線仕様にあの橋はできているのであります。ですから、国のリーダーが決断さえ下せば、あすにでもこれは前に向いていく事業なのであります。国会議員の方々の一日も早い決起を促したいところであります。  ただ、私の皮膚感覚でありますけれども、この四国新幹線の必要性について、町で県民の方々に問うてみましたところ、半分、いや恐らく半分以上の方々が、まだまだ否定的な意見をお持ちのようであります。残念であります。しかしながら、あえて申し上げます。新幹線プロジェクトというのは、これは決して都道府県レベルでの事業ではないということであります。一旦これをやると決まったならば、政府が後は責任を持って取り組む、いわば国家プロジェクトであります。ですから、私たちが幾ら地方に新幹線は要らないと言ったところで、新幹線の整備はこれからも未来に向けてずっとずっと各地で進んでいくのであります。  それが証拠に、平成二十九年度から国交省では鉄道整備等基礎調査委託費といって、約二億八千万円の予算だったと思いますが、毎年予算計上され、新たな整備新幹線の検討が進められているのであります。もちろん、これは四国新幹線だけのためについているわけではないのですけれども、そうでないにせよ、政府はやる気なのです。ですから、手を挙げましょうよ。今私たちが手を挙げなければ、これ、四十年たったって、ひょっとしたら五十年たっても四国にだけは新幹線が来ないかもしれません。  昭和三十九年、東海道新幹線が開業以来、これまで全国各地で新幹線が整備されてまいりました。これ、全て私たちの税金が含まれているのであります。まだ、私たちはそれを返してもらっていないのですね。もうそろそろ私たちが恩恵にあずかる順番ではないかと私は考えるのですが、皆さんいかがでしょうか。  京都大学の教授で藤井 聡という人物がおられます。この方は香川県ともとってもゆかりの深い人物でありますが、この藤井教授がおもしろいことをおっしゃっておられます。現代、都市が発展するも凋落するも、それはある一つの法則によって決まっているのだと。それは、その町が新幹線の沿線上にあるかないか、その差だけなのだと、このようにおっしゃっているのですね。今、この国の若者が、一度は行ってみたい、できれば住んでみたい、そんな憧れる町、活気に満ちあふれていて、きらびやかなそんな都市と言えば、東京はもちろんですが、それ以外で恐らくそれは政令指定都市ぐらいではないでしょうか。現在、全国に政令指定都市は二十ございます。なるほどそのうち札幌市を除けば、あとは全て新幹線の駅を有する町か、それに隣接する町ばかりであります。ここでこんなことを申し上げるのはどうかと思いますが、香川県高松市、この町は、明治十九年、明治十九年と言えば、明治維新成立後、我が国が近代化の道を歩み始めて間もないころでありますが、当時この高松は、全国人口ランキング第二十位の大都市でありました。二十位と言えば、今なら政令指定都市であります。ところが、現在は全国ランキング五十位にまで凋落いたしております。でも、まだそれならいい。徳島県徳島市、この町は、明治十九年、四国最大の都市でありました。全国人口ランキング第十位、西日本有数の大都会だったのです。ところが、現在は人口ランキング百二位です。何と百位以内にも入っていないのですね。今では夏の阿波おどりのとき以外は、寂れた活気のない元気のない町にまで落ちぶれてしまっております。いずれも整備新幹線計画から外された町であります。  九州には、観光で名高い長崎という町がございます。長崎は、実はそんな古い話ではございません。大正末期まで九州第一の都会でありました。全国人口ランキング八位、西日本でも有数の大都会だったのです。ところが、御承知のとおり、福岡市に抜かれ、北九州市にも抜かれ、おまけに熊本市にまで抜き去られてしまっております。新幹線が来なかったからなのですね。長崎は今、その後躍起になって新幹線の誘致活動を大々的に展開いたしました。そのかいあって、三年後に西九州新幹線として開業が予定をされております。将来が楽しみな町の一つであります。  逆に、静岡市、浜松市あるいは岡山市、このような町は、実は以前はそれほど大きくもなかったのです。しかしながら、御存じのように、今では政令指定都市として大発展を遂げております。新幹線が来たからです。新幹線は、事ほどさように人や物だけを乗せて走っている乗り物ではないということであります。  藤井教授はこうもおっしゃっております。新幹線を通すということは、砂漠のど真ん中に運河をつくるようなものなのだと。そう、運河ができ上がりますと、そのうち岸辺に木や草が生えてまいります。瞬く間にさまざまな虫が湧いて出てきます。水の中には魚がすむようになります。つまり、新しい生態系がそこには誕生するのであります。それと同じように、新幹線がやって来れば、とんでもなく大勢の人々が激しく往来をするわけですから、駅の周辺にはさまざまな商いが始まります。たくさんの人を受け入れなければならないわけですから、ホテルほかさまざまな商業施設が建ち並ぶことになります。そうなってまいりますと、若い人を中心に新しい雇用が生まれます。みんなの財布にお金が入ってくるというわけであります。つまり、このように交通政策に力を入れて積極的な公共投資を実施すれば、結局は民間投資が活発になって、地域の経済が動き始めるということであります。  私は、このスーパー新幹線で、四国を、とりわけこの香川県を何とか今よりももっともっと活気づけたい、そのように願っております。新幹線反対意見を唱える方々の中には、財源の問題を指摘する声もございます。なるほど整備新幹線は三分の二は国費で賄いますが、残り三分の一は地方負担となっております。しかしながら、これは表向きの話でありまして、前例に基づけば、地方交付税措置によって、地方負担は引き下げられ、実質的には一二%から一八%の負担で済んでいると聞いております。道路をつくったって地方が半分は負担しなければなりません。一遍つくってしまえば、維持管理コストが後々かかります。それに対しまして、新幹線は、一旦つくってしまえば、あとはJRが稼いでくれますから、税収がふえるだけの話でありまして、私はほかの事業と比べれば、決して割高な公共事業ではないと考えております。  いずれにいたしましても、今、基本路線計画の枠の中でしかないこの四国新幹線でありますけれども、地元の声、県民の力で、これより五年以内に何とか整備計画路線に格上げしていただきたい。そして、さらに十年をかけて工事を進め、つまり十五年後に四国新幹線の開業へとこぎつけることができればと願っております。十五年後といいますと、この議場を見渡しますとちょっと心配な方々もいらっしゃいますが、先生方、どうぞそのときまで達者でいてください。みんなで一番列車に乗ろうではありませんか。議員各位の御賛同を心からお願いを申し上げたいと思います。  それでは、浜田知事に、これまでの新幹線誘致に関する取り組み状況、そして今後の展望についてお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)山田議員の四国の新幹線の実現に向けた取り組みについての御質問にお答えいたします。  人口減少、少子高齢化が全国に先駆けて進展する四国地域において、新幹線の整備を図ることは、交流圏や交流人口の拡大による経済活性化に加え、災害耐力の向上や在来線の維持確保等の観点からも極めて重要であると考えております。また、瀬戸大橋は本州四国連絡ルートでは唯一の道路鉄道併用橋として、本州と四国を結ぶ交通の大動脈でありますが、御指摘のとおり、既に新幹線規格で整備されているにもかかわらず、これが実現していない現状ではその機能が十分に活用されているとは言えない状況であります。  四国の新幹線実現に向けて、国政レベルの動きを前進させていくためには、県民の皆様の御理解が不可欠であると考えており、これまでも四国四県や経済界などで連携し、パンフレット作成やシンポジウムの開催等を実施するとともに、本県単独でも勉強会やシンポジウムを開催するなど、機運の醸成に努めてきたほか、国等に対する要望活動を展開してまいりました。本年に入ってからも、二月に高松市内で開催したシンポジウム「新幹線で四国を変えよう」においては、大阪大学大学院の土井教授による「四国の鉄道の現状及び新幹線の必要性」と題する基調講演を行ったほか、地元大学生などに加え、私自身もパネリストの一人として参加し、瀬戸大橋を活用した四国の新幹線の必要性や有効性などを訴えたところであります。  また、三月に開催された第四回の四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会IIにおいて、委員である私から、四国の新幹線の導入が、持続可能な公共交通ネットワークの構築のために不可欠であることを申し上げました。さらに、先月七日には、重点要望として、県議会議長、副議長とともに、国に対して、四国の新幹線の実現に向け、一日も早い国による整備計画格上げに向けた調査に取り組むよう要望してまいりました。来月二十二日には、四国各県や経済界などで構成する四国新幹線整備促進期成会において、本年で三回目となる四国の新幹線東京大会を開催して、機運の醸成に努めるとともに、大会終了後には、四国各県や経済界等と連携し、国等に対して要望活動を行うこととしております。  今後、より一層県民の皆様に四国の新幹線の必要性やそのもたらす効果、瀬戸大橋が既に新幹線規格で整備されていることなどを十分御理解いただくため、期成会などが作成した調査報告書等も活用し、勉強会やシンポジウムなどの開催を通じて、四国の新幹線の開業効果や四国における地域の将来イメージについて強く訴えかけてまいりたいと考えております。  私といたしましては、他の基本計画ルートの動きも活発になってきている中、国政の動きを一歩でも前進、拡大していけるよう、県議会を初め、関係国会議員、各市町長等の皆様の御尽力を賜りながら、四国新幹線整備促進期成会を中心に、これまで以上に声を一つにして、四国の新幹線の早期実現に向けて積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 一般質問を行います。  知事並びに教育長に以下六点お尋ねします。  まず、初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねします。  参議院選挙が目前に迫りました。安倍政治は、あらゆる面で行き詰まり、政治への不信と将来への不安が広がっています。年金が二千万円不足するという金融庁の報告書が不安を広げ、都合の悪い報告書はなかったことにするという安倍政権の姿勢に怒りが高まっています。消費税の一〇%増税に、暮らしと景気を悪化させるという批判と不安が広がり、延期論が政権内部からも出るなど、矛盾が深まっています。憲法九条の改正も反対が多数になるなど、安倍首相の思いどおりに進んでいません。うそとそんたくの政治がさまざまな分野で噴き出し、国民の怒りが広がっています。  今度の選挙は、行き詰まった安倍政権に退場の審判を下し、希望と安心の新しい政治を切り開くことができるのかが問われる選挙です。政治を変える力、それは市民と野党の共闘の力です。私は、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、安倍政治にかわる新しい政治実現に全力を尽くす決意です。  そこで、知事に、日本共産党の政策「消費税増税中止、くらしに希望を 三つの提案」についてお尋ねをいたします。  二〇一四年の消費税八%への増税を契機に、家計消費は二十五万円の落ち込み、働く人の実質賃金は年平均十万円も減少し、世界経済の減速も加わって、政府自身が景気悪化の可能性を否定できなくなっています。こんな経済情勢で増税を強行していいのかが問われています。今必要なことは、消費税増税をやめ、家計を応援し、格差と貧困を是正する経済政策に変え、暮らしに希望が持てる社会にすることです。  そのために、第一の提案は、八時間働けば普通に暮らせる社会をつくることです。  中小企業への支援を抜本的に強めつつ、最低賃金は全国一律に千円に引き上げ千五百円を目指す。残業代ゼロ制度の廃止、非正規労働者の正社員化、介護や保育の労働者の月五万円の賃上げなどです。  第二の提案は、暮らしを支える社会保障を築くことです。  年金は七兆円削減のマクロ経済スライドをやめ、減らない年金とします。そのために、一、高額所得者の保険料を見直し、一兆円規模の年金収入をふやす。二、約二百兆円の巨額の年金積立金を年金給付に活用する。三、賃上げと正社員化を進めて、保険料収入と加入者をふやすの三つの改革を行います。当面の低年金の底上げ策では、消費税とは別の財源を確保して、一律月五千円、年六万円上乗せし、将来的には全額国庫負担で最低保障年金を実現します。  第三の提案は、お金の心配なく学び、子育てができる社会をつくることです。  全ての学生を対象に、大学・専門学校の授業料を半減し、段階的に無償化を図る。七十万人に月額三万円以上支給する給付制奨学金制度をつくり、奨学金を無利子化する。学校給食の無償化を初め、義務教育の完全無償化を実現する。幼児教育・保育の無償化を消費税に頼らず実施することなどです。そして、その財源は、消費税に頼らない別の道で賄います。大企業への優遇税制を改め、中小企業並みの負担を求めることによって、四兆円。富裕層優遇の証券税制を改め、最高税率の引き上げで三・一兆円。米軍への思いやり予算などを廃止することで〇・四兆円。以上の改革で合わせて七・五兆円の財源確保は十分に可能であります。  以上の三つの提案と消費税に頼らない財源の確保について、知事の御所見をお示しください。  六月十九日の党首討論で、我が党の志位委員長が、マクロ経済スライド廃止を求めると安倍首相は、ばかげた政策だと拒否しましたが、二千万円足りない問題に加え、減り続ける年金でいいのでしょうか。マクロ経済スライドを続けて、七兆円の年金削減か、それともこの制度を廃止して減らない年金にするのかが参議院選挙の最大の争点になっていますが、知事の基本的なお考えをお示しください。  次に、高過ぎる国民健康保険料(税)の引き下げについてであります。  国保は、加入者の四割が年金生活者、三割が非正規労働者であり、所得の低い人が多く加入する医療保険です。ところが平均保険料は、四人世帯の場合で同じ年収のサラリーマンの健康保険料の二倍にもなります。しかも、安倍政権が昨年度から開始した国保の都道府県化によって、今でも高過ぎる国保料(税)の負担がさらに引き上げられようとしています。  全国の知事会、市長会、町村会などは、加入者の所得が低い国保が他の医療保険より保険料が高く負担が限界に達している国保の構造問題を解決するために、公費投入をふやして国保料(税)を引き下げることを国に要望し続けています。  国保には均等割、平等割という勤労者の医療保険にはない人頭税があり、高い国保料(税)の大きな要因になっています。全国知事会などが求める公費負担を一兆円ふやせば、均等割、平等割をなくせます。それによって、所得二百五十万円の四人世帯の国保料(税)は、全国平均で三十五・四万円から二十・二万円に下がります。所得百八万円の単身者も、十二・八万円から七・〇万円に下がるなど、大幅な負担軽減になります。本県として、国に強く求めるべきと思いますが、知事の決意をお伺いいたします。  また、国がやらないのなら、県として一般会計からの繰り入れを行うべきだと思いますが、御所見をお示しください。  なお、安倍政権が六月二十一日閣議決定した骨太の方針二〇一九は、社会保障削減をさらに加速させるものとなっています。  高過ぎる国保料(税)を軽減するために、市町村が独自に行ってきた一般会計からの繰り入れを「早期解消を促す」と公費削減を迫る圧力をかけています。繰り入れが削減・廃止されるなら、今でも高過ぎて払えない国保料(税)は、さらに大幅値上げされることになると思いますが、知事はどのように受けとめていますか。国保の都道府県化で、繰り入れ削減や差し押さえなど、国保料(税)の徴収強化といった自治体の努力に応じて交付金を増額する保険者努力支援制度を実施していますが、今回の骨太の方針では、努力が足りない自治体への交付金の減算、罰金措置をつくると明記しています。このような公費削減のあめとむちのやり方は、やめるべきです。国に対して強く求めるべきと思いますが、知事にお伺いをいたします。  次に、子供の医療費の無料化年齢の引き上げについてお尋ねします。  全ての都道府県、市町村で、子供の医療費への助成制度が実施されていますが、私は、小学校就学前の子供の医療費を、所得制限なしで無料化することを国の制度として行うべきと考えます。その共通の土台の上に自治体の助成制度をさらに前進させ、小・中・高校生への医療費助成を推進させなければなりません。  国は、小学生以上の子供の窓口無料化を行う市町村に、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置のペナルティーを科すなど、自治体の努力を妨害しています。全国知事会も、ペナルティーを廃止し、国の責任において子供の医療費にかかわる全国一律の制度を創設することを要望していますが、知事はこの点についてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。  全国で、子供の医療費無料化は、この十年で大きく広がりました。これは、都道府県での助成対象の拡大の支えがあってのことだと言われています。県下では、高松市以外の全ての自治体で中学卒業まで、医療費の自己負担がない制度が実施されています。そして、高松市でも市民の強い要望を受け、来年度から実施の運びとなりました。  医療費の自己負担金を払えないため、医療機関への受診ができない事例が生じており、家庭の収入の違いで命と健康に差がつくことは許されません。子供の医療費窓口無料化の制度拡充、対象年齢の引き上げが強く求められています。  県の制度として、中学校卒業まで対象年齢を引き上げるべきと考えますが、知事の御所見をお示しください。  六月二十一日の文教厚生委員会で、我が会派の秋山議員の質問に対し、理事者は、現在の小学校就学前までで八億円余の助成をしているが、それを小学校卒業まで年齢を引き上げると六億三千三百万円必要との答弁をしています。中学校卒業までであれば幾らかかりますか、お答えください。  浜田知事は、六月議会冒頭の提案理由説明で、平成三十年度の決算見込みは、約四十億円の黒字の見通しと述べられましたが、これだけの予算があるのであれば、中学校卒業までの年齢引き上げは十分できるものと考えますが、知事の御所見をお示しください。  次に、原発ゼロと日米地位協定の見直しについてお尋ねをいたします。  多くの国民は、原発のない社会を望んでいます。しかし、昨年三月に野党四党と無所属で共同提出された原発ゼロ基本法案は、自民、公明などの反対でいまだに審議されていません。福島第一原発の事故処理のための費用は十兆円を超え、この先どこまで膨らむのか、全く見当がつきません。再稼働のための既存原発の安全対策費は電力各社十一社で四・六兆円にもなり、電気料金、税金などを通じて、国民の負担になります。十万年もの管理が必要な核のごみの処理費用は、誰にも算定できません。原発は、産業として全く未来はありません。これにしがみついて利益を得るのは、原発利益共同体に属する一握りの巨大企業だけです。
     原子力規制委員会は四月二十四日、原発の新規制基準で設置が義務づけられているテロ対策施設、特定重大事故処理施設、特重施設が期限までに完成していない原発の運転を認めないことを決めました。四国電力の伊方原発三号機は、再来年三月の設置期限に間に合わず、約一年おくれると言われています。基準不適合なら、当然運転停止となりますが、県として四国電力に対する対応はどうなっているのでしょうか、知事にお伺いをいたします。  かつて、東芝で原子炉格納容器の設計を担当していた後藤政志工学博士は、「特重施設の設置は、福島原発事故を受けた二〇一二年の施行の新基準で義務づけられたものであり、その安全施設が完成していないのに原発を運転させるのはもってのほか。備えを怠った福島原発事故の教訓を無視していいのか」、「そもそも特重施設が重大事故のときに本当に機能するかどうか、何ら実証されていない」と述べていますが、こうした専門家の指摘をどのように受けとめておられるのでしょうか。私は、原発はゼロにする以外に国民の安全は守れないと思いますが、知事の御所見をお示しください。  さて、私は、伊方原発の危険性については、南海トラフ巨大地震が発生した場合、伊方原発の下約五キロメートルの中央構造線が動く可能性が指摘されており、放射能漏れの重大事故に対する対応を何度となく求めてきましたが、今回は、米軍機事故による対応を求めたいと思います。  米軍機の低空飛行訓練が全国各地で行われ、被害が深刻になっています。四国はオレンジルートと呼ばれる米軍機の低空飛行訓練ルートが設定され、和歌山県沖から徳島、高知、愛媛を通り、米軍岩国基地に向かうようになっています。人家の屋根すれすれに飛び、窓ガラスや家具が振動するほどの騒音で、百デシベルを超えています。高知県では、一昨年、防災ヘリとニアミスを起こしています。  問題なのは、伊方原発の上空を飛ぶ危険です。原発は上空から目立つので、訓練の標的にされやすいと言われています。一九八八年六月二十五日、伊方原発の真上を通った普天間基地所属のCH53Dヘリが山に激突し、米兵七人全員が死亡する事故が発生。機体がバウンドしなかったら、原発敷地内に落ちて大惨事になっていたと言われていますが、日米地位協定を盾に、関係者の立ち入りは認められませんでした。一九七九年から二〇一二年の間に、伊方原発周辺の米軍機事故は八回も発生し、危険きわまりない状況となっていますが、知事はこの事実をどのように受けとめておられますか、お尋ねをいたします。  沖縄県がヨーロッパ諸国に置かれた米軍基地を調査した結果、米軍に国内法が適用されない、基地への立入調査権もなく、訓練・演習の規制ができないのは日本だけであったことが明らかになりました。米軍にこのような植民地的特権を保障した日米地位協定が一九六〇年の締結以来一度も改正されていないことは、まともな主権国家とは言えない異常なことではないでしょうか。全国知事会も昨年八月、国に対し日米地位協定の改定を求める要望を行っていますが、知事の御所見をお示しください。  次に、公正な教科書の採択についてお尋ねをいたします。  安倍首相は、二〇二〇年を新しい憲法が施行される年にすると公言し、自民党がまとめた九条改憲の条文案は、九条二項の後に自衛隊の保持を明記し、自衛隊の行動は、法律で定めると書いてあります。一たび自衛隊を憲法に明記し、後は法律で定めるとなると、時の多数党と政府が、法律さえ通せば、自衛隊の行動を無限定に拡大できるようになってしまいます。戦争する国への歯どめなき暴走は許されません。  安倍政権によって教育基本法が改悪され、教育現場に対する干渉が強まっています。それによって、ことしの夏に新学習指導要領にのっとった小学校全教科(道徳を含む)と現行の旧学習指導要領にのっとった中学校全教科(道徳を除く)の採択が行われます。八年前、四年前の採択では、唯一、香川県立高松北中学校で育鵬社の教科書が採択されました。この歴史教科書は、日本の侵略戦争を自存自衛、アジアの解放のためと描き、日本の戦争は正しかったという主張が貫かれ、戦争放棄などは連合国に押しつけられたものとして否定的に描き、平和主義の項目の大半を自衛隊の説明に割く異常なものです。  安倍政権の目指す戦争する国には、進んで戦争に行く国民が必要です。かつては軍国主義教育が国民を戦争に駆り立てました。日本は正しい戦争をしたと教えることで、再び同じ過ちを繰り返してはなりません。私は、平和主義に基づく教科書の採択こそ、今、強く求められていると思います。  このような中、六月十九日、香川の教育をよくする県民会議など四団体が、教育長に対し、香川の未来を担う子どもたちにふさわしい平和憲法を生かした教科書採択を求める要請書を手渡し、申し入れを行いました。その内容は、一、県教委を初め、県内十八の教育委員会が独立性を保ち、採択に当たっては、現場の教員の声が採択に反映される仕組みとすること。二、採択地区の選定委員会答申調査員の研究調査報告書には、教科書の長所・短所を記述し、公開するなど選定過程の透明化。三、教科書採択時の教育委員会の審議の公開、議事録への発言者氏名の明記。四、県立高松北中学校で採択されている育鵬社教科書の他社への変更。五、小学校道徳教科書は、愛国心の強調ではなく、憲法の理念に基づいた平和、人権、共生などバランスのとれた教科書採択とすること。六、教育勅語を賛美するモラロジー研究所の道徳教育研究会の後援をやめ、教育長を初め、教育委員会関係者の参加を中止することであります。  以上、六点について教育長の御所見をお示しください。  最後に、LGBT、SOGI(性的指向・性自認)に関する差別のない社会の実現についてお尋ねします。  社会の全ての構成員が、個人の尊厳を大切にされる社会にするためには、同性婚を認める民法改正案や野党共同提出のLGBT差別解消法案の国会での成立が強く求められています。  六月二十四日、茨城県の大井川知事は、LGBTのカップルを夫婦同様のパートナーとして認めるパートナーシップ宣誓制度を七月一日から実施すると発表しました。都道府県では初めてです。  LGBT当事者が、互いをパートナーとして生活することを届けると、県が宣誓受領書を交付し、県営住宅への家族としての入居申請、県立病院での親族同様の扱いも受けられることも可能となります。また、県は、職員採用試験の申込書や各種申請書などで性別記載欄を見直すほか、LGBT当事者向けの相談窓口も開設、関係団体を通じた当事者の実態調査、県民への普及啓発なども行うとしています。  私は、本県としても同性パートナーシップ条例を制定し、社会のあらゆる場面で権利保障と理解促進を進めるべきと考えますが、知事の御所見をお示しください。  以上で質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の御質問にお答えいたします。  まず、私の政治姿勢についてであります。  議員から三つの御提案をいただきましたが、「八時間働けば普通に暮らせる社会をつくる」のうち、最低賃金につきましては、いわゆる骨太の方針二〇一九において、より早期に全国加重平均が千円になることを目指すとされているところであり、私としましては、県経済を支える中小企業の生産性向上や経営改善を積極的に支援することにより、賃金水準の向上を図ってまいります。  また、高度プロフェッショナル制度につきましては、自律的で創造的な働き方を希望する方々が、高い収入を確保しながら、めり張りのある働き方ができるよう導入されたものと認識しており、非正規雇用労働者の正社員への転換につきましては、私としても積極的に取り組むべき課題であると考えております。介護職員や保育士の賃金につきましては、それぞれ一定程度の改善が図られてきているものの、より一層の処遇改善が行われる必要があると考えております。  次に、「暮らしを支える社会保障を築く」につきましては、我が国が直面している急速な少子高齢化と人口減少の同時進行という状況において、国民健康保険や医療制度、年金制度など、国民生活を支える最も重要な社会基盤である社会保障制度は、受益と負担の均衡がとれた、将来にわたって持続可能で国民の皆様から信頼されるものになることが必要であると考えております。  次に、「お金の心配がなく、学び、子育てができる社会をつくる」につきましては、国において本年十月から幼児教育・保育の無償化が、来年度から経済的な理由で進学を諦めることのないよう、高等教育の無償化がそれぞれ実施される予定でありますが、子育て・教育の負担につきましても、将来にわたって持続可能な制度とすること、税負担も含め、全体として公平感のあるものとすることが重要であると考えております。  なお、学校給食費を初めとする義務教育に係る費用につきましては、現在、経済的理由により就学が困難と認められる児童・生徒の保護者に対し、就学援助や教育扶助の制度が設けられていると承知しておりますが、その無償化につきましては、地域の実情等に応じて、各学校の設置者が判断すべきものと考えております。  私は、人口減少や少子高齢化が進む中で、諸課題に対応していくためには、バランスのとれた安定した税収入の確保や成長の好循環による税収入の拡大を図る一方で、限られた財源を有効に配分していくことが重要であると考えております。こうした考えのもと、消費税につきましては、所得、資産、消費による課税のバランスの中で、あらゆる世代が広く負担し、景気や経済の影響を受けにくい貴重な財源であり、その税率引き上げは、現在の国と地方の危機的財政状況や社会保障の充実等の観点からは避けて通れないものと考えております。  なお、マクロ経済スライドを含めた年金についての重ねてのお尋ねにつきましては、基本的な考え方として、先ほども申し上げましたとおり、将来にわたって持続可能で国民から信頼されるものになることが必要であると考えております。  次に、国民健康保険制度についてであります。  現在、国民健康保険には給付費の五割以上、計四・六兆円、協会けんぽには給付費の一六・四%、計一・二兆円の公費負担があり、健康保険組合には公費負担がない中で、国民健康保険財政における公費負担につきましては、国、地方を通じた厳しい財政事情のもと、国保の財政基盤の強化を目指した今回の制度改革において、国の財政負担を含め、さまざまな議論が行われ、平成二十七年二月に国と地方間で公費で三千四百億円拡充することで合意したものと承知しております。このため、まずは、この財政支援を今後も国の責任において確実に実施することを国に求めているところであり、こうしたことから、県が一般会計から繰り入れを行うことは考えておりません。  御指摘の各市町の一般会計からの繰り入れのうち、決算補填等を目的とする繰り入れにつきましては、本来、解消または削減すべき対象であると認識しており、国からも法定外繰り入れ等の早期解消が促されておりますが、その解消に当たっては、保険料水準が急激に変化しないよう、各市町において計画的に対応することとされていると承知しております。  また、骨太の方針二〇一九では、保険者努力支援制度において、加減算双方向での評価指標の導入などめり張りを強化するとされておりますが、その内容は、交付金の総額を減額するものではなく、配分に当たっての評価点数の見直しが検討されているものと承知しております。いずれにいたしましても、その見直しが制度本来の目的である財政面でのインセンティブが働く仕組みとなるよう、機会を捉えて国に申し入れしたいと考えております。  次に、子供の医療費についてであります。  子供の医療費につきましては、子育て家庭への経済的支援の充実を図るため、国において全国一律の制度とする必要があると考えており、国保の減額措置につきましても、国保財政に重大な影響を及ぼしていることから、国においての制度化や減額措置の全面的な廃止をするよう、全国知事会からの要望に加え、本県からも要望しているところであります。  乳幼児医療費支給事業につきましては、平成二十三年八月に対象年齢を就学前までに引き上げるなど、制度の拡充に努めており、県内各市町におきましては、それぞれの判断により、独自に上乗せを行っているものと承知しております。その対象年齢の引き上げにつきましては、さまざまな観点から検討した結果、それまでの年齢を継続した上で、平成二十六年度に、各市町が地域ごとのニーズに応じて創意工夫を凝らした事業を実施できるよう、本県独自のかがわ健やか子ども基金事業を創設し、各市町の取り組みを支援することとしたところであり、この基金事業につきましては、全ての市町から、有益であり、活用しやすいとの御意見をいただいております。  お尋ねの対象年齢を引き上げた場合の県負担額につきましては、平成二十六年度の実績額をもとに試算しますと、入院、通院とも小学校卒業までとした場合は、毎年度約六億三千三百万円が、中学校卒業までとした場合は、約八億八千五百万円がさらに必要となります。  御提案の中学校卒業までの引き上げについては、国において全国一律の制度とする中で検討されるべきものと考えておりますが、県単独での実施につきましては、厳しい財政状況のもと、単年度の決算剰余金をもって恒久的な制度の財源とすることは適当ではなく、難しいものと存じます。  次は、原発ゼロと日米地位協定についてであります。  県では、これまで四国電力に対して、伊方発電所の安全対策に万全を期すよう意見を申し述べるとともに、国に対しても、全国知事会や四国知事会を通じて、原子力施設の安全対策等にあらゆる対策を講じるよう、提言等を行っているところであります。  議員お尋ねの伊方発電所における特定重大事故等対処施設の設置につきましては、四国電力から、丁寧かつスピード感を持って原子力規制委員会の審査に対応するとともに、工事についても工期短縮が図られるよう、最大限の努力を継続すると伺っておりますが、今後とも伊方発電所の安全対策に万全を期すよう、国や四国電力に対して意見を述べるなど、県民の安全・安心を確保する観点に立って対応してまいりたいと考えております。  また、原子力発電所の稼働の是非につきましては、新規制基準に基づき、原子力規制委員会等の専門家による徹底的な安全性の検証や十分なチェックがなされ、基本的には国の責任において判断されるべきことであり、その際には、安全性を最優先としなければならないと考えております。  次に、米軍機の低空飛行訓練等による事故は、決してあってはならないことであると考えており、安全性を最優先に、国の責任において対応していただきたいと考えております。  また、日米地位協定につきましては、議員御指摘のとおり、昨年八月、全国知事会として、日米両政府に対して抜本的な見直しをするよう提言を行ったところであり、私といたしましても、全国知事会の提言も踏まえ、国民の生命・財産や領土・領海等を守る立場から、政府において一層積極的に取り組んでいただきたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、総務部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)東田総務部長。    (総務部長東田晃拓君登壇) ◯総務部長(東田晃拓君)樫議員のLGBTに関する差別のない社会の実現についての御質問にお答えいたします。  LGBTなど性的少数者の方々は、偏見や無理解のため、学校や職場などで心ない好奇の目にさらされるなど、不当な差別を受ける場合もあり、こうした方々が安心して暮らせるよう、人権尊重の観点からの配慮が必要であると認識しております。このため、本県におきましては、昨年八月から性的少数者電話相談窓口を開設するとともに、じんけんフェスタ等の機会を利用して、周知啓発に努めているところであります。  お尋ねの性的少数者のカップルがパートナーであることの証明書を発行する制度、いわゆるパートナーシップ制度につきましては、性的少数者に対する社会的理解が広がり、多様性を認め合う共生社会が実現することから、その導入を望む声がある一方で、婚姻のあり方にかかわるものであるため、その導入に慎重な対応を求める声もあるものと認識しております。  いずれにいたしましても、性的少数者の方々への差別のない社会の実現に向けて、パートナーシップ制度を含め、その支援のあり方につきましては、他県の動向も参考にしつつ、引き続き幅広く研究してまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)樫議員の教科書採択についての御質問にお答えいたします。  教科書採択については、文部科学省通知において、外部からのあらゆる働きかけに左右されることなく、採択権者の判断と責任において、公正かつ適正に行うこととされており、県教育委員会といたしましては、この通知の趣旨の徹底について、各市町教育委員会に周知しております。  教科書採択に当たっては、多くの現場の教員が調査員となり、綿密な調査研究を行っております。各採択地区の答申や調査研究資料については、調査結果を数値であらわすなど、特徴が客観的に示されており、その公表については、各市町教育委員会において、それぞれの実情に応じて適切に判断するものと考えております。  採択に係る会議の公開については、静ひつな審議環境の確保等の観点から、各教育委員会が公開・非公開を判断することとされており、それぞれにおいて適切に対応しているところであります。  議事録への発言者の氏名の記載については、県教育委員会においては実施しておりますが、市町教育委員会においては、それぞれの実情に応じ、適切に判断されるものと考えております。  県立高松北中学校の教科書採択に当たっては、選定審議会の答申や調査委員会の調査研究結果とあわせ、校長や保護者代表の意見も十分に聴き、慎重に審議し、採択してまいります。  小学校道徳の教科書については、文部科学省が示す検定基準に基づいて検定に合格したものの中から、各市町教育委員会の判断と責任により、適正に採択されるものと承知しております。  公益財団法人モラロジー研究所の道徳教育研究会の後援については、県教育委員会の基準に基づいて申請内容を審査し適当と認めたものであり、当該研究会への参加要請への対応については、教育委員会職員が県の教育施策の概要について説明しているところであります。  県教育委員会といたしましては、今後とも公正かつ適正な教科書採択に努めてまいります。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 再質問を行います。  一点目は、知事の政治姿勢についてですが、今の答弁は、安倍首相の言っていることと何ら変わらない内容だというふうに思います。アベノミクスで格差と貧困が大きく広がっています。一%の富裕層のための政治か、それとも九九%の国民のための政治か、これが今問われていると思います。だから、私は日本共産党の三つの提案、一つは大企業優遇税制を改める、二つ目は富裕層優遇の株などの証券税制を改めるなど大企業や富裕層に応分の負担を求める、そしてさらに、米軍への思いやり予算の廃止などを行う、そうすれば、消費税に頼らない財源確保ができる。具体的数字も挙げて質問いたしました。この点について知事はどのように思われるのか、私のこういった一番中心的な質問に対してお答えがありませんでした。これについて明確に答えていただきたいと思います。  それから、子供の医療費の無料化年齢の引き上げですが、私は医療機関への受診ができない事例をいっぱい聞いております。家庭の収入の違いで、命と健康に差がつく、これは絶対に許されないものなのです。だからこそ、中学卒業までの子供の医療費無料化、これを県の責任でやるべきではないか、こうお尋ねをしています。  先ほど知事の答弁の中で、中学卒業までであれば八億八千五百万円、これだけのお金があればできるということでございました。しかし、恒常的なこういった予算をつけるというのは難しいというお話なのですけれども、先ほど私も申し上げましたが、三十年度で四十億円以上の黒字になっているのであれば、本当に誰の立場で政治をするのか、格差と貧困を本当になくすということであれば、こうした点にこそ予算をつけるべきだと、こう思ってお尋ねを再度したいと思います。  三点目は、平和憲法を生かした教科書採択を求める要請書、これは一万八千人の署名を添えて提出されました。教育長の答弁は、県民の声を本当に受けとめた答弁とは到底思えません。  教育長、公正な教科書とは何ですか。それは、私は平和憲法を生かした教科書ではないかというふうに思っています。そういう立場で、本当にこの要請書というのを真摯に受けとめて、そしてもう一度答弁をしていただきたい、このことを強く求めまして、再質問を終わりたいと思います。(拍手、降壇) ◯副議長(西川昭吾君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の再質問にお答えいたします。  税制につきましての重ねてのお尋ねがございましたけれども、先ほども申し上げましたとおり、人口減少、少子高齢化が進む中で、諸課題に対応していくためにバランスのとれた安定した税収入の確保、成長の好循環による税収の拡大を図るということが重要であろうと考えており、こうした考え方のもとに消費税につきましては現在の国と地方の危機的財政状況、社会保障の充実等の観点から、避けて通れないものと考えております。  二番目の乳幼児医療費の点につきまして、受療環境等についても御指摘がございましたけれども、この診療自体につきましては、各市町の判断において年齢が引き上げられていることによって、そうした問題に対処されているわけでありまして、いわゆる財源の問題になろうかと思いますけれども、この問題につきましては、市町の負担を県の負担にいわば転嫁する形に結果的になるわけでございまして、そうした点については先ほどもお答え申し上げましたとおり、県としてはそうした財政状況にもなく、また、いろいろないわゆる地単(地方単独事業)カットのペナルティー等の問題につきましては、国に対して県も要望しておりますけれども、こうした乳幼児医療の問題につきまして、県として制度を設けて、その制度につきまして、いわゆる基金につきまして市町からも評価をいただいているところでございますので、そうした方向でまた進めてまいれればと考えているところでございます。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)樫議員の再度の御質問にお答えいたします。  香川の教育をよくする県民会議からの要請書はいただきました。私も目を通しております。私どもとしては、外部からのあらゆる働きかけに左右されることなく、採択権者の判断と責任において、透明性にも留意しながら、公正かつ適正に教科書採択を行ってまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。  谷久浩一君。    (谷久浩一君登壇、拍手) ◯谷久浩一君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。  質問の一点目は、自動運転社会への対応についてであります。  先月の四国新聞の記事によりますと、内閣府が全国の六十歳以上の男女を対象に実施した調査において、六十歳から六十四歳までの七八・八%、八十歳以上でも二六・四%が車を運転しているとのことでありました。地域別に見ますと、東京二十三区や政令指定都市では五〇・〇%の人が外出時に「ほとんど毎日」運転をすると回答したのに対し、人口十万人未満の市で七二・九%、町村では七五・五%と都市部よりも小規模自治体において高くなっています。電車やバスなど公共交通機関が限られる地域では、自動車は生活の足として欠かせないものとなっていることが改めて裏づけられた形です。  そんな中、三月十八日、十九日に、私の地元小豆島において、自動運転の車を公道で走らせる本県では初めての実験が、香川大学、群馬大学、明治大学の合同で実施されました。さらに先月五日には、その公道実験の結果などを報告するシンポジウムが東京・神田駿河台の明治大学で開かれたと聞いています。この実験は、高齢化により運転免許証の返納率が高まる中、島内を運行する路線バスもドライバーの不足、高齢化の課題を抱えており、自動運転バスなどの需要が小豆島で高くなることを想定して実施されたものと伺っています。自動運転の実現は、高齢者の日常生活の足の確保、交通事故の防止といった課題の解消に向け、大きな効果が期待されることから、早期の実現が望まれるところであります。  一方、五月二十八日には、改正道路交通法が衆議院で可決されました。これは、自動運転システムの使用に関する規定が新設されたものであります。  自動運転は、技術レベルによりレベル一からレベル五までの五段階に分かれています。ハンドル、アクセル、ブレーキ操作のいずれかが自動となるレベル一、いずれも自動となるレベル二、条件つきで全ての動作を自動化し、緊急時は人間が操作するレベル三、交通量が少ない過疎地など一定の環境下に限定して無人運転するレベル四、人間が一切かかわらず、全ての運転を自動化するレベル五まであります。  国が策定した官民ITS構想・ロードマップ二〇一九では、例えば高速道路上での自動運転については、二〇二〇年を目途にレベル三、その後二〇二五年を目途にレベル四の導入を目標としています。このレベル三の実用化に向け、自動運転システムを使うドライバーが守るべきルールを新設したのが今回の道路交通法改正であります。レベル三は、道路の種類や車の速度など、一定の条件下でシステムが運転を担うものですが、緊急時にはドライバーが直ちに運転を引き継ぐことを条件に、テレビ視聴やスマホ操作を認める等のルールが設けられました。  このように、大学での研究や国における規定整備が着々と進んできていますが、県としての取り組みはどうでしょうか。昨年二月議会の代表質問において、我が会派の黒島議員から、自動運転社会を見据えた県の取り組みについて知事に質問をいたしました。知事からは、実証実験について、市町と連携して取り組んでいくこと、実証実験等で得られた知見や自動運転を支援する道路と車両の連携技術などについて研究していくことなど、自動運転社会の到来を視野に入れて、県としての対応や環境づくりに取り組んでいく旨の答弁をいただきました。それから一年余りたち、この間、小豆島での実証実験や国会での議論を通じ、自動運転を取り巻く状況は大きく進展してきていると感じます。自動運転が夢の技術と言われたのは、もはや遠い過去の話であります。その実現はすぐ目の前に迫っており、県としても変革への対応が求められると考えます。  そこで、自動運転社会の到来に向け、県としてこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、また、現在どのような課題を認識し、その解決に向けどのように対応していくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の二点目は、災害発生時の情報収集についてであります。  昨日、南九州、愛媛において、豪雨により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、新たな災害が発生しないこと、また、一刻も早い復旧を心からお祈りを申し上げます。  改めて申し上げるまでもなく、我が国は地震多発国であります。今後三十年間に七〇%ないし八〇%の確率で発生すると言われている南海トラフ地震は、最悪の場合、約三十二万三千人もの死者が出ると想定されています。巨大地震を初めとする災害は、いつ起こるかわからないだけでなく、我々が予想できなかった事態が生じることもあり、どんなに備えを充実させても、一〇〇%万全ということはないのであります。  スマートフォンの急速な普及により、災害発生時の情報収集手段は大きく変化してきています。総務省の調査によれば、発災時に情報収集に利用した手段として携帯電話を挙げたのは、二〇一一年の東日本大震災では一三%だったのに対し、二〇一六年の熊本地震では六〇%を超えています。携帯電話やスマートフォンを持っていれば、いつでも接続できるインターネットが、被災時にも多くの人が頼る情報収集手段となっています。  しかし、日常的に利用している手段や被災時に利用しようと思っている手段が実際に災害が発生した際に使えるとは限りません。昨年九月六日未明に発生した北海道胆振東部地震では、地震後に北海道のほぼ全域での大規模停電、いわゆるブラックアウトが起こったことで、日本中に大きな衝撃を与えました。電気は、その性質上ためておくことができないため、刻々と変動する電力消費量に合わせて供給する電力量を常に一致させ続ける必要があります。ブラックアウトが起こった原因は、この需要と供給のバランスが崩れたことにあります。北海道内で最大の火力発電所、苫東厚真火力発電所が停止し、周波数を維持できなくなった結果、道内二百九十五万戸への電力供給が停止するに至ったとされています。  電力業界においては、希頻度リスクへの対応を含めた供給力確保策が検討されていますが、しかし、そうした対応策を講じたとしても、ブラックアウトの可能性をゼロにすることは困難であります。また、ブラックアウトまで至らなくとも、停電が発生したり、通信網が切断されたりすれば、インターネットのみならず、テレビや電話などからの情報収集も著しい制限を受けることになります。
     NHK放送文化研究所の調査によりますと、地震発生当日に利用できた端末・機器はラジオが多く、テレビは六八%が利用できなかった。スマートフォン、タブレット端末によるインターネット通信は、発生直後から午前六時ごろまでは四〇%が利用できましたが、その後、二〇%台まで下がったとのことであります。  このような通信途絶など不測の事態に見舞われる可能性があるのは、災害発生時に応急対応の最前線に立つべき行政機関も例外ではありません。  県では、大規模災害発生時には災害対策本部を設置し、各市町、警察、消防、自衛隊等の防災関係機関と連携し、情報収集を初め、人命救助や医療救護、避難所への物資の配送などの災害応急対策を行うこととしていますが、まずは正確な情報を迅速に収集することができなければ、その後の対策における判断を誤ったり、最善の行動がとれなくなったりする懸念があります。県として応急対応を実施するためにも、また、被災者に必要な情報を提供するためにも、不測の事態による情報収集手段の断絶を想定して、関係機関との連絡体制や情報収集体制を確保しておくことが重要と考えます。  県では、県内市町と災害時の相互応援に関する協定を結んでおり、その協定の中で、通信断絶などにより被災市町と連絡が不可能で、かつ緊急を要する場合には、被災市町からの要請を待たずに応援調整が行える旨を定めていると伺っております。被災時には、停電や通信断絶などにより行政機能が麻痺し、必要な連絡や情報収集ができない事態が生じることが十分に起こり得ることを意味しているものであると考えます。  そこで、大規模災害発生時における被災市町や関係機関との連絡体制をどのように構築しているのか、また、停電や電話の不通など、通常用いている連絡手段が使用不可能となった場合の情報収集にどのように対処するのかについて、知事にお伺いをいたします。  質問の三点目は、日本遺産の活用に向けた取り組みについてであります。  本年度の日本遺産に、丸亀市、土庄町、小豆島町と岡山県笠岡市の二市二町が共同申請した「知ってる!?悠久の時が流れる石の島~海を越え、日本の礎を築いたせとうち備讃諸島~」など十六件が選ばれました。  日本遺産とは、文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通じて文化・伝統を語るストーリーを認定し、地域活性化を目指す取り組みであります。ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形のさまざまな文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより、地域の活性化を図ることを目的としており、来年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックに向け、百件程度が認定されることとなっています。  日本遺産に認定されると、認定された当該地域の認知度が高まるとともに、今後、日本遺産を通じたさまざまな取り組みを行うことにより、地域住民のアイデンティティーの再確認や地域のブランド化等にも貢献し、ひいては地方創生に大いに資することが期待されています。  文化庁によると、世界遺産登録や文化財指定は、いずれも登録・指定される文化財や文化遺産の価値づけを行い、保護を担保することを目的とするものでありますが、一方で日本遺産は、既存の文化財の価値づけや保全のための新たな規制を図ることを目的としたものではなく、地域に点在する遺産を「面」として活用し、発信することで、地域活性化を図ることを目的としている点が異なるとされています。言いかえれば、世界遺産は歴史的・自然的な価値のある遺産を開発や破壊、損傷から保護することを目的としているのに対し、日本遺産は、それぞれの遺産が持つ歴史的な魅力や特色を一体的に発信し、地域活性化のために活用することが目的とされているのであります。  今回認定を受けた石の島は、本県の日本遺産としては平成二十七年四月に認定された「「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~」以来の認定となりました。瀬戸内備讃諸島は、古くから良質な花崗岩を産出し、日本銀行本店本館や徳川期の大坂城の石垣に使われるなど、長きにわたり日本の建築文化を支えてきました。これら現存する建築物に限らず、石が重ねてきた歴史、石とともに生きてきた人々の足跡こそが、この石の島の魅力であり、多くの人にその魅力を肌で感じていただきたいと思うのであります。そのために、小豆島や豊島、本島、広島などの島に残る巨石や石切場の景観と石にまつわる信仰や伝統芸能など、四十五の文化財で構成される石の島のすばらしいストーリーを県内外に広く発信し、地域の活性化につなげていっていただきたいと思っております。  今回の認定を受け、既に関係市町は、今後の観光戦略に役立てようとせとうち備讃諸島日本遺産推進協議会を設立し、五カ国語に対応した合同の特設サイトの開設やPR映像の制作といった情報発信事業を初め、観光ガイドの人材育成、記念シンポジウム開催などの事業に取り組むこととしているほか、島と島のアクセスが不十分であることから、各島をめぐるツアーのような取り組みも検討されるということであります。私としても、このような地元の取り組みに対しては大いに期待しているところでありますが、これを継続可能なものとしての仕組みづくりが重要であると考えます。  文化庁は、認定された日本遺産に対して、情報発信、人材育成、普及啓発、公開活用、調査研究のための整備などに文化芸術振興費補助金を交付するなど、積極的な支援を行うこととしています。まずは、地元市町において活用策を検討・実施されるものと思いますが、島々に点在する遺産を「面」として活用し、発信していくためには、広域自治体である県の果たすべき役割は決して小さくはないものと考えます。この絶好のチャンスを生かせるよう、本県としても岡山県や関係市町などと連携をとりながら情報発信に取り組むとともに、協議会や市町の取り組みが継続的に実施できるよう支援していくことが必要と考えますが、これらにどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  最後に、小豆島島鱧の販路拡大等についてお伺いをいたします。  「梅雨の水を飲んでうまくなる」と言われるように、ハモは産卵を前にした梅雨時期に脂が乗り始めて身がやわらかくなり、ちょうど今が旬であります。  かつて小豆島のハモは、瀬戸内海近辺でハモを食べる習慣が余りなかったことから、需要が少なく、販路が限られ、出荷の伸び悩みや価格の低迷に悩んでいました。しかし、土庄町の四海漁協がブランド化に取り組み、平成二十七年度から京阪神方面への共同出荷に取り組まれ、高い評価を得ています。  小豆島島鱧は、一、小豆島近海で漁獲されたハモであること、二、資源管理の側面から、重量が三百グラム以上二キログラム以下であること、三、曳網時間が一時間程度の短時間であること、四、漁獲から一日以上蓄養したものという基準を満たすものを指します。小豆島島鱧は、底びき網でエビやカニなどと一緒にとれますが、曳網時間を短くすることで、網すれによる魚体の傷を防いだり、漁獲後に温度管理された水槽で一日以上泳がせることでストレスを抑えるなど、高品質を確保するための厳しい基準を設けており、これらをクリアしなければ小豆島島鱧を名乗ることはできません。その品質の高さが評価され、徐々に引き合いがふえてきており、出荷平均単価は上昇傾向とのことであります。  ところで、実はハモの旬は二回あると言われています。一度目は、産卵に備えて栄養を蓄えることでおいしくなる六月から七月で、この時期には京料理などに高級食材として多く用いられることから、多くの人にこの時期が旬であると知っていただいています。一方、二度目の旬は、濃厚な味が楽しめる晩秋であります。冬を越えるために体に多くの栄養をため込んでおり、非常に脂が乗っている旬の時期ですが、夏の旬ほどには知られていません。小豆島島鱧も例外ではなく、九月以降は魚価の低迷が懸念されることから、漁協では骨切り機を使った加工を行っています。小骨の多いハモですが、骨切りは難しく、調理しにくいことから、飲食店や量販店から骨切り処理の要望が強いとのことでありました。そこで、骨切り機を導入し、骨切り処理を済ませた加工品の提供も行っているのであります。  このように、地元漁協では、行政の支援も得ながら、販売先の要求に応え、付加価値を創出することで、販売額増加に向けた工夫を行っています。そのほかにも、漁期を迎えた五月には、出荷式に合わせて小豆島島鱧祭りを開催し、手づくりのハモ天やハモフライなどの総菜を販売したり、骨切り機の実演やクイズ大会など家族連れへのPRも行っています。小豆島島鱧ブランドを、さらなる認知度向上や販路の拡大につなげようとたゆまぬ努力を続けています。  県では、平成二十八年度から小豆島島鱧のブランド化を目指し、地元漁協への支援等を積極的に行ってきておりますが、今後、さらなる販路拡大に向け、より一層の取り組みが必要になってくるのではないでしょうか。小豆島島鱧の素材を生かした新しい加工品の開発など、より付加価値の高い商品の提供も重要だと考えます。  そこで、小豆島島鱧のさらなる販路拡大、高付加価値化のために、今後、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)谷久議員の御質問にお答えいたします。  まず、自動運転社会の到来に向けた対応についてであります。  議員御指摘のとおり、自動運転の実用化は、高齢者等の交通手段の確保、交通事故の防止などの社会課題の解決に寄与するものであると考えられるため、昨年度から国や県内各市町、交通事業者など関係機関と連携して、自動運転に関するワーキンググループを設置し、国内外における技術開発の動向や実証実験の実施状況、県内での実証実験の可能性等について情報収集をし、意見交換を行ってまいりました。  こうした中、御指摘のように、本年五月には自動運転車の公道走行に関する規定の整備を含む道路交通法の改正がなされるなど、国においてその実用化に向けた取り組みが進められているところでありますが、自動運転の技術レベルには段階があることから、その社会実装は今後の技術開発の進捗に合わせて段階的に進んでいくものと認識しております。こうした認識のもと、その時点の技術レベルや制度面の整備の状況等を幅広く情報収集し、関係者間で共有した上で、それぞれの時点においてどのような社会課題が解決され得るのか、また、現実に導入するとすれば、具体的にどのような課題があるのかといった点について検討していく必要があると考えております。  私といたしましては、引き続きワーキンググループを活用し、国における制度面の整備や自動車業界等における自動運転技術の開発状況等について情報収集・情報共有を図るとともに、自動運転により解決を図り得る社会課題や本県における実証実験の実施の可能性を探るなど、来るべき自動運転社会において本県が立ちおくれることのないよう、着実に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、災害発生時の連絡及び情報収集についてであります。  県では、災害発生時に県災害対策本部と各市町や防災関係機関との間で情報収集が迅速かつ的確に行えるよう、日ごろから相互の連絡体制を確認するとともに、通信機器の導通訓練を定期的に行っております。また、災害現場の映像を県災害対策本部に送信し、大型スクリーンに表示しながら、同時に各市町や消防本部等においてもその映像を視聴できる災害時オペレーションシステムを整備しております。さらに、今年度新たに、私が各市町長との間で直接情報共有や意見交換ができるよう、相互の携帯電話番号を持ち合うホットラインを構築したほか、被災市町等からの情報を迅速かつ正確に収集するため、県から各市町等へ災害時連絡員を派遣する体制を整備し、大規模災害発生時における連絡体制の強化を図ることとしております。  次に、停電や電話の不通などにより、通常の連絡手段が使用不可能となった場合に備えては、県庁と各市町や防災関係機関を結ぶ防災行政無線を有線回線と衛星回線の二系統で整備しております。この防災行政無線につきましては、平成二十五年度から二十六年度で再整備を行い、非常用発電機の自動起動化や機器類の耐震化、民間衛星の活用等による機能強化を図ったところであります。また、万一、市町等の通信機器が損壊した場合などにも対応できるよう、補助通信手段として、持ち運びが可能な衛星無線局も四台整備し、確実性の向上に努めてまいりました。  今後とも、こうした情報収集体制の一層の充実・強化を図り、各市町や関係機関との連携を緊密にすることで、大規模災害発生時における迅速かつ的確な応急対応が行えるよう、万全を期してまいります。  次に、日本遺産の活用に向けた取り組みについてであります。  本県では、御指摘のように、本年五月、「知ってる!?悠久の時が流れる石の島~海を越え、日本の礎を築いたせとうち備讃諸島~」が新たに日本遺産に選ばれ、平成二十七年四月に全国で初めて認定された「「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~」と、このたび多度津町が追加認定された「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落」とあわせ、三件の日本遺産が所在することとなりました。  議員御指摘のとおり、日本遺産は、地域の際立った歴史的な特徴を示し、国内外にその魅力を十分に伝えられるストーリーを認定するものであり、認定後はその内容を戦略的に発信し、観光振興など地域の活性化を図ろうとするものであります。  小豆島、本島、広島などの島々には、大坂城の石垣に使用された採石場である大坂城石垣石丁場後や八幡神社石鳥居など、石の島としての魅力や特色を今に伝える地域資源が数多く点在しており、これらを文化財として捉えるだけでなく、今回認定された石切の歴史、技術や人々の営み、生活文化などを含めたストーリーとして発信していく必要があると考えております。このため、認定直後に関係自治体や商工・観光などの団体等で構成するせとうち備讃諸島日本遺産推進協議会を設立し、日本遺産サミットへの出展等の魅力発信や、多言語対応特設サイトや案内看板製作等の観光拠点整備に取り組むことを申し合わせたところであり、県としても文化・観光担当部局が当初から参画しております。  私といたしましては、日本遺産を核としたそれぞれの地域の魅力発信が継続的に行われ、本県の活性化につながるよう、県域を超えた連携支援について検討するとともに、県内のさまざまな地域資源やイベントとの相乗効果を意識した情報発信などに努めてまいりたいと考えております。  次に、小豆島島鱧の販路拡大等についてであります。  議員御指摘のとおり、小豆島島鱧は、地元漁業者の方々の御努力により、ブランドとして高い評価を受けておりますが、今後一層の販路拡大と高付加価値化が重要であると考えております。  まず、販路拡大への取り組みでは、平成二十九年度から、西日本最大級の水産食材見本市であるシーフードショー大阪へ四海漁業協同組合とともに県も参加し、商品のPRを実施したところ、三業者との商談が成立したほか、昨年度、県内での商談会でも県外の飲食店との間で販売契約が結ばれるなど、水産流通業者や飲食店等から強い関心が示されており、今年度も引き続き、シーフードショーなどへの出展を支援してまいります。  次に、高付加価値化への取り組みについては、四海漁業協同組合が島内の食品会社と協力して、県の六次産業化の事業やかがわ農商工連携ファンドなどを活用して、消費者や観光業者などから要望が強い切り身やミンチなどの加工商品の開発・販売を進めています。また、加工商品の一部は、土庄町のふるさと納税返礼品にも活用されているほか、フェイスブックやパンフレットなどによる情報発信等のPR活動を実施しており、県では、その経費の助成を行うとともに、県のフェイスブックやブログにおいても小豆島島鱧を広く情報発信しております。  小豆島島鱧の取り組みは、地域水産物を活用したブランド化の好事例であることから、地元漁協や町と連携し、販路拡大や高付加価値化に向けた取り組みを引き続き支援することにより、本県漁業の活性化を図ってまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(西川昭吾君)理事者の答弁は終わりました。  県の一般事務に関する質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(西川昭吾君)お諮りいたします。  委員会審査のため、七月二日を休会といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ◯副議長(西川昭吾君)御異議なしと認め、そのように決定いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(西川昭吾君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、七月三日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                           午後二時五十分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....