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  1. 香川県議会 2018-11-01
    平成30年[11月定例会]総務委員会[政策部、出納局、監査委員事務局] 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 西川委員長  これより質疑、質問を開始いたします。 木村委員  それでは、被災時のボランティア活動に対する支援について質問します。  ことしは、まだ一月残っていますが、自然災害の多い年でした。4月は島根県西部地震、5月は長野県の北部地震、6月は大阪府の北部地震、7月は西日本豪雨災害、8月は台風20号、9月は北海道の胆振東部地震、台風21号、月末の台風24号など、毎月、全国各地で多くの方が被害をこうむりました。大きな災害であれば、みんな口をそろえて被災地の一日も早い復興を願いますとおっしゃるのが普通ですが、災害で人命や家や家財などを失い、打ちのめされた方々は茫然自失で、立ち直る気力もなかなか芽生えません。  そのようなときに、被災地の方々の力になり、手を差し伸べようと、全国各地から自然発生的に多くのボランティアが被災地に駆けつけ、集まってきます。言葉だけでなく、実際に現場に来て、一緒に汗を流して、片づけ作業等さまざまな支援に携わるボランティアに対し、被災者の方は心強く感じると思います。  私も、7月15日に倉敷市真備町で、その1週間後の7月21日は広島市で、それぞれボランティアに従事しました。真備町では水で家が流された中での片づけ作業を、広島市では山崩れによる土砂の土のうづくりのほか、木やごみを近くで焼却するところがなかったので、応急処置でそういった対応のボランティアをしました。  これらの経験で、ボランティアを志願する人たちが被災地の情報を収集して、地元を出発して現地に入り、現地でスムーズに受け入れられて、被災者のニーズに応えて実のあるボランティア活動をするために、この一連の過程に対する支援が必要だと改めて感じました。  また、災害対策基本法では、「地方公共団体は、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならない」と定められています。  そこで、本日は、ボランティア活動に関する施策を所管している政策部に対して、香川県が被災地となった場合のボランティア活動への支援と、逆に、県外が被災地となった場合に、そこでボランティア活動をしようとする県民への支援について、質問します。 大山政策部長  まず、県内、県外にかかわらず、大きな被災があったときに、「災害ボランティア支援センター」が設置されます。県がいろいろな災害情報を収集し、県の社会福祉協議会などを通じて支援センターに流していくことで、その災害の状況を踏まえ、どれだけのボランティアが必要かを支援センターで把握していくとのことです。県でもボランティアの呼びかけをするし、支援センターでは、集まってきたボランティアの調整をするということで、それは被災地が県の中でも外でも、基本的には同じことだと思います。 木村委員  災害時にボランティアがばらばらに活動すると、効率的にボランティア活動を行うことはできませんし、ボランティア活動の全体像をつかむこともできないと思います。そのため、ボランティアが効率的に活動を行えるようになるべく調整して、ボランティアを取りまとめる組織として、災害ボランティアセンターが、社会福祉協議会等が中心となって設置されると思うのですが、改めて、県内ではどのような体制になっているのでしょうか。本県の災害ボランティアセンターが想定している業務概要とあわせて、お尋ねします。 大山政策部長  まず、災害ボランティアセンターですが、これは法令に根拠はありませんが、近隣住民の助け合いだけでは対応できない規模の災害時に、御指摘のとおり、市町の社会福祉協議会等に開設され、ボランティアの力をかりて被災者支援や復旧復興に向けた地域支援を行う組織です。  災害ボランティアセンターは、常設されているものではありませんで、その設置については、県の社会福祉協議会が作成している「災害ボランティアセンター運営マニュアル」があり、それによると、被災状況を地元市町と市町の社会福祉協議会が調査・確認・協議の上で、市町の社会福祉協議会が設置の必要性を判断するとされています。  次に、災害ボランティアセンターの業務概要ですが、このマニュアルによると、行政を初めとした関係機関等との連絡・調整、支援物資の受け付け、被災住民からのニーズを把握し、ボランティアの活動とのマッチング、活動に必要なスコップや一輪車等の資機材の調達、災害ボランティア活動についての情報の整理やボランティアの募集などの広報活動、ごみの分別処理に関する情報の収集など、被災住民支援活動にかかわる多くの調整を行うとされています。 木村委員  本県であれば、平成16年の台風が大きな災害でしたが、平成16年の台風のときには、災害ボランティアセンターが設置され、活動した実績があったのか、お尋ねします。 渡邊男女参画県民活動課長  平成16年の台風16号や18号の被害に遭った高松市と丸亀市においては、地元NPOや市の社会福祉協議会等により、復旧支援のためのボランティアセンターが設置され、また、同年の台風21号のときには、豊浜町社会福祉協議会ボランティアセンターが設置されました。さらに、続く台風23号のときには、被害のあった4市2町でボランティアセンターボランティア受け入れのための窓口が設置されています。  活動実績については、台風16号や18号では延べ2,804人のボランティアが、また、台風21号では延べ508人のボランティアが、台風23号では延べ2,832人のボランティアが参加したとのことです。ボランティアセンターでは、これらのボランティアの受け入れや被災地のニーズの把握、マッチングなどの活動を行ったと伺っています。 木村委員  そうすると、ボランティア活動に対する調整や支援は、災害ボランティアセンターが中心になって行うようですが、ボランティア活動が円滑に展開されるために、県はどのような役割を担い、どのような支援をするのか、具体的に予定しているものがあれば教えてください。  また、平成16年の台風時のような大きな災害のとき、県はどのようにボランティア支援を行ってきたのか、あわせて教えてください。 大山政策部長  まず、ボランティア活動が円滑に行われるための県の役割ですが、県の防災計画において、県は、災害が発生した場合は、県の社会福祉協議会と日本赤十字社の香川県支部にボランティア活動の必要性を判断するための被災状況等を速やかに提供します。また、県内で必要とされるボランティア活動の内容、人数、地域などの情報を、県の社会福祉協議会災害ボランティアセンターから収集し、広く県内外の方々に対して、どこでどのようなボランティアが必要とされているのか、活動するためにはどこに連絡するのか、どのような用意をしていかなければならないのかといった情報を、県のホームページやマスコミへの資料提供を通して働きかける役割を担っています。  それから、大規模災害における県のボランティア支援ですが、台風16号の際には多数のボランティアが必要となったことから、ボランティアの募集に関し、県のホームページやマスコミへの資料提供等により周知し、ボランティアの確保に努めました。また、NPO等や県庁職員に対するボランティア参加の呼びかけや市町等との連絡調整も行いました。
    木村委員  支援について、例えば、手順書の作成や、必要な人員体制の想定での研修や訓練など、いざというときの準備をしているのかなどについても御説明ください。 大山政策部長  「香川県地域防災計画」において、ボランティア受け入れ計画として、災害ボランティアの活動が円滑、効率的に行えるよう、ボランティア受け付け調整と必要な支援活動を行うことを定めるとともに、地震発生直後から職員が対応できるよう、マニュアルを定めています。  具体的には、例えば、災害対策本部が設置された場合、男女参画・県民活動課の職員を本部に配置し、ボランティア活動が必要となる場合は、同課の中に「ボランティア活動情報提供窓口」を開設することなどを定めています。職員が交代で常時情報を収集して、県の社会福祉協議会等に対し、ボランティア活動の必要性の有無を判断するための被災状況の情報提供を行うことにしています。  それから、研修については、担当職員が、県の社会福祉協議会が主催する災害ボランティア研修等を受けています。 木村委員  次に、県外の被災地でボランティア活動をしようとする県民の支援について、改めてお伺いします。  ボランティアは、自発的な奉仕が基本だと思いますが、現地に入るまでの燃料費や資材の輸送費等がどうしてもかかってしまうなど、経費負担も大きいです。全国から被災地に集まる支援がボランティア活動経費となる場合もあるかもしれませんが、必ずしも配分されるわけではないと思います。活動に必要な最低限の経費に対し、一部を助成することが発表されましたが、それ以外の多くの人の参加や参加日数の増加も含め、これまで県が支援をしてきた内容があれば、教えてください。 大山政策部長  先ほど申し上げた県のホームページなどで、他県の被災地における災害ボランティア活動を情報提供し、活動の呼びかけを行ってきたことに加え、平成23年の東日本大震災の際には、県がバスを借り上げ、災害ボランティアを被災地に派遣しています。それから、平成28年の熊本地震とことしの7月豪雨災害のときには、被災地へボランティアに行かれる方への支援を行うため、災害ボランティアの活動を助成する制度を創設しました。 木村委員  東日本大震災のときもいろいろ支援をされたということでした。その中で、県と県の社会福祉協議会との間での調整や役割分担はあったのかと、7月豪雨災害のときにつくったボランティア活動助成制度について、助成制度を設けた経緯や目的もあわせてお尋ねします。 大山政策部長  まず、東日本大震災の際には、県と県の社会福祉協議会の共催で対応しました。県の社会福祉協議会が既に活動していた石巻市の災害ボランティアセンターへ、計5回バスで行き、90名の災害ボランティアを派遣し、いろいろな支援を行ったところです。県と県の社会福祉協議会との役割分担ですが、県はバスの借り上げ料を負担しました。県の社会福祉協議会は、現地の状況報告や参加者の募集と調整等を行いました。  次に、平成30年7月豪雨災害の関係です。今年度は7月豪雨の被害が、近県で大規模に発生し、災害ボランティアのニーズが高まることが予想されたので、県としてもより多くのボランティアに被災地に行っていただくのがよいと考え、熊本地震の際につくった助成制度を参考に、今回も助成制度をつくりました。  具体的な内容ですが、香川県内に在住または通勤通学している方が、7月豪雨で被害を受けた地域で行う災害ボランティア活動を対象としており、補助対象経費は、往復に要する交通費や宿泊費、ボランティア活動保険料等です。補助率は2分の1で、1人2万円を上限としています。なお、ボランティア活動保険料だけは全額補助する内容です。 木村委員  平成30年7月豪雨災害の補助額や対象者、対象経費等、もう少し制度の具体的な内容を教えていただきたいのと、助成した団体数、人数、助成総額など、これまでの実績を教えてください。また、熊本地震のときの助成制度についても、その実績をあわせて教えてください。 大山政策部長  補助額ですが、1人2万円を上限ということで、今回の場合、7団体から申請があって、延べ134人が活動され、42万円の助成を行っています。対象者は、先ほど申し上げたのと、対象経費も、基本的には交通費、宿泊費、ボランティア活動保険料等です。それから、もう少し詳しいことを申し上げますと、宿泊費等は7,600円を上限と決めているのと、炊き出しの材料費やテントの借り上げ料なども対象にしています。  それと、熊本地震のときですが、補助制度は平成28年に設けていたのですが、結果的に申請はありませんでした。 木村委員  134人で、42万円ということで、この数が多いか少ないかはわかりませんが、申請もされているということでした。この予算額の上限があるのか教えていただきたいのと、今後の災害時にも同様の制度を設ける考えはあるのか、また、設けるときの基準があるのか、お伺いします。 大山政策部長  まず、予算額の上限ですが、現時点では特に定めていません。今後、同様の災害が起こった場合にも、今回の7月豪雨災害のような活動支援を行いたいとは考えていますが、制度を設けるか否かの基準は定めていません。災害の規模や地域等をその都度勘案して、実施を判断していくべきものと考えています。 木村委員  最後に要望ですが、阪神淡路大震災以降、被災地の復旧や復興にボランティアの存在は極めて大きくなっており、欠かせないものとなっています。実際、私が2県を訪問させていただいたときも、多くのボランティアが集まっていました。東日本大震災では、数十万人のボランティアが全国から参加したと言われていますし、ボランティアが力を発揮できるかどうかは、きょうお話しいただいた行政の支援による面も多々あると思いますので、引き続き、側面から積極的に支援をしていただきたいと思います。  特に、本県が不幸にも被災地となった場合は、さまざまな災害対応に追われます。地元でも、県内各地で防災訓練について、去年よりはことし、ことしよりは来年、しっかりしたものを実施していこうということで、県民の意識も増大しています。行政も被災者も混乱すると思われる中で、県内でボランティアが円滑に活動し、力を発揮していただけるよう、支援についてこれからもしっかり準備をしていただきたいと思います。  また、県外が被災地になった場合のボランティア支援についても、一層、充実していただけたらと思います。県外で活動したボランティアの経験が、本県で被災地となった場合にも生かされると思いますし、県民が災害ボランティア活動をしようとするときの経費補助は、活動を促すためのよい制度だと思いますので、多くのボランティアに活用してもらえるよう、広く周知していただくことを要望して、私の質問を終わります。 寺嶋委員  2点、質問します。  まず、新たな行政課題への対応について質問します。  多岐にわたる行政課題への対応が求められている中、浜田知事は、さきの知事選挙の公約として、AI、IoTなど、新たな技術分野の活用の推進を上げていました。また、9月定例会の本会議においても、県内産業のAIの活用推進に取り組むことを答弁されていました。  これまでの事業形態を維持しつつ、県内産業をさらに発展させていくためには、今後はAI、IoTの活用推進が不可欠であると考えます。また、産業のみならず、スマートフォンに代表されるように、昨今の生活スタイルにおいて、AI、IoTによる大きな変化と利便性の向上が見られます。  そして、最近の多くの自動車に搭載されている安全運転支援システムの技術の向上から、自動車の自動運転にも大きな注目が集まっています。自動運転については、政府は「官民ITS構想ロードマップ2018」において、2020年までのレベル3の実現を努力目標として上げています。また、9月定例会の本委員会での質疑で、今後、市町や関係機関も参加したワーキンググループを設置するとの答弁がありました。先日、ワーキンググループを開催したとの報道がされていましたが、ワーキンググループでは、どのような事柄が協議されたのか、教えてください。 大山政策部長  自動運転に関するワーキンググループは、県と県内市町、かがわ産業支援財団県バス協会等関係機関で構成しており、今月7日に、第1回目のワーキンググループ会議を開催したところです。  ここではまず、四国運輸局自動車技術安全部の部長をお招きして、自動運転の意義や、自動運転を実現させるための技術、国内外の開発や実証実験の動向のほか、自動運転社会実装に向けた国の取り組みについて、お話をしていただきました。その後、県から、国の省庁や民間等における実証実験の事例について情報収集した内容を紹介するとともに、自動運転実証実験に応募するためには、あらかじめ、地元調整などを進めておく必要があることなどを説明しました。  会議に参加した市町からは、今後も新しい情報がわかれば教えてほしいといった意見や、紹介のあった取り組みを参考に、道の駅と拠点をつなぐ自動運転の導入について考えていきたいといった意見もありました。実証実験を本県で実施するためには、地元で受け入れられることが前提になりますので、例えば、今後、ワーキンググループで、既に実証実験に取り組んだ自治体の関係者をお招きしてお話を伺うことなども考えていき、本県での自動運転社会実装につながっていくよう、検討していきたいと考えています。 寺嶋委員  自動運転の推進には、交通安全、情報通信、車両の研究開発等自動車産業の振興、道路整備の高度化、自動車の安全基準や保険等、多くの体制の整備が必要なことがわかります。自動運転は、超高齢化が進む地域や廃線地域での人や物流の確保、交通事故の削減や渋滞緩和、観光地の活性化等、大きな成果が期待される分野だけに、今後も官民一体となって取り組んでいただきたいと思います。  政策部において、自動運転以外にも、AI、IoTなど最先端技術の活用について検討している事案があれば、教えてください。 大山政策部長  政策部としては、昨年度から、AIの利活用推進に向けた啓発や、行政分野におけるAI利活用の可能性について、情報収集や検討を行っているところです。  具体的には、昨年10月ですが、我が国のAI研究の第一人者と言われている、本県出身の松尾豊東京大学特任准教授をお招きして、AI技術の現状や本県における活用の可能性などについて御講演いただきました。また、それ以外にも、県民や県内企業等がAIについての理解を深められるよう、いろいろな形で啓発しており、松尾先生の講演会については、来年2月ごろにも実施できないかと準備を進めています。  講演会以外でも、IT関係のベンダーを招いて、AI技術の現状や活用事例等についてお話しいただき、庁内のいろいろな部局の職員が集まって勉強会を開催して意見交換なども行っています。  例えば、AIを活用した多言語音声翻訳システムについても検討しています。機械による翻訳は、ディープラーニングの技術を用いることによって、ここ数年で大幅に精度が向上しているということで、そういった最先端の翻訳システムのアプリを導入できないかなども検討しています。  また、それ以外に、RPA(アールピーエー)ということで、パソコン上で行う定型的な作業を、人が行うよりも早く正確に反復して大量に行うことができるソフトウエアロボットを導入し、業務改善につなげる取り組みを始めている自治体もあり、そうした活用事例の情報収集も行っているところです。  今後も引き続き、さまざまな検討を行って、導入できるものについては積極的に導入していきたいと考えています。 寺嶋委員  翻訳アプリやRPAの精度の向上は、観光を初めとしてさまざまなシーンで利便性の向上につながると思います。実証実験を続けていただき、精度の高いアプリとなるよう、企業との連携を強めていただければと思います。  ところで、先日、ある企業経営者から、未来のOtoO(オーツーオー)、オフィスワークについて意見交換しました。オンラインでつながったオフィスを持たない新しい事業形態や、知識と財産のシェアリング、そして首都直下型地震など自然災害による経済と人的資産の保護を図るための人やデータの地方分散を実現するためには、IoTやOtoO、そして遠隔でのワークスタイルの確立が必要になってくるかと思います。未来の県内企業の躍進に一翼を担う可能性を持つOtoOオフィスやITを活用した企業等の推進にどういう取り組みを考えているのか、お聞かせください。 大山政策部長  委員御指摘のOtoOやIoT、そして遠隔でのテレワークですが、例えば、テレワークなどの柔軟な働き方を導入する企業がふえれば、県の政策目的の一つであるワークライフバランスの実現などの働き方改革や、場合によっては、移住にもいいのではないかと考えています。  県の施策としては、商工労働部が、今年度から「働き方改革環境づくり助成事業」を実施しています。これは、社内労働環境の整備や、テレワークなどの在宅勤務等の柔軟な働き方の推進を行う企業のうち、すぐれた計画を作成した企業に対し、その取り組みに必要となる種々の経費を助成するものです。  また、それ以外に、県内企業が香川県にふえるという意味で、これも商工労働部の事業にはなるのですが、企業誘致の助成金があり、ソフトウエア開発データセンターなどの情報処理関連施設を県内に設置する企業についても、新規常用雇用者の数の要件はありますが、その要件をクリアすれば、この企業誘致の助成金の対象になるとのことです。こういう施策によって、御指摘の企業がふえるように努めてまいりたいと考えています。 寺嶋委員  AI、IoT、OtoOなどの先端技術は、これからの生活の利便性向上、またコンバージョン設定もやりやすいことから、経営者が効果を実感、把握しやすく、県内産業の活性化には必要不可欠であると考えます。また、遠隔でのワークスタイルの追求は、先ほどもおっしゃられたように、世界中からの優秀な人材確保や人材発掘も可能となり、県が推し進めている移住・定住にもつながっていくと思います。今後もこういう新しい流れに立ちおくれることなく、新しい先端技術や概念を積極的に御検討いただき、取り組んでいただければと思います。  続いて、瀬戸内国際芸術祭2019におけるオフィシャルツアー等への取り組みについてお聞かせください。  瀬戸内国際芸術祭は、来年4月の開幕まで5カ月を切りました。9月定例会において、氏家委員からオフィシャルツアーについての質問があり、文化芸術局から詳細は検討中との答弁がありました。初めて行うオフィシャルツアーであるがゆえ、さまざまな取り組み方を検討していると思いますが、その後の検討状況についてお聞かせください。 窪文化芸術局長  瀬戸内国際芸術祭実行委員会において、初めての試みになりますが、各会場の作品を効率よく鑑賞でき、島めぐりを十分に存分に楽しんでいただくための予約制のガイドツアーを実施することとしました。瀬戸内国際芸術祭のだいご味は、自分自身で船を乗り継ぎながら島をめぐり、アートや島の方との会話を楽しむところにあると思いますが、そういう時間の余裕のない中で訪れる方もいらっしゃると思いますし、また、県としても、芸術祭の活動や成果について知っていただきたいところもありますので、船の時間を気にすることなく鑑賞できるよう、チャーター船を多く利用し、こえび隊などのツアーガイドが、アート作品や島の歴史、文化などについて案内し、加えて、昼食には島の食も楽しんでいただけるツアーを企画しました。  コースとして、高松港発着の7コースを用意しました。毎日1つか2つのツアーを催行する予定です。1つのツアーの定員は36名か42名です。料金は、コースにより異なりますが、9,800円から1万4800円と設定しています。具体的な行程や昼食場所などについては、今後、順次決まってくる作品の設置場所等を踏まえ、決定することになります。  来場者の総数からすれば限られた対応ですが、こういう取り組みによって、芸術祭の開催理念や芸術祭の楽しみ方を理解していただくとともに、来場者の満足度の向上やリピーターの確保につなげていきたいと考えています。 寺嶋委員  瀬戸内国際芸術祭には、日本国内からはもちろん、海外からも多くの来場者が見込まれます。特に近年、高松空港からの国際線の充実、インバウンド効果により、アジアを中心とした海外からの来場者の増加が考えられます。そういう外国人来場者に対してのガイドや、案内板、翻訳機の設置等についてはどのようにお考えでしょうか。 窪文化芸術局長  次回の芸術祭においては、高松空港の国際線等を利用した外国人観光客の増加が見込まれることから、オフィシャルツアーへの海外からの参加者も含め、外国人に対するスムーズな情報提供やガイドが重要になってくると考えています。そのためには、瀬戸内が持つ自然・歴史・文化などの魅力を外国語で伝えることができるガイドを育成することが必要ですが、現在、オフィシャルツアーのガイド育成にあわせて、瀬戸内こえびネットワークと連携し、「せとうち島旅ガイド育成研修」と題したガイド育成研修を実施しています。  そのガイド育成研修には、定員40名を上回る73名の応募があり、そのうち海外から6名の応募があることに加えて、19名は、外国語による一定水準以上のガイド能力を備えた方を認定する、香川県独自の制度「香川せとうち地域通訳案内士」の認定研修修了者が応募されていることで、日本語だけでなく、英語や中国語等での対応が可能になってくると考えています。  このガイド育成研修では、おもてなしスキルの講習を終え、現在、島ガイドを体験する実践研修を実施しているところで、研修の終わりには、認定試験も予定しています。研修を修了された方がオフィシャルツアーなどでガイドとして活躍していただくことを期待しており、研修修了後も、勉強会や現場学習等を実施することにより、地域の魅力を伝えていただけるよう準備を進めていきたいと考えています。  また、ツアー以外の海外からの来場者もあり、現場での案内が重要だと思います。まず、高松港など入り口となる主要な案内所や船の乗り場に、外国語を話せる要員を配置するほか、各島の案内所に、日本人スタッフも対応できるよう、翻訳アプリを導入したスマートフォンを配備して、外国人来場者と意思疎通を図れるように準備を進めています。また、案内所から各作品までの道中には、日英併記の案内板を設置し、スムーズに会場を周遊できるよう、会場の受け入れ態勢を整えていきたいと考えています。 寺嶋委員  御来場の皆様がより楽しく、より安心・安全に体験できる瀬戸内国際芸術祭になるよう、取り組んでいただければと思います。  これから、ツアー行程や鑑賞作品、香川県の特色を生かした食、芸術祭の開催効果を県内全域に波及させるための県内の景観、建築、音楽等との連携事業等、多くのことを御検討されると思いますが、オフィシャルツアーの今後のスケジュールについて教えてください。 窪文化芸術局長  オフィシャルツアーについては、今月7日に、東京での企画発表会において、旅行会社等への説明を行いました。また、台湾、香港において説明会を実施するとともに、旅行会社を訪問し情報提供を行ってきたところです。既に売り込みを開始しており、先週22日からは、委託事業者が予約の受け付けも始めています。  今後のスケジュールとしては、作品設置場所を決定していきますし、また、島の住民による食の提供の準備も進んできます。このような具体的な決定と並行して、ツアー行程や鑑賞作品、昼食場所等の具体的な検討を進めていきます。そして、来年2月ごろまでには、詳細を公表したいと考えています。  また、このオフィシャルツアーとあわせて、旅行者団体の御希望に沿って旅の企画や提案、施設の手配を、有償になりますが、「カスタマイズツアー」として受け入れていくことも、可能な限り実施したいと考えています。  また、県内連携事業ですが、芸術祭の来場者に開催エリア以外の地域にも足を運んでいただくため、地元ならではの魅力ある自然、歴史、文化の地域資源を県内の市町から推薦いただいて紹介することとあわせて、県内の市町や県内に拠点のある団体等が実施する文化芸術を主体としたアートイベントの中から連携することで相乗効果が期待できるものを、公募で選定することとして、今、募集しているところです。来月下旬まで公募を行い、1月に審査を行った上で、連携事業として決定していく予定です。この連携事業の実施によって、芸術祭の来場者をできるだけ県内全域へ誘導し、地域全体の活性化につなげられるよう取り組んでまいりたいと考えています。 寺嶋委員  瀬戸内国際芸術祭も4回目となり、来場者の増加が見込まれる一方、来場者の求めるものも、より高水準になってくると思います。アート県かがわの魅力を発信し、県内経済の活性化につながる芸術祭になるよう、今後も緊密に意見交換を続けていければと考えます。  これで、質問を終わります。 米田委員  3点、質問します。  1点目は、自治会活動への支援を強めていただきたいという思いで質問します。  先日、私の住んでいる地域で恒例の防災訓練がありましたが、参加者がなかなかふえない状況になっています。一方で、市の中心地ですから、マンション建設がラッシュで、マンション建設のときには、建設業者と周りの住民との説明会でも、業者としても自治会への加入の働きかけを一生懸命しますというお話はいただくのですが、結果は功を奏していません。このような状況が広がる中で、先ほど言った防災訓練一つとってみても、なかなか充実した防災訓練になりません。特に、マンション居住者は防災訓練に参加していないので、どのような行動をとるのか、地域の方にとって予測できないのではないかと思います。  そのように感覚で物を言ってもいけないと思いますので、今、自治会の加入率がどのように推移しているのか、県として、市町から上がってくる自治会活動の現状と課題について、どのような認識や把握をしているのか、まずお答えください。 宮崎地域活力推進課長  まず、加入率についてですが、県内自治会の加入世帯率は、香川県連合自治会の調査においては、平成29年9月30日現在で、県平均59.0%と、17市町体制となった平成18年の72.7%に対して、13.7ポイントの低下となり、年々減少傾向にあります。地域別に見ますと、おおむね都市部や新興住宅地を多く抱える地域で、加入率が平均を下回っている状況にあります。  続いて、現状と課題についてですが、地域コミュニティーを支える自治会は、地域における福祉、環境美化、防災、防犯等のさまざまな役割を主体的に担うなど、その役割は重要であると考えています。しかしながら、自治会加入率は、先ほど申し上げたとおり年々減少傾向にあり、また、県全体では把握していませんが、高松市が昨年行ったアンケートによりますと、自治会加入率については、年代別であれば若い年齢層ほど加入率が低く、年代が高いほど加入率が高い傾向にあることや、住まいの形態別で見てみれば、戸建てよりは賃貸マンションやアパートの居住者の加入率が低いことがわかっており、加入の促進を図っていくことが課題であると考えています。 米田委員  自治会への加入の促進を図るのが課題ですが、入らなければいけないという動機づけをどのようにするのかになってくると思います。  以前、総務委員会の県内視察だと思いますが、高松市の太田南小学校を視察した際に、そこの校区は、子供の安全を守るための組織を充実させないといけないという発想で、そこを切り口として自治会加入を呼びかけて、功を奏しているというお話もありました。  若い年齢層や賃貸マンション等に入られている方が、どのような共助の組織を求めているかという意向把握も進めていくべきではないかと思います。その一方で、自治会の担い手、リーダーの育成も重要な要素だと思います。新年度へ向かって、今から、事業の見直しをしたり、新たな事業を立ち上げたりしていくのでしょうから、自治会加入率を引き上げていくため、県として、どのように取り組んでいこうと考えているのか、お答えください。 大山政策部長  自治会の加入促進対策ですが、委員御指摘のとおり、まずは基礎的自治体である市町が地域住民と連携して取り組むものと考えており、県は、市町の取り組みが円滑に進むよう、側面的支援を頑張っていく必要があると思います。  その側面的支援として、例えば、毎年4月ごろ、県の連合自治会と連携して、地域コミュニティーに関する研修会を行っています。自治会役員を対象に、地域づくりに関する先進的な取り組み事例の紹介等を行っており、今年度は、自治会加入促進活動に取り組んでいる丸亀市の川西地区の事例発表がありました。委員も御案内と思いますが、ポスター、チラシ、宣伝カーなどを使った広報活動や訪問活動等を行った結果、平成26年には41%台だった自治会加入率が、取り組みを行った後、平成30年には46%まで回復したという事例も紹介されました。  また、年一回、県と市町のコミュニティー担当課長が集まる会があります。例えば、自治会費がネックになっているのではないかということで、高い入会金を払わなくても自治会活動に参加できる準会員制度を設けているところもあるようです。そういう場を活用して、そういう事例も紹介して、意見交換をするなどの取り組みを通じて、加入率を上げていければと考えています。 米田委員  行政部局の課長会議の中で意見交換をするなどの仕掛けも重要ですが、実際に、今、自治会で苦労されている自治会長等にモチベーションなどを持っていただき、頑張らないといけないという勇気を与えていただく企画もしていただきたいと思います。  自助、共助がいろいろな場面で強調されますが、共助を担うべき組織が今申し上げた状況に陥っており、土台のところをどうするかがなければ、言葉が躍るだけになりますので、そういう認識のもとで事業設計をお願いします。  2点目は、香川県の文化芸術振興計画について伺います。  名は体をあらわすと申します。国は、法改正の中で、文化芸術振興基本法から文化芸術基本法に、「振興」という文字を取り、人々の生活分野や観光など、いろいろな事業の中に横断的に文化を位置づけることで、文化芸術を推進するように変わったと強調されていましたし、私もそのように読みました。香川県の場合は、文化芸術振興計画を読ませていただきましたが、文化芸術振興の中で文化芸術基本法の精神を位置づけるという記述があったように思います。今までは審議会を設けて行ってきたと思いますが、国の考え方自体が省庁横断的に設計されたことからすると、県の審議会のあり方も見直しがされないといけないのではないかと理解しています。  まずは、県として、こういう国の法改正の動きでどこがどのように変わったと認識しているのか、それから、このような変化について審議会ではどこでどのような議論がされたのか、そして、繰り返しになりますが、審議会等の委員の見直しや、推進会議をつくることもあるのかとイメージしますが、そういうところについてどのようにお考えなのか、お聞かせください。 窪文化芸術局長  御指摘のとおり、国においては、昨年6月に、文化芸術振興基本法が、平成13年の制定以来、初めての改正となり、法律の名称も「振興」の文字が消え、文化芸術基本法に改まったところです。名称が改正されたことについては、文化芸術そのものの振興にとどまらず、各関連分野における施策を法律の範囲に盛り込むとともに、文化芸術により生み出されるさまざまな価値を、文化芸術の継承発展及び創造に活用するためと認識しています。  その改正法の中で、県レベルにおいても、地方文化芸術推進基本計画を定めるよう努力義務が設けられたところですが、本県は、平成19年に御議決をいただいて成立した「文化芸術の振興による心豊かで活力あふれる香川づくり条例」の中で、香川県文化芸術振興計画を定めることを規定しており、平成20年度からが第1期、平成25年度からが第2期で、計画を策定してきました。5年ごとの改定の時期がちょうど昨年当たったわけで、昨年度1年間をかけて、県の文化芸術振興審議会も7回開催し、いろいろ議論を進めてきました。そのさなかに法律改正の情報がありましたので、法律改正の趣旨や内容とのすり合わせも行えたと理解しています。  そういう中で、名称は、従来どおりの香川県文化芸術振興計画でいくのですが、国の法律でいう地域文化芸術推進基本計画に相当するものが、この県の文化芸術振興計画だということは明らかにしたつもりです。  また、どういった議論が行われたかですが、1年間かけて議論する中で、最初は現在の社会を取り巻く情勢はどういうものか、どういう課題があるのかというところから議論を始めたように記憶しています。今の地域の課題は、人口減少や少子高齢化で、文化芸術の担い手も継承者も減少しつつあり、地域活力の低下が懸念されています。そういう中で、全国各地で地域の文化や文化財等、特色を生かした地方創生の動きも出ている状況で、文化芸術を生かして地域の活性化を図っていく方向性が重要でないかということで、県の審議会の中でも議論が進み、9月定例会で骨子の説明をして、その後は、素案や成案を説明しながら制定してきたところです。  そういう中で、審議会についての御質問がありましたが、県内の文化関係のいろいろな団体や分野を代表した方や、大学や企業経営者等で文化芸術に造詣の深い方を委員としてお招きしており、議論をしていただくには一番ふさわしい方にお集まりいただいていると思います。  国では文化芸術推進会議がつくられているということですが、これを調べてみますと、省庁横断的に集まって、どのようにするかをいろいろ情報共有、情報交換するための組織と理解しています。県においても、法律の趣旨も踏まえ、庁内の連携が必要だと考え、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業等の関係部局に声をかけて、庁内連絡会議を設置し、会議も開催したところで、各部局と連携しながら進める方向でいます。 米田委員  条文を読んでも、何となく分かる程度です。形になってこないとイメージが湧かないです。観光も福祉も教育も産業も、文化の中に取り入れるのだろうということは想像できても、どのような形になるのかがイメージができないのが率直なところですし、私自身も丸亀市の文化振興計画を委員と議論していても、文化に対する個人のそれぞれの認識があります。その認識合わせがない中で、私はこのような文化論を持っているという、文化論の違いを放置したままで、文化論を統一するのは難しかった経験があります。そうすると、先ほど局長がおっしゃられたように、それぞれ、文化への造詣の深い専門家だと位置づけられていますが、その範囲を超えた、この法の目指すところではないかと思うところが、先ほど言った教育や福祉や産業なども考えて推進しなさいという意味ではないかと思います。そのようなところがもう少し県民に伝わるように、これからの推進の取り組みの中で発揮していただきたいと思います。  それで、法改正の基本理念のポイントがあり、年齢、障害の有無、経済的な状況にかかわらず等しく文化芸術の鑑賞等ができる環境の整備、我が国及び世界において文化芸術活動が活発に行われる環境醸成、児童・生徒等に対する文化芸術に関する教育の重要性、観光、まちづくり、国際交流等の関連分野における施策との有機的な連携をポイントに置いて推進してくださいとのことですが、県としてこのポイントをどのように受けとめ、今後の施策展開に具体化させようとしているのでしょうか。新年度に形としてあらわれることがあれば、あわせてお答えください。 窪文化芸術局長  昨年度の県の文化芸術振興審議会の議論の中でも、地域活性化に向けた議論も相当ありました。例えば、これから文化芸術を生かしていくためには、マネジメント能力を有する人材の育成が重要ではないかという意見も出てきましたし、観光分野と一緒に行っていくうえでは、情報発信も工夫して行っていかなければいけないとか、県だけで広報するのではなく、市町や民間と連携していろいろ広報していくことが必要ではないかなど、いろいろな意見も出てきました。それを踏まえて、計画づくりを行ってきたところです。  実際、文化芸術局の文化関係の催しを私たちだけで情報発信するより、観光部局と一緒に人を呼び込むことにより、美術の愛好家という一部の人だけでなく、それ以外のことに関心の高い方もたくさん集まる中で地域に元気をもたらしてくれることもあるでしょうし、消費することで経済効果が生まれてくることもあると思います。それから、教育分野や福祉分野と連携することによって、児童・生徒や障害者に積極的に参加して芸術に親しんでもらうこともできてくるのではないかと思います。  来年度は瀬戸内国際芸術祭もありますが、離島振興の分野で大きなファクターになってきています。今後も庁内連絡会議の中で、個々の案件についてどこをどのようにすればいいのか、議論を深めていきたいと考えています。 米田委員  どのような分野でも、連携をとるのが、今、一番難しいと思いますが、よろしくお願いします。  特に、観光の分野と文化財の保存等の分野とでは、いろいろなところの例を見ていると、ともすると観光が重視され、歴史的に重要なところが置き去りにされる危険性もあると思いますので、そのような点も注意しながら推進していただくようお願いして、3点目の質問に入らせていただきます。  3点目は、瀬戸内国際芸術祭の効果検証について質問します。  光があれば影があるとよく言われますが、来年度の開催に向けて、いわば華々しい表の部分はありますが、島や地域の活性化を目的の重要な部分にしている芸術祭ですから、開催を通じてどのように地域が活性化されてきたのかの検証を、どこでどうやって行っているのかがなければいけないと思います。  開催ごとに、このようになりましたという概要が示されますが、それはその会期のその時点ということですが、その間にどのような取り組みを行うのかとか、長期的にどのような変化を遂げているかという検証をどのようにしようとしているのかが、見えていないと思います。  例えば、食も重要視していかなければいけないというお話がありましたが、それでは、期間中、食を提供することを考えたが、それが日常的に残るものになったのかどうかなどです。芸術祭の開催を通じて交通網が充実するようになっているのかとか、島間交流も進めることが言われていますが、開催地図を見ていただくとわかるように、広島、佐柳島、志々島など、県の中央がぽっかりあいています。広島では、丸亀市が「HOTサンダルプロジェクト」といって、夏場に芸術学校の学生を招いて創作活動をする取り組みがあったり、本島では、「塩飽発展」という看板を掲げて、塩飽諸島をアピールしようという動きが起こるなどしています。志々島では、大楠の心霊スポットに隠れた魅力があり、いろいろな方が大楠を保存しようと頑張っているなどの動きがあります。そういった頑張っているところもこの芸術祭の枠の中に入れて、県の中央が埋まることを考えているのでしょうか。島間交流は、開催している島だけでなく、そこまでのエネルギーが出てこなかった地域にエネルギーを与える交流でなければいけないのではないかという視点を持っています。そのような点について、どのように瀬戸内国際芸術祭開催の効果を検証しようとしているのか、まずお聞かせください。 窪文化芸術局長  瀬戸内国際芸術祭は、地域の活性化を目的に開催していますが、その評価が難しいのも、委員御指摘のとおりです。いろいろな面が考えられますが、例えば、経済波及効果については、前回も日本銀行高松支店の協力をいただきながら、139億円という試算が発表されています。これは香川県内での経済波及効果です。海外から来られる方が香川県に到着してからの効果ですので、広い目で見ればもっと効果は大きいかもしれません。  ただ、そのときも日本銀行の高松支店長がコメントされていますが、数字で捉えられない効果があるとのことでした。例えば、地域のイメージアップや、地域の皆さんが元気になっている部分があると思います。ただ、それをどう把握していくかは、試行錯誤している部分がありますが、前回の芸術祭の終了後、総括報告をまとめる中で、できるだけ地域の変化や、こういったことが起こってきたということを拾い上げられるアンケート調査や、座談会を開いたりといったフォローアップをしてきたところです。  瀬戸内国際芸術祭も回を重ねるたびに、たくさん押し寄せてくる客への対応に最初は戸惑っていた方が、だんだんそれを励みに、自分たちの地域もまんざらではないということで、注目されることが元気に変わっていき、おもてなしや島をきれいにするための草刈り、お花を植えたりなどといった活動も出てきましたし、芸術祭が終わっても、もっと来てもらいたいと言ってくれるようになったのが最大の成果だと思います。  それから、一部の島では移住者がふえており、例えば、男木島は、自治会長にお聞きしますと、芸術祭が始まって以降、移住者が50人を超したという話もお聞きしています。このように数字で成果が見られるところもありますが、まだまだほかの島では十分でないところもあると思いますし、この取り組み自体も道半ばと思いますので、どういった手法で効果を検証していくかも、いろいろ考えながら、今後、取り組んでいきたいと思います。  お尋ねのありました中で、例えば、食の関係で言いますと、豊島の島キッチンは、古い空き家をアーティストがアート作品にして、食堂をつくり、島のお母さん方に働いていただくものです。料理は、東京の有名な料理長に監修していただくのですが、食材は島のものを使い、地元のお母さん方が調理します。島キッチンは、雇用の場であり、島でとれたものの販売先にもなっています。また、高齢者のお弁当をつくったり、毎月のお誕生会の案内のために家庭訪問もしており、島の拠点として定着しています。  こういった例もあるほか、前回の芸術祭で食を提供された方が、芸術祭が終わっても、自分でお店を構えて料理を提供されるという継続した例も出ています。ただ、全体的に見ますと、芸術祭が終わった後も継続していくのは、資金面や材料の調達、人材の確保等、難しい部分もありますので、芸術祭が開催していないときでも客が来てくれる地域づくりを、地元市町とも協議しながら進めていかなければならないと思います。  それから、島間交流のお話もありましたが、瀬戸内国際芸術祭の中で行っているのは、芸術祭の運営など、芸術祭に来られる方の対応を通して、意見交換等をしてもらい、人材育成や地域活性化につなげようということで、そういう趣旨から、芸術祭開催の島の中で行っています。一方で、離島振興の部局では、全ての有人島の皆さんを対象に、一堂に会してPRの場をつくるなどの交流事業も実施しています。いろいろな施策を組み合わせて、地域の活性化に取り組んでいくのかと思います。
     それから、塩飽諸島のお話もありました。本島が瀬戸内国際芸術祭の会場になっていますが、瀬戸内国際芸術祭の作品は、地域の文化や歴史をうまく浮かび上がらせたり、お客さんに気づいてもらったりする趣旨で制作しているものが多くあります。本島で展開された作家でいいますと、例えば、2013では、「版築プロジェクト」と称して、昔の塩飽水軍の優秀な船大工が、江戸中期以降、宮大工や家大工となった歴史を踏まえ、その版築のプロジェクトが展開されたり、前回の2016でも、かつて咸臨丸の乗組員の家だった空き家を活用した展示や、笠島周辺での船のモニュメントの作品等も展開されました。  そういったことで、次回の芸術祭でも、地域の特産品や祭りなどに注目していく方向性ですので、来場者にそういうことをしっかり感じていただきながら、芸術祭をより楽しんでいただけるよう展開していきたいと考えています。 米田委員  経済効果の話がありました。きのうの代表質問の中で、地域で循環する経済の仕組みをどう取り戻すかということの主張と要請をしました。その話にも出てきたように、島キッチンは、会期中のみならず年中通して営業できる環境や工夫をしています。そのように、日常的に島でなりわいとしてできるように、どのように仕掛けていくか。島の活性化、島が持続可能であるよう、どのように仕掛けていくかという視点がなければいけないと思います。  食という点で言えば、島根県の邑南町は、A級グルメを売りにして、地元でとれた食材でA級グルメのイタリア料理を提供する店を幾つも設けて、全国的に発信して、かなりの集客をする仕掛けがされています。アートを売り出して、アートを望む人たちは、そういう場所でそういう食事をすることに結びついてくると思いますので、よろしくお願いします。  また、島の活性化のテーマの検証であれば、文化芸術局だけでなく、部局横断的に検証をしていく場づくりが必要だと思いますが、大山政策部長はどのようにお考えでしょうか。 大山政策部長  いろいろな検証の仕方があるのは、窪文化芸術局長が申し上げたとおりで、私もそう思います。定量的なものだけではなく、定性的なものも含めて、いろいろな点で幅広く検証を行うべきと思います。先ほど窪文化芸術局長が申し上げた庁内の会議には、地域づくりの会議もあるので、そういう会議の中で、まちづくりの方法や地域づくりの方法も含めた検証について議論することは意味があると思います。 米田委員  そういうところが最終責任を負って、このように効果を上げているというように表に出していけるようお願いします。  最後に、要望となりますが、先ほど塩飽諸島の話もしていただきました。文化芸術局の事業の中にも塩飽の研究がありますし、民間での塩飽大工の研究として、いろいろな助成事業を使った、塩飽大工顕彰会の活動もあります。瀬戸内国際芸術祭のコンセプトが海の復権とうたっていることからすると、中世の時代の主要な道は海路でしたから、海の国道を歴史ときちんと結びつけていく売り出しと皆さん方は考えているでしょうが、2025年に大阪万博が決まり、次々回の瀬戸内国際芸術祭の開催年と重なることも見据えた発展系を創造していただくようお願いして、質問を終わります。 香川委員  それでは、移住・定住の促進についてお聞きしますが、まず、先ほど、「新・せとうち田園都市創造計画の変更」についての説明がありました。この中で、移住相談件数が5,000件から1万8900件へと飛躍的に伸びています。目標を途中で達成した場合は、新しい目標をつくるべきだということは、いいことだと思うのですが、内容はどうでしょうか。相談件数がふえたのは何か理由があるのでしょうか。最初は5,000件ぐらいだったのが、これだけたくさんふえるということは、状況が変わったのでしょうか、それとも統計のやり方などが変わったのでしょうか、まずお伺いします。 大山政策部長  移住相談件数がふえたことについて、統計のやり方は基本的には変わっていません。大きくふえた原因としては、県側でいえば、平成24年度ぐらいに移住コーディネーターを東京都に設置して、そこに相談が来て、その後、有楽町にも設置して、昨年度からは大阪事務所にも新たに設置し、移住相談を受ける人がふえたことが1つあると思います。  それから、移住に関しては、予算額もふやさせていただき、いろいろなPRをする中で、香川県への移住に興味を持つ方が必ずしも多くはないのかもしれないですが、それなりに以前よりはふえてきていることも、その原因ではないかと考えています。  この移住相談件数には、市町への相談も入っていますので、市町も同じようにPRの効果が出ているということではないかと思います。 香川委員  それでは、県や市町に相談したり、また、高松市のワークサポートかがわに相談したりということで、相談件数が重複しているものもあるのでしょうか。 大山政策部長  どれだけ重複しているかの把握はできていませんが、御指摘のとおり、複数の機関に相談に行かれる場合もあると思いますので、重複している可能性はあると思います。 香川委員  いずれにしても、ふえるのはいいことですから、進めていただきたいと思います。  統計によると、平成29年の本県への移住者が全体で1,375人ということですが、そのうち大阪府からの移住者が202人と最も多い状況であると聞いています。そのような中、関西圏の移住希望者を対象に、今月11日に、大阪府で大規模な移住フェアを初めて開催したと聞いていますが、参加者数など、開催状況についてお伺いします。 大山政策部長  委員御指摘のとおり、本県への移住者は、大阪府からの移住者が最も多い状況も踏まえ、今月11日に大阪府で、本県では初めて県単独の移住フェアを市町や関係団体とも連携して開催しました。  開催状況ですが、大阪事務所等の移住コーディネーターによる「移住全般相談」、出展を希望した12の市町による「個別相談」、ワークサポートかがわやハローワーク等による「就職相談」、農業経営課による「就農相談」、子ども政策局による「子育て相談」、県の宅建協会による「住まいの相談」など、いろいろな相談ブースを設け、関西圏から本県に移住された3名にも先輩移住者としてセミナーもしていただきました。その結果、62組93名に参加いただきました。  参加者の年代は、30歳代と40歳代で約6割を占めているということです。多くの参加者が複数の相談ブースを訪れていただき、相談件数は延べ189件あったということで、全体としては盛況であったと考えています。また、参加者のアンケートによると、「不安はあるが、丁寧な説明が聞けて、移住したい気持ちが強くなった」といったことや、「これから移住を具体的に検討している」という回答が約33%あったということで、おおむね好評であったと思います。市町等の出展団体からも、「大阪府だけに香川県に親近感を持っている方が多く、話がしやすかった」などと、将来的な移住につながっていくのではないかと期待できる内容だったと考えています。 香川委員  思ったより大規模にやられていて、すばらしいと思います。移住される方が不安なのは仕事や、今後の生活がどうなるか、どこへ住もうか、子供をどのように育てようかなどであって、かなりな決断力がなければ移住することができないと思います。  そのような中で、移住後のフォローは主にどこが中心になって行うのでしょうか。例えば、住まいについてはこの宅建業者のこの人に聞いた、仕事についてはこの人に聞いたと、いろいろ言われましたが、その相談の最終的な受け皿はどこになるのでしょうか。 大山政策部長  相談にはいろいろな流れがあると思います。例えば、東京都や大阪府で移住コーディネーターに相談に来て、仕事をどうしたらいいのかとか、住まいをどうしたらいいのかという相談をいただくことがあります。そのときに、仕事であれば、ワークサポートかがわを紹介したり、住まいであれば、今年度から県の宅建協会に移住相談窓口的な役割もしていただいており、そこにつないだりしています。また、地域の不動産業者の中にも移住の相談に乗っていただく方をある程度登録しています。そのため、最初の窓口として移住コーディネーターがいて、具体的な相談に移っていくことになります。結果的に移住されて、最初の移住コーディネーターに報告いただく場合もあるのですが、流れでそのままという場合がほとんどだろうと思います。 香川委員  そうなると、移住に来られる方は、住まいを主に相談したい、仕事を主に相談したい、学校を主に相談したいと、いろいろと相談が要るのですが、それは移住に来られる方が個々で皆さんに相談するようになるのでしょうか、それとも、市町の窓口に行って、そこで相談するようになるのでしょうか。 大山政策部長  基本的にはそれぞれになります。市町の職員も県の移住コーディネーターも、できるだけ総合的に対応しようとは思いますが、例えば、住まいの具体的な話になると対応が難しい面もあります。いかにそういう方々の相談に乗るかというところで、先ほどの繰り返しになりますが、宅建協会等にも今年度からお願いして、移住者の相談に乗る形にしています。県としては、そういう環境を整備していますが、具体的な相談については、それぞれの窓口での対応ということです。 香川委員  ところで、8月の新聞に載っており、テレビのニュースでも報道されていましたが、来年度予算で、東京圏から地方へ移住される場合に、300万円の補助を出そうかという案があるようです。これについて、県でわかっていれば、説明願います。 大山政策部長  そういう報道があることは承知していますが、国も概算要求中で、国でもまだ議論されていて、このままの形でいくのか別の形になるのかといったあたりは、今、情報を注視しているところです。 香川委員  新聞によりますと、それはあくまで首都圏から動く場合とありました。実際どうなるかはまだ聞いていないのですが、今のところは首都圏とのことです。そうなると、大阪府から移住する方と東京都から移住する方とでかなり差が出ます。特に、今、大阪府の話をしましたが、関西から香川県に移住する場合には補助がなく、東京都から香川県に移住する場合には補助があることになりますと、もちろん東京都から移住していただきたいのですが、残念ながらふるさと回帰支援センターでの相談件数は、平成24年は全国第4位ぐらいだったのが、今では圏外になってしまっており、香川県は低いです。その中ででも、もちろん頑張ってもらわないといけないのですが、今のように関西圏から香川県へ移住する方がいるのであれば、その方々にも何らかの補助をする制度にしてほしいと、国に対して要望していただきたいと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。 大山政策部長  国の動きは、まち・ひと・しごとということでずっと取り組まれていますが、首都圏から地方への人の流れがなく、東京一極集中が是正されていない中で検討していることだと理解しています。そういう中での議論なので、もちろん、大阪府から移住に来てくれること自体はありがたいのですが、今回の予算については、国の中でやりとりしていることなので、それを見守っていきたいと思います。 香川委員  もちろん国の制度だからでしょうが、本県にとっては人が入ってくることが重要で、この補助の目的自体が首都圏の集中を防ぐことかもわかりませんが、本県にとって余りメリットがない制度でしたら、いかがなものかと思いますので、国に対してその働きかけをしていただきたいと思います。  それから、大阪府で大規模なフェアをされたとのことです。大阪府で初めてされたのはいいことですが、中京圏など他にもいろいろとあると思いますが、今後、そのような計画があるのかどうか、お伺いします。 大山政策部長  移住フェアは、今まで、どちらかといえば首都圏が中心でした。今回、大阪府で開催して、効果があったので、大阪府や関西圏でのこういうフェアを続けていければと思います。また、首都圏から移住していただくことにも一定の意味がありますし、東京都や首都圏も実績としてそれなりに数が上がっていますので、東京での移住フェアも引き続き開催したいと考えています。 香川委員  香川県になぜ来るかというと、香川県は住みやすい、災害が少ないなど、いろいろなことがあるのでしょうが、既に移住された方の評判が一番ではないかと思います。今はネット社会ですから、そういう方の評判でたくさん香川県に来てくれたり、問い合わせもふえてきたりするのではないかと思いますので、移住に来られた方の支援については、今までもいろいろなことを行っているとお伺いしていますが、改めて今後、どのような形で行いたいのかをお伺いします。 大山政策部長  委員御指摘のとおり、実際に香川県に来ていただいた方がすぐ帰るケースもあり、そういう方はいろいろな悩みを抱えていると思いますので、今年度、「定住支援サポーター」を設けて、先輩移住者がいろいろな相談に個別に乗ったり、集まって相談に乗ったりという取り組みもしています。そういう取り組みも粘り強く行いながら、定住の支援や、香川県によい印象を持っていただくよう努めていきたいと考えています。 香川委員  香川県だけでなく、どこの県もいろいろと取り組んでいるし、聞くところによると高松市も移住センターをつくったようです。他県は全て敵だというぐらいの思いで、たくさんの方が香川県に移住に来てくれるように努力していただきたいし、また、香川県に来られて住んでいただいた方への支援もこれからも続けていただきたいことを要望して、質問を終わります。 西川委員長  暫時休憩いたします。  午後は、1時より再開いたします。  (午前11時56分 休憩)  (午後 1時06分 再開) 西川委員長  再開をいたします。  質疑、質問を続行いたします。 氏家委員  私からは2問、質問します。  まず初めに、健康長寿の産業化・地域ブランド化について質問します。  県では、今年度、地方創生交付金を活用して、健康長寿の産業化・ブランド化に取り組んでおり、その一環として、土庄町の植物工場で栽培された低カリウムレタスを県内の2病院に提供したといった報道がされていました。この植物工場は、土庄町が主体となった取り組みと理解していますが、町への支援を含めた県の取り組みはどのような状況になっているのか、お尋ねします。  また、他の農産物への展開はどのようになっているのか、さらに、次年度以降における低カリウムレタスの栽培等についてどのように取り組もうとしているのか、あわせてお伺いします。 大山政策部長  委員お尋ねの事業は、植物工場での健康に着目した野菜の栽培における省電力生産モデルについて、最先端技術を有する理化学研究所等と実証研究に取り組んでいるもので、実施主体である土庄町に、御指摘のとおり、地方創生関係の交付金を活用し支援を行ってきました。昨年12月には、実証研究拠点となる植物工場が開所し、ことしの2月から本格的に稼働しています。御指摘のとおり、現在、低カリウムレタスを素材として実証研究を行っています。県としては、この事業を県の「健康長寿の産業化・地域ブランド化推進事業」の一環として行っていることから、土庄町と連携して、企画運営の一翼を担っています。  具体的には、土庄町や理化学研究所等の研究員、大学教授、地元有識者を構成員とする事業運営協議会の設置・運営において、県が中心的な役割を担い、販路の確保や低コスト化といった植物工場が抱える課題を整理しながら、ビジネスモデルの構築に向けて検討しています。  また、収穫された低カリウムレタスは、腎臓病等のカリウム摂取を制限されている人のニーズがあるので、土庄町とともに複数の医療機関を訪問し、9月10日から、県立中央病院と小豆島中央病院で入院患者に提供されることになったところです。  低カリウムレタスの全面的な栽培は、今年度末で終了する予定で、次年度以降に栽培する作物については、より多くの県民の健康長寿に資するもので、かつ土庄町で栽培する意義のあるものという観点で、現在、事業運営協議会で検討を進めているところです。県としては、今後とも、土庄町はもちろん研究の委託先である理化学研究所等と連携を図って、事業を進めていきたいと考えています。 氏家委員  低カリウムレタスは、腎臓病を患っている方が食べられるということで、病で食事制限等をされている方にとっては、その制限を少しでも緩和して、自分の好みのものを食べられることは励みにもなりますし、また、我々の生活にとって、食は生きていく上でなくてはならないし、食べる楽しみは健康にとって重要なことと思います。今の答弁では検討中ということでしたが、そういう観点で、先進的な取り組みで、健康にもいい作物の栽培をよろしくお願いします。  また、健康長寿の事業は、植物工場のほかに、政策部において個々人の活動や運動が健康に与える影響の調査分析等に取り組まれていると理解していますが、それぞれの事業の概要とこれまでの取り組み状況についてお伺いします。 大山政策部長  政策部では、「健康長寿の産業化・地域ブランド化推進事業」について、先ほどの植物工場の取り組みのほかに、「先端技術による健康モデル実証事業」に取り組んでいます。この事業は大きく3つあって、1つ目が健康向上効果測定、2つ目が運動機能測定、3つ目が健康レシピの開発で、これも理化学研究所と連携して各種実証研究に取り組んでいます。  1つ目の健康向上効果測定は、平成28年度に農業就労者や医療職等の職種に就業する約200名を対象に行っており、昨年度は、健康経営に関心の高い民間事業者等4社の170名を対象として、活動量計や体組成計を用いて、日々の活動量や健康状況を約6カ月かけて計測し、これらの計測結果と健康診断データを組み合わせて、理化学研究所の独自解析技術を用いて解析した上で、個々人の健康状態と将来の疾病リスクなどを示した報告書を作成し、今年度、研究の参加者にお示ししたところです。  2つ目の運動機能測定は、理化学研究所が開発した運動機能計測システムを用いて、昨年度、高齢者約190名を対象として、歩行動作、筋力、バランス能力等、詳細な運動機能を計測しました。計測結果は、現在、理化学研究所にて解析中で、個々人の運動能力や転倒リスクなどを評価し、高齢等に伴う運動機能低下の予防への取り組みの支援の仕組みをつくっていきたいと考えています。  3つ目の健康レシピの開発は、県産農水産物の機能性に着目し、県産オリーブやオリーブハマチなどが人体に与える影響について実証研究を行いました。実証研究の結果、県産オリーブオイルやオリーブハマチに疲労改善等の効果が認められ、県産農水産物の高い機能性が科学的に証明されたところです。これらの実証研究の成果を踏まえ、県産農水産物の機能性をPRするため、昨年度は、これら食材を用いたレシピを紹介するリーフレット「かがわの元気ごはん」を発行し、さらに今年度、新たにレシピを追加するなどのリニューアルを行って、再発行したところです。  平成27年度後半から、理化学研究所を初め多くの関係者に御協力をいただきながら実証研究を進めてきたところで、これまでもセミナーなどを開催して普及に努めてきたところですが、今後もその成果をいろいろな方に提供し、健康長寿の実現と産業振興に寄与するよう努めていきたいと考えています。 氏家委員  知事も防災・減災対策とあわせて、人口減少・地域活力の向上にしっかり取り組むと断言されています。今、人生100年時代と言われていて、幸せな長寿社会となっていますが、それには健康寿命を延ばしていかなければなりません。そのためには、部長のおっしゃった健康長寿の3つの取り組みは重要だと思います。運動等いろいろ測定するのも大事ですが、運動すれば転倒等が減っていきますので、運動や食が大事だという意識を強めていくことにもしっかりと取り組んでいただきたいと要望して、次の質問に入ります。  次に、情報通信交流館e-とぴあについてお尋ねします。  先ほど、政策部長から、情報通信交流館について、来年度から5年間の指定管理にかかわる債務負担行為及び指定管理者の指定議案の説明がありました。そこで、この情報通信交流館は具体的にどのような業務を行っているのか、まずお尋ねします。  また、今年度で開館15年目を迎えますが、目標に対する実際の来場者数、また、時代の変化に応じて、どのような世代や催し物にニーズが集まり、高かったのかなど、成果についてどのように考えているのか、お尋ねします。  さらに、開館15年間における時代の変化、特に情報通信分野は日進月歩、十年一昔というより一年一昔になっています。その時代の変化にどのように対応してきたのか、お伺いします。 大山政策部長  まず、情報通信交流館e-とぴあの具体的な業務内容ですが、初心者を対象にタブレットやパソコンの基本操作を学ぶ講座や、画像の加工やイラスト作成を学ぶ講座、先進のICT、例えば、コミュニケーションロボット、ドローン、バーチャルリアリティーなどを体験しながら学習できるイベントや講座を開催しているほか、インターネット番組配信の知識や技術を学ぶワークショップ、さらには、さぬき映画祭と連携したデジタル映像制作人材育成講座等を実施しています。また、学校に出向いて行う情報モラル・セキュリティー学習の出張講座も昨年度は31回行っています。また、校外学習の受け入れも昨年度は75回実施しています。さらに、今年度は、香川大学と連携して、データを利用して地域課題を解決するための地域情報利活用アプリの開発講座等も実施しています。  次に、目標に対する実際の来館者数や成果ですが、情報通信館e-とぴあの来館者数は、PFI事業として行った平成16年度から平成25年度までの10年間は、年間の来館者の目標を10万人と設定していました。これは指定管理のインセンティブとして設定していましたが、結果的に、毎年度、目標を上回る来館者数でした。現在の、平成26年度から平成30年度までの指定期間では、具体的な数値目標までは設定していませんが、平成26年度以降も、毎年12万人前後で推移しており、本県の高度情報化の推進拠点として、県民に広く利用されている施設であると考えています。  開館当初は、高齢者を中心にパソコン講座の人気が高かったのですが、時代の変化や利用者のニーズに対応して、タブレット講座を加えることで、県民の情報リテラシーの向上等にも貢献していると考えています。また、自立型のサッカーロボットをつくりながら、ロボットプログラミングの基礎から応用までを学ぶ講座や、パソコンでアニメーションをつくる講座等は、子供たちに好評であり、将来のICT人材を育成する上で、情報通信技術に関心を持っていただく契機になっていると考えています。  さらに、スマートフォンの普及に伴い、子供たちがネット上のトラブルやサイバー犯罪に巻き込まれないようにするため、学校に出向いて行っている出張講座等により、学校側のニーズにも応えています。こういう取り組みを行うことで、e-とぴあが本県の高度情報化の進展に一定の役割を果たしていると考えています。  次に、開館15年間における時代の変化にどのように対応してきたのかですが、今年度でe-とぴあは15年目を迎えますが、平成16年の開館当初は、パソコンの利用が中心でしたが、近年では、スマートフォンやタブレットが普及し、また、SNSなどのサービスが急拡大しています。それから、AI、IoT、ロボット等の技術革新が進展するなどの変化も著しいです。e-とぴあでは、県民がこういう変化にいち早く対応できるようにするため、最新のICTを体験していただくイベントを開催したり、ロボットの製作講座、3次元プリンターによるデジタルものづくり講座等、イベントや講座の内容を最新のものに見直しながら対応してきたところです。 氏家委員  寺嶋委員の質問にもありましたように、AI、ロボット、自動運転等が新たな施策として、今、取り上げられてきています。まさに15年前には、こういう時代になるとは想像もつかなかったほど、今、進展しています。そうなりますと、カリキュラムの内容もそうですが、機器も大分入れかえたり、新しいものにしていかないといけないと思いますので、そういうところもしっかりとにらんで、今後、運営してほしいと思います。このような中で、来年度から5年間、この指定管理の期間が続くことになっていますが、その間に、時代の変化も踏まえ、どのような点に重点を置いて事業展開をしていくのか、お伺いします。  また、先ほど、指定管理になってからは目標を設けていないということでしたが、何らかの数値目標が重要ではないかと思います。数だけではないのですが、一つの目安として来館者数の数値目標を設定しているのかどうか、また、設定しているのであれば、そのチェック期間等を含めたPDCAサイクルをどのように回そうとしているのか、あわせてお尋ねします。 大山政策部長  まず、次の5年間でどのような点に重点を置いて事業展開するのかという御質問ですが、e-とぴあの事業は、先ほど申し上げた、これまでの講座やイベントを基本的には継続しつつ、御指摘のロボット、IoTなどの新しいものも出てきていますので、次の5年間では、そういう点に重点を置いて事業を行っていく予定です。具体的には、ロボット教材等を使って、ロボットのセンサーやモーターを制御する仕組みや、センサーから無線経由で取得したデータをコンピューターで制御して機械等を作動させるIoTの仕組みなどを体験する講座を通じて、子供たちが論理的思考力を身につけられるようにしたいと考えています。  また、コンピューターグラフィックスの制作や動画、アニメーションなどのデジタル映像の制作、ホームページなどのウエブページを制作する技術を学ぶことなどを通じて、子供たちがクリエーティブな思考も身につけられるようにしたいと考えています。  数値目標の設定やPDCAサイクルについてですが、平成31年度からの指定期間も、今のところ来館者数の数値目標は設定していませんが、指定管理業務仕様書で、イベントの開催回数や日数、講座のこま数などの最低基準は設けており、この仕様書に基づき、毎年度、指定管理者が事業計画書等をつくって、講座、イベントの具体的な事業内容を記載し、県に提出して承認を受けて行うことになっています。その事業計画書に基づき、指定管理者から来館者数も含めた報告がありますので、その報告の機会を捉え、来館者数等もチェックしつつ、県と指定管理者が業務の実施内容や実施方法等について必要に応じて見直しを行い、次の事業計画の内容の見直しに反映させ、それをまた実施することで、PDCAサイクルを回していきたいと考えています。 氏家委員  e-とぴあは、サンポート高松にあるということで、商店街等にあれば、不特定多数の方が通り、ここで行っているということで、少しのぞいてみようかなどといった宣伝効果はおのずとあるのですが、今のところサンポート高松はその先がありませんので、どうしてもここに行くのは、ここを目的として行くときぐらいしかないということは、宣伝をしていかないと、せっかくの施設なのに来館者数が伸びないところもあるかと思います。また、体育館でもできれば、人通りもたくさんできてくるかと思いますが、今は立地条件的に不利なところもありますので、しっかりとPRをしてほしいと思います。  それで、先ほどの答弁の中で、さぬき映画祭の映像のことが触れられました。e-とぴあは、さぬき映画祭にどのように生かされているのか、もしわかれば教えてください。 古川文化芸術局次長  さぬき映画祭において、シナリオコンクールを毎年開催しています。そのシナリオコンクールで最優秀賞をとった作品は、シナリオを実際に映像化する取り組みを行っており、その映像化する取り組みに当たっては、e-とぴあが持っているノウハウや、これまでの経験を生かした映像制作のワークショップ講座を活用させていただき、映像化につなげていく形での連携を図っているところです。 氏家委員  先ほど米田委員から、文化芸術で横断的にいろいろ連携していき、文化芸術を使って全県的に盛り上げていこうという質問があったので、質問させていただきました。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  最後に、情報通信交流館は、本県の高度情報化の推進拠点として、その担う役割が大きくなっていると思います。今後とも、情報通信交流館が、最新の情報通信技術を活用できる人材の育成拠点として、子供たちから高齢者まで県民に広く利用されるよう、魅力的な講座やイベント等を実施するなど、事業内容に工夫を凝らした運営を行っていただきたいと要望して、質問を終わります。 広瀬委員  私からは、文化芸術局関係で2問質問します。  1点目が、香川漆芸の振興についてです。香川漆芸のすばらしさは、日本のトップレベルでありますし、私は今まで、この漆芸の振興や漆器の販路拡大等で議会でも何回か質問してきたのですが、今回の質問のきっかけとなったのが、文化会館でこの日曜日まで行われてきた「台湾・香川漆芸交流展」です。まず、この交流展の内容や反響等についてお伺いします。 窪文化芸術局長  委員お尋ねの「台湾・香川漆芸交流展」ですが、香川県出身で台湾漆芸の父と呼ばれている山中公さんの没後70年を記念した展覧会で、11月10日から25日の期間で開催したところです。展覧会では、台湾側、香川側合わせて出展作家70名、出品作品124点が展示されました。双方とも人間国宝あるいは人間国宝に相当する著名な作家の作品を初め、これからの漆芸界を支える中堅若手作家の作品まで、台湾漆芸100年、香川漆芸200年の歴史を彩る作家の作品が一堂に展示された、またとない機会になったと考えています。  展覧会の初日には記念シンポジウムを開催し、約150名の参加者がありましたほか、開幕に合わせて台湾から28名の作家が来県して、香川県漆芸研究所の視察、研究員や指導員との交流会の開催、県内の漆芸品の制作工房や山中氏の母校の高松工芸高校の視察も行ったところです。  交流展は、2週間程度の短い会期でしたが、1,000人を超える来場者があったほか、新聞やテレビで報道されるなど大きな反響があったと考えています。来場者へのアンケートでは、9割近い方が「満足」または「やや満足」と回答しています。また、山中公氏を知っていたかという問いには、ほとんどの方が「今回初めて知った」という回答で、香川県より海外で知られた郷土の先人の功績を多くの県民に知っていただくきっかけになったのがよかったと考えています。  また、台湾と本県との人の行き来がふえている中で、漆芸の分野においても交流を深めることができたことは、今後の香川と台湾の交流発展に資するものであって、この点でも大きな意義があったと考えています。 広瀬委員  私も、先日見てきましたが、台湾漆芸は香川漆芸とはまた違うものがあります。香川の場合は、繊細で細かで、鮮やかな美しさがありますが、台湾漆芸には、大らかで大陸的な美しさがあり、興味深く見させてもらいました。この交流展は、東京オリンピックの文化プログラムBeyond2020の認証をとって開催したとのことですが、そういったところにも敬意を表したいと思います。  話が少しかわりますが、県が行っている漆芸の振興策の一つとして、香川漆器をいろいろな企業に貸し出して、応接間等に展示してもらう事業を何年か前から行っていたと思いますが、実際にどの程度の引き合いがあって、展示されているのかは知らないので、この事業についての状況や評価等について、次にお伺いします。 窪文化芸術局長  御質問の事業は漆芸研究所の修了作品貸出事業です。64年の歴史を持つ県の漆芸研究所では、研究所の研究生が制作したすぐれた修了作品を収蔵しています。その作品を有効に活用し、本県にゆかりのある県内外の企業・団体に無償で貸し出すことで、香川漆芸の魅力発信の協力をしてもらうことを目的としたものです。この事業は、平成28年度から行っていて、平成28年度は27点の作品を県内外の16の企業等へ、平成29年度は39点の作品を18の企業等へ、平成30年度は同じく39点を県内外の16の企業等へ、貸し出しを行っており、いずれの年もおおむね予定した作品を全て引き受けていただいている状況です。  貸し出しに当たっては、毎年、所蔵する作品の中から貸出作品をピックアップし、年度初めの5月、6月に募集を行っています。募集の際には、一般的な県広報媒体や報道機関を通じてのプレス発表に加え、県内の経済団体や、県外の県人会等を通じて直接呼びかけてもいます。貸し出し先の企業等の反応も好評で、貸出期間を延長してほしいとの声も上がったことから、平成30年度は、予定していた当初の6カ月の貸出期間を、9カ月に延長して対応しているところです。  この事業は、貸出先の企業等の満足度も高く、次年度以降の利用希望もお聞きしているところです。漆芸研究所が所蔵する作品を有効活用することで、比較的小さな経費で香川漆芸のPRにつながることから、次年度以降も取り組んでまいりたいと考えています。 広瀬委員  香川漆芸のPRにとっては、いい企画ではないかと思います。私も知事応接室に行ったときに、すばらしい漆器が10点ぐらい展示されていて、すごいと思いました。文化芸術局長室には入ったことがないので、展示されているかどうか知りませんが、文化芸術局長室にも展示したらいいと思います。また、知事にもお願いしており、実現できてはいないと思いますが、来客用のお茶やコーヒーなどのカップも、いわゆる瀬戸物などではなく、漆器を使ったらいいのにと前から私は思っています。熱いものを入れても熱くないので持ちやすいですし、「これは何ですか」「香川県は漆芸が盛んで」と、話のきっかけにもなりますので、検討いただきたいと思います。  漆芸振興では、それ以外にも「漆芸アート魅力再発見事業」を行っているかと思いますが、取り組み状況について、次に説明をお願いします。 窪文化芸術局長  先ほどの漆芸作品については、議会にもお願いし、議長室や委員長室にも置いていただいています。私も、年度末に漆芸研究所の修了生が販売会を開催しますが、そこで購入したものをしばらく置いたりしていました。  御質問の、それ以外の事業ですが、香川漆芸は、人間国宝を5人も輩出するすぐれた技術と芸術性を高く評価されていますが、認知度が全国的に見ても低いところも課題と考えています。そういうところから、ブランド力を強化することが重要であると認識しており、香川漆芸のよさや特徴をうまく伝える情報発信の取り組みを、平成28年度から、「漆芸アート魅力再発見事業」として実施しています。  一つには、富裕層をターゲットとして全国販売されている老舗女性誌「家庭画報」とタイアップし、世界的なブランドである、イタリアの高級シューズブランド「セルジオロッシ」とコラボして、ハイヒールの部分に香川漆芸の作家にデザインをしていただいた婦人靴を、その情報誌の誌面で特集するとともに、セルジオロッシのGINZA SIX店で展示販売を行ったところです。こういう高級ブランドとコラボした取り組みは、香川漆芸のブランドイメージを高める大きな意義があると考えており、今後も同様な取り組みを進めていきたいと考えています。  また、首都圏のアートギャラリーなどで香川漆芸の作品を展示販売する取り組みも行っており、平成29年度は、東京国際フォーラムのアートショップで、展示販売会を実施しました。平成30年度は、来年3月に開催予定の、国内のアートギャラリーが集結し、国内最大級のアートフェアと言われており、海外からのバイヤー、コレクターの来場者も多い「アートフェア東京」に香川漆芸のブースを初出展する予定です。  県としては、香川漆芸のブランド力を強化することで、国内外の新たな顧客層を獲得していくことが重要であると考えており、この趣旨に沿った取り組みを進めていきたいと考えています。 広瀬委員  進めていただきたいと思いますが、そのためには予算が必要です。この漆芸振興にどれぐらいの予算が毎年計上されているのかを教えていただきたいのと、これからも十分な予算を確保すべき分野でないかと思いますが、見込みはどうでしょうか。 古川文化芸術局次長  平成30年度の香川漆芸の振興に関する予算ですが、香川漆芸魅力発信戦略事業として、先ほど局長から説明しました、台湾・香川漆芸交流展の開催事業が640万円です。それ以外に、魅力発信事業の中では、漆芸研究所の修了作品貸出事業、メディアを活用した香川漆芸とブランドとのコラボ事業、アートフェア等への出展事業等を合わせて、合計で1980万円を今年度計上しています。これに加え、若手作家の展示会の開催等の活動を支援する事業の予算として160万円余を計上しています。  また、香川漆芸の振興、人材育成の拠点施設である、香川県漆芸研究所の運営について、平成30年度は8400万円の予算措置をしているところです。  平成31年度の予算ですが、先日、政策部長から予算編成方針が示されたところで、厳しい財政状況の中ではありますが、個々の事業成果についても検証しながら、今後とも、香川漆芸の振興に継続して取り組めるよう、適切な予算措置が図れるよう努めてまいりたいと考えています。 広瀬委員  香川漆芸の優秀さは、作品にあらわれていると思います。そういったものの前提となっているのが、彫漆、蒟醤、存清という伝統技法です。また、漆芸研究所は日本で唯一と言ってもいいぐらいの香川が誇る研究所で、今、その漆芸研究所から日本中の漆芸作家が輩出されています。そういう研究所がここにあることもありますし、また、先ほど局長が言われたように、人間国宝が5人と言われていましたが、漆芸の人間国宝は、全国で今まで22人いたと思いますが、22人中5人が香川県の人です。生存されている方は、全国で10人中、磯井正美さん、太田儔さん、山下義人さんの3人が香川県の人という、すごい状態になっていますが、この香川漆芸をしっかりと我々が守っていき、これからも振興を図っていかなければいけないと思いますので、今後もよろしくお願いします。  次は、瀬戸内国際芸術祭の安全対策について質問します。  島嶼部に行き、瀬戸内国際芸術祭に関する要望等をお聞きする中で、安全面での御意見を何カ所かで聞いたので、そういったことの質問です。まず、女木島の方からは、女木島は、今、「イノシシが出る」とのことです。来年、瀬戸内国際芸術祭が始まったときに、「島民がイノシシに襲われるのも怖いが、瀬戸内国際芸術祭のお客さんに危害が及ぶことも恐れている。瀬戸内国際芸術祭のお客さんを守る意味でも何か対策をとるべきではないか」と言われました。
     それについてお伺いするのと、それから、4点まとめて言っておきます。これは去年ですが、小豆島に行ったときに小豆島の建設関係の経営者が言われていたのは、「大きな作品をつくられる作家もいて、大きな作品は、高所に上って作業することもありますが、建設関係のプロではない作家がするので、安全面で、このようなもので大丈夫かというような装備で行ったりするところがあるので、そういったところは我々建設関係の人間がいろいろサポートもします」と言ってくれたのです。大きな作品をつくる上での安全対策について、どう取り組まれているかが2点目です。  3点目ですが、瀬戸内国際芸術祭は今回が4回目になり、最初に瀬戸内国際芸術祭を行ってから10年ぐらいたちます。古民家にいろいろな作品を展示したりもしますが、その古民家が老朽化して、例えば、知らないうちに床が傷んでいて、多くの人が床に乗ったときに床が外れたり、暴風雨で家が倒壊するなどの心配もしておかなければいけないのではないかということがあり、そういう会場の老朽化対策についてどう取り組もうとしているのかが3点目です。  それから、4点目は、最近の異常気象です。異常気象によって台風、大風、大雨、それに基づく土砂災害等が、特に島嶼部ですので心配されます。そういう、ある一定以上の気象条件になった場合には、瀬戸内国際芸術祭自体をその日は閉会するとか、ある地域については閉場するなどといった決断も必要になるかと思います。その辺がちゃんとマニュアル上に決められているかなどの危機管理対策についてです。以上の4点について、どのような状態になっているのか、お聞きします。 窪文化芸術局長  私からは、イノシシの被害対策と台風等の災害対応について答弁申し上げ、残りの点については瀬戸内国際芸術祭推進課長から答弁申し上げます。  まず、イノシシなどの有害鳥獣対策ですが、県内では、内陸部だけでなく島嶼部においても、イノシシなどによる農作物被害が報告されているところであり、芸術祭会期中には、特に多くの来場者が島を訪れることから、人的被害が発生しないよう対策を講じることが必要と考えています。島でのイノシシなどの有害鳥獣対策については、市町による捕獲のほか、県で捕獲事業の実施や侵入防止柵の設置等に対する助成を行っています。環境森林部によると、県の捕獲事業による昨年度のイノシシの捕獲実績は、女木島、男木島で24頭、小豆島では57頭で、今年度は女木島、男木島では昨年度の実績を上回っていると聞いています。  前回の芸術祭においても、島民からの不安の声が上がっていましたので、地元と連携して、作品鑑賞ルート上の注意を要する箇所へ、「イノシシ注意」と表示した看板を設置したり、案内所等でイノシシと遭遇したときの対処方法等を記したチラシを配布するなど、来島者に注意喚起を行ってきたところです。次回の芸術祭においても、引き続き関係部局や市町とより緊密に連携することが重要と思っており、そういう中で、来場者の安全対策や注意喚起に取り組んでいきたいと考えているところです。  それから、台風等の災害に対してです。これまでも芸術祭実行委員会で災害対策マニュアルを策定し、対応してきたところです。芸術祭の会期外になりますが、今年度も週末を中心に作品の公開等を行っていますので、台風等により災害の発生が見込まれる場合には、このマニュアルを基準に対応してきています。例えば、台風の場合でしたら、作品展開地域またはイベント開催地域が台風の進路に当たり、気象警報が発令され、または、発令される可能性が高く、被害発生のおそれがある場合は、マニュアルに従って作品公開やイベントの中止の判断を行い、安全対策を行うこととしています。また、会場が島嶼部ですので、停船によって来場者やボランティアが戻れなくなるおそれもありますので、関係機関とも連携しながら、早い段階で情報を入手して対応を検討し、あらかじめ芸術祭の公式ウエブサイトやフェイスブック、ツイッターなどで注意を促すなど、混乱の未然防止にも配慮しているところです。  近年は、想定を超える自然災害が発生する可能性も指摘されていますので、来年の芸術祭に向けては、これまでの経験も踏まえ、改めて災害対策マニュアルを点検、改訂し、関係機関との連携体制も整えて、来場者やボランティアの安全を最優先に、適切に対応できるように準備していきたいと考えています。 吉川瀬戸内国際芸術祭推進課長  広瀬委員の御質問のうち、芸術祭作品制作における安全対策についてお答えします。  芸術祭の作品制作に関しては、地元住民やボランティアサポーターなど、一般の多くの方にかかわっていただいていることから、現場での十分な安全対策が重要であると認識しています。これまでも、そういった方々には、できるだけ危険を伴わない作品制作の作業のほか、草刈りや清掃等の作業を行っていただいています。例えば、高所での作業や重機を用いる大規模な作業には従事しないように人員配置等をしていましたが、次回はそういった安全対策をより徹底する必要があると認識しています。  次回芸術祭の作品制作については、現在、作品プランや設置場所を検討している段階で、今後の作品制作については、業界団体にも確認しながら、事前に安全対策を取りまとめ、作品の規模に応じ作業前にレクチャーを行うなどの対策に取り組んでいきたいと考えています。  芸術祭は、地元住民やボランティアサポーターの方々に、アーティストと一緒に作品の制作をしていただいたり、運営やおもてなしに携わっていただいたりすることで、地域の活性化につながると考えており、地元の関係者の方々には、それぞれが持つ技術やノウハウを踏まえた上で、無理のない程度で御協力をお願いするとともに、安全対策を徹底していきたいと考えています。  それから、芸術祭の作品における老朽化の対策についてもお答えします。  委員御指摘のとおり、作品を設置している古い民家や倉庫等の中には、老朽化が進んでいる物件も出てきています。継続作品については、会期外における週末を中心とした作品開館の際や台風等の後には、必ず状況を確認し、必要であれば補修等を行っているほか、毎年、全体的にメンテナンス作業も行っているところです。作品だけでなく、民家等建物全体の状況も確認した上で、安全性が懸念される作品については、一部撤去をした作品もあります。  また、作品鑑賞の際ですが、例えば、狭い家屋や2階に作品を展示している場合等は、より安全を確保するため、鑑賞人数を制限したり、入れかえ制により対応しているところです。次回芸術祭に向けても、来場者を初め関係者全員の安全に配慮しながら準備を進めてまいりたいと思います。 広瀬委員  今や、日本一の芸術祭と言われている瀬戸内国際芸術祭で事故等がありましたら、勢いに水を差すことにもなりますので、安全対策にもしっかりと力を入れていただきたいと要望して、質問を終わります。 山田委員  それでは、新たな外国人材の受け入れに向けた環境整備について、お伺いします。  新たな外国人材の受け入れに向けて、出入国管理法の改正案が今国会に提出され、審議されているところです。昨日、衆議院を通過し、きょうから参議院で審議入りとのことで、来月10日の会期末までに成立させようと政府は躍起のようですが、この新しい制度では、特定技能という在留資格を創設し、14業種で受け入れを開始するとのことです。ただ、もうすでに、私の実感としては、例えば、スーパーへ行っても、週末は外国人ファミリーが楽しくショッピングしていますし、コンビニへ行ったら、大体レジは外国人で、確かに近年、物すごい勢いで県内も外国人観光客がふえていますが、明らかにそういう、旅行者とは違う外国人が多く見受けられます。この制度改正によって、そういう外国人と我々とが接触する頻度が高まるのは間違いありません。  そこで、現在、香川県内では、どれぐらいの外国人が住んでいて、どれぐらいの外国人が働いているのでしょうか。そして、近年の状況は、どんどんふえてきているのだろうと思いますが、全国の中で比較して、香川県がどの辺の水準なのかというデータがあれば、教えてください。 大山政策部長  国の在留外国人統計によると、本県の在留外国人数は、平成25年末には8,510人であったものが、平成29年末には1万1636人と36.7%増加しており、同じ時期の全国の伸び率が24%ですので、それを上回るペースで増加しています。また、労働者数については、香川労働局が外国人雇用状況の届け出状況を発表しており、それによると、本県の外国人労働者数は、平成25年10月現在で4,262人であったものが、平成29年10月には7,825人と83.6%増加しています。全国では、同じ時期に外国人労働者数は78.2%の増加ですので、労働者数で見ても、本県は全国の伸び率を上回っています。  なお、本県の外国人数を在留資格別に見てみますと、技能実習生が4,906人と最も多く、全体の42%を占めており、全国ベースで見た場合には技能実習生の割合は10.7%ですので、本県は技能実習生の割合が大きくなっていることが特徴的と考えています。 山田委員  すごいです。急激に外国人がふえてきています。  私の地元の丸亀市に、丸亀市立城乾小学校という歴史の古い学校があります。私の母校でもあるのですが、私が子供のころは大規模校で、市内でも一番児童数の多い学校だったのですが、ドーナツ化現象が起きて、町からどんどん人口が郊外へ流出し、かつ少子化なので、聞くと、今は全学年でたった240人しかいないということですが、その中で、外国人の子供たちが40人近くいるとのことです。恐らく日系何世かの人たちだと思います。南米の、特にペルーの子供たちが多いとのことです。  余り公で話をするのはよくないかもしれませんが、ある機関が調べたら、その子供たちは中学校までは進学しますが、その後、高校へほとんど進学しないそうです。小・中学校は授業料も無料だし、教科書等も無料配付ですからいいのでしょうが、親御さんの教育観が日本人と違うのでしょうか、お金のかかることを何でしなければいけないのかということのようです。ですから、ますますそういう子供たちもふえていき、通訳等もつけているのですが、日本語が上達しない子供も結構いるそうです。日本人でも、親が事業でもしていればともかく、中卒で就職先を探すのは困難だと思います。いろいろと先々考えていたら、そういう人たちがどんどんふえていき、街の治安という意味で大丈夫なのかと、話を聞いて不安を感じるのは私だけではないと思います。  先般の9月定例会の一般質問や決算行政評価特別委員会の質疑の中で、執行部から、もう既に大勢の外国人が住んでいる地域や自治体のこれまでのさまざまな取り組みについて、先進的な事例を調査したという答弁や説明があったとのことですが、今後の県の施策として、参考にできるものがその調査結果の中からあったのでしょうか。とりわけ外国人の子供たちのフォローをする観点でヒントになるお話がありましたら、教えてください。 大山政策部長  まず、国の調査によると、確定値ではありませんが、今年度、県内の公立の小・中学校における日本語指導が必要な外国人児童・生徒数は143人で、公立の小・中学校の児童・生徒数が7万4000人余ですので、約0.2%程度で、今はまだそれほど多いわけではありませんが、次第に増加してくると思われます。また、市町別では丸亀市が最も多く、それ以外では、高松市、宇多津町、多度津町等が多くなっているとのことです。委員御指摘のとおり、外国人の受け入れ環境整備に当たっては、外国人労働者本人だけでなく、家族帯同で来ている方もいますので、生活する家族や子供への対応についてもいろいろ検討していく必要があると考えています。  委員お尋ねの先進地調査ですが、ことし8月下旬に、政策課の職員が手分けをして、本県以上に多数の外国人が既に在留する自治体2県5市の取り組みについて調査に伺いました。  まず、市町等の基礎自治体ですが、ごみや騒音、税金等、生活ルールの周知徹底に関する施策について、参考になる取り組みを聞くことができました。例えば、外国人が新規に転入する際に、ごみ出し等の生活ルールに関する「周知パンフレット」や、就学や税金、ごみの出し方、防災、交通安全、自治会活動等に関する外国語版の冊子やチラシを一まとめにした「ウエルカムパック」をつくって配布している事例がありました。また、これらの配布物の配布方法についても、転入手続時やその際に同時に行う生活に関するガイダンスの場で配布することにより、転入される方に確実に行き渡る工夫をしているとのことでした。  また、都道府県レベルでは、防災や教育等、広域的な課題に関する取り組みや、自治体間の円滑な連携の促進に関する施策について、参考となる取り組みを聞くことができました。例えば、愛知県では、小学校入学前に初期の日本語教育を行う「プレスクール」について、県下の各市町村が標準的に実施できるよう、市町村向けのマニュアルを整備し、実施を呼びかけているとのことでした。また、群馬県や三重県では、県が主体になって地元市町村や各市町村の国際交流協会を入れた定期的な連絡会議を開催しており、外国人向けの施策や課題の共有化を県が率先して行っているとのことでした。また、参加している市町村側からも、そういう取り組みについて好意的な反応であることも伺うことができました。  今回調査した取り組みも参考にして、本県においても、家族や子供への対応も含めて、外国人が安心して本県で生活でき、共生できる生活環境の整備に向けて、具体的に検討を進めていきたいと考えています。 山田委員  新たな外国人材の受け入れに関する施策として、二つの側面から取り組んでいかなければいけないと思います。一つは、企業の協力が必要ですが、外国人がそれぞれの職場で働きやすい労働環境を整備していくことです。もう一つは、地域で日本人と一緒に生活するわけですから、それぞれの地域で、地域の一員というか、地域とともに歩むというか、外国人が地域に溶け込めるような生活環境もあらかじめ整備しておかなければいけないと思います。もちろん、国やその他の関係公的機関と連携を密にして行わなければいけないのですが、こういう問題は県庁の中でも、この部分はこちらの所管だから行うが、あちらのことはほかの部署だという考え方ではいけないと思います。この問題は、部局の垣根を越えて、オール県庁で取り組む必要があると思うのですが、いかがでしょうか。部長の見解をお聞かせください。 大山政策部長  委員御指摘のとおり、外国人の受け入れに関しては、労働環境の整備と生活環境の整備の両方で考えていく必要があると考えます。国との関係についても、国で制度の枠組みをつくっていただき、生活環境の面でも、基本的にまずは国で主体的に考えていただく。その前段階として、地方としても、身近な行政としてできることはしていくので、その地方の取り組みを前提として、国でも支援していただきたいと考えています。  それから、庁内の関係ですが、確かにいろいろなものにまたがるということで、例えば、企業での技能実習生の雇用等については商工労働部、外国人との多文化共生社会の面においては国際課など、それぞれ所管はあると思いますが、はっきりしていない部分や、今後、まだどうなるかわからない部分もあります。そういう点については、政策部としては、先ほど申し上げたように先進地視察も行っています。政策部もいろいろな部局と連携して、総合的に検討して、必要な対策を考えていきたいと思います。 山田委員  外国人から、香川県は働きやすい、住みやすいところだと言ってもらえる、外国人から選ばれるというわけでもないですが、外国人にとっても魅力あふれる香川県であってほしいと思いますので、国などの連携はもちろんですが、県庁自体が部局の垣根を越え、オール県庁でこの問題に取り組んでいただきたいと要望して、質問を終わります。 西川委員長  以上で、政策部関係の質疑、質問を終局いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) 西川委員長  異議なしと認め、政策部関係の質疑、質問を終局いたします。  本日は、これをもって散会いたします。 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....