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  1. 香川県議会 2018-11-01
    平成30年[11月定例会]経済委員会[農政水産部] 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 佐伯委員長  これより、質疑・質問を開始いたします。 松村委員  ため池の防災対策についてお伺いいたします。  先日の環境建設委員会では、台風等の大雨時におけるダムの管理運用について質疑がありました。そこでは、ゲート操作により上流からの流入量に応じた放流を行っている旨の説明がされておりました。一方、ため池については、ため池の本来の機能である農業用水の確保という、かんがい機能が第一義であり、これを損なわないことを前提として、付加機能が洪水調整機能と考えております。基本的には、人為的に操作することなく、貯留・貯水能力を超えた部分が余水吐きから流下することになっていると考えております。9月の当委員会でもため池については、お尋ねしたところですが、再度また取り上げさせていただきます。  平成30年の7月豪雨では、西日本を中心に広範囲かつ長時間にわたり大雨が続き、各地で甚大な被害が発生しており、特に農業用ため池については、決壊や一部損壊等により、ため池の下流の家屋や公共施設等に対する被害が発生しました。広島県を中心に、32カ所のため池が決壊し、下流に大きな被害を与えています。豪雨がおさまった後も、堤の崩落などが見つかったため池においては、避難指示の発令が相次ぎ、ため池の下流地域の住民を中心に、被害の発生に対する不安が高まっていたと思います。本県においても、49カ所のため池が被災しており、決壊するおそれがあるとして、綾川町の奥池や高松市の四八池などにおいて、下流域の住民に対して避難指示が発令されていました。  今後の豪雨や台風等に備え、下流の家屋や公共施設等に被害を与える可能のあるため池について、ため池の被災リスクの低減を図る必要があると考えます。  そうした中、今説明がありましたように、11月補正予算に県営ため池等整備事業ハード整備に加え、「ため池緊急防災対策事業費」が計上されていますが、まずその内容について説明をお願いします。 国分農政水産部長  平成30年7月豪雨により、多くのため池が決壊して被害発生がありました。そうした状況を受け、農林水産省においては、下流の家屋や公共施設等に被害を与える可能性のある全てのため池の緊急点検を行うことを、各都道府県に要請したところです。  今回、補正予算として計上している「ため池緊急防災対策事業」は、国の調査依頼を受け、1つ目は、下流の家屋や公共施設等に被害を与える可能性のある緊急点検ため池の選定、2つ目は、その点検対象ため池の現地調査・点検として、堤体・洪水吐きなどの施設の変状や異状がないか、現地において目視による確認を行うものです。3つ目が、そういったため池の点検データの取りまとめ、4つ目に、ため池の堤高や貯水量などの諸元や点検時の現況写真、位置情報の整理などを業務内容とするものです。なお、これらの業務に要する経費としては、国による定額補助、国費100%で措置されているところです。  点検対象ため池については、ため池の堤体や洪水吐き等の状況を主に目視により確認しています。その結果、全国でため池緊急点検を実施した箇所は88,000余に及び、そのうち今後の豪雨や台風等に備えて応急措置が必要と判断されたため池が1,540カ所となっています。  本県においては、7,151カ所のため池について緊急点検を行い、そのうち19カ所のため池で応急措置が必要と判断されました。応急措置が必要と判断された全てのため池について、ブルーシートによる被災箇所の保護や低水管理などの応急措置を直ちに行ったところです。この応急措置が必要なため池19カ所の防災対策ですが、既に3カ所のため池で復旧工事が完了しています。残る16カ所のうち、7カ所のため池については、災害復旧事業により対応することとし、既に国の災害査定も終え、復旧工事に向けて取り組みを行っています。また、9カ所のため池については、国の補助事業や単独事業などで対応するため、現在、工事発注に向けた準備や、地元関係者との協議・調整を行っているところです。  今後の対応として、全ての対象ため池のこの緊急点検結果をもとに、先ほど申し上げた点検のデータを取りまとめ、あわせて、そのため池の諸元や点検時の写真、位置情報などのデータ整理を行い、ため池の現状把握と適切な維持管理を行うことで、市町等の管理者等に対して情報提供も行い、ため池の防災対策を支援したいと考えています。 松村委員  ため池の緊急点検の内容については理解しました。  昨年の九州北部豪雨では、短期間に雨が集中して土砂がため池に流入し、あふれた水が堤を削る越流破壊であったのに対し、ことしの西日本豪雨では、長時間の雨で堤が緩んで崩れる滑り破壊、円弧滑りが決壊の発生要因として報道されております。  ため池を改修するに当たっては、従前の補強に加え、水の浸透を防ぐ対策・検討が必要と認識したところで、このような発表も踏まえた上で、今後のため池の防災・減災対策をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 国分農政水産部長  老朽ため池の防災・減災対策については、昭和43年度から10次にわたる「老朽ため池整備促進5か年計画」を順次策定し、整備促進を図ってきたところです。  今年度を初年度とする第11次の5か年計画が今年度から始まりますが、それにおいては、「老朽ため池の整備推進」、「ため池の耐震化整備の推進」、「中小規模ため池の防災対策の促進」の3つを3本柱として、ため池の総合的な防災・減災対策に取り組むこととしています。  まず、老朽ため池の整備については、昨年度までに全面改修したため池数が3,484カ所で、貯水量から見た整備率は88.6%となっています。大規模ため池を含む貯水量5万トン以上のため池については、全ての整備を完了しています。そうしたことから、今回の計画では、貯水量5万トン未満の中規模ため池を重点的に整備しようと考えており、老朽度が高く、早急に改修が必要なため池約140カ所の全面改修を予定しています。  また、ため池の耐震化整備は、大規模地震に備え、大規模ため池耐震化整備を行っていましたが、これまでの大規模ため池耐震化整備に加え、貯水量10万トン未満の防災上重要な中小規模ため池を新たに整備対象にして、耐震化整備を図ることとしています。  大規模ため池耐震化整備については、昨年度末までに、県において実施する39カ所のため池全てに工事着手し、そのうち33カ所で工事が完了していますが、継続となる箇所についても、耐震補強工事が早期に完了できるよう鋭意取り組んでおります。  また、今年度から新たに取り組む中小規模のため池の耐震化については、市町等の意見も聞きながら、大規模ため池と同様に下流域に住宅や公共施設が多く、地震等により決壊した場合、甚大な被害の発生が想定される防災上重要なため池を対象として、耐震性点検調査を実施しています。その上で、耐震性点検調査結果に基づき、耐震化整備が必要な中小規模ため池について、耐震化工事を実施することとしています。
     また、中小規模ため池の防災対策については、受益者の受益地の減少や、管理者不在などで管理ができていないことで災害の発生が懸念される5,000トン未満のため池について、特別対策ということで防災措置を行うこととしています。  一方、ソフト面の対策は、国の指針に基づき、県地域防災計画ため池ハザードマップの作成、普及啓発を市町で行うことになっていますので、県は、そうしたハザードマップの作成や浸水想定図の作成に伴う技術的支援を行うとともに、作成されたハザードマップの住民周知を働きかけたいと考えています。  今後とも、ため池整備に必要な予算を確保するため、国に働きかけるとともに、市町や農業関係者と緊密な連携を図りながら、ハード・ソフト両面から、ため池の防災・減災対策を積極的に推進し、災害に強い県土づくりに向けて取り組みたいと考えています。 松村委員  今の説明の中で1点だけ確認しますが、県において、ハード面は計画的に取り組んでいますが、ソフト面のハザードマップの県内周知を働きかけるとのことですが、整備率はどのぐらいになっているのでしょうか。また、今回、国で調査する重点ため池にプラスアルファで、いろいろな基準が変わり、池から影響が及ぶ範囲が100メートルぐらいなら、調査対象にすることとなりました。そういった基準が変わったことにより、ハザードマップの作成が、従前の10万トンから変更になっているので、市町の取り組み状況に変更があるのかどうかを確認させてください。 国分農政水産部長  今回の7月豪雨災害を受けて、防災重点ため池の再選定について、もう一度きちんと見直すということが国の方針として出されました。そういった中でいろいろ基準が示されてきており、市町とともに、そういった再選定の作業を進めていくことになります。  今のハザードマップ作成状況等については、小山次長から説明があります。 小山農政水産部次長  ハザードマップの作成状況ですが、県内の10万トン以上の大規模ため池180カ所のハザードマップを含め、全体で433カ所のため池ハザードマップを作成しています。 松村委員  433カ所ということで、各市町によってデータ化して公表しています。それを見て確認すればいいということになるのですか。  通常、県が取りまとめて指導・協議しながらされています。ほとんどの市町で完了している認識ではあるのですが、今データを持っていないということなのでまた、後ほど報告していただいたら構いません。  今年度から第11次の5カ年計画が始まりますが、温暖化や気候変動の影響で、災害リスクは今後もずっと高まっていくと思います。今回の7月豪雨などを教訓にし、今後とも市町や土地改良区と連携して、ため池の防災対策をさらに加速して取り組むよう強く要望・要請して、私の質問を終わります。 山本(悟)委員  まず、スマート農業の展開についてです。  先月下旬、公共放送のニュースを見ていて、「精密農業」という言葉を知りました。正確に言うと、そのニュースのタイトルは「AI・ビッグデータを活用 精密農業」だったのですが、調べると、その「精密農業」という言葉の定義自体もいろいろあるようです。広い意味では、AI、IoT、センシング技術、センサーを使った探索技術、ロボット、ドローン等を導入した、行政が一番よく使っている「スマート農業」という言葉だと考えます。  そのニュースでは、青森県の取り組みを紹介していました。青森県の産業技術センターが人工衛星を使って、1,900ヘクタールの田んぼの写真を撮り、稲の色を数値化し、気象データとあわせて、田んぼごとに「収穫に最も適した日」を割り出すということです。この地域は何日ごろというのではなく、あなたの田んぼは何日ごろと、そこまで細かくやっているようです。今まで各農家が経験とある種の勘を頼りに収穫日を決めていた、あるいは兼業農家の方だったら、次の土日にしようかや、台風が来そうなのでちょっと早目にしようという形だったと思うのですが、最もいいとコンピューターがはじき出した日に刈り取り、実際にたんぱく質含有率等々のばらつきが比較的少ない、簡単に言えば、おいしいお米の収穫につながるということです。青森県が力を入れている県産米の「青天の霹靂」が実際に、「特A」をとったようです。さらに、それを可能にした青森県のリモートセンシング技術が、ことしの3月には農林水産大臣賞にも選ばれているそうです。単純に聞いていて、すごいと思いますし、本県にとってもさまざまな可能性が考えられるのではないかと感じました。  そこでまず、最初にお聞きしたいのですが、このような青森県の取り組みは、本県でも可能なのでしょうか。人工衛星を活用することが具体的にどういうことなのかも含めて、教えていただきたいと思います。 国分農政水産部長  スマート農業で今お話がありました青森県の取り組みについて、本県でもできるのかというお話ですが、本県のオリジナル品種「おいでまい」も、気象条件によって品質が左右されやすく、栽培改善による食味の高位平準化が重要な課題になっています。そうした中、青森県産のお米「青天の霹靂」のリモートセンシングの取り組みも参考にして、本県においても平成29年度から、ほ場別に食味が可視化できるシステムの開発に着手しています。具体的には、調査ほ場5カ所を対象に衛星画像を取得し、栽培中の葉っぱの色のデータと、収穫されたお米に含まれるたんぱく質の含有量の関係を調査することにより、このたんぱく質の含有量が食味に大きく影響するということで、ほ場ごとで翌年度の肥培・肥料の肥培管理の指導等に反映させようと進めています。  現在、その衛星画像から「おいでまい」のたんぱく質含有量を分析するシステムの精度の向上を図っており、来年度中の完成を目指しています。 山本(悟)委員  本県も活用しているということで、ちょっと細かいことをお聞きしたいのですが、この人工衛星のデータは、誰でも使えるわけではないと思います。どこに、どう使わせてや、どれぐらいお金がかかる、あるいは活用しているということについても、「おいでまい」全体のどれぐらいの割合で対応しているのかなどを、教えていただきたいと思います。 国分農政水産部長  具体的な手続の話については、担当課長からお答えさせていただきますが、経費の話については、青森県から聞いた話では、衛星画像の費用と、データ・システムの分析で費用がかかっていると聞いています。  それと、今は5カ所ということでやっていますが、そのあたりも担当課長から答えさせていただきます。 高島農業経営課長  「おいでまい」のリモートセンシング技術についてですが、現時点で5カ所の調査を進めております。また、1枚の画像を取得するのに幾らかかるかは、青森県の場合だと、衛星画像を取得するだけで200万円程度かかっています。これについては、当然専門のメーカーや企業との委託契約により、画像の精度によって全く価格も違う状況で、香川県の場合は、平成29年度から5カ所で、この解析度でこの程度という画像を得て、これなら現場で適用できるというものを今目指しているところです。  今お尋ねのありました具体的な申請手続については、そういった業者に委託しておりますので、ここで詳細なお答えはできませんが、後ほどまた、御報告したいと思います。 山本(悟)委員  青森県の場合は、すごく効果が出ているというニュースの取り上げ方でしたが、本県の場合、平成29年度から5カ所ということで、今までやってみて、どの程度の手応えや効果があるとお考えになっているのでしょうか。 高島農業経営課長  現時点での進捗状況で申し上げますと、今、農業試験場内のほ場を中心に、葉色の経過から、最終的なたんぱく含量がどのぐらいかほぼ推定できており、それを来年は、このほ場には、こういうやり方が一番いいという指導が可能というところまでできております。ですから、あとそれをほ場ごとにマップ化して、現場に導入していく、その普及の手段を今検討しているところで、これについては、先ほど申し上げたとおり、平成31年度中には実用化できるような技術にしたいと考えております。 山本(悟)委員  ぜひ広げてほしいと思いますが、費用対効果の話もあるので、いろいろ検討してほしいと思っています。  その公共放送のニュースですが、人工衛星の画像処理という大きな話から、次は、ドローンの話になりました。最近は、もう何でもドローンをいかに活用するかというのが現実的な話で、ここでは農薬を減らす側面でドローンを活用しているということでした。どういうことかというと、すごく精度がいい最新型の4Kカメラで、高さ5メートルからの撮影で1ミリの穴も判別でき、その穴が害虫によるものかをAIが判断するというすごい時代になっていると思います。ここはちょっと害虫がいるのではないかと判断された部分に、必要な量の農薬を散布するということで、人間が全部見て回れるわけではないので、そういった仕組みで補う部分をドローンがやってくれるので、そこの畑では、作業時間の大幅な短縮と農薬の使用料が3分の1に減ったということでした。こうしたドローンの活用は、人工衛星の話から比べると、実際にもうやっているところはやっている話で、それがやはり農作物の最適化・効率化に、経営としても栽培としても最適化につながると思っています。  そこで、香川県内のドローンの農業においての活用方法や、実際にやっているところがあるのかや、やっていた場合、どのような現状で問題点があるのかについて、お聞きしたいと思います。 国分農政水産部長  本県においては、今年度、水稲の薬剤散布として約800ヘクタールの防除についてドローンが使われているという報告を受けています。その大部分は農薬散布の受託作業で、これまでの農業用ヘリコプターに比べて軽量で機動性にすぐれることから、狭小なほ場が点在しています本県では、その活用面積の拡大が見込まれるところです。全国的には、それ以外のいろいろな播種や、生育診断の調査などの幅広い場面での利用も行われており、今後とも需要が拡大していくのではないかと考えています。  一方、問題点として、農業用ドローンは、現行法の航空法等での規制があり、農薬散布は「危険物の輸送」、「物件投下」に当たります。この場合、飛行経路の下の第三者の立ち入りを防ぐなどの安全措置が必要ということで、多くの場合はオペレーターに加え、注意喚起を行う補助者の配置が求められています。こうしたことが利用のなかなか難しいところです。  また、本県は混住化が進んでおり、本県のドローンの利活用については、法を守ることはもちろん、先ほど申し上げた安全性の確保やプライバシーの配慮が重要と考えています。一方、国においては、農業用ドローンの利活用の拡大に向けて、先ほど申し上げた補助者配置の緩和や、使える農薬の種類の拡大、それから飛行許可の取り扱いの見直しなども検討されていますので、そういった動きを本県としても注視したいと考えています。 山本(悟)委員  便利な反面、いろいろな問題もあるということで、例えば行政に、こういった形で何かスマート農業的なことを活用できないかという相談には、行政である程度きちんと対応されているのでしょうか。例えば、ドローンを使いたいという場合は、こういう問題があるというような話や、こういう技術もあるというような相談窓口は、どうなっているのか、教えてください。 国分農政水産部長  そういったことについては、各地域の農業改良普及センターにお問い合わせいただきましたら、答えさせていただいています。 山本(悟)委員  そういうやる気がある人に対しては、十分なフォロー等々をお願いしたいと思いますし、スマート農業の技術自体も早く進んでいくと思いますので、いろいろな知識の習得も含めて対応をお願いしたいと思います。  またテレビの話に戻りますが、今、日曜の夜に、「下町ロケット」というドラマをやっていまして、今クールのテーマが「無人農業ロボット」になっています。今、見ている限りはトラクターの無人運転技術で、いろいろ中小企業が大企業に対抗しながら戦う話で進んでいるわけですが、こうしたドラマが農業への関心や可能性を示してくれれば大変ありがたいと思います。  そういった意味で、新規参入の話に入りたいのですが、四国電力が中心となって、「あぐりぼん」という農業法人が9月に設立され、イチゴの女峰を栽培することになっており、何よりすごいのが、既に銀座の千疋屋の店頭に並ぶのが前提になっているようです。まだ、栽培が始まっていなくて、担当もこれまで農業専門でやってきたわけではないということです。どういうことかとお聞きしたら、会社設立のそもそもの部分から千疋屋がかかわっているということで、要は千疋屋がこういうものが欲しいと望む農産物を香川県でつくるという仕組みになっているようです。県としては、「さぬき讃フルーツ」がずらっと並ぶのがブランド的にはいいという気もしますが、先に出口を固めて、売れるところを見つけてから始めるという発想もすごいと思っています。これはこれで、もうかる農家や農業法人をふやしていくための一つのモデルケースにもなると考えています。  こうした新規参入者も含めて、スマート農業の導入も含めた支援のあり方について、県としてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。 国分農政水産部長  いわゆる新規参入、企業参入の関係ですが、平成21年12月に改正農地法ということで農地法が改正され、その中で企業も農業者と同様に農地の貸借ができるようになりました。それを受けて、県内においても人材・資材などの経営資源の有効活用を視野に入れた農業参入を検討する企業がふえ、相談件数も増加しています。これまでに農業に参入した農外企業の参入件数は、平成21年の農地法改正以降、この11月末までに42件となっており、改正法以前に入っていた企業も含めると56件が参入していることになっています。  支援ということですが、こういった新規参入を希望する者に対しては、まずは農地が課題になりますので、農地機構を通じた農地の貸借についての制度の周知や、こういったことがあるや、いわゆる何をつくるのか、導入する作物の栽培・販売に関する情報、それから営農を始めるのにどういうことが必要かなど、技術の習得方法などの情報を提供することとしています。  そうした中で、しっかりとやっていこうということであれば、さらに次の段階として、具体的な参入地域との調整や、初期投資の負担軽減のための機械・施設等の整備支援、またいろいろな国の制度を含めて、補助・融資制度がありますので、そういったものの情報提供を行い、地域の中で根づいてもらうことが大事ですので、根づいて経営発展できるような、きめ細かな支援に努めているところです。  それから、スマート農業との関係ですが、こういった新規参入企業が速やかに経営の確立の定着を図るためには、農作業の効率化・省力化や、高品質な農産物の安定生産が重要ですので、こうした観点からスマート農業技術の導入に向けて、情報提供や導入支援などを行いたいと考えています。 山本(悟)委員  スマート農業は、新規参入者に関して、素人でもやりやすい部分があると思いますので、ぜひ検討をさらに進めていただきたいと思います。  オランダという国は、国土は約415万ヘクタールで、九州程度ということです。そのうちの農用地が約4割で、その半分が牧草地、その残った農業用地で農産物をつくっているのですが、アメリカに次ぐ世界第2位の輸出国だそうです。狭い農地で効率よく、かつ持続的に農業をやっていくためには、スマート農業は欠かせないものになっていると聞いています。香川県に当てはめても、日本一小さいということで、いろいろ何年も、担い手も含めてどうやって生き残りを考えていくのかという中で、繰り返しになりますが、やはりスマート農業は、素人でも参入しやすい手法は十分有効だと思っています。  その一方で、現実には、ただでできるわけではないので、お金を誰が負担するかや、実際に誰がどういうふうにするのか、いろいろな問題もあるわけです。しかし、私も農業は素人ですが、そういうスマート農業的なところにこれから生き残りの意味があると感じるので、本県における今後のスマート農業の展開についてどのように考えているのか、お聞かせください。 国分農政水産部長  先ほどからお話に出ているように、農業の生産現場で労働力が足りないという話もありますし、いわゆる熟練者の技術や伝承も重要という中で、ロボットやICTなどの先端技術を活用した生産性の高い農業、いわゆるスマート農業・農業技術がこうした課題を解決する有効なツールになると考えています。  そうしたことから、県では、昨年3月に「かがわ農業ICT導入・活用戦略」を策定し、取り組みを進めています。具体的には、例えば「おいでまい」のリモートセンシングスマート農業の代表ですし、何より本県の実態、つまり農地の状況や農業の気候状況等に合ったスマート農業技術の導入が重要と思っています。具体的な一つとして、今やっているのは加工用の「青ねぎ」と「葉ねぎ」がありますが、これも香川を代表するもので、その省力安定生産技術の開発ということで、今、県内12カ所に設置した観測装置から収集した気温や湿度、降水量の観測データや生育状況の画像データなどから、「葉ねぎ」の病気の発生や出荷時期、収量などを予測するシステムなどの開発も進めています。  こういった取り組みをさらに進め、さらにスマート農業を進めていく上では、研究部門の農業試験場と、普及部門の農業改良普及センターが一体となり、さらには国や民間企業、農業者とも連携して現地実証に取り組んで、できるだけ研究と普及が速やかに連携していける進め方をしたいと考えています。 山本(悟)委員  その「かがわ農業ICT導入・活用戦略」の最後の部分に、匠の技のデータ化・形式知化により新規就農者等に熟練技術を継承できるようにするものと書いていますので、まさしくこうしたことを結果として実現し、もうかっている農家が目に見える形でふやしていただきたいと思っています。それが新規参入者にもつながると思いますので、引き続きよろしくお願いします。  2点目ですが、きのうの本委員会で外国人観光客に対する災害時の対応をお聞きした後に、ソフトバンクの通信障害が発生し、世界11カ国を含めて、きのうの夜からニュースで朝も含めて大変だったという情報が流れています。今質問したスマート農業も同じように電気で、通信機器に頼る部分が大きいと思いますので、災害時のスマート農業という限定した話ではないのですが、農林業や水産業を含めて第1次産業のBCP、事業継続計画は、どういう認識になっているのか、お聞きしたいと思います。  徳島県では、「徳島県農業版業務継続計画」がつくられており、農協によっては災害時の農業をいかに継続していくか、それぞれの役割やこういうことに気をつけなければいけないという話はあるようですが、本県では、このあたりをどのように策定しているのか、あるいはもう個々に任せているという話になるのか、そのあたりの話を聞かせていただきたいと思います。 国分農政水産部長  災害時の対応については、本県においては、「香川県地域防災計画」を定めて、この中で、災害が起こったときの応急的な対策を定めています。その中で、農林水産については、「農林水産関係応急対策計画」を定めており、農林水産関係被害を最小限にとどめるということで、農業用施設や農作物、家畜等に対する対策を定めているところです。具体的には、先ほど申し上げたように、農業用の施設等に対する応急措置や、農作物・畜産・林産物に対する応急措置ということで、市町や土地改良区、それからJA等それぞれの役割のもとに、災害が起こったときに対応すべきことを定めています。 山本(悟)委員  今、いろいろな意味で想定していなかった部分の災害も出てきています。本当に携帯がつながらないのが災害かどうかは、いろいろ認識があると思いますが、明らかに影響が経済的に出てきていますし、それ以外でももしかすると、「えっ」という部分が出てくるかもしれません。できるだけこういうふうに落ちついて対応するというのが最初から決まっていれば、それを応用しながらできることもあると思いますので、引き続き情報収集等々を含めて、気をつけていただきたいし、個々の農家の方々も含めて、できるだけ、いざというとき困らないような形で行政も進めていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。 森委員  私からは、まず、「おいでまい」の消費拡大の推進について、お聞きします。  「おいでまい」は、近年の地球温暖化に対応して開発された県オリジナル品種であり、平成25年に本格栽培がスタートし、作付面積もふえているようです。「おいでまい」は、お米の粒ぞろいがよく、しっかりした食感が楽しめるといった特徴のほか、1等米の比率が、「コシヒカリ」や「ヒノヒカリ」に比べて随分高いと聞いています。  一方、国内の人口の減少や食生活の変化などにより、米の需要は減少しているものの、全国では、新潟県の「新之助」や山形県の「つや姫」など、各県のオリジナル米が誕生するなど、産地間の競争が一層激化している中で、いかに消費者に「おいでまい」を選んでもらうかが重要です。県民みずからこの「おいでまい」をさぬきうどんのように多く食べてもらう必要があり、県民みずからPRしてもらうぐらいにならなくてはと考えております。  そこで、「おいでまい」の販路拡大に向け、消費拡大にどう取り組んでいくのか、まずお伺いしたいと思います。 国分農政水産部長  県オリジナル品種の「おいでまい」については、現在のところ、出荷の約8割が県内となっていますので、県内でのPRをしっかりとして、県内の販路を固めるとともに、今年度は、仲多度地区を中心に「おいでまい」の作付けも拡大し、生産量も伸びる見込みであることから、県内はもとより、現在、県産米を多く取り扱っていただいている関西圏などの大消費地でのPR活動も進めたいと考えています。  具体的には、まず県内でのPRについては、今年度から新たに、新米が出回る11月と12月を「おいでまい食べよう月間」と位置づけ、集中的なPRを行っています。  11月1日に、新米発表会を行い、その中で、歌と踊りで消費者に訴える「おいでまいフレンズ」を結成し、そこでお披露目もしたところです。現在、その「おいでまいフレンズ」のダンスを広げようと、まずは子供たちということで、県内の保育園や幼稚園の子供にそのDVDを配っていますし、いろいろなフェアでのイベントにも参加しております。  また、同じく子供たちにしっかり覚えてもらい、家に帰って、「おいでまい」を食べたいと言ってもらいたいということで、ことしは給食講座を、さぬき市、三豊市、多度津町の小学校で行いましたが、「おいでまい」の栽培方法や特徴を説明しながら、生産者の人が直接話をし交流する講座もやっています。学校給食においては、県の学校給食会が購入する「おいでまい」に対する助成も行っていますし、現在、学校給食の米飯のほとんどが「おいでまい」となっております。  県外でのPRについては、先ほど申し上げたように関西圏でのフェアや販売促進に積極的に取り組んでおりますし、「おいでまい」の利用拡大で、今、「おいでまい」の販売店と食べられるところも含めた「おいでまい取扱店」の制度をつくっていますが、現在、275店舗が登録されています。少し認知度が低いのではないかということもあり、今年度から店頭でのステッカー掲示ということで、ステッカーをつくり、それを見てもらい、「おいでまい」の購入などもしてもらいたいということと、SNSなどを使った情報発信も積極的に行っており、こういった取り組みを通して消費拡大につなげるため、関係団体・機関、生産者とも連携して取り組んでまいります。 森委員  「おいでまい」について、いろいろなことを通じながら消費拡大もやっているということですが、作付拡大によって品質のばらつきが大きくなるのではないかという懸念もあります。これまで高い評価を受けておりましたが、今年度、若干そこまで行かなかったことがあるわけで、このように品質を維持・確保するための取り組みは大事だと思います。未来永劫これが続くということでもないと思いますので、この「おいでまい」の品質の維持・確保するための取り組みをどのように行っていくかについて、お伺いします。 国分農政水産部長  今お話しがありましたように、品質がしっかりしていることと、おいしいということが一番大事と考えています。  先ほど申し上げたように、「おいでまい」の作付面積が今年度も拡大しています。そういったことにより、ばらつきが出ないようにということで、特に農業改良普及センターを中心に集中的な取り組みを進めており、具体的には、県内84カ所に「おいでまい」の基準田を設置し、生育状況に応じた追肥の施用や、病害虫の発生状況に基づく防除作業、適期収穫などをJA香川県と連携して、適切な栽培技術の実施を指導しています。  また、「おいでまい」については、しっかりした「おいでまい」生産者をマイスターとして任命していますが、そういった方の協力を得て、「おいでまい栽培マニュアル」をつくっており、全栽培者に配布し、それに基づいたきめ細かな個別指導も行ってきました。  また、食味・品質の向上対策としては、色彩選別機の導入ということで、平成28年度から県単独事業により、個人で出荷する者の色彩選別機の導入支援も行っています。  また、県内6カ所で、いわゆる粒の張りをよくするための鉄分入り肥料の試験も行うなど、品質向上のための取り組みを続けていますし、7月には生産者が一堂に会して栽培者研修会を開催するとともに、12月には、「おいでまい」の品質・食味コンクールも行うこととしており、機運の醸成なども図っているところです。  今後とも、栽培管理の徹底など、品質の高位安定化を図り、「おいでまい」が本県のブランド米として認知され、今後とも生産が伸びていくよう積極的に取り組みたいと考えています。 森委員  今後とも、「おいでまい」のおいしさを知ってもらい、愛用してもらえるように積極的に取り組み、農家の生産意欲や所得向上につなげてもらいたいと思うわけですが、今、地球的な気候の変動もあり、それに対応するためには、今後、ますます品質管理をするためのいろいろな施策が必要になると思います。また、これにかわるべきものが必要となるかもわかりませんが、そういうところを十分留意しながら進めていただき、この「おいでまい」がずっと「特A」評価を得られるよう活動を続けていただきたいと思っております。  また、「おいでまい」のブランド化に関連して、農産物のブランド化については、どのような取り組みが行われているのでしょうか。先ほどもありましたが、「さぬき讃フルーツ」の問題などがあり、いろいろなPR活動を行っていますが、その結果、それぞれがどうなっているのでしょうか。また、全国的にそれぞれの場所でいろいろな品質が出て、新たな展開もされているような現状がありますので、今後、県としてどのような取り組みを予定し、また、どのようなものについてその取り組みを考えているかについて、お伺いしたいと思います。 国分農政水産部長  国内外の産地間競争が激化する中で、他県にまねできない独自の高付加価値化で差別化が図れる農産物づくりが重要と思っており、そのためには、生産と販売が一体となった戦略的なブランド化に取り組む必要があると考えています。  具体的な取り組みとして、まず生産面については、農業試験場での取り組みで、いわゆる新品種の開発をこれまでも積極的に進めています。先ほどもお話に出ている「おいでまい」や「さぬきの夢」、それからイチゴの「さぬき姫」、アスパラガスの「さぬきのめざめ」、キウイフルーツなど各種あります。最近ではオリーブの「香オリ3号」、「香オリ5号」など数多く開発しており、現在、品種登録出願中も含めると、これまで43品種を開発しています。また、高品質化や作業環境の改善ということで、本県独自の、イチゴの「らくちん栽培システム」を開発し、高品質化や生産拡大に向けた取り組みを積極的に行っているところです。  また、販売面については、物のよさをきちんと出していくということで、例えば果実なら、「さぬき讃フルーツ」ということで、選ばれたフルーツの推奨制度や、オリーブの「かがわオリーブオイル品質表示制度」を独自に創設し、品質の維持と付加価値の向上を図っています。  昨年は、みかんの「小原紅早生」がGI登録となりました。また、機能性成分の調査なども行い、新たな付加価値を高める取り組みを進めています。  さらに、野菜のレタスやブロッコリーなどについては、鮮度が大事で、それを重視していますし、作業支援なども積極的に行うとともに、県内外での重点市場でのトップセールスをはじめ、百貨店や量販店での販促、ホームページやSNSを活用した効果的な情報発信を進めています。  こうした取り組みの結果、県の農業産出額でいうと、平成28年が898億円と、前年の815億円と比べて10.2%増加しましたし、近年の米麦及び園芸作物の産出額も平成26年が444億円、平成27年458億円、平成28年536億円と増加ということで結果が出てきていると考えています。  今後の取り組みですが、先ほど申し上げた新品種の開発がありますが、そういった面では農業試験場がこれまで持っている経営ノウハウを積極的に生かすことで、DNAマーカーという遺伝子を利用した品種開発にも取り組んでおり、具体的には、より製麺適性にすぐれた「さぬきの夢」の後継品種や、アスパラガスですが、露地栽培が可能となる茎枯れ病の抵抗性の強い新品種の開発にも取り組んでいます。さらに、野菜等の鮮度保持ということで、青ねぎ・アスパラガス・キュウリなどについて重点的な鮮度保持の取り組みや、ブロッコリーが今、栽培面積が全国3位ということで、さらに強化したいと考えています。  今申し上げた、新品種や栽培技術の確立・普及を加速化していくことで、さらに本県産農産物のブランド化を進めたいと考えております。 森委員  新品種の開発ということで、大変と思いますが、私もこの委員会で小豆島でのオリーブ新品種の話を聞いて、新品種は、できてもそれが売れるものでなければいけないと思いました。それをつくるまでに大変な努力が必要というのはわかったつもりでいるのですが、いろいろな品種がつくられても、それが売れなければいけないということで、今、知事を先頭にトップセールスなどいろいろやっているわけですが、できた新品種や改良された品種が多くの人の口に入ることが大事なことであると思うので、そういう努力が必要になってくると思います。  これまでもいろいろなところへ行って、視察もさせてもらってお話も聞くのですが、やはり食べていただかないとなかなかふえません。また、オリーブハマチの関係でも、この香川県の人口と関東圏の人口を比べると、向こうで1%食べていただくと、すごい量が消費されるという話も聞き、そういうことも大事になるのではないかと思うので、生産も重要ではありますが、その生産物をおいしい状態、食べやすい状態で販売するためには、先ほど聞きましたブロッコリーの問題やアスパラの問題などもあると思いますが、そういうところの取り組み強化が必要と思いますので、その部分について、今までの取り組みや今後の取り組みについてお伺いします。 国分農政水産部長  今お話しがありましたように、生産だけではなく、いわゆるマーケット・インといいますが、売ることもしっかり考えた生産ということで、生産と販売を一体とした、開発時から販売まで考えた生産も必要になると考えています。  いろいろな消費者ニーズが多様化していく中で、それに合わせて対応していかないと、とても産地間競争に生き残れないと思います。  例えば野菜でしたら、今、レタスやブロッコリーなどについても、本県の一番の売りは鮮度となります。ブロッコリーですと、早どりということで、夜中のうちにとって、氷を入れて詰めて出すということで、他県にはまねができないこともしていますので、そういった鮮度保持ということで、アスパラガスやキュウリなどについても予冷処理や特殊フィルムの包装による鮮度保持も今実施しており、関係団体とも緊密に連携しながら進めているところです。  いずれにしても、本県の優位性や強みをしっかり生かす農産物のブランド化を今後ともしっかり進めたいと考えています。 森委員  今お聞きしたように、鮮度の問題は、大事な一つのテーマだと思いますし、特にこの香川県から近畿圏の京阪神は近いですから、すばらしい状態の鮮度で出荷できる可能性は非常に高いと思います。積極的にそういう出荷の状態についても、JAなどと連携をとりながら、できるだけ販売量がふえ、多くの方が口にできる状態を確保していただきたいと思いますので、ぜひこれからも御努力よろしくお願いします。  2点目は、農業を取り巻く状況の変化の対応ということで、今まで、稲作中心のときは考えていなかったことが地域の中でいろいろ起きています。稲作から野菜を主体とする農業に変化する中で化学肥料も変わってきます。その結果、今まで問題にならなかった地下水の変化の問題が起きるのですが、これについても肥料の使い方の問題や適切な量の問題など、いろいろあると思います。やはりいろいろな取り組みの中で生産に対して状況を把握し、ある一定の対策が必要だと思いますが、県としてどういう形での取り組みを考えているのか、お聞かせください。 高島農業経営課長  農業と環境問題についての基本的な考え方としては、農業は本来、環境と調和したもので、農業の持続的な発展を図るためには、生産性だけでなく、農業の持つ物質循環機能を活用して、環境に優しい農業を進めることが重要と考えております。  そういった推進に当たっては、化学肥料や農薬等の削減によって環境の負荷を軽減すること、家畜由来の有機物資源の有効活用による土づくりなどは不可欠で、関係機関と一体となって推進しているところです。  今、御指摘のありました地下水の話ですが、農業が地下水に及ぼす影響は、硝酸性窒素という形で出てくると認識しております。地下水については、重要な資本になりますので、これは農政水産部ではなく環境森林部においてですが、県内43カ所で定点調査を実施しています。その一部の地域においては、硝酸性窒素で基準を超える値が見受けられるものの、近年の推移を見てみますと、全体としては急激に上昇している状況は見受けられません。  しかしながら、これに対する対策は必要と思います。このように近年上昇傾向にはないものの、やはり基準を超えることもあることを考え、その一因として化学肥料があるのではないかと考えます。県としては、今後とも化学肥料や化学合成農薬の削減による環境負荷の軽減を図っていくことが重要と認識しています。  具体的には、耕畜連携の促進を従来から進めており、資源循環型農業を推進する中で、堆肥の施用による土づくりを行うとともに、先ほど御指摘のありました施肥量の多い野菜作については、土壌診断をきちんと行い、適正な施肥を徹底します。また、環境への負荷が小さい肥効調節型肥料を用いて、施肥量を低減することにより、環境に配慮した農業を積極的に推進したいと思っております。 森委員  いろいろな問題で、まだそこまで影響が出ていないと思うのですが、先ほどもお話しがあったように、ブロッコリーの生産が本当にふえています。私の地域でも相当米作からブロッコリーにかわり、最初は米作の後のブロッコリーだったのですが、最近はブロッコリーに特化して、できるだけ長い時間ブロッコリーを何回も生産しようという方も結構ふえており、これまでに想定した以上の化学肥料を使用されると思います。地下水の汚染や、農薬・化学物質など本来体に悪いものが使われて影響するということですから、そういうものを使用していれば結構目につきます。ところが、化学肥料を農家の方が悪いものとは基本的に考えていないと思います。できるだけ生産量をふやし、いいものをつくるために、罪悪感がない状態で使っていますから、いろいろな意味で調整されると思うし、農業改良普及センターやJAが適切な量のお話はされるのですが、全てが農業に特化してやっている方ではないので、言われた量以上のものを使ってしまう例があります。それまでの稲作でしていた肥料とは基本的なところで違いますから、どうしても残留物があると思います。また、地下水に浸透していく現状がふえてくる可能性があると思うので、だめになってしまってからでは、どうしようもないので、初期の段階でそれが影響しないような対策は、起こる前にとる必要があると思います。県として、助言や指導を早くからやっていかなければいけないと思いますが、そういう部分についてお聞かせ願います。 高島農業経営課長  委員から御指摘ありましたとおり、現在は大きな影響がないにしても、今後、野菜の増産を図る中で影響が出る前の指導が重要と思います。これについては、県としても野菜作地帯における環境負荷の軽減は、特に重要と考えており、これまでも環境に優しい農業を推進してきたところです。現在、環境保全型農業直接支払制度で化学肥料や化学合成農薬5割低減の取り組みとあわせて、堆肥の施用や緑肥作物の作付け、有機農業の展開といった活動に対して支援しているところです。  やはり一番は、土壌診断に基づききちんと施肥体系を組むのが基本だと思いますので、こうした土壌診断体制をきちんと確立して、産地においては土壌診断を行った上で施肥設計をして、適正施肥についての指導を農業改良普及センター等を通じて徹底したいと考えております。  そうしたことにより、今後の環境への負荷をできるだけ軽減し、産地振興・農業振興にもつなげたいと思っておりますので、指導の徹底について今後とも留意します。 森委員  「おいでまい」などが多い作付けになっていけば野菜物は少なくなって、裏作というレベルなら多分影響はないと思うのですが、そう言いながら米の単価が安くなって、もうからないですから、ほかのものに変わっていく現状があります。  農業政策は、全般の中で計画してどうなるのか、10年後というのではなく、50年、100年後を見据えてやっていかなければ、それ以後の影響として、どうしようも手だてがなくなる状況も出てくる可能性があります。農政水産部としては相当長期にわたる未来を見据えた施策の中で対応をとる必要があると思いますので、ぜひ努力をお願いして、施策を進めていただくことを要望して終わります。 有福委員  農業の担い手の確保と育成について質問したいと思いますが、朝、各委員のお話を聞かせていただくと、担い手を確保し育成していくためには、松村委員が言ったため池の防災や、森委員が言ったブランド化の話にもつながってくるわけです。  私の地元は、かつては芋、ニンジン、そしてみかんと、三金時でしたが、今では芋が大変少なくなってきました。その分、ブロッコリーがふえてきておりますが、これは地域の実情に合っている作物であり、香川県の農業は、耕作面積が小さく、その分、逆に言えば目が行き届き、朝早くからブロッコリーを収穫して、朝早く氷詰めにして送ると単価が上がって、日本一の価格をたたき出すことになり、これは県外の大きな産地にはできないことです。それだけの手間がとれるのは、小さい農地だからこそであり、「よくぞここに目をつけていただいた。」と思っております。それは、県が目をつけたのではなく、実は平成5、6年からブロッコリーを私の地元でもつくり出しました。当時は、ぽつぽつでしたが、ブロッコリーは収穫した後にへたができるので、よく、そのへたをいっぱい持ってきてくれていましたが、今はへたを取る間もないぐらい忙しくて、とにかく出荷、出荷、出荷ということです。そういう意味では、ブロッコリー御殿が建つぐらいもうけさせていただいておりますが、こういう作物をうまく見出して、ほかの産地との競合を避けながら、さらには手の込んだ製品をつくり上げていくことが大事です。香川県のような小さい農地を抱える県はそういうふうにやっていかなければならないという、一つのいい例であり、これからもブロッコリーに続くものをつくっていただきたいと思っております。  また、一方でため池ですが、松村委員から防災・減災のことでお話がありましたが、私どもの地域は後継者が続々と出てきており、大型の法人化がふえてきております。また、一方で山間部は池の改修ができなくて、受益地や受益者が少なくなり、今は水を抜いてそのままにしておりますが、地域の中では池を何とかしてもらいたいと周辺の住民から要望をいただいております。一方で、今言った大型の法人がふえてきたおかげで、受益者は少なくなりましたが、受益地は確保しているということで、法人がかわって、大きな金額の負担をしながら、さらには地域のリーダーとしてやっていただいているので、大きな池の改修工事を続々としていただいているところです。  防災というより、農家を育てていく意味で、大事なかんがい施設ですから、例えば稲をやるにしても、野菜をやるにしても、その池がなければ、その後の担い手が続いていかないわけですから、担い手をつくっていく上では、そういう施設の補助金もしっかりつけていただいて負担を軽くしていただきたいと思っているところです。  今の話も含めて、農業を取り巻く状況は非常に厳しくなっており、担い手の高齢化が進み、65歳以上の占める割合が8割になっています。そういう意味では、今話したブロッコリーですが、うちは裏作で、大根もよくつくっていましたが大根は重いですし、芋も重いです。ブロッコリーは軽いから、年寄りにとっては一番これがよく実情に合った作物と思っております。このように農業労働力の減少や高齢化が速いスピードで進んでおり、後継者が不在という農家も一方ではまだいっぱいあり、次世代の農業を担う人材の確保が急がれているところです。
     県では、本県の農業の中核となる力強い担い手の確保・育成に向けて、新規就農者の確保や地域を引っ張るようなすぐれた経営者の育成・確保に力を入れていると聞いております。  知事は選挙のとき、平成22年までの5年間で新規就農者が327人だったのが、平成27年までの5年間で651人と倍増したと言っていましたが、数字が示しているとおり、この農業者の減少や高齢化の状況を見ると、今後の農業・農村の持続的発展を図っていくためには、就農希望者の積極的な発掘を行うことも大事であると同時に、認定農業者のような担い手農家の経営規模の拡大や所得向上を図り、本県農業の中核となる力強い担い手として育てていくことが、本県農業の基幹となってくると思っています。  そこで、いわゆる担い手をつくっていくことに今後、どのように取り組んでいこうと考えているのか、まず基本的なことをお尋ねしたいと思います。 国分農政水産部長  担い手の確保の場合、大きく3つに分けて考えられると思います。  1つが新規就農者の確保・育成ということです。いわゆる就農から定着までの一貫したサポート体制をとるということで、就農前の相談から就農した後の支援まできちんと行っています。また、農地機構には、新規就農相談センターを設けており、農業改良普及センターはワンストップ窓口として、きめ細かく対応しています。  そういった中で、やはり技術が大きなポイントになっており、農業大学校やJA香川県のインターン制度ととともに、本県においては、先進農家などが、いわゆる新規就農者等を受け入れて、技術経営等を学んで独立していく、のれん分け就農に力を入れており、さらに今後ともしっかりと進めたいと考えています。  次に、新規就農した後、5年を目途に、認定農業者にさらにステップアップしていただきたいと考えており、農業改良普及センターで支援しています。しかし、一つ一つステップアップすることになると、やはり経営面が大きな要素になると思います。そういったことで、経営面での支援にある程度重点を置くこと、それから技術面についてももちろん引き続き支援するほか、地域の先輩農業者との交流による支援も大事であると考えており、「かがわニューファーマー塾」も行っております。  また、就農時には、新規就農者について農業次世代人材投資資金という資金も出ており、技術の知識について一括的に重点的な支援を行うため、サポートチームをつくり支援しています。  その後、認定農業者として、しっかり頑張っていただいている方には、さらにステップアップということで、法人化や、そういった意味での経営規模拡大を進めてもらいたいと思っています。  そういった中で1つ、新しい取り組みとして、平成29年度から「かがわ農業MBA塾」を行っており、農業者が営農しながら経営等を体系的に学ぶということで、経営コンサルタントの指導のもと、経営戦略やマーケティング、近年においては労務管理や財務管理というカリキュラムで実施しています。平成29年度は18名が修了しており、平成30年度は、現在12名が受講しております。  さらにもう一つ、大きなポイントは法人化の推進です。これまでも「かがわ農業法人サポート隊」を商工関係機関と一緒に組織し、法人化支援をしてきましたが、今年度から新たにこの支援体制を見直し、「香川農業法人化推進協議会」をつくりました。6次産業化や異業種との連携等の相談にも対応できるほか、一元的な経営相談窓口の設置や新たにコーディネーターを配置するなどして、支援体制を充実・強化するとともに、重点的な支援として、支援対象者の個々の経営戦略を作成し支援をしていくことで進めています。  法人化については、現在、平成29年度末で302法人ということで、県の農業・農村基本計画では370法人を目標にしていますが、確実に増加しており、今年度も49経営体の経営戦略を検討しております。新たな法人設立は6法人となっていますが、今後とも、新規就農者の確保や定着、それから認定農業者への誘導、さらにはその認定農業者のさらなる経営発展ということで、個々の段階に応じた支援をしたいと考えています。 有福委員  先ほども話しましたが、私の地元でも農業法人がかなりふえており、新しく就農して、何年かすると法人にしたという話も聞くわけですが、その一つとして今言ったような、のれん分け制度も行っているということで、特に坂出の先駆者である木下農園や、善通寺の近藤さんは、かなりのれん分けしているそうです。どのぐらいの数をのれん分けでやってきたのか後で教えてもらいたいと思います。中には、かなり大規模で、聞くところによると私どもの地元にある木下農園は、宇多津町の農地を全部合わせた量を1社で持っているということであり、このような大きなところが、かなり数多く私の地元にあるわけですが、現在では農地が足りなくなってきているようで、市内ではもう確保できないから、山間部の琴南や綾川町に行って農地を確保するなど、規模拡大を図っているところです。余り効率はよくないですが、人間を使う意味では、気候変動のある山から海側におりてくるのが収穫の手間が省けていいと聞いていますから、彼らは、MBA塾で学んだ経営戦略などを主体に考えながらやっているのだと思っております。  法人への就職が香川で就農を目指す若者の受け皿として役割を果たしていると思っておりますが、法人の育成とあわせて、法人への就農に向けての就職を積極的に促していくことが、次なるのれん分けや、新しい耕作放棄地に対するインセンティブをいかにしていくかということに働くのではないかと思っております。それについてもっと積極的にやったほうがいいのではないかと思いますが、どう考えておられますか。 国分農政水産部長  まず、のれん分け就農の実績ですが、過去3年間で、平成27年度が9名、平成28年度が13名、平成29年度が19名となっており、年々増加しています。  お尋ねのあった法人への雇用と就職の推進ですが、お話がありましたように、近年、農業法人の増加とともに、その経営規模を拡大しようという形態もふえており、先ほど申し上げた新規就農者のうち、法人への就農が約6割近くを占めています。そういった意味で、法人が新規就農をやっていく上でもしっかりとした受け皿になっていますし、法人からすればそういった新規就農者を受け入れていきたいということです。そういったところで勉強していく中で、先ほど申しましたが、のれん分け就農をさらに促進したいと考えています。  具体的には、人材確保の取り組みということで、就農・就業相談会も開催していますし、就農相談や技術研修希望者についてのマッチングを積極的に行い、農業大学校の学生にも就農支援ということで積極的に紹介しています。また、JA香川県のアグリワークとも連携し、マッチングも進めているところです。  また、農家の実際の法人経営や作業などが、なかなか外から見ただけではわかりにくいということがありますので、これまで農業系の高校を中心にですが、高校生と法人との交流会ということで、実際その法人に行ってもらい、いろいろな話を聞きながら勉強してもらうことを積極的に進めております。さらに今年度は、新たに高校生の農業法人への就職の促進ということで、バスツアーを計画し農業法人に行って、今言ったような話を聞いたり、体験をしてもらうのですが、高校生の就職に関しては、保護者や学校の先生が強い影響力を持つということもありますので、今回は高校生だけでなく、保護者や教員にも一緒に行っていただき、農業法人での仕事や経営の理解を図ってもらおうということで、新たに行う予定です。  一方、働き方改革と言われる中で、農業法人でもしっかりした体制のもとで受け入れていただくことが必要であり、農業法人に対しても、先ほど「かがわ農業MBA塾」という話が出ましたが、労務管理や財務も含めた研修もしています。  また、いろいろな取り組みの優良事例についても各法人へ伝えながら、受け入れ環境もしっかりしていただくよう、そういったことを通じて新規就農、いわゆる法人での雇用確保、法人雇用支援を両面から今後とも積極的に進めたいと考えております。 有福委員  のれん分けをしながら、さらには法人に就職をしてもらい、彼らが担い手として育っていくという取り組みをやっているということです。  高校生を今度、視察に連れていって、就職に取り込んでいこうということだと思いますが、現場を見に行って、今の若い人が「じゃあ頑張ろう。」というのは、なかなか難しいと思います。私の地元に法人がいっぱいありますが、今ごろはニンジンの出荷がどんどん行われているところですから、家の周りはコンテナが積み上がって、寒い中、冷たい水でニンジンを洗いながら、出荷をしております。作業しているのは家族ではなく東南アジアの人ばかりですが、それを見て、「じゃあやろうか。」とは、なかなかならないです。一方、オーナーはどうしているかというと、農協の会合に出たりしていますが、今は軽トラックに乗っておらず、レクサスに乗っていきます。そういうのを見れば、農業に夢があると若者は実感するのかもわかりません。最近は余り車にはこだわらないようになっているといいますが、夢のある産業ということを子供たちに理解してもらえればと思っています。本当に農業がもうかる仕事だと印象づけるような、ちょっと視点も変える必要があります。  私も担い手の若い人たちや後継者と一緒にお酒を飲んだり、祭りに出たりして、よくお酒を飲む機会がありますが、ホテルで会合をすると、BMWなどの高級車を乗りつけて、ネクタイをばっちりして、若手の企業経営者のようで、頼もしいと思っております。  そういうもうかる農業が実践できるような、MBA塾もそうですが、平成29年度に受講を始めて、原則、火曜日だけ週1回、月1回か2回の受講期間で、本当に修得できたのでしょうか。やはりやってよかった、実践に役に立っているとなど、卒業してまだ1年もたっていないですが、受講生からどんな声があるのか、聞かせていただきたいと思います。 国分農政水産部長  MBA塾ですが、70時間程度の講義で平成29年度は行い、月1回程度受ける12回ということで、かなり内容的には濃いものがあります。先ほど申し上げたような、経営や財務、それからいろいろな実践的な勉強をしてもらったということで、みずからの経営計画をつくってもらい、それを策定した者が修了となります。18名がそういった基準をクリアして修了しました。  経営計画をつくる中で、自分の経営の弱点やいろいろな問題点や課題が見えてきたとともに、いわゆる専門家に見てもらったり、勉強することによって、目標が明確になったという意見もあります。  アンケートによると、8割以上の方が講義内容には満足し、経営の改善につながるという感想をいただいております。 有福委員  8割の人が行ってよかった、それをしっかり経営の中に実践しているということです。今、スマート農業の話もありましたが、そういう経営戦略がしっかりしていて、さらには将来に向けて、スマート農業も行っていこうという方向性を今の若い人はスマートフォンも生活で必需品になっていますから、そういう開けた農業があるのも就農しようというインセンティブが働く一つの条件だと思いますから、未来の開ける、もうかっていく農業を示して、就農につなげていただきたいと思います。  2つ目は、水産業の改革です。  漁業改革の案が突然出され、きょう成立するそうですが、前回の委員会でもちょっと質問させていただきました。さらには9月定例会に意見書も出ていたと思います。非常にとんでもない改正法案です。なかなか実態がつかめない中身の法案であり、約70年ぶりの本格的な改正で、漁業権の制度を見直し、民間企業の参入を促すということで、乱獲防止のための資源管理の強化ということです。確かに資源管理をしなければ特に瀬戸内のような内海ではかなり資源が減っているのが現実です。  しかし、これをやることによって、地元の真面目な漁業者が閉め出されるような、例えば漁業区域が狭められることになっては本末転倒であり、将来禍根を残すような改革になっても困ります。私はそういう不安を抱えていますので、県と認識を共有しておかなければならないと思い、9月定例会に引き続き質問させていただきたいと思います。  法案の中身ですが、漁場を適切かつ有効に活用している場合に限って、漁協などが漁業権を継続できるとしております。漁業権は漁協や地元漁業を優先するが、空いた水域は参入を望む企業を含めて優劣をつけずに地域への貢献度を県が判断して割り当て先を決めると書かれています。9月の本委員会で、県内の空いた水域は、どういうところがあるのか質問をさせていただいたら、県は、県内には第1種区画漁業権が242件、第3種区画漁業権が6件、第1種共同漁業権が113件、第2種共同漁業権が123件、第3種共同漁業権が7件、設定されているため、さらにはもろもろの多種多様な許可漁業が操業しており、余すところなく活用されているということでした。全てが有効活用されているということで、県内に空いた水域はないと答弁をいただきましたが、今後、知事が今言ったような漁場を適切かつ有効に活用しているかどうかを判断するわけです。さらに、地域への貢献度を知事が判断して割り当て先を決めるとなっていますが、空いた水域がないということで、この先、企業ありきで、恣意的に運用されることもなく、やる気のある若手の漁業者や後継者が排除されることなく、今のような状態でやっていけると理解しておいていいか、答弁をいただきたいと思います。 柏山水産課長  先般の委員会のときにも、私から申し上げたように、県内の漁場は漁業権も設定されていますし、そのほか許可漁業がいろいろ操業されているため、余すところなく活用されていると認識しています。  そういう中で今後、基本的には地元漁業者との調整は、地元漁協に引き続き担っていただくことが重要と考えていますし、今後の漁場利用については、そういう考え方で進めていきたいと考えています。 有福委員  課長は、この前も地元の漁業者や漁協といろいろ調整させていただきたいと答弁されましたが、それは希望ではないですか。一方では今、法律の中で書いている、漁場を適切かつ有効に活用しているかを判断するのは、県です。例えば、企業側に押し切られることはないのでしょうか。  今までどおり漁業者や漁協とうまくやっていければ、それに越したことはないです。ただ、そこに風穴をあけようとして法律が改正されているのですから、県の立場は、おのずと変わってくると私は考えます。非常に厳しい立場になると思うのですがそういうことはないですか。大丈夫なのでしょうか。 柏山水産課長  適切かつ有効の部分の判断基準については、国でも言われていますが、今後、技術的助言で出てくるということです。その内容を地元の意向もお伝えしながら、国でも検討いただけると考えていますので、その辺を見ながら考えたいと思っています。 有福委員  これは、国会でも議論になっていることですから、その状況を見ながらということで、国会でも何となくそれが答弁として成り立っている状況にいかがなものかと思っています。まず生活や生存権がかかっている漁師ですから、そこをしっかり示してもらわないと、なかなかこの議論は煮詰まらないし、さらに不安を払拭することができないです。  この判断基準の技術的なものが示されるということで、それを参考に、知事が決めていく、判断していくということですが、この判断基準は、もっと明確にならないと、それぞれの県で、多少なりとも判断が変わっていくことになりかねません。隣の県では、我々が言ったとおり企業側からいえばこうなった、しかしこの県では全然だめというように、地域によってばらつきが出てくると、水産政策そのものに信用性がなくなってきます。例えば、政治家の考えで、空いた水域にどんどん企業を入れて、水産業を振興していくことを公約で挙げたり、知事がそういう判断をすると、一企業が独占的な権利を持ってしまう恐れがあります。そうなると、一方で地元の漁業者の権利は奪われてしまいます。やはり限りのある水域ですから、狭いところに追いやられることにならないかと心配しますが、課長はどう考えますか。 柏山水産課長  国から示される技術的助言については、内容を確認した中で対応する必要があると考えています。ただ、新たな漁場を設定することになっても、現行法、つまり今回国で示されている法律の中でも、地元漁業者や漁業を営む者の意見を聞いた上で、さらには海区漁業調整委員会の意見も聞いた上で、知事が判断する形になっているのが現状です。 有福委員  国会でずっと議論されていますが、答えはテレビを見ても新聞を見ても出てきませんから、認識はやはり共有してもらって、地域の漁業者の意見を我々は聞いて、県の認識が全く逆へ行っているのでは、我々としても国に対して物申していく立場ですから大変なことです。ただ、もう少し明確に自分の考えを多少入れて答弁してもらいたいです。  気になっていたのですが、漁業権は、従来と同様に定置漁業権、区画漁業権、共同漁業権なら、本当に漁業者が今心配している特定区画漁業権の扱いは、どうなりますか。従来と同じ扱いでしていただけるのでしょうか。9月定例会では、多種多様な許可漁業が操業して、余すところなく活用されたら、空き漁場がないと言われておりましたが、今までどおり漁協に特定区画漁業権が付与されるのですか。企業等の新規養殖業も、入りたいと言えば、組合員になれば今までも入れました。そういうことで、漁協が今までどおり管理していけると思いますか。 柏山水産課長  今回新しく国会で審議されている法案の中では、定置漁業権と区画漁業権、共同漁業権の枠組みは残すということです。現状では、区画漁業権の中に特定区画漁業権があり、例えば本県だと、ハマチ等の魚類養殖やノリ等の藻類養殖が第1種区画漁業権の特定区画漁業権になります。法案では、特定区画漁業権という制度はなくなりますが、漁協が有効かつ適切に漁場を活用している場合は、引き続き、その人に優先順位があるということですので、適切かつ有効に活用されている漁場は、引き続き従来の、現状として本県では漁協ですが、漁協に免許される制度が示されていると考えています。 有福委員  ずっと伺っているように水かけ論で、資源管理を適切に行いつつ、当該海域を最大限活用できるように留意すると法律では書いてあります。可能な場合は今使っているところ以外に、養殖のための新区画も設置して積極的に推進するとなっています。また、沖合等の養殖のために新たな区画を設置することが適当と考えられる場合は、国が県に指示することにもなっています。その中で、私は区別して考えないといけないのは、太平洋沿岸や日本海沿岸の漁業と、瀬戸内海の漁業では、ちょっと変わってくると思います。この「沖合等」というのは、どこを意味するのですか。瀬戸内海も今言ったような新区画を設けるという法律の範疇に入ってくるのでしょうか。  また、国から圧力をかけられた場合は、新区画をつくれるのでしょうか。今空いている場所はないと言いましたが、本県では、新区画を設置することは可能ですか。 柏山水産課長  まず、大臣が指示できるという部分は、これから政省令が出される予定ですし、そこはどうなるか、現状では、わかりません。  ただ、国の説明会等でも共同漁業権や漁業の海面の利用状況を判断した中で出てくるものだと思っています。  「沖合等」についても、具体的には出ていませんが、今までも遠洋漁業や沖合漁業は、大臣許可漁業である大中型まき網や沖合底びき網漁業等の「沖合」での漁業となっていますので、そこから考えると瀬戸内海で「沖合」という考え方はないと思っています。 有福委員  積極的に漁業者を守るという姿勢は、持っていただきたいと思います。  いわゆる漁業者や漁協等の意見を聞きながら、県の判断をしていきたいとありましたが、その上で、海区漁業調整委員会というのがあります。ここで最終的に決めていきますが、今までは、公選制で漁業者から選んでいましたが、改正法で公選制はやめるとなると、いわゆる零細漁業者が多いこの香川県の漁師の意見を代弁する人が選ばれなくなってくるということです。これは、やはり私はちょっと危ないのではないかと思っています。そういう中で、この委員はどうするのかというと、今度は知事が任命することになりますが、漁協と話をして、知事が漁業者を任命すればいいのですが、任命の基準などはどうなりますか。 柏山水産課長  今回の法律の中では、定数は15名を基本として考えるということで、漁業従事者の委員については、過半数が漁業の関係者であるべきと法律の中にも書いています。  また、国等からは、そういう漁業者を選ぶに当たっては、広く漁業関係団体の推薦等を受けた上で選び、最終的には議会の同意をいただいた上で任命する形になっています。 有福委員  次に、都道府県が沿岸漁場管理の業務を漁協等に委ねることができるとも書いていますが、都合の悪いのは、全部漁協にやってもらい、良いところは民間でやっていくというように私は、受けとれるのですが、管理を委ねることについては、どこまでの管理を漁協に委ねることができるのでしょうか。ただ、これには漁協等と書いているので、例えば、もう管理ができていないと判断されたら、漁協はそこから切り捨てられるのでしょうか。 柏山水産課長  この部分について聞いているのは、漁協が従来どおり漁業権の免許を受けて漁業の管理をしている中に、例えば民間企業が入ってくれば、従来漁協が管理していたところを、民間企業にも入ってもらい、どういう管理をするのかを決めていく必要があるということです。例えば、養殖業だと赤潮の状況や、水質・底質の管理などを沿岸漁場管理ということで管理することだと聞いています。  そのため、現在の香川県のように、漁協が全て免許を受けている状況の中では、基本的には沿岸漁場管理を既に漁協が免許を受けて自分たちの漁場として管理していますので、県がわざわざ漁協に委ねる必要はないと思っています。 有福委員  今言ったように、民間が入ってくると、今後さまざまなトラブルが出てくるわけです。そうなると、いろいろな民間の意見が通ったりして、やはり浜は分断されます。漁協は解体に近くなってくると思うし、漁師の中には、もう廃業しようと言う人も出てくるのではないかと思っております。その心配はないと県の水産課が言い切れるかどうかは、最後にお答えいただきたいと思います。  こういうように、今後、さまざまな利害関係の調整をしていかなければなりませんが、水産課の組織体制で漁業調整グループがあります。ここが漁協との話し合いをしたり、調整をしていくわけですが、8名で業務をしています。一方では、市町にも水産課や水産係があると思いますが、ここは多分どう考えてもそんなに職員がいるとは思わないです。農林水産課という名目で水産の担当が1人いるぐらいではないですか。権限は県ですから、実質8名でそういう調整役をやっていくのは本当に可能だと考えていますか。  また、この漁船の個別割り当て導入ですが、いわゆる資源を守っていこうということで、漁船に漁獲高の割り当てを行うことを、瀬戸内のような内海でも適用されますか。例えば太平洋や日本海側で大型漁船などで行くときは割り当てをしているようです。割り当てするのは、資源を確保するには役立つと思いますが、こんなふうに漁船を囲い込んでしまうと、民間に取ってかわられるのではないかという気がしています。そして、これだけ県知事に権限が寄ってくる中、都合の悪い調整役は全部押しつけられるわけですが、今の県の体制で、本当に8名でやれますか。 柏山水産課長  水産の執行体制のお話ですが、まず、今国会で漁業法等の改正に関する法律が出ています。成立すれば、2年以内に政令として定める日で施行されることになっています。  今後、我々も国から出てくる政省令などにより、業務の内容を確認していくわけですが、有福委員が言われたように、知事に対する調整業務等がふえてくると考えているため、やはり現状の8名では、なかなか厳しい状況だと私は思っており、適切な執行体制を検討していきたいと考えています。  次に、IQ制度については、法律の中では、まずはTAC漁獲可能量を定めた中で、準備ができたものから、船ごとの個別漁獲割り当てを導入していくとなっています。国から示されている条件とは、例えば大臣許可漁業のように隻数が少ない、水揚げ港が限定されているようなものから、順次進めて行くということです。一方、香川県の漁業を見ると、とてもそのような状況ではないと考えていますので、私の今の感覚としては、とても難解で、IQが設定できるとは考えていません。 有福委員  国からの業務の受け入れ先になっては、ダメです。水産課長には、県内の漁業者の、先頭を切って意見の代弁者となってもらいたいと思います。もちろん皆さんも、漁業者や漁協と関係をつくっていると思っていますので、しっかり漁業者の味方という気持ちで、これからも対応していただきたいと思います。 佐伯委員長  暫時、休憩いたします。  午後は1時10分から再開いたします。  (午後0時05分 休憩)  (午後1時10分 再開) 佐伯委員長  再開します。  質疑・質問を続行いたします。 樫委員  漁民のなりわいを基礎に企業経営も含めて営まれる地域の基幹産業が漁業、水産業ですが、浜には貝や海藻、魚類などの養殖を営む区画漁業権、貝や海藻などをとる共同漁業権、大型の定置網漁を営む定置網漁業権の3つがあり、漁場にはさまざまな形態の漁業が入り組んで共存しています。別の漁業に迷惑をかけることや、とり過ぎ、過密養殖を防ぐために、漁協で話し合って共同管理の年間計画をつくり、きめ細かい調整をし、浜全体を統一的に管理する仕組みとなっています。この大事な役割は、地元に多くの漁業者が暮らし、漁業に携わってこそ発揮できるものであり、戦後の漁業制度はその立場から、沿岸漁業や漁業協同組合の権利を第一にしてきたと思います。  今回の70年ぶりといわれる水産改革は、企業優先のルールを持ち込み、中小漁業者を追い出し、漁協を弱体化させ、漁場利用の混乱、漁村の衰退を招くもので、まさに漁業法改悪法案だと思いますが、農政水産部長の所見をお示しください。 国分農政水産部長  国の水産政策の改革は、日本の漁業が水産資源の減少や漁業者数の減少という厳しい課題を抱えている中、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就業構造の確立を目指すものとして行われていると説明されています。  お話しがあったように、漁業者から不安の声が上がっていることについては承知していますが、国は、今回の水産改革に当たって、漁業者が将来にわたって漁業を継続し浜の活性化ができるように、漁業者や漁業関係者の理解が得られるよう、さまざまな機会を通じて、丁寧な説明を行っていくということなので、そのように進めていただきたいと考えています。 樫委員  この水産改革は、企業が一番活躍しやすい国を目指すアベノミクスの水産版だと思います。このような改革案が、当事者である沿岸漁民や漁協に事前説明が何もなく、財界主導で一方的に進められてきました。これは本当に異常としか言いようがないと思います。このため、漁業者からは、現場の納得を得られないまま、この法案を強行するのかや、海を企業に売り渡すのかという不信と怒りが噴出をしています。こういう状況をどのように受けとめているのか、お伺いします。 国分農政水産部長  先ほども答弁しましたが、漁業者の方の不安があることは、承知しています。こうした中で、国からは、丁寧に説明を行っていくと話をいただいており、本県でも7月、8月、10月と、県漁連や漁業者を対象とした説明会が開かれたと聞いています。現在審議中の国会でも、農林水産大臣からは、沿岸漁業者の改革への不安に対して、今後も現場の漁業者の不安や不満の声にしっかりと向き合い、さらに丁寧な説明に尽力したいとの発言があるので、その方向でしっかり進められると考えています。 樫委員  香川県の農政水産部長として、こういった漁業者の声に対してどう思いますか。漁業者の生活を守らなければいけない立場だと思いますが、この法案に対してどのように対処しようとしているのか、お伺いしたいと思います。 国分農政水産部長  何度も繰り返しで恐縮ですが、漁業者からの声があることは承知していますので、国においてしっかり丁寧な説明をしていくということです。しっかりやっていただきたいと思っていますし、県としても、今後とも国の動きを注視しながら、これから具体的な運用を定める政省令も進んでいくということですので、その内容をしっかりと確認しながら、今回の改革が本県水産業の振興に資するものとなるようにしたいと考えています。 樫委員  この法案の中身については、有福委員から詳しく説明があったわけで、繰り返しになるかもしれませんが、漁獲量による資源管理の導入、船のトン数規制の撤廃、漁業権のルールの根本的な変更などがあります。資源管理では、現在、8業種に限られている漁獲量割り当て制度であるTACの対象を大幅にふやすとしています。また、遠洋沖合漁業では漁船のトン数規制をなくし、大型化を進めることを盛り込んでいます。これにより、中小零細漁業者が締め出され、とり過ぎによる資源の減少につながると思いますが、この点はいかがでしょうか。 柏山水産課長  水産業が将来にわたって成長していくためには、適切な資源管理は必要な取り組みだと考えています。今回の改正案では、国が科学的な知見を踏まえて、資源評価を行った上で、漁獲可能量TACを設定していくこととなっています。  漁獲可能量TACについては、現在、8魚種ですが、どういう対象魚種を追加するかやいつの時期に追加するかは、まだ決まっていませんので、今後、出てくるものだと考えています。  漁獲量個別割り当てIQは、漁獲可能量TACが設定されたものの中で、水揚港が限定される大臣許可漁業で、準備が整ったものから実施することになっており、その上で個別割り当てのIQ制度が導入されたものについて、漁船のトン数規制等は廃止が想定されています。  ただ、本県のような沿岸漁業では、IQ制度の導入は、なかなか難しいと考えています。現時点でIQ制度によるトン数規制の廃止は考えられず、TAC対象種をふやしても、いきなり中小零細漁業者が閉め出されることは、考えにくいと思っています。 樫委員  本県のような瀬戸内海に面しているところでは、遠洋漁業のようなIQはないので、こういうことは想定されないという認識でよろしいですか。  私がお願いしたいのは、しっかり国の動向を見きわめて、いけないものはいけないと、はっきり言うべきだと思うのですが、水産課長はどう考えますか。 柏山水産課長  今後、政省令などが出てきますが、そういう中で地元の意見も踏まえながら、国から情報収集するとともに、国に対して意見を述べていきたいと考えています。 樫委員  瀬戸内海を囲む県があるのだから、瀬戸内海の漁場を守るという点では、関係県で一緒にしっかり対応していく姿勢が必要だと思いますが、そういうことは考えていますか。 柏山水産課長  瀬戸内海全体では、今のところ具体的な動きはありませんが、やはり内海で、同じ漁業を営んでいる状況があります。当然、各県の実情はあると思いますが、情報交換を進めた上で対応したいと考えています。 樫委員  その点は、しっかりやっていただきたいと強く要望しておきます。  養殖漁業ですが、都道府県知事が漁協に一括して与えてきた漁業権を、漁協を通さずに地域外の企業などに個別に与える方式に変更されるとなっているわけですが、知事が仮に、地域外の企業に個別に与える方針に変わっても、事前に地元へ協議する姿勢をもって臨まないと、大変なことになると思いますが、その点については、どのように考えていますか。 柏山水産課長  漁業権については、既存の漁業権者が水域を適切かつ有効に活用している場合については、継続利用を優先することになっています。判断基準については、今後ガイドラインが出てくるわけですが、適切かつ有効に活用されている場合は、引き続き、漁協に免許されると考えています。  当然、漁業権の免許をする前には漁業計画をつくりますが、その際には、当該海区の漁業を営む者、つまり地元漁業者や漁協の意見を聞くとなっていますので御理解いただきたいと思います。 樫委員  知事が一方的にそうするのではなくて、地元の意見も聞くならば、問題は発生しないかもしれませんが、我々はずっと利用しているので継続利用ということで、地域外の企業が入ってくるのを本当に阻止できるのかと思うのですが、養殖漁業へ企業が本当に参入してきたら、地元漁業者が狭い漁場に追い込まれ、漁業権が分割され、漁場全体の管理が困難になると思います。今までは、漁協に集まって、みんなでやっていたのですが、そういうものが崩れてしまうということだから、知事は権限を振りかざすのではなくて、浜や漁場を守るという漁業者の意見を一番に考えてやってもらいたいと思いますが、そういう保証はありますか。 柏山水産課長  国から適切かつ有効な活用についてガイドラインが、今後、示されるということですが、それについても地域の実情等を国に伝え、国の動向を十分確認しながら対応したいと考えています。 樫委員  そのことと関連して、海区漁業調整委員会が公選制から任命制に変わるということですが、先ほど海区漁業調整委員会は15名になり、過半数が漁業者にするとの話が出ましたが、今現在で、委員数は何名ですか。また、現在の委員は、どういう立場で選出されている方ですか。 柏山水産課長  現在、漁業者委員が9名と、知事が選任した学識経験公益代表6名の合わせて15名となっています。 樫委員  では、人数は変わらないわけですね。漁業者が9名、学識経験公益代表が6名となっているということですから、割合は基本的には変わらないと解釈していいでしょうか。 柏山水産課長  今回の法律では、選任制の中でも漁業者代表委員が過半数となっています。国からも、海区漁業調整委員会は、主に漁業調整の役割をする従来の基本的な考え方を変えないと説明を受けています。選任に当たっては、漁業団体等の推薦等による漁業者の意見も踏まえながら知事が選任し、議会の同意を得て任命することになっています。 樫委員  議会の同意を得てという答弁をいただきましたが、今現在、9名は公選制ですから、その団体や地域の中で推薦もされ、立候補もして委員になっています。そういう方々が知事の推薦制になってくるわけです。私が心配なのは、今の9名が地域代表の格好で推薦されてくるのであれば、問題ないかもしれませんが、後ろに企業がついている人が、推薦を受けて出てきたら、今までのような海区漁業調整委員会にはならないのではないでしょうか。委員会が県の出したものを認めるだけの機関になってしまうのでないかという不安の声も出ているわけで、この点はどのように考えますか。 柏山水産課長  先ほども言いましたように、新しい法律案では、過半数は漁業者委員となっています。その方を選ぶ方法は、国からは漁業者の団体などからの推薦によって、地域の実情に合わせた形での選任方法が示されており、そういう意味からいうと、沿岸漁業者の意見が反映されないということには、なりにくいと考えています。 樫委員  法案の内容はよくわかりました。今後、農政水産部におかれては、この法案が仮に通ったとしても、漁業者の権利を守り、生活を守るという立場で、しっかりと頑張っていただきたいと強く要望して、次の質問に移ります。  もう一点は、TPPの問題です。
     きのうもTPPの質問がありましたが、私は農業の立場でお尋ねしたいと思います。オーストラリアがTPP11協定の国内手続を完了させて、寄託国のニュージーランドに通知したことにより、TPP11は、12月30日に発効することが確定しました。TPP11は従来の経済協定の関税撤廃率50%をはるかに上回る82%で、米・麦・牛肉・豚肉・乳製品など、農産物重要5品目の約3割で関税引き下げ、低関税輸入枠の設定、重要5品目以外の野菜や果物では、ほとんどで関税が撤廃されるという内容です。年内発効によって、関税率は1年目の合意水準が適用され、来年4月からは2年目の水準に入ります。日本農業が過去に例を見ない自由化の荒波にのみ込まれようとしているわけです。  そこでお尋ねするのが、TPP11のセーフガード基準数量や低関税輸入枠はアメリカが離脱する前の輸出数量を含めた設定のままであり、このまま進めば政府が説明してきた想定をはるかに超える影響は避けられないと思いますが、農政水産部長の考えをお示しください。  また、本県ではTPP11の影響試算を年間4億5000万円から9億円の減としていますが、これに対する対策はどうなっているのでしょうか。特に牛肉など畜産物は4億円から8億円の影響を受けるとされていますが、どのような支援を行うのかもお示しください。  さらに、安倍政権は、臨時国会で日欧EPAの批准を進めようとしています。仮に批准されれば、2019年2月1日発効となります。日欧EPAのGDPは世界のGDPの約28%、TPP11が約13%と、巨大な経済圏での自由化が進められようとしています。日欧EPAの県の影響試算は2億3400万円から4億6500万円となっていますが、これもほとんどが畜産物への影響であり、畜産農家への救済支援が強く求められていると思いますが、どのように対処されるのか、お答えください。 国分農政水産部長  まず、1点目のTPP11のアメリカ離脱後の影響ですが、国においては、TPP11にはいずれかの締約国の要請があったときは、協定の見直しを行う旨の条文が盛り込まれており、アメリカのTPP復帰が見込めない場合、牛肉のセーフガードの発動基準や乳製品の低関税輸入枠などに関する合意内容の見直しを我が国として提起するとされていますので、しっかり対応していただきたいと考えています。  発効後の影響に対する対応ですが、国においては、影響を小さくするために、「総合的なTPP等関連政策大綱」を定め、我が国の農水産業の影響に対する対策をとることになっており、本日の報道によると2次補正で3000億円余の対策予算を検討していくと報道されていますので、しっかり対応していただきたいと考えています。  特に、お話のあった畜産物については、県内畜産農家の持続的な経営安定が図られるよう、まずは国の畜産クラスター事業などを活用し、生産コストの低減や品質向上のための施設・機器整備等を引き続き支援してたいと考えています。また、県においても、畜産物についてはオリーブ畜産物を推進しています。そういった中で、安定的な供給のための生産拡大とブランド力の一層の強化を図っていくことで、競争力のある商品として販売促進を進めたいと考えています。  なお、国においては経営安定対策として、「肉用牛肥育経営安定特別対策事業」の牛マルキンや、「養豚経営安定対策事業」の豚マルキンの補填率引き上げ等の法整備が既に行われており、TPP11発効とともに施行されることになっています。  EPAへの対応についても、TPP11と同じような対応になると思いますので、その点は国の対策に合わせて、県としても一体的に対策を進めたいと考えています。 樫委員  先ほど3000億円の第2次補正の話が出ましたが、日本農業新聞では、この3000億円は、畜産クラスター事業と産地パワーアップ事業が中心ということで、中小規模農家には活用しにくく、仕組みを改善してもらわないと困るということが掲載されています。また、全国農業協同組合中央会が畜産や酪農の重点要請を決定して、中小経営を含む生産基盤の維持・拡大のため、繁殖雌牛や優良後継牛の確保・増頭、省力化に向けた機械の導入なども必要だとする要望も出ています。やはり香川の畜産は、中小農家が多いと思うので、そうした視点に立った施策を行ってもらわないと、香川の畜産が成り立たないわけです。そういう点について、どのように考えますか。 国分農政水産部長  国の補正について、現在まだ詳細な内容について示されていませんので、確たることは申し上げられませんが、今お話がありましたように、有効に活用できるような対策となるようにしてもらいたいし、必要があれば、要望していきたいと考えています。 樫委員  きょうの農業新聞に、アメリカの米関係団体「USAライス連合会」という大きな組織があり、「TPP合意水準7万トンでは少ない、15万トン程度まで対日輸出枠に拡大するように。」と言ってきているそうです。また、輸入差益についても、SBS取引では輸入米に輸入差益を上乗せした価格で国内需要に売り渡していますが、「USAライス連合会」は、このSBS制度は不透明であり、日本政府の介入は許さないと強硬な姿勢を示している状況です。本当にこういう方向に進んでしまうと、日本の農業は、TPPや日欧EPAで打撃を受け、さらにその上にアメリカとの日米FTAで、TPP以上の譲歩が迫られます。こういうことになってくると、日本の農業は一体どうなるのか、未来はあるのかということになってくると思います。その点について、部長の考えはいかがでしょうか。 国分農政水産部長  日米の交渉については、いわゆる物品貿易協定、TAG交渉入りに合意した日米共同声明では、農林水産品については過去の経済連携協定で合意した水準までしか関税引き下げは認めないことが明記され、こうした日本の立場をアメリカは尊重するとされていますので、国においてしっかりとやっていただきたいと考えています。また、国に対しては、本年6月にも各国・地域との経済連携協定や自由貿易協定などの交渉に当たっては、地域の農水産業が持続的に発展していけるように、我が国として守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、確実に再生産が可能となる必要な措置を確保するよう、引き続き今後とも強く働きかけたいと考えています。 樫委員  農業は食料の供給や自然環境の保全、地域文化を支えており、人間が生きていく上で欠かせない基幹産業です。しかし、安倍政権は「競争力強化」を口実にした大規模化・効率化を押しつけ、農政の根幹である家族経営と地域農業を壊し、生産基盤を弱体化させています。以前も申し上げましたが、日本農業新聞の調査によれば、農家の7割以上が安倍農政を評価しないと言っています。輸入自由化や大規模化を中止し、家族農業への支援を強めるなど、安倍農政からの転換を図るべきだと思っていますが、農政水産部長の考えをお示しください。 国分農政水産部長  本県農業については、中核となる担い手をしっかりと育て、本県農業を持続的に発展させていくことが大事だと考えています。一方で、本県の狭小な農地や複雑な水利慣行等、農業特性を踏まえると、必ずしも大きい農家だけで農業・農村を維持することは難しいと思いますので、そういった小規模な農家については、地域の特徴を生かした農業経営が実践できるよう、集落による効率的な経営や共同活動組織への参加などにより、それぞれの立場で地域を守る役割を果たしていただくために、一体的な推進を行いたいと考えています。  いずれにしても、認定農業者等の中核的な担い手と、家族農業を含む農家を含めた地域の多様な農業者が相互に補完的な役割を果たすことで、本県農業・農村の維持発展が図られるよう、しっかりと支援したいと考えています。 樫委員  最後に1点お尋ねします。  種子法の条例を制定すべきということで私は質問してきたのですが、今、全国で種子法復活の世論と運動が強まっています。埼玉県・兵庫県・新潟県に続いて、北海道でも条例制定が進められようとしています。本県でも条例制定を求める声がJA中心に広がっています。条例制定を検討すべきと以前から私は要望しているのですが、その点についてはどのような状況でしょうか。 国分農政水産部長  種子法廃止後も本県の主要農作物である米麦の生産振興を図る上で、県オリジナル品種等の優良な主要農作物の種子を現状と同水準の品質及び価格で安定的に供給できる体制を維持することは、極めて重要であると考えています。  県としては、これまでと同様、県が中心となり、県の主要農作物種子協会やJA香川県と連携して、種子の生産と供給体制を堅持したいと考えています。このため、「香川県主要農作物採種事業実施要領」を改正して、種子生産等を進めています。  今年度においては、こうした生産・供給体制のもとで、従来と同様、優良な種子の生産と供給が円滑に行われているところです。このため、現時点で直ちに条例の制定は考えていませんが、今後の種子の生産と供給状況などを踏まえ、必要となる対応に努めたいと考えています。  いずれにしても、今後とも県が責任を持って、種子の安定供給体制を構築することにより、農業者が安心して高品質な農作物を生産できるよう積極的に取り組みます。 樫委員  農家が安心してやっていけるようにするということであれば、JAや農家が「要領ではだめだ。やはり条例で県の意思としてはっきり示してもらいたい。でなければ安心できない。」と言っています。農家のために考えてやっているというのであれば、条例を制定することと何ら矛盾しないのではないですか。 国分農政水産部長  県としては、きちんとした種子の供給体制を維持するため、今年度においてもこれまでの生産・供給体制のもとで従来と同様、優良な種子の生産と供給が円滑に行われているので、まずは今の生産と供給体制のやり方で進めたいと考えています。 樫委員  条例制定については、引き続き検討いただきたいと要望して、質問を終わります。 山本(直)委員  それでは、試験研究の推進ということで質問させていただきます。  今、いろいろとお聞きしましたが、農業問題はなかなか難しいと感じます。先ほど、農業で食べていくにはどうするかというと、まず大規模化をしなければいけないという話がありましたが、現に有福委員の地元の木下農園や善通寺の近藤さん、私の地元の綾歌でも10町歩以上でキャベツを生産して生活しているところもあります。  ただ、そういった中で、のれん分けをしている人もいるということですが、どんどん土地がなくなっている中で、のれん分けをして、それなりの土地を確保できるかというと非常に難しいし、現実問題として、新規就農者が大分ふえているといっても、5町歩以上の土地を手に入れてできるのはなかなか難しいと思います。ということは、違う方法も考えていかなければなりません。私は独自の作物をつくって差別化して生き残るのも一つの方法という気がしています。  先ほど、農業試験場では43品種も開発したということでした。「おいでまい」や「さぬきの夢」などだと思うのですが、それはそれで非常にいいことですし、どんどんやってもらいたいと思います。ただ、そうは言いながら、農家をめぐる環境は、後継者がどんどん減っていく中で、国際間の競争もあります。何年か前に外国に行ったときに香川県の品物が非常に高い値で売られていて、意を強くしたことがあるのですが、そういった意味では、国際間競争を初め、いろいろな競争に勝っていくように対応しなければなりません。そんな中で、これはというすばらしい品種をこれからもなお一層考えて、つくっていかなければならないと思っています。  技術革新は結局、ほかとの競争です。そういった意味では、AIを利用した新しい技術なども県として考えていかなければいけません。特にことしは異常気象で、お米の生産もかなり厳しかったように聞いています。だから、そういったものに対応した生産ができることも県としては考えてもらわなければなりません。  こうした状況の中、農業試験場では一生懸命頑張ってやっていただいておりますが、今後、県としてどのような形で農業試験場での試験研究を進めていくのか、部長にお聞かせ願いたいと思います。 国分農政水産部長  農業試験場での今後の試験研究の進め方ですが、お話しにありましたように、本県農業の振興を図っていく上では、本県オリジナル品種の育成や、高品質・省力安定化生産技術の開発などが必須で、そうした中、試験研究の担う役割は極めて大きいと考えています。  これまで、オリジナル品種も見出しましたし、低コストの省力化技術や高品質化技術も見出してきました。しかしながら、今お話しがありましたように、TPPなども含めて、国内外の産地間の競争が激化しているということが一つ、それから地球温暖化、そういった気象変動による農業生産の不安定化があることが一つ、それから3つ目には、人口減少到来の中での労働力不足の深刻化が一つあります。さらには消費者の食の安全・安心や環境保全への意識の高まりなど、農業を取り巻く環境は大きく変化し続けていますので、そういったものに合わせた試験研究を進めていくことが必要だと思います。  今後、より一層激化する国内外の産地間競争に打ち勝って、農業の生産や成長産業化を実現するためには、これまでにも増して消費者の多様なニーズや気象変動に対応した試験研究をより積極的に展開するとともに、ロボットやICTなどの先端技術を活用した、いわゆる生産性の高いスマート農業などの普及も見据えた戦略的かつ計画的な技術開発を進めていくことが重要であると考えています。  このため、今回、平成31年度から平成37年度を計画期間とする「香川県農業試験場試験研究構想」を策定するよう進めています。この構想では、大きく4つの試験研究の推進方向を考えています。1つ目は新品種等高品質化技術の開発、2つ目は安定生産技術の開発、3つ目は省力・低コスト化技術の開発、4つ目は環境と調和した農業生産技術の開発という4つの研究の推進方向で進めたいと考えています。  さらに、それを具体的な研究テーマとして6点ほど設定したいと考えています。1点目は、これまでも行ってきましたオリジナル品種の開発・改良の加速化ということで、先ほども少し説明しましたDNAマーカーを活用した「讃岐うどんに適した次世代のさぬきの夢の開発」や「アスパラの茎枯れ病抵抗性の品種などの開発」も加速化したいと考えています。  2点目は、土壌の話が先ほども出ましたが、近年、地力低下という話がよく出てきます。そうした中で、的確な土壌診断技術を活用して、高品質・安定生産につなげる土壌管理技術を開発するために、土壌診断に基づく土壌管理技術の開発を考えています。  3点目は、ICTやAI等を活用した高品質化栽培技術の開発です。  4点目が、気象変動が大きい中で、気象変動で農業生産が不安定化する中、特に秋冬野菜の安定生産と作業の効率化に向けて、排水対策技術などを確立するとともに、栽培様式を統一化することにより、気象変動等に対応した安定的多収栽培技術の開発を進めたいと思っています。  5点目が、農作業の機械化やドローン等の導入実証、6点目が、省力・低コスト栽培技術の開発で、こういったことを主な研究課題として重点的に取り組みたいと考えています。  現在、香川県の有識者や生産者などをメンバーとする「香川県農業技術総合推進検討会」において、意見聴取や協議などを進めており、当構想については今年度末の策定を目指して作業を進めているところです。  今後は、この構想も踏まえて、本県農業をさらにもうかる農業になるよう、成長産業につながるようしっかりと計画的かつ体系的に進めたいと考えています。 山本(直)委員  試験研究の推進については、いろいろと考えているということです。確かに農業というのは、きょう考えて、すぐに実行して、それが結果に出るということはまず考えられないので、そういった意味では平成31年から平成37年までの計画期間でいろいろ考えていきたいということは、非常にいいことではないかと思っています。ただ、これを着実に実行するには、何と申しましても人の問題が出てきますが、人材育成です。今の人数できちんと対応できるのかということでは、香川県は少数精鋭ということで2,800人体制でやっていますが、本当のところはもっと人を増やしてもらって、きちんと対応しなければいけません。  先ほど土壌の話もしましたが、土壌ひとつをきちんと直していくには5年や10年といった時間がかかるわけです。そういった地道な努力をすることによって、技術的な面でも収入の面でも上がってくるということを考えれば、それを指導できる人材の育成をきちんとやらなければいけないし、組織自体もきちんとした組織に直していかなければなりません。  これからもいろいろな課題があると思いますが、その点について、部長はどのように考えているのか、教えてください。 国分農政水産部長  この構想をつくり、試験研究を着実かつ速やかに推進していくためには、機能の強化充実が必要であり、そのために大きく3点ほど考えています。  1点目が、今お話しがありました人材の育成・活用です。研究員についても、世代交代が進んでいる中で、すぐれた研究成果を生み出すためには、試験研究を担う優秀な人材の育成が急務であると考えています。このため、国立研究開発法人や大学などへの派遣研修を拡充したいと考えています。また、国内外の研究員とのネットワークを構築するなど、最新の専門技術の習得やグローバルな視点を持った研究員の育成も進めたいと思っていますし、研究員の技術習得のための環境も整備し、即戦力の育成も図りたいと考えています。  2点目は、産学官の連携です。研究を進めていく上で、農業試験場だけで完結することは非常に難しく、試験研究の効率化や研究成果の現場への迅速な普及を図るため、国立研究開発法人や大学、民間企業、農業法人との共同研究を進めたいと考えています。特にICTなどの先進技術や農業機械などの分野においては、積極的に民間企業とも連携して、本県農業への導入に当たっての最適化を図ることとしています。また、善通寺にある国立研究開発法人農研機構西日本農業研究センターには、本県から研究員を派遣して共同研究を実施し、連携をより一層強化したいと考えています。  3点目は、試験研究と普及との連携の強化です。得られました研究成果を農業生産現場へ速やかに普及するためには、生産現場のニーズを技術開発に的確に反映させるとともに、導入に当たっての問題点などをフィードバックして、技術の改善につなげる必要があります。このため、農業試験場農業改良普及センターとの連携を一層深め、農業情勢やいろいろな地区の要請に柔軟に対応した技術開発と農業者のニーズなどに寄り添った、迅速できめ細かな普及活動の展開を図りたいと考えています。  こうしたことを機能強化していくことにより、試験研究を加速化し、計画的に進め、何よりそのスピード感と明確な目標を持って試験研究に取り組みたいと考えています。そうすることにより、本県農業を次世代にとっても希望が持てる、魅力ある「もうかる産業」へ発展させていきたいと考えています。 山本(直)委員  以前、韓国に日本産のイチゴが伝わって、独自の技術だと言って、日本のイチゴを持って帰ってつくったという話がありました。また、この前テレビでは、日本から技術が出ていったが、たまたま中国の空港でとまったという話がありました。ああいった技術の流出は、一義的には国の話だと思うのですが、せっかくいいものをつくったのに、技術が流出したために同じようなものが、ほかの地域や国でつくられるというのでは困ります。技術の流出を一番守っていかなければいけません。  そういったことについて、県でできることはあるのでしょうか。 国分農政水産部長  知的財産の保護・活用についても、今回の試験研究構想の中にも入れていきたいと思っています。その現場でできた研究成果を、例えば特許権や育成権などいろいろありますけれども、そういったものを効果的に保護し、戦略的に使っていくためにどういうふうに進めていけばいいのかということについても、この構想の中に含めて検討していきたいと考えています。 山本(直)委員  いろいろと難しい問題はあろうかと思いますが、私は、まずは人だと思います。農家が今何を求めているのか、それをきちんと開発して、また農家へ転化するいい循環を図ることが大切だと思います。そういった意味では、できた技術を速やかに転化するように、これからも精いっぱい頑張っていただきたいと思います。 宮本委員  佐伯委員長、樫委員、私も土地改良区の理事長をしており、高松の土地改良区の理事長や当務者の皆さんと会いますが、各土地改良区で温度差が大きすぎると感じています。土地改良区は賦課金で運営をしており、大池のように打ちっ放しを抱えているところは、結構お金が入ってきますが、単一の小さな土地改良区は、運営に四苦八苦しています。当務者の給料だけで、理事長には、ほとんど給料を支給しない形で、非常に厳しい運営をしています。  今回は、2億4000万円の補正がついて、県単事業が当初と合わせて10億円を超えましたが、県単事業をなかなか実施できないところもあります。また、場所も限られ、運営に困っているところが多いです。その辺、部長としていろいろ把握をされていると思いますが、どういう感想をお持ちかお聞きしたいと思います。 国分農政水産部長  県下の土地改良区の皆さまに、本県の水利施設を含めて管理いただいており、土地改良区のお力なく農業をやっていくことはできません。確かにお話しがあったように土地改良区についても、規模にかなり大きな差がありますし、置かれている状況が大きく違ってくると思います。  また、今回の土地改良法改正により、土地改良区の役割や体制強化についての改正が行われ、大きな変化の波にさらされています。土地改良区の運営については、全体として、なかなか厳しい状況が続いていると考えています。 宮本委員  四箇池土地改良区では、農道や池でも、いろいろな幹線や水路の改修をしています。しかし、川島地区や林地区といった山間部の小さい単一の土地改良区では、三郎池土地改良区等、他の土地改良区と絡み合った水路が多く、なかなか土地改良区単一で単県事業を実施できないところがあります。林地区は、2年ぐらいは土地改良事業の県単事業をしていないと思います。林地区の理事長に話を聞くと、三郎池土地改良区と区域がかぶってしまうので、どちらの水路かわからないそうです。三郎池土地改良区が全部行っているので、林地区としては事業が全然できない、遠慮しなければいけないということです。東讃土地改良事務所で、さび分けをしていると思いますが、今後の土地改良区の運営に危惧しているとのことです。  そうした中で、複式簿記や外部監査導入の指導がありました。そういうことを、小さい土地改良区でやるということは、潰れて合併しなさいという意味と私は思っているのですが、県として単一の土地改良区のそういう負担について、どう思われていますか。 国分農政水産部長  先ほども申し上げたように、土地改良法が改正され、複式簿記の導入等により、土地改良区の運営は、これまで以上に難しくなっていく状況があります。  そういう中で、国が考えているのは、土地改良区自体を大きな単位にしていこうということで、合併等の統合をしていく方向と考えていますが、本県においては従前からの水利があるため、なかなか県下一律にやっていくことは難しいとは思っていますが、ある程度の統合の取り組みは、必要になると考えています。県としても、できる支援はしていきたいと考えています。 宮本委員  今、水利組合の話も出ましたが、組合員自体は、合併することによって水利組合の関係をどうするかが非常に微妙です。先々月、高松市の川島土地改良区と十河土地改良区、前田土地改良区、川添土地改良区が事務統合しました。運営全体で統合がなぜできなかったのかといえば、水利組合や水利慣行が土地改良区によって、違ったりするからです。だから、今言うように合併して大きい土地改良区になって、力を蓄える重要性はわかるのですが、ただやみくもに合併というのではなく、どういう形で指導したら、そういうものができるかを事細かに、県でも、高松市土地改良課と話し合い、組合員や水利組合の皆さまにもわかるように、うまく合併を進めていかなければ、何年かけても同じ形になるのではないかと思います。  多分どこの市町の土地改良区も、県単事業をするには地元負担金の問題があります。高松だったら市が大体40%から45%ぐらい負担してくれるので、地元負担は、10%か5%ぐらいだから、まだ実施できますが、三木町は、個人負担が25%ぐらいいくでしょう。だから、1000万円のものをするのに250万円も要るわけです。そういう中で県単事業をするからと言って、賦課金を集めると言っても、非常に苦しくなってきているので、その辺の温度差も踏まえて、ある程度単一の土地改良区をどういう方向に持っていくのか、これから示唆していかないといけないと思います。  やはり土地改良区が衰退すれば、全体の農業も衰退すると私は思っているので、詳細にいろいろと各地区の状況を見て精査し、方向性をどうすればいいのか考えていただきたいと思います。  いろいろな理事長の間で聞くと本当に切実な問題で、当務者をもう雇えないというところもあるので、こうしたことに、どう取り組むのか部長にお伺いしたいと思います。 国分農政水産部長  本県農業は、土地改良区に支えていただいており、また、大きな役割を果たしていただいています。  お話しにありましたように、土地改良区についてそれぞれの規模だけではなく、水利や従前からの経緯もあって、それぞれの状況は異なると思っていますので、水利地域や土地改良区ごとの実情にも配慮しながら、県としてできる支援をやっていきたいと考えています。 宮本委員  あともう一つ、また、土地改良のことですが、各水系のところにゲート・堰があります。堰はほとんど土地改良区が管理しています。改修のときに堰は県の土木部が大きいところは全部直して、土地改良区に移譲した形になって、管理を任されているものが、ほとんどでしょうか。 小山農政水産部次長  河川の取水堰は、基本的には、農家・受益者が管理していくことで、更新しています。宮本委員のお話は、河川改修や河川災害のときのことだと思います。それについては、県が河川改修の事業にあわせて堰も改修して、土地改良区や管理者へ移譲したものだと思っています。ほとんどの堰は、それぞれの管理者が管理するなり、所有していると考えています。 宮本委員  改修したところはいいです。私の地域に春日川激甚災害のときに改修した1号堰、2号堰、3号堰、4号堰があります。高さが、高いところで3メートルぐらいあります。ゲートだけで2億円、下の基礎を入れると7億円が4つあります。それが四箇池土地改良区に移管されました。今はいいけれども、あと50年したら四箇池土地改良区が全部直さなければいけません。今回、30年前に造成した春日川の元山頭首工を改修するのですが、ゲートの塗装だけで、1000万円もかかります。普通の土地改良区でやるとなったら大変です。四箇池ではストックマネジメント事業で、四箇池土地改良区の導水路のトンネル、50年前の60センチのトンネルを、全部直していますが、事業費7億円です。来年か再来年に終わりますが、6億3000万円が7000万円ふえて7億円になっています。負担金だけで7000万円です。  そういう堰や大きいゲートを抱えている土地改良区は、内部留保が乏しく、先々の収入源もないのです。賦課金の増額をおととしぐらいから組合員個々に当たるのですが「賦課金は上げたらダメだ。上げるのだったら脱退する。」という人も多いです。堰・大きいゲートは負の遺産になってきているわけです。  改修のときには土木部で工事をやってくれていますが、それが移管され、維持修繕の壊れたときの油圧ポンプだけで30万円も100万円もかかるわけです。塗りだけで20年に1回1000万円かかると、4つも5つも持っているところは6000万円も7000万円も要ります。だから、その辺も踏まえて、固定堰で転倒堰や大きい堰があるようなところは、アドバイスを土地改良区にしていただき、土木部に負担してもらえるよう橋渡しを進めていかなければいけない時期に来ているのではないかと、私は思います。土器川沿岸にしても何十億円もかけてずっとやったと思います。あれについても、今は、地元の土地改良区でできますが、20年、30年たったときには自分のところで直すとなれば、また、農林水産省の予算をつけるのかという問題もあります。その辺を、頭に置いていただき、河川の所管は土木部ですが、堰は全部、農業土木の土地改良課が、所轄になるわけですから、所轄の一番上は県の農政水産部長という感覚を持って、いろいろな意味で取り組んでいただきたいと思っていますので、ぜひその辺も調査をして長い目で見て、いい制度をつくっていただきたいと思っています。 佐伯委員長  以上で、農政水産部関係の質疑・質問を終局したいと存じますが、御異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) 佐伯委員長  御異議なしと認め、農政水産部関係の質疑・質問を終局いたします。  本日は、これをもって散会いたします。 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....