香川県議会 > 2018-06-04 >
平成30年6月定例会(第4日) 本文

  • "香川議員"(/)
ツイート シェア
  1. 香川県議会 2018-06-04
    平成30年6月定例会(第4日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    花  崎  光  弘 君    三  野  康  祐 君    岡  野  朱里子  君    木  村  篤  史 君    松  村  秀  樹 君    氏  家  孝  志 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    松  本  公  継 君    高  木  英  一 君    谷  久  浩  一 君    米  田  晴  彦 君    山  本  悟  史 君    樫     昭  二 君    佐  伯  明  浩 君    新  田  耕  造 君    高  城  宗  幸 君    都  築  信  行 君    有  福  哲  二 君    斉  藤  勝  範 君    香  川  芳  文 君    森     裕  行 君    竹  本  敏  信 君    高  田  良  徳 君    十  河     直 君    西  川  昭  吾 君    大  山  一  郎 君    五所野尾  恭  一 君    山  田  正  芳 君    石  川     豊 君    辻  村     修 君    黒  島     啓 君    山  本  直  樹 君    宮  本  欣  貞 君    尾  崎  道  広 君    綾  田  福  雄 君    水  本  勝  規 君    平  木     享 君
       鎌  田  守  恭 君   欠  席  議  員    な        し    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   松  本  祐  藏 君           審  議  監   安  松  延  朗 君           政 策 部 長   大  山     智 君           総 務 部 長   徳大寺   祥  宏 君           環境森林部長    中  村  貴  紀 君           健康福祉部長    安  藤  照  文 君           商工労働部長    浅  野  浩  司 君           交流推進部長    新  池  伸  司 君           農政水産部長    国  分  伸  二 君           土 木 部 長   葛  西     剛 君           知事公室長     淀  谷  圭三郎  君           危機管理総局長   土  岐  敦  史 君           文化芸術局長    窪     保  彦 君           子ども政策推進局長 川  池  陽  子 君           会計管理者     宮  武  卓  朗 君           病 院 局 長   木  村  士  郎 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     河  合  信  之 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監 査 委 員   亀  井  孝  行 君           事 務 局 長           人事委員会委員   平  尾  敏  彦 君           人事委員会     井  川     泰 君           事 務 局 長           労働委員会     河  井  啓  司 君           事 務 局 長           政策部次長     東  田  晃  拓 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第四号)                  平成三十年七月十日(火)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(花崎光弘君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  新田耕造君。    (新田耕造君登壇、拍手) ◯新田耕造君 それでは、質問を始めさせていただきます。  その前に一言。西日本の豪雨、大変な被害で、今も一万人以上の方々が避難生活を送られております。また、いろいろなところでいろいろなことが起こっていると思いますけれども、ぜひ、無事にふだんの生活に一日も早く帰ってこられることをお祈り申し上げます。  テレビの画面を見ておりますと、我々はつくづく、大自然の前には生きているのではなくて、生かされているのだなというふうに思います。今さらながら命の大切さを感じます。  さて、話は変わりますけれども、今話題の人工知能、ディープラーニング、どういうことかと疑問に思っておりました。ぴったりの本を探して、「人工知能は人間を超えるか」という本を読みました。著者は東大の准教授の松尾氏でございますけれど、なかなか門外漢である私からすると難しい話でございました。  コンピューターがみずからさまざまなデータから検索を繰り返し、ある特徴表現を導き出す作業をディープラーニングというのかなというふうに思いました。ただし、この特徴表現を人の言葉であらわすことまでは、まだできていないようです。いろいろな画像を見せて、例えば、猫ならば猫の特徴がある表現をいろいろなデータから抽出することはできても、その特徴表現を猫とあらわすことはまだできていないようです。これがディープラーニングのとりあえず今の限界なのかなと、こう思いました。  さて、かつてグーグルという会社が出てきたとき、検索技術が今から重要だという話がありました。当時、そのことを理解できませんでした。しかし、今やグーグルは巨大企業へと成長し、マイクロソフトを上回る企業価値になりました。何があったのか。  グーグルは、さまざまな情報を集め、その利用料を収益にしております。企業は製品を売るため、その製品が欲しい人の情報があれば、それを利用して効率的な営業活動をしたいと考えます。例えば、車であれば、パソコンでその車のことを調べたりしますと、その後、パソコンの画面にその車のバナー広告が出ます。それは、あなたの興味がその車にあるという情報をクリック数ネット履歴で検索されている証拠であります。  今やインターネットの普及で、我々の趣味や趣向が個人ごとに調べられているのであります。さきの車の例でも、本当にそれを買いたいと思っている人にとっては、その車に関するオーナーの声など情報が手に入るということで、メリットはあります。ただし、個人情報保護の問題とその情報を独占的に使って価格や活動を支配するとなると問題は別になります。最近の報道でも、EUがグーグルに制裁金を科したのもこの問題であります。  一方、インターネットやパソコンなど、情報社会の広がりはとめられません。ブログ、ツイッター、フェイスブック配車アプリ、アフリエイトなど、さまざまな新しい事業が生まれ、今後もどんなことが起こるのか、想像もできません。夢がある一方、我々は倫理問題など、うまく慎重に扱っていかなければならないと思います。  さて、質問の第一点目は、先端IT人材育成機関についてであります。  我が国は既に、人口減少、少子高齢化時代に突入をしております。総務省発表の二〇一七年十月一日時点の人口推計では、総人口が一億二千六百七十万人で七年連続減少、生産年齢人口は六十万人減、十五歳未満の人口も十九万人減とのことでした。そのため、国を中心に女性活躍の推進や外国人人材の受け入れ、働き方改革等、多くの施策に取り組んでいるところでございます。  一方で、欧米に比べて低い労働生産性の改革が迫られております。全てのものをインターネットにつなぐIoT、AI、ビッグデータに代表される先端IT分野がその解決の糸口として期待されております。産業界では、IT関連投資が相次ぎ、情報セキュリティー等の新たなニーズの増大など、まさにIT全盛を迎えております。  このような中、国では、小・中・高校の学習指導要領の改訂を行い、二〇二〇年度から小学校において、コンピューターを正しく理解し、上手に活用できる素養の育成、子供たちの論理的思考力を養うことなどを目的にプログラミング教育を導入する方向で動き出しております。しかし、経済産業省が行った最近の調査では、二〇三〇年にはIT人材が約五十九万人不足だとか、推計によれば七十九万人だとか、いろいろなデータもございます。ITに関する市場規模は、今後も大幅な拡大を続けるとの見方が強く、特に人工知脳など先端ITについては世界的にも研究が進められ、今後の戦略として期待が大きいところであり、その対応を考えたいところでございます。  そこで、私が提案したいのは、先端IT人材育成による本県の活性化であります。さらに言うと、本県に先端IT人材育成機関を創出することであります。少子化による施設の統合により、教育施設は余っております。これを利用し、本県に世界でも通用する英知を集結し、先端IT人材育成機関をつくり、地域活力の活性を図ろうとするものであります。  今後は、世界に向けて特色を出さなければ、何人も生き残れない時代になっております。私たちの今だけを考えるわけにもいきません。行政として、子供や孫、その先の時代のことも考えて取り組んでいく必要があると思います。先を見据え、県としての将来的な夢のある政策を検討しなければならないと思います。  先端IT分野においては、幸いにも著名な、先ほどの東京大学の松尾准教授が本県の御出身であります。松尾氏は、AI、いわゆる人工知能、ディープラーニングの第一人者です。松尾氏を招聘し、AIの教育機関をつくるなど、いろいろな政策があってもよいと思います。三豊市では、そういった取り組みが進んでいると聞いております。県においても、積極的に取り組むべきだと思います。松尾氏の中・高生から哲学書を読みあさっていたというユニークな人柄については、七月三日付の日経新聞の交遊抄で大野敬太郎代議士が紹介されております。松尾氏は、きっと引き受けてくれると思います。  参考として、静岡県立静岡がんセンターの例があります。同センターの山口総長にお話をお伺いしたところ、平成六年ごろ、当時の静岡県知事から、「あなたの理想とするがんセンターを、あなたの思うようにつくってほしい」と言われ、それならばと、当時国立がんセンターの副所長でしたが、引き受けたとおっしゃっておりました。その結果、今や静岡がんセンターは、がん患者診療数国内トップスリーに名を連ね、日本を代表する機関となり、全国から優秀な医療スタッフが集まり、一大がんセンターになっているようです。  全国に先駆けて先端IT人材育成機関を創出することは、地方創生に資するものであり、本県の活性化に寄与するものであると私は考えますが、このことについて知事の所見をお伺いいたします。  質問の第二点目は、新県立体育館についてであります。  新県立体育館については、平成三十五年度の完成に向け、本県の玄関口であるサンポート高松に、メーンアリーナ最大収容人員一万人以上の規模を誇る中四国最大級の施設を建設予定であります。その立地特性を生かし、県内はもとより、県外からも多くの集客を図り、まさに本県の象徴とも言うべく、県民に親しまれ、愛される施設の誕生が期待されるところであります。  現在の状況といたしましては、新香川県立体育館整備基本計画に基づき、基本・実施設計業務公募型プロポーザルによる設計業者の選定手続が行われており、競技スポーツ、生涯スポーツ、交流推進といった三つの機能をあわせ持つ施設となるよう議論が進められているところであります。  先般、総務委員会文教厚生委員会特別委員会と、数度にわたり理事者への質問をさせていただきました。  ここで、再度質問したいと思います。  まず、前提として、県立体育館整備等に関わる特別委員会から提出された新県立体育館整備等に関わる提言書に示された八項目については、県民の声として十分に反映していただいているものと思います。  今回の公募型プロポーザルについては、基本・実施設計業務の業者選定を行うことを目的に実施され、評価委員会により決定したものと承知をしております。一次提案書は三十二者からの提出で、審査後の二次提案書は五者から提出があり、その結果、最優秀者及び次点者が決定したとのことであります。  選定された事業者は、新県立体育館デザイン性において、公園のような新しい公共空間ということを打ち出し、サンポート高松の立地条件を考慮したとしております。しかしながら、内容を確認してみますと、コンセプト的な大きな考え方は示されていたものの、設計については、もう少し詳細で具体的な提案があってしかるべきではなかったかと思うのであります。どんなに立派なコンセプトも、予算の裏づけがあって初めて実現するものであり、そうでなければ絵に描いた餅になりかねません。  特に、選定された会社は、この規模の事業案件の実施実績はなく、また、少し調べさせていただいただけでも、過去に二つの案件で工事の入札が不調となり、最終的に建設費が二倍になったという事実を議会としては指摘をさせていただいております。この先を危惧しております。県としても、別の第三者機関で予算を精査する必要を強く感じます。  そこで、新県立体育館整備等に関わる提言書を踏まえ、これまでに事業者とどのような協議を行い、どのような回答が得られているのか、予算は新県立体育館完成時には絶対に百九十億円を守れるのか、知事並びに教育長に質問をさせていただきます。  質問の第三点目は、県立公園の適切な所管配置についてであります。  公園は、行楽客ばかりでなく、近隣住民にとっての集いの場であり、憩いの場でもあります。時には避難場所にも利用されるなど、多様なニーズに応えるべく、より一層の魅力づくりと日々の適切な公園管理がなされるよう望むところであります。公園の管理については、私はこれまでも委員会等で確認してきましたが、ここで改めて質問をしたいと思います。  以前質問した際の答弁では、桃陵公園など県立の五つの公園の所管は、組織改正があった平成二十七年度からは交流推進課が所管し、造園職の職員等を配置し、効率的かつ適切な維持管理に努めているということでありました。  先日、テレビを見ておりますと、民家の裏山の竹やぶが大きく育ち、崖が崩れ落ちる危険性が予見されたことから、住民が竹やぶの土地の持ち主に伐採を依頼したところ、とてもそのようなお金がないということで、結局、依頼した住民が費用を捻出し、伐採したという報道がありました。  自然に木々は時間とともに大きくなります。大きくなった木は、いろいろと悪さをいたします。同じように、桃陵公園では、これまでも成長した木が敷地に隣接した神社の屋根を壊したり、石段をゆがめたりと、いろいろ影響が出ておりました。今回、別の場所で敷地外に張り出した木は、倒壊の危険性なども考えなくてはならないほど大きく成長しており、伐採を依頼したところ、その木のある場所が崖地、つまり急傾斜地である場合は、所管が土木部とのことでした。木は必ず大きくなります。成長につれて、伐採にはクレーンを使ったり、場所によっては大工事が必要になります。このことは一例でありますが、予算や人員のこと、経験からすると、本来、桃陵公園などは土木部の所管にしたほうがすっきりすると思います。  そこで、現状の組織体制を是とするのではなく、例えば、公園についてはその公園の立地特性を踏まえ、また、組織運営を考える場合は、組織の機動性、必要な予算など、総合的に鑑み、有事の際の想定等も踏まえて、現場で対応できる体制であること、そして何よりも県民にとってわかりやすい組織であるべきではないかと私は思います。  このことは、組織のあり方の問題の一例でありますが、県立公園の所管のことも含み、県庁全体にわたる適切な所管配置、すなわち組織体制について、知事はどのようにお考えか、質問をさせていただきます。  質問の第四点目は、第一線の警察官の装備品強化についてであります。  警察官は地域住民の治安を守り、維持する存在として、この上ない存在であることは言うまでもないことでございます。  昨今の社会環境は大きく変化をしております。訪日外国人観光客の増加は、その一例でしょう。昨年の訪日外国人観光客は二千八百万人に及び、五年前と比べ二千万人もふえております。  先般、政府が閣議決定した観光白書には、本県で宿泊した外国人延べ宿泊者数は四十五万人を数え、同様に五年前と比較すると十倍超の伸びとなっております。これは全国一位の伸びとのことであります。訪日外国人ばかりでなく、自宅近くのスーパーなどでも最近は在留外国人もよく見かけるように思います。ますます社会が国際化してきているのを実感いたします。  そのような中、犯罪の国際化が懸念されます。また、犯罪は必ず国際化すると思います。先月二十六日には、富山市で交番勤務の警察官が刺殺された上、拳銃が奪われ、その拳銃で警備員が射殺されるという、これまででは想定し得ない事件が発生しております。インターネットSNS環境も飛躍的に進歩し、サイバー犯罪への対応も重要度が日々増してきているなど、事件が高度化、多様化していると言わざるを得ません。  このように、日々社会環境が変化する中、これまでにはなかったような警察官が対応すべき事案が生まれてきているのであります。外国人への対応一つとりましても、外国語対応力が不可欠であり、外国語もどこか一つの言葉ではなく、多種多様な対応が必要となっております。こうしたことに、同時通訳アプリなどを現場に配付するなど、昨今のITなどの技術を使い、一つ一つ丁寧に向き合うことが必要になってきているものと思われます。  日ごろから第一線で治安を守っているのは、交番等の現場の警察官であります。今回、その交番の警察官が襲われた上、拳銃を奪われ、その銃で民間人が撃たれたことは重大なことであります。我が国で銃を所持できるのは、警察官など一部に限られております。これだけIT技術が発達しているのに、何か個人認証的な装置を組み込み、本人以外は発射できないような対応ができないのかとも思います。  住民を守り、一方で警察官みずからの身を守ることも重要です。そのためには、装備品は軽量で動きやすいといった機能面での検討も必要ではないでしょうか。  そこで、社会環境の変化に対し、地域の治安を守るべく、警察官の装備品にも何らかの対応が必要と思いますが、IT技術や専門機材等の必要性をどのように認識し、どういった対応をしているのか、警察本部長に質問いたしまして、私の質問を終わらさせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(花崎光弘君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)新田議員の御質問にお答えいたします。  まず、先端IT人材育成についてであります。  私は、AIを初めとする先端技術の活用が、人口減少局面にある本県のさまざまな課題解決につながるものと期待しており、こうした先端技術を県内の産業や社会生活に取り入れていく上で、人材の育成は非常に重要であると考えております。  このため、議員御指摘の我が国のAI研究第一人者である、本県出身の松尾 豊東京大学大学院特任准教授に、平成二十八年度から本県の産業活性化アドバイザーに就任していただいているほか、昨年度は、松尾先生をお招きして、AI技術の現状や本県における活用の可能性などについての講演会を開催いたしました。また、今年度からは、松尾先生の東京大学のAIに関する講座への派遣やオンライン講座の受講などにより県職員の能力向上を図り、県が進めるAI施策の中心的な役割を担える人材育成に取り組んでいるところであります。  さらに、本年四月から産業技術センターにIoT・AI相談窓口を設置し、企業からの相談対応を開始したほか、IoT・AIの活用を検討している企業を対象とした研修会を開催するなど、県内企業の人材育成面での支援にも取り組んでおります。  先端ITに関する人材の育成は、本県の活性化に寄与するもので、議員御提案の人材育成機関の設置は、そうした人材育成の一つの方策であると認識しており、今後さらに、行政課題の解決や県内産業の生産性向上に資する人材の育成をどのように行うか、また、育成した人材の県内での定着をどのように図っていくかなどを考えていく中で、検討してまいりたいと存じます。  次は、新県立体育館についてであります。  基本設計・実施設計業務公募型プロポーザルにおいて最優秀者に特定した有限会社SANAA事務所とは、現在、契約締結に向けた協議を行っており、提案書に記載された内容に関して、プロポーザル評価委員会から「再考」との指摘のあった地下駐車場や、県立体育館整備等に関わる特別委員会の提言書等で「必ずしも明確になっていない」と御指摘を受けた点を伝え、適切な内容となるよう確認を進めているところであります。
     また、建設工事費につきましては、新香川県立体育館整備基本計画において百七十億円から百九十億円とされており、これを念頭に設計の節目節目で小まめに概算工事費の算定を求め、県としてもその妥当性の確認を行うとともに、専門家にも御意見を伺いながら、コストコントロールを図ってまいります。  いずれにいたしましても、新県立体育館の整備は非常に重要な事業であり、私といたしましては、工事費に関する懸念を初めとした県議会からの御指摘について、直接SANAA事務所に伝えたいと考えており、県民の皆様の待ち望む新県立体育館が、利用者にとって利用しやすい魅力ある施設となるよう全力で取り組んでまいります。  次は、県の組織体制についてであります。  県の組織体制につきましては、高度化・複雑多様化する行政課題や県民ニーズに柔軟かつ迅速に対応できるよう、事務処理の効率性や組織としての専門性の向上などの観点を踏まえた執行体制としているところであります。  御指摘の桃陵公園栗林公園等県立公園の所管部署につきましては、昭和三十八年に、それまでの土木部から、観光行政を総合的に推進するため新たに設置した経済労働部観光課に所管を移し、これ以降、昭和三十九年の都市公園条例の施行による都市公園としての位置づけも経ながら、観光所管課において維持管理や利用促進に取り組み、さらに平成二十七年度からは、御指摘のとおり、交流人口の拡大を総合的に推進するために設置した交流推進部交流推進課において所管しているところであります。  ただし、県立公園日常管理業務の一部は、地元市町に委託するほか、占用許可申請等については、土木事務所を窓口とし、権限の一部を委任するなどしており、現場での機動性確保にも努めているところであります。  こうした経緯等も踏まえ、桃陵公園等県立公園につきましては、観光資源や住民の憩いの場として、本県における交流人口の拡大、地域の活性化という課題に重要な役割を果たしていることに鑑みれば、このような政策課題の解決のために設置した部署である交流推進部が所管した上で、関係部局と連携を図っていくことが現時点では適当と考えておりますが、今後、各公園ごとの状況に応じて、より一層適切な管理に努めてまいります。  いずれにいたしましても、県の組織体制につきましては、効率的で効果的な業務執行体制を構築し、質の高い県民サービスを提供することが重要であり、今後とも、時代の変化に柔軟かつ迅速に対応できるよう不断の見直しを行ってまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)新田議員の新県立体育館についての御質問にお答えいたします。  新県立体育館の基本・実施設計は、昨年十二月に策定した新香川県立体育館整備基本計画をベースに行うこととなりますが、機能性や収益性を重視したアリーナ機能の充実や建設工事費の適正化、ランニングコストの圧縮等は、大変重要なことだと考えております。  有限会社SANAA事務所との契約締結に向けた協議の内容については、知事からお答え申し上げたところですが、県教育委員会といたしましても、これまでの協議の中で、同事務所に対して、新県立体育館をどのような施設としたいのか、また、提案書では明確になっていないと県議会から御指摘いただいた点などについて、直接お伝えしたところであります。  建設工事費につきましては、基本計画において試算した金額を念頭に、新県立体育館が利用しやすく魅力ある施設となるよう、知事部局と連携を図り、全力で取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)河合警察本部長。    (警察本部長河合信之君登壇) ◯警察本部長(河合信之君)新田議員の警察官の装備品強化についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、近年、本県においても外国人宿泊者が急増するなど、社会の国際化が進んでおり、犯罪情勢も変化しております。  このように社会環境が大きく変化する中で、治安を守る警察といたしましては、その変化に対応すべく、装備品を改良・強化するとともに、IT技術や専門機材等を有効に活用することが必要であると認識しております。  そこで、県警察では、地域の治安を守るべく、警察官が使用する装備品につきましては、受傷事故を防止し、的確に被疑者を制圧するために、耐刃防護衣の改良に取り組んでいるほか、刺股や女性警察官が使用する警棒を軽量化して機能性の向上を図っており、これら装備品を効果的に活用することができるよう事案に即した実践的訓練を反復実施しているところであります。  他方、増加する訪日外国人への対応として、警察施設の英語表記等を進めているほか、複数の言語に対応できるようタブレット型翻訳機の試験導入や通訳官の育成に努めております。  また、深刻化するサイバー犯罪に対しましては、第一線で勤務する交番等の警察官に対しても、対処能力を向上させるための基本的教養を徹底するとともに、関係機関とも連携を強めて対策を強化しているところであります。  県警察といたしましては、社会環境の変化に柔軟に対応しながら、安全性・機能性に配意した装備品の改良等を図り、現場執行力を高めて、地域の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。  新田耕造君。    (新田耕造君登壇、拍手) ◯新田耕造君 それでは、再質問をさせていただきます。  教育長に再質問をさせていただくのですが、決して、いじめるつもりはないのです。私はSANAAさんのところのいろいろな疑問を申し上げました。それで、事業者とどのような協議を行い、どのような回答が得られているのかという質問をさせていただきました。我々いろいろと要求をしているわけです、これをしたらどうかと。先ほどの答弁の中には、それに対する回答が、漠然としたものはありましたけれども、もう少し、これはできるとかできないとか、そういう具体的な回答がなかったのか、その辺を再質問をさせていただきたいと思います。  我々は本当にそういう意味では、会派で県内外でいろいろこの体育館については勉強してきたところでございます。非常にこの県立体育館の建設については、我々自身も責任と、あるいは後々のことも考えて、いろいろ勉強してきたわけです。その中で、我々はいろいろなことを委員会でも言わせていただきました。たしか前回の話では、二回ほどしていると、向こうと協議をですね。その辺でなかなか言えないのかもわかりませんけれども、若干の、もう少し前向きな、具体的などんな回答があったのかということを、ぜひこの場で言っていただきたいと思います。(拍手、降壇) ◯議長(花崎光弘君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。  工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)新田議員の再度の御質問にお答えいたします。  先ほども申し上げましたように、これまでの協議の中で、同事務所に対して、教育委員会といたしましては、知事部局と連携して、新県立体育館をどのような施設にしたいのか、また、提案書では明確になっていないと県議会から御指摘いただいた点などについて、直接お伝えしているところであり、現在の段階では確認を進めているところでございます。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)一般質問を続行いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 さきの大阪北部地震、それに続いて、記録的豪雨で未曽有の被害が発生しました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。  それでは、一般質問を行います。  まず初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねします。  浜田知事が知事に就任し、二期八年が過ぎようとしています。浜田県政の八年間が県民にとってどうだったのか、この際、明らかにする必要があります。  私は、安倍政治の香川への持ち込みを進めた浜田県政の三つの大きな問題点を指摘したいと思います。  第一は、うそとごまかし、憲法を壊す安倍政権言いなりの県政だということです。  安倍政権は、森友・加計問題の疑惑解明にふたをしたまま、社会保障の切り下げ、過労死促進法と言われる働き方改悪、地域と農業を一層破壊するTPP11の強行など、国民との矛盾を深めています。さらに、外交でも北朝鮮問題で米朝首脳会談が開かれ、平和への歴史的な可能性が生まれている中、圧力一辺倒の対応を進め、世界から孤立し、内政でも外交でも完全に行き詰まっています。  浜田知事は、安倍政権が狙う九条改憲について「議論することが重要」と述べ、原発問題では全国で浜岡原発に次いで危険だと言われる伊方原発の再稼働中止を求める世論に、国の責任で判断すべきと、県民の命を守る役割を放棄する姿勢をとってきました。  また、安倍政権は、企業が一番活動しやすい国にするとして、働く者の権利を奪い、さらに一連の民営化を打ち出していますが、それを率先して具体化しているのが浜田県政です。仙台空港に続いて、全国二番目の高松空港の民営化、そして民営化に道を開く全国発の水道事業の全県一元化がなされました。利益優先ではなく、県民の命と安全こそが守られなければなりませんが、浜田県政は安倍政権の言いなりです。  第二は、この八年間、県民生活において格差と貧困を拡大してきたことです。四国の財界と県が一体で四国新幹線導入の大キャンペーンをしています。利用者数を過大に見積もり、約一兆六千億円もつぎ込む四国新幹線計画は、孫子の代にまで莫大な借金を負わせるだけでなく、通勤・通学に欠かせない在来線の切り捨てが避けられません。高松西インターチェンジと高松空港を結ぶ約三キロの地域高規格道路は、わずか数分間の時間短縮のために百五十七億円がつぎ込まれようとしています。このように、大型公共事業優先で、老朽化した県営住宅の修繕は後回しにするなど、浜田県政は財界・大企業奉仕の県政だと言わなければいけません。  一方で、一人当たり県民所得は、一人当たり国民所得に比べ、二〇一二年度は三万円下回っていましたが、二〇一五年度には十五万円も下回り、その差が開いています。とりわけ雇用では、劣悪な条件の非正規労働者が二〇〇二年に十一万人、全体の二八・〇%でしたが、十年後の二〇一二年には十四万人、三五・三%へと急増しました。現行の最低賃金、時給七百六十六円を中小企業を支援して当面千円に引き上げることは待ったなしの課題です。  農業では、国が本年度から十アール当たり七千五百円の直接支払交付金を打ち切り、農業経営の厳しさは増すばかりです。私は、新潟県が始めた営農条件が不利な中山間地域における集落営農組織などへの十アール当たり一万五千円の公的サポートモデル事業の提案をしましたが、浜田知事は背を向けたままです。  また、中小業者が要望している住宅リフォーム助成制度の創設にも背を向けています。この間、県内の中小企業の事業所数は二〇〇九年から二〇一四年のわずか五年間に三万六千三百二十九から三万二千七百四十三へ、三千五百八十六もの事業所が減少しました。本県では、事業所数の九九・八%が中小企業であり、そこに働く労働者は八三%を占めています。  以上のように、浜田県政の八年間は、大企業が潤えばやがて国民にも回ってくるというアベノミクスへの追随であり、貧困と格差を広げただけの結果となっています。  第三は、浜田県政は、県民の願いを聞かない冷たい県政です。今、県民が一番望んでいるのは福祉・医療の充実です。病院のベッド数は、二〇〇一年から二〇一六年までの十五年間に二割も減少しました。国民健康保険の都道府県単位化でさらなる保険料の値上げが広がる中、県として市町に補助すべきとの要求にも背を向けたままです。介護保険では、本年度県平均で九・四%も値上げされ、東かがわ市では二五・一%、三木町、小豆島町でも二割を超える値上げとなり、国や県への助成を求める声が広がっています。  子育て支援でも、各市町において、入院、通院とも直島町が十八歳に達する年度末まで、高松市以外の市町が中学卒業まで子供の医療費を無料化しており、市町任せでなく県の制度にすれば、市町ではさらに高校卒業まで無料化への道が開かれます。  このように、県民の願いを聞かない冷たい浜田県政の転換を求める声が高まっています。  以上のように、浜田県政は安倍政権言いなりの県政、格差と貧困を拡大してきた県政、県民の声を聞かない冷たい県政であり、大きな問題があると私は考えますが、知事の御所見をお示しください。  次に、新県立体育館の整備についてお尋ねします。  県立体育館整備等に関わる特別委員会の委員長報告にもありますように、公募型のプロポーザル方式で基本・実施設計業者が選定されましたが、その業者選定の公開プレゼンテーションでは、どの提案も外観やデザインの説明に重きを置いており、使い勝手の視点が余り入っていないものでした。そうしたことから、「外観は必要であるが、旧県立体育館がそうであったように、後年の維持管理費や改修費などが大きな負担となってはならない」、「外観のデザインだけではなく機能性を重視すべき」などの意見が出され、六月四日に臨時議会を開き、特別委員会の設置が決まったわけであります。  本来、特別委員会の設置は、年度初めの五月臨時議会で設置するものであるにもかかわらず、六月に入って臨時議会まで開いて特別委員会を設置しなければならないというのは異常な事態だと思いますが、知事はどのように考えておられるのか、お答えください。  私は、二百億円もの予算を使って新たな体育館を整備するのに議会に十分な説明もせず、既定の方針どおりに知事や教育長が進めようとするのはおかしいと思い、特別委員会の設置に賛成しましたが、何と全会一致で決まりました。これは、浜田知事のやり方が拙速過ぎており、人の意見を聞かない独善主義ではないかと思いますが、反省することはありませんか。お尋ねをいたします。  私は、特別委員会に出席し、参考人招致した三人の有識者からの意見や当局からの説明を聞いてきましたが、疑問に感じた点について、以下四点、教育長にお尋ねをいたします。  第一点は、規模は最大一万人収容できる中四国で最大級の施設設置計画となっていますが、需要予測はコンサート二十五公演、延べ利用日数百日、MICE延べ利用日数六十三日、スポーツ大会はメーンアリーナ三十七日、サブアリーナ七十四日、武道施設三十一日の計百四十二日となっています。本当にこれだけの利用が見込めるのでしょうか。私は、需要予測は見直すべきと考えますが、お答えください。  第二点は、収支シミュレーションです。収入が年間二億八千百万円で、支出が推計の最大値で年間四億円、最初の計画から年間一億一千九百万円の赤字計画となっています。スポーツ大会は収入が見込めないのはわかりますが、毎年赤字を出すのがわかっているのであれば、施設規模を見直し、予算規模も抑えるべきではないでしょうか。  第三点は、運営についてです。最初から民営化が前提となっています。新香川県立体育館整備基本計画の中に、管理運営手法としてコンセッション、公共施設等運営権制度と指定管理者制度の比較が記されていますが、県が直営で行う場合の比較も出して、総合的に検討すべきと思います。企業のもうけを前提とした民営化には反対です。基本的なお考えをお示しください。  第四点は、設計業者に決まったSANAAの海と山と空に呼応する公園のような体育館についてです。総務委員会文教厚生委員会で各委員から質問が相次ぎましたが、委員の皆さんが一様に指摘したのが、デザイン重視で機能性や利便性に乏しいのではないかということです。私は、特別委員会の提言書を踏まえ、デザインだけではなく、機能性、利便性を重視した県民に愛される施設を望むものでありますが、お考えをお示しください。  次に、児童虐待の防止についてお尋ねします。  まず初めに、痛ましい船戸結愛ちゃんの虐待死事件に対し、心から哀悼の意を表します。この問題については各会派が質問していますので、私は、児童相談所と警察との情報の全件共有についてはやるべきでないという立場から質問をします。  NPO法人シンクキッズから、香川県知事に対して、児童相談所と市町村、警察の情報共有と連携しての活動を求める緊急要望書が、東京都議会議長に対して、児童虐待・虐待死根絶に関する陳情書が提出されました。その内容は、虐待死等重篤な事案は児童相談所が警察と情報共有せず、案件を抱え込んだ事案で発生しているとして、高知県や茨城県、愛知県のように、児童相談所は把握する全ての虐待案件について情報を共有すべきとしています。  しかし、私は、第三者委員会の検証が始まったばかりであり、そのような中で、児相と警察との虐待情報の全件共有へと議論を進めることには賛成できません。全件共有の議論の根底には、品川の児相が訪問に行ったが子供に会わせることを拒否された、そのときに警察に連絡をしていれば助かったはずだ、警察に連絡をして強制介入すべきだったという考えがあると思います。今回のケースは、どの時点で子供が確実に保護可能な状態になったかわからない、二月の訪問の時点で確実に衰弱しているとか、あざがあるとかの根拠がなければ警察も動きにくい状況は同じです。現在でも、緊急度が高いケースの場合は、児相と警察との情報共有はなされているわけで、基本は福祉的かかわり、しかし、緊急度が高く、時間との闘いの場合は警察の介入という体制がとられています。問題は、その緊急度の評価の精度を上げることであり、そのためには、児相の人員をふやすことが重要だと考えますが、知事の御所見をお示しください。  人命にかかわる場合には、警察の介入は必要です。しかし、警察が全件共有しても対応は変わりません。なぜなら、警察に全件が持ち込まれても、全件になど対応できるはずがなく、結局は児相が介入の順位づけをしなければならないからです。そして、私が心配なのは、全ての事案が警察に情報提供されることになると、相談や通報をためらうようになりはしないかという点です。そうなれば、かえって虐待を水面下に潜り込ませてしまうことになりかねません。相談したい親のハードルは常に低くしておかなければならないと考えますが、知事の御所見をお示しください。  私は、児童虐待防止は、事後対策型ではなく予防型に変えるべきだと考えます。児相の体制及び人員を強化し、スキルアップに努めることができる十分な機会を用意すること、そして、地域の構成員である私たちが虐待を正しく理解すること、不用意に親を追い詰めていかないことが重要だと考えますが、知事の御所見をお示しください。  次に、地震対策についてお尋ねします。  政府の地震調査委員会は、ことし二月、南海トラフを震源とするマグニチュード八から九クラスの地震が起きる確率が七〇から八〇%に高まっているとの評価結果を発表。また、土木学会は六月、南海トラフ地震が起きた場合、二十年に及ぶ経済的被害は一千四百十兆円に上り、国難レベルの災害になるとして、対策の強化や都市機能の分散を進めるべきとしています。さらに続いて地震調査委員会が、三十年以内に震度六弱以上の地震が発生する危険性を示す全国地震動予測地図二〇一八年版を公表しましたが、四国では、高知七五%、徳島七三%、高松六三%と、昨年より一ポイントずつふえ、発生確率が確実に上昇しています。  こうした中で、六月十八日、大阪北部地震、震度六弱が発生し、死者四人、負傷者約四百三十人で、住宅被害は約二万六千四百棟を超えております。高槻市の市立寿永小学校では、外周のブロック塀の下敷きになって四年生の女の子が死亡しました。文部科学省は、学校の塀は耐震点検の対象外だったことを認め、各学校設置者に安全点検を求める通知を出しましたが、本県における調査結果はどうなっているのか、教育長にお尋ねします。  私ども県議団は、六月二十八日に大阪北部地震を受けての緊急申し入れを知事並びに教育長に行ったところです。  高松市では、倒壊のおそれのあるブロック塀の撤去作業を開始しているほか、通学路の点検を行っている学校もあると伺っています。そこで、学校の塀だけではなく、民間住宅・施設で早急に手だてが必要な塀の撤去・改修について、県として助成制度を創設すべきと考えます。知事の御所見をお示しください。  また、今回の地震で本棚の転倒で一人の方が亡くなっていますが、家具や本棚などの転倒防止器具設置に対する助成制度も必要と思いますが、あわせてお答えください。  現在の国の被災者生活再建支援制度では、住宅の全壊で最大三百万円、半壊で最大二百五十万円が支給されますが、一部損壊は支給の対象外となっており、今回の大阪北部地震ではほとんどが一部損壊だと言われています。県としても、国に対し、一部損壊にも支給できるように被災者生活再建支援法を改正するよう強く申し入れるとともに、本県でも支給の対象とすべきと思いますが、知事の御所見をお示しください。  昨年度の県政世論調査では、「防災・減災社会の構築」が重要度で第一位となっています。ところが、住宅の耐震化は大変おくれています。平成二十五年住宅・土地統計調査によれば、住宅の耐震化率は全国平均八二%で、本県は七五%と七ポイントも下回り、全国第三十二位です。さらに、香川県南海トラフ地震・津波対策行動計画の評価結果によれば、住宅の耐震診断は目標に対し三五・七%の進捗率となっており、大きくおくれています。国は、二〇一五年までに九〇%、二〇二〇年までに九五%の目標達成を目指すとしていますが、本県として住宅耐震化率をどのように向上させるおつもりか、知事の決意をお伺いいたします。  なお、避難路沿道建築物の耐震診断の目標に対する進捗率は二八・三%、市町の福祉避難所の運営マニュアルの作成率も二九・四%で、これらも大変おくれていますが、あわせて知事のお考えをお答えください。  さて、老朽ため池の整備については、新聞報道によりますと、農業用ため池の密集率が全国一の香川県で、一万四千を超える中小規模のため池、貯水量十万トン未満について、防災対策が手つかずになっていると報じられています。私は、ため池の防災対策も大変おくれているという認識を持つ必要があると思います。抜本的対策の強化を求めるものですが、知事の答弁を求めます。  最後に、学校給食の無料化等について教育長にお尋ねします。  「学校給食のない長期の夏休みに体重が大きく減る子供がいる。それが原因で貧血で倒れる子供がいる。」こんな実態が全国に広がっていると言われています。学校給食のない休日において、世帯年収の低い世帯の児童は、緑黄色野菜や魚介類の摂取量が少なく、栄養素ではたんぱく質、多くのビタミン、ミネラル類の摂取量が少なく、炭水化物の摂取が多いと言われています。こうした中で学校給食は、低所得世帯の児童の栄養状態の改善、ひいては学びへの意欲や健やかな成長の土台をつくるものとして、大きな役割を果たしています。  格差と貧困が広がる中での保護者負担の軽減だけでなく、少子化対策など地域の活性化、子育て支援や食育推進の一環として、学校の給食費無料化や補助制度を創設する自治体がふえています。全日本教職員組合の二〇一六年調査によりますと、給食費補助を実施している自治体は百九十九市区町村、二〇一七年九月の「しんぶん赤旗」の調査では、全額補助しているのは八十三市町村に上っています。また、都道府県別に見ますと、群馬県の六二・八%、山形県の三七・一%、福島県の三七・八%の市町村が全額補助も含めて補助制度を実施しています。本県では三木町が第二子以降の子供に給食費を補助していますが、他の市町では実施されていません。  学校給食の無料化を推進する上で、行政側がよく言うのが、学校給食法第十一条で、施設・設備・運営に要する経費は学校設置者の負担、食材費は保護者の負担と定められているという言葉ですが、法制定当時の文部省自体が負担割合は地域の実情に応じてという事務次官通達を出しており、保護者負担の割合をゼロにすることも可能となっています。  さきにも述べましたように、子供の貧困が広がる中で、低所得世帯の児童の栄養状態の改善と健やかな成長の土台をつくるためにも、学校給食の無料化あるいは補助制度の創設は非常に重要と考えます。県として、学校給食法を今の現状に合わせた制度に改善するよう国に申し入れるとともに、市町に対する補助制度を創設すべきと考えますが、お答えください。  関連して、学校給食費の公会計化についてお尋ねします。  現在、全国の自治体で公会計化しているのは約三割、学校ごとに管理・運営する私会計が約七割と言われています。公会計化は、学校給食の実施主体である自治体が財政面でも責任を負うのが当然でありますが、文科省は教員の働き方改革として、教員の負担軽減を図るため、緊急提言として公会計化を求めています。本県で、公会計化した上で自治体が直接徴収しているのは、さぬき市、まんのう町の二自治体にすぎません。残る市町について、県として公会計化実施を強く求めるべきと思いますが、お答えください。  以上で一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(花崎光弘君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の御質問にお答えいたします。  まず、私の政治姿勢についてであります。  私は、人口減少の克服と地域活力の向上に向け、本県の実情を踏まえた施策を推進する必要があると考えており、将来にわたって安全な水を安定的に供給していくため、全国初の県域を対象とした水道広域化を進め、本年四月には香川県広域水道企業団による事業を開始したほか、インバウンド対策に積極的に取り組んできた結果、昨年の外国人延べ宿泊者数は約四十五万人となり、五年前からの伸び率は全国一位となったところであり、今後、高松空港株式会社と連携し、さらに地域の活性化が図られるよう取り組んでまいります。  また、私は、雇用を安定させ、労働者の賃金の増加につなげていくには、本県経済を活性化させ、県内企業が持続的に成長していくことが重要であると考えており、平成二十五年に国に先駆けて策定した香川県産業成長戦略に沿った戦略的な産業振興を進めるとともに、昨年四月にワークサポートかがわを開設し、県内企業の正規職員に特化した求人の支援を推進しているほか、中枢拠点機能の強化を図るための空港連絡道路の整備、さらには交流人口の拡大による経済活性化に加え、在来線の維持確保等を図る上でも重要である四国への新幹線導入などにも力を注いでいるところであります。  さらに、全ての県民の皆様が安心して暮らしていけるよう、本県独自の奨学金制度を創設したほか、各市町や関係機関等と緊密に連携を図りながら、医療・介護の充実やかがわ健やか子ども基金事業を初めとした子育て支援施策の充実にも取り組んできたところであります。  こうした施策の推進に当たっては、県政世論調査や県政モニターへのアンケート調査の定期的な実施のほか、各界各層との県政に関する意見交換会などにより、県民の皆様の声を伺い、施策の充実・改善を図っているところであります。  いずれにいたしましても、私は、引き続き、県議会はもとより、県内各市町との密接な連携のもと、成長する香川、信頼・安心の香川、笑顔で暮らせる香川の実現のために全力で取り組んで、県民の皆様の満足度を高めて、幸せをもたらすよう目指してまいりたいと考えております。  次は、新県立体育館の整備についてであります。  新県立体育館については、平成二十六年に旧県立体育館が閉館する中、県教育委員会において整備に向けた調査検討を開始し、各議会ごとに県議会等の御議論をいただきながら検討を進め、平成二十八年十二月に新県立体育館整備の基本的な方針が取りまとめられ、昨年十一月には、新香川県立体育館整備基本計画案を県議会全員協議会で御説明し、十一月議会での御議論を経て、基本計画が取りまとめられたところであります。
     また、本年二月には、この基本計画の内容に沿って、公募型プロポーザル方式により技術提案等を求め、先月二十日に有限会社SANAA事務所を最優秀者に特定し、現在、契約締結に向けた協議を行っており、提案書に記載された内容に関して、プロポーザル評価委員会から「再考」との指摘のあった地下駐車場や、県立体育館整備等に関わる特別委員会の提言書等で「必ずしも明確になっていない」と御指摘を受けた点を伝え、適切な内容となるよう確認を進めているところであります。  県立体育館整備等に関わる特別委員会の設置につきましては、県立体育館の整備の重要性に鑑み、県議会において、県立体育館の整備等に関わる必要な事項の調査検討を行うためになされたものと受けとめております。  いずれにいたしましても、今後とも、県議会を初め、関係者や専門家の御意見もいただきながら、県民の皆様の待ち望む新県立体育館が、利用者にとって利用しやすい魅力ある施設となるよう取り組んでまいります。  次に、児童虐待の防止についてであります。  警察との情報の全件共有につきましては、全件共有することにより保護者等が相談や通報をためらうことにならないよう、全件共有を始めている他県の取り組みや評価について情報収集を行い、児童相談所と警察の、より緊密かつ的確な情報共有について検討を進めてまいりたいと考えております。  また、児童相談所では、介入と支援との両方の役割を担っており、個々の事案に対し適切な対応を行うためには、高度な支援技術と豊富な専門知識を有する職員の育成が必要であります。このため、児童相談所で虐待の対応に当たる職員を過去十年間で計二十名増員するなどの体制強化を図ってきたところですが、今後、一層の体制強化について検討するとともに、専門研修への職員の派遣や研修の充実などにより、虐待対応力の強化を図ってまいります。  議員御指摘のように、虐待の未然防止は特に重要であると考えており、各市町が実施する妊婦健診や乳幼児健診等において、支援が必要な妊産婦や子育て家庭がある場合は、児童相談所において情報共有の上、連携しながら相談に対応し、未然防止や早期発見に努めております。  さらに、児童虐待防止講演会の開催や広報誌による啓発等、さまざまな機会を捉え、児童虐待に関する理解と関心を高めるとともに、各市町や保育所、学校、警察等関係機関との通報・連絡体制を強化し、地域全体で子供を守る体制の充実を図ってまいります。  私といたしましては、こうした取り組みを徹底し、児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応に万全を期してまいります。  次は、地震対策のうち、民間建築物及びため池の耐震化等についてであります。  まず、ブロック塀の安全対策や家具類の転倒・落下防止対策については、国の動向や先進事例に関する情報収集に努めつつ、各市町の御意見を十分に伺った上で、議員御提案の助成制度も含め、さまざまな角度から検討してまいりたいと考えております。  また、被災者生活再建支援制度については、全国知事会を通じて適用範囲の拡大等を国に要望しているところであり、県としては、引き続き、制度の拡充を国に働きかけてまいります。  次に、民間住宅の耐震化については、耐震改修費の助成事業や建築士による無料相談会などに加え、今年度は、新たに民間住宅耐震補強低コスト工法モデル事業などを実施し、より安価に短い工期で耐震改修ができる低コスト工法の普及を通して、民間住宅の耐震化をより一層促進してまいります。  避難路沿道建築物の耐震化については、建物の老朽化や改修資金のめどがつかないことから、耐震診断に踏み込めないとの声も伺っており、引き続き、各市町と連携して戸別訪問を実施し、所有者に対して直接耐震化の重要性を丁寧に説明することにより、耐震診断が促進されるよう努めてまいります。  また、各市町の福祉避難所運営マニュアルにつきましては、県が作成した福祉避難所設置・運営マニュアル作成の手引きを活用して、できるだけ早く作成するよう、各市町に対して働きかけてまいります。  さらに、ため池の防災対策については、今年度を初年度とする第十一次老朽ため池整備促進五か年計画に基づき、老朽化した貯水量五千立方メートル以上の中規模ため池を重点的に整備するとともに、決壊により甚大な被害の発生が想定される防災上重要な中小規模ため池を対象に、必要な耐震化整備を行うなど、計画的かつ積極的に推進してまいります。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)樫議員の御質問にお答えいたします。  まず、新県立体育館の整備についてであります。  需要予測と収支シミュレーションについては、新県立体育館の基本計画の策定に当たり、交流推進施設としての利用用途やその利用頻度等をあらかじめ調査・推計し、メーンアリーナ等の各施設の規模や機能を決定するため、昨年度、コンサルタント会社に委託して市場調査を実施したところであります。  この中で、需要予測については、他のスポーツ施設やMICE施設の状況、市場動向を考慮するとともに、コンサート興行主やMICE運営会社、スポーツ団体等に対し、利用が見込まれるイベントの種類や開催日数等について、ヒアリング等を行った結果をもとに、適正に推計されたものと考えております。  また、収支については、支出が収入を上回る結果となっておりますが、公共サービスを目的とする公立体育館として、一定の負担は生じるものと考えております。  次に、新県立体育館の管理運営については、できる限り民間のノウハウを活用していきたいと考えておりますが、今年度行う管理運営方法調査において、県がみずから運営する場合のほか、官民連携の手法を総合的に比較検討し、利用者にとって低廉で良質なサービスが提供できるよう検討してまいります。なお、ランニングコストの圧縮は重要な課題であると考えており、この調査の中で、需要予測や収支についても、さらに精査してまいります。  今後実施する施設の設計に当たっては、新県立体育館整備基本計画をベースに、県立体育館整備等に関わる特別委員会の提言書も踏まえ、機能的で利用しやすい魅力ある施設となるよう取り組んでまいります。  次に、地震対策のうち、学校におけるブロック塀の安全点検についてであります。  県教育委員会では、国からの要請も踏まえ、先月二十日に各市町教育委員会に対して、学校に設置されているブロック塀等の安全点検の結果及び安全対策等の実施状況について報告を依頼したところです。  点検に当たっては、高さの制限や控え壁の設置のほか、経年による劣化や損傷のぐあい等、ブロック塀等の安全対策の基準に適合しているかどうかを確認しており、各市町教育委員会の報告を現段階で取りまとめたところ、県内の小学校百五十七校のうち五十七校、中学校六十五校のうち二十二校で、基準に適合していない疑いのあるブロック塀等が設置されており、そのうち小学校四十四校、中学校十六校で、これらのブロック塀等が道路に面しているという結果が出たところです。また、県立学校については、高校と特別支援学校を合わせた三十七校のうち二十九校で基準に適合していない疑いのあるブロック塀等が確認されたところです。  県教育委員会といたしましては、各市町教育委員会や関係機関と連携し、ブロック塀等の安全対策を初めとした防災対策を推進することにより、児童・生徒の安全確保が一層図られるよう取り組んでまいります。  次に、学校給食の無償化等についてであります。  学校給食の食材費は保護者の負担となっておりますが、各市町では基準に定める収入に達しない保護者については、就学援助制度を活用し、経済的に納付が困難な家庭を支援しているところです。  議員御指摘の給食費の無償化については、保護者の経済的な負担の軽減を図ることができますが、多額の経費を要することなどから、地域の実情等に応じて、各学校の設置者が判断すべきものと考えています。このため、制度改善に係る国への申し入れや市町に対する補助制度の創設については、各市町の判断を受けて検討すべきものと考えています。  また、公会計化については、文部科学省において、昨年十二月に取りまとめた学校における働き方改革に関する緊急対策の中で、業務の役割分担・適正化を着実に実行するための方策として、自治体において学校給食費の公会計化及び徴収・管理を行う必要があると位置づけ、その導入に向けたガイドラインを作成する予定であると承知しております。  本県では、公会計化した上で給食費を直接徴収しているのは二市町となっておりますが、県教育委員会では、自治体による給食費の公会計化及び徴収・管理は、教職員の働き方改革に資することから、今後作成される国のガイドラインを注視するとともに、各市町教育委員会に対して、国の動きや、既に公会計化を実施している好事例について情報提供することで、公会計化及び直接徴収を促し、教職員の負担軽減に努めてまいります。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 再質問を行います。  私は、知事の政治姿勢についてお尋ねし、問題点も指摘しましたけれども、知事の答弁は、八年間やってきた成果ばかりのお話でした。私は、浜田知事が、航空便の路線拡大や県産品の販路拡大でのトップセールスや、また、地域活性化に努力してきたことを否定するものではありません。しかし、四国新幹線導入や高松空港の民営化など、財界や大企業ばかりに目が向いているのではないか、県民の暮らしに目が向いていないのではないか、こういう立場で質問をしたわけであります。  また、水道事業の全県一元化では、設立準備協議会で浜田知事は、一歩先んじた先進的モデルということで全国から注目をされていると、こういうふうに述べられたと聞いておりますが、全国一の成果だと自画自賛をしているのではないでしょうか。これこそ私は、安倍政権のお先棒を担ぐものではないかと、こういうふうに思うわけでございます。私は、浜田県政は安倍政権言いなりの県政ではないか、格差と貧困を拡大してきたのではないか、県民の声を聞いていないのではないか、こういうことで御質問したわけでございますが、答弁は全くすれ違っております。こういう三点について、もう一度お答えをいただきたいというふうに思います。  それからもう一点は、体育館の問題ですが、六月に入って臨時議会まで開いて特別委員会を設置しました。なぜそうなったのか。私は、浜田知事のやり方が拙速過ぎており、人の意見を聞かない独善主義じゃないですかと、こういうふうに申し上げましたが、知事のお答えは、今までの経過の説明ばかりでありました。もう一度お尋ねしますが、反省することはないのでしょうか。きっちりと県民にわかりやすくお答えをいただきたいというふうに思います。  再質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(花崎光弘君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の再質問にお答えいたします。  再度のお尋ね、繰り返しのお尋ねでございますけれども、私は、心は温かい人間でございます。県政につきましても、笑顔で暮らせる香川を目指して、県民の皆様のための温かい県政を引き続き推進してまいる所存でございます。国に対しても言うべきことは言い、また、貧困格差の是正に向けて全力を挙げておりますし、県民の声につきましては、先ほども御答弁申し上げたとおり、いろいろなところで、議会の声はもちろんでございますけれども、お伺いして、それを県政に反映させようと努力しているところでございます。  県立体育館特別委員会の設置につきましても、先ほど御答弁したとおりでございますけれども、これまで、各議会ごとにきちんとお示しして、それに対する質疑も行われ、それについてお答えもしてきたところと承知しております。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)一般質問を続行いたします。  谷久浩一君。    (谷久浩一君登壇、拍手) ◯谷久浩一君 さきの大阪北部を震源とする地震、また、今までに経験したことのない集中豪雨でお亡くなりになられました方々に対し、謹んでお悔やみを申し上げますとともに、また、被災されました方々に対しましては、心よりお見舞いを申し上げさせていただきます。  また、行方不明の方々の一刻も早い救出と、救助、復旧に当たっておられる御関係の皆様方の御安全を心より祈念申し上げる次第でございます。  それでは、質問に入らせていただきます。  質問の一点目は、四国八十八箇所霊場と遍路道の世界遺産登録についてであります。  私の地元である小豆島には、小豆島八十八ケ所霊場があります。小豆島八十八ケ所は、弘法大師が讃岐の地から上京し、あるいは帰郷する際に、しばし立ち寄り、各所で修行を行ったとされる霊験あらたかな霊場であります。約百五十キロメートルの行程には、かつての遍路道が現在も歩くことのできる状態で数多く残されており、ふだんの生活では見ることのない動植物や四季の変化に発見や感動を覚えながらめぐる遍路道には、小豆島八十八ケ所ならではの魅力があふれています。  さて、私からは、平成二十七年四月に、その日本遺産第一号として認定され、世界文化遺産の登録に向けた取り組みが進む四国八十八箇所霊場と遍路道について、知事にお伺いをいたします。  地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出され、過去から現在へと受け継がれてきた人類共通のかけがえのない財産、それが世界遺産であります。具体的には、昭和五十年に発効したユネスコの世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約に基づく世界遺産リストに登録された文化財や景観、自然などを指し、このリストに登録された世界遺産は、人類が共有すべき顕著な普遍的価値を有するものとして、国際的に保護・保全がなされることとなります。  我が国も、平成四年に条約に加わり、翌平成五年に法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、白神山地、屋久島の四件が世界遺産リストに登録されて以降、先日登録された長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産に至るまで、国内から文化遺産十八件、自然遺産四件の、合わせて二十二件が登録されています。  さて、四国八十八箇所霊場と遍路道の世界文化遺産登録に向けた取り組みの始まりは、今から十二年前にさかのぼります。平成十八年十一月、四国四県から文化庁に対し、登録を共同提案するとともに、翌平成十九年十二月には、関係五十八市町村を加えて再提案を行いました。その結果、平成二十年九月に、文化審議会文化財分科会から、世界文化遺産の登録に向け、「提案書の基本的主題を基に準備を進めるべきもの」と評価を受けるとともに、「資産の保護措置の改善・充実」、「顕著な普遍的価値を証明すること」の二点が課題として示されたのであります。  以降、本県では、世界遺産登録に向けた課題を解決するべく、計画的に札所寺院や遍路道の調査を行ってきました。「遺構の遺存状態や境内地の景観が不十分な札所があり、一括での史跡指定は困難である」との文化庁の見解に沿い、史跡指定を受けようとする遍路道や札所寺院ごとに保護を進めようとするものであり、具体的には、市町で遍路道の調査を、県で札所寺院の調査をそれぞれ行ってきたところであります。さらには、史跡としての保護が困難な遍路道や札所寺院は、同じく、文化財保護法に基づく名勝・重要文化的景観や、各市町の景観条例に基づく手法での保護を目指し、行く行くは八十八箇所霊場寺院と遍路道の全てを保護する計画と伺っております。  まずは、遍路道や札所寺院の史跡としての指定を進め、世界遺産指定の前段階としての世界遺産暫定リスト入りを目指すと聞いておりますが、私は、四国八十八箇所霊場と遍路道の魅力は、多くの人々の信仰により長く受け継がれてきた点にあると感じます。  遍路道は、これまで多くの人々によって繰り返し歩かれてきました。しかし、一つとして同じ道はないのであります。それぞれの人がそれぞれの思いを胸にめぐる道、それこそが遍路道の本質であり、それら数え切れない思いによって、今日に至るまで大切に守られてきたのです。  私は、四国八十八箇所霊場と遍路道の世界文化遺産登録は、四国の地に住む我々のみならず、これまで遍路道をめぐり、今日まで受け継いできた多くの人々の悲願であって、その実現に向け、着実な取り組みを進めていただきたいと考えておりますが、国から示された課題である「資産の保護措置」と「顕著な普遍的価値の証明」について、それぞれ取り組みの進捗状況や今後の見通しについて、知事にお伺いをいたします。  また、世界文化遺産登録に向けては、本県のみならず、他県とも連携の上、取り組みを進める必要があると考えますが、他県の取り組み状況や四県での連携状況、世界遺産暫定リスト入りに向けた展望について、改めて知事にお伺いをいたします。  質問の二点目は、ユニバーサルツーリズムへの対応についてであります。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、観光庁ではユニバーサルツーリズムへの対応に向けた取り組みが進められています。  ユニバーサルツーリズムとは、全ての人が楽しめるようつくられた旅行を言い、年齢や障害の有無等にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指すものです。東京二〇二〇大会では、世界中から高齢の方や障害のある方などが我が国を訪れることが予想されることから、その受け入れ環境を整えようとの取り組みであります。  本県においても、大会開催に向け対応が必要と考えますが、ここで、ユニバーサルツーリズムへの取り組みの必要性は、当該大会に限ったものではありません。ユニバーサルツーリズムの主な対象となる高齢の方や障害のある方の割合は、国内総人口の三割以上を占めています。旅行者に占める高齢者の比重は、今後、さらに高まることが予想されます。  私は、急速に少子高齢化が進展する我が国にあって、今後、交流人口の拡大を図っていくためには、高齢の方や障害のある方にも本県を訪れていただきやすい環境づくりを進め、本県への旅行者の裾野を広げることが不可欠であって、そのためにもユニバーサルツーリズムへの対応が必要と考えるのであります。  さて、加齢や障害などによって何らかの配慮が必要である旅行者を受け入れるに当たっては、難しいことと捉える向きもありますが、私は、特別に身構える必要はないものだと考えます。高齢の方や障害のある方も、特別扱いを望んでいるのではありません。仲間と一緒に過ごし、滞在を楽しみたいと考えておいでの方が大半なのです。  ユニバーサルツーリズムの実践に当たっては、バリアフリー、ユニバーサルデザインの両方の取り組みをあわせて推進する必要があります。すなわち、高齢の方、障害のある方が旅行をする上で、バリアとなるものを除去するとともに、新たにバリアをつくらない対応を行うものです。これらの実現は、高齢の方や障害のある方が、気兼ねなく滞在をし、移動することを可能とするだけではなく、受け入れ側にとっても、特別な配慮をせずとも、安心して受け入れられることへとおのずとつながっていくものです。施設を整備することを通じ、意識の面からも、バリアフリー、ユニバーサルデザインを整え、誰もが訪れやすい香川県を構築していく必要があると考えます。  ユニバーサルツーリズムへの対応に向けた取り組みには、まずは、観光地や、観光地までのアクセスに係る交通機関、滞在先となる宿泊施設のバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化が求められることになりますが、それらハード面を一朝一夕に整備することは困難です。また、歴史的観光地や自然観光地においては、ハード整備が困難な側面もあります。  私は、観光地や交通機関、宿泊施設におけるハード整備を着実に進めることと並行して、当面の対応として、車椅子の設置や介助などの代替手段の工夫を講じていくことが必要と考えます。さらには、旅行者に観光地のバリアフリー情報の提供のみならず、観光地のバリア情報をも提供するなど、情報発信に努め、旅行者みずからが行動を選択することができる環境を整えるよう、取り組みを進めていくことが重要と考えます。  そこで、高齢あるいは障害のある旅行者の受け入れ環境整備について、これまでどのように取り組み、今後、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  また、ユニバーサルツーリズムの対象となるのは、高齢の方や障害のある方ばかりではありません。  安倍内閣は、観光立国を成長戦略の柱とし、二〇二〇年までに訪日外国人旅行者数四千万人を達成するべく各種の施策を講じています。これにより、平成二十九年における訪日外国人数は、過去最高の二千八百六十九万人に及んでいます。  平成三十年版観光白書では、平成二十四年から平成二十九年までの過去五年間における外国人延べ宿泊者数の増加率について、本県が全国一として取り上げられるなど、本県を訪れる外国人旅行者も増加しています。言語や日本の慣習にふなれであり、あるいはハラール対応など食事面で配慮が必要な外国人旅行者のバリアを取り除く取り組みも必要となってきているものと考えますが、外国人旅行者の受け入れ環境整備に係るこれまでの取り組み状況と今後の取り組み方針について、知事にお伺いをいたします。  質問の三点目は、オリーブ新品種の生産拡大についてであります。  今議会の我が会派の代表質問において香川議員から、オリーブ牛を初めとしたオリーブ畜産物のブランド化の推進について質問をいたしました。私からは、オリーブオイルの原料からオリーブ畜産物に与える飼料まで、幅広く活用が進むオリーブそのものの生産、特に新品種の生産に関して、知事にお伺いをいたします。  明治四十一年に、当時の農商務省が、三重県、鹿児島県と本県の三県を選定し、オリーブの試作を始めてから本年で百十年という記念すべき年を迎えます。これまでの先人たちのたゆまぬ努力により、香川県だけが栽培に成功して以降、今やオリーブは、本県の特産品として全国に広く知られるに至っております。  この間、オリーブオイルの輸入自由化や病害虫による被害等に直面し、昭和六十年代には作付面積が三十ヘクタールまで激減したこともありましたが、生産者や関係者の御尽力により、これらの困難を乗り越えてきました。また、平成十五年のオリーブ振興特区認定による企業参入を契機として、官民一体となったオリーブ生産拡大の取り組みが行われた結果、オリーブの栽培は小豆島だけではなく香川県全域に広がっており、その作付面積は順調に拡大しているとお伺いをしております。  また、オリーブオイルの需要についても、近年の健康志向の高まりに応じて拡大を続けており、本県にとっては大変ありがたいことと考えております。  オリーブオイル以外にも、オリーブを与えて育てたオリーブ牛、オリーブ夢豚やオリーブ豚、オリーブの葉を与えて養殖したオリーブハマチと、いずれも県内外で高く評価され、生産拡大に向けた取り組みが進められています。さらには、昨年度末には、新たにオリーブ地鶏がオリーブ関連商品の仲間入りを果たすといううれしいニュースがありました。  さきの香川議員の代表質問に対し、知事から、本県の強みを生かしたオリーブ畜産物のブランド化の推進に積極的に取り組むとの答弁があり、大変心強く感じているところです。  しかし、一方で、オリーブオイルの需要の高まりを背景に、今や、北は宮城県から南は鹿児島県まで、他県においてもオリーブの生産が始まり、その作付面積は着実に拡大しているとお聞きします。近い将来には、本県のオリーブ生産を脅かすおそれもあると懸念されています。  私は、引き続き、オリーブの生産拡大を図ることはもとより、オリーブオイルのさらなる高品質化や県産オリーブのブランド化を図ることを通じ、本県オリーブ産業の地位がさらに確たるものとなっていくよう取り組みを進めていただきたいと考えております。  こうした中、昨年十二月に、小豆オリーブ研究所が開発したオリーブ新品種、香オリ三号と香オリ五号について、農林水産省から品種登録の出願を受理したとの発表がありました。今後、他県との競合が激しくなることが予想される中で、本県にしかないオリジナル品種が開発されたことは、他県との間で品質面での差別化を図り、本県ならではのブランド化を推進する上で、強力な後押しになるのではないかと考えます。  また、この発表を耳にされた生産者の方々からも、今後の経営安定のため、ぜひ栽培をしたいとの声がよく聞かれます。  私は、本県オリーブ産業のさらなる発展に向け、オリーブ新品種の一刻も早い普及が求められると考えますが、オリーブ新品種の生産拡大について、今後、どのような取り組みを進めていくのか、知事にお伺いをいたします。  最後に、県立高校における学力向上対策及びグローバル人材の育成についてお伺いをいたします。  全国の高校から難関校と言われる大学への学校別の合格者数が週刊誌の誌面をにぎわす季節が過ぎ、春先に大学に進学した本県の高校の卒業生たちも新天地での生活になれ、学生生活を楽しんでいるころではないかと思われます。  今春の高松高校から東京大学への合格者数は七名、京都大学への合格者数は十三名であり、また、丸亀高校から東京大学への合格者数は三名、京都大学への合格者数は八名であったとのことです。高松高校から両大学への合格者数は、昨年度と比較して若干の減、丸亀高校に関しては増となったと伺っております。  無論、大学は自分のために学ぶ場であって、さきに挙げた二校ばかりが大学ではありません。価値観の多様化、相対化が進む中、自己実現を可能とする大学に進学し、将来に向かった学びを行うことが何よりも大切であることは言うまでもありません。一方で、私が受験生であったころなど、高松高校、丸亀高校から東京大学や京都大学への合格者数は、公立高校の中では全国でも上位にあると週刊誌で取り上げられていたころを知る者としては、県立高校の現状に危機感を感じるものであります。  さて、その若者たちの学びやであった高校について、近年、全国的な傾向として、中高一貫の私立学校が高い人気を集めています。このような学校では、中学校と高校をあわせ持ち、高校受験がないため、中学校段階から高校レベルの知識を授業に取り入れている場合が少なくありません。ひいては、高校の課程も早い段階で終わらせることができ、その後には万全の受験対策が行われています。これらが私学人気の一因ともなっています。  思えば、私が生徒であったころを振り返ると、高校普通科の勉強量は、中学校と比較して圧倒的に多く、授業のスピードも速く、入学の段階からついていくのがとても大変でした。中高一貫の私立学校においては、中学校の段階で高校レベルの知識を取り入れることで、中学校と高校との間に存する勉強量のギャップが埋められているのであります。  また、中学受験を経ることで、勉学に秀でただけでなく、学力レベルの近い生徒が集められており、結果、早い段階から生徒の学力に相応する授業が提供されています。その他、学校ごとに建学の精神や理念など校風がさまざまであり、それぞれの家庭の方針に合った特色ある教育が選択できる点も、私立学校の魅力として挙げられます。しかしながら、本県においては、長きにわたり大学への進学実績を牽引してきたのは県立高校であって、私は、県立学校を管理する教育委員会として、県立高校に通う生徒の学力の向上に注力をいただきたいと考えるのであります。  世界の急速なグローバル化の進展の中、義務教育の基礎の上に、高校、大学の段階において、これからの世界や日本を担う人材として必要とされる力を伸ばすことが求められています。  平成二十六年十二月二十二日中央教育審議会答申では、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」として、知識・技能の習得に加え、これらを活用して課題を解決するために必要となる思考力・判断力・表現力等の能力や、主体性を持ってさまざまな人と学ぶ態度を育むことの必要性が示されました。これを受け、大学入試センター試験を廃止し、二〇二一年度大学入学者から、一点刻みの試験による知識偏重型から入学希望者の学力や意欲、課題解決能力などを総合的・多面的に評価する大学入学共通テストを導入する旨の大学入試改革が行われることが決定しています。  また、本年三月三十日に高校の学習指導要領の改正が公示され、そこでも、知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成、学びに向かう力、人間性等の涵養の方向性が示されたところです。
     私は、グローバル化が進展した新しい時代を担う人材を育成するためには、県立高校においても、授業の充実に加え、授業外での学習支援を充実させるなど、知識や技能を十分に習得できるよう、私立学校に負けないサポート体制をとることはもとより、高校教育改革の趣旨に沿い、思考力・判断力・表現力の育成や、生涯にわたって学び続けるための目的意識の醸成が必要であり、これらの取り組みが大学入試改革への対応、ひいては進学実績の向上につながっていくと考えます。  ついては、県立高校における学力向上対策について、これまで具体的にどのように取り組み、今後、どのように取り組みを進めていかれるのか、教育長にお伺いをいたします。  また、グローバル人材の育成のためには、海外にも目を向ける必要があると考えますが、本県の県立高校では、現在、海外の学校との姉妹縁組はないと聞いております。教育委員会においては、昨年度から、高校生の海外交流推進事業において、高松空港と直行便のある台湾の高校や大学を中心に、県立高校との交流を推進するなどの取り組みを開始したところですが、異文化を理解し、国際感覚を身につけたグローバル人材の育成に向け、今後、どのように取り組みを進めるのか、教育長にお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(花崎光弘君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)谷久議員の御質問にお答えいたします。  まず、四国八十八箇所霊場と遍路道の世界遺産登録についてであります。  世界遺産登録に向けた課題のうち、資産の保護措置につきましては、札所寺院や遍路道といった構成資産の文化財調査等を継続的に実施しており、本県では、札所寺院については、昨年度までに県内の二十二カ寺のうち十七カ寺の調査を実施し、昨年十月には善通寺境内が国の史跡に指定されたところです。  今年度は、屋島寺、八栗寺等の調査を実施しており、残る三カ寺についても、できるだけ早期に調査を実施したいと考えております。  また、遍路道については、これまでに根香寺道と曼荼羅寺道が史跡指定を受け、現在、長尾寺・大窪寺間、大窪寺・霊山寺間の遍路道と、雲辺寺・大興寺間の遍路道の史跡指定の準備を、関係する市と連携して進めております。  他の三県においても同様に、札所寺院や遍路道の文化財指定等に向けた取り組みを行っており、構成資産の保護措置について、四県で工程表を作成した上で、計画的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、もう一つの課題である「顕著な普遍的価値の証明」についても、四県が連携して、四国遍路が人類全体の貴重な遺産であることの証明や、他の巡礼路との違いなどについて考え方の整理を進めてきたところであり、今年度から、さらに歴史学や考古学、文化的景観など、関係する分野の専門家から成る研究会を立ち上げ、世界遺産申請を見据えた四国遍路の普遍的な価値の理論構築を目指していくこととしております。  先月末、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が世界遺産に登録され、国内暫定一覧表記載件数は確実に減少しております。  私といたしましては、このような状況の中、他の三県や世界遺産登録推進協議会などと連携し、国内暫定一覧表の改定について、国に対し強く働きかけるとともに、関係団体と一緒になって、一層の機運の盛り上げを図り、四国遍路の世界遺産登録に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。  次は、ユニバーサルツーリズムへの対応についてであります。  まず、高齢あるいは障害のある旅行者の受け入れ環境の整備については、これまで交通機関において、鉄道駅の段差解消や、路線バスへのノンステップバスの導入支援に取り組むほか、香川県福祉のまちづくり条例に基づき、ホテルや駅、バスターミナルなどの公共的施設の階段、トイレなどを安全かつ快適に利用できるように整備基準を定め、所有者等に対し、基準への適合を働きかけてきたところであります。  また、県内の観光施設等のバリアフリー情報「おでかけマップかがわ」のホームページへの掲載や、援助を必要としていることが外見からはわからない方が援助を得やすくするためのヘルプマークの導入、JR高松駅や高松空港に設置した観光案内所におけるバリアフリー情報の提供などを行ってまいりました。  今後は、このような取り組みを継続して実施するとともに、タクシーやバス従業員などの観光関係従事者向けに実施しているおもてなし研修会において、高齢あるいは障害のある旅行者に対する接遇を研修内容に組み込むほか、観光施設等のバリアフリー情報の充実などにも、より一層取り組んでまいります。  次に、外国人旅行者の受け入れ環境の整備については、これまでJR高松駅や高松空港に設置した観光案内所での多言語対応の充実やWi─Fi環境の整備・充実、外国人観光客が訪れる観光施設等の公衆トイレの洋式化の補助、観光案内板や県公式観光サイトの多言語表記などを進めてきたところであります。  また、昨年七月には、香川県多言語コールセンターを設置し、観光施設や宿泊施設、飲食店などに通訳・翻訳サービスを提供するとともに、議員御指摘のイスラム圏からの観光客の受け入れに係る対応方法を含め、民間事業者等と連携して、従事者のスキルアップを図る研修会を実施したところであります。  今年度は、県内のホテルや商店街の店舗等に働きかけ、施設の入り口付近に受け入れを歓迎する意思を示すのぼりやステッカーを掲示し、外国人観光客が各施設に入りやすい雰囲気の醸成に取り組むとともに、全国に先駆けて地域通訳案内士制度を導入し、外国語で本県の魅力を伝える香川せとうち地域通訳案内士を育成してまいります。  今後とも、外国人観光客がストレスなく安心して快適に周遊・滞在できるよう、民間事業者や関係団体と一丸となって、受け入れ環境の充実・強化に積極的に取り組んでまいります。  次は、オリーブ新品種の生産拡大についてであります。  議員御指摘のとおり、日本一のオリーブのトップブランドを堅持するため、新品種の育成による他県との一層の差別化を図っていくことが重要であると考えております。  このため、平成二十四年度から農業試験場小豆オリーブ研究所において、本格的に新品種の選抜を開始し、品質にすぐれ、オリーブ栽培で問題となっている炭疽病に対して強い二系統を育成し、昨年十二月に日本初のオリーブ新品種として品種登録の出願が公表されたところです。  今回育成した新品種のうち、香オリ三号については、県内の主要品種であるミッションと比較して、果実が大きく、オイルのみならず新漬けにも適しており、採油率も高いという特徴を有しております。一方、香オリ五号については、オイル専用品種として、オイル中のポリフェノール含有量が多く、辛みと苦みが際立った官能特徴を持っております。  県では、これら新品種は、今後の本県オリーブ産業に新たな価値を加えるとともに、ブランド力の強化につながるものと考えており、できるだけ早く普及を図ってまいりたいと考えております。  こうした中、昨年実施した県内の生産者を対象とした新品種の植栽意向調査によると、約十ヘクタール分の希望があったことから、現在、園芸総合センター内に母樹園を整備するとともに、苗木の生産にも着手しており、二〇二〇年度末をめどに苗木の供給を開始したいと考えております。  私といたしましては、今後は、苗木の早期供給と新品種の特性を最大限に生かした栽培技術の早期確立を並行して進めることが重要であることから、生産者など関係者の御意見も踏まえながら、新品種の生産拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)谷久議員の県立高校における学力向上対策及びグローバル人材の育成についての御質問にお答えいたします。  県立高校では、生徒の学力向上を図るため、より多くの授業時間の確保に努めるとともに、各学校が生徒の状況に応じて、放課後や土曜日の学習支援等により、きめ細かな指導を行うほか、各界の第一線で活躍している先輩を招いての講演会や大学の研究室訪問等を通して、学習意欲の喚起にも取り組んでおります。  このような中、国の高大接続改革では、これからの時代に求められる学力として、「知識・技能」に加え、「思考力・判断力・表現力」や「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」が示され、これらを確実に育成し、多面的な評価を行うことが求められております。  このため、これまでの取り組みに加え、平成二十八年度からモデル校を中心に、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点を取り入れた授業改善を進めるとともに、本年度からは地域の課題をテーマに新しい価値を創造する、いわゆるイノベーション教育にも取り組んでおり、これらの新しい取り組みを通して、主体的に学びに向かう力を育成し、一層の学力の向上を図ってまいりたいと考えております。  グローバル人材の育成については、語学力やコミュニケーション能力、異なる文化に柔軟に対応できる資質などが求められることから、積極的に海外との交流を図ることが必要であると考えており、海外への語学研修等のほか、昨年度からは台湾の高校生と英語を用いた交流に取り組んでおります。また、海外留学を促進するため、県独自の留学支援制度に加え、今年度から、留学した生徒の体験発表や留学制度の紹介等を行う留学フェアを開催するほか、海外の高校との姉妹校提携にも取り組みたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、学習面はもとより、スポーツや文化活動等のあらゆる面において、それぞれの伝統や特色を生かした県立高校ならではの教育に、今後とも取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(花崎光弘君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時五十二分休憩                         午後 一時  七分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    三  野  康  祐 君    岡  野  朱里子  君    木  村  篤  史 君    松  村  秀  樹 君    氏  家  孝  志 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    松  本  公  継 君    高  木  英  一 君    谷  久  浩  一 君    米  田  晴  彦 君    山  本  悟  史 君    樫     昭  二 君    佐  伯  明  浩 君    新  田  耕  造 君    高  城  宗  幸 君    都  築  信  行 君    有  福  哲  二 君    斉  藤  勝  範 君    香  川  芳  文 君    森     裕  行 君    竹  本  敏  信 君    高  田  良  徳 君    十  河     直 君    西  川  昭  吾 君    大  山  一  郎 君    五所野尾  恭  一 君    山  田  正  芳 君    石  川     豊 君    辻  村     修 君    黒  島     啓 君    山  本  直  樹 君    宮  本  欣  貞 君    尾  崎  道  広 君    水  本  勝  規 君    平  木     享 君    鎌  田  守  恭 君   欠  席  議  員    花  崎  光  弘 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   西  原  義  一 君           病院事業管理者   松  本  祐  藏 君           審  議  監   安  松  延  朗 君           政 策 部 長   大  山     智 君           総 務 部 長   徳大寺   祥  宏 君           環境森林部長    中  村  貴  紀 君           健康福祉部長    安  藤  照  文 君           商工労働部長    浅  野  浩  司 君           交流推進部長    新  池  伸  司 君           農政水産部長    国  分  伸  二 君           土 木 部 長   葛  西     剛 君           知事公室長     淀  谷  圭三郎  君           危機管理総局長   土  岐  敦  史 君           文化芸術局長    窪     保  彦 君           子ども政策推進局長 川  池  陽  子 君           会計管理者     宮  武  卓  朗 君           病 院 局 長   木  村  士  郎 君           教  育  長   工  代  祐  司 君           公安委員会委員   泉     雅  文 君           警察本部長     河  合  信  之 君           代表監査委員    三  谷  和  夫 君           監 査 委 員   亀  井  孝  行 君           事 務 局 長           人事委員会委員   平  尾  敏  彦 君           人事委員会     井  川     泰 君           事 務 局 長           労働委員会     河  井  啓  司 君           事 務 局 長           政策部次長     東  田  晃  拓 君    ───────────────────────────── ◯副議長(三野康祐君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。
     竹本敏信君。    (竹本敏信君登壇、拍手) ◯竹本敏信君 西日本豪雨で被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げて、一般質問に入ります。  県政の重要課題について、知事、警察本部長にお伺いをいたします。  質問の前に一言申し上げます。  沖縄県は、面積比で言うと日本全体の〇・六%、人口比で言うと日本全体の約一%、そこに日本全国の約七四%に及ぶ米軍専用施設が集中し、沖縄県の県土面積の約一〇%、沖縄本島の面積の約一八%を占めています。  太平洋戦争で本土決戦の時間稼ぎの捨て石となった沖縄。戦後二十七年間の米軍統治。そして、復帰後も過剰な基地負担を強いられてきています。少女がレイプされ、殺されても、犯人が米国に逃げてしまえば日本の警察は捜査さえできない。放射性物質を搭載したヘリコプターが校舎に激突しても大学は米軍に閉鎖され、関係者が近寄ることもできない。二〇一六年十二月、オスプレイが名護市の海岸に墜落大破した際にも、状況確認に訪れた当時の稲嶺市長は行く手を阻まれた。これは、日米地位協定の問題であります。  日本と同じ敗戦国イタリアの地位協定と比較すると、イタリアは全く違っています。イタリアの基地は、米軍を駐留させ、基地の管理権を持っているのはイタリアです。イタリアでは、全ての米軍基地はイタリアの軍司令官の管理下に置かれており、イタリア軍は毎日米軍から飛行計画を提出させ審査しているのです。飛行訓練にもイタリアの国内法を適用し、昼寝の時間帯には飛行させないなど、米軍機の飛行回数やルートを制限しています。いずれも日本では考えられないことであります。基地の外でもイタリア政府は、米軍の行動に責任を持って対応する。カバレーゼでのスキー客を巻き込んだ事故では、イタリアの当局は米軍の事故機を検証し、強くアメリカに迫って低空飛行訓練を禁止にしました。  もう一つの敗戦国ドイツ。一九九三年、ドイツは地位協定の大幅な改定をなし遂げました。ドイツでも米軍機にドイツの国内法を適用して飛行制限。環境保全の責任も米軍に負わせています。  駐留アメリカ軍の費用負担を見てみると、二〇一二年、日本は三十八億一千七百万ドル、約四千九十四億円、韓国は七億八千二百万ドル、約八百三十九億円、二〇一三年、ドイツは五億二千五百万ドル、約五百六十三億円となっています。  日本政府はこれまで、公式に地位協定の改定をアメリカに申し入れたことはありません。運用の改善をすれば十分という立場です。  首都圏の空の主権を外国軍が持っているというおかしな現実が存在をいたしております。これで、果たして日本は主権国家と言えるのでしょうか。  それでは、質問に入ります。  質問の第一は、公文書等の管理等の徹底についてであります。  香川県公文書等の管理に関する条例が平成二十五年につくられています。その目的は、「公文書等の管理に関する基本的な事項を定めることにより、行政文書の適正な管理、歴史的公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運用されるようにするとともに、県の諸活動を現在及び将来の県民に説明する責務が果たされるようにすること」とされています。この条例は、平成二十三年に施行された国における公文書等の管理を定めた公文書管理法の趣旨に準じて制定された経緯があります。  ところが、国では、次から次へと出てくる改ざんした事実や疑惑。改ざんを認めて処分や減給、そして自主退職させるなどして事をおさめようとしても、この疑惑はそんなものでは済みません。改ざんされた部分は、明らかに連動していたからであります。  例えば、新聞の報道によると、改ざん前の文書には、学園側が早く土地を買うために価格を示すよう財務局に求めたこと、それに対して財務局が、「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行うこととした」などの記載がありました。ところが、改ざんでこの記述はそっくり削除され、同時に、佐川前理財局長が国会で、「価格を提示したこともないし、先方から幾らで買いたいと希望があったこともない」と答弁しているのであります。  また、もとの文書には、「特例的な内容」、「本件の特殊性」という表現もあったと言われていますが、これも佐川前理財局長の「適正な価格で売っている」、麻生財務相の「適正な手続によって土地を処分した」という答弁に合わせるようにカットされていました。これら以外の改ざんも国会答弁に即するようにつくりかえられていました。  問題発覚当時から、財務省が森友に異常な値引きや通常はあり得ない条件で土地取引を行ったのは、名誉校長まで務めている昭恵夫人の存在に理由があったことは、誰の目にも明らかです。その追及をかわすために、取引は適正だったと言い張るしかない。だが、近畿財務局の決裁文書には、特例的な取引であったことが記されています。そこで、官邸と財務省は、シナリオをつくって答弁の口裏合わせをし、それに沿う形で決裁文書の書きかえを近畿財務局に指示をした、そう考えるのが妥当ではないでしょうか。  保身のために犯罪を犯し、国をゆがめ、国民には説明さえ行わない。まるで不正が横行する独裁国家や中世の話のようですが、これが今、民主主義、法治国家を名乗る日本で起こっている事態です。  ここで、改めて、公文書管理法や条例の目的にのっとって記録を残すということはどういうことか考えてみますと、例えば、新しい法律ができたとします。それはどんな社会情勢の中で、どんな議論を経てできたのか、国民がその時々の政治や行政を評価するためには、後々まで残る正確な記録が必要になります。正しい情報なくして正しい民主主義は行われません。記録というのは民主主義の原点で、日々刻々と生産され続けるのです。きちんとした記録さえあれば、歴史の一部の拡大解釈や過小評価は起きにくくなり、未来の人たちの負担を減らすことになります。  今回のさまざまな事件を通して、公文書がいかに大事な資料であるかということを国民は理解したのではないでしょうか。公文書が適正に作成・管理されれば、行政への不当な政治の要求や圧力も排除できます。  そこで、国で起こっているようなことが県でも発生しないよう、知事は公文書の適正な管理や保存のためにどのような体制を整備し、どのような取り組みをするのか、お聞きいたします。  また、これを機会に、新しく公務員になる人たちや幹部の人たちに、公文書管理法や県条例の意義、内容について教育を徹底すべきと思いますが、知事の決意をお聞かせいただきます。  質問の第二は、微細プラスチック抑制に実効のある取り組みについてであります。  ある報告によると、プラスチックごみは全世界で年に三億トン発生し、これまでにリサイクルされたものは一割に満たない。そのうち、少なくとも年間八百万トンが海に流れ込んでいると見られています。そして、プラスチックは分解されにくく、波や紫外線で砕けて五ミリ以下のマイクロプラスチックになります。これが有害物質を吸着して魚介類に取り込まれ、食物連鎖で人間を含む多くの動物に悪影響を及ぼすとの懸念が指摘されています。  このような背景から、国政では、超党派の議員が提出した海岸漂着物処理推進法の改正案が先日成立し、マイクロビーズの使用の抑制や廃プラスチック類の再利用を産業界に求める条文が新たに盛り込まれました。このほか、政府に海域でのマイクロプラスチックの数量や食物連鎖への影響などを調べることを求めています。また、第四次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定され、プラスチックの循環戦略を定め、使用の削減や回収、代替品への切りかえなどを進めるとしています。しかし、これらはいずれも強制力や拘束力を伴っておらず、実効性に疑問が残るとの指摘があります。  国際社会に目を転じると、世界の海を汚すプラスチックごみを減らす具体策を各国に促す海洋プラスチック憲章がさきのG7首脳会議で議論になり、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアとカナダ、EUが署名したにもかかわらず、日本は米国とともに署名を見送り、取り組みに対する消極的な姿勢を示したことは、大変残念でありました。  しかし、マイクロプラスチックの拡散抑制は、私たちの生命、身体にかかわる緊急性の高い問題であることに鑑みますと、国際的な取り組みや全国的な取り組みが進んでいなくとも、地域でできる対策があれば、早急に取りかかる必要があるのではないでしょうか。  この点、本県は、美しい豊かな海を目指して、漁業者、内陸部も含む市町、県等による香川県海ごみ対策推進協議会を設置し、関係者の協働による海底堆積ごみ回収・処理システム(香川県方式)の構築や、発生抑制を図るための体験学習の実施など、海域、陸域一体となった海ごみ対策を推進しています。また、今年度は新たに、プラスチックごみの実態調査とプラスチックが細分化されていく過程の見える化を通した普及啓発をするとも伺っています。  いずれも大変大事な取り組みでありますが、より一層積極的な実効ある取り組みが必要ではないかと思います。プラスチックなど海ごみの多くは、河川を通じて海に流れ込んでいます。そこで、抑制に直結する県独自の取り組みとして、プラスチックなどが河川から流れ込まないようにオイルフェンスなどを利用しての水際作戦を行うことを検討いただきたいと思いますが、知事の考えをお聞きします。  質問の第三は、種子法廃止後の県条例制定についてであります。  主要農作物種子法、いわゆる種子法は、昭和二十七年、食糧増産という国の政策に基づき、国や都道府県の主導で優良な種子を確保することを目的に制定されたものであります。その根底には、国民の食料確保に必要な種子は公共のものであり、公共財として守らなければならないという考えがありました。都道府県は同法を根拠に、農業試験場など公的研究機関での種子の開発や普及に予算をつけ、国内でつくられる稲、麦、大豆の大半の種子を農家に供給してきました。  しかし、米、麦、大豆の良質な種の安定供給を支えてきた種子法は、ことしの四月一日に廃止されました。種子法の廃止は、生産者だけでなく、国民の食料にどのような影響があるか、さまざまな角度から検討し、生産者と消費者が課題を共有することが重要であります。生産者だけでなく、国民の食料確保にも影響する重要な問題であります。にもかかわらず、種子法廃止法の際の議論は十分なものとは言えませんでした。昨年の四月、政府提出の八本の農業改革関連法案の一つとして、マスコミの報道もなく、ほとんどの国民が知らない間に、参議院での審議時間はわずか五時間で可決、成立した法律です。  その際、参議院は都道府県の役割が後退しないよう附帯決議を付していますが、政府の運用方針は、附帯決議に沿ったものとは言えません。農林水産省は同法廃止に関して、昨年十一月、都道府県に対して通知を発出し、これまで実施してきた業務を直ちに取りやめることは求めていないとしつつ、種子生産について、民間の参入が進むまでの間、行政の知見を維持し、民間への知見提供を促進することとし、民間の参入を促す取り組みを求めています。  他方で、全ての都道府県は、種子法廃止後も種子の開発、生産、安定供給には行政が引き続き責任を持つ必要があるとして、今年度は法廃止前の体制や業務を継続する姿勢を示しています。そして、多くの都道府県は、要綱などの内規を定めて対応することとしていますが、埼玉、新潟、兵庫の各県においては、県民からの強い要望を受けとめ、種子法にかわる条例を制定しているとのことです。  本県での対応となりますと、この四月から農政水産部が内規に必要な規定を設けて対応しているとのことですが、農家や消費者の不安を払拭するため、県の公的役割を明確に示し、法的安定性が担保された条例をつくって対応すべきではありませんか。先日の経済委員会において、農政水産部長からは条例制定には及ばないとの答弁がありましたが、内規によるのでは施策の継続性に保障がありません。県民の代表者である議会でしっかり議論し、県の役割、責務を条例で定めたほうが適切であると考えますが、知事の考えを伺います。  質問の第四は、TPP11の影響と対策についてであります。  米国を除く環太平洋連携協定参加国による新協定TPP11をめぐる国会審議が先日終了しました。  TPP11は、参加十一カ国中六カ国が国内手続を完了して六十日後に発効します。日本が国内手続を終えるには、国会での協定の承認と関連法案の成立が必要になります。協定の承認案は六月十三日の参議院本会議で可決されました。本協定の発効に伴い肉用牛と肉豚の経営安定対策(マルキン)の補填割合の九割引き上げ、加糖調製品を国の調整金徴収の対象に加える措置、著作権の存続期間を七十年に延長することなどを可能とする関連法案は十四日の参議院内閣委員会で審議入りし、二十九日に参議院本会議で可決、成立しました。参加国のうち、既にメキシコが国内手続を終え、我が国は二国目となります。また、ニュージーランドやオーストラリアは、議会での手続を進めています。  TPPは、日本の農畜水産業にかつてない大幅な市場開放を迫るものとなっており、国内農業関係者はもとより、多くの国民からも不安視する声が寄せられたため、米国を含む元のTPPは、一昨年、衆参両院に特別委員会を設け、計百三十時間以上審議しています。ところが、今回は、協定承認案が六時間、関連法案が十七時間余りで衆議院を通過。参議院の承認案審議はわずか五時間半でありました。農畜水産業が受ける影響の政府試算は妥当か、今の国内対策で大丈夫か。政府からは十分な説明はなく、農家の懸念は払拭されていません。例えば、日本政府の試算では、牛肉の生産額は最大約三百九十九億円、豚肉が最大二百四十八億円減少するとしています。これに対しカナダ政府の試算は、対日輸出が豚肉で約五百三十億円、牛肉で約三百十億円ふえるとしています。「日本の試算は過小評価ではないか」という野党の追及に、政府は「コメントを控えたい」と述べるにとどまっています。  きちんと試算をしないと対策もできないと考えます。県内の農家も大変心配しています。そこで、TPP11により県内の農畜水産業が受ける影響について、県独自の試算がどうなっているのか、お聞かせください。  また、知事はTPP11の発効に対して、どのように本県の農家を守り、農畜水産業を振興していくのか、対策をあわせてお聞かせください。  国に対して必要な措置や情報提供を要請することは当然でありますが、県独自にどのような対策をするのかについてお答えください。  質問の第五は、用途廃止後の県営住宅の管理等についてであります。  住宅に困窮する低所得者への住宅供給施策として戦後創設された公営住宅は、当初の建設推進による住宅の量の確保から、居住水準の向上を牽引する役割へと重心を移し、そして近年では住宅セーフティーネットとして中心的な役割を担っています。  私の地元である県営国分寺団地も、昭和四十二年から平成十六年の間に、敷地面積九万二千六百三十三平方メートル、建設費二十七億二千四百四万円をかけて順次建設され、公営住宅が担う時代のニーズに応じた役割を果たしてきました。しかし、現在は、施設の老朽化等に伴い入居者の移転を促進し、入居者がいなくなった区画では窓等が合板で目張りされ、周囲も鉄線で囲われており、既に用途廃止された二十数棟の住宅が取り壊されないままの状態になっています。団地の住民はもとより近隣住民からは、治安や防火・防災、景観の観点から早期の撤去を望む声が届いております。  この点については、平成二十九年度の包括外部監査においても、財産管理のあり方として課題があるとされ、「一、一棟が空き家になった場合、速やかに用途廃止を行い、取り壊すことを原則とすることが望まれる。」との意見が付されているところでございます。また、同監査では、県有資産の有効活用の観点からも、「二、国分寺団地については、用途廃止済み団地が広い面積を占めている。空き地を含め、今後の利用方法等について早急に検討することが望まれる。」との意見もあわせて付されているところであります。  そこで、地域住民の声や包括外部監査人の意見を踏まえて、国分寺団地の取り壊しや用途廃止後の跡地等の利活用等について、知事はどのような検討を行っているのか、お聞かせください。  質問の第六は、交通事故防止対策についてであります。  交通戦争とは、昭和三十年代以降、一九五五年から一九六四年、交通事故死者数の水準が日清戦争での日本側の戦死者数、二年間で一万七千二百八十二人を上回る勢いで増加したことから、この状況は一種の戦争状態であるとしてつけられた名称であります。  近年の交通事故の発生状況は憂慮すべき事態となっており、人口十万人当たりの交通事故死者数にあっては、平成二十三年、二十四年と二年連続して全国ワースト一位と不名誉な結果となっています。平成三十年の人口十万人当たりの交通事故死者数は、七月四日現在、全国ワースト八位となっています。  こうしたことから県では、全国の先進的な取り組みも調査するなど、対策を模索していると伺っています。香川県内で発生する交通事故においては、とりわけ特徴的なのが、高齢者、交差点、夜間での事故であります。平成二十五年度からは、香川県の事故の特徴を踏まえた交通事故抑止対策に取り組んでおり、交通事故が起こりにくい道路交通環境を整備するため、管理する国道や県道で、安心安全な道づくり緊急整備事業として、交差点のカラー化やわかりやすい路面標示など、交差点における対策に取り組んでいるとお聞きしていますが、香川県のドライバーのモラル低下は著しいものがあります。県外の旅行会社からは、香川県へ行くと、黄信号や赤信号を無視して交差点に車が突っ込んでくるので注意するようにと説明するそうです。我々も黄信号や赤信号を無視して交差点に車が突っ込んでくる光景をよく目にします。横断歩道でも車はとまりません。これらを改善しないと交通事故は減少しないと思われます。  そこで、法令遵守に力を入れた免許更新時の講習も必要でないでしょうか。また、事故減少やモラルの向上のため、例えば、「黄信号止まれ」のステッカーの貼付を広く県民に呼びかけてはどうでしょう。ステッカーについては、以前にトラック協会が貼付運動をしていたと伺っていますが、一般車両も含め、全車両に貼付を義務づけるようなことも考えるべきではないでしょうか。今後の取り組みについて、警察本部長のお考えをお聞かせください。  以上で一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(三野康祐君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)竹本議員の御質問にお答えいたします。  まず、公文書等の管理等についてであります。  議員御指摘のとおり、本県では、香川県公文書等の管理に関する条例を平成二十六年四月から施行しており、この条例に基づき、県の各行政機関では、行政文書の整理・保存の方法などに関する行政文書管理規程を定めて、統一的な管理体制のもと、適正な公文書管理に取り組んでいるところであります。  具体的には、知事部局では、公文書の管理に関する責任の所在を明確にするため、総務部長を総括文書管理者に、本庁各課や出先機関の長を文書管理者に充て、公文書の作成、取得、整理、保存等の各段階で公文書の管理に従事する職員の指揮監督を行うなど、公文書管理の適正の確保に努めております。  また、条例に基づき適正な公文書管理を行うためには、職員一人一人が職責を明確に自覚し、将来にわたって県民の皆様に対する説明責任を果たすという高い意識を持つことが重要であると認識しております。  このため、県ではこれまで、初任者・新任グループリーダーの任用時の研修や、全職員を対象としたeラーニングの実施、さらには外部の専門家を講師とした公文書管理セミナーを開催してまいりました。  今年度は、これらに加えて、今後、文書管理者等を対象に公文書管理の重要性を再確認するための研修を実施するほか、昨年十二月に改正された国の行政文書の管理に関するガイドラインを踏まえて、行政文書管理規程や文書事務の手引の見直しを行い、その改正内容について職員への周知を行うなど、職員の意識啓発を図り、条例に基づく適正な公文書管理により一層取り組んでまいります。  次は、微細なプラスチック類抑制の取り組みについてであります。  微細なプラスチック類、いわゆるマイクロプラスチックは、海ごみの新たな問題となっており、生態系への影響が懸念されておりますが、その実態については解明されていない点が多く、国においても研究段階であり、県では国に対し、発生状況、原因、影響及び処理に関する調査研究を急ぐとともに、早急に対策を講じるよう提案・要望を行ってきたところであります。  また、今年度は、新たに河川等におけるプラスチックごみの実態について、県民参加による調査を行うとともに、県環境保健研究センターにおいて、プラスチックごみがどのようにマイクロプラスチックへと変化するのか調査研究を行い、その結果をもとに、微細化の過程の見える化による海ごみ対策の普及啓発に取り組んでまいります。  お尋ねの河川にオイルフェンスなどを設置することによるごみの回収につきましては、洪水時に河川の流水が阻害されるおそれがあるなど、治水上課題があると考えておりますが、いずれにいたしましても、議員御指摘のとおり、マイクロプラスチックは回収・処理が困難であるため、プラスチックごみが海に出てマイクロプラスチックになる前に回収すること、さらにはプラスチックごみ自体を減らしていくことが最も効果的な対策であると考えております。  私といたしましては、リフレッシュ「香の川」パートナーシップ事業などの河川美化活動や、街なかの美化を含む県内一斉清掃活動「さぬ☆キラ」を継続して実施するなど、海ごみの発生抑制に努めるとともに、県民の皆様の海ごみに対する意識の啓発に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、主要農作物種子法の廃止についてであります。  いわゆる種子法が廃止された後も、本県の主要農作物である米麦の生産振興を図る上で、おいでまいやさぬきの夢など、県オリジナル品種等の優良な主要農作物の種子を現状と同水準の品質及び価格で安定的に供給できる体制を維持することは、極めて重要であると認識しております。  県としては、これまでと同様に県が中心となって、香川県主要農作物種子協会やJA香川県と連携して、種子の生産と供給体制を堅持してまいります。このため、香川県主要農作物採種事業実施要領を改正し、原種等の生産や奨励品種の決定など、従来の種子法に規定されていた県の役割を要領に明記したところです。また、香川県主要農作物種子協会やJA香川県による種子の生産と供給の役割も要領の中で明確化しました。  今年度においては、こうした生産・供給体制のもとで、従来と同様、優良な種子の生産と供給が円滑に行われているところであります。このため、現時点で直ちに条例の制定は考えておりませんが、今後の種子の生産と供給状況などを踏まえ、必要となる対応に努めてまいります。  私といたしましては、今後とも、本県の主要農作物である米麦の振興を図る観点から、県が責任を持って種子の安定供給体制を構築することにより、農業者の方々が安心して高品質な農産物を生産できるよう積極的に取り組んでまいります。  次は、県営国分寺団地についてであります。  県営住宅の建物につきましては、香川県営住宅長寿命化計画の基本方針に沿って、耐用年限まで管理・運営することを原則とし、耐用年限を超えるものについては原則廃止することとしております。  お尋ねの国分寺団地については、耐用年限が満了した三十一棟八十一戸と、耐震性が不足している建物七棟六十三戸について、別の県営住宅への入居者の移転を促進し、これまでに三十六棟百二十六戸の移転が完了したところであります。移転が完了した区域につきましては、将来の利活用等に備え、平成二十六年度に区域内の法定外公共物である旧農道や水路の払い下げを受け、昨年四月に国及び高松市等に対して利用照会を行いましたが、これまでに利用の意向は示されておりません。また、平成二十四年度には地元要望を受け十一棟を撤去しましたが、議員御指摘のとおり、現在二十棟を超える用途廃止された建物があります。  当該区域の土地利活用につきましては、その中央に現在も入居者がいる建物が二棟残っているなど、多くの課題があると認識しています。  いずれにいたしましても、団地跡地は県民の皆様の貴重な財産であることから、他県における用途廃止済み建物の除却や、その跡地の利活用について参考となる事例を収集するなど、有用な利活用が図られるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、農政水産部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(三野康祐君)国分農政水産部長。    (農政水産部長国分伸二君登壇) ◯農政水産部長(国分伸二君)竹本議員の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、いわゆるTPP11についての御質問にお答えいたします。  まず、お尋ねのTPP11による影響額の試算につきましては、TPP11の合意内容が極めて複雑な仕組みとなっており、独自の試算は困難であることから、国の計算方法に基づき試算し、その結果について先般公表したところであります。試算による生産減少額につきましては、農畜水産物合計で約四億五千万円から八億九千万円の影響があると試算しております。  国に対しては、先月、経済連携協定等の交渉に当たっては、地域の農水産業が持続的に発展していけるように、我が国として守るべきは守り、攻めるべきは攻め、確実に再生産が可能となる必要な措置を確保するよう要請したところであり、今後とも強く働きかけてまいります。  県といたしましては、ブランド農水産物の生産拡大や販売促進、力強い担い手の確保・育成、集落営農の推進など、本県独自の対策と国の対策をあわせた攻めの農水産業の展開に関する施策の充実・強化を図り、一体的・主体的に推進することにより、本県の基幹産業である農水産業の持続的な発展に全力で取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(三野康祐君)河合警察本部長。    (警察本部長河合信之君登壇) ◯警察本部長(河合信之君)竹本議員の交通事故抑止対策についての御質問にお答えいたします。  現時点の県下における交通事故情勢は、昨年と比較して、発生件数、死者数及び負傷者数いずれも減少しているところでありますが、人口十万人当たりの死者数は全国ワースト上位にあり、依然として厳しい状況にあると認識しております。  これまで県警察では、県内における交通死亡事故の特徴を踏まえ、段階的かつ体系的な交通安全教育や、特別取締部隊「与一」等による指導取り締まりの強化、道路管理者と連携した交通事故の起きにくい道路交通環境の整備等を推進するとともに、議員から御提言いただいた「黄信号止まれ」を初めとする交通マナーの向上のため、関係機関、団体と連携し、街頭における啓発活動や各種媒体を通じた広報活動等に取り組んできたところであります。  特に、県民総ぐるみの運動として、平成十九年からは、黄色信号での確実な停止を呼びかける「さぬき)とまろう運動」を推進してまいりましたが、現在は、信号の遵守を含む正しい交通ルールや交通マナーの実践を内容とするセーフティリーダー車運動として取り組んでいるところであります。  具体的には、この運動の趣旨に御賛同いただいた事業者や個人に、「セーフティリーダー車」等と記載されたステッカーを車両に貼付し、模範運転を実践していただくとともに、このような運転を通じて他のドライバーへの啓発を行っているところであります。  このほか、運転免許の更新時講習等においては、運転者に遵守すべき交通ルールを徹底していただくため、交通事故の悲惨さや被害者遺族の悲痛な思いなどを訴える独自の視聴覚教材を活用するなどして、その内容の充実に努めているところであります。  県警察といたしましては、今後も引き続き、関係機関、団体等と連携し、交通マナーの向上に向けて、交通安全教育や広報啓発活動等をより効果的に実施していくとともに、諸対策を推進してまいります。(降壇) ◯副議長(三野康祐君)一般質問を続行いたします。  氏家孝志君。    (氏家孝志君登壇、拍手) ◯氏家孝志君 質問に先立ちまして、一言申し述べさせていただきます。
     先般の西日本を中心といたします豪雨災害、また、大阪府北部地震において犠牲になられた方々に対しまして、衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災をされました皆様方に対して、謹んでお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧・復興を心よりお祈りを申し上げまして、一般質問に入らせていただきます。  質問の第一点目は、働く女性の活躍の促進についてであります。  先日、香川労働局発表の本年五月における本県の有効求人倍率は一・七八倍で全国第九位と、依然として全国上位の状況が続いております。これは本県の景気が回復傾向にあることを示す反面、県内企業の著しい人手不足をあらわしているものと考えております。特に、以前から人材確保が課題となっている建設・採掘業の有効求人倍率は五・八四倍、サービス業は三・三二倍と、非常に高い状況が続いております。  このような中、県では、昨年四月に就職・移住支援センター「ワークサポートかがわ」を開設し、若者の県内企業への就職支援などに取り組み、昨年度は九十四人の実績があったと伺っております。しかし、いわゆる売り手市場の状況が続く中、学生は大手企業を志向する傾向が強まっており、県内事業所の九割以上を占める中小企業、小規模事業所では、人材確保に大変苦慮されております。特に、小規模事業所におきましては、人手不足がより深刻であり、早急な対応が望まれております。  また、少子高齢化による生産年齢人口の減少などから、今後におきましても、県内企業の人手不足の状況が続いていくのではないかと大変に危惧をいたしております。このような中、平成二十七年の国勢調査によりますと、十五歳以上の人口に占める労働力人口の割合は、男性が平成二十二年に比べ三・三ポイント低下しているのに対し、女性は同率となっております。また、年齢別では、六十五歳以上の割合が一・七ポイント上昇しておりますが、これは、各企業が積極的に女性や高齢者の雇用の確保に努められている結果であると考えております。しかし、現在のような深刻な人手不足の状況が続く中、必要とする人材を確保していくためには、さらに女性や高齢者の活躍を促進していく必要があるものと強く感じております。  しかし、女性や高齢者の活躍の促進と申しましても、女性や高齢者に働くことを強要するものではなく、働く意欲のある方が、性別や年齢に左右されることなく、一人一人の意思や能力、個々の事情に応じて、多様で柔軟な働き方が選択でき、生きがいを持って働くことのできる環境づくりを進めていくことが重要であると考えております。  特に、女性につきましては、いわゆる女性活躍推進法が平成二十八年に施行され、企業トップの意識改革や、男女ともに働きやすい職場を目指した働き方の改革を行うこと、育児、介護等をしながら当たり前にキャリア形成できる仕組みを構築することが事業主に求められております。しかし、現実には、勤務時間が長いなど、時間的に両立が難しいなどの理由から、結婚や出産、育児等を機に離職されるケースもあり、一度離職してしまうと、再就職時には、家庭や子育てとの両立など、さらに大きな不安を抱える状況となっております。  また、産休や育休を取得された場合におきましても、復職されるまでの間、業務に関する情報が遮断されることや、自身のキャリアアップが途切れることに不安を抱えている方も多くいらっしゃるなど、働く意欲のある女性が、その個性と能力を十分に発揮していくためには、女性が働きやすい職場環境をつくり、その不安を解消していくことが重要であると考えております。すなわち、県内企業が長時間労働の是正や、短時間勤務などの柔軟な働き方を導入するなど、女性が働きやすい職場環境を構築することや、女性のキャリア形成の支援を行い、女性の活躍の場を広げ、継続して働ける環境づくりに取り組むことが、幅広い人材の確保にもつながるものと考えております。  そこで、働く意欲のある女性の働きやすい環境づくりに向け、県庁の職場においてどのように取り組まれるおつもりなのか、また、民間企業に対してどのような支援、助成等に取り組まれるおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二点目は、農地集積の現状と加速化についてであります。  農業就業人口の減少や高齢化により、地域の農業や農地を守る担い手の不足が顕在化し、農業生産性の低下のみならず、耕作放棄地が増加するなど、これまで主に農業従事者が行ってこられた農地やため池等の農業用施設の保全管理が困難となってきております。このような状況の中、本県の農業を持続的に発展させるためには、新規就農者の確保に加え、担い手の経営規模の拡大により効率的な農業経営を行っていく必要があり、そのためには、農地を認定農業者や集落営農法人などの担い手へ集積・集約化していくことが重要であります。  そこで、これらの取り組みを円滑に実施する仕組みとして、平成二十六年に農地中間管理事業がスタートして以降、香川県農地機構におきましては、各市町に配置された農地集積専門員が地域の実情に即した集積活動に取り組むなど、きめ細かな取り組みを実施することにより、その成果があらわれ始めている状況にあります。  一方で、本県における担い手の農地集積率につきましては、狭小な農地や特殊な水利慣行などの本県特有の事情から、全国平均と比べるとまだまだ低く、市町によっても大きなばらつきが生じています。また、私の地元琴平町の農地集積率は、県内の他の地域と比べますとかなり高い値となっておりますが、その内容を見ますと、認定農業者や農業法人などに集積された面積よりも、地域の小規模な農家が集まって共同出荷を行うために組織された営農組合による集積面積のほうが多く、個々の農家が将来への不安を抱えながら営農活動を続けているのが現状であります。  私としましては、集積率そのものを上げることも大切であると考えておりますが、むしろ地域できちんと話し合い、それぞれの地域の現状や課題を共有した上で、将来の担い手づくりや農地の集積などについて、計画的に進めていくことこそが重要ではないかと考えております。  また、農地集積の加速化に向けて、昨年度、土地改良法が改正され、農家負担のない農地整備事業が創設されましたが、こうした基盤整備事業を活用し、農地の集積や集約化につなげていく際にも、地域での合意形成は欠かせないものであり、将来を見据えた地域での話し合いをいかに活性化させるかが、今後の農地集積を促進させる上でのポイントになるものと考えております。  このような中、本年で五年目を迎える農地中間管理事業につきましては、国において制度の本格的な見直しを行うと伺っておりますが、私としましては、分散した農地をまとまりのある形で効率的に活用できるよう、農地中間管理事業のメリットをもっとアピールし、積極的に推進すべきであると考えております。そのためには、本県におきましても、担い手への農地集積・集約の加速化に向けて、将来を見据えた取り組みの一層の強化が必要であると考えております。  そこで、なりわいとしてのみならず、環境の保全や防災・減災機能、すぐれた伝統文化の継承などの多面的機能を有する農地、農村の機能を守り育てていくために必要不可欠な農地やため池等の農業用施設の確実な保全管理と、農業そのものの生産性向上のための認定農業者や集落営農法人等への具体的な農地集積の加速化に向けて、今後、どのように取り組まれるおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三点目は、無電柱化の推進についてであります。  国土交通省では、平成二十八年十二月に施行されました無電柱化の推進に関する法律に基づき、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的、迅速な推進を図るため、法施行後、初めての無電柱化推進計画を策定しました。この計画におきましては、二〇一八年度から三年間で約千四百キロメートルの新たな無電柱化の着手を目標としております。また、防災、安全・円滑な交通の確保、景観形成、観光振興の観点から、無電柱化の必要性の高い道路について重点的に推進していくこととしております。  このような中、香川県内の道路延長は約一万キロメートルでありますが、無電柱化が実施されている道路延長は、香川県内全体では約四十一キロメートル、このうち国が約十五キロメートル、県が約十二キロメートル、市町が約十三キロメートルと、非常に整備がおくれている状況にあります。  このように、無電柱化の整備が進まない主な要因の一つはコストにあります。例えば、一キロメートル当たりの整備費は、電柱であれば五千万円程度ですが、地下に埋める電線共同溝で無電柱化する場合は、自治体負担の三・五億円を含めて約五億円と、電柱の十倍程度の費用が必要になるとお聞きいたしております。  このように、無電柱化は巨額の費用が必要となりますが、それでも推進していく大きな理由の一つとしましては、防災面において大きな効果が期待できる点にあります。阪神大震災や東日本大震災では、多くの電柱が倒れて道を塞ぎ、緊急車両の通行に支障が生じたケースもあったことから、震災後、国や県では、災害時の救援や物資輸送に重要な役割を果たす緊急輸送路につきましても整備を推進しているところであります。  一方、訪日外国人が急増する中、旅情を損なう電柱や電線の存在が観光地で問題となってきております。私の地元、琴平町の琴平停車場琴平公園線、いわゆる内町筋におきましても、無電柱化工事の実施により、電柱、電線がなくなることで良好な景観が形成されつつあり、町の魅力向上に大きく寄与しております。  このような中、国におきましては、一昨年、従来より浅い位置に電線を埋設できるなどの基準の緩和を進めており、また、民間事業者等におきましても、コスト削減につながる工法の検討なども進めているところであります。  このように、防災面だけでなく、景観面でも大きな効果が期待できる無電柱化につきましては、コストが高く、電力会社や通信会社などの同意が必要であるなど、事業を急速に進めていくのは容易ではないということも理解しておりますが、計画を立てて、着実に進めていく必要があるものと強く考えております。  そこで、国の無電柱化推進計画の方針に沿って、防災、安全・円滑な交通の確保の目的だけではなく、景観形成、観光振興の観点にも重きを置いて無電柱化を進めていく必要があるものと考えておりますが、現在の県内の無電柱化の取り組み状況と今後の方針について、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四点目は、周遊・夜型観光の推進についてであります。  本県の人口は、平成十一年の約百三万人をピークとして減少に転じ、その後、平成十二年から平成二十九年までの十八年連続で減少している状況にあります。このように、人口が減少すれば、その分だけ消費主体が減少するため、総消費額は減少するものとされております。また、労働力人口の減少にもつながることから経済規模を縮小させてしまうなど、人口及び人口構成の変化は消費の動向に大きな影響を与えますが、特に、本県のような地方部は、人口規模が小さいため、都市部と比較して人口減少の影響が大きくなる傾向にもあります。  このような中、地域経済を活性化させるためには、人口を増加させる必要がありますが、定住人口を増加させるためには、長期にわたる対策が必要となります。そのため、本県を訪れる人の数、すなわち交流人口の増大によって地域経済を活性化させようとする動きが注目されております。他地域から本県を訪れる理由には、通勤・通学、買い物などさまざまなものがありますが、中でも観光振興によって交流人口をふやすことが重要であると考えております。  また、観光による交流人口の増大によって地域経済が活性化するためには、経済効果を伴うことが前提となります。例えば、平成二十九年の観光庁の試算によりますと、定住人口一人当たりの年間消費額は百二十五万円となっております。一方、旅行者のうち、訪日外国人旅行者の一人一回当たりの消費額は十五万四千円、国内旅行の場合、宿泊を伴うものが一人一回当たり五万一千円、日帰りであれば一万六千円となっております。この消費額から、定住人口の一人減少分は、外国人旅行者であれば八人分、宿泊を伴う国内旅行者であれば二十五人分、日帰りの国内旅行者であれば八十人分に相当することとなり、これは、それだけの旅行者が来県することによって、定住人口の減少分をカバーできるということとなります。  このような中、県が先日発表した平成二十九年の観光客動態調査によりますと、平成二十九年に本県を訪れた県外観光入り込み客数は、前年比一%増の約九百四十六万人となり、五年連続で九百万人を超え、瀬戸大橋が開通した昭和六十三年に次ぐ二番目の水準となるなど、本県を訪れる観光客は増加傾向にあると言えますが、ここ数年の状況では、約七割は日帰り観光客であり、経済効果の高い宿泊を伴う県外からの観光客の割合は、依然として少ない状況にあります。  このような状況から、本県を訪れる観光客の滞在時間をさらに拡大させ、観光消費額の一層の増大を図っていくためには、本県の魅力ある観光資源を活用した滞在型観光を推進する必要があり、そのためには、観光客に本県を楽しんでいただく体験メニューや滞在プログラムの造成促進を初め、それらの一体的な情報発信やプロモーションなどの取り組みを重点的に進め、特に消費単価の高い宿泊観光客の増加につなげていく必要があるものと考えております。  このような中、最近では、宿泊に直接つなげるための夜型の観光がクローズアップされておりますが、本県におきましても、観光施設におけるプロジェクションマッピングやライトアップなどの夜のアトラクションや、夜に実施される音楽ライブ、瀬戸内海や島々に沈む夕日を楽しむナイトクルージングなど、夕方から夜にかけての観光コンテンツがありますが、今後、さまざまな夜型のコンテンツをより一層ふやしていくことと、短期イベントから常設イベントへと取り組みを変えていく必要があるものと強く感じております。また、このような夜型の観光コンテンツにつきましては、基本的には民間事業者が造成・実施するものであると考えられますが、県としても民間事業者と連携し、その充実に向けて、官民挙げて取り組むべきであるとも考えております。  そこで、地域の活性化に向けて、周遊・夜型観光を推進するに当たり、本県に宿泊する観光客を増加させるためのこれまでの取り組みと、今後、常設イベントへの推進を含め、どのように取り組まれるおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第五点目は、文化財の適切な保存と観光資源としての活用についてであります。  文化庁では、過疎化、少子高齢化などを背景に、昨年度来、文化財の保存や継承の基盤であるコミュニティーの脆弱化などの社会状況の変化の中で、文化財をいかにして確実に次世代に継承し、まちづくりに生かしつつ、地域活性化にも貢献できるかについての議論が行われ、文化財保護法の一部改正という形で今国会に提出、審議された結果、六月一日に可決、成立し、平成三十一年四月に施行されることとなりました。  政府は平成二十八年三月に、「明日の日本を支える観光ビジョン」─世界が訪れたくなる日本へ─を策定し、文化財を「保存優先」から観光客目線での「理解促進」、そして「活用」へと文化財を観光資源として位置づけ、観光資源の魅力をきわめ、地方創生の礎にするなど、観光先進国としてさまざまな改革を行うことで、二〇三〇年には地方部での外国人延べ宿泊者数を一億三千万人とする新たな目標を設定したことが今回の法改正につながったものと考えております。  このような中、先ほどの質問でも申し上げましたとおり、平成二十九年の観光客動態調査によりますと、平成二十九年に本県を訪れた県外観光入り込み客数は、前年比一%増の約九百四十六万人と三年連続で増加し、五年連続で九百万人を超えたとありますが、この増加の原因は、平成二十九年四月から六月にかけて四国デスティネーションキャンペーンが開催されたことや、外国人旅行者の増加などにより、前年を上回る結果になったと分析しております。  この観光客動態調査の主要観光地入り込み客数の推移を見てみますと、私の地元である琴平は、前年度比一五%増の約二百六十二万人と県内断トツの入り込み客数であり、本県の観光振興を進めていく中ではなくてはならない観光地であります。この琴平には、全国的に「さぬきこんぴらさん」として有名であり、国の重要文化財に指定されている金刀比羅宮表書院などの建造物や円山応挙などの絵画などを多数所有する金刀比羅宮、また、天保六年に建てられた現存する日本最古の芝居小屋で重要文化財に指定されている金丸座など、数多くの文化財があり、観光資源として活用されております。  また、琴平以外の主要観光地としましては、特別名勝に指定されている栗林公園、史跡天然記念物に指定されている屋島、特別天然記念物に指定されている宝生院のシンパクなどが所在する小豆島が取り上げられていますが、これらの核となっているのは全て文化財であります。  また、県内には日本三大水城の一つであり、史跡に指定されている高松城、刀剣女子による「にっかり青江」ブームで重要文化財である天守閣の入場者数が十万人を超えた史跡丸亀城などの観光地もありますが、これら以外にもまだまだ魅力があり、観光資源となり得る文化財が香川県内には数多く存在しております。これらの地域における文化財の計画的な保存と活用を進め、観光資源とする国の方針に呼応し、県内にある文化財を観光資源としても活用することにより観光客の増加にもつながるよう、幅広い視野を持った文化財の保存と活用が必要であると強く感じております。  このように、地域の文化財を観光資源としても活用するためには、まずは適切に保存し継承していくことが重要であり、文化財の適切な保存には、知見やノウハウに加え、多額の経費が必要となります。国の補助制度や特別交付税の措置があることは承知しておりますが、民間はもとより市町からも県の支援が強く求められております。  そこで、県教育委員会における文化財の保存・活用に対する考え方とともに、県内にある文化財を保存し、観光資源として磨き上げるための支援について教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終えさせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(三野康祐君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)氏家議員の御質問にお答えいたします。  まず、女性の働きやすい環境づくりについてであります。  生産年齢人口の減少が進む中、働く意欲のある女性が、その個性と能力を十分に発揮でき、生き生きと働き続けられる社会の実現を図ることは重要であると考えております。  県職員については、平成二十八年三月に女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画を策定し、女性職員が一層輝く香川県庁を目指して、男女を問わず、全ての職員が働きやすい職場環境の整備や、仕事と家庭の両立を支援する取り組みを進めているところです。  具体的には、柔軟な働き方として、夏季における早出・遅出勤務を導入したほか、育児休業からの復帰支援研修や女性職員のキャリア支援研修の実施、男性職員の育児参加に対する意識啓発を図っており、こうした取り組みの結果、本年四月時点の知事部局等における管理職の女性割合が、過去最高の一三・五%となるなど、県庁における女性職員の活躍は、一定程度進んでいるものと考えております。  また、本年九月からICTを活用したテレワークを試行することとしており、自宅で仕事を行う在宅勤務、出張先でパソコンを使った業務が行えるモバイルワーク、さらには出先機関の職員が一時的に本庁で業務を行えるサテライトオフィスを導入することにより、女性職員のみならず、全ての職員が働きやすい環境づくりを進めてまいります。  民間企業に対する支援については、昨年一月に、かがわ働く女性活躍推進計画を策定し、働きやすい職場環境づくりなどを推進するための施策を実施しております。  具体的には、結婚や子育てなどで一度離職された女性を対象に、再就職を支援するためのセミナーを開催するとともに、女性が働き続けやすい環境づくりや女性のキャリア形成を支援するため、企業の人事労務管理者を対象としたセミナーを実施しております。  また、専門の相談員が生活や就職についての相談を行う女性のための出張労働相談会を実施するとともに、女性が働きやすい環境づくりを行う企業の自主宣言である「かがわ女性キラサポ宣言」制度を設け、現在百六十事業所が登録しております。  加えて、働き方改革の推進は女性の活躍の推進にもつながることから、中小企業にアドバイザーを派遣し、長時間労働の是正など、企業がみずから取り組む働き方改革を支援するとともに、新たにテレワークなど柔軟な働き方の推進や社内労働環境の整備を行う企業に経費の一部を助成する働き方改革環境づくり助成事業を実施しております。  私といたしましては、今後とも、女性の働きやすい環境づくりを推進し、働く女性が輝く社会の実現に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、農地集積の現状と加速化についてであります。  農地中間管理事業を活用した農地集積につきましては、農地の受け手助成などの県独自の取り組みに加え、農地集積専門員が集落営農法人の設立支援や基盤整備事業の計画段階から積極的に関与し、マッチング活動を強化しております。この結果、昨年度の担い手への貸付面積は四百三十四ヘクタールと、前年度に比べて二十一ヘクタール増加し、担い手に新たに集積された面積の年間集積目標に占める割合も全国九位となるなど、着実に成果を上げているところです。また、今後、一層の農地の集積を図るためには、担い手への面的な集積・集約化を地域ぐるみで進める必要があることから、集落営農や日本型直接支払、基盤整備などと農地集積を一体的に取り組む重点地区を定めて、計画的に推進しております。  こうした取り組みをより実効性あるものにするためには、議員御指摘のとおり、地域での話し合いによる合意形成が欠かせないことから、今年度から、各市町単位で新たな推進体制を構築し、地域における農地の集積・集約化に向けた関係機関・団体による話し合いをスタートさせたところです。また、担い手の経営発展支援と一体的に農地をあっせんできるコーディネーターを農地機構に配置するとともに、地域の農地の受け手となる集落営農法人に対する助成制度のほか、担い手の要望に即した簡易な基盤整備や遊休農地の再生作業等を農地機構が事業主体となって行う制度を新たに創設し、地域ぐるみでの集団的な農地利用の促進を図ることとしております。  私といたしましては、こうした新たな制度を活用しつつ、農地機構のほか、各市町、農業委員会や関係機関・団体との連携を強化し、地域での話し合いを一層活発化させることにより、農地集積の加速化に取り組んでまいります。  次に、無電柱化の推進についてであります。  議員御指摘のとおり、無電柱化については、防災性の向上、安全で円滑な交通の確保、加えて良好な景観の形成や観光振興の観点から、積極的に推進することが重要であると考えております。  無電柱化の実施に当たっては、国、県、四国電力、NTT西日本等の関係機関で組織する四国地区無電柱化協議会において、必要性や整備効果、整備方法、費用負担について協議し、調整が完了した箇所において、順次、事業を実施しております。  本県では、昭和六十一年度から六次にわたる無電柱化に関する整備計画に基づき、市街地の幹線道路について重点的に整備を推進する方針のもと、これまでに国道、県道、市道合わせて四十・七キロメートルの整備が完了しております。  このうち、県道では県道高松停車場栗林公園線を初め、高松市や丸亀市等の市街地の幹線道路において十二・九キロメートルの整備を完了しており、現在は高松市の香川大学幸町キャンパス南側の県道高松善通寺線や琴平町の金刀比羅宮の参道である県道琴平停車場琴平公園線などにおいて、無電柱化の事業を推進しているところであります。  県といたしましては、防災性の向上や安全で円滑な交通の確保のほか、訪日外国人が急増する中、金刀比羅宮や栗林公園などの県内の著名な観光地における景観形成についても重要であると考えているところであります。  今後、本年四月に無電柱化の推進に関する法律に基づき策定された国の無電柱化推進計画を基本として、本県の無電柱化の推進に関し、総合的かつ計画的に講ずべき施策などを内容とする県計画を今年度中に策定したいと考えております。  県計画の策定に当たりましては、地元要望も踏まえながら、四国地区無電柱化協議会において十分に協議を行いますとともに、国の施策も活用して、優先度の高い箇所から、順次、無電柱化が図られるよう努めてまいります。  次は、宿泊観光客の増加に向けた取り組みについてであります。  県では、これまで本県を訪れる観光客の滞在時間を拡大し、宿泊につなげるため、国内外において本県観光のPRを行うとともに、旅行会社に対して、県内での宿泊を促す周遊型旅行商品の造成を支援するほか、栗林公園のライトアップやサマーナイトフェスティバルなどの夜のイベントを実施するとともに、民間事業者が実施するナイトクルージングなど、夜型の観光コンテンツの情報発信にも取り組んできたところです。また、各市町や観光関係事業者等と連携して取り組んでいる香川せとうちアート観光圏事業として、昨年度には民間事業者による直島の地中美術館のナイトプログラムを体験するツアーを実施しました。  このような取り組みを進める中、最近では、屋島の夜景を楽しむバスツアーや、三豊市の父母ヶ浜の夕暮れ時の絶景を観賞するバスツアー、琴平町内のホテル発着で満濃池の蛍を観賞するバスツアーなどが新たに造成され、民間事業者による夕方から夜にかけての旅行商品が少しずつふえてきております。  今後は、議員御指摘の常設の夜のイベントなど、新たな夜型の観光コンテンツについて、その企画や実施を民間事業者により一層働きかけるとともに、県としても、新たな夜のイベントとして、県内の主要観光地において、特別感や地域特性を演出できる歴史的建造物などの場所、いわゆるユニークベニューを活用し、獅子舞などの地域伝統芸能の夜間公演を実施するなど、本県の夜を楽しむコンテンツの充実に努めてまいりたいと考えております。  今後とも、民間事業者等と連携し、観光客のより一層の滞在時間の拡大を図る周遊・夜型観光の推進に努め、本県での宿泊を伴う観光客の増加による観光消費額の増大を図り、地域経済の活性化につなげてまいります。(降壇) ◯副議長(三野康祐君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)氏家議員の文化財の保存及び活用についての御質問にお答えいたします。  本県におきましても、人口減少や少子高齢化が進行する中、文化財についてもその保存や継承が危ぶまれており、これからは地域が連携して文化財をまちづくりに生かしつつ、その継承に取り組んでいくことが重要であります。  このたびの文化財保護法の改正は、地域における未指定を含めた文化財の計画的な保存・活用の促進を図るもので、地域の文化財の保存・活用の中心的な役割を担う市町では、文化財を核として地域が取り組むべき具体的な方向性を盛り込んだ文化財保存活用地域計画を作成し、国の認定を受けることで登録文化財への登録を国に提案ができるようになるほか、文化庁長官から現状変更許可などの権限が移譲され、文化財の計画的な保存・活用が円滑に実施できることとなります。  県内にある主要な観光地では、文化財が重要な観光資源となっていることから、県教育委員会としましては、新たな観光資源として、まちづくりや地域の活性化に活用できる文化財の掘り起こしを行うとともに、今後、市町の作成する地域計画や地域計画に沿って実施される文化財の保存や活用について、積極的に指導・助言を行ってまいります。  なお、文化財の保存には、議員御指摘のとおり多額の経費が必要となることから、その保存を計画的に進めていくために、国に対して、引き続き、財政的な支援の拡充を要望するとともに、県全体の保存修理に係る事業計画を把握した上で、県教育委員会として、さらにどのような支援が可能か検討してまいりたいと考えております。  今後とも、文化財を活用した地域の活性化に資するよう、市町としっかりと連携しながら文化財の適切な保存と活用を推進してまいります。(降壇) ◯副議長(三野康祐君)理事者の答弁は終わりました。  県の一般事務に関する質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(三野康祐君)お諮りいたします。  委員会審査のため、七月十一日を休会といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ◯副議長(三野康祐君)御異議なしと認め、そのように決定いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(三野康祐君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、七月十二日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時二十三分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....