香川県議会 > 2016-06-04 >
平成28年6月定例会(第4日) 本文

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  1. 香川県議会 2016-06-04
    平成28年6月定例会(第4日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    黒  島     啓 君    高  田  良  徳 君    岡  野  朱里子  君    白  川  容  子 君    広  瀬  良  隆 君    松  原  哲  也 君    佐  伯  明  浩 君    松  村  秀  樹 君    松  本  公  継 君    山  下  昭  史 君    氏  家  孝  志 君    木  村  篤  史 君    米  田  晴  彦 君    樫     昭  二 君    都  築  信  行 君    新  田  耕  造 君    西  川  昭  吾 君    高  木  英  一 君    谷  久  浩  一 君    有  福  哲  二 君    斉  藤  勝  範 君    山  本  悟  史 君    森     裕  行 君    三  野  康  祐 君    大  山  一  郎 君    花  崎  光  弘 君    五所野尾  恭  一 君    高  城  宗  幸 君    香  川  芳  文 君    十  河     直 君    山  田  正  芳 君    竹  本  敏  信 君    山  本  直  樹 君    宮  本  欣  貞 君    尾  崎  道  広 君    石  川     豊 君    辻  村     修 君    水  本  勝  規 君
       平  木     享 君    鎌  田  守  恭 君   欠  席  議  員    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   天  雲  俊  夫 君           病院事業管理者   松  本  祐  藏 君           審  議  監   工  代  祐  司 君           政 策 部 長   川  田  浩  司 君           総 務 部 長   野  本  祐  二 君           環境森林部長    大  山     智 君           健康福祉部長    高  木  康  博 君           商工労働部長    安  藤  照  文 君           交流推進部長    安  松  延  朗 君           農政水産部長    松  尾  恭  成 君           土 木 部 長   葛  西     剛 君           知事公室長     中  村  貴  紀 君           危機管理総局長   山  田  恵  三 君           文化芸術局長    国  分  伸  二 君           水 道 局 長   岡  田  繁  正 君           会計管理者     山  田  泰  子 君           病 院 局 長   和  田  光  弘 君           教育委員会     藤  村  育  雄 君           委  員  長           教  育  長   西  原  義  一 君           公安委員会委員   溝  渕  香代子  君           警察本部長     木  下  慎  哉 君           代表監査委員    林        勲 君           監 査 委 員   井  川     泰 君           事 務 局 長           人事委員会     東  条  正  幸 君           委  員  長           人事委員会     宮  武  卓  朗 君           事 務 局 長           労働委員会     重  安  修  児 君           事 務 局 長           理事兼政策部次長  徳大寺   祥  宏 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第四号)                 平成二十八年七月一日(金)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(黒島 啓君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  松本公継君。    (松本公継君登壇、拍手) ◯松本公継君 議長のお許しをいただきましたので、私からは四点質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、3D積層造形関連技術による地域経済の活性化についてであります。  私と3Dプリンターとの出会いは、ちょうど三年前になります。それまでは、とても個人では手が出せない価格であった3Dプリンターが、四十万円程度から簡易なものなら二十万円程度で手に入るようになりました。私は当時、四十万円ほどの3Dプリンターを購入された施設にお邪魔をし、スキャンされた右手のデータを読み込み、実際にプリントアウトしてもらいました。右手の造形にかかった時間は、思っていた時間より早く、四十分程度できれいな形で仕上がり、よくテレビで見かけていたこの技術も、こんなに身近なところまで進んだことに胸を躍らせ、これからのこの技術の進歩に光を感じたことを思い出します。  そして、最近では、ドイツの大学の研究チームが、塩一粒ほどの大きさで体内に注射できる三つのレンズを備えたカメラを3Dプリンターで作製、直径が毛髪二本分の光ファイバーの先端に取りつけることを可能にしたとのニュースが流れました。このカメラは3Dプリンターでつくることで、設計から製作、試験までにわずか数時間しかかからないということと、高い光学性能と驚異的なコンパクトさが売りになりそうです。この撮像システムは、標準的な注射針にも容易にフィットするため、人の臓器はもちろん、脳の内部にまで到達させることも可能で、「内視鏡に応用することにより、医療分野や工業分野で、小型の対象物を非侵襲的かつ非破壊的に調査することが可能になる」と言われております。もう3Dの技術は身近で手軽に、ここまで進歩してきました。  香川県では、将来にわたり本県の持続的な発展を図るため、国に先駆けて香川県産業成長戦略を平成二十五年七月に策定し、さまざまな地域の資源や技術等、これらを生かした新たな活力と付加価値を生み出すため、五つの重点プロジェクトを定め、成長産業の育成・集積に取り組んでおります。重点プロジェクトの一つである、ものづくり「温故知新」プロジェクトでは、個々の県内企業に蓄積されたものづくり基盤技術や、強みとなる独自の技術をさらに磨き、産学官マッチングにより、他ではつくれないものをいち早く生み出す競争に打ち勝つ企業を育成するとともに、成長分野への進出を支援することとし、各種施策を展開しております。  平成二十七年四月には、国立研究開発法人産業技術総合研究所、いわゆる産総研と成長産業の育成等に関する連携・協力協定を締結し、県内企業への技術開発支援共同技術開発、ネットワークの形成、人材育成、研究成果の普及などに取り組んでおります。産総研と協定を結んだのは、都道府県レベルで六件目、関西、中国、四国地方では初と伺っておりますが、この協定により、県内企業に、産総研の先端技術や施設を活用した技術力の向上や新商品の開発などをもたらすことが重要と考えます。  また、他ではつくれないものをいち早く生み出す競争に打ち勝つためにも、この協定を生かしていく必要があり、特に、この革新的なものづくり技術である3D積層造形関連技術は、産総研の持つ技術開発力を活用できると考えております。3D積層造形関連技術は、三次元CADデータから従来にない立体複雑形状をつくる技術であり、加工による製造が困難及び不可能であった複雑な形状の物の製造が可能であるとともに、従来製造時に必要とされる金型が不要であるため、生産工程の効率化が図られるなど、ものづくりを抜本的に変えることのできる、極めて有望な次代の製造技術であります。  経済産業省より、平成三十二年には3D積層造形技術経済波及効果は世界全体で二十一・八兆円という調査が公表されており、アメリカにおいて、金属粉末材料レーザー焼結による3D造形技術が平成二十六年一月に特許が切れたことから、3Dプリンター販売価格の低下が見込まれるという市場の動向もあります。  県産業技術センターにおいても、これまでカメラで撮影して形状を測定する装置や3Dプリンターなどを整備し、この先端技術について研究しているところですが、これからは樹脂材料に加え、金属・セラミックスの新たな造形技術を確立することで、県内企業が活用し、エネルギー・健康関連などの成長分野における多品種・少量生産、高付加価値の製品開発を促進することができるのではないのでしょうか。  そこで、産総研との協定も生かしつつ、今後、高い成長が期待され、革新的なものづくり技術である3D積層造形関連技術に対する県内企業の取り組みがおくれることがないよう支援し、地域経済の活性化を図る必要があると考えますが、これまでの取り組みと今後の展開について、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の二点目は、一億総活躍社会実現に向けた子育て支援についてであります。  我が国は、超高齢・人口減少社会に突入しました。  日本の総人口は二〇〇八年前後をピークとして減少に転じるとともに、高齢化率は二〇〇七年に二一%と超高齢化の基準値を超えました。そして、国立社会保障人口問題研究所が二〇一二年一月に公表した日本の将来推計人口によれば、人口減少、高齢化のピッチは今後ますます早まると見込まれております。  一九六〇年、二〇一〇年、二〇六〇年の人口ピラミッドの変化を見ておりますと、二〇一〇年から二〇六〇年にかけて、総人口が縮小していくだけではなく、人口ピラミッドの形状が変わることが見てとれます。二〇一〇年の形は、もはやピラミッドとは言えず、中高年層が厚い壺形に変形しています。そして、二〇六〇年には逆ピラミッドの形状に変わっております。ちなみに、二〇六〇年には百歳以上の者が相当数に上るようで、一九六〇年ごろは百歳を超える者の数はわずか百人程度でありましたが、二〇一〇年には約四万四千人までふえ、二〇六〇年には六十三万七千人に増加すると見込まれております。  これは、近未来の日本は、総人口が減少するだけでなく人口構成が一変することにも注目をしなければなりませんし、強調しておかなければならない点だと思います。この少子高齢化問題が取り沙汰されて長らくたちますが、この構造的な問題は、我が国の経済成長の隘路の根本であります。少子高齢化の進行が、労働供給の減少のみならず将来の経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、経済の持続可能性を危うくするという認識が、将来に対する不安、悲観へとつながっております。  そのような中、本年六月二日、ニッポン一億総活躍プランが閣議決定されました。その内容は、名目GDP六百兆円、希望出生率一・八、介護離職ゼロ、いわゆる新三本の矢を実現することで、消費底上げ、投資拡大、労働参加率向上、多様性によるイノベーションを促し、成長と分配の好循環を狙っております。この好循環を生み出すためには、働き方改革、女性活躍、奨学金制度の拡充、健康寿命の延伸など、さまざまな角度から施策を講じていく必要があります。私は、各種施策の中でも子育ての負担、悩み、不安を切れ目なく解消するための支援を充実させていくことが、働き方改革や女性活躍に影響を及ぼし、好循環の実現につながると考えております。  そして、子育てをしていく中で、誰もが経験し、不安に思うことは、子供が病気になったときにどう対応していけばいいか、悩まれたことがあるのではないでしょうか。  本県においては、二千五百グラム未満の低出生体重児は、年間約七百人程度生まれており、そのうち、未熟児等で集中的な治療が必要なお子さんは、県内二カ所の総合周産期母子医療センター等で高度な治療を受け、家族も頻繁に面会に行っていると聞いております。また、小児がんなどの難病の治療を行う場合も長期入院が必要となり、家族は大きな不安に襲われていることと思います。  このような状況でも、親は何よりも、まず、子供に最善の治療を受けさせようと考えます。そして、もしその病院が自宅から遠い場所にあったとしても、親は自分のことなど二の次で、子供の治療に専念しようと、何日も病院のソファーで寝たり、三食を簡単な弁当で済ませたりします。その結果、家族の負担は精神的にも、肉体的な面どころか、経済的な負担も大きなものになってしまいます。さらに、兄弟がいれば、遠くの家に残された子供たちのことも心配しなくてはならないのです。  一方、自宅から離れて入院する子供たちにとって、いつでもそばにいて支えてくれる家族の存在は、病気で弱っている身体だけでなく心のケアにも重要で、治療のためにも大切であります。そのためにも、入院児童等の家族の経済的負担を軽減し、その児童等の情緒不安等を解消するため、家族が宿泊し子供と触れ合える施設が必要ではないでしょうか。  香川県でも、香川県健やか子ども支援計画に、「安心して妊娠・出産・子育てができるよう相談体制を強化し、妊娠・出産・子育てに関する正しい知識の普及啓発を図るなど、妊娠期からの切れ目ない支援を行います。」と明記しており、子供が長期入院しても安心して家族が付き添える施設を整備することは、計画の方向性にも合致していると考えております。  そこで、ニッポン一億総活躍プランが閣議決定され、経済成長の隘路である少子高齢化に真正面から立ち向かうには、子育ての負担、悩み、不安を解消すべきであり、その実現のためには入院児童等に対する家族の宿泊施設が必要と考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。  質問の三点目は、県民の防災意識の向上についてであります。  四月十四日二十一時二十六分ごろ、熊本県熊本地方を震源とした震度七の地震が発生しました。その後、四月十六日未明には、再び震度七の地震が発生し、この揺れが本震とされました。この熊本地震では、四月十四日以降に観測した震度一以上の有感地震が既に千八百件を超え、昨年一年間に全国で観測された有感地震千八百四十二回と同程度であります。これは、平成七年の阪神大震災と比べても、発生一週間時点での余震の回数は四倍に上っており、これほど長期にわたり多くの余震が継続していることなど、これまでに経験したことのない地震であることが言えます。  今回の熊本地震で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りし、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を御祈念申し上げます。  私は、発災から十日ばかり過ぎたころ、仲間たちと被災地を訪れ、避難所への物資等の提供を行ってきました。避難所では、地震により自宅が大きく損傷するなど、避難生活を余儀なくされており、今後の生活など不安でいっぱいのはずの避難者の方々に笑顔で迎えていただき、こちらが元気をいただいたような気がしました。  また、益城町では、多くの倒壊した家屋を目の当たりにし、改めて地震のすさまじさを思い知り、これが香川県で発生したらと思うと、背筋が凍りました。  お話をお聞きしていますと、熊本県は、比較的地震などの災害が少ない地域であり、熊本の皆さんも、「まさか熊本が」という感想を口にされていました。香川県も人ごとではありません。「香川県は災害が少なく、住みやすい」ということをよく耳にします。大変ありがたい話ではありますが、だからといって、災害に対する備えをおろそかにするということがあってはならない状況にあると思います。  南海トラフにおけるマグニチュード八以上の海溝型地震の発生確率は、今後、十年以内で二〇%程度、二十年以内では五〇%程度、三十年以内では七〇%程度、五十年以内では九〇%程度と予測されております。  私は、この一般質問の場において、これまで何度も、県民の防災意識の向上についてお尋ねをしてまいりました。なぜなら、何より大切な防災対策だと思うからです。幾ら、国や県、市町がハード、ソフトの両面にわたる対策を講じたとしても、県民の防災意識が低ければ、効果は期待できません。まずは、自分の身は自分で守ることが重要であり、自助の備えが県民一人一人に求められております。まさに、備えあれば憂いなし。  まだ、それほど大きな災害が来ていない今だからこそ、万が一起こったときのことを想定し、まずは備えるものや必要なものを準備し、避難経路や避難場所の確認などのルールの確認。そして、御近所など地域で、どうやって巨大地震などの災害を乗り越えていくのかを相談していただきたいと思います。いつ来るかわからない災害に対しての備えは、一日も早く行っていただきたい。これまでに、さまざまな被災地を訪れさせていただきましたが、どの地を見てきても、そうしておけばよかったという意見を聞きます。  県では、平成二十五年から、県民いっせい地震防災行動訓練として、いわゆる香川県シェイクアウトを実施しています。年々参加者もふえて、県民に浸透してきておりますが、このシェイクアウトは、一分間の身を守る行動訓練であるとともに、防災意識の向上につながるものであり、香川県民の防災意識が高まれば、何よりも効果のある防災対策だと思います。今、熊本地震の発生を受け、民間住宅の耐震化に関する相談会への参加者が大幅に増加するなど、県民の防災意識が高まってきております。  そこで、この機会を捉え、シェイクアウトを初め県民の防災意識の向上につながる取り組みを積極的に実施するべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の四点目は、ネット犯罪防止対策についてであります。  近年、情報技術は急激な進展を遂げ、社会生活や日常生活に浸透し、情報機器の使いやすさの向上も相まって、子供たちが、情報を活用したり発信する機会が一層増大しております。私たちの生活の中には、携帯電話やタブレットなどを初めとするインターネットは、なくてはならないものを通り越して、あることが当たり前の時代になっています。そのような中、子供が、インターネットを通じて面識のない人たちとやりとりし、犯罪に巻き込まれるケースが県内でふえております。  県警察本部が平成二十八年三月に公表した「香川の少年補導」によると、平成二十七年のSNS、プロフィールサイト、ブログなど、多人数とコミュニケーションがとれるサイトのうち、いわゆる出会い系サイトを除いたサイトから起因する福祉犯検挙の状況は、検挙件数四十九件で、前年に比べて三十一件、率にして一七二・二%増加しており、被害児童は三十三人で、前年に比べ十九人、率にして一三五・七%増加しております。  県内では、出会い系アプリで知り合った女子中・高校生と援助交際をしていた会社員三人が検挙されております。さらに、うち一人を、児童に高額の現金を提供してみだらな行為をした上、児童に裸体を撮影させ無料通信アプリで送信させたとして検挙するとともに、被害児童一人をサイバー補導した事例があります。  さらに、さまざまな報道を調べてみると、県外ではこのような事例がありました。「誰か遊びませんか」、そんな投稿とともに、三十代の男性が携帯電話の掲示板アプリに顔写真を掲載しました。この掲示板を見た女子中学生は、「友達になりましょう」と書き込んだとのことです。何度かのやりとりが続き、初めての待ち合わせのときに、中学生は相手が別人であると気づきました。実は、三十代の男性の写真は、ネット上でコピーした全く別人の若い美男子風の容姿であったそうです。ですが、女子中学生はそのまま車に連れ込まれてしまいます。女子中学生は、すきを見て、携帯電話の無料通信アプリで家族に居場所を伝え、無事、警察の捜査で三時間後に解放され、その男は監禁容疑で現行犯逮捕されました。  このように、今回は容疑者が逮捕されましたが、被害者が言い出せずに潜在化している可能性もあり、もしかして認知された犯罪被害者は、氷山の一角であるかもしれません。  ネットを通じた犯罪では、容疑者と被害者の接点は、携帯電話の無料通信アプリ短文投稿サイト、掲示板などが目立ち、被害の内容は、わいせつ画像の送信や性的行為をさせられるものが大半であります。やはりネットの情報をうのみにすると、取り返しのつかないことになるということであります。  子供のネットトラブルに詳しい民間団体の話によると、子供は、芸能人やゲームなど趣味が共通する相手への警戒心が低く、特に女子はネットの写真や書き込みを信じ、妄想が膨らみ、会ってもいない相手に好意を抱くことがあるとのことであります。本人たちにとって、最初は軽い気持ちなのでしょうが、一旦ネット上に出た情報や心の傷は一生消えません。  私はこれまでも、小学生のうちから、これらのようなことも含めた情報モラル教育が必要だと訴えてまいりました。  保護者は、子供のスマホにフィルタリング機能を設定し、家のリビングで使わせるなどのルールを決めるべきであり、ネットが絡む犯罪被害を子供と話題にすることも必要であります。しかし、無料通信アプリ短文投稿サイトなどは、正しくフィルタリングを設定したとしても、全ての被害を防ぐことができるわけではないので、本人に使いこなす力が求められるのではないでしょうか。  逆に、子供が加害者となる事例も珍しくありません。インターネット上での悪口や無視、仲間外れなどを行うケースから、メールで呼び出して暴行に及ぶケースなど、態様が徐々にエスカレートし、いじめにまで発展してしまうこともあります。このように、書き込みの内容が原因となるトラブルや犯罪も発生しております。また、悪ふざけや冗談のつもりでとった安易な行動が犯罪であったり、お金欲しさに犯罪に手を染めてしまったりするケースもあると聞きます。  そこで、スマートフォンやSNSが急速に普及し、子供たちを取り巻く環境は劇的に変化しており、子供が被害を受けるばかりではなく、子供自身が加害者となって犯罪にかかわってしまうこともある中、小学校、中学校、高校等の各学校段階において、インターネット上の情報を活用する力を養うとともに、被害者にも加害者にもならないための対策を講じていく必要があると思いますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  あわせて、県警察本部においても、福祉犯検挙件数や被害児童数が伸びている現状を受け、ネット犯罪防止のため、教育委員会や関係機関と連携し、その安全利用について呼びかけていく必要があると考えますが、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(黒島 啓君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松本議員の御質問にお答えいたします。  まず、3D積層造形関連技術による地域経済の活性化についてであります。  本県経済の持続的な発展を図るためには、県内企業の競争力を強化するとともに、成長分野への進出を促すことが重要であります。
     このため、県では、産業成長戦略重点プロジェクトの一つに、ものづくり「温故知新」プロジェクトを位置づけ、昨年四月には産業技術総合研究所、いわゆる産総研と成長産業の育成等に関する連携協定を締結し、県内企業の競争力の強化と成長分野への進出を支援しております。  お尋ねの3D積層造形技術に対する支援につきましては、県産業技術センターにおいて3Dプリンターを用いた樹脂材料の積層造形技術に係る研修や試作開発支援等を行うほか、県内企業と共同で、最新技術であるセラミックスの3D積層造形技術の開発に取り組み、先月、東京で開催された機械要素技術展に、その試作品を出展したところであります。  さらに、産総研との協定締結を契機に、県と産総研、県内企業等で構成する技術分科会をかがわ次世代ものづくり研究会に設置し、金属等の3D積層造形技術など最新技術の研修や製品化に向けた研究開発を行うとともに、産業技術センターの職員を産総研に派遣し技術を習得させ、企業の技術相談に対応するなど、3D積層造形技術に取り組む企業を積極的に支援しております。  私といたしましては、今後とも産総研との連携のもと、技術の高度化や商品開発につながる共同研究を支援するなど、先端技術である3D積層造形関連技術を県内企業に橋渡しし、本県経済の活性化を図ってまいりたいと考えております。  次に、一億総活躍社会の実現に向けた子育て支援についてであります。  出産年齢の高齢化等により、低出生体重児の割合が増加していることなどから、総合的な母子保健医療対策の充実が求められております。このような中で、専門的で高度な医療を必要とする病気を抱え、自宅から離れた医療機関への入院を余儀なくされる児童やその家族にとって、心身の負担や交通費、宿泊費などの経済的負担は大きく、その軽減を図ることが重要であります。  このため、今年度、新たに、県内二カ所の総合周産期母子医療センターのうち、要望のあった四国こどもとおとなの医療センターに対して、付き添い家族が医療機関等の近くに低額な費用で滞在することができる入院児童等家族宿泊施設の整備に対する補助を行うこととしたところであります。具体的には、浴室や洗面所、トイレを備えた家族用の部屋五室と共用の調理場やランドリー、子供たちが家族と触れ合えるプレールームなども備えた施設を、来年四月に開設する予定であります。  この施設の整備により、病気を抱えた子供の療養環境の向上が図られるとともに、家族の精神的・経済的な負担も和らぐものと考えており、私といたしましては、次代を担う子供たちを安心して産み育てることができる子育て県かがわの実現を目指して、このような取り組みを初め、さまざまな子育て支援策を積極的に推進してまいります。  次に、県民の防災意識の向上についてであります。  大規模災害から県民の皆様の生命、身体、財産を守るためには、御指摘のように、県民の皆様の防災意識を高めることが重要であり、県では、県や国の防災週間に合わせて、防災をテーマとしたシンポジウムや消防学校でのイベント、市長、町長を対象としたトップセミナーを開催するとともに、広報誌、マスメディアを活用した広報などに幅広く取り組んでいます。  また、南海トラフ地震に関するDVDを作成し、県のホームページへの掲載を初め、各市町や防災関係機関、学校、図書館、コミュニティーセンターなどに配布したほか、県教育委員会等と連携し、防災教育の副読本として、小学生向けの防災ブックを作成し、県内の全小学生に配付するとともに、学校の授業等で活用されているところであります。  県民いっせい地震防災行動訓練、いわゆるシェイクアウト訓練につきましては、今年度は十一月四日に実施する予定としており、一分間の基本行動に加え、自主的に避難訓練や備蓄品の確認を行うなど、プラスワン訓練としての取り組みも、学校や事業所等に対し幅広く働きかけてまいります。  また、今年度は、新たに特別養護老人ホーム等の施設における災害対応能力を高めるため、シェイクアウト訓練にあわせて、経験豊富なかがわ自主ぼう連絡協議会のスタッフが施設を訪問し、危険箇所や避難経路の確認などの助言・指導を行うこととしています。  私といたしましては、熊本地震の発生により、災害に対する危機意識が高まっているこの機会を捉え、県民の皆様一人一人が、南海トラフ地震を初めとした大規模災害を正しく知り、正しく判断し、正しく行動できるよう、県民の皆様の防災意識の向上につながる啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)西原教育長。    (教育長西原義一君登壇) ◯教育長(西原義一君)松本議員のネット犯罪の防止対策についての御質問にお答えいたします。  高度情報化の進展や情報機器の高度化により、児童・生徒がインターネットを利用する機会がふえている中で、御指摘のように児童・生徒の情報活用能力を高めるとともに、ネットワーク上でのルールやマナーなどの情報モラルを身につけさせることが重要になってきております。また、子供のインターネットの使い方の変化に伴い、学校や教員は、その実態や最新の情報の入手に努め、それに基づいた適切な指導を行う必要があると考えています。  このため、県教育委員会においては、最新の事例をもとにした注意情報を盛り込んだリーフレットを作成し、毎年、年度初めに各学校に配付しているほか、生徒指導の担当教員等に必要な情報を習得させるための研修会を実施しており、今年度は、ゲームやインターネット依存への対策に関する研修も実施しております。  また、学校においては、小学校での学級活動や道徳の時間等で、中学校ではこれらに加えて技術科等で、高等学校では情報の授業等で、発達段階に応じて授業の中で、インターネットを使っての「調べ学習」などを通じ、情報活用能力を高める教育を行うとともに、情報モラルの育成のための指導を行っており、特に高校生については、不正にアクセスすることの犯罪性についても、十分に理解を深めるよう指導しているところです。  さらに、警察とも連携し、専門家を講師に招いてインターネットの利用に関する安全教室等を開催するほか、家族と話し合ってスマートフォンなどを利用する際の決まりをつくるよう促し、家庭との連携を図りつつ情報モラルを身につけさせる指導も行っております。  今後とも、警察や関係団体等と十分に連携を図りながら、児童・生徒がインターネット上の情報を活用する力を養うとともに、ネットを通した犯罪の被害者にも加害者にもならないための対策に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)木下警察本部長。    (警察本部長木下慎哉君登壇) ◯警察本部長(木下慎哉君)松本議員のネット犯罪の防止対策についての御質問にお答えいたします。  議員から御指摘ございましたとおり、子供がインターネットの利用を通じて犯罪に巻き込まれる事案や、逆に加害者となってしまう事案が増加しているところでございます。  子供は心身ともに未熟でありまして、環境からの影響を受けやすいことから、こうした事案を防ぐためには、インターネットを利用した犯罪の取り締まりを徹底するとともに、議員御指摘のとおり、関係機関と連携し、インターネットの安全な利用について、子供や保護者に対する広報啓発活動を推進することが重要と考えております。  県警察におきましては、これまで県教育委員会と連携し、小・中学生を対象としたインターネットの安全利用について具体的な事例を題材として、みずから考えさせる非行防止教室を開催しております。  また、今年度は、県警察、県教育委員会等で構成する児童・生徒健全育成等連絡協議会の取り組みといたしまして、中学生の協力を得て、インターネットの安全利用を啓発するCMを制作しまして、映画館のスクリーンで放映するなどにより、広く啓発を図ることとしております。  子供の健全育成を図るためには、インターネット上の有害情報や悪質なサイトから子供を守ることが重要であると認識しております。県警察といたしましては、今後とも、県教育委員会など関係機関・団体と連携いたしまして、インターネットの安全利用についての広報啓発活動に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)一般質問を続行いたします。  木村篤史君。    (木村篤史君登壇、拍手) ◯木村篤史君 議長の発言許可をいただきましたので、ただいまから、私の一般質問を始めたいと思いますが、その前に、今回は一言申し添えいたします。  先月十六日に代表質問にて、リベラル香川会派代表の三野議員からの発言の中でありましたとおり、我が民進党も新しく同士を組み、このたび、同会派へ参加させていただきました。旧香川県議会民主党議員会としては、本年二月議会におきまして、岡野議員が最後の一般質問をいたしました。その後、三月二十七日に、その民主党は激動の歴史に終止符を打ち、新たに国民とともに進む党、民進党として生まれ変わりました。  民進党の綱領は、「自由」、「共生」、「未来への責任」を理念とし、目指すものとして、一、自由と民主主義に立脚した立憲主義を守る。二、共生社会をつくる。三、未来への責任、それは改革を先送りしない。四、人への投資で持続可能な経済成長を実現する。五、国を守り国際社会の平和と繁栄に貢献するの五項目を掲げました。この五項目は、自治体にとりましても重要なものばかりであり、着実に目指すものに近づいていけるよう、我々所属議員も粉骨砕身活動していきたいと思います。  このようなときを経て、今回、我々民進党三名と、社民党・県民連合の五人の皆さんと、リベラル香川として新たな道へ歩き始めた次第でございます。今までもそうでしたが、これからも今まで以上に、よりよい県民生活の向上にお役に立てるよう努力精進してまいりますので、皆様方からの御指導を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げまして、ただいまより、木村篤史の一般質問を始めさせていただきます。  今回は、子育てや暮らしなどをテーマにいたしまして、三点質問いたします。執行部の方の前向きな答弁を御期待申し上げます。  一つ目、子供への虐待の対応について質問します。  最近、いやここ数年、毎日のように新聞に、テレビのニュースに、ネットに、目を覆いたくなるような、耳を塞ぎたくなるような、御飯が喉に通らなくなるような、残虐で非道きわまりない、しつけやお仕置きと称した虐待の事件が繰り返されております。食べ物を与えず、着がえもさせず、外出もさせず、会話もさせず、与えるものは暴力と暴言。これが両親の愛情で生まれた宝の子に対する行為なのかと思うと、本当に今の子育てというものはどうなっているのだろうか、何でこのようになったのだろうかと残念で、毎日首をかしげるばかりでございます。  虐待や予期しない妊娠など、何らかの理由で親と暮らせなくなった子供たちは全国で約四万人。こうした社会的養護下にある子供たちの実に九割近くが、これまで養護施設や乳児院などで集団養育されてきました。しかし、そういった子供であっても、養子縁組や里親などの新たな環境の家庭で愛情を受けて育つのは、子供たちの基本的人権であります。今回、五月二十七日に改正児童福祉法が成立しましたが、これは全ての子供たちが、家族と暮らせる未来を切り開くための大きなチャンスではないかと考えております。施設偏重を批判されてきた日本の社会的養護行政を抜本的に改善し、子供が家族と暮らす権利を実現するチャンスであります。  施設での集団生活で寂しい思いをしている子供たちに、一刻も早く愛情のある家庭を用意するため、行政の迅速で徹底した行動をお願いしたいと思います。今回の改正児童福祉法がしっかり実施されれば、社会的養護は、施設から家庭へと大きく転換できるものと期待しております。新法第三条の二では、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援することが重要であることを明記しております。ただし、家庭で適切な養育を受けられない場合は、養子縁組による家庭や里親家庭、ファミリーホームにおいて養育されるよう、また、それが適当でない場合においても、でき得る限り小規模で家庭に近い環境において養育されるよう、必要な措置を講ずることとされました。さらに、これまで余り活用されてこなかった養子縁組、里親を法律上より明確に位置づけて、その利用促進に向けて検討するとしております。  さまざまな大人の事情を優先してきた今までの判断が、今の偏重的施設政策を生み出し、運営されてきました。一方で、家庭内環境の悪化などの理由により、家族で住みたくても、さまざまな要因で離散を選ぶ人も少なくありません。  ここで、一つお話を紹介させていただきます。ツイッター上で、「ホラー過ぎる」、「一生トラウマになる」などと話題になった絵本があります。二〇〇三年に出版された「わかってほしい」という絵本です。表紙に描かれた熊の縫いぐるみが、ページをめくるたびにぼろぼろになっていきます。「憎いんだろ」に対して「ここしかないから」とか、「死んでびびらせる」に対して「でも諦めない」など、相反する二つの感情がそれぞれ白と黒の文字で重なるように書かれています。ただ、怖いというだけでなく、この絵本が伝えたいのは、虐待です。  二十歳まで父親から虐待を受けていたというこの作者は、「この本を書いたのは、虐待が少しでもなくなればという思いと、自分を変えるためです」と述べています。ページをめくるたびに、「何のために産んだの」、「どうしてかわからない」と、子供の視点がつづられています。黒い文字で憎しみ、白い文字で耐える感情を、それぞれ重ねながら表現しています。そして、「わかることは一つだけ」、「愛されたい」と締めくくっています。絵本での最後は、無残な姿の縫いぐるみが描かれています。  絵本の作者は、中学一年のころ両親が離婚し、父と息子である作者、妹と弟の四人暮らしで、父親から暴力を振るわれることがふえていったそうです。ごみ捨てを忘れると殴られ、魚をうまく食べられなかったら殴られ、拳で殴られていたのが木の棒になり、最後は鉄の棒になっていったそうです。殴られているときや、その直後、頭の中が混乱して、いろんな感情が入り乱れたそうです。自分でも気持ちの整理がつかずにいたのですが、二十歳になったころ、「私が本当に求めていることは、愛されたいことなのだ」と気づいたそうです。そう思うと、すうっともやもやが晴れて、家を出ることを決意。先に家を出た弟に続き、作者は妹を連れて家出。ついに、家は父親一人になったそうです。実に寂しいお話だと思います。  ここから問われてくるのは、現代社会の子育てのきしみやゆがみをどう受けとめ、私たちも含め、どのようなことをお手伝いすることができ、支援していけるのかであります。  そこで、知事及び教育長にお尋ねします。  まず、本県において減少傾向にある全児童数に占める児童虐待相談対応件数の割合の推移について、知事にお伺いいたします。あわせて、不運な理由で親元や家族と暮らせない子供に対して、今回、家庭で暮らすことのできるチャンスが広まった改正児童福祉法が成立しましたが、今回の改正児童福祉法に対する認識・評価についてお伺いするとともに、改正児童福祉法を踏まえ、今後、児童虐待防止対策にどのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。  また、学校と児童相談所等の連携がうまくできているのか、その現状について、教育長にお伺いするとともに、児童・生徒を預かる立場として、学校における児童虐待の早期発見、未然防止の取り組みの現状と今後の取り組みについて、あわせてお伺いいたします。  次に、二点目、義務教育課程の医療費の助成と所得制限について質問いたします。  安心して子供を生み育てるためには、やはり医療費の支出が大きな問題となってくると言えます。将来、我が国を背負っていく子供たちの医療費は、全額補助するのが理想かもしれませんが、現実的な対応となると、財源などの難しい問題があることは理解するところであります。県内市町においても、全国の大半で見られるような少子高齢化や核家族化が顕著に進んでおり、安心して子育てができる環境づくりが課題となっています。  現在、市町においては、県が行う小学校就学前までの乳幼児を対象とした医療費補助に、独自の財源で上乗せして、小学校または中学校卒業までを対象とした医療費の無料化を実施しております。私のところにも市町からは、この県費補助を義務教育課程修了まで対象を拡大してほしいとの意見が寄せられております。  当然、市町としては、市民や町民の要望があるところに重点的に予算を配分して、医療費助成を実施しているわけでありまして、引き続き実施していく必要性は高い一方で、現在の市町の財政基盤からすると、地域包括ケアや保育所運営など累増する社会保障関連経費への対応に加え、本助成事業の実施財源のしわ寄せが、投資的経費やほかの住民サービスの劣化を招いていることを大変懸念しているところであります。  そこで、知事にお尋ねいたします。  これまで、県費補助の拡充については、県の子育て施策と医療関係施策全体の中での効果を考え、かがわ健やか子ども基金事業により、市町の取り組みを支援していると御答弁されております。しかしながら、県としては、基金事業に加え、真に県民や市町が望んでいる事業に重点的に配分することが、結果として、県全体の持続可能な子育て支援制度の安定化につながるのではないかと考えております。財政基盤の弱い市町においても、安定した医療・福祉施策が持続可能なものとなるよう、県において、小・中学生を対象とする義務教育課程の医療費の無料化に係る補助制度の拡充をお考えでないのかをお伺いいたします。また、現在の県の補助要件には所得制限がつけられており、この所得制限を撤廃すべきではないかと思いますが、あわせてお伺いいたします。  質問の三点目、安心・安全な通学路確保に向けてであります。  土木部での道路維持修繕事業は、舗装や側溝の新設改良、橋梁の耐震補強や補修、道路の維持補修などが上げられます。道路に穴があいた、側溝のふたがとれた、雨水があふれた、路面が割れているなど、県民からの要望に速やかに対応している土木部職員さんの仕事ぶりには、県民の皆さんも感謝しているでしょうし、未然に重大事故を防ぐこともできます。しかし、道路舗装率全国トップレベルだからこそ悩むべき種は、必要な整備改修がふえ続けて、追いついていないのが現状ではないでしょうか。  毎日、たくさんの車や自転車や歩行者が通る道路も、それぞれにつくられてからの耐用年数があります。それら耐用年数を超え、使用し続ければ、当然道路も傷みます。道路事業も財政健全化策のあおりで予算の上限が定められ、計画的に改修するよりも、優先順位が多過ぎて日々の応急的対応をすることなどで手いっぱいの状況とお聞きいたしております。  土木事務所では、道路の効用・機能を保持し、利用者へのサービス向上を図るため、道路や橋梁などの維持・修繕や改良を行うほか、道路を適切に管理するため、境界確定協議や占用許可などの業務を行っております。また、道路は交通機能のほか、まちづくりの基盤、防災や公益施設を収容する空間機能など、多種多様な役割を担っている県民生活に欠かすことのできない公共施設であります。  これらの機能を引き続き良好な状態に保つことを目的に、維持管理を行っているものと理解しております。ただ、現在では余りにも修繕要望や改良要望が多いため、改修しなければならない箇所を手当てするのが精いっぱいではないのでしょうか。要望の古い順だとか、傷みが大きい順だとか、限られた財源で改修していくと思われますので、やりくりは本当に難しいと思いますが、でき得ることなら維持修繕の予算確保を、国にもっと投げかけていただきたいと願うものであります。  道路法は、直接的には道路網の整備を図ることを目的としたものですが、それにより、交通網の発達に寄与し、公共の福祉を増進することを究極の目的としているとあります。道路網の整備と維持管理は、県民生活の安全とともに、産業・経済・流通などの発展に欠かすことのできない大切な事業であります。  また、安心・安全な通学路確保には、横断歩道やそれを喚起する予告標示、停止線などの道路標示も重要な役割を持ちます。この件につきましては、一つ、かすれて消えかかっている横断歩道の道路標示を、市町村が補修できないというお話を紹介させていただきます。  神奈川県厚木市内で本年二月、下校途中の女子児童が車にはねられ死亡する事故が発生しました。そこは、現場の横断歩道が消えかかっていたそうです。これは、四月一日の衆議院内閣委員会で取り上げられました。背景には、自治体間での経費負担の転嫁を禁じた地方財政法の規定があるが、見直しの可能性を問われた国家公安委員長は、答弁の中で今後の検討に前向きな姿勢を示すも、「一存で直そうというわけにもいかない」と複雑な構造と内情が露呈しました。  地方財政法は、法令に基づく経費負担事務をほかの自治体に転嫁してはならないと定めています。交通規制に関する道路標示も県警の業務に当たるため、市町村が補修することができないことになっています。質問に立った民進党の委員は、「大変理不尽な規定ではないか。県が合意した場合はいいとか、形式上は県がやるが費用は市町村が出すとか、やり方があるのではないか」と発言の中で指摘しています。事故現場の地元では、日増しに横断歩道の補修を求める機運が高まっているそうです。  神奈川県警察本部によりますと、平成二十八年度当初予算に盛り込まれた道路標示の補修関連費は、幅十五センチ換算で一千四百五十キロ相当分をつけていましたが、神奈川県内におきましては、不鮮明になっている横断歩道が約九千五百カ所あり、七百五十キロ分と言われる不足分は、平成二十八年度、二十九年度で重点的に補修を行っていくとしています。  この横断歩道の予算の確保もとても重要であり、縦割り行政の改善と自治体の窮状も、国に対して訴え続けていかなければなりません。  そこで、知事及び警察本部長にお尋ねいたします。  まず、県民から多く寄せられている県管理道路の維持修繕の対応のスピードを上げて取り組んでほしいとの要望にどのように対応していくのか知事にお伺いするとともに、県財政の厳しき折、維持修繕の予算確保に苦慮されていることと思いますが、本当に必要とする財源については、国に働きかけを行っていくべきと思いますが、あわせて御所見をお伺いいたします。  さらに、市町間でも、市町道や陸橋の維持管理に格差が見られます。古い陸橋などで、歩く階段の滑りどめ部分が壊れ、路面のアスファルトが剥がれ、通行するにも恐怖を感じながら通っている児童がいるのも事実でありますし、道路も経年変化が一目でわかるほど、傷みの激しい箇所が無数にあるのも事実でございます。  そこで、市町道については、市町がそれぞれ管理するものとなっておりますが、緊急を要するもの、すなわち通学路の安全確保が危ぶまれる改修箇所があれば、県民等の強い要望も添えて、県費を投じる決断も必要ではないかと考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。  また、横断歩道や停止線などの交通規制標示については、国道、県道、市町道を問わず一定の基準のもと、優先順位をつけて補修・更新されていると思いますが、その考え方につきまして、警察本部長にお伺いいたします。  御清聴まことに感謝申し上げ、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(黒島 啓君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)木村議員の御質問にお答えいたします。  まず、児童虐待防止への取り組みについてであります。  本県の全児童数に占める児童相談所での児童虐待相談対応件数の割合につきましては、平成二十四年度の〇・三一%から、平成二十六年度には〇・四七%と、ここ三年間で約一・五倍となり、また、対応困難な事案が増加しているなど、児童虐待の状況は、より深刻になっていると認識しております。  このような中、今回の児童福祉法の改正は、全ての児童が健全に育成されるよう、虐待の発生予防から自立支援までを通じた対策を一層強化するため、市町、児童相談所の体制強化や母子保健事業との連携、里親委託などによる自立支援などを図るものと認識しており、この改正により、本県における児童虐待対策も促進されるものと評価しております。  このため、市町、保育所、学校や警察等関係機関との通報・連絡体制を強化するとともに、児童相談所においては、困難な事例に対し専門性の高い対応ができるよう、職員の資質向上など虐待対応機能の強化を図ってまいります。  また、市町が実施する妊婦健診や乳幼児健診、乳児全戸訪問事業等において、支援が必要な妊産婦や子育て家庭がある場合には、児童相談所において情報共有を図り、市町と協力して児童虐待の未然防止や早期発見につなげてまいります。  さらに、里親等への委託につきましては、里親委託推進員を児童相談所に配置し、新規の里親を開拓するとともに、児童養護施設と里親との調整を図るほか、里親制度説明会の開催などによる周知に努めているところであり、今後、里親やファミリーホームへの委託を一層推進してまいりたいと考えております。  私といたしましては、全ての児童が心身ともに健やかに養育されるよう、児童福祉法改正の趣旨を踏まえながら、虐待の未然防止、早期発見、早期対応や自立支援などに万全を期してまいります。  次は、乳幼児医療費支給事業についてであります。  県においては、子育て支援の観点から独自の乳幼児医療費助成事業を設け、平成二十三年八月には、その対象年齢を就学前までに引き上げるなど、制度の拡充に努めてまいりました。  御提案の義務教育課程の医療費の無料化に係る補助制度の拡充や所得制限の撤廃につきましては、本県の子育て施策と医療施策全体の中で、県と市町の財政負担の関係や施策の効果などについて、さまざまな観点から検討した結果、現行の制度を継続した上で、各市町が地域ごとのニーズに応じて創意工夫を凝らした事業を実施できるよう、平成二十六年度に本県独自のかがわ健やか子ども基金事業を創設したものであり、昨年度は基金を大幅に増額して、市町の取り組みを支援しているところであります。  各市町がさまざまな施策を実施する中で、本来、市町の一般財源で行う新規事業にこの基金を活用していただくことにより、乳幼児医療費支給事業の対象年齢の引き上げも含め、市町の判断により、少子化対策や子育て支援施策の一層の幅広い展開が可能になるものと考えております。  また、子育て家庭の経済的支援の充実を図るため、医療費については全国一律の制度とする必要があると考えており、機会を捉えて、国において制度化を検討するよう要望しているところであります。  私といたしましては、次代を担う子供たちを健やかに生み育てることができる子育て県かがわの実現を目指して、結婚から妊娠・出産を経て、子育てまでの切れ目ない支援を総合的に推進してまいります。  次に、通学路等の安全確保対策のうち、道路の維持管理についてであります。  県では、限られた予算の中、橋梁など道路施設の維持修繕については、施設の長寿命化を図りながら、更新を含む投資費用を低減し、平準化する長寿命化計画等を策定した上で、計画的な維持修繕に努めることとしております。  このほか、日常の道路パトロールや定期点検等の実施結果、また、道路を利用する皆様からの情報により、緊急的な対応が必要な箇所につきましては、補修等を迅速に行っているところであります。  市町への県費補助につきましては、現在、香川県単独県費補助条例に基づき、道路や橋梁の新設、改良等の事業に対して補助をしているところであり、維持修繕事業は条例の対象となっておりません。  一方、社会資本総合整備計画に位置づけて、横断歩道橋等の交通安全施設整備や道路の維持修繕等を行う場合は、国の交付金事業の対象となることから、県といたしましては国に対して、引き続きさまざまな機会を捉えて、必要な予算の確保を働きかけてまいりますとともに、市町においては、できるだけ交付金事業の活用を検討していただきたいと考えております。  引き続き、県民の皆様が安全で快適に道路を利用できるよう、市町と連携して適切な維持管理に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)西原教育長。    (教育長西原義一君登壇) ◯教育長(西原義一君)木村議員の児童虐待防止への取り組みについての御質問にお答えいたします。  児童虐待については、深刻な社会問題となっており、県教育委員会といたしましても、学校と児童相談所等との連携については、平成二十二年の国の通知や香川県における学校及び保育所から市町又は児童相談所への定期的な情報提供についての指針などにのっとり、学校において、不自然な外傷、理由が不明または連絡のない欠席が続く、家庭訪問をしても安全確認ができないなど、虐待の兆候や状況の変化を把握した場合に、適宜適切に児童相談所等への情報提供や通告をすることなどについて、健康福祉部とも連携しながら市町教育委員会に助言等を行ってきたところであります。
     また、全ての市町教育委員会と児童相談所との間で情報交換会が開催されているほか、福祉、学校、警察などの関係者で構成される要保護児童対策地域協議会において、保護を要する児童に関する情報共有や個別の案件についての協議を行うなど、連携した取り組みを行っております。  学校においては、児童虐待の早期発見、未然防止に関して、こうした児童相談所等との連携はもとより、日常的に児童・生徒を見ている教員が常に注意を払い、健康診断等の際に虐待を受けたと思われる児童・生徒を発見するといった場合には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとも連携しながら対応するとともに、児童虐待の防止等に関する法律に基づき、速やかに市町や児童相談所に通告しております。  県教育委員会といたしましては、引き続き、市町教育委員会や学校が関係機関との連携強化を図り、高い意識を持って児童虐待の防止等に努めるよう助言等を行ってまいります。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)木下警察本部長。    (警察本部長木下慎哉君登壇) ◯警察本部長(木下慎哉君)木村議員の通学路等の安全確保対策のうち、道路標示の維持管理についての御質問にお答えいたします。  横断歩道や停止線等の交通規制標示は、交通事故の抑止等を図る目的から、県道、市町道等の区別にかかわらず、公安委員会によって必要と認められる箇所に整備されております。  交通規制標示の更新整備につきましては、その摩耗状況等を確認いたしまして、必要と判断された箇所を更新するという基本的な考え方で実施しているところでございます。具体的に申しますと、整備後の経過年数をもとに管理システムで抽出された箇所、あるいは交通量が特に多い箇所、あるいは地域住民等から交通規制標示の摩耗が進んでいるとの指摘があった箇所について、警察職員が直接現場で点検確認を行い、更新整備箇所を決定してございます。  議員から御指摘のございました通学路内の交通規制標示につきましては、児童の安全確保のため、特に重要でありますことから、毎年、道路管理者や市町の教育委員会等と連携した交通安全総点検を実施いたしまして、交通規制標示の更新整備を含めた安全対策を優先的に推進しているところでございます。  県警察といたしましては、引き続き、計画的かつ迅速な交通規制標示の更新整備など、交通事故の起きにくい交通環境の整備に努めてまいります。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)一般質問を続行いたします。  松村秀樹君。    (松村秀樹君登壇、拍手) ◯松村秀樹君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、私の一般質問を始めさせていただきます。  自由民主党議員会の一員としましては、初めての一般質問でありますので、大変緊張しております。五月に、議会の合間を縫って台湾へ視察に行ってまいりました。私が想像していたより、はるかに都会的で、発展を遂げている国でした。また、台南市役所を表敬訪問したり、航空会社との懇談を行ったりする中で、高松空港発着便のデーリー運航実現に取り組む先輩議員の一生懸命な姿に、何よりも感激をいたしました。このような地道な活動が、台湾との交流を拡大し、そして香川県の経済発展につながるはずであります。  また、食文化では、苦手の鳥料理が多いのには閉口いたしましたが、比較的淡泊で素朴な味つけの料理が多くございました。中でも、ビールは薄目で、すっきりとした爽やかな飲み口でした。私としましては、台湾ビールのように、すっきりと透明感のある議員活動を心がけてまいります。  質問の一点目は、保育士の確保と待機児童の解消に向けた取り組みについてであります。  私の住んでいる地域は少子化の進行とともに、過去に公立保育所を閉鎖したり、保育士、幼稚園教諭ともその採用を抑えたりしてきましたので、待機児童の問題では、実感がなかったというのが正直なところであります。  安倍首相が四月二十六日、一億総活躍国民会議で、保育士の給与を来年度から競合他産業との賃金差がなくなるよう処遇改善を行う方針を明らかにしたとの報道がありました。政府の調査では、女性保育士の平均月給は二十六万八千円。全産業の女性労働者の平均月給三十一万一千円より四万円以上も低いとのことです。  かつての勤務先では、職員採用の業務にも携わってきましたが、私立保育所の保育士の方が職員募集に応募されるケースが何度かありまして、行政による人材の引き抜きと批判されるようで、複雑な心境になったものです。公立の保育士を志望する理由は、身分の安定が一番です。そのほかの理由は、公立と私立保育士の初任給はほとんど変わりませんが、公務員は毎年定期昇給があること。経営状況に関係なくボーナスが支給されること。人員配置に余裕があり、有給休暇を取得しやすいこと。将来の結婚、そして出産を考えると、育児休業がとりやすいことなどです。  今回の保育士の処遇改善の対象は、私立保育所に勤務する保育士を主眼とするものでしょうが、公立においても臨時職員の割合が高まっており、正規保育士と同じ仕事をこなしているにもかかわらず、その賃金格差は相当なものであります。賃金を大幅にアップしたいのだが、私立保育所への配慮から改定を控えているとの話もあります。また、認定こども園への移行を見越して、幼稚園教諭と保育士の双方の資格をあわせ持つことを受験資格としている自治体が大多数と思われます。昨年度は保育所、今年度は幼稚園のクラス担任といった異動もあるようですし、幼稚園教諭も視野に入れた考察が必要と考えます。  以上、私見を申し述べ、本題に入ります。  本年四月一日時点での県内における保育所等の利用待機児童数は三百二十四人であり、昨年度の百二十九人から百九十五人増加しています。背景にあるのは、共働き世帯の増加です。非正規雇用がふえ、夫婦で働かざるを得ない状況がありますし、今の子育て世代には、子供が生まれてからも仕事を続けるライフスタイルが浸透していることも、その一因であります。昔はやったコマーシャル、亭主元気で留守がいいの時代ではなくなったということであります。  本県では、次代を担う子供たちを安心して生み、健やかに育てることができる子育て県かがわの実現に向け、さまざまな施策に取り組んでおりますが、待機児童の解消に向けては、一次的には、いわゆる保育の量の拡大として、保育所等の施設整備により定員を増加させることで、受け入れ態勢を整えることが求められます。  しかしながら、民間保育所の施設長からは、新たに保育所を創設したとしても、保育士の確保が難しい現状では、建物ができて実際に開園しても、当初予定していた定員どおりの子供を受け入れることは困難だろうとの御意見を伺っています。この意見に関連して、以前、現職の保育士の方から、保育所の人員に余裕がないため、育児休業が取得しづらく、妊娠・出産後も保育士として働き続けることが難しいとのお話を伺ったほか、子育てが一段落し復職を考えている保育士の方からは、保育士は重労働である一方で、給料水準が低いほか、保護者への対応など、保育環境の変化に自分が対応できるかどうかに対する不安が大きく、なかなか復職に踏み切れないといったお話を伺いました。  このように、保育所等の施設整備により受け入れ態勢を整えようとする中、必要な保育士数が確保できないことで、児童の受け入れに制約が生じることは、待機児童の解消に向けての大きな課題ではないかと考えます。  一方で、県内の保育士養成施設における昨年度卒業生の進路状況を見てみると、保育所への就職者は卒業生全体の六割弱にとどまっています。また、昨年度末における香川県に登録されている保育士数が一万四百九十九人であるのに対し、本年四月一日現在の県内の保育所等で働かれている保育士数は三千九百六十三人となっており、保育所等への就職を諦めて他の仕事につかれている方や、さきの保育士の方のように、出産を機に一度退職し、子育てが一段落した後で復職を検討しておられるものの復職に至っていない、いわゆる潜在保育士が相当数おられるものと考えられます。  さきの二月議会で知事が答弁されたとおり、保育士の職場環境の改善や処遇の改善に向けて取り組みを行うことで、熱意を持った方が保育士を目指し、熱意を持って働き続け、また、一度離職された方が復職を志したくなる、そのような環境づくりが必要とされています。  中でも、私は、保育士の方が妊娠・出産を経ても働き続けやすい職場環境づくりや、潜在保育士の復職支援を通じた保育士の確保に向けた取り組みを進めることが重要ではないかと感じておりますが、これらを初めとした保育士の確保や処遇改善について、県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  また、保育所等の利用に対する需要の高まりを受け、本年度は、高松市だけでなく、宇多津町においても待機児童が発生している一方で、私の地元である東かがわ市では本年四月一日現在で、市外から十九人の児童を市内の保育所へ受け入れています。保護者の勤務先が東かがわ市にある、里帰り出産のため保護者が実家に戻ってきている、祖父母の家が東かがわ市内にあり、保育所への迎えを頼むことができるなど、利用者の事情はさまざまでしょうが、待機児童の解消に向けた一助となるように、また、東かがわ市にゆかりのある方のお役に立てるようにと、取り組みを行わせていただいているところであります。  この保育所の広域利用、広域受け入れについて、県内では本年四月一日現在で五十九人の利用があると伺っています。市町間での協議により運営がなされていると聞いておりますが、待機児童が増加している今、この状況をわずかでも解消するべく、受け入れ側となる市町内の児童の入所に支障のない範囲内で、市町間における保育所の広域利用、広域受け入れを促進するよう、取り組みを行ってはいかがでしょうか。  居住地と勤務先の所在する市町が異なる保護者も多いと思われます。これらの保護者の勤務形態によっては、居住地の保育所に子供を預けることが困難である場合もあると考えます。勤務先の所在する市町の状況が許せば、勤務先に近い保育所に子供を預けることで、保育所利用に対する困難が解消されるなど、子育て世帯の保育ニーズにも応えることになると考えられます。  保育所の広域利用、広域受け入れの促進に向けた取り組みについて、どのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の二点目は、所有者の所在の把握が難しい土地への対応についてであります。  現在、不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、または判明しても所有者に連絡がつかない土地が増加しており、公共事業用地の取得を初め、さまざまな場面で支障を来しています。  かつての私の勤務先でも、事業の実施に当たり用地を取得するべく、不動産登記簿謄本を確認したところ、登記簿上の所有者がお亡くなりになっているということは往々にしてありました。所有者の法定相続人に当たる方からお話を伺ったところ、法定相続人が全国各地に散らばっており、遠縁の方とは連絡が途絶えているといったことも、決して珍しくない話であります。  このような場合、法定相続人の全員に実際にお会いして事情を説明した上で、遺産分割協議書の作成に協力をいただき、まずは、不動産の名義を変更する相続登記を行うことに同意くださるようお願いをすることとなりますが、職員が法定相続人の居住地を探索したところ、うち何人かの消息に行き当たらないといったことが間々ありました。また、法定相続人が多数にわたる場合であって、遺産分割協議が調っていない場合には、仮にその全員の消息が判明し、全員にお会いすることができたとしても、法定相続人の間での遺産の分割に関する協議調整が整わないといったことも珍しくありませんでした。  これらの場合、探索に時間と職員の労力を費やしたにもかかわらず、登記名義人を相続人へと変更することができず、ひいては、事業の実施に関する土地所有者の承諾が得られないとして、その用地での事業化を断念しなければならないことになります。さらに、代がわりが続いている場合には、法定相続人の特定すら困難であることもあります。  山林などでは、かつての入会権といった所有形態の名残から多数の方の共有名義とされ、相続登記もなされないままとなっていることも珍しくなく、この場合、全ての所有者及び法定相続人の全員に連絡をとり、事業への協力をお願いすることは極めて困難です。これらの状況が確認された時点で、その用地での事業化は、事実上、諦めざるを得ないというのが実情でした。  所有者の所在の把握が難しい土地は、公共事業の場面のみならず、遊休農地の発生要因や農地利用集積の支障となり、隣接地を含めた山林の維持管理を困難にし、民間事業者における土地取引の支障となるなど、国土利用に関するあらゆる方面で支障となっています。  農地・森林所有者のうち、居住地が市区町村外である不在村所有者の割合は、農地所有者の七人に一人、森林所有者の四人に一人に上っています。  平成二十四年度に国土交通省が発表した「農地・森林の不在村所有者に対するインターネットアンケート調査結果概要」では、不在村所有者のうち、農地所有者の一二・九%、森林所有者の一七・九%が、相続時に登記や届け出を行っておらず、全国で農地所有者の約十二万人、森林所有者の約十六万人の所在の把握が難しくなっていると見込まれるとしています。また、同発表では、調査結果をもとに、平成十二年から平成二十三年までの十二年間で約四十万人発生した不在村所有者について、平成二十四年から平成三十五年までの十二年間で約八十八万人発生すると見込んでおり、これに先ほどの不在村所有者における相続時未手続者の割合を乗じ、平成三十五年までに、新たに約十四万人の所在の把握が難しい所有者の発生が見込まれるとされています。  国土交通省では、本年三月に「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン」を取りまとめ、地方自治体に対して、個別具体の事案に応じて活用が可能な制度など、実務面からのノウハウを示し、現時点でとり得る方策を公表したところです。  私自身、県事業としての施行を地域の方や市と相談している案件の中に、今まで探索手順を尽くしても、所有者または、その所在が判明しなかった土地があり、県に要望することをちゅうちょしていましたが、このガイドラインの存在を知り、希望の光がともったような気分になっています。  積極的な利活用、維持管理ともに行われず、権利の移転も困難である土地の増加は、国土の有効利用の支障となるものであり、今後の我が国における大きな課題と考えます。県及び県内市町においても、各種事業の実施に当たり、所有者の探索に要する人的・経済的負担の増大が懸念されるほか、公共事業を初めとした各種事業の実施の支障となるなど、所有者の所在の把握が難しい土地への対応は、我々に当面する喫緊の課題でもあります。  ついては、所有者の所在の把握が難しい土地による支障が生じた場合におけるできる限り迅速な解決に向け、県としてどのように取り組むのか、また、市町事業で支障が発生した場合における市町に対する県のノウハウ面の支援をどのようにお考えか、さらに、このような土地の増加をさせないために、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  最後に、小・中学校における学校司書の配置の促進についてお伺いします。  現在の教育現場における子供の指導に際しては、思考力、判断力、表現力等を育むため、基礎的・基本的な知識や技能を習得しつつ、それらを活用して、子供たちがみずから課題を解決し、さらには探求的な発展活動へと導くよう取り組むことが求められています。  平成二十六年十一月に文部科学大臣から中央教育審議会に諮問された「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」においても、何を教えるかという知識の質や量の改善はもとより、どのように学ぶかという学びの質や深まりを重視した課題の発見や解決に向け、主体的・協働的に学ぶ学習、いわゆるアクティブ・ラーニングの充実に向けた議論が行われています。  このような中、子供たちが、みずから必要な情報を収集した上でまとめる力を養う場として、学校図書館の機能向上が求められており、学校司書の果たすべき役割が大きくなっています。平成二十七年四月一日に施行された改正学校図書館法において、学校図書館に勤める学校職員が初めて学校司書として法制化され、また、各学校は学校司書を配置するよう努めなければならないと規定されています。しかし、改正法施行後においても、県内市町の小・中学校における学校司書の配置は、不十分なままとなっています。  学校図書館は、子供に読書に親しむ機会を提供する場にとどまらず、子供たちの豊かでたくましい心を育む場であり、今後、求められる主体的・能動的な学習の場であり、学校生活になじめない子供を守り育てる場であるなど、多面的な機能を果たしています。これらの機能を十分に発揮していくためにも、市町における学校司書の配置の促進が求められていると考えます。  県教育委員会においては、平成二十八年度当初予算で学校司書配置促進事業を措置したところであります。ついては、教育現場における学校司書が果たすべき役割についてどのようにお考えか、教育長の御所見をお伺いします。  また、県からの学校司書の派遣方針や、派遣によりどのような効果を期待しているのか、本事業に対する教育長のお考えをお伺いし、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(黒島 啓君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松村議員の御質問にお答えいたします。  まず、保育所の待機児童対策についてであります。  県では、待機児童の解消に向け、保育士の人材確保や処遇改善は、喫緊かつ特に重要な課題であると認識しており、保育士人材バンクを活用して本年五月末までに延べ百四十一人の就職を支援したほか、保育士養成施設における就職支援の取り組みへの補助や、学生に対する修学資金の貸し付けを行っているところであります。また、今年度は、新たに事業所内保育施設を含め、保育所等の定員増加を図るための保育士の採用またはフルタイム化に取り組む市町に対する補助事業を実施するとともに、先月から潜在保育士マッチング推進事業を開始しているところであります。  この事業では、求人開拓コーディネーターが、保育所が求める人材の情報と保育士人材バンクに登録している保育士が希望する勤務条件等とのマッチングを行い、就職につなげてまいります。さらに、潜在保育士に対して、再就職への意欲を醸成するため、働くことへの不安や希望についての個別相談や保育実技セミナー等を実施し、復職を支援してまいります。  保育士の処遇改善につきましては、昨年度、私立保育所等に対して、職員の平均勤続年数に応じた人件費の加算等が行われたことから、この加算分が賃金に適正に反映されるよう、監査などを通じて保育所等を指導するほか、保育所の管理者等に対して、離職防止を図るための人事管理や職場環境改善等の研修を行ってまいります。  また、御指摘の市町の行政区域を越えた保育所等の広域利用につきましては、保護者の勤務先や里帰り出産などを理由とする入所希望に応じて、施設の所在する市町における、利用定員や待機児童の状況等を勘案し、関係市町間の協議により、受け入れが実施されているところであり、県といたしましても、こうした広域利用の活用も含め、待機児童解消に向けた市町の取り組みを支援してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、子育て県かがわの実現を目指して、待機児童対策を初め、結婚から妊娠・出産を経て子育てまでの切れ目ない支援を総合的に推進してまいりたいと考えております。  次に、所有者の所在の把握が難しい土地への対応についてであります。  議員御指摘のとおり、相続時に登記の名義変更が行われていないことなどにより、登記簿に記載されている所有者と実際の所有者が異なるなど、真の所有者の特定が困難な土地が発生しており、今後、このような土地は、人口減少や高齢化の進行、単身世帯の増加、都市部への移住などにより、さらに増加していくのではないかと考えられます。こうした中、国においては、本年三月に、土地所有者の調査方法や土地所有者が不明である場合に活用できる制度、解決事例等を取りまとめた「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン」を作成したところであります。  県の事業におきまして、用地の取得等を行う際に所有者が不明な場合には、戸籍調査や周辺への聞き取り、相続関係者への調査を丁寧に行う中で、所有者を特定するよう努めており、また、所有者が不在の場合には、必要に応じて、このガイドラインで紹介されている不在者財産管理制度なども活用しながら、事業の進捗を図っております。また、市町への支援につきましては、用地担当職員などに対する、法制度などの研修を実施するとともに、個別の相談に応じて、全国の対応事例の情報提供や助言などを行っているところであり、国のガイドラインにつきましても、研修の際に、改めて周知を図ってまいりたいと考えております。  所有者の所在の把握が難しい土地の増加を抑制することは、財産権の問題があり難しい面もありますが、市町と連携し、農地や森林を相続等により取得した場合の届け出制度の適切な運用を図るとともに、死亡届の提出があった場合に、市町の総合窓口が相続登記を含む必要な手続の一覧を渡すなど、きめ細かな対応を行っている取り組み事例を市町に紹介することなどにより、こうした土地の増加の抑制に努めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)西原教育長。    (教育長西原義一君登壇) ◯教育長(西原義一君)松村議員の小・中学校への学校司書の配置促進についての御質問にお答えいたします。  学校教育においては、学校図書館の活用などを通じ、読書活動や言語活動、探求的な学習等を充実し、児童・生徒に確かな学力と豊かな人間性を育ませることが大変重要となります。そのためにも、司書教諭等と連携しながら、図書資料の管理や学校図書館利用のガイダンス、授業での図書館資料の活用の補助等を行う学校司書は、学校における読書活動等の推進に向けた環境づくりにおいて重要な役割を果たすと考えております。  議員御指摘のように、平成二十六年度に学校図書館法の一部が改正され、各学校には学校司書を置くよう努めることとされたところですが、昨年五月時点で、学校司書を配置している県内の小・中学校は二百三十二校中百五十校であり、市町によって配置状況に差が見られる状況であります。  このことを踏まえ、県教育委員会におきましては、本に親しむ子供たちの姿が広がり、読書を通じて豊かな感性や情操などを育むことができる環境づくりを進めるため、今年度、学校司書配置促進事業として、学校司書が未配置の五町に対し一年間、また、学校司書の配置割合が少ない七市町に対しては十カ月間、各一名の学校司書を派遣したところであります。  この派遣により、児童・生徒が読書に親しむことができる環境が整うことで、県内の小・中学校における学校図書館の利活用や、さらには市町による主体的な学校司書の配置促進への機運の醸成が図られていくことを期待しているところであります。(降壇) ◯議長(黒島 啓君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時四十二分休憩                         午後 一時  七分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    高  田  良  徳 君    岡  野  朱里子  君    白  川  容  子 君    広  瀬  良  隆 君    松  原  哲  也 君    佐  伯  明  浩 君    松  村  秀  樹 君    松  本  公  継 君    山  下  昭  史 君    氏  家  孝  志 君    木  村  篤  史 君    米  田  晴  彦 君    樫     昭  二 君    都  築  信  行 君    新  田  耕  造 君    西  川  昭  吾 君    高  木  英  一 君    谷  久  浩  一 君    有  福  哲  二 君    斉  藤  勝  範 君    山  本  悟  史 君    森     裕  行 君    三  野  康  祐 君    大  山  一  郎 君    花  崎  光  弘 君    五所野尾  恭  一 君    高  城  宗  幸 君    香  川  芳  文 君    十  河     直 君    山  田  正  芳 君    竹  本  敏  信 君    山  本  直  樹 君    宮  本  欣  貞 君    尾  崎  道  広 君    石  川     豊 君    辻  村     修 君    水  本  勝  規 君    平  木     享 君    鎌  田  守  恭 君
      欠  席  議  員    黒  島     啓 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事   浜  田  恵  造 君           副  知  事   天  雲  俊  夫 君           病院事業管理者   松  本  祐  藏 君           審  議  監   工  代  祐  司 君           政 策 部 長   川  田  浩  司 君           総 務 部 長   野  本  祐  二 君           環境森林部長    大  山     智 君           健康福祉部長    高  木  康  博 君           商工労働部長    安  藤  照  文 君           交流推進部長    安  松  延  朗 君           農政水産部長    松  尾  恭  成 君           土 木 部 長   葛  西     剛 君           知事公室長     中  村  貴  紀 君           危機管理総局長   山  田  恵  三 君           文化芸術局長    国  分  伸  二 君           水 道 局 長   岡  田  繁  正 君           会計管理者     山  田  泰  子 君           病 院 局 長   和  田  光  弘 君           教育委員会     藤  村  育  雄 君           委  員  長           教  育  長   西  原  義  一 君           公安委員会委員   溝  渕  香代子  君           警察本部長     木  下  慎  哉 君           代表監査委員    林        勲 君           監 査 委 員   井  川     泰 君           事 務 局 長           人事委員会     東  条  正  幸 君           委  員  長           人事委員会     宮  武  卓  朗 君           事 務 局 長           労働委員会     重  安  修  児 君           事 務 局 長           理事兼政策部次長  徳大寺   祥  宏 君    ───────────────────────────── ◯副議長(高田良徳君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  森 裕行君。    (森 裕行君登壇、拍手) ◯森 裕行君 リベラル香川の森 裕行です。ただいまから一般質問を行います。  質問の第一点目は、高齢者のひとり暮らし支援です。  県では、高齢者の暮らしを支える仕組みとして、地域で支え合うための人づくりや仕組みづくりに取り組むとともに、高齢者の社会参加の促進や生きがいづくりなど、地域における住民主体の支え合い活動を支援していく取り組みを推進しているところです。  具体的には、人づくりとして、活動に対して意欲のある方たちを対象に、県内で高齢者の居場所等の立ち上げや、運営方法、地域での社会的な活動の実施方法等についての知識や技術を習得するための研修会を開催し、実際に地域で中心となって活動できる人の育成を行い、地域で支え合う活動を行うための知識を伝授しています。また、仕組みづくりとしては、認知症カフェやサロン等、居場所や通いの場、生きがい活動の場を設置しようとする主体を支援するとともに、高齢者いきいき案内所を開設して、地域で活躍したい高齢者を活躍の場へと導くコーディネーターを配置し、相談業務を実施しています。  しかしながら、高齢者といっても、ひとり暮らしで日々の生活に御苦労されている方から、長年培った豊かな経験や知識、技能を発揮して地域で活躍されている方、常時介護が必要な方まで、さまざまいらっしゃいます。  また、ひとり暮らしの高齢者といっても、家族関係は大きく三分類できます。一つは、子供を持たないでひとり暮らしをしている方。子供は持っているのだが同居慣行が変容して子供と暮らさない方。また、配偶者との関係で離婚して子供と同居していない方です。これらの要因によって、ひとり暮らしの比率が上がっていることは事実ではあるのですが、日本の社会における高齢化率の上昇によって、ひとり暮らしの絶対数を上げているのも事実であろうと思います。  そういう中で、注目すべき点があります。それは、女性よりも男性の比率の増加が著しいということです。高齢者のひとり暮らし総数に占める男性の比率を計算すると、一九八〇年には二一・九%、二〇一〇年には二八・九%で次第にふえてきていましたが、二〇三〇年の予測では三三・三%となって、男性がふえていくと予想されていることです。このことも、今後の高齢者の支援対策に影響があると思います。  現代、そして将来において、住民同士の助け合いはどの程度可能でしょうか。県が進める取り組みもそうですが、これは元気な高齢者が多くいて、何かの役に立ちたいと考える人たちがたくさんいるという前提での話になっているように思います。いまだ経験のない超高齢社会を迎えようとしている中では、長期的な視点に立って、少しずつでも実践しながら課題を洗い出し、高齢者の個々の実情に応じたきめ細かな支援を行っていく必要性が求められていると思います。  そこで、高齢者のひとり暮らし支援について、これまでの取り組みと課題について、知事にお伺いするとともに、あわせて、長期的な視点に立った今後の取り組みについてお伺いいたします。  質問の二点目は、子育て支援についてです。  最近は、お勤めをされているお母さんが、育児休業が終了してから再び働こうとしても子供を預けられる保育園にあきがなく、泣く泣く働くことを諦めてしまったということが、全国的にマスコミなどによって取り上げられました。  また、共働き世帯にとって、職場に復帰して働き始めてはいたのですが、再びどちらかが子供を見るために、働くことを放棄せざるを得ない状況が見受けられます。それが今、小一の壁と言われていることです。  学童保育とは一般に、親が就労しているなどの理由で、小学生が放課後や学期間休業中に利用する施設のことで、その役割は、共働き家庭や母子・父子家庭の小学生の子供たち、毎日の放課後や休業中の生活を守る場で、親の働く権利と家族の生活を守る場としています。  現在、日本の学童保育は、小学校に通っている子供が利用するもので、施設の場所も、学校の余裕教室が二九%、学校敷地内専用施設が三九%と、過半数が小学校施設内にあります。しかし、学童保育の制度を所管しているのは、文部科学省ではなく厚生労働省です。  学童保育は、一九九八年四月に放課後児童健全育成事業として児童福祉法の適用範囲とされました。こうして学童保育は法的根拠を付与されましたが、保育所のような設置・運営基準については定めがありませんでした。二〇〇七年十月には放課後児童クラブガイドラインが策定されましたが、これも市区町村が、学童保育の運営に当たって必要な指導・助言を行うためのよりどころとして定められたもので法的効力はなく、既に法律で規定されていた保育所の最低基準のように罰則規定などもありませんでした。そのため、このガイドラインの基準に満たないような環境の学童保育施設も少なくなかったのが実態でした。  こうした中、二〇一五年四月に施行した子ども・子育て関連三法により、今後、学童保育は制度的に大きく変わっていくのだろうと考えられます。  第一点は、児童福祉法が改正され、学童保育の対象年齢が、それまでのおおむね十歳未満から小学生に拡大されたことです。  第二点は、学童保育が、市区町村の行う地域子ども・子育て支援事業の一つとして位置づけられ、その一環として、市区町村が、ニーズ調査を踏まえた学童保育の整備計画を策定することが義務づけられたことです。  第三点は、国が学童保育の基準を二〇一三年度中に省令で定め、それに基づき、市区町村が独自の基準を二〇一四年度から策定することとなったことです。  これまで、学童保育に対するニーズは高まっているのに、制度化についての検討が十分になされませんでしたが、今回の法改正により最低基準ができ、自治体によるニーズ調査が行われることは大きな進展だと言えます。  仕事をする保護者にとって、小学生の子供を一人で家庭内に置くということは非常な不安を持ちますし、安全面からも多くの問題を持っています。そういう中で、学童保育は安全に遊んだり勉強したりする場を提供していただくので、安心感を持って預けることができます。母親の就業率が諸外国から見ても低い日本においては、小学校の放課後対策は当然必要であると考えます。  しかし、この学童保育においても、待機児童の問題が提起されています。先般の我が会派の三野県議の代表質問において、放課後児童クラブの設置に係る施設整備費や、児童数などに応じた運営費を補助するほか、児童を指導する放課後児童支援員や補助員の養成研修を行っていると知事はお答えになっていますが、実態としては勤務時間の関係などで、支援員や補助員は、これらの業務を主として生活することはほぼ不可能な状況にあることも現実です。このような状態での運営では、なかなか人は集まってくれないことがあります。  県として、安心して働く環境をつくる上で、学童保育は市町にお任せしてそれでよいというのではなく、積極的に先行して市町の対策を支援していく必要があるように思えます。  そこで、まず、学童保育について、市町における費用も含めた施設等整備に係るハード面及び人材確保や運営に係るソフト面での現状と課題について、知事にお伺いするとともに、今後、どのような対策を積極的に行うのがよいと考えるのか、お尋ねします。  また、教育長は、同じく我が会派の代表質問に対して、放課後子供教室の関係で、教育委員会としてのあり方をお答えになっていますが、その内容は、今の働く保護者に寄り添って積極的に働くことを支援していくようには感じられませんし、今後、ますます保護者の働きが支持されていくような香川にするためには、今の状況では積極的な支持を得られるとは考えられません。  そこで、共働き家庭も含めた全ての子供の居場所づくりのために、教育委員会として、これまで以上に児童の放課後対策における積極的な施策が必要になると思いますが、このことに取り組んでいく考えがあるのか、教育長にお尋ねいたします。  質問の三点目は、口腔ケア対策です。  一生、歯を失わず自分の歯でおいしく食べたいとか、一生自分の口から食べたいという普通に聞いていれば当たり前のことでも、口腔ケアを怠ると、なかなかできなくなります。県でも八〇二〇運動などを通して、自分の口で一生食べることが可能なような取り組みを推進しています。  口腔ケアとは、口腔清掃、義歯の取り扱いなどを対象としています。広義には、口腔機能の維持・向上を目的にした口腔周囲筋の運動訓練、せき払い訓練、発音訓練などを含んでいます。口腔ケアの目的は、口腔内疾患の予防、口腔機能障害の改善、栄養摂取、生活の質の向上です。  高齢者や脳卒中などの脳血管障害を有する患者では、嚥下機能の低下に伴い急性肺炎がふえることが知られています。嚥下機能の低下で唾液などが肺に入って起こる肺炎のことを誤嚥性肺炎と呼んでいて、口腔ケアと密接な関係があります。  嚥下機能障害のある患者では、口腔環境が衛生的でないと細菌が増殖しやすく、誤嚥性肺炎の危険が伴います。一方、口腔ケアが適切に行われていると誤嚥性肺炎の発症頻度は急激に低下することから、口腔ケアは摂食・嚥下リハビリテーションの重要な要素と言えます。高齢者、特に施設入所者や在宅の要介護者の増加に伴い、これまで専門的に行われてきた口腔ケアを、広く介護職や訪問看護師にも普及することも必要になってきます。  口腔ケアを行うことによって、口腔機能の向上、食べる楽しみ、運動機能の向上、低栄養予防、誤嚥や窒息の予防などの効果があり、口腔内の状態がよくなると、唾液が出やすくなり、かみやすくなる上に、食事もおいしく感じます。そのために積極的に食べ物を口に入れようとする高齢者もふえ、食事の介護が軽減され、口臭も少なくなります。その結果、生きる意欲の向上につながり、高齢者が生き生きと暮らすことができるようになります。  口腔ケアを行っている方々とそうでない方々では、発熱の発生率に差があると言われています。口腔ケアを行っている人のほうが、発生率が少ないようで、口腔ケアには発熱のリスクを減少させる効果もあるようです。  口腔ケアには、歯のかみ合わせのケアも行います。歯でしっかりかめるということは、脳へのよい効果が期待できます。また、かむ力の低下は、脳の認知機能の低下を招くおそれもあります。何でもかめる人に比べ、余りかめない人は、認知症の発生リスクが一・五倍も違います。しっかりかむことが困難になると、脳の刺激が少なくなり、脳が萎縮して認知症になりやすくなると言われています。  歯周病がある人は、心臓病になるリスクが高いと言われています。歯茎の粘膜が傷つき、その傷口から口腔内の歯周病菌が血中に入り込むと、動脈硬化を引き起こす原因ともなります。症状が進行すると、心筋梗塞や狭心症などが起こり、最悪の場合は死に至ります。口腔ケアで口の状態をチェックし、傷口に菌を近づけさせないために唾液の分泌を促したり、歯周病にならないためのケアを行い、口腔内から心臓病になるリスクを少なくすることも可能です。  口腔が衛生的であれば、歯を失うリスクも低くなります。自分の歯が多く残っている人は、歯科治療だけでなく医科の治療も含めた総医療費が少なくなるとも言われています。県の過去の調査によれば、歯が残っている本数が多いほど総医療費に差が生まれ、歯がゼロから四本残っている人では年間約五十四万一千九百円かかる費用が、歯が二十本以上残っている人では年間約三十六万四千六百円と、その差額は十七万七千三百円にも上がるとされております。体が健康であることが一番の節約とするなら、全身の健康へとつながる口腔ケアはとても大事なものと思います。  県では、これまでもさまざまな対策をとってきているところですが、これまでの考え方は、どうしても子供の時期と高齢者になってからの口腔ケアが中心となっていると感じます。青壮年時の対策もとってきてはいますが、特に高齢時になったからといって急に口腔ケアを考える人は少ないと思います。県の歯科医師会等とも連携して、全年齢の口腔ケアを考える時期に来ているのではないかと思います。  そこで、口腔ケアを通じての病気対策をすることで、総医療費の削減につなげることもできるのではないかと思いますが、生涯を通じた口腔ケアについて、知事はどのような対策をとることが必要だと考えていますか、御所見をお伺いいたします。  質問の四点目は、ヘイトスピーチ対策についてです。  昨年の十一月議会において、発議案第二号として可決しましたヘイトスピーチ対策の強化を求める意見書が国に提出されました。そして、ことしの五月十二日の参議院法務委員会でヘイトスピーチ解消法案が全会一致で可決、翌十三日の参議院本会議で可決、その後、衆議院に送られ、二十四日に賛成多数で成立したところです。  法律は、不当な差別的発言は許されないことを宣言し、人権教育や啓発活動を通じて解消に取り組むと定めた理念法で、罰則はありません。また、差別的言動に向け、国や地方公共団体が、教育や啓発広報、相談窓口の設置など、地域の実情に応じた対策を講ずるように定めています。  参議院の審議では、解消すべき差別的発言などの対象を、本邦の域外にある国もしくは地域の出身である者またはその子孫であって適法に居住するものと限定したことが議論の焦点となっていました。  野党側は、本邦外出身者、適法に居住するとの限定が、沖縄出身者やアイヌ、さらに在留資格を満たさない外国人らへの差別発言を正当化するとして、削除を求めていましたが、与党側がこれには応じませんでした。法律の成立自体を優先したい野党側は、附則で、必要に応じ、検討が加えられるとした見直し規定と、本邦外出身者に対する不当な差別的発言以外のものであれば、いかなる差別的発言であっても許されるとの理解は誤りであり、法の趣旨、日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処することなどの附帯決議をつけることで折り合っています。  このことから、ヘイトスピーチを受ける当事者や差別反対に取り組んできた人々からは、課題は残ったものの、国が差別の存在を認め、対策の必要性を明記したことを評価する声が多く聞かれています。  ヘイトスピーチの害悪は、ターゲットとされた個々人に対するのみならず、社会全体に対しても大きいと考えられます。その例として、ナチスの独裁とホロコーストも、それ以前にユダヤ人やその他のマイノリティーに対する差別的な憎悪プロパガンダが、何の規制も受けずに徹底的に宣伝・流布された延長線上にあると言われています。ちなみに、ナチス・ドイツでヘイトスピーチが登場したのは、アンネ・フランク一家が知人の屋根裏に隠れる等、ユダヤ人が日常生活を断念して逃げ隠れせざるを得なくなる段階の一歩前だと言われています。  こうした現状を、誰がどう受けとめているのか、社会に及ぼす影響について、ヘイトスピーチへの賛成派、反対派、傍観派それぞれについて、もう少し詳しく調査していくことも大事だろうと考えます。  日本では、これまで、ヘイトスピーチが被害をもたらす加害行為であると定義する法律がないため、法律上は被害、加害ともに認定されない状態であり、過去には、ヘイトスピーチに反対するカウンター側の市民グループが警察に逮捕されるということもありました。これは、ヘイトスピーチを規制する法律がないので、ヘイトスピーチも表現の自由に含まれ、表現の自由であるヘイトスピーチを阻止する行為こそが暴力行為と認定されるからです。  今回の法律が施行されてから、法律の実効性を目の当たりにしたのが、川崎市で行われたヘイトデモです。市長がヘイトデモの起点になる公園の使用を不許可にし、地裁がデモ禁止の仮処分を決定しました。このことから、多数の市民がヘイトデモのカウンター側として、デモの行く手を遮り、デモを中止に追い込みました。  法律が施行されたのだから、今後は地方自治体の対応が問われていくのだと思います。法律では、地方自治体の責務として、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みに関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとされております。  今後、法律を踏まえるとともに、本県議会が可決した意見書の意義について理解して、有効な対策を独自に打ち出していかなければならないと思いますが、知事はどのように考え取り組んでいくのか、お尋ねいたしまして、私の一般質問を終了いたします。(拍手、降壇) ◯副議長(高田良徳君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)森議員の御質問にお答えいたします。  まず、ひとり暮らし高齢者への支援についてであります。  県ではこれまで、ひとり暮らし高齢者等対策事業として、高齢者への声かけ・見守り活動や、高齢者が気軽に集える居場所づくり、買い物支援などの生活支援サービスの提供を行う仕組みづくりに取り組む市町を支援するとともに、地域支え合い活動の中核となる人材の養成を行ってきたところでありますが、介護保険法の改正により昨年度から、ひとり暮らし高齢者等対策事業の対象である声かけ・見守りなどの多くの取り組みが、介護保険制度の地域支援事業に位置づけられたことから、市町が中心となって行うこととなったところであります。また、市町の取り組み内容に差があることや、地域支え合い活動に取り組む人材の確保が十分でないなどの課題があり、県では、市町からの相談に対する助言や先行事例の情報提供などを行ってまいります。  今後、県全体の人口が減少する一方、高齢者やひとり暮らし高齢者世帯が増加することが予測される中、県としましては、長期的にひとり暮らし高齢者を地域で支えることが重要であることから、各市町や社会福祉協議会、民生委員等との連携を強化するとともに、地域を支える貴重なマンパワーとして、元気な高齢者に活躍していただくため、地域での声かけ・見守りや居場所づくりの中心的役割を担う地域支え合い活動リーダーの人材養成や、高齢者に活躍の場の情報提供などを行う高齢者いきいき案内所の有効活用など、高齢者の生きがいづくりや社会参加を促進してまいります。  私といたしましては、ひとり暮らし高齢者を含め、誰もが住みなれた自宅や地域の中で、支え合いながら生き生きと安心して暮らせるよう、各市町と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
     次に、子育て支援施策のうち、放課後児童クラブについてであります。  放課後児童クラブ、いわゆる学童保育につきましては、昨年三月に策定した香川県健やか子ども支援計画において、平成三十一年度までに実施箇所数を二百六十五カ所とすることを目標とし、県では、施設整備や運営費を実施主体である市町に補助しているところであり、昨年五月一日付の調査では二百三十カ所設置され、順次設置が進められているところであります。しかしながら、同調査では二百八名の、いわゆる待機児童が発生するとともに、高学年の児童の受け入れが進んでいない状況にあり、その要因としては、受け入れ施設が不足していることや、放課後児童支援員等の確保が困難なことにあると認識しております。  県では、放課後児童クラブへのニーズの高まりを踏まえ、新たな施設の開設を積極的に働きかける必要があることから、設置場所や規模などについて市町と協議しながら、設置の促進に努めてまいりたいと考えております。また、放課後児童支援員や補助員など人材の養成研修を行っており、昨年度は支援員として百一名、補助員として五十八名を養成したところであり、今年度は、市町等からの要望を踏まえ、支援員については二百七十名、補助員については七十名に受講定員を大幅に拡充し、市町等における人材確保を支援してまいります。  また、保護者からの要求の多様化やさまざまな課題を持つ子供への対応が求められていることから、県独自の取り組みとして、専門的な知見を有する相談員が放課後児童クラブを巡回し、支援員などに助言を行う事業を実施しているところであります。  県といたしましては、放課後に児童が安全に安心して過ごせる場所である放課後児童クラブの受け入れが拡大されるよう、引き続き市町に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。  次に、口腔ケア対策についてであります。  歯と口腔の健康を保つことは、単に食物をそしゃくするという点からだけでなく、生活習慣病の予防など、健やかで質の高い生活の維持・向上に重要な役割を果たしており、総医療費抑制の観点からも重要と考えております。  このため、県では、香川県歯と口腔の健康づくり推進条例に基づき、平成二十五年三月に策定した基本計画において、生涯を通じた歯と口腔の健康づくりを基本方針の一つとして、各市町や県歯科医師会等と連携し、八十歳で自分の歯を二十本以上保つことを目的とした八〇二〇運動を推進しており、ライフステージに応じた歯科保健対策に取り組んでおります。  具体的には、毎年六月の歯と口の健康週間に県下十一カ所で開催している啓発イベントや県民公開講座等において、かかりつけ歯科医を持つことの意義や虫歯・歯周病予防の重要性など、生涯を通じた口腔ケアについて、広く県民の皆様への周知・啓発に努めております。  ライフステージに応じた対策としましては、乳幼児期から学齢期までは、母子保健法等に基づき、市町や学校において継続的に歯科健診を実施しているほか、高校生に対しては、卒業後みずから口腔管理ができるよう歯科保健教材を配付するなどしており、四十歳以上の方については、十五市町において、健康増進法に基づく健康増進事業として歯周病検診を実施し、県は検診費用を補助しています。また、将来、介護を必要とする高齢者の増加が予想されることから、介護職員等を対象に、口腔ケアの質の向上を図るための研修会を毎年開催しております。  私といたしましては、引き続き、県民の皆様一人一人の歯と口腔の健康の保持・増進のため、乳幼児期から高齢期までの生涯を通じた切れ目のない歯科保健対策を、より一層推進してまいりたいと考えております。  次は、ヘイトスピーチへの対応についてであります。  本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることから、その解消に向けた取り組みについて、基本理念や基本的施策を定め、これを推進する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ解消法が先月三日に公布、施行されました。  議員御指摘のとおり、同法では、地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みに関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとされております。  ヘイトスピーチは、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、差別意識を生じさせることにもつながりかねないもので、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現する観点から、大変残念なことであり、高松法務局や香川県国際交流協会などと連携を図りながら、人権研修や啓発イベントの開催などの機会を通じて、同法の周知に努めるとともに、外国人のための人権相談なども実施してまいります。  私といたしましては、ヘイトスピーチ解消法や県議会の意見書の趣旨を踏まえ、その意義を広く御理解いただけるよう人権教育・啓発に努め、今後とも県民の皆様一人一人の人権が尊重される社会の実現に向けて、一層努力してまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高田良徳君)西原教育長。    (教育長西原義一君登壇) ◯教育長(西原義一君)森議員の子育て支援施策の御質問のうち、児童の放課後対策についてお答えいたします。  近年の都市化や核家族化、少子化、地域の連帯感の希薄化など、社会環境が変化する中、放課後等に子供が安心して活動できる居場所を確保することは、大変重要になってきていると考えております。  この子供たちの放課後等の居場所づくりにおいて、放課後子供教室は、全ての児童を対象とした学習や体験活動などを推進する観点から、放課後児童クラブは、共働き家庭等の児童を対象とした生活の場としての観点から実施されているところでありますが、事業の推進に当たっては、健康福祉部と連携して推進委員会を設置し、国が策定した放課後子ども総合プランに基づき、放課後子供教室及び放課後児童クラブを一体的に、また、連携して実施するための方策について検討を行っております。また、子供とのかかわり方など共通課題については合同で研修会を開催し、それぞれの指導員の資質の向上を図っております。  このような中、今月開催する推進委員会においては、現在、課題となっている施設や多様な人材の確保等についての推進方策を検討することとしておりまして、そこでの検討内容も踏まえながら、市町教育委員会に、共働き家庭も含めた全ての子供の放課後対策の取り組み促進を強く行うなど、安全・安心な放課後等の居場所づくりが一層進むよう、努めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高田良徳君)一般質問を続行いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 今、第二十四回参議院選挙が戦われています。安保法制、戦争法成立を強行し、さらに明文改憲へ執念を燃やす安倍政権の危険な動きと、それに対する国民、市民、野党の共闘がかつてなく広がる中での歴史的選挙です。安倍首相や自民、公明などは、野党共闘を野合などと非難しますが、道理は全くありません。立憲主義回復は、憲法を守る真っ当な政治を取り戻し、政治の土台を再建する緊急課題です。政策の違いを横に置いても、最優先にすべき大義があります。国民・市民の期待に応えた野党共闘は、暮らしを守るための共通政策も豊かに発展させています。国民の声に真っ向から反し、立憲主義という政治の基盤を破壊する安倍首相らに、野党共闘を攻撃する資格はありません。以上申し述べまして、質問に入ります。  まず初めに、知事の政治姿勢について二点お尋ねします。  第一点は、安倍政権の憲法改定についてです。  参院選第一声で、安倍首相は、専ら最大のテーマは経済だとアベノミクスの自慢話に終始しました。二〇一三年の参議院選、二〇一五年の衆議院選のときも、経済が争点だと言いながら、選挙が終われば秘密保護法や戦争法を強行するというやり方を、今度も許すわけにはまいりません。  安倍首相は公示直前の党首討論などで、次の国会から衆参両院の憲法審査会で議論し、改憲案をまとめると言い出し、憲法問題が戦争法や経済問題とともに大争点に浮上しました。  もともと安倍首相は、集団的自衛権行使についての憲法解釈を一方的に変え、さらに憲法そのものを変えてしまう明文改憲の策動を繰り返し口にしてきました。ところが、参院選が近づいた途端、改憲は目指すが、その中身は語らないと言い出したのです。参院選で改憲の中身を語らないのは、国民の抵抗を恐れ、国民をだまして多数の議席を獲得し、改憲を進める悪辣なたくらみです。  安倍首相が語らなくても、自民党の改憲案の危険性は明らかです。自民党が安倍政権の発足に先立ってまとめた改憲案には、憲法九条を変え、集団的自衛権の行使に一切の制限を取り払い、自衛隊は国防軍として戦争する国づくりを進めること。基本的人権は、侵すことのできない永久の権利だという現憲法の規定を廃止し、公共及び公の秩序によって制限できるようにするなど、憲法を憲法と呼べないものに変えてしまう重大な内容が盛り込まれています。  安倍首相は、改憲の中身は語らないと言いながら、我が党の志位委員長との党首討論で、「九条には手をつけないと言えるのか」と迫っても確約しませんでした。安倍首相が狙う改憲の危険性は明白です。  そこで、知事にお尋ねをいたします。  第一は、憲法第九十九条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定められていますが、この条文について、知事の基本的なお考えをお示しください。  第二は、自由民主党の日本国憲法改正草案をお読みになられましたか。読まれているのであれば、御所見をお示しください。  第三は、憲法前文の憲法改正禁止規範についてであります。日本国憲法前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍を繰り返さない決意とともに、人権尊重と民主主義の理念を高らかにうたい、これを人類普遍の原理と明記し、さらに「この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」とうたわれています。これは、仮に憲法改正の手続を経たとしても、根本理念を否定する改正は無効だとする宣言です。これが憲法改正禁止規範と呼ばれるものです。私は、これに照らしてみるならば自民党の改憲草案は、九条二項の削除を初め先駆的な平和原則を否定するなど、日本国憲法の根本理念を含む全面改悪であり、排除されるべき憲法草案だと思いますが、知事の御所見をお示しください。  第二点目は、アベノミクスによる格差と貧困の是正についてです。  イギリスの欧州連合(EU)離脱をきっかけに、日本での株価大暴落、円高急伸を受けて、アベノミクスの二つの破綻が明らかになりました。  第一の破綻は、大企業が空前の利益を上げながら、家計には恩恵がなく、トリクルダウンの破綻。実質賃金が五年連続マイナスとなり、年収四百万円世帯では二十万円も目減りし、一九九〇年以降で最悪となったこと。さらに、戦後初めて国内総生産(GDP)の六割を占める個人消費が二年連続マイナスとなるなど、まさにアベノミクス不況というのが今の実態です。  第二の破綻は、アベノミクスがつくり出したのは、強い経済ではなく、極めてもろい経済だということです。イギリスのEU離脱が世界に衝撃を与え、日本で起きている急激な円高や株価の大暴落について、「なぜ日本経済にこんなに大打撃が起こるのか」との声が高まっていますが、それがアベノミクスの結果なのです。アベノミクスは、異次元金融緩和で円安をつくり、海外から投機マネーを呼び込んで株価をつり上げる、投機マネー頼みの円安・株高政策です。これが、投機マネーの動きに極めて弱い経済をつくり出したのです。  このような破綻したアベノミクスをさらに続けさせるなら、国民の暮らしはますます大変です。今、求められているのはアベノミクスからの根本的な転換です。私は、アベノミクスはもうやめて、格差を正し、経済民主主義を確立する三つのチェンジを提案したいと思います。  第一は、税金の集め方のチェンジです。消費税一〇%は、先送りではなく、きっぱり中止する。そして、富裕層と大企業に応分の負担を求める消費税に頼らない別の道で財源をつくること。  第二は、税金の使い方のチェンジです。大事な税金は、社会保障、若者、そして子育てに優先して使う。認可保育所の増設や保育士の待遇改善で、保育園に落ちない日本にする。そして、大学の学費を十年間で半減し、給付制奨学金を創設することです。  第三は、働き方のチェンジです。ブラックな働き方をなくして、残業時間を法律で規制し、過労死をなくしていく。そして、非正規から正社員の流れをつくるための雇用のルールの強化を図る。最低賃金は、中小企業の手当てをしっかりしながら、今すぐ、どこでも時給千円、そして千五百円を目指す。大幅な引き上げを図ることです。  以上、私は、国民の暮らしを温める経済政策にチェンジすれば、国民の所得がふえて景気が回復し、税収もふえて財政危機を打開する道が開けるものと思いますが、知事の御所見をお示しください。  次に、伊方原発の再稼働についてお尋ねします。  この夏の電力需要でも、原発がなくても対応が可能なことは、四国電力の発表でも明らかです。それにもかかわらず、報道によると、四国電力は伊方原発三号機について、原子炉を起動し、八月下旬に営業運転を開始するとしています。そして、既に伊方原発の安全対策のパンフレットを各家庭に配布しています。  一九九五年の阪神・淡路大震災、二〇〇四年の新潟県中越地震、二〇一一年の東日本大震災に続き、約二十年間で四回目になる震度七を記録した熊本地震が四月十四日に発生、二カ月余りの間に震度七が二回、震度六が五回、震度一以上の地震が千七百回を超えるという中で、今も多くの被災者が厳しい状況に置かれています。  この間、阿蘇地方、大分県中部でも大きな地震が発生していますが、専門家の間でも、活断層の動きが誘発される可能性は高いが、予測は困難と指摘する声もあります。奈良県の金剛山地から続き、四国を横断し、伊方原発沖約八キロを通る中央構造線活断層に、九州側の別府・万年山断層帯を含め、加藤照之前日本地震学会会長は、「地震を起こした断層の延長線上で地震活動が高まる可能性がある」としています。  六月十日、政府の地震調査委員会は二〇一六年版「全国地震動予測地図」を公表し、南海トラフ地震の発生が近づいているとし、発生確率が上昇しています。伊方原発の基準地震動は最大六百五十ガルとされていますが、熊本地震では千五百八十ガルが記録されています。  そこで、知事にお尋ねします。  第一は、熊本地震の被害や発生のメカニズムを調査分析し、南海トラフ地震を想定した上での安全対策を講じること。第二は、熊本地震を踏まえ、基準地震動の評価について再検討すること。第三は、三号機の再稼働は白紙撤回すること。以上三点について、原子力規制委員会と四国電力に申し入れるべきと思いますが、知事の御所見をお示しください。  次に、TPPについてお尋ねします。  安倍政権は、さきの通常国会でTPP批准と関連法案の成立を目指してきましたが、国会審議と国民の闘いが広がるもとで、断念せざるを得なくなりました。  国会論戦で明らかになった問題点の第一点は、異常な秘密主義です。交渉の入り口から出口まで徹底した秘密交渉が貫かれ、日本の参加条件とされた日米二国間の並行協議でも、何が話し合われ、日本が何をどう受け入れたのかもわかりません。国会に提出されたのは黒塗り文書であり、国民から大きな批判が高まりました。甘利前大臣のもとで秘密裏に進められてきた合意内容を、全て明らかにすべきです。  第二点は、明確な国会決議違反です。二〇一三年の国会決議は、米、麦、牛肉など農産物の重要五項目は関税撤廃を認めない、除外または再協議するとしています。自民党は、この決議を守ることを国政選挙の公約にしたはずです。ところが、今回のTPPでは、安倍首相自身も聖域とした重要五品目のうち、三割の品目で関税が撤廃され、米でも関税ゼロの特別輸入枠まで新設されました。わずかに残った関税も、発効七年後には撤廃に向けた協議を約束させられました。これは、明白な国会決議違反、公約違反ではありませんか。  第三点は、経済主権を多国籍企業に売り渡すものです。米国を代表する百八の多国籍企業、業界団体が名を連ねたTPPのための米国企業連合は、米政府に要求書を出し、専ら多国籍企業の利益拡大の立場から日本に市場開放を求めてきました。これこそTPPの真実ではありませんか。  第四点は、史上最悪の農業潰しだということです。農業の関税撤廃をめぐって、安倍政権は百五十六のタリフライン(関税区分の細目)の関税を維持したと言っていますが、段階的関税削減を含めて八二%の撤廃は、日豪EPA、経済連携協定やウルグアイ・ラウンド農業合意をはるかに上回るもので、史上最悪の農業潰しにほかなりません。  第五点は、進出する多国籍企業の利益を保証する非関税措置の撤廃で、国民生活が脅かされることです。あらゆるサービスが規制緩和の対象となり、企業や投資家が損害を受けたとすれば、ISDS条項を用いて相手国を訴えられる仕組みまで盛り込んでいます。食の安全、医療、労働条件の悪化に加え、政府や自治体が発注する建設業などでは、国際入札の義務により地産地消の取り組みができなくなり、地域の仕事が奪われることになりかねません。まさに幅広い分野で、国民生活と営業が脅かされることは明白です。  以上五つの問題点について、知事はどのように受けとめておられるのか、お尋ねします。  また、TPPの経済効果について、安倍内閣は、貿易や投資拡大でGDPを十四兆円押し上げる一方、農業への影響は牛肉、乳製品等三十三品目が千三百億円から二千百億円減少するだけだと、極めて過小に評価しています。特に問題なのは、輸入米をふやしながら、米の影響はゼロだとしていることです。  本県でも国の算出方法に倣い、生産減少額は約八億円から約十五億円とし、米の影響はゼロとしています。しかしながら、青森県では二十三億円、福井県は十五億二千万円、熊本県では十三億六千万円が米の生産減少額として算出しています。日本農業新聞のモニター調査では、七六・七%の人が、政府試算は過小評価だと批判しています。熊本県の蒲島知事は、TPPは、「日本の農業にとって国難に近い」とさえ言っていますが、浜田知事はどう思われますか。私は、TPPの影響額について県独自の試算を行い、生産農家に示すべきと考えますが、御所見をお示しください。  次に、国民健康保険の都道府県単位化についてお尋ねします。  二〇一八年度より、国保の都道府県単位化という国保制度の大きな転換点を迎えます。国保の賦課、徴収、給付や健診などの実務は従来どおり市町ですが、都道府県が財政を担うことにより、大きな権限を持つようになります。  ことし四月二十八日に厚生労働省より、都道府県国民健康保険運営方針策定要領、いわゆるガイドラインが示されました。これには、二〇一七年度中に国保運営方針を市町と協議の上で策定するなどのスケジュールや、保険料率決定のための考え、手順などが記されています。ガイドラインは技術的助言であり、法的な義務・強制力があるものではありませんが、運営の基本姿勢について、以下五点お尋ねいたします。  第一は、ガイドラインは、国保の加入者は、無職または低所得者が多いことから、保険料負担が極めて重いという国保の構造的問題について、一言も言及していません。この中心点を避けたガイドラインは極めて不十分であり、国に対して是正を求めるべきと思いますが、お答えください。  第二は、ガイドラインの財政収支の改善に係る基本的な考え方では、決算補填等を目的としたものは、法定外の一般会計繰り入れについて、解消または削減すべき対象と述べています。しかし、政府の国保への財政措置は、今後の分も含めても三千四百億円で、全国の法定外繰り入れ三千九百億円よりも少なく、地方自治体の国保会計への法定外繰り入れをやめれば、国保料は安くなるどころか、今より高くなってしまいます。国が財政措置を強化したのに、従前の繰り入れを削減し、国保加入者の負担がふえるような対応はすべきでないと思いますが、お答えください。  第三は、ガイドラインが、統一保険料率にも踏み込んでいることです。去る二月二日に開催された厚労省の市町村職員を対象とするセミナーでは、報告に立った国保課課長補佐は、「将来的には、地域の実情を踏まえつつ、都道府県で一本化した保険料率を目指すことになる」と述べています。本県では、都市部と農村部や島嶼部で、一人当たりの医療給付の実績は異なっており、市町間で大きな乖離があります。保険料率を一本化することは県内の実態に合っておらず、国に対しては、強制することはあってはならないことを強く求めるべきと思いますが、お答えください。  第四は、国保の広域化の真の目的は、医療介護総合確保法により都道府県に医療供給体制の適正化を求めた地域医療構想と一体で、医療費抑制を進めることにあります。国保財政に措置されている次の一千七百億円のうち、保険者努力支援制度の七百から八百億円は、医療費削減に努力した自治体に優先配分される中身となっていることからも明らかです。これまでも私ども議員団は、高過ぎる国保料が払えず病院に行けないという、医療から排除された県民の実態も取り上げてきましたが、国保の運営方針の策定に当たっても、県として、医療から排除される人をつくらない、このことを大きな運営方針の基本として据えるべきと思いますが、お答えください。  第五は、運営方針にかかわって地方単独事業波及分、いわゆる窓口負担の軽減に対するペナルティー分の扱いについてお尋ねします。これまで国保の定率国庫負担金の減額分は、全て市町が負担してきました。現在、子供の医療費のペナルティー部分については、政府も議論していますが、国が試算した二〇一三年度の県全体のペナルティー分は約四・五億円で、うち子供の医療費が〇・八億円と、昨年の九月議会の文教厚生委員会で答弁されており、子供の医療費助成分のペナルティーがなくなっても、依然大きな国庫負担金の減額が存在します。この減額分はどう対応するおつもりか、県も応分の負担をすべきと思いますが、お答えください。  最後に、後期高齢者医療制度についてお尋ねします。  法律では、目的として医療費の適正化、すなわち医療費の削減を掲げ、医療内容の差別化にも通じる規定が盛り込まれており、うば捨て山制度と強く批判をされてきたところです。  二〇〇八年の制度スタート時に厚労省の幹部が、「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただくことにした」と、高齢者を差別する発言をしましたが、今、安倍政権は、後期高齢者被保険者の負担軽減のための保険料、特例軽減制度を廃止しようとしており、参議院選挙が終われば、保険料が二倍から最高十倍にもはね上がる人が出る大改悪という、大変な事態に直面しています。特例部分がなくなると、保険料は八・五割軽減の場合には二倍に、九割軽減の場合には三倍、被用者保険の被扶養者だった九割軽減の人は三倍から十倍の値上げになります。  そこでお尋ねしますが、厚生労働省の後期高齢者医療制度被保険者実態調査によりますと、特例軽減の対象者は全国で七百五十二万人、被保険者の四七%を占めていますが、本県ではどのぐらいの対象者がいるのか、さらに保険料がどのぐらい上がるのか、お示しください。  また、本県では、保険料の滞納者は千八百四十一人で、そのうち短期保険証交付者が二百十八人となっていますが、こうした人がふえることにより、医療から排除されることになりはしないのかと危惧するものでありますが、この点についてもお答えください。  後期高齢者の年金収入の現状は、平均が百二十七万円で、基礎年金満額の八十万円以下が約四割を占めています。この層の人は、ほかに所得がないのが圧倒的で、さらにその半数近くは五十万円以下、月額五万円に満たない年金で暮らしています。こんなぎりぎりの生活を強いられている人を含め、低年金の高齢者に負担増を押しつけることは許されません。私は、県として国に対し、特例軽減の存続を強く求めるべきと思いますが、知事の御所見をお示しください。  以上で質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高田良徳君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の御質問にお答えいたします。  まず、私の政治姿勢のうち、日本国憲法についてであります。  私は、日本国憲法は国の最高法規であり、議員御指摘の憲法第九十九条に定める「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」が憲法を尊重し、擁護することは、申し上げるまでもなく、当然のことと考えております。  また、自由民主党が平成二十四年に発表した日本国憲法改正草案については、拝読しており、国政政党としての現段階の見解を取りまとめたものと認識していますが、この草案において、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの基本原則は堅持するものとされていると理解しております。いずれにせよ、憲法改正につきましては、憲法第九十六条において、衆参両院の三分の二以上の賛成と国民投票によると定められているとおり、極めて重要な問題であることから、国会の場での議論を含め、国民的な議論が十分になされることが必要であると考えております。  次に、政府の経済政策等についてであります。  私は、人口減少や少子高齢化が進む中、経済再生を実現していくためには、バランスのとれた安定した税収入の確保や成長の好循環による税収入の拡大を図る一方で、限られた財源を有効に配分していくことが重要であると考えております。  こうした考えのもと、税金の集め方については、所得、資産、消費による課税のバランスの中で、あらゆる世代が広く負担し、景気や経済の影響を受けにくい消費税は貴重な財源であり、その税率引き上げは、現在の国と地方の危機的財政状況や社会保障の充実等の観点からは避けて通れないものと考えております。  また、税金の使い方については、社会保障の充実はもとより、少子化対策を初めとした人口減少対策、経済を発展させ、新しい雇用を生み出す成長分野への投資、防災減災対策といった喫緊の課題等にバランスよく対応する必要があると考えております。  さらに、働き方については、地域企業の成長を図り、地域経済の好循環を実現していくことが、賃金の上昇や正規雇用の拡大、働きやすい雇用環境の整備をもたらすとともに、勤労意欲のある全ての人がその能力を発揮できる社会の構築につながるものと考えております。  次に、伊方原発の再稼働についてであります。  個々の原子力発電所の再稼働の是非につきましては、新規制基準に基づき、原子力規制委員会等の専門家による徹底的な安全性の検証や十分なチェックがなされた上で、基本的には国の責任において判断されるべきものと考えております。  四国電力伊方原子力発電所三号機につきましては、昨年七月に原子力規制委員会において、新規制基準に適合している旨の判断がなされ、現在、今月下旬の再稼働に向けて、同委員会による使用前検査が行われていると伺っておりますが、再稼働に当たっては安全性を最優先としなければならず、国は、その判断について国民の理解が得られるよう、十分な情報開示と、明確かつ責任ある説明を行う必要があると考えております。  なお、熊本地震の地震動の大きさについては、最大で千五百八十ガルが観測されていますが、これはやわらかい地盤の影響によるもので、同地点での地下のかたい岩盤では最大で二百三十七ガルとされており、伊方原発も強固な岩盤上に直接設置されていると聞いております。  本県においては、これまでも全国知事会や四国知事会を通じ、原子力施設の安全対策等について、あらゆる対策を講じるよう国に対し提言等を行うとともに、四国電力に対しては、伊方原発の安全対策に万全を期すよう意見を申し述べてきているところであります。  私といたしましては、南海トラフ地震の今後三十年以内の発生確率が七〇%程度とされていることや、四月に熊本地震が発生したことも踏まえ、伊方原発の安全対策に万全を期すよう、引き続き国や四国電力に意見を述べるなど、県民の皆様の安全・安心を確保する観点に立って対応してまいりたいと考えております。  次に、TPPについてであります。  TPPに関する情報については、国の責任において、国民に十分な説明が行われる必要があると考えております。  また、交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは、国会において判断されるものと考えております。  御指摘の多国籍企業の利益拡大については、TPPの利益は、多国籍企業に対するものにとどまらず、中堅・中小企業の海外展開も容易になること、食の安全、医療制度、労働、建設事業における国民生活への影響については、制度の変更を求められていないなどといった政府の見解が示されており、産業や国民生活等への影響も十分に考慮し、交渉に当たられたものと理解しております。
     また、農業分野の合意内容については、TPP交渉が原則として関税を撤廃することを前提とする中で、国会決議を踏まえ、各国と粘り強く交渉してきた結果と理解しております。  しかしながら、TPPにより、本県農林水産業への影響も懸念されることから、県としては、ブランド農林水産物の生産拡大や輸出促進も含めた販路拡大、力強い担い手の確保・育成、集落営農の推進など、TPPを踏まえて新たに創設・拡充した本県独自の対策と国の対策をあわせて、TPP関連施策として位置づけた上で既存の施策と一体的に推進し、本県の基幹産業である農林水産業の持続的な発展に全力で取り組んでいるところであります。  なお、お尋ねのTPPによる影響額の試算につきましては、TPPの合意内容が極めて複雑な仕組みとなっており、独自の試算は困難であることから、本県では、国の計算方法に基づき機械的に試算したものであります。  御指摘の各県の試算については、それぞれ国とは異なる一定の仮定を置いたものと理解しており、現時点ではそのような仮定に基づく試算を、県として、改めて行うための追加的な情報は得ておりません。  なお、そのほかの御質問につきましては、健康福祉部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高田良徳君)高木健康福祉部長。    (健康福祉部長高木康博君登壇) ◯健康福祉部長(高木康博君)樫議員の御質問にお答えいたします。  まず、国民健康保険の都道府県単位化についてであります。  今般の国民健康保険制度の改正は、国保加入者に無職、低所得者が多く、保険料負担が重いことなどの構造的問題に対応することを目的としており、いわゆるガイドラインは、県が国民健康保険運営方針を策定するための要領であることから、この構造的問題を改めて記載されなかったものと理解しております。  国民健康保険特別会計への法定外繰り入れにつきましては、県としても、決算補填等を目的とする一般会計からの繰り入れを、解消または削減すべき対象と考えておりますが、保険料水準が急激に変化することのないよう、市町とも十分に議論をしていきたいと考えております。  保険料率につきましては、ガイドラインでは、「都道府県内の保険料水準を平成三十年度に一斉に統一させることは、多くの地域において、保険料負担の急変を招くことが予想され、また、医療サービスの水準に地域差がある都道府県においては、被保険者が受けられる医療サービスに見合わない保険料負担とならないような配慮も求められることから、都道府県内市町村の意見を十分踏まえつつ、将来的には都道府県での保険料水準の統一を目指し、都道府県内の各地域で提供される医療サービスの均質化や医療費適正化の取り組み等を進めることが求められる」とされており、必ずしも保険料率の一本化が強制されているものではないと理解しております。  全国知事会では、被用者保険も含めた医療保険制度の全国レベルでの一元化を目指すこととしているところですが、保険料率の一本化については、本県においては、市町の医療費水準に差異があることから、市町と慎重に検討していく必要があると考えております。  国保運営方針の策定に当たっては、国民健康保険が、国民皆保険制度の最後のとりでであることを踏まえ、県議会を初め、県に設置予定の国保運営協議会や市町の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。  地方自治体が単独事業を実施することに伴う国庫負担減額措置については、本来、県が負担するものではなく、国において対応すべきものであり、福祉施策の阻害要因ともなっていることから、引き続き全国知事会とも連携し、国に対して廃止するよう働きかけてまいります。  次は、後期高齢者医療制度についてであります。  本県の保険料特例軽減に係る対象者は、平成二十七年度後期高齢者医療制度被保険者実態調査によると七万一千五百三十六人で、県内被保険者数の四九・六%となっております。  所得が低いことにより、特例で均等割保険料が九割軽減されている場合は、特例措置の廃止により、四千七百円の年間保険料が一万四千百円となります。また、制度の加入前に被用者保険の被扶養者だったことにより、特例で均等割保険料が九割軽減されている場合は、特例措置の廃止により四千七百円の年間保険料が、所得水準に応じて一万四千百円から最大四万七千三百円となります。  後期高齢者医療制度では、保険料滞納者に対し接触の機会を設けるため、短期被保険者証を発行しておりますが、特例措置が廃止された場合であっても、必要な医療を受ける機会が損なわれないよう、市町での相談などを通じて、引き続き個人の実情に応じたきめ細かな対応が行われるものと考えております。  後期高齢者医療制度の特例軽減につきましては、医療保険制度改革骨子において、制度の加入前に被用者保険の被扶養者だった方は、所得水準にかかわらず対象となること、低所得者の軽減割合が、国民健康保険の最大七割と比べて大きいことなどが不公平であるとの理由により、平成二十九年度に特例措置は廃止されることとなったと理解しております。  国においては、特例措置の廃止による急激な保険料の上昇を避けるため、きめ細かな激変緩和措置を講ずることとしており、県としては、国の検討状況を注視していきたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高田良徳君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 再質問を行います。  第一点は、憲法改定についてです。  知事は、自民党の改憲案は、憲法の基本的理念を堅持していると理解しているというふうに言われましたが、私は、自民党に気兼ねした答弁のように思えました。立正佼成会や生長の家も、自民、公明に反対という、こういうことを選挙の中で表明しています。  憲法改正案の九条二項、軍備を持たないと定めた部分を削除して、国防軍を置く。また、十一条、何人も侵すことができない基本的人権を、公共及び公の秩序の名で制限する。これは日本国憲法の平和原則、根本理念を否定する内容だと思います。憲法改正禁止規範に照らせば、私は、これは排除すべき憲法草案だというふうに思うのですが、知事、もう一度お答えをいただきたいと思います。  第二点は、TPPによる米価の影響についてであります。  TPPで、輸入米は特別枠でふやすことになります。政府は、備蓄米の買い入れ量をふやすので、外米の輸入がふえても影響はゼロだというふうに言っています。これでは、国産の銘柄米が備蓄に回り、安い外米が外食産業などを中心とした市場に出回ることになります。そうすれば市場価格を押し下げ、米価は下落することになります。影響ゼロということはあり得ません。全くの空論だと思います。  先ほどの答弁でも知事は、TPPは複雑で、独自の試算は困難と言いましたが、青森や福井や熊本でやっているじゃないですか。私は、この米価への影響について、県独自の試算をすべきだということを強く主張したいと思いますが、知事の答弁を求めます。  第三点は、伊方原発についてであります。  知事は、岩盤が伊方の場合はかたい、だから六百五十ガルでも大丈夫だという趣旨の答弁をされたと思いますが、今回の熊本地震は、震度七が二回起きているんです。四国電力との交渉の中で、「複数回の揺れは想定していない」、このように四国電力は言い、データがなく、わかりませんという答弁をしているのです。こういうことで、知事の言う安全性が本当に確保されているのでしょうか。私は非常に疑問に思いますので、安全性確保が優先だというのであれば、この点について、四国電力にはっきり確認すべきじゃないですか。この点をお尋ねして、再質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高田良徳君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)樫議員の再質問にお答えいたします。  憲法前文では、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」とされておりますが、先ほど申し上げたように自民党草案においては、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの基本原則は堅持するものとされていると理解しております。  次は、TPPについてであります。  御指摘の各県の試算につきましては、先ほども申し上げたとおり、それぞれ国とは異なる一定の仮定を置いたものと理解しており、現段階で県といたしまして、改めてそのような仮定に基づく試算を行うための追加的な情報を持ち合わせておりません。  三点目の伊方原発につきましては、先ほども申し上げたとおり、南海トラフ地震の発生確率や熊本地震の発生を踏まえ、伊方原発の安全対策に万全を期すよう、引き続き国、四国電力に意見を述べるなど、県民の安全・安心を確保する観点に立って対応してまいりたいと考えておりますけれども、先ほどの地震動の大きさにつきましては、四国電力に確認したものでございます。(降壇) ◯副議長(高田良徳君)一般質問を続行いたします。  新田耕造君。    (新田耕造君登壇、拍手) ◯新田耕造君 それでは、質問させていただきます。  先ほど、樫先生のすばらしいお話がありましたので、私も触れざるを得なくなりました。国防軍の話がございましたけれども、先日、共産党の藤野政策委員長が防衛費を、人を殺す予算だと発言し、さすがに役職を外されましたが、どうも国防を軽視する御党の考え方が出たのかなと、よろいの下にちょろっと本音が出たのかなというふうに思っております。命をかけて、今この時点でも国防に邁進している方々がいっぱいいます。そういう人たちに対して、本当に失礼な話ではないかというふうに思っております。  さて、共産党さん、政党の名前がころころ変わる中で、結党以来、党名を変更していないのは、我が自民党と共産党です。このことに関しては、大変敬意を表させていただきます。  ところで、日本共産党は、日本国憲法草案に反対をいたしました。その反対の理由は、天皇制と九条二項であります。天皇制は、主権在民に合わない。九条二項は、陸海空軍その他戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。では、独立国として独立を守れるのかということで、当時の共産党はこの憲法に反対をいたしました。  そして、今は護憲になった。この間に、憲法は変わっておりません。共産党自身が憲法解釈を変更したのですか。立憲主義もいろいろあるものだというふうに思っております。  今回、安倍政権を倒すということだけで、他党と野合するというのは、孤高を貫き通して立派だと思っておりました共産党らしくありません。倒した後、この国をどうするのかが問題であります。国民は、そのことを聞きたいのです。特に、国の基本の統治のシステムをどうするのか。共産党によると、共和制にするのですかね。例えば、天皇制、自衛隊、安全保障、日米安保をどうするのか。あるいは、政見放送で言っているように消費税を廃止して、その政策を実行するための財源をどうするのか。ふえ続ける社会保障費を含めて、企業増税や富裕層増税だけで本当に賄えるのか、甚だ疑問であります。  そして、今、おかしな話が流布をされております。  その一、戦争法の呼称。そんな法律がこの日本に、どこにあるのですか。戦争を防止するための安全保障関連法はあります。しかし、戦争法はありません。日本が外国の戦争に巻き込まれるとか海外派兵をするなど、荒唐無稽な話が喧伝されていますが、そのようなことは、この法律の中には書いておりません。本当に条文を読んでいるのか、疑わしいと思います。風が吹けば桶屋がもうかる式のこじつけで、国民をだますのはやめていただきたいというふうに思っております。  その二、経済の不安定な話。今回の株式の下落や円高、経済の不安定の原因を、アベノミクスにするのは無理がございます。確実に我々が今歩いていますと人手不足でございます。国民の皆さんは知っております。犯人探しはやめましょう。特に今回は、イギリス人に文句を言っても仕方がありません。また、これを経済のグローバル化のせいにしても現実的ではありません。今さら鎖国をするのですかと申し上げたい。空理空論で時間を費やさないで、対策を練って、各党が内需喚起ということで一致しているのですから、そのことに対して具体的にアイデアを出して、政策論争していただきたいというふうに思っております。  ただ、もっとも、かつて我が自民党は、社会党の党首を総理に担ぎ出した過去があるので多くは非難できません。しかし、その結果、非武装中立、自衛隊違憲の社会党は、自衛隊を合憲と認めることになり、戦後政治の大きな転換点となりました。共産党も、融通無碍の我が自民党に似てきたのだなというふうに思っております。一〇〇〇%ないと思いますが、今回、安倍政権が倒れ、野党が政権をとったときに、共産党も天皇制と自衛隊を認めるのですかね。  話は変わります。先の見えない社会です。問題の英国、六月二十三日、英国のEU離脱が国民投票で決まりました。まだ、具体的なことは決まっておりません。そこで思い出すのは、一九八〇年代、EU委員会の駐日代表部の人々と私、話をさせていただきました。そのとき、欧州の統合に私自身は疑問を持っていましたが、彼らは「我々はヨーロッパ人だ。もう国と国で争う時期は過ぎた」と、熱くヨーロッパの未来を語っていたことを思い出します。当時、世界で存在感を示す日米に対して、地盤沈下した欧州を統合して、人・物・金が自由に交流する単一の市場として活気づけようという希望に満ち満ちていたように思います。  欧州統合、その先駆者となった人の本を最近読みました。「ハプスブルグ帝国最後の皇太子」、オットー・フォン・ハプスブルク、幼少より帝王学を学び、多民族国家ゆえ数カ国語に通じ、その数奇な運命と第二次世界大戦中の知られざる活動を紹介した本です。  第一次世界大戦で帝国は崩壊し、六歳で故国を追われ、十歳で父と死別し、長期の亡命生活。祖国オーストリア併合では、ヒトラーと戦い、ナチスの脅威を逃れ、パリを脱出。戦後は、地図から消えたオーストリアの復活を運動。その人生は、ヒトラーと共産主義との戦いだったと語っております。ドイツ、オーストリア、ハンガリー、クロアチアの市民権を持ち、国際汎ヨーロッパ連合の国際会長、欧州議会議員を務めるなど、汎ヨーロッパ主義に活動した政治家であります。ベルリンの壁崩壊の原因となった、東ドイツ市民がハンガリーを越えてオーストリアに逃亡した汎ヨーロッパ・ピクニックの生みの親の一人でございます。  オットーは、その長い政治経験から、「政治においては、何ひとつ決定的なことはなく、何ひとつ持続的なことはない」と述べております。オットーたちがなし遂げたヨーロッパ統合が、今度は分裂の方向に進むのかどうか、今、イギリスの国民投票で始まった統合の危機、重大な岐路に立たされているように思います。  アリの一穴という言葉がございます。国家社会も同じであります。強固な堤防も、アリの小さな穴で破壊されてしまうという意味です。よきにつけあしきにつけ、未来は決まっておりません。ただし、決めるのは、今を生きる我々であります。我々政治に携わる者は、過去、現在、未来に対して、政治の大切さ、影響、責任を常に感じて行動しなければなりませんねと申し上げて、質問に入らせていただきます。  質問の第一点目は、結婚支援についてであります。  本年五月に厚生労働省から発表のあった平成二十七年人口動態統計月報によりますと、本県の合計特殊出生率は一・六四%で、前年と比べて〇・〇七ポイント上昇しており、かがわ創生総合戦略において、平成四十二年までに一・八を目指すとしている本県にとり、喜ばしい結果でありました。一方、出生数は七千七百十九人で、前年と比べて二十六人減少しており、引き続き少子化対策に重点的に取り組んでいく必要があります。  さきの二月議会で、その取り組みの一つである結婚サポート事業に関して、その基本的な考え方や取り組みの方向性、仲人的役割を担う人材の活用について一般質問したところ、知事から、ビッグデータなども活用できるシステムの導入や結婚支援員に加えて、ボランティアの活用等について答弁がなされたところであります。  さらに、先月十日には、結婚サポートセンターの名称を「かがわ縁結び支援センター」とし、十月に香川県社会福祉総合センター一階に開所する旨の発表がございました。未婚化、晩婚化の流れを変え、結婚に希望を持ち、安心して子供を生み育てられる子育て県かがわを実現していく上で、この取り組みに大いに期待しているところであります。  しかしながら、具体的な準備はこれからであるものの、私は、県民に広く利用してもらうための創意工夫がいま一つであるように感じております。例えば、支援センターの場所が、かみしもの着用を連想させるような県関係施設であったり、利便性への配慮の点では、大型ショッピングセンターなど人が多く集まり、いわゆるげた履きでも気楽に立ち寄ることができる場所に設置すべきだと考えております。また、移動出張所を考えてみてもいいのではないかと思っております。  私が、例えば人から相談されたときに、わざわざ多度津から、この高松のそこに行ってくださいとはなかなか言えません。具体的に言えば、そういうことでございます。  さらに、広報の面について申し上げると、同センターの存在を広く知ってもらうことが、まず重要でありますので、各地の県有公用車の側面にパネルを張り、人目を引くようなPRを行ったり、強化期間を設けて利用者の興味を喚起するなど、情報発信の面でもいろいろなアイデアで工夫を凝らすとともに、その効果を発揮させるため、十分な予算を投じるべきだと思っております。  そこで、新たに開所するかがわ縁結び支援センターの利用率向上に向けた取り組みを含む結婚支援について、県は今後、どのように取り組んでいくのか、知事に質問をいたします。  質問の第二点目は、希少糖の機能性についてであります。  県では、本県における産学官連携による研究成果である希少糖を本県産業の成長につなげるため、研究開発支援や商品開発支援、製造技術者の養成支援、ブランド化推進など、希少糖産業の発展に向けて、総合的、体系的に取り組んでいると聞いております。  県内では、希少糖含有シロップにして月産一千トンの生産能力を有する量産工場が稼働しており、その希少糖含有シロップを使用した商品の販売は、既に累計で約一千八百品目に達していると聞いております。今後、さらに香川県における希少糖研究の拠点性、優位性を堅持し、産業の集積を図り、一大産業へと成長させていくためには、より多くの県内企業の参画と商品開発を促していく必要があります。そのためには、他の商品との差別化によるブランドの確立を通した認知度向上と、それに伴う希少糖商品の一層の販路拡大が求められております。  先日、浜田知事が昨年出演したテレビ番組の再放送を偶然見させていただきました。番組の中で、知事は、オリーブ牛や讃岐うどん、希少糖のPRなどに大変尽力をされておりました。そのトップセールスに対しては敬意を表したいと思いますが、希少糖の機能性について触れた部分について、番組を見ながら、ふと、公の方が公の電波を使った場所で希少糖を紹介する場合に、その機能性の説明について、薬事法など関係法令の観点から、どこまで踏み込んだ表現が可能であるのか、この点について疑問を抱いた次第でございます。  そして、私は、食後血糖値上昇抑制の効果が期待されるなど商品が持つ性格と機能性の表現、商品の差別化の二点から、希少糖及びこれを使用した商品を特定保健用食品、いわゆるトクホや、平成二十七年四月に創設された機能性表示食品制度による機能性表示食品といった保健機能食品として位置づけていくことが、消費者からの支持・信頼を広げていき、もって国民の健康増進に資するという県関与の意義であるというふうに考えております。  そこで、希少糖産業を一大産業へと成長・発展させていくためには、トクホや機能性表示食品制度への対応が何よりも重要と考えておりますが、この点に対するこれまでの状況について、知事に質問をさせていただきます。  質問の第三点目は、金倉川浄化センターの臭気対策についてであります。  中讃流域下水道の金倉川浄化センターは、善通寺市、多度津町、琴平町、まんのう町の一市三町にまたがる汚水処理を広域的に担っており、平成二年十二月に供用を開始し、四期にわたる増設工事を経て、現在に至っておりますが、良好な水環境や快適な生活環境を確保するための大変重要な施設であると理解をしております。  その金倉川浄化センターにつきまして、従来から多度津町の地元自治会より、同浄化センターとこれに隣接する中讃広域行政事務組合の瀬戸グリーンセンターの周辺から、異臭がするとの苦情が寄せられておりました。このため、昨年五月に、県の関係者や地元住民とともに現場確認に訪れました際、住民から、臭気の発生場所が金倉川浄化センターであるとの指摘がございました。この指摘を受けて、県が同浄化センターにおいて、臭気の測定調査を行ったところ、臭気に関する測定値は、悪臭防止法に定められた規制基準値を下回っていることが確認できましたことから、この結果を地元自治会に説明し、一定の理解は得られたものと認識しておりました。  しかしながら、私自身も、同センターのすぐ南側を通るさぬき浜街道を車で走行中に、異臭を感じたことがあります。また、本年五月には、地元自治会から、今でも時折、風向きや天候等により異臭を感じるときがあるとして、臭気対策に関する要望書が提出されたところであります。  金倉川浄化センターにおいては、現在も、日常の運転管理の中で臭気抑制対策を講じているとは思いますが、同施設が、引き続き広域的かつ重要な役割を担っていくことに当たり、その運用においては、施設が所在する地元住民の理解を十分に得ることも必要不可欠であると考えております。  そこで、地元住民からの要望も踏まえ、さらなる対策を講じることができないか、知事に質問をさせていただきます。  質問の第四点目は、善通寺運転免許更新センターについてであります。  警察署の再編整備に伴う旧善通寺警察署庁舎の有効利用と、中讃地区の運転免許更新者に対する利便性の向上を図る目的で、平成二十六年度から整備が進められておりました善通寺運転免許更新センターが完成し、本年三月一日に業務が開始されました。  同センターにおける免許更新業務は、運転免許の更新区分が高齢運転者、優良運転者及び一般運転者である県内の運転免許保有者を対象とした二回来所方式による交付となっておりますが、優良運転者と高齢運転者の方は、更新日を事前に予約することにより、郵送による一回来所方式も選択できるほか、更新時講習やシニア安全学級については、午前と午後の二回実施されております。その他の業務といたしましては、記載事項変更や、国外運転免許証、運転経歴証明書の交付、運転免許証の自主返納、運転適性相談等にも対応がなされております。  また、同施設の開所式に出席したときに施設内を見学させていただきましたが、エレベーターや多目的トイレ、授乳等で利用できる休憩室なども整備されており、利用者の利便性にも配慮した施設だと感じております。これまでは高松の運転免許センターまで足を運び、免許の更新手続を行っておられた中讃地区の方々が、より身近な場所で免許を更新できるようになり、非常に喜んでおられます。時々、私も町を歩いておりますと、寄ってきてどんな話をしてくれるのかなと思いますと、あれはよかったというふうに言っていただいております。本当に、知事には、また、警察本部長には感謝させていただきます。  今後も、施設の運営に当たっては、利用者の声にしっかりと耳を傾け、利便性の向上に、より一層取り組んでいただけるよう希望いたします。  そこで、善通寺運転免許更新センターが開設されてから約四カ月が経過いたしましたが、開設後の利用状況につきまして、警察本部長に質問いたします。  さらに、利便性の面から一点お伺いいたします。  善通寺運転免許更新センターは、駐車場に「善通寺運転免許更新センター」と書かれた看板が設置されているものの、少し離れると看板が確認できず、道路に案内看板も設置されていないため、地理不案内なドライバーは同センターを通り過ぎてしまう状況にあります。この点の改善策等について、あわせて質問させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(高田良徳君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)新田議員の御質問にお答えいたします。  まず、結婚支援施策の取り組みについてであります。  お尋ねのかがわ縁結び支援センターにつきましては、本年十月に開所し、まずは、利用登録を初め、縁結びを支援する「おせっかいさん」の養成・研修などを行い、来年一月からは登録者を対象に、ビッグデータなどを活用した一対一の個別マッチングによる、出会いから交際、結婚までの丁寧な個別支援を行うこととしております。  今後、センターを多くの方々に利用していただくため、県のホームページやSNSを活用した広報に努めながら、県内企業や団体にも協力を働きかけ、社員等に対して、センターへの登録案内やイベント情報の周知を行っていただくほか、婚活イベントなどを実施する団体等と連携して、イベント参加者のセンターへの登録を促進してまいります。  さらに、県では、若者が婚活への一歩を踏み出せるよう、結婚に対する不安や悩みを解消するための個別相談会を開催するとともに、個別マッチングに向けて、県主催の婚活イベントを九月から五回開催し、センターの周知や登録者の増加につなげてまいります。  また、移動出張所につきましては、気軽に立ち寄れるショッピングセンター等において、結婚を希望する方や御家族などを対象とした登録相談会を実施したいと考えております。いずれにいたしましても、市町や団体等と連携して、県全体で結婚を支援する機運の醸成を図りながら、結婚支援を積極的に推進してまいります。  次は、希少糖の機能性についてであります。  希少糖産業を一大産業へと成長・発展させるためには、希少糖ブランドを確立することが重要であり、そのためには、議員御指摘のとおり、希少糖やその関連商品を保健機能食品に位置づけていくことが、消費者からの支持・信頼を今以上に広げていく上で有効な手段であると考えております。  お尋ねの特定保健用食品、いわゆるトクホにつきましては、県内企業において、D─プシコースに係る許可申請が行われ、県では、審査の合理化・迅速化を国に要望してきたところでありますが、既に申請から約六年が経過しております。  こうした中で、本年四月の消費者委員会において、D─プシコースの摂取とLDLコレステロールとの関連性に係る指摘があり、これを受け、申請者においては、新たに一年間の長期ヒト試験の実施等を検討しており、その後の審査期間等を考慮すると、トクホ取得までに三年程度を要する見通しであると伺っております。
     また、昨年四月に始まりました機能性表示食品制度につきましては、国が策定した機能性表示食品の届け出等に関するガイドラインでは、機能性関与成分の対象とならないものに糖質及び糖類が上げられており、希少糖を使用した商品がこの制度を活用できない状況にあることから、本年五月に、私みずから国に対し、本ガイドラインを早急に改正し、糖類等についても対象とするよう要望したところであります。  私といたしましては、香川で生まれた希少糖を、県内企業がその機能性を最大限に活用することができるよう、国等の動向を注視しつつ必要な要望活動を継続するとともに、さまざまな機会を捉えて、科学的根拠に基づく希少糖の性質や機能性を紹介するなど、効果的な情報発信を行うことにより、希少糖ブランドの確立に努めてまいりたいと考えております。  次に、金倉川浄化センターにおける環境対策についてであります。  金倉川浄化センターにおきましては、建設時に、周辺の居住区域との間に植栽帯などの緩衝エリアを設けるとともに、日常の運転管理におきましても、においの発生する可能性がある作業の時間短縮を図るなど、臭気の発生抑制に努めているところであります。  こうした中、議員御指摘のとおり、昨年四月、浄化センター近隣の自治会の方々から臭気に関する苦情が寄せられたため、同年六月に、浄化センター内において臭気測定の調査を行いました。その結果、悪臭防止法で規制される物質の濃度は、規制基準値を下回っておりましたが、本年五月、地元自治会から、改めて浄化センター方面より異臭がするとの指摘がなされたところであります。  こうした中、当該浄化センターの汚泥の濃縮槽につきましては、長寿命化計画の対象となっており、今年度、その設計に取りかかることにしていることから、その際、臭気の発生抑制対策について検討してまいりたいと考えております。  県といたしましては、引き続き多度津町とも連携しながら、浄化センター周辺の良好な生活環境の確保に努めてまいります。(降壇) ◯副議長(高田良徳君)木下警察本部長。    (警察本部長木下慎哉君登壇) ◯警察本部長(木下慎哉君)新田議員の善通寺運転免許更新センターの利用状況等についての御質問にお答えいたします。  善通寺運転免許更新センターの利用状況につきましては、本年三月一日の運用開始から五月末までに、運転免許の更新手続で二千九百八十三人、一日平均約五十人の方が利用されております。このほか、運転免許証記載事項変更等の手続で六百三十六人、一日平均約十人の方が利用されております。  同センターの利用者からは、議員からも御指摘いただきましたけれども、「運転免許更新施設が近くなって便利になった」等の声が、寄せられております。特に、高齢運転者につきましては、丸亀・琴平警察署管内にお住まいの更新対象者のうち、約七割の方がこのセンターを利用してくださっているなど、一定の利便性の向上が図られているものと考えているところでございます。  また、議員から今御指摘がございました案内看板の設置についてでございますけれども、現在、善通寺運転免許更新センターに隣接して整備中の善通寺交番の開所にあわせまして、今月下旬までに、道路上に張り出し型の案内看板を設置させていただきまして、ドライバー等にわかりやすく案内させていただくということを考えているところでございます。  県警察といたしましては、今後とも、円滑な運転免許更新業務等の推進に鋭意努めてまいります。(降壇) ◯副議長(高田良徳君)理事者の答弁は終わりました。  県の一般事務に関する質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高田良徳君)お諮りいたします。  委員会審査のため、七月四日を休会といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ◯副議長(高田良徳君)御異議なしと認め、そのように決定いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高田良徳君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、七月五日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十五分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....