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平成22年9月定例会(第4日) 本文

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  1. 香川県議会 2010-09-04
    平成22年9月定例会(第4日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    篠  原  公  七 君    平  木     享 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    谷  久  浩  一 君    広  瀬  良  隆 君    白  川  容  子 君    宮  本  裕  美 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    高  城  宗  幸 君    花  崎  光  弘 君    斉  藤  勝  範 君    西  川  昭  吾 君    大  山  一  郎 君    有  福  哲  二 君    都  築  信  行 君    樫     昭  二 君    村  上     豊 君    梶     正  治 君    高  田  良  徳 君    宮  本  欣  貞 君    辻  村     修 君    黒  島     啓 君    都  村  尚  志 君    五所野尾  恭  一 君    山  田  正  芳 君    十  河     直 君    香  川  芳  文 君    大  西  邦  美 君    砂  川     保 君    篠  原  正  憲 君    木  村  嘉  己 君    組  橋  啓  輔 君    綾  田  福  雄 君    白  井  昌  幸 君    尾  崎  道  広 君    松  本  康  範 君
       山  本  直  樹 君    名  和  基  延 君    水  本  勝  規 君   欠  席  議  員    増  田     稔 君    鎌  田  守  恭 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条による出席者           知     事  浜  田  恵  造 君           副  知  事  高  木  孝  征 君           病院事業管理者  平  川  方  久 君           政 策 部 長  天  雲  俊  夫 君           総 務 部 長  伊  藤     敬 君           環境森林部長   井  上  貴  義 君           健康福祉部長   川  部  英  則 君           商工労働部長   高  畠  正  博 君           農政水産部長   西  原  義  一 君           土 木 部 長  高  口  秀  和 君           知事公室長    川  池  秀  文 君           防 災 局 長  丹     睦  宏 君           観光交流局長   工  代  祐  司 君           水 道 局 長  岡     輝  人 君           会計管理者    片  岡  邦  彰 君           病 院 局 長  大  津  佳  裕 君           教育委員会委員  藤  村  育  雄 君           教  育  長  細  松  英  正 君           公安委員会    田  岡  敬  造 君           委  員  長           警察本部長    小  島  隆  雄 君           代表監査委員   仲  山  省  三 君           監 査 委 員  高  徳  敏  弘 君           事 務 局 長           人事委員会    桑  城  秀  樹 君           委  員  長           人事委員会    山  田  哲  也 君           事 務 局 長           労働委員会    和  田  充  弘 君           事 務 局 長           政策部次長    荒  井  陽  一 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第四号)                 平成二十二年十月八日(金)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(篠原公七君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配布のとおりであります。  日程に入るに先立ちまして、諸般の報告をいたします。  職員に朗読させます。    (職員朗読)   諸般の報告 一、監査委員から、地方自治法第二百三十五条の二の規定に基づく報告一件を   受理いたしました。 ◯議長(篠原公七君)以上で諸般の報告を終わります。    ───────────────────────────── ◯議長(篠原公七君)日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  佐伯明浩君。    (佐伯明浩君登壇、拍手) ◯佐伯明浩君 一般質問のトップバッターでございますので、緊張感を持って質問をさせていただきたいと思います。  ことしの夏、社会人都市対抗野球は、熱戦が繰り広げられました。四国の代表はJR四国のチームでありました。対戦相手は埼玉県代表のホンダでありました。JR四国のチームは四国の高校卒業生のみで構成されておりまして、ふだんは現場で仕事をされ、その合間を縫って練習をされるチームと聞いております。片や、ホンダは全国の優秀な大学生、高校生の卒業生を集めたいわばスター集団でありまして、昨年の優勝チームでありました。力の差は言うまでもなく、大差で決まるものと思っておりましたが、JR四国の皆さん方の粘り強さ、また、気合いと根性で八回まで同点で試合が進み、九回にはさすがに力尽きて惜敗しましたが、すばらしい試合だったと思います。  また、私たちにすばらしいものを教えていただきました。一%の可能性がある限り夢を追いかけ、絶対にあきらめないという気持ち、自分を信じ仲間を信頼するという気持ちの大切さ、それさえあれば大きな山も越えられ、また、大きな力にも貫いていけるというすばらしいことを教えていただきました。また、いかに努力がすばらしいかということも教えていただきました。努力というのは毎日、日々こつこつと大変なものでありますが、努力をすることによって目標に近づけるということであります。  知事がよく言われております元気の出る香川、そのとおりだと思います。しかし、まだまだ遠くに見えますが、お集まりの皆様方の先輩諸氏の御指導のもと、一歩一歩努力して近づいてまいりたいと思っております。  しかしながら、今の香川県は長引く景気低迷、中小企業の不況、失業者の存在、少子高齢化に対応した医療・福祉の充実と子育て支援など課題が山積しております。新知事の創意工夫とリーダーシップに期待しつつ、本日はこういった諸課題に知事としてどういう姿勢で挑まれるのかを中心に、みっちりと質問をさせていただきたいと思います。  知事はこれまで大蔵省、財務省に奉職され、本省、国税局、財務局、税関等において公の利益の実現に邁進されてこられました。そのことにまず敬意を表したいと存じます。そして、地元香川県の発展に尽くそうという強い意志と、公の奉仕の強い使命感を持った知事が誕生されました。知事におかれましては天の定めた運命と考え、香川県の発展に全力を尽くしていただきたいと思います。  「元気の出る香川県」、全くそのとおりだと思います。元気をモットーに議員活動をしております私にとりましては、ぜひその方向で進めていっていただきたいと思います。  「安心できる香川」、「愛と希望あふれる香川」、それぞれキャッチフレーズは心地よく、その方向には賛同できるものがあります。問題は、その具体的方策と進め方、実行力であります。何よりも知事の所信の中で私が深く賛同しておりますのは、知事が最後に挙げられました大平正芳先生のお言葉であります。  大平先生は、私が長く支持し、秘書としてお仕えしておりました森田 一元運輸大臣の義父に当たり、私も尊敬する大政治家であります。御承知のとおり、大平先生は数多くの諸政策を残しておられますが、近年再び脚光を浴びておられます。昨年末の政権交代で混迷する我が国政界や停滞する経済、閉塞する社会の現状が心配でならない昨今、大平先生の偉業を見直そうとする動きも活発化しております。  そのような中、知事が最初の議会でこの言葉を取り上げられたことに、深く敬意を表する次第であります。「着々寸進」、「洋々万里」、知事の心構えとして承知しましたが、言葉のとおり着実に進むことは大事ですが、さらに大事なのはスピード感であります。香川県には問題が山積しており、ゆっくり対応しているほどの余裕はありません。ぜひスピード感を持って着々と諸懸案の解決に取り組んでいただきたいと思います。  質問の一点目は、総合的な地域公共交通体系の構築についてであります。  現在、モータリゼーションの進行や人口減少社会の到来に伴い、県内の公共交通における平成二十年度の輸送人員は、JR四国が平成四年度に比べて二五・八%の減少、琴電が三〇・四%の減少、路線バスが五八・五%の減少と、大幅に減少しております。その結果、事業者が提供するサービス水準が低下し、それが利用者の減少をもたらすという負の連鎖が生じております。  一方、高速道路については、平成二十一年三月から休日千円上限料金の制度が開始され、公共交通の利用者数の減少などの影響が出ています。特に、平成二十一年度のJR四国の利用者数は、前年度に比べて九・一%の減少、宇高航路のフェリーのトラック輸送では二九・一%も減少しており、経営の悪化や路線の存続が危ぶまれるといった問題は県民の記憶に新しいところだと思います。また、平成二十二年六月には、民主党のマニフェストに沿って高速道路無料化社会実験が開始され、三十七路線、五十区画が無料化されており、今後はさらなる影響が生じてくる可能性があります。  このように、公共交通機関をめぐる現状は、経営の悪化、利用者の減少など厳しい状況であり、現在の状況がこのまま続くとすれば、最悪の場合、公共交通機関が地域から姿を消し、お年寄りなどは移動のための交通手段が確保できなくなり、買い物ですら困難になる状況が容易に想像できます。自家用自動車をみずから運転することができないお年寄りや通勤・通学者などにとって、公共交通機関は移動の手段として必要不可欠なものであり、私は地域の公共交通を何としても守っていかなければいけないと思っております。  現在、琴電では複数の交通機関の乗り継ぎを容易にするとともに、買い物にも使用できるICカードを導入しておりますし、県においてもパーク・アンド・ライドの推進や、毎週金曜日にエコ金デーを実施し、県職員みずから通勤において公共交通機関を利用するなど、地域公共交通の利用促進を図る取り組みが行われていますが、私はお年寄りを初めだれもが利用できる公共交通手段を確保するためには、自家用車への過度の依存を改め、自動車、自転車の活用を含めて地域の公共交通を総合的に活用し、公共交通機関の維持・活性化を図る仕組みへの転換が必要だと思います。  また、国においては公共交通を維持・再生し、すべての国民に移動の権利を保障する交通基本法の制定に向け、交通施策全般に係る課題、将来の交通体系のあるべき姿について、現在検討が行われておりますが、今がまさに公共交通の維持・活性化に向けた総合的な地域公共交通体系の構築を、県として早急に検討すべき時期となっているのではないかと思います。  そこで、総合的な地域公共交通体系の構築について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。  質問の二点目は、ものづくり企業の振興についてであります。  日本銀行高松支店の香川県金融経済概況によると、香川県内の景気は厳しさが残るものの、穏やかに持ち直している状況にあります。しかし、リーマンショック以後の一時の不況を脱しつつあるとはいえ、最近の円高、海外の経済の不透明感など、経済をめぐる情勢はまだまだ予断を許さない状況にあり、特に本県の製造業は長引く不況の影響で、事業所数、従業者数ともに減少傾向にあります。  浜田新知事におかれましては、元気の出る香川をマニフェストの一番に挙げられており、特に新規・成長産業の創出や新技術・高度技術の開発を支援するなど、中小企業の振興について、並々ならぬ決意で取り組まれるものと期待をいたしております。  さて、昨年度末に県は、かがわ次世代ものづくり産業振興プランを策定し、平成二十二年度から二十六年度までの五カ年を計画期間として、本県における強みでもあるものづくり基盤技術産業と食品産業の二分野に重点的に取り組んでいかれることと思います。同プランは、県内企業へのヒアリング結果をもとに、その強み、弱点を的確に分析しており、香川県の企業の実態を踏まえ、大変よく練られた計画だと感じてはおりますが、今後の香川のものづくり企業の振興に当たっては、この計画を具体的にどのように実行していくのかが大きなかぎになると思います。  こうした中、次世代有望三分野であるエネルギー、ロボット、航空・宇宙に係る県内のものづくり企業の進出を支援していくため、かがわ次世代ものづくり研究会が先月の十六日に開催されました。同研究会では、次世代有望分野への進出企業に対してさまざまな支援が行われると伺っておりますが、かがわ次世代ものづくり産業振興プランを確実に実行していくためには、ものづくり企業自体の努力が必要なことはもちろんですが、県の果たす役割も非常に大きいと思います。この意味でこの研究会での取り組みというものが、今後非常に重要になってくるのではないかと考えております。  また、お隣の岡山県のウイングウィン岡山では、機械加工や表面処理などを得意とする岡山県内の企業が集まり、世界的に需要の高い航空機関連部品の共同受注を目指すという取り組みが行われておりますし、福島県ものづくり研究会では、会員企業同士技術交流会や情報交換会を開催するなどにより、ものづくり企業の振興が図られていると伺っております。  そこで、かがわ次世代ものづくり研究会において、今後具体的にどのようなことに取り組んでいかれるのか、また、この取り組みをものづくり企業の振興にどのようにつなげていこうとしておられるのか、知事にお伺いをいたします。  質問の三点目は、新型インフルエンザ対策についてであります。  昨年、世界じゅうに感染が拡大した新型インフルエンザは、五月には国内で初の感染者が確認されました。本県においては六月に最初の感染者が確認され、八月には流行宣言が、十一月には流行警報が発令され、流行のピークを迎えましたが、その後感染者は減少に転じ、本年三月以降は鎮静化をしております。  県では、昨年五月に香川県新型インフルエンザ対策本部を設置し、保健所の発熱相談センター等相談窓口の設置、入院対応医療機関の確保、サーベイランスの実施、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄、新型インフルエンザワクチンの供給など、さまざまな対応を行ってきたところであります。  国内で初の新型インフルエンザが発生したときには、保健所の発熱相談センターに相談が殺到し、十一月の流行ピーク時には休日、夜間に特定の医療機関に患者が集中したほか、ワクチン接種について、当初はワクチンの供給が大幅に不足したことなどにより、医療機関が混乱いたしました。また、学校現場においても学級閉鎖などの対応に苦慮したと伺っております。さらに、受診体制やワクチン接種などについて、国の方針がたびたび変更されたことにより情報が錯綜したことに加え、過剰な報道もあり、県民の不安を巻き起こしたことは記憶に新しいところであります。  昨年発生しました新型インフルエンザは幸いにも弱毒性であり、重症者も少なかったのですが、再流行の可能性は続いており、今後、強毒性へ変異する可能性も否定できないことから、第二波への備えを怠ることはできません。また、今回の新型インフルエンザの特徴である、持病のない子供や成人の中に重症化する人がいるという傾向は今後も続く可能性があり、子供のインフルエンザ脳症にも注意が必要です。さらには、強毒性の鳥由来の新型インフルエンザが発生し、流行することも考えておかなければなりません。  こうした中、八月十日にはWHO(世界保健機関)から、今回の新型インフルエンザの世界的な流行状況をポストパンデミックとする旨の宣言が出され、既に国や県において対策本部が解散されたと聞いております。しかしながら、この秋から冬にかけて再流行の可能性もあり、WHOにおいても引き続き警戒の継続が極めて重要で、サーベイランスワクチン接種、医療提供に努めるよう勧告があったと伺っております。  このため、今後、強毒性の新型インフルエンザが発生した場合などに備え、県民の安全・安心の観点から発熱外来や感染症病床の確保、院内感染を防ぐための陰圧病床の整備など、入院医療機関の確保や充実強化を早急に図っていく必要があると思います。  県では、五月に香川県新型インフルエンザ対策検証委員会を立ち上げ、今回の新型インフルエンザ対策についての検証を行い、八月にその提言が出されたと伺っております。  そこで、検証委員会の提言を受けて、今後、新型インフルエンザ対策にどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。  質問の四点目は、ニンニク農家経営安定対策についてであります。  本県のニンニクは、昭和五十年ごろ新品目として登場し、重量野菜のタマネギからの転換により、昭和六十年には三百二十五ヘクタールまでに栽培面積が拡大したところであります。しかし、その後中国からの輸入量が増加し、これに伴い価格の低迷を招き、さらには農業従事者の高齢化や減少が進行してきたことなどから、栽培面積は年々減少してきましたが、現在も本県のニンニクの生産は青森県に次いで全国第二位の生産量を誇っており、中でも仲多度地区と三豊地区においては、県下の約八割の生産が行われております。  こうした中、平成二十年の中国冷凍ギョーザ問題を発端に、国民の間では輸入農産物の安全性に対する不安がさらに広がり、国内産農産物、とりわけ国産ニンニクに対する期待と関心が高まり、生食用だけでなく加工・業務用においても国産ニンニクの利用拡大を望む動きが見られているところであります。  一方、本県の産地を取り巻く情勢は、生産者の方々の高齢化が一段と進行していることに加え、さまざまな農業生産資材の価格が高どまり状況にあり、一層厳しさが増しているところであります。中でもニンニクの種子については、県内のほとんどの農家が中国から輸入された種子を使っており、中国産のニンニク種子は県内で生産していく上で不可欠なものとなっていますが、最近その種子価格が高くなっているところであります。  中国産の種子価格が高くなったのは、中国国内でニンニク価格が暴落した影響により、中国国内でのニンニクの栽培面積が減少したことや、新型インフルエンザの影響で、ニンニクは殺菌効果が高いと言われるようになり、中国国内でニンニクブームが起こり、需要が拡大したことなどが理由と伺っておりますが、こうした影響により、本年植えつけのニンニクの種子価格は前年に比べ約一〇%上昇しており、金額に直すと十アール当たり九千円程度の負担増となっており、農家所得にも影響を及ぼしているところであります。  このようにニンニク農家の経営は厳しい状況にあることから、下位等級の規格外品の有効利用や継続的な安定取引など、経営の安定化のための取り組みが必要だと思います。  琴平町においては、産地と県内の食品企業が連携したいわゆる農商工連携により、現在、「ガァリック娘」として販売されているガーリックオリーブオイルなどの農産加工品を共同開発するとともに、規格外品を中心に、契約取引により生産農家から安定供給されるニンニクを活用して、食品企業が製造した製品を琴平町の観光業界も巻き込んで販売するなどの取り組みが行われており、農家の経営の安定化だけでなく、地域の活性化にもつながっていると伺っております。  そこで、今後ニンニク農家経営安定対策にどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。  質問の五点目は、児童生徒の体力向上についてであります。  九月十一日に私の地元である観音寺市の有明浜で、第三回キッズトライアスロン大会が開催されました。これは大学生が出場する日本学生トライアスロン大会記念イベントとして、児童にこの競技の楽しさを実感してもらい、普及拡大につなげようとして開催されているものであります。観音寺市の琴弾公園特設コース、児童向けの短縮二キロのコースにより、小学四年生から六年生の男女五十三名が、五十メートルの水泳競技に始まり、自転車競技、最後は七百メートルのラン競技と、歯を食いしばって力走する姿に大変感動いたしました。  さて、教育委員会が行っている平成二十一年度香川県体力・運動能力調査報告書によると、体力合計点は小学校、中学校、高等学校とも全国平均並みとなっており、最近五年間の傾向でも横ばいか向上傾向を示す調査項目が多く見られます。しかし、親の世代から継続実施されている五十メートル走、ボール投げ、握力においては、すべての学校段階で親世代より記録が低下しています。また、平成二十一年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果によると、体力と運動、生活習慣との関連も指摘されており、日常的に運動時間が多い児童生徒ほど体力合計点が高い傾向が見られます。  最近の子供たちは、塾通いなどにより遊ぶ時間が大変少なくなってきており、私の家の周りでも、夜遅くまで外で伸び伸びと遊んでいる姿を見かけることが少なくなりました。こうしたことも体力低下の一因だと思います。
     私は、中学、高校、大学と柔道をやっておりましたが、学校の部活動でトレーニングを行うだけでなく、家に帰ってからも近くの山でダッシュを繰り返し、体を鍛えてまいりました。これにより将来を生き抜く忍耐力も養うことができたのではないかと思っております。  また、昨年、県教育委員会が発表した讃岐っ子元気アッププランにおいては、「体力は人間の活動の源であり、健康の維持のほか、意欲や気力といった精神面の充実に大きくかかわっており、生きる力の重要な要素である。また、子供たちの体力低下は、将来的に国民全体の体力低下につながり、社会全体の活力や文化を支える力が失われることにもなりかねない」とされており、総合的に調和のとれた体力の育成を図ることが重要だとされております。  以上のことから、私は小学校、中学校、高校などにおける運動の習慣を確立するとともに、家庭、地域を巻き込んだ体力づくりの習慣をつくることなどにより、児童生徒の体力の向上に早急に取り組んでいく必要があると思います。  そこで、児童生徒の体力向上について、どのような認識を持っておられるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いをして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(篠原公七君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)佐伯議員の御質問にお答えいたします。  まず、総合的な地域公共交通体系の構築についてであります。  本県の地域公共交通を取り巻く環境は厳しく、加えて集約型都市構造の実現、少子高齢化への対応、環境負荷の軽減等の観点からも、そのあり方について抜本的な見直しを図るべき時期にあると考えております。  このため、昨年度から専門家等で構成する香川県地域公共交通ネットワーク検討委員会で調査・検討を進めており、その中で本県では輸送力、定時性等にすぐれた鉄道をネットワークの中心に置き、交通結節点において公共交通機関相互や自動車等との乗り継ぎ機能を高め、県全体でネットワークの利便性と結節性を向上させる必要があり、ICカードの拡大やパーク・アンド・ライド駐車場の拡充、新駅設置、ダイヤ改善等の諸施策について、パッケージで取り組むことが重要であるなどの御指摘をいただいております。  県の地域公共交通の幹線となる鉄道につきましては、国の地域公共交通活性化・再生総合事業を活用し、琴電の活性化策について具体的な調査・検討を進めておりますほか、JR四国についても、国と四国四県、経済界等が連携し、ネットワークの将来像や実現方策について議論を進めており、あわせてJR各社が国に要望いたしました鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金を経営安定基金の積み増し等の財源に活用することについては、私としても国に要望したいと考えております。  また、各地域の取り組みに対しても、今議会に提案させていただいております小豆島におけるICカード導入に対する支援など、本県の地域公共交通体系の構築を図る観点から、積極的に協力を行っております。  国では交通基本法の制定に向け、来年度予算の概算要求において、これまでの施策を抜本的に見直す方向を示しておりますが、具体的な内容はまだ明らかではありません。県におきましては、引き続き地方自治体への財源や権限の移譲を含め、実効性ある制度設計が行われるよう国に働きかけるとともに、県の役割や支援のあり方等についても、今後の国の動向を踏まえ、さらに検討を進めるなど、総合的な地域公共交通体系の構築に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えます。  次は、ものづくり企業の振興についてであります。  かがわ次世代ものづくり産業振興プランでは、ものづくり企業の振興の大きな柱の一つとして、御指摘のようなエネルギー、ロボット、航空・宇宙といった次世代有望分野への進出を促進することとしております。  企業が次世代有望分野へ新たに進出するに当たっては、各分野における技術動向や市場・業界の状況などの情報をもとに、自社の資源や強みなどを踏まえ、進出の具体的方向を見定めるとともに、進出に必要となる技術力の向上を図っていくことが必要であります。  このため、私も第一回会合に出席いたしましたかがわ次世代ものづくり研究会では、講演会のほか、昨日開催いたしました航空・宇宙分野の勉強会、十月十四日及び十一月十二日に開催予定のロボット分野の勉強会など、各分野ごとの勉強会を順次開催するとともに、専門家による事業化相談会、技術の高度化のための講習会、企業見学会の開催などの取り組みを通じ、企業の新分野進出を後押ししてまいります。  研究会でのこうした取り組みにより、多くの企業におきまして新たな事業化案件を生み出すよう働きかけるとともに、かがわ産業支援財団の事業や産業技術センターの技術支援など、他の施策も重点的に活用して、一つでも多くの事業化案件を実現するよう支援し、ものづくり企業の振興を図ってまいりたいと考えます。  次は、新型インフルエンザ対策についてであります。  昨年流行いたしました新型インフルエンザは、現在鎮静化が続いておりますが、今後、秋から冬にかけましてインフルエンザの流行期を迎える中、再流行の可能性は続いていること、一般にインフルエンザウイルスは変異しやすいことから、御指摘のように世界保健機関においてもサーベイランスワクチン接種、医療提供に努めるよう勧告しております。  本県におきましては、八月に香川県新型インフルエンザ対策検証委員会から、医療提供体制の整備や、迅速かつ正確な情報発信の実施などについて提言がなされました。県といたしましてはこの提言を踏まえ、今シーズンの対策として、四十七の定点調査と学校欠席者情報などの発生動向調査、いわゆるサーベイランスの継続を行い、ウイルスの動向や流行予測などの早期探知を行うとともに、関係機関との連携を強化し、感染予防の啓発を初め迅速で正確な情報の提供に努めてまいります。  また、十月一日から始まっております新型インフルエンザワクチン接種が円滑に実施できるよう、市町や医療機関と連携を図ってまいります。  さらに、今後発生が予想される高病原性、いわゆる強毒性の新型インフルエンザについては、県民の皆様が安心して医療が受けられるように、発熱外来や入院対応医療機関の確保・充実など医療体制の整備に努めるとともに、感染症に対応できる医療従事者の確保や養成・研修を行うなど、事前の対応に努めてまいりたいと考えております。  なお、その他の御質問については、農政水産部長からお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(篠原公七君)西原農政水産部長。    (農政水産部長西原義一君登壇) ◯農政水産部長(西原義一君)佐伯議員のニンニク農家経営安定対策についての御質問にお答えいたします。  近年、ニンニクの国産志向が高まる中、県では先ほど議員から御紹介がありましたように、農業者と商工業者とのマッチング活動により生まれた「ガァリック娘」など、県産ニンニクを使った新商品の開発や販売ルートの開拓を支援しているところであります。  あわせて昨年度、原料の生産拡大を促すために、収穫作業を効率化・省力化する機械の導入や、均一な品質のニンニクを安定供給できる除湿乾燥施設の整備に対して助成を行ったところであります。  種子価格がここ数年上昇し、その他の生産資材価格も高どまりする状況の中で、県としては今後、疲労回復や滋養強壮などニンニクの持つ機能性を生かした、農業者などが行う新たな商品の開発に対する農商工連携ファンド事業を活用した支援や普及指導員の活動を通じて、農業者みずからが加工・販売にも取り組む経営の多角化への指導を行うなど、ニンニク農家の経営安定が図られるよう取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)細松教育長。    (教育長細松英正君登壇) ◯教育長(細松英正君)佐伯議員の児童生徒の体力向上策についての御質問にお答えいたします。  近年、子供の体力は低下傾向にありますが、その背景には生活様式の変化などにより、日常的に体を動かす機会が減っていることなどがあるのではないかと考えており、子供の体力向上には、学校、家庭、地域が連携した運動習慣や生活習慣の確立に向けた取り組みが必要であります。  このため、学校生活の中においても、休み時間や放課後に無理なく取り組め、継続することで自然に力が身につく効果的な運動や、毎日の生活記録に基づき子供一人一人に応じた生活習慣を指導する方法等を盛り込んだ、讃岐っ子元気アッププランをこの三月に策定し、幼稚園や小中学校等へ周知・配布したところであります。  現在、その積極的な活用を図るため、学校等へ講師を派遣し、その具体的な活用方法の説明や実技指導を行うほか、家庭でできる簡単な運動メニューなどを紹介したリーフレットを作成し、保護者の啓発にも努めているところであります。  今後とも、こうした取り組みを通じて、学校、家庭、地域が連携した子供の体力向上に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)一般質問を続行いたします。  竹本敏信君。    (竹本敏信君登壇、拍手) ◯竹本敏信君 県政の重要課題につきまして、知事、教育長、警察本部長にお伺いをいたします。  質問する前に一言申し上げます。  先般の知事選挙において見事当選をされました浜田知事に心からお喜びを申し上げるとともに、県民の幸せのために間違いのない県政のかじ取りをお願いを申し上げ、質問に入ります。  まず第一点は、雇用の確保・拡大についてであります。  国税庁の民間給与実態統計調査によると、民間企業に勤める人が二〇〇九年の一年間に得た平均給与は、前年比二十三万七千円減、五・五%減の四百五万九千円となり、一九四九年以降で過去最大の減少幅を記録した〇八年の七万六千円減、一・七%減を大幅に上回っています。また、四百万円以下の給与所得者数が前年より約百八万人増加するなど、労働者にとって厳しい状況が続いています。職業別では、製造業が前年比一〇・三%減の四百四十四万円と下げ幅が最も大きくなっています。このような給与の低下を考えると、新卒者などの雇用は年々厳しくなっていくことが想像されるのであります。  県内の高卒者の就職未内定者が二〇〇九年度は七十五人と、前年度より十三人ふえたそうであります。先日の新聞記事によると、昨年は就職難で進学に切りかえた生徒もいたが、ことしは家計の経済状況で進学もできない生徒がふえているそうであります。求人数は景気低迷で激減した昨年より一〇%以上悪くなっているとのことであります。雇用を確保・拡大し、元気の出る香川づくりを目指している知事の県内雇用状況についての現状認識と、今後の雇用対策についてどう考えているのか、お伺いいたします。  二つ目は、新たな長期水需給見通しについてであります。  第一は、これまでの計画であった第三次長期水需給計画の大幅な見込み違いに関する反省についてであります。  どれほど大きな見込み違いがあったかを数字で申し上げれば、平成二十七年度予測を比較すると、第三次計画では水道用水需要量を年間二億百万トンと推計しておりましたが、今回の新しい見通しでは一億四千二百万トンと、年間五千八百万トンもの下方修正となっております。つまり、第三次の見込みは、五千八百万トン過大見積もりされていたわけであります。  この過大見積もりの結果どういうことが起こったかというと、水が足りない、その不足量は二千三百万トンであるとされました。しかし、今回出された新たな予測に従えば、不足どころか平成五年度の供給量一億四千六百万トンで十分に賄えるという予測結果であります。単に予測が外れてうれしい誤算だったで済むなら結構な話ですが、我々は水が足りないと言われ、その不足分を埋め合わせるためのダム建設を容認させられ、既に多額の税金を投入させられているのであります。本来なら別の仕事、例えば建築物の耐震化や県営住宅の建設などにも使えた税金を、水が足りないという予測を信じてダムに振り向けてきたのです。吉田ダム、門入ダム、粟井ダム、内海ダム、椛川ダム、五名ダムの建設済みと建設途中のダム年間開発水量合わせて八百万トンに上ります。正しい予測に基づけば、少なくとも利水容量を持たない治水ダムとして、規模も内容も全く違った、恐らくはるかに小規模で効果ある事業になっていたはずであります。  その上、ここ数年間、我が会派が再三にわたって水需給の予測訂正を求めてきたときにも、調査すら拒否し、実に十三年という異例の長い期間、計画変更を行わなかったのであります。到底、激しい時代の変化についていける県政運営とは言えない誤りであります。もし民間企業であれば、これほどの見込み違いで設備投資を行った経営者がいれば、株主総会での解任はもちろん、背任罪に問われかねない誤りです。  今議会の総務委員会において政策部長は、「先人たちは適切に対応しており、節目節目に対応してきたものと思っている」と答弁され、責任はないと言われました。しかし、これには到底納得できません。役人同士のかばい合いにしか見えません。反省すべきは率直に反省し、教訓を将来に生かすべきだと考えますが、責任者たる知事本人の御所見をお伺いいたします。  水需給の二点目は、ダム計画の見直しについてであります。  既に完成したダムを別にしても、椛川ダムに六十三億円、五名ダムにも十二億円が今まで使われています。今後の事業費も莫大であり、新たな水需給予測が出され水不足問題に答えが出された今、速やかにダム全体の事業見直しに着手しなければなりません。  知事は、所信表明でダム事業の継続を挙げておられましたが、一口にダムと言っても、目的が違えば中身は変えなければなりません。情勢の変化に的確に対応することも知事の姿勢の一つであると思っておりますが、この際、県のダム計画全体を見直すことについて、知事の御所見をお伺いいたします。あわせて、椛川ダムについては、一緒に事業を行っている高松市に対しても、共同で計画見直しを行うよう要請するお気持ちがおありなのか、お伺いします。  水需給の三点目は、今回出された「新たな長期水需給見通し」の中身の十分な理解と、県民への正しい周知についてであります。  特に、これから行われる新たな大綱の策定作業に当たっては、この見通しが基礎になって、さまざまな対策が企画されるわけですから、懇談会メンバーはもちろん、県民全体に正しく理解されなければなりません。  そうした立場でお尋ねするのですが、まず宝山湖についてであります。二百五十五億円もかけてつくった宝山湖が、非常用水源であるという理由で供給可能水量から除かれているわけですが、新たな大綱策定の際にも考慮の外に置かれるとすれば、何のためにつくったのかわからなくなります。今後の水資源対策の中で宝山湖の取り扱い方をお示しください。  このほか総務委員会においても多くの疑問点が出され、要約版の冊子を差しかえするという異例の処理になりました。今後の対策である新たな大綱については、くれぐれも懇談会のメンバーはもとより、県民全体の十分な理解のもと策定されなければなりません。知事の策定に当たっての決意をあわせてお尋ねいたします。  三つ目は、高松空港の利用拡大についてであります。  知事は、今定例会の冒頭で所信を述べられました。その中で、地域資源を生かした元気で特色ある地域振興を進め、香川のよさ、香川のいいものを国内外に売り込み、第一次産業から第三次産業まですべての産業を振興していくこととしています。その先頭に立ち、国内外を問わず積極的にトップセールスを行い、観光客数の増加に努めることとしています。高松空港に新しい海外路線を開設して利用拡大を図り、拠点都市機能の拡充に努めると述べられましたが、今後の香川県にとって大変重要だと思います。  高松空港の二〇〇九年度の利用客数は、国内線で不況や新型インフルエンザの影響を受けて落ち込み、国際線も含めた合計で約百三十七万人と四年続けて減少し、百四十万人を下回っています。また、羽田線が利用客に占める割合が大きく、二〇〇九年度で全体の八九%となっています。一方で、唯一の国際線であるソウル線は、韓流ブームが一段落した時期に利用率が低下しましたが、二〇〇八年度からは二年連続で増加していると聞いています。  現在、高松空港の路線状況は、日本航空グループの経営再建に伴う路線整理対象に鹿児島線が含まれ廃止となりました。一方で、羽田線は今月三十一日から日本航空、全日空各社とも五便から六便に一便増便することになっています。台湾からのチャーター便や新しい海外路線の開設等を考えると、駐車場の狭隘が心配されます。現在も車がなかなか駐車できなかったとの声も聞きます。駐車料金の問題も含め、利用しやすい空港にしなければなりません。今後の利用客の増加を見込んで、駐車場の拡大や駐車料金も含めた環境整備にどう取り組んでいくのか、お聞かせください。  四点目は、ミナミアオカメムシ防除についてであります。  ミナミアオカメムシは稲科の植物を好み、水稲の大敵とされています。県内で初めて生息が確認されたのは二〇〇八年九月で、翌〇九年には県内全域に広がり、西讃、東讃の稲作農家を中心に稲への被害が相次ぎました。そして、ことし、さらなる大発生の兆しを見せていると中讃の農家から相談があり、地元の農家に聞くと予防しましたとのことでありました。  他のカメムシの場合、稲に被害を与えるのは成虫が中心でありますが、ミナミアオカメムシは稲の葉に大量の卵を産み、田んぼで繁殖するのであります。カメムシに汁を吸われた稲は、米粒の表面に黒い点がまじる斑点米になります。ミナミアオカメムシは、斑点米をつくる力がほかのカメムシの二倍以上もあるそうであります。斑点米が多いと米の等級は落ち、高く売れなくなります。国の検査基準も厳しく、千粒中に斑点米が二粒以上あると二等米に、四粒以上だと三等米になり、一等米と二等米では一俵当たり六百円、二等米と三等米で千円の価格差が生じます。しかも、斑点米が八粒以上あれば規格外として売り物にならないといいますから、農家にとってはまさに死活問題であります。米価は下がる一方、農薬防除に費用はかかる、泣き面にハチであります。高齢化や米価下落にあえぐ県内の稲作農家に対し、県としてどのような対策、指導を行っているのか、お伺いいたします。  五点目は、農業就業人口の減少と耕作放棄地対策についてお伺いいたします。  二〇一〇年度農林業センサスでは、全国の農業就業人口が二百六十万人と、前回調査の〇五年に比べ七十五万人減ったことがわかりました。この五年間の減少数は二二・四%と、比較可能な一九八五年以降で最高となったのであります。これは農業就業人口が一九八五年には五百四十三万人いましたが、二十五年間で半分以下に減ったことになるわけであります。この結果、農業経営体が耕作する耕地面積は三百六十四万ヘクタールと、同一・五%減となり、また、農業経営体の耕地面積のうち借入耕地面積は百七万ヘクタールと、同二九・六%ふえ、借地による規模拡大が進んでいる傾向が浮き彫りとなりました。一方、耕作放棄地面積は、ふえ方は緩やかになっているようですが、四十万ヘクタールと拡大しています。  農水省の二〇〇九年度耕作放棄地調査は、市町村や農業委員会が実際の農地を目で見て確認し、荒廃した農地を集計しているもので、一部調査も含め、ほぼすべての市町村で調べた結果、二十五万四千九百十一ヘクタールの耕作放棄地が確認され、全国面積を二十八万七千ヘクタールと推計しています。調査現場では所有者がわからない耕作放棄地も多く、高齢化も進んでいます。  耕作放棄地再生には、受け皿となる担い手の確保と経営安定への支援が必要となりますが、県として農業就業人口の減少や耕作放棄地対策にどう取り組んでいくのか、お伺いをいたします。  六点目は、本津川水系河川整備計画についてお伺いいたします。  香川県は降雨の少ない典型的な瀬戸内海式気候に属し、山間部もそれほど深くないため特に大きな河川もなく、全国的にも被害の少ない県であると言われています。しかしながら、単位面積当たりの公共土木施設災害額で見ると、全国平均を上回る被害をこうむっています。  平成十六年十月の台風二十三号は、東讃地域を中心に最高総雨量六百七十四ミリ、最大六十分雨量百十八ミリという記録的豪雨をもたらし、その被害は死者十一名、重軽傷者二十八名、家屋の全壊四十八戸、半壊四十戸、床上浸水四千四百三十一戸、床下浸水一万三千三百三十六戸にも上り、中小河川のはんらん、堤防の決壊による洪水が至るところで発生しました。私が住んでいます国分寺町でも、累計雨量二百九十三ミリに達し、本津川の水位は十月二十日の午後五時には国分寺水位局で五・三二メートルとなり、町全体が海のようになったのであります。鬼無地区においても家屋が流されるなどの被害が発生いたしました。  県民の安全・安心のため、本津川の狭窄区間の解消、ネック構造物の改築を実施していただいていますが、まだまだ県民にとっての安全・安心を満たす状況にはなっていません。現在、鬼無地区の村田井堰から上流一・二キロを緊急対策特定区間として工事を行っていますが、今後の本津川水系河川整備計画についてお伺いをいたします。  七点目は、道路占用料についてお伺いいたします。  国が管理する国道における道路占用料については、全国的な地価水準等を基準として定められていますが、近年の全国的な地価下落及び市町村合併の進展等の現状を踏まえ、平成二十年四月一日より占用料等の見直しが実施されました。  香川県においても道路占用料条例を定め、特別の理由がある場合を除き、道路法第三十九条第一項の規定に基づき占用料を徴収することになっています。昨年の二月議会における私からの質問に対し、県は「これまで本県を初めほとんどの自治体は国に準じて占用料の改定を行ってまいりましたが、近年の地方交付税の大幅な削減等により自治体を取り巻く財政状況が厳しさを増す中、昨年四月の国の改定に伴う見直しについては、対応が分かれている。本県では他の三県が改定を行わない方針であることや危機的な財政状況を考慮して、改定を見送ることにした」との答弁でありました。これは危機的な財政状況であれば、県民税も景気のよかったときの税金を取ってもよいということにもなります。  本定例会の総務委員会で、道路占用料を国に準じて改定した場合の影響について質問をいたしました。平成二十二年度の道路占用料収入見込み額は二億五百万円となり、国に準じた場合、六千二百万円の減収試算額となるそうであります。平成二十年四月の前回改定の際に設置した有識者検討会から、占用料が激変することにならないよう三年程度ごとに改定を検討することが妥当との提言を受けたことを踏まえて、国は平成二十三年四月一日から道路占用料等の改定を行うと聞いています。  平成二十一年度香川県一般会計決算の収支の状況を見てみますと、五十三億円余の黒字となっています。県として改定を見送るとなると、少なくとも六年間、国と異なる占用料徴収が続くことになります。国に合わせ平成二十三年度に改定すべきと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。  八点目は、教育現場での熱中症対策についてお伺いいたします。  ことしの夏は異常な暑さ続きで、九月に入っても猛暑が続きました。全国各地で最高気温や猛暑日の記録を更新し、気象庁の発表では八月の全国平均気温は平年より一・六四度高く、過去百十三年間では最高の記録だそうであります。高松気象台のデータでも八月の日中平均気温三十・四度、平均最高気温三十四・七度、また、最低気温二十五度以上の日数でも観測史上最高を記録しており、九月に入っても依然として猛烈な残暑が続きました。この異常な暑さにより熱中症患者が急増し、家の中で熱中症で亡くなった高齢者が数日後に発見される痛ましい事件や、過去に例を見ない救急車の出動件数など、熱中症患者の発症状況が毎日のように報道されていました。また、先日、気象情報会社から、ことしの夏の記録的な猛暑で三人に一人が熱中症予備軍だったとのアンケート結果が発表され、熱中症予備軍の割合が最も高かった都道府県は、香川県が四四%と全国一位となっています。  勉強に集中できるのは二十五度から二十八度とされ、文部科学省の基準では教室の温度は三十度以下が望ましいとなっていますが、実際は毎日三十度を超えているのが現状であります。熱中症は、温度だけでなく湿度も大きく関係するようですが、地球温暖化に伴い、今後も気温が毎年上昇していくことが予想されます。学校関係者からは、普通教室における冷房設備の導入を求める声を聞きます。厳しい財政状況ではありますが、子供たちが勉強に集中できる環境を整えていくことは大変重要であります。  先般、丸亀市では十億円の予算で、すべての学校に空調設備を導入するとの報道がされました。そこで、県立高校での空調設備の導入状況と今後の導入計画について、教育長にお伺いいたします。  最後に、自転車事故防止についてお伺いいたします。  自転車の利用が多い本県では、自転車事故の発生件数が年間二千件を超え、人口十万人当たり自転車事故発生件数は、平成十七年度以降五年連続全国ワーストワンと、まことにゆゆしき状況にあります。昨年、香川県道路交通法施行細則が改正され、傘差し運転の禁止や携帯電話等の禁止など、自転車利用者に対する規制が強化されましたが、いまだに違法行為をする利用者が後を絶ちません。また、夜間における無灯火運転、商店街への乗り入れ禁止時間帯無視など、違法行為は目に余るものがあります。事故防止には、交通ルールを守る啓発や違法運転者に対する取り締まりを強化することが不可欠だと思います。  自転車は本来、車両とみなされ、車道を走行しなければならないとなっていますが、歩道を走行している自転車をよく見かけます。それが歩行者と自転車の事故につながっていると考えています。自転車事故をなくすため、県警察としての取り組みについてお伺いをいたしまして、一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(篠原公七君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)竹本議員の御質問にお答えいたします。  まず、雇用対策についてであります。  本県の雇用失業情勢は、有効求人倍率が昨年八月の〇・六〇倍から、本年八月には〇・七四倍に改善するなど持ち直しの動きが見られますが、正社員の有効求人倍率は本年八月でも〇・四二倍であり、依然厳しい状況にあると認識しております。  私は、雇用対策を喫緊の課題であると認識しており、「元気の出る香川」を実現するため、新規産業の創出や新技術、高度技術の開発支援などを通じ、地場産業や中小企業の振興を図り、雇用の確保・拡大を図ってまいります。  雇用の場を提供するため、緊急雇用創出基金やふるさと雇用再生特別基金を活用するとともに、求人側と求職側のニーズのミスマッチを解消するため、再就職支援セミナー、企業見学会、就職面接会などの組み合わせによる就職支援に取り組みます。  また、職業訓練やスキルアップ支援を充実し、人材の育成を図るほか、即戦力を求める企業のニーズにこたえて、人材のUJIターン就職や企業向け採用活動支援セミナーの開催などを行います。さらに、新規学卒者の厳しい就職状況については、どのような対策が有効か早急に検討し、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。  次は、水資源対策のうち、新たな長期水需給見通し等に関するものでございます。  平成九年五月に策定されました第三次長期水需給計画は、平成七年度から二カ年をかけて策定されたものであり、策定当時は経済成長が緩やかながらも伸びる傾向にあり、また、人口も同様な傾向を示しておりましたことから、こうした社会経済情勢をもとに将来推計を行ったものであります。  その後、平成十二年をピークに人口が減少に転じたことから、平成十六年度には新世紀基本構想の後期事業計画の策定作業の中で、人口との関連が大きい水道用水について、平成二十二年度の年間需要量の推計を約二千百万トン下方修正するなどの見直しが行われたものと理解しております。  この見直し以降、さらに人口減少が顕著になると予想されたことや、現行の水資源対策大綱の目標年度が平成二十二年度であることから、平成二十年度から全面的な見直しを行ってきたものと承知しておりますが、その見直しに時間を要したことは事実であります。今後においては、人口の動向などの情勢変化に応じ、適切に見直しを行ってまいります。
     なお、この間のダムの建設につきましては、治水上の観点や利水面では、日最大ベースで水道用水の不足が見込まれていたことなどを踏まえ、事業が進められてきたものと理解しております。  また、宝山湖につきましては、河川法に基づく香川用水施設の調整池に関する取水規程等により、異常渇水時や事故等の緊急時に夜間断水を回避し、県民生活や経済活動への影響を最小限にとどめることを基本に整備したものであり、常用水源としては使用できないものでありますことから、新たな長期水需給見通しには組み入れておりません。したがいまして、宝山湖につきましては、新たな大綱におきましても常用水源ではなく、最も重要な渇水対策用の施設として位置づけることとしております。  いずれにいたしましても、新たな大綱の策定に当たりましては、今回お示しいたしました長期水需給見通しについて、広く県民の皆様に御理解いただき、県議会はもとより、水資源対策懇談会での議論やパブリックコメントを通じた御意見を踏まえ、今後とるべき水資源対策についての検討を進めてまいります。これにより、将来にわたって県民が安心して暮らせる、渇水に強い水循環社会の構築を目指して、さまざまな施策に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、ダム計画についてであります。  新たな水道用水の水需給見通しにおいても、全県の日最大量ベースで約五万五千トンの不足が見込まれており、ダムを初めとする何らかの水資源確保対策が必要となっております。  現在進めております椛川ダム、五名ダム再開発、綾川ダム群連携事業につきましては、去る九月二十八日付で国土交通大臣から検証の要請があり、県では国から示された考え方に基づき、治水・利水の両面から検証することとしております。この検証に当たり、利水参画者に必要量の確認と代替案の検討を要請することとされており、椛川ダムにつきましては、水道事業者である高松市に対して要請してまいりたいと思います。  次に、道路占用料についてでございます。  道路占用料は、道路法に基づく許可を得て電柱、ガス管などを道路に設置し、継続して使用する者から徴収するもので、道路の維持管理等を行うための重要な財源となっております。国は平成二十年四月に道路占用料を改定しましたが、本県では、四国の中で電力やガスなど道路を占用する企業が共通しております四国の他の三県が改定を行わなかったことや、危機的財政状況から、これまで改定を見送ってきたものと承知しております。  現在、本県を含め十九府県が改定を見送っていると承知しておりますが、今後、国の平成二十三年度の改定内容が明らかになれば、四国の各県とも情報交換を行いながら、他県の改定動向や本県の厳しい財政状況を踏まえて、慎重に検討してまいりたいと考えておるところでございます。  なお、その他の御質問については、担当部長からそれぞれお答え申し上げたいと思います。(降壇) ◯議長(篠原公七君)天雲政策部長。    (政策部長天雲俊夫君登壇) ◯政策部長(天雲俊夫君)竹本議員の高松空港の利用拡大に向けた環境整備についての御質問にお答えいたします。  高松空港の駐車場収容台数は、現在、空港内駐車場が八百九十五台あり、周辺の民間駐車場四百台と合わせ、計約千三百台となっております。  駐車場の管理者によれば、おおむねの利用状況は六割程度とのことであり、平常時には十分な駐車スペースが確保されておりますが、例外的に連休に複数のチャーター便が重なった場合等において、高松空港内駐車場が一時的に満車になる日があり、今年度におきましては六日間発生しております。その場合、国土交通省高松空港事務所が空港敷地内で緊急避難的に駐車スペースを確保する等により、利用者が不便を強いられることがないよう対応しているところでございます。  駐車場の拡大に向けては、今後の路線展開や利用状況の推移を踏まえ、航空需要に応じた駐車スペースが十分に確保されるよう、国等関係機関と連携しながら、適切に対応してまいります。  また、空港内駐車場につきましては、料金全国プール制により駐車場収益の一部を空港周辺の環境対策などに活用するため、東京に本部がある財団法人空港環境整備協会が開港以来、国から土地を有償で借り受け、管理運営を行っておりますが、近隣空港の駐車場との間に料金格差が生じております。このため、利用しやすい料金設定等が可能となるよう、全国プール制の見直しや競争原理の導入が図られるべきと考えており、引き続き国に対してさまざまな機会を活用して強く働きかけてまいります。  今後とも、高松空港の拠点性の強化や利便性の向上に向け、航空ネットワークの充実とあわせ、駐車場を初めとする利用環境の整備に積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)西原農政水産部長。    (農政水産部長西原義一君登壇) ◯農政水産部長(西原義一君)竹本議員の御質問にお答えいたします。  まず、米の病害虫防除対策についてであります。  お尋ねの斑点米の原因となるミナミアオカメムシについては、一昨年本県で初めて発生が認められたことから、本年五月に関係機関へ虫の特徴を周知するための標本を配布しました。七月には、虫の生態と防除方法を示したリーフレットを全農家へ配布するとともに、二度にわたり注意報を発表し、的確な防除を呼びかけたところであります。  今後は、より効果的な薬剤の散布方法を早急に見きわめるとともに、的確な予報や発生状況に応じた注意報、警報を発表し、それに基づいた適切な防除などの指導を行い、被害防止に努めてまいります。  次は、耕作放棄地対策等についてであります。  県では耕作放棄地対策として、市町に対し地域ぐるみでの農地の有効利用を促す、耕作放棄地対策マニュアルを提示するとともに、草刈りや抜根等の再生活動や、オリーブの植栽に対する国や県の支援措置の活用を促しているところであります。こうした取り組み等により、平成二十一年度の国の耕作放棄地の状況調査の結果によると、全国的に増加している中で、本県では前年に比べ五十二ヘクタール減少したところであります。  今後は、農業就業人口の減少が見られる中で、新規就農者の確保・育成はもとより、地域の農地を守る担い手に対し市町や関係団体と密接に連携しながら、耕作放棄地や未利用地を含めた農地全体の効率的利用を促してまいります。これにより、集落営農組織や認定農業者、農外企業など多様な経営体の経営発展と、耕作放棄地の解消に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)高口土木部長。    (土木部長高口秀和君登壇) ◯土木部長(高口秀和君)竹本議員の本津川水系河川整備計画についての御質問にお答えいたします。  本津川については、河口から国分寺町新名橋までの約九キロメートル区間において、下流からの整備を基本といたしまして、鋭意、河川改修に取り組んでおり、現在、村田井堰から古川合流点までの一・二キロメートルについて、緊急対策特定区間として重点的に整備を進めております。  県では、河川法に基づき、今後おおむね三十年間の整備内容を示す本津川水系河川整備計画を今年度中に策定する予定であります。河川整備計画では、護岸の整備や堰、橋梁の改築などに加え、河口部での高潮対策を実施し、平成十六年と同規模の洪水や高潮に対しても安全を確保することとしております。あわせて、水質や動植物の保全など、環境に配慮した河川整備に努めることとしております。  今後とも、地元関係者の御理解、御協力を得ながら、計画の策定と地域の安全確保に努めてまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)細松教育長。    (教育長細松英正君登壇) ◯教育長(細松英正君)竹本議員の県立高校の空調設備の整備についての御質問にお答えいたします。  県立高校の普通教室への空調設備の設置については、平成十六年に各学校長に対して基本的な考え方を示し、これまでこの考え方に沿い保護者の総意に基づき設置することや、その設置や維持に必要な経費を負担することを条件に、PTAが設置することを認めてきております。  現在、県立高校では三十一校中二十四校で設置されており、今後ともこの基本的な考え方に沿って対応してまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(篠原公七君)小島警察本部長。    (警察本部長小島隆雄君登壇) ◯警察本部長(小島隆雄君)竹本議員の自転車事故防止についての御質問にお答えいたします。  県警察では自転車事故を防止するため、県下の主要交差点等において指導取り締まりを強化しており、信号無視等の悪質違反者に対しては、検挙するなどの強い方針で臨んでおります。また、自転車の事故実態や住民の要望等を踏まえ、高松市内中心部において、自転車ルール啓発隊による正しい自転車の通行方法等の啓発活動を行っております。  一方、中高校生に対しては、県教育委員会と連携した自転車交通安全モデル校の指定等による交通安全教育や、学校と連携した街頭指導を実施しており、今後はこれらの事業の拡大を図ることとしております。  さらに、道路管理者と連携して、自転車と歩行者を分離するための自転車道の整備や普通自転車の歩道通行部分の指定等、通行環境の整備も進めているところであります。  県警察としては、今後とも自転車事故を防止するため、指導取り締まりを初め、関係機関・団体と連携して諸対策を推進してまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)一般質問を続行いたします。  有福哲二君。    (有福哲二君登壇、拍手) ◯有福哲二君 それでは、当面する県政の諸課題について質問させていただきます。  知事、御当選おめでとうございます。まずもってお祝いを申し上げます。  初めに、知事の政治姿勢について四点お尋ねいたします。  今議会冒頭の知事の所信や、さきの我が党の代表質問に対する知事の答弁において、さまざまな分野にわたる知事の決意や県民との約束をお聞きいたしました。  さて、真鍋県政よりもさらに厳しい時代が待ち受けている今後の県政において、浜田県政も財政再建と地域活性化という二つの命題を両立させなければなりません。今から知事のいすの重責を一歩一歩踏み締めながら、県民とともに歩んでいくことになります。  前知事は退任のあいさつで、「これで緊張感から解放される」とおっしゃっておりました。これからは浜田知事の一日一日が緊張の連続です。やるべき課題が山積している中で、過密なスケジュールを縫って一歩一歩前進していかなければなりません。  そこで、浜田知事に申し上げます。選挙中に、真鍋県政を継承したいと言っておられましたけれども、県民は継承より検証を望んでおります。浜田カラーを大胆に打ち出すことを期待しているのではないでしょうか。知事の公約の中には、もちろん、ある程度時間をかけてじっくりと取り組んでいくものや、相手方との交渉や調整が必要であるため、すぐには実現できないものもあろうかと思います。新聞等で拝見すると、既に知事は精力的にトップセールスを行っていこうとしているようでありますが、トップセールスとは、ただ知事が出向いて宣伝すればよいというものではありません。もちろん、知事が直接出向くことによる注目度アップや、関係者のモチベーションのアップにはつながるかもしれませんが、トップセールスというのは、ここぞというときに知事みずからが相手方と直接折衝し、時にはその場で決断し、成果をかち取ることが本来の目的です。一方で、経済対策など早急に取り組んでいかなければならないもの、そして特に知事みずからが早く取りかかりたいと考えているものがあるはずです。  そこで、知事の掲げた公約の中で、来年度の当初予算に盛り込んでいきたいと考えているものもあると思いますので、知事の御所見をお聞かせください。  特に、県独自の奨学金制度の創設については、知事が事あるごとにおっしゃられておりました。その内容については、県民も大いに関心のあるところです。知事就任間もないことから、基本スキームなどをすぐお示しくださいとは申し上げませんが、来年度予算は二月議会に上程され、そのときに内容等を聞いても、もう遅いわけです。予算編成の作業自体は十一月ごろから始まります。県民に示し、意見を聞き、それを反映させるとなると、もう余り時間がありません。  知事は、年度途中で施策実現のための組織改正もあり得ると記者会見等で発言されています。組織改正とまではいかないまでも、新たにチームを組んで、それこそ部局横断的に取り組んでいかなければ間に合わないのではありませんか。どのように来年度予算に盛り込むつもりなのか、それとも盛り込むつもりがないのでしょうか、知事のお考えをお尋ねいたします。  次に、香川中部養護学校についてお尋ねします。  香川中部養護学校では、児童生徒数の増加によって美術室や作業室等の特別教室を普通教室に転用したり、教室を分割したりして対応しております。学校現場は既に限界です。さきの文教厚生委員会でも、「児童生徒の一人当たりの校舎面積が全国平均を下回っている。今後も児童生徒の増加傾向が続き、さらなる教育環境の悪化が見込まれる。早急に教室不足を解消できる対策が必要」と、教育環境が既にいびつな状況であることを認められました。子供たちも保護者も大変不安を抱えていることから、香川中部養護学校の施設整備を来年度予算で対応しなければならないと思います。知事のお考えをお尋ねいたします。  さて、地方分権が進めば、戦略の差が格差になりかねません。今こそ県に求められているものは、閉塞感を打ち破るための的を絞った戦略と、それを可能とする県組織の総合力ではないでしょうか。そのためには人材です。やる気のある人材の登用や能力のある人間を適材適所に配し、県庁の職員のモチベーションを高めることが重要です。また、知事の仕事は多忙です。任期四年間で公約を実現するためには、広い守備範囲を分け、知事の負担を軽減することが必要ではないでしょうか。  そこで、副知事を二人制にするお考えはないのか、また、組織や体制の強化について知事はどうお考えなのか、お尋ねいたします。  質問の二番目として、港湾行政についてお尋ねします。  今日まで港湾行政やポートセールスについて、この本会議場で前知事とはかみ合わない議論を重ねてまいりました。そこで、新知事の御所見をお尋ねいたします。  政権交代後、国の港湾政策は大きく転換しようとしています。国土交通大臣は、従来のばらまき的な港湾行政をやめ、「選択と集中」を港湾政策に徹底し、東京や大阪や名古屋のスーパー中枢港湾の集中的な投資を進め、百三港ある地方の重要港湾の中から、重点的に投資する重点港湾を四十三に絞りました。選定から漏れた場合、新規整備が国直轄事業から外れ、自治体財政への影響が大きいため、かたずをのんで見守っておりましたが、幸いにも本県の高松港、坂出港の重要港湾は二港とも選定され、関係自治体である香川県と坂出市は、ほっとしているところであります。  ちなみに、本県周辺では徳島小松島港、松山港、東予港、宇野港、福山港が選ばれたと聞いております。しかし、これで安心とはいきません。なぜならば、中枢国際港湾に集約の方針がなされたということは、地方の貨物の集約が始まり、地方港湾にとっては脅威となるからです。また、高速道路の無料化等の料金改定も大きな影響を与えかねません。  これまで地方は地域経済を支えるために、貨物のコンテナ化や船舶の大型化に対応するため、港湾整備を競い合うように過大計画を立てて整備を図ってきました。特に、瀬戸内沿岸では四国側に松山港、今治港、三島川之江港、徳島小松島港に大水深バースが整備され、本州側に水島港、福山港に大水深バースが整備されております。それぞれの地域が活性化の願いを託して整備した港湾は、各港の受け入れ能力を合算すれば既に需要を大きく上回り、過剰整備となっております。  私は議会で、「そんなに遠くない将来に、貨物が集まる港湾の集約が始まり、港をもてあます時代が訪れます」とたびたび申し上げ、「百七十五億円もの巨費を投じて、来年度には暫定供用開始に向けて整備している高松港多目的国際ターミナル事業は、整備するにしても今からでは既に遅い。大丈夫なのか」と言い続けてまいりました。  また、県の説明にも首をかしげざるを得ません。それは、あたかも事業の中心はコンテナターミナル整備というような説明です。この事業の最大の事業費は、マイナス十二メートルの大水深の原木船専用埠頭整備事業であります。すなわち原木船のための大事業です。「この事業は何のための事業ですか」との私の質問に、「原木船が水深の浅い岸壁では潮待ちの状態なので、大水深バースが必要」との答弁でした。「だったら、この事業はコンテナ整備という名のもとに、原木船専用埠頭をつくるんだとはっきり言えばいいじゃないですか」とまで申し上げた記憶がございます。しかし、昨年度の原木船の入港隻数は、計画した当時と経済情勢や荷物の形態の変化等で大きく減少し、半分以下の年間四隻、三カ月に一回程度、取扱量も十万四千八百トンから七分の一以下の一万四千三百トンにまで減っています。  県は、費用対効果の面では理解が得られないと思ったのか、「多目的国際ターミナルの整備の目的は、高松港のコンテナ取扱量の増加による空コンテナの置き場の確保と災害時の耐震岸壁が必要だから」と説明も変わってきました。これでは百七十五億円という巨額の税金を投じて整備する港の説明としては、いかにも場当たり的としか言いようがございません。  退職した職員さんが言っていました。「国の整備局の勧めもあり、整備するにも十年遅かった。」私は、この一言がすべてを物語っていると思います。県は主体的に将来計画も立てずに整備にかかり、来年度完成を迎えるということです。無責任です。  しかし、でき上がったものをとやかく言っても始まりませんので、新知事に完成後の港の利活用についてお尋ねしたいと思います。  企業誘致をするためには、助成制度だけでなく、都市基盤や生活環境の整備も伴わなければならないことから、全庁挙げた取り組みが必要となってきます。それは企業誘致に限らず、ポートセールスにも同じことが言えます。例えば、港湾整備は土木が行いますが、港湾は物流拠点ですから、それにつながる道路網の整備も並行して進めなければ、その効果は最大限発揮できません。商工労働部は、番の州を初め県下に工業用地として整備しながら、空き地のまま放置されている広大な県有地を少しは責任を感じるなら、企業ニーズを把握し、港湾手数料の軽減やその他の港湾サービスを土木部に提案し、企業誘致や支援に努めなければなりません。  また、当事者である政策部は、海外航路の新設や充実はもちろんのこと、経済は生き物ですから、港湾を利用する県内及び県外企業にも積極的に接触し、そのニーズを的確につかみ取り、情報を庁内で共有することでタイミングを逃さず助成制度を拡充し、企業を引きつける手だてが必要です。  そこで、新知事のリーダーシップに期待しつつ、お尋ねします。  知事は、本県のポートセールスについて、どのようなお考えをお持ちなのか。そして、重点港湾高松港の現状認識と将来をどのように描いているのか。また、管理者は坂出市ですが、重点港湾坂出港は県経済活性化のためにどう活用すべきなのか。そのためには県はどのような役割を担うお考えなのか、知事にお尋ねいたします。  三番目といたしまして、院内感染対策についてお尋ねいたします。  先月、帝京大学病院で院内感染による集団感染が判明しました。帝京大学病院は、昨年八月に最初の多剤耐性菌アシネトバクター菌が見つかり、十月に最初の死亡例が出たにもかかわらず、ことしの二月末まで感染防御の担当者にこの菌の報告を怠り、四月、五月には急激に感染者がふえ、一部病棟を閉鎖したそうです。この時点で病院側は感染拡大の危険性を認識していたにもかかわらず、保健所への報告は九月二日でした。病院側によると、感染者のうち二十七人が死亡し、このうち九人が死亡と感染の因果関係を否定できないということです。さらに驚いたことは、死者が出ていることを報道で初めて知った医者もいたといいますから、余りにも院内で情報共有ができておらず、院内感染の防止対策が整っていないことが判明しました。  その後の調査で、帝京大学病院では院内のほぼ全域でアシネトバクター菌が確認されたことから、病院では感染対策部門の増強や連絡体制の強化など改善策として、感染制御部の専任の医師と看護師をふやし、専任スタッフや細菌検査部門も拡充し、病棟ごとに専従の看護師を置き、耐性菌の出現頻度や衛生管理の状況を常に監視することで、院内感染の危険度レベルを判定し、確実に感染状況を把握するために、情報の迅速な共有も行い、早急な対策がとれる体制整備を構築することになりました。  また、全国の二百床以上の病院を対象に、アシネトバクター菌の調査をしたところ、回答のあった医療機関の約一二%の病院でアシネトバクター菌が検出されました。  一方、本県の二百床以上の十四病院では、過去に一例だけ検出されたそうでありますが、院内感染には至らず安心しております。  今回の問題で、日本の医療現場が院内感染に対する危機意識が乏しく、体制が不十分であるということがあらわになりました。人や物が毎日大きく動くグローバル化した現代社会では、同じような院内感染が日本のどこでも起きる可能性があります。そんな折、新聞の投書欄に、高松在住の生体肝移植を受け免疫抑制剤を使用している方からの投書が載っておりました。「多剤耐性菌が問題になっているときに、病院の看護師二人が白衣のまま外食をしているのを見かけ、菌がついているかもしれない白衣での外出は、菌を持ち出すだけでなく、菌を院内に取り込むおそれもあり、人の命を扱う者の余りにも問題意識に欠けた行動に大きな不安を覚えた」とありました。  アシネトバクター菌は、新型インフルエンザと比べると感染力が弱く、健康な人には全く問題がありませんと聞いておりますが、移植手術等で免疫抑制剤を服用している患者やお年寄りは、重篤になる危険率が高く、抵抗力の弱い方が集まる病院だからこそ、関係者の感染予防対策は徹底していただきたいと思います。  また、今月五日には、日本で二例目となる抗生物質がほとんど効かない新型細菌の感染者が確認され、専門家によれば、既に国内に広がっているおそれがあるとの指摘もされております。  今回の教訓を機に、徹底した危機管理体制をしく中で、院内感染が減れば手術後の合併症も減り、患者が早期退院し、病室の回転もよくなります。また、無駄な抗生物質の使用も減り、院内感染対策の徹底は病院に大きな利益をもたらすのではないかと思います。県立病院では院内感染対策をどのように行っているのか、病院事業管理者にお尋ねいたします。  四番目に、認知症対策について、以下二点お尋ねいたします。  一つ目に、認知症の早期発見への体制整備についてであります。  認知症と聞いて自分には縁のない、ごく限られた高齢者の病気と思う人も多いでしょう。しかし、高齢化と平均寿命の延びに伴って、我が国における認知症の患者数は年々増加し、現在二百万人を超え、今では八十五歳以上の高齢者の四人に一人が認知症患者だとされています。今後はさらに患者数がふえ、十年後には三百万人近くまで達する見込みです。そうなると、介護者も含めた一千万人以上の国民が、何かしらの認知症問題に直面することになります。家族や友人、そしていつか自分自身に降りかかってくるかもしれない認知症という病気に、他人事として目をそらさず、正面に向き合って考えなくてはなりません。  認知症というと、症状が徐々に進行して治らない、そして介護は大変になるというイメージが強いかと思います。しかし、病気を早く発見して適切な介護や投薬、リハビリテーションを行うことによって病状が改善し、進行をおくらせることができることから、早期発見、早期治療が大切です。約七割の家族が、医療機関に相談するまでに二年以上かかっているとの報告もあります。  県内では、平成十七年には二万人を超え、十年後には三万人を超える見込みです。気づいたときには、病状が進行していることも少なくありません。皆さん、おかしいと思ったら年のせいと考えて放置せず、できるだけ早い時期に医療機関に相談に行くことをお勧めいたします。  しかし、早期発見を妨げているものに、全く機能していない、介護予防のための健診の生活機能評価があります。介護予防事業を利用するには、市町の地域包括支援センターが実施している高齢者対象の基本健康診査で生活機能のチェックが必要です。しかし、介護予防事業は運動機能トレーニングや食事指導などで、高齢者が介護保険サービスを使わなくても済むようにする、すなわち介護給付費の抑制を目的としているため、実際は認知症の症状が出ているにもかかわらず、なかなか特定高齢者に認定されず認知症が見過ごされています。その結果、症状が進むことになります。  実際、認知症の患者を家族介護している方の話を紹介しますと、「初めて親の症状に不安を感じ、専門医療機関を受診したところ、正しい診断がなされず、一、二年後に別の医療機関で受診するとアルツハイマー型認知症と診断されました。もう少し早く投薬すればよかったと言われ愕然としました。本人にとっても家族にとっても、専門医療機関を受診するだけでも勇気が要ることなのに、診断の結果問題ないと言われれば、別の医療機関を受診しようという気にならなかった。今では大変後悔している」というものです。  しかも、介護予防のための健診の生活機能評価では、今でも認知症と判断されていないとのことですから、この制度は全く機能してないどころか、治る病気も手おくれにし、患者とその家族に精神的にも肉体的にも大きな負担をかけることになります。認知症患者を増加させることは、医療費と介護費をいたずらに増大させる結果になっています。  そこで、県として、専門医療機関への積極的な受診を促す仕組み及び総合的な早期発見につながる体制整備が必要と考えますが、県のお考えをお尋ねいたします。  次に、認知症疾患医療センター整備についてお尋ねします。  認知症患者を持つ家族の介護はすさまじいものです。閉じこもった介護生活が進むと、次の段階では不治の病を抱えての見通しの立たない、当てどのない介護生活といった絶望感にふと襲われることがあります。そして、うつ状態に陥る介護者も少なくありません。さらには、現実問題として介護者の仕事や経済的なやりくりの見通しなどが、それぞれの状態に合わせて出現することが避けられません。  「認知症介護者は家族の病」と例えられるように、単にその人の介護だけにとどまらず、さまざまな問題が重なって起こりがちです。介護に当たる中心的介護者を孤立させずに、周囲の関係者がサポートする姿勢とアドバイスが重要となってきます。  また、独居や高齢者夫婦のみの世帯など、高齢者世帯が増加する中で、老老介護にありがちな傾向として、人の世話になるのは恥だとする意識や、妻の面倒は私の責務という男性介護者のやせ我慢的な特性、さらには認知症は恥ずかしい病気というような意識が根深くある傾向があり、場合によっては無理心中や介護殺人などの悲劇も昨今増加傾向にあります。さらに、高齢者にとっては複雑でわかりにくい介護保険制度は、情報難民をも生み出しており、申請主義のハードルが大きな落とし穴であるということを見落としてはなりません。  認知症の適切な治療には、さまざまな医療機関との協力が必要で、今までは介護サービスの提供を中心に対応してきましたが、認知症は脳の病気であり、的確な鑑別診断により早期発見が重要であることから、医療体制の整備が必要です。かかりつけ医、認知症専門医、救急病院、リハビリ病院などの連携を図り、介護の担い手、町内会や民生委員等の地域ネットワークとの連携を密にして、生きた地域づくりをしなければなりません。そのような中で、患者や介護家族を不断にサポートできる体制整備の拠点として求められているのが、認知症疾患医療センターです。  認知症疾患医療センターとは、必要な医療機器を備え、専従職員一名を配置し、認知症の医療や相談、診断、入院治療、医療・介護スタッフ研修等を地域包括支援センターなどと連携して行うものであり、精神科病院の地域型と精神科のある総合病院の基幹型があり、都道府県が指定することになっています。
     厚生労働省は、認知症治療の中心を地域で担う認知症疾患医療センターを全国に約百五十カ所、整備目標としておりますが、ことし三月末までに指定されている医療センターは、二十五府県の六十六カ所のみで、本年度指定の予定があるのは三十二カ所です。このうち北海道、群馬県、広島県は初めてセンターが指定されると聞いております。  また、予定分も合わせて指定数が多いのは大阪府が最多で十一カ所、熊本県が八カ所、兵庫県と群馬県が七カ所の指定を受けております。既に認知症患者や介護者のサポート体制を整えて地域で喜ばれている中で、本県はいまだに指定の見通しがない空白県です。これでは孤立しがちの認知症患者とその介護者にとって、理解のない県と言われかねません。これが知事の言う日本一安心で安全な香川の実態です。  知事、どのように思われますか。速やかに認知症疾患医療センターを指定し、積極的に整備を推進すべきと考えますが、知事のお考えをお尋ねいたします。  最後に、地籍調査の推進についてお尋ねいたします。  地籍調査の推進については、さきの議会でも触れましたが、新知事の考え方を伺いたいと思います。  県内地籍調査の状況については、昭和二十六年に制定された国土調査法に基づき、昭和二十七年度に地籍調査に着手し、平成二十一年度末までに事業を実施した市町は八市六町になります。  さきの答弁では、「対象面積に占める進捗率は、全国平均を上回っています」というような、肩透かしを食らったような妙な言い回しで答弁がございましたけれども、確かに数字だけを聞いておりますと実施状況はいいように聞こえます。しかし、私が問題にしたのは、既に調査が完了している市町がある一方で、調査に未着手の町が存在したり、休止、放置のままの市町があり、各市町の進捗率に大きなばらつきがあるということです。  現在、地籍調査が完了しているのは、さぬき市、東かがわ市、三豊市、直島町及び綾川町、既に実施中は高松市、善通寺市、土庄町、小豆島町及びまんのう町、未実施であった多度津町も、県の働きかけで今年度からは実施に踏み切り、休止中の観音寺市も調査を来年度から再開し、同じく休止中の丸亀市も再開を検討中とのことです。これによって、坂出市と三木町が休止のまま、宇多津町と琴平町のみが未実施となりました。  地籍調査は、土地をめぐる行政活動、経済活動すべての基礎データを築くものであり、すべての地域で完了されるべきものです。特に、過疎化、高齢化が進む山間部では、もう既に境界がわからないという事例も多数出てきており、地籍調査への着手がおくれればおくれるほど、土地の境界の調査に必要な人証や物証が失われ、調査が困難になることが懸念されます。  また、地籍調査を実施することで、境界が原因の隣同士のトラブルや、土地売買等を行う場合、隣地との境界確認に手間がかかったり時間がかかったり、面積が登記簿と違ったりして土地の取引が円滑にできない等の問題も、正確な地図を作成することにより解決されます。また、土地所有者の財産意識も高まり、農地や山林の荒廃防止等や課税の適正化等の効果も期待されます。  実際、坂出市では昭和二十七年から三十年の間、所有者の任意方式により旧川津町の調査を開始したものの、その後は放置したまま現在に至っており、その影響の大きさが公共事業等のおくれとして随所に見受けられます。例えば、現在、王越、松山、加茂、府中地区等の五色台や府中地区の山間部または瀬居地区等の各所において、土地所有者の高齢化や山林の荒廃等の進行により境界の確認が困難なため、防災事業や道路拡張工事の用地取得に手間がかかり、事業の推進に大きな支障を来しております。  また、地籍調査を完了することは各市町にとっても、どのような公共事業を行うにしても必要となる土地状況の調査が、新たな測量を行わなくても机上で事業計画を立てることができ、用地調査や土地取得に費やしていた時間が短縮され、経費や労務費が大幅に節約されることや、道路や水路などの形状把握や行政財産管理等に利用でき、さらにデジタル化をすれば都市計画、農地利用、税務関係、災害対応、福祉対策等に幅広く利用できることから、地域発展のために欠かせない事業であります。  もとより実施主体は市町であることは承知しておりますが、四国では高知県と愛媛県が着手率一〇〇%です。我が県は他県と比べおくれており、休止中及び未実施の一市三町の地籍調査をこのまま放置すると、今後、境界確定が不可能となる可能性も出てきており、防災対策等の公共事業や災害時の復旧事業等にも支障を来すのは必定で、国も地籍調査の計画的かつ積極的な推進をうたい、一筆地調査の民間への外注を認め、迅速な対応を求めております。  浜田知事の言う「県民の人命、財産を守るのが自治体の最低限の役割として、できる限り事前の対策を講じて安全・安心な香川をつくっていく」ためには、未実施や休止している市町に対し、地籍調査の着手と再開を力強く働きかける必要があると思います。  最後に、地籍調査推進に向けて知事のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。浜田知事におかれましては、最初の議会です。誠意のこもった御答弁を期待して終わりたいと思います。(拍手、降壇) ◯議長(篠原公七君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)有福議員の御質問にお答えいたします。  まず、私の政治姿勢のうち、公約の実現についてであります。  本県経済は厳しい雇用情勢が続くなど、世界的な金融危機の影響を受けた悪化・低迷から抜け出しておらず、経済の活性化が喫緊の課題になっているほか、子育て支援、医療・福祉、防災対策、教育の充実など多くの課題を抱えております。来年度予算におきましては、当面の経済・雇用対策に重点を置き、さらにできる限り私の公約を実現し、ただいま申し上げた課題に迅速に対応していくよう、既存の施策を再構築し編成してまいります。  その中で、県独自の奨学金制度につきましては、安心して子供が育てられる環境づくりを進めるとともに、意欲や能力のある学生が安心して大学等で学ぶことができるようにしていくことが重要でありますことから、大学生等を対象とした制度を設けたいと考えており、関係部局によるプロジェクトチームを設置し、来年度予算に盛り込むべく具体案の検討を進めております。  次に、香川中部養護学校の施設整備についてであります。  香川中部養護学校の児童生徒数の増加に伴う施設整備などの対応策については、教育委員会におきまして昨年十二月に設置した検討委員会における議論を踏まえながら、種々検討されておられると承知しており、私といたしましては今後、来年度予算編成の中で教育委員会の意見をよく聞きながら、適切に対応してまいりたいと思います。  次に、組織体制の強化についてであります。  地方分権が進む中、みずからの選択と責任で県政を推し進める必要があり、私が掲げる「元気の出る香川」、「安心できる香川」、「夢と希望あふれる香川」を実現するためには、職員の強い実行力と効率的、効果的な施策展開を図るための組織構築が不可欠であります。  そのため、現在の体制が政策目標を具現化するために十分に機能しているかどうか検証しながら、必要に応じて組織や体制を強化していく必要があります。特に、トップセールスにつきましては、力を入れていきたいと考えておりますので、まずは県産品の振興について、このトップセールスを積極的に進めていくためにはどのような体制がよいのか、早急に検討するよう関係部局に指示をしているところであり、必要な組織改正は年度途中であっても行いたいと考えております。  なお、副知事二人制につきましては、現在のところ私としては考えておりませんが、今後、知事の守備範囲を含め、業務の執行状況などを踏まえながら、判断してまいりたいと考えております。  次は、港湾行政のうち、ポートセールスについてでございます。  高松港コンテナターミナルにつきましては、釜山航路が昨年十月、週三便に増便され利便性が向上していますが、高松港の競争力向上に向けて、より一層の航路の充実を図るためには、取扱貨物量の増加とともに、バランスのとれた輸出入貨物の確保が必要と考えております。  このため、昨年度に続き、輸出につきまして、新規利用の荷主や昨年度実績を一定量上回った荷主に対する助成制度を運用するとともに、専属の職員を雇用し、県内外の貿易関係企業に対する集中的なポートセールス活動を実施し、利用の拡大やニーズの把握に努めております。  地域間競争がさらに厳しくなる中で、高松港コンテナターミナルが今後とも多くの利用者に選択され、四国の物流拠点としてさらに発展していくため、船会社等からの要望が強いヤードの早期拡張とあわせ、貨物量を増加させることにより、便数や新規航路の拡充に取り組むためのポートセールス活動を、私自身が海外の船会社等に出向き、積極的に展開してまいりたいと考えております。  次に、高松港の現状認識等についてであります。  高松港は、古くから四国の玄関口として地域開発の中核をなし、商港、観光港及び工業港としての機能をあわせ持つ総合港湾として発展してまいりました。県内企業とアジアとの結びつきが強まる中、本県経済のより一層の活性化を図るためには、物流コストの削減に向け、高松港など港湾の機能強化が重要であります。  高松港の多目的国際ターミナルは、こうした観点から、船舶の大型化に対応する水深十二メートルの耐震強化岸壁を整備するとともに、手狭になっておりますコンテナヤードの拡張を図るものであり、あわせて大規模地震災害時の復旧拠点としての役割も担う計画としております。  私といたしましては、高松港の将来像につきましては、今後とも四国における物流の中心的役割を担い、中枢拠点機能を発揮できる港湾としてまいりたいと考えておるところでございます。  次に、坂出港の活用等についてであります。  坂出港は背後に番の州臨海工業地帯を擁し、立地企業の生産活動に支えられ、企業の専用岸壁を中心に原油、石炭の輸入やコークスの輸出など、国際的な工業港として発展してきており、ばら積み貨物につきましては年間約二千六百万トンと、四国一位の取扱量になっております。今年からは液化天然ガスの輸入が開始され、エネルギー輸入拠点としての役割も増大しております。  今後は、海陸交通の結節点という利点を生かして物流の効率化を図り、本県産業の中核を担う工業港としての機能を拡充・強化していくことが重要であると考えております。  県におきましては、このような坂出港の重要性を踏まえ、これまでも港湾計画の策定に当たっての技術的な支援や、技術職員の人事交流を行ってきたところであります。私といたしましては、今後とも坂出港の機能強化に向けて、坂出市に協力してまいりたいと考えております。  次は、認知症高齢者施策のうち、認知症疾患医療センターについてでございます。  御指摘の認知症疾患医療センターにつきましては、他県の事例や本県におきます過去の同種のセンターの設置の効果を検証するなど、さまざまな角度から今後検討してまいりたいと考えております。  なお、その他の御質問につきましては、担当部長からそれぞれお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(篠原公七君)平川病院事業管理者。    (病院事業管理者平川方久君登壇) ◯病院事業管理者(平川方久君)有福議員の院内感染対策についての御質問にお答えいたします。  すべての県立病院におきまして、各部署の責任者で組織する院内感染対策委員会を月一回開催し、院内における感染対策に関する情報の共有や、最新の知識等の周知を行うとともに、必要に応じ、院内感染対策マニュアルの改定を行うなどの取り組みを行っております。  また、院内感染予防の基本であります手指消毒の励行はもとより、ディスポ製品の活用など感染対策の徹底や、院内環境の清浄度の確保を行うとともに、必要に応じて患者の保菌状況検査を行うなど、細心の注意を払いながら診療を行っております。  さらに、中央病院では、今年四月から感染管理認定看護師を専任で配置し、より迅速な院内感染への対応や各部署間の連携強化を図ったところでございます。  今後とも、安全で信頼される医療サービスを提供するため、院内感染対策の徹底に努めてまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)川部健康福祉部長。    (健康福祉部長川部英則君登壇) ◯健康福祉部長(川部英則君)有福議員の認知症高齢者施策のうち、早期発見のための取り組みについての御質問にお答えいたします。  介護予防事業の生活機能評価については、認知症の早期発見のための質問項目を設け、該当者に対し地域包括支援センターの職員が事後指導を実施することにより、認知症の早期発見と早期受診の勧奨に一定の効果が発揮されているものと考えておりますが、御指摘の事例も踏まえまして、より一層早期発見ができるよう努めてまいります。  また、早期に受診しやすい環境づくりとして、身近なかかりつけ医に認知症対応力向上研修を実施し、現在二百二十五名をもの忘れ相談医として登録・公表するとともに、この研修の講師を務め、県内の認知症支援体制について指導的立場を担う認知症サポート医を九名養成しているところです。さらに、県内で七十九カ所の認知症専門医療機関を選定・公表し、早期に専門的な医療を受けられる体制整備を図っております。(降壇) ◯議長(篠原公七君)西原農政水産部長。    (農政水産部長西原義一君登壇) ◯農政水産部長(西原義一君)有福議員の地籍調査についての御質問にお答えいたします。  地籍調査は、公共事業の円滑化や災害時の迅速な復旧に加え、土地取引の円滑化や課税の適正化等の効果が期待できることから、県内のすべての市町ができるだけ早く完了する必要があると考えております。  このため、直接、市町長に地籍調査の必要性を訴えるなど、着手の勧奨を行ってきた結果、未実施であった多度津町が今年度から着手したのを初め、休止中であった観音寺市が来年度からの再開を準備し、丸亀市も再開を検討するなどの進展があり、来年度での未実施や休止の市町は一市三町となる見込みであります。  今後、改めてこれらの市町長に対し、地籍調査の重要性や効果に加え、民間委託の範囲が拡大され、限られた職員数でも調査が可能になったことを直接説明するとともに、具体的な事業計画案も提案するなど、早期に着手や再開するよう強く働きかけてまいります。(降壇) ◯議長(篠原公七君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時五十七分休憩                         午後 一時  八分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    平  木     享 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    谷  久  浩  一 君    広  瀬  良  隆 君    白  川  容  子 君    宮  本  裕  美 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    高  城  宗  幸 君    花  崎  光  弘 君    斉  藤  勝  範 君    西  川  昭  吾 君    大  山  一  郎 君    有  福  哲  二 君    都  築  信  行 君    樫     昭  二 君    村  上     豊 君    梶     正  治 君    宮  本  欣  貞 君    辻  村     修 君    黒  島     啓 君    都  村  尚  志 君    五所野尾  恭  一 君    山  田  正  芳 君    十  河     直 君    香  川  芳  文 君    大  西  邦  美 君    砂  川     保 君    篠  原  正  憲 君    木  村  嘉  己 君    組  橋  啓  輔 君    綾  田  福  雄 君    白  井  昌  幸 君    尾  崎  道  広 君    松  本  康  範 君    山  本  直  樹 君    名  和  基  延 君    水  本  勝  規 君   欠  席  議  員    篠  原  公  七 君    高  田  良  徳 君    増  田     稔 君    鎌  田  守  恭 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条による出席者           知     事  浜  田  恵  造 君           副  知  事  高  木  孝  征 君           病院事業管理者  平  川  方  久 君           政 策 部 長  天  雲  俊  夫 君           総 務 部 長  伊  藤     敬 君           環境森林部長   井  上  貴  義 君           健康福祉部長   川  部  英  則 君           商工労働部長   高  畠  正  博 君
              農政水産部長   西  原  義  一 君           土 木 部 長  高  口  秀  和 君           知事公室長    川  池  秀  文 君           防 災 局 長  丹     睦  宏 君           観光交流局長   工  代  祐  司 君           水 道 局 長  岡     輝  人 君           会計管理者    片  岡  邦  彰 君           病 院 局 長  大  津  佳  裕 君           教育委員会委員  藤  村  育  雄 君           教  育  長  細  松  英  正 君           公安委員会    田  岡  敬  造 君           委  員  長           警察本部長    小  島  隆  雄 君           代表監査委員   仲  山  省  三 君           監 査 委 員  高  徳  敏  弘 君           事 務 局 長           人事委員会    桑  城  秀  樹 君           委  員  長           人事委員会    山  田  哲  也 君           事 務 局 長           労働委員会    和  田  充  弘 君           事 務 局 長           政策部次長    荒  井  陽  一 君    ───────────────────────────── ◯副議長(平木 享君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  新田耕造君。    (新田耕造君登壇、拍手) ◯新田耕造君 質問の前に、根岸教授、それから鈴木教授がノーベル賞を受賞されました。大変明るいニュースがありました。私は日本人として、大変勇気をもらったと思います。  秋は読書の季節でございます。陳 舜臣の「小説十八史略」を読んでおります。小説とはいえ中国の歴史を理解するにはよい教材であると思います。紀元前、秦の始皇帝誕生の前夜から始まり、前漢、後漢、春秋戦国、隋、唐、宋、そして南宋が元に滅亡されるまで約千年の物語でございます。権謀術策、権力闘争、異民族の侵略、統一と分裂、果たして今、日本と中国で起こっている時代の原型がこの小説の中にあるようで、大変興味深く読ませていただきました。  一口に中国と言っても、どの時代の中国なのか、どの民族なのかを特定しないと中国の話はできません。また、その領土も中央アジアから東アジア一帯であった時代もあり、その影響力や領土も広大でありました。唯一東アジアで臣下の礼をとらなかったのは、聖徳太子のあの有名な書簡「日出づるところの天子、書を日没するところの天子にいたす」や、元寇でも屈しなかった我が国ぐらいでございます。  歴史は繰り返すと言います。最近の中国の動きは不気味でございます。資源外交、あからさまな海軍力の誇示、歴史的に見ても、中国で統一王朝ができると、必ず領土拡張の動きが起こります。周辺国は非常な迷惑をこうむりました。アジア諸国は、今回この統一王朝である中国共産党政権の動きに警戒感を強めております。本来なら日本を頼りにしたいところですが、本音では、どうも幼稚な外交に頼りにならないとわかったようであります。先日、韓国の新聞は、力なき正義は外交では通用しないと酷評したようでございます。  さて、今回の尖閣諸島問題、教訓とすべき二つの史実がございます。一つは大津事件であります。明治二十四年、一八九一年五月十一日、日本を訪問中のロシア皇太子ニコライに、警備の巡査津田三蔵が切りつけた事件でございます。今にも戦争になるという恐怖心から、朝野を挙げての死刑要求を、時の大審院、児島惟謙院長は、当時の法律では死刑は適用できないとして、無期懲役とした事件でございます。判決当時は大批判を浴びましたが、後に司法の独立を守ったと評価をされております。百年以上前の明治人の、国家の威信への気概を感じます。  もう一つは、昭和十三年、一九三八年九月二十九日のミュンヘン協定であります。イギリス首相ネヴィル・チェンバレンが、ナチスドイツとチェコスロバキアとの領土紛争に仲介して、チェコスロバキアのズデーテン地方のドイツへの割譲を認めさせた協定でございます。このことの前にヒトラーは、ベルサイユ条約で非武装地帯と決められたラインラントに進駐しフランスを試し、その後オーストリアを併合しております。  このヒトラーに対してチェンバレンがとったのが宥和政策であります。イギリスに裏切られたチェコの落胆に反し、協定直後は、戦争を回避し平和に貢献した功労者として、チェンバレンは帰国後に群衆から万雷の拍手とともに迎えられました。しかし、結局はヒトラーに、ポーランドや周辺国に侵入しても英仏は参戦しないという間違ったメッセージを与えてしまい、結局第二次世界大戦を誘発してしまったという教訓でございます。  菅政権の皆様には「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」というビスマルクの言葉をぜひ思い出していただきたいのであります。今回の尖閣諸島問題、国民は怒っております。政治主導と言いながら、今回の船長釈放という高度の政治判断を那覇地検に押しつけたことにであります。行政に責任を転嫁させたり、海上保安庁の秘密でもないビデオの公開を拒否するなど、こそくなその考え方にであります。各社の世論調査での内閣支持率の急落が物語っております。国民は利口です。ちまたの声を聞きますと、「総理は自分が政治家として判断し責任をとると言えばいいのに」とか、「那覇地検という検察の下級組織が外交や国民の安全を云々というならば、政治家や外務省は要らない」など辛らつであります。  我々日本人は周辺を海に囲われた、国境線を余り意識しない民族です。しかし、ほとんどの国際紛争の原因は国境問題です。国境は国力の盛衰によって変わります。国境は不断の努力で守らなければ侵食されます。  今回の中国共産党のマッチポンプ的恫喝外交は、かつての帝国主義の領土拡張の常套手段を尖閣諸島に適用しているとしか思えません。中国が自国領土だと主張している以上、今回のようなことを繰り返し、いずれ軍事的方法をとる可能性が大いにございます。危機感を持って、事に当たらなければいけません。正義だとか冷静だとか、言葉で幾ら言っても通用はいたしません。その備えとして、防衛力の整備は当然のこととして、アメリカがチェンバレンのような行動をとらないような外交努力をすると同時に、みずからの領土はみずから守るという決意を内外に示さなければ、だれも外国は助けてはくれません。  さて、円高で、年末にかけて景気が大変なことになりそうです。国内でも、まだ政権交代して一年だからという「待った」も、そろそろ通用しなくなる時期ですが、外交はサッカーのワールドカップと同じで、新米でよちよちだからといってミスをしても、待ったはしてくれません。ミスをすれば即刻国益が失われ、他国は喜びます。菅総理、あなたは試されているのです。心して政権運営に当たってください。そして、だめだったら即刻辞任してください。あなたぐらいのかわりは雲霞のごとくおりますと申し上げて、一般質問に入ります。  質問の第一点目は、知事の政治姿勢についてであります。  ことしの知事選は、十二年ぶりの新人候補同士の戦いとなりました。国政とは違い、より住民の日々の生活に近い県政にあっては、県民の生活や福祉の向上を図っていくことが重要であります。特に最近は、民主党政権の迷走を見てもわかるように、地方の実情がわからない国に対して、地方の実情や意見を言い、必要なときは対立する場面も起こります。  そこで、県議会の四会派が、行政経験が豊富で卓越した識見を有する浜田現知事を擁立し、選挙戦を戦い当選をかち取りました。結果は県内の全市町で得票率一位を獲得する完勝でありました。しかしながら、得票総数は十六万票余りにとどまり、投票率も辛うじて前回を一%強上回る三六・九二%と低投票率でありました。  この原因は、主要四会派の相乗りで有権者の関心が薄くなり、浜田候補の信任投票的選挙になったこともあり、盛り上がりに欠けた選挙になったことは否めません。しかし、逆説的に評価すれば、浜田知事は安心な人物であるという県民の評価であったとも言えます。前知事の真鍋氏も低投票率の選挙で三期務めましたが、新聞報道によれば、最終的には真鍋県政に対する肯定的な評価が七割を超えていたということを考えますと、必ずしも低投票率が人物の支持率に直結しているとは言えません。  ところで、八月三十一日の朝日新聞に興味深い記事が出ておりました。それは出口調査に関するものであり、これによると、自民、公明の支持層はそれぞれ八割近い人が浜田知事に投票しております。民主、社民の支持層は、それぞれ四割にも満たなかったということであります。  知事は、今議会冒頭のあいさつの中で、「県民本位の県政を肝に銘じ、県民の代表である県議会の議員の皆様方との緊密な連携のもと、不偏不党、公平公正で透明性の高い県政を推進してまいりたい」と発言されました。しかし、一方で知事は政治家であり、もう官僚ではありません。選挙で自分を支持してくれた人たちの気持ちや期待を大切にしていただく必要があります。知事がよって立つべき声なき声を、耳を澄ませて聞いていただきたいのであります。県政のかじをどのように今後とっていかれるつもりなのか、質問をさせていただきます。  質問の第二点目は、中讃地区の運転免許更新手続についてであります。  私は、過去六回、一般質問の中で、中讃地区の運転免許更新手続に関する質問をさせていただきました。知事もかわられましたので、改めてお伺いしたいと思います。  中讃地区では丸亀署、善通寺署の統合が議論をされておりますが、決まってはおりません。住民の安心・安全はこれまでどおり確保できるとの説明で、既に多度津の警察署は廃止され、多度津署は全くもったいないことですが、交番となっております。しかし、多度津町民の体感治安は悪くなっております。警察は、本来そのあり方を運用の効率だけで議論する組織ではないのであります。また、警察行政において犯罪の抑止が最重要であり、警察署の存在自体、プレゼンスが犯罪の抑制につながっていると思います。  そういう意味で、警察署の統合は、地域住民が必ずしも望むところではありません。多度津町という町、警察署が統合された町の経験から私は申し上げております。警察署の統合が、限られた警察力の有効かつ効率的な運用というのであれば、統合によるメリットを住民にも目に見える形で示してほしいのであります。そういう意味で、警察署統合の機会に、中讃地区に運転免許更新センターを整備することを提案いたします。  県全体の運転免許保有人口は、平成二十二年八月末現在で六十七万九千人です。このうち、東讃地域に属する東かがわ署、さぬき署管内は六万人、県全体の九%、三豊地域に属する三豊、観音寺署管内は九万四千人で一四%です。東讃では平成十年に運転免許東讃センター、また、三豊・観音寺地域では各警察署が窓口となり、いずれも地域内で運転免許証の更新手続ができるのです。一方、中讃地域に属する丸亀、善通寺、琴平署管内の運転免許保有者は約十三万五千人で、県全体の約二〇%を占めているにもかかわらず、中讃地域内で更新手続ができず、不便を強いられております。  中讃地区の運転免許更新手続については、これまで、多度津交番の施設を活用した運転免許センターの整備、あるいは各警察署での更新手続、さらには中讃地区の拠点警察署への運転免許センターの整備、また、中讃地区の県有の遊休施設を活用するなど、警察本部だけでなく、県全体での検討でコストを抑えてはどうかといった、大変さまざまな、いろいろなことを考えて質問をさせていただいております。  そこで、中讃地区への運転免許センター整備について、警察本部長にお聞きします。  と同時に、この問題は財源の問題でもあり、住民サービスの問題でもあります。これは、行政のトップとして、知事の姿勢にかかわる問題であります。警察の問題だと矮小化せず、県の行政のトップとして知事の所見をお伺いいたします。  本件は私一人だけではなく、中讃選出の県会議員の多数の意見でもあります。ぜひ緊密な連携のもと、推進をしていただきたいと思います。知事、原付免許で中讃から高松署に行く、こういう場面をぜひ想像していただきたいと思います。  質問の第三点目は、県職員等の島嶼部勤務についてであります。  先日、小豆島の高校を視察いたしました。小豆島に二つある高校の一校では、およそ五十人の教職員が勤務しており、そのうち三十人くらいは高松から船で通勤していると聞きました。毎日船で通勤とは大変だなと頭が下がりましたが、海がしけたとき欠航や遅延は毎年何回かあるだろうと思い、そのとき生徒たちはどうしているのかと疑問がわいてまいりました。また、当然この先生たちは、平日の夜や土日など休日は島にいないわけで、緊急時に学校はどう対応しているのだろうか、また、先生方は島のことをどれだけ知っているのだろうかと少し不安を覚えました。  小豆島だけに限らず、島嶼部にはその地理的要因から、その島独特の風習やしきたり、文化などが形成され、比較的人間関係は濃密で、結束力が強いと言われております。そのような中で、外から来た先生が、例えば授業で生徒たちに島の歴史や伝統文化を守っていきましょうなどという話をしても、どれだけ子供たちに伝わっているのか疑問を覚えます。私は、学校教育はその先生の全人格をもって行うべきだと思っており、その根底にはその地域や人への愛情が必須であると思います。  今、秋祭り、休日ともなれば、県内各地区でかねや太鼓の音が響いております。保護者や町の人々に囲まれて、子供たちも着飾り、お化粧をして太鼓を生き生きとたたいております。学校とは違う顔がそこにあります。そういう意味で、先生みずからが島の住民になり、子供たちと同じ空気を吸って生活することで、初めて子供たちに教えられるのではないかと考えます。  また、全国で有数の島嶼部を有する本県の職員も同様であります。島嶼部の活性化や定住人口の増加対策を考えるにしても、まず「隗より始めよ」です。外から見るだけではわからないことがたくさんあると思います。我々はよく、国は地方の実情がわかっていないなどという批判をいたしますが、それと同じ構図が島嶼部との関係に当てはまるのではないでしょうか。島に住み、島の人と同じ空気を吸い、島への愛着心が芽生えてこそ、初めてその島のことを本気で考えることができます。また、そうでないと住民の信頼が得られないのではないかと思います。  さらに、災害への対応など危機管理の面からも、職員が島に住むことは非常に重要であります。特に、予知ができない地震などによる災害が発生した場合、職員が島に住んでいれば、迅速な対応が可能となります。  私は、公に奉仕する公務員たる香川県の職員あるいは教員である以上は、小豆島を初め県内に多くある島嶼部のことも、よく知っておく必要があると思います。そこで、県の職員や教員には、必ず島嶼部に勤務することを十二分に採用時に説明し、雇用条件に入れ、また、その島嶼部勤務の間は、職員や教員が原則その島に住むように、住居の整備などの問題についても工夫をすべきだと考えますが、知事と教育長はどう考えておられるのか、質問をさせていただきます。  質問の第四点目は、県産木材の利用促進についてであります。  十月一日に、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行されました。国や地方公共団体が整備する公共の用に供する建築物については、柱や構造材はもとより、内装材についても木材の利用に努めなければならないことを、法律によって義務づけております。これにより、国産材の利用に大きな弾みがつくものと期待されております。  今後、国の基本方針に基づき、各省庁が所管する公共建築物ごとに木材の利用の促進のための計画が定められるとともに、建築基準法等の基準の見直しも行われる予定であります。また、各都道府県においても、国の基本方針に即した、各県独自の方針を定めることができるものと聞いております。  県産木材の利用を促進することは、県内の森林整備、とりわけ間伐材の搬出の増大につながりますし、地球温暖化の防止にも貢献するなど、多大な効果が期待されております。  そこで、県においては、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づく県の方針を、いつまでに、どのような内容で策定していくのか、質問をいたします。  また、あわせて、木材利用を進めていくためには、公共建築物での利用促進はもとより、県産ヒノキ材のPRを積極的に行っていくことが必要であります。昨年、森林・林業関係者によって、十一月十一日を「かがわ山の日」とすることが宣言されました。本年も、県植樹祭やシンポジウムの開催、ボランティアによる竹林の伐採等、いろいろな森林づくりに関するイベントを予定していると聞いております。これらのイベントの開催にあわせて、県産ヒノキのPRも今まで以上に積極的に行う必要があると考えます。  そこで、かがわ山の日関連イベントとして、県産ヒノキのPRについてどのようなものを考えているのか、質問をいたします。  ここからは原稿はありませんけれども、知事、初めてでございますので一言、我々は二元代表制としての議員と、それから執行者でございます。そういう意味では我々も県民に対して、その地域地域で責任を持ってここで発言をさせていただいております。その発言の重要性にかんがみて、今後ともいろいろと対処をしていただきたいと切にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(平木 享君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)新田議員の御質問にお答えいたします。  まず、私の政治姿勢についてであります。  私は、県政運営に当たりまして、県民本位の県政を肝に銘じ、県議会との連携のもと、八市九町と手を携え、不偏不党、公平・公正で透明性の高い県政を推し進め、「赤ちゃんからお年寄りまで、すべての人が笑顔で元気に暮らせる香川」を目指して、全力で取り組む決意でございます。  特に、施策の遂行に際しましては、さきの知事選挙において掲げた「元気の出る香川」、「安心できる香川」、そして「夢と希望あふれる香川」の三つの柱のもとにまとめた政策を着実に実現することが、県民の皆様の支持にこたえることになるものと考えており、その実施に当たりましては、県議会を初め県内の各界各層の方々の御意見に、声なき声を含め、耳を澄ませてお伺いしながら、県勢の発展、県民全体の福祉の向上につながるように努めてまいります。  次は、中讃地区の運転免許更新手続についてであります。  犯罪や事故のない安全で安心して生活できる地域社会の実現は、県民すべての願いであり、警察署の再編整備などにより警察機能を強化し、治安を向上させていくことは重要であると考えております。  一方、運転免許行政につきましては、住民の方々の利便性の向上を図ることはもとより、安全運転に必要な知識を補い、運転者の安全意識を高めるための施設については、どのように考えるのかという観点も必要であると認識しております。  私としては、運転免許センターの整備につきましては、これらの点や厳しい財政状況を踏まえつつ、現在、西讃地域においては即日交付となっていないことを含めた県下全体の地域間のバランスや利便性、必要となるコスト等を十分に考慮しながら、改めて総合的に検討してまいりたいと考えております。  次は、県職員の島嶼部勤務についてであります。  県職員が島嶼部の実情を把握するとともに、災害等に備え、迅速な対応が可能な体制を整えることが重要であると考えております。  県職員採用の試験案内においては、知事部局での勤務を明記しており、島嶼部の勤務となる可能性があることは示しております。しかしながら、居住場所については、一般職員については特に制限しておりません。このため、直島環境センターにおいては通勤が困難なことなどから、全員が直島町に居住しておりますが、小豆総合事務所は高速艇の利用により通勤が比較的容易なことなどから、島内での居住は約二割となっております。  しかし、災害時などに迅速に対応するとともに、日ごろから島内の状況を把握するため、小豆総合事務所長等の幹部職員は島内の公舎に居住するとともに、防災対策実施要領を定め、注意報や警報が発令されたときには職員を待機させるなど、危機管理体制に万全を期しているところであります。  私としては、今後とも島嶼部におきましても、職員が日ごろから地元関係機関との連携を図るとともに、地域の行政ニーズや地元の状況を十分に踏まえて業務を遂行するよう努めてまいりたいと考えております。  なお、その他の御質問については、環境森林部長からお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(平木 享君)井上環境森林部長。    (環境森林部長井上貴義君登壇) ◯環境森林部長(井上貴義君)新田議員の県産木材の利用促進についての御質問にお答えいたします。  本県では、森林・林業関係者が一体となって間伐材の搬出に取り組み、県産ヒノキ材の出荷量が昨年度は約二千八百立方メートルと、五年前の約三倍にふえている状況にあり、今後、より一層その利用を促進していく必要があると考えております。  このような中、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行され、十月四日には低層の公共建築物の積極的な木造化や、内装等の木質化の促進等を図るための具体的な国の基本方針が示されたところであります。  国においては、この方針に基づき、各省庁ごとに、所管する公共建築物における木材利用の促進計画を作成すると伺っており、県としては、今後こうした国の動向はもとより、県有施設の改築計画や県産ヒノキの供給見通しなどを総合的に勘案し、より実効性の高い、木材利用の促進に関する基本方針を早い時期に定めたいと考えております。  また、県産ヒノキの利用を促進するため、これまでもウッディフェスティバルやモデル木造住宅への支援を初め、県産ヒノキを使ったベンチ、プランターの公共空間への設置や割りばしの無償配布などにより、普及啓発に努めているところであります。  本年のかがわ山の日の記念行事は、昨年に引き続き、宝山湖で十一月六日に県植樹祭を実施するとともに、森林の再生をテーマにしたシンポジウム等を開催することとしており、この機会をとらえて県産ヒノキのPRコーナーを設置するほか、高松シンボルタワー内のかがわの森アンテナショップでは、県産ヒノキを使ったPRグッズの配布や木工教室を実施するなど、県産ヒノキの利用を一層促進することとしております。(降壇) ◯副議長(平木 享君)細松教育長。    (教育長細松英正君登壇) ◯教育長(細松英正君)新田議員の教員の島嶼部勤務についての御質問にお答えいたします。  教員の採用においては、島嶼部の学校に勤務することも含めて、県内全域の学校への勤務を前提として採用しております。  島嶼部に勤務する教員は、小中学校においては、始業時間が早く通勤が困難なことなどから、ほとんどの教員が市町立の職員住宅等に居住しているところであります。高校については、校長、教頭、生徒指導主事等は島内で居住することとし、そのための職員住宅を確保しておりますが、それ以外の教員で通勤が可能な者については、島外からの通勤も認めております。  また、休業日等における生徒の事故や台風などの災害時の対応については、各学校であらかじめマニュアルを定め、緊急時において適切に対応できるよう努めているところであります。
     島嶼部の学校における学校運営については、その一層の充実に向け、学校長とも協議しながら、地域から信頼される学校づくりに取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(平木 享君)小島警察本部長。    (警察本部長小島隆雄君登壇) ◯警察本部長(小島隆雄君)新田議員の中讃地区の運転免許更新手続についての御質問にお答えいたします。  県警察では、将来の運転免許人口の推移や県下の交通事故発生状況等を踏まえつつ、県下全体の運転免許行政のあり方について、さまざまな視点から検討を重ねているところであります。  具体的には、運転免許センターを整備する場合において、これに必要な建物の規模や職員数、設備などのコスト面の問題に加え、西讃地区への影響や高松の運転免許センターのあり方を含めた県下の地域間バランスの問題、高齢者等への利便性の配慮、さらには厳しい交通事故情勢等を踏まえた効果的な運転者に対する安全教育のあり方など、将来の運転免許行政を見据えた対応が必要であると考えております。  県警察としては引き続き、厳しい財政状況を踏まえつつ、知事部局と連携して、総合的に検討してまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(平木 享君)一般質問を続行いたします。  大西邦美君。    (大西邦美君登壇、拍手) ◯大西邦美君 私たち民主党議員会は、浜田恵造氏と政策協定を交わしました。政策協定、それは浜田氏との信頼関係を保持することであり、信頼のきずなの上に立って県民の皆さんの負託にこたえ得るために、政策提言や時には厳しく意見を具申していきたいと思っています。  知事に就任されてから一カ月、浜田知事はあらゆる施策に対して積極的な姿勢で臨まれ、先般の代表による質問、そして本日の質問に際しましても、これまでになく相当な時間を費やして答弁書を作成されているようであります。  真鍋前知事時代に停滞していました個人住宅への耐震化や太陽光システム導入などの施策についても、検討していくことを表明されました。こうした事案は、知事の公約でもある安全・安心、そして地球環境を守ることに有効かつ景気対策の一環としても効果的であり、前向きに執行されることを期待しています。  これらの案件は、前知事に対して再三にわたって議会から要望してきたにもかかわらず、かたくなに拒否し続けてきたものです。これが知事の権力の座の怖さであり、こういう姿勢を見るにつけ、一般的に知事の任期というのは、八年ないし十二年が限度ではないかと感じさせられました。  そういう意味で、厳しい財政状況の中、県民ニーズは高まり、厳しい県政運営が求められております。浜田知事におかれましては、これまでの経験を生かし、新鮮さを失わず全力で邁進していただきたいと思います。そして、県民の負託にこたえ、選挙公約ないしは選挙期間中での御発言に対して有言実行されることを期待し、質問に入ります。  質問の大きな一点目は、日本経済の動向と本県企業の活性化策に対する投資効果、そしてこれからの本県の財政方針についてであります。  二〇〇八年九月のリーマンショックから二年が経過しました。そして、〇九年四月から続く景気回復の勢いが鈍り、ここに来て四年ぶりに日銀が、デフレ脱却のためゼロ金利を容認する追加金融緩和策を打ち出しました。これは、世界経済の減速と国内の政策効果の息切れが重なり、輸出や生産の拡大にブレーキがかかり、最近の円高・株安が企業や家計の心理を冷やし、設備投資と個人消費を下押しするおそれが出てきたからであります。  こうした背景の中、ある経済誌が実施した、経営者に対する、国に求める政策アンケートで、実に五六%が成長戦略と回答しております。成長戦略ということは万人が求めるものでありますが、だれが成長させ、その成長の実体をだれが担うのか、この根幹の部分が今の日本の経営者にはわかっていないように思えてなりません。  企業の本質は飽くなき成長であり、その成長をつかさどるのは経営者自身であります。この企業家精神なくして、長期不況からの脱出はありません。これまで日本企業が開発した液晶テレビ、DVDプレーヤー、太陽光発電パネル等、すべてがあっという間に後発国の企業にキャッチアップされ、追い越されてしまったわけです。  政府に先導役としての成長戦略を求める経営者が大勢を占める現状では、企業家精神は希薄であると言わざるを得ません。今の日本には昔のような勢いはなく、成長分野に人や金が移る新陳代謝が進んでおらず、民力低下状況にあります。  これは、一般国民の行政への甘えの構図と似通ったところがあるように思います。この精神を刷新していかなければ、今の日本の現状を打開する道はないように思うのですが、この点、知事はどのように現状を認識されているのか、お伺いをいたします。  次に、本県企業の活性化策に対する投資効果についてであります。  経営者へのサポートと同時に意欲をかき立てるため、本県では企業海外展開支援、産学官共同研究推進、創業・ベンチャー企業育成、次世代ものづくり産業育成、かがわ中小企業応援ファンド事業など、額にして四億五千万円と手厚く施されています。これらの施策に対して、本県企業経営者がどのように取り組み、これを生かされているのか、その意識、意欲度についてお伺いします。  また、新規事業である次世代ものづくり産業育成事業や販路開拓支援事業を含めて、税収アップのためにどのような投資効果が今出ているのか、現状についてお伺いいたします。  さきの総務委員会では、本県経済のGDPが、二〇〇七年度と十年前の一九九八年度比で二千五百億円も減少しており、県予算規模も減額し、投資的経費も縮小してきた。県としてのGDP向上に向けての対策がとられていないとの指摘がありました。景気、雇用問題など、本県の実情から乖離しつつも、国の地方財政計画を優先してきたものであります。  そのかいあって、県債残高は九月議会補正後の今年度末見込みで八千百九十八億円と膨らんでおりますが、二〇〇九年度決算に基づく実質公債費比率は一五・一%であり、早期健全化基準二五%を大きく下回り、財政健全度の高さを示しています。  こうしたことを踏まえ、浜田新体制のもとで次期財政再建方策を策定するわけでありますが、緊縮財政か積極財政かの決断のときではないでしょうか。ケインズは、緊縮財政は不況期ではなく、好況期に実施すべきであるとしており、歳出削減が景気の底がためにつながらないことを明確に説明しています。  政府は、追加の経済対策を、大枠で約五兆円に上る一〇年度補正予算の今月下旬の提出を目指しているようでありますが、総務省がまとめた歳出総額が、都道府県の二〇〇九年度決算で前年度比六・一%増と十一年ぶりに拡大しており、今こそ浜田カラーを鮮明に出すためにも、本県独自の取り組みが求められています。  ただ、積極財政といってもこれまでのような、自民党政権時のような、景気回復のための公共工事優先で借金を膨らませてきた「失われた二十年」を繰り返してはならず、投資のあり方が問われています。  こうしたことを踏まえて、知事は当面の景気・雇用対策とこれからの財政指針、そして次期財政再建方策についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。  質問の大きな二点目は、知事の本四架橋を含む高速道路の通行料金に対する見解についてであります。  民主党のマニフェストにある、二〇一二年度に全国規模で無料化する方針について、ある世論調査では六二%の人が反対し、その理由として、景気低迷で税収が大幅に減り、財政赤字が深刻になる中、果たして一兆三千億円に上る巨額の財源に見合うだけの政策かどうか疑問を持つというものであります。同時に、渋滞などによるマイナスの経済効果を懸念する声が三八%もありました。  高速道路の無料化について、九月十九日、さぬき市で、就任直後の馬淵大臣から直接話を聞かせていただきましたが、四年かけて段階的に実施していくということでありました。段階的に実施ということは、地域間格差を助長させることになりはしないか懸念されます。  私は、基本的にこの高速道路の無料化に反対でありますし、このことは党本部に対しても具申をしております。特に、四国での無料化によって影響を与える公共交通への支援策がいまだ示されておらず、高速道路と本四道路の通行料金を一体のものと考えた場合、三重負担になるわけで、さらに格差を生むことになり、我が国全体として、この高速道路の無料化はすべきでないと考えます。  真鍋前知事は、国が四月に示した新料金制度で瀬戸大橋が値上げになることに対して、「高速道路と別料金の上、千円割高、出資金も負担するのでは、四国は三重苦」と言われましたけれども、私は無料化による高速道路への税負担、そのことで影響を受ける公共交通への支援のための税負担、そして出資金の税負担による三重苦と申し上げたいのであります。  真鍋前知事は、通行料金が下がることには賛成し、JRや船の支援は暫定税率を維持することで、その財源として、全体の交通体系を存続させていくという考え方を示しておりましたが、浜田知事はこうした一連の通行料金の取り扱いについてどのようにお考えか、お伺いをいたします。  関連して、JR四国のスピード化に向けた取り組みへの支援策についてお伺いします。  財政難に苦しむJR四国、路線維持のため節電やことし九月からは無人駅の導入など、さらなる経費削減策を加速させるといった努力を重ねております。高速道路の無料化が実現しますと、四十四億円の減収になると試算しており、無料化でこれまでの努力はひとたまりもなくなるわけであります。民営化した高速道路に税金を投じて無料化するのであれば、路線や信号など鉄道インフラの維持管理費を肩がわりするのは当然のことだと思います。  これからJR四国を存続させるためには、いきなり新幹線とはいきませんが、スピード化を図るための在来線の線形改良を急がなければなりません。線形改良することで、現在百十キロから百三十キロの走行が、最高時速百六十キロで走行できます。これによって高松・松山間で四十五分短縮でき一時間二十五分で運行、高松・徳島間で二十分短縮され三十五分、高松・高知間で四十分短縮され一時間二十分で行けるようになります。  これらを具体化させるために、当面需要が見込める予讃線から先行させるべきであり、その事業費は約八千億円程度を要します。県として四国に鉄道を存続させるためにも、他の三県とも連携しながら、JR四国とともに国に強く働きかけていくべきだと思いますが、知事の考え方をお伺いいたします。  質問の大きな三点目は、お遍路世界遺産登録に向けた取り組みについてであります。  四国八十八カ所霊場をめぐるお遍路文化を世界遺産に登録しようと、これまで行政主導で取り組んできましたが、初めてことしの三月、四国の産官学による「四国八十八箇所霊場と遍路道」世界遺産登録推進協議会を旗上げしております。お遍路は対象が広域な上、遍路文化全体の登録を実現させるためには幅広い関係者の協力が不可欠であり、四県の担当部局はもちろん、大学、経済団体、非営利組織など八十九団体が参加し、徐々に盛り上がりを見せているようであります。  二〇〇六年と七年に四国四県が国に世界遺産への登録を働きかけたものの、国からさまざまな課題を指摘され、ユネスコへの提出には至らなかった経緯があります。これらをクリアするためにはかなりの時間を費やさなければならず、ハードルは相当高いようであります。  こうした国から提示された課題に取り組むため、今年度千五百七十万円余で、札所寺院の保護措置として、史跡指定のための詳細調査の実施や、遍路道の保護措置となる歴史の道整備活用総合計画の策定を行っておりますが、その進捗状況と、今後これらをクリアするためにどの程度の日時を要するのか、お伺いします。  次に、今後の課題として、登録によって文化が保護され、観光客がふえることには多くの人が賛成するでしょうが、問題も少なくありません。お遍路には現在、年間十万人以上が訪れておりますが、登録後は三十万人を超えるとも言われております。少子高齢化が進む四国にとって、経済効果も見込めますが、地域住民の協力で成り立ってきたお接待文化を今の姿のまま維持できるのか、懸念されます。  今後は、産官学だけでなく、段階的に、文化の一端を担ってきた地域住民を巻き込んだ体制整備が求められているように思いますが、この点どのようにお考えか、お伺いいたします。  あわせて、こうした取り組みをさらに強固なものにするため、四国四県でお遍路文化世界遺産登録推進事業基金なるものを創設してはどうか提言し、質問といたします。  次に、大きな質問の四点目は、高齢者医療制度の運営についてであります。  七十五歳以上の人を対象にした健康保険制度で、自民党政権時代に激しく批判を受けた後期高齢者医療制度ですが、政府はこれを廃止して二〇一三年四月に新しい高齢者医療制度の導入を目指しています。今のところ、この制度では、国民健康保険に加入する七十五歳以上の部分の財政運営主体を、都道府県単位に広域化する方針を決めています。九月二十七日の高齢者医療制度改革会議では、国は全年齢で都道府県単位化する移行手順として、期限を定めて全国一律で実施する方法を提案しています。  厚労省は、財政基盤の安定をねらい、都道府県による運営を求めておりますが、現行制度では市町が広域連合で行っており、知事会はこの方式を主張しています。しかし、知事会が六月に行った調査では、京都、佐賀など十の府県が都道府県と市町村の共同運営と回答しており、中でも大阪府の橋下知事は、国保の運営主体を府に切りかえる方針を打ち出し、既に市町村と合意し、関係法令の改正を国に求めています。  本県として、二年後に迫ったこの後期高齢者医療制度の見直し、運営について、県としてどのような方針で臨むのか、お伺いをいたします。  質問の最後は、小・中高生による暴力行為、全国ワースト一位の解消策についてであります。  昨年度に発生した県内公立学校の小・中高生による暴力行為が、過去最多の千百五十四件に達し、児童生徒千人当たりの発生件数が全国ワースト一位という憂慮すべき事態となっています。特に中学校では、数字の上では全体の三分の二の学校で発生しており、先生方が対応に追われたり、授業の妨げになっているケースもあるようであります。集団での生活のルールは、基本的にはそれぞれの家庭ではぐくまれるものであり、子供は親の背中を見て育つ、子供は社会の鏡と言われつつも、それができていない。こうした現況の上に立って、学校での果たす役割が強く求められています。  学校現場での問題行動の未然防止や早期発見、早期対応が求められておりますが、暴力行為を減らす対策について、学校現場でどのように取り組まれているのか、教育長にお伺いをいたします。  二〇〇四年四月に和泉教育長と岩瀬警察本部長との間で、学校と警察相互の連絡制度に関する協定書が交わされ、児童生徒の健全育成について、双方が連携して取り組まれていることと思われますが、学校現場での暴力行為で警察が処理した件数の推移について、警察本部長にお伺いをいたします。  次に、総務委員会で視察しました岐阜県などで、県警が音頭をとって県教委、学校、民間ボランティア団体の支援を得て、生徒みずからの規範意識を持たせて、健全育成や非行防止活動、駅・公園の美化、通学路の安全確保などの活動を行い、犯罪が減少し大きな成果を出しております。  こうした生徒みずからの規範意識を持たすという事例を参考に、本県でも取り組んでみてはどうかと思います。教育長並びに警察本部長にお伺いして、私の大きく五点の質問について終わりたいと思います。(拍手、降壇) ◯副議長(平木 享君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)大西議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、経済動向に対する認識についてであります。  我が国経済は、世界的な金融危機の影響を受けた悪化・低迷から抜け出しておらず、失業率が高水準にあるなど、依然として厳しい状況にございます。  このような状況の中、我が国が景気を回復し、経済を成長させていくためには、企業においては、日本が優位性を持つエレクトロニクスなどの分野で最先端技術を切り開き、国際競争力を保持するなど、御指摘のように、新たな分野や技術に積極果敢にチャレンジしていく企業家精神を大いに発揮していくことが重要であり、行政はそれを支援する施策展開を進めていく必要があると考えているところでございます。  次に、景気・雇用対策と財政再建についてであります。  本県は厳しい雇用情勢が続くなど、世界的な金融危機の影響を受けた悪化、低迷から抜け出しておらず、経済の活性化に取り組むことが喫緊の課題と認識しておりますが、このため、国の経済対策に迅速に対応することはもとより、新技術、高度技術の開発支援などを通じた地場産業や中小企業の振興、中小企業の資金調達の円滑化、緊急雇用創出基金等を活用した雇用の確保、求人側と求職側のニーズのミスマッチの解消、新規学卒者の就職支援、必要な社会資本の整備など、当面の景気・雇用対策に全力で取り組んでまいります。  私は、財政運営に当たっては、元気の出る香川づくりを初めとする施策により、経済が活性化し雇用が拡大することが、財政健全化に向けての基本的な方策であり、中長期的には安心できる香川づくりにより、子育て環境等の整備を行いつつ、夢と希望あふれる香川づくりにより定住・交流人口をふやしていくことが、財政状況を好転させるために必要なことであると考えております。  一方で、地方交付税を初めといたします財源等の制約があり、今後においても厳しい財政状況が見込まれますことから、当面の収支均衡を図ることはもとより、中長期的観点から、持続可能な財政構造への転換を図るため、新たな財政再建方策にかわる次期計画を、今年度中のできるだけ早い時期に策定したいと考えております。  次は、本四道路を含む高速道路の通行料金に対する見解についてでございます。  本年四月に国から発表されました、高速道路等の新たな料金制度につきましては、全体として移動コストを引き下げる方向とは逆行しており、特に本四道路においては、上限料金が他の高速道路よりも割高に設定されたものでありました。この新料金制度は、無料化施策に向けての試行とのことでしたが、反対意見も多く国は六月からの導入を見送り、今後の国会審議の場で、見直しも含めた議論を行うとの方針が示されたところであります。  一方で、JR、フェリー等の公共交通については、高速道路等の料金割引の影響などにより、厳しい経営環境に置かれておりますことから、関係自治体等が連携し、今後の対応について検討を進めているところでございます。  こうした点も踏まえまして、私といたしましては、地域間格差のない、利用しやすい料金になるべきであると考えておりますが、本四道路を含む高速道路の新料金制度や将来の無料化施策については、国において、公共交通への影響や地域経済への波及効果等について、十分に検証を行っていただき、利用者を初め、各界各層の意見も十分に把握した上で、高速道路と公共交通が役割分担しながら共存し、将来にわたって持続できる制度設計を示していただきたいと考えております。  なお、本四道路の割高な料金や出資金の問題につきましては、去る九月十九日、馬淵国土交通大臣が来県されました際、私から直接御説明申し上げ、理解を求めたところでございます。  次は、JR四国の高速化に向けた取り組みへの支援策についてであります。  高速道路等料金の大幅引き下げにより影響を受けるJR四国につきましては、国において減収補てんを含めた抜本的対策を早急に講じるべきであり、公的負担の軽減や線路・電路設備などの維持管理に係る経費の負担、経営安定基金の積み増しなどの具体策を、国に対してこれまでも提案・要望してまいりました。  また、昨年度から、専門家等で構成する香川県地域公共交通ネットワーク検討委員会で、本県の地域公共交通のあり方について調査検討を進めておりますが、その中で、本県では大量輸送と定時性にすぐれた鉄道を中心にしたネットワークづくりが必要との御指摘もいただいております。  こうした中、本年四月、JR四国を初め国や四国四県、経済界等で連携して懇談会を設置し、現在、四国の鉄道ネットワークの将来像や実現方策について議論しておりますが、JR各社が国に要望している鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金を経営安定基金の積み増し等の財源に活用することにつきましては、私としても、国に同様に要望してまいりたいと考えております。  JR四国の高速化に向けた取り組みにつきましては、現行制度のもとでは、地域にとりましても巨額な費用がかかるといった課題がある一方で、四国地域の競争力強化や一体的発展、鉄道事業の収益基盤の強化等の大きなメリットが期待できるものと考えております。  今後とも、JR四国はもとより、国、四国四県、経済界等で連携しながら、国に対し経営安定基金の積み増し等について強く働きかけるとともに、先ほど申し上げました懇談会を通じて、引き続き幅広い観点から検討を進めるなど、四国の鉄道ネットワークの基盤強化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、四国八十八カ所霊場と遍路道の世界遺産登録に向けた取り組みについてであります。  四国四県と関係市町村では、札所寺院や遍路道の文化財保護法による史跡や重要文化的景観などの指定・選定に向けた作業を進めております。本県では、すべての札所寺院の文化財等の概要を把握する基礎調査を終え、現在、白峯寺において、史跡指定に向けた発掘調査や境内地の測量調査など、寺院の全容を明らかにする詳細調査を実施しているところであります。  また、遍路道については、現在、史跡や重要文化的景観の指定・選定に必要な歴史の道整備活用総合計画の策定に着手しており、この計画に基づいて、申請に必要な遍路道の測量を来年度から実施することとしております。これら八十八の札所寺院や、約千四百キロメートルに及ぶ遍路道の文化財保護法による指定等に至る作業には、少なくとも十年程度の日時を要するものと考えております。  四国遍路の特徴の一つで、今に息づくお接待文化につきましては、後世に引き継ぐべき貴重な文化と考えており、官民が一体となって設立した「四国八十八箇所霊場と遍路道」世界遺産登録推進協議会に、お接待文化の継承部会を立ち上げ、今後、この中でお接待文化を継承するための具体的な体制整備について検討してまいりたいと思います。  また、御提言のありましたお遍路文化世界遺産登録推進事業基金につきましても、この推進協議会の中で、民間企業の参加も含め検討してまいりたいと思います。  なお、その他の御質問については、担当部長からそれぞれお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(平木 享君)川部健康福祉部長。    (健康福祉部長川部英則君登壇) ◯健康福祉部長(川部英則君)大西議員の新たな高齢者医療制度についての御質問にお答えいたします。  医療保険制度については、国民皆保険のもと、制度を持続可能なものとするため、国が最終的な財政責任を負うべきであります。しかし、新たな高齢者医療制度と国保制度が切り離されて議論されており、現段階では新たな高齢者医療制度も含めた国保全体における国の財政責任があいまいであることから、最終的には都道府県単位の運営主体が財政責任を負うことになることが懸念されます。  また、新制度の財政運営を単に広域連合から県に移すだけでは、制度の抱える高齢者や低所得者が多いという構造的な財政問題の解決につながらないこと、現行制度を運営している広域連合は市町の派遣職員により運営され、市町との密接な連携が可能であることなどを踏まえれば、運営主体を広域連合から県に切りかえることは、多くの問題を有していると考えます。  県としては、国における議論の動向を注視しながら、全国知事会などを通じ、国に対し必要な意見を伝えてまいります。(降壇) ◯副議長(平木 享君)高畠商工労働部長。    (商工労働部長高畠正博君登壇) ◯商工労働部長(高畠正博君)大西議員の県内企業の活性化策についての御質問にお答えいたします。  元気の出る香川づくりのために、県内産業の振興は最重要課題であり、県内企業の活性化策をより積極的に講じてまいりますが、施策が企業経営者の意欲を高めるものとなっているか、あるいは、税収増なども含め投資効果のあるものとなっているかについては、常に留意する必要があると考えております。  現在行っている施策のうち、例えばかがわ中小企業応援ファンド事業では、事業を開始した平成十九年度から二十一年度までに研究開発を支援した企業三十四社のうち十一社が既に事業化を達成しており、この助成事業を活用した企業経営者の事業化に対する意欲が高いものと考えております。  また、同事業により平成十九年度に研究開発を支援した企業十三社について、平成二十一年度の各企業の売上高の合計は、厳しい経済環境の中にあっても平成十九年度と比べて約二〇%増加しております。  もちろん、これは県の施策だけの効果ではありませんが、県の活性化策が企業の業績向上に貢献し、一定の投資効果が上がっているものと認識しております。(降壇) ◯副議長(平木 享君)細松教育長。    (教育長細松英正君登壇)
    ◯教育長(細松英正君)大西議員の児童生徒の問題行動への対応についての御質問にお答えいたします。  各学校においては、暴力行為を未然に防止するため、日ごろから学級活動や児童会、生徒会活動の活性化を図り、マナーアップ週間等を実施するなど、児童生徒がみずからの力で生活態度を向上させ、規範意識を高める取り組みを行っております。  また、県警察と連携して、ほとんどの小学校で非行防止教室を実施しているところであります。さらに、生徒指導主事や小学校問題行動対応ミドルリーダーが中心となって校内指導体制を整え、児童生徒一人一人の状況について、全教職員による情報共有を進めるとともに、警察等の外部関係機関との情報交換も日常的に行い、暴力行為の早期発見、早期対応に努めているところであります。  次に、児童生徒みずからに規範意識を持たせる取り組みについては、本県においても校区内の美化活動や、子供が自主的に地域内の危険箇所をチェックして地図上にまとめる地域子ども安全マップの作成等、児童生徒の自主性を生かして社会性をはぐくむ取り組み事例がありますが、岐阜県の事例も参考にしながら、県警察とも連携し、こうした取り組みがさらに推進されるよう努めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(平木 享君)小島警察本部長。    (警察本部長小島隆雄君登壇) ◯警察本部長(小島隆雄君)大西議員の児童生徒の問題行動への対応についての御質問にお答えいたします。  まず、警察が校内暴力で処理した件数は、平成十七年が十件、平成十八年が十三件、平成十九年が十六件、平成二十年が二十三件、平成二十一年が九件であります。  次に、生徒の自発的な非行防止活動の推進についてであります。  暴力行為を初めとする少年非行の背景には、規範意識の低下があると言われており、生徒が自発的に非行防止や健全育成の活動に取り組むことは、規範意識の向上に大変効果があると考えております。  本県では万引き事案が多いことから、県警察としては、今年度県下十三の中学校を万引きのないまちづくり推進リーダー校に指定し、生徒による万引き防止啓発活動を実施していただいているところであります。  今後については、万引きに限らず、広く規範意識の向上を図ることが重要であることから、そのリーダー校の中から数校を選定し、岐阜県の事例等を参考にしながら、生徒の自発的な非行防止活動を展開していただけるよう働きかけていきたいと考えております。  県警察としては、その効果を検証しながら、県教育委員会を初めとする関係機関や地域の皆さんと連携しつつ、その活動を拡大するなど、規範意識の向上に根差した非行防止活動を推進してまいります。(降壇) ◯副議長(平木 享君)一般質問を続行いたします。  広瀬良隆君。    (広瀬良隆君登壇、拍手) ◯広瀬良隆君 浜田知事においては知事就任以来、関係各所へのあいさつ回りやさまざまな行事への御出席等々、公務をこなす傍ら、御みずから各所でトップセールスに努められている姿を報道等で拝見し、その新知事としての奮闘ぶりを敬意を持って、また喜ばしく見守らせていただいているところでございます。  私ども公明党議員会も浜田後援会と政策協定を結ばせていただき、浜田新知事誕生のために微力ながらお手伝いさせていただいた者として、今後は、いい意味での緊張感を保ちながら、盤石な香川県構築という同じ目標に向かって、ともどもに精進していきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  特に我が会派としましては、「新しい福祉」の推進ということを新知事にお願いしたいと考えているところでございます。年金、医療、介護、子育て支援などこれまでの社会保障、福祉の柱を強化、再構築しなければならないのは当然のこととして、それに加えて、社会構造の変化に伴い発生してきた、これまでの制度では対応し切れないようなさまざまな課題、すなわちうつ病などの心の病、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、高齢者の孤独死、貧困など、こうした新たな不安に対応するための新しい福祉に力を入れていただきたいということでございます。  六月議会では、我が会派の都築議員より真鍋知事に、この新しい福祉にどう取り組むのか、お伺いしたところでございますが、浜田知事においても、この新しい福祉に真剣に取り組んでいただきたいという思いで、これらの課題についてどう取り組まれるのか、包括的な方針や決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。このことを私の本日の第一番目の質問とさせていただきます。  次の質問は、子宮頸がん対策についてであります。  今議会の代表質問においても、子宮頸がん等の予防のためのワクチン接種の促進について質問がありましたが、これらを補足する形で重ねて質問させていただきます。  我が公明党は、早くから国のがん対策の充実に力を入れてまいりました。平成十七年には党内にがん対策プロジェクトチームを結成し、がん専門医の育成や検診体制の充実、がん登録の促進などを働きかけてまいりました。特に女性特有のがんである乳がんと子宮頸がんについては、乳がん予防のためのマンモグラフィーの導入を推進したり、乳がんと子宮頸がんの検診を国の助成で行う事業も実現させてまいりました。  子宮頸がんのワクチンについては、国内での早期承認を求めて、平成十九年、参院予算委員会において、当時の舛添厚生労働大臣に強く申し入れを行いました。その結果、それまで四年ほどかかっていた新薬の承認を、「五年以内に米国並みの一・五年に縮めたい」、「全力を挙げて全国の女性の思いが実現するよう努力する」との大臣の答弁を引き出し、実際に、その後平成二十一年十月に予防ワクチンの承認が実現したのであります。その後は党として公費負担を国や地方自治体に求めてまいりました。早くから予防ワクチンが承認されている欧米諸国では、十代前半を対象に公費によるワクチン接種が行われているのに対し、日本では、三回接種で約五万円ほどかかる自己負担が、普及のネックになっているのが現状であります。  こうした中、独自の助成を行う地方自治体があらわれ、東京都や山梨県、市町村では百二十ほどの自治体が独自の助成制度を発表ないし実施するに至っています。本県においても、この九月議会で三豊市と観音寺市が、国の助成を前提に全額助成の方針を打ち出したようであります。  県議会においても、六月議会において我が会派の都築議員が、子宮頸がん予防ワクチンの助成制度の創設を初めて取り上げました。これに対し県は、国の動向や他県の状況を見ながら、適切に対応していくとの答弁でありました。  こうした中、国は本年八月、来年度予算の概算要求の中で、子宮頸がん対策として百五十億円の計上を決めました。これは中学一年から高校一年までの四学年を対象に、接種率四五%を前提にして、予防接種を助成する市町村の費用の三分の一を補助する内容のようであります。これは国による助成の第一歩として評価いたしますが、内容としては問題を含んだものであります。  まず第一に、この国の積算根拠の前提である接種率四五%は低過ぎます。「子宮頸がんの征圧を目指す専門家会議」の今野 良自治医科大教授によれば、ワクチンの接種率を上げることが子宮頸がんの撲滅の上で極めて重要であります。例えば、十二歳の女児全員に接種すると、子宮頸がんの発症を将来的に七三%減らすことができます。ところが、接種率三〇%だと子宮頸がんは二〇%しか減らない、接種率五%だとワクチンを打たなくても同じとのことであります。いかに接種率を上げるかが大事なのに、国が四五%の接種率を前提とした対策を考えているのでは、甚だ不十分と言わざるを得ません。  二番目の問題は、補助事業を実施する自治体のみに三分の一を補助するので、補助事業をしない自治体との間に明らかに地域間格差が生じてしまうのです。  各市町村がワクチンの助成を開始し、国がそれに追従する形で公費助成の方針を打ち出した今、都道府県においても助成開始を打ち出すところが多く出てくるのではないかと推測されます。東京都、山梨県は既に助成を開始し、この九月補正では京都府、徳島県などが助成を議案にのせたようであります。ワクチン接種の効果を最大限に上げるためには接種率の向上が必要であり、そのためには全額公費負担でのワクチン接種が望まれます。本県としても国や他県、県下の市町村の動きに呼応して、県としての助成制度を打ち出すべきときが来ていると強く感じますが、知事の御所見をお伺いいたします。  また、ワクチン接種の必要性を理解していない人もまだまだ多いと聞きます。加えて、子宮頸がんにかかった人を特別視する向きもあります。子宮頸がんの原因となるウイルスは非常にありふれたウイルスで、性行為によってだれもが感染する可能性を持っていますが、そのことが正しく理解されていません。こうしたことにより、ワクチン接種が普及しないことが懸念されます。  さらに、子宮頸がんはワクチン接種だけで一〇〇%予防できるものではなく、ワクチン接種とあわせて、定期的な検診を受けることが重要であります。  県としては、こういった課題に対処すべく、県民への普及啓発活動を活発に行っていく必要があると考えますが、県の今後の取り組みをお伺いいたします。  次は、水資源対策についてであります。  今議会、自民党代表質問において、新たな水資源対策に関して、長期的な水需給の見通しと、来年度以降の水資源対策について問う質問がありました。  答弁としては、長期的な水需給の見通しについては、水道用水の需要量が緩やかな減少に転ずるものの、少雨傾向は継続し水源の供給力の低下が懸念されるということでありました。つまり、水需給逼迫の状況は、当面何ら変わらないということでありましょう。そして、来年度以降の水資源対策としては、現在策定作業中の新たな大綱で総合的な対策を進めるとのことでありました。大綱の発表を待ちたいと思いますが、大きな期待はできないと思うのは、私だけではないのではないでしょうか。  私は、水資源対策について専門知識を持つものではありませんが、単純に考えれば、水の供給源を考えた場合、それは降る雨を利用するか、海の水を利用するか、地下にある水を利用するかの三点でありましょう。  降る雨を利用する方策として、大規模なものがダムの建設であります。降った雨をためておいて、日ごろの水需要に困らないように少しずつ使うわけであります。極めて自然な発想の産物であります。海水を利用する海水淡水化事業はコストがかかり過ぎて、日常の水供給の手段とはなり得ないと認識しております。そもそも、海の水を蒸発させて雨として地上に供給するという自然の大規模な水循環の仕組みがあるのに、その循環にのっとらずに、大きなコストをかけて機械で淡水化するというのは、外国で言えば中東地域、国内では離島など、ほかに水確保の方法がない場合に限られるものでありましょう。三番目の地下水の利用、これも県の調査結果では、期待できるほどの量は地下にはないという結論であったかと思います。そもそも雨が降らないのに、地下に水があるはずがないと私などは思うのであります。  こう考えると、本県の水事情が大きく改善されるには、さらに水をため置くためのダムや調整池が建設されることしかないように思うのでありますが、近隣住民との合意、国の方針との整合性、建設コストの問題等々、簡単には進まないのは、さまざまな事例が示しているとおりでございます。  そこで私は、我が香川県においては、水の再利用の仕組みの構築・充実こそが、水資源問題の解決のために十分に重きを置いて考えられなければいけないと思うのであります。水の再利用には排水再利用、下水処理水再利用、雨水再利用がありますが、どこよりも水に苦労している香川県だからこそ、どこよりも水を無駄なく使う仕組みが構築されていなければならないと考えます。水の再利用の程度をあらわす指標があるかどうか知りませんが、全国の都道府県の水の再利用の程度をランクづけしたとき、私は、本県は全国トップでありたいと思います。他県に誇れる水の再利用が行われてこそ、県民からも、また他県からも、水に苦労している香川の水行政はさすがだと称賛されるのであります。そのような香川でありたいと思うのであります。  その意味で、本県における水の再利用の現状についてお伺いいたします。  本県では、平成十年より雑用水利用促進制度を推進しています。雑用水利用とは、建築物からの排水を再生処理した水、雨水等を処理した水及び下水処理水の再生水を、水洗便所の洗浄水などに利用することを言います。延べ面積一万平方メートル以上の新築等の建築物に対して、雑用水利用施設の設置、すなわちトイレの洗浄水への利用を指導する制度が当制度であります。制度の運用開始より十二年がたち、当制度による雑用水利用もかなり進んでいると伺っております。  また、高松市が行っている再生水利用下水道事業では、平成二十一年度においては、年間十八万八千立方メートル余の雑用水利用が行われたとのことであります。宝山湖の総貯水量が三百万立方メートルですから、宝山湖の十六分の一の水量が再生水で賄われたということであります。本来であれば捨てられていた水が雑用水として再生利用され、その分、上水等が節約されたわけですから、効果は大きいと言っていいと思います。  今後も本県においては、さらに水の再生利用を推し進めるべきと考えますが、雑用水利用の現状をどうとらえ、今後その促進にどう取り組んでいこうとするのか、お伺いいたします。  次は、クラウド・コンピューティングへの取り組みについてであります。  新しいコンピューターシステムの利用形態として、クラウド・コンピューティングが近年普及してきています。これは、自前のサーバーを持たずに、ネットワーク上に存在するコンピューター資源を活用して業務を遂行するものであります。  電気は、利用するのに自前で発電しなくても、発電所でつくられた電気をコンセントにつなぐだけで利用できます。しかも、どこの発電所でつくられた電気かなどは意識する必要なく、電気の恩恵にあずかることができます。これと同じように、コンピューター利用においても、コンピューターシステムを自分のサイトに用意することなく、端末をネットワークに接続するだけで、必要なコンピューター処理を享受できる環境を提供するのがクラウド・コンピューティングであります。これはネットワークの高速化、仮想化技術、グリッド・コンピューティングといった技術の進歩によって実現できるようになったものであります。  クラウド・コンピューティングは、短期間でシステムの利用が開始できる、資産を持たずにシステムの便益を享受できる、初期投資を抑えられる、データ処理量の変動に柔軟に対応できるなどのメリットがあると言われております。  本県においては、基幹系情報システムの再構築が最終段階を迎えておりますが、この再構築の中で既に構築され稼働済みのシステムの中にも、いわゆるプライベート・クラウドと言っていいシステムが稼働しているように聞いております。また、費用対効果が薄く、利用率が伸びずに評価が低かったかがわ電子自治体システムも、このクラウド・コンピューティングの形態に更新がなされ、大きなコストダウンを実現したとも聞いております。  国においては、自治体クラウドと称して、クラウド・コンピューティングの技術を活用して、市町村の情報システムの統合化、集約化を図り、情報システムの構築、運用などの効率化、低コスト化を図る取り組みが始まろうとしているところであります。本年八月には、自治体へのクラウド導入の全国的展開に向けた説明会が行われ、総務省が考える自治体クラウドの構想が説明されました。昨年度からは自治体クラウド開発実証事業として、北海道、京都府など六道府県六十六市町村において、地方公共団体の情報システムをデータセンターに集約し、市町村がこれを共同利用することにより、情報システムの効率的な構築と運用を実現するための実験が行われています。  この自治体クラウドは、総務省に自治体クラウド推進本部が設置され、この本部のもとに有識者懇談会や検討プロジェクトチームが編成され、自治体クラウドに求められる要件や、さまざまな方策の検討が行われるとされています。クラウド・コンピューティングとは、コンピューター資源の共同利用の技術でありますから、各自治体で、システム共同利用のための業務自体の見直しや標準化の推進についても、ここで検討されることになります。理想論で言えば、全国の自治体が利用するシステムを統一すれば、コスト面で大きなメリットを得られ、ガバナンスもきかせやすいというメリットも生まれますが、地域特性による個別のサービスが提供しにくい、あるいは地場のITベンダーが育成できないなどデメリットも少なくなく、自治体クラウドは当面、都道府県単位でのサービスの共有化になろうとも言われています。  自治体クラウドは市町村のためのシステムではありますが、県下の自治体クラウド構築のためには、県がイニシアチブを発揮して市町を主導することが必要になってくることも考えられます。そのためには、県においてもクラウド・コンピューティングの利用促進を図り、その導入・運用ノウハウを蓄積しておくことが重要と考えます。  そこで、知事にお尋ねいたします。  本県のクラウド・コンピューティングへの取り組み状況及びその効果、また今後の導入プランについてお伺いいたします。  また、総務省が主導している自治体クラウドの動きは、どのように本県に及んできているのか、自治体クラウドへの取り組みとして、何か具体的な考えは既に本県にあるのか、お伺いいたします。  私の一般質問の最後は、日本の国技、相撲の振興に関してであります。  大相撲九月場所では、白鵬が驚異の四場所連続全勝優勝をなし遂げ、連続勝利記録を六十二と伸ばしました。次の十一月場所で、双葉山の持つ連勝記録六十九に挑むことになります。大いに楽しみな十一月場所であります。  しかし、白鳳の活躍とは裏腹に、野球賭博の未曾有の不祥事に揺れ、一時は本場所開催も危ぶまれた大相撲は、再生に向けた具体的な道筋すら定まっていないというのが実態のようであります。ここ数年で、若い力士の暴行死事件、横綱朝青龍のさまざまなトラブル、外国人力士を中心とした大麻事件、そして今回の野球賭博事件と不祥事続きの角界は、みずから自浄作用を発揮して、国民の信頼を取り戻すべく、しっかりと再建の歩みを進めてもらいたいものであります。  一方、不祥事があろうとも、また最近の外国人力士ばかりの活躍が目につき、日本人力士の低調ぶりが際立つ状況であっても、国技である相撲を愛し、日本の相撲界の復活を期待している国民は少なくないと思います。私もその一人であります。  相撲には、ほかのスポーツにないよさがあります。まず、勝敗が単純明快であり、短時間で勝負がつき、単純な割には迫力ある大わざを見ることもできます。地面があって土俵となる線が引ければ、どこでも対戦が楽しめるのが相撲であります。多くの人が気楽に楽しめるスポーツであります。私も小さいころは、仲間や兄弟でよく相撲をとりました。相撲は、対戦相手と体を接触させることによって、ふだん感じることのない、相手の息遣いやにおいや体の感触を感じることができます。自分とは違う存在を肌で感じることができる相撲は、子供の情操教育にも大変よいものであると思います。ゲーム浸りの子らには、幾ら力を加えても相手を倒せないという実体験を経験させることも大切に思います。  今の子供たちは、相撲というスポーツを一度も経験することなく、大人になってしまうのではないでしょうか。野球やサッカーや水泳や柔道といった、オリンピックを初め各種の競技会があり、子供のころから体験し、気に入ったら練習に励める仕組みがあるスポーツに対して、相撲は全く蚊帳の外に置かれている現状があるように思います。人気がないというのが原因かもしれませんが、この状況を放置すれば日本の国技が消滅するか、あるいは、外国人によって維持されている、世界でも珍しい国技となってしまうのではないでしょうか。私が小さかったころも、学校の体育で相撲を習った覚えはありません。放課後等に仲間内で勝手にしたように思います。しかし、塾やテレビゲームに忙しい今の子らが、そうした機会を持つことはないでしょう。私は、より多くの子供が相撲を一度でも経験することができるよう、小学校の体育の授業で、その機会を与えてあげたらどうかと思うのであります。  少し話は変わりますが、県には生島の県総合運動公園の中に県立相撲場があります。先日、この相撲場を見学させていただきました。屋外に、周りに観客のスペースもある立派な屋根つきの土俵が一つ、さらに屋内練習場には二つの土俵があり、二十畳はある更衣室と、浴室をも備えた立派な施設でありました。この施設の稼働状況をお聞きしたところ、本年度で言えば年間で十三日程度の稼働率でありました。せっかくの立派な施設ですから、もう少し稼働率を上げられないものかと切に感じた次第であります。  そこで、教育長にお尋ねいたします。  本県における相撲競技の人口等、相撲界の現状は、プロアマ含めてどんな状況か、お尋ねいたします。  また、小学校の体育に相撲を取り込むことについて、教育長の所感をお聞かせください。  最後に、県立相撲場の稼働率向上について、どのように取り組まれるのかお尋ねして、私の一般質問を終えます。(拍手、降壇) ◯副議長(平木 享君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)広瀬議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、今後の健康福祉行政についてであります。  少子高齢化の進展、核家族化や地域の相互扶助機能の低下など社会情勢の変化の中、現下の厳しい経済・雇用情勢やストレス社会を背景として生じます、うつ病やドメスティック・バイオレンス、児童虐待などの新たな課題に的確に対応し、だれもが安全・安心に暮らしていける社会づくりを進めていくことは、大変重要であると考えております。  このため、県におきましては、地域での相談体制の整備、民生委員、社会福祉協議会、NPOやボランティアなど、地域の福祉に関係するさまざまな主体が相互に連携して、課題に取り組む体制づくりに努めますとともに、個々の課題につきまして、地域包括支援センターの取り組みへの支援、地域ボランティアの養成、情報の提供や理解の促進、関係者の資質向上などを図っているところであります。  私といたしましては、市町と連携しながら、地域における支援体制の充実を図るとともに、新たな課題、不安に対しても積極的に取り組み、新しい福祉に力を入れ、赤ちゃんからお年寄りまで、すべての人が笑顔で元気に暮らせる香川を目指してまいりたいと思います。  次は、子宮頸がん対策についてであります。  子宮頸がんの予防を図るためには、ワクチン接種の効果が期待できる十代のワクチン接種を促進するとともに、二十歳以上のがん検診の受診率を高め、早期発見、早期治療につなげていくことが重要であります。  このため、ワクチン接種につきましては、国の来年度予算の概算要求の中に市町村に対する助成制度が盛り込まれておりますので、県としてもこうした動きを踏まえ、ワクチン接種が促進されるよう、市町と協議しながら対応を検討してまいりたいと思います。  また、ワクチンの接種や検診受診の必要性について、県民の理解が得られますよう、企業や関係団体と連携して講演会、イベント、広報誌などを通じた広報啓発を行うとともに、市町や学校保健とも連携して、子宮頸がんの予防について、正しい知識の普及を図ってまいりたいと考えております。  次に、クラウド・コンピューティングへの取り組みについてでございます。  県では、インターネットから各種の申請・届け出や公共施設の予約ができますかがわ電子自治体システムについて、昨年の四月からクラウド・コンピューティングに移行した結果、年間の運用経費が従前の六分の一となり、大幅な経費削減の効果を上げているところであります。  今後のクラウド・コンピューティングの導入につきましては、本年十二月から、県税の電子申告の審査システムをクラウド・コンピューティングに移行することとしており、その他のシステムにつきましても、導入可能なものから積極的にクラウド・コンピューティングに移行することで、大幅な行政経費の削減と行政サービスのより一層の向上を図ってまいりたいと考えております。  また、総務省が主導しております自治体クラウド導入の全国的展開の動きにつきましては、現在、総務省において自治体クラウド導入を推進するための法案の準備が進められておりますことから、関係部局において情報の収集に努めています。  県といたしましては、今後の自治体クラウドの全国的展開の動向を見据えつつ、今月下旬に設置予定の県と市町で構成する研究会を通じまして、これまでに蓄積した情報システムの導入や運用に関しますノウハウの提供などを行い、市町の自治体クラウド導入を支援してまいりたいと考えております。  なお、その他の御質問については、政策部長からお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(平木 享君)天雲政策部長。    (政策部長天雲俊夫君登壇) ◯政策部長(天雲俊夫君)広瀬議員の水資源の循環利用についての御質問にお答えいたします。  水資源に恵まれない本県におきまして、下水処理水や雨水などの雑用水は、トイレの洗浄水などに利用することにより、水道水の利用が抑制されますとともに、渇水時などにおいても安定的に利用が可能でありますことから、貴重な水資源の一つであると認識しております。  こうしたことから、県では現行の水資源対策大綱におきまして、「節水・水循環の促進」を基本方針の一つに定め、雑用水の利用促進を図っているところであり、主な取り組みといたしましては、別途定めております雑用水利用促進指導要綱によりまして、大規模建築物に雑用水利用施設の設置を要請し、これまでに十九の建築物で設置されております。  また、高松市では下水処理水の供給区域の拡大に取り組まれておられますほか、多度津町では下水処理水をさらに高度処理し、農業用水やせせらぎ水路などに利用されており、第十二回日本水大賞におきまして国土交通大臣賞を受賞するなど、全国的に見ても先進的な取り組みがなされているところでもございます。  しかしながら、雑用水の利用に当たりましては、二重配管などのコストや水質の問題などの課題もございまして、十分な普及には至っていない状況にあります。  今後、県では、現在策定中の新たな大綱におきましても、水資源の循環利用の取り組みを重要な施策の一つとして位置づけまして、市町と連携して雑用水の利用をより一層促進いたしますなど、県民が安心して暮らせる水循環社会の構築に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(平木 享君)細松教育長。    (教育長細松英正君登壇) ◯教育長(細松英正君)広瀬議員の相撲の振興についての御質問にお答えいたします。  本県では、香川県相撲連盟が中心となって、相撲競技の振興に取り組んでおります。成人の競技人口については、相撲連盟からは二十名程度と伺っております。このほか、学校活動では、例えば本年の香川県総合体育大会において、中学校で八校四十名、高等学校で三校十二名が参加しております。さらに、大相撲における本県出身力士は、この九月場所で幕下三名、序二段二名の計五名となっております。  また、小学校では現在、体育の授業の中で体力づくりの一つとして、相撲遊びを取り入れている学校もあると承知しております。平成二十三年度から実施される新学習指導要領では、多様な動きをつくる運動が新たに取り入れられ、その具体的な取り組み例として、相撲などの運動が初めて示されたところであり、今後、これを参考にした取り組みがさらに進むものと考えております。  また、県営相撲場については、現在、中高校生の総合体育大会等で利用されておりますが、利用促進については、相撲連盟の意見も聞きながら検討してまいります。(降壇) ◯副議長(平木 享君)一般質問を続行いたします。  斉藤勝範君。
       (斉藤勝範君登壇、拍手) ◯斉藤勝範君 質問に先立ちまして、一言申し述べたいと思います。  夏の暑さもようやく和らぎ、秋の到来を実感いたします。秋といえばスポーツの秋、芸術の秋、読書の秋、そして選挙の秋などと言われるように、人が活動するのに適した季節でありますが、農作物が実る収穫の秋でもあります。今月は、この収穫を神様に感謝する秋祭りが県内各地で行われます。私の地元三豊・観音寺地域では、にぎやかな装飾のちょうさが町を練り歩きますが、これを担ぐために、進学、就職で県外に出た若者が大勢帰ってきますので、地域は大変なにぎわいとなります。  この光景を毎年目にして私が思い出すのは、田園都市という言葉であります。浜田知事が尊敬する大平元総理は、二十一世紀を展望した中長期の政策ビジョンとして、環太平洋連帯構想、総合安全保障構想など、現在の日本の基本政策につながる先見性のある九つの構想を打ち出しました。その一つである田園都市構想は、都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力をもたらすことを目的として、都市と農山漁村が融和し一体となった田園都市が相互に交流し、多様性を保ちつつ、調和のとれたネットワークを形成することを目指すものであります。この構想で、祭りによるふるさと意識の高揚、ふるさとが感じられるような潤いのあるコミュニティーづくりに言及されているからであります。  この構想については、総理就任後初の施政方針演説で、都市の持つ高い生産性、良質な情報と、民族の苗代とも言うべき田園の持つ豊かな自然、潤いのある人間関係とを結合させ、健康でゆとりのある田園都市づくりの構想を進めてまいりたいと表明されております。この言葉の中に、本県のにおいが感じられます。  田園都市構想は、大平元総理が、ふるさと香川の穏やかな風土への思いを抱いて構想を練られたものであります。若くして生まれ育った香川を遠く離れ、長く東京などの大都市で暮らしてこられた浜田知事も、ふるさと香川への思いと、大平元総理のこの思いを受け継いでいこうとする強い覚悟をお持ちであると感じております。  今議会冒頭の所信表明では、好きな言葉として「着々寸進」、「洋々万里」という、大平元総理が好んで揮毫されていた言葉を挙げられ、この言葉を心に抱きながら、これからの新しい香川の発展のために誠心誠意、力を尽くしていく覚悟を表明されました。山より大きなシシは出ないと言われます。これからの四年間、浜田知事には御自分の思いを貫き、全力で香川県勢発展のために取り組んでいただきたいと思います。  それでは、本日最後の一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、芸術家村事業についてであります。  現在開催中の瀬戸内国際芸術祭の来場者は、本日までに六十万人を数え、当初の目標であった三十万人を大きく上回っており、また今後、気候のよい秋の本格的な観光シーズンを迎え、さらに多くの来場者が見込まれています。世界的にも著名な多島美を誇る瀬戸内海に浮かぶ七つの島々を主な会場としたこの芸術祭は、過疎化と高齢化が急速に進む島嶼部の活性化や交流人口の増加など、本県にさまざまな効果をもたらしていると思われます。  その芸術祭の盛況ぶりの陰に隠れた格好にはなっていますが、一昨年度から小豆島で開始し、今年度からは三豊市の粟島でも行っている芸術家村事業は、規模は小さいながらも、すばらしい活動を行っています。  芸術家村は、アーティスト・イン・レジデンスとも呼ばれ、芸術家を一定期間招聘して、滞在中の活動を支援する施設のことだそうであります。資産家や君主などがパトロンとして芸術家を保護し、創作活動を支援することは、古くは古代ローマ時代からあったようですが、このアーティスト・イン・レジデンスはパトロンの現代的形態として世界的に定着し、日本でも各地で行われています。  県の芸術家村事業も、若手芸術家を招き、滞在中、地域の文化、環境などからアイデアを得て創作活動を行うとともに、成果発表や地域との交流プログラムに積極的に参加してもらうことになっております。  粟島の芸術家村事業では、九月から活動を始めたばかりの招聘芸術家三名が、今月に行われる地元の秋祭りの太鼓や獅子舞の練習に参加し、地元の方々から習っていると聞きました。一刻も早く地域に溶け込もうとする芸術家の意欲的な姿勢がうかがえるエピソードであり、事業のコンセプトである島の活性化、魅力ある地域づくりの点で、今後の活動に伴ってどのような成果があらわれるのか、大いに期待しているところであります。  また、小豆島の芸術家村事業では、創作活動の成果発表にあわせて、東京藝術大学の教員、大学院生等を招き、芸術作品を制作してもらい、瀬戸内国際芸術祭との連携事業として実施された合同展覧会である、小豆島AIRアートプロジェクト展が八月に開かれました。私も現地を視察し、地元の大変な盛り上がりぶりを肌で感じ、芸術家村事業が有意義な事業であると再認識しているところであります。  そこで、小豆島で開かれた展覧会の来場者数など、今年度の事業の成果、さらには今後の両芸術家村の事業展開についてどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。  質問の第二点目は、大都市圏における県産品の販路開拓についてであります。  日本経済が低迷する中、県産品を取り巻く情勢は、国内における地域間競争や諸外国とのグローバル競争がますます激化しております。こうした中、先日、高知県が東京にアンテナショップを開設し、好評を得ているニュースを見ましたが、近年、各地方自治体においては、県産品のブランド化を図るとともに、地域から全国へ向けて効果的な情報発信を行い、地域経済の活性化につなげようとする動きが活発化しています。  香川県産品には、さぬき特選K.ブランド産品や讃岐三畜、三豊市の三豊ナス、仁尾町の袋かけミカンなどの農林水産品、香川漆器など、生産量は少ないですが高品質なものが多く、今後はこうした強みを生かして他地域との差別化を図り、販路開拓を目指すことが重要となっています。  また、販路開拓に当たっては、非常に大きなマーケットを有し、有名百貨店等で取り扱われることで高い情報発信力を発揮することができる、東京を初めとする大都市圏をターゲットに進めることが大変効果的であります。県では、これまでも、平成十五年に愛媛県と共同で首都圏アンテナショップ、香川・愛媛せとうち旬彩館を設置したほか、高級百貨店との連携による県産品販売コーナーの設置、農林水産品や地場産品などを中心とした香川フェアの開催などに取り組んでいることは承知していますが、激化する地域間競争に打ち勝つためには、県として、これまで以上に大都市圏における販路開拓に取り組む必要があるのではないでしょうか。  また先般、リクルートが公表したテーマ別・都道府県魅力度ランキングでは、地元ならではのおいしい食べ物が多かった県として、高知県に次いで全国第二位にランキングされていました。讃岐うどんの全国的なブームで本県への観光客がふえたことでも実証されたとおり、やはり、食の魅力は全国から観光客を呼び込む力となるため、これからも新たな魅力を発掘し、磨き上げていくべきであります。  今後、地域間競争に打ち勝っていくためには、私は、食の魅力など本県の強みを十分発揮するとともに、関係機関、団体との推進体制を整備し、大都市圏における県産品の販路開拓を強力に進めていかなければならないと考えますが、どのように取り組もうとしているのか、知事にお伺いいたします。  質問の第三点目は、讃岐うどんを活用した元気の出る香川づくりについてであります。  讃岐うどんは、近年抜群のブランド力で、これを目当てに県外からも多くの観光客が本県を訪れるなど、交流人口の拡大に大きく貢献しているところであります。浜田知事は今議会の所信表明で、みずから先頭に立って積極的にトップセールスを行い、観光客数の増加に努めるとともに、地域ブランドの売り込みを進める方針を示されました。その際、讃岐うどんのブランド力は、大きな武器になると思います。この全国にも通用するブランド力を保っていくためには、食べる人を満足させる、めんのおいしさが欠かせません。また、本場である本県を訪ねて讃岐うどんを味わえない人にもこのおいしさを知ってもらい、ぜひ本場で食べたいと感じてもらうためには、県外へ出荷する讃岐うどんにも一定の水準が求められると思います。  ところで、めん製品に名物讃岐うどんとか、本場讃岐うどんと表示するために、加える水、食塩の量、熟成時間、ゆで時間など一定の基準を定めたルールがあることを御存じでしょうか。これは、いわば業界の自主規制で、すべての製造者に適用されるものではありませんが、みずからにルールを課して讃岐うどんの味を守り、これを県外の方々が食べることにより、本県を訪れるきっかけづくりとなり、讃岐うどんの発展、ひいては交流人口の拡大に貢献している方々がいることを心にとどめていただきたいと思います。  この讃岐うどんに使用されている小麦は、オーストラリア産が大半を占めていますが、昔のように風味のあるうどんが食べたい、文字どおりの讃岐うどんをつくりたいという県内うどん業界や消費者からの要望を受け、県は、うどん用小麦のさぬきの夢二〇〇〇を開発しました。この品種は、県内での小麦の生産拡大に貢献してはおりますが、一方では小麦たんぱく等の特性から、うどんづくりに手間がかかるなどの理由により、県内うどん店の利用が不十分という問題点があったようです。  このような状況を受けて県は、農業試験場でさぬきの夢二〇〇〇を上回る新品種の開発に取り組み、昨年、香育二十号と香育二十一号を育成されました。この二系統について、昨年十月には、約千八百人の消費者を対象としたアンケートや、うどん店を対象としたアンケート調査結果を踏まえ、かがわ農産物流通消費推進協議会のさぬきの夢推進プロジェクトチーム検討会において、香育二十一号をさぬきの夢二〇〇〇の後継品種として選定したところであります。その後、香育二十一号を本県の主要農産物奨励品種に採用するとともに、さぬきの夢二〇〇九の品種名で、品種登録を出願していると伺っております。  新しいさぬきの夢二〇〇九の特徴は、さぬきの夢二〇〇〇に比べて穂が大きいため収量性が高く、製めんの作業性も向上しており、その食感はのど越し、コシ、風味にすぐれており、製粉・製めん業界の方々からも高く評価されているとお聞きしています。また、さぬきの夢二〇〇九は、本年度から試験販売する程度の量ではありますが一般流通が始まり、段階的に切りかえて、二十四年の秋まきからは全面的に切りかえる計画と伺っています。こうした品種の円滑な切りかわりに当たり、さぬきの夢二〇〇九のめんの特徴を製めん業界の方々に知っていただき、この新しい小麦の粉を使ったおいしい讃岐うどんの普及拡大が図られるよう、県内のうどん店を対象とした製めん研修会を開催しているようであります。  讃岐うどんは、香川県民にしみ込んだ食文化であり、また、香川を活性化する力を持った食文化であるとともに、全国区の観光資源でありますので、本県のイメージアップや小麦の生産振興に向けて、関係者の期待も大きいと思います。  これまでも讃岐うどんを核に、生産者、製粉・製めん業者が一丸となって、香川全体で六次産業化を進めているところでありますが、浜田知事が掲げられている元気の出る香川づくりを実現していくためにも、私は、引き続きこれら関係者が一丸となって、地元産の小麦を使った讃岐うどんを県内外に広め、生産、流通、消費を総合的にとらえた魅力ある産業として、農業を振興することが重要であると考えております。  そこで、今後どのようにしてさぬきの夢二〇〇九を生産者や製粉・製めん業者、消費者へ広めていこうと考えているのか、知事にお伺いいたします。  質問の第四点目は、米の品質低下対策についてであります。  今年の夏は記録的な猛暑でした。気象庁によりますと、今年の六月から八月の平均気温は平年を一・六四度上回り、統計を開始した明治三十一年以降、最も高かったそうであります。本県でも、高松の八月の平均気温が平年を三・〇度も上回る三十・四度で過去最高を記録し、高松以外でも大半で八月の平均気温が過去最高を記録するなど、最も暑い夏とも言われています。九月に入っても暑さがおさまらず、今議会の開会後にやっと秋の気配を感じるようになってきました。  このような地球の温暖化を実感する気象条件を目の当たりにしますと、心配になるのが米の品質低下の問題です。近年、県産米の一等米比率が著しく低下し、昨年度は一六・二%とやや持ち直したものの、ここ数年は一〇%以下の年も多く、低迷しています。この一等米比率低下の主な原因は、稲が実る登熟期の気温が以前に比べて高くなっていることが大きいと言われており、今年の猛暑で、また一等米比率が低下するのではないかと懸念しております。地球の温暖化は今後も続くことが予想されますので、温暖化にも対応した、品質のよい新たな品種の研究開発を進めることが急務であると思います。  この点については、昨年の十一月議会の我が党の代表質問に対し、高温に強く食味もすぐれた新品種の導入に向けて、県が育成した香系八号や国が育成した「にこまる」などの現地試験を進めており、今後はこれら品種の生産性の確認と卸売業者などの評価を聞いて、普及推進のめどを見きわめていきたい旨の答弁がありました。  そこで、新たな品種の導入を含め、温暖化に伴う米の品質低下対策について、その後どのような状況になっているのか、今後どのように取り組まれるのか、知事にお伺いいたします。  質問の第五点目は、中学校における武道の必修化に向けた取り組みについてであります。  平成二十年三月に中学校学習指導要領の改訂が告示され、新学習指導要領では、中学校の保健体育において武道の必修化が、平成二十四年度から完全実施されることになっています。武道必修化の目的は、武道の学習を通じて、我が国固有の伝統と文化により一層親しむこととされています。  武道は、武術などから発生した日本独自の文化であり、基本動作や基本わざを身につけ、相手の動きに応じて、相手を攻撃したり相手のわざを防御したりすることによって、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことができる運動であります。また、武道に積極的に取り組むことを通して武道の伝統的な考えを理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視するものでもあります。さらには、礼儀作法や相手への思いやりを習得する機会にもなり、私は、子供たちの健全な発達を促す上からも意義あるものと考えております。  新学習指導要領においても、武道に積極的に取り組むことで相手を尊重し、伝統的な行動の仕方を守ろうとすること、分担した役割を果たそうとすること、禁じわざを用いないことなど、健康、安全に気を配ることができるようにすること、また、武道の特性や成り立ち、伝統的な考え方、わざの名称、わざの習得によって体力が高まることなどを理解し、課題に応じた運動の取り組みなど工夫できるようにすることがうたわれております。  この中学校での武道の必修化の動きを受けて、本県では、平成二十年度から国の地域連携武道指導実践事業のモデル校として、宇多津中学校で本格的に武道を取り入れた授業を行い、道場や地域の武道指導者に生徒を指導してもらうとともに、指導者養成のため、教員に指導ノウハウを伝えてもらう取り組みを実施しているとお聞きしています。  そこで、先行して武道を授業に取り入れた学校でどのような成果があり、どのような課題が明らかになったのか、さらにはこれらの点を今後どう生かすべきと考えているのか、教育長にお伺いいたします。  また、すべての中学校で武道の授業を円滑かつ安全に実施するためには、武道場や体育館などの施設整備、さらには指導者の確保が必要であります。国も、武道の必修化に向けたこれらの条件整備のため、施設整備への補助制度を充実させたり、先ほどのモデル事業の実施など指導者の育成、確保への支援を実施しているところであります。  県としても、再来年に迫った武道の必修化に向け、施設整備や指導者の確保などについて、市町に対し働きかけるとともに、適切な助言を行う必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、あわせてお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(平木 享君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)斉藤議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、芸術家村事業についてであります。  小豆島芸術家村は、昨年、本県最初の芸術家村として開村し、これまで四期十一名の芸術家を招聘して、創作活動やワークショップ、成果発表会を通じて地元住民との交流が着実に進み、芸術による元気ある地域づくりが行われている状況にあります。  特に、本年八月の芸術家の成果発表会につきましては、瀬戸内国際芸術祭連携事業として、東京藝大の教員や大学院生などを招き、地元の住民も協力して制作した作品とあわせて、三都半島一円を会場とした展覧会として開催したところ、県内外から延べ五千人の方々が鑑賞され、地域が大いににぎわったところであります。  また、九月に行われました三豊市の粟島芸術家村の開村式には多くの方々が参加され、今後の活動等に大きな期待を寄せているところであり、今後、芸術家は、粟島の特色を生かした作品の制作や、地元の住民を対象としたワークショップ等を開催することとしております。  さらに、県内で二つの芸術家村が創設されたことから、芸術家からの提案や地元の意見も踏まえ、芸術家や地元住民が相互に訪問し交流を図るなど、その相乗効果が発揮できるような取り組みを検討し、より一層の地域の活性化や文化芸術の振興につながるよう努めてまいりたいと考えます。  次は、県産品の販路開拓についてであります。  県におきましては、東京での県産品の情報発信拠点であります香川・愛媛せとうち旬彩館において、県産品コンクール入賞作品など新たな商品の魅力を紹介するとともに、讃岐うどんのブランド力を活用しながら各種イベントを開催するなど、話題づくりに努めながら県産品のPRを行っており、今月一日には二階の観光交流コーナーのリニューアルを行ったところでございます。  先日、私も副知事も、銀座にあります高知県の新しいアンテナショップを見てまいりましたが、各県のよいところを参考にして、旬彩館をさらに改善してまいりたいと考えております。  また、販売ルートの確立を目指して、地方産品の発掘・販売に意欲のある首都圏、関西圏の百貨店やホテル、レストラン、外食産業を対象に、本県の違いやこだわりを直接PRするため、生産者や製造者が現地に出向いて、年間を通じて数十回にわたり、県産品フェアを開催しております。  さらに、バイヤーを県内に招いて、産地見学や県内業者との商談会を開催し、基幹小売店の確保やバイヤー等との人脈づくりに努めており、今月五日には東京の高級中華料理チェーン店の社長を招き、県産食材を売り込んだところでございます。こうした取り組みの結果、一部の百貨店、レストランでは常時取引となり、取引額もふえてきていると承知しております。  明日九日には、これらの小売店の一つであります東京のクイーンズ伊勢丹と、レタス、ブロッコリーなど青果物の取引を中心に意見交換会を開催することとしており、私も県議会議長、JA香川県の理事長とともに出席しトップセールスを行い、安定的取引と取引量の拡大を強く訴えてまいりたいと考えております。  今後とも、香川県産品の多品目・高品質の特性を生かし、JA香川県、県漁連、県物産協会など関係団体と緊密に連携しながら、重点産品五品目を初め香川のいいものを、私が先頭に立って積極的にPRし、大都市圏における県産品の販路開拓を強力に進めてまいりたいと考えております。  次は、さぬきの夢二〇〇九の振興についてでございます。  さぬきの夢二〇〇九につきましては、平成二十四年秋まきからの全面切りかえに向け、生産者に対して、さぬきの夢二〇〇〇より収量が多くつくりやすいことや、製粉・製めん業者から、食味や製めんのしやすさを高く評価されていることを伝えますとともに、適切な施肥や排水対策の徹底などを図るよう指導を行い、生産拡大につなげてまいります。  一方、流通・消費につきましては、うどん店に対して最適な製めん方法を普及するため、九月中旬に農業試験場で勉強会、九月下旬から十月上旬にかけまして、県内三カ所で研修会を開催いたしましたほか、来年の二月には製めん技術を競う品評会を開催することとしております。あわせて、新しいうどんのおいしさやうどん店情報を県のホームページに掲載し、消費者にPRしてまいりたいと思います。  なお、うどん業界が企画し、私も参加を予定しております十一月一日のイベントを契機といたしまして、さぬきの夢二〇〇九を用いたうどんが一部の店舗で販売されることとなっております。今後とも関係者が一丸となり、県産小麦を用いた讃岐うどんを県内外に広めてまいりたいと思います。  次は、米の品質低下対策についてでございます。  温暖化に伴う新品種の導入に向け、昨年度、農業試験場等で実施しました試験では、県育成品種の香系八号と国育成品種の「にこまる」ともに、品質、収量、食味のいずれも、現在の主力品種であるヒノヒカリと同等以上の結果が出たところでございます。  今年度は県内各地の農家圃場で生産性を確認するとともに、県内外の卸売業者や小売業者の方に食味も含めた市場評価をしていただき、普及できるかどうか、今年度中に結論を出していくことにしております。  今後は、こうした取り組みとともに、登熟期の高温を避けるための遅植えを一層奨励し、米の品質向上につなげてまいりたいと思っております。(降壇) ◯副議長(平木 享君)細松教育長。    (教育長細松英正君登壇) ◯教育長(細松英正君)斉藤議員の中学校における武道必修化に向けた取り組みについての御質問にお答えいたします。  平成二十四年度からの中学校の武道必修化に向け、宇多津中学校では現在、地域の指導者を迎え、剣道の授業の実践研究に取り組んでおります。  その成果としては、生徒自身に日本古来の伝統文化への興味・関心が高まり、日常生活に礼儀正しい行いが多く見られるようになったことや、地域の指導者との連携により教員の指導力が向上したことなどが報告された一方で、防具の着脱に時間を要するため、授業時間内に学習するための工夫が必要であることなどが課題とされております。  今後、宇多津中学校を含む全国のモデル校による実践研究の成果が取りまとめられることから、それらを踏まえて、県内各中学校での効果的な実施に取り組んでまいります。  また、施設や用具等については、引き続き国の補助金や地方交付税を活用して計画的に整備を行うよう市町に働きかけるとともに、指導者については、指導経験のない教員に実技講習を行うほか、地域の指導者に関するデータバンクを作成、提供することにより指導者を確保し、武道必修化が円滑に実施されるよう支援してまいります。(降壇) ◯副議長(平木 享君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(平木 享君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、十月十二日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後三時三十一分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....