香川県議会 2007-06-03
平成19年6月定例会(第3日) 本文
▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 出 席 議 員
尾 崎 道 広 君 篠 原 公 七 君
新 田 耕 造 君 佐 伯 明 浩 君
谷 久 浩 一 君 渡 辺 智 子 君
広 瀬 良 隆 君 白 川 容 子 君
宮 本 裕 美 君 竹 本 敏 信 君
三 野 康 祐 君 高 城 宗 幸 君
花 崎 光 弘 君 斉 藤 勝 範 君
西 川 昭 吾 君 大 山 一 郎 君
有 福 哲 二 君 都 築 信 行 君
樫 昭 二 君 村 上 豊 君
梶 正 治 君 高 田 良 徳 君
宮 本 欣 貞 君 辻 村 修 君
黒 島 啓 君 都 村 尚 志 君
五所野尾 恭 一 君 山 田 正 芳 君
十 河 直 君 香 川 芳 文 君
大 西 邦 美 君 砂 川 保 君
篠 原 正 憲 君 木 村 嘉 己 君
組 橋 啓 輔 君 綾 田 福 雄 君
白 井 昌 幸 君 増 田 稔 君
筒 井 敏 行 君 松 本 康 範 君
鎌 田 守 恭 君 山 本 直 樹 君
名 和 基 延 君 平 木 享 君
水 本 勝 規 君
欠 席 議 員
な し
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地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 真 鍋 武 紀 君
副 知 事 高 木 孝 征 君
病院事業管理者 平 川 方 久 君
政 策 部 長 山 下 幸 男 君
総 務 部 長 尾 崎 猛 君
環境森林部長 青 山 忠 幸 君
健康福祉部長 細 松 英 正 君
商工労働部長 中 山 貢 君
農政水産部長 山 田 哲 也 君
土 木 部 長 久 保 市 郎 君
知事公室長 法 兼 義 信 君
防 災 局 長 川 部 英 則 君
観光交流局長 川 池 秀 文 君
水 道 局 長 天 雲 俊 夫 君
会計管理者 小 夫 孝之助 君
病 院 局 長 穴 吹 哲 夫 君
教育委員会 佐 野 伸 治 君
委 員 長
教 育 長 和 泉 幸 男 君
公安委員会委員 横 井 久 子 君
警察本部長 山 田 尚 義 君
代表監査委員 野 田 峻 司 君
監 査 委 員 村 井 真 明 君
事 務 局 長
人事委員会 武 田 安紀彦 君
委 員 長
人事委員会 谷 野 克 明 君
事 務 局 長
労働委員会 笠 原 良 三 君
事 務 局 長
政策部次長 濱 田 厚 史 君
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議 事 日 程(第三号)
平成十九年七月六日(金)午前十時開議
第 一 議案第 十五号 平成十九年度香川県
一般会計補正予算議案
第 二 県の一般事務に関する質問
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◯議長(尾崎道広君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の日程は、配布のとおりであります。
日程に入るに先立ちまして、諸般の報告をいたします。
職員に朗読させます。
(職員朗読)
諸般の報告
一、知事から、
地方自治法第百四十九条の規定に基づく議案一件を受理いたし
ました。
一、監査委員から、
地方自治法第百九十九条及び第二百三十五条の二の規定に
基づく報告二件を受理いたしました。
◯議長(尾崎道広君)以上で諸般の報告を終わります。
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◯議長(尾崎道広君)日程第一、議案第十五号、平成十九年度香川県
一般会計補正予算議案を議題といたします。
知事の提案理由の説明を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)本日、追加上程されました議案について、その要旨を御説明いたします。
今回提案の第十五号議案は、渇水対策及び大
的場健康体育センター跡地等の
売買契約解除に伴う返還金に関する
一般会計補正予算議案であります。
まず、渇水状況については、梅雨入り後も少雨傾向が続いており、早明浦ダムの貯水率の低下に伴い、現在、第三次取水制限が実施されております。
県では、五月二十四日に
渇水対策本部を設置し、市町や関係機関との連携のもと、緊急水源の確保や節水の呼びかけなど、必要な対策を講じてまいりました。
しかしながら、早明浦ダムの貯水率は依然として平年を大きく下回っており、このまま降雨がない場合、今月中旬以降に早明浦ダムの利水容量がゼロになる非常に厳しい状況にあることから、県民生活や産業活動への影響を最小限にとどめるため、
渇水対策関連の
補正予算議案を提案するものであります。
これまでの渇水の経験を踏まえ、当初予算において渇水被害に備え、市町の
水道用緊急水源の確保や農作物の干ばつ被害の未然防止、中小企業者への緊急融資などの対策について、十一億円余を計上していましたが、今後も厳しい状況が続いた場合に備え、万全の対応をとることとし、市町が
水道用緊急水源を確保するために行う井戸の掘削等への助成や地下水利用に関する調査、農作物への被害を防止する井戸の掘削や水路整備などへの助成について、二億一千五百万円の追加補正を行うものであります。
次に、大
的場健康体育センター跡地等の売買契約については、
株式会社マルナカから履行不能の申し出があったことを受け、先月五日に契約を解除いたしました。
今回の補正予算は、これに伴い、同社が土地を県に返還する一方、売買代金五億二千百万円余から売買代金の三〇%に当たる違約金一億五千六百万円余及び損害賠償金百万円余を相殺した額に、同社が負担した建物撤去費八千五百万円を加えた四億四千八百万円余を返還するものであります。
県では、今回の
契約不履行等を踏まえ、今後、このようなことが繰り返されることがないよう適切に対応してまいります。
議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願いして説明を終わります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)以上で提案理由の説明を終わります。
─────────────────────────────
◯議長(尾崎道広君)次に、日程第二、県の一般事務に関する質問を行います。
香川芳文君。
(香川芳文君登壇、拍手)
◯香川芳文君 先月三十日、安倍晋三
内閣総理大臣を私の地元丸亀市綾歌町のアイレックスにお迎えして、
自民党時局講演会が開催されました。
県下一円から集まった県民約千五百人の来場者を前に、地方の景気回復、安心できる年金制度の構築、
公務員制度改革、拉致問題の解決等の国政の重要課題とともに、渇水対策、讃岐三畜などの香川県固有の問題に対しても熱く語られました。
私の地元の参加者は、安倍晋三
内閣総理大臣の見識と情熱に感銘を受けるとともに、現内閣への信頼を強め、総理の「美しい国日本」への期待を大きく膨らませました。
非常にお忙しい中、真鍋知事にも御来場いただき、自民党員の一人として感謝申し上げるとともに、「美しい国日本」はまず美しい郷土香川からと確信し、真鍋知事のなお一層の御奮闘をお願いしながら、質問に入ります。
質問の一点目は、文化芸術の振興についてであります。
長引く水不足により、県民の日常生活に深刻な影響が出始める中、各地で雨ごい踊りが盛んに行われております。
こうした雨ごい踊りは、温暖少雨の讃岐特有の気候の中で生まれ、はぐくまれてきたものであり、まさしく郷土香川の特徴をあらわす貴重な文化財であります。水不足自体は決して歓迎されないことではありますが、
踊りそのものは後世に長く保存・継承していくべきものだと思っております。
我が香川県には、こうした地域に根づく伝統文化に始まり、世界的にも有名なイサム・ノグチや直島に代表される現代アートに至るまで、多様な文化があふれております。文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、多様性を受け入れることができる心豊かな社会の形成に資するものであります。また、各人がさまざまな形で文化芸術に力を注いでいくことは、一人一人の心の豊かさをもたらすだけでなく、
にぎわいづくりや地域の再生にもつながっていくものと考えられます。
こうした中、国においては本年二月に
文化芸術振興基本法に基づく文化芸術の振興に関する基本的な方針を
社会経済情勢の変化に対応して見直しましたし、地方でも十五に上る都道府県が文化芸術の振興に関する条例を制定しております。地域文化は、地域経済とともにまさしく地域を支える車の両輪となるものであるという文化の果たす役割に対する認識が、非常に高まってきているのであります。こうした意味で、文化芸術の振興は、今後の香川の発展を考える上で重要かつ喫緊の政策的課題であると思っております。
我が県でも、知事は今年度の組織改正において、文化振興に関する施策が文化芸術の振興や文化遺産の保存・活用にとどまらず、まちづくりや生活環境、地域振興など幅広い分野と深くかかわっているとの認識のもと、より一層県民に根差した幅広い視点で
文化芸術振興を図ることを目的に、文化振興に関する所掌事務を
教育委員会から政策部へ移管しました。
また、さきの二月定例会においては、文化を幅広くとらえることにより、
四国遍路道文化の世界遺産への登録や伝統工芸品を活用した産業振興、また、文化の薫り高い
まちづくり等を積極的に推進していくため、文化芸術に取り組む姿勢を定めた条例を制定する旨の答弁をされております。
文化芸術に関する条例を定めることは、我らが讃岐の国の伝統的な文化芸術を守り育てるとともに、さらに新しいものを創造しながら、県民が生き生きと心豊かに暮らせる美しい郷土香川をつくっていくという強い決意を表明することにもなります。
そこで、現在、制定を検討されている文化芸術の振興に関する条例につきまして、知事の基本的なお考えをお伺いします。
質問の二点目は、県内への移住対策についてであります。
厚生労働省の
国立社会保障・
人口問題研究所が、平成十七年の国勢調査をもとにまとめた都道府県別将来推計人口によりますと、平成二十二年の本県の推計人口は九十九万一千人となり、百万人の大台を割り込み、今から三十年先の平成四十七年には、現在より約二〇%減の八十万二千人となることが報告されております。この推計値は、前回の平成十二年の国勢調査をもとにした平成十四年の推計よりも減少幅が拡大する推計となっており、時を追うごとに人口減少の状況が強まっていることが明らかになっております。
こうした人口減少や少子高齢化が急速に進む中にあっては、労働力人口の減少による地域経済への影響や、介護や福祉の分野における財政負担の増加、税収の減収などが懸念されるところであります。また、伝統芸能など地域文化の喪失や担い手不足による農村や森林の荒廃など、地域経営にとって多方面にわたる悪影響が予想され、まさに、こうした意味で人口は地域の活力をはかるバロメーターと言っても過言ではありません。
県においては、昨年度、知事を筆頭とする
人口減少対策推進本部を立ち上げ、若手職員の意見も取り入れながら、「香川を創る「人」を増やすための十の方策」を策定し、こうした方針に基づいて、本年度予算においても幾つかの新規事業を立ち上げております。
私は、昨年九月の一般質問において、団塊の世代対策として他県で行われている先進の事例も挙げながら、
県内移住対策について質問させていただきました。その際、知事は「市町と連携しながら、人口減少の著しい地域をモデルとして、主体的な
移住促進策を積極的に応援するとともに、県内他地域への拡大についても検討してまいりたい」と答弁され、今年度予算には小豆島をモデルとした
移住促進事業を予算化したところであります。他県においても、それぞれの特色を生かした
移住促進策が競われている現状であり、本県におけるこうした事業はまだ緒についたばかりではありますが、モデル事業として行われている小豆島での取り組みや経験を、他地域に及ぼしていくことが重要であると考えます。
そこで、県内における
移住促進策を、今後、どのように発展・継続させていこうとしているのか、知事のお考えをお伺いいたします。
さらに、人を呼び込むターゲットは、やはり首都圏などの大都市であります。
香川経済同友会が香川大学と共同で行った県外に在住する
県内出身者に対してのアンケートによりますと、
Uターン希望を持つ人は実に三三%にも及ぶ一方、実際にUターンをすると決意している人の割合は、わずか七%弱しかないという興味深い結果が示されております。
アンケートの分析結果にありますとおり、退職後に居住地を決める要素としては、
医療介護サービスの充実や治安、さらには公共交通の充実などが多くの人から挙げられ、まさしく地域の住みやすさがUターンの決め手となっていることがわかります。もとより、こうした要素の多くは県民福祉の向上を目的とする県政全般にわたる課題でもあり、日々のすべての分野における県行政のさらなる推進が欠かせないことは言うまでもありません。しかし、風光明媚で温暖な自然環境や三大プロジェクトなど、先人がこれまで築き上げた基盤など、本県のすぐれたところを十分にPRしていくことは、移住促進を図る上で大変重要であると考えます。
そこで、首都圏などの都市住民に対して、今後、どのように県内移住をPRしていくのか、知事の御所見を伺います。
質問の三点目は、
アウトソーシングの取り組みについてであります。
私は、さきの二月定例会の一般質問において、
市場化テストの導入に対する基本的な考え方について、知事に伺いました。
官と民が同じ立場で競争する
市場化テストについては、他県の先行事例も見ながら取り組みを進めていかなければならない今後の課題であると考えますが、そうした官民競争にまで至らなくても、本県においてはこれまで
行政サービスの民間への開放を、民間企業やNPO等へ業務委託するなど、いわゆる
アウトソーシングの手法で取り組んできております。また、平成十五年に
地方自治法が改正されたことに伴い、平成十六年度からは公の施設において
指定管理者制度を導入し、順次拡大してきたところであります。
こうした
アウトソーシングについては、平成十四年度に議会や
行財政改革推進会議などの議論を踏まえて策定された
アウトソーシングの推進に関する
ガイドラインと
アウトソーシング実施計画をベースとして行われてきており、これまでに亀山学園の民間移譲や
各種管理業務の民間委託などが行われてきております。今年度においても、
総務事務改革により旅費事務などの外部委託が行われているほか、県立図書館の
カウンター業務や歴史博物館の
展示案内業務を民間委託するなど、徐々にではありますが、広がってきております。
しかし、当初、
ガイドラインや実施計画を策定した平成十四年度以降には、先ほど申し上げたような
指定管理者制度の導入や
市場化テストの導入を図る
公共サービス改革法が施行されるなど、こうした分野での環境は目まぐるしく変化しております。
さきの我が党、綾田議員の代表質問に対する知事の答弁においても、「職員数について、現在の
集中改革プランを上回るさらなる削減目標を設定する」と答弁されており、職員数削減との関係においても、
アウトソーシングの取り組みは重要な意味を持つものと考えられます。
私は、二月定例会の一般質問においても申し上げましたが、こうした行政事務の民間開放の作業というものは、そうした事務の洗い出しを通じて行政の
役割そのものを問い直す作業であると考えております。
アウトソーシングなど業務の民間委託に当たっては、経費削減の観点を持つことはもちろんのこと、県民に対する
行政サービスの向上につながるものでなければならないと考えます。
厳しい財政状況にある今こそ、さらなる
アウトソーシングを進めていく必要があると思いますが、今後の取り組みについて、基本的な考え方を知事にお伺いいたします。
質問の四点目は、授産施設などで働く障害者の工賃増額についてであります。
昨年四月、障害のある方が、地域の中で生き生きと暮らすことができる社会を目指す
障害者自立支援法が施行されました。この
障害者自立支援法については、本議会においても昨年十一月定例会で
障害者自立支援制度の充実を求める意見書の採択が行われたほか、各方面からもさまざまな課題が提起されたところであります。国は、こうした声に対応するため、平成十八年度の補正予算に
障害者自立支援法円滑施行特別対策を予算化し、事業者に対する
激変緩和措置などの特別対策を行うことにしたところであります。県においてはこの措置を受け、国からの交付金を財源に基金を創設し、現在、支援法の着実な実施を図るための諸対策に取り組んでおります。
さて、
障害者自立支援の新制度においては、使ったサービスに対して定率の
利用者負担が導入されたことから、障害者に働く場を提供し、就労に向けた支援を行う、いわゆる授産施設などでは、場合によっては工賃よりも
利用者負担の方が高い状況も見られたと聞いております。このため、国は先ほど述べました特別対策の中で、本年四月から働くことへのインセンティブを促進する観点から、利用者の食費等の実費負担を含めて工賃が年間二十八万八千円までは確実に手元に残るよう、工賃控除を拡大したところであります。この工賃控除の拡大措置も当面の対策としては意義あるものと理解できるのですが、中・長期的に見れば工賃水準が低いということが課題であると思われます。
障害者自立支援法では、障害者の就労支援を抜本的に強化することとされておりますが、さまざまな理由により一般就労が困難な障害者が、働くことに対して前向きな気持ちになることが重要であり、そのためには授産施設などで働く障害者の工賃の水準を高めることが必要ではないでしょうか。また、全国の施設の中には、
中部国際空港の
旅客ターミナルの
ユニバーサルデザイン検討業務や、愛・地球博の
バリアフリー検討業務などに携わったことでも知られる愛知県の
社会福祉法人「AJU自立の家」のように、重度の障害者が持てる機能を生かす場として、コンピューターを利用してデータ入力や加工、
ホームページ作成のほか事務系の
システム開発などの業務を行い、平均の工賃が十万円を達成しているところも存在します。県内においても、障害者の作業所を運営するNPO法人が、パソコンの
リサイクル事業を通じて五万円ほどの工賃を達成し、生き生きと働いている様子が最近ニュースで報道されたところであります。
先日、政府が発表した骨太の方針二〇〇七においても、成長力の強化を図るための
成長力加速プログラムの一つとして、授産施設などで働く障害者の工賃水準を二倍に引き上げる工賃倍増五カ年計画に取り組むこととされております。
本県においても、今年度新規事業として
工賃倍増促進事業を実施するようですが、まず、県内の授産施設などで働く障害者の工賃水準がどのようになっているのか、その状況をお尋ねいたします。
また、県では工賃倍増に向けてどのような取り組みをしているのか、知事のお考えをお伺いします。
質問の五点目は、学校における
アレルギー疾患児童等に対する対策についてであります。
化学物質や食生活の変化など、子供たちの生活環境の変化に伴い、ぜんそくや
アトピー性皮膚炎などのいわゆる
アレルギー疾患が増加していると言われております。
今春発表されました文部科学省の
アレルギー疾患に関する調査研究結果によりますと、全国においては
アレルギー疾患を持つ児童・生徒の割合が最も高い疾患は
アレルギー鼻炎で九・二%、次いでぜんそくが五・七%、
アトピー性皮膚炎が五・五%となっており、おおむね十人から二十人に一人、つまり、クラスに一人ないし二、三人はこうした疾患を持っていることが明らかになっております。また、本県のみのデータで見ますと、ぜんそくはほぼ全国と同じ率になっております。
アトピー性皮膚炎は、全国よりも一ポイントほど高い率となっている現状にあります。
さらに、こうした疾患の中でも摂取する食物に対する
アレルギー反応が、二つ以上の臓器に出るアナフィラキシーについては、全国でも本県でも〇・一四%の比率となっており、疾患を持つ児童・生徒数自体は少ないものの、対応を誤ると生命の危機にも至るものとされており、慎重な対応が必要であると考えられます。
こうした児童・生徒に対する学校での対応は、疾患の種類によっても差がありますが、
アレルギー疾患を持つ児童・生徒に対する実態の把握は、おおむねなされているようであります。しかし、学校生活でのさまざまな場面における配慮や緊急時の対応措置などの現実の対応については、調査を見る限り県ごとの数字に開きが見られ、決して十分とは言えない結果となっております。
こうした調査結果を受けて、文部科学省では心臓疾患など主に運動制限を要する病気の児童等について、
学校生活管理指導表を用いた表を作成し、一定の効果を上げていることから、
アレルギー疾患児童等に対してもこうした取り組みを普及させることにしているようであります。
そこで、本県では、現在、学校において
アレルギー疾患を持つ児童・生徒にどのような対策を行っているのか、また、今後はどのように取り組んでいくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
質問の六点目は、
違法駐車取り締まりの現状と今後の方針についてであります。
改正道路交通法の施行に伴い、放置車両についての使用者責任の拡充と
違法駐車取り締まり関係事務の民間委託を二本柱とする新たな
駐車対策法制が、昨年の六月一日から全国一斉に導入され、一年が経過いたしました。
新たな
駐車対策法制は、良好な駐車秩序の回復と警察力の合理的再配分を目指すという目的で開始されたと聞いております。
私のさきの二月定例会での質問に対し、
警察本部長は「
改正道路交通法の施行以来、本県では放置駐車取り締まり件数は一日当たりの平均で過去五年間の平均の約二・四倍と大幅に増加し、駐車監視員制度を導入した高松市内では、その約四割を駐車監視員が検挙した」と答弁されました。また、「駐車監視員活動
ガイドライン指定地域においては、駐車違反の大幅な減少が認められており、交通渋滞の減少や交通事故発生の減少など、駐車秩序の改善が図られた」とも答えられました。
そこで、本部長にお伺いします。
新たな
駐車対策法制の目的のうち、良好な駐車秩序の回復は所期の目的を達成しつつあると思いますが、もう一つの目的である警察力の合理的再配分についてはいかがでしょうか。すなわち、民間委託したため駐車取り締まりをしなくてよくなった警察官はどのように配置され、どのように活躍されているのか、お伺いします。
また、本年度から新たに拡大された駐車監視員活動
ガイドライン地域での導入効果についてもお伺いします。
次は、今後の方針についてであります。
現在の放置車両確認事務の民間委託は、高松市内においてのみ実施されております。導入後に効果が見込まれるのであれば、今後、高松市以外にも導入を望む声が出るものと思われます。特に、丸亀市は県内二番目の人口を有し、中西讃地域最大の繁華街を擁していることから、違法駐車の常態化による交通環境の悪化や交通死亡事故の多発等、厳しい交通情勢下にあります。一方、本年五月からは繁華街に隣接する市営駐車場の一部を二十四時間営業化するなど、違法駐車追放へ向けた地域での取り組み機運も高まってきております。
私の二月議会の質問に対し本部長は、「今後の運用については、四月以降の対策状況や効果を見きわめつつ検討していきたい」と答弁されました。
今日までの実態等を踏まえ、駐車監視員活動
ガイドラインの丸亀市を初めとした地域への拡大に向け、どのように考えておられるのかお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯議長(尾崎道広君)理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)香川議員の御質問にお答えいたします。
まず、文化芸術の振興についてであります。
物の豊かな社会が形成された今、文化芸術の重要性を改めて認識し、ゆとりと潤いに満ちた活力あふれる香川づくりを進める観点から、文化芸術の振興に関する条例を制定したいと考えているところであります。
条例においては、文化芸術の振興に関する基本理念や県の責務、施策の基本的な事項などを定めることとし、特に長い歴史の中で培われたふるさと香川の文化の継承・活用や、現代美術など個性豊かですぐれた文化芸術の振興のほか、文化芸術のための人材育成や環境整備などとともに、これらの施策の実効性を担保する仕組みについても定めるなど、香川らしい特色のある条例にしたいと考えております。
現在、有識者等による文化振興懇談会を設け、条例の内容について議論していただいているところであり、今後、県議会はもとより広く県民の御意見を伺いながら、文化芸術の振興に関する条例を策定してまいります。
次は、県内への移住対策についてであります。
県では、昨年十一月に策定した「香川を創る「人」を増やすための十の方策」に基づき、移住受け入れのための仕組みづくり、地域資源を生かした移住促進に取り組み始めました。
まずは、人口減少が著しく、その一方で地域資源の豊富な小豆地区をモデルに、地元二町と連携して空き家の実態調査を実施するとともに、小豆島における移住促進のための具体策を検討しております。
今年度は、移住者を受け入れるための官民協働の体制や仕組みづくり、地域の特産品であるオリーブの振興に必要な人材誘致のための方策などについて、検討が進むよう対応してまいります。
さらに、瀬戸内海をテーマに高松市が中心となって島嶼部の小豆二町、直島町と連携して取り組む新たな
移住促進策についても検討が始まる予定であり、県としては小豆地区で得られたノウハウ等を活用し、地域のこうした主体的な取り組みに対して支援や協力を行い、順次地域の拡大を図ってまいります。
また、首都圏などの都市住民に対するPRは、全国各地で地方への人材誘致の取り組みが活発になる中、大変重要であります。このため、ホームページ「ええ・かがわ」を昨年度に開設し、香川で実現できる豊かなライフスタイルのPRを始めており、今年度は新たに、四国四県が共同して交流や定住の拡大につながる四国暮らしの魅力の一体的、総合的な情報発信を行うなど、都市住民に対するPRを積極的に進めてまいります。
次は、
アウトソーシングの取り組みについてであります。
極めて厳しい財政状況の中、簡素で効率的な行政運営が求められており、民間にゆだねられる業務については、これまでも
指定管理者制度の導入を初め、
アウトソーシングを着実に推進してきたところであります。
最少の人員で最大の効果を上げるためには、県として実施すべき業務か否かを判断した上で、公権力の行使を行うものや政策立案、総合調整など、行政の本来的機能であるものなど、
アウトソーシングできない業務を除き、聖域を設けることなくすべての業務を対象に、経済性の観点のみならず、県民サービスの向上を図る観点から、
アウトソーシングが適当か否かを検討する必要があります。
現在、こうした考え方のもと、
アウトソーシングする具体的な業務や実施時期等について検討を進めており、その成果を本年度策定する行財政改革推進のための新たな基本指針の中に盛り込み、計画的にその実施を図ってまいります。
なお、その他の御質問については、
健康福祉部長からお答えいたします。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)細松
健康福祉部長。
(
健康福祉部長細松英正君登壇)
◯
健康福祉部長(細松英正君)香川議員の授産施設等における工賃についての御質問にお答えいたします。
県内の授産施設の工賃は、月額平均で一万一千円程度であり、利用者の障害の程度から軽作業しかできないケースや、施設職員に販売面での専門的な知識が少ないケースなどから、工賃が一万円に満たない施設が全体の約三分の二を占めております。
こうしたことから、現在、県では各施設の現状と課題を調査しているところであり、今後、幾つかの施設を対象に収益の高い作業の開拓や販路拡大などについて、どのような企業的な経営手法を活用できるか、モデル的に事例検討を進めるとともに、施設の状況に応じた具体的方策や目標工賃額を盛り込んだ計画を策定し、各施設が工賃増額に向け効果的に取り組めるよう対応してまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)
和泉教育長。
(教育長和泉幸男君登壇)
◯教育長(和泉幸男君)香川議員の学校における
アレルギー疾患児童等の対策についての御質問にお答えいたします。
アレルギー疾患のある児童・生徒に対応するため、学校では毎年、年度当初に健康状況に関する調査や保護者からの申し出、健康診断等により児童・生徒の健康状況の把握に努めております。その上で、児童・生徒一人一人の状況に応じて激しい運動を控えたり、掃除当番などについて配慮したりしております。
また、学校給食においてはアレルギーの対象となる食材に応じて一人一人に対しその食材を除去した給食の提供や、給食に使用している食材を保護者へ知らせるなどの対応を行っております。
県
教育委員会では、
アレルギー疾患の対応マニュアルを各学校に配布するとともに、アレルギーの中には対応を誤ると生命の危険に至るものもあるため、すべての教職員がその症状等を理解し、適切な対応ができるよう研修会を通じて指導しております。
今後の取り組みとして、医師が疾患の状況や学校生活上の注意点を記入する
アレルギー疾患対応の
学校生活管理指導表については、現在、国で様式等の検討がなされており、決定次第導入して、
アレルギー疾患のある児童・生徒が安全で快適な学校生活を送れるよう、その対策の充実を図ってまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)山田
警察本部長。
(
警察本部長山田尚義君登壇)
◯
警察本部長(山田尚義君)香川議員の違法駐車対策についての御質問にお答えいたします。
昨年六月に新たな違法駐車抑止制度が導入された高松市中心部においては、瞬間路上駐車台数、交通渋滞、交通事故発生件数の減少など、駐車秩序の大幅な改善が認められております。
これに伴い、違法駐車に関する一一〇番受理件数が約四割減少しており、今まで警察官が現場に赴き対応していた時間をパトロールや事故に直結する交通違反の取り締まりなど、積極的な街頭活動に振り向けることが可能となり、交通事故の抑止に貢献するとともに、街頭犯罪も減少するという効果が認められております。
次に、本年度から新たに拡大されたレインボー通りなどの地域においては、これまでのところ駐車に係る交通秩序の改善が見られるとともに、街頭犯罪の発生件数も減少するなど、治安面における効果が認められているところであります。
このように、高松市の導入地域において、本制度は相応の成果を上げていることから、県警察といたしましては、今後、中讃地域において市街地の違法駐車が多く見られるなど必要性が高く、また、制度を安定的に運用する条件が整うと見込まれる、そのような地区への導入の可能性について、費用対効果などさまざまな角度から検討してまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)一般質問を続行いたします。
三野康祐君。
(三野康祐君登壇、拍手)
◯三野康祐君 まず、財政問題に対する知事の姿勢について、お尋ねします。
昨年、十一月議会において、私は一般質問の中で、今日の財政悪化の原因は、大きく見ると二点に集約されることを訴えさせていただきました。一つは、国が地方交付税を初めとする一般財源を余りにも減らし過ぎたことであり、もう一つは国に追従し、景気対策としての公共事業や箱物事業をやり過ぎたことに伴う公債費の増であります。
まず、地方交付税を初めとする一般財源の減少については、先般行われました平成二十年度の国への重点要望のトップに地方交付税を含めた一般財源の確保を求められており、その内容については、私の十一月議会で指摘した点も踏まえていただいており、評価するものであります。また、六月十二日に開催された四国知事会においても、地方交付税等の一般財源の確保の緊急アピールを真鍋知事が提案し、意欲を見せられたことは大変評価したいと思います。特に、国への重点要望でも、四国知事会での緊急アピールにおいても、国が地方に義務づけている膨大な事務事業の見直しがないまま交付税の一方的な削減を行わないことを求めた点については、地方にほとんど自由裁量のない状況を指摘しており、まさに地方分権の推進と逆行している県政運営をさせられていることを訴えたことは、意義があると考えます。
これらの知事の前向きな姿勢は評価しつつも、要望やアピールだけでは、なかなか国の姿勢を覆らせることは容易ではないのではないかと思うのであります。もう一歩、真鍋知事に踏み込んでいただきたいのです。地方分権の議論においても、真の地方分権を実現するためには、国から地方への税源移譲や権限移譲は絶対条件でありますが、国は消極的で、尾身財務相は、「国の膨大な借金を考えると簡単に地方へ税源移譲はできる状況ではない」と主張しています。また、各省庁の官僚もみずからの権益を簡単に手放すことに必死の抵抗を試みるでしょう。
一方、地方六団体もこの数年間の取り組みを見る限り、本気で国と闘ってきたとは言いがたい状況です。従来のやり方では国に押し切られ、中途半端のままで終わり、最悪のシナリオとならざるを得ません。真の地方分権を実現するためには、国と地方の財政戦争を展開せざるを得ないと考えます。いつまでも、要望やパフォーマンスだけではこの局面を打開することはできないと考えます。
以前も申し上げましたが、今回国への重点要望に記載されております国が地方に義務づけている膨大な事務事業の返上、地方交付税法第十七条の四による交付税の額の算定方法に関する意見の申し出など、国と地方の税財政面での改革や地方交付税の確保を目指した国との闘いに向けて、地方六団体が断固たる姿勢を見せ、全国的な動きとなるよう全国知事会の副会長である真鍋知事がどのようにリーダーシップをとっていくのか、御所見をお伺いします。
また、これから全国知事会が国との闘いを繰り広げていく上で、国に地方の実情を訴えていく、また、一方で国民世論を喚起し、我々の訴えに多くの賛同を得ていく、こうした取り組みを戦略的に展開することが必要であります。その際、全国知事会の事務局は参謀本部とも言うべき機能を果たすことになるわけであり、そのあり方は重要であります。
私は、全国知事会の事務局に地方の実態を熟知した職員がいることが、特に重要であると考えます。地方の実態を代弁できるような職員がいて初めて、国に負けない論陣を張り、国民の心を揺さぶり、真の地方分権をかち取ることができる、そのように思うわけであります。
そこで、知事にお尋ねしますが、全国知事会の事務局はどのような組織体制になっていて、その中で都道府県からの派遣職員は何人いて、どのような職務に配置されているのでしょうか。
また、あわせて香川県から全国知事会の事務局に職員派遣を行う考えはないのか、知事の御所見をお伺いします。
また、尾崎議長におかれましても、全国都道府県議長会において、そのリーダーシップを発揮していただくことをお願いしたいと思います。
次に、公債費の増加につながる県債残高についてであります。
十八年度末見込みで、一般会計ベースで七千四百三十四億円の県債残高となっておりますが、利子まで含めますと一体現在、推計どのくらいな借金を抱えていることになっているのか、まずお答えいただきたいと思います。
十九年度当初予算の公債費六百四十億円のうち元金が四百九十九億円、利子が百四十一億円と言われている状況でありますから、実質の借金負担は九千億円を超えているのではないかと推測されますが、いかがでしょうか。
知事は、プライマリーバランスの黒字化を前倒しして達成したことを強調されておりますが、公債費の利子分を除くと十七年度で百三十三億円、十八年度で百十一億円と県債発行額が多くなっており、県債残高はふえているわけです。利子分を除くプライマリーバランスの黒字化を達成して、初めて県債残高の増加がストップするわけであります。
また、公債費の平準化による県債の償還期間を十年から二十年に、さらに三十年に延ばすことによって、これから支払う公債費の利子分はふえていくわけであります。
また、十一月議会でも質問しましたが、他県と比較しても県民一人当たりの県債残高は、全国平均の六十二万円を約十万円も上回っております。県の総人口百万人でありますから、全国の都道府県の平均レベルと比べると一千億円程度借金が多いことになっています。早急に県債発行額の上限額を設定すべき時期に来ていると思われますが、いかがでしょうか。
起債制度も平成十八年度から、許可制度から協議制度に変わっていることからも、県債発行額や県債残高の水準を県みずからが決めることが重要となってきていると考えます。香川県の財政規模からしてどれくらいが適切か、いわゆる総枠の数値目標の設定をすべきです。人員削減数や削減率、人件費削減額は目標をすぐに定めるのに、県債残高だけは目標を定めないのは矛盾していないでしょうか。
先般の代表質問での答弁のように、新たな財政再建方策の計画期間中の早い段階で減少させたいという表現では、香川県の財政体力からして県債残高はどのくらいが限界なのか不明確であり、きちんと目標を定めなければ新たな方策を立てられないと思います。
また、我が会派の梶議員が代表質問の中で質問したように、地方公共団体の財政の健全化に関する法律が六月十五日に成立し、健全化判断比率として連結実質赤字比率、将来負担比率などの四つの指標が導入され、公表が義務づけられることになっております。この指標の中には一般会計だけではなく、特別会計や公営企業会計、公社や第三セクターまで対象にするものもあり、各自治体の総体の財政状態をチェックしようとするものです。特に、この指標の中の将来負担比率は、いわゆる県債残高、債務負担行為に基づく支出予定額などにより算定されるものであり、基準がどういうレベルになるのかわかりませんが、基準次第では多くの自治体が財政健全化計画の策定などを求められるようになる可能性があるわけです。
健全化基準については、国が勝手に決めることなく、地方の意見を聞いて決めるべきでありますが、借金などの負債が指標の値に大きく影響を与えることから、この法律が平成二十一年四月に全面施行されることを考慮し、早期に県債残高の上限額を決めることが必要だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、本県の農業の活性化策について、お伺いします。
昔から「農は国のもと」と言われ、農業は国家の基本であり、国家の土台となる大切なものであると言われてきました。これは、農作物を食料にして人々は生き、同時に国も繁栄していくという意味で、農業の重要さを訴えています。私も、その考え方に共鳴している一人であります。
しかし、地域を歩いてみて、農業従事者の声は「農業では飯が食えん」、「農業するのはわしの時代で終わりや。息子はせんと言うとる」、「息子が転勤、転勤で手伝ってもらえる人もおらん」、「国は、大きなところだけ残そうとしている」と、そういう声を多く聞くわけであります。この地域の人々の声のとおり、本県農業の現状は、担い手不足は深刻化を増し、農業者の高齢化とも相まって農業生産活動が著しく低下してきており、遊休農地、耕作放棄地も増加傾向にあります。また、農業用水や農業施設の共同管理なども難しくなってきており、営農や生活環境にも悪影響を与え、農村環境は悪化の一途をたどっています。
そのような状況のもと、国は戦後農政の転換を具体化する担い手経営安定新法及びこの関連法案を成立させ、米、麦、大豆などの土地利用型作物は、すべての農家を対象にした品目別の価格政策から、施策の対象を一定規模以上の担い手に絞り込む所得政策へと大幅な方針変更をし、この施策が平成十九年度から始まりました。
そこで、まず第一点目の質問は、国の農業施策の大変革とも言える品目横断的経営安定対策に対応して、今後、県として担い手、いわゆる認定農業者、一定の要件を満たす集落営農、農業法人等の育成をどのように支援していくのか。単に国の所得補償を受けるためだけの対症療法的な取り組みでは、本県農業の再生は難しいのではないかと考えます。農業機械の共同利用への仕組みづくりや遊休農地、耕作放棄地の所有者の土地利用への協力要請などの取り組みを推進するコーディネーターが必要であると考えます。
そこで、普及指導員、土地改良職員、試験研究員、農業団体職員などの農業施策の促進者が連携を深めるなど、コーディネーターの機能を確保することが必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
二点目は、個人として農業をやってみたいとして挑戦している若者の農業従事者も見かけられますが、現実は個人でやる場合には多くの課題もあり、挫折している人も少なからず見かけられます。
そこで、魅力ある経営と多様な担い手づくりを推進するため、今後、団塊世代の大量退職者や意欲ある若者などが新規就農しやすい支援システムをつくっていくことが必要ではないかと考えます。
その一つの方法として、農業経営基盤強化促進法の改正により、一般企業やNPO法人等が農業に新規参入できるようになったことから、遊休農地の増加が特に懸念される地域においては、担い手不足を解消するため、地場の建設業者や食品会社等の農業参入を積極的に促す取り組みを行ってはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
三点目は、香川型農業を展開する上で、これまでの農産物を単につくるだけの一次産業から、加工、販売を含めた農業の六次産業化、一次プラス二次プラス三次産業に向けた取り組みを強化し、多様化する消費者ニーズに的確に対応することが、農業経営の安定や所得の向上を図るための有効な方策が必要ではないかと考えます。
そこで、まずは十分に地産地消が推進できていない保育所、学校給食、公的病院給食分野において、地産地消をかけ声だけでなく、香川県産の農作物を安定的に供給できるシステムづくりに取り組んではどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
四点目は、中山間の条件不利地域等で担い手不足が特に深刻な場合においては、恵まれた自然環境を生かし、高齢化社会における広範なシルバー人材を対象とした営農クラブ活動を推進し、生産性や経済性を追求しない生きがい農園としての土地利用の中から、営農クラブ活動により地域の農地等を維持管理していくシステムについても検討してはどうかと考えます。
将来的には、陶芸、炭焼き、コミュニティー施設等の充実や、宿泊及び住宅施設の整備などにより、そこが高齢者等の集いの場となる環境を整え、定住化につなげていく取り組みも農村の活性化に有効と考えます。あわせて、近くに老人ホームや介護施設を整備して、老後を自然環境豊かな土地で過ごせることによって、人間らしい晩年を過ごせるのではないか、また、そのことにより新たな雇用も生み出していけるのではないかと夢を描くわけでありますが、この構想について知事はどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
次に、県立中央病院の移転整備について、お伺いします。
先日、私も県議会の県立病院整備等推進特別委員会で、サンポート高松、JT高松工場跡地、インテリジェントパーク、農業試験場を視察にまいりました。周辺環境、これまでの土地活用の方針、救命救急センター指定の香大医学部附属病院との位置関係、移転予定の高松市民病院との関係などを考えると、四候補地とも一長一短であり、新たな候補地の検討も含め、さらに十分な検討が必要であると考えます。
県立中央病院は、県医療の中核を担う基幹病院であり、県民医療の最後のよりどころとしての役割があります。その整備場所の決定に当たっては、百年の計をもって臨まなければなりません。
また、県立中央病院の移転問題は、高松の中心市街地の空洞化に拍車をかける問題を兼ね備えています。中心市街地は、高松市民病院の移転問題、日新・二番丁・四番丁小学校の統廃合、松島・築地・新塩屋町小学校の統廃合、光洋・城内中学校の統廃合、国の合同庁舎B棟への国の出先機関の移転問題などを抱え、大きくさま変わりする要素を含んでいます。よって、中央病院基本構想にも書かれているように、中心市街地に整備することが好ましいという案については、高松の中心市街地の空洞化を歯どめする方策の一つとして有効であり、支持するものであります。そうしますと、四候補のうちサンポート高松、JT高松工場跡地が有力と考えますが、さらにもう少し中心市街地で適地がないのか、検討してみてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
例えば、以前から言われている現在の附属高松小学校に中央病院を整備し、現中央病院を駐車場に整備することを改めて考えられないのか。
県のパブリックコメントを見ると、私と同様の県民の提案に対して、「附属高松小学校については、現在地に隣接しており、移転等の可能性を照会しましたが、現時点では移転や売却の意思はないとの回答がありました」と答えており、今回も同じ答弁がなされると予想します。しかし、平成二十年度の重点要望では、文部科学省に対して香川大学工学部の用地取得等の予算措置を要望しており、インテリジェントパークには県土地開発公社が先行取得している土地に対して文部科学省が放置したままの状態になっていることとあわせて、総合的な観点から附属高松小学校の移転が全く考えられないのか、再度協議すべきではないでしょうか。
ほかにも四番丁小学校跡地プラス市民会館跡地等に、中央病院や附属小学校の移転も考えられます。今後、高松市の中心部から中央病院と市民病院が移転してしまうと千百床余りが抜けてしまいます。病床の適正配置の観点からも問題があるのではないでしょうか。
先ほども述べましたが、高松市の中心市街地の状況が変化している中で、国、県、市が連携をとりながら、四候補地以外にも多角的な視点から再度十分に検討すべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、教育問題について、教育委員長並びに教育長にお伺いします。
六月一日に開催された教育再生会議において二次報告が示されましたが、この中で土曜日の授業が必要に応じ、
教育委員会や学校の裁量で行えるようにするという提言が示されましたが、まず一点目は、授業時間をふやすことが学力向上に果たしてつながるだろうかという点であります。どうお考えなのか、教育委員長にお伺いします。
次に、学校週五日制の実施は、学校だけでなく家族で過ごす時間、地域で過ごす時間を大切にする、学校教育では行うことができないさまざまな体験を通して生きる力を育てることが目的で導入されたと思いますが、土曜日の授業を復活するとなれば、その点との整合性をどうお考えなのか、教育委員長にお伺いします。
また、土曜日授業を復活した場合、教員の週四十時間制をどう維持していくのか。人員をふやさなければやれないのではないかなど、多くの課題があると思いますが、教育長にお伺いします。
私も選挙戦の中、教員の方と話す機会がありましたが、平日は学年での打ち合わせや提出物やテストの添削、学級通信などを書くことで追われてしまうので、休みの日にまとめて仕事をしているお話をお聞きしました。実際、週休二日といっても休みの一日は仕事に使っており、一週間分の授業や行事の計画と準備、さまざまなレポートなどの書類づくりなどに費やされているのが現状であります。
しかし、土曜日授業復活になれば実質休日がなくなり、教育者が日々の仕事に今現在以上に追われてしまい、余裕がなくなりストレスがたまったら、そのひずみは子供たちに及ぶかもしれません。余裕がない母親が、子供に知らず知らずに当たってしまうということはよく知られています。その気はなくてもプロだから意識して気をつけていても、そのひずみはどこかに出てしまうかもしれません。それが先生間での人間関係に及ぶのか、子供、個々の家庭に及ぶのかはわかりませんが、人間が人間を教え育てる教育の場であるので、教員と子供、教員同士などの人間関係が最も大切です。土曜日授業を再開するのであれば、もっと教員が働きやすい環境を整えなくてはならないと思いますが、どうお考えなのか、教育長にお伺いします。
次に、六月二十日に教育関連三法案が成立し、教育職員免許法では、十年ごとに三十時間程度の講習を義務づける教員免許更新制の導入が決まりました。
そこで、お聞きしたいわけですが、現在、実施している五年経験者研修、十年経験者研修、二十年経験者研修と今回の十年ごとの三十時間免許更新講習との関係はどう整理されるのか、教育長にお伺いします。
現在ある研修の上に免許更新講習を実施することになれば、土曜日、夏休みの授業の復活の問題、教員の週四十時間制の維持の関係などを考えると、人員をふやさなければ実施できない状況になりかねないと危惧するものでありますが、この財政難の中でどう対応されようとしているのか、教育長にお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇)
◯議長(尾崎道広君)理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)三野議員の御質問にお答えいたします。
まず、全国知事会のあり方についてであります。
今、まさに議論が始まった第二期地方分権改革においては、これまでの改革の反省も踏まえながら、国と地方の役割分担の大胆な見直しと、それに伴う地方税財源の充実・強化を図り、真の地方分権型社会を実現する必要があります。そのためには、個々の団体の利害得失を超えて地方が一致団結して行動することが重要と考えており、来る十二日に開催される全国知事会議を初め、全国知事会の議論が、このような方向に進むよう努めてまいりたいと考えております。
次に、全国知事会の事務局につきましては、調査部など五部一室、三十七名の職員で構成されており、このうち都道府県からの出向職員は八名で、都道府県の事務に関する調査や地方分権改革に関する業務に従事していると聞いております。全国知事会における地方分権改革等に関する検討や意見集約は、案件ごとに各都道府県が参加する委員会やプロジェクトチームの場を活用して行われておりますことから、当面は事務局に本県職員を派遣することよりも、本県が所属する地方分権推進特別委員会等の場を通じて、本県の実情等を訴えてまいりたいと考えております。
次は、県債残高についてであります。
平成十八年度一般会計決算見込みベースの県債残高に、現時点での借り入れ条件による利息を含めると八千二百億円程度となります。
また、県債残高の上限額については、現在、策定作業を進めている新たな財政再建方策では、臨時財政対策債の発行額が最近の減額率で推移したと仮定すれば、平成二十年度から二十二年度の計画期間中のできるだけ早い時期に、県債残高が減少に転じることができるよう県債発行を抑制し、財政の一層の健全性の向上を図ってまいりたいと考えております。
次は、県立中央病院の移転整備についてであります。
中央病院の整備は、まちづくりの観点や高松市民病院のあり方の検討状況などを総合的に勘案し、可能な限り高松市の中心部に移転新築することが適当と考えており、この条件を満たす三候補地と、県議会で御意見のあった農業試験場を検討の対象にしております。
香川大学附属高松小学校については、当初、適地と判断して統合が計画されている高松市内の学校用地やインテリジェントパークの先行取得用地を代替地とする案を提示するなど交渉を行いましたが、相手方に多大な課題や支障があるとのことで断念いたしました。
その他の土地はいずれも必要面積が確保できないなど、候補地となり得る場所は見当たりませんでした。
今後は、四つの整備候補地等について基本計画を策定する中で、医療機能や収支計画の詳細検討と並行して検討を行い、県議会の御意見をお伺いしながら、判断してまいりたいと考えております。
なお、その他の御質問については、
農政水産部長からお答えいたします。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)山田
農政水産部長。
(
農政水産部長山田哲也君登壇)
◯
農政水産部長(山田哲也君)三野議員の御質問にお答えいたします。
まず、本県農業の活性化対策のうち、担い手の育成についてであります。
認定農業者や集落営農などの担い手の育成を着実に図るためには、地域の実情に応じ、機械の共同利用、農地の集積など、担い手の多様なニーズに即した支援を集中的かつ重点的に行うことが必要であります。このため、本年度から新たに、技術や経営に関する相談を一元的に受けるワンストップ支援窓口を市町単位に設置するとともに、担い手が必要とするよりきめ細かな支援を行うため、税理士など専門家やJA、市町、農業委員会、普及センターから成る担い手支援チームを設置し、地域農業のコーディネートを行うこととしたところであります。
今後とも、本県農業の持続的発展を図るため、JAや農業会議など関係機関・団体と十分に連携し、明確な役割分担のもとで担い手のニーズに即した総合的な支援を行うことにより、担い手の経営の安定と発展に努めてまいります。
次に、企業等の農業参入の促進についてであります。
農業経営基盤強化促進法の改正により、担い手不足等により遊休農地が相当程度存在する地域において、遊休農地の有効利用や地域の活性化を図るため、市町の基本構想のもとで企業等の農業参入が可能となったところであります。このため、本年度は新たに、企業等の農業参入促進のための推進体制として、県や農業会議などで構成する企業等農業参入促進連絡会議を設置し、相談窓口の設置や研修会の開催、企業参入マニュアルの作成を行うこととしております。
今後とも、市町や関係団体との連携のもと、認定農業者や集落営農などの担い手との農地の利用調整を図りつつ、企業等の農業参入を促進してまいりたいと考えております。
次に、県産農産物の安定供給システムづくりについてであります。
学校給食などで県産農水産物を利用することは、消費拡大とあわせて食育の観点からも重要であります。このため、学校関係者等に県産農水産物を利用した給食メニューの活用を働きかけるとともに、地元食材のよさや食育の重要性について、理解を深めてもらうための研修会を開催しているところです。
今後、市町や
教育委員会、JA香川県、普及センターで構成する地域食育ネットワークを活用し、地域の食材の利用計画や供給体制についての検討を十分に行うことなどにより、学校給食などの分野への県産農水産物の安定的な供給体制の確立に努めてまいります。
次に、高齢者等による中山間地域の活性化についてであります。
中山間地域における農業生産活動が継続されるよう、これまでも高齢農家などが地域において助け合いながら、農業を行うための集落営農組織の育成や共同生産活動を支援する中山間地域等直接支払制度を実施しております。
また、産直市場や農業体験施設など、都市住民との交流施設の整備や高齢者のすぐれた知識、技術などを活用する香川県むらの技能伝承士制度の推進・普及にも努めております。
さらに、人口減少対策として、本年度から人口の減少や高齢化の著しい小豆地域をモデル地区として、特産品であるオリーブの栽培を通じた移住促進の仕組みづくりにも取り組んでいるところです。
御提言の高齢者による営農クラブ活動や施設整備などについては、現在のところ考えておりませんが、今後とも市町や関係団体と連携して、高齢者等が生きがいを持って農業生産や地域活動に取り組み、中山間地域が活性化されるよう努めてまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)佐野
教育委員会委員長。
(
教育委員会委員長佐野伸治君登壇)
◯
教育委員会委員長(佐野伸治君)三野議員の教育再生会議第二次報告の学力向上策についての御質問にお答えします。
まず、授業時間と学力向上については、授業時間数をふやすことは学力向上を図るための有力な方策の一つであると考えております。
しかし、単に授業時間をふやすことだけではなくて、あわせて教育内容の充実や各教科等の授業時間数のあり方などについても検討する必要があります。
次に、土曜日の授業と生きる力については、学校、家庭、地域の三者が互いに連携し、役割分担しながら社会全体で子供たちの生きる力をはぐくむという学校週五日制の基本的な考え方は、今後も重要であると考えます。
教育再生会議の第二次報告においても、学校週五日制を基本としつつ、必要に応じ土曜日の授業を行えるようにすると提言されております。
また、先月十九日に閣議決定された経済財政改革の基本方針二〇〇七でも同様の方針が出され、本年度中に学習指導要領などの改訂を行うこととされております。これらの改訂の中で、学校週五日制のねらいである生きる力をはぐくむことに十分留意して検討されるものと考えます。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)
和泉教育長。
(教育長和泉幸男君登壇)
◯教育長(和泉幸男君)三野議員の御質問にお答えいたします。
まず、土曜日の授業実施への対応についてであります。
先月十九日に閣議決定された経済財政改革の基本方針二〇〇七では、必要に応じた土曜日の授業も含め、授業時間数の一〇%増を図ることが示されております。
本年度中に学習指導要領などの改訂を行うための具体的な検討が進められますが、土曜日に授業を実施するためには学校の種類による性格の違いや現場の実情を踏まえつつ、教員の勤務体制や財源措置等に留意して検討する必要があると認識しており、中央教育審議会における教育課程全体の見直しの動向を踏まえて対応を検討したいと考えております。
また、教員の働きやすい職場環境の整備は大切な問題であり、土曜日に授業を実施するとしても勤務体制等に留意する必要があると考えているところですが、このほかこれまでも市町
教育委員会と協力しながら、各学校における会議の効率化や行事の精選などの工夫を行ってきており、今後とも教員が子供たちに向き合える時間をより多く確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、教員免許更新制についてであります。
教員免許更新制の導入により、現職教員も十年ごとに三十時間以上の免許状更新講習を修了したことの確認を受けることが必要になります。この講習の詳細については、今後、文部科学省令等で定められることになっていますが、その時々で教員に必要とされる知識技能を刷新するためのものであって、文部科学大臣が認定した大学等で開設されることになっています。
一方、県教育センター等の研修では、教員の経験年数に応じて教科指導や生徒指導、マネジメント能力等の向上を目指して実施しております。これらの研修は、免許状更新講習とはその目的を異にするものと考えておりますが、今後、明らかになってくる講習の内容等を見ながら、研修のあり方について、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
また、国会審議の中では免許状更新講習について、休日や長期休業期間中の開設のほか、通信教育などの弾力的な履修形態も検討し、更新講習が実施されても平日の授業に影響が出ないような配慮がなされることが明らかにされております。
したがいまして、人員増等の措置は必要ないものと考えておりますが、新制度の具体化に合わせ、その導入に適切に対応できるよう準備を進めてまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)一般質問を続行いたします。
宮本裕美君。
(宮本裕美君登壇、拍手)
◯宮本裕美君 統一地方選挙後、初めての香川県議会定例会において、新人議員でただ一人一般質問を行わせていただくことに対して、大変光栄に思うとともに、その重責を痛感いたしております。
新人議員初の一般質問ということもありますので、大変緊張もしております。何とぞよろしくお願いいたします。
さて、私の心の師と仰いでおります桑田真澄投手が、二十年来の夢をかなえ、現在、大リーグのマウンドで活躍しております。三十九歳という年齢での大リーグ挑戦には、大変大きな決断が必要だったと思います。
しかし、まだ白球を追いかけたいという思いで海を渡り、何の確約もない中でも努力に努力を重ね、夢を実現されました。その姿に私は感動し、夢を持ち続けること、夢をつかみ取るために努力しないといけないということを痛感させられました。
桑田投手が「オールドルーキー」と大リーグで言われておりますが、私、宮本裕美も県議会のルーキーとして努力を重ね、活躍できるよう精進していく所存でございます。
また、先般行われました世界陸上大阪大会の予選ともなっておりました陸上の日本選手権において、香川県出身であり、現在、丸善工業所属の綾 真澄さんが、女子ハンマー投げで世界陸上への切符を手にしました。彼女は、私の高校来の友人でもあり、今も連絡をとり合っている仲でございます。
香川県出身の選手が世界陸上に出場することは、香川県としても大変喜ばしいことであると思いますし、今後、そういった選手がどんどんふるさと香川から出てくることを御祈念いたしまして、私の質問に入らさせていただきます。
質問の第一点目は、行政評価についてであります。
香川県の借金の残高は、今年度末で約七千六百億円になる見込みであります。私は、選挙期間中からこの七千六百億円という数字に着目して、この借金を返すためには既に二、三年の財政改革プランでは太刀打ちできず、十年、二十年を見据えた財政改革プランが必要であり、それを実行し、見直していけるのは若い二十七歳の宮本裕美だけであると訴えてきました。その訴えを実行するためには、ついせんだって香川における新しい三年を見通した財政改革プランについて、八月にたたき台を、十月に方策を打ち出すという見解を示されましたが、私は今回与えられた四年の任期を有効的に使い、県民とともに新しい長期財政改革プランを立ち上げたいと考えています。
県の歳入については、県税や国からの地方交付税等の比率が大きいため、大幅な増収は見込めません。その中で行うべきことは、既に行われていることは承知の上で申しますが、むだを減らすということであります。しかし、むだを減らすといっても人それぞれ価値観が違うことは否めませんが、その中でもむだの削減を考える上で、一つの提案をしたいと思います。それは、既に実施した施策について、予算で見込まれたような効果が出ていないものに対して、プラン・ドゥー・チェック・アクションを通してもう一度見直し、経費を削減できるものはしていくということであり、適切な行政評価を行って、施策・事業の見直しや廃止を行うとともに、一方で新しい施策への立案に結びつけていくことが重要であると考えております。
例えば、中小企業支援策について、施策に対する費用対効果は出ているかどうか、政策立案の時点から定量的分析を行って、本当にこの施策を行うことに意義があるのかどうかを数値的に示して施策の実施を判断することなどが必要であると考えます。中小企業支援については、私自身否定的ではなく、むしろ推進派ですが、現在、行われている中小企業支援策について、雇用の創出、地方税の増収にどの程度効果が出ているのか、適正に評価できているとは思えません。
そこで、今まで県が実施してきた施策・事業について、有効性、効果性、必要性などの観点から、どのように評価、検証を行っているか、知事にお伺いいたします。
また、今後、施策に対してさまざまな立場の人々がいろいろな視点から意見を出され、討論し、決定していくと思われますが、本当に県民の声が生かされているかを基本として議論していくことも重要であると考えます。
そこで、多くの人の意見を反映する努力を行い、県の施策に県民の声を反映させ、よりよい施策・事業の立案に役立てていくために、行政評価に外部評価を取り入れていくべきであると思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。
質問の第二点目は、うどん店の排水処理対策についてであります。
香川県において、全戸配布されている広報誌「THEかがわ」の六月号を読んでいると、私の目に一つの記事が飛び込んでまいりました。それは「VOICEあなたの声を県政に生かします!」という県民の皆様から知事にあてられた声に答えるコーナーの文面でした。内容は、「うどん店の排水対策を」というものでした。うどん店が排出するゆで汁の水質汚濁についての対策がおくれているのではないかという県民の方からの声と、それに対する答えでした。
このうどんのゆで汁による水質汚濁に関しては、県議会においても平成十五年ぐらいからたびたび取り上げられている問題と伺っております。香川県にとってうどんは象徴的存在であり、今や讃岐うどんと言えば全国的に知られているブランドでございます。また、映画「UDON」が制作され、全国で上映されたことで、さらに讃岐うどんの知名度が上がったことは間違いありません。そして、讃岐うどんは香川県の知名度の向上、観光客の増加など、多くのプラス要素をもたらしております。しかし、その反面、問題となっているうどんのゆで汁の排水問題については、全国ニュースにも取り上げられており、讃岐うどんのイメージの低下、ひいては香川県のイメージダウンにつながってしまわないかと大変危惧しているところであります。また、まだまだ県民の皆様に御心配をかけているということが、広報誌の記事から酌み取ることができ、私としてはこの問題に対して何とかしたいという思いを強くさせられました。
そこで、既に何度となく議論が繰り返されてきたとは思いますが、県民の皆様の御心配、疑問にこたえるべく、今議会の私の質問の中でも取り上げさせていただきたいと思います。
現在、県としては川や海に優しいうどんづくりという、うどんの排水の汚れを軽減する方法や、どのような排水処理施設があるのかなどを説明したパンフレットをつくり、各うどん店に配布したり、重点整備地域という本県独自の制度を設け、市町に支援を行い、地域の実情に応じて下水道や合併処理浄化槽等の施設整備を促進しているとのことです。しかし、それには莫大な費用がかかる上、その施設も巨大なため、小規模うどん店の排水対策としてはできるだけ小型で安価な処理施設を開発し、普及させていくことが必要だと考えます。その点に関して、今後、どのような施策をもってこの問題に当たっていかれるのか、また、現在は大きな施設を要する排水処理施設の規模の縮小化について、どのような研究が進められているのか、実現の可能性はあるのか、知事の所見をお伺いいたします。
質問の第三点目は、サンポート高松の有効活用についてであります。
瀬戸内のシンボルとして創設されたサンポート高松。平成十三年に一部オープンされてから、少しずつ新設、整備、拡張などが行われ、今や香川県の一つのシンボルとして位置づけられております。
高松港、JR高松駅、ことでん高松築港駅、駅前広場などは、再整備を通して四国の玄関にふさわしい海、陸の交通の結節拠点としての強化が図られ、また、国際化、情報化に対応した新しい都心の核づくりなどの整備が行われ、香川県のシンボルとしての役割を果たすべく、ここまで進められてきました。しかし、飲食店を経営する方からは、余り人が集まってこないので、経営が困難であるという声があります。また、現在、車社会となっている中で、特に自動車で行動される方が多い香川県において、商業施設や飲食店を利用する方々からは、普通であれば施設内で一定の金額を超えて買い物や食事をしたら駐車券がもらえてもいいのではないかといった声や、パスポートを申請しに行くにも自動車で行くと駐車料金がかかるなどといった県民からも不満の声が聞こえてきます。また、特に夕方から夜の時間帯の観光スポットして見込まれていましたが、それほどの利用がないといった現状がございます。
にぎわいづくりのためにつくられたサンポート高松でありながら、当初の見込みとはかけ離れた実態となっていることは、見逃すわけにはまいりません。また、香川県の発展の観点からは、既にここまで整備されてきたサンポート高松を、何の施策もなく手放しにほうり出してしまうこともできません。サンポート高松の都市開発関連用地が、現在、県立病院の移転候補地として上がっているのも事実でございます。
そこで、今後のサンポート高松のあり方について、中・長期的なまちづくりの観点から、また、県内外の多くの人々に利用していただくよう
にぎわいづくりの観点からどのようにしていこうとされているのか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
質問の第四点目は、現代アートによるにぎわいの創出についてでございます。
香川県のアートで、今、一躍脚光を浴びているところに直島があります。
直島には、直島のアート活動のはしりである安藤忠雄氏が設計された美術館とホテルを兼ねたミュージアムと、三つの宿泊棟で構成された「ベネッセハウス」、地上ゼロ階、地下三階という常識を覆した美術館「地中美術館」、消えかけた土地の記憶をアートの力で再生する試みの「家プロジェクト」の大きく三つの柱から成る現代アートの拠点があります。
ベネッセハウスの入館者数は、平成十五年には二万八千五百九十九人だったものが、平成十八年には五万六千七十二人、地中美術館では平成十六年の三万二百三十二人から、平成十八年にはその二倍以上の六万九千八十五人となるなど、毎年ウナギ登りとなっており、今や香川の現代アートによる
にぎわいづくりのメーンになっているとも言えます。
しかし、観光客数が増加している一方で、いろいろな問題もあります。まず、アクセスという観点からは高松からフェリーで五十分かかること、また、便数の少なさが挙げられ、整備不足が否めません。また、多くの人を一度に受け入れる体制も整っておらず、休日などでは何時間も待たなければ入館できないといった問題も発生しております。さらに、ソフト面から見るとガイドなどが充実しているとは言えない状況であります。これらのマイナス面を少しでも改善していくことが必要であると考えます。
また、香川における現代アートは、直島を中心に地球を彫刻した男の息遣いが今も聞こえる場所として顕在している「イサム・ノグチ庭園美術館」、二十世紀日本画壇を代表する一人である東山画伯の祖父の出身地である島の見える瀬戸大橋のたもとにつくられた「香川県立東山魁夷せとうち美術館」、全国のアートファンが認める快適さと創造性があふれる「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」など、瀬戸内にきらめく現代の美が凝縮されております。それらすべての美術館において、入館者数は一部特別展などの内容にも影響されますが、増加傾向にあります。にぎわい創出の拡大、観光立県を目指す香川県において、これらの現代アートは今も既に目玉ではございますが、全国にその名をとどろかすように、さらに全国的に紹介していき、観光の大きな柱として育てていく必要があると思います。
一つ一つの美術館に特色があり、この分野では高い評価を受けているため、今後も入館者数の増加傾向は続くと思われますが、それに甘んじることなく、県としても対策を講じていく必要があると考えます。日本一狭い香川県であっても、その移動には困難を来します。特に、都市圏に比べ交通アクセスが余り整備されておりません。
そこで、今後の対策として、香川県内を点在する各美術館へのルートバス、現代アートバスを走らせてみてはいかがでしょうか。
アクセス面の充実もさることながら、現在、路線バスや琴電などで行っているようなバスに現代アートを施し、広告として活用していけば、より一層の効果が考えられます。「一日で回る現代アートの旅IN香川」と題してツアーを組んで、集客をアップさせることも考えられます。特に、予約が必要なイサム・ノグチ庭園美術館やアクセス面が特に悪い直島との連携を図るような企画があると大変おもしろいと思います。
さらに、ここまでは美術館のことだけに特化してきましたが、香川県の観光についてという大きな枠組みで考えますと、水族館がリニューアルした屋島、日本でも有数の景観を誇る庭園として名高い栗林公園、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のロケ地として使われ、話題となった庵治町など、香川が誇る観光地と美術館めぐりを組み合わせることで、より香川の魅力を考えていけるようなPRができれば、香川県全体の観光事業の強化につながると考えます。
そして、これらの観光振興、
にぎわいづくりの推進に当たっては、知事みずから積極的にPRしていっていただきたいと思います。知事みずから汗をかくことによって、全国的に香川県の観光のPRになることはもちろんのこと、県民に対しても香川県が県として観光に力を入れていることをアピールしていく機会にもなります。どうか知事、先頭に立って旗振り役を買っていただきたいと切に思いますので、よろしくお願い申し上げます。
そこで、知事にお伺いいたします。
現代アートによるにぎわいの創出に向けて、今後、香川の誇る現代アートをどのように全国的にアピールしていくのか、また、さまざまな面でのサポートをどのように行っていくのか、知事のお考えをお聞かせください。
質問の最後は、自転車や歩行者の交通安全対策について、質問します。
私にとっては当たり前のことだと思っていたのですが、県外から来た友人が、この高松の日常生活を見て驚いたことの一つを紹介いたします。それは、田町商店街の交差点での光景でございます。この田町商店街は、高松では有名な自転車通行スポットであります。そこでは、信号機が青に変わると一斉に両側からあふれんばかりの自転車が通行していきます。中国や東南アジアでは自転車量が多いと言われていますが、私の友人が言うには、ここは中国よりすごいところだそうです。また、田町商店街のアーケードを南に抜けると藤塚町、栗林商店街となっているのですが、中学まで栗林・桜町地区で過ごした私の経験、そして今、自動車を運転するようになり、その商店街を通るときの運転の困難さを考えると、自転車が我が道のように車道の真ん中を通る、自動車の前を急に横切って走っていくなど、この商店街での自転車の通行ルールは非常に悪く、安全面でも考えさせられるところであります。
本年五月十八日に国土交通省は警察庁と協力し、海外に比べおくれている道路での自転車道整備をさらに進めることを決定しました。その背景には、自転車と歩行者による交通事故が増加していることがあります。
道路交通法の規定では、自転車は車道を通行するのが原則となっております。自転車及び歩行者専用などの標識がある場合は歩道を通行できますが、通行の際は歩道の中央から車道寄りを徐行し、歩行者の通行を妨げるときは一時停止しなければなりません。しかし、こうした規則は実際余り守られておらず、また、余り知られていないという実情もあると推測されます。
このように、自転車の正しいルールが守られていない実態を踏まえ、自転車の通行方法のルールについて、県警としてはどのように県民に指導しているのか、周知徹底をいかにしていくのか、県警本部長にお伺いいたします。
香川県は、道路舗装率九九%と日本一の舗装率ではありますが、自転車道はおろか、歩道と車道が区切られていないところも数多く見受けられます。無論、両側に民家があり、歩道確保が困難な場合があることも理解せざるを得ないところもあります。しかし、今後、高齢化が進む中で、高齢者の事故を防ぐためにも歩道を整備することで歩行者等の安全を確保していかなければならないと考えます。
そこで、今後の歩道整備について、歩行者や自転車の交通安全対策の見地からどのように進めていかれるのか知事にお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇)
◯議長(尾崎道広君)理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)宮本裕美議員の御質問にお答えいたします。
まず、サンポート高松の有効活用についてであります。
昨年度、シンボルタワーへの来場者は、ジャパンフラワーフェスティバルなどの大規模イベントの開催や地下駐車場の料金改定を実施したことなどから、対前年比六・九%増の二百八十八万三千人となりました。
今後とも、高松市や高松観光コンベンション・ビューロー、シンボルタワー開発株式会社などと連携し、コンベンションの誘致や民間のノウハウを活用した店舗展開やイベントの開催、駅前でのイベント情報の発信に積極的に取り組んでまいります。
また、本年四月からサンポート高松B2街区等の事業計画提案競技の募集を行っており、できる限り早期に商業施設などを誘致し、サンポート高松に新しい魅力をつくり出すとともに、国の高松地方合同庁舎の整備促進により、サンポート高松の拠点性を一層強化していきたいと考えております。
さらに、中・長期的なまちづくりについては、サンポート高松も含めた周辺のウオーターフロントの将来のあり方について、現在、県と高松市や香川大学との共同研究において検討を進めており、ここにしかない空間構想を取りまとめたいと考えております。
次は、現代アートによるにぎわいの創出についてであります。
直島を初めイサム・ノグチ庭園美術館など、個性的な香川独自のアートの数々は、本県の
にぎわいづくりに大きく寄与する資源であると考えております。
県では、アートをテーマにしたガイドマップの作成や、メディア、旅行エージェントの招聘等を行うなど、香川の誇るべき現代アートの情報発信と誘客促進に取り組んでおります。その結果、新聞や全国雑誌での記事掲載や、首都圏や関西圏の旅行会社の商品造成につながるなどの成果が上がっております。
また、交通アクセスについても「直島スタンダード2」展の期間中、県が支援して増便された高松・直島間を結ぶ高速艇が利用者に好評だったことから、本年も今月から十一月までの土、日、祝日に再び運航されることになりました。
さらに、昨年度実施した県内五つの美術館をめぐるスタンプラリーを、本年度は金刀比羅宮を加え、十月から開催される「金刀比羅宮・書院の美」展に合わせて実施することとしております。
私も、機会あるごとに香川のアートのPRに努めてきたところでありますが、今後とも時期に合わせ、工夫を重ねながら、アートを活用したにぎわいの創出に積極的に取り組んでまいります。
なお、その他の御質問については、担当部長からそれぞれお答えいたします。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)山下政策部長。
(政策部長山下幸男君登壇)
◯政策部長(山下幸男君)宮本裕美議員の行政評価についての御質問にお答えいたします。
厳しい財政状況の中、県民が未来に希望や夢が持てる社会を目指すとともに、みどり・うるおい・にぎわいの創造の実現を図るためには、より一層施策の選択と集中を図っていく必要があります。
そのため、施策や事業を数値目標等を用いて評価し、その達成度や効果を把握することにより、施策の必要性や有効性、効率性などをできるだけ客観的に判断し、施策の見直しや重点化に反映させているところであります。
また、行政評価では、県政世論調査等により施策の重要度や満足度を把握した上で、そうした県民の声を施策に反映させるよう努めております。
さらに、その評価結果を、県議会の決算行政評価特別委員会を初め民間有識者で構成する
行財政改革推進会議等で御議論をいただいております。
今後とも、県議会はもとより、さまざまな機会をとらえて民意の把握に努め、施策の展開に反映させてまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)青山
環境森林部長。
(
環境森林部長青山忠幸君登壇)
◯
環境森林部長(青山忠幸君)宮本裕美議員のうどん店の排水処理対策についての御質問にお答えいたします。
排水規制のかからない小規模な事業場等は、河川等の汚濁負荷の約四分の一を排出しております。
県では、こうした事業場に排水処理施設を設置していただけるよう、低コストで維持管理が容易な排水処理施設の技術開発の支援などに取り組むとともに、公害防止条例の見直しの中で排水処理施設の設置を義務づけることについて、環境審議会の審議や県議会、事業者の意見も伺いながら、検討を進めております。
うどん店の排水処理施設については、これまでの取り組みの結果、排水の汚濁濃度が法律の規制並みの水準になるまで処理できる技術は開発されましたが、一層のコストの低減が課題と考えております。
このため、現在、排水のすべてではなく、特に汚濁の程度が高いゆで汁等のみを処理する技術を研究するなど、さらなるコストの低減に努めております。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)久保土木部長。
(土木部長久保市郎君登壇)
◯土木部長(久保市郎君)宮本裕美議員の交通安全対策のうち、歩道整備についての御質問にお答えいたします。
少子高齢社会が到来する中で、すべての人々が安全で快適に生活できる道路の整備がますます重要になってきており、自転車歩行車道の整備や歩道のバリアフリー化等、歩行者や自転車に優しい道づくりが求められております。
このため、香川県新世紀基本構想の重点推進プランにおいて、平成十八年度から二十二年度までの五年間に五十キロメートルの歩道を設けることとし、鋭意その整備に努めているところであります。
なお、平成十八年四月現在、県管理道路全延長千七百七十四キロメートルのうち六百九十五キロメートル、約三九%の歩道整備が完了しております。
県としては、厳しい財政状況ではありますが、地域住民の要望や交通状況等を勘案しながら、関係市町及び公安委員会等と連携を図り、人々が安全で安心して通行できますよう、歩道等の整備に計画的に取り組んでまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)山田
警察本部長。
(
警察本部長山田尚義君登壇)
◯
警察本部長(山田尚義君)宮本裕美議員の自転車の安全対策についての御質問にお答えいたします。
香川県内の自転車が関係する交通事故は、昨年二千二百八十五件発生し、十年前と比較しますと約一・四倍に増加しており、厳しい状況にあります。
また、先般実施されたアンケート調査結果では、約七七%の県民の方が自転車の交通マナーは「少し悪い」、または「かなり悪い」と回答するなど、自分たちの交通マナーを悪いと感じております。
このため、県警察では自転車のルールを周知するパンフレットの配布、学校などにおける参加・体験型の交通教室の開催などの諸対策を進めています。
また、昨年八月から自転車利用者に対する指導取り締まりを強化し、平成十八年には八千八百四十六件の指導警告を行ったところです。
県警察は、今後とも自転車に関する交通安全教育の推進、街頭指導取り締まりの強化などに努め、自転車の正しい通行ルールが守られる機運が醸成されるように取り組んでまいります。(降壇)
◯議長(尾崎道広君)理事者の答弁は終わりました。
暫時休憩いたします。
午後零時十二分休憩
午後一時 八分開議
─────────────────────────────
出 席 議 員
篠 原 公 七 君 新 田 耕 造 君
佐 伯 明 浩 君 谷 久 浩 一 君
渡 辺 智 子 君 広 瀬 良 隆 君
白 川 容 子 君 宮 本 裕 美 君
竹 本 敏 信 君 三 野 康 祐 君
高 城 宗 幸 君 花 崎 光 弘 君
斉 藤 勝 範 君 西 川 昭 吾 君
大 山 一 郎 君 有 福 哲 二 君
都 築 信 行 君 樫 昭 二 君
村 上 豊 君 梶 正 治 君
高 田 良 徳 君 宮 本 欣 貞 君
辻 村 修 君 黒 島 啓 君
都 村 尚 志 君 五所野尾 恭 一 君
山 田 正 芳 君 十 河 直 君
香 川 芳 文 君 大 西 邦 美 君
砂 川 保 君 篠 原 正 憲 君
木 村 嘉 己 君 組 橋 啓 輔 君
綾 田 福 雄 君 白 井 昌 幸 君
増 田 稔 君 筒 井 敏 行 君
松 本 康 範 君 鎌 田 守 恭 君
山 本 直 樹 君 名 和 基 延 君
平 木 享 君 水 本 勝 規 君
欠 席 議 員
尾 崎 道 広 君
─────────────────────────────
地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 真 鍋 武 紀 君
副 知 事 高 木 孝 征 君
病院事業管理者 平 川 方 久 君
政 策 部 長 山 下 幸 男 君
総 務 部 長 尾 崎 猛 君
環境森林部長 青 山 忠 幸 君
健康福祉部長 細 松 英 正 君
商工労働部長 中 山 貢 君
農政水産部長 山 田 哲 也 君
土 木 部 長 久 保 市 郎 君
知事公室長 法 兼 義 信 君
防 災 局 長 川 部 英 則 君
観光交流局長 川 池 秀 文 君
水 道 局 長 天 雲 俊 夫 君
会計管理者 小 夫 孝之助 君
病 院 局 長 穴 吹 哲 夫 君
教育委員会 佐 野 伸 治 君
委 員 長
教 育 長 和 泉 幸 男 君
公安委員会 神 原 博 君
委 員 長
警察本部長 山 田 尚 義 君
選挙管理委員会 竹 崎 克 彦 君
委 員 長
代表監査委員 野 田 峻 司 君
監 査 委 員 村 井 真 明 君
事 務 局 長
人事委員会 武 田 安紀彦 君
委 員 長
人事委員会 谷 野 克 明 君
事 務 局 長
労働委員会 笠 原 良 三 君
事 務 局 長
政策部次長 濱 田 厚 史 君
─────────────────────────────
◯副議長(篠原公七君)再開いたします。
一般質問を続行いたします。
花崎光弘君。
(花崎光弘君登壇、拍手)
◯花崎光弘君 もはや、本物の日本食はなくなってしまったのでしょうか。そんな疑問を抱かされるのは、海外の日本食レストラン認証制度をつくろうといった農水省の検討のてんまつです。日本の正しい食文化の普及や食品産業の海外進出を後押しすると鳴り物入りで始められました。
世界じゅうで日本食を名乗るレストランは、約二万五千店ありますが、中には、日本食と言えない料理を出すレストランも少なくないことから、正しい日本食を海外に普及するのがこの制度のねらいです。日本食の普及で農産物輸出に拍車がかかるのでは、と期待もありました。目指したのはイタリア型、政府機関の認証制度で、イタリア料理の基本的な性質を備え、正統的な素材と料理方法を用いていることのほか、店内がイタリア生活様式を反映した雰囲気であることなどが認定の要件です。
しかし、日本では素材ごとに細かい規格があり、政府がお墨つきを与えて選別することへの批判が相次ぎ、有識者会議の結論は民間による推奨制度に後退しました。しかも、正しい日本食の統一基準を設けることも断念。食材や調理方法、店の雰囲気など各国、地域の実情に応じて総合的に判断するとしたのです。これも日本食の定義づけが困難であるとの理由からです。
確かに何が日本食かという判断は、国内でも難しいものがあります。和食の代表であるすしにしても、回転ずしでは米国からの逆輸入のカリフォルニア巻きが定番になっています。ハンバーグや焼き肉を乗せたすしを出す店もあります。しかも、うどんにしろ、そばにしろ、豆腐にしろ、原料の多くは輸入依存です。海外に普及しようとする前に、私たち自身が食文化を見直す必要があるのではないでしょうか。
そこで、質問の一点目は、農業生産の振興についてであります。
飼料をめぐる情勢が大きく変わりました。国際的な穀物需給の逼迫から配合飼料価格が高騰し、畜産、酪農経営を圧迫しています。これは一時的なものではなく、食料か燃料かという深刻な事態が進行しているとの見方が専門家の間でも強くなっています。輸入飼料に依存する畜産、酪農の足元が揺るぎ始めているのです。
トウモロコシ相場は、一年前のほぼ二倍の水準になりました。中国が、経済成長を伴って需要を増加させることに加え、ここに来て米国のエタノール需要が急増、在庫水準が大幅に低下していることがその原因です。アメリカ政府は、環境に優しいエネルギーへの転換や中東諸国への依存度を減らすねらいから、バイオエタノール生産の大幅な拡大を打ち出しています。エタノール用トウモロコシの生産は、二〇〇七年度には輸出量に匹敵する量に達する見通しで、十年後にはさらに倍増する計画です。食料用と飼料用が大半を占めていた需要に新たに燃料需要が加わりました。米国の農政は、輸出重視から内需優先に転換したとの指摘もあります。
こうした状況を考えると、我が国もこれまでのような安価で安定した飼料輸入は難しくなると見なければなりません。我が国にとって自給飼料の増産にしっかりとした道筋をつけ、畜産、酪農の基盤を再構築することが課題となります。また、コスト上昇分を製品価格に転嫁することへの消費者への理解も欠かすことはできません。そして、これは飼料だけにとどまりません。トウモロコシの増産で、圃場が競合する大豆の作付が減少するとの見方もあります。また、中国は穀物輸入をどこまで拡大するかはかり知れず、最近の世界的な異常気象を考えますと気象災害による大幅減産という事態も起こり得ます。現に、オーストラリアは昨年大干ばつで小麦の生産が平年の半分以下にまで落ち込みました。金さえ出せば、世界じゅうから思いのまま食料を買うことができる時代は終わりつつあるのです。
そこで、県としても農畜産物を初めとした食料の自給率の向上にこれまで以上に真剣に取り組む必要があると考えますが、知事の御所見をお尋ねいたします。
また、これまでの農政は、生産者側の視点に立ったものが中心でしたが、今後はこうした国際情勢のほか、ますます多様化、細分化する消費者の嗜好、高級品志向や中食市場の拡大など、変化し続ける市場の動向を適切に分析して、各種の施策を大胆かつ機動的に対応する必要があると考えます。特に、小麦の価格高騰はうどんの価格に影響が出るといった報道もあるようです。現在、県では全国に誇るうどん用の小麦「さぬきの夢二〇〇〇」の生産拡大に努めており、麦の作付面積の六割を占めるまでに至っておりますが、裸麦からの作付変更も含め、さらに増産体制を図るなど、思い切った戦略が必要な時期に来ているのではないでしょうか。
そこで、市場ニーズに対応した米麦生産の戦略の抜本的な見直しについて、知事の御所見をお尋ねいたします。
さらに、バイオエタノールの影響により、食品メーカーがマヨネーズや果汁飲料などの値上げを打ち出すなど、国民生活にも直接の影響が出てきております。四国の各県においても、高知県では五年前から木質バイオエネルギーマスタープランを策定して早くから取り組んでおりますが、徳島県はダムの流木などをボイラー燃料として活用する事業を、愛媛県では米を原料としたエタノールの生産・活用の調査費を、六月の補正予算でそれぞれ計上すると見ております。バイオエタノールの需要は、今後、飛躍的に伸びると思いますが、環境立県を掲げる本県としても、県内企業とも連携して積極的に取り組む必要があるのではないでしょうか。
そこで、本県の行政や企業のバイオエタノール関連事業の現状と今後の県の取り組みについて、知事の御所見をお尋ねいたします。
質問の二点目は、食育を活用した県産農産物の消費拡大についてであります。
某テレビ番組のデータねつ造の問題が次々と明るみに出て、社会問題となったのは記憶に新しいところです。データねつ造は言語道断ですが、健康、ダイエットと聞けばすぐに飛びつく消費者の意識もいかがなものかと思うのは、私だけでしょうか。
健康や栄養に関する情報を過大に評価し、信じ込むことを「フードファディズム」というそうです。ファディズムとは流行かぶれをあらわす英語で、いわば食物に対して一時的に流行に流されることを意味します。番組で納豆のダイエット効果が取り上げられた翌日は、スーパーマーケットの棚から納豆が消えるほどの売れ行きだったそうです。消費者の健康志向が強くなっているとはいえ、これはもう異常とさえ言える状態ではないでしょうか。生産者などが幾らPRに努めても伸び悩んでいた納豆の消費が、一本のテレビ番組で生産が追いつかないほど急増する、業界関係者は、さぞかし複雑な心境に違いないと思います。
また、逆の場合もあります。二〇〇一年に国内で初めてBSE、牛海綿状脳症が発生したときには、行政への不信感もあって牛肉の買い控えが広がり、消費は三割にまで落ち込みました。こうした消費者の気まぐれに翻弄されるのは、生産者の宿命なのでしょうか。
消費者の健康志向が強いのは、現状が不健康であることを裏返しています。問題なのは、日ごろの不摂生です。栄養過多でバランスの崩れた生活、それに運動不足。糖尿病など生活習慣病はふえ続け、内臓脂肪症候群は予備軍を含めると成人男性の五割に及ぶそうです。そんな日常生活を送りながら、一つの食品だけで健康になるはずはないのであります。
農産物にしても、官民挙げての消費拡大に取り組む中、なかなか成果に結びついていないのが現状であります。何とかテレビ番組で取り上げてもらいたい、関係者のそんな声を聞くこともあります。しかし、仮にそれで消費が伸びたとしても、これまでの幾つかの商品同様、一時的ブームに終わってしまうのではないでしょうか。
折しも六月は食育月間で、農林水産省は米を中心とした日本型食生活の普及・啓発を図るため、タレントの優香さんや宮崎美子さんを起用した食事バランスガイドのテレビCMが流されていましたが、我々が目指すべきは米を中心とした必要な栄養素をバランスよくとる食生活の改善です。消費者にとっては健康の増進につながりますし、生産者にとっては農産物の消費拡大が期待できると思います。そのためには、テレビCMといった派手な仕掛けも必要になるでしょうが、食や健康増進のための正しい知識を身につける地道な食育の取り組みが何より必要です。食育基本法が成立して二年が経過しましたが、フードファディズムに代表されるように、すべての人が正しい知識を身につけているとは言えない状況にあります。
そこで、食育を活用した総合的な県産農産物の消費拡大対策について、知事の御所見をお尋ねいたします。
質問の三点目は、観光振興についてであります。
昨年の県外観光客数は七百九十九万人、ここ十五年間で見ても明石海峡大橋が開通した一九九八年、金刀比羅宮の平成の大遷座祭や映画ロケ地ブームで沸いた二〇〇四年に次ぐ入り込み数を達成しました。また、来年は瀬戸大橋開通二十周年、小豆島におけるオリーブ植栽百周年、そして引田の安戸池で日本で初めてハマチ養殖に成功した郷土の偉人、野網和三郎氏の生誕百年とハマチ養殖八十周年といった節目のイベントも予定されており、本県観光も盛り上がりが期待されているところです。また、東かがわ手袋誕生の年、つまり手袋産業の生みの親である両児舜礼が、メリヤス手袋の製造に専念した明治二十一年から百二十年の節目を迎える年でもあります。しかし、イベントは一過性のものであり、打ち上げ花火に終わる可能性もあることから、長期的視点に立った実効性の高い施策が必要であることは言うまでもありません。
最近の観光PRを見ると、東京モノレールなどの車内広告やJR山手線の車体広告にしても、百貨店の伊勢丹や羽田空港の店舗の県産品のPRにしても、東京圏が中心だったように思います。もちろん、情報発信は残念なことに、ほとんどが東京発というのが我が国の現状を考えると首都圏での情報発信を最優先に取り組むことは理解できますが、本県へ身近に足を運ぶことのできる二千万人を超える人口を抱える関西圏での情報発信は、十分行われてきたのでしょうか。
全国的なスローツーリズムの流れもあり、本県でもスローツーリズムに特化した事業も展開しておりますが、そこで最大の売りになるのが瀬戸内海ではないでしょうか。瀬戸内海は、世界でも屈指の多島美を誇り、多くの島に歴史とロマンがあり、夢のかけ橋、瀬戸大橋があり、瀬戸の小魚に代表されるグルメの要素が十分にある上、最近ではここに直島アートが加わるなど、観光のあらゆる要素を含んだまさに世界屈指の観光資源です。来年に控える瀬戸大橋、オリーブ、ハマチの各記念イベントも、こうして見るとすべて瀬戸内海とつながるものばかりです。この貴重な財産を十分活用するには、瀬戸内海を共有する阪神地方を中心とした関西からの誘客を図ることが、直接的な入り込み客増につながるのではないでしょうか。
そこで、瀬戸内海を活用した観光振興策の展開と関西圏を標的とした誘客促進の考え方について、知事にお尋ねいたします。
また、国においては二〇一〇年までに一千万人の訪日外国人誘致を実現するビジット・ジャパン・キャンペーンを広く展開しており、本年一月には観光立国推進基本法が施行されました。この法では、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成、国際観光の推進などの基本的施策を通じ、観光立国の実現を図るということとしています。さらに、先日は国土交通省はその推進体制を強化するため、観光庁を来年度に新設する方針を固めた旨の報道もありました。
訪日外国人旅行者は、ビジット・ジャパン・キャンペーンが開始された二〇〇三年には五百二十一万人でしたが、二〇〇六年には七百三十三万人と過去最高値を更新しました。今後も、訪日外国人旅行者の増加が見込まれる中、本県としては、こうした旅行者にいかにして香川まで足を運んでいただくかが重要となります。そのためには、他の地域との競争、知恵比べに勝たなければなりません。
訪日外国人旅行者の増加は、国際相互理解の増進のほか、旅行消費の拡大、関連産業の振興や雇用の拡大により、地域の活性化といった大きな経済効果をもたらすことから国も積極的に推進しておりますが、本県には幸い瀬戸内海を初めこんぴらさん、栗林公園といった国際的な観光資源もあります。
そこで、外国人観光客の誘致促進について、知事にお尋ねいたします。
質問の四点目は、自転車事故防止についてであります。
昨年秋には、サンポート高松周辺でサイクルタウン香川自転車ワールドフェスタが県観光協会の主催で開催されるなど、本県でも自転車を使ったまちづくりを目指す動きがあります。高松市のレンタサイクルは、うどん店のはしごにもうってつけとあって、観光客などに好評を博しているようです。地球に優しく、乗る人の健康増進にも役立つ自転車は、まさに古くて新しい乗り物です。
しかし、自転車王国香川に立ちはだかるものが交通事故です。昨年の本県における人口十万人当たりの交通事故死亡者数は約九・五人で、平成十三年以来五年ぶりにワースト一位となりました。全国平均が約五人であることから、本県における死亡事故が起きる確率は、二倍近い状態にあると言えます。また、対人口比の交通事故発生件数は、平成十五年から四年連続してワースト一位であり、大変不名誉な状態が続いています。このうち、自転車の交通事故件数は二千二百件余りであり、対人口比ではやはりワースト一位、死者に占める自転車乗用中の比率は五位であり、自転車事故の割合が目につきます。
昨年の六月議会の一般質問において、交通事故を少しでも減らし、県民の安全・安心を確保する観点から、違法な自転車利用の取り締まりを積極的に行うべきではないかと質問をさせていただきました。県警本部長は、八月一日から酒酔い運転、信号無視など悪質・危険な違反には交通切符による検挙の措置をとる旨の答弁をいただきました。結果を見ると、十分な効果が出ているとは言いがたい状況です。事故防止のためには、まず利用者の交通マナーの向上を図ることが第一であることは言うまでもありません。
しかし、マナー向上策に取り組んでも限界があります。本県の事故の状況を考えると、県民の安全・安心を図るためには、大変悲しいことではありますが、これまで以上の指導取り締まりはやむを得ないのではないでしょうか。
そこで、昨年八月の指導取り締まりから約一年が経過しますが、指導取り締まりの結果の分析と今後の事故防止策のための具体策について県警本部長にお尋ねをし、私の質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(篠原公七君)理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)花崎議員の御質問にお答えいたします。
まず、農業生産の振興のうち、食料自給率の向上についてであります。
我が国の食料自給率は、食生活の変化などにより長期的には低下傾向にあり、近年ではカロリーベースで四〇%で推移しています。
今後、世界的な人口増加や異常気象、バイオエタノールの生産拡大などにより、食料需給が逼迫することも懸念されるところであります。このため、県では農業・農村基本計画に基づき、認定農業者など担い手の育成確保や優良農地の確保に努めるとともに、「さぬきの夢二〇〇〇」や「さぬき姫」など県が開発育成した農産物を初め、品目別に生産量の目標を設定し、生産の拡大に努めているところであります。また、食料自給率の向上には消費面での取り組みが重要であり、本年三月に策定したかがわ食育アクションプランに基づき、地産地消運動を展開するほか、御飯を中心とする栄養バランスがとれた日本型食生活の普及啓発にも努めてまいります。
今後とも、農業生産の拡大を図るとともに、地産地消などの一層の推進により、食料自給率の向上に努めてまいります。
次に、米麦生産の戦略についてであります。
まず、本県産の麦については、小麦「さぬきの夢二〇〇〇」はもとより、裸麦「イチバンボシ」についても実需者から非常に高い評価と一層の増産要望があるところであります。このため、今後は品目横断的経営安定対策に対応した麦の担い手の育成を支援するとともに、国の担い手経営革新促進事業を活用することにより、麦の作付面積の維持・拡大を図ってまいります。
また、米については、収穫後一週間以内に店頭販売する「今摺米」や酒米仕向けの「オオセト」を初めとする契約的な取引の推進のほか、さぬき特選「K.ブランド産品」に特選さぬき米を創設し、キャンペーンを実施するなど、地域ブランド米としての確立を図っているところであります。
さらに、本県初のオリジナル酒米「さぬきよいまい」につきましても、そのブランド化と需要拡大を推進してまいります。
今後とも、多様化、細分化する市場ニーズに対応した売れる米・麦づくりを積極的に推進してまいります。
次に、バイオエタノール関連事業の取り組みについてであります。
バイオエタノールなどバイオマスエネルギーは、地球温暖化など環境対策はもとより、新産業の育成や雇用の創出など、さまざまな観点から大きく注目されております。このうちバイオエタノールについては、国内での製造には安定供給や経済性などの点で課題も多く、現段階では技術開発や実証試験が進められているところであります。県内では、バイオエタノールに関する取り組みは承知しておりませんが、広くバイオマスエネルギーとしては、廃食用油から製造したバイオディーゼル燃料の利用等の取り組みが行われております。また、今年度は菜の花などを利用した燃料製造の事業化の可能性調査が三豊市で実施されるとともに、生ごみのバイオガス化による発電の事業化が高松市内の企業で検討されると聞いております。
県としても、今後ともバイオマスエネルギーについて広く情報を収集するとともに、バイオディーゼル燃料等実用性の高いものについて、モデルとなる取り組みへの支援や普及啓発などに取り組んでまいります。
次は、食育を活用した県産農産物の消費拡大についてであります。
県では、かがわ食育アクションプランに基づき、心身ともに健康で豊かな県民生活の実現を基本目標とし、食育を県民運動として取り組んでおり、その中で、讃岐米を初め県産の多彩なしゅんの野菜や果実などを活用した香川らしい日本型食生活の普及啓発を進めているところです。また、六月の食育推進月間に開催した食育シンポジウムでは、県産農水産物を活用した食生活改善のパネル展示や県内のボランティア団体等が取り組む県産農水産物を活用した食育推進プログラムの事例発表を行うなど、普及啓発活動にも努めているところです。
今後とも、関係機関と連携し、ホームページを活用した県産農水産物の情報発信や消費者と生活者との交流の促進、地産地消推進員や地産地消協力店などの取り組みの推進、学校給食への利用促進などにより、県産農水産物の一層の消費拡大に努めてまいります。
なお、その他の御質問については、
観光交流局長からお答えいたします。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)川池
観光交流局長。
(
観光交流局長川池秀文君登壇)
◯
観光交流局長(川池秀文君)花崎議員の観光振興について、お答えいたします。
まず、瀬戸内海の活用と関西圏からの誘客促進についてであります。
瀬戸内海には、映画「二十四の瞳」の小豆島を初め、現代アートの直島、さらには種類が豊富で新鮮な地魚など第一級の観光資源が数多くあり、これまで関西圏においてもこれらの情報を旅行会社やマスコミ等に提供するほか、百貨店等で観光・物産展を開催するなど、さまざまなPRを行ってきております。
今年度は、瀬戸内海が持つ魅力をさらに向上させるため、小豆島の文化遺産等をめぐるガイドツアーの造成や瀬戸内アートをめぐるスタンプラリーの実施、小豆島・直島間の海上タクシーの運航支援など、新たな観光プランの企画やアクセスの向上などに取り組んでおります。
特に、来年は瀬戸大橋開通二十周年、オリーブ植栽百周年、ハマチ養殖八十周年という瀬戸内海にとって記念すべき年に当たることから、これらの情報についてもJRグループや大手旅行会社とのタイアップなどにより積極的に発信し、関西圏からの誘客促進に重点的に取り組んでまいります。
次に、外国人観光客の誘客促進についてであります。
本県では、これまで国際定期便のある韓国やチャーター便の実績を重ねている台湾を中心に、観光資源のPRや旅行会社等への働きかけを行っております。
韓国については、ゴルフ需要が高く、温泉を楽しむ方が多いことから、従来の団体旅行に加え、企画ツアーによる個人旅行の誘客に努めております。
台湾については、四季の景観にあこがれる方が多いことから、栗林公園などの桜や紅葉の見どころ等のPRに取り組んでおります。
中国や欧米についても、国など関係機関と連携して旅行雑誌記者の招聘等を行い、現地の旅行メディアへの露出を図っております。
今後とも、各国の旅行者の需要動向を踏まえ、本県の魅力を的確に情報発信し、効果的な誘客に取り組んでまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)山田
警察本部長。
(
警察本部長山田尚義君登壇)
◯
警察本部長(山田尚義君)花崎議員の自転車事故の防止についての御質問にお答えいたします。
自転車の指導取り締まりを強化した昨年八月から本年五月までの十カ月間の指導警告件数は七千二百六十四件であり、前年同期と比較しますと件数では二千五百七十八件増加しています。その内容は、無灯火が五千二十七件と最も多く、次いで二人乗りが千七百七件となっております。本年一月には、高松市内で六十五歳の男性を酒酔い運転で交通切符により検挙したところでありますが、一般的に申し上げれば指導警告の対象は若者が多いことから、これら指導取り締まりにあわせて自転車マナーの向上対策として、県
教育委員会と連携した中学・高校生の自転車交通安全モデル事業や、自転車の安全利用についての意見交換会の開催などを行っております。
県警察としては、今後とも、悪質違反者に対する厳正な指導取り締まりを徹底するとともに、六月二十日に公布された
改正道路交通法の内容を踏まえつつ、正しい自転車の通行ルールを守る機運を醸成するため、地域交通安全活動推進委員やボランティアなどと連携した街頭指導を行い、自転車利用者による交通事故抑止に努めてまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)一般質問を続行いたします。
樫 昭二君。
(樫 昭二君登壇、拍手)
◯樫 昭二君 一般質問を行います。
まず初めに、渇水対策について、お尋ねします。
早明浦ダムの貯水率は一定量のまとまった雨があったものの、昨日現在で二八・二%にまで下がっています。きょうの雨が続けば別ですが、降らなければ近く一五%を割り、第四次給水制限に入る見通しになってきました。県民のさらなる節水努力が求められるところではありますが、夜間断水はできるだけ避けなければなりません。
吉野川水系水利用連絡協議会は、早明浦ダムの利用確保貯水量がゼロになった時点から、発電専用容量から緊急放流を行うことを決め、このことにより二十数日間は断水を回避できる可能性が出てきました。一方、取水制限の対象となっていない不特定用水の一部削減については、水利用連絡協議会の場でも話し合いが行われているようでありますが、合意に至ってはいないようです。
これについては、今後とも協議会の場で継続して協議がなされるようでありますが、知事は万全の渇水対策で県民生活や産業経済活動への影響を最小限にとどめられるよう、最善の努力を強く求めるものでありますが、今後の知事の決意をお伺いをいたします。
なお、安倍首相が先日丸亀に来て、早明浦ダムの底水をくみ上げると発言されたようですが、これは可能なのでしょうか。また、どの程度の水量確保が可能でしょうか、あわせてお尋ねします。
次に、年金問題について、お尋ねします。
五千万件を超える年金記録が宙に浮き、そのため受け取る年金額が減らされたり、受給権が消滅してしまう。保険料はしっかり払ったのに、その分年金が受け取れない。これでは、国が詐欺をしているのに等しく、国民の不安と怒りが広がるのも当然です。しかも、厚生労働省は早くから年金記録が宙に浮く事態を予測していました。こうした事態を引き起こした責任は、歴代政権、歴代厚生労働大臣が共同で責任を負うべきです。この問題は、国民には一切責任はなく、政府と国の責任で解決されるべきです。
日本共産党は、年金問題解決のため、国が責任を持った五つの緊急対策を要求しています。その内容は、一、年金保険料の納付記録を直ちにすべての受給者、加入者に送る。二、宙に浮いた年金記録の調査を限定せず、可能性のある人、すべての人に情報を知らせる。三、物証がなくても申し立てや証言などを尊重して支給する。四、コンピューターの誤った記録をすべての手書き記録とつき合わせて修正する。五、社会保険庁解体は国の責任逃れであり、年金保険料の流用をやめ、天下りの禁止など社会保険庁の抜本的な改革を行うことであります。
年金問題解決のための五つの緊急対策について知事の御所見をお伺いするとともに、国民の不安解消を県として国に対し強く申し入れを行うべきだと考えますが、年金問題に対する知事の基本的な考えをお示しください。
次に、子供の医療費無料化の対象年齢引き上げについて、お尋ねします。
今、子供を持つ親は子供の笑顔に励まされながら、仕事や子育てに懸命に取り組んでいます。しかし、子育ての不安の一つに子供の病気があります。子供は病気にかかりやすく、重症化することもあり、早期発見・治療が何より大切です。少子化対策、子育て支援にとっても医療費の無料化は大きな力になります。
そこで、以下、お尋ねします。
第一は、少子化対策は国の責任であり、国に対し所得制限なしで子供の医療費無料化制度を創設するよう、県として強く要望すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
第二は、国がやらなければ県と市町で義務教育終了まで無料にすべきだと思いますが、これもあわせてお答えください。
第三は、来年度から予算措置をしなくてもできることとしての提案です。
今まで、県は六歳未満児に対して無料化制度を実施してきました。その医療費負担はゼロ歳から三歳までで二割、三歳から五歳までは三割の負担で、それを県と市町で折半していました。ところが、来年度より三歳から五歳までの負担が二割になることにより、県は単純計算で一億七千二百万円の負担軽減になります。
そこで、提案ですが、その負担軽減分を使って県下すべての病院で窓口負担なしの現物給付にするとともに、現在、六歳未満児までの無料を小学校入学前までにそろえて対象を引き上げることが可能になると思います。この施策を来年度よりぜひ実施すべきだと思います。若いお母さん方からの強い要望です。積極的答弁を求めます。
次に、住民税増税について、お尋ねします。
六月から住民税が大幅にふえました。これは一九九七年の消費税率引き上げ以来の十年ぶりの大規模なものです。政府や与党は、税源移譲の影響にすぎず、増税ではないといってごまかそうとしています。
しかし、税源移譲とは国から地方に同じ税金が移るだけで、一・七兆円も税金がふえるという事実は消すことができません。定率減税の廃止という大増税を自分で決めておいて、増税ではないなどと言いわけすること自体が国民を愚弄するものです。
その一方で、政府・与党は、減価償却制度の見直しと証券優遇税制の延長によって、新たに一・七兆円の大減税を実行しました。庶民への増税分が、丸々大企業や大資産家の減税に注ぎ込まれようとしています。知事は、このような住民税の大増税をどのように受けとめておられるのか、まず初めにお尋ねします。
第二は、本年度当初予算で見込まれていた個人の県民税の税収三百十八億五十九万円ですが、定率減税廃止によって税収はどのぐらいふえるのでしょうか。増税の額をお示しいただくとともに、ふえた財源をどのように活用するのか。私は、県民の暮らし、福祉の向上に使うべきと考えますが、知事の御所見をお示しください。
第三は、県民に対し控除制度の周知徹底を図ることです。
住民税は、ほとんどの人がこれまでの二倍になり、高齢者では昨年の三倍から四倍になる人もいます。また、市町においては国保料や保育料の負担増にもつながり、年金生活者や低所得者には耐えがたいものとなっています。
私が調べたところ、障害者手帳がなくても障害者控除対象者認定書があれば障害者控除を受けられること、六十五歳以上の人は寡婦(夫)である場合、老年者控除の廃止に伴い寡婦(夫)控除を受けられること、所得二百万円以下の人は、医療費が十万円を超えなくても医療費控除を受けられることがわかりました。
まだほかにもあるかもわかりませんが、こうした控除制度を広報などを通じて県民に周知すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、県営住宅の問題について、お尋ねします。
知事は、財政難を理由に二〇〇六年度から十年間で十六団地、百九十三棟、二千百七十八戸を廃止するという県営住宅検討委員会からの答申を受け、昨年、県営住宅ストック総合活用計画の見直しを発表しました。この計画発表は、県営住宅に住む住民にとってはまさに青天のへきれきであり、大変な衝撃を与える結果となりました。高齢者の方々からは、「ついの住みかだと思っていたのにどうしたらいいのか」、若いお母さん方からは、「子供が学校に通っているのに急に出ていけと言われても困る」といった怒りの声が高まりました。
県の財政難を理由に、この計画は大型開発などむだ遣いのツケを県民に押しつけるものであり、公営住宅法の趣旨に反する全国にも全く例のない暴挙であり、私ども県議団は団地住民に大きな不安を与える住民追い出し計画は、直ちに撤回するよう強く求めるとともに、関係住民の方々とともに何度も住宅課との交渉を行ってまいりました。また、県営住宅連合自治会からも削減計画反対の署名が提出されました。
さらに、私どもは昨年九月、国に赴き、国土交通省との交渉も行ってまいりました。この交渉で、国土交通省の担当者は、「香川県の計画は公営住宅を廃止する用途廃止承認基準を満たしていない。財政難は理由にならない」と述べ、国としても県の削減計画に無理があることを認めました。これを受けて、十月には土木部長に対し国の意向を伝えるとともに、改めて計画の撤回を求めてきたところであります。
こうした中で、六月二十二日の代表質問で、知事は県営住宅の三割を削減する県営住宅再編計画を撤回し、今後、十年間で耐用年数を経過する四団地、七十一棟、二百八戸を廃止・削減の対象にすることを表明されました。そして、今回の見直し理由は、国との協議、用途廃止等が調わないこと、入居者の不安を解消する必要があることの二つの理由を挙げています。
そこで、お尋ねをいたしますが、第一に国との協議が調わなかったということですが、それは県として初めからわかっていたことではないのですか。県の経済同友会から出された県財政の再建と経済活性化の中期ビジョンに沿って不動産業界の言いなりに、県営住宅の三割もの削減計画を打ち出し、国の用途基準に合わないから用途廃止はできないというと、国の方針を変えさせてでも県営住宅の削減を強行しようとする住民無視の姿勢が、今、鋭く問われていると思います。私は、知事も土木部長も責任をとるべき重大な問題だと思いますが、知事のお考えをお示しください。
第二に、入居者の不安を解消する必要があるということですが、これは一体どういうことでしょうか。
そもそも入居者に何も知らせず一方的に削減計画を発表し、住民を不安のどん底に突き落としたのは知事や土木部長ではありませんか。私は、関係住民に対しおわびの文書を配布すべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
さて、当初計画の撤回・見直しですべて解決したわけではなく、新たな問題も起きており、以下、三点お尋ねします。
第一点目は、飯山団地の削減ですが、耐用年数経過が四十一世帯、未経過が四十七世帯で、計八十八世帯が対象になっています。ところが、現在の削減対象外の空き家数は十二戸しかなく、七十六世帯の人たちは今まで住みなれた団地から出ていかなければならなくなります。地元住民からも反対の声が強く上がっておりますが、この点についてどのように対処されるおつもりか、お尋ねします。
第二点目は、現在、県営住宅の応募倍率は約五・五倍だと言われていますが、今、県民の暮らしが大変なときに千二百四十八戸もある空き家を改修し、県営住宅に入居を希望される方がみんな入れるようにすべきではないでしょうか。空き家の計画的な改修について、具体的にお示しください。
第三点目は、廃止の理由の一つにもなっていた老朽化や耐震改修の問題です。
団地ごとに計画を立て、団地住民との協議、合意に基づいて改修に取りかかるべきです。この点についても具体的にお示しください。
次に、防災対策について、お尋ねします。
香川県防災基本条例が制定され一年たち、七月十五日から初めての県民防災週間が始まります。これを機に、県としても本格的な防災対策の取り組みが求められています。
一九九五年の阪神・淡路大震災が発生して以来、日本列島は地震の活動期に入ったと言われており、その後、二〇〇四年の新潟中越地震や二〇〇五年の福岡西方沖地震、そして、ことし三月の能登半島地震に見られるように、これまで大きな被害のなかった地域、空白域で大きな地震が発生しています。しかし、これらの地震は活断層による内陸型地震であり、これから先本県にとって本当に怖いのは、海底のプレートのずれによって起こる海洋型の巨大地震であります。その一つ、南海地震は三十年以内に五〇%、五十年以内に八〇%から九〇%の確率で発生すると言われています。
香川県は、気候が温暖で災害が少ないところだと昔から言われてきました。しかし、二〇〇四年に相次いだ台風で十九人ものとうとい命が失われるなど、災害が少ない分災害に弱いという体質が浮き彫りになりました。このときの教訓をしっかりと踏まえ、自分の命は自分で守る自助、自分たちの町は自分たちで守る共助、そして行政による公助の三つを正確かつ有効に機能させてこそ、災害時の被害を最小限にすることができると私は思います。
そこで、初めに、県民への啓発について、三点お尋ねします。
第一点目は、地震体験車をふやすことです。
県下各地で防災訓練が行われていますが、中でも一番人気が高いのが阪神・淡路大震災のときの震度七が体験できる体験車です。しかし、県で一台しかないため、地域で消防署を通じて申し込みをしても既に予約済みということで、土、日など休日はまず借りられないのが現状です。もう一台か二台ふやし、県民みんなが地震の恐ろしさを体験できるようにすべきと考えますが、お答えください。
第二点目は、AED、自動体外式除細動器の普及と啓発についてです。
AEDは、救急現場でごく簡単な知識があれば一般の人でも安心して電気ショックを行うことができる機器で、公共施設への設置が進められていますが、現状と今後の普及・啓発について、お示しください。
第三点は、住宅用火災警報器の設置です。
住宅で起きる火災での死者を減らすため消防法が改正され、新築住宅は昨年六月一日より、既存住宅は各市町村条例により二〇一一年六月一日までに設置が義務づけられています。しかし、このことは県民に十分知られていないのが現状です。現在までの設置状況と今後の普及・啓発について、お示しください。
次は、自主防災組織について、お尋ねします。
地域住民が一体となって自分たちの町は自分たちで守るという共助の精神で組織された自主防災組織が、その機能を十分に発揮し持続的活動を行うためには、その組織体制をしっかり整備することが必要です。
そこで、以下、四点について、お尋ねします。
第一点は、組織率についてです。
昨年、四月一日現在では五六・二%の組織率でしたが、ことし四月現在ではどうなっていますか。全国水準から比べても低い方にランクされていると思いますが、今後、どのように組織率を高めていくおつもりか、お示しください。
第二点は、質的強化についてです。
組織率の向上も重要ですが、災害時に自主的に活動ができる組織にしなければなりません。そのためにはリーダーの育成が急務です。リーダー研修の強化について、市町任せにせず県が積極的に行うべきだと思いますが、具体策をお示しください。
第三点は、防災資機材の助成についてです。
仄聞するところによりますと、県は来年度から防災資機材の助成を打ち切ると聞いています。防災資機材の助成をやめれば組織率の向上も、地域の防災力も高めることはできません。むしろ助成額をふやすべきだと考えますが、お考えをお示しください。
第四点は、自主防災組織の県組織の立ち上げについてです。
二〇〇六年四月に中央防災会議が決定した東南海・南海地震応急対策活動要領では、東南海・南海地震が発生した場合、政府は緊急災害現地対策本部を愛知県、大阪府、香川県の三カ所に設置することとされていますが、県内で具体的な設置場所はどこになるのでしょうか、お示しください。
また、このような状況から見ても県組織の立ち上げが必要と思いますが、お考えをお示しください。
次に、小・中学校の耐震化について、お尋ねします。
六月八日に発表された国の公立学校施設の耐震改修状況調査では、本県の小・中学校の耐震化率は一二・一%アップして四五%となり、全国最下位を脱出し、四十一位になりました。県当局の努力を評価したいと思いますが、全国平均の五八・六%と比較すればおくれた現状に変わりはありません。
今後、県は市町に対し来年度より小・中学校の耐震化支援を行うことにしており、耐震化率の向上に大いに期待するところでありますが、さきの代表質問の答弁では、小・中学校の統廃合とリンクさせての支援を検討するという内容であったように思います。学校の統廃合を前提とした支援のやり方はやめるべきです。学校の統廃合とは切り離し、市町の自主性を尊重して支援を行うべきと考えますが、知事のお考えをお示しください。
次は、個人住宅の耐震化支援についてです。
ことし三月に策定された香川県建築物耐震化推進プランにも示されているとおり、阪神・淡路大震災の地震による直接的な死者数の約九割が住宅建築物の倒壊によるものであり、一九八一年以前のいわゆる旧耐震基準で建築された既存建築物の耐震診断、耐震改修を計画的に促進することが重要です。しかし、この推進プランには一番重要な県の助成制度が盛り込まれていません。まさに「画竜点睛を欠く」とはこのことであり、立派な推進プランに魂を入れてこそ値打ちのあるものになります。
全国四十七都道府県で県、市町ともに助成制度がないのは四県だけです。個人住宅の耐震化支援を強く求め、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、朝日新町F地区の多目的国際ターミナルの建設計画について、お尋ねします。
真鍋知事の質問に対する答弁を聞いておりますと、県民の暮らしや福祉、教育に関する課題や問題に対しては、すべて財政難を理由にして実行を怠り、その一方で大型開発には税金を湯水のように使い、大変熱心に取り組んでいるように私は思います。
さて、この事業はF地区北側の約十六ヘクタールを埋め立て、大型貨物船が入港できる水深マイナス十二メートルの岸壁を新設しようとするもので、総事業費百七十五億円であります。私どもは、大型開発による県民負担はこれ以上ふやすべきでない立場で強く反対してきたところです。
現在、大型船の航路確保においても水深マイナス十二メートルが必要との立場から、しゅんせつ工事を開始するための漁業調査を行おうとしておりますが、これに関する漁協の同意が得られず、交渉は暗礁に乗り上げているようです。このあたりはイカナゴの漁場やクルマエビ、ヒラメなどの幼魚の放流場所として漁業にとっては重要な場所と言われており、このような漁師にとって命綱である大切な漁場をつぶしてまでやらなければならないものでしょうか。
瀬戸内海の環境と水産資源を守る取り組みが、今こそ求められているときはありません。この際、知事は県民の声に耳を傾け、多目的国際ターミナルの建設計画を見直し、税金は県民の暮らしや福祉、教育の充実のために使うよう改めるべきだと強く求めるものであります。知事の多目的国際ターミナルについての基本的な考えをお示しください。
以上で質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(篠原公七君)理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)樫議員の御質問にお答えいたします。
まず、渇水対策についてであります。
不特定用水の削減については、渇水への対応の一つの方策として、平成十七年に四国地方整備局から初めて提案され、ことしも吉野川水系水利用連絡協議会において継続して協議が行われております。
この問題については、ダム建設の歴史的背景や建設時の経緯を踏まえ、今後とも、国、四国各県、関係機関で構成する吉野川水系水利用連絡協議会での議論を注視してまいります。
次に、早明浦ダムの底水についてであります。
四国地方整備局によりますと、早明浦ダムの底水はだれにもその権利が設定されておらず、その利用については、河川管理者の判断により利用が可能とされているものであり、住民生活への影響、利水者の同意、河川環境への影響などを総合的に検討した上で判断するものと聞いております。また、底水について、どの程度の量をどう使用するかは、発電専用容量を使い果たす前に、渇水調整の場である吉野川水系水利用連絡協議会において決定されるものと承知しております。
なお、底水は利水放流管による早明浦ダムの管理操作によって放流が可能であると聞いております。
次は、年金記録問題についてであります。
年金記録問題については、現在、国において年金記録の徹底的なチェック、相談体制の拡充、納付記録がない場合の第三者委員会及び検証委員会の設置などの対応がなされています。
年金制度は、国民が老後の生活を安心して送るための極めて重要な社会保障制度でありますので、国が責任を持って早急に対応策を進めていただきたいと考えております。
なお、先日、国から年金問題への協力依頼がありましたので、各市町に協力をお願いするとともに、県においても行政相談等で県民の方から相談があれば、社会保険事務所へ取り次ぐなどの対応を各部局に指示したところであります。
次は、県営住宅の再編整備についてであります。
国に対しては、県の考え方について、これまでも説明・協議に努めてきたところでありますが、現時点でも理解を得られないことについて、残念に思っております。
再編整備の状況等については、機会あるごとに自治会長や入居者への周知に努めてまいりました。今回の見直しについても、既に関係自治会長などに対し説明会を開催するとともに、近く入居者に対し文書で通知する予定であります。引き続き理解が得られるよう努めてまいります。
飯山団地の削減については、入居者の生活の安定を考慮しつつ、移転について理解を得た上で、不安を招かないようきめ細かに対応してまいります。
また、厳しい財政状況でありますので、空き家については、修繕に要する費用や県内全体の需要の状況などを考慮し、的確な供給に努めてまいります。老朽化や耐震改修の問題については、今後、対応方法について検討してまいります。
次に、小・中学校の耐震化支援についてであります。
小・中学校の耐震化に対する財政的な支援については、現在、小・中学校の統廃合の促進との関連も考慮しながら、平成二十年度から実施できるよう検討しております。
小・中学校の統廃合については、設置者である市町の判断に基づき適切に行われることが重要でありますが、統廃合により一定の学校規模が確保され、多くの子供たちがともに学び、ともに遊ぶことで豊かな心やたくましさが培われるとともに、充実した教育環境で学習が行えるなどの効果が期待されますことから、耐震化に対する新たな支援策については、小・中学校の統廃合の観点も含めて検討したいと考えております。
なお、その他の御質問については、担当部局長からそれぞれお答えいたします。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)尾崎総務部長。
(総務部長尾崎 猛君登壇)
◯総務部長(尾崎 猛君)樫議員の住民税についての御質問にお答えいたします。
住民税の定率減税は、景気対策のための特別減税として平成十一年度に導入され、その後経済状況が改善していることから段階的に廃止されることになったものであり、法人税制等ともあわせて国において制度設計がなされているものであります。
国税、地方税を通じた税制は、経済の活性化や少子高齢化に伴う安定的財源の確保など、直面する課題に対応できるよう各税目の果たす役割を踏まえて総合的に検討していくべきものと考えております。
定率減税の廃止により、今年度の当初予算においては約十億円の増収になると見込んでおります。県民の方々に納めていただいた税金でありますことから、厳しい財政状況の中、貴重な自主財源として適切に活用してまいります。
また、今回の住民税の制度改正については、広報誌等を通じて周知に努めるとともに、直接の窓口である市町に対して各種控除制度も含め、住民へのきめ細やかな周知を要請しているところであります。
今後とも、市町と連携を図りながら、各種控除制度などが県民に十分周知されるよう努めてまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)細松
健康福祉部長。
(
健康福祉部長細松英正君登壇)
◯
健康福祉部長(細松英正君)樫議員の乳幼児医療費支給事業についての御質問にお答えいたします。
乳幼児を持つ家庭の経済的負担を軽減することは、少子化対策としても重要であり、これまでも国に対して乳幼児医療費助成制度の創設を初め、子育て家庭に対する経済的支援の充実について、要望を行ってきたところであります。
義務教育終了までの無料化については、大幅な財政負担増を伴うものであり、事業実施主体である市町の意見も伺う必要があることや、本県の乳幼児医療費支給事業は入院、通院ともに六歳未満を対象とするなど、全国的に見て高い水準にあることから困難であると考えております。
また、全県的な現物給付制度の導入等については、医療費の請求に伴う事務手数料の取り扱いや乳幼児だけでなく医療費全体の動向も考慮し、市町とも十分協議しながら、事業全体について総合的に検討してまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)久保土木部長。
(土木部長久保市郎君登壇)
◯土木部長(久保市郎君)樫議員の御質問にお答えいたします。
まず、防災対策のうち個人住宅の耐震化対策についてであります。
国の基本方針では、住宅・建築物の耐震化の促進のためには、まず住宅・建築物の所有者等が地域防災対策をみずからの問題、地域の問題として意識して取り組むことが不可欠とされております。また、防災対策は、自助、共助、公助の理念のもと、県民、市町、県がそれぞれの役割を果たし、協働して行うことが基本であると考えております。
県では、住宅の所有者等に対しては、耐震化への取り組みを支援するという観点から、引き続き県民向けセミナーや技術者養成講習会を開催するとともに、耐震に関する相談体制の整備を図り、耐震化の促進に努めてまいります。
住宅や民間建築物への県費補助については、現在、財政再建中であり、防災対策として高潮対策のほか、河川や砂防などの治水・治山対策、さらには防災拠点施設や県立学校の耐震対策などに多額の費用を要することから、現段階では困難と考えております。
次は、高松港多目的国際ターミナル整備についてであります。
多目的国際ターミナルの整備は、高松港の物流の効率化や機能強化を図り、激化する地域間競争の中で外国との輸出入を増大させるなど、本県の経済活動の活性化に資するものであります。さらに、岸壁の耐震化を図ることによって大規模地震災害時の復旧拠点としての役割も期待されるなど、大きな効果が見込まれるところであります。
このため、今後とも国と協力しながら、漁業関係者の理解が得られるよう協議を進め、事業の推進に努めてまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)川部防災局長。
(防災局長川部英則君登壇)
◯防災局長(川部英則君)樫議員の防災対策についての御質問のうち、啓発活動と自主防災組織について、お答えいたします。
地震体験車については、防災センターの地震体験コーナーとあわせ効率的に活用することにしており、複数整備する考えはありません。
AEDについては、現在、学校や公的施設など約百八十施設に設置されており、今後ともAEDの使用方法に関する講習会の開催やAED設置一覧の県ホームページへの掲載など、普及・啓発に努めてまいります。
住宅用火災警報器については、建築確認を要する新築住宅は設置状況を確認しておりますが、既存住宅については届け出義務がないため、設置状況の把握はできておりません。
今後とも、消防関係機関等と緊密な連携を図りながら、積極的に普及啓発活動を実施してまいります。
自主防災組織については、ことし四月現在の組織率は五六・一%であります。
今後とも、市町と連携して各種啓発活動や助成を行いながら、結成促進に取り組んでまいります。
また、県では自主防災組織のリーダーへの研修を行っており、今後とも、実働研修の実施など研修内容の充実を図ってまいります。
防災資機材への助成については、平成二十年度までの三カ年を強化期間として助成額を引き上げており、積極的な活用を働きかけてまいりたいと考えております。
自主防災組織は地域住民による自発的な組織であり、県としては県全体を対象とする組織づくりについては、考えておりません。
なお、国の緊急災害現地対策本部の設置場所については、早急に決定されるよう国に対して要望しているところであります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。
樫 昭二君。
(樫 昭二君登壇、拍手)
◯樫 昭二君 二点、お尋ねしたいと思います。
子供の医療費無料化制度ですが、細松部長は総合的に検討するというお答えでしたが、来年度から現物給付について、実施をするのかしないのか、この点について、もう一度答弁を求めたいと思います。
二点目は、県営住宅ですが、私は知事に対し責任をとるべき重大な問題だと思うとお聞きしましたが、この点について、お答えがありません。関係住民にもきちっとしたおわびをしてもらいたいと、こういう立場で質問しておりますので、答弁をお願いします。
また、飯山団地は、ほかに公営住宅が近くにありません。理解を求めようにも高齢者、障害者が多く、ほかに行くところもないという状況です。そういう点で、飯山団地の問題については、これはもう本当に十二分に住民への対応をお願いしたいということで、再答弁を求めたいと思います。
以上で再質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(篠原公七君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)樫議員の再質問にお答え申し上げます。
県営住宅の問題でございますけれども、今議会の代表質問でもお答え申し上げましたように、居住者への謝罪につきましては、検討過程では各種の議論や発表が行われますが、直接的な謝罪の問題が生じるような性格ではないというふうに御答弁申し上げております。その考え方に変わりがございません。
また、飯山団地の削減につきましては、入居者の生活の安定を考慮しつつ、移転について理解を得た上で、不安を招かないようきめ細かな対応をしてまいりたいと考えているところでございます。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)細松
健康福祉部長。
(
健康福祉部長細松英正君登壇)
◯
健康福祉部長(細松英正君)樫議員の再質問にお答えいたします。
全県的な現物給付制度の導入等につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、医療費全体の動向も考慮し、市町とも十分協議しながら、事業全体について、総合的に検討してまいりたいと考えております。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)一般質問を続行いたします。
渡辺智子さん。
(渡辺智子君登壇、拍手)
◯渡辺智子君 質問に先立って、今議会中に発足することになっております議会改革に関する検討委員会について、一言申し上げます。
この検討委員会には、二人に一人の人数割で委員を出すことになったので、一人会派は入れないとのことでした。これまで、例えば委員総数が十三人の検討委員会でもちゃんと一人会派の参加が認められてきたのに、なぜ委員が十九人もいるこの検討委員会ではあと一人だけ加えて、私はあと一人なんですね、すべての会派が参加をするという形がとれないのか、私にはどうしても納得ができませんでしたので、議長に抗議文を出して御説明を求めました。
人数割としただけで他意はないというお答えでしたけれども、私には、とにかく渡辺は入れたくないというふうにしか思えませんでした。
私は、これまで……。
(発言する者あり)
◯渡辺智子君(続き)静かにしてください。
さまざまな機会をとらえて議会改革や議会費の削減・透明化などについて提言をしてきましたし、今任期の最初の五月初旬にも就任されたばかりの議長にこうした問題について要望書を提出したところでした。もちろん、私の意見がそのまま通るとは思っていませんけれども、せめて議論の場にくらいは入れていただきたいと思います。
議会改革については、少数派も含め、多様な視点からしっかりと議論することが大切ではないでしょうか。
また、どんな問題についてどんな議論がされているのかという議論の過程も県民にオープンにされるべきであり、県民の皆さんの声を聞きながら、一緒に考えて改革を進めていく姿勢がなければ、真の議会改革とはなり得ません。閉ざされた扉の中で県民の声に背を向けた議会改革論議にならないようにしていただきたいと強く訴え、以下、質問に入ります。
大きく四点について、知事、選挙管理委員長、教育長、
警察本部長にお尋ねします。
まず、一点目。いよいよ来週には参院選が始まります。私たち議員も今春の統一地方選を戦ってきたわけですが、民主主義の基本であるこの選挙に関して、三点について、お尋ねします。
まず一点目は、選挙公報の配布方法についてです。
選挙公報は、言うまでもなく有権者にとって選挙の際の重要な基本情報であり、公選法の規定では原則として各世帯に配布しなければならないことになっています。県内では、高松市以外は業者委託あるいは郵送、シルバー人材センターへの委託などにより全戸配布されていますが、高松市だけは新聞折り込みとなっています。高松市の世帯数は約十七万五千です。今回の香川県議選の場合、新聞折り込みが十八万七千六百五十部、市役所や出張所などに備えておいて求めに応じて交付するという補完措置分二千三百五十部合わせて計十九万部を発行しています。ただし、当然のことながら、これには事業所での購読や複数部購読している世帯も含まれています。
公選法第百七十条第二項は、確かに特例的に新聞折り込みも認めてはいますが、これはほとんどの世帯が新聞を購読していた時代の規定であり、問題は全国的に新聞購読世帯数が年々減っていることです。高松市によれば、新聞を購読していない世帯数は調査していないとのことで、不明とのことですが、例えば二〇〇四年当時、東京の葛飾区の場合、十九万世帯中、購読していない世帯が四万八千世帯、約二五%、足立区は二十七万五千世帯のうち八万世帯、約三〇%だったとのことです。また、二〇〇三年の日本新聞協会の調査によれば、二十歳代の若者の新聞非購読率は二六・五%となっていたとのことですが、この数字は調査のたびに上がっていますので、恐らくことしは三〇%を超えているのではないかと思われます。
経済的な理由や高齢化、あるいはテレビやインターネットのニュースを見れば足りるとして、新聞を購読しない世帯がふえていると言われています。仮に十七万五千世帯のうち少なく見積もっても一〇%が購読していないとすると一万七千五百世帯、約三万四千人の有権者に選挙公報が届いていないことになります。幾ら新聞を購読していない世帯への補完措置として市役所などに置いていたとしても、ある程度関心のある人でなければわざわざ取り寄せたり、取りに来たりはしないでしょう。新聞をとっていないために、ただでさえ選挙に関する情報を得にくい人たちが、選挙公報という基本的な情報さえも得られないという矛盾が生じているわけです。また、情報を得られないために選挙に無関心になり、無関心なために情報を得る方法さえもわからないという悪循環が、今の低投票率の原因の一つにもなっているように思われます。
選挙管理委員会は、さまざまな方法で投票率アップのための啓発活動をしており、今回の県議選でも八百万円かけて啓発活動をしていますが、すべての有権者に選挙権を行使するための情報提供をきちんと行うという最も基本的なことができていないというのは極めて重大な問題です。
このような状況を踏まえて、全国では新聞折り込みから業者委託などによる全戸配布に切りかえる自治体が出てきています。県選挙管理委員会として高松市選挙管理委員会に選挙公報の配布方法について、再考を求めるべきではないでしょうか。
また、もし新聞折り込みを続けるというのなら、少なくとも新聞を購読していない世帯がどのくらいあるか抽出調査などを行い、補完措置が本当に機能しているのかどうかの確認を求めるべきだと考えますが、選挙管理委員長の御所見をお聞かせください。
ちなみに県政だより「THEかがわ」は、業者委託によって県内に全戸配布されています。県政だよりの発行時期を選挙公報の発行時期に合わせられる場合には、一緒に配布することでコストをかなり節減できると思います。
例えば、県議選の選挙公報と県議会だよりが同時に配布されて、候補者間に不公平が生じることなどがないようにというふうな配慮は必要でしょうが、時期さえうまく合えば可能なはずです。そのような方法も柔軟に考えていいのではないかと考えますが、これもあわせて選挙管理委員長にお尋ねします。
二点目に、期日前投票の不正防止について、お尋ねをいたします。
今回、初めて期日前投票をした人が、投票所入場券も身分証明書も要らないなんて、あんないいかげんなチェックでは不正投票が防げないのではないかと驚いていましたが、案の定、詐欺投票で逮捕者が出ました。新聞報道によれば、高松市での詐偽投票のケースでは、宣誓書記載の名前が間違っていたことを指摘されたにもかかわらず、それ以上の本人確認をすることもなく投票できたとのことです。新聞には、県警幹部の「間違いに気づいた段階で本人確認をきちんとしていれば、詐偽投票は防げたのではないか」というコメントが紹介されています。
また、以前から選挙のたびに不在者投票や期日前投票への組織的な大規模動員が行われているとか、お金の絡んだ成り済まし投票が行われているといううわさが飛び交っていましたが、この事件が組織的な犯行ではないかという点についての真相解明がぜひとも必要だと考えます。この点について、
警察本部長の御所見と、これについてどのように取り組んでおられるのかをお尋ねいたします。
公選法の規定以上の手続を強制するわけにはいかないということはわかりますけれども、期日前投票の公正性と信頼性の確保のために不正の入り込みにくい方法をとるべきです。例えば、投票所入場券の持参を呼びかけることや不正防止のために本人確認を行うことがあることを周知すること、宣誓書の記載の際に不自然な様子がないかどうかをチェックしやすくするなどの方策をとるべきだと思います。
県選管として、期日前投票の公正性を確保するためにどのように取り組まれるのか、選挙管理委員長にお尋ねします。
三点目は、これは私たちにもかかわる問題です。
県知事選、県議選ポスター作成への公費助成上限額の見直しについて、お尋ねいたします。
ポスター作成費や選挙カーの運行費、公選はがき郵送費などが公費で助成される選挙公営制度は、お金がなくても立候補できる、すなわち資金力に左右されず、被選挙権の行使を広く保障するという意味で大変重要な制度です。そのコストは、民主主義のコストとも言えますが、重要な制度であるからこそ、その助成額は適正なものでなければなりません。九九年には栃木市でポスター代を水増ししたとされる問題が起き、翌年、議員のほとんどが公費負担分を市に返還するという事件が起きています。また、岐阜県山県市では二〇〇四年の市議選のポスター代について、最近現職市議を含む数人が詐欺容疑で県警から事情聴取され、県警は容疑が固まり次第書類送検する方針とのことです。
ポスター作成への公費助成の上限額は、例えば高松市選挙区では基準単価の上限額が一枚八百二円で、枚数は掲示場所数の二倍の千四百四枚となっており、限度額は百十二万六千八円となっています。国政選挙に関して定められた国の基準と全く同額を条例で規定していますが、印刷業の関係者にお聞きしますと、この金額は一般的な基準よりはるかに高い設定になっているとのことです。
先ごろ行われた本県県議選での公費助成額について情報公開請求したところ、例えば、高松市選挙区ではポスター作成費の最高額は百六十八万円、最低額は二十四万八千円と七倍近い開きがありました。作成枚数も最も多い候補が二千枚、最も少ない候補が七百四十枚と三倍近い開きがあります。公費助成の請求書提出済みの県議選候補者五十名のうち、公費助成上限額と同額を請求している候補者は十七人であり、上限額の九九・七%、九九・八%などの候補者四人を加えると、二十一人がほぼ上限額いっぱいの請求をしています。それらも含め、上限額の九〇%以上の請求をしている候補者が全部で二十八人となっています。
デザインにこだわってつくれば作成費が高くなるということは当然考えられますが、このような高額に設定しなくても十分に通常のポスター作成が可能であることは、上限額の五〇%以下の候補者が十六人、その中でも三〇%以下の候補者が八人もいることでわかります。また、公費助成対象の作成枚数も、現在の規定では掲示板設置箇所数の二倍までとなっていますが、破れや傷みなどのトラブルにも一割増し程度で十分対応可能であり、二倍も印刷するのは資源のむだ遣いでもあります。
ちなみに、知事も昨年の知事選挙でポスター作成費の公費助成を受けておられますが、公費請求額は上限いっぱいではなく、その約六割の七十三万八千百五十円でした。県の財政厳しいとおっしゃっているだけあって、六割に抑えられたんだと思います。
以上のような理由から、県知事選、県議選のポスター作成費公費助成の上限額を見直すべきだと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
質問の大きく二点目は、香川県建築物耐震化推進プランについて、お尋ねをいたします。
その一点目は、パブリックコメントを実施しなかった理由です。
このプランは、本年三月に策定されました。耐震対策など災害への備えについては、広く県民が参加してともに考えるべき問題であり、このプランには県や市町の役割だけでなく、「建築物の所有者の役割」として一般の県民にもかかわりの深い項目が含まれているにもかかわらず、策定に当たってパブリックコメントは実施されませんでした。
このプランの策定協議会には外部団体などは参加しておらず、県庁内部の各課と高松市の建築指導課によって構成され、昨年四月から四回開催されています。二月十三日の第三回会議で素案が提示されていますが、それからでもパブリックコメントを求めることは可能だったはずですから、県議会でも大きな議論になったこの問題について、時間がなかったというのは理由になりません。
補助制度について、県民からの要望の声がたくさん出ることを恐れ、それを避けようとしたのではないかというように見えてしまうのですが、なぜパブリックコメントを実施しなかったのか、お尋ねします。
また、今後、耐震化の取り組みに県民の声をどのように反映させていくのかについてもお尋ねいたします。
二点目は、このプランの目標値の実効性です。
高知県が昨年度実施したアンケート調査によれば、耐震診断、耐震改修に取り組めない理由として「経済的な理由により対応ができないから」というのが大変多く、行政に望むこととして「補助制度をつくってほしい」という回答が多数寄せられたとのことです。
そこで、高知県では国の制度を活用したり、県単独の補助事業を行ったりして耐震化を進めようとしています。
本県では、民間住宅の耐震化率を現状の六四%から平成二十七年度には九〇%にするとのことですが、本当に県としての耐震改修補助を何ら行わないまま実現できると考えておられるのでしょうか。
プランの策定協議会では、こうした補助制度に関してどのような議論があったのか、また、案ができた最終段階で建築関係団体に説明し、耐震化目標値について意見を求めたとのことですが、そのとき目標値の実効性についてどのような意見が出たのか、お尋ねします。
この策定協議会を継承する香川県住宅・建築物耐震対策推進協議会、これは仮称ですけれども、このメンバーはどのような構成とし、この点について、今後、どのような検討をするのか、お尋ねをします。
先ほど、樫議員からも御質問がありましたけれども、この耐震化への補助制度については、高松市長も一昨日の市議会で「国や県の支援は必要だ」として「制度の必要性について、県と協議して県市長会を通じても県に強く要望していきたい」と述べておられるとのことですが、再度、知事の御所見をお願いいたします。
三点目は、安価な耐震改修、耐震補強の技術や器具の開発、製造への支援について、お尋ねします。
国土交通省の建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針、いわゆる基本方針では、所有者等の費用負担の軽減を図ることが課題であるとしており、「簡易な耐震改修工法の開発やコストダウン等が促進されるよう、国及び地方公共団体は関係団体と連携を図り、調査及び研究を実施すること」としています。これを受けて、高知県の計画では「県内企業による安価な耐震補強器具の開発・製造への支援を検討する」としています。
また、徳島県の計画では、「徳島県産木材を使用した耐震用壁パネルの開発と、これを使用した改修工法の普及を行うことにより、耐震改修を促進する」とあります。より安価に効率のよい耐震改修、耐震補強をする技術や器具類が開発されれば、県民の負担を軽減しながらその安全を守ることに貢献するとともに、県内企業にとっては新たなビジネスシーズともなり得ます。だからこそ、高知県や徳島県はこうした視点を計画の中に取り入れているのだと思います。
ところが、本県のプランにはこうした視点は全くありませんが、このような取り組みの必要性についてはどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
質問の大きく三点目は、行政の多重債務対策についてです。
念のため申し上げますけれども、県が多重債務になっているということではなく、多重債務問題に行政としてどう取り組むのかということです。
まず一点目は、多重債務者対策本部または協議会の構成について、お尋ねします。
本年、二月定例会の代表質問でもこの問題についてお聞きしましたが、政府が本年四月に打ち出した多重債務問題改善プログラムでは、多重債務状態の人が二百万人を超えると言われる深刻な現状に対して、国、地方自治体の各部局、専門家などが連携してこの問題に取り組まなければならないという意気込みの感じられる内容になっています。当事者や支援団体などが参加した有識者会議での議論がベースになっているためだと思われますが、従来の国のこの種のプログラムに比べると、現場の声がより反映されたものになっていると感じます。
このプログラムは、都道府県の役割の大きさを強調しておりまして、これは二月議会のときに私が提案した内容とも重なっているのですけれども、その一つとして、各都道府県に多重債務者対策本部または協議会の設置を要請していますが、本県においてはヤミ金融被害防止対策連絡会を拡充する形で対応するとのことです。ただ単に組織を設置して事足れりとするのではなく、支援活動を続けている団体などにも参加していただいて、早急に対策本部あるいは協議会を立ち上げ、現場の声を踏まえた実効性ある取り組みが進められるようにすべきだと考えます。これについて、知事の御所見をお聞かせください。
二点目に、県税や県営住宅家賃の滞納整理について、お尋ねいたします。
前回の質問でも多重債務の支払いを優先した結果、県税や県営住宅家賃が滞納になっているようなケースでは、相談に乗って債務整理を支援することで返還された過払い金を滞納分に充てられる可能性もあることを、秋田県の取り組みの例を挙げて提案しました。兵庫県芦屋市の収税課はそれを一歩進め、地方税滞納者の同意を得て、三月中旬から滞納者が貸金業者に対して持つ過払い金債権の差し押さえという手段を進めているとのことです。
滞納者の取引先のサラ金会社に取引経過資料の提出を求め、収税課職員が借金残高の再計算をして過払い金返還額を計算し、そしてその金額を差し押さえ通知書に記載してサラ金会社に支払いを求めるというものです。このような方法も検討すべきだと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
三点目に、多重債務者発生予防のための教育現場での取り組みについて、お尋ねいたします。
同プログラムは、教育の場における多重債務者発生予防のための金融経済教育の強化もうたっていますが、消費者教育という面以外にも、労働法令などについて知識のないまま社会に出た若者たちが、違法な賃金・雇用形態や解雇などによって経済的に行き詰まり、多重債務に陥るというケースもあると思われますので、労働法令に関する教育も重要だと考えますが、本県の中学、高校ではどのように取り組んでいるのか、教育長にお尋ねをいたします。
四点目に、ヤミ金被害者への警察現場での対応について、お尋ねいたします。
このプログラムは、ヤミ金の撲滅に向けた取り締まりの強化とともに、被害相談を受けた場合の警察の対応についても述べています。
ヤミ金による違法な貸し付けや取り立てを直ちにストップするよう電話による警告等を積極的に行うこと、違法行為に対して適切な対応ができるよう徹底するために、平易で実践的なマニュアルを現場の警察官に配布し、制度の基本的な知識を周知するなどが上げられていますが、県警としてはどのように取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
質問の最後は、外国人児童・生徒への支援と多様性を認め合う教育について、お尋ねをいたします。
まず、外国人児童・生徒への支援について、お尋ねをいたします。
外国から一家で香川に来られ、日本語の全くわからないまま小学校に入った子供さんが、なじめずに学校に行かないままでいるという御相談を受け、市の
教育委員会での手続や学校とのコミュニケーションなどについて、少しだけお手伝いをしました。
そこで痛感したのは、日本語のわからない外国人児童・生徒及びその保護者への支援は大変不十分だということです。
県内には二〇〇六年度の時点で日本国籍を持たない、いわゆる外国人児童・生徒が小・中・高合わせて二百十二人おり、そのうち日本語指導が必要な外国人児童・生徒は六十六人とのことです。本年三月に策定された「外国人住民と共に暮らす香川づくり推進計画」には、社会人の日本語指導特別非常勤講師の派遣や加配教員の配置を実施するとあるのですけれども、現状では講師派遣や加配の対象校は十四校だけで、外国人児童・生徒のすべての在籍校をカバーできていません。また、派遣時間も一校当たり年間二十四時間までと不十分で、加配教員もわずか三名が三校に配置されているにすぎません。対象校は前年度末までに決定され、年度途中で転入する児童・生徒がいても対応できないという問題もあります。
推進計画では、外国人児童・生徒、帰国児童・生徒のための日本語指導資料を作成することになっていますが、こうした資料は県独自で作成するよりも、先進県のものや文部科学省作成のものを利用して、それに県独自の情報を加える方がはるかに効率的です。資料作成に費やす予算とエネルギーは、現場で実際に活動する人的資源に回す方がより実効性の高い支援ができるのではないでしょうか。
日本語指導だけでなく、学校と保護者とのコミュニケーション支援も含め、講師の派遣や加配教員の配置、通訳ボランティアの派遣など、現場のニーズに合わせて柔軟に行う必要があると思いますが、これについて、教育長の御所見をお願いいたします。
次に、多様性を認め合う教育について、お尋ねをいたします。
教育基本法を初めとして強引な教育関連法の改定や教育再生会議の荒っぽい議論、これはいろんな調査とかデータに基づかず、何だか思いついたことを行き当たりばったりに提起しているというふうな印象を私は持っておりますけれども、こういう荒っぽい議論など、この国の教育は多様性を認め合う方向とは相反するとても危険な方向に進んでいるように感じられてなりません。
「今の子供たちはなっとらんから道徳心をたたき込まねば」という論調には、私はいつも違和感を覚えます。子供たちが学校で学ぶということの意味は、知識を学ぶだけでなく、周りの人とさまざまな関係を紡ぎながら、一緒に生きることを学ぶことだと思います。人は人から学び、人とのかかわりを通して自分自身を大切にすることも、相手を大切にすることも学んでいきます。子供たちは本当に何を学びたいのか、このことを学びたいと思ったら、強制しなくてもそのときはちゃんとやるんですよ。そういう力を引き出していく、それが教育だというふうに思っています。
私は、障害を持つ子供たちの教育に関する問題をこれまで議会で何度も取り上げてきましたが、数で言えばほんの少数の子供たちの問題のように見えることですけれども、実はほかの多くの子供たちにとってこそとても大切な視点を指し示していると私は思っています。すなわち、学校という場が例えばマイノリティーの子供たちをどのように受け入れ、どのようにして一緒に生きていこうとしているのかが、ほかの多くの子供たちにとっての何よりの教育になると感じているからです。
今、教育を立て直さねばと言うならば、どんな立派な道徳教育の徳目を並べ立てるよりも、その原点に立ち返るべきだと思います。
在日コリアンや国際教育の家庭の子供たちなどさまざまな背景を持つ子供たちが、県内の学校で学んでいます。県の教育基本計画では、外国語教育や国際理解教育など、いわゆる外に向けての国際化はうたわれているものの、自分たちの身近にいる、自分とは異なる背景を持つ人たちといかに共生していくのかという、いわば内なる国際化についての言及はほとんどありません。
さまざまな背景を持つ子供たちが、日本人としての誇りを強調する教育や排外的なナショナリズムに傷ついたり、居心地の悪い思いをしたりすることのないよう、子供たちがお互いを理解して尊重し合い、多様性を認め合える教育を実現しなければならないと考えますが、これについて、教育長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(篠原公七君)理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)渡辺議員の御質問にお答えいたします。
まず、選挙のポスター作成への公費助成についてであります。
公職の候補者のポスターの作成については、公職選挙法においてその経費を一定の範囲内で公費負担することが認められており、選挙の種類に応じて、法令または条例で規定された限度額の範囲内で支払うこととなっております。
知事選挙及び県議会議員選挙において、県が支出する場合の限度額として条例で定められている金額は、公職選挙法施行令に規定されている国政選挙の限度額に準拠したものとなっております。条例で定めているのは負担の限度額であること、国政選挙と地方選挙で差をつける合理的理由がないことなどから、現時点では見直す必要はないものと考えております。
なお、その他の御質問については、担当部長からそれぞれお答えいたします。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)尾崎総務部長。
(総務部長尾崎 猛君登壇)
◯総務部長(尾崎 猛君)渡辺議員の多重債務対策についての御質問にお答えいたします。
まず、協議会の構成についてであります。
政府の多重債務者対策本部では、この問題の深刻さにかんがみ、本年四月に多重債務問題改善プログラムを決定し、今後、国、地方自治体及び関係団体がそれぞれの立場でその取り組みを強化していくことにしております。
県では、このプログラムの趣旨に沿って相談窓口から専門機関への誘導が円滑にできるように、県警察、弁護士会、貸金業協会などで構成する連絡会の体制を拡充し、近く多重債務者対策協議会を設置することにしております。
協議会の構成については、基本的に多重債務者対策を講じている行政機関や関係団体で構成すべきと考えておりますが、効果的な対策を講じるためには被害者やその支援団体等の御意見を聞くことも必要であり、今後、そのような場も設けながら協議会を運営してまいりたいと考えております。
次に、県税の滞納整理についてであります。
滞納整理に当たっては、滞納者の財産を調査し、預貯金や給与等の各種債権、自動車などの動産や不動産等について差し押さえを行い、現金化して滞納金に充当しているところであります。
御指摘の過払い金債権の差し押さえについては、他の財産の差し押さえ等により徴収できるケースも多いことから、これまで実施していない状況にあります。
最近の最高裁判決により過払い金債権の範囲が拡大され、多重債務者から消費者金融会社への返還請求が急増している状況も踏まえ、滞納整理に当たり、公正かつ迅速な対応を図ることが多重債務者の救済にもつながることから、今後、必要に応じ過払い金債権の差し押さえも検討してまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)久保土木部長。
(土木部長久保市郎君登壇)
◯土木部長(久保市郎君)渡辺議員の香川県建築物耐震化推進プランについての御質問にお答えいたします。
このプランの策定に当たり、パブリックコメントは実施しておりませんが、私立学校や病院、社会福祉施設等の公共性のある防災拠点施設の所有者に対しては、耐震診断や耐震改修の予定、耐震化に対する考え等を把握するため、アンケート調査を実施しております。また、素案が完成した時点で、市町や建築関係団体にもその内容を説明し、意見を求めました。
今後、設置する協議会の中で、地域の状況に詳しい市町や建築関係団体から意見を伺い、耐震化の促進に努めてまいります。
耐震化率の目標値については、建てかえや除却等の自然的要因によるものだけで平成二十七年度時点での耐震化率が七六%と推計されておりますが、国と同様の九〇%に設定し、引き続き県民向けセミナーや技術者養成講習会等を実施することにより、目標を達成できるよう努めてまいります。
また、耐震改修促進計画策定協議会においては、補助制度に関する意見は特になく、建築関係団体への説明会でも目標値はおおむね適切であるとの御意見をいただいております。
また、仮称ですが、住宅・建築物耐震対策推進協議会については、これまでの耐震改修促進計画策定協議会の構成員のほか、新たに市町や建築関係団体等にも参加していただき、耐震化の啓発、相談体制の充実、耐震化率の検証等について協議してまいりたいと考えております。
なお、安価で簡易な耐震対策技術や器具等についても情報収集に努めるとともに、その開発の支援等について、検討してまいります。
また、防災対策は、自助、共助、公助の理念のもと、県民、市町、県がそれぞれの役割を果たし、協働して行うことが基本であり、高松市長からお話があった場合には、そうした観点から協議したいと考えております。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)
和泉教育長。
(教育長和泉幸男君登壇)
◯教育長(和泉幸男君)渡辺議員の御質問にお答えいたします。
まず、多重債務対策のうち、予防のための教育についてであります。
現在、中学校及び高校においては、公民科や家庭科等の授業の中で、労働関係法令の基礎的な知識や雇用と労働問題についての学習をしております。また、就職を希望している高校生を対象に、香川労働局と連携し就職ガイダンスを開催しており、より詳しい法令や雇用に関する相談窓口等の知識が身につくように努めております。
次に、外国人児童・生徒への支援についてであります。
県内の小・中学校に在籍する外国人児童・生徒に対しては、日本語の指導を初め、文化や生活習慣などの違いから生じるさまざまな問題を解決するための支援が必要になることもあります。
このため、県
教育委員会では外国人児童・生徒が在籍する学校を対象として、特別非常勤講師の派遣や外国人児童・生徒に対応する加配教員の配置などを行っております。また、これらの支援を受けていない学校でも、市町
教育委員会において日本語指導を行う講師を派遣するなどの対応がなされております。
このほか、外国人児童・生徒が年度途中に小・中学校へ転入するような場合には、日本語による意思疎通を支援するために、県の通訳等ボランティア派遣事業を活用できるようになっております。
今後とも、外国人児童・生徒への支援については、市町
教育委員会と緊密な連携を図り、できる限り学校のニーズに合った対応に努めてまいります。
次に、多様性を認め合う教育についてであります。
真に国際化された社会を実現するためには、外国人が同じ地域に住むことを当然とする意識の醸成を図るとともに、地域社会への外国人の積極的な参加を促進するなど、県民と在住外国人とが協力関係を築くことが重要であり、県では香川県人権教育・啓発に関する基本計画を策定し、その実現に向けて取り組みを進めております。
学校教育では、この計画に基づき児童・生徒が広い視野を持ち、異文化を尊重する態度や異なる習慣、文化を持つ人々とともに生きていく態度を身につけることができるよう、読み物教材を各学校に配布し、その活用を働きかけるとともに教員の意識や指導力の向上を目指し、研修会を開催しております。
県
教育委員会としては、互いの文化、習慣等の多様性を尊重するなど、国際化時代に対応した児童・生徒の育成に向け、今後とも努力してまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)山田
警察本部長。
(
警察本部長山田尚義君登壇)
◯
警察本部長(山田尚義君)渡辺議員の御質問にお答えいたします。
まず、期日前投票についてです。
今回の統一地方選挙違反取り締まりにおいては、違反実態に応じ必要な捜査を実施したところであり、詐欺投票事件については、現在のところ三事件、十名を検挙しております。これは各選挙管理委員会の御協力もいただきながら、捜査を緻密に進めた結果と考えています。
具体的な捜査の経緯や事件の中身については、差し控えさせていただきますが、県警察としては、今後とも民主主義の根幹をなす選挙の公正の確保に向け、不偏不党かつ厳正公平な立場から、詐偽投票を初め悪質な選挙違反に対しては徹底した取り締まりを行い、県民の期待にこたえるべく努力してまいります。
次に、多重債務対策における警察官の対応についてです。
ヤミ金融事犯については、県民生活の安全を脅かす重要問題と認識しており、県警察では貸金業規制法等の改正法の施行に伴い取り締まりを強化するため、本年一月に、これまでの香川県警察ヤミ金融事犯集中取り締まり本部を再編成するとともに、警察安全相談においてヤミ金融に対する被害相談を積極的に行い、このうち悪質なものについて、本年はこれまで三事件、五人を検挙し、電話による警告を三件行っております。
その際、被害者からの相談に適切に対応するため、ヤミ金融事犯を担当する現場の警察官にヤミ金融事犯相談対応マニュアルを配布するとともに、法改正の趣旨、背景等も含めて研修を行っております。
今後とも、関係機関との連携を密にするなどして違反情報を収集し、被害の未然防止や拡大防止に努めるとともに、暴力団が関与する組織的な事犯、無登録営業や高金利事犯等の悪質な違反行為を重点的に取り締まり、そしてそうした取り締まりを強化してまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)竹崎選挙管理委員会委員長。
(選挙管理委員会委員長竹崎克彦君登壇)
◯選挙管理委員会委員長(竹崎克彦君)渡辺議員の御質問にお答えいたします。
まず、選挙公報の配布方法についてであります。
県選挙管理委員会では、選挙公報の配布に当たり、市町選挙管理委員会に対し、選挙人の各世帯に漏れなく期限内に届けるようお願いをしているところでございます。
選挙公報の配布方法につきましては、法令等に特に定められたものはなく、市町の選挙管理委員会が地域の実情に応じて適切と認める方法により確実に配布するよう努力されているものと考えております。
高松市は、公職選挙法第百七十条第二項の規定に基づき、新聞折り込みにより配布しております。新聞未購読世帯を正確に把握することは困難でございますが、市では配布漏れの補完措置として庁舎窓口や各施設に備えつけるほか、広報誌、有線放送、ホームページなどによる啓発を行っていると伺っております。
県選挙管理委員会といたしましては、今後とも各市町選挙管理委員会に対しそれぞれの市町の実情を踏まえながら、選挙公報が確実に配布されるよう要請してまいります。
なお、県の広報誌とともに配布することにつきましては、配布時期の問題から困難であると考えております。
次に、期日前投票についてであります。
県選挙管理委員会では、これまでも各市町選挙管理委員会に対し、期日前投票をしようとする者が、選挙人名簿に登録されている者であることを十分確認し、選挙人であるかどうか疑わしい場合は、本人が確認できる書類の提示を求めるなど、可能な限り調査し、本人であることを確認の上、投票させるよう機会あるごとに助言を行ってまいりました。
選挙は、民主主義の基本をなす重要なものであり、公正かつ的確に行われなければならないものであることから、県選挙管理委員会としては、今後とも議員御指摘の趣旨も踏まえながら、不正の混入や選挙の公正を害することがないよう、適切な管理執行について助言してまいりたいと考えております。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。
渡辺智子さん。
(渡辺智子君登壇、拍手)
◯渡辺智子君 まず一点、答弁漏れだと思うのですけれども、選挙管理委員長の先ほどの御答弁の中で、新聞折り込みを続けるのであれば、補完措置が本当に機能しているかどうかの確認が必要ではないかというふうに申し上げた点についての御答弁がなかったと思います。
二千三百五十部を補完措置としてやっているけれども、それで本当に補完措置として機能しているかどうかの確認、これはもちろん全戸調査はできませんけれども、抽出調査などをして確認を求めるべきではないかということについての御答弁が漏れていたように思いますので、お尋ねします。
そして、再質問を二点させていただきます。
一点は、耐震化への補助制度について、これは、ぜひまた知事にお答えいただきたいのですけれども、これまでどおりのお答えでした。
県はお金がない、これまで市町にやってほしいというスタンスでしたけれども、私の質問で申し上げたように高松市長が、やっぱり県も一緒にやってほしい、ほかの県内の市町と一緒にお願いをするということになっているわけです。これで、県の方針は県内市町には理解してもらっていないということだと思います。
お金がないことについては、先ほど樫議員は別の提案をされましたけれども、これは、私が環境建設委員会で申し上げましたように、国の直轄事業国営讃岐まんのう公園でことしだけでも五億五千三百万円、これを国に知事みずから直談判をして、県民の安全のために耐震改修の補助をしたいのでというふうにお願いをしていただきたい。それを再度お尋ねします。
それからもう一点、多重債務者対策協議会の構成で、支援団体の御意見を聞く場を設けながらというと、正式メンバーじゃないということでしょうか。貸金業者の方は正式メンバーに入っているけれども、その被害者の立場の人は、時々呼んできて御意見を参考に聞くというふうになるのでしょうか。
群馬、埼玉、長野、愛知、それからもう一つあったと思いますけれども、メンバーとしてちゃんと入っているところがあるのですけれども、今の御答弁ではその辺がはっきりしませんので、正式メンバーとして入れるべきだと思います。再度御答弁をお願いします。(拍手、降壇)
◯副議長(篠原公七君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)渡辺議員の再質問にお答えいたします。
耐震化の問題についてでございますが、これまで、私何回も答弁をさせていただいておりますので、もう理由は繰り返しませんで、考え方は変わっておりませんし、先ほど土木部長が答弁したとおりでございます。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)尾崎総務部長。
(総務部長尾崎 猛君登壇)
◯総務部長(尾崎 猛君)渡辺議員の多重債務対策について、関連しての協議会の構成のメンバーについての再質問にお答え申し上げます。
先ほどお答えいたしましたように、私どもといたしましては協議会の会員につきましては、基本的にその対策を講じる行政機関や関係団体で構成すべきと考えております。
なお、被害者の方々については、その御意見をお聞きする場を設けて協議会を運営したいというふうに考えております。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)竹崎選挙管理委員会委員長。
(選挙管理委員会委員長竹崎克彦君登壇)
◯選挙管理委員会委員長(竹崎克彦君)渡辺議員の再度の御質問について、お答えをいたします。
補完措置についての答弁漏れじゃないかという御指摘でございますが、補完措置について、少しお時間をちょうだいしまして具体的に御説明を申し上げます。
新聞未購読世帯に対する補完措置でございますが、公共機関の窓口である本庁の受付、市民相談コーナー、支所、出張所、コミュニティーセンター、市民活動センター、市民サービスセンター、保健センター、市立病院、公民館等々多数の箇所に補完のための施設を整えております。それ以外にも郵送希望者に電話及びファクスによる申し込みも受け付けをして郵送もいたしておりますし、ホームページからの申し込みなども受け付けをいたしておりますので、補完措置については、それなりの機能を果たしていると承知いたしております。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)一般質問を続行いたします。
山田正芳君。
(山田正芳君登壇、拍手)
◯山田正芳君 香川はことしの夏も渇水に悩まされており、加えて気候も蒸し暑い日が続いております。こうした中、各自治体や企業等においては、地球温暖化防止の一環として温室効果ガス削減のために夏のエアコンの温度設定を二十八度にする、いわゆるクールビズが実施されております。
皆様御承知のように、この発端は、先日時の人となりました小池百合子防衛大臣が、その昔環境大臣のときに小泉総理に相談したところ、夏場の軽装による冷房の節約をキャッチフレーズにしたらどうかとアドバイスされたのが始まりであります。
環境省が昨年実施したアンケート調査の結果によりますと、このクールビズの認知度は九六・一%ということで、その取り組みも確実に定着しているようであります。県庁舎においても率先して室内温度を二十八度に設定しており、お仕事に励んでいるところでありますが、建物の中、位置によっては職員の皆さんにとりまして、まさに地獄のようでありまして、心中察するものがございます。
私は、個人的には職務に専念できる温度設定が体にもいいのではないかと思います。しかし、そうはいっても音頭を取るべき県が実施しないのでは、これもまた問題がありますので、職員の皆さんにおかれましては疲労こんぱいのこととは存じますが、せめてうちわやせんすで仰ぎながら、蒸し暑い夏を乗り越えていただきますよう、心より暑中見舞いを申し上げます。
さて、私の質問の第一点は、渇水対策についてであります。
本年、一月からの降雨量は昨年と比べて非常に少なく、夏渇水としてはこれまでで最も早い五月二十四日に香川用水の第一次取水制限に入りました。それ以降も雨は少なく、六月八日には第二次取水制限が実施されました。さらに、六月十三日には梅雨入りはしたものの、依然として雨は少なく、六月十七日には第三次取水制限が、いずれも最も早い時期に実施され、まさに憂慮すべき事態であります。このまま雨が降らなければ、平成十七年の渇水時にもあったように、早明浦ダムの利水容量はゼロ%になることも現実のものとなっております。
こうした中、先般、観音寺市大野原町の豊稔池親水公園では豊浜の和田雨ごい、大野原の田野々雨ごい祭り、そして大野原龍王太鼓という観音寺市に伝わる三つの雨ごい芸能が初めてそろい踏みして合同奉納が行われました。恵みの雨を願って、各地でこのように雨ごいが行われております。
私の地元丸亀市においても、これまでは渇水に強い町でありましたが、今回は、県内では宇多津町に次いで二番目、県よりも十日も早い五月十四日に
渇水対策本部を設置いたしました。丸亀市では、節水を積極的に広報するとともに、水道水の減圧給水を行い、その結果、高台など水の出が悪くなる可能性のある地域七カ所で給水所が設置されております。また、水道管の水量や水流の変化により水が白濁し、赤水などの濁りが発生するおそれもあります。そのため、チラシやホームページその他で注意を呼びかけるなど、これまでになく積極的に対応しているところであります。
ところで、住民生活に目を移しますと、木々への水やりや洗車を自粛することはもちろん、夏、子供たちが楽しみにしているプールの授業も中止せざるを得ない状況に陥っております。さらに、学校給食でもカットされた野菜など、洗浄水が少なくて済む食材を使ったり、デザートを冷やし果物などに変えて対応しております。また、使う食器の枚数を減らすことで水を節約するなど、さまざまな工夫を凝らしているところであります。
このような中、我が自由民主党議員会綾田議員の渇水対策に関する代表質問に対して、知事は県としては
渇水対策本部を設置し、県民の皆様に節水を呼びかけ、また、節水型街づくり推進協議会を通じて積極的に普及啓発活動に取り組んでいる旨のお答えがございました。さらに、県民生活や産業活動などへの影響を極力抑えるため、二億円余りの渇水対策補正予算が本日追加上程されたことは、まことに時宜を得たことと考えております。
県民一丸となって徹底的に節水を行い、この渇水という緊急事態、非常事態を乗り切らなければならない。もちろん私もこのことは賛成ですし、また、率先して協力しなければならないと考えております。しかしながら、節水、節水と呼びかけるだけでは、実は、県民にとっては堪え忍ぶだけの何か暗いイメージしか残らないのではないかとも思うのであります。
私が言いたいのは、渇水のときだからこそ、また、水がないときだからこそできることがあるのではないかということであります。例えば、早明浦ダムは竣工後、既に三十年以上が経過しております。そのため、完成直後と比べても相当量の土砂がダム湖の湖底に堆積しているのではないか。ことしも大きく報道されておりましたが、旧大川村役場写真を見ますと、渇水が起きるごとに土に埋まっている部分が多くなっているように見えるのは私だけではないと思います。当然、毎年土砂のしゅんせつは行っているとは思いますが、ダムに水がない渇水の今だからこそ、湖底に堆積した土砂をしゅんせつし、早明浦ダムの利水容量の回復を行う絶好のチャンスだと思うのであります。さらに、その土砂を土のうに活用し、水源涵養機能のある森林整備に利用することもできるのではないでしょうか。
もちろん、これだけで渇水が解消されるとは思ってはおりません。また、行動を起こそうとすれば、ダムの管理者である水資源機構や関係者との連絡あるいは調整はもちろんですが、地元高知県嶺北地区の水源地域の皆さんへの配慮は最も優先されなければならないと考えます。
ただ、渇水のときだからこそできること、前向きにできる事業もあると私は考えますが、知事はどうお考えでしょうか、お伺いいたします。
また、さらなる節水意識の向上のために、県や市町などと渇水対策事業に県民が参加したり、また、渇水対策事業を県民がみずから実施したりできるような、何か仕組みづくりも検討する時期に来ていると私は考えます。このことについても知事の御所見をお伺いしたいと思います。
質問の第二点は、農業行政についてであります。
まず、さぬきの夢二〇〇〇の振興について、お伺いをいたします。
昨年、県外から我が県を訪れた観光客の数は、映画「UDON」のヒットのおかげでうどんブームが再燃し、前年を一・二%ではありますが、辛うじて上回ったということであります。また、今年度からは全国区としての認知度を得た讃岐うどんに絡めて、地域の魅力を情報発信するうどんツーリズムの取り組みが行われております。
讃岐のうどんの歴史は実に古く、その昔、中国の唐から空海が持ち帰ったという言い伝えも残されています。最も古い資料としては、金刀比羅宮の表書院に伝わる金毘羅祭礼図と呼ばれている今から約三百年前の元禄時代の絵びょうぶがあります。そこには当時のにぎわう門前町の風景が描かれ、はっきりと三軒のうどん屋が克明に描かれているのです。元禄時代といえば、江戸、京、大阪などにうどん屋が出現し始めたころで、同じ時期に琴平にもうどん屋があったということは、当時から讃岐がうどんのメッカであったことを物語っていると思うのであります。
また、原料である小麦についても、その当時の百科事典である「和漢三才図会」という書物の中の小麦の項目のところに「諸国皆これあり、讃州丸亀の産を上とす」ということが書かれてあります。つまり、我が県では小麦は大昔から栽培されているということであります。こうした背景には、讃岐の国がもともと気候温暖で雨が少なく、土壌が小麦の栽培に適していたということがあると思います。しかしながら、昭和四十年代の後半、県産小麦の栽培農家の激減とともに、うどん用に開発されたオーストラリア産小麦のオーストラリア・スタンダード・ホワイト、いわゆるASWが急速に普及し、讃岐うどんの九割以上を輸入に頼る結果になってしまいました。
こうした状況を打開しようと登場したのが、皆様御承知のさぬきの夢二〇〇〇であります。本物の讃岐うどんをつくりたい、食べたいという業界や消費者の強い熱意を受け、平成三年から品種改良を続け、八年という驚異的な早さで開発に成功したわけであります。この小麦を使ったうどんは、オーストラリア産の小麦に欠けていた風味があり、腰も申し分ないと評判は上々であります。
私は、讃岐うどんというからには、やはり自前の小麦で打ったうどん、さらに言うならば、さぬきの夢二〇〇〇で打ったうどんこそが、胸を張って本場の讃岐うどんだと言えるのではないかと思うのであります。しかしながら、今、我が県では生産されているさぬきの夢二〇〇〇は、県内でうどん用に使用される小麦のわずか四・五%程度しか賄えておらず、原料小麦粉のほとんどは依然輸入に頼っているという現状であります。また、輸入先のオーストラリア産の小麦に至りましても、今後は、国における輸入麦の売り渡し制度の変更やバイオ燃料産業の急激な成長に伴い、より利益が上がるトウモロコシなどのほかの穀物の作付にシフトされることが予想されるため、価格が大幅に上昇するのではないかと危惧されております。
そこで、質問でありますが、我が県が誇るさぬきの夢二〇〇〇の作付面積とその生産量の現状は一体どうなっているのか、また、今後、より一層の生産量の拡大に向けてどのように取り組んでいこうとしておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
次に、麦作の担い手育成について、お伺いをいたします。
現在、経済界においては、団塊の世代の定年が始まる、いわゆる二〇〇七年問題を迎えております。各方面で早急な取り組みが求められているところであります。
一方、農業・農村を取り巻く環境も、高齢化の進展に伴う後継者不足などにより、非常に厳しいものがあります。農業従事者に退職はないと言われておりましたけれども、世代交代の進まない農家の高齢化は急速でありまして、担い手の育成は急務であります。
また、環境面においても、近年いわゆる地球温暖化が各方面で問題となっておりまして、私は水田の裏作としての麦が果たす役割は、大変大きなものがあると考えます。
また、平野部では集落における非農家の混住化が進んでおり、耕作放棄地がふえれば周辺住民に迷惑をかけるばかりではなく、洪水調整などの多面的機能においても支障を来すのではないかと懸念されているところであります。
平成十七年十一月に行われた内閣府の世論調査によりますと、団塊の世代を含む五十代の約三割の人々が、将来は農村などで暮らしてみたいという結果が出ておりました。農村などで暮らしたいというこれらの団塊の世代の活力を、麦の担い手として活用することはできないものなのかと考える次第であります。
そこで、質問でありますが、第二の人生をふるさと香川で暮らしたいという団塊の世代のUターン組はもちろんのこと、Iターン組をもターゲットにした農業への新規参入者を誘引するような何か取り組みができないものか、また、その中から麦作に意欲のある担い手を育成することもできるのではないかと考える次第であります。そのことが、麦の振興のみならず、ひいては地域の活性化にもつながるものと確信をいたしております。知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三点は、IAAF世界陸上競技選手権大阪大会の事前合宿を活用した
にぎわいづくりについてであります。
八月二十五日から、大阪市の長居陸上競技場において、世界陸上競技選手権が開催されます。世界陸上競技選手権は、一九八三年にヘルシンキで初めて開催され、最初は四年に一度、一九九一年の東京大会以降は二年に一度、世界のトップアスリートたちが一堂に会し、真の陸上世界一を目指す舞台として注目を浴びてまいりました。日本人選手も活躍しており、過去十回の大会で金が三、銀五、銅九の合計十七個のメダルを獲得しています。特に、前回のヘルシンキ大会で、男子四百メートルハードルで銅メダルを獲得した為末選手、また、男子マラソンで銅メダルを獲得した尾方選手など、活躍は記憶に新しいところでもあります。
先日、今大会の日本代表選手として、男子ハンマー投げの室伏選手を初め男子四十名、女子三十二名の合計七十二名が正式に発表されました。その中には、地元にゆかりのある尽誠高校出身の男子五千メートルの三津谷選手、あるいは飯山高校出身の女子ハンマー投げの綾選手も選ばれており、日本代表選手に対する応援にもさらに力が入るところであります。
今や世界陸上競技選手権は、オリンピック、サッカーのワールドカップと並ぶ世界三大スポーツイベントの一つとして数えられるようになりました。今回の大阪大会では、世界二百十二の国と地域から約三千二百名の選手、役員が参加することとなっております。また、その模様は約二百カ国でテレビ放映され、四十億人以上の人々がその熱い戦いに注目すると見込まれております。この夏、世界のトップアスリートたちの、より速く、より遠く、より高くを目指した全力の姿が、私たちに熱い感動と興奮を巻き起こしてくれることは間違いありません。
その世界陸上競技選手権に参加するデンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧四カ国の選手団約百四十名が、八月十四日から約二週間、丸亀市の県立丸亀競技場などで事前合宿を行う予定となっております。これらの国の代表的な選手の中には、アテネ五輪の金メダリストが実に四名も含まれているということであります。
このような世界的にも注目されている大きな大会の事前合宿の地に私どもの香川県が選ばれたということは、とてもありがたいことであります。そのため、現在、県内は渇水という厳しい状況ではありますが、これらの選手たちがすばらしい成績を上げることができるよう、県民を挙げて温かく歓迎し、調整しやすい雰囲気づくりを演出する必要があると思うのであります。また、そうすることで県民と選手たちとの交流が深まり、真の国際交流につながっていくものと期待がされております。さらには、帰国した選手たちが、うどんやこんぴらさん、あるいは瀬戸大橋などをお国の人たちに紹介してくれれば、世界への情報発信にもつながるのではないでしょうか。そのような積み重ねが香川県のイメージアップ、ひいては
にぎわいづくりにつながっていくと思うわけであります。
知事は、日ごろから
にぎわいづくりに非常に力を入れておられるようでありますが、世界陸上選手権の事前合宿をにぎわい創出に活用しない手はないと考えます。まさに、絶好の機会であるわけであります。事前合宿を成功に導き、
にぎわいづくりにつなげていくためには、言うまでもなく、官民挙げての取り組みが必要になってくるわけであります。今回、どのような方策を考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
また、今回の事前合宿で成果を得ることができれば、今後、日本や近隣諸国で開催される世界大会の事前合宿の招致合戦に大きな自信となることは間違いありません。例えば、来年二〇〇八年には中国の北京で夏季オリンピックが開催されます。北京までは地理的にも比較的近く、ソウルでの乗り継ぎはあるものの、高松空港から北京首都国際空港までは飛行機で三時間程度あれば移動できます。また、気候的にも大差ないため、事前合宿の招致が可能ではないかとも私は考えております。その実現に向けて検討してみてもおもしろいのではないでしょうか。
今後は、世界陸上競技選手権のような世界大会レベルの事前合宿を、それこそ県を挙げて積極的に誘致し、香川県の
にぎわいづくりに大いに活用してはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
これをもって私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(篠原公七君)理事者の答弁を求めます。
真鍋知事。
(
知事真鍋武紀君登壇)
◯知事(真鍋武紀君)山田議員の御質問にお答えいたします。
まず、渇水対策のうち、今、行うべき事業についてであります。
ダムに堆積している土砂の除去は、ダムの貯水容量を確保するためには有効な手段でありますことから、早明浦ダムを管理しております独立行政法人水資源機構において、冬場の水の少ない時期を中心に実施しております。
平成十四年度から十八年度までの五年間に六万一千七百五十立方メートルの堆砂を除去しており、平成十七年度の渇水時にも三千百立方メートルを除去したと伺っております。
堆砂の除去は、水が少なく、かつ土砂が十分乾いていること、また、工事に必要な一定期間が確保されることが必要であります。特に、工事を渇水時に行うことは濁水の防止にもつながり、高知県嶺北の水源地域や下流地域の皆さんにも喜ばれるものと考えています。
なお、除去した土砂については、これまでも嶺北地域の町村道の整備など、地元の工事に有効利用されております。
ダムの堆砂除去など渇水期だからこそできる事業については、御提言の趣旨も踏まえ、今後とも、水資源機構を初め関係機関ともども検討してまいりたいと考えております。
次に、県民参加型の渇水対策事業についてであります。
県では、市町とともに組織する節水型街づくり推進協議会の活動を通じて、小学四年生を対象とした「くらしと水に関する副読本」の作成・配布や、県民に対して節水こまの配布などを行っております。また、水の循環利用を図るため、雨水や雑用水利用の促進に努めるとともに、中学一年生を対象とした水源めぐりの旅を実施するなど、節水社会の基礎づくりに努めております。
今回の渇水においては、善意の井戸の提供が高松市や丸亀市など六市二町で行われ、既に百六十カ所程度が提供されており、さらに六百カ所以上について申し出があると伺っております。今回初めて募集した市町もあり、県民と協働した渇水時の取り組みが広がっていると考えています。
また、業界団体からの節水こまの寄贈や地元企業からの井戸の提供の申し入れのほか、フェリーによる水の海上輸送実験を海運会社が独自に行うなど、民間においても自主的な渇水対策が行われているところであります。
渇水時においては、県や市町における取り組みに加え、県民や企業等の自主的な取り組みも重要な視点であると考えておりますので、県としては、引き続き積極的かつ効果的な節水広報に取り組むなどにより、県民の節水意識のさらなる向上を図るとともに、県民や企業が参加できる渇水対策を促進してまいりたいと考えています。
次は、農業行政のうち、さぬきの夢二〇〇〇の振興についてであります。
さぬきの夢二〇〇〇の栽培面積は、導入された平成十三年産の二十三ヘクタール以降拡大傾向にあり、平成十九年産については、栽培面積は千三百ヘクタール、生産量については、四千二百トン以上が確保される見込みとなっております。
今後とも、より多くの方々に本場の讃岐うどんを食べていただけるよう、気象条件などに影響されにくい栽培技術の確立と普及を推進するとともに、品目横断的経営安定対策への対応や、麦を新たに作付拡大した担い手に対し助成される国の担い手経営革新促進事業の積極的活用などにより、関係者一体となって、生産量の維持・拡大に努めてまいります。
なお、その他の御質問については、担当部局長からそれぞれお答えいたします。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)山田
農政水産部長。
(
農政水産部長山田哲也君登壇)
◯
農政水産部長(山田哲也君)山田議員の農業行政についての御質問のうち、麦作の担い手育成について、お答えいたします。
団塊の世代のUターンなど、新たなルートからの農業参入を図るため、本年度は新たに、東京などで開催される新規就農相談会への県内農業法人の参加に対する助成を行うとともに、農業大学校に新規就農者向けの実践的な短期研修コースを設置することとしております。
また、就農した地域への定着のための技術指導や農業法人等への受け入れ活動など、受け入れ体制の強化にも努めているところであります。
本県の麦作面積の六割は集落営農などの組織経営体が担っており、団塊の世代のこれまでの経験を生かし、経理や労務管理分野などでの営農組織への貢献が期待されており、これら集落営農などへの受け入れを推進してまいりたいと考えております。
今後とも、団塊の世代を含め、多様なルートからの新規就農者の確保に努めるとともに、麦作の振興を初め香川型農業を支える担い手を育成し、地域の活性化を図ってまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)川池
観光交流局長。
(
観光交流局長川池秀文君登壇)
◯
観光交流局長(川池秀文君)山田議員のIAAF世界陸上競技選手権大阪大会の事前合宿を活用した
にぎわいづくりについて、お答えいたします。
北欧四カ国による事前合宿は、全国の合宿地の中でも最大規模であり、国際交流、競技力の向上、情報発信や
にぎわいづくりの絶好の機会ととらえております。
県や丸亀市などでつくる実行委員会では、選手たちが本番で好成績を残せるよう受け入れ準備を進めるとともに、歓迎機運を盛り上げるため大使館などから講師を招き、小・中学校及び県民向けに北欧を理解してもらうための講座を開催するほか、今月から八月にかけては商店やショッピングセンターなどの協力による北欧の料理や家具、玩具などのフェアを県内各所で開催します。また、選手団を歓迎し、交流を図るため、練習風景を見学できるようにするとともに、北欧選手と県内選手とによる交流競技会を予定しております。
さらに、県内観光やお茶会などのおもてなしを行うほか、北欧選手を本番で応援するツアーも企画してまいります。
また、本県には県立丸亀競技場などすぐれたスポーツ施設もありますことから、今回の合宿でのノウハウを生かし、国際的なスポーツ大会での香川合宿の可能性も探ってまいります。(降壇)
◯副議長(篠原公七君)理事者の答弁は終わりました。
本日の一般質問を終局いたします。
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◯副議長(篠原公七君)以上で本日の日程は、終了いたしました。
次会は、七月九日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後三時四十四分散会
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