• 避難者(/)
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  1. 徳島県議会 2023-02-01
    02月15日-02号


    取得元: 徳島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 5年 2月定例会   令和五年二月徳島県議会定例会会議録(第二号) 令和五年二月十五日    午前十時二分開議      出席議員計三十五名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     梶  原  一  哉 君     六  番     浪  越  憲  一 君     七  番     仁  木  啓  人 君     八  番     東  条  恭  子 君     九  番     原     徹  臣 君     十  番     北  島  一  人 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     古  川  広  志 君     十五 番     長  池  文  武 君     十六 番     吉  田  益  子 君     十七 番     須  見  一  仁 君     十八 番     井  川  龍  二 君     十九 番     元  木  章  生 君     二十 番     岡  田  理  絵 君     二十一番     南     恒  生 君     二十二番     岩  丸  正  史 君     二十三番     岡     佑  樹 君     二十四番     黒  崎     章 君     二十五番     扶  川     敦 君     二十六番     達  田  良  子 君     二十七番     寺  井  正  邇 君     二十八番     喜  多  宏  思 君     二十九番     重  清  佳  之 君     三十 番     嘉  見  博  之 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     杉  本  直  樹 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     臼  木  春  夫 君     三十五番     庄  野  昌  彦 君     三十六番     山  田     豊 君   ────────────────────────  出席職員職氏名     事務局長     加  藤  弘  道 君     次長       島  田  浩  寿 君     議事課長     大  屋  英  一 君     政策調査課長   佐  金  由  美 君     政策調査課副課長 秋  山  敏  二 君     議事課副課長   木  邑  博  英 君     議事課課長補佐  一  宮  ル  ミ 君     議事課係長    小  泉  尚  美 君     議事課係長    築  山     優 君     議事課主任主事  広  田  亮  祐 君   ────────────────────────  列席職氏名     知事       飯  泉  嘉  門 君     副知事      酒  池  由  幸 君     副知事      勝  野  美  江 君     政策監      瀬  尾     守 君     企業局長     板  東  安  彦 君     病院事業管理  北  畑     洋 君     政策監補兼危機管理環境部長              谷  本  悦  久 君     政策創造部長   村  山  直  康 君     経営戦略部長   伊  藤  大  輔 君     未来創生文化部長 上  田  輝  明 君     保健福祉部長   森  口  浩  徳 君     商工労働観光部長 梅  田  尚  志 君     農林水産部長   平  井  琢  二 君     県土整備部長   松  野  秀  生 君     会計管理    金  井  仁  志 君     病院局長     佐 々 木  季  裕 君     財政課長     福  岡  克  己 君     財政課副課長   高  木  和  久 君   ────────────────────────     教育長      榊     浩  一 君   ────────────────────────     人事委員長    森     俊  明 君     人事委員会事務局長福  田  輝  記 君   ────────────────────────     公安委員長    米  澤  和  美 君     警察本部長    松  林  高  樹 君   ────────────────────────     代表監査委員   岡  崎  悦  夫 君     監査事務局長   藤  本  真  路 君   ────────────────────────  議 事 日 程   第二号 令和五年二月十五日(水曜日)午前十時開議 第一 県政に対する一般質問         (四   名)   ──────────────────────── ○議長(南恒生君) これより本日の会議を開きます。   ──────────────────────── ○議長(南恒生君) 直ちに本日の日程に入ります。 日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い発言を許可いたします。 二十七番・寺井正邇君。   (寺井議員登壇) ◆二十七番(寺井正邇君) 皆さんおはようございます。徳島県議会自由民主党の寺井正邇でございます。今回、代表質問の機会をいただきました。 まず初めに、国内で新型コロナウイルスの感染症が初確認されてから、はや三年余りが過ぎました。これまで、そして今まさにコロナ禍の最前線で御尽力をいただいている医療従事をはじめ関係の皆様に、心から感謝を申し上げます。 政府は、新型コロナの感染症法上の位置づけを、今年五月八日から、季節性インフルエンザと同じ五類へと見直すことを決定し、今後、新型コロナ対策は大きな転換点を迎えることとなりますが、依然として、県民の皆様の先行きへの不安が払拭されたとは言い難い状況にあります。 また、ロシアのウクライナ侵攻や円安を背景とする原油価格・物価高騰についても、依然として、県民生活、県内経済に大きな影響を及ぼしており、今後、影響の長期化、深刻化も危惧されるところであります。 私は、こうした不安や困難の中、日々懸命に頑張っておられる皆様の声を代弁し、私のライフワークであります農業をはじめとする県政の諸課題について質問いたします。知事をはじめ理事の皆様においては、県民の皆様が明るい未来を思い描くことができる、誠意あふれる答弁をお願いいたします。 初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。 知事は、昨年の秋以降、終わりの見えない新型コロナへの対応と急激な物価高騰により、県民や事業があしたをどう生きていけばいいのかと不安に駆られる中、粘り強く情勢を見極めてこられましたが、去る二月四日、ついに知事選への出馬を表明されました。 振り返れば、飯泉知事は、二十年前、日本地図から消え去ったとまで言われ、混迷の極致にあった徳島県を立て直すため、将来が期待される総務省への帰路を自ら断ち切り、知事選に出馬し、当選されました。 その後、渦中にあった第十堰問題にけりをつけ、我々県議会と共に、関西広域連合を通じて国を動かし、平成の大関所を打ち破る全国高速道路共通料金制度を実現させたほか、今や新たな働き方として定着したサテライトオフィスの火つけ役となる光ブロードバンド環境の整備、命の道である自動車道の四車線化や延伸、台風のたびに氾濫していた河川の整備など、生活と命を守る数々の実績を積み上げてこられました。 今日、我々が当然のように享受している本県の環境は、二十年をかけてマイナスからゼロへ、ゼロからプラスへと果断に施策を積み重ねてきた結果であり、人口百万人に満たない小さな県から初めて全国知事会長が選出されたことは、これら数々の成果が全国の知事からも一目置かれていることを如実に物語っております。 一方、多選への批判は強く、知事には物を言えないとの厳しい声があり、県民の声にしっかり耳を傾けられているのか疑問を持つとともに、特別交付税問題など、丁寧な説明ができていないことが多々あるのではないかという声も聞こえてくるところであります。六選に臨むのであれば、その点をしっかりと認識し、反省の上に立って、自ら進んで県下隅々から声を拾い上げ、その声に従って施策を展開すべきであると思います。 今回、県議会自民党としても、初心に返って、これまで以上に言うべきことを言い、緊張感を持って知事と牽制し合い、ひいてはこの難局を乗り越え、県民の皆様が安心を実感し、未来への夢と希望を持つことができる社会の実現に全力で取り組む決意であります。 社会情勢が劇的に変化する中、課題は目の前に山積みであります。これまで徳島に根を張り、現場の声を即座に政策に反映してきた経験と手腕をもってこの荒波を乗り越えるとともに、過去を振り返って反省すべきを反省し、一にも二にも県民のため、新たな未来を切り開いていかなければなりません。 そこで、お伺いいたします。 次期徳島県知事選挙への立候補を表明された飯泉知事は六期目へどういう政治姿勢で臨むのか、教えていただきたいと思います。 次に、本県の基幹産業である農林水産業の持続的発展についてお伺いいたします。 昨年のロシアによるウクライナ侵攻以降、世界はいまだ、物流、金融経済ともに混乱の中にあり、生産資材が高騰するも、その高騰分を販売価格に転嫁できず、農家の皆さんは大変厳しい経営状況の中、我々がこの国の食料供給を担っているとの使命感で、何とか生産を続けている状況であります。 今まで関西の台所として京阪神の食卓を支え続けた我が県の産地は、多くの地方が抱える共通の課題である担い手の高齢化や離農などにより縮小しつつあり、またこのことに伴う生産力の低下は、関西の台所としての機能をも喪失するのではないかと危惧しているところであります。 過去を少し振り返りますと、近年、本県の農林水産業が大きな転換を余儀なくされたのは、経済の国際化が押し寄せた環太平洋パートナーシップ協定締結の折でした。その際、飯泉知事の英断により、TPP協定締結に先んじて創設した農林水産業未来創造基金による県の対策事業は、国事業でカバーできない生産の創意工夫による取組を複数年にわたり支援するもので、TPP対策の強力な推進エンジンとなり、産地の維持や活性化に大きな効果を発揮するものでありました。 現在、国では、食料安全保障を確立するための礎として、食料・農業・農村基本法の改正に向けた議論を本格化するとともに、このたび策定したみどりの食料システム戦略の具現化のため、新たな法律が施行され、持続可能な農林水産業の実現に向けて本格的な施策展開が始められようとしております。 このように大きな転換点を迎えている本県の農林水産業が、我が国の食料安全保障の確保に寄与すべく、持続性の高い、そして生産の努力に報いる力強い成長産業として飛躍するためには、TPP協定締結当時と同様に、時代の潮流を捉えた支援を的確に講じる必要があるのではないでしょうか。 また、今後の対策には、GX・DX時代にふさわしい新たな推進エンジンとするために、現行の農林水産業未来創造基金について、中長期的な事業実施を約束することにつながる基金規模の充実や、柔軟かつ幅広い運用、使途の拡大が不可欠なのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 本県農林水産業が将来への持続性をさらに高め、生産の努力に報いる力強い成長産業へ大きく飛躍するため、現行の農林水産業未来創造基金の目的や使途を抜本的に見直すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、農業基盤の整備についてお伺いいたします。 去る八月二十日の朝日新聞に、局地的な核戦争が勃発した場合、世界的な食料生産の減少と物流の停止による二年後の世界の飢餓死者のうち三割は自給率の低い日本に集中するという、非常に衝撃的なアメリカの大学の研究チームによる試算が掲載されておりました。 これは核戦争を前提とした話とはいえ、既に国際情勢を背景に、日本でも危機感は増しており、去る十二月二十七日、政府は、農林水産物、生産資材ともに過度に輸入に頼る構造を改め、耕地利用率や農地の集積率も向上させつつ、さらなる食料の安全保障を図る食料安全保障強化政策大綱を決定いたしました。 今、全国の農業人口は、平成十七年の二百二十四万人から、令和二年には百三十六万人と、僅か十五年で四割も減少いたしております。 高齢化も進む中、誰が農業を守り食料の安全保障を担うのかを考えた場合、やはり農作業の効率化、生産性の向上を同時一体的に、かつ迅速に進めることが重要であり、限られた人数でも営農でき、スマート農業が導入できるような圃場整備に、区画の拡大やパイプライン化といった効率性を重視した基盤整備が不可欠となりますが、本県の実情を見ますと、整備目標一万ヘクタールに対し、整備済みは約七千ヘクタールにとどまっている状況であります。 一方、基盤整備には農家負担が必要となり、特に、高齢で後継のいない方は新たな投資をちゅうちょするという課題がありましたが、昨年十一月の経済委員会の県内視察では、農家負担なしで圃場整備ができる農地中間管理機構関連農地整備事業により着々と工事が進んでいる阿南市の芳崎地区を訪れ、地元役員や担い手農家の方々と意見交換を行いました。様々な御意見を伺う中で、十年後、二十年後を見据え、農業を次代に引き継いでいくためには、担い手への集約、新たな農業の参入が必要であり、そのためには基盤整備が欠かせないということを改めて実感いたしました。 現在、私の地元でも、本事業の新規着手に向け、県や阿波市、農地中間管理機構の協力を得ながら話合いを重ねているところであります。 農業を取り巻く環境が厳しさを増す中、今農業に携わっている方々、これから農業をやってみようという方々が夢や希望を持てるように、今こそ生産性向上に直結する農業基盤の整備を迅速着実に進めることが重要ではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 持続可能な農業の実現や食料安全保障の強化に向け、農業の生産性向上につながる農業基盤の整備をさらに加速すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、食料安全保障の強化に向けたさらなる耕畜連携についてお伺いいたします。 国際情勢を背景とする肥料、飼料などの高騰は、稲作をはじめ耕種農家や畜産農家を大変厳しい経営状況に陥れており、私は、このままでは、廃業、耕作放棄地の増加、さらには県土荒廃が加速するのではないかと非常に危惧いたしております。 また、このことは食料生産に大きな影響を及ぼし、県民はもとより国民にとっての食料安定供給への不安にもつながるものであり、こうした懸念の払拭のため、地域資源を有効活用し、国際情勢に左右されにくい食料安定供給体制への転換が必要であると考えます。 その一丁目一番地として、生産現場においては、耕種農家が水田で飼料作物を作り、畜産農家に供給し、畜産農家の堆肥を水田に還元するなど、耕畜連携へのニーズが一層高まっておるところであります。 例えば、畜産飼料として利用する飼料用米やWCSは、食料・飼料自給率の向上や米の需給バランス適正化による米価向上対策にもつながることから、これらの作付をより一層推進することが欠かせません。また、牛の粗飼料として利用されている稲わらについても、国内で使用している約四分の一が輸入によるものであり、現在、新型コロナウイルス感染症の影響で中国からの入手が難しいことから、県内で生産される稲わらの利用拡大が喫緊の課題であります。 さらには、地域内で資源を循環させる耕畜連携は、みどりの食料システム戦略の推進において欠かせないものであります。 そこで、お伺いいたします。 食料安全保障の強化を図るため、みどりの食料システム戦略の重点施策である本県ならではの耕畜連携をもう一段、二段と加速させるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 寺井議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、私の政治姿勢について御質問をいただいております。 平成十五年五月に県政のかじ取りをお任せいただいてから約二十年、今や趣味と聞かれれば徳島県と答えることができるほど、寝ても覚めても本県の課題解決を全力で考え、そして行動いたしてまいったところであります。 第一に、防災・減災、県土強靱化につきましては、安心・安全な環境なくして夢や希望、将来を語ることはできません。 そこで、徳島から国に提言し実現した防災・減災、国土強靱化三か年七兆円緊急対策の後継事業について、財務省から、コロナ禍で財源を使い果たしたために認めることはできないとの方針が打ち出される中、全国知事会長として、令和三年度政府予算案をテーマに、総理はじめ関係閣僚と地方六団体の代表が協議する国・地方協議の場で、事業の皆さん方が人を雇い、新たな投資をするには、三年ではなく五年の後継事業が必要であると提言した結果、防災・減災、国土強靱化五か年十五兆円加速化事業が創設されたところであります。 また、県ではこれを積極的に活用し、令和三年度十五か月予算における公共事業の規模を一千六億円へと、平成十八年度以来十五年ぶりに一千億円台とし、このたびの令和五年度十六か月型骨格予算におきましても一千六十億円と、三年連続一千億円台を確保することができたところであります。 さらに、本県治水の歴史的課題につきましても、石井町や吉野川市の悲願であり、絶対に不可能とされていた飯尾川加減堰の右岸撤去を実現するとともに、吉野川本川の無堤地区解消につきましては、明治十七年、ヨハネス・デ・レーケの提唱以来、実に百三十六年を経て、岩津下流での四十キロの一連堤防を完成し、岩津上流に残る十か所の無堤地区につきましても、国との協議の結果、今後十年間で事業着手することとなり、沼田地区や半田地区をはじめ、既に五か所が事業着手しているところであります。 第二に、人口減少への対応につきましては、まず医療分野で、改革なくして改築なし、厳しく議会でも批判されておりました県立中央病院と、隣接は無駄、このように指摘されてまいりました徳島大学病院を一体化した日本初総合メディカルゾーン構想の実現、県立三好病院高層棟の免震構造での新築や、緩和ケア病棟の整備によるフルセットでのがん治療の提供、南海トラフ巨大地震を迎え撃つ海部病院全国初の高台移転やツインヘリポートの整備、国が競売を予定しておりました健保鳴門病院を日本初、県が買収し、第四の県立病院を目指す徳島県鳴門病院の誕生など、県下全域の平時、災害時両面における医療の最適化を図ったところであります。 また、福祉分野につきましては、発達障がいのある皆様方の福祉、教育、そして医療、就労を総合的に支援いたします全国初発達障がい総合支援ゾーン整備計画、いわゆるハナミズキ・プロジェクトに着手し、その中核拠点とし、海外からも視察に訪れられる、社会的、職業的自立を目指す専門教育を担うみなと高等学園を開校いたしたところであります。 さらに、国が特別支援教育を正式に定め、直ちに、分校としては全国で二番目に生徒数が多かった国府支援学校池田分校を池田支援学校として本校化するとともに、美馬分校を設置。現在は、国が創設した特別支援学校設置基準に即応し、国府支援学校を本県はもとより全国のダイバーシティ先導モデルへと進化させるべく、整備を鋭意進めているところであります。 また、農林水産業分野では、関西の台所──先ほど議員からもお話がありましたが──と言われながら、中四国九県の大学で農学部がないのは徳島だけであったものを、国が六次産業化の推進を掲げたものの、人材育成学部が存在しない中、県と徳島大学との共同で全国初生物資源産業学部の創設を実現するとともに、林業アカデミー漁業アカデミーかんきつアカデミーの開講により、優れた技能を誇る担い手の育成やリスキリングに取り組んでいるところであります。 さらに、にぎわいづくりでは、後に日本の映画興行収入歴代一位を記録する「鬼滅の刃」のアニメ制作会社を誘致し、コロナ前ではゴールデンウイーク三日間で八万四千人の動員となります日本最大級のアニメの祭典マチ★アソビへと発展させてまいりました。 また、四国初のプロスポーツチームとして二度のJ1昇格を成し遂げた徳島ヴォルティスや、平成五年から十四年連続糖尿病死亡率ワーストワンからの脱却につながった春の風物詩とくしまマラソンの創設など、県民の皆様方誰もがスポーツを楽しめる環境づくりを進めてまいったところであります。 現在、県内唯一の五十メートル公認プールである蔵本むつみスイミングへの熱中症対策となる大屋根の設置や、昭和五十年以来のプロ野球公式戦開催に対応することのできる二万人規模のスタジアムへと生まれ変わる鳴門総合運動公園オロナミンC球場の整備にも取り組んでいるところであります。 加えて、JR北海道やJR西日本で顕在化している全国でのローカル線の存廃問題につきましては、JR四国で二番目の不採算路線である牟岐線については、廃止の一言を何としても回避すべく、知事就任以来、危機感を持って取り組んできているところであり、路線バスとの接続向上で利用増加にもつながった四国初パターンダイヤの導入、一枚の切符、定期券でJRや高速バスを自由に乗降することのできる全国初JRと高速バスの共同経営、全国ローカル線のまさに救世主と言われる世界初DMVの営業運行を実現したところであります。 現在、徳島市役所、城東高校、裁判所、徳島税務署など、定期券利用をはじめ多くの利用が見込まれるとともに、徳島文化芸術ホールへ全県はじめ全国から訪れる皆様方のアクセス向上が図られる新駅の設置を進めているところであり、特に高齢の皆様方の免許返納後やカーボンゼロ社会の実現をも見据え、さらなる需要の創出による、牟岐線をはじめ地域公共交通の存続にしっかりと取り組んでまいります。 これら過去から山積し課題解決困難と言われ続けてきた課題の解決について一連申し上げてまいりましたが、最後に新型コロナへの対応を申し上げたいと思います。 国に対し提言を行い、感染対策の財源である緊急包括支援交付金における、創設時は補助率が二分の一の補助金であったものを十分の十への制度改善、高齢施設、児童等利用施設などにおける週三回の戦略的、集中的な抗原定性検査の実施、年末年始における検査から診断、処方、調剤、投薬までを一貫して対応する臨時・発熱外来センターの開設など、徳島ならではの感染防止対策を実践いたしてまいりました。 また、融資額一〇%、最大百万円の融資連動型新型コロナ対応企業応援給付金の創設、国支援金と併給することにより、最大、法人は百四十万円、個人は七十万円の受給可能となる事業継続応援金の創設、理容、美容、クリーニングそして公衆浴場の生活必需サービス提供事業の皆様方を支援する全国初徳島プレミアム生活衛生クーポンの発行など、業と雇用を守る対策を講じてまいりました。 このように、課題解決先進県として様々な処方箋を打ち出す一方、財政健全化につきましても常に心がけてまいりました。 小泉内閣の三位一体改革により、平成十六年度から毎年度、県の最大の歳入である地方交付税を二百二十七億円もカットされたことにより、禁じ手となる職員の給与カットを行うことが不可欠となり、それに先んじ、知事就任当初から実施していた私自身の一〇%給与カットにつきまして、平成十九年十一月より二五%給与カットをし、現在まで継続しているところであります。 さらに、任期四年のうち三年を超えてコロナ下となり、今任期では本当に県民の皆様方、事業の皆様方に困難な生活を強いているところであり、県民の皆様お一人お一人にしっかりと寄り添わせていただくため、今期退職金の受け取りを辞退させていただくところであります。 かつて八千三百八十五億円に達していた抑制対象の県債残高につきましては、現在、四千五百五十億円程度に減少する一方、八十億円まで減少していた県の貯金である財政調整的基金では、令和四年度末、一千億円に到達する見込みであります。 また、国が何度も挑戦しながら達成することができていない一般会計のプライマリーバランス黒字を、本県では、私が就任した後の平成十六年度決算以降、令和五年度骨格予算まで二十年連続で達成する見込みであり、徳島の輝ける未来に向けて、安定的な財政基盤の強化にも創意工夫を凝らしてまいったところであります。 しかしながら、議員からも御指摘のとおり、多選への御批判については、知事が飯泉である限り物が言えないという構図に思いが至らなかったこと、知事では限界があるとのこの場での発言につきましては、各種施策や提言には成果に至るまで一定の期間が必要であり、まさに早計であったこと、改めてこの場で深くおわびを申し上げるところであります。 そして、未知の世界において、自ら限界を超えて、県民の皆様方が一日も早く困難な状況を脱していただき、夢や希望を抱くことのできる徳島を実現するため、次期徳島県知事選挙に出馬させていただくことといたしました。 今後、新たに県政を担うことを県民の皆様方にお認めいただきました暁には、誰一人取り残すことなく、県民の皆様方と思いを同じくし、共に歩んでいくことをここで誓わさせていただきます。 次に、本県農林水産業が力強い成長産業へ大きく飛躍するため、現行の農林水産業未来創造基金の目的や使途を見直すべきとの御提言をいただいております。 ウクライナ危機に起因する極めて不安定な国際情勢に伴い、かつては当然のこととされていた食料サプライチェーンのグローバル化に大きなリスクが生じ、今、改めて、我が国における食料安定供給機能の充実が強く求められていると認識いたしているところであります。 国におきましては、食料安全保障の強化の議論やみどりの食料システム戦略の全国展開が開始されているところでありますが、これまでも、本県におきましては、世界の最新潮流に即応すべく、生産と共に常に先手でとの理念を重視し、タイムリーな施策を講じてきたところであります。 かつて二〇一五年秋、我が国がTPP協定に大筋合意した際には、将来にわたり本県農林水産業をしっかりと守り続けるとの気概の下、生産力や競争力の強化による足腰の強い産地づくりのため、県単独での農林水産業未来創造基金を創設し、生産団体はもとよりのこと、個別農林水産事業の皆様方をも対象とした、言わばオーダーメード型の支援を講じてまいりました。 具体的に少し申し上げてまいりますと、高度環境制御型施設園芸ハウスやGPSを利用した直進アシスト付トラクター、クラウド型情報管理システム対応ライスセンターなどの導入支援を行い、産地の基盤強化や経営体の育成に寄与いたしてまいりました。 これにとどまらず、本県農林水産業食料安全保障やみどり戦略の旗手となり、県民の皆様方をはじめ国民の食を守る安定した食料供給基地として力強く伸び行くためには、時代を先読みした生産の皆様方のアイデアやチャレンジをより一層迅速かつ手厚く支援する新たな枠組みがまさに不可欠となります。 そこで、議員お話しのとおり、TPP対応に主眼を置く現基金の設置目的を大胆に見直し、グリーン成長を強力に支えるとともに、支援メニューと支援財源をワンセットで提供する新たなステージ、支援型基金へと進化させてまいります。 新基金の戦略的な活用方策といたしましては、効率的な有機農業を実装する新技術の導入、AIやIoTなどスマート技術を活用した経営規模拡大や作業の効率化、農地集約や耕作放棄地解消の取組などを優先的に採択することとし、意欲ある生産の挑戦を強力に支援させていただきます。 また、新基金の早期実装を実現すべく、次期県議会定例会への改正条例案提出に向け、鋭意作業を進めてまいります。 今後とも、我が愛する徳島県が日本の食卓を支える食料供給基地としてさらに発展するため、本県の基幹産業である農林水産業の力強い成長を実現すべく、オール徳島で積極果敢に取り組んでまいります。 次に、生産性向上につながる農業基盤の整備について御質問をいただいております。 農業の高齢化や労働力不足が進む中、将来にわたり本県農業を持続的に発展させるためには、食料安定供給の強化を図るため、担い手への農地集約や農業への新規参入に向け、農地の大区画化、用水のパイプライン化など、生産効率を高める農業基盤の整備促進が極めて重要である、このように認識いたしております。 これまで県では、圃場整備に加え、農道や排水路など一万一千ヘクタールの農業基盤を整備し、農業供給基地の形成に寄与してきたところであり、例えば、国営事業と県営事業を一体的に進めた吉野川北岸地域では、企業参入によるトマトの施設園芸が相次いで始まるなど、地域農業のさらなる活性化につながっております。 一方、議員お話しのとおり、農業基盤整備の実施に当たりましては、かねてより、整備に要する農家負担金が事業推進の課題となっていたことから、国におきまして、農家負担を伴わず農地集積や収益向上が図られる農地中間管理機構関連農地整備事業が平成二十九年度に創設されたことに伴い、本県も即応し、現在、県内四地区で鋭意事業を推進しているところであります。 また、本事業を円滑に実施していくためには、地域の皆様方の合意形成が不可欠でありますことから、県内各地へのさらなる事業展開に向け、先行する四地区を含め、現在、県下十四地区で、県、市町村、農地中間管理機構及びJAが連携したプロジェクトチームを立ち上げ、ハード面の整備計画の策定はもとよりのこと、地域を支える担い手の選定や導入作物の検討など、ソフト面も併せ、地域の実情に応じたきめ細やかなサポートを積極的に実施いたしているところであります。 さらに、県におきまして現在策定中の徳島県みどりの食料システム戦略基本計画において、農地中間管理機構と連携した圃場整備の推進を生産性の向上につなげる重要施策として位置づけ、これまで二年に一地区程度であった事業の新規着手のペースを毎年一地区に加速させる新たな数値目標を掲げ、着実に推進いたしてまいります。 加えて、これら新時代の圃場が魅力的で可能性にあふれた職業モデルとなりますよう、熟練の運転技術が不要となる無人のトラクター、見回り労力を大幅に削減する遠隔水位管理システム、作業時間を大幅に削減する農薬散布ドローンなどのDX技術を駆使したスマート農業を実装し、生産性や省力化、さらには収益性の向上を図ってまいります。 今後とも、農業の皆様方はもちろんのこと、これから農業を目指す、また志す皆様方に、未来に夢や希望を抱いていただけるよう、その礎となる農業基盤整備に積極果敢に取り組んでまいります。   (勝野副知事登壇) ◎副知事(勝野美江君) 本県ならではの耕畜連携を加速させるべきとの御質問をいただきました。 ウクライナ危機をはじめとする先が見通せない不安定な世界情勢を背景に、肥料、飼料などの生産資材が急騰し、食料生産への不安が広がる中にあって、ピンチをチャンスにと、食料安定供給の強化を図るためには、海外からの輸入に過度に依存しない、地域資源のさらなる有効活用が不可欠となっております。 その実践策として、飼料用米、稲わらなどの飼料作物と家畜堆肥を循環させる耕畜連携は、極めて重要な役割を担っております。これは、徳島県みどりの食料システム戦略基本計画の基本理念である農畜産業の持続的発展にもつながるものであると認識しております。 本県ではこれまで、国の水田活用直接支払交付金を戦略的に活用し、飼料用米面積を令和四年度までの三年間で千十七ヘクタールへと約二倍に増加させるとともに、畜産農家を対象に、家畜堆肥の製造や散布に必要な機械施設の導入を積極的に支援し、良質な堆肥の農地への供給を促進するなど、農家目線に立った耕畜連携を進めてまいりました。 一方、現在、我が国は食料安全保障を強化すべき局面にあり、あわせて資材高騰、米価低迷、耕作放棄地の拡大といった喫緊の課題を同時一体的に解決するためには、議員お話しのとおり、今こそ本県ならではの耕畜連携をより一層加速させることが不可欠であります。 そこで、農畜関係団体との連携協力の下、新たに耕畜連携プロジェクトチームを来月設置いたしまして、最新情報や課題認識の共有を図るとともに、それぞれの知見やアイデアを持ち寄ることにより、新たな耕畜連携モデルの早期実装を目指してまいります。 当該モデルの具体的な内容として、まずは、養鶏及び養豚で利用されます飼料用米の生産拡大や供給安定を図る上で大きな課題となっております夏場の供給不足や品質劣化に対応するため、地域の農業関係団体が保有します冷蔵倉庫の未利用期間を有効活用する新たな周年供給事業に着手してまいります。 また、肉用牛の飼料となる稲わらの増産及び利用拡大を推進するため、稲作農家が所有するコンバインやトラクターへの附属機械を新たに装着することにより生産の省力化を図るとともに、地域の実情に応じまして最適な保管輸送体制を構築する新たな生産供給拡大事業を展開してまいります。 今後とも、食を支え地域を守る農家の皆様方にしっかりと寄り添いながら、オール徳島体制で、耕畜連携の好循環をより一層加速させてまいります。   (寺井議員登壇) ◆二十七番(寺井正邇君) それぞれ御答弁をいただきました。コメントは最後にまとめてさせていただきます。 それでは、質問を続けてまいります。 まず、地方創生の推進についてお伺いいたします。 本県の人口は、今や七十万人を切るときが確実に近づいており、その影響は、企業の採用難や農業の後継不足など様々な分野で現れております。 加えて、三年余りにわたるコロナ禍と、激甚化する自然災害、さらにはロシアのウクライナ侵攻と歴史的な円安に伴う原油価格・物価高騰と、我々地方を取り巻く環境は大変厳しいものとなっております。 国においては、昨年十二月、令和五年度を始期とする五か年のデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定し、デジタルの力を活用した地方の地域課題解決とデジタル実装の基礎条件整備に取り組むとしたところであり、あわせて、地方においても新たに地方版総合戦略の策定に努めるよう要請されました。 本県においては、スマート農林水産業をはじめ、DX、GXを活用した地方創生の取組が既に展開されており、例えば私の地元阿波市においても、園芸施設のメーカーが次世代園芸施設トマトパークを令和二年十月に開設し、最先端技術の県内農家への普及や施設園芸エキスパートの人材育成にも貢献をいただくなど、担い手の高齢化や後継不足の対策ともなる先進的な取組が展開されております。 こうした動きの中、昨年十一月議会では、我が会派の岡本議員の代表質問に対し、知事から、新たな総合戦略を策定することが表明されたところであります。これまで地方創生を先導してきた徳島として、全国に先駆け戦略策定を打ち出されたことは、大いに評価いたしております。 社会経済情勢が大きく変化する中、私は、これから策定する徳島の新たな総合戦略をぜひ地域課題解決の全国モデルとしていただきたいと考えております。 そこで、お伺いいたします。 新たな総合戦略を今後どのような方向性で策定していくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、東部防災館の活用についてお伺いいたします。 現在、災害時は広域物資輸送拠点、平時はにぎわい拠点としての機能を兼ね備える施設として、マリンピア沖洲に東部防災館の整備が進められております。 本県において、切迫する南海トラフ巨大地震あるいは中央構造線活断層地震などの大規模災害が発生した場合には、助かる命を助けることはもちろん、被災に一刻も早く安定して救援物資を届けることにより、助かった命をしっかりとつないでいくことが重要であり、ヘリポートや広大な屋内空間のトラックヤードを有するなど、広域物資輸送拠点としての優れた機能が備わる東部防災館は、災害時における物流体制の中核をなすものと、大いに期待しているところであります。 一方、先日、岸田首相が施政方針演説の中で、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況との認識から、国の重要課題として打ち出した少子化対策が、国会において連日議論されております。 こうした中、東部防災館におけるスポーツ施設や子育て支援施設などのにぎわい拠点としての機能を存分に活用し、子供や子育て世帯にとって楽しく安全・安心に学び遊ぶことのできる魅力ある施設とすることは、少子化対策、ひいては人口減少対策にも大いに貢献すると考えております。 そこで、お伺いいたします。 広域物資輸送拠点とにぎわい拠点の機能を持つ東部防災館をどのように活用するのか、御所見をお伺いいたします。 次に、徳島自動車道の四車線化についてお伺いいたします。 徳島自動車道については、平成十二年に徳島─川之江東ジャンクション間が暫定二車線で開通した後、平成二十七年の鳴門ジャンクション─徳島間の完成をもって神戸淡路鳴門自動車道と直結したことにより、本県から京阪神方面への利便性が大きく向上したところであります。 また、私の地元阿波市では、令和三年三月、阿波パーキングエリア付近の四車線化が完成し、対面通行だったときと比べ、本当に安心して通行できるようになったと喜んでおるところであります。 さらに、昨年十二月には、脇町─美馬間の四車線化着工式や、悲願であった阿波スマートインターチェンジの起工式にお招きいただき、阿波市の農業振興や地域経済の活性化をはじめ、物資輸送活動の効率化など、期待に胸を膨らませておるところであります。 こうした事業進捗が見られる中で、早期の徳島自動車道の全線四車線化に向け、知事と共に、徳島県議会徳島自動車道整備促進議員連盟の会長として、関係市町の首長と一緒になって繰り返し提言活動を実施するとともに、昨年の十二月二十一日には、国土交通省四国地方整備局や西日本高速道路株式会社四国支社に対し、地域の声を強く訴えてきたところであり、より安全で快適に利用できるよう、私をはじめ地域住民は早期の四車線化を待ち望んでおります。 そこで、お伺いいたします。 徳島自動車道の四車線化に向けどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、消費政策の国際拠点化のさらなる推進についてお伺いいたします。 私が徳島県議会議長を務めていた令和二年七月三十日、国の本庁機能移転の全国第一号として、消費庁新未来創造戦略本部が、消費行政の発展創造を担うにふさわしい機能と規模を備えた恒常的拠点として、徳島県庁十階に開設されました。 その前年、令和元年九月には、消費庁と本県の共催によるG20消費政策国際会合がここ徳島で開催され、世界各国約三百名の御参加の下、若年層に対する消費教育や高校生によるエシカル消費の実践、日本をリードする本県の成果が世界に発信され、大いに評価をいただいたところであります。 その後も、本県においては、イギリス、フランスなど欧州をはじめ世界の消費政策リーダーの参加による国際消費フォーラムの継続的な開催、徳島県内及びASEAN諸国の学生の参加による未来を担う消費リーダーの育成など、全国でも類を見ない取組を推進してまいりました。 一方、今般、消費を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、DX、GXの進展をはじめ、エシカル消費やフェアトレードなど、消費政策の推進に当たっては国際的な視点や連携が欠かせないものとなっております。 折しも二〇二五年には大阪・関西万博の開催を控えて、今まさに、本県が持つ国際的な人のつながりを生かした消費政策のさらなる展開による国際拠点化の推進にまたとない好機が訪れていると考えます。 そこで、お伺いいたします。 大阪・関西万博という絶好の機会を逃さず、徳島県の消費政策の国際拠点化を積極的に推進すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、まとめに入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、新たな総合戦略をどのような方向性で策定していくのか、御質問をいただいております。 令和四年厚生労働省人口動態統計におきまして、我が国の出生数が、統計を取り始めた一八九九年以降、初めて八十万人を割る見通しとなり、同じく令和四年総務省住民基本台帳人口移動報告におきましては、東京圏への転入超過が再び増加の兆しを見せるなど、まさに人口減少の国難との重みが地方において一段と増してきているところであります。 また、議員お話しのとおり、新型コロナウイルス感染症や自然災害、原油・物価高騰が県民の皆様方に不安や停滞感を与えており、こうした課題への対応が不可欠である、このように認識いたしております。 そこで、これらの課題を克服し、県民の皆様方が夢と希望を感じていただけるよう、未来志向で、誰一人取り残されない持続可能な社会の構築に向け、新たな五か年戦略の策定を現在進めているところであります。 近くお示しする骨子におきましては、新たに、県民の皆様と共有する本県の目指すビジョンやその実現に向け、人の流れと仕事づくり、結婚、出産、子育ての希望がかなう環境づくりなど、人口減少の克服を図るための目標をしっかりと位置づけてまいります。 加えて、担い手不足による地域経済活動の縮小や若者の減少による地域活力の低下など、人口減少に伴う様々な地域課題をデジタルの力で解決するために不可欠となるデジタル基盤の整備やデジタル人材の育成にも取り組んでまいります。 また、ポストコロナ新時代に向け、一歩先、いや二歩先の未来へと確かな歩みを進めるため、二〇二五年大阪・関西万博をはじめ、二〇三〇年SDGs目標年、その先の二〇五〇年カーボンニュートラル実現をマイルストーンと定めることで、着実に戦略を推進いたしてまいります。 新たな総合戦略では、本年夏を目途に策定することとし、県議会での御論議はもとよりのこと、地方創生“挙県一致“協議会など、県民の皆様方の声をしっかりとお聞きすることで、本県がこれまで進めてきたDXとGX、これらを両輪とした地方創生の取組に、一石二鳥ならぬ三鳥、四鳥のさらなる相乗効果を生み、施策の好循環を加速いたしてまいります。 今後とも、県民の皆様方に徳島への誇りと徳島に住むことの幸せを感じていただき、暮らし続けたい徳島の実現に、引き続き全力を傾注いたしてまいります。 次に、東部防災館の活用について御質問をいただいております。 東部防災館は、災害時の広域物資輸送拠点や平時のにぎわい拠点の機能を持つリバーシブルな施設として整備を進めているところであります。 まず、広域物資輸送拠点の機能につきましては、徳島南部自動車道の徳島沖洲インターチェンジやマリンピア沖洲耐震強化岸壁に近接した交通結節点に位置する地理的優位性と、床面積約三千平方メートル、最大高さ十三メートルを有する一階大空間や、トラック荷さばき場、ヘリポートが物資集積場に直結する施設の特徴を生かし、全国から大量に届けられるプッシュ型支援物資の集積、仕分、輸送を担う防災支援ネットワークのハブ施設として、本年四月から運用を開始いたします。 さらに、東部防災館のハブ機能を強化するため、レベルフォー、有人地帯目視外飛行が可能となり、次世代の輸送手段として期待されているドローンの実装を進めるため、三月には、産学官から成るドローン社会実装推進委員会を新たに設置し、運航管理システム、安全な飛行ルート、人材確保策などについて検討するとともに、引き続き物資輸送の実証を重ねてまいります。 次に、にぎわい拠点機能につきましては、子育て世代を中心とする県民の皆様方の声を反映した、御家族が一日過ごせる全天候型インドアパークとの設計コンセプトの下、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを継承するスポーツ施設として、一階には県内初人工スケートリンクのほか、スリー・エックス・スリー、バレーボールなどにも使えるメインコートやキッズボルダリング場、屋上には若者に人気のスケートボード場などを設け、アーバンスポーツをはじめとする十五種類以上のスポーツを一か所で体験することができる、これまでの徳島にはない空間を創出いたしてまいります。 加えて、本県初の取組として、指定管理自らの発想で、二階、三階を子育て支援施設として整備し、スポーツやICTも学べる学童保育、子供の自主性を育む仕事店づくり体験、親子で楽しむ防災クッキングなど、民間のノウハウを活用することで、子育て世代にとって魅力あるコンテンツを提供することといたしており、スポーツ施設と併せて、新たなにぎわい拠点として本年夏に全館オープンし、県民の皆様方の健康づくりや子育てを応援いたしてまいります。 今後とも、東部防災館が有する災害時、平時の機能を最大限活用し、県民の皆様方の暮らしと命を守るとともに、誰もが行きたくなるにぎわいを創出することにより、夢と希望にあふれた明るい未来を実感していただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、徳島自動車道の四車線化についての御質問をいただいております。 国の高速道路における安全・安心基本計画では、四車線化の優先整備区間として藍住─川之江東間が位置づけられており、令和三年三月には、阿波パーキングエリア付近において、連続する約十キロメートルが完成したところであります。 昨年十二月には、議員にも御出席をいただき、脇町─美馬間四・八キロメートルの着工式、土成─脇町間に新設される阿波スマートインターチェンジの起工式が執り行われ、着実な進展が図られているところであります。 近年、物流業界が抱えるドライバー不足など、いわゆる二〇二四年問題への対応が急務となる中、九州方面と近畿を結ぶ物流の大動脈が、関門ルートからフェリーを活用した豊予ルートへとモーダルシフトが進み、トラック交通量が大幅に増加するなど、徳島自動車道の存在意義が一層高まってきているところであります。 全線四車線化への道筋を確かなものとするため、令和二年八月、社会資本整備審議会国土幹線道路部会には私自ら地方の代表として出席し、計画的な四車線化や財源確保について強く訴えるとともに、昨年十月三十一日には、議員が会長を務めていただいております整備促進議員連盟や期成同盟会の皆様方と一体となって、斉藤国土交通大臣、鈴木財務大臣に対し、有料道路制度の見直しによる財源確保、徳島自動車道の早期四車線化について政策提言を実施いたしたところであります。 こうした取組が実を結び、今通常国会において、料金徴収期間を延長する関連法案が提出され、財源確保に向けた大きな一歩を踏み出したところであります。 今後とも、徳島自動車道を利用いただく皆様方の安全・安心はもとよりのこと、物流業界の働き方改革をも支える全線四車線化に向け、国や西日本高速道路株式会社に力強く働きかけてまいりますので、議員各位におかれましては、なお一層の御支援、御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 次に、消費政策の国際拠点化を積極的に推進すべきとの御提言をいただいております。 令和二年七月、当時の寺井県議会議長さんと看板を設置いたしました消費庁新未来創造戦略本部の開設という唯一無二の成果を最大限に活用し、本県におきましては、とくしま国際消費フォーラム、サステナブルファッションに関する日仏シンポジウムなど、消費庁と共に、八回に上る国際会議を、このコロナ下、全国での国際会議が中止を余儀なくされる中、リアル、オンライン、オンデマンドを活用し開催し、消費政策の国際拠点化に取り組んでまいったところであります。 これらの国際会議では、欧米はもとより、フィリピンやタイなど成長著しいASEAN諸国との連携が深まり、世界中の方々と培った人のつながりは、本県のみが持つ最大の強みとなったところであります。 本県の消費政策の国際拠点化をより高いステージへと引き上げていくためには、こうした成果をさらに発展させるとともに、議員お話しのとおり、大阪・関西万博を機に徳島への人の流れを創出することがまさに不可欠であります。 そこで、来年度のとくしま国際消費フォーラム二〇二三におきましては、オンラインショッピングにおける誇大広告やステルスマーケティングなど、DXの加速に伴う国際的な課題をテーマに、国内外で課題解決に当たるフロントランナーの方々をお招きし、議論を深めるとともに、本県におけるSDGsの取組を体感いただくスタディツアーを万博に先駆けて実施いたします。 また、G20消費政策国際会合のレガシーを未来につなげるため、コロナ下においてもオンラインを活用し継続してまいりました国際フォーラム、消費庁をはじめ国際会合参加や学識経験、国際協力機関とのネットワークが実を結び、JICA四国の青年研修事業が、来年度、新たに本県において実施される見込みとなりました。 この研修では、マレーシアの中央省庁、自治体の若手行政官ら約二十名が半月以上にわたり本県に滞在し、高校生ら若い力が牽引するエシカル消費、本県発祥のサテライトオフィスなど、新次元の消費行政、消費教育や地方創生の取組について、県内全域で学びを深めていただくこととなっております。 さらに、この絶好のチャンスを捉え、来県される皆様のキーパーソンに新たなネットワークを構築し、マレーシアをはじめASEAN諸国との連携をさらに深化させてまいります。 今後とも、大阪・関西万博という千載一遇の機会を生かし、消費庁との緊密な連携の下、ポストコロナ新時代にふさわしい未来志向の消費行政、消費教育を展開し、徳島が、日本はもとよりのこと、世界の消費政策の中心となりますよう、全力を傾注いたしてまいります。   (寺井議員登壇) ◆二十七番(寺井正邇君) それぞれ御回答をいただきました。 まず、知事の政治姿勢について、過去の反省の言葉と、県民に寄り添っていく意味を込め、これまでの給与カットに加え、退職金を辞退したいとの発言、加えて、未来への決意をお聞かせいただきました。 振り返りますと、私が県議会議員となる四年前、平成十五年、知事としては初の選挙のときでございますが、畑仕事をしていた私の近くを、偶然、知事の選挙カーが通りかかりました。私が手を止めて駆け寄り、知事と汚い手で握手したわけでございますが、知事の輝く目に引かれ、こんなに若い人が徳島県のために頑張ろうとしているんだと、熱い思いが込み上げてきたことを、今でもはっきりと覚えております。 今、御答弁をお聞きし、当時の、何にも増して徳島県のためという気持ちはなお強くなっているということを改めて実感したところであり、ぜひ次の議会以降も県民のため談論風発を交わしたいと心から思ったところであります。 農林水産業未来創造基金については、まずは食料供給体制の強化に向けて現基金を大胆に見直すとの力強い御答弁をいただき、ありがとうございます。 新基金の早期改正、早期実現に向け、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。生産の支援に当たっては、これまで以上に幅広く強力に取り組めるよう、基金規模の拡大を要望しておきます。 農業を魅力ある産業として持続性を高めるためには、生産の頑張りを支える適正価格の形成が不可欠です。しかし、農産物価格の決定については、多くが量販店などの買手の力が強く、生産はコストの上昇分を販売価格に転嫁できず、十分な所得の確保が難しくなっております。 他国を見ますと、フランスでは、これを打開するため、農業の所得向上を目的としたエガリム法が制定され、農業から生産費を考慮した契約価格の提示など、公正な価格形成のための仕組みづくりがなされております。 県においては、消費の方々が生産物の正しい価値を理解していただけるよう啓発を行うとともに、フランスの取組を参考に、我が国に即した適正な生産物価格の形成ができる仕組みづくりを行うよう、国に対する提言を要望いたしておきます。 農業基盤の整備については、大きな効果が見込まれる農地中間管理機構関連農地整備事業の事業着手のペースを加速させるとの前向きな御答弁をいただいたところであり、高く評価いたします。生産の将来の希望につながる御答弁であり、ありがとうございます。 地域農業を継続するには、社会資本整備たる農地整備に加え、それを使いこなす人づくりが重要であります。農地中間管理機構関連農地整備事業により、農地整備と担い手育成を両輪で一体的に推進いただき、農村地域の持続的な発展にしっかりとつなげていかれることを強く希望いたしております。 食料安全保障の強化に向けた耕畜連携については、農畜産業の各関係機関・団体と連携した新たな耕畜連携モデルの早期実装を目指していくとの力強い御答弁をいただきました。 これまで輸入に頼っていた飼料や稲わらの飼料作物を地域内で自給循環させる方向に、より一層転換していくためには、耕種農家、畜産農家それぞれの経営基盤の強化が不可欠であります。特に、昨今の生産資材の高騰をはじめとする非常に厳しい農畜産業の環境下において、耕畜連携の柱となる畜産農家の経営安定が、これまで以上にその重要性が増しております。 そのため、新技術活用による生産性向上及び県産畜産物のブランド力強化や消費拡大など、あらゆる角度から畜産業における経営基盤の維持強化にしっかり取り組んでいただくよう要望いたしておきます。 地方創生の推進については、新たな総合戦略について、飯泉知事から、デジタルの力を活用し、これまでの本県の地方創生の取組を進化、加速化するという力強い御答弁をいただきました。 我々地方を取り巻く国難や新たな課題を克服することで、県民が未来への夢や希望を持つことができる、誰一人取り残されない持続可能な地域社会を実現し、国内外に発信できるよう、県を挙げた取組を期待いたしております。 東部防災館については、災害時に被災の命をつなぐ救援物資を迅速に県内各地へ届ける体制が強化され、さらに時代の先端を行くドローンの活用も進めるとの御答弁もあり、非常に心強く感じたところであります。 また、平時については、にぎわい拠点として、スポーツ、子育ての幅広いニーズに応えるすばらしい施設ができると感じました。東部防災館が県民に役立つ魅力ある施設となることを大いに期待いたしております。 徳島自動車道については、整備促進議員連盟の会長として、一日も早い四車線化の実現を強く要望しますので、スピード感を持って全力で取り組んでいただきますよう、ぜひともよろしくお願いいたします。 消費政策につきましては、大阪・関西万博を見据え、未来志向の消費政策を推進し、徳島県が消費政策国際拠点となるように取り組むとの力強い御答弁をいただきました。 本県には、日本の消費行政をつかさどる消費庁の本庁機能を備えた消費庁新未来創造戦略本部が設置されております。ほかの都道府県にはないこの成果を生かし、本県の消費行政、消費教育が進化し、消費政策の国際拠点化が飛躍することを期待いたしております。 本日は、それぞれの県の取組などについて、前向きな御答弁をいただきました。しっかりと御対応いただくことをお願いし、私の全ての質問を終わりとします。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(南恒生君) 議事の都合により、休憩いたします。      午前十一時十三分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午前十一時三十七分開議      出席議員計三十四名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     梶  原  一  哉 君     六  番     浪  越  憲  一 君     七  番     仁  木  啓  人 君     八  番     東  条  恭  子 君     九  番     原     徹  臣 君     十  番     北  島  一  人 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     古  川  広  志 君     十五 番     長  池  文  武 君     十六 番     吉  田  益  子 君     十七 番     須  見  一  仁 君     十八 番     井  川  龍  二 君     十九 番     元  木  章  生 君     二十 番     岡  田  理  絵 君     二十二番     岩  丸  正  史 君     二十三番     岡     佑  樹 君     二十四番     黒  崎     章 君     二十五番     扶  川     敦 君     二十六番     達  田  良  子 君     二十七番     寺  井  正  邇 君     二十八番     喜  多  宏  思 君     二十九番     重  清  佳  之 君     三十 番     嘉  見  博  之 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     杉  本  直  樹 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     臼  木  春  夫 君     三十五番     庄  野  昌  彦 君     三十六番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○副議長(井川龍二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 二十番・岡田理絵君。   (岡田議員登壇) ◆二十番(岡田理絵君) 皆様こんにちは。徳島県議会自由民主党の岡田理絵でございます。 朝早くから傍聴にお越しくださいました皆様、ありがとうございます。 まず初めに、二月六日にトルコ南部で発生した大地震により被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。 また、間もなく一年が経過しようとしているロシアのウクライナ侵攻に対しまして、ウクライナの方々が一日も早く平穏な日々を取り戻すことができるよう、心から願っております。 本日は、会派を代表し、私自身といたしましては四期十六年の集大成として、代表質問をさせていただきます。 これまでを振り返り、ポストコロナ新時代を切り開き、明るい未来へとつながる質問をさせていただきますので、骨格予算ではありますが、四月以降、新年度には大きな実施予算が確保できますよう、前向きな御答弁をお願いいたします。 それでは、質問に入らせていただきます。 まず初めに、大阪・関西万博についてお伺いいたします。 二〇二五年の大阪・関西万博まで、あと二年余りとなりました。国内での初開催であった一九七〇年の大阪万博以来、半世紀ぶりに関西で万博が開催されることとなります。 前回の大阪万博は、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げ、未来の姿として紹介された携帯電話や電気自動車などの技術は、後に実用化されたものが少なくありません。 当時五歳で万博に連れていってもらった私も、幼いながらも、多くの方が来場されていたことに驚き、その光景は今もはっきり覚えております。そして、再び関西が舞台となる万博がやってくることにわくわくしております。 今回のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。世界では、地球温暖化や新型コロナなど、一つの国だけでは解決できない大きな課題を抱えておりますが、万博には、こうした課題を解決へと導き、その先の二〇三〇年SDGs達成や二〇五〇年カーボンニュートラルという未来社会の実現へと導く役割が求められております。 このような意義のある万博に、今回は徳島県も参画し、パビリオンを出展いたします。先月には、基本計画の案がまとまったということで、徳島パビリオンのイメージも公開されました。 本県の取組のコンセプトは、「万博は『ゲートウェイ』、徳島『まるごとパビリオン』~県民が参画し、県民が創る万博~」です。万博の会場を入り口として、徳島の魅力を発信するとともに、県全体をパビリオンと位置づけて、多くの方々にお越しいただこうという計画です。 そこで、私の地元鳴門市では、四国の玄関口という立地から、新型コロナの閉塞感を飛躍的な回復へと転じる起爆剤として、大きな期待が寄せられております。 ポストコロナを見据えて、SDGs先進県である徳島ならではのコンテンツを発信することで、万博の成功と世界の課題解決に貢献することができるのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 世界的なイベントである万博において、徳島から持続可能な未来への道筋をどのように示していくのか、お伺いいたします。 次に、関西広域連合についてお伺いします。 関西広域連合は、令和四年十二月で、設立から十二周年を迎えました。 設立時には、なぜ徳島が関西広域連合になどという声も聞かれましたが、徳島県は、生活、文化、経済やメディアにおいても近畿と強く結びついており、地理的にも鳴門がまさに関西と四国のかけ橋となっているため、関西広域連合設立当初から参画しております。私自身も、大学時代を関西で過ごし、関西広域連合の重要性を十分に認識している一人です。 関西広域連合ではこれまで、徳島県が医療担当を務めるドクターヘリの運航体制の充実、東日本大震災でも活用されたカウンターパート方式による被災地支援など、医療・防災分野をはじめ、産業、観光など各分野で、数多くの成果を生み出してきました。 私が平成二十七、二十八年度と関西広域連合議員を務めた際、平成二十八年九月から、二〇二五年大阪・関西万博について、一致結束しての誘致活動が始まりました。今回の万博の開催は、誘致活動において大きな役割を果たした関西広域連合の成果であると言えます。 このように、全国唯一無二の府県をまたぐ画期的な広域行政体である関西広域連合の成果は、日本の各地域が抱える課題に対しても、もっと活用していくべきではないかと感じております。 そこで、お伺いいたします。 関西広域連合十二年の成果と今後あるべき姿をどのように考えるのか、知事の御所見をお願いいたします。 次に、農林水産物の魅力発信についてお伺いします。 長引くコロナ禍で、私たちの生活や働き方が大きく変わる一方、国の水際対策の緩和により、外国人観光客の本格的な受入れが再開されるなど、感染拡大防止に併せて社会経済の回復に向けた動きが加速しております。 特に、大阪・関西万博には世界各地から二千八百万人以上が来場すると見込まれており、私としても、この大きなチャンスを生かさなければとの思いを強くしております。 そこで、徳島が誇る農林水産物を使った食を、おもてなしや体験などの全てのストーリーの軸にしっかりと据えることが必要となってきます。 例えば、私の地元鳴門市には、なると金時、鳴門わかめ、鳴門鯛をはじめ、コウノトリが生息しやすい環境に配慮して栽培したレンコンやお米、そのお米を用いたプレミアム地酒や、食に彩りを添える器としての伝統工芸大谷焼など、地域ならではの食材や食文化がたくさんあります。 まずは、観光の目線で、徳島のよさを実際に体験できる機会を創出し、SDGsを取り入れた食体験を徳島から世界に発信すべきではないかと思います。 また、同時に忘れてはならないのが、生産や事業の方の皆様の目線です。夢と希望を持って取り組める環境をつくることが、持続可能な農林水産業につながると考えております。 これまでも何度もお話ししてまいりましたが、ポストコロナの観光誘客の起爆剤となるような、徳島といえばこれを食べて、これを体験してと、全ての県民の皆様が分かりやすく発信できる新たな徳島グルメの創出にチャレンジすることも大切です。 そこで、お伺いいたします。 大阪・関西万博を見据え、国内外から徳島への人の流れのさらなる創出に向け、SDGsが息づく農林水産物の魅力を強力に発信し、徳島ならではの食体験につなげるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、サイクリング機運の醸成についてお伺いします。 近年、サイクリングは、自分の体力に合わせて気軽に取り組め、コロナ下でも密を避けることができるスポーツとして人気が高まっております。 私も、スポーツは観戦、応援するのが専門でありますが、自転車は好きで、様々な機会を通じてイベントに参加し、サイクリングを楽しんでおります。青空の下で風を切りながら自転車で走ることは、手軽に取り組める運動として、健康づくり、ひいては健康寿命を延ばすツールとして効果的であると、身をもって体験しております。 こうした中、鳴門市と淡路島を結ぶ大鳴門橋への自転車道整備が動き出しており、地元では、久々に明るい話題として、大いに歓迎されております。 自転車道の開通後は、淡路島を一周する通称アワイチを巡ったサイクリストが鳴門市を通って四国へと足を延ばすであろうことが想定されます。起点となる鳴門市には、鳴門の渦潮や大塚国際美術館、一番札所の霊山寺など観光名所のほか、サイクリスト専用施設UZU PARKサイクルステーションもそろっており、本県サイクリングの魅力を知っていただく入り口となります。 また、大阪・関西万博やワールドマスターズゲームズ二〇二七関西の開催を控え、本県を含め関西全体が注目を集める中、大鳴門橋自転車道の開通により、関西からのアクセスが飛躍的に向上する自転車を活用することが重要と考えます。 私は、平成十九年十一月定例会での初めての質問で、健康と観光をつなぐヘルスツーリズムについて質問させていただいています。それをさらに推進していくことは必要と考えます。 そこで、お伺いいたします。 この好機を逃さず、国内外の誘客を推進するとともに、サイクリストの裾野拡大を図り、県民の健康増進につなげるため、本県サイクリングの機運をどのように盛り上げていくのか、お伺いいたします。 続いて、鳴門スカイラインの魅力向上についてお伺いします。 国におきましては、五月八日から、新型コロナウイルス感染症季節性インフルエンザと同様に第五類に移行するとの発表がなされたところであり、観光産業の完全回復に向けた期待が大きく高まっております。 また、先ほども申し上げましたが、大阪・関西万博やワールドマスターズゲームズ関西の開催、大鳴門橋自転車道の整備など、私の議員生活十六年を振り返ってみましても、かつてないほどの県内誘客への絶好のチャンスが訪れております。 数ある鳴門の観光資源の中で、特に、美しい海岸線を望むすばらしい眺望を誇る鳴門スカイラインには、週末にはたくさんのツーリングを楽しまれる方が訪れております。私自身も、多くの県外ナンバーの車やバイクが展望台に駐車されている光景をよく目にしております。 一方で、長い年月の経過により、沿線施設の老朽化や、樹木に遮られ、せっかくの景観が台なしになっており、リピーターにつながらないのではなど、地元の方々からも不安の声が寄せられております。 鳴門公園は国立公園であるため、規制もかかり、新たな開発が行いにくい状況は認識しておりますが、今ある観光資源を最大限に生かし、来るべき時期に向けてしっかりと受入環境を早急に整える必要があります。 そこで、お伺いいたします。 大阪・関西万博の開催や大鳴門橋自転車道の整備を見据え、鳴門スカイラインを活用した観光誘客をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 御答弁をいただき、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 岡田議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、世界的なイベントである万博において、徳島から、持続可能な未来への道筋をどのように示すのか、御質問をいただいております。 議員お話しのとおり、開幕まであと二年余りとなった大阪・関西万博は、世界各国との交流はもとよりのこと、気候変動や新型コロナウイルスなど地球規模の課題に対し、全世界から英知を結集し、解決に向けた針路を示す場としても大いなる意義があるものと認識いたしているところであります。 徳島県は、関西を舞台とする万博において、多様な文化や価値観との交流によりポストコロナ新時代の未来社会をデザインしていくため、オール徳島による推進体制の下、徳島「まるごとパビリオン」基本計画案を策定し、去る一月二十七日には、挙県一致協議会において御賛同を賜ったところであります。 基本計画案では、古来より四国の玄関口を担い、サステナブルな暮らしが息づく本県を、持続可能な未来へのゲートウエーと捉え、万博への取組を、SDGs先進県徳島を巡る旅、S─TRIPを基軸とし、展開することといたしております。 まず、大阪夢洲の徳島パビリオンでは、未来技術と徳島の強みや魅力を融合し、世界初の技術リアルタイムVSRによるバーチャル観光として、県内の観光地をまさにリアルタイムに体感できる展示をはじめ、本県との友好交流提携十五周年を迎えましたドイツ・ニーダーザクセン州と双方向の交流による新たな価値の創造、徳島の伝統文化や地域ごとのコンテンツによるSDGsライフスタイルの提案などを構成としており、世界とつながる徳島ならではのパビリオンとして、本県への新たな人の流れをつくり出し、国内外へも大いに存在感を示してまいります。 次に、夢洲での展示と連携いたしました全県で展開する徳島「まるごとパビリオン」では、来年度、S─TRIPの多彩なコンテンツを盛り込んだラインナップの構築に挙県一致で取り組むとともに、展示に用いる未来技術や県内への誘客の仕組みなどについて、二〇二五年の開幕を見据え、本番さながらに実証し、一層の磨き上げを図ることにより、万博といえば徳島を強く印象づけ、県内外の皆様方に世界に誇れる徳島を実感していただけるよう、しっかりと取組を進めてまいります。 今後とも、年度内に策定いたします基本計画の下、アフターコロナ、そしてその先のポストコロナ新時代を見据え、S─TRIPの目的地である徳島が持続可能な未来への道標となり、未来志向の取組により、大阪・関西万博を成功へと導けるよう、全力を傾注いたしてまいります。 次に、関西広域連合十二年の成果と今後あるべき姿をどのように考えるのか、御質問をいただいております。 関西広域連合は、中央集権体制と東京一極集中を打破し、関西が地方分権改革の突破口を開くとの志の下、徳島をはじめ、今では二府五県が結集し、日本の有史以来初となる都道府県域を越える意思決定機関として、平成二十二年十二月に設立いたしたところであります。 本県は、全国最多の人口当たりの医師数や、高度な技術を有するものづくり企業、大手製薬会社の立地など、優位性を最大限に生かし、七分野の広域事務のうち、関西二千二百万府民、県民、市民の命と安全・安心を守る広域医療分野を担ってまいったところであります。 ちなみに、関西広域連合創設当時は、当然、京都大学のある京都、大阪大学のある大阪などがその有力候補地と言われていたところでありますが、一発大逆転、徳島となったところであります。 これまでの成果といたしましては、連合初となる国への提言や議会第一号の意見書での要請により実現した本四高速の全国共通料金化をはじめ、ドクターヘリ七機体制による三十分以内での救急医療体制の確立、感染防止対策に係る国への提言や府県市民の皆様方への統一メッセージの発出など、新型コロナウイルス感染症への対応、本県の消費庁新未来創造戦略本部に代表される中央省庁の本省機能を有する政府機関の地方移転の実現など、国土の双眼構造の確立に向け、徳島県がまさにリーダーシップを発揮し、取り組んでまいったところであります。 ちなみに、国の本省機能として、令和五年度、今度は二番目として、京都府に文化庁が移ってまいります。 さらに、二〇二五年大阪・関西万博におきましては、一九七〇年の大阪万博とは異なり、本県も関西広域連合のチャーターメンバーとして、ドイツ・ニーダーザクセン州はもとよりのこと、欧州へのロビー活動を展開したことが功を奏し、ロシアとの戦いに勝ち、誘致が実現したものであり、関西広域連合がまさに主役となる中、万博の成功を徳島が牽引するとの大きな役割を現在担っているところであります。 議員お話しのとおり、広域行政の先進モデルである関西広域連合から、日本が直面する社会的課題を解決する処方箋を示すことがまさに重要であると認識いたしております。 このため、医療、防災など七分野の広域事務の一層の充実はもとよりのこと、本省機能を有する政府機関のさらなる関西移転を先導するなど、これまでの成果や強みをさらに進化させるとともに、ポストコロナ新時代を見据え、大阪・関西万博をマイルストーンとして、二〇三〇年SDGsの達成や二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、関西一丸となって取組を進めてまいります。 今後とも、徳島こそが関西広域連合をリードするとの強い気概を持ち、日本の新しい未来を切り開くべく、関西から新次元の分権型社会の実現に向け、積極果敢に取組を進めてまいります。 次に、鳴門スカイラインを活用した観光誘客をどのように進めていくのか、御質問をいただいております。 世界三大潮流の鳴門の渦潮、世界の名画を楽しむことのできる大塚国際美術館など、雄大な自然環境や優れた観光資源を有する鳴門公園一帯は、本県のみならず日本を代表する観光地であり、そこから延びる鳴門スカイラインは、絶景を巡るドライブコースとして、週末には多くの皆様方が訪れる人気スポットとなっているところであります。 また、関西からの玄関口として、撫養街道から、日本の原風景を残す「千年のかくれんぼ」の県西部へと、美しい海岸線に沿って、海、山、川と自然美が三拍子そろった県南部へと、県下全域への周遊性や滞在性を高める上で大変重要な観光拠点となっているところであります。 さらに、自転車王国とくしま公式コースの中でも人気が高い鳴門スカイライン、サイクルツーリズム推進のために現在計画を進めている大鳴門橋自転車道の開通に向け、さらなる魅力アップが期待されているところであり、本県を一周する新たなコースの設定、瀬戸内海沿岸六県を巡るセトイチの実現に向け、重要性もますます高まっているところであります。 一方、有料道路として開通した昭和四十六年から五十年以上、半世紀以上が経過しているところであり、沿線施設の老朽化が進んでいる、伸びた樹木により景観が損なわれているとのお声も多くいただいているところであります。 そこで、自転車道開通もしっかりと見据え、魅力的な観光地へとさらに進化させるため、地元自治体の鳴門市さんをはじめ、鳴門市うずしお観光協会や観光関連事業の皆様方、国立公園を所管する国や関係機関にも御参画をいただき、鳴門スカイライン魅力アップ推進協議会を速やかに立ち上げ、検討を開始いたします。 この協議会におきましては、議員からもお話をいただきましたように、鳴門スカイラインの一部が国立公園の区域内で、開発の強い規制がありますことから、様々な観点からの課題を抽出した上で、例えば、新たな景観スポットの創出をはじめとする魅力アップに向け、検討をどんどん進めてまいります。 今後とも、観光需要の拡大に向けまして大いなる起爆剤となります大阪・関西万博や、万博の二年後に迎えるワールドマスターズゲームズ関西──徳島では十二競技種目が開催されますが、こちらを千載一遇のチャンスとして捉え、鳴門市をはじめ関係の皆様方と連携を密にし、鳴門スカイラインの魅力向上を図りますとともに、VR技術を駆使いたしました臨場感ある観光体験や、SNSを活用した戦略的な情報発信により、本県への観光誘客を強力に推進いたしてまいります。   〔重清議員退席、出席議員計三十三名となる〕   (勝野副知事登壇) ◎副知事(勝野美江君) SDGsが息づく農林水産物の魅力を強力に発信し、徳島ならではの食体験につなげるべきとの御質問をいただきました。 夢と希望に満ちた大阪・関西万博を捉え、本県が誇る食を通じて新たな人の流れの創出につなげ、県産品の販売拡大を加速することが、本県農林水産業の持続的な発展への新たな扉を開く重要な鍵になると強く認識しております。 これまでも、県では、首都圏発信拠点ターンテーブルのネットワーク形成機能を活用し、ブランド力向上を図るとともに、本年一月には、包括連携協定締結先の東京・白金台、八芳園のポップアップ施設におきまして、徳島が誇るエシカル農産物のPRを展開するなど、徳島の食の魅力を国内外に発信してまいりました。 今後、万博に向けて、徳島への新たな人の流れをより一層加速させるためには、議員お話しのとおり、これまで以上に、SDGs先進県の象徴である本県の食を核に、地域の魅力と結びつけ、付加価値の高い食体験へと進化させていくことが不可欠であります。 そこで、徳島「まるごとパビリオン」基本計画案に、阿波ふうどを体感できる場、まるごと徳島ダイニングの展開を掲げ、生産から消費までサステナブルの視点を取り入れた、徳島ならではの食体験の新たな機会を積極的に創出してまいります。 具体的には、例えば、コウノトリが飛来する生物多様性に富んだ地域で、生き物観察や特別栽培のレンコンや酒米の栽培を体験する環境学習型の農作業体験、大谷焼や藍染めの伝統文化や人に触れながらその土地ならではの食を味わうガストロノミーなど、本県を訪れた人が地域の食や自然、文化などを丸ごと体験でき、さらには生産や地域に活力をもたらすS─TRIPを展開してまいります。 また、外国人をはじめ、本県を訪れる様々な食習慣、食文化を有する方々を温かくおもてなしするため、フードダイバーシティとくしまの形成を目指し、県内飲食店に向けて、ベジタリアンやビーガン、ハラールの習慣や食材、調理方法などの情報提供をきめ細やかに行ってまいります。 さらに、本県誘客の起爆剤となり、国内外でブームを巻き起こすキラーコンテンツとして、議員からもお話しいただいた新たな徳島グルメを創出するため、県内飲食店をはじめ産学官の有識で構成する徳島グルメ創出会議を、本年五月を目途に立ち上げてまいりたいと考えております。 今後とも、大阪・関西万博を見据え、知恵と工夫を凝らした徳島ならではの食体験を強力に発信し、国内外から新たな人の流れを生み出す、食べに行きたい徳島の実現に尽力いたしてまいります。   〔重清議員出席、出席議員計三十四名となる〕   (上田未来創生文化部長登壇) ◎未来創生文化部長(上田輝明君) サイクリング機運の醸成について御質問いただいております。 サイクリングは、風を切る爽快感や流れる景色の美しさを感じることのできる魅力を有しており、年齢、体力にかかわらず取り組みやすい健康づくりのツールや、仲間とも楽しめるスポーツや趣味として、多くの方が日常的に楽しまれております。 また、サイクリングには、観光振興や交流人口の拡大、地球温暖化対策など多くの効果が期待できることから、全国でも様々な取組が行われており、競争が激化する中、創意工夫を凝らした事業展開が必要であると考えております。 このため、県では、県内各地を巡り、初心から上級まで楽しめる自転車王国とくしま公式コースの設定や、のんびり散歩気分で走るポタリングツアーの実施など、サイクリストの裾野拡大とサイクルスポーツの普及促進に鋭意取り組んでいるところであります。 折しも、世界中から注目を集める二〇二五年大阪・関西万博やワールドマスターズゲームズ二〇二七関西、令和の夢のかけ橋となる大鳴門橋自転車道の整備など、新たな人の流れが生まれる絶好の機会が訪れております。 そこで、こうした動きに先駆け、来月には、ロードバイクを分解することなく車内に持ち込める大型バス、サイクルキャビンで関西からサイクリストを迎え、UZU PARKを起終点とする鳴門一周サイクリングツアーを開催し、鳴門海峡をはじめとする雄大な自然や新鮮な海の幸などの豊かな食を体験していただくこととしております。 さらに、令和五年度には、モニターツアーを拡充し、サイクリストのニーズを捉え、サイクルキャビンのポテンシャルを最大限に活用するとともに、本県を訪れるサイクリストの皆さんに対し、安全と楽しさのサポートはもとより、本県が誇る歴史、文化、自然を紹介するサイクリングガイドを養成するなど、徳島ならではの魅力を満喫できるサイクルツーリズムを強力に推進してまいります。 今後とも、県民の皆様の健康増進や国内外からの誘客促進に努め、サイクリングを活用した人・まちづくりを推進し、ポストコロナ新時代にふさわしい、夢と希望あふれる自転車王国とくしまの実現にしっかりと取り組んでまいります。   (岡田議員登壇) ◆二十番(岡田理絵君) それぞれ御答弁をいただきました。御答弁に対する私のコメントは、後ほどまとめて申し上げたいと思います。 それでは、質問を続けてまいります。 子供政策の推進についてお伺いいたします。 昨年の全国の出生数が初めて八十万人を割り込む見込みとなるなど、少子化対策は一刻の猶予もない状況です。 また、共働き世帯の増加や核家族化といった家族形態の変化により、育児に係る心理的・肉体的負担や、養育費用をはじめとする経済的負担など、子育てに対する負担感が増大しております。それに加えて、コロナ禍の影響により、人との交流が減り、孤独感を感じながら子育てをしているという訴えをお聞きしています。 子供たち自身の健やかな成長に対する支援はもちろんですが、母親をはじめとする子育て当事者が育児の悩みを抱え込んでしまうことのないよう、必要なときに必要な支援を受けられる体制づくりが重要ではないかと考えます。 国においては、こどもまんなか社会の実現を目指し、子供や子育て当事者の視点に立った政策の企画立案、総合調整を担うこども家庭庁が本年四月に設置されます。現在、岸田総理が、子供政策を最重要課題として、次元の異なる少子化対策に取り組むと表明しております。 本県においても、令和五年度十六か月型骨格予算案において、国の予算の伸び率を上回る前年度比六・三%増となる百六十五億円の子ども・子育て関連予算が計上されております。 これまでに、私は、幾多の機会を捉え、子育て支援について質問や要望をさせていただきました。この予算がついた今こそ、大きな声で言わせていただきます。予算を効果的に活用し、徳島県で安心して子供を産み育てることができるよう、政策を強化する必要があるのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 本県においても、こどもまんなか社会の実現に向け、子供政策のさらなる充実を図るべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、海域への栄養塩類の供給についてお伺いします。 瀬戸内海は、かつては、工場や家庭からの排水により、瀕死の海と呼ばれるほど水質が悪化しておりましたが、工場排水を規制する瀬戸内海環境保全臨時措置法の施行を機に環境保全対策が講じられ、現在では、いわゆるきれいな海として、水質が改善し、良好な状態が保たれています。 一方で、窒素、リンといった栄養塩類の減少や温暖化による水温の上昇などに伴い、生態系への影響が顕在化し、こうした環境変化への対応策が新たな課題となっております。 特に、栄養塩の不足については、養殖ノリ、ワカメの色落ち、生育不良などにつながるものであり、実際に、私の地元鳴門市の漁業の方からも、収穫量の減少や色落ち等の品質の低下が深刻な状況であるとの声が長年にわたり寄せられております。 このような状況を背景に、令和三年六月に改正された瀬戸内海環境保全特別措置法では、海域の実情に応じたきめ細やかな栄養塩類の管理が盛り込まれました。 それを受け、私が、令和三年六月の代表質問において、栄養塩対策を行うべきとの質問をさせていただき、ワカメへの施肥等の対策を実施していただいております。 また、国が定めた瀬戸内海環境保全基本計画においても、環境の保全と生物の豊かさの両立を目指すとの目標が示されるなど、昭和四十八年の瀬戸内海法制定以来五十年ぶりの大きな転換期を迎えております。 漁業資源の宝庫として恵みをもたらしてきた徳島の海を、これから先もきれいで豊かな海として次世代に継承することは、私たちの責務であります。 二〇三〇年を目標年次とするSDGsの目標十四、海の豊かさを守ろうにも、海洋資源の保全と持続可能な利用が掲げられているように、今まさに、漁業、企業、自治体など地域が一丸となって豊かな海を守る取組を実施し、これを継続していかなければなりません。 そこで、お伺いいたします。 きれいで豊かな海を次世代に継承する取組の一歩として、環境に配慮しつつ、地域との連携による栄養塩類供給策を進めていく必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、海砂の手入れ砂としての活用についてお伺いします。 私の地元鳴門市から徳島市の沿岸地域にかけては、海水に含まれるミネラルが豊富な砂地畑農業地帯が広がり、なると金時をはじめ大根やラッキョウ、渭東ネギなど、本県を代表するブランド品目が生産されています。中でも、なると金時は、栽培地域独自のブランド名を持ち、国内はもとより、近年では海外からも高い評価を得ており、本県の輸出戦略を支える品目として大きく期待されております。 なると金時を栽培する上では、水はけがよく通気性に優れた砂地が必要であり、高品質な生産を継続するためには、三年から五年に一度、手入れ砂として新しい砂を投入する必要があります。 この手入れ砂をめぐっては、私が議員になってからもずっと、手入れ砂は海砂でなければと切望する生産の声が数多く寄せられております。 しかしながら、本県においては、海域の環境保全のため、昭和五十三年から現在まで、瀬戸内海での砂利採取は禁止されており、長きにわたって、県産海砂の手入れ砂としての利用ができない状況が続いております。 環境保全や国土保全の観点から、砂利採取の禁止は重要だと認識はいたしますが、近い将来、例えばそのような環境保全や国土保全への影響が少ないケースがあるならば、海砂の手入れ砂としての活用を検討する機会を設けることもあってしかるべきではないでしょうか。 今、世界情勢は大きく変動し、食料安全保障の観点からも、地元ブランドの強化が強く求められております。ついては、本県を代表するブランド品目であるなると金時の維持発展のため、知事におかれましては、海砂を手入れ砂として利用したいという生産の思いに一歩でも二歩でも応える御英断をぜひとも期待したいと思います。 そこで、お伺いいたします。 なると金時ブランドを守るため、海砂を手入れ砂にも活用できるよう積極的に検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、鳴門病院の機能強化についてお伺いいたします。 県北部における政策医療を担い、地域の中核病院として重要な役割を果たしている徳島県鳴門病院は、来年度で、県の病院となって十周年を迎えます。 振り返れば、平成二十年十月、前身である健康保険鳴門病院が、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の保有となり、公的存続が危ぶまれました。私も含め、多くの地元の皆様が、地域にとって欠かすことのできない医療拠点がなくなるのではと不安に駆られました。 この危機に際し、知事が国へ病院の譲渡の申入れを行い、県の病院として存続させるという御英断をいただいたからこそ、今こうして安心して生活ができています。改めて感謝を申し上げたいと思います。 さて、地方独立行政法人徳島県鳴門病院として新たなスタートを切って以降、糖尿病・内分泌センターや脊椎脊髄センターの開設、診療科では救急科の新設など、随時、機能強化を推進するとともに、病院で働く医療従事のために、初任給の改善をはじめ、職員の処遇改善の改革にも積極的に取り組んでこられました。 また、平成二十九年十一月県議会における私からの質問に御答弁をいただく形で、次のことが実現いたしました。鳴門病院の計画的な医療機器の導入や更新等を支援するための資金の長期貸付制度、政策医療の提供を継続強化していくために必要となる運営費負担金の創設など、運営主体である県の責務を果たしていくための様々な制度もつくっていただきました。 先日、病院での説明会にも参加させていただきましたが、現在は、津波防潮壁とヘリポートの整備により、災害拠点病院としての機能強化を図られているところです。県北部はもとより、県全体、さらには関西の防災拠点となることを期待しております。 そこで、お伺いいたします。 このように、県の運営の下、様々な機能強化等を実現してきた鳴門病院でありますが、今後も地域医療を支えていくため、どのような取組を進めるのか、お伺いいたします。 御答弁をいただき、まとめに入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、子供政策の充実について御質問をいただいております。 国は、我が国経済社会の持続性と包摂性を考える上で、子ども・子育て政策を最重要課題と位置づけ、児童手当を中心とした経済的支援の強化、全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充、働き方改革の推進と制度の充実の三つの基本的方向性に沿って、少子化対策の検討を加速しているところであります。 本県では、こうした国の動きに先駆け、令和五年度十六か月型骨格予算案におきまして、こども家庭庁設置に伴う国の当初予算の伸び率二・六%を大きく上回る六・三%増となる総額百六十五億円の子ども・子育て関連予算を確保したところであり、積極的な事業展開を図ることといたしております。 具体的に少し申し上げてまいりますと、子育てに夢や希望が持てますよう、市町村や企業などとの連携強化を担うコンシェルジュの配置によりますきめ細やかな結婚支援の強化、伴走型相談支援と経済的支援を行う市町村を支援する徳島県出産・子育て応援交付金の創設、保育所などにおける保育の質の向上や勤務環境の改善など、結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目ない支援を行ってまいります。 また、子ども食堂の全県展開、デジタル技術を活用した児童相談所の機能強化、ヤングケアラーに関する実態調査の結果を踏まえた支援体制の構築など、誰一人取り残されることなく、全ての子供さんたちが健やかに成長できる環境づくりを強力に推進いたしてまいります。 なお、議員お話しのとおり、子育てにつきましても、誰にも相談することができず孤立化している問題も生じているところであり、こうした家庭に適切に支援を行う施策の推進や体制の整備が大変重要である、このように認識いたしているところであります。 そこで、県では、一人で育児を抱え込まず、子育て支援サービスや周囲の人を頼りながら楽しみを感じつつ行うチーム育児を推進するとともに、住民の皆様方に身近な市町村で相談をまず受け、産後ケアや一時預かりなどのサービスへつなげるこども家庭センターの設置を促進し、妊産婦や子供、子育て当事者の皆様方に対する支援が円滑に行われるよう、しっかりと取組を進めてまいります。 今後とも、国、市町村はもとよりのこと、あらゆる主体と緊密に連携協働しながら、子供さんや子育て当事者の皆様方の視点に立ち、安心・安全に子供を産み育てることのできるこどもまんなか社会の実現に向け、全力を傾注いたしてまいります。 次に、環境に配慮した地域との連携による栄養塩類供給策について御質問をいただいております。 現在、瀬戸内海では、温暖化による水温の上昇、藻場、干潟の減少など、海の生物の多様性と生産性に大きく影響を与える問題に直面しており、とりわけ、海水中の窒素、リンなどの栄養塩類の不足が喫緊の課題となっているところであります。 こうした中、昨年六月に、瀬戸内海の課題について幅広く協議を行うため、漁業、環境、行政など関係を構成員として設置いたしました徳島県湾・灘協議会におきましても、栄養塩類不足が原因と思われる水産物への影響が深刻であること、栄養塩類不足の実態については十分な調査研究が必要であること、環境の保全と栄養塩類供給とのバランスが重要である、様々な御意見を賜ったところであります。 このため、県内の河川、海域における現在の詳細な水質を把握し、今後の取組の基礎データとするため、ノリやワカメの養殖シーズンである一月より、播磨灘から県南の沿岸海域百八地点で、栄養塩類と水の汚れの指標となる有機汚濁物質の濃度を測定するモニタリング調査を実施しているところであります。 議員お話しのとおり、養殖ノリやワカメの色落ち、生育不良をはじめとする課題を効果的に改善し、豊かな海を次世代に継承するためには、漁業、企業、沿岸市町、研究機関など多様な関係間で課題を共有し、さらなる連携により、本県の実情に即した栄養塩類供給策を推進する必要がある、このように強く認識いたしているところであります。 そこで、来年度早々にも、県湾・灘協議会に、水環境、水産生物の専門家や漁業、関係企業などから成る海の栄養塩類研究部会を新たに立ち上げることといたしたところであります。 この部会では、本県初の試みといたしまして、県内企業の工場において、工場排水中の窒素濃度を段階的に高め、海域への栄養塩類供給量を増加させる実証実験に着手いたしてまいります。 さらに、これらの取組を通じ、栄養塩類供給策に係るデータを蓄積することにより、窒素、リンなどの海水中での広がりについての数値予測につなげるとともに、効果や環境への影響などにつきまして、大学、研究機関と調査研究を実施するほか、長期的な視点から栄養塩類供給の最適化を図ってまいります。 今後とも、SDGs目標の十四番目、海の豊かさを守ろうの達成に向け、美しく豊かな徳島の里海を実現し、未来へと継承できるよう、地域の関係の皆様方と手を携え、しっかりと取組を進めてまいります。 次に、海砂の手入れ砂としての活用について御質問をいただいております。 砂地畑で生産されるなると金時は、本県が、日本、いや世界に誇るトップブランドであり、この高い品質を維持し向上させていくためには、連作で低下してまいります排水性や通気性を補う手法である手入れ砂の投入が大変重要である、深く認識しているところであります。 本県では、関係漁協や地元の方々の御意見、海岸保全施設の崩壊を受け、県土保全あるいは海域の環境保全の観点から、昭和五十三年十二月以降、砂利採取法の採取計画を許可しておらず、また瀬戸内海沿岸域の環境保全や侵食防止の基本的考えを定めた県計画でも、平成十四年から海砂利採取禁止を掲載してまいったところであります。 このような状況の中、県では、進取の気質の下、海砂に代わる手入れ砂としての吉野川中流域の川砂に着眼し、有用性の検証を重ね、平成十九年より、生産の皆様方に川砂を利用いただける環境を整え、現場への実装をかなえてきたところであります。 一方、海砂利用に対する生産の皆様方の熱い思いは私も十二分に承知しているところでありまして、ただいま議員からのお話を賜り、改めて重く受け止めさせていただくところであります。今こそ限界を超える新たな一歩を踏み出すべきときではないかとの決意を強くしたところであります。 折しも今、本県におきましては、ウクライナ危機に伴う食料安全保障の強化、脱炭素化へのみどりの食料システム戦略の推進、SDGsを標榜する大阪・関西万博を捉えた飛躍がまさに急務となっているところであり、この機を捉え、なると金時のブランド力を本県の強みとして最大限に生かしていくことがまさに重要である、このように認識しているところであります。 そこで、湾や航路の管理上必要となる維持しゅんせつなどによる発生土につきましては、これまでどおり公共工事への利用を原則としつつも、手入れ砂としての活用の可能性を探るため、海域の環境保全と県土の保全、農産物の生産振興を担当する部局や庁外有識などで構成する組織横断型の検討チームを三月にも立ち上げ、情報共有や課題抽出に着手いたしてまいります。 あわせて、先行的な具現化策として、しゅんせつなどによる発生土の手入れ砂としての利用方法と有効性、こちらを確認するため、検証可能な適切な規模の候補地を見いだすとともに、なると金時産地を有する自治体や農協など関係機関との連携の下、農林水産業の振興に係る新たな社会実験の早期実施を目指してまいります。 今後とも、食料安全保障や脱炭素など、世界の潮流をしっかりと捉え、環境保全と県土保全のバランスに意を用いながらも、本県が誇るとくしまブランドの礎である生産基盤のさらなる強化を実現すべく、最大限の知恵と工夫を凝らしてまいります。 次に、鳴門病院の機能強化に向けた取組について御質問をいただいております。 徳島県鳴門病院は、民間病院では担うことが困難な救急医療や災害医療など、いわゆる政策医療を担う、まさに第四の県立病院として、医療提供体制の確保に大きく貢献しているところであります。 議員お話しのとおり、健康保険鳴門病院の公的存続が危ぶまれた際、鳴門市や鳴門市医師会など地元の皆様方から切実な御要望を多くいただき、これにお応えするため、全国初、県が購入し、平成二十五年四月、地方独立行政法人徳島県鳴門病院として、新たな運営、こちらを開始し、これまでの十年間、病院の機能強化を着実に実現してきたところであります。 あまり報道がされていませんので、まだ知られていない部分もあるわけでありますが、当時、健保鳴門病院、こちらは健保川崎病院と一緒にバルクに詰められ、そして民間競売、もう直前まで行っていたところであります。ただし、国、厚生労働省のほうからは、都道府県がもし購入してくれるのであれば優先的に売却する、このような話があったところであり、地元の皆様方、さらには香川県東部、また淡路島、こうした皆様方の思い、これらも受けさせていただきまして、都道府県初となる徳島県として購入し、しかもその財源の裏づけを厚生労働省のほうが最大限の配慮をしていただいたところでありまして、あえてこの機会に皆様方にこの点申し上げたいと思います。 具体的には、リニアック、PET─CTの導入などによりますがん医療の高度化、手の外科手術、脊椎脊髄手術をはじめとした特色ある医療の推進、救急・総合診療科の新設による救急医療の充実など、地域医療の要といたしまして、安全で質の高い医療提供に努めているところであります。 一方、新型コロナウイルス感染症はもとよりのこと、新たな感染症も見据えた対応能力の向上が必要不可欠である、このように認識しているところであります。 このため、昨年十一月定例県議会で御承認いただきました県の新たな中期目標に基づきまして、平時は、地域で不足する回復機能を担う一方、感染症に即応可能なリバーシブル構造の地域包括ケア病棟の開設、陰圧装置を備えました専用個室の整備、感染管理認定看護師の計画的な養成など、新興・再興感染症対策を深化させてまいります。 さらに、地域の御期待に応える医療の提供に向けましては、附属看護専門学校を有する強みを生かし、新人看護師の臨床実践能力を培う臨床研修看護師制度の創設、5Gを活用した救急搬送や遠隔医療など医療DXの最先端での推進など、県民の皆様方の命や健康を守るべく、医療提供体制のさらなる強化を展開いたしてまいります。 今後とも、鳴門病院が、県北部はもとより、香川東部、また淡路島を含む地域医療の最後のとりでとして、平時はもとより、感染症や災害発生時におきましても、地域住民の皆様方からさらに信頼され、期待され、そして愛される病院となるよう、医療機能の充実強化にこれまで以上に取組を進めてまいります。   (岡田議員登壇) ◆二十番(岡田理絵君) それぞれ御答弁をいただきました。コメントを述べさせていただきます。 大阪・関西万博については、関西広域連合の一員として出展する本県にとって、知名度アップの絶好のチャンスです。驚きとわくわくをかき立て、みんなが行かなければ、また、行ってよかったと思える万博になるよう取り組んでいただきたいと思います。 関西広域連合につきましては、先ほど、岡本議員──現在、関西広域連合の副議長をされておりますが──より、八月二十四日、徳島県で初めての本会議が開かれるとの情報をいただきました。十二年間の成果を次のステージに高めていく取組に期待したいと思います。 農林水産物の魅力発信につきましては、フードダイバーシティという先ほどの御答弁もございましたが、世界各国から訪れられる方々が同じレストランや食堂でそれぞれの嗜好に合わせた多様な食の選択ができることが重要です。しっかり対応ができるよう、準備をお願いしたいと思います。 また、子供たちにアレルギー対応のメニューも必要になってくると思いますので、どうぞそれも併せてお願いしたいと思います。そして、ぜひ食べに行きたい徳島となるよう、取組を進めていただきたいと思います。 サイクリング機運の醸成につきましては、大鳴門橋自転車道の開通というチャンスをしっかりと将来に生かせるよう、世代を問わず楽しめる自転車を県民の健康づくりにもしっかりと生かしていきたいと思いますし、また、いっていただきたいと思います。 鳴門スカイラインの魅力向上につきましては、鳴門スカイラインをまさに本県観光のゲートウエー、入り口にふさわしい魅力的な観光地とするため、関係が同じ方向を向いて、連携した取組を進めていただきますようお願いいたします。 子供政策につきましては、子供の成長の喜びを感じながら子育てができるよう、環境づくり、意識づくりにも力を注いでいただき、我が国の将来を左右する課題であります少子化への処方箋をこの徳島から示すことができるよう取り組んでいただければと思います。 海域への栄養塩類の供給については、環境の変化を先取りした持続可能な水産業の実現へとつなげることができるよう、よろしくお願いしたいと思います。 この栄養塩の取組によりまして、水産業は非常に、ワカメに関しましても色落ちが少なくなってきているという現状がございますので、環境と豊かな海を目指してぜひ取組を進めていただきますよう、重ねてお願い申し上げます。 手入れ砂への活用につきましては、知事からの歴史的な大きな一歩となる御答弁をいただきました。知事の御英断、本当にありがとうございます。 私が議員になって十六年間、事あるごとに、生産の方から、難しいのは分かるけど、機会があれば海の砂を使えるようにしてほしいと要望されてきました。環境への影響をはじめ、考慮すべき課題はたくさんあると思いますが、最重要課題である海砂の活用がぜひとも実現するよう、積極的に取組をお願いしたいと思います。そして、おいしいなると金時を作り続けている生産のためにも、持続可能ななると金時となるように取組を進めていただきたいと思います。 鳴門病院の強化につきましては、本日御答弁をいただいた力強い機能強化対策と併せて、医師をはじめとする人材の確保にも引き続き取り組んでいただきますよう、そして地域の皆様から信頼され愛される鳴門病院となるよう、御支援をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、まとめに入ります。 本日は、徳島の未来を考え、その先、もっと先を見据え、持続可能な徳島県となるように質問させていただきました。 一期目の議会閉会日、二〇一一年三月十一日に東日本大震災が発生しました。今思い返しても、そのときの緊張がよみがえってきます。 その日以来何度も、岩手、宮城、福島県へ被災地の視察を行い、昨年には県土整備委員会で十年ぶりに女川町に行くことができました。そこで、大事なことは命を守ること、避難すること、命があれば、人があれば、時間はかかるが町は復興できると、大変実感の籠もったお言葉をいただきました。 私自身も決意を新たに、南海トラフ巨大地震をはじめ自然災害への減災・防災対策に全力で取り組み、安心で安全な徳島の未来につなげていく覚悟をいたしました。 私のモットーは現場主義です。最前線で対応されている方々に現場で直接お話を伺い、その思いや願いを受け止め、問題解決につなげることが、私の使命だと考えています。 多様性を認め合う社会の実現が求められている今、女性議員として何をすべきかを考え、十六年の実績経験を生かし、県勢発展の重要な役割を果たしてまいる覚悟です。住み慣れた地域で暮らし続け、多様な暮らし方、働き方が実現できる徳島を目指してまいります。 誰一人取り残さないよう、高齢の皆様からお知恵をいただき、子供たちや若者と徳島の未来を語り、それぞれのよさや強みをつなぎ、SDGs達成に向けた未来志向の取組を実践し、元気な阿波女、皆様と共に力を合わせ、ウエルビーイング、幸せを実感できる徳島を目指し、全力で取り組む決意です。 皆様の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げ、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(井川龍二君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後零時四十四分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後一時四十七分開議      出席議員計三十四名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     梶  原  一  哉 君     六  番     浪  越  憲  一 君     七  番     仁  木  啓  人 君     八  番     東  条  恭  子 君     九  番     原     徹  臣 君     十  番     北  島  一  人 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     古  川  広  志 君     十五 番     長  池  文  武 君     十六 番     吉  田  益  子 君     十七 番     須  見  一  仁 君     十八 番     井  川  龍  二 君     十九 番     元  木  章  生 君     二十 番     岡  田  理  絵 君     二十二番     岩  丸  正  史 君     二十三番     岡     佑  樹 君     二十四番     黒  崎     章 君     二十五番     扶  川     敦 君     二十六番     達  田  良  子 君     二十七番     寺  井  正  邇 君     二十八番     喜  多  宏  思 君     二十九番     重  清  佳  之 君     三十 番     嘉  見  博  之 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     杉  本  直  樹 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     臼  木  春  夫 君     三十五番     庄  野  昌  彦 君     三十六番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○副議長(井川龍二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 十六番・吉田益子君。   (吉田議員登壇)
    ◆十六番(吉田益子君) 新しい県政を創る会の吉田益子です。会派を代表して質問させていただきます。 今の三十六名のメンバーの県議会としては最後の代表質問となります。よろしくお願いいたします。 さて、政治家の皆さんが政治を志す思いはそれぞれかもしれませんが、共通しているのは、住民の皆さんの幸せではないかと思います。そのために、経済も含めた全ての生命の土台となる地球環境を持続可能なものにすることがとても重要と考えます。 生きていけるための気候、食べ物を生産できる土壌、生態系豊かで魚や貝や海藻の取れる海や川、そして安全な国産のエネルギーなど、残念ながら、今、それらを守ることはとても困難な状況になっています。 二十年前、私の初質問の頃には、経済と環境は政治的に対立関係のように言われていました。経済のためには環境は少々犠牲になっても仕方がないという感じです。 環境は経済をも入れる器であり、今は、ここにおられる皆さん、ほとんどの皆さんがSDGsを口にするようになり、隔世の感がありますが、それほど状況は深刻になっているとも言えます。 今年も世界各地で気候変動による災害が多発し、毎年のように異常気象で、異常が日常となっています。もうあまりにもたくさんあって、例を挙げるのも嫌になりますが、一応、昨年の夏を振り返ってみましょう。 バングラデシュは、サイクロンで国土の三分の一が水没し、三千万人が被災。ナイジェリアの洪水で、六百人以上が死亡、百三十万人が避難を強いられました。主に北米やオーストラリア大陸で多発していた森林火災が、昨夏は南ヨーロッパでも多発、フランスやドイツでは大干ばつ。先週末、南半球チリでも、高温と乾燥による大規模森林火災が起こりました。日本では、観測史上最も暑い夏となり、六月に最高気温が四十度超えを記録しました。 地球の大きさを十二センチほどのリンゴに例えると、大気圏の厚さは約〇・一ミリほど、リンゴの皮の半分の厚さもないそうです。その地球にとってはとても薄い大気圏の中で石炭を燃やし、石油をずっと燃やし、ジェット機を飛ばしたり、最近ではミサイルをどんどん打ったり、温室効果のあるガスが、今、人類史上最高濃度になっているということです。 もし仮に温室効果ガス排出ゼロをあした達成したとしても、大気圏の濃度は増えないだけで、減ることはありません。なので、今起こっているような気候災害はネットゼロでも続くし、ゼロでないと被害は加速度を増してひどくなっていくと気づいたときに、愕然といたします。そして、これは気候科学に基づいているということを認識する必要があります。 昨年十一月、エジプトで国連気候変動枠組条約締約国会議COP27が開催され、私の友人たちも数名参加しました。 一昨年のCOP26で、グテーレス国連事務総長が、我々は自分の墓を掘り続けていると表現されましたが、昨年のCOP27では、我々は気候変動地獄への高速道路をアクセルを踏んだまま走っているとスピーチされたそうです。 何もしなければ、二億人が気候難民となる。二〇一九年の気候災害の被害額世界一は日本です。 今、私たちが徳島ですべきことは、省エネルギー、つまり建築物のゼロエネルギー化や省エネ機器の導入の推進、電気自動車導入とそのインフラ整備、再生可能エネルギーの推進と同時に、その乱開発の規制、賢明な水素戦略、それら全てによる県内経済活性化、火力発電への要望、これらを部局を越えて全力でやっていかねばなりません。私の今期最後の質問も、これまで同様、まずそのようなことを中心に構成しています。 最初の質問に入ります。 初めに、県有施設のZEB化、ZEH化についてお聞きいたします。(資料提示) 前の質問のリユースですが、ZEBはゼロ・エネルギー・ビルディング、ZEHはゼロ・エネルギー・ハウスの略です。 この三年間、議会のあらゆる機会を捉え、要望してまいりました。今、ガソリンや電気代、燃料代の高騰で、政府は補助金を出しています。それも大事なことですが、補助金はいつまでもは続きません。補助金が終わってしまった時点で、電気代、ガソリン代はまた高騰します。 しかし、例えば建物の窓や壁の断熱、照明のLED化などで、エネルギー消費の少ない建物にすれば、地元の工務店も改修工事などの仕事ができ、税収が上がり、エネルギー使用もぐんと減るのです。それこそ持続可能な賢い政策です。県が率先してそれを見せていくべきです。 この四年間の新設の県有施設、中央病院ER棟、徳島中央警察署、国府支援学校、オロナミンC球場、県営住宅などでゼロ・エネルギー・ビルディング化はどうなったのか、県庁部局横断のグリーン社会推進本部はどう機能したのか、何を導入できて、課題は何か、今後どう取り組むのか、知事五期目の総括と今後の展開についてお答えください。 次に、市町村の脱炭素政策の支援についてお尋ねいたします。 国の温室効果ガス削減目標二〇三〇年四六%減、徳島県五〇%減のためにロードマップが策定され、動き出しました。二〇二五年までの五年間が集中期間、政策を総動員し、少なくとも百か所の脱炭素先行地域をつくり、重点対策を全国津々浦々で実施するというものです。 先行地域として、昨年四月に二十六地域が第一回として選ばれ、十一月に第二回、二十地域が選定されました。今月、第三回目の募集が始まったところです。 国は、この百地域をトップランナーとして支援し、その横展開を期待するということですが、先行地域とそれ以外の地域で、多くの自治体の地域でレベルの差が大きく、今後どう近づけていくかが課題となっています。 地域脱炭素の大事な特徴である地域の経済活性化、課題の解決に貢献できること、地域の魅力と質を向上させ地方創生に貢献するということが、これまで十分に伝わっていませんでした。これは県庁内でも言えるかもしれません。 地域のお金の流れを見ると、環境省二〇一五年試算で、約九割の市町村で、エネルギー代金の収支は、地域外に出ていくお金が地域内に入るお金を上回っています。人口減に苦しむところが増えている中、域内でお金を回すことは重要です。誰もが関係している食料やエネルギー代金こそ、域内で安定的に回すことが大切なのです。 昨年の環境省の調査によると、徳島県は全ての市町村で実行計画事務事業編を策定しており、すばらしいです。しかし、区域施策編を策定しているのは五市町のみで、策定率は二〇%、四国では一番低くなっていて、全国でも、特に人口三万人未満の自治体の策定率は一〇%台です。 未策定の理由について、人員不足、専門的知識の不足、予算の確保が難しいなどとなっています。温暖化対策の優先順位が低い、ほかの部局の協力が得られない、周辺も未策定だからという理由もあるようです。 人材育成の取組状況について、実施していないという自治体も多いようです。策定済みのところでも、再エネ導入目標を設定していないところが八割以上となっています。事業効果に関する情報提供などの動機づけも必要で、支援のニーズは大いにあると思います。 さあ、ここに来てようやく、空気は地方創生とGXが結びついてきた感があります。 そこで、お伺いいたします。 脱炭素社会の実現に向け、県として市町村をどのように支援していくのでしょうか。 三番目の質問です。水素グリッド構想の見直しについてお聞きします。 二〇一四年、国が第四次エネルギー基本計画の中で、水素社会の実現を目指すとうたい、水素・燃料電池戦略ロードマップを策定するや、徳島県は翌年、いち早く水素グリッド構想を策定し、地方の水素戦略のトップを走ってきました。脱炭素社会の一刻も早い実現をと、知事の意気込みは相当なもので、水素ステーションや水素バスの導入など、エネルギーを水素で代用できるところを見せていくというデモンストレーションとして、一定の評価はあるかと思います。 しかし一方で、お金がかかっている割には目標達成に遠いのではないか、進むべき方向は本当に正しいのだろうか、このような疑問を抱き続けています。 国がロードマップを策定した年、トヨタから燃料電池車MIRAIが七百二十三万円で発売され、翌年までに四大都市圏で水素ステーション百か所を整備する方針が出され、徳島県は、それを地方都市にも拡大することを提言し、実現します。 二〇一七年の水素基本構想の柱は、家庭用燃料電池エネファームと燃料電池車FCVの推進、それを支える水素ステーションの拡大でした。 エネファームは、家庭のガスで水素をつくって発電し、お湯を同時につくり出すものです。送電のロスが少なく、エコだと言われています。しかし、本体価格が百七十万円ほどかかり、プラス月々のガス代もかかるのに対し、同じお湯を沸かす機能を持ったエコキュートが三十万円から六十万円なので──十三年ぶりにこちらは補助金も復活し──エネファームのほうの伸びは悪く、目標が二〇三〇年累積五百万台に対し、実績は昨年度末で四十三万台、大きく下回っています。 また、二番目の柱の水素自動車FCVの普及も低調で、二〇三〇年目標は累積八十万台、実績は二〇二一年の初めで国内累積四千六百台、二〇二〇年度四万台目標と大きく乖離し、二〇二一年に最高売上げを達成しましたが、翌年の二〇二二年は前年割れしています。この調子でいけば、二〇三〇年累計二万台に届くかどうかというところで、目標の四十分の一以下となっています。 FCVについて、国がその後二〇一九年に改定したロードマップには、二〇二五年には、ハイブリッド車と同等の車両の価格競争力と、ハイブリッド車と同等以下の水素価格実現とありますが、達成できるのか、大いに疑問です。 一方、電気自動車EVにおいては、今もうハイブリッド車よりも安い燃費となっています。 徳島県の水素グリッド構想から七年が経過しましたが、燃料電池車の目標は達成できそうにない状況で、水素ステーションの自立可能なコストも今後まだまだ実現できそうにありません。 脱炭素の動きが強まる中で、水素を何に使っていくか、世界では水素の使途が変化しようとしています。 FCVよりEVのほうが断然エネルギー効率がよく、EV電気自動車では、つくった電気の七割を動力に変えられるのに対し、水素自動車では三割弱です。当然、新車売上台数にも大きく差が出ています。 ヨーロッパの昨年十月の新車売上台数で、EVとプラグインハイブリッド車の割合は、イギリス二二%、フランス二四%、ドイツ三二%、スウェーデン五五%、ノルウェー八九%となっています。これらの国々では、日本以上に急激なインフレで、新車販売台数は減少している中、EVだけが売上好調のようです。 少なくとも小型乗用車に関しては、価格も、充電スタンドなどインフラ整備も、電気自動車と燃料電池車の勝負はあった感じです。また、大型バスや大型トラックについても、水素ではなく電気自動車にシフトの動きが始まりました。 水素を必要とする運輸部門の領域は縮小してきているのが現実です。水素の使途については、あらゆる分野という未来像ではなくなってきているのです。 日本がこの十年の水素戦略で予算の大方を割いてきた燃料電池車の普及とそのサプライチェーンに関しては、見直しを行う時期に来ていると思います。徳島県でも、国の構想に前のめりになることを一旦立ち止まり、世界を見据えて、無駄な投資をしないようにすべきではないでしょうか。 GDPに占める借金の割合が世界で断トツ一位の日本です。貴重な財源は、持続可能な未来への投資にすべきです。 そこで、お尋ねいたします。 七年前策定の徳島県水素グリッド構想について、今後どう取り組んでいかれるのか、進度調整などを含めて御所見をお願いいたします。 御答弁をいただいて、次の質問に移ります。   (谷本政策監補兼危機管理環境部長登壇) ◎政策監補兼危機管理環境部長(谷本悦久君) 吉田議員から、幾つかの御質問をいただきました。 まず、県有施設のZEB化についての御質問でございますが、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、我が国のCO2排出量の約三割を占める民生部門において、特に事務所やビル、店舗などの排出量の削減が重要であり、建物の大幅な省エネルギー化を実施した上で、再生可能エネルギーを導入し、エネルギー消費量の削減を実現するZEB化が有効な手段であると認識しております。 また、令和三年十月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画においては、二〇三〇年度以降新築される建築物について、ZEB水準の省エネ性能確保を目指すとともに、再生可能エネルギーの最大限の活用が求められております。 本県では、こうした国の動きに呼応し、県民や事業の皆様の取組を促すため、令和三年十二月に策定した徳島県版脱炭素ロードマップに、今後新築、改築する県有施設へのZEBの率先導入の目標を盛り込み、知事を本部長とするグリーン社会推進本部や施設所管課をはじめ関係各課で構成するZEB化検討チームにおいて、県有施設のZEB化を推進してまいりました。 その結果、県有施設として初となるZEB化施設を目指し、藍住町交番の実施設計が進められているとともに、徳島文化芸術ホールをはじめ、国府支援学校新体育館棟、また家畜保健衛生所南部圏域庁舎についてもZEB化を検討しているところであります。 一方、既存の県有施設につきましては、設備等の更新時に、省エネ性能の高い設備への交換を実施するとともに、屋根置き自家消費型太陽光発電設備と蓄電池の導入による創エネとの効果的な組合せにより、建物のエネルギー消費量の削減を目指してまいります。 今後とも、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、ZEB化をはじめとする県有施設の脱炭素化にしっかりと取り組んでまいります。 次に、脱炭素社会の実現に向け、県として市町村をどのように支援していくのかとの御質問でございますが、脱炭素社会の実現に向けては、地域のポテンシャルを生かした再生可能エネルギーの導入により、経済と環境の好循環を生み出す取組が重要であり、そのため、地域の実情に精通し、住民に最も近い存在であり、再エネ事業が取り組みやすい環境整備を行う市町村の役割が極めて重要であります。 そこで、県では、市町村を支援するため、再エネ事業の誘致を進める上で必要となる促進区域設定の羅針盤として、県環境配慮基準を全国に先駆けて昨年七月に策定、公表いたしました。 あわせて、県環境配慮基準を見える化するため、昨年十月に、全国トップを切って、促進区域となり得るエリア、考慮すべきエリア及び除外するエリアを地図上で表示する促進区域環境配慮基準データマップを公表し、市町村から好評をいただいているところであります。 こうした本県の取組は、脱炭素化を先導するものとして国からも高く評価され、去る一月十九日に開催された環境省主催都道府県環境配慮基準策定説明会において、本県の取組を発表する機会をいただくとともに、策定手順や方法について各自治体から数多くの問合せをいただき、市町村支援のまさにジャパンスタンダードとなったところであります。 また、市町村の促進区域設定を含めた地域の脱炭素化を強力に進めるためには、専門的な知識を持つ人材の不足が課題であると認識しております。 そこで、再エネ事業に豊富な経験や専門知識を有する県脱炭素社会推進専門員を、昨年四月より一名から二名に増員するとともに、市町村に派遣し、地域の再エネポテンシャルや、再エネ事業がもたらす地域のメリットなどについて、技術的助言を行っております。 さらに、環境省中国四国地方環境整備事務所とともに、再エネ導入に係る関係の合意形成を図る協議会への積極的参加、全市町村を対象とする出前相談の実施、温暖化対策実行計画の策定支援など、きめ細やかな対応を実施しております。 このような県の支援により、市町村におけるゼロカーボンシティ宣言、温暖化対策実行計画の策定、促進区域の設定など、地域の脱炭素化の取組につながったものと考えております。 今後とも、脱炭素社会の実現に向け、地域のポテンシャルを生かした市町村の取組が県下全域に広がるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、水素グリッド構想の今後の展開についての御質問でございますが、本県では、平成二十七年十月、国に先んじて徳島県水素グリッド構想を策定し、県庁舎に、中四国初となる自然エネルギー由来・水素ステーションを設置し、燃料電池自動車の公用車七台を導入するなど、水素社会の実現に向けた取組を展開してまいりました。 ウクライナ侵攻による燃油高騰により、脱炭素社会の具体化に加え、エネルギー安全保障の観点からも、水素電池車や船舶、また水素発電などの開発が世界中で進められ、水素は重要なエネルギー源としてますます注目されているところであります。 また、国の第六次エネルギー基本計画において、主力電源として最大限、最優先の導入を図ることとされた自然エネルギー導入拡大のため、水素のためる、運ぶ、使うという特性は大きな魅力であると認識しております。 さらに、モビリティー分野において、燃料電池自動車は電気自動車と比較し、充電時間が短く、走行距離が長いという特性から、連続走行を必要とする路線バスや商用車はもとより、今後の技術開発による長距離トラックや高速バスでの活用拡大が期待されているところでございます。 本県においては、全国に先駆け策定した脱炭素ロードマップの中で、国を上回る野心的な目標として、二〇三〇年度までの温室効果ガス五〇%削減、自然エネルギー電力自給率五〇%超えに加え、地産水素のグリーン化を掲げることで、自然エネルギー導入拡大と一体的な水素の普及促進を展開しております。 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、官民挙げた水素の実装加速化が期待される今、水素の有するポテンシャルであるエネルギー安全保障、自然エネルギー導入拡大、特性に応じたモビリティーへの活用を基軸とした水素グリッド構想の今後の展開に向けまして、本年三月二十三日に、県内大学、物流事業に加えまして自動車メーカーや水素事業で構成する水素グリッド導入連絡協議会を開催し、具体的な検討を深めてまいります。 今後とも、徳島からの水素社会実現に向け、自然エネルギー最大限、最優先導入と一対として、水素グリッドの展開拡大にしっかりと取り組んでまいります。   (吉田議員登壇) ◆十六番(吉田益子君) 御答弁をいただきました。 県有施設のZEB化について、国の施設では、二〇三〇年度までに新築の平均でZEBレディ相当エネルギー五〇%削減となることを目指すとなっており、都道府県や市町村もこれに準じることになるでしょう。御答弁のように、先進的に取り組んでいただきたいと思います。 一方、ゼロ・エネルギー・ハウスZEHは、人の健康に大いに貢献します。日本の家屋は断熱が不十分で、冬は、居間は暖かくても、廊下に出るとトイレやお風呂場は寒く、ヒートショックによる死者が実は昨年は一万九千人と推定され、交通事故の死者の約六倍となっています。 岡山のNPOが、今、学校の断熱で子供たちの環境教育に取り組んでいるとの新聞報道がありましたが、徳島県も参考にしてはどうでしょうか。 市町村の脱炭素支援について、二〇一一年、原発事故の年、高知県梼原町に視察に行きました。風車二本の収益を、太陽光発電の補助金や小水力発電の建設費に回し、よい循環が生まれていました。 十一年たった今、梼原は脱炭素のトップランナーとなり、四国で唯一、先行地域に選ばれています。今回選定されたプロジェクトに、そのときからの既設の太陽光や小水力発電の余剰電力を利用したものが含まれており、脱炭素の正のスパイラルで、少子化の中でも生き残れる可能性を持った町になりました。 今後、徳島県内地域を、御答弁のようにしっかりサポートしていただき、取組状況に応じてグループ分けするなど、検討の土台づくりの支援が必要な自治体、計画や目標づくりの支援が必要な自治体というふうに細かく対応していくことなど、しっかりサポートしていただきますようお願いいたします。 前年の代表質問で求めました県環境配慮基準づくりもやっていただいて、ありがとうございます。風力についても、これをやっていただくように要望しておきます。 続きまして、水素政策についてですが、地産水素のグリーン化についての言及がありました。この点はすばらしいと思います。 確かに、再生可能エネルギー一〇〇%の脱炭素社会に、たくさんできた電気の貯蔵や輸送に蓄電池や水素の存在は欠かせませんが、使えることと、水素を合理的に使うことは全く違います。カーボンゼロのために、合理的でない効率の悪い選択をする余裕はないと思います。 日本をはじめ百六十か国とEUが加盟する国際再生可能エネルギー機関IRENAが、水素の用途の優先度を示しています。水素は製造にも輸送にも変換にも大きなエネルギーが必要で、水素を使うことはエネルギー全体の必要量を増やすため、それ以外に選択肢がない分野に限定して使う必要があるということです。 経産省グリーン成長戦略の中で、二〇五〇年目標、水素を使用する範囲の内訳は、水素発電五百から千万トン、製鉄七百万トン、商用車など輸送分野六百万トンとしており、乗用車は入っていません。十四のグリーン成長分野の自動車蓄電池産業部門の記載を見てみると、乗用車は二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%を実現と明記され、商用車についても小型車には燃料電池車の記載はありませんでした。 県は、少なくとも、水素グリッド構想の乗用車の部分を見直すべきではないでしょうか。そして、確実に需要の増えるグリーン水素をつくる設備を増やすために、再エネ拡大はもとより、そこでできた水素を製造業のエネルギーとして天然ガスに混ぜていく準備、石炭火力を天然ガス発電に替え、そこにグリーン水素を混ぜていく準備をしていく、それが将来の徳島の経済発展に資するのではないでしょうか。 国へのグリーン水素生産拠点の整備の要望、その拠点になれる徳島県の再エネづくりこそが今必要だと思います。よろしくお願いいたします。 質問を続けます。 みどりの食料システム戦略についてお伺いいたします。 ロシアのウクライナ侵攻から一年が過ぎようとしています。この間、多くの子供たちを含むかけがえのない命が傷つき、失われ、美しい自然や生態系も失われ、おびただしい温室効果ガスが排出されました。恩恵を受けるのは、軍需産業とその利権に絡む人々なのでしょうか。戦争は、人類にも地球にも何もよいことをもたらしません。 世界には民主主義の国家よりそうでない国家のほうが多いということを知りました。私たちは、独裁国家、軍事国家ではなく、民主主義国家を増やすための外交の努力と同時に、自分の国の民主主義の質を高める努力を怠ってはならないと、改めて強く思っています。 さて、ロシア、ウクライナは、世界の小麦輸出の約三割を占める一大産地です。日本を含むG7各国などがロシアへの経済制裁を強めるのに対し、ロシアは輸出規制で対抗、小麦を輸出するウクライナの港が封鎖され、種まきも十分できず、世界の小麦先物相場は昨年三月に最高値を超え、食料争奪戦が始まっています。 日本以外のG7各国は、いずれも自給率が高く、食料安全保障について十分に備えてから対ロシア制裁を行っています。比べて、日本はカロリーベースで三八%。万が一輸入がストップしたら、国民が飢えることになってしまうのではないでしょうか。 寺井議員の質問にもありましたが、昨夏、アメリカの名門ラトガース大学による核戦争に関する研究結果の報道がなされました。局地的な核戦争で、直接被爆による死者二千七百万人、核の冬による食料生産減少と物流停止による二年後の餓死は世界で二億五千五百万人、自給率の低い日本にその三割、七千二百万人が集中する、日本人口の六割と推定されるそうです。 東京大学大学院農業経済学の鈴木教授は、昨年十月、徳島で講演され、県議の皆さんも多数参加されていましたが、その中で、種と肥料を考慮すると日本の自給率は一〇%に満たないくらいだと言われました。ラトガース大学の研究結果は、決して大げさではありません。 自給率については、食生活の欧米化が関係している部分もあり、できるだけ地元産、国産のものを食べようという意識改革も重要です。エシカル消費を広げることにもますます力を入れていただきたいと思います。 そして、肥料について、日本は、リン、カリウム一〇〇%、尿素九六%を輸入に頼っています。カリウム原料はロシアとベラルーシが多く、戦争敵国日本への輸出制限が始まっていて、国もやっと有機農業の推進に本腰を入れ始めました。 知事も、開会日に、二〇三〇年目標、県の化学肥料二〇%減、化学農薬一〇%減と表明され、先ほど午前中には、徳島がみどり戦略の旗手となると宣言、新基金の導入も発表されました。 そこで、お尋ねいたします。 みどりの食料システム戦略徳島県計画の実現に向けては、有機農業について、特に、新たな技術の開発普及、消費の理解実践を推進すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 続きまして、新型コロナ感染症五類対応についてお尋ねいたします。 二月に入り、とくしまアラートもレベルワンに引き下げられ、新型コロナ感染症第八波も収束に向かっている様子です。 徳島県では、一月五日に二千百名の陽性と、感染のピークを迎え、亡くなられた方も二百名を超え、第七波の二倍以上となっています。 一方、六十五歳未満の方々に関して、陽性の診療に当たる身近な医療従事からは、オミクロン株以降、入院や人工呼吸器などの必要性のない軽症がほとんどで、感染症法二類であるがために、人との接触を避けるため社会活動が自粛されることによって起こる心の問題、体の衰えなど、成長期の子供たちや高齢にもたらすデメリットは感染を抑えるメリットを上回るのではないか、五類相当にすべきという声が多く聞こえていました。 しかし、誰もが生まれて初めて遭遇したパンデミックの衝撃、マスコミの映像などで根づいたコロナの恐怖からなかなか抜け出せず、二類であるために濃厚接触が医療現場に出てこれず、コロナ病床の余裕はあっても人手が足りないことで、第七波では、必要な方の入院を受け入れられないケースも出てきて、混乱しました。 そして、軽症が多いとはいえ、対策を怠って感染が増えれば、それに伴い重症も増えるわけで、第八波では過去最高の死者数となり、コロナ対策の難しさがここにあると思います。 ここに来て、政府はようやく、新型コロナ感染症の位置づけを、今年五月八日以降、五類相当とする方針を示しました。季節性インフルエンザと同等です。 五類に移行すれば、症状のない方が七日間もの自粛の必要もなく、濃厚接触が多く欠勤することで医療の逼迫が起こることも少なくなり、リスクの高い方が迅速な医療を受けやすくなり、子供たちの思い出の行事も増えていくし、笑顔の給食、人と人との触れ合いの機会も多くなっていくでしょう。 第八波では、先週時点で亡くなられた七十代以上の高齢の全ての方に基礎疾患があったということです。そのリスクの高い方が、いち早く最適な医療にたどり着けるように、それ以外の方々も気軽にかかりつけ医で受診できるように体制を取っていけるかどうかが、これからとても重要になってくると思います。 医師会の御協力も必要です。同時に、介護施設などでのクラスターへの対応も課題です。 そこで、お伺いいたします。 新型コロナ感染症第五類移行後の医療体制について、県はどのように対応していかれるのでしょうか。 御答弁をいただいて、質問を続けます。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 吉田議員の御質問にお答えさせていただきます。 みどり戦略の実現に向けて、特に、新たな技術の開発普及と消費の皆様方の理解実践を推進すべきとの御提言と御質問をいただいております。 地球温暖化による気候変動をはじめ、かつてない食料生産上の課題が顕在化する中、持続可能な食料システム構築に向け、徳島みどりの食料システム戦略基本計画を、生産の皆様方をはじめ、有識者会議での御論議を経て、このたび最終案を取りまとめたところであります。 基本計画では、持続可能な農林水産業の実現への具体的なアプローチといたしまして、資材調達、生産、加工、流通、消費にわたる経済循環を俯瞰的に捉えるとともに、各過程に応じました環境負荷低減に創意工夫を凝らすことにより、環境と調和の取れた、徳島ならではの緑の循環、こちらを形成することといたしております。 緑循環の確立に向けましては、有識者会議におきましても、イノベーションによる新たな栽培技術の導入や高い生産性の実現、環境配慮型の農産物を優先購入する消費の育成が不可欠との御意見を多数いただいたところでありまして、議員お話しの新技術の開発普及と消費の皆様方の御理解、実践の推進は、基本計画の方向性とまさに軌を一にするものであります。 そのため、本県では、まず新技術の開発普及に向けまして、即効性の高い対策といたしまして、AIやロボットなどのスマート技術の活用が重要である、このように考え、例えばレンコンの栽培においてはAIあるいはドローンによる農薬、肥料のピンポイントでの散布、またイチゴ栽培におきましては、天敵の活用など、IPM、総合的病害虫管理などにより、化学農薬、化学肥料の削減技術の導入・普及を官民一体で推進いたしてまいります。 あわせて、全国で唯一、消費庁の本庁機能である新未来創造戦略本部が立地する、消費行政、消費教育先進県にふさわしく、消費の皆様方の御理解、実践という観点から、食育やエシカル消費について、全国をまさに牽引するんだという気概で推進していくことが不可欠である、このように認識いたしております。 具体的に少し申し上げてまいりますと、学校給食における有機農産物の活用や農業体験などによる食の循環を意識した食育の実施、生産と消費の相互協力、理解によりまして、顔の見える関係の構築を実現するCSA、地域支援型農業の導入など、意欲的な取組を強力に支援いたしてまいります。 今後とも、生産のみならず、食料サプライチェーンを構成する資材調達、加工、流通そして消費の全分野の皆様方とともに、緑のイノベーションとエシカル消費により、持続可能な本県農林水産業を実現すべく、全力を傾注してまいる所存であります。   (森口保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(森口浩徳君) 新型コロナウイルス感染症の位置づけの変更に対し、今後、県としてどのように対応していくのか、御質問を頂戴しております。 新型コロナウイルス感染症につきましては、令和二年二月に改正されました感染症法に基づき、医師の届出による全数把握や陽性への入院勧告、また濃厚接触への行動制限など、新型コロナウイルスの特性を踏まえた二類感染症相当の厳格な対応をこれまで講じてまいりました。 このような中、国におきましては、現在主流となっておりますオミクロン株の病原性や致死率の低さを背景に、感染症法上の位置づけを見直し、五月八日から五類への引下げを決定するなど、四年目に入りました新型コロナウイルス感染症対策は大きな節目を迎えることとなっているところでございます。 今回の類型変更は、陽性患者を幅広く一般医療機関を含めた全ての医療機関で診療する体制の構築に加え、外来、入院に係る医療費の自己負担の在り方など、これまでの新型コロナウイルス感染症対策の仕組みを大きく見直すものでございまして、五類への引下げ後において現場の混乱を回避するためにも、段階的な移行を丁寧に踏んでいくことが何よりも重要であると認識しております。 このため、五類への移行後もしっかりと県民の命と健康を守り抜くとの観点から、国における完全移行に向けたロードマップの早期提示とともに、陽性患者の診療経験が少ない医療機関が安心して対応できますよう、医療機関における診療報酬加算の継続や院内感染防止のためのガイドラインの作成、また県民の受診控えに配慮した公費負担の継続など、これまで我々が担ってまいりました現場の実情や課題を盛り込んだ提言を、全国知事会を通じ、二月十三日に、国に対して行ったところでございます。 加えて、第八波におきましては、感染をきっかけに持病の悪化や体力の低下によりお亡くなりになる高齢が全国的に増加しておりますことから、関西広域連合におきましては、全国知事会の動きと軌を一にし、高齢施設における戦略的検査実施のための検査キットの確保、また日常生活を維持するために必要不可欠となる介護サービス事業への助成継続など、重症化リスクの高い高齢対策に、より力点を置いた独自の提言を実施させていただいたところでございます。 今後、国において、位置づけの変更に伴う医療費の在り方や医療提供体制等の具体的な方針が三月上旬を目途に示されますことから、円滑な新制度への移行に向け、県医師会をはじめ関係機関と連携を密にし、アフターコロナ、そしてポストコロナ新時代の医療提供体制の構築に向け、全力で取り組んでまいります。   (吉田議員登壇) ◆十六番(吉田益子君) みどりの食料システム戦略につきまして、先ほど、日本の本当の自給率は種や肥料を考慮すると一〇%に満たないと申しました。 国は今、防衛予算を増額し、五年間で四十五兆円との方針を打ち出していますが、経済制裁による輸出制限という諸外国からの兵糧攻めで、日本は簡単に潰れてしまいます。 寺井議員への御答弁のように、農業を守る、農家を守る、自給率を上げる政策、そして徳島ならではの緑循環をしっかり進めていただきますようお願いいたします。 コロナ政策ですが、この間の政府のコロナ対策の問題点として、コロナ対策検討会議や分科会が感染症の専門家に偏り、社会政策や経済学などの専門家が少なく、国民に任意協力を依頼するにもかかわらず、社会心理学、リスクコミュニケーション論などの知見もなかったことで、病気のリスクが議論の中心となり、過剰な自粛となっていなかったか、ゆえに、体力の低下から基礎疾患が悪化し、精神的に鬱状態を招き、自死の増加につながったのではないかとの指摘があります。 さらに、飲食店からの感染が一割から二割とのデータが出たにもかかわらず、対策のターゲットが飲食店に偏っていたのではないか。今後は、全社会的考慮の下に政策が決定できるよう、多様な専門家の参加が必要ではないでしょうか。 そして、五類移行後のそういう総合的政策が機能するためにも、リスクの高い方をしっかり守る体制は最重要です。ぜひよろしくお願いいたします。 続きまして、阿波吉野川警察署の庁舎整備についてお伺いいたします。 パネルを出させていただきます。(資料提示) 阿波吉野川警察署は、築後五十六年が経過し、防災拠点となる百四十六の県有施設の中で唯一、耐震性が確保されていません。南海トラフ大地震の発生確率が年々上昇する中、最重要施設の耐震化は、行政が真っ先に取り組むべき課題です。 パネルを御覧ください。 阿波吉野川署より後から建設された警察署も、次々と耐震改修がなされたり新築されていることが分かります。黄色い部分が、阿波吉野川警察署よりも後から建築されたところで、もう全部終わっています。赤いところが阿波吉野川警察署、五十六年経過しています。もうすぐ五十七年になろうとしています。 一昨年、大塚議員が、一般質問において庁舎整備を要望されました。それに対して、警察本部長は、様々な御意見を踏まえ、地域治安情勢や、新たに設置した交番と警察署の有機的な連携など、多角的な視点から検討を進めると御答弁されました。 一年半が経過しましたが、整備計画が打ち出される様子もなく、検討が進められているようには見受けられません。住民は不安を感じています。早急に庁舎の整備を進めていただきたいです。 検討はどこまで進んでいるのでしょうか。進んでいないとすれば、その原因や課題は何でしょうか。 庁舎整備についての警察本部長の御所見をお伺いいたします。 最後の質問です。我が会派が今年度、各定例議会を通じて連続して代表質問で取り上げてきました県パートナーシップ宣誓制度の制定について質問させていただきます。 この制度は、LGBTQなどの性的少数のカップルを公的に認める制度です。請願でも継続審査となっており、十一月議会の総務委員会において賛否が伯仲し、閉会日には、採択を求める討論三件がなされたところです。 県は、六月議会の東条議員への御答弁で、性的マイノリティーの方々の人口割合は約八%と推定されること、性の多様性に関する理解が進みつつある中、偏見による精神的苦痛はもとより、不当な扱いによる人権侵害につながる場合が生じていると認めており、そういう事態を一刻も早く解消するためにも、啓発だけでなく制度が必要だと思います。 現在、県内九市町が制度を導入しており、人口の七割以上をカバーすることとなりましたが、残りの約三割の方が住まわれている十五の市町村にも、該当の方は必ずいらっしゃいます。単純計算では、七十万人の三割、二十一万人の八%で一万六千人、少なくとも一万人以上、制度のない市町村で暮らしておられることになります。 先日、総理大臣補佐官が、同性カップルについての心ない差別発言を行い、更迭され、今、国会で議論となり、社会の関心も高まっています。共同通信社の緊急電話調査では、同性婚に賛成の人が六四%。法律制定までの間、制度の必要性はますます高まっています。 そこで、今年度、会派の代表質問として四たびお尋ねいたします。 徳島県として、今こそパートナーシップ宣誓制度を導入すべきと考えますが、飯泉知事の御所見をお願いいたします。   (松林警察本部長登壇) ◎警察本部長(松林高樹君) 阿波吉野川警察署の庁舎整備についての御質問をいただきました。 現在の阿波吉野川警察署は、平成二十六年四月、治安や地域情勢の変化に対応するため、吉野川及び阿波の両警察署を統合したものであり、事件事故の抑止や検挙の両面で大きな成果を上げております。 統合後は、旧吉野川警察署を庁舎として活用しておりますが、先ほど御指摘のとおり、建築から既に五十六年が経過し、老朽・狭隘化が顕著となっているほか、防災拠点となる県有施設の中で唯一、耐震性能に課題があるとされているところであります。 県警察といたしましても、阿波吉野川警察署は県央部における治安・防災対策の中核であり、災害等によってその機能が失われることがあってはならないと考えておりますが、その庁舎整備の在り方につきましては、管内の地域治安情勢はもとより、周辺の交番、駐在所や他の警察署との連携など、幅広い視点の下、将来を俯瞰しながら慎重に検討すべきものと認識しております。 現在、県警察では、地域警察再編計画に基づき、二十四時間体制で諸活動を行う交番の拡充を県下全域で進めており、同署管内におきましては、従来から整備していたものを含め、阿波市内に三か所、吉野川市内に二か所の交番を設置・運用し、警察署と交番が有機的に連携の上、事件事故等への対応に当たっているところであります。 また、阿波市には令和二年四月に阿波運転免許センターを設置し、運転免許行政の新たな拠点として運用しておりまして、運転免許更新や、昨年十一月に新たに開始した普通免許学科試験で、年間約二万人の方々に御利用いただいております。 このように、警察署統合後においても治安の維持や住民のサービスの向上に資する各種施策に取り組んでいるところであり、こうした施策の推進状況や地域住民の方々からの御意見等も踏まえ、阿波吉野川警察署の庁舎整備につきましてはしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。   (上田未来創生文化部長登壇) ◎未来創生文化部長(上田輝明君) パートナーシップ宣誓制度の導入について御質問をいただいております。 性の多様性につきましては、一定の理解が進みつつある中、いまだ偏見や誤解などにより精神的な苦痛や生きづらさに直面している方々がおられ、深刻な人権問題につながることもあると認識しております。 もとより、性的指向、性自認をはじめ、年齢や性別、国籍や障がいの有無など多様な個性や価値観が大切にされ、誰もが輝く社会を実現するためには、多様性への理解の促進や、当事者の方々が安心して暮らすことができる行政サービス、社会的配慮が必要不可欠であります。 そこで、県では、ダイバーシティとくしま推進方針、徳島県男女共同参画基本条例、とくしま国際フレンドシップ憲章を制定し、多様性への理解を促進するとともに、性的指向、性自認について、全国知事会の男女共同参画プロジェクトチームを通じ、総合的に調整する所管府省庁を定めること、全国統一の方針や取組内容を提示することなど、国に対し積極的に提言を行っております。 また、性的マイノリティーの方々の御意向を踏まえ、県営住宅の入居に際して、同居する家族と認め、申込みを可能にするとともに、医療につきましても、県立病院の面会、手術同意等において柔軟に対応するなど、今後とも、県の行政サービスの提供にきめ細やかに意を用いてまいりたいと考えております。 折しも国におきましては、性的マイノリティーの方々の多様性を尊重し、理解の増進を図るため、性的指向、性自認に関する国民の理解の増進に関する法案の国会提出に向けた議論が本格的に始められようとしております。 県といたしましては、こうした国の動向を十分に注視するとともに、先進自治体の事例の把握、情報収集に努め、市町村、関係団体と連携し、全ての人々の人権が尊重され、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。   (吉田議員登壇) ◆十六番(吉田益子君) 御答弁いただきました。 阿波吉野川警察署について、一年半前の御答弁、在り方について検討から、しっかりと検討に変わっております。少し前進かもしれませんが、大規模災害などの非常時には交通の麻痺、犯罪の増加など、治安が大きく損なわれることが予想され、県中央部における治安や防災対策の中核である阿波吉野川警察署の重要性はますます高まります。そんなときに、警察署自体が被災していては元も子もありません。一刻も早く方針を示していただきますようお願いいたします。 パートナーシップ宣誓制度についてです。知事、本当にこれでいいんでしょうか、御答弁は。 制度を導入した九市町では、何も混乱は起こっていません。国民の理解とおっしゃいますが、一歩進んだ同性婚に対して賛成が六四%ですので、まして、同性婚よりハードルの低い宣誓制度への賛同はほとんど得られているんではないでしょうか。変わるべきは行政ではないでしょうか。 制度を使う人も使わない人もいらっしゃるでしょうが、たとえ使わなくても、その制度が自分の町にあるということは、存在していてもいいんだ、認めてもらえている、温かい社会に生きているという実感を必ず持ってくださると思います。 行政が住民の方々のためにできることは、制度をつくることです。市町の制度からこぼれ落ちている方々を誰も取り残さないためにも、ぜひお願いいたします。 もし先ほどと違った御答弁がありましたら、お願いします。   (上田未来創生文化部長登壇) ◎未来創生文化部長(上田輝明君) パートナーシップ制度につきまして再問をいただいております。 先ほど議員のほうからもいろいろ御紹介いただきましたように、全国におけるパートナーシップ宣誓制度の状況につきましては、民間団体の調査によりますと、昨年十二月末時点におきまして二百五十五の自治体が導入しており、都道府県では十都府県が、また県内においても九市町が導入するなど、広がりを見せているところでございます。 こうした中、国におきましては、政府関係が性的少数や同性婚に関し差別的な発言を行ったことを大変深刻に受け止めており、持続可能で多様性を認め合う包摂的な社会を目指すという政府政権の方針とは全く相入れないもので、言語道断と指摘するとともに、関連する法案提出に向けた準備が進められようとしております。 一方で、同性婚等に対する法律上の解釈につきましては、国においていまだ議論の過程にあり、県といたしましては、引き続き国の動向を十分注視するとともに、国民、県民の皆様の間にも様々な御意見があるものと承知しており、まずは性の多様性に対するさらなる理解の促進に努めてまいりたいと考えております。 なお、先ほども御紹介がございましたように、現在、県議会の場におきまして「パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度の創設及び性的少数に関する諸問題への取組に関する請願」が提出されていることも承知しており、その議論の動向も踏まえさせていただき、性の多様性に係る行政サービスの配慮や理解促進施策について、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 今後とも、性的指向、性自認はもとより、年齢、性別、国籍、民族、障がいの有無等にかかわらず、一人一人が尊重される社会を目指し、各種施策を進めてまいります。   (吉田議員登壇) ◆十六番(吉田益子君) パートナーシップ宣誓制度について、再問への御答弁をいただきました。ダイバーシティとくしまが名ばかりでないように、対応をお願いしたいところです。 議員各位の皆様には、総務委員会での議論を行政は見ていくということでしたので、どうぞ御理解いただいて、この請願が通りますように、よろしくお願い申し上げます。 まとめに入ります。 私と増富議員は、任期が三年前の十一月からでしたので、今期ずっと新型コロナウイルス対策とともに県政に携わってきました。発生当初のデルタ株で、急な肺炎を起こして命を落とすということの恐怖の中、医療関係の皆様、エッセンシャルワーカーの皆様の頑張りには感謝と感銘しかありません。 子供たちに関して、聖路加国際病院の日野原元名誉院長が、命とは君たちが持っている時間であるとおっしゃっていたように、子供たちの時間、その年齢、その時期にしか体験できない貴重な時間が奪われてしまいました。 当時、部活も修学旅行もない中学生、高校生。青春は密なものという甲子園大会優勝監督の言葉もありましたが、子供たちを思うとつらいとこぼしていた私に、七十代の先輩がおっしゃいました。年寄りにとっての一年もすごく大きいよ。 そういうつらいコロナ下で特に悲しかったのは、初期の頃の陽性への誹謗中傷、差別でした。病気になられた方に追い打ちをかけていじめる、これもまた人間なのかと。 そんなとき、私の自宅の対岸の、吉野川対岸の阿波市で、お互いさまだよ応援団が発足しました。誹謗中傷に関する電話相談を受けたり、外出できない方に代わり買物を代行して届けるシステムを、市民と地元スーパーと連携し、これまで多くの方が利用しました。困ったときはお互いさまだよ、徳島には心温かい人たちがたくさんいる、捨てたものではないと思わせてくれました。コロナ下にあって、忘れられないエピソードです。 この人間のすばらしい力を信じて、時に絶望感や無力感と闘いながら、政治に物言えぬ子供たちのためにも、今後も力を尽くしていきたいと思います。 今期最後の代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(井川龍二君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後二時五十三分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後三時二十二分開議      出席議員計三十五名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     梶  原  一  哉 君     六  番     浪  越  憲  一 君     七  番     仁  木  啓  人 君     八  番     東  条  恭  子 君     九  番     原     徹  臣 君     十  番     北  島  一  人 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     古  川  広  志 君     十五 番     長  池  文  武 君     十六 番     吉  田  益  子 君     十七 番     須  見  一  仁 君     十八 番     井  川  龍  二 君     十九 番     元  木  章  生 君     二十 番     岡  田  理  絵 君     二十一番     南     恒  生 君     二十二番     岩  丸  正  史 君     二十三番     岡     佑  樹 君     二十四番     黒  崎     章 君     二十五番     扶  川     敦 君     二十六番     達  田  良  子 君     二十七番     寺  井  正  邇 君     二十八番     喜  多  宏  思 君     二十九番     重  清  佳  之 君     三十 番     嘉  見  博  之 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     杉  本  直  樹 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     臼  木  春  夫 君     三十五番     庄  野  昌  彦 君     三十六番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○議長(南恒生君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 九番・原徹臣君。   (原議員登壇) ◆九番(原徹臣君) 皆様こんにちは。徳島県議会自由民主党の原徹臣でございます。 初めてこの壇上に立たせていただいてから、四度目の登壇の機会を与えていただきました。先輩議員の皆様に感謝申し上げます。 県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてから、はや三年がたとうとしています。 新型コロナウイルス感染症対策に御尽力いただいております医療従事の皆様をはじめ関係の皆様に対し、心より敬意を表し、感謝を申し上げますとともに、日頃よりそれぞれの立場で感染防止対策の徹底に取り組んでいただいております県民の皆様に対し、心より御礼申し上げます。 また、本日、大変お忙しい中、地元から多くの皆様に駆けつけていただき、本当にありがとうございます。心強いです。しっかりと県民の皆様のために頑張ってまいりますので、応援のほどよろしくお願い申し上げます。 それでは、質問に移らせていただきます。 農業分野におけるブランド振興策についてお伺いいたします。 全国的に有名なサツマイモなると金時は、徳島県を代表する農産物の一つであり、私の地元鳴門市を中心に、徳島市、松茂町、北島町の約千ヘクタールで栽培されており、七十七億円の生産額を誇ります。 色鮮やかで上品な甘みを誇るなると金時の栽培に欠かせない砂地畑は、連作することにより、砂粒子が細かくなり、収量や品質が低下するため、数年に一度は新しい砂を手入れ砂として投入し、通気性、排水性を改善する必要があると言われております。しかしながら、徳島県では昭和五十三年から、海岸保全の観点から海砂の確保が困難となっております。 こうした難しい局面を何とか打開しようと、地元生産はもとより、関係市町、県議会の先輩方が国や県に切実な声を繰り返し届け、粘り強く取り組んでこられたことを私も十分承知いたしますとともに、敬意を抱いております。ただ、生産の間からは、かつての海砂を求める声が根強くあることもまた事実であります。 こうした中、昨年度、生産有志の皆さんが、県環境整備公社が有する土砂に着眼され、ぜひ試行的に活用してみたいという声が上がり、これを受け、まずはやってみようと、生産代表、県環境整備公社、徳島県の三の覚書により、四百立方メートルを用いて実証試験が行われました。 実証試験の結果を伺ったところ、全ての圃場で畝が柔らかくなり、芋の凹凸や肌の滑らかさ、皮の色目が同等またはよくなるなど、おおむね高評価であったものの、一部、収量にばらつきが見られたとのことでした。 今回の結果を踏まえ、土砂の品質や栽培適性をしっかりと見極めるため、規模を二千立方メートル程度に拡大し、実証試験を実施したいとの意向が持たれており、県議の皆さんと共に、その熱い思いを知事にお届けし、御賛同いただいたところです。 県においては、二年目となる実証試験に向けて、連作の影響把握や規模拡大ならではのデータ取得を新たに行うべきではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 本県のブランド農産物を向上、飛躍させていくため、なると金時の砂地畑に関する新たな実証試験について、県として、より一層の技術的支援やデータ分析を行うことが必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、県内中小企業の海外展開についてお伺いいたします。 新型コロナの国内初感染から三年余りがたち、ようやく新規感染数の減少傾向が続く中、コロナの感染症法上の位置づけを五月八日から五類に引き下げることが正式に決定され、経済回復への出口戦略が近づいてきたものと期待しています。 しかしながら、多くの県内事業が、コロナ前の売上げが回復できず、加えて原材料不足やエネルギー価格の高騰など、中小企業を取り巻く事業環境は一段と厳しさが増しているものと大いに懸念しております。 この状況に対する一つの方策として、いち早く経済活動を再開し、旺盛な消費意欲のある海外需要を獲得すべきであると考えます。 IMFの二〇二三年の世界経済見通しでは、日本を含む先進国の平均成長率が一・二%に対し、東南アジアなどの新興国は五・三%と、高い経済成長が見込まれています。 また、今後、少子高齢化や人口減少で国内市場が縮小する中、国においても、現在の円安基調を生かし、中小企業の海外展開を後押しするため、昨年八月には海外ビジネス投資支援室を新たに設置し、同年十二月、新規輸出中小企業一万社プログラムとして、新たに輸出に挑戦する事業を掘り起こし、専門家による輸出相談、輸出商社とのマッチングなど、一気通貫による輸出支援に取り組んでいくための戦略を打ち出しています。 私の地元鳴門市の松浦酒造は、日本酒が海外でブームになる前から輸出に取り組み、国ごとの厳格な規制や免許制度などの様々な課題を一つ一つクリアして、今や、アメリカ、EU諸国をはじめ、中国やシンガポールなどのアジア圏など、世界十三か国に輸出していると聞いております。 このような成功事例をぜひともロールモデルとし、インバウンドの本格的な回復、さらには二〇二五年大阪・関西万博の開催によるビジネスマン往来の増加も見据え、購買力のある海外需要を獲得することが、県内企業の売上げの回復や経営力強化につながるものと考えております。 そこで、お伺いいたします。 二〇二五年大阪・関西万博の好機を生かし、県内企業の海外展開をどのように促進していくのか、お伺いいたします。 次に、徳島の強みを生かしたインバウンド誘客拡大についてお伺いいたします。 先月十八日にあった政府観光局からの発表によると、二〇二二年の訪日客数は三百八十三万千九百人で、過去最高の三千百八十八万二千四十九人を記録した二〇一九年の一割程度となっております。 インバウンドの本格回復にはまだまだ道半ばですが、五月八日からは、新型コロナの感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同じ五類に引き下げることが決定され、外国人観光客の流入は加速すると考えます。 長引くコロナ禍でインバウンドが消滅し、県内観光産業はかつてない大きな打撃を受けましたが、コロナ下においても接触や密を避けられ、家族や友人等、少人数で楽しめるアウトドアスポーツやフィッシング、キャンプなどのレジャーが新たな体験型観光コンテンツとして見直され、自然が豊富で関連施設の多い徳島にとってはまさに強みとなりつつあります。 外国人観光客を徳島に引っ張ってくるためには、こういった体験型の観光コンテンツを大いにPRするとともに、来る大阪・関西万博も見据え、より広域的なプロモーション活動を行っていく必要があるのではないでしょうか。 またあわせて、観光客に利便性の高い受入環境を整備するため、中小・小規模事業が行う多様なキャッシュレス決済への対応をはじめとする非接触型などの取組に対して、細やかな支援も行うべきではないでしょうか。 全国各地域が今まさにインバウンド誘客の再スタートを切ろうとしている状況、この機を逃さず、徳島の強みをインバウンド誘客に大いに活用し、戦略的に施策を展開していくことが肝要と考えます。 そこで、お伺いいたします。 徳島の強みを生かしたインバウンド誘客拡大にどのように取り組むのか、お伺いいたします。 それぞれ御答弁をいただきまして、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 原議員の御質問にお答えさせていただきます。 なると金時の砂地畑に関する実証実験への対応についてであります。 地域特有の砂地畑で育まれたなると金時は、生産の皆様方のたゆまぬ御努力によりまして、本県農林水産物のトップブランドとして、県内外において確固たる地位を築いており、その高い品質を将来へ引き継いでいくためには、持続可能な生産環境の確保がまさに不可欠となります。 このような認識の下、海砂の確保が困難となった昭和五十三年以降、県では、海砂に代わる手入れ砂の研究を鋭意進め、その一環として、吉野川の砂を手入れ砂として利用すべく、平成十九年、私自ら粘り強く国土交通省に要請した結果、吉野川の恵み協働プロジェクトにより実現し、生産の皆様方と共に実証試験を重ね、今や現地実装がかなえられているところであります。 一方、昨年度、生産の皆様方の開拓精神がまさに契機となり、県環境整備公社が提供する土砂四百立米を用いたなると金時栽培の実証試験が実施されるに至り、私も当然賛同させていただき、生産の皆様方の挑戦への気概にしっかりと応えるべく、県といたしましても意欲的に実証試験に参加させていただいたところであります。 その後、一年間に及ぶ試験の結果、砂地の土壌適性や収穫物の外観品質についてはおおむね良好な評価を得られた一方、収量につきましては圃場によりばらつきが見られ、要因分析を科学的に行ってほしいとのお声を試験参加の皆様方からいただいたところであります。 これに即応する形で、生産の皆様方、さらには原県議をはじめとする地元県議会議員の皆様方が直接お越しになられ、来期に向け、実証試験、その規模拡大を図るとともに、県にも引き続き参加してもらいたいとの強い御要望をいただいたところであります。 その場で、私から直ちに、今期の五倍となる土砂二千立米を加えた新たな実証試験に積極的に参加し、最大限、技術面への御協力を行うことをお約束させていただいたところであります。 少し具体的に申し上げてまいりますと、まず、対象圃場の拡大に伴い、多様な土壌、栽培条件下でさらに多くのデータが得られるメリットを生かし、土砂投入による効果発現メカニズムの解明や課題発生時の要因分析が可能となりますよう、試験設計に創意工夫を凝らしているところであります。 また、新たな実証試験ならではの収量や品質、土壌の物理性、化学性などのデータ、生産の皆様方からのアンケート結果について詳細に分析し、当該土砂利用の持続可能性について積極的に検証いたしてまいります。 今後とも、本県ブランド産地のさらなる発展に向け、このたびの実証試験で得られる知見を最大限に生かし、なると金時の生産の皆様方が夢と希望を持って生産に臨むことができるよう、積極果敢に進めてまいります。   (酒池副知事登壇) ◎副知事(酒池由幸君) 二〇二五年大阪・関西万博の好機を生かし、県内企業の海外展開をどのように促進していくのかとの御質問をいただいております。 世界中の人と物が集まる世紀のイベント大阪・関西万博の開催につきましては、新型コロナや原油・原材料価格の高騰に直面する県内企業の飛躍的な回復と海外販路開拓に向けた絶好のビジネスチャンスであると認識いたしております。 本県におきましては、これまで、県内企業の積極果敢な海外展開に対し、輸出実務の専門知識と幅広いネットワークを有するとくしま海外展開支援プラットフォームが一体となり、具体的な輸出の相談からマッチング商談までワンストップで支援してまいりました。 また、コロナ下においては、オンライン商談に加え、激変する事業環境下におきましても二桁成長の高い市場拡大を続ける越境ECサイトへの新規参入、ライブ動画配信とオンライン販売を融合し、新たな販売方法として注目を集めておりますライブコマースへの挑戦など、ICT技術を積極的に活用いたしました新たな需要の獲得に意欲的に取り組んでまいりました。 今年度、こうした取組の成果といたしまして、世界最大級の企業間取引のウェブサイトでありますアリババドットコムにおきましては、世界有数の購買力を有する中東の国カタールや高い経済成長が期待されておりますインドからの新規受注を獲得いたしますとともに、東南アジアのビジネス拠点として注目されておりますシンガポール向けライブコマースにおきましては、二日間で地酒や加工食品など延べ百商品の商談を成立させたところでございまして、今まさに海外展開への機運が大いに高まりを見せております。 一方、議員お話しのとおり、こうした機運を一過性のものにすることなく、本県経済のさらなる成長への起爆剤やSDGsの達成につなげていくためには、世界の英知が結集いたします大阪・関西万博を好機と捉え、県内企業が有する優れた製品のブランド力の強化、SDGsに貢献する製品の開発提供に向けました取組をこれまで以上に強化することが必要不可欠であるというふうに認識いたしております。 そこで、海外展開加速への次の一手として、昨年十月、産業連携覚書MOUを締結し、県内企業の関心も高い台湾とのビジネス交流の深化と継続的な商談会の展開、本県の環境配慮型製品を特集する多言語商談用ホームページのコンテンツの拡充など、ポストコロナ新時代の潮流を先読みし、先手先手のマーケティングを展開してまいります。 こうした取組を通じて、力強い成長を背景とした海外需要を獲得できるよう、意欲ある県内企業の海外販路の拡大を加速し、本県経済の持続的な発展を目指してまいります。   (梅田商工労働観光部長登壇) ◎商工労働観光部長(梅田尚志君) 徳島の強みを生かしたインバウンド誘客拡大にどのように取り組むのか、御質問をいただいております。 本県ではこれまで、新型コロナウイルス感染拡大の影響により全国的に観光需要が冷え込む中、全国に先駆けスタートを切ったとくしま応援割や、非接触をはじめ新しい生活様式を実装するWITH・コロナ「新生活様式」導入応援助成金の創設など、県内観光関連事業の業と雇用を守る取組を推進してまいりました。 また、コロナ禍やSDGsによりライフスタイルや旅行ニーズが多様化する中、官民一体となり、サステナブルツーリズムや体験型観光など、新たな旅のスタイルの創出に取り組むとともに、VR技術を活用した臨場感あふれる観光体験オンラインファムツアーなど、プロモーション手法も進化させてきたところでございます。 こうした中、議員からもお話がありましたように、国において、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが五月八日から五類へ移行する方針が決定されましたことから、この機を逃すことなく、本県への誘客拡大につなげるため、現在策定中の徳島県観光振興基本計画の柱に戦略的なインバウンド誘客の推進を位置づけ、コロナ禍前より重点的に取組を進めている東アジア、サステナブルツーリズムに関心が高い欧米を中心として、施策を展開してまいりたいと考えております。 そこで、アフターコロナに向けたインバウンド誘客のスタートとして、今年度、サステナブルツーリズムをテーマに作成した多言語動画「FRaU」S─TRIPムービーを、今週末に開催される米国最大級の旅行博LATASにおいて上映、運航が計画されている台湾チャーター便の就航の際にもお出迎え動画として活用するなど、本県の持つ新たな魅力を、あらゆる機会を通じ、強力に発信してまいります。 さらに、大阪・関西万博に向け、関西観光本部に新設されるエキスポ二〇二五関西観光推進協議会──仮称でございますけれども──と連携し、万博プラス徳島観光を推進するための広域的なプロモーション活動を行うとともに、ストレスフリーで快適な旅行を提供するためのキャッシュレス決済やデジタル多言語案内の導入など、受入体制の整備を促進してまいります。 今後とも、アフターコロナ、そしてその先のポストコロナ新時代を見据え、本県観光産業のさらなる飛躍へとつなげるため、インバウンド誘客の拡大にしっかりと取り組んでまいります。   (原議員登壇) ◆九番(原徹臣君) それぞれ御答弁をいただきました。御答弁に対するコメントは、最後にまとめさせていただきます。 質問を続けてまいります。 水素社会の実現についてお伺いいたします。 先月開催された世界中の経済人や有識者が集うダボス会議において、今後十年間での最大のリスクは気候変動危機であるとのレポートが提出されました。この危機を世界全体で乗り越えていくために、いかに脱炭素社会を実現するか、今まさに待ったなしの取組が求められております。 特に、二酸化炭素排出量の九割はエネルギーに由来するものであり、これをいかに低炭素、脱炭素なエネルギーに転換していくかが重要となり、燃焼してもCO2を排出しない水素は究極のクリーンエネルギーとも呼ばれ、その活用がますます期待されるところです。 本県では、平成二十七年度より、全国に先駆けて水素グリッド構想を展開し、これまで様々な形で水素の率先導入を図るとともに、あわせてその機運醸成を図ってまいりました。 令和三年十二月からは、徳島バスの御協力をいただき、徳島駅から私の地元鳴門市に向け、中四国初の路線運行となる水素バスの二台導入を実現し、水素社会の実現に向け、着実な取組を展開してきております。 この水素バスについては、私自身も実際に乗車し、ディーゼル車とは異なる静粛性や揺れの少なさ等、脱炭素な未来社会を体感したところであり、県民の皆様からも、快適な乗り心地に対する満足の声を直接お聞きしております。 国においては、昨年末、岸田首相をトップとするGX実行会議において、今後十年間の行程表を取りまとめたところですが、水素については、発電、運輸、産業など幅広い分野で活用が期待されるとともに、我が国のエネルギー資源の自給率の向上や自然エネルギー発電の余剰電力の活用に資するものとして、その導入加速化を図るべきものとの方向が示され、徳島県のこれまでの取組の先見性が証明されたと言えるところです。 そこで、お伺いいたします。 いよいよ二年後には大阪・関西万博も迫る中、カーボンニュートラルに向けた国の動きも踏まえ、本県が展開してきた水素社会への取組について、さらなる進化を図る必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、アワーケーションについてお伺いいたします。 県では令和二年度から、テレワークと地域資源を組み合わせた徳島ならではのワーケーション、アワーケーションを推進しています。 令和四年度は、誘致ターゲットを企業だけではなく若者やファミリーなど個人へと広げ、吉野川カヤックなどのアクティビティー、さらには集落の草刈りなどの社会貢献活動を盛り込んだ十三プランを造成しました。県内各地で受入れが行われ、県のSNSの投稿写真でも、多くの人がにこやかな笑顔を見せています。 私の地元鳴門市でも、親子連れアワーケーションが実施され、東京や京都から、夏と冬合わせて八組十八人の御家族が参加しました。いかだ釣りなど、家族で楽しめる遊びだけではなく、水中ドローンを使ったごみ収集体験といった、環境問題について気づきや学びをもたらすプログラムを体感していただきました。 参加からは、都会ではふだんできない経験をたくさんした、また徳島に来たいといった御意見が、地元事業からは、これからも心動く瞬間やわくわくを感じられる企画をプロデュースしたいといった御意見が寄せられたと聞いており、このアワーケーションの推進に対し大きな期待を寄せています。 一方、観光庁が実施した調査では、企業におけるワーケーションの認知度は約八割ではありますが、実際にワーケーションを体験した従業員は全体の約四%と、いまだ全国的な動きまでにはなっておりません。しかしながら、新型コロナ以降高まる多様な働き方へのニーズや、大手企業を中心とする週休三日制度や、場所にとらわれずに働くことができるリモートワーク制度の導入といった活発化する企業の動きからも、ワーケーションはまだまだ伸び代があると認識しております。 民間シンクタンクの調査でも、ワーケーションの実施は徐々に増加し、二〇二三年度の国内ワーケーション市場は一千億円を超える規模になるとの予測もあります。 知事はこれまで、サテライトオフィスやデュアルスクールといった、徳島が発祥の、全国を先導する地方創生テレワークのモデル事例を打ち立ててきました。地方回帰の機運が高まっている今こそ、アワーケーションを進化させる絶好の機会であり、さらなる拡大強化に取り組むべきと考えます。 そこで、お伺いいたします。 アワーケーションのさらなる拡大強化に向け、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、孤独・孤立対策についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの感染が国内で初めて確認されてから三年が経過し、長期化しているコロナ禍において、経済活動の縮小に伴う失業、休業や非正規化等、労働環境の悪化、進行している核家族化や未婚・晩婚化の中、活動の自粛による人との接触機会の減少やコミュニケーション機会の減少による人と人とのつながりの希薄化等、生活を取り巻く環境は大きな影響を受けています。 また、コロナ下における在宅勤務やテレワーク等、非対面でのコミュニケーションの浸透、交流、見守りの場、相談支援を受ける機会の喪失等により、精神的に不安を感じる方が増えており、令和四年四月に公表された内閣官房の孤独・孤立の実態把握に関する全国調査では、孤独感があると回答した人の割合が三六・四%と高くなるなど、子供から高齢まで、社会に内在していた孤独・孤立の問題が顕在化してきております。 このような中、先般、感染対策と社会経済活動の正常化の両立を目指し、いよいよ五月八日から、新型コロナの感染症法上の位置づけが二類相当から五類へ移行することが示され、ようやくアフターコロナへの希望が持てる状況になりました。 しかし、急激な円安やウクライナ危機による物価高騰や、五類移行に伴うコロナ関連の各種融資の支援策の縮小等、県民生活を取り巻く環境は依然として予断を許さない厳しい状況にあり、社会的に孤立する方の増加も懸念されます。 そこで、お伺いいたします。 長期化するコロナ禍において、人々のつながりが失われ、孤独・孤立が顕在化する中、アフターコロナを見据え、県民の誰もが安心して暮らせる徳島を実現するため、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、キャリア教育の推進についてお伺いいたします。 新型コロナ感染症はまだまだ続いていますが、行動制限はなく、旅行支援も継続されるなど、コロナ前の生活に近づいてきております。 本県を代表する総合見本市、徳島ビジネスチャレンジメッセ二〇二二が、昨年、三年ぶりに本格的に開催され、出展企業・団体も倍増し、多くの来場でにぎわったとのことであります。 今回は特に、小学生対象のプログラミング教室やインターンシップ、中高、大学生対象の企業体験などが実施され、非常に好評で、盛り上がったと聞いており、こうしたイベントを通し、若い方に県内企業のすばらしさを知ってもらう機会にもつながったと感じております。こうした本県の企業との関わりが、若者に徳島の魅力に目を向けさせる契機となっていると思います。 一方で、若者の就職に目を向けてみますと、相変わらず、高校生が県外の企業に就職したり、大学で県外に出た学生がそのまま徳島に帰らず就職するケースが多い現状が続いております。私の地元鳴門でも、同じような話を多く聞いております。 高校生や大学生などの若い方に徳島の企業の存在やそのすばらしさをもっと知ってもらうためには、学校教育で早い段階から地域の企業の取組を紹介したり実際に工場を見学したりするなど、地域と連携したキャリア教育を一層充実させる必要があります。 アフターコロナに向け、社会経済活動が本格的に動き始める中、高校卒業時の就職のみならず、大学進学時を機に徳島を離れていても、徳島に帰ってきたい、徳島で就職したいと思っていただくためにも、幼い頃からのキャリア教育が重要ではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 高校や大学卒業後も徳島で働きたいと願う若者をもっともっと増やすために、学校におけるキャリア教育のさらなる充実を図るべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 それぞれ御答弁をいただきまして、まとめに入らせていただきます。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 水素社会への取組をさらに進化していくことにつきまして御質問をいただいております。 今、世界中で叫ばれている気候変動危機に加え、長期化するウクライナ侵攻を受け顕在化したエネルギー安全保障の課題解決を図り、カーボンニュートラル社会を実現していくためには、石油や石炭に由来するエネルギーから、燃焼により二酸化炭素を排出しない究極のクリーンエネルギー水素への転換こそがその切り札になるものと認識しているところであります。 平成二十七年度より水素グリッド構想を推進する本県におきましては、全国唯一、水素パトカーをはじめ、公用車として全国トップクラスとなる燃料電池自動車七台を導入するなど、水素テクノロジーの社会実装に常に先陣を切って取り組んできたところであります。 また、令和三年十二月からは、徳島バス鳴門線で、中四国初の燃料電池バスの路線運行を開始し、東亞合成徳島工場における地産水素の充填と併せ、全国の脱炭素モデルとして高く御評価いただき、昨年の十二月、気候変動アクション環境大臣表彰を受賞したところであります。 議員お話しのとおり、エネルギー自給率の向上や自然エネルギーの余剰電力活用など、脱炭素社会牽引の大きな可能性から、官民挙げた投資拡大により水素導入が本格化する今、本県としても、水素グリッド構想の取組について一層加速化を図ってまいる必要があります。 そのためには、まずは県民お一人お一人に水素社会をしっかりと意識していただく機運醸成策として、燃料電池バスの走る広告塔としてのPRに加え、ドローンを活用し、燃料電池自動車やバスの走行風景に徳島の自然や景観を盛り込みました新たな映像コンテンツを作成し、本県の空の玄関徳島阿波おどり空港の大型ビジョンをはじめとした公共施設や観光施設、さらにはユーチューブやSNSを活用し、積極的に情報発信を展開いたしてまいります。 また、大阪・関西万博に向け、水素導入に向けた官民協働協議会の連携により、燃料電池バスやトラック、フォークリフトの実装拡大や、新たに徳島「まるごとパビリオン」基本計画に盛り込んだ水素テクノロジーを核としたサステナブルツーリズム展開への実践策について、具体化を図ってまいります。 さらには、あらゆる環境施策の一元化を図り、本県のグリーントランスフォーメーションの新たな羅針盤として来年度策定するGX推進計画に、水素グリッド構想の進化形をしっかりと位置づけ、自然エネルギーの最大限導入や県民の皆様方の意識改革との相乗効果を生むことにより、水素のさらなる社会実装へギアチェンジをしっかりと図ってまいります。 今後とも、水素社会構築に全国を先導してきた徳島として、より一層エネルギーの転換を図り、脱炭素による持続可能な社会づくりが本県から具現化できますよう、積極果敢にチャレンジしてまいります。   (村山政策創造部長登壇) ◎政策創造部長(村山直康君) アワーケーションのさらなる拡大強化についての御質問をいただきました。 全国屈指の光ブロードバンド環境を誇る本県では、テレワークにバケーションを組み合わせたワーケーションを、新たな人の流れを創出する有効な手法として、全国に先駆けて展開しております。 令和二年度からは、地域とのつながりづくりを強化した徳島ならではのワーケーションをアワーケーションと銘打ち、快適な環境の下でテレワークを行いながら社会貢献活動や地域住民との交流を体感できる二十三の受入れプランの造成、アワーケーションに関する相談対応や来県後の現地案内を担うコーディネーターの配置など、市町村はもとより、航空会社や地元事業との連携の下、推進しているところでございます。 この結果、これまで百四十社を超える企業や個人など約三百名の方が来県し、集落で取れる食材を使った新商品の開発を考えるワークショップ、自然体験を通じた都会と地元の子供たちの交流など、各地でアワーケーションを体感いただきました。 また、若者を中心に本県への移住数が着実な伸びを見せるなど、とくしま回帰の動きが現実のものとなっており、この流れを一過性とせず、深化させていくためには、議員お話しのとおり、人を呼び込み地域をつなげるアワーケーションのさらなる拡大強化は大変重要と考えております。 そこで、これまで培ったノウハウやネットワークを生かし、新たな関心層の獲得に向けた誘致活動を、国内はもとより、海外をも視野に展開いたします。 まず、国内では、地元事業サテライトオフィス進出企業と連携し、ワーケーションを検討している都市部企業に赴き、徳島での実践例を紹介するとともに、課題の解決策を共に考える出前相談を実施し、アワーケーション導入を積極的に後押ししてまいります。 次に、海外に向けては、入国制限の緩和によるインバウンドの回復や二〇二五年大阪・関西万博を見据え、まずは国内在住の外国人テレワーカーや外資系企業をターゲットに、アワーケーションへの興味関心を高めていただく取組を展開してまいります。 具体的には、情報発信の多言語化や、県内のコワーキングスペースを運営する事業と連携した受入環境づくり、県で任用している外国人地域おこし協力隊やインバウンド誘客の実践がある地域連携DMOの意見も取り入れた新たなプランの検討など、外国人の目線に立った取組により、アワーケーションのブランド化を推進してまいります。 今後とも、アワーケーションの魅力に磨きをかけ、さらなる拡大強化に取り組むことにより、新しい人の流れを加速し、持続可能な地域づくりの実現につなげてまいります。   (森口保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(森口浩徳君) 孤独・孤立が顕在化する中、県民の誰もが安心して暮らせる徳島を実現するため、今後どのように取り組んでいくのか、質問を頂戴しております。 長引くコロナ禍により、全国的に孤独・孤立の問題が顕在化する中、悩みや不安を持つ方々に対する、よりきめ細やかな対応が必要と認識しております。 県におきましては、これまで、家族、同僚など周囲の人々に気づきを促す声かけキャンペーンの展開、またアウトリーチ支援員による積極的かつ能動的な伴走型支援の実施、また孤独・孤立に陥りやすい生活困窮世帯や単身世帯などを支援している団体への県産食材の無償提供など、本県ならではの孤独・孤立対策に取り組んでまいりました。 一方、孤独・孤立の問題は、当事者や家族等の状況に応じて事情が異なります上、複雑かつ複合的な事案も多いことから、県や市町村による行政の支援に加え、現場で活動するNPO法人や団体など民間との連携が重要であり、多種多様な団体が参画し様々な角度から支援を行う重層型のプラットフォームの構築が必要となっております。 本県では、令和四年七月、国の地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業の実証団体に採択され、孤独・孤立の解消に向けた都道府県取組のモデル地域として、市町村や関係団体等を対象とした説明会、また孤独・孤立対策シンポジウムを開催し、本県ならではのプラットフォーム設立に向け、機運の醸成を図ってきたところでございます。 こうした取組が実を結び、来る二月二十二日に、とくしま孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを、NPO法人をはじめ社会福祉法人や民間企業など九十を超える団体の皆様から参加の表明をいただき、設立する運びとなったところでございます。 今後は、設立いたしましたプラットフォームを通じ、市町村や団体等、多様な組織と連携をより深めることで、孤独・孤立の問題の解消に向け、県民への理解促進、支援活動の充実、また人材の育成などの取組を強力に進め、個々の状況に応じた切れ目のない支援、また見守りや交流ができる居場所の確保、また人と人とのつながりを実感できる地域づくりなどを重層的に展開してまいりたいと考えております。 今後とも、誰一人取り残さないという強い決意の下、誰もが共に支え合い、安心して暮らしていける地域共生社会の実現に向け、全力で取り組んでまいります。   (榊教育長登壇) ◎教育長(榊浩一君) 高校や大学卒業後も徳島で働きたいと願う若者をもっと増やすために、キャリア教育のさらなる充実を図るべきとの御質問でございますが、DX時代の到来やアフターコロナに向け、学校の教育活動が活発化しつつある中、子供たち一人一人の社会的・職業的自立に向けた資質能力の育成を図るキャリア教育は一層重要となっており、議員お話しのように、特に地元の企業を知る機会を充実させることは、子供たちがふるさとのよさを改めて実感し、ふるさとや地域のために働きたいと願う意識の醸成につながると認識しております。 県教育委員会では、本県キャリア教育推進の核として、県内企業の代表や大学、PTA等で構成する徳島県キャリア教育推進協議会を設置し、企業経営による働く意義などをテーマとした講演、出前授業、若手起業家によるキャリアイノベーションセミナー、小中高校生や保護も参加し県内企業の強みや魅力を知る企業見学バスツアーの実施など、ふるさと徳島の企業を体感できる機会の充実に取り組んでまいりました。 また、昨年度は、高校生を対象に、就職応援サイト「とく活」を立ち上げ、県内企業二百四十社の企業ガイド等を一人一台端末やスマホから気軽に見ることができる環境を整えたところ、高校生からは、知識が深まった、求められる人材になりたいといった好評の声が届いており、来年度早々には小中学生向けのジュニア版「とく活」を立ち上げ、発達段階に応じたキャリア教育を一層支援してまいります。 さらに、徳島県キャリア教育推進指針を五年ぶりに改定することとし、DX・GX時代に挑む徳島の企業のよさ、強みを知り、考える機会の拡充や、企業や地域をフィールドとした体験活動の充実、幼・小中高の各層に応じたキャリア形成支援の充実など、本県ならではのキャリア教育の新たな羅針盤として、学校、家庭、地域、経済団体の皆様の協力を得て、来年度早々に策定に着手してまいります。 加えて、職場体験インターンシップのさらなる充実に向け、徳島の地域、仕事とつながるハンドブックを新たに作成し、地元企業の魅力を子供たちが体験、体感する手引書として、県内全ての小中高等学校や関係企業の皆様と共有し、自身のキャリア形成能力の育成につなげるとともに、地元企業を知る機会の創出に一層努めてまいります。 県教育委員会といたしましては、県内企業の皆様と一層連携を深め、徳島の魅力を切り開くキャリア教育の推進に全力で取り組んでまいります。   (原議員登壇) ◆九番(原徹臣君) それぞれ御答弁をいただきました。コメントを述べさせていただきます。 農業分野におけるブランド振興策につきまして御答弁いただきました。 なると金時生産農家にとって、海砂の利用は長年の悲願であり、昨年の実証試験については、おおむね高評価の結果が得られました。今年、さらに規模を拡大して実施することとなり、ただいま知事から最大限の御協力をいただけるとのありがたい御答弁をいただきました。本当にありがとうございます。 この実証試験で得られる知見が基となり、海砂活用への検討が一層進んでいくことを大いに期待しています。 県内企業の海外展開につきまして、コロナ下でも海外販路開拓に向け積極果敢に取り組んでいること、二〇二五年の大阪・関西万博を絶好のビジネスチャンスとして捉え、先手先手のマーケティングに取り組んでいかれるとの力強い御答弁をいただきました。 私の地元には、松浦酒造をはじめ、百四十年の歴史を持つみそ、しょうゆ店や、鳴門わかめやなると金時の食品加工品など、世界に通用する県産品の製造事業所がたくさんあります。いずれの事業所も零細であり、自力での輸出にはハードルが高いと考えます。 ぜひとも商工会議所・商工会とも連携し、輸出に関心のある事業を掘り起こし、伴走で支援していただき、県内企業の経営強化を図っていただきたいと思います。 インバウンド誘客については、徳島県観光振興基本計画の柱に位置づけ、サステナブルツーリズムの推進や関西の新たな協議会との連携、受入環境整備の促進により誘客拡大に取り組まれるとの御答弁をいただきました。 本年は、インバウンドの本格的な再スタート元年です。今後は、県内観光関係がこれまで以上に一丸となり、より一層スピード感を持って取組を進めていただくことを期待しています。 水素グリッド構想の進化につきまして、力強い御答弁をいただきました。 脱炭素に関する意識が高まる中で、県外の皆さんに徳島の水素の話をすると、早くから取組を進めていることに大変驚き、また羨望の声をいただけます。本県の先進性を実感するところですが、ここで満足するのではなく、先陣を切って取り組んできた徳島として、水素の社会実装のさらなる加速化を図り、近い将来には水素の高速バスや長距離トラックがどこよりも早く徳島で走ることを期待しております。 アワーケーションのさらなる拡大強化につきましては、国内の企業の掘り起こしや、大阪・関西万博などを見据え、海外を視野にチャレンジするとの御答弁をいただきました。 御答弁いただいた意欲的な事業展開により、あらゆる機会を捉えて、アワーケーションの国内外へのアピールと磨き上げを行っていただき、本県への人の流れにつなげていただきたいと思います。 孤独・孤立対策についてでございますが、孤独・孤立は人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものであり、社会環境の変化による影響も大きいことから、社会全体で対応しなければならない問題であるとされております。新たに設立されるプラットフォームを有効に活用し、人と人、人と地域のつながりの輪を広げ、誰もが安心して暮らせる徳島が実現できるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 学校におけるキャリア教育の充実につきましては、先ほど教育長から、関係機関と一層連携して、本県ならではのキャリア教育の推進に取り組むとの大変前向きな答弁をいただきました。 徳島の未来を担う子供たちに徳島の魅力についてしっかりと知っていただき、将来はふるさとや地域の発展のために働きたい、あるいは徳島を離れても徳島に思いをはせることのできる人材の育成に取り組んでいただきたいと思います。 それでは、まとめに入ります。 五月八日から、新型コロナの感染症法上の位置づけが二類相当から五類へ移行することが示され、ようやくアフターコロナへの希望が持てる状況になりました。 私の地元である鳴門市をはじめとして、徳島県は四国の玄関口に位置します。大阪・関西万博などをしっかりと見据え、四国の玄関口徳島のより一層の発展のため、県民の皆様と共に、山積する地域課題に立ち向かってまいりますので、御協力よろしくお願いいたします。地方こそ成長の主役、志高く頑張ってまいります。 これで全ての私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(南恒生君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。   ──────────────────────── ○議長(南恒生君) 本日は、これをもって散会いたします。      午後四時十六分散会   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━...