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12月04日-02号

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  1. 徳島県議会 2019-12-02
    12月04日-02号


    取得元: 徳島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 元年11月定例会   令和元年十一月徳島県議会定例会会議録(第二号) 令和元年十二月四日    午前十時七分開議      出席議員計三十七名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     浪  越  憲  一 君     九  番     仁  木  啓  人 君     十  番     東  条  恭  子 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     岡     佑  樹 君     十七 番     古  川  広  志 君     十八 番     高  井  美  穂 君     十九 番     長  池  文  武 君     二十 番     吉  田  益  子 君     二十一番     中  山  俊  雄 君     二十二番     元  木  章  生 君     二十三番     岡  田  理  絵 君     二十四番     南     恒  生 君     二十五番     岩  丸  正  史 君     二十六番     寺  井  正  邇 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     扶  川     敦 君     二十九番     達  田  良  子 君     三十 番     喜  多  宏  思 君     三十一番     重  清  佳  之 君     三十二番     嘉  見  博  之 君     三十三番     岡  本  富  治 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     西  沢  貴  朗 君     三十六番     臼  木  春  夫 君     三十八番     山  田     豊 君   ────────────────────────  出席職員職氏名     事務局長     市  原  俊  明 君     次長       和  田  茂  久 君     政策調査課長   岡  島  敏  子 君     議事課長     福  田  雅  敏 君     議事課副課長   高  杉  康  代 君     政策調査課副課長 藤  本  泰  史 君     議事課主査兼係長 谷  本  か ほ り 君     政策調査課係長  池  西  真 理 子 君     議事課主任    小  泉  尚  美 君     議事課主任    幸  田  俊  樹 君     議事課主任    尾  崎  亮  平 君   ────────────────────────  列席者職氏名     知事       飯  泉  嘉  門 君     副知事      後 藤 田     博 君     政策監      福  井  廣  祐 君     企業局長     木  下  慎  次 君     病院事業管理者  香  川     征 君     危機管理部長   折  野  好  信 君     政策創造部長   志  田  敏  郎 君     経営戦略部長   久  山  淳  爾 君     県民環境部長   板  東  安  彦 君     保健福祉部長   仁 井 谷  興  史 君     商工労働観光部長 黒  下  耕  司 君     農林水産部長   手  塚  俊  明 君     県土整備部長   北  川  政  宏 君     会計管理者    桑  原  孝  司 君     病院局長     勢  井     研 君     経営戦略部次長  平  井  琢  二 君     財政課副課長   金  丸  武  史 君   ────────────────────────     教育長      美  馬  持  仁 君   ────────────────────────     人事委員長    祖  川  康  子 君     人事委員会事務局長延     良  朗 君   ────────────────────────     公安委員長    藤  井  伊 佐 子 君     警察本部長    根  本  純  史 君   ────────────────────────     代表監査委員職務代理者              近  藤  光  男 君     監査事務局次長監査事務局長心得)              来  島     努 君   ────────────────────────  議 事 日 程   第二号 令和元年十二月四日(水曜日)午前十時開議 第一 県政に対する一般質問         (四   名)   ──────────────────────── ○議長(喜多宏思君) これより本日の会議を開きます。   ──────────────────────── ○議長(喜多宏思君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。 まず、矢田代表監査委員からお手元に御配布のとおり、本日及び明十二月五日の会議を欠席いたしたい旨の届け出がありましたので、御報告いたしておきます。 なお、代理として近藤代表監査委員職務代理者が出席する旨通知がありましたので、御報告いたしておきます。 諸般の報告は以上であります。   ──────────────────────── ○議長(喜多宏思君) これより本日の日程に入ります。 日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い発言を許可いたします。 三十一番・重清佳之君。   (重清議員登壇) ◆三十一番(重清佳之君) 皆さんおはようございます。徳島県議会自由民主党の重清佳之でございます。 まず最初に、台風十五号・十九号を初め相次ぐ台風や豪雨により亡くなられた方や被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。 また、本日は美波町から日和佐小学校の六年生二十六人にお越しいただいております。これから皆さんが今住んでいる徳島をよりよくするため、また皆さんが大きくなっても徳島で住んでいたいと思ってもらえるよう話し合いをしますんで、少し難しいかもしれませんが、頑張って聞いてもらいたいと思います。 それでは、徳島県議会自由民主党を代表して、県が直面する喫緊の課題について質問してまいります。飯泉知事を初め理事者各位には、県民の皆さんにわかりやすく夢が持てるような答弁をお願いしておきます。 まずは、徳島市新ホール整備事業についてであります。 徳島市の新ホール整備事業について、敷地の一部となる県有地の土地交換協議が無期限停止となったことに関して連日報道がなされております。こうした中には、県の対応を問題視するかのような報道もありますが、この際、問題の核心を明らかにし、県民の皆様に問題の本質を正しく理解していただきたいため、質問を行いたいと思います。 私は、県土整備委員会でこの県有地の問題を真摯に議論してきた委員として、また二元代表制の一翼を担う県議会の議員として、徳島市がスケジュールありきで議会を軽視し、強引に事業を進めてきたことが根本的な原因であることは明白であると考えます。 徳島市新ホール整備事業は、県都徳島の顔であり、文化芸術の活動拠点として大変重要であるため、これまでも位置が二転三転した経緯があっても、県議会で議論し、早期に進めるよう協力してまいりました。 昨年八月、市が旧徳島市文化センター跡地に新ホールを建設すると公表し、その敷地の約三分の一を占める県有地の処理方針について、県議会、市議会で審議した結果、本年九月三十日に県にとっても県有地の有効利用、市にとっても建物基礎ぐいを残すことによる工期短縮やコスト縮減のメリットがあるとして、交換の合意がなされ、十月から市と協議を開始されたところです。 市との土地交換協議を開始するに当たっては、県議会から理事者に対し、これまでの市の進め方に疑問を感じたため、交換契約を交わす段階で県として土地の利用を判断することとの要望をしました。また、市議会からは、市の理事者に対し、県が無償借地以外の選択肢を求めたことが市議会に報告されなかったことを踏まえ、県有地問題に対して敷地の境界確定及び交換地の合意が得られるまで新ホール整備を進めるための業者選定作業には取りかからないこととの附帯決議がなされたものであります。 徳島市が土地交換協議の最中に、交換契約を交わす段階まで事業を進めないという県との土地交換に係る協議の前提条件や、県議会からの要望、市議会からの附帯決議に反し、一方的に優先交渉権者を公表したことで交換協議が無期限停止になるのも当然であり、市はもともとそれらを守る気がなかったのではないかとの疑念があります。 また、市長は附帯決議に法的拘束力はないとの趣旨の発言をし、すぐに撤回しています。これは急ぐということを理由に事業を進めるためなら議会の決めたことは守る必要はないという市の姿勢のあらわれであり、議会軽視も甚だしい限りであります。 そこで、先日行われた県土整備委員会において、委員会として、市がこのような行動に至った理由について確認するとした次第であります。 新ホール整備事業は、徳島市の事業というだけでなく、県全体にとっても重要な事業であり、私としても今後の方向性について大変危惧しているところです。 そこで、お伺いいたします。 今回の徳島市新ホール整備事業について混乱の原因はどこにあるのか。また、新ホール整備を含め、県都の顔づくりをどのように進めていくべきか、御所見をお伺いいたします。 次に、国内外と連携した消費者政策の推進についてお伺いいたします。 令和元年も残り一カ月となり、ことし一年を振り返りますと、本県の消費者行政消費者教育に関して二つの大きな進展がありました。 一つは、来年度恒常的な拠点として消費者庁新未来創造戦略本部が本県に開設されるという方針が八月に決定されたことであります。消費者庁の徳島移転は、県議会が県と二人三脚で取り組んできた成果が高い評価を受けた結果であり、大変喜ばしく思います。 二つ目は、G20大阪サミットサイドイベントとして九月にG20消費者政策国際会合を消費者庁と共催したことであります。ことし一月に私自身、当時議長として知事とともに宮腰消費者担当大臣から直接、消費者庁と共催してほしいという御依頼を受けたものです。三十八の国や地域、国際機関の皆さんが本県に集い、消費者庁とともに成功裏に国際会議を実施したことは、本県の消費者行政消費者教育を推進していく上で大きな一歩となったと考えております。 来年度、恒常的な拠点として開設される消費者庁新未来創造戦略本部には、新たな国際業務の拠点となる国際消費者政策研究センターが設置されます。今はAIやIoTなど、デジタル化が急速に進み、新しいサービスが国境を越えて次々に生まれている時代であります。県民が安全で安心できるまちづくりを進めるには、県としても戦略本部のカウンターパートとして、これまでの消費者行政消費者教育の推進に加え、海外にも目を向けて各国が新たな課題について議論したり、互いの国のよい施策を紹介し、自国の施策に取り入れていく場をつくっていくことが重要と考えます。 そこで、お伺いいたします。 消費者庁の恒常的拠点の開設を機に、G20消費者政策国際会合のレガシーとして国内外と連携した消費者施策を今後どのように展開していくのか、御所見をお伺いいたします。 続いて、我が国が直面している国難とも言うべき人口減少についてお伺いいたします。 さきの九月定例会でも活発な議論がなされましたが、人口減少問題はますます深刻になっており、地方にとっては待ったなしの課題となっております。私の地元海部郡では、少子化に加えて若者の地域外への流出も進み、町で子供の姿を見かける機会が少なくなってしまいました。若者たちを地域につなぎとめるためには、コールセンター誘致を初めとする産業振興や子育てしやすい環境づくり、そしてふるさとへの愛着を育む教育など、さまざまな分野にわたる積極的な取り組みが求められます。また、こうした取り組みは県だけでできるものではありません。県と同じように総合戦略を策定している市町村においても、地域の魅力を大いに生かしながら、地方創生を進めてもらうことが極めて重要となります。海陽町においても海部きゅうり塾の取り組みやサテライトオフィスの誘致など、移住・定住につながる施策を町役場が地域の皆さんと一緒になって進めているところであります。 一方で、国においては、団塊ジュニア世代の方が六十五歳以上となる二〇四〇年ごろに、若い労働力の不足が深刻になるという二〇四〇年問題について議論が行われています。既に県内の市町村においては、職員を募集しても希望者が集まらず、思うような採用が難しくなってきているところもあると聞いております。平時の住民サービスはもとより、災害時には最前線での対応を求められる市町村が深刻な人手不足に陥れば、地域社会の根幹が崩れてしまうのではないかと危惧しております。住民サービスの水準を維持しながら、未来に向けた創造的な事業にも取り組むことができる自治体行政のあり方について、今からしっかりと考えておく必要があると考えます。 そこで、お伺いいたします。 持続可能な地域社会を実現するため、人口減少社会における自治体行政のあり方について、県としてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地域医療構想についてお伺いいたします。 団塊の世代が後期高齢者となり、医療や介護の需要が大幅に増加する二〇二五年問題に対応し、県では二〇一六年に地域医療構想を策定し、持続可能な医療提供体制を構築する取り組みを進めてきたところであります。ところが、本年九月、この地域医療構想に関連し、厚生労働省から驚くべきデータが公表されました。公立病院の診療実績を分析し、がん治療や救急医療などといった民間医療機関では担うことが難しい医療について、診療実績の数や近接性という点から、成績の悪い病院について名前を公表いたしました。県内では阿波病院、勝浦病院、徳島県鳴門病院、東徳島医療センター、そして私の地元にある海南病院が対象となったわけです。 近接性とは具体的に言えば、車で二十分以内のところに似た機能を持つ病院がないかという分析です。私の住む地域においては、海南病院に行くまで三十分とか一時間かかります。それが車で二十分以内のところに病院があるから、病院をなくすと言われたら、海南病院に一時間かけて行っている人は、さらに時間をかけて病院に行かなければならないわけで、国は地域の実情を理解していないと言わざるを得ません。 また、郡部の公立病院では医師不足が深刻な状況にあり、医師が確保できずに病院がなくなるという事態が起きかねません。こうした中でも、何とか地域全体で病院を維持していくため、南部においては海部・那賀モデルにより、病院間で応援態勢を構築しているところであります。この取り組みを他の圏域にも広げていくことが今後の地域医療提供体制を維持していく上で重要であり、今般の厚生労働省の再検証要請への対応を含め、県がリーダーシップをとって取り組むべきではないかと考えます。 そこで、お伺いいたします。 地域医療構想の実現や地域医療提供体制の充実に今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 重清議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、徳島市新ホール整備事業についての御質問でございます。 ここ数年の徳島市の行政運営は、十分な検証・議論がなされないままの状態で、重要な事業や計画の先走った発表がなされるため、その後、市民、関係団体、市議会などから混乱や反発を招く事例が相次いでおります。例えば、そごう撤退で前提条件が一変した市立木工会館のアミコビルへの移転、旧動物園跡地などへの移転発表後、全く進展が見られない市立体育館の新整備計画、さらには小松島市を初め関係住民が白紙撤回を求めている徳島市飯谷町への広域ごみ処理施設の整備などは、市が一旦決めれば関係者の意見を尊重する必要はないと受けとめられてもやむを得ないとの印象を受けているところであります。 このような中、新ホールの整備は市民、県民の芸術文化の創造拠点創出はもとよりのこと、鉄道高架事業にも深くかかわる徳島駅周辺まちづくり計画に位置づけられた、にぎわいをもたらす県都の顔づくりに不可欠な事業であり、新ホールの位置が二転三転する中にあっても、これまで一貫して支援を続けてきたところであります。 新ホールの建設候補地につきまして、昨年の八月三日、開催されました国会議員や県議会及び市議会の議員並びに経済団体などで構成する徳島市内鉄道高架沿線整備促進協議会総会の場で、会員からの「徳島駅西側駐車場で間違いないのか」との質問に対し、徳島市は既に徳島市議会六月定例会において候補地を疑問視する意見があったにもかかわらず、「間違いない」と断言いたしたところであります。しかも、この発言からわずか十九日後の八月二十二日には、新ホール整備を旧文化センター跡地で検討する方針が促進協議会会員に知らされることなく、一方的に発表されたところであります。このことを受け、新ホール建設用地の問題は県議会を初め県としても難しくなるものと危惧いたしたところであります。 これまでも遠藤市長さんには、県議会の動静をしっかりと見きわめる必要があるとお伝えしてきただけに、残念でなりません。 そして、本年六月十四日、県議会県土整備委員会において県有地の扱いについての御論議があり、無償貸し付けが前提でないことが翌日報道され、市は知り得る状況であったにもかかわらず、市議会に報告しないまま、七月一日には一方的に新ホール整備事業事業者募集を開始いたしたところであります。 加えて、七月五日、県議会県土整備委員会では、有償、交換などについても御論議があり、市に貸すことを県が否定との報道もなされておりましたが、徳島市はこうした県議会における議論を市議会に一切報告することなく募集を継続したことは、議会軽視と指摘されてもやむを得ません。それでもなお、県といたしましては九月十七日、地下埋設ぐいなどの存置による工期の短縮やコスト縮減など、市にとってメリットがある土地交換を提案し、九月三十日、市も合意いたしました。これらの経緯を踏まえ、土地交換協議に当たり、県議会からは、交換契約を交わす段階で、県として土地の利用を判断する、つまりそれまでは市は土地利用ができないことを初めとする三つの要望。市議会においては、敷地の境界確定及び交換地の合意が得られるまで新ホール整備を進めるための業者選定作業には取りかからないことなどの附帯決議がなされたところであります。 これらを受け、十月八日より土地交換協議を開始したところ、開始するや否や、市は一方的なスケジュールを示し、県がそれを否定したにもかかわらず、協議の前提条件を破棄し、十月三十日に優先交渉権者を公表いたしました。このことについて、遠藤市長さんは「議会の附帯決議は守らなくても罪に問われるものではない」との趣旨の発言をされ、しかもすぐに撤回されたとのことであり、まさに議会については考慮する必要がなく、理事者が決めれば何でもできるとの考えのあらわれであり、日本国憲法及び地方自治法で定める二元代表制及び議会制民主主義を根底から否定するものであります。 このように市が議会軽視の姿勢で新ホール整備事業を進めてきたことこそが今回の混乱の原因である、このように考えるところであります。 今後、徳島市の新ホール整備に向けましては、令和新時代における県都にふさわしい顔づくりのためにも、そごう撤退という大ピンチの原因や状況をしっかりと踏まえ、いま一度原点に立ち返り、駅前周辺のにぎわいづくりのあり方について、県議会及び市議会での御論議はもとより、有識者を初め多くの皆様方の御意見、御提言をいただき、県民目線、市民目線のもと、県市協調で取り組んでいくべきものと、このように認識いたしております。 次に、G20消費者政策国際会合をレガシーとした今後の展開について御質問をいただいております。 去る九月五日、六日の両日、消費者庁とともに我が国で初めて開催した消費者政策国際会合では、三十八の国や地域、国際機関の実務担当者が本県に集い、デジタル時代における新たな消費者問題への対応や、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた消費者教育の推進など、各国が共通して取り組む課題について白熱した議論が交わされたところであります。参加者からは、世界中の専門家から知見を学べ、貴重な機会となった。地元徳島の取り組みに感心したなど、高い御評価をいただくとともに、徳島県にはアジアのエシカル消費をリードしてほしい、消費者政策に関する情報交換を継続してもらいたいといった大きな期待が寄せられたところであります。 また、令和二年度に徳島県に開設される新たな未来に向けた消費者政策の発展・創造及び発信・交流の恒常的拠点である消費者庁新未来創造戦略本部には、国際的な交流や共同研究などを推進する国際消費者政策研究センターの設置が決定されております。カウンターパートの役割を担う本県としては、国内にとどまらず、世界に向けた情報発信と国際連携の強化がこれまで以上に求められることとなります。 そこで、国際的な視点から本県の消費者政策にアドバイスをいただくとともに、最新の消費者問題について情報交換を行うため、来年二月を目途に国際会合の参加者や学識経験者消費者団体をメンバーとする国際連携ネットワークを新たに設立いたします。さらに、このネットワークを活用して、SDGsの十二番目の目標「つくる責任 つかう責任」、エシカルをテーマとする徳島発信の国際会議を新たに創設し、来年の秋には国内外の有識者を交え開催いたしたいと考えております。 今後とも、消費者庁はもとより、国際的な消費者団体やキーパーソンとの連携を加速させ、徳島から世界の未来を変える消費者行政消費者教育を推進し、SDGsが目指す、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現につなげてまいります。 次に、人口減少社会における自治体行政のあり方について御質問をいただいております。 国においては、団塊ジュニア世代が六十五歳以上となる二〇四〇年を見据え、第三十二次地方制度調査会を設置し、地方行政体制のあり方に関する議論がなされているところであります。私も今年五月の専門小委員会に出席し、AIやRPAの導入によるスマート自治体への転換を初め本県の事例を紹介するとともに、地域の個性や創造性を生かした取り組みを応援する制度の確立を提言いたしたところであります。また、十月の総会では、国土強靱化のさらなる推進が叫ばれる中、技術職員が不足する市町村に対し、都道府県が技術職員を一括採用する取り組みについて、全国知事会長の立場から現場ニーズに即した効果的な対策として、国に制度化を求め、全国市長会長さんからも、ぜひ推進してほしいとの期待が寄せられたところであります。 一方、全国より早く高齢化、過疎化が進む本県におきましても、スピード感を持って今後の自治体行政のあるべき姿を描く必要があり、そこで国よりも十年早い二〇三〇年の自治体行政モデルの構築を目指し、県内外の有識者を招いた研究組織を年度内に発足させることといたしました。 研究組織では、Society5・0時代に対応した行政手続の自動化・ワンストップ化や相互併任制度の拡充を初め、県から市町村への人的支援・補完のスキーム、NPOを初め多様な主体が共助の担い手となる地域運営の仕組みなどをテーマに論議を深め、徳島ならではの二〇三〇年モデルを指し示すとともに、国に対し厚みのある政策提言を行ってまいります。 今後とも、市町村の皆様とともに、現場なればこその感覚とアイデアを生かしながら、持続可能な全ての世代、あらゆる人々が輝き、活躍できる社会の実現とそれを支える自治体の体制づくりにしっかりと取り組んでまいります。 次に、地域医療構想の実現や地域医療提供体制の充実に今後どのように取り組んでいくのか御質問をいただいております。 今般の厚労省による再編統合などの議論が必要な病院の公表は、公表方法やデータの分析内容が地域の実情を全く踏まえておらず、大いに問題があり、公表直後より全国知事会長として地方三団体と国による協議の場の設置を求め、また政府主催全国知事会議における安倍総理との会談においても、意見をしっかりと伝えてきたところであります。 もとより、二〇二五年問題に対応し、持続可能な医療提供体制を構築するためには、国と地方が共通の認識を持ち、一致協力し、地域医療構想の実現を図ることが不可欠であります。 本県でも、二〇一六年に徳島県地域医療構想を策定し、その実現に向けて議論を重ねてまいりましたが、今般の公表を受け、今後のあり方を再検討する病院もあるため、県では検討に資するデータの提供や地域医療介護総合確保基金の活用などを通じて積極的にサポートいたしてまいります。 加えて、今年度より民間病院についての議論もスタートさせており、今後は各民間病院の皆様に地域において今後担う役割や今後の展望などを提案いただき、公立・公的病院と民間病院をあわせた最適な地域医療提供体制を構築いたしてまいりたいと考えております。 また、地域医療提供体制の充実に向けましては、徳島大学病院と県立中央病院による総合メディカルゾーン本部を核として、県南部圏域におきましては、海部・那賀モデル、県西部圏域における公立病院間の協定など、これまでの連携をさらに進化させるため、徳島赤十字病院やJA徳島厚生連といった公的医療機関も加え、包括的な連携体制、徳島医療コンソーシアムを構築することといたしました。これにより、各圏域をつなぐ新たな枠組みのもと、各病院の実情や課題を情報共有し、相互理解・協力を深めていく中、未来を担う人材の育成支援や5Gを活用した遠隔医療の展開など、さらなる医療の質の向上にしっかりと取り組んでまいります。 今後とも、地域医療構想の実現や地域医療提供体制の充実を通じまして、行き場のない患者さんを生み出さず、全ての県民の皆様が安心して暮らすことのできる地域づくりをしっかりと目指してまいります。   (重清議員登壇) ◆三十一番(重清佳之君) それぞれ御答弁をいただきました。 徳島市新ホール整備事業の混乱の原因は、議会軽視とも言える市の進め方にあります。また、今後の進め方については、令和新時代における県都にふさわしい顔づくりに向け、原点に立ち返り、県民目線、市民目線のもと、県市協調で取り組んでいくべきという御答弁をいただきました。私も知事と同じ思いであります。こうした市の事業の進め方は、二元代表制及び議会制民主主義を無視するだけでなく、市民、県民をもないがしろにするものであります。今後は県土整備委員会において県有地の利用をどのようにするべきか、しっかりと議論してまいります。 それでは、質問を続けてまいります。 我が国が直面しているもう一つの国難である災害列島に関連して何点かお伺いします。 去る十月、日本列島に大きな爪跡を残した台風十九号など、自然災害の頻発化、激甚化に対応していく上で、今般の災害で得られた課題や教訓を踏まえ、本県においても国土強靱化をさらにパワーアップしていくことが重要であると考えます。とりわけ本県では、南海トラフ巨大地震による津波の発生が懸念されており、特に県南沿岸部では唯一の幹線道路である一般国道五十五号が浸水・寸断し、復旧・復興はおろか、救助活動すらできない逼迫した状況になると考えられています。 こうした中、平成二十七年三月、命の道となる阿南安芸自動車道海部野根道路の事業化に向けたステップの一つである計画段階評価のルート提示がなされたところでありますが、一方で南部地域の産業・観光の拠点であり、津波による甚大な被害と地域の孤立が想定される宍喰地区にインターチェンジが設置されておらず、大きく困惑したところであります。 これに対し県においては、平成二十八年度に海部野根道路の整備を見据え、海部の未来まちづくり計画を策定し、結節点となる宍喰地区地域防災公園を整備することを位置づけるとともに、公園へのアクセス道路の整備に取り組むなど、機敏な対応をとっていただきました。今年度、長年の悲願であった宍喰インターチェンジの設置を含む海部野根道路の事業化が図られたことは、非常に感慨深く、県を初め関係者の皆様に深く感謝申し上げます。しかしながら、高速道路の南伸はいまだ道半ばであり、これら整備を加速する財源確保はもとより、命の道である海部野根道路と防災拠点を接続する宍喰インターチェンジについて、国、県、町がしっかりと連携し、当該インターチェンジの整備を進めることが海部野根道路全体の早期整備の呼び水になると考えます。 そこで、お伺いいたします。 阿南安芸自動車道海部野根道路の整備を推進するため、宍喰インターチェンジの整備をどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地震・津波対策の推進についてお伺いします。 まず、南海トラフの震源に近い海陽町の浅川港は、三方を山で囲まれた典型的なV字型の湾であることから、過去幾度も津波による災害に見舞われ、昭和二十一年の昭和南海地震では、死者八十五名、家屋の全壊及び流出三百四十六戸を数え、壊滅的な被害を受けております。現在、防波堤や陸閘の整備が進められており、中でも陸閘については浮力を利用した自動ゲートを導入し、消防団を初めとしたゲートを閉鎖する方々の逃げおくれ防止を図っていただいております。しかし、浅川港には伊勢田川が流れ込んでおり、幾ら港を強化しても、昭和南海地震のように河川へ津波が遡上すれば、背後から襲われることとなります。浅川地区の南側高台には大規模災害時に防災活動拠点災害対策本部支援等の機能を有する「まぜのおか」があるとともに、伊勢田川を挟んで北側には阿南安芸自動車道の浅川インターチェンジ(仮称)が計画されていることから、県南の防災力確保のかなめとなる浅川港、中でも伊勢田川付近において抜本的な地震・津波対策を講じるべきではないかと考えます。 一方で、発災後における支援物資等の輸送体制の強化も重要であります。さきの東日本大震災では、津波により沿岸部では壊滅的な被害が発生するとともに、至るところで道路が寸断され、何日も支援物資が届かず、被災者の方々は本当に大変な御苦労をされました。特に供給が途絶えたガソリンスタンドには、長蛇の列が発生し、復旧活動に支障を来すなど、まざまざと物流の重要性を思い知らされました。私は、大規模災害発生時の速やかな復旧・復興において、その切り札となるのは海からの輸送を強化することであると考えています。県は、これまでも耐震強化岸壁の整備を進めてきましたが、海部郡北部は空白地帯であり、切迫した地震の発生を考慮すると、この解消は急務であります。また、海部郡北部は小さな漁港はあるものの、大きな船が着く岸壁は日和佐港恵比須浜地区しかないのが実情であります。 そこで、お伺いいたします。 浅川港の地震・津波対策について今後どのように取り組んでいくのか。また、日和佐港において耐震強化岸壁の整備を進めるべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、水産業の振興についてお伺いいたします。 水産業を取り巻く環境は、資源の減少や魚価の低迷に加え、近年は気候変動に伴う漁場環境の変化や経済グローバル化への適応が求められるなど、非常に厳しい状況にさらされています。県においては、誰もが水産業の成長産業化を実感できるよう、本県水産行政の方向性を示す、とくしま水産創生ビジョン第二期を本年七月に策定し、さまざまな施策が実施されているところであります。水産業から地方創生の流れをさらに加速させていくには、漁業を取り巻く環境や社会情勢の変化を的確に捉えつつ、産学官の連携強化により、水産業の抱える諸課題を解決し、もうかる漁業を実現することが何よりも重要と考えます。 県では徳島大学、阿南高専に徳島文理大学、四国大学が加わった五者により協定が締結され、鳴門及び海部地区をエリアとするマリンサイエンスゾーンで県の水産研究施設、県有種苗生産施設などを拠点に、それぞれが持つ強みを生かしたさまざまな取り組みが実施されていると伺っています。 このうち、海部マリンサイエンスゾーンを構成する海陽町の県有種苗生産施設では、従来の種苗生産のみならず、大型アワビ種苗の生産拡大に向けた巡流水槽の設置や、高水温に適応した南方系魚種の飼育試験、さらにはイセエビ蓄養事業を営む地元海陽町の民間業者に対する大型水槽の貸し付けなどの新たな取り組みが始まったと聞いており、今後の成果が大いに期待されます。 このように本県水産業の成長産業化への実感に向けては、県有種苗生産施設の適切な維持管理を行うことはもとより、民間活力の導入などにより新たな価値を付加し、マリンサイエンスゾーンの一翼を担う拠点としての機能向上を図ることで、本県水産業の課題解決に向けた取り組みを加速させることが必要であると考えます。 そこで、お伺いいたします。 水産業の成長産業化の実感に向け、県有種苗生産施設を活用した水産振興について今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 続いて、高校の魅力化による地方創生についてお伺いいたします。 本県の推計人口は、平成三十一年四月一日現在で約七十三万一千人で、五年前の調査に比べ二万五千人ほどの減少となり、人口減少に歯どめがかからない厳しい状況が続いております。中でも本県の社会動態では、十五歳から二十四歳までの転出超過が特に顕著となっております。地方創生を実現していくためには、高校と地域が一体となって地域に愛着を持ち、地域の未来を担う生徒を育てるとともに、県外生も積極的に呼び込むことにより、若年者人口を確保していくことが大きな命題と言えます。 県教育委員会では、海部高校をモデル校として地域住民や地元自治体等との連携のもと、地元の方々も加わった特色ある教育プログラムの構築や部活動の活性化、全国に飛び出しての県外生の募集、広報活動など魅力化に向けたさまざまな取り組みを進めていただいております。 こうした取り組みにより、海部高校では今春、県外から五名の入学者があり、来年の県外の入学希望者もかなりふえていると聞いております。しかしながら、今の寄宿舎は部屋の余裕が少なく、地域住民の方々の協力を得て下宿等の確保に努めているものの、適当な物件には限りがあり、今後、県外生のさらなる増加が見込まれる一方で、このままでは宿舎の不足から海部高校への受け入れができなくなる心配があります。県外生が多数入学すれば、切磋琢磨する機会となり、協働性や新たな価値観といった、これからの時代を生き抜く力を身につけられます。さらに、県外生の卒業後の地域への定着や将来的なUターン等が期待でき、高校を核とした新たな人の流れを生み出すモデルともなります。 そこで、お伺いいたします。 海部高校の魅力化について今後どのように取り組まれるのか。またこの際、寄宿舎を増設するなど、県外生に安心して受検してもらえる受入体制を整備するべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、国民体育大会についてお伺いします。 令和初の開催となった第七十四回国民体育大会では、私もスポーツ振興議員連盟の会長として茨城県に赴き、我が県の選手に対し熱い声援を送りましたが、結果は最下位に終わり、大変残念に思っております。今大会では、個人競技での活躍が目立った反面、団体競技では入賞が少なく、初戦で敗退するなど、他県との力の差を痛感したところであります。 これまで県では天皇杯三十位台を目標に掲げ、競技力向上に向けた対策を実施してきたところですが、過去約二十年間ずっと四十位台が続いている状況では、成果が十分にあらわれているとは言えません。最下位となった今こそ、現状の課題をしっかりと分析した上で、抜本的な対策を早急に講じなければ、目標の実現は夢のまた夢であります。 本県の状況を見ますと、私立学校が少なく、また少子化の進行に伴い、どうしても各公立学校からの寄せ集めチームで臨まざるを得なくなっており、チームとしての一体感を醸成し、全体的なレベルアップを図るには時間がかかります。また、中学や高校で優秀な選手がいても、進学や就職で県外に出てしまい、徳島に帰りたいと思っても県内ではいい就職先が見つからず、諦めて県外にとどまるケースも多いと思います。さらに、強いチームには優秀な選手を育て、巧みな戦術でチームを勝利に導くよい指導者がいるものですが、残念ながら県内では指導者の確保に苦労しているという話をよく耳にします。 こうした中、近年、四国大学が優秀な選手・指導者の確保や競技環境の整備に積極的に取り組み、国体でも女子七人制ラグビーや陸上などで実績を残しております。 今後は競技力向上に積極的に取り組む企業や大学ともっと連携し、徳島全体が一丸となって競技力の底上げを図っていく必要があるのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 国民体育大会において目標とする天皇杯三十位台を実現するため、今こそ抜本的な対策に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 それぞれ御答弁をいただきまして、まとめに入りたいと思います。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、阿南安芸自動車道海部野根道路の整備推進について御質問いただいております。 阿南安芸自動車道は、平時の救急救命はもとよりのこと、発災時には南海トラフ巨大地震を迎え撃つ命の道となることから、県政の最重要施策として整備推進に取り組んでいるところであります。 このため、県と海陽町では海部野根道路の事業化を見据え、宍喰地区地域防災公園やアクセス道路となる県道久尾宍喰浦線の整備を進めるなど、計画段階評価で設置されていなかった宍喰インターチェンジの実現に向け、懸命に取り組んでまいったところであります。 また、機会あるごとに政府・与党や国に対し県議会有志の皆様や関係首長の皆様と高速道路南伸や整備を加速する財源確保の政策提言を初め、本年二月には当時の重清議長さんとともに、国土交通大臣に対し海部野根道路を待ち望む県南地域の皆様の熱い思いを強く訴えかけてまいったところであります。 こうした取り組みが実を結び、本年四月、海陽町多良から高知県野根までの間が新規事業化され、宍喰インターチェンジも設置されることになるなど、大きな一歩を踏み出したところであります。 議員からお話がありました宍喰インターチェンジは、国、県、町が連携し、整備を円滑に進めていくことが海部野根道路の早期供用に向けた大きな鍵となるとともに、地域防災公園が結節点となり、安全・安心の向上やストック効果の最大化が図れるものと、このように認識いたしております。 そこで、四国横断自動車道徳島東-津田間において開通見通し公表への起爆剤となった津田インターチェンジや立江櫛渕-阿南間の先行供用に取り組む立江櫛渕インターチェンジと同様、県が宍喰インターチェンジの事業主体となることで、整備の加速化への切り札としてまいりたいと考えております。 今後とも、国、県、町の緊密な連携のもと、県がしっかりとリーダーシップを発揮し、海部野根道路の早期供用に向け全力で取り組んでまいる所存でありますので、どうか議員各位におかれましては、なお一層の御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。 次に、地震・津波対策について幾つか御質問をいただいております。 まず、浅川港についての御質問であります。 昭和南海地震により甚大な津波被害を受けた浅川港におきましては、避難時間を確保する防潮堤のかさ上げや東日本大震災を教訓として開発された津波の浮力で自動閉鎖する陸閘の他県に先駆けた導入など、最新の技術的知見を取り入れ、津波から命を守るさまざまな対策を実施いたしているところであります。 津波が遡上する伊勢田川の対策につきましては、従来の河川堤防のかさ上げでは、河口から両岸六百メートルに及ぶ堤防改修に加え、河川を横断する国道五十五号やJR牟岐線の大規模な改良工事を伴いますことから、港湾での海岸事業による連続した防潮ライン確保の実現性を含め、これまで検討を進めてきたところであります。 議員御提案の抜本的な津波対策といたしましては、迫りくる津波を河口で食いとめる水門の整備が早期の効果発現やコスト縮減の観点などから、最適であり、来年度の事業着手に向けしっかりと取り組んでまいります。 次に、日和佐港について御質問をいただいております。 津波による深刻な被害が懸念される県南地域におきましては、橘港と浅川港に耐震強化岸壁が整備されているものの、海部郡北部は耐震強化岸壁の空白地帯であり、発災時の緊急物資輸送に大きな課題を抱えているところであります。 議員お話しの日和佐港恵比須浜地区は、海部郡で最大となる二千トン級の貨物船に対応した岸壁が整備されている優位性があり、港につながる県道のバイパス工事にも着工し、防災力強化に向けた取り組みを鋭意加速いたしているところであります。 そこで、恵比須浜地区におきまして、来年度から発災時の緊急物資輸送の拠点となる岸壁の耐震改修に着手するとともに、平時の物流や地域振興につながる小型クルーズ客船の寄港を見据えた機能強化について調査検討を積極的に進めてまいります。 今後とも、切迫する南海トラフ巨大地震を迎え撃つため、命の道となる阿南安芸自動車道を初め水門や防潮堤、耐震強化岸壁の整備など、陸海の連携のもと、県土強靱化に全力を傾注してまいる所存であります。 次に、県有種苗生産施設を活用した水産振興の取り組みについて御質問をいただいております。 本県漁業に関し、近年、喫緊の課題となっているのが地球温暖化に伴う海水温の上昇や栄養塩の低下など、漁場環境の変化への対応であり、その適応策として人為的な環境管理が可能となる陸上施設を活用した漁業の現場実装など、これまでにない新しい発想による試みに果敢に挑戦していく必要がある、このように認識いたしております。 このため、議員御提案のように、県ではアワビやアユなどの種苗供給を担ってまいりました県有種苗生産施設が持つ機能を最大限に活用し、産学官の連携によるもうかる漁業の実現に取り組んでいるところであります。 具体的に申し上げてまいりますと、まず気候変動に適応した新たな養殖魚を創出するため、かつてヒラメ種苗生産を行い、その後、遊休施設となっておりました五つの大型コンクリート水槽をリニューアルし、国の研究機関との連携のもと、高水温に適応可能な南方系のハタ類--九州ではアラなどとも呼んでおりますが、これを対象とする陸上養殖の技術開発を鋭意進めているところであります。また、民間の方々にも当該施設を大いに御活用いただくため、公募型プロポーザルで利用希望者を募集し、イセエビ蓄養を通じた地域漁業の振興を御提案いただきました地元事業者の方に貸し付けし、県南の漁業振興の具現化を進めていただいているところであります。 さらに、マリンサイエンスゾーン協定に基づく研究施設としての活用を図りますため、徳島大学や徳島文理大学と連携し、施設内の遊休地に設置いたしました実験用水槽を用い、アオサノリやミリンソウなどの藻類培養技術の研究に取り組んでおり、今後、海洋環境の変化による影響を受けにくい、新たな藻類、陸上養殖技術の着実な現場実装に向けた研究開発をより一層加速いたしてまいります。 今後とも、高等教育機関や民間事業者の皆さんなどとの連携のもと、県有種苗生産施設を栽培漁業の拠点施設としてはもとよりのこと、県南から本県水産業の未知の世界を切り開く新たな産学官連携の拠点施設へと発展させ、県民の皆様に水産業の成長産業化を実感していただけるよう、創意工夫を凝らしてまいる所存であります。 次に、国民体育大会について御質問をいただいております。 第七十四回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」では、昨年よりも六十名多い三百六十六名の選手団を擁し、熱戦を繰り広げてまいりました結果、ウエイトリフティング、ライフル射撃などの個人競技で九種目が優勝の栄誉に輝きました。一方、団体競技におきましては、強豪県を相手に入賞直前で惜しくも敗退するなど、入賞数が昨年から半減の四種目にとどまり、本県の総合得点は六百十四点と平成二十二年の千葉国体以来、最も高い点数を獲得したものの、さらなる強化に向けた課題が浮き彫りとなったところであります。 そこで、今こそ今大会で得られた成果と課題をもとに、県、体育協会、競技団体などが一丸となり勝利を着実に引き寄せ、天皇杯順位の向上につながる抜本的な対策を講じる必要がある、このように認識いたしております。 まずは、喫緊の課題である団体競技やお家芸の強化に向け、入賞の期待がかかる競技を中心に強化遠征や大会開催に対する支援の充実、実績を残している企業・大学との連携強化を図り、確実に上位に食い込める競技をふやしてまいります。 また、チームマネジメントの機能の強化を図るため、県と体育協会を中心とした対策本部を設置し、競技別担当者を定め、まさにマンツーマンで各競技団体をサポートするとともに、より的確な情報を収集分析し、有効な対策をタイムリーに実行することができるように努めてまいります。 さらに、優秀な選手や指導者確保のため、県内での就職を希望する選手・指導者と企業とのマッチング支援、ジュニア世代の人材の発掘、県外で活躍する本県ゆかりのふるさと選手の活用促進にも積極的に取り組んでまいります。 加えて、ここ一番での最大の力を発揮することができるよう、最新の医科学に基づくサポート体制や本大会の試合環境を想定した競技備品の整備など、接戦を勝ち抜く環境づくりにもしっかりと努めてまいります。 今後、これらの抜本的な対策に、スポーツにかかわる全ての皆様とオール徳島で積極果敢に取り組むことにより、悲願であります天皇杯三十位台の実現に向けた歩みをしっかりと進めてまいる所存であります。   (美馬教育長登壇) ◎教育長(美馬持仁君) 海部高校の魅力化についての今後の進め方と県外生の受入体制の整備についての御質問でございますが、高校は地域を支える人材の育成とともに、地域活性化の核として大きな役割を担っており、各校がそれぞれの特色を生かして魅力を高め、地元はもとより、県外の中学生にもここで学びたいと思われる学校づくりを進めることが重要であると認識しております。 県教育委員会では、これまでも学科再編等を通じて各校の特色化や魅力化に取り組むとともに、県外からの生徒募集枠を年々拡大しており、特に人口減少が進む地域にある海部高校など三校二分校で県外からの合格者数の上限を撤廃しております。 平成三十年度からは、海部高校をふるさと創生拠点ハイスクールに位置づけ、地元自治体や住民の方々も参画した協議会を立ち上げ、学校の魅力化に取り組んでおります。 具体的には、地域課題の解決に挑む「海部学」の導入や、県立高校で唯一の外国人講師によるオンライン英会話指導の実施、すぐれた指導者を招いての運動部への技術指導など、県内外を問わず、多くの生徒を引きつけられる教育を展開するとともに、効果的なPRに努めてまいりました。 その結果、地域の中学生が減少する中で、ことしの入学生は昨年より増加し、去る八月の中学生体験入学でも県外から昨年を大幅に上回る十六名が参加するなど、一定の手応えを得ております。 今後は県内大学との連携や海外高校との交流等により、教育内容を一層充実させるとともに、一流の指導者・選手からの指導や地元中学生等との交流試合の拡大により、運動部のさらなる活性化を図るなど、海部高校の魅力化を加速してまいります。 また、県外生に安心して来てもらえるよう、地域住民の方々との交流機会を設け、地域への愛着を育む仕組みづくりを進めるとともに、県外生の増加に伴う宿舎の需要予測や民間宿舎の確保状況等を見据えた上で、寄宿舎の増設も含めて必要な受入体制の整備を検討してまいります。 県教育委員会といたしましては、海部高校が県内、そして全国で同様の課題に直面する高校にとって、すぐれたモデルとなるよう、今後ともしっかりと取り組んでまいります。   (重清議員登壇) ◆三十一番(重清佳之君) それぞれ御答弁をいただきました。答弁に対する私の意見を申し上げます。 国内外と連携した消費者政策の推進については、国際会合のレガシーとして、国際的なネットワークを構築し、本県の取り組みを世界に向けて発信するとともに、海外の最新事例もしっかりと研究し、県民一人一人が安全で安心できる消費者社会を目指して消費者行政消費者教育のさらなる充実を要望しておきます。 次に、人口減少社会における自治体行政のあり方について、二つの国難を克服するべく、地方創生や国土強靱化に取り組むためには、県と市町村がしっかりとスクラムを組むことが重要であります。研究組織で大いに議論していただき、成果を全国知事会長として発信されることを期待しております。 徳島県の地域医療提供体制の充実に向けた取り組みについて、力強い御答弁をいただきましたが、今後は徳島県はもとより、日本の社会保障の充実に向けて全国知事会長としてリーダーシップをとって引き続き取り組んでいただきたいと思います。 宍喰インターチェンジの整備については、知事から県みずからが事業主体になるという踏み込んだ答弁をいただきました。我々地元住民としては、海部野根道路の整備推進を図るため、国、県、町がしっかりと連携し、進めていただきたいと思います。 また、海部野根道路と同時に、都市計画決定された残る牟岐-海部間の事業化や、美波-牟岐間の計画段階評価の着手が図られるよう強く要望します。 地震・津波対策については、浅川港の伊勢田川河口部での水門の整備に向けた検討や日和佐港恵比須浜地区での耐震強化岸壁の整備に向けた調査検討にそれぞれ着手するという前向きな御答弁をいただきました。速やかに検討を進め、一日も早く着工していただけるよう要望しておきます。 本県水産業の発展に向けた県有種苗生産施設の活用については、栽培漁業の推進のみならず、本県水産業の振興、中でも南部圏域における水産業の維持発展のかなめとしての機能、役割を十分に果たしていくために、今後は老朽化対策にもしっかりと取り組んでいただくことを要望しておきます。 海部高校の魅力化の取り組みについては、本日お越しいただいた日和佐小学校の皆さんがぜひ行きたいと思える学校となるよう、これからも地域と一体となってしっかりと進めていただきたいと思います。さらに、県内全域のモデルとなることはもとより、全国からも注目される成功事例となるよう要望しておきます。 最後に、国体順位の向上に向けては、県内就職を希望する選手・指導者と県内企業とのマッチング支援や、最新の医科学に基づくサポート体制や本大会の試合環境を想定した競技備品の整備など、新たな取り組みを行うとのことですので、絶えず成果を検証し、しっかりと進めていただきたいと思います。 さて、我が国が直面する人口減少、災害列島という二つの国難について、徳島県においては県南地域がまさにこれらの課題の先進地域であります。 本日、最後までしっかりと聞いていただいた日和佐小学校の子供たちを初め全ての方が地元に愛着を持ち、安心して暮らしていけるよう、私も地元の人たちと一緒に汗を流し、課題の解決に取り組む決意であります。 飯泉知事には、今後とも知恵は地方にありの旗のもと、徳島県のかじ取りをしっかりと進めていただき、県政を牽引していただくことはもとより、全国知事会会長としても地方の意見を国政にしっかりと反映させるようリーダーシップをとって取り組んでいただくよう強く要望して、私の全ての質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(喜多宏思君) 議事の都合により、休憩いたします。      午前十一時十三分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午前十一時三十四分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     浪  越  憲  一 君     九  番     仁  木  啓  人 君     十  番     東  条  恭  子 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     岡     佑  樹 君     十七 番     古  川  広  志 君     十八 番     高  井  美  穂 君     十九 番     長  池  文  武 君     二十 番     吉  田  益  子 君     二十一番     中  山  俊  雄 君     二十二番     元  木  章  生 君     二十三番     岡  田  理  絵 君     二十四番     南     恒  生 君     二十五番     岩  丸  正  史 君     二十六番     寺  井  正  邇 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     扶  川     敦 君     二十九番     達  田  良  子 君     三十一番     重  清  佳  之 君     三十二番     嘉  見  博  之 君     三十三番     岡  本  富  治 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     西  沢  貴  朗 君     三十六番     臼  木  春  夫 君     三十八番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○副議長(南恒生君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 二十五番・岩丸正史君。   (岩丸議員登壇) ◆二十五番(岩丸正史君) 皆さんこんにちは。徳島県議会自由民主党の岩丸正史でございます。会派を代表して質問をさせていただきます。 まず初めに、去る十月十二日から十三日にかけて東日本を縦断した台風第十九号では、中部、関東甲信越、東北に記録的な大雨をもたらし、一時は十三都県に大雨特別警報が発表され、極めて広範囲で土砂災害や河川氾濫などの甚大な被害が発生いたしました。犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災地の一日も早い復旧・復興をお祈りしております。 それでは、本日は県政運営への基盤となる財政や県の組織を初め県政の課題解決に向けた質問をしてまいりますので、知事初め理事者の皆様には徳島のよりよい未来が展望できるような前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。 それでは、質問に入ります。 最初に、徳島県の将来を見据えた財政構造改革についてお伺いします。 地方創生を初めとする事業実施と健全財政をいかに両立させ、次世代からも評価される財政運営をどのように連綿と継続させていくか、これは知事初め理事者はもとより、県民から負託をいただいた私たち県議会議員にとっても大きな使命でありますし、重要な課題でもあります。県においては、知事のリーダーシップのもと、財政構造改革基本方針を三年ごとに更新し、財政健全化を進めております。現行の基本方針に掲げた公債費や県債残高に係る四つの数値目標については、全て達成見込みとのことであり、中でも標準的な一般財源のうち、どの程度が過去の借金の返済に充てられているかの割合を示し、客観的な全国指標でもある実質公債費比率については、今年度は一二・一%と目標としていた一三%を大きく下回るとともに、一〇・九%という全国平均にも肉薄する水準となっております。このたび令和二年度から三年間の新たな基本方針案を策定し、これまで以上に人口減少対策や県土強靱化対策を県を挙げて進めていくため、新たな数値目標をしっかりと掲げ、未来投資と健全財政の両立をより一層図っていくとの基本スタンスと具体策が示されているところであり、私もその方向性については大いに賛同するところであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 未来投資と健全財政の両立を支える羅針盤となるべき新たな財政構造改革基本方針案に盛り込んだ創意工夫と数値目標達成に向けた意気込みをお聞かせください。 次に、時代の変化に応じた県行政の推進についてお伺いします。 ことしはラグビーワールドカップが開催され、日本代表の活躍とともに、県内ではジョージア代表が事前チームキャンプを行い、大いに盛り上がりました。来年は東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック、再来年はワールドマスターズゲームズ関西、さらに二〇二五年には大阪・関西万博が開催される中、国内外から徳島に来られる多くの方に本県での滞在を満喫いただくためには、魅力ある観光資源の存在が不可欠であります。四国運輸局の発表によりますと、昨年度、県内の主要観光地で入り込み客数が最多だったのは文化の森総合公園であり、四国全体でも三番目の多さとなっています。その一翼を担う県立博物館では、日本最古級の恐竜化石含有層、いわゆるボーンベッドの本格的な発掘調査に着手しており、開園三十周年記念事業では、恐竜化石を目玉に据えた大規模なリニューアルにも取り組むと聞いております。さらなる観光振興や地域活性化につなげるためには、知事がリーダーシップを発揮し、魅力を増す文化の森総合公園を十二分に生かすべきではないでしょうか。 また、ことしは千葉県で長期間の停電を発生させた台風十五号や広範囲で大規模な河川氾濫を引き起こした台風十九号等が各地で大きな爪跡、被害を残しました。振り返れば、昨年も西日本豪雨や二十五年ぶりに非常に強い勢力で本県南部に上陸した台風二十一号など、近年、自然災害は激しさを増しており、その一因にはやはり地球温暖化があると感じております。 知事は就任以来、環境首都とくしまを掲げ、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた全国的な議論をリードしてきましたが、世界的課題である地球温暖化の抑制に、より積極的に貢献できるよう、頻発・激甚化する自然災害リスクを低減する視点を持って気候変動対策を推進すべきではないでしょうか。 そこで、お伺いします。 本県が直面する二つの国難である人口減少と災害列島という課題に対応するため、時代の変化に応じた県行政の推進体制のあり方を検討するべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、県立病院の医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進及び医療機能の充実についてお伺いします。 本年四月から超過勤務の上限規制や休暇取得に関する新たな法制度が施行され、国を挙げて働き方改革が推進されております。こうした中、先ごろ徳島県立病院常勤医師の超過勤務に関する報道があり、最も超過勤務の多い三好病院の医師一名が平成二十九年度、三十年度と二年連続で千三百時間を超えておりました。また、中央病院においても、五名の医師が平成三十年度に過労死ラインとされている月百時間を超えて超過勤務をしているなど、改めて病院現場の苛酷な状況が浮き彫りになったところであります。 長時間労働は、医療従事者の健康を脅かすものであるとともに、病院現場は人の命に直接かかわるストレスの多い職場環境であることから、医療の質の低下への懸念など、県民の皆様への安全・安心に影響を及ぼすことが危惧されます。 このような状況にありながらも、適切な医療を提供し、県民の皆様の安全・安心のため、日々御尽力されている医師を初め、医療従事者の皆様には心からの敬意を表したいと思います。 一方で、本県は超高齢化社会の到来や疾病構造の変化、南海トラフ巨大地震等の災害対応と、医療への要望が一層高まっております。中でも県立病院は救急医療、災害対応、僻地医療等の県民の命を守る最前線の役割を担い、その責務は極めて重いと考えます。そして、これらの責務を支えているのは、一人一人の医療従事者であることを改めて認識いたしております。地域偏在、診療科偏在による医師不足という全国的な問題を抱えながらも、本県の医療を支え、充実させていくためには、やはり県立病院の体制の強化が不可欠であります。また、それが本県の医療機能の拡充の面からも大きなプラス効果を生み出すものと考えております。 そこで、県立病院において医師を初めとした医療従事者の負担軽減、働き方改革を進めるとともに、医療機能の充実に今後どのように取り組んでいくのか、所見をお伺いします。 次に、台湾からの誘客促進についてお伺いします。 国が観光先進国に向けて観光を国の基幹産業へと成長させ、二〇二〇年には訪日外国人旅行者数四千万人、二〇三〇年には六千万人という目標を掲げ、取り組みを進める中、二〇一八年には約三千百十九万人と過去最高を記録するとともに、ことしはラグビーワールドカップの効果もあり、堅調に推移していると聞いております。 私は先月、会派の先輩、同僚議員とともに台湾を訪れ、社会経済の現状や本県とかかわりの深い施設などを視察してまいりました。中でも人口二百七十万人を擁する成長著しい高雄市は、高層ビルが建ち並び、深夜まで夜市でにぎわい、まちに活気が満ちあふれており、また地域第一位の商業施設である漢神百貨店で開催された徳島物産展では、本県が誇るなると金時やレンコン、フィッシュカツなどが飛ぶように売れ、県産品の市場可能性と台湾の皆さんの日本製品に対する消費力の高さを実感したところであります。 物産展では、本場徳島の阿波おどり選抜連が会場内に踊り込み、買い物客と一体となって世界に誇る踊りの輪が繰り広げられたと聞いております。親日的かつ活気あふれる台湾において、観光地や食、伝統文化など、本県の魅力をしっかりと伝えることで、さらなる誘客拡大につながるものと確信したところであり、ぜひとも台湾からのインバウンド誘客を強化してもらいたいというふうに考えております。 今後、本県が深くかかわる国際イベントを迎える中、本県へのインバウンド拡大のためには、二年連続で季節定期便の就航する香港に加え、訪日外国人旅行者数が多い東アジア、特に台湾からの旅行者を本県に呼び込む取り組みが必要と考えます。 そこで、有望市場である台湾からの誘客拡大に向け今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、今の質問、台湾からの観光誘客にも関係する観光人材の育成についてお伺いします。 政府の定める「明日の日本を支える観光ビジョン」では、我が国の自然、文化、気候、食といった豊富な観光資源を真に開花させ、観光の力で地域の雇用を生み出し、人を育て、国際競争力のある生産性の高い産業へと変革していくことが掲げられております。さきの質問でも申し上げましたが、本県においても来年の東京オリパラから大阪・関西万博まで国内外からの観光客が大きくふえることが見込まれます。この絶好の機会を逃すことなく、徳島へ足を延ばしてもらうため、観光客の満足度を高める取り組みが不可欠であります。 しかしその一方、観光業界においては人材不足が深刻となっており、県内の観光物産関連の事業者の皆さんからも、スタッフを一から育成する余裕がない。また、事業開拓や新たな企画づくりなど、人手を投入する余裕がない等の声もお聞きするところであります。また、人材を育てる上で観光の経営手法を学ぶ機会が少なく、ノウハウ不足との指摘もなされております。観光現場には宿泊・飲食施設、旅行業、運輸業、観光ボランティア等、多岐にわたる業種がかかわっています。観光業界で働くためには、基礎的な知識はもとより、企画力や営業力など、幅広いノウハウが必要であり、人材育成は一朝一夕にできるものではありません。 そこで、お伺いします。 今後、大阪・関西万博を見据えた誘客の好機を最大限に活用し、本県観光の飛躍へつなげるためには、観光現場で活躍できる人材を育成する新たな仕組みが必要であると考えますが、知事の所見をお伺いします。 御答弁をいただき、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 岩丸議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、新たな財政構造改革基本方針案における創意工夫と意気込みについて御質問をいただいております。 県では、これまで数次にわたり基本方針を改定し、強靱でしなやかな財政基盤の確立に向けて県議会での御理解、御協力のもと、改革を進めてまいりました。その結果、財政状況を最も端的にあらわす実質公債費比率は、議員からもお話がありましたように、平成二十四年度の二一・四%で全国四十六位をボトムとして、令和元年度には一二・一%で全国二十七位へと大幅な改善を実現したところであります。 新たな基本方針案におきましては、これまでの改善基調をしっかりと維持し、将来世代に健全財政をつないでいくべく、全ての数値目標をワンランク進化させるとともに、二つの国難打破を初め未来投資の充実に向けさまざまな創意工夫に努めたところであります。 具体的に少し申し上げてまいりますと、九月定例会における御論議を踏まえ、国の三カ年緊急対策に伴う二種類の新設地方債について、期間限定の有利な財源でありますことから、公債費や県債残高に係る数値目標とは別の新たな別枠管理により、県土強靱化を一段と加速する仕組みを創設し、政策創造と健全財政の両立をより一層戦略的に推進することといたしております。 また、本県ならではの新たな健全化手法といたしまして、財政状況の変化を早期検知する単年度実質公債費比率、県債に過度に依存しない財政運営が行われていることを事後検証する、特に国家財政においても重視されております、プライマリーバランスという二つの指標をタイムリーに活用し、健全財政の好循環を確立いたしてまいります。 さらには、現行方針では、六項目であった若手タスクフォースの意見反映について、二十項目へと大幅にふやし、ネットバンキングの活用による公金収納の多様化を初め、新たな感性を積極的に取り入れるなど、徹底した歳入歳出改革のさらなる進化を図ることといたしております。 今後とも財政構造改革基本方針を、未知の世界を切り開く財政運営の羅針盤として、未来投資を支える持続可能な財政基盤の確立という新理念のもと、令和四年度末に掲げた新たな数値目標の達成に向け、これまで培ってきた知識や経験を余すことなく、県を挙げて全力を傾注してまいる所存であります。 次に、時代の変化に応じた県行政の推進体制のあり方を検討すべき御提言をいただいております。 三大国際スポーツ大会や大阪・関西万博を契機に、世界から日本、関西へと注目が集まる中、一九九〇年の開園以来、文化・歴史への関心や郷土愛を高めるランドマークとして延べ二千二百万人を超える皆様に御利用いただいてまいりました文化の森総合公園を、次なる三十年に向け、さらなる観光振興や地方創生の実現へとつながる絶好の機会が訪れることとなります。これと軌を一にして本年六月、第九次分権一括法が公布施行され、図書館、博物館など社会教育施設について地方自治体の判断により知事が所管できることとなりました。 そこで、文化の森総合公園文化施設について、文化・観光振興を初めとする関連分野と一体的に運営することにより、幅広い方々が集まる地域の学習拠点としての機能を一段と進化させるとともに、世界に誇るあわ文化の発信や国内外からの交流人口拡大の取り組みにもより積極的に活用していくため、知事部局への移管を前向きに検討いたしてまいります。 また近年、地球温暖化に起因いたします異常気象が顕在化する中、全国各地を見舞う自然災害は一段と頻発化、激甚化し、日本全体が災害列島の様相を呈しているところであります。 全国に先駆け気候変動対策に取り組む本県では、脱炭素社会実現を掲げた「すだちくん未来の地球条例」の制定やフードロス削減の取り組みの全国への発信といったこれまでの取り組みに加え、二〇五〇年の温室効果ガス実質排出ゼロを次期徳島県地球温暖化対策推進計画に位置づけることといたしております。 議員からのお話のとおり、あらゆる自然災害を迎え撃つ平時からの災害予防や発災時の速やかな復旧・復興につなげる事前復興といった災害への備えと、気候変動対策を初めとする環境行政との一体的な推進は大変重要な視点であると、このように認識するところであります。 そこで、現在、危機管理部が所管する防災・減災対策と県民環境部が担う環境行政を一体的に展開できる組織のあり方について前向きに検討してまいりたいと考えております。 今後とも、人口減少と災害列島という二つの国難の打破やSDGs達成による持続可能な社会の実現など、一段と速度を増す時代の変化を先取りし、施策の効果を最大限に発揮する組織体制の最適化に創意工夫をしっかりと凝らしてまいります。 次に、県立病院における働き方改革の推進及び医療機能の充実について御質問をいただいております。 医療現場を最前線でお支えいただいている医療従事者の皆様方の長時間労働は、全国的にまさに深刻な状況であり、その是正については健康保持はもとよりのこと、ワーク・ライフ・バランスの実現、医療の質の確保といった観点からも極めて重要な課題であると、このように認識いたしております。 県といたしましては、これまでも寄附講座や応援診療など、徳島大学病院との連携による医師の受け入れ、医師をサポートする医師事務作業補助者の増員によるタスク・シフティングの実施を通じまして、負担軽減の取り組みを進め、改善を図ってまいりましたが、医療従事者の不足という根本的な課題は依然残されたままであります。 こうした状況を打開すべく、病院事業全体の人事、服務の実情や経営状況を総合的に勘案し、まずは人材配置の最適化を図るとともに、徳島県職員定数条例の改正を含め、医療提供体制の強化につなげてまいります。 具体的に少し申し上げてまいりますと、チーム医療のための医療従事者の効果的配置による働きやすい職場環境の整備、若手医師への指導力にすぐれ、専門性を向上させる指導医の確保、地域枠医師を含めた地域医療を担う医師の活動拠点としての体制づくりなど、さらなる取り組みを進めてまいります。 これらの効果を最大限に発揮し、現在、整備計画中の中央病院ER棟の新設、地域住民のニーズに応えた地域包括ケア病棟の運営拡充といった県民の皆様方の安全・安心に資する医療機能の充実を図りますとともに、診療報酬制度にも対応した病院運営により、収支改善にもしっかりとつなげてまいります。 今後とも、県立病院がその基本理念に掲げる県民医療最後のとりでとしての役割と責任を十分に果たしていくことができますように、しっかりと取り組みを進めてまいります。 次に、観光現場で活躍できる人材を育成する新たな仕組みが必要ではないか、御質問をいただいております。 本県におきましては、外国人観光客の増大が見込まれるワールドマスターズゲームズ二〇二一関西や二〇二五年の大阪・関西万博の開催を控え、観光産業が地域経済の推進エンジンへと大きく飛躍し得る絶好のチャンスを迎えているところであります。そのため、本年八月策定した第三期徳島県観光振興基本計画におきましても、機を逃すことなく、おもてなし体制のさらなる充実を図るため、官民一体となった観光人材の育成・強化を掲げたところであります。 これまで県におきましては、体験型観光を支える地元ガイド、外国人旅行客をもてなす通訳ボランティアなどを育成するセミナーを開催するほか、DMOや市町村、関係団体におかれましても、観光客の皆様方をもてなすプレーヤーの育成に取り組まれているところであります。 一方、議員からもお話がありますように、宿泊や観光施設などの事業者の皆様方からは、従業員のスキルアップに加え、経営マネジメントに必要な講座の多様化や即戦力となる人材の確保を求める声も多いことから、こうした現場の声に対応し得る人材育成の新たな仕組みづくりがまさに必要である、この思いを強くしたところであります。 そこで、観光産業を初め大学関係者や経済団体などの皆様方にも御参画をいただき、これからの観光産業を支える人づくりの場の設置に向けた新たなタスクフォースを早急に立ち上げたいと考えております。 このタスクフォースにおきましては、観光現場のニーズをしっかりと把握するとともに、県内外の先進事例も取り入れ、観光経営の視点を組み込んだ体系的な講座の実施や講座情報の一元的な提供、学び直し、いわゆるリカレント教育の機会創出や高校、大学との連携による多様な年齢層の参画など、観光を産業の視点から学ぶことのできる人材育成の拠点づくりに向け、幅広い視点から検討を進めてまいります。 今後とも、観光が地方創生の切り札としてそのポテンシャルを十分発揮し、本県経済を牽引する主要産業へと発展することができますよう、観光関連事業者や関係機関の皆様にも密接に連携させていただきまして、取り組みを強化いたしてまいります。   (黒下商工労働観光部長登壇) ◎商工労働観光部長(黒下耕司君) 有望市場である台湾からの誘客拡大に向け、今後どのように取り組むのかとの御質問でございます。 観光先進国の実現に向け、国を挙げて取り組む中、本県では香港、台湾初め東アジアを重点エリアと位置づけ、継続したプロモーション活動を展開いたしております。特に台湾においては、徳島インディゴソックスでも活躍した台湾の元プロ野球選手、張泰山氏のインフルエンサーへの起用や、本県の魅力を伝える旅行番組を制作放映いたしますとともに、個人旅行者向け観光セミナーの実施、県内観光事業者や関西広域連合エリアのDMOである関西観光本部と連携した現地の商談会や旅行博への出展など、官民一体で台湾からの誘客促進に積極的に取り組んできたところであります。 こうした取り組みにより、本県の外国人延べ宿泊者数は昨年、過去最高となる十一万六千人を記録し、中でも台湾は対前年比二三%増と、東アジアで最も伸びている市場であり、議員お話しのとおり、本県のインバウンド拡大において非常に重要な地域、このように認識いたしております。 そこで、議員にも御視察をいただきました高雄市漢神百貨店での徳島物産展では、観光セミナーと阿波おどり公演を加えた三点セットで取り組み、このことが台湾の新聞各社に大きく取り上げられますとともに、現地の皆様からは、本場徳島でぜひ阿波おどりを踊ってみたい、徳島の物産をもっと知りたいなどの声をいただき、本県への関心の高まりに手応えを感じるとともに、今後、現地での阿波おどり連結成にもつながっていくものと大いに期待しているところでございます。 こうした流れをさらに加速させるため、今後、台湾の皆様のニーズに沿った取り組みが必要と考えており、阿波おどりや藍染め体験など、本県が誇る体験型コンテンツのプロモーション強化を図りますとともに、ワールドマスターズゲームズ開催を契機とした新たなテーマ旅行の企画など、徳島ならではの旅行商品の開発を進めてまいります。 また、物産を通じた本県の魅力の浸透に向けまして、県内事業者の新規参入や品ぞろえの拡充による物産展の充実に努めますとともに、観光プロモーションとの効果的な連携により、県産品の販路拡大と誘客促進の一体的取り組みを強化してまいります。 今後とも、広域連携DMOや県内観光事業者はもとより、台湾の関係者の方々との連携を一層深めながら、本県の魅力や強みを最大限に生かし、台湾の活力を本県の観光産業に取り込めるよう、誘客拡大にしっかりと取り組んでまいります。   (岩丸議員登壇) ◆二十五番(岩丸正史君) それぞれ御答弁をいただきました。御答弁に対する私の意見等は後ほどまとめて述べたいと思います。 質問を続けてまいります。 子育て支援策に関してお尋ねします。 厚生労働省によりますと、本年一月から九月までに生まれた子供の数は、速報値で六十七万三千八百人と、前年同期に比べ五・六%減っており、我が国の少子化は加速度的に進行しております。 本県においても、平成三十年の出生数は四千九百九十八人で三年連続で減少しており、合計特殊出生率は一・五二と人口規模を保つ二・〇七を大きく下回っている状況です。 少子化対策として、国は本年十月、子育て家庭の経済的負担を軽減するために、幼児教育・保育の無償化制度を開始しました。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査二〇一五年版によりますと、理想の子供数を持てない理由の第一位は経済的な負担の重さであり、国の施策の方向性は適当であると考えておりますが、少子化の要因は一つではありません。現代日本では、核家族と共働き家族の増加や地域コミュニティーにおける人間関係の希薄化などにより、家庭の中で子育ての孤立化が進んでおります。 徳島においても、子育て中の母親が一人で行う育児により、孤独と不安で押し潰されそうになったというお話をお聞きします。 さきの理想の子供数を持てない理由では、これ以上、育児の心理的負担感に耐えられないとの意見が上位にあり、子育て家庭が不安や悩みを抱え込み、次の子供を持つのを諦めたり、さらには児童虐待を引き起こすなどの悪循環を生み出しているのではないでしょうか。 現在、県が改定作業を進める次世代育成支援行動計画「徳島はぐくみプラン」において、将来目標に掲げる希望出生率一・八を実現するためには、経済的な支援に加えて、子育て家庭の心の悩みを解消する取り組みの強化が不可欠であると考えます。 そこで、お伺いします。 子育て家庭が不安感や孤立感を解消し、希望を持って子供を産み育てることができるために今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。 次に、木のおもちゃ美術館の整備についてお伺いします。 森林は、林業・木材産業の育成や地球温暖化の防止など、私たちの生活を支えるかけがえのない財産であります。私の地元神山は良質な杉の生育に適しており、神山杉として古くから林業、製材業が盛んに行われてきましたが、木材価格の低迷や代がわりにより、宝の山が放置されるようになってきました。 こうした中、県では平成十七年度より全国モデルとなった林業プロジェクトを展開し、この林業プロジェクトを契機に、少しずつ神山の山も元気を取り戻しつつあることに加え、サテライトオフィスの進出やそのメンバーが町内林業・木材関係者と連携し、神山杉の利用に取り組むなど、新たな活気が生まれつつあります。 今後、こうした流れを広げていくためには、子供から大人まで全世代の方々に木のぬくもりや魅力を身近に感じ、日々の生活に積極的に取り入れてもらうなど、木育を推進する拠点整備として、このたびの木のおもちゃ美術館は非常に有意義であると考えています。 現在、全国に四つのおもちゃ美術館が整備されていますが、いずれの施設もその地域ならではの特色ある施設として、県内外から多くの方が来場し、にぎわいを見せています。また、ボランティアスタッフとして、木材関係者やシニア世代を初め多くの方々が生きがいを持って活躍していると伺っており、今回の木のおもちゃ美術館の整備は非常に期待しているところであります。 現在、基本構想の策定中とのことですが、徳島ならではのおもちゃ美術館としてどのような施設を目指しているのでしょうか。また、具体的に検討を進めていく上では、県民の利便性、立地条件、施設の整備コストなどを踏まえた場所を選定することが重要と考えます。 そこで、お伺いします。 新たに整備する木のおもちゃ美術館は、どのような内容でどこに整備するのかお伺いいたします。 次に、安全で安心なまちづくりについてお伺いします。 これまで県においては、犯罪防止を目的とした徳島県安全で安心なまちづくり条例を制定し、地域の自主防犯組織や警察、教育委員会などと連携した児童を守る青色防犯パトロールや高齢者を振り込め詐欺から守るキャンペーンの実施など、地域が一体となった取り組みが進められていると聞いています。 しかし、最近の犯罪は殺人や傷害、窃盗などの凶悪事件だけでなく、不特定多数を狙った放火事件やDV、児童虐待を初め外国を拠点にした特殊詐欺のような事案が残念ながら後を絶ちません。 一方で、平成三十年版の犯罪白書によりますと、我が国における刑法犯検挙人員のうち、約半数を再犯者が占めており、本県も同様の傾向にあります。犯罪を減らすためには、再犯を繰り返さないよう社会復帰に手を差し伸べる対策が必要ではないでしょうか。 また昨今、犯罪が複雑化、巧妙化する中、私たち全ての県民が被害者になる可能性があり、あすは我が身となることも忘れてはなりません。さらに、被害者やその御家族には、被害に遭ったその日から突如として経済的、肉体的、精神的な負担が襲いかかります。こうした被害者に寄り添った支援が重要となります。 県においては、県警や徳島被害者支援センターなど関係機関との連携を深め、犯罪を起こさないための施策とともに、犯罪により被害を受けた方への支援まで、さらに一歩踏み込んだ総合的な取り組みが必要ではないでしょうか。 こうした中、来年度には消費者庁の恒久的な拠点が本県に整備されることとなりました。これまでの消費者庁の誘致とあわせ取り組んできた高齢者や障がい者の消費者被害を未然に防ぐための見守りネットワークの活動が地域住民の安全確保へと発展し、犯罪被害の減少につながることを期待しています。 そこで、お伺いします。 安全で安心なまちづくりの実現に向け、犯罪被害者の支援を初め総合的な防犯対策を充実強化すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、六条大橋の歩道整備についてお伺いします。 吉野川にかかる県道石井引田線の六条大橋は、石井町、上板町を初めとする吉野川両岸の地域住民の方々にとって通勤・通学及び通院、買い物等の地域間交流になくてはならない橋であり、私もよく利用させていただいています。また、近年においては県道の沿線に大型ショッピング施設が進出したことなどにより、周辺地域のにぎわいとともに、自動車の通行量もふえ、六条大橋の担う役割がますます大きくなってきております。しかしながら、六条大橋では朝夕の通勤・通学の時間帯において常に渋滞が発生しております。 こうした中、名西高校を初めとする学生や地域住民の方々が幅六十センチほどしかない歩道を自転車通学や散策等に利用している状況であります。特に高齢者においては、この狭い歩道を自転車で通行することが難しく、やむを得ず車道を通行している姿が多々見受けられますことから、自動車と接触しないかと大変心配しております。 さらに、南海トラフ巨大地震が今後三十年以内に七〇%から八〇%の確率で発生すると予測されている中、万が一にも六条大橋が被災いたしますと、救急救命への支障となるほか、地域に与える経済的影響ははかり知れません。私もこれまで機会あるごとに橋梁の耐震化や長寿命化などによる県土強靱化や防災・減災対策の重要性について取り上げてきました。現在、県においては来るべき大規模災害に備え、六条大橋の耐震化に取り組まれ、地域住民の方々にも耐震補強工事が着々と目に見える形で進んでおり、大変心強く感じているところです。 私も地元の皆様に対し、橋の耐震化が必要と説明してきましたが、その一方で歩行者や自転車が安全に通行できるよう、六条大橋の歩道整備を求める声が寄せられております。この耐震補強工事にめどが立った今こそ、交通安全対策にも取り組み、さらなる安全・安心を確保すべきではないでしょうか。 そこで、お伺いします。 県道石井引田線の六条大橋について、歩行者、自転車の安全確保のため、新たに歩道を拡幅すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 最後に、県道神山国府線の行者野橋のかけかえに向けた取り組みについて伺います。 行者野橋は、鮎喰川の両岸を通る県道をつないでおり、地域を結ぶ重要な橋であります。また、サテライトオフィスの進出や石井神山線の道路整備が進んだことから、神山町への流入人口が大変ふえています。しかしながら、行者野橋は架設からおよそ六十年が経過し、老朽化が進んでおります。その上、幅員が狭く、車両が対向できないことから、特に春、秋の観光シーズンには大渋滞が発生し、通行に支障を来しております。そのため、地元の皆様からは、行者野橋のかけかえに対して強い要望があります。 一方、近年の異常気象により、日本各地で浸水被害が生じておりますが、私の地元である阿野橋付近においては、橋のかけかえにより河川内の橋脚が四基から二基となり、川の流れがよくなったことから、浸水被害の軽減が期待されるところであります。 行者野橋のかけかえについては、昔から検討されており、現橋梁の下流に新たな橋梁を架設する案で地元説明がありましたが、新たにできる橋脚が鮎喰川の河川をせき上げ、今よりも洪水を誘発するのではと懸念の声が上がったと聞いております。この計画も約二十年も前のものであり、昨今の気候変動の影響や周辺の道路整備の状況、計画条件が当時から大きく変わってきております。 そこで、お伺いします。 行者野橋のかけかえについて、ルートの見直しを含めた抜本的な検討が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただきまして、まとめに入りたいと思います。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、木のおもちゃ美術館の整備について御質問をいただいております。 本県では、平成二十四年十二月、全国に先駆け制定した徳島県県産材利用促進条例に木育の推進を位置づけ、毎年秋にとくしま木づかいフェアを開催するとともに、県内二十カ所に木育の体験施設、すぎの子木育広場を設置するなど、本県独自の取り組みを進めてまいりました。また、本年二月には、西日本初となる全国木育サミットを開催し、百を超える県内の企業、団体、個人の皆様の御賛同のもと、とくしま木育共同宣言を行うなど、木育に対する機運を大いに醸成してきているところであります。 これらの成果をレガシーとして継承するため、新たに徳島木のおもちゃ美術館を整備することとし、徳島ならではの魅力的な施設とすべく、現在、基本構想を策定しているところであります。 基本構想の策定に当たりましては、林業・木材産業、子育て、建築、教育、デザインなど、県内のさまざまな分野の専門家で構成する専門タスクフォースにおきまして検討を重ねていただいているところであり、先月末、施設の基本コンセプトや内容、機能、整備場所について中間取りまとめの意見書が出されたところであります。この意見書を踏まえ、赤ちゃんから御高齢の方まで県内外から多くの皆様方が集い、木がもたらす文化や知恵を学び、遊び、体験でき、そのにぎわいと徳島の魅力を全世界へ発信する徳島木のおもちゃ美術館として整備をしっかりとしてまいりたいと考えております。 具体的に少し申し上げてまいりますと、洗練された徳島すぎのおもちゃ、遊山箱、阿波木偶などの伝統工芸の体感や5Gを活用したVRや3D画像による林業や大工などの職業体験、県内の木育関連施設と連携した木育体験ツアーなど、徳島ならではのさまざまな企画・展示を展開いたしてまいります。 また、整備場所につきましては、県有の既存ストックの有効活用を基本に、津波に対する安全・安心の確保、交通のアクセスや広大な駐車場を有する高い利便性、周辺施設との相乗効果によるさらなるにぎわいの創出などの観点から、令和三年に開園二十周年を迎えるあすたむらんど徳島・四季彩館に設置いたしてまいります。 今後とも、本県で培われてきた木の文化や伝統を生かし、幅広い世代の方々に愛され、活躍していただける徳島らしさに満ちあふれた木育の一大拠点として、令和三年度末オープンを目指し、しっかりと取り組みを進めてまいります。 次に、安全で安心なまちづくりに向けた防犯対策について御質問をいただいております。 本県では、平成十八年に安全で安心なまちづくり条例を制定し、県民や事業者、学校、市町村などと連携した自主防犯活動の推進や通学路の安全確保を初めとする犯罪防止に配慮した環境づくりなどを展開し、県民お一人お一人の防犯意識の向上や地域における防犯活動の活性化を図ってまいりました。 また、昨年度には消費者庁との連携により、全国で初めて見守りネットワークを県内全ての市町村に設置し、高齢者や障がい者の消費者被害の早期発見、未然防止につなげてきたところであります。 これらを初めとした各種防犯対策の実施によりまして、条例制定以降、刑法犯の認知件数は三分の一に減少するとともに、昨年は検挙人員が九百十人と統計開始以来初めて千人を切るなど、着実な成果を上げております。しかしながら、検挙人員の約五割は再犯者で占められており、さらに犯罪の発生を減少させていくためには、再犯防止に向けた取り組みが極めて重要となります。 そこで、国や福祉、司法、更生保護などの関係団体とともに、新たに徳島県再犯防止推進計画を年度内に策定し、施策の必要性を広く県民の皆様方に周知するとともに、就労、住居の確保や保健医療・福祉サービスの利用促進などを通じ、罪を償った犯罪者が社会で孤立することなく、円滑に社会復帰することができるよう、しっかりと支援いたしてまいります。 さらに、不慮の犯罪に巻き込まれた方やその御家族は、心身ともに深刻な被害をこうむるだけではなく、近年ではSNS上での誹謗中傷など、二次的被害に見舞われる事案が増加しており、犯罪被害者への支援も急務となっているところであります。 そこで、相談窓口や性暴力被害者支援センターの設置、被害の実情について理解を深める研修会の開催など、これまでの取り組みに加え、被害者が平穏な日常生活を取り戻すため、カウンセリングを初め医療支援やさらなる犯罪から身を守る一時保護など、被害者に寄り添った施策の充実強化を図るための必要な条例について、来年度、早期に整備いたしてまいります。 今後とも、国や警察、関係団体などと連携し、挙県一致による総合的な防犯対策を展開することで、県民の誰もが安全で安心して暮らすことのできる徳島の実現にしっかりと取り組みを進めてまいります。 次に、六条大橋の歩道整備について御質問をいただいております。 石井町と上板町を結ぶ六条大橋は、産業の発展や経済活動に大きく寄与するとともに、人、物の流れを支え、地域間交流のかなめとなる橋梁であります。この六条大橋は、吉野川を渡河する橋梁であり、周辺への迂回が困難であるため、朝夕の通勤・通学時間帯には交通が集中することによりまして慢性的な渋滞が発生するとともに、歩道幅が六十五センチと狭いことから、歩行者や自転車の安全を確保する対策が喫緊の課題であると、このように認識いたしております。 一方、完成から五十年近くが経過し、老朽化が進行しているとともに、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、たび重なる震災での教訓を踏まえた耐震基準の見直しに伴い、老朽化の進行を防ぐ長寿命化や、落橋や倒壊を防ぐ耐震化といった抜本的な対策を早急に行う必要があるため、まずは平成二十六年度から対策の柱となる橋脚の耐震化を先行して進めているところであります。 議員御提案の歩道幅の拡幅の安全確保につきましては、耐震化の次のステップとなる長寿命化に取りかかるに当たり、改めて全体工程の短縮やコスト縮減に向けたさまざまな技術的検討を行いました結果、新たな歩道整備を長寿命化の対策にあわせて行うことが可能であるとの判断に至ったところであります。 さらに、来年度完成を迎える耐震化の最終工程に合わせ、歩道整備と長寿命化の対策を同時に行うことで工事の集約化が可能となり、交通安全の向上はもとより、さらなる全体工程の短縮やコスト縮減が図られ、まさに一石二鳥、三鳥の事業効果が発現することから、この機を逃すことなく、令和二年度の歩道整備の新規事業化に向け、速やかに設計に着手いたしてまいります。 今後とも、大規模災害を迎え撃つ県土強靱化はもとより、歩行者、自転車の安全・安心を確保し、地域の活性化につながる道路整備の推進に知恵と工夫を凝らしながら、しっかりと取り組みを進めてまいります。   (福井政策監登壇) ◎政策監(福井廣祐君) 子育て家庭が不安感や孤立感を解消し、希望を持って子供を産み育てることができるために、今後どのように取り組むのかとの御質問でございますが、国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、夫婦が考える持ちたいと思う子供の数は二・三二人、実際に持てると思う子供の数は二・〇一人と〇・三一人の開きがあります。その大きな要因である子育てや教育に係る経済的負担については、幼児教育・保育の無償化や乳幼児医療費助成等により軽減を図っておりますが、望む数の子供を持てるようにするためには、育児に対する心理的負担となる不安感や孤立感の解消も重要であると、このように認識いたしております。 このため、県におきましては、二歳以下の乳幼児を在宅で育児する家庭に交付する在宅育児応援クーポン、助産師が妊婦や母子を心と健康の両面から支える産前産後の母親相談事業などにより、子育てに係る心理的負担の軽減に向け積極的に支援を行っているところであります。 また、議員お話しのとおり、働き方改革を初めとする社会環境の変化により、共働き家庭の増加や地域における人間関係の希薄化、さらには育児に関する夫婦の役割意識の変化が進行しており、現代を生きる子育て家庭に向けては、こうした変化に対応した支援の仕組みが必要であると、このように認識いたしております。 そこで、県といたしましては、これまでの夫が育児に協力するイクメンからステージを進め、夫婦の協働を中心として子育て支援サービスやツール、周囲の人を頼りながら楽しみを感じつつ行う育児をチーム育児として普及推進し、家庭で抱え込まず、周りに助けてもらう意識を高めることで、心理的負担の軽減につなげてまいりたいと考えております。 さらに、とくしま子育て大賞にチーム育児部門を創設し、表彰を通じてPRすることで、これからの子育て家庭のロールモデルとして普及啓発を図ってまいります。 今後とも、社会の変化を的確に捉え、子育て家庭に寄り添った支援を推進し、不安感や孤立感の解消のみならず、子育ての楽しみや喜びを実感していただくことにより、子供を望む方々が安心して子供を産み育てることができる徳島の実現を目指してまいります。   (北川県土整備部長登壇) ◎県土整備部長(北川政宏君) 行者野橋についての御質問でございます。 県道神山国府線の行者野橋は、鮎喰川を渡河するだけでなく、石井町と結ぶ石井神山線、徳島市と結ぶ神山鮎喰線の三本の路線が交わる交通の結節点に位置する重要な橋梁であります。中でも交通量の多い石井神山線では、国道百九十二号から行者野橋の間において、これまで新童学寺トンネルを含むバイパスや神山町歯ノ辻工区の現道拡幅を行い、移動時間約十五分の短縮や落石の危険解消による安全性向上など、整備効果を発現しているところであります。 一方、行者野橋におきましては、昭和三十六年に架設されてから五十八年が経過し、老朽化が進むとともに、幅員が狭小で車両が対向できないため、朝夕に渋滞が発生するなど、交通の隘路となっていることから、これまで橋梁のコストを含む経済性や人家連坦区域への影響を抑えるなど、橋梁のかけかえ位置を含めさまざまなルートを検討してまいりました。平成十三年に新たな橋梁を現在の橋から約六百メートル下流に架設する計画とし、地元説明会を実施したところ、計画位置が過去に鮎喰川の増水により浸水被害が発生した地域であることや、川幅が狭く、屈曲していることから、新たな橋脚が河川へ与える影響を懸念する声をいただいたところであります。 議員お話しのとおり、この行者野橋のかけかえにつきましては、計画策定時に比べ、接続する県道の整備が進み、ルートの選択肢がふえたことや、近年の地球温暖化に伴う甚大な被害をもたらす豪雨への対応が必要となるなど、検討すべき条件が大きく変化しております。このため、まずは地元の御意見を再度お伺いするとともに、最新の知見を取り入れ、さまざまな角度からルートの見直しを含めた検討に着手いたします。 今後とも、激甚化、頻発化する自然災害を迎え撃つため、地域の防災力向上に資するよう、橋梁を初めとする社会インフラの根幹となる道路整備についてしっかりと取り組んでまいります。   (岩丸議員登壇) ◆二十五番(岩丸正史君) それぞれ御答弁をいただきました。御答弁に対する私の意見等を申し上げます。 まずは、財政構造改革基本方針については、二つの国難打破を初め未知への挑戦を積極展開する中にあるからこそ、健全な財政を、子や孫、さらにその先の世代までしっかりと引き継いでいくことは、まさに密接不可分であり、将来世代から我々に課された大切な責務であります。県議会としても、引き続き持続可能な財政基盤の確立を注視してまいりますので、飯泉知事のリーダーシップのもと、多くの工夫を盛り込んだ徳島ならではの基本方針を財政運営への新たな羅針盤とし、未来投資と健全財政の両立にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 時代の変化に応じた県行政への推進については、さまざまな施策を展開するためには、県の組織がいかに機動的に運営できるかにかかってまいります。知事が進めている課題解決先進県・徳島が山積する課題へどのような体制で取り組み、どのような処方箋を出していくのか、期待いたしております。 県立病院の診療体制の充実については、県立病院の医師の超過勤務が一年で千三百時間を超えるとの新聞報道には、私も大変驚きました。医師の応招義務があるとはいえ、医療現場が苛酷過ぎると離職され、医師不在にもつながるおそれがあります。徳島県職員定数条例の改正を含め、医療提供体制の強化につなげるとのことであり、医療従事者の医療現場の働き方改革にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。 観光に関して、インバウンド誘客については、観光人材育成を含めしっかりと取り組んでいくとの御答弁をいただきました。引き続き県産品の輸出拡大と宿泊者の増加を推進し、県内全体の活性化につなげていただくことを期待しております。 この際、一点要望しておきたいと思います。 十月の台湾視察の折に、高雄市の高苑科技大学も訪問したところであります。当大学からは、本県西部の宿泊施設に既に学生を就業体験させるために派遣していること、また今後、福祉や建築分野へもこの派遣を拡大したいとの話を伺いました。この事例のような海外大学生の受け入れを行い、企業はもとより、双方の地域にプラスとなるような施策の検討をお願いしておきます。 子育て世帯の不安感や孤立感の解消策については、私の地元の神山町では一年間で生まれてくる子供が二十人程度と、非常に少ない状況となっています。少子化を少しでも解消するためには、とれる手段は何でもとっていく必要があります。少子化対策に特効薬がないことはわかっておりますが、人口減少のためにも、子育ての不安感を解消し、子育ては楽しいとの機運を盛り上げていただきたいと思っております。 次に、木のおもちゃ美術館の整備については、他県のおもちゃ美術館には大変多くの方が来られているとのことで、観光誘客の面でも期待しております。この施設が大人も赤ちゃんも楽しめる、笑顔があふれる場所となることに加えて、木のぬくもりを感じることにより、木のある暮らしにつながり、木材利用が促進されるよう期待しております。 安全で安心なまちづくりでは、今まで犯罪被害者については問題を抱えていてもなかなか表に出しづらく、支援が届いていない人も多いと思います。被害者に寄り添った施策の充実強化を図るための必要な条例を来年度早期に整備するとのことであり、今後とも支援の輪を広げ、安心で住みよい徳島を構築していただきたいというふうに思っております。 六条大橋の歩道整備と行者野橋のかけかえに向けた取り組みについては、川の多い徳島県にとって橋梁は非常に重要なインフラであります。特に災害時、非常時においては、命の道でもありますので、安全に通行できる橋は地域にとってかけがえのないものであります。六条大橋については、長寿命化とあわせ歩道の整備を行う、また行者野橋についてもさまざまな角度からルートの見直しを含めた検討に着手していただけるとのことでありました。どうか今後とも県民ニーズ、また地域住民の声をよく聞いていただいて、橋梁の改良促進をよろしくお願いいたします。 それでは、まとめに入らせていただきます。 ことし一番の盛り上がりを見せたスポーツ界の出来事といえば、やはりラグビーワールドカップでの日本代表チーム、通称、ブレイブ・ブロッサムズまたはブレイブ・ジャパン、この活躍、これに尽きると思います。私自身、ラグビー経験者の一人として大変うれしく、また大いに興奮させていただきました。チーム内の信頼関係や献身的なプレーが感動を呼び、ラグビーのルールも知らなかった人が一心に応援している、そんな光景がここかしこで見られました。ラグビーの格言、ラグビー精神と言っていいかもしれませんが、ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワンという言葉があります。これは一人はみんなのために、みんなは一人のためにと捉えている方が多いと思いますが、実は一人はみんなのために、みんなは一つの目的のためにという意味であります。今回の質問でも一朝一夕には解決しない課題が山積いたしておりますが、このラグビー精神でもって安全で安心な住みよい徳島県づくりという目的に向けて、ワンチームとなって取り組んでいこうではありませんか。課題解決のために知恵を出し合い、協力しながら、ともに汗を流していこうではありませんか。 最後に、知事初め理事者の皆様のなお一層の御尽力をお願い申し上げ、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   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    ○副議長(南恒生君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後零時四十分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後一時四十九分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     浪  越  憲  一 君     九  番     仁  木  啓  人 君     十  番     東  条  恭  子 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     岡     佑  樹 君     十七 番     古  川  広  志 君     十八 番     高  井  美  穂 君     十九 番     長  池  文  武 君     二十 番     吉  田  益  子 君     二十一番     中  山  俊  雄 君     二十二番     元  木  章  生 君     二十三番     岡  田  理  絵 君     二十四番     南     恒  生 君     二十五番     岩  丸  正  史 君     二十六番     寺  井  正  邇 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     扶  川     敦 君     二十九番     達  田  良  子 君     三十一番     重  清  佳  之 君     三十二番     嘉  見  博  之 君     三十三番     岡  本  富  治 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     西  沢  貴  朗 君     三十六番     臼  木  春  夫 君     三十八番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○副議長(南恒生君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 十八番・高井美穂君。   (高井議員登壇) ◆十八番(高井美穂君) 十八番・高井美穂でございます。新風とくしまを代表して質問をいたします。 遠路傍聴に来ていただいた地元の皆様、本当にありがとうございます。二期目初めての質問がとても大事な時期になりました。思いを込めてやりたいと思います。 令和の新時代を迎え、天皇皇后両陛下の即位式や木屋平の麻織物「麁服」を献上した大嘗祭も無事終わり、祝賀ムードの中で二〇一九年も残すところあと一カ月となりました。常に平和を願い、困難の中にある国民に寄り添いながら日本国・日本国民統合の象徴としての務めを果たしてこられた両陛下に対し深い敬意を表し、ますますの御繁栄をお祈りしたいと思います。 一方、我が県においては、十月に入ってそごう徳島店閉店のニュースに加え、徳島市新ホールの土地の問題など、県民の間には心配の声が渦巻いています。目下、県民が関心を寄せ懸念を持ち、議会を見詰めていることを踏まえて順に質問させていただきたいと思いますので、御答弁をよろしくお願いいたします。 まず、そごう徳島店の閉店の問題です。 約二カ月前の十月十日夕方、そごう徳島店が来年、二〇二〇年八月末をもって営業をやめるという衝撃のニュースが県内を駆けめぐりました。三十六年間、県都の商業の顔として営業してきたそごうの撤退で、徳島県内から百貨店が姿を消すことになり、徳島市中心市街地の空洞化が進むのではないかとの懸念が出ています。 人口減少や経済情勢が大きく変化する中、インターネットによる商業形態の多様化に加え、流行の変化、つまりファストフードやファストファッションといった大量生産、大量販売による安価な食品や衣類が世界中で流行するなど、生産・販売・流通面での変化が進んでおり、全国の地方百貨店にも大きな影響を及ぼしています。また、ゆめタウン徳島やイオンモール徳島などの郊外大型店舗の相次ぐ出店により、消費の争奪戦が一層激化する中、多くの県民がいつかはこういう日が来るのではないかと心配していたのではないでしょうか。しかし、懸念が現実になってしまった以上、来るべきときに備え、影響をできるだけ緩和するよう対策を講じなくてはなりません。閉店までの残された時間はわずかであり、当事者である徳島都市開発株式会社でなければ解決ができない事案も大半ある中、徳島市もやらなければならないことは山積みであります。 撤退後の施設活用について、徳島都市開発はコンサルタント会社に依頼してテナントを誘致する方針を出しましたが、それだけでは駅前のにぎわいをつくるには厳しいように感じます。県としても、できる協力は惜しまず、最大限の支援をしてほしいと考えますが、「船頭多くして船山に上る」ではいけませんので、まずは徳島市が主体的に取り組んでいく必要があると思います。 そごう撤退の公表を受け、県としてはそごう徳島店で働く従業員の皆さんの雇用継続と取引のある県内企業の売上減少等の経営リスク回避のためのセーフティネットを直ちに立ち上げました。この点については、大変心強く感じています。 そこで、お聞きしますが、県としてこれまでもマチ★アソビやとくしまマラソンなど、全国から人を呼び込むイベントの開催などに積極的に取り組んできたわけですが、この目下の危機的状況において、これからの県都のにぎわいづくりにどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いします。 次は、県民のもう一つの懸念事項となっている徳島市新ホール整備事業についてであります。 私は三好市選出の議員ですが、県都の顔、徳島市の発展は県西部の私たちにとってもとても大事であります。人口減少、経済縮小という厳しい大変な時代だからこそ、県と市が協力し合って産業や観光の振興に努めてほしいと強く願っています。恐らくほとんどの県民がそう思っているのではないでしょうか。 現在は大規模なホールはアスティとくしまか、あわぎんホールしかなく、文化行事やコンサート、講演会や発表会など、さまざまな行事の充実のためにも、ホールを早く建ててほしいというのが文化団体や県民の皆様の切なる願いです。知事から開会日の所信表明の中で、これまでの経緯について説明がございましたが、この間、新ホールの位置が二転三転する中で、県としても支援を続け、協議を続けてきました。 九月県議会の中で、その建設予定地の中の約三分の一の県有地について、県土整備部からは七月に無償貸し付け以外の選択肢を検討するよう徳島市に要請し、九月に徳島市と土地交換で合意、その後、交換候補地として市からは徳島東工業高校跡地と旧徳島市立動物園跡地の二つが提示されたとの報告がありました。私も地下に埋まっているくいの扱いなどを考えても、工事に逐一県の判断を求めなくてもよくなるため、土地交換がベストではないかと感じました。徳島市も県との土地交換の方針で合意したとの報告に、今後、手順を踏んで交換契約書を交わしてから設計の事業者選考に入るものと思っておりました。 しかし、徳島市は以上のような県議会での議論を知りながらも、十月末に大成建設グループを優先交渉権者に選定し、即公表したわけであります。私はこのニュースに正直大変驚きました。徳島市は内々に県には言ってあったからいけるとの思いだったのでしょうか。 県土整備委員会での議論しか知らない私から見ると、唐突過ぎて、なぜ今なのか、水面下では土地契約を交わす前に既に決まっていたことなのかと驚き、理解ができませんでした。行政は手続が最重要です。協議中の案件やその中での口約束は、正式に合意してから議会や広報などを通じて最終的に決まった内容と経緯をわかりやすく国民に伝えることで、皆様から預かった税金の使い道を明らかにします。つまり、途中では詳細を明らかにできないことも、最終的に協議し合意したことを、手続を踏んで公表し、前に進めていくという過程が大事なのです。土地交換の事務手続が終わる前に事業者を決めてしまったことは、行政手続のやり方として問題がある上に、議会の議論を無視したという意味でも遺憾であり、一旦スタート地点に戻す必要があるように思います。 突然の優先交渉権者選定公表に、知事からは、記者会見で「県と市との信頼関係は崩壊した。協議を無期限停止する」との御発言があり、新ホール問題は暗礁に乗り上げてしまいました。非常に残念な事態になってしまい、このまま膠着状態が続くことは、県にとっても市にとってもよくないと私は思います。 徳島市に対しては、事務ベースでの協議再開に向け知事から投げられたボールを受けとめ、納得できる打開策を出してほしいと思いますし、県の側にも徳島市がボールを返してきたら、真摯に前向きに応じるようにしてほしいと思います。 そこで、お伺いします。 徳島市新ホール整備事業のこれまでの経緯と新ホール建設に向けてどのように取り組むのか、所見をお伺いします。 以上二問、知事から御答弁をいただき、次の質問に入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 高井議員の御質問にお答えさせていただきます。 まず、これからの県都のにぎわいづくりについてどのように取り組んでいくのかについてであります。 徳島市が先導して再開発を行った徳島駅前再開発ビルの核テナント、そごう徳島店は、三十六年の長きにわたり本県商業の顔としての役割を担っていただけに、このたびの営業終了の発表はまことに残念でなりません。県におきましては、地域の雇用や経済への影響を最小限にとどめるため、発表後、直ちに徳島労働局や徳島市、また徳島商工会議所や徳島県信用保証協会など、経済団体や金融機関と連携し、そごう徳島店対策会議を開催するとともに、各機関に特別相談窓口を設置いたしたところであります。 各相談窓口には、現時点で雇用に関して離職者を受け入れたいという要望や再就職の相談が、経営に関しては事業者からの新たな移転先の照会など、約六十件の相談が寄せられているところであります。 今後は三月を目途に、そごう徳島店に設置される再就職支援室や徳島労働局を初めとする関係機関とより一層緊密な連携を図りながら、営業終了による影響を最小限にくいとどめるため、最大限の努力を払ってまいります。 さて、県では中心市街地周辺の道路修景事業を初め、徳島市が策定した中心市街地活性化計画の実現に向け、当時の法律に基づき、平成十一年から平成十四年にかけアーケードやカラー舗装など、環境整備への支援を県主導で一体的かつ強力に実施したところであり、特に平成十三年度には私も商工労働部長として、その推進に強くかかわったところであります。 現在、商業振興及びまちづくりに関する事業につきましては、地方分権改革に係る第二次一括法などによりまして、市へと権限移譲がなされており、県都のまちづくりは徳島市の重要施策であると、このように認識いたしております。 一方、にぎわいづくりに関しましては、これまで近年では三日間で約八万人と日本を代表するアニメイベントへと成長したマチ★アソビや、一万五千人の国際大会へと成長したとくしまマラソンの実施、ことしは世界阿波おどりサミットを初め、四日間となった秋の阿波おどりや、ぷち★アソビと連携した冬の阿波おどりなど、阿波おどりの通年化を図るとともに、ことしの茨城国体から文化プログラムに採用されましたeスポーツイベントの東新町アーケード街での実施など、駅周辺部と一体となったにぎわいの創出に意を用いてきているところであります。 こうした取り組みに加え、夜の消費喚起につながるナイトタイムイベントへの支援強化や、日本初G20消費者政策国際会合の本県開催を契機に、今後、増加が見込まれる国際会議や学会などのコンベンション、いわゆるMICEの拡充など、ソフト事業のさらなる充実を図ってまいります。 今後、多様な人や情報が集まる都市機能の面から、商工会議所を初めとする経済界、地域活性化の取り組みに精通した有識者の皆様方の声をお聞きしながら、令和新時代にふさわしい県都のにぎわいづくりをしっかりと推進いたしてまいります。 次に、徳島市新ホール整備事業のこれまでの経緯と新ホール建設について御質問をいただいております。 旧徳島市文化センターは、徳島市の芸術文化の拠点であることはもとより、全国初、二度の国民文化祭を初め、徳島県としての芸術文化の拠点、さらには全国大会の会場など、にぎわい創出の場としても大変重要な役割を担ってきたところであり、徳島市の新ホール整備は、県都徳島の顔づくりに不可欠のものであると、このように認識いたしているところであります。 そこで、鉄道高架事業に関連して市が策定する徳島駅周辺まちづくり計画において、新ホールの建設予定地が徳島駅西側駐車場から旧文化センター跡地へと変更された際にも、県議会に御報告を申し上げ、そして御理解を求めるなど、一貫して支援を続けてまいったところであります。 そして、旧文化センター跡地の県有地の扱いにおきましては、県議会での御論議を踏まえ、地下埋設ぐいなどの存置による工期短縮やコスト縮減など、徳島市にとってメリットのある土地交換を提案し、県市双方で合意のもと、県議会の御要望を踏まえ、これまで市と土地交換協議を重ねてまいったところであります。それにもかかわらず、去る十月三十日、突然徳島市から新ホール整備事業優先交渉権者が公表され、これは交換契約を交わすまでは市は土地利用ができないとする県議会からの御要望に沿わないだけではなく、市議会の附帯決議にも反しており、行政としての重大な信義則違反に対し、直ちに当日、県土整備部長が遺憾の意を表明したところであります。そして、二日後の定例記者会見で遺憾の意を問われたものですから、土地交換協議の無期限停止とお答えさせていただいたものであります。 徳島駅周辺まちづくり計画に位置づけられた徳島市の新ホール整備は、そごうの撤退により状況が一変した今こそ、その原因や状況をしっかりと検証し、この大ピンチをチャンスに変えるべく、いま一度スタート地点に戻り、既存施設の有効活用を初め、あらゆる選択肢を排除することなく考えるべきであり、県議会及び市議会での御論議はもとよりのこと、有識者の皆様方を初め多くの皆様方の御意見、御提言をしっかりと踏まえ、令和新時代にふさわしい市民、県民の芸術文化、さらにはにぎわいの創出拠点となるよう、県市協調で取り組んでいくべきものと、このように認識するところであります。   (高井議員登壇) ◆十八番(高井美穂君) そごうの跡の体制が決まらなければ、徳島都市開発が経営危機に直面する可能性もあります。取引先企業への影響など、銀行を初めとした県内企業に大きな影響を及ぼしかねません。そごう跡地について、徳島市を中心に官民、県市がしっかり連携して施設活用策を見つけ出すことが大事です。ピンチはチャンスと知事が言われました。ここで踏ん張って鉄道高架事業や公共交通の動線なども含めた徳島駅周辺のまちづくりを総合的に練り直す機会としてほしいと思います。 折しも、東京五輪のメーン会場となる新国立競技場が先週土曜日に完成しましたが、この競技場も建設まで紆余曲折あり、当初計画の白紙撤回を経て無事完成に至りました。オリンピックは日程が決まっていて、それまでに完成させなければいけないという綱渡りの日程の中での見直しでしたが、徳島の新ホールは後ろが決まっているわけではありません。早くつくってほしいという県民、市民の期待は大きいものの、皆が望むすばらしいホールにするために、丁寧に手順を踏んで瑕疵がないように進めていくことが大事だと思います。県も市も多くの県民も、よいホールが欲しいという目標と着地点は同じです。合意できている地点、つまり土地交換契約を進めるという合意地点に立ち戻って、それぞれの議会の議論を踏まえて、具体的に丁寧に詰めていく作業に入るべきではないでしょうか。双方の良識ある歩み寄りを期待したいと思います。 次の質問に移ります。 防災対策について伺います。 この間、相次ぐ災害に見舞われた皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。 九月九日、千葉県に上陸した台風十五号では、暴雨により電柱が折れたり、鉄塔が倒れたり、千葉県を中心に九十万戸を超える大規模な停電が発生し、復旧まで予測を超えて日にちを要し、混乱を来しました。この長期停電により、浄水場が機能せずに断水したり、携帯基地局のバッテリーが切れて住民が情報を入手できない、避難所の冷房が使えないなど、さまざまな問題が発生しました。十月十二日に伊豆半島に上陸した台風十九号でも、河川の氾濫や土砂崩れにより東日本各地の水道施設や浄水場が被災したことで、最大約十六万戸の断水が発生しました。 県西部では、おとといも山城町岩戸で土砂崩れが発生しておりますが、五年前の二〇一四年十二月の大雪で多くの集落が孤立し、倒木や電線や電話線、光ファイバー網を切断し、長期の停電や通信が絶たれる事態が発生しましたが、これを契機に県が協議会を設置し、四国電力や建設業、森林組合の皆様などと県道沿いを点検し、支障木を事前に伐採するなど、大雪への対策は進んできたと実感しております。 折しも、十一月一日の夜、十九時半ごろですが、突如池田町の町中心に約四千戸の停電が発生しました。ちょうど私は池田のウエノで会合に出席中でしたが、急に真っ暗になり、窓から外を見ると、町中の明かりが消えていて、信号も消えているところがあったようで、一歩間違えば事故が起こる可能性もありました。停電の原因は、四国電力の変電所の火災であり、約二時間後には無事復旧し、一安心しましたが、今回の一連の台風被害を含め、電気や水は命に直結するライフラインであり、改めてその重要性を痛感いたしました。電気や水道はそれぞれの事業者が責任を持って取り組むことではありますが、県としても県民の生活に与える影響の大きさを鑑み、ライフライン事業者と連携しながら、防災対策の強化に取り組んでいくべきと考えます。 そこで、伺いますが、電気、水などライフラインの強靱化とそれが途絶した場合の対応、電力トリアージと言われる電力供給の優先順位づけの対応についてどのように取り組むのか、御所見を伺います。 次に、生活排水対策について伺います。 この件は、四年前の代表質問でも取り上げましたが、当時、徳島県の汚水処理人口普及率は、二〇一四年度末で五五・七%と全国最下位でした。直近の二〇一八年度末でも六一・八%で、全国最下位の状態が続いております。 そうした中、県は二〇一七年七月策定のとくしま生活排水処理構想二〇一七で、二〇三五年度末の汚水処理人口普及率の目標を九四・七%と定めて、生活排水処理施設の整備促進に取り組む計画を立てています。二〇一九年六月の浄化槽法改正では、単独処理浄化槽の転換と浄化槽管理の向上を同時に実現することが要点となっており、一、支障がある既存の単独処理浄化槽の除去等を都道府県知事が命令できるようになること、二、公共浄化槽といった新しい概念に基づき、個人にかわり地方公共団体が設置及び管理を行う浄化槽の定義づけができるようになります。また、今年度から県有施設も積極的に転換を進めていくことになっており、合併処理浄化槽への転換を進める環境が整いつつあり、今こそ汚水処理対策を大きく進める絶好の機会です。 三好市では、県内最初に市町村設置型合併処理浄化槽整備事業にPFI方式を導入して、民間の力をかり、早期整備に取り組んできましたが、東みよし町でも同様の制度を導入し、十月から事業を開始しております。これは本県で二例目、全国でも十八例目となり、この事業においては徳島県は先進県であります。 そこで、伺いますが、下水道の地道な整備に加え、三好市で先行して進めてきたPFI方式による市町村設置型合併処理浄化槽整備事業を全県的に広めていくべきと考えますが、本県の汚水処理人口普及率の向上について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。 次に、年々厳しさを増す地域の医療提供体制についてです。 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年を見据えて、限られた医療資源を有効に活用しつつ、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するため、県は地域医療構想を二〇一六年に策定しました。目指す地域医療提供体制を実現するための具体策として、一、病床機能の分化・連携、二、在宅医療等の充実、三、医療従事者の確保・養成を挙げていますが、少子高齢化の中、医療界を取り巻く環境はますます厳しく大変になってきています。私はその背景を集約すると、主に三つの問題点が挙がると思います。 まず一つ目には、高齢化により、人口減少にもかかわらず医療・介護を必要とする人がふえ続けていることです。高齢者になると、医者にかかる率が上がるのは当然のことであり、二〇四〇年はまさに高齢者数が全国的に最大になり、医療費の増大が言われています。 二つ目に、病床機能と数の適正化の問題で、現在は急性期病床が多く、回復期病床が足りていません。限られた医療資源を効率的に配置し、必要な医療・介護体制をきちんと提供するために、病院機能再編を入れた地域医療構想を実現することが急務の課題です。公的病院の再編統合は地域住民に大きな影響を与えるため、住民を巻き込んだ丁寧な議論が必要であるにもかかわらず、厚労省からの強引なリスト公表が先行したために大きな波紋を呼んでいます。医療費削減のためだけに統合再編を進めると、安心・安全の医療体制は崩壊してしまうでしょう。そして、最大の問題と考えるのは、増加する医療ニーズに対して、労働力人口の減少に伴い、医療に従事する人の数が減っていることであります。勤務医の過重労働は県内でも問題になっており、三好病院の脳神経外科医が年間約千三百時間の超過勤務があったという報道を皮切りに、超過勤務の勤務医は二〇一四年から二〇一八年度までで延べ二十二人もいたということがわかりました。こうしたぎりぎりの状態で働いている先生方に何かあれば、たちまち病院は立ち行かなくなってしまいます。徳島県は、人口当たりの医師数は全国二位と言われていますが、特定の診療科の医師不足は明らかであります。それがついに小児救急医療体制にあらわれました。 十一月一日から徳島赤十字病院の小児科医が産休に入られたのに続いて、中央病院の小児科医もお一人産休に入られ、現在は県内で二十四時間体制での小児救急病院はない状態です。既に県内の過疎地では、お医者様だけでなく、看護師など医療従事者も足りなくなってきています。 そこで、伺います。 県民が安心できる医療提供体制をつくっていくためには、医師を初めとする医療従事者の確保が重要でありますが、今後、県は医療従事者の確保についてどのように取り組んでいくのか、具体案をお聞きします。 以上、御答弁をいただき、残りの質問に入ります。   (福井政策監登壇) ◎政策監(福井廣祐君) まず、二点御質問をいただいております。 電気、水などライフラインの強靱化や電力トリアージなど途絶対策についての御質問でございますが、東日本の各地に甚大な被害をもたらしたさきの台風十五号・十九号などの際には、大規模な長期停電を初め通信の途絶や断水が住民生活や経済活動に深刻な影響を及ぼし、ライフラインの重要性が再認識されたところでございます。 本県では、防災関係機関やライフライン事業者などから成る危機管理総合調整会議を設け、平時から顔の見える関係を構築するとともに、大型台風の直撃が予想される場合には、接近前から災害対策本部を設置し、迅速な応急復旧体制の確認やリエゾンの派遣など、事前準備を徹底してきたところであります。 また、今回の一連の台風被害を踏まえ、国に対し、送電・配電施設の強靱化や非常用電源対策の強化に取り組むよう全国知事会として緊急要望を行いました。さらに、徳島発の政策提言として、平成二十六年の大雪被害を踏まえ、全国に先駆け実施している事前伐採を例に、ライフライン周辺の支障木を伐採、搬出しておく森林整備事業の創設を強く要望してまいりました。加えて、水道の強靱化に向けましては、市町村に対し、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策予算を活用した浄水場、配水池の防水扉や自家発電設備の設置などを促すとともに、本年三月に策定した徳島県水道ビジョンに基づき、広域連携による水道事業の基盤強化を県がリーダーシップをとり、着実に推進してまいります。 一方、大規模な停電が広域で発生した場合、優先順位を決めて効果的な復旧を図る、いわゆる電力トリアージにつきましては、災害対策本部において早期復旧が求められる災害拠点病院や社会福祉施設などの重要施設を割り出し、四国電力や防災関係機関などと連携し、迅速な電力復旧を図ってまいりたいと考えておるところでございます。 さらに、こうした復旧手順を確認するため、大規模停電への対応をテーマに、徳島県防災図上訓練を来年一月十七日に実施し、関係機関と連携を密にして、対応力の強化に取り組んでまいります。 今後とも、あらゆる大規模災害を迎え撃ち、死者ゼロを実現するとの強い思いを持ち、命を支えるライフラインの強靱化にしっかりと取り組んでまいります。 次に、汚水処理人口普及率の向上に向け、今後どのように取り組むのかとの御質問でございますが、本県ではきれいな水環境の創造に向け、下水道、集落排水及び合併処理浄化槽のベストミックスとなる整備を進めており、トイレの水洗化率におきましては、全国平均九五%のところ、九四%と高い水準まで進み、生活の質の向上は一定のレベルに達しております。 一方、県内の浄化槽の十九万基のうち、トイレの排水のみ処理を行う単独処理浄化槽が約十三万基残存しており、汚水処理人口普及率の向上のためには、単独から合併処理浄化槽への転換が重要な鍵となっております。 議員お話しのとおり、市町村設置型浄化槽整備事業では、初期費用の住民負担が軽減されるとともに、さらにPFI方式の採用により、民間事業者の工夫による事業費の縮減や住民サービスの向上など、さまざまな相乗効果が得られますことから、本県では早くからこの普及に取り組んでおり、国や他県から視察に訪れるなど、トップランナーの役目を果たしております。 また、これまで整備の進まなかった商店街や町並み保存地区など、狭い敷地で設置スペースがない、台所や風呂場などから浄化槽本体へつなぐ配管工事費の負担が大きいなどの課題に対しましては、国へのたび重なる政策提言により、百人以内の排水が一括処理できる共同浄化槽や浄化槽転換時の宅内配管工事費が今年度から初めて補助対象となるなど、さらなる市町村設置型浄化槽整備事業への伸展が大いに期待できる状況となっております。 また、三好市ではPFI方式の導入により、合併処理浄化槽への年間転換数の倍増やアウトソーシングの効果で職員負担を抑えるなど、大きな効果が上げられております。 これらのことから、この機会を逃さず、PFI方式による市町村設置型浄化槽整備事業の高い有効性や手厚い補助制度について御理解いただくための市町村向けの勉強会の開催を初め、県からの支援を充実することで、全県的に普及を目指してまいりたいと、このように考えております。 今後とも、市町村とともに下水道・集落排水や、民間活力を導入することで合併処理浄化槽の整備を促進し、本県の安全で豊かな水環境の向上に向けしっかりと取り組んでまいります。   (仁井谷保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(仁井谷興史君) 医療従事者の確保に向けた県の取り組みについての御質問をいただいております。 今年度、国において公表された暫定版の医師偏在指標におきまして、本県は医師多数県とされたところでありますが、僻地や山間地域における公立・公的医療機関の医師不足、地域におけるかかりつけ医機能を担う民間診療所の高齢化や後継者問題、今後の働き方改革の進展を考えますと、指標上にあらわれている状況と地域の医師不足の実感とは大きく乖離しております。 こうした状況の中、本県では徳島大学医学部において地域特別枠医師の育成を進めてきたところであり、既に四十七名が医療現場で活躍されており、今後も毎年卒業生が輩出されていく見込みでございます。 しかしながら、この地域特別枠医師の育成に大きく影響を与える医学部定員の臨時的な増員は、令和三年度までの継続は決まっておりますが、令和四年度以降の方針は、現在国において検討中でございます。県では、全国知事会や関西広域連合を通じてその堅持を国に働きかけてきておりますし、今後も引き続き働きかけてまいります。 また、議員お話しのとおり、医師の中でも産科医・小児科医は不足が顕著であることから、本年九月に徳島県周産期医療協議会のもとに、産科医・小児科医の働き方改革を含めた医師確保のあり方検討部会を設けたところであり、今後、公立・公的病院における産科・小児科の具体的な診療体制のあり方を検討してまいります。 また、医師以外の医療従事者につきましても、労働力人口の減少が進む中、今後その確保が一層困難になることが想定されます。県では、これまでも例えば看護職員について、県内での勤務を希望する看護学生に対する修学資金の貸与、育児や介護等で離職した看護職員の復職に向けて求人施設とのマッチングを行う等、県内定着の促進や離職者等の就業支援につながる取り組みを行ってまいりました。 こうした取り組みに加えまして、本年五月には限られた医療資源を効率的に配置するため、医療従事者に係る労働者派遣法の規制緩和を厚生労働省に政策提言し、また内閣府の地方分権改革提案募集に応募いたしましたところ、先日、国の有識者会議において、制度改正について前向きに検討を進め、令和二年中に結論を得るとの方針が示されたところでございます。 今後とも、住民の皆さんが住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる医療提供体制の充実のために、あらゆるツールを用いてしっかりと医療従事者の確保に取り組んでまいります。   (高井議員登壇) ◆十八番(高井美穂君) このたびの広範囲にわたる災害に、知事も知事会長として応援の陣頭指揮に当たられましたが、徳島県からも総勢八十九名の人員派遣や物資支援をしてきました。こうした助け合いや協力の中で実践から学び、県民の命と財産を守るため、一層の防災対策の強化を図ってほしいと思います。 汚水処理人口普及率については、中山間地域が多い本県では、合併処理浄化槽の普及が有効だと思いますので、住民負担が少なく、転換が進められるPFI方式の市町村設置型合併処理浄化槽の事業をぜひ全県下に広げてほしいと思います。 片や県内でも都市部においては、下水道が有効な排水処理施設であるとも思いますので、企業誘致や都市開発を含めたまちづくりの観点、また下水道の経営面を考えて、市町が必要とする地域においては、集合処理ができる下水道についても、また県からの御支援を考えていただければと思います。 医師確保策としてですが、地域枠医師以外にも徳島にゆかりのある人がIターンやUターンで戻ってきてくれるような施策も同時に進めれば効果的かと思います。命がけで現場で頑張っておられる医療関係者の実際の現場の実態をつぶさに調査するなどしながら、医療現場で働く人の要望に応えられる、無理のない体制づくりをお願いいたします。 次の質問に移ります。 次に、地球温暖化防止対策について伺います。 九月にニューヨークで開催された気候行動サミットにおいて、スウェーデンのグレタさんという十六歳の少女が地球温暖化防止対策を訴え、国際世論を動かしたのは記憶に新しいですが、地球温暖化との関連が指摘される異常気象や自然災害は世界各地で頻発しており、今や地球温暖化対策は人類の生存に脅威を与える世界共通の喫緊の課題です。 このサミットでは、世界の平均気温の上昇を二度未満、できれば一・五度未満に抑える努力をすることを掲げた国際協定「パリ協定」の目標達成のため、実に七十七カ国が二〇五〇年までに地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを表明しましたが、残念ながらこの中に日本は含まれておらず、政府は今なお、排出量ゼロは今世紀の後半のできるだけ早期にするとの姿勢を崩しておりません。 折しも、おととい二日からスペインで国連気候変動枠組条約の締約国会議、COP25が始まりましたが、二酸化炭素排出量世界第五位の日本の削減に向けての消極的な姿勢に、国連から厳しい目が注がれ、首相演説を拒否されるという事態にまで陥っています。 こうした中、先月、知事から策定作業中の次期県計画の長期目標として、二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロを掲げるとのお考えが示されました。政府が逃げ腰の中で、全国知事会長である飯泉知事がこの世界的な課題に率先して取り組むことを表明したことは大きな意義があると思います。現場の自治体が十六歳の少女の怒りを真っすぐに受けとめ、向き合うことで危機感を持ち、未来に対して責任を果たす意志を感じました。私もできるだけ地球に負荷をかけないようにしたいと思い、省エネや節電、食品ロスをなくす「もったいない」生活を心がけてはいますが、便利さには勝てない弱さもあり、石炭や石油など、化石燃料を使う生活から決別はできておりません。日本政府としても、産業界とのしがらみを断ち、実質ゼロへ向かうことは決してたやすいものではないと思いますが、もはや人間の生存を脅かしつつある地球温暖化を防ぐために、本気で具体的な対策が求められています。 そこで、二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロに向け、今後どのように取り組むのかお伺いいたします。 次に、過疎対策について伺います。 去る十月三十一日に徳島県議会過疎対策推進議員連盟の杉本会長と全国過疎問題シンポジウムに青森へ行ってまいりました。多くの関係者と意見を交わしてきましたが、最大の関心事は過疎地域自立促進特別措置法にかわる新法の制定であります。 現在の過疎法は、二〇二〇年度末に期限を迎えます。過疎地域では、人口減少が特に進んでおり、六十五歳以上の高齢者が人口の五割以上を占めることで、社会的共同生活や集落の維持が困難になる、いわゆる限界集落を多く抱えるとともに、そこからさらに進んで、集落自体が消滅の危機に瀕しているところもあります。人がいなくなることで山を荒らす猿や鹿、イノシシ、イタチなどの野生動物がふえて、農産物もとれなくなって、かつて過疎地が果たしてきた多面的機能もさらに低下しています。 さきの質問で申し上げた地球温暖化による台風の大型化、頻発化に加え、手入れが行き届かない山の保水力が落ちてきていることが、洪水被害が激甚化する要因ともなっています。 そのような中、にし阿波では、世界農業遺産や観光圏、食と農の景勝地のトリプル認定を受けて、豊かな自然環境と伝統文化の次世代への継承に取り組んでいます。日本の過疎地の原風景を地域資源として活用し、独自の伝統と文化とを織りまぜて、民泊や体験型観光、スポーツツーリズムとして打ち出すなど、さまざまな努力を重ねています。 過疎地に住み続ける方がいることは、日本の伝統文化を守るだけでなく、国土を維持する上でも非常に大事なことです。過疎対策にたちまち効く薬はありませんが、何もしなければ消滅していくことだけは間違いありません。財政状況が厳しい中にあっても、過疎地の自治体が知恵を絞り、限られた資源を生かして頑張り続けることが求められており、その財源として有効な過疎債を継続してもらう必要があります。 また、過疎地の自治体にとって負担になっているのが、老朽化した公共施設や公共インフラの問題です。取り壊しに莫大な費用がかかり、防災対策を進める上でも懸念となっていますが、現行法では撤去に過疎債は使えません。先般、取りまとめられた県の過疎対策研究会による報告書には、取り壊し費用にも過疎債を使えるようにとの提言がありましたが、これはぜひ国へ強く求めてほしいと思います。 また、広域的事業について県が過疎債を使えるようになれば、過疎対策はさらに充実していくのではないでしょうか。過疎対策は現場の市町村のみに委ねるのではなく、県としてもしっかり支えていただきたいと思います。 そこで、お聞きしますが、今後の過疎対策について県としてどのようなことに取り組んでいくのか、お聞きいたします。 次に、地域の安心・安全の拠点となる交番・駐在所の体制整備について伺います。 昨年の十一月議会でも、他県における交番襲撃事件等を踏まえ、県警察の交番・駐在所のあり方について質問をして、県警本部長のほうから中長期視点に立って交番の設置拡充を進める等の御答弁をいただいたところであります。その後、県警察は一定の人口が集中する地域には、二十四時間体制の交番の拡充を内容とする地域警察の再構築に向けた中長期ビジョンを公表しています。 現在、県警はどこの駐在所を集約して交番をつくり、どこの駐在所を残すのかという具体的な構想について、地域住民の方々に説明し、意見を聞きながら検討を進めていると伺っております。 そこで、まずは駐在所等の再編整備について、地元住民の皆様への説明の状況についてお伺いしたいと思います。 また今後、二十四時間体制で警察官が配置される交番がふえるということになれば、DVやストーカー、児童虐待など、子供や女性が被害者となる事案への対応もより迅速になるのではないかと期待しておりますが、こうした事件・事故に即対応できる交番と比較して、駐在所は警察官とその家族が一緒に居住し、地域における地道な活動をしているというイメージがあります。駐在所のお巡りさんは、小学校の登下校の見守り活動や地域の運動会、落とし物の受理や御近所のトラブル相談まで、いろいろと対応してくれております。私の周りには二十四時間常駐体制の交番化を望む声もあれば、駐在所がなくなると不安だから残してほしいという両方の声があります。県警察にはこうした住民の声に耳を傾けながら、その地域に応じたビジョンをつくっていただき、その地域に応じたスピード感で進めていただきたいと思います。 そこで、伺いますが、現在策定中の中長期ビジョンを踏まえての具体的な計画はどのようなものになるのか、以上二点、警察本部長にお伺いいたします。 最後に、いじめ問題について伺います。 二〇一八年度文部科学省調査によると、全国の国公私立小中学校と高校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は、五十四万三千九百三十三件で、本県でも二千五百七十七件と過去最高となりました。二〇一一年に大津市立中学校二年の男子生徒が同級生からのいじめを苦に自殺し、裁判となった大津いじめ事件を機に、二〇一三年にいじめ防止対策推進法ができましたけれども、いじめ認知件数のこのたびの増加は、この法律の成立により、いじめの定義を広くとるようになり、積極的に認知するようになったことが背景にあります。いじめられた子供の立場に立って、いじめの芽を早期に摘み取っていくことが必要という認識を共有した点でも前進だと思っています。 近年、いじめ問題は複雑化、多様化しており、学校だけで解決するのが困難な事案が年々増加し、現場ではスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、専門家と連携して対応に当たっておられます。加えて、昨年度からLINEを活用したSNS相談事業にも県も取り組んでおり、利用件数は増加傾向にあります。相談内容は多岐にわたり、いじめや友人関係、学業、健康問題など、身近な人に相談できない子供たちの受け皿になっており、ぜひ今後も継続してほしいと思います。 このような中、ことし九月、文科省がスクールロイヤー、学校弁護士を全国に配置する方針を固めたとの報道がありました。これからの時代、子供の人権を守ることに加え、日々多忙をきわめる学校現場で起こるさまざまな問題に適切に対処するため、法律の専門家である弁護士との連携は欠かせなくなってきております。 そこで、伺いますが、教育委員会としていじめを初めとした児童生徒を取り巻く諸課題の解決に向け、スクールロイヤーをどのように活用していくのか、御所見を伺います。 以上、御答弁をいただき、まとめに入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロに向け、今後どのように取り組んでいくのか御質問をいただいております。 先月末に国連が公表した報告書によると、温室効果ガスの排出が今のペースで続けば、今世紀末の気温は産業革命前に比べ最大三・九度上昇し、破滅的な影響が生じるとのことであり、地球温暖化対策は国際社会が一致して取り組むべき待ったなしの課題であります。 環境首都を標榜する本県では、全国初の脱炭素社会の実現を掲げた条例を制定し、県民総ぐるみで温暖化対策に取り組んでいるところであり、最新データとなる二〇一六年度の温室効果ガス排出量は、二〇一三年度比で国の一一%を大きく上回る二六%の削減を達成したところであります。この流れを加速し、日本の温暖化対策を牽引するとの強い思いで、去る十一月十五日、野心的な長期目標として二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロを掲げる旨表明し、現在策定中の気候変動対策推進計画に位置づけることといたしました。この件につきましては、小泉環境大臣から直接、国内の気候変動対策に弾みをもたらし、非常に心強いとのお言葉をいただき、また、まさに今スペインで開催中の国連気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP25でも取り上げられているところであります。 そこで、二〇五〇年実質ゼロに向けては、マイルストーンとして手の届く未来である二〇三〇年度を目標年として設定し、削減目標を現在の四〇%から五〇%へと引き上げ、これまでの取り組みを一段と加速化いたしてまいります。具体的には、既に電力自給率が国の二〇三〇年度目標二四%を上回るなど、本県の強みである自然エネルギーの導入促進や温暖化対策の切り札となる水素エネルギーの社会実装を強力に推進いたしてまいります。 さらに、環境と経済の好循環を生み出す事業者を地域社会が金融面からサポートする徳島版ESG地域金融活用協議会を創設いたしまして、新次元の温暖化対策にも取り組みますとともに、県土の七六%を占める森林が持つCO2吸収力を適正な管理により最大限発揮させれば、この中期目標は十分達成可能であります。 加えて現在、実証や検討段階にある二酸化炭素の回収・貯留技術、排出量取引制度などのほか、これまでの延長線上にないイノベーションが社会実装されれば、長期目標として掲げた脱炭素社会は必ずや実現するものと確信しているところであり、進取の気概を持ってこうした新たな技術や仕組みの導入にも積極果敢にチャレンジいたしてまいります。 今後とも、エシカルなライフスタイルへの転換に取り組む、県民の皆様方の高い環境意識を支えに、新たに掲げた二〇五〇年実質ゼロに向け、環境首都とくしまとして地球温暖化対策をしっかりとリードいたしてまいります。   (志田政策創造部長登壇) ◎政策創造部長(志田敏郎君) 今後の過疎対策につきまして質問いただいております。 本県では、過疎地域の振興のため、過疎地域自立促進計画を策定し、関係市町村の皆様とともに、道路や情報通信基盤などのさまざまなハード整備、また農林水産業の振興、地域医療の確保、地域公共交通の充実など、幅広い分野にわたるソフト事業を展開してまいりました。 また、今年度、とくしま集落再生表彰を受賞されました三好市西祖谷の加羅宇多姫伝説保存会を初めといたしまして、地域の歴史文化を生かした取り組みを顕彰し、アピールすることを通じまして、ふるさとへの愛着の向上や地域の活性化を図ってきたところでございます。 一方、議員お話しのとおり、過疎対策の根拠法となる、いわゆる過疎法が令和二年度末にその期限を迎えますことから、本県ではことし一月、関係市町村の皆様とともに過疎対策研究会を立ち上げたところでございます。 この研究会では、新たな過疎法の制定を大きな目標に論議を重ね、十月に取りまとめた中間報告書では、まず新たな着眼点として地域への誇りと愛着を育むふるさと教育の実践を初め、Society5・0時代における革新的技術の活用、また大規模自然災害への備えなどを位置づけております。 加えて、過疎対策の柱となります過疎対策事業債につきましては、市町村から強い要望が寄せられている公共施設の除却を対象とすることや、事前復興のための防災公園等の整備への活用、また複数市町村にまたがる事業や都道府県が市町村にかわって基盤整備の代行制度に取り組む際の都道府県による過疎債の発行など、制度拡充に向けた提案を盛り込んだところでございます。 去る十一月五日には、この中間報告書によりまして、県議会過疎対策推進議員連盟の杉本会長さん初め、関係町村長の皆様とともに現場の実情に即した切実な声として、総務省等への政策提言を行ったところであり、今後、年度内に最終の報告書を策定し、さらなる活動の展開につなげてまいります。 また、全国知事会におきましても、新たな過疎対策法の制定に関する提言を取りまとめ、国への提言活動を行うなど、過疎対策の継続とさらなる充実を求める動きは全国に広がっております。 今後とも、過疎地域の暮らしを守りつつ、超スマート社会の体現を図り、その価値や魅力を継承していくことが日本全体の持続的で活力ある社会づくりに欠かせないとの認識のもと、新たな過疎法の制定はもとより、過疎地域の支援の充実に向け、県議会や関係市町村の皆様とともに積極的に取り組んでまいります。   (根本警察本部長登壇) ◎警察本部長(根本純史君) 駐在所等の再編整備について、地元住民等の方々に説明を進めているが、どのような状況なのかとの御質問でございますが、県警察は本年二月、駐在所の統合や交番の拡充等を柱とする地域警察の再構築に向けた中長期ビジョンを公表いたしました。このビジョンに基づき、来春にも施策の内容や実施時期等を盛り込んだ具体的計画を公表することとしており、現在、本部の幹部職員により県下全域で説明会を行うなど、計画策定に向けた取り組みを進めているところでございます。 県警察の説明に対し、住民の方々からは、二十四時間体制の交番が近くにあったほうが安心、早く交番にしてパトロール等を充実してほしい、統合後も地域の行事等に参加してほしいなどの御意見、御要望も多く寄せられております。 交番・駐在所は、住民の方々の身近なところで事件・事故等に対応する地域警察官の拠点であるほか、防犯ボランティア活動にも活用されるなど、地域の生活安全センターの役割も担っているところでございます。 具体的計画の策定に向けては、住民の方々の御理解と御協力が何より重要であると認識しており、引き続き丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。 次に、具体的な計画はどのようなものになるのかとの御質問でございますが、県警察ではこれまでにも大型交番の設置やテナント型交番の整備等、交番・駐在所機能の充実強化に努めてまいりましたが、その後も他県において交番勤務員が襲撃される事件が相次いで発生するなど、地域警察を取り巻く環境は大きく変化しているところでございます。また、県内の地域情勢を見ましても、広域道路の供用や新たな企業等の進出等も予定されております。 こうしたことから、具体的計画につきましても、変化する治安や地域情勢等に応じて見直しが可能となるようなフレキシブルなものとし、その実施時期についても今後十年間をおおむね三期に分け、段階的に実施していくことを想定しております。 来年四月一日、阿南、那賀両警察署が統合されますが、地域警察の再構築についても、今後の治安対策上、必要不可欠な施策であると認識しており、引き続き実現に向けた取り組みを全力で進めてまいる所存でございます。   (美馬教育長登壇) ◎教育長(美馬持仁君) いじめ問題等の児童生徒の諸課題の解決に向けたスクールロイヤーの活用についての御質問でございますが、いじめ問題等の諸課題の解決のためには、学校だけでは対応が困難な事案がふえてきており、専門家との積極的な連携が重要であると認識しております。 県教育委員会では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの効果的な活用を進めることで、諸課題の解決に努めているところです。加えて、昨年度に引き続き国の事業を活用して、LINEを活用したSNS相談を実施し、気軽に相談できる窓口として、相談件数は昨年度を上回る五百二十件を数えております。 また、議員お話しのスクールロイヤーの活用につきましては、学校現場のさまざまな問題に適切に対応するため、大変有効であると考えます。 本県では、昨年度より全国に先駆け国の事業委託を受け、徳島弁護士会の協力を得てスクールロイヤー活用事業を実施しており、児童生徒に対するいじめ等の予防授業、法令に基づく対応の徹底に向けた教職員研修、いじめ問題等の解決に向けた法的相談などに取り組んでいるところです。 いじめ予防授業を受けた児童生徒からは、いじめられた子の立場で考えることの大切さがわかった。自分からいじめをなくしていきたいと思った。教職員からは、今後の対応への自信につながった。法的知識を高めることが必要だと実感したなどの声が聞かれました。 今後は、小中学校において児童生徒が主体的にいじめ問題の解決に取り組むいじめ防止子ども委員会にかかわるなど、活動の幅を広げるとともに、これまでの実践事例を積極的に周知することにより、スクールロイヤーの活用を促進してまいります。 県教育委員会といたしましては、学校の実情に応じて効果的にスクールロイヤーを活用し、いじめを初めとした諸課題の未然防止と早期解決を図り、児童生徒が安全で安心な学校生活が送れるよう、しっかりと取り組んでまいります。   (高井議員登壇) ◆十八番(高井美穂君) それでは、残りの質問に対する意見を申し上げ、まとめたいと思います。 過疎対策を進めるに当たり、過疎法が恒久法として新たな視点を取り入れて、新法として成立することを期待しております。過疎地を抱える全国知事会長としてぜひ強い思いを国会にお届けいただきたいと思います。 CO2削減の具体的な案が知事から先ほど表明されました。国が及び腰の中、先んじて自治体が取り組むことで国を牽引し、新しい徳島発のイノベーションの進展、それから自然エネルギー推進等に向かうことを期待しております。 交番・駐在所等の見直しですが、地域の住民の声を聞きながら、しっかりそれを、この声を踏まえて対応していただいておることに感謝を申し上げますが、これからも距離や面積、地域性などをよく踏まえた上で判断していただきたいと思っています。決して経済的合理性のみにこだわり過ぎず、山間部や過疎地、そうした視点をぜひ持っていただいて、この地域を見捨てるようなことがないようにお願いいたします。 いじめ事件の件ですが、大津のこの事件の判決がことし二月に出ました。いじめと自殺との因果関係を認め、加害者側に約三千七百五十万円の損害賠償を支払うということが命じられました。加害者の過失を重大と見る判決により、加害者への重い罰則に加え、学校側の対応もこれからは責任が問われることになると思います。 そういう中で、法律の専門知識を持った弁護士さんに相談ができる体制があるということ自体が未然にトラブルを防ぐ意味でも、現場の負担を軽くする上でも大事になってくると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 先般、待望の「新三好長慶伝 龍は天道をゆく」が出版されました。戦国天下人、三好長慶をNHK大河ドラマにしようということで、NHK大河ドラマ誘致推進協議会の岡本会長を筆頭に、長慶会の皆様を初め地元の皆様とみんなで機運醸成に励んでおりますが、三野町出身の作家、三日木人さんの手により書かれたこの本は、三好長慶が、下克上の梟雄という今までの少し悪い三好長慶像を大きく変える人物像が、史実に基づいて描かれています。「理世安民」を掲げて天下静ひつを目指した教養人としての三好長慶、今までの長慶像がこの本により見直されることを期待しています。この本の中の三日木さんの言葉をかりれば、戦国の動乱期の憎むべき汚濁を浄化し、民心を安んじるという願いを秘めて、いちずにおのれの生き方を貫いた生身の人間、三好長慶であります。三好長慶とともに徳島のよいところがさらに発見され、宣伝されていくように私も頑張ることをお誓いし、締めとさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(南恒生君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後二時五十七分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後三時十九分開議      出席議員計三十七名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     浪  越  憲  一 君     九  番     仁  木  啓  人 君     十  番     東  条  恭  子 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     岡     佑  樹 君     十七 番     古  川  広  志 君     十八 番     高  井  美  穂 君     十九 番     長  池  文  武 君     二十 番     吉  田  益  子 君     二十一番     中  山  俊  雄 君     二十二番     元  木  章  生 君     二十三番     岡  田  理  絵 君     二十四番     南     恒  生 君     二十五番     岩  丸  正  史 君     二十六番     寺  井  正  邇 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     扶  川     敦 君     二十九番     達  田  良  子 君     三十 番     喜  多  宏  思 君     三十一番     重  清  佳  之 君     三十二番     嘉  見  博  之 君     三十三番     岡  本  富  治 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     西  沢  貴  朗 君     三十六番     臼  木  春  夫 君     三十八番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○議長(喜多宏思君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 二十一番・中山俊雄君。   (中山議員登壇) ◆二十一番(中山俊雄君) 徳島県議会自由民主党の中山俊雄でございます。 まず最初に、先日の台風十五号・十九号、さらにその後の豪雨により亡くなられた方や被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。 さて、本日は年末で大変お忙しい中、多くの方に傍聴にお越しいただきました。傍聴にお越しの皆様、そして質問の機会を与えてくださりました嘉見会長を初め同僚議員の皆様に心からお礼を申し上げます。 御承知のとおり人口減少、超高齢社会を迎える中、待ったなしの課題である地方創生の取り組みが今後どれだけの実効を上げることができるかは、我々地方の知恵と工夫、さらには実行力が重要とされております。私は常々、若者から年配者まで全ての人々が携わり、住民主体でつくる持続可能な地域づくりが最も大切であると考えておりますが、そもそも地域づくりとは、地域に対する人々の情熱、知恵、努力の積み重ねであり、繰り返し繰り返しみんなが諦めずに取り組んでいくことこそ、地域づくりの基本だと思っております。そして、目の前にあるたくさんの課題を一つ一つ忍耐強く解決していくことが私に与えられた使命であると思っております。 それでは、地方が抱える諸課題を中心にお聞きしてまいりますので、知事初め理事者各位におかれましては、私の支持者同様、心のこもった前向きな御答弁をお願いいたします。 まず初めに、全国知事会長としての今後の取り組みについてお伺いいたします。 飯泉知事が去る九月三日に四国で初、人口百万人未満の都道府県から初となる全国知事会長に就任され、ちょうど三カ月が経過いたしました。この間、東日本を中心に河川の氾濫など、甚大な被害をもたらした一連の台風被災地に対する迅速な支援、地方六団体の代表としては国と地方の協議の場や政府主催の全国都道府県知事会議における政府との折衝、日常生活への影響が懸念される日米貿易協定への対応、喫緊の課題に対する政策提言など、全国知事会長として精力的に活動され、まさに行動する知事会長として多忙をきわめられており、その頑張りに心から敬意を表したいと思います。 一方、本県を初め地方においては、急速に進行する人口減少や少子高齢化、近年、激甚化、頻発化する大規模災害への対応、全世代型社会保障改革など、将来に向けた大きな課題を抱えております。飯泉知事には、引き続き全国知事会長としてリーダーシップを発揮し、全国の地方が抱えるさまざまな課題を直接国に届けていただけることで、全国の課題解決、ひいては徳島の県内市町村の課題の解決につながっていくものと私は認識しております。 今後、全国知事会長として活躍されることはもとより、徳島県知事として県民の声にしっかりと耳を傾け、県勢発展のために、なお一層御活躍されることを県民は期待しております。 そこで、全国知事会長として徳島を初め地方が直面する切実な課題の解決に向け今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、自然エネルギーによる自立分散型電源の普及促進についてお伺いいたします。 先般の台風十五号及び台風十九号は、記録的な暴風や豪雨により東日本を中心に甚大な被害をもたらしました。特に電力インフラに関しまして、台風十五号では暴風による送電塔や電柱の倒壊により、最大九十三万戸以上となる大規模停電が発生し、復旧に二週間以上を要し、台風十九号では東北地方から中国地方にわたる広範囲で最大五十二万戸以上の停電が発生し、住民生活に多大な支障を及ぼしました。 被災地において、ライフラインである電力の確保は、最も重要な課題の一つでありますが、今回の被災地では住宅用太陽光発電設備の自立運転機能が有効に機能して、スマホの充電や冷蔵庫、エアコンの一時使用など、停電時の生活に非常に役立った。また、避難所においても蓄電池つき太陽光発電が活躍し、避難生活の利便性向上に寄与したとの声が聞かれ、燃料供給の必要がない自然エネルギーの災害時における有用性が再認識されたところであります。 広域的な大規模災害が発生した場合、県や国、市町村による公助には限界があり、みずから防災に取り組む自助が非常に重要であることは広く知られております。各個人が自然エネルギーによる自立電源を確保し、災害を迎え撃つ体制を整えておくことが何より重要であると考えます。 一方、自然エネルギーの導入に関しましては、固定価格買取制度の買い取り価格が年々低下していることや、先月から住宅用太陽光発電の固定価格買い取り期間が順次終了していく、いわゆる二〇一九年問題により、機運が下火になっているのではと懸念しているところであります。 また、さきに開催された国連気候行動サミット二〇一九で十六歳の少女グレタ・トゥーンベリさんが各国の首脳に訴えたように、全ての将来世代が私たち大人世代を注視しており、地球温暖化対策を怠ることは決して許されない状況であります。 そこで、お伺いいたします。 脱炭素社会の実現に貢献するとともに、災害に強い自然エネルギーによる自立分散型電源の普及促進について今後どのように取り組みを進めていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、現在、県警察で策定中の二つの計画についてお伺いいたします。 私は、平成二十三年の初当選以降、その大半を総務委員会委員として住民の声を県政に届けてまいりました。その間、警察行政においては、現行警察法施行から五十年ぶりに管轄区域を見直す警察署の統廃合を初め運転免許センターの移転、徳島中央署の庁舎整備等の大規模プロジェクトなどについて議論させていただきました。特に警察施設の整備につきましては、民間資金の活用やテナント型交番の整備など、新たな手法によりスピード感を持って対応されており、まさに全国警察をリードされているものと見ております。しかし、県内の人口減少は避けられない状況にあり、県財政も厳しさを増すことも必至であることから、今後の施設整備もますます困難になってくるものと考えております。 このような中、県においては公共施設等総合管理計画を策定し、既存施設についてこれまでの対症療法型から予防保全型に移行し、継ぎ目のないメンテナンスを施すことを目標としているところであり、県警察においても、現在、警察署や交番・駐在所等の施設の長寿命化に向けた個別施設計画の策定に向けた取り組みを進めていると伺っております。この個別施設計画は、既に教育委員会は策定済みであり、今後、知事部局においても策定するとのことでありますが、まさに将来必要な施設に対して必要な財政投資を行うというものであり、しっかりと計画を策定すべきものと考えております。 そこでまず、現在策定作業中の既存施設の長寿命化に向けた個別施設計画の内容や推進状況について警察本部長にお伺いいたします。 また、県警察は今春、地域警察の再構築に向けた中長期ビジョンを策定し、今後、交番や駐在所の見直しを図ると伺っております。交番や駐在所は、地域住民の一番身近なところで活動する地域警察官の拠点であり、現在具体的な統合計画の策定作業を進められているとお伺いしております。さらに、計画の大きな柱の一つとして、複数の駐在所を統合の上、既存施設を活用して交番化とすることが挙げられており、まさに今後、既存施設をどのように活用していくのかということも重要であると考えております。 そこで、現在、県警察内で策定中の施設の長寿命化に向けた個別施設計画と地域警察の再編整備計画の双方をリンクさせた計画となれば、より実効性の高いものになると考えますが、この点についてもあわせて答弁をお願いいたします。 次に、薬局支援及び服薬履歴の電子化についてお伺いいたします。 かねてから医療費の増加が財政を圧迫していると言われており、国や県においては医療費の適正化にさまざま取り組まれていることと思います。限りある財政の中で、このこと自体を否定するものではありません。ただ、医療費適正化の施策として、薬価の引き下げやジェネリック医薬品の使用促進が行われており、薬局ではジェネリック医薬品の在庫管理やジェネリック切りかえの患者説明などの業務量が非常に増大していると伺っております。 患者の立場からは、ジェネリック医薬品への切りかえや薬に対する不安について、医師に対しては言いづらいことも薬局、薬剤師には言いやすいというのはよく聞く話であり、地域医療における薬局、薬剤師の役割がますます重要になっていると思われます。 また、医薬品ということで言いますと、薬局でお薬手帳をもらっている方がたくさんいらっしゃると思います。ただ、このお薬手帳、私もそうでありますが、常に携帯している方は余りいらっしゃらないのではないでしょうか。いざ薬局で医薬品を処方してもらうときに持参するのを忘れたとか、逆に疾患によってかかる病院が違うために、医薬品をもらうときに病院の近くの薬局に行くことから、お薬手帳を複数持っているという話も聞いたことがあります。 さらに、複数の病院、医院にかかることが多い高齢者においては、それぞれの病院、医院ごとに医薬品が処方されるため、同じ効能の医薬品がダブったり、医薬品によっては飲み合わせの影響による、いわゆるポリファーマシーや残薬の問題もあると聞いております。 そこで、提案ですが、お薬手帳の情報をICチップのようなもので服薬履歴を管理するようにすれば、簡単に持ち運べて携帯する負担が減る。患者の服薬履歴を医師、薬剤師の間で情報共有が確実に行え、ジェネリック医薬品への切りかえやポリファーマシーの必要性が適切に管理できる。万が一の災害時にも、もし本人が服薬履歴を説明できない状態でも、瞬時に情報を把握し、対応できるようになるなど、非常にメリットがあると思いますので、全国に先駆けてこういうシステムを構築してはいかがでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 薬局、薬剤師に対してどのような支援をされているのか、また服薬履歴の電子化について、御所見をお伺いいたします。 それぞれ御答弁いただきまして、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 中山議員の御質問にお答えさせていただきます。 全国知事会長として徳島初め地方が直面する切実な課題解決に向け、今後どのように取り組んでいくのかについてであります。 全国知事会長就任から今もお話がありましたように、三カ月経過したところであり、改めてその重責を実感するとともに、四十七都道府県民の皆様方の御期待に応えられるよう、我が国が直面する災害列島、人口減少、二つの国難を初め喫緊の課題への対応に積極的に取り組んでいるところであります。 まず、東日本を襲いました一連の台風被害に対しましては、私自身が直接千葉県君津市を訪れ、被災状況の把握や対口支援に赴いていた東京都職員の激励を行いますとともに、東日本大震災を機に制度化されて以来、初となる緊急広域災害対策本部を直ちに立ち上げ、被災地の切実な声や刻々と変化するニーズをきめ細やかに収集し、三十都道府県から約九千六百名にも上る応援職員の派遣、十八項目から成る国への政策提言を行ったところであります。 その結果、政府におきましては、地方の要望に応える被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージが取りまとめられ、被災地の早期復旧・復興に向け予備費の活用や補正予算による切れ目のない財政措置が示されたところであります。 次に、県鳴門病院や勝浦病院など、県内五病院が対象とされた公立及び公的病院再編の動きにつきましては、国の公表に間髪入れず全国市長会、町村会とともに全国一律の基準ではなく、地域の実情をしっかりと踏まえるようにと強く要請いたしましたところ、早速、国と地方の協議の場が設置され、民間病院データの公表や病床削減への財政支援など、地方の意見を踏まえた協議が現在進められているところであります。 また、政府主催全国都道府県知事会議におきましては、事前復興、再度災害防止の二つの概念に基づく国土強靱化の推進、中山間地域など地方の課題解決に不可欠である5Gなど、最先端技術活用の地方創生への位置づけ、Society5・0時代における人材育成としての学校教育のICT化など、本県が抱える課題や市町村の切実な声を全国共通の課題へと高め、その解決策、処方箋を総理初め関係閣僚に直接提言いたしたところであります。 安倍総理からは、国家百年の大計として国土強靱化を進めていく、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略を年内に策定し、地方創生に日本の未来を託していきたい。生徒一人一人が端末を持ち、学校教育にICTを活用できる環境の整備を促進するなど、大変心強い決意が示されたところであります。 さらに、全国知事会のプレゼンス、存在感の向上を図りますため、来年度の全国知事会議では新たな試みとして、今日的なテーマを課題に円卓会議を開催し、知事や有識者を交えたオープンな政策議論を初め、四十七都道府県の知恵と工夫を結集した新たな処方箋を全国に発信いたしてまいります。 今後、新年度の政府予算編成に向け、国に対し、国と地方の協議の場などにおきまして、県内市町村の現場の声を初め地方発の政策提言をジャパンスタンダードへとタイムリーに打ち出し、国と責任を共有する、より一層行動する知事会として、徳島県民を初め国民の皆様方にその成果を実感していただけるよう、しっかりと取り組みを進めてまいります。   (福井政策監登壇) ◎政策監(福井廣祐君) 自然エネルギーによる自立分散型電源の普及促進に向けた取り組みについての御質問をいただいております。 近年、世界各地で異常気象が発生し、我が国においても本年の台風十五号・十九号を初め毎年のように記録的な台風や豪雨に見舞われるなど、気候変動により自然災害は頻発化、激甚化しており、地球温暖化対策はまさに待ったなしの状況であります。 加えて、昨年の北海道胆振東部地震ではブラックアウトが発生し、南海トラフ巨大地震への備えも切迫した課題となっており、議員お話しのとおり、自然エネルギーの最大限導入・活用による脱炭素社会の実現と自立分散型電力供給体制の確立は、極めて重要であると、このように認識いたしております。 そこで、本県ではこれまで国補助金の積極的活用による百カ所を超える防災拠点や避難所への太陽光発電、蓄電池等の設置を初め自然エネルギーの導入拡大・活用による防災・減災対策に鋭意取り組んでまいりました。 さらに、本年七月には、自然エネルギー立県とくしま推進戦略を改定し、自然エネルギー電力自給率二〇三〇年五〇%という野心的な目標を掲げ、災害に強い自立分散型自然エネルギー社会の構築を初めとした意欲的な施策を推進するため、去る十一月十九日、産学官金の連携による自然エネルギー活用プロジェクトチームを立ち上げたところでございます。 このプロジェクトチームでは、急速な低廉化や新たなビジネスモデルをてこにした住宅用太陽光発電や蓄電池の普及促進、事業用太陽光発電を活用した被災時の地域の電力レジリエンスの確保など、自立分散型電源の導入促進を重点課題と位置づけ、事業実施主体となる電力事業者、県内企業、金融機関などの方々に御参画をいただくワーキンググループを設け、実践的な取り組みを積極的に進めてまいります。 今後とも、自然エネルギー協議会会長県として、自然エネルギーによる自立分散型電源の社会実装をさらに加速させることにより、脱炭素社会の実現とともに、災害に強いまちづくりに全力で取り組んでまいります。   (根本警察本部長登壇) ◎警察本部長(根本純史君) 既存施設の長寿命化に向けた個別施設計画の内容や推進状況についての御質問でございますが、県警察は、警察署、交番・駐在所等、多くの施設を管理しており、近年、民間資金を活用するなどして、老朽施設の解消に向けた取り組みを進めてきたところであります。 警察本部や警察署は防災拠点であり、各種災害発生時においてその機能が低下することがあってはならないと考えており、そのためにも適切な維持管理に努める必要があります。 現在、県警察におきましては、徳島県公共施設等総合管理計画に基づき、施設の長寿命化に向けた取り組みを進めているほか、全ての施設の現況調査を行い、計画的な維持管理に資する個別施設計画の策定作業を進めております。 もとより、庁舎の維持管理には多額の経費を要することから、個別施設計画については将来の利活用方針等を踏まえ、対策の内容と優先順位を明確にして、コストの削減や予算の平準化にもつながるよう努めてまいります。 また、県警察はこれまで運転免許センターにおける広告事業の実施など、歳入の確保に努めてきたところでございますが、引き続き新たな財源を確保し、計画の具現化に向けた取り組みもあわせて進めることとしております。 次に、個別施設計画と地域警察の再編計画をリンクさせるべきとの御質問でございますが、現在、県警察は複数の駐在所を統合し、交番の拡充等を柱とする地域警察の再編計画についても策定作業を進めているところでございます。 この計画においては、統合される駐在所について施設の現況を踏まえ、防犯ボランティア活動の拠点として活用することも想定しており、住民の方々に対する説明会においても、子供の見守り活動の拠点として使いたい、NPO団体への貸し出しや地域交流の場としたいとの御要望が寄せられております。 こうした既存ストックを活用する場合においても、施設の適切な維持管理が求められるところであり、議員御提案のとおり、現在策定作業を進めている個別施設計画と地域警察の再編計画をリンクさせ、ハード、ソフトの両面で施策を推進することは極めて有効であると認識しております。 来春にも二つの計画を公表する予定でございますが、これら計画が一体的に連携したものとなるように、引き続き策定作業を進めてまいります。   (仁井谷保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(仁井谷興史君) 私から二点お答え申し上げます。 まず、薬局、薬剤師に対してどのような支援をしているかとの御質問でございますが、患者さんの立場から薬の処方や服薬について相談しやすくする上で身近な薬局、薬剤師の役割はますます重要になっております。県では薬の相談窓口としてかかりつけ薬局を持つことを呼びかけるとともに、薬局においてジェネリック医薬品の使用促進にも取り組んでいただいております。 ジェネリック医薬品の使用促進に関しましては、薬局に対し、県内主要病院が採用しているジェネリック医薬品リストを情報提供するほか、処方箋を商品名ではなく、成分名で記載する、いわゆる一般名処方を推進することで、同じ成分の医薬品を複数保有する必要をなくすなど、薬局における在庫管理を効率化し、患者説明を容易にするための支援を行っているところであります。 次に、服薬履歴の電子化に関する御質問でございます。 議員御提案のとおり、服薬履歴をデータ化し、一元管理することは、平時にはポリファーマシーを改善するとともに、正確なデータに基づいた本人や家族の健康管理に役立てられるほか、災害時にはお薬手帳を紛失した場合でも情報把握が可能となるなど、メリットは大きいと考えられます。 ただ、現在ちょうど国におきまして、オンラインを活用した処方箋とお薬手帳を電子化し、連携するシステムの構築が進められているところでございます。今のタイミングで県の独自のシステムを開発しますと、国と県の複数のシステムが並立するということによりまして、さまざまな混乱を招きかねないという懸念もございます。したがいまして、県といたしましては、今後の国の動向を注視しつつ、おくれることなくしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。 なお、県では現在ポリファーマシー対策といたしまして、薬剤師が地域の集会で医薬品の説明と相談を行うお薬相談窓口事業を実施しているほか、今年度、県内の三十五の薬局で主に高齢者の方を対象に藍色のあいバッグを配布いたしまして、患者さんがお持ちのお薬手帳と処方されている全ての薬をこのバッグに入れて薬局へ持参していただく、これによりまして薬剤師が薬の服用状況を確認の上、ポリファーマシーの改善、あるいは薬の飲み残し対策となる残薬管理を行う、お薬見守り事業にも取り組んでおります。 こうした取り組みを通じまして、県民の皆様が一人一冊のお薬手帳を活用し、医薬品の適正使用に向けて行動していただけるよう、しっかりと啓発してまいります。   (中山議員登壇) ◆二十一番(中山俊雄君) それぞれ御答弁いただきました。答弁に対する私の意見を述べさせていただきます。 まず、全国知事会長としての今後の取り組みにつきましては、知事から御答弁をいただきました。飯泉知事が本県のような人口の少ない県から全国知事会長に就任したことは、県民も私も非常に誇りに思っております。一方で、本県は人口減少を初め課題先進県として多くの課題が山積しており、こうした徳島の課題解決に最優先で取り組まれることを県民は求めております。 十一月二十九日、開会日の所信表明の中で、新ホールの建設は市民、県民の芸術文化の創造拠点創出のため、大変重要であると認識していると述べられました。徳島県は二〇一二年に全国初となる二度目の国民文化祭を開催いたしました。地域の魅力と活力の創造につながる徳島ならではの文化力を発信する新感覚の国民文化祭でした。それ以来、文化立県とくしまとして文化の魅力を紡ぎ出す徳島の挑戦を続けてこられております。御答弁いただいたとおり、全国知事会長として地方の課題解決に取り組んでいただけると思いますが、徳島県政史上初の五期目を担う飯泉知事に県民が願うことは、全国知事会長としての成果をいかに徳島県政へと導いてくれるかであり、しっかりと徳島県に軸足を置いて、県と市町村の垣根を越えて徳島がワンチームとなって協力し合えるよう、徳島県のまとめ役となり、将来の布石になる施策を打つことで、県民の皆様が夢と希望にあふれ、やはり飯泉知事でよかったと言われるように、さらなる御尽力をいただきますようお願い申し上げます。 自然エネルギーによる自立分散型電源につきましては、被災時における電力の確保は水の確保と同じくらい重要な課題であります。家庭においても、自然エネルギーへの関心が高まっており、屋根の上に太陽光発電を設置する方がふえております。しかしながら、専ら売電が主で、地産地消には至っておりません。これはまだまだ蓄電池の費用が高く、普及が進まないからではないでしょうか。自然エネルギー協議会会長県でもある徳島ならではの提言で国を動かし、自立分散型電源の普及促進にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 施設の長寿命化に向けた県警察の個別施設計画については、機能のあり方や駐在所の統合による交番設置等の方針を定めた地域警察の再編整備計画とリンクさせ、より実効性の高い策定を目指してまいりたいとの御答弁をいただきました。 改めまして、今後も治安情勢の変化や住民の方々のニーズ等に柔軟に対応できるよう御尽力のほどよろしくお願いいたします。 薬局支援については、地域住民による主体的な健康の維持増進を支援していく上で、かかりつけ薬局との連携は不可欠であり、救急医療や災害時においても共有できる服薬履歴等の電子化については、情報管理のリスクがある反面、診療の継続性確保や公衆衛生の向上につながるメリットも大いに期待できるため、県も率先した取り組みを進めていただくようよろしくお願いいたします。 次に、被災後の地域を支える人材の確保についてお伺いいたします。 今回の一連の台風豪雨災害では、ライフラインの長期途絶や被災地が極めて広域にわたったことによる課題がクローズアップされました。特に台風十九号では、災害救助法が適用される市区町村数は、十月十九日現在、十四都県三百九十一となり、東日本大震災の八都県の二百三十七を大きく上回る広域災害となっております。被害が広域にわたったことにより、被災地では災害ボランティアの確保に苦慮しており、また屋根の修理や汚泥の除去など、専門的な技能が必要な支援も不足しているとのことであります。一部の地域では、こうした状況につけ込み、高額な修理費を請求される事例も出ていると聞いております。応急対策が終了すると、今後、各地で生活再建に向けた取り組みが始まりますが、そうした場面でも、きめ細かい支援を行うための幅広い分野の担い手が必要であり、人材の不足が懸念されるところであります。 私は昨年度、災害に限らず、地域課題の解決に向けたボランティア活動の裾野拡大と後継者の育成確保について質問したところでありますが、近年の災害列島と言われる状況を鑑みますと、特に被災後の地域支援を担う人材の確保は待ったなしという状況ではないかと強く感じております。 こうした人材の確保には、広域支援の枠組みの強化に加え、南海トラフ巨大地震への備えを急ぐ本県としましては、地域のことをよく知る地元人材の育成が長い目で見た場合、やはり最も重要であると考えます。 また、人口減少が続く我が国にあっては、少ない人数でも大きな効果が期待できるIoTやAIを活用できる人材の育成も課題解決に向けた有効な方策と考えます。 そこで、お伺いいたします。 来るべき南海トラフ巨大地震はもとより、今後起こり得る広域災害に備え、被災後の地域を支える人材の確保にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、次代を担う漁業人材の育成確保についてお伺いいたします。 近年、漁業を取り巻く環境がますます厳しくなる中、去る八月に国が公表した漁業センサスによると、平成三十年における全国の漁業者数は十五万二千八十二人と十年前の二十二万一千九百八人から三一・五%減少しております。 一方、本県に目を向けますと、平成三十年における漁業者数は二千四十六人と十年前の二千九百九十九人から三一・八%減少し、全国とほぼ同率の減少であったものの、年齢階層別に見ると、六十五歳以上の高齢者の占める割合が四七・六%と、全国平均の三八・三%と比べ非常に高くなっており、近い将来、漁業集落が衰退してしまうのではないかと心配する声が浜から上がってきております。 こうした中、県では本年七月に策定したとくしま水産創生ビジョン第二期において、浜を支える意欲ある担い手づくりを施策展開の基本方向として定め、とくしま漁業アカデミーを核とした人材育成に取り組んでおり、現在アカデミー卒業生十名が県内で漁業に就業し、定着に向けた支援を受けながら、一人前の漁師を目指して頑張っておられると伺っており、大いに期待しているところであります。 意欲のある漁業就業希望者を全国から本県へと呼び込む、こうした取り組みは水産業の成長産業化に向けた優良事例となっておりますが、漁業は専ら親から子へ引き継がれてきた産業であることから、事業承継による担い手の育成確保もあわせて推進する必要があると考えます。 本県を代表する水産物、ちりめんの原料となるイワシシラスを漁獲するバッチ網漁業の盛んな私の地元、小松島市の和田島漁協においても、網元の高齢化が深刻となっており、せっかく漁業に必要なノウハウがあるのに、事業承継が進まず、廃業する経営体が発生するという非常に厳しい状況となっております。私もこのような状況を大変心配しているところであり、昨年と一昨年の本会議におきまして、漁業の人材育成に関する質問を行い、県から新規就業者の定着に向けた支援体制の充実などの力強い御答弁をいただいたところであります。しかしながら、農業では就業直後の経営自立をサポートする制度があるものの、漁業にはそのような制度が創設されていないなど、経営開始後の支援制度がまだまだ乏しい状況にあると考えます。漁業者が減少傾向にある中、網元の漁家子弟や親戚縁者などが事業承継しやすい環境づくりを進めるため、漁業就業された方が安心して末永く徳島の漁業の現場で活躍できるよう、さらなる担い手支援の充実が不可欠と考えます。 そこで、お伺いいたします。 浜を支える意欲ある担い手の育成確保を図るため、新規就業者の定着促進に向けて今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、AI世代を生き抜くための教育についてお伺いいたします。 ICT機器が急速に普及する中、今後はAI、ロボット、IoTなどの技術革新がさらに進み、日常生活や働き方が急激に変化していくことが想像されます。AIにより今ある仕事が半減するといった話も聞こえてきます。こうしたAI世代をどう生き抜いていくか、徳島の次代を担う若者にはAIを使いこなすことだけではなく、AIができないことをする能力が求められるようになると考えます。具体的には、今までの常識にとらわれない、異なった視点で物事を見ることのできる人間力、みずからの意見を発信できる表現力であります。このような力はかつての詰め込み型の教育であったり、択一的な試験対策のためだけの勉強だけでは決して身につきません。理系と文系両要素を身につけることのできるような文理融合の教育や、学校のみならず、社会や海外に出て多様な経験、そしてみずから考え、その内容をプレゼンテーションする機会を与えることが重要ではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 本県の若者が将来のAI世代で生き抜いていくため、どのような教育に取り組んでいくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただきまして、まとめに入りたいと思います。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 広域災害に備え、災害後の地域を支える人材の確保をどのように取り組むのか、御質問をいただいております。 南海トラフ巨大地震を初めとする広大かつ大規模な災害が発生した場合、被災者の支えとなる共助や公助を担う人材が大きく不足することから、その確保はまさに喫緊の課題であります。そのため、本県では地域防災のかなめとなる地域防災推進員や避難環境の向上に向けた避難所運営リーダー、自治体の広域応援・受援体制の強化に向けた災害マネジメント総括支援員や家屋被害認定調査員などの育成に向けた研修を実施し、幅広い人材の確保に取り組んでいるところであります。 一方、災害直後の救助・救命活動はもとより、その後の被災者の生活再建には災害ボランティアに加え、家屋修理や福祉サービスなどの専門技能、さらには生活相談を初めさまざまな制度に基づく幅広い支援が不可欠となります。 こうしたさまざまな支援の担い手を確保するため、徳島大学の御協力を得ながら、全国に先駆けた事前復興の展開や発展著しいIoTやAIの活用までも視野に入れました研修カリキュラムの再構築を行い、防災・減災から復興まで、幅広い領域にわたる人材育成に積極的に取り組んでいるところであります。 さらには、これまで育成してきた地域防災推進員を対象として、平時はもとより、発災時にも活躍していただけるよう、今年度、新たに救助・搬送などの専門的な技能を習得する実動研修を導入し、応急活動に必要なスキルの向上を図ってまいります。 また、さまざまな専門技能を有する方々が顔の見える関係を構築し、連携できる枠組みづくりの契機とするため、来年の三月、内閣府と共同で官民連携協働研修会を開催し、多様な分野にまたがる連携強化をしっかりと図ってまいります。 自然災害が年々激甚化、また頻発化する、まさに災害列島の様相を呈している中、今後におきましても市町村、関係機関、団体の皆様方と連携し、県を挙げ即戦力となる防災人材の確保育成にしっかりと取り組みを進めてまいります。   (手塚農林水産部長登壇) ◎農林水産部長(手塚俊明君) 漁業におけます新規就業者の定着促進に向けた御質問をいただいております。 漁業者の高齢化や漁獲量の減少など、本県漁業は厳しい状況に直面しております。浜を支える担い手の確保は、まさに待ったなしの状況であると認識しているところでございます。 このため、県では平成二十九年度、誰もが漁業を学べるとくしま漁業アカデミーを開講するなど、意欲ある担い手づくりに積極的に取り組んでまいりました。 こうした結果、アカデミー卒業生十人の皆様が浜の即戦力として、現在県内六地区の漁業現場で活躍されており、県といたしましても、これまでの取り組みに確かな手応えを感じるところでございます。 しかしながら、議員お話しのとおり、アカデミーを核とした新規就業者の確保とともに、例えば和田島地区のバッチ網漁業を初めとする規模の大きい経営体におきましては、家業を承継する子弟の方に対する支援策の充実といった視点も大変重要であると認識いたしております。 そこで、県におきましては、漁業者の子弟を初めとする若手漁業者の経営安定化を支援するため、地方創生交付金を活用した県独自の助成制度を創設するとともに、農業と同様に漁業においても経営開始直後の支援制度を創設するよう、国への政策提言を行ってきたところでございます。 また、漁船取得に係る漁業者負担を軽減するため、県漁連等で構成する事業体が購入した漁船を浜の担い手となる漁業者にリースする国の緊急支援事業を活用し、これまでにアカデミー卒業生を含む十六人の漁業者の方に漁船の新規導入を実現していただいたところでございます。 さらに、今年度、漁船に加え、新たに漁具の取得も対象となった国の新リース事業が開始されたことから、その実施に向けた組織づくりや、制度内容についての漁業者の皆さんに対する周知などに積極的に取り組んでいるところでございます。 今後とも、とくしま漁業アカデミーはもとより、本県独自の担い手支援にさらなる磨きをかけつつ、国の施策も最大限に活用し、漁業者の子弟の皆様を初めとする浜を支える意欲ある担い手の確保や育成、定着にしっかりと取り組んでまいります。   (美馬教育長登壇) ◎教育長(美馬持仁君) 本県の若者が将来のAI時代で生き抜いていくため、どのような教育に取り組んでいくのかとの御質問でございますが、AIが進化・発展し、社会環境が大きく変化する時代においては、本年八月に策定した徳島教育大綱の基本方針に、「未知の世界に果敢に挑戦する、夢と志あふれる「人財」の育成」を掲げていますように、これまでの常識が通用しないような未知の課題に対し、積極的に向き合い、文系や理系、さらには各科目・領域を越え、幅広い視野を持ってその解決策をみずから考え、発信し、実行に移していく力を身につけていくことが極めて重要であると認識しております。 このため、県教育委員会においては、来年度から段階的に本格実施されます新学習指導要領の趣旨を踏まえ、実生活で生きて働く知識及び技能、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力、学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性をバランスよく育む学校教育を進めてまいります。 さらに、各教科の学習のみならず、ビッグデータを活用する力やプログラミング的思考を育成する学習を取り入れるとともに、地域の課題やグローバルな課題に対し、その解決方法を探求する活動を実施し、教科横断的に生徒が主体的に何をできるようになるかといった視点でのカリキュラム開発を進めてまいります。 具体的には、国語力向上タスクフォースの提案を受け、思考力、判断力、表現力の基礎となる読解力を養うため、小中学校の全ての教科等において教科書の内容や問題文の意図、グラフ等が示す意味などを正確に読み取り、主体的、対話的で深い学びへとつなげていく授業改善に取り組んでいるほか、持続可能な社会を実現するためのSDGsの達成に向けたエシカル消費の普及啓発活動や、地域の方々との連携による地域活力の創出を視野に入れた探求活動などの実践を通して、児童生徒のコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力等を高め、他者と協働して問題を解決する力を培ってまいります。 県教育委員会といたしましては、将来のAI世代を牽引することができる人材の育成に向け、徳島ならではの特色ある未来志向の教育施策に全力で取り組んでまいります。   (中山議員登壇) ◆二十一番(中山俊雄君) それぞれ御答弁いただきました。答弁に対する私の意見を述べさせていただきます。 被災後の地域人材の確保につきましては、地域防災のかなめとなる地域防災推進員や避難所運営リーダー等のさらなる養成、発展著しいIoTやAIの活用も視野に入れた事前展開から復旧・復興までの全方位的な人材育成などにより、大規模・広域災害に備え、被災後の地域支援を担う人材確保に取り組むとの心強い御答弁をいただきました。 こうした取り組みは、一人でも多くの県民が防災・減災に関する知識と技能を高め、ひいては地域全体における災害対応力の底上げにつながるものと大いに期待しておりますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 次代を担う漁業人材の育成確保につきましては、本日も傍聴席に小松島漁協の住村組合長、また和田島漁協の今治組合長、鳴滝女性部長を初め多くの漁業関係の方々が傍聴にお越しであります。私がライフワークとしている持続可能な一次産業の確立は、徳島県の発展には不可欠であります。特に和田島のちりめん、小松島のハモやアシアカエビは徳島を代表するブランドであります。先ほども申しましたように、水産業を取り巻く環境は年々厳しさを増しております。収入も不安定なため、担い手が毎年減り続け、漁師さんたちは大変な苦労をされているのです。水産業の成長化とともに、受け皿づくりと定着に向けた支援を着実に進め、水産業を初めとする一次産業に従事している人たちが将来にわたり安心して末永く徳島の現場で活躍できるよう、さらなる施策を展開していただくことを強く要望しておきます。 最後に、AI世代を生き抜くための教育につきましては、美馬教育長より未知の世界に果敢に挑戦する、夢と志あふれる多様な「人財」の育成に全力で取り組んでいくとの御答弁がありました。 今世紀は答えがない時代とも言われております。つまりは、AIには到達できない発想力や思考力などを駆使して、最適な解を見つけ出す能力が求められていると考えます。これは一足飛びには進まない話ではありますが、自分で道を開くには、チャレンジ精神や主体性や行動力、みずからの意見を発信できるプレゼン力など、人間的資質を高める機会の創出が必要不可欠であります。 本日の朝刊には、経済協力開発機構における二〇一八年実施の国際学習到達度調査において、日本の高校一年生の読解力が低下しているとの記事が掲載されておりました。読解力はAIには困難なことですし、読解力が乏しければ、問題を解く際にも支障がありますので、読解力向上について今後もしっかりと取り組みをお願いしていただきたいと思います。 教育委員会には、我が国の未来を担う真の人間力を高める多様な「人財」の育成に引き続き取り組んでいただきたいと思います。 それでは、まとめに入ります。 二〇一四年十二月にまち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定され、県では翌二〇一五年から二〇一九年度の五カ年にわたるvs東京「とくしま回帰」総合戦略を策定し、基本目標といたしまして、新しい人の流れづくり、地域における仕事づくり、結婚・出産・子育ての環境づくり、活力ある暮らしやすい地域づくりの四つの基本的方向を立てて取り組んでこられました。二〇一五年四月の徳島県の推計人口は七十五万九千四十七人で、十一月一日現在の徳島県の人口は七十二万八千二百五十六人です。これは二〇一四年五月の日本創成会議の増田レポートの予測と大きく変わりません。すなわち、地方創生の成果がそれほど出ていないのではないでしょうか。人口減少問題の克服はもう待ったなしであります。地方への人の流れをさらに強化し、加速させるためには、民間との協働が大変重要となるのではないかと思います。県民一人一人が、今住んでいる地域の魅力を掘り起こして、その魅力を発信して、交流人口をふやす仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。 ことしに入り、人を呼び込み、昔の活気ある元気な港町小松島の再生を目指し、既存倉庫や水域の新たな利活用のもと、地元有志がまちづくりプロジェクトをスタートし、小松島港の近くで飲食店がオープンする動きとなっております。万代町のアクア・チッタも多くの人が集まる場所となりました。至るところでにぎわいの創出が始まっております。地域を担おうと立ち上がった人たちを、地域一丸となって応援することこそ、地方創生の第一歩ではないでしょうか。持続可能な社会を実現するためには、多くの乗り越えなくてはならない課題が山積しております。地域が一つになって、そして私たち一人一人が問題意識を共有して、目の前にある課題にしっかりと取り組んでいかなければなりません。これからも皆様のお力をおかりしながら、皆様とともに徳島県の発展のために粉骨砕身、一生懸命走り続けたいと強く思っております。今後とも御指導を賜りますようお願いを申し上げます。 ことしも残すところあと一月を切り、季節が冬へと一気に進み、寒さが厳しくなりました。皆様におかれましては、お体に十分注意され、お元気で健やかに新年をお迎えいただきますよう心より御祈念申し上げます。 夕暮れが早くなり、暗くなるのがすごく早くなっております。皆さんにおかれましては、お気をつけてお帰りください。 これで私の全ての質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(喜多宏思君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。   ──────────────────────── ○議長(喜多宏思君) 本日は、これをもって散会いたします。      午後四時十七分散会   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △欠席届                           徳監第1088号                         令和元年12月2日 徳島県議会議長   喜 多 宏 思  殿               徳島県代表監査委員   矢 田   等               欠   席   届 令和元年12月4日及び12月5日の徳島県議会本会議に、都合により出席することができませんのでお届けします。 なお、代理として、代表監査委員職務代理者 近藤光男を出席させますので、よろしくお願いします。...