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  1. 山口県議会 2022-02-01
    03月07日-02号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    令和 4年 2月定例会   令和四年二月山口県議会定例会会議録 第二号      令和四年三月七日(月曜日)  ────────────────────        議事日程 第二号      令和四年三月七日(月曜日)午前十時開議  第一 代表質問  第二 議案第一号から第五十七号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第五十七号まで                会議に出席した議員(四十七人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          髙   瀬   利   也 君                          酒   本   哲   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          二   木   健   治 君                          宮   本   輝   男 君                          藤   本   一   規 君                          高   井   智   子さん                          猶   野       克 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          小 田 村   克   彦 君                          曽   田       聡 君                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          岡       生   子さん                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          松   浦   多   紋 君                          守   田   宗   治 君                          森   繁   哲   也 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          畑   原   勇   太 君                          磯   部   登 志 恵さん                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          有   近   眞 知 子さん                          森   中   克   彦 君                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          坂   本   心   次 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          国   本   卓   也 君                会議に欠席した議員(なし)                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         平 屋 隆 之 君                    総務部長        内 海 隆 明 君                    総務部理事       藤 田 昭 弘 君                    総合企画部次長     池 田 博 之 君                    産業戦略部長      平 野 展 康 君                    環境生活部次長     京牟礼 英 二 君                    健康福祉部長      弘 田 隆 彦 君                    商工労働部長      小 関 浩 幸 君                    商工労働部理事     三 浦 健 治 君                    観光スポーツ文化部長  三 坂 啓 司 君                    農林水産部長      松 岡 正 憲 君                    土木建築部長      和 田   卓 君                    会計管理局長      内 畠 義 裕 君                    財政課長        稲 垣 嘉 一 君                    公営企業管理者     正 司 尚 義 君                    企業局長        山 本 英 信 君                    教育長         繁 吉 健 志 君                    副教育長        西 村 和 彦 君                    公安委員長       弘 田   公 君                    警察本部長       中 西   章 君                    代表監査委員      河 村 邦 彦 君                    監査委員事務局長    本 多 昭 洋 君                    労働委員会事務局長   松 田 一 宏 君                    人事委員会事務局長   大 田 淳 夫 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        前 田 安 典 君                    事務局次長       粟 屋   桂 君                    総務課長        原 田 和 生 君                    議事調査課長      柳 原 廉 均 君                    政務企画室長      白 井 雅 晃 君                    秘書室長        嶋 田 英一郎 君                    議事調査課主幹     作 本 真 得 君                    主査兼議事記録係長   益 本 悟 史 君                    主任          河 村 美也子さん                    主任          賀 山 智 江さん                    主事          高 尾 大 輝 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ─────────────    諸般の報告 ○議長(柳居俊学君) この際、諸般の報告をいたします。 報告事項は、お手元に配付のとおりでございます。   ───────────── △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第五十七号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 友広巌君。    〔友広巌君登壇〕(拍手) ◆(友広巌君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の友広巌です。令和四年二月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事、教育長及び警察本部長に質問をいたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 先月二十四日、ロシアのプーチン大統領は、国際社会の反対を押し切り、隣国ウクライナに対する軍事攻撃に踏み切りました。さきの本会議でも、抗議決議が採択されましたが、れっきとした主権国家に対する明白な侵略行為であり、東西冷戦後の国際秩序への無謀な挑戦だと言わざるを得ず、断じて許すことはできません。県議会の動きと歩調を合わせ、県内の多くの市町議会においても、同様の抗議決議が次々と採択されています。 侵攻開始後のロシアは、停戦協議のテーブルに着きながらも、一方では、軍事攻撃をやめることはせず、ウクライナの非軍事施設への攻撃を増加させるなど、侵略の度合いを一層強めています。 これに対し、国際社会では、我が国を含む関係国がロシアに対して厳しい経済措置、制裁措置を科すとともに、三月二日の国連総会の臨時特別会合でも、欧米や日本など合わせて百四十一か国が賛成し、ロシアを非難する決議が採択されるなど、ロシアの国際的な孤立が深まりつつあります。 我々は、自由民主主義陣営の一員として、プーチン政権に対し、断固たる制裁による重い代償を払わせ、その軍事、政治的野望の達成を阻止することに全力を挙げて取り組む必要があります。 力による現状変更が国際社会で通用しないことを、侵略者に突きつけることができなければ、今後、世界中で同様の事態が起こりかねません。台湾や尖閣諸島周辺で挑発行為を続け、今回のロシアによる軍事攻撃を侵略だと認めない中国、また、間隙を縫って弾道ミサイルを発射した北朝鮮の動向からも、こうした事態が、日本を含む東アジアにおいても例外でないことは明らかです。 核兵器をちらつかせ、圧倒的な軍事力による一方的な現状変更の試みに直面した今、自国の領土は自らの手で守り抜くという覚悟はもちろんのこと、日米同盟を基軸とした国際連携のさらなる強化を進めていく必要があることを、改めて痛感をしたところであります。 さて、昨年以降、県内でオミクロン株に起因したコロナ感染が急拡大する中で選挙戦となりましたが、村岡知事におかれては、圧倒的な得票率により、三選を果たされました。まずもって心からお祝い申し上げます。 このたびの知事選挙は新型コロナ対応のため、候補者本人が遊説を控えるという異例の選挙戦となりました。選挙期間中、村岡候補の思いを直接聞きたかったという県民の意見も頂いたところではありますが、私ども自由民主党県連が総力を挙げて戦い、党推薦、村岡嗣政候補の圧倒的な勝利につなげることができたと確信をしているところです。 これからの四年間、村岡知事におかれましては、まずは当面するコロナの危機を乗り越えるとともに、山口県の明るい未来をつくり出すだめの挑戦をし続けていただきたいと考えております。 我が会派といたしましても、県政における最大与党として、知事の県政運営をしっかりと支え、安全で安心して暮らせる、未来に希望が持てる山口県を築き上げるよう、全力を挙げて取り組んでまいる決意であることを申し上げ、通告に従い、質問をさせていただきます。 初めに、今期の県政運営についてお尋ねをいたします。 村岡県政もいよいよ三期目に入りました。これからの四年間の県政運営について、県民の負託を受けられたわけであり、今期は、これまで以上に山口県の発展に向けて、村岡県政が何を成し遂げたかが問われる大切な四年間となります。我が党としても、本県の未来に対する責任をしっかりと果たしていく所存です。 その極めて重要な三期目の県政運営について、知事は、さきに公約でも掲げられた、新型コロナから県民の命と暮らしを守り抜く、地域経済再生にしっかりと取り組む、三つの維新をさらに進化させ山口の新たな未来に向けた県づくりを前に進めていくとの三つの方向を示されました。 コロナ禍はいまだ収束せず、医療・福祉現場で働くエッセンシャルワーカーの皆さんや飲食業をはじめとした多くの事業者の方々の切実な声を県政に届けてきた我が会派としましても、こうした方向を評価をしておりますが、まずは目の前にあるコロナ対策と地域経済の再生に、先手先手の対策を講じながら、しっかりと取り組まれるよう、改めてお願いをいたします。 他方、本県を含め、我が国は人口減少、少子高齢化がやむことなく進行しており、その中にあって、いかにして質の高い経済社会を維持し、さらに発展をさせていくかという大きな命題を抱えています。これにどのような道筋をつけていくかが国にも地方にも問われ続けているのです。 知事が掲げられた山口の新たな未来づくりに向けては、こうした状況の中で、知事が本県の未来にどのようなビジョンを持っておられるのか、今期で解決しようと考える課題や、特に力を入れていく政策は何かを県民の皆さんに伝え、共感を持ってもらうことが何よりも重要です。 また、国の進めるデジタル田園都市国家構想や人への投資などともしっかりと連携しながら、力強く成長する地域経済、社会への変革に取り組んでいかなければなりません。 そのためには、知事のビジョンを、乗り越えるべき課題を県政の新たな指針として形にし、県民にしっかりと示すことが必要と考えます。人口減少の克服をはじめ、様々に変化する県政課題に対して、知事のリーダーシップにより、分野を超えて英知を結集し、デジタル改革などをてことして、山口の新たな未来に向けた確かな道筋をつけていただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。三期目のスタートに当たり、今後の県政運営の基本的な考え方と、その一年目に当たる令和四年度当初予算の考え方について、併せて御所見をお伺いをいたします。 次に、コロナ下での社会経済活動の再開についてお尋ねをいたします。 最近の経済情勢を見ますと、日銀下関支店による企業短期経営観測調査によれば、昨年十月から十二月にかけての業況判断は、製造業、非製造業ともに改善しました。中でも、宿泊・飲食サービスなどの非製造業の改善具合が大きく、これは、四度目の緊急事態宣言が昨年九月末の期限で全面的に解除されたことで、外食や旅客輸送などのサービス消費が大きく伸びたことが影響したものです。 これからは、感染拡大が収まり、経済活動も次第に回復していくと思われていましたが、本年一月以降には、感染力の高いオミクロン株が猛威を振るい始め、本県をはじめ全国各地で、まん延防止等重点措置が適用される事態となりました。 飲食店では、会食自粛の広がりにより、新年会のシーズン需要を失い、歓送迎会など先の需要についても見通しが立たない状況となっています。酒・食材等の納入業者や生産者、タクシーや運転代行業などの関連事業者も同様です。 また、旅行業、宿泊業、運輸業は、コロナ禍以前の水準への回復がままならない中、何度もキャンセルが相次いで、不況のどん底からはい上がれていません。 寄せては返す波のように繰り返される新型コロナウイルスの影響により、県内の飲食や観光をはじめとした事業者は、依然として大きく疲弊をしております。我が党にも、先行きを不安視する声、国や県など行政のさらなる支援を求める声を多く頂戴をしております。 先般、国においては、事業規模約七十八・九兆円のコロナ克服・新時代開拓のための経済対策が決定され、感染対策やポストコロナを見据えた地方創生に向けた臨時交付金の措置など、総合的な経済対策により、コロナ禍で傷んだ経済を立て直し、成長軌道に乗せる方針が打ち出されました。 本県においても、これまで時短営業を余儀なくされる事業者への協力金や売上げが減少する事業者に対する支援金が措置されてきました。このたびの当初予算案においても、コロナ禍に対応した活動を行う事業者への支援や需要喚起策など、我が党の要望を通じてお届けをした事業者の声をしっかりと受け止められ、本県経済の回復に向けて、現状下で必要な様々な支援策を計上されています。 今後は、三回目のワクチン接種の進展に応じた経済の回復を大いに期待をしていますし、そのためにもまずはしっかりと感染防止対策の徹底を図ることにより、県民に安心・安全を提供していくことが重要となります。 こうした中、本県では、一月下旬から新規感染者数が減少傾向に転じ、先月二十日をもって、まん延防止等重点措置は解除されました。これからは、疲弊した事業者の事業継続から回復軌道に乗せていくため、官民一体となった需要喚起策を展開し、民需主導の力強い本県経済の発展的再生を図ることが重要であると思うのです。 そこでお尋ねをいたします。感染拡大のリスクを適切に管理しながら、一日でも早く通常の社会経済活動を再開し、コロナ禍で傷んだ地域経済を回復させる必要がありますが、今後、どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、産業戦略の推進についてお尋ねをいたします。 村岡知事は、平成二十六年二月に就任されて以来、我が会派も強く推進してきました産業力の強化を、県政運営の重要な柱として位置づけ、県独自の産業戦略を構築し、推進してこられました。 その結果、道路や港湾など産業を支えるインフラの整備をはじめ、これらの充実した産業基盤と相まった企業誘致が着実に進んできました。 医療・医薬品分野では、医薬品生産額が二〇二〇年には四千七百六十八億円と、就任時点から約二・四倍に増加し、さらに新規雇用の創出は五千人を超えています。 こうした産業戦略の推進により、本県経済の基盤をしっかりと支えてこられたことを、我が会派としても高く評価をしています。 一方で、本県産業を取り巻く環境は四年前とは様相を異にしています。デジタルトランスフォーメーションの加速、脱炭素化の潮流、米中対立に伴うサプライチェーンの分断や緊迫する国際情勢、資源高騰など、時代の大きなうねりを感じるほどに、不確実な要素が多く存在しています。 とりわけ、脱炭素化への対応は、我々も繰り返し述べてきましたように、石炭火力の活用度合いが大きい基礎素材型産業や排ガス規制に直面する自動車産業が基軸をなす本県産業にとっては、極めて影響が大きい課題です。また、農林水産業や中小企業にも影響のある幅広い課題でもあります。 現在、特別委員会の提言が取りまとめられているところですが、自民党会派としても、地元産業界の実情が県の政策や国への要望に反映されるよう、引き続き、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。 こうした様々な不確実性の中でも、本県の基幹産業は海外需要を取り込みながら、その高い品質と技術力で業績を伸ばし、多くの雇用を維持しています。この力強い産業力が本県の経済社会発展のエンジン役であることは、三期目の村岡県政においても変わりはありません。 様々な企業がDXや脱炭素化への対応などに果敢に取り組まれ、直面する課題を乗り越えようとされています。競争環境が大きく変化をしている中にあっても、県内産業が競争力をさらに高めていけるよう、県としても、その現状に寄り添った実効性のある産業戦略を講じていかなければなりません。 産業インフラの整備や企業集積などの成果をさらに伸ばしながら、生産性の向上や成長分野への投資、イノベーションの促進に、時代の変化も見据えてしっかりと取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。脱炭素化への対応など、本県産業が直面する大きな課題を乗り越え、本県産業がさらに成長するための産業戦略の推進に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、医療提供体制の強化についてお尋ねをいたします。 昨年末から、オミクロン株による感染拡大では、第五波のデルタ株を大きく上回る感染者・療養者が発生するなど、瞬く間に県下全域に拡大し、本県では初めてのまん延防止等重点措置が適用されました。 県における集中対策や医療従事者をはじめとした関係者の皆様の御尽力により、第六波感染拡大は収束に向かってはいるものの、コロナとの闘いは今後も長期化が想定され、引き続き予断の許さない状況が続いています。 こうした中、これまで幾度とない感染拡大により、本県における感染症医療・救急救命医療等の専門人材の育成やICUの整備の必要性・重要性を再認識させられました。加えて、多様化・高度化する医療ニーズへの対応、高齢化の進行等を背景とする循環器系・呼吸器系の疾病の増加、僻地の医師不足等、乗り越えるべき様々な課題が積み重なる中、県民が健康で安心して暮らしていくためには、本県の総合的な医療提供体制の強化が、これまで以上に求められています。 昨今のコロナ感染症の対応において、県立総合医療センターは、県内唯一の第一種感染症指定医療機関として、全県からのコロナ重症患者等の受入れを行ってきました。また、重症化を抑える効果が期待をされる抗体カクテル療法の専用外来を県内で初めて開設・運営するなど、県民の命と健康を守る医療を最前線で提供をしています。 さらには、県立総合医療センターは、総合周産期母子医療センター基幹災害拠点病院救命救急センター地域がん診療連携拠点病院としての役割を担うなど、他の医療機関で担うことが困難な高度専門医療や不採算医療などに対し、積極的に取り組んでいます。 また、医師派遣による僻地医療の支援や専門医・総合医の育成など、地元のみならず、県域全体の医療を支える中核的な役割を担っています。 本県の医療提供体制のさらなる強化に向けては、県立総合医療センターが持つ機能を一層強化をする必要があることは、言うまでもありません。 しかしながら、昭和五十八年に竣工した本館棟は老朽化が著しく、繰り返しの修繕も限界を迎えています。併せて、救急棟や周産期棟など、増改築等により狭隘化も進行しており、新たな施設の建築や駐車場スペースなどの確保等も困難な状態となっています。 県立総合医療センターが本県医療の中核的役割を果たし、医療提供体制の強化に向けた取組を加速化させるためには、早期建て替えを進めることが不可欠です。 こうした状況を踏まえ、私ども自民党県連では、県立総合医療センターの建て替えによる感染症対応をはじめとした医療提供機能医療人材育成機能の強化を、超重点要望として位置づけ、去る一月十一日、村岡知事に対し要望を行ったところです。 知事におかれては、私どもの要望をしっかりと受け止められ、県立総合医療センターのさらなる機能強化に向けた検討を行い、基本構想を策定するための経費をこのたびの当初予算に計上されました。 今後は、関係者や専門家等の意見を踏まえながら、スピード感を持って検討を進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねをいたします。本県の医療提供体制の強化に当たっては、県立総合医療センターが本県の感染症医療、高度専門医療等の拠点、専門医・総合医の育成等の中核的な役割を果たせるよう、県立総合医療センターの建て替えによる機能強化を早急に進めていく必要があると思いますが、県は医療提供体制の強化について、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、教育行政についてお尋ねをいたします。 いわゆるSociety5・0時代の到来により、昨今、あらゆる場面でデジタル化が急速に進み、それに伴い産業構造や社会システムなど、社会の在り方そのものが大きく変化しつつあり、その変化は今後もさらに加速することが予想されます。 これからの時代を担うこととなる全ての子供たちには、変化に対応し、予測不可能な未来社会を力強く生きていくための教育を進めることが重要となります。 こうした中、本県では、国のGIGAスクール構想の前倒し等を背景に、全国に先駆けて一人一台端末の準備を進め、今年度から全ての県立学校においてICTを利活用した教育に取り組まれています。 現在、本県の学校現場では、先生からの出題に対して生徒が端末で回答し、その回答が電子黒板に一覧で表示されるとともに、その内容をクラス全員で共有しながら先生が解説するなど、ICTの活用により、一昔前では考えられなかった教育活動が行われております。 また、何度も流行を繰り返す新型コロナウイルス感染症により、学級・学年閉鎖や臨時休業等の措置を伴い、やむを得ず登校できない状況に至った場合にも、一人一台端末を活用して自宅で学習を継続するなど、子供たちの学びを止めないための取組も進められています。 このように、本県教育においては、ICT環境が整備をされ、学びの現場にICTが導入されましたが、これで全ての取組が完了するものではありません。重要なのは単に整備をすることではなく、教育の充実に向けてどう活用していくかであって、これから真価が問われることになります。 こうした中、先月、国においては、次期教育振興基本計画の策定について、村岡知事も委員を務めておられる国の中央教育審議会に諮問されました。その中においても、今後迎える超スマート社会を念頭に、オンライン教育を活用する観点からのデジタルと従来の対面授業などのリアルを最適に組み合わせた教育等の必要性が指摘されています。 また、先日示された、本県における県立高校将来構想の最終案の検討資料では、教育活動の充実に向けて、これまでの教育実践とICTのベストミックスによる授業改善などをはじめとした、ICTを活用した教育の推進が掲げられ、ICTを活用した教育を一層充実させていくこととされています。 ICT環境の整備が進んだ本県では、まさにこれらを真に実現できる優れた環境を有しており、少子化が進む中にあっても、本県の将来を担う人材の育成に向けて、そのアドバンテージを生かした取組をしっかりと進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねをいたします。全国に先駆けて整備をしたICT環境の活用による本県教育のさらなる充実について、県教委は今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたします。 最後に、警察行政についてお尋ねをいたします。 本年一月二十六日付の人事異動により、第三十八代目の山口県警察本部長として、中西章警視長が着任をされました。中西本部長は、着任の会見において、被害者に寄り添い、変化に対応できるしなやかな組織を目指し、山口県民の安全・安心を守り抜く覚悟であると抱負を語られました。 私も一人の山口県民として、中西本部長の力強い言葉を聞き、大変頼もしく感じ、また、しっかりとしたリーダーシップを発揮していただき、県内の治安維持、県民の安全・安心を確保していただきたいと、大きな期待をしています。 県内の治安情勢に目を向けますと、昨年中の刑法犯の認知件数は、前年を下回り、交通事故発生件数についても減少を続け、交通死亡事故については昭和二十六年の統計開始以後最少件数を更新し、死者数が三十四名となるなど、一見、県民にとっては喜ばしい状況であるとも見受けられます。 しかしながら、昨年中は県警が各種対策を講じているものの、県内におけるうそ電話詐欺被害が増加をし、百八件発生、約二億七千万もの被害が発生しており、中には、警察や官公庁を名乗るものによる手口もあり、悪質巧妙化し、多くの県民が被害に遭われています。 また、先ほど申しました、交通死亡事故件数は過去最少となっているものの、交通死亡事故者に占める高齢者の割合が約六割であるなど、集中的な対策の必要性があるものと感じています。 全国的にも、列車などの公共交通機関における無差別殺傷とも言える事件や猟銃を使用した立て籠もり殺人など、住民に大きな衝撃と不安を与えた事案も発生しています。 このほかにも、虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した数や配偶者や恋人からの暴力、いわゆるDVの相談件数は共に過去最多を更新しています。また、新たな脅威としてSNSを活用した誘拐事案等、県民の安心な生活を脅かす治安上の課題が多くあり、警察庁が行った治安に関するアンケートでは、治安の悪化を感じている人の割合が六割を超えており、体感治安が悪化していることがうかがえます。 こうした厳しい情勢を踏まえ、県警察におかれては、県民に不安を与える治安課題に積極果敢に取り組んでいただき、県民一人一人が安心して暮らせるまちづくりに御尽力を頂きたいと強く願っています。 そこでお尋ねをいたします。山口県民一人一人の安全・安心を守り抜くため、今後どのように取り組まれるのか、このたび着任をされた警察本部長の御所見をお伺いをいたしまして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 友広議員の代表質問にお答えします。 まず、私の三期目の県政運営についてのお尋ねです。 新型コロナウイルスの影響が長期化する中、県政最大の課題である人口減少や少子高齢化も、依然として進行しています。これらの難題に引き続き立ち向かい、山口県の確かな未来を切り開いていかなければなりません。 これからの知事三期目の四年間、私は、直面するコロナの危機から県民の皆様の命と健康を守り抜き、大きく傷んだ社会経済を再生させて、山口県の元気を取り戻す、そして同時に、その先を見据え、本県の新たな未来をつくっていく取組をしっかりと前へ進めてまいる決意です。 そのために、まずは、いまだ収束が見通せないコロナへの対応に引き続き万全を尽くすとともに、事業活動の維持・発展への支援や需要喚起等による地域経済の回復に最優先で取り組んでまいります。 この考えの下、来年度当初予算案では、全国トップクラスの医療・療養体制と一日最大八千件の検査体制の維持、ワクチンの三回目接種の四月末完了に向けた支援など、感染拡大防止対策を強化するとともに、県民生活の安定に向けた対策のさらなる充実を図ったところです。 また、中小企業制度融資の融資枠の確保等による資金繰り支援や、これまでにない大規模な消費需要喚起策などを実施し、コロナによって傷んだ県内経済をしっかりと下支えし、力強く再生させていきます。 そして同時に、本県の新たな未来に向け、感染拡大を契機とした人々の意識や価値観の変化と、デジタル化をはじめとする社会変革の動きをチャンスと捉えて、これまで取り組んできた三つの維新をさらに進化させ、より高いレベルの安心の確保と成長の実現を目指してまいります。 このため、来年度においては、いかなるときにも県民生活の安心を確保していくことができるよう、本県医療の中核的な役割を担う県立総合医療センターの機能強化の検討をはじめ、医療・介護や子育て支援等の一層の充実を図ります。 成長の実現に向けては、全国に先駆けて取り組んでいるやまぐちデジタル改革を加速し、産業面はもとより、県政各分野でのデジタル技術の活用と社会実装を推進するほか、本県への新たな人の流れの創出・拡大や、新たな時代に対応した人づくり等の取組を強化することとしています。 こうした県づくりを前に進めていくためには、本県が目指すべき将来像を示して、施策の方向性を定め、市町をはじめとする多様な主体と思いを共有し、そして連携・協働しながら、取組を計画的・戦略的に推進していくことが重要です。 また、お示しのように、国の政策ともしっかりと連携し、デジタルによる地域活性化や本県の将来を担う人材の育成あるいは官民連携による脱炭素社会づくりなど、新たな課題にも積極的に取り組んでいかなければなりません。 このため、私は、三期目の県政運営の指針となる新たな総合計画を策定することとし、県議会での議論も踏まえながら、本年中を目途に取りまとめたいと考えています。 県政を取り巻く現状を踏まえれば、未来に向けた県づくりの挑戦は厳しい道のりが予想されるところですが、私は、将来にわたって、県民の皆様の安心・安全をしっかりと確保し、希望と活力に満ちた山口県を必ず実現する、この強い決意で、今後の県政運営に全力で取り組んでまいります。 次に、コロナ下での社会経済活動の再開についてのお尋ねにお答えします。 長期化する感染症の影響は、飲食や観光をはじめ、関連する産業など、幅広い業種の事業者に広がっており、地域経済が大きく傷んでいます。また、年明けからの感染急拡大は全国的には依然として高い水準が続いており、予断を許さない状況にあります。 こうした状況を踏まえ、私は、ワクチン接種やPCR検査の支援、飲食店におけるさらなる認証取得の促進など、感染防止対策の徹底を図るとともに、大きく落ち込んだ社会経済活動をしっかりと再開、拡大していくことが、極めて重要と考えています。 このため、来年度予算では、感染拡大に係るリスク管理を進めながら、事業者が厳しい状況を乗り越えられるよう、県内経済の下支えを図るとともに、大きく落ち込んだ需要を取り戻す様々な喚起策を強力に展開してまいります。 まず、県内経済の下支えに向けては、県制度融資の経営安定資金において十分な融資枠を確保するほか、新型コロナウイルス感染症対応資金に係る利子補給や返済計画見直しにより必要となる信用保証料の補助を継続するなど、資金繰りを支援します。 また、拡大する電子商取引市場において、大手ECサイトを利用したやまぐちフェアの開催による販路拡大や、外国人材受入れに必要となる経費の補助による安定的な人材確保などを支援し、事業の継続・活性化を図ります。 次に、消費需要の喚起に向けては、観光をはじめ、飲食や県の県産農林水産物など、様々な分野における需要を強力に喚起するため、予算総額百億円、事業規模三百億円を超える規模で支援策を実施することとしています。 まず、店舗の資金支援と消費需要の喚起を図るため、クラウドファンディングを活用し、消費者が様々な店舗のプレミアムつきチケットを購入する、頑張るお店応援プロジェクト事業について、前回同様にプレミアム率を五〇%とし、規模を三倍に拡充して実施します。 また、観光の分野においては、国の事業を活用した全国規模の需要喚起策として、旅行商品の割引やクーポン券の発行を行う「Go To やまぐち事業」を実施することにより、観光事業者の反転攻勢を強力に後押しし、観光のV字回復に向けた好循環を創出します。 さらに、飲食店や食材を提供する農林漁業者を支援するため、やまぐち安心飲食店等で利用できる、本県独自のやまぐちプレミアム食事券を販売し、飲食需要の拡大を推進します。 加えて、消費の低迷が続き、大きな影響を受けている県産農林水産物の需要回復・拡大と生産者の経営安定を図るため、県産米の増量販売や花卉、日本酒、高級魚加工品の割引販売を行うキャンペーンを実施します。 私は、今後とも、感染拡大防止対策の強化を図りながら、国の経済対策にも呼応し、官民一体となった大胆な需要喚起策を効果的に実施することにより、早期に社会経済活動を回復させ、コロナ禍で傷んだ地域経済の発展的再生に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、産業戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 私は、「活力みなぎる山口県」を実現するためには、地域の活力源である強い産業力をつくることが極めて重要と考え、やまぐち産業イノベーション戦略に基づき、産業界や関係機関と一体となって、本県の高度技術や産業集積を生かした産業戦略を積極的に推進してまいりました。 この結果、港湾や幹線道路網の整備、島田川工業用水道の給水開始などの産業インフラの充実をはじめ、二百件を超える企業誘致と五千人超の新規雇用創出、医薬品原薬生産額全国一位の実現など、目に見える成果が着実に上がってきています。 一方、新型コロナウイルスを契機としたデジタル化の動きやサプライチェーンの分断リスクなど、産業界を取り巻く環境は大きく変化しており、とりわけ脱炭素の潮流は、多くのエネルギーを必要とする基礎素材型や輸送用機械関連産業が集積する本県にとって、極めて大きな課題となっています。 私は、本県産業がさらなる成長を遂げるためには、環境の変化や直面する課題への対応を、新しい時代をリードしていく好機と捉え、大胆な投資やイノベーション創出につながる企業の前向きな挑戦を全力で後押ししていく、このことが県の役割であり、これにしっかりと取り組むことが重要と考えています。 このため、まず、喫緊の課題である脱炭素化に向けては、企業が挑戦しやすい環境をつくるため、企業等との協働の下、全国的にも優位な次世代燃料の製造技術等を生かしたコンビナート低炭素化構想の策定を進めます。 また、港湾については、国際バルク戦略港湾施策を進めている徳山下松港において、バイオマスの輸入拡大を踏まえ、当面のベースエネルギーの輸入拠点港としての整備を促進するとともに、水素・アンモニア等次世代エネルギーの供給拠点化に向けたカーボンニュートラルポート形成計画の策定に取り組みます。 さらに、自動車産業における電動化シフトに向けては、電動車の分解部品を活用して、その構造的特徴やコア技術を、県内企業が専門家とともに調査・分析する場を新たに設けるなど、サプライヤーの事業転換や新素材・技術の創出等を進めることとしています。 同時に、企業の生産性向上等に大きく寄与するデジタル化に向け、引き続き5GやAI等を活用した実証に取り組むとともに、新たな補助制度を創設し、デジタル技術の実装を支援するほか、医療や環境関連など成長分野における研究開発・事業化の促進や、製造拠点の国内回帰等を踏まえた企業誘致を強力に進めていきます。 本県産業が直面する課題の克服は、決して容易ではありませんが、私は、今後予定されている県議会特別委員会の提言をしっかりと踏まえ、企業に寄り添った産業戦略を推進し、本県の経済と雇用を支える産業力の強化に全力で取り組んでまいります。 次に、医療提供体制の強化についてのお尋ねにお答えします。 私は、新型コロナウイルス感染症に対応する中で、何より大切な県民の命と健康を守るため、本県の医療提供体制を一層強化することの重要性を改めて強く感じています。 お示しのとおり、県立総合医療センターは、本県唯一の第一種感染症指定医療機関として、新型コロナ感染症においても、他の医療機関では対応困難な患者を受け入れ、また、救急・周産期、がん医療等高度専門医療や、僻地医療の拠点として、県全体の医療を支える中核的な役割を担っています。 今後、県民から求められる医療ニーズが、ますます多様化・高度化する中、私は、医療面におけるより高いレベルの安心を将来に向けて確保するためには、県立総合医療センターの機能を抜本的に強化し、本県の医療提供体制を万全なものとする必要があると考えています。 このため、今年度、県立総合医療センターに調査検討会を設置し、同センターの現状や課題、感染症、救急及び僻地医療等の各医療分野や高度専門医療人材の育成など、求められる機能等について、様々な観点から検討を進めてきたところです。 この検討結果を踏まえると、県立総合医療センターの機能強化のためには、高度専門医療のための医療設備の導入、今後とも起こり得る新興感染症への対応、さらには、僻地医療の充実に向けた5G環境の整備など、施設の大規模な再整備が必要です。 また、病院本館は建設後三十八年が経過し、老朽化・狭隘化が著しく進行しており、施設の修繕や増改築では限界があることも鑑みると、建て替えが不可欠であると考えています。 このため、私は、県立総合医療センターが将来にわたって本県医療の中核的役割をしっかりと果たせるよう、アクセス性や患者の受療動向等も考慮し、同センターを近隣に全面的に建て替えることを基本に、機能強化に関する基本構想を来年度中に策定してまいります。 この基本構想においては、本県の医療提供体制における県立総合医療センターの役割や医療機能のほか、建設候補地及び整備スケジュールなどを取りまとめ、また、策定に当たっては、県に外部の有識者からなる検討組織を設置し、県議会や広く県民の御意見をお聴きしながら進めてまいります。 私は、県立総合医療センターが、将来にわたって、本県の感染症医療、高度専門医療等の拠点としての中核的役割を一層果たせるよう、今後、スピード感を持って、抜本的な機能強化を進め、県民の皆様が安心できる医療提供体制の充実強化に、全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君)     〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 教育行政についてのお尋ねにお答えします。 Society5・0時代が到来しつつある中、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする社会全体の変革などに主体的に対応する資質・能力を育成するため、学校においては、ICT環境を効果的に活用して、子供たち一人一人の可能性を最大限に広げる教育が求められています。 このため、県教委では、これまで蓄積してきた教育実践とICTなどの最先端の技術を最適に組み合わせ、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させる授業改善の推進に取り組んでいるところです。 こうした中、国においては、お示しのとおり、オンラインの活用など、デジタルとリアルを最適に組み合わせた教育の必要性を指摘しており、全国に先駆けて一人一台タブレット端末の整備を行った本県では、そのアドバンテージを、今後、どのように生かしていくのかが重要であると考えています。 こうしたことから、県教委では、やまぐちデジタル改革基本方針の「デジタル・魁プロジェクト」に、やまぐちスマートスクール構想推進プロジェクトを位置づけ、ICT環境を効果的に活用した教育活動のさらなる充実・発展を図ることとしています。 具体的には、高校生のICT活用のスキル向上を目的に、本年度実施したやまぐちICT活用コンテストを、来年度は小中学生にも対象を拡大するとともに、総合支援学校の子供たちにとって特に重要となる社会体験活動をより充実させるため、新たに、VRを活用した職場体験や公共施設の利用体験などに取り組んでまいります。 また、新たな学びの機会を創出するため、一人一台タブレット端末を用いての全県合同の課外授業や資格取得のためのオンライン講座、海外との遠隔授業など、時間と空間を超えた教育活動の充実にも努めてまいります。 さらに、誰一人取り残すことのない学びの実現に向けて、障害や疾病等により通学が困難な児童生徒に対して、分身ロボットを活用して学びの機会を保障する取組を継続するとともに、不登校等の理由により、学校で直接相談することが難しい児童生徒に対し、オンラインを活用した相談・カウンセリングを実施する取組を推進してまいります。 こうした取組を推進するためには、ICTを活用して教育活動を行う教員の資質・能力のさらなる向上が必要であることから、ファシリテーション技術やICT活用に関する教員向けの研修コンテンツを作成し、各学校で活用するとともに、独立行政法人教職員支援機構と連携して、ICT活用推進リーダー養成研修を実施することとしています。 県教委といたしましては、本県の将来を担う人材の育成に向け、優れたICT環境を最大限に活用し、新たな時代を見据えた教育の充実に全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 中西警察本部長。    〔警察本部長 中西章君登壇〕 ◎警察本部長(中西章君) 山口県民一人一人の安全・安心を守り抜くための取組についてお答えいたします。 県内の治安情勢につきましては、議員お示しのとおり、刑法犯認知件数や交通事故件数が年々減少を続けている一方で、うそ電話詐欺被害やストーカー、DV等の人身安全関連事案については、依然として高い水準で推移しているほか、交通死亡事故に占める高齢者の割合も高く、県内の治安情勢はいまだ厳しい状況と認識しております。 県警察としては、これらの課題に組織一丸となって、的確に対応していくことが重要であると考えております。 そこで、まず、犯罪から県民を守る対策として、制服警察官による街頭活動を一層強化し、県民が身近に感じる不安の把握と解消に努めるとともに、犯罪の検挙や抑止対策を推進してまいります。 ストーカー、DV等の人身安全関連事案については、被害者の安全確保と危険排除を最優先として、関係機関と緊密に連携して対処してまいります。 うそ電話詐欺に対しては、うそ電話詐欺警戒警報の発令や最新手口などの情報発信、金融機関やコンビニエンスストアと連携した水際対策を推進するとともに、犯行グループの検挙を徹底してまいります。 そのほか、県内の小中学校、高等学校において、SNSに潜む危険性などを教養する情報モラル教室の開催により、SNSを介した誘拐事案などの未然防止に努めるとともに、事案発生時の迅速な検挙・保護活動を徹底してまいります。 また、全国で発生している公共交通機関における無差別殺傷事件など、県民に衝撃と不安を与える事件に対しても、事業者や関係機関と連携した訓練を行うなどして備えてまいります。 交通死亡事故抑止対策については、御高齢の歩行者と運転者への対策が重要な課題であると考えており、強力に推進してまいります。 私は、着任時に、敢然と悪に立ち向かう強い警察、被害者の方に寄り添う優しい警察、そして変化に対応できるしなやかな組織づくりを目指したいと申し述べました。 新型コロナウイルス対策、デジタル社会の広がりなど、社会情勢が大きく変化する中で、県民の期待と信頼に応える、強く、優しく、しなやかな警察を構築するべく、全力で取り組んでまいりますので、皆様方の御理解、御協力をよろしくお願いいたします。 ○議長(柳居俊学君) 上岡康彦君。    〔上岡康彦君登壇〕(拍手) ◆(上岡康彦君) おはようございます。公明党の上岡康彦でございます。会派を代表して質問をいたします。 質問の前に、まず、村岡知事、三期目の御当選おめでとうございます。推薦いたしました公明党といたしましても、党員の皆様に全力で応援をしていただきました。コロナで大変なときのリーダーとして、御苦労も多いと思いますけれども、これまでどおり、若さと行動力で新しい時代を切り開いていただきたいと思います。公明党も応援いたしますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 では初めに、施策の実現とデジタル化の加速化についてお伺いいたします。 令和四年度予算規模は、対前年度比四・四%、三百三十四億円増の七千八百六十二億四千四百万円となりました。二年連続で総額は増加し、過去十年で最大規模の予算総額とはなりましたが、知事の選挙公約でもありました、山口の元気を取り戻し、山口の新しい未来をつくるとの決意みなぎる予算だと評価しております。引き続き、再生と新たな挑戦へのかじ取りを、どうぞよろしくお願いをいたします。 令和四年度も様々な困難に立ち向かい、困難を突破するための知恵と工夫が盛り込まれております。公明党県議団として、一月に令和四年度の予算編成について要望を行ったところですが、公明党山口県本部として毎年十一月に県内の各種団体から政策要望をお聞きしておりますので、頂いたお声を反映し、百二十項目に及ぶ予算要望書を提出させていただきました。我々公明党からの要望についても、随所に新たに取り組む施策や予算の拡大に反映していただいておりますこと、感謝申し上げます。 また、あまりにも長期化するコロナ禍にあって、県民の健康を守り抜き、傷んでしまった県内経済を立て直し、産業基盤を強化するためにデジタル化の推進を図るなど、昨年に続き、今回の予算編成も大変に御苦労されたことと思います。 村岡知事自らも当初予算編成の説明で、コロナ禍の危機を乗り越え、安心で希望と活力に満ちた新たな山口県の未来づくりへ挑戦するための予算であると位置づけられ、政策の骨子たる三本の柱について説明をされました。 その一つ目の柱は、コロナの危機から県民を守るための取組であり、感染拡大防止対策や検査体制の確保、医療提供体制の強化など、医療・福祉を中心に安心・安全の県民生活への取組です。 二つ目の柱は、まさに経済対策であり、実際にコロナ禍での影響を受け続け、資金繰りもままならない県内中小企業への資金援助や、飲食をはじめとした消費需要の喚起対策など、本県独自の取組についても紹介されました。 そして三つ目の柱は、新たな山口県の未来づくりのためのデジタル社会実現に向けた取組であります。デジタル技術を駆使して生産性の向上や業務の効率化、医療や建設現場での遠隔操作などによるサービスの向上、そして企業のイノベーション創出による市場の拡大と、持続的成長を図るための取組を御説明されました。 様々な政策が縦横無尽に展開されており、その要はデジタル社会の実現にあるということがよく分かります。 政策の三本柱をつなぎ合わせているのもデジタル化であります。例えば、経済対策の中で、コロナで壊滅的な影響を受けた観光事業者を支援するため、「Go To やまぐち事業」や、やまぐち観光振興支援パッケージなど、消費需要対策が盛り込まれV字回復を図るとされています。お財布に優しいクーポンやプレミアムも非常に大事な施策であります。 一方で、私はデジタルを駆使した観光アピール、山口県の魅力がよりリアルに体験できる、メタバースと呼ばれる仮想空間サービスを利用するなどして情報発信することにより、一層需要の喚起を起こさせ、観光業を大きく後押しすることも可能だと思っております。 メタバースについては、猶野議員の一般質問で詳細は任せることにいたしますけれども、六年後には百兆円規模のマーケットになるとも言われており、仮想空間に自分のアバター、つまり分身が入り込み、相互のコミュニケーションを取りながら、仕事や買物、娯楽も楽しめ、あたかも自分がコンサート会場にいるかのような臨場感も味わえるようです。さながら映画、マトリックスの世界です。 一昨年、人気シンガーソングライター米津玄師さんが、日本で初めてバーチャルイベントを開催し話題を呼びました。国内では、バーチャル秋葉原、バーチャル渋谷などが先駆的に取り組まれています。 ちなみに、アメリカでは、メタバースにおける仮想土地が約五億円で不動産取引されるなど、バーチャルな世界でリアルに経済を動かしています。これがデジタル社会の現実なのかもしれません。 こうした最先端のデジタル技術の動向に目配りし、積極的に取り入れていくことも、施策の実現に必要なことと考えます。 そこでお尋ねいたします。全国知事会のデジタル推進本部長でもある村岡知事は、幅広い分野で施策を実現させるための根幹ともいうべきデジタル化を、今後、いかに加速させていくおつもりなのかお尋ねいたします。 次に、新型コロナワクチン接種についてお伺いいたします。 昨年の秋頃から、デルタ株による新型コロナウイルス新規感染者数も少し落ち着きを見せ始め、このまま終息してくれればと願っていたところです。ところが、年明けからは新たな変異株、オミクロン株が猛威を振るい、これまでにはない規模の感染急拡大が進んでいます。 本県でも、一月二十七日に過去最高となる四百四十五人を記録するなど、予想を上回る感染拡大は、社会機能の維持にも影響を及ぼすほど大きなダメージを受けました。県内感染者数は、現在も連日二百台後半で推移しており、高止まり状態、決して油断はできません。 現在、主流となっているオミクロン株は感染性・伝播性が強い上に、ワクチンの効果を弱める特性があり、症状も重症化しにくく、無症状や風邪に似た症状であることから見逃されがちなため、全国に急拡大したものと思われています。 心配なのは、高齢者の感染者増とともに子供への感染が広がっていることであり、本県でも高齢者施設や就学前施設にクラスターの発生が多いのは、オミクロン株の特性が顕著に現れております。 第六波のピークは過ぎたとの分析もある一方で、オミクロン株の中でもBA・2という新種の型も発見されており、ピークが二段階になる可能性を指摘し、長期戦を心配する識者の声もあります。 公明党は、感染収束の切り札としてワクチン接種を強力に推進してまいりました。発症予防や重症化防止などの有効性も示されており、原則八か月とされていた二回目からの接種間隔も公明党の強い訴えにより、六、七か月に短縮されました。 医療従事者や高齢者から順次接種が進められていますが、早くにワクチン二回接種を済ませた高齢者は、時間とともにその効果が薄れてきています。高齢者の重症化を防ぐために三回目の追加接種を急ぐべきであります。 県としても、これまでと同じく市町や関係機関と一体となって、高齢者はじめ県民への追加接種を促していただきたいと思っております。 また、五歳から十一歳の小児ワクチン接種が今月からスタートしています。ファイザー社製のワクチンを使用しますが、オミクロン株出現前の同社の治験データでは、五歳から十一歳の発症予防の有効性が九〇・七%に達したとしています。 日本小児科学会でも、小児へのワクチン接種について十二歳以上の健康な子供への接種と同様に意義があるとしています。しかし、オミクロン株については、小児における発症予防効果・重症化予防効果に関するエビデンスが必ずしも十分ではないことから、最新の科学的知見を踏まえながら接種を進めることとしています。 希望する子供や保護者が安心して接種できるように、丁寧な情報発信と接種体制をしっかりと確保していただきたいと考えております。 そこでお尋ねいたします。県では、高齢者へのワクチン追加接種の促進と小児へのワクチン接種の推進に関し、どのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、流域治水をはじめとした防災・減災対策についてお尋ねいたします。 令和二年十一月議会の代表質問で、私は水害対策について質問いたしました。近年頻発する豪雨や台風により激甚化する災害に備え、従来の河川整備や貯留施設の整備などのハード整備とともに、避難体制の強化などのソフト対策においては、国や市町あるいは地域住民や企業と連携した流域治水に注力する必要があると訴えました。 そのときの知事答弁では、国が県内一級水系の佐波川と小瀬川において流域治水協議会を設置し、具体的な治水対策をまとめる流域治水プロジェクトが令和二年度中に策定されるため、こうした一級水系における検討状況を注視しながら、二級水系においても、流域治水プロジェクトの策定に向けた検討を進めていくと答弁されたところであります。 このたび、県管理河川における大規模氾濫に関する減災対策協議会・流域治水部会が主体となって、二級水系における流域治水プロジェクトを策定し、二月二十八日から県や市町のホームページで公表されました。 この流域治水プロジェクトとは、県内二級水系の百六水系の中から、過去に大きな水害が発生し、背後に人口や資産が集中している二十六水系を対象にしています。気候変動による水害リスクの増大に備えて、河川管理者等がこれまで実施してきたハード・ソフト対策に加え、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減させる取組、つまり流域治水の具体的な対策を取りまとめ、地図上にマッピングしたものであります。 その特徴は、様々な対策を三つの考え方、すなわち、一、氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策、二、被害対象を減少させるための対策、三、被害の軽減、早期復旧・復興のための対策に分類し、具体的な対策を流域ごとに見える化したことと、その工程を示してあることです。 このたび対象となっている二十六水系と、昨年三月に国が中心となって策定した一級水系分を合わせると、県土の約七割の面積をカバーする流域治水プロジェクトが出来上がったことになります。 流域治水プロジェクト策定の目的は、流域全体の協働により、ハード・ソフト一体となった事前の防災対策を計画的に推進し、流域における浸水被害を軽減することです。私がこれまで口を酸っぱくして申し上げてきた、事前の一策は事後の百策に勝るという考え方と同じく、課題と事前対策を地域ごとに視覚化した、すばらしいプロジェクトになっていると評価しています。 そこでお尋ねいたします。来年度予算の中では、治水対策の強化として緊急浚渫推進事業に五億九千二百万円、災害に強い県づくり推進のための公共事業に百六十二億八百万円、ドローン等による河川の変状監視など、高度なインフラ監視・点検事業に二億円等々の防災・減災対策事業費が計上されていますが、流域治水をはじめとした防災・減災対策について、今後どのように進められるおつもりなのか、御所見をお伺いいたします。 次に、スマート農林水産業の推進についてお尋ねします。 令和四年度農林水産部予算の基本的な考え方として、デジタル化や環境負荷の低減など、本県農林水産業の生産力向上と持続性の両立の実現に向けた施策を重点的に展開するとともに、長期化するコロナ禍における県産農林水産物の需要回復・拡大対策に取り組むとされています。 生産者の高齢化や担い手不足が進む中、本県農林水産業の成長産業化を実現するには、私はデジタル化の取組をこれまで以上に強力に推進する必要があると考えます。 このような中、農林水産省においても、デジタル化の取組の一環としてスマート農業の導入加速化を図るため、昨年十二月の補正予算に新たな事業が盛り込まれました。 広域的で複数の経営者がいる産地を、あたかも一つの経営体のように捉え、生産から営農・労務管理、販売までの各段階の課題に対して、産地ぐるみでスマート農業技術を導入しようとする、スマート農業産地形成実証という事業です。 この事業の概要は、産地単位での機材やデータの共同利用あるいは作業の集約化を実施し、効率化を図ることで収益性の向上を狙うというものです。本県においても、産地ぐるみでスマート技術を導入することができれば、本県農林水産業も大きく飛躍することができるのではないでしょうか。そのためには、生産現場の実情に即した技術を開発し、現場へ導入・普及させていく取組が必要です。 私は、以前、生産者の方から、これまで開発されてきたスマート技術の数々は、全国どこでも使えるような標準的・画一的なものが多く、本県の生産者にとって必ずしも使い勝手がよいものばかりではない、という話をお聞きしました。 このため、本県の生産者が、生産効率を上げ、高品質化を図るためには、私は、本県の地形条件や気象条件などを考慮し、本県用にカスタマイズされた技術開発の必要性を強く感じているところであります。 また、スマート技術を現場へ普及させる際にも、克服すべき幾つかの課題があります。例えば、現在のスマート農業では、自動操舵のトラクターや自動で適切な餌やりをする自動給餌機の活用で、労働力不足の解消や労働時間の大幅な短縮には成功する一方で、機材やシステムの導入コストが高く、それを動かし続ける維持費・更新費といったランニングコストも、生産者の負担となっているようです。 それ以前に、先進技術を使いこなせるか不安だと感じている生産者も多く、こうしたコストや技術習得への不安から、スマート技術の導入になかなか踏み切れない生産者が数多くいらっしゃるのです。 令和四年度は、やまぐち維新プラン五か年計画の最終年度に当たりますが、次の五年を見据え、生産者の高齢化や担い手不足を克服し、農林水産業を魅力ある成長産業へと転換させるためには、本県の特性に則したスマート技術を開発し、生産現場へいち早く導入・普及させていくことが重要だと考えます。 そこでお尋ねいたします。今後、本県独自の農林漁業DXの確立に向けて、どのようにスマート農林水産業の推進に取り組まれるのかお尋ねいたします。 次に、十八歳成人に向けた主権者教育、消費者教育についてお尋ねします。 本年四月から改正民法が施行され、成年年齢が二十歳から十八歳へ引き下げられることを契機に、十八歳、十九歳の若者をいかに賢明な消費者に育てるか、どうすれば消費者トラブルに巻き込まれなくて済むのか、消費者の権利と責任、消費者保護やクーリングオフ制度などを学ぶ消費者教育と、社会の形成や課題解決に参画していける主権者を育てるための主権者教育に、改めてスポットが当たっています。 こうした中、高校では四月から新たに必須科目となる、公共がスタートし、主権者教育や消費者教育が取り扱われることになります。日本で主権者教育が大きく動いたのは、御案内のとおり、二〇一五年六月に改正公職選挙法の成立により、選挙権年齢が十八歳に引き下げられたことによります。 さらに、二〇一八年の学習指導要領の改訂で、高校公民科の選択科目だった、現代社会が、新たに主権者教育を含む、公共に改編され、必須科目として新設されました。 主権者教育においては、現実社会の様々な課題を自分の問題として捉え、自らの判断で行動していく主権者の育成がその大きな意義であると言われています。また、世の中をよくしよう、社会変革を進めようと議会や政治家に意見を述べていく主権者を育成することも、主権者教育の大きな役割と言えます。その意味において、高校生県議会の開催も、本当に有意義な取組になっていると確信しています。 一方、消費者教育は、これまで高校の家庭科で取り扱っていましたが、前述のとおり、今後は公共の授業でも教えていくこととなります。高校生が十八歳になれば、現在でも公職選挙法上、成人として有権者になりますが、この四月からは、消費生活の中でも成人として扱われることとなります。しかしながら、十八歳になったからといって、すぐさま消費者としての知識や判断力が身につく訳ではありません。 最近では、気軽にインターネットを利用したショッピングも可能です。悪質なネット広告などに誘導される危険性もあり、在学中に消費者トラブルに巻き込まれないとも限りません。したがって、学校教育の中で、契約の知識やトラブル事例をしっかりと学び、怪しい広告や悪質商法に対する警戒心などを十分に養っていくべきだと思います。 そこでお尋ねいたします。社会の主体者としての若者の積極的な社会参画を強く望むとともに、まだまだ社会経験の浅い若者には、消費者トラブルから未然に身を守るための教育が大変重要だと考えます。 四月から成年年齢が二十歳から十八歳へ引き下げられる中、若者一人一人が自覚を深めていけるような主権者教育、消費者教育をどのように実践されるおつもりか、教育長のお考えをお伺いいたします。 最後に、特殊詐欺被害防止についてお尋ねします。 コロナ禍にあって人との接触をなるべく控えようとしている今、特殊詐欺、いわゆるうそ電話詐欺の被害が拡大しています。中でも、コロナ禍で医療費に係る関心が高まっていることに目をつけた、還付金詐欺が急増しているようです。 また、様々な手数料だとだまして電子マネーを購入させ、番号を聞き出し、現金を奪うという架空料金請求詐欺も増えているようです。 警察庁によると、令和三年の還付金詐欺の被害件数は四千件を超えて、対前年比二倍を超える数字を記録しました。金額ベースでも、令和二年の二十五億円から約二十億円増の四十五億円で、対前年比で一・八倍にも上っています。 還付金詐欺の手口の特徴は、自治体職員などを名乗り、医療費の還付があるといった内容の電話をかけ、言葉巧みにATMに誘導し、指定の口座にお金を振り込ませ、現金をだまし取るというものです。 コロナ禍で医療費への関心の高まりとともに、感染防止を意識して対面を嫌う人が多くなり、電話だけで送金へと誘導できる点も、還付金詐欺が増加している一因とも言われています。 また、見過ごせないのは被害者の九四%が高齢者だということであります。いつもなら直接会って相談できる友人とも、外出を控え在宅時間が増えており、接触機会が減っていることも背景にあると指摘する声もあります。 山口県でも全国の傾向と同じく、還付金詐欺と架空料金請求詐欺が急増しています。令和三年十二月未時点で、うそ電話詐欺件数は百八件で、前年からプラス四十件と大幅に増加しています。そのうち架空料金請求詐欺は対前年比二・一倍の四十六件、還付金詐欺は令和二年には二件だったのに、昨年は何と二十倍に跳ね上がり、四十件と激増し、両者合計で八十六件となりました。 つまり、うそ電話詐欺の八割がこの手の詐欺に当たります。しかも、被害者全体の約七四%が六十五歳以上の高齢者であることも、深刻に受け止めなければならないと思っています。 令和三年は、被害金額こそ微減とはいえ、急激に詐欺事案が増加し、二億七千万円もの被害が県内で発生していることは、誠にゆゆしき問題です。 実は、私の知人にもうそ電話詐欺の被害に遭った方がおられます。警察官を名乗るある男にキャッシュカードと暗証番号を渡してしまい、口座から全額引き出されてしまいました。家族にも内緒だと念を押されていたようです。慎ましやかに生活し、一生懸命に蓄えた財産を奪われ、相当落ち込まれていました。私には、まじめに生きてる年寄りにこんなことが起こらないように、厳しく取り締まってほしいと、怒りをあらわにされておられました。 そこでお尋ねいたします。このたび着任された中西警察本部長は、着任会見で、犯罪被害者や弱い立場の人たちに優しく寄り添える警察、変化に対応できるしなやかな組織づくりを目指すとの抱負を語られ、県内で相次いでいるうそ電話詐欺についても懸念を示されました。 一向に減らない高齢者のうそ電話詐欺被害を、何とか食い止めていただきたいと強く思うのですが、中西警察本部長のうそ電話詐欺撲滅に向けての御決意をお伺いいたします。 質問は以上でございますが、終わりに一言申し上げます。 公明党は、大衆党との立党精神を掲げて、今年六十周年の節目を迎えます。常に庶民に寄り添い、声なき声を行政に届けてまいりました。質問の中で、観光対策に少し触れましたが、おかげさまで、来る三月十二日のダイヤ改正で、JR山陽線の徳山駅までが交通系ICカードの利用が可能になります。 さらには、来春、山口線全駅と山陽線全駅と山口線山口駅、湯田温泉駅までICOCAの利用可能エリアが拡大されます。平成二十九年九月議会で私が取り上げ、交流人口の拡大、通勤通学や高齢者へのメリットを訴え、要望したものであります。 実は、この要望もある方の小さな声を酌み上げ、市議会議員、県議会議員、国会議員とつないで、村岡知事にも後押ししていただいたからこそ実現できました。今後とも、大衆とともにの精神で、現場第一主義に徹していく決意を申し述べまして、公明党の代表質問を終わらせていただきます。 御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 上岡議員の代表質問にお答えします。 まず、施策の実現とデジタル化の加速化についてのお尋ねです。 私は、コロナの危機を乗り越え、傷んだ社会経済を力強く再生するとともに、コロナ禍がもたらした社会変革の動きをチャンスと捉え、本県の新たな未来の創造につなげていくためには、デジタルの持つ力を積極的に活用し、その可能性を最大限引き出していくことが非常に重要だと考えています。 デジタルの力で本県が抱える様々な課題を解決し、新たな価値を創造して、県民一人一人が、これまで以上の豊かさと幸せを実感することができる社会を築き上げていく、そうした考えの下で、現在、全国に先駆けたやまぐちデジタル改革を推進しているところです。 私は、この改革の取組を今後さらに深化させ、県政のあらゆる分野で、デジタル化を一層強力に進めてまいります。 まず、全県的なDXの推進に向けては、昨年開設したやまぐちDX推進拠点「Y─BASE」でのコンサルティングや技術サポート、さらには官民協働フォーラムによるシビックテックの取組などにより、デジタルを生かした課題解決事例を数多く生み出し、その横展開を図ります。 また、県政各分野の施策においても、最先端のデジタル技術を積極的に取り入れ、施策自体の効果や事業の実効性をより高めてまいります。 具体的には、産業分野においては、5GやAI等の導入によるものづくり企業での付加価値の創出や、中堅・中小企業の生産性向上、ドローン等を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化やスマート農林水産業の推進など、各現場でのデジタル実装を積極的に進めます。 観光分野では、データに基づく観光地経営の実践に向けたワークショップの開催やビッグデータ等を活用した観光プロモーションと着地整備の一体的な展開など、データを駆使した新たな観光施策を展開します。 生活分野では、5G環境での遠隔医療提供体制の構築に向けた実証拡大や、介護施設等へのICTやロボット等の導入支援、AIを活用したシステムの本格運用による子育て世代からの相談対応など、デジタル技術により、医療や福祉サービスの充実・強化を図ります。 また、教育分野においては、県立学校での一人一台タブレット端末等のICT環境を活用した海外とのオンライン交流等の実施や、本県独自のVR動画の作成・活用による特別支援学校での社会体験活動の充実などにより、やまぐちスマートスクール構想を一層推進してまいります。 さらに、こうした取組に加え、デジタル技術は日進月歩であることから、お示しの仮想空間メタバースなど、最新のデジタル技術の動向を的確に把握し、「Y─BASE」等でこれを紹介するとともに、各種施策への効果的な導入に取り組んでいくこととしています。 私は、県政各分野で展開する様々な施策の実現に向けて、今後ともデジタル技術を積極的に活用し、山口県の新たな未来に向けた県づくりを、より高いレベルへと押し上げていけるよう、やまぐちデジタル改革の取組をさらに加速してまいります。 次に、新型コロナワクチン接種についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、三回目の接種の促進についてです。 ワクチン接種は、発症予防や重症化予防等に大きな効果がありますが、時間の経過とともに効果が低下することから、可能な限り、早期に追加接種を行うことが重要です。 このため、私は、接種の本格化に先駆けて、二月初めに、十九市町長会議や医療関係者等からなるワクチン接種対策会議を開催し、市町や関係機関との緊密な連携の下、接種スケジュールの前倒しなど、早期の接種に向けた体制の確保に取り組んできたところです。 その結果、現在、本県の全人口に対する接種率は、全国第二位の約三一%となっており、全国でもトップクラスのスピードで順調に進捗しています。 お尋ねの高齢者への接種については、重症化リスクの高い特別養護老人ホームや老健施設等の入所者を先行して開始し、二月中旬には、全ての高齢者施設入所者に対して、おおむね接種が完了したところです。 さらに、その他の高齢者についても、早期の接種促進に取り組んできた結果、二月末までの接種対象者のうち、約七割の方が接種を終えており、ワクチンの種類にかかわらず、早期に接種を希望される高齢者への接種は、おおむね完了したものと考えています。 県としましては、希望される全ての県民への四月末までの接種完了を目指し、今後とも接種の促進に努めてまいります。 次に、小児ワクチン接種についてです。今般、国において、五歳から十一歳の小児が、新たに接種対象者として位置づけられたことから、県としましては、希望する子供や保護者の方が、安心して接種できる環境整備が重要と考えており、接種体制の確保とワクチンに関する情報発信・相談対応に努めてまいります。 まず、接種体制については、市町や郡市医師会との連携の下、小児科医による個別接種を中心とした体制の整備に取り組み、現在、百八か所の接種医療機関の確保や、小児科医等による集団接種会場を設置するなど、全ての市町において、安心して接種を受けられる体制を整備しているところです。 また、接種への不安もあることから、市町と連携し、接種券送付時に、効果や副反応等の内容を記載したリーフレットを同封するとともに、ホームページやSNS等も活用し、広く啓発するなど、今後とも、分かりやすく正確な情報発信に努めてまいります。 さらに、個別の専門的な相談にもしっかりと対応できるよう、県が設置しているワクチン接種専門相談センターにおいて、医薬品全般に幅広い知識を持つ薬剤師による、二十四時間三百六十五日の相談体制を確保しています。 このように、子供や保護者の方が安心して接種できる環境の下、一部の市では、既に小児のワクチン接種が始まっており、今月中に全ての市町で開始される予定です。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、引き続き、市町や医療機関等との連携を密にし、新型コロナワクチン接種の促進に全力で取り組んでまいります。 次に、流域治水をはじめとした防災・減災対策についてのお尋ねにお答えします。 全国的にも大規模な災害が頻発している中、私は、防災・減災対策の強化により、県民の誰もが希望を持って、いつまでも安心して暮らし続けることができる山口県の基盤を築くことが極めて重要と考えています。 このため、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、大規模な自然災害に備え、河川改修などのハード対策や、住民への的確な情報提供などのソフト対策に取り組んでいるところです。 さらに、気候変動による水害リスクの増大に備えるためには、これまでのハード・ソフト対策に加えて、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減する流域治水に取り組むことが重要と考えています。 このような認識の下、お示しのとおり、二級水系のうち、過去の被災状況等から優先度の高い二十六水系について、具体的な対策を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定したところであり、残りの水系についても、関係市町の意見等を踏まえ、策定に向けた検討を進めていくこととしています。 また、私は、流域治水プロジェクト策定に併せて、関係機関と連携し、プロジェクトに位置づけた対策を着実に推進することも必要と考えています。 まず、ハード対策については、引き続き、川幅の拡幅、堤防の整備などの河川改修や、砂防堰堤などの土砂災害防止施設の整備等を進めてまいります。 さらに、こうした施設整備に加えて、緊急浚渫推進事業などの予算を活用し、河川やダム、砂防堰堤に堆積した土砂の除去を行うことにより、治水機能の保持を図ることとしています。 次に、ソフト対策については、引き続き、住民への的確な情報伝達や避難行動につなげるため、浸水想定区域図の整備や、防災行動とその実施主体を時系列で整理した水害対応タイムラインの運用など、市町と連携した取組を進めていく考えです。 また、県では、昨年六月から簡易型水位計と河川監視カメラの運用を開始したところであり、今後も、これらの機器の増設などにより、防災情報の一層の充実強化を図ってまいります。 さらに、こうした取組に加え、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化を図るため、今年度から、島田川において、ドローン等により取得した三次元の地形データ等を比較検証するなど、新たな変状監視手法の検討に着手したところです。 今後は、この手法を確立させ、流域面積の大きい河川にも対象を拡大し、日本一の安心インフラやまぐちの実現につなげていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、市町や関係機関と緊密に連携し、ハード・ソフト両面から、流域治水をはじめとした防災・減災対策のさらなる充実強化に取り組んでまいります。 次に、スマート農林水産業の推進についてのお尋ねにお答えします。 農林漁業の生産現場において、高齢化等に伴う担い手不足が進展する中、本県農林水産業の魅力ある成長産業への転換を図るためには、農林水産物の高品質化や生産性の飛躍的な向上等が期待できるデジタル技術を積極的に活用していくことが重要です。 こうした中、私は、民間企業や大学等と連携し、ドローンを活用した防除技術や、地上レーザーによる林業の測量技術、ICTを活用した漁場予測など、新技術の開発・導入に取り組んできたところです。 一方で、現在、新型コロナウイルスの感染拡大による社会変革を契機として、デジタル化が社会全体で進展しており、本県農林水産業においても、さらなる成長産業化に向け、AI等を活用したデジタル化の取組を加速化するとともに、新技術の迅速な普及・定着を進めていくことが必要です。 このため、まず、デジタル化の取組加速化に向けては、熟練者の技術を新規就業者へ円滑に継承するため、熟練者が持つ、長年の経験に基づく技術や知見等のたくみの技を、AI等のデジタル技術で再現・創出するなど、本県の地域特性に応じた山口型スマート技術の確立を進めます。 主な取組として、農業分野では、需要の増加が見込める県産小麦について、全国初となるAIによる穂数計測技術等を活用して、栽培管理・品質の改善に取り組み、生産現場の実情に即して、品質や量を安定的に供給できる生産体制を確立します。 林業分野では、作業の効率化や労働環境の改善を図るため、AIやロボット技術を活用し、伐採から搬出、造林、保育まで、一連の林業施業体系における自動化・無人化技術を導入していきます。 水産分野では、高級魚で需要が高いハタ類について、持続的な漁場・資源利用と操業の効率化を図るため、詳細な海底地形の3Dデータ化等により、資源量を把握するとともに、スマホ等で活用できる、漁船の位置や漁獲データ等と連動した操業支援システムを構築します。 これらの技術の確立に向けては、来年四月に供用開始する、農林業の知と技の拠点を核として、産学公連携による早期の課題解決や、その成果の生産現場への速やかな導入に取り組んでいくこととしています。 次に、新技術の迅速な普及・定着に向けては、農林水産業の各分野のスマート技術に関する協議会において、ドローンを活用した病害虫被害の画像診断など、実用段階にある技術の実演等により、導入効果の理解促進や技術習得に関する不安の解消を図ります。 また、スマート技術の導入コストなどが生産者にとって過度な負担とならず、安心して導入できるよう、地域の要請に即した専門家の派遣により、経営規模に適した機種の選定や複数法人での共同利用の推進など、生産現場への実装に向けた支援を行います。 私は、民間企業や関係団体等と緊密に連携しながら、本県の地域特性に応じた農林漁業DXを確立し、本県農林水産業の魅力ある成長産業化に向けて、全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 十八歳成人に向けた主権者教育、消費者教育についてのお尋ねにお答えします。 選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、さらに成年年齢も十八歳へと引き下げられることから、積極的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度の育成に向けて、主権者教育及び消費者教育の一層の充実を図る必要があると考えています。 こうした中、令和四年度から実施となる高校の新学習指導要領では、公民科の必履修科目として新設された公共において、政治や司法に参加する意義に関する内容や、多様な契約における消費者の権利と責任に関する内容が重視され、家庭科においては、契約の重要性や消費者保護に関する内容の充実が図られています。 これを受けて、公共の授業では、政治や司法に関する知識・概念の学習や、社会の諸課題について多面的・多角的に考察し、公正に判断する力を身につける学習に加え、契約により、どのような責任が生じるか、契約の内容に問題がある場合にはどのような解決を図ることが適切かといった課題について、他者と協働しながら考える学習にも取り組むこととしています。 また、家庭科の授業では、悪質商法等による最新のトラブル事例を取り上げ、公共で学ぶ消費者の権利に係る法律等の知識を活用しながら、未成年と成年の法律上の責任の違いを考える学習に取り組むなど、教科等横断的な視点から、実践的な授業の充実を図ることとしています。 こうした授業での取組に加え、消費者教育を推進する関係団体と連携し、令和四年度から研究指定校において、家庭科と公民科が連携した、より効果的な消費者教育について実践研究を行うこととしており、その成果については、セミナーや教員研修会等において広く県内の学校に普及してまいります。 県教委といたしましては、高校生一人一人が、社会の一員として主体的に判断し、責任を持って行動できるよう、今後とも主権者教育、消費者教育の充実に努めてまいります。 ○議長(柳居俊学君) 中西警察本部長。    〔警察本部長 中西章君登壇〕
    ◎警察本部長(中西章君) 高齢者のうそ電話詐欺被害防止に向けた取組についてお答えいたします。 昨年、県内では、還付金詐欺や架空料金請求詐欺が多発したことにより、被害件数が大幅に増加し、被害者の大半を高齢者が占めるなど、議員御指摘のとおり、極めて厳しい状況にあると認識しております。 県警察では、うそ電話詐欺対策を最重要課題の一つとして位置づけ、広報啓発活動をはじめ、水際対策や検挙対策を強力に推進しているところであります。 まず、広報啓発活動ですが、被害防止のためには、高齢者の防犯意識の高揚を図ることが重要であることから、警察官が高齢者宅を訪問し、うそ電話詐欺の手口や被害防止のポイントを具体的に説明し、理解を深めていただく取組のほか、あらゆる警察活動を通じての、県民への情報の発信をさらに強化してまいります。 次に、水際対策についてです。 昨年、金融機関やコンビニエンスストアにおいて、店員の方などによる声かけにより、被害を防いだケースを約百件把握しており、阻止率では約五割、二件に一件は水際で防いだこととなることから、被害防止の最後のとりでとして、こうした対策は極めて重要であると考えております。 引き続き、高齢者がATMで現金を振り込む際や電子マネーカードを購入する際の積極的な声かけについて、協力を求めてまいります。 最後に、検挙対策ですが、発生したものについては必ず検挙するという強い意志を持って、不審電話や相談を認知した段階で、早期に大量の捜査員を投入し、初動捜査を展開し、現場付近での犯人検挙に努めるほか、還付金詐欺のように、犯行のほとんどが県外で実行される事案に対しては、他府県警察とも連携して犯人の追跡捜査を徹底するなど、事案の全容解明に努めてまいります。 また、うそ電話詐欺に利用される電話や預貯金口座などの犯行ツールに関して、電話の利用停止や口座凍結の設置を積極的に講ずるほか、悪質な電話事業者に対する取締りを強化するなど、供給遮断に向けた取組も推進してまいります。 県警察といたしましては、議員の御指摘も踏まえ、被害に遭いやすい高齢者を守るという決意の下、お一人お一人の心に届く広報啓発活動に努めるとともに、社会全体での水際対策の強化、そして迅速かつ的確な捜査活動を進め、卑劣なうそ電話詐欺の撲滅に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩いたします。再開は午後一時の予定でございます。    午前十一時五十分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(二木健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第五十七号まで ○副議長(二木健治君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 戸倉多香子さん。    〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) ◆(戸倉多香子さん) 皆様、お疲れさまです。民政会の戸倉多香子です。令和四年二月定例会に当たり、会派を代表して質問させていただきます。 質問に先立ちまして、長引く新型コロナウイルス感染症への対応で、私たち県民の安心・安全のため、日夜御尽力いただいている全ての皆様に敬意と感謝を申し上げ、通告に従い、質問に入ります。 初めに、知事の県政運営についてお尋ねいたします。 村岡知事におかれましては、三期目の当選、誠におめでとうございます。知事は、二期目の任期のうち、後半の二年間については、ほとんど新型コロナウイルスへの対応に追われることとなり、大変御苦労されたと思います。 感染拡大防止につきましては、知事のリーダーシップの下、職員の皆様や市町などあらゆる関係機関と一丸となって取り組まれ、全国でもトップクラスの医療提供体制の確保に努められるなど、全力で取り組んでこられましたことに、改めまして敬意と感謝を申し上げます。 県民の命と健康を守る、これは、何をおいても最優先されることでありますので、引き続き、徹底した安心確保に向けて取り組んでいただきたいと思います。 また、暮らしの安定を確保するとともに、この間、傷んだ社会・経済を発展的に再生させていくことが喫緊の課題であるとの知事の御認識につきましては、私たち会派も、全く同じ思いでございます。 より高いレベルの安心の確保、成長の実現を目指して、新たな未来づくりへの挑戦予算として、令和四年度当初予算案が本定例会に提出されておりますが、それらに盛り込まれた事業をしっかりと確実に取り組んでいただきますようお願いしたいと思います。 知事は、当選後の会見で、記者から、三期目の四年間の県政運営について質問を受けておられました。 その中で、コロナ以外の点での県づくりの取組について聞かれ、まず、コロナ禍で、県民の皆様が、身近に切実なものと感じられることとなった医療や福祉の充実を挙げられました。その一環として、県立総合医療センターの建て替えにも触れられています。 また、成長支援やデジタル化など、コロナの前に戻るだけではなく、それ以上に、安心や成長、こうしたものをより高いレベルで実現できるような取組を、次の四年間しっかりと進めていきたいとも話されています。 さらに、人口減少問題については、企業誘致や産業の振興、雇用の環境整備などにより、魅力ある雇用の場をつくっていく、また、子育て、教育の充実、福祉の充実、様々やるべきことを当然ながら進めていくとした上で、このところ、大きく価値観も変わってきており、年齢層によっては、転出より転入の方が多いと、そういった逆転現象が起きている点に注目され、コロナ禍によって生じた意識の変化などをチャンスにして、山口県への人の還流を新しい形で進めていきたいとお答えになっていました。 コロナ対策以外にも、山積している課題を当然ながら進めていくとの、率直で具体的なお気持ちが伝わってきました。 先月二十二日に、令和四年度当初予算案について説明された際の会見では、この三期目は、まずは直面するコロナの危機を乗り越え、そしてその先に、山口県を安心で希望と活力に満ちた、そうした県へと高めていく、そのための重要な四年間であると考えておりますと述べられており、私たちの会派もこのお考えに強く賛同するものでございますが、その実現のためには、私たち議員も党派会派を超えて、執行部や職員の皆様と心を一つにして取り組んでいく必要があると思います。 しかし、残念なことに、昨年は、公職選挙法違反により副知事が辞職されるという問題も起きました。県民の皆様の信頼を取り戻し、これからの四年間、新たな未来づくりへの挑戦を成し遂げるためには、知事のさらなるリーダーシップが必要なのは言うまでもありませんが、不偏不党で公平・公正な県政運営が、今まで以上に求められるのではないでしょうか。 これまで、当然のこととして行われてきた様々な慣例やルールも、この際、しっかりと検証して、見直しの必要なものは改めていただきたいと思います。知事の御所見を伺います。 また、コロナ禍の中で、県民の皆様と直接お会いして、お声を聞くことがかなわない日々が続いてきたと思います。知事が県民から直接意見を聞く「元気創出!どこでもトーク」も、実施回数が少なくなっているのではないかと思います。 山口県民の皆様の思いや御要望、御意見などを反映する県政運営を実現するためには、今後どのように取り組まれるのか、この点もお尋ねいたします。 次に、長期化するコロナ禍の影響を踏まえた経済対策についてお尋ねいたします。 本定例会初日、知事は、令和四年度当初予算案の一般会計総額が、前年度当初予算に比べ、四・四%増の七千八百六十二億四千四百万円となったと説明されました。 そして、来年度予算は、コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組、長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施、そして、新たな未来に向けた県づくりの推進、この三つの柱に沿って編成したと述べられました。 私は、二つ目の柱である、長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施を中心に質問したいと思います。 誰もが、新型コロナウイルス感染症への対応がこのように長引くとは考えていなかったと思います。昨年の年末には、山口県での新規感染者数がゼロの日も増えてきて、このまま終息してほしいと願っておりましたが、残念ながら、岩国市を中心に、感染力の非常に強いオミクロン株が急拡大し、一月七日には、まん延防止等重点措置が適用されることが決定しました。 その後、県内全体に適用されたまん延防止等重点措置は、新規感染者数が減少傾向にあることなどから、先月二十日で解除となりました。しかし、今後も、変異株などの第七波、第八波も心配され、長期化するコロナ禍が社会や経済に与える影響は計り知れません。 特に、中小企業や小規模事業所は、コロナ禍以前から経営が苦しい状況であったことは、これまでの質問でも、データを示して述べてまいりました。 コロナ禍の中で、この間、様々な支援策により支えられていたところも、いよいよ経営の継続が困難になっていると聞きます。報道等によれば、倒産件数は補助金等の支援策などにより、少ないと聞きますが、気力が続かず、いよいよお店を閉めるなどの廃業が増えてきているのは、県内全体で感じておられる方が多いと思います。 県では、予算案の二つ目の柱の中の県内経済の下支えとして、企業の資金繰りに支障が生じないよう、中小企業制度融資の融資枠を確保したとされていますが、もうこれ以上、融資を申し込むのは無理だという声も多く聞きます。実際に苦しい状況の小規模事業所や商店など、苦しんでいる方々の声をしっかり聞いてほしいと思います。 夕方、近所のスーパーに買物に行くと、日頃は商売をされている時間帯なので、会うことのない料理屋さんの御主人と何度も出会いました。まん延防止等重点措置で、お店を休業されていたのだと思います。まん防の適用除外が近づいた日の夕方、もうじき解除ですねと御挨拶したところ、お店が始まっても、お客さんが戻ってきてくれればいいのですがと苦笑いされていました。 予算案の消費需要の喚起策の中には、お店側も消費者もお得な支援策がたくさん盛り込まれています。例えば、頑張るお店応援プロジェクト事業の購入型クラウドファンディングは、応援したいお店での買物や飲食が、実際に支払った金額に五〇%も上乗せされて、とってもお得です。 お店の側にも、先にお金が支払われるため、資金繰りに苦しむお店には本当に助かる喚起策となっていますので、もう頑張れないというお店もぜひ登録していただきたいと思います。 これ以外にも、山口県産のお米五キロに一キロのおまけがついたり、高級魚のお刺身などが半額となったりする「ぶちうま!キャンペーン」も、うれしい喚起策です。また、観光のV字回復に向けた「Go To やまぐち事業」も実施されます。これらの喚起策を多くの県民の皆様に知っていただいて、みんなで利用し、みんなで県内の店舗や生産者を応援したいと思います。 今日は、テレビ中継をされておりますので、県民の皆様にしっかりアピールしたいと思い、この質問を取り上げました。これらの経済対策が、県民全体の笑顔と元気につながるものとなってほしいと思っています。 そのために、県は、これらの支援策を、一人でも多くの方々に知っていただくために、どのように取り組まれるおつもりでしょうか。また、パソコンやスマホの苦手な方にも、やってみようと思っていただくために、どのように取り組まれるのかも併せてお尋ねいたします。 三点目に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてお尋ねいたします。 一昨年の十月、当時の菅総理が二〇五〇年カーボンニュートラル宣言をされたばかりの頃は、その実現の困難さばかりが報道などで取り上げられていました。しかし、最近では、温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入したとの見方が広がっています。 これまで、山口県は、人口一人当たりの事業所から出るCO2排出量の多さが全国二位と言われており、脱炭素社会の実現に向けた取組は大変な困難を伴うと、後ろ向きに捉えられてきましたが、従来の発想を転換すれば、山口県には、CO2を多く排出する企業が多いからこそ、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えて、大胆な投資をし、イノベーションを起こしていく必要がある企業が多く、それらの企業の集積は、さまざまな可能性を秘めていると言えます。 もちろん、取り組む企業さんには大変な御負担がありますが、実際に、新たな挑戦や試みは始まっており、積極的に対策を行えば行うほど、新しい時代をリードしていく産業集積となると思います。 産業戦略部の予算案には、瀬戸内産業低炭素化加速事業として五百万円が計上されています。二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、本県経済と雇用を牽引する瀬戸内基幹企業群の低炭素化に向けた取組の加速化を図るため、山口県コンビナート連携会議による低炭素化構想の策定や各種調査等を実施するとされています。 今朝の国会審議の中でも、カーボンニュートラルコンビナートのことが取り上げられていましたが、コンビナートについては、これから国内に新たに造ることはもう無理だろうと言われています。 そのコンビナートを県内に三つも持っているのは、山口県だけです。その三つのコンビナートの各企業が得意分野を生かしながら連携し、新たなイノベーションを起こし、それらが県内全体へ、または西日本全体へ、さらに国全体、世界全体へと広がっていくかもしれません。 これまでも世界初の取組がたくさんありました。それらの情報をつなぎ、広げていくのは県の役割ではないかと思います。もちろん、コンビナートの中の企業同士の連携もあれば、技術的な競争もあると思いますので、出せない情報はしっかりと守りながら、今後の産業の形を変えていくトップランナーとなるべく、県内企業を全力で応援していただきたいと思います。 国の二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略には、水素は、発電、輸送、産業等、幅広い分野で活用が期待されるカーボンニュートラルのキーテクノロジーと記載されています。 グリーン水素が理想でしょうが、技術の過渡期としては、山口県の副生水素の排出量が全国トップレベルという点は、大きな強みです。 それを生かそうと、以前から──平成二十五年から、周南市水素利活用協議会や、全国の六地域の港湾のうちの一つに選ばれた徳山下松港のカーボンニュートラルポート検討会などの今後の動きには、水素ハブなどの新たな挑戦も話題となっていて、注目したいと思います。 水素以外の分野でも様々な動きがあり、最近では、山口大学グリーン社会推進研究会の設立や、周南コンビナート脱炭素協議会の設立など期待が膨らみます。いずれの協議の場にも県は参加されて、協議事項や内容を把握されていると思いますが、それらの動きや情報をつなぐのも県の役割ではないかと考えます。 県は、この歴史的な動きとなるかもしれない、この動きを記録し、発信し、関連するあらゆる情報を収集しながら、脱炭素社会の実現に向けて、共に走るべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。 次に、あらゆる差別や偏見のない社会の実現についてお尋ねします。 山口県では、人間尊重を基本的な考え方として、県民一人一人の人権が尊重された心豊かな地域社会を実現するための基本指針となる山口県人権推進指針を策定し、総合的な人権に関する取組を推進してこられました。 その指針を開くと、初めのページに、人権の世紀と言われている二十一世紀も、既に十年以上を経過しましたとの記載があります。平成二十四年改定版なので、現時点では、既に二十年以上経過していることになりますが、二十世紀、人類は二度にわたる世界大戦を経験して、平和のないところに人権は存在し得ない、人権のないところに平和は存在し得ないという大きな教訓を得て、人権の尊重が平和の基礎であるということが世界の共通認識になり、二十一世紀は人権の世紀と呼ばれているそうです。 残念ながら、現在のウクライナをめぐる状況は、最も人権尊重とはかけ離れた状況となっています。まさに、戦争は、最大の人権侵害であると言われていますが、一刻も早く、国際社会が力を合わせて、平和的な解決が図られることを願っています。 今年に入って、部落差別の解消を目指す全国水平社の創立から百年を迎えたとの報道が、様々な方面からありました。 地元テレビでも、これまで部落差別解消に取り組んでこられ、特に、最近のネット時代の部落差別解消に向けて、講師として全国を駆け回っておられる方の活動が取り上げられていました。 また、西日本新聞は、水平社宣言は部落問題だけでなく、水俣病や障害者、在日コリアンなどの運動にも影響を与えてきた。そして、ヘイトスピーチやLGBTQをめぐる議論をはじめ、コロナ禍での感染者に対する差別に加え、マスク着用やワクチン接種をめぐる分断など、非常時に揺らぐ人権意識のもろさも浮き彫りにしたとして、百年の節目に、人間の尊厳を重んじ、当事者を主体とした水平社宣言の精神を改めて見つめ直したいと、人権新時代と銘打った特集記事の掲載が続いています。 記事では、ネット上の悪質な書き込みを地方自治体が確認し、削除につなげるモニタリング事業が全国的に広がっていることも伝えています。 取材によれば、主に中部地方から西の二百十五市町村、二十府県が導入しているとのことでした。これまでに一万数千件の投稿が削除されましたが、悪質と判断されても削除に至らない投稿も多く、拡大するネット差別への対応の難しさも取り上げています。 しかし、その記事の最後に、大分市の担当職員の言葉、行政としてネット上の差別の実態を把握すること自体にも意味があるとの声も紹介されており、山口県でもモニタリング事業に取り組んでほしいと思いました。 さらに、人権新時代の記事には、表現の自由に配慮しながら実効性を高めていくことの困難さも、課題の一つとして挙げられていました。 そんな中、先月十五日に、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例が、表現の自由を保障する憲法に反するかどうかが問われた訴訟で、最高裁判所の戸倉三郎裁判長は、合憲とする判断を示したとの報道がありました。ヘイト規制の条例をめぐる最高裁の判決は初めてとのことですが、各地の議論に一定の影響を及ぼす可能性があると報じられています。 高校の先輩でもあります戸倉三郎裁判長のこの判決に、ほっとすると同時に、県民一人一人の人権が尊重された心豊かな地域社会の実現は、様々な課題をたくさん抱えているのだと実感させられました。 差別や偏見についても、いろんな意見や考え方があります。同じように差別や偏見のない社会を願う人々の間でも、取り組み方や進め方については違った考えがあります。 例えば、部落差別の解消を目指す方々の間でもよく議論される、寝た子を起こすな論もその一つだと思います。山口県では、朝鮮学校への補助金の問題があり、各県の知事の考え方で対応が異なっています。 私は、これまで続けてきた補助金を止めるという行為そのものが、差別や見せしめに当たると、これまで何度も訴えてきました。 同じ会派の先輩であった加藤元県議も、国際社会の制止を無視して、ミサイルの発射や核実験を強行した北朝鮮に制裁を加えるための、日本に住む朝鮮学校の子供たちへの報復かと指摘されています。平成二十五年二月定例会で、来年度は補助金を予算計上しないとの山本前知事の方針に対しての質問でした。 加藤さんは、国連をはじめとする国際社会が核実験の中止を求めたにもかかわらず、強行したことは許せない暴挙であると考えますとしながら、日本に暮らす罪もない子供たちに制裁を加えるべきではありませんと主張されました。 山本前知事は、自ら答弁に立たれ、今回の対応は、決して制裁を加えるという趣旨ではないと発言されましたが、加藤元県議は、再質問に立たれ、当時の総務部長より、現在の補助要綱でありますれば、補助目的に沿った一定の成果は得られているものというふうに考えておりますとの答弁を引き出しております。 加藤元県議は、再々質問で、行政は、公平・公正・中立であります。北朝鮮がやったことが許せない。したがって、子供たちにも制裁をする。そういう県民感情があるとすれば、その過ちを改めさせるのが行政の仕事ではないかと私は思いますと、加藤節を炸裂してくれていますが、私も全く同じ思いです。 このたびの質問を準備する中で、法務省のサイトにあった文章が心に残りました。人権の世紀という言葉には、全人類の人権の実現という壮大な達成目標が示されていると同時に、過去、人権の実現のためにたゆみなく続けられてきた努力が報われ、一斉に開花し、結実する世紀であってほしいという全人類の熱望が込められているという言葉です。 私は、多くの県民の皆様の思いを背負って、県議会議員という立場を頂き、この場に立たせていただいていますが、私も、人権の世紀に生き、あらゆる差別や偏見のない社会の実現を熱望しています。 これまで、たゆみなく続けられてきた努力を継承し、ほんの一ミリでもよいので、前に進める責務を果たしたいと思います。村岡知事も、また、この議場におられる議員の皆様も、きっと同じお考えだと思います。この山口県から、あらゆる差別や偏見のない社会の実現に向けて、取組をさらに進めるべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。 最後に、教員の多忙化解消と負担軽減についてお尋ねします。 教育の重要性は誰もが認めるところです。しかし、昨今は、教育の現場を担う教員の皆さんの多忙化が大きな問題となっています。 山口県教育委員会では、平成三十年三月に山口県学校における働き方改革加速化プランを策定し、市町の教育委員会と連携しながら、業務の見直し・効率化、勤務体制等の改善や学校支援人材の活用などに取り組んでこられました。 これらの取組により、教職員の勤務時間に対する意識の向上や時間外の在校時間の縮減など、一定の効果が得られたものの、学校では依然として厳しい勤務の実態があることから、これまでのプランに基づく取組の効果と課題を整理し、昨年七月にプランを改訂され、さらなる取組を進めておられます。 改訂版のこれまでの取組の状況の中に、目標達成に至らなかった主な要因が挙げられていますが、内容を読みますと、大量退職に伴い増加した教職経験年数の短い教員が、綿密な教材研究や授業準備に費やす時間が増加する状況があったとの調査結果が記載されていました。やはり、全体的に、教員が足りていないのではないかと感じました。いじめや不登校への対応も、教員へ大変な負担がかかると思います。 以前、相談を受けたケースは、保護者の方が、学校にいじめについて相談しても、一向に解決に向かわず、子供さんの命を第一に考えられた御両親が、既に県外の学校への転校を決意された後に受けた相談でした。 保護者の方が希望されたため、一緒に学校に行き、直接、担任の先生や部活の先生から経緯をお聞きしましたが、そこで感じたのは、やはり、先生方が忙し過ぎて、早期にいじめ対応をすべきなのは分かっていても、一人の生徒につきっきりになることはできず、日々の様々な業務もあり、助けを求めている生徒の思いにしっかりと寄り添う余裕がないのではないかということでした。 その後、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインなどができましたが、幾ら体制や取り組み方を決めても、現場の先生が対応できないのではないかという思いが残りました。 いじめ以外にも教員の多忙化につながる原因はたくさんあると思います。これらに対処するためには、私は、教員の数をもっと増やす必要があると思います。 来年度予算案に盛り込まれている、教員の長時間勤務を是正し、持続可能な学校の指導・運営体制の充実を図るための教員業務支援員配置事業や、やまぐち部活動応援事業なども、国の予算を活用して、しっかりと配置を進めてほしいと思います。 しかし、教員業務支援員の配置は、公立の小学校、中学校に限られ、高校への配置がないことは残念です。 先日の聞き取りによりますと、中学校の部活動指導員は、九市町四十二校七十三名に過ぎず、全校に配置されるわけではないそうです。さらなる支援が必要だと思いました。 文科省では、教員を目指す若者たちに仕事の魅力を伝えるため、現職の教員たちにSNSでの発信を呼びかけた「#教師のバトン」プロジェクトを始めました。 このプロジェクトは、現場で日々奮闘する現職の教師や教職を目指す方々に、学校の働き方改革や新しい教育実践の事例などを、ハッシュタグをつけて投稿を呼びかけたものでしたが、文科省の当初の想定を超えて、長時間労働や部活動の負担など、過酷な窮状を訴える内容が相次ぎ、とてもじゃないが若者にバトンを渡せないなどと、プロジェクトが呼びかけた趣旨とは真逆の思いを訴える投稿が多く見られるものとなったという報道に注目が集まりました。 NHKによれば、プロジェクトを統括する文科省の総合教育政策局長が、国としても現場から直接声を受け止める初めての試みであり、社会から注目を集めたことを前向きに捉えつつ、教師の声を推進力に、迅速に、具体的に、勤務環境の改善を進めたいと話されたことを伝えています。 教育長は、このような状況を踏まえ、教員の多忙化解消と負担軽減について、どのように取り組まれるおつもりでしょうか、御所見を伺います。 以上で、代表質問を終わりたいと思います。 私たち民政会は、働くことを軸とする安心社会の実現と、そして県民の皆様の可処分所得を増やすこと、しっかり取り組んで、笑顔あふれる山口県の実現を目指して頑張っていきたいと考えています。 これからもしっかり取り組んでいくことをお誓い申し上げまして、民政会の代表質問とさせていただきます。 御静聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 戸倉議員の代表質問にお答えします。 まず、私の県政運営についてのお尋ねです。 私は、三期目の任期となる今後の四年間において、まずは、直面するコロナの危機から県民の命と健康を守り抜くとともに、大きく傷んだ社会経済を力強く再生させ、本県の元気を取り戻すことに全力を尽くしてまいります。 このため、今後のコロナの感染拡大に備え、検査体制と医療・療養体制の継続確保を図り、三回目のワクチン接種の四月末までの完了に向けた取組を進めるとともに、県制度融資の融資枠確保等による中小企業の資金繰り支援や、消費需要の大規模な喚起策等を実施することとしています。 そして同時に、コロナ禍による社会変革を捉えて、これまで取り組んできた三つの維新をさらに進化させ、より高いレベルで安心と成長を実現していくため、県立総合医療センターの機能強化をはじめとする医療・福祉の充実や、県政の幅広い分野でのデジタル化の加速などに取り組んでまいります。 こうした県づくりの取組を進めるに当たっては、多様な主体との連携・協働が不可欠であり、私は、引き続き、県議会をはじめ市町や関係団体、企業、大学、そして県民の皆様と力を合わせて、一丸となって、より大きな成果を目指していきたいと考えています。 その基盤となるのが県民との信頼関係であり、これまでも、私は、公正・中立を旨とし、不偏不党の立場で県政運営に当たってまいりました。 また、従来の考え方や手法等に捉われることなく、その時々の諸情勢に応じ、見直すべきものは見直すという姿勢で、様々な事柄に対応してきたところです。 そうした中で、昨年末、庁内で公職選挙法の違反事案が発生いたしました。当該事案については、現在、外部の弁護士をトップとするチームが調査を行っているところであり、今後、その結果を基に、職員へのコンプライアンスの徹底をはじめとする再発防止の取組を実施してまいります。 このような事案を二度と起こさないことはもとより、なお一層誠実に県政運営に取り組むことを通じて、県民の皆様の信頼を回復し、向上させることができるよう、私自ら先頭に立って、その徹底に努めてまいります。 また、連携・協働による県づくりを進めていくためには、とりわけ、県政の主役である県民の皆様から幅広い御意見等をお聴きすることが重要であると考えています。 このため、私は、知事就任以降、県内各地で「元気創出!どこでもトーク」を開催するなど、あらゆる機会を捉え、率先して地域に出向き、様々な分野の方々と意見交換を行うとともに、県民の皆様の声や貴重な御提案を県政の運営と施策立案に生かしてまいりました。 しかしながら、二年前に始まったコロナ禍の中で、対面による活動が大きな制約を受けることとなり、残念ながら、こうした機会の多くも、現在、延期や中止を余儀なくされています。 コロナの感染状況が落ち着き次第、本格的に再開する予定としていますが、私としては、このほかにも実施している県民相談や県政世論調査等の広聴活動を通じて、引き続き、県民の皆様の御意見・御提案をしっかりとお聞きし、県政運営に反映してまいりたいと考えています。 次に、長期化するコロナ禍の影響を踏まえた経済対策についてのお尋ねにお答えします。 感染症の長期化による影響は、飲食業や観光業をはじめ取引業者など、幅広い業種の事業者に及んでおり、社会経済活動が著しく低迷するなどの課題も生じてきています。 このため、私は、来年度予算において、大きく落ち込んだ消費需要の喚起に取り組み、感染症の影響により傷んだ社会経済を力強く再生させ、本県の元気を取り戻してまいります。 まず、業種の限定なく様々な店舗の資金支援と消費需要の喚起を図る、頑張るお店応援プロジェクト事業では、クラウドファンディングの仕組みを活用し、多くの消費者にプレミアムつきチケットを購入していただけるよう規模を拡大し、過去最大となる発行総額三十億円で実施します。 実施に当たっては、より多くの消費者が購入できるよう、複数回に分けて募集を行うとともに、参加者の拡大に向け、募集期間をしっかりと確保した上で、インターネット広告の配信や地域情報誌による広報など、ターゲットに応じた実効性の高い手法により周知を図ってまいります。 また、クラウドファンディングはパソコン等により申込みを行う必要があることから、皆さんが取り組みやすいよう、支援方法等を動画やイラストを活用して視覚的に、より分かり易く説明するとともに、使用する際は、電子チケットか紙チケットを選択できるなど、利便性を高めることとしています。 さらに、各店舗においても、顧客の獲得や拡大につながるよう、店舗の事業者自らがプロジェクトのPRに加え、購入方法の説明などを行っていただけるように促してまいります。 次に、全国向けの観光需要喚起策として実施する「Go To やまぐち事業」では、宿泊料金等の割引を行うとともに、土産店等で利用できるクーポン券を発行することにしています。 その実施に当たっては、県の専用ウェブサイトに加え、テレビや新聞、雑誌等のメディアによる広報を行うとともに、事業に参加する旅行会社や宿泊施設の窓口等でのPRを行うなど、全国に向けて効果的な情報発信に努めてまいります。 また、中・四国、九州エリアで抽選販売するやまぐち割引宿泊券についても、テレビや新聞等、各種広報媒体を効果的に活用して周知を図るほか、多くの方が申込みできるよう、ウェブに加え、はがきによる応募も可能としているところです。 次に、県産農林水産物の需要回復・拡大と生産者の経営安定を図るため実施する「ぶちうま!キャンペーン」では、県産米の増量販売や、日本酒、花卉、高級魚加工品の割引販売を行います。 実施に当たっては、テレビCMや各戸配布のチラシ、特設ホームページの開設をはじめ、ぶちうまアンバサダーや地産・地消応援団「ぶちうま一〇〇」の方々にも御協力いただきながら、SNSでの情報発信を強化するなど、幅広く県民の皆様への周知を図ってまいります。 また、キャンペーンは、米や日本酒、花卉については、小売店で実施するほか、高級魚加工品は、県漁協のECサイトを主体に実施しますが、パソコン等が苦手な方には支店窓口でも柔軟に対応します。 私は、引き続き、感染拡大防止対策を講じながら、需要喚起策など必要な経済対策を適時適切に実施するとともに、支援策が一人でも多くの県民の皆様に届くよう、普及啓発に積極的に取り組んでまいります。 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 化学工業やセメント製造業など多くのエネルギーを必要とする企業が集積する本県では、産業部門・工業プロセス部門における温室効果ガスの排出割合が全国と比べて高く、これらの部門、とりわけコンビナート企業群におけるカーボンニュートラルへの対応は、県としても喫緊の課題です。 一方、二酸化炭素は化学品や合成燃料等への利用が期待されており、本県コンビナートは、そのための高濃度化技術や設備を備え、また、全国屈指の水素生成やアンモニア生産量を誇るなど、脱炭素社会をリードする大きな可能性を有しています。 既に、企業各社は、製造プロセスの高度化や燃料転換、新たな技術開発等に向けた挑戦を始めていますが、本県産業がさらなる成長を遂げるためには、こうした大胆な投資やイノベーション創出につながる企業の前向きな挑戦をしっかりと後押ししていくことが重要です。 このため、企業が挑戦しやすい環境の整備に向け、私が会長を務める山口県コンビナート連携会議において、企業等との連携の下、全国的にも優位な次世代燃料の製造技術等を生かしたコンビナート低炭素化構想の策定に取り組んでいるところです。 県では、これまで、岩国・大竹、周南、宇部・山陽小野田の各地域にコンビナート企業で構成する連携検討会議を設置して、企業の主体的な取組を促すとともに、全県組織である県コンビナート連携会議において、各地域の取組の共有を図るとともに、広域的な連携を促進してきました。 その結果、人材育成に係る教育カリキュラムの共有化や、工場立地法に係る規制緩和、さらには分解重油の新パイプラインの設置など、共通する課題の解決に向けた取組が進み、目に見える成果も出てきています。 構想の策定に当たっては、こうした成果の上に立ち、高度に最適化された製造工程でつながる各コンビナートにおいて、取組の方向性について議論を重ねているところであり、その検討状況を各地域が相互に共有しながら、地域間の広域的な連携を視野に入れた、コンビナートの将来像を描いてまいります。 また、カーボンニュートラルに向けては、本連携会議のほか、お示しの周南市水素利活用協議会や、大学が有する研究シーズを生かした山口大学グリーン社会推進研究会、徳山下松港におけるカーボンニュートラルポート検討会など、現在、複数の検討組織が活動を行っています。 これらの活動は、国や地元市町、学術研究機関など、多様な主体が、それぞれが有するリソースや専門的な知見を生かし、それぞれの分野における脱炭素化を目指すものであり、相互に連携することが効果的であることから、県としても、これらの組織に参画し、積極的な情報・意見交換を行っているところです。 こうした取組状況や情報については、企業機密に留意した上で、各企業の取組やコンビナート企業間連携、さらには地域間連携の促進につながるよう、これら会議等を通じて最大限の共有化を図るとともに、本県の進める取組について、地元市町等とも連携し、効果的な情報発信に努めてまいります。 私は、今後とも、国や市町、関係機関と一体となって、本県が有するポテンシャルを生かし、時代をリードする企業の取組を強力に後押しし、脱炭素社会の実現につなげてまいります。 次に、あらゆる差別や偏見のない社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 人権の世紀と言われる今日、基本的人権の尊重を基本原理の一つとする日本国憲法の下で、幅広い人権問題への対応や、人権をより一層尊重した行政の推進などに取り組んでいくことが求められています。 このため、本県では、人権に関する取組の方向性を示す基本指針である山口県人権推進指針に基づき、県民一人一人の人権が尊重された心豊かな地域社会の実現に向けて、諸施策を総合的に推進しているところです。 この指針においては、県民全てが、自分の人格が尊重され、他人の人格を尊重して自由で平等な生活を共に営むことができるよう、一人一人がかけがえのない貴い命の主体者であるという、人間尊重を基本的な考え方として、取組を進めることとしています。 私は、これまで、こうした指針の考え方に沿って、常に県民の人権を尊重するという視点に立ち、様々な行政課題に対応してきたところです。 具体的には、新型コロナウイルス感染症への対応においては、感染された方やその御家族、医療従事者等への誹謗中傷や差別が大きな社会問題となる中で、こうした誹謗中傷や差別は絶対に行わないよう、私自ら県民の皆様へ繰り返し呼びかけを行ってまいりました。 また、SNS等の普及に伴い、インターネット上での特定個人への誹謗中傷が深刻化しており、その根絶に向けて、国や市町等と緊密に連携しながら、青少年を対象とした情報モラル教育や、インターネット利用者に対する意識啓発等の取組を強化しています。 さらに、LGBTなど性的指向や性自認を理由として困難な状況に置かれている方への県民の理解と認識を深めるため、性の多様性をテーマとするセミナーの開催や、リーフレットの作成等による啓発にも取り組んでいるところです。 こうした中で、お尋ねのあらゆる差別や偏見のない社会を実現していくためには、私は、まずは、人間尊重を基本的な考え方とする指針の周知を通じて、県民の人権意識の高揚を図っていくことが重要であると考えています。 そして、県民や地域、企業、団体等においても、それぞれが求められる役割に応じ、自主的・主体的に人権に関する取組を進めていく必要があると考えています。 このため、県としては、テレビ、ラジオなど各種メディアを活用した広報啓発を行うとともに、県や市町の職員をはじめ、県民、企業、団体等を対象とした人権研修の実施、人権ふれあいフェスティバル等の啓発イベントの開催などにより、積極的に指針の周知を図っているところです。 また、県民や地域、企業、団体等が指針への理解を深め、それぞれの役割を発揮していただけるよう、自主的な学習活動に活用できる研修教材の貸出しや講師の派遣、必要な情報提供などにより、引き続き、適切にその取組を支援していくこととしています。 私は、今後とも、人権推進指針に基づき、人権尊重の視点に立った県行政を積極的に推進するとともに、国や市町等と緊密に連携し、県民をはじめ、様々な主体の人権への理解を一層深めていくことにより、あらゆる差別や偏見のない社会の実現に向けて取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 教員の多忙化解消と負担軽減についてのお尋ねにお答えします。 子供たちを取り巻く環境の変化を背景に、いじめや不登校への対応や学校教育に対するニーズなどが複雑化・多様化する中、教員の勤務の実態は厳しい状況にあり、その多忙化解消と負担軽減に向け、学校における働き方改革を推進することが重要であると考えています。 これまで、県教委では、平成三十年三月に学校における働き方改革加速化プランを策定し、業務の見直し・効率化、勤務体制の改善、学校支援人材の活用を三つの柱として、持続可能な学校の指導・運営体制の構築や、教職員のワーク・ライフ・バランスの実現に努めてまいりました。 具体的には、全ての県立学校へのICカードを利用した勤務時間管理システムの導入や部活動の在り方に関する方針の策定などの取組を行ってきたところです。 また、国事業を活用し、学校業務支援員や部活動指導員の配置を希望する市町教委を支援することで、教員の負担軽減を図ってまいりました。 こうした取組により、教職員の勤務時間に対する意識の向上や、時間外在校等時間の縮減等の一定の効果が得られたものの、学校では新型コロナウイルスへの対応等で新たな業務が生じるなど、依然として厳しい勤務の実態があり、引き続き、業務の効率化や削減を進めていく必要があると考えています。 このため、県教委では、昨年七月に加速化プランを改訂し、時間外在校等時間の上限である月四十五時間、年三百六十時間を超える教員の割合をゼロ%に近づけることを目標に掲げ、各学校における業務量の適切な管理に取り組んでいるところです。 具体的には、本県の強みであるICTの活用とコミュニティ・スクールの仕組みの活用を、改訂プラン全体を通した共通の視点とし、ICTの活用については、県教委が整備したタブレット端末などのICT環境や、令和四年度末までに全ての県立学校への導入が完了する統合型校務支援システムを活用し、校務の効率化を着実に進めてまいります。 また、コミュニティ・スクールの仕組みの活用については、学校運営協議会やPTAの会合等において、教職員の働き方に関する現状と課題を共有し、解決に向けて協議を行うなど、学校における働き方改革に対する保護者・地域の理解の促進と連携・協働体制の構築を図ることとしています。 県教委といたしましては、引き続き、学校支援人材の適切な配置に努めるなど、学校現場からのニーズが高い取組を進めるとともに、保護者、地域等の理解と協力を得ながら、市町教委や学校と一体となって、学校における働き方改革を推進し、教員の多忙化解消と負担軽減に努めてまいります。 ○副議長(二木健治君) これをもって代表質問を終わります。   ───────────── ○副議長(二木健治君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後一時五十四分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   二   木   健   治                   会議録署名議員   国   本   卓   也                   会議録署名議員   酒   本   哲   也...