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  1. 山口県議会 2020-11-01
    11月30日-02号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    令和 2年11月定例会   令和二年十一月山口県議会定例会会議録 第二号      令和二年十一月三十日(月曜日)  ────────────────────        議事日程 第二号      令和二年十一月三十日(月曜日)午前十時開議  第一 弔詞贈呈の件  第二 議案第八号から第十号まで(委員長報告・採決)  第三 代表質問  第四 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第一 弔詞贈呈の件  日程第二 議案第八号から第十号まで  日程第四 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで                会議に出席した議員(四十五人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          髙   瀬   利   也 君                          酒   本   哲   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          二   木   健   治 君                          宮   本   輝   男 君                          藤   本   一   規 君                          猶   野       克 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          小 田 村   克   彦 君                          曽   田       聡 君                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          松   浦   多   紋 君                          守   田   宗   治 君                          森   繁   哲   也 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          畑   原   勇   太 君                          秋   野   哲   範 君                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          有   近   眞 知 子さん                          森   中   克   彦 君                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          坂   本   心   次 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          国   本   卓   也 君                会議に欠席した議員(なし)                欠 員(二人)                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         小 松 一 彦 君                    総務部長        内 海 隆 明 君                    総務部理事       藤 田 昭 弘 君                    総合企画部長      平 屋 隆 之 君                    産業戦略部長      平 野 展 康 君                    環境生活部長      神 杉 さとみさん                    健康福祉部長      弘 田 隆 彦 君                    商工労働部長      福 田 浩 治 君                    商工労働部理事     梶 間   敏 君                    観光スポーツ文化部長  三 坂 啓 司 君                    農林水産部長      松 岡 正 憲 君                    土木建築部長      阿 部 雅 昭 君                    会計管理局長      内 畠 義 裕 君                    財政課長        稲 垣 嘉 一 君                    教育長         浅 原   司 君                    副教育長        繁 吉 健 志 君                    公安委員長       倉 田 惠 子さん                    警察本部長       谷   滋 行 君                    代表監査委員      木 村   進 君                    監査委員事務局長    渡 邉 隆 之 君                    労働委員会事務局長   武 林 正 治 君                    人事委員会事務局長   松 本 道 夫 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        前 田 安 典 君                    事務局次長       吉 岡 達 也 君                    総務課長        原 田 和 生 君                    議事調査課長      柳 原 廉 均 君                    秘書室長        宮 本 優 蔵 君                    政務企画室長      白 井 雅 晃 君                    議事調査課長補佐    作 本 真 得 君                    主査兼議事記録係長   益 本 悟 史 君                    主任          賀 山 智 江さん                    主任主事        柏 村 奈緒美さん                    主事          高 尾 大 輝 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ─────────────    諸般の報告 ○議長(柳居俊学君) この際、諸般の報告をいたします。 欠員となっておりました総務企画委員会の委員長には友広巌君が十一月二十五日に互選されましたので、御報告をいたします。   ───────────── △日程第一弔詞贈呈の件 ○議長(柳居俊学君) 日程第一、弔詞贈呈の件を議題といたします。 元山口県議会議員 西嶋裕作君が去る十一月十九日、御逝去されました。ここに謹んで御冥福をお祈りをいたしますとともに、故西嶋裕作君に対し、お手元に配付のとおり、弔詞を贈呈したいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(柳居俊学君) 御異議なしと認めます。よって、弔詞を贈呈することに決定をいたしました。   ───────────── △日程第二議案第八号から第十号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第二、議案第八号から第十号までを議題といたします。   ──────────────────────    委員長報告 ○議長(柳居俊学君) これより所管委員会における議案の審査の経過並びに結果に関し、委員長の報告を求めます。 総務企画委員長 友広巌君。    〔総務企画委員長 友広巌君登壇〕(拍手) ◆総務企画委員長(友広巌君) 総務企画委員会を代表いたしまして、本委員会における議案の審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。 審査に当たりましては、関係議案について執行部から説明を求め、質疑、検討の結果、議案第八号から第十号までの議案三件については、全員異議なく、いずれも可決すべきものと決定いたしました。 次に、審査の過程における発言のうち、その主なものについて申し上げます。 県内経済への影響も考えられる中、給与改定を実施するとした基本的な考え方を伺うとの質疑に対し、 今回の給与改定により、地域経済に対して、全く影響がないとは考えていないが、給与の決定原則にのっとって、民間等の状況を反映した人事委員会勧告に基づく改定を実施することが適当であると判断をしたとの答弁がありました。 このほか、O 人事委員会勧告の基本的な姿勢についてO これまでの給与改定状況についてO 給与改定に伴う県財政や職員への影響についてなどの質疑がありました。 以上をもちまして、本委員会の報告といたします。(拍手)   ──────────────────────    討 論 ○議長(柳居俊学君) これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、持ち時間の範囲内において発言を許します。 木佐木大助君。    〔木佐木大助君登壇〕(拍手) ◆(木佐木大助君) 日本共産党県議団を代表して、本会議に提案された議案第八号、九号及び十号について討論を行います。 まず、反対する議案第八号 一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例及び第九号 一般職に属する学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例についてであります。 両条例は、県人事委員会が十月二十八日、民間の支給割合との均衡を図る、このことを理由に、一般職に属する職員及び一般職に属する学校職員期末手当を現行の年二・六か月分から二・五五か月分に引き下げるよう勧告したことに伴うものであります。 月例給について県人事委員会は十一月五日、民間より百九十円、○・○五%低いものの、較差が僅かであることや人事院が月例給の改定を行わない旨の報告をしたことを踏まえ、月例給の改定を行わないことが適当であると勧告しました。 これにより行政職の平均で年一万九千円の賃下げとなります。 御承知のように、国、地方の非現業の公務員は、憲法で保障された労働基本権、すなわち団結権や団体交渉権、争議権が大きく制約されています。その代償措置として、地方公務員の給与等は、職員の職務の複雑・困難及び責任の度合いに基づいて、人事委員会が勧告する仕組みが取られています。 今年三月以降、県内で新型コロナの感染が拡大する中で県職員、とりわけ健康福祉部を中心に業務が累増しています。三月から十月までの間、時間外勤務が月八十時間以上に上った職員は延べにして三百十七人、百時間以上に上った職員は、何と延べ百四十二人に達しています。 職員の職務の複雑・困難及び責任の度合いは格段に高まっていることは明らかですが、この事実は全く一顧だにされていません。 コロナ禍の下で、エッセンシャルワーカーという言葉がクローズアップされています。人々が日常生活を送るために欠かせない仕事を担っている人たちのことを指します。 新型コロナ感染症感染拡大という緊急事態下においても、簡単にストップするわけにいかない仕事に従事する人々に対し、感謝や尊敬の念を込めた呼称として使われるようになりました。 その意味でも県職員もエッセンシャルワーカーの一員と言って過言ではないと私たち日本共産党は考えます。今回の期末手当の引下げは、県民の命と健康を必死に守っている職員の奮闘に対し、賃下げなどという冷や水を浴びせるものであり、絶対に容認できません。 さらに問題なのは、県職員の給与改定に準拠する県立総合医療センターやこころの医療センターはもちろん、同様の対応を取る民間の医療・介護労働者への影響も大きく、賃下げへの負のスパイラルとつながることも懸念されています。 コロナ禍から経済を立て直すためには、労働者の賃上げと安定した雇用の拡大こそが必要であり、県職員の期末手当引下げは、今後民間にも波及し、コロナ禍からの経済回復にとっても強い悪影響を及ぼすことは明らかであります。 よって、議案第八号及び九号に断固反対いたします。 次に、議案第十号 知事等の給与及び旅費に関する条例及び山口県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例についてです。 県会議員は、県民の多様な意見を酌み取り、県の行財政運営をチェックする役割を担っており、多様な人材の議会参画を確保するためには、活動を支える一定程度の報酬の保障が必要だとは考えますが、新型コロナ感染拡大の影響による県内経済の冷え込みが続いており、知事等や県議会議員期末手当引下げには全面的に賛成をいたします。 県当局には、今後、エッセンシャルワーカーたる県職員の待遇改善に速やかに取り組まれるよう要望して、討論といたします。(拍手) ○議長(柳居俊学君) これをもって討論を終結いたします。   ──────────────────────    表 決 ○議長(柳居俊学君) これより採決に入ります。 まず、議案第八号及び第九号を採決いたします。 議案二件に対する委員長の報告は可決であります。議案二件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕 ○議長(柳居俊学君) 起立多数であります。よって、議案二件は、委員長の報告のとおり可決をされました。   ──────────────────────    表 決 ○議長(柳居俊学君) 次に、議案第十号を採決いたします。 本案に対する委員長の報告は可決であります。本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕 ○議長(柳居俊学君) 起立全員であります。よって、本案は、委員長の報告のとおり可決されました。   ───────────── △日程第三代表質問 △日程第四議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第三、代表質問を行い、日程第四、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 塩満久雄君。    〔塩満久雄君登壇〕(拍手)
    ◆(塩満久雄君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の塩満久雄です。 令和二年十一月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事、教育長及び警察本部長に質問いたします。 質問に先立ちまして、一言申し上げます。 「感染症の世界的拡大は、戦争ではない。人間性が試されているのだ」これは、ドイツのシュタインマイヤー大統領テレビ演説で述べた言葉です。 新型コロナウイルスの感染者は既に世界で六千万人を大きく上回り、今なお終息の気配が見えません。 今回の新型コロナウイルス感染拡大は、現代社会が生み出した様々な問題や文明の弱点をあぶり出したと言われています。また、文明は感染症の揺り籠とも言われ、新たな文明とともに流行し、人類の歴史を激震させてきました。 イギリスの科学者ニュートンは、ペストで大学が閉鎖されたため、田舎で庭仕事をしていて、リンゴの実が木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見しました。また、十四世紀ヨーロッパで大流行したペストのパンデミックは、後のルネサンスや宗教改革をもたらしたと言われます。 我が国はこれまでデジタル化の遅れが指摘されていましたが、今回のコロナ禍をきっかけにオンラインによる治療や学校教育、テレワークによる働き方改革など様々な分野で社会のデジタル化が急速に進んでおり、コロナ後はさらにAIやバイオなど第四次産業革命が一気に加速され、劇的な社会変化が起きることが予想されます。 これからの将来展望を描くに当たり、ポストコロナを見据えた施策を検討していくときが今まさに到来したのだということを申し上げ、通告に従い質問に入らせていただきます。 最初に、令和三年度当初予算編成についてお尋ねします。 今なお楽観を許されない新型コロナウイルス感染症の拡大、四月、五月を底に持ち直してはいるものの、依然として力強さに欠ける日本経済。我が国は、かつて直面したことのない国難のさなかにあります。 八年前の政権交代以降、我が自由民主党は一貫して経済の再生に取り組んでまいりました。 人口減少が進行する中、就業者数は約四百万人増え、全都道府県で有効求人倍率が一を超えるなど、バブル崩壊後最高の経済状態を実現したところで、このたびの新型コロナウイルスの直撃を受けたのです。 爆発的な感染を絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜いていく。その上で、社会経済活動を回復軌道に乗せ、再び強い経済を取り戻すことに全力を尽くす覚悟でございます。 同時に、先ほどから申し上げていますように、デジタル化をはじめ大胆な規制改革を実現し、ポストコロナの新しい社会をつくり上げていかなければなりません。 こうした中、本県においても、先日、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針が新たに策定され、本県の未来を切り開くための取組を再び前へ進めようとされています。 このたび発表された、来年度当初予算編成方針を見ますと、感染拡大防止経済活性化の両立に加え、デジタル化の推進など危機から生まれた変化を成長へとつなげていく取組が基本方針の柱として掲げられています。 また、先日には、コロナ禍社会変革に対応したデジタル化の推進を柱に政府要望が実施されるなど、新たな時代を見据え、本県の未来への成長をリードしていこうという知事の強い決意を感じたところであります。 全国知事会デジタル社会推進本部長に就任された知事におかれては、地方におけるデジタル社会の実現に自ら口火を切る役割を担っていただくことを大いに期待しております。 同時に、国では、ポストコロナに向け、経済の持ち直しの動きを確かなものとし、民需主導の成長軌道に戻していくことを目指し、補正予算案の編成作業が進められており、こうした国の対策ともしっかり連携していくことも重要です。 現在、自由民主党では、県内の各地域や各界から県の予算編成と施策決定に関する御意見や御要望をきめ細かく拝聴しており、こうした県民の声を十分に施策に反映させていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。現下の社会が直面する危機を乗り越え、ポストコロナにおける山口県の未来予想図をどのように描き、その実現に向けて来年度当初予算編成にどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、産業戦略の推進についてお尋ねします。 さきの九月議会において、我が会派の代表質問に対し、知事から、コロナ禍を契機とした社会変革の動きも踏まえて、産業イノベーション戦略を改定し、本県の活力の源である産業力を大きく伸ばす取組を着実に進めると答弁をいただきました。 そして、世界経済の潮流を肌で感じておられる民間委員さんからの意見や、これまで取り組んでこられた取組の成果を踏まえ、さらに伸ばすべきもの、新たに加えるべきものを整理され、先日の産業戦略本部会合において、次の三年間で取り組むべき九つのプロジェクトを内容とする、次期産業イノベーション戦略の素案を提示されたところです。 この素案では、これまでも重点的に支援してきた瀬戸内の基幹企業群地域中核企業群競争力強化を、引き続き集中的に支援されることに加え、これまでも我が会派が重ねて申し上げてきた、デジタルトランスフォーメーションの加速を新たなプロジェクトとして位置づけられており、社会・経済の変革を的確に捉えながら、本県の強みをさらに伸ばしていこうという、地に足のついた内容になっていると、高く評価しています。 現行の戦略においても、大手通信事業者との連携協定に基づくローカル5Gを活用したスマートファクトリーの実証事業をはじめ、先導的な事例の創出に、意欲的に取り組まれておられます。次期戦略では、こうした取組をさらに加速され、5GやAI等の技術も活用しながらイノベーション創出に取り組むこととされており、本県の強みであるものづくりを中心とした産業力が、デジタル化をてことして、さらなる進化を遂げられることを大いに期待しています。 他方、菅総理は所信表明演説において、デジタル社会の実現とともに、グリーン社会の実現を掲げ、二○五○年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと宣言されるとともに、成長戦略の柱として経済と環境の好循環を掲げると述べられました。今後、国においては、新たな成長戦略について年末までに中間的な取りまとめをするとされています。 県においては、これから年度末にかけて、次期戦略の策定を進められるわけですが、こうした国の議論の方向もしっかりと見据えながら、本県産業にとってより実効性のあるものとなるよう、幅広い意見を聞き検討を進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。知事は、社会・経済の変革や国の施策の方向も見据え、次期産業イノベーション戦略においては、どのように本県の産業力を強化していこうと考え、このたびの素案を策定されたのか、御所見をお伺いします。 次に、冬場の感染拡大に備えた体制の整備についてお尋ねします。 新型コロナウイルスは、国内初の感染者が発生してから十か月が経過しましたが、全国では現在も新規感染者が増加傾向にあり、いまだ収束の兆しが見えません。本県においても、都市部との往来などに起因する感染者が断続的に発生しており、今月に入り複数のクラスターも発生しています。 こうした中、新型コロナウイルス感染拡大が続く中で迎える初めての冬が、間もなく訪れます。 冬場には、夏場とは異なる新たな脅威が懸念されています。空気の乾燥や気温の低下に伴い、感染が拡大しやすい環境が生まれます。既に、国内の寒冷地では新たな感染者の増加傾向が顕著になっており、米国や欧州では感染の急激な増加が起きています。海外渡航の緩和や国内の人の移動の活発化に伴う影響も、これから出てきます。また、季節性インフルエンザや感染性胃腸炎の流行期に入ることから、新型コロナウイルスと同時に、複数の感染症が拡大するおそれもあります。 県民が安心して社会経済活動を再開できるよう、このような冬場に予測される様々な脅威に備え、県民の命と健康を守り抜く、感染拡大防止対策に万全を期していくことが、今、求められています。 私たちには、これまでの感染拡大への対応で得られた経験があります。また、地域の関係機関の協力を得て整備した医療提供体制や、感染拡大期に十分対応できる検査体制もあります。これまで構築した基盤を生かし、さらに体制を充実していくことが重要になります。 爆発的な感染は、絶対に防がなくてはなりません。そのためには、季節性インフルエンザの同時流行など、発熱等の症状を訴える方が増える中にあっても、新型コロナウイルスの感染者をできるだけ早期に発見し、適切な治療につなげる地域の体制を確実なものにする必要があります。 また、地域の医療提供体制の維持に向け、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を持つ方に医療資源を重点化する体制も必要になります。さらに、重症化リスクの高い方が多く、クラスター発生時の影響が極めて大きい医療機関や介護施設について、感染拡大に備えた十分な対策を取っていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。新たな脅威が懸念される冬場に向け、新型コロナウイルス感染拡大に備えた体制の整備について、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、持続可能な農業の実現についてお尋ねします。 今年三月、今後十年間の農政の指針となる新たな食料・農業・農村基本計画が閣議決定され、基本方針として、食料自給率の向上と食料安全保障の確立が示されました。 言うまでもなく、我が国の農業は水田を中心に営まれており、安定した米の生産と供給を実現することが、食料安全保障の確立につながるのです。 特に、本県においては、江戸時代、防長の三白政策といって、米、紙、塩の振興が図られるなど、今日に至るまで、米生産が代表的な産業として展開されています。 現在、担い手の減少や高齢化が進んでいますが、このような中にあっても、稲作を中心とした本県農業が持続的に発展できるよう、県ではこれまで日本一の担い手支援策の展開やスマート技術の導入促進、担い手への農地集積など、生産基盤の強化に取り組んでこられました。 さらには、集落営農法人やその連合体の形成を推進し、足腰の強い経営体を育成されるなど、全国から注目される取組も展開されてきたところです。今では、これらの経営体が稲作を基幹とした営農を展開しながら、地域の中核となって農業を守っているのです。 こうした中、本年は、コロナ禍による需要の減少などから全国的に米価が下落傾向にあり、加えて、本県では水稲の主要害虫であるトビイロウンカが、例年の百二十倍飛来するなど過去にない規模で大量発生しました。 県では、全国に先駆けて警報を発令し、防除対策の徹底を呼びかけるなど、技術指導を強化してこられましたが、水田全体が枯れる全面枯れなどが広範囲にわたって引き起こされました。さらには相次ぐ台風被害も重なって、本県の水稲作は甚大な被害を受け、直近の作況指数は全国最低の七十三となり、昭和二十三年の調査開始以降、最悪の不作となる見通しです。 被害の深刻さを改めて痛感いたしますとともに、丹精込めて農作業にいそしんでこられた農業者の皆さんの心中を察するに余りあるものがあります。 我が会派にも、未曽有の困難に直面する農業者や関係団体から、今後の農業経営の継続に対する不安の声が多数寄せられており、今こそ、本県農業を守るため、意欲ある全ての農業者が安心して稲作を継続できるよう、思い切った支援が必要だと思うのです。 そこでお尋ねします。害虫トビイロウンカや相次ぐ台風により深刻な打撃を受けた本県農業者の生産意欲の向上を図り、持続可能な農業の実現につなげていくため、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、教育行政についてお尋ねします。 少子化が進む中にあっても、充実した高校教育の質の確保・向上のため、県教委におかれましては、二○一五年度から二○二四年度までの期間を対象とする第二期県立高校将来構想に基づき、県立高校再編整備計画を進められているところです。 この計画により、響高校と豊北高校の再編統合、高校コミュニティ・スクールの導入、探究科の設置をはじめとして、これまで様々な取組が次々と実施されてきました。また、平成二十八年度には通学区域が全県一区化され、中学生が幅広い学校の中から自分の行きたい高校を選択し、受験できるようになりました。そして、今現在、県教委においては、この計画の最終段階である令和三年度から四年間を対象とした実施計画の策定を進められていると伺っています。 こうした再編整備計画の着実な実施は、魅力ある学校づくりの推進に加え、学校ごとの入学定員に大きな地域差が生じることなく、一定の学校規模を確保することに大きく寄与してきたと考えています。 しかしながら、本県教育における児童生徒数の減少の影響は大きく、新たな課題が生じています。県教委によると、今後十五年間で中学校卒業者数が約三千人も減少する見込みであり、少子化に伴う県立高校の統廃合が進むことで、学校数が減少し、学校がより小規模となっていくことが想定されます。 さらに、本県の人口が各都市に分散していることから、力のある生徒も各都市に分散しているため、生徒が学業に励む上で、学校内で互いに切磋琢磨する機会の減少につながり、生徒の学力への影響が懸念されるところです。 また、県境の下関市や岩国市を中心に、進学を目的とする小中学校段階からの子供たちの県外流出の課題もあります。こうした子供たちは東京大学や京都大学をはじめとするいわゆる難関大学や医学部への進学を目指して、早い段階から県外の学校に進学しているのであり、本県の若者が県外に流出する一因ともなっています。 このように、再編整備計画を進める中にあっても、本県の教育を取り巻く環境は刻々と変化し、新たな課題に直面しているのです。今後も本県の高校教育を充実したものとしていくためには、中長期的な視点に立って、将来の県立高校のあるべき姿を模索し、その方向性を議論することが重要であると思うのです。 そこでお尋ねします。本県の高校教育を取り巻く現状から、将来的な県立高校の在り方とその教育活動についてどのように捉え、高校教育の充実に取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いします。 最後に、警察行政についてお尋ねいたします。 現在の本県の治安情勢については、犯罪の発生件数を表す刑法犯認知件数が平成十五年以降減少を続けており、良好な治安の確保に向けた取組が一定の成果を上げておられます。 また、警察力を表す指標の一つである刑法犯の検挙率は、近年上昇を続けており、犯罪が発生しにくく、仮に犯罪が発生した場合であっても、犯人の検挙につながる社会になってきていることがうかがえます。 一方では、子供と女性が被害となる犯罪や高齢者を狙ったうそ電話詐欺など、私たちの日々の生活を脅かす犯罪の発生がいまだ後を絶たず、治安上の課題があることも事実です。県警察には、多様化する治安要請に対して的確に応えるとともに、県民が安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向けて、警察力の強化が求められています。 良好な治安の下で、安全に安心して暮らせる地域社会の実現は、県民共通の願いであり、社会・経済の発展の礎となるものですが、この警察力の強化は警察だけで達成できるものではありません。地域や関係機関・団体などとの連携により、社会全体で良好な治安が保たれるよう取り組んでいく必要があり、これまで以上にお互いの信頼関係を構築することが求められています。そのため、県警察におかれては、日々の活動を通じて、信頼を積み重ね、全ての県民が心から信頼できる存在とならなければなりません。 しかしながら、近年、全国的にも懲戒処分を受ける警察官が多い状況が続いており、国民からの信頼が揺らいでいます。今年上半期だけで、懲戒処分を受けた警察官などは全国で百十四人に上っています。本県では、今年に入ってから既に四人が懲戒処分となっており、このままでは、県民の警察に対する信頼が根底から揺らぐことになりかねません。多くの警察官が職責を自覚し、職務に精励されていることは承知していますが、警察に信頼を寄せる県民の方々のためにも、組織全体で襟を正していかなければなりません。 このように、県民からの多様な治安要請に的確に応え、安全・安心な社会を実現させるため、警察力の強化と、県民との信頼関係の構築が何よりも重要です。県警察は運営指針に、県民の期待と信頼に応える強い警察を掲げられていますが、これを実現し、県民の安全・安心を守るという大きな使命を全うするため、谷警察本部長の指揮の下、全職員が一丸となり、高い倫理観を持って職責を果たしていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。県民から信頼され、多様な治安要請に応えることができる、強い県警察の構築のため、今後、どのように取り組まれるのか、警察本部長の御所見をお伺いして、私の代表質問を終えさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 塩満議員の代表質問にお答えします。 まず、令和三年度当初予算編成についてのお尋ねです。 直面する新型コロナウイルス感染症の危機を乗り越え、「活力みなぎる山口県」を実現していくためには、感染拡大の防止を徹底した上で、危機から生まれた社会変革の動きをしっかりと捉え、これからの成長につなげていくことが重要です。 コロナとの共存を前提とした新たな日常の中で、デジタル化等の変革の恩恵を県民があまねく享受をし、これまでよりも豊かで安心・安全に暮らすことができる、私は、こうした社会こそが、コロナの時代にあって本県が目指すべき未来の姿であると考えています。 その実現に向けて、来年度の当初予算編成に当たっては、先般策定した「コロナの時代」に対応するための施策推進方針に基づき、感染拡大の防止と経済活性化の両立を図る取組の重点化と、デジタル化等を通じた県づくりの加速化に全力で取り組んでまいります。 とりわけ、デジタル化は変革の原動力となるものです。これによって県民生活がどのように向上し、また、県内産業の活力をどう高めていくのか、具体的な将来像をお示ししながら、本県ならではの社会変革を目指し、諸施策への積極的な導入と取組の加速化を図ってまいります。 県自らも、行政手続のオンライン化やワンストップ化等に鋭意取り組み、県民や事業者にとって利便性の高いデジタル・ガバメントの構築を急ぐとともに、県政の様々な分野において、デジタル技術を生かした、より一層効果的できめ細かな行政サービスを提供していきたいと考えています。 今後、これらの取組を強力かつ一気に進めていくため、県議会の御意見もお聞きしながら、新たな推進組織の設置など、全庁挙げた体制の整備と、官民協働の仕組みづくり、これらを早急に検討してまいります。 また、社会全体のデジタル化に向けては、地方におけるデジタル人材の不足や情報通信基盤の地域間格差など、個々の自治体では対応が難しい多くの課題があります。 このため、私は、本県のみならず、全国知事会デジタル社会推進本部長の立場から、自ら先頭に立って、これらの課題の解決と今後の取組の方向性を五つの原則として掲げ、国に対し、地方の実情等に即した施策の推進を求める提言を取りまとめ、先般、関係大臣へ要請を行ったところです。 今後も、全ての都道府県と一致結束し、こうした政策提言を重ねながら、国と地方、そして民間が一体となった強靱なデジタル社会の実現に取り組んでまいる決意です。 一方、感染拡大の影響から県税収入の大幅な減少が見込まれるなど、財政状況は極めて厳しい中にありますが、選択と集中の観点から、事業の不断の見直しや財源確保等にも取り組み、コロナとの長期戦を見据えた対策や、活力に満ちた本県の未来にとって必要となる施策にしっかり取り組んでまいります。 私は、国において検討が進められている補正予算や、デジタル化などの国の政策にも的確に対応しながら、県づくりの取組を力強く、スピード感を持って前に進め、コロナ禍においても「活力みなぎる山口県」の実現を果たすとの強い思いを持って、来年度当初予算の編成に臨んでまいります。 次に、産業戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 私は、将来に向けて県経済の持続的成長・発展を図るためには、高度技術や産業集積を生かし、本県の活力源である産業力を大きく伸ばす取組を着実に進めるとともに、デジタル化など感染症を契機とした社会変革の動きを逃さず、これからの成長・発展へとつなげていくことが極めて重要と考えています。 このため、次期産業イノベーション戦略では、本県の強みを生かす考え方は維持しつつ、新たにデジタルトランスフォーメーションの加速を視点に加え、これまでの取組成果等を基礎に、産業戦略プロジェクトを再編・拡充することとしています。 具体的には、デジタル化による企業の成長・発展を促進するため、地域産業デジタルトランスフォーメーション加速化プロジェクトを掲げ、全県的な推進拠点の設置や5G基地局の整備促進を図るとともに、スマートファクトリーやMaaSなど未来技術を活用した先導的事例の創出、デジタル人材の確保・育成に取り組みます。 また、医療、環境・エネルギー、バイオなど重点成長分野のさらなる成長・発展に向け、成長産業育成・創出プロジェクトを立ち上げ、イノベーションの創出支援を強化します。 さらには、山口市等と連携して進めているヘルスケア関連産業の創出・育成支援を新たにプロジェクトとして位置づけ、全県的な推進体制の構築や、関連製品・サービスの創出を促進してまいります。 これらに加え、瀬戸内産業の競争力強化に資する産業基盤の整備・充実や、やまぐちR&Dラボの取組を通じたオープンイノベーションの促進、地域中核企業への総合サポートなどに引き続き取り組みます。 また、感染症を契機とした生産拠点の地方移転や、新しい働き方等に対応したサテライトオフィスなど、新たな動きを好機と捉え、企業誘致を積極的に進めます。 さらに、お示しのとおり、国においては、二○五○年を目標とする脱炭素社会の実現を宣言されました。 次期戦略においても、CO2削減・利活用技術等をテーマとしたコンビナート企業間連携や、エネルギー供給の低炭素化等に向けた革新的なイノベーションの創出支援に取り組む考えです。 私は、社会・経済の変革や、国の施策の動向も見据えながら、官民一体となって、本県の強みや特性を生かした産業戦略を推進し、本県の産業力の強化に全力で取り組んでまいります。 次に、冬場の感染拡大に備えた体制の整備についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルスの感染者が、連日、全国で二千人を超えるなど、感染が拡大する中、県内でも、十一月以降、四例のクラスター発生等により、百七十一名の感染を確認するなど、感染者数が急増したところです。 このため、私は、クラスターが発生した地域において、緊急の一斉PCR検査を実施するとともに、個別の事案に対して、濃厚接触者等調査をきめ細かく行うなど、早期の封じ込めに全力で取り組んだ結果、現在、新規感染者数は減少し、感染拡大防止に一定の成果を得たものと考えています。 しかしながら、全国的には、感染者は増加傾向にあり、今後、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されるなど、予断を許さない状況であり、引き続き、緊張感を持った対応が必要であると認識しています。 このため、私は、県民が安心して医療を受けることができるよう、さらなる医療提供体制の充実や、感染拡大の大きな要因であるクラスター対策の強化を図ることといたしました。 具体的には、まず、医療提供体制の充実に向けては、インフルエンザの流行期に想定される一日当たり最大約四千人の発熱患者にも対応できるよう、郡市医師会等の御協力をいただき、四百六十七の診療・検査医療機関を指定し、十一月一日から運用を開始しました。 また、休日・夜間においても、安心して医療機関を受診していただけるよう、診療時間の延長や医師の追加配置など、外来診療・検査体制の強化を図ることとしています。 こうした取組により、身近な地域において、速やかに、万全の感染防止対策の下、適切な診療・検査を受けられる体制の、より一層の確保・充実に努めてまいります。 さらに、症状に応じた適切な医療を提供できるよう、高齢者等、重症化リスクの高い方は、重点医療機関への入院を基本とするとともに、入院治療の継続が不要な方は、十一月に開設した宿泊療養施設で療養していただくなど、医療資源を有効に活用した体制を整備したところです。 次に、クラスター対策の強化に向けては、酒類を提供する飲食店でのクラスター事案が多いことから、改めて、事業者に感染拡大予防ガイドラインの徹底を図ることとし、県民に対しては、三密の回避やマスクの着用など、感染防止への意識を一段と高めていただくよう、重ねて、呼びかけてまいります。 また、重症化リスクの高い医療機関等においては、早期に感染拡大を封じ込めるための初動対応が重要であることから、新たに、感染対策に見識のある医師や認定看護師で構成するクラスター対策チームを設置したところです。 このたびの医療機関での発生事案においても、本庁からの保健師等の派遣に加え、対策チームとして、医師二名等を直ちに現地に派遣して、感染経路の把握や感染拡大防止に向けた助言などを行ったところです。 私は、県民の命と健康を守ることが第一との認識の下、さらなる感染拡大に備え、関係機関等と連携し、引き続き、万全の医療提供体制の整備等に全力で取り組んでまいります。 次に、持続可能な農業の実現についてのお尋ねにお答えします。 本県農業は、台風や病害虫等の影響を受けやすい立地環境にあることから、これまで、幾度となく大きな被害が発生してきたものの、その都度、農業者の方々の並々ならぬ御努力により難局を乗り越え、地域経済を支え続けています。 一方、担い手の減少や高齢化が一層深刻化しているため、私は、本県農業が、自然災害に負けず、持続的に発展できるよう、担い手支援日本一の取組や中核経営体を核とした生産構造への転換等を進めてきたところです。 こうした中、本年度は、農業者の努力だけでは防ぎ切れない大量のトビイロウンカの飛来・発生に加え、相次ぐ台風により、本県農業経営の基幹である水稲が甚大な被害を受け、過去に例のない不作となりました。 私自身、農業者の方々から、米作りの意欲が湧かない、もう今年で終わりにしたいなどの切実な声をお聞きしており、極めて深刻な事態と受け止めているところです。 今後、本県農業の持続的発展に向けた歩みを着実に進めていくためには、地域を支えている全ての農業者に、意欲を持って安心して営農を続けていただくことが重要です。 このため、私は、農業者お一人お一人に対し、次年度の作付を後押しする支援を行うとともに、トビイロウンカによる被害を確実に抑えられるよう、技術対策を強化することといたしました。 まず、作付を後押しする支援については、県内産種子も不作となった実態を踏まえ、JA等と連携し、主要品種全ての作付が継続できるよう、県外から優良種子を確保します。 その上で、市町の御協力もいただきながら、主食用米を生産する全農業者を対象とした、過去最大規模の種子代助成を行うこととし、次年度の作付計画に間に合うよう、このたびの補正予算に計上したところです。 次に、技術対策の強化については、効果の高い新たな薬剤の導入に加え、発生量に応じた散布時期の見直しなど、防除体系の改善を進めており、こうした技術情報をSNS等も活用して、速やかに周知徹底します。 また、防除情報をより適切かつ迅速に発信できるよう、国の研究機関とも連携し、本県が独自に開発を進めてきた発生予測技術の精度を高めてまいります。 さらに、地域ごとに相談窓口を設置し、JAが創設した無利子融資の活用や、収入保険など経営安定対策の選択、効率的に防除できるドローンの導入など、経営計画の見直しや実践について、きめ細かな支援を行います。 私は、市町や関係団体との連携を一層強化し、深刻な打撃を受けた本県農業者にしっかりと寄り添いながら、生産意欲の向上を図り、持続可能な農業の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 浅原教育長。    〔教育長 浅原司君登壇〕 ◎教育長(浅原司君) 教育行政についてのお尋ねにお答えします。 急激な技術革新やグローバル化の進展等により、予測の困難な時代が到来する中、社会の変化に対応し、主体的に未来を切り開いていく力の育成に向けて、高校教育を改善・充実させていくことは、重要な課題であると考えています。 これまで、本県では、中学校卒業者数の減少に伴う学校の小規模化の進行や、生徒のニーズの多様化等に対応するため、第二期県立高校将来構想に基づき、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を進め、選択幅の広い教育や活力ある教育活動の展開、生徒同士が切磋琢磨する環境づくりなど、より質の高い高校教育の推進に努めてきたところです。 また、県内各地の学校に在籍する生徒たちが、学校や学年の枠を超えて共に学ぶ、高校教育魅力向上事業等により、生徒の大学等への進路希望の実現に向けた取組も進めてきています。 こうした中、今後も少子化が継続的に進行し、十五年後には、中学校を卒業する生徒の数が三千人以上も減少することが見込まれることから、お示しのとおり、学校の小規模化による切磋琢磨する機会の減少や、児童生徒の県外流出の継続といった課題等に対応することが必要となっています。 このような課題に対応するためには、急激な社会情勢の変化も踏まえた高校改革を推進していくことが重要であり、現行の将来構想の終期である令和六年度末を待たずに、十五年後の県立高校のあるべき姿を見据え、それを実現するためのグランドデザインを策定することが急務であると考えています。 そのため、来年度、外部の有識者等で構成する検討協議会を設置し、本県の状況を客観的に分析するとともに、新しい時代に求められる学校像について検討し、広く県民の声もお聞きしながら、中長期的かつ全県的な視点に立って、新たな県立高校の将来構想を策定したいと考えています。 この検討協議会においては、令和四年度から全面実施される新学習指導要領の趣旨や、現在、国で審議されている普通科改革等の新たな提言も踏まえながら、今後の本県高校教育の在り方を協議するとともに、生徒数が大きく減少する中での望ましい学校規模や、再編整備の具体的な進め方について検討してまいります。 さらに、県全体のバランスを考慮した学校・学科の配置や、小中学校段階からの県外流出への対応も視野に入れた中高一貫教育の推進など、特色ある学校づくりについても検討を行いたいと考えています。 県教委といたしましては、新たに策定する次期県立高校将来構想に基づき、高校改革を着実に推進することにより、より質の高い高校教育を提供し、山口県の将来を担う子供たちの育成に全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 谷警察本部長。    〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 ◎警察本部長(谷滋行君) 県民から信頼され、多様な治安要請に応えることができる、強い県警察の構築に向けた取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県内の治安情勢につきましては、議員お示しのとおり、刑法犯認知件数等、統計上の数値から見た治安水準は改善傾向にありますが、女性や子供が被害者となるストーカー、DV、児童虐待等の人身安全関連事案や高齢者を狙ったうそ電話詐欺は後を絶たず、加えて、コロナ禍における生活スタイルが変化する中、サイバー犯罪の相談件数が増加しているなどの状況も見られ、治安環境は依然として厳しい状況にあると認識しております。 こうした状況にあって、県民の期待と信頼に応える強い警察を実現し、県民の安全・安心を守っていくためには、時々の社会の動向や治安情勢に対応した組織を構築していくとともに、関係機関や団体、県民の皆様の御理解・御協力を得ながら、犯罪の起きにくい社会づくりを進めていくことが大変重要であると考えております。 組織の構築について、本年中に実施した取組を一例として申し上げますと、社会経済活動の多様化に伴う捜査活動の複雑・困難化に対応するため、犯罪捜査に大きな役割を果たす犯罪捜査支援業務の充実を図るとともに、交通事故やあおり運転に的確に対応するため、それぞれの担当部署に警察官を増員配置したところです。 今後も、社会の動向や治安情勢を踏まえ、時代に即した組織を構築してまいります。 また、犯罪の起きにくい地域社会の実現については、防犯ボランティアと連携した通学路における見守り活動や、高齢者がうそ電話詐欺に遭わないための関係機関と連携した防犯指導を実施していくほか、様々な媒体を通じた広報啓発活動を通じ、県民の皆様への情報発信や呼びかけを行うなどにより、地域や社会全体での取組を一層推進していく考えです。 こうした活動を推進するに当たっては、まず警察職員一人一人がその職責を自覚し、高い規律と士気を保持して、積極的に県民のための活動に邁進するなど、警察自身が信頼される存在でなければならないことは、議員御指摘のとおりでありますが、本年、県警察における懲戒処分者が四人に上り、県民の期待を損なう事案が発生していることにつきましては、大変重く受け止めております。 今後、各級幹部による面接を通じるなどしたきめ細かな指導や小集団での検討、過去の事例を題材として、非違事案によって生じた取り返しのつかない結果を自らのこととして考えさせる職務倫理教養を繰り返し行うほか、公私にわたる職員の悩み事等の相談への対応にも、一層力を入れるなどにより、非違事案を防止、職員が職務に邁進できる環境づくりに向けた対策に取り組み、県民の皆様方の信頼回復に努めてまいります。 県警察においては、引き続き、県民のためという原点に立ち、組織一丸となって、安全・安心な社会の実現という使命を全うするため、全力を尽くしてまいります。 ○議長(柳居俊学君) 戸倉多香子さん。    〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) ◆(戸倉多香子さん) 皆様、お疲れさまです。民政会の戸倉多香子です。令和二年十一月定例会に当たり、県政の諸課題について、会派を代表して質問させていただきます。 それでは、通告に従い、順次質問させていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症への対応についてお伺いします。 県内の感染者数は、昨日の時点で三百八十四人となり、県民にとっても大変不安な日々が続いています。全国では、テレビなどで連日、過去最多の感染者数となったなどと報じられ、不安が膨らむばかりですが、山口県におきましては、感染された方の感染経路について、ほぼ把握ができており、クラスターが発生した地域へは、速やかに行政検査を行うなど、知事や職員の皆様をはじめ、関係する様々な部署で、迅速で的確な対応が続いています。 予想以上に長くなってしまったコロナへの対応で、本当にいっときも気の休まる余裕のない毎日だと思いますけれども、医療現場をはじめ、あらゆる分野で、県民の皆様の安心・安全のために、日夜御努力いただいている全ての皆様に、心から感謝申し上げたいと思います。また、感染された皆様におかれましては、心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い御回復をお祈りいたします。 県では、十一月十二日に、令和三年度の国の予算編成等に向けた政府要望と一緒に、新型コロナウイルス感染症に係る特別要望書を提出されました。そこには、検査体制・医療提供体制の整備、学校・高齢者施設等における感染防止の強化、地域の経済と雇用を支える中小企業への支援の充実、そして、新型コロナウイルス感染症に係る地方財政支援と、様々な角度から十三項目について、国に支援や対策を求められております。 その十三項目の二点目、医療提供体制の充実強化には、重点医療機関や入院協力医療機関の感染防止対策や医療従事者が感染した場合の補償など、十分な支援を継続することを求めるだけでなく、発熱患者を受け入れる診療・検査医療機関に対する診療報酬の措置や協力金の支給、スタッフの危険手当の制度化や罹患した場合の休業補償などを求め、さらに、患者を受け入れていなくても、受診控え等により経営が厳しくなっている全ての医療機関への財政支援を求めるなど、大変賛同する内容となっております。 一点目にある、医療機関等の施設内感染を防ぐため、医療関係者への一斉・定期的なPCR等の検査を行う、これを行政検査に位置づけることを求めたPCR等検査体制の強化も、今後の感染拡大防止に向けて、ぜひとも実現してほしい課題です。 また、六点目の保健所機能の充実強化や、七点目、偏見・差別行為等の排除など、どの項目も大変重要な問題であり、これまで県独自の取組として努力してこられた内容でもあると思いますが、これだけ感染症対策が長引いている現状を考えると、もっと強力な国の支援が必要なのは言うまでもありません。 このたびのようなクラスターの発生による感染の急拡大は、県内のいつ、どこで起こってもおかしくありません。県民の不安を取り除くためには、感染が拡大する中でも、必要な人全員が検査を受けられる体制を、県内全ての地域で確保し、速やかに感染の拡大を抑え込む必要があると思います。 また、コロナに対応する地域の医療体制は、コロナ患者の受入れにかかわらず、全ての医療機関の協力により成り立っているため、受診控え等により経営が厳しい全ての医療機関等の経営支援などに、国とも一体となり取り組んでいただきたいと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、令和三年度当初予算編成についてお伺いいたします。 質問の最初に取り上げましたとおり、令和二年度は、何をおいても、新型コロナウイルス感染症への対応を優先せざるを得ない年となりました。十月十二日に策定・公表されました、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針で、村岡知事は、何よりも県民の命と健康を守ることを最優先に、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、柔軟かつ万全の対策を講じるとされています。 しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が、このように長引き、社会の在り方までも変えることになるとは、誰も予想できなかったと思います。社会経済活動は大きく落ち込み、県づくりの取組も停滞を余儀なくされている現状で、国の動向等へも柔軟に対応しながらの予算編成は、困難を極める作業だと思います。 先般、公表されました令和三年度当初予算編成方針によりますと、本県の財政状況は、今年度の新型コロナウイルス感染症や七月豪雨災害への対応などにより、極めて厳しい状況であり、来年度の財源不足額は、現時点で約七十億円と見込まれています。 一方、国においては、新型コロナウイルス感染症対策に必要な地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金等の財源措置に加え、本年度で期限を迎える、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策や、年金や医療等に係る経費のいわゆる自然増の取扱いなどについては、予算編成過程で検討することとされているなど、地方財政を取り巻く環境は不透明で、予断を許さない状況とのことです。 このような混迷の中にあっても、県民の生活を守り、県内経済や事業を守ることを明確に打ち出し、県民の不安を払拭することが必要です。すっかり落ち込んでしまった県民の気持ちと社会経済活動を段階的に引き上げ、危機から生まれる変化を成長へとつなげる、コロナの時代における「活力みなぎる山口県」の実現を目指して、知事は、令和三年度当初予算の編成に、どのように取り組まれるおつもりか、御所見をお伺いいたします。 次に、地域の経済と雇用を支える中小企業への継続的な支援についてお尋ねいたします。 十一月十六日に発表された七月から九月のGDP速報値では、年率換算二一・四%増と、戦後最悪の落ち込みとなった前期からの反動で、比較可能な一九八○年以降最大の伸び率となったと報じられました。しかし、取り戻したのは、前期の四月から六月期に減った分の半分程度で、回復は力強さを欠いているとされ、依然として厳しい状況が続いています。 特に、中小企業や小規模事業所は、本当に深刻な状況です。政府系金融機関や県の制度融資を活用した実質無利子・無担保の融資による資金繰り支援や、持続化給付金、家賃補助、納税猶予など、様々な支援策で、どうにか事業を継続してきたところも、いよいよ資金繰りが苦しくなっているといわれています。 先日、御夫妻で長く飲食店を経営されていた方に、スーパーでばったりお会いし、長いことお世話になりましたと声をかけられ、閉店を告げられました。年金も少ないので、まだまだ働かなくてはいけないのよと、お店を切り盛りされていた奥様は、介護施設に出られているということでした。腕のいい板前さんだった御主人も、会社勤めに出られているとのことでした。 残念ながら、閉店してしまったお店が増えています。今後は、さらに、廃業を決める事業者が増えると予想されています。事業を継続したくても、さらなる借入れには、返済への不安からちゅうちょしてしまうとの声も聞きます。また、税金や社会保険料の納付の先延ばし制度を利用していても、来年の税金や保険料と同時に猶予分も一緒に払えるかどうか不安だ。赤字であっても、法人税や所得税とは違い、消費税の納付は必要となるという不安の声ばっかり聞きます。 県では、制度融資による資金繰り支援や営業持続化等支援金の支給、専門家派遣事業を活用した相談体制の強化などにより、事業の継続や雇用の維持を支援してこられましたが、まだまだ継続的な支援が必要です。地域の経済と雇用を支える中小企業への継続的な支援に、知事は、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、種子条例の制定についてお尋ねします。 今国会で、種苗法の改正が議論されておりますが、改めて廃止された主要農作物種子法、いわゆる種子法が担ってきた役割の重要性の認識が高まり、都道府県による種子条例の制定に関心が集まっています。 二○一八年四月で廃止されてしまった種子法は、戦中から戦後にかけて食糧難を経験した日本が、二度と国民を飢えさせないと、一九五二年、昭和二十七年五月です、サンフランシスコ講和条約が発効された翌月、日本が主権を取り戻した直後というタイミングで制定されました。 日本の主要農作物である米、麦、大豆の品質を保ち、それらの優良な種子を安定的に生産し、公共の財産として供給していくことを国の果たすべき役割と定めていた種子法は、都道府県に、栽培用の種子を採種するためにまく種である原種と、原種の大本である原原種を栽培、生産し、採種農家に供給し、そして一般の稲作農家に供給していくことを義務づけていました。そのほかに、その土地の土壌や気候に合った優良な品種を、普及すべき奨励品種として指定することや、種子を生産する圃場の指定や審査も都道府県が担ってきた重要な役割でした。 これらの作業が、経験と根気の要る大変な作業であることは、以前、仲間の県議の皆さんと一緒に美祢市にある美東原種農場を視察させていただき、実感しました。実際の現場を見せてもらって、このような丁寧な作業を、効率を求め、利益を追求する民間事業者に続けていくことができるのか、今も疑問に感じています。 主要農作物の優良な種子の生産及び普及の促進を、これまでどおり維持していくための法的根拠を失い、種子法に代わる種子条例の制定が必要だと考える県議の皆さんとともに、議会のたびに質問を重ねてきましたが、県からは、毎回、県では、米、麦、大豆の原種供給などの具体的な手続等を要綱に定め、優良種子の計画生産と安定供給に取り組んでいます、今後も、国やJA、種子生産農家等と連携しながら、要綱を着実に実行することにより、引き続き、県の役割を適切に果たすことができることから、条例制定は考えていません、こういった答弁が繰り返されています。 しかし、十一月五日に有機農業に取り組む方々が開催された勉強会に参加したところ、講師の山田正彦元農林水産大臣が、要綱は、単なる県庁内部での規則にすぎず、いつでも変えることができてしまう、一方、条例制定は議会の可決が必要で、仮に知事が代わっても引き継がれると話されました。 また、種子条例が、単なる種子法の代わりとしての役割だけではなく、対象の農作物として、米、麦、大豆以外にも地元の伝統野菜を加えたり、地域固有の種や在来種の保存を義務づけたりと、新たな役割も担えることを、ほかの県の条例を例に挙げて教えてくださいました。 さらに、都道府県の知見を外国企業も含めた民間事業者に提供させる規定となっている農業競争力強化支援法第八条第四号も、県が独自に開発した優良な育種知見を守る内容を条例に盛り込むなどにより、一定の規制をかけることができることにも気づかせていただき、大変勇気づけられました。 全国での種子条例制定の広がりは、これからも続くと思います。ほかの県の例を学びながら、地方自治体の条例が持つ強い権限を生かして、子供たちの世代に、安心・安全な食をつないでいきたいと思います。山口県でも、種子条例の制定を検討すべきだと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。 次に、核兵器禁止条約の発効についてお尋ねします。 先月二十四日、核兵器の開発、保有、使用等を禁じる核兵器禁止条約を批准した国と地域が、発効に必要な五十に達して、いよいよ来年一月二十二日に条約が発効されることが決まりました。核兵器廃絶運動に携わってきた世界中の人たちから大きな喜びと期待の声が上がっています。 この核兵器禁止条約が発効されることについて、村岡知事は、十月二十七日の会見の場で、記者から、「村岡知事御自身も、かつて被爆地広島市の財政課長でいらっしゃった。知事の見解を改めてお聞かせください」と質問され、知事は、「これまで活動されてこられました被爆者の方々、また関係団体の方々の思いとか行動が実を結んで、核兵器を廃絶したいと、そういうふうに願う信念が国際社会に広まった結果であると受け止めております。改めて核兵器のない平和な世界の実現が、人類共通の願いであるということを認識をしたところです」と答えておられます。 これを受けて、記者から、さらに、日本被団協──日本原水爆被害者団体協議会です、それでつくる連絡会がヒバクシャ国際署名を年末まで延長されることが決まったが、この署名に村岡知事が参加なされる御意思があるのかと尋ねられ、「基本的な考え方は、これまで申し上げてきたとおりであり、核兵器の廃絶自体は強く願っているが、核兵器のない世界に向かっていくための手法については、国においてしっかりと検討を進めていただきたいと思っており、そうした国の取組を尊重する立場に立って、現時点で署名をすることは考えていない」と答えておられます。 これまでも知事は、この議会の場で、先輩議員の質問に対し、同じように答えてこられました。しかし、山口県内で被爆者健康手帳を所持されている方の数は、令和二年三月末時点で二千二百五人、人口比では、広島、長崎に次いで三番目に多くいらっしゃいます。広島や長崎とは比較にならないほど支援策に恵まれない県内の被爆者を、イデオロギーや宗教宗派、思想信条などの違いを全て乗り越えて支援し、核兵器廃絶に向けた平和運動を積極的に進めてこられた山口県原爆被爆者支援センターゆだ苑の岩本晋理事長は、「被爆者は、七十五年以上の月日をかけて、ここに国連での新しい時代を迎えようとしている。被爆者が高齢となり亡くなる方も多い中で、ようやくここまでこぎ着けた。核兵器禁止条約を確かなものとするために、被爆者としてだけではなく人間として、世界中の人たちが力を合わせ、新たな段階への歩みに力を注いでいただきたい」と言われており、村岡知事へも協力を求めたいと話されています。 日本は唯一の戦争被爆国であり、政府は、核兵器禁止条約が目指す核兵器廃絶という目標は共有しているものの、国民の生命と財産を守る責任を有する立場から、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要であり、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、核兵器保有国や核兵器禁止条約支持国を含む国際社会における橋渡し役を果たし、現実的かつ実践的な取組を粘り強く進めていくという考えとされています。条約については、署名しない方針に変更はないということを言われています。 しかし、公明党の山口那津男代表が、条約発効後の締約国会議に日本がオブザーバー参加するなどの検討を求められたように、日本の貢献を求める声は与党内にもあると思います。その中で、国内の都道府県の知事という立場での意思表明は、多ければ多いほど、国際社会における日本の立場への理解を深めることにつながると思います。様々な方面への御配慮もありましょうが、改めて村岡知事に、ヒバクシャ国際署名を御検討いただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、脱炭素社会の実現に向けた山口県の取組についてお尋ねいたします。 まず、ゼロカーボンシティの表明についてです。 前回の九月定例会では、我が会派の井上県議が代表質問に立ち、地球温暖化対策の推進について、エネルギー供給の低炭素化に向けたイノベーションの創出と、ゼロカーボンシティの表明について、県のお考えをお聞きしました。 イノベーションの創出については、大変積極的な御答弁をいただきましたが、二○五○年までにCO2排出実質ゼロを目指すゼロカーボンシティを率先して表明し、県内の自治体を牽引すべきではないかといった井上県議の質問に対しては、現状においては、ゼロカーボンの達成に向けた道筋を見通すことは困難な状況にあり、慎重に対応したいとの御答弁でした。 村岡知事は、本県のCO2排出量の状況は、地球温暖化対策実行計画に基づき、二○○五年度からの十二年間で、計画の目標を上回る約七百五十万トンのCO2削減を実現したものの、それでもなお、約四千二百万トンの排出量に対し森林吸収量は約八十四万トンと大きく乖離しており、この差を解消するには、従来の取組の延長ではない、抜本的な対応策が必要となると説明されました。確かに厳しい状況であることは理解いたしました。 しかし、その状況は既にゼロカーボンシティを表明している自治体であっても同じで、実質ゼロをどう実現するかの具体策まで検討できている自治体はまだ少ないと報道されています。その中で何よりも重要なことは、まずはゼロカーボンを表明することにより、県民とともに高い目標を掲げ、その実現に向けた計画をつくり、それを実行していくことだと、私たち会派では考えています。私たちの会派では、知事に引き続き、このゼロカーボンシティの表明について訴えていこうと話しておりました。 そんな中、菅総理が十月二十六日に開会した臨時国会の所信表明演説で、我が国は、二○五○年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、二○五○年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと宣言されました。既に百二十以上の国と地域が二○五○年までに実質ゼロの目標を掲げ、世界の動きが加速する中、日本も、これ以上曖昧な姿勢を続けて、温暖化対策に後ろ向きだと批判されたくないと考えられたのでしょうが、この宣言については、私たちも高く評価したいと思います。 国では、早速、地球温暖化対策推進法の見直し議論が始まったようです。また、総理も、国と地方の協議の場を創設する方針を示されています。しかし、山口県では、今年度末に、地球温暖化対策実行計画を改定する予定で、既に作業が進められていると思います。これらの国の大きな動きを受けて、県でも、従来の取組の延長ではない、抜本的な対応策を盛り込んだ実行計画へと、内容を大きく見直す必要があると思います。 そこで、まずは、菅総理の脱炭素宣言に対する知事の受け止めについてお伺いし、地球温暖化対策実行計画の改定に、どのように取り組まれるおつもりなのか、お尋ねしたいと思います。 環境省は、ゼロカーボンシティを表明した自治体への支援を拡大する方針で、CO2排出実質ゼロを達成するための計画づくりも支援するとしています。また、自治体向けの再生可能エネルギー導入支援も、ゼロカーボンシティを優先的に対象にする考えと報道されています。山口県でも、財政支援も含めた様々な優遇策が受けられるよう、ゼロカーボンシティの表明を急ぐべきです。できれば、県内の各市町に呼びかけ、共同で表明していただきたいと思います。 山口県は、早くからゼロエミッション型の地域づくりに取り組み、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを推進、リサイクル率は全国一位、レジ袋辞退率全国トップクラス、そして全国初の県内全体のごみ焼却灰のセメント原料化を進めるなど、地球温暖化対策や循環型社会の形成などでは、一歩も二歩も進んだ取組をしてきた実績があります。それらを生かして、引き続き、脱炭素社会の実現に向けた取組において、全国の自治体をリードする山口県であってほしいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。 菅総理の二○五○年カーボンニュートラル宣言により、革新的なイノベーションの推進など、大きな社会変革への期待が膨らんでいます。 村岡知事は、既に前回の井上県議の代表質問で、やまぐち産業イノベーション戦略に環境・エネルギーと水素、この二つを重点成長分野に位置づけ、エネルギー転換・脱炭素化に向けたイノベーションの創出に取り組んでいると答弁されており、山口県のこれらの取組が、二○五○年カーボンニュートラルに大きく貢献できると確信しています。 一方、井上県議も触れられましたが、本県の強みとされる高度な産業集積は、非効率な石炭火力発電所のフェードアウトという大きな課題も抱えています。幾つかの発電方式がある石炭火力発電で、主に利用されているのは蒸気タービンのみで発電する方式で、この蒸気の温度や圧力を上げることで、発電効率が上がるそうです。 一般的には、亜臨界圧(SUB─C)、次に、超臨界圧(SC)、そして超々臨界圧(USC)と効率が高くなっていき、現在の日本では超々臨界圧(USC)が石炭火力の主流となっています。第五次エネルギー基本計画では、非効率な石炭火力を超臨界圧(SC)以下としています。周南コンビナート企業保有の石炭火力は、全てSUB─Cですが、蒸気潜熱の併用により、実質的には、高効率なエネルギー利用を実現しており、廃止対象基準の議論を国に求めたり、一般市民にも理解が広がるよう、官民一体となった取組も必要です。 それらの課題を抱えているからこそ、山口県の強みである瀬戸内沿岸のコンビナート企業は、CO2を分離・回収して地中に貯留するCCSや、分離・回収したCO2を利用するCCUSといったカーボンリサイクルの研究も、産官学で意欲的に進められてきたと思います。現在も進んでいると思います。 菅総理は、二○五○年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すとの宣言に続き、「もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です」と話されました。 村岡知事は、山口県の強みである基礎素材型を中心とした高度な産業集積や技術開発力を生かして、脱炭素社会の実現に向けて、どのように取り組まれるのかお尋ねいたしまして、私の代表質問を終えたいと思います。 御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 戸倉議員の代表質問にお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染症への対応についてです。 県内では、十一月上旬から新型コロナウイルス感染症新規感染者が相次いで発生し、一か月で約百七十件に上る感染が確認されたところです。 また、一部の地域では、接待を伴う飲食店において、従業員や客等を介して感染が拡大し、クラスターが立て続けに発生したところです。 こうした感染の拡大を防止するためには、クラスターの発生を最小限に抑え、速やかに、感染拡大への連鎖を封じ込めることが必要です。 とりわけ、感染が拡大している地域においては、県民の不安を解消する観点からも、積極的なPCR検査を実施し、安心と安全の確保につなげていくことが重要であると考えています。 このため、私は、県民からの検査に対する相談に対応できるよう、四百六十七の診療・検査医療機関を指定し、身近な医療機関で、相談・診療・検査が実施できる体制を整備するとともに、十四市町十四か所に地域外来・検査センターを設置し、地域における検査体制の充実を図ったところです。 さらに、クラスターの発生時における大量の検査需要にも対応できるよう、環境保健センターや保健所等へのPCR等検査機器の整備や、民間検査機関の活用により、十分な検査体制を確保しています。 こうした検査体制を活用し、このたび、岩国市麻里布地域で実施した緊急一斉検査のように、クラスター発生時には、必要に応じ、地域全体を対象とした、集中的な検査を実施することとしています。 加えて、医療機関や高齢者施設でのクラスターの発生時には、感染の拡大を早期に封じ込めるための初動対応が重要であることから、感染対策に見識のある医師や認定看護師などで構成するクラスター対策チームを設置しているところです。 また、お示しのとおり、受診控え等により経営が厳しい医療機関等への経営支援も重要であると考えています。 このため、経営に影響が生じている医療機関に対しては、国の福祉医療機構による無利子・無担保での優遇融資に加え、県制度融資で、新型コロナウイルス感染症対応資金を創設し、その活用促進に努めているところです。 また、医療機関の経営悪化に歯止めをかけ、持続可能な経営に資するよう、国からの財政支援についても、あらゆる機会を通じて、要望することとしています。 私は、今後とも、県民の命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策に、国と一体となって取り組んでまいります。 次に、令和三年度当初予算編成についてのお尋ねにお答えします。 直面する新型コロナウイルス感染症の危機を乗り越え、コロナの時代にあっても活力に満ちた山口県の未来を切り開いていくためには、感染拡大の防止を徹底した上で、感染拡大の局面で生まれた社会変革の動きを逃さず、これからの成長につなげていくことが重要です。 このため、社会変革の原動力となるデジタル化の推進など、コロナの時代におけるこれからの県づくりにおいて、特に重点化・加速化すべき取組を定め、今後の進め方を示した、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針を先般策定したところです。 来年度当初予算においては、この方針に基づき、感染拡大防止経済活性化の両立に向けた取組の重点化と県政各分野のデジタル化等の加速化により、県づくりの取組を前進させていくこととしています。 まずは、県民の命と健康を守ることを最優先に、引き続き感染防止対策に取り組むとともに、これとの両立を図りつつ、県民生活の安定確保、県内経済の下支え、消費需要の喚起等により社会経済活動の段階的な引上げを重点的に進めてまいります。 同時に、県づくり全体の取組を加速化していくため、デジタルトランスフォーメーションの推進に向けた、県政の各分野におけるデジタル化の取組を強化していきたいと考えています。 さらに、休暇先でテレワークを行うワーケーションなど、働き方の新しいスタイルの普及・定着を見据えた本県への新たな人の流れの創出・拡大や新たな日常を支える人材の育成等を通じて、社会変革の動きを県政に確実に取り込み、より大きな成果の発現につなげていく考えです。 一方で、感染拡大の影響により、県税収入の大幅な減少が見込まれるなど、本県財政は極めて厳しい状況にあります。 しかしながら、このような状況にあっても、コロナとの長期戦を見据えた対策や、活力に満ちた本県の未来にとって必要となる施策には、これからも継続して、しっかりと取り組んでいかなければなりません。 そのため、来年度以降においても地方が必要となる地方創生臨時交付金等の財源措置や、地方一般財源総額の確保・充実について、先般、国に要請したところです。 そして、来年度の当初予算編成に当たっては、選択と集中の観点に立って、事業の不断の見直しや財源確保等に取り組み、財源不足の解消に努めてまいる考えです。 私としては、コロナ禍というピンチをチャンスに変え、コロナの時代の県づくりの取組を、力強く、スピード感を持って前進させていくため、国の動向等にも注視しながら、来年度の当初予算編成に取り組んでまいります。 次に、中小企業への継続的な支援についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症が、社会経済活動の様々な分野に大きな影響を及ぼす中、地域の経済と雇用を支える中小企業の継続的な事業活動を支援することは、極めて重要です。 こうした認識の下、これまで私は、感染症の影響を受ける中小企業に対し、時々の経営環境に応じた支援策を機動的かつ切れ目なく講じてきたところです。 まず、事業者にとって喫緊の課題である資金繰り支援のため、県制度融資経営安定資金の融資枠を拡大するとともに、国の緊急経済対策を積極的に活用し、保証料負担がない、三年間無利子の新資金を創設しました。 あわせて、感染症の大きな影響を当初から受けている食事提供施設に対する定額給付金の交付や、専門家派遣事業を活用した相談体制の強化も行うなど、中小企業の事業継続に向けた緊急的な支援を実施しました。 その後も、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて変化する経営環境を踏まえ、引き続き、県内経済の下支えを強化するとともに、消費需要の喚起に向けた様々な施策を展開してきました。 県内経済の下支えについては、制度融資の融資枠をさらに拡大したほか、新しい生活様式を踏まえた事業環境の整備や、新製品・新サービスの開発、販路開拓に対する補助制度を創設し、意欲的に取り組む中小企業を支援しました。 消費需要の喚起に向けては、利用者が応援したい店舗のプレミアムつきチケットをクラウドファンディングで購入できる仕組みを構築し、売上げの回復と資金繰り支援を同時に実現する頑張るお店応援プロジェクトを実施しました。 また、新たな交付金制度を創設し、地域の実情に応じて、きめ細かな施策づくりに主体的に取り組む市町を支援しているところです。 こうした中、県内景況は弱い状況が続いているものの、企業倒産は落ち着き、業況判断指数も改善するなど、持ち直しの動きが見られています。 また、雇用情勢においても、解雇、雇い止めの増加は全国より緩やかとなっており、有効求人倍率も全国水準を上回って推移しているなど、着実にこれまでの取組の成果が現れているものと考えています。 一方、県内でも新型コロナウイルスへの集団感染の発生が相次いで確認される状況が続いたことから、感染症をめぐる状況が企業等のマインドに与える影響を含め、今後の動向を注視する必要があります。 私は、これまでの取組を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症の感染状況や、経営環境に感染症が与える影響を踏まえながら、必要に応じた支援を迅速に実施し、県内中小企業の事業継続と雇用の維持に取り組んでまいります。 次に、種子条例の制定についてのお尋ねにお答えします。 主要農作物種子法は、農業の戦略物資である種子について、市場の多様なニーズに対応し、品種開発を進める必要から、従来の都道府県による一元的な種子開発、供給体制に加え、民間企業との連携による多様な種子の開発供給を促進するために廃止されました。 あわせて、政府が万全を期すべき事項として、都道府県のこれまでの開発供給体制の維持に必要な財源の確保や、特定の事業者の種子の独占による弊害が生じないよう努めること等を内容とする附帯決議が採択されています。 さらに、法廃止の趣旨の踏まえた技術的助言として発出された事務次官通知では、優良な種子の安定供給や多様なニーズに対応した品種開発を担うなどの都道府県の役割や、種子の品質確保を図ること等の基本方針が示されました。 本県においては、この事務次官通知に沿って、優良品種の決定や原種、原原種の確保、種子生産農家への指導など、具体的な手続を要綱に定め、必要な予算措置を講じながら、JAと連携し、種子法に規定されていた県の責務と同様の取組を着実に行ってきたところです。 私は、本県農業を振興する上で、基幹作物である稲、麦、大豆の優良種子の安定供給は重要と認識しており、引き続き、国やJA、種子生産農家等と連携しながら、要綱を着実に実行することにより、県の役割を適切に果たすことができることから、条例制定を行うことは考えていません。 次に、核兵器禁止条約の発効が決定したことを受け、改めてヒバクシャ国際署名への署名を検討すべきとのお尋ねにお答えします。 私は、核兵器を廃絶し、世界の恒久平和を実現することは、唯一の被爆国である我が国はもとより、世界人類に共通する課題であると認識しています。 このたび、核兵器禁止条約の発効に必要な国と地域が五十に達し、条約の発効が決定したことは、核軍縮や核不拡散に向けた認識が国際社会に広まった結果であり、これまで活動してこられた被爆者や周りで支えてこられた関係団体の方々の御労苦に、敬意を表するものです。 この核兵器禁止条約に関しては、お示しのように、政府は以前から、核兵器廃絶という目標は共有するものの、この条約には参加することなく、核兵器国と非核兵器国の協力の下に現実的・実践的な取組を行うこととしています。 私は、核兵器の廃絶自体は、これを強く願っているところですが、核兵器のない世界に向かっていくための手法については、国の専管事項である安全保障とも密接に関わっていることから、国民の命と平和な暮らしを守る観点で、国において、しっかり検討して進めていただきたいと考えています。 こうしたことから、私としては、あくまでも国の取組を尊重する立場に立って、速やかな核兵器廃絶と全ての国に核兵器禁止条約への加盟を求めるヒバクシャ国際署名に署名することは、現時点においても考えていません。 私は、世界中の人々が望む、核兵器のない平和な世界の実現に向け、国の取組が着実に実を結んでいくことを願っています。 次に、脱炭素社会実現に向けた取組についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、菅総理の脱炭素宣言に対する受け止めについてです。 気候変動対策の国際的枠組みであるパリ協定において、世界全体の気温を、産業革命以前と比べて一・五度以内の上昇に抑える努力目標が示され、その達成には、二○五○年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることが必要とされています。 こうした中、菅総理は、所信表明演説において、二○五○年までに脱炭素社会の実現を目指すと宣言され、その実現に向けては、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、総力を挙げて取り組むという方針を出されました。 これは、国内外に向けて、脱炭素社会の実現を目指すことを明確にし、脱炭素化のための取組をこれから加速化していくという強い決意が示されたものと受け止めています。 次に、県の地球温暖化対策実行計画の改定についてです。 地球温暖化の進行に伴う気候変動は、既に県民生活にも大きな影響を及ぼしており、その対策は喫緊の課題となっています。 このため、県では、地球温暖化対策実行計画に基づき、温室効果ガスの排出削減に向けた施策に取り組んできたところです。 現行の計画については、今年度で終期を迎えることから、これまでの取組成果を十分に検証するとともに、国の地球温暖化対策計画や社会経済活動の変化などを踏まえて改定作業を進めているところです。 一方で、国においても、地球温暖化対策計画の見直しが進められており、このたびの脱炭素宣言を踏まえた温室効果ガスの削減目標や、目標達成のための抜本的な対策等が、今後示されるものと思われますが、現時点では、改定時期や見直しの方向性も明らかになっていません。 こうしたことから、二○三○年度までを計画期間とする県の次期計画は、国の現行計画などを基に、専門家や事業者、県民などから幅広い意見も聞きながら、新たな温室効果ガスの削減目標を掲げ、策定する考えです。 そして、新たな目標の達成に向けて、本県の豊富な日射量、森林資源などの地域特性や、環境・エネルギー、水素関連の先端技術を有する企業が集積しているなどの産業特性を生かした温室効果ガス削減対策を計画に盛り込みたいと考えています。 次に、ゼロカーボンシティの表明についてです。 本県では、これまで、ゼロカーボンシティの表明については、慎重に対応してきたところです。 こうした中、菅総理が、二○五○年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、これを受けて、現在、国においては、達成に向けた戦略や具体的方策が検討されているところです。 したがって、本県のゼロカーボンシティの表明については、今後、こうした国の動向等を踏まえながら、引き続き、検討したいと考えています。 私は、今後とも、国等の新たな動きを十分留意するとともに、県民や事業者、関係団体、市町と緊密に連携しながら、脱炭素社会の実現につながる地球温暖化対策に取り組んでまいります。 次に、高度な産業集積や技術開発力を生かした脱炭素社会の実現についてです。 基礎素材型を中心とした高度な産業集積や技術開発力を強みとする本県では、やまぐち産業イノベーション戦略に環境・エネルギー、水素、この二つの分野を重点成長分野に位置づけ、エネルギー転換・脱炭素社会に向けたイノベーションの創出に取り組んできました。 こうした中、国においては、二○五○年までに脱炭素社会の実現を目指すと宣言され、カーボンリサイクルをはじめとした革新的なイノベーションの創出を加速度的に促進するとしています。 私は、脱炭素化に向けた方針が明確に示されたことから、本県の産業特性や強みを踏まえたこれまでの取組をさらに進めていく必要があると考えています。 このため、次期産業イノベーション戦略では、環境・エネルギー、水素を引き続き重点成長分野に位置づけ、CO2の削減や利活用技術等をテーマとしたコンビナート企業間連携や、エネルギー供給の低炭素化等に向けた革新的なイノベーションの創出支援に取り組むこととしています。 具体的には、瀬戸内産業競争力・生産性強化プロジェクトにおいて、まず、脱炭素化に向けた技術検討や技術交流を行う新たな場づくりを進め、コンビナート企業が連携した主体的な取組を促進します。 また、新たに成長産業育成・集積プロジェクトを掲げ、水素やCO2等の貯蔵、輸送、利活用技術の研究開発など、環境負荷低減に向けたイノベーション創出に取り組みます。 さらに、脱炭素社会の実現に向けた国の施策の動向をしっかりと把握し、企業等と連携して、その積極的な活用を図るとともに、必要に応じて、国に対し支援の拡充を求めてまいります。 私は、今後とも、脱炭素社会の実現に向け、官民が一体となって、高度な産業集積や技術開発力という本県の強みを生かしたイノベーションの創出に取り組んでまいります。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時五十九分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(藤生通陽君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第三代表質問 △日程第四議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号まで ○副議長(藤生通陽君) 日程第三、代表質問を行い、日程第四、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第五十六号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 上岡康彦君。    〔上岡康彦君登壇〕(拍手) ◆(上岡康彦君) 公明党の上岡康彦です。公明党山口県議団を代表して質問をいたします。 初めに、令和三年度当初予算編成方針について、二点お尋ねいたします。 今、政治が最優先で取り組むべき課題は、言うまでもなく新型コロナウイルス感染拡大を防止し、社会経済活動を本格的に軌道に乗せることであります。 国において現在策定中の追加の経済対策と、今年度の第三次補正予算の大きな柱として掲げられているのは、新型コロナウイルス感染拡大防止ポストコロナに向けた経済構造の転換、防災・減災、国土強靱化の三点で、菅首相が重要政策に掲げるデジタル化や脱炭素に関連した予算なども盛り込まれる予定です。予算規模は最低でも十兆円から十五兆円と見られ、未消化となっている第二次補正予算の七兆円を含めると、二十兆円以上の経済対策が本年度の事業として順次実施されることになります。 そこで、一点目の質問ですが、山口県として、国の予算も活用しながらポストコロナ時代を見据えた産業戦略と、特に中小零細企業への事業再開支援が必要です。また、観光業や農林水産業にも、てこ入れが必要ですが、県はどのような戦略をもって来年度の当初予算編成をされようとしているのか、お伺いいたします。 二点目は、デジタル化の推進についてお尋ねします。 政府が、社会のデジタル化の司令塔として創設を目指すデジタル庁について、公明党は、豊かな国民生活と誰一人取り残さない社会を実現させるのがデジタル庁の位置づけだと考えています。県としても同じことが言えます。行政手続がスマートフォンで完結するなど利便性の向上や、高齢者や障害者、外国人観光客でも誰でも全ての人に優しい社会の構築に役立たなければなりませんし、ハッカー等の攻撃から大事な情報を守らなければなりません。 そうした意味でも、九月議会の総務企画委員会でも指摘いたしましたが、IT専門家の確保・育成と専門の部署が必要だと考えますが、県としてはデジタル化を推進するため、人材の確保等についてどのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、山口県内の医療機関への支援についてお尋ねします。 公明党山口県本部は、毎年十月末から十一月初旬にかけて、県内の各種業界団体から行政に対する政策要望をお聞きしております。 その中で、山口県医師会から、まず要望されましたのは、地域医療構想の見直しと地域医療介護総合確保基金の柔軟な運用についてであります。 団塊の世代が後期高齢者となる二○二五年を見据え、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、医療・介護サービス提供体制の改革を推進していくため、法律の定めるところにより、新たな財政支援制度が創設されました。この制度では、各都道府県に消費税増収分等を財源として地域医療介護総合確保基金を設置し、山口県が毎年度作成した計画に基づき事業を実施しています。 ところが、これまで示されてきた地域医療構想には感染症や災害に備える視点がなかったため、このたびのような新たな感染症対策や、最近頻発する豪雨災害などで被災した医療機関は、自前の努力で何とか対応している状況であります。さらに、医師の高齢化が進むものの人員確保もままならず、新型コロナウイルス感染症による経営悪化が医療職の雇用にも影響しています。 そこで、まずお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染症の終息を見据えながら、地域の医療機能を評価し直し、新たな感染症や医療機関の被災にも対応できる地域医療構想及び医療計画の見直しについて、また、地域医療介護総合確保基金の柔軟な運用を国にも求めながら、県においても地域の実情をしっかりと踏まえた上で、本県に必要な医療人材を育てるための事業を展開する必要があると考えますが、お伺いいたします。 二点目に、コロナの影響により厳しい経営状態にある医療機関への支援についてです。 日本医師会の全国調査によると、四月から六月の医業収入の前年度比は、耳鼻咽喉科がマイナス三四・五%、小児科がマイナス二六・○%と大きく落ち込むなど、全体でマイナス一三・三%になっています。恐らく県内も同様の傾向にあると推測されます。 持続化給付金の支給条件については、前年度同月比で五○%以上のマイナスがなければ適用されません。マイナス二○%や三○%程度であっても、数か月も続けば、医療機関の経営が危ぶまれます。 新型コロナウイルス感染症からも県民を守り、地域医療を支える医療機関の維持・確保に向け、地域医療を守るための支援をどのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、衛星データを活用した新ビジネス創出についてお尋ねいたします。 二○一七年二月、政府関係機関の地方移転の一環として、宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAの西日本衛星防災利用研究センターが、山口県産業技術センターに開所いたしました。 私も開所式典に参加し、説明を伺いました。当時は、はるかかなたにある上空の衛星から地上を観察し、そのデータを解析して新たな事業を創り出すなんてことは、正直よく理解できていませんでしたが、現在、衛星データを活用した新事業創出への取組が活発化しています。 JAXAが山口県に移転してきた同じ時期に、山口大学が応用衛星リモートセンシング研究センターを開設しました。 また、県においては、JAXA、山口大学と協定を結び、県産業技術センターに、産官学連携の衛星データ解析技術研究会を発足させ、防災や農業、森林、海洋や環境分野などで、宇宙ビジネスへの進出に向けた支援を行っています。 宇宙ビジネスの先行事例紹介や解析技術の解説、または事業化への相談を行うセミナーなど、何と今年十月までに計六十四回も開催しております。そこには県内企業など四十六社が参加し、幅広い分野で既に実証事業が生まれています。 例えば、防災分野では、河川インフラ監視サービスの事業化です。二級河川の総延長が全国二位である本県の特性を踏まえ、衛星データで河川や堤防・護岸の変化を捉えながら異変や問題をデータから解析し、そのデータを地方自治体や管理業者と共有すれば、適切に実地調査の結果が判断できるというわけです。 また、農業分野においては、単位面積当たりの小麦の収穫量を予測し、それに見合った量の肥料をまくために、収穫の目安になる小麦の繁茂状況を衛星データから解析し、区画ごとの肥料の量を判定するといった事業です。 福祉分野では、今年二月、視覚障害者ランナーの介助者を支援するシステムの公開実証試験を実施しており、介助者からは伴走の不安や負担が軽減される、ガイドが分かりやすいなど好評を博しているようです。 このシステムは、みちびきと呼ばれている日本版GPSの準天頂衛星からの位置情報を活用し、スマートフォンを通じて、コースの段差などの注意事項を伝えるものです。 こうした積極的な企業の動きや関心の高まりなどから、県は昨年七月、新たに宇宙データ利用推進センターを設置し、データ解析技術や事業の企画立案へのアドバイス機能を強化するなど、支援を加速させています。 また、山口大学応用衛星リモートセンシング研究センター長の長井正彦教授によれば、当該研究センターが災害時に山口県をモデル地域にして、衛星から被災地を広域的に捉えた衛星データを地方自治体に提供しています。衛星データは国が使うものというこれまでの概念を破った、言わば山口モデルとも言うべきプロトタイプを実施しているとのことです。 このモデルや様々な実証事業を山口県発の新事業として確たるものにするためには、政府関係機関の地方移転という強みを生かした取組を進めることが重要であり、こうしたことが新たな事業創出につながるものと考えます。 そこでお尋ねいたします。二○三○年代には、宇宙産業の市場規模は全世界で約七十兆円以上になると見込まれる中、衛星データを活用した新ビジネス創出に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、若者の県内就職・定着の促進についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、国内の雇用環境は依然厳しい状況が続いています。九月の完全失業率は三年三か月ぶりに三・○%まで悪化した八月から横ばい、完全失業者数は八か月連続で増加しました。また、来春卒業予定の大学生の就職内定率は十月一日時点で七割を切り、リーマンショック後の二○○九年に次ぐ下落幅となりました。顕著な影響は旅行業や飲食業など一部にとどまるとの見方があるものの、先行きは不透明であります。 こうした中、公明党では、雇用の維持に向け、十二月末に期限を迎える雇用調整助成金の特例措置の期限延長を申し入れておりましたが、政府は、来年二月末まで延長し、必要な財源を第三次補正予算案に盛り込む方針を示しました。 県では、これまでの補正予算において、中小企業への金融支援をはじめ、テレワークの導入や就職・採用活動のオンライン化に向けた支援、離職者の再就職支援などの経済・雇用対策を打ち出してきました。 こうした取組のかいもあって、本県の九月の有効求人倍率は一・二○倍で、依然として弱い動きが続いているものの、全国七位の高水準にあり、求人数の減少幅も落ち着きを見せています。 しかしながら、予断は許されない状況ですので、コロナの影響を踏まえた雇用対策をしっかり講じていただきたいのですが、こうした厳しい中にあってこそ、長期的な視点に立った取組が必要になってくると思います。 今さら申し上げるまでもなく、大学等への進学・就職を契機とした若者の県外流出による人口減少は、本県の最重要課題であり、その克服に向けては、若者の県内就職・定着の促進が重要であると考えます。 総務省によりますと、東京都では七月から三か月連続で転出超過になりました。コロナ禍を契機に人々の意識や働き方が変化していることは間違いなく、今こそ若者の県内回帰・定着につなげていくチャンスではないでしょうか。 県ではこれまで、大学生等を対象としたインターンシップや就職説明会の開催、山口しごとセンターを中心としたマッチング支援などに取り組んでおられます。大学生等の県内就職など一定の成果が上がっており、単独での求人活動が負担になる企業からも取組を評価する声を聞いておりますので、今後もこうした取組を着実に進めていただきたいと思います。 一方で、県内の学生ですら県内企業をあまり知らない、知名度の低さから県外の知名度のある企業との採用競合に負けたといった声も耳にすることから、企業の魅力発信の強化が必要ではないかと考えます。 今後の取組のヒントとして、今の若者の働く価値観が変化していることが挙げられます。就職先を選ぶ際の決め手として、やりたい仕事ができることは、いつの時代でも求められていますが、以前では当たり前だった給与水準だけではなく、働きやすさやワーク・ライフ・バランスなどが重視されるようになっているようです。 私も度々取り上げてきましたが、本県で熱心に取り組んできた働き方改革の取組は大きな強みになりますし、テレワークなどの新しい働き方がコロナ禍において注目を集めています。こうした点をセールスポイントとするなど工夫を凝らし、県外の若者に対して県内企業の魅力を伝え、本県でずっと働きたいと思ってもらえるよう、取り組んでいただきたいと考えます。 そこでお尋ねいたします。県では、若者の県内就職・定着の促進について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、水害対策についてお尋ねします。 近年の気候変動による集中豪雨や台風などで被る被害は、あまりにも大規模で甚大であります。一昨年、平成三十年の西日本豪雨では、本県も大きな打撃を受けました。周東町や私の地元周南市においても、その傷痕はまだ残っております。 昨年の東日本台風は、気象庁によると、雨については三日間の総降雨量が、神奈川県箱根で千ミリにも達し、五百ミリを超えた地域も東日本を中心に十七地点もあったとのことです。河川が氾濫し、住宅に取り残された住民がヘリコプターで救助される様子を映した報道は、記憶に新しいのではないでしょうか。 本年七月にも、記録的な豪雨で熊本県を中心とした九州地方や中部地方など各地で大きな被害を受けました。 国交省によれば、国や都道府県が管理する河川が豪雨により氾濫危険水位を超えた河川数も年々増えており、気候変動による水害リスクの増加は、本県においても人ごとではありません。 国では、堤防やダムなど、従来の河川整備だけでは受け止めきれないほどの豪雨が頻発しており、貯留施設の整備などのハード整備とともに、避難体制の強化などのソフト対策を、流域の自治体や住民らと連携して取り組む流域治水へとかじを切る方針を示しました。 具体的には、一、氾濫を防ぐために水を田んぼにしみ込ませたり、ため池にためたりする治水活用、二、被害を減少させるための土地利用規制や住宅地の移転促進、三、氾濫した水を早くなくすための排水門の整備など、水害に強いまちづくりを流域全体で連携して進めることとし、今年度中に全国の一級水系で流域治水プロジェクトを策定することが発表されました。さきに述べたように、ここでは国と関係自治体である県や市町、地域住民や流域にある民間企業も含めての関与が必要であり、相互の深い連携が重要です。 そこでお尋ねいたします。県としては、計画的に堤防の整備やしゅんせつ工事を進めていただいております。また、二○一八年度から県内の六河川の洪水浸水想定区域の追加指定をするなど、県が管理する洪水予報河川、水位周知河川の六十七河川において、想定区域の見直しを進めておられるのは承知をしておりますが、近年の気候変動による影響により激甚化する水害を回避し、県民の生命・財産を守るため、河川整備を進めるとともに、国や市町、あるいは地域住民や企業と連携した流域治水に取り組む必要があると考えますが、今後、県では水害対策をどのように進められるのか、お伺いいたします。 次に、少人数学級の導入についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、少人数学級導入の機運が高まり、新たな学びの在り方をめぐる議論を活発化しています。政府が一斉臨時休校を要請したことにより、今年三月二日から、全国で緊急事態宣言が解除される五月末までのおよそ三か月間、多くの小中学校が休校となりました。また、再開した今でも感染防止策を講じながらの学校運営が続いていますが、ポストコロナ時代の新たな学びの在り方をめぐり、公明党が長年訴えてきた少人数学級に注目が集まり、文科省は来年度予算の概算要求の中で、実現に向けた体制整備について検討することとしました。 こうした動きの中の十月九日、我が党の教育改革推進本部と文部科学部会が、小中学校の一クラス三十人以下の少人数学級の推進や特別支援教育の改善を求める趣旨の決議を政府に申し入れました。その後の十一月十三日に萩生田文部科学大臣が、来年度予算編成で文科省が要求している少人数学級については、令和の時代の新しい学校の姿として、私としては三十人学級を目指すべきだと考えていると述べられ、学級編制を現在の四十人から三十人を目安に引き下げるべきとの考えを明らかにされました。また、萩生田大臣は、今後、新たな感染症などが来たときに、もう学校を止めないための環境整備をこの機に進めたいとも発言されています。 つまり、今、少人数学級を導入する意義として、一点目は、新型コロナをはじめとする感染症対策です。文科省がまとめた、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルに沿えば、平均面積約六十四平方メートルの教室に四十人もいると、人との間隔について一、二メートルと間隔を空けるのは難しく、児童生徒の密を回避するのは難しいという現実があるため。 二点目は、児童生徒一人一人に注意が行き届きやすく、学習面や生活面で、きめ細かな指導ができ、教育の質の向上が期待できる点であります。あわせて、GIGAスクール構想の下、一人が一台ずつ持つ端末活用の効果を高めるためにも、少人数学級が必要だということであります。 ところが、財務省は、教員増の費用に見合う学習効果が得られないと否定的です。しかし、ポストコロナ時代にあって、学校の役割については教科教育の場としてだけではなく、子供の居場所であり、健やかな成長を促す場であるとして、改めて認識されています。ゆえに、今こそ、約三十年間見直されてこなかった公立小中学校の学級編制の標準を引き下げ、少人数学級を推進するときだと考えますが、県教委の御所見をお伺いします。 また、少子化の時代、計画的に教職員を配置していくならば、新規に大量採用せずとも、教職員の質を確保しつつ少人数学級を実施することは可能なのではないかと思いますが、併せてお考えをお尋ねいたします。 最後に、交通安全対策について、信号機のない横断歩道における安全対策及び道路交通環境の整備の二点についてお伺いいたします。 信号機のない横断歩道を歩行者が横断しようとしている場合、車は一時停止しなければならない規則ですが、多くのドライバーがこの規則を忘れているようで、一時停止を嫌がって歩行者より先に通過しようとする車両が多々見受けられます。決して故意ではないものの、気がついたときには横断歩道手前で停止できずに通過してしまうこともあり、もうちょっと早く歩行者に気づいていれば停止できたのになあと申し訳なく思うことがあります。 この指摘については、二○一八年(平成三十年)十一月議会において我が党の先城議員も、信号機のない横断歩道での歩行者の安全対策について、当時の日本自動車連盟(JAF)の調査結果を基に質問しております。 そもそもJAFがこの調査を始めたのは二○一六年六月に、交通マナーに関するアンケート調査で、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多いと思う人が八六・二%を占めていたことがきっかけです。 そこで、全国四十七都道府県の九十四か所で、信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査を二○一六年から毎年行っており、去る十月十六日に二○二○年度版の結果を発表いたしました。 今回の調査対象のうち、信号機が設置されていない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車、つまり一時停止率の全国平均は二一・三%だったそうです。 二○一八年調査時での一時停止率八・六%から比べれば、約二・五倍の改善がされたことになりますが、逆に言えば、依然として約八割の車が止まらないという実態が明らかにされました。 ちなみに、二○二○年の山口県はというと、一時停止率は一八・○%ですから、全国平均よりも三・三ポイント低いということになります。 私の事務所近くの信号機のない道路で、一昨年、死亡事故が起こりました。地元自治会長からの依頼もあり、現場周辺の道路を観察いたしました。付近では、横断歩道や停止線が部分的に剥がれていたり、白線が薄くなってきており、しかも街路樹の陰に隠れて歩行者の存在も確認しづらい交差点がありました。ドラッグストアがすぐそばにあり、出入りの多い交差点の上に、大型マンションが近くに建設されたため、日常的に交通量が増加すると見込まれています。当然、通学路でもあります。信号機のない危険な横断歩道の手前では、歩行者優先のルールを遵守させることが何よりも重要であると考えますが、加えて、ドライバーにも歩行者にも注意喚起が必要ではないでしょうか。 ドライバーには、横断歩道や停止の白線を意識させて歩行者優先の運転ができるように、また歩行者には、はっきりと道路横断の際には自分の存在をドライバーに気づかせることがリスク回避につながると思います。 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。信号機のない横断歩道を歩行者が横断する際には、ドライバーに対する歩行者優先のルールの徹底は当然のことながら、歩行者に対してもドライバーに向けてはっきりと横断する意思表示をさせるような啓発も必要ではないかと考えます。また、ドライバーに安全運転を促すため、横断歩道や停止の白線等が消えかけている危険箇所については、早急に道路交通環境の整備が必要だと考えますが、今後の取組について、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(藤生通陽君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 上岡議員の代表質問にお答えします。 まず、令和三年度当初予算編成方針についてのお尋ねのうち、当初予算編成についてです。 新型コロナウイルス感染症の収束状況が見通せない中、さらなる感染拡大を防ぎ、県民の命と健康を守ること、そして、低迷している県内社会経済活動を回復基調に乗せることは、目下の最重要課題であると認識しています。 そのため、私は、来年度の当初予算編成において、先般策定した、「コロナの時代」に対応するための施策推進方針に基づき、このような課題について的確に対応していくこととしています。 まずは、予断を許さない状況が続く感染症のさらなる拡大に備えるため、必要な感染防止の取組については、柔軟かつ万全な対策を講じてまいります。 また、中小企業制度融資などによる県内経済の下支えや、感染拡大の影響により落ち込んでいる観光需要や県産農林水産物などの消費需要の喚起等に取り組むことにより、社会経済活動を段階的に引き上げてまいります。 さらに、本県の強みでもある、ものづくりを中心とした高度技術や産業集積を生かし、イノベーションの展開を加速するなど、ポストコロナを見据えた取組を積極的に進めてまいります。 私は、現在、国において検討されている補正予算編成の動向にも十分注視しながら、感染防止対策と経済活性化の両立に向けて、来年度の当初予算編成に全力で取り組んでまいります。 次に、デジタル化の推進についてです。 今後、デジタル化の取組をさらに加速し、県民誰もがその恩恵を享受できる社会を構築していくためには、取組を担う専門人材の確保・育成が重要な課題であると考えています。 現在、こうしたデジタル人材が全国的に不足している中、当面する人材の確保に向けては、業務委託等を通じ、民間企業の人的資源を効果的に活用するとともに、副業・兼業等の柔軟な働き方も含め、実効性のある手法を多角的に検討することとしています。 国に対しても、私が本部長を務める全国知事会デジタル社会推進本部等を通じ、都市部に集中する人材と地方のニーズをマッチングする人材バンクの創設や、地方自治体と企業間の人材交流を促進するための法整備などを要請しているところであり、引き続き、その実現を強く求めてまいります。 また、中長期的な視点に立った人材育成については、産学公の連携による取組を一層強化していく考えであり、現在、設置に向けて検討を進めているデジタルトランスフォーメーションの推進拠点においても、その機能の一つに人材育成を位置づけることとしています。 私は、デジタル庁の創設をはじめとする国の動向も踏まえながら、本県のデジタル化を進めるための新たな推進体制を整えるとともに、必要な人材の確保・育成にしっかりと取り組んでまいります。 次に、山口県内の医療機関への支援についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、医療計画の見直しと医療人材の確保についてです。 私は、県民が生涯を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、保健医療計画に基づき、本県の保健医療施策を総合的に推進するとともに、本計画の一部である地域医療構想に沿って、効率的で質の高い医療提供体制の構築に取り組んでいるところです。 こうした中、国では、今般の新型コロナウイルスの流行を踏まえた、新興感染症等の感染拡大時の医療機関における受入れ体制の確保や、大規模災害時の体制強化等を含めた、医療計画や地域医療構想の今後の在り方について、議論が行われています。 県としましては、こうした国の動向を的確に把握しながら、地域に必要とされる医療が確実に提供されるよう、次期医療計画等の見直しに向けて取り組んでまいります。 また、医療人材の確保に向けては、本年三月に策定した医師確保計画に基づき、地域医療介護総合確保基金を活用しながら、修学資金の貸与や再就業支援などに取り組んでいるところです。 こうした取組に加え、今年度から新たに、医師専門人材紹介会社を活用した、僻地等での医師確保の仕組みを構築したところであり、今後とも関係機関と連携し、医療人材の確保に向けた取組を積極的に進めてまいります。 次に、医療機関の経営への支援についてです。 新型コロナウイルス感染症の影響により、治療に当たる医療機関はもとより、一般の医療機関においても、受診控え等により、経営が厳しい状況が続いています。 私は、新型コロナウイルス感染症対策のみならず、県民の健康を守るため、地域の医療提供体制を安定的に、維持・継続することが重要であると考えています。 このため、現在のコロナ禍にあっても、医療機関の経営の安定化が図られるよう、国の福祉医療機構による無利子・無担保での優遇融資制度に加え、県制度融資で、新型コロナウイルス感染症対応資金を創設し、その活用が図られるよう、周知に努めてまいります。 また、国に対しても、経営悪化に歯止めをかけ、持続可能な経営に資するよう、診療報酬の引上げや福祉医療機構による貸付けの拡充など、医療機関への十分な支援について、あらゆる機会を通じて要望してまいります。 私は、県民の命と健康を守るため、今後とも、本県の地域医療提供体制の充実に向けて、積極的に取り組んでまいります。 次に、衛星データを活用した新ビジネス創出についてのお尋ねにお答えします。 私は、これまで、JAXAの西日本衛星防災利用研究センターの開設を契機に、衛星データの利活用の促進に向けて、解析技術研究会を開催するとともに、宇宙データ利用推進センターを設置するなど、支援体制の整備を進めてきました。 加えて、衛星データを活用した新たなサービスや製品の研究開発に対する補助制度を創設し、民間活力を活用した宇宙ビジネスの創出に取り組んでいるところです。 一方、データを提供する側の人工衛星も、小型化・低コスト化が進み、今後は、数多くの衛星が協調した動作を行う、人工衛星群、いわゆるコンステレーションを構成することにより、多頻度でデータが提供されることが見込まれています。 こうした動きを受け、国は、本年六月に新たな宇宙基本計画を閣議決定し、衛星データの利用拡大や宇宙産業への参入促進など、宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現を進めていくこととされています。 私は、今後、衛星データの活用環境が大きく変化することが期待されることから、これまで支援してきた実証事業の早期事業化や、受信の頻度や解像度の向上などの動向を踏まえた技術革新への取組を通じたイノベーションの創出が重要と考えています。 お示しの県が支援している実証事業において、河川インフラの監視システムの開発では、国土交通省の新技術データベースシステム、NETISへ登録を目指すなど、成果の全国展開につながる取組が進んでいます。 また、本格的な人工衛星コンステレーション社会の到来に備え、衛星のレーダー波の反射装置について、山口大学が有する技術を活用した補正性能の向上により、衛星データの解析精度を飛躍的に高める研究や、研究成果を応用した新製品の開発も支援しています。 私は、政府関係機関の地方移転で設置されたJAXAの研究センターや、山口大学が有する優れた衛星データ解析技術という強みを生かし、衛星データを活用した山口県発の新ビジネス創出に全力で取り組んでまいります。 次に、若者の県内就職・定着の促進についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでの対面方式による就職フェアが中止される一方で、遠隔地の学生と企業を結ぶウェブを活用した面接が急速に進むなど、就職活動に大きな変化が見られるようになりました。 また、テレワークの進展に伴い、地方での勤務、移住への関心が高まり、在宅勤務等、勤務形態の多様化を通じて、働き方に対する意識も変わるなど、若者を取り巻く就業環境も大きく変化しています。 私は、コロナ禍において社会環境が大きく変わろうとしているこの機会に的確に対応することにより、厳しい状況をチャンスへ変え、若者の県内就職・定着につなげていくことが重要と考えています。 このため、全国から参加が可能なウェブの特性を生かした就職フェアを新たに開催するとともに、就職効果が高いインターンシップにおいてもオンライン化を進めることにより、県外からの参加者の一層の拡大も図ることとしています。 さらに、ライブ配信を活用した企業見学ツアーの実施や、3D技術を活用したバーチャル環境での企業紹介映像の作成支援など、ウェブでは雰囲気や熱意が伝わりにくいという声に応え、よりリアルな企業情報の発信にも取り組んでいます。 また、お示しのとおり、若者にとって、就職先を選ぶ際には、働きやすさやワーク・ライフ・バランスなどが重視されるなど、働く価値観にも大きな変化が生じています。 このため、新しい働き方を実感できる職場づくりに向け、オンライン会議を活用した効率的な働き方や、AR技術を活用した製造現場での技術指導など、デジタルトランスフォーメーションによる先導的な実践モデルを創出することとしています。 また、こうしたモデルなど、新しい働き方を積極的に取り入れる企業の取組を、事例集を作成して紹介することに加え、SNSを活用してPR動画を配信するなど、若者のニーズにマッチした、訴求力のある情報発信も強化していきます。 私は、今後とも、国や関係機関と連携しながら、コロナ禍における変革にしっかりと対応し、若者の県内就職・定着の促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、水害対策についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が、全国で頻発・激甚化しており、私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、水害対策は極めて重要であると考えています。 このため、県では、これまでも、比較的発生頻度の高い洪水に対しては、堤防の整備などのハード対策を進め、また、施設の能力を上回る洪水に対しては、住民の避難に資する情報の提供を柱としたソフト対策を進めているところです。 まず、ハード対策としては、河川整備計画に基づき、中長期的な視点で計画的に実施する河川改修などを着実に進めるとともに、短期的に効果を発現する河川内の土砂掘削などの対策を集中的に実施しています。 次に、ソフト対策としては、住民への的確な情報伝達や避難行動につなげるため、浸水想定区域図の整備や、防災行動とその実施主体を時系列で整理した水害対応タイムラインの運用など、市町等と連携した取組も進めています。 こうした中、お示しのとおり、国では、一級水系において、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減させる治水対策、いわゆる流域治水に取り組まれています。 この取組では、これまで、国、県、市町が実施してきたハード・ソフト対策に加えて、氾濫を防ぐための雨水浸透施設等の整備や、被害対象を減少させるための土地利用規制や移転促進など、市町や住民等と連携した対策も含めた、あらゆる手段を検討することとなっています。 これを受けて、県内の一級水系の佐波川と小瀬川において、国により流域治水協議会が設置され、国、県、市町が連携し、具体的な治水対策をまとめた流域治水プロジェクトを、今年度中に策定することとされています。 県としては、こうした一級水系における検討状況を注視しながら、二級水系においても、流域治水プロジェクトの策定に向けた検討を進めていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、国や市町、地域住民、企業等と緊密に連携し、総合的な水害対策に積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(藤生通陽君) 浅原教育長。    〔教育長 浅原司君登壇〕 ◎教育長(浅原司君) 少人数学級の導入についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、少人数学級の推進についてです。 次代を担う子供たちに、知・徳・体の調和が取れた生きる力を育む上で、一人一人の個性を大切にしてその可能性を伸ばし、きめ細かな指導が行える少人数学級化を推進することは重要であると考えています。 そのため、本県においては、国の加配制度等の活用により、小中学校全ての学年で三十五人学級を実現するとともに、少人数指導との効果的な組合せによる、きめ細かな指導体制の充実を図ってまいりました。 このような取組により、教員が個々の児童生徒に関わる時間が増え、また、保護者との連携も密になることで、学力やコミュニケーション能力の向上につながるとともに、基本的な生活習慣や学習習慣の定着等の効果が上がっているものと考えています。 こうした中、お示しのとおり、新型コロナウイルス感染症対応を契機として、児童生徒の密を回避しつつ、現在導入を進めている一人一台端末の活用も含め、これまで以上にきめ細かな指導を行うため、さらなる少人数学級化の推進が必要となってきています。 このため、県教委では、先日の政府要望においても、学級編制の標準の引下げによる少人数学級の早期実現を求めたところであり、引き続き、国に対し、全国都道府県教育長協議会等、様々な機会を捉えて要望してまいります。 次に、計画的な教職員の配置についてです。 文部科学省においては、少人数学級の取組を、一定期間かけて段階的・計画的に進めた場合には、採用者数を大幅に増やすことなく、三十人学級の実現は可能とする試算もなされていることから、県教委では、今後国から示される方針等を注視しながら、計画的な教職員の採用や適正な配置を行うことにより、教職員の質を確保しつつ、きめ細かな指導の充実を図ってまいります。 県教委といたしましては、引き続き、市町教委と連携しながら、ポストコロナ時代にも対応したきめ細かな学習保障と、児童生徒の居場所や健やかな成長を促す場となる学校環境づくりに努めてまいります。 ○副議長(藤生通陽君) 谷警察本部長。    〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 ◎警察本部長(谷滋行君) 信号機のない横断歩道における安全対策及び道路交通環境の整備についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、信号機のない横断歩道における安全対策についてです。 信号機のない横断歩道における人身交通事故につきましては、本年十月末現在、県内において四十八件発生しており、二名の方がお亡くなりになっておられます。 このような情勢と、議員お示しの調査結果にも現れているように、県内における車の一時停止率は全国平均を下回っており、残念ながら歩行者優先ルールが必ずしもドライバーに徹底されていないと認識しているところです。 このため、県警察としては、ドライバーに歩行者優先ルールを再認識していただくために、関係機関・団体の協力を得て、ラジオ放送やテレビCMの放映等各種媒体を活用するなどして、改めて周知に努めており、今後も、テレビの特集放送で呼びかけを行うなど、効果的な広報啓発に努めてまいります。 あわせて、横断歩行者妨害に当たる行為については、厳しい態度で指導取締りに臨んでいくほか、生活道路や通学路においては、今月導入した可搬式オービスを効果的に活用した指導取締りを行い、歩行者の安全確保を推進してまいります。 一方、議員お示しのとおり、歩行者に対しても自らが被害に遭わないようにしていただくため、しっかり注意喚起を行っていく必要があると考えています。 道路の正しい横断方法などについての子供たちへの交通安全教育については、現在のコロナ禍に配意し、学校の校内放送を活用した取組なども進めてまいります。 また、全年齢層に対し、横断前には手を挙げるなど、ドライバーに横断意思を示すことを呼びかけることも重要と考えており、ラジオ放送のほか、本日からは、御家庭や地域、職域などでも御活用いただけるよう、動画投稿サイトにおいて実演型の動画の配信を開始しております。今後とも創意工夫を凝らした取組を進めてまいります。 次に、道路交通環境の整備についてです。 横断歩道は、令和二年十月末現在、県内に八千十一か所あり、公安委員会による交通規制の意思決定を得た上で県警察が設置し、維持管理をしております。 議員御指摘の横断歩道や停止線が消えかけた箇所については、警察署からの報告、自治体や道路管理者からの情報、住民からの要望により、令和元年度末時点、県内で千二百六十四か所把握しております。 このうち、摩耗の程度、交通事故の発生実態、交通量、子供や高齢者の利用実態等を総合的に判断し、緊急に対応すべき優先度の高い約四割の箇所について補修を完了しております。 一方、いまだ多くの箇所について補修に至っていない現状も認識しているところです。 今後は、優先度はもとより、摩耗状況によっては部分的に補修するなど、予算の一層効率的な執行によって、より多くの補修を行い、横断歩道の適切な維持管理に努めてまいります。 県警察としては、歩行者の交通事故防止に向けて、引き続き、横断歩道をはじめとした交通安全施設の適正な維持管理に努めながら、歩行者優先ルールの徹底に向けた総合的な取組をより一層進めてまいります。 ○副議長(藤生通陽君) これをもって代表質問を終わります。   ───────────── ○副議長(藤生通陽君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会といたします。御苦労さまでした。    午後一時五十三分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   藤   生   通   陽                   会議録署名議員   西   本   健 治 郎                   会議録署名議員   酒   本   哲   也...