平成 27年12月定例会 平成二十七年十二月
山口県議会定例会会議録 第五号 平成二十七年十二月十日(木曜日) ──────────────────── 議事日程 第五号 平成二十七年十二月十日(木曜日)午前十時開議 第一 一般質問 第二 議案第一号から第五十五号まで(質疑) ──────────────────── 本日の会議に付した事件 日程第二 議案第一号から第五十五号まで 会議に出席した議員(四十七人) 塩 満 久 雄 君 林 哲 也 君 木 佐 木 大 助 君 先 城 憲 尚 君 友 田 有 君 曽 田 聡 君 髙 瀬 利 也 君 平 岡 望 君 西 本 健 治 郎 君 佐 々 木 明 美さん 小 泉 利 治 君 岡 村 精 二 君 二 木 健 治 君 篠 﨑 圭 二 君 藤 生 通 陽 君 合 志 栄 一 君 西 嶋 裕 作 君 河 合 喜 代さん 俵 田 祐 児 君 吉 田 充 宏 君 新 谷 和 彦 君 田 中 文 夫 君 澁 谷 正 君 島 田 教 明 君 石 丸 典 子さん 井 上 剛 君 国 井 益 雄 君 守 田 宗 治 君 槙 本 利 光 君 畑 原 基 成 君 井 原 寿 加 子さん 橋 本 尚 理 君 山 手 康 弘 君 秋 野 哲 範 君 河 野 亨 君 笠 本 俊 也 君 星 出 拓 也 君 森 中 克 彦 君 河 村 敏 夫 君 藤 井 律 子さん 戸 倉 多 香 子さん 上 岡 康 彦 君 新 造 健 次 郎 君 中 嶋 光 雄 君 江 本 郁 夫 君 柳 居 俊 学 君 吉 井 利 行 君 会議に欠席した議員(なし) 議案等の説明のため会議に出席した者 知事 村 岡 嗣 政 君 副知事 藤 部 秀 則 君 総務部長 渡 邉 繁 樹 君 総務部理事 大 谷 恒 雄 君
総合企画部長 上 野 清 君 産業戦略部長 宮 地 理 君
環境生活部長 秋 貞 憲 治 君
健康福祉部長 小 松 一 彦 君 商工労働部長 阿 野 徹 生 君 農林水産部長 野 村 雅 史 君 土木建築部長 前 田 陽 一 君
会計管理局長 豊 嶋 和 博 君 財政課長 松 本 典 久 君
公営企業管理者 弘 中 勝 久 君 企業局長 市 原 充 之 君 教育長 浅 原 司 君 教育次長 原 田 尚 君 公安委員長 弘 田 公 君 警察本部長 藤 村 博 之 君
代表監査委員 河 嶌 繁 太 君
監査委員事務局長 高 杉 和 典 君
労働委員会事務局長 藤 井 勝 君
人事委員会事務局長 守 田 正 史 君 会議に出席した事務局職員 事務局長 河 村 邦 彦 君 事務局次長 田 中 肇 君 総務課長 田 平 隆 君
議事調査課長 瀧 隆 明 君 政務企画室長 岡 村 達 也 君 秘書室長 繁 吉 健 志 君
議事調査課主幹 山 本 秀 樹 君 議事記録係長 三 好 政 君 主事 竹 井 由利香さん 主事 福 田 直 也 君 主事 岡 村 恵 子さん ───────────── 午前十時開議
○議長(畑原基成君) これより本日の会議を開きます。 ─────────────
△日程第一一般質問
△日程第二議案第一号から第五十五号まで
○議長(畑原基成君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十五号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 槙本利光君。 〔槙本利光君登壇〕(拍手)
◆(槙本利光君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の槙本利光でございます。改選後、初めての一般質問でございます。 不覚にも、けさ、宿泊の温泉の風呂に長くつかっておりました。心地よく出ようとしたら、ぎっくり腰になりました。年には勝てないなと思って、多少所作くれが悪いですが、お許しをいただきたいと思います。 きょうも雨が降っておりますが、毎日、朝を楽しみにしております。それはNHKの朝の連続ドラマ「あさが来た」であります。本当に毎日、毎日、どのようなことが起きるのか楽しみにしておりますが、十年たってようやく子供ができたということで、おめでたい限りでございまして、まさにびっくりぽんでございます。 もう一つ、うれしいニュースがありました。昨日の夕方、二木議員が質問されました。私たちも委員会でJAXAに参りました。日本の
航空宇宙技術というのは非常にたけてるんだなというふうに思いましたが、五年前に打ち上げられました金星の探査機「あけぼの」が──「あかつき」です、済みません。「曙」は相撲取りでございました。金星を回る軌道に乗ったということ。女性の
トップリーダーの方が、主人がその軌道に入るのに豆乳鍋をつくってくれた。軌道に投入するという意味だそうでございます。そんなことを言っておりましたが、とても明るいニュースであります。 県内はもとより国内、そして外国へと、新しい
トップリーダー村岡知事を迎えて、毎日広い範囲で東奔西走しておられます。その姿を拝見すると同時に、私も三期目を迎えましたが、知事に負けずに、きょう一日頑張ることをお誓い申し上げまして、一般質問に入らさせていただきます。 がん対策についてであります。まず、がん対策についてお尋ねをいたします。 私は、ことしの夏、長い闘病生活の末、妻を乳がんで亡くしました。夫婦として長く連れ添ってまいったところでありますが、いざ、最愛の妻を失いますと、心の中にすっぽり穴があいたと申しますか、言葉にあらわすことのできない悲しみがあふれてまいります。 今後、がんという病気で、私と同じ悲しみを受ける方が少しでも減りますことを期待する思いで、このたび、質問をさせていただくことにいたしました。 がんは、国民の二人に一人が生涯に経験する身近な病気であると言われており、高齢者だけでなく、子供や働き盛りの成人など、誰もが罹患する可能性があることから、国民の生命及び健康にとって重大な問題となっております。 また、全国同様、本県においても、昭和五十六年以降、死亡原因の第一位となっております。本県では、がん死亡の割合は、全国に比べやや低いものの、死亡者の約三割の方ががんで亡くなっておられます。 がんにより、県内では平成二十六年に四千七百七十七人の方が死亡され、その割合は約二七%で最も高く、部位別の死亡者は高い順に、男性では肺、胃、大腸、肝臓、膵臓、前立腺等と続き、女性では大腸、肺、胃、膵臓、乳房、肝臓等となっております。 このように、がんによる死亡率が高い死亡原因に挙げられる一方で、がん検診の受診率はまだまだ低く、特に、本県においては全国に比べて低いほうにあります。本県のがん検診の受診率は、平成二十五年において、二○%から四○%台となっており、県が目指している受診率五○%を下回っております。 また、本県の
がん検診受診率と全国順位は、「胃がん」男性三十七位四三・八%、女性四十四位二九・六%、「肺がん」男性二十八位四七・一%、女性三十六位三五・二%、「大腸がん」男性四十位三七・五%、女性四十五位二八・三%、「子宮がん」四十五位二八・六%、「乳がん」四十七位二六・四%となっております。 がん検診を受診しない主な理由を県の調査結果で見ますと、「心配なときはいつでも医療機関を受診することができるから」「面倒だから」「費用がかかるから」「時間がとれなかったから」「毎年受ける必要性を感じないから」「健康状態に自信があり必要性を感じない」などの意見がございます。 ことしに入ってから、女優さんやタレントさんが死亡、もしくはみずからの病気を公表されたことを受け、がんに対する意識は一層高まり、現在、がん検診の希望者がふえているとの報道を拝見いたしました。がんに対する正しい知識を持って、がん対策の取り組みの重要性、とりわけ、がん検診の受診の重要性に対する理解を深める必要があると考えております。 こうした中、安倍総理が、ことしの六月に開催された、
がんサミットにおいて、がん対策の取り組みの一層の強化を図ることを指示され、国においては、
がん対策加速化プランを年内を目途に策定するとのことであります。 プランの中では、がんの早期発見に向けた取り組みの重要性も挙げられるものと推察し、本県においても、こうした取り組みが推進されなければなりません。 また、昨年十月、
議員提案政策条例として制定された山口県
がん対策推進条例におきましても、がん検診の重要性を掲げ、第十条では、県の取り組むべき基本施策を記載しておりますので、積極的な取り組みをお願いするものであります。 私は、平均寿命が延び、また健康寿命が延びることが大事であると考えます。県民の皆様方がいつまでも健康であり続けることを願っています。 がんは、定期的にがん検診を受診し、早期発見及び早期治療に努めることで治癒率を高めることが可能と言われております。 県が役割の中心を担い、がん検診の受診率の向上に向けて、取り組みを進めていかなければならないと考えております。 そこでお尋ねをいたします。県では、がん対策として、がんの早期発見・早期治療に向けたがん検診の受診率向上にどのように取り組まれるのかをお伺いいたします。 次に、
高齢ドライバーの
交通安全対策についてお伺いをいたします。 昨年における当県内の
交通死亡事故の発生状況は、亡くなった方が五十八人で、うち半数に当たる二十九人が高齢者であります。この中では、十四人の方が、
高齢ドライバーによる事故により、とうとい命を失われていることで、高齢者の
交通事故対策は、まさに喫緊の課題であります。 県内においても、
高齢ドライバーがブレーキとアクセルを踏み間違え、ビルや店舗の外壁に衝突したり、最近では、病院の施設内に突入するといった事故が発生しているほか、高速道路の逆走案件も、相次いで報道されております。 このような交通事故は、周囲に与える影響はもちろんのこと、
高齢ドライバー自身にとりましても、まさに危険な状態であり、交通社会において、高齢者が、加害者にも被害者にもならない取り組みを、一層加速するべきであります。 県警において、県民や関係機関等と連携のもと、
交通死亡事故抑止に取り組んでおられることは、高く評価いたしております。 また、
道路交通環境の整備に加え、近年では、自動車の性能についても、アンチ
ロックブレーキ、
横滑り防止装置等の普及のほか、周囲の障害物を感知して、衝突を未然に防止したり、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止するシステムの採用が進んでおり、こういった技術の進歩も、交通事故の防止に貢献しているところは大きいのではないかと思います。 最近では、自動運転といった、新たな時代の幕あけを予感させるプロジェクトも進められており、実現が非常に楽しみでありますが、人は車を事故なく、正しく、安全にコントロールすることは、これからも求められていくのではないでしょうか。 もちろん、
高齢ドライバーを含めまして、大半の運転者が、交通ルールを遵守し、安全運転を心がけておられることは承知の上であります。しかし、こうした事故を聞くたびに、
事高齢ドライバーの
交通事故防止に関しては、社会全体で取り組まなければならないことを、強く強調しておきたいのであります。 また、山口県内の
運転免許人口につきましても、少子高齢化の進行により、
高齢ドライバーの割合は増加していくものと考えられます。これに加え、県内では、車を運転することが唯一の交通手段である場合が少なくありません。 一方で、高齢者は、運転に必要な判断や、それに伴う運動能力は徐々に低下していることも事実であり、不安を感じながら、あるいはその自覚がないままに運転されている方もおられるものと考えます。 他方で、認知症を初め、持病や急な疾病などにより、運転に大きな影響を及ぼす可能性が高まる中、運転技術への過信や、交通手段としての車の運転にこだわる余り、高齢者が、御自身の
運転そのものを見直す機会を失うことがあってはならないのであります。 そこでお尋ねをいたします。高齢者の
交通事故防止について、県警察を初めとする関係者が、強い決意のもとに取り組んでおられますが、特に、
高齢ドライバーの現状について、運転免許の保有状況などを示していただいた上で、
交通事故防止に向けた講習などの実施、さらには運転能力や疾病等、心身の状況により交通事故を引き起こす可能性が高い方への取り組みについて、どのように分析し、進めていかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いします。 次に、空港の利用促進についてお尋ねをいたします。 さて、先月、国産初の
ジェット旅客機が初飛行に成功したという明るいニュースがありました。国産の民間旅客機では、主翼や胴体まで丸ごと開発するのは、一九六二年に初飛行したYS11以来、半世紀ぶりとのことであります。 二○○八年四月に開発がスタートし、約七年半もの長い期間をかけて、ようやくたどり着いた初飛行です。関係者の皆さんの御苦労に頭が下がる思いであります。 私も、国産飛行機が飛ぶ姿をテレビで見ましたが、日の光に反射する美しい機体や、機体に映える赤色のラインに、目をくぎづけにされました。 機内の映像も見ましたが、広く快適な空間がそこにあり、まさに、世界と競う我が国の技術の結集に感動を覚えたものであります。 今回の初飛行によって、国産の飛行機が日本の大空を飛び回る日も近い将来であることを予感させ、今後の開発を楽しみにしているところであります。 それでは、まず、
山口宇部空港に関することですが、
山口宇部空港は一日十往復東京便が運航され、その利用状況は順調に推移していると聞いております。こうした中、去る十二月四日、
山口宇部空港と韓国・
仁川国際空港との間において、
アシアナ航空による
国際連続チャーター便が運航され始め、本県への観光客をお迎えするセレモニーが行われたところであります。 韓国との
連続チャーター便の運航は、ことしで三年目となり、来年三月までの間に五十往復が運航されることとなっており、過去、最大の規模となっております。 これは、これまで県と
山口宇部空港利用促進振興会が行ってきた、運航誘致の取り組みの成果であり、大変な御苦労があったことと思います。 また、先般、知事みずからが訪韓して、
アシアナ航空本社を訪問され、国際定期便の早期の就航の働きかけもされ、
アシアナ航空から前向きな回答があったと聞いています。
国際定期便就航の実現は、
未来開拓チャレンジプランにも掲げておられます。これが実現すれば、大きな成果の一つでありますし、また、二○一六年は、
山口宇部空港開港五十周年の節目の年でもあり、ぜひとも実現し、
山口宇部空港初の
国際定期便就航により、花を添えてほしいものと思います。 また、これを機に、外国人観光客が一人でも多く山口県に来てもらうことができれば、地域の活性化につながると思いますし、空港の利用促進にも大いに寄与することになりますし、今後の取り組みについて、大いに期待するものであります。 そこでお尋ねをいたします。
山口宇部空港の利用促進にもつながる、国際定期便の就航の実現に向け、今後、県としてどう取り組まれるのかお伺いをいたします。 また、
岩国錦帯橋空港は、平成二十四年十二月十三日に開港して以来、私も近くに住んでいる者として、大変便利であり、多く利用させていただいているところであります。
岩国錦帯橋空港の利用状況も順調であると聞いており、今後の便数の増加によるさらなる利便性の向上について、期待するものであります。こうした中、
民間航空機発着枠の二枠拡大による増便の実現に向け、
日米合同委員会の
早期増枠合意と広域観光の振興や企業誘致、地域の活性化に資するということでの沖縄線の新規就航、東京便一便の増便を国へ要望しておられます。 地元岩国市においても、市議会の十一月定例会において、これに対応すべく補正予算を計上されております。 また、先日は、中谷防衛大臣が御来県され、増便に向けて、
早期増枠合意への努力を重ねていきたい、表明されたところであり、進展があるものと大いに期待するものであります。 そこでお尋ねをいたします。
岩国錦帯橋空港において、増便後もこれまでの順調な利用状況を維持していくことが必要と考えますが、
岩国錦帯橋空港の利用促進について、今後どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。 次に、毎回、一般質問で登壇する都度質問しております、
岩国錦帯橋空港への
アクセス道路の整備についてお尋ねをいたします。 さきに述べましたとおり、
岩国錦帯橋空港の利用状況は、平成二十四年十二月の開港以来、岩国市はもとより、県東部地域全体において利便性の向上が図られたことにより、順調に利用者数が増加しており、また、広島空港との相乗効果等もあって、地元に対する企業誘致の実績も着実にふえてきております。 こうした中、本県における地方創生の推進に向け、県東部地域ひいては県下全域でのさらなる産業経済の発展や観光の振興を図っていくためには、
岩国錦帯橋空港の利用促進策を講じていくことと並んで、今後予想される交通需要の増大に対応した
アクセス道路の整備を図ることが必要であります。 とりわけ、私は、広島方面からの
アクセス強化に向けて、国道二
号岩国大竹道路の事業促進と、柳井方面からの
アクセス強化に向けた岩国─柳井間の高規格な道路の整備促進が喫緊かつ重要な取り組みであると考えております。 広島方面からの主要な
アクセス道路である国道二号は、各所において著しい交通渋滞が発生しており、地域住民にとって
岩国錦帯橋空港までの必要以上に時間がかかるだけでなく、企業においても物流における定時性が確保できないことなどの課題があります。 したがいまして、国道二号のバイパスとなる
岩国大竹道路は、こうした課題を抜本的に解決するものであり、極めて重要な役割を果たすことが期待されております。 こうした中、本年度は、岩国市室の木地区において本線への
アクセス道路の一部の工事が進められるなど、所要の予算が計上されております。 当該道路の整備においては、地元調整等の難しい面もあろうかと思いますが、迅速に解決していただき、全線の早期完成に向け事業が進むことを期待しております。 また、柳井方面からのアクセスについては、現在、岩国地域と柳井地域を結ぶ唯一の主要幹線道路である国道百八十八号において交通渋滞が慢性化し、地域住民の日常生活や企業活動に大きな支障を来している状況であります。 さらに、この国道百八十八号は海岸に面しており、台風や高潮時には規制区間となることが多く、また代替道路がないことなど脆弱性も有していることから、柳井方面からの
岩国錦帯橋空港への
アクセス強化という点から、岩国─柳井間における高規格な幹線道路の整備は必要不可欠であると考えております。 そして、この
岩国大竹道路と岩国─柳井間における高規格な幹線道路の整備につきましては、もちろん、地元の悲願でありますことから、関係市町や経済団体、そして、我々地元県会議員も一体となって、
岩国大竹道路建設促進期成同盟会、岩国柳井間地域高規格道路建設促進期成同盟会、山口県東部高速交通体系整備促進協議会を通じて、国等の関係機関に対して、これまでも何度も要望活動を実施しております。 現在、県におかれましても、十一月の政府要望において、産業力・観光力強化に向けた基盤整備としての要望していただくなど、整備促進に向けた取り組み、御尽力には感謝をいたしております。 しかしながら、これまで申し上げてきましたように、
岩国大竹道路と岩国─柳井間の高規格な道路が整備されれば、
岩国錦帯橋空港までのアクセスが大幅に向上し、さらなる交流人口の拡大や企業進出の活性化など、地域経済に好影響をもたらす、大きなストック効果の発揮が期待されます。まさに地方創生の実現につながるものとなります。 そこでお尋ねをいたします。広域的な幹線道路の整備は地方創生の実現につながる大事な事業であります。
岩国錦帯橋空港への
アクセス道路の整備に向け、
岩国大竹道路の全線の早期完成について、どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。また、岩国─柳井間の高規格な道路の整備の見込みについても、あわせてお伺いをいたします。 最後に、鳥獣被害対策についてお伺いをいたします。 農業者の方々が丹精を込めてつくった米や麦、野菜などの農作物の収穫前にイノシシや鹿が田畑に侵入して食べてしまう鳥獣被害が後を絶ちません。 全国の鳥獣被害額は近年二百億円前後で推移し、本県においても、県の鳥獣被害対策への積極的な取り組みにより、平成二十二年度をピークに近年は減少傾向にあるものの、被害地域は拡大傾向で、昨年も五億円近くの農作物被害が出ており、農家の皆さんの不安は消えることがありません。 作物別被害額では、本県の主要作物である水稲が最も大きく、被害全体の四割となる約二億三千万円、野菜が約一億円、ミカンやリンゴなどの果樹の被害も近年拡大し、約一億円の被害が出ています。 また、鳥獣別に見ると、イノシシが全体の四割を超える二億四千万、鹿、猿の三種類で全体の被害金額の約八割以上を占め、約四億五千万円となっております。 特に鹿の被害が拡大していることが近年の特徴で、もともと県西部に生息していた鹿が少しずつ東に生息域を拡大させ、周南市でも目撃されることから、今後さらに被害が拡大するのではないかと危惧をいたしております。 また、県東部を中心に生息するツキノワグマが下関市で捕獲されたり、山口大学のキャンパスでイノシシの目撃が相次ぐなど、これまでの生息域から外れ、荼を求めて行動範囲を広げているようであります。 鳥獣被害が拡大している原因として、集落の過疎化・高齢化による人間活動の低下、害獣の荼場や隠れ場になる耕作放棄地の増加、地球温暖化による生息域の拡大などが挙げられます。 一方で、まだ被害は大きくないものの、特定外来生物であるアライグマ、ヌートリアなどの被害も出ています。特に、私の地元岩国市ではヌートリアによる岩国レンコンへの被害が最近問題となっております。岩国市でも捕獲従事者を養成する研修会が開催され、捕獲おりでの集中的に駆除を進めています。 被害防止のためには、田畑に侵入させない柵の設置などの対策が基本でありますが、近年増加傾向にある鹿、猿、イノシシは捕獲して数を減らさない限り、被害の減少が見込めない状況であります。近年は猟友会とも連携して捕獲にも力を入れていると聞いております。 TPPの大筋合意により、農業への影響が懸念される中、鳥獣被害による農業者の意欲をさらに減退させるようなことがあってはなりません。地元猟友会など捕獲従事者と連携し、捕獲技術や防護柵設置技術を向上させ、実効性のある捕獲体制を整備して鳥獣被害を軽減していかなくてはなりません。 鳥獣被害対策は市町が主体的に行うべきものでありますが、鹿や猿の行動範囲が市町の域を越えて広がっている現状を踏まえると、県による広域的な鳥獣被害対策の強化が必要ではないかと考えます。 そこでお尋ねをしますが、農業者が丹精を込めてつくった農作物を鳥獣被害から守るため、県では、地元市町と連携した鳥獣被害対策の強化に今後どのように取り組むのかお尋ねをいたします。 また、鳥獣別の被害の中で、猿について、基本的に群れて活動する習性があることから、集団で農作物を襲い、野菜や果樹類を中心に一度で甚大な被害をもたらしています。 さらには、群れからはぐれた猿が市街地にまで出没するケースもあり、農林業被害だけでなく人的な被害も懸念されます。特に女性や小学生など自分より弱いと思った相手には歯をむいて威嚇してくるそうであります。 今般、従来の保護を中心とした鳥獣保護法が改正され、ふえ過ぎた鳥獣について、その生息数を適正な水準に減少させ、またはこの生息地を適正な範囲に縮小させる積極的な管理を図るための措置が盛り込まれているとこであります。 また、この改正鳥獣保護法に基づき、集中的かつ広域的に管理を図る必要がある鳥獣として、省令によりニホンジカとイノシシが指定管理鳥獣に指定されています。残念ながら猿は今のところ指定されておりません。 こうした中、本県の被害状況に鑑み、早速、県では、今年度、この改正鳥獣保護法に基づく猿の第二種特定鳥獣管理計画を策定されるとのことであります。県の対応を評価するとともに、私としても大変期待しているところであります。 これまでも、有害鳥獣対策として市町による捕獲が進められておりますが、敵もさる者で、学習能力が高く、捕獲が難しい上、安易な捕獲を行うと群れが分裂し、被害がさらに拡大するおそれがあるなど対応が苦慮されております。 そこでお尋ねをいたします。県内の猿の生息状況を的確に把握し、被害軽減に向けて効果的な捕獲対策を講じる必要があると考えますが、どのような方針で管理計画の策定を進めておられるのか、お伺いをいたします。 以上で一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(畑原基成君) 村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕
◎知事(村岡嗣政君) 槙本議員の御質問のうち、私からは、がん対策についてのお尋ねにお答えします。 本県においては、がんは死亡原因の最上位であり、その対策は、県民の生命と健康を守るため、そしてまた、先ほど槙本議員から、最愛の奥様をがんで亡くされたというお話がありましたが、大変つらく悲しい思いをされておられることというふうにお察しをするわけでありますが、そうしたがんで御家族を亡くされた、そして悲しむ方を少なくするためにも、がん対策は極めて重要であるというふうに考えております。 このため、
がん対策推進条例も踏まえ、チャレンジプランにおいてがん対策の充実を重点施策に掲げ、がんの予防と理解の促進、そしてがん医療の充実など、総合的な対策を積極的に進めているところであります。 とりわけ、がん検診については、がんの早期発見に有効ですが、お示しのとおり、県民意識調査によると「時間がとれなかったから」あるいは「必要性を感じないから」等の理由により、本県の受診率は低い状況にあります。こうしたことから、がん検診の受診促進に向けて、受診しやすい環境づくりや県民への普及啓発に取り組んでいるところであります。 まず、受診しやすい環境づくりについては、がん検診と特定健康診査の同時実施を推進をするほか、働く世代の受診を促進するため、休日や平日夜間に受診できる体制の整備に取り組んでいます。 また、県民への普及啓発については、がん検診の重要性に係る意識の向上を一層図るため、毎年九月のがん征圧月間や十月のピンクリボン月間等におきまして、大学における子宮がん体験検診の実施やセミナーの開催、企業と連携した乳がんの体験検診など県下全域で集中的なキャンペーンを実施するほか、小・中・高等学校への出前講座など実施をしているところであります。 こうした取り組みにより、本県のがん検診の受診率は上昇傾向にはありますが、依然として、全国的には低い状況にありますことから、受診率の向上に向けたさらなる取り組みが必要であります。 このため、今年度から、地域や職場で身近な方々への個別受診勧奨などに取り組む、がん検診県民サポーターを養成をするとともに、受診率向上に向けた取り組みを広く周知をし、受診の動機づけにつながるよう、従業員等の受診促進に積極的に取り組む企業や団体に対する表彰制度の創設や、がん検診により早期発見・早期治療が可能となった事例集を作成をしていくということにしております。 私といたしましては、今後とも、国の
がん対策加速化プランの策定動向を注視しながら、市町、関係団体等と一体となって、がん検診の受診率向上など、がん対策の充実強化に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
○議長(畑原基成君) 阿野商工労働部長。 〔商工労働部長 阿野徹生君登壇〕
◎商工労働部長(阿野徹生君) 空港の利用促進についてのお尋ねにお答えします。 まず、
山口宇部空港についてですが、県では、さらなる利便性の向上や、外国人観光客の増加につながる国際定期便の実現を目指し、これまで韓国・
仁川国際空港との間の
連続チャーター便の誘致に取り組んできたところであり、平成二十五年度に十往復でスタートし、今年度は昨年度の二倍を超える五十往復となり、先週から運航が開始されております。 これまでの好調な実績を踏まえ、去る十月、知事が韓国の
アシアナ航空本社へトップセールスを行ったところ、先月、二○一六年冬季ダイヤから定期便就航の方向で検討することが表明をされました。 県としては、国際定期便の実現に向けて、まずは、今回の
連続チャーター便を成功させることが重要と考えており、特に旺盛なインバウンド需要に比べ、アウトバウンド需要が弱いという課題があることから、
山口宇部空港利用促進振興会と連携して、メディアを活用したPRや旅行会社への働きかけなどにより、利用促進を図っているところです。 また、今後、国際定期便が就航するために必要となる外国航空機の航行する空港としての国土交通大臣指定や、税関、出入国管理、検疫業務を行うCIQ体制の整備等を国に対し働きかけてまいります。 次に、
岩国錦帯橋空港についてですが、昨年度の利用者数は約三十七万人と、開港以来、国の需要予測を上回る好調を維持しております。 こうした中、県では、さらなる利便性の向上のため、地元からの要望も踏まえ、
民間航空機発着枠の二枠拡大による増便を目指し、これまで国に対し、要望を行ってきたところですが、先日の中谷防衛大臣来県の際にも、日米間での早期の合意に向けて最大限努力する旨の発言をいただいたところであり、引き続き、国に働きかけてまいります。 また、空港の機能強化に向け、国の交付金を活用し、駐車場不足の解消等を図ることとしており、増便の実現と相まって、空港の利便性が大きく向上することから、
岩国錦帯橋空港利用促進協議会と一体となって、企業訪問やキャンペーンを実施することにより、ビジネス、観光両面の利用促進につなげてまいります。 県としましては、今後とも、地元市や関係団体と連携し、両空港のさらなる利便性の向上を図ることにより、一層の利用促進に取り組んでまいります。
○議長(畑原基成君) 前田土木建築部長。 〔土木建築部長 前田陽一君登壇〕
◎土木建築部長(前田陽一君)
岩国錦帯橋空港への
アクセス道路の整備についての二点のお尋ねにお答えします。 県東部地域の活性化のためには、広域交通拠点である
岩国錦帯橋空港の利用促進に向けたアクセス性の向上や、広域的な交流・連携の促進が重要であり、お示しの
岩国大竹道路等、その基盤となる幹線道路網の充実強化が必要と考えています。 このうち、まず、
岩国大竹道路の全線の早期完成に向けた取り組みについてです。 お示しのとおり、岩国・大竹地域の国道二号は、交通渋滞が著しく、都市活動に多大な影響が生じていることから、安全で円滑な交通を確保するため、県では、これまでも、国に対し、
岩国大竹道路の事業促進を要望してきたところです。 当該道路については、国から、「現在、室の木地区において工事を進めているところであり、引き続き、地元の理解や協力を得ながら、着実に事業を推進していく」と聞いています。 県としては、
岩国大竹道路の一日も早い完成に向けて、計画的かつ着実に整備していただくよう、今後とも、政府要望等あらゆる機会を通じ、国に強く働きかけてまいります。 次に、岩国─柳井間の高規格な道路の整備の見込みについてです。 お示しのとおり、国道百八十八号は、慢性的な渋滞や荒天時の通行規制等の弱点を抱えていることから、これらをできるだけ早く解消するため、県では、これまでも岩国南バイパス南伸の早期事業化を国に要望してきたところです。 当該道路については、国から、「事業化の時期は未定であるが、現道の渋滞原因を把握するため、先週、岩国市藤生から黒磯間の渋滞状況等の調査を実施したところであり、今後、その結果を詳細に分析していくとともに、周辺道路網の整備状況や交通状況等も踏まえながら、計画の策定について検討を進めていく予定である」と聞いています。 県としては、岩国南バイパス南伸の一日も早い事業化に向けて、地元期成同盟会等とも連携しながら、その必要性を国に強く訴えるとともに、周辺道路網の検討を進めるなど、引き続き精力的に取り組んでまいります。
○議長(畑原基成君) 野村農林水産部長。 〔農林水産部長 野村雅史君登壇〕
◎農林水産部長(野村雅史君) 鳥獣被害対策についてのお尋ねのうち、市町と連携した鳥獣被害対策の強化についてお答えいたします。 野生鳥獣による農作物等の被害は、農林業者の生産意欲を減退させかねない深刻な問題であり、お示しのように、市町域を越えて広がる鹿や猿等の被害を効果的に防止するためには、複数の市町が連携する広域的な取り組みを進めることが重要であると考えております。 県では、これまで、県内の東部、中部、西部の三地域に広域協議会を設置し、各協議会では、地元猟友会の連携による広域での一斉捕獲に加え、捕獲に係るとめ刺し、解体等の合同講習会などを実施されているところでありますが、依然として被害が減少した実感がないとの声も多く、より一層の捕獲体制の強化が喫緊の課題となっております。 このため、各市町で設置が進んでおります鳥獣被害対策実施隊について、捕獲効果をより高めるため、今年度新たに、狩猟免許所有者の登用を促進する支援制度を創設したところであります。 現在、取り組みの進む四市においては、地元猟友会との連携による機動的な捕獲活動が実施されるなど効果が見られることから、今後、全ての市町で捕獲体制が強化されるよう積極的に取り組んでまいります。 また、猿、鹿などの習性を踏まえ、より実効性の高い捕獲・防護対策を進めることも重要であることから、猿の接近警報システムやICTを活用した大量捕獲技術については、現在実証段階ではありますが、早期に現地で普及できるよう最大限努めてまいります。 さらに、市町や鳥獣被害対策相談センター、農林事務所、JA等との連携により、集落営農法人等における被害対策リーダーの養成を初め、被害対策の基礎となる集落環境調査や研修会の実施など、法人等がみずから地域ぐるみで被害を防止する取り組みも促進してまいります。 県としましては、今後とも、市町や関係団体等との連携を一層密にし、深刻化する鳥獣被害の防止対策を一段と強化してまいります。
○議長(畑原基成君) 秋貞
環境生活部長。 〔
環境生活部長 秋貞憲治君登壇〕
◎
環境生活部長(秋貞憲治君) 鳥獣被害対策のうち猿の管理計画についてのお尋ねにお答えいたします。 まず、県内の猿の生息数は、約二千頭から四千頭で、最低でも五十の群れを形成していると推定されており、この十年間で二倍程度に拡大しています。 また、近年、農林業被害に加え、市街地でも人的被害が発生しており、県では捕獲対策を進めるとともに、国に対し指定管理鳥獣への早期指定や大量捕獲技術の早期実用化について要望しているところです。 一方、猿には山奥に生息し被害を出さないものもいることや、規模や行動形態においても群れごとに差があり、また、お示しのように、安易に捕獲することで、群れが拡散し、被害の増大を招くおそれがあるなどの特性があります。 こうした猿の特性を踏まえて、県では、本年度末に管理計画を策定することとしていますが、この計画では、捕獲目標頭数を定めるのではなく、農林業被害や生活被害等が発生しないよう生息数を抑制し、適正な生息範囲で管理することを基本方針としています。 また、具体的な内容としては、今後、それぞれの群れの特性を精査した上で、群れごとの特性に応じた効果的な捕獲方法、例えば、群れの全部または一部の捕獲か、あるいは人身被害のおそれのある猿のみを捕獲するのかなど、捕獲方法について検討を進めてまいります。 県としては、専門家等で組織された山口県サル対策検討会や自然環境保全審議会での意見もお聞きしながら、実効性のある計画となるよう取り組んでまいります。
○議長(畑原基成君) 藤村警察本部長。 〔警察本部長 藤村博之君登壇〕
◎警察本部長(藤村博之君)
高齢ドライバーの
交通安全対策についてお答えします。 県下の交通事故死者数は、昨日現在五十七人で、そのうち、高齢者は三十九人と、全死者に占める割合は六割を超えています。 こうした中にあって、本年は、
高齢ドライバーによる死亡事故が全体の約四割を占め、このうちの約半数が運転操作の誤りと思われるもので、車線を外れて路外に逸脱したり、対向車と衝突した事故となっています。 さらに、最近では、ブレーキやアクセルの踏み間違いを原因とする事故が、全国や県内でも発生し、報道で大きく取り上げられ、高速道路の逆走事案も含めて、その多くが
高齢ドライバーによるものです。 このような状況の中、免許人口の約三割を高齢者が占めており、今後、ますます高齢化が進む本県において、
高齢ドライバーの
交通安全対策は重要な課題と認識しています。 このため、県警察では、免許更新時の検査や家族からの相談、交通事故現場等あらゆる活動を通じて、危険な運転を行ったり、認知症や安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気等を持つ
高齢ドライバーの早期把握に努めています。 そうした高齢者に対しては、自動車教習所で実技講習を行い、各自の運転技能に応じた安全運転について指導しているほか、運転適性検査車を派遣して行う出前型の講習や高齢者宅への戸別訪問を実施して、本人や家族等に対して安全指導を行っています。 一方、病気等により運転に支障や危険性が認められた高齢者に対しては、個別に運転適性相談を行い、主治医の診断書や臨時適性検査の結果を踏まえて、運転免許の継続の可否等を判断しており、診断・検査の結果によっては、運転免許を取り消す場合もあります。 また、運転免許を自主返納された方に対しては、事業所などの協力を得て、その生活支援を行う制度の定着促進にも努めているところです。 県警察としては、今後も、医師会や福祉関係者等と連携を密に図りながら、県民の理解と協力を得て、
高齢ドライバーの
交通安全対策に取り組んでまいります。
○議長(畑原基成君) 佐々木明美さん。 〔佐々木明美さん登壇〕(拍手)
◆(佐々木明美さん) おはようございます。社民党・市民連合の佐々木明美です。 きょうまで一週間の人権週間だそうです。十二月十日がきょう人権週間の最終日だそうでして、私の質問項目、かなり人権にかかわる課題がかなりあります。 では、質問を始めます。まず最初に、地方創生についてお尋ねをいたします。 知事は、所信表明の中で、県政の最重要課題である人口減少の克服に向け、チャレンジプランと地方創生総合戦略の重点施策の着実な前進を図ると表明されました。 最初に、「人間は人口ではない。人口が政策目標とされるときには、人間を目的とする社会ではなく、人間が手段とされる社会、つまり、人間を労力や兵力の担い手としてのみ認識されるようになる」、また、「人口とは人生の数である」などの識者の警告をお互いしっかり留意しておきたいものです。 さて、国の地方創生は、二○六○年までの長期ビジョンと今後五年間の総合戦略を一つにまとめたものです。 その基本目標は、一つ、安定した雇用の創出、二つ、地方への人の流れをつくる、三つ、結婚・出産・子育て支援、四つ、時代に合った地域づくり、地域間連携の四つです。 こうした国の方針が示され、各自治体の計画が策定されています。 そこで、基本的な五つの質問をいたします。 一つ、地方自治体は、みずからの活性化、再生のために、とりわけ、市町村合併で加速している疲弊した周辺部対策のために、懸命の努力を続けています。また、みずからの総合計画、運営指針を定めています。こうした中、新たに地方創生総合戦略をつくる目的、意義についてお尋ねいたします。 二つ、人口ビジョンと総合戦略の計画期間は、さきに述べたとおりです。総合戦略の計画が終わって五年以降の財政措置について、国はどのように考えていると判断されていますか。県のチャレンジプランは、二○一七年度までの計画です。総合戦略との整合性、さらに上位計画はチャレンジプランでしょうか。それぞれお尋ねします。 三つ、政府は、これまで地方創生と経済対策のための地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を創設し、ばらまきとしか言いようのない使途の交付金を支出してきました。一例を挙げれば、プレミアつき商品券やふるさと名物商品券などです。一万円で一万二千円の買い物ができるのは魅力ですが、もとは税金です。日々の生活に追われている圧倒的多数の市民のどれほどが、これを購入する余裕があるでしょうか。二種類からなるこの交付金の総額と波及効果についてお尋ねします。 全国知事会は、新年度も地方創生交付金の大幅新設を要求しているとのことですが、この点について、県の基本的な考え方を伺います。 四つ、国の示した四つの基本目標は、人口増を目指す全国の自治体共通の課題です。もちろん山口県もしかりです。となると地方創生は、新たな自治体間の競争だと言わざるを得ませんね。いかがでしょうか、お尋ねします。 とすれば、他県よりすぐれた山口県の総合戦略の施策、アピールする事柄は何なのでしょうか。どうお考えでしょうか、お尋ねします。 また、山口県と県内市町の総合戦略との関係です。市町あっての山口県であり、それぞれの特性や魅力を反映した戦略であるべきです。市町戦略反映のため、どのように対応されましたか、お尋ねします。 五つ、五番目の質問です。国の総合戦略一と三、一と三というのは、一つは雇用問題、そして一と三、一がそうですね。三は結婚・出産・子育て支援ですね。ですから、一と三は各自治体ともに、とりわけ切実な共通課題です。ここで自治体間の競争するのではなく、国の責任を明確にするべきです。 子供の医療費、保育料、教育費などの国の一層の役割、さらに四○%を占めている非正規労働者の処遇改善や雇用のあり方などについて、個々の自治体が対策を競うのではなく、知事会等を通じて、対策を国に申し入れるべきです。お尋ねします。 次に、予算編成についてお尋ねします。 予算編成の基本方針は、地方創生総合戦略の四つの施策を中心に、さらに強化する取り組みや、国の政策にも呼応した新規施策を重点的に推進するとあります。地方創生が新たな自治体間の競争であるがゆえに、地域の資源や特性を生かした取り組みが求められます。こうした県づくりに不可欠な事業の拡充や新たな取り組みとは、余りにも一般論です。 また、徹底した事業の優先順位の見直しを行い、予算の集中化・重点化を図るとあります。それぞれどういう施策や事業が該当するのか、具体的にお示しください。 また、県民からの要望の大きい医療、社会保障、働く場の確保と労働環境の整備、子育て支援社会の実現などは、人口減少、地方創生総合戦略と密接に関連する課題です。こうした課題は、新年度予算の中で当然ながら重点的に位置づけられると思いますが、いかがでしょうか、お尋ねします。 さて、問題は、厳しい財政構造です。一兆三千億に上る県債残高、財源調整用基金残高の減少のもと、財源不足は二百二十億と示されています。施策的経費の見積もりは、今年度より二○%カットなど、歳出構造の抜本的な転換に着手するとあります。そこで、財政基盤の強化に向けた取り組みについて、具体的に御説明ください。 次に、人権問題について二つ質問します。 一つは、障害者差別解消法です。 障害者差別解消法がいよいよ来年四月からスタートします。障害のある人もない人も、それぞれの人格と個性が尊重され、その人らしい生き方が保障される社会の実現に、この法律を生かしていくべきです。これまでにない新しい考え方、合理的配慮は、そうした社会の実現に大きな役割を果たすものと期待いたします。 この法律は、行政、民間はもちろん、全ての県民がかかわらなければならないものですが、しかし、肝心の県民の周知度はいかがなものでしょうか。法律の認知度とはこんなものかもしれませんが、この法律がどんな人でも生きやすい社会に変える大きな手段になる、また、そうせねばならないという期待があるからこそ、多くの県民に知って理解してもらいたいのです。 国主催の同法のフォーラムは、私の知る限り、県内でことしの一回だけです。そこで、県は今後、法律の広報周知のために、広報誌やホームページでの紹介、気安く手にとれるパンフレットの作成などに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 行政機関は、この法律の趣旨である不当な差別的取り扱いの禁止及び合理的配慮の提供が法的義務となります。国は、職員の取り組みを確実なものにするため、法に基づく対応要領を定め、作成後、公表しなければなりません。地方公共団体は、対応要領の作成は努力義務ですが、県、教育委員会、警察本部、それぞれの取り組み状況についてお尋ねします。 さて、(仮称)障害者差別禁止条例の制定についてです。 条例の必要性の有無について、関係団体の意見を聞くということです。はい、それはそれで大変よろしいと思います。しかし、この法律は、前段でも申し上げましたが、当事者だけのものではなく、県民が理解し、使いこなさなければ役に立ちません。そのための条例づくりです。 また、障害者団体から見れば、差別解消法は十分ではないという意見もあり、足らない部分を法律の附帯決議にある上乗せ、横出しの条例でカバーするという役割もあります。県が官民挙げて推進しているあいサポート運動と力強く連携するためにも条例が必要です。条例制定について県の考え方をお尋ねします。 さて、二○一四年、日本が批准した障害者権利条約は、手話を言語の一つとして規定しています。今、山口県議会を含む全ての都道府県議会が、手話言語法の制定を求める意見書を可決しています。しかし、政府や国会で法制定に向けた動きは鈍いとのことです。 一方で、二○一三年、全国で初めて手話言語条例をつくった鳥取県から、現在は二十を超す自治体が条例を定めています。聴覚障害の人々にとっては、手話は合理的配慮の情報アクセシビリティーの一環です。差別解消法のスタートの前に、昨年、西嶋議員も提案されましたけれども、山口県も手話言語条例を制定するべきです。見解をお尋ねします。 人権問題の二つ目、性的少数者への支援と理解促進についてです。 ここ最近、LGBT、性的マイノリティー、性的少数者をめぐる報道、よく目にするようになりました。もちろん当事者の皆さんのさまざまな活動もあります。そして、支援する自治体の取り組みもぼつぼつ紹介されるようになりました。大変うれしいことです。 一方で、先日のどこやらの市会議員や県職員のツイッター上の暴言、妄言は、人権意識の低い日本社会の一端を見せつけられ、怖い思いです。いや、だからこそ、発言しなければなりません。 十二月六日、朝日新聞の「波聞風問」という欄に、日本の大企業で働く、ある管理職の男性が、自分はLGBTだと職場でカミングアウトしたという記事が出ていました。記事の題名は「多様性、認め合える職場とは」です。記事には、当事者から話を聞くイオンの研修会やゲイである男性の性的少数者が声を上げやすい環境を整えることは、男性も育児休業や介護休暇の取得など、誰もが働きやすい職場づくりにもつながるなどの話が紹介されています。 多様性、ダイバーシティーという言葉は、広く使われていますが、社会のあらゆる分野に実態として定着させることが、誰にとっても、また、障害があっても生きやすい社会につながると確信します。 そこで、性的少数者への理解と支援のため、ホームページでの広報啓発、県の男女共同参画条例の中での規定、企業研修、同性カップルの県営住宅入居など、県の取り組みをさらに進めるべきですが、お尋ねします。 余談ですが、私はかつて二井元知事の時代、大分はるか昔ですけども、県庁内で結婚前の旧姓使用を認めるようにという質問しました。知事の答弁はイエスでした。 議会終了後、ある自民党議員が私のところへ来て、大変大真面目な顔して抗議したことがあります。日本は同質社会の圧力が強いと言われますが、その一例だというふうに思います。 来週、選択的夫婦別姓についての最高裁判決が示されます。これも大いに期待をしておきます。 続いて、朝鮮学校への補助金問題です。 朝鮮学校への補助金交付の目的は、二○一一年三月まで、教育条件の維持向上及び修学上の経済的負担の軽減を図ることでした。 ところが、二○一一年四月から、その目的は、地域の学校開放、授業の公開、地域の学校などとの文化・スポーツ交流を行うことを通じて、県民との相互理解の増進を図ることと変更されました。補助金不支給になるまで、私はこの目的変更を全く知りませんでした。 一つ、なぜ変更したのですか、明確にお答えください。 二つ、県は、現行の補助金目的からして、人種差別撤廃委員会の指摘する差別的取り扱いではないと、これまでの議会答弁、そして申し入れの場でもおっしゃっています。 しかし、交流教育のためという目的からしても、不支給ゆえに教育環境が変化します。目的がどう変わろうと、学校の主役は子供たちであり、子供たちがいるからこそ、交流教育を実施するのです。したがって、停止、不支給の措置は差別であり、人権侵害です。見解を求めます。 三つ、県は、補助金交付停止の理由の一つに、他県の動向を挙げています。朝鮮学校は、二十七都道府県にあります。そして、現在までも二十道府県が補助金を交付し続けています。そのうちの一県は、名称を変更して交付し、子供たちに影響が及ばないような工夫をしています。県は、こうした二十道府県の動向を、どう理解しておられますか。 そしてもう一つは、県民の理解が得られないという理由も、不支給の理由の一つに挙げています。では、そのように判断された根拠は何なのですか、お尋ねします。 以上、指摘しましたように、補助金停止は正当性も合理的理由も全くありません。あえて言えば、政治家としての知事の気分、感情で決めたことと指摘せざるを得ません。来年度、目的を変更してでも、実質的に補助金を復活すべきです。いかがですか、お尋ねします。 次に、電力小売自由化により県の対応がどうなるのかお尋ねいたします。 来年度から、これまで段階的に進められてきた電力の小売が完全自由化されます。先日の国の発表によれば、小売電気事業者は四十社が登録しており、今後さらにふえる見通しとのことです。 県は、既に県庁舎など一部に電力の一般競争入札を導入していますが、結果的に中国電力が落札しています。今後、来年度から経費節減のために、県内全ての県、教育委員会、警察の関係機関の庁舎の電力使用は競争入札を導入すべきです。今後の取り組みについて、どうお考えでしょうか、お尋ねをいたします。 次に、岩国基地問題についてお尋ねします。 六月県議会で私は、沖縄辺野古の新基地建設問題について質問しました。沖縄の問題は岩国の問題であり、辺野古の埋め立て阻止の闘いは、上関原発予定地の闘いと全く同じだからです。 そして、沖縄の闘いは、私たちの国の民主主義のあり方が問われていると指摘しました。今、沖縄で起こっていることは、いわゆる日米同盟重視というアメリカ追従の安倍政治のもとでは、地方自治も民主主義も素通りするという現実を私たちの前に突きつけています。 それどころか、政府は、地元の名護市を飛び越えて、市内の各地区に対し、直接交付金を支払う方針です。あめとむちで地元を分断し、地方自治への露骨な介入です。 知事は、六月議会で、普天間の移設問題は国と沖縄県で話し合われるもので、見解を述べる立場にないと言われました。しかし、その前段に、基地問題はお互いの立場を尊重し、信頼の上に立って地元の理解を得て進めるべきとの見解を示されています。では、辺野古新基地建設をめぐる沖縄と国との関係について、知事見解に照らしてどうお考えでしょうか、お尋ねします。 知事見解をよくよくかみしめてみて、かつての井原岩国市長時代を想起せずにはおれません。基地という国策を前に、知事見解とは真反対の、時にはあめとむちを振りかざし、住民の意思を全く無視されてきた結果が、今日の岩国基地の姿です。 知事見解が、これまでも確実に保証されていれば、極東最大の軍事基地化しつつある現在の岩国基地はあり得なかったと思います。この点について、知事はいかがお考えですか、見解をお尋ねします。 先日、中谷防衛大臣が県庁を十五分間、表敬訪問されたとのことです。その際、知事は大臣に対し、厚木からの空母艦載機移転について、県の考え方を説明されたようです。県の考え方とは、一つ、これ以上の負担増は認められない、二つ、普天間基地移設の見通しが立たないうちは認められないの二つです。 さて、十月十五日、基地周辺住民の提訴した岩国基地爆音訴訟で、初めての司法判断が示されました。山口地裁岩国支部の判決内容の骨子は、艦載機移転は騒音が高まることが推認されるが、飛行差しどめは認めず、移転時期が決まっていないので、これまでの騒音被害に対して一定の損害賠償を認めるというものです。 沖合に移設した滑走路の運用後も、住民生活にとって違法の騒音被害があり、艦載機が移転すれば騒音がより増加するというものです。原告の住民、被告の国ともに控訴したとはいえ、具体的な騒音被害を初めて認めた司法の判断は、安全・安心な住民生活のためにも尊重されなければなりません。 そこで二点お尋ねします。 一つ、十二月三日、住民団体が知事に対し、騒音防止協定の締結など七項目の要望を提出されました。それぞれの対応をお答えください。 二つ、今以上の機能強化は認められないというのが、県の基地問題の基本方針です。山口県流の機能強化とは、住民生活の影響、負担増ということです。知事の発言された艦載機移転の考え方に照らし、判決内容をどのように受けとめておられますか。また、普天間移設の見通しとは、具体的にどういう状況ですか、改めて確認しておきます。 かつて県は、上関原発予定地で海面にブイを設置しただけで、工事に着手したと判断しました。公有水面埋立法上の規定をクリアするためです。同様に辺野古でも工事着手と国は言っています。また、裁判の続く限り、県は移設について判断できませんね。お尋ねいたします。 教育問題、最後にお尋ねします。 昨年六月議会で私は、「ありのままの自分になるの、自分を信じて」とディズニー映画の歌詞を引用しつつ、ありのままの自分になれない性同一性障害と言われる子供たちの学校現場での対応を質問しました。以降、その際の教育長答弁について、具体的に、どのように取り組まれているのかお尋ねします。 文科省は、ことし四月、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」とする通知を発しました。この通知では、子供たちに必要な配慮事項が具体的に例示されており、公立・私立を問わず、全ての学校に周知を図り、その実行を要請しています。 また、性同一性障害のみならず、LGBTと呼ばれる性的少数者の子供たちも対象です。 次は、NPO法人ReBitの代表理事藥師実芳さんの本の一節です。 僕には夢があります。LGBTであってもなくても、全ての子供がありのままの自分を肯定して、大人になれる社会の実現。今、将来を悲観して、毎晩布団の中で涙していた九歳の僕に会えるとしたら、言ってあげたい言葉があります。一人じゃないよと。あなたのままで大人になれるよと。大丈夫、生きていけるよと。という本の一節です。 藥師さんは、こういう社会の実現を目指して、若者たちを中心にNPOを立ち上げ、出前授業や企業研修などの活動を続けているそうです。 二○一五年のある民間団体の調査によれば、LGBTは全人口の七・六%という数字もあります。LGBTゆえに、みずからを否定し、誰にも言えず、いじめに遭っている子供がいるかもしれません。 教育長と総務部長にそれぞれお尋ねします。一つ、文科省のこの通知は、各学校現場に届いておりますか。各学校は、通知の具体化について、どのように対応していますか。もし、そのことについて把握されていないとすれば、改めてその実施を求めるべきですが、いかがお考えですか。お尋ねをして、第一の質問を終わります。(拍手)