平成 24年 6月定例会 平成二十四年六月
山口県議会定例会会議録 第五号 平成二十四年六月二十八日(木曜日) ──────────────────── 議事日程 第五号 平成二十四年六月二十八日(木曜日)午前十時開議 第一 一般質問 第二 議案第一号から第三十八号まで(質疑) ──────────────────── 本日の会議に付した事件 日程第二 議案第一号から第三十八号まで 会議に出席した議員(四十九人) 柳 居 俊 学 君 吉 井 利 行 君 伊 藤 博 君 吉 田 和 幸 君 塩 満 久 雄 君 林 哲 也 君 加 藤 寿 彦 君 有 福 精 一 郎 君 木 佐 木 大 助 君 先 城 憲 尚 君 友 田 有 君 曽 田 聡 君 佐 々 木 明 美さん 小 泉 利 治 君 岡 村 精 二 君 二 木 健 治 君 藤 本 一 規 君 三 浦 の ぼ る 君 藤 生 通 陽 君 松 永 卓 君 合 志 栄 一 君 西 嶋 裕 作 君 末 貞 伴 治 郎 君 吉 田 充 宏 君 新 谷 和 彦 君 田 中 文 夫 君 神 田 義 満 君 島 田 教 明 君 石 丸 典 子さん 井 上 剛 君 国 井 益 雄 君 守 田 宗 治 君 山 手 卓 男 君 槙 本 利 光 君 畑 原 基 成 君 井 原 寿 加 子さん 橋 本 尚 理 君 秋 野 哲 範 君 河 野 亨 君 笠 本 俊 也 君 星 出 拓 也 君 森 中 克 彦 君 河 村 敏 夫 君 藤 井 律 子さん 友 広 巌 君 戸 倉 多 香 子さん 上 岡 康 彦 君 新 藤 精 二 君 竹 本 貞 夫 君 会議に欠席した議員(なし) 議案等の説明のため会議に出席した者 知事 二 井 関 成 君 副知事 岡 田 実 君 総務部長 池 内 英 之 君 総務部理事 小 松 一 彦 君
総合政策部長 藤 井 哲 男 君
地域振興部長 渡 邉 繁 樹 君
環境生活部長 門 田 栄 司 君 健康福祉部長 渡 邉 修 二 君 商工労働部長 半 田 健 二 君 農林水産部長 北 野 常 盤 君 土木建築部長 小 口 浩 君
会計管理局長 寺 田 徹 郎 君 財政課長 佐 伯 彰 二 君
公営企業管理者 藤 部 秀 則 君 企業局長 秋 本 泰 治 君 教育委員長 村 上 智 真 君 教育長 田 邉 恒 美 君 公安委員長 清 水 孝 子さん 警察本部長 多 湖 令 君
代表監査委員 石 津 敏 樹 君
監査委員事務局長 藤 井 克 彦 君
労働委員会事務局長 橋 本 雅 寛 君
人事委員会事務局長 木 村 進 君 会議に出席した事務局職員 事務局長 弘 中 勝 久 君 事務局次長 市 原 栄 一 君 総務課長 松 永 敏 昭 君
議事調査課長 田 中 肇 君 政務企画室長 岡 村 達 也 君 秘書室長 野 原 弘 幸 君
議事調査課長補佐 山 本 秀 樹 君 議事記録係長 石 橋 教 幸 君 主任主事 藤 村 紘 子さん 主任主事 油 利 知枝美さん 主事 田 中 充 宣 君 ───────────── 午前十時開議
○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 ─────────────
△日程第一一般質問
△日程第二議案第一号から第三十八号まで
○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第三十八号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手)
◆(合志栄一君) 新政クラブの合志です。早速通告に従い一般質問を行います。 この三十年くらいで日本じゅうから小さな商店街が消えていくのがよくわかりました。「男はつらいよ」シリーズの終盤の地方ロケでは、風景が寂しくならないように、シャッターを閉めた店に頼んであけてもらわねばならなかったのですから。今なら寅さんのロケは大変でしょうね。似合わないなあ、寅さんに新幹線、高速道路、
巨大ショッピングセンターは。全然ね。商店街は、地域に暮らす人と人とが触れ合う場所ですよね。それは日本の文化のかなり大事な部分を占めていた。以上は、
映画監督山田洋次さんの証言の一節で、二○○七年から八年にかけて朝日新聞に連載された「変転経済―証言でたどる同時代史」で語られていることであります。 この山田監督の証言に共感する人たちは多いと思います。私もその一人で、特に町の顔とも言うべき中心商店街のにぎわいの回復に係る政策に関心を向けて、いろいろ私なりに調べてまいりました。そのことを踏まえ、このたびは地域活性化への取り組みということで、まず、
中心市街地活性化対策についてお伺いいたします。 最初に、先般、県下の中心商店街を見て回って感じたことを申し上げます。 何とか現状維持で町のにぎわいを保ち続けているのは、山口の中心商店街であります。 岩国、徳山の中心商店街は、幾らか空き店舗が目につきますが、にぎわいの回復、商店街再活性化に向けて意欲的な取り組みがなされつつあり、それに期待したいと思います。 萩の中心商店街は、観光を取り入れた
商店街づくりに活路を見出そうとしており、衰退傾向には一定の歯どめがかかっているように思われます。 防府、宇部、下関は、中心商店街を構成する各商店街において空き店舗がふえ、
シャッター通り化が進行していますが、その中で幾つか奮闘している商店街があり、その頑張りには頭が下がります。 柳井は、かつて中心商店街のメーンであった銀天街がなくなり、その跡はきれいに整備された道路になっていて驚きでした。 商店街の衰退は、山田監督の証言のように全国各地で起きていることでありますが、その背景を調べていきますと原因は明らかで二つに大別されます。その一つは都市の拡散であり、その二は
モータリゼーション、車社会の進展であります。
モータリゼーションの進展は、大きな時代の変化であり社会現象であることから、その変化にどう的確に対応するかが課題でありますが、都市の拡散は、我が国の都市計画、土地利用についての政策的不備によって生じている現象であります。 特に、平成二年に日米構造協議の合意を受けて、大店法による
大型店出店規制が緩和されたこと、さらに平成十年には
大店法そのものが廃止され、店舗面積等による出店規制や出店調整の制度がなくなったことは、その傾向を一層助長しました。その結果、全国各地で郊外に次々と
大型商業施設が進出することとなり、既存商店街の衰退が加速化し、
シャッター通りがふえていったことは、御案内のとおりであります。 こうした事態に、地方から悲鳴にも似た声が上がり、対策を求める声が高まり、平成十八年のまちづくり三法の見直しとなります。 まちづくり三法は、もともと平成十年に制定されたもので、
中心市街地活性化法、
改正都市計画法、大店立地法の三つをいいます。このうち、大店立地法は、それまで大店法がしていた店舗面積等による量的な出店規制をなくし、かわって生活環境への影響という面から規制する仕組みを定めたものであります。経済的規制から環境規制へという立法措置は画期的だとの評価の声もありましたが、先ほど触れましたように、結果的に
大型商業施設の郊外立地を促すことになりました。 大店立地法は、いわば
大型商業施設の立地に関する規制緩和で、アクセルの役割を果たすこととなりましたが、一方でブレーキの役割を期待されたのが、このときの
改正都市計画法で、大型店の郊外立地を規制する必要があると市町村が判断した場合、従前の都市計画法による
土地利用規制をさらに強化できるようにしたものであります。しかし、この改正措置は十分に機能しませんでした。
中心市街地活性化法は、市町村が
中心商店街活性化に向けて基本計画を策定し、その計画を関係省庁、民間、
地方公共団体が連携して推進する仕組みを定めたものであります。 この法の制定を受けて、全国で約七百の自治体が基本計画を策定しましたが、中心商店街の空洞化の進行を防ぐことはできませんでした。 このように見ていきますと、平成十年のまちづくり三法とは何だったのかということになります。商店街衰退の主たる原因である都市機能の拡散を助長する立法措置をしながら、商店街支援の施策を講じたとしてもうまくいくはずがありません。このまちづくり三法は惨たんたる結果に終わり、平成十八年の見直しということになる次第であります。 平成十八年のまちづくり三法の見直しでは、これまでの都市機能の郊外化・拡散化の流れに歯どめをかけ、さらにこれを転換して、都市機能の集約を図り、コンパクトなまちづくりを目指すという方向で、法制度の整備改正が行われました。既に時期遅しなのか、どうにか間に合ったのかわかりませんが、ともかく商店街衰退の本質的原因を踏まえた対策が法的にとられたことは評価していいと思います。 また、この見直しで、
中心市街地活性化法の第三条に基本理念が新たに定められました。その前段を紹介いたしますと、「中心市街地の活性化は、中心市街地が地域住民の生活と交流の場であることを踏まえつつ、地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点となるにふさわしい魅力ある市街地の形成を図ることを基本とする」と明記されており、商業機能の強化という観点だけではなく、広く地域住民の生活と交流の場として魅力的な市街地の形成を図ることが中心市街地の活性化につながるとの考えが示されております。私は、この基本理念は、
中心市街地再生に向けて最も大事な考え方を明確にしたものとして評価したいと思います。 三法の見直しにより都道府県の役割が、都市計画の広域調整という面で強化されたことも留意しておきたい点であります。 ところで、このたび、中心商店街のことに取り組んではっきりしてきたことは、商店街のことに関し県が直接的に権限を持ち、県の施策としてやれることが、今日ほとんどないということでした。実際、商店街の関係者に聞きますと、「相談や陳情のため市や国の機関のほうに行くことはあっても、県のほうに行くことはここ数年ないなあ」という声が返ってきます。 しかし、そうとはいえ県が心がける、また取り組むことによって中心商店街の活性化につながることはいろいろとあることも事実であります。 そこで、このたびは、まちづくり三法の見直しに沿う方向で、県に心がけてほしいこと、取り組んでいただきたいことにつき数点私の考えを申し上げ、御所見をお伺いしたいと思います。 まず第一点は、中心市街地への都市機能の集積、いわゆるコンパクトなまちづくり、
コンパクトシティという方向についてであります。 まちづくり三法の見直しで
コンパクトシティという方向に沿って行われた都市計画法の重要な改正が二つあります。一つは床面積が一万平方メートルを超える
大型小売店舗などの大
規模集客施設の立地は、商業、近隣商業、準工業の三種の用途地域に限定し、それ以外の地域は原則不可としたことであります。 もう一つは、これまで開発許可が不要であった県や市などの公共施設や
社会福祉施設、医療施設、学校等の公益施設も開発許可を要するように改正し、
公共公益施設が地価の安い郊外へ安易に立地拡散しないようにしたことであります。 そこでお尋ねいたします。これは山口市に限らず、県下の市町すべての
県公共施設等において共通して心がけていただきたいことですが、県公共施設及び県関連施設、また県が関与している公益施設等は、コンパクトなまちづくり、すなわち中心市街地への都市機能の集積という方向に沿って、今後の建設や建てかえは行っていくべきであると考えます。つきましては、このことにつき御所見をお伺いいたします。 次に第二点は、良好で魅力的な中心市街地の形成についてであります。
中心商店街活性化対策ということで、中心商店街の商業機能の強化は、政治や行政の主たる政策課題ではないと考えます。それは、基本的に商業者にゆだねられるべきことであります。 政策課題として取り組むべき柱の一つは、さきに述べましたように無秩序な都市の拡散を回避し、コンパクトな都市構造にしていくことであります。さらに、そのこととあわせ大事なもう一つの柱は、中心商店街を含む中心市街地を住みたくなる、そして行きたくなる魅力的な町並みの市街地にしていくことであります。そうした政策課題の取り組みが結果として中心商店街のにぎわいの持続と将来への展望のベースになると考えます。 中心商店街の再活性化を主たる目的とする法律の題名が「中心市街地の活性化に関する法律」とされたことの含意は、そういうところにあると見ております。 中心市街地を良好な生活環境と魅力的な町並みの市街地にしていくという政策課題への取り組みにおいて、県は道路や河川等の整備事業を通して重要な役割を果たすことができます。 そこでお尋ねです。県も道路や河川等の整備事業を通して中心商店街の活性化につながる良好で魅力的な中心市街地の形成にしっかり取り組んでいくべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。 第三点は、街なか居住の推進についてであります。 平成十八年に全面的に見直された
中心市街地活性化法は、計画事項の中に「街なか居住の推進」を新たに加えました。これは、中心市街地の活性化には、とにかく人に住んでいただくことが重要との考えからだと思われます。 この街なか居住の推進に向けて県は何ができるかということでありますが、本年三月に県が策定した山口県
住生活基本計画においては、街なか居住の推進について、次のように述べられています。 「
中心市街地活性化や定住人口を確保するため、民間オーナーとの連携による
ファミリー向けや高齢者向けの賃貸住宅の供給や、民間住宅の借り上げ等による市町営住宅の供給の促進など、商業のみならず居住や
公共サービスのバランスがとれた市街地を形成する街なか居住を推進します。」 この街なか居住の推進についての県の考えで不満に思われるのは、県営住宅のことに触れていないことであります。 そこでお尋ねです。私は、県営住宅を新たに町なかに増設する必要はないと思いますが、既存の県営住宅を建てかえて更新するときは、街なか居住の推進に沿う取り組みとして、中心市街地への立地が今後計画されていいと考えます。つきましては、このことにつき御所見をお伺いいたします。 第四点は、県の広域調整についてであります。
大型商業施設の商圏は、立地自治体だけではなく複数の市町に及ぶ広域なものでありますことから、市町が単独で用途地域の変更等で立地規制をしても、近隣の市町が受け入れれば、その影響は避けられません。 都市計画法では、市町村が
都市計画決定を行う際は、
都道府県知事と協議することが手続上決められていて、
都道府県知事が広域的観点から調整の役割を果たすことが期待されています。 よって、
大型商業施設等の立地にかかわる市町村の
都市計画決定に関しては、そうした広域調整が求められることになると思われますが、平成十八年の都市計画法の改正では、その際、「
都道府県知事は必要があると認めるときは、関係市町村に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる」として、都道府県が広域的な観点から望ましい立地に向けて、より円滑に調整できるよう仕組みを強化しました。 そこでお尋ねです。中心商店街に大きな影響を及ぼす
大型商業施設の立地にかかわる都市計画の広域調整を、本県はどのように行ってきているのか御所見をお伺いいたします。 第五点は、二井県政と
中心商店街対策についてであります。 住み良さ日本一の
元気県づくりを目指して推進されてきた二井県政において
中心商店街活性化対策は、政策的にどう位置づけられ取り組まれてきたのか、そしてこれまでの取り組みを通して、今後の
中心商店街活性化対策はどうあるべきとお考えなのか、御所見をお伺いいたします。 地域活性化への取り組みについての質問の第二は、地方分権の推進についてであります。 私は、このたび中心商店街のことに取り組んでみて見えてきたことがあります。それは、国がお金も権限も持ったまま、国が準備したメニューに沿ってやるところは支援しますよという、国による一元的管理の地域活性化のやり方はだめだということであります。そして、地域活性化は国より県が、市町村と連携していろいろ取り組めるようにしたほうがいいのではないかということであります。 平成十八年に見直された
中心市街地活性化法は、市町村が基本計画を策定して
内閣総理大臣が認定する仕組みになっております。見直し以前は、国による基本計画の認定はありませんでした。それが一気に、
内閣総理大臣による認定が制度化されたところに、国が最大限力を入れて取り組みますよという意図が感じられます。確かに総理認定となった計画は、国が集中的かつ効率的に支援を行うこととされています。しかし、果たしてそれでうまくいくのか疑問であります。 本県では、山口市及び下関市がこの基本計画の総理認定を受けております。このうち山口市は五年間の
事業計画期間が今年度で終了しますので、再認定に向けての動きがあり、岩国市及び周南市においては、計画申請の動きがあるようであります。 山口市が総理認定を受けてやった計画事業を評価できるのは、まだ先のことになりますが、私が思っているのは、このような計画の策定とそれへの支援は、国が持っているお金と権限を県が持っていて、県と市町の関係でやっていったほうが、ずっとうまくいくのではないかということであります。県が国より市町に近いところにいて、市町の事情がわかっているからであります。 また全国各地、それぞれの地域に独自の歴史があり、事情があり、特性があって、そのすべてに通用する地域活性化のメニューを国が考えることは無理と思われるからであります。 国は、以前の
中心市街地活性化法では、基本計画が粗製乱造になったことを反省したようであります。そして見直し後は、全国の市町村に対し国の基準にのっとって計画を策定し総理認定を受けることができれば、しっかり国が支援しますと宣言しました。そこには、だめな地方を国が指導するという趣があります。しかし、それでは地域は活性化しません。地域の課題は、国ではなく地域で解決する。そのための自立的な仕組みを整えること、地域の地力を涵養すること、今日国が地域活性化のためになすべきことは、そういうことであります。 現在の仕組みでは、本県の市町が基本計画を策定して総理認定を得ようとすれば、国の出先機関である中国経済産業局等と相談調整して、内閣府に直接申請することになります。このことで県を経由することはなく、また県が関与することもありません。 最近、国が打ち出してくる地域活性化の施策は、大体同様で、国と市町村、国と地方業界団体等との直接的な関係で実施する仕組みになっていて、国の出先機関が窓口相談業務を担うということで、県の役割が希薄になっています。 平成二十年六月県議会で、私は将来の分権型国家のあり方として道州制のほかに三十万ないし五十万人規模の基礎的自治体としての都市と中央政府という二層構造の国のあり方が選択肢として考えられることを示して、二層構造の分権型国家についての知事の考えをお伺いしました。 そのとき二井知事は、「基礎的自治体としての都市で処理できない広域的なことを直ちに国がやるという二層構造では、国の権限が強過ぎることになって、名ばかりの分権型国家になるのではないかと危惧する。やはり、道州制という方向が適切ではないかと考える」と答弁しておられます。 二井知事は、二層構造は、国の権限が強くなり名ばかりの分権型国家になるとの危惧を述べておられますが、今日の国による地域活性化の取り組みがうまく機能してない理由も、その仕組みが先ほど述べたように県抜きの二層構造でやろうとしているからではないかと私は見ております。 今日進行している地方分権は、本来地域のことは地域で解決する仕組みを整えて、地域活性化につながるものであるはずべきなのに、必ずしもそうなっていない感があります。それは、行政事務の分権化は進んでいるものの、地方が政策面の自由度を増す自立に向けた分権化が進んでいないこととあわせ、基礎的自治体として市を重視する一方、県の役割が希薄化して、結果的に二層構造となり国の直接関与が強くなっている面があることが原因しているのではないかと思われます。 現在国が進めている地方分権は、将来都道府県を廃して道州制に移行することを既定路線とみなし、都道府県の役割を減らし、基礎的自治体と位置づける市を重視して、そこに極力権限を移譲するという考えに立っているように思われます。 こうした考えに対し、私は一気に道州制への移行を目指して県の役割を少なくするのではなく、むしろ現在国が地域のことに関し持っている財源と権限を可能な限り県に移譲し、地域のことに関する県の役割を強くして、県と市町村でいろいろな地域の政策課題を解決できるようにすることが、地域活性化を大いに進める分権化の方向であると考えております。 それは、決して基礎的自治体として市を重視するという地方分権の流れに逆行することではありません。そのことは当然の方向として尊重し、しっかり踏まえた上で、長い歴史があり国民になじんでいる都道府県制度が現にある限りにおいては、国の出先機関よりも、特に県域においては県が市町村と連携し、また県が市町村を補完して地域の課題に取り組む力を強めていったほうがいいと考える次第であります。 以上、地域活性化と地方分権の推進について私の考えを申し述べましたが、そこでお尋ねであります。地方分権が進む中、地域活性化のために県の役割は、どうあるべきとお考えなのか御所見をお伺いいたします。 以上で、一回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(柳居俊学君) 二井知事。 〔知事 二井関成君登壇〕
◎知事(二井関成君) 私からは、地方分権が進む中での地域活性化のための県の役割についてのお尋ねにお答えをいたします。 私は、住民に身近な行政は、より身近な自治体にゆだねることが、住民サービスの向上や地域の活性化につながると考えまして、知事就任以来、市町村重視の基本姿勢で県政運営に取り組んでまいりました。 特に、地方分権が本格化する中にありまして、基礎自治体である市町村が、分権の受け皿としてその力をつけることが重要と考えまして、その最も有効な手段である自主的・主体的な市町村合併の取り組みを支援をしてまいりました。また、市町の自主性・自立性を高めるため、まちづくりや農林関連など百九パッケージに及ぶ権限移譲も積極的に行い、加速化プランに掲げる数値目標を一年前倒しで達成したところであり、こうした取り組みの結果、市町の行財政基盤が強化をされ、政策・行政能力は確実に高まってきているものと考えております。 このように、市町が分権の受け皿としての力を着実に蓄えてきております中で、広域自治体である県といたしましては、どこまでも近接と補完の原理に沿って、市町村に対する補完・支援という基本的な役割を果たしつつ、今後は、近隣県との連携も強めながら、高度・広域的なインフラ整備や、産業活性化、防災、観光などの広域的な行政課題へも対応し、また、自立的で活力のある地域の実現に向けて、より広域的な視点に立った、地域活性化の取り組みを進めるという役割を強化していく必要があると考えております。 こうした中、地方分権の現状は、国と県との関係で見てみますと、さまざまな分野での二重行政や、お示しがありましたように、国から県を経由せず市町に交付される補助金の存在、義務づけ・枠づけ等の国の関与、遅々として進まない国の出先機関の事務移譲など、県の役割の発揮を妨げる多くの課題がありまして、私も合志議員と同様の問題意識を持っております。 したがいまして、私としては、このような県としての役割を果たす上で支障となっている多くの課題の解決に向けて、全国知事会等を通じて、国に対し、引き続き強く求めていかなければならないと考えております。そして、そのことにより、地域のことは地域で決めるという地方分権の本旨に沿って、県が、広域自治体としての役割をしっかりと果たし、市町とともに地域の活性化に取り組んでいくことが重要であると考えております。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答えいたします。
○議長(柳居俊学君) 池内総務部長。 〔総務部長 池内英之君登壇〕
◎総務部長(池内英之君)
中心商店街活性化対策に関連して、県の公共施設等については、中心市街地への都市機能の集積という方向に沿って、今後の建てかえ等を行うべきとのお尋ねです。 県の施設の整備に当たっては、行政サービスの適切な提供を基本に、施設の性格や利用者の利便性等を考慮し、適地を選定しているところです。 具体的には、多くの県民や事業者が利用する総合庁舎等については、交通事情など利用者の利便性を重視し、各地域の市街地に配置しており、一方、農林水産関係の出先機関など、現地性や地域性を踏まえて配置しているものもあります。 こうした中、お示しのとおり、平成十八年に、いわゆるまちづくり三法が改正され、コンパクトなまちづくりに向けて、中心市街地に都市機能の集約を図ることとされたところです。 県の施設は、目的や機能が多様であり、一律にすべての施設を中心市街地に配置することは困難ですが、今後、多くの県民が利用する施設の建てかえ等を行う場合には、法改正の趣旨を踏まえ、地元市町のまちづくりとの整合にも配慮しながら、適切な立地に努めていきたいと考えております。
○議長(柳居俊学君) 小口土木建築部長。 〔土木建築部長 小口浩君登壇〕
◎土木建築部長(小口浩君)
中心商店街活性化対策のお尋ねのうち、三点についてお答えします。 まず、良好で魅力的な中心市街地の形成についてです。
中心市街地活性化の事業は、市町が策定する
中心市街地活性化基本計画に沿って、空き店舗対策や道路整備などのハード・ソフト両面にわたるさまざまな事業により実施されます。 これらの事業については、市町や地域が中心となって取り組んでいくこととなり、県では、事業が円滑に進むよう、計画策定時から、国の支援措置等に関する情報提供や適切な助言を行っています。 また、お示しの県が行う道路や河川等の整備事業につきましては、まず、渋滞の解消や浸水被害の防止など、事業本来の必要性が高いことを前提とし、その上で、中心市街地の魅力の向上に大きな効果が期待できるものについて取り組んでいるところであり、こうした観点から個別に検討していくことになると考えております。 次に、街なか居住の推進についてです。 お示しの山口県
住生活基本計画では、「中心市街地における定住人口の確保については、それぞれの市町において、民間賃貸住宅や市町営住宅の供給などにより対応していくもの」と位置づけておりますが、県としても協力し、推進すべき施策と認識しております。 こうした中、お尋ねの県営住宅の建てかえを敷地内で行わず別の場所とする場合においては、まずは入居者の意向を調査し、さらに立地条件や建てかえ計画戸数、費用対効果等を踏まえ、総合的に検討して、移転先を決定することとなります。 したがって、県営住宅の中心市街地への立地についても、今後建てかえ計画を進めるに当たり、これらの条件が整う団地があれば、市町と十分協議しながら検討してまいりたいと考えております。 次に、
大型商業施設の立地にかかわる県の広域調整についてです。
大型商業施設の立地は、周辺の人口や交通量等を変化させ、近隣市町のまちづくりや道路などの都市基盤整備に影響を与えるおそれがあるため、お示しのように、平成十八年の都市計画法の改正により、県が広域的観点から調整を行うこととされました。 このため、県では、迅速かつ的確に広域調整を実施できるよう、判断基準や詳細な手続を定めた山口県広域調整ガイドラインを平成十九年十一月の法の施行にあわせて策定しました。このガイドラインに沿って、関係市町のまちづくりなどへの影響について意見照会や調整会議などを行い、必要に応じて、影響への対策について助言や要請を行うこととしております。 本県におけるこれまでの取り組み状況としましては、下関市、山陽小野田市の二つの案件について、意見照会や影響の評価などを適切に実施してきたところです。
○議長(柳居俊学君) 半田商工労働部長。 〔商工労働部長 半田健二君登壇〕
◎商工労働部長(半田健二君)
中心商店街活性化対策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、政策的にどう位置づけて取り組んできたのかということでございます。 中心商店街は、地域コミュニティーの核であり、その活性化はにぎわいのある地域づくりに寄与することから、県においては、商業・商店街の振興を加速化プランの重点事業に位置づけ、商店街の活性化に向けた市町の取り組みを支援してきたところです。 具体的には、お示しの
中心市街地活性化法に基づく基本計画の策定については、現在、岩国市と周南市が、国の認定に向けて取り組んでおり、県としては、商工会議所が中心となり設置された
中心市街地活性化協議会に参画し、計画づくりに関する助言等を行っているところです。 一方、既に国の認定を受けております山口市と下関市においては、大規模小売店舗立地法の手続の省略が可能な特例区域の指定を行い、こうした要件緩和により、大規模小売店舗の中心市街地への立地を促進しているところでございます。 また、中心商店街の活性化を支援する取り組みについて、中小企業の創業や経営革新を促進するための「やまぐち地域中小企業育成基金」を活用し、やまぐち産業振興財団を通じて、空き店舗を利用したチャレンジショップ事業やテナントミックス事業への助成を行っております。 次に、今後の
中心商店街活性化対策はどうあるべきかについてですが、県としては、まちづくりの主体的な役割を果たす市町が、
中心市街地活性化基本計画の認定を受け、国の支援制度を活用して、まちづくりと一体となった商店街振興に取り組むべきであると考えております。 このため、今後とも、計画認定に向けて積極的に取り組む市町に対し、地域の実情等に即した情報提供や助言など適切な支援を行ってまいります。
○議長(柳居俊学君) 合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手)
◆(合志栄一君) 私は、中心商店街が時代の変化に応じて変わっていくのは、当然のことだと思っております。先ほど柳井市のことを申し上げましたが、柳井市も駅通りはきれいに整備されていますし、白壁の町は魅力的な町並みになっていますし、区画整理事業された南町商店街は活気が感じられます。こうしたところが、これから柳井の中心商店街になっていくのかなという感も持ったんですが、それはそれであり得るべきことだと思っているわけであります。 ただ地域の中で、人々の暮らしと密着して形成されてきた中心商店街は、地域にしっかり根差して、人々の暮らしだけではなく、地域の歴史、文化を担っており、そうしたものを大事にしていくことが、長い目で見て、人々の暮らしのためにも、地域のためにも望ましいのではないかと思っている次第であります。 さて、それぞれ御答弁をいただきました。幾らかかみ合わないなと思うところもありますけれども、お礼と要望を申し上げておきたいと思います。 お礼は、一の坂川河川再生事業についてであります。山口市の中心市街地を流れている一の坂川は、道路で言えば県庁前を走る現国道九号から、山口市の中心部を東西に走る旧国道、現県道宮野大歳線の間、橋で言えば伊勢橋から亀山橋の間は、御案内のように、春は桜、初夏は蛍、秋はアートふる等のメーンステージとなり、四季を通じて市街地ににぎわいをもたらす魅力的なたたずまいを構成し、山口市を代表する顔になっております。 この区間の一の坂川がそうした場所になったのは、県が市と連携して、河川整備においてホタル護岸と近自然で親水性に配慮した工事を行ってきたからであります。そうした一の坂川の河川整備を山口市の中心商店街に沿って延長する事業が、今年度に完了します。事業計画区間は、道路で言えば、ほぼ現県道宮野大歳線から駅通りの道路までの間、橋で言えば亀山橋から千歳橋までの間で、事業名は一の坂川河川再生事業となっております。 平成七年にスタートしたこの事業は、二井知事が知事に就任されたのが平成八年でありますので、ほぼ二井県政とともに歩み、二井県政の総仕上げの年に完成する事業ということになります。 この事業により、一の坂川の中心商店街に沿った区間がホタル護岸で親水性のある河川として整備され、さらに商店街側に当たる左岸に道路が整備されたことは、近接する商店街を含む市街地をさらに魅力的な町並みとする可能性を大きく高めるものであります。 二井知事におかれては、公共事業は抑制基調となり、公共事業費が半減するという中にあっても、この河川整備事業の予算は確保し、事業を継続していただきました。おかげでこの事業が完成の見通しとなりましたことに感謝し、私がお礼を申し上げるのがふさわしいかどうかわかりませんが、この事業の意義を知る山口市民の一人として、お礼を申し上げたいと思います。 そして、その上で要望でございますが、さらにこの中心商店街に沿っての河川整備事業を延長してほしいということであります。現計画は、道路で言えば、駅通りのところまで、橋で言えば千歳橋のところまででありまして、中心商店街の半分のところで中途半端に終わっています。これはまことに残念なことで、残り半分、商店街で言えば道場門前商店街に沿った区間、橋で言えば千歳橋から山口中央郵便局横のえびす橋までの間も、特に一の坂川左岸道路整備の事業をやることで、この一の坂川河川再生事業は完成と言えると思う次第であります。 そして、そこまでやることが、県下でどうにか唯一にぎわいを保ち続けている山口中心商店街が、将来にわたってあり続けていくことができるために、また将来に向けて明るい展望を切り開いていくために必要と見ている次第であります。 そこで要望であります。一の坂川の千歳橋からえびす橋までの間の左岸道路整備事業を、今後山口市と連携してお取り組みいただきますよう要望いたします。 先ほど御答弁もあったところでありますが、河川整備事業においては、防災面からの河川整備が主になると思われますが、あわせてよりよい市街地を形成するための河川整備も重要と考えます。つきましては、このことにもしっかり取り組んでいかれますよう重ねて要望いたします。 少し時間が残っておりますので、二井知事に申し上げておきたいと思います。 平成八年、二井知事が知事選に出馬されまして、当選されました年は暑い夏であり、また多くの人たちが知事選に燃えた年でもありました。知事の御人徳だと思うんですが、命をかけてでも応援するという人たちもおりまして、そういう人の中で実際、二井知事が当選を果たされた後、急に亡くなられた方もありました。そういう方々も含めて、二井県政十六年間は、二井知事、よくやっていただいたと評価いただける二井県政であったと言えると思う次第であります。 正直、こういうことももっとやってほしかったなということがあるのもありますけれども、トータルとして見た場合、二井県政はよくやっていただいた、立派な知事であったと言えると思っております。十六年間の二井知事の県知事としての職務執行に敬意を表し、そして功績をたたえ、その労をねぎらいたいと思います。 まだ任期が少し残っておりますが、二井知事、よくやっていただきました。ありがとうございました。 以上で終わります。(拍手)
○議長(柳居俊学君) 神田義満君。 〔神田義満君登壇〕(拍手)
◆(神田義満君) 私は、会派とことんの神田義満でございます。 二井知事におかれましては四期十六年、本当に長い間でございましたが、御苦労さまでございました。心より御礼と感謝を申し上げます。 また、昨日は木佐木議員、その前は三浦議員が申しましたが、新議員、平成二十三年度より、私ども一年生議員でございますが、名前を二三会という名前をつけまして、私が一番年長者ということで、会長をやれと今仰せつかっております。各会からの新議員の意見の交換会をそこで行うようにしておりまして、山口県のために一生懸命頑張っていきたいと、このように思っておりますので、どうか二井知事におかれましては、温かい目でしっかりと応援していただきたいなと、このように思っております。 さて、通告に従いまして質問をさせていただきます。 まず、東日本大震災の瓦れき処理についてでございます。 昨年三月十一日の東日本大震災は、まさに国難でありました。あわせて原発事故も発生し、放射能の問題が被災地に大きくのしかかっております。 私は、これは昨年でございますが、福島県南相馬市を視察し、その際、地元の市議会議員さんからお話を聞くと、爆発の音とともに、自衛隊員さんがどんどんいなくなり、どうも原発が爆発したらしいとのうわさが入ってくる。これは大変だということで、飯館村へ──飯館村は福島へつながっておる道でございますが、我先に車で避難するも大渋滞となり、車の中でたくさんの人が飯館村で夜を明かしたそうでございます。後から調べますと、この放射能が飯館村へ集中的に流れていたということもわかっております。 あれから一年三カ月が過ぎ、被災地は復旧・復興に向けて、必死の歩みを続けておりますが、瓦れきの山は一向に処理が進んでいません。国の働きかけにより全国各地で瓦れきの処理を分け合う広域処理の取り組みが進められておりますが、なかなか前には進みません。 本県では、防府市の松浦市長が、一たん、瓦れきの一部を受け入れると発表しましたが、それもかなわない現状であります。 震災瓦れきの処理については、放射能汚染への住民の不安が払拭し切れないことや、風評被害への住民の心配が非常に根強く、全国の自治体とも、なかなか取り組みが前に進まない状況です。 放射能につきましては、その特性などが一般的に非常にわかりにくく、その安全性については、科学的な知見などに基づいた正確な情報を、国が住民に周知していくことが必要と考えます。 住民生活の安心・安全の確保を最優先に取り組みを進めていく必要があると思いますし、広域処理を進めるその国にはしっかりと安心・安全の担保をしてもらいたいと、このように考えております。 そうした前提の上ではありますが、私は、被災地の復興支援のため、広域処理には協力すべきであると考えております。 今、日本の国は産業構造上、人件費の高騰や円高などにより、工場の海外移転が進むなど大変厳しい状況にあります。日本全体の復興のためにも、被災地の瓦れきを早急に処理する広域処理を進めることは、日本経済のためにも非常に重要だと考えます。 そこでお尋ねします。先日、お隣の福岡県北九州市において、広域処理の受け入れを決定されましたが、東日本大震災による瓦れきの広域処理の受け入れについて、山口県においても、専門家や住民参加のもと、試験焼却や放射能測定などを行い、安全性を確認しながら、県が主導して受け入れに向けた検討を進めていくべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、
EM菌によるプール清掃についてお尋ねをします。 ここ最近、水着入れを持って登校する子供たちの姿をよく見かけるようになりました。昼間の暑さに対し、朝晩は肌寒さが残るこの時期に、もう水泳の授業をやるような時期になったのかなあと思うのは、私だけではないと思います。 さて、昨年の暮れに、県内のある小学校から「神田さん、プールに
EMを入れてほしいのですが」との要請がありました。今、全国各地のライオンズクラブでは、
EM菌による環境保全について運動が展開されており、私もその活動を通じてEM
菌に関する知識を多少持っておりましたことから、快くお引き受けいたしました。今までは、私から
EM菌をプールに入れさせてほしいとお願いをしても、いつも途中で断念することばかりでございましたから、その要請には大変驚きましたし、また大変うれしく思いました。 簡単に学校での取り組みの様子について御紹介しますと、プールへの
EM菌の投入は二回行います。まず、水泳の授業が行われないシーズンオフに行います。これは通常九月に行うわけでございますが、このたびは入れてくれと要請がありましたのが十一月末でございましたので、第一回目の投入は十二月に行いましたが、依頼のあった小学校のプールの容積と、真冬という時期を考慮して、これは微生物がなかなか活性化──冷たいと活性化しませんので、
EM菌の希釈液を多少多目の二百リットルを投入しました。二回目は、少し暖かくなってきた四月の初旬に百五十リットルを投入しました。 そして、六月となり、いよいよプール開きの前の清掃でございます。その日、私は別の行事への出席のため、清掃には参加できなかったのですが、手伝いをした私の息子の話を聞いてみると、例年は、プールの底や壁面についたぬめりのため、洗剤をつけてごしごしと洗わなければならず、かなり大変な作業だったそうでございますが、
EM菌を投入したことしの清掃は、主なごみを取り除いた後は、ほとんど水を流すだけでよかったそうで、大幅な負担軽減に、生徒さんも先生も、皆さん大変喜んでおられたとのことでございました。 この
EM菌を使ったプール清掃については、新潟県見附市が市を挙げて取り組む環境事業「アースプロジェクト」の一環として、市内の全小中学校で行われているなど、全国でも広がりを見せております。導入した学校からは、汚泥による悪臭がなくなったことや、プールの底や壁面のヘドロやぬめりが減少し、安全に作業ができたこと、洗剤なしでも汚れが落ちやすく、清掃時間が大幅に短縮できたことで、薬品ではないので安心であるといった評価を得ております。 また、全国では、
EM菌を活用したプール清掃を通じて、洗剤の利点と問題点や、汚水が河川や海に与える影響などを学ぶなど、環境学習の一環としても、多くの学校で取り組まれています。 私が、
EM菌の投入のため、二回学校に伺った際にも、微生物の働きについて、紙芝居方式でレクチャーを行いましたほか、子供たちと一緒にEM
菌の培養液づくりも行いました。二リットルのペットボトルに、
EM一号、これを二十ccとえさになる糖みつ二十グラムを入れ、それから塩を一つかみ、それとお米のとぎ汁を入れればいいだけの簡単なものでございますが、子供たちもとても興味を持って取り組んでくれ、微生物に関する知識を深めてくれたものと考えております。 このように、学校のプール清掃への
EM菌の活用は、プール清掃の負担を軽減するということにとどまらず、環境学習としての教育効果や、微生物の働きを目の当たりにできるという点では、理科の学習としても効果が期待できるなど、複数の教育効果が期待できるものです。 そこでお尋ねしますが、本県でも、学校のプール清掃に積極的にEM
菌を活用してみてはどうかと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。 三つ目の質問に入ります。行政機構のあり方についてでございます。 行政機構のあり方、特に、市町村の執行部と議会との関係についてお尋ねします。 二○一○年に鹿児島県阿久根市において、当時の竹原市長の独断と暴走により、市が大変混乱を来したことがありました。このときは議会を開かずに専決処分を繰り返す元市長に対し、臨時議会を開くよう、鹿児島県が是正勧告を行うという事態にまで発展しました。 こうした市長と議会との対立は、住民を巻き込んだ対立へと発展する可能性があると思います。 私は、執行部と議会とを含む行政機構のあり方については、住民のためにそれぞれの役割を適切に果たすことが大切と思いますが、山口県の市や町において、万が一、阿久根市のような混乱が起こったときは、県としてどのように対応されるのかお尋ねをいたします。 以上、三件でございますが、よろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(柳居俊学君) 二井知事。 〔知事 二井関成君登壇〕
◎知事(二井関成君) 私からは、東日本大震災の瓦れき処理についてお答えいたします。 私は、被災地の復旧・復興の支障となっている、大量に発生した災害廃棄物の広域処理については、国を挙げて協力していくことが基本であると考えております。 しかしながら、災害廃棄物の中には、放射性物質に汚染されたものもあり、国においては、その安全性について、ホームページを充実するなど、説明に努めてきてはおりますが、国民の不安は、いまだ払拭されたとは言えない状況にあり、事業者等においては、風評被害への懸念も非常に大きいと認識をいたしております。 こうした中で、災害廃棄物の処理権限は、どこまでも市町が有するものでありますことから、私は、瓦れきの分別等の状況や国が示した安全基準等を十分に理解することが重要であると考えまして、さきの二月議会後直ちに、西日本では初となる全県の市長・町長を対象とした説明会を、国からも関係者の出席を得て開催するなど、市町等が広域処理の受け入れの可否に係る適切な判断ができるよう、可能な限り調整や助言等を行ってまいりました。 具体的には、これまで三次にわたって、市町等から寄せられた、受け入れから処理に至るすべての過程における放射能の安全性、施設への影響等に関する疑義を取りまとめて国に照会をいたしておりますし、お示しの北九州市につきましては、先月の試験焼却にも廃棄物担当の技術職員を派遣するなど、状況把握に努めているところであります。 現在、市町等におきましては、国からの回答を受け、検討が行われておりますが、本県においては、国が想定する焼却・埋め立ての処理方式とは異なり、御承知のように、ごみ焼却灰を民間事業者でセメント原料化する一貫したシステムを構築をしており、このシステムにおいては、事業者の処理がストップすれば、県内のごみ処理に重大な支障を来すことになります。このため、引き続き、システムに係る課題等について、専門家の意見も聞きながら、国や地元市、事業者と連携をして、慎重に検討を重ねているところであります。 これらに加えまして、先般、国におきましては、広域処理必要量の精査が行われ、その結果、当初の数量が約四割減少するなど、状況が大きく変化しておりますことから、私は、中国地方知事会を通じ、今後の広域処理の受け入れの必要性について、その見通しを明確に示すように、国に対して強く要請をしているところでもあります。 私としては、県民の安心・安全の確保を最優先とし、国との調整や情報収集を行いながら、市町の判断も尊重し、県としての役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。 そのほかの御質問につきましては、関係参与員よりお答えいたします。