• "公債発行特例法"(/)
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  1. 山口県議会 2011-06-01
    06月27日-02号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成 23年 6月定例会   平成二十三年六月山口県議会定例会会議録 第二号      平成二十三年六月二十七日(月曜日)  ────────────────────        議事日程 第二号      平成二十三年六月二十七日(月曜日)午前十時開議  第一 代表質問  第二 議案第一号から第十号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第十号まで                会議に出席した議員(四十九人)                          柳   居   俊   学 君                          吉   井   利   行 君                          伊   藤       博 君                          吉   田   和   幸 君                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          加   藤   寿   彦 君                          有   福   精 一 郎 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          曽   田       聡 君                          佐 々 木   明   美さん                          小   泉   利   治 君                          岡   村   精   二 君                          二   木   健   治 君                          藤   本   一   規 君                          三   浦   の ぼ る 君                          藤   生   通   陽 君                          松   永       卓 君                          合   志   栄   一 君                          西   嶋   裕   作 君                          末   貞   伴 治 郎 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          田   中   文   夫 君                          神   田   義   満 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          国   井   益   雄 君                          守   田   宗   治 君                          山   手   卓   男 君                          槙   本   利   光 君                          畑   原   基   成 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          秋   野   哲   範 君                          河   野       亨 君                          大   西   倉   雄 君                          星   出   拓   也 君                          森   中   克   彦 君                          河   村   敏   夫 君                          藤   井   律   子さん                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   藤   精   二 君                          竹   本   貞   夫 君                会議に欠席した議員(なし)                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          二 井 関 成 君                    副知事         岡 田   実 君                    総務部長        平 尾 幸 雄 君                    総務部理事       小 松 一 彦 君                    総合政策部長      藤 井 哲 男 君                    地域振興部長      山 部 哲 郎 君                    環境生活部長      門 田 栄 司 君                    健康福祉部長      渡 邉 修 二 君                    商工労働部長      森   敏 明 君                    農林水産部長      松 永 貞 昭 君                    土木建築部長      小 口   浩 君                    国体・障害者                    スポーツ大会局長    太 田 光 宣 君                    会計管理局長      高 木 邦 生 君                    財政課長        池 田   豊 君                    公営企業管理者     藤 部 秀 則 君                    企業局長        河 野 隆 士 君                    教育委員長       村 上 智 真 君                    教育長         田 邉 恒 美 君                    公安委員長       光 井 一 彦 君                    警察本部長       多 湖   令 君                    代表監査委員      石 津 敏 樹 君                    監査委員事務局長    清 水 貴 充 君                    労働委員会事務局長   橋 本 雅 寛 君                    人事委員会事務局長   斉 藤 保 夫 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        弘 中 勝 久 君                    事務局次長       秋 貞 憲 治 君                    総務課長        上 村 正 美 君                    議事調査課長      大 谷 恒 雄 君                    政務企画室長      岡 村 達 也 君                    秘書室長        田 中   肇 君                    議事調査課長補佐    山 本 秀 樹 君                    議事記録係長      石 橋 教 幸 君                    主任主事        河 村 美也子さん                    主事          油 利 知枝美さん                    主事          田 中 充 宣 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第十号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 友田有君。    〔友田有君登壇〕(拍手) ◆(友田有君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の友田有でございます。 平成二十三年六月定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して、知事、教育長並びに警察本部長に質問いたします。 質問に先立ちまして、一言申し上げます。 去る三月十一日に発生した東日本大震災は、国難とも言える未曾有の被害をもたらし、日本じゅうが深い悲しみに包まれました。とうとい命を失われた方々並びに御遺族に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。 災害発生後は、本県からも、警察、消防、自衛隊による救急援助隊や医療チームが派遣されたのを初め、現在も県・市町の職員など多くの方々が被災地に赴かれ、懸命な救援活動等に当たられているところであり、ここに改めて深く敬意を表する次第であります。 大震災の発生から三カ月が経過しましたが、被災地は今も生活再建のめどすら立たず、復旧に向けた道筋が全く見えてこないといった状態が続いております。 その最大の原因は、復旧・復興の最高責任者である民主党菅政権の対応のおくれ、まずさにあるわけです。 民主党内部の権力闘争の中で、政権の延命のみを念頭に置いたその場しのぎのパフォーマンスだけが目立ち、国民の不安と不信感は増すばかりで、復旧・復興への道筋はもとより、政策展開にも何ら戦略が見出せてないのであります。 もはや、民主党自体が政権担当能力を喪失しており、一日も早く、実績と実行力を兼ね備えた政権への転換を図り、我が国の将来に向けた政策を着実に推進していくことこそが、今や多くの国民の切実な願いになっているのであります。 さて、我が党は、さきの山口県議会議員選挙において、独自の政策パンフレットを作成し、「いちばんのしあわせ」を実感できる施策の実現を訴えさせていただきました。県民の皆様方には、私どもの政策に熱心に耳を傾けていただき、厚い御支援を賜り、結党以来初となる公認候補者全員の当選に結びつけたわけであります。 引き続き、「地域を守るのは自民党」との決意のもと、二井県政をしっかりと支え、県民の皆様にお約束した政策の実現に全力を傾注してまいる所存であります。 最後に、本年十月に開催される山口国体・山口大会が、山口県の総力を発揮し、被災地、そして全国に向けて勇気と希望を送るすばらしい大会となるよう、でき得る限りの協力をいたすことを申し上げて、通告に従い順次質問を行います。 最初は、東日本大震災による県の行財政への影響についてです。 このたびの東日本大震災の復興には、阪神・淡路大震災の経験から、早い段階から十兆円を超す財政支出が必要と言われておりました。 政権政党である民主党が、この膨大な財源を捻出するために、まず検討すべきは、全額を国費で負担すると明言しながら、スタート早々に財源のつじつまが合わず、地方に負担を求めてきた子ども手当や農業者戸別所得補償制度、高校授業料の無償化など、いわゆるマニフェスト予算であります。 しかしながら、最初に目をつけたのが、地方の景気や雇用に直接影響を及ぼす公共事業費であり、当初予算成立のわずか三日後の四月一日に、早々と公共事業費の五%を留保するとの決定をいたしました。 未着工の公共事業費等を対象に約三千億円の財源を確保するものでありますが、景気低迷が長引き、公共投資により少しでも雇用の確保を図りたいとする地方にとって厳しい決定であります。 さて、先月初めに、東日本大震災からの復旧に向けた当座の経費として三千五十一億円の第一次補正予算が全会一致で成立いたしました。 補正額の内訳は、歳出面では、震災関係経費として、瓦れき処理や仮設住宅の建設、道路・港湾等インフラ復旧など、四兆百五十三億円と、これを捻出するために既定予算三兆七千百二億円を減額する一方、歳入面では、高速道路割引の見直しによる収入増で工面するとされています。 歳出予算の中身をつぶさに見ると、既定経費の減額約三兆七千億円のうち、マニフェスト関係経費は、子ども手当増額の見送りの二千八十三億円、高速道路の原則無料化社会実験の年度途中の凍結一千億円の、たった三千八十三億円の減額にすぎず、一方では、経済状況等に応じ緊急的な対応が必要な場合に歳出化される「経済危機対応地域活性化予備費」の減額が八千百億円もあります。 いずれにせよ、国の予算は、これから数カ年にわたり、被災地復興のために、集中かつ優先配分されるのは確実であり、地方の行財政に大きな影響が出てくるものと考えられます。 そこで、まず公共事業費の削減など、震災によるこれまでの山口県行財政に対する影響をお示しください。また、震災の復興対策として、例えば交付税カット人件費削減要求など、地方行財政にもさまざまな負担が求められると考えられますが、その場合における基本的な対応方針について見解を伺います。 次に、エネルギー政策について、数点お尋ねいたします。 まず、原子力発電政策についてです。 日本が自立した国家と言えるかと問われれば、中国人実習生の命を最優先し、みずからが犠牲になった事例や被災地において略奪がほとんど起きず、また、全国から集まるボランティア、募金の多さなどを考えると、その精神の気高さやモラルの高さは外国のそれと比べてはるかに誇るべきと考えていいと思います。 しかし一方、国民の生活を支えている基礎的な要素を見ると、近年話題の食料自給率の四○%程度というのはまだよいほうで、エネルギーの自給率に至っては、たかだか四%しかありません。 裏返して言うならば、我が国は、国民が生きていく上で必要な食料もエネルギーも外国に大きく依存しており、紛争や経済変動、異常気象などにより世界情勢が不安定になった際に、直ちに影響を受ける脆弱な国家であるということを国民はまず共通認識とすべきであります。 さて、エネルギー自給率四%の内訳を見ると、約その三割は水力発電によるものでありますが、ダムを建設する際には、水没する地域の住民や一部の政党などが建設を阻止しようとした経緯などを考えると、いかなるエネルギーであろうとも新規開拓が容易ではないということをうかがい知ることができます。 こうした中、原子力発電のエネルギー源であるウランの入手先は、石油とは異なり、カナダやオーストラリアなど、政治的に安定している国でもあり、わずかな量で莫大な電力を発生させ、また、何といっても発電過程においてCO2を排出しないことは原子力発電の特性であります。 このことは、民主党鳩山内閣が、温室効果ガスの二五%削減を宣言した後のエネルギー政策で、二○三○年の総発電量のうち、五○%を原子力を含むゼロエミッション電源によるとしたことからも理解できるところであり、地球温暖化という取り返しのつかないツケを子々孫々に残さない一つの方策として選択されたものと考えます。 さて、新聞情報によると、大震災発生時、東北から関東地方の太平洋沿岸にある計十五基の原子炉のうち十一基が稼働していたが、いずれも地震の強い揺れで自動停止をしたとされております。 宮城県女川町は、大津波により、市街地や漁村の大半が全滅し、同様に、女川原子力発電所も十三メートルの津波におそわれましたが、原子炉は大きな被害を免れ、逆に町民の皆様の避難場所になったという例もあります。 一方、対照的なのは、御案内のとおり福島第一原子力発電所であり、避難区域は拡大し、一向に収束の気配すら見出せない状況にあります。 発電所の斜面に吹き上がる津波の映像を見るたび、どのような施設、構造物でもひとたまりもないと考えられますが、いずれにせよ、いわゆる原子力発電所の安全神話は崩れ、いざ事故が起こった場合の危険性の高さは、国民だれもが認めるところとなりました。 現在、全国の原子力発電所五十四基のうち、稼働しているのは十九基でありますが、この福島第一発電所の事故に加え、菅総理がなぜか突然に浜岡原子力発電所の停止を中部電力に要請したことにより、原子力発電所立地自治体に困惑が広がっております。 すなわち、我が国では、十三カ月ごとに定期点検をすべきという厳しい基準があり、現在運転中の発電所が順次点検に入りますが、点検後の再稼働は地元の了解が必要であり、安全基準の判断根拠がないままに浜岡原発のみを停止させたことは、地元自治体の再稼働容認が困難な状態に立ち至っておる状況であります。 地元の事前調整も何もない、鳩山総理の普天間発言に続く菅総理のこの思いつき発言により、来年には、すべての原子力発電所が運転停止となるかもしれず、国全体で見れば約三割の発電電源を失うことは、ものづくり立国の我が国にとって、とてつもない痛手であります。さらなる景気低迷や企業の海外移転、失業者の発生などが懸念され、既に震災により影響を受けている我が県の経済にもさらなるダメージを与えるものと考えられます。 さきに述べましたように、エネルギー資源のない我が国にあって、中長期的にエネルギー政策をどうするかは、国や地方の将来を左右する重要なテーマでありますが、代替エネルギーへの転換が一朝一夕に実現できない以上、このたびの事故原因を精査し、これまでの安全対策の問題点を丹念に検証した上で、原子力発電に対し徹底した安全対策を講じ、継続的・安定的な電力供給を確保することこそが、国の責任において最優先に取り組まれるべき課題であると思います。 そして、このことは、多くの電力を必要とする企業群が存在し、上関原子力発電所計画を持つ我が県では、なおさらのことであると考えます。 そこで、知事は、原子力政策について、どう考え、どう行動されるのか。また、その上に立って、上関原子力発電所計画に対し、どう対応されるのか、お尋ねいたします。 次に、新エネルギー政策について、二点お尋ねいたします。 まず一点目は、自然エネルギー政策についてです。 先月、ソフトバンク株式会社の孫正義社長は、ソフトバンクと都道府県による「自然エネルギー協議会」を七月に設立すると発表しました。 その内容は、「自然エネルギーによる分散型エネルギー社会の実現」と銘打って、十年後の発電エネルギーのイメージを「二本柱から四本柱へ」とし、原子力・火力の二本柱から、原子力・火力を減じ、自然エネルギー・省エネルギーを高めた四本柱に転換するというものであります。 具体的には、まず、太陽光発電では、休耕田・耕作放棄地の二割相当にメガソーラーを設置し、五千万キロワットを発電させ、さらに屋根で行う太陽光発電、その他を加えて一億キロワットの発電をしようとするものであります。 また、風力・地熱ほかで○・五億キロワットを発電して、自然エネルギー全体で一・五億キロワットとし、自然エネルギー構成比をプラス二○%にするというものであります。 そして、自治体が土地を提供し、ソフトバンクが資金・技術・運営面の大半を引き受けるということで話が進んでいるようです。 こうした中、先般、二井知事は、この「自然エネルギー協議会」に参加したい旨の発言をされました。 山口県は瀬戸内海沿岸に化石燃料を原料とする火力発電所と企業局による水力発電所があり、電力移出県でありますが、その他のエネルギーでは、幾つかの風力発電やバイオマスエネルギーなどがある程度で、まだまだ普及しておりません。 そして、孫社長の提唱する、休耕田・耕作放棄地のメガソーラー構想は、休耕田等の多くが中山間地域にあり、適地は少ないものと考えられますが、一方では、工業団地には余剰があり、また、太陽光発電システム製造の大手企業もあります。 そこでまずお尋ねしますが、これまで県が進めてきた自然エネルギー政策と知事がこの協議会に参加しようとしたそもそものねらいは何かを伺います。 これに関連し、岡山県では企業誘致活動の一環として、メガソーラーの建設適地をあらかじめ選定し、売り込みを図る活動をしていると聞きます。 また、鳥取県では、このメガソーラー発電構想に対し、米子市の工業団地を提供する考えを示したとのことですが、本県においてメガソーラー導入に向けて具体的取り組みを進めるおつもりがあるかお尋ねいたします。 二点目として、副生水素の利活用についてお尋ねいたします。 副生水素とは、化学原料を製造する工程で副産物として発生する水素のことであります。この副生水素の利用イメージとして、例えば発電して、クリーンエネルギーとして地域に供給したり、電気自動車に充電する、また、近く量産化が見込まれる水素燃料自動車に充てんするなどとあります。 副生水素の特徴として、利用時に全くCO2を発生せず、また、ガソリンなど従来の燃料に代替するわけでありますから、化石燃料の削減効果も期待できます。 さて、我が県は、宇部・小野田地区から岩国地区にかけて石油コンビナートを有しているため、水素供給可能量は全国の一○%を占め、国内トップクラスであります。また、我々の地元で生み出される「地産エネルギー」というべきものであり、有効な活用をすべきと考えます。 そこでお尋ねですが、低炭素社会の実現やクリーンエネルギー産業の育成の観点、また、コンビナート企業の競争力を強化する観点などから、本県の「地産エネルギー」である副生水素を活用する取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。 次に、防災対策について伺います。 「天災は忘れたころにやってくる」という言葉があります。日ごろから心して災害に備えなければならないという戒めの言葉としてよく知られておりますが、我が県の状況を見ましても、二年連続して局地的な集中豪雨に見舞われており、もはや「天災は忘れないうちにやってくる」というのが実感であります。 また、このたびの東日本大震災は、マグニチュード九・○という規模に加え、これを原因とする巨大津波は、驚愕のエネルギーをもって多くの人命、財産を飲み込みました。さらには、被災者救助や避難所の運営、災害復旧などを担うべき市町村の機能すら麻痺させ、復興に向けた取り組みすらままならぬ状況にあります。まさしく、すべてが想定外の出来事であり、国では、津波や大規模地震の防災対策を抜本的に見直す方針を決め、秋までに結論をまとめて、国の防災行政の基本となる防災基本計画に反映させるとしております。 さて、本県では、昨年、一昨年の豪雨災害を踏まえ、土石流対策や危険ため池等の整備を加速化するとともに、「局地的な集中豪雨に対応した治水対策検討委員会」を設置し、河川整備や管理、ダム管理のあり方について検討が続けられています。また、住民に最も身近な存在として、一義的に防災対策を担う市町においては、国の防災基本計画に基づき、市町ごとに地域防災計画が策定され、市町を包括する広域的な自治体である県においては、県の地域防災計画が策定されています。 しかし、このたびの東日本大震災により得られた教訓として、現行の県地域防災計画を策定する際に前提とした被害想定が果たして適切なのか、また、複数の市町で同時に大規模かつ広域的な災害が発生した場合にはどうするかなどという点があります。 そこでお尋ねでありますが、二年連続の集中豪雨やこのたびの東日本大震災を教訓に、我が県の防災対策全体をどのように進めていこうとされるのかお伺いいたします。 これに関連し、住民みずからによる防災対策についてお尋ねいたします。 津波により多数の人命を奪ったこのたびの震災の惨禍を二度と繰り返すことのないよう、先日、「津波対策の推進に関する法律」が成立いたしました。 この第七条に、「津波に関する防災上必要な教育及び訓練の実施等」として、次のように規定されています。「国及び地方公共団体は、地域において想定される津波による被害、津波が発生した際にとるべき行動等に関する知識の習得を通じ、津波が発生した際に迅速かつ適切な行動をとることができるようになることを目標として」、ここからが大事な部分なのですが、「学校教育その他の多様な機会を通じ、映像等を用いた効果的な手法を活用しつつ、津波について防災上必要な教育及び訓練、防災思想の普及等に努めなければならない」と規定されています。 震災報道を見ても、助かった人々の中には、消防団などの適切な避難誘導に従った方のほか、大昔の大津波跡地から類推して避難場所を選択した者、小山に駆け上がり難を逃れた児童など、とっさの判断により難を逃れた方などもいらっしゃいました。 津波のみならず、あらゆる災害において、自分の命は自分で守る、地域のことは地域で守るということが、犠牲者を最小限にする最善の策であり、家庭、地域で万が一のとき対応を共有し、あわせて自主防災組織を強化するなど、地域での防災力を強化することが必要であると考えます。 また、いみじくも先ほど紹介した津波対策の推進に関する法律に規定されているように、児童生徒を預かる教育現場などにおいて、小さいころからしっかりと防災教育を行い、また、子供・教師双方に対し、日ごろからいざというときの対処方法を学ばせることも必要と考えます。この点について、知事及び教育長の見解を求めます。 次に、「おいでませ!山口国体・山口大会」についてお尋ねいたします。 いよいよ両大会の開催が、残り三カ月余りとなりました。全国各地から、選手団、応援団を初め、多数の関係者が県下各地に一斉にお見えになることは、半世紀に一度の大会であればこそであります。 ここぞ、山口県の総合力を最大限に生かし、おもてなしの心を持ってお迎えし、印象に残る大会にしていかなければなりません。ボランティアを初め、大会の運営を支える関係者の皆さん、輸送や観光・物産など、それぞれの立場、地域で携わる人々が、百万一心の心意気を持ち、万全の準備を整えて大会を成功させなければなりません。 また、今回の大会は、東日本大震災後の大会として、被災地で応援をされる皆さんを勇気づける大会であってほしいと願っております。「たちあがれ!東北 がんばろう!日本」の合い言葉のもと、東日本の選手の皆さんの活躍を大いに期待し、また、応援したいと思います。 そこでお尋ねしますが、現在の準備状況と今議会に提案されている被災地の選手などの支援の具体的な内容をお示しください。その上で、両大会に臨む知事の決意をお伺いいたします。 最後に、警察行政についてお尋ねいたします。 近年、殺人などの凶悪犯罪の発生が余りにも多いことが気になります。そして、浜田市の女子大生死体遺棄事件など、犯人が割り出せず、未解決のまま推移している事案や犯人逮捕に日時を要する例が少なからずあります。 この原因として、社会のきずなが希薄化し、情報が得にくいことに加え、裁判員制度の導入や客観的証拠の収集などに慎重を期しているのではないか、また、捜査に当たる警察官が、世代交代などによって、その技術も低下しているのではないかという意見もあります。 本県では、昨年、下関市で六歳女児殺害事件が発生し、素人ながらにすぐにでも犯人が見つかるだろうと考えておりましたが、半年も経過した先月になって、ようやく容疑者が逮捕され、地域の人々は皆安堵しておられます。 いずれにせよ、このように重大犯罪が多発する世の中、安心して生活をするためには、犯罪を未然に防ぐための活動に加え、犯罪が発生した後に捜査、逮捕に当たる警察官の捜査能力のアップによる組織の強化が必要であると考えます。 そこで、警察本部長にお尋ねいたしますが、こうした警察力の強化について、どのように取り組んでいかれるのかお伺いし、代表質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 友田議員の代表質問にお答えいたします。 まず、東日本大震災による本県行財政への影響についてであります。 このたびの震災による被害は、まさに未曾有の規模であります。復興に向けましては、我が国の総力を結集して取り組んでいかなければなりません。本県といたしましても、被災地への職員派遣や避難者の受け入れ、さらには、ことしの国体開催県として、被災地の参加を支援するなど、でき得る限りの取り組みを行っているところであります。 一方、国におきましては、当面の対応を急ぐため、既定経費の振りかえにより第一次補正予算が編成されましたほか、お示しのように、公共事業費等の五%の執行を留保し、被災地での復旧事業に振り向けることとされております。これに伴いまして、本県の補助公共事業につきましても、優先的に取り組むべき防災関連事業や国体までに供用開始を予定している箇所等の事業費は確保することができましたものの、現時点で、当初予算額の五%程度、三十二億円の影響が生じております。 緊急的な措置として、やむを得ないと思っておりますが、今後、本格的な復興対策を進めていくに当たり、さらに巨額の経費が必要になり、財源確保は極めて重要な課題であります。 しかしながら、そのために、国と一体となって支援に取り組む地方の行財政運営に大きな支障が生じることは回避されるべきであります。私は、復興財源の確保につきましては、あくまでも国の責任において、確実かつ安定的な措置が講じられる必要があると考えております。 こうした中、先週二十日には、復興債の発行や復興特区の創設等を柱とする「東日本大震災復興基本法」が成立をし、また、二十五日は、臨時的増税の検討を盛り込んだ、東日本大震災復興構想会議の第一次提言も提出をされたところであります。 したがいまして、まずは、これらに係る今後の議論や国の予算編成の動向等を十分に注視をし、地方への影響を把握した上で、必要に応じ、全国知事会等を通じて、国に適切な対応を求めてまいる考えであります。 次に、エネルギー政策のうち、まず、原子力政策についてであります。 福島第一原子力発電所で発生した深刻な事故が、今なお収束しない中にありまして、経済産業大臣が明確な安全性を十分に説明しないまま、現在停止中の原子力発電所の再稼働を要請をいたしましたため、原電立地自治体や周辺自治体の不安や不信を招いております。 このような状況が続けば、すべての原電が来年春には停止することになります。今後、電力の安定供給に支障が生ずることになれば、お示しがありましたように、本県経済への影響も懸念をされます。 したがいまして、まず国が事故を一刻も早く収束させ、事故原因の徹底究明と安全指針等の検証を行い、新たな知見に基づく安全指針等の見直しを早急に進めるべきであります。これらの結果を踏まえた上で、原子力発電の必要性やエネルギーのベストミックスの方向性など、原子力政策の抜本的な見直しに取り組むべきであると考えております。 こうした観点から、私はこれまでも、中国地方知事会や九州地方知事会で意見を述べ、関係県とともに国に対して共同アピールや特別決議を行ったところでありまして、今後も引き続き国に対し強く要請してまいります。 また、上関原子力発電所建設計画につきましても、まず、国が新しいエネルギー政策の中で、原子力発電をどう位置づけるのか、上関原電を含む原子力発電所の新増設計画をどう定めるのかということを示すべきであります。 したがいまして、国の原子力政策や原子力発電の具体的な安全対策が示されていない現時点におきましては、上関原電計画自体が不透明な状況にありますことから、公有水面埋立免許などの制度の運用について、新たな手続に入ることはできないものと考えております。 いずれにいたしましても、国のエネルギー政策や安全指針等の見直しについては緒についたばかりであります。私はこれまでの基本的なスタンスである、国のエネルギー政策に協力する立場と、地元上関町の政策選択を尊重する立場を堅持しつつ、国における議論の動向を注視をしてまいります。 次に、新エネルギー政策についての二点のお尋ねのうち、まず、自然エネルギー政策についてであります。 自然エネルギーは、地球温暖化対策を進める上で、その活用促進を図ることが重要でありますことから、これまで「やまぐち環境創造プラン」等に基づき、太陽光発電システム等の導入促進や森林バイオマスの活用などの取り組みを積極的に推進をしてまいりました。 この結果、例えば太陽光発電は、県内の家庭や事業所等に一万二千戸以上設置され、導入率も全国第十一位となるなど、一定の成果が上がってきております。 また、メガソーラー導入に向けた取り組みについてでありますが、本県には、太陽電池の原材料となる多結晶シリコンや太陽電池のパネル及びその製造装置など、さまざまな製品の開発・製造に取り組む環境産業が集積をしておりますほか、日照時間が長く、メガソーラーの建設可能な適地にも恵まれておりますことから、県内企業の意欲的な取り組みを積極的に支援するということにいたしております。 そうした中で、ソフトバンクから「自然エネルギー協議会」設立のお話があり、その設立趣旨にかんがみ参加したところでありますが、現時点では建設条件等の詳細が不明であるため、まずは情報収集に努めてまいりたいと考えております。 次に、副生水素の利活用についてであります。 本県では、お示しがありましたように、全国有数の副生水素の産出県である特性を生かし、平成十六年度に水素フロンティア山口推進構想を策定をし、一般家庭において、水素を発電と給湯に活用する実証実験を全国に先駆けて実施してまいりました。 こうした中、国や関係団体から燃料電池自動車の量産や水素ステーションの整備目標が示されるなど、水素エネルギーの利活用に向けた機運が高まってまいりましたことから、副生水素を本県の重要な資源と位置づけ、県内の産学公連携により、次世代環境産業の集積・育成を図るため、「新エネルギー利活用プロジェクト」に取り組んでいくことといたしたところであります。 今月十日には、そのキックオフイベントとして、シンポジウムや意見交換会を開催し、自動車、住宅、化学、ガス、運輸など、県内各分野の関連産業を初め、国や大学などの機関からも多数の参加を得て、今後の取り組みについて検討を開始したところであります。 具体的には、本県の重要な資源である副生水素を将来のエネルギー資源として有効に活用するため、その生産拠点の形成を誘導してまいりたいと思います。また、「地域における水素の持続的な利活用」や「地産エネルギーを効果的に活用した、いわゆるスマートファクトリーの導入」等に関する調査を行い、あわせて県内企業の技術力を生かした、水素関連製品の試作開発を目指してまいります。 今後とも、私を本部長とする高度技術産業集積推進本部のもと、関係支援機関等と緊密に連携をし、本県の地産エネルギーである副生水素の利活用に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、防災対策のお尋ねのうち、まず、県の防災対策の推進についてであります。 このたびの東日本大震災は、現時点で、死者・行方不明者は二万三千人を超え、現在も多くの被災者が避難所での生活を余儀なくされております。また、役場庁舎や職員等が被災し、行政機能が低下した市町村が多く発生するなど、未曾有の災害となっております。 私は、本県におきまして、東日本大震災のような大規模な災害が発生した場合、何をなすべきか、何ができるかを改めて検証・検討する必要があると考えまして、このたび、防災関係の専門家や実務者からなる「大規模災害対策検討委員会」を設置をいたしました。 この委員会では三つの部会を設け、本県で想定される地震、津波、豪雨災害などの大規模災害の被害想定を再検証いたしますとともに、このたびの大震災で救助や支援活動等に従事した関係者の意見をもとに、医療や防災関係機関の連携確保などの救助・救急対策や、市町の行政機能が低下した場合における、県の支援のあり方などの被災者支援対策について検討することといたし、先般、第一回の委員会を開催をいたしました。 今後、精力的に検討を重ね、秋口までには検討結果を取りまとめ、本県防災対策の指針である県地域防災計画を早急に見直し、県防災会議において、市町、防災関係機関等との認識の共有化と連携の強化を図ってまいります。さらには、このような取り組みの成果を県民に周知をし、県民の防災意識の高揚に資するため、防災シンポジウムや防災関係者の研修会等を開催してまいります。 一方、国におきましても、地震・津波対策の見直しが開始されたところでありまして、今後の国の動向を注視しながら、必要に応じて、改めて本県地域防災計画の修正も検討するということにいたしております。 次に、地域防災力の強化についてであります。 私は、災害による被害を最小限に抑えるためには、「みずからの生命と財産はみずからが守る」「自分たちの地域は自分たちで守る」という、いわゆる自助、共助の精神に基づく活動が何よりも重要であると考えております。 まず、自助という観点からは、発災直後における住民の迅速で適切な避難行動が生死を分けることにもなりますことから、早期避難の契機となる防災情報を直接住民に提供するメール配信やホームページの充実に取り組みますとともに、避難経路の選択にも役立つ、洪水、高潮や土砂災害等のハザードマップの整備について市町を支援をしてまいりました。 また、共助という観点から、避難誘導など、地域の防災活動に大きな役割を果たす自主防災組織の育成についても、市町の取り組みを支援をしてまいりました。 その結果、本年四月現在、県内の組織率は七九・一%となり、加速化プランに掲げる平成二十四年度までの組織率八○%以上という目標は、おおむね達成する見込みになったところであります。 今後は、組織率の向上に加え、活動の活性化がより重要となります。自主防災組織の育成は、一義的には市町の責任において行われるべきでありますが、県といたしましても、地域おいて果たす自主防災組織の重要性にかんがみ、市町が行うリーダー研修等の取り組みを支援をしてまいりたいと考えております。 次に、「おいでませ!山口国体・山口大会」についてであります。 十月に本番を迎えます両大会につきましては、夢と感動にあふれる大会として開催することを基本に、鋭意、開催準備を進めておりまして、いよいよラストスパートの段階となりました。 現在、陸上競技場や水泳プールなどの競技施設の整備もほぼ完了し、宿泊や輸送業務に当たるセンターの設置や式典の出演者による合同練習の実施など、市町も含めまして、各分野の準備は順調に進んでおります。特に、花いっぱい運動やボランティア活動などの国体県民運動も積極的に進められているところであります。 本番まであと百日を切り、昨日からのラストスパートキャンペーンで、一層の参加・応援機運の醸成を図りますとともに、来県される皆さんに「本当に山口県に来てよかった」と言っていただけるよう、県民参加によるおもてなしの取り組みを市町とともに幅広く展開するなど、受け入れ態勢にも万全を期すことにいたしております。 また、このたびの東日本大震災を踏まえ、両大会は、復興支援の大会として開催することといたしました。具体的な取り組みとしては、特に被害が甚大な、岩手、宮城、福島の東北三県に対して、両大会に参加しやすい環境を整えるための参加経費の支援や競技団体を招待しての合同の強化練習、さらに各県の応援団として被災地の子供たちを国体に招待することといたし、所要の経費を今議会に上程をいたしました。 加えて、民間団体を中心とした東北三県応援団の編成など、さまざまな取り組みを行うことにいたしております。 私は、両大会が、被災地はもとより、全国に勇気と希望、元気を送る大会になるよう、そして本県選手の活躍と県民の応援によりまして、選手と県民が一つとなって喜びを分かち合えるような大会、また、県民力と地域力を結集し、県民総参加による大会となるように、引き続き全力で取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(柳居俊学君) 田邉教育長。    〔教育長 田邉恒美君登壇〕 ◎教育長(田邉恒美君) 防災教育に関するお尋ねにお答えいたします。 防災教育は、安心・安全な学校づくりを進めるための重要な取り組みであり、これまで各学校におきまして、児童生徒が授業等で地震や風水害などの自然災害に対する理解を深めるとともに、避難訓練等を通じて、災害時に適切な行動がとれるよう、組織的・計画的に取り組んできたところであります。 こうした中、東日本大震災の発生を受け、児童生徒に対する、災害の正しい知識に基づく判断力、的確な行動力をはぐくむ防災教育の重要性を再認識したところであり、今後、防災体制の見直しとあわせて、防災教育の充実に積極的に取り組むことが重要であると考えております。 このため、県教委といたしましては、児童生徒が地震や津波など自然災害が発生するメカニズムを学び、災害に対する正しい知識を身につけ、その脅威を感じることで危機意識を高めることができるよう、大学教授や気象台職員等の防災の専門家による出前授業を促進いたしますとともに、災害に係る映像教材の授業等における効果的な活用を図ってまいります。 また、津波に対応する避難場所を設定した、より実践的な避難訓練の実施や危険が予測される場面を描いたイラスト等を用いて、児童生徒が危機を回避する方法をグループで考える危険予測学習を防災教育に取り入れることにより、いざというときに、迅速かつ的確に対応できる力をはぐくんでいくこととしております。 教職員に対しましては、大規模な地震や津波等を想定した研修の充実を図り、危機対応力を高めるとともに、各学校で作成しています危機管理マニュアルの見直しなどにより、学校の組織的な対応力の向上を図ってまいります。 県教委といたしましては、今後、検証が進む今回の被災地における各学校の対応等を参考にいたしますとともに、このたび設置されました「大規模災害対策検討委員会」の検討状況を踏まえながら、市町教諭と連携して、児童生徒の安全確保に向けて全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 多湖警察本部長。    〔警察本部長 多湖令君登壇〕 ◎警察本部長(多湖令君) 犯罪捜査に関する警察力の強化についてお答えをいたします。 議員お示しのとおり、近年、住民相互のつながりが薄れ、聞き込み捜査による情報入手が困難となっており、また、裁判員裁判の導入により、よりわかりやすい客観的な証拠が求められるなど、捜査を取り巻く環境は厳しくなってきております。 さらに、多くのベテラン捜査員の退職に伴い、現在、警察署の捜査員のうち、約四割が捜査経験五年未満の若手捜査員となっており、捜査力の低下が懸念されるところであります。 このような情勢の中で、重要犯罪を迅速に検挙していくためには、これまで以上に客観的な証拠の収集力を強化し、捜査の科学化・高度化を図るとともに、捜査員個々の捜査能力を高めていくことが重要であると考えております。 そのため、昨年、機動鑑識班を増強し、県下全域を二十四時間対応できる体制を確立したほか、緊急配備計画の改正等を行い、事件発生時に直ちに捜査員を集中的に運用して、遺留DNAや防犯カメラの画像等の証拠を多角的に収集できるよう、初動捜査の高度化を図っているところであります。 また、警察本部に犯罪捜査支援室を設置し、収集した情報や資料を総合的に分析して捜査に活用する体制を整備し、組織全体の捜査力の向上を図っております。 さらに、最新の科学技術を活用して、これまで困難であった微量な資料の鑑定や画像、電子データ等の解析を行うなど、科学捜査力の強化にも努めているところであります。 一方、捜査員の捜査能力の向上につきましては、昨年、刑事教養のあり方を大幅に見直し、任用から七年目までの捜査員を対象に、経験年数に応じて基礎から高度な擬律判断まで体系的に修得できる教養制度を確立し、若手捜査員の計画的な育成に努めているところであります。 また、取調指導官制度や鑑識技能指導員制度を導入し、すぐれたベテラン捜査員の技能を組織的に伝承することにより、全体の捜査能力の向上を図っているところであります。 県警察といたしましては、今後、このような取り組みをさらに進めて、捜査力の一層の向上を図り、県民の期待にこたえてまいりたいと考えております。 ○議長(柳居俊学君) 山手卓男君。    〔山手卓男君登壇〕(拍手) ◆(山手卓男君) おはようございます。自由民主党新生会の山手卓男でございます。平成二十三年六月定例県議会に当たり、新生会を代表いたしまして県政の諸課題について質問をいたします。質問の前に一言申し上げます。 私たち九名は、自由民主党新会派「自由民主党新生会」を結成いたしました。県議会の閉塞感を打破し、全員参加の開かれた県議会を実現するための決断であります。また、地方自治が十分に展開され、住民の声が議会を通じて県政に反映されるように、山口県議会のあるべき姿、議会の改革を目指すものであります。 平成十二年に地方分権一括法が施行になりまして、その柱は主に機関委任事務制度の廃止でありました。まことに画期的なことであり、国と地方は「上下・主従」の関係から「対等・協力」の関係に置かれることになりました。財源の移譲など課題を残しながらも、これまで、地方自治とは名ばかりで、地方がみずから決定できる範囲は極めて限定的でありましたが、機関委任事務の廃止により、地方自治体の自由度は飛躍的に高まったと言われております。 しかし、事務や事業権限が移譲されたにもかかわらず、自治が十分に展開されるようになったわけではない。それは、知事などの決定権は強化されたものの、住民の声が議会を通じて行政に十分反映されていないという意見があります。例えば北海道の夕張市の財政破綻等々を見れば、首長の権限が強化されても、地方議会は十分なチェック機能を果たしていなかったというものであります。 今日の問題は、地方議会がその役割を果たさず、政務調査費などの問題をめぐっては、住民の不信感と不満が募っております。このため「議員定数を思い切って削減すべきだ」「報酬制を改めるべきだ」といった声がささやかれている地方もあるということであります。 今後、地方分権の流れは加速するため、議事機関、そして監視機関としての県議会の重要性がますます高まると思うのであります。そこで、議員提案による政策条例の制定を目指したり、議会における討論の促進を図ったりするなどして、我々新生会の議員は相携え、相率いて議会改革に汗を流し、県民の負託にこたえていく決意であります。 「国破れて山河あり、城春にして草木深し」、これは中国の詩人杜甫の詩でありますが、国破れて山河なく、春そして夏がめぐり来たれども草木なく、依然として瓦れきの山に覆われているのが東北の惨状であります。 三月十一日に、前任期最後の議会の終了後、控室で見たテレビの映像は唖然として息をのむばかりでありました。大津波が東北の山河をのみ尽くしていくさまは、これまで映画でも、テレビの番組でも見たことのない異様なものであり、大自然の猛威と一言で片づけることのできない、実に恐ろしい光景でありました。被災された多くの皆様、そして亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、一日でも早い復興を願うものであります。 最初に、東日本大震災を顧みた山口県の対策についてお尋ねをいたします。 東日本の巨大地震と津波で、日本全体が深刻な状況に直面しています。直接被害を受けた方々には実に気の毒なことこれ以上ありませんが、あのような混乱と窮乏の中にあっても秩序が十分に保持され、他国に見られるような略奪や暴徒化など全くなく、乏しくとも奪い合いが起こることもなかったと、広く海外のメディアでも賞賛の的となっておるところであります。大震災と巨大津波直後の中で節度ある行動をとり続けた国民、そしてみずからの命を賭して多くの人々を救った自衛隊員、警察官、消防隊員、役所の方々の整然とした対応やボランティアの活動を決して忘れることはできません。 また、我が国は六十五年前の大東亜戦争では、三百十万人に上る戦没者を出し、都市のほとんどを焼かれ、国土は廃墟と化したのであります。それでもなお、日本は立ち直り、現在の経済大国を築き上げたのであります。こうした実体験と立派な資質を持つ日本人は、今回も必ず立ち直ると確信をするものであります。 山口県は全国でも地震の比較的少ない地方であると言われておりますが、「災害は忘れたころにやってくる」と言いますが、しかしながら、今日、災害はいつでも、どこにでもやってくると言っても過言ではない、このように思います。山口県でも相次いで豪雨災害に見舞われ、知事はその対応と「くらしの安心・安全基盤の強化」に積極的に取り組まれておるところであります。学校の耐震化や防災対策の強化には特に力を入れておられるところです。 河川・危険ため池緊急防災対策事業に十五億七千万円を計上するとともに、昨年七月の大雨災害で甚大な浸水被害をこうむった厚狭川水系において、国の河川激甚対策特別緊急事業により集中的に河川改修を実施するほか、JR美祢線の早期復旧に向け引き続き支援をされておると聞いております。 そこでお尋ねしますが、このたびの補正予算は東日本大震災関連事業に関するものでありますが、東日本の大震災を顧みて、山口県では今後どのような予見をし、対策をとられようとするのかを具体的にお示し願いたいと思います。 また、東北地方にたくさんの職員を派遣し、復興に協力されていますが、将来、山口県行政への貴重な経験と教訓になるものと思いますが、今後どのような支援をされていくのか御所見をお伺いいたします。 次に、上関原子力発電所計画について二点のお尋ねをいたします。 ちょうど一年前の六月十三日に、数々の苦難を乗り越えながら、奇跡としか思えぬ帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ」に、これほど日本国じゅうが感動したことはありませんでした。この「はやぶさ」を最後まで運用した技術の高さに驚きましたし、「はやぶさ」とプロジェクトチームは科学技術立国日本の世界をリードする誇りでありました。 しかしながら、東京電力福島第一原子力発電所事故は、日本の高度の科学技術神話をぶち壊しにし、国民の信頼を裏切り、三カ月を過ぎた今も収束に至っておりません。そして、放出された放射性物質による水道水、農海産物の摂取制限や出荷規制、子供たちの屋外活動の自粛など多くの問題が噴出しております。科学技術立国日本は製造業により成り立っております。エネルギー政策は日本国家の生命線であり、電力に頼らざるを得ないのが、今日の日本の産業であります。 上関の原発もようやく建設の端緒が開かれるかと思われたやさき、原発不安が噴き出す始末であります。今日、上関町周辺の市町議会が建設中止や凍結などの意見書を議決しておる状況であり、国も事故の収束とともに、いずれあらゆる基準を全面的に見直すこととなりますが、今後の対応を知事にはどのように考えておられるのか、お示しをいただきたいと思います。 また、上関原発の準備工事にかかわる公有水面埋立免許に関してお尋ねをいたします。 そもそも埋立免許は、国からの法定受託事務として県が交付しているものであり、知事としては、法律に基づいた適正な手続を行うために、知事の裁量権に関する法解釈について、国の責任ある回答を求めたものと思料いたします。国としても、法律上の問題として明確に責任ある回答をすべき事柄であると考えますが、知事は上関原発に係る埋立免許について、どのように対応をされるのかをお伺いいたしたいと思います。 次に、市町村合併についてお尋ねします。 知事は、多様化する住民ニーズに的確に対応しながら、自立型の地域づくりを進めていくためには、住民に最も身近な市町村の行政基盤や政策能力を高めていくことが重要であり、市町村合併はその最も有効な手段であると考え推進をされました。 県内においても各市町村が地域の将来をしっかりと見据え、より質の高い住民サービスの提供や魅力ある地域づくりを目指し合併に取り組んだ結果、五十六ありました市町村が十九市町に再編され、本県における地方分権の基盤は過去よりも進捗しました。 基本的効果として、行政区画の拡大による組織及び財政規模の拡大、いわゆるスケールメリットを活用することによって効果が出てくる可能性があります。地域資源及び人材の多様的活用、人員の効率的配置による合理化などが説明され、基本的効果を達成すれば住民サービスの向上が図られ、地域振興につながると期待するとされています。 反面、「市町村合併において懸念される事項、そしてその対応」では、合併した市町村の中心部と周辺部での地域格差が生じるのではないか、きめ細かなサービスを提供できなくなるのではないか、市役所や役場への距離が遠くなるので、利便性が低下したら住民が負担する経費が増加するおそれがあるのではないかといった懸念が指摘されていました。 平成十五年、周南市が誕生したことを皮切りとし、平成十八年、岩国市の新設合併を経て、平成二十二年、山口市の阿東町編入合併で一応決着を見たのであります。合併が成立して数年になるわけですが、合併のメリットが感じられない、以前の町のほうがよかったという住民の声を聞くたびに心を痛めるものであります。そして、元の総務大臣 増田寛也氏が新聞紙上で、あの合併は失敗であったと言われておるのを読むにつけ、愕然としたものであります。 合併の成果はこれからだと期待するものでありますが、知事は合併の成果をどのように評価をされ、将来の展望を持たれておるのかお示しをいただきたいと思います。 次に、加速化プランと県政集中改革の総仕上げについてお尋ねをします。 知事はみずからの自覚の問題として、知事の任期は「最大限四期まで」と表明をされております。多選の弊害として二つのことを指摘されております。 一つは、「虎の威を借る狐」による側近政治が行われるようになり、風通しも悪くなり、腐敗につながってくる。 二つは、議会の与党化が進み、チェック機能が低下する。 以上のことから、多選の弊害は、本人や議会の強い自覚と積極的な情報公開により防ぐことが肝要とされております。 過ぎ去ってみれば、時のたつのは早いものであります。平成八年八月「しっかり聞いて しっかり実行」をキャッチフレーズに「県民主役の県政」「市町村とともに歩む県政」を掲げて、二十一世紀に向けた新たな山口県の形をつくり上げていくと懸命に訴えられた姿を思い起こします。ついこの前のような気がいたします。 知事に就任されて以来、山口きらら博や国民文化祭の成功、鳥インフルエンザへの迅速かつ的確な対応など数々の実績を重ねてこられました。しかし、この背景には、長引く経済情勢の悪化と税収不足、リーマンショックの後遺症等はいまだにいえることもなく、円高は高進続きであり、あまつさえ三月十一日の東日本大震災は、すぐさまこの四月の管内貿易概況によると、前年四月比で、輸出は岩国税関支署管内の六三・三%減となることなど大半が減少となっております。次から次と未曾有の経済・財政危機を乗り越えてこられましたが、二井知事には、いよいよ退路を断って、加速化プランと県政集中改革の総仕上げをされる最終コーナーを迎えられました。 加速化プランの総点検を踏まえ、耐震化の推進など優先的に取り組むべき重点事業に対して予算を集中的に配分する加速化プランの総仕上げと、三公社を廃止する公社改革の実現など、加速化プランの成果を確実に次代へ継承するための土台づくりである県政集中改革の総仕上げを行うという不退転の御決意を示されています。 しかしながら、このたびの東日本大震災の影響や国の不安定な政策、地方財政対策のいかんでは、先行きの予測も困難であろうと思われますが、どのように取り組まれますのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、山口国体についてお尋ねをいたします。 いよいよこの秋に「おいでませ!山口国体」が開催をされます。しかしながら、東日本大震災を受け、国体の盛り上がりが心配されるところでもあります。 こうした中、知事はいち早く今回の震災を踏まえ、戦後復興の中で始まった国体の原点に立ち返り、被災地はもとより全国に向けて、勇気と希望そして元気を送る大会として開催するよう、「たちあがれ!東北 がんばろう!日本」の合い言葉の制定や被災地選手団の参加経費の支援など、四項目を国体の共催者である国や日本体育協会に提案されたところであります。 簡素・効率化を徹底した大会運営に配慮されている知事にとっては大変なことであろうと思います。また、国体での総合優勝はさまざまな困難を克服していかなればなりません。選手を初め、競技団体関係者の御苦労のほども想像されるのであります。山口国体の成功に向け、皆様方には頑張っていただきたいと思います。 さて、全国から来県される多くの選手の皆さんをお迎えする準備が着々と進んでおります。各地区でも選手の受け入れ、民泊等々の準備で大いに頑張っておられますし、花いっぱい運動やボランティアの募集も精力的に行われ、競技会場をきれいにするクリーンアップ運動も展開をされております。 また、県民のおもてなしは、山口県の評価につながることであり、もう一度、山口県を訪ねてみたいという山口県のファンの増加にもつながる大変重要な取り組みであります。また、日本流のおもてなしの心は、東南アジアの各国でも高く評価されておるとのことであります。 年間観光客三千万人構想の実現に向け、ことし七月から実施する「おいでませ!山口イヤー観光交流キャンペーン」にもつながると思います。山口国体で県民のおもてなしの心を存分に発揮したいものであります。 そこでお尋ねをします。山口国体でのおもてなしにどのように取り組まれるのかをお伺いをいたしたいと思います。 次に、鳥獣被害防止対策についてお尋ねいたします。 ことしも県内各地で無事田植えが終わったようであります。 東日本大震災に伴う地震による地割れや陥没で農業用水の確保が困難であったり、津波による塩害で植えつけを見送らざるを得なくなった、東北地方の農家の方々の途方に暮れておられる姿が連日報道をされております。 その一方で、田んぼに水が張られ、水面に映える早苗がそよそよと風になびいている、そんな我がふるさと山口県ののどかな田園風景を見るにつけ、無事ことしも稲づくりができるという喜びとともに、ことしはぜひとも豊かな収穫をと祈るのは、農家の方々だけではない、県民すべての願いでもあります。 とりわけ昨年は、春先の低温や梅雨末期の集中豪雨、真夏の猛暑など、異常とも言える気象の影響に加え、農家の方々が額に汗して丹精込めて育てた農作物を、イノシシやシカ、猿など、いわゆる野生鳥獣に荒らされる被害が多発し、昨年度の野生鳥獣による農林業被害は、前年度比一一%増の八億一百万円にも上り、三年連続の増加で、甚大な被害が生じたことから、農家の方々のことしの収穫に寄せる期待は、例年にも増して大変大きなものがあります。 ここ数年、鳥獣被害は全国で大きな社会問題となっており、とりわけ多くの中山間地域を抱える本県において、農林業被害が深刻化かつ広域化するとともに、人身被害も発生するなど、地域住民の暮らしが脅かされており、地域の過疎化に拍車をかける一因ともなっております。 特に、農産物のほとんどは収穫が年一回で、一たび鳥獣被害を受けると、一年の収入を奪われてしまうことになりかねず、離農を余儀なくされることも十分考えられることから、営農意欲の低下も甚だしく、耕作放棄地を増加させ、地域の荒廃がさらに進行するという悪循環を生んでしまうなど、極めて深刻な状況となっており、農業の担い手の減少・高齢化に加え、鳥獣の捕獲の担い手でもある狩猟者の減少・高齢化も深刻化する中で、捕獲対策、防護対策両面からの総合的な被害防止対策がまさに今求められております。 かつて藩政時代、耕地の少ない対馬藩では、イノシシの被害に悩まされた農民の苦労を見るに忍びず、藩主は財政を傾けて、藩士はもちろん、百姓も総動員して、せことしてイノシシの一斉駆除に乗り出したと伝えられております。そして、島の北端から南端に至るまで全頭駆除を目標にローラー作戦を実施しましたが、作戦の完了した後には、もうイノシシが出没を開始していたということであります。鳥獣の駆除がいかに難しいかという証左であります。 こうした中、知事は、今年度、鳥獣による農林被害額を五億円以下に抑えるという大変意欲的な目標を掲げ、予算額も倍増して鳥獣被害防止対策に取り組んでおられるとのことであり、その成果に大いに期待をしておるところであります。 そこでお尋ねします。どのように鳥獣被害防止対策に取り組まれるのかお伺いをいたします。 最後に、交通死亡事故抑止対策についてお尋ねをいたします。 昨年一年間、県内で不幸にも交通事故により亡くなられた方の数は、ひところに比べ減少しており、ことしもこの傾向は続いておると伺っております。これは、交通死亡事故に向けた関係機関や団体による取り組みや、何よりも悲惨な交通死亡事故を一件でも減らそうという機運が、県民の意識の中に着実に根づきつつある証左であると感じております。 申すまでもありませんが、人の命を一瞬にして奪う交通死亡事故は、県民の平和な日常生活を脅かす最たるものであり、これを防止する、限りなくなくしていくことは、県民一人一人の切実な願いであります。 四月の新聞で、岩国市を南北に走る国道百八十七号で、本年三月中旬、男性が運転する車両が標識に激突し、後部座席に乗っておられた女性とわずか二歳の男児が亡くなられるという悲惨な死亡事故が発生をしたと掲載されていました。事故直前のスピードが少しでも低ければ、二人の方が亡くなるという悲惨な事故につながらなかったのではないかと推察をしております。 この路線を管轄する警察署では、国道百八十七号で交通死亡事故など重大事故が連続発生したことを受け、本年四月から「セーフティロード187作戦」と名づけ、速度違反を中心とする取り締まりや街頭活動を強化しており、この対策を行って以来、大きな事故の発生はなく、付近の住民からも「最近、通行車両のスピードが落ちました」「安心して道路を渡れるようになりました」との声が私の耳にも届いております。 こうした警察署での取り組みに見られるように、実際に起きた交通死亡事故の原因に即した取り組みは、同じような形態での交通死亡事故を防止する上で極めて有効であろうかと思います。 そこで、警察本部長にお尋ねをいたします。現在、警察では、交通死亡事故抑止対策の一つとして「スピードダウン県民運動」を県民総ぐるみの取り組みとして行っていると聞いておりますが、これまでの成果と、その成果を踏まえ、今後どのように取り組んでいかれるのかをお尋ねをいたします。 以上をもちまして代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 山手議員の代表質問にお答えいたします。 最初に、東日本大震災に関連するお尋ねのうち、まず、本県の今後の防災対策についてであります。 私は、このたびの大震災を踏まえ、本県で大規模・広域災害が発生した場合に備え、県の防災体制を改めて検証・検討するため、先般、新たに防災会議のもとに「大規模災害対策検討委員会」を設置をいたしました。 委員会では、本県の地勢的特性や災害履歴を踏まえて、東南海・南海地震とそれに伴う津波や大竹断層等による直下型地震、さらには洪水・高潮・土砂災害などの風水害について、類型別に被害想定を再検証するということにいたしております。 さらに、こうした検証を踏まえて、消防や警察、自衛隊、災害派遣医療チームなどの救助・救急関係機関の連携のあり方や大量の緊急支援物資の搬入・搬出拠点の確保などの諸課題について検討を行い、その結果を速やかに県地域防災計画に反映をし、防災対策の充実を図ることにいたしております。 次に、今後の復興に係る支援についてであります。 県におきましては、災害発生直後から、被災地への職員派遣や緊急支援物資の提供など、人的・物的両面からでき得る限りの支援を行ってまいりました。 お示しの職員派遣につきましては、医療や土木関係の技術職員を初め、避難所の運営等に当たる事務職員をいち早く派遣をいたしたところであります。これまでに実人員で三百名近い職員、延べでは三千名を超える職員を派遣をいたしております。 こうした職員の経験は、御指摘のように、防災行政のみならず、今後の県行政にとって貴重な財産になるものと考えております。 現在、被災各県からの要請は、マンパワー不足を背景に、人的支援に強いニーズがあります。県といたしましては、当面、職員派遣を継続してまいりますが、今後、復興までには相当な期間を要すると見込まれますことから、被災地のニーズも一層多様化してくるものと考えております。 したがいまして、全国知事会とも密接な連携を図りながら、被災地のニーズに沿って最大限の支援に努めていきたいと考えております。 次に、上関原子力発電所建設計画について二点のお尋ねであります。 まず、上関原電計画に対する今後の対応についてのお尋ねであります。 このたびの東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は、大量の放射性物質を放出する深刻な事態となっており、原子力発電に対する国民の信頼は大きく損なわれたところであります。 本県におきましても、上関原電計画に対して、周辺市町議会に限らず、その他の市町議会からも、安全性が確立していないことを理由に、中止や凍結等を求める意見書が提出をされております。 私は、上関原電計画に対しましては、これまで地元上関町の政策選択を尊重する立場で対応してきておりますが、各市町議会の意見書は議決を経て提出されたものでありますことから、議会の意思が示されたものと受けとめております。 また、お示しの「国におけるあらゆる基準の見直し」につきましては、まず国は、事故原因の徹底究明と検証を行い、新たな知見に基づく安全指針等、あらゆる安全基準をどうするのか明確に示すべきであります。 さらに、現在、エネルギー政策の見直しは緒についたばかりではありますが、その中で原子力発電がどう位置づけられ、上関原電を含む原子力発電の新増設計画がどう定められるのかなど、国の対応を慎重に見きわめる必要があると考えております。 次に、公有水面埋立免許についてであります。 お尋ねの上関原子力発電所に係る埋立免許につきましては、その竣功期間が平成二十四年十月までとなっておりますが、現時点で事業者から報告されている埋立工事の進捗状況から見ますと、期間内の竣功は相当困難であると推察をされます。 法の規定によれば、埋立工事が期間内に竣功できない場合、免許は失効するということになりますが、事業者からの申請があり、正当な事由がある場合には、竣功期間延長を許可できるとされております。 このため、今後の問題として、竣功期間延長の申請がなされた場合に、この正当な事由の有無を判断するための基準や埋立免許権者にどの程度の裁量権があるかなどを検討していく必要があり、お示しのように公有水面埋立免許事務は法定受託事務でありますことから、国に対して具体的な基準等についての見解を求めてまいりました。 これに対して、国土交通省は、埋立免許事務については、法令及び施行通達に基づき処理すべきであるといたし、そのうち、竣功期間延長につきましては、「申請があった時点において、埋立免許権者が、申請内容について正当な事由があるかどうかを審査をし、許可の可否を判断するものである」との回答がありました。 したがいまして、私としては、今後、仮に事業者から竣功期間延長の許可申請があった場合には、埋立免許権者の判断で延長を認めるのか、不許可とし免許を失効させるのか、その時点での状況等を踏まえて慎重に検討してまいりたいと考えております。 なお、上関原電計画につきましては、平成十三年六月に国の原電開発基本計画へ組み入れられたこと等によりまして、その土地利用計画が確定しておりましたことから、平成二十年十月に埋立免許をしたものであります。しかしながら、このたびの福島第一原子力発電所での事故の発生に伴い、国においてエネルギー政策などの見直しが行われることとなりましたことから、この埋め立ての目的である原子力発電所の立地自体が不透明な状態になっております。このことによって、私は公有水面埋め立ての前提となる土地利用計画についても、実質的に不透明となっていると認識をいたしております。このような状況が続く限り、たとえ延長の許可申請があったとしても、それを認めることはできないと考えております。 いずれにいたしましても、私としては、今後の埋立免許の取り扱いについては、国の動向なども踏まえながら、適時適切に判断してまいります。 次に、市町村合併についてのお尋ねであります。 私は、市町村が地方分権の受け皿になれる力をつけること、すなわち市町村の行財政基盤を強化し、政策能力・行政能力を高めていくことが必要であると考え、自主的・主体的な市町村の合併の取り組みを支援をしてまいりました。 その結果、本県では、五十六あった市町村が十九の市町に再編されたところであります。 そこでまず、合併の成果についてであります。 市町村合併につきましては、同時期に行われた国の三位一体の改革による地方交付税の削減や厳しい経済状況のもと、必ずしもその効果が目に見えるに至っておりませんが、私は合併市町においては、適切な職員配置などによる行財政の効率化や財政基盤の充実強化に取り組まれており、例えば保健・福祉分野やまちづくり分野などへの専門職員の配置が進み、これを背景に、地域に密着した事務に係る県からの権限移譲もかなり進んできていると考えております。 一方で、合併により周辺部となった地域の住民からは、「役場が遠くなった」「住民の声が届きにくくなった」という声が寄せられておりますが、こうした課題に対しましても、総合支所でのワンストップサービスの提供や各地域の住民代表で構成される地域審議会等を通じて、住民の声を把握する取り組みが行われているところであります。 このように、合併市町におきましては、財政問題を初めとした課題が残されておりますものの、地域の振興や多様化する住民ニーズに的確に対応するなど、新しいまちづくりに向けた取り組みが着実に進められているものと認識をいたしております。 次に、合併市町の将来の展望についてであります。 本県の合併は、中心市と周辺町村との合併や広域合併が多いという特徴がありますことから、合併市町におきましては、周辺部対策としての中山間地域づくりの推進や中心市街地の活性化、地域間のアクセス道路の整備など、一体性の確保にも配慮しながら、将来をにらんだ地域特性を生かしたまちづくりが鋭意進められております。 県としては、こうした取り組みが一層促進されるよう、各種施策による合併後のまちづくりに対する支援を行っているところであります。合併市町において、引き続き、将来にわたって存在感が発揮できるまちづくりが進みますように期待をいたしております。 次に、加速化プランと県政集中改革の総仕上げについてであります。 私は、県づくりの成果を次なる世代にしっかりと引き継いでいくため、その道筋を示す住み良さ日本一元気県づくり加速化プランと、その土台をなす新・県政集中改革プランの総仕上げに向けて、全力で取り組んでいるところであります。 こうした中で、国におきましては、このたびの東日本大震災に伴い、被災地の本格的な復旧・復興に多額の財源を確保する必要が生じたところであります。今後の地方行財政運営を左右する地方財政措置等の行方や子ども手当など、地方にも影響を与える国の政策の見通しが立たない状況に陥っております。 また、大震災は日本経済全体に暗い影を落とし、本県でも製造業、観光業等を中心にその影響が懸念され、税収にも大きく影響する地域経済の動向も不透明な状況にあります。 このような状況の中にはありますが、既に全国に先駆けて、全小中学校での三十五人学級化の実現を果たすことができましたし、県立学校の耐震化につきましても、目標達成に向けて、七月末にはおおむねすべての施設の設計が完了する見通しが立ったところであります。 私としては、今後とも国政の動き、景気雇用情勢等をしっかりと見きわめながら、本年四月に立ち上げました「加速化プラン・改革プラン進行管理本部」のもと、新たに生ずる課題にもスピーディーに対応し、総仕上げ予算で優先的に措置した重点事業の進捗を的確に図り、これまでの取り組み成果をできる限り目に見える形で結実をさせていきたいと考えております。 また、公社改革につきましては、新たに設けた「公社資産売却推進室」を中心に、全庁的な体制のもとで、産業団地や分譲宅地等の売却に努めており、必ず三公社の本年度末までの廃止を実現していきたいと考えております。 残された時間は限られておりますが、私は、先行き不透明な国の政策や大震災の影響にも適切に対応しながら、県づくりの総仕上げに全力で取り組んでまいります。 次に、山口国体についてであります。 この秋の山口国体に向けましては、県民の心を一つにして、来県される選手・監督、応援の皆さんを温かくお迎えし、参加された皆さんの心にいつまでも残る、すばらしい大会にすることが極めて重要であります。 こうしたことから、「みんなの力で成功させよう!」を合い言葉に、これまで、花いっぱい運動やクリーンアップ運動の展開、ボランティア活動の取り組みなど、国体県民運動を積極的に推進をしてまいりました。 中でも、「山口のおもてなしの心」を伝える取り組みにつきましては、本年三月に、県とすべての市町で実施する四百一件の取り組みを取りまとめた「おもてなし計画」を策定し、県内各地で実践活動を展開してきております。 開催まであと九十六日と百日を切り、いよいよカウントダウンが始まり、今後、おもてなしの取り組みを一層本格化させる必要があります。 このため、例えば子供たちの自由な発想やアイデアを生かした「子ども国体県民運動」につきましても、現在、選手への手づくり記念品や応援メッセージを寄せた都道府県のぼりの作製など、山口国体での大切な思い出づくりに、子供たちが地域団体や住民の方々と一緒になって着々と準備を進めております。 また、来県者との交流を深める各競技会場のふれあい広場や選手・監督の一般家庭での宿泊、いわゆる民泊におきましても、地元の食材を使ったおもてなし料理の講習会や歓迎準備など、万全の受け入れ態勢でお迎えすることにいたしております。 私は、四十八年ぶりの開催になる山口国体を、「山口県ファン」をふやす絶好の機会とするとともに、愛称の「おいでませ!」のとおり、「山口のおもてなしの心」で温かくお迎えし、来県される皆さんに「山口県は本当によかった」と言っていただき、おもてなしにおいても天皇杯を獲得できるように、県民の皆様や市町、関係団体と一体となって全力で取り組んでまいります。 次に、鳥獣被害防止対策についてであります。 野生鳥獣による農作物等への被害は、農林業者の生産意欲を減退させ、地域全体の活力すら失わせかねない極めて重要な問題であります。 このため、私は、被害対策に主体的に取り組む市町との役割を明確にした上で、お示しがありましたように、本年度から新たに、捕獲対策と防護対策を総合的かつ緊急的に実施をし、鳥獣被害の軽減に積極的に取り組むことといたしたところであります。 まず、捕獲対策といたしましては、減少・高齢化している狩猟者の確保が重要でありますことから、狩猟免許の受験機会を年三回から五回に拡大するとともに、狩猟免許取得や射撃訓練の経費を支援する制度を創設をするなど、新たな捕獲の担い手を確保・育成する取り組みを強化をいたしました。 また、被害の八割を占めるイノシシ、シカ、猿の捕獲が喫緊の課題であります。イノシシにつきましては、県東部、中部、西部三地域での二百基の箱わなによる集中捕獲、シカにつきましては、県西部での広域一斉捕獲、捕獲が難しい猿につきましても、専門の捕獲班の派遣など、単独の市町では困難な取り組みを新たに進め、捕獲数を拡大していく考えであります。 次に、防護対策といたしましては、地域全体での取り組みが重要でありますことから、県内六十集落を対象に、防護さくの管理や放置果樹等の状況を調査をし、その結果に基づいて被害発生要因を取り除き、モンキードッグによる追い払いを行うなど、集落ぐるみでの被害防止活動が効果的に実施されるように支援をしてまいります。 さらに、集落と山林の境を明確にすることが鳥獣の侵入を防ぎ、被害の軽減につながりますことから、畜産農家と連携した山口型放牧の導入や森林づくり県民税を活用した繁茂竹林の伐採による緩衝帯の整備などにも新たに取り組んでいくことといたしております。 私は、今後とも農林業者の皆様が意欲を持って生産活動に取り組めるように、猟友会、市町等と連携をしながら、全力で鳥獣被害防止対策を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(柳居俊学君) 多湖警察本部長。    〔警察本部長 多湖令君登壇〕 ◎警察本部長(多湖令君) 交通死亡事故抑止対策としての「スピードダウン県民運動」の取り組みについてお答えをいたします。 山口県では、死亡事故の直前速度が全国で四番目に高いということから、死亡事故抑止の重点施策として「スピードダウン県民運動」に取り組んでおり、現在、国体に向けた連続的なキャンペーンの展開や二百のモデル事業所の約三千台をペースメーカー車として指定するなど、諸対策を推進しているところであります。 この取り組みにつきましては、着実に県民に浸透しつつあり、自治会等からの要望を受けて、当初三万五千枚配付したスピードダウンのステッカーを、六月には四万枚追加配付したところであります。 また、自治体や事業所等においても、ステッカーを全公用車に貼付した市や独自予算で五千枚を作成した地区の「安全運転管理者協議会」もあるなど、積極的な取り組み意識の高まりが見られております。 こうした県民意識の高まりにより、昨日現在、交通事故死者数は二十九人で、昨年に比べ二十人のマイナスと、大幅な減少となっております。 また、運動を開始した四月以降では、事故直前速度が、昨年に比べ八・七キロマイナスの時速四二・五キロとなっており、数字の上でも成果があらわれているところであります。 しかし、お示しのありましたように、もう少しスピードを落としていれば命が助かったと思われる事故も依然として発生しております。 そのため、今後、主要幹線道路における集中的なキャンペーンなどを強力に展開するとともに、官公庁等との協力も得て、自主的なペースメーカー車の拡大を図るなど、運動のすそ野をさらに広げてまいりたいと考えております。 また、事故の発生実態を踏まえ、スピードの抑制が図られていない路線については、速度取り締まりの強化等の対策を重点的に講じていく考えであります。 警察といたしましては、こうした取り組みにより、「事故直前速度を少しでも落とすことで助かる命がある」という強いメッセージを県民に訴えていきたいと考えております。 また、国体等で来県される全国の方々に、山口県のすばらしい運転マナーと快適な交通環境を実感していただくためにも、このスピードダウン運動のさらなる浸透を図ってまいりたいと考えております。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩いたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時四十二分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(新谷和彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ─────────────
    △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第十号まで ○副議長(新谷和彦君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 加藤寿彦君。    〔加藤寿彦君登壇〕(拍手) ◆(加藤寿彦君) 民主・連合の会の加藤寿彦でございます。会派を代表して質問をいたします。 去る三月十一日、東日本大地震と大津波により被災された皆様、そして、東京電力福島原子力発電所事故による放射能汚染の被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになりました方の御冥福をお祈りいたします。 震災発生からきょうまで、行方不明者の捜索を初め、災害復旧作業や被災者支援のため、不眠不休の活動に従事いただきました、自衛隊の皆さんを初め、消防団や警察官、そして県や市町村の職員の皆さん、さらに、全国からボランティアでの支援者の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げます。 そして、被災された皆さんと地域の一日も早い復旧と復興ができますよう心から祈念をいたします。 私たちは、大地震と大津波、そして原発事故による放射能汚染から一カ月も満たない、四月十日の選挙で改選をされました。 余りにも甚大な震災被害の中での選挙戦はつらく苦しいものでありましたが、向こう四年間の山口県政を託された議員であります。 特に私どもは、政権与党の一員としての自覚と責任を持って、大地震と大津波、原発事故による放射能汚染の被害の現実に目を背けることなく、大惨事の教訓を後世に生かすために真剣に取り組んでいくことを申し上げ、質問と提案をさせていただきます。 さて、六月一日の党首討論で、自民党の谷垣総裁は「菅総理が辞めたらすぐにでも連立ができる」というふうに言われましたが、その後「政権合意ができなければ連立はあり得ない」などと言い出し、最初から菅総理おろしであり、民主党政権打倒が目的であったと言わざるを得ません。 六月二日、内閣不信任案が否決された後の自民党 石破茂さんのブログには、「小沢・鳩山一派という、政策的には我が党と対極にある人たちと、ただ『敵の敵は味方である、菅を倒すという目的さえ一致していればそれでいいのだ』という理由だけで、ともに行動しようとしたことはやはり無理があったのかもしれません。(中略)不信任同調者が相当数に上るという幻想を抱いたことはやはり大いに反省すべきです」と書いておられます。石破さんも大震災支援よりも菅総理を倒すことが目的であったということであります。 震災対策そっちのけで、民主党内の不満分子を利用したり、公債発行特例法案を人質にとり菅総理を退陣に追い込もうとするやり方は卑劣であります。 もとより、公債発行特例法は、赤字国債発行に必要な法律で、自民党政権時代につくられたものであります。そして、自民党・公明党政権時代も毎年成立させなければ国の予算は組めない、借金だらけの状況をつくってきたのであります。 国と地方の借金は、二○一○年度末見込みでは八百六十兆円を超え、国民一人当たりでは六百八十万円を超える借金となっており、赤字国債依存の予算編成しかできないような財政状況にしておいて、ねじれ国会になったからといって、予算を人質にした兵糧攻めのようなやり方は許せません。 四年前の平成十八年十二月、岩国市庁舎建設予算の補助金を、空母艦載機の岩国基地への移転に慎重な井原市長に対し、補助金を凍結し兵糧攻めを行い、市長辞職に追い込み、市長選挙が行われ、賛成した福田市長が当選すると、わずか一カ月で補助金を出すという卑劣きわまりないやり方をされたことを思い出したものであります。 民主党は、参議院選挙に勝った後のねじれ国会でも、公債特例法案は人質にはとりませんでした。 赤字国債を発行できないと国民生活に大きな支障が出ます。ましてや被災地の復興にも多大な支障が出ることは明らかであります。 自・公を初めとする野党の中に「菅総理が退陣すればすべてがうまくいく」という人がいますが、その裏に潜む政権奪還の動きは看過できません。じらを言って、だだをこねる。ごね得を通すことは、政治の三流だと言われてもいたし方ないと思います。 今、国民の大多数が政治に求めているものは、与野党が協力して、大震災と原発事故による被災地の皆さんを支援し、放射能汚染からの一日も早い収束のめどを立てることであります。 知事は、自民党や公明党の菅おろし、震災対策そっちのけ、政局優先の政治手法について、どのような感想をお持ちですか、お伺いいたしたいと思います。 さて、知事は、今議会に、震災の被災地支援や被災者受け入れ支援として、約三億四千万円の補正予算を組まれました。被災地支援のための県職員派遣経費や被災者受け入れ支援を初め、国体参加等の支援として、必要経費を提案をされました。また、東日本大震災を教訓とした大規模災害対策検討事業の予算も組まれています。まことに時宜を得た施策であります。 最初に、被災者の受け入れ支援についてお尋ねをいたします。 愛宕山を守る市民連絡協議会が、米軍再編で米軍住宅用地とされようとしている愛宕山開発跡地を東日本大震災被災者用集団移転用地として被災者の緊急支援のため活用できないかとして、国に要望されています。山口県として検討され、国に要望するお考えはありませんか、お伺いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。 次に、大規模災害対策検討事業について、東日本大震災を教訓とすると言われています。 大地震と大津波により大惨事となり、特に原子力発電は、安全・安心であると言われ続けてきた安全神話がもろくも崩壊いたしました。原発事故後の対応に手間取り、三カ月以上過ぎた今も収束のめどさえ立てられないでいます。 その原因は、これまでの自民党中心の政権が推進してきた、地震や津波に対する防災対策の甘さや原子力発電を中心とするエネルギー政策において、安全神話を強調する余りに、事故を想定した対応策がつくられていなかったことであります。まさに人災であります。 したがって、県の大規模災害対策は大地震が起きることや大津波が来ることを前提とした対策、そして原発事故による放射能汚染が起きた場合を想定した対策が必要であります。 国が責任を持ってやるべきものは国で、県としてやるべきことは県で、山口県の実情に合った対策をつくることができるのは、二井知事、あなたでしかありません。知事の見解をお尋ねをいたします。 また、福島の原子力発電の事故による悲惨な現状を受けて、ドイツでは、二○二二年までに十七基の原発を停止し、自然エネルギーを現在の一七%から三五%にすることを決めました。イタリアでは、国民投票により原発再開を断念し、脱原発を選択いたしました。スイスも原発停止を決めています。 そして、日本では、菅総理が、エネルギー基本政策を白紙から見直すと明言するとともに、中部電力の浜岡原発について、これから三十年以内にマグニチュード八程度の想定東海地震が発生する可能性は八七%と極めて切迫しているとして、「国民の安全と安心を守るために、中長期的な対策が完成するまでの間、すべての原子炉の運転停止」を要請し、中部電力もこれを受け入れたところであります。 その一方で、菅総理は、浜岡原発以外の運転停止は考えていないとも述べています。県内の市町議会では、上関原発の建設について、安全が確保されるまで、中止・凍結などの決議が相次いでおり、県議会においても決議をすることが決定されています。 六月十六日に朝日新聞が行った、全国四十七都道府県知事に対する、原発のあり方や今後のエネルギー施策についてのアンケート結果によれば、将来的に減らすが九人、やめるが二人、現状維持が四人、無回答が五人、どれでもないが二十六人などとなっていました。知事はどれでもないと回答されたようでございます。 そこでお尋ねですが、菅総理が明言した「エネルギー基本政策の白紙からの見直し」や中部電力浜岡原発の安全・安心対策が完成するまでの間、すべての原子炉の運転停止を要請した決断について、知事はどのような感想をお持ちですか。その上で、これから先のエネルギー政策における原発のあり方についてどのようにお考えですか、お伺いいたします。 次に、電力会社は、夏場のピークの電力需要を意識し、安定した電力の供給を重視しています。 電力会社十社の今年の夏の電力の需給見通しについて、共同通信が六月十三日までのまとめとした資料が、六月十四日の山口新聞に掲載されていました。中国電力の最大需要は千百六十五万キロワットで、供給力は千二百九十五万キロワットとされ、百三十万キロワット、一一・二%の供給余力があるとしています。 しかし、それでも夏場の電力需要が気になります。原発事故による電力供給不足の予測から、今年夏の対策として、国は各家庭に対し一五%の節電を求めています。 県議会も、この本会議場を気温二十八度でノーネクタイといたしました。テレビのニュースアナウンサーはなぜネクタイをしているのですか。テレビ放送やセブンイレブンはいつから二十四時間営業になったのか、いま一度節電の重要性を考えるべきであります。夏場の電力需要のピークを抑えることができれば、電力会社の不安は取り除くことができると思いますし、私たちも安心であります。 夏場の電力需要のピークといえば、熱闘甲子園でしょうか。暑い夏、クーラーをつけてテレビにくぎづけ、電力需要はピークを更新するでしょう。 ちなみに、政府の試算では、エアコンから扇風機へ切りかえることで五○%の節電、設定温度を二度上げると一○%の節電につながるそうであります。 したがって、すべての家庭に太陽光発電を設置すれば、夏場の電力需要のピークを抑制することができるのではないでしょうか。 菅総理が提案している、電力の全量買い取り制度を導入すれば、自然エネルギーを初め、再生可能なエネルギーは大いに進みます。 メガソーラーと言われる大規模太陽光発電への参加も検討されているようですが、小規模の水力発電、家庭用の風力発電、温泉を利用した発電などなど、エネルギーの地産地消の時代であります。 そこでお尋ねですが、夏場の電力需要のピークを抑制するという視点から、当事者である中国電力を初め、中国五県が参加する協議会等を設置し、エネルギーの地産地消について検討されることを提案させていただきます。御答弁をお願いいたします。 次に、財政の健全化策についてお尋ねをいたします。 私は、昨年の十一月定例会での一般質問で、プライマリーバランスが、平成二十一年度は百五億円の赤字、平成二十二年度は二百一億円の赤字になる見込みで、県債残高も一兆二千億円を超えたことなどから、二十二年度の財政運営は非常に厳しい状況にあると申し上げました。 その上で、財政の健全化対策として、平成二十三年度予算編成におけるプライマリーバランスの黒字化と中長期的な財政健全化への計画を策定するよう求めました。 知事は、プライマリーバランスは、県全体で見ると赤字だが、投資的経費の財源に充当する一般分の県債は、二十一年度は二百六十億円の黒字、二十二年度も三百八億円の黒字となっており、平成十四年度末をピークとする県債残高の減少基調を今後も継続し、新規発行の抑制に最大限努めていくと答弁をされたところであります。 そして、大幅な臨時財政対策債の発行を余儀なくされる中で、なかなか先の見通しが立てにくいということで中期財政見通しの策定をやめた。しかし、こういう財政状況が厳しいときだからこそ中期財政見通しを立てるべきだということですので、十分に検討してみたいと思います、などと答弁をされました。 そして知事は、今年の二月十五日の記者会見で「収支所要財源の措置に関する課題」として取りまとめたものを説明されました。山口県の平成二十一年度決算では、四十七都道府県との比較において、財政力指数は二十四位、経常収支比率は十四位、実質公債費比率は十五位となっており、厳しい財政状況が続いておりますものの、全国的に見れば、本県は健全な財政状況であると思っている。このような財政状況を今後も維持し、また向上させるためには、公債費の削減が最重要課題であり、県債の発行を最大限抑制し、県債残高を縮減していかねばならないと言われました。 さて、二十三年度当初予算では、一般分の県債発行額は二十二年度より二十億円減少し、五百六十六億円となり、公債費は九億円ふえて九百三億円となりましたが、プライマリーバランスは、三百三十七億円の黒字となりました。知事の答弁のとおり、平成十五年からの県債の減少基調が今年も継続されたことは評価をいたします。 しかし、一般分の県債残高は昨年度より五十八億円しか減少せず、合計で八千九百九十九億円もあります。少なくとも県債残高を平成元年度並みの三千億円台とし、公債費も四百億円台にすれば、現在のような厳しい県税収入が続いたとしても、県民生活に直結する福祉、医療、教育等を拡充する予算編成ができるのではないでしょうか。 そのためには、現時点で我慢していただく事業を仕分けし凍結するなど、今以上の歳出削減に踏み込むべきであります。そして、他県との比較ではない財政健全化の到達目標を定めた、一般分の県債残高の削減計画をつくり公表されるお考えはありませんか、お伺いいたします。 次に、人口減少対策についてお尋ねをします。 山口県の人口は、国勢調査で見ると、昭和六十年の約百六十万二千人をピークとして、人口減少が始まりました。 国勢調査によると、二十年前の平成二年の人口は約百五十七万三千人でしたが、十年後の平成十二年には約四万五千人減少し、二十年後の平成二十二年には約十二万二千人の減少となっております。特に、この十年間では七万六千五百九十二人も減少しました。 知事は、一昨年の二月議会に、住み良さ日本一の元気県づくりの取り組みを加速化することにより、デザイン21の総仕上げに向けた取り組みを推進するとされました。しかしながら、県内人口の推移では、その減少数が加速化しているのであります。知事が就任されたのが平成八年であります。人口は約百五十五万人でありました。昨年は約百四十五万人となり、約十万人も減少しています。 住み良さ日本一の元気県づくりを加速化するとされた、住み良さ日本一元気県づくり加速化プランでも、「若者が活躍できる環境づくりプロジェクト」として、企業誘致件数倍増計画や新規創業を通じて、新規雇用二万人創出構想を実現するとされ、若者就職支援センターの機能強化やUJIターン対策の推進、次世代技能者の育成など取り組んでこられました。これまでの企業誘致数は百六十七件で、七千五百二人の雇用が創出をされたところであります。 団塊世代の大量退職を契機とした、UJIターン対策にも取り組まれ、県内市町からの報告によりますと、平成十八年度から昨年度までの五年間で三百三十九人の方が県内へ移住しておられます。 これらの取り組みについて高く評価をいたすものでありますが、先ほど申し上げました人口動向から見ると、必ずしも成果が出ているとは言えません。改めて今までの取り組みを振り返ってみる必要があります。 企業誘致のさらなる取り組みや大学生のUターンへの支援策として、小中学校、高等学校のときから地元企業との接触・交流の機会をつくるなどして、地元にも魅力ある企業の存在を知らしめることもその一つであろうかと思います。 雇用対策を含む人口減少対策について、知事の見解をお伺いいたします。 次に、前立腺がんの対策についてお尋ねをいたします。 前立腺がんは男性にのみ発症するがんであり、もともと欧米人に多く、アメリカでは十年ほど前から男性のがんの中では最も高い発症率となっています。 日本人がかかる割合は欧米人の八分の一から十分の一と言われていましたが、近年急激に増加しており、二○二○年には肺がんに次いで第二位になると予測されています。 原因としては、日本人の高齢化が進み寿命が延びたこと、六十歳代から七十歳代にかけて多くなり、高齢ほど発症率は高くなります。 二つ目は、食生活の欧米化です。日本人古来の食生活が変化し、肉を初めとする動物性脂肪食を多くとり、緑黄色野菜のとり方が少なくなったこと。 三つ目は、遺伝要素です。近親者に前立腺がんの患者がいる場合は、一人いる場合は二倍、二人いる場合は五倍、三人いる場合は十一倍と、危険度が大きく上がると言われています。 その一方で、前立腺がんは非常にゆっくり進行するがんであり、約一センチの大きさになるまでに二十年から三十年かかるそうです。しかしながら、一センチを超えると成長が早まりますので、早期発見が課題であると言われています。 検査方法は、血液中のPSA(前立腺特異抗原)の値を測定することができるようになり、早期発見が可能になりました。 さて、治療方法ですが、手術、ホルモン療法、化学療法、放射線療法、そのほかなどがあります。今回は、密封小線源治療という放射線療法についてお尋ねいたします。 密封小線源治療は、患部である前立腺に専用の針を刺す器具を使い、放射線を出す直径約一ミリ、長さ約五ミリほどのチタン製カプセルを埋め込んでいきます。カプセルにはヨウ素125という、ガンマ線を出す放射性物質が入っています。放射線の半減期は約六十日で、約一年で放射能はほぼゼロになります。 日本では二○○三年九月に開始されましたが、アメリカでは一九九○年ごろから盛んになり、現在では、前立腺全摘手術を受ける人を上回っていると言われています。その成績を見ると、早期がんの人では、八○から八七%の人が再発しないで済んでいるという結果が出ていると言われており、これは手術と同程度の成績であり、根治性が高い治療法だと言われています。 しかしながら、山口県内の医療機関では対応できていないため、県外の医療機関に頼らざるを得ない状況にあり、治療に半年以上も待たされるなど、患者の不安が募っているとの声を聞きました。 そこでお尋ねですが、山口県立総合医療センターを初め、県内の公的医療機関において、この密封小線源治療のできる体制を一日も早く整備することが、前立腺がんの早期治療を実現し、患者の不安解消と負担軽減を図ることとなり、前立腺がんによる死亡者を減少させることになると思います。知事の御見解をお伺いいたします。 最後に、県民に信頼される県議会にするために一言申し上げます。 今年一月五日、柳居俊学議長が、自身の顔写真入りのカレンダーを印刷し、十年以上前から、その大半を選挙区住民に無償で配付するとともに、その印刷及び送料等を政務調査費で支払っていたことが新聞報道で明らかになりました。 そして、一月十三日には、政務調査費の五年間分の六百七万九千六百八十四円を県へ返還する訂正届を提出されたことが明らかになりました。 政務調査費の収支報告書には、カレンダーの印刷であるのに、「広報費」と記載され、「県政報告印刷代(政策資料)、県政報告封筒印刷料、県政報告送料」などと虚偽の記載をしていたためにチェックができなかったものであります。正直にカレンダー印刷と記載していれば、チェックができ、今回の事件は起きていなかったのであります。 こうした中、二月十日に、弁護士の中光さんから、柳居俊学氏ほか三名について、公職選挙法違反、政治資金規正法違反、詐欺罪を理由に山口地方検察庁及び山口県警察本部に告発があり、現在捜査が行われているところであります。 県議会では、二月二十八日に、当時の島田議長に対して、民主・連合の会、公明党、共産党、県政クラブ、社民党の五会派の会長名で、「今回の事案を厳しく反省し再発防止のため徹底究明する必要があるとして、全員協議会等の開催を求める」要請文を提出いたしましたが、ほごにされました。 政務調査費の交付に関する条例では、第六条で、政務調査費の使途の基準は議長が定めるとされ、第七条で、収支報告書は議長に提出しなければならないとされております。第九条では、議長は、政務調査費の運用の適正を期するため必要があると認めるときは、収支報告書について調査をすることができるとあります。まさに議長が当事者であり、最も責任ある立場にありますことからこそ、その責任は重大であります。 したがって、県議会は、県民との信頼回復のため、事件の真相究明を図り、再発防止に取り組むなど、責任ある行動をとる必要があると考えます。柳居議長には、その先頭に立っていただきますよう強く申し上げておきます。 さて、公職選挙法第百九十九条の二第一項の運用と実例として、自治省選挙部編集の平成七年版選挙管理事務テキストには、候補者等が、その名前入りのうちわやカレンダーを選挙区区内にある者に対して送ることはできないとされています。 以上で、民主連合の会を代表しての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(新谷和彦君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 加藤議員の代表質問にお答えいたします。 まず、国政における自民党、公明党の対応に関するお尋ねであります。 加藤議員からは、東日本大震災の発生後における国政レベルでの両党の動向に関し、具体的な事例も交えながら、その見解を示されましたが、そのことについては、地方自治体の長である私の立場から軽々に申し上げるべきことではないと思っております。 しかしながら、一刻の猶予もできない震災対応につきまして、国政の停滞が続くようなことになれば、国民の目からは、震災対応さえも政局に持ち込んでいると映り、国の政治そのものに対する国民の不信感が高まっていくのではないかと私は懸念をいたしております。したがいまして、与野党間でしっかりと議論を行った上で、被災者や被災地の立場に立った政策を速やかに実行に移していく努力を重ねていただきたいと願っております。 次に、震災対策とエネルギー政策に関するお尋ねのうち、まず、被災者の受け入れ支援についてであります。 東日本大震災の発生を受け、県では、一元的な相談、支援窓口となる「受入支援総合相談窓口」を設置をいたしますとともに、県内の公営住宅等での受け入れを開始するなど、被災者の方々の円滑な受け入れや生活支援に積極的に取り組んできたところであります。公営住宅等への入居は、現在八百七十六戸の提供戸数に対し二十戸の入居となっており、今後とも十分に受け入れ可能な状況であります。 また、お示しの住民団体から国や被災各県に対して要請等がなされていることは承知をいたしておりますが、現時点では、具体的な問い合わせや支援要請もないところであります。 私は、被災者の方々の受け入れ支援に当たりましては、そのニーズをしっかりと踏まえた対応が重要であると考えておりますが、現在までの状況では、本県への集団移転のニーズはないものと考えております。 一方、愛宕山開発用地につきましては、県議会の御意見を踏まえ、赤字解消を最優先に国へ買い取りを求めてきた経緯もあり、今年度末の住宅供給公社廃止に向けて、その処分をどうするかが大きなポイントとなっております。 県といたしましては、従来から、この問題につきましては、地元岩国市の意向を尊重して対応するということにいたしておりますが、国が示した施設配置案に係る市の要望に対して、いまだ国からの回答がなく、市の意向を取りまとめる段階には至っていないところであります。 したがいまして、こうした状況を踏まえ、私は、愛宕山開発用地を被災者用集団移転用地として活用することについて国に要望することは考えておりません。 次に、県の実情に合った大規模災害対策についてのお尋ねであります。 まず、大震災や大津波の対策についてでありますが、国におきましては、現在、このたびの大震災を踏まえ、東南海・南海地震等の地震動の推定や被害想定のあり方等について検討が行われており、今後、防災基本計画の見直しが行われる予定となっております。 本県におきましては、かつて発生した山口県北部地震や芸予地震などに備え、平成二十一年度に山口県地震防災戦略を定め、本県で発生するおそれのある地震や津波の被害想定を踏まえた減災目標等を設定をし、建築物の耐震化等の取り組みを進めてきております。また、これまでの周防高潮被害や二年連続して発生した豪雨災害を踏まえ、高潮、洪水、土砂災害等のハザードマップの整備や避難勧告等判断マニュアルの作成など、県独自の対策を進めてきたところであります。 こうした中、このたびの大震災が東北地方を中心に未曾有の被害をもたらしましたことから、これを踏まえ、県において早急に取り組むべき対策を検討するため、「大規模災害対策検討委員会」を設置をし、改めて本県の特性を考慮しながら、東南海・南海地震などの大規模地震や津波の被害想定を初め、高潮、洪水、土砂災害等についても検証を行うことといたしております。 さらに、これらの検証を踏まえて、救助・救急関係機関の連携のあり方や、支援物資やボランティアの受け入れ態勢等について、本県の実情を踏まえた検討を行い、早急に県地域防災計画を見直し、必要な防災対策を講じてまいります。 一方、原子力発電所事故に対しましては、本県は、近県に原子力発電所が立地いたしておりますものの、国の定めている「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」、いわゆるEPZから離れておりますことから、現状においては特段の措置を講じていないところであります。 本県として、防災上の措置が必要かどうかにつきましては、原子力発電所の立地は、国が国策として進められてきたものでもありますことから、まずは、国の責任において、その判断基準等が示されるべきものと考えております。 このため、県といたしましては、中国地方知事会等を通じて、今回の事故原因の究明やEPZの適切な見直し、安全確保等について国に要請したところでありまして、今後の国の動きを注視してまいります。 次に、エネルギー政策における原子力発電のあり方についてのお尋ねのうち、まず、菅総理が表明した「エネルギー政策の白紙からの見直し」に対する感想についてであります。 このたびの福島第一原子力発電所で発生した深刻な事故がいまだに収束に至ってないことや、事故を契機として、原子力に対する国民の意識に変化が生じていることを踏まえますと、私も原子力の積極的な利用拡大を掲げたエネルギー政策を検証もせずに、これまでどおり進めることは適切でないと考えております。 次に、浜岡原子力発電所の停止要請に対する感想についてであります。 想定東海地震が発生する可能性が切迫している状況等を考慮すれば、停止要請をされることについては適切であったと考えておりますが、停止要請の理由などについて、地元自治体を初め、関係自治体に対する説明が不十分でありましたことから、国が示す安全性評価に疑念が生じるなど、混乱を招いております。手順を踏んで丁寧に説明をされるべきであったと思っております。 次に、これからのエネルギー政策における原子力発電のあり方についてのお尋ねであります。 現在、国におきましては、エネルギー政策について、これまでの原子力、化石エネルギーに加え、自然エネルギー、省エネルギーを柱とするなど、見直しの議論が始まったばかりであります。 こうした中、私は、まず一刻も早く福島の事故を収束をさせ、事故原因の徹底究明と検証を急ぐべきであると思っておりますが、エネルギーは県民生活や経済活動に不可欠な基盤でありますことから、現在見直しが始まった新たなエネルギー政策の中で、原子力発電をどう位置づけるのか、上関原電を含む原子力発電の新増設計画をどう定めるのかについて、国民の幅広い意見を踏まえ、国民的合意を得ながら、慎重かつ迅速に議論を進めていただきたいと考えております。 次に、エネルギーの地産地消についてのお尋ねであります。 エネルギー政策の基本は、エネルギーの安定供給の確保、環境への適合及び市場機能を活用した経済効率性の実現を図ることであります。国におきまして、エネルギー安全保障の強化や地球温暖化対策の推進、安全の確保等に留意しながら、総合的、計画的に推進していくことが求められております。 また、太陽光、バイオマス、風力などの再生可能エネルギーは、お示しがありましたように、地域の特性を生かした取り組みを進めることにより、地球温暖化対策やエネルギー自給率向上に資するとともに、地域経済への波及効果も期待できるところであります。したがいまして、私は、これまでも「やまぐち環境創造プラン」や「地球温暖化対策地域推進計画」に基づき、太陽光発電システム等の導入促進や「やまぐち森林バイオマスエネルギープラン」に基づく森林バイオマスの活用などに積極的に取り組んでまいりました。 こうした中、先般開催された中国地方知事会におきましては、各地域に潜在する再生可能エネルギーを、その地域で効果的に活用する、いわゆる再生可能エネルギーの地産地消を促進するため、農地転用許可や新規水利権の取得許可など、さまざまな規制緩和を講ずるよう共同アピールを行ったところであります。 また、御提案の中国五県が参加する協議会等の設置につきましても、新エネルギーの開発や新しいエネルギー需給のシステムなどについて検討するための会議の設置に向けた準備が現在進められております。 御指摘の夏場の電力需給のピークの抑制という視点に立ったエネルギーの利活用に当たっては、ベストミックスやハイブリッド化の導入促進など、多様化や分散化の必要性を初め、電力の需給バランスのあり方につきましても、さまざまな議論が必要になってくると考えておりますので、今後とも、中国地方各県との連携のもと、エネルギーの地産地消に向けた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。 次に、財政の健全化につきまして、一般分の県債残高の削減計画についてであります。 最重要課題である県債残高の縮減に向けましては、本年度の当初予算におきましても、防災対策を中心とする単独公共事業の充実や県立学校等における耐震化の集中的な実施など、「くらしの安心・安全基盤の強化」を図るため、所要の投資的経費を措置する一方で、徹底した財源確保対策に取り組み、県債発行の抑制に最大限努めてまいりました。 これによりまして、お示しがありましたが、投資的経費の財源に充当する一般分の県債につきましては、お示しのとおり、発行額は前年度に比べて二十億円の減となり、三百三十七億円のプライマリーバランスの黒字を確保し、平成十五年度以降九年連続で県債残高を減少させることができたところであります。 今後も、この残高の減少基調を継続していかなければなりませんが、例えば、加藤議員がお示しのように、一般分の県債残高を平成元年度並みの三千億円台にまで減らすためには、公共事業を初めとする建設事業をすべて中止をして、県債発行をとめたとしても、十年程度の期間を要するということになります。 したがいまして、県債残高の性急な削減は困難であります。私としては、県における施策全体のバランスの中で、社会資本整備に係るあるべき投資水準をしっかりと見きわめ、必要な投資的経費は適切に確保を図りながら、残高の縮減を着実に進めていくことが重要であると考えております。 また、そうした中長期的な視点に立って取り組みを進めていくためには、今後の財政収支にも一定の見通しが必要になってまいります。 しかしながら、県財政を取り巻く諸情勢は、現在、極めて不透明であります。投資的経費の関係で申し上げますと、本年度から導入をされた国庫補助金の一括交付金化につきましては、来年度以降の取り扱いがいまだ確定をいたしておりません。 また、収支全体につきましても、東日本大震災に伴う景気と税収への影響はもとより、復興財源の確保問題と関連し、地方交付税を削減すべきとの主張もありますなど、国の地方財政対策も不安定な状態に陥っております。 このようなことから、お尋ねのありました財政健全化の到達目標や一般分の県債残高の削減計画につきまして、これを策定することは困難な状況にありますが、諸情勢が安定し、将来を見通すことができる環境が整えば、今後の対応をお示ししていく必要があると考えております。 次に、人口減少対策についてのお尋ねであります。 人口の減少は、地域経済や県民の暮らしに大きな影響を与えますことから、県の活力を維持し、地域の元気をつくっていくため、平成十九年二月の県議会人口減少問題対策特別委員会からの御提言も十分に踏まえながら、これまで、さまざまな観点からの対策に全力で取り組んでまいりました。 しかしながら、お示しがありましたように、人口減少の流れを食いとめることができなかったことにつきましては、私も大変残念に感じているところであります。 本県のこれまでの人口の推移を見ますと、ピーク時の昭和六十年までは、自然増加が社会減少を上回って人口がふえておりましたが、平成二年には社会減が自然増を上回り、それ以降は自然減と社会減の双方から人口が減少を続けている状況にあります。そして、昨年の国勢調査では、初めて自然減のほうが社会減を上回るという状況になってしまっております。 全国に先んじて少子・高齢化が進行する中、今後、本県の人口減少を抑制していくためには、県議会からのお知恵もいただきながら、さらなる創意と工夫を凝らし、自然減・社会減両面からの対策を一層強化をしなければならないと考えております。 まず、自然減少の抑制につきましては、若者の定住促進による出産年齢層のすそ野の拡大に努めなければなりませんし、全国トップレベルにある不妊治療対策のさらなる充実などを通じて、出生率の向上につなげていかなければなりません。 また、生涯にわたった健康づくりをさらに進めるとともに、がんなどの三大生活習慣病の予防対策にも重点的に取り組んでいきたいと考えております。 また、社会減少を抑制していくためには、お示しがありましたように、雇用対策を強化していくことが重要でありますことから、成長分野を中心とした戦略的な企業誘致活動を初め、若者にとって魅力ある就業の場づくりに努めますとともに、県外学生と県内企業との出会いの場となる就職フェア等への参加しやすい環境を整え、一人でも多くの学生の県内就職につなげていきたいと考えております。 さらには、小中学校から高校に至るまでの児童生徒が発達段階に応じて、さまざまな分野での職場体験の機会を設けることにより、地元企業の存在とその魅力を十分に体感していただく努力も重ねてまいります。 そして、これまたお話がありましたが、今日の人口の減少を抑制していくためには、何よりも県民の皆様がふるさとに愛着と誇りを持って、いつまでも住み続けたいと思えるような山口県にすることが重要であると考えております。その努力も重ねてまいりたいと思っております。 次に、前立腺がんの対策についてのお尋ねであります。 がんは、本県におきまして、死亡原因の最上位にあります。年間約四千七百人の方が亡くなるなど、その対策は、県民の生命と健康を守る上で極めて重要であると認識をいたしております。 このため、私は加速化プランにおいて、がん対策の充実を最重点事業として位置づけ、がん検診の受診率の向上に向けた県民運動を展開することにより、早期発見を一層推進するとともに、全医療圏域での、がん診療連携拠点病院等の整備や、その機能強化により、がん医療水準の向上を図るなど、総合的な対策を進めているところであります。 そこでお尋ねの前立腺がんにつきましては、近年高齢者を中心に患者数が増加をしていることもありまして、高齢化が進んでいる本県におきましては、対策の充実が重要であると考えております。したがいまして、早期発見と治療の充実、この二つの観点から対策を強化をしているところでありますし、強化をしなければならないと思っております。 まず、早期発見につきましては、現在十市町で血液検査による検診が実施をされておりますが、今年度から新たに、山口大学医学部や県医師会等からなる「前立腺がんに関する検討会」を設置をし、より効果的な検診のあり方などについて協議を行うことにいたしております。 また、治療の充実についてでありますが、特に前立腺がんの治療法は、日進月歩により、お示しの密封小線源治療を初め、さまざまな方法がありますことから、患者の症状に応じた最も適切な医療を身近な地域で提供できるよう、がん診療連携拠点病院等とも連携をしながら、より一層医療体制の強化に努めてまいりたいと考えております。 今後とも、関係医療機関と市町と一体となって、がんの予防から治療まで総合的な対策を推進をし、患者や家族の方々の不安解消と負担軽減に努めてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○副議長(新谷和彦君) 上岡康彦君。    〔上岡康彦君登壇〕(拍手) ◆(上岡康彦君) 公明党の上岡康彦でございます。新たな任期がスタートいたしまして、最初の定例議会でございます。公明党県議団としての代表質問に入ります前に、まず、三月十一日に起こりました東日本大震災でお亡くなりになられました方々への御冥福と、被災された皆様へ心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。 さて、私ども公明党県議団は、四月の県議選におきまして、新たな一議席をちょうだいし、五人の議員団として新出発をしたところであります。公明党は、四月の統一選に向け「支え合う社会へ。――地域を伸ばす。日本を変える。」と題して、重点政策を発表し、選挙戦を戦ってまいりました。 政策の柱は、一、身を切る議会改革、二、活力あふれる地域のための経済・雇用、三、一人一人の安全・安心のための社会保障、の三つであります。要約すれば、文字どおりの議会改革推進と地域の安全、安心、元気の三つを早期に確保することをポイントとしております。 まだまだ、県政の諸課題は山積しておりますけれども、県議選で訴えてきた重点政策を一つでも多く推進していくことが、すなわち、住み良さ日本一の元気県・山口実現への近道であると確信しております。 我々公明党は、これからも現場第一主義に裏づけされたチーム力とネットワーク力を発揮しながら、県民の皆様の、安全・安心で希望の持てる社会の実現を果たすべく、これからも全力で取り組んでまいりますことをお誓いいたしまして、質問に移ります。 初めに、防災対策についてお尋ねいたします。 五月三十日、私は、仙台市、石巻市に視察へ行き、石巻専修大学構内に事務局を置き、団体ボランティアの受け入れなどを行っている社団法人石巻災害復興支援協議会で、災害状況とボランティア活動の現状、現在の生活実態と今後の支援のあり方などについて意見を伺ってまいりました。 移動中、山のように積み上げられた大量の瓦れきと自動車、壊滅的なダメージを受けた町並みを目の当たりにして、自然災害の猛威とはこれほどまでに恐ろしいものかと、強烈な畏怖の念を抱かずにはいられませんでした。正直、その衝撃的な光景や悲惨さを表現する言葉が思い浮かびません。 こうした未曾有の大災害を教訓にして、本県においても、大規模・広域災害を想定しての山口県地域防災計画の見直しが急ピッチで行われております。「大規模災害対策検討委員会」においては、検証すべき課題を三つの分野に分類し、県地域防災計画の検証を行うほか、九州地方知事会では、九州・山口で大規模災害が起きた場合に、被災地支援対策本部を設置することや、被災した県に他県が迅速に物資や職員を送る「カウンターパート方式」の導入を決定するなど、いち早く広域支援体制づくりに取り組まれておられることについては、評価しております。 ただ、大事なことは、マニュアルがあっても、いざというときに、実際に行動に移せるか、実際に避難できるか、災害から身を守れるかであります。防災対策は、自然の猛威に対する人間の応戦であります。だからこそ想定外のことを想定しておかなければなりませんし、常に危機意識を働かせておかなければなりません。県としては、こうした緊急避難行動について、いかに工夫して県民に周知させていくおつもりか、まずお伺いいたします。 二点目の教訓として、各自治体による災害時の被災者支援のあり方が問われております。災害発生時は、何よりも人命救助が最優先であります。しかし、その後はきめの細かい被災者支援が求められます。中でも、家を失った住民が生活再建に向けてなくてはならないのが、罹災証明書です。罹災証明書を発行するためには、住民基本台帳と家屋台帳、そして被災状況を確認して新たに作成した調査結果、この三つのデータベースを突き合わせる必要があります。 そこで、今、注目されているシステムが「被災者支援システム」であります。これは、災害発生時の住民基本台帳のデータをベースに被災者台帳を作成し、被災状況を入力することで罹災証明書の発行から支援金や義援金の交付、救援物資の管理、仮設住宅の入退去、固定資産税の減免等も、一元的に管理できるシステムです。実際の事務手続は各市町が行う業務ですが、今回の災害で、改めて平時から、災害時に住民本位の行政サービスが提供される体制づくりを進める必要性が高まっていますので、ぜひとも、県としても各市町へのシステム導入・運用を後押ししていただきたいと思うのでありますが、御所見をお伺いいたします。 次に、上関原発建設計画の対応について伺います。 三・一一東日本大震災に伴う福島第一原発の事故発生により、二井知事は中国電力に対して慎重な対応を求め、上関原発建設の準備工事は現在中断した状況にあります。これまで、日本の原発は安全であることを前提に建設が進められてきましたが、今回の事故により、その前提が崩れたと言わざるを得ません。今、事故原因の究明と安全基準の見直しが急がれるにもかかわらず、原子力発電所の安全対策などについて、政府はちぐはぐな言動を続けています。 政府は、三月三十日、事業者に点検を指示、今月七日までに結果を公表しましたが、その間、事故直後にメルトダウンが起こっていた事実を二カ月もたって公表するなどの失態を演じました。さらに、五月十六日、「津波で被害を受けたが地震では問題なかった」としてきた政府見解と異なり、地震で外部電源供給の基幹設備が破損した事実も判明しました。 また、福島第一原発の事故原因が解明されていないことは、IAEA(国際原子力機関)閣僚会議に提出した政府の報告書も、事故報告書としては暫定的なものであると認めているにもかかわらず、海江田経産大臣は、六月十八日、福島第一原発と同様の事故を防ぐための安全対策が全国の原発で実施されたとして、現在、定期検査などで停止中の三十五基の原発の再起動について、「安全上支障がない」とする談話を発表しました。 政府として暫定的な事故報告しか出せない段階で、なぜ経産省は安全と宣言できるのか。なぜ、もっと国民が安心するような調査と情報開示ができないのか。政府こそが国民の不安を増幅させているといっても過言ではありません。 一方で、エネルギー供給の約三割を失うということは、大変な事態であります。隣の九州でも玄海原発や川内原発が定期点検後の再起動が困難な状況にあることから、一五%の節電計画を発表した途端、複数の企業が九州への工場進出について白紙撤回を表明、慌てて節電計画を引っ込めるという混乱ぶりであります。 日本にとって、産業の空洞化という事態になれば、地方の中小企業を中心に想像を超えた被害が発生することも否めません。責任を持って電力を安定的に供給するというのも重要なミッションであることを認識しなければなりません。 国民は今、原発の存在と真摯に向き合い、原発のリスクを冷静に見きわめながら、将来のエネルギー供給のあり方を真剣に考えるべきときに来ています。このようなときに必要なことは、国民が求める安心・安全につながる、しっかりとした調査と確かな情報の開示、そして新たなエネルギー政策であります。 そこで、政府への要望の中で主なものとしては、第一に、すべての原発について総点検を行い、安全対策を講じること。第二に、事故原因を調査し、安全基準を早急に見直すこと。第三に、厳正な相互牽制が可能となるよう原子力行政体制を改革すること。第四に、電力供給の安全性を踏まえ、今後のエネルギー政策の方向性を示すこと。以上の四つであります。 現在では安全性を判断するための情報が不安定であり、かつ電力供給の安全性の筋道が見えていないと言わざるを得ません。 したがって、上関原発建設計画については、以上四点の方向性が示されるまでは、当面は凍結して推移を見守り、国において議論が尽くされた段階で、再度、対応方針について検討すべきであると思いますが、知事の見解をお伺いします。 次に、東日本大震災の影響を踏まえた県内中小企業への対策についてお尋ねいたします。 東日本大震災では、工場や事務所の被災に加え、サプライチェーンの寸断等で、多くの企業が操業停止に追い込まれるなど、被災地を中心に生産活動に大きな支障が出ております。現在、関係者の方々の懸命な御努力により、予想より早く復旧が進んでいるようでありますが、被害が甚大だった沿岸部では、いまだに操業再開のめどが立たない企業も多いと聞いております。こうした状況から、特に東北四県の経済情勢は急速に悪化し、さらに、直接被害だけでなく、間接的な取引などによる関連の倒産も、六月の段階で百社を超えるなど、全国的にその影響が及んでおります。 これに対し、国は、全国の信用保証協会や金融機関等に対し、直接、間接の被害を受けた中小企業への金融支援を要請いたしました。日本政策金融公庫は、被災中小企業に対し、一千億円の融資枠を創設し、日銀は、復興支援融資として、一兆円枠の新たな貸出制度を創設するなど、被災企業復興のための金融支援を強化しておりますし、被災地以外の自治体でも、公的融資制度の要件緩和による金融の円滑化、相談体制強化などの中小企業への対策がとられております。 また、被災企業再生のため、債権を買い上げる公的機関の設立やリース債務の支払い猶予など、国会での早期成立が待たれているところであります。 最近では、被災地の復旧が前倒しで進んでいることから、上向きの動きも見られるとの景気判断も出されていますが、県内企業の状況について見ますと、原材料や部品の調達難などにより、マイナスの影響を受けた企業が半数を超えるとの調査結果も公表され、山口財務事務所が発表した県内企業の景気予測調査結果を見ましても、景況判断指数がマイナス二六・五と大きく下降しており、震災の影響で需要動向に大きな変化が生じたことにより、不透明感が広がり、とても楽観視できるような情勢にはありません。 さらに、夏場の電力供給不足による生産活動の停滞など、不安定な要因もあり、県内経済への下押し圧力が続き、供給制約や消費・投資意欲の低下などの影響も懸念されるところであり、引き続き注視しながら、対策をとっていく必要があります。 そこでお尋ねいたしますが、こうした震災による県内中小企業への影響について、県ではどのように状況を認識され、対策を講じられているのかお伺いいたします。 次に、県内企業へのイノベーション政策についてお伺いいたします。 昨年、北海道大学名誉教授の鈴木章さんと米国パデュー大学特別教授の根岸英一さんがノーベル化学賞を受賞されました。根岸さんは、帝人の岩国研究所に勤務されたことがあり、鈴木さんは、周南市の東ソー・ファインケムの技術顧問を務めるなど、いずれの受賞者も県内企業にゆかりのある研究者であり、大変喜ばしい出来事でありました。 先般、受賞者の一人である鈴木教授の講演会が周南市で開催され、招待された約六百人の中高生も含め、会場は大盛況だったようです。講演の中で、鈴木教授は「日本は資源のない国で、科学、技術によって付加価値の高い製品をつくって外国に買ってもらうことが大切」と科学技術の重要性を説かれております。 一昨年に行われた政府の行政刷新会議の事業仕分けでは、科学技術予算の廃止や大幅削減が提案され、ノーベル賞受賞者を初め、多くの関係者から猛反発を招いたのは記憶に新しいところでありますが、至極当然であります。資源小国・日本のあすは科学技術の発展にかかっており、科学技術立国こそ、我が国の進むべき道であります。科学技術の力で世界をリードしていくためには、国と地域が一体となって、大学等の研究成果を産業界に移転する産学官連携システムを構築し、人材、予算等の研究資源を集中投下していくことが必要だと考えます。 さて、我が国が、科学技術創造立国を目指して、科学技術の振興を強力に推進していく上でのバックボーンとして、科学技術基本法が制定されておりますが、この中で、政府は、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、科学技術の振興に関する基本的な計画を策定しなければならないことになっております。これまで、科学技術基本計画は三度策定され、今年度から五年間の第四期科学技術基本計画の策定が予定されておりましたが、東日本大震災により、我が国の経済社会に多大な被害・損害が発生したことから、閣議決定が延期され、現在、内容の見直しが行われているさなかであります。 ただ残念なことに、今回、想定外の規模の震災だったとはいえ、これまで我が国が蓄積してきた研究開発の成果が必ずしも十分に実用化に結びついていない点が露呈されました。我が国が直面する課題の解決という観点のみならず、国民からの理解・支持を得るといった観点からも、「研究のための研究」ではなく、研究の成果や技術革新を社会の中で実用化していく「科学技術イノベーション政策」を強力に推進することが必要不可欠であると考えております。 県では、平成六年に科学技術振興指針を策定され、地域の産業振興を図る観点から、産学官連携ネットワークの構築に努められておりますし、産業技術センターの機能強化を図るほか、知的クラスター創成事業を初め、大学を核としたイノベーション創出に向けた取り組みを実施され、現在、やまぐちグリーン部材クラスター事業を推進されるなど、これまでの科学技術の振興に向けた取り組みを評価しております。 しかしながら、大震災の影響等もあり、持続的な経済成長を実現することは、待ったなしの状況であります。今後の経済成長の柱とされる「グリーン」と「ライフ」の二大イノベーションのほか、安心・安全のイノベーションも加え、県としても、これまで以上に、地域の特色を生かした産学官共同研究を推進するとともに、研究成果の地域企業への展開を図るなど、明確なビジョンに基づき、イノベーションの創出に向けた取り組みを積極的に展開していく必要があります。 そこでお尋ねいたしますが、本県産業の高度化と経済の活性化に向けて、県内企業によるイノベーション創出の支援に、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、障害者スポーツ政策についてお伺いいたします。 今月十七日、参院本会議でスポーツ基本法案が可決、ついに成立となりました。このスポーツ基本法は、公明党が主張し続け、二○○九年の解散総選挙前に当時の与党だった公明党と自民党が法案を共同提案、その後も紆余曲折がありましたが、今回やっと超党派で成立までこぎつけたものです。 国家戦略としてのスポーツ施策のあり方を定めたスポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活、スポーツの意義や理念、地域スポーツの発展、スポーツ団体のみならずスポーツ全般の施策のバックアップ、あるいは、プロ選手も含めるなど、幅広い内容となっています。 そのスポーツ基本法の基本理念としては、自主的、自律的なスポーツ活動、そして学校、スポーツ団体、家庭、地域の相互連携、そしてスポーツを行う者の心身の健康の保持増進、安全の確保、そして障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるようにするための配慮、そして競技水準の向上に資する諸施策相互の有機的な連携、効果的な実施など、八つの理念を掲げ、これを踏まえてスポーツ基本計画を定めることとされ、「スポーツ推進のための基礎的条件の整備」、そして「地域スポーツの推進」、そして「競技スポーツの推進」の三つの観点から基本的施策が盛り込まれています。 実は、これまでのスポーツ政策は、一九六四年開催の東京オリンピックにあわせて、三年前の一九六一年に施行されたスポーツ振興法なる法律に基づいて行われてきました。しかしながら、この法律も半世紀を経て、今日の政策課題を検討するためには内容が適切ではなくなってきたのであります。 例えば、障害者スポーツは、もともと障害者の機能回復訓練やリハビリからスタートしたため、スポーツ振興法には障害者に関する記述がありませんが、今日では、障害者が競技スポーツを行うことは当たり前の姿になっています。 また、スポーツ政策を実施する省庁が複数に分かれており、縦割り行政の弊害も生じています。例えば、厚生労働省と文部科学省の所管省庁の違いは、その対象者も、対象となるトレーニング施設も違いますので、障害者には施設の使用許可がおりないというようなことになってしまいます。 こうした縦割り行政への対応策として、各省庁のスポーツに関する部門を一元化するスポーツ庁の創設が期待されておりましたが、今回は設置の検討が附則に記されるにとどめられました。 障害者スポーツには、体力、健康の維持・増進、あるいは障害者自身の自己実現といった、身体的・精神的効果にとどまらず、社会進出や地域活動への契機といった社会的効果を期待します。 しかし、障害者が地域においてスポーツを行うことは容易なことではありません。障害者の身体的・精神的な障壁とともに、社会的な障壁が大きく立ちふさがっています。障害者が利用できるスポーツ施設は限られ、障害者への対応の不備や、スポーツ関連情報や仲間の不足等、地域においてスポーツを行う上での障壁はさまざまなものがあります。 このような社会的障壁を取り除き、地域において、障害者がスポーツを実践できる環境を整備することは、地域社会への障害者理解を促進させる契機を提供することになります。 そこでお尋ねいたしますが、すべての障害者にスポーツを享受する機会やその可能性を保障し、障害者スポーツを充実させ、スポーツ文化の一領域をつくり上げることが必要であると考えますが、今後の障害者スポーツの取り組みについて御所見をお伺いいたします。 最後に、教員の資質能力向上についてお伺いいたします。 昨年来、教育委員会事務局がこうべを下げる飲酒絡みの不祥事が相次ぎ、極めて遺憾であり、甚だ残念でなりません。長門市の小学校長、周防大島町の県立高校教諭二人及び町立中学教諭と、昨年度から四件の懲戒免職処分が行われております。飲酒運転で検挙されるのは教員だけではありませんが、教員という職が有する責任や社会的な影響を考えると、社会規範の自覚のない重大なる過失と言わざるを得ませんし、加えて任命権者による重い処分が下されても仕方ありません。 全国的にも、東日本大震災の義援金を出さなかった生徒二十人の名前を教室の黒板に掲示した市立中学校教員、財布を盗んだと疑われた当時三年生の男子生徒に対し、「身の潔白を証明したいなら脱げ」と発言し、下着一枚にさせた県立高校教員などが報道されています。 教員は、二十四時間三百六十五日、どこにいようが教員なのです。子供たちは、教員という存在を規範そのものとして見つめながら育っていきます。ゆえに、社会規範・常識を逸脱する教員の行為は、子供たちやその家族に対し、学校の信頼を著しく失墜させることを肝に銘じていただきたいのであります。それまで、どんなに立派なことを教えてきたとしても、きっと子供たちは、一番身近で、一番信じていた大人に裏切られたと感じることでしょう。 このような問題を起こす教員は、ほんの一握りだと信じたいのですが、中には「もとから適性がない人もいるのではないか」と疑うような事案を耳にすることもあります。採用段階で慎重に人物を見ていただきたいのであります。 県教委は、先月、平成二十四年度山口県公立学校教員採用候補者選考試験実施要綱を発表されましたが、今後は、これまで以上に教科等の専門性に加え、倫理観やコミュニケーション能力など、教員に不可欠な能力を見きわめて優秀な人材の確保・育成に努めていただきたいと思います。 ところで、教員は、教壇に立つと子供集団に大人一人という状況になります。ともすると社会認識が薄れたり、自分を厳しく省みる機会が乏しくなることが想像されます。校長先生や先輩教員による校内の人材育成は、教育界の行く末を占う点からも重要な意味を持っており、今後一層、組織的な人材育成に力を注ぐ必要があると考えます。 また、不祥事を起こす教員は、学校の中で孤立してはいませんか。教員集団の中で、より相互のコミュニケーションが図られる職場づくりができていれば、不祥事は減らせませんか。本当によい組織とは、個人の力だけでは決して実現できません。一人一人が、豊かな人間性やコミュニケーション能力などを包括した「人間力」を磨くとともに、教員一人一人の人間力を向上させるための「組織力」向上も重要であります。 先月、大震災の被災地の視察に行ってまいりましたが、災害避難所に充てられた学校で、教員が黙々と被災者を激励し、「地域のために頑張っていた」とか「地域のよりどころになっていた」との声も耳にしております。本県の教員にもぜひ頑張っていただきたいと、こういう思いでございます。 そこでお尋ねいたしますが、信頼される学校づくりを進めるためには、すぐれた資質能力を有する教員を確保するとともに、教員が社会の尊敬と信頼を得られるように、組織力の向上を図ることが重要だと考えます。そのために、県教委としてどのように取り組まれるのか、教育長にお伺いをいたしまして、公明党代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(新谷和彦君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 上岡議員の代表質問にお答えいたします。 最初に、防災対策についてのお尋ねのうち、緊急時の避難行動についてであります。 このたびの東日本大震災における地震や、それに起因する津波の規模は、これまでの想定をはるかに超えた大規模なものでありました。しかしながら、お示しがありましたように、このたびの震災を想定外であるとか異常であるとかという受けとめをするのではなく、今後、このような災害は、いつでも、どこでも起こり得るということを常に念頭に置き、県民の皆さんが、災害時において適切な行動がとれるように、高い防災意識に支えられた日常的な準備を万全にしていただくことが重要であると考えております。 そこで、お尋ねの緊急時の避難行動につきましても、人命の被害を最小限に食いとめるためには、迅速で適切な避難が何よりも有効でありますことが、このたびの大震災におきましても、改めて実証されたところであります。 こうした迅速で適切な避難行動を可能とするためには、常日ごろから、具体的な避難経路や安全な避難場所の周知徹底が図られているとともに、災害時におきましては、迅速で正確な災害情報の伝達と、適切な避難誘導等が実施されることが重要となります。 このため、県といたしましては、避難行動を促す契機となる災害情報の提供につきまして、市町が行う洪水、高潮、土砂災害等のハザードマップの整備への支援や、県ホームページの充実、雨量・水位などの災害情報を住民に直接提供する県防災情報メールの配信等に取り組んでまいりました。 また、災害時におきましては、自主防災組織の活動が、住民への情報伝達や避難誘導等に大きな役割を果たすことに着目をいたし、市町が行う自主防災組織のリーダー研修におきまして、幼児や高齢者などの災害時要援護者の避難誘導の方法や適切な避難経路を学ぶ防災マップづくりなど、より実践的な研修が実施されるように支援をしているところであります。 私は、県民の皆さんに災害時に適切な避難行動等をとっていただくためには、防災を生活の一部として日ごろから学び、災害への準備をしておくことが何よりも大切であると考えておりまして、そのような防災文化のさらなる普及定着に向けて、市町との連携を一層強化しながら取り組んでまいりたいと考えております。 次に、各市町への「被災者支援システム」の導入についてのお尋ねであります。 未曾有の大震災から三カ月余りが経過をし、被災地におきましては、国や自治体を挙げての復旧・復興対策や、住民の生活再建に向けての取り組みが鋭意進められております。 こうした中で、現在、全国市長会等を通じて、被災市町村への人的派遣も続けられておりますが、被災自治体の行政機能の低下等もありまして、住民の生活再建に必要な罹災証明書の発行や義援金等の給付が滞る実態も見られるところであります。したがいまして、私も、災害発生時におけるこうした各種手続の一元化については、平時から取り組むべき重要な課題であると考えております。 そこで、お示しのありました「被災者支援システム」についてでありますが、阪神・淡路大震災の実体験を踏まえて、被災自治体の職員により開発されたものであります。混乱した状況の中で、市の職員が被災者に必要な証明書類の発行や義援金交付を、ミスなく迅速に実施するのに役立ったなど、被災者支援、復旧・復興支援に大きな力を発揮したとお伺いをいたしております。 また、県内市町を含めて、今回の東日本大震災を契機に相当数の自治体で導入が進められてきております。被災地におきましても、このシステムにより円滑に事務が行われるようになったなどの活用事例も報告をされております。 したがいまして、私としては、災害発生時において情報管理を一元化し、生活再建のための支援サービスを迅速に行うためには、このシステムは有効なものと考えておりまして、今後、県内各市町において、円滑な導入が進められるように情報提供や助言等に努めてまいりたいと考えております。 次に、上関原子力発電所建設計画の対応についてのお尋ねであります。 東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は、いまだ収束しておらず、原子力発電そのものに対する国民の信頼を大きく損ね、国の安全基準や安全規制体制のあり方に対しても不信感が広がってきております。 また、全国の原子力発電所におきましては、国から安全性に対する納得できる説明がないために、定期検査により停止中の原子力発電所の再稼働が困難となっており、このままでは電力の安定供給に支障が生ずるおそれがあります。 このため、私は、県民の安心・安全を守る立場から、国に対し、安全対策全体の総点検、事故の原因究明、安全基準の見直し、原子力安全行政の見直し、エネルギー政策の見直し等について、中国地方知事会や九州地方知事会を通じて国に要請してきたところであります。 現在、国におきましては、新成長戦略実現会議によるエネルギー政策の見直し、事故調査・検証委員会による事故調査、原子力安全委員会による安全審査基準等の見直し等が開始をされたところであります。 したがいまして、まずは国において、事故原因の徹底究明と検証を急ぎ、新たな知見に基づき安全指針等を早急に見直し、その上で、新たなエネルギー政策の中で、原子力発電をどう位置づけ、上関原電を含む新増設計画をどう定めるのか、明確に示すべきであると考えております。 私は、上関原電計画につきましては、これまでも申し上げておりますように、国のエネルギー政策に協力をし、地元上関町の政策選択を尊重するという基本姿勢に立ちながら、今後の国の動向を注視をしてまいりたいと考えております。 次に、東日本大震災の影響を踏まえた県内中小企業への対策についてのお尋ねであります。 震災による影響につきましては、民間団体等の調査によりますと、お示しのとおり、サプライチェーンの寸断による自動車関連における一時的な操業の落ち込みや、原材料や部品、商品等の調達難、さらには、震災直後に自粛ムードが高まったことによる売り上げの減少等によりまして、経営にマイナスの影響を受けたとする企業が多く、また、回復には時間を要するとの見通しもありますことから、県内中小企業を取り巻く環境は、当面、厳しい状況が続くものと考えております。 こうした中で、県におきましては、被災後直ちに、売り上げの減少や資金繰りの悪化などにより、経営の安定に支障を来した中小企業を支援するため、信用保証協会及び各商工会・商工会議所に特別相談窓口を設置をし、また、震災の影響を受ける中小企業を低利かつ長期の中小企業制度融資の経営安定資金の対象に加えるなど、いち早く対策を講じたところであります。 また、四月末には、震災の影響を受けた県内企業の状況を踏まえ、国、県、金融機関及び中小企業支援機関による連絡会議を設置をいたし、各支援機関の対応状況や国の緊急対策等について情報交換を行いますとともに、中小企業に対する積極的な資金繰り支援等を要請をいたしました。 さらに、このたび、新たな国の制度である「東日本大震災復興緊急保証」の活用を促進するため、経営安定資金の融資要件を緩和をし、中小企業の金融の円滑化に努めております。 今後の経済動向は、全国的には、サプライチェーンの立て直しが進み、大手企業の操業が順次回復をしておりますことから、県内におきましても、新たな取引や受注の増加など、中小企業の活動も徐々に回復してくるものと期待をいたしておりますが、震災復興の見通しとも絡み、依然として先行きが不透明であります。私としては、引き続き、情報収集に努め、県内経済への震災の影響を十分に注視をしていきますとともに、県内中小企業の経営の安定に向けて、関係機関と連携し、適切に対処してまいりたいと考えております。 次に、県内企業へのイノベーション政策についてのお尋ねであります。 県経済の持続的な発展を図るためには、密接な産学公連携のもと、本県工業が有する強みや特性を生かした研究開発等に取り組むなど、地域の潜在能力を結集し、いわゆるイノベーションの創出を促進し、新製品・新技術、新システム等を生み出すことにより、産業クラスターの形成につなげていくことが重要であります。 このため、これまでも、県内大学で培われた独創的なLED技術を活用し、医工連携による知的クラスター創成事業に取り組んできたところであります。今後これをさらに発展をさせ、現在、環境負荷低減型の次世代産業の集積に向けて、LED加工基板や太陽電池材料などの技術や製品を開発するやまぐちグリーン部材クラスター事業を推進をしているところであります。 また、全国有数の副生水素産出県である特性を生かし、「新エネルギー利活用プロジェクト」に新たに着手をいたしたところであり、地域における水素の持続的な利活用や、地産エネルギーを効果的に活用した、いわゆるスマートファクトリーの導入等に関する調査を行い、あわせて、県内企業の技術力を生かした水素関連製品の試作開発を目指すことにいたしております。 このほか、本県におきましては、大型貨物船向けの緊急脱出用救命艇や、高齢者向けの安否確認システム、緊急用の防災土のうを初め、安心・安全に関連するさまざまな製品開発も行われており、産学公連携によるイノベーション創出の機運が高まってきております。 こうした取り組みをさらに加速化するため、この五月には、山口大学及び産業技術センターに「やまぐちイノベーション創出推進拠点」を開設をいたしました。 私は、この拠点施設の機能を十分に発揮させることにより、高性能電池用部材や廃シリコンの再生技術など、県内大学の省エネ・省資源型の技術シーズを核とした、付加価値が高く競争力のある新製品・新技術の創出につなげてまいりたいと考えております。 今後とも、産業技術センターを初めとする中小企業支援機関や県内大学等と緊密な連携を図りながら、人材の育成や新事業展開を支援するなど、お示しの「グリーン」と「ライフ」の二大イノベーションに加えまして、安心・安全も含めて、県内企業によるイノベーション創出の取り組みを積極的に推進をしてまいりたいと考えております。 次に、障害者スポーツ政策に関してであります。 私は、ノーマライゼーションの理念のもと、障害のある方が住みなれた地域で自立して暮らしていくためには、地域生活や社会参加への支援を通じ、障害者が活躍できる社会づくりを進めていくことが重要であると考えております。 中でも、障害者スポーツは、競技等を通じてスポーツの楽しさを体験し、障害者の生活の質の向上等に資することから、その振興を図ってきたところであります。これまでもスポーツ施設のバリアフリー化や指導者の養成など、ハード・ソフト両面から環境づくりを推進をしてまいりました。 こうした中、今国会におきまして、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、お示しのスポーツ基本法が制定をされ、障害者スポーツにつきましても、初めて明確な位置づけがなされ、障害の種類・程度に応じた配慮や施設整備に当たっての障害者等の利便性の向上なども明記をされたところであります。 私は、全国障害者スポーツ大会「おいでませ!山口大会」の開催を契機に、本県の障害者スポーツの一層の振興を図っていかなければならないと考えていたところでありまして、山口大会の成果を踏まえ、スポーツ基本法に示された施策の基本的な方向性にも沿って、今後、取り組みを強化する考えであります。 具体的には、より多くの方に障害者スポーツを楽しんでいただくため、山口大会に向けて養成してまいりました指導者等を学校や施設等の要請に応じて派遣できるよう、障害者スポーツ協会に「障害者スポーツ人材バンク」を設置するということにいたしております。 さらに、障害者スポーツ指導者の意欲を高揚し、活動の活性化を図るために、新たに、県内の障害者スポーツの発展に尽力・貢献のあった指導者を表彰する制度も設けたところであります。 こうした成果も踏まえ、明年度に策定する次期「やまぐち障害者いきいきプラン」におきまして、障害者のスポーツ活動の機会の確保や競技水準の向上について検討してまいります。 私は、山口国体・山口大会の開催を契機に、障害者スポーツの振興はもちろんのこと、本県スポーツ全般にわたりましても、さらなる振興を図っていきたいと考えているところであります。 以上であります。 ○副議長(新谷和彦君) 田邉教育長。    〔教育長 田邉恒美君登壇〕 ◎教育長(田邉恒美君) 教員の資質能力の向上に関するお尋ねにお答えいたします。 強い使命感や倫理観が求められる教員が、相次いで不祥事を起こしましたことは、まことに遺憾であります。 県教委といたしましては、信頼回復に向け、総力を挙げて取り組んでいるところでありますが、お示しのとおり、信頼される学校づくりを進めるためには、すぐれた資質能力を有する教員を確保いたしますとともに、人材育成の視点に立った学校の組織力の向上に取り組んでいく必要があると考えております。 このため、教員を目指す学生が、大学一・二年次の早い段階から、教職に対する意欲や情熱、使命感などを持てるよう、今年度新たに学校体験制度を創設いたしますとともに、教員採用試験におきましては、集団面接を第一次試験と第二次試験の両方で実施することとし、人間性やコミュニケーション能力などを十分に見きわめ、より一層人物重視の視点に立った選考を行うことができるよう改善を図ったところであります。 また、教員一人一人が専門性を高めることはもとより、強い使命感や高い倫理観を持ち続け、将来の見通しを持ってみずからの資質能力の向上に意欲的に取り組めるよう、体系的・計画的な研修の実施に引き続き努めますとともに、新たに、教員の人材育成に係る基本方針を策定することとしております。 次に、学校の組織力の向上につきましては、校長のリーダーシップのもと、すべての教員が学校の課題を共有し、目標の達成に向けて協働して取り組んでいくよう、学校評価や教職員評価の取り組みをより一層推進してまいります。 また、教頭の学校運営や人材育成に係るマネジメント能力のさらなる強化を図りながら、各学校の日常の業務を通した教員同士の相互啓発を一層促進し、組織的な学校運営に向けての教員の意識改革を進めてまいります。 県教委といたしましては、市町教委との連携のもと、教員の資質能力の向上に全力で取り組み、信頼される学校づくりを進めてまいります。 ○副議長(新谷和彦君) これをもって代表質問を終わります。   ───────────── ○副議長(新谷和彦君) 以上をもって、本日の日程は全部終了しました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時四十分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   新   谷   和   彦                   会議録署名議員   吉   田   充   宏                   会議録署名議員   井   上       剛...