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  1. 山口県議会 2009-02-01
    03月05日-05号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成 21年 2月定例会   平成二十一年二月山口県議会定例会会議録 第五号      平成二十一年三月五日(木曜日)  ────────────────────        議事日程 第五号      平成二十一年三月五日(木曜日)午前十時開議  第一 一般質問  第二 議案第一号から第七十二号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第七十二号まで                会議に出席した議員(四十八人)                          柳   居   俊   学 君                          吉   井   利   行 君                          伊   藤       博 君                          石   﨑   幸   亮 君                          吉   田   和   幸 君                          塩   満   久   雄 君                          水   野   純   次 君                          林       哲   也 君                          加   藤   寿   彦 君                          有   福   精 一 郎 君                          先   城   憲   尚 君                          佐 々 木   明   美さん                          小   泉   利   治 君                          岡   村   精   二 君                          久 保 田   后   子さん                          二   木   健   治 君                          藤   本   一   規 君                          重   宗   紀   彦 君                          藤   生   通   陽 君                          松   永       卓 君                          合   志   栄   一 君                          西   嶋   裕   作 君                          末   貞   伴 治 郎 君                          新   谷   和   彦 君                          田   中   文   夫 君                          島   田       明 君                          渋   谷       正 君                          木   村   康   夫 君                          石   丸   典   子さん                          国   井   益   雄 君                          守   田   宗   治 君                          山   手   卓   男 君                          槙   本   利   光 君                          畑   原   基   成 君                          吉   敷   晶   彦 君                          久   米   慶   典 君                          秋   野   哲   範 君                          河   野       亨 君                          大   西   倉   雄 君                          河   北   洋   子さん                          森   中   克   彦 君                          河   村   敏   夫 君                          藤   井   律   子さん                          友   広       巌 君                          上   岡   康   彦 君                          今   倉   一   勝 君                          新   藤   精   二 君                          竹   本   貞   夫 君                会議に欠席した議員(なし)                欠員(一人)                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          二 井 関 成 君                    副知事         西 村   亘 君                    総務部長        三 好   猛 君                    総務部理事       奈 原 伸 雄 君                    総合政策部長      岡 田   実 君                    地域振興部長      小 田 由紀雄 君                    環境生活部長      伊 藤 通 雄 君                    健康福祉部長      今 村 孝 子さん                    商工労働部長      佐 本 敏 朗 君                    農林水産部長      松 永 正 実 君                    土木建築部長      柳 橋 則 夫 君                    国体・障害者                    スポーツ大会局長    太 田 光 宣 君                    会計管理局長      河 嶌 繁 太 君                    財政課長        吉 浜 隆 雄 君                    公営企業管理者     清 弘 和 毅 君                    企業局長        菊 本 義 徳 君                    教育委員長       村 上 智 真 君                    教育長         藤 井 俊 彦 君                    公安委員長       清 水 孝 子さん                    警察本部長       御手洗 伸太郎 君                    代表監査委員      村 田   博 君                    監査委員事務局長    田 中 一 郎 君                    労働委員会会長     瀧 井   勇 君                    労働委員会事務局長   西 本 達 喜 君                    人事委員長       佐久間 勝 雄 君                    人事委員会事務局長   山 本 充 二 君                    選挙管理委員長     上 符 正 顕 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        木 村 克 己 君                    事務局次長       中 山 哲 郎 君                    審議監兼議事調査課長  清 水 英 司 君                    総務課長        橋 本 雅 寛 君                    政務企画室長      秋 貞 憲 治 君                    秘書室長        市 原 栄 一 君                    議事調査課長補佐    田 中   肇 君                    議事記録係長      大 井 良 平 君                    主任主事        河 村 美也子さん                    主任主事        末 永 聡 子さん                    主事          吉 本   完 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(島田明君) これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第七十二号まで ○議長(島田明君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十二号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 林哲也君。    〔林哲也君登壇〕(拍手) ◆(林哲也君) おはようございます。自由民主党の林哲也でございます。 物すごいスピードで移り変わっております現代においては、少し古い話かもしれませんけれども、ことしの一月に、バラク・オバマ氏が、広場を埋め尽くした二百万人の聴衆に祝福をされまして、第四十四代のアメリカ大統領に就任いたしました。 そして、二年間余りの熾烈な大統領選挙を戦った最強のライバル、ヒラリー・クリントン国務長官が、最初の訪問国に日本を選び、精力的に外交日程をこなしながら、鮮やかなブルーのスーツ姿とさわやかな笑顔を振りまいて、日本の国民に好印象を与えつつ、日本を飛び立ちました。 国民性の違い、政治土壌の違いかもしれませんが、百年に一度と言われる世界同時不況の真っただ中にある、アメリカ合衆国の明るさ、たくましさ、フロンティア・スピリットを再認識いたしました。 麻生総理は、この経済不況を先進国で一番早く脱却すると明言をされました。地方政治家の一人として、真摯にこれを受けとめ、県民の福祉の向上と生活の安全・安心のために、より一層知恵を絞り、汗を流さなければならないというふうに思いました。 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。 所属の農林水産委員会に属する質問が多くありますが、喫緊の重要な課題でありますので、本会議場で質問をさせていただきますことを許していただきたいと思います。 まず、平成の農政改革についてお伺いいたします。 日本の農業のあり方を定める「食料・農業・農村基本計画」は、十カ年間の政府の農政運営の指針であり、五年ごとに見直すことになっています。二○○五年三月に閣議決定された現行計画は、これから一年かけて議論し、来春、二○一○年三月を目途に見直しをされ、新しい農政計画が決定をされる運びになっています。 麻生総理は、施政方針演説の中で、閉塞感のある日本の農業の抜本的な改革に意欲を示し、水田のフル活用や、農地を有効利用する農地改革、担い手の育成、農商工連携に重点的に取り組み、農家所得の向上と地域の雇用の拡大を進める考えを表明しました。 また、石破農林水産大臣は、焦点となっている米の生産調整である減反政策を維持すべきか、見直すべきかについて、「タブーを設けずに、あらゆる角度から議論をする」と強調いたしました。 まさに、農政の抜本的な改革論議の始まりであります。 しかしながら、米の生産調整(減反政策)の廃止を含めた見直しは、米価の大幅な下落を招き、JAを中心とした農業団体や生産農家の強い反発も予想されます。 私は、山口県農業会議の会長職を七年間務めてまいりました。その間、平成十三年から十五年の二年間、全国農業会議所の代表として、農林水産省の政策審議会の委員に選任されまして、さきの「食料・農業・農村基本計画」の策定にかかわってまいりました。 二年間、真剣に議論をし、農業・農村の実情、生産現場の声を反映させてきたつもりではありましたが、全国の農業・農村地域の疲弊感は、それ以上に速く進み、危機的な状況に陥っています。食料自給率は、主要国で最低水準の四○%に落ち込み、耕作放棄地と休耕田を合わせた面積は、東京都の三倍近くにまでふえてしまいました。 一方、農業従事者の高齢化が進み、余りよい言葉ではありませんが、限界集落に見られるように、中山間地域を中心に、地域社会の維持にも支障が出ているところもあります。この中山間地域での農業を支えているのが、中山間地域等直接支払制度でありますが、現行の第二期対策は来年度で最終年を迎えることとなりますので、来年度には制度の見直しが行われることになります。 また、今回の「食料・農業・農村基本計画」は、WTO交渉が大詰めを迎える中での計画策定となることが想定されますので、ミニマムアクセス米の扱いなども大きな焦点となると思われます。 いずれにせよ、食料・農業・農村の問題は、国政レベルで大きく動いており、五年、十年先を見据えた日本農業の大転換が、現在、国において議論されているのであります。 県におかれましては、これまでも、知事会などを通じて、生産現場の声を国政の場に伝えてこられましたが、これから大きく農業政策の見直しが行われる中で、ぜひとも、県下の農業団体JAグループ農業生産法人組織認定農業者などの方々とよく意見を交換し、生産現場の意見や要望をしっかりと国政の場へ届けていただきたいと考えておりますので、御所見をお伺いいたします。 次に、耕作放棄地の解消対策についてお伺いをいたします。 世界的な穀物価格の高騰は、投機資金が商品市場から引き揚げて少し落ち着きを見せてはまいりましたが、決して食料需給の逼迫がおさまってきたわけではありません。中長期的には、地球の人口爆発、中国やインドなどの開発途上国の経済発展と食肉需要の増大、穀物のバイオ燃料化、気候の変動による砂漠化や水不足などの理由により、食料需給の逼迫が続く可能性が高いと言われております。 そのような中、食料の多くを海外に依存している我が国においては、食料自給率の向上に向けて、農地や農業用水等の必要な農業資源の確保、農業の担い手の確保・育成、さらには、農業技術水準の向上などの取り組みを通じて、国内農業の食料供給力を強化していくことが、まさに喫緊の課題となっております。 とりわけ、農地は、農業生産にとって最も基礎的な資源であり、国民に対する食料の安定供給にとって重要な基盤でありますことから、それらを最大限に有効利用していくことが重要であります。 しかし、農林業センサスによりますと、耕作放棄地の面積は、昭和六十年から平成十七年の二十年間で、十三万五千ヘクタールから三十八万六千ヘクタールへと約三倍に増加をしており、中山間地域を多く抱える本県においても、全国以上の割合で増加をしてきております。 二井知事は、昨年夏の県知事選挙の期間、県下各市町を精力的に回り、支持を訴えてこられました。そして、見事に四選を果たされたわけでありますが、その際、予想以上に進んでいる県下の中山間地域耕作放棄地、里山の荒廃化を目の当たりにして、心を痛められたとお聞きをいたしました。 耕作放棄地の解消は、食料自給率の向上に向けた農業生産力の面から重要であることは言うまでもありませんが、耕作放棄地の発生が原因で、国土の保全、水源の涵養など、農業の有する多面的な機能の低下を招き、さらには、病害虫や鳥獣被害の発生、廃棄物の不法投棄や景観の悪化など、さまざまな面で悪影響を与えることとなるため、そういった観点からも、早急に耕作放棄地を解消していくことが求められております。 このような状況にかんがみ、国においては、平成二十三年度を目途に、農業上重要な地域を中心に耕作放棄地を解消することを政策目標に掲げ、その取り組みを強化しており、平成二十一年度当初予算案においても、耕作放棄地解消に向けたさまざまな活動が助成対象となる、新たな交付金制度の創設が盛り込まれております。 本県においても、「耕作放棄地対策基本方針」の策定作業を進められており、今月中の策定に向け、現在、最終段階に入っていると伺っておりますが、ぜひとも具体的な道筋を示していただき、本県から耕作放棄地を解消していただくことを願っております。 しかし、幾らすばらしい計画や助成制度があっても、それを実行する地域の体制が整っていなければ意味がありません。実際に農地を守り、また、放棄された農地を復元させるのは、農業者や農業集落組織など地域に住む方々であり、そういった意味で、地域レベル体制づくりが重要になってくると思うのであります。 また、一たん耕作放棄地となってしまいました農地をもとに復元するということは、それほど簡単なことではありません。生い茂る雑草などを除去し、単に耕すだけで、もとの農地に復元できるわけではありません。雑草の根を完全に根絶し、さらに、水の調整がしっかりできるようにするためには、優に数年はかかるのであります。それほど、耕作放棄地を復元するということは手間暇がかかることであり、そのためにも、支援措置も必要であります。 そこで、お尋ねいたしますが、耕作放棄地解消に向け、県は、どのような方針を立てられ、また、取り組みの中心となる地域の体制づくりとその取り組みに対し、どのように支援されるのか、お伺いをいたします。 最後に、「山口県ふるさと産業振興条例」の具現化についてお伺いをいたします。 山口県議会においては、昨年十二月定例会に、議員提案の政策条例として、「ふるさと産業振興条例」を上程し、全会一致でこれを可決、制定をいたしました。 山口県内で生産、サービスを提供し、地域を支えているすべての産業をふるさと産業と位置づけ、県民と事業者、関係団体、県・市町が協働で地産地消に取り組むことで、人や物、情報の交流で経済を活性化させ、県産品の需要拡大と事業者の育成を進め、ふるさと産業の振興を図ることを目的とした、すばらしい条例であります。 また、全産業を対象に、県産品の積極的な利用を求める条例は、全国で初めてとなります。 しかしながら、かなりすそ野の広い条例でありますので、それぞれがその役割をよく認識し、それぞれの分野で一つ一つ具現化していくことが大切であります。 そこで、各分野での具現化について、二点お尋ねいたします。 まず最初に、農林水産分野での地産地消についてであります。 地産地消と言ったとき、真っ先に思い浮かべるのは、やはり農林水産物の地産地消であります。 本県においても、「地産地消は、地元を愛する心が育てます」をキャッチフレーズに、農林水産分野における地産地消に積極的に取り組んでおられるのを私もよく存じ上げております。 その推進方向も、スーパーなどの小売店に外食産業、朝市などの直売施設に学校給食、さらには、加工食品への食材提供など多岐にわたりますが、いずれも、随分と進んできていると感じております。 スーパーなどの販売協力店は七十八店舗に、レストランなどのやまぐち食彩店は百九十店舗に増加をしてきておりますし、朝市などの農産物直売所は、県農林事務所の調べでは三百軒以上あります。 直売所の売上高はさまざまでありますが、年間の取扱金額が一億円を超える直売所も何店舗もあるようでありますし、全直売所の総売上高は、四十億円近くにもなるようであります。 地域でとれた農産物を農家グループが直接消費者に販売する、これこそ、まさに究極の地産地消のふるさと産業であります。 私は、ふるさとの営業マンを自負しておりますので、少しPRをさせていただきますが、我がふるさと菊川町にも、県下で六番目に誕生した「道の駅きくがわ」、そして、旧下関市内や遠く北九州の消費者にも大好評の農産物直売所「小日本ふるさと市」があります。 焼きソーメンで有名な「道の駅きくがわ」は、やまぐち食彩店にも認定されておりますが、年間売り上げが二億六千万円、安心・安全な農産物が何でも百円で好評の「小日本ふるさと市」の売り上げが一億九千万円、隣り合わせの二つの店で年間四億五千万円の売り上げがあり、レジ通過客二十五万人、屋外のテント販売利用者や家族連れを加えれば、年間五十万人から六十万人もの集客数がある小日本・菊川の大切なふるさと産業であります。 また、菊川町では、地元農家の協力により、学校給食の地産地消が進んでおり、現在、町内の幼稚園三園、小学校三校、中学校一校に、十九品目の野菜と週五日間すべて地元産米ヒノヒカリによる完全米飯給食が実施をされております。 このように、我がふるさと菊川町は、まさに地産地消の先進地であります。 少々PRが長くなってしまいましたが、地産地消の促進は、ふるさと農林水産業の振興につながることはもちろんのこと、新鮮で安心・安全な農林水産物が購入できる消費者にもメリットがあります。また、フードマイレージの低減などによる、地球に優しい取り組みでもあり、まさに、今の時代にマッチした取り組みだと思うのであります。 そこで、お尋ねいたしますが、「ふるさと産業振興条例」の制定を契機に、農林水産物の地産地消の取り組みをより一層促進するため、来年度においてはどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、都市と農山漁村との交流についてお尋ねをいたします。 昨年の秋、二井知事、下関市長、そして下関市選出の県議会議員の皆さんと一緒に、元気な島づくり懇談会に出席をするため、下関市の北西、響灘に浮かぶ、人口百人ほどの蓋井島を訪問いたしました。 島の小学校の講堂で、島で暮らす皆さんの御意見、御要望を直接お聞きし、また、ダチョウに次いで世界で二番目に大きいとされる、オーストラリア原産大型鳥エミューで島おこしに挑戦している島の皆さんの姿を目の当たりにいたしまして、大変参考になったところでもあります。 私が特に注目したのは、島を出て七年、料理学校を卒業して、新米漁師として島に帰ってきた若者夫婦が、漁の傍ら「おけや」という漁家民宿を開店して、美しい島の魅力を発信しているということであります。 その後、私は早速、お酒を片手に泊まりに行きまして、御両親、息子さん夫婦と夜なべ談義をいたしました。ちなみに、民宿の定員は十名、料金は一泊二食つき六千円であります。 また、先日、県議会農林水産委員会の県内視察で、周防大島町沖家室島に渡りました。「大往生の島」と呼ばれる過疎の島でありますが、人々はなぜか明るく、たくましく生活している、すばらしい島であります。 その沖家室島におきましても、若い夫婦が漁家民宿「洸洋庄」を立ち上げて、自慢の島料理はもとより、一本釣り船での漁業体験を通して、子供たちに漁業のすばらしさを発信していました。 県内の漁家民宿取り組みを紹介させていただきましたが、近年のアウトドアライフや健康志向の高まりなど、ライフスタイルの変化や価値観の多様化が進む中、都市生活者田舎暮らしや体験交流のニーズに対応して、農山漁村の豊かな自然や伝統的文化など、日本の本来持っている温かさ、美しさを体験し、日常生活を見直す動きが、全国各地で進んでいます。 本県においても、今申し上げましたような農林漁家民宿などの取り組みが、少しずつではありますが、着実に前進をしております。こうした取り組みを通じて、住民が地域の魅力を再認識し、地域づくりの意識や地域への愛着心の向上が図られるなど、地域の活性化につながりつつあります。特に、過疎化、高齢化が進む農村や漁村では、その振興を図る上で、こうした取り組みを促進し、交流人口の拡大を図る必要があります。 加えて、都市と農山漁村との交流では、宿泊や交流活動に伴う経済的な効果も期待できます。 例えば、交流の拠点として活用されている道の駅。現在、県下では、十八の道の駅がありますが、中には、年間九億円を売り上げるところもあります。また、集客数についても、さきに御紹介いたしましたように、「道の駅きくがわ」では、屋外テントの利用者を含めると、年間五十万人から六十万人もの利用があります。さらに、周辺地域の温泉施設の利用や、夏場の海水浴客等の波及効果も考えられます。 また、農家民宿についていえば、先日、大分県宇佐市安心院町を訪問し、市役所のグリーンツーリズムの担当の方から直接お話を伺う機会がありました。 スッポン料理で有名な安心院町は、言わずと知れた、全国有数のグリーンツーリズムの先進地であります。町内には五十軒の農家民宿がありますが、平成二十年度の見込みで宿泊者数約六千二百人、そのうち四千三百人は、農業・農村体験学習の小中学生であります。この人口七千六百人の小さな町に、全国各地からこれだけの人がやってくるのであります。その経済効果は相当なものであります。 このように考えますと、これらはまさに、ふるさとを支えるふるさと産業であります。都市と農山漁村との交流の取り組みをしっかりと進めることにより、地域産業の活性化にも大きく貢献することになるのです。 昨日も質問がありましたが、現在、自然豊かな農山漁村に滞在し、地元の人との交流や生活、自然体験を行うことにより、豊かな人間性や社会性をはぐくむことを目的として、国の「子ども農山漁村交流プロジェクト」の取り組みが、平成二十年度から始まりました。これは、農林水産省、文部科学省、総務省の連携により、すべての小学校が、農山漁村で一週間程度の長期宿泊体験を行うことを目指しておるものであります。 実際、さきの安心院町では、突っ張りぎみの中学生が、一泊二日のおじいちゃん、おばあちゃんとの田舎の農家・農業体験で、すっかり心を開いたという感動的な話もお聞きをいたしました。その教育的効果については、大いに期待ができるのではないかと思います。 もちろん、既に農山漁村での体験学習等を取り入れている学校もありますが、今回のプロジェクトの特徴は、一週間程度の長期宿泊を対象にしているところであります。そして、一学年百二十万人の受け入れを目標としており、また、農家などへの宿泊や、さまざまな交流体験活動も伴うことから、その経済効果も期待をできます。 そこで、お尋ねいたしますが、「子ども農山漁村交流プロジェクト」により、子供たちを積極的に地域に受け入れるためには、体験交流プログラムや農家等への宿泊の準備など、受け入れ側である農山漁村の取り組みが重要になってまいります。 本県でも、こうした受け入れ体制づくりを地域において積極的に進め、このプロジェクトへの取り組みを一つの契機として、今後、さらに農家民宿・漁家民宿などの都市と農山漁村との交流の取り組みを促進し、地域の活性化を図る必要があると考えますが、御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(島田明君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 林議員の御質問にお答えをいたします。 まず、国の農政改革に関するお尋ねであります。 中山間地域が多く、水田を中心とする本県農業の実情を踏まえて、その持続的な発展を図るためには、農家総参加の集落営農を基本に、その法人化を進め、経営の効率化・多角化などによる農業の経営発展を通じて、構造改革を図ることが極めて重要であると考えております。 このため、私は、加速化プランにおいて、「ふるさと農林水産業の育成」を戦略プロジェクトと掲げております。そして、県内食料自給率の向上に向けまして、農業の担い手確保・育成対策の充実、需要拡大と産地づくりなどを重点事業に位置づけ、国の支援制度の導入も図りながら、集落営農の中核をなす特定農業法人の育成と経営改革、需要にこたえる園芸産地の育成などを重点的に推進することにいたしております。 私は、こうした農政推進の考え方を基本に、これまでも、WTOドーハ・ラウンドへの対応や中山間地域等直接支払制度、経営所得安定対策等大綱などの国の農政の方向を規定する重要な政策局面におきまして、農業者や農業団体等の皆様の意見を幅広くお聞きしながら、全国知事会等を通じて、また、本県独自に国に対する要望を行ってまいりました。 その結果、例えば、経営所得安定対策におきましては、面積要件が二分の一程度まで緩和される知事特認が設定をされるなど、中山間地域が多い本県の集落営農に配慮された見直しなどが行われたところでもあります。 現在、世界的な食料需給の逼迫を背景とした食料安全保障の確保や、WTO農業交渉への対応、さらには、米の生産調整の見直しなど、今後の農政の方向を定める「食料・農業・農村基本計画」の見直しが始まり、国内外の急激な情勢変化を踏まえ、さまざまな議論が行われております。 農政の大きな転換期とも言えます今日、私は、こうした国の動向を注視しながら、今後とも、市町、農業団体、農業者など現場の皆様の意見をしっかりとお聞きし、本県農業の発展につながる農政が展開されるように、適宜適切に国への提言や要望を行ってまいります。 次に、耕作放棄地の解消対策についてであります。 お示しがありましたように、私は、昨年夏の知事選挙などにおきまして、各市町を回る中で、数々の耕作放棄地の状況を見まして、大変残念に感じたところであります。県内食料自給率の向上を図る上からも、耕作放棄地対策の必要性を改めて認識いたしました。 このため、私は、平成二十三年度末までに、本県の農業振興の拠点である農業振興地域内の農用地における耕作放棄地、これが約二千百ヘクタールあるわけでありますが、これの解消を目指しまして、担い手を中心とした農業利用の促進を対策の柱とする「耕作放棄地対策基本方針」を近く策定し、耕作放棄地の発生防止とその解消に向けた各般の対策に取り組むことといたしております。 この対策を着実に実行していくためには、取り組みの主体となる市町の役割が極めて重要であります。 したがいまして、県といたしましては、昨年来、各市町に対しまして、地域の実態に応じた解消計画の策定や進行管理等を行う実効性のある推進体制の整備を働きかけ、その結果、この三月中には、各市町に、農業委員会、農協、土地改良区等が参画をした協議会が設置されるということになっております。 今後、この協議会において、集落単位での耕作放棄地の再生手法や担い手、導入作物などを明確化した解消計画が策定され、明年度から実践されることになっております。 県といたしましては、この解消計画に基づく耕作放棄地の再生に向けまして、このたびの離職者の就業機会の創出対策として措置をされました「ふるさと雇用再生特別基金」も活用して、農業法人等への新たな雇用による耕作放棄地の復旧や経営多角化の取り組みを支援いたしますほか、お示しがありました国の「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」、これを効果的に活用し、草木などの障害物除去や土壌改良などの取り組みを促進してまいります。 また、こうして再生された農地が集落営農法人等の担い手により持続的に営農展開ができますように、現下の厳しい雇用情勢を農林水産業への新たな人材確保の機会として積極的にとらえ、担い手協議会や水田農業協議会と緊密に連携をしながら、農地の利用集積を促進いたしますとともに、野菜等新規作物の導入や、米粉・飼料用米などの新規需要米の作付拡大など、地域の実情に応じた耕作放棄地の再生利用の取り組みを進めてまいります。 そのほかの御質問につきましては、関係参与員よりお答えいたします。 ○議長(島田明君) 松永農林水産部長。    〔農林水産部長 松永正実君登壇〕 ◎農林水産部長(松永正実君) 農林水産分野での地産地消の取り組みについてお答えを申し上げます。 お示しのありましたように、「ふるさと産業振興条例」の制定を契機に、すべての県民や事業者の皆様が参画をして、地産地消の取り組みを推進していくということは、農林水産業の振興を図る上で極めて重要でありますことから、来年度におきましては、加速化プランに掲げる「地産・地消推進プロジェクト」に基づき、農水産物の地産地消の取り組みを一層推進していくということにしております。 まず、需要拡大対策についてでありますが、新たに、販売協力店との連携のもとで、フードマイレージの縮減に資する「地産・地消応援ポイント制度」の導入や、品目別統一キャンペーンを実施いたしますほか、弁当・仕出し業など高い潜在需要を有する「中食」を新たなターゲットとして、多彩な県産食材を使用した「まるごと!やまぐち弁当」を開発するなど、県産農水産物に対する県民の皆様の理解の促進や新規の需要開拓に取り組んでまいります。 また、学校給食におきましては、各給食センターとJA等との地場産食材の利用提携の促進や、学校栄養士会との連携によります新たな給食メニューの開発等を進めますほか、朝市では、女性起業家等と協働して売れ筋の商品づくりを推進するなど、県産農水産物の一層の需要拡大を図ってまいります。 一方、需要にこたえる生産対策といたしましては、集落営農法人等を中心に、米粉等の新規需要米の作付に加え、多様な作目栽培を可能にいたします地下水かんがいシステムの導入により水田の汎用化を進め、自給率の低い麦、大豆や、需要の多いジャガイモ、ニンジン等の露地野菜の作付の拡大を図るとともに、はなっこりーやゆめほっぺ等の本県オリジナル品目の産地拡大を進めてまいります。 また、高級魚でありますアマダイ、キジハタなどの種苗放流による水産資源の回復に努め、漁獲高の増大を図るほか、肉質のすぐれた県産牛肉やオリジナル地鶏、また、アンコウやハモなどのブランド化を進めてまいります。 県といたしましては、今後とも、やまぐちの農水産物需要拡大協議会を中心として、新鮮で安心・安全な食の確保と地域経済の活性化に資する農水産物の地産地消の取り組みを積極的に推進してまいります。 ○議長(島田明君) 小田地域振興部長。    〔地域振興部長 小田由紀雄君登壇〕 ◎地域振興部長(小田由紀雄君) 都市と農山漁村の交流についてのお尋ねにお答えをいたします。 都市と農山漁村の交流促進は、中山間地域の活性化を図る上で極めて重要でありますことから、県では、これまで、地域の魅力をゆっくりと楽しむ「やまぐちスロー・ツーリズム」といたしまして、さまざまな取り組みを進めてまいりました。 こうした中、本年度から始まりました「子ども農山漁村交流プロジェクト」につきましては、長門市俵山地域と岩国市錦町地域におきまして、県内三つの小学校の長期宿泊体験活動が実施され、学校関係者等から高い評価を得ますとともに、受け入れ地域におきましても、ホームステイ受け入れ農家が拡大し、新たな体験交流プログラムを開発されるなど、地域での受け入れ体制づくりが大きく進展をいたしました。 こうしたことから、都市と農山漁村の交流の拡大に向けて、県内各地域で受け入れ体制づくりを進めていくためには、「子ども農山漁村交流プロジェクト」を活用することが有効であるというふうに考えております。 このため、県といたしましては、本プロジェクトを受け入れようとする地域に対しまして、専門家を派遣し、受け入れ窓口の整備や運営、ホームステイや体験活動における安全管理、さらには、体験交流プログラムの企画等につきまして支援いたしますとともに、地域での体験交流を担う人材の育成にも取り組んでいくことといたしております。 また、本プロジェクトへの取り組みを通じて蓄積されましたノウハウが、都市住民等を対象としたスロー・ツーリズムにも生かされますように、ホームステイ農家等から農林漁家民宿への移行や、地域ならではの魅力ある体験交流プログラムの開発を促進いたしますとともに、こうした地域の魅力的な体験交流情報につきまして、ホームページやガイドブック等を活用しまして、広く情報を発信していきたいと、こういうふうに考えております。 県といたしましては、こうした取り組みを積極的に進めますことによりまして、交流人口の拡大を図り、中山間地域の元気創出につなげていきたいと考えております。 ○議長(島田明君) 今倉一勝君。    〔今倉一勝君登壇〕(拍手) ◆(今倉一勝君) おはようございます。民主・連合の会の今倉一勝でございます。通告に従いまして一般質問を行います。 まず、「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」についてお尋ねいたします。 山口県に本社を置くある企業のミッション&ビジョンは、次のとおりであります。 いつでも、どこでも、だれでも着られる、ファッション性のある高品質なベイシックカジュアルを市場最低価格で継続的に提供する。 そのためにローコスト経営に徹して、最短、最安で生産と販売を直結させる。 自社に要望される顧客サービスを考え抜き、最高の顧客サービスを実現させる。 世界水準の人が喜んで働ける環境を提供し、官僚的でなく、血のかよったチームとして革新的な仕事をする。 結果として売上と収益の高い成長を目指し、世界的なカジュアル企業になる。営利な言葉を言いかえれば、まさに今、山口県がなすべきことではないでしょうか。 山口県が目指す住みよさ日本一は、一つの頂が突出した富士山型ではなく、異なる高さや形状、山並みによって多彩な表情と四季折々の美しさを醸し出し、だれにも親しまれ安らぎを与える連山型の住みよさとしております。 しかしながら、福祉医療制度の一部負担金のように、一つの突出した頂を削り、連山型とした政策も見受けられるわけであります。 単純に、人の心理からすれば、既存のものを削り、県民の負担増となるなど、現状より悪くなれば住みにくさを実感し、今よりよくなれば住みよさを実感することと思います。 特に、マイナスの実感は、プラスの実感より大きいものとなるでしょう。 理想を言えば、マイナスの穴を埋めながら、プラスの面を維持し、子供からお年寄りまで、県民だれもが「山口県に生まれ、育ち、住んでよかった」と心から実感できる「住み良さ日本一の元気県づくり」を進めていくことが最良なのでしょうが、未曾有の経済危機の中、知事は、県民に対して、どのような住みよさを実感してもらうため、「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」を展開していくのか、まず、御所見をお伺いいたします。 また、平成二十三年には山口国体、どの程度財源が必要かはわかっていない学校等の耐震化の推進等、大きく財源を割かなければならない重点事業が、「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」の中に事業スケジュールとともに明記されていますが、財政が厳しい中で、プランに掲げる重点事業をどのように推進していかれるのか、お伺いいたします。 次に、人口減少問題についてお尋ねいたします。 平成十九年二月定例会において、人口減少問題対策特別委員会の審査概要が報告されました。 質問の最初で投げやりかもしれませんが、現実には、この人口減少を食いとめることは困難なことかもしれません。 また、人口減少問題対策特別委員会の審査概要で報告された多岐に及ぶ分野に、限られた財源をどこにどう充てていくのか、また、どのように選択と集中を行っていくかなど、最短で最安で政策とニーズをマッチングさせるということはぜいたくなのかもしれません。 先ほど、山口県に本社を置くある企業のミッション&ビジョンを紹介させていただきました。その中に、「自社に要望される顧客サービスを考え抜き、最高の顧客サービスを実現させる」というものがありました。公に言いかえますと、県に要望される行政サービスを考え、県民のニーズをとらえ、最高のまたは的確な行政サービスを実現させるということになるのではないかと思っております。 私は、人口減少問題対策特別委員会が平成十八年六月に行った高校生アンケートが、まさにそうだと思っております。そして、今の若者たちが山口県をどのように思っているのかを徹底的に調査し、ニーズをとらえ、的確な行政サービスを行うことこそが、未来の山口県をつくっていくのだと考えます。 前項で「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」について質問させていただきましたが、「住みやすいけど、住みたくないまたは住めないところ」「住みにくいけど、住みたいところ」など、そういったニーズがあるのではないでしょうか。 地域の商店街がよい例かもしれませんが、人が住まないから、人口が減る。人口が減るから、活性化しない。活気がないから、外から人が来ない。その結果が、シャッター通りであります。シャッター通りとなれば、地域とまちを結ぶバスなど公共交通機関などは減便となり、高校生アンケートの山口県に住みたくない理由のトップにつながったのかもしれません。 私も、一月の末に、高松市の高松丸亀町商店街に視察に行ってきました。その際も、活性化のスタートは、住むことから始められたそうであります。ちなみに、この高松丸亀町商店街には、全国各地から年間約八百回の視察依頼があるというふうに言われておりました。 そこで、自治会形成モデル地域のような形で場所を指定し、県内外から定住促進を図るといった政策を検討してみてはいかがでしょうか。 また、そこに県の政策とリンクしていくのであれば、相乗効果も生まれることでありましょう。 以上のように、提案を含め、見解を述べさせていただきましたが、改めて、県の人口減少対策をどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、指定管理者制度についてお尋ねいたします。 「新・県政集中改革プラン(案)」の中の取り組み方針十七の指定管理者制度の導入、見直しについてであります。 小泉政権のもと、官から民への構造改革が急速に進み、二○○三年、地方自治法が改正され、指定管理者制度なるものができました。 指定管理者制度とは、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の活力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的とするものであり、一見聞こえはいいですが、多くの問題をも抱えております。 指定管理者制度イコール悪という立場ではございませんが、無節操、無軌道で安易な制度導入は避けるべきだと考えます。 二○○二年十二月の総合規制改革会議、規制改革の推進に関する第二次答申で、「公権力の行使に当たると考えられる事務・事業についても、政府部門による裁量の余地が比較的少ないものについては、その執行を積極的に民間にゆだねることは可能である。また、裁量の余地が比較的大きいものについては、裁量行政の排除の観点からルール化や基準化を推進するべきであり、そのようにしてルールと基準が明確になれば、積極的に民間にゆだねることが可能になる」としておりますが、指定管理者制度導入から五年経過した今、ルール化や基準化の明確化は行われているのでしょうか。 指定管理者制度は、公の施設の管理運営、提供主体が、官から民へとなりますが、公の施設・自治体公共サービスの位置づけなど、存在意義の変質があってはなりません。 さらに、民にゆだねるということは、官がやることが当たり前だと思っていたことを民が行うわけであります。もっと言えば、民が民に対して公権力の行使を行うことになるのであります。 これは、公の施設サービスの構造的変革でありますから、提供主体の規制緩和が提供ルールの規制緩和となってはならないのであります。 よって、公共性の担保のルール、公共性の評価・管理システムが必要であると思います。 例えば、情報公開と個人情報の保護についてであります。 公的施設であれば、その管理運営については議会に報告され、住民は監査請求などを行うことができました。だが、指定管理者制度では、その義務はなくなり、情報公開の対象からも外れ、情報がブラックボックスとなってしまうおそれがあります。 また、個人情報の保護についても、個人情報の漏えいや安全管理の不備により、事故が起こることも考えられます。 さらに、再委託についても一定のルールが必要であり、管理業務の再委託が管理運営業務全体の透明性・責任体制の不明確化につながり、契約コントロールの機能不全に陥ることも考えられます。 そこで、指定管理者の情報公開について、山口県情報公開条例に明確に位置づけ、情報公開を図るとともに、個人情報保護について、指定管理者はもとより、再委託先についても、その徹底を図る必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、農業政策についてであります。 昨年の世界的な食料需給の逼迫等を受けた穀物価格の高騰や、中国、インドなどの輸出国の輸出制限が行われるなど、我が国の食料自給率を向上することは喫緊の課題であります。 国においては、生産面では、耕作放棄地の解消や農地を最大限活用した取り組みなどを進め、消費面では、食育の推進や食品廃棄の削減など、カロリーベース食料自給率五○%を達成することを目標に取り組みを進めております。 平成十七年度の全国平均の生産額ベース自給率は六九%で、山口県は五四%と低位にあり、カロリーベース自給率は、全国平均四○%、山口県は三三%となっております。 県では、加速化プランにおいて、平成二十四年度を目標に、生産額ベース自給率を七○%以上に向上することとされており、この目標に向かって、各種施策が展開されると聞いております。 万が一、世界規模の食料危機が到来した場合、国民の食を確保することは、国の責任において実施すべきことですが、山口県においても、不測の事態に備え、食料自給率を高める取り組みを進めて、農林水産業の振興を図ることが必要であり、また、食の安定的確保の観点からも、安心して生活できる「住み良さ日本一の元気県づくり」を進めることは重要であると考えます。 現在、地域の段階で、身近でわかりやすい総合食料自給率のいずれかを全国十八県で数値目標に設定しており、その成果を検証しつつ、具体的な行動をさらなる展開へとつなげていくこととしております。 そこで、お尋ねいたしますが、まず、世界規模の食料危機の到来について、県の認識をお尋ねいたします。 また、生産額ベースが生産者のやる気につながる指標であるならば、カロリーベースは、いわば消費者の安心・安全・安定につながる指標でもあり、山口県の農林水産業のありのままの姿を県民に示し、品目別自給率やカロリーベース食料自給率を目標設定すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 また、カロリーベース自給率という観点で考えますと、私は、昨年二月議会でも質問させていただきましたが、畜産分野における配合飼料が大きな課題と考えます。幾ら国内で生産された畜産物でも、そのえさが海外から輸入されるトウモロコシなどであれば、カロリーベースの自給率は余り向上いたしません。 私は、そのような点を踏まえ、食品廃棄物等を活用したエコフィードの推進について質問させていただきましたが、その後の取り組み状況と今後の推進方針についてお尋ねいたします。 最後に、山口国体についてであります。 二○一一年十月から山口国体が行われます。 本年度の予算案の概要からすれば、大会運営費は、国体先催県平均の総額五十五億から一五%削減した四十七億となっております。削減するとはいえ、山口県にとって多大な財政負担であることには間違いありません。 平成二十二年度にはリハーサル大会が行われる予定であり、平成二十三年度には本大会となり、予算額も、ホップ・ステップ・大幅なジャンプになるということが予想されます。 大会運営費は上限四十七億円とされておりますが、厳しい財政状況が続くと予想される中、可能な限り簡素で選手が最大限のパフォーマンスを発揮することのできる大会運営にするとともに、国体の開催によって培われたノウハウや人材、整備されたスポーツ施設等を山口県の大切な財産として活用していくため、今後どのように取り組まれていくのか、御所見をお伺いいたします。 地方の人口の少ない県においては、国体開催後の総合成績が従前の水準まで落ち込む例が多く見受けられます。 本県も、大会運営費を含め、多額の財政支出、負担が見込まれることから、一過性のものにせず、将来にわたって継続・発展できるものにしなければなりません。 山口国体に向け、トップアスリートの育成に取り組むことはもちろんのことでありますが、国体後の本県のスポーツ振興にどのように取り組まれるのか、教育長に御所見をお伺いいたします。 残り十分ございますが、一回目の質問の終わりに、一言申し上げます。 国体の予算に関して、本定例会で多くの質問がありましたが、山口国体が、夢と感動を与える国体から、県民の生活と夢を奪う国体にならないように要望し、また、大会順位も、ホップ・ステップ・大幅にジャンプとなることを期待し、私の一回目の質問を終わります。(拍手) ○議長(島田明君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 私からは、「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」についてのお尋ねにお答えいたします。 私は、今後四年間、「住み良さ日本一の元気県づくり」の取り組みを加速化することにより、デザイン21の総仕上げを図っていくための指針として、加速化プランを策定し、明年度から本格的にスタートを切ることにいたしております。 しかしながら、県財政は未曾有の状況に陥っておりますことから、加速化プランの実現のためには、まずは、加速化プランの裏づけとなる所要財源の確保が重要であります。 したがいまして、「財源確保対策本部」を中心に、毎年度、歳入・歳出両面からの徹底した取り組みを行った上で、加速化プランに掲げる九十六の重点事業については、緊急性と実効性の観点から、さらなる選択と集中を行いながら、可能な限りその実現を目指していく考えであります。 こうした考え方のもとで、本県の最大の特性である多様性を十分に発揮し、議員も本県の住みよさを連山型というふうに表現をされておりますが、高いレベルのものはさらに伸ばし、十分でない部分は補っていきながら、県民生活の幅広い分野で、全体としてバランスのとれた県づくりを目指していきたいと考えております。 具体的な推進に当たりましては、加速化プランに掲げた六つの加速化戦略と二十一の戦略プロジェクトのもと、県民の皆様の安心・安全の確保を基本に、県民生活の各分野にわたる施策を推進することとし、例えば、離島・中山間地域での救急医療体制を充実するドクターヘリの導入、児童生徒等の安全を守る学校等の耐震化の推進、きめ細かな指導体制を充実し、学力の向上を図る三十五人学級化の推進、厳しい雇用情勢に対応し、若者の幅広い就業の場を確保する新規雇用二万人創出構想の実現など、できるだけ、目に見えるような形で成果が上げられ、だれもが住んでよかったと実感が享受できるように、取り組みを行っていかなければならないと思っております。 また、市町や県民の皆様との共有の目標として掲げております百四の「住み良さ・元気指標」につきましても、県民の皆様や市町と連携・協働し、すぐれているものはそのレベルを維持し、十分でないものはランクアップを図ることによって、県民の皆様が本県の住みよさをさらに実感できるように努めていかなければいけないと思っております。 県財政は、かつてない厳しい状況にありますが、私は、加速化プランに基づき、県民だれもが住みよさを実感できる「住み良さ日本一の元気県づくり」を推進し、その成果を次の世代へ継承していけるように、全力で頑張っていきたいと考えております。 そのほかの御質問につきましては、関係参与員よりお答えいたします。 ○議長(島田明君) 岡田総合政策部長。    〔総合政策部長 岡田実君登壇〕 ◎総合政策部長(岡田実君) 人口減少問題についてのお尋ねにお答えいたします。 人口の減少は、地域の経済や県民の暮らしに大きな影響を与えますことから、県の活力を維持・創出していくためには、お示しにもありました、さきの県議会人口減少問題対策特別委員会からの御提言も踏まえ、さまざまな観点から、また、今なすべきことを踏まえ、人口減少を抑制する取り組みを進める必要があるものと考えております。 このため、このたび策定する加速化プランにおきましても、御提案もありました将来の山口県を支える若者のニーズにこたえる施策の推進や、住民参加の地域づくりによる定住の促進という視点も踏まえ、幅広く戦略プロジェクトや重点事業を設け、明年度予算案におきましても、厳しい財政状況の中ではありますが、所要の予算を計上しているところであります。 例えば、若者のニーズにこたえる施策としては、戦略プロジェクトの一つに「若者が活躍できる環境づくりプロジェクト」を掲げ、若者にとって魅力ある就業の場の確保づくりや、若者就職支援センターのさらなる機能強化、県外からのUJIターンの促進などを推進していくこととしております。 また、住民参加の地域づくりにつきましては、「県民総参加型地域づくりプロジェクト」等におきまして、県づくりの推進力である県民力や地域力の発揮による住みよさ日本一の県民運動や、二年後に迫りました「おいでませ!山口国体」県民運動等を通じて、各地域における自主的・主体的な地域活動の展開を促進していくこととしております。 県といたしましては、今後とも、若者を初め県民の皆様のニーズを把握しながら、また、地域におけるさまざまな取り組みへの支援などを通じまして、山口県に住み続けたい、そして県外の方々からも山口県に住んでみたいと思っていただけるよう、人口減少対策の推進に取り組んでまいります。 ○議長(島田明君) 三好総務部長。    〔総務部長 三好猛君登壇〕 ◎総務部長(三好猛君) 指定管理者に係る情報公開と個人情報の保護についてのお尋ねであります。 まず、公の施設の管理を県にかわって行う指定管理者の情報公開を山口県情報公開条例に位置づけることについてでありますが、山口県情報公開条例では、指定管理者は、条例の趣旨にのっとり、みずからが規程を定め、公の施設の管理業務に関し、その保有する情報を公開するよう努めなければならない旨、また、県は、指定管理者に対し、保有する情報の公開について必要な指導・助言を行うことが規定をされております。 したがいまして、県が施設管理する場合と同様に、指定管理者にあっても、施設の管理に係る透明性は確保されているものと考えております。 次に、個人情報の保護については、山口県個人情報保護条例において、指定管理者やその業務従事者に対し、個人情報の適切な管理や守秘義務が課されており、条例違反があった場合、業務従事者には罰則規定が適用されることとなっております。 また、県と指定管理者が協定を結ぶに当たっては、個人情報を守るべきことを明記することとしております。 なお、指定管理者が業務の一部を再委託する場合、県では、個人情報の適切な管理に必要な措置が講じられることを確認した上で承認することとしており、この点でも、個人情報の適切な取り扱いが確保されているものと考えております。 県としましては、指定管理者制度においても、情報公開や個人情報の保護は重要であると考えており、今後とも、条例等の適切な運用により、指定管理者の情報公開や個人情報の保護が図られるよう努めてまいります。
    ○議長(島田明君) 松永農林水産部長。    〔農林水産部長 松永正実君登壇〕 ◎農林水産部長(松永正実君) 農業政策についての三点のお尋ねにお答えをいたします。 まず、食料危機に関する県の認識についてでありますが、長期的には世界的に食料需給が逼迫すると予測されておりまして、食料自給率は先進国の中でも最低水準にある我が国にとっては、食料危機に備え、自給率を高めることが、国・地方に共通する課題であるというふうに認識をしております。 次に、食料自給率に関する数値目標の設定のあり方についてでありますが、生産者の努力が反映される指標といたしまして、これまで、生産額ベースの自給率を使用してきておりました。また、今般の加速化プランにおきましても、この観点から、生産額ベースで目標を設定することといたしました。 お示しのカロリーベースの自給率につきましては、食料安全保障や食生活の実情を理解する上で有用な指標でありますことから、生産額ベースの自給率を補完するものとして、その推移を公表し、消費者を初め県民の皆様への周知に努めてまいります。 また、品目別の自給率につきましては、主穀、野菜、畜産物、水産物等の品目ごとの生産・販売額目標を設定し、毎年度その達成状況を検証しながら、品目別の供給力の向上に努めていくこととしております。 次に、食品廃棄物を活用したエコフィードについてであります。 昨年六月、食品廃棄物排出事業者・処理事業者、畜産農家等からなる山口県エコフィード利用推進会議を設置いたしまして、食品廃棄物の実態調査や畜産農家との新たな結びつきを支援してまいりました。 この結果、食品廃棄物の畜産農家での利用は、平成十七年調査の十九戸、三千九百トンから、昨年五月の調査では、三十一戸、五千六百トンに拡大をしております。 また、新たな取り組みとして、食品製造業者と飼料化処理業者の連携や、三戸の畜産農家においては豆腐かす、野菜くず等の飼料利用が開始されるなど、エコフィードの利用の取り組みは、県全体に広がってきているところであります。 こうした取り組みは、循環型社会づくりにつながり、食料自給率の向上にも寄与する一方、食品廃棄物の分別や収集体制に課題もありますことから、今後におきましては、加速化プランの「資源の地域内循環促進プロジェクト」に位置づけ、推進会議を中心に、食品廃棄物の排出情報の共有化や、飼料コストの低減につながる効率的な原料収集システムの構築等を一層進めるとともに、利用技術や優良事例の啓発などに積極的に取り組んでまいります。 ○議長(島田明君) 太田国体・障害者スポーツ大会局長。    〔国体・障害者スポーツ大会局長 太田光宣君登壇〕 ◎国体・障害者スポーツ大会局長(太田光宣君) 山口国体についてのお尋ねのうち、大会運営と成果の活用についてであります。 平成二十三年の「おいでませ!山口国体」は、簡素な中にも選手が活躍できる大会運営とするとともに、一過性のスポーツイベントに終わらせることなく、国体後も見据えたさまざまな取り組みを行うことが重要であります。 こうしたことから、平成十七年度に策定した国体開催基本構想において、創意と工夫による簡素・効率化への取り組みや、選手の活躍できる競技環境の整備、県民が主体となった国体県民運動の推進などを位置づけ、簡素・効率化のための運営ガイドラインの作成や、本県のスポーツ振興の拠点となる維新百年記念公園陸上競技場や山口きらら博記念公園水泳プールの整備、また、NPO法人が運営主体となった国体きらめきセンターの設置による国体県民運動の推進など、開催準備を計画的に進めているところであります。 こうした中、ほとんどの競技において、本大会やリハーサル大会の日程も決定したことから、今後、選手が最高の力を発揮できる環境づくりや、国体を支え、盛り上げるさまざまな取り組みを一層本格化させる必要があります。 このため、競技役員等の養成や選手のコンディションに配慮した宿泊・輸送体制の整備、県有施設を初め市町有施設の計画的、着実な整備を進めるとともに、国体きらめきセンターを中心に、大会を支えるボランティア活動や地域に根差した花いっぱい運動、クリーンアップ運動などを県民と一体となって展開し、この成果を地域の活性化につなげていく取り組みを進めることといたしております。 県といたしましては、こうした取り組みにより、県民力、地域力を大きく飛躍させ、国体開催により培われたノウハウや人材、整備されたスポーツ施設などを山口県の大切な財産として、国体後につながるよう意を配りながら、今後とも、県民の皆様を初め、市町や関係団体・関係機関等と一体となって、開催準備に万全を期してまいります。 ○議長(島田明君) 藤井教育長。    〔教育長 藤井俊彦君登壇〕 ◎教育長(藤井俊彦君) 国体後の本県のスポーツ振興についてのお尋ねにお答えいたします。 山口国体に向けた競技力の向上につきましては、お示しのありましたように、「トップアスリート育成プラン」に基づき、推進しているところでありますが、国体後も本県のスポーツ振興につながるよう取り組んでいくことが重要と考えております。 このため、現在、まずは山口国体での総合優勝を目指しまして、優秀指導者の確保とそのスキルの向上や優秀選手の育成・確保などを重点に、競技力向上対策を推進しているところでありますが、特に、養成・確保しました優秀な指導者は、国体後の本県のスポーツ振興に大きな役割を果たすものと考えております。 現在、山口国体に向けまして、研修会や全国トップレベルの指導者を招聘しての直接指導、また、公認指導者の資格取得支援などによりまして、指導者の資質向上に向けた取り組みを重点的に行い、それぞれの競技において、優秀な指導者の養成・確保を図っているところであります。 国体後も、各競技団体と連携しまして、このような指導者養成システムを定着させ、山口国体に向けて養成・確保した指導者が次の指導者を育てていくことが、国体後におきましても、ジュニア期からの一貫指導による優秀な少年・成年選手の育成、強いチームづくりにより、競技力の維持・定着を図り、さらには、地域スポーツの振興にもつなげていきたいと考えております。 また、今後、各市町で本格的に開催競技の準備が進む中で、地域スポーツ振興の機運を高めて、その条件整備として、総合型地域スポーツクラブの創設や育成の支援を強化してまいります。 さらに、地元開催競技などが、我がまちのスポーツとして根づき、スポーツ人口の拡大やスポーツを通じた活力ある地域づくりが進むように、各市町、関係団体等が一体となって取り組みを進め、国体後における地域スポーツとしての定着を図ってまいります。 以上でございます。 ○議長(島田明君) 今倉一勝君。    〔今倉一勝君登壇〕(拍手) ◆(今倉一勝君) 二点の再質問をさせていただきたいと思います。 まずは、指定管理者制度についてであります。 答弁でもございましたように、確かに、二十五条、情報公開のほうの法律ですけれども、公開条例でございますけど、二十五条のほうに努力義務が課せられております。 あえてお伺いしますが、指定管理者を実施機関に組み込むことは検討されますでしょうか。その辺をちょっとお伺いいたしたいと思います。 実施機関にされている県は、都道府県は、まだないんですけれども、市レベルにおいていえば、全国的に見れば、何カ所か実施機関に組み込んで、努力義務からアップさせているような市も見受けられるわけでございます。 また、山口県の情報公開条例の実施機関とすることであれば、五条に、何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対して公文書の開示を請求することができるということになっておりますので、そういった意味合いでも、実施機関への組み込みは検討の中にあるかないかをお伺いできれば、また、御見解をお伺いできればと思います。 次に、農業政策についてお伺いいたします。 現在、百年に一度と言われた経済危機が訪れているわけでございますけれども、部長の答弁にもございましたけれども、世界規模の食料危機が叫ばれるわけでございます。 そのような中で、カロリーベースの自給率というのは、やっぱり申しましたように、食の安心や安全、安定という観点から、県民の一つの指標になるだろうということで思っております。 今のままいけば、県民レベルでも、その食料カロリー自給率を見ながら用意はできるわけでございますけれども、今のまま、目標設定ということをしなければ、例えば、その世界規模の食料危機が訪れたときに、貧富の差が食料確保の点で出てくるんじゃないかなということを懸念するわけでございます。 そういった意味合いで、十年、二十年先を見据えた引き出しを、政策の引き出しを行政側が用意していく必要があるんじゃないかというふうに考えております。 百年の経済危機が、せっかくの経済危機というわけではございませんけれども、経済危機から何も学ばないのであれば、住みよさ日本一からほど遠い県になるというふうに考えますので、部長のほうに、貧富の差の食料確保についての面からの御答弁、御所見をお伺いできればというふうに思います。 以上で、再質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(島田明君) 三好総務部長。    〔総務部長 三好猛君登壇〕 ◎総務部長(三好猛君) 情報公開条例において指定管理者を実施機関とすることを考えるかどうかという御質問にお答えをいたします。 先ほどの答弁でも少し触れましたが、県は、地方自治法の規定に基づき、必要な指導・指示をすることができるということになっております。この県の指導等に従わない指定管理者に対しては、指定の取り消し、あるいは業務の全部または一部の停止を命じることができるということになっております。 したがいまして、現行の条例で指定管理者に対して実効性のある権限を持っておるというのが、一つ目の認識でございます。 それから、いま一点、地方自治法上、指定管理者が行うその施設の使用許可について、行政処分とそれから不服申し立ての規定はありますが、それ以外については、自治法上の規定がないという法律上の疑義もありますので、現時点において、情報公開条例において指定管理者を実施機関とする、位置づけるということについては、考えていないということでございます。 ○議長(島田明君) 松永農林水産部長。    〔農林水産部長 松永正実君登壇〕 ◎農林水産部長(松永正実君) 貧富の差、昨年の特に穀物需給の逼迫によりまして、特に途上国において、食料の枯渇と奪い合いというような状態が生じました。 その中で、やはり感じましたこと、あるいは必要になったことというのを少し整理いたしますと、WTO農業交渉の中で、日本が最初に提案をいたしましたように、やはり食料安全保障というのは、それぞれ各国で、その土地、条件に合った農業生産がしっかり展開をされるということが重要であるということだというふうに思っております。 したがいまして、WTO農業交渉の中で、日本が提案をしております多様な農業の共存を可能にするような貿易ルールがしっかり確立をされていくということが、第一に大事だろうというふうに思っております。 それともう一つは、現在、本県でも、JICA等を通じまして、途上国の農業者、あるいは農業関係の行政機関の方々を受け入れて、研修等をしておりますけれども、日本の高い農業技術を、そうした途上国の支援、技術支援をやっていくと、そして、途上国の生産力を向上させていくということが、もう一点大事な点だろうというふうに思っております。   ───────────── ○議長(島田明君) この際、暫時休憩いたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時三十分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(松永卓君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第七十二号まで ○副議長(松永卓君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十二号までを議題とし、質疑の議事を継続します。 水野純次君。    〔水野純次君登壇〕(拍手) ◆(水野純次君) 通告に従って順次質問をいたします。 第一に、次年度予算案と知事の政治姿勢について数点、お伺いいたします。 まず、政治倫理に関連してお尋ねをいたします。 一昨日、準大手ゼネコン、西松建設の違法献金に絡む政治資金規正法違反容疑で、民主党の党首、小沢一郎氏の公設第一秘書が逮捕されました。 事実なら事は重大であります。「李下に冠を正さず」、中国の格言もありますが、政治家、それも政党党首が、こうした司直の手が入る。こういうことは極めて遺憾であります。また、疑惑は民主党だけでなく、自民党の議員にも及んでおります。 我が党は、民主・自民両党は、事態の全容について国民に明確な説明をする責任があると考えております。 西松建設と言えば、昨年五月、JVの一員として国体の主会場となる維新百年記念公園陸上競技場新築工事を受注しながら、昨年夏、同社の外為法違反容疑が発覚したため契約を破棄したという、山口県にも因縁のある会社でもあります。 今、何より大切なことは、政治をゆがめる温床となる企業・団体からの献金はきっぱり廃止するとともに、国民の税金を分け取りする政党助成金も廃止することだと、私は考えます。 清廉潔白を信条とされる知事として、この二点の実現を国に強く求めるお考えはないか、お尋ねをいたします。 次に、現下の景況とその原因の認識についてであります。 二井知事は議会初日の所信で、現下の景況について、百年に一度と言われる危機にあるとの認識を表明されました。 マスコミは、今日の不況をアメリカ発の未曾有の暴風雨などと大騒ぎしていますが、肝心かなめの、その根源的な原因については触れようとしておりません。 今の事態は、暴風雨に例えられる天災などでは決してありません。あのヘッジファンドに代表される投機マネーの暴走を放置してきたカジノ資本主義の破綻が招いた政治災害であります。この点では、アメリカのみならず、日本の自民・公明政権と大企業、大資本家も全く同罪であります。 この間、自公政権は、構造改革と規制緩和の名のもとに、一つ、輸出頼みで、国内需要をみずからが壊す、二つ、大企業のぼろもうけを放任した上、大資本家、大金持ち向けの優遇税制は拡大する、三、労働法制を次々に大改悪し、非正規、低賃金労働者を激増させる一方で、セーフティーネットを切り捨て、貧困と格差を広げるという政策を推し進めてまいりました。その末の破局なのであります。 今日の事態は、明らかに新自由主義的構造改革路線の破局が招いた恐慌と言っても過言ではありません。そうであるからこそ、構造改革路線の根底にあるアメリカ賛美、大企業言いなりの政治から脱皮しない限り、根本的な解決は到底望めないと考えております。 さて、二井知事は、今日の大不況を現出させた原因についてどう理解されているのでしょうか。 また、これまで会社のために懸命に奮闘してきた若者たちを情け容赦なく派遣切りする一方で、大企業には――皆さんの机上にお配りしております表一を参照してください。利益剰余金、すなわち、内部留保を膨張させてきたことをどのように評価されておられるのでしょうか、お尋ねをいたします。 今後、国政とあわせて山口県がやらなければならぬことは、彼らのこの巨大な利益をもたらした働き手に対するむごい仕打ちを改めさせ、ぼろもうけのぼろの部分くらいは、国民と社会に還元させ、国内需要を拡大させることこそが、不況脱出の第一歩と私は確信しますが、知事はどのように理解されておられるでしょうか。 第二に、関門海峡道路についてです。 関門海峡道路(第二関門橋)について国や県は、一つ、関門地域の一体的発展、二つ、将来の交通需要の増加に対応、三、災害時のライフラインの確保のために必要だと強弁を重ねてきました。 我が党は、一つ、関門一体の発展は既存の道路、鉄道、航路の利便性向上で十分対応できる、二つ、関門の交通量は近年、横ばいないしは減少傾向である。たとえ需要が、今後、増加しても既存の関門国道トンネル及び関門橋で十分対応できる、三、関門橋は耐震基準をクリアしており、数千億円とされる巨額投資を重ねて、新たな海峡道路を建設することは費用対効果を考えるときに、全く合理性に欠けていると指摘し続けてまいりました。 さて、関門海峡道路については、この十六年間、県が約三億二千万円、地元下関市が二千五百万円を投じて営々と調査事業が進められてきたのであります。 最初に、次年度も調査と調査費の計上は続けるお考えなのでしょうか。 次に、公金を使っての調査ですから、その成果を明らかにするのは、税金使用の最低の義務であり、県民への説明責任であるとも考えます。 昨年六月及び十二月県議会で、私の質問に対して、土木建築部長は、地震観測や地質調査、潮流調査等で得られた基礎的数値データであり、公表していないと答弁されましたが、過去に実施された全調査結果は、県民にわかりやすく公表してしかるべきではありませんか、いかがでしょうか。 最後に、今後の調査について、国が調査をやめたことを踏まえて、改めて関係する福岡県、下関市及び北九州市と協議して、実施する必要があるかどうか検討するとも答弁をされておられますが、どうされるのかお伺いをいたします。 第三に、農林水産予算についてであります。 知事の所信表明でも、農林水産部の予算概要でも、県内食料自給率を二○一二年(平成二十四年)までに七○%に引き上げる施策が最重点として示されております。 しかしながら、私が承知しているところでは、七○%の目標は、当初計画では二年後の二○一○年、すなわち来年までとされ、事実は二年先延ばしであると考えていいのでしょうか。ならば、二年間も、山口県は、先延ばししてきたこの理由がどこにあったか、明確にされなければなりません。御見解をお伺いいたします。 その点でも、七○%引き上げは容易ではありません。現実と大きな乖離があると、私は言わざるを得ないとも思っております。 特に、野菜・果樹等の園芸分野の格段の伸長及び畜産や水産の飛躍が強く求められているところでもあります。県内農業・漁業者の営農・営漁意欲を引き出すかけ声だけの施策であってはなりません。当局の答弁を求めます。 二点目に、国の次年度予算案が衆議院を通過し、年度内成立が確実となりました。農業再生が叫ばれる農林水産予算でも多くの特徴がありますが、特に基幹産業であるこの分野でも、長年続いてきた公共事業予算が初めて一兆円を下回り、非公共事業予算が予算の六一%を占めるまでになりました。 さて本県では、非公共事業分がいまだ四二%とお聞きし、これで自給率の向上を初め、本県農業の再生と活性化は本当にできるのか、大きな懸念を痛感しております。県当局の明快な御見解を求めます。 第二に、土木建築行政のあり方についてであります。 二○○三年から五年間の土木事務所管内別の事業量の推移という資料をもう一枚、皆さん方の机上にお配りをしておりますが、私は、これを見て驚きました。 中身を精査すると、二つの特徴があります。一つは、この間の土木事務所の統廃合を加味して、○三年度と○七年度の事業量を比較すると、管内ごとの大きな偏在が顕在化してきているからであります。 例えば、長門地域は四二・五%、萩地域は四七・六%と、大きく落ち込んでいます。 私の住む下関地域も、県下最大の人口集積地にもかかわらず、豊田土木事務所の廃止も影響して五一・五%と、大幅に落ち込んでいるからであります。他方、山口地域は九四・五%、美祢地域は何と一一一%であります。 無論、二○○七年度において事業量の約二割を占める高規格道路の影響が甚大であり、土木建築事業全体を大きくゆがめています。こうした高規格道路の異常さと地域的な偏りを県当局はどのように考えておられるのでしょうか。 いま一つ、管内人口一人当たりの事業額を比較すると、また驚きました。下関地域は、市民一人当たり約二万円、防府地域はもっと少なくて一万八千円、こういう水準であるのに対して、美祢地域は一人当たり二十二万六千円と突出し、岩国、柳井地域が続いているのであります。この偏在を、見逃すことのできない重大な事態を、県当局はどう認識しておられるのか、お伺いいたします。 今、下関市の旧豊田土木事務所管内であった北部地域で、地域振興や地域雇用の比重の高い公共事業の著しい減少に加え、その派生的な問題を深刻に受けとめる声がしきりに聞かれます。 特に、仕事がないにとどまらず、県下の他地域にはない、旧市内部の業者が入札に割り込み、仕事にありつけても異常なたたき合い、すなわち、低価格の仕事で利益が出ないとか、予算の関係か、工期が延長して仕事の手配が大変だ、の声であります。なぜ、こうした事態が生じたのでしょうか。 また、こうした事態で不合理な点は、当然是正されてしかるべきでありますが、県当局の明確な答弁を求めるものです。 第三に、農林水産行政についてです。 最初に、農作物への鳥獣被害防止についてであります。 昨年二月、鳥獣被害防止特別措置法の施行により、県下の農家に大きな農業被害をもたらしているイノシシ、シカ、猿、鳥等の有害鳥獣に対する被害防止対策は、被害防止計画を作成した市町が主体的に今後取り組むことができることとなりました。 二十市町のうち、本年度中に十八市町が、同防止計画を作成する見込みであり、財源的にも特別交付税措置により、市町の実質負担率が従来の二五%から一○%以下に減少する国の鳥獣害防止総合対策事業として実施されてまいります。 まず、大切な移行の時期であります。年々被害防止対策の重要性が求められている中で、県の役割である、一つ、被害防止計画の作成への支援、二つ、研究開発、三、人材育成等にどのように取り組まれるのでしょうか。 また、残念ながら、本県では、有害鳥獣被害は相変わらず大きな額であります。シカの防護さくには自己負担がありません。新年度より県の財政出動の少なくなった分を、今なお四分の一の生産組織等への自己負担が残るイノシシや猿の防止策の拡充に充てることはできないものかどうか、県の御見解を求めます。 いま一つは、巨額横領事件が、山口美祢農協と、長門大津農協の複数支所、さらには、県漁協支所で発覚するなど、農協・漁協の信用事業の不祥事に歯どめがかからない事態が続いております。 この間、県当局も、通常の常例検査を強化する一方、三度に及ぶ業務改善命令の発出や農協の全支所への検査・指導などの特別対策をとられ、指導強化を行ってこられました。 まず、昨年来行ってこられた農協の百八十支所に対する特別検査・指導について、進捗状況と不祥事の発生防止及び信用事業改善のために気づいた重要な点についてお示しください。 次に、当事者である二つの農協や県漁協の内部からの改革がどのように行われようとしているのでしょうか。 次に、この間、各支所で起こった横領額の返済状況についても、明確にお示しください。 全国的にも、一カ月に一件以上の横領事件が発覚しているとの報道にも触れ、いち早く県として、農協・漁協の抜本的な改善を行うべきと私は考えますが、今後どのようになされるのか、明確な見解を求めるものであります。 第四に、教育行政のあり方についてであります。 映画ファンの私にとって、映画「おくりびと」、短編アニメ「つみきのいえ」のアカデミー賞同時受賞、そして、「誰も守ってくれない」のモントリオール世界映画祭最優秀脚本賞受賞は心からうれしく、大きな元気をもらいました。 特に、映画「誰も守ってくれない」は、私に二つの重いテーマを鋭く突きつけたのであります。一人の未成年者が犯した殺人事件は断じて許されないことですが、事件発生とともに、加害者の家族に殺到し、手段を選ばず過剰な取材活動をするマスコミと、口汚い非難や罵倒を浴びせる多くの心ない民衆の行為も、また私は許されないことだと考えます。 いま一つは、社会的犯罪のたびに、テレビ等では一部をかいま見ておりますが、携帯電話とメール、インターネットの自己紹介サイトであるプロフによる暴露と個人攻撃の異常さに、私は改めて驚愕し、恐怖いたしました。あくまで、物語の世界ですが、こうしたマスコミの異常取材や携帯電話やインターネットの心ない人権無視の攻撃から加害者の家族を守る警察の姿がありました。 そこで、県警本部にお尋ねしますが、必要があれば、こうした加害者家族に対する保護活動も行われてしかるべきであると考えますが、いかがでしょうか。 次に、携帯電話についてであります。 今、全国の都道府県でも大きな関心事になっている学校への持ち込みについてですが、本県では小中学校では原則持ち込み禁止、高校では、学校や地域の実態に応じて持ち込み禁止や校内での使用制限などの対応がなされております。 しかし、既に携帯電話は現代社会の必需品ともなっており、限られた学校社会での対応だけでは済まされない現実があります。 児童生徒が、携帯電話を学校に持ち込むことで、どのような課題が生じると考えておられるのでしょうか。また、最近の治安悪化の中で、安全確保のため、保護者から携帯電話所持の要望がある現実との矛盾をどう整理されておられるのか、県教委の御見解を求めます。 例えば、文部科学省が昨年十一月に実施し、先月二十五日に公表した携帯電話利用調査を受け、新聞報道等において、「小中高生はケイタイ依存」「中高生はメール漬け」「中二と高二の六五%がトラブル遭遇」等の見出しで警鐘が乱打されております。 そこで、山口県の実態はどうなっているのでしょうか。また、県教委としての具体的な対応及び学校でできることと配慮すべきこと、家庭の役割、地域や社会に望むことをどのように整理しておられるのでしょうか。 私は、一つ、学校への持ち込みをどうするかは、取り締まり的な発想で上から規制を決めるのではなく、実情に応じて自主的に決める、二つ、使い方や情報のモラルについてのルールづくりと具体的なトラブルに遭ったときの対応方法などを、子供たちと一緒に考える、三、過剰な販売競争とテレビのCM等の企業活動を放置せず、自主規制を求めるなどの対応が肝要と考えます。御見解をお伺いいたします。 最後に、今日の情報化の時代に生きる子供たちも、保護者の皆さんも、また、厳しい経済環境にある企業も、それぞれに言い分はあると思いますが、学校内でのいじめや暴力等と深いつながりがあるとするならば、一刻の猶予もできません。 携帯電話による誹謗中傷等のトラブルの実態をどう承知され、どう対応されておられるのでしょうか。県教委と県警本部の御所見をお伺いし、一回目の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(松永卓君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 水野議員の御質問にお答えいたします。 まず、次年度予算案と知事の政治姿勢に関連して、政治倫理についてのお尋ねであります。 政治資金や政党交付金に係る制度につきましては、政治活動の公明と公正を確保する観点から、法律で定められておりまして、知事に対しては、企業・団体からの寄附は禁止をされ、政党交付金も当然のことながらありません。お尋ねの件については、どこまでも、これは国政レベルの問題でございますから、国会の場において、しっかりと議論をしていただきたいと願っております。 次に、現下の景況とその原因の認識についてであります。 まず、今日の景気悪化の原因についてでありますが、私は、世界経済が一体化を強める中で、アメリカの金融危機に端を発した世界的な信用収縮により、我が国の実体経済にまで深刻な影響を及ぼしたものと理解をいたしております。 次に、大企業の利益剰余金についてでありますが、利益剰余金は、企業の存続や長期的な発展の可能性を確保するためのものであります。その取り扱いについては、それぞれの経営状況に応じて企業みずからが判断されるものと考えております。 次に、国政とあわせて、県が、もうけを国民と社会に還元させ、国内需要を拡大させることが不況の脱出の第一歩ではないかとのお尋ねでありますが、国内需要拡大につきましては、今回の国の追加経済対策におきまして、内需主導型経済成長を基本とした支援策が実施されますことから、県といたしましては、こうした国の経済対策を活用しながら、景気・雇用対策に重点的に取り組むことが重要であると考えております。 そのほかの御質問につきましては、関係参与員よりお答えいたします。 ○副議長(松永卓君) 柳橋土木建築部長。    〔土木建築部長 柳橋則夫君登壇〕 ◎土木建築部長(柳橋則夫君) 関門海峡道路について、三点のお尋ねです。 まず、次年度の調査費については、昨年、国が海峡横断プロジェクトに係る個別の調査を取りやめたことから、県としても、予算計上を見送りました。 次に、過去に実施した全調査結果を公表するべきではないかとのお尋ねです。 これまでも申し上げてきたとおり、県がこれまで行ってきた調査のうち、関門海峡道路の必要性に関する意識調査は、既にパンフレットやホームページを通じて公表しておりますが、地震観測や地質調査、潮流調査等で得られた成果は、基礎的数値データにすぎず、積極的に公表する性格のものではないことから、公表する考えはありません。 最後に、今後の調査についてのお尋ねです。 県では、関門海峡道路は、本州と九州の交通の結節点に位置し、全国的な物流・経済活動や人的交流・連携、災害等の緊急時の代替機能の確保や関門地域の一体的発展などを図る観点から、必要な道路であると考えております。 今後の進め方については、関係する福岡県、下関市、北九州市と検討しておりますが、現時点では方針が定まっていないことから、引き続き協議してまいります。 次に、土木建築行政についての二点のお尋ねです。 まず、公共事業量の配分についてです。県では、県民の安心・安全な暮らしの確保や県土の保全などのため、地域の要望を踏まえ、毎年度、必要性や費用対効果を厳しく検証しながら、事業量の配分を行っております。 一方、事業全体の中で大きな比重を占めているのは、広域交流の促進のための地域高規格道路二路線、県民の生命・財産を守る上で不可欠なダム三カ所であり、当然ながら、これらの事業を実施している事務所では事業完了までの間、事業量は増加します。 地域や人口一人当たりの事業量に大きな偏りがあるとの御指摘ですが、県としては、選択と集中の視点に立ち、必要な社会資本整備を進めている結果であると認識しております。 次に、旧豊田土木事務所管内の入札についてです。 旧下関市内の業者が入札に参加しているとの御指摘ですが、これは、おおむね二十者の応札による競争性や公共工事の品質の確保のために定められている現行の入札参加資格要件によるものであり、適切なものと考えております。 なお、低入札が行われた場合には、低入札価格調査実施要領に基づき、見積もり内容の調査や品質確保のため工事施工中の検査を強化するなど、ダンピングの防止に努めているところです。 また、工期の延長については、建設工事請負契約約款第二十三条に基づき、請負業者と協議を行い、手続を行っております。 県としては、現時点で不合理な点は把握しておりませんが、今後とも、入札制度について不断の見直しを行い、県民の皆様の信頼にこたえられるよう努めてまいります。 ○副議長(松永卓君) 松永農林水産部長。    〔農林水産部長 松永正実君登壇〕 ◎農林水産部長(松永正実君) 三項目のお尋ねにお答えをいたします。 まず、農林水産予算に関する三点のお尋ねであります。 最初に、食料自給率の計画期間についてでありますが、食料自給率向上の取り組みにつきましては、本年度、やまぐち未来デザイン21の第五次実行計画を見直す中で、低下傾向にあります国、県の食料自給率の動向や、これまでの本県の農林水産物の生産状況等を検証した結果、二十二年度までの達成は困難と判断をいたし、加速化プランにおいて、生産から流通・消費に至る対策を総合的に講じることとし、平成二十四年度の自給率の目標を七○%以上に設定をしたところであります。 次に、農水産物の生産拡大に向けた取り組みについてでありますが、現状五四%の食料自給率を七○%に高めるためには、麦、大豆、園芸、水産物を中心に、計画的な生産の拡大を図っていく必要があります。 その取り組みを実効あるものとするため、生産者団体等との共通認識に立ち、新たに地域ごと、作物ごとの生産・販売目標を設定し、重点的な支援と毎年度の結果検証によりまして、その着実な達成を図ってまいります。 次に、農林水産関係予算の配分についてでありますが、生産基盤整備や農林漁家への支援等、事業ごとに、個別にその必要性を検討し、予算計上をした結果でございます。 県としては、厳しい状況にありますけれども、公共・非公共の事業を通じまして、必要な予算措置を講じているものと考えており、今後、事業目的が確実に達成できるように努め、農林水産業の活性化と自給率の向上を図ってまいります。 次に、農林水産行政に関して、鳥獣被害防止対策のお尋ねのうち、まず、県の役割についての三点のお尋ねであります。 最初に、被害防止計画の作成についてでありますが、県では、地域で効果的な被害対策が講じられるよう、説明会を開催するなど、計画の作成について市町へ助言・指導をしてきたところであります。 その結果、年度内に十八市町が計画を作成し、残る二市町につきましても、来年度には作成をすることとなってございます。 次に、研究開発についてでありますが、県鳥獣被害相談センターを中心に、地域の特性やニーズを把握しながら取り組んでおりまして、具体的には、山口市仁保地区におけるモンキードッグを活用した集落ぐるみの猿の追い払い技術の研究を初め、シカにつきましても、県西部において、産学公の連携による新たなさくの開発等を行うこととしております。 県としては、これらの成果を取りまとめ、ホームページや地域ごとの説明会等を通じて広く普及・定着させてまいります。 次に、人材の育成についてでありますが、市町や関係団体等を連携し、地域においては、防護や捕獲に関する各種技術研修会を、また、県域においては、先進的な事例や研究成果を紹介する講演会を開催するなど、地域リーダーの育成に努めてまいります。 次に、県の助成制度の見直しに関するお尋ねであります。 特別措置法の施行に伴い、市町への特別交付税の拡充や国の補助制度の新設など、市町の負担も軽減をされますことから、新年度予算では、市町への補助事業の見直しを実施したところであり、市町に対して説明会等で見直しの趣旨を伝え、理解を求めてきたところであります。 お尋ねのイノシシ等の防止策の拡充につきましては、見直し後もこれまで同様、受益者の応分の負担が必要と考えており、県として支援を拡充することは考えておりません。 次に、農協、漁協の不祥事についての四点のお尋ねであります。 まず、農業の全支所検査・指導の進捗と不祥事の発生防止等のための重要な点についてでありますが、県は、昨年の相次ぐ農協の不祥事を受け、今年度、農協中央会や県信連など農協系統団体と連携し、農協の全百八十支所へ、再発防止のための検査・指導を実施したところであります。 この結果につきましては、現在、取りまとめ中でありますが、不正事例や大きな問題点はなかったものの、一部の支所においては、いまだに上席者によるチェック等の不備や、顧客からの依頼に基づく便宜的な事務処理が散見されるなど、今後、さらに改善を図っていくべき課題があるものと認識をしております。 次に、当事者である農協や漁協の内部からの改革についてでありますが、農協及び漁協におきましては、多額な横領事件を発生させたことを極めて重大に受けとめ、二度とこのような不正事件を発生させてはならないとの認識のもとに、内部牽制態勢の強化や、職員への適正な事務処理の徹底など、みずからが策定する業務改善計画を着実に実行することにより、組合員や利用者の信頼回復に努めていくということにしております。 次に、不祥事が発生した農協及び漁協での横領額の返済状況についてでありますが、現在、当該農協、漁協においては、裁判や調停、弁護士を通じた交渉など、横領額の全額回収に努力されておりますが、現時点ではいずれも返済額は確定しておらず、県としては、この状況を注視をしておるところであります。 次に、農協、漁協の抜本的な改善に向けた今後の県の対応についてでありますが、県としては、全支所検査を通じて各組合ごとに再発防止に向けた指導を行ってきたところですが、今後は、検査で明らかになった問題点や課題を整理した上で、日々のチェック体制の構築や便宜的な事務処理の縮減など、現状の問題点について、速やかに対応するよう、組合長会議等で重ねて徹底を図ることとしております。 また、不正の未然防止に資する電算システムの改善や内部牽制強化のための信用事業体制の再編整備などの中・長期的な課題について、県と系統団体で構成する連絡会議におきまして検討を進め、逐次改善を図ることにより、農協や漁協の健全な運営の確保に取り組んでまいります。 ○副議長(松永卓君) 御手洗警察本部長。    〔警察本部長 御手洗伸太郎君登壇〕 ◎警察本部長(御手洗伸太郎君) 大きく二点の御質問のうち、まず初めに、加害者家族に対する保護活動についてお答えを申し上げます。 社会的に耳目を集めるような事件におきまして、関係者またはその家族に対して過剰な取材が行われる集団的過熱取材、いわゆるメディア・スクラムについては、これまで、新聞協会や放送人権委員会等で議論がされ、基本的には、報道機関の自主的な判断により、対処されるものと承知しております。 県警察といたしましては、報道の自由に十分配慮しつつ、被疑者の家族等から、過剰な取材によって多大な苦痛を受けている等の相談がなされた場合には、家族の意向を報道機関に伝えるなどして、報道機関において自主的な判断がなされるよう、適切に対応してまいります。 また、インターネットや携帯電話などを使用して、実際に名誉毀損や脅迫など、刑罰法令に触れる行為があれば、必要な捜査を行うとともに、家族の生命・身体等に具体的な危険が予想される場合には、警戒を行うなど、家族の申し出や書き込みの内容に応じて諸対策をとることとしております。 次に、携帯電話に係る御質問についてお答え申し上げます。 県内で、携帯電話による誹謗・中傷などの書き込みやメール送信されたとして、少年または保護者から警察に相談のあった事案は、ネット問題対策を重点対策として開始いたしました昨年十月以降、現在まで六件を把握しており、このうち、五件が中学生の被害となっております。 ちなみに、これら相談事案のうち、犯罪として検挙した事例はございません。把握した事例は氷山の一角であり、まだまだ潜在化している事例があるのではないかと考えております。 また、児童生徒の携帯電話の利用につきましては、保護者等が子供たちの携帯電話の利用実態について知識が乏しいこと、保護者及び児童生徒に携帯電話利用の危険性に関する意識が低いこと、児童生徒に対する携帯電話の使用に関するしつけ、あるいは、ルールづくりが確立されていないこと、こういったことが課題であると考えております。 県警察では、こうしたネット問題に適切に対処するため、このたび、「守ろう少年サポート21」と称するネット問題対策の推進計画を策定し、悪質事犯に対する取り締まりと悪質な書き込みに対する削除要請、サイバーセキュリティ・カレッジや非行防止教室等による携帯電話の正しい使用や危険性等に関する指導、フィルタリングの利用促進に関する広報啓発などを推進するとともに、個別の事案につきましては、学校や教育委員会と連携しながら、対応チームを設置するなどして、取り組みを図っていくこととしております。 以上でございます。 ○副議長(松永卓君) 藤井教育長。    〔教育長 藤井俊彦君登壇〕 ◎教育長(藤井俊彦君) 教育行政に関する数点のお尋ねにお答えします。 まず、学校への携帯電話の持ち込みによる課題等についてであります。 携帯電話の学校への持ち込みにより、授業中のメール等による集中力の欠如や休憩時間にゲームで遊ぶなど、学習活動や生徒指導上の課題が生じているところであります。 県教委といたしましては、携帯電話は学校の教育活動には必要ないものと考えておりますが、保護者からは、安全上の配慮等から持ち込みの要望等がありますことから、各学校の実情に応じて対応する必要があると考えております。 次に、本県における携帯電話の利用実態と今後の対応についてでありますが、お示しのありました調査は、文部科学省の無作為の抽出調査でありまして、本県の結果は公表されておりませんが、昨年六月に本県の関係部局が、独自に実施した調査によりますと、中学校二年生のうち、一日二時間以上携帯電話を使用する生徒は一八%、また、何らかの有害情報サイトに接続したことがある生徒は二二%という結果などが出ております。 携帯電話の取り扱いにつきましては、お示しのありましたように、各学校が実情に応じてルールなどを決めることや対応方法を子供たちも考えること、また、企業等に自主規制を求める動き等も重要でありますことから、教育委員会、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割に応じて、一体となって取り組むことが必要であると考えております。 このため、まず、県教委といたしましては、携帯電話の取り扱いについて、各学校の実態等を踏まえて、保護者と連携し、具体的な取り扱いを定めるように、先般、各学校に通知したところであります。 さらに、これまで基本的な対応方法等を示したマニュアルを配付し、また、専門相談員であるネットアドバイザーの配置等も行っております。 次に、各学校におきましては、ケータイ安全教室の実施や、生徒会活動等を通してルールやマナーなどを子供たち自身が考える取り組みなど、発達段階に応じた情報モラル教育の充実に努めております。 また、家庭におきましては、所持の必要性について十分話し合いますとともに、保護者みずからが携帯電話の危険性等について理解し、持たせる場合には家庭におけるルールづくりやフィルタリングの活用について働きかけをしております。 さらに、地域社会におきましては、社会全体で取り組むために、来年度、ネット問題啓発のための推進大会の開催や民間ボランティアと連携したネットパトロールなどを実施していく考えであります。 また、インターネット関連業者等に対しましては、全国都道府県教育長協議会を通じて、法的な規制も含めた抜本的な対策を講じるよう、国に要望しているところでもあります。 次に、携帯電話による誹謗中傷等のトラブルについてであります。 県教委が、昨年十一月に県内の小中学校に対して実施しました調査では、過去に一度でもネット上での誹謗中傷やチェーンメールでのトラブルがあったと回答した小学校は三十三校、中学校は百四校となっております。 ネット上の誹謗中傷等によるいじめにつきましては、認知することが難しいという状況もありますことから、未然防止のために児童生徒への情報モラル教育の徹底、早期発見・早期対応のための学校や関係機関等との相談体制の充実、さらには、県警と連携した迅速かつ組織的な対応などに取り組んでいるところであります。 以上でございます。 ○副議長(松永卓君) 水野純次君。    〔水野純次君登壇〕(拍手) ◆(水野純次君) 時間のある範囲で、第二質問をしたいと思っておるんですが、国の第二次補正予算が通って、いよいよ定額給付金の受け取りが、この山口県でも大きな課題になっておりますけれども、山口県は、県下の市町で一体どの時期に、それから、支給内容では、プレミアムつき商品券等の話もあるんで、どういう内容になっているのか、承知されておられるでしょうか、お伺いします。 それから、日本共産党は、定額給付金については、受け取りたいという方も随分おられますので、地方では受け取れるように地方議会では賛成をいたします。 しかし、私は、矜持とまでは言いませんが、私の哲学がありますし、消費に本当に向くのかどうか、あるいは、これだけの額が本当にこういう形で使われていいのかという点で、受け取るまいと思っております。知事もまさか、たくさん収入がおありで、二○%カットされましたけど、まさか受け取らないと、私は思っているんですが、御見解をお伺いします。 それから、第二番目に、柳井市長選挙が行われて、これから下関、萩、長門と、県下で市長選挙が続いていきますが、私は、特定候補者が、県と太いパイプっていうことを、必ず言われるんですよ。 知事、県と太いパイプがあると、県議会議員経験者なんかが言われるのは一体どういうことですか。具体的に言ってください。 特に私は、福祉医療について本当に厳しいお話がありましたが、福祉医療の一部負担が残るという点でも、多くの声がありました。特に、小さな子供も、三歳以上になると、自己負担がかかると、あるいは、障害者の方が自己負担がかかる。 こういうことになると、医療費抑制につながる。私たちは、もうお医者に行かんと我慢せんにゃいけん、こうなりますよっていう声をお聞きしました。知事のところにも届いておりますか。 また、これを残すことによって、影響額、マイナスの影響額はどれだけだと試算されておられますか、お伺いします。 それから、すぐ都合がいいときに――ああ、私はこの間、お聞きしておりましたら、「県財政が厳しい」ということを、県と県幹部は五十二回も言われた。そして、都合がええときには、「選択と集中」ですよ。 知事、公共事業は、国民も税金を払っているが、県民も税金を払ってる。これは、給付と負担のバランスはやっぱりちゃんととってもらわんにゃいけん。あなたが、よく言われる、給付と負担の割合は。 こんな、人口集積地が、公共事業がほんとに少なくて、人口が少ないところが、巨額の恩典を受ける。こんなばかなことがあってはならんじゃありませんか。 土木建築部長、あなたは、適正なところばっかりと言われたが、人口の条件は一体どうなってるんですか。 それから、下関北部の異常さ、これは、市町村合併が一番悪いんですけど、旧市内の業者が、北部に――旧豊田土木事務所内に事務所を持って、入札に参加してくるからですよ。こういう異常な事態で、たたき合いが行われることは、県下各地にありますか。ちゃんと言うてください。 それから、自給率の問題ですが、二百七十九億円ですよ。それで一番許されないのは、我々県議会議員は無論のこと、一部の方は知っておられたかもしれんが、二年間先延ばしは、一言も今まで答弁でも言わないし、一体どうなったかと、私は思うんですよ。 それで、私は、大変この二百七十九億、主穀が二十四億、園芸が百四十二億ですよ。さらに、畜産が六十一億、水産が四十六億、二十四年までに、大変な額だと思うんですが、ほんとに食料自給率七○%が達成されますか。具体的な額に直すと、これは大変なことです。この点についてどうお考えか、お伺いします。 それから、有害鳥獣の点では、効果が上がっているのか、いないのか、一点聞きます。 それから、農協の問題は、JFマリンバンク中央本部が、信用事業機能再編ということで、漁協については、少数の信用事業については一定の方針をもう既に出されている。この内容について、そして、県下の農協を含む農協に対してはどうされるのか、お伺いします。 最後に、携帯については百四校と言われましたが、メールや掲示板でのトラブルは山口県でも、率に直して、教育長、六割ですよね、中学校じゃ。これは、大変な事態だと私は思うんですよ。 しかも、渡海文部科学大臣は、本当に持ってきていないのかどうか、徹底的に調べる調査――調べることまで必要だって言ってるんでよ、皆さん。原則禁止じゃないじゃないですか。上からの一律の禁止ですよ、これは。こんなことで、トラブルがまた新たに起こるんじゃありませんか。お伺いをして、第二回目の質問を終わります。(拍手) ○副議長(松永卓君) 水野純次君に申し上げます。 ただいまの定額給付金についての発言は、本質問において答弁を求めるに至っておりません。よって、質問質疑実施要綱総則第六項により、再質問において触れることができませんので注意をいたします。 ◆(水野純次君) 消費を促して内需を促す景気対策って言っているわけですから…… ○副議長(松永卓君) 知事がもらうか、もらわんかの話でしょ。それは、景気対策で、内容はそうかもしれんが、知事がもらわれるか、もらわれんかの質問でございましょ、そういう質問でしたよね。知事はもらわれますかと、こうおっしゃっいましたと、こう理解したんですが、それですから、今、私が注意を申し上げたんです。 ◆(水野純次君) いや、それは答えられんって言うの。 ○副議長(松永卓君) いや、答えるか答えんかじゃなくて、今、私が申し上げたとおりでございます。 ◆(水野純次君) そんなばかなことないじゃないですか。何で答えられんって言うんですか。 ○副議長(松永卓君) いや、答えられる、答えられんじゃなくて、先ほど私が申し上げたとおりでございます。 ◆(水野純次君) 知事の重要な政治姿勢でしょ、今現下のこの重大事の中で…… ○副議長(松永卓君) 質問が、もらうか、もらわんかの話だろうと、私は理解をいたしまして、その質問は、先ほど申し上げた理由によりまして、御忠告を申し上げましたということです。 ◆(水野純次君) いや、これが政治姿勢でなくして、一体何が政治姿勢なんですか、それじゃ、議長、言うてくださいよ。これが知事の政治姿勢でなくして、ほかにどんな政治姿勢があるの。何を言ってるの。 ○副議長(松永卓君) もう一度申し上げます。ただいまの水野議員の発言は、本質問において答弁を求めるに至っておりません。よって、質問質疑実施要綱総則第六項により、再質問において触れることができませんので、先ほど注意を申し上げました。 答弁に入らせていただきます。 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 再質問にお答えいたします。 まず、市長選挙の関係で、県との太いパイプという発言についてどうかということですが、私にお聞きになられてもわからないわけでありますから、(笑声)どうか、候補者の方にお聞きをいただきたいと思います。 それから、福祉医療制度の見直しに関連して、医療費の抑制につながるのではないかというような声があるけれどもというお話でありましたが、私もそのような意見は耳に入っております。 以上です。    〔発言する者あり〕 ○副議長(松永卓君) 柳橋土木建築部長。    〔土木建築部長 柳橋則夫君登壇〕 ◎土木建築部長(柳橋則夫君) 土木建築行政のあり方についての二点のお尋ねです。 まず、公共事業の事業量の配分について、人口によって均衡を図るべきではないかとのお尋ねです。 国、地方を通ずる厳しい財政状況のもとで、公共事業費も減少傾向が続いており、公共事業の配分に当たっては、御指摘のとおり、より一層の選択と集中が求められております。 このため、県としましては、各地域からのニーズを受けて、緊急性、費用対効果などを総合的に勘案した上で、必要な事業箇所を決定しており、公共事業量の配分を行っているところです。したがいまして、人口一人当たりの事業量が均衡するよう配分することは考えておりません。(発言する者あり) 続いて、入札参加資格要件についてです。 まず、御指摘のような入札参加資格要件は、山口県では、旧豊田土木事務所管内一つでございます。ただし、一般競争入札の拡大に当たっては、地域の中小建設業者が、雇用確保や災害対応等に果たす役割、官公需法による受注機会の確保等の要請を踏まえ、地域産業の育成にも配慮しつつ、競争性の確保を図ることが必要であり、地域要件を設定しています。 具体的には、土木事務所管内を基本に、業者数、地域性や施工能力等を配慮しつつ、公正な競争ができるよう、おおむね応札可能者数を二十者以上となるように設定しております。旧豊田土木事務所管内の入札参加資格要件も、この考え方で設定されたものであり、適切と考えております。 ○副議長(松永卓君) 松永農林水産部長。    〔農林水産部長 松永正実君登壇〕 ◎農林水産部長(松永正実君) 三点の再質問にお答えをいたします。 まず、第一点は、自給率七○%達成がほんとにできるのかというお尋ねでございます。 食料自給率五四%、現状でございますが、七○%にするためには、お示しのありましたように、算出額を現在より二百七十九億円、生産額向上が必要でございます。そのため、集落営農法人や認定農業者などの担い手を育成をいたしますとともに、農地の集積等を推進し、水田を最大限に利用する取り組み等を推進いたしますとともに、新たに、地域ごと、作物ごとの生産販売目標を設定をいたしまして、重点的な支援と毎年度の結果検証によりまして、その着実な達成に向けて努力をしてまいります。 二点目が、有害鳥獣対策の効果が上がっているかということでございます。 これまでの県の調査では、平成十四年度をピークに徐々に減少をしてきておりますけれども、まだ依然として深刻な状況でございます。今後とも、鳥獣被害の防止に向けて全力で取り組んでまいります。 三点目が、漁協系統、JFマリンバンクにおける信用事業店舗再編計画の見直しの状況についてでございます。 JFマリンバンクの基準では、信用事業に取り組む漁協店舗は、基本的に職員三人以上の体制が必要とされておりまして、県漁協におきましては、この基準に従い、昨年九月に信用事業店舗再編計画を作成したところでございます。 この計画では、基本的に職員三人体制がとれない支店は、ことし九月までにATMの導入や他支店への信用事業業務移管等により対応することとしております。 県漁協は、現在、業務改善計画を策定中でございますけれども、信用事業店舗再編計画の前倒し実施や見直しの方法等について検討を進めており、今後その検討結果が、業務改善計画の中に盛り込まれるものと考えております。 なお、JA系統につきましては、来年度末までにこうした体制が整備されることとなっております。 ○副議長(松永卓君) 今村健康福祉部長。    〔健康福祉部長 今村孝子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(今村孝子さん) 福祉制度についてでございますが、今回の見直しについて、マイナス試算の御質問と思いますが、医療費の影響については推しはかることはできないと思いますが、このたびの福祉医療費助成制度の見直し、この制度に関して言えば、マイナス試算としては、通年ベースで五億、予算ベースでは二億七千万。(発言する者あり)福祉制度自身の単独のものだけです。 ○副議長(松永卓君) 藤井教育長。    〔教育長 藤井俊彦君登壇〕 ◎教育長(藤井俊彦君) 携帯電話の学校への持ち込みについての基本的な考え方のお尋ねでございますが、携帯電話の学校での取り扱いにつきましては、先ほども答弁いたしましたように、各学校の実態に応じて保護者等としっかり意見交換、連携しながら、取り扱い等を定めることが重要であると考えております。 以上でございます。 ◆(水野純次君) 議長の裁定には、極めて不満です。後日、ちょっと議会運営委員会でぜひ議論していただきたいと思うんですが、知事の政治姿勢なら私は何でもええとは思っておりません。 しかし、知事の政治姿勢の中ででも、とりわけ、今から山口県で……(発言する者あり)そんなことないっちゃ、景気対策の一番主要な課題として国からおりてくるシステムとしての給付問題については、そりゃもう、現下の重要な景気対策にかかわることであり、しかも、知事の政治姿勢の根幹にかかわることだと、私は思っているんですよ。 そうしたら、知事の政治姿勢っていうのは、極めて限られたものになって、山口県議会の未来が極めて危険ですよ。こんな裁定があってたまりますか。おかしいですよ、これは。    〔発言する者あり〕 ○副議長(松永卓君) 加藤議員。 ◆(加藤寿彦君) 議運で預からせていただきます。 委員長、よろしいですね。 ○副議長(松永卓君) ただいまの――水野議員、ちょっとお待ちください。ただいま御発言のあった件につきましては、議会運営委員会で協議をいたしたいと思いますので、御了承願います。 まだ指名してませんが、自席へお戻りください。自席へお戻りください。 水野純次君。    〔水野純次君登壇〕(拍手) ◆(水野純次君) 何であんな時間出すの。 土木建築部長、答えてませんよ。あなた方は、都合がいいときに選択と集中は言うが、給付と負担のバランスということで、福祉医療は、一部負担金が、なお残されました。公共事業には、給付と負担のバランスっていうのはないんですかって、私は聞いているんです。あわせて、知事にも、御答弁をお願いをして、少し時間が余りますが……(笑声)質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(松永卓君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 再々質問にお答えをいたしますが、私は公共事業につきましては、費用対効果を見ながら、選択と集中の視点に立って優先順位を決めていくべきであると、基本的に考えております。 したがって、給付と負担の関係については、全くないとは申しませんけれども、基本的には、給付と負担との関係で公共事業ということは、基本的には考えておりません。 ○副議長(松永卓君) 合志栄一君。(発言する者あり)失礼いたしました。合志議員、ちょっとお待ちください。 失礼いたしました。 柳橋土木建築部長。    〔土木建築部長 柳橋則夫君登壇〕 ◎土木建築部長(柳橋則夫君) 当然ながら、知事と同じ答弁になると思いますが、社会資本整備については、給付と負担のバランスで行っておるわけではございません。 ○副議長(松永卓君) 合志栄一君。    〔合志栄一君登壇〕(拍手) ◆(合志栄一君) 新政クラブの合志です。 質問に先立ち、今議会に提案されております平成二十一年度県予算をどう見ているか、まず申し上げます。 来年度予算は、これまで八年間続いたマイナス予算を改め、対前年比○・六%とはいえ、プラスの積極予算を組まれたことを高く評価します。 アメリカ発金融危機で世界同時不況となり、経済活動が、あらゆる面、あらゆる地域で収縮に向かい、それがまた景気の後退を招くという悪循環に陥っている今日、県のプラス予算は、それを断ち切り、経済成長、景気回復に向かうよう、本県経済を後押しする役割を果たし、心理的な面からもプラス効果があるものと評価しております。 福祉医療制度に一部負担を導入した予算になっている点は、支持できませんが、予算全体としては、緊急事態に対応し、なすべきことをなしていくという意思が貫かれていると見ております。 それでは、通告に従い質問を行います。 最初は、福祉医療制度の見直しについてでございます。 私は、福祉医療制度の見直しに取り組むことに、反対するものではありません。しかし、財源不足を主たる理由に、当事者、関係者の了解、納得を欠いたまま一方的にこの制度を見直して、一部負担金を導入実施しようとすることには反対であります。 福祉医療制度は、重度心身障害者と乳幼児を対象にした医療費助成が、昭和四十八年から、母子家庭を対象にした医療費助成が、昭和五十三年からスタートし、今日に至っております。三十余年続いてきているこの制度は、対象者になっている人たちにとっては、生活設計の前提になっているものであり、一部負担が図られることは、実質的な増税であります。負担が生じたからと言って、医療をやめることはできないからであります。 この福祉医療制度の対象者が最も多いのは、重度心身障害者で約四万二千百人ですが、この方々が、制度見直しにより負担することになる医療費は、年間で平均約一万二千円と推計されます。 このことをどう受けとめるかは、さまざまあろうと思いますが、本県が平成十七年から県民一人当たり年間五百円の森林税を導入した際、入念に県民の理解を得るための努力を行い、そのために必要と思われる手順、手続を慎重に踏んだことと比べると、余りにも違い過ぎます。 公共性についての考察で著名な現代思想家ハーバマスは、公開された討論を通して形成された公論――公の論ということでありますが、公開をされた討論を通して形成された公論が、市民的公共性を獲得すると述べておりますが、このたびの福祉医療制度の見直しは、そういった意味での公論形成の議論のプロセスが欠けているため、県の公共政策としての正当性をいまだ獲得し得ていないと断ぜざるを得ません。 私は、健常者も障害者も、同じ人として分け隔てなく等しく生きていくノーマライゼーションの考え方からして、障害者も可能な応分の負担をしていくことに反対するものではありません。また、自治体が、財政規律を保持するために一定の負担を求めようとすることも理解できます。 ただ、該当者の医療費を無料にしてきた福祉医療制度を、本人一部負担の制度に見直すことは、公共政策としての本制度のあり方の重要な変更になることから、十分な政策論議と、当事者、関係者の了解、納得を得る努力のプロセスを経る必要があるのではないかと申し上げているのであります。 県は、福祉医療制度を、一部本人負担の制度に見直すことについて、まず、県下の市町の担当者と昨年の十月以降、数回協議を行っております。そして、本人負担の限度を、通院の場合は月千円、入院の場合は月二千円とし、支払い方式は、病院の窓口で、一たんは医療費を、医療保険の自己負担分を払ってもらい、後で限度額を超えた分を助成する償還払い方式に見直す原案を固めました。その方針が、該当者の関係団体に伝えられたのは、その後でして、昨年十二月になってからのことです。 この原案は、県予算編成の最終段階において、重度心身障害者の場合は、通院の月限度額を千円から五百円に減額し、三歳未満児の医療費の無料化は継続する。そして、支払い方式は、償還払い方式を撤回して、すべて現行の現物給付方式を維持するという内容に修正されました。 その背景には、障害者団体、腎友会、母子寡婦福祉連合会等関係団体の強い要望活動があり、県議会各会派、各党からも、福祉医療制度の見直しには、慎重を期すべき旨の意向が伝えられていたことをそんたくしての知事判断があったものと思われます。 ただ問題なのは、弱い立場にある県民の命と暮らしを守る重要施策としての福祉医療制度が、今回のようなプロセスで簡単に変えられていいのかということであります。私は、有識者と関係者による諮問委員会を設けて、福祉医療制度の見直しを諮問し、そこでの徹底した政策論議と関係者へのヒアリングを経た上での答申を受けて、県が最終判断すべきであったと考えます。 私が聞く声は、このたび、一たん一部負担を受け入れてしまったら、後はまた、県は、財政事情を理由に、負担額を随時引き上げていくのではないかという不安の声であります。こういう不安を持たれるのも、福祉医療制度を一部本人負担の制度に変更するに当たって、今後、この制度をどういう原則的な考え方に立って維持していくのかが明確になっていないからであります。 また、複数の病院、診療科へ通院する場合、一月に支払う医療費一部負担金の総額に上限設定を望む声があります。通院は、重度心身障害者は月五百円、ひとり親家庭と三歳以上の幼児は月千円の負担ということですが、それは、受診する病院や診療科ごとでして、それが複数になれば医療費負担額は、その数を掛けた額になるからであります。私は、このたびの見直しで、制度対象者の医療費負担額は実際どうなるのか、実情を把握した上で、こうした声にもこたえる対応策を検討すべきであると考えます。 県は、県下の市町が独自に実施する制度の拡充措置等は妨げないとして、市町が無料の福祉医療制度を継続したければどうぞというスタンスでありますが、県と市町が一体となって実現し、守り育ててきた福祉医療制度において、県と市町の足並みがそろわないようになることは決して望ましいことではありません。 県は、大幅な財源不足が見込まれる中、福祉医療制度も聖域視しないで見直し、一部負担を導入しようと取り組んだわけでありますが、先ほども述べましたように、その見直しは、いまだ公共政策としての正当性を獲得するに足る公論を形成するに至っておりません。しかし、それは、もう少しの努力で可能なところまで来ているように思われます。今、必要なことは、見直しの実施を急ぐことではなく、見直しの公論形成に向けて議論を尽くすことであります。 そこで、お伺いいたします。福祉医療制度を見直して、一部本人負担の制度に変更することは、当面凍結し、市町、有識者、関係者含めての合意形成に向けて議論を尽くすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、情報通信政策についてお伺いいたします。 やまぐち情報スーパーネットワーク、いわゆるYSNの活用の目玉として構築され、平成十七年より全県的に稼働してきた山口県医療情報ネットワークシステムは、もともとあった広域災害・救急医療情報システムは残すものの、それ以外の三つのシステム、すなわち、医療連携情報システム、へき地医療情報システム、それに地域リハビリテーション情報システムは、本年末をもって廃止されることになりました。 以下、この質問で行う医療情報ネットワークシステムは、YSNを活用してのシステムとして構築された、この三システムであることを申し上げておきます。 平成十三年、きらら博開催時に、YSNは、情報先進県山口の幕開けを告げるものとして華々しくスタートしました。双方向で、文書、画像、音声等マルチメディアの送受信を可能にする全県的な高速・大容量の情報通信基幹網であるYSNは、さまざまな利活用が図られてきましたが、その中で情報化の恩恵を幅広く県民にもたらすものとして、県が特に力を入れて取り組んできた一つが、全県的な医療情報ネットワークシステムの構築でありました。 まずは、平成十一年から山口大学医学部附属病院を中心にして、実験的な医療ネットワークモデル事業へ取り組み、その成果を踏まえて、平成十五年に山口県医療情報ネットワーク構想を策定しました。その際、平成九年から既に運用していた、広域災害・救急医療情報システムをこの構想に組み込むこととなりました。そして、平成十五年からネットワーク構築に着手し、平成十七年に全県の医療情報ネットワークシステムを完成しました。 画像診断等の医療情報を送受信、検索できるこのシステムは、遠隔医療や医療連携を可能にし、医療の地域間格差をなくし、いつでも、どこでも、等しく、よりよい医療を県民すべてが受けることができる医療供給体制を確立することを目指して運用されてきましたが、開始五年目で廃止ということになりました。なぜ、そういうことになったのか、そのことを問うことを通して、本県の情報通信政策についてお伺いいたします。 まず最初に、医療情報ネットワークシステムの廃止について、素朴に疑問に思うこと三点をお伺いいたします。 第一点は、平成十八年に策定された県の保健医療計画の第二章「医療におけるITの活用」において、推進すべき施策の柱として位置づけられており、県の「中山間地域づくりビジョン」においては、へき地医療推進対策プロジェクトを構成するシステムとしての役割を担っており、これまで、二井県政が、「住み良さ日本一の県づくり」に向けて、主要施策の一つとして推進してきた山口県医療情報ネットワークシステムが、なぜ廃止されることになったのか、その理由であります。 第二点は、この情報ネットワークの廃止は、単に医療事業という観点からだけではなく、情報化推進の全体的観点からの議論があったのか、あったとすれば、どういう議論がなされたのかということであります。 第三点は、医療連携情報システム、へき地医療情報システム、地域リハビリテーション情報システムが廃止されることにより、これまで提供されていたサービスは、今後、どうなるのかということであります。 以上三点は、医療情報ネットワークシステム廃止の方針を県民が聞いた場合、当然に抱くであろう疑問を、県民にかわって問うものであります。県民に対して、説明責任を果たすということでの御答弁をお願いいたします。 次に、YSNの役割とあり方についてお伺いいたします。 これまで申し上げましたように、医療情報ネットワークは、廃止になりますが、そのネットワークでやろうとした医療画像の伝送による遠隔読影診断――読影診断というのは、CTやMRI等の画像を読んで病状を判別する、画像診断と見てもいいでしょう。遠隔読影診断は、山口大学の産学連携のベンチャービジネス会社である医療福祉工学研究所を母体とした、山口医療画像研究センターと契約した県内外の二十を超す医療機関との間で実現しております。この医療情報システムは、ビジネスとして成り立っており、会社発足して五年を経過した今日、月二千件以上の読影診断を行っております。 県が確立した医療情報ネットワークでは、これを利用しての画像所見依頼は、萩市民病院が山大附属病院に対して依頼したと思われるものが、平成十九年度、八十三件であります。県の医療情報ネットワークが、実現しようとした遠隔医療の核に画像診断がありましたが、利用する医療機関が広まらず、利用数もわずかにとどまったと言えましょう。 そういう現況を踏まえて、せっかく県が力を入れて確立した医療情報ネットワークではありますが、民間でできることは、民間にゆだねるということで、廃止する決断をしたのであれば、それはそれとしてうなずけるところであります。 なぜ、県の医療情報ネットワークが、うまく機能するに至らなかったのかを調べていきますと、医療上必要とされる情報は、具体的、個別的、直接的なものであり、しかも、タイムリーでなければなりませんが、それにこたえ得る医療情報提供システムを構築することは、行政がなし得る範囲、能力を超えるものであったことが明らかになってまいります。 一方、医療画像研究センターは、医療画像の読影ということに絞って、医療上のニーズに的確にこたえる医療情報提供システムを、民間事業として確立することに成功しました。 ところで、このシステムは、YSNを使っていません。医療画像センターを立ち上げた方に、その理由をお聞きしましたところ、NTT等が、ブロードバンドサービスを提供しているエリア内においては、あえてYSNを使用しなくても、情報システムを構築できるということでありました。 さて、私は、昨年六月県議会で情報通信基盤の整備ということで一般質問をした際に、二井知事が、やまぐち情報スーパーネットワーク、すなわち、YSNの整備を取り組まれたことを高く評価しました。そのことは、今も変わりありません。 ただ、医療情報ネットワークのことを通して明らかになってくることは、具体的な個々の情報サービスは、民間事業者に任せたほうがいいということでありまして、YSNは、その民間事業者による情報サービスの提供が、全県的にくまなく等しく行われるよう、情報通信基盤の整備に役立てるべきということであります。 そこで、お伺いいたします。家庭、事業所、企業等が直接光ファイバー網でつながる超高速ブロードバンド社会への移行が進捗している今日、県が情報通信の基幹網として整備したYSNの役割とあり方は、今後、どうあるべきとお考えなのか、将来を見据えての御所見をお伺いいたします。 次に、山口県振興財団についてお伺いいたします。 平成十九年十一月、中川秀直元自民党幹事長が、国の特別会計の積立・剰余金を指して、「国民に還元すべき埋蔵金がある」と発言。これを、当時の自民党財政改革研究会の会長でありました与謝野馨氏、現在は金融経済担当大臣で財務大臣も兼務しておられますが、その与謝野さんが、「そんなものは存在しない」と真っ向から否定いたしまして、いわゆる霞が関埋蔵金論争が勃発しました。この論争は、しばらくして決着、大方の特別会計で超過積立金があり、その総額は五十兆円に上っていたことが明らかになりまして、平成二十年度の予算編成では十兆円が取り崩されました。 その後は、国の財政再建に向けて、消費税を上げるべきだ派とその前に埋蔵金を使うべきだ派の論争が続いておりますが、その論争は、国の政治をあずかる方々に任せるとして、我々県政に責任を持つ者は、山口県版埋蔵金に着目し、その利活用を図っていかなければなりません。 山口県には、そこからいつも小出しに使われている埋蔵金があります。正確に言えば、巨額の金融資産でありまして、本県が有する中国電力株のことであります。山口県は、御案内のように、中国電力株式を約五千万株持っておりまして、持ち株比率は一三・三%で筆頭株主であります。 全国の電力会社は、大株主を上位十番まで公表しておりますが、そこに名前が出ている都道府県は、持ち株比率が高い順に、山口県、富山県、東京都、高知県、沖縄県の五つであります。富山県は、持ち株比率が本県に次いでいますが、それは五・一二%で、本県とは差があります。東京都は、東京電力の株を約四千三百万株持っておりますが、本県には及びません。 これらのことから、山口県が都道府県の中で、電力株の保有という点において際立っていることがわかります。 山口県が、中国電力の株式を取得するに至った経緯は、大正十三年に県営電気事業を開始したことにさかのぼりますが、直接には、戦後昭和二十六年、現中国電力株式会社が発足したとき、同社に出資し、約二十万株の株式が割り当てられたのが始まりであります。 その後、増資に対応して本県の保有株式をふやしてきましたが、昭和四十九年、増資に対応するための県の借り入れが、国の政策変更により、できなくなったことから、財団を設立の上、中国電力株式会社の増資に対応するとともに、株式の管理・運用を行うことを決定しました。その財団が、山口県振興財団であります。 よって、本県が有する中電株は、この振興財団の財産として管理・運用されていますが、平成二十年三月三十一日現在の財産目録において、本財団の正味財産は、基本財産である中国電力株の時価総額約一千百億円から、長期借入金等の負債総額約百二十億円を引いた、九百八十億円であります。 本財団の設立目的は、財団寄附行為第三条において、「この法人は、山口県の財政運営に対する協力活動を推進することにより、山口県の振興を図り、もって県民福祉の増進と県勢の発展に寄与することを目的とする」としておりまして、設立以来、県財政に資金協力を行ってきております。 どういう事業に資金協力を行っているかを、平成二十年度事業計画で見ますと、県が行う重要な公益的事業に対する資金的協力ということで、一が、大規模な建設事業等に対する資金的協力、十七億円であります。これは大体、平成になってから、ほぼ十七億円が投入されておりますね。二が、国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会の開催事業に対する資金的協力、十億円でありまして、計二十七億円の資金的協力となっております。 平成二十一年度の県財政への資金的協力は、財源不足に対応して三十七億円ということでありますが、きらら博開催事業への協力ということで、平成十二年、十三年は、四十数億円拠出されていることからすれば、五十億円ぐらいあってもいいような気もいたすところであります。 ただ、この中電株財産の運用による資金協力は、基本財産である株には手をつけず、配当金で行っていくということで今日まで来ておりまして、その配当金は、ここ二十年間、ほぼ二十四億円で推移しております。 私は、これまでは、その方針でよかったと思いますが、道州制への移行が予想されている今日、これからは、この貴重な財産を、将来に向けた本県の基盤整備にしっかり使うことも考慮されていいのではないかと思われます。 特に、情報通信政策についての質問の中で述べました超高速ブロードバンドサービスが、中山間地域、僻地、離島を含めて、全県どこでも一○○%提供できる情報通信基盤整備のために使うことは、最も望ましく、二井県政が、YSNの整備で推進した情報化の総仕上げは、そこにあると考えます。 財団寄附行為第七条は、基本財産の処分の制限を定め、基本財産は、これを処分し、または担保に供することはできないとしておりますが、さらに、ただし書きにおいて、やむを得ない理由があるときは、理事会において、理事の三分の二以上の同意を得、かつ、主務官庁の承認を受けて、その一部に限り処分し、または担保に供することができるとしておりまして、理事会判断で、主務官庁の承認は要りますが、思い切った本財産の利活用は可能であります。 県振興財団の理事長は知事で、理事は知事が指名することになっておりますので、本財団の県財政への資金的協力をどうしていくかは、まさに知事がどう考えるかにかかっております。 そこで、お伺いいたします。知事は、山口県振興財団の県財政への資金的協力を、今後、どういう方針のもと行っていく考えなのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、一回目の質問とさせていただきます。(拍手) ○副議長(松永卓君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 合志議員の御質問にお答えいたします。 まず、福祉医療制度の見直しについてであります。 既に多くの都道府県で一部負担金が導入をされております中、本県でも、市町との検討協議会を設置をし、数年前から一部負担金の導入等について検討を重ねてまいりましたが、子育て支援や低所得者対策の観点から、厳しい財政状況にもかかわらず、今日まで、県民の皆さんからいただいている県税収入や赤字地方債等を投入をして、無料化や現物給付方式を続け、何とか踏みとどまってまいりました。 しかしながら、これまでも御答弁申し上げておりますように、今後も大幅な財源不足が予想される一方、高齢化の進行等により、福祉医療制度の財政負担の増大が見込まれます中、さきの十二月議会におきまして、私としては、この制度について、一部負担金の導入や償還払い方式への移行などについて検討していることを表明をさせていただきました。 その後も、会議等を通じて、実施主体である市町の意見をお聞きをするとともに、私自身、県身体障害者団体連合会など当事者団体の代表の方々ともお会いをし、また、県議会の各会派や市議会、医療・福祉関係団体などから多くの御意見や御要望をいただきました。 私としては、これらの御意見や御要望を重く受けとめ、三歳未満児の受診実態や重度障害者の通院状況等について、さらに検討を加え、熟慮を重ねた結果、一定の配慮をすることとし、一部負担金については中国地方の中でも最も低い負担にとどめ、現物給付方式も継続することにいたしました。 私は、かつてない厳しい財政状況にあり、今後も悪化が懸念される中、この制度を持続可能な形で引き継いでいくためには、先送りすべきではなく、今、この制度を見直さなければならない、そのように考えまして、改めて、給付と負担のあり方についても検討し、医療費が無料となっている生活保護世帯あるいは原則三割となっている世帯とのバランス等も総合的にしんしゃくをし、一部負担金の導入に踏み切らざるを得ないと決断をしたところであり、また、そうしておくことが私の責務であると考えております。 私は、この福祉医療制度につきましては、多くの関係団体からの御要望等をお聞きした上で、苦渋の決断として、見直すことといたしたものであります。お示しのように、したがいまして、改めて関係者の御意見をお伺いすることは考えておりませんので、御理解をいただくようにお願いいたします。 次に、山口県振興財団についてであります。 振興財団が保有している中国電力株式につきましては、お示しがありましたように、本県の長い歴史の中で積み上げられてきた県民の貴重な財産であります。これまで、財団による適切な運用や保全管理のもと、配当金を活用した県への資金的協力が行われてきたところであります。 また、この資金は、県財政にとりまして、極めて安定的な歳入であるとともに、これまで、県庁舎の建設や山口きらら博の開催など、その時々の全県的な大規模事業の財源として、積極的な活用も図ってきたところであり、明年度におきましても、国体・全国障害者スポーツ大会関連事業の所要一般財源に充当することにいたしております。 そこで、今後の振興財団資金の活用についてでありますが、これにつきましても、その歴史的な経緯や県民の貴重な財産であるということは、当然、考えていかなければなりません。その上に立って、これから、また「住み良さ日本一の元気県づくり」を推進をしていくわけですから、その県づくりが確実に推進できるよう、それに資するような形にさらになるように、さらなる有効活用方法についても、検討はしなければならないというふうに考えております。 そのほかの御質問につきましては、関係参与員よりお答えいたします。 ○副議長(松永卓君) 今村健康福祉部長。    〔健康福祉部長 今村孝子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(今村孝子さん) 情報通信政策のうち、山口県医療情報ネットワークシステムに関する二点のお尋ねにお答えいたします。 これまで、山口県医療情報ネットワークシステムは、医療の地域間格差の是正や医療機関の連携強化を図ることを目的として、高速・大容量のデータ通信を可能とするYSNの特徴を生かしながら、医療機関を相互に結びつけ、遠隔画像診断や紹介状の送受信、空きベッド情報データベース化が行われるなど、システム導入時においては、医療情報のネットワーク化に向け、大きな成果が見られたところです。 しかしながら、近年、医療機関から、現行システムの物理的処理能力や技術的制約を超える静止画像、動画、音声など多様なデータの送受信が求められており、経費的な問題も含め、これに応じた継続的かつ迅速なシステム改修が、困難な状況となっています。 また、インターネットを活用した遠隔画像診断に民間企業が参入するなど、民間によるサービスが進み、これに伴いシステムの利用件数は、毎年度減少しているところです。 県といたしましては、こうした状況を踏まえ、医療関係者の意見も聞きながら、費用対効果を勘案して、広域災害・救急医療情報システムも含むシステム全体のあり方の検討を行い、機能の整理統合を行った上で、必要な機能については、より充実を図るとともに、医療連携情報システムなどお示しの機能は、廃止し、来年一月を目途に、システム全体の再構築を行うこととしております。 次に、これまで提供していたサービスについてのお尋ねでございますが、このサービスは、民間の情報基盤を活用して提供されることとなりますが、県民が医療機関を選択する際に役立つ情報の提供など、県の関与が望まれるサービス内容につきましては、再構築後のシステムで、引き続き提供することとしており、今後とも、医療分野における情報化の推進に努めてまいります。 ○副議長(松永卓君) 小田地域振興部長。    〔地域振興部長 小田由紀雄君登壇〕 ◎地域振興部長(小田由紀雄君) 情報通信政策についての二点のお尋ねのうち、まず医療情報ネットワークシステムの見直しにつきまして、情報化推進の観点からお答えをいたします。 県では、やまぐち情報スーパーネットワーク、今からYSNと言わさせていただきますけれども、これを活用して、医療、環境、土木など、さまざまな分野において、多様なサービスを広く県民に提供していますが、こうした公共アプリケーションにつきましては、より効果的なサービスを提供していくため、情報通信技術の進展や利用者のニーズの変化などを踏まえて、随時そのあり方を検討し、必要に応じて見直していくべきものというふうに考えております。 今回の医療情報ネットワークシステムの見直しにつきましては、当該システムを取り巻く状況変化を踏まえまして、医療関係者の意見も聞きながら、費用対効果を勘案した上で、システム全体のあり方を検討して機能の整理統合を図るものであり、県民にとって役立つ情報提供システムに改修されるものと、こういうふうに考えております。 次に、YSNの役割とあり方についてです。 御案内のとおり、県では、県民が等しく情報通信技術の恩恵を受けることができるように、全県的な高度情報通信基盤としてYSNを構築し、さまざまな分野におきまして積極的な利活用を図ってまいりました。 特に、YSNが供用開始されました平成十三年当時は、民間による情報通信網の整備が進んでいなかったことから、光ファイバーを活用した高速・大容量の情報通信ネットワークであるYSNを開放することにより、民間による各種情報サービスの提供やブロードバンド環境の整備に先導的な役割を果たすことを期待しておりました。 その後、民間事業者によるブロードバンドサービスは急速に進み、本県におけるブロードバンド世帯カバー率は九八・六%になり、また、民間で提供されるサービスの高度化・多様化も進むなど、一定の成果を挙げてきたところであります。 一方、採算性の面から、民間による情報通信網の整備が進みにくい中山間地域や離島などの条件不利地域におきましては、YSNの無料開放というメリットが、民間投資の促進に寄与しており、携帯電話の不感地域の解消や、CATVの中継線としてYSNが活用されるなど、いわゆるデジタル・ディバイドの解消に貢献しているところであります。 このような本県の状況を踏まえますと、YSNにつきましては、当面は、公的情報通信基盤として、情報の地域間格差を是正するという役割を果たしていく必要があると考えておりますが、将来につきましては、お示しのありました、超高速ブロードバンド社会への移行に対応した民間事業者のサービスの動向を注視しながら、そのあり方を含め、検討していきたいと、こういうふうに考えております。 ○副議長(松永卓君) 合志栄一君。    〔合志栄一君登壇〕 ◆(合志栄一君) 福祉医療制度のことにつきまして再度お伺いいたします。 私は、三カ月に一回ほど開かれています、障害福祉の仕事に携わっている方々の勉強会に参加しておりまして、それが先般開催されましたときに、やはり福祉医療制度の見直しのことが主たる話題になりました。そのときに、払えと言っても払えない人たちがおると、むしろ旗立てて座り込んでも反対するという発言もあれば、障害者といえども、できる負担はしていかなければならないと思うという発言もありました。これぐらいだったらできる負担というので、通院の場合、ワンコイン、五百円ということでありまして、この点は御利益かなと思っているわけでありますね。 ただ、そういう方も、また、県が財政事情でまた引き上げるということになると、それは非常に苦しくなると。重度心身障害者の場合に、年金が月八万三千円でございます。これがまた上げられるようなことになれば、幾らか負担増を耐えることができるだろうけれど、そういうことがないままに負担が上げられるようなことは、もうそれはしないでほしいと。 それから、もう一つは、やはり病院、診療科が複数になった場合に、限度は三千円以内なんだと、四千円、五千円になれば、とてもやはりそれはもうできなくなってくるということであります。 そういうようなことにつきまして、不安を解消するような、一つの福祉医療制度のこれからのあり方についての原則的な基準、ルール、そういうものをやはり市町、それから有識者、関係者を含めて、合意の形成を、私はやっぱり、図る取り組みをすべきだと、それは、今、少しの努力をすれば可能なんだと思っておるところであります。 その合意形成まで、凍結すべきということを申し上げました。見直しの実施は、自治体は七月以降になりますから、凍結によりまして福祉医療費の支出がふえましても、六月議会で補正いたしますれば、現予算は修正しなくて済みます。 そういうことで、改めて、このことにつきまして、関係者を含めて協議されるよう、要望いたしておきます。 さて、福祉医療制度につきましては、知事の考えはほぼ出尽くしました。後は議会にボールが投げられました。これからは議会の取り組みが問われます。関係者の不安を残したままの制度の実施を認めてしまったら、議会の存在意義が問われてしまいます。そうならないための、これからの議会での議論が行われることへの期待を表明いたしまして、私の質問を終わります。 ○副議長(松永卓君) 本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了します。   ───────────── ○副議長(松永卓君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会します。御苦労さんでした。    午後二時五十五分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会議長   島   田       明             副  議  長   松   永       卓             会議録署名議員   友   広       巌             会議録署名議員   今   倉   一   勝...