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  1. 広島県議会 2022-12-02
    令和4年12月定例会(第2日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和4年12月定例会(第2日) 本文 2022-12-12 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 80 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(中本隆志君) 選択 2 : ◯議長(中本隆志君) 選択 3 : ◯議長(中本隆志君) 選択 4 : ◯畑石顕司君 選択 5 : ◯議長(中本隆志君) 選択 6 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 7 : ◯議長(中本隆志君) 選択 8 : ◯健康福祉局長(木下栄作君) 選択 9 : ◯議長(中本隆志君) 選択 10 : ◯会計管理者(兼)会計管理部長(足立太輝君) 選択 11 : ◯議長(中本隆志君) 選択 12 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 13 : ◯議長(中本隆志君) 選択 14 : ◯議長(中本隆志君) 選択 15 : ◯的場 豊君 選択 16 : ◯議長(中本隆志君) 選択 17 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 18 : ◯議長(中本隆志君) 選択 19 : ◯的場 豊君 選択 20 : ◯議長(中本隆志君) 選択 21 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 22 : ◯議長(中本隆志君) 選択 23 : ◯的場 豊君 選択 24 : ◯議長(中本隆志君) 選択 25 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 26 : ◯議長(中本隆志君) 選択 27 : ◯的場 豊君 選択 28 : ◯議長(中本隆志君) 選択 29 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 30 : ◯議長(中本隆志君) 選択 31 : ◯的場 豊君 選択 32 : ◯議長(中本隆志君) 選択 33 : ◯農林水産局長(大濱 清君) 選択 34 : ◯議長(中本隆志君) 選択 35 : ◯的場 豊君 選択 36 : ◯議長(中本隆志君) 選択 37 : ◯健康福祉局長(木下栄作君) 選択 38 : ◯議長(中本隆志君) 選択 39 : ◯的場 豊君 選択 40 : ◯議長(中本隆志君) 選択 41 : ◯健康福祉局長(木下栄作君) 選択 42 : ◯議長(中本隆志君) 選択 43 : ◯的場 豊君 選択 44 : ◯議長(中本隆志君) 選択 45 : ◯健康福祉局長(木下栄作君) 選択 46 : ◯議長(中本隆志君) 選択 47 : ◯的場 豊君 選択 48 : ◯議長(中本隆志君) 選択 49 : ◯的場 豊君 選択 50 : ◯議長(中本隆志君) 選択 51 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 52 : ◯議長(中本隆志君) 選択 53 : ◯的場 豊君 選択 54 : ◯議長(中本隆志君) 選択 55 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 56 : ◯議長(中本隆志君) 選択 57 : ◯的場 豊君 選択 58 : ◯議長(中本隆志君) 選択 59 : ◯商工労働局長(川口一成君) 選択 60 : ◯議長(中本隆志君) 選択 61 : ◯的場 豊君 選択 62 : ◯議長(中本隆志君) 選択 63 : ◯土木建築局長(上田隆博君) 選択 64 : ◯議長(中本隆志君) 選択 65 : ◯的場 豊君 選択 66 : ◯議長(中本隆志君) 選択 67 : ◯議長(中本隆志君) 選択 68 : ◯日下美香君 選択 69 : ◯議長(中本隆志君) 選択 70 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 71 : ◯議長(中本隆志君) 選択 72 : ◯副知事(玉井優子君) 選択 73 : ◯議長(中本隆志君) 選択 74 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 75 : ◯日下美香君 選択 76 : ◯議長(中本隆志君) 選択 77 : ◯日下美香君 選択 78 : ◯議長(中本隆志君) 選択 79 : ◯環境県民局長(新宅郁子君) 選択 80 : ◯議長(中本隆志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯議長(中本隆志君) 出席議員五十五名であります。これより会議を開きます。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 2: ◯議長(中本隆志君) 諸般の報告については、お手元に配付のとおりであります。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         自第  一 県第九二号議案         至第四十八 報第二九号 3: ◯議長(中本隆志君) これより日程に入ります。日程第一、県第九二号議案 令和四年度広島県一般会計補正予算から日程第四十八、報第二九号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  これより各案に対する質問に入ります。通告者に順次発言を許します。畑石顕司君。         【畑石顕司君登壇】 4: ◯畑石顕司君 皆さん、おはようございます。広島市東区選出、自由民主党広島県議会議員連盟の畑石顕司です。今次定例会において質問の機会を与えていただき、中本議長をはじめ、先輩、同僚議員に感謝いたします。生き生きと暮らす人々があふれる広島県の未来に向け、経済、医療、教育など、重要な施策について、我が会派の思いも背負い、先陣を切って問いただしてまいりますので、知事をはじめ、執行部の皆様の前向きな御答弁をお願いし、早速、質問に入らせていただきます。  質問の第一は、新型コロナ感染症対策についてお伺いいたします。  本県における新型コロナの感染状況は、令和二年三月に最初の感染者が確認されて以降、感染拡大と収束が繰り返され、現在、第八波を迎えています。八月十九日に八千七百七十四人という、爆発的な新規感染者を記録した第七波ほどではないものの、本県でも新たな変異株が確認され、季節性インフルエンザとの同時流行の可能性も指摘される中、引き続き、基本的な感染対策をしっかりと行っていく必要があります。  経済活動、日常生活を極力止めないようにしながら医療逼迫を防ぐことが重要であり、十二月二日に新たな感染レベル分類に基づく対応が発表されたところです。感染状況や医療逼迫状況を勘案しながら医療逼迫防止対策強化宣言、医療非常事態宣言を発出することについても、併せて公表されました。  また、外来医療の逼迫時には、抗原検査キットの無料配付を行う議案もこのたび上程されており、医療逼迫抑制に向けての対応を高く評価しております。  一方で、医療非常事態宣言が発出されてもこれまでのように協力金は出る仕組みになっておらず、年末年始の書き入れどきを迎えている飲食業界をはじめとして、医療非常事態宣言の発出には、戦々恐々とされているのではないかと推察いたします。  県においては、医療逼迫が起こらないよう、先手先手で、今後の備えを進めていただきたい一方で、各種宣言の発出目安を県民にお示しすることで、心構えをしていただくことは、事業者の皆様などに寄り添った対応という意味でも大切ではないかと思います。  そこで、感染拡大防止、医療逼迫防止への知事の決意を改めてお聞きするとともに、各種宣言の発出タイミングについて、どのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、物価高騰等の影響を受けている県内中小・小規模事業者等への支援の拡充についてお伺いいたします。  本定例会にも、十二月補正予算として提案されていますが、県ではこれまで、エネルギーや食料品等の物価高騰対策や、新型コロナウイルス感染症対策を切れ目なく実施されてきました。
     まだまだ厳しい状況が続くことが想定される中で、県内事業者や関係団体等からの要望に応えるという受け身の姿勢ではなく、不断の取組の下、声なき声にも耳を澄ませ、真に支援を必要としている県民に対して、実態に寄り添った効果的な施策を届けていく必要があります。  このたびの物価高騰は、あまねく事業者に影響が出ており、とりわけ、人口減少の進展が著しい中山間地域においては、多くの事業者が廃業の危機にもさらされております。中小・小規模事業者に対する支援策については、特に注力していただきたいと考えます。  こうした中、国においては、物価高対策を柱とする総合経済対策として第二次補正予算を構えるとともに、来年度当初予算の編成に向けた動きも本格化しています。国の経済対策のメニューについては、詳細がまだ不明なものもあるとのことですが、引き続き、情報収集に努め、中小・小規模事業者にも必要な支援が行き届くよう、市町との連携、役割分担もきめ細かく行っていただきながら、丁寧に対応していただきたいと思います。  そこで、物価高や急激な円安の影響を受けている本県の中小・小規模事業者等への支援に当たっては、市町等、現場の声をしっかりと聞いていただきながら、拡充を検討していただきたいと考えますが、本補正予算にかける方針、そして、来年度当初予算の編成に向けた決意について知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、高度医療・人材育成拠点の実現に向けた取組について、三点お伺いします。  高度医療・人材育成拠点については、地域保健対策協議会の提言を踏まえ、先月、その基本構想が発表されました。県病院、JR病院、中電病院を統合、一千床規模の新たな高度医療の拠点整備と広島市域の公立・公的病院にとどまらず、民間病院も含めた医療機能の分化、連携による、医療資源の全体最適化と地域完結型医療の実現を目指そうとする構想です。  本定例会十二月補正予算案においても、基本計画を策定する費用として、債務負担行為を含め、約二億六千万円もの予算が計上され、二〇三〇年の新病院開業に向けて本格的な検討が始まろうとしています。巨額な整備費、運営形態、県病院移転後の現在地の利活用などあらゆる角度からメリット、デメリットを洗い出し、分析と議論を行いながら、県民への丁寧な説明が求められます。  今日は、提言で打ち出されている新病院統合効果を中心に、その実現に向けた課題と、課題解決に向けた現状の県の考えについて伺いたいと思います。  新病院統合による大きな柱は、人材育成拠点として若手医師を引きつけ、中山間地域などへの医師派遣により地域医療体制を確保することが目玉となっています。また、高度で先進的な医療の提供、その中でも三次救急及び二次輪番病院のバックアップとして断らない救急、そして、小児医療の集約も柱の一つです。  一点目は、医療人材の確保・育成による県内への医師の派遣について伺います。  県では、中山間地域を含めた医療体制確保のために自治医科大学卒業医師や、医学部地域枠医師を県内各地に派遣するなど、手を尽くしてこられましたが、県内の無医地区数が全国ワースト二位であることや、医師の高齢化、若手医師の県外流出に拍車がかかっていることなど、非常に厳しい現状となっています。  こうした本県が抱える課題解決に向けて、新病院では、多彩な症例を生かして、専門医や総合診療医を確保・育成しながら、県内各地域へ医師を派遣していくという、全国的にもあまり例を見ない試みを掲げており、私としても、大いに期待するところであります。  その実現に向けては、若手医師が東京など大都会に引かれる気持ちに負けないだけの、新病院を含む広島県独自の医療スキームに魅力を感じてもらうことが、鍵を握っていると言えます。例えば、専門医や総合診療医を育成・指導するため、大学に県の寄附講座を設置するなど、教育面から、地域医療に貢献したいと思うメンタリティーを育むアプローチも必要ではないでしょうか。  一方では、大学の医局に属する医師の勤務地の差配は、各医局がされているのが実態であり、新病院において、本当に医師の派遣がコントロールできるのかという懸念がありますし、新病院の医師を確保するために、県内各地域の医師が引き抜かれるのではないかと心配される声もあります。  中山間地域への医師派遣においては、新病院と広島大学病院の連携が大きな柱となっておりますが、広島大学病院との連携については、もう少し丁寧な説明が必要であると考えます。  そこで、本構想において、最も重要な機能と言える医療人材、特に、若手医師の確保・育成について、また、中山間地域へ医師等が循環する派遣の仕組みづくりについて、どのようにして実現していこうとされるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、断らない救急についてです。  基本構想では、医療資源を新病院に集約することで、全国トップレベルの高度医療を提供するとともに、断らない救急を実現することを掲げています。  救急患者の応需率の改善は、長年にわたり、本県の大きな課題となっており、令和二年、広島市消防局管内では、重症の救急患者四千四百二十七件のうち、受入先病院が決まるまでの時間、いわゆる現場滞在時間が三十分以上の割合は九・七%で、全国平均の六・一%を上回っている状況にあります。つまり、広島都市圏では、重症患者の十人に一人が、救急時のリスクにさらされていることになるのです。  救急患者の受入れ困難理由を確認すると、病床満床が常に上位に挙げられていますが、一方で、地域医療構想に基づくこのたびの基本構想では、再編統合により広島都市圏の急性期病床を削減するとともに、急性期を脱した患者を受け入れる回復期病床を増やすことを検討することとしております。医療再編により急性期病床を減らしていく中で、断らない救急をいかに実現していくのか、疑問を感じるところです。  そこで、断らない救急の実現に向けて、その課題をどのように解決されていこうと考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  三点目は、後方支援病院の体制整備についてです。  今後、十分な議論を踏まえ、来年九月には、高度医療・人材育成拠点の基本計画が策定されるとのことです。  新病院ばかりに目が行きがちですが、私は、新病院に備える高度医療機能が十二分に発揮されるためには、新病院で急性期医療を終えた回復期患者の受皿となる後方支援病院をセットで強化しておくことが極めて重要になると考えます。加えて、二〇二五年には、団塊の世代の方々が後期高齢者となることから、慢性期の疾患を抱えた高齢者の方の医療、介護への対応についても、新病院の二〇三〇年の開院に向けて、セットで考えていく必要があると考えます。  その体制整備と連携に当たっては、できるだけ県内の各所に必要な回復期病床を確保することと併せて、新病院において、最先端の医療により処置をした医師が安心して患者を任せることができる医療水準を、後方支援病院において確保することが求められます。後方支援病院との効果的な連携がなければ、新病院の病床稼働率の向上は見込むことができず、もって収益力の確保が困難になることにもつながります。新病院の収益性確保のためには、新病院で処置を受けた患者を受け入れる病院を強化する必要があり、基本計画を策定する中で、並行して考えておくべきものであります。  そこで、後方支援病院の医療水準の確保も含めた体制整備に向けて、どのように取り組んでいこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  新病院整備に向けて必要な投資と採算性、運営形態と雇用形態、各病院が有していた特徴ある医療の継続性など、これから議論しなければならないことが山積しております。打ち出される効果にばかり目が行きますが、その実現可能性を見定めながら、デメリットを含めた課題を洗い出すことが求められます。  これまでも、当初の見込みどおりに事業が進まなかった例は数多くあります。そのような反省も生かし、新病院整備が広島県民の医療・福祉の向上につながるように、私も議論を尽くしてまいりたいと思います。  質問の第四は、広島市域における高等学校の在り方についてお伺いいたします。  少子化の問題については、昨今の政策的な主要課題であり続けながらも有効な手立てがなく、コロナ禍の影響も相まって、より一層、出生数が減少している状況にあります。また、全国の小・中・高等学校数のピーク時からの推移を見たとき、小学校は約三〇%減少、中学校は約二七%減少しているのに対し、高校は僅か約一一%しか減少しておらず、高校再編の取組が全国的にも課題であることが推察されます。  本県においては、二年前に県立安芸高校の閉校が決まりましたが、県立、市立、私立が乱立する広島市域においても、近年では、定員割れを起こす学校が多数を占めるなど、高校再編の検討を本格化しなければならない時期に来ています。そして、単なる予算や人員の合理化、効率化のために高校再編を行うのではなく、再編したその先に、子供たちにとって、よりよく学ぶ環境が整備されることを目的に行われるべきであります。  一方で、人生百年時代と言われる中、誰もが高校から大学へ入学し、卒業後、定年を迎えるまで会社で終身雇用的に働くという、これまで主流であった人生設計は、もはや一般的ではなくなっています。昨今、リカレントやリスキリングなどの政策が、国を挙げて前面に押し出されているのも、その現れではないかと思います。  私は、新時代の到来に向け、広島に生まれ、住み、学ぶ子供たちが、しなやかに人生を歩んでいけるよう、ぜひ、県教育委員会が率先して、思い切った改革の検討に着手してほしいのです。  少子高齢化、労働人口の減少、不安定な社会経済情勢からも、私は、誰もが高校卒業後、一斉期に大学へ行くことが健全な在り方だとは決して思いません。高校を卒業し、一度社会に出て働き、様々な経験を積む中で、必要としたときにキャリアを中断、もしくは働きながら大学の門戸をたたく。歩む人生の節目において、大学で学ぶ機会が得られる、そんな社会が、これからの時代のあるべき姿ではないでしょうか。  そのためには、高校の公教育がこれまでのような普通科に偏重した構成ではなく、卒業後、即戦力で働くことができる人材、社会に出て生き抜いていくことができる人材を輩出する専門教育にこそ、もっと力点を置くべきだと考えます。  広島市域における高校再編を行う第一歩として、まずは、県立と市立の普通科高校の統合再編を進めつつ、私立に大学進学を目指す生徒の多くを委ねることで捻出された力を、情報や環境など、世界的な課題の解決につながる成長分野の専門教育に注いではどうでしょうか。例えば、実践的、創造的技術者を養成することを目的に創設された高等専門学校、いわゆる高専の県による新設も有効と考えます。  全国に五十七ある高専は、国立がほとんどですが、現在、公立も東京都などに三校あり、令和九年度には、滋賀県にも、また、徳島県では、民間出資による私立高専が、来年度開校予定との実例もあります。また、高専をゼロから新設するのではなく、公立高校にさらに二年加える形で立ち上げたり、逆に大学を転換する方法も考えられます。  今後、さらに生産年齢人口が減る中で、若手技術者に対する企業ニーズが高まることは確かですので、真のリカレント教育、リスキリングが行われる体制への転換と併せ、将来を見据えた一石を投じてもらいたいと願います。  さらに、高校卒業後、社会に出た人材の待遇改善に向けて、行政や学校などが取組を進めることも重要と考えます。例えば、高専卒と大卒、院卒で比較した際、初任給や昇進などで高専出身者の待遇が相対的に低い傾向があるようで、企業における大卒、院卒優遇の慣行も見直すことが求められます。どの学歴かで給与体系が決まるのではなく、何を経験し、何ができるのかで給与体系が決まる社会となるように、行政が率先して取り組みながら啓発を行うことを要望します。  このような新たな価値観や道筋を示すことは、将来的に三つのメリットがあると考えます。一つ目は、子供たちに多様な選択肢を与えること、二つ目は、貧富の格差問題に有用であること、三つ目は、雇用需要の観点からも望ましいことです。  そこで、県教育委員会では、これから、県立高等学校の在り方に関わる基本計画の策定に向けた議論が本格化すると思いますが、ぜひ、広島市域の高校再編に正面から向き合い、人生を歩む上での選択肢を提示する内容となるような検討を盛り込んでいただきたいと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。  質問の第五は、医療的ケア児への就学支援についてお伺いします。  現在、在宅医療的ケア児は全国で約二万人いると言われ、広島県内の公立学校等には、三百二人の幼児、児童生徒が在籍しております。  医療的ケアを必要とする幼児、児童生徒たちへの就学及び通学支援について、伺う前に要望しておきます。  医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が令和三年九月に施行され、その支援措置の柱の一つとして、医療的ケア児に対して、家族からの相談対応や関係機関との連絡調整など、統括的にサポートを担う医療的ケア児支援センターの設置が全国で進められていますが、広島県での設置はこれからとなっています。  当事者の人数、医療的資源やサポート事業者の充実度、教育機関での受入れ体制など、地域によって課題は様々です。市町の障害福祉関係部署、学校、そして医療が連携しながら、医療的ケアを必要とする当事者やその保護者に寄り添った対応をするためには、医療圏域ごと、もしくは、特別支援学校区ごとでの医療的ケア児支援センターの設置を行うことが最終的な目指す姿であると思います。  県内に一か所の支援センター設置で満足するのではなく、目指す姿を定め、それに向けて体制を着実に整備するべく、最初の第一歩としての医療的ケア児支援センターの設置を進めていただきたいと思います。  目指す姿を達成するためには、医療的ケア児支援センター設置への国からの人的補助が、広島県では三人程度の人件費分しかなく、看護師をはじめ、専門知識を持った人員配置を各地に行うためには、全く脆弱な予算と言わざるを得ません。国に対しても当事者や保護者に寄り添った支援体制を構築するための予算確保を強く求めることを、併せて要望させていただきます。  さて、施行された法律では、医療的ケア児が、そうでない児童と共に教育を受けられるよう最大限配慮しつつ、適切な教育現場を構築していくことを基本理念としており、学校設置者の責務として、恒常的に医療的ケアが必要な幼児、児童生徒に対し、医療的ケアができる看護師や保育士等を配置するなどの必要な措置を講ずることとされています。  県が行った医療的ケア児及びその家族の生活状況や支援ニーズに関する調査によると、保育、学校教育等では、学校に幼児、児童生徒が通学する場合、七割以上の保護者が通園通学に付き添っているという結果が出ており、加えて、自由意見の中には、学校の受入れ体制が不十分であることや、幼稚園等への看護師等の配置が必要であるなど、在校時の医療的ケア児に対しての支援体制の充実を求める記載があります。  全国の事例を見ても、医療的ケア児が在校中、保護者のサポートが必要となるケースが多々あるようで、地域の学校に通学するに当たっては、保護者の負担が大きい実態が明らかになっています。  こうした、医療的ケア児及びその家族が抱えている課題やニーズを教育委員会はどのように捉えているのか。また、法律の施行を受け、そうした課題やニーズに対して、今後どのような支援を行うのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  質問の第六は、教育委員会における官製談合防止法違反及び地方自治法違反についてお伺いします。  今年八月、一部報道機関において、教育委員会と京都市のNPO法人との契約について、官製談合防止法に違反する疑いがあると繰り返し報道され、専門家による調査が開始されました。約二か月間にわたる調査の末、先日、突然、調査結果が公表されましたが、一部の取引において、官製談合防止法第八条に違反する行為及び地方自治法第二百三十四条第二項に違反する手続が確認されたと報告されております。契約相手を恣意的に選ばれたと言わざるを得ない、公平性、公正性を欠くものとなっていると考えます。  教育委員会においては、令和二年度にも、議決の手続が漏れていたり、決裁規程が遵守されていないなど、契約手続の問題が指摘されることがありました。  そこで、これまで契約事務の適正化に関わってどのような対策をしてきたのか、対策を実施してきているにも関わらず、なぜ不適切な契約手続が繰り返されているのか、教育長にお伺いいたします。  また、報告書では、今回の問題の起こった原因として、組織風土の問題、公募型プロポーザルが十分に牽制機能を果たしたとは言えないこと、自律的な是正の機会を欠いていたこと、関係職員に公正な契約手続に関する知識が十分に浸透していたとは言えないことの四点が挙げられています。特に、報告書では、教育委員会の組織風土が整っていなかったことが最大の原因として指摘されています。  この問題は、一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、このような組織風土を整えるための最たる責任は、組織のトップである平川教育長にあると言わざるを得ないとも指摘されています。分かりやすく言えば、トップの意向に対する忖度から公平、公正な選定手続が行われることなく、受注業者が選定されたと指摘されているのです。  改めて、平川教育長自身は、今後どのように責任を取っていくのか、また、教育委員会として、どのような点に問題があると考え、再発防止に取り組んでいこうとされているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  なお、今回の専門家による調査結果は、特定のNPO法人との取引について、法令違反の有無を検証したものであり、これをもって、教育委員会として説明責任を果たしたとは言えません。この問題については、教育委員会自らが、議会をはじめ、県民に対して、しっかりと説明した上で、課題の洗い出しや再発防止を含めた今後の対応に真摯に取り組むことを強く求めます。  質問の第七は、公募型プロポーザル方式による契約における透明性の確保についてお伺いいたします。  公募型プロポーザル方式による契約は、一般の価格競争や、総合評価方式による契約と異なり、発注者である行政が、その事業の仕様を決めるのではなく、契約内容に専門的な知識や技術が要求される事業を対象に、公募者から提出された企画提案に基づいて仕様を作成する手法であります。行政にない事業者からの優れた発想を引き出すという面では、有用な手法である一方で、公平性、公正性に疑義を抱かれやすい手法であるとも言えます。  先ほど取り上げた、教育委員会における専門家による調査報告書の中でも、公募型プロポーザル審査の手続について、次のような問題点が指摘されています。一つは、審査委員の人選に恣意的余地があったこと。もう一つは、選定過程における記録の不整備です。  当たり前のことですが、事業者選定までの審査の過程で出た意見や評価結果については、できる限り公表するように努めるなど、我々議会や県民に納得のいく透明性が確保された説明がなされるべきだと考えています。  現広島FMP開発事業用地の利活用に関わる事業では、現在、マリーナホップとして運営されている事業用定期借地権の満了後の利活用に向けて、にぎわいの創出を通じた県経済の活性化に寄与することを目的に、昨年七月に公募が開始され、一月に事業予定者が決定されました。しかし、その後、八月には事業予定者の構成員に大きな変更が出るなど、私だけではなく、非常に不安と不信感を覚えたところですが、十月四日に、ようやく基本協定が締結されたとのことで、選定された県としては、今後責任を持って、提案された仕様が計画的に実現することをしっかりと監督することを求めます。  これらの経過については、我が会派の森川幹事長、坪川議員からも、警察・商工労働委員会において、厳しく問いただされています。  私も、本事業予定者の決定に当たり、情報公開請求を二回行いました。  選定の結果に対して反対しているわけではなく、選定委員会において、商工労働局長や大学教授など六名の委員が、各事業者の提案に対して、どのような懸念や疑問点を持ち、それに対して各事業者がどのような回答を行ったのか、また、個々の評価点でどの程度の差異があったのかなど、審査の過程が知りたかったので、発言審査委員の氏名は伏せても構わないという条件で請求いたしましたが、県からの回答文書は大半が黒塗りでありました。広島県情報公開条例の規定により、公にすることにより、今後、同種の事業の適切な遂行に支障を及ぼすおそれがあるためというのが、非開示の理由とのことです。  残念ながら、審査の過程は、我々議員にも、全くのブラックボックスの中で行われていると言わざるを得ません。  事業者選定の過程が公平、公正に行われたのか、必要な指摘は行われたのか、県民の知る権利は最大限保証されるべきです。また、現FMPがそうであったように、選定事業者が必ずしも事業を全うできない場合もあり、その際、選定過程に瑕疵がなかったのか、検証も必要になります。  もちろん、知的財産等に関わるものについては、当然、慎重に配慮する必要があると理解はしています。  そこで、公募型プロポーザル方式における事業予定者の選定に当たっては、原則、審査の過程を公表することとし、知的財産等に関わるような特別な場合に限り、公表しないことを明示した上で、事前了解を得るルールに変更するべきと考えますが、公平性や正当性、透明性の確保の観点も踏まえ、知事の御所見をお伺いいたします。  この質問の最後に、県民への丁寧な説明と透明性の確保という観点では、県民の財産である公共用地を、二十年から三十年と長期にわたって、一事業者にその活用を委ねる賃貸借契約を結ぶ案件についても、法的に議決案件にはならないとしても、県民の代表である議会に対して、しっかりとした説明があってしかるべきと考えます。  これについては、要望とさせていただきますので、併せて改善に向けた取組をお願いいたします。  終わりに、来年五月には、G7サミットが、ここ広島で開催されます。  ウクライナ問題、東アジア情勢など、不穏な世界情勢の中、被爆地広島で行われるサミットで発信されるメッセージが世界の安定に大いに資するものとなり、後世に高く評価されるものになることを願ってやみません。  まずは、県警察の皆様をはじめ、万全の体制を整えていただくことを期待しております。  一方で、環境整備等に多額の予算が投入され、各国首脳が通る可能性がある沿道整備など、これを機会に、更新計画を前倒しで行われる箇所もあるようですが、各国首脳を失礼なく、おもてなしする心意気だけでなく、そこに住まう地域の皆さんや、名もなき旅行者の皆さんのことにも思いをはせながら、準備を進めていただきたいと思います。  どこを見て政治を行うのか、誰のための施策遂行なのか、私も、常に自問自答しながら活動してまいることをお約束し、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 5: ◯議長(中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 6: ◯知事(湯崎英彦君) まず、新型コロナ感染症対策についてお答え申し上げます。  本県では、国の基本的対処方針の改正等を踏まえ、先般、県の対処方針を改正し、オミクロン株に対応した新しい四段階のレベル分類とその対策を決定いたしました。この対処方針では、医療の逼迫を防ぐための医療ひっ迫防止対策強化宣言や、膨大な数の感染者により医療が機能不全に至るレベル四の状態になることを防ぐことを目的とした医療非常事態宣言を発出することについて、定めたところでございます。  宣言の発出に当たりましては、まず、医療ひっ迫防止対策強化宣言では、医療負荷増大期に当たるレベル三への移行と同時期に発出することを想定しており、病床使用率や重症病床使用率を指標として、五〇%以上が目安となりますが、この指標だけで機械的に判断するのではなく、外来医療や救急医療といった保健医療への負荷の状況のほか、社会経済活動の状況、感染状況等を踏まえ、総合的に判断することとしております。  次に、医療非常事態宣言につきましては、医療ひっ迫防止対策強化宣言に基づく対策を講じても、なお感染拡大が続き、病床使用率や重症病床使用率がレベル四の目安となる八〇%に近づいている場合に発出を検討することになりますが、医療ひっ迫防止対策強化宣言と同様に、この指標だけではなく、保健医療の負荷の状況等を踏まえ、総合的に判断してまいります。  また、これらの宣言では、飲食店や施設の営業時間短縮、休業などの強い対策は行いませんが、医療非常事態宣言時には、県民の皆様に、外出や移動を必要不可欠なものに限るといった要請も想定しているところであり、県民の皆様の生活に一定の影響が生じるものと考えております。  本県といたしましては、こうした事態になることをできる限り避けられるよう、社会経済活動を維持しながら、高齢者などを守ることに重点を置いて感染拡大防止措置を講じるとともに、医療で受け止めるための保健医療体制を構築してまいります。  引き続き、県民の皆様に基本的感染対策の徹底や早期のワクチン接種の検討などを呼びかけるとともに、各医療機関や医師会、薬剤師会等の関係団体の御協力を得ながら、感染状況に応じて的確に対処していくことにより、感染拡大防止と社会経済活動が両立できるよう全力で取り組んでまいります。  次に、物価高騰等の影響を受けている県内中小企業等への支援の拡充についてでございます。  本県経済につきましては、個人消費を中心に、持ち直しの動きが見られる一方で、円安の進行に伴い、原材料やエネルギー、食料品などの価格高騰に拍車がかかり、価格転嫁が困難な企業の収益や家計を圧迫している状況にございます。  こうした状況を踏まえ、このたびの十二月補正予算の編成に当たりましては、物価高騰の影響を受けながら、対策の効果が行き届いていない事業者への支援や、これまでの物価高騰対策を強化することにより、さらなる効果が期待される取組などを進めることとし、県内の市町や事業者の支援ニーズの把握に努めてきたところでございます。  とりわけ、県内中小・小規模事業者への支援につきましては、定期的な経営環境アンケート調査のほか、県内の市町や関係団体などへ直接足を運び、急激な円安や物価高騰が経営に及ぼす影響や、県に求める支援策などについて、個別にヒアリングを行うなど、きめ細かく情報収集を行い、施策への反映に努めてきたところでございます。  具体的には、運輸事業者に対する環境対応車やエコタイヤの導入支援、飲食事業者に対する感染症拡大防止と経済活動の両立に向けた前向きな投資への支援などを拡充するほか、新たに、社会福祉施設や医療機関等に対する光熱費や食材費の高騰への支援、農業経営体に対する肥料価格高騰への支援、酪農経営体に対する学校給食用牛乳の生産に係る物価高騰への支援などに取り組むこととしており、その効果が皆様に早く行き届くよう、速やかな事業執行に努めてまいりたいと考えております。  また、物価高騰が本県経済に与える影響は、今後も予断を許さない状況にあることから、人口減少や高齢化の影響をより強く受けている中山間地域の事業者をはじめ、県内の事業者や県民の皆様の声にしっかりと耳を傾けるとともに、県議会の御意見も伺いながら、二月補正予算や令和五年度当初予算において、国の総合経済対策も最大限有効に活用し、切れ目のない対策を講じてまいりたいと考えております。  次に、医療人材の確保及び育成による県内への医師の派遣についての御質問でございます。  先月発表いたしました高度医療・人材育成拠点基本構想におきましては、高度な医療や様々な症例を集積する新病院を整備し、全国から意欲ある医療人材を引き寄せ、大学と連携・協働して人材の確保、育成、派遣の仕組みを構築することで、将来にわたって県全域の医療提供体制を確保することを目標に掲げております。  こうした人材の確保、育成、派遣の方策につきましては、広島大学の医学部長を座長とする分野別分科会において、総合診療科の教授や中山間地域の病院長等による議論を重ね、一定の方針を取りまとめたところでございます。具体的には、新病院における人材の確保・育成につきましては、全国的な医師誘致活動の強化に加えて、高度・先進医療の実施や専従指導医の配置により、教育・研修環境を充実することで、県外からの若手医師等の呼び込みに取り組んでまいりたいと考えております。  また、医師派遣につきましては、平成二十八年度以降、これまで百二十八名の医師を中山間地域等に配置してきた自治医科大学卒業医師及び大学医学部の地域枠卒業医師の派遣に加えまして、今後は、広島大学や各地域の医療機関と連携して、地域の医療ニーズを収集、共有し、大学と県が一体的に効果的な医師派遣を行う仕組みを検討することとしております。  さらに、中山間地域で勤務する医師等に対する支援策として、オンラインを活用した専門医による診療支援に加えて、学会や研修に参加する際の代診医の派遣や、結婚、出産、育児など、ワーク・ライフ・バランスに配慮した勤務条件など、医師等のキャリア形成と生活を支援する具体的な仕組みについて検討してまいります。  県といたしましては、引き続き、広島大学と連携・協働し、医療人材の確保、育成、派遣の好循環を生み出すことで、県民の皆様がどこに住んでいても、必要な医療を安心して受けることができる体制の構築に向けて全力で取り組んでまいります。
     次に、後方支援病院の体制整備についてでございます。  高度医療・人材育成拠点基本構想では、地域の医療機関が役割分担と有機的な連携を行うことにより、患者の状態に応じた切れ目のない医療を提供する、いわゆる地域完結型医療の考え方に沿って病院の統合、再編を行うこととしております。具体的には、急性期医療及び小児医療を新病院に集約する一方で、舟入市民病院や吉島病院、マツダ病院等については、急性期病床から回復期病床への転換を検討することとしております。  また、新病院におきましては、地域のクリニックや他の病院からの紹介患者への手術などを担い、急性期治療を終えた患者については、地域の医療機関において、継続的に診療を行うといった、患者を地域全体で治し、支える連携体制の構築に向けて、地域医療構想調整会議などを通じて各医療機関の役割分担について地域の合意形成を図ってまいりたいと考えております。  さらに、地域全体の医療水準の向上を図るため、広島大学病院が全国に先駆けて実施している理学療法士、作業療法士の卒後研修や先進的なリハビリテーション専門職を育成する医学教育研究講座などを活用して、患者の社会復帰や生活の質の向上を支援できる人材の育成に取り組んでまいります。  県といたしましては、新病院の整備に併せて、県民の皆様が安心して医療を受けることができ、早期に社会復帰できる地域完結型医療の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 7: ◯議長(中本隆志君) 健康福祉局長木下栄作君。         【健康福祉局長木下栄作君登壇】 8: ◯健康福祉局長(木下栄作君) 高度医療と断らない救急についてお答えいたします。  救急搬送先の病院が速やかに決定しない、いわゆる受入れ困難事案の解消は、積年の課題であります。このため、基本構想におきましては、新病院が三次救急の基幹病院として救命救急に対応するとともに、二次輪番病院をバックアップし、他の医療機関が対応できない患者を受け入れる、断らない救急の実現を目標に掲げております。  救急医療の課題といたしましては、令和二年、広島市消防局管内において医療機関が重症の救急患者の受入れを断った一千五百八十件の理由について見てみますと、ベッドが満床という理由が一四%、人手不足や手に負えない、設備、資器材がないといった処置困難によるものが四六%を占めており、こうした状況は、病床規模が比較的小さい病院や特定の診療分野に特化した病院が多く、医療資源が分散していることが、救急患者の受入れ困難につながっているものと考えております。  こうした課題を解決するため、医療資源を集約することで、交代制勤務が可能となるマンパワーを確保するとともに、救命救急センターが外傷センターや心臓病センター、脳卒中センター等と連携して診療科横断的な専門医療を提供することができる体制を新病院に整備してまいります。  また、新病院の整備に向けた検討と併せて、救急治療が終わった後の患者に対応する後方病院と連携することで回転率を上げるとともに、救急医を補佐する救急救命士を配置して救急患者の受入れや転院などの事務手続の効率化を図り、応需率を高めることも検討してまいります。  県といたしましては、新病院の整備による断らない救急の実現とともに、引き続き救急医療体制の強化を図り、県民の皆様が安心して暮らし続けることができる体制の実現に取り組んでまいります。 9: ◯議長(中本隆志君) 会計管理者(兼)会計管理部長足立太輝君。         【会計管理者(兼)会計管理部長足立太輝君登壇】 10: ◯会計管理者(兼)会計管理部長(足立太輝君) 公募型プロポーザル方式による契約における透明性の確保についてお答えいたします。  公募型プロポーザル方式により提案される内容については、事業者の独自技術やアイデアなどが含まれる場合も多く、その全てを公開することは、当該事業者の活動に影響を及ぼす可能性もあることから、その扱いについては慎重に行う必要があると考えております。  また、その他の契約手法と同様に公募型プロポーザル方式においても、その手続は、公平性と公正性はもとより、透明性の確保が求められるところでございます。  こうした中、今回の教育委員会の契約に係る弁護士による報告において、公募型プロポーザル選定委員の人選や審査過程の記録の不整備が問題点として指摘されているところでございます。  また、これまでにも公募型プロポーザルの参加資格要件の在り方についても課題として認識しているところでございます。  これらの課題について、教育委員会における再発防止の検討と併せ、また、国や他の先進例を参考とするなど、必要な見直しについて検討し、一層の公平性、公正性と透明性が確保できるよう改善策を早急に取りまとめてまいりたいと考えております。 11: ◯議長(中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 12: ◯教育長(平川理恵君) 三点についてお答えいたします。  まず、広島市域における高等学校の在り方についてでございます。  県立高等学校の再編整備につきましては、平成二十六年二月に策定した「今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画」に基づき、長期的かつ全県的な視野に立った取組を進めているところであり、私立、市立及び国立高等学校と協力、または補完し合いながら、互いに切磋琢磨し、県全体の教育水準の維持向上に努めているところでございます。  今後、デジタル技術の進展、高度化をはじめ、社会環境や国際情勢等が急速かつダイナミックに変化していくことが想定される中、このような変化にも柔軟に対応し、活躍できる人材を確実に育成していくためには、新たな時代に対応した取組に果敢にチャレンジしていく必要があると考えております。  このため、例えば、工業高等学校におきましては、ものづくりに関する最先端の知識・技術を活用して新たな価値を創造する力などの習得を目指し、デジタル化に対応した産業教育設備を整備するなど、卒業後に即戦力で働くことのできる人材や、社会の変化等に柔軟に対応できる人材の育成に取り組んでいるところでございます。  また、商業高等学校におきましては、ビジネス探究プログラムにおいて、生徒が生きるとは何かをはじめとした本質的な問いに向き合い、対話しながら、自分の考えを深めていくなど、商業を学ぶ意義や楽しさを実感するようなカリキュラムを実践しているところでございます。  こうした取組などを通して、生涯にわたって能動的に学び続ける力を育むことで、リカレント教育やリスキリングにもつなげていきたいと考えております。  こうした取組を進める中で、今後の県立高等学校教育の在り方につきましては、国の中央教育審議会の答申におきまして、地域産業界を支える革新的な人材を育成することについての方向性が示され、専門高校段階での人材育成の在り方や教育課程の開発、実践などについて必要性が示されたこと、本県の地方産業教育審議会において、本県産業の発展を担う職業人として、多様な分野、職種の人々と協働して課題を解決することができる資質・能力の習得が必要なことから、学校、学科の枠を超えたカリキュラムの開発や生徒の学習環境を整備することの必要性が示されたことなどを踏まえながら、検討を進めているところでございます。  また、広島市域におきましては、今後、ますます児童生徒数の減少が見込まれていることから、広島市域全体の高等学校教育の在り方について、広島市教育委員会と積極的に情報交換等の場を設けるなど、緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画の次期計画を策定していく中で、全ての子供たちが、一人一人の適性や興味、関心などに応じた個別最適な学びにより、右肩上がりに成長できる内容を盛り込むことについて、しっかりと検討してまいります。  次に、医療的ケア児への就学支援についてでございます。  県が令和四年一月から三月にかけて実施したゼロ歳から十八歳の医療的ケア児の保護者等に対する調査におきましては、在校時及び通学時における保護者の付添いによる負担の軽減が強く求められているものと認識しております。  このため、まず、在校時の付添いにつきましては、医療的ケア児が在籍する県立特別支援学校において、必要な看護師を配置してまいりましたが、令和四年度から、看護師の休暇時も代替措置を講じ、保護者に付添いを求めなくてもよいように支援の充実を図っているところでございます。  今後につきましては、保護者のニーズの高い通学時の負担軽減策についての検討が必要であると考えております。  この負担軽減策につきましては、医療的ケア児の安全性を十分に確保する必要があることから、保護者に代わって安全に医療的ケアを実施する看護師の確保の在り方や医療的ケア児が通学するための車両の確保の在り方などの課題の整理が必要と考えております。  県教育委員会といたしましては、医療的ケア児及びその家族が抱える課題やニーズに沿った支援が可能となるよう、関係機関と連携して検討を進めてまいります。  最後に、教育委員会における官製談合防止法違反及び地方自治法違反についてでございます。  このたびの調査結果につきまして、教育委員会といたしまして、大変重く受け止めるとともに、まずもって、県民の皆様に多大な御心配と御迷惑をおかけしたことについて、誠に申し訳なく思っており、おわび申し上げます。  まず、これまでの対策と、このたびの不適正な契約手続が生じた原因、再発防止策についてでございます。  これまで、教育委員会における契約事務の手続に問題が生じたことに対しまして、議決を要する予定価格七千万円以上の物品の購入に係る決裁規程の見直し、財務会計システムの改修による注意喚起メッセージの表示など、関係部局と連携しながら、契約事務の適正化に向けた対策を行ってきたところであり、一定の改善を図ってまいりましたが、今回の調査結果では、組織風土の問題など、別の課題が指摘されているところでございます。  今回、不適正な契約事務が生起した原因といたしましては、調査結果において、職員の側から教育委員会のトップである私に対して忌憚のない意見具申ができ、私はその意見具申に耳を傾けるという組織風土を私自身が十分に整えることができていなかったことが、第一の原因であると指摘されております。  その要因についてでございますが、私は、教育長着任以来、先導的なモデル事業や高校入試改革などの教育改革に先頭に立って取り組んできたところですが、スピードを優先するあまり、結果として、民間活力を活用する手法において、行政として行うべき手続に対する意識が不足していたと考えております。  また、現場主義を掲げ、風通しのよい組織づくりに努めてきたところですが、職員の声を十分に酌み取ることができていなかったと考えております。  私としては、広島県の公教育を、ただただ、よりよくしようと、全ては広島県の子供たちのためにと思うあまり、猪突猛進になってしまったと大変反省しております。  個々の職員にではなく、私自身のマネジメントに課題があったことが、今回の指摘を受けることとなった要因ではないかと深く反省しております。  他方で、忌憚のない意見が交わせる組織力の問題が指摘されております。  こうした組織風土の問題は、一朝一夕に実現できるものではなく、持続的な改善の取組が必要であると考えており、こうした課題を、教育委員会の組織内全体で共有を図り、総体として解決方法を考えていくことが必要であると考えております。  このため、組織風土の改善に向けて、様々な年齢や職種で構成する職員が意見を出し合うことや、外部の意見等も取り入れる取組を行って、方法や範囲に予断を持つことなく、改善策を検討してまいりたいと考えております。  また、改善策の取りまとめは、時間を置かずに進めて、実践に移していきたいと考えております。  次に、公募型プロポーザルの実施に当たり、選定委員の人選などの面で、十分に牽制機能を果たしたとは言えないことが指摘されており、関係部局とも連携しながら対応を検討してまいります。  このほか、教育委員会にも内部通報制度はあるものの、機能しておらず、教育委員会による自律的な是正の機会を欠いていたこと、契約事務に関する知識を身につける機会がないまま、指導主事が事務職員と共に契約事務に携わっており、教育委員会の職員に公正な契約手続に関する知識が十分に浸透していないことなどが指摘されており、教育委員会から独立した外部の通報窓口の設置や、通報窓口の職員への周知、事業の初期段階から指導主事と事務職員がチームとして動くことを徹底させること、年度初めに本庁職員を対象とした契約事務説明会を実施することなどの対策を早急に講じ、改善を図ってまいります。  次に、私の責任の取り方についてでございます。  今回の調査によって、法令違反を生起させた原因として指摘された組織風土についての問題は、教育委員会という組織の根幹に関わる極めて重たい指摘を受けたところでございます。  まずは、指摘された原因等の改善に向けて、再発防止に真摯に取り組み、体制づくりを進めていくことで、しっかりと責任を果たしてまいりたいと考えております。  あわせて、組織風土を整えるための最たる責任は、組織のトップである私にあります。私自身を含む職員の処分につきましても、厳正に対処するよう、今後検討してまいります。 13: ◯議長(中本隆志君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時三十三分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 14: ◯議長(中本隆志君) 出席議員五十四名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。的場 豊君。         【的場 豊君登壇】 15: ◯的場 豊君 皆さん、こんにちは。民主県政会、福山市選挙区選出の的場 豊です。今十二月定例会において一般質問の機会を与えていただきました中本議長をはじめ、先輩、同僚議員に心から感謝を申し上げます。それでは、早速質問に入ります。  本年八月、核不拡散条約──NPT再検討会議が開催され、被爆地広島から湯崎知事と広島県議会で訪問団が結成され、派遣がなされました。世界で初めて原爆が投下された広島の知事と県議会がそろってNPT再検討会議に参加した意義は非常に大きいと考えます。同時に、訪問団による核兵器廃絶に向けた確固たる意志を今後の県政に引き継いでいかなければなりません。  以前にも少し触れましたが、私自身も今から十二年前の二〇一〇年に開催されたNPT再検討会議に参加し、ニューヨークタイムズスクエア前での平和行進の参加、NGOや平和団体等のフォーラムへの出席、ネーティブアメリカンとの交流、国連本会議場での傍聴等を経験させていただきました。世界の核兵器廃絶と平和を願う仲間との交流で、改めて自らの核廃絶に向けた決意と覚悟を固めたことを思い返しています。  御存じのように、NPTは二〇〇〇年に開催された再検討会議において、核兵器の全面廃絶に対する核兵器国の明確な約束、核兵器及びその他の軍備管理、削減措置に不可逆性の原則の適用などを盛り込んだ歴史的な最終文書が合意され、世界に核廃絶への大きな希望を与えました。  私が参加した二〇一〇年は、最終文書は合意されたものの、二〇〇〇年合意の核廃絶への明確な約束の再確認、核兵器国による核軍縮の具体的な措置進展の加速の要請にとどまりました。今回二〇二二年では、核先制不使用宣言、核兵器禁止条約の記載や核兵器の非人道性についても議論されましたが、最終的には、ウクライナに関する文言へのロシアの反対により、最終文書の合意、採択に至らず決裂することとなりました。大変残念な結果となりました。  近年、核廃絶をめぐる情勢は、二〇〇九年四月五日に行われたオバマ元大統領によるプラハでの核なき世界への演説、それに引き続き、オバマ元大統領とローマ教皇が相次いで広島平和記念公園を訪れ、花を手向けたこと、そして、二〇二一年一月二十二日、核兵器禁止条約が発効したことにより、核なき世界に向けた国際的な機運が醸成されつつあると感じていました。  しかし、ロシアのウクライナへの軍事侵攻における核の脅し、朝鮮民主主義人民共和国による度重なるミサイル発射や、絶対に核を放棄しないとする核兵器政策の法制化、国内における核シェアリング──核共有論の主張の高まりなど、この一年で核兵器使用リスクは未曽有の状況となっており、歴史的なNPT最終文書の合意から二十数年たった今、世界の核廃絶に向けた取組は大きな岐路に立たされているのではないでしょうか。  こうした核をめぐる世界の秩序が乱れているときだからこそ、被爆地広島から核兵器廃絶に向けた確固たる意志を全世界に発信する必要があると考えます。それでは、今後の質問については、一問一答方式により行いますので、質問席に移らせていただきます。(質問用演壇に移動)  最初の質問は、核廃絶に向けた被爆地広島の役割についてお伺いいたします。  まず、G7サミットの広島開催の意義と併せて、今回のNPT参加も踏まえた、核兵器廃絶に向けた道のりに対する知事の確固たる意志と覚悟についてお尋ねします。 16: ◯議長(中本隆志君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 17: ◯知事(湯崎英彦君) 核兵器廃絶に向けた情勢がかつてないほど厳しい状況にある中、来年のG7広島サミットは、各国首脳に核兵器の非人道性とその廃絶の必要性について改めて認識していただく絶好の機会であり、本県が、国際社会に向けて平和のメッセージと核兵器廃絶に向けた政策提案を発信し、賛同者の拡大を図る、極めて重要な機会であると認識しております。  このため、広島サミットに向けましては、核兵器のない持続可能な未来に関する提言の発信や、多様な主体が参画する平和推進イベントの開催などを通じて、核兵器の存在そのものが大きなリスクであり、核兵器の使用を防ぐ唯一かつ確実な方法は廃絶しかないという、力強いメッセージを広島から世界に向けて発信してまいりたいと考えております。  また、さきに開催されたNPT運用検討会議では、本県と長崎県が初めて一緒に、核兵器と持続可能性のつながりについて議論するサイドイベントを開催し、共同メッセージを発出するなど、核兵器廃絶の重要性を強く発信したところでございます。  引き続き、核抑止に代わる新たな安全保障アプローチに基づく政策提言づくりや、国連の次期開発目標に核兵器廃絶が位置づけられることを目指す国際市民社会グループ、グローバル・アライアンスの活動などを通じて、核兵器廃絶の賛同者を拡大していくとともに、将来的には政府も巻き込んだ動きとなるよう、国際社会に対ししっかりと働きかけてまいりたいと考えております。  こうした取組を通じて、核兵器廃絶に向けた具体的な進展に貢献できるよう、被爆地広島の知事として、全力で取り組んでまいります。 18: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 19: ◯的場 豊君 次に、核なき世界の実現に向けて、G7広島サミット核兵器廃絶共同声明等の合意文書の採択を国に働きかけるとともに、その声明や宣言等に、核兵器の非人道性、核兵器先制不使用の原則、ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキの文言を盛り込むことが大切ではないかと考えています。  そこで、G7広島サミット開催に向け、国に対して、核兵器廃絶、平和の発信について要請する必要があると考えますが、その具体的対応の状況、内容と併せ、核兵器禁止条約批准に向けた日本政府への要請について、どのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。 20: ◯議長(中本隆志君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 21: ◯知事(湯崎英彦君) 日本を含む国際社会に対しましては、これまで、NPT運用検討会議開催前の七月に、ひろしまラウンドテーブルの議長声明を送付したほか、八月の会議開催中には、長崎県と共に、最終文書採択に向けた緊急メッセージを送付するなど、直接、核兵器の非人道性や核兵器の先制不使用について訴えてまいりました。  また、日本政府に対しましては、G7広島サミットに際して各国首脳から平和のメッセージを発信していただくよう要望を行ったほか、核兵器禁止条約の早期の署名、批准については、先月の施策提案において直接外務省に要請したところでございます。  さらに、G7広島サミットに向けて、今後、核兵器のない持続可能な未来に関する提言を取りまとめ、政府へ要望してまいりたいと考えております。  核兵器のない平和な世界の実現のためには、唯一の被爆国である日本政府が、国際社会において、核兵器廃絶をリードしていただくよう、引き続き、政府に対して、機会を捉えて要望していくとともに、連携の強化を図ってまいります。 22: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 23: ◯的場 豊君 次に、G7広島サミット出席の各国首脳による平和資料館訪問、被爆者との面会、対談など被爆の実相を伝える取組、そして、高校生平和大使との意見交換の場の設定など、G7広島サミットを通じた平和の発信に関する対応状況について知事にお伺いいたします。 24: ◯議長(中本隆志君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 25: ◯知事(湯崎英彦君) 今回の広島サミットでは、力強い平和のメッセージを世界中に発信するため、十月に、広島サミット県民会議の会長である私と副会長である広島市長、また、広島県商工会議所連合会会頭の三名で、岸田総理大臣と林外務大臣を訪問し、要望を行ったところでございます。具体的には、各国首脳に被爆の実相に直接触れ、被爆者の体験や平和への思いを共有していただくため、広島平和記念資料館の視察、被爆者との対話、原爆死没者慰霊碑への参拝、献花の機会を設けていただくこと、併せまして、広島サミットの成果を未来につないでいくため、将来を担う子供たちや若者が、サミットの様々な場面において参加し、関わることができる機会の確保についても要望いたしました。  また、県民会議といたしましては、平和の発信を目的としたフォーラムの開催や、被爆楽器を活用した演奏会の実施、被爆の実相や広島の復興を発信するための海外メディアの招聘などに取り組むこととしております。  今後とも、国に対しまして、要望の実現に向けた働きかけを行うとともに、広島サミットという絶好の機会を生かした取組を県民会議が中心となって、着実に進めることにより、県民の切なる願いである核兵器のない真に平和な世界の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 26: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。
    27: ◯的場 豊君 知事から、NPT再検討会議に自らも参加された経験も踏まえまして、核兵器廃絶への確固たる意志と覚悟を聞かせていただきました。  いま一度、G7サミットの広島開催の意義を再認識していただきまして、全世界に向けて、先ほども答弁いただきましたけれども、核兵器廃絶と平和の希求を発信して、核廃絶への道のりをつくっていただくことを強く要請いたします。  質問の第二は、持続可能な瀬戸内海における、豊かな恵みの海に向けた備後灘の再生についてお伺いいたします。  私が、環境問題でいつも頭に浮かぶのはリオの伝説のスピーチです。一九九二年の国連環境開発会議──地球サミットで、十二歳のセヴァン・スズキさんが、地球環境の未来を憂いながら、だから、大人の皆さん、どうやって直すのか分からないものを、壊し続けるのはもうやめてくださいとスピーチで訴えた、リオ宣言から三十年が経過しました。  しかし、人類が初めて一致団結して世界を温暖化から守ろうと宣言してから三十年後の現在の環境問題はどうなっているのでしょうか。人生百年時代と言われる中、今年生まれた子供たちは、西暦二一〇〇年を超える未来を生きることになります。現在進行形で危惧されている地球の環境問題は、二一〇〇年の時代には取り返しのつかない星になっているのではないでしょうか。  気温の上昇、地球温暖化も止まらず、二〇一五年パリ協定における産業革命前からの平均気温上昇を二度未満、できるなら一・五度にとどめるとした目標に対して、現状のままでは、二十年後には一・五度を超え、二一〇〇年には三・二度上昇する予想も出ています。  さらに、世界中で年間八百万トンの海洋プラスチックごみが発生し、現在は約一億五千万トンが世界の海を漂流しており、二〇五〇年には魚よりプラスチックごみの量が多い海になるとの予測もあります。  世界の人口は、世界人口推計二〇二二年版によると、現在八十億人に達し、二〇八〇年には約百四億人でピークを迎え、二一〇〇年までそのレベルにとどまるとされており、二一〇〇年の未来では、地球温暖化、環境破壊がこのまま続くと世界中が食糧難、水不足に陥り、人類が生きるための資源を紛争、戦争で奪い合う最悪のシナリオを招きかねません。  我が県に目を向けてみると、瀬戸内海では、地球温暖化や海水温の変化により海洋生物の分布域の変化が見られ、さらには、海中の栄養不足、海砂採取などによる海流の変化や底質環境の劣化に伴い、漁獲量が激減しています。また、海ごみ、マイクロプラスチックごみが閉鎖水域の中で漂流し、蓄積し続けるなど、豊かな恵みの瀬戸内海を取り巻く環境の悪化について、私は非常に危惧しております。  特に、マイクロプラスチックごみは分解されないまま海流で分散し、食物連鎖により魚から私たち消費者の人体に影響を及ぼしかねない状況であります。  今からでも遅くはありません。豊かな恵みの瀬戸内海を再生するための各県の協力と重点的な政策展開が必要です。  そこで、まず、海洋プラスチックごみの排出削減と漂流するごみの回収に向けた対策についてお伺いします。あわせて、自然環境中で回収は困難とされる一次的マイクロプラスチックである、洗顔料や歯磨き粉等のスクラブ剤で利用されているマイクロビーズや、農業で使用されている被覆肥料の被膜殻の海への流出削減のための規制や転換、代替策が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 28: ◯議長(中本隆志君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 29: ◯知事(湯崎英彦君) 海洋プラスチックごみの削減につきましては、素材、製造、小売流通など幅広い業種の事業者や関係団体、県、市町で構成する「GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」において、二〇五〇年までに瀬戸内海に新たに流出するプラスチックごみをゼロにすることを目指して、取組を進めているところでございます。  プラットフォームにおきましては、使用量削減、流出防止、清掃・回収及び情報発信の四つのワーキンググループを設置し、現在では九十を超える多くの企業、団体などが連携、協力しながら取組を進めており、このうち、海洋プラスチックごみの排出削減といたしましては、植物由来のバイオ素材を原料とするテイクアウト容器の開発や普及、海洋生分解性プラスチックを活用した宿泊アメニティーの実用化推進、中四国初となるIoTを活用したスマートごみ箱の設置などの実証事業を実施しているところでございます。  また、漂流ごみを含む海ごみの回収につきましては、プラットフォーム内の清掃・回収のワーキングにおきまして、市町や企業、団体など様々な関係者が連携して、マッチングを通じた海岸一斉清掃活動の実施や、立入り困難地域での清掃活動に係る実証を行っているほか、広島県清港会の清掃船による漂流物の回収や、市町が地元漁業者と連携して行う海ごみの回収などを支援しているところでございます。  次に、製品への使用に伴い、河川等への流出が懸念される一次的マイクロプラスチックにつきましては、平成三十年六月に海岸漂着物処理推進法が改正され、事業者に対して使用を抑制する努力義務が課せられたところであり、令和二年度に国が実施した調査では、洗顔料や歯磨き粉などにマイクロビーズを使用している製品が確認されないなど、業界による自主的な取組が進んでいるところでございます。  また、被覆肥料につきましては、農業者において、水田の代かきを低い水位で行うことや排水溝にネットを設置するなどの流出抑制対策に取り組まれているところであり、プラスチックを使用しない資材についても肥料関係団体等において、開発等が進められているところでございます。  本県といたしましては、プラットフォームと連携して、こうしたマイクロプラスチック対策の普及啓発に取り組むとともに、環境汚染の実態が依然として解明されていない部分もありますことから、専門家と調査・分析方法などの検討を進めており、年明けからは、県内三海域においてサンプリング調査などを実施することとしております。  今後、調査結果を踏まえながら、多様な関係者と連携してさらなる発生抑制対策につなげていくなど、海洋プラスチックごみの削減に取り組むことにより、美しく恵み豊かな瀬戸内海の実現を目指してまいります。 30: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 31: ◯的場 豊君 次に、芦田川の河口堰開放問題について質問いたします。  備後地域もいにしえより山々の恵みを受けてまいりました。雨や雪を森に蓄え、母なる川、芦田川とその支流が水に養分を含ませて山から運び出し、河川流域の地味を肥沃にし、最終的に海に注ぐことで、瀬戸内海の豊かな生態系を育み、備後灘ひいては燧灘の漁場を豊かにしてきました。  干潟や藻場は、豊かな恵みの海の再生と魚のすむ場所をつくり、漁獲量を増やすことに大切な役割を持っています。特に海でも陸でもない淡い汽水域は、多様な生物の生息、循環には大切な環境です。昔は、芦田川の河口の干潟で、黄色い大きなシジミやウナギがたくさん取れていたそうです。  しかし、今では、芦田川河口堰によって川からの栄養塩が滞留し、海に運ばれなくなっており、私も地元の方からノリの色がつかない、ワタリガニやシャコが上がらない、カキが大きくならないと聞かされています。湯崎知事の大好きなメバルの煮つけも食べられなくなる日が来るかもしれません。海に栄養を与えなければ、瀬戸内海は再生しません。  そこで、森の栄養をたたえている芦田川河口堰を開放することにより、海に栄養を循環させることが必要と考えますが、水産資源の再生の観点から、河口堰開放による海の再生効果について、県の見解を求めます。 32: ◯議長(中本隆志君) 農林水産局長大濱 清君。         【農林水産局長大濱 清君登壇】 33: ◯農林水産局長(大濱 清君) 芦田川河口堰は、製鉄所などへ供給する工業用水を確保するため、昭和五十六年に国によって建設され、福山市内の企業向けの重要な水源として、今後も継続して利用されると伺っております。  河口堰では、芦田川下流域の水質改善を図る目的で降雨などにより一定の流入量があり、堰の水位が回復すると見込まれる時に、弾力的放流が行われており、堰内の水が一時的に海域に放流されているところでございます。  しかしながら、近年では、備後灘での養殖ノリの色落ちや漁獲量の減少が顕著であり、地元の漁業者からは今の弾力的放流では水産資源の回復にはつながらないのではないかとの意見を伺っております。  こうした中、広島大学が河口堰から沖合の距離に応じた栄養塩の濃度などの調査を令和三年から行っており、県といたしましては、そのデータを提供していただき、弾力的放流の水量や頻度など効果的な運用の在り方について国や市とともに検討しているところでございます。  海域への栄養塩の供給に向けましては、下水道から出る栄養と水産生物との関係について、基礎調査に着手しているところでもあり、備後灘の特産であるノリやガザミ、シャコなどの水産資源の回復に向けて栄養塩対策をはじめとする総合的な取組を進めてまいります。 34: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 35: ◯的場 豊君 今日の質問では、十分なやりとりはできませんでしたけれども、私自身も、瀬戸内海全体や備後灘の漁獲量の減少については様々な要因があるというふうに思っています。ですけれども、引き続き、やはり海の栄養が少ないということが、漁獲量が上がってないということにつながっているということは明らかだと思っていますので、ぜひ、先ほど答弁でもありましたけれども、専門的な研究、そして、検証を重ねていただきまして、森の栄養を海に循環させるための施策の検討を続けていただくことを要望しまして、次の質問に入ります。  続いて、障害者施策の充実についてお伺いいたします。  コロナ禍での経済活動の停滞やイベントの中止等により、障害者の働く場の減少や作業所の業務量など、障害者の就労に大きな影響が生じています。  私の県政報告の封入作業をお願いしている作業所の担当者にお話を聞いても、コロナ感染拡大前と比べて受注作業も減り、新規の依頼も少なく、密になる共同作業も難しいので、厳しい運営が続いていると悩みを相談され、障害がある方の中には、室外での作業や農業、漁業に興味を示す方もあり、農福・漁福連携を模索しているとのことでした。  具体的には、イノシシ等鳥獣害対策用の柵設置の作業やカキ養殖のカキ打ち作業などを農家や漁師の方々と調整しているものの、個別の対応にとどまっており、なかなか軌道に乗らず、受託業務までには至らないとの悩みを語られていました。  五年前、福山市では、指定就労継続支援A型事業所が経営破綻し、登録利用者百六人が解雇となり、賃金未払い問題が惹起しました。二度とそうした状況を招かないためにも、障害者の方々が作業所で作業を行う業務の確保と併せ、農業や漁業など第一次産業やアグリビジネスにおいて、就労可能な業務をマッチングさせるための仕組みづくりが求められています。  そこで、広島県の障害者施策における、農福・漁福連携を進めるための全部門の予算額の状況についてお伺いいたします。また、就労や作業の受託を受けられるような仕組みが県内においてどのような状況にあるのか、その実績と併せてお伺いいたします。 36: ◯議長(中本隆志君) 健康福祉局長木下栄作君。         【健康福祉局長木下栄作君登壇】 37: ◯健康福祉局長(木下栄作君) 農業をはじめとする農林水産業と福祉の連携につきましては、障害者が農林水産業での活躍を通じて、社会参画を実現していくとともに障害福祉事業所に就労する障害者の方々の工賃向上においても、重要な取組であると認識しております。  そのため、県では、農福連携として、農業生産を行う障害福祉事業所への営農指導を行うとともに、令和二年度から、農業生産者と障害福祉事業所との間をつなぐ農福連携マッチング支援事業を開始し、農福連携に関する令和四年度当初予算額は、七百六十万円余となっております。  このマッチング支援事業におきましては、現在、東広島市に農福連携コーディネーターを派遣し、農業生産者側と福祉事業所側との作業内容や就労条件等を調整し、福祉事業所の作業受注につなげております。その取組成果といたしましては、令和二年度は、三生産者から延べ六事業所が作業を受注し、令和三年度は、十生産者から延べ二十事業所が作業を受注しており、徐々にその実績を積み上げているところでございます。  また、漁業と福祉の連携、いわゆる漁福連携につきましては、現在、県内漁業者と福祉事業所との間で、個々に作業受注などの取組が行われておりますが、今後、県の支援に対するニーズやその効果などについて、調査研究を行ってまいりたいと考えております。  今度とも、障害者の方々のさらなる社会参画と工賃向上に向け、これらの取組を着実に進めてまいります。 38: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 39: ◯的場 豊君 やはり、徐々に広がっていくことになると思うのですけれども、周知をしっかりしていただいて、全県的にそうしたことが広がっていかないといけないと思うのです。県北であるとか、県東部であるとか、そうしたところも受注が得られるように、ぜひマッチングをしっかりしていただいて、その作業所の声を聞いていただくことを引き続きお願いしたいと思います。  次に、将来にわたって障害者の就労が継続的に確保されていくことや、賃金が上昇していくことが重要と考えており、例えばG7広島サミットの機会を捉えて、参加者への記念品やお土産品として、指定就労継続支援事業所等の製品を選定するよう国に働きかけるなど、障害者支援につながるような取組を検討してはどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。 40: ◯議長(中本隆志君) 健康福祉局長木下栄作君。 41: ◯健康福祉局長(木下栄作君) 県内の障害福祉事業所では、広島レモンなどの特産品を使用したお菓子や、折り鶴再生紙を利用した雑貨や文具など広島ならではの製品づくりが行われております。  G7広島サミットで広島を訪れる多くの方々に、広島の産品や文化をアピールする品物の一つとして、こうした製品を採用いただき、広く知っていただくことができれば、障害福祉事業所で働く障害者の方々にとっての励みになるとともに、今後の工賃向上にもつながっていくものと考えております。  そのため、今後、公益社団法人広島県就労振興センターや広島市就労支援センター並びに広島サミット県民会議などと連携し、参加者や海外メディアなどの記念品への障害福祉事業所製品の採用について、国への働きかけを検討してまいります。 42: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 43: ◯的場 豊君 答弁いただいたとおりだと思っています。冒頭、コロナ禍で厳しい作業所の実態も触れさせていただきましたので、そういうことを含めて、特に、G7サミットに向けて、そうしたことを一生懸命提案しようとしている作業所も結構あります。平和公園の折り鶴の再利用でコースターを作って、そうしたものを提供していきたいということも聞いておりますので、答弁をいただきましたけれども、ぜひ、これから先の持続可能な、障害者の方々の就労支援に結びつくような施策の展開を強く要請いたしたいと思います。  質問の第四は、子育て支援・教育環境の整備についてお伺いいたします。  これまで、子供たちが育ち行く環境整備が重要だと訴え続けてきました。私自身、現場発の政策として、福山市こども発達支援センターの設置を強く要望し続けてきた経緯があり、発達障害の子供たちの療育や不登校対策については、強い思い入れがあります。  福山市は、全国に先んじて不登校対策の取組を始めた自治体でありましたが、そのきっかけは二十年ほど前の福山市の現場のスクールカウンセラー職員からの提起でありました。多感な思春期の中学校通学時に不登校になる原因には様々な要因、環境が存在し、幼い頃の児童虐待や親の貧困によるネグレクト、そして、発達障害の子供への療育等、子供たちの個別課題を丁寧にひもとき、寄り添うことが大切だとの現場職員からの指摘でした。  しかし、当時、県東部には公的な発達障害の療育施設はなく、県東部の子供たちは発達障害の療育を受けるのに、県と広島市が二か所で設置するセンターを利用していました。そのため、数か月から半年を超えて順番待ちをしなければならない状況であり、まさしく西高東低と言われてきた県行政において、教育条件の機会均等に格差が生じていました。  その後、県を含め、関係機関の協力もあり、福山市こども発達支援センターが開設され、現在では、県境である岡山県笠岡市、井原市を含む備後圏域六市二町の子供たちが利用できる広域運営の療育施設の拠点となっています。子供の育ち行く過程において、早期に発達障害の診療と専門的な療育を受けることにより、その子たちの育ちや将来、人生が全く違うものになると言われております。広島県内全域における発達障害の療育体制の構築、そして、療育後の各自治体の就学前施設や小学校との連携等、個別最適な子供の育ちの保障のさらなる充実が求められています。  そこで、発達障害の可能性のある子供たちの療育の状況と今後の療育体制の整備・充実に向けた施策についてお伺いいたします。 44: ◯議長(中本隆志君) 健康福祉局長木下栄作君。 45: ◯健康福祉局長(木下栄作君) 発達障害児への支援につきましては、できるだけ身近な地域で、早期に療育支援を受けることのできる体制の整備が重要であると認識しております。  このため、県では、全県を対象とする県発達障害者支援センターにおいて、発達障害の早期発見や発達障害児への日常的な支援を行う保健師、保育士、教員などへの研修を通じて、発達障害に対する適切な支援が行えるよう取り組んでいるところでございます。  また、県発達障害者支援センターに地域支援マネージャーを配置し、様々な支援機関に赴き、専門的な相談や助言活動を行い、発達障害に関わる多職種の支援者による地域の連携体制の整備にも取り組んでおります。さらに、発達障害児の子育て経験を持つ保護者をペアレントメンターとして養成し、自らの体験に基づいて児童や保護者に寄り添った相談支援が行えるよう相談体制の強化も図っております。加えて、医師や公認心理士等の養成研修なども実施し、身近な地域で、専門的な診断や診療が受けられる医療体制の確保にも努めております。  県といたしましては、今後とも発達障害の疑いのある児童も含め、全ての子供たちが個々の特性に応じて、適切な支援を受けられるよう、取組を推進してまいります。 46: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 47: ◯的場 豊君 続いて、個別最適な学びの保障に向けた体制整備と体系的な学びの構築についてお伺いいたしますので、教育長は答弁待機席にお願いいたします。 48: ◯議長(中本隆志君) 教育長、答弁待機席へお願いします。 49: ◯的場 豊君(続) 先日の文教委員会の調査で訪れた埼玉県戸田市教育委員会で、戸ヶ崎教育長のお話を聞く機会がありました。戸田市の教育はICT教育が進んでいますが、それと併せて、今後の教育現場における個別最適な学びに向けて、内閣府が示すSociety5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージの議論をベースに三十五人学級を想定して、発達障害の可能性のある子供、特異な才能のある子供、不登校・不登校傾向の子供、家庭の文化資本の違い、家で日本語を話す頻度の違い等の子供の個性や背景の割合のイメージを例示し、教室の中にある多様性、子供の側に立つ重要性を踏まえた教育環境が求められると話されておりました。  脳裏に浮かんだのは、以前デンマークやフィンランドの調査で学んだ、北欧における個性と特性を伸ばす教育に通ずるものであり、広島県教育委員会においても、学びの変革で様々な教育展開を模索している段階と考えますが、より個別最適な学びに変革すべく、体制や教育環境の整備が必要であると感じています。  そこで、子供の多様化する個性や特性を伸ばし、困難な背景を持つ子供たちの個別最適な学びを保障するための体制整備や体系的な学びに向けた県教育委員会の対応方針についてお尋ねいたします。 50: ◯議長(中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 51: ◯教育長(平川理恵君) 本県が進める学びの変革におきましても、全ての児童生徒の主体的な学びの実現を目指し、児童生徒の多様化する個性や特性を伸ばし、また、困難な背景を持つ児童生徒の個別最適な学びを保障する取組を推進しているところでございます。  具体的には、平成三十一年度に個別最適な学び担当を新設し、自由進度学習と呼ばれる個々の学習進度に応じた指導方法の研究開発等を進めるとともに、発達障害の可能性がある児童生徒や特異な才能のある児童生徒等の対応も含めた、体系的な学びの構築に向けた取組を進めております。  加えて、令和三年度からは、不登校等児童生徒への支援を一元的に担う不登校支援センターを、さらに、令和四年度にはスクールエスを新設し、不登校等児童生徒を対象とした体験プログラムの開発やオンラインによる学習支援等を行っております。  県教育委員会といたしましては、引き続き、関係課及び関係機関で連携し、児童生徒の多様化する個性や特性を伸ばし、困難な背景を持つ児童生徒の個別最適な学びの充実に取り組んでまいります。 52: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 53: ◯的場 豊君 最後に、先ほども少し答弁いただきましたが、子供たちへの個別最適な学びの保障でも重要である不登校対策に関して、コロナ禍における広島県内の不登校と不登校傾向にある児童生徒の実態と対応についてお伺いいたします。 54: ◯議長(中本隆志君) 教育長平川理恵君。 55: ◯教育長(平川理恵君) 本県の令和三年度の不登校児童生徒数は、小学校二千六十二人、中学校三千七百一人、高等学校一千四百八十三人の計七千二百四十六人であり、前年度、五千六百五十三人の約一・三倍となっております。  不登校児童生徒の増加の背景を、国におきましては、コロナ禍が長期化したことによって、生活環境が変化し、生活リズムが乱れやすい状況にあったことや、学校生活に様々な制限がある中、登校する意欲が湧きにくい状況にあったことなどが挙げられており、本県におきましても、同様の傾向が考えられると捉えております。  不登校等児童生徒への支援につきましては、コロナ禍への対応も念頭に、スペシャルサポートルームを設置した取組を進める学校への支援の拡充や、スクールエスの設置による来室とオンラインの両面からの支援など、多様な学びの場を提供する取組を進めているところでございます。  スペシャルサポートルームを利用した生徒からは、スペシャルサポートルームで増えていく後輩たちとの関わりにわくわくしたり、行事をみんなで楽しんだりと最も充実した一年間でしたといった声を聞いており、その成果を感じているところでございます。  引き続き、児童生徒一人一人の様々な背景を踏まえ、その状況に応じて、きめ細かに支援してまいります。 56: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 57: ◯的場 豊君 今、答弁の中で全県で七千二百四十六人、前年度の約一・三倍ということがありました。コロナ禍もあってそういうこともあるのだと思うのですけれども、やはりそこにきちっと対応できるためには体制も必要だと思うのです。個別最適な学びを保障するというのは、言うのは簡単ですけれども、それをするためには、そうした教育環境の体制の整備が必要だと思います。言いたいことは分かっていただいていると思いますので、ぜひそうした取組も継続してやっていただきたいと思います。子供たちの個性とか特性、能力を見極めるのは非常に難しいことですので、ぜひそうしたところも、教育委員会内部でしっかりと検証を進めていただければと思います。それを要望させていただいて、次の質問に移ります。  続いて、研究職や専門人材の育成に向けた博士課程に進む学生の支援についてお伺いいたします。  昨年度、国は初めて博士課程の学生への経済支援をスタートさせました。その背景には日本の国際研究力の低下に対する危機感があります。  文部科学省が分析、公表した科学技術指標二〇二二によると、日本における過去三年の世界的に注目度の高い論文数は、三千七百八十本で、順位は世界の十二位となり、過去最低を更新しました。イギリスの半分以下でアメリカの約十分の一となっており、トップの中国は四万六千三百五十二本で、日本の十二倍を超える本数になっております。博士号取得者でも、日本は一・五万人で、アメリカの九・二万人、中国の六・六万人に大差をつけられており、博士人材の確保が急務となっております。  日本の科学や技術、そして、経済活動を牽引してきたのは、博士人材の研究者であるのは、私が言うまでもありません。博士号取得者は、企業に入った直後から高い発明性を示し、長期にわたり発明生産性が上昇する傾向にあることから、企業の研究開発に大きく貢献しており、ひいては日本企業の国際競争力を向上させる観点からも博士号取得者の確保は大変重要です。  しかし、主要国の中で日本のみ、人口百万人当たりの博士号取得者の減少傾向が続いております。欧米では、研究に当たる博士課程の学生に奨学金や研究の対価を支給している国が多い中、日本の博士課程の学生は、生活費相当とされる年間百八十万円以上の収入がある人は一〇%しかおらず、半数以上の五五%が無給となっており、研究環境が著しく劣っております。そうした厳しい経済状況や博士号取得後のキャリアの不透明さを背景に研究者離れ、博士離れが課題となっており、ノーベル賞の授賞者からも対策の強化を求める声が上がっていました。  そうした中、文部科学省は博士号の取得を目指す学生への経済的支援を拡充するため、一人当たり年間で二百から二百九十万円ほどを支給する制度を始めました。しかし、日本学術振興会からは支援金を受けることができるのは博士課程へ進む二割程度の選び抜かれた方だけであることと併せ、その支援金だけでは、切り詰めてもぎりぎりの生活となるとのことであります。  支援金の平均は二百四十万円程度ですが、そこから住民税、健康保険料や家賃、食費などの生活費に加え、学費や交通費を差し引くと手元にほとんどお金が残らないとのことです。そうした経済状況の中で、研究のための専門的な参考書など研究費を捻出するのは非常に厳しい状況のようです。  広島県はものづくり県であり、DX推進や新たなイノベーションを起こすためにも博士人材は必要不可欠な中、博士課程に進む学生に対してさらなる支援が必要であり、私自身は、基本は全員対象の給付型奨学金と考えております。  現在、県では、広島県未来チャレンジ資金による貸付制度を実施していますが、県内企業の人材確保の強化を図るため、例えば広島県内への就職等を条件等にした国制度への上乗せ支援金制度など、広島県独自の給付型支援策を行ってはどうかと考えますが、所見をお伺いいたします。
    58: ◯議長(中本隆志君) 商工労働局長川口一成君。         【商工労働局長川口一成君登壇】 59: ◯商工労働局長(川口一成君) 本県産業が将来にわたって持続的に発展するためには、とりわけ、本県産業のイノベーションを担う高度人材の育成、集積が大きな鍵を握るものと認識しており、こうした人づくりを最重要課題の一つと位置づけて取り組んでいるところでございます。  こうした人づくりを目的とした県独自の支援策として、平成二十四年度に広島県未来チャレンジ資金を創設し、県内企業の成長や産業の持続的発展に寄与する個人に対して修学資金の貸付けを行い、県内企業のイノベーション力強化の原動力となる産業人材の育成、確保に取り組んでいるところでございます。このチャレンジ資金の利用者は、十年間で百二十九人に上り、このうち三十三人が博士号を取得しているほか、航空分野の可視化技術を自動車空力へ応用する世界初の技術開発や、次世代エネルギーであるリチウムイオン電池の充放電に関する世界初の研究について学会で受賞するなど、高度専門分野で大きな成果を上げているところでございます。  なお、このチャレンジ資金はイノベーション創出に向けた即戦力人材の育成を目的とし、実務経験のある社会人を対象にしたものでございますが、学生への支援といたしましては、今年度新たに、県内情報系の学部生や博士課程前期の学生百人を対象とし、県内就職を要件として返還免除を行う奨学金制度を創設したところでございます。  今後とも、DX推進や新たなイノベーションを起こす高度人材の育成に向け、限られた経営資源の有効活用といった観点にも配慮しながら、県内産業界のニーズを踏まえ、幅広い検討を行うなど、不断の見直しを図ってまいります。 60: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 61: ◯的場 豊君 いろいろされていることはよく分かりました。ですけれども、今後も、広島県の独自施策として、研究職や専門人材の育成に向けた博士課程に進む学生支援の具体的な対応と併せまして、国に対して、国民健康保険の学生納付特例の対象、もしくは勤労学生控除を認めることを働きかけていただくことを要請して、最後の質問に移ります。  最後に、備後地域・福山市の課題について質問いたします。  まず、備後圏域の主要道路の整備についてお伺いいたします。  備後地域の朝夕の交通渋滞は、これまで幾度となく質問させていただきました。特に、福山市域を南北に結ぶ道路は交通量が多い状況にあり、豪雨等の災害時や救急車等の緊急時搬送に大きな不安を抱えております。  先日も、府中市在住の医療的ケアの必要な子供を福山市の特別支援学校に送迎している保護者から、芦田川の土手道を自ら送迎している時に事故渋滞に巻き込まれ、子供の発作が始まりそうな兆候もあり、非常に怖い思いをしたとの相談を受けました。鶴ヶ橋を含む県道加茂福山線の整備などにより、こうした南北方向の交通を分担することが望まれます。特に、朝夕の通勤時の渋滞時には市街地の抜け道も混雑することから、通学している児童生徒の交通安全対策も危惧されております。備後都市圏の井桁状道路整備は、焦眉の課題です。  そこで、慢性的な渋滞の改善及び豪雨災害時に備えた代替性も考慮した備後圏域を南北東西に結ぶ井桁状の道路整備に向けて、備後地域を東西に貫く一般国道二号福山道路や関連する福山沼隈道路、南北に結ぶ福山西環状線や鶴ヶ橋を含む県道加茂福山線の整備の進捗状況について、土木建築局長にお伺いいたします。 62: ◯議長(中本隆志君) 土木建築局長上田隆博君。         【土木建築局長上田隆博君登壇】 63: ◯土木建築局長(上田隆博君) 備後圏域の中核を担う福山市が、今後、連携中枢都市圏の拠点としてさらなる発展をしていくためには、広域連携の強化をはじめ、渋滞緩和による物流の効率化や災害時の代替機能の強化などに資する幹線道路の整備が極めて重要であると認識しております。  一般国道二号福山道路につきましては、全線十六・五キロメートルのうち、西側の三・三キロメートル区間について、現在、国により橋梁下部工の工事などが進められており、先月には地頭分高架橋上部工の工事に着手されたところでございます。  残る十三・二キロメートルの未事業化区間につきましては、大規模なバイパス区間であることから、より早期に事業効果が発現できるよう、段階的な整備を含めて検討するなど、国や福山市などと連携し、経済界からの要望も踏まえながら、早期事業化に向けて、鋭意検討を進めているところでございます。  福山沼隈道路につきましては、一般国道二号福山道路との一体的な整備を行っており、本年九月には側道として新たに架け替えた草戸大橋を供用開始するとともに、現在は、芦田川渡河部の本線における橋梁下部工の工事などを進めているところでございます。  福山西環状線につきましては、福山市中心部へのアクセスとして一定の効果が期待できる一般国道四百八十六号から一般県道柞磨駅家線までの区間において、現在、芦田川渡河部における橋梁上部工の工事などを進めているところでございます。  一般県道加茂福山線につきましては、JR福塩線と立体交差する跨線橋の整備を行うこととしており、現在、橋梁下部工の工事などを進めているところでございます。  県といたしましては、これら幹線道路の整備について、国や福山市と連携を図るとともに、国の個別補助制度を積極的に活用するなど事業費の確保に努めながら、早期完成に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。 64: ◯議長(中本隆志君) 的場 豊君。 65: ◯的場 豊君 以上で私の質問は、終わらせていただきますが、午前中、問いただされた、県教育委員会の官製談合防止法違反及び地方自治法違反の案件について要望いたします。  県教育委員会は、違反行為に至った説明と、その責任の所在と処分について今後どのように行っていくのかが、問われております。県民が納得のいく説明を求めます。  八月に報道された、広島県教育長に官製談合疑惑の報は、県民を大変驚かせるものでありました。これを受けて、九月、県教委は自ら提案して、広島県教育委員会と特定非営利法人パンゲアの間の取引に関する事実調査、調査結果に基づく法的評価を得るため、外部の専門家による調査を開始。そして十二月、県教育委員会は、調査報告の概要を明らかにされました。  調査結果は、官製談合防止法違反及び地方自治法違反という極めて厳しいものとなりました。県教育委員会として、これまで長年にわたり、学校関係者に法令遵守を強く求めてきたにもかかわらず、本事案における県教育委員会自らがルールを逸脱して法令違反を犯したという外部評価は、極めて重大なことであります。  疑惑が疑惑でなく、違反であったことは、大変ショッキングなことであり、県民の信頼を損ないかねない事態から信頼を失う事態に至りました。今後、県教委として、正常化に向けてどのように第一歩を踏み出すのか、県民は注視しております。  県民が納得のいく説明と責任の所在と処分についてどのように行うのか、調査結果を踏まえて、早急に明らかにしていただくことを強く強く求めて、終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 66: ◯議長(中本隆志君) この際、暫時休憩いたします。休憩後の会議は、午後二時十分から開きます。         午後一時五十七分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後二時十一分開議 67: ◯議長(中本隆志君) 出席議員五十三名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。日下美香君。         【日下美香君登壇】 68: ◯日下美香君 皆さん、こんにちは。公明党広島県議会議員団の日下美香でございます。  私はこれまで、子供や若者、女性、障害を持った方、中でも社会で最も生きづらさを抱え、政治に声を上げにくい人の声こそ届けていきたい、少しでも状況が改善してほしいとの思いで活動してまいりました。がん患者へのウイッグの助成、小さく生まれた赤ちゃんの成長を記録するリトルベビーハンドブックの作成などは、現場の悩める女性からの声が届き、県の事業化につながりました。また、性被害ワンストップセンターや引きこもり相談センター、LGBTの方の相談窓口の設置や特別支援学校の職業コースの設置なども多くの方の生きる希望につながっていることは本当にうれしいことです。本日もそうした現場の声に寄り添いながら、一人も取り残されることなく幸せになってほしいとの願いを込めて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、多様性のある社会の実現について伺います。  広島県の県政史上初の女性副知事の誕生は、知事の多様性を重視していく姿勢の表れだと思います。これからの社会は、多様性なしでは成り立たない時代になったと実感しております。  政策や研究にジェンダーの視点を取り込むと、新たな方向性が見いだされると言われています。例えば、日本の研究者に占める女性の割合は、先進国の中でも低く、二割を切っています。国際的には、女性研究者の一人当たりの平均論文数は男性よりも少ないにもかかわらず、日本では女性が男性より論文発表数が多いとの調査もあり、相当頑張らないと研究者になれないことがうかがえます。女性はスーパーマンでなければならない、そんなメッセージにもなりかねません。女性のロールモデルも、男性のようにもっと多様であるべきです。リーダーに男性が多い分野は、無意識のバイアスをかけずに女性にそのチャンスを与え、伸び伸びと活躍していける工夫が必要です。このたびのワールドカップ・カタール大会では、初めて女性審判員が選ばれ、テレビで冷静に裁いていく姿が印象的でありました。本県も全ての審議会や知事が任命する委員などにおいても、男性ばかりになっていないか、同じ女性の人が複数の委員を兼任していないかなど、そうした視点を持ちながら選んでいただきたいと思います。多様性の見える化やロールモデルの多様化は、今から続く多くの女子学生にはとても希望になると思います。  一方、女性が困難を抱える背景にある男女格差にも目を向けていかなくてはいけません。女性をめぐる貧困、性搾取、暴力被害は、長年見過ごされていた課題です。このたび、売春防止法が六十六年ぶりに見直しとなり、今年五月に困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立し、女性の福祉の増進と人権擁護の視点が入り、施行は二〇二四年四月となります。県は国の基本方針を受けて基本計画を策定し、困難な問題を抱える女性への支援に一層力を入れていただくことを期待したいと思います。  また、国立社会保障・人口問題研究所が行った調査によると、仕事と子育ての両立を理想とする人が、男女ともに最多となりました。社会の変化とともに、男性は仕事、女性は家庭といった意識が大きく変化しています。本県としても、仕事や家事、育児を男女で分かち合い、両立できる環境整備の推進に、より一層取り組んでいただきたいと思います。  今月三日、女性の権利拡大やジェンダー平等を目指す国際女性会議が東京で開催されました。岸田首相は、席上、女性の視点を反映させた政策を推進すると表明し、あらゆる次元にジェンダーの視点を取り入れ、一人一人の活力を社会の成長につなげていくと強調されました。また、女性を取り巻く環境について社会的格差が今なお課題であるとして、今回の議論の成果を来年五月のG7広島サミットに生かしたい考えも表明されました。その舞台となる広島県の知事として、女性が活躍できる多様性のある社会の実現に向けた思いをお聞かせください。  次に、女性デジタル人材の育成等に向けた総合的な対策についてお伺いいたします。  広島県が県内の事業者を対象に実施したアンケートによると、デジタル技術の活用で課題解決を図るデジタルトランスフォーメーション──DXに取り組む事業者の割合が約三割にとどまることが分かりました。県は十一月に「DX加速プラン」を策定し、取り組む事業者の割合を二〇二五年度に五〇%にする目標を掲げていますが、なかなか進まない理由の一つに、人材の確保があります。一方で、政府は、非正規雇用が多い女性の就労支援策として、女性のデジタル人材の育成に力を入れています。  なぜ女性のデジタル人材の育成が必要なのでしょうか。一つは、先ほど申し上げた人材不足への対応です。  経済産業省は、社会のデジタル化に伴って、IT人材が二〇三〇年には、最大で七十九万人不足すると試算しています。この課題の解決を目指し、男性に比べてデジタル人材が少ない女性に的を絞って取組を進める意義は大きいと思います。  さらに重要なのは、女性の就労環境の改善です。長引くコロナ禍の中、失業などで困窮する女性の増加が問題になりました。これに対し、デジタル関連の仕事は感染症の影響を受けにくい上、育児や介護など家庭の事情でフルタイム勤務が難しい女性でも、空いた時間を活用しながら、テレワークでの就労が可能となります。  就労に直結するデジタルスキルを身につけた女性デジタル人材の育成の加速化は、本来国において「女性デジタル人材育成プラン」の目標に掲げられ、特に女性を対象とした取組を積極的に実施とあります。デジタル人材として女性の就労をマッチングしていくことは、今後の女性の活躍推進にも、デジタル分野への人材供給にも大きく貢献していくことと思います。  この課題は、多部局に関わる課題であり、連携もしていかなくては前に進みません。県として総務局、商工労働局、環境県民局と連携して、女性のデジタルスキル向上とデジタル分野への就労支援という両面の視点から、具体策を盛り込んだ総合的な対策を本県において積極的に進めていただきたいと思いますが、どのように考え、どのように取り組んでいかれるのか、玉井副知事にお伺いいたします。  次に、子供政策の取組についてお伺いいたします。  先月十一月二十日は世界子どもの日でした。一九五四年に子供たちの相互理解と福祉の向上を目的に、国連で制定されました。さらに、一九八九年、国連総会で十八歳未満の子供を大人と同様に人権を持つ主体と位置づける、子どもの権利条約が採択され、日本も一九九四年に批准しました。  しかし、日本は子供の権利について定めた国内の法律を持たなかったため、国連から法整備を行うよう何度も勧告を受けてきました。条約批准から二十八年後の今年の六月になってようやく成立したのが、こども基本法であり、こども家庭庁設置法であります。来年四月から正式に施行され本格的な運用が始まります。  これまで、全ての子供の幸せのためにとの思いで活動してきましたが、この法律は日本の子供政策の大きな転換を意味すると思っております。近年、自殺や虐待、貧困、いじめ、不登校、ヤングケアラーなど、子供を取り巻く環境が深刻になっております。このたび設置が決まったこども家庭庁は、そうした子供を取り巻く諸課題の解決のために、これまで複数の省庁にまたがっていた子供政策を一元化させ、子供に関する福祉行政を担う子供政策の司令塔としての役割が期待されています。  一方、こども基本法は、国が子供政策を推進する上で基盤となる重要な法律です。国際条約である子どもの権利条約に定められた生命、生存及び発達に対する権利、子供の最善の利益、子供の意見の尊重、差別の禁止の四原則が基本法にも記され、今後の日本の子供政策はこれらの原則の下に実施されることが明確に位置づけられました。今後、この四原則を具体化していく中で、最も日本で遅れていると思うことは、子供の意見の尊重です。子供の声を社会に反映させる取組として、現在、学校の校則の見直しがクローズアップされています。今後は、学校運営協議会などにも、子供たちの声を反映させる必要があると考えます。国際的に見ても日本の子供たちは自己肯定感が低いと指摘されていますが、これは子供たちの意見が尊重され、具体的な形として実現させる機会が極端に少ないことにも起因しているのではないでしょうか。県議会で開催される子供議会での子供たちの発想も、とても自由でユニークで示唆に富んでおります。そうした子供たちの声を一緒に広島県をよくしていく仲間として十分に受け止め、政策に反映していく仕組みが、今後はさらに求められていくと思います。  様々申し上げましたが、この設置法だけではなく、基本法も同時に成立したことにより、こども家庭庁は、子供の最善の利益を優先して考慮することを基本理念に掲げており、首相直属機関として文部科学省など各省庁に取組の改善を求める勧告権を持ちます。こうした動きに対して、本県の子供政策をどのようにリードしようとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、G7広島サミットに向けた高校生の活躍の場づくりについて伺います。  今年の文教委員会の県内調査で、いくつかの県立高等学校に行かせていただきました。最初に伺った大竹高校は、地域から信頼され選ばれる学校を目指し、特に地域貢献活動に積極的に取り組んでおられました。また、一学年一学級規模の小規模校である佐伯高校では、少人数という特色を最大限に生かし、生徒一人一人の個性に応じた教育に取り組み、部活動ではアーチェリー部がインターハイ男子団体で三位入賞するなど、輝かしい成績を収めております。このほか、中学校や私立高校にも伺いましたが、どの学校も生徒が生き生きとしていること、また、図書室がとても素敵に生まれ変わっており、学びのセンターとして利用されていることは、大変うれしいことでありました。  その中でもひときわ際立って印象に残ったのは、県立宮島工業高等学校の生徒の取組でありました。インテリア科の生徒が、地域貢献活動として、自分たちのものづくりの技術を生かし、宮島の新たな土産物を開発する活動をしていました。昨年度導入された最先端の工業機器でつくった組子細工を商標登録し、宮島組子としてブランド化したいこと、さらには来年のG7広島サミットで、宮島組子のワークショップの場を提供して宮島を世界にもっと知ってもらいたいと夢を語ってくれました。私は高校生たちの真っすぐな情熱に心から感動しました。と同時に、せっかくのこのG7広島サミットの開催が、多くの高校生にとって世界に目を向ける機会となり、また、地域をもっと好きになるきっかけになればと思いました。  前回日本で開催された伊勢志摩サミットでも、来日した各国首脳の配偶者を対象とした配偶者プログラムを実施していますので、例えばこうした機会を活用して生徒が直接日本の伝統文化を紹介したり、神楽部や和太鼓部の生徒が、地域の伝統芸能を披露する場を設けたりするなどしてはいかがでしょうか。教育委員会として、またとないG7広島サミットの機会をどのように子供たちの教育に生かそうとしているのか、教育長にお伺いいたします。  次に、新病院構想についてお伺いいたします。  県は、広島市東区二葉の里地区へ新病院の建設を柱とする三つの病院の統合と五つの病院からの一部機能の集約を先月発表されました。全国トップ水準の高度医療と人材育成を担う大規模な新病院の整備は、人口減や医師不足が課題となる中で、県が主導し、高度医療を提供しつつ、中山間地域の医療も守るという取組で非常に期待しております。  しかし、この八つの病院のうち五つの病院は市内中心部の中区にあり、地域の皆様にとっては長年安心の拠点となった病院ばかりです。統合を検討されている病院の地元の方々からは、地域に密着してきた病院がなくなるのではないかと不安の声も聞かれます。今後、住民の皆様をはじめ、県民の皆様に安心を届けるために丁寧な説明が求められます。  これまで、県立広島病院では、成育医療センターを設置し、妊娠、出産、新生児、小児、思春期、成人に至るライフステージで、安心・安全な継続したチーム医療を提供してまいりました。小児救急を担ってきた舟入市民病院には、二十四時間三百六十五日困ったときに受診することができる機能があり、小さな子供がいる御家庭にとって、まさに安心の要ともいうべき病院です。この病院では、重い障害のある子供のショートステイを受け入れ、家庭が一時的に介護から離れることのできるレスパイト事業を実施しており、多くの方に利用されています。新病院においても、こうした機能を継承し、さらに発展させていただきたいと思います。  新病院構想が目指す、一次救急から三次救急まで、二十四時間、三百六十五日体制で対応する小児ER機能は、子供病院の中核をなすものであると思います。子供を持つ親として、新病院に行けば、子供に関するあらゆることを診てもらえるという安心感につながるのではないでしょうか。  今回の新病院構想の中に、子供病院としての機能を明快に位置づけていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  また、この質問の最後に要望でございますが、小児期発症の慢性疾患の患者が、小児期診療科から成人診療科へスムーズに移行できるように支援する移行期医療支援センターは全国に七か所しか設置されておらず、中四国地方にはどこにもありません。新病院の機能の一つとして、ぜひ、新病院に中四国地方初の移行期医療支援センターを設置していただくようお願いいたします。  次に、医療的ケア児の支援について、二点お伺いいたします。  一点目は、医療的ケア児支援センターの設置についてです。  たんの吸引や人工呼吸器などが日常的に必要な子供とその家族を支援する医療的ケア児支援法が施行され、これまで自治体の努力義務であった医療的ケア児がひとしく適切な支援を受けられる環境整備が責務となってから一年以上が経過いたしました。その環境整備の一つとして、都道府県に対して、医療的ケア児支援センターの設置が求められております。  医療的ケア児の多くは、自宅で生活し、たんの吸引などは主に保護者が行います。保護者は世話にかかりきりで孤立することも多く、相談したり、助言を受けたり、様々な制度の情報を入手したりすることが困難です。訪問診療や短期入所などの情報、子供の成長に伴う器具の買換えや学校の選び方、また、医療的ケア児が大人になったときのことまで、ワンストップで相談できる体制を保護者の方は切に求められております。そのためには、何よりも医療的ケアへの専門性を有した人材の確保が大切です。  我が会派からは、支援法の施行を受けて、令和三年九月に田川議員が、令和四年六月に石津議員がその取組を促してきたところであります。家族からの相談支援に応じるセンター設置は、他県において次々と進み、未設置の県が残り数県となりました。一体広島県はこの間、何をどのように検討してきたのでしょうか。あまりにも遅い取組に、当事者の家族からは落胆の声さえ上がっております。  県として、保護者の方の希望に沿った総合的な医療的ケア児の支援センターを一刻も早く開設していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、最も深刻だと感じている通学についての支援であります。  支援法には、家庭の負担を軽減し、ケア児の健やかな成長を図ることとともに、その家族の離職を防止することとあります。  しかし、ケア児の中には、現行の特別支援学校のスクールバスへの乗車が困難とされ、保護者による送迎を余儀なくされている児童生徒がおります。このような状態だと、子供の送迎に係る負担が大きく、家族が仕事をすることを諦めることになってしまいます。また、ある小学校低学年の保護者は、独り親家庭で生計維持のため、就労を優先せざるを得ず、子供は週二回しか登校できず、子供が教育を受ける権利が保障されていない事例も聞いております。  子供が教育を受ける権利と保護者の就労は生活を営む上で不可欠であり、行政的支援が必要です。令和四年七月の文部科学省の令和三年度学校における医療的ケアに関する実態調査によりますと、本県の医療的ケア児は二百九十二人。その子供たちの通学手段は、幼稚園から高校生まで自家用車が五八・七%と圧倒的に多くなっています。また、特別支援学校においては、スクールバスが半数近くを占めております。  他県においては、滋賀県では、県内の養護学校へ送迎する保護者の代わりに、県が委託したドライバーや看護師が同乗して通学支援をしており、一人当たり十回まで利用が可能になっています。また、神奈川県では、スクールバスや福祉車両に看護師が同乗することで、保護者の負担軽減となり大変喜ばれております。  本県においても、家族の付添いなしで医療的ケア児が学校へ通えるよう、スクールバスに看護師を同乗させるなどの何らかの通学支援をしていくべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、不登校対策についてお伺いいたします。  私はかねてより、教育と福祉の連携は、子供を取り巻く環境の中で欠かせないものであると主張してきました。安心して学べる環境があれば、子供たちはどんどん新しいことを吸収し、自ら伸びていこうと成長していくと思います。  教育長が就任当初より力を入れてこられたこととして、不登校の子供たちへの支援がありました。御自身が横浜の中学校で実践されていたスペシャルサポートルームは、現在県内三十三校まで拡大いたしました。私もそのうちの一つを訪問させていただきましたが、スペシャルサポートルームの明るく開放的な空間に、従来の私のイメージは大きく変わりました。  東広島市に今年四月に開設された県教育支援センター、通称スクールエスにも行かせていただき、自宅にいる子供たちが先生とオンラインを使ってクイズをしたり、コミュニケーションを取ったり、子供が自らやりたいことを楽しそうにしている姿が印象的でありました。どちらも明るい生徒の表情に希望を感じることができました。このスクールエスのオンラインでの取組は、他県からも視察が相次いでいると聞いております。  教育委員会が力を入れて取り組んでこられたことは、私も実際にこの目で確認して、よく分かっておりますが、残念なことに、先日公表された令和三年度の広島県における生徒指導上の諸課題の現状に関する調査結果では、小中学校ともに大幅に増加しており、小学校では六年連続、中学校では八年連続の増加となっております。コロナ禍の長期化により休校や学級閉鎖が相次ぎ、感染拡大を防ぐため、体調に変化があれば登校しないように促される日が続き、欠席することへの抵抗感が薄れたとの指摘もあります。  一方、二〇一七年施行の教育機会確保法により、いじめを受けるなどして学校に行きづらくなった生徒の休養の必要性や学校以外での学びの重要性が明記されたことにより、無理に登校させなくてもいいとの意識が、教員や保護者に広がったことも要因の一つではないでしょうか。コロナ禍や法律により、必ずしも学校に通うことが全てではなくなってきている風潮の中で、従来の不登校支援だけでいいのか。近い将来、不登校のありようさえ、様変わりしていくのではないかと思います。  先日、文教委員会の県外調査で、ロボットで子供たちをサポートする取組を見せていただきました。人とのコミュニケーションが苦手な子供たちにとって、オンラインやロボットを使うことで、学びが広がるのなら、それも選択肢であると思います。  近年は、学校以外の学びの場としてフリースクールに通う子供たちも増え、学校での出席扱いにする運用も広がりを見せています。本県も、このフリースクールなど民間団体との連携体制の構築を今年度の取組に挙げておられますが、一番の課題は経済的支援だと思っております。フリースクールの中身を精査しながら経済的な支援も今後検討していただきたいと思います。  学校に行かなくなったきっかけは人それぞれですが、共通していることは、自分の中にある、こうするべきという呪縛から解放されたときに道が開けていったということです。不登校になっても違う選択があったからこそ、自分の才能や能力を生かせたと捉えることができたなら、子供たちのその後の生き方は大きく変わってくると思います。子供たちの学びを支え、進学や就職の希望が叶うような環境づくりが最も重要です。  教育長は常々、多様な学びの機会と学びの選択肢を創出し、全ての子供たちが成長できるよう果敢にチャレンジしていきたいと言っておられますが、今後の不登校支援への思いをお聞かせください。  終わりに、一言申し上げたいと思います。  このたびの教育委員会の契約について、法律の専門家が官製談合に当たると指摘した事実は、極めて重く、大変残念であります。改革には、リーダーシップが必要なことは言うまでもありませんが、その過程においては、現場の人の声に耳を傾ける謙虚さも必要であります。自由に皆が意見を言い合える組織風土を改めて構築し、公平性と透明性を確保して、風通しのいい教育委員会にしていかなければいけません。何より、教育長自身が襟を正して、今回のことに真摯に向き合っていただきたいと思います。  また、本日の質問の最後に不登校を取り上げましたが、十八歳が成年とみなされる社会環境の中では、教育現場での関わりがますます重要になってくると思います。今後教育委員会で力を入れてほしいことを三点申し上げ、終わりにしたいと思います。  一つ目は、子供たちが政治に関心を持ち、選挙で自分たちの権利を行使できるように、主権者教育に力を入れていただきたいと思います。二つ目は、悪質商法による被害や多重債務など、子供たちが不当な借金を負わせられることのないように契約や解約に関する消費者教育です。三つ目は、最も深刻だと感じている性教育であります。コロナ禍で十代の望まない妊娠が増えております。秋田県では、産婦人科医と連携して正しい知識の普及に努めています。  いずれも専門家の外部講師と連携することが鍵になると思います。子供たちが生きていく上で大切なことを学び、自分の夢に向かって努力できる環境を提供していくことは、全ての大人の責任です。政治は、現場の声と想像力が本当に大切だと、この二十年で実感させていただきました。未来を担う子供たちが安心して大人になっていくための環境が整っていくことを心から願い、質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 69: ◯議長(中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 70: ◯知事(湯崎英彦君) まず、女性が活躍できる多様性のある社会の実現についてお答え申し上げます。  本県では、性別にかかわらず、誰もが互いに人権を尊重しつつ、その個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野に共に参画することができる社会の実現を目指して、数次にわたり「男女共同参画基本計画」を改定し、職場における女性の活躍促進や、家庭における男女共同参画の推進のほか、男女双方の意識改革などに取り組んできたところでございます。  こうした取組により、本県の女性の就業率は着実に上昇し、男性の育児休業取得率は全国平均と比べ一・七倍となっており、また、指導的立場に占める女性の割合も全国の約一二%を大きく上回る約二〇%となっております。
     一方で、本県の指導的立場に占める女性の割合は県が掲げる令和七年度の目標二五%には達していない状況であり、家事や育児などに従事する時間も男女間では依然として大きな開きがあるほか、社会全体における男女の地位の平等感は、平等と感じている人が一五%に満たないなど、目指す社会の実現には一層の取組が必要であると考えております。  このため、「わたしらしい生き方応援プランひろしま」に基づき、性別にかかわらず、誰もが安心して働き、活躍できる環境づくり、性別にかかわらない自分らしい暮らし方の実現に向けた男女双方の意識改革のほか、様々な困難を抱える人が安心して暮らせる環境の整備などに注力して取組を進めております。  具体的には、まず、男女がともに働きやすい職場づくりや、女性の管理職登用に向けた取組過程や成果を見える化するモデル企業の創出、育児・介護休業法の改正を追い風に、男性育休取得の優良事例の収集・発信などに取り組み、県内企業における働き方改革と女性活躍を推進しているところでございます。  また、意識改革につきましては、エソール広島において若年層を対象としたゼミナール形式の課題解決型ワークショップ、わた生きゼミや高校、大学への出前授業などを実施したところ、ゼミ参加者が、職場やSNSで独自に情報発信を開始したり、大学の講義の中で、性別に関する固定観念を解消するための提案が行われるなど、様々な主体による自主的な活動が始まりつつあります。さらに、暴力や貧困など様々な困難を抱える方に対しましては、それぞれの課題を解決するため、加害者対応や被害者支援などを行っており、例えば、DV被害者や独り親家庭に対しましては、就労支援、養育費の確保、子供の自立に向けた支援など一人一人に寄り添ったきめ細かな相談対応を行っているところでございます。  こうした取組は、県だけで成果を上げることは困難でございますが、国や市町、様々な活動を行う企業や団体と連携・協力して積み重ねていくことにより、県民の皆様誰もが性別にかかわらず、わたしらしく活躍できる多様性と包摂性のある社会の実現を目指してまいります。  次に、子供政策の取組についてでございます。  令和五年四月に施行されるこども基本法では、次代を担う全ての子供たちが、心身の状況や置かれている環境などにかかわらず、権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、子供施策を総合的に推進するため、国において「こども大綱」を定めるとともに、各都道府県には、こども大綱を勘案したこども計画を策定することが求められております。  本県におきましては、令和二年三月に、子供や子育てに関わる様々な施策について、県や市町をはじめ、関係機関等が果たすべき役割を盛り込んだ「ひろしま子供の未来応援プラン」を策定し、総力を挙げて取組を進めているところでございますが、国が来年秋に策定するこども大綱では、少子化対策や若者の育成支援など、より広範囲の施策が含まれる見込みのため、次期プランの策定におきましては、こども大綱を踏まえ、計画の対象範囲や必要な施策について検討を行う必要があると考えております。  また、国におきましては、こども家庭庁に他の省庁への勧告権を付与することで、施策を講ずる関係省庁の縦割りの壁を打破し、統合的、一体的に支援を提供していくこととされておりますが、本県におきましては、平成三十年度に子供政策を一体的かつ総合的に推進するための部局横断的な組織として、子供未来応援プロジェクト・チームを設置しております。今後も、子供政策の検討過程や、施策の進捗点検・評価、課題共有等の場面で、このプロジェクト・チームを機動的に活用していくことにより、子供の年齢や所属等によって、支援の切れ目が生じることのないよう、きめ細かな施策展開を行ってまいります。  また、こども基本法では、子供や子育て当事者の意見を子供政策に反映させるため、国や地方公共団体は必要な措置を講じることとされており、次期プランの検討過程におきましては、子供の意見を聴取し、施策に反映させる仕組みを講じる必要があると考えております。  個々の施策の展開に当たりましても、学校現場で、生徒会等が中心となって校則を見直していく取組や、子供議会における子供ならではの柔軟な発想に基づく提案など、積極的に子供の意見を取り入れ、子供の意見を尊重した行政運営ができるよう努めてまいります。  引き続き、県としてリーダーシップを発揮し、市町や関係機関、地域、学校、企業など、子供を取り巻く全ての関係者が、社会全体で子供たちを育んでいくという共通認識の下、子供たちの権利や意見を尊重しながら、子供の健やかな育ちや子育てを支えていく社会を実現し、明日の広島県を担う子供たちが、夢や希望を持って、未来を切り開いていけるよう取り組んでまいります。  次に、新病院構想における子供病院機能についてでございます。  高度医療・人材育成拠点基本構想を策定する過程におきまして、今後、子供の数が減少することによる広島都市圏の小児科病棟の稼働率の低下や、小児人口当たりの小児科医数が全国と比較して少ないといった現状を踏まえ、小児医療体制の効率化や、医療の高度化による医師を引きつける魅力ある環境の整備が課題として議論されてきたところでございます。  こうした課題を解決するため、新病院の基本構想におきましては、現在、県立広島病院が担っている生殖医療から周産期、新生児、小児を含めて一貫した医療を提供する成育医療センターとしての機能とともに、舟入市民病院や土谷総合病院の小児医療機能を再編・集約することにより、小児の一次救急から三次救急まで二十四時間体制で対応する中国地方初の小児ER機能を有した小児救命救急センターの設置を目指しております。  加えて、子供の心の問題に対応する児童思春期病床も新たに整備するなど、子供に関する医療のさらなる充実・強化に取り組むこととしております。  県といたしましては、日常的な医療を担う地域の医療機関では対応できない子供の疾患に対して、専門的な医療や救急医療を提供する、いわゆる子供病院として、子供の医療の中核となる病院に位置づけることとしております。  引き続き、子育て家庭や次の世代の人々が安心して子育てができる医療提供体制の構築に向けて、全力で取り組んでまいります。  次に、医療的ケア児支援センターの設置についてでございます。  医療的ケア児及びその家族の支援につきましては、個々の心身の状況に応じた適切な支援を受けられることが重要であることから、市町や地域の保健、医療、福祉、教育等の関係機関が連携し、一人一人に寄り添った支援を行う体制の構築が必要であると認識しております。  県は、これまで医療的ケア児とその家族に関する実態調査及び有識者や家族会等からの意見聴取等を実施し、医療的ケア児支援センターについては、どこに相談していいか分からないといった家族等からの相談を受け付け、内容に応じて市町や関係機関につなぎ、連携して対応する機能のほか、支援を行う市町のサポート、情報の入手が困難である医療的ケア児やその家族に向けた積極的な情報発信、医療的ケア児の支援に携わる人材の育成などの役割を担うことが必要と考え、具体的な機能や体制の検討を進めているところでございます。  また、実態把握の結果から、身近な市町等における相談支援体制の充実や、医療機関退院後も切れ目のない適切な支援が受けられる体制の整備が必要であることから、医療機関と居住する市町との情報共有や、市町や関係機関の間の連携に関する仕組みづくりなども進めてまいります。  今後とも、医療的ケア児とその家族の負担や不安が軽減され、安心して生活できるよう、市町や関係機関と連携し、医療的ケア児支援センターの設置を含め、一人一人に寄り添った支援を行う体制の構築に向けて着実に取り組んでまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 71: ◯議長(中本隆志君) 副知事玉井優子君。         【副知事玉井優子君登壇】 72: ◯副知事(玉井優子君) 女性デジタル人材の育成等に向けた総合的な対策についてお答え申し上げます。  県内事業者等におけるデジタル人材の不足や、新型コロナの感染拡大による女性の雇用環境への影響を踏まえますと、離職を余儀なくされた女性や再就職を希望する子育て世代の女性に対する就業支援や、新たな職種に挑戦するキャリアチェンジの支援などに取り組むことが重要であると認識しております。  このため、基礎的なデジタルリテラシー獲得や専門的なデジタルスキル習得に向けた支援とデジタル分野への就労支援の両面の視点から、女性のデジタル人材の育成に取り組んでおります。例えば、専門的なデジタルスキル習得に向けた取組として、離転職者を対象とした公共職業訓練において、アプリ開発などの技術を身につける技術革新対応コースを設置しており、来年度は、情報系訓練において、八十六名から百五十六名へ定員数の増加を図ることとしております。また、デジタル分野への就労支援としては、女性の再就職相談窓口である、わーくわくママサポートコーナーにおいて、デジタル分野等への新たな職種に挑戦するキャリアチェンジの支援などに取り組んでいるところでございます。  さらに、就労環境の整備として、テレワークなどのデジタル技術を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を促進しており、企業向けのセミナー、企業の取組事例等の情報発信、専門家派遣による伴走型の導入支援に取り組んでいるところでございます。  今後とも、デジタルスキル習得支援と就労支援・就労環境の改善を両面から進めることで、女性の活躍促進やデジタル人材の育成につなげてまいりたいと考えております。 73: ◯議長(中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 74: ◯教育長(平川理恵君) 三点についてお答えいたします。  まず、G7広島サミットに向けた高校生の活躍の場づくりについてでございます。  来年五月に開催されるG7広島サミットは、主要国の政治リーダーだけではなく、世界各地から政府関係者や報道機関が多数来広され、世界中の多くの人々が注目する国際会議であり、広島の高校生が、広く世界に目を向けるとともに、地元広島の魅力を再確認する貴重な機会であると考えております。  行政や経済界など様々な分野の団体で構成される広島サミット県民会議に、県教育委員会も構成員として参画して取組を進めております。  その一環として、歓迎機運の醸成のため、県内の工業高等学校の生徒が、習得した技術等を活用して地域の特産品や観光名所などをデザインしたカウントダウンボードを製作しており、広島の魅力を再確認するとともに、地域への貢献意識を高めております。  さらに、県内の公私立高等学校、特別支援学校十三校の生徒が、G7広島サミット開催周知に係る路面電車一台とバス七台のラッピングデザイン制作に参画しており、広島の魅力の発信に取り組んでおります。  県教育委員会といたしましては、来年のG7広島サミットの開催を機に、将来を担う高校生が幅広い国際感覚を身につけるとともに、地域への愛着を深めることができるよう取り組んでまいります。  次に、医療的ケア児の通学支援についてでございます。  医療的ケア児の通学支援につきましては、県が令和四年一月から三月にかけて実施した調査結果からも、保護者の付添いによる負担の軽減が強く求められているものと認識しております。  このため、保護者のニーズの高い通学時の負担軽減策について、安全性を十分に確保した方法の検討が必要であると考えております。具体的には、保護者に代わって安全に医療的ケアを実施する看護師の確保の在り方や、医療的ケア児が通学するための車両の確保の在り方などの課題の整理が必要と考えております。  県教育委員会といたしましては、引き続き、関係機関と連携して適切な支援策の検討を進めてまいります。  最後に、不登校支援についてでございます。  本県におきましては、令和元年度からスペシャルサポートルームを設置した取組を進める推進校を支援するなど、不登校の未然防止と不登校等児童生徒の社会的自立に向けた支援の強化・充実を図ってきているところでございます。  令和三年度の調査によりますと、スペシャルサポートルームを設置した取組を進める推進校二十一校のうち十校において、不登校児童生徒数が前年度以下となるとともに、県全体の増加率が三〇・〇%であるのに対し、推進校全体の増加率は一三・九%にとどまっているという結果も見られております。  令和四年度からは、来室による利用に加え、オンラインで利用できる機能を備えたスクールエスを開設し、不登校等児童生徒の居場所であるとともに、学び、成長できる場としての充実を図っているところであり、十一月末現在、百五十四名が登録、一日平均で約四十名が利用している状況でございます。  さらに、県内の全ての小中学校等から参加できるオンラインの学びプログラムやクラブ活動を、県内外を問わず、地域の資源などを活用して実施し、知的好奇心を喚起するとともに、社会とのつながりを促し、学び続ける力を育成する取組を進めているところでございます。具体的には、国立科学博物館による骨をテーマとしたプログラム、県内の民間企業と連携したオンライン工場見学や、熊本市教育委員会と共同でオンライン修学旅行などを実施してまいりました。また、オンライン上で同じ興味・関心を持つ児童生徒が集まって語り合う、イラストクラブや生き物クラブなどの活動を実施しております。  今後も、引き続き、全ての児童生徒が学びを止めない、そして、人や社会とのつながりを断つことなく、将来、自立して生きていけるよう、市町教育委員会や学校としっかりと連携しながら取り組んでまいります。 75: ◯日下美香君 議長……。 76: ◯議長(中本隆志君) 再質問を許します。日下美香君。正面演壇への移動をお願いします。         【日下美香君登壇】 77: ◯日下美香君 女性デジタル人材の育成につきまして、先ほど御答弁をいただきました。私が求めているのは、女性が極めて厳しい環境に置かれていることを県がよく認識して、女性に特化して取り組んでいただきたいとの思いで質問させていただきました。  先ほど、副知事の答弁の中で、デジタルスキルの習得支援とありましたけれども、例えば、広島県女性総合センター、エソール広島では、女性の活躍促進に向けて、様々な講座や研修を行っておりますが、新たに女性デジタル人材育成の講座を設けるなどをされてみてはいかがでしょうか。そうした裾野を広げる具体的な取組が就労につながっていくのだと思います。ぜひ、エソール広島との連携も進めていただきたいと考えますが、環境県民局長の御所見をお伺いいたします。  あわせまして、他部局にまたがる課題ですので、受皿となる課が明確でないことが一番の問題だと感じております。ぜひ玉井副知事におかれましては、その要として、今後調整役を果たしていただくことを強く要望しておきたいと思います。以上です。 78: ◯議長(中本隆志君) 当局の答弁を求めます。環境県民局長新宅郁子君。         【環境県民局長新宅郁子君登壇】 79: ◯環境県民局長(新宅郁子君) エソール広島の相談窓口には、コロナ禍において離職を余儀なくされた女性などから様々な悩みが寄せられており、相談員が一人一人に寄り添って丁寧に対応するとともに、寄せられた声を踏まえた研修や講座等を行っているところでございます。  こうした中、今後、例えば、オンライン研修などを受講する場合に必要となるデジタルリテラシー習得に向けた取組などについて、その対応をエソール広島と協議してまいります。  また、新たな職種に挑戦する女性を支援するためのデジタル人材の育成につきましては、ニーズなどを踏まえながら、必要に応じて関係局と連携してまいりたいと考えております。 80: ◯議長(中本隆志君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時六分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...