広島県議会 2022-02-03
令和4年2月定例会(第3日) 本文
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定例会(第3日) 本文 2022-02-18
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 2 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 3 :
◯城戸常太君
選択 4 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 5 :
◯知事(
湯崎英彦君)
選択 6 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 7 :
◯商工労働局長(
川口一成君)
選択 8 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 9 :
◯土木建築局長(
齋藤博之君)
選択 10 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 11 :
◯経営戦略審議官(
松井浩美君)
選択 12 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 13 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 14 :
◯下西幸雄君
選択 15 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 16 :
◯知事(
湯崎英彦君)
選択 17 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 18 :
◯商工労働局長(
川口一成君)
選択 19 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 20 :
◯環境県民局長(
新宅郁子君)
選択 21 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 22 : ◯農林水産局長(佐伯安史君)
選択 23 :
◯議長(
中本隆志君)
選択 24 : ◯健康福祉局長(木下栄作君)
選択 25 :
◯議長(
中本隆志君) ↑
発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初の
ヒットへ (全 0
ヒット) 1: 午前十時三十一分開議
◯議長(
中本隆志君) 出席議員五十九名であります。これより会議を開きます。
自第 一 県第一号議案
至第五十五 報第六号
2:
◯議長(
中本隆志君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 令和四年度広島県一般会計予算から日程第五十五、報第六号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。
昨日に引き続いて質問を行います。城戸常太君。
【城戸常太君登壇】
3:
◯城戸常太君 皆さん、こんにちは。自由民主党広志会・つばさの城戸常太でございます。
初めに、二年が経過する今も、なお猛威を振るう新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対し、心より御冥福を申し上げますとともに、現在療養中の皆様の早期の回復をお祈りいたします。それでは、早速質問に入らせていただきます。
二〇〇九年、平成二十一年十一月に湯崎県政がスタートし、はや十二年が経過いたしました。この間、知事の下で策定されたビジョンに沿って多くの事業が立ち上げられ、そして、本
定例会において、四期目のスタートとなる当初予算が編成されようとしています。しかし、私は、この十二年間、広島県が目指してきたビジョンに向けて、大きく前進したと実感できるような革新的なイノベーションや産業振興は図られていないと感じています。
また、懸案となっていた公共事業においても、県民起点とは思えない中途半端な結果となってしまったものや、著しく事業費が増額したものも散見され、競争力強化に資する幹線道路等の整備も、私はまだまだ十分ではなくスピード感が足りないと感じています。度重なる災害や今般の新型コロナウイルス感染症の影響が県勢の発展に対して大きな逆風となっていることは理解いたしますが、近年では基幹産業の度重なる撤退や令和三年の住民基本台帳人口移動報告で転出超過数が全国最多となるなど、広島県にとって看過できない事態となっています。
本県の総人口を見ても、こうした状況から、現在二百七十八万人と減少の一途をたどっています。二〇一八年時点の国立社会保障・人口問題研究所の推計では、二〇六〇年には約二百十五万人まで減少すると予想されていましたが、直近五年間で約六万人も減少している実態を踏まえると、このままではさらに厳しい結果となることが想定されます。
こうした中、県においては、人口減少・少子高齢化が着実に進んでいく中で、適散・適集社会のフロントランナーを目指すとされていますが、適散・適集という言葉の定義も曖昧であります。そして、私が最も問題と感じることは、そもそも広島県が将来的に維持すべき人口規模、適正あるいは目標とする人口規模はどうあるべきなのかを明確にしていないことです。
将来目標とする人口規模を示さなければ、それを達成するための産業振興、雇用、定住、教育、医療など、現在取り組まれている様々な対策も具体性を欠き、場当たり的な対応となるのではないでしょうか。難しい問題ではありますが、次の世代ではさらなる人口減少が進むということも見据え、県内の各地域がそれぞれの実情に応じて一定の人口規模を保ちながら、快適に住め、企業活動も円滑に行うことができるような広島県を目指していただきたいと考えます。
そこで、県は、現状を冷静に分析された上で、将来にわたって安定した人口規模をどの程度保持しようとされるのか、また、そのために、今何を早急に整備していく必要があると考えているのか、知事の所見をお伺いします。
質問の第二は、広島県の産業構造のあるべき姿について、三点お伺いします。
一点目は、大手企業の撤退等による熟練工の県外流出についてであります。
約十年前の地域経済誌において、三菱重工業広島製作所は、国内有数の民間航空機向け構造部材の生産拠点として、国内外から大きな注目を集めていると掲載されておりました。かつて、戦後の高度経済成長を追い風に、一九七〇年代の江波工場は、造船工場として従業員も九千人規模に達するなど、同社の主力工場としての地位を確立されていました。その後のオイルショック等の影響により、一九八〇年には新造船事業から撤退したものの、大型鋼構造技術を生かして、橋梁、クレーン等の陸上構造物を手がける一方で、民間航空機分野への進出を果たされました。主力のボーイング777の胴体パネルの生産開始後、平成二十三年には通算一千機に達し、平成二十六年には数十億円規模の巨額を投じて同機の部品工場も新設されております。まさに江波工場は、三菱重工業の民間航空機生産拠点の一つとして、マザー化も視野に入れられていたと聞きます。当時の工場長からも、さらなる発展のためには、技術面だけではなく、国際的な共同開発の場面で活躍できる人材が重要であり、今後の地元関係企業、学校、官公庁の役割が重要になると語られていたところであります。
しかし、その後こうした動きの中で、近年では平成二十五年に橋梁生産事業を千葉工場に集約化、平成二十七年には大型クレーン事業を住友重機械工業に譲渡され、多くの従業員が他県の事業所に移籍されました。遊休地となった江波工場の約二十五ヘクタールについては、現在、県と三菱重工業の共同事業として新たな産業用地化が模索されています。
一方、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区においては、昨年九月二十九日に高炉の火は消え、約六十年にわたる鉄の生産を終えました。令和五年度上半期には、残る全設備を休止し撤退される方向で調整が進められております。これまでの歴史やおよそ三千人の雇用が消失してしまうことを考えるとじくじたる思いですが、今は関係者が連携して残る関連企業への対策も講じつつ、地域経済や雇用、定住に与える影響を最小限にしていくことが重要であります。
これを受け、県や呉市、広島労働局が連携して、関係者を対象とした合同企業面接会や相談会の開催、市独自の支援制度により対策が講じられていますが、様々な事情によりなかなか救い切れていない声を耳にいたします。さらに、呉市の神田造船所においても新造船事業から撤退され、今後、常石造船が修繕事業を引き継ぎ、川尻と若葉の二工場を取得し、新会社を設立されるとのことです。いまだ事業の方針等は決定されておらず、従業員の雇用について大変心配しているところであります。
こうした中、県の来年度当初予算においては、企業の事業縮小や倒産等による離職者を対象にマッチング機会の提供や伴走型の再就職支援を行う離転職者等就業支援事業を実施することとされています。長引くコロナや原材料価格の高騰などの影響を受け、呉市以外においても閉鎖や縮小を検討されている企業は多くあると見られ、企業の撤退が決まってからの支援ではなく、その前から何か手は打てないものかということを常に感じています。
そこで、相次ぐ地域の基幹産業の撤退や事業縮小による貴重な熟練工の県外流出を目の当たりにし、県としてどのように考えているのか、また、呉地区における雇用や事業継続の支援に当たり、現場の声を踏まえた実態についてどのように捉まえているのか、加えて、神田造船所も含め、今後のさらなる支援策の必要性等についてどのように考えているのか、知事の見解をお伺いします。
二点目は、広島県の今後の産業振興の在り方についてお伺いします。
カーボンニュートラル、ゼロカーボンの流れに沿って、電気電子系やCO2排出抑制に係る技術開発が促進されるなど、明らかな産業の転換期を迎えた今、これらSDGsに関連する全世界の事業規模は、約一千四百兆円とも言われています。
国は、「科学技術・イノベーション基本計画」を掲げ、今後五年間で総額三十兆円、官民合わせて百二十兆円の研究開発投資を行い、Beyond 5G、スパコン、半導体、バイオテクノロジー、環境エネルギー、健康・医療など、持続可能で強靱な社会への変革等に取り組むとされています。
自動車業界においては、巨額な投資計画により先行する欧米に対して国内メーカーは出遅れましたが、トヨタ自動車の二〇三〇年電動車販売目標の大幅引上げをはじめ、日産、三菱、ルノーは三社連合によって今後五年間で約三兆円を投資する新たなEV戦略を掲げられています。
ここで当然、広島県の自動車業界はいかにという疑問が湧いてくるわけでありますが、この激化する競争の中で、独自開発により、二〇三〇年のEV比率を二五%に増やすことを決めたものの、足踏み状態となっていると聞きます。もちろん、企業の戦略ではありますが、EV化の急速な進展に伴う必要な技術力の変遷や部品点数の減少などの現実を踏まえれば、広島県にとって最も重要な産業基盤の一つである自動車産業の将来に不安が募ります。
一方で、昨年、ニュースでも大きく取り上げられた熊本県に誘致される世界的半導体メーカーのTSMCは大きな成功事例と言えます。
政府は、熊本県菊陽町において、ソニーグループと共同建設されるTSMCの工場に約四千億円もの補助金を出して誘致し、設備投資が約一兆円、新規雇用も約一千七百人の創出が見込まれるとのことです。人口約四万三千人の菊陽町が選ばれたのにはもちろん理由があり、地方の町でありながら、ソニーグループなどが立地する半導体工業団地や富士フイルム、本田技研工業、東京エレクトロン等、隣接する町を含め、関連する企業の製造拠点が集積し、そこで働く人たちで人口も年々増加していること、雇用の場、住宅地の整備に加え、郊外型商業施設も併せて誘致され、生活の利便性も充実していることなど、好循環を生み出す成功に向けた、したたかな戦略は確かに存在しているのであります。
こうした中、広島県では、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」において、基幹産業であるものづくり産業がさらなる発展を遂げていることを十年後の目指す姿として掲げられております。サンドボックスと立地助成制度を組み合せた取組により、中小ベンチャー企業の誘致は見られますが、国としても課題と捉えている瀬戸内沿岸をはじめとする重厚長大型産業の空洞化という大きな命題に対し、広島県としてどの分野に特化して努力を続けていくのか、中長期的な創造的政策をいち早く始動していくことが求められているのではないでしょうか。
そして、熊本県の事例のように大手企業を迎え入れるとなれば、経済産業省御出身の知事におかれてはよく御存じかと思いますが、国策レベルで桁の違う支援が必要なことが分かるはずであります。
しかし、広島県が単に熊本県のまねをできるわけでもなく、場当たり的に同様な取組を行ったからといって成功するものでもありません。そこには、企業だけではなく、国からも選ばれる客観的な観点からの強みを生かした必要な要素の地道な磨き上げが必要であり、チャンスを物にする国や業界との不断の連携による信頼関係の構築も、トップとしての役割だと考えます。
そこで、広島県のものづくり産業がさらなる発展を遂げるために、これまでに築かれてきた技術立県と呼ばれる広島県の底力とは何か、改めてしっかりと分析された上で、この産業転換期をチャンスに変えることができるよう、夢のある広島県の産業振興策を強力に推進していただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
三点目は、従来の医工連携からの転換についてであります。
県においては、昨年度末まで、広島の強みを生かした新成長産業の育成の一つとして、医療関連産業クラスターの形成を目指し、医療機器等のデバイス開発を中心とした県内企業によるビジネス拡大の取組を展開され、私も当初大いに期待したところであります。
しかし、昨年二月、私からの代表質問に対する知事の答弁では、医療機器等の県内生産額を取組開始前の九十億円から一千億円に拡大するという最終目標に対し、十年たった令和元年度において、企業誘致の実績はゼロ、生産額も目標をはるかに下回る三百六十五億円とのことでありました。九十億円の四倍に成長し、一定の成果が上げられていると自己満足されていましたが、地元企業、地域経済へこの十年間でこれだけの波及効果しか生み出せなかったことについて、しっかりと分析し対策を打っていただきたいと思います。
そして、今年度からのアクションプランでは、当初もくろんでいた加工技術を生かした取組ではなく、ゲノム編集やコロナ禍を踏まえたヘルスケアサービス等へも派生させたことにより、本来目指していた医工連携からはかけ離れ、残念ながら本気度が薄まったと私は感じております。既存のサプライチェーンを支える地元企業が、これまで培われてきた高度な技術についてしっかりと把握されれば、近年の産業構造の変革に伴い、取り扱う素材が鋼材からセラミックスやカーボンに材質転換されていくことにも対応が可能であり、また、それを本県の新たな強みとしてどの分野に適用、展開していけばよいかも見えてくると考えます。
このままでは長年にわたって築き上げられたせっかくの強みを生かせないどころか、結果、見捨てることになってしまうのではないかとさえ思うのであります。
そこで、国の研究開発投資の活用を図りながら、産学官連携の下、医工連携に係る取組を引き続き粘り強く行っていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
また、昨年度の代表質問において、医療関係産業クラスターの形成に向け期待される病院船の誘致についてお尋ねした際に、内閣府が病院船の活用方策に係る検討会において、設置場所や運営等に関する議論が進められているとのことでありました。その後の検討状況及びそれを踏まえた広島県の認識や県の強みを生かした誘致の可能性について、併せてお伺いいたします。
質問の第三は、企業に選ばれる県となるための取組についてお伺いします。
県内各地において基幹産業の撤退が相次いだのは、他県と比べて現地のインフラが劣っていたことも一つの要因となっているのではないでしょうか。長年地域の経済と雇用を支えてきた企業が今後も将来にわたって操業し続けたいと思っていただけるような、必要なインフラを提供できなかったということであります。
工業用水の料金の見通しすら立たないことも、日鉄だけではなく、企業にとっては致命的な問題だと思います。度重なる工事費の増額により、太田川一期工水の料金への影響が懸念される中で、令和五年四月に見直すとされていますが、こうした今も関連企業は気が気ではないでしょうし、なぜ、利用者の視点に立ってもっと早く対処されないのか、県の不誠実な態度により第二の日鉄が出ないことを祈るばかりであります。
現在、海田への自動車部品等を取り扱うコンテナ輸送に当たっては、県が管理する臨港道路である海田大橋の下を海上輸送船がくぐる必要があります。しかし、近年では、一度に一千個以上のコンテナを運ぶような輸送船の大型化が進んでおり、橋梁と海面までの高さが三十メートルしかないことが原因で港までたどり着けない状況にあることから、今後船舶の大型化が必須となれば、海田からの輸送は撤退の判断を余儀なくされることになるのであります。
このような危機的、致命的な状況も、県としてどのように考えているのでしょうか。
国、県、広島市が進める道路整備を見ても、残念ながら札仙広福の中で比べると、広島は広域道路網も都市高速の整備も空港の利便性も満足いくレベルにはなっておりません。渋滞は慢性化しており、定時性の確保や物流コストへの悪影響も企業から見れば大きなマイナス要因となっています。
さて、企業にとって必要なインフラとは何でしょうか。
道路や港湾などの物流インフラや水道、電気、ガスなどのエネルギー供給はもちろんでありますが、ニーズに沿った大学等研究機関の連携、地元自治体の支援体制、技術者や作業員等の安定した雇用人材の確保、従業員の住環境整備などが挙げられると考えられます。こうした条件において、手後れではありますが、広島県は撤退を決断された企業には選ばれなかったということであります。これを企業の判断と割り切るのではなく、では、何が足りなかったのか、何を整えれば選ばれ続けることになるのか、徹底的に分析すべきであります。
ピンチをチャンスにという言葉は、やるべきことをやった者にしか訪れません。それは、商工労働局だけではなく、臨港地区や道路、住宅行政を所管する土木建築局、必要な人材を育てる教育委員会や環境県民局など、あらゆる施策の集大成により形づくられるものであり、まさに知事の先見性の下で策定されるビジョンが結果を左右すると言えます。因果応報、その責任は極めて重いのであります。
そこで、広島県の現状を冷静に見た際、企業にとって必要なインフラ整備における喫緊の課題を何と考え、そしてそれに対してこれまで、またこれからどのような対策、方針で県行政として対峙されていくのか、知事の見解をお伺いいたします。
次に、県内中枢拠点以外の地域の拠点性強化についてお伺いします。
中枢拠点性の強化を図るため、広島市内への公共事業に投入される額が近年非常に大きなウエートを占めていると感じます。幹線道路事業だけではなく、駅前、都心部及び西飛行場跡地の三か所の大型再開発事業、それに加えサッカースタジアム建設など、あらゆる大型事業が一挙に進められ、膨大な県費を注ぎ込まれています。広島市一極集中と言っても過言ではありません。
一方、中山間地域に対しては、施策の柱にも据え配慮はされておりますが、投資額から見れば微々たるものであります。
こうした状況は、島嶼部を含めた中山間地域や中枢拠点以外の市町からすれば、県として県内の地域バランスをもっと考慮して進めてほしいと切望されているはずであります。広島市内の整備が他の大都市と比べて遅れているのは、政令市である市の責任によるものもあると思われるため、広島市との整備時期や事業費負担年度について、県はもっと調整機能を発揮するべきと考えます。また、県内全域への波及効果という説明をよくされますが、呉市や三原市、尾道市、三次市に住む県民が、今進められている都心における事業の成果を実感できるのはいつになるのか、本当に波及効果はあるのか、疑問に感じます。
人口減少、限界集落という問題を聞いて久しいですが、例えば、あと十年、二十年後まで、県として今のような姿勢で施策を展開したとき、これらの地域の都市はどうなるのでしょう。同じ県民として、これらの市町に住み、働く住民や企業は、こうした県の姿勢に対して半ば諦めに近い我慢の限界を感じています。
地域の都市部が疲弊すると、それが中山間地域にも影響していき、いずれ地域は衰退し持続できなくなるかもしれません。だからこそ、都心の事業の波及効果に委ねるのではなく、中枢拠点以外の地域においても都市の拠点性が強化されるような施策を展開していく必要があるのであります。
呉市、三原市等で基幹企業の撤退が相次いでいるのも、道路や鉄道などの物流インフラや工業用水等の脆弱性によるリスクを鑑みた結果として突きつけられた企業から県政への三くだり半との声も聞いております。
そこで、地域の厳しい現状を踏まえ、広島県として県内中枢拠点以外の地域における都市の拠点性を高めるなど、県土全体が衰退しないように取り組んでいく必要があると考えますが、今後どのように取り組もうとされているのか、知事の見解をお伺いします。
災害にも強く、安全に安心して従業員が生活でき企業活動が営まれる、まさに基盤となる道路や港湾、上下水道等の整備、防災・減災、県土強靱化対策などの取組も強力に推し進める必要があります。策定された「社会資本未来プラン」に基づき着実な整備が求められますが、毎年の災害対応に追われ、計画に沿った実施が進んでいないのではないでしょうか。その大きな要因は、官民の建設技術者の不足にあると考えます。
知事が就任当初、大きな関心を持たれなかった建設事業に対して、県の予算は削減され続け、それに伴い県の技術職員も地元の中小建設事業者も減少いたしました。この間のしっぺ返しで地元建設事業者は淘汰されてしまった中での災害であります。一度なくしてしまった担い手の確保を図るためには、建設業界の機運が上がるような建設事業費、事業規模の中長期的な見える化等の積極的な取組が必要と考えます。
政府の施策や体制からも、今が県土強靱化を強力に推進していくチャンスであり、国の有利な財源を活用した安定的な事業費の確保が必要であり、変革のときでもあります。
建設人材の雇用確保に対しては、当初予算においても引き続き支援助成を行う事業が計上されていますが、二十四の建設専門工事会社で構成する、全国でも珍しい複数企業による共同の職業訓練法人広島建設アカデミーの取組を御存じでしょうか。
地元で採用し育てるという明確な意識の下、とび、土工、型枠大工、鉄筋工、左官、クレーン等の専門業者が、会員企業の新入社員研修や工業高校への出張教育に取り組まれています。これらの研修等に要する人件費や材料費は、建設事業者自らが負担していると伺っております。
建設技術者の確保については、県としても極めて重要な課題と認識されていることから考えれば、広島叡智学園や叡啓大学のようなエリート育成ばかりにとらわれるのではなく、現場を支えるこれらの建設技術者の育成に係る取組にも注力すべきであります。
そこで、こうした県内建設業者の積極的な取組は、若手技術者の建設業への就業促進や県内就職にもつながることから、同様の取組に対して行政からの手厚い支援はできないかと考えますが、その他建設技術者の確保に係る取組と併せ、土木建築局長の見解をお伺いいたします。
最後に、旧広島陸軍被服支廠の価値判断と事業の進め方についてお伺いします。
我が会派から、九月
定例会においては平本議員が、十二月
定例会においては渡辺議員からも質問いたしましたが、やはり釈然としないのが、誰のために何のために保存するのか、また活用していくのか、事業の目的がはっきりしないこと、つまり、被服支廠の価値とは何なのかということであります。保存の目的は、原爆ドームのように平和希求のシンボルとしての保存なのか、観光資源として保存するのか、建築物そのものの構造的価値を評価して保存するのか、利活用を考えるにしてもこれらの保存の目的、価値の評価がはっきりしなければ定まりません。
最近の議論を聞いていると、重要文化財にしていくことが目的のように錯覚する説明も耳にします。重要文化財の指定を受けることは、単に補助金目当ての資金的な視点であるならば、保存や利活用策を検討していく条件とはなりません。
平和希求のシンボルや観光資源とすることが主目的であるならば、広島市に譲渡して広島平和記念都市建設法の精神にのっとり一体的に保存管理活用されることがベストではないかと考えます。譲渡する場合には、現所有者としてイニシャルコストの支援を行うことも理解はできます。
昨年十二月の市議会において、広島市も被服支廠については、原爆被害等の歴史を伝える建物として重要な存在であり、建物の特性を踏まえつつ、県、市が連携して丁寧に議論を進めることが重要であり、検討結果を基にした活用がなされ、将来世代に引き継がれていくように取り組みたいと表明されています。施設の存廃の議論に当たっては、保存のための耐震補強や修繕にかかるコスト、利活用のための施設整備にかかるコスト、そして運営管理していくためのランニングコストなど多くの支出を伴いますが、広島市であれば、一九六六年から現在も続いている原爆ドーム保存事業等基金の活用も検討の余地があると考えます。
また、四棟全てを残すのであれば、学校や近隣住宅への影響、アクセス道路や駐車場の整備など施設周辺も含めた再開発も視野に広範に考えることも必要かもしれません。
そこで、こうしたことを踏まえ、事業の目的が何なのか、文化財指定に向けた調査検討の位置づけと利活用に向けた市や国とのしかるべき役割分担について、関係者による慎重かつ迅速な議論が必要と考えますが、知事の所見をお伺いします。
終わりに、知事にはぜひとも広島県の未来を見据え、次代への橋渡しとなるよう、四期目となる二〇二一年から二〇二四年までの四年間の責務を全うしていただくよう切にお願いし、質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
4:
◯議長(
中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事
湯崎英彦君。
【知事
湯崎英彦君登壇】
5:
◯知事(
湯崎英彦君) まず、本県が目指す人口規模とその実現に向けた取組についての御質問でございます。
日本の総人口は、二〇〇八年をピークに減少局面に入り、直近の国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、二〇五三年には一億人を下回るとされております。
本県におきましても人口の減少傾向は同様であり、直近の二〇二〇年の国勢調査では、二百七十九万九千七百人と二百八十万人を割り込みましたが、二〇一五年に行った試算との比較では、約八千人上回る結果となっております。
将来における本県の人口規模につきましては、国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」の考え方と同様、結婚や出産・子育てなど、個人の考え方や価値観が尊重されることを前提とし、人口が現状のまま減少を続けた場合と、県民の出生や定住に関する希望がかなった場合の人口規模についてそれぞれ試算し、人口の将来展望として「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」でお示しするとともに、ビジョンに掲げる目指す姿にどれだけ近づいているかを検証するため、県内の総人口を注視する指標として設定しているところでございます。
この試算では、二〇六〇年における本県の人口について、現状のまま減少を続けた場合は百九十九万五千人、二〇三〇年までに県民の希望が全て実現した場合は、二百二十万四千人と見込んでいるところでございます。
本県の人口減少は、少子化に加え大学卒業後の就職と大学進学時の転出増などが主な要因となっていることから、これまでにも若い世代に広島県に住みたい、住み続けたいと思ってもらえるよう、安心して子育てができる環境づくりや若者の定着につながる取組などの施策を積極的に進めてまいりました。
令和四年度の当初予算案の編成に当たりましては、これらの取組を深化させるとともに、新型コロナなどによって顕在化した構造的な課題への対応として、東京一極集中の是正に向けた適散・適集社会の実現を図る取組を加速させることとしております。
具体的には、安心して子育てができる環境づくりとして、ひろしま版ネウボラの参加市町の拡充やテレワークの促進などの働き方改革などを進めてまいります。
また、若者の定着につながる取組として、デジタル系企業や本社・研究開発機能等の誘致や、県内高等学校と連携した中小企業の魅力を知る機会の拡充などを進めてまいります。
さらに、適散・適集社会の実現に向けた取組として、コロナ禍を受けて高まりつつある地方移住の機運を取り込むため、東京圏等からの移住促進策などの取組を強化してまいります。
今後とも、その動向や要因を注視するともに、施策につきましても必要に応じて柔軟に見直しを行いながら、十七全ての施策領域を連関させ、相乗効果を生み出しながら、地域社会全体の価値を高め、人口減少の抑制につなげてまいりたいと考えております。
次に、大手企業の撤退等による熟練工の県外流出についてでございます。
本県のものづくり産業を支えてきた企業の撤退に伴う熟練工の県外流出は、本県経済の持続的発展にとって大きな損失であると認識しております。
また、ものづくり産業の企業が将来にわたって県内で事業を続けていくためには、製品の高付加価値化や生産性向上に向けたデジタル化などの投資を促進することが重要であると考えております。
こうした認識の下、県といたしましては、県内全域で業界団体や主要企業等への定期的なアンケート調査、業界に精通した有識者へのヒアリング、各企業への訪問活動などにより、業界の動向や個別企業の現状の課題、将来に向けての投資計画などについて、日頃から情報収集に努め、企業立地助成制度も活用しながら、企業の投資促進を図っているところでございます。
一方で、地域の基幹産業の撤退や事業縮小という事態が生じた場合には、その影響を最小限にとどめるため、速やかに持てるチャネルを活用して情報収集を行うことで、現場の声を的確に把握し、効果的な支援策を検討、実施することが重要であると考えております。
令和二年二月に閉鎖が発表されました日本製鉄呉地区の場合、全設備休止への影響等を把握するため、呉市と連携し、協力会社を対象とした個別ヒアリングや関連企業を含めたアンケート調査を実施し、業態転換等を行うための支援や従業員に対する再就職支援などの呉地区における実態や企業ニーズを把握したところでございます。
こうした企業ニーズを踏まえ、県では、全設備休止により影響を受ける関連企業が、引き続き県内で事業を行うために必要な設備投資を支援する最大一億円の助成制度を本年度から創設したほか、熟練工を含む大規模離職者の再就職に向けた合同企業面接会の開催や個別の就職相談会を定期的に開催するなど、きめ細かな再就職支援を行っているところでございます。
今後は、本県がこれまで構築してきた様々なチャネルを駆使して企業の情報収集に努めるとともに、企業立地促進助成制度のさらなる拡充・充実などにより、県内での投資を促すことで地域経済の活性化を図ってまいります。
次に、本県における今後の産業振興の在り方についてでございます。
本県には、輸送用機械、電気機械、化学、鉄鋼などのものづくり企業の層の厚さによる優れた技術や人材の集積や、小さくとも独自性が強く、全国的なトップシェアを占めるものづくり企業が多岐の業種にわたって多数存在するという強みがあり、近年では、地域経済の中心的な担い手となり得る企業の集積も進みつつあります。
また、大学や研究開発機関など研究開発機能の集積やひろしま自動車産学官連携推進会議など、密接な産学官連携が業界を超えた広がりを見せていることも本県の強みであると認識しております。
本県はこれまで「ひろしま未来チャレンジビジョン」に基づき、こうした本県の強みを生かしつつ、社会経済情勢等の変化に対応できるイノベーション立県の実現に向け、基幹産業の競争力の強化や新たな産業の育成に取り組んでまいりました。
こうした取組の結果、ものづくり産業のデジタル技術の活用促進、高度で多彩な産業人材の集積、新たな事業化プロジェクトの創出、健康・医療関連分野や環境・エネルギー分野等、新たな産業の芽の創出などの成果が現れてきております。
一方で、ものづくり産業は、デジタル化などの技術革新の進展、カーボンニュートラルに対応した技術開発など急激な環境変化への対応が求められており、県といたしましては、イノベーション力を強化し、県内産業の生産性向上や新たな付加価値の創出などに取り組むことによって、基幹産業であるものづくり産業がデジタル技術と一体化し、さらなる進化を遂げ、また、今後の付加価値向上が見込まれる、広島の強みを生かした新成長産業を創出することにより、競争優位性を有したしなやかな産業構造の構築を進めているところでございます。
これらの取組に加えまして、今後につきましては、ポストコロナの構造変化を本県産業の発展のチャンスとして捉え、デジタル人材の育成・集積やイノベーション創出の担い手となるユニコーンと呼ばれるような、有望なスタートアップ企業の成長支援、将来的に市場の拡大が見込まれるカーボンリサイクルの推進、生産性向上や成長分野への労働移動を促進するリスキリングの全国に先駆けた推進などに取り組むことによりまして、本県経済の持続的発展につなげてまいりたいと考えております。
次に、企業に選ばれる県となるためのインフラ整備についてでございます。
企業の誘致や県内での投資の促進を図っていくためには、企業ニーズを踏まえた産業用地の確保と企業活動を支える道路や港湾施設などのインフラ整備が極めて重要であると認識しております。
企業ニーズを踏まえた産業用地の確保につきましては、従来から行ってきた県営産業団地の造成のほか、市町の産業団地造成事業への支援や官民連携による民間遊休地の活用など、様々な主体による取組を進めているところでございます。
こうした取組を加速し、多様化する企業ニーズにより迅速かつきめ細かに対応していくため、来年度より土地造成事業を企業局から商工労働局へ移管し、造成部門と営業部門を一元化した組織体制を整備するための条例案を本
定例会に提出させていただいております。
また、物流インフラにつきましては、都市部を中心に発生している渋滞による時間の損失や災害時にも機能する道路ネットワークの代替性・多重性の確保、海上輸送サービスの充実や利便性を高めるためのコンテナ埠頭の機能強化や物流用地の不足などの課題があると認識しております。
このため、「社会資本未来プラン」におきまして、経済・物流を支える基盤の強化を取組方針に掲げ、国道二号東広島・安芸バイパスや福山道路、臨港道路廿日市草津線の整備など、井桁状の高速道路ネットワークを生かした物流拠点や産業集積地をつなぐ広域交通ネットワークの構築、広島港出島地区、福山港箕沖・箕島地区における貨物船の大型化に対応するための大水深岸壁の整備や物流用地の造成など企業活動を支える物流基盤の充実・強化を図っているところでございます。
さらに、物流の円滑化やコスト削減を図るため、広島都市圏の広域道路ネットワークの状況変化を踏まえた広島港出島地区と海田地区等を結ぶ海田大橋の利用料金の割引拡大や広島港出島地区におけるコンテナターミナル整備の早期事業化に向けた国への強力な要望などを行っているところでございます。
今後とも、産業用地の確保や、企業活動を支えるインフラ整備などを着実に進めることで、企業誘致やより一層の投資促進を実現し、本県経済の持続的発展につなげてまいりたいと考えております。
次に、県内中枢拠点以外の地域の拠点性強化についての御質問でございます。
将来にわたり本県が発展し続けるためには、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」では、適散・適集な地域づくりに向けた持続可能なまちづくりを施策の柱の一つとして掲げており、地域特性や規模に応じて必要なサービス機能や居住を一定の地域にコンパクトに集約した拠点を形成し、拠点間を交通ネットワークなどで結ぶことで、利便性の高い都市づくりを進めていくことが重要であると考えております。
このため、昨年度策定いたしました「都市計画区域マスタープラン」では、広島市や福山市を高次都市機能の集積・強化により、中四国地方全体の発展の中心となる中枢・中核拠点として位置づけ、呉市や三原市、三次市などの主要な都市につきましても中枢・中核拠点の一部の都市機能を分担する広域拠点として位置づけたところでございます。
あわせまして、周辺市町を含む拠点間の交通ネットワークなどの形成により都市機能の相互補完を促進し、拠点性向上に資する質の高い多様なサービスを県土全体で享受できるよう取り組んでいるところでございます。
また、これらを踏まえ、各市町におきましては、地域に密着した視点からの創意工夫により、都市計画マスタープランや立地適正化計画などのまちづくり計画を定め、地域の活性化やにぎわいの創出など拠点性の向上に向けた取組が進められているところでございます。
具体的には、呉市における駅交通ターミナルを中心とした呉駅周辺地域総合開発事業や三原市における民間施設と複合したにぎわい交流拠点による三原駅前東館跡地活用整備事業、さらには、三次市における歴史的な町並みを生かした三次地区拠点整備事業などが取り組まれているところでございます。
県といたしましては、こうした取組が着実に進むよう、計画段階から検討会などに積極的に参画し、技術的な助言を行うとともに、施設整備などの推進に必要な財源が確保されるよう国へ働きかけるなど、財政的な支援等を行っております。
引き続き、市町と連携しながら地域特性に応じた利便性の高い都市づくりを積極的に推進し、それぞれの地域の拠点性を高め互いに都市機能を補完し合うことにより、県土全体の持続的な発展につなげ、活力と魅力ある広島県の実現を目指してまいります。
その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。
6:
◯議長(
中本隆志君) 商工労働局長
川口一成君。
【商工労働局長
川口一成君登壇】
7:
◯商工労働局長(
川口一成君) 従来の医工連携からの転換についてお答えいたします。複数部局にわたるお尋ねでございますが、私が代表して答弁いたします。
平成二十三年度以降、医療関連産業クラスターの形成に向け、県内企業が培ったものづくり技術を活用した医療機器等のデバイス開発を中心としたビジネス拡大の取組を展開してまいりました。
また、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」の初年度となる今年度からは、健康志向やヘルスケアに対するニーズの高まりを踏まえ、医薬品、機能性表示食品等も新たにターゲットに加え、健康・医療関連ビジネスのさらなる育成を図る中で、これまでの医療機器、福祉用具等のデバイスについても、県内企業の生産拡大、受注拡大等による成長を支援していくこととしております。
具体的には、国立研究開発法人科学技術振興機構の事業を活用しながら、本県の強みであるゲノム編集技術の社会実装に向けた県内企業による研究開発のサポートを拡充するとともに、医療機器等のデバイス開発については、一般的に行われがちな技術シーズありきの製品開発ではなく、臨床現場のニーズ、課題に立脚した商品化を目指し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の事業を活用した、県内企業の現場観察を通じたニーズ発掘やバイオデザイン共同研究講座による人材育成など、広島大学病院などと連携した取組を継続することとしております。
今後は、これまでに蓄積したノウハウと、四百五十社を超える、ひろしま医療関連産業研究会の層の厚みなど、本県の強みを最大限生かし、ヘルスケア全般にまつわる県内企業の事業化支援をさらに加速してまいります。
また、病院船の活用につきましては、令和三年三月三十日、内閣府、厚生労働省、防衛省及び国土交通省の連名で、病院船の活用に関する調査・検討を踏まえた政府の考え方が整理され、医療従事者の確保、運航要員の確保、平時の活用方策という三つの大きな課題があり、当面、新たな病院船の建造に着手するのではなく、自衛隊艦艇などの既存船舶を活用した災害医療活動の具体化に取り組むこととされたところでございます。
このため、現時点においても、母港となる地域の産業振興に資する機能を併せ持つ可能性は不透明であることから、引き続き国の検討状況を注視する必要があると考えております。
8:
◯議長(
中本隆志君) 土木建築局長
齋藤博之君。
【土木建築局長
齋藤博之君登壇】
9:
◯土木建築局長(
齋藤博之君) 建設技術者等の確保及び育成についてお答えいたします。
地域の建設事業者は、県民の安全・安心を確保する上で重要な役割を果たしており、社会資本の整備・維持管理の担い手である建設技術者等の安定的かつ継続的な確保・育成は重要であると認識しております。
このため、民間団体が運営する職業訓練法人広島建設アカデミーなどの認定職業訓練校への支援などを通じて人材の育成を行うとともに、「建設産業ビジョン二〇二一」に基づき、土木系学生向け説明会、建設フェア、建設企業ガイダンスを開催するなど土木、建築、専門工事等の建設業関係団体と連携し、次世代へ向けた建設業界の魅力の発信に取り組んでおります。
また、これらの取組や建設業関係団体が独自に行う学生向け説明会、実習を取り入れた出前講座などの取組につきましては、関係団体と役割分担しながら実施しているところでございます。
さらに、建設事業者に対する雇用の維持に向けた取組といたしまして、建設技術者等緊急雇用助成事業や新型コロナウイルス感染症対策建設労働者雇用促進事業により支援しているところでございます。
引き続き、建設業関係団体と連携し、次世代へ向けた建設業界の魅力の発信に取り組むとともに、週休二日モデル工事の実施などの労働環境等の改善やデジタル技術の活用等による生産性の向上などを進め、若手からも選ばれる建設産業を目指し取り組んでまいります。
10:
◯議長(
中本隆志君) 経営戦略審議官
松井浩美君。
【経営戦略審議官
松井浩美君登壇】
11:
◯経営戦略審議官(
松井浩美君) 旧広島陸軍被服支廠の価値判断と事業の進め方についてお答えいたします。
旧広島陸軍被服支廠につきましては、最古級のRC造建築物による連続して五百メートルに及ぶ歴史的景観が残されていることが、国指定の重要文化財級の価値であるほか、被爆建物としての価値がある旨の意見が示されたことから、令和四年度末を目途として、重要文化財指定に向けて、被服支廠の沿革や建設後の改変、建築構造の特徴などを明らかにするための調査に着手しているところでございます。
こうした取組につきましては、耐震性を確保した安全対策と内部見学などの最小限の利活用を同時に実現するパターンを基に、重要文化財の指定に向け、建築物の価値を損なわない安全対策を実施する観点から、有識者による安全対策・価値調査等検討会議を設置し、意見を聴取しながら取組を進めているところでございます。
次に、活用の検討につきましては、重要文化財指定を見据え、指定後に必要となる建物の管理、活用の方向性等を定める保存活用計画の検討を進めるため、幅広い世代の皆様から多様な活用のアイデアを聴取するためのワークショップなどを開催し、これらの意見を参考としながら、有識者等で構成する活用の方向性に係る懇談会におきまして、令和四年度末を目途に、建築物の価値を損なわない実現可能性のあるアイデアを活用の方向性として複数案取りまとめていくこととしております。
その後、こうして取りまとめた活用の方向性を基礎といたしまして、国、県、広島市で構成する旧陸軍被服支廠の保存・継承に係る研究会におきまして、県と広島市において必要とされる活用策の案を検討し、議会に御報告した上で、被服支廠の最終的な活用策の議論を行ってまいりたいと考えております。
また、検討会議や懇談会につきましては、この国、県、広島市で構成する研究会が、事務局として両会議の議論の内容などについて、協議、調整を行いながら、取組を進めているところであり、これらの検討状況につきましては、節目節目に議会に御報告しながら進めてまいりたいと考えております。
12:
◯議長(
中本隆志君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。
午前十一時三十六分休憩
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
午後一時一分開議
13:
◯議長(
中本隆志君) 出席議員五十九名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。
引き続いて質問を行います。下西幸雄君。
【下西幸雄君登壇】
14:
◯下西幸雄君 皆さん、こんにちは。公明党広島県議会議員団の下西幸雄でございます。
まず、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方に、心よりお悔やみ申し上げますとともに、治療中の方には一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
本県における感染状況は、急拡大した一月に比べると落ち着いたと言えますが、全国的には下げ止まりや再拡大の懸念があり、収束の兆しはいまだ見えない状況でございます。
今後、県民が安全・安心な生活を取り戻し、経済が再び力強く動き出すために、県の果たすべき役割はますます大きくなると感じております。
本日は、コロナ対策を含め、八つの項目について質問したいと思いますので、湯崎知事をはじめ、執行部の皆様には、明快な御答弁をお願いいたしまして、最初の質問に入ります。
初めに、社会経済活動に配慮した感染防止対策の在り方についてお伺いいたします。
新型コロナ感染再拡大により、本県は、先月九日からまん延防止等重点措置の対象となりました。感染力が強いオミクロン株の影響により、感染拡大の勢いは過去に例を見ないものとなりました。
今後は、重症化予防に効果のあるワクチンの追加接種をさらに加速させる必要があると考えております。
さて、本県では、早くから医療機関や宿泊施設の病床確保に取り組まれており、現在、深刻な医療の逼迫は見受けられません。また、今回の波で最も特徴的な、軽症者、自宅療養者の圧倒的な増加への対応についても、オンライン診療センターの設置や速やかに薬を配送し服薬指導できる体制を整備されており、高く評価しております。
こうした中、二点の課題があると考えております。
一点目は、濃厚接触者の待機による社会経済活動の低下でございます。
政府は、最新の知見を基に、待機や入院の期間短縮を図られてきました。現在、濃厚接触者の待機期間は七日間です。エッセンシャルワーカー等の社会機能維持者についてはこの限りではありませんが、例えば、中小・小規模事業者等は、代替要員の確保が困難であり、現場は混乱しております。変異株の特性を踏まえた、より柔軟な対応を国に求める必要があると考えております。
二点目は、まん延防止等重点措置の下での、飲食店への酒類提供の禁止の要請でございます。
県は、この取組により、飲食を起因とする感染が抑えられているとしておりますが、他の都道府県の多くは、感染防止対策認証店で酒の提供を条件つきで認めており、県内の多くの飲食事業者から不満の声が我々に届いております。
こうした中、昨日、知事は、来週以降のまん延防止等重点措置の延長に合わせ、ゴールド認証店において、酒類提供を可能にする方針を表明されました。
飲食事業者への制限は、影響が非常に大きいところであり、これまでの対策の効果をしっかりと分析し、今後の施策に生かしていく必要があると考えます。
そこで、次なる感染拡大に備えては、社会経済活動に配慮した感染防止対策が特に重要になると考えますが、その在り方について知事の御所見をお伺いいたします。
次に、事前防災に資するハード対策の推進についてお伺いいたします。
本県では、平成三十年七月豪雨災害を教訓とし、創造的復興による新たな広島県づくりに全力で取り組んでおられます。関係者の皆様のおかげで、復旧・復興が進んでおり、私としてもその成果を実感できております。
被災地においては、地域一体的に強靱化が図られ、被災前よりも前を向いて進めるような環境が整ってまいりました。しかし、本県を広く見渡すと、危険な箇所がいまだ多く残っております。
治水対策や土砂災害対策はかなりの費用と時間を要しますが、有事の際には確実に効果を発揮しております。特に、近年度々発生する経験したことがないような豪雨でも、計画的に整備を実施し、日頃から適切に維持管理を行ってきた施設では、被災を免れたり、被害を軽減できた事例が多数報告されております。
県内では、一級河川太田川水系根谷川で、平成二十六年に大きな浸水被害が発生しましたが、その後の河川改修により、平成二十六年の雨量を大幅に上回った平成三十年と令和三年の豪雨において、浸水被害を完全に防いでおります。また、広島市安佐南区大町地区の砂防ダムは、平成二十六年と令和三年に発生した土石流を二度とも捕捉し、被害を未然に防ぎました。
これらのことからも、防災系の事業は安全・安心なまちづくりに不可欠なものであり、災害死ゼロを目標としている本県として、最優先で取り組むべき事案であると考えております。
また、財政面でも、一たび大災害が発生すれば、復旧や被災者・被災地支援に要する費用、災害廃棄物の処理費など、防災のための施設整備費を大幅に上回る予算や労力が必要となり、経済的な損失まで含めれば、比較にならないほどの差額になると思われます。
災害復旧といった対症療法的な対応を繰り返していては、結果的に社会的、経済的なダメージが増す一方になるのではないでしょうか。
国は、異常気象、大地震、インフラの老朽化などに打ち勝ち、国民の生命財産を守り、国家・社会の重要な機能を維持するためには、災害に屈しない強靱な国土づくりを進める必要があるとして、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を進められております。なお、この対策の事業規模は、本年度から五年間で、計約十五兆円にも上るそうでございます。
この対策を受け、本県におかれては、道路の改良、のり面対策、橋梁耐震補強や河川の堤防・護岸整備、砂防ダム整備など、様々な事業を進めることとされており、非常に心強く感じております。
また、私はこれまで、河川・内水氾濫対策として、県内に四台ある排水ポンプ車の配備拡充をお願いしてまいりましたが、来年度、二台追加配備するとのお話を伺い、大変喜ばしく、安堵しております。
一方で、本県にはまだまだ多くの災害危険箇所があり、五年程度ではとても対策が完了するとは思えません。それ以降も、しっかりと事業に取り組めるよう、国に対策継続のための財源確保等を訴えていただきたいと思います。
また、莫大な予算を使うわけですから、県民への説明は不可欠であると考えます。これまでの治水対策や土砂災害対策など、目に見えて効果のあった取組や、今後のさらなる対策の必要性をこれまで以上にアピールし、県民の理解促進を図っていただきたいと考えております。
本県の県土の将来像を実現するための十年計画である「社会資本未来プラン」においては、十年後、効果的かつ効率的なハード対策による事前防災が着実に進んでいるとの姿を描いております。
そこで、その実現に向け、今後具体的にどう取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。
次に、サッカースタジアム建設の取組についてお伺いいたします。
サッカースタジアムは、昨年広島市において、スタジアムと広場エリアの事業者選定が行われ、施設の全体像が示されたところであり、大きく動き出していると感じております。
県はこれまで、広島市に対し、県内全域はもとより、中四国をはじめとする広域からの集客が期待できる施設の実現を求めてきました。今後も引き続き県と広島市で連携を密にして、県民に分かりやすく、有意義な取組となりますことを期待いたします。
広島市においては、平和記念公園と一体となった中央公園が、平和発信の拠点となることも目指していくとも言われております。
ここで、広島のサッカーの歴史に思いをはせますと、その歴史はとても古く、昭和二十二年、敗戦後初の全国中等学校蹴球大会、今の高校サッカー選手権の前身が西宮市で開催され、広島高等師範学校附属中学校が優勝しております。校舎は倒壊、校庭は芋畑だったところを整地し直し、ボールは一個か二個しかない中で、軍靴で接ぎを当て、その上、原爆症の不安と闘いながらの奇跡の記録を打ち立てたのございます。生徒は皆、被爆者であり、サッカーがあったから被爆の惨禍から立ち上がることができたとの証言もございます。広島高等師範付属中学が優勝できたのは、当時、同校選手だけが左右両足でボールを操れたからとも言われております。その伝統は、第一次世界大戦時のドイツ軍捕虜と広島高等師範学校との交流がきっかけとなり、広島がサッカー王国と呼ばれるようになっていった淵源ともお聞きいたしております。
また、昭和二十五年の丹下健三さんによる広島平和都市建設構想案によれば、資料館、慰霊碑、原爆ドームを南北一直線に並べた平和の軸線、いわゆる丹下軸と呼ばれる延長線上に、サッカーのできる総合運動場が想定されており、ここからの歓声こそが復興平和の象徴と考えられたのでございました。
これらの歴史を踏まえると、平和公園が戦争の歴史の悲惨さを後世に伝えるものとするならば、平和軸線上にあるこの場所は、現在の平和な社会があることの復興の歴史を伝える場としてふさわしいのではないかと考えるわけでございます。
そこで、この地にサッカースタジアム等を建設し、平和の発信拠点とすることに対するお考え、またその具体的な取組方針について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、脱炭素社会の実現に向けた取組について、三点お伺いいたします。
一点目は、電気自動車、いわゆるEV化の推進等の取組についてでございます。
政府は、二〇二〇年十月に二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を発表しました。また、二〇二一年四月には、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標を、二〇一三年度比で、それまでの二六%から四六%へと大幅に引き上げることとし、昨年六月、グリーン成長戦略を策定しました。その中で、政府は、温暖化への対応を新たな成長の原動力とした経済と環境の好循環を生み出していくための取組として、再生可能エネルギーや蓄電池、半導体、省エネ住宅など、成長が期待される重点十四分野を挙げ、高い目標を設定し、政策総動員で推進していくとしております。
特に、地球温暖化の要因の一つであると言われております自動車等の排気ガスに含まれている温室効果ガスを削減するため、世界でEV化の潮流が加速しております。エンジンもトランスミッションも不要なEV時代の到来は、就業人口約五百五十万人の日本の自動車業界にとって大きな打撃になると言われておりますが、ただ手をこまねいているわけにもいきません。
政府も、グリーン成長戦略の中で、二〇三五年までに、乗用車の新車販売で、電動車一〇〇%を実現するという目標を掲げました。
EV化の鍵を握る技術の一つが蓄電池と言われております。
現在のEVの課題として、航続距離の短さ、充電時間の長さ、安全面での不安、コストの高さ、電池の耐久性などが挙げられており、関係業界から政府に対し、研究開発や設備投資支援の維持・拡充などが要望されております。
今後、技術の進展に伴いEV化が進めば、三万点にも及ぶとされているガソリン車の部品のうち、約四割が不要になると言われております。こうしたことも見越して、ガソリン車で培った技術の転用など、自動車産業の維持・発展に向けた支援も必要になってくると考えております。
そこで、まず、自動車産業が重要な位置づけにある本県として、EV化推進に向けた今後の県の戦略について知事にお伺いいたします。
また、EV化が進むためには、電力供給体制の強化が不可欠となります。
自宅で自動車を充電する場合、多くが電力供給に余裕のある夜間となり、日中の電力ピーク時とは重なりませんが、大量の電気自動車が同時に充電をすれば、その分電力が必要になります。日本の乗用車六千万台が全て電気自動車に置き替わったとすれば、その影響は非常に大きくなります。かといって、急場しのぎで火力発電を増やすようなこととなれば、CO2削減という本来の意味がなくなってしまいます。このため、太陽光などの再生可能エネルギーの推進が一層重要になってまいります。
そこで、本県における電力のカーボンニュートラル化の推進の方向性、また、エネルギー供給のリスク分散を図るための電力の地産地消の取組の方向性について、併せてお伺いいたします。
さらに、忘れてならないのが、EVの普及を支える充電インフラでございます。
現在、ガソリンスタンドの数は全国で約三万件あると言われております。充電スタンドでは、急速充電であっても、ガソリンの給油時間よりも時間がかかるため、単純計算でこれより多くの給電所が必要となります。
しかし、現在、急速充電スタンドの数は八千基弱にとどまっており、また、EV用充電インフラは、二〇一〇年代前半に設置が促進されたものが既に老朽化し始め、昨年度は設置数が減少傾向になったそうでございます。
EVはガソリン車と違い、自宅での充電も行われるため、実際の必要数は減るとは思いますが、政府は、二〇三〇年までに充電スタンドを今の五倍に増やす目標を掲げているとのことでございます。
そこで、県では、これまで充電インフラの設置促進についてどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組もうとしているのか、併せてお伺いいたします。
二点目は、脱炭素社会の実現に向けた木材の利用促進についてお伺いします。
国は、カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を今後の大きな産業政策として位置づけております。
この戦略の林業分野においては、カーボンニュートラルの実現に向けて重要なのは、間伐の着実な実施に加えて、切って、使って、植えるといった資源の循環利用を進め、人工林の再造林を図るとともに、木材利用を拡大することであると示されております。
森林は、CO2を吸収し、固定するとともに、木材として建築物などに利用することで、炭素を長期間貯蔵することが可能となります。加えて、省エネ資材である木材や木質バイオマスエネルギーの利用促進をすることで、CO2の排出削減にも寄与すると言えます。
私は、林業が産業として発展していくためには、木材の利用を画期的に増やしていくことが重要であり、脱炭素への社会の動きは、その大きな追い風になると考えております。
昨年十月、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の改正法が施行されました。法律名に、脱炭素社会の実現に資するという文言が明記されるとともに、公共施設だけでなく、民間の建築物にも積極的に木材を活用するなどの方針が盛り込まれた法改正となっております。
近年、民間企業でも国産材をビルや店舗の建設に活用する動きが広まってきております。
千葉県では、木造としては現時点では国内最高層となる十五階建ての住宅が着工されるそうでございます。木材は、国産の杉やヒノキを加工したCLTパネルを使用しており、板材を何層にも重ねる新技術により、強度に優れたものになっております。木材の使用によるCO2貯蔵量は、百平米の一般住宅の百棟分にもなるそうでございます。
また、セブン─イレブン・ジャパンや日本マクドナルドも、国産材を使用した木造店舗を数年前から建てており、今後も増やす予定とのことでございます。
先ほど質問いたしましたサッカースタジアムの建設につきましても、VIPルームの内装で県産木材の利用が予定されているようでございますけれども、こうした施設でのさらなる利用拡大を図るという考え方もあろうかと思われます。
地球温暖化の進行に伴い、気象災害等のリスクがさらに高まることが予測されている中で、木材を積極的に活用することで、森林を適切に整備・保全していくことは、安心して暮らせる社会の実現にも寄与できると考えます。
本県では、先ほど申し上げた国の法改正を受け、昨年末、広島県建築物等木材利用促進方針を策定されました。この方針において、県は、脱炭素社会の実現を視野に入れ、市町、事業者等と連携・協力し、建築物全体での木材利用を促進するなどとしております。
そこで、今後、脱炭素社会の実現に向け、この方針に掲げる県の木材利用促進の取組、特に県産材の活用について、これまでの公共建築物に加え、民間建築物の木造・木質化の取組をどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
三点目は、脱炭素社会の実現に向けた国産漆の生産振興についてお伺いいたします。
漆は、漆の木の樹液を採取して精製したもので、古来、食器、工芸品、建築物等の塗装や接着に用いられてきました。
漆の国内消費量は、令和元年で四十トン弱ありましたが、そのうち国内生産量は二トン、僅か五%となっており、ほとんどが中国からの輸入に頼っております。
国産漆の生産量は、平成二十六年度に文化庁が、国宝・重要文化財建造物の保存修理に国産漆を使用する方針を示したことから、近年、増加傾向で推移しております。文化庁は、年平均で約二・二トンの国産漆が必要と予測しており、岩手県など漆の産地において、漆林の確保や漆かき職人の育成等の取組が進められております。
私は、国産漆の生産振興に取り組むことで、地域や文化を守ることにつながり、ひいては、カーボンニュートラルの実現にも寄与するのではないかと考えております。
漆は、樹木から取れる一〇〇%天然の樹脂素材であります。漆の木の育成過程におけるCO2吸収・固定の効果はもちろん、漆の採取から製品づくりの工程において大量のエネルギーを使うことも、漆の利用によって自然環境を汚染、破壊することもありません。
合成樹脂であるプラスチック廃棄物が世界の海洋を汚染している中で、漆は素材としても、様々な分野で活躍できる可能性があると言われており、国連が主導するSDGsにも合致した、新たな産業に育てられるのではないかと考えております。
さて、本県における漆生産の動きですが、県立庄原実業高校において、学校の農場で漆の苗木を育て、昨年十一月下旬、研究用として企業に提供したそうでございます。この取組は、耕作放棄地を活用して漆の木を栽培し、国産漆の復活を目指すプロジェクトを提唱されている三次産漆生産組合の協力で実現したとのことでございます。
当組合と県立広島大学の方による文献においては、三次地域は古来より戦後あたりまで、漆の木の産地として続いてきた歴史があり、栽培に適した風土であることを証明していると示しております。
漆の木は、果樹と同じ扱いで農地にも植えることができ、また、栽培にかかる労力が少ないことから、高齢化が進む農家の農地の運用法として選ばれているそうでございます。足場のよい遊休農地などにまとめて栽培できれば、農家だけでなくかき職人の作業効率も上がると思われます。
一方で、漆の木は、樹液を採取する成木になるまで、十年から十五年を要します。そして、樹液採取後にその木は役目を終え伐採されます。つまり、毎年継続して植え続けなければ、現状の生産量すら維持することができません。
先ほども申し上げましたが、国産漆は、文化財などの修復に使用される方針が国から示され、需要が急増しており、価格も上昇基調にあるそうでございます。
そこで、これを機に、耕作放棄地対策として、また脱炭素社会の実現に向けた一手として、漆の生産振興に取り組むことについて知事の御所見をお伺いいたします。
次に、コロナ禍における県の経済対策についてお伺いいたします。
新型コロナの収束が見通せない中、感染力の強いオミクロン株が全国で猛威を振るっております。コロナ禍も三年目に入る今年、我慢を余儀なくされている生活から通常の生活に一日も早く戻り、経済が回復基調になることを心から望んでおります。
さて、昨年の企業の倒産件数は六千件強と、五十七年ぶりの少なさであったそうでございます。しかしこれは、政府系や民間の金融機関が多額の融資で資金繰りをつないだことが影響しており、反面、中小企業の返済能力は約十年ぶりの低水準に落ち込むという、大変不安定な状況にあると言われております。
また、運輸業は倒産件数が増え、宿泊・飲食サービス業では売上高の悪化が顕著になるなど、新型コロナによる経済への影響は、業界によって大きく差があることを示しております。
今後、これらを踏まえたきめ細かな支援が求められます。
県は、コロナ禍において、積極的に企業への支援に乗り出されました。融資制度の運用により、民間金融機関では提供が困難な長期・低利の資金を中小企業に供給したり、県内ものづくり企業に対し、コロナ禍でも前を向いて研究開発に投資できるよう、デジタル化への研究費を補助するなど、様々な対策を次々と打ち出してこられました。
今後、これらの施策が功を奏し、徐々に経済が回復し、県民の生活が守られることを期待しております。
一方、これまで、雇用調整助成金や頑張る中小企業者月次支援金、飲食店向けの時短協力支援金等も苦境にある企業を支えてきましたけれども、こうした支援もいつまで続くか分かりません。
そのような中、無利子・無担保で借りられる政府系金融機関の融資が、来月に受付を終了し、また今後、借入金の返済が本格化する時期に入るとのことであり、負担に耐えられずに倒産する企業が一気に増えるのではないかと懸念しております。
そこで、こうした状況を踏まえつつ、新型コロナ感染拡大から約二年間実施してきた県の経済対策の効果と課題、また、今後の取組について知事の御所見をお伺いいたします。
さらに、今後、各種施策の終了と借入金返済の本格化により、倒産の危機にさらされる事業者に対し、どう支援策を講じていかれるのか、併せてお伺いいたします。
次に、ひろしまブランドショップTAUについてお伺いします。
先月、全国の自治体などでつくる地域活性化センターが、東京都内に出店している自治体のアンテナショップについて調査した結果が発表されておりました。その中で、年間売上額の項目があり、トップは北海道で七億円以上十億円未満でしたが、本県のブランドショップTAUは沖縄県と並び、五億円以上七億円未満となり、トップスリーに入っておりました。
TAUは、自然や景観、歴史・文化及び物など、広島ならではの宝を、首都圏はもとより全国に向けて情報発信し、売り出していくことにより、広島のブランド価値を高めるための拠点として、平成二十四年七月、銀座にオープンいたしました。オープン後の売上額は三億三千万円と、初年度で、以前JR新宿駅南口にあった店舗の売上額を上回り、それ以降も、平成二十八年からの広島カープのリーグ三連覇などの盛り上がりなどもあり、平成三十年度にはついに売上額が十億円の大台に達し、北海道に次いで二番目となるなど、首都圏における広島県の認知度向上に多大な貢献をしてこられました。
私は、このブランドショップも、湯崎県政が成し遂げられた大きな成果の一つであると考えております。
しかし、ここ二年以上に及ぶ新型コロナの影響によりまして、TAUの売上げは大きく減少しており、昨年度の売上額は五億一千万円余りと、前年からほぼ半減という大変厳しい状況になったそうでございます。また現在、東京都など首都圏におきましてもまん延防止等重点措置が継続されるなど、再び先行きが不透明な状況になっております。
一方、首都圏における県産品の販路拡大の重要な拠点として、これまで高い売上げ実績を上げてきたTAUに対して、県内の生産者、事業者が寄せる期待は非常に大きいものがあると考えます。
そこで、コロナ禍で売上額が大きく落ち込んでいるTAUについて、早期に以前の売上げの水準に戻していくための対策を講じる必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか、また、今年七月にはオープン十周年を迎えることとなりますが、今後、本県のブランドショップとして何を目指し、具体的にどう取り組もうとされているのか、併せて知事の御所見をお伺いいたします。
次に、子供・子育てに関する政策についてお伺いいたします。
政府は来年四月、こども家庭庁を創設することとしました。その基本方針では、子供への政策を社会の真ん中に据えて、健やかな成長を社会全体で後押しするとしております。このことは、長年にわたり続けられてきた少子化対策から、全ての子供の幸せを大切にする子供・家族対策への転換であると受け止めております。
何よりも大事なのは、子供が安心して育つ社会の構築であり、子供たちが身体的、精神的、社会的に良好な状態にある、いわゆるウエルビーイングを実現するために、今後、社会全体でいかに支えていけるかということに尽きると考えております。
さて、今の若者は、結婚や子供に関する人生のリスクをよくよく考慮する、リスク回避的な方が増えているそうでございます。
非正規雇用の増大などによる格差社会の広がりを背景に、経済的に問題を抱えている若者が増加しております。特にそうした方は、家計は苦しくならないのか、働き続けられるのか、子供を大学まで行かせられるのかといった不安が先に立ち、また、日本的特徴として、人並みの生活ができないのは恥ずかしいといった世間的意識も相まって、結婚をしない、子供を持たないことが合理的
選択になっているようでございます。
一方、海外に目を向けると、フランスは、出生率のV字回復を果たしたことで知られております。フランスでは、出産から養育までの費用をほぼ全額国が負担しており、また、自宅で開業する母親アシスタントや、ベビーシッターなど、保育園以外の保育手段も充実しており、家庭の状況に関係なく、安心して出産し、子供を育てる体制が整っているそうでございます。当然、相応の財源確保が必要となり、企業や国民に課せられる税等の負担は大きくなります。
しかし、私は、フランスのように思い切った施策を検討することも必要ではないかと考えます。
例えば、平成十二年から始まった介護保険は、今やなくてはならない制度になっております。刻々と状況が変わるケア対象者にケアマネジャーが寄り添い、当事者や家族にとって最も適したサービスを提供してくれます。介護保険の財源は、半分が公費や税で、残りの半分が四十歳以上の人が負担する保険料で構成されておりますが、やがて自分もお世話になるかもしれないこの制度に異を唱える人はそう多くないと思われます。
子供についても、全ての人が通ってきた道であり、子供たちがやがて納税者となることを考えれば、財源確保の手段として、例えば、介護保険の子供版、子供保険といった考え方があってもよいのではないかと思います。
本県には、ネウボラという仕組みがありますが、さらに一歩踏み込んで、介護同様に、地域のケアマネジャーに子供のことを相談でき、また、各種利用料の負担軽減等により多様なサービスにつなげていくような仕組みがあれば、子供をめぐる環境は大きく変わると思われます。
当然、こういった制度は国が検討すべきことですが、本県としても、財源の必要性について国に訴えるとともに、例えば、子供に特化した県独自の税徴収などにより財源を確保するといった仕組みを、全国に先駆けて御検討いただけないかと思います。
そこで、全ての子供たちが、成育環境の違いにかかわらず、健やかに夢を育むことができる社会の実現を目指している広島県として、子供・子育てに関する大胆な財源確保と施策を検討していただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、核廃絶に向けた取組について、三点お伺いいたします。
一点目ですが、明年は、日本でG7サミットが開催されます。
知事、広島市長は、広島招致を訴えておりますが、簡単ではないと思われます。その理由の一つとして、核を保有する英国、フランスの首脳が被爆地広島を訪れるのは、ハードルが高いということでございます。
一方、先月二十一日、日本とアメリカが、NPT──核拡散防止条約に関する共同声明を発表しました。その中では、政治指導者や若者に対し、核兵器による悲劇への理解を広げるため、広島と長崎への訪問が呼びかけられております。
そこで、G7サミットの広島招致に全力を挙げていただくとともに、仮に広島招致が困難となった場合は、その時期に合わせて、外相等要人による会合を広島で開催し、G7以外の国々の参加も得ながら、核兵器の役割低減に関する具体的な措置について集中的に議論する場を設けてはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
二点目ですが、今年は、核廃絶に向けて重要な年でございます。
それは、核兵器禁止条約の第一回締約国会議が、ウィーンで開催されるからであります。新型コロナの影響で、三月開催の予定が、今年半ばまで延期されることとなりましたが、ぜひ、知事にもこの会議でロビー活動をしていただき、核廃絶に向けて、広島訪問を各国指導者に呼びかけていただきたいと思います。
知事は、この締約国会議へのオブザーバー参加を政府に訴えておりますけれども、残念ながら政府は慎重です。
しかし、NATO──北大西洋条約機構の加盟国である、いわゆる核の傘依存国と言われるノルウェーやドイツが、オブザーバーとして参加の意向を示しております。
同じく依存国である日本の参加の可能性はあると考えますし、保有国と非保有国の橋渡し役を目指す日本が、唯一の戦争被爆国として参加する意義は大きいと思われます。真の橋渡しは、橋の両側に出向いて議論してこそ可能です。
そこで、知事には、第一回締約国会議に参加しロビー活動をしていただくとともに、これからも日本のオブザーバー参加を訴え続けていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
三点目でございますが、岸田首相は、先月の施政方針演説で、核兵器のない世界に向けた
国際賢人会議の創設を表明しました。この初会合は、年内に被爆地広島で開催し、米国のバイデン大統領やオバマ氏が参画するよう交渉するとしております。
核軍縮論議の停滞は許されません。政治の強い意思なくして、核廃絶も進まないことを考えると、各国の政治リーダーが参画した会議の開催は意義深いと考えます。
そこで、核兵器のない世界に向けた
国際賢人会議の年内の広島開催に向け、県としても積極的に協力をいただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたます。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
15:
◯議長(
中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事
湯崎英彦君。
【知事
湯崎英彦君登壇】
16:
◯知事(
湯崎英彦君) まず、社会経済活動に配慮した感染防止対策の在り方について御質問がございました。
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、感染の拡大防止、ワクチン接種、治療薬を含む適切な医療提供体制の確保などにより、県民の命と健康を守るとともに、感染拡大防止対策による社会経済活動に及ぼす影響が最小となるよう取り組むことが重要でございます。
御質問の次なる感染拡大に備えた対策につきましても、基本的な考え方は変わることなく、まず、幅広い積極的疫学調査やPCR検査等による感染者の速やかな隔離と適切な療養、社会全体の耐性を高めるための発症予防や、重症化予防につながるワクチン接種の推進によって、個々の感染の連鎖を遮断していくことにより、社会経済活動を継続できる感染レベルに抑えることが、まず重要でございます。
同時に、身近な地域で診療や検査、治療薬の投与が行えるなど、適切な医療提供体制を整備することにより、医療レベルを維持するために、許容可能な感染レベルを引き上げる必要がございます。
次に、こうした取組でも抑え切れないほど感染が拡大していく場合には、やむを得ず、外出の自粛や、施設の使用制限の要請など社会的に人の動きを抑制する強い対策が必要となりますが、その際には、早く、深く、短く対策を講じて、可能な限り、社会経済への影響を抑えていく必要がございます。
具体的には、ウイルスの特性や、感染状況を分析した上で、対策期間が最も短くなるようなタイミングを考慮するとともに、感染による多数の療養者が発生することから、病床や宿泊療養施設の確保だけでなく、自宅療養者の重症化防止や容態の急変にも迅速に対応できるよう、医療提供体制を強化してまいります。
さらに、強い対策を実施している中にあっても、感染状況のモニタリングや分析を継続し、一般医療との両立可能なレベルまで改善することが見通せる状況になれば、経済や日常生活を段階的に回復させるため、対策を緩和していくこととし、このたびの飲食店の時短要請等の緩和方針も、こうした考えによるものでございます。
今後ともウイルスの特性と感染状況を十分に分析し、また、国ともしっかりと情報を共有、連携しながら、機動的に対処していくことで、感染症対策と社会経済活動の両立を目指してまいります。
次に、事前防災に資するハード対策の推進についてでございます。
平成二十六年の広島土砂災害や平成三十年七月豪雨災害、さらには令和三年七月・八月豪雨災害など、近年、異常気象により災害が激甚化、頻発化しており、全国最多の土砂災害警戒区域を有する本県におきましては、県民の安全・安心の確保に向けた県土の強靱化を進めることは、極めて重要でございます。
このため、令和三年三月に策定いたしました「社会資本未来プラン」におきましては、安全・安心な県土づくりのため、安全・安心を支える総合的な県土の強靱化を掲げ、優先順位を踏まえた最適な資源配分を行いながら、防災・減災対策の充実・強化に重点的に取り組むこととしております。
具体的には、防災拠点や住宅密集地等を保全するための土砂災害対策や、浸水被害を防止・軽減するための治水対策、災害時に緊急車両の輸送路となる緊急輸送道路におけるのり面対策など、より効果的、効率的なハード対策による事前防災を計画的に推進することとしております。
また、計画的な事業の推進に向けましては、プランと合わせて策定いたしました道路、河川などの事業別整備計画において、令和七年度までの五年間の実施箇所や投資予定額などをお示ししており、前計画と比較して計画全体では事業費ベースで約八百億円の増額を図っているところでございます。
その中でも、防災・減災対策に重点的に資源を配分することとし、議員御指摘の土砂災害対策につきましては、「ひろしま砂防アクションプラン」において、土砂災害から保全される家屋数を約一万三千戸増加させることを目標に掲げ、前計画と比較して投資予定額を約三割増額させております。
また、国に対し、安定的かつ持続的な公共事業費の総額確保を働きかけるとともに、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策など有利な財源を最大限生かしながら、必要な事業量の確保に努めているところでございます。
引き続き、計画的な社会資本整備の推進に必要な国庫補助金などの財源の確保に努めるとともに、事業の必要性について丁寧に説明しながら、将来にわたって、県民の皆様が安全・安心に暮らすことができるよう県土の強靱化に取り組んでまいります。
次に、サッカースタジアム建設の取組についての御質問でございます。
サッカースタジアムと広場エリアの整備につきましては、広島の新たなシンボルとして、県全体の活性化や中枢拠点性の向上を図る観点から、広域的な集客効果を高めるとともに、サッカーを通じた平和発信や、国際交流にも貢献する施設となることを目指しております。
こうした認識の下、「サッカースタジアム基本計画」におきましても、広場全体の目指す姿として、平和のまちを象徴し、開かれ、公園と一体となったスタジアムパークと位置づけ、整備に当たっては、広島らしさの発信として、国内外から多くの人々が訪れる平和記念公園に近接するという特性を生かし、サッカーを通じた国際交流だけでなく、平和や広島のスポーツの歴史などについても世界中へ発信できるような施設を目指していくことといたしました。
これらの考え方を具現化するため、スタジアムにおきましては、ピースマッチの開催などの取組を継続するとともに、多機能化施設として、平和や広島のスポーツの歴史などを学べるミュージアムの開設が構想されているところでございます。広場エリアにおきましても、平和軸を意識して、その軸線上に噴水を配置し、夜間はライトアップを行うなど、平和であることを喜び、楽しむ公園になることを目指しております。
こうした取組を通じて、修学旅行生や観光客はもとより、世界から人々が訪れ、被爆から復興し現在に至る歴史や平和の大切さを学ぶとともに、広島の輝かしいスポーツの歴史を知るきっかけの場となるよう、引き続き、広島市と連携して取り組んでまいります。
次に、コロナ禍における県の経済対策についてでございます。
コロナ禍における県の経済対策につきましては、事業者の経済活動の継続や雇用維持を支える取組として、これまで、飲食店等に対する協力支援金や、県独自の頑張る中小事業者月次支援金、雇用調整助成金の活用促進対策、離職者の早期就職を目的とした合同企業面接会の開催のほか、宿泊事業者や旅行業者等を支援するための観光誘客促進事業や飲食事業者等を支援するためのGoToイートキャンペーンなどを実施してまいりました。
こうした中、本県経済の状況につきましては、民間調査会社による倒産状況の調査では、令和三年十二月までの倒産件数が前年と比較して、約四三%減少し、本県の完全失業率の状況は二・五%前後と、コロナ前と同様の水準に抑えられており、国を含めた、本県における事業継続や雇用維持に向けた様々な取組は一定の効果が出ているものの、引き続き、必要な対策について適時適切に取り組んでまいります。
また、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、県内企業の新事業展開や業態転換を推進するとともに、県内企業がやや慎重になっている研究開発や設備投資を強力に後押しするため、昨年度からコロナ禍にあっても前向きな研究開発を行う県内ものづくり企業への支援や新たなビジネスモデルの構築や業態転換に取り組む中小企業への支援、また、企業のAI、IoT、ロボット化の導入など、生産性の向上に向けた設備投資への支援、カーボンニュートラルへ向けた、ものづくり産業に対する伴走型支援などに取り組んでいるところでございます。
これらの取組に加えまして、今後につきましては、新型コロナなどにより顕在化した構造的な課題であるデジタル化への対応や適散・適集社会の実現を図っていくため、最新のデジタル技術を活用した実証実験の場であるひろしまサンドボックスをさらに一段と進め、これまでに開発・実証された商品やサービスについて、県内への実装を支援する取組のほか、デジタル化を支える人材の育成などを支援するため、新たなスキル等を習得するいわゆるリスキリングを産業界全体で推進する取組などについて、来年度から新たに取り組むこととしたところでございます。
今後、各種支援策が終了し、借入金返済も本格化する点につきましては、事業者の経済活動の継続や雇用維持が図られるよう、国に対し、全国知事会を通じて、借入金の償還条件の見直し等の弾力的運用、雇用調整助成金等の特例措置の維持などを数次にわたり要望してきたところでございます。
加えまして、経営の安定に支障が生じている企業の資金繰りを支援するため、来年度から、県の緊急対応融資の融資枠をさらに拡大するとともに、政府系金融機関の無利子貸付けや、資本性劣後ローンなど、国の資金繰り支援策の動向も注視しながら、経済団体等を通じてこうした支援内容を周知するなど、各種制度の活用促進に取り組んでまいります。
今後とも、事業継続や雇用維持に向けた取組を全力で支援するとともに、アフターコロナを見据えた地域経済の発展的回復を目指してまいります。
次に、核兵器廃絶に向けた取組についてでございます。
まず、G7サミットの広島開催が実現すれば、核兵器国を含む主要国の首脳が、被爆地広島に集うことになり、核兵器のない平和な世界を願う広島の思いを世界に発信する、またとない機会になるとともに、核兵器廃絶の実現に向けた、具体的な進展への新たな一歩が踏み出せるものと考えております。
県といたしましては、官民一体となって、G7サミットの誘致に全力を挙げるとともに、議員御提案の趣旨も踏まえ、政治指導者等が参加し、核兵器廃絶に向けた具体的な議論を行う国際会議などの広島開催について、今後とも積極的に取り組んでまいります。
次に、二点目の核兵器禁止条約第一回締約国会議につきましては、条約の実施や核軍縮のプロセスの進展について議論する重要な国際会議であるとともに、各国政府に対して、直接働きかけを行う絶好の機会でもあると考えております。
このため、渡航制限措置などの諸条件が整えば、ぜひ、本県として締約国会議において、サイドイベントの開催や政府関係者との面会などを通じて、核兵器廃絶に向けた国際社会の協力を訴えたいと考えております。
また、条約に対する日本政府の立場は承知しておりますが、政府に対しては、早期の署名、批准並びに締約国会議へのオブザーバー参加を行っていただくよう、昨年末、私自身から岸田総理に直接、要望したところでありますが、今後とも粘り強く訴え続けてまいります。
最後に、三点目の
国際賢人会議の広島開催につきましてですが、岸田総理の核兵器廃絶への強い思いを示したものと受け止めており、地元広島の知事として大いに歓迎いたします。
県といたしましては、情報収集に努めまして、国や広島市とも連携して、第一回会合の開催に向けて、できる限りの協力をしてまいりたいと考えております。
これらの取組を通じて、被爆地広島から平和のメッセージを発信し、核兵器のない平和な世界の実現に向け、積極的に貢献してまいります。
その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。
17:
◯議長(
中本隆志君) 商工労働局長
川口一成君。
【商工労働局長
川口一成君登壇】
18:
◯商工労働局長(
川口一成君) まず、EV化推進に向けた県の戦略についてお答えいたします。
自動車産業におきましては、カーボンニュートラルへ向けたCO2排出量規制の厳格化やCASEといった大変革期を迎えており、世界各国において進展するEV化を含む自動車の電動化の動きに早急に対応していく必要があると考えております。
また、本県の自動車関連産業は、製造品出荷額や従業者数に占める割合が最も高く、裾野が広い極めて重要な産業であると認識いたしております。
こうしたことから、県といたしましても、サプライヤー等の事業の高度化や事業転換、事業再構築などの企業活動の継続強化、EVの中核的な部品である車載用畜電池に係る研究開発・製造、拠点整備、車載用畜電池製造をはじめとする地域の自動車産業の電動化シフトに必要となるゼロカーボン・低炭素な電力の確保・拡大などへの対策により、県内サプライヤーの自動車の電動化に対応した部品の開発や、デジタル技術の活用を推進し、付加価値率の高い領域への進出を促すことが必要であると考えております。
このため、今年度九月補正において措置いたしました、カーボンニュートラルへ向けたものづくり産業支援事業により、現在、専門家による県内サプライヤーへの伴走型支援を実施し、自動車産業の電動化への対応を含めた新たな市場の獲得に向けた取組などを促しているところでございます。
さらに、新年度からは、ひろしま産業振興機構の新技術トライアル・ラボの予算を約三倍と大幅に増額し、自動車の電動化に対応したサプライヤーの企画提案力の向上や開発人材の育成などの取組を加速することといたしております。
また、大規模な投資が必要となる、車載用蓄電池の製造や、ゼロカーボン・低炭素な電力の確保などにつきましては、国に対し、引き続き支援策を要望していくとともに、カーボンニュートラルに対応したものづくり産業のイノベーション力の強化にしっかりと取り組んでまいります。
次に、ひろしまブランドショップTAUについてお答えいたします。
ひろしまブランドショップTAUの売上額は、今年度も、一月までで五億円余りと非常に厳しい状況が続いており、これまで、飲食のテークアウト、デリバリーのほか、ECサイトの改修によるオンライン販売の強化などに取り組んできたところでございます。
こうした中、コロナ禍においても、首都圏での販路開拓に意欲的な事業者が増えてきていることから、引き続き、TAU店頭でのテスト販売への参加機会の提供や、首都圏のバイヤーを対象とした商談会の開催などにも、より積極的に取り組んでいくこととしております。
また、現在、三月中旬のオープンを目指してリニューアル工事を行っているところであり、来店するお客様に、より一層広島の食や工芸品などを見て、触れて、楽しんでいただけるよう、お酒の販売コーナーを二階から一階に移すとともに、店内で購入したおつまみと合わせて楽しめる角打ちコーナーの新設や、神楽面や万年筆など県内の伝統・生活工芸品を展示、販売するコーナーの拡充などにより、店舗の魅力を高め、できるだけ早く、コロナ前の売上げ水準に戻るよう、努めてまいりたいと考えております。
さらに、今年七月には、オープン十周年を迎えることから、市町や県内事業者、生産者と連携し、ひろしまブランドの価値向上を加速していくための拠点となることを目指して、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる、元気、おいしい、暮らしやすいの三つの魅力を切り口に、今後は、これまでフランスを中心に取り組んできた広島県産日本酒のブランド化についての情報発信、広島和牛や地魚など、広島ならではの食材を使ったメニューの提供、県観光連盟と連携した観光誘客を促進する仕組みの構築やプロモーションイベントの開催などに、しっかりと取り組んでまいります。
19:
◯議長(
中本隆志君) 環境県民局長
新宅郁子君。
【環境県民局長
新宅郁子君登壇】
20:
◯環境県民局長(
新宅郁子君) 二点についてお答えいたします。
まず、電力のカーボンニュートラル化推進等の方向性についてでございます。
ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けましては、温室効果ガス排出の八割以上を占めるエネルギー分野の取組が不可欠であり、エネルギーの安定供給や、防災、景観を含めた環境への配慮を前提に、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入促進や、カーボンリサイクルによる炭素貯蔵、再利用を行う火力発電のイノベーションなど、電力のカーボンニュートラル化が重要であると考えております。
県内におきましては、大崎上島町の火力発電施設で、発電時の二酸化炭素の排出を抑制し、さらに、排出された二酸化炭素を九〇%以上分離、回収する先進的な高効率発電技術の実証試験が進められているほか、海田町では、県内の未利用木材などを利用する、国内最大級のバイオマス発電の営業運転が開始されるなど、様々な取組が広がりつつあるところでございます。
県といたしましても、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、未利用地等の現地調査や、太陽光、小水力等の再生可能エネルギーの導入可能性調査などを進め、来年度、改定を行う「広島県地球温暖化防止地域計画」に反映し、電力のカーボンニュートラル化の推進に取り組むこととしております。
また、エネルギー供給のリスク分散を図るための電力の地産地消につきましては、全国で百か所の創出を目指している脱炭素先行地域づくりに向けた市町との連携や、地域の再エネポテンシャルを有効活用した再生可能エネルギーの導入支援など、関係者等と連携を図りながら、地域の特色を生かした取組を推進してまいります。
次に、EVの充電インフラの設置促進についてでございます。
本県におきましては、平成二十二年度から、地球温暖化対策の一環として、EVの啓発や環境意識の醸成を目的に、電気自動車の貸出しや急速充電器の整備などの取組を進めてまいりました。この取組の中で、充電インフラにつきましては、当初の三年間で県内十一か所への整備を進めたほか、平成二十四年度から八年間、地元自動車メーカーと連携し、県庁舎敷地内で、急速充電器の県民の皆様への無料開放を行ってきたところでございます。
こうした取組の結果、県内の急速充電器は、カーディーラーや商業施設を中心に設置が進み、事業開始前の十八か所から、現在では、約百四十か所まで増加し、充電インフラの普及拡大に効果があったものと考えております。
国におきましては、車両や充電インフラへの支援を拡充し、電気自動車の導入を強力に進めることとしており、今後、商業施設、事務所や工場、集合住宅等を中心に、充電インフラを十五万基設置し、遅くとも二〇三〇年までに、ガソリン車並みの利便性を実現することを目指すとされております。
県といたしましては、国の支援策について情報収集を行い、市町や、充電器の設置を検討している事業者等に対して、必要な情報が届くよう幅広く周知し、県内の充電インフラの整備が進むよう取り組んでまいります。
21:
◯議長(
中本隆志君) 農林水産局長佐伯安史君。
【農林水産局長佐伯安史君登壇】
22: ◯農林水産局長(佐伯安史君) 私からは二点についてお答えいたします。
まず、木材利用促進についてであります。
木材は、製造時のエネルギー消費が少なく、二酸化炭素の排出削減に貢献するとともに、建築物に活用することで、炭素固定の効果も発揮するなど、脱炭素社会の実現に貢献することから、県産材の利用を進めることは、重要であると認識しております。
このため、「二〇二五広島県農林水産業アクションプログラム」に基づき、生産された県産材の利用を促進する森林資源利用フローの推進に向けて、住宅分野においては、県産材の利用拡大を図るための県産材消費拡大支援事業の継続実施、住宅以外の建築分野においては、木造化を提案できる建築士を育成するためのセミナーの開催、新たな需要先の創出として、県産材製品の開発や販路拡大の支援などに取り組んでいるところでございます。
また、民間建築物における県産材の利用促進に向けて、木材の利用促進の方向性を定めた、広島県建築物等木材利用促進方針を策定し、県と企業との協定締結による民間建築物での県産材利用の促進、県に設置した木材利用推進会議の中で、民間を含めた建築物一般における県産材の利用促進に向けた検討の実施、国が制定した十月の木材利用促進月間における普及啓発活動の重点的な実施などを新たな戦略として盛り込んだところでございます。
これらの戦略を進めるため、これまでの取組に加え、来年度から、建築士や施主の相談窓口を設置し、木造建築の事例や制度など様々な情報の提供を行うとともに、新たに木造建築に取り組む建築士に対しては、専門家派遣による技術的な支援などを行うこととしております。
今後は、こうした取組を通じて、公共建築物だけではなく、民間建築物における県産材の利用を一層促進することで、脱炭素社会の実現を目指してまいります。
次に、国産漆の生産振興についてであります。
脱炭素社会の実現に向けましては、利用期を迎えた人工林について、切って、使って、植えることによる資源の循環利用を行い、人工林の若返りを通じて二酸化炭素の森林吸収量の増加を図ることはもとより、里山林に接した利活用の見込めない耕作放棄地への植栽による循環利用を進めることも、有効であると認識しております。
また、耕作放棄地への植栽木としては、短い期間で収益が得られる樹種が望ましいことから、十年から十五年で循環利用できる漆の木もその樹種の一つであると考えているところでございます。
一方、県内では、近隣の高校や大学と連携して、耕作放棄地を活用した漆の木の栽培に取り組んでいる生産組合もございますが、規模も小さく、地域でまとまった取組にはまだ至っていない状況でございます。
このため、他県の研究や取組事例の情報収集を行うとともに、その情報を提供していきたいというふうに考えております。
今後、こうした取組が、隣接する荒廃した里山林の整備と一体的に行われるなど、地域全体の取組として実施される場合には、市町とも連携を図りながら、ひろしまの森づくり県民税の活用による支援を検討してまいりたいと考えております。
23:
◯議長(
中本隆志君) 健康福祉局長木下栄作君。
【健康福祉局長木下栄作君登壇】
24: ◯健康福祉局長(木下栄作君) 子供及び子育てに関する施策についてお答えいたします。
本県では、令和二年三月に、「ひろしま子供の未来応援プラン」を策定し、全ての子供たちが成育環境の違いにかかわらず、健やかに夢を育むことのできる社会の実現を目指して、ひろしま版ネウボラの展開による妊娠期からの切れ目ない見守り・支援の仕組みづくりをはじめ、社会の宝である子供たちを社会全体で育んでいくための様々な施策を総合的に推進しているところでございます。
ひろしま版ネウボラでは、市町のネウボラ窓口を中心に、関係機関が連携して子育て家庭を見守り、子供の発育状況や保護者の心身の状態、子育てに周囲の支援が得られるかなど、各家庭の状況を漏れなく把握し、産前・産後の相談対応や訪問サポート、助産師が心身のケアを行う産後ケア事業などのサービスを提供するほか、特別なケアを要する子供やその保護者を専門機関へつなぐなど、各家庭の状況に応じたきめ細かな支援が提供できる仕組みづくりを進めております。
さらに、市町が持つ福祉部門と教育部門のデータを一元化した上で、AIを活用してリスク予測を行い、リスクが表面化する前に予防的に支援を届ける仕組みづくりにも取り組んでいるところでございます。
こうした県独自の取組については、まずは、県内全ての市町で実施されるよう取組を進めていくとともに、そのために必要となる財源については、引き続き、国に対して、補助事業や交付金などの拡充を働きかけてまいります。
また、国においては、令和元年十月の消費税引上げによって確保された二兆円規模の財源を活用して、幼児教育・保育の無償化や、高等教育の修学支援新制度の導入など、新たな財源確保と併せた子供に関する政策が展開されております。
さらに、こども家庭庁創設に際しては、岸田総理が、子供政策をど真ん中に据え、安定財源の確保を幅広く検討したい、将来的に予算倍増を目指したいと
発言されており、今後の国の動きも注視し、国の支援メニューを最大限活用しながら、子供の未来応援プランの目指す姿を実現するために、必要な施策については、時期を逸することなく取り組んでまいりたいと考えております。
25:
◯議長(
中本隆志君) 次回の本会議は二月二十一日午前十時三十分から会議を開き、引き続いて質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時十四分散会
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