広島県議会 2021-11-22
2021-11-22 令和3年度決算特別委員会(第9日) 本文
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決算特別委員会(第9日) 本文 2021-11-22 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別
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表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯質疑(玉重委員) 選択 2 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 3 : ◯要望・質疑(玉重委員) 選択 4 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 5 : ◯要望・質疑(玉重委員) 選択 6 : ◯答弁(
都市建築技術審議官) 選択 7 : ◯質疑(玉重委員) 選択 8 : ◯答弁(
都市建築技術審議官) 選択 9 : ◯質疑(玉重委員) 選択 10 : ◯答弁(
土木建築局長) 選択 11 : ◯質疑(玉重委員) 選択 12 : ◯答弁(知事) 選択 13 : ◯要望(玉重委員) 選択 14 : ◯質疑(恵飛須委員) 選択 15 : ◯答弁(教育長) 選択 16 : ◯質疑(恵飛須委員) 選択 17 : ◯答弁(教育長) 選択 18 : ◯質疑(恵飛須委員) 選択 19 : ◯答弁(教育長) 選択 20 : ◯質疑(恵飛須委員) 選択 21 : ◯答弁(教育長) 選択 22 : ◯要望・質疑(
恵飛須委員) 選択 23 : ◯答弁(山田副知事) 選択 24 : ◯質疑(
恵飛須委員) 選択 25 : ◯答弁(山田副知事) 選択 26 : ◯質疑(
恵飛須委員) 選択 27 : ◯答弁(山田副知事) 選択 28 : ◯質疑(
恵飛須委員) 選択 29 : ◯答弁(山田副知事) 選択 30 : ◯質疑(
恵飛須委員) 選択 31 : ◯答弁(山田副知事) 選択 32 : ◯質疑(高田委員) 選択 33 : ◯答弁(知事) 選択 34 : ◯質疑(高田委員) 選択 35 : ◯答弁(知事) 選択 36 : ◯質疑(高田委員) 選択 37 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 38 : ◯要望・質疑(高田委員) 選択 39 : ◯答弁(山田副知事) 選択 40 : ◯要望(高田委員) 選択 41 : ◯質疑(的場委員) 選択 42 : ◯答弁(知事) 選択 43 : ◯質疑(的場委員) 選択 44 : ◯答弁(知事) 選択 45 : ◯質疑(的場委員) 選択 46 : ◯答弁(教育長) 選択 47 : ◯意見・質疑(的場委員) 選択 48 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 49 : ◯要望・質疑(的場委員) 選択 50 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 51 : ◯要望(的場委員) 選択 52 : ◯質疑(石津委員) 選択 53 : ◯答弁(
土木建築局長) 選択 54 : ◯要望・質疑(石津委員) 選択 55 : ◯答弁(
土木建築局長) 選択 56 : ◯要望・質疑(石津委員) 選択 57 : ◯答弁(
土木建築局長) 選択 58 : ◯要望・質疑(石津委員) 選択 59 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 60 : ◯質疑(石津委員) 選択 61 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 62 : ◯要望(石津委員) 選択 63 : ◯質疑(西村委員) 選択 64 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 65 : ◯質疑(西村委員) 選択 66 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 67 : ◯質疑(西村委員) 選択 68 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 69 : ◯意見・質疑(西村委員) 選択 70 : ◯答弁(知事) 選択 71 : ◯要望・要望(西村委員) 選択 72 : ◯答弁(警察本部長) 選択 73 : ◯質疑(西村委員) 選択 74 : ◯答弁(警察本部長) 選択 75 : ◯質疑(西村委員) 選択 76 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 77 : ◯質疑(西村委員) 選択 78 : ◯答弁(総務局長) 選択 79 : ◯要望(西村委員) 選択 80 : ◯質疑(吉井委員) 選択 81 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 82 : ◯要望・質疑(吉井委員) 選択 83 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 84 : ◯質疑(吉井委員) 選択 85 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 86 : ◯質疑(吉井委員) 選択 87 : ◯答弁(知事) 選択 88 : ◯意見(吉井委員) 選択 89 : ◯質疑(佐藤委員) 選択 90 : ◯答弁(教育長) 選択 91 : ◯要望・質疑(佐藤委員) 選択 92 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 93 : ◯要望・質疑(佐藤委員) 選択 94 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 95 : ◯要望・質疑(佐藤委員) 選択 96 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 97 : ◯要望(佐藤委員) 選択 98 : ◯質疑(沖井委員) 選択 99 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 100 : ◯質疑(沖井委員) 選択 101 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 102 : ◯質疑(沖井委員) 選択 103 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 104 : ◯要望・質疑(沖井委員) 選択 105 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 106 : ◯質疑(沖井委員) 選択 107 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 108 : ◯質疑(沖井委員) 選択 109 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 110 : ◯要望・質疑(沖井委員) 選択 111 : ◯答弁(知事) 選択 112 : ◯要望・質疑(沖井委員) 選択 113 : ◯答弁(知事) 選択 114 : ◯要望(沖井委員) 選択 115 : ◯質疑(中原委員) 選択 116 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 117 : ◯要望・質疑(中原委員) 選択 118 : ◯答弁(教育長) 選択 119 : ◯要望・質疑(中原委員) 選択 120 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 121 : ◯要望・質疑(中原委員) 選択 122 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 123 : ◯要望・質疑(中原委員) 選択 124 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 125 : ◯質疑(中原委員) 選択 126 : ◯質疑(砂原委員) 選択 127 : ◯答弁(総務局長) 選択 128 : ◯質疑(砂原委員) 選択 129 : ◯答弁(総務局長) 選択 130 : ◯質疑(砂原委員) 選択 131 : ◯答弁(総務局長) 選択 132 : ◯質疑(砂原委員) 選択 133 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 134 : ◯要望・質疑(砂原委員) 選択 135 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 136 : ◯質疑(砂原委員) 選択 137 : ◯答弁(教育長) 選択 138 : ◯意見・要望(砂原委員) 選択 139 : ◯質疑(岡崎委員) 選択 140 : ◯答弁(病院事業管理者) 選択 141 : ◯質疑(岡崎委員) 選択 142 : ◯答弁(病院事業管理者) 選択 143 : ◯質疑(岡崎委員) 選択 144 : ◯答弁(知事) 選択 145 : ◯要望・質疑(岡崎委員) 選択 146 : ◯答弁(企業局長) 選択 147 : ◯質疑(岡崎委員) 選択 148 : ◯答弁(企業局長) 選択 149 : ◯要望(岡崎委員) 選択 150 : ◯質疑(山崎委員) 選択 151 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 152 : ◯要望・質疑(山崎委員) 選択 153 : ◯答弁(総務局長) 選択 154 : ◯要望・質疑(山崎委員) 選択 155 : ◯答弁(知事) 選択 156 : ◯要望(山崎委員) 選択 157 : ◯質疑(宮崎副委員長) 選択 158 : ◯答弁(経営戦略審議官) 選択 159 : ◯要望・質疑(宮崎副委員長) 選択 160 : ◯答弁(経営戦略審議官) 選択 161 : ◯要望・質疑(宮崎副委員長) 選択 162 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 163 : ◯要望(宮崎副委員長) 選択 164 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 165 : ◯要望・質疑(宮崎副委員長) 選択 166 : ◯答弁(
健康福祉局長) 選択 167 : ◯要望・質疑(宮崎副委員長) 選択 168 : ◯答弁(知事) 選択 169 : ◯質疑(尾熊副委員長) 選択 170 : ◯答弁(知事) 選択 171 : ◯質疑(尾熊副委員長) 選択 172 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 173 : ◯質疑(尾熊副委員長) 選択 174 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 175 : ◯要望・質疑(尾熊副委員長) 選択 176 : ◯答弁(知事) 選択 177 : ◯要望・質疑(尾熊副委員長) 選択 178 : ◯答弁(教育長) 選択 179 : ◯質疑(尾熊副委員長) 選択 180 : ◯答弁(教育長) 選択 181 : ◯要望・質疑(尾熊副委員長) 選択 182 : ◯答弁(農林水産局長) 選択 183 : ◯要望(尾熊副委員長) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 7 会議の概要
(1) 開会 午前10時31分
(2) 記録署名委員の氏名
的 場 豊
石 津 正 啓
(3) 知事挨拶
委員の皆様には、去る9月定例県議会におきまして
決算特別委員会が設置されて以来、終始熱心に御審査をいただきまして、誠にありがとうございました。
審査の過程におきまして委員の皆様から頂きました貴重な御意見、御提言につきましては、今後の県政運営に反映させてまいりたいと考えております。
本日は、決算の総括審査をしていただくわけでございますが、どうか十分に御審査賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
(4) 質疑・応答
◯質疑(玉重委員) 自民議連の玉重輝吉です。まずは、知事4期目の当選おめでとうございます。
それでは早速質問に入ります。私からは大きく4点質問させていただきます。
まずは、少子化対策について2点質問します。
1点目は、少子化対策の取組についてお伺いします。令和2年度で終了した県の総合計画、ひろしま未来チャレンジビジョンでは、少子化対策について、結婚を希望した人が出会い、結婚し、また、子供を希望する人が安心して妊娠・出産できる環境が整っていること、また、安心して子供を育てられる環境が整っていることを目指す姿として、ひろしま出会いサポートセンターによる出会いの場の創出、ひろしま版ネウボラの構築や、保育士人材バンクによる保育士の確保、男性育児休業の取得促進事業など、結婚から子育て期までの切れ目ない支援に取り組まれてこられました。
その結果、保育所等入所児童数は平成23年4月に5万5,507人であったものが、令和2年4月には6万2,457人になり、待機児童数は減少しています。また、男性の育児休暇取得率は、平成22年度実績は4.6%だったものが令和元年度実績では13%になるなど、個々の取組は着実に成果が出ていると思われます。
その一方で、本県の合計特殊出生率は、平成27年度の1.6をピークに下降を続け、令和2年度は1.49となり、令和2年度全国平均の1.34に比べれば平均以上と言えなくはないですが、ひろしま未来チャレンジビジョンで、県民が希望する出生率として掲げられた1.85は大きく下回っています。
少子化対策のための個々の取組については、成果が出ていると思われますが、これまでの少子化対策全体の取組についてどのように評価しているのか、
健康福祉局長にお伺いします。
2: ◯答弁(
健康福祉局長) 本県におきましては、県民の皆様の結婚や妊娠、出産の希望をかなえることや子育てに対する安心感を醸成することが、出生率の向上に寄与するものと考え、結婚を希望する若者の出会い・結婚支援、妊娠を希望する夫婦の不妊検査・治療の助成、妊娠期から子育て期まで切れ目のない見守り・支援を行うひろしま版ネウボラの構築などに総合的に取り組んでおり、令和2年の合計特殊出生率は1.49と低下傾向にはあるものの、全国平均を上回る水準を維持しているなど、成果が現れていると考えております。
しかしながら、第2次ベビーブーム世代が40代後半となり、出産適齢期の女性人口が減っていく中、長期的なトレンドとして今後も出生数が減少傾向となることは避けられないと受け止めております。
そうした中でも、安心して妊娠・出産・子育てができる環境づくりを進めることで、県民の皆様が、希望する時期に結婚や出産ができ、かつ、希望する数の子供を持つことができる社会を実現できるよう、引き続き取り組んでいくことが必要と考えております。
3: ◯要望・質疑(玉重委員) 今、安心感を求めた環境づくりができていると思いますが、外国等の結果を見ても、やはり経済的支援も踏まえて総合的に支援していかないと、なかなか出生率は上がっていかないという結果が出ていると思います。今は経済支援もかなりされていますが、今後はその辺を視点に入れながら、もっと思い切った投資を知事にもお願いしたいと思っています。
2点目に入ります。若年層に対する少子化対策についてお伺いします。
「広島県版 合計特殊出生率「見える化分析」」によれば、年齢階層別有配偶女性千人当たり出生数は、20~24歳が高い一方で、年齢階層別女性有配偶率、つまり、結婚している女性は、この年齢層が最も低くなっています。
20~24歳といえば、社会的な経験が浅く、また、経済的な面からも結婚・出産に対して不安を抱く人が多い世代であると考えます。
この年齢層が、結婚、出産及び子育てへの安心感を持つことができれば、少子化を食い止めることにつながるのではないかと考えていますが、少子化対策について、今後、どのような取組を進めていかれるのか、
健康福祉局長にお伺いします。
4: ◯答弁(
健康福祉局長) 複数部局にわたるお尋ねでございますが、私が代表して答弁いたします。
本県では、若い世代が、結婚、妊娠・出産、子育て、仕事を含めた将来のライフデザインを、希望を持って描き、様々なライフイベントに柔軟に対応できるよう、20代前半の若者をターゲットに、妊娠・出産に関する様々な知識、自身のライフデザインを考える機会を提供するとともに、若者の結婚、妊娠・出産、子育ての希望の実現を後押しするための様々な取組を進めているところでございます。
具体的には、結婚を希望する若者の希望の実現を後押しする出会い・結婚支援、妊娠を希望する夫婦に対する不妊治療の助成、全ての子育て家庭が安心して暮らし、子育てができるよう、子供を取り巻く関係機関が連携し、妊娠期から切れ目のない見守り・支援を行うひろしま版ネウボラの構築に取り組んでおります。
また、若い世代が希望を実現しやすい環境づくりを進める上で、経済的安定は重要な要素であることから、正規雇用を目指す若者に対して、安定した雇用や収入が確保できるよう、ひろしましごと館でのきめ細かな就業相談や職業訓練による技能・技術の習得支援などに取り組むとともに、多様な保育サービスの充実や、仕事と子育てを両立できる環境づくりを進めております。
さらに、若い世帯に安心して子育てができる住環境を提供するため、県営住宅の優先入居や、子育てしやすいマンションを普及するための広島県子育てスマイルマンション認定制度などの取組を行っております。
今後も、若者が将来にわたる展望を描き、安心して結婚、妊娠・出産、子育てできる環境を整備できるよう、引き続き、これらの総合的な対策を進めてまいります。
5: ◯要望・質疑(玉重委員) 今、局長がおっしゃったように、将来にわたって安心して生活できるビジョンが描けないと、なかなか出産に踏み切れないと思います。
私は、24歳で一子目の子供ができたのですが、当時は終身雇用も崩れかけていた時代であり、本当にこの子を大きく育てることができるのだろうかという経済的な不安に襲われました。今、この立場にさせてもらえるというのが分かっていれば、第2子も早めにつくれたのですが、そこで不安に負けてしまって、娘には本当に申し訳ないのですが、第一子だけで少子化対策に貢献できなかったところもあるかと思っています。
ぜひ行政がしっかりバックアップして、そういった不安を解消していただきたいと思います。やはり少子化が解消しないと、いくらデジタル化を進めても、日本の国力を維持できないと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次は、空き家活用検討事業について、2点お伺いします。
1点目は、空き家活用検討事業の取組についてお伺いします。
空き家対策については、空き家の発生抑制、有効活用及び危険空き家対策の3つの要素があると認識しております。私は、そのうちの老朽化した危険な空き家への対策と利用可能な空き家の積極的な活用に注目しております。
空き家対策の活用については、昨年度の12月定例会でも質問しましたが、適散・適集社会のフロントランナーを目指す広島県としては、特に中山間地域において課題となっている空き家を有効に活用して、移住・定住の推進や地域のにぎわいにつなげていく必要があると考えています。
令和2年度の実績を見ると、目標値70件に対して、実績値80件、また、私の地元の安芸高田市では、ここ5年間で空き家バンクを通じて新たに入居が決まった成約件数が県内で一番多いと聞いております。
これは、県や市町のそれぞれの取組が成果として現れているのだと思いますが、県として目標が達成された要因について、どのように分析しているのか、
都市建築技術審議官にお伺いします。
6: ◯答弁(
都市建築技術審議官) 空き家活用の推進につきましては、県内の市町等の空き家バンクの情報を集約したひろしま空き家バンク「みんと。」により、県内外の移住希望者に向けた効果的な情報発信を行うとともに、空き家活用推進チームを設置し、専門家の派遣による地域課題の解決に向けた技術的な助言を行うなど市町の取組を積極的に支援してまいりました。
昨年度からは、ひろしま空き家バンク「みんと。」の新規サイト訪問者数と空き家バンクの成約数には相関関係があることに着目し、新たな取組として、新規サイト訪問者の獲得に向けた情報発信の強化を図ってまいりました。
具体的には、地方移住のニーズの高まりを捉え、空き家を活用した多様なライフスタイルの発信や、ターゲットを絞った効果的なウェブ広告の実施、さらには、AI移住相談窓口との連携による「みんと。」の空き家物件の紹介などに取り組んできたところでございます。
また、市町においても独自の取組が積極的に進められており、例えば、成約数が県内最多である安芸高田市におかれましては、空き家バンクの登録に対する奨励金の交付や、不動産事業者が契約をサポートする仕組みの構築、空き家の購入・改修に対する補助などの様々な創意工夫により、大きな成果が出ているところでございます。
こうした、県と市町の取組の相乗効果により、空き家バンクの成約数が増加し、目標を達成することができたものと考えております。
7: ◯質疑(玉重委員) 2点目は、今後の取組についてです。
県の取組が効果的に機能していることは理解しましたが、昨年からのコロナ禍により、地方への移住を探る動きは増えており、空き家バンクでの成約件数も伸びている今、利用可能な空き家をどんどん掘り起こし、空き家バンクへの登録件数を増やすなど、空き家を今以上に流通させていくことが重要と考えますが、今後の取組について
都市建築技術審議官にお伺いします。
8: ◯答弁(
都市建築技術審議官) 空き家の流通促進には、多様な居住ニーズに対応する物件の掘り起こしを継続して行うことで、移住希望者の住まいの選択肢を増やすとともに、空き家の活用に関する様々な情報を積極的に発信していくことが重要であると考えております。
物件の掘り起こしにつきましては、地域との連携が必要であることから、空き家活用推進チームの専門家を派遣し、地域課題の解決を図るとともに、空き家の活用により地域のにぎわい創出につながった成功事例や、空き家を放置することによる地域環境やまちづくりなどへの社会的影響といった課題の共有などにより地域の機運醸成を図り、利用可能な空き家の空き家バンクへの登録を促してまいります。
また、多様な空き家の活用事例や移住希望者のニーズに沿った情報等をひろしま空き家バンク「みんと。」に定期的に追加するなど、ウェブサイトの魅力を高めるとともに、移住希望者の住まいの選択肢の一つとして空き家を検討していただけるよう、デジタルマーケティングを活用した効果的なウェブ広告の実施など、情報発信の強化に努めてまいります。
県といたしましては、今後とも空き家対策推進協議会等を通じて、国や市町、関係団体と連携し、さらなる空き家の有効活用に積極的に取り組んでまいります。
9: ◯質疑(玉重委員) 引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次は、再度災害防止に向けた対策についてお伺いします。
平成30年7月豪雨災害の災害復旧事業については、令和2年度末時点での契約済み箇所は全体の98%になったと聞いております。
一方、昨年の梅雨前線豪雨、今年7、8月の豪雨発生により、県内各地で大変多くの被害が生じた結果、平成30年7月豪雨災害の災害復旧事業の一部に遅れが生じていると聞いております。
また、私の地元、安芸高田市の多治比川においても、8月の豪雨により堤防が決壊し、家屋への浸水被害が発生したところです。
こうした災害の激甚化・頻発化を踏まえると、迅速に復旧作業を進めていただくだけでなく、県土強靱化を着実に進めていく必要性を改めて感じております。
度重なる豪雨への備えとして、改めて災害が発生しないような対策を講じていくことが必要であると思いますが、今後どのように取り組んでいくのか、
土木建築局長にお伺いします。
10: ◯答弁(
土木建築局長) 近年、気候変動により異常気象が激甚化・頻発化し、大規模な災害が毎年のように発生しており、本県におきましても、本年7月、さらに8月には、平成30年7月豪雨に匹敵するような記録的な豪雨により、県内各地で土砂災害や河川の氾濫による被害が多数発生したところでございます。
この豪雨災害からの復旧に当たっては、被災原因を十分に分析した上で工法を選定するとともに、再度災害防止の観点から被災箇所周辺も含め一体的に整備を行う改良復旧等の活用を図っていくこととしております。
具体的には、三原市の天井川におきましては、破堤した箇所も含めた一連区間における堤防強化を、竹原市の本川におきましては、市の下水道と連携した内水対策も含めた治水対策を、安芸高田市の多治比川及び東広島市の三津大川におきましては、一連区間の河道拡幅等による流下能力不足の解消などの再度災害防止に向けた復旧計画案について、現在、国及び市と協議を進めているところでございます。
一方、度重なる豪雨災害を踏まえ、機動的に災害復旧・復興に取り組むだけでなく、河川改修や砂防ダムの整備、河川内の堆積土の計画的な除去など、防災・減災対策に重点的に取り組んできたことにより、本年7、8月の記録的な豪雨においては、砂防ダムによる土砂の捕捉や浸水被害の軽減が図られるなど、一定の効果が確認されているところであります。
引き続き、事前防災のためのハード対策を着実に推進するとともに、流域全体で水害を軽減させる流域治水の考え方に基づき、あらゆる関係者による様々な取組を総合的かつ多層的に進めるなど、将来にわたって安全・安心に暮らすことができる県土の強靱化に取り組んでまいります。
11: ◯質疑(玉重委員) 時間が押してきましたので、最後に簡素に知事に伺います。
人口減少対策について、先ほどから少子化対策、空き家活用検討事業、再度災害防止に向けた本県の取組をお聞きしてきました。
これら全ては、私個人としては、少子化が解消できなかったために起こったものと思っております。それに対して新たな4期目の挑戦が始まる知事は、これまでの少子化対策を踏まえて、今後どうやって解消していくか、お考えを伺います。
12: ◯答弁(知事) 日本の総人口は、減少局面に入っているところでございますが、本県においても、2060年には214万5,000人まで減少するとされておりまして、さらなる人口減少の進行が予測されております。
こういった人口減少を引き続き重要課題と捉えまして、新しいビジョンにおきましても、子供・子育て、教育、産業イノベーションなど、全ての施策領域を連関させ、相乗効果を生み出していき、それによって地域社会全体の価値を高めて、人口減少の抑制に取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、各施策領域における取組につきましても、しっかりと成果目標に対する達成状況などを見ながら、PDCAを回して、効果的な取組となるよう取り組んでまいる所存でございます。
13: ◯要望(玉重委員) ぜひ期待しておりますので、よろしくお願いします。
14: ◯質疑(恵飛須委員) 自民議連の恵飛須圭二です。本日は、県立学校の施設の配置、周辺環境について、DXの推進についてという大きく2点についてお伺いいたします。早速ですが、質問に入らせていただきます。
私が選出された東広島市に県立学校が9校ございます。
近年、本県においては毎年のように災害が発生しており、危機管理に対する認識も高まっております。このことは、マイ・タイムラインや災害ポータルなどの積極的な県の発信からも明らかであり、県による情報発信や災害対策への期待は、より強大なものになっていると認識しております。
そんな中、災害に対する復旧作業は、各事業者の御努力のおかげで進みつつある一方で、イエローゾーンやレッドゾーンなど災害リスクの高い区域の指定も進んでいるところであり、このような災害による危険が予想される地域における災害対策やその危機管理は、依然として取り組むべき喫緊の課題として捉えられ、予断を許さない状況にあります。
そこで、県立学校の現地視察を踏まえて、教育長に幾つか質問させていただきます。
まず1点目ですが、県立学校において、イエローゾーン、そしてレッドゾーンの指定区域内に校舎等の建物が位置する学校は何校あり、それらは全部で何棟あるのか、お伺いいたします。
15: ◯答弁(教育長) 県立学校におきましては、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンに建物が位置している学校は51校、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンに建物が位置している学校は24校でございます。
また、これらの学校において、校舎や体育館など、児童生徒等の学習や生活の場として継続的に使用する建物につきましては、イエローゾーンに184棟、レッドゾーンに54棟ございます。
16: ◯質疑(恵飛須委員) かなりの数がイエローゾーンやレッドゾーンに位置しています。
今回は、県立黒瀬特別支援学校についてですが、明確に校舎の中にイエローゾーンの指定区域がかかっている箇所がございます。さらに、現地視察を通して、校舎の裏側は高い急斜面となっていることを確認いたしました。
特に、特別支援学校の児童生徒は、肢体が不自由であったり、意思疎通が苦手な児童生徒が多いこともあり、万が一のケースを考えると、避難指示を出す側も出される児童生徒も、さらには学校に送り出す親御さんも、背筋の凍る思いなのではなかろうかと察します。
災害はいつ発生するか分からないという中で、例えばこのケースではいつまでにどういった対応をするのか、教育長にお伺いいたします。
17: ◯答弁(教育長) 土砂災害防止法などにより、レッドゾーンにおきましては、新たに建物を建築する場合などに、構造の強化などが求められており、イエローゾーンにおきましては、市町に対し、地域防災計画において、土砂災害に関する情報の伝達方法や、避難場所に関する事項などを定め、警戒避難体制を整備することが求められています。
このため、県教育委員会におきましては、御指摘のイエローゾーンに位置する県立学校につきましては、市町の地域防災計画や学校の実態に応じた避難訓練を実施するなど、ソフト面の対策を行っているところでございます。
黒瀬特別支援学校につきましては、イエローゾーンに位置していることもあり、東広島市と連携して土砂災害時の避難確保計画を作成しており、この計画では土砂災害発生時の防災体制や避難誘導の方法などについて、定めることとしております。
今後は、この計画に沿った対策を行うことにより、児童生徒の安全を確保してまいります。
18: ◯質疑(恵飛須委員) 加えてお伺いしたいのが、当該校の最も新しい校舎の設置は平成31年3月であります。平成30年の豪雨災害の後になりますが、ここに新しい校舎を設置するに至った経緯を改めて教育長に御説明いただきたいと思います。
19: ◯答弁(教育長) 黒瀬特別支援学校におきましては、児童生徒数の増加により、平成31年4月に4教室の不足が見込まれ、緊急に新たな校舎を整備する必要があったことから、平成30年6月定例会において補正予算を御議決いただき、同年10月に着工し、平成31年3月に整備が完了しました。
この校舎を含む学校の敷地の一部につきましては、土木建築局が土砂災害防止法に基づく基礎調査を実施され、平成31年3月にイエローゾーンに該当することが公表され、令和元年8月に指定に至ったものでございます。
20: ◯質疑(恵飛須委員) 先ほどソフト対策の御説明もありましたが、特別支援学校の児童生徒については、ソフト対策だけでは対応が厳しいのではないかと、教室を拝見させていただく中で非常に強く感じたところであります。
そこで、新しい校舎の完成後にイエローゾーンの指定がされたとのことで、やむを得ない部分もありますが、当該校が危険な場所にある事実は変わりありません。法律ではそこまで求められていないというのではなく、児童生徒の特性や、現場の状況等によっては、ハード面の対策も必要と考えております。
そこで、イエローゾーンだからというのではなく、児童生徒の安全確保を第一に考え、万全の対応を取るべきと考えますが、今後、県立学校において、これらの対策をどのように取っていく考えか、改めて教育長の認識をお伺いします。
21: ◯答弁(教育長) 県立学校施設は、児童生徒等の学習や生活の場であることはもとより、非常災害時には、地域住民の避難場所としての役割も果たすことから、安全対策を進めていく必要があると認識しております。
県教育委員会といたしましては、イエローゾーン及びレッドゾーンの指定の有無を問わず、全ての県立学校において、危機管理マニュアルが作成されており、学校敷地内において、土砂災害の発生時に危険となる区域の周知や、避難する場所や経路の確認、土砂災害を想定した避難訓練の実施など、それぞれの実態に応じた取組を行っているところでございます。
とりわけ、市町の指定を受けた県立学校については、全ての学校において、避難確保計画が作成されており、警報や注意報のレベルに応じた防災体制の整備や、幼児、児童生徒が災害時に安全に避難場所へ移動するための手段などを講じているところであり、引き続き、ソフト面の対策を行うことで児童生徒等の安全を確保してまいります。
22: ◯要望・質疑(
恵飛須委員) ソフト面の対策をしていただくことは重々承知しておりますが、今、学校教育現場においては、国を挙げて強く推進しているGIGAスクール構想に関わる教育政策等、学校においてどのような教育が実践されているかが注目されがちであることも確かです。
実際に視察の中でも、各校が様々な工夫と御努力の中で、新しい教育スタイルに挑戦されていることがよく分かりました。こうした中で、万が一もあってはならない、つまり人災といわれる結果を招かないためにも、適正な予算執行による早急な対応を強くお願いしたいと思います。
続いて、本県のDXの推進についてお伺いいたします。
昨年度はコロナ禍にあり、DX推進事業についても、一部事業の見直しを行い、執行を見送った取組がありました。予期せぬ緊急事態であり、スケジュールを見直したことは理解できますが、一方で、DXはウイズコロナ、アフターコロナにおける新しい生活様式への対応にも大きく寄与するものだと言われており、推進の核となる組織の推進力に今後一層期待したいところでございます。
そこで、昨年11月に、産学金官のあらゆる主体がDXを実践していくための活動体として設立した広島県DX推進コミュニティについて、この1年の活動状況と今後の展開について、山田副知事にお伺いいたします。
23: ◯答弁(山田副知事) 広島県DX推進コミュニティでございますが、昨年11月の設立からこれまでの間、県内で働く全ての方を対象としたDXの基礎を学ぶ研修、政策動向や県の取組を紹介するセミナー、DXの取組事例を研究する勉強会、経済団体や業界団体、市町における講演・セミナーへの講師の派遣、市町におけるDXの取組の紹介、スマートフォンなどデジタルツールの活用方法を説明する動画の配信などの活動を行っております。
現在、県内企業、教育機関、行政等296者に参加いただいており、これまでに製造業や飲食業のDX、商店街のデジタル化の取組などを題材としたオンラインセミナーを12回開催し、約4,200回御視聴いただいているほか、県のDXの取組を紹介する講演活動等も68回行っております。
今後は、DXのさらなる加速に貢献できるよう、これまでの取組に加え、DXの実践に必要な人材について、人材像の明確化や確保・育成方策の研究、データを活用できる力の獲得の支援や活用できるデータの充実といったデータ利活用環境の構築、DXの実践に活用していただける国や県などの支援事業やサービス等の情報の整理、発信などに取り組んでまいります。
24: ◯質疑(
恵飛須委員) 市町においてもデジタル化、DXに取り組む動きがある中、私の耳に入ってくる情報の限りではございますが、推進体制は元々あった部署からの変換であったり、他部署からの兼務人材が多かったりと、リソースに関して不安視する声がございます。
令和2年度の実績として、市町のニーズの把握、企業等に対するDXの理解度や取組、課題に関する調査を実施したとありますが、その結果を市町、企業等のそれぞれについて、どのように総括しているのか、山田副知事に伺います。
25: ◯答弁(山田副知事) 市町のニーズ、課題につきましては、全23市町と意見交換を行ったところ、多くの市町が地域課題の解決にデジタル技術を活用したいとの意向を持っており、具体的な取組を進めようとしている一方で、組織内でのDXへの理解や実践意識の醸成が不十分である、あるいはDXによって解決したい課題やそれらの優先づけが明確になっていない、デジタル技術に精通した職員が不足している、光ファイバー等の情報通信基盤が不十分であるなどの課題があることが分かりました。
企業等の実態につきましては、昨年度実施した実態調査の結果によりますと、DXを知っていると回答した事業者等が約2割、デジタル技術の活用も含めたビジネス変革の必要性を感じ、既に取り組んでいると回答した事業者等も約2割にとどまっており、DXに対する認知や実践意識の醸成が十分に進んでいないことが分かりました。
また、デジタル技術を活用したくても、デジタル人材の育成・確保ができていないこと、目標が明確でないこと、費用的負担が大きいことなどが障壁となり、取組が進まないということもございました。
このように、市町や企業等においてはDXを実践していく際に、様々な課題に直面していますので、県といたしましては、引き続き、市町や企業等の活動状況を踏まえ、ニーズに応じた支援を行うことが必要と考えております。
26: ◯質疑(
恵飛須委員) 今御回答いただきましたけれども、課題をたくさん整理していることがよく分かりました。
ただ、一つ一つの課題が、結構重たいという印象を受けておりまして、特に市町の中でのばらつきもあります。その中で県としてどのような旗振りをして進めていくかが非常に重要と思います。
その上で、この数年の県の取組を見ていると、民間企業においてはひろしまサンドボックスのように、技術や人材を集積して県内企業に横展開していこうという動きがある一方で、市町においては、DXに取り組むために必要な技術力や職員のモチベーションと現実の間には、非常に高い壁があるように感じています。
そこで、これまでの課題の整理を踏まえて、市町の技術差や温度差の打開策として具体的にどのようなことを考えているのか、山田副知事にお伺いします。
27: ◯答弁(山田副知事) 市町におけるDXへの理解や実践意識が様々異なっておりますので、そういった意味では、市町のトップに対する取組、あるいは市町の職員に対する取組のそれぞれが必要と思っております。
市町のトップに対しては、市長会や町長会、個別の会談などの機会に県のビジョンや方向性の共有を行う、市町の職員に対しては、DXの基本的な考え方や先行事例を学ぶ機会を提供する取組のそれぞれが必要ではないかと思っております。
また、市町が具体的な取組を進めようという段階では、デジタル技術で解決したい課題の整理、あるいは課題とデジタル技術を結びつけて具体的な事業を企画立案する、事業の執行管理を適切にするといったことが課題になりますので、これまで課題の整理や事業の企画立案を行う際の技術面や制度面での助言、あるいは中山間地域におけるデジタル技術を活用した地域課題解決に対する技術的・財政的支援などを行ってきております。
さらに、デジタル技術に精通した人材の確保・育成につきましては、本年4月に、県と市町が共同で研究会を設置して、これまで3回の研究会で、必要な人材像や現状、課題について意見交換を行い、内部人材の育成や外部人材の登用など具体的な確保手法等を検討しております。
28: ◯質疑(
恵飛須委員) DXを推進するべきということに関しては、国を挙げての活動になりますので皆さんがイエスと答えると思いますが、実際にはその中身は分かりづらい部分があると思います。それは新しい技術だからこそだと思います。
昨年度執行を見送った事業として、行政のオープンデータ、県と市町のデータ連携・交換機能の調査・検討がありました。
手続のオンライン化などは、県民にとってもなじみがあり、その利便性も実感しやすいのですが、オープンデータやデータ連携・交換と言われても、それがどういうことで、これらを進めることでどのようなメリットがあるのか、県民には分かりにくいものと思います。
また、市町においても、技術的な側面や人材確保・育成等の課題もあり、目の前の業務に追われている中で、データ連携・交換機能を整備すると言われても、その目的やメリットがきちんと伝わっていなければ、余計な負担が増えると感じ、取り組むモチベーションが湧いてこないのではないかと感じます。
そこで、行政のオープンデータや県と市町のデータ連携・交換とは、具体的に何を実現するためのものなのか、山田副知事に伺います。
29: ◯答弁(山田副知事) 県、市町では、適切な現状分析を踏まえて、サービスを設計し、スピード感を持って提供していく必要がございます。
しかしながら、人員や財源、時間が限られる中にあっては、行政自身が保有するデータを有効活用することが重要であり、こうした取組を広げていく必要がございます。
行政保有データの有効活用の具体的な例といたしましては、例えば、防災情報について、県、市町それぞれが保有するデータを連携し、同一地図上に表示できる仕組みを使うことで、発災時には、効率的かつ的確に災害状況等の把握・共有ができて、適切な避難情報の発令や被災者支援などの必要な対策を速やかに講じることが可能となります。
また、道路や河川等のインフラに関する情報について、例えば、3次元点群データなど、国や県、市町、さらには民間が保有するデータも共有することにより、建設工事の設計や施工、維持管理において、デジタル技術を活用した建設機械等の活用による省力化や点検作業の高度化などが期待でき、全県的に効率的かつ効果的なインフラ管理が可能になると考えております。
このほか、行政のオープンデータには、行政が保有するデータを活用しやすい形で公開することで、民間におけるデータの活用の機会を増やし、データを活用した新しいサービスやビジネスの創出、企業活動の活性化を促す狙いもございます。
このように、県及び市町それぞれの組織内はもとより、組織を越えて、信頼性の高いデータを共有し、官民の様々な主体が連携してデータを活用した地域課題の解決や経済活動に取り組めるよう、行政のオープンデータや県と市町のデータ連携・交換ができる環境の構築を積極的に進めてまいります。
30: ◯質疑(
恵飛須委員) 時間も迫ってまいりましたので最後の質問になります。
実際に県民市民にとって何が変わるのか、私自身も説明を求められる立場でもありますし、一朝一夕には整備できないことも理解しております。
段階的な達成目標とスケジュールを示すことで、予算執行や決算における明快な説明をしていくことが県民への責任と考えております。
そこで、本県のDXがどういう姿を目指して、段階的にどのような施策をもって進めようとしているのか、ロードマップを具体的に説明いただきたいと思います。時間に限りがありますので、よろしくお願いいたします。
31: ◯答弁(山田副知事) まず、計画的に進めていくという意味で、今後3年間、広島県行政デジタル化推進アクションプランに基づいて、県庁自身のデジタル化を進めていきたいと思っています。
また、県内企業等においてはDXの取組状況が異なりますので、まずはDXを理解、実践していただける環境を整えていく取組を進めていきたいと思っております。
今、各種情報発信活動や研修活動、勉強会などを行っておりますが、今後こうした取組を充実させることで、先ほど申したとおり、DXの認知度は現在では約2割でございますが、令和5年度には8割に到達することを目指していこうと考えているところでございます。
また、人材の取組につきましては、引き続き、様々な研修活動といった取組を進めてまいりたいと思っております。
また、データ環境につきましても、いろいろなデータの研修などを行っており、データ連携基盤の構築なども取り組んでおります。
県といたしましては、こうした取組方針を県民の皆様にも分かりやすくお伝えして、目指すべきレベルや目標の設定も含めて、本県のDXの進捗を見える化することで、全県的に一体感を持ってDXを推進していきたいと考えております。
32: ◯質疑(高田委員) 民主県政会、安芸郡選出の高田 稔でございます。本日は、昨年9月及び今年6月の一般質問でも述べさせていただきましたが、将来にわたり広島県経済が発展し続けるために必須であるカーボンニュートラルへの取組と、それらを支えるデジタル人材の地産地活の取組をテーマとして質問及び要望させていただきます。
まず最初に、広島県経済の現状認識についてお伺いいたします。
一昨年の12月に、武漢で第1例目のコロナウイルス感染者が報告されてから、もうすぐ2年になりますが、この間に我々は多くのことに気づかされました。例えば、密を避け、外出リスクに対応するために始められたテレワークなどにより、地方都市の価値が見直され、東京一極集中に歯止めがかかり、広島県への就職者や移住者が増加するのではないかと期待しておりました。
しかしながら、実態は、都道府県魅力度ランキングを見る限り、広島県の順位は改善せず、また、移住希望地ランキングにおいては、順位こそ健闘しておりますけれども、実際の出入りを見ると、ここ1年間で約6,500人の転出超過となっており、その半分を東京圏が占めているという状況です。
また、経済面では、次世代の県経済を支える柱の一つと捉えている観光関連産業においては、ホテルや交通はもちろんのこと、肉や野菜の生産者にまで影響が及んだり、基幹産業である自動車関連産業においても、需給のバランス変化による半導体不足や東南アジアのロックダウンによる部品不足により、記録的な減産を余儀なくされ、地場の部品製造企業はもちろん、それを支える小規模事業者や港湾や物流業者など多岐に影響を及ぼし、改めてサプライチェーンの複雑さを思い知らされました。
今後は、このような環境変化や外乱に対して強く、企業の進出先や学生の就職先として選ばれる広島県の産業構造とすることが重要であり、そのためのポートフォリオや強みとして強化していくべき領域などについて再整理が必要になっていると思います。仮に今、知事が新卒者であったとして、どのような条件がそろえば広島県を選ばれるでしょうか。
そこで、コロナ禍による広島県の経済に対するインパクトを踏まえ、今後の産業構造に対する考え方について知事にお伺いいたします。
33: ◯答弁(知事) 本県の産業構造につきましては、自動車、造船などの輸送用機械をはじめ、電機、鉄鋼などのものづくり産業が基幹産業として、本県の経済を支えてきたところであります。
また、観光関連産業のほか、健康・医療関連産業、環境・エネルギー産業など、将来の産業の柱の一つとなり得る新たな産業の育成に重点的に取り組んできたところでございます。
新型コロナ感染症の拡大による影響によりまして、本県経済は厳しい状況が続いており、とりわけ飲食や宿泊業、旅行業など、対人型サービスを中心とした特定の産業については極めて大きな影響を受けているところでございます。
このため、こうしたパンデミックや世界的なカーボンニュートラルへの流れに対応した技術革新など、急激な環境変化にも対応できる柔軟な産業構造を構築することの重要性について、改めて認識しているところでございます。
このため、これまで本県の強みとされてきました基幹産業である輸送用機械などの、ものづくり産業のイノベーション力を強化し、高付加価値化に取り組むとともに、本県ならではの価値を提供し、周遊滞在、リピーターの獲得を促進している観光関連分野や、ゲノム編集技術等を活用した健康・医療関連分野、カーボンリサイクル技術を含めた環境・エネルギー分野など、新たに本県の強みとなる可能性のある新成長産業のさらなる育成を図るほか、今後大きな成長が見込まれるデジタル系企業の集積や、スタートアップ企業への支援などに取り組んでいくことで、複数の分野・領域が柱となるしなやかな産業構造の構築を図ってまいります。
34: ◯質疑(高田委員) 強みであるゲノム編集あるいは環境リサイクル技術を生かしながら、基幹産業であるものづくり産業に加えて、新たな成長産業として、観光領域、医療、環境エネルギーあたりに注力する、あるいはデジタル産業の集積にも努めることによって柔軟な産業構造としていく。これによって、かつての新卒者、湯崎青年であっても、わくわくしながら広島県を選んだであろうという御答弁だったと理解いたしました。
私も新たな成長産業として広島県が取り組むべき一つの方向性は、環境エネルギー分野であると確信しております。CO2と温暖化の関係について、科学的に正しいのかと疑問を呈する向きもあるようですが、欧米中の自動車関連の規制の動向や、各国の脱炭素に対する桁違いの公的資金の投入計画を見る限り、世界の覇権争いそのものであると考えるのが自然だと思います。そしてこれは見方を変えると、大きなビジネスチャンスでもあり、広島県としてはそれに乗り遅れない、あるいは積極的にリードしていくぐらいの気概が必要であると感じております。
6月定例会において、広島県の取組についてお伺いしたところ、湯崎知事自らが先頭に立ちカーボンニュートラルを推進する、カーボンリサイクルの先進地区とすべく研究開発の支援を行う、環境エネルギー産業における新ビジネスを創出するため再生可能エネルギーにおける産学官連携による研究会を設置する、産業を支えるゼロカーボンエネルギー化に向け中国地方知事会とも連携し、国や電力会社に働きかけを行うなどの力強い御答弁をいただきました。
そして、研究開発の事例としては、大崎上島での石炭火力発電所からのCO2の回収の取組や成長の早いコウヨウザンのバイオマス発電への活用の取組などについて、各関連部局からの説明も受けました。
ところがその後、COP26では、石炭火力発電に対する逆風が、あるいはEUを中心にバイオマス発電に対する逆風が吹き始めているのは御存じのとおりでございます。
このように、短期間で世の中の動きが変化する中、もちろん多くの部分は国が主導すべきだとは考えますが、この大きなビジネスチャンスに対して広島県はもっとスピード感を持って能動的に動くべきだと思っております。
そこで、例えば、経済産業省がまとめているカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を受けて、広島県版のグリーン成長戦略をまとめ、国からの支援を積極的に引き出していくような攻めの活動はできないのかと常任委員会でお伺いしましたが、他県での事例がないことなどから、よい答弁はいただけておりません。
そこで、改めて、現在のように各部局がばらばらと独自の取組を行うのではなく、産業構造や地域特性などを俯瞰して、庁内全体が連携して総合力を発揮できるような仕組みと政策的な取組が必要になってくると思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。
35: ◯答弁(知事) 御承知のように、我が国におきましても、温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すということで、削減目標の引上げなどの取組が進んでおります。
その中で、本県におきましても、これまで本年3月に、2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す、2050ひろしまネット・ゼロカーボン宣言を行って、5月には、脱炭素社会の実現に資するカーボンリサイクル技術の社会実装を推進するため、産学官による広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会を設立するなど、取り組んできたところであります。
さらに、御指摘のとおり、先日開催されたCOP26では、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える努力を追求すること等が世界的に合意されるなど、国際的な情勢も大きく変化しております。
今後は、こういった国際情勢や国の動向を踏まえ、産業・運輸・民生等、部門別の排出量の削減目標を引き上げるなど、昨年度策定した第3次広島県地球温暖化防止地域計画の見直しを進めていくこととしておりまして、庁内の横断組織であります地球環境対策推進会議をはじめ、幅広く関係者の皆様との連携や施策の調整を行っているところでございます。
また、カーボンニュートラルに向けた取組を、産業構造や経済社会の変革をもたらす大きな成長・発展のチャンスと捉えて、カーボンリサイクルに係る研究者や企業などの集積、本県の基幹産業である自動車、造船などのものづくり企業が実施するカーボンニュートラル実現に向けた取組への支援などに取り組んでまいります。
カーボンニュートラルの実現は、世界的に大きな潮流となっており、本県としても重要な課題として、様々な分野における取組の加速に向けて、今後の庁内推進体制の在り方につきましても、引き続き検討してまいりたいと考えております。
36: ◯質疑(高田委員) 問題認識としては同様であることと、今後、庁内でどのように取組を行うかについては継続して検討していただけることと理解いたしました。ぜひとも、全庁の総合力を発揮できるような取組につなげていただきたいと思います。
続いて、カーボンニュートラルという大きなビジネスチャンスを生かすに当たっては、広島県が現在持っている強みやアセット、将来の産業構造などを俯瞰し、限られた資源を研究開発、設備、人材育成などに重点的に投資する必要があります。
その一つの方向性が、先ほど申し上げましたカーボンリサイクル技術の研究開発だと理解しております。そして、それに加えてもう少し現実的な方向性として、自動車の電動化、すなわちEV化とそれに関わる周辺技術と産業育成に取り組むべきと考えております。
広島県の製造品出荷額は約10兆円ですが、そのうちの3分の1は自動車関連です。そして、さらにその4割近くはプレスや機械加工、樹脂成形といったファンダメンタル領域であり、このままでは、DX、CASEといった新分野の付加価値に押されて、コモディティー化し、価格競争に追い込まれる可能性がある領域であると言わざるを得ません。
一方で、地域の各企業は、既にこのファンダメンタル領域のものづくりに関しては、極めて高い世界レベルの技術を持っているわけですから、うまくEV化の波に乗り、バリューチェーンの上流、すなわち研究技術開発領域にシフトし、付加価値を創出できる企業に移行するべきです。そして、これを実現するためには、まずは今後のEV化に向けて、広島県の英知を集め、地域企業の特性に見合った技術課題を抽出すると同時に、課題解決のための人材を育成する体制──プラットフォームをつくることから始めるべきであると考えます。
その際、県立総合技術研究所にも参画いただき、将来のEV関連産業のあるべき姿を描き、地場企業を支える研究テーマに取り組むと同時に、今後必要となる研究設備を見極め導入するなど、地場企業の研究開発支援機能を強化していただきたいと思います。
さらに、ひろしま産業振興機構の新技術トライアル・ラボなどとも連携し、シナジーを生かしながら、確実に成功させる効果的な活動とすることも重要です。
このように、今後、自動車の電動化とこれに伴う周辺技術と地場産業を育成するための体制づくりが必要になると思いますが、どのように取り組む計画か、商工労働局長にお伺いいたします。
37: ◯答弁(商工労働局長) 自動車産業におきましては、カーボンニュートラルへ向けたCO2排出量規制の厳格化やCASEといった大変革期を迎えており、世界各国において進展する自動車の電動化の動きに早急に対応していく必要があると考えております。
このため、ひろしま産業振興機構の新技術トライアル・ラボにおきまして、西部工業技術センターとも連携し、車体の軽量化や騒音・振動の低減など車内環境に関する基礎実験を行うなど、サプライヤーの企画提案力の向上や開発人材の育成に取り組んでいるところでございます。
今後はこうした取組に加えまして、総合技術研究所とも連携し、県内中小企業が電動化に対応した部品の開発やデジタル技術の活用などによりまして、付加価値率の高い領域へ進出するための体制づくりも含めました自動車の電動化に向けた支援策について検討を行ってまいりたいと考えております。
38: ◯要望・質疑(高田委員) 電動化の流れにうまく乗って、県内の中小企業を含めて、逆に生き残っていくためのビジネスチャンスと捉えて推進していくという御答弁だったと思います。
加えて、今回、令和4年度国の予算編成に向けた提案の中で、車載用電池製造に係る支援を加えていただいております。このことに対しては高く評価させていただきたいと思います。
一方で、EV化で新たに必要となる部品はバッテリーだけではありません。モーターやインバーターも必要になります。しかしながら現時点で、地元企業がそれらを開発するために必要なテスト設備すら、県内にはございません。また、既存のボディーやシャシー関連の部品でさえ、熱マネジメントや周波数特性が変わってきますので、あるいは製造時のCO2の発生を抑制する必要が出てきますので、新たな構造や製法が必要になってきます。
繰り返しになりますが、自動車の電動化をチャンスと捉えて、地場産業を育成するための体制づくりに早急に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
続いて、今後の広島県のものづくり産業を支えるデジタル人材の育成と定着のための取組についてお伺いいたします。
言うまでもなく現在、デジタル人材は引く手あまたであり、即戦力のような人材を地場企業が獲得するのは非常に難しい状況になっております。こうした中、広島県におけるものづくり経営の中小企業の特性を考慮した場合、製造や開発の効率化の領域を担うデジタル人材とソフトウエア制御により、ハードウエアの価値を革新する、いわゆるメカトロニクスの領域を担うデジタル人材の両者の育成が急がれます。
いずれの人材についても今後必要になるのは、単にプログラムが書けるといった能力だけではなく、現場現物に軸足を置き、リアルで起きている現象や問題を見抜く能力と、それをデジタル技術を活用して解決していくという能力です。
そして、今後こういった人材に広島県で活躍してもらうためには、若いうちから地元で育成し、地元で活躍し、地元で成長してもらうという、いわゆる地産地活のコンセプトの実践が必要だと考えます。
例えば、各発達段階に応じたデジタル教育の充実も必要ですし、さらにポテンシャルがある子供には特別な英才教育なども必要と考えます。また、各企業のニーズを酌んだカリキュラムの作成が必要になりますし、そのカリキュラムをパスした学生には、優先的に好条件で県内の企業に就職できるなどの特典があれば、人材の定着にもつながります。
このように、小学生から学生、社会人までを通した途切れのない育成計画とカリキュラムの展開やレベル認定制度の設定とリクルートへの活用など、各関連部局が大きな絵を描き協力することで、ものづくり産業を支えるデジタル人材の育成と定着のための取組を強化すべきと考えます。このことについて、山田副知事のお考えをお伺いいたします。
39: ◯答弁(山田副知事) 本県の基幹産業であるものづくり産業が、デジタル技術を活用し、生産性の向上やイノベーションの創出を実現するためには、これを支えるデジタル人材の育成・定着が不可欠であると認識しております。
このため、初等中等教育、高等教育などの学校教育の各段階や産業界において、デジタルリテラシーやデジタルスキルの習得を促す取組を行うことが必要であると考えております。
学校教育分野におきましては、小中学校及び県立高等学校等において児童生徒1人1台端末を導入し、日常的なデジタル機器の活用を進め、児童生徒が、将来デジタル社会で活躍する人材となるために必要な情報活用能力や主体的に学ぶ態度の育成を図っているところでございます。
とりわけ、工業系の県立高等学校では、最先端のデジタル機器を整備し、それらを効果的に活用したカリキュラムの開発に取り組むとともに、全ての県立商業高等学校では、学科を令和4年度から情報ビジネス科に改編し、情報処理に関する学習を深めるなど、地域の産業を支えるデジタル人材の育成を図っております。
さらに、高等教育段階では、県内どこの大学等においてもデジタルリテラシーを修得できる環境整備に向けて、大学教員で構成する検討チームを設置し、カリキュラムの整理等を進めております。
また、産学官で連携し、デジタル人材の育成に向けまして、ひろしま自動車産学官連携推進会議による小学生を対象としたプログラミング体験学習や、大学生、高等専門学校の学生などを対象としたAI人材の育成、ものづくりのデジタル化を担う人材の育成などの取組を進めているところでございます。
さらに、県外からのデジタル人材の獲得に向け、デジタル企業の誘致にも重点的に取り組んで、誘致した人材を含めたデジタル人材の定着を図るため、ひろしまサンドボックス推進協議会やイノベーション・ハブ・ひろしまCampsなどの活動を通じた取組、ひろしま産業振興機構のカーテクノロジー革新センターや新技術トライアル・ラボによる研修や研究活動なども行っております。
こうした取組を体系的に進めていくために、県内企業等に必要なDX人材像や確保・育成方策、その役割分担などを整理・共有し、産学官金が一体となった人材の育成・確保といった取組を県内企業等のニーズを踏まえ、質、量ともに充実した形で、育成・定着を推進してまいりたいと考えております。
40: ◯要望(高田委員) いろいろな施策を個別にやられていますが、それらを総合的に全体で俯瞰しながら、有機的につなげていくことも必要かと思いますので、その辺りに取り組んでいただきたいと思います。
湯崎知事には、今後も、決めて実行する広島県を主導していただくことを要望して、私からの質問を終わらせていただきます。
41: ◯質疑(的場委員) 民主県政会の的場 豊です。
最初の質問は、社会全体の経済活動で生み出された利潤、税の再分配についてお伺いいたします。
湯崎知事は、2009年の知事選に初当選されてからの3期12年、県庁の先頭に立ち県政運営を進めてこられました。リーマンショック後の世界的な経済環境の悪化に伴う県経済の立て直し、県内における新たな起業・創業を後押しするためのイノベーション施策の展開、観光振興では、行政ではこれまであまり使われてこなかった斬新なフレーズを用いた観光誘客等と併せ、県財政の立て直しにも取り組まれました。
結果、豪雨災害での被害、新型コロナウイルス感染拡大前までは堅調な県内経済環境を生み出し、県内総生産を見ても、知事就任前の2008年度から10年後、2018年度の実質成長率の伸び率は5.7%となりました。
この間の新規起業事業所数は、年平均で2,000件程度が創業し、また、観光客数も、872万5,000人の増加となり、それに伴い、県税や地方譲与税などの税収入等も15.3%の増となっております。
4期目のかじ取りも、度重なる豪雨災害やコロナ禍による疲弊した県内経済を再興するための経済政策を強力に推し進めていただければと思います。
ですが、私自身は、4期目の湯崎知事の県政運営に当たっては、これまでの経済政策で進めてきた利潤、税、いわゆる果実の再分配の政策に注視していきたいと考えています。
生活困窮世帯への対応、子育て世帯への支援、教育環境の整備、雇用対策等の命が脅かされている生きるための生存権を守り、人権を基底に据えた施策に再分配を行う県行政の推進が必要だと考えています。
それはなぜか。これまで見えにくくされていた格差社会の社会的課題の背景がコロナ禍によってあぶり出されたのではないでしょうか。
日本の賃金は、経済協力開発機構──OECD各国と比べても22位と低位にあり、厚生労働省が示す実質賃金指数は、2015年100に対し、2020年は98.6となり、物価の上昇に賃金が追いついておりません。さらに、2019年国民生活基礎調査では、全体の相対的貧困率は15.4%、子供の貧困率は13.5%と、子供の7人に1人が生活困窮のいわゆる貧困状態にあります。
また、コロナ禍の県内において、社会福祉協議会が生活に困った世帯に貸し付けている生活福祉資金が2万7,729件、延長、再貸付けが7,815件となっており、生活困窮の厳しさが表面化してきています。
分配機能が県内の生活に困っている方々の隅々にまで行き届いていない結果のてんまつではないでしょうか。
非正規の不安定雇用、突然の解雇、働いても働いても暮らしが楽にならない等、親の就労状況やマルトリートメント──不適切な養育によって、学びたいけど学べない、進学したいけど諦めなければならない、子供たちの将来の夢や希望を打ち砕いてしまう社会的課題に届く財政措置と政策が必要です。
そこで、知事3期12年で進めてきた経済政策の成果・課題、そして4期目のスタートに当たり、生活困窮世帯への対策、子育て・福祉の充実、教育環境の整備、雇用対策への税の再分配について知事のお考えをお尋ねいたします。
42: ◯答弁(知事) 私は、これまで、平成22年に策定した、ひろしま未来チャレンジビジョンに基づき、その目指す姿の実現に向けて、人づくり、新たな経済成長、安心な暮らしづくり、豊かな地域づくりの4つの政策分野を相互に連関させ、相乗効果をもたらしながら、好循環する流れの創出に取り組んでまいりました。
このうち、新たな経済成長を、循環を推進する活力のエンジンと位置づけ、県内経済の持続的な発展に向けて、イノベーションの推進と県内産業の競争力強化、産業人材の育成・集積などに注力した結果、県内総生産や1人当たりの県民所得は着実に増加し、総観光客数や観光消費額も増加するなど、一定の成果を創出してまいりました。
一方で、引き続き対応すべき人口減少と少子高齢化の進展や格差社会への懸念に加えて、コロナ禍で顕在化した医療提供体制の課題、社会生活全般にわたるデジタル化への遅れ、加速する東京圏への一極集中といった構造的な課題、さらには、災害の激甚化と頻発化などによって、県民の皆様の将来に対する不安も非常に高まっているものと受け止めております。
このため、昨年策定いたしました新たな「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」では、目指す姿の実現に向けて、まずは、県民の皆様が抱いている様々な不安を軽減し、安心につなげていくことをビジョンの基礎に置いたところでございます。
具体的には、産業分野に限らず、子育てや健康、福祉・医療といった様々な分野でのイノベーションによる不安要素の削減や、これらの分野に加え、雇用・労働の分野における多様なセーフティーネットの構築、乳幼児期から社会人までの一貫した学びと人材育成の推進、多様性を認め合う、支え合う地域共生社会の推進などの観点から施策を展開してまいりたいと考えております。
今後も、喫緊の課題であります新型コロナウイルス感染症対策に注力するとともに、県民の皆様の不安を軽減する取組を進めて安心につなげることで、お一人お一人が夢や希望に挑戦し、それぞれの欲張りなライフスタイルが実現できる広島県となるよう、引き続き、力を尽くしてまいります。
43: ◯質疑(的場委員) 意気込みも聞かせていただきましたので、次に、再分配の質問に入っていきたいと思います。
次に、児童生徒の学びゆく教育条件である教育費への財源確保と教職員の配置について質問いたします。
OECD加盟各国の図表で見る教育の資料によると、2018年の日本の教育における国内総生産に占める公財政支出の割合は、OECD平均4.1%を大きく下回り、加盟国中最下位の2.8%となっています。残念です。
次に、広島県の歳出総額に対する教育費の割合は、2019年度決算では20.4%で47都道府県中31位、2020年度決算では17.2%とさらに低くなっております。さらに、文部科学省発出の2019年度地方教育費調査報告書によると、児童1人当たりの小学校教育費は38位、中学校は40位と全都道府県の中でも下位の状況です。非常に残念です。
広島の将来を憂うとき、県経済や社会、持続可能な地域活動を担う人材の育成が必要なのは言うまでもありません。特に、生活に困窮し不利な環境にあえいでいる子供たちの健康と教育に積極的に再分配し、先行投資することは必然ではないでしょうか。
以前、予算特別委員会で知事と、教職員の正規職員化の人件費のやり取りもしましたが、そのときの答弁では教育委員会と連携し財源確保に努めると強調されました。
そこで、広島県における教育費への分配が少ないことに対する知事の見解についてお尋ねいたします。
44: ◯答弁(知事) 本県では、広島で学んでよかったと思える、広島で学んでみたいと思われる日本一の教育県の実現に向けて、学びの変革をはじめとして様々な施策を展開しているところでございます。
この結果、乳幼児期に育みたい5つの力が育まれている年長児の割合の増加や、全国学力・学習状況調査における全国トップ県との差の縮小、主体的な学びが定着している児童生徒の割合の増加、高校段階での留学経験者数が全国トップレベルに到達、学びの変革を先導的に実践する広島叡智学園が国際バカロレアの認定校となるなど、着実に成果が現れてきております。
なお、委員御指摘の令和元年度における本県の歳出総額に占める教育費の割合20.4%、47都道府県中31位という状況でありますが、本県と同様に政令指定都市を有する団体におきましては、教職員給与の負担権限が市に移されておりますので、比較的教育費の割合が低下するという傾向にありまして、平均が20.6%と、本県とほぼ同水準となっております。
こうした中で、昨年度は私が議長となって総合教育会議を開催して、県民一人一人が、自身の能力と可能性を最大化し、夢や希望に向かって挑戦することができるよう、令和7年度までの5年間を計画期間とする「広島県 教育に関する大綱」を策定したところでございます。
この大綱におきましては、これからの社会で活躍するために必要な資質・能力の育成を目指した学びの変革をさらに加速させていくこととしております。
今後もこうした方針に基づきまして、教育委員会としっかりと連携しながら、教員の確保とその資質・能力や専門性の向上、あらゆる教育活動において日常的にデジタル機器等を活用できる環境の整備と児童生徒の主体的な学びを促す教育活動の一層の充実、老朽化対策の推進など、安全・安心な施設の整備と教育環境の質的向上を図るための施設・設備の整備などの取組を進めることとしており、そのために必要となる財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
45: ◯質疑(的場委員) 次に、教職員定数に対して臨時教員を配置している割合、いわゆる欠補率改善に向けた中長期採用計画の達成状況について質問いたします。
2019年度に県教委が公立学校教員採用候補者選考による中長期採用計画を策定、公表されて以降、我が会派は文教委員会の審議において、欠補率の状況や臨時教員の配置状況について質疑、確認を続けてきました。
子供たちの最も大切な教育条件は、教職員であることは論をまちません。計画策定から2年が経過し、折り返しを迎えており、目標達成の状況分析が必要です。
さらには、小学校における35人学級の導入、教科担任制の導入、教職員の定年延長制度の導入など、計画策定後の状況変化にも対応し得る目標値達成に向けた採用計画の再検討と併せ、財源の確保が必要です。
そこで、県の教育行政のトップである教育長にも同様に、広島県における教育費への配分が少ないことに対する受け止めをお尋ねします。あわせて、中長期採用計画の目標年である2024年の達成見込みの状況、その後のさらなる本務者化に向けた定数内臨採解消に向けた具体的な方針をお伺いいたします。
46: ◯答弁(教育長) 本県では、昨年度「広島県 教育に関する大綱」を策定し、一人一人が、生涯にわたって主体的に学び続け、多様な人々と協働して新たな価値を創造する人づくりを目指して計画的に取組を進めているところでございます。
具体的には、学びの変革に向けた主体的な学びを促す教育活動の推進や、デジタル機器を活用する環境の整備などの様々な教育施策に取り組んでいるところであり、こうした県の施策に必要な予算は確保できているものと考えております。
次に、定数内臨採の段階的縮小を目指す教員の中長期採用計画につきましては、6年計画の3年目において、小学校と高等学校では、目標に向けて順調に欠補率の縮小が進んでおりますが、中学校と特別支援学校では、欠補率が拡大しており、この要因といたしましては、中学校における特別支援学級の増加や、特別支援学校の学級増などがあると考えております。
こうした学級増や、公立小学校の35人学級などの教員の採用数の増加要因がございますが、職員の定年延長制度の導入などの減少要因も今後見込まれることから、教員の採用を計画的に進めていくことで、中長期採用計画の最終年度である令和6年度に目標が達成できるよう取り組むとともに、それ以降につきましても、さらなる定数内臨採の段階的縮小に向けて、継続して取り組んでまいります。
47: ◯意見・質疑(的場委員) 知事そして教育長、両トップに答弁をいただきましたが、言いたいのは、本当に子育て支援、そして教育関係の予算をしっかりつけていただきまして、子供たちのこれからの育ちをぜひ保障していただきたいと思いますので、取組に期待しております。
次に、今年6月の議員立法で成立した医療的ケア児及びその家族に対する支援法への対応について、部局別審査に引き続き質疑いたします。
私も以前、医療的ケアが必要な子供を持つ保護者から、子供に医療のケアサポートが必要であり、地域の学校に通わせたいが、看護師等の専門職が配置できていないため通学できないとの相談を受け、教育委員会とやり取りをいたしました。
県内でも多くの医療的ケア児への支援の拡充を望んでいる子供たちがいるのではないかと思います。2017年度に行った厚生労働省の推計では、全国で約1万7,000人、広島県では422人とされています。部局別審査の質疑でも、広島県内における医療的ケアが必要な子供の数、実態等の詳細が把握できていないと担当部局から答弁もございました。
そこで、県内における医療的ケアが必要な子供の人数や状況の実態調査を行い、必要なケアサポートを明らかにし、併せて、保護者、家族の抱えている悩みや課題も把握した上で支援策を進めるべきと考えますが、見解をお示しいただきたい。
48: ◯答弁(
健康福祉局長) 県では、介護者の休息支援、いわゆるレスパイトケアの取組として、医療型短期入所施設の開設とともに、医療的ケア児に対応できる看護師、介護従事者の人材育成や、地域における相談支援体制の充実に向けて、コーディネーターの養成及び市町への設置促進に取り組んでいるところでございます。
このような中、本年9月の医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の施行を受けて、今後様々な取組を行っていく上では、各地域における医療的ケア児の数や利用しているサービスなどの生活状況、保護者や家族、介助者の抱える課題等について、できるだけ早い時期に必要な調査を実施し、把握していく必要があるものと考えております。
県といたしましては、今後、他県の広域的・専門的な相談体制や、関係機関との連携・調整の仕組み等を参考にしながら、医療的ケア児支援センターの設置について調査・研究を行うこととしておりますが、センター機能の基本となる家族などからの相談をワンストップで受け止め、必要な機関等へつなげていく仕組みを構築するなど、医療的ケア児やその介助者が安心して生活できるよう、支援体制の整備に取り組んでまいります。
49: ◯要望・質疑(的場委員) ぜひ、今ありましたように調査をしっかりしていただいて、広島県における医療的ケアの必要な子供への保障については、ネウボラから始まりまして、就学前、義務教育、そして18歳になるところまでのトータルサポートの体制を構築していただくことを重ねて要望して、次の質問に入ります。
最後に、がん対策日本一に向けた県施策について質問いたします。
部局別審査の質疑の中で、広島がん高精度放射線治療センター、ハイプラックの県内全域の自治体ごとの利用状況について発言通告をしていましたが、答弁漏れがありましたので、再度質問いたします。
知事もがん対策は非常に力を入れている政策の一つであり、特にがん検診の受診率の向上を掲げていらっしゃいます。取組の成果もあり、受診率は前回調査の2016年から2019年では、5つのがんにおいて、それぞれ0.8~3.8ポイント向上し、粗死亡率も、2019年は人口10万人当たり295.7人と、47都道府県中9位と改善してきております。
しかし、何より大切なのは、予防健診の先のがん治療だと思います。
そこで、がん対策日本一の推進、総工費58億円で県が設立した最先端がん治療医療施設、ハイプラックの全県に及ぶ効果的な運営に向け、何点か質問いたします。
答弁漏れであったハイプラックの2020年、市町別新規紹介患者数の一覧表を後日頂きました。総患者数610人中広島市が483人で79.2%、私の住む県東部の福山市が9人で1.5%であり、府中市、神石高原町はともに0人で、23市中12の市町が0人という状況でした。
そこでまず、2015年運営開始以来の全患者数のうち、広島圏域、それ以外の医療圏域の方々がそれぞれ何人利用され、その割合がどうなっているのかをお伺いいたします。あわせて、県内全域の医療圏において、高精度放射線のがん治療を希望する方が利用できるための交通費、宿泊費補助等の支援策の対応について
健康福祉局長にお伺いいたします。
50: ◯答弁(
健康福祉局長) まず、広島がん高精度放射線治療センターの紹介患者数は、平成27年10月の運営開始から令和3年10月末までの期間において、3,492名となっております。
紹介元医療機関の所在地をベースにした二次保健医療圏ごとの紹介患者の内訳と割合は、広島圏域が3,137名で89.8%、広島西圏域が76名で2.2%、呉圏域が37名で1.1%、広島中央圏域が26名で0.7%、尾三圏域が35名で1%、福山・府中圏域が49名で1.4%、備北圏域が47名で1.3%となっております。
また、県外からの紹介患者は85名であり、その割合は2.4%となっております。
また、今後の支援策でございますが、昨今の医療技術の進歩により、がん治療の選択肢は、従来の手術に加えまして、抗がん剤や放射線治療など多様化しております。
これらの治療を必要とするがん患者に適切な医療を提供するためには、治療を選択する患者の視点も踏まえ、できるだけ少ない負担で治療を継続できるよう環境整備が重要と考えております。
そのため、がん対策推進計画におきましては、がんとの共生を柱として掲げ、拠点病院での相談支援の充実や、企業と連携した治療と仕事の両立支援セミナーの開催などを進めているところでございます。
患者が安心して通院し、治療をしながら働き続けられるために、患者、家族、医療機関等のニーズを踏まえ、引き続き環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
51: ◯要望(的場委員) 御検討よろしくお願いします。
休憩 午後0時1分
再開 午後0時59分
52: ◯質疑(石津委員) それでは早速質問に移らせていただきます。排水ポンプ車の拡充についてお伺いいたします。
豪雨災害が発生する頻度が増えており、本年も発生しております。私の地元の西谷川でも、毎回、大雨が降ると河川が氾濫し、道路が冠水したり、悪いときには床上浸水になったりするところがあります。今回も8月豪雨のときには、深夜に大雨となり、河川が氾濫しそうになったときに、排水ポンプ車が1台では足りず、県の職員が機転を利かせて、2台目の排水ポンプ車を設置することによって水害を免れました。
また、広島市でも、奥迫川が氾濫しそうになったところを、急遽、国土交通省の排水ポンプ車を手配し、水害を免れたところもありました。河川の氾濫をもたらす線状降水帯がいつどこで発生するか、まだ正確に把握することも難しい中、こうした機動性に優れた排水ポンプ車の必要性はとても大事であり、頼りになる車両であると実感しております。
しかしながら、今後、西日本豪雨のように、県内で同時多発的に発生した場合、県や国が所有している排水ポンプ車で足りるのでしょうか。
特に、毎年大雨が降ると道路の冠水や床上浸水を起こす地域では、まずは、各自治体でこうした水害に備える設備を整備する必要があるのではないでしょうか。
そこで、県や国、各市町の排水ポンプ車の配置状況を踏まえた今後の県の整備計画について
土木建築局長にお伺いいたします。
53: ◯答弁(
土木建築局長) 近年、本県におきましては、平成30年7月豪雨をはじめ、本年7月、さらに8月の記録的な豪雨により県内各地で河川の氾濫や内水氾濫による浸水被害が発生しており、その被害の防止・軽減を図るために排水ポンプ車の役割は重要であると考えております。
そのため、本県では、浸水被害の発生に機動的に対応するため、現在、西部建設事務所、東部建設事務所及び三原支所に合計4台の排水ポンプ車を配備しており、国が保有している15台と合わせて、市町等の要請に応じて出動するなど危機管理体制を整備しているところでございます。
こうした取組により、本年の豪雨におきましては、福山市の西谷川、広島市の奥迫川をはじめ、三原市の天井川、安芸高田市の多治比川など、県内各所へ排水ポンプ車が出動し、浸水被害の防止・軽減に寄与したものと認識しております。
現在、さらなる豪雨の激甚化・頻発化に対応するため、配備箇所からの出動範囲等を考慮しつつ、配備の拡充を検討しているところであり、引き続き、事前防災のためのハード対策を着実に推進するとともに、豪雨時における危機管理体制の強化にも取り組んでまいります。
54: ◯要望・質疑(石津委員) 今後とも、豪雨災害に備え、排水ポンプ車については、必要数の拡充を要望いたします。
引き続き、水門など、防災設備のDXについてお伺いいたします。
豪雨災害について、社会全体で洪水に備えるという水防災意識社会再構築ビジョンの取組を進めるため、平成28年度に広島県、市町、中国地方整備局及び広島地方気象台を構成団体とする広島県管理河川大規模氾濫時の減災対策協議会を設置し、減災に向けた取組を行っております。これまでの取組において、危機管理型水位計や河川監視カメラを設置し、河川の水位情報をインターネットやスマートフォンで確認できるようにされてきました。
水位が上がり、洪水被害に備えるには、河川に設置している水門の適切な管理が必要になります。また、私の地元の福山市では、かつて田んぼだったところを埋め立て、新しい住宅がたくさんできて、大雨が降ると用水路や井溝があふれ返り、内水氾濫を起こす地域が少なくありません。
用水路などの水門や樋門の操作については、手作業による操作が主になっていると伺っております。高齢化が進み、必要な人員が確保できなくなる前に、災害の発生を抑える設備もDXが必要ではないでしょうか。
そこで、水門や樋門など防災設備のDXの取組について
土木建築局長にお伺いいたします。
55: ◯答弁(
土木建築局長) 本県が管理する河川に設置している水門や樋門の操作につきましては、県から水利組合や市町、業者への委託によって行っているところでございます。
このうち、樋門操作を行っている水利組合や市町では、高齢化等により担い手不足の深刻化が懸念されており、また、近年の豪雨災害の激甚化・頻発化を鑑みると、出水時に現場に赴き、施設のそばで操作を行うことは、これまで以上に危険性が高まるものと考えられることから、無動力化・遠隔化・省力化など防災時の操作の在り方の見直しが必要であると認識しております。
そのため、これら樋門の防災時操作の体制及び方法については、体制確保や安全確保の観点から、まずは、水位差で自動開閉するフラップゲートなどへの転換により無動力化する方向で検討を進めているところでございますが、無動力化のバックアップ体制として、DXの活用も必要であると考えております。
今後は、管理実態の把握や現場条件等の整理を行い、無動力化の必要性が高い箇所から順次対応を進めていくとともに、水位計等のセンサーなどデジタル技術を活用した開閉状態の確認等を行えるよう検討してまいります。
さらには、樋門以外のダム施設や排水ポンプなどの防災設備についても、確実かつ迅速な対応が可能となるよう、DXを活用した管理体制の強化について検討を進めてまいります。
56: ◯要望・質疑(石津委員) ぜひ、市町との連携をしっかり取っていただき、内水氾濫などが起こらないように、万全の対策の取組をしていただくよう要望いたします。
引き続き、沿線の路線管理についてお伺いいたします。
道路の維持管理を適切に行うため、定期的な路肩の草刈りが必要です。
広島県アダプト制度において、県管理道路、河川において、清掃、緑化、草刈り等のアダプト活動をボランティアで行っている地域住民団体や、NPO法人などを支援しています。路線管理を将来にわたって適切に行うには、地域の活動をより活用する必要があると考えております。
一方で、グリーンラインなど、一部の道路において定期的に路線草刈りの入札を行っており、事業者に委託しております。
入札に参加するには、造園工事業、または土木工事業の登録事業者が求められており、これらの登録を行うには、工事経験や実績、各種資格が必要です。
草刈り自体は、簡易な維持修繕作業であり、造園工事業、または土木工事業のような地域住民団体やNPO法人の入札参加を抑制するような制限は必要ないのではないでしょうか。
そこで、沿線路線管理の考え方について
土木建築局長にお伺いいたします。
57: ◯答弁(
土木建築局長) アダプト制度は、地域住民の皆様方やNPO法人などの自発的な取組による道路や河川の軽易な美化、清掃、草刈りについて支援する仕組みであり、道路を管理する上で重要な取組でございます。
一方、県が発注する道路の草刈り業務については、通行車両からの視認性の向上など道路交通の安全の確保を目的として実施しており、往来する車両や歩行者がある中で作業を行うため、交通規制や飛び石の防止ネットなどの安全対策が必要となります。
そのため、安全管理や施工管理のノウハウのある入札参加資格者名簿に登載の建設業者に委託により実施しております。
地域住民等の団体やNPO法人が入札に参加することについては、各団体の安全面・施工面の管理能力の評価が課題と考えていることから、歩道などにおける軽易な草刈りではアダプト制度の活用を推進し、安全対策が必要な草刈り作業では建設業者に委託することにより、適切な維持管理に努めてまいります。
58: ◯要望・質疑(石津委員) ぜひ、地域を守るために一生懸命に活動されているNPO法人に対しては、より一層の支援の強化をしていただくよう要望いたします。
続いて、看護や介護分野の将来を担う若い世代に対する支援の充実についてお伺いいたします。
人材が不足している看護や介護分野への就業を目指す学生をはじめとした若い世代に対する支援に取り組まれていると伺っております。
県では、介護分野において、介護福祉士養成施設の学生に対し、学費や就職準備金等の貸付けを行っております。また、看護分野においては、一部の市町で、看護職員確保対策として独自の奨学金制度を設けて、看護職員を目指す学生を支援する取組を行っているようです。
看護や介護分野の慢性的な人材不足を解消するためには、将来を担う若い世代への就業をさらに後押しし、広島県で活躍する人材を確保する必要があると考えます。
そこで、今後の支援の充実について
健康福祉局長にお伺いいたします。
59: ◯答弁(
健康福祉局長) 医療・介護ニーズが増大する中において、必要なサービスを安定的に提供していくためには、看護や介護現場における人材の確保が課題であり、とりわけ将来を担う若い世代の育成・確保が重要な課題であると認識しております。
このため、看護職員につきましては、県内の病院見学会への参加促進や就職活動に備えるための準備講座の実施により、県内就業の促進に取り組むとともに、新人看護職員研修や、就職後2、3年目の職員の知識や技術への不安を軽減するためのフォローアップ研修を実施するなど、早期離職防止に取り組んでいるところでございます。
また、介護職員につきましては、介護福祉士養成施設の学生に対する修学資金貸付制度に加え、新たに今年度から福祉系高校に通う学生に対する修学資金貸付制度を創設し、若い世代の介護分野へのさらなる参入促進に取り組んでおります。
さらに、看護や介護職のイメージを向上させ、理解を深めていくため、中高生向けの看護職進路相談会や看護体験会、介護職のやりがいや魅力を伝える小・中・高生向けの出前講座などを実施しており、若い世代が関心を持つ機会の確保にも取り組んでいるところでございます。
こうした取組を通じて、関係団体などと連携・協力しながら、将来の医療・介護サービスを担う人材の確保策の充実に努めてまいります。
60: ◯質疑(石津委員) ぜひ、県民が安心して、質の高い医療や介護サービスを受けることができる体制をしっかりと整えていただけるよう、看護や介護分野の人材育成を十分に確保することができるような支援をよろしくお願いいたします。
続いて、地域共生社会の推進についてお伺いいたします。
生活福祉保健委員会の委員長という立場から、様々な要望を受けており、その中には、地域共生社会づくりに関するものも多くあります。
国においては、ニッポン一億総活躍プランにおいて、今後の施策推進の方向性の一つに、地域共生社会の実現が位置づけられました。
この活躍プランでは、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら自分らしく活躍できる地域コミュニティーを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことができる仕組みの構築が推進方針として示され、その具体策として、社会福祉法等が改正され、市町村が包括的な支援体制の構築への取組を進めるための支援制度の創設なども行われております。
一方、県では、令和2年4月に、広島県地域福祉支援計画を策定し、多様な主体が支え合うコミュニティー形成を実践するモデル事業などを実施しております。
この地域共生社会の推進に当たっては、市町の実情に応じて進める必要があると思われますが、現状と今後の取組について
健康福祉局長にお伺いいたします。
61: ◯答弁(
健康福祉局長) 地域共生社会の推進につきましては、令和2年度から、住民主体の活動を実践するモデル事業を開始し、まずは、地域住民をはじめ、様々な主体が連携・協働して取り組むための土壌づくりに向けた有効策等の検討を進めております。
例えば、東広島市のモデル地区におきましては、認知症高齢者を介護する家族の負担を軽減したいというケアマネジャーからの相談をきっかけに、寺院を活用した居場所づくりが進み、現在では、認知症高齢者本人や家族はもとより、学生や産後の母親、近隣の医療機関に通院する患者など、誰もが集える場として、世代・属性を超えた交流にもつながっており、こうしたモデル事業が各地域で多様に展開されるよう支援しております。
また、市町の包括的な支援体制の構築を後押しするため、市町や社会福祉協議会の職員等を対象とした人材育成研修や、市町への個別訪問による勉強会、意見交換会なども実施しております。
今後とも、モデル事業や人材育成等の取組を進めることで、地域の様々な実情に応じ、その資源や人材を生かした地域共生社会を推進してまいります。
62: ◯要望(石津委員) ぜひ、市町への支援体制をしっかりと後押しして、誰一人取り残さない、県民が安心して暮らせる地域共生社会の構築をよろしくお願いいたします。
63: ◯質疑(西村委員) 民主県政会の西村です。私からは、ひろしまの森づくり事業、そして交通事故低減に向けた取組について質問させていただきます。
まず、ひろしまの森づくり事業についてお伺いします。
森林を適切に管理することで、土砂災害や洪水などの自然災害を緩和したり、水を豊富に蓄えるなどの森林が持つ公益的な機能を保全し、次世代に引き継ぐことは大変重要と考えます。
このため、県では2007年4月にひろしまの森づくり県民税を創設し、これまで3期15年にわたり、県民の理解と協力の下、ひろしまの森づくり事業により、手入れ不足の人工林の整備に取り組んでこられました。この手入れ不足の人工林の整備については、ひろしまの森づくり県民税を活用した事業に加えて、2019年からは、森林環境譲与税を活用した事業が実施されています。
これに関して、今年2月の定例会において我が会派の的場議員が、それぞれの税の使い分けについて質問したところ、ひろしまの森づくり県民税は、所有者の施業意思があるものの林業経営に適さない森林が対象であるとの説明でした。一方、森林環境譲与税は、ひろしまの森づくり県民税を活用する事業では手入れを行うことができなかった、所有者の施業意思がない森林や、所有者の特定が困難な森林を対象としているとの説明がございました。
そこで質問ですが、この所有者の施業意思とは何を指すのか、また、所有者の施業意思の確認や所有者の特定はどうやってするのか、現時点で所有者の施業意思の確認や所有者の特定はどの程度進んでいるのか、農林水産局長にお伺いします。
64: ◯答弁(農林水産局長) まず、施業意思につきましては、森林所有者が自ら山を施業する、あるいは費用の一部を負担して森林組合等に施業を任せるなど、自分の山を手入れし、管理していこうとする意思表示のことでございます。
また、森林所有者の特定や施業意思の確認につきましては、文書送付、電話、対面などにより行っております。
さらに、その進捗状況につきましては、所有者の特定や施業意思の確認を行った結果、森づくり事業の第3期の平成29年度から令和2年度までの4年間で2,700ヘクタールの森林を整備してきたところでございます。
65: ◯質疑(西村委員) 次に、ひろしまの森づくり県民税を活用した事業と森林環境譲与税を活用した事業ですが、手入れ不足の人工林は現在何ヘクタールあり、この二つの税金を活用した事業で県内における手入れ不足の人工林のどの程度の面積が今後手入れ可能になるのか、農林水産局長にお伺いいたします。
66: ◯答弁(農林水産局長) これまで、ひろしまの森づくり事業により、人工林の間伐を実施してきたことで、手入れ不足の人工林は、令和2年度末時点で3万9,000ヘクタールとなっております。
今後、ひろしまの森づくり事業と森林環境譲与税を活用した場合、2025広島県農林水産業アクションプログラムの最終年度である令和7年度末までに、手入れ不足の人工林3万9,000ヘクタールのうち約5,000ヘクタールの森林の手入れが可能であると見込んでおります。
67: ◯質疑(西村委員) これまでの活動により、残りが3.4万ヘクタールと理解いたしました。今のペースでは三十数年かかるのですが、計画的に進めていただければと思っております。
次に、ひろしまの森づくり事業において、税の趣旨や事業内容に対する県民理解を促進する広報費用が約2,000万円計上されていますが、具体的にはどのような使途で執行されているのでしょうか。あわせて、ひろしまの森づくり県民税の認知度についてはアンケート調査をされていると思いますが、どのように推移しているのか、農林水産局長にお伺いします。
68: ◯答弁(農林水産局長) ひろしまの森づくり事業につきましては、県民や企業の皆様に広く御負担いただいているひろしまの森づくり県民税を財源にしていることから、県民の皆様に税を頂いていることや税の使い道について知っていただくことが必要であると考えております。
こうした考え方の下、森づくり県民税と森づくり事業に対する県民全体の認知度が50%となることを目標に、県民に対して幅広く伝わる広報を行ってきたところでございます。
具体的には、有名スポーツ選手を広報キャラクターに起用し、森づくり事業への関心を持っていただくために、テレビやSNS上でのCM動画の放送や、ポスターの商業施設等への掲示などを行ってまいりました。
また、各市町が発行する広報誌においても、森づくり事業の取組状況や事例なども紹介してまいりました。
こうした取組により、認知度につきましては、毎年行っているひろしまの森づくり事業県民アンケート調査によりますと、平成27年度の25.7%から令和2年度には42.9%と向上してきたところでございます。
69: ◯意見・質疑(西村委員) 最近、テレビのCMで芸能人を使って、森づくり県民税の認知のためのCMをされているのを見かけました。目標が認知度50%ということのようですが、現在、もうそれに近いような状態まで、急激に高まっていると私は認識しておりますので、今後も、今の形で進めていただければきっと50%に行くのではないかと思っております。
次に、ひろしまの森づくり県民税は、2021年度が最終年度であり、併せて、ひろしまの森づくり事業についても5年ごとの計画の最終年度であることから、今年の2月定例会において、制度の在り方の検討を行うとの答弁が知事からございました。
現在の検討状況と、次はどのようなステップでいつまでに検討するのか、知事にお伺いいたします。
70: ◯答弁(知事) ひろしまの森づくり事業につきましては、5年ごとに事業の成果、課題を検証して、制度の在り方について見直しすることとしております。
今年度は、第3期の最終年度でありますので、これまでの事業の実績に基づいて成果と課題を整理したところでございます。
主な成果といたしましては、人工林対策につきましては、令和2年度末までに2,700ヘクタールを整備したこと、里山林対策につきましては、地域住民などが主体の森林保全活動を支援することにより、継続的な地域資源の管理につながったことなどでございます。
また、主な課題といたしましては、人工林対策につきましては、平成30年7月豪雨の際に、第3期で想定していた急傾斜の森林だけでなく、傾斜の緩い森林についても土砂災害が頻発したこと、里山林対策につきましては、地域住民などによる森林保全活動の範囲に広がりがないことなどでございます。
今後は、検証で抽出された成果と課題などについて、森林審議会などの御意見を聞いた上で、12月を目途に次期推進方針案を作成してまいりたいと考えております。
71: ◯要望・要望(西村委員) 成果と課題を踏まえて、この12月に次期方針を策定すると理解いたしました。どうぞよろしくお願いします。
私は、森林の整備は、災害の未然防止にもつながるので、ひろしまの森づくり県民税を用いての森づくり事業は、継続・推進が好ましいと思っております。そういったことを伝えて、森づくり県民税に関する質問を終了させていただきます。
次に、安全運転サポート車、通称サポカーについてお伺いいたします。
近年、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止機能、オートマチック車の誤発進抑制機能、先進ライトといった先進安全技術を備えた車両が増加しております。
中でも、令和元年の国内乗用車における衝突被害軽減ブレーキの装着率は93.7%と高くなっているところです。
警察本部においても、令和2年に発生した県内交通死亡事故に対するサポカーの効果検討を行ったと伺っております。
検討の結果、どのような被害軽減効果が試算されたのか、警察本部長にお伺いいたします。
72: ◯答弁(警察本部長) 御質問いただきました試算につきましては、令和2年に発生した70件の交通死亡事故のうち、二輪車による単独事故などを除き、四輪自動車が関係した54件の交通死亡事故を対象に、これらの四輪自動車に衝突被害軽減ブレーキ、いわゆる自動ブレーキや、ペダル踏み間違い時加速抑制装置などが全て登載され、かつ、その機能が完全に発揮されたものと仮定して分析を行ったものと承知しております。
本件分析の結果、全体の約44%となります24件に衝突回避や被害軽減などの効果が期待できたものと推測され、交通死亡事故に至らなかった可能性があったのではないかと分析されたものでございます。
73: ◯質疑(西村委員) 仮定を入れての検討になるが、約半数に被害軽減の効果があるということでございました。そういうことであれば、やはりさらにサポカーの普及が望まれるところです。
次に、県では2017年12月に、高齢運転者に関する交通事故防止対策等を推進し、高齢者を含む県民が安全に暮らせる交通社会実現のため、サポカーの普及啓発を目的に、安全運転サポート車普及啓発協議会が設立されました。
しかし、近年は高齢者の事故割合が高止まりの傾向にあります。
この協議会を通じ高齢者に対して、具体的にどのような普及促進を行い、どのような成果があったのか、警察本部長にお伺いします。
74: ◯答弁(警察本部長) 安全運転サポート車普及啓発協議会は、県警察をはじめ、中国運輸局広島運輸支局や広島県、広島市の関係部局、日本自動車販売協会連合会広島支部、日本自動車連盟広島支部など14の機関によって構成され、安全運転サポート車の体験講習会などを通じた普及啓発活動により、高齢運転者などの交通事故防止活動を実施しております。
本年を含め、3年間の体験講習会の開催状況につきましては、令和元年65回開催の約3,800人参加、令和2年19回開催の約700人参加、令和3年10月末現在でございますが、9回開催の約320人参加という状況でございます。
令和2、3年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、計画どおりの開催が困難な状況でありましたが、安全運転サポート車の衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの効果についての周知や啓発は着実に進んでいるものと考えてございます。
75: ◯質疑(西村委員) 普及促進の努力、ありがとうございました。
次に、国内新車の衝突被害軽減ブレーキの搭載率は、平成23年1.4%、平成27年45.4%、先ほども申し上げましたけれども令和元年93.7%と高まっており、令和3年11月、つまり今月からは、国産新型車への装着が義務化されています。
このような急速な普及は、衝突被害軽減ブレーキの効果が市場で認められたものと思います。今後も装着率は向上していきますので、2025年を目標に活動される、なくそう交通死亡事故・アンダー60作戦にも貢献してくれるものと期待していますが、先進安全技術を装着したサポカーの普及はまだ未装着車も多く、十分ではないという印象です。
国では、経済産業省と国土交通省はいわゆるサポカー補助金を出して普及に努めていますが、間もなく令和3年度に繰り越された予算も上限に達することから終了となる見込みです。
今後もサポカーの普及促進に向け、国への支援要請も含め、県として具体的な方策を考えているのか、環境県民局長にお伺いします。
76: ◯答弁(環境県民局長) いわゆるサポカーの普及に向けまして、サポカー補助金につきましては、今月末で終了する見込みと聞いておりますが、道路運送車両の保安基準の改正により、御指摘のとおり、今月から新型乗用車等へは衝突被害軽減ブレーキが順次義務づけされ、今後販売される車はサポカーとなってまいります。
今後、県といたしましては、サポカーへの乗り換えを促進するため、令和3年度から開始されたクリーンエネルギー自動車導入促進補助金など、国が行う既存の支援策について、活用を促す広報に取り組んでまいりたいと考えております。
また、衝突被害軽減ブレーキ等の効果を多くの方に知ってもらうため、地域の高齢者へ交通安全教育を行っている交通指導員を対象とした研修会等で体験乗車を実施するとともに、県ホームページでの広報などに取り組み、サポカーの普及促進に努めてまいります。
77: ◯質疑(西村委員) 国の支援策や、高齢者へのPR等、今後も進めていっていただければと思っております。
続いて、知事部局における庁用自動車、いわゆる公用車の事故についてお伺いします。
知事部局における公用車の台数は、9月末現在で782台となっているようですが、過去の委員会で事故件数をお伺いしたところ、平成29年度47件、平成30年度45件、令和元年度51件でした。
そのうち、自損事故の件数が、平成29年度31件、平成30年度31件、令和元年度29件であり、自損事故が6割を占めるので、自損事故に特化した対策を講じ自損事故ゼロを目指すという局長の回答を頂いたところです。
しかしながら、その後の令和2年度及び令和3年度9月末までの集計を伺ったところ、交通事故は相変わらず発生しており、発生件数は令和2年度66件、令和3年度上期で42件、通期に直すと84件にもなろうかという状況です。
そのうち自損事故の件数が令和2年度41件、令和3年度上期32件で、通期に直すと64件になろうかという状況です。
発生件数、自損事故の割合ともに増加しており、知事部局の取組は不十分と言わざるを得ません。今までの取組を踏まえ、どう対策を講じていこうとしているのか、総務局長にお伺いします。
78: ◯答弁(総務局長) 令和元年度からは、自損事故に特化した防止策をまとめた資料を新たに加えまして研修を実施しているところでございますが、依然として、自損事故の発生件数は増加傾向にございます。
事故の多くは、同乗者が降車して後方確認するなどの対策を講じれば防ぐことができたと考えられることから、今年度の安全運転研修では、実際に発生した事故を例に、具体的な防止策を紹介し、こうした基本動作を徹底させることにより、職員の交通安全意識を高めていきたいと考えております。
また、研修方法につきましても、これまでの集合研修だけでなく、より多くの職員が参加できるよう、ウェブによる研修を行ってまいりたいと考えております。
79: ◯要望(西村委員) 後方確認不十分という事故の割合が多いということでございます。昔、某自動車会社が、車を運転する前の行動として、車の周りを一周してみて、周りの状況を確かめるというPRをされていたことがありました。そういうこともやられながら、今の状況では、交通事故が減るように思えませんので、ぜひ、徹底して頑張っていただければと思っております。
また、私の提案になるのですが、免許の所有者であれば公用車の運転が可能であると伺っております。公用車の運転適性を把握することが、交通事故件数の低減にも効果があると言われておりますので、例えば運転許可を与える制度の導入も検討してはと思いますが、その点は要望としてお伝えしておきます。
時間になりました。以上で質問を終了します。御清聴ありがとうございました。
80: ◯質疑(吉井委員) 自民議員の吉井でございます。限られた時間でございますが、よろしくお願いいたします。
昨年から今年にかけ、コロナの感染拡大により、多くの業種の方々が大変な年だったと思います。そうしたことを踏まえ、今日は大変御苦労されている事業者の方々のことや、また学生の就職等について、何点かお伺いしたいと思っております。
まず初めに、観光関連事業者を取り巻く現状についてお尋ねしたいと思います。
観光庁によれば、昨年の中国地方での旅館、ホテルの宿泊者は延べ1,700万人泊と、前年から3割減となりました。また、今年に入ってからも、稼ぎ時のゴールデンウイークや夏休みなど、春から夏にかけての第四波、第五波の際には休業するホテル、旅館も相次いだところであります。
コロナ前には大きな期待をされていた東京オリンピックも無観客開催となり、インバウンドや県をまたいでの観光が大きく制約された結果、観光分野での経済効果はほとんどなかったとの声も聞いているところであります。
また、これまでの誘客事業では、割引額が大きくお得感が強い高級宿に予約が集中する一方、ビジネスホテルや中小の旅館、民宿などでは集客効果は限定的だったと伺っております。
こうしたこれまで実施してきた施策で明らかになった課題を分析し、次に展開する施策に丁寧に反映させていく必要があると思います。
そうしたものを踏まえてまずお聞きいたしますが、新型コロナの影響を受け、深刻な県内の観光関連事業者の厳しい状況について、どこまで把握、分析されているのか、商工労働局長にお伺いいたします。あわせて、特に中小規模の宿泊事業者や旅行代理店などの実態をどう捉え、課題認識されているのか、お伺いいたします。
81: ◯答弁(商工労働局長) コロナ禍における観光振興におきましては、厳しい経営環境にある観光関連事業者が置かれている状況等を的確に把握し、観光を取り巻く環境変化を踏まえながら、今後の観光施策に取り組んでいくことが重要であると認識しております。
このため、県内の主な観光施設や宿泊事業者、旅行業者に対するヒアリング調査を定期的に行っているほか、今年度は、新たな支援策を検討するため、県内の宿泊事業者約300者を対象としたアンケート調査を行うなど、観光関連事業者の状況把握や分析に努めているところでございます。
これらの調査から、緊急事態宣言の発出による移動制限や外出自粛などによりまして、大半の事業者においてコロナ前と比較して売上げが大きく減少しているほか、今後の経営継続の意向については、多くの宿泊事業者が経営を継続する意向である一方で、15%の事業者が休業を検討し、実際に少なくとも5施設以上が休業を余儀なくされるなど、大変厳しい状況に置かれていることが改めて確認されました。
特に、中小規模の宿泊事業者や旅行業者からは、事業は継続していきたいが、先が見通せず、廃業も検討せざるを得ない、資金繰りが昨年度と比べて困難になったといった回答が多く寄せられたほか、宿泊事業者からは、観光誘客促進事業において、インターネット環境が不十分なため事業への参加が難しい、あるいは、参加しても十分な集客が図れていないといった意見や、旅行事業者からは、これまで地域住民を主な顧客としていたが、移動自粛などにより販売実績が著しく減少しているといった声が上がるなど、特に厳しい経営環境にあるものと認識しております。
こうしたことから、6月臨時会で予算措置した宿泊施設における通信環境の整備やさらなる感染防止対策、地域ならではの飲食や体験メニュー等を盛り込んだ魅力的な旅行プランの造成などを積極的に支援し、効果的に情報発信していくことなどにより、中小規模の宿泊事業者や旅行事業者に経済効果をより一層波及させていくことが今後の課題と考えております。
82: ◯要望・質疑(吉井委員) アンケートを相当数取っていただいたということですので、ある程度業者の方の意向は把握していると思うのですけれども、先ほど申しました、高級感のあるホテルと一般のビジネスホテルとか中小の宿泊事業者は、やはり受け止め方が大きく乖離していますので、この辺りは行政もしっかりと見定めていただきたいと思います。
それと、旅行代理店なのですが、俗にいう大手の旅行代理店はまた違った業種で生き延びる方法を考えたり、収益を上げたりしているようですけれども、まさに個人業に近いような旅行代理店は、すぐにV字回復は難しいと思いますので本当に大変だろうと思います。特に、町なかで旅行代理店がたくさんあるのならいいのですが、本当に、田舎といいますか中山間地域や島嶼部を含めて、ぎりぎりやっていた旅行代理店の方々は、これではやっていけない、オリンピックも結局無観客だということで、本当に廃業に追い込まれるという話も私は聞いております。そこがなくなると、その近隣の住民の方は、旅行はどこへ頼みに行けばいいのかというようなことも実際に起きていますので、この辺りもしっかりよく把握していただきたいと思います。
次に、今後のV字回復に向けた取組についてお尋ねしたいと思います。
本県では、先月まで続いた新型コロナの独自集中対策の終了を受けて、宿泊や旅行代金を最大半額にする観光誘客促進事業がスタートいたしました。
コロナの感染拡大が下火となり、我慢してきた旅行などに関心が高まる、いわゆるリベンジ消費により、今後の需要回復が期待されるところであります。また、国においても、感染対策と日常生活の両立を目指すワクチン検査パッケージの一環で、観光分野でも旅行会社のツアーやホテル、旅館での接種証明や検査活用による安全・安心の確保を前提とした仕組み導入に向けた実証実験を進めてきております。
こうした動きは、ウイズコロナの新たな旅のスタイルを旅行客に再提案する大きなチャンスにもなり得るものと思います。
このように、まさに観光関連事業者にとっては待ちに待った環境が到来しつつあるわけですが、一方で、冬にかけて感染の再拡大が危惧され、こうした業界の盛り上がりも一過性にとどまる可能性が高く、そうしたリスクも織り込んだ対策を練っておく必要があると思います。
それらを踏まえ、お尋ねいたしますが、感染拡大の第六波の到来が危惧される中、短期的な施策と中長期を見据えた施策をベストミックスさせ、観光関連業界のV字回復に向けた処方箋を示し、具体的な施策をしっかり講じていくべきと思いますが、これまで講じてきた施策の評価と併せ、商工労働局長にお伺いいたします。
83: ◯答弁(商工労働局長) 今後の観光振興におきましては、感染拡大防止策をしっかりと講じながら、落ち込んだ観光需要の早期回復を図るとともに、ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、中長期的な観点から戦略的に施策を推進していくことが重要と認識しております。
このため、これまで、観光需要の早期回復や観光関連事業者の事業継続を図るための取組といたしまして、クラウドファンディングを活用した観光関連事業者の資金調達支援や宿泊・旅行割引プランの造成支援、マイクロツーリズムなどコロナで変容した観光ニーズに対応した多彩で質の高い観光プロダクトの開発、デジタル技術等を活用した観光地のスマート化推進事業や宿泊事業者に対する感染防止対策等支援事業による安全・安心な受入れ環境整備などに取り組んできたところでございます。
こうした取組により、県内各地でサイクリングをしながら地元の食材を集め、絶景を見ながら食事するアドベンチャーツアーなどの新しい生活様式を踏まえた観光プロダクトの開発や、宿泊事業者におけるインターネット環境やワーケーションなど新たな需要に対応した受入れ環境の整備、観光施設における混雑状況の可視化など、誰もがストレスなく安全・安心に楽しめる観光地づくりなどにつながっているものと評価しております。
また、中長期的な取組といたしましては、新型コロナウイルス感染症のみならず、今後も起こり得る急激な環境変化や様々なリスクに柔軟に対応できるよう、新たな観光プロダクトの開発におけるIT関連産業や製造・小売業など、異業種を含む幅広い事業者と連携した取組や、顧客視点に基づくおもてなしの質の向上に向けた事業者による自発的な取組の促進、広島を高く評価し、広島の魅力を自発的に発信してもらえるような広島ファンの増加に向けた取組などによりまして、自律的継続的な観光産業の確立に向けた観光構造の改革を進めていくこととしております。
引き続き、感染状況をしっかりと見極めていくとともに、国の経済対策や実証実験の動向なども注視しながら、短期的な施策と中長期を見据えた施策を、市町や観光関連事業者等と連携して効果的に講じていくことにより、観光関連産業のV字回復を目指してまいりたいと考えております。
84: ◯質疑(吉井委員) 次は、若年者、いわゆる若い世代の新卒者を含めた就職支援についてお伺いしたいと思います。
今年の春卒業した県内大学生の就職内定率は、新型コロナで企業の採用抑制の傾向もあり、9年ぶりに前年を下回りました。また、厚生労働省によれば、この春全国で入社予定であった高校生、大学生の内定取消しも急増し、コロナ前の4倍になったということであります。また一方で、新型コロナの影響で希望業種の採用枠を絞るなど、第一希望ではない会社、業界に志望先を変えざるを得なくなった例や、インターンシップや面接で企業にリアルに接する機会が減り、入社する企業の現場などを十分見ることなく入社した例も聞くところであります。
こうしたコロナ禍が生み出した現状は、就職して3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職することを示す、七五三現象に拍車をかけることになると懸念されております。
今、大切なのは、デジタル技術を活用して、動画でリアルな職場を紹介するなどして、学生の不安払拭につなげ、企業側もPR機会を増やしたり、オンラインで気軽に相談できる仕組みを構築するなど、新たな知恵が求められるのではないでしょうか。
入社後にギャップを感じ早期離職となれば、企業にとっても損失は大きく、以前から指摘されるミスマッチ解消の問題に産学官が連携して正面から取り組んでいく必要があると思うのであります。
そうした点を踏まえてお尋ねいたしますが、新型コロナの行く末が依然として視界不良の中、人生の転換点に立ち、就職に思い悩む若年層に寄り添った手厚い支援が求められるものと思いますが、この喫緊の課題に対し、県としてどう取り組んでいくのか、商工労働局長にお尋ねいたします。
85: ◯答弁(商工労働局長) 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化によりまして、企業説明会や面接選考の方法が変化する中、雇用のミスマッチを防ぐためには、企業の仕事内容や就業環境等に関する情報を学生に提供していくことが重要であると認識しております。
このため、学生向けの求人情報サイト「ひろしまッチ」では、採用情報と併せて企業紹介動画や先輩社員の声などを掲載し、情報提供の充実を図っているところでございます。
また、学生が県内企業で働くイメージを得ることができるよう企業と学生の交流会等を開催するとともに、大学や経済団体と連携したインターンシップの促進に取り組んでいるところでございます。
さらに、就職活動に悩む学生に対しては、ひろしましごと館等の就職相談窓口において個別支援を行うとともに、孤独を感じがちな学生に対しては学生同士が交流するミニ座談会を実施するなど、一人一人の学生に寄り添った対応を行っているところでございます。
引き続き、きめ細かな相談対応を行うとともに、大学や経済団体等と連携し、就職内定状況や課題を把握し、必要な対策を講じることで、円滑な就職と定着につなげてまいりたいと考えております。
86: ◯質疑(吉井委員) よろしくお願いいたします。
最後になりますが、本県の経済雇用情勢の正常化に向けた方策についてお尋ねいたします。
民間の調査によれば、今年度上半期の企業倒産件数は55年ぶりに3,000件を下回り、新型コロナの公的支援により大幅に抑制されてきたと言われております。ただ、過剰債務という副作用もあり、コロナ収束の先行きが見えてこない現状から、倒産や休廃業が今後増加するおそれが大きいとも指摘されております。
既にコロナ関連倒産は、飲食業や建設業をはじめ800件を超えるなど、支援を受けても体力が消耗し息切れする企業も出てきております。また、新型コロナを起因とした解雇や雇い止めも全国で12万人規模となっております。さらに、雇用の4割近くを占める非正規雇用では、シフトが大幅に減らされるなどして、生活苦にあえいでいるのも現状であります。
さきの衆議院議員選挙では経済政策が大きな争点となり、世論調査でも最も関心が高いとの報道もありましたが、県民が将来に希望が持てるよう、経済を安定的な成長軌道に乗せ、雇用をしっかり支えていかなければなりません。
そこで、今後の本県の経済雇用情勢の正常化に向けた方策について、4期目の再選を受け、本県のかじ取りを引き続き担う知事に御所見をお伺いしたいと思います。
87: ◯答弁(知事) 新型コロナ感染症の拡大による影響を受けた県内事業者への事業継続・雇用維持対策としては、これまで、全国に先駆けて、早期給付金制度を創設した飲食店等に対する協力支援金や、対象期間に県独自の
集中対策期間を加えるなど、全国トップクラスの充実した内容の支援を行う頑張る中小事業者月次支援金、また、観光需要の早期回復を図るため、10月の集中対策終了後、直ちに再開した観光誘客促進事業のほか、雇用調整助成金の活用促進対策や離職者の早期就職を目的とした合同企業面接会の開催など様々な取組を実施してきたところでございます。
また、9月補正で予算計上いたしました、企業のAI、ロボットの導入など生産性向上に向けた設備投資の後押しや、カーボンニュートラルへ向けたものづくり産業に対する支援など、将来を見据えた対策にも着手したところでございます。
さらに、国においても大規模な経済対策が19日に閣議決定されたことから、こうした国の制度や財源を最大限に活用しながら、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた分野における需要喚起の取組やポストコロナ社会を見据えて、急速に進むデジタル技術の活用や世界的なカーボンニュートラルへの流れに対応できる、中小企業の事業再構築・生産性向上を図る取組、成長分野への円滑な労働移動を支援する取組など、本県の経済・雇用情勢の正常化に向けた取組について、しっかりと検討してまいります。
88: ◯意見(吉井委員) 知事におかれては先般、新たな4年間がスタートしたところであります。今後におきましては、本県がコロナ禍を乗り越え、さらに発展していくための戦略をしっかりと遂行することに期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
89: ◯質疑(佐藤委員) 早速質問に入ります。
昨年度から、広島県は、高校生が授業で使うパソコンやタブレットを保護者に購入させるというひどいやり方を始めました。今、小中学生は、国が1人1台ということで支援しております。その中に高校が入っていないというのも問題なのですが、それに対して広島県が、当時全国で唯一、保護者に買わせてしまうという、ひどいやり方を決定しました。
もちろん、私も大反対しましたし、会派としても反対しました。多くの保護者、県民の方からもメール等で苦情を頂いて、どうにかしてくれという意見がたくさんありました。
そういった意見に対して教育委員会は、経済的に購入できない家庭に対して購入を支援するということで、ここにチラシを持ってきましたが、環境充実奨学金という事業を始めました。
ここには、ICT端末を保護者負担で購入する費用を支援する制度ですと書かれています。対象者は、生活保護受給世帯、または保護者全員の住民税が非課税の世帯であることと書かれております。
ここで本当に問題なのは、私もびっくりしたのですが、給付の仕方です。部局別審査でも問題にしましたが、給付の仕方が、例えば上限額の場合、全日制の3年の普通の高校であれば、1年生のときに3万5,000円、2年生のときに3万5,000円、3年生のときに3万5,000円を支援していく。これが定時制で4年の場合は、2万9,500円ずつ4年間にわたって支払いますというやり方なのです。
買うときは10万円くらい一気にかかるわけです。それが、支援すると言いながら、支払う側が3回に分けるというのはひどくないですか。そう思うのですが、改めてお伺いします。
90: ◯答弁(教育長) 県立学校における生徒1人1台のコンピューターの導入につきましては、保護者負担により購入することとしており、非課税世帯を対象に、昨年度から、パソコン等の購入費用を支援する学びの変革環境充実奨学金を設けたところでございます。
この奨学金につきましては、入学時に一括して購入した経費を修業年限で除した額に、月々発生する通信費等相当額を加算した額を年度ごとに給付することとしております。
この奨学金につきましては、端末の購入に際しましては、入学時に一括して負担する場合、それから、年度ごとに分割して負担する場合など、様々な形態があること、また、高等学校等の入学時に非課税世帯に該当する場合だけでなく、進級時に非課税世帯に該当となる場合や、中途で転退学等をする場合などがあることなどの理由から、給付に不公平が生じないように配慮することが必要であるということで考えたものでございます。
91: ◯要望・質疑(佐藤委員) 今、給付に不公平が生じないと言われていますが、それが結果的に中途半端な給付の仕方になっているのだろうと思うのです。
そもそも、我々の会派としては、非課税世帯だけに支援するというのもおかしい、全世帯にやるべきだと申して反対しましたが、蓋を開けてみたら、苦しい世帯に対しても3分割して支援することになっています。
実際には、先ほどから言っているように、最初に購入費用が要るわけです。さらに言えば、2年生になったときに非課税世帯でなくなったら、もう払いませんという話なのです。そんなの関係ない話なのです。買うときにお金がないから支援するというのが、この制度の目的のはずです。ここにも購入する費用を支援する制度だと書いてあるわけです。今のやり方だと、購入した後の生活が苦しいから、後々3万5,000円ずつ払っていきますという生活支援の制度にしかならないのです。あくまでも、最初に購入するための支援の制度なのだから、最初に出してあげないと意味がないのです。
さらに言えば、下のところに年間スケジュールが出ていますけれども、申請手続を7月にして、支給は年度末の1月、2月、3月あたりに支給しますと書いてあるわけです。買うのは、むしろ入学する前に買ってくださいという話になっているのだろうから、3月とかに買う家庭もあるのだろうと思うのです。それが結果的に1年たった1月、2月、3月あたりに支払いますというのが、本当に支援する制度なのか、普通に考えておかしいのではないかと思います。
私自身も、予算を出したときに何で説明しなかったのかと、悔しく思っているわけです。我々は反対しましたが、ここまでの状況を把握していなかったのは、私自身反省だと思っているのです。そちらからすると恐らく、予算のときに聞かれていないから教えていないというだけのことなのだろうと思うのです。
ただ、もちろん金額が出ているわけだから、何名対象に幾らという資料をこちらが出させれば判明した話なのだろうと思うのです。今回、こうやって
決算特別委員会でやっていますが、本来なら予算特別委員会でやらないといけない話だと思って、そういった面で私自身すごく反省しています。支援を受ける県民の方々に申し訳ないとすごく思います。
だからこそ、この決算で判明したことは、今後、次の予算に反映してもらいたい。議会によっては決算予算特別委員会で一緒にやったりするところもあります。そういう形で決算が軽視され過ぎているという部分はあるので、やはり決算で起きたことをもっと予算に反映してもらいたいということは、要望しておきます。
次は、広島県が出資している団体に対してもチェックしていきたいと思います。
まずは、男女共同参画財団です。
これも部局別審査でいろいろ追及しましたが、簡単に言えば、おりづるタワーにこの団体は入っています。おりづるタワーの家賃は県が月400万円負担して支払っているわけです。ほかの外郭団体も調べましたが、当時、県が家賃を負担しているという団体はないわけです。どこの団体も、県庁内に入っているか、または県の施設の中に入って、家賃が発生していないところで活動しているのです。
それが、この男女共同参画財団に関しては、すばらしい一等地のおりづるタワーで、今後も県が400万円を出し続けるのかどうか、改めてお伺いします。
92: ◯答弁(環境県民局長) 広島県女性総合センター、エソール広島は、開設以来、本県の女性活動の拠点として、女性大学をはじめとする人材育成等を中心に多大な実績を上げているところであり、本県の男女共同参画活動の拠点として不可欠なものとして、移転前は、県有施設を無償で貸し付けており、現在の賃借料についても、必要な県の負担であると考えております。
また、平成30年のおりづるタワーへの移転につきましては、県内各地から多くの方が集いやすく、交通の利便性が高い立地であること、相談や交流、研修機能のためのスペースが確保できることなどを基本に、複数の民間賃貸ビルや未利用の県有施設について、要件及びコスト等を総合的に検討した結果、最も適当と判断したものでございます。
93: ◯要望・質疑(佐藤委員) 富士見町のエソール広島を廃止して移転するときも、今のような意見を言われていました。本当にそれが正しい意見なのかと思い、平成29年の12月定例会でも我々は反対したわけです。移転に係る金額、敷金といったものも含めて、このときから反対し始めましたけれども、やはり、今言われたのは言い訳でしかないのです。今まで富士見町にあったエソール広島は、築30年でまだ老朽化していない、まだ大丈夫なようなところに、新しく富裕層向けのホテルをつくるからといって、立ち退いてもらおうと。ただ、立ち退き先が県庁内や、古い県民文化センターにすると、恐らく立ち退きに反対されるのではないかということで、物すごくいい、おりづるタワーに400万円出しますから、移ってくださいみたいな交渉の中でやってきたのではないかと思うのです。ただ、それがもうそもそもの間違いで、私は当初からずっと、ほかの団体にはそういうことをしていないから、この女性団体に県が400万円をずっと出していくというのはあり得ないと言っていました。
ある意味、この男女共同参画財団はほかの団体から、そこの財団だけこんな一等地の家賃を出してもらっていいねみたいな話なのだろうと思うのです。普通はあり得ない話を持ちかけたわけです。年間5,000万円近くを県として未来永劫投資していくのが本当に正しいのか、普通に考えて、県民感覚からいったらそこにある必要はないのではないかと思うわけです。私は正当性がないのだろうと思うのです。
ほかの県も調べると、やはり、こういう男女共同参画事業の団体は、結構県庁内にあったりもしますし、県の建物の中に入っているところが多いのです。
だからこそ、もう最終的には要望になってしまいますけれども、先ほどの決算の意見を予算に反映していただきたいもう一つの意見として、これも申し述べて、次の質問に行きたいと思います。
家賃の話に関係してくるのですが、先ほど、月400万円おりづるタワーにかかる、当時は男女共同参画財団しかないと言いましたけれども、実は調べると、昨年度からもう一つの団体で家賃が発生しているのです。
それが、クリスタルプラザに入っている広島国際センターです。
皆さんも御存じのとおり、クリスタルプラザが民間に売却されました。それまでは、この国際センターは、県の施設にあったから家賃は発生していなかったのですが、クリスタルプラザを民間に売却したことによって、家賃が発生して、月に150万円かかっています。
この辺りも、先ほどのおりづるタワーの件ではないですが、今後、移転する考えがあるのか、お伺いします。
94: ◯答弁(地域政策局長) ひろしま国際センターは、県内全域を対象に、在住外国人に対する多言語での専門相談や留学生の生活・就職支援などに取り組んでおり、県からの家賃補助は、本県在住の外国人の支援活動の拠点としての機能を維持・発揮するために、必要な支援であると考えております。
こうした事業を行うに当たっては、相談者や留学生の利便性、社会保険労務士などの専門性の高い相談員の確保といった観点から、広島市内の利便性の高い場所に事務所を設置する必要があると考えております。
現時点では広島市中心部において、県庁舎をはじめ県有施設に利用可能なスペースはなく、近隣の民間施設と比較しても、家賃は同等以下となっておりますことから、クリスタルプラザに入居を続けているところでございます。当面の間、クリスタルプラザを利用することを考えているところでもございます。
95: ◯要望・質疑(佐藤委員) もちろん、男女共同参画財団もこのひろしま国際センターも、県にとって必要な団体だという認識は私も同じです。そこに高額な家賃を支払うかどうか、要するに費用対効果です。
決算特別委員会なので、そういった費用対効果として正しいのかどうか、やはり議論しないといけないのだろうと思うのです。もちろん、町なかのいいところにあるほうが使う人にとっては一番いいに決まっているわけです。それはどこの団体もどこの利用者でもそうなのです。しかし、やはりお金がかかるから、県の建物や県庁内にしているわけです。なのに、この二つの団体は、そうではなくて民間のところを借りているという正当性が問われるのだろうと思うので、ここも同様に、今後考えていただきたいと思います。
それから、財団等、外郭団体のチェックをしていく中で、もう一つこれはどうかというものが見つかりました。それが、広島県スポーツ振興財団なのですけれども、この広島県スポーツ振興財団には、県が77.1%出資しています。ここの経営状況の説明書を見ていると、その中で、競技力向上事業は、金利低下による経常収益の減少により平成28年度から助成事業を休止しているという文言があったわけです。要するに、この団体は昭和63年に設立して、バブル真っただ中の金利が高い頃だから、資金運用でできた利益をうまく各スポーツ団体に、いろいろ支援するということを目的として設立されているのです。
当初はそれでよかったのかもしれませんが、今の時代に金利でやっていこうという団体があることがすごく私には不思議なのです。廃止するという議論になったことがないのか、お伺いします。
96: ◯答弁(地域政策局長) スポーツ振興財団は、県、広島市、各商工会議所等の出資の下、官と民が一体となって設立され、広く県民のスポーツについての理解と関心を深め、積極的にスポーツに取り組む意欲を高揚させるとともに、地域のスポーツの振興と競技力の向上を図ることを目的とし、設立された団体であります。
この目的の達成のため、指導者の養成・派遣等、幅広い分野の事業の支援を行ってきておりまして、スポーツの裾野を拡げていくためには、これまでもそうでございましたし、今後も継続した取組が必要であると考えております。
97: ◯要望(佐藤委員) いや、私が調べたところによると、何回かもうやめたほうがいいのではないかという意見が出たことも聞いているのです。それはそうです。当初の目的からもう、社会情勢から大きく変わっているわけです。
金利がないわけだから、収入がないのではないかと思って収入を調べると、毎年500万円の寄附金があると計上しているのです。
これは何かというと、チャリティーゴルフ大会なのです。チャリティーゴルフ大会の収益500万円を毎年計上していて、年末なのか、広島県内のスポーツ選手が一堂に集まって、ゴルフをして、選手の道具とかをオークションにして、その収益をこの財団に充てているのだろうと思うのです。
それを毎年やり続けるための団体というのは、どうなのかと私は思うわけです。
やはり時代が変わったわけだから、そのままずっと同じやり方でやっていくのもおかしいのだろうと思いますので、ここも改めて問題提起しておきます。
時間になったので、あと、広島ブランド推進事業について、日刊わしらの運営状況がおかしいということ、東京のTAUだったり、また、国際平和拠点ひろしま構想推進事業、これは、広島市とのすみ分けが大丈夫なのか、さらに言えば、これらがダブっているのではないかという事業もたくさんあるので、この辺りも今後違う形で追求していきたいと思います。
休憩 午後2時17分
再開 午後2時25分
98: ◯質疑(沖井委員) 自民議連の沖井純でございます。それでは、未来を見据えた決算審査となるように志し、質問に入らせていただきます。
初めに、今年度開学した叡啓大学についてお伺いします。このたび、叡啓大学では秋入学が行われ、新年度の入学者がそろったわけでありますが、その状況及び分析について、環境県民局長にお伺いします。
99: ◯答弁(環境県民局長) 今年度、叡啓大学の一期生として、春入学86名、秋入学8名の計94名の学生が入学いたしました。この一期生につきましては、学業成績だけではなく、学生の資質、能力、意欲を多面的、総合的に評価する入学者選抜の特性から、個性にあふれ、社会への貢献意欲と自らの将来ビジョンを持ち、主体的に学修する学生がそろっていると、大学から聞いております。
一方で、一期生のうち、留学生につきましては、新型コロナウイルス感染拡大により、渡航、入国の制限や世界的な経済情勢の悪化など、留学を取り巻く環境が厳しさを増し、海外からの留学生の確保が極めて困難であったことから、定員20名に対して、入学は9名にとどまっております。
叡啓大学の目指す教育には、留学生をはじめ、多様な価値観の集うキャンパスが不可欠であり、現在、交換留学生の確保に向けて、海外大学との協定締結などを進めているところでございます。
100: ◯質疑(沖井委員) 大学教育の中核となるのは、授業による学生指導でありますが、どのように授業を活性化し、学生を方向づけしているかについて、環境県民局長にお伺いします。
101: ◯答弁(環境県民局長) 叡啓大学におきましては、新たな教育モデルの実践に向けて、企業や市町等との連携による課題解決演習や、留学、インターンシップなど、海外を含む体験・実践活動を中心に据え、実社会の課題を解決し、新たな価値の創造に必要な知識やスキルをトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、実体験として修得できる教育体系を構築しております。
こうした教育の効果を高めるため、授業では、学生の主体的な学びを重視し、講義形式の知識の伝達は最小限にとどめ、グループワークやプレゼンテーション、ディスカッションなどを取り入れたアクティブラーニングを積極的に導入しております。学生は事前学習により必要な情報を得た上で、授業に臨むことが求められ、事後の振り返りまでの一貫した学びを通じて、知識、スキルの着実な定着に加え、複眼的、多角的に社会を俯瞰できる視野や論理的思考力、本質的な課題を発見し、統合的な解決策を戦略的に立案する力など、これからの社会で求められるコンピテンシーを培ってまいります。
また、叡啓大学では、学修指導やキャリアデザインなど、学生と教員が日常的にコミュニケーションを図る、港から名づけられておりますポートという場を設け、学生支援の柱に位置づけており、学生が描く将来の実現に向けて、一人一人の学びに寄り添い、その成長を促してまいりたいと考えております。
102: ◯質疑(沖井委員) 次に、叡啓大学はキャンパスが町なかにあり、一つの建物に集約されているという特性がありますが、この特性がどのように生かされ、学生たちが地域に溶け込み、大学生活を楽しんでいるかについて、環境県民局長にお伺いします。
103: ◯答弁(環境県民局長) 叡啓大学のキャンパスは、JR広島駅から徒歩10分ほどの県内外からアクセスしやすい広島市中心部に位置しております。こうした環境は、叡啓大学が注力する実践的な教育を展開するに当たり、企業、自治体など実社会の多様な主体と連携する上でメリットがあるだけでなく、ショッピングや食事、アルバイトといった生活面での利便性も高く、文化・芸術やスポーツ、映画など、余暇を楽しむことにも適しております。また、校舎には学生寮が併設されており、学生の自主的な運営の下、留学生と日本人学生が共同生活を送り、共に切磋琢磨する中で、多文化理解の醸成やコミュニケーション能力、主体性、リーダーシップの涵養に資する場となっております。
イベントやボランティア活動への参画など、地域社会とのつながりも深まってきており、学生は、都市型キャンパスの特性を生かして、教育、生活の両面から、有意義で充実したキャンパスライフを送っていると考えております。
104: ◯要望・質疑(沖井委員) 叡啓大学は、叡智学園の陰に隠れがちでありますが、巨額の県費が投じられ、広島県の教育展開には不可欠な高等教育機関であります。先般、現場を拝見させていただきましたが、学長、学部長をはじめとするスタッフの見識や志の高さに感銘を受ける一方、創立時期にコロナ禍に見舞われ、留学生などの受入れがスムーズに進まなかった影響が残っているように感じられました。今後の学生指導の充実や斬新な教育プログラムのPRなどにより、大学としての評価を高めていかれることを願っております。現在の学生や先生方が大学の歴史をつくっていかれるわけでありますが、県としても十分なサポートをしていかれることを要望いたし、この質問を終わります。
それでは、次に水産振興についてお伺いします。
水産業の新規就業者が、平成30年度の39人から令和元年度は18人、令和2年度は19人と半減しております。その理由をどのように分析し、今後の就業者確保のためにどのように取り組もうとされているかについて、農林水産局長にお伺いします。
105: ◯答弁(農林水産局長) 令和2年度の新規就業者は、平成30年度の39人から19人と20人減少しており、その内訳は、雇用型のカキ養殖会社やイワシ網漁業会社では5人増加している一方で、独立型の海面漁業では25人減少となっております。
この主な要因は、漁協への加入要件が厳格化されたことにより、中高齢層の小規模な就業希望者が減少したことにありますが、若い新規就業者についても、操業技術の習得までに時間を要していることから、就業直後は安定した収入が確保できないなど、若者にとって魅力を感じにくくなっており、毎年数名程度の新規就業者の確保にとどまっております。
こうしたことから、独立型の海面漁業において、新規漁業者を確保・定着させるためには、早期の経営安定に加えて、その経営を着実に発展させていく必要があると考えております。具体的には、新規就業者に対し、早期の経営安定に向けて、現在行っている広島県新規漁業就業者支援協議会と連携した就業相談、漁業体験を主体とした短期研修、実践的な技術を習得する長期研修などの充実を図ってまいります。また、今後は、漁業就業者の着実な経営発展に向けて、効率的な漁獲技術の習得に加え、実需者ニーズに基づいた安定供給ができるよう販売力の向上を支援することにより、経営力の高い担い手の確保・育成に努めてまいります。
106: ◯質疑(沖井委員) 漁業従事者増加のためには、就業者の肉体的な負担軽減や、もうかる漁業への転換などが重要であります。そのためには、デジタル技術を取り入れることも必要と考えますが、デジタル技術の活用はどのような期待が持てるかについて、農林水産局長にお伺いします。
107: ◯答弁(農林水産局長) 水産業分野におけるデジタル技術の具体的な活用につきましては、GPS機能を利用した漁獲情報の収集により、魚の分布状況を予測するシステムや、仲卸業者からの実需情報を電子端末により把握することで、実需者ニーズに応じた有利取引を実現するシステムの実用化に向けた取組が進みつつあります。
こうしたシステムの活用により、漁場と市場のリアルタイムでの見える化が進むことで、経験と勘による漁業からデータに基づく効率的な漁業への転換が進み、漁業従事者の所得向上が図られるものと期待しているところでございます。
108: ◯質疑(沖井委員) また、水産振興の前提として、漁場環境の整備が必要となりますが、どのようにデジタル技術等を活用しつつ取り組んでいくかについて、農林水産局長にお伺いします。
109: ◯答弁(農林水産局長) 水産資源の回復に向けましては、これまで実施してきた藻場、干潟の造成に加え、今年度から、海底耕うんによる底質改善などの漁場環境の整備に取り組んでいるところでございます。
実施箇所における餌や魚の調査・分析に当たっては、水中カメラ等のデジタル技術を活用し効率的に正確なデータを収集・解析することで、科学的根拠に基づく漁場環境の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
また、近年、海域環境が変化する中で、海水温などのデータを把握する必要性が高まっており、本県におきましては、今年度からカキ養殖において、水温や餌となるプランクトンの量などのデータを基に採苗やへい死防止、収穫予測を可能とするスマート養殖の取組を始めているところでございます。
こうした海況データの蓄積、活用は、海面漁業においても操業の効率化につながるものと期待しており、今後は、カキ養殖だけではなく、県内の海域における漁場環境予測などへの活用についても検討してまいりたいと考えております。
110: ◯要望・質疑(沖井委員) 水産振興は広島県のアイデンティティーにも関わる課題であります。これまでのような地道な取組に加え、デジタル技術の導入などにより、新規就業者の獲得や漁場環境の整備においても、新たな展開を試みられることを要望いたします。
それでは次に、感染症対策についてお伺いします。
先般、逝去された劇画家、さいとう・たかを氏の代表作、ゴルゴ13には感染症をテーマにした作品が多く見られます。さいとう氏は、我が国の感染症対策に対する意識の欠如に警鐘を鳴らしたつもりでいましたが、長年スルーされたまま、コロナ危機が発生してしまったと、亡くなられる前、述べられていました。
さて、今後、コロナ以外の感染症のパンデミックが発生する場合もあると考えられます。このたびのコロナ対策の経験から、県の感染症一般に対する対処能力は、かなり向上していると思われますが、県としての認識と今後の課題について、知事にお伺いします。
111: ◯答弁(知事) 新型コロナウイルス感染症や新たな感染症も含め、国民の生命、健康に重大な影響を及ぼす感染症対策につきましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法に定められており、今般の新型コロナウイルス感染症では、国や都道府県等における対策本部の設置、具体的な対策となる国の基本的対処方針の策定、緊急事態宣言などの蔓延防止対策、ワクチン接種の推進や医療提供体制の確保などの措置を実施してきたところでございます。
本県では、これらに加えまして、状況の変化に迅速かつ的確に対応するため、新たに担当の部署を設け、保健所設置市も含めた県全体の感染情報の収集・分析や入院調整の一元化、全県におけるPCR検査体制の充実、市町と連携した円滑なワクチン接種の推進などに取り組んでまいりました。
こうした取組と県民の御協力により、ワクチン接種も着実に推移しているほか、この夏の感染拡大におきましても、医療体制が逼迫することなく乗り切ることができたところでございます。
今後につきましても、新たな脅威となる感染症が国内で流行することを想定し、十分に備えていくことが重要であることから、本年5月の改正医療法では、都道府県が策定する保健医療計画におきまして、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項を定めることとされました。
次期計画の策定に当たりましては、このたびの新型コロナウイルス感染症への経験を踏まえ、大学等の専門家や地域の医療関係者と議論を進め、いざというとき、機動的に対応できる体制を検討し、県民の皆様の安全と安心を確保してまいりたいと考えております。
112: ◯要望・質疑(沖井委員) いつ何どき、新しいタイプの感染症が出現するかもしれない時代において、危機管理意識の継続はもとより、県の実情を把握の上、日頃より対処能力を高めていくように切に要望いたします。
次に、新型コロナウイルス拡大防止協力支援事業の検証についてお伺いします。
コロナ危機に際し、これまで県では、新型コロナウイルス拡大防止協力支援事業を通し、休業や時短等に協力し、影響を受けた飲食業者の経済支援を行ってまいりました。対象エリアや休業、時短の金額の差異など、制度設計については、議会においても様々な意見があったわけでありますが、私としては、執行部としても時間が限られている中での判断であり、おおむね容認できるものであったと考えております。
しかしながら、国の交付金が財源として充てられたことで、本年10月中旬時点で約410億円もの巨額支援が可能となった印象があります。本当に支援の必要なところに必要な支援が届いたのか、事業者が再び立ち上がり、前を向いていけるような支援となったのか、そして、より迅速な支給ができなかったかなどについては精査が必要であると考えております。
今後、新たな感染症のパンデミックが発生した場合、必ずしも国から大型の財政拠出を期待できるわけではなく、このたびの支援の在り方についての検証をし、将来の危急時に、より公平かつ効果的な対応を講じられるよう備えておくべきであると考えます。そこで、県としてどのような形で検証を進めていこうとされているのかについて知事にお伺いします。
113: ◯答弁(知事) 飲食店への協力支援金の制度は、国の定める基本的対処方針に準じて決定してきており、昨年度までの定額支給の方式から、今年度は売上高に応じて支給額に差異を設けるなど、事業規模に応じて協力支援金を支給してきたところでございます。
また、協力支援金の支給事務につきましては、審査の体制強化やシステムの改善、早期給付制度の導入、申請サポート相談窓口の設置などに随時取り組んだ結果、現在では、9月14日が申請の締切りであった第3期までの申請はほぼ支給が完了し、第4~6期に実施した早期給付につきましても、ほぼ支給が完了するなど他県よりも比較的早く支給が進んでおります。
協力支援金の在り方につきましては、今後、業界団体などを通じて、事業者の声をしっかりと把握してまいりたいと考えております。こうした声を十分な支援策となるよう国へ要望していくとともに、県独自の設定を行う場合には、より一層、事業者の実情を踏まえた対応を検討してまいりたいと考えております。
114: ◯要望(沖井委員) このたび、県において様々なコロナ対策への経済的な支援が組まれたわけでありますが、最も検証の必要があると思われるものとして、この事業を取り上げた次第であります。このたびの支援がどの程度飲食業者のなりわいの維持につながったか、実質的な公平は担保されていたか、より迅速な支給を講じるにはどうすればよいかなどについて、実態的な調査をされることを要望いたします。
それでは最後に、コロナ危機終息後の文化の回復について要望いたします。
コロナ危機は健康、経済に大きな打撃を与えましたが、文化、とりわけ人と人との付き合いにも大きな打撃を与えました。これまで、是とされてきた人と人との交流や地域のにぎわいが必ずしも是とされなくなり、祭りや季節行事などの伝統が途絶え、冠婚葬祭もひっそりと行われることが多くなりました。そのため、地域ではコミュニティーの崩壊に拍車がかかったのではないかという懸念があります。健康、経済に比べ、文化は見落とされやすい分野であり、個人個人の価値観も関わるため、難しい課題とはなりますが、県としても、コロナ危機終息後におけるコミュニティーの回復などについて、ぜひとも意識され、対策を講じることを要望いたします。
それでは、以上をもちまして私の質疑を終わらせていただきます。
115: ◯質疑(中原委員) 民主県政会の中原でございます。令和2年度の決算審査ということで幾つか質問させていただきたいと思います。
まずは、令和2年度ですが、一体どういう年だったのかということ、これはもうコロナウイルスとの闘いが本格化して、いろんな分野に具体的な影響が出始め、その対応に追われた年だったと言えると思っております。前年度の3月に当時の安倍総理が学校の一斉休校を求め、4月16日には、緊急事態宣言、これは連休明けの5月14日まで続いて、学校の再開は6月頃になった。さらに、年末の12月12日から年が明けて2月21日まで、この間は3次にわたる県独自の集中対策が行われるという状況でございました。すなわち1年のうち4分の1に当たる3か月以上の間、緊急事態宣言と何らかの規制や自粛の中での生活を強いられたという年だったと。こうした中で、県民生活は一体どういう状況だったのか。また、今後の県政運営の課題にどういう影響があったのか。こういったことを、今回は大きく捉えて、お聞きしたいと思っております。
まず、3か月にわたる学校の一斉休校の影響についてお聞きをしたいと思います。
事前にお聞きしたところ、卒業式、入学式は感染対策をしながら全学校で実施をしたと。ただ、フルスペックでの式典の緊張感、あるいは達成感、感激、また友人との出会いと別れといった、この式本来の効果は減退していたと思います。また、こういったことで、児童生徒に影響はなかったのか、心配しております。また、授業数も確保できたということでございました。3か月も休校していて、これは先生たちもフォローは大変だったと思うのですが、児童生徒への影響もどうだったのかを心配しております。
また、教育のIT化も、本当に行き渡っているのかということも心配しております。個別審査で、県立学校につきましては、令和3年度への繰越し分も含めて約19億円をかけて整備を進めたと。具体的には、学校教室のネットワーク環境の整備、児童生徒への端末の整備状況、そして、自宅でのネットワーク環境整備、この3点になると思うのですけれども、個別審査では順調に整備が進んでいるという答弁でございました。これは県立学校についてですが、心配しておりますのは、私学は一体どういう状況になっているのかということです。この私学全般について、教育のIT化、先ほど申し上げました3点に関わる整備となりますが、どうなっているのか、環境県民局長にまずお聞きいたします。
116: ◯答弁(環境県民局長) まず、学校・教室のネットワーク環境の整備につきましては、小・中学校では約7割の学校が、高等学校では約8割の学校が、令和3年度末までに完了することとしております。
次に、生徒への1人1台端末の整備が令和3年度末までに完了する見込みの学校につきましては、小・中学校では約6割、高等学校では学年別に段階的な導入を進めている学校もあることなどから、約4割でございます。
また、自宅でのネットワーク環境整備につきましては、把握はできておりませんが、高等学校におきましては、今年度、新型コロナ感染症拡大防止のため約8割でオンライン授業を実施されており、国や県の補助制度などを活用して、自宅でのネットワーク環境を整備していただいているものと考えております。
私立学校におきましては、各学校の状況に応じたICT環境の整備を進められているところであり、今後とも、私立学校におけるICT教育の推進に向けて必要な支援をしてまいります。
117: ◯要望・質疑(中原委員) 今度、広島県私学助成をすすめる会のほうでも要請活動をさせていただきますが、保護者や先生からは、やはりまだ生徒1人1台の部分も、なかなか難しいという声がかなり上がっています。県立学校と違って難しい部分もあると思いますけれども、私学のほうもしっかりチェックしていただくことと、あと今の自宅のネットワーク環境、これは県立学校でも5%ということでしたが、生徒の家庭でそういう環境が整っていないということもありましたので、私立学校も同じですから、しっかりとフォローしていただきたいと思います。
今の教育のIT化については、これから実際にその運用が行われるわけですが、効果について、しっかりとフォローしていく必要があると思います。もともとは学びの変革の一環で進められてきたことですが、コロナの感染拡大で一気に加速するという状況、私の事務所のそばに進学予備校がありますが、ここは東京の人気講師の授業をオンラインで受けることが中心で進められています。こうしたIT化が進んでいくと、求められる教師像も変わってくるかもしれませんし、学力強化の方法も変化するかもしれません。そうした点を十分に検討して、対面での教育効果と比較しながら、適切な学びの方向性を示していただきたいと思っております。
一方で、この3か月の休校やコロナウイルスの感染拡大で、児童生徒の不登校につながったり、心の問題に発展するケースが見られるという報道がありました。不登校の増加について、文科省は、一斉休校などで生活のリズムが乱れやすくなって不登校が増加したとされております。広島県の不登校の現状とその対応について、教育長のお考えをお聞きします。
118: ◯答弁(教育長) 令和2年度の全国調査によりますと、不登校の児童生徒の数につきまして、全国的に増加の傾向は変わっておらず、本県におきましても、高等学校で減少しているものの、小・中学校では全国と同様、増加傾向が続いているところでございます。
要因につきましては、全国的な傾向として、無気力、不安や生活のリズムの乱れ、友人関係、学業不振、親子との関わり方といった項目が高い割合を示しているところでございます。
中でも、令和2年度は、無気力、不安や生活のリズムの乱れといった項目の数値が上がっており、新型コロナウイルス感染症の影響があったのではないかと指摘がされております。
本県におきましては、令和元年度から市町教育委員会がスペシャルサポートルームを設置した小・中学校のうち11校を指定し、児童生徒が安心して過ごすことができる環境整備を行うとともに、学習面やコミュニケーション能力の向上に向けた取組やオンライン等を活用して、学校外の他者や社会とのつながりを持つプログラムを実施するなど、不登校の未然防止と不登校等児童生徒の社会的自立に向けた取組の支援を行ってきたところでございます。令和2年度末には、指定校11校中9校におきまして、不登校児童生徒数が前年度以下になるなど、成果も現れてきているところでございます。
このため、今年度は、指定校を県内21校に拡大するとともに、事務局内に新たに不登校支援センターを開設して、指導主事が各指定校を毎週訪問するなど、不登校等児童生徒への支援の強化・充実を図っているところでございます。
今後は、指定校の取組事例を教職員を対象とした研修等において紹介し、不登校の未然防止と児童生徒の社会的自立を目指すこと、また、その際、児童生徒の状況に応じた細やかな支援が必要であるといった不登校等児童生徒への支援の在り方や考え方を県全体へ普及していく中で、不登校等児童生徒への取組の充実を図ってまいります。
119: ◯要望・質疑(中原委員) この小中高合わせて約5,600人、それもずっと増加傾向にあって、今言われた対策を丁寧にやられているのは分かります。コロナの感染拡大といういろんな要素もあったということは確かだと思うのですが、やはり減らさないと成果が上がったとは言えないと思います。そこはもうちょっと丁寧な対応と、やはり実績といいますか成果をしっかりと上げていただきたいと思います。
次に、コロナウイルス感染拡大局面において最も重要になる医療体制の整備についてお聞きしたいと思います。
実際に令和2年度の対応はどうだったのかということを個別審査でお伺いいたしました。そうしますと、中等症以上の患者の約3割、重症患者の約6割を県立広島病院で対応したということでございました。広島都市圏で考えると、今の数字は約6割近くの患者を治療したことになる。また、広島市立舟入市民病院は16病床を備えていて、多いときには60人以上が入院していたと院長が指摘されております。この院長によりますと、医療崩壊までぎりぎりセーフだったということで、また、今回どのような病院がどういうふうに機能したかよく検証してほしいという訴えもされ、大事なことだと思っております。県立広島病院が50床余り、舟入病院が16床ですから、いわゆるフェーズ1の即応病床数の10分の1程度ですが、かなりの患者が集中していたという実態が見えてきていると思います。
こうした経験と実績を基に、今後のコロナウイルス対策における医療体制の整備をどうしていくのか、県立広島病院の体制整備も含めて、
健康福祉局長にお聞きしたいと思います。
120: ◯答弁(
健康福祉局長) 新型コロナウイルス感染症につきましては、感染拡大期に医療が逼迫する場合においても、患者の重症度に応じた適切な医療を提供できるよう、医療機関の連携体制による役割分担を進めてまいりました。
こうした中で、ワクチンの2回目接種が進んできたこと、重症化リスクを低減する中和抗体薬の投与や経口治療薬の開発も進みつつあることなどから、医療を必要とする患者像にも変化が生じており、今後は、入院による治療だけでなく、在宅による治療も広がってくると見込まれます。
そのため、次の感染拡大に備えて検討を進めております保健・医療提供体制確保計画におきましては、重点医療機関等の入院病床確保のほか、中和抗体薬の早期投与や自宅療養者の外来診療、オンライン診療などの体制充実を図ることとしており、現在、地域の医療関係者とともに議論を進めているところでございます。
とりわけ、県立広島病院を含む重点医療機関におきましては、これまでと同様に、中等症や重症患者の入院治療に中心的な役割を担っていただきたいと考えており、軽症者の外来診療や中和抗体療法につきましては、コロナ患者の受入れを行う全ての医療機関で分担するなどにより、重点医療機関に負担が集中することのないよう、適切な医療提供体制を構築してまいりたいと考えております。
121: ◯要望・質疑(中原委員) 病院が非常に大事だということは変わりないと思います。次の波が来ないことを祈るばかりですけれども、しっかりと対応していただきたいと思います。
次は、経済状況について1点お伺いしたいと思います。
気になっているのは個別審査でもお聞きした預託制度運用費、実質無利子無担保の緊急対応融資でございます。資金繰りが厳しい中小企業への当面の支援策と言えますが、令和2年度の融資実績は約5,600億円、3万7,000件と、令和元年度融資実績の約60倍に急増している。これで何とかこの厳しい局面を中小企業にしのいでいっていただきたいと思いますが、返済局面に入っていくと、代位弁済率次第ではかなりのリスクを広島県信用保証協会あるいは広島県が負うことになる。今回の融資スキームでは貸出し窓口となる銀行のリスク負担がほとんどないとのことですが、本来銀行の果たすべき機能であるはずの目利きとリスクヘッジがない中で、モラルハザードも心配されます。返済局面でのこうしたリスクへの対応、そして県の役割について、改めて商工労働局長にお伺いいたします。
122: ◯答弁(商工労働局長) コロナ禍における中小企業の資金繰り支援策として、全国で制度化された実質無利子・無担保融資は、当初3年間が実質無利子、据置期間が最大5年、保証料が不要であるなど、これまでの融資と比較して、事業者の返済負担は大幅に軽減されております。また、コロナ禍の影響の長期化を踏まえまして、利子補給期間の延長や返済猶予など、さらなる事業者の返済負担軽減策を、国に対して要望しているところでございます。
なお、この融資を利用した事業者が返済できなくなった場合には、信用保証協会が金融機関に代位弁済することとなり、信用保証協会には、日本政策金融公庫から代位弁済の約8割が保険金として補填され、保証協会の代位弁済は約2割となります。
本県では、この実質無利子・無担保融資に係る広島県信用保証協会の約2割の代位弁済については、県が全額を補填することといたしております。この融資では、据置期間を1年以上とした場合、半年ごとに金融機関によるモニタリングが必須となっておりまして、事業者の経営状況を定期的に把握することで、必要とされる対応策を適時適切に実施することとしております。
123: ◯要望・質疑(中原委員) 今後、対応には時間がかかり、やはり金融機関がやらなければいけないところを、信用保証協会も含めて、今度は県がやっていくということになると思います。しっかり適切に対応いただければと思います。
時間がないので、1点飛ばします。
最後の質問ですが、コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けている事業にグローバル関連の事業があります。イノベーションと海外ビジネスが広島県の産業政策の柱だと思っておりますが、その一つが今機能しなくなっている状況だということです。そうした中で、私は在外県人会との交流事業が大変重要だと思っているのですが、いろんな事業に参加させていただいて、世代が移っていく中で県人会の活動も薄れていく可能性を危惧しております。今こそ連携を強化し、人材育成や海外ビジネスの分野で成果を上げていくときだと思っておりますが、在外県人会との交流事業の令和2年度の決算について、地域政策局長にお聞きいたします。
124: ◯答弁(地域政策局長) 例年、在外県人会との交流事業につきましては、周年記念行事の機会を捉えた県人会の訪問、県人会の若者を広島県に招聘する人材育成、定期的な県政情報の送付や県人会の活動支援などの取組を行ってまいりましたが、昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、ブラジル県人会等の創立周年行事への訪問団の派遣と、若者の広島県への招聘事業が、中止を余儀なくされました。その結果、昨年度は、南米の4つの県人会に対する運営費補助金147万円の支出のみを行い、会員の交流などに役立てていただきました。
新型コロナウイルス感染症の収束後には、これまでの取組を継続していくとともに、SNSを活用した県人会同士の交流など、オンラインを活用した新たな取組も検討しながら、交流の充実を図っていきたいと考えております。
125: ◯質疑(中原委員) 先日、広島県通訳ガイド協会という組織の会長から、この在外県人会を核とした移民ミュージアムを旧広島陸軍被服支廠につくってはどうかという御提案をいただいたところです。先ほど申し上げました人材育成と海外ビジネスにおいては、この在外県人会が大きな可能性を持っているとお聞きしたのです。叡智学園や叡啓大学の留学生に来てもらうために、いろいろ働きかけたりするのもこの在外県人会にお願いされているということですし、ビジネス面でもハワイやメキシコでは具体的な話があるように聞いております。そうした県人会との交流を今こそ本格化するためにも、この移民ミュージアムというのは非常に大事な、すばらしい提案だと思いました。
調べてみますと、広島市も比治山の平和の丘構想の中で博物館構想というのを持っていて、かなり前から移民由来の品や当時の資料を広く収集されていると伺っております。広島市ともうまく連携して、比治山と隣接する被服支廠にこうした構想を盛り込んでいくというのも、未来の広島県にとって非常に大事だと思っております。ぜひとも、御検討いただければと存じます。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
126: ◯質疑(砂原委員) 広志会の砂原でございます。早速質問させていただきます。
令和2年度はコロナショック対策に終始した大変な1年だったと思います。県の職員の皆様も大変御苦労さまでございました。そこで、令和2年度で実際、医療関係費、協力金、経済対策等で総額どのくらい使ったのか、総務局長に伺います。
127: ◯答弁(総務局長) 令和2年度決算のうち、新型コロナ対策事業関係の主要なものといたしまして、時短要請の協力支援金など、感染拡大防止対策に約201億円、総額約1,179億円となっているところでございます。
128: ◯質疑(砂原委員) 今のコロナ対策関係費のうち、県負担に充当できる地方創生臨時交付金等国庫補助の対象とならない経費があると聞いています。令和2年度においてコロナ対策での一般財源の持ち出しはどれくらいあったのか、伺います。
129: ◯答弁(総務局長) 新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金につきましては、一定の制約があったところでございます。
このため、臨時交付金を活用できず、一般財源を充当せざるを得ない事業がございまして、令和2年度決算額約1,179億円のうち、一般財源の合計額は約11億円でございます。
130: ◯質疑(砂原委員) 医療関係で9億4,000万円、それから商工労働関係で2億9,000万円と聞いております。それでは、令和2年度において、コロナ関連事業費は、県財政にはほとんど影響を及ぼさなかったのではないかと思うのですが、それでよいでしょうか、総務局長に伺います。
131: ◯答弁(総務局長) 新型コロナ対策関係の一般財源の歳出決算額は約11億円でございますが、歳入におきましては、コロナの影響などに伴い県税収入が令和2年度当初予算の見込から116億円の減となるなど、多大な影響が生じたところでございます。
そのため、平成21年度以来11年ぶりとなる減収補填債の発行などにより、何とか対応したところでございます。
132: ◯質疑(砂原委員) それはまず、ちょっと考え方が違うのではないかと思うのです。令和2年度においては、214億円の剰余金が出ています。この214億円のうち、121億円程度については、令和2年度中にコロナ対策として、国から概算払いを受けたもののうち、実績として事業実施しなかった国庫補助金を令和3年度に121億円程度を返さなくてはいけないので、実際には93億円の剰余金が生じているのです。令和2年度に剰余金が93億円生じた、なおかつ、財政調整基金を使わずに済んでおります。ということは、今後ともコロナショックを原因として、財政調整基金を使うことはないのではないかと私は考えております。そうであれば、財政調整基金を使い切った上で、さらに減債基金まで取り崩すとした令和3年度の当初予算は一体何だったのでしょうか。また令和2年度の決算ベースでは、結果として、財政調整基金を取り崩していない中、令和3年度についても同様の事態が想定されるわけです。
財政調整基金が大幅に減少すると見込んでいるというのは、結局、このコロナでなく、ほかの事業で一般財源を散財しているのではないかと私は考えております。よくコロナ対策で県の財政が非常に厳しくなったと言うのですが、コロナで、一般財源で、両方で約11億円、これは県当局が違うと言いますが、来年度、地方創生臨時交付金を11億6,000万円頂けるということで約束されているわけです。同額なわけです。これは違うとさんざん言われますが、私からしたら、返ってくるではないかという感覚を持っているわけです。その辺は考え方の違いですから仕方ありませんが、では何を一般財源でそんなに使っているのかということについてちょっと細かく聞いていきたいと思います。
湯崎県政12年において、日本初の名の下、経済対策となると言われた事業がめじろ押しで行われました。ファンド事業では約40億円の一般財源を繰り出されました。また、イノベーションの名の下、多くの産業対策事業が行われ、任意団体に補助金、交付金が一般財源から多く支出されております。失敗に優しいサンドボックス事業もその一つであります。これらの事業は、長期ビジョンに基づいた先行投資と言われておりますが、それではその成果はいつ発現するのでしょうか。企業の本社移転等の支援事業も成果が上がっていると言われますが、転入者と転出者を見比べてみると、転出者のほうが多いのが実情であります。人口対策もしかりであります。成果の発現というのは、税収増という形で反映されるはずで、湯崎県政10年において、画期的な税収増になっているかというとそうはなっていないと思います。多くの一般財源がこれらの事業に投入された割には、成果が上がっていないのではないかと考えております。
広島県の産業構造は重厚長大型産業に依存しており、県税収入もその企業の業績で大きく左右されています。近年これらの産業部の撤退や縮小が進む中、今までの政策では県税収入を増やせないのではないでしょうか。広島県の税収を増やすために、これからどのような政策を打っていこうと考えているのか、伺います。
133: ◯答弁(商工労働局長) 本県では、これまでひろしま未来チャレンジビジョンに基づきまして、イノベーションを持続的に創出し、雇用や所得を生み出す新たな経済成長を推進するため、基幹産業である輸送用機械などのものづくり産業のイノベーション力を強化するとともに、観光関連産業や健康・医療関連産業、環境・エネルギー産業の育成に注力してまいりました。こうした取組によりまして、令和元年度の本県の製造品出荷額等は9兆7,415億円と10年前の平成21年度と比較いたしまして、1兆8,237億円の増となっております。
また、新たな産業を育成するため、重点的に取り組んできた観光産業におきましては、豪雨災害前のピーク時である令和元年の観光消費額は4,410億円と平成21年と比較して1,534億円の増、健康・医療関連分野におきましては、令和2年度の関連企業の県内生産額が375億円と直近で確認できる平成23年度と比較いたしまして、285億円の増、環境・エネルギー分野におきましては、令和2年度の県内関連産業の売上高が1,724億円と直近で確認できる平成23年度と比較して724億円の増となっておりまして、直接税、間接税といった県税収入などの増加にも寄与しているものと認識しております。
今年度からは、昨年度策定いたしました「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に基づき、これまでの基幹産業である輸送用機械などのイノベーション力を強化するとともに、観光関連産業や、健康・医療関連産業、環境・エネルギー産業の育成のほか、今後大きな成長が見込まれるデジタル系企業の集積やスタートアップ企業への支援などに、より一層注力することとしております。
こうした様々な取組によりまして、雇用の確保・創出や、県民所得の向上など、県税収入の増加を含めた県経済の持続的発展に向け、全力で取り組んでまいります。
134: ◯要望・質疑(砂原委員) 今言われた事業、今までやってこられた事業については、それでは駄目だから見直せと言っているのです。そういった事業の目標設定そのものが間違っている。それで、県財政がよく経済対策がうまく功を奏していると言うけれども、それはアベノミクスで、他県も同じなのです。広島県だけが突出しているわけではない。そういうことをもう一度しっかりとPDCAを回して見直してくださいということを今言っているわけですから、今後その辺のところについて、しっかりと見直ししていただきたいと思います。
次は、叡啓大学のことについて伺います。
今回の決算を事業別に見たとき、今後一般財源を経常的に支出するものが多くあることに気がつきました。その大きなものの一つは教育関係費であります。叡啓大学、叡智学園に対する初期投資は莫大であります。
まず初めに、叡啓大学の初期投資は令和元年度を含めて一体幾らだったのでしょうか。
135: ◯答弁(環境県民局長) 叡啓大学につきましては、令和元年度から令和2年度にかけて、キャンパスとなる土地と建物の取得のほか、間仕切り等の施設改修、図書や備品購入、LAN等の基盤整備を行っており、県の事業費は、約37億9,000万円でございます。
136: ◯質疑(砂原委員) 令和元年、令和2年で、人件費、起債も含めて120億円ぐらい使っていると、私は認識しております。
次に叡智学園について初期投資金額と、年間の運営費は、同じ島内の学校と比較してそれぞれどうなっているか、伺います。
137: ◯答弁(教育長) 広島叡智学園の建設工事に係る初期投資額は、約69億円でございます。また、寮に設置する家具や厨房設備など開校までに必要な備品の購入等に係る経費が約4億円、教員長期派遣研修など国際バカロレア教育プログラム導入等に関連する経費が約1億8,000万円でございます。
次に、運営費についてでございますが、広島叡智学園につきましては、中学校と高等学校の両方を設置していることや、全寮制の学校であることに加え、国際バカロレア導入を前提としている取組を推進する学校であることなどから、教職員の加配等も行っているところであり、令和3年度当初予算におきまして、人件費を含む運営費は6億4,000万円余を計上しているところでございます。
一方、同じ島内に設置しております大崎海星高等学校の人件費を含む運営費につきましては、令和3年度当初予算におきまして、1億3,000万円余を計上しているところでございます。
138: ◯意見・要望(砂原委員) 令和2年度の話ですけれども、大崎海星高校が生徒1人頭の運営経費が約170万円、広島叡智学園が約772万円、これだけ差があるわけです。今後とも、この費用というのは、一般財源として使われてまいります。片や学校廃校をやめてくれと地域の声が上がっているところもあれば、これだけざぶざぶぜいたくに授業をやっているというのは、実際、教育の公平性という面で見たらどうなのかと非常に疑問に思っております。
最後に、質問時間がなくなりましたので私見を申し上げます。企業経営もそうですし、家庭の家計もしかりで、現在ある収入規模を拡大することは簡単ではありません。収入に見合った支出をしなければ、いずれは預貯金もなくなり、いずれは破綻してしまいます。るる指摘してまいりましたが、広島県においても財源規模を顧みず、ざぶざぶと使っていけば、基金も底をついてしまうでしょう。
教訓として、一例を挙げます。千葉県銚子市において、人口対策、経済対策等を目的として大学誘致が行われました。年間税収が約80億円規模の市であるにもかかわらず、銚子市は総額77億円もの建設費補助を行い、他の投資事業等も相まって、平成25年には財政危機宣言を行う事態に陥りました。当初見込んだ経済効果が達成できなかったのです。その後、平成30年には銚子市緊急財政対策を打ち出すこととなり、現在も市民とともに財政再建に取り組んでおられます。
私は広島県も他人ごとではないと感じております。例えば大学や病院は、一度設置してしまうと、建設時の公債費だけでなく、運営費としての義務的支出も一般財源による支出として毎年発生します。広島県では、県立病院、大学、そして、水産海洋技術センターで約40億円ずつ出ているのではないかと言われております。これらの事業を政策的に優先していくということであれば、財政状況を勘案しながら、ほかの事業を見直すことで支出を抑える努力が必須であると私は考えております。
先ほど佐藤委員が指摘しましたが、エソール広島を解体し、広島東警察署の跡地を随契で売却し、ホテルをそこに建設するという事業は、一体誰のために行った事業なのでしょうか。エソール広島は女性3団体が51%出資しています。ですから、この女性団体に対する家賃はある意味補償のようなものでありまして、女性団体で約8,000万円、自治研修センターも、西区大芝にあった自治研修センターの土地を売却し、エソールに入れていたものをまた外に出してしまった結果、約5,000万円、それから、女性団体に対する活動費を含めたら約1億4,000万円のお金がこの事業のために一般財源として支出されています。私には何のための事業だったのか、誰のためのホテルなのか、理解できません。
鞆の浦の活性化のためのふるさと納税による基金集め、これは令和2年度に約2,000万円使っております。集まった寄附金は1,000万円でした。この事業は6億円集まるまで続けるそうです。年間1,000万円として6億円集めるためには60年かかります。何のためにこの6億円を集める必要があるのか、また何のために6億円をその地域に使うのか、私には理解できない。これも貴重な一般財源を使っております。このような事業が本当に一般財源を使ってまで行うべき事業なのでしょうか。
今、広島県の基幹産業の一つである自動車産業は岐路に立っています。EV車対応するためには下請業者も含め、業態変更せざるを得ない状況にあります。また、カーボンニュートラルの対応のために、大規模な投資を迫られている企業もあるようです。ある企業によっては300億円の投資だと聞いております。こういった産業構造の変化を迫られる企業群に広島県として何が支援できるか、また、新たな産業育成へどのような政策を打ち出していくのか、具体的な検討が喫緊の課題ではないでしょうか。
先ほど、高田委員のほうから、広島県の産業構造の変革について質問がありました。知事の答弁を聞いていて、施策に具体性がなく、本当に産業基盤の変革につながるのだろうかと疑問を持ってしまいました。大規模な産業構造の変革、まさにイノベーションを本当に起こすためには、大変な計画を練っていく必要があるのではないでしょうか。
最後に、今回の決算状況を真摯に受け止め、PDCAを回して、一般財源の使途について再検討し、あらゆる危機に備えるための財源調整的基金をきちんと確保し、新たな広島県づくりとなる、効果的な令和4年度の予算編成を期待します。
最後の最後に申し上げますが、今回の
決算特別委員会においても、いろんな資料をチェックしました。何でこんなにミスが多いのか。また、予算説明のときに提出した資料に対する決算の資料が出てこない。ちょっと気が緩んでいるのではないですか。執行部はもうちょっとしっかりしてほしい。そういうことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
139: ◯質疑(岡崎委員) 私は、地方公営企業2会計について質問させていただきます。
まず、県立病院につきまして、先ほど来お話がございましたが、昨年の3月に本県で感染が確認されまして、本当に危機的状況であったわけでございますが、こうした中で、県立広島病院が先頭に立って患者を受け入れ、治療に当たってこられた。本当に、その御尽力に対しまして、改めて心から敬意を表する次第でございます。
このように、県立広島病院というのは、何も南区の、また広島市の病院だけではなく、県税をこれだけ投入し、県の最新鋭の医療、そして感染症あるいは災害といった災害拠点病院としての役割を担っているわけでございます。こうした中で、さらに、特に中山間地域の医師不足に対応したり、そうした成果を23市町へくまなく伝達、指導していく役割もあるのではなかろうかと思っております。
そうした中で、不採算の領域といいますか、そうしたものも確かにありまして、納得できる赤字というのもあろうかと思います。民間ではできない公的病院の中で、そうしたものを積極果敢にやっていく、その結果赤字になる。しかし、その中でも、経営の大原則である最小のコストで最大の効果を得る、これは忘れてはならないと思っております。これまでも様々な経営合理化に努めてこられたわけでございますが、私は、まだまだ不十分な点があるのではなかろうかと思っております。
その中で、経費の大宗を占める人件費でも、決算審査意見書では、平成23年、10年前でございますが、このときが医業収益に対する人件費率が約60%強あった。そして、令和2年度でもその構造は変わっていない。その間に医業収益が40億円くらい上がっているわけでございます。民間企業なら収益が上がれば、そうした人件費率はスケールメリットでもって下がっていくのが普通で、そうしたことがなかなか生かされてない。収益が上がっても、人件費はそれにスライドして、一定の比率で上がっていく。そうした中で、何らかの原因があると思われますが、この点についてどのように分析されているのか、病院事業管理者にお伺いします。
140: ◯答弁(病院事業管理者) 病院事業におきましては、平成21年4月に地方公営企業法の全部適用に移行し、医療環境の変化に対応した医療提供体制の確保や経営基盤の強化を図るため、2度の定数条例改正などを実施いたしております。
これらの取組によりまして、広島病院におきましては、平成23年度から令和元年度までにおいて約40億円の医業収益の増加を図るなど、着実に収支改善の成果を上げてきたところでございます。
委託料を含めた人件費比率につきましては、60%台で推移しておりますが、これは、さらなる収支改善を図るために、患者数の増加、各種加算の取得に向けて、医師をはじめとする医療職の総数を増やしたことなどによって、委託料を含めた人件費が約24億円増加したことによるものでございます。
一方で、人件費比率が高止まりしている状況につきましては、改善すべきと十分認識しておりますので、今後とも県立病院としての役割を踏まえ、持続可能な病院運営が可能となるよう変革を進めてまいりたいと思います。
141: ◯質疑(岡崎委員) 具体的にお聞きしますが、現在、県立病院の職員数、定数は幾らぐらいになっていて、そして、その決定はどのように行われているのか、病院事業管理者にお伺いします。
142: ◯答弁(病院事業管理者) 県立病院の職員数についてでございますが、令和2年度末の定員は、医師198名、技師187名、看護師798名となってございます。
また、県立病院の職員数につきましては、病院事業経営計画に基づく医療機能の強化等に必要な人員として、平成23年度に120名、平成26年度に90名、広島県企業職員等定数条例に定める定数の上限を増やして、必要な体制を確保してまいりました。
必要な人員数につきましては、病院とも協議の上、診療報酬の加算取得あるいは医療機能の強化、患者サービスの向上、経営状況等も考慮して、決定しているところございます。
今後とも、健全な病院経営を考慮しつつ、運営に必要な体制を確保してまいりたいと考えております。
143: ◯質疑(岡崎委員) 現場だけでも、1,200人ぐらい、医師、技師、そして看護師含めていらっしゃるわけです。それに対して給与総額が令和2年度132億円ということで、これには退職金も含まれております、法定福利費も含まれておりますが、そうしたものを割ると1人当たり1,000万円を超えるような状況で、民間と比べて高水準になっていると思っております。
その要因の一つは、現行の公営企業におきましては、職員は一般公務員並みということで、全てそうしたものも条例でくくられております。そうした賃金体系は、どうしても年功序列になるわけでございます。そして定数も先ほど言われた現場の声、そして条例で定めるということで、知事部局あるいは議会といったものの承認も必要になってくる。こうした中で私は、経費削減には制度的な限界があるのではなかろうかと思っております。独立行政法人におきましては、理事長が現場で業務成績を考慮しながら、能力給ということも可能になっておりますし、定数も、その時々で独自の裁量権で決められる。一方、県立病院は先ほど申し上げましたように、最先端の高度医療を提供しなければならない。したがいまして、設備や医療機器の導入も、特に最近、新たな治療技術というのは猛スピードで進んでおります。最新鋭の機器を機動的に導入したり、更新していくということも必要ではございますが、必ずしも現状は、そうした状況になっていないのではないかと思うわけでございます。例えば、手術支援のロボット、ダビンチでございますが、これについても導入がやっとできた、あるいは、リニアックについても、非常に手間取ったと聞いているわけでございます。
そうした中で、独法化ですと、現場の中ですぐ決められるし、また資金も自分で調達しなければならないというようなことがあるわけでございます。なかなかそうしたものが実現しないとなると、現場のほうで、積極的にそうしたものを導入するということに対し、モチベーションが低下していくのではなかろうかと思います。このように、経費削減あるいは投資、そして天秤にかけた費用対効果、こうしたものが、独法化では、より経営感覚が磨かれると私は思っております。
そのためには、常に私も主張しているのですが、県立病院を独法化して、理事長の権限を強化し、権限、責任を担ってもらうべきと考えますが、これに対して知事の所見を伺います。
144: ◯答弁(知事) 県立病院の運営に当たりましては、救急医療や成育医療、がん医療といった政策医療機能の維持・強化を図るだけでなく、経営の効率化も重要であるため、診療報酬の改定に応じた増収対策に取り組むとともに、職員の適正配置や業務改善も推進し、収支の改善に努めているところでございます。
一方で、今後の医療技術の進展やさらなる高度化に対応し、県全体の医療水準向上を図っていくためには、機動的な設備投資を実施するとともに、病院間の役割分担や連携がより重要になってくると認識しております。
加えて、現在、本県の地域医療構想を推進するため、広島都市圏において、全国トップレベルの高度医療を提供する機能や、医療人材を育成・供給する機能を持つ高度医療・人材供給拠点の整備に向けての検討を進めております。
そのため、県立病院の運営形態につきましては、その検討の結果を踏まえるとともに、県立病院の果たすべき役割などを十分に検討し、判断していく必要があると考えております。
今後も新型コロナウイルス感染症の影響などにより、厳しい経営環境となることが想定されますが、県立病院としての使命を果たしながら、時代の流れに沿った取組を推進し、県民の皆様に選ばれ続ける病院となるよう、より一層の経営改善に努めてまいります。
145: ◯要望・質疑(岡崎委員) 今、経営体の話をしたのですが、そうしたものを実現するためにも、ぜひ独法化をお願いしたいと思いますし、国立病院、地方自治体というのは今、独法化に向けて全てその方向に向いております。また、なされたところは、医療レベルや医療サービスというものが随分向上したという声もございます。
審査意見書で合理化、効率を触れながら、なぜこの経営形態について触れていないのか疑問に思いますが、ぜひ早い決断をお願いしたいと思います。
続きまして、地方公営企業の土地造成事業についてお聞きします。
土地造成というのは、生産県構想というのを大原知事が提唱されまして、昭和33年からスタートし、今までに1,000ヘクタール強のものが造成されてきて、今在庫は僅か2%程度でございます。地方公営企業となり、平成10年からその会計が単年度赤字となり、現在、令和2年度決算末では、450億円の累積赤字、そして108億円の債務超過になっておりまして、民間企業で言うならば、まさに破綻状態でございます。
そこで、この事業を継続するには、早急に再建スキームをつくって、財政の抜本的立て直しが必要であると思いますが、この状況をどう認識し、どう対応していくおつもりか、企業局長に伺います。
146: ◯答弁(企業局長) 土地造成事業会計につきましては、令和3年度から、企業債償還額が増加し手持ち資金が大幅に減少することから、企業債の最終償還年度であります令和13年度までに178億円の資金不足が見込まれ、大変厳しい経営状況にあると認識しております。企業局におきましては、未分譲地の分譲促進のほか、維持管理経費の削減などに取り組むことで、資金不足額の圧縮に努めているところでございます。
しかしながら、こうした取組だけでは資金不足の解消に至ることは困難なことから、平成31年に広島県土地造成事業等債務処理基金が創設され、一般会計から基金への積立てが行われているところでございまして、この基金も活用し、来年度以降、計画的に債務処理を進めることとしております。
147: ◯質疑(岡崎委員) 私が聞いたのは、この会計をどう改善するかで、先ほど局長が言われたのは、178億円、まさに資金繰りの問題でございます。現在試算表を見ると、現金預金が120億円に対して、在庫は、先ほど言いましたように金額にすると、現在の価格で売ると約35億円、それに対して企業債残高が長短合わせると283億円ということで、資金不足だけでも163億円が、もし在庫を処理しないと生まれるわけで、それに対する経費を含めた178億円であろうかと思っております。
企業というのは、民間でもそうでございますが、債務超過というのは不自然な格好でございまして、これを解消しないと前を向いてなかなか進めない。昭和45年にこれが公営企業としてスタートして、現在、半世紀たつわけでございますが、この事業の検証をもう一度しっかりとやりながら、今後この事業をどうしていくかということを考えないといけないと思っております。
今、先ほど言いましたように県の持ち出しが、累積赤字450億円、そして企業立地助成金、これはインセンティブをするためでございますが、これが650億円、要するにトータルすると直接的なものだけで約1,100億円あるわけでございます。これに対して、この団地から創出された税収とか、雇用とか、投資、こうした県の経済波及効果というものが、どのぐらいあったのか、企業局長にお尋ねします。
148: ◯答弁(企業局長) 土地造成事業の評価につきましては会計上の収支だけでなく、県営産業団地に立地した企業の製品出荷額や雇用、税収など、地域経済にもたらす効果の評価も必要であると考えております。
製品出荷額と雇用につきましては、県営産業団地に立地する企業の平成30年度実績といたしまして、製造品出荷額は約4.1兆円で、県全体の4割を占めており、雇用は従業員数4万5,000人で、県全体の2割を占めております。
また、税収につきましては、平成10年度から令和元年度までの法人2税の県税収入は、推計1,559億円となっており、企業立地促進助成金541億円及び土地造成事業の未処理欠損金456億円を差し引いた県全体の収支は562億円とプラスになっております。これらのことを考慮いたしますと、土地造成事業は雇用の創出や税収の確保に貢献するなど、地域経済の活性化に大きな役割を果たしてきたと考えているところでございます。
149: ◯要望(岡崎委員) 金だけでも税収だけ比較すると500億円以上の効果がある、それ以外に、製造品出荷額が4割、4兆円ぐらいあるということでございまして、これは論を待たず、私は大変な効果があったと思います。
現下の経済状況というのは、コロナ禍でも明らかになりましたが、サプライチェーンが寸断されたり、また海外のコスト高、日本が非常に停滞しておりますのでその分、ほかの国が経済成長した。比較して、海外でつくるメリットも非常になくなっております。
そうした中で、製造業の国内回帰というものはどんどん進んでおりますし、そうしたことを見越して、商工労働局では、立地助成金を大幅に見直し、上限額を50億円に変更するなど、積極的な企業誘致に取り組んでおられますが、種地がない。だからこれも絵に描いた餅で、ただ平地だけではなかなかそうしたクラスターが形成できないのであり、付加価値の高い産業団地の造成によって、こうした施策もかみ合っていくのではなかろうかと思います。
先ほど知事に、今後の経済成長についての抱負も伺いました。そうした意味におきましてやはり団地造成というのは、これからどんどん積極的に進めていかないといけないと思いますし、民間のディベロッパーでは、住宅団地はできても産業団地という破格なものは、費用を要するし、そして税収というリターンもない、どうしても単純に売買差だけでしか判断しない。県というレベルになりますとそうした税収あるいは経済波及効果を加味して大局的、複眼的に造成というものができるわけでございまして、市町村でもなかなか財政的に難しい。ぜひ積極的な造成をお願いします。
現在の状況では、ガイドラインが設けられておりますが、職員の意欲というものも低下しておりますし、この資金繰りを見ますと、単なる債務処理管理団体だけになっておりまして、開店休業の状況でございます。ぜひともこれは政治的判断に立って、知事が先頭になって旗を振っていただきたいと思っております。
休憩 午後3時45分
再開 午後3時54分
150: ◯質疑(山崎委員) 初めに、令和2年度の本県の決算状況を見ますと、新型コロナウイルス感染症対策や災害関連事業の対応などで、一般会計の歳出は前年度と比較すると増加しております。直面する緊急かつ重大な課題に対応するため、必要な予算を確保し、迅速に取組を行っていることは高く評価いたします。一方、将来のことに思いを寄せると、今後は、我々がこれまでに経験したことがない急激な人口減少や少子高齢化社会を迎え、さらに、頻発し、激甚化する災害、コロナ後の社会構築など、本県を取り巻く厳しい環境変化の中においても、県民が将来にわたり、それぞれの地域において、安心して快適に暮らせる持続可能なまちづくりを進めていかなければならないとも考えています。
こうした中で、予算が効率的に執行されているのか、また、今後の県の財政状況がどうなっていくのかが気になっています。そこで、そのような観点から3点ほど質問いたします。
質問の第1は、農林水産業費の執行についてであります。
令和2年度の本県の決算状況は、一般会計歳出の予算額が、1兆3,783億円余、支出済額は、1兆1,704億円余となっています。令和2年度から3年度への繰越しは、1,671億円余、そして、406億円余の不用額が生じています。科目別歳出決算に着目すると、農林水産業費では、143億円余を令和2年度から3年度に繰り越し、33億円余の不用額が生じております。令和元年度の不用額17億円余と比較すると、金額では16億円余、約2倍増加しています。
また、一般会計歳出全体の執行率は84.9%ですが、農林水産業費については、65.3%にとどまっております。令和元年度の執行率が63.5%で、平成30年度が62.3%であることからも、近年は6割程度の執行率で推移していることが分かります。6割程度という執行率だけを聞くと、県財政が厳しい中、多額の不用なお金があるのかと県民の皆様から誤解を受けるのではないかと危惧していることから、この点については、県民に対する十分な説明が必要であるとも思います。
そこで、農林水産業費の執行率をどう分析し、今後の改善にどのように結びつけようとしているのか、農林水産局長にお伺いします。
151: ◯答弁(農林水産局長) 令和2年度決算におきまして、農林水産業費の執行率が65.3%にとどまった主な要因といたしましては、平成30年7月豪雨災害の発生以降、公共工事の不調・不落が増加していること、新型コロナウイルス感染症の影響により公共工事の地元調整に時間を要したこと、国の令和2年度第3次補正予算を活用し、次年度への繰越しを前提としたいわゆる15か月予算を編成したことなどにより、繰越額が予算現額の約3割に及んだことによるものでございます。
特に、公共工事の不調・不落につきましては、平成30年7月豪雨災害の発生以降、技術者の兼務制限の緩和や遠隔地からの労働者確保に係る経費の計上、復興歩掛かり・復興係数の導入など受注環境の整備に取り組んだ結果、発災前の水準と比べいまだ高い状況ではありますが、改善されつつあるところでございます。
今後も受注業者確保のため、関係部局と調整を図りながら、入札契約制度や工事費の積算などにおきまして様々な対策を継続して講じることで事業の早期執行に取り組んでまいります。
152: ◯要望・質疑(山崎委員) 県の予算は、県民の負担に基づく貴重な財源を使用して県の諸施策を推進していくものであり、事業効果を早期に現すためには、その執行に当たっては、法令又は予算の定めるところに従い、適正かつ効率的に行わなければなりません。今回指摘した農林水産局だけではなく、他の部局においても、できるだけ事務事業の執行率改善に取り組むよう、より一層努力していただくことを要望しておきます。また、災害からの復旧・復興事業の加速化はもちろんのこと、県土の発展のために必要な社会資本の整備等を着実に推進し、県民の皆様の安全・安心の確保や地域経済の発展など活力ある広島県の実現に向けて取り組んでいく必要があると考えます。そのため、公共事業については、スケジュール管理を徹底し、迅速かつ着実な事業執行を行うこと、そして前年度からの繰越事業については、特に綿密な進行管理を行い、事業の早期完了に努めることを要望いたします。
2点目の質問は、県税収入未済額の減少に向けた取組についてであります。
令和2年度の本県の決算状況を見ると、一般会計の収入未済額の約9割が県税であり、その収入未済額は、56億8千万円余となっています。前年度の県税収入未済額、45億3千万円余と比較すると、金額では11億5千万円余で、26%の増加となっています。
これは、新型コロナウイルス感染症に係る地方税法上の特例制度として設けられた徴収猶予の適用により大幅に増加したものとのことでありますが、これらの決算状況についてどのように分析しているのか、またその結果を踏まえ、収入未済額を減少させるために今後どのような取組をしていくのか、総務局長にお伺いします。
153: ◯答弁(総務局長) 令和2年度決算における県税収入未済額56億8千万円余のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者等に対する徴収猶予額は13億6千万円余で、この影響を除きますと、前年度から2億1千万円余の縮減となっております。これは、滞納整理計画を策定して組織的に滞納整理を進めるとともに、収入未済額の5割を占める個人県民税について直接徴収や併任徴収を実施したほか、滞納を未然に防ぐため、市町と連携して特別徴収の徹底を進めてきたことによるものと考えております。
今後も、引き続き、徴収強化に努めるとともに、電子納付をはじめ、納税環境の整備をより一層進めることにより、納期内納付を促進してまいります。また、新型コロナウイルス感染症に係る徴収猶予の特例を適用している納税者に対しましては、納税者個々の実情を十分に把握した上で、猶予期間の終了前に改めて納税勧奨を行うなど、確実な徴収に努めてまいります。
154: ◯要望・質疑(山崎委員) 新規滞納の発生防止と滞納整理の実施により、貴重な自主財源である県税収入を確保することは、厳しい財政状況が続く中、健全な財政運営の持続や税の公平性の観点からも重要であると考えます。収入未済の発生を抑制する取組を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症による県内経済への深刻な影響も考慮し、納税者個々の実情に応じて、発生した収入未済については適切に対応し、早期解消に努められるよう要望いたします。
続いて、3点目の質問に入ります。
決算から見た本県の財政状況についてであります。
令和2年度の本県の決算状況を見ると、一般会計の決算について、歳入は1兆2,034億円余で、歳出は1兆1,704億円余となっています。その結果、実質収支は214億円余の黒字となり、前年度の実質収支を差し引いた単年度収支は170億円余の黒字となっています。しかしながら、高齢化の進展等による社会保障関係費の増加や公債費の高止まりにより、依然として厳しい財政状況が続いている中、平成30年7月豪雨災害への対応などにより、一段と厳しい状況になっていることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による県税収入の大幅な減少などにより、財政状況がさらに厳しさを増すことが見込まれています。
こうした状況の中においても、中期財政運営方針に掲げる取組を着実に実施し、県勢発展に必要な施策を安定して推進していく必要があると考えますが、知事4期目のスタートに当たり、本県の財政状況をどのように感じているのか、また、今後どのような対応が必要だと考えているのか、知事にお伺いいたします。
155: ◯答弁(知事) 昨年度策定いたしました中期財政運営方針におきましては、本県の財政状況を測る指標として、将来負担比率と財源調整的基金の残高の2つを設定しておりますので、その観点からお答え申し上げます。
まず、将来負担比率につきましては、これまで県債発行額の適切なマネジメントや経費節減・歳入確保などの取組を着実に進めてきたことにより、令和2年度決算においては前運営方針の目標であります220%を下回る215.7%となったところでございます。しかしながら、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興に係る事業の繰越しなどにより、令和3年度以降も多額の県債の発行が見込まれているところであり、全国平均と比較いたしますと依然として高い水準で推移する見込みとなっております。
また、財源調整的基金につきましては、令和3年9月補正予算後の残高見込みは、令和2年度決算剰余金の積立てなどにより147億円となり、当初予算編成時点から一定程度回復いたしましたが、大規模災害などのリスクへの備えとして、当初予算編成時点で100億円以上の残高を確保する必要があること、令和3年度当初予算における財源調整的基金の取崩し額は237億円に上っていることに加え、新型コロナの今後の影響も不透明であることなどを踏まえると、非常に厳しい財政状況が続いているものと認識しております。
こうした中においても、県勢発展に必要な施策を安定して推進していくため、引き続き、中期財政運営方針に基づき、施策や事業などの優先順位や費用対効果の検証・評価を踏まえた経営資源のマネジメントの実施や、人件費等の経常的経費の適正管理、県税の徴収強化などの歳出歳入の両面にわたる取組を行うとともに、後年度に交付税措置のある有利な県債を最大限活用するなど将来負担の着実な縮減を進めていく必要がございます。
今後とも、ひろしまビジョンに掲げる目指す姿の実現を支えるとともに、将来におきまして様々な情勢が不透明な中においても、県勢発展に必要な施策を安定して推進できるしなやかな財政運営を行ってまいりたいと考えております。
156: ◯要望(山崎委員) 新型コロナウイルス感染症につきましては、今後も状況が刻々と変化していくことが予想されます。今後の経済動向など様々な情勢が不透明な中、喫緊に対応すべき事項には、必要な予算を確保する必要があると思います。
ただし、本県に限らず、国、地方を通じた膨大な借金を抱える中、今後も安易に借金を重ね、次世代に負担を残すことは絶対に避けなければいけません。
執行部におかれましては、課題解決を先送りせず、次世代に負担を押し付けないよう困難な案件を一つ一つ解決していただくことを要望して、質問を終わります。
157: ◯質疑(宮崎副委員長) 自民議連の宮崎でございます。早速質問に入らせていただきます。
私は少子化、人口減少というものは本当に静かなる有事ではないかと強く感じております。もう少し早く少子化対策を進めていれば、現状のようなことはなかったのかもしれないとも思っております。そうは言っても国も2007年から少子化担当相を置いて、14年間、様々な角度から対策を打ってまいりましたけれども、いまだ明らかな成果が出ていないということは、とても難しい問題だと痛感しております。そこで今日は、人口減少対策、そして少子化対策における県の取組についてお伺いしたいと思います。
まず、人口減少ですが、本県の人口は、令和2年の国勢調査の速報値では、280万1,000人となっておりますが、令和3年9月の推計値に補正をかけた実質推計の人口は、外国人を含めて277万6,000人であり、280万人を既に切っている状況であることがホームページでも記載されております。ピーク時の平成10年の288万5,000人から、今日まで減少の一途をたどっております。ピーク時から約10万人減少しているということでもあります。この自然動態が初めてマイナスに転じたのは平成17年で、令和2年は自然減で1万509人、社会減は2,616人となっております。この社会減については昭和51年に初めてマイナスに転じたものでありますが、令和2年度において人口減少対策として、県としてどのような取組を行ってきたのか、また、その成果をどのように認識しているのか、経営戦略審議官にお伺いいたします。
158: ◯答弁(経営戦略審議官) 本県では、人口減少問題を重要課題と位置づけ、若い世代に、広島県に住みたい、住み続けたいと思ってもらえるよう、安心して妊娠・出産・子育てができる環境づくり、若者の定着につながる取組などを進めてまいりました。具体的には、令和2年度においても、ひろしま版ネウボラの構築や乳幼児教育の充実などの子育てしやすい環境の整備、新卒大学生のUIJターン就職の促進、AI技術を活用した東京圏等から本県への移住・定住促進などに取り組んだところでございます。
こうした取組を継続的に行ってきた結果、直近の実績によると、令和2年の合計特殊出生率は1.49と全国平均を上回る水準を維持し、関東・関西の新卒学生のUIJターン率は平成26年度卒業生の31.0%が、令和元年度卒業生では38.5%に増加したほか、移住世帯数は着実に増加し、移住希望地域ランキングも上位に定着するなど、その認知度が向上しつつあるといった成果に結びついていると考えております。
一方で、就職を理由とした転出超過は、平成26年度の1,458人が令和2年度は2,281人に増加するなど、若者を中心とした県外への流出といった問題は依然として残されていることから、引き続き課題であると認識しているところでございます。
159: ◯要望・質疑(宮崎副委員長) 様々な政策、事業をされていることは承知しております。全国で競争のように、IターンとかUターンとかを行っておりますが、令和2年で社会減が2,616名という現実をやはり県として踏まえなければならないと思っております。なかなかこれというものはありませんが、しっかりと危機意識を持って、引き続き人口減少対策に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、少子化もありますし、自然減もありますし、本県の人口が減少していくことはもう間違いない傾向だろうと思っております。人口減少によって様々な課題が生ずると考えられますが、本県として人口が減少すると、どのような地域社会になっていくとお思いか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
160: ◯答弁(経営戦略審議官) 平成27年の国勢調査を基準とした推計によりますと、本県の人口は、2060年には214.5万人まで減少するとされておりまして、高齢者比率も35%を超えるなど、人口減少と少子高齢化のさらなる進行が予測されております。こうした変化は、地域経済の縮小、高齢者の増加による社会保障費負担の増大、地域の担い手不足など、社会・経済活動に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
このため、引き続き、社会動態、自然動態の双方から人口減少の抑制につながる取組を推進していくとともに、今後、さらなる人口減少と人口構造の変化は避けられないとの認識の下、デジタル技術の活用などにより、県内産業の生産性向上や医療・教育など県民サービスの維持に努めることで持続可能な地域づくりを進めてまいります。
161: ◯要望・質疑(宮崎副委員長) 今、審議官がおっしゃったように人口減少は避けられないということでもあります。私もそのように認識しております。やはりこれから人口が減少していって少子高齢化の社会が生まれてくることはもう分かっているわけですから、それに対応するような地域社会、行政の仕組みというのをこれから考えていっていただかないと手後れになりますので、しっかりとその辺りをよく踏まえて、施策を進めていっていただきたいと思います。
次に、少子化の問題なのですが、少子化は人口減少にも大きく起因し、未来の広島県、日本の活力に大きく影響してくるものと思います。以前本会議でも質問いたしましたけれども、令和2年度の主要事業に位置づけられてはおりませんが、少子化対策の一環として、こいのわ関連事業を実施しておられますが、この事業の目的は、私は少子化対策にどのように寄与するかということであると思っております。
県として、こいのわ事業が少子化対策にどのように寄与してきたかということを、どう捉えているのか、
健康福祉局長にお伺いいたします。
162: ◯答弁(
健康福祉局長) 少子化の主な原因は未婚化・晩婚化であり、その背景には、出会いの機会の減少、子育てや教育に係る経済的な負担、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤立感や負担感など、県民の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていることから、これらの課題への対策を総合的に講じることが必要と考えております。
平成27年度に開始したこいのわ事業は、若者の希望の実現を阻む様々な要因のうち、出会いの場がないという課題に対応して、若者の結婚に対する意識・関心を高め、婚活に一歩踏み出す後押しをするとともに、婚活の裾野を拡大し、様々な出会いの機会を提供することにより、結婚を希望する若者が希望を実現できるよう取り組んできたところでございます。
163: ◯要望(宮崎副委員長) これは恐らく私と局長の認識の違いだと思うのですが、私はこいのわ事業というのは、大枠で言うと、少子化対策だと思っているのです。結婚、出会いというのは目標であって、その次にやはり目的というものがあると思っていますから、ちょっと見解が違うなと思っております。私はこの事業を少子化対策の一環と思っているのですが、県が示している施策目標では有配偶者率の向上としているなど、出生数の向上につながる取組ではないため、少子化対策と言えるような工夫があってもよかったのではないかと私は思っております。ただし、何もこの事業の発想が悪かったというわけではないと思うのです。欧米、特にフランスなどは婚外子の割合が59.7%と、後先考えずに出産して何とかなるという考え方の若い方が多いそうです。日本人の価値観とはこれまた大きくかけ離れているわけですから、一般的に出産の前に結婚がある日本において、まずは結婚ということに着目したことは決して間違いではなかったと思っております。ですから、全否定しているわけではないのです。
県は平成27年度から6年間この事業を実施してきましたが、令和元年度の包括外部監査で、費用対効果の面や事業指標の設定などについて意見を付されたほか、再検討の必要性について言及されて、令和2年度に事業の再構築について検討を行い、令和3年度からは出会いサポートセンターの運営を民間に移管するなど見直しを行っております。民間に移管できるのであれば、そもそもこの事業を県が行うことはなかったのではないかと私自身は疑問を抱くわけでありますが、令和2年度の決算額を含めた6年間の事業費の総額と成婚数、そして成婚1組当たりの事業費が幾らであったのか、また、6年間の総括をした上で、この事業の成果をどのように認識して事業の再構築を行ってきたのか、お聞かせいただきたいと思います。
164: ◯答弁(
健康福祉局長) 平成27~令和2年度までの6年間で、啓発プロモーション及び県主催の婚活イベントの開催、ボランティアの養成、ひろしま出会いサポートセンターの運営経費として、決算ベースで約2億8千万円、6年間の成婚組数は784組で、1組当たり35万7千円余となります。
この6年間の取組により、ひろしま出会いサポートセンターを中心として、民間企業や団体、市町やボランティアなど、多様な主体と連携・協力しながら、若者の結婚を後押しする仕組みが構築され、婚活に対するポジティブイメージや安心感の浸透など、婚活の機運醸成が進み、また、多様な主体による出会いの場の創出など、婚活の裾野拡大に一定の成果があったものと考えております。
しかしながら、出会い以外にも県民の結婚の希望の実現を阻害している様々な要因が複雑に存在するため、本県では、出会い・結婚支援について、県が直接的に出会いの場を創出することはやめ、これまでの県の取組により構築された多様な主体の取組を後押ししていくこととし、令和3年度からは出会いサポートセンターの運営を民間に移管するなど事業を再構築しております。
165: ◯要望・質疑(宮崎副委員長) 局長の答弁の中では、この事業の成婚1組当たり35万円かかっているということです。だから、カップルをつくるために35万円の税金を使ってきたということだと思うのです。それはどうなのだろうと思うのです。成婚させていくというのはあくまでも目標であって、その先にやはり目的があるのだろうと思っているので、民間に移管されたわけですが、そういったことも考えていただいて、同じような目的でやるのではなくて、もう一工夫加えたやり方を民間とも協議していただきたいと思っております。
そこで、県は民間に移管したと言われましたが、令和3年度の予算額は幾らになっておりますか、それと、先ほどの総括で上げられた反省点、問題点を移管先の事業者と共有した上で、よりよい成果を上げていってもらいたいと思いますが、移管先の事業者はこの事業の目的や課題をしっかりと理解した上で運営されているのでしょうか。お答えください。
166: ◯答弁(
健康福祉局長) 令和3年度の予算額は、ひろしま出会いサポートセンターの運営経費として約1千万円、ボランティアの養成経費として約460万円、合計約1,460万円を計上しております。移管先である公益財団法人ひろしまこども夢財団は、事業開始当初から、ひろしま出会いサポートセンターの運営に関わってきたことから、6年間の総括や民間移管することとした経緯、事業の目的を理解しており、また、県と民間の役割分担といった課題を踏まえ、効果的な運営ができるものと考えております。
具体的には、県が運営していたときと同様に、企業や市町、ボランティアとの信頼関係を維持しながら、サポートセンター会員に対しては、引き続き、無償で安心して参加できる婚活イベント等の情報提供を行うとともに、イベント開催事業者からは新たにポータルサイトへの情報掲載料を頂くなど、収入の確保にも努めているところでございます。
県といたしましても、引き続き、移管先事業者と密に連携しながら、県民の結婚の希望をかなえることができるよう取り組んでまいります。
167: ◯要望・質疑(宮崎副委員長) この事業の目的は、出会いの場を創出して、カップルになる後押しをして、そして成婚につなげて、本来の目的である少子化対策に寄与することだと私は思っております。今回民間に移管したわけでありますが、1,340万円という税金を使っている以上は、カップルをつくるだけではなくて、やはり少子化対策に結びついていることが分かるような広報なり、PRなりを分かりやすく示していくようにしなければならないと思っております。
また、私は少子化問題は若者の雇用や給与水準も大きく関連しているのではないかと思っております。いろいろ本を読んだのですけれども、やはり若者の賃金や給与もかなり関わっているということに気づいたわけですが、結局若い人たちが経済的な不安を持っているわけで、結婚に踏み切れず、そして経済的な不安を持っている人が子供を持つことをためらっているのが現実だと思っております。非正規雇用の割合は4割ですから、経済的不安を持っている若者が安心して結婚、出産、子育てができるよう経済をしっかりと成長させていき、経済界とも連携して若者の所得、賃金をしっかり上げていくことも少子化対策の一環だろうと思っております。
また県では、昨年度策定したビジョンから少子化対策の領域がなくなっております。私はやはり総合的な戦略を描いて、部局横断的にこの少子化対策に連携して取り組んでいく必要があると感じております。極端な話、県庁内に少子化対策室みたいなものを設けてもいいぐらいの状況ではないかと思っておりますから、思いを申し述べさせていただいたわけであります。
県は、そうした意味で、若者の所得向上の取組も含めた少子化対策に本気で注力するつもりがあるのかないのか、また、注力するのであれば、どうやってそれを対外的に打ち出していくおつもりなのか、最後に知事の御所見をお伺いいたします。
168: ◯答弁(知事) 人口減少は様々な要因が絡み合う日本社会が抱える構造的な問題でありまして、本県ではひろしま未来チャレンジビジョンに引き続いて、新しいビジョンにおいても、ビジョン全体で取り組むべき最も重要な課題として位置づけているところであります。こういった考えの下で、子供・子育てや働き方改革など、安心して子育てができる、仕事と両立できる環境の整備や、産業イノベーションをはじめとする若者の所得向上など、全ての施策領域を連関させ、相乗効果を生み出しながら人口減少の抑制につなげることとしているところであります。
具体的には、ひろしま版ネウボラあるいは保育サービスの充実、テレワーク促進等の働き方改革などを進めてまいります。また、ひろしまサンドボックスやイノベーション環境の整備を通じたスタートアップ企業の支援、デジタル系企業を含めた企業誘致などを通じて、若者の所得向上にもつながる取組を行ってまいります。さらに、若者の所得向上に向けては、正規雇用を目指す若者に対する様々な取組、また、消費や投資の増加を通じた企業収益の拡大といった経済の好循環につながる賃金の引上げの要請などもございます。
まずは、こうした子育てのしやすい環境整備や魅力的な仕事、雇用の場の創出などの取組を、しっかりとターゲットに応じた広報媒体を活用しながら効果的に打ち出すとともに、ビジョンについても、次代を担う若者世代に向けた普及に取り組んで県民への浸透を図ってまいりたいと考えております。
169: ◯質疑(尾熊副委員長) 公明党広島県議会議員団の尾熊でございます。本日は
決算特別委員会の最終質問者として、このコロナ禍の2年間の経済や将来を担う子供たちの通学路、そして環境負荷の少ない持続可能な社会に向けた県の方針について、様々な県政課題の観点から質問させていただきます。
まず初めに、コロナ禍における広島県の経済実態の認識についてお伺いします。
新型コロナウイルス対策に追われたこの2年間、多くの業種の中小企業がコロナ禍に耐えてきました。国の雇用調整助成金や実質無利子・無担保融資制度を活用することで、事業者は経営を維持していますが、中には従業員の解雇・雇い止め、さらには廃業や倒産に追い込まれた企業も増えています。
そこで、県内企業の廃業や倒産件数、また解雇や雇い止め人数、さらに民間金融機関を活用した実質無利子・無担保融資制度の融資額や融資件数なども含めて、広島県のコロナ禍における経済状況の実態について、県はどのように把握、認識されているのか、知事にお伺いします。
170: ◯答弁(知事) 新型コロナウイルス感染症が与える本県産業・経済、雇用への影響につきましては、県内企業や業界団体へのヒアリングや統計データ等により、把握・分析に努めているところであります。新型コロナウイルス感染症の影響による倒産等の関連破綻につきましては65件、ハローワークが相談等により把握した解雇・雇い止めの状況につきましては、本年11月12日までの累計で3,935人となっております。
次に、実質無利子・無担保融資につきましては、政府系金融機関での取扱いは現在も続いておりますが、民間金融機関での取扱いは本年5月末で終了しており、融資件数は約3万8千件で、融資金額は約5,800億円となっております。また、新型コロナウイルス感染症拡大による企業への影響を調査するため、本年7月に県独自のアンケート調査を行っております。その結果によりますと、65%の企業が感染拡大前と比べて売上高が減少したと回答しており、飲食業や宿泊業等においては、この割合が95%と著しく高い状況でありまして、感染拡大に伴う営業時間の短縮要請や外出自粛が大きな影響を与えております。このほか、輸送用機械など製造業の多くで生産調整等を行ったことなどによりまして、売上高が減少したと回答した割合が高く、感染拡大の長期化によって幅広い事業者に影響を及ぼしたものと考えております。
現在、10月の県集中対策解除後の県内企業の経営状況などについて、アンケート調査を改めて実施しております、今後とも、県経済の状況をしっかりと把握するとともに、実態を踏まえた事業者の事業継続や雇用維持などを支える必要な対策を時機を逃さず取り組んでまいりたいと考えております。
171: ◯質疑(尾熊副委員長) 今、御説明いただきました。厳しい経済状況でございます。
続いて、金融支援策についてお伺いします。
実質無利子・無担保融資の利用は当初、飲食業や観光業が多かったようですが、中小企業家同友会の発表では、昨年の夏以降、消費低迷の影響による大幅な受注減により、製造業でもこの融資の利用が増えています。
この融資制度は当初3年間返済猶予がありますが、返済時期が来ると、事業継続が難しくなるという製造事業者も実際に聞いています。
そこで、この融資制度で融資を受け、なんとかコロナ禍を乗り越えてきた中小企業の事業者に対し、広島県の製造業の事業者を守るために、県としてどのような金融支援などの施策を検討されているのか、商工労働局長にお伺いします。
172: ◯答弁(商工労働局長) コロナ禍の影響の長期化を踏まえまして、多くの中小企業の皆様に御活用いただいた実質無利子・無担保融資の返済負担を軽減するため、償還期間・据置期間、利子補給期間の延長や返済猶予など、全国知事会等を通じて、国に継続して要望しているところでございます。
さらに、県費預託融資制度では、コロナ禍で売上げ減少など経営に支障が出ている中小企業を支援する緊急対応融資に加えまして、アフターコロナ時代を見据え、前向きな取組を実施する中小企業を支援する産業支援融資の対象要件の見直しなどを今後検討してまいりたいと考えております。
173: ◯質疑(尾熊副委員長) 次は、製造業の生産回復に向けた政策についてお伺いします。
観光・飲食業では、「やっぱ広島じゃ割」宿泊キャンペーンやGoToイートキャンペーンなどにより回復が期待できると思います。
しかし、製造業においては、コロナ感染者減少後の世界の経済回復に向けた生産増や設備投資への期待感が見込まれるものの、原油価格の高騰や電気料金の値上げ、世界的な半導体不足による自動車の減産、電機・機械部品の不足による生産影響、鉄製品高騰による造船業や建設業など収益悪化、木材供給不足による住宅価格の高騰や納期遅れなど、製造業や建設業を取り巻く環境は、この原材料価格高騰と資材不足が経済回復の大きな課題として現れており、製造業の減産による景気悪化などの経済的影響が問題になってきています。
そこで、特に自動車、製鉄、造船、機械など県内製造業や建設業などの中小企業に対し、原材料を確保し生産を維持するために、県としてどのような企業支援や経済対策を行っていくのか、商工労働局長にお伺いします。
174: ◯答弁(商工労働局長) 昨今の世界的な半導体供給不足や新型コロナ感染症による部品調達の停滞リスク、原油・資材価格などの高騰は、製造業をはじめとする県内中小企業の生産拡大に大きな影響を及ぼしているものと認識しております。
こうした中、県といたしましては、国と連携して資金繰りの円滑化を図り、中小企業の事業継続の支援に万全を期すとともに、ウイズコロナやデジタル化といった構造変化に直面する中小企業の事業再構築や生産性向上を支援してきたところでございます。
また、経済回復の阻害要因となっております世界的な半導体不足や、部品調達の停滞リスクなどに対する必要な支援策につきましては、国に対する要望活動や、全国知事会を通じたウイズ・ポストコロナにおける産業の振興と基盤の強化に向けた提言を行うこととしております。
さらに、県といたしましても、県内企業の状況をしっかりと把握した上で、今月19日に閣議決定された原油価格高騰対策など、国の経済対策を踏まえまして、国の制度や財源を最大限に活用しながら、県内中小企業の競争力強化に向けた支援策を検討してまいりたいと考えております。
175: ◯要望・質疑(尾熊副委員長) 国としっかりと連携して、製造業に対する経済支援をよろしくお願いします。
経済施策について、最後の質問をいたします。
海外では、コロナによるロックダウンによる工場の稼働停止、輸送用コンテナ・トラック等の運航不能といった理由で物流が滞り、日本の製造業各社で必要な資材が入ってこないため、作りたくても作れないといった状況も発生しています。その要因として、国内生産拠点の海外展開の影響や海外製の部品調達に依存しすぎている事が挙げられています。新聞報道では、半導体については国も国内生産体制の強化に補助制度を検討し、世界最大の半導体生産メーカーが熊本県に工場を建設するとあり、今後は需給バランスを予想しながら、国内で生産拠点を確立させていくことが重要だと考えています。
そのためには、県として製造業の企業誘致や設備投資についても財政や技術的支援を積極的に行っていく必要があると考えますが、この製造業の生産拠点確立のために、今後どのような施策を展開されるのか、知事にお伺いします。
176: ◯答弁(知事) 新型コロナウイルス感染症拡大や相次ぐ災害により、サプライチェーンが分断し、生産の一時停止に追い込まれるといった深刻な影響が生じており、企業においては、これまで以上にサプライチェーンの重要性が認識され、生産拠点の国内回帰に向けた動きなどが広がっているものと認識しております。
本県では、企業の誘致と同様に、県内企業の拠点性強化を支援することが重要であると考えており、全国でもトップレベルの充実した企業立地促進助成制度を活用しながら積極的な設備投資の促進を図ってきたところでございます。
また、コロナ禍においても、県内企業の拠点性向上を図っていく観点から、昨年度と今年度の9月補正予算において、AI、IoT、ロボット化等を図る企業に対し、総額20億円の助成制度を創設し、企業の設備投資を支援しております。さらに、ものづくり企業の持続的な発展の原動力となる研究開発への支援、県や大学、産業界が連携して取り組んでいるものづくりのデジタル化を担う人材の育成等企業の競争力強化に資する技術的支援を行ってきたところでございます。
今後も、こうした取組を着実に推進し、企業の誘致を図るとともに県内企業の拠点性の向上を促進してまいります。
177: ◯要望・質疑(尾熊副委員長) これからも県内の製造業を守り、そしてまた、製造業の発展のために企業誘致、設備投資についても支援をしっかりとお願いしたいと思います。
次に、未来を担う大切な子供たちの通学路の安全について質問します。
本年6月、千葉県八街市で、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、児童5人が死傷するという痛ましい事故が起きました。この事故を受け、文部科学省、国土交通省及び警察庁では、全国1万9,000校余りの公立小学校の通学路を対象に合同点検を行うことを通知しました。
しかし、合同点検が必須の対象として実施されるのは小学校の通学路だけで、中学校の場合は合同点検の必須対象ではないため、市町によって対応が異なります。県内全ての市町小学校の通学路では通学路交通安全プログラムが策定されており、定期的に学校関係者と地元住民、警察や道路管理者が合同で通学路内の危険な道路の点検を行っておられます。そしてその結果により、道路管理者や県警などによる安全対策が実施されています。
しかし、中学校の通学路では、県内23市町中、17市町はこのプログラムが実施されていますが、車や生徒の多い広島市や福山市、尾道市をはじめ6市町の中学校については、このプログラムが策定されていません。市町によって生徒の命を守る重要な安全対策に取組の遅れや違いがあってはいけません。
広島県警によると、昨年の小学生の登下校中の人身事故は27件、中学生の登下校中の人身事故は40件と小学生よりも多くなっています。また、今年の2月、私の地元の福山市内の公立中学校の真裏の県道で、横断歩道を歩行中の主婦が車にはねられるという痛ましい死亡事故が発生しました。この県道は幹線道路の抜け道となっており、道路が狭く歩道が無い区間が多く、普段から中学生と車両との接触事故が起こりかねない危険な道路として、地元からも安全対策の要望が上がっていたところです。
中学校の通学路で重大事故が発生しても、事故現場への簡易的な緊急安全対策は実施されますが、福山市教育委員会による通学路交通安全プログラムの策定がなければ、小学校のような定期的な安全点検や安全対策協議会の実施、そして大きな財源の必要な安全対策はなかなか行われません。
そこで、まずこの中学校の通学路交通安全プログラムの策定は、市町教育委員会の責任の下で策定されるわけですが、中学校生徒の交通事故件数が小学校児童より多い中で、なぜ6市町の教育委員会で中学校のプログラムが策定されていないのか、理由を教育長にお伺いします。
178: ◯答弁(教育長) 中学校の通学路交通安全プログラムが策定されていない6市町にその理由を確認したところ、まず、3市町におきましては、中学校の通学範囲が広く、学校によっては通学路自体が指定されておらず、プログラムの策定になじまないとのことでした。
また、他の3市町におきましては、中学校の通学路がほぼ小学校の通学路と重なっており、小学校で対策を進めることで、実質的に中学校の安全対策にもつながるため、プログラム策定の必要性は低いと考えておられました。
179: ◯質疑(尾熊副委員長) それでは、県教育委員会の役割について質問します。
通学路交通安全プログラムの策定を受ければ、通学路の安全点検だけでなく、実施に長期間かかるような対策も、優先度の調整や国の予算がつくなど、財源面で安全対策が充実強化されると伺っています。中学校についてもプログラムが策定されれば、県警や道路管理者も安全対策に動きやすくなるのではないかと思います。
広島県教育委員会では、このプログラムについて、全て市町の役割との認識のようですが、鳥取県や山口県では県が積極的に主導して市町への働きかけを行い、ほとんどの市町で中学校のプログラムが策定されているようです。
そこで、県教育委員会として中学校の通学路交通安全プログラム早期策定に向けて、市町教育委員会に対し、積極的に関与し働きかける必要性があると考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
180: ◯答弁(教育長) 通学路交通安全プログラムにつきましては、その策定を通じて、教育委員会、学校、道路管理者、警察署等の関係者による合同点検の実施、危険箇所に対する安全対策の検討・実施、さらに、その結果を踏まえた対策の改善・充実を一連のサイクルとして定期的に繰り返すことにより、関係者が共通認識を持って、継続的な通学路の安全性向上を図ることが可能になると考えております。
県教育委員会といたしましては、市町に対しまして、このようなプログラムの策定の意義や交通安全施設の整備などの成果を示しながら、引き続き、児童生徒の通学路の安全確保に取り組んでまいります。
181: ◯要望・質疑(尾熊副委員長) 県として市町に対して、中学校の通学路交通安全プログラムについても早期に策定できるように働きかけをしっかりとお願いしたいと思います。
最後に、今後の広島県の環境負荷の少ない持続可能な社会の仕組みづくりに関する質問を行います。
農林水産省の昨年度の農地面積調査結果によると、広島県の農用地区域内の農地面積は46,900ヘクタールで前年より100ヘクタール減少し、荒廃した農地面積は3,170ヘクタールにも及びます。その一方、最近では、いわゆるSDGsを踏まえた企業の経済活動が活発となり、例えばアメリカではトウモロコシ畑の作物の収穫を終了後、別の作物を耕作する事で農地の年間を通したグリーン化により、企業の二酸化炭素排出量の吸収策として活用することで、農業経営者は農業による一次産業収入のみならず、CO2を吸収する事業として事業収入も得ることができると聞いています。このように、例えば広島県でも、中山間地域の耕作放棄地や森林荒廃地域について、二酸化炭素吸収ビジネスといった観点で農業振興や林業振興を検討すれば、一次産業による収入だけではなく、事業収入も見込まれ、所得の拡大や若者の定住促進といったことも可能となると考えます。
そこで、広島県の今後の農業や林業において、こういったSDGs的な視点から、事業収入を得られるような仕組みづくりを取り入れた農林業の振興策が必要と思いますが、今後の施策の展開を農林水産局長にお伺いします。
182: ◯答弁(農林水産局長) 農林水産業は、食料や木材の安定的な供給を担う役割に加え、農地や森林自体が二酸化炭素の吸収源として気候変動対策に期待されるなど、多面的な機能を有する重要な産業であると認識しております。このため、本県におきましては、林業分野では、伐って、使って、植えることによる資源の循環利用を図るため、二酸化炭素の吸収・固定効果が期待できる森林資源経営サイクルの構築と森林資源利用フローの推進、農業分野では、スマート農業技術の一環として施設園芸での環境制御技術による二酸化炭素の活用などの取組を進めているところでございます。また、御指摘の事業収入につながる施策につきましては、県営林事業において、森林による二酸化炭素の吸収促進や森林整備のための収益の確保を目的として、カーボンオフセット・クレジットの取得・販売にこれまで取り組んできたところでございます。
今後は、民有林においても同様の取組を展開するとともに、農業分野におきましても、生物由来の有機物を土壌に固定することで二酸化炭素の長期貯蔵を可能とする新たな技術の導入などを検討してまいりたいと考えております。
こうした取組により、環境に配慮しつつ生産性の高い経営の実践を支援することによりまして、持続可能な農林水産業の確立を目指してまいります。
183: ◯要望(尾熊副委員長) 広島県では令和3年3月に、2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指した、2050ひろしまネット・ゼロカーボン宣言を行いました。国は2030年度の温室効果ガス削減目標について46%へ大幅に引き上げるなど、カーボンニュートラルに向けた取組が加速する中、広島県として、ネット・ゼロカーボン宣言の実現に向けて、中間目標を設定した上で具体的な取組を充実強化して、持続可能な社会を実現させていくことを強く要望しまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(5) 採 決
令和2年度広島県歳入歳出決算認定の件並びに令和2年度広島県公営企業の決算の認定及び剰余金の処分の件について採決を行った結果、いずれも全会一致をもって認定並びに原案のとおり可決すべきものと決定した。
(6) 知事挨拶
ただいま、令和2年度の決算を認定すべきものと決定していただき、誠にありがとうございました。
令和2年度は、平成30年7月豪雨災害からの一日も早い復旧・復興に向けて取り組むとともに、経済成長や人材育成など、さらなる成果の獲得にも取り組んできたところでございます。また、数次にわたる新型コロナウイルスの感染拡大の波に襲われる中で、感染拡大防止を図りつつ、医療提供体制等の確保や事業継続と雇用維持などにも取り組んでまいりました。
今回、この決算の御認定をいただき、改めて厚く御礼を申し上げますとともに、今後の県政運営に一層尽力してまいりたいと考えております。
本委員会で頂きました御指摘、御提言につきましては、十分留意の上、今後の県政運営に反映するよう努めてまいりたいと考えております。
今後とも、委員各位の一層の御指導、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
(7) 議長挨拶
閉会に当たりまして一言御挨拶を申し上げます。
さきの9月定例会におきまして本委員会が設置されまして以来、9回に及ぶ審査を集中的にお願いしたわけでございますが、委員の皆様には、終始熱心に審査を賜り、また、ただいまは適切妥当な結論を得られましたことに対し、心から敬意を表する次第でございます。
御案内のように、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策や社会保障関係費の増加などにより、依然として厳しい財政状況が続く見通しであります。
こうした中、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる本県の目指す姿の実現に向けて、各種施策に一層積極的に取り組むことが求められており、本委員会におきましても、効率的な予算執行や各種事業の在り方などについて、貴重な御意見が出されたと伺っております。
間もなく来年度予算の編成時期を迎えることになりますが、県当局におかれましても、本委員会での意見等を十分に反映され、県民の期待に応えられますようお願いを申し上げ、御挨拶とさせていただきます。
(8) 委員長挨拶
閉会に当たり、委員長として、一言御挨拶を申し上げます。
委員の皆様方には、9月定例会において本委員会が設置されまして以来、御多用中にもかかわらず終始熱心に審査をいただき、誠にありがとうございました。
委員各位の御協力を得て、本日ここに委員会としての結論を得ることができ、その職責を果たすことができましたことを、尾熊、宮崎両副委員長とともに深く感謝申し上げます。
また、知事をはじめ、執行部におかれましては、本委員会の審査に御協力いただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。
なお、本日の総括審査並びに部局別審査の過程で指摘のありました事項については、今後、十分留意していただき、来年度の予算編成にも反映するなど、県勢の伸展と県民福祉の向上に一層の努力を傾注していただきますようお願いしまして、御挨拶といたします。ありがとうございました。
(9) 閉会 午後5時2分
発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...