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2021-03-10 令和2年度予算特別委員会(第5日) 本文
2021-03-10 令和2年度予算特別委員会(第5日) 名簿

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  1. 広島県議会 2021-03-10
    2021-03-10 令和2年度予算特別委員会(第5日) 本文


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    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和2年度予算特別委員会(第5日) 本文 2021-03-10 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 114 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯質疑(林委員) 選択 2 : ◯答弁(知事) 選択 3 : ◯質疑(林委員) 選択 4 : ◯答弁(知事) 選択 5 : ◯質疑(林委員) 選択 6 : ◯答弁(知事) 選択 7 : ◯要望・質疑(林委員) 選択 8 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 9 : ◯要望・質疑(林委員) 選択 10 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 11 : ◯意見・質疑(林委員) 選択 12 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 13 : ◯意見・質疑(林委員) 選択 14 : ◯答弁(教育長) 選択 15 : ◯質疑(林委員) 選択 16 : ◯答弁(教育長) 選択 17 : ◯要望(林委員) 選択 18 : ◯質疑(砂原委員) 選択 19 : ◯答弁(総務局長) 選択 20 : ◯質疑(砂原委員) 選択 21 : ◯答弁(総務局長) 選択 22 : ◯質疑(砂原委員) 選択 23 : ◯答弁(総務局長) 選択 24 : ◯質疑(砂原委員) 選択 25 : ◯答弁(総務局長) 選択 26 : ◯質疑(砂原委員) 選択 27 : ◯答弁(総務局長) 選択 28 : ◯要望・質疑(砂原委員) 選択 29 : ◯答弁(総務局長) 選択 30 : ◯意見・質疑(砂原委員) 選択 31 : ◯答弁(総務局長) 選択 32 : ◯質疑(砂原委員) 選択 33 : ◯答弁(知事) 選択 34 : ◯要望・質疑(砂原委員) 選択 35 : ◯答弁(土木建築局長) 選択 36 : ◯意見・質疑(砂原委員) 選択 37 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 38 : ◯質疑(砂原委員) 選択 39 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 40 : ◯質疑(砂原委員) 選択 41 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 42 : ◯意見・質疑(砂原委員) 選択 43 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 44 : ◯意見・質疑(砂原委員) 選択 45 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 46 : ◯質疑(砂原委員) 選択 47 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 48 : ◯質疑(砂原委員) 選択 49 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 50 : ◯要望・質疑(砂原委員) 選択 51 : ◯答弁(経営戦略審議官) 選択 52 : ◯意見・質疑(砂原委員) 選択 53 : ◯答弁(総務局長) 選択 54 : ◯意見・要望(砂原委員) 選択 55 : ◯質疑(林委員) 選択 56 : ◯答弁(経営戦略審議官) 選択 57 : ◯要望・質疑(林委員) 選択 58 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 59 : ◯質疑(林委員) 選択 60 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 61 : ◯質疑(林委員) 選択 62 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 63 : ◯要望・質疑(林委員) 選択 64 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 65 : ◯質疑(林委員) 選択 66 : ◯答弁(健康福祉局長) 選択 67 : ◯意見(林委員) 選択 68 : ◯質疑(平本委員) 選択 69 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 70 : ◯要望・質疑(平本委員) 選択 71 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 72 : ◯要望(平本委員) 選択 73 : ◯質疑(窪田副委員長) 選択 74 : ◯答弁(山田副知事) 選択 75 : ◯要望・質疑(窪田副委員長) 選択 76 : ◯答弁(危機管理監) 選択 77 : ◯質疑(窪田副委員長) 選択 78 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 79 : ◯質疑(窪田副委員長) 選択 80 : ◯答弁(環境県民局長) 選択 81 : ◯要望・質疑(窪田副委員長) 選択 82 : ◯答弁(都市建築技術審議官) 選択 83 : ◯要望・質疑(窪田副委員長) 選択 84 : ◯答弁(都市建築技術審議官) 選択 85 : ◯要望・質疑(窪田副委員長) 選択 86 : ◯答弁(地域政策局長) 選択 87 : ◯質疑(緒方委員) 選択 88 : ◯答弁(知事) 選択 89 : ◯要望・質疑(緒方委員) 選択 90 : ◯答弁(山田副知事) 選択 91 : ◯意見・質疑(緒方委員) 選択 92 : ◯答弁(知事) 選択 93 : ◯質疑(緒方委員) 選択 94 : ◯答弁(知事) 選択 95 : ◯要望・質疑(緒方委員) 選択 96 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 97 : ◯質疑(緒方委員) 選択 98 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 99 : ◯要望(緒方委員) 選択 100 : ◯質疑(瀧本委員) 選択 101 : ◯答弁(教育長) 選択 102 : ◯要望・質疑(瀧本委員) 選択 103 : ◯答弁(教育長) 選択 104 : ◯要望・質疑(瀧本委員) 選択 105 : ◯答弁(教育長) 選択 106 : ◯要望・質疑(瀧本委員) 選択 107 : ◯答弁(山田副知事) 選択 108 : ◯要望・質疑(瀧本委員) 選択 109 : ◯答弁(山田副知事) 選択 110 : ◯要望・質疑(瀧本委員) 選択 111 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 112 : ◯質疑(瀧本委員) 選択 113 : ◯答弁(商工労働局長) 選択 114 : ◯要望(瀧本委員) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 7 会議の概要  (1) 開会  午前10時30分  (2) 記録署名委員の指名       緒 方 直 之       栗 原 俊 二  (3) 質疑・応答   (林委員) ◯質疑(林委員) 皆さん、おはようございます。自民議連の林 大蔵でございます。今次定例会予算特別委員会におきまして質問の機会を与えていただき、小林委員長をはじめ、皆様に心から感謝を申し上げます。  さて、昨年1月に国内で初の新型コロナウイルスの感染者が発見されて以来、我々を取り巻く環境は一変いたしました。県民の皆様の御協力により、一時は広島市を中心にステージ4相当まで急拡大した新規感染者は大幅に減少し、現在はステージ1相当にまで回復いたしましたが、昨日、広島県内においても変異株が確認されるなど、まだまだ予断を許さない状況でございます。飲食業などのサービス業をはじめとして幅広い業種に大きなダメージが生じており、新型コロナウイルスの一刻も早い封じ込めと経済回復の両立に向けて取り組むべき課題が多くあることを改めて感じているところでございます。  それでは、早速一つ目の質問に入ります。  質問の第1は、ウイズコロナ時代における雇用の在り方についてであります。  緊急事態宣言の全国的な解除は再び延期され、全国的に見てもまだまだ新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたとは言い難い状況ではありますが、広島市を中心にステージ4相当まで急拡大した状況をここまで抑え込めたことについては、まさに広島県民市民が一丸となって取り組んだ成果であると、改めて感謝を申し上げる次第でございます。一方で、私の元にはコロナに翻弄され続けている県内の事業者からの声が多く寄せられており、県内における企業活動の支援の必要性を感じているところです。  そこで、3点お伺いいたします。  まず、雇用を守るための企業支援についてであります。  これまで、国においては、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた企業に対して、実質無利子・無担保の融資制度や雇用調整助成金の特例措置、持続化給付金、家賃支援補助金など、様々な支援策が講じられてまいりました。広島県内においても、実質無利子・無担保の融資制度は、3月2日時点で約3万2,500件、額にして約4,790億円が活用されているとのことで、多くの企業が当面の資金繰りに苦慮しておられます。そして、これらはいずれ返済しなければならないお金であります。  飲食業やその関連業者に関しては、今の雇用を維持する取組として、休業要請に伴う支援金を給付するなど、継続的に手厚く行われてはおりますが、これからは、飲食以外の事業者も含めて、今の雇用を守り、そして、これからの雇用をつくり出すための支援が必要と感じています。  今の業態のままでは立ち行かないと、ウイズコロナに合わせての業態転換や事業再編に取り組む企業に対し、今後の県内経済を支えていく重要な存在として、県としても積極的に支援していくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 2: ◯答弁(知事) ウイズ・アフターコロナを見据えた県内企業の事業継続やさらなる発展のためには、価値観の変容や新しい生活様式を踏まえた環境の変化への対応が重要であると認識しております。  こうしたことから、今後のウイズ・アフターコロナを見据えた県内企業の業態転換や事業再編に向けましては、企業の事業継続に向けた新事業の展開や業態の抜本的転換を後押しするための経営コンサルタントの派遣などによるプッシュ型支援、新しい生活様式に適応する新たな製品やサービスの創出を目指すひろしまサンドボックスの実証プロジェクトや、ものづくり企業の持続的な発展の原動力となる研究開発への支援などの取組を進めているところでございます。  加えまして、新分野への進出や業態転換等に取り組む事業者に向けた県費預託融資制度による金融支援を行っていくとともに、国の新製品、サービス開発などの設備投資等を支援するものづくり補助金や、このたび新たに講じられました企業の思い切った事業再構築を支援する事業再構築補助金などの活用を促進してまいります。また、状況に応じまして国への要望も行うなど、市町や関係団体とも連携しながら県経済の安定的発展に向けてしっかりと取り組んでまいります。
    3: ◯質疑(林委員) さて、我が会派の三好議員も定例会にて質問されましたが、今後は、コロナの影響により一時的に余剰人員を抱える企業と、逆にコロナの影響で人材需要が高まる企業とのマッチングを図る在籍型出向制度の活用による雇用の維持が求められると、私も考えております。実際、観光業に携わる大手事業者からは、観光客がおらず一時的に社員が過剰になっている状態といった声が聞かれます。  三好議員への答弁においては、公益財団法人産業雇用安定センターと共同して在籍型出向制度の活用促進を図ってきたとありましたが、私の元には制度の存在を知らなかったという声があり、周知の方法やセンターの取組に課題があるのではと感じております。  そこで、まず、この在籍型出向制度とはどのような制度で、これまで県として具体的にどのような対応を取ってこられたのか、知事にお伺いいたします。 4: ◯答弁(知事) 在籍型出向制度につきましては、出向元企業と出向先企業との間の出向契約により、労働者が出向元企業に籍を有したまま、出向先企業で一定期間継続して勤務し、将来的に出向元に復帰するという制度でございます。  本制度の活用に当たりましては、多くの企業で出向制度になじみがなく活用のためのノウハウがないことや、産業雇用安定センターについての認知度が低いことなどが課題であると認識しております。このため、産業雇用安定センターと連携し、企業の身近な相談役である商工会議所の経営指導員を対象としたセミナーを開催し、在籍型出向制度の仕組みやメリット、出向に際して検討すべき項目やチェックポイント、センターによる仲介あっせんの流れや実際の出向事例など、制度活用に関する情報を紹介することで、具体的な企業のニーズがセンターによるマッチングにつながるよう周知を図ってきたところでございます。 5: ◯質疑(林委員) 先ほど、観光業に携わる大手事業者の人員が過剰になっている状態といった声を御紹介いたしましたが、例えば宮島においては、令和2年の来島者数が約221万人で、これは前年の約466万人の半分以下となっております。また、昨年5月に至っては、前年5月の来島者約54万人から10分の1以下の約5万人にまで減少しております。まさしく需要が蒸発した状態であると言えます。  事業者にとっては、どこか他の企業に従業員を出向させなくてはいけない状況ですが、今後、全国的に感染状況が落ち着き、GoToトラベルやGoToイートが再開され、操業状態が元に戻った際には、出向した従業員を呼び戻さなければならない状況になります。このようなケースを想定すると、この在籍型出向制度の活用に当たっては、1~3か月単位の短い期間でのマッチングこそ重要になってくると思いますが、在籍型出向制度を活用した短期での受入れ、送り出しのマッチング体制の整備について県としてどのように対応していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 6: ◯答弁(知事) 新型コロナウイルス感染症による事業活動への一時的な影響で人員が過剰となる場合におきましては、短期間での在籍型出向制度の活用は、事業を迅速に再開する上で有効な手法であると認識しております。短期間での在籍型出向の利用が促進されるためには、従業員の教育訓練や出向契約手続など、受入れに伴う企業の負担軽減を図ること、また、より多くの受入れニーズを掘り起こしてマッチングの効率を高めることが必要であると考えております。このため、国におきましては、このたびの第3次補正で感染症の影響を受けて行う在籍型出向に要する賃金や教育訓練、出向契約書作成等の費用を対象として、1か月以上の期間から利用できる産業雇用安定助成金が創設されるとともに、地域の関係機関が協議会を設置して出向に関する情報を共有するなど、産業雇用安定センターと連携したマッチング支援体制の強化を図ることとされております。県といたしましては、来年度、プッシュ型の求人開拓に取り組む中で、産業雇用安定助成金などの新たな制度の周知を図るとともに、在籍型出向の受入れニーズも把握し、県も参画するこの協議会を通じて、産業雇用安定センターによるマッチングにつなげることで、短期間での在籍型出向制度の活用についても支援してまいります。 7: ◯要望・質疑(林委員) 今後はウイズコロナに対応した社会を模索しなければなりません。現在、コロナ関連の失業者は全国で約9万人とも言われており、広島県でも2,000人以上が影響を受けております。在籍型出向制度により雇用を維持するにしても、また、ウイズコロナに対応した新たな業態へ労働力を移動させるにしても、これからのニーズに合わせて、特に成長分野で働くための技能を身につけるべく、労働者の職業能力を開発していくことも検討していただくことを要望し、次の質問に入ります。  質問の第2は、朝ごはん推進モデル事業の実施体制に対する支援についてであります。  先日、我が会派の出原委員が、朝御飯は非常に大事ということで、この事業の予算や決算などに関して質問されたところですが、私からは取組の支援の在り方について質問させていただきます。  この事業は、県が調理用備品や冷蔵庫、食器類などの初期投資について補助金を交付し、学校や、食材を無償で提供してくれる企業、そして、地元の社会福祉協議会やボランティアの方たちの協力により児童に朝食を用意するというもので、平成30年度からは廿日市市の阿品台東小学校と府中町の府中小学校、令和元年度からは竹原市の竹原西小学校においてモデル事業を実施しております。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により継続的な実施が難しく、実施できたのは1校で2か月間だけだったそうですが、この事業が子供たちにとって精神的に大変いい影響があると聞いております。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、お祭りなどの地元行事などが相次いで中止されている中、地域とのつながりを持つ意味でも大変よい事業であると理解しております。  しかしながら、この事業は、学校や企業、ボランティアの方々の協力あってこその事業であります。無償で協力していただいている現場の方々からの意見を吸い上げ、学校にとっても、企業にとっても、ボランティアの方々にとっても負担のないようにしていくことが必要と考えます。そのためにも、朝ごはん推進モデル事業の効果を検証する際には、初期投資の補助だけでなく、誰でもどこでもできるような仕組みづくりが必要と考えますが、朝ごはん推進モデル事業の取組を全県に広げていくための具体的な方策について県としてどのように認識しておられるのか、健康福祉局長の御所見をお伺いいたします。 8: ◯答弁(健康福祉局長) 本モデル事業は、事業開始時から持続可能性や将来の全県への展開を見据えて、地域が自立的に運営できる仕組みを構築することを目指し、地域ボランティアが運営主体となり、企業が食材を無償で提供し、学校が朝食を食べる場を提供するという、民間と行政の連携・協働による運営方法を実現した取組でございます。そのため、県の役割といたしましては、イニシャルコストに対する支援や協力企業の新規開拓、ボランティア、学校、市町関係者との調整、県社会福祉協議会を通じた食材の提供など、地域による自立的な運営を支える側面からのサポートを行っているところでございます。  今年度は、コロナ禍の影響によって成果検証には至っておりませんが、来年度、御協力いただいているボランティアや学校などの関係者の皆様の御意見も伺いながらモデル事業の成果を検証し、見直すべきところは見直しつつ、全県への展開について検討する際には、自立運営を前提とした効果的な仕組みとなるように考えてまいります。 9: ◯要望・質疑(林委員) ぜひ学校や地域から主体的に手が挙がるように、思い切った政策に取り組んでいただければと思います。  質問の第3は、ひろしまブランドショップTAUについてであります。  ひろしまブランドショップTAUは、平成24年7月のオープン以来、平成29年4月には全店を改装してリニューアルオープンを行い、ひろしまブランドの価値の向上や広島ファンの増加を目的とした店舗の運営、県産品の販路拡大に向けた支援を行ってこられました。今や、東京における広島のシンボルとして、TAUの存在がなくてはならないのは言うまでもありません。イベント実施や情報発信の強化など様々な努力により県産品等の報道件数も増加し、平成30年度には売上高が過去最高で、北海道に次いで全国2位となりました。また、販路開拓においても、県内事業者と首都圏のバイヤー等との成約状況が平成25年度の49件から令和元年度には116件と倍以上の実績を上げるなど、東京におけるひろしまブランドの認知度はますます高まっております。  私も以前、TAUに立ち寄った際、長い行列に何かと思いましたら、はっさく大福を求めるお客さんでした。広島と東京の市場のギャップ、そして、TAUというブランド力の効果には大変感慨深いものがあります。ちなみに、TAUでの人気ベストスリーは、カキのオイル漬け、がんす、生もみじが常にランクインし順位を争っているとのことで、私が目にしたはっさく大福は、あまりの人気のために殿堂入りしているそうです。  カキのおいしいこの季節、広島のカキを東京の方々にも味わってもらいたいところですが、新型コロナウイルスの感染拡大により、東京における不要不急の外出自粛や人との接触機会の低減など、TAUを取り巻く環境も一変しております。  そこで、ひろしまブランドショップTAUに関して、2点お伺いいたします。  まず、令和2年度の収支見込み等についてであります。  4月7日に東京都を含む7都府県を対象に緊急事態宣言が発令され、4月16日には全国が緊急事態宣言の発令対象となりました。一旦5月25日に解除されたものの、1か月程度で1日の感染者が3桁を超え、その後、新規感染者が過去最多の状況が継続し、医療体制が逼迫する様相を見せたことから、この1月7日には東京を含む1都3県を対象に再度の緊急事態宣言の発令に至りました。  東京の銀座という商業の中心にあるひろしまブランドショップTAUは、緊急事態宣言による影響を大きく受けていると考えられますが、令和2年度の来店者数や売上高が過去最高の売上高を記録した平成30年度からの推移でどのような状況になる見込みか、商工労働局長にお伺いいたします。 10: ◯答弁(商工労働局長) 様々な情報発信による店舗の認知度向上、運営事業者の努力などにより、平成30年度においては来店者数が95万8,000人、売上額は10億5,600万円を記録いたしました。今年度につきましては、緊急事態宣言中の休業や東京都による飲食店の時短要請などの影響を現在も受けており、今年度末の来店者数、売上額とも、平成30年度と比較しますとほぼ半減する見込みとなっております。 11: ◯意見・質疑(林委員) やはりTAUを取り巻く環境は大変厳しいものであると認識いたしました。  さて、先ほども申し上げましたとおり、緊急事態宣言の解除は再延期され、GoToトラベルも依然として停止されたままで、人の流れの復活も見通せません。感染予防効果などが期待されるワクチンも、まず医療従事者に対して先行接種が始まりましたが、ワクチンの供給スケジュールはいまだ示されておらず、新型コロナウイルスの影響はしばらく続くと考えられます。再度、不要不急の外出自粛や感染拡大地域との往来自粛が要請される事態にならないとも限りません。  リニューアルから4年近く経過していることもあり、また、令和3年度は運営事業者の契約更新もあると聞いております。今だからこそ、このピンチをチャンスに変えるためにも、ビフォーコロナのこれまでのやり方を変え、さらなるリニューアルを含めたニューノーマルな対応を考えるべきときに来ていると考えます。  ウイズコロナの時代にあって、ひろしまブランドの価値向上や広島ファンの増加というひろしまブランドショップTAUに求められる機能を果たすために、具体的にどのような取組を行っていこうとしているのか、商工労働局長に再度お伺いいたします。 12: ◯答弁(商工労働局長) ウイズコロナ時代においても首都圏における情報発信機能を維持・強化するため、魅力発信イベントをオンラインで行うなど、集客イベントにとどまらない情報発信に力を入れているところでございます。加えて、広島にゆかりのある首都圏の店舗をネットワーク化し、TAU単体だけではなく加盟店舗と共にオール広島で本県の魅力を情報発信できるよう、体制の構築を進めているところであります。また、県産品の販売におきましては、百貨店等における出張販売の拡大のほか、非対面での販売についても、新たな顧客を獲得していくため、オンラインショップをより使いやすく、かつ、話題性のあるサイトになるよう強化していくこととしております。  今後、対面型のみならず、非対面でのイベントや販売といった新しい生活様式に合わせた取組を行いながら、引き続き、首都圏の情報発信拠点として、広島ファンの拡大やひろしまブランド価値向上に資する取組を進めてまいりたいと考えております。 13: ◯意見・質疑(林委員) 冒頭にも申し上げましたが、TAUが東京における広島の認知度向上に寄与しているのは十分承知しております。今年度は運営事業者の契約更新もあり、待ったなしということですので、どのように立て直して、どのようにコロナと付き合っていくのか、我々も一緒に知恵を出していきたいと思っております。  質問の第4は、隠れ不登校への対応についてであります。  令和2年11月に文部科学省が公表した調査結果によると、病気や経済的状況などの理由を除いて年間30日以上欠席している、いわゆる不登校状態にある小学生は全国で約5万3,000人、中学生では約12万8,000人もいるとされております。広島県では24時間子供SOSダイヤルやこころのライン相談などでいじめや不登校などの相談対応を行っているとのことですが、私が目を向けないといけないのではと感じているのは、隠れ不登校の児童生徒への対応についてであります。  この隠れ不登校とは、教室にいるけれども学校がつらいと感じている、本当は授業に参加したくない、登校はするけれども教室には入りたくないといった思いを抱えている不登校傾向にある状態のことで、分かりやすい例で言うと、学校の校門、保健室、相談室などには行きますが、教室には行かないという教室外登校の子供や、基本的には教室で過ごすが遅刻や早退が多いなどの部分登校の子供を指します。  隠れ不登校の実態については、平成30年12月に公益財団法人日本財団が公表した実態調査において初めて明らかになり、不登校傾向にある中学生は約33万人と推計されました。これは、先ほどの文部科学省が公表した不登校中学生の約3倍の値であり、全中学校の生徒数の約10人に1人が不登校傾向にあるという結果を示しております。現在の法令の基準では1クラス当たり40人ですから、単純に考えると1クラスに4人もの隠れ不登校の可能性を持った生徒がいるということになります。  そこで、広島県における隠れ不登校への対応について、2件お伺いいたします。  先ほど、日本財団による推計値を申し上げましたが、これらは、学校に対してではなく、子供に対してインターネット調査を行って、全国の中学生の数との割合から推計したものです。そこで、まず、広島県内における隠れ不登校の状態の児童生徒の実態について教育委員会としてどのように認識しており、どう対応しておられるのか、併せて教育長にお伺いいたします。 14: ◯答弁(教育長) 本県におきましても、教室にいるものの友人とうまく話ができない、教室内で周囲の目が気になるなどの理由で学級で過ごすことに不安を感じている児童生徒や、将来に対する具体的な目標を持つことができないために学校生活への意欲が向上しないなどの悩みを抱えている児童生徒がいることは認識しております。  そのため、各学校におきましては、学級担任等による個別の面談や保護者連携を行うなど、児童生徒の不安や悩みに寄り添い、きめ細かな対応を行っているところでございます。また、不登校等児童生徒支援指定校におきましては、スペシャルサポートルームが悩みや不安を抱える児童生徒の居場所となるよう取り組むとともに、学級集団アセスメントを用いて、学校生活における児童生徒個々の意欲、満足感等を学校全体で分析し、その分析結果を活用した個別面談を実施するなど、組織的な取組の充実を図り、不登校の未然防止につなげております。  県教育委員会といたしましては、こうした指定校における取組や考え方を学校訪問や研修等を通じて広めていき、学校に生きづらさを感じている児童生徒が安心して登校できるよう、各学校及び市町教育委員会を支援してまいります。 15: ◯質疑(林委員) 隠れ不登校に至る要因は多岐にわたり、児童生徒の数だけその要因があります。児童生徒一人一人の心に寄り添う対応が重要であるとともに、現場の教職員の負担軽減にも目を向ける必要があると考えております。相談室や保健室、図書室などで過ごす教室外登校を含め、隠れ不登校の児童生徒に対しては、教職員も通常業務とは別に、その対応をする必要があります。  私がある広島市内の学校から聞いた話では、全校児童のうち約2%の子供が学校に登校してこなかったという状況があり、担任の先生が1人ずつ迎えに行ったり電話をしたりしているそうです。この間、教室は担任不在の状態になります。その日は結果的にほぼ全員が登校したそうですが、それが積み重なる現場の苦労は大変なものがあります。校長先生が探してきた有償ボランティアの方により対応してもらっている学校もあるそうですが、子供のケアはできても、資格がないため授業ができないという課題があります。また、新型コロナウイルス感染症で起きた新たな課題として、先生の代わりに検温を行ってくれる教務事務支援員を増員され負担軽減に努めておられるとお聞きしましたが、依然として現場のマンパワー不足は深刻な問題です。  授業もでき、学校に来ない児童生徒を迎えに行けるような、専門性を持ちつつ自由に動ける存在を学校は必要としております。そこで、例えば定年退職した方を含め、教員免許を持つ方をリストアップして需要のある学校とマッチングしたり、有償ボランティアの方々や新型コロナウイルス感染症の影響で離職した方々に対して一定の講習を行い、認定された方には資格を与えてワンランク上の給与を支給するなど、教員が安心して授業ができるよう、教員をサポートする制度をつくってみたらどうかと考えております。  県として隠れ不登校の児童生徒に対する現場の教職員の負担軽減のためにどのような対応をしておられるのか、教育長にお伺いいたします。 16: ◯答弁(教育長) 学級で過ごすことに不安を感じていたり、悩みを抱えている児童生徒に対しましては、学級担任が中心となって個別の面談や保護者対応を行うとともに、必要に応じて、担当教員だけでなく、管理職や専門スタッフも含め、学校内で体制を整え組織的に取り組んでいるところでございます。こうした取組に加え、不登校等児童生徒支援指定校におきましては、スペシャルサポートルームの設置や学級集団アセスメントの実施などにより、不登校の未然防止を図っております。また、教育委員会におきましては、登校に不安を抱える児童生徒の学習支援などを行う学習指導員や、教員の事務的業務等を補助するスクールサポートスタッフを配置することなどにより、教員の負担軽減に努めているところでございます。  なお、お尋ねの教員をサポートする制度につきましては、現在、国が退職教員や大学生など、学校をサポートしていただける方を対象とした人材バンクを開設しており、教育委員会といたしましても、こうした制度を積極的に活用していくとともに、専門スタッフの効果的な配置を進めていくことなどにより、引き続き、教職員の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。 17: ◯要望(林委員) 今後とも、誰一人取り残さず、個別最適な学びを児童一人一人に提供して、広島で学んでよかったと思える日本一の教育県の創造を推し進めるとともに、学校現場の声にしっかりと耳を傾け、学校現場にきちんと寄り添い、そして、真に学校現場が必要としている人員の確保を行って、広島県で教職員になってよかったと思える環境も整えていただきたいと思います。   (砂原委員) 18: ◯質疑(砂原委員) 皆さん、おはようございます。広志会・つばさの砂原克規でございます。  新型コロナの感染拡大は、広島県のみならず全世界の経済活動に大きな影響を与え、その経済損失規模は2008年のリーマンショックを超えるとも言われております。本日の質問では、新型コロナが経済活動に与えた影響を、あえてリーマンショックに合わせてコロナショックと言わせていただきたいと思います。それを前提に質問してまいります。  まずは、コロナショックを踏まえた財政運営についてお聞きします。  昨年12月の定例会において、我が会派の井原議員より、コロナショック以前から広島県の景況は悪化しており、そこにコロナショックが拍車をかけて、さらに景況が悪くなったのではないかと思うが、執行部として本県経済の現況をどう分析しているのかという問いに対して、商工労働局長は、コロナショック以前は基本的には緩やかに回復してきたが、一方で、コロナショックは幅広い産業分野に大きな影響をもたらしているという答弁がございました。この答弁では、広島県の景気が本当にいいのか悪いのか、私には分かりませんでした。  そこで、まず確認ですが、商工労働局長はこのように答弁されていますが、財政運営を担う総務局長として本県経済の現況をどのように捉えておられるのか、伺います。 19: ◯答弁(総務局長) 本県経済は、コロナ禍以前におきましては緩やかな回復基調にありましたが、全国的な新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う外出自粛や観光客の減少などにより、現在は、飲食業や宿泊業をはじめ、幅広い業種で厳しい状況になっております。さらに、雇用面におきましても、県内の有効求人倍率が低迷するなど、本県経済は先行き不透明な状態にあると認識しており、税収面への影響など、財政運営にも大きな影響があると見込んでおります。 20: ◯質疑(砂原委員) 今、局長が言われたとおり、平成30年をピークに有効求人倍率はどんどん低下していっている。そして、令和2年2月の日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区の閉鎖というようなことを見るにつけ、やっぱり緩やかに回復しているというよりは、緩やかに景況は悪くなっていたのではないかというふうに、私は認識しております。  さて、県は、中期財政運営方針において、財政状況が厳しいと言っておられ、その前提に立っておられますが、その上で、令和3年度当初予算編成時において、財源調整的基金の取崩しに頼らざるを得ない状況にあると判断され、財政調整基金を165億円、減債基金を72億円、合計237億円もの基金の取崩しを行っておられます。その結果、令和3年度末の財政調整基金残高がゼロとなる当初予算案が示されました。  県の貯金に当たる財政調整基金について、当初予算編成の時点で残高見込みがゼロになるということは、私の知る限り、広島県政において初めてのことであります。こうした危機的な状況をどのように受け止めておられるのか、総務局長に伺います。 21: ◯答弁(総務局長) 御指摘いただきましたとおり、令和3年度当初予算編成後の財政調整基金残高の見込みがゼロであることにつきましては、これまで例がなく、非常に厳しい財政状況であると受け止めております。また、財源調整的基金として積み立てている減債基金の残高につきましても、121億円となる見込みであり、中期財政運営方針にお示ししておりますとおり、大規模災害などへのリスクへの備えとして、最低でも100億円以上の残高を維持することが必要であると考えていることなどから、今後も厳しい財政運営が続くものと認識しております。 22: ◯質疑(砂原委員) 中期財政運営方針では、その時点で見込まれる一定条件の下での試算により、政策的経費として活用可能な一般財源の額は、令和2年度当初予算では860億円、それよりも186億円減少する674億円になる見込みになっております。この見込みに対して、令和3年度当初予算編成段階ではどの程度乖離が生じているのか、総務局長に伺います。 23: ◯答弁(総務局長) 政策的経費として活用可能な一般財源につきましては、中期財政運営方針で見込んだ674億円から64億円の減となり、610億円となったところでございます。 24: ◯質疑(砂原委員) では、その乖離が生じた要因をどのように捉えておられるのか、伺います。 25: ◯答弁(総務局長) まず、歳入面におきましては、県税収入が中期財政運営方針における見込みを下回ったことなどから、市町への税交付金などを控除した県税実収入ベースで189億円の減となっております。また、県税収入の減などに伴い、地方交付税が105億円の増となったほか、未利用県有地の売却による34億円の増などから、合計で51億円の減となっております。  歳出面におきましては、社会保障関係費の減に伴い、法的義務負担経費が6億円の減、平成30年7月豪雨災害対応に必要な経費について19億円の増など、合計で13億円の増となっております。  この結果、先ほども申し上げましたとおり、政策的経費として活用可能な一般財源につきましては610億円となっております。 26: ◯質疑(砂原委員) 県税収入について、また伺います。  今言われましたように、令和3年度当初予算は、一般会計ベースで1兆938億4,000万円、このうち県税収入は28.5%、3,121億9,800万円であります。令和2年当初予算と比較すると、県税全体で271億円減少、このうち法人二税は230億円を占めており、やはり本県経済における新型コロナの影響が、いよいよ本県予算においても当初予算編成段階から数字として表れ始めている。  でも、これはコロナだけではない。その前の経済的なものもあったのではないかと私は踏んでいます。  県税へのコロナショックの影響について、中期財政運営方針ではどのようなシナリオを描いておられたのか、伺います。 27: ◯答弁(総務局長) 昨年9月に中期財政運営方針の基礎として策定いたしました今後の財政収支見通しにおける県税収入につきましては、昨年7月に内閣府が示しました名目経済成長率などを基に、機械的に推計したものでございます。この中で、令和3年度の県税収入は、令和2年度当初予算と比較して206億円と大幅に減少し、令和2年度当初予算の水準まで回復するには8年程度の期間を要することをお示ししたところでございます。 28: ◯要望・質疑(砂原委員) このシナリオを見てみると右肩上がりになっておりまして、読みそのものが間違っているのではないか、それから、当初がもうそこで狂い始めているということを真摯に受け止めていただきたいと思います。  それでは、当然ながら、こういう状況を見て歳出の削減も行われたと思いますが、どのような取組を行ったのか、総務局長に伺います。 29: ◯答弁(総務局長) 令和3年度当初予算編成におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響などによる厳しい財政状況の中、施策や事業などの優先順位づけや費用対効果の検証、評価を一層徹底した経営資源のマネジメントに取り組み、事務事業の見直しにより一般財源を約25億円捻出したところでございます。加えまして、県債の発行に当たりましては、後年度に交付税措置のある有利な県債を最大限活用することも含めた適切なマネジメントなどに計画的に取り組み、歳出が増加する中であっても、将来負担の軽減を図ったところでございます。 30: ◯意見・質疑(砂原委員) 減った分は言われているのですけれども、新規事業とか増えた分は一切語られていないのです。数字を聞いても、それは答えが出てこなかった。本当に削減をやったのかと、非常に疑問に感じました。  ちょっと視点を変えて質問します。  今次定例会において、県庁舎整備基金を一般財源化し、なおかつ基金の全部を活用できるという条例案が提出されていますが、総務局長は、この県庁舎整備基金を一般財源として活用するお考えがあるのかどうか、伺います。 31: ◯答弁(総務局長) 県庁舎整備基金につきましては、想定を超える大規模災害の発生や新型コロナの影響により県税収入が大きく下回る場合などにおいて、さらなる事務事業の抜本的見直しや財源調整的基金の取崩しを行った上でもなお財源が不足する場合に、活用を検討することとしております。 32: ◯質疑(砂原委員) そうですよね。この中期財政運営方針には堂々と、もう基金を取り崩すのを前提のように書いてある。  民間企業や一般家庭では、収入見込みが落ちた場合、まず、経費等を徹底的に削減することから考えます。企業で言えば内部留保、家庭で言えば貯金を取り崩さないように努力するものであります。経費の削減等ができない場合、内部留保や貯金を取り崩し生活水準等を変えなければ、次には借入れをしなくてはいけなくなります。最後には借金地獄に陥って、企業であれば倒産、家庭であれば破産してしまう可能性があるわけです。  先ほど申し上げた県庁舎整備基金は、平成11~15年度に、県庁舎を建て替えるという方向性の下、県職員の給与の昇給延伸により減額した結果、250億円を捻出したと聞いております。また、議会も報酬カットを行うなど、財政運営上の対策を行った成果として、毎年30億円を積み立てて、現在、運用益を含めて156億円を有しているわけでございます。  当時、景気の見通しが悪い中においても、聖域なき行財政改革の下、執行部と議会が一丸となって努力したわけであります。また、平成16年度から平成18年度には、役職に応じた、いわゆる7・5・3の給与カットという給与抑制措置を行われました。これも、聞くところによると、約180億円の抑制効果があったそうです。さらに、平成19年度から平成21年度では7.5・5.5・3.75という給与カットを行い、約200億円を抑制し、これらを合わせると12年間で630億円もの歳出削減に取り組まれたわけです。また、人員削減も行われております。  この背景には、バブル崩壊後の景気低迷、平成16年からの三位一体改革による大幅な地方交付税の削減による地方公共団体の疲弊、そして、平成20年のリーマンショックによる不況などがありました。  平成21年からの湯崎県政においては、初めこそリーマンショックの影響があったものの、景気が少しずつ回復し始め、前県政と比較すると容易に予算編成ができたように思われます。しかしながら、平成26年、平成30年に発生した二つの豪雨災害、そして、令和2年から現在に至るコロナショックという予期せぬ事態が起こりました。平成26年、平成30年の豪雨災害は国の手厚い支援があり、コロナショックにおいてもほとんどが国費で対応していますが、これからの県政運営では、こうした国からの手厚い支援に頼れないのではないでしょうか。コロナショックの影響は数年続きそうであり、今の広島県経済も、県政が逼迫した藤田県政当時と同様の状況に陥ってくると思います。  藤田県政下の血のにじむような努力で積み上げた基金を安直に取り崩すのではなく、広島県は、コロナショックと闘うために、徹底的な行財政改革等を速やかに行う時期に来ていると思いますが、その考えはあるのか、知事の御所見を伺います。 33: ◯答弁(知事) 私の就任以降、予算・人員の最適配分などを行う経営資源マネジメント、職員数の見直しなどによる人件費の適正管理、公共事業費をはじめとする普通建設事業費の見直しなどの行財政改革に取り組んでまいりました。こうした取組の結果、全国トップクラスの効率的な組織体制の実現、実質的な県債残高の着実な縮減、平成30年7月豪雨災害発災前における財政調整基金残高の回復、藤田県政で回復されたとおっしゃっておられますが、私の時代に回復しているということでございます。そういった成果があったものと考えております。  また、この財政改革は、まさにこういった大災害あるいはコロナウイルス対策において、必要以上に縮小する必要がないように、対応できるように準備してきたものでございます。  一方で、今後の財政状況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響など、さらに厳しさを増すことが見込まれているため、引き続き、中期財政運営方針に掲げる経営資源マネジメントの実施、人件費の適正管理、財産の売払い、収入未済額の縮減などに着実に取り組んでまいります。今後とも、ひろしまビジョンに掲げる目指す姿の実現を支えるとともに、将来において様々な情勢が不透明な中におきましても、県勢発展に必要な施策を安定して推進できるしなやかな財政運営を行ってまいります。 34: ◯要望・質疑(砂原委員) 今、知事がおっしゃいましたけれども、例えば公共投資というのは、一定的にずっと削減していくと、その効果、つまり公債費の削減というのは大体5年から10年先にその成果が出てまいります。知事のやった成果もあるかもしれませんけれども、藤田県政下における非情な公共事業の縮小が、公債費の減少に今になって表れているというふうに私は認識しております。経済状況は刻々と変化しています。広島県の財政状況をもっと深刻に受け止めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  私は、最近、広島県の予算編成の在り方や議会に対する説明及び議決に対する執行部の認識について、非常に違和感を持っております。大規模事業において事業着手後に大幅に増額する事例、事業を考える上での条件設定及び内容や積算の見通しの甘さにより執行段階で右往左往している事例、その結果、多額の不用見込みを生じさせ減額補正に至る事例など、予算編成や執行の在り方に疑問を感じる事例が散見されます。また、二元代表制の下、議会は県民の代表として存在するものであり、議会には承認した予算に対して責任があります。しかしながら、当初要求した事業を途中で中止し、議会への説明もなく、別のやり方で物事が進んでいく事例も見受けられます。これでは何のために予算を承認したのか、私は頭を抱えてしまうのであります。  先ほども申し上げてきましたが、今後、本県財政運営において一般財源歳入の減少が継続的に見込まれる中、こうした事例の要因を解明し、今後の改善につなげることで、財政運営の効率化に資すればという思いから、次の質問に入らせていただきたいと思います。  まず、福山市鞆町の鞆港埋立て架橋計画の撤回後のまちづくりにおいて、架橋の代替案と位置づけた山側トンネルの建設事業費が、当初概算で示した60億円から1.8倍の110億円に大きく膨れ上がるとの新聞報道がありました。トンネルを含むバイパスを0.2キロメートル延ばす内容で金額が1.8倍に膨れ上がるこの状況は、異常と言わざるを得ません。そもそも当初概算で示された60億円の前提条件はどうだったのか、伺います。 35: ◯答弁(土木建築局長) 平成31年2月にお示しした概算事業費約60億円につきましては、住民説明会において、複数のルート案の比較を御説明するために算出したものでございます。いずれのルートにつきましても、その算出に当たりましては、現地での測量やボーリングなど詳細な調査が未実施の段階における概算として、既存の地形図などにより算出した数量や、同様の工事の施工実績を踏まえて設定した工事単価など、その時点で知り得る情報を用いて積算したものでございます。 36: ◯意見・質疑(砂原委員) 経験値で、多分1メートル当たり300万円でキロ数をかけて60億円というふうに算出されたのだろうと思うのですけれども、実にいいかげんだったと思います。これは予算計上されていなかったのでまだいいのですけれども、事業そのものに対して疑問を持たざるを得なくなってしまいます。  次に、我が会派の城戸議員の代表質問においてお尋ねした、流川・薬研堀地区において感染者が確認されれば当該地区で働く1万人を対象としてPCR検査を行うという、いわゆる1万人ローラー作戦について伺います。  これは、9月補正において1億5,000万円を計上していますが、実施されておりません。城戸議員の質問に対して、知事の答弁では、感染者が急増した12月初旬以降、流川PCRセンターを設置したと言われております。当初予定していた執行方法を変えたのであれば、改めて議会に説明した上で予算の計上をする必要があったと思いますが、いかがでしょうか、健康福祉局長に伺います。 37: ◯答弁(健康福祉局長) 歓楽街感染拡大防止事業につきましては、中四国最大の歓楽街である広島市流川・薬研堀地区において臨時診療所を開設し、診療の機会を確保することに加えまして、積極的疫学調査による歓楽街の従業員を対象とするPCR検査を実施し、これら二つの方策により、感染者の早期発見による感染拡大防止に取り組むべく、令和2年度9月補正予算として編成したものでございます。  まず、臨時診療所につきましては、安全・安心に楽しめる環境づくりを目的に、有症状者が身近な診療所で受診できるよう、流川積極ガード診療所を週1回のペースで、昨年9~12月までの間、開設したところでございます。こうした中、12月初旬からの広島市を中心とした感染の急拡大を受け、広く検査の機会を確保するため、飲食店の利用客なども対象に、臨時診療所に併設する形で流川PCRセンターを設置しているところでございます。これら施設の運営に当たりましては、歓楽街感染拡大防止事業に計上しておりました臨時診療所の開設経費とともに、感染拡大防止に係るPCR検査の実施など、検査体制の強化のために4月補正予算で計上した感染症予防対策事業のほか、予備費の充用により実施しております。  次に、同じく歓楽街感染拡大防止事業に計上しております、歓楽街の従業員を対象とするPCR検査の実施につきましては、感染者数にかかわらず、積極的疫学調査の結果やクラスターの発生状況など、その時々の感染動向を踏まえて判断すべきものと考えており、現時点においては実施しておりません。 38: ◯質疑(砂原委員) そうですよね、このPCR検査の部分は別の予算なのです。ということになると、この実施していない1万人のローラー作戦の予算は、今どうなっているのでしょうか、伺います。 39: ◯答弁(健康福祉局長) 先ほど申し上げたとおり、検査につきましては現時点においては実施しておりませんので、執行はしていないところでございます。
    40: ◯質疑(砂原委員) 万が一、これからまた拡大があったとしても、3月中にはこの1万人ローラー作戦はできないと思うのです。そうしたら、通常であれば、この事業を繰り越すとか減額補正とか、そういった形を取るべきであったのではないかと思うのですが、それもされていません。ということは、この予算はどうする予定でしょうか。 41: ◯答弁(健康福祉局長) 本事業につきましては、いまだ執行はしておりませんが、歓楽街における感染の拡大に備えた予算として、現在も計上させていただいているところでございます。今後の執行の可能性については、引き続き、感染状況に最大の注意を払ってまいりたいと考えております。 42: ◯意見・質疑(砂原委員) 結局、これはもう使えずに、ほかの財源に振り替えるぐらいのことしかできないはずなのです。そうしたら、この事業は何のためにアドバルーンを上げたのかと非常に疑問に思うわけです。  このローラー作戦は、日本においては検査を強要できないので実施は難しいのではないかということで、我が会派は減額の修正案の提出までしました。これはできないでしょうと。現実にできていない。こういう事業が非常に多いということが非常に残念であると思っております。  同じような質問をします。  新型コロナ感染症PCR集中実施事業は、当初からマスコミや医療関係者から、10億円という費用をかけて28万人に実施する事業効果が本当にあるのだろうかという疑問が寄せられておりました。臨時補正まで組んで、これは認められましたけれども、結果として感染者が大きく減少したために実施は見送られました。その代わり、中区の一部でトライアルとしてやると。実際には中区全域で実施されましたけれども、当初の事業目的は、感染の連鎖を遮断するための手段としてやるのだと聞いておりました。議会でもそういう説明がありました。  トライアルということであれば、または、人員規模をここまで減らすのであれば、当初の事業目的から逸脱していると思うのですが、健康福祉局長の所見を伺います。 43: ◯答弁(健康福祉局長) 新型コロナ感染症PCR検査集中実施事業につきましては、感染者が多い地域においてPCR検査を集中実施することにより、感染者を早期に発見し、感染の連鎖を遮断することを目的に、広島市の一部地域を対象に計画しておりましたが、感染状況が急速に改善したことから、一旦、集中実施を保留したところでございます。PCR検査のトライアル実施につきましては、今後、感染の再拡大の予兆を捉えて速やかに集中実施に着手できるよう、予約から検査、積極的疫学調査、宿泊療養施設への患者搬送に至るまでの一連のオペレーションが想定どおり機能するかを確認し、課題などを整理することで、集中実施を行う際の精度を高めるために行ったものであり、事業目的に沿った一体的な取組と考えております。 44: ◯意見・質疑(砂原委員) これは、当初は、臨時議会まで開いて10億円もの予算をつけて、28万人にやると言ったのです。それを、いともたやすく内容を変えるということはいかがなものかと思う次第であります。  次の質問に入ります。  今年度予算において、障害者施設で勤務する職員に対する慰労金給付及び感染拡大防止に必要な備品等の購入経費の補助のために、6月補正及び9月補正の2度にわたって合計約50億円が計上されました。新型コロナ感染対策として必要な経費であります。しかしながら、このたびの2月補正において、50億円に対して約31億円の減額補正が提出されております。  なぜ、こうした多額の減額補正に陥ったのか、その要因についてお伺いします。 45: ◯答弁(健康福祉局長) コロナ禍において感染の不安を抱えながら障害者施設で勤務する職員を対象とした慰労金給付及び感染拡大防止に必要な備品などの購入経費の補助につきましては、その事業を早期に実施するため、国に対し早急に申請予定額を回答し、財源を確保する必要がございました。そのため、慰労金につきましては、国が示した職員数のデータに基づいて積算し、支援金につきましても、全ての事業所が限度額まで申請しても不足しないよう、予算額を確保したところでございます。  しかしながら、慰労金につきましては、国の職員数の推計値には同一法人の障害者施設と介護事業所とのいずれにも勤務する職員の数が重複して計上されていたこと、また、支援金につきましても、介護サービスと障害福祉サービスを一つの事業所で提供している場合、例えばホームヘルプなどについてですが、その申請を介護サービスとしてまとめて行い、障害福祉サービスとしては申請されなかったことなどにより不用額が生じ、減額補正が必要となったものでございます。 46: ◯質疑(砂原委員) 介護福祉施設とか障害者福祉施設においては、職員の配置基準というものがもともとあるはずでありまして、それを基に推計できるのではないかと思うのですが、その辺は健康福祉局長、いかがでしょうか。 47: ◯答弁(健康福祉局長) 慰労金の対象につきましては、国の要綱により、正規職員に加えまして、令和2年3月6日から6月までの期間に10日以上勤務した非常勤の職員でありますとか、委託業者からの派遣労働者を含む職員とされたため、法定の配置基準では推計ができないことから、国が示した数値を使って積算を行ったところでございます。 48: ◯質疑(砂原委員) 局長の言いたいこともよく分かります。しかし、4万4,000人が2万人になるということは、いかに言っても考えられない。これは完全なる予算編成段階でのミスです。それはなぜかというと、ふだんから配置基準に基づいた人員をある程度県が知っておくべきだったと私は思っているのです。それがなかった。市町へのヒアリングもできなかった。仕方がないから国に聞いたらこれぐらいだと言われたから、それを丸ごと計上したというのがこの実態です。今後そういうことのないように、県は監督値を把握しておくべきだと思うのですけれども、今後このことについてはどういうふうにお考えでしょうか。 49: ◯答弁(健康福祉局長) 今回の事業に関しましては、非常にタイトなスケジュールの中で、要綱に一致する対象の実数を把握するいとまがなかったというのが事実でございます。今後、同様の給付を行う必要が生じた場合には、限られた時間の中であっても可能な限り実態に近い数値を把握して、正確な予算編成に努めてまいりたいと考えております。 50: ◯要望・質疑(砂原委員) これは、減額補正したことで国からお金が来なかったというだけの話で、どこも痛まないわけですけれども、国にしてみれば、ほかの地域に回せたのにというのはあったかもしれない。そういう意味で、やはり予算を計上するときにはきちっと精査して、そんなに大きな誤差が出ないようにしておくべきではなかったかと思います。今後、その辺については最新の注意を払って予算を組んでいただくことをお願い申し上げます。  続きまして、旧広島陸軍被服支廠についてお伺いします。  これは、このたび予算計上されておりませんけれども、様々な議論がされておりますので伺いたいのですが、昨年12月に取りまとめた詳細調査の結果と、1棟保存、2棟解体、それから全棟保存というような3パターンの利用形態と概算工事費が示されております。このるる話してきたとおりのことに、私は非常に疑問を持っていまして、この議論の前提となる、このたび示された概算工事費の信憑性はどうなのだろうかと思うのですが、経営戦略審議官、いかがでしょうか。 51: ◯答弁(経営戦略審議官) 旧広島陸軍被服支廠につきましては、建物の耐震性に関わる新たな知見が得られたことから、建物の安全性確保に向けた耐震補強工法とその概算工事費などを明らかにするための詳細調査を実施いたしました。この詳細調査における概算工事費の積算につきましては、建築単価の実勢価格を反映するなどによりまして算定したところでございます。  なお、耐震補強工法とその概算工事費につきましては、れんが建築や耐震構造の専門家等で構成する建物安全性等検討会議から適切なものと認めるとの御意見を頂いております。 52: ◯意見・質疑(砂原委員) 旧広島陸軍被服支廠をどのような形で未来へ引き継ぐかということが我々の使命であると思います。ですから、この三つの示したものをきちっと精査して、それに基づいて議論して意思決定していかなくてはいけないものだと思います。そのときそのときで変わるというのではなくて、ある程度同一基準で金額をはじいて、その効果もしくは将来への成果になるのかならないのかを含めて議論すべきであって、国や広島市と議論する前に、県として、その在り方そのものを議論すべきではないかと思います。そのためには、この数字がしっかりしたものでなくてはいけないということを申し上げておきます。  こういうふうに、いろいろな事例をるる述べてまいりましたが、財政当局として、予算編成において、このプロセスをどういうふうに認識しているのか、また、その予算編成ではどのようなプロセスを経て行ったのか、さらに、そのプロセスは適正であったのかどうかということを、どうしても聞かなくてはいけないと思うのですが、いかがでしょうか。 53: ◯答弁(総務局長) 本県における予算編成のプロセスでございますが、まず、事業を所管する部局が、その時点でのできる限りの情報を基にそれぞれの事業の必要性を判断し、後年度を含めた全体事業費につきましても積算した上で、予算に関する見積書が総務局長へ提出され、投入コストや事業選択の妥当性などについて、客観的なデータなどを基に費用対効果などの検証、評価を行っているところでございます。  予算は編成時点における見込みであり、事業を進めていく中で、社会経済情勢の変化など様々な要因によりまして事業費が変動することはあると認識しておりますが、こうしたプロセスの中で、できる限り事業費の積算精度を高め、大幅な変動が生じないように努めてまいっているところでございます。  それでもなお大幅な事業費の変動が生じた場合には、再度経費の精査を行い、事業の必要性や全体経費を踏まえた事業の妥当性について改めて判断した上で、経緯等を含め、議会に御説明してまいります。 54: ◯意見・要望(砂原委員) 当初見せていただいた数字よりも倍とか3倍とか膨れ上がる事業が、あまりにも今多い。別にあらを探すつもりはないのですけれども、これでは当初の議論が成り立たなくなってくると思ったので、このたび質問させていただいております。  最後に、今回の城戸議員の代表質問に対して、知事が予算編成の在り方について答弁しておられますが、今、総務局長が言われたように、その時点で可能な限りの情報を基に積算した上で必要性を判断し実施しているとのことです。当初想定していなかった経費が生じた場合には、経緯を含め議会へ説明し、必要な予算を計上すると言っておられます。これは、裏を返せば、事業を徹底的に精査しなくても、行いたい事業には着手する、事業費が変動するのは仕方ない、増分については追加補正を提出し、そのとき議会に説明すればいいというふうに聞こえてしまいます。一方、議会は一旦動き出した事業であるために、もう追認せざるを得ないというのが現状であります。これでは二元代表制というのは本当に成り立っているのだろうかと危惧しております。  本日は、コロナショックで経済が傷む中における予算編成の在り方、執行状況について質問しましたが、知事の言われるPDCAをしっかりと回して、もう一度事業目的に合った事業展開をされていくことを切に要望して、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。   (林委員) 55: ◯質疑(林委員) 先ほどに引き続き質問を行います。まず、旧広島陸軍被服支廠についてであります。  我が会派の森川家忠議員による代表質問をはじめ、多くの議員が質問しておりますが、旧広島陸軍被服支廠の利活用策の検討に当たっては、公有財産として県民の福祉の向上、新たな価値の創出につながるようなコンテンツを提供していくことが重要だと考えます。国指定の重要文化財級の価値というブランドを併せ持たせることで内外に魅力を発信できるようなものとし、将来にわたって親しまれることで建物の価値の継承にもつながります。  今年度総務委員会で視察した札幌市のカーリングスタジアムは、スポーツ団体の利用や体験型観光のほか、企業等のレクリエーション利用としても親しまれており、その稼働率は何と約99%という状況でありました。また、企業内や企業間の交流の一つとして、現在、eスポーツが注目を浴びておりますが、茨城県では、県の事業として異業種交流を目的とした交流戦が実施されているそうです。  私は、県民、市民の誰もが触れ合える場所として、静と動の二つの観点から活用策を検討してはどうかと考えます。つまり、被爆の実相を伝える静と、カーリング場やスケートリンク、ボルダリング、パルクールなどのインドアスポーツや、eスポーツのような流行を取り入れた動、この両方が体感できるようにすることも一つの活用策ではないでしょうか。  立地上の課題はあるものの、広大な空間を生かし、現在県内にないスポーツ施設や地域開放型コミュニティースペース、ワーケーションスペースなど、様々な活用が考えられますが、利活用の検討に当たってどのような視点を持ち、具体的にどのようなイメージを描いておられるのか、併せて経営戦略審議官の御所見をお伺いいたします。 56: ◯答弁(経営戦略審議官) 旧広島陸軍被服支廠の利活用の検討に当たりましては、建物が持つ価値として、国指定重要文化財級の国内で最古級のRC造建築物群であり、被爆の実相を未来に伝える建物であることを検討に当たって最も重視しながら進める必要があると考えております。  こうした点を念頭に、利活用策の検討に当たりましては、詳細調査でお示しした平和の発信の場としての利活用、県民、市民が利用できる会議室等としての利活用、博物館としての利活用に加えて、これまで本県において検討されてきた利活用構想の内容、広島市から提案のあった被爆建物としての価値の継承、全国におけるれんが建物の効果的な利活用事例等から、利活用の在り方を明らかにしていく必要があると考えております。このうち、全国の利活用事例などの調査に当たりましては、建物が持つ価値の発揮、建物の特性として持つ広大な空間の活用、新しい魅力の提供などによる建物の価値の継承への貢献、県民、市民の皆様への幅広い開放などの点から、御指摘のスポーツ施設なども含め、様々な活用事例を調査してまいりたいと考えております。 57: ◯要望・質疑(林委員) 本件につきましては、多くの議員が関心を持っております。検討に当たっては、我々議会と丁寧な議論を心がけていただくことを要望し、次の質問に入ります。  次の質問は、広島都心地域の活性化についてであります。  広島市都心部の活性化については、昨年12月定例会でも私から質問したところですが、その際、県と広島市が共同で策定した「ひろしま都心活性化プラン」により、楕円形の都心の東西の核である広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区を中心に、安全で快適に回遊できるよう、歩きやすく移動しやすい交通環境を形成することが重要であるとの答弁がありました。  改めて、広島都心地域の活性化における県の考え方について、3点お伺いいたします。  まずは、広島都心地域における課題についてであります。  現在、広島市と連携してこの課題に取り組んでおられるところですが、まず、県として現在の広島都心地域の課題はどこにあると認識しておられるのか、地域政策局長の御所見をお伺いします。 58: ◯答弁(地域政策局長) 広島都心部が抱える課題といたしましては、更新時期を迎えた建築物が多く、その更新があまり行われていないこと、オフィス需要は高まっているが新規供給が進んでいないこと、平和記念公園には世界中から多くの人が集まっているものの都心への回遊や滞留時間が少ないこと、紙屋町・八丁堀地区において商業施設の利用が他の地区と比べて相対的に減少していることなどがあると考えております。こうした課題の解決に向けては、行政だけでなく、この地域に関わる様々な主体が将来の具体的なまちの姿を共有しながらハード・ソフト両面にわたり良好な環境や地域の価値を持続的に向上させる、地域主体のエリアマネジメント活動の推進などに取り組む必要があると考えております。 59: ◯質疑(林委員) 広島都心地域の活性化を図っていくためには、認識されている課題について、県としてどのように対応し、将来的にどのような姿を目指しているのかということを県民に分かりやすく示すことが重要です。  そこで、県として広島都心地域に対して将来的にどのようなビジョンを持っているのか、地域政策局長の御所見をお伺いいたします。 60: ◯答弁(地域政策局長) 広島都心地域は、市民、県民はもとより、国内外から多くの人を引きつけ、市域を超えて、県全域や中四国全域の活力とにぎわいを生み出す中心的な役割を担っております。このため、平成28年度、被爆100周年を見据え、広島都心地域の活性化に向けて、広島市と共にひろしま都心活性化プランを策定いたしました。このプランにおきまして、広島市の都心が、特徴である水と緑の豊かさやコンパクトさを生かし、訪れる人にとっては往来しやすく回遊できるまち、住む人、働く人、学ぶ人にとっては安全・安心で快適に生活できるまちになるとともに、国際的知名度を生かして、世界中から訪れる人と生活する人の誰もが集えるにぎわいと交流のまちとなることを、将来像として掲げているところでございます。 61: ◯質疑(林委員) 広島市の都心部は中四国地方の中枢として国内外から多くの人を引きつけ、圏域全体に活力とにぎわいを生み出す中心的な役割を担っているエリアであります。2025年春には広島電鉄による路面電車の広島駅南口への高架乗り入れが実現予定であり、建て替え中の広島銀行本店の新店舗も、この5月6日に開業されます。また、コミュニケーション空間をつくるカミハチキテル、広島商工会議所の移転、そして、年間220万人もの集客を見込んでいるサッカースタジアムの建設など、わくわくするような新しい開発が次々と行われています。  人口減少が加速する中、広島市と連携して都心の活性化を推進することは、県全体に大変メリットがあるため、積極的に関与し、県が有するビジョンを実現していただきたいと思いますが、政令指定都市である広島市のまちづくりについて県として具体的にどのように関与していくのか、地域政策局長にお伺いいたします。 62: ◯答弁(地域政策局長) 広島都心地域が中四国地方の中枢拠点としての機能を発揮し、その効果を広域に波及させることにより、県全体の発展を牽引させることが重要であることから、これまでも、ひろしま都心活性化プランの策定やその実現に向けた取組などを広島市と連携して行っております。具体的には、このプランの将来像の実現に向け、定期的に実施しております知事・広島市長会談において意見交換を行ってきたほか、県、広島市の担当局長で定期的に開催する局長協議や、県、広島市、広島商工会議所で構成する広島の都心活性化のための調整会議などの場において、都市再生緊急整備地域の指定や中央公園の今後の活用に係る基本方針の策定など、都心活性化の推進方策に係る様々な検討を行ってきたところでございます。  また、今月末には、経済界と行政との連携による広島都心のまちづくり推進を目的とした新たな組織が設立されることとなっておりますが、この体制の構築に当たっては、県は市とともに準備段階から関与してきたところであり、今後とも連携してその活動を支援することとしております。  引き続き、これらの場を活用し、広島市や経済界、地域のエリアマネジメント団体等と連携を取りながら、ひろしま都心活性化プランの将来像の実現に向けた取組を推進してまいります。 63: ◯要望・質疑(林委員) 特に紙屋町周辺地域は、休日には10万人を超えるにぎわいがある一方で、うなぎの寝床と言われる間口の狭い建物も非常に多くありまして、時代のニーズに合ったまちづくりを、公民連携でこれからも大きくしてもらって実現してほしいと思っております。  次の質問は、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。  広島県内における新型コロナウイルスの感染者は広島市を中心に急拡大し、昨年12月26日には広島市の人口10万人当たりの新規感染者数が最大でステージ4の指標、25人以上を大きく超える44.2人までに至りました。しかし、緊急事態宣言の対象地域になることなく、今では3月9日現在の直近一週間で1.3人にまで減少するなど、現在、ステージ1相当まで改善いたしております。この間、県においては、12月12日から1月3日まで第1次集中対策として、広島市民や事業所に対して年末年始の帰省を控えること、出勤を5割以下にすることなどを求め、12月17日から広島市の一部の地域において、飲食店における酒類の提供時間や営業時間の短縮を要請いたしました。その後、感染者数が高い水準で高止まりしていることから、期間を1月17日まで延長、さらに、第2次集中対策として出勤を7割削減することや飲食店への時短要請を広島市全域に広げるなど対策を取り、2月8日からの第3次集中対策を経て、2月21日に集中対策を終了するに至りました。  一方で、感染拡大はいつ起こるか分かりません。感染拡大が落ち着いている今こそ、次の波への準備を行い、県民や事業者の皆さんと共有する必要があると考えます。  そこで、新型コロナウイルス感染症対策について、2点お伺いいたします。  まず、第1次集中対策から約1か月半、第2次集中対策から約1か月、第3次集中対策から約2週間がそれぞれ経過いたしましたが、各対策において何がどのように効果があったと考えておられるのか、健康福祉局長の御所見をお伺いいたします。 64: ◯答弁(健康福祉局長) 昨年12月12日以降の第1次対策では、広島市中心部の酒類を提供する飲食店に対して、他県より強力な午後8時までの時短要請を行ったほか、広島市や近隣市町の住民、事業者に対して、外出機会をできる限り削減することや、出勤者の割合を5割削減すること、また、広島市や近隣市町も含めた感染拡大地域との年末年始の帰省に伴う往来の自粛などの要請を行ったところでございます。こうした取組の結果、対策の開始から約2週間後の12月26日をピークに、感染の拡大に歯止めをかけることができ、他県において見られるような年末年始における感染拡大には至らず、新規感染者は年明け以降も減少を続けたところでございます。  さらに、1月18日からの第2次対策では、飲食店などの時短要請を広島市全域に拡大し、外出の機会の半減を全ての県民に要請するなど、より強い対策を講じたことにより、感染状況を一段と抑えることができ、続く第3次対策を経て、現在、直近一週間の人口10万人当たりの新規感染者数は警戒基準値である4人を下回るまで改善し、現在の感染状況は安定的に低い水準に抑え込めているところでございます。 65: ◯質疑(林委員) 当初、感染を低い水準に抑え込むべく、無症状や軽症者からの感染をできる限り遮断するために実施するとされた約80万人を対象とするPCR検査の集中実施については、結果的に感染者が減少したことから、PCR検査のトライアルを実施することになりましたが、広島県が率先してやるとよく決断したと、湯崎知事に対してのリーダーシップを評価する声が私の元に届いております。どこよりも早く、厳しく、県独自で対策を打たれようと決断され続けていくことに敬意を表する次第であります。  ただ、重要なのは、今後に備えた対応であります。今回のトライアルでは、居住者向けでは3,238人が受検して0.12%の4人が陽性、就業者向けでは3,335人が受検して陽性者なしという結果になりました。冒頭にも申し上げましたが、今後再び感染が拡大しないとも限りません。早め早めに感染拡大の芽を摘むためにも、今回のトライアルで得られた知見を早期に検証し、今後どういったケースになると集中検査を行うのか、あらかじめ県民に分かりやすく示していただきたいと思います。  そこで、今後どのようなスケジュールで今回のPCR検査のトライアルに関する検証を行う予定であるのか、健康福祉局長にお伺いいたします。 66: ◯答弁(健康福祉局長) PCR検査のトライアル実施につきましては、今後、感染の再拡大の予兆を捉えて速やかに集中実施に着手できるよう、予約から検査、積極的疫学調査、宿泊療養施設への患者搬送に至るまでの一連のオペレーションが想定どおり機能するかを確認し、課題などを整理することで、集中実施を行う際の精度を高めるために行ったものでございます。その結果、ウオークイン及びドライブスルーの検査体制については、受検者がスムーズに流れるなど想定どおりであったものの、感染者が急速に減少し住民の不安感も薄れたことなどにより、受検者が見込みを下回り、中でも若年層の受検率が対象となった地域の人口構成に比べ低かったことなどを課題として認識しております。このほか、検証結果及び改善策などにつきましては、現在、整理しているところであり、近日中にお示ししたいと考えております。 67: ◯意見(林委員) 私も、中区の住民としてトライアル検査を受けてまいりました。医療従事者やアルバイトの方々に大変親切にしていただきました。この場を借りて改めて感謝を申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。    休憩 午後0時3分    再開 午後1時30分   (平本委員) 68: ◯質疑(平本委員) 自民議連の平本英司です。早速質問に入りたいと思います。  まず、中山間地域における取組に当たり、住民目線での取組の評価についてお伺いします。  中山間地域にお住まいの皆様からの要望が数年前よりも深刻となり、件数もすごいスピードで増加しています。人口減少や高齢化、災害等が拍車をかけていることは間違いありませんが、それ以上にコロナの影響等もあり、全体的に地域の皆様の気持ちが暗くなっているような雰囲気もあります。このような状況の中で、地域住民と一緒に住んでいて感じることは、県の施策がどこまで地域住民の暮らしに影響を与えているかという問題です。  令和3年度においても、中山間地域振興に関連する事業が数多く予算計上されています。もちろん期待はしていますが、令和元年の主要施策の成果の中山間地域を見ると、地域づくり活動をリードする人材は、令和6年度、500人の目標に向けて345人で、着実に増加しているとあります。このような人数評価では、中山間地域の現状を正しく評価できないと思います。  評価は、住民の暮らしの困り事を改善できたかどうかです。数多くの事業を実施していると伝えても、その恩恵を実感できなければ、県民からありがとうございますという言葉は返ってきません。地域住民が評価する指標は違うところにあるということを、まず知っていただきたいと思います。  以上のことを前段に、質問に入ります。  1点目は、住民が本当に実施してほしい事業の洗い出しをどのように行っておられるのでしょうか。また、ひろしま里山人材力加速化事業をはじめとする中山間地域振興を図るもろもろの事業は、どういうプロセスで検討されているのでしょうか。例えば、他県の成功事例などあるのでしょうか。  2点目は、取組の成果を評価する指標を、もっと中山間地域の住民の困り事の改善を直接反映したものに変えてはいかがでしょうか。評価する指標が本当の課題に直結したものでなければ、県民の望む施策にはならないと思います。  以上2点について地域政策局長の所見をお伺いします。 69: ◯答弁(地域政策局長) 中山間地域の振興につきましては、様々な課題を解決し活力を生み出す源泉となるのは人であるとの認識の下、人づくりに重点を置いて、人材の発掘、育成や地域を支える実践者の主体的な活動を支援する取組を進めてきております。その背景にあります地域の実情につきましては、市町や地域の方々との積極的な対話や、ひろしま里山チーム500に登録されている実践者へのアンケート調査などにより、生活の実態や様々な課題の把握に努めているところでございます。こうした現場の情報を基に将来を展望した上で、より地域に密着した活動を支えるため、来年度はコミュニティーに特化したリーダーの養成、地域が共同で取り組む課題解決への支援、実践活動の継続に向けた幅広い支援の仕組みづくりなどの新たな支援策を加え、人づくりの取組を量的にも質的にも拡充することとしております。  次に、成果指標につきましては、地域の皆様が抱える課題は様々であることから、その解決に取り組み、地域づくりをリードする人材の人数を指標として設定しているところでございます。その上で、これを補完するものとして、必要に応じて中山間地域の暮らし向きに関する住民意識調査を実施し、取組を通じた成果の総体として、生活の満足度や居住環境に対する意識などの推移を把握してまいりたいと考えております。 70: ◯要望・質疑(平本委員) 先ほど他県の施策でいいものをコピーされていないのかというようなことを少しお伺いしたのですが、例えば島根県は、中山間地域の課題が広島県よりも早く来たため、たくさんの事業を実施し、成果を上げられております。その成果の上がった事業をコピーするのもいいやり方ではないかと考えております。既に成果の上がった内容であれば、メリット、デメリットもはっきりとしており、テスト期間は必要なく、中身の濃い施策が行われると思いますので、その辺りも次の検討に入れていただきたいと思います。  また、住民の困り事の指標に変えてはというところなのですが、私はやっぱりあくまでも、お困り事はないですかとか、町内会の存続はどうですかとか、買い物は大丈夫ですかとか、相談相手はいますかとか、こういう具体的な指標に、複合的なものでもいいので変えていただけたらと思いますので、併せて次のときに検討していただければと思います。  続いて、生活交通の存続に向け、生活航路維持確保対策事業についてお伺いします。  現在、三原市佐木島の地域住民が料金値上げの苦境に立たされています。島の存続をかけて、市に訴えも起こされています。この値上げは、業者の責任でも住民の責任でもありませんが、仮に値上げが起こると、地域に住む働く世代は移住を検討せざるを得ない状況が生まれる可能性がありますし、新規移住者は来られないと思います。私たちは見捨てられた、これが地域住民の生の声です。このような問題がある中で、この件に対して県としてはこれまでどのような取組をされてきたのか、地域政策局長にお伺いします。 71: ◯答弁(地域政策局長) 佐木島関係の航路につきましては、利用者や運賃収入の減少により、従来の運賃では運航が不可能となる見通しになったとして、航路事業者がこれまで低廉に抑えていた運賃を国の認可運賃の上限まで引き上げようとしているものと承知しております。これを受け、三原市におきまして、現行の助成制度を活用して、高齢者、障害者、小中学生への助成を行うとともに、新たに、このほかの佐木島住民の方に対しても、値上げ部分の運賃補助を早急に制度設計し、実施しようとされているとお伺いしております。  県では、このたびの再編につきまして、航路事業者から利用状況や地域との調整状況について情報収集するとともに、三原市とは生活交通の確保方法等について意見交換してまいりました。佐木島関係の航路につきましては、これまでも本県独自の補助事業により、関係市と連携して運行経費への支援を行っており、令和元年度の実績で申し上げますと、県、三原市、尾道市合わせまして、およそ6,500万円の支援を行っております。再編後の航路に対しましても、引き続き、関係市とともに支援を行うことで、佐木島の生活を支える航路の維持を図ってまいりたいと考えております。 72: ◯要望(平本委員) 最後に要望させていただきます。令和2年9月9日から協議会を立ち上げ、これまで5回会議を実施しておられ、住民、業者、三原市という形なのですが、県の方の姿を一度も見たことがないと住民の方から伺いました。これが、先ほどの質問ともかぶりますが、住民の困り事の指標です。どんな施策よりも、自分たちの交通手段を守ってほしい、これが住民の願いです。今後の施策に本当の困り事を反映していただきますことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。   (窪田副委員長) 73: ◯質疑(窪田副委員長) 皆様、こんにちは。自民議連の窪田泰久でございます。早速質問に入らせていただきます。  質問の第1は、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXについてお伺いいたします。  令和3年度当初予算案の柱として、デジタルトランスフォーメーションの推進が掲げられています。子育て、教育、健康、建設など、様々な分野におけるDXを加速させるために、DX関連事業費として約37億円が計上されており、DXにかける県の意気込みを感じているところでございます。社会全体にデジタル化の波が押し寄せる中、DXという言葉は市民権を得つつあります。マーケティングの世界的権威であるフィリップ・コトラー教授は、デジタル化するか、さもなくば死かと、到来するであろうDX時代を先取りする言葉を述べておられます。県でも一昨年の7月にDXの司令塔となるDX推進本部を立ち上げ、他県に先駆けてDXに取り組まれているところでございます。一方で、DXという響きに、どことなく煙に巻かれ、DXがもたらす便益が何なのか、私自身も含め、いまだ腑に落ちていない県民も多いはずです。  そこで、改めてお伺いいたします。DX施策の推進により県民の暮らしがどう豊かになるのか、DX施策の目指す姿について推進本部長である山田副知事にお伺いいたします。 74: ◯答弁(山田副知事) 本県は、あらゆる分野においてDXを推進することにより、社会課題の解決と経済発展を図り、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に掲げている目指す姿を実現してまいりたいと考えております。具体的には、都市や地域の機能やサービスを効率化、高度化し、医療・介護、教育、防災・減災、交通など、生活のあらゆる場面において県民の皆様が安心と利便性を実感できる社会の実現を目指してまいります。また、製造業や建設業、農林水産業などのあらゆる産業において生産性の向上を図るとともに、新たなサービスや付加価値を創出することを促し、地域産業の競争力の強化と本県経済の持続的な成長を目指してまいります。こうした取組が県民の皆様に分かりやすく伝わるように、広報やセミナー活動などに取り組んでまいりたいと考えております。 75: ◯要望・質疑(窪田副委員長) 経産省が2025年の壁という言葉で警鐘を鳴らしております。経産省──国が言うには、現状のままではIT人材不足、古い基幹システムの二つが障害となって、2025~2030年の日本の経済損失は最大で12兆円に達する、逆に今、このDXを推進すれば、2030年には実質のGDPは130兆円の押し上げが期待できると言われております。これは必ずしっかりと推進していただきたいと思っております。  先ほどの御答弁の中で、様々な業態、分野にこれからDXが広がっていくとのことでした。農業漁業といった1次産業、今までデジタルとなかなか結びつきが難しかったものにまで広がっていくということは、本当に可能性が広がっていくということですので、生活者としての県民がDXの恩恵をしっかりと享受できるよう、先頭に立って、県がDXの推進に力を入れていただくことをお願いして、次の質問に移ります。  次に、DXの具体的な施策についてお伺いいたします。  東日本大震災から明日でちょうど10年を迎えます。この間、本県でも平成26年8月豪雨、平成30年7月豪雨と、二度の大きな災害に見舞われました。この災害から我々が得た教訓は早めの避難行動であり、より効果の高い被害防止策を構築するため、県ではひろしまマイ・タイムラインなどの取組につなげてこられたところです。ただ、刻々と変化する気象情報や交通状況など、災害時の避難には多くの情報が必要になります。県民一人一人に対し、一瞬で大量の情報を正確に届けることは、まさにDXの真骨頂であると言えます。  そこで、DXを活用し、より早く、より正確な避難に結びつけるためにどのような施策を推進していくのか、危機管理監にお伺いいたします。 76: ◯答弁(危機管理監) 県民の皆様に早めの避難行動を取っていただくためには、県民お一人お一人の状況に応じた必要な情報を迅速に発信していくことが重要であると認識しております。このため、来年度においては、デジタル技術を活用し、ひろしまマイ・タイムラインと連携したスマートフォン防災アプリを作成し、GPSを活用して、個別最適な情報をリアルタイムに通知するシステムを構築したいと考えております。具体的には、気象情報や避難情報などの災害リスク情報や避難所開設・混雑情報に加え、避難すべきタイミングや避難準備行動など、ひろしまマイ・タイムラインで事前に決めていた様々な情報をスマートフォンによりプッシュ通知できるようにしてまいります。このシステムの構築に当たっては、早めの避難行動につながる様々な情報を発信できるよう、庁内関係局と緊密に連携していくほか、民間事業者との連携も視野に入れながら取り組んでまいります。
    77: ◯質疑(窪田副委員長) 質問の第2は、出島地区にある産業廃棄物処分場についてお伺いいたします。  出島処分場は平成26年6月に供用を開始し、10年間で廃棄物の受入れを終える予定となっております。現在の出島処分場の廃棄物の受入れ状況はどのようになっているのでしょうか、また、新型コロナ等の特殊要因などもあれば、併せて環境県民局長にお伺いいたします。 78: ◯答弁(環境県民局長) 出島処分場の受入れにつきましては、近年、多量排出事業者からの新たな受入れを確保してきた結果、平成29年度が約3万トン、平成30年度が約6万トン、令和元年度が約12万トンと年々増加しているところでございます。今年度は、新型コロナの影響などにより、全国的に産業活動が制約を受ける中、一部の排出事業者からの受入れ量に減少が見られますが、新たに2件の大口の受入れを開始したことにより、おおむね前年度並みの受入れ量を確保できる見込みでございます。なお、平成26年6月の供用開始から昨年12月末までの6年半の受入れ量を累計で申し上げますと、約29万立方メートル、進捗率は約15%となっております。 79: ◯質疑(窪田副委員長) 全体で190万立米のうち、今のところ15.2%ということで、今のペースで続くのであれば、あと40年ぐらいかかる見込みだと思います。平成26年に供用開始されました。当初、どういった運搬方法がいいのか、海上ルートなのか陸上ルートなのかということでも時間を費やして、当時、広島高速3号線が完成したので、陸上での見込みが増え、陸上ルートになったと思います。  そこで、経過途中でありますが、なかなか思うように進んでいないということでありますが、具体的に廃棄物の受入れ終了まで残り3年余りです。現在の達成状況を見ると、10年間での完了は非常に難しいのではないかと受け止めているわけですが、今後どのように目標達成に向けて受入れを進めていくのか、そして、事業計画の見直しも、これから地元に説明していくのか、併せて環境県民局長にお伺いしたいと思います。 80: ◯答弁(環境県民局長) 出島処分場の埋立量の確保につきましては、環境保全公社と連携し、様々な確保策に取り組んできたところであり、来年度からは、新たに、県西部の排出事業者から年間約2万トンの搬入が開始される予定でございます。引き続き、県内の廃棄物等の埋立て処分に係る新規のニーズの把握に努め、多量排出事業者への戸別訪問による新たな搬入の要請や、市町に対する継続した搬入の働きかけ、公共工事から発生する建設残土の受入れなど、埋立量の確保に積極的に取り組んでまいります。  こうした状況につきましては、地元の皆様に年4回定期的に開催している地元協議会をはじめ、必要に応じ個別に訪問し御説明しているところであり、今後の対応につきましても、地元の皆様の御意見を伺いながら検討を進めているところでございます。今後とも、環境保全公社と連携し、あらゆる方策を検討するとともに、地元の皆様に丁寧な説明を行い、御理解と御協力を得ながら、出島処分場の埋立量確保に全力で取り組んでまいります。 81: ◯要望・質疑(窪田副委員長) 厳しい数字となっておりますが、残り期間、本当に全力で取り組んでいただくことが大前提であります。ただ、なかなか現実的には難しいこともありますので、延長であったり見直しがあれば、しっかり事前に地元と協議しながら、丁寧に進めていただきたいとお願いして、次の質問に移ります。  質問の第3は、広島市東部地区連続立体交差事業に係る周辺のまちづくりにおける県の役割についてお伺いしたいと思います。  この事業の対象となっている向洋駅前周辺は、広島市と府中町との境界線が入り組んだ地域でございます。一つの町を形成していくという観点に立つと、二つの自治体がそれぞれにまちづくりを進めていくには、予算的な面での難しさであったり、一つのまちとしての統一感の形成の難しさなどがあるのではないでしょうか。  そこで、広島市と府中町の間に立った立場でのまちづくりが必要であると思いますが、向洋駅前地区のまちづくりについて、都市計画上の県の役割をどのようにお考えなのか、都市建築技術審議官の御所見をお伺いいたします。 82: ◯答弁(都市建築技術審議官) 広島市東部地区連続立体交差事業につきましては、広島都市圏東部地域の慢性的な混雑や鉄道による市街地分断の解消を図るものであり、街路事業や土地区画整理事業など関連する都市計画事業と併せて、周辺地域の一体的なまちづくりを推進する上で重要な事業でございます。また、向洋駅周辺地域につきましては、広島市と府中町をまたがり、関連事業も多く、事業主体が複数にわたっていることから、各事業を一体的に進めていくことが必要でございます。そのため、県におきましては、これまで県と関係市町で構成する推進協議会など様々な機会を通じて、広域的な観点から、事業調整や工程管理などに取り組んできたところであり、今年度、連続立体交差事業の工事に着手したところでございます。引き続き、関係市町と緊密な連携を図りながら、各事業の早期完成を目指し、交通結節機能の強化や駅周辺にふさわしい都市環境の整備を着実に推進してまいります。 83: ◯要望・質疑(窪田副委員長) これから具体的にまちづくりが本格化していく中で、御答弁がありましたが、特にこの地域は市と町が入り組んだ複雑な場所でございますので、なかなか両市町間だけでは難しい課題も出てこようかと思います。そうしたときに、県がしっかりと自治体間の調整機能といいますか、そうした力を発揮していただいて、両市町にとってよいまちとなるように力を尽くしていただきたいと思っております。  続いて、県道広島海田線の改良工事について伺いたいと思います。  高架化により広島市と府中町と海田町がつながろうとしております。これまで東青崎町という、私の地元の小さな町内会でございますが、鉄道で分断されている状況でございました。それが、高架化により踏切を待たずに町内会の回覧板が回せるようになります。このように、まち同士が鉄道で分断されている状況から、同じ時間軸で電車、車、人の行き来が可能になるということは、まちの機能が大きく向上するということでございます。また、高架化により広島市にある仁保橋が府中町の都市計画道路、青崎池尻線とつながり、この道と交差する県道広島海田線はますます重要な基幹道路となるとともに、この交差点は交通の要衝となります。ゆえに交通需要の増加が予想され、従来の県道広島海田線の改良が急がれるところですが、現在、この県道は片側1車線となっています。道路の拡幅は、民有地買収等難しい課題もあると思いますが、避けては通れない課題であると思っています。  そこで、県道広島海田線の改良工事について、まちの機能向上のため、現時点でどのようなお考えをお持ちか、都市建築技術審議官の御所見をお伺いいたします。 84: ◯答弁(都市建築技術審議官) 向洋駅周辺における基盤整備につきましては、現在、連続立体交差事業のほか、広島市や府中町において土地区画整理事業などが進められているところでございます。県道広島海田線につきましては、この土地区画整理事業の区域に含まれており、連続立体交差事業の完成に伴う交通流動の変化に対応できるよう、一体的に整備する必要があることから、青崎池尻線との交差点などの機能強化による円滑な交通処理について検討していくこととしております。なお、当該道路の拡幅につきましては、沿線に店舗や事業所などが連担しており、地域への影響が大きいことから、他事業の進捗状況や周辺道路の交通状況などを見極めながら、着手時期について検討してまいりたいと考えております。 85: ◯要望・質疑(窪田副委員長) 多くの課題を乗り越えてようやくスタートした大型事業であって、全体の完成が2036年頃ということでございます。その中で、駅周辺の踏切に、青崎の第10踏切という一番交通量の多い踏切がございまして、ここは、1日の8時間は踏切が下りているようなところです。この踏切の混雑も解消されるということは、それだけ交通の流れがスムーズになり、そして、そこに近接する、先ほど申し上げた県道につながっていくということは、交通量が増えていくことが当然考えられますので、そのこともしっかりと踏まえていただきたいと思います。道路というのは、一部を改良してもなかなか効果が出ないことも承知しております。全体最適となるような形での県道の在り方を検討していただくことを要望して、次の質問に移ります。  質問の第4は、新たな「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる適散・適集社会を踏まえて、地域振興について伺います。  瀬戸内海に浮かぶ似島は、広島市に2島ある有人島のうちの一つであり、国から離島指定を受けております。政令市にありながら離島であるという、全国でも数少ない位置づけにあります。県の離島振興計画として似島地域振興計画がありますが、ここには総花的な文言が並ぶだけで、具体的な支援策が見えてきません。  そこで、まず、県の離島振興計画が果たす役割はどういうもので、また、政令市の中の離島である似島に対し、地域振興面における県としての支援策は何か、地域政策局長にお伺いいたします。 86: ◯答弁(地域政策局長) 県の離島振興計画は、離島振興法に基づく県内七つの指定地域において、瀬戸内海の地域資源を生かした交流促進、交通や医療・福祉等の生活基盤の確保、水産業等の地場産業の活性化などの総合的な振興対策に県民全体で取り組んでいくための指針として策定したものでございます。この計画の中で、似島地域の振興につきましては、広島市が住民の方々の意見を反映させて作成した計画案を地域別振興計画として位置づけ、市との役割分担の下、施策の推進に努めているところでございます。  地域振興面での県の取組といたしましては、平成29年のさとやま未来博において、ファミリー層を対象としたサイクリングイベントの実施、サイクリストの立ち寄りスポットを紹介したガイドブックの作成を通じて、市街地に隣接した豊かな自然環境を積極的にPRしてまいりました。また、今年度、県が行う人材養成塾において、似島から参加された受講生による島に人を呼び込むためのプランが最優秀賞となったところであり、今後、情報の発信や他の活動とのネットワーク化などを通じて活動の継続を後押ししてまいりたいと考えております。人づくりを中心とするこうした取組を通じて、今後とも似島地域の活性化に努めてまいります。   (緒方委員) 87: ◯質疑(緒方委員) 自民議連の緒方直之でございます。  あの日止まった時計の針は、どこまで動いたでしょうか。明日で東日本大震災から10年という節目を迎えます。多くの御霊安らかならんことを改めてお祈り申し上げますとともに、今こうして生かされて質問させていただくことを感謝申し上げ、早速質問に入りたいと思います。  初めに、今回多くの議員から質問がありました旧広島陸軍被服支廠について、私が一番重要だと考えている安全対策をお伺いしたいと思います。  この旧広島陸軍被服支廠の最終的な方向性の判断は、どのような利活用策を講じていくかを踏まえて決定すべきと考えますが、その検討は、全国事例調査をこれから行い、今後、国や広島市にも当事者としての立場で参画を求めると聞いており、まだまだ時間を要するように感じております。一方、これまで執行部からは、安全対策の検討は早急に進めるとの説明がありましたが、周辺住民や通勤・通学者は、今日もその周辺を通っているわけですから、可能な限り迅速に取り組むべきと思います。そこで、今後、安全対策を実施しながら利活用策の検討を行うとなると、本年1月に示された建物補強案の4つのパターンのうち、パターン2と呼ばれる1棟5.8億円の工事費で耐震化は行うが内装費をかけない案が現段階では最も適当な案であるように感じます。  そこで、仮にパターン2による安全対策を先行して実施した場合、将来の利活用策の検討に支障や無駄な投資があってはならないと考えますが、その点はどうなのでしょうか、まず確認の意味を含めてお伺いします。  一方で、国及び広島市は、県が利活用や保存棟数などの具体的な方向性を示せば、費用負担を前提とした協議へ参画するとのことであり、加えて広島市からは、3棟の保存を前提とした協議を求められています。私自身は、パターン2は基本的に安全対策だと思いますし、この案をベースとして国及び広島市と利活用策の協議を始めてもよいのではないかと思いますが、今後どのように進めていかれるのか、併せて知事にお伺いします。 88: ◯答弁(知事) 建物の安全対策は、周辺への影響に鑑みると早急な検討が必要であると考えております。  今回の詳細調査で、建物の構造部分は地震等による倒壊のおそれがないことが判明したことから、1棟5.8億円の工事費により耐震性を確保した上で、新たに内部見学などが可能となる安全対策と最小限の利活用を同時に実現するパターン2をお示ししたところでございます。このパターンは、建物の現状を生かした南北妻壁の壁面補強や鉄骨補強により、可能な限り将来の利活用に支障がないような整備補修案としてまとめたものでございます。  安全対策につきましては、このパターンを基に、将来の利活用に支障がないこと、また、費用が低廉となる耐震補強工法を選択するなど、検討を進める必要があると考えております。また、このパターンは、平和の発信の場など最小限の利活用が可能であることから、国や広島市に当事者の立場で利活用策の検討に参画いただけるものと考えており、こうしたパターンを具体的に国や広島市にお示ししながら利活用策の検討を進めるとともに、早急に実施すべき安全対策についても検討してまいりたいと考えております。  これらの検討につきましては、節目節目に議会に御報告しながら進めてまいりたいと考えております。 89: ◯要望・質疑(緒方委員) 今の御答弁は、パターン2をベースとして国や広島市に示して利活用策の検討を進められていくものであると理解しております。これは取組を進める上で一歩前進だと思いますし、先ほどの林委員の御提案なども、より実現に向けて動き出せるのではないかと思っております。何よりも地域の方の思いが一番大切であることは間違いないと思います。安全対策には早急に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXについて幾つか質問したいと思います。  昨今、DXという言葉を様々な場面で見かけるようになりました。一方で、果たしてそれは何だと思う県民の方もいらっしゃると思います。最初にこの言葉を用いたスウェーデンのストルターマン教授は、ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させることがDXの概念だと説明しております。つまり、私たちが日々デジタル技術を活用していることも、もしかしたらDXと言えるのかもしれません。  本県では、昨年4月、DX推進チームを設置して他の自治体に先駆けて取り組んでいるところであり、昨年11月には県内の様々な主体が協調しながら、実際にこのDXを実践していく広島県DX推進コミュニティを創設するなど、大いに評価し期待しているところでありますが、逆に、行動を重ねていくことでこそ浮かび上がってきたものもあるのではないかと思います。  そこで、まず、この1年の取組を通じて見えてきた課題をどう捉え、今後どのように取り組んでいくのか、DX推進本部長である山田副知事にお伺いします。 90: ◯答弁(山田副知事) 今年度は、各局において様々なDX関連事業を推進するとともに、新設したDX推進チームにおいて市町や企業、経済団体等との意見交換や、町内や市町のDX関連事業のサポート、県、市町職員向け研修、DXに関する実態調査、広島県DX推進コミュニティの設立などに取り組んでまいりました。これらの取組を通じて、県、市町、企業等のいずれもDXを進めていきたいと考えているものの、その多くはDXを自分事として捉えられていない、関心はあるが具体的な取組方法が分からないという段階にあることが見えてまいりました。その背景には、デジタル技術やデータ活用に対する苦手意識、DXの本質や実践の必要性への不十分な理解、従来の業務のやり方や仕組みを変革することに対する抵抗感、デジタル技術やデータを扱える人材の不足、手間やコストへの不安といった共通の課題があると考えており、今後は、県としてDXに対する理解や実践意識の醸成や、人材の育成・確保、データ利活用なども含めて、あらゆる主体がDXを実践できる環境づくりに関係者が一丸となって取り組んでまいります。 91: ◯意見・質疑(緒方委員) 今、御答弁の中で苦手意識という言葉もあったと思います。確かにDXという言葉がまだ腑に落ちていなかったら、そういったこともあろうかと思います。私は、そうは言いながら、推進に向けて取り組んでいるところもあるのではないかと思います。私自身は、課題の一つに組織体制があるのではないかと感じております。  次に、県全体でこのDXを推進する上での体制の在り方についてお伺いしたいと思います。  県庁をDXという名の海を進んでいく船に例えるなら、トップである山田副知事を船長として、全職員が船員としてこの船を前進させていかなければいけません。確かに今、DXの波が来ているのかもしれませんが、見方によっては向かってくる荒波でもあります。我が広島県のこの船を座礁させずに進めていかなくてはいけないのですが、広島県のDXが目指す目標は、人口減少社会の課題解消と経済成長と高いものであり、それには共感していますが、高いからこそ、このままで達成できるのかという疑問も残ります。例えば、DXにも、外部向けのDXと、そして県庁内部のDXとありますが、それぞれの担当部署が異なることによって持てる力が分断されているのではないでしょうか。むしろ組織を一元化して、一体的に取り組んだほうがより効率的とも言えます。  私は、山田副知事をDX担当のトップに位置づけているのはよいと思いますが、その副知事の下により強力な総合調整機能を有する司令塔を置き、組織体制を整備すべきではないかと考えます。国では9月に500人規模のデジタル庁をつくろうとしております。必ずしも県がこの規模に呼応する必要はないと思いますが、それでも、広島県も新しいビジョンにおいて、全ての施策を貫く視点の一つにこのDXを掲げている以上、圧倒的な人員と予算で取り組んでもいいと私は考えています。  もちろん、ただ人や予算をつければいいということではなく、先ほどのように、まずは課題を抽出した上で、今の広島県でDXを推進するためにどんな体制が必要かを考えるべきと思いますが、今後の在り方について知事の御所見をお伺いします。 92: ◯答弁(知事) 新たなビジョンがスタートする来年度は、DXの加速に向けて、様々な分野におけるDX施策の推進と行政のデジタル化の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。このため、DX施策を質的、量的に拡大することとし、官民のインフラデータ連携を可能とするドボックスの構築や、広島型MaaSの推進による新しい交通サービスの提供など、様々な分野におけるDXの取組を進める組織体制を検討してまいります。また、行政のデジタル化につきましては、行政手続の原則オンライン化など、県庁のデジタル化を先導する体制、さらに、情報通信基盤の整備や市町を含めたシステムの標準化などを担う体制をそれぞれ強化してまいります。こうした取組を着実に進めるため、DX推進チームにおいて、DX施策に関する知見の共有や各部局が行う取組のサポートなど、総合調整機能をさらに発揮できるよう、体制を拡充したいと考えております。 93: ◯質疑(緒方委員) 今、新しい組織であったりとか、あるいは拡充していくという御答弁があったと思います。それでは、こうした組織を実際に支えていく人材についてお伺いしていきます。  DXのこの船を進めていくためには、船を進める船員、すなわち県職員をどう育てていくかも重要であります。外部からすぐに船を操舵できる人を呼んでくることも方策ですが、この船はどこかに明確な目的地があるわけではなく、むしろ未知なる大海をひたすら進んでいかないといけないのです。そうであれば、予算と時間をかけてでも、自前で長い航海に耐え得る優秀な船員を育てていくべきではないでしょうか。来年度から情報職として外部から専門人材を採用する話もあり、それも大切だと思いますが、私は、やはり内部のDX人材が圧倒的に不足しており、技術面はもちろん、考え方もオーガナイズされたプロフェッショナルをもっと育てるべきだと思います。振り返れば、DX推進チームも最初からプロの集合体ではなく、メンバーが試行錯誤しながら知識やノウハウを蓄え研さんを積むことで、今に至っているのですから、やればできると私は思っています。  そこで、県庁それぞれの部局にDXを実践できる人材を育成していくためのロードマップを描いて、計画的に取り組んでいく必要があると考えますが、誰がどのようにして人材を育成していくのか、知事の御所見をお伺いします。 94: ◯答弁(知事) DXの推進は、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」において、全ての施策を貫く視点の一つとして位置づけており、目指す姿を実現するためには、DXを実践できる人材を全庁的に育成していく必要があると考えております。また、DXを実践するには、デジタル技術に精通し、技術面から企画立案につなげることができる人材と、各政策分野に精通し、デジタル技術を活用した業務の変革を構想して実行できる人材が必要であり、中長期的な視点を持って計画的に育成していく必要があると考えております。デジタル技術と政策の中身と両方必要だということであります。このため、デジタル技術に精通した人材につきましては、令和3年度から新たに情報職を採用し、主要システムの構築などの業務経験や、継続的に新たな技術を習得する機会を通じて育成を行ってまいります。また、業務の変革を構想して実行できる人材につきましては、基礎的な研修を通じて、デジタルリテラシーの向上やDXの理解、実践意識の醸成を図るとともに、DX関連施策の実施を通じてスキルの向上を図ってまいります。こうした取組を、人事課、DX推進チーム、また、業務プロセス改革課が中心となって着実に進めるとともに、必要に応じて見直しを行いながら、DX人材の育成を行ってまいります。 95: ◯要望・質疑(緒方委員) 今、知事がおっしゃったように、技術面というところにおいては、外部からの活用は重要だと思います。そして、政策──マインドと言ってもいいと思いますけれども、そういったところは内部人材をしっかり育てていき、そして、私は、そこに横串を刺していくこと、つまり、DXの推進という新たな価値を創造するためには、組織、人材育成、予算、実務、それぞれの部署が本気で進めていく覚悟が必要だと思います。様々な部署が形としてだけ関わるのでは、課題や責任の所在が不明瞭になってくることも考えられます。私は、デジタル庁のように、県も一元化して取り組んではどうかと考えており、ぜひとも今後検討いただくことを要望しておきたいと思います。  DXの最後は、先駆けとして取り組んできたひろしまサンドボックスについてお伺いしたいと思います。  これは、3年間で10億円を投資するという触れ込みで、多くの企業が協議会に参加し、様々なプロジェクトが実施され、それ自体は非常にすばらしい取組だと感じています。過去の定例会では、これにより、IT人材、企業の集積が進み、地域雇用の拡大につながっているとの答弁もありましたが、やはりこの3年目の取組が終わるに当たり、これまでの成果を正確かつ詳細に検証してこそ、次の段階に進めるのではないでしょうか。  そこで、このサンドボックスについて、各産業、さらには県全体に対してどのような経済波及効果が生まれたのか、商工労働局長にお伺いします。 96: ◯答弁(商工労働局長) 3年間の実証プロジェクトにおいては、製造業の稼働状況の見える化や故障検知、1次産業の生産現場を遠隔管理する通信インフラ環境整備、保育現場における見守り業務のデジタル化、海や陸の交通安全支援システム開発など、様々な分野の課題を解決するソリューションの開発を試行錯誤しながら進めてまいりました。  ひろしまサンドボックスが目指してきたものは、新たなソリューションの創出を通して様々なチャレンジのために広島に集まった多様な企業や人材の集積であり、現在1,800者を超える協議会では、県内外の企業や団体による連携を通じ、様々なイノベーションを生み出す活動が行われました。また、こうした集積を背景として、新規事業を展開したい県内企業と、最新のデジタル技術やビジネスモデルのアイデアを持つ県外のスタートアップ企業のマッチングが20件行われ、自社製品の付加価値を高める新商品、地元メディアが保有する映像を活用したサービスなど、新たなビジネスの共同開発が行われるなど、シナジー効果を生み出しております。さらに、参加した県内企業からは、スタートアップ企業と協働すること自体がこれまでにない経験であり、技術やノウハウだけでなく、企業成長につながるマインドチェンジにつながったという声を聞いております。  今後とも、こうして集まってきた企業や人材と県内企業等との新しい協業モデルを県全体に波及していくよう、しっかりと取り組んでまいります。 97: ◯質疑(緒方委員) 今御答弁の中にあったように、様々なシステムやアプリを開発されたことも本当にすばらしいことだと思いますが、大事なことは、こういった新たに生まれた様々なソリューションをどうやって社会に実装していくのかだと思います。  そこで、実証から実装という観点でどのようにお考えか、商工労働局長にお伺いします。 98: ◯答弁(商工労働局長) ひろしまサンドボックスにおける数々の取組において得られたデータや技術実証に成功したアプリケーションのプロトタイプについては、実際に運用が見込める状況となっております。このうち、例えば、カキ養殖のスマート化につきましては、実証で開発した海洋センサーを活用し、生産者の方々が実際に利用可能なソリューションの実装化に向け、農林水産局において検証を実施する予定となっております。また、本格的な実用化や収益を確保できるビジネスモデルにしていくためには、引き続き、実装検証や事業化に向けての資金調達が必要であると認識しております。このため、各実証プロジェクトにおいては、国等の補助金を確保して事業を継続していくものや、全国展開していくためにコンソーシアム内の事業者間での取組方針の検討を進めることとしております。また、協議会には11社の金融機関に参加していただいておりますが、今回の新しい生活様式をテーマにしたアイデア募集においては、事業運営にベンチャーキャピタルが参画しており、社会実装に向けた資金調達機能の体制強化を図っているところでございます。今後、これらの取組を通じて、1,800者の会員の集積を生かし、新たに資金調達の機能を加えることで、実証から実装を見据えたひろしまサンドボックスを展開してまいりたいと考えております。 99: ◯要望(緒方委員) 時間が来たので、最後は要望にしたいと思いますけれども、やはり大切なことは実証、実装、その次に来るのは、私は実感だと思っております。県民の皆様が、このDXによって、先ほど申し上げたように変わったということが実感できるように、ぜひ引き続き取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。   (瀧本委員) 100: ◯質疑(瀧本委員) 民主県政会の瀧本 実でございます。昨日に引き続き質問させていただきます。  最初に、教育問題について平川教育長にお伺いいたします。  平川教育長は、来年度からまた3年の任期で本県教育のかじ取りをしていただくことになりましたが、就任されて初めての県議会答弁で、当時、我が会派の岩下議員の質問に対して、学校図書館とICT環境の二つを本県で早急に改善したい件として挙げられました。本日は、これらについて質問してまいりたいと思います。  まず、ICT環境の整備については、平川教育長はかなりの力を入れられ、県立高校での1人1台の端末導入や、国のGIGAスクール構想も相まって、かなり進んできたと思います。そして、来年度は、私がこれまで一般質問等で質問してまいりました遠隔授業について新たに取り組むための予算が提案されており、まずは評価したいと思います。具体的には、中山間地域の小規模校3校と都市部の学校1校の4校から成るコンソーシアムを三つ構築するとのことですが、中山間地域が9校、都市部が3校の12校で実施することになります。遠隔授業の取組は、例えば、生徒が少なくて他者との交流ができないとか、地理的条件や教員体制などの課題の解決に効果があります。少なくとも1学年1学級規模の12の高校においては、全校で実施すべきであると考えます。  そこで、来年度の遠隔授業の実施を3地域12校に絞った理由や考え方と、今後、遠隔授業をどのように取り組んでいかれるのか、併せて教育長にお伺いいたします。 101: ◯答弁(教育長) デジタル技術を活用した遠隔教育システムは、時間や距離に関わりなく即時的に情報のやり取りができることから、中山間地域等に位置する県立学校の生徒においても、地域を超えた専門性の高い授業や、多様な人々との交流など、質の高い学びの機会を提供し、探求的な学びの実現につながることができるものと捉えております。  遠隔教育システムにつきましては、県内初の導入となるため、まずはモデル校において、遠隔教育システムの効果的な指導方法や、活用する際の課題、留意点等について検討を行うこととしております。具体的なモデル校の設置につきましては、三つの小規模校をグループ化し、配信校として都市部の大規模校1校を加えた4校を一つのコンソーシアムとし、県内における地域バランスを考慮して、芸北、備北、島嶼部に三つのコンソーシアムを構築し、その効果等の検証を行うこととしております。  県教育委員会といたしましては、本事業の成果と課題を踏まえ、遠隔教育システムの活用を通して全ての県内の高校生がそれぞれの学校のよさを生かした質の高い学びを享受できる学習環境づくりに取り組んでまいります。 102: ◯要望・質疑(瀧本委員) まず導入されて、効果や課題といったことをしっかり検証されるということであります。遠隔授業は全ての生徒に有効であると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただくよう要望しておきます。  次に、学校図書館についてお伺いいたします。  昨年度、県内で市町立の小中学校2校、県立では高校4校と特別支援学校2校の計8校をモデル校として学校図書館リニューアル事業を実施し、昨年5月には手引書を作成するなど、取組が進められております。また、そのほかにも、県立高校7校において、「学びの変革」推進寄附金を活用して独自に図書館リニューアルを実施するとのことです。  来年度の事業においては、予算を措置して新たに取り組む学校はなく、県立学校のモデル校で効果検証などを実施する予定とお聞きしておりますが、県立高校のモデル校4校における昨年度の予算額は600万円、1校当たりだと150万円程度であります。リニューアル実施校では、生徒が図書館へ積極的に足を運ぶようになり、来館者数や貸出し冊数が増加したなどの成果が出ているとのことであり、この程度の予算であれば、計画的にもっと多くの学校で実施してもよいのではないかと考えます。モデル校だけでなく、寄附金での独自の取組を認めていることから、予算を確保すればどんどん推進することができると考えます。  来年度も引き続き効果検証をするというのは、就任当初に課題として同じように指摘されたICTなどに比べると、少し慎重な印象があります。なぜ来年度に予算措置をして新規に取り組む学校がないのか、また、今後、図書館リニューアルの整備計画についてどのように考えておられるのか、併せて教育長にお伺いいたします。 103: ◯答弁(教育長) 学校図書館リニューアル等事業につきましては、市町立学校においては令和元年度に2校、県立学校においては令和元年度から2年間の予定で高等学校4校、特別支援学校2校をモデル校に指定したところでございます。この事業により図書館の環境整備を行った結果、県立の全ての指定校において図書館の利活用が促進されていることに加え、整備に参加してくださった近隣の学校や地域のボランティアの方により、指定校以外の学校にも好ましい波及効果が着実に生まれている状況もございます。  今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で、年度当初の臨時休業により6月以降の学びの機会の確保や、新しい生活様式に対応した三密を避けるための対応策を講じる必要性が生じたりするなど、当初予定していた学校図書館を活用した授業づくりなどの効果検証を行うことが困難な状況でございました。このようなことから、本事業を1年間延長することとし、次年度につきましては、コロナ禍に対応した学校図書館の在り方も含め、今年度予定していた効果検証を実施したいと考えております。  県教育委員会といたしましては、事業の成果と課題を踏まえ、今後の進め方についても検討してまいります。 104: ◯要望・質疑(瀧本委員) コロナ禍でなかなか思うようなことができなかったということであろうかと思いますが、実際、現場のほうからは、効果があるという、先ほど私が申し上げましたようなことが出ているわけですから、そういった意味ではしっかりとやっていただきたいと思いますし、学校図書館は、学びの変革推進の要とも言えるのではないでしょうか。平川教育長に、ぜひリーダーシップを発揮していただき、必要な予算措置をしていただき、積極的に取り組んでいただくように要望しておきます。  続きまして、平川教育長は、就任以来、先ほどの学校図書館改革やICTの導入など、様々な改革に精力的に取り組んでこられています。中でも、就任されて2年目に開校となった広島叡智学園につきましては、全寮制の中高一貫教育校であることや、公立学校で国際バカロレアを導入することなど、本県でこれまで誰もやったことがない新たな取組、ビッグプロジェクトを進めてこられました。これからは、その成果を出していかなくてはならないと考えます。そして、重要なのは、叡智学園の成果を県内の国公私立の学校に普及させていくことが今後課せられた大きな課題であり、叡智学園を創設した本来の目的でもあります。  さて、本県が目指す教育の在り方を示すものとして現在あるのは、広島版「学びの変革」アクション・プランであります。また、キャッチフレーズとしては、広島で学んでよかったと思える日本一の教育県の実現がよく使われています。しかし、これらは前の教育長時代から使われているものであり、平川教育長が提唱されているイエナプラン教育やエドテックなどの個別最適な学び、そして、東大ロケットなどの多様な児童生徒への学びの選択肢の提供、さらに、昨年1月、学校現場の教員とアメリカに視察に行かれ取組を進められている商業高校改革などは、一くくりにすると、確かに学びの変革なのかもしれませんが、これまでにない新たな実践と言えるものであります。  教育長は、2期目を迎えるに当たり、こうした新たな取組など、今後目指す教育の在り方等について、平川教育長独自のビジョンを全体の関連性も含めて整理し、分かりやすく示していくことが、学校現場をはじめ、生徒や保護者、県民にとって理解を深めることになり、より改革が進んでいくことになると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 105: ◯答弁(教育長) 本県が目指す今後の中長期的な教育施策の基本的な方針、方向性につきましては、今年度策定された「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」や、新たな「広島県教育に関する大綱」においてお示ししたところでございます。とりわけ、広島県教育に関する大綱の策定に当たりましては、総合教育会議において本県教育の将来を見据えた私自身の考えもお示しし、知事をはじめ、全ての教育委員と十分に議論を尽くしてまいりました。その結果、初等中等教育段階においては、私が特に注力すべきと考えております多様な学習機会と場の提供などを通じた個別最適な学びの推進や、デジタル技術の効果的な活用等を含めた児童生徒の主体的な学びを促す教育活動の充実、さらには、これらの教育活動が主体的、対話的で深い学びを促すものとなるために必要な教職員の本質的な問いを設定する力や、ファシリテートする力をはじめとする資質・能力、専門性の向上などが盛り込まれたものと考えております。来年度には、ビジョンや新たな大綱を踏まえ、より具体的な施策や取組の内容を明示した「広島県教育委員会主要施策実施方針」を新たに策定いたします。私といたしましては、これらの内容を、教職員をはじめ、教育関係者としっかり共有しながら、引き続き本県教育のさらなる充実に向けた取組に果敢にチャレンジしていくとともに、様々な機会を捉え、私の教育にかける思いを県民の皆様にしっかり発信していきながら、広島で学んでよかったと思える、さらには、広島で学んでみたいと思われる日本一の教育県を、県民の皆様とともに実現してまいります。 106: ◯要望・質疑(瀧本委員) 国においても、文部科学大臣が変われば、例えば柴山プランのように、当面する課題に対して独自のビジョンを適宜示されております。平川教育長が進める教育改革が、今後、広島県にしっかりと根づき続いていくようにするためにも、先ほど教育長自身もおっしゃっていましたけれども、関係者の理解をしっかりと深めることが重要だと私も思います。教育長には、ぜひ独自のビジョン等を示していただきながら、フットワークを使って、関係する皆さんに丁寧な説明を行いながら、本県教育の発展に向けて一層の御尽力をいただくよう要望いたします。  続きまして、デジタルトランスフォーメーションの推進についてお伺いいたします。  デジタル技術の活用により、様々な社会課題の解決と経済発展の両立を図る目的で、デジタルトランスフォーメーション推進本部が設置されております。その後、昨年10月に策定された「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」において、全ての施策を貫く視点として、先駆的に推進するデジタルトランスフォーメーションが掲げられています。  DXは、日本のどこからでも世界とつながって仕事ができ、日本のどこでも教育や医療などの必要なサービスを利用できるなど、産業構造やビジネスモデル、働き方、暮らし方、生活スタイルそのものに変革をもたらすとともに、社会をより便利で快適に、豊かに変える可能性があると言われています。このように、DXは、ツールとしては非常に期待の持てるものであり、様々な効果が期待されております。  県においても、来年度からは、農林水産業のDXとしてスマート農業や、地域社会におけるDXとしての広島型MaaS、インフラマネジメントにおけるDXとしてのドボックスなど、様々な新しい取組が開始されます。それらに加え、DX推進を支える基盤づくりの取組では、それぞれの地域においてDX人材を育成・確保するため、タウンミーティングやセミナー、研修会などの実施を予定されていますが、誰を対象にどれぐらいの期間実施し、どのように展開していくのか、具体的な道筋について、併せて山田副知事にお伺いいたします。 107: ◯答弁(山田副知事) DXを実践するためには、それぞれの実践主体がDXに関する理解を深め、必要な人材像を明確にして、その確保・育成に取り組んでいくことが重要であると考えております。このため、令和3年度の広島県DX推進事業におきましては、県内の様々な地域、業種の企業等を対象として、DXに関する基礎や先行事例を学ぶセミナーを毎月数回程度開催したいと考えており、県内企業等におけるDXへの理解や実践意欲の向上を図ってまいりたいと考えております。また、地域企業や事業者、教育研究機関や行政等を対象としたタウンミーティングを開催し、地域におけるDX人材のニーズやDX人材の所在を把握するとともに、広島県DX推進コミュニティの活動の中で、本県に必要なDX人材の確保・育成方策等を整理し、共有していくことにより、関係者が一丸となって人材確保・育成に取り組んでまいりたいと考えております。 108: ◯要望・質疑(瀧本委員) DXというと、先ほど来各委員が質問されていますが、分かったようで分からない部分があろうか思いますので、県が取り組む姿勢として具体的にターゲットを絞ってといいますか、分かりやすく取組を行っていただくように要望しておきます。  農林水産DX、産業のDX、地域社会におけるDX、インフラマネジメントにおけるDXと、DX推進を支える基盤づくりのそれぞれの取組の相互関係性を明らかにした上で、現状をしっかりと見詰め、具体的な将来像を描くことが重要だと考えております。全ての県民が仕事と暮らしにおいてゆとりを持ちながら、個々のニーズに合った最適なライフスタイルを実現できる状態に向けて、県として具体的にどのようなDXの将来像を描いているのか、また、DX推進を支える基盤づくりの取組が、その将来像にどう寄与するのか、お伺いいたします。さらに、その将来像の達成に向けてPDCAサイクルを回していくためには、どのような成果指標が設定されるべきだと考えられているのか、併せて山田副知事にお伺いいたします。 109: ◯答弁(山田副知事) 本県としては、DXを推進することにより、医療、教育、交通などの生活のあらゆる場面で県民が安心と利便性を実感し、製造業や建設業、農林水産業などのあらゆる産業において生産性向上や競争力の強化を図り、地域の経済発展につなげるなど、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に掲げている目指す姿を実現していきたいと考えております。また、県内企業や教育研究機関、行政等のあらゆる主体がDXを実践するためには、DXを牽引する人材の確保・育成やデータの利活用などの基盤づくりが共通の課題となっており、広島県DX推進事業などの取組により、こうした課題の解決に取り組んでまいりたいと考えております。  DXの推進とは、デジタル化そのものが目的というわけではなくて、ひろしまビジョンにおいても全ての施策を貫く視点の一つとして位置づけているものでありまして、目指す姿の実現に向けて、ひろしまビジョンに掲げる分野ごとの指標が大きな目標となると考えております。これに加えて、県民のDXに対する関心や、各主体におけるDXの取組状況などを確認しながら、必要に応じて取組の見直しを行って、着実に進めてまいりたいと考えております。 110: ◯要望・質疑(瀧本委員) 先ほど申し上げましたけれども、DXの推進に当たっては、そのターゲットをしっかりと明確にした上で取組をお願いしたいと要望して、次の質問に移らせていただきます。  次に、ウイズ・アフターコロナを見据えた観光プロダクトについてお伺いいたします。  県内主要観光施設15か所の観光客数から、総観光客数の推計値は、コロナ感染症によって前年比約40%減少するなど、飲食業や宿泊業をはじめ、様々な業種で厳しい状況にあることから、観光ニーズを早期に回復させ、観光消費額を回復させていく必要があります。今年度から観光連盟が一元的に観光施策を実施し、デジタルマーケティングの手法を活用してプロモーションしていると伺っております。デジタルマーケティングなどから得られるデータから観光ニーズを早期に回復させるために、どのような新たな観光ニーズを把握されているのか、商工労働局長にお伺いいたします。 111: ◯答弁(商工労働局長) 本県では、デジタルマーケティング等を活用し、インターネットを通じた意向調査や、SNS等のデジタル媒体で配信した観光情報の閲覧状況や、観光に関する検索キーワードの分析などにより、性別、年代、地域といった各層の新たな観光ニーズの把握に取り組んでいるところでございます。これまでのマーケティングにおきましては、安全・安心への意識の高まりから、目的地については近距離で屋外や郊外の観光地が、旅行形態については団体よりも夫婦や家族などの少人数が、移動手段につきましては公共交通機関よりも車や自転車などが好まれるなど、観光客のニーズが変容しているとともに、キャンプ、農園、道の駅といったキーワードの検索が大幅に増加しており、ニーズのより一層の多様化が進んでいることなどを把握しております。 112: ◯質疑(瀧本委員) 次期ビジョンでは、本県でしか得られない価値に触れ、もう一度時間をかけて体験したい、ほかの魅力にも接してみたいと思っていただける観光地を10年後の姿として挙げられております。新しい発見につなげ、リピートしたくなるような満足度の高い滞在を提供して、観光客と深い関係を築くことが重要であると考えます。ウイズコロナ、アフターコロナを踏まえ、新たな顧客体験の創出が必要であると考えますが、来年度どのような方向性で観光プロダクトの開発を進められるのか、商工労働局長にお伺いいたします。 113: ◯答弁(商工労働局長) ウイズ・アフターコロナを見据えた新たな観光ニーズに対応するために、これまで、清流での川登りや滝つぼへの飛び込みといった非日常を感じるアクティビティー、宮島の星空・御来光体験や大聖院での茶道等の文化体験、比婆牛など地元食材を楽しむドライブツアーなど、観光プロダクト開発を進めてきたところでございます。来年度におきましては、こうした観光プロダクトのさらなるブラッシュアップを図るとともに、県内各地域の魅力ある観光資源を再発掘し、観光客の満足度を高め、何度も訪れていただけるよう、質の高い数多くの観光プロダクトを早期に開発してまいります。また、今後も起こり得る環境変化や様々なリスクにも柔軟に対応できるよう、異業種を含む幅広い事業者の連携を促すプラットフォームを形成するとともに、マーケティングの専門家の活用などにより、意欲ある事業者による観光プロダクト開発を支援してまいりたいと考えております。 114: ◯要望(瀧本委員) 最後に要望させていただきたいと思います。本県では、しまなみ海道サイクリングロードが国交省のナショナルサイクリングルートとして指定され、世界に誇れるサイクリングロードであることが国に認められております。また、そのほかにも県内では、やまなみ海道、さざなみ海道サイクリングロードなど、約10か所のサイクリングロードがあるほか、島根県などとの広域観光の取組として山陰ルートなどが設定されております。先般も、この地域で、県のサイクリング協会の主催で、二つの世界遺産、宮島と平和公園を結ぶルートのサイクリングロードの試走をされております。そういった取組もされておりますので、ぜひとも、それらも踏まえた観光プロダクトの開発、さらには、現在実施途中にあります「ひろしま都心活性化プラン」とのしっかりとした連携を強く要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
     (4) 閉会  午後2時49分 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...