平成30年度の取り組みの成果としては、算数を中心に児童の学習のつまずきの分析に基づく授業改善が進みまして、指定校の教員から、学校全体が各学級にいる、気になる児童の学習のつまずきへの手だてを考えるように変わってきた、学力に課題のある児童が、放課後補充を通して、予習をして授業に臨むことで、自信を持って発表できるようになってきたなどの報告が寄せられております。
課題としては、児童の学習のつまずきはさまざまであり、その要因を分析し、多様な手だてを研究する必要があることです。今後、新たな学力調査の結果を活用いたしまして、指定校における取り組みをさらに進め、効果的な事例の収集と県内の学校への普及を図ってまいります。
6:
◯質疑(
林委員) 個別最適な学びの構築について、主要施策の成果に関する説明書の小・中学校課題発見・解決学習推進プロジェクトの項において、全体指導を基盤とするカリキュラムだけでは主体的に学ぶことが困難である児童生徒が一定数いることが予想されると振り返りがなされています。生育環境を初め、一人一人の子供たちの置かれている状況は全て異なっていることから、学力向上対策も含め、個々の状況やニーズ、課題に応じた柔軟できめ細かな指導が必要であると考えます。
教育
委員会では、イエナプランを初めとした子供の多様性を前提とした教育プログラムの調査研究、不登校を初めとする学校での学習になじめない児童生徒の学びの場としての東大ROCKETin広島や校内適応指導教室の取り組みなど、個別最適な学びの構築に向けた取り組みが進められていますが、現時点における取り組みの進捗状況と推進上の課題、今後の方向性についてお伺いします。
7:
◯答弁(個別最適な
学び担当課長) 教育
委員会では、今年度から児童生徒一人一人の状況に対応したカリキュラムのあり方等につきまして調査研究を進めています。
これまでの進捗につきまして、まず、教育プログラムの調査研究にかかわる主な取り組みとしては、子供の多様性に応じた教育実践に取り組んでいる県内外の学校等の視察、個別学習を進めるための一つの有効な
ツールと考えられます、ICTを活用した学習支援ソフト等を開発または活用している企業等との連携、さらには、福山市におきましてイエナプラン教育校を設置する動きがございますことから、福山市教育
委員会と連携し、研修への指導主事の派遣やイエナプラン協会との連携の支援等を行ってきたところでございます。
また、不登校を初めとする学校における集団での学習になじめない児童生徒の学びの場づくりに係ります主な取り組みとしては、東大ROCKETin広島について、地元企業の協力を得まして、今年度は2回プログラムを実施し、第1回を7月に実施しました。また、第2回目のプログラムをあす、あさって実施する予定としております。あわせて、現在、教育
委員会事務局におきまして、来年度実施するプログラムの開発を進めているところです。
一方、SSR、スペシャルサポートルームと言っております校内適応指導教室を5市町の小中学校に設置し、児童生徒が落ちついて自分のペースで学べる場所となるよう、担当指導主事が環境づくりや児童生徒の学習状況などを把握し、指導・助言に当たっているところです。
今後は、これらの取り組みから得られた知見をわかりやすく取りまとめ、県内の学校等に発信するとともに、そのまとめをもとにした実践的な研究をさらに進めたいと考えております。
8:
◯要望(
林委員) わくわくする体験的な授業を進めていただければと思います。
学びの変革にしても、子供の貧困への対応を初めとした個々の状況に応じたきめ細かな指導にしても、一斉指導を前提としたこれまでの体制やノウハウでは対応し切れない場面がふえてくると思っております。限られたリソースの中での対応とはなりますが、新しい発想のもと、学校の組織や人員配置の最適化を図るとともに、教員の資質向上にも引き続き努めていただきたいと思います。
9:
◯質疑(
石橋委員) 主要施策の成果に関する説明書の167ページ、「遊び 学び 育つひろしまっ子」推進プロジェクトについて、事業内容の区分の2つ目のところに家庭教育支援の充実を掲げてございまして、家庭での具体的な取り組みへの情報提供、子供への接し方等についての学習機会の提供、体験活動プログラムや体験活動の場の提供と書かれています。これらの提供をどのようにされたのか、教えてください。
10:
◯答弁(生涯
学習課長(兼)
乳幼児教育支援センター長) 本県では、「遊び 学び 育つひろしまっ子」推進プランを策定し、乳幼児の保護者が自信と安心感を持って子育てができるよう、スキンシップや絵本の読み聞かせ、家庭での取り組みに役立つ情報を、親しみやすいイラストや漫画を用いて保護者に届けております。
昨年度、ゼロ歳児の保護者を対象に、子供の言葉の発達を促すには、保護者が触れ合いながら話しかけ、絵本の読み聞かせを一緒に楽しむことが大切であるという内容の入りました、「あかちゃんへ ことばのプレゼント」を作成しました。
また、体験学習という面では、県が開発した体験学習のプログラムを希望する園・所で実施する形で体験の学習の場を広めてございます。
また、以前から取り組んでございます親の学びを育てるプログラム、通称親プロも活用して学びの場を提供しています。
先ほどの資料等は、幼稚園・保育所等を通じて保護者に届けるとともに、多くの保護者が集まるネウボラや乳幼児健診の場においても配布しています。また、こうした資料は、県教育
委員会ホームページ、フェイスブック等を活用して発信しております。
資料を配付した園・所におきまして保護者に対するアンケートを実施したところ、約9割の保護者が子供との接し方を振り返るきっかけになっており、手応えを感じているところです。
11:
◯質疑(
石橋委員) 9割の保護者が参考になったということで、逆に数が多過ぎて怖いですけれども、そのような情報提供に際して、どれぐらいの方にアプローチをして、プログラムへの参加、読み聞かせ等に来ていただくなど、どのような数値目標を持っていたのでしょうか。
12:
◯答弁(生涯
学習課長(兼)
乳幼児教育支援センター長) 成果目標は、保護者ということで不特定多数でございますので、人数での具体の目標は定めてございません。たくさんの保護者に伝えたい、いろいろな保護者の中でも届けたい方に届けられない実態がございますので、そのあたりを工夫して届けたいと考えてございます。
13:
◯要望・
質疑(
石橋委員) 届けたい保護者にどうやって届けるかというのが課題だと思っております。保護者は多いので、数が把握できないということでしたけれども、ゼロ歳児は全数把握ができるはずですので、その中で出てきていただく保護者はいいと思うのですが、行政側からアプローチをしても、なかなか出てきてくださらないお父さん、お母さん、顔が見えにくくなっている子供さんに対してしっかりアプローチをかけていただきたいと思います。乳幼児教育支援センターを設置されたからには、教育部門と福祉部門の連携が今まで以上にとりやすくなると期待しており、取り組みも進めていただきたいと思うところであります。
乳幼児教育支援センターですけれども、設置初年度の成果と反省点について考えをお聞かせください。
14:
◯答弁(生涯
学習課長(兼)
乳幼児教育支援センター長) 乳幼児教育支援センターは、本県の乳幼児期の教育・保育の質の向上を図る総合的な拠点として昨年度設置したものです。大きく、幼稚園・保育所向けの取り組み、家庭向けの取り組みの2つの柱で取り組んでいます。
園・所向けの取り組みは、幼児教育アドバイザーを配置し、園・所を訪問して、一緒に保育について考え、また、いろいろな研修を準備しています。
園・所向けの成果は、乳幼児教育支援センター設置前は、アドバイザー訪問が200件程度でしたが、昨年は300件で約1.5倍にふえています。研修も、設置前は55園程度しか県の研修には参加いただいていなかったのが、約300園を超え、手応えを感じています。
家庭へは、わかりやすい資料を継続して届けているところです。
課題は、園・所向けということで、訪問できている園が少ないことです。何とか訪問したいということで、関係団体と連携し、園・所が使いやすい形でのアドバイザー訪問にするということで検討を進めているところです。
15:
◯質疑(
石橋委員) 予算を見ると、乳幼児教育支援センター設置の当初予算は約3,100万円で最終予算が約1,900万円で、結局執行が1,500万円程度にとどまっていますけれども、派遣したいけれどもできなかった理由が何かあるのかどうか、なぜこのような金額になっているのか、教えてください。
16:
◯答弁(生涯
学習課長(兼)
乳幼児教育支援センター長) 昨年度の予算は、乳幼児教育支援センターの1年目ということで、これまでのアドバイザーに加えまして、保育ソーシャルワーカー、幼稚園・保育所での経験のある職員を配置するなどの体制を備えるための予算、内容を充実させるための予算ということで、十分な予算をいただいたと考えています。しかし、当初予算額と執行額に乖離が生じており、重く受けとめています。
専門職員を配置する経費、旅費等多くの不用額が生じている状況がございます。アドバイザーは、乳幼児教育支援センター設置前には200件という訪問件数ですが、昨年度300件とふえてはいるのですが、当初予算で見込んだ勤務日数にはなかなか届かず、400万円余の乖離が生じてございます。
また、乳幼児教育支援センターの設置にあわせて配置した保育ソーシャルワーカーは、家庭環境に課題がある乳幼児や配慮の必要な乳幼児のいる家庭に幼稚園、保育所等を通じて支援する、必要に応じて福祉部局等の関係機関につなぐ新しい取り組みを始めたところでございます。保育ソーシャルワーカーには、社会福祉士の資格を持つ者を充て、東広島市、尾道市の幼稚園を対象に、モデル的に配置をしたところですが、新たな取り組みで保育ソーシャルワーカーの役割や業務がわかりにくいこともございまして、市町に丁寧に説明はしたのですが、結果として訪問件数が20件という大変少ないものになってしまい、600万円余の乖離が生じました。
また、幼稚園・保育所等で指導経験のある専門職員は、予算を算出する際、予算の単価で約800万円余と決まっているわけですが、その単価と実際にその方々がもとの園で受け取られた額に乖離があり、不用額が生じました。
また、活動自体が少なかったため、旅費も余りました。
十分な予算をいただいたにもかかわらず不用額が生じている状況ですが、アドバイザーの訪問件数の増加、乳幼児教育支援センターが実施する研修へ参加する園・所の数は、徐々に増加している状況です。引き続きアドバイザー、保育ソーシャルワーカーの役割や効果について、関係団体や市町に説明し、乳幼児教育支援センターの事業が園・所にとってよりよく利用しやすくなるよう、工夫したいと思っております。
17:
◯要望・
質疑(
石橋委員) 予算が計上され、執行し切れなかったのは残念ですけれども、これから周知していただいて、充実を図っていただきたいと思います。
主要施策の成果に関する説明書の192ページですが、健康福祉局が、子供の貧困対策事業で朝ごはん推進モデル事業を実施をしています。このことに対して、教育
委員会は事業に対してモニターをしているのか、モデル実施校で子供の様子がどうであったか、継続に関して教育
委員会が思っている課題があれば教えてください。
18:
◯答弁(豊かな
心育成課長) 健康福祉局における朝ごはん推進モデル事業につきましては、廿日市市、府中町、そして竹原市でも実施が始まっています。
事業の関係者意見交換会において、学校関係者から、例えば、遅刻の多い子が、朝御飯の提供がある日は早く来ており、その他の日も学校に来るのが早くなったと感じるとの声、朝御飯を食べた日の朝は子供に活力があって、元気があると感じていると聞いております。また、参加していただいている地域のボランティアの方々と楽しそうに話をし、ボランティアの方に感謝の気持ちを手紙で伝えているとも聞いております。こういった子供たちによい変化が見え始めているという声を伺っています。
教育
委員会としては、学校給食を活用した食育推進事業であるひろしま給食100万食プロジェクトにおきまして、例えば、朝食リーフレット等の配付を通して、家庭への働きかけを今後も継続して行うとともに、健康福祉局における生活習慣づくりの取り組みの一つである朝ごはん推進モデル事業の情報も適宜共有しながら、学校、家庭、地域が一体となった食育の推進に努めたいと考えております。
19:
◯要望(
石橋委員) 乳幼児教育支援センターも同じですが、教育部門と福祉部門がうまく連携していかなければいけない時代だと感じています。困難な家庭もふえており、そこにやはりアウトリーチしやすいのが乳幼児期から義務教育の段階だと思いますので、いろいろな形があるとは思いますけれども、朝御飯を含め、今後ともいろいろ連携していただきたいと思います。
20:
◯要望・
質疑(瀧本
委員) ICTを活用した教育ということで、「学びの変革」ICT活用推進プロジェクトの取り組み結果についてお伺いします。
本県における公立学校のICT環境の整備状況は、全国で最下位レベルということはこれまで議会等でたびたび指摘されているところです。私も本会議等々で指摘させていただいたところですが、ぜひ早急に整備を進めていただきたいと強く要望しておきます。
主要施策の成果に関する説明書の教育
委員会関係で、408ページ、抜粋版で28ページの最後の取り組み方法で、県立学校は、平成29年度、平成30年度に実施した「学びの変革」ICT活用推進プロジェクトにおける取り組み結果を踏まえ、効果的・効率的なICT環境の整備を進めていくと記載されております。
そこで、「学びの変革」ICT推進プロジェクトの取り組み結果、成果、課題をお伺いし、それらを踏まえ、今後ICTの整備をどのように進めるのかお伺いします。
21:
◯答弁(
高校教育指導課長) 本プロジェクトは、高等学校3校と特別支援学校2校をモデル校に指定し、タブレット端末や大型提示装置などの機器を整備し、大学教授等の有識者から指導・助言等を得ながらICTを活用した効果的な授業方法について実践研究を行ったところです。
授業実施後の教員や生徒へのアンケート調査を行った結果、ICT機器を活用することで、生徒の興味・関心の向上、表現力の育成、深い理解への促進等に効果があったと言っておられる状況がありました。
一方、授業での活用事例の多くが教員による教材提示を中心としたものになっており、グループによる共同学習や個別学習での活用は一部の授業にとどまっているという課題が見られると把握しております。
22:
◯答弁(学校経営支援課長) 今後のICTの整備ですけれども、先ほど申しましたように、学びの変革を円滑に推進していくため、児童生徒がICTを活用することは不可欠であると考えております。児童生徒が、最終的に各自1台の端末を用いるように学習用コンピューターを整備することが必要であると考えており、環境を整備するため、児童生徒の端末、またパブリッククラウドの活用、そして通信回線等の環境整備が必要だと考えています。
ことしの6月に文部科学省が新時代の学びを支える先端技術活用推進方策の最終まとめをまとめており、その中にICT環境整備も推進方策をまとめたところでございますが、今後は安価な環境整備に向けた具体的モデルの提示、またクラウド活用の積極的推進に向け、今後情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインの検討を行うと示されております。そのような動向を見きわめながら、本県の状況、教育における目的、姿に必要なICT環境の整備の策定について考えたいと思っております。
23:
◯質疑(瀧本
委員) 推進プロジェクトの成果ということで、非常にいいことがたくさんあったのですが、台数が少なく先生側から生徒への提供しかできず、もっと台数があれば、生徒同士のいろいろな議論にも活用できたということを言われたのではないかと思います。
現状、ICTの活用は、文部科学省から一定のものが示されているわけでございます。そうした中、本県の整備が進まないのは、やはり違うところに原因があるのではないかと思うのです。本当に整備するためにはどうしたらいいのかを、現場の声、さらにこういったプロジェクトのトライアルもあると思います。さらに、教育
委員会でしっかり検討いただいて、一番は費用が足りないのだと思いますけれども、今後、モデル校でのいろいろな成果を県全域の県立学校、特別支援学校、市町の小中学校にも進めていかないと、子供たちが育ち、生きる力の中にICT技術は必要不可欠だと認識しておりますので、一遍にとはならないかもしれませんが、計画を立てていただきながら、今は情報の特別教室しか整備されていない学校がほとんどだと思いますが、普通教室への1人1台の展開をお願いしますが、いかがですか。
24:
◯答弁(学校経営支援課長) 学びの変革、また、学習指導要領におきましてもICTの活用が出ております。1人1台が最終目標と考えており、全て整備するには多額の経費がかかりますので、国で安価な整備方針も提示されていますし、いろいろな部分を研究させていただき、整備に向けて推進していきたいと考えております。
25:
◯要望・
質疑(瀧本
委員) 他の都道府県はできている部分もあるわけですから、大いに参考にしていただきながら、本県特有の理由もあるのかもしれませんが、しっかり検討していただきたいと思います。
ハードの話をさせていただき、とても重要なことだと思いますが、あわせてICTを十分に活用していく取り組みもしていかなくてはいけないと思います。
トライアルで、もっと台数があればいろいろなことができましたという話であります。広島県の教員のICT活用指導力の状況も文部科学省で調査結果が出ております。平成31年の3月現在の状況で、あくまでもこれは速報なのですが、5項目あったと聞いております。1つ目として、教材研究や指導の評価の活用力、2つ目として、自身の授業での活用、3つ目として、児童生徒が活用する指導、4つ目として、いわゆる情報リテラシーの指導、最後がICTに関する研修の受講と大きくこのような項目だと思いますが、1つを除いて、全国順位は平均値を下回っている状況があります。
特に研修の受講について、全国で41位であり非常に下位におります。環境は整っても、指導できる先生がいなかったら何もならないと思いますので、大変憂慮するところでありますが、このような状況になっている理由、課題についてお伺いしたいのと、教員のICTの活用指導力の向上に向け、今後、教育
委員会として、どう取り組んでいくのか、お伺いします。
26:
◯答弁(
高校教育指導課長) 文部科学省が本年8月に公表した教育の情報化実態調査によりますと、教員が児童生徒のICT活用を指導する能力に関する問いに対して、肯定的に回答した教員の割合が、広島県の高等学校におきますと65.2%で、全国平均を8.9ポイント下回る状況があり、課題が大きいと認識しております。
教育
委員会としては、教員のICT活用指導力の向上を図るということで、県立教育センターと連携し、主体的な学びを促す授業づくり講座、タブレット型PCの活用講座等の研修を14ほど準備していただいており、研修を深め、教員の指導力を上げていく取り組みを進めている状況でございます。
27:
◯要望(瀧本
委員) 65.2%という数字でありますが、先生が研修を受講したくてもできないのか、はなから受講する気がないのかを調べていただきたいと思います。はなから受講する気がない先生はほとんどいないと思います。恐らく、業務で時間がとれない、また、それよりも重要度の高いものがあり、参加できないこともあるのだと思いますので、そこを深掘りしていただいて、参加したくてもできない方は、1カ所に集める必要はないと思いますので、いろいろ工夫をお願いします。ICTを使えず指導することになったら、一定レベルのスキルが必要になってくると思いますので、ぜひとも教員のICT活用指導力の向上に向け、取り組みを強化していただきたいと要望します。
28:
◯質疑(井原
委員) 昨年度、教員が不足していることが非常に問題になりました。東広島市も集中的にその被害を受けたという形になりました。
学校現場における先生方の勤務実態の状況が非常に気になっているところでありますが、小中学校における教員の時間外はどの程度になっているか、お示しください。
29:
◯答弁(学校経営支援課長) 昨年度の11月に教員の勤務実態調査を行いました。1週間の勤務実態を報告していただいた調査結果によると、平日と土日を合算した1週間当たりの学内勤務時間は60時間以上と見過ごすことができない勤務時間の教員が、中学校で6割以上、小学校で約3割を上回っておりました。
30: ◯意見・
質疑(井原
委員) 今のいわゆるIT化と言われる中で、勤務実態をサンプルにかけないとわからないこと自体が不思議です。普通に登録すれば年間幾らと瞬時にわかる話です。それが本来の働き方の中で正しいのかどうなのかということを見きわめながらやっていかないといけません。
先般報告がありましたが、海上保安庁の第9管区の職員の募集をしたとき、97人が合格しましたが実際学校に入ったのは7名で93%が辞退です。3年前、北海道警は3分の2が辞退者で、辞退理由の中で非常に気になるのは、公務員らしくない労働実態だと言っています。
月平均40時間前後の時間外勤務があり、そこに対応する労働賃金はプラス4%で全くむちゃくちゃな話です。これは国から措置される部分を換算している話なのでしょうけれども、特に広島県において先生方が対応できる数字が少なく、臨時採用で埋めるという話です。
現在、病気によって職場に出ておいでにならない先生方は何人おられるのでしょうか。
31:
◯答弁(教職員課長) 9月2日時点で、小中学校、県立学校を含めて33人の教員が未配置です。
32:
◯質疑(井原
委員) 病欠されている先生の総数は何名ですか。
33:
◯答弁(教職員課長) 数が手元にございませんので、また後ほどお知らせします。
34:
◯要望・
質疑(井原
委員) 新年度が始まったときは、病休、産休のカウントはしておらず、そこからスタートして病休、産休が新たに加わり、それに対応する職員を新たに雇い入れるしかない制度そのものが、いかがなものかと思います。必要な相当数は見えているはずなので、全体は考えておかないといけないと思います。
時間外勤務で対応していることについて,本当に正しいのかは、雇い入れ側として見きわめないといけないと思います。1日8時間、月20日で160時間の勤務に対して、月40時間を超える残業で、本来ならば25%の残業代が支払われます。それが4%しか出ておらず、そこをクリアしない限り、教員を雇い入れることは難しいと思いますけれども、しっかり検討していただき、その上で、正確に推計値を出し、先生方にアップデートしてください。
現実には、市町設置の小中学校がほとんどで、そこへ補助員を相当入れています。これは市町の単独費で入れており、全て義務教育でありながら、市町の財政を圧迫していることは十分御承知だと思うのですけれども、これも含めて全体把握をしていく必要があると思っておりますので、早急にお願いします。
そして、そういう環境の中で、東広島市でも不幸に見舞われました。自宅において子供が亡くなりました。
しかしながら、それを、第三者機関を設置して調査をしますという言いわけの中で、何ら報告はされていない、現実を回避されている印象があります。この現状について、いかがお考えか、お示しいただきたいと思います。
35:
◯答弁(豊かな
心育成課長)
委員が言われている調査は、市で行われている第三者の調査
委員会で、自殺において犠牲に遭っている保護者の方等も、市町教育
委員会あるいは学校と連携しながら、どのように報告していくかの話をしている状況で、現在、
委員会が進められていると考えております。
36: ◯意見・
質疑(井原
委員) 第三者という言葉を使って客観性をもたらしたという話だと思うのですけれども、現実には、それ以前の事象において、結果、係争になって、いまだに裁判が終わっていない事例もあります。そのことすらもいまだもって明確な報告はいただいていません。子供たちは非常に不安を抱えている。
その結果ではないですけれども、県立の学校でもいじめが発生し、1人が転学せざるを得ないということです。このことについて、しっかりとした説明をお願いします。
37:
◯答弁(豊かな
心育成課長) 各学校においていじめが起きた場合、教育
委員会に報告があり、学校がいじめの対応を適切に行っていくよう、これまでも進めてまいりました。今後、このような場でお話ができる状態になりましたら報告させていただくように考えております。
38:
◯要望・
質疑(井原
委員) いつもそういうお答えはいただくのだけれども、結果としてなくなっていないことが現実です。いじめをなくさないといけない、それは生徒間同士でもあるでしょうし、もっとひどいときには、先生と生徒という対応の中で、いじめに近いような状態、不適切な指導が行われる部分もありますから、その辺について、同じことを繰り返しながら、実際対応ができていないと思っています。
これが、よく言われる個人の弱さ、家庭の問題に一因があるかもわかりませんけれども、学校における生徒間、先生と生徒の間の事柄は、学校が一義的に責任を持つべきだと思っています。決して家庭をないがしろにするわけではありません。しかしながら、学校現場に子供たちがいる以上、その場における責任は学校が持つべきだし、その対応ができるように、逆に、先生たちがきちんとゆとりを持てるよう、業務実態を推しはかる。勤務すべき仕事量に対し扱いをすることは当然だと思っています。
先ほど学校施設のことをおっしゃっていましたけれども、私どもの地域にある高等学校は、校長官舎が20年来ずっと空いています。処分する形すら見えてこない。その横にある教職員公舎の4割は空いています。遠くから勤務されているのに、これはどういうことなのでしょうか。要らないのだったら処分すべきです。この実態もクリアにしていただきたいと思います。
その上で、学校の耐震化をするために、リフレッシュをとめました。リフレッシュ計画もしながら耐震化をしなければならない責務が発生し、大至急で学校の耐震化が行われました。リフレッシュは、3分の1程度の予算に減額されておりますが、これはどうされますか。
39:
◯答弁(施設課長) 県立学校施設のリフレッシュ、いわゆる内外部改修工事につきましては、耐震化によって一時中断した中で、平成28年度から再開しております。県教育
委員会が平成30年3月に県立学校施設長寿命化方針を定め、これに基づき計画的かつ着実に改修工事を進めることとしております。
平成30年度は、西条農業高校を初め、4校5棟の設計と、宮島工業高校を初め、10校13棟の改修工事を進めましたが、令和元年度予算で、昨年度の当初予算から2億円を増額し、耐震化完了後の平成28年度の当初予算の約3倍となる9億9,000万円余の予算を計上し老朽化対策などを進めております。
今後も、長寿命化方針に基づき必要な予算を確保しながら県立学校施設の長寿命化改修工事を行いたいと考えております。
40:
◯質疑(井原
委員) リフレッシュ工事は、長寿命化し延命するための工事ではなく、学校教育現場の環境を改善する事業で、決して耐震化の後の整備ではないので、そこをしっかりと守っていっていただきたいです。また、災害時に、学校を避難所として使用する可能性が出ていますけれども、リフレッシュ工事の中でこれらに対する配慮をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
41:
◯答弁(施設課長) 長寿命型改修工事は、単なるリフレッシュだけではなくて、時代の要請に応じた教育環境の質的向上を図るための施設設備の整備を一体的に行っているところでございます。また、学校が避難所になっていることから、例えばトイレの洋式化を進めるなども着実に進めたいと考えております。
42:
◯質疑(井原
委員) 小中学校の環境改善のためのエアコン導入は非常に大事だと思いますが、高等学校においては、PTAに費用を出してもらうと言わんばかりで、高等学校も同じにすべきだと思いますがいかがでしょうか。
43:
◯答弁(施設課長) 高等学校におけるエアコン整備は、PTA等から設置申請が出て、使用許可という形でさせていただいています。
昨年度、空調設備が設置されていない高等学校の普通教室につきまして、スポットエアコンを整備し、一定の整備をさせていただきました。
44: ◯意見・
質疑(井原
委員) スポットエアコンをエアコンと言われても困ります。
やはり、一体的に整備をする。例えば、広島市立と県立の高等学校は、なぜ施設が違うのかという話です。広島市立はなぜエアコンが設置されているのか、それは環境としてのエアコンが要る認識になってきたわけですから、以前は、暑かろうが寒かろうが頑張れ、我々のときはストーブもなかったです。
高等学校も教育の場としての一貫性で整備すべきだと思うし、設置者が県、市、町によって変わることがあってはいけないと思います。ぜひとも来年度予算でこのことについて御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
45:
◯答弁(施設課長) 県立高校の空調は、昨年度、スポットエアコン等も整備させていただいたところです。今後は、導入効果も検証しながら、どのようなことができるのか検討を続けたいと考えております。
46:
◯要望・
質疑(日下
委員) 主要施策の成果に関する説明書の168ページの取り組み方向の最後の丸に、子供への接し方は、学習教材の開発に引き続き取り組むなど、学習講座の充実云々とあるのですが、児童虐待に関する法律が変わり、来年から新たに施行される内容として、体罰禁止が盛り込まれました。広島弁護士会などでも体罰をしない子育ての講座等もありますし、体罰禁止をどのように捉えるのかも、みんなで考えるようなきっかけになる教材、講座の充実をお願いします。
説明書の190ページで、長年、広島県の中で、不登校のお子さんが非常に多いことがずっと気になっておりました。全国平均に比べましても、毎年高い水準が続いており、県教育
委員会の方もいろいろな取り組みをなされたとは思いますが、なかなか減らない。190ページに成果目標、不登校・中途退学生徒の割合の減少とありますけれども、非常に大事な視点だと思います。
学びたい、伸びたいという子供の気持ちをいかにサポートしていけるか、子供の可能性を信じる力を我々大人が本当に試されていると改めて思います。この学びのセーフティネット構築事業におきまして、担当課から話を伺い、本当に頑張っておられるなと思っております。特に相談支援体制等の強化ですが、新規の不登校等児童生徒支援におきまして、東大ROCKETの取り組みや校内適応指導教室の取り組みを伺って、本気になって取り組んでくださると期待を持っておりますし、ぜひそうであっていただきたいと思いを強く持っております。
県教育
委員会は、今回、個別最適な
学び担当課長を設けられ、個別最適な学びというので、なかなか聞かない名前だと思ったのですが、子供が人口減少で子供が減っていく中で、さまざまな子供に対応していくオーダーメードの教育が求められていると思います。個別最適な学びは、全ての子供にとってそうであっていただきたいと思います。
本当に頑張っていただきたいというエールを込めるとともに、190ページに、経済的支援の拡充で、昨年度60万円を支給され、当初100人とありましたが、最終的に349人で3.5倍に拡大されたことは非常によかったと思いますし、経済的に大変なお子さんが多くいらっしゃることがわかったのではないかと思っております。また、新たに入学準備金の貸し付けが決まりましたが、クラブ活動や通学などで家計の負担は非常に多くなっており、例えば、保証人2人を1人にしていくように基準緩和、また拡充するとか、将来的には給付型の検討もぜひ行っていただきたいと思っております。
その上で、現場で中学校の校長先生として、生きづらさを抱える子供たちに多く接してこられた教育長の不登校対策にかける思いを聞かせていただきたいと思います。
47:
◯答弁(教育長) 私も現場でやっておりましたので、不登校の生徒にとにかく家でひきこもりをさせない、学校外でも生徒の居場所をつくって、そこで自分らしくいられるというような施策を現場目線で取り組んでまいりました。今年度より不登校等生徒あるいは異才がある生徒に対して、さまざまな形でやってまいりまして、一定の成果は出ておりますけれども、もっと進めて、子供の生きづらい、生活しづらい、勉強しづらいという思いを少しでも、一人でも減らせるよう、教育
委員会が一致団結して取り組んでいきたいと思っております。
48:
◯要望・
質疑(日下
委員) 教育
委員会が校内適応指導教室を設けられました。その一つを見に行こうと思うのですが、不登校のお子さんは、学校に行けないので、後ろめたさと複雑な思いを抱えております。1校40万円の予算をつけておられるので行くのを楽しみにしておりますが、やっと行ける教室が暗い感じの教室ではなく、気持ちが明るくなる方向でよろしくお願いします。
今まで教育
委員会で性教育といいますと、寝た子を起こす議論になるので、それはしないほうがいいということで議論にならなかったわけでございますが、不登校と同時に10代の人工妊娠中絶率も広島県は全国平均よりもいつも高い状況がございます。10代の人工妊娠中絶率は、余り話題になることはないと思いますが、これは子供の将来にとって非常に大事なことであると思います。
20年ほど前に秋田県もこうした状況がありました。そうした中で、秋田県の教育
委員会と医師会が連携し、県の全ての高校に講師を派遣し、子供たちへの性教育講座を推進しました。そうしたところ、徐々に10代の人工妊娠中絶率が全国平均を下回るようになっていきました。
思春期の子供は、性に関する関心が高まりますけれども、正確な情報に触れる機会が少なく、インターネットや友達からの情報を頼りにしてしまいがちです。不確かなものがたくさんあるため、正しい知識を大人がきちんと伝えることはとても大切なことだと思っております。県教育
委員会としても、10代の子供たちが健やかに大人になっていくよう性教育について真正面から取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
49:
◯答弁(豊かな
心育成課長) 学校における性に関する指導は、学習指導要領に基づいて、児童生徒の発達段階に応じ、性に関する科学的知識とともに生命を尊重する態度や、みずから考え判断する能力を身につけ、望ましい行動がとれるよう、保健体育科、特別活動、道徳等を中心に、学校教育全体を通じて実施しているところです。
具体的には、人工妊娠中絶に関する内容は、高等学校の学習指導要領の保健体育編に家族計画の意義や人工妊娠中絶の心身への影響などについて理解することと示されており、指導に当たっては、責任感を涵養すること、異性を尊重する態度が必要であることを扱うこととされており、県教育
委員会では、教員を対象とした研修会等においても指導の充実を図っているところです。
また、例えば医師、助産師、保健師等をお招きし、講演会を行うことによって、命の大切さ、予期せぬ妊娠等に関する内容を含めた保健学習などを、各学校において実施しています。
今後、教育
委員会としては、今年度から高校生のためのライフプランニング教育プログラムの開発事業の指定を受けており、生涯の生活設計を考えるための指導案、具体的な教材を開発するとしており、児童生徒が発達段階に応じて性に関する身につけた知識を活用して、場面に応じて適切な意思決定や行動
選択ができる資質・能力を育成し、生涯を通じてみずからの健康を適切に管理できるよう、性に関する指導の充実を引き続き図りたいと考えております。
50:
◯要望(日下
委員) 自分自身の人生をどうプランニングしていくのか、自主的に子供たちが考える中で、性教育も深まっていくと思いますし、つまるところ、性教育は思いやりの心を教えることに尽きると思います。引き続きライフプランニング教育を進めていくのであれば、そのような観点もぜひ入れていただきたいと思います。
また、近年LGBTの性的マイノリティーの子供たちの生きづらさも問題になっており、そのような子供たちへの配慮もぜひお願いします。
51:
◯質疑(辻
委員) 教員の未配置の問題ですけれども、これは病気休暇、介護休暇、産前休暇に入ってもかわりの教員が見つからず、配置されていない、いわゆる教育に穴のあく状態がここ10数年来ずっと続いて、この秋、本県でも大きな問題になり、今回も取り上げられています。
昨年度、病気休暇で2週間以上も代替教員が配置できなかった件数は、小学校で69件、中学校で40件という状況です。最大のおくれは、小学校では竹原市で177日、半年近く配置されていないということでございます。中学校では、同じく呉市で約4カ月、124日という状態であります。事前に休暇がわかっている産前休暇でも、小学校では43件、中学校で10件もあって、最大のおくれは、小学校では東広島市で112日、中学校では安芸太田町で118日という状態になっています。
こういうことが続いているわけですけれども、昨年、どういう取り組みを行って解消に努めてきたのかをお聞きします。
52:
◯答弁(教職員課長) 10月21日現在で、病気休暇で2週間以上の未配置は、その後見つかって配置した者も含みますけれども、小学校で44件、中学校で36件、特別支援学校で3件でございます。産前休暇による代員は、小学校が13件、中学校が6件です。また、介護休暇による代員で2週間以上未配置だったのは、小学校は2件、中学校は1件でございます。
こうした状況を解決するため、例えば、中四国または関東方面も含め、大学の訪問によって広島県の教員を目指すという部分を取り込んでいます。今年度、これまでの取り組みをさらに充実するとともに、10月19日から教育関連職求人フェアを県内11カ所、それから東京でのもっとひろしまU・Iターンフェア2019に参加し、教員免許をお持ちで現在教職についていない方々への説明会を新たに実施するなど、一人でも多くの方に本県で教員をしたいと思っていただけるような取り組みを行っています。
教員が見つからないために、教頭を初め、専科の教員が担任を持ち、他の教員がかわって授業をするなど、学校に負担をかけている状況がございますので、そのようなことが生じないよう、しっかり取り組んでまいります。
53:
◯質疑(辻
委員) 求人フェア、大学との連携など、さまざまな取り組みをされながら、未配置の状態をなくす方向で取り組まれているのはわかりますけれども、今年度についても、未配置の状態が続いている状況で、この10数年来、本当にいろいろ取り組みをされているけれども、なかなか改善しません。今年度も、皆さんいろいろ取り組まれていますけれどもなかなか改善されていない状況をどう考えているのでしょうか。
54:
◯答弁(教職員課長) 特にこの4月におきまして、教員定数の欠員状況が非常に大きかったところがございます。本務者を配置しているけれども、病休、介護休暇等で欠員が発生し、そのかわりになる者がいないという状況がございます。教育
委員会としては、正規職員の数をしっかりふやしていく中長期的な取り組みを含め、各代員の募集におきましてさまざまな角度から取り組んでいる中で、しっかりと子供の教育に影響がないよう取り組みたいと考えております。
55:
◯要望・
質疑(辻
委員) 定数内臨時採用の解消計画も打ち出されており、代員に対応できる状況をつくると同時に、新規教員の採用も抜本的な数をふやしていくことに取り組んでいかれていると思っていますけれども、抜本的にこの点は改善を進めていかなければならないと思っております。子供たちへの授業がまともに行われないような状態があってはいけないと思いますし、抜本的な対策を求めます。
この点について、考えていることがありましたらお願いします。
56:
◯答弁(教職員課長) 大量退職と合わせて、大量採用という部分で、教員の年齢構成に2つの大きな山があり、40代前半のところが薄いことから、これまでの取り組みをさらに充実させ、新たに取り組みました教育関連職求人フェアでは、就職氷河期で、実際に教員になりたくても倍率が非常に高い中で教員になれなかった、ほかの職についている、また子育てが一旦終わった方に対して、しっかり取り組んで、年齢構成に隔たりがあることや、今後の大量退職に備えて、また30年後に同じことにならないように取り組みたいと考えております。
57:
◯要望・
質疑(辻
委員) ぜひそこは抜本的に対策を強化し、予算もつけて進めていくことを強く求めておきたいと思っております。
学びの変革の取り組みをさらに進めていく中で、高等学校の改革、改善が図られるということです。今の高等学校入試制度の課題や問題点を明らかにしていくことが必要で、課題、問題点をどう総括しているのでしょうか。とりわけ、今回の素案は、
選抜Iを廃止することになっていますけれども、
選抜Iの課題や問題点についてあわせてお答え願います。
58:
◯答弁(学びの変革推進課長) 今回の入学者選抜制度の改善は、基本的な考え方として、本県の15歳にどのような力を身につけさせたいのかという視点を基軸に据えて検討を行っています。本県の公立高等学校の入学者選抜の制度は、平成13年度の入学者選抜から現在の枠組みで実施しており、見直しに先立ち、中学校や高等学校等の校長を対象に実施したアンケートの結果では、各高等学校の特色を生かした入学者選抜の充実や各高等学校の裁量の拡大を図っていくこと、あるいは、
選抜Iと選抜IIを一本化することなどにより、入試期間の短縮を図ること、さらには、調査書に記載する情報は客観的事項のみに整理するなどの回答があったところでございまして、こうした点が現行制度の一つの課題だと認識しております。
また、
選抜Iに関して、近年、推薦入試と一般入試の一本化を図ってきた他県は、一本化した理由として、例えば、入学者選抜に係る期間が長期化することで、授業時数の確保や学校行事の実施の面で苦慮しているなど、中学校、高等学校双方の教育活動に影響が出ていること、あるいは、早期に公立高等学校の合格が決定した生徒と受験を控えた生徒が学級の中に混在し、授業などの教育活動に影響が出ていること、さらには、推薦入試で多数の不合格者が出る一方で、一般入試でも同一校を受験する割合が高いことなどが挙げられておりまして、こうした点は本県にも当てはまるであろうと考えております。
59: ◯意見・
質疑(辻
委員) 課題、問題点を述べられましたけれども、学校現場の先生からの聞き取りを紹介しますと、
選抜Iの受験資格を有するのは、3年間の行動記録を基礎にして、中学校入学時に示される推薦基準をクリアした生徒で、そのために入学時から教師の指示に対して従順で、素直で社交性を持って、常に笑顔を絶やさず、生徒活動、部活を含め積極的に行って、校則に対しても違反しないような生活態度を進めていく生徒でないと要件を満たすことができないと言われております。
それから、
選抜Iに合格しなかった生徒、保護者は、選抜IIに向けて新たに立て直さなければなりません。何のための3年間だったのか、我慢の3年間とも言われています。
生徒指導についても、そんなことをしたら推薦しないという指導も強く行われていて、生徒指導の手段として使い過ぎだという実態があるわけですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
60:
◯答弁(学びの変革推進課長) いわゆる
選抜Iに限らず、恐らく調査書全体にかかわる課題であると認識しています。
調査書に関して、平成31年1月21日に中央教育審議会の教育課程部会が報告を出しており、例えば、中学生が入学時から常に内申点をどう上げるかを意識した学校生活を送らざるを得ない状況もあり、不自由な議論や、行動の抑制につながっている場合もあると指摘がなされており、この点について、直接どの程度かというところは学校によって異なると思いますけれども、本県において当てはまる部分があると捉えております。
61:
◯質疑(辻
委員) 本県にもいろいろと当てはまる面があるということでしたけれども、高等学校入試の改革改善の素案に対し、パブリックコメントが17日に締め切られました。何件ぐらいの声が上がり、公表されるのか、どう反映していくのか、この点はどうでしょうか。
62:
◯答弁(学びの変革推進課長) パブリックコメントの集計結果ですが、755名から1,545件の意見をいただいており、この結果は、準備ができ次第、速やかに公表したいと考えています。
また、いただいた御意見は現在整理を行っており、内容等の精査を行った上で、新たな入学者選抜制度の内容を決定し、公表したいと考えております。
63:
◯要望・
質疑(辻
委員) 意見を吸収し、制度に反映させていただきたいと思います。
改善の素案は、校長からの意見を聞いたようですけれども、学校現場の先生方から意見を聞くことはほとんどなかったということで、さまざまな意見が出されることが予想されるかもしれません。学校あるいは教員、保護者からの多様な意見を聞いて、慎重に制度をつくることも必要だと思います。
64:
◯答弁(学びの変革推進課長) 今回改善の素案を作成する段階において、中学校や高等学校の校長の御意見を伺いながら、素案を作成してきたところです。
また、実施しておりましたパブリックコメントにおきまして、教員からも多くの意見が寄せられており、今後内容についても精査を進めたいと思っております。
65:
◯質疑(辻
委員) 教員、学校関係者、保護者からも多様な意見を上げることについて、手だてをとらないということですか。
66:
◯答弁(学びの変革推進課長) 保護者に関しては、これまでPTAの団体の方々と、非公式で意見交換を進めたところでございます。教員は、パブリックコメントにおいて、一定程度御意見の吸収ができると思っており、現時点で改めてヒアリングを行うこと等は考えておりません。
67: ◯意見・
質疑(辻
委員) いろいろな意見も聞き、取り入れるべきだと申し上げておきます。
受験生全員に自己PR書を書かせるわけですけれども、中学校側には作成資料の労力、高等学校には分析の労力という新たな負担を強いることにはならないでしょうか。
68:
◯答弁(学びの変革推進課長) 自己PR書及びこれを活用した全員面接については、15歳の生徒に対し、これまでの自分自身を振り返り、今の自分をしっかりと理解し、その上で、将来自分はどうなりたいのかを自分の言葉できちんと相手に伝えることができる力を身につけさせたいという視点から導入を検討しています。
これに関して指導をする時間が生じることも予想され、学校における負担は、一義的にはふえる部分があろうかと思っておりますけれども、今回あわせて、素案では調査書の記載内容、記載項目を大幅に見直すということで、教員が調査書の作成に費やす時間を相当縮減することも盛り込んでおります。
また、
選抜Iと選抜IIの統合によって入試期間の短縮にもつながると思っており、地域の方々のお力もおかりしながら、学校において生み出された時間を有効に活用し、働き方改革と両立できるように対応していただきたいと思っております。
69:
◯質疑(辻
委員) 高等学校のあり方等のかかわりで、高等学校ごとあるいは学校ごとに別々の入試問題、傾斜配分、入試科目が可能となるようですけれども、生徒、保護者に非常にわかりにくいことと、進路指導の混乱すら想像できるわけですが、各校、各学科の特色に合わせた入学試験への対策を中学校に強いる教育に意味があるのでしょうか。
70:
◯答弁(学びの変革推進課長) 基本的な考え方としては、中学生が卒業する段階で、主体的に自分たちで学校を選んでいただきたいです。そのためには高等学校の教育内容や特色を多様化、特色化させていくことが必要であると思っており、中学校、高等学校の校長を対象としたアンケートにおきましても、各高等学校の特色を生かした入学者選抜制度の充実を図ることへは、多くの肯定的な意見が寄せられています。
一方で、それを負担といいますか、生徒がどこを見たら学校の情報がわかるのかとなってはいけませんので、その点、例えば県教育
委員会のホームページにおいて各学校の
一覧を公表するなど、できる限り保護者や生徒たちがわかりやすくアクセスしやすい情報提供に努めたいと思っております。
71:
◯質疑(辻
委員) このたび特色ある学校を打ち出す方向と言っていますが、学校間の格差を助長するものになると考えます。現在でも、それぞれの学校でこれまでの特色ある取り組みをやり、それを売りにしながら学校をPRしていくことがあり、中高一貫校の問題などもあり、そういう点で、その格差を助長することにつながっていかないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
72: ◯意見(学びの変革推進課長) 格差の定義による部分もあろうかと思っておりますけれども、これまでも各学校において特色化に向けたさまざまな取り組みを実施してきたわけでございます。しかしながら、それがなかなか見える状態になっていないことから、さらに特色化を図っていくことが必要だと思っており、例えば、自分の学校は、進学を重点的にやる、一方で、別の学校は、進学だけではなくコミュニケーション能力を重視したい、あるいは学び直しをやっていきたい、そのような形で各学校が自分の学校の特色を打ち出していくことは、必ずしも御指摘の格差という意味において助長するものではないと思っております。
73: ◯意見(辻
委員) この新たな素案について広く意見を聞きながらつくっていく話ですが、格差等の助長をしないような制度になることを指摘し、終わりとします。
74: ◯意見・要望(犬童
委員) 私は、孫が大学生と高校生2人と中学生1人、小学校2人、保育所2人と8人おります。毎日、大学から小学校、保育所まで接点を持って見ているのですけれども、子供の顔色を見ると、やはり楽しく学校へ行っているか、楽しく保育所へ行っているかというのが一番気になります。小学校の運動会、発表会にも行くのですが、子供同士笑顔で話をしているとほっとして帰ります。学校は、やはり子供たちが行きたい、行って楽しい、そういうところであってほしいし、昔、京都府知事が、15の春は泣かせないと言って大きな反響を呼びました。今、15の春もですが、18の春も泣かさないように、奨学金や支援ももちろん充実していかなければいけないと思います。皆さんも、平成30年度も努力されたと思っておりますけれども、足りないところはこれからやはり力を合わせてやってほしいと思っております。いじめの問題もしかりです。
先ほど、性教育の問題もありました。私は、ある女性保護施設の役員をしており、そこで今、一番、やはり特に中・高校生を含めた10代の性被害の問題はどうしても出てきます。学校の先生にも相談しにくいですから、私がかかわっている施設に電話で相談があり、訴えてくるから、何回も電話で話をし、そして、落ちついたらいらっしゃいと言って喫茶店、レストラン、そういうところで人の目につかない形で会って、被害者の子供の経過なり今の状況を聞かせてもらいます。
あるいは、中には高校生同士ペアで来ることがあります。妊娠したのではないかとか、そういう不安の中で、相談するところがないのでその施設に相談してくるということです。役員会をやると、今これが一番問題で、とことん話し合う以外はありませんし、そして、医療機関だとか、中には警察とも話をしないといけないことも多々あります。子供たちに、性被害に遭ったら、担任の先生に言いなさいと言っても難しいことですけれども、現実は、非常に中・高校生の中にもそういうことが起きていますから、性教育の中身もそういう被害に遭ったらどうするかということも含めて、今後対応を考えていただきたいと思います。
(5) 閉会 午後0時24分
発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...