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  1. 広島県議会 2019-09-02
    令和元年9月定例会(第2日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和元年9月定例会(第2日) 本文 2019-09-20 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 37 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長中本隆志君) 選択 2 : ◯議長中本隆志君) 選択 3 : ◯吉井清介選択 4 : ◯議長中本隆志君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長中本隆志君) 選択 7 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 8 : ◯議長中本隆志君) 選択 9 : ◯総務局長(小寺 洋君) 選択 10 : ◯議長中本隆志君) 選択 11 : ◯警察本部長鈴木信弘君) 選択 12 : ◯議長中本隆志君) 選択 13 : ◯議長中本隆志君) 選択 14 : ◯高田 稔君 選択 15 : ◯議長中本隆志君) 選択 16 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 17 : ◯議長中本隆志君) 選択 18 : ◯土木建築局長齋藤博之君) 選択 19 : ◯議長中本隆志君) 選択 20 : ◯危機管理監海田智浩君) 選択 21 : ◯議長中本隆志君) 選択 22 : ◯商工労働局長(佐伯安史君) 選択 23 : ◯議長中本隆志君) 選択 24 : ◯都市建築技術審議官(友道康仁君) 選択 25 : ◯議長中本隆志君) 選択 26 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 27 : ◯議長中本隆志君) 選択 28 : ◯平本 徹君 選択 29 : ◯議長中本隆志君) 選択 30 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 31 : ◯議長中本隆志君) 選択 32 : ◯総務局長(小寺 洋君) 選択 33 : ◯議長中本隆志君) 選択 34 : ◯土木建築局長齋藤博之君) 選択 35 : ◯議長中本隆志君) 選択 36 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 37 : ◯議長中本隆志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十分開議 ◯議長中本隆志君) 出席議員六十二名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第七七号議案         至第二十六 報第一九号 2: ◯議長中本隆志君) これより日程に入ります。日程第一、県第七七号議案 令和元年度広島県一般会計補正予算から日程第二十六、報第一九号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  これより各案に対する質問に入ります。通告者に順次発言を許します。吉井清介君。         【吉井清介君登壇】 3: ◯吉井清介君 皆さん、おはようございます。自民議連の吉井清介でございます。今次定例会の一般質問のトップバッターを務めさせていただき、大変光栄に思っております。中本議長を初め、先輩、同僚議員に心より感謝申し上げます。  何分、五年ぶりの登壇になりますので、本日は相当緊張いたしております。お聞き苦しい点、また、間違うところもあるかと思いますけれども、どうか温かい目で見守っていただいて最後まで御清聴いただきますよう、よろしくお願いいたします。  質問に入る前に、県議会議員として県民の負託を受けこの場に立たせていただくに当たり、以前もこの本会議場で述べました、明治時代の後半になりますが、前田正名という一人の元官僚の言葉を、改めて御紹介したいと思います。  それは、まず、根本となる町村郡是を定め、そして、県是を定めた後に国是を定めることが今日の急務であるという言葉であります。これには、市や町が市町村是、すなわち住民が認め希望する市町村の基本理念をつくり、それらをもとに県是を定め、さらにそれが国是につながるという、こうした国づくりの理想が根本にあったと伺っております。つまり、地方自治体がそれぞれしっかりとした方針と責任を持ってマネジメントを行い、それぞれの役割を果たしていくというものであります。  地域の声に耳を傾け、それを県の政策方針や施策として実現させること、そして、地域から生まれた県の政策や地方の声を国に対し確実に国是として具体化させること、これらが本来県の果たすべき役割であります。  郡是ありて県是あり、県是ありて国是あり。このことは同時に、我々県議会の責務でもあると考えるところであります。  本日はこうした視点に立ち質問させていただきますので、知事を初め、執行部の皆さんにおかれましては、明快で前向きな答弁をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。  それでは、質問に入ります。  質問の第一は、復旧・復興プランの達成に向けた知事の覚悟についてお伺いいたします。  昨年七月の過去最大級の豪雨災害に対し、県では、県民や関係者が一丸となって難局を乗り切るための基本的な方針として、昨年九月に復旧・復興プランを策定したところであります。  現在も、ゲリラ豪雨や大型台風による自然災害が心配される中において、再度災害防止の観点から、特に、河川や砂防ダム等のインフラの創生を初め、復旧・復興プランのロードマップに沿った着実な実施が県民の願いなのであります。また、その進捗の公表が県民の不安の解消につながるものと思うのであります。災害復旧事業だけでも今年度当初予算で五百六十一億円が編成されており、災害復旧事業や災害関連緊急事業等に取り組む中で、工事契約の不調・不落が相次いでおり、確実に期限内に完了するのか危ぶむ声はこれまで幾度となくございました。  策定から一年が経過した去る六月、進捗状況を報告書として取りまとめ公表されました。国の財政支援の関係から、来年度までに終える必要がある災害復旧事業の工事着手率は、道路は七〇%と高いものの、河川は三三%、砂防・急傾斜は二六%と低い状況にあったわけであります。加えて、今年度中に終える必要がある災害関連緊急事業のうち、砂防・急傾斜は三一%、治山に至っては三%という大変厳しい状況になっております。  私の地元でも、工事に着手されずにブルーシートがかかったままの状態を目にすると、本当に期限までに工事が完了するのか、不安に感じているところであります。そうした中、六月定例会における、プラン全体の進捗はおおむね計画どおり、災害関連緊急事業は本年度中の完了を目指す、建設業者の不足の顕在化にはさまざまな観点から対策を進めるという知事の決意を信じて、私は地元の方々の不安を和らげることに腐心してまいりました。
     しかしながら、知事の決意から約二カ月後の今月上旬、県は、突然、今年度中の完了を目指していた災害関連緊急事業の砂防、急傾斜、治山事業の約七五%が来年度になるという見通しを発表されました。  復旧・復興プランは何のためにあるのでしょうか。目指すべき姿、目標達成に向けたロードマップを計画、共有し、適宜、進捗状況を丁寧に分析、精査した上で、時には軌道修正を加えながらも、目標の達成に向けてやり遂げる姿勢を示すことで県民の不安の解消につなげていくことが重要であると私は思うのであります。進捗状況をまとめた上でおおむね順調と答え、その二カ月後には翻すようでは、県民の不安は募るばかりであります。このほかにも、復旧事業の進捗は県のホームページで確認はできますが、工事の公告日をもって事業着手として発信しており、不調・不落が生じている現状を鑑みると、工事着手段階も公表することが求められると思います。  そこで、豪雨災害からの早期の復旧・復興と県民の不安の解消を図るために、復旧・復興プランの進捗管理を徹底し、災害復旧事業を初めとする公共事業を確実に期限内に完了させること、あわせて、県民に向けて工事着手情報を発信するなど、丁寧な情報発信や説明に取り組んでいただきたいと思いますが、復旧・復興プランの達成に向けた知事の覚悟をお伺いしたいと思います。  質問の第二は、県民が安心して暮らすことができる医療政策についてお伺いいたします。  先月、尾道市立市民病院において、経営改革プランの一昨年度の目標が一部達成できなかったことが報道されておりました。達成できなかった主な理由が医師の減少であり、同様の理由で府中市民病院においても平成三十年度決算が赤字とも報道されておりました。  本県では、平成二十八年三月に広島県地域医療構想を策定し、県内七つの二次医療圏ごとに地域の病院長等で構成する地域医療構想調整会議を設置し、医療人材の確保・育成や、二〇二五年に必要とされる病床機能、病床数に関して議論することとされており、その取り組みの加速化が期待されているところであります。そうした中、医師偏在対策の強化を図るため、昨年七月、医療法などが改正され、今年度中に都道府県は医師少数区域と医師多数区域を設定し、医師少数区域に対する医師確保に取り組むための医師確保計画を策定することと伺っております。  こうした医師確保対策を進めるためには、医師偏在の状況を客観的かつ正確に把握することが最も重要であります。これまで、指標として人口十万人に対する医師数が用いられておりましたが、医師不足の実態を十分に反映していなかったことから、新たに医師偏在指標を取り入れ、評価することとなっております。これは、医療需要、将来の人口の変化、医師の性別・年齢分布、医師の診療科目、入院や外来、患者の流出入や僻地など地理的条件などの要素も織り込み算出するものであり、数値が大きいほど医師数は充足していることを示すわけであります。  現在示されている暫定的な医師偏在指標を二次保健医療圏別に高い順に並べてみると、広島圏域が二八三・八ポイントで最も高く、次いで呉、広島西と続き、尾三圏域が一八〇・四ポイントと最も低くなっております。その差は一〇〇ポイントもあり、まさに、医師充足度の西高東低の状況がデータからも明らかになったところでもあります。医療の充実は人口減少の大きな要因になっており、このことはまさに衆目の一致するところであります。  県内のどこに住んでいても、安心して子供を産み、育ち、働き、年を重ねることができる医療体制を実現するためには、医師の確保は喫緊の課題でありますが、今後どのように取り組んでいくのか、地域医療構想調整会議の活発化はもとより、県内の医師偏在の要因とその解決策について知事にお伺いいたします。  質問の第三は、第一次産業の振興についてお伺いいたします。  先月、平成三十年度の国の食料自給率が発表されたところであります。カロリーベースで三七%、生産額ベースでは六六%となっており、食料自給率に至っては、米の記録的な凶作に見舞われた平成五年度と並び、過去最低の状況でありました。本県では、一昨年度の数値になりますが、カロリーベースでは二三%、生産額ベースでは三九%という状況であり、この十年間食料自給率は一向に上昇しておらず、近年、他の産業が好調な中、第一次産業は非常に厳しい状況が続いております。一方で、食料自給率が県内消費量に対する県内生産量の割合であることを考えると、マーケット的に第一次産業は拡大の可能性を秘めているとも言えるわけであります。  では、なぜこの十年間、食料自給率は向上していないのでしょうか。それは、ひとえに第一次産業の担い手不足にほかなりません。一生産者では限界があります。消費者がいても、生産者がいないと県内の食料自給率は上昇いたしません。  このことに関し、執行部では、農業や水産業における新規就業者数の増加を施策目標に掲げて取り組まれておりますが、平成二十二年に二〇二〇広島県農林水産業チャレンジプラン策定以後、単年度の目標は一度しか達成できておりません。そればかりか、農林業経営体、農業就業者ともに知事が就任した翌年の平成二十二年からの五年間で約一八%減少し、また、漁業就業者は平成二十年からの十年間で約三〇%減少いたしております。県としては、産業として自立できる農林水産業の確立に向け、あらゆる施策に取り組まれていますが、県の平成三十年度決算資料では、新規就業者数の目標が達成できなかった理由として、好景気で収入の安定した他の産業へ就業者が流れているからと整理されていることに対し、残念な気持ちになるのは私だけでしょうか。  第一次産業を取り巻く環境を見ますと、高齢化がとまらない上、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPなどの発効で安い農林水産物の輸入がふえることに加え、鳥獣による被害の続発、水産資源の減少、さらには天候に左右されやすく、地球温暖化や集中豪雨の多発などの異常気象により、非常に厳しい状況にあります。一たび豪雨に見舞われると、被害は農産物だけではなく漁場にも影響を与えるため、収入が安定しにくい産業であることは、疑いの余地がないところであります。いかにほかの産業に肩を並べるほどに成長させるかは、まさに志と覚悟ではないでしょうか。  そこで、こうした厳しい環境の中においても、将来にわたって、第一次産業を持続可能な産業として成長させていくためには、確実に担い手の確保・育成を図ることが重要であると思いますが、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、多文化共生社会の実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。  法務省の統計によると、広島県の技能実習の在留資格者は約一万五千人で、愛知、埼玉に次いで全国三番目に多い状況であります。少子高齢化の影響で深刻な人手不足が続く中、四月に外国人労働者の受け入れを単純労働分野にも拡大する改正入管難民法が施行され、今後ますます外国人労働者の雇用が増加するものと予想されており、試算では、十年後には全労働者の六%にも達すると言われております。  私の地元、尾道市でも、基幹産業である造船業を中心に多くの外国人の方が実直に働いておりますが、時折生活慣習や文化の違いにより、地域住民との間でトラブルが発生しているのも事実であります。郷に入れば郷に従えと言いますが、郷を知らないままでは、どうしていいのかわかりません。また、いろいろな文化背景にある人々が互いに受けとめ合い、助け合って暮らしていくことが多文化共生社会ではないでしょうか。  グローバルに展開するある企業では、外国人社員がスムーズな私生活を送れるよう、入社時に生活全般の至れり尽くせりのガイドブックを配付しています。また、学びが必要なのは受け入れる日本人社員側も同じであることから、外国の文化や考え方、意思決定プロセスなどを説明した冊子を配付し、異文化の理解を促しております。  生活、キャリアの機会、また、家庭生活の三つの指標で調査した外国人が働きたい国のランキングによると、日本は社会の閉鎖性、子供の教育環境が悪い、ワークライフバランスが悪い、収入が低いなどの理由により、調査対象の三十三カ国の中で下から二番目という結果になっております。世界で人材獲得競争が繰り広げられる中で、日本の評価は低く、また、国内では特定技能制度により、今まで技能実習に認められていなかった転職が可能となるため、賃金の高い大都市圏への集中も懸念されます。また、在留外国人の年間消費額は約三兆円という推計もあり、日本語学校などの受け入れビジネスの拡大を考えると、成長産業として地域経済の活性化も期待されているところであります。このため、外国人が広島を選び、広島に定住しやすいよう、目の前の人手不足の解消、単なる労働力という視点でなく、将来の広島県の経済、地域社会を支える人材として受け入れることをしっかり企業や地域へ啓発し、あわせて労働と子育て、教育、医療、福祉などの生活環境の整備を図る必要があるのではないでしょうか。  外国人の力がなければ、社会が成り立たなくなると言われている今、ともに生きていく仲間として受け入れ、広島が多文化共生の豊かで温かな社会として成熟していくために、どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第五は、県政を取り巻く諸課題のうち、県有地について、二点お伺いいたします。  まず、一点目は、広島クリスタルプラザ等の県有地信託事業についてお伺いいたします。  バブル経済で異常な地価高騰が続いていた昭和六十一年に、地価抑制を図りながら公有地の一層の有効利用を図る目的として、公有地においても土地信託ができるよう国が地方自治法を改正いたしました。信託銀行に公有地を委ねて都市の再開発やまちづくりに資する収益物件を建設、運営させ、さらに自治体は配当まで受け取れるというふれ込みで、東京や大阪などの大都市を初め、広島や熊本、徳島などの地方都市を含め、十三都道県で公有地の信託事業に着手いたしました。  当時、本県でも内需拡大に向けて、数々の民間活力の活用策が検討されており、その一つであるこの信託制度については、土地の有効利用及び都市の再開発を促進するための手法として注目されました。見込み違いにより債務を県が負担するおそれなどのリスクは認識されていたものの、本県議会においても積極的な推進が支持されたのも事実であります。バブル経済の真っただ中に計画が進み、本県においては、賃貸事務所などの複合ビルの建設による都市機能の充実を図る観点から、エストパルクが平成三年六月から、広島クリスタルプラザが平成四年五月から事業を開始いたしました。  しかし、折しもバブル経済が崩壊した後でのスタートとなったわけであります。とりわけ、広島クリスタルプラザにおいては、資材価格の高騰等により建築費が約二十三億円も増加したことで借入金が増加し、また、景気の悪化により計画どおりのテナント料を得ることができず、昨年度末の実績で、配当金累計は計画値の約八十二億円に対して、実績はわずか約三千四百万円、借入金の残債は計画値の約十二億円に対して、実績は約六倍の約七十億円に上っています。  これまでの間、この信託事業の収支状況等を改善すべく、本会議や委員会でたびたび問いただし、執行部においては借入金利息の改定、修繕に係る入札の実施による経費節減などの収支改善に取り組んだものの、信託期間満了までに借入金を完済できるような抜本的な改善に至らず、今日に至っているわけであります。他方、大阪市では、借入金の完済が見込めず、将来の市民負担を軽減すべく、平成十六年から信託財産の売却や法律的観点からの検証を含めた抜本的な施策の検討を進め、その結果、売却することにより借入金の清算が見込まれる信託財産については、信託期間を十年も残しながら売却いたしました。県においてはこのたび、信託期間満了前に信託事業の幕をおろし、その負債に充てるために信託していた土地・建物を売却する方針を固めましたが、経済予測は難しいとしても、県民負担を最大限に軽減する観点から、この決断は遅過ぎることはなかったのでしょうか。  この信託事業がマネーゲームではないことは当然ではありますが、試算によると約三十億円、売却により失う土地の資産価値も合わせると約七十億円もの膨大な新たな県民負担が生じていることに注目が集まっております。県民の理解を得るためには、この事業の全体的な評価など丁寧な説明が求められるわけですが、ここで、四点ほどお伺いしたいと思います。  まず一点目に、この信託事業の所期の目的と成果、これまでに講じてきた収支改善対策などについてお伺いいたします。  二点目に、なぜこのタイミングで信託事業に幕をおろすに至ったのか、お伺いいたします。  そして、三点目に、都市機能の充実に寄与してきた信託土地・建物を売却するに当たっては、どのような点を重要視して取り組むのか。  最後に、このことを教訓に、大型投資事業については、長期的な観測に基づき、リスクマネジメントを一層徹底する必要があると思いますが、今後どのように取り組んでいくのか、以上四点について知事の御所見をお伺いいたします。  次に、旧広島陸軍被服支廠の安全対策についてお伺いいたします。  広島市南区出汐にある旧被服支廠は四棟あり、うち県所有が三棟、国が一棟を所有しております。県が所有する一棟当たりの長さは約九十一メートル、幅が約二十六メートル、高さは約十五メートルもあり、三棟が連なる景観は圧倒的な重厚感、重圧感があります。御存じのとおり、旧被服支廠は、被爆の実相を伝える最大級の被爆建物であり、竣工後百年以上を経過する日本近代建築初期の建物としても貴重なものであります。  旧被服支廠をめぐっては、これまで、平成七年から平成九年にかけては瀬戸内海文化博物館の設置検討、また、平成十二年から平成十八年にかけてはエルミタージュ美術館分館の誘致検討など、幾度も活用の検討がなされてきたところですが、いずれも実現に至っておりません。その最大の理由は、その耐震化に多額の費用が見込まれることや、被爆建物であるため、保存・活用をめぐっては幅広い意見があり、県として方針を決めあぐねる結果になっているのではないでしょうか。  そうした中、建物の西側には、幅員四メートルの市道を挟んで民家が建ち並んでいる状況であり、かつ、この市道は隣接する県立高等学校二校へ自転車通学する生徒を含め多くの通行者が利用されております。また、平成二十九年に実施した建物安全性調査によると、震度六強以上の地震で倒壊または崩壊する危険性が高いことが判明しており、南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、建物西側の安全対策について早急に対応すべきではないでしょうか。  確かに被爆建物として被爆の実相を後世に伝える上で貴重な建物であり、建築史、建築材料学の分野において学術上の価値が高いことは理解できますが、それらも安全対策を施した上でのものであります。現在の安全対策の状況といえば、今年度の予算は旧被服支廠の各棟をつなぐブロック塀の撤去と代替フェンスの設置、建物西側の壁面の補修調査等の予算しか計上されておらず、市道に面する建物西側全体の安全対策とはなっておりません。昨年発生した大阪北部地震によるブロック塀倒壊事故を踏まえ、他の県有施設の危険なブロック塀等の撤去も進めていますが、旧被服支廠の高さが十五メートルもあることを考えると、より危険な状態であり、直ちに安全対策を講じるべきであると思うのであります。  県の説明によりますと、仮に耐震化すれば一棟当たり約三十三億円、全棟で百億円弱、耐震化せず建物を保全するだけでも三棟全てだと相当な経費を要することになります。災害復旧や県有地信託事業の負債処理などを考えると、知事の財政運営のかじ取りは難しいものになると思いますが、県民の生命・財産を守る知事の決断の時期は既に来ています。  県所有の三棟について、今後どのように対応していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の最後は、日本一安全・安心な広島県の実現についてお伺いいたします。  本県は、平成十五年以降、「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動に取り組んでおり、その運動も第四期に入りました。その第四期となります平成二十八年からは、「めざそう 安全・安心・日本一」ひろしまアクション・プランの中で、平成三十二年──令和二年までに刑法犯認知件数一万七千件以下という推進指標を掲げて取り組まれております。そうした中、平成二十九年、この件数が約一万六千件となり、三年前倒しで達成され、さらに昨年は約一万四千三百件まで減少させるなど、大きな成果を上げております。このことは、県警察を初めとする関係機関、そして何より県民の皆様の御尽力のたまものであり、大変喜ばしいことと考えております。  加えて、県警察は独自に、令和二年までに特殊詐欺被害総額を年間五億円以下、交通事故死者数を年間七十五人以下とするアンダー八〇作戦を展開されており、昨年一年間の特殊詐欺被害総額は約三億五千万円まで抑止され、目標を達成されておりますが、一方で、交通事故死者数は九十人を超えるなど厳しい状況にあります。また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックなどの大規模イベントを控えた国際テロ対策、加えて、本年十一月にはローマ法王が本県を御訪問される予定であり、これらに関連する警備諸対策など、警察本部長の双肩にかかる重責は相当なものと考えられます。また、広島中央警察署における多額盗難事件については、発覚から既に二年四カ月が経過しましたが、いまだ解決に至っておらず、県民の皆様の警察に対する信頼を著しく損なう事態になっているのであります。  こうした多くの重責と課題がある中、このたび、八月二十日に鈴木警察本部長が県警察の最高責任者として着任されたわけであります。  そこで、今後、県民の皆様が穏やかで幸せな暮らしを実感できる日本一安全・安心な広島県の実現を目指し、どのように警察行政を進めていこうと考えられているのか、警察本部長の決意をお伺いいたします。  以上で私の質問は終わります。五年ぶりですので、大変お聞き苦しい点もあったかと思いますが、御清聴、心から感謝しております。どうもありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、復旧・復興プランの達成に向けた覚悟についてお答え申し上げます。  平成三十年七月豪雨災害からの復旧・復興プランは、戦後最大級の災害に立ち向かい、新たな広島県をつくっていくという強い意志、姿勢を県民の皆様にお伝えし、県はもとより県民の皆様、関係者の方が一丸となって集中的に取り組んでいくため、昨年九月に策定したものでございます。  プランの進捗状況につきましては、被災者の皆様を初め、県民の皆様に随時、ホームページや広報紙等で周知を図るとともに、発災後一年を迎えることしの六月には、プラン全体の一年間の進捗状況を取りまとめ、公表したところでございます。  こうした中、平成三十年七月豪雨に係る災害復旧事業や災害関連緊急事業等の災害関連工事につきましては、工事発注が本格化するにつれ、技術者不足等が懸念されたことから、県外業者の活用や発注方法の工夫などさまざまな対策を実施してまいりましたが、結果として砂防ダムや治山ダム等の緊急整備におくれが生じており、県民の皆様に対しまして大変申しわけなく思っているところでございます。  砂防ダムや治山ダム等の今後の見通しといたしましては、約六割の百九カ所につきまして来年の出水期までに完成することとし、残りの箇所につきましても工期短縮につながるような工法を活用するなど、できるだけ整備の進捗を図り、少しでも安全度が上がるようさまざまな対策を講じてまいります。  また、平成三十年七月豪雨に係る災害関連工事の受注環境を整備するため、技術者の兼務制限の緩和や複数工事の一括発注などの対策に加え、作業効率の低下が見込まれる工事に対しましては、新たに復興係数、復興歩掛かりの導入を行い、令和二年度末の復旧完了に向けて全力で取り組んでまいります。  被災された方々や地域の住民の皆様に今後の見通しを持っていただけるよう、国や市町とも連携しながら、ホームページやツイッター等による情報発信やリーフレット配布などの取り組みを行ってきたところであり、発注状況に加えて災害復旧事業においても新たに工事着手の公表を行うなど、地域の実情に応じたきめ細かい情報発信に努めてまいります。  引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう、公共土木施設等の早期復旧を初めとする復旧・復興プランの達成に向けて県庁一丸となって全力で取り組むとともに、今後発生するさまざまな課題に対しましては、あらゆる手だてを講じ、創造的復興による新たな広島県づくりをなし遂げてまいります。  次に、第一次産業の振興についてでございます。  第一次産業を持続可能な産業として成長させていくためには、担い手の確保・育成が重要であると認識しており、県といたしましては農林水産業の各分野におきまして、新規就業者の確保や経営力の高い担い手の育成を進めているところでございます。  まず、農業分野におきましては、新規就農者の確保・育成に向けて、市町やJAと連携し、基礎研修及び模擬経営を行う実践型研修の実施や、農地、資金の確保などの総合的な支援を行っております。  また、担い手の経営発展に向けては、ひろしま農業経営者学校などにより経営スキル習得の支援を行っているところであり、ホウレンソウ、コマツナを初めとする施設野菜やキャベツなどにおいて、販売額四千万円以上で雇用を活用した組織経営体への転換を図る若い担い手があらわれてきております。  さらに、来月からは、県立広島大学と連携して、事業成長を促す経営戦略を学ぶことができるアグリ・フード マネジメント講座を開講し、担い手の企業経営への転換を加速させてまいります。  次に、水産業分野におきましては、就業前から就業後まで切れ目のない研修の実施や、重点魚種の集中放流等による販売額八百万円以上の担い手の育成など、漁業者の経営安定に向けた取り組みを進めるとともに、生食用殻つきカキの周年出荷体制の構築に向けて、ことし七月から出荷を開始したところでございます。  林業分野におきましては、林業事業体の生産規模拡大に向け、生産工程の改善や高性能林業機械の導入などの支援に取り組んでおり、その結果、年間の木材生産量が五千立方メートル以上の事業体数が、平成二十五年度の六社から平成三十年度には十三社に倍増するなどの成果があらわれてきているところでございます。  さらに、今年度から新たに導入された森林環境譲与税を活用し、中長期的な視点を持った経営力の高い林業経営者の育成を図るとともに、就職希望者に対する個別支援なども行っております。  このような取り組みのほか、環境制御技術の導入による収量向上やスマート農業機械による作業の省力化など、実証実験への支援を通じAIやIoTの活用を促すことにより他産業並みに生産性を向上させ、アクションプログラムに掲げる、担い手が将来の生活設計を描ける経営の確立の実現に向けて、魅力的な農林水産業を目指してまいります。  次に、多文化共生の実現に向けた取り組みについてでございます。  グローバル化がますます進展する中、外国人を初めとした多様な人材を活用し新たな活力を生みだしていくことは、今後の広島県の経済、地域社会の発展にとって不可欠であり、とりわけ外国人の円滑な受け入れ定着のためには、企業や地域で安心して働き、暮らすことができる環境の整備が極めて重要であると認識しております。  このため、県では、今後受け入れの拡大が見込まれる外国人が貴重な戦力として県内企業で活躍し、地域社会の一員として安心して暮らせるよう、外国人材の受入・共生対策プロジェクト・チームを設置し、各局が連携して就労環境と生活環境の両面から必要な取り組みを迅速かつ総合的に検討・実施しているところでございます。  具体的には、外国人の円滑かつ適切な受け入れに向け、外国人相談窓口の多言語化や医療通訳ボランティア派遣の拡充などに取り組んでいるところであり、来月からは県内企業を対象として、文化や習慣等の違いによる留意点や、コミュニケーションの課題、対応策などを内容とするセミナーを開催することとしております。  また、現在、県内で就労されている外国人やその受け入れ企業等を対象といたしまして、日常生活や職場での不安や課題などを把握する調査を実施しており、今後は、この調査結果や国の総合的対策も踏まえながら、市町等との連携のもと、外国人にとって働きやすい就労環境の整備とともに、日本人と外国人との相互理解を促進するための取り組みや、医療・福祉、教育などの分野における取り組みを迅速かつ総合的に実施してまいります。  このような取り組みを通じまして、企業において外国人が活躍でき、外国人にとって住みやすい地域となることで外国人から選ばれる広島県を目指し、全力を尽くしてまいります。  次に、県有地信託事業についての御質問でございます。  まず、信託事業の所期の目的と成果でございますが、公有地信託制度は、地価高騰により公有地売却が抑制されていた中、信託銀行の資金力やノウハウを活用して未利用公有地の一層の有効活用を図るため、昭和六十一年に創設された制度であり、本県は、この制度を活用し、福山市と広島市において事業に取り組むこととしたところであります。  エストパルクにつきましては元福山東警察署跡地、広島クリスタルプラザにつきましては元広島水道建設事務所跡地で、いずれも市内中心部に位置しており、未利用のまま放置すると市内中心部の土地利用の停滞を招くことから、信託制度を活用してスポーツジム、賃貸オフィス等の複合施設を建設したものであり、都市機能の維持の面では一定の成果があったものと考えております。  しかしながら、経営の面では、当初見込んでいた収益は上げられず、結果的には多額の借入金債務を残すことになったところであり、財政的には失敗した事業と言わざるを得ない状況でございます。  次に、これまでに講じてきた収支改善対策でございます。  バブル経済の崩壊を受け、事業の開始段階から計画と乖離する経営状況となったことから、県といたしましても建物の管理運用を担う信託銀行に対し、テナント確保の営業や賃料増額交渉の強化による収入の増加を要求するとともに、借入金の利率の引き下げや修繕方法の見直し、管理委託業務契約の見直しなどを強く要請し、経費の削減を図ってまいりました。  次に、信託事業を終了させるタイミングについてでございますが、二つの信託事業におきましては、多額の借入金債務が残ることが確実な状況の中、他の自治体と信託受託行による借入金の処理をめぐる訴訟が行われていたため、その状況を注視し、県の負担が軽くなる方策を検討してきたところでございます。  これまで二つの自治体で六件の訴訟が提起され、平成二十六年度に最後の判決が確定したところでございますが、全て自治体側の訴えが退けられるものとなっておりまして、こうした状況を踏まえて、他の自治体で公有地信託の訴訟を担当した弁護士等と協議したところ、訴訟を行っても勝つ見込みが乏しいという御意見をいただいたところでございます。  また、仮に訴訟を起こし敗訴した場合には、残った債務に年六分の法定利息を請求されることとなり、広島クリスタルプラザで試算いたしますと、約六十九億円の借入金債務に対しまして、裁判期間が一年で約四・二億円発生することなども考慮したところでございます。  一方、広島市内の地価公示価格は平成二十六年から上昇傾向にあり、平成三十年から令和元年の対前年増加率が一〇%以上の伸び率を示すなど、不動産市況が好調であることから、この時期を逃さず信託期間の満了前に売却することを決断したところでございます。  次に、今後、信託財産を売却するに当たって重要視して取り組んでいる点についてでございます。  一点目は、信託建物はいずれも新耐震基準に基づいて建設されておりまして、経済的耐用年数で二十年以上も残しており、また、入居率も高い水準を現状維持しておりますので、現状の賃貸オフィスビルとして引き続き都市機能の維持・向上に資する形で売却することでございます。  二点目といたしましては、不動産市況が好調なうちに一般競争入札によりできるだけ高値で売却することで、県民負担の最小化を図ることでございます。  最後に、リスクマネジメントの徹底についてでございますが、信託事業の実施により多額の債務が残る見込みとなり、それを県民の負担により処理せざるを得ない状況に至ったことについては、大変厳しく重く受けとめているところでございます。  これから事業の清算手続と並行いたしまして事業を総括することとしておりますが、外部の有識者等の意見もお伺いしながら客観的にまとめることが極めて重要と考えております。  このため、議員から御指摘のありました所期の目的と成果、収支改善対策の効果、事業の清算に至る判断の内容とタイミング、最終的な収支やまちづくりへの貢献などの点について、しっかりと検証を行い、後の県政運営に反映できるように取りまとめ、御指摘のありました大型投資事業に対するリスクマネジメントの徹底などの面で活用してまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長中本隆志君) 健康福祉局長田中 剛君。         【健康福祉局長田中 剛君登壇】 7: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 県民が安心して暮らすことができる医療政策についてお答えします。  県内のどこに住んでいても安心して医療を受けることができる体制を維持するためには、県全体として十分な医師数を確保する必要があり、現在、広島県地域医療支援センターを中心として、県外での説明会開催等による臨床研修医の確保に向けた支援や、ふるさとドクターネット広島による情報発信を通じた県内就業の促進などの取り組みを行っております。  しかしながら、医師の地域偏在がいまだ解消されていない要因としましては、勤務地や診療科の選択が医師個人の裁量に委ねられており、多くの臨床経験を積むことができる都市部へ医師が集中する傾向にあるためと考えております。  このため、本県といたしましては、今年度医師の確保に係る計画を策定する中で、医師偏在指標等に基づき医学部地域枠や自治医科大学の卒業医師などを県東部地域や中山間地域に計画的に配置する一方で、若手医師が十分な臨床経験を積めるよう、キャリア形成にも配慮しながら大学や市町、医師会等との各関係者との合意形成を図ってまいります。  また、国に対しても、知事会などと連携し、医師が少ない地域での勤務に対するインセンティブや、医師不足が深刻な診療科における安定的な医師確保対策など、抜本的に制度を見直すことについて、引き続き、要望してまいります。 8: ◯議長中本隆志君) 総務局長小寺 洋君。         【総務局長小寺 洋君登壇】 9: ◯総務局長(小寺 洋君) 旧広島陸軍被服支廠の安全対策についてお答えいたします。  旧被服支廠は最大級の被爆建物であり、これまでも保存を含め、その活用について検討を行ってまいりましたが、施設の規模が大きく、保存・活用のための耐震化等に多額の費用が見込まれるなどの課題があるため、具体的な方針が決まっていない状況となっております。  旧被服支廠の西側には、幅員四メートルの市道を挟んで多くの民家が建ち並んでおり、市道の通行者も多い状況にありますことから、安全対策の実施は喫緊の課題であると認識しております。  今年度におきましては、昨年の大阪北部地震によるブロック塀倒壊事故を踏まえた全庁的な取り組みの一環として、三棟ある県所有の棟と棟の間をつなぐブロック塀等の撤去と代替フェンスの設置を行うとともに、建物西側の壁面補強調査業務を来月から着手する予定としております。
     建物本体の安全対策の規模や程度につきましては、旧被服支廠の保存規模や活用の態様とも密接に関連いたしますことから、今後、県として三棟をどうしていくか、考え方を整理した上で、建物本体の安全対策に着手する必要があると考えております。  このため、旧被服支廠が有する価値等について、平和、建築などの関係者や有識者から御意見を伺ったところ、旧被服支廠の建物には、被爆の実相を伝える被爆建物としての価値、慰霊・鎮魂の場としての価値、最古級の鉄筋コンクリート造建築物としての学術的価値などの価値があるとの御意見をいただいたところでございます。  現在、こうした御意見も踏まえ、将来の保存・活用の可能性も念頭に置いた上で、費用面等も考慮しながら県としての実現可能な安全対策を検討しており、令和二年度当初予算要求に必要な費用を盛り込めるよう、対応案を整理し、議会へ説明できるようにしてまいりたいと考えております。 10: ◯議長中本隆志君) 警察本部長鈴木信弘君。         【警察本部長鈴木信弘君登壇】 11: ◯警察本部長鈴木信弘君) このたびの着任に際し、警察行政を進めるに当たっての決意を申し上げます。  初めに、本県の警察本部長として着任いたしましたことについて、まことに光栄で身の引き締まる思いでございます。  さて、本県のこれまでの治安情勢を見ますと、刑法犯認知件数や交通事故発生件数は減少を続けているところであり、こうした傾向については維持できるよう努めていかなければならないものと認識しております。  一方で、令和二年に向けて取り組んでおりますアンダー八〇作戦につきましては、昨年の特殊詐欺被害総額は五億円以下に抑止できたところですが、交通事故死者数は九十人を超えるなど、抑止目標の達成に至っておりません。  さらに、差し迫ったものとして、十一月のローマ法王の本県への御訪問に係る警備諸対策、そして、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた国際テロ対策などがございます。  これ以外にも、サイバー空間の脅威の深刻化や、児童虐待等に係る子供の安全確保、高齢者が当事者となる交通事故、ストーカー・DVなど女性が被害者となる人身安全関連事案を初めとする各種事案の相談や取り扱い、組織犯罪対策等について、予断を許さない状況が続いております。  これらに対しましては、関係機関や団体等と連携・協力して、そのそれぞれに適切に対処してまいりますとともに、被害の減少に向けたさまざまな取り組みを推進してまいります。  そして、広島中央警察署における証拠品の多額盗難事件に関しましては、引き続き、事件の解決に向けて捜査に全力を尽くしてまいります。  最後に、県警察では、本年の基本方針として、安全・安心を県民とともに築く力強い警察を掲げておりますが、近年、全国的に大量殺傷事件等の重大な凶悪事件や、本県も含めて大規模な自然災害が相次いで発生しているところです。  県民が信頼を託すにふさわしい力強い警察であるために、事態対処能力、危機管理能力のさらなる向上に向けてたゆまぬ努力を続けてまいる所存でございます。  また、県民誰もが穏やかで幸せな暮らしを実感できる日本一安全・安心な広島県の実現には、これまでもそうであったように、これからも、県議会の皆様を初め、県民の皆様の御協力が欠かせないものとなります。  これまでの御協力に謝意を表しますとともに、今後の警察行政の運営に当たりましては、県民の皆様からの信頼をより確実なものとすべく、職員一丸となって全力を尽くしてまいる所存にございます。 12: ◯議長中本隆志君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時二十六分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時開議 13: ◯議長中本隆志君) 出席議員六十名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。高田 稔君。         【高田 稔君登壇】 14: ◯高田 稔君 皆様、こんにちは。民主県政会、安芸郡区選出、新人の高田 稔でございます。今次定例会におきまして一般質問の機会を与えていただきました中本議長を初め、先輩、そして、同僚議員各位に心より感謝を申し上げます。  また、本日傍聴に駆けつけていただいた支援者の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました。これからも引き続き叱咤激励をよろしくお願いいたします。  さて、私は一九八四年に広島の民間企業に入社以来、三十四年間一貫して自動車の開発業務を行ってまいりました。そして、このたび、三期十二年間県政発展に尽力された岩下智伸元県議会議員の後継者としてバトンを託していただき、きょうに至っております。  広島県はこれまで、ものづくりを中心として発展してきました。平成二十八年度県民経済計算結果によれば、県内就業者の約二割に当たる約二十七万人の雇用と、県内総生産の約三割に当たる約三兆五千億円が製造業によるものでした。本県のものづくりにおいて大きな割合を占める自動車産業は今、百年に一度の大変革の時代の中にいます。いわゆるコネクティッド、自動化、シェアリング、電動化など、超大物の技術革新が急速に進み、新しい競争ルールで、新しいライバルたちと存続をかけた闘いを強いられています。このような状況下において今後広島県がさらに発展するためには、強みであるものづくりをどのように変革していくかが鍵になると考えています。私は主にこの観点に軸足を置きながら、広島県全体の明るい未来に貢献していく所存でございます。  それでは、質問に入らせていただきます。  最初に、災害に強いまちづくりに対する取り組みについて、三点お伺いいたします。  一点目は、災害復旧事業などの完了に向けた見通しについてです。  広島県では、昨年九月に平成三十年七月豪雨災害からの復旧・復興プランを定め、安心をともに支え合う暮らしの創生、未来に挑戦する産業基盤の創生、将来に向けた強靱なインフラの創生、新たな防災対策を支える人の創生の四つの柱により施策を展開されています。そして、砂防ダムや治山ダムなどの緊急整備が必要な百七十カ所については、令和元年度末までに全ての工事を完了することを目指すとされておりました。  ところが、九月四日に発表された最新の進捗状況では、今年度末に完了見込みの工事は四十二カ所のみであり、全体の二五%との報告がありました。その要因としては、測量や設計の労務者不足、用地取得に関する工数拡大、現場条件の悪い工事の不調・不落が挙げられていますが、いずれも当初から想定ができていたものであり、もう少し早いタイミングで手を打てなかったのか、残念でなりません。  また、不調・不落の対応として、技術者の資格要件の緩和などがなされていると聞いています。確かに、不調・不落の対応にはなりそうですけれども、一方で、ただでさえタイトなスケジュールの中でなれない作業が加わることで、危険な状態となることなどが想定されます。現に、熊本地震の災害復旧工事では、二〇一六年四月の発災から二〇一七年十二月末までに二百四十二件の労働災害が発生し、うち十件が死亡災害になっています。  工事を急ぐと同時に工期中の管理監督も十分に行い、労働災害の未然防止を図るといった総合的な目配りをしながら、復旧・復興を推進していくことが求められていると考えます。  そこで、百七十カ所の災害関連緊急事業だけでなく、他の河川や道路の災害復旧事業二千五百五十カ所について、令和二年度末までの完了に向けて、どのようなシナリオを描き、達成に向けてどのような見通しを持っているのか、知事にお伺いいたします。  次に、ソフトの対策についてお尋ねします。  ハードの対策がおくれていることがございますが、そもそもハードでの対策は、あくまで災害の発生をおくらせる、あるいは被害の程度を小さくするためのものだと考えれば、並行してソフトの対策が必須であるのは言うまでもございません。その一つが、適切な避難行動を促す活動です。このうち、県では既に十一組織について避難呼びかけ体制マニュアルの作成を主導されており、今後その対象をさらに二十二組織に拡大する計画となっています。そして、これまでの活動の成果として、避難する際に近所に声かけをするようになった、ひとりでは避難が困難なお年寄りを車で運ぶようになった、あるいは地域における自分の役割がはっきりしたなど、着実に前進しているように思われます。  一方で、この成果が意識の高い特定の人だけに偏っていないかが心配されます。なぜなら、県が聞き取りした避難所に避難された方の割合を見ると、ことしの六月及び七月の警戒レベル四発令時、モデル自主防災組織のある海田西地区で二・二二%、熊野葵団地地区で六・五六%、坂小屋浦地区で四・九六%と、非常に小さい値になっております。もちろん、この数字には、業務があり職場にいた、親戚など避難所とは別の安全な場所に避難したなど、さまざまなケースが考えられます。したがって、この数字自体に惑わされる必要はないと思います。  ただし、問題は、実態が正しくつかめていないということであり、このままでは対策も曖昧なものになってしまうのではないかと心配いたします。例えば、お年寄りや子供、ハザードマップのレッドゾーンやイエローゾーン、避難所までの距離など、緊急度が高い人と、それほどでもない人を細分化し、それぞれに適した効果的な対策について検討していただきたいと思います。  広島県は土砂災害警戒区域の数では断トツで全国一位であり、これまで被災された方のさまざまな苦難を無駄にしないために、広島県でベストな方法を構築し、そして、広島県が考えたこのベストな方法を全国に展開するのだという気概を持って取り組むべきだと思います。  そこで、避難行動を促すための取り組みについて、いつまでにどのレベルに達成させるのか、その目標と達成に向けた計画について知事にお伺いいたします。  あわせて、現在取り組まれている行動科学などの知見を活用した避難行動の研究などの進捗状況と今後の課題についてお伺いいたします。  三点目として、中小企業の災害準備状況を示すBCP──事業継続計画について質問いたします。  相次ぐ自然災害に見舞われる中、企業においては、緊急事態が生じても、経営資産への影響を最小限にとどめ、事業の継続や早期復旧が行える準備をしておく必要があります。このための取り組みがBCPの策定ですが、二〇一九年六月の帝国データバンクの調査によると、広島県の企業のうちBCPを策定する意向がある企業は四二・六%で、全国平均の四五・五%より低い三十三位という結果でした。  このような中、広島県でも、既に緊急時レジリエンス環境整備事業としてワークショップなどを開始され、中小企業のBCP策定を支援する取り組みを進めておられますが、これまでの活動によりどのような成果が上がっているのか、また、今後の目標とその達成シナリオについて知事にお伺いいたします。  次に、広島県のものづくり産業の展望にかかわって、三点質問いたします。  一点目は、十年後の広島県の産業構造についてです。  広島県は、歴史的に、たたら製鉄に端を発し、造船、機械、自動車といったものづくりにたけた土地柄であり、その背景には、チャレンジ精神、不屈の精神などの気性があるとされています。また、冒頭申し上げたように、現在でも広島県の就労者の二割はものづくりに従事し県内総生産の三割を占めるなど、その風土と精神は脈々と受け継がれています。  こんな中、将来にわたり広島県の活力を維持するためには、経済を支えてきたものづくり産業のさらなる強化が必要であり、そのためには、AIやIoT、ロボットなど、いわゆる第四次産業革命により、生産性をさらに向上し、潜在成長力を強化することが求められています。県下においても、モデルベース開発という、研究から開発、生産、サービスに至るまで、関連する企業や研究機関が仮想空間上でモデルを共有化し、シミュレーションを活用した効率的な製品開発を行う取り組みが行われております。  このように、ものづくり産業を取り巻く環境が急速に変化する中、今後の県内の産業構造をどのようにしていくのか、慎重なかじ取りが必要だと思います。  そこで、急速な環境変化の中、十年後の広島県の産業構造をどのようにすべきとお考えか、知事の構想をお聞かせいただきたいと思います。  また、それに向け、具体的に強化すべき領域は何なのか、その実現に向けた取り組みの進捗状況と課題について、あわせてお伺いいたします。  次に、ものづくりを支える技能者についてお伺いいたします。  昨今の米中貿易摩擦や欧州ブレグジットの影響など、世界の経済情勢の見通しは決して楽観できるものではございません。その一方で、現在、県下では、有効求人倍率が二倍を超える状況が続いており、さらに今後は、少子高齢化や首都圏一極集中により、広島県の労働人口の一層の減少も予想されます。このため、本県のものづくり産業の持続的発展に向けて、今後、優秀な技能者の確保のための取り組みがさらに重要になると考えております。  前述したとおり、ものづくりにおいても、AIやロボットなどの先進技術が普及してきます。しかし、ここで忘れてはならないのは、これらの先進技術は地道なものづくり技能の継承なしには不可能であるということです。ロボットは確かに高度な精度で組み立て、加工などを行いますが、それは高度な技能者のわざを分析した結果として設計されるものです。技能者がいなくなれば、ロボットは進化ができず有効活用できません。つまり、技能者のレベルが常に競合上優位でないと、先進技術の競争力を保てないということになります。  一般的に技術は、文書化、数値化、図面化などの視覚化ができるため、多数の人に文書をもって比較的容易に伝達が可能です。これに対して技能は、人の細かな動きと密接にかかわり一般化できないため、その伝達は人から人への見よう見まねが基本になり、時間がかかります。例えば、自動車の外観をつくり出すモデラーでは、自分の手のひらの感覚を研ぎ澄まし駆使することで、細部まで魂の宿った、人間の手の温かみが感じられるモデルをつくり出すことができます。また、すぐれたテストドライバーは、数百メートル運転するだけで、数万点の部品から成る自動車のわずかな不調を感じ取ることができます。組み立てや加工の作業者であっても、絶えず工夫を重ね改善、進化をしていきます。  このように人間の五感と能力をフル活用した、熟練した技能については、一朝一夕にAIやロボットに置換できるものではありません。広島県におけるものづくりの技術、技能と精神は大事な財産であり、広島の強みとして将来に向けて継承すべきものと考えています。このような技能を持った人材を広島で育て根づかせるために、県としても技能者のレベルアップ、ステータスアップ、モチベーションアップに積極的に取り組むべきと考えます。  そこで、ものづくり県である広島にとっての技能者の重要性をどのように考えているのか、また、その育成に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  三点目として、ものづくりの将来への布石の観点からお尋ねします。  地球温暖化防止という観点から、自動車から排出される二酸化炭素の削減は重要な課題であり、広島県においても、電気自動車──EVの普及を図るため、ひろしまEVタウン推進事業などを通し、充電設備の整備などに取り組まれてきました。  一方で、電気自動車であっても必要な電気を発電するために石炭などの化石燃料を燃やし二酸化炭素を排出してしまうことから、燃料の採掘から実際に自動車が走行するときに排出するトータルの二酸化炭素の量で見るウエル・ツー・ホイールが重要であると考えております。今後、太陽光エネルギーなど、発電時に排出する二酸化炭素が少ない自然エネルギーの導入をさらに進めることで初めて、電気自動車の優位性が出てきます。  このことも含め、グローバルでは、IEAの報告書によりますと、二〇四〇年においても、内燃機関を搭載した自動車が市場の販売台数の八割以上を占めると予想されています。この認識に基づき、県内の自動車産業では、燃費の改善を初めとする内燃機関の進化に軸足を置き取り組んでおり、広島県としても研究開発の支援を行っております。  また、一般的に、内燃機関で利用しているガソリンや軽油などの化石燃料をバイオマス由来の燃料に置きかえることができれば、二酸化炭素の排出を大幅に抑制できると言われております。既に、バイオ燃料の実用化や普及に向けて、広島県も参画しているひろしま自動車産学官連携推進会議で、バイオ燃料の地産地消に向けた実証事業の取り組みがなされておりますけれども、実用化に向けては、さらなる加速が必要と考えます。  そこで、バイオ燃料の実用化や普及に向けて、今後、広島県としてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  ものづくり関連の質問の最後に、要望を述べさせてください。  歴史から見ても、現状を見ても、広島県の強みの一つはものづくりであることは、疑う余地はないと思います。この資源を有効活用しながら将来に生かしていくために、子供たちへのものづくり教室や、ものづくり体験やものづくり観光ルート、さらにはその起点となるものづくりミュージアムというようなものがあってもよいと私は思っております。他県にはない、先人たちから受け継いできた、広島県の大事な資産ですから、これを生かすことをぜひとも考えていただきたいと思います。このことを要望して次の質問に移ります。  次に、高齢者による事故防止に関する県の取り組みについて質問いたします。  幼い子供たちの命を奪ってしまうなど、全国的に、高齢者による痛ましい事故が多発しています。一方で、警察庁の運転免許統計などによる二〇一八年、広島県の七十五歳以上の運転免許保有率は三四・一%であり全国平均の三一・四%よりも高く、返納率は四・八%と全国平均の五・二%よりも低く二十七位となっていました。これは、丘陵部の住宅団地や中山間地域が多く、移動の手段がなく、マイカーと免許が生活の必需品となっていることを示しているものと思われます。  実際、昔はこの団地の坂がこんなに厳しいとは思わなかった、今は到底車なしでは考えられんというふうな話は、いろいろなところで耳にしてきました。また、九月五日の朝日新聞では、高齢者が運転をやめると、活動量が減り健康度が下がり要介護のリスクが二倍になったという、筑波大学の研究結果が報告されていました。  そんな中で、広島県においては、免許返納の促進や免許返納後に不可欠な生活交通の維持確保を行うための支援を行われていますが、必ずしも十分なものになっていないと感じております。一方で、六月十八日付の内閣府の未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策では、高齢者の安全運転を支える対策として、安全運転サポート車の普及推進及び限定免許制度の検討や高齢運転者に優しい道路環境の構築、免許証返納後の日常の移動を支える対策として、タクシーの相乗り導入に向けたルールの整備など公共の交通機関の柔軟な活用、自動運転技術などの社会実装など積極的で具体的な方向性が示されています。  ものづくりの広島県としては、お年寄りがいつまでも生き生きとカーライフを楽しめるように、安全運転サポート車の普及や道路環境の整備を行うこと、そして、将来に向けた自動運転技術の社会実装の取り組みなどを積極的に実施すべきと思います。  そこで、高齢者ドライバーの事故防止及び免許返納後の生活支援について、県として中長期的な総合戦略を確立し、部局横断的に施策を推進すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、広島市東部地区連続立体交差事業の進捗についてお伺いいたします。  この事業は、線路によるまちの分断や交通渋滞の対応として二十年以上前に構想されましたが、平成十一年、当初の都市計画決定以降、幾度も完了時期の延伸や事業見直しが行われ、昨年二月にやっと最終的な見直し案が合意に至ったところでございます。  悪天候や事故でダイヤが乱れ踏切が開かなくなるたびに踏切の前で交わされていた会話は、二十年前は、何年か後には高架ができるらしい、いずれ便利になるからしばらく我慢しようというものでした。しかしながら、最近では、どうせわしらが定年するまでには完成することはない、行政のやることはわからんねと変わってきております。  また、東部連立の完成に合わせて整備を行う計画の向洋駅周辺では、下水の整備が進まず、天候によってはひどい異臭を放ちます。道路の開発も軒並みおくれ、立ち退き後放置され、草ぼうぼうになった空き地があちらこちらに点在し、町全体の魅力を大きく損なう結果となっております。  そんな中で、五月十六日の県報において都市計画変更が告示され、やっと事業が前に進み始めたものと、明るい兆しを感じております。  そこで、広島市東部地区連続立体交差事業について、都市計画変更告示から四カ月が経過いたしますが、国の事業認可の手続は現在どのようになっているのでしょうか、また、完成に向けたスケジュールはどのようになっているのか、事業推進上の課題と対応をあわせ、知事にお伺いいたします。  次に、コミュニティースクールに対する県の取り組みについて質問いたします。  コミュニティースクールは、保護者や地域住民などにより構成する学校運営協議会が学校運営の基本方針を承認し、さまざまな意見を述べることを通して、学校、家庭、地域の相互理解と協働を促進していくという制度です。広島県では長い間導入が進んでおりませんでしたが、平川教育長のもと、一気に導入に向けた取り組みが加速しております。  私の地元の府中町では昨年度から全ての学校がコミュニティースクールとなりましたが、激動の時代において、子供たちが、教員だけでなく、多様な人や考え方に触れることは非常に重要であり、また、地域全体の活性化にもつながる、とてもよい取り組みであると思っております。  また、保護者や地域住民が学校運営に参画することで、教職員の負荷の軽減という観点でも効果が出ていると聞いており、非常に有効な施策として、将来にわたり継続的に、そして、さらに効果的なものに発展、成長させていく必要があると思います。そのために一番必要なことは、学校運営協議会の委員やコーディネーター、サポーターといった立場で、多様な人々に参画してもらえるようにすることだと思います。  しかしながら、ボランティアを前提としたやり方がとられているため、どちらかといえば、意識の高い方々が活動に参加されているというのが実態です。その一方で、仕事などの制約があり残念ながら活動に参加できていない方や、コミュニティースクールの存在や意図そのものを知らず全く協力していただけない地域の方々もいらっしゃるようで、より多くの方々の協力体制を構築するための取り組みが必要ではないかと考えます。  そこで、現在の広島県におけるコミュニティースクール導入の進捗状況をどのように評価されているのか、また、制度が持続的に発展していくためにどのように取り組んでいくおつもりか、教育長の御所見をお伺いいたします。  最後に、広島県職員の行動理念についてお尋ねしたいと思います。  新人のくせに、何を生意気な質問をしているのかと思われるかもしれませんけれども、逆に、新人の今しかできない質問だろうと考え、あえてこの質問をさせていただくことにしました。とにかく、これまで民間企業で働き、一般的な県民であった私が、県議会議員に選んでいただいてから五カ月、ずっと違和感を感じ続けていることですので、お許しください。  広島県職員の行動理念は、県民の信頼と負託を全ての出発点とし、社会を構成するさまざまな主体と連携しつつ、地域社会全体の価値を高め、発展させ、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県を実現していくことを職員の使命とし、三つの視座、すなわち県民起点、現場主義、予算志向から成果志向への転換、三つの心がけ、すなわち卓越、スピード、リーダーシップをベースとした、職員の行動の基本となる価値基準を定義しております。そして、ホームページ上では、この理念に沿った職員の優秀な行動事例が毎月紹介されております。このように、職員お一人お一人は、行動理念の実現に向かって着実に努力されていることは間違いないと思っております。  しかしながら、一方で、県の施策のアウトプットという面では、この理念を疑いたくなる残念な部分が散見されます。安芸郡の事例で言いますと、天地川上流の砂防堰堤は、平成十九年に事業着手し、当初は五年後に完成の予定でしたが、平成二十三年度に、事業完成時期が平成三十二年度に見直されました。また、先ほど申し上げました広島市東部地区連続立体交差事業では、平成十三年度に事業認可を取得し、当初は平成二十七年度に完成の予定でしたが、事業の見直しなどがあり、いまだに事業に着手できておりません。  一般的に、大きなプロジェクトを効率的に成功に導くためには、納期や予算などの目標、計画を定め、多様な参加者が共有化し、ベクトルを合わせることが非常に重要となります。しかしながら、県の公共事業においては、いまだに予算志向が根強く、住民や参加者を含めて全体最適に導くリーダーシップも欠如しているように見受けられます。  また、県有地信託事業の事例では、バブル期のもくろみどおりに賃料や入居率を確保できなかったことが原因ではございますが、大阪市では同様なケースについて十年以上前に方針を定め、清算に向けてかじを切っております。この事例では、大事な税金を預かっているにもかかわらず、意思決定のスピードに問題があるように思われます。  また、昨年の災害を受け、復旧工事の進捗状況がホームページなどで示されるようになりました。しかしながら、県、国、市町と事業主体が複数ある中で、情報公開の方法に統一性がなく、一般県民にとっては、決してわかりやすいものにはなっていません。この事例では、県民起点の発想が弱く、国や市町と連携して卓越したサービスを行うという心がけも弱いように見受けられます。  これらは、一般県民あるいは民間の視点からすると非常に違和感があります。そして、これを改善していくためには、マネジメントの考え方やシステムの変革が必要と思われます。  そこで、民間の経験もおありの知事の目から見て、広島県職員の行動理念の浸透状況をどのように捉えていらっしゃるのか、また、今後、さらなる徹底に向けてどのように取り組んでいかれるのか、浸透に向けての課題も含め、お伺いいたします。  以上で、私からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 15: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 16: ◯知事湯崎英彦君) まず、十年後の広島県の産業構造についての御質問でございます。  本県は、戦後の造船、自動車、鉄鋼など重厚長大産業の発展期や二度の石油危機等を経て、重厚長大に偏った産業構造から特定分野に依存しない産業構造への転換を目指し、電気、電子など将来の成長性が見込まれる産業の集積を進めてまいりました。  特にこの十年間は、ひろしま未来チャレンジビジョンに基づき、ものづくり産業における世界トップレベルの技術集積を生かしつつ、新しい産業が生まれ育ち、社会経済情勢や市場の動向に柔軟かつ的確に対応できるイノベーション立県の実現を目指す姿とし、新たな産業の育成や基幹産業の競争力の強化を目標に取り組んでまいりました。
     その結果、ものづくり産業のデジタル技術の活用促進や産学官連携の推進、高度で多彩な産業人材の集積、県内外の人材等のマッチングによる新規創業や新たな事業化プロジェクトの創出などの成果があらわれてきております。  今後の十年につきましては、AI、IoT等の急速に進む技術革新や環境・エネルギー問題、人口減少・少子高齢化による人手不足の深刻化、東京一極集中や地域間競争の激化、グローバル化の進展などの急速な環境変化や社会的課題への対応の必要性が予測されます。  こうした状況におきまして、十年後の産業構造を見通すことは大変困難であると認識しており、今後の県内企業の持続的発展のためには、これまでも取り組んでおりましたイノベーション創出に向けた産業基盤横断的な施策として、高度で多彩な人材の育成・集積、デジタル技術の強化や創業の活性化、イノベーションを実現しようとする多様な人々のネットワークの構築、地域での産学金官連携推進などにより一層注力するとともに、イノベーションが次々と実現する事業環境であるイノベーション・エコシステムの構築を進めることが必要であると考えております。  また、本県が持つ技術や産業分野の強みを生かした分野別の産業振興施策として、本県基幹産業のさらなる進化、観光関連産業など成長産業の基幹産業化、今後の市場の成長が見込まれる医療関連分野・環境関連分野産業の育成、さらに、広島の新たな強みの育成として、今後の可能性を追求することのできるゲノム編集技術、カーボンリサイクル技術などの活用にも取り組む必要があると考えております。  これらの推進に当たりましては、これまでの十年の取り組みをしっかりと検証した上で、中長期的な環境変化の予測に基づく対応策をひろしま未来チャレンジビジョンに続く次期広島県総合計画において検討してまいります。  今後とも、創意工夫を重ねた施策を粘り強く推進し、本県産業の持続的発展やイノベーションが次々と生まれてくる社会システムへの転換の実現に向けて取り組んでまいります。  次に、技能者の育成についてでございます。  第四次産業革命が進展し、AIやロボット、IoTなどの新技術が普及、進化する中にありましても、卓越した技能は、ものづくりの技術を進化、革新させていく上で不可欠であり、デジタル化することが困難な領域にあっては、引き続き重要なものであると考えております。  また、今後は、高度な技能とデジタル技術の融合により、ものづくり分野のデジタル化にも対応できる技能者の育成も求められております。  このため、IoTネットワークを活用した実習トレーニングやセミナーの開催、実務的データを分析、活用することで現場の課題を解決するデータサイエンス分野の社会人向け人材育成などにより、デジタル化への対応にも力を入れているところでございます。  今後とも、卓越した技能の育成、承継に取り組むとともに、第四次産業革命の進展によるデジタル化へも対応できる力の育成に努めてまいります。  次に、高齢者運転事故防止に対する県の取り組みについてでございます。  交通事故を防止し、安全で安心な広島県を実現することは、県民の皆様全ての切なる願いであり、高齢化が進行する中、高齢者の運転による交通事故を防止するとともに、自動車の運転に不安を有する高齢者が運転免許証を返納しやすい環境を整備することは重要であると認識しております。  高齢の運転者に対する交通事故防止対策としては、安全運転サポート車の試乗や動画シミュレーターを活用した参加・体験型の交通安全講習などにより安全運転意識の向上を図っております。  一方、高齢者の運転による死亡事故など重大な事故は後を絶っておらず、操作ミスの要因であります運転中の慌てやパニックを防ぐための危険予測能力を高める交通安全教育など、事故防止の対策をさらに強化する必要があると考えております。  また、運転免許証返納後の生活支援につきましては、県内七市町がタクシー利用券や交通系ICカードを配付して高齢者の交通手段の転換を図る取り組みを行っており、これらの市町では運転免許証の自主返納者が大幅にふえたことから、他の市町にもこうした取り組みが広がるよう働きかけていくとともに、地域の日常生活を支える公共交通ネットワークの維持・確保にも努めていく必要があると考えております。  現在、平成二十八年度から令和二年度を計画期間とする第十次広島県交通安全計画において、高齢の運転者への対策や地域の交通実態に即した道路交通安全対策等を総合的に推進しているところでございますが、引き続き、庁内関係局で構成する交通安全対策室や、行政機関と交通関係団体などで構成する広島県交通対策協議会等の場において、関係者で協議し、協力して取り組んでまいります。  次に、広島県職員の行動理念についてでございます。  行政は、民間企業以上に組織全体での使命や価値観、行動理念を共有した上で、同じ目標に向かって一丸となって業務に取り組む必要があると考えております。  こうしたことから、本県では、平成二十二年三月に広島県職員の行動理念を職員が議論して策定し、全ての職員が日々の業務遂行に当たっての判断のよりどころとして、守るべき価値観や行動指針を明文化したところでございます。  行動理念の普及浸透につきましては、これまで、職場での掲示や毎朝の唱和、新規採用者から管理職員までの全階層における研修の実施、行動理念に基づいた優良な行動事例をベストプラクティスとして毎月選定するなどの、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。  こうした取り組みを通じて、約八割の職員が、行動理念に基づいて業務を進めることが大事であるとアンケートに回答しており、県の仕事は全て県民のためにあるという原点に立ち返って判断し、現場によりよい変化を起こし、最小限のコストで、よりすぐれた成果を目指し、目標を達成しようとする意識や姿勢が浸透しつつあると感じております。  例えば、最近のベストプラクティスでは、朝ごはん推進モデル事業におきまして、当初は県費で食材を購入することとしておりましたが、担当職員が事業の継続性に課題があると考え、みずから企業に協力を求めて食材の無償提供を獲得したことに加え、栄養や安全面等に配慮した食材の提供を受けたことで関係者から一層の好評を得たという事例や、人口移動統計調査におきまして、推計人口の算出に用いるデータを市町から個別収集し手入力で集計する方法に担当者が疑問を感じ、関係者との調整により住民基本台帳ネットワークを活用し一括収集するよう改めることにより、正確性の確保と業務の効率化を図った事例など、多くの職場からすぐれた行動事例が紹介されております。  一方で、御指摘のありました公共事業などに関しましては、地元や関係機関との調整や事業着手後の状況の変化などさまざまな要因によりおくれが生じることもございますが、そうした中にあっても、県民起点の観点から工事の進捗状況をより丁寧にお知らせするなどの取り組みが必要であり、県民の信頼と負託に応えてよりよい県政を推進し、その成果を県民の皆様に実感していただくためには、県職員に行動理念が浸透するだけでなく実践できるようになることが今後の課題であると考えております。  このため、今年度は、行動理念に基づく職員の具体的な行動を見える化し広く共有することによって、さらに多くの職員が行動理念の実践について考える機会を創出し、日々の業務の中でその実践につなげていくベストプラクティスの一層の進化を図ることとし、ちょっとした工夫や地道な努力など、他の職員が自分にもできそうだと感じるような身近な事例を、職員ポータルを活用して幅広く募集して共有を図ることや、管理職員が掲げた職場単位での行動理念の浸透策についてフォローアップを徹底し、広く共有するための事例集を作成することなどを検討してまいります。  今後とも、職員一人一人に行動理念が習慣化され、血となり肉となり、職員全員が行動できること、すなわち、行動理念が本県の組織文化として定着するよう取り組みを徹底してまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 17: ◯議長中本隆志君) 土木建築局長齋藤博之君。         【土木建築局長齋藤博之君登壇】 18: ◯土木建築局長齋藤博之君) 災害復旧事業等の完了に向けた見通しについてお答えいたします。  災害関連緊急事業につきましては、被災者の皆様の安全が早期に確保できるよう今年度内の完了を目指し、全力で取り組んでまいりましたが、測量調査設計段階における人手不足や入札の不調・不落などにより工事におくれが生じていることから、このたび、県が実施する緊急事業について、完了目標の見直しを行ったところでございます。  今後の見通しにつきましては、県が実施する百七十カ所の全てを来年度中に完成させることとし、そのうち約六割の箇所につきましては、来年の出水期までに完成することとしております。  工事の完成が来年の出水期以降となる箇所につきましても、工期短縮につながるような工法を活用するなど整備の進捗を図り、現状よりも少しでも安全度が上がるよう、全力で取り組んでまいります。  災害復旧事業につきましては、被災箇所が多く広域に及んでいることから、県民生活や経済活動への影響などを考慮した上で優先順位を踏まえながら段階的に工事着手し、発災から三カ年での完了を目指すこととしております。  進捗状況につきましては、八月末時点で二千五百五十カ所のうち一千四百七十五カ所の工事を発注しており、二百五十五カ所の工事が完成しております。  さらに、今年度末までに全体の七割の工事を発注し、全体の約五割の箇所を完成させる予定としております。  今後も、計画的な発注と適切な工期の設定等により、工事の安全確保に配慮しつつ、不調・不落等への対応も適切に講じながら、来年度末の復旧完了に向けて全力で取り組んでまいります。 19: ◯議長中本隆志君) 危機管理監海田智浩君。         【危機管理監海田智浩君登壇】 20: ◯危機管理監海田智浩君) 避難行動を促すための取り組みについてお答えいたします。  昨年七月の豪雨災害において多くの被害者が出たことを踏まえますと、適切な避難行動につながる取り組みが必ずしも十分ではなかったものと受けとめております。  このため、昨年七月の豪雨災害により人的被害のあった市町から十一の自主防災組織をモデルとして選定し、市町と連携して地域住民の防災意識を高め、自主的な避難行動を行うことができる呼びかけ体制づくりを支援しているところでございます。  このモデル事業の成果をできるだけ早期に他の市町や自主防災組織へ波及させ、県内全域で自主的な避難行動ができる体制を構築していくことを目標とし、モデル数を二十二市町二十二組織に拡充するとともに、体制構築のノウハウや実例を取りまとめたマニュアルを作成し、今年度末には県内の各組織へ配付することとし、必要な予算を今定例会に提案しているところでございます。  さらに、防災リーダーや自主防災組織の役員を対象とした研修会を実施するとともに、市町と連携を密にして、土砂災害警戒区域など危険度の高い地域の自主防災組織から優先的に呼びかけ体制づくりに着手してまいります。  また、県民の早目の避難行動につながる有効な要素を導き出していくため、防災や行動心理学、行動経済学などの有識者から成る研究チームにおいて、昨年十月から実施した面接調査に続き、ことしの四月からは五千人規模の郵送調査を実施し、十一月には、二月に実施いたしました県民意識調査と同じ対象者へ追跡調査を行うなど、詳細に分析していただいているところでございます。  この調査・分析の中で避難行動を促進する可能性が高いメッセージがわかったことから、知事みずから県民の皆様に対して避難を呼びかけるメッセージとして発信するとともに、市町や報道機関にもその活用について働きかけているところでございます。  こうした中、ことしの五月末から警戒レベルの運用が開始されたものの、六月、七月の大雨の際の避難状況を見ましても、モデル組織では避難される方がふえるなど一定の効果が見られますが、決して十分とは言えない状況であり、県民の皆様に適切な避難行動を実践していただくことが一番の課題であると考えております。  今後とも、研究チームによる分析結果をもとに、次期出水期までに自助、共助、公助にわたる、より効果の高い被害防止策を構築し、市町や自主防災組織など関係者と連携して、県民の皆様の適切な避難行動につながるよう、取り組んでまいります。 21: ◯議長中本隆志君) 商工労働局長佐伯安史君。         【商工労働局長佐伯安史君登壇】 22: ◯商工労働局長(佐伯安史君) 私からは、二点についてお答えいたします。  まず、中小企業の事業継続計画策定の取り組みについてでございます。  事業継続計画、いわゆるBCPを策定することは、経済活動の早期復旧のみならず、企業の信用を高めることにつながるものであり、極めて重要であると考えております。  また、BCPの実効性を高めていくためには、単なる計画策定にとどまらない、平時から緊急時を意識し継続的に検証、見直しを繰り返し迅速に事業継続のための行動ができる状態──事業継続マネジメント、いわゆるBCMの構築を目指すことが必要であると考えております。  こうした考えのもと、県では、BCPの策定とBCMの構築の必要性についての理解を促すフォーラムや、事業特性や立地環境など事業者が置かれている個々の状況を踏まえた自社が求めるBCPの策定講座、策定したBCPの有効性の検証と継続的な見直しにつなげる机上演習を一つのパッケージとして取り組んでいるところでございます。  こうした取り組みを通じて、九月末時点で、フォーラム等に参加した約百六十事業者でBCPやBCMへの理解が深まるとともに、策定講座に参加した約六十事業者において、策定に向けた社内の体制整備や計画策定に着手したなどの成果があらわれてきているところでございます。  一方で、参加事業者の中には、防災対策と事業継続が混同し、策定済みとされている多くの事業者のBCPは、防災計画が中心で事業継続の要素が盛り込まれていないなどの状況にあることが明らかになったことから、より多くの企業においてBCPやBCMの意味、意義などを正しく理解していただく取り組みとともに、国等で行う策定支援の取り組みも活用したさまざまな支援を県内全域で展開していくことが必要であると考えております。  このため、今後は、中小企業強靱化法に基づき、国が進める事業継続力強化計画の策定サポート等の取り組みの有効活用や、産業支援機関向け説明会の開催によるBCP等に係る理解促進及び策定指導力の向上、業界団体やサプライチェーンを構築する協同組合への策定の働きかけなどによって、県内全域におけるBCPの策定割合を高めてまいります。  さらに、県といたしましては、こうした取り組みなどと連携しながら、BCPの策定に取り組む企業が非常時において迅速に事業継続のための行動ができる状態となることを目指して、積極的に取り組みを進めることで、緊急時における県内産業の事業継続力を高めてまいります。  次に、バイオ燃料の実用化に向けた取り組みについてでございます。  温暖化対策に関する国際的な枠組みであるパリ協定の目標達成に向け、国が昨年七月に策定した第五次エネルギー基本計画におきましても、バイオ燃料につきましては、運輸部門におけるエネルギー源の多様化、低炭素化の有効な手段の一つとして位置づけられており、国は実用化に向けた取り組みを進めているところでございます。  こうした中、県も参画するひろしま自動車産学官連携推進会議におきまして、サステーナブルな自動車社会の実現に向け、ウエル・ツー・ホイールの認知促進を図るシンポジウムを開催するとともに、次世代バイオ燃料の地産地消モデルの構築を目指し、ミドリムシなど微細藻類由来のバイオ燃料を使用した実証事業の準備を進めているところでございます。  また、広島大学においては、ゲノム編集技術を活用した次世代バイオ燃料用の微細藻類の高性能化に取り組んでおり、一部の市におきましても、住民から回収した廃食油を活用したバイオ燃料を精製するなどの取り組みが実施されているところでございます。  しかしながら、バイオ燃料の実用化や普及に向けましては、生産効率の向上、コスト低減、サプライチェーン構築など、さまざまな課題があると認識しております。  県といたしましては、大学などの技術開発の動向を踏まえ、ひろしま自動車産学官連携推進会議の活動をベースとし、バイオ燃料の実証事業に参画する県内企業をふやすとともに、国のエネルギー施策と連動した県内産業の活性化に資するバイオ燃料の活用方策につきまして検討してまいりたいと考えております。 23: ◯議長中本隆志君) 都市建築技術審議官友道康仁君。         【都市建築技術審議官友道康仁君登壇】 24: ◯都市建築技術審議官(友道康仁君) 広島市東部地区連続立体交差事業の早期完成についてお答えいたします。  広島市東部地区連続立体交差事業につきましては、ことし五月の都市計画変更後、国土交通省やJR西日本と鉄道高架の構造や施工方法などの協議・調整を進め、今月十七日に国土交通省へ事業認可の申請を行ったところでございます。  完成に向けたスケジュールにつきましては、事業認可後に鉄道の詳細設計や支障物件の移設などに着手し、その後、工事着手から十七年程度で鉄道高架が完成する見込みでございます。  なお、当事業は長期にわたることから、向洋駅周辺を一期区間、続いて海田市駅周辺を二期区間として工事を進めることとし、早期に事業効果が発現できる計画としております。  また、当事業の着実な推進に当たりましては安定的な財源が必要となることから、国へ予算確保の働きかけを行っているところであり、今後とも、共同事業者である広島市や府中町及び海田町と連携し、広島都市圏東部地区のまちづくりの推進に努めてまいります。 25: ◯議長中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 26: ◯教育長(平川理恵君) コミュニティースクールについてお答えいたします。  県立学校への学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティースクールの導入は、昨年度まではゼロ%でしたが、今年度、全ての学校に導入したことにより、一〇〇%に達したところでございます。  また、現在は、委員の任命手続を終え、第一回の会議を開催するなど、学校運営のビジョンの共有を進めているところでございます。  なお、市町立学校においては、七市町三十校で導入しているところでございます。  市町教育委員会に対しましては、県立学校に導入するメリットについて教育長会議等で説明したところであり、今後もさまざまな機会を通じて、県の取り組み内容等の情報発信に努めてまいります。  今後、この制度を持続的に発展させていくためには、辛口の友人、最大の応援団である学校運営協議会の委員が目標やビジョンの計画段階から参画し、育てたい子供像や目指す学校像等を共有して、当事者意識を持って議論するとともに、保護者や地域等との連携や協働の仕組みを構築していくことが大切であると考えております。  そのため、今年度、委員を対象に、これからの学校と地域の連携・協働の取り組みについて研修会を実施したところであり、今後とも、こうした研修会を充実させ、学校運営協議会制度の発展に努めてまいりたいと考えております。 27: ◯議長中本隆志君) 引き続いて質問を行います。平本 徹君。         【平本 徹君登壇】 28: ◯平本 徹君 皆さん、こんにちは。自由民主党広島県議会広志会・つばさの平本 徹です。早速質問に入ります。  さきの六月定例会において、我が会派の城戸議員から、今後の公共事業については財政論だけをもって削減ありきで考えるのではなく、県土の強靱化を担う力を失わせない観点であり方を検討すべきという課題提起をされました。それに対し知事は、過去大幅に公共事業費を増額したことなどにより他県に比べて公債費負担が大きい状態が続いていること、昨年の豪雨災害への対応により実質的な県債残高が十年ぶりに増加する見込みであること、多額の財政調整基金を取り崩すことにより基金残高はほぼ底をつく見込みとなることなど、財政状況は一段と厳しいため、今後の公共事業については財政面への影響とのバランスを考慮しつつ検討したいと答弁されました。県の厳しい財政状況を強調し、今後の公共事業については現状から大きく踏み出さないといった消極姿勢の答弁であったと受けとめました。しかし、我々は、今後の公共事業費の増額は、財政状況が厳しい中、他の政策的経費を削減してでも県土の強靱化のために検討すべきことだと考えております。  一方で、本県の財政状況は、決して楽観視できるものではないとは思いますが、強調されているほど厳しい状況なのでしょうか。財政状況が非常に厳しいのであれば抜本的な歳出抑制を考える必要がありますが、そうした話は聞こえてきません。また、叡智学園や新大学の設置などに当たっては財源の厳しさを語ることなく推進する一方で、公共事業の話になると慎重姿勢となる。必要だとわかっていても、地味でお金のかかることを後回しにしているだけなのではないでしょうか。  本日は、そうした財政状況や、やるべきことを後回しにされている問題などを中心に質問させていただきます。  質問の第一は、財政状況について、二点質問させていただきます。  一点目は、災害対応への財政調整基金の活用などについてお伺いします。  県は、財政調整基金の残高が底をつくことを厳しい財政状況のあらわれとして言われています。しかし、当初予算編成時の資料で平成二十九年度と平成三十年度の取り崩し額を比べてみると、平成三十年度は約二百五十九億円と災害対応のため一旦大きく取り崩していますが、その後、国の財政援助などにより約二百二億円が戻り、年度としての取り崩しの見込み額は約五十七億円となっています。平成二十九年度は約五十八億円の取り崩しの見込み額となっており、災害のあった昨年度のほうが取り崩し額は少ない状況となっています。さすがに昨年度のほうが災害対応で財政負担が多かったとは思いますが、資料ではそのように見えます。  一方で、昨年度の基金残高の回復は、災害支出に対して国から特別な財政援助を受けているためだと思われますが、予算を編成する際にこうした国の財政援助を適切に見込むことができれば、財政調整基金の取り崩し額は抑えることができるものと考えます。しかしながら、本県では昨年度、財政調整基金を最大限取り崩し、残高を約十六億円まで減少させました。もちろん昨年度については、国の財政援助が正確に読みづらい状況があったとは思いますが、今年度も約二百億円を取り崩しています。これもまた回復するのではないかと思いますが、そのような流動的な基金残高をもって財政状況の厳しさのあらわれだと言われても、いま一つぴんときません。  また、災害対応として多額の支出が生じている一方で国の財政支援を受けているため、実質的な県負担の大きさが我々にはわかりません。  そこで、当初予算編成時の資料では財政調整基金の取り崩し額について昨年度のほうが平成二十九年度と比べて少ないことについて、どのように理解すればよいのか、また、県財政に大きな影響を与える災害対応の支出における実質的な県負担をわかりやすく説明すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  加えて、今年度の当初予算における約二百億円の取り崩しについては、昨年度の国の対応状況を踏まえれば、ある程度財源は捕捉できるように思いますが、そうした中で、あえて基金を優先的に活用し残高を減少させて、財政状況が厳しいと言える状態をつくっているようにも見えます。  地方財政法では、予算の編成に関して、地方公共団体はあらゆる資料に基づいて正確にその財源を捕捉し、予算に計上しなければならないと定められていますが、今年度の当初予算における約二百億円の取り崩しについて、国からの財源を捕捉することはできなかったのか、あわせてお伺いいたします。  二点目は、財政状況の実態についてお伺いします。  豪雨災害の復旧では、多額の支出が生じています。今後も災害復旧に全力を挙げて対応していく必要があり、そのためには、財源もしっかり確保するとともに財政状況を踏まえた歳出抑制に取り組む必要があるのではないかと考えます。しかしながら、県の今年度当初予算を見ても歳出の削減努力は見てとれず、公共事業は災害対応により当然大幅に増加していますが、その一方で公共事業費以外の政策的経費についても予算額は増加しています。  そこで、災害対応などにより財政状況は非常に厳しくなったと言われる中で、今年度の当初予算において公共事業費以外の政策的経費が増額されているのはどういった理由によるもので、それがなぜ可能なのか、また、本当に財政状況が厳しいのであれば抜本的な歳出削減策について議論していく必要があると思いますが、財政状況の実態を明らかにすること、そして、給与カットなど抜本的な歳出削減策は行わないのか、あわせて知事の所見をお伺いいたします。  質問の第二は、学校教育環境の整備について、二点質問させていただきます。  一点目は、学校におけるICT環境の整備についてお伺いします。
     平成二十九年三月に小中学校、平成三十年三月に高等学校の新学習指導要領が公示され、その中では情報活用能力が言語能力、問題発見・解決能力などと同様に、学習の基盤となる資質・能力と位置づけられ、各学校においてコンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることが明記されるとともに、小学校においてはプログラミング教育が必修化されるなど、今後の学習活動において積極的にICTを活用することが想定されております。また、国においても、情報活用能力を育成するための不可欠な条件整備として、教員の資質・能力の向上や指導体制の整備のほか、ICT環境整備の充実を位置づけており、各教育委員会にその整備を加速化するよう強く求めています。  そうした中で、国は学校におけるICT環境の整備状況の都道府県別順位を公表していますが、本県の市立、町立も含めた公立学校の順位は極めて残念な状況にあります。例えば、教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数では全国四十二位で、六・五人に一台しか整備できていない状況となっています。全国一位は佐賀県であり、一・八人に一台という状況で、非常に大きな差がついております。普通教室における校内LAN整備率も全国四十五位となっています。本県の子供たちは、他県の子供たちと比べて教育環境が整備されておらず、大きなハンディキャップを背負わされ、不幸とも言える環境で学習していると言えるのではないでしょうか。  国においては、最低限必要とされ優先的に整備すべきICT環境として、三人に一台のコンピューターを配置し全ての普通教室に無線LANを整備することなどに対し、地方財政措置を講じています。また、佐賀県では、知事の判断で整備を促進し全国トップになったとのことであり、予算権限を持つ知事の判断次第で整備状況は大きく変わってくるのです。一方で、叡智学園の整備には約六十九億円を投じることとしておりますが、施策の順序が違うのではないでしょうか。  教育長は、昨年の六月定例会において、本県の教育行政における当面の課題は学校図書館とICT環境と答弁しておられます。  そこで、本県の学校におけるICT環境の整備については、全国的に極めておくれていると言わざるを得ませんが、こうした状況について、また、一般の学校の環境整備よりも叡智学園の整備が優先されていることについて、どのように認識されているのか、知事にお伺いいたします。  また、県内の次世代を担う全ての子供たちが恩恵を受けるICT環境の積極的な整備について、ぜひとも知事に決断していただきたいと考えますが、あわせてお伺いいたします。  二点目は、学校施設の耐震化についてお伺いします。  先日、国から公立学校施設の耐震改修状況の調査結果が公表されました。本県においては、県立の学校は全てにおいて耐震改修が完了していますが、市立、町立の幼稚園及び小中学校はいまだ耐震が完了していない学校が残されており、幼稚園に至っては全国で最も低い耐震化率で、小中学校においても全国四十位と不名誉な結果となっております。県としても子供たちの安全確保を第一に、校舎のリフレッシュ工事を後回しにするなど無理をして耐震化に集中的に取り組んだものと考えますが、耐震化を終えていない市町の姿勢は非常に残念だと感じております。  一方で、公立学校におけるブロック塀などの安全対策については、県立学校を含め、いまだ多くの学校で安全が確保されていない状況となっています。県立学校にあってはブロック塀などがある学校が五十二校あり、そのうち十校については安全性を確保されましたが、四十二校については安全性が確保されていない状況とお聞きしています。  子供たちが学習する場である学校の安全確保は、行政として最低限の取り組みであり、何かあってからでは遅く、早急に対応しなければならないことであります。  そこで、学校の耐震化について、市町の取り組みに温度差が生じている理由をどのように分析し、また、県としてどのように取り組んでいこうと考えているのか、加えて、ブロック塀などの安全対策については、県立学校でも安全確保ができていない状況にありますが、もし壁が倒れて子供たちに何かあった場合、県は責任がとれるのでしょうか、また、市町に対しても県は指導していく責任があるのではないでしょうか、あわせて教育長の所見をお伺いします。  質問の第三は、県有地信託事業について、二点お聞きします。  まず、一点目は、県有地信託事業の総括についてお伺いします。  県の物事の進め方については、結論ありきで議論が不十分なまま進められていると思われる事例が散見されます。このことは六月定例会においても指摘されたことでありますが、今回の予算案にある県有地信託事業の債務負担行為の設定については、巨額の負債を確定させ、県が所有する貴重な広島市及び福山市における一等地を失うこととなるものでありますが、説明が不十分であるように感じています。  今回、県有地信託事業を整理しようしておりますが、結論としては、早目の損切りはやむを得ないものであり、遅きに失した感すらあります。土地が値上がりを続けるという当時の社会情勢を前提にして、この事業はスタートされたものと考えますが、事業をスタートさせたときには既にバブルははじけており、これまでの間、幾度も事業をどうするか考えるタイミングはあったはずです。  平成二十五年度を底に、土地の価格は若干持ち直していますが、それまでの間、地価は下落を続け、県の負債が莫大に膨らむことが見えていた中で、事業を整理するという決断をしてこなかったことに大変大きな問題があると考えます。そして、今回、やっと整理をつける決断をされたわけですが、これまでのことを総括せず、方向性の案と損失額が示されただけであり、聞けば、総括は今後されるとのことであります。  このような状況になった経緯、当初の事業目的に対する事業効果、受託銀行における債務の縮減に向けた取り組みやその成果など、信託事業の総括を行い、説明責任を果たした上で進める必要があるのではないでしょうか。  そこで、なぜ、債務負担行為の設定により信託事業の終結に向けた方向づけを行うこのタイミングで、総括を行わないのでしょうか、また、他自治体では信託銀行を相手取り裁判を行った例もありますが、債務負担行為の設定後に行うとしている総括を踏まえて、これを後戻りさせることは可能なのか、あわせて知事の所見をお伺いいたします。  二点目は、リスクを抱える事業についてお伺いします。  私の周辺では、新聞等で県有地信託事業は三十億円程度の損失だと思われている方が多くいらっしゃいます。広島クリスタルプラザの場合、負債額は約七十億円です。県の資産として信託事業を検討していた当時には約百三十億円の価値があった底地と建物を、三十二億円程度で売却することで損失の穴埋めを行い、最終的な負債の見込み額が三十七億円程度になるということを理解されている方は非常に少ないように思います。このことを伝えると、皆さん一様に負債の大きさにびっくりされます。  県有地信託事業は、非常に大きな損失を県民に与える県の失策であります。言いたくないことであっても、県には県民に正しく情報を伝える責任があります。県民が誤解することがないよう、丁寧な情報発信を行うことを強く要望いたします。  一方で、信託事業に取り組もうとした当初、誰がこの結末を予測できたでしょうか。信託事業に潜むリスクは誰しも理解していたのでしょうが、バブルがはじけ、社会情勢がこんなにも大きく変わってしまうことを予測できた人は、ほとんどいなかったのではないでしょうか。  そこで、税金を使わせていただく行政の取り組みにおいて、リスクもあるがあわよくば利益を得られる、そのような投機的な事業は行うべきではないと改めて認識したところですが、知事は、今回このような形で終結しようとする本県の土地信託事業についてどのように評価されているのでしょうか、また、これまでファンド事業は投機的な事業であると指摘され続けており、今回の県の失策を踏まえれば自重しなければならない取り組みと考えますが、ファンド事業のリスクに対する認識と、今後の県の施策でリスクが伴う取り組みについてどうあるべきと考えておられるのでしょうか、あわせて知事の所見をお伺いします。  質問の第四は、旧広島陸軍被服支廠について、二点お聞きします。  一点目は、旧広島陸軍被服支廠の危険性などについてお伺いします。  減災・防災に全力で取り組む本県ですが、どうも防災に対する意識が薄いのではないかと感じてなりません。先日、旧広島陸軍被服支廠を総務委員会で現地視察させていただきましたが、一刻も早く安全対策を行う必要があります。吉井議員も質問されましたが、もし万が一のことが発生し建物が倒壊した場合、近隣にお住まいの方やそばの通学路を使う子供たちなどに大きな被害を与えることになりかねません。その責任は建物を管理する県ということになります。  このたびも、関東を襲った台風ではブロック塀の倒壊やゴルフ練習場のネットの支柱が倒れ、隣接する住宅に大きな被害を与えました。地震だけでなく台風も警戒しなければならず、お聞きしているところでは、県が所有する一号棟から三号棟が倒壊または崩壊した場合、最大で周囲の約七十世帯に被害が生じるとの試算もあります。  そこで、旧広島陸軍被服支廠については、随分前から建物を調査し、耐震性がなく危険な状態と認識されているはずですが、これまでの間、どういった安全対策を行い、現在の危険性をどのように認識しているのか、知事の所見をお伺いします。  二点目は、施設の今後の方向性についてお伺いします。  旧広島陸軍被服支廠については、これまでも、今後の利活用を検討するという話は何度もお聞きしていますが、実際には何も決まらず放置されたままであります。軟弱地盤にあり自重で地盤の一部が沈下し、足場の基礎部分にクラックも入っている危険な状態であり早急な対応が必要とされています。一方で、建物は被爆建物でもあり、建築学的にも極めて貴重なものと言われており、将来残していくべきだという声もあります。  この問題の本質は、建物に対する価値観と、一棟当たり約三十三億円とも言われている耐震化や安全対策に要する費用の問題であり、それをどのように折り合いをつけるかという判断が必要となります。このまま非常に危険な建物を放置し続けることは行政としての怠慢であり、一刻も早くどうしていくのか決めなければなりません。  そこで、施設の今後の方向性について、いつまでも放置しないためにも期限を決めて対応方針を決定する必要があると考えますが、いつまでに何をするつもりなのか、いつまで待てばこの危険な状態を解決していただけるのか、知事にお伺いいたします。  最後の質問は、災害関連緊急事業などの進捗についてお伺いします。  先日、平成三十年七月豪雨災害における砂防・治山施設の緊急事業の進捗状況と今後の見通しについて公表されました。新聞では、入札の不調・不落などを理由に、約四分の三の百二十八カ所で、目標であった今年度末の完成が難しくなったと報道されておりました。  私の地元、安芸郡四町では多くの県の緊急事業が計画されていますが、全く工事が進んでいない、いつになったら工事するのかと、不安と心配の御意見を数多くいただいております。そうした中で今回公表された県事業の進捗は、安芸郡四町で三十一カ所の緊急事業のうち十一カ所しか工事契約ができておらず、また完成時期についても多くが先送りされるなど、非常に残念な状況となっており、地元からは落胆の声も届いています。仮設住宅にお住まいの方からは、被災家屋の床材を取り除きリフォームの準備を整えているが、砂防ダムや護岸の工事が終わらないため不安でリフォームに取りかかれない、引き続き仮設住宅で過ごさないといけないという深刻な悩みもお聞きしています。  県では、これまでおおむね順調に進んでいるといった報告ばかりされておりましたが、この状況でなぜおおむね順調と言い続けてきたのか、理解できません。また、緊急整備事業の完成についても、令和三年三月までに全てを完成させるとしていますが、現在の不調・不落の状況などを見ますと大変厳しいのではないかと感じています。被災地域の市町や住民は、いつになったら復興、再建できるのかという不安を抱える中、工事を早く終わらせてほしいという思いはありますが、見えや虚勢は全く求めておりません。改めて県には心から被災者に寄り添った対応を強くお願いして、災害復旧に関する事業について、二点質問させていただきます。  まず、一点目は、災害復旧事業における不調・不落対策についてお伺いします。  小規模の災害復旧事業の受注について、地元の業者から悲痛な声をお聞きしています。  そもそも利幅が薄い中で、工事の規模の大小にかかわらず必ず提出しなければならない書類があり、この資料を作成するための経費が受注額からは捻出できないといったものであります。事業者からは、求められている書類のうち、主要資材購入先名簿など不必要ではないかと感じておられる書類もあるとお聞きしておりますが、簡素化できる必要書類については省略するなど、受注者の負担を軽減し、不調・不落に配慮していく必要があると考えます。  また、小規模の災害復旧事業については、工事費の積算が実態に即したものとなっていないという声も聞きます。これは市町が発注する事業での話かもしれませんが、総じて災害関連の工事については施工条件の悪いものが多く、不調・不落の工事案件は、事業者が割に合わないと敬遠しているものが多くあるのではないかと考えます。  そこで、災害復旧事業について、不調・不落の原因をどのように分析されているのか、そして、このたび導入された復興歩掛かり、復興係数はどの程度効果があるものと考えているのでしょうか。  また、今後も不調・不落の状況は続くものと思われます。必要書類の簡素化を含めて、災害関連事業については事業者に対してインセンティブが働く仕掛けが必要だと考えますが、災害復旧事業の円滑な実施に向けてどのような方策を考えておられるのか、あわせて知事の所見をお伺いいたします。  二点目は、災害関連緊急砂防事業などの用地の取得における課題についてお伺いします。  砂防ダムを施工する場所は山林が多く、また、共有地や相続登記がされていない土地が多いため、用地取得が非常に難航することが予想されるとお聞きしております。用地が取得できなければ工事には取りかかれませんが、権利者と用地の話をまとめる苦労の前に、交渉すべき権利者が多く、権利を相続して県外に転居していたり行方不明であったり相続人がわからないなど、さまざまなケースに対応しなければならず、大変な苦労があるとのことでした。  災害復旧を円滑に進めるためには、何らかの手だてが必要なのではないでしょうか。例えば、一定割合以上の権利者の同意を得られれば工事が進められるようにすることなど、国に災害時の特例的なルールを整備するよう強く求めていく必要があると考えます。  県でも、国に対する施策提案において、用地取得の迅速化と簡単に触れられています。しかしながら、具体的な提案ではなく、とても誰かに受けとめてもらおうとする熱意を持って要望されているようには見えません。  そこで、災害関連緊急砂防事業などにおいて今後生じる用地取得の課題についてどのように対応しようと考えているのか、また、国に対してもっと強く要望していく必要があるのではないか、あわせて知事の所見をお伺いします。  以上で質問を終わらせていただきますが、最後に一言申し上げます。  災害復旧事業の不調・不落が大きな問題となっています。そして、この原因に、業者不足とよく言われておりますが、これまでの公共事業の圧縮により、業者や技術者が大幅に減ってしまい、また、県庁の技術職も減り、県全体の公共事業への対応力が低下してしまったことが問題の根本にあると考えます。繰り返しますが、県土の強靱化、住民の安全・安心を守る観点で今後の公共事業のあり方を検討するよう強く要望して終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) 29: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 30: ◯知事湯崎英彦君) まず、財政状況の実態についてお答え申し上げます。  令和元年度当初予算におきましては、平成三十年七月豪雨災害からの一日も早い復旧・復興を目指し、創造的復興による新たな広島県づくりに最優先で取り組むとともに、これまで進めてまいりました欲張りなライフスタイルの実現に向けた施策につきましても、今この時点で何かをとめたり諦めたりすることなく、これまでの成果や課題を踏まえながら着実に取り組む必要があると判断し、重点的に取り組むこととしております。  こうした考えに基づき、創造的復興による新たな広島県づくりに加え、ひろしま版ネウボラ構築事業や県立広島大学改革推進事業など、従来から進めてまいりました取り組みにつきまして、引き続き推進していくために必要な予算を計上しているところでございます。  また、土地造成事業会計及び港湾特別整備事業費特別会計において、今後見込まれる資金不足に対する基金積み立てを計画的に行うために必要な予算を計上しているところでございます。  こうしたことから、公共事業費を除く政策的経費につきましては、前年度から二百七十四億円増の一千七百五十二億円となっているところでございます。  本県におきましては、過去、大幅に公共事業費を増額したことにより厳しい財政状況に直面しましたが、県債発行額の適切なマネジメントなどに着実に取り組んできた結果、実質的な県債残高は安定的に減少し、財政調整基金は一定の残高まで回復しておりました。  その結果、一定の財政的な柔軟性を確保することが可能となりましたことから、昨年の豪雨災害に際しても機動的に対応することができ、また、欲張りなライフスタイルの実現に向けた取り組みにも重点的に投資することができたものと認識しております。  一方で、本県の財政状況につきましては、平成三十年七月豪雨災害への対応により一段と厳しくなることから、チャレンジビジョンの目指す姿の実現のために必要な経営資源を将来にわたって安定して確保していけるように、資源配分のさらなる最適化に向けて、施策や事業等の優先順位づけや費用対効果の検証・評価を一層徹底するなど、適切に経営資源マネジメントを行い、財政状況の改善を図っていく必要があると考えております。  このため、創造的復興による新たな広島県づくりに注力しつつ、施策の推進と財政面への影響とのバランスをとりながら、欲張りなライフスタイルの実現に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えており、その際には、施策の必要性や財政状況につきましても、これまで以上に県民の皆様への丁寧な説明に努めてまいります。  続きまして、学校におけるICT環境の整備についてでございます。  本県におきましては、全ての児童生徒の学び続ける力を育成する学びの変革を推進しているところであり、これを先導する広島叡智学園中学校・高等学校を初め、個々の生徒の事情に応じた柔軟な学びを提供する広島みらい創生高等学校等を整備したところでございます。  これらの学校は、その成果を県内の国立や私立の学校も含めて還元することにより県全体の教育水準の向上につなげる重要な役割を担っております。  また、他の県立学校においても、学びの変革を一層推進するために、ICTを有効に活用することにより、これまで以上に児童生徒一人一人に寄り添った個別最適な学びを進めていく必要があると考えております。  現在、教育委員会において、これから到来するソサエティー五・〇時代を見据え、これからの学びにおけるICTの活用方法や教員の指導力向上、その整備内容や導入スケジュールなどについて議論しており、私といたしましては、その方向性を踏まえ検討してまいりたいと考えております。  次に、リスクを抱える事業の評価と今後のあり方についてでございます。  公有地信託制度につきましては、バブル経済期の地価高騰により公有地売却が抑制される中で、信託銀行の資金力やノウハウを活用して未利用地の有効活用を図る手法でございまして、本県では福山市と広島市において県有地信託事業に取り組むこととしたものでございます。  本県の信託事業二件につきましては、それぞれスポーツジム、賃貸オフィス等複合施設を提供することにより、市街地中心部の土地利用の停滞を招くことなく未利用地を有効活用することができたという点では、一定の成果があったものと考えております。  しかしながら、信託期間満了までに借入金を返済できない見込みであり、県が多額の借入金債務を引き継がなければならない状況になっております。  事業開始当時の時代背景はございますものの、将来的なリスクを踏まえた検討が十分になされていなかった点におきまして、重く受けとめております。  ひろしまイノベーション推進機構によるファンド事業の財政負担は、出資した金額を最大とし、事業が順調な場合には出資額を上回って回収するケースまであるという仕組みになっております。  このため、この投資に当たっては、専門家である機構による事前の調査や外部の有識者等で構成する投資委員会の決定を経て行うとともに、投資先企業に対してはハンズオンの経営支援を行い成長を促進することで、事業目的の実現を目指しつつ、リスクの低減も図っているところであります。  また、この取り組みにつきましては、投資から利益を上げること自体を目的とするのではなく、企業の成長に必要な経営資源を提供することで企業の成長を促進し、地域経済の活性化に資することを目的としてきており、投資先企業の売り上げや雇用が増加するなど一定の成果が出てきているところであり、今後もこのファンドを活用した企業の成長支援の仕組みを地域に根づかせることが重要であると考えております。  なお、ファンド事業に限らず、公共事業を含めて全ての事業はリスクを有するものでございますが、今後の県政運営におきましても、施策の必要性や費用対効果などを踏まえるとともに、将来予測されるリスクについてもしっかり検討した上で、事業実施の判断を行ってまいりたいと考えております。  また、ファンド事業が投機的との御指摘がございましたが、ファイナンス学において、投機、これはスペキュレーションの訳でございますが、スペキュレーションとは偶然に任せて資金を投入すること、例えば、どのように変動するか予測が不可能な為替に対し、きょう円が上がったからあすも上がるだろうといったように資金投入することを指しておりまして、投資、すなわちインベストメントとは十分な調査等に基づいて根拠を持って資金投入することを指しておりますので、十分な調査や投入企業への関与を図るイノベーション推進機構の資金投入は、ファイナンス学にいうところの投機には当たらないということを申し添えておきます。  次に、災害復旧事業における不調・不落対策についてでございます。  災害復旧事業等につきましては、平成三十年七月豪雨災害からの復旧・復興プランに基づき、被災地の早期復旧・復興を目指し、取り組んでいるところでございます。  一方で、工事が本格化する中で不調・不落の発生が懸念されたことから、これらの対策として、技術者の兼務制限の緩和、近接する複数工事の一括発注による発注件数の抑制、地域要件の拡大、県外を含めた遠隔地からの労働者確保にかかる経費の計上など、さまざまな観点から対策を進めているところでございます。  さらに、平成三十年七月豪雨の被災箇所は、山間部など施工条件が厳しい箇所が多くあることから、これまでに不調・不落となった工事の内容や現場の施工条件等の分析を踏まえ、九月には新たな対策として、不調・不落が多く発生している地域において、工事現場までのアクセス道路が狭隘であることなど作業効率が低下する災害関連工事を対象に、工事費を割り増す復興歩掛かり、復興係数を導入したところでございます。  復興歩掛かり、復興係数の適用により、実態に即した適切な予定価格の設定を行うことができ、不調・不落対策に効果があると考えております。  次に、必要書類の簡素化につきましては、資材の購入先を県外とする場合に必要となる理由書の提出を求めないことや、資材の承諾に係る手続を一部省略するなど、可能な範囲で簡素化に取り組んでおります。  また、今後の工事入札において災害関連工事の受注状況に応じた評価を行うなど、災害関連工事への受注意欲が高まる取り組みも検討しているところでございます。  引き続き、入札状況に注視するとともに施工実態の把握に努め、国や市町、業界団体などと連携して必要な対策を講じながら早期復旧に努めてまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 31: ◯議長中本隆志君) 総務局長小寺 洋君。         【総務局長小寺 洋君登壇】 32: ◯総務局長(小寺 洋君) 四点についてお答えいたします。  まず、災害対応への財政調整基金の活用等についてでございます。  基金の取り崩しにつきましては、中期財政運営方針におきましても、財源調整的基金の計画的な活用も図りながら必要な政策的経費を確保していくこととしており、毎年度の予算編成時に必要に応じて財政調整基金を取り崩して対応しているところでございます。  一方で、効率的な事業執行による経費節減の努力などによりまして不用が確定しているものにつきましては、最終補正予算の段階で、あらかじめ減額の整理を行うなどにより可能な限り基金の取り崩し抑制を図り、政策的経費を将来にわたって確保できるよう努めているところでございます。  昨年度について申し上げれば、平成三十年七月豪雨災害に伴い多額の財政調整基金を活用したことから、十二月補正予算編成後の取り崩しは約二百五十九億円を予定しておりました。  その後、特別交付税の増額交付や有利な県債を活用できるよう国と協議・調整を行った結果、グループ補助金等の災害対応に特例的な県債の活用が可能となったことなどにより、約二百二億円の取り崩しを抑制することができた結果、二月補正予算編成後の取り崩し予定額は約五十七億円となったものでございます。  また、平成三十年度決算見込み額を踏まえた令和元年度九月補正予算案までの、創造的復興による新たな広島県づくりにかかる県の実質的な負担額につきましては、一般会計ベースで、特別交付税を除いた一般財源の負担額は百三十億円程度と試算しております。  加えて、現時点の県債の発行見込み額は九百二十二億円であり、これらの償還に対する交付税措置を除く後年度の県の実質的な負担額は二百七十億円程度と試算しており、今後、非常に大きな財政負担が見込まれているところでございます。  最後に、予算編成に当たっては、必要な歳出に対して財源不足に陥り事業執行に支障が生じることがないように、歳入については保守的に見積もることとしております。  こうした考えに基づき、令和元年度の当初予算の計上に当たりましても、その時点でのできる限りの情報をもとに、国庫支出金など国からの財政支援や有利な県債を最大限活用するなど、財源も含めた経費の精査を行った上で、財政調整基金を二百億円活用することとしたところでございます。  次に、県有地信託事業の総括についてお答えいたします。  まず、県有地信託事業の総括のタイミングについてでございます。  県有地信託事業につきましては、これまで、信託期間の中間年の平成十九年度、総務委員会で広島クリスタルプラザの借入金は信託期間内に返済不可能であり、さらに借入金債務が増加する可能性もあるため、徹底した収支改善を実施し、債務の縮減に向けた対策を強く要請する必要がある状況であることについて報告、昨年六月の総務委員会で信託契約期間満了三年前から信託財産の返還方法等に向けた協議を開始することについて報告、毎年六月定例会において信託事業の事務処理状況報告を行うなど、節目節目で説明を行ってきたところであり、引き続き、丁寧に説明し、御理解いただきながら進めてまいりたいと考えております。  事業の総括につきましては、一般競争入札により信託財産の売却価格及び売却相手方が決定し、最終的な損失額が確定した後に、これまでに議会からいただいた御意見なども踏まえ、所期の目的と成果、収支改善対策の効果、事業の清算に至る判断の内容とタイミング、最終的な収支やまちづくりへの貢献などについて、外部の有識者の御意見も伺いながら速やかに取りまとめ、報告してまいりたいと考えております。
     次に、信託事業終了に向けた手続についてでございます。  本県におきましては、多額の借入金債務の負担について、訴訟を行っていた他の自治体の状況を注視しながら、県民負担が軽くなる方策を検討してきたところでございます。  しかしながら、平成二十六年度に最後の判決が確定し、いずれの判決も全て自治体側に厳しいものとなったことから、弁護士から訴訟を行っても勝つ見込みが乏しいという御意見をいただいたところであり、県が全て引き継がざるを得ないものと判断したところでございます。  このため、県民負担の最小化を最優先に考えた結果、信託財産の売却を行うしかないと判断し、このたびの債務負担行為の設定に係る予算議案を提案したところでございます。  このたびの定例会において提案しております債務負担行為の設定につきまして御議決をいただけた場合は、速やかに信託財産の売却の手続に入りたいと考えております。  次に、旧広島陸軍被服支廠の安全対策についてお答えいたします。  旧広島陸軍被服支廠の建物につきましては、既に築百年を超えており、近年、老朽化が一層進行しております。  平成二十九年度に実施した建物安全性等調査においては、震度六強の地震で倒壊または崩壊する危険性が高いとの調査結果が出ているところでございます。  また、高さ十五メートルの建物の西側には幅四メートルの市道を挟んで民家が建ち並んでおり、建物が西側へ倒壊または崩壊した場合、市道通行者や西側の民家及び住民に被害が生じるおそれがありますことから、安全対策の実施は喫緊の課題であると認識しております。  こうしたことを踏まえ、旧被服支廠につきましては、これまで、安全対策として、建物西側市道沿いの鉄扉のうち劣化が激しく特に危険な状態にあると認められるものの撤去や、ソフト対策として、注意喚起、看板の設置などを必要に応じて実施してきたところでございます。  次に、旧広島陸軍被服支廠の今後の方向性についてでございます。  現在、旧被服支廠が有する価値について、平和、建築、その他の関係者や有識者から御意見を伺うとともに、将来の保存・活用の可能性も念頭に置いた上で、費用面も考慮しながら県としての実現可能な安全対策を検討しているところでございます。  旧被服支廠については、さまざまな考え方や御意見があるところでございますが、こうした意見も踏まえて対応案を整理し、令和二年度の当初予算要求に必要な費用を盛り込めるよう取り組んでまいりたいと考えております。  なお、建物本体の安全対策の規模や程度につきましては、旧被服支廠の保存規模や活用の態様とも密接に関連いたしますことから、今後、県としても三棟をどうしていくか、考え方を整理した上で安全対策の内容、工期等を固めていく必要があると考えており、こうしたことも含めて検討してまいります。 33: ◯議長中本隆志君) 土木建築局長齋藤博之君。         【土木建築局長齋藤博之君登壇】 34: ◯土木建築局長齋藤博之君) 災害関連緊急砂防事業等の用地の取得における課題についてお答えいたします。  砂防施設を施工する場所の多くは山林であり、山林では、多数共有地や、長期間にわたり相続登記がされていないため権利者が多数に及ぶ土地が存在するなど、用地取得に時間を要することもございます。  災害関連緊急砂防事業等の実施に当たりましては、被災直後より土地所有者や相続人の状況調査を行い、設計段階から多数共有地を避けた施設配置を行うなどの対応をしてきたところでございます。  やむを得ず多数共有地の買収が必要な場合には地元自治会の名義に変更する制度を活用し、また、権利者が所在不明の場合には財産管理人制度を活用するなど、現場の状況に応じて関係者と調整を行いながら対応しているところでございます。  また、現在、国において、相続登記の義務化など、所有者不明土地問題に関する検討が進められているところでございます。  引き続き、このような既存の制度を活用し早期の用地買収に努めるとともに、相続登記の義務化や登記関係制度の運用改善など、用地取得の迅速化に向けて関係省庁に対して積極的に働きかけを行ってまいります。 35: ◯議長中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 36: ◯教育長(平川理恵君) 学校施設の耐震化についてお答えいたします。  現在耐震化が未完了の市町におきましては、個別にさまざまな要因があるものと伺っております。  その要因といたしましては、例えば、統廃合等の対象となっておりその調整等に時間を要していること、災害対策の影響などにより計画におくれが生じている場合があることなどがございます。  公立学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、非常災害時には避難所にもなる極めて重要な施設であることから、国の有利な財源などを活用し、一日でも早く耐震化が完了するよう、引き続き、市町教育委員会に働きかけてまいります。  また、学校施設におけるブロック塀等につきましては、県立学校においては、昨年度中に専門家による安全点検を行い、安全性に問題がある箇所について対策を進めており、年度内の完了を目指して取り組んでいるところでございます。  なお、それまでの間におきましても、ブロック塀に近寄らないよう注意喚起するなど、児童生徒等の安全確保に万全を期してまいります。  市町立学校につきましては、国の有利な財源などを活用して早期に安全対策に取り組むよう、引き続き、市町教育委員会に働きかけてまいります。 37: ◯議長中本隆志君) 次回の本会議は九月二十四日午前十時三十分から会議を開き、引き続いて質問を行います。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時五十五分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...