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  1. 広島県議会 2019-02-07
    平成31年2月定例会(第7日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成31年2月定例会(第7日) 本文 2019-02-18 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 96 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 2 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 3 : ◯山下智之君 選択 4 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 5 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 7 : ◯環境県民局長(森永智絵君) 選択 8 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 9 : ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 選択 10 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 11 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 12 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 13 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 14 : ◯内田 務君 選択 15 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 16 : ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 選択 17 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 18 : ◯内田 務君 選択 19 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 20 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 21 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 22 : ◯内田 務君 選択 23 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 24 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 25 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 26 : ◯内田 務君 選択 27 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 28 : ◯地域政策局長(小寺 洋君) 選択 29 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 30 : ◯内田 務君 選択 31 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 32 : ◯内田 務君 選択 33 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 34 : ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) 選択 35 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 36 : ◯内田 務君 選択 37 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 38 : ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) 選択 39 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 40 : ◯内田 務君 選択 41 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 42 : ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) 選択 43 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 44 : ◯内田 務君 選択 45 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 46 : ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) 選択 47 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 48 : ◯内田 務君 選択 49 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 50 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 51 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 52 : ◯内田 務君 選択 53 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 54 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 55 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 56 : ◯内田 務君 選択 57 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 58 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 59 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 60 : ◯内田 務君 選択 61 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 62 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 63 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 64 : ◯内田 務君 選択 65 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 66 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 67 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 68 : ◯内田 務君 選択 69 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 70 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 71 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 72 : ◯内田 務君 選択 73 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 74 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 75 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 76 : ◯内田 務君 選択 77 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 78 : ◯高山博州君 選択 79 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 80 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 81 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 82 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 83 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 84 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 85 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 86 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 87 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 88 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 89 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 90 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 91 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 92 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 93 : ◯安井裕典君 選択 94 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 95 : ◯議長(山木靖雄君) 選択 96 : ◯議長(山木靖雄君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十分開議 ◯議長(山木靖雄君) 出席議員五十七名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第六十一 報第三号 2: ◯議長(山木靖雄君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成三十一年度広島県一般会計予算から日程第六十一、報第三号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  前会に引き続いて質問を行います。山下智之君。         【山下智之君登壇】 3: ◯山下智之君 皆さん、おはようございます。自民議連の山下でございます。今次定例会において質問の機会をいただき、議長を初め、皆様に感謝を申し上げます。定例会における質問も本日で最終日となり、私で十四番目となりましたので、諸先輩方の質問を踏まえながら、合間を縫って環境と健康福祉の問題について質問したいと思います。  まずは、環境問題であります。  近年、集中豪雨や局地的大雨による災害が頻発しておりますが、こうした異常気象の原因として、地球規模で加速する温暖化が指摘されています。地球温暖化は異常気象だけでなく、食料や自然の生態系などにさまざまな影響が生じており、このため、世界的に温暖化の要因である温室効果ガスの排出抑制に向けて再生可能エネルギーの利用が拡大しています。その代表格である太陽光発電については、化石燃料からの転換と温室効果ガスを排出しないといった二つの側面から積極的に導入されており、日本においても、東日本大震災を踏まえ、安全な代替電源として整備が加速しています。  こうした太陽光発電や風力、地熱、水力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、地球に優しいクリーンなエネルギーとして拡大させていくべきと考えますが、一方で、自然環境への影響など問題点も指摘されています。また、さまざまな部門において温室効果ガスの排出抑制の取り組みが進められておりますが、家庭部門についてはその削減が余り進んでおりません。  そこで、質問の第一は、温室効果ガスの排出抑制に向けた取り組みに関連して、三点お聞きしたいと思います。  一点目は、メガソーラーの設置に伴う環境への影響についてお伺いします。  メガソーラーは、国の固定価格買い取り制度が始まったことで、電力会社だけでなく、自治体を含め、さまざまな業種がメガソーラー事業に参入し、本県においてもその発電量は、平成二十五年からわずか三年で約四倍に拡大しております。このようにメガソーラーの整備は全国的に急激に進んでいるところですが、発電所の建設には広大な用地が必要となり、多くの場合、森林を伐採して建設することとなります。本来、地球温暖化防止に有効で、環境を守るはずのものが自然を破壊してしまうという現実があり、全国的な問題となっております。  私の地元、廿日市市においても八カ所のメガソーラーが整備されております。ほかにも建設中のものもありますが、その中には、造成工事後、これまできれいだった川が雨が降るたびに濁るようになったところがあります。メガソーラーが川の水源付近で造成され、川の濁りだけでなく、ヤマメがいなくなったという話もあり、川魚などの生態系への影響や除草剤などの環境汚染物質が流出していないか、地元の方は大変心配しておられます。  また、メガソーラー事業には外資企業の参入も多く、利益優先で自然環境への十分な配慮、適切な維持管理ができているのか、不安を感じています。  こうした問題は全国的に起きているものでありますが、メガソーラーを規制する法の整備が追いついていない現状もあり、自治体においては対応に苦慮されている現状があります。そうしたことから、独自の対応に乗り出す自治体もあり、メガソーラーを環境アセスメントの対象にする条例を制定し、発電施設が周辺の自然環境にどう影響するか分析し、対策を事業者に求めている自治体もあります。また、国もメガソーラーに対して環境アセスメントを義務づける方向で検討されています。  メガソーラーは、再生可能エネルギーの基幹電源として期待されるものではありますが、地域の環境への影響を配慮した上で導入を推進していくべきと考えます。  そこで、メガソーラーの造成が川などの自然環境に影響を及ぼしている実態があることについて、そして、水源などの環境保全についてどのように認識されているのか、また、今後どのようにメガソーラーを推進していこうと考えているのか、知事の所見をあわせてお伺いいたします。  二点目は、風力発電設備の設置に伴う環境への影響についてお伺いします。
     大規模な風力発電については、メガソーラーとは異なり、法律及び条例に基づく環境アセスメントの対象となっております。このため、設置するには住民や県、市町村、国といった多くの関係者の意見を踏まえながら、自然等の環境への影響を予測、評価した上で事業実施が決定されます。  そうした中、現在、島根県側の県境沿いに風力発電設備の設置が計画されており、環境アセスメントの手続が進められています。この事業計画については、地元となる八幡高原の住民から、景観や自然の生態系等への影響を踏まえ、設置に反対する声が上がっております。また、この事業の計画地は、国定公園に位置しており、絶滅が危惧されるクマタカやイヌワシなどの生息が確認され、ブナ・ミズナラ群落など重要な自然環境も存在しているほか、周辺に八幡湿原など景観を楽しむことができる場所が点在しております。  風力発電設備がそうした景観資源を損ない、自然の生態系に影響を及ぼす懸念があり、事業計画に対しては慎重に環境影響評価を行っていただきたいと考えております。  そこで、現在進められている風力発電事業の計画については、広島側の多くの関係者が環境への影響を心配し、設置に慎重な姿勢であると認識していますが、現在の環境アセスメントの手続の進捗状況及び今後の見通しについて知事の御所見をお伺いいたします。  三点目は、家庭部門における温暖化対策についてお伺いします。  最近、身の回りではさまざまな電化製品があふれています。エアコンを初め、冷蔵庫やテレビ、パソコン、スマホ、お掃除ロボットなど、いろいろな電化製品でコンセントはいつも塞がれている状態の家庭も多いのではないでしょうか。こうした家庭用の電化製品は、家事労働を軽減してくれたり、最新の情報が入手できたり、余暇の充実など、生活を豊かにしてくれます。今後も次々と便利な商品が生まれ、さらに家庭内に電化製品がふえてくるものと考えます。  そうした中、本県において、温室効果ガスの排出抑制に取り組んでおりますが、国の傾向と同様に、産業や運輸など家庭以外の部門については順調に削減できている一方で、家庭部門の削減は大幅におくれている状況となっており、県では家庭部門の対策を重点化するとされています。  その家庭部門の対策について、世界に目を向けますと、脱原発を掲げ、先進のエネルギー政策を進めるドイツでは、国策として住宅における断熱化が進められており、既存住宅の断熱化を強力に推進し、省エネ化とともに雇用も生み出しているそうです。また、東京都でも、住宅への高断熱窓の設置への補助や独自の仕様に基づくエコハウスの普及、LED電球の無償配布など、家庭における省エネに積極的に取り組まれております。  断熱材や二重サッシなどの断熱化は、外気温が家の中に伝わりづらく、冷暖房の使用を抑制でき、省エネには高い効果があると考えられますので、本県においても断熱化の促進に取り組んではどうかと考えます。  そこで、今後の温暖化対策では、現状において余り成果が出ていない家庭部門における取り組みが重要であると考えますが、県として具体的にどのように取り組もうとされているのか、お伺いします。  また、県が取り組んでいるメガソーラー事業では、順調に収益を上げており、基金残高が年々増加していることを踏まえて、住宅の断熱化やLED電球への取りかえ支援など、家庭部門の温暖化対策に活用することを検討してはどうかと考えますが、あわせて知事の所見をお伺いいたします。  質問の第二は、ため池の廃止の影響についてお伺いします。  県では、七月豪雨災害等を踏まえたため池の整備、廃止、管理等に関する方針を検討しておられます。その骨子では、対策の基本として、農業用水として利用するため池は、適切な管理体制を確保した上で下流の被害低減対策を講じること、そして一方で、農業用水として利用しなくなったため池については、順次、廃止を進めることとされております。  ため池の本来目的は農業用水として利用することでありますが、それ以外にも防災機能や自然生態系の保全といった機能も有しています。そうした観点から二点お聞きしたいと思います。  一点目は、ため池の防災機能についてお伺いします。  農家の減少、都市化、水田の畑地化が進む中で、ため池を利用する農地が減少し、利用されず管理されていないため池も多くあります。そうした本来の目的である農業利用がされなくなったため池については、廃止を検討していくことは必要なことだと思いますが、一方で、ため池は、降った雨を貯留し、下流の被害を軽減する洪水調節機能も有しています。  県内には約一万九千六百カ所のため池がありますが、県では、その約四分の一の五千カ所程度は農業利用されないため池と推計し、ため池機能を廃止する方向としながらも、洪水調節機能など、農業利用以外の目的に存続する場合は、管理者を特定した上で適切に管理するものとされております。そうした方向性については理解できるのですが、洪水調節機能がその下流域に必要とされていることは誰が判断し、また、管理者が特定できない場合はどのようになるのか、心配しております。  古い昔にため池が整備されて、これまで、降雨時の流水がため池に貯留され、結果的に下流域の洪水の軽減に貢献したため池もあると思います。  そこで、今後、ため池を類型化し、維持、廃止等を進めていくに当たり、県の防災機能の一翼を担うものとして適切な判断が求められると考えますが、どのように取り組んでいこうとしているのか、知事の所見をお伺いいたします。  二点目は、ため池の生態系への影響についてお伺いします。  全国で最も多くのため池がある兵庫県では、ため池の保全等に関する条例が制定され、守る、生かす、つなぐを基本方針に、適正な管理、治水、整備に取り組まれています。また、管理者の高齢化や農家数の減少対策として保全管理活動を支援するため池保全サポートセンターの設置や、ため池保全県民運動の展開など、ため池を地域の宝として次の世代へ引き継ぐ取り組みが行われております。ほかにもさまざまな団体がため池の保全に向けて活動しておられますが、その多くはため池が地域の豊かな自然の象徴となっていることを評価し、自然環境を守り引き継いでいこうと考えて、取り組んでおられます。  また、生物多様性の観点では、ため池は湖や沼と比べて小さく、また、水深も浅く、人為的に水位が変動することから豊かな生態系を形成し、淡水魚、水中で生きる昆虫やカエルなどの両生類、水鳥など多様な生物が生息しているため池も多くあります。また、そうした生き物が農地や里山へ移動しその場で成長する、自然の生態系、昔からの日本の風景に、ため池は一定の役割を果たしているのではないかと考えます。  そこで、ため池の廃止が里山の生態系にどのような影響を及ぼすと考えておられるのか、また、ため池の廃止に当たり、里山が誇れる、多様な生物とともに生活する環境が失われないように配慮することも必要ではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  質問の第三は、海ごみ対策についてお伺いします。  美しく恵み豊かな瀬戸内海は本県の宝であり、近年大幅に増加している観光客にとっても、その景観を一つの楽しみとして選んでいただいている大きな観光資源となっています。しかしながら、海ごみが大きな問題となっており、景観を損ねるだけでなく、多様な生物に影響を及ぼし危険なごみも多く存在しています。瀬戸内海の自然環境の保全や、観光資源として磨いていくことは我々の責務であり、海ごみ対策に真剣に取り組む必要があると考えます。  そこで、二点お聞きしたいと思います。  一点目は、海ごみ対策の取り組みについてお伺いします。  海沿いを歩くとプラスチックや発泡スチロールの破片、ペットボトルやビニール袋など、日常生活でよく目にするものが海面を漂ったり、浜辺に打ち上げられたりしています。こうして目につくものは海ごみの一部であり、大半は海底に堆積している状況があります。  海ごみは、海でのポイ捨てだけではなく河川を通じて陸地から流出するものが多く、大雨が降ると陸地で捨てられたごみが海に流れ出ます。このため、海ごみの対策は、海だけでなく陸地を含めたごみ全体を対象に取り組む必要があります。また、海ごみの多くは自然には分解されず、漂流しているごみは地域を超えて移動を繰り返します。そして、プラスチックごみが劣化し微小な断片になったものをマイクロプラスチックと呼び、水生動物に混入し、それらを食べる鳥や人間にも悪影響を及ぼすと懸念されており、海洋環境において大きな問題になっています。  先日の新聞に、国泰寺高校の科学部の生徒たちがマイクロプラスチックを採集し研究していることが記事になっていましたが、体長二十センチメートルほどのチヌから六千個以上のマイクロプラスチックが確認されたとのことであります。  国においても、化粧品などに含まれるマイクロプラスチックの使用を抑えるよう法整備を行うなど、徐々に取り組みが広がっております。また、神奈川県ではプラごみゼロ宣言が発表されており、レジ袋使用禁止の条例化を検討する自治体もあります。瀬戸内海を観光資源とする本県も、そうしたことを検討してはどうかと考えます。  そこで、海ごみについては、集める、出さないの両面からの取り組みが求められていると考えますが、県における現在の取り組みについてどのように評価し、今後どんなことに取り組んでいこうとしているのか、また、取り扱いが難しいと考えられるマイクロプラスチックについてはどのように認識されているのか、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、海ごみとなっているカキ養殖用資材についてお伺いします。  広島県のカキの生産量は全国一を誇りますが、そのようなカキが大変残念なことになっております。  世界中で海ごみを回収する活動をされている国際海岸クリーンアップの日本事務局となっている一般社団法人JEANによりますと、二〇一七年に日本で回収したごみの数のランキングでは、広島県は東京都に次いで第二位であったとのことであります。そして、各地域で回収したものの中で一番多かったものがカキ養殖用パイプで、全体の一二・四%を占め、近年増加傾向にあると指摘されております。  また、カキ養殖用パイプや発泡スチロール製のフロートについては、地域を越えて漂着し、山口県から苦情をいただいているとのことであります。この現実については、大変反省しなければなりません。  今後もカキは広島県の特産品であり続けるものであり、品質の向上とともに生産量の確保を図っていく必要があります。  そうした中、県では、九月補正によりカキ養殖資材適正処理対策推進事業を予算化しておりますが、今年度中に流出原因を調査特定し、今後、漂着ごみの減少対策を行うことで、環境に配慮した持続的なカキ養殖生産体制を構築するとのことであり、早急に事業の成果を出していただきたいと期待しております。  そこで、カキ養殖資材適正処理対策推進事業について、現時点における調査の状況及び今後の対策の方向性について知事の所見をお伺いいたします。  質問の第四は、健康寿命の延伸についてお伺いします。  人生百年時代と言われておりますが、単に長生きすればよいということでなく、いかにQOL──生活の質を向上させながら、介護の必要のない状態で自立して生活できる期間を延ばしていけるかということが重要になります。また、健康寿命と平均寿命の差が拡大すれば、医療や介護にかかる費用が増大することになり、逆に差が縮小すれば、医療と介護の費用は圧縮できることになります。  健康寿命の延伸は、個人の生活の質の低下を防ぐとともに社会保障負担の軽減も期待でき、今後の超高齢社会において極めて重要な施策であります。その取り組みに関して、入り口に当たる健診から病気や介護の予防、そして元気に長生きするための取り組みについて、段階順に三点聞きたいと思います。  まず、入り口となる健診に関して、特定健康診査の受診率の向上についてお伺いします。  特定健康診査、いわゆるメタボ健診でありますが、平成二十年度から全国的に取り組み始められたものであります。生活習慣病については、糖尿病や高血圧、高脂血症などがよく知られていますが、健康長寿の最大の阻害要因となるだけでなく、国民医療費にも大きな影響を与えています。特定健康診査は、生活習慣病の前段階であるメタボリックシンドロームに着目し、該当者と予備群の人を早期に発見し生活習慣病の改善につなげていくことを目的としており、健康寿命の延伸にとって特に重要な取り組みであると考えます。しかしながら、本県の特定健康診査の受診率は非常に低く、平成二十八年度は全国順位三十五位と、常に下位グループに位置しています。  また、国が、生活習慣病の代表格である糖尿病については、医療費を分析していますが、広島県では、一月に県民一人当たり約五千円となっており、全国で最も高い医療費であったとのことであります。最も少ない沖縄県とは一・七倍の開きがあり、次に少ない神奈川県と比べても約一・五倍の開きがあります。金額では、県民一人当たり毎月二千円も医療費が高いこととなり、人口二百八十万人の広島県では、糖尿病だけで、医療費が少ない県と比べて、年間六百七十億円も多く医療費がかかっているということになります。本県にとって、そうした糖尿病患者の減少につながる生活習慣病予防は、健康寿命の延伸だけでなく医療費適正化にも大きく貢献できるものであり、その入り口となる特定健康診査の受診率の向上には全力で取り組む必要があると考えます。  そこで、この特定健康診査の受診率については全国的に常に低い状況にあり、これまでも、なぜ本県の受診率が低いのか、分析されてきたのだろうと思いますが、改めて、本県の受診率についてどのように認識しておられるのか、また、これまでの受診率向上に向けた取り組みの評価と今後の具体的な取り組みについて知事にお伺いいたします。  二点目は、病気や介護が必要となる前兆を捉えた取り組みについてお伺いします。  御承知のとおり、本県の健康寿命は、全国順位で男性は二十七位、女性は四十六位と大変低い状況にあります。その要因について、県では、病気になるまで健康づくりに関する意識が低く、健康づくりの行動につながっていないことが要因であると分析されています。つまり、いかに健康づくりへの関心を高めて個人の行動変容を促すかが重要なポイントとなっているのです。  最近、健康づくりについては、未病とフレイルという二つのキーワードがよく取り上げられています。  未病とは、その字句のとおり、いまだ病まない、病気になる手前の状態のことを言いますが、人間の体はここまでが健康、ここからは病気と明確に分けられるものではなく、心身の状態は常に健康と病気の間を連続的に変化しているという概念が未病です。そもそもは、中国の古典医学書に病気の前兆を早く見つけて症状が出ないようにするのが名医であると書かれていることに由来した考え方です。  一方、フレイルとは、日本老年医学会が提唱されたものですが、高齢者の多くはフレイルという中間的な段階を経て、徐々に要介護状態に陥ると考えられています。これまで老化現象として見過ごされてきたものですが、加齢とともに運動機能や認知機能が低下して心身が虚弱になってくる状態のことであり、筋力低下によって身体機能が低下し、活動量が減ることでエネルギーの消費量や食事の量が減り、慢性的な栄養不足の状態となり、このことが筋力低下をさらに進行させるという悪循環に陥ることとなります。  こうした未病やフレイルの状態にいち早く気がついて適切な介入を行えば、健康を維持できたり、要介護状態に至る可能性を減らしたりすることができるのではないかと考えます。信号に例えれば、健康状態の青信号から病気や要介護の赤信号に移る手前の黄色信号で早目の対策をとって未然に防ぐということです。  そこで、こうした病気や介護が必要となる前兆、つまり黄色信号のときの健康づくりを施策体系の中にしっかり位置づけて、県民の意識啓発や行動変容に結びつけてはどうかと考えますが、未病やフレイルの概念を健康づくりの施策へ導入することについて知事の所見をお伺いいたします。  三点目は、通いの場の活用についてお伺いします。  新年度当初予算案では、高齢者の健康づくり「通いの場」推進事業を加速させていくための経費が計上されています。この事業は、高齢者が地域の人とかかわりを持ちながら気軽に運動できる環境を整備しようとするものであり、動く機会が減り、筋力が低下しがちな高齢者の方が体操などに取り組むことで健康が維持され、介護予防、健康寿命の延伸につながっていくことが期待されます。  県では今後、この通いの場をふやしていき、参加者についても、現状において高齢者人口の約三%の二万五千人であるものを、五年後には約一割の九万人を目標に拡大していこうとされています。  今後、人生百年時代に突入し、これまでよりも長く元気に生きる人が多くなってきますが、東京大学の先生によると、人生百年時代の健康課題はフレイルとの戦いであり、その答えは、栄養、運動、社会参画とのことであります。そうした中、今後、多くの方が通われる通いの場の活用が大変重要になってくると考えます。  先日、公明党の栗原議員の代表質問の答弁で、通いの場においては、高齢者向けの調理教室など低栄養の予防に向けた取り組みも促進するとのことでありましたが、それに加えて、社会参画も含め、フレイルを意識したさまざまな取り組みを積極的に展開すべきだと考えます。  本県では、プラチナ大学として地域で活躍する人材の育成に取り組み、一部の市町で講座が開設されていますが、他県では、シルバー大学や老人大学を設置し、授業料を求め、二年間程度、高齢者に本格的な学習の場を提供し、人気となっている例もあります。人生百年時代への対応としても、高齢者がさまざまなことを学べる場を提供し、人生における後半戦で果敢に挑戦できる環境を整備していくことは、今後の活力ある社会につながっていくのではないかと考えます。  そこで、今後、拡大する通いの場において、栄養、運動、社会参画といったフレイルの予防を狙いとした取り組みを展開することについて、また、高齢者の挑戦をサポートする老人大学のような学習の場としても活用できれば、さらなる健康寿命の延伸や地域の活性化にもつながるのではないかと考えますが、知事の所見をあわせてお伺いいたします。  最後の質問は、幼児教育無償化のインパクトと負の影響への対応についてお伺いします。  いよいよことしの十月から幼児教育の無償化が始まります。消費税の増税による収入を活用した、巨額な人づくりへの投資となります。  平成三十一年度の当初予算案にも半年分で、また、県の負担分だけではありますが、三十四億五千万円が計上されております。年間ベースで見ると、広島県に新たに投入されることとなる金額は、国の負担なども合わせますと、概算で約二百億円にもなるとお聞きしています。  もちろん消費税が主な財源となっていますので、その分、県民が負担するのですが、それを人づくりでも就学前の子育て世代に集中投下することになるので、社会的にも相当なインパクトを持つ政策であると考えます。  例えば、子育て世帯の負担が軽減されることになりますので、家庭における子供への教育投資の拡大や出生率の上昇も期待されます。また、保育所等に子供を預けやすい環境となるため、女性の活躍も進むのではないかと思います。  そうした社会的に望ましいさまざまな効果が考えられる反面、新たな保育ニーズの掘り起こしによる待機児童の増加や保育士不足の深刻化などの負の影響も想定されます。  そこで、幼児教育無償化のインパクトについてどのように認識されているのか、また、どういった負の影響が考えられ、それにどう対応していこうとされているのか、知事の所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。ちょっと文字数が多かったので早口になって大変申しわけなく思います。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長(山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事(湯崎英彦君) まず、メガソーラーの設置に伴う環境への影響についての御質問でございます。  メガソーラーの設置につきましては大規模なスペースを必要とすることから、森林伐採などの開発行為を伴うケースが多く、水質や生態系など自然環境への影響が大きくなる傾向がございます。  また、開発を伴う設置の場合、開発時には法令による許認可が必要となりますが、設置後には環境への影響につきまして継続してモニタリングする仕組みがなく、メガソーラーの増加に伴って、水質汚濁等の課題が全国的に顕在化してきている実態もあるものと認識しております。  こうした状況を背景に、全国知事会からの要望も踏まえ、国におきまして、環境アセスメントの対象とする方向で検討が進められており、これが実現すれば、計画段階での環境への配慮とともに設置後の環境影響調査の計画及び報告が義務づけられるため、継続したモニタリングが可能となるなど、環境保全対策が進むものと考えております。  一方で、環境アセスメントの対象が全ての規模に及ぶのか一部にとどまるのか、環境アセスメント適用以前に設置された施設の取り扱いがどうなるのか、注視すべき課題もあることから、国の検討結果を踏まえて、自然エネルギーの導入促進と環境保全とが両立できるよう、本県のとるべき対応につきまして検討してまいりたいと考えております。  次に、家庭部門における温暖化対策についてでございます。  家庭部門の二酸化炭素排出量につきましては、近年の少人数世帯数の増加や家電の大型化などもあり、削減がなかなか進まない状況の中、本県におきましては、家庭の排出量の約八割を占める電力消費量に焦点を当てて、取り組みを進めているところでございます。  具体的には、平成二十九年十月から専用サイト「ひろしまエコチャレンジ」を開設いたしまして、登録者の拡大を図るとともに、省エネにつながるさまざまなヒントやアドバイス、省エネ効果の見える化などにより実際の省エネ行動につなげ、さらに、家庭ごとの電力使用実態を評価して対策を提案する、うちエコ診断士による省エネ診断を行ってまいりました。  これらの取り組みによる本年一月末現在における電力削減量は、今年度末に達成すべき目標の約五割にとどまっており、さらなる対策の充実強化が必要となっております。  中でも、うちエコ診断の実施世帯が他の世帯に比べて省エネ効果が上がっていることから、今後は、うちエコ診断への参加者の増加に重点的に取り組むこととしたところでございます。  また、メガソーラー事業による省エネ活動促進補助の対象項目につきましても、家庭部門の二酸化炭素排出量削減に資する観点からの追加や拡大が必要であるとの認識から、現在、ヒアリング調査やニーズ調査を実施しているところであり、家庭の省エネに高い効果が見込まれる住宅の断熱化やLED化なども含めて検討を進め、新年度の募集に反映してまいりたいと考えております。  今後とも、脱炭素社会の実現に向けて家庭部門の二酸化炭素排出量の削減に重点的に取り組み、温暖化対策を積極的に推進してまいります。  次に、ため池の生態系への影響についての御質問でございます。  農業生産活動を通じて維持されてきた農地や里山におきまして、ため池は農業に利用する水を蓄える機能だけでなく貴重な動植物の生息場所の提供や美しい農村風景の形成など、さまざまな役割を果たしておりますことから、ため池の改修や廃止を進めることは、こうした里山の生態系などへ少なからず影響を与えるものと認識しております。  このため、ため池の改修等に当たりましては、計画段階から周辺を含めた生態系全体への影響につきまして調査と評価を行うこととしており、例えば、希少生物が生息している場合には、専門家の意見を伺いながら工事による影響の最小化や生物の移動などに配慮しているところでございます。  また、ため池を多様な動植物の生息場所として活用するなど、農業以外の目的で残していく場合には、環境保全団体などが中心となり防災機能を確保した上で活用していただくことも、里山地域の環境の維持につながるものと考えております。  今後とも、ため池の廃止に当たりましては、市町から地元における関係者等との調整状況を確認した上で、生態系への影響や里山の環境にも十分配慮しながら取り組んでまいります。  次に、幼児教育無償化のインパクトと負の影響への対応についてでございます。  幼児教育・保育の無償化は、子育て期にかかる経済的負担の軽減による少子化対策や女性の活躍促進に加え、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児期に質の高い教育の機会を確保するものであり、本県の目指す人づくりの礎とも言える非常に重要な政策であると考えております。  一方で、現状におきましても待機児童が解消できていない状況の中、幼児教育・保育の無償化により、一、二歳児を中心にさらなる保育ニーズが掘り起こされ、全国的に深刻な課題であります保育士不足に拍車がかかるとともに、認可外保育施設を含めた保育の受け皿の急増により、保育の質の低下が懸念されております。  そのため、保育の受け皿の拡大といたしまして、これまで実施してまいりました、施設整備による保育施設の定員の拡大や広島県保育士人材バンクによる潜在保育士への就業支援を着実に実施するとともに、市町との連携をさらに強化し、新たに潜在保育士の早期復職につながる支援や入所調整と就業支援を同時に行う保育コンシェルジュの配置、潜在保育士の離職時の登録制度の構築を進め、保育士確保対策をさらに強化してまいります。  あわせまして、保育の質の向上といたしまして、保育関係団体や保育士養成機関との連携により保育士キャリアアップ研修の充実を図るとともに、乳幼児教育支援センターにおける幼児教育アドバイザー訪問事業のさらなる充実を図るなど、「遊び 学び 育つひろしまっ子」推進プランに掲げる施策を着実に実施してまいります。  幼児教育・保育の無償化による急激な保育ニーズの拡大に対応するべく、保育の量の拡大と質の向上をいずれも着実に推進するとともに、無償化が円滑に実施できるよう市町に対して積極的に支援を行い、いつでも安心して子供を預けて働くことができる環境の整備と、乳幼児期の教育・保育の質の向上を目指してまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長(山木靖雄君) 環境県民局長森永智絵君。         【環境県民局長森永智絵君登壇】 7: ◯環境県民局長(森永智絵君) 私から二点お答えいたします。  まず、風力発電設備の設置に伴う環境への影響についてでございます。  環境アセスメントの手続におきましては、計画段階、環境アセスメント実施前及び実施後の結果報告段階の三度にわたり、地元市町、県、国の三者がそれぞれ意見を述べ、計画に反映させることとなっております。  八幡湿原周辺の風力発電計画につきましては、最初の計画段階の手続を終え、現在、環境アセスメント実施前の段階で、アセスメント評価の実施方法について、事業者が実施項目や手法等を公表し、広く意見を聴取した結果を取りまとめているところであり、その結果が届いてから九十日以内に県が意見を述べることとなっております。
     最初の計画段階におきましては、昨年九月に、地元自治体からの意見や有識者による審査結果等を踏まえ、県として、個別に留意すべき事項を指摘した上で、環境影響の回避または低減ができることを裏づける科学的根拠を示すことができない場合は、根本的な事業計画の見直しを行うよう、事業者に対して意見を述べたところでございます。  また、この計画は島根県と二県にまたがる事業であることから、地元北広島町、環境省、経済産業省のほか、島根県においても同様の意見を事業者に対して述べているところであります。  八幡湿原周辺は、日本の重要湿地五百や国定公園にも指定されている地域であり、県といたしましては、風力発電事業により周囲の景観や生態系等へ影響が及ばないよう十分な配慮がされているか、さきに述べた意見が反映されているか、関係自治体の意見等も踏まえながら、引き続き、厳正に審査してまいります。  続きまして、海ごみ対策の取り組みについてでございます。  海岸漂着物を初めとする海ごみの削減につきましては、瀬戸内海の環境の保全に関する広島県計画における重点施策の一つとして取り組みを進めてきており、とりわけ、海岸漂着物の九〇%以上を占める、カキ養殖由来のプラスチック製パイプや発泡スチロール製フロートなどのプラスチック類への対応が大きな課題であると認識しております。  今年度は、具体的な対策を定めるため、プラスチック製パイプや発泡スチロール製フロートについて、その発生源や流出量に関する調査を年間を通じて実施しているところであり、年度末までには調査結果を取りまとめ具体的な削減策を検討することとしております。  また、ここ数年、海ごみに対する国内外の社会情勢が急速に変化してきており、特に生態系への影響が懸念されるマイクロプラスチックが大きくクローズアップされ、使い捨てプラスチック等への対策が強く求められていることから、これらに対する早急な検討が喫緊の課題であると認識しております。  本県におきましては、いわゆる瀬戸法に基づき、河川流域も含めた海域を実情に応じて三つに分割し、国、県、市町、漁業関係者、NPO等の関係者で構成する湾灘協議会を設置しておりますが、いずれの協議会におきましても、取り組むべき重要課題として海ごみ対策を選定し、検討を開始したところであります。  今後は、湾灘協議会において、使い捨てプラスチック等について、収集と排出抑制のための3Rを中心に実効性のある具体策について議論を進め、美しく豊かな瀬戸内海を守るため、関係者が一体となって取り組みを進めてまいりたいと考えております。 8: ◯議長(山木靖雄君) 農林水産局長上仲孝昌君。         【農林水産局長上仲孝昌君登壇】 9: ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 二点についてお答えいたします。  まず、ため池の防災機能についてでございます。  農業用のため池は、降水量が少なく大きな河川に恵まれていない地域にとって貴重な水源であり、その多くは江戸時代以前に築造されましたが、農地の減少や農業者の高齢化などにより利用されなくなったため池が増加しております。  こうした中、七月豪雨により、ため池の損壊や下流への被害があったことから、県では今年度末までに、ため池の整備、廃止、管理等に関する方針を策定し、利用されなくなったため池については廃止を進めることとしております。  一方で、ため池は降雨を一時的に貯留し、下流への流出量を抑制する働きもあることから、農業に利用されなくなったため池を適切な保全管理のもとで活用することも、防災機能の一翼を担う上で重要であると認識しております。  今後、ため池の利用実態などにより維持や廃止を進めていくに当たりましては、地域が必要とする防災機能のあり方を踏まえ、市町と調整しながら対応してまいりたいと考えております。  次に、海ごみとなっているカキ養殖用資材についてでございます。  カキ養殖から発生する海ごみにつきましては、環境に配慮した持続的な水産業を推進する上で重要な課題であると認識しており、養殖パイプの流出要因を特定し効果的な防止対策を講じるため、海上での水揚げ作業から陸上におけるむき身加工まで、全ての工程の実態調査を実施しているところでございます。  これまでの調査では、陸揚げしたカキを洗浄、分別する工程において、パイプが残渣に混入したままカキ殻の一時堆積場へ運ばれているケースが確認されており、堆積場からの流出が要因の一つと考えております。  また、台風等の自然災害や船の衝突などにより、いかだにつるしているワイヤが切れてパイプが流出している事例や、その他の工程における流出の可能性もあることから、引き続き、調査を行っているところでございます。  流出防止策につきましては、現在、県みずから二百八十カ所のカキ養殖業者を巡回しており、作業場での適切な分別や定期的な海の清掃を徹底するよう指導を行っているところでございます。  また、来シーズンに向けては、抜本的な解決が図られるよう、洗浄機の分別機能の改良などを検討するとともに、今後の調査結果を踏まえた対策を生産者と協議しながら実施してまいります。  さらに、生分解性素材を使用したパイプの開発、導入などについても研究機関と連携して検討を進めることにより、環境に配慮したカキ養殖の生産体制の構築を進めてまいりたいと考えております。 10: ◯議長(山木靖雄君) 健康福祉局長田中 剛君。         【健康福祉局長田中 剛君登壇】 11: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 私からは三点についてお答え申し上げます。  まず、特定健診の受診率の向上についてでございます。  本県の特定健診の受診率は全国三十五位となっており、とりわけ特定健診対象者の約四割を占める市町国民健康保険の受診率は全国四十六位にとどまっております。  その要因といたしましては、県民健康意識調査によると、特定健診を受けていない理由として、病気にかかってから病院に行けばよいと考えている方が多いことから、疾病予防への関心が薄いことが考えられるところでございます。  本県におきましては、これまで、受診率の向上に向けまして、制度や受診の必要性などの普及啓発の実施、がん検診との同時実施による住民負担の軽減、効果のあった受診勧奨方法の情報共有など、市町の取り組みを積極的に支援してきたところでございます。  こうした取り組みの結果、平成二十年度の制度開始時に約三三%であった本県の受診率は、平成二十八年度には約四七%に向上しておりますが、いまだ全国平均を下回っており、さらなる取り組みが必要であると考えております。  このため、今年度から県が国保の運営主体となったことから、AIを活用して未受診者を分類した上で、それぞれの属性に有効な受診勧奨を行う取り組みの県内市町への普及や、特定健診の項目の充実、全市町での健診の自己負担の無料化に向けた調整などに県が牽引役となって市町とともに取り組むことにより、受診率の向上を実現してまいります。  次に、病気や介護が必要となる前兆を捉えた健康づくりについてでございます。  未病とは、健康と病気を連続的に捉える概念とされており、本県といたしましては、県民の皆様がライフステージに応じた正しい生活習慣を確立し、健康な状態を維持していただくことが重要であると認識しております。  このため、食生活の改善や運動習慣の定着に向けた普及啓発を行うとともに、早期発見と発症予防のため、特定健診、特定保健指導の実施率を向上させるための取り組みを行っているところでございます。  また、フレイルとは、加齢とともに筋力や認知機能などが低下し心身が虚弱になる状態のことであり、県の健康増進計画である健康ひろしま21におきましても、フレイルへの対応の必要性をうたい、運動、食、集いを軸とした介護予防の取り組みを推進しているところでございます。  このように、本県におきましては、未病やフレイルへの対策の重要性も踏まえて健康ひろしま21を策定し、健康づくりの施策に取り組んでいるところではございますが、引き続き、県民の皆様の健康意識を醸成し、実践につなげてまいりたいと考えております。  最後に、通いの場の活用についてでございます。  高齢者が通える範囲で定期的に集まり、身近な人とのかかわりを持ちながら体操を行う通いの場は、運動機能や筋力の維持・向上、閉じこもりなどの孤立の防止を目的とするものでございます。  加えて、高齢者はそしゃく能力や消化・吸収率の低下に伴い、栄養摂取量が減少する傾向にあることから、通いの場において、高齢者向けの調理教室や栄養指導を行うなど、低栄養の予防に向けた取り組みによりフレイルへの対応に取り組むこととしております。  通いの場の持つ機能につきましては、高齢者の筋力の維持・向上、低栄養の予防、社会参加の促進に加えまして、交通安全やオレオレ詐欺等犯罪への注意喚起、防災意識の向上、保育園児・幼稚園児を招いての多世代交流などの場として県内で活用されている事例もございます。  こうしたことから、高齢者が通いの場においてさまざまなことを学べることは、個人の活力となり、健康寿命の延伸に寄与するだけでなく、まちづくり、地域づくりにも発展するものであると考えております。  本県といたしましては、先進的な事例を他の市町へ拡大していくことにより通いの場の充実を図り、高齢者の皆様が健やかに自分らしく活躍し、お互いに支え合って暮らしていくことができる地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。 12: ◯議長(山木靖雄君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時二十四分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時開議 13: ◯副議長(宮 政利君) 出席議員五十四名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。内田 務君。         【内田 務君登壇】 14: ◯内田 務君 皆さん、こんにちは。広島県議会民主県政会、福山市選出の内田 務でございます。今次定例会におきまして質問の機会を与えていただきました山木議長、宮副議長を初め、先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。  昨年の二月に質問させていただきまして、ちょうど一年が経過いたしました。そのとき、NHKの大河ドラマで「西郷どん」が放映され、貧しく弱い者の立場で世の中を変える西郷隆盛の生き方に共感し質問させていただきました。そして、昨年暮れ、「西郷どん」の放映も終わりまして、私も議員として最後の質問をさせていただきますが、きょうも貧しく弱者の立場での思いを込め質問させていただきます。きょうは、私も最後であり、多くの傍聴者の皆さんがお見えになっています。湯崎知事のファンの方も多くおられますので、わかりやすく丁寧な答弁をお願いして、質問は一問一答方式で行いますので、質問席に移らせていただきます。(質問用演壇に移動)  最初に、障害者への支援について、二点お伺いいたします。  まず一点目は、農福連携の取り組みについてであります。  特別支援学校への入学者数も年々多くなってきており、卒業後は社会で活躍できるよう、働く場の条件整備が極めて重要であります。障害があろうとも、一人の人間としての尊厳を尊重し、みずからの収入を得ながら働く喜びを感じ、生きがいと夢を持ち続けていただきたいと強く願うところであります。  近年、各地で行われている農福連携の取り組みは、農業の人手不足と福祉の就労の課題を同時に解決するものとして、非常に期待するところであります。福山で農業をされている方に、障害者の雇用に前向きな方もおられますが、トイレなどの設備が必要で、リースしようにも膨大な資金が必要とのことであり、障害者雇用のためのハード整備に対する支援を要望する声もあります。農福連携の支援については、農林水産局と健康福祉局が緊密に連携して取り組むことによって、農業の人手不足と福祉の就労の課題を解決していくべきであると考えます。  そこで、広島県は、平成十七年度から五年間、農林水産局において、ハートフル農園支援事業という農福連携の取り組みをしていましたが、その経過と成果、また、その後の健康福祉局との連携など、これまでの取り組み状況、そして、今後の対応方針について農林水産局長に御所見をお伺いいたします。 15: ◯副議長(宮 政利君) 農林水産局長上仲孝昌君。         【農林水産局長上仲孝昌君登壇】 16: ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 本県では、新たな働き手の確保を求める農業法人と、就労を目指す障害者が地域で支え合い、ともに生きる社会を目指すため、平成十七年度から平成二十一年度までの五年間、ハートフル農園支援事業により県内七カ所で農業用ハウスや機械などの整備をしたところでございます。  この取り組みで二十九人の障害者の雇用につながったものの、結果的に長期の雇用に結びついておらず、社会福祉法人みずからが農業に取り組む事例以外には、継続的に障害者が雇用されるケースが少ない状況にございました。  この要因といたしましては、農業法人が障害者の特性や生活面を含めた指導方法などを十分に理解できていないまま作業指示等を行ったことにより、意思の疎通を図ることが困難となり、職場への定着が進まなかったものと考えております。  一方、健康福祉局におきましては、農林水産局と連携を図りながら、平成二十八年度から農業等の専門家を事業所へ派遣し、農業経営や農業技術に係る指導及び助言等を行う事業を創設し、現在まで障害者の農業分野への就労を支援しているところでございます。  また、近年においては、県の指導等も参考にしながら、障害特性を踏まえた作業指示や配慮事項等を確立し、生産した野菜の包装を障害者が担うなどの農福連携に取り組む法人も出てきております。  今後は、障害者の雇用や就労の促進を目的とした取り組みの一環として、これまでの取り組みに加え、六次産業化による商品開発などを支援していくこととしており、引き続き、関係部局が連携しながら農福連携の推進に取り組んでまいりたいと考えております。 17: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 18: ◯内田 務君 先ほどありましたように、しっかりと連携をとっていただいて、引き続き、支援をお願いしたいと思います。  二点目は、就労継続支援A型事業所の破綻後の支援状況についてであります。  就労継続支援事業所についても、障害者の自立支援に重要な役割を担っており、その活動に大きく期待するところではありますが、就労継続支援A型事業所の経営破綻が続発し、大量解雇という事態を招きました。県は、事業所の破綻について検証を行いましたが、知り合いのA型事業所の経営者に聞いても、破綻後、県などの行政からの指導や支援はこれまでのところないと聞いております。  そこで、破綻後の就労継続支援A型事業所の健全な運営に向けた県の指導なり支援状況について健康福祉局長にお伺いいたします。 19: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。         【健康福祉局長田中 剛君登壇】 20: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 県内には八十八の就労継続支援A型事業所がございますが、そのうち、生産活動による収益で利用者の賃金を賄うという指定基準を満たしていない事業所が四十六と、半数を超えている状況にあり、経営改善が必要となっております。  また、A型事業所の経営破綻事案に関する検証におきましても、事業所の多くが小規模で商品開発や販路拡大等に課題があることから、経営内容に踏み込んだ指導と支援が求められております。  このため、県内の指定基準未達事業所に対し、毎年度、経営改善計画を策定させ、実施状況を確認するとともに、本県及び事案の発生した福山市におきましては、中小企業診断士を帯同して専門的な経営指導を行っており、さらに、来年度は県の指導検査体制の強化を図ってまいります。  また、今年度、全事業所を対象とした企画力向上のための経営者研修を開催したところであり、来年度は経営コンサルタントの派遣や、障害特性に応じた就労支援スキル向上の研修の開催などにより、収益力の向上に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。  このほかにも、A型事業所の経営改善の自助努力を促す報酬体系とすることや、財務基盤の脆弱な事業者の参入を禁止することなどの制度改善を国に対して要望してまいりました。  本県といたしましては、A型事業所の経営破綻により利用者の方々が一斉解雇されたことを重く受けとめており、障害のある方々が能力を最大限発揮し、安心して働くことができるよう、事業所運営の健全化に向けて全力で取り組んでまいります。 21: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 22: ◯内田 務君 ぜひとも、就労継続支援A型事業所の健全な経営に向け、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。働きたいという意思がある障害者には、地域社会全体で一人一人に合った、自立に向けた支援をお願いして、次の質問に移ります。  社会を支える若者の育成について、二点お伺いいたします。  まず一点目は、若者の離職対策についてであります。  最近の新規学卒者の雇用環境については、昨年の就職内定率が九五・八%と過去最高になるなど、就職状況が改善する一方で、若者の離職率は依然として高く、その後、職場が合わないことや人間関係がうまくいかないことでフリーターとなる若者も多い状況にあります。若者の離職は、本人の人生に暗い影を落とす可能性もありますし、企業にとっても教育費用が無駄になるということもあります。  一方で、県は、中小企業の人材確保対策として、第二新卒者就業支援に、当初予算として八百万円余を計上されております。私は、第二新卒者を対象とした事業を実施するよりも、できるだけミスマッチを減らし、職場への定着を図り、第二新卒者を新たに生まないよう、そこで働き続けられるよう、支援にもっと力を入れるべきだと考えます。  県は、県内大学生の地元就職へのマッチング機会を提供することを目的に、インターンシップの実施を支援しています。インターンシップは、就職活動が始まる前に職場体験の機会を得ることで、就職後の職場への適応力や定着率の向上につなげる効果があります。  そこで、インターンシップの取り組みを拡充するとともに、インターンシップが職場への定着にどれくらいの効果があるのか、検証する必要があると考えますが、インターンシップの推進についての御所見と、若者の離職対策にどう取り組むのか、知事にお伺いいたします。 23: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 24: ◯知事(湯崎英彦君) 若者が安心して働くことができる職につき、職場に定着して能力を向上させ活躍することは、地域社会の活力向上につながるとともに、企業の採用や人材育成コストの負担軽減の面からも重要であると認識しております。  一方、本県における新規大卒者の三年以内の離職率は、依然として三〇%台で高どまりしており、国の若年者雇用実態調査によりますと、若者の離職の主な要因といたしましては、仕事の内容や就業環境が合わないことなどが挙げられております。  このため、離職防止に向けましては、雇用のミスマッチを減らしていくことや、若者が安心して働き続けることができる職場環境の整備に取り組むことが必要であると考えております。  雇用のミスマッチの減少に向けましては、学生が企業の仕事内容や就業環境等に関する情報を十分知った上で就職することが重要であることから、県内大学、経済団体等との連携により、インターンシップを推進しているところでございます。  インターンシップに参加することによりまして、学生の多くが仕事との適合性や職場の雰囲気を確認するよい機会になったと回答していることから、この取り組みが、学生の企業理解の促進や職場の定着に一定の効果を上げているものと考えております。  また、インターンシップとの相乗効果を狙い、大学低学年次から仕事内容や就業環境等の情報を提供する業界研究セミナーや企業見学会を実施し、来年度からは、県内大学と連携した中小企業経営者と学生の交流の場を設けることとしております。  引き続き、職場定着の向上に向けては、こうした取り組みを推進するとともに、その効果検証も行ってまいります。  次に、若者が安心して働き続けることができる職場環境の整備といたしましては、県内企業の働き方改革や女性活躍推進の取り組みを後押しするとともに、今年度から従業員の奨学金返済支援に取り組む中小企業の補助制度を創設して、若者の人材確保・定着を図っているところでございます。  さらに、来年度は、新たに広島労働局と連携いたしまして、地元中小企業を対象とした職場定着支援セミナーを開催して、若者の職場定着支援に取り組むこととしております。  今後とも、関係機関と連携し、雇用のミスマッチ防止や働きやすい職場環境の整備などに取り組むことにより、若者の職場定着を促進してまいります。 25: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。
    26: ◯内田 務君 インターンシップの成果があるということでもありますし、これからもしっかりと、定着に向けた取り組みをお願いしておきたいと思います。  二点目は、スポーツを通じた人間形成に係る認識と取り組み状況についてであります。  本年度改定される広島県スポーツ推進計画においては、スポーツの力を活用して社会の課題解決に積極的に取り組むこととされています。一方、机に向かって学ぶ教育も非常に大事でありますが、社会に出て組織人として多くの人々と交わり、働き、生きていくためには、コミュニケーション能力やチームワーク、協調性が必要であり、スポーツに取り組むことは、若者が社会で活躍するための人間形成に果たす役割が非常に大きいと考えます。  スポーツを通じた人間形成に関する御所見と今後の取り組みについて地域政策局長にお伺いいたします。 27: ◯副議長(宮 政利君) 地域政策局長小寺 洋君。         【地域政策局長小寺 洋君登壇】 28: ◯地域政策局長(小寺 洋君) スポーツは、健康や体力の保持増進に加え、他者との協力や競争を通じてコミュニケーション能力や協調性、リーダーシップ、忍耐力などを育む力を持ち、社会で活躍するための若者の人間形成にも大きな役割を果たすものと認識しております。  そのため、公共スポーツ施設を活用した子供向けのスポーツ教室の開催や、若い世代を対象とした障害者スポーツ体験会の実施、アーバンスポーツなどの新たなスポーツの普及促進など、県民の皆様に若いうちからスポーツに親しんでいただけるよう取り組んでいるところでございます。  なお、現在策定中の第二期広島県スポーツ推進計画におきましては、こうした取り組みに加え、スポーツの持つ力を最大限に活用することにより、若者を初めとした県民の誰もがスポーツを楽しむことによって、健康と豊かさと幸せを実感でき、多様性が尊重される、平和で持続可能な社会の実現を目指してまいりたいと考えております。 29: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 30: ◯内田 務君 スポーツの苦手な学生も多くおられると思いますので、スポーツ系以外のコミュニケーションを図れる場所についても、文化活動やボランティア活動、さまざまな場所があると思います。チームワークの必要性や辛抱することの大事さ、また、打たれ強さなど、スポーツや多くの人と交われる趣味などの場での人間形成へつなげていただけますようお願いしたいと思います。  投票率向上について、四点お伺いいたしますので、選挙管理委員会事務局長は答弁待機席へお願いいたします。 31: ◯副議長(宮 政利君) 選挙管理委員会事務局長、答弁待機席へお願いします。 32: ◯内田 務君(続) 選挙は、国民が主権者であることの大事なあかしであります。また、政治的意思を表明する重要な場であります。現在、期日前投票所も商業施設の開店時間に合わせて設置されるなど、利便性も高まり定着しつつあります。  そうした中で、まず一点目は、近年の投票率に係る認識についてでありますが、近年執行された広島県での各選挙の投票率をどのように分析しているのか、お伺いいたします。 33: ◯副議長(宮 政利君) 選挙管理委員会事務局長上平 毅君。         【選挙管理委員会事務局長上平 毅君登壇】 34: ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) 県が執行しました近年の国政及び地方選挙における投票率は、平成二十九年の衆議院議員選挙が五〇・一七%、平成二十八年の参議院議員選挙が四九・五八%、平成二十九年の広島県知事選挙が三一・〇九%、平成二十七年の県議会議員選挙が四一・七一%となっており、いずれの選挙も長期的に見ると投票率は低下傾向にあります。  投票率につきましては、天候や選挙の争点など、さまざまな要因が影響していると考えられますが、年代別の投票率を見てみますと、男女とも年齢が下がるにつれて投票率も低くなる傾向が顕著となっております。  また、平成二十九年の衆議院議員選挙での全国的な調査・分析によりますと、投票を棄権した理由としては、仕事や用事があったからや、選挙に余り関心がなかったからといったものが上位に入っており、こうしたことが投票率が低くなる要因の一つであると認識しております。  選挙は、民主主義の根幹をなすものであり、投票率の向上は重要な課題であることから、今後とも、市町の選挙管理委員会を初めとしたさまざまな主体と連携し、投票率の向上に努めてまいりたいと考えております。 35: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 36: ◯内田 務君 いずれも投票率が低いという認識は私も同じでありまして、二点目は、多くの場所での期日前投票所の設置についてお伺いしたいと思います。  市町によっては、期日前投票を商業施設などで実施しておられますが、投票率向上に大いに寄与してきたと思います。今後も期日前投票所を商業施設へ設置するとともに、民間の施設管理者の理解も得てふやしていくことについてどのように考えているのか、お伺いいたします。 37: ◯副議長(宮 政利君) 選挙管理委員会事務局長上平 毅君。 38: ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) 商業施設への期日前投票所の設置につきましては、県が執行しました直近の選挙である平成二十九年の広島県知事選挙では、三市一町で四カ所の商業施設に設置されたところでございます。  商業施設に設置されました期日前投票所における投票者数を見てみますと、当該市町の他の期日前投票所と比べ、特に投票者数が多い状況となっております。  こうしたことから、商業施設に設置される期日前投票所は、選挙人にとって利便性が高く、多くの有権者から積極的に利用されていることがうかがわれ、投票率の向上に有効であると考えております。  県選挙管理委員会といたしましては、市町に対し、引き続き、期日前投票所の設置に必要な経費を措置するとともに、積極的に先進的な取り組み事例等の情報提供を行うことにより、商業施設などにおける期日前投票所の設置の拡大につなげていきたいと考えております。 39: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 40: ◯内田 務君 三点目は、投開票日の投票時間や開票時間の柔軟な変更についてお聞きしたいと思います。  投開票日の立会時間や開票時間については、深夜、翌日になり、立会人の高齢化や市町職員の負担軽減など、現在の働き方改革も考慮し、投開票日の時間を短縮してはどうかとの声もあるところであります。期日前投票を充実させ、その利用がふえてくれば、投開票の時間短縮も現実味を帯びてくると思います。  ついては、選挙の効率化、働き方改革に向け、投開票日の投票時間や開票時間の柔軟な変更についての御所見をお伺いいたします。 41: ◯副議長(宮 政利君) 選挙管理委員会事務局長上平 毅君。 42: ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) 投票時間の繰り上げや繰り下げを行うことができるのは、公職選挙法において、選挙人の投票の便宜のために必要があると認められる特別の事情がある場合、または、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限られており、投票時間の柔軟な変更は、選挙人の投票機会の確保の観点から好ましくないものと考えております。  また、開票開始時刻につきましては、公職選挙法において、開票作業は全ての投票箱の送致を受けて行うこととされており、投票時間の変更が特別な事情による例外的なものである以上、開票時間の柔軟な変更も困難であると考えております。  県選挙管理委員会といたしましては、働き方改革の観点からも、立会人や選挙事務従事者の負担軽減は重要な課題であると認識しており、適正な選挙の管理、執行を最優先としながら、開票作業を迅速、効率化していくよう、市区町の選挙管理委員会に助言を行ってまいりたいと考えております。 43: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 44: ◯内田 務君 先ほど聞きますと、特別な事情ということであろうかと思いますが、制約がありますが、投開票を行っているそれぞれの地域の現状を見ていただくと、それぞれ地域で差があると思います。国とも連携を図りながら対応していただくことを要望しておきます。  四点目は、投票率向上に向けた具体的な方策についてであります。  平成二十五年には、若者の投票率を上げるために、フラッシュモブを十三市町で実施し、一定の効果が上がったものと思います。このようなイベントを含めて、より一層の投票率の向上に向けて今後どう取り組んでいくのか、お伺いいたします。 45: ◯副議長(宮 政利君) 選挙管理委員会事務局長上平 毅君。 46: ◯選挙管理委員会事務局長(上平 毅君) これまでの選挙啓発活動につきましては、政治に関心が薄く、投票率が低い若年層やファミリー層をターゲットに、フラッシュモブなど、県民参加型のイベントなどを実施するとともに、インターネットでの動画配信やSNSを活用して幅広い層への情報発信を図ってまいりました。  ことし四月に予定されている広島県議会議員選挙に向けましては、県民に広く関心を持ってもらえるよう、県議選啓発標語を昨年十月に募集し、先月、最優秀作品などの発表をしたところですが、そのうち、未来の有権者部門最優秀賞受賞者の表彰式を広島皆実高校で行い、あわせて選挙出前講座を実施するなど、早い段階から話題づくりに取り組んでいるところでございます。  今後実施する本格的な啓発活動におきましては、若年層及びファミリー層の投票率向上に重点を置きながら、県民に身近な選挙であることを踏まえ、幅広い世代の県民から親しみを持たれている地元のタレントを起用した啓発活動を行って話題の拡散を図るとともに、特設ホームページ、動画、SNS、インターネット広告などを活用し、政治と選挙への関心を高めてまいりたいと考えております。  また、平成二十五年に実施したフラッシュモブは、福山市の選挙啓発団体の自主的な活動に波及しており、こうした活動の広がりも今回の選挙啓発に生かしてまいります。  このほか、教育委員会や市区町の選挙管理委員会などと連携し、主権者教育の充実や期日前投票所などの投票環境の整備に取り組むなど、県内各地域における投票行動へ着実に結びつけていけるよう、さまざまな方策に取り組んでまいりたいと考えております。 47: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 48: ◯内田 務君 先ほど答弁にもありましたように、期日前投票をさらに充実させるためにも、まず、民間の施設など多くの場所での開設を要望しておきたいと思いますし、また、先ほどありました、予算を柔軟に使って期日前投票所をふやしたり、投票に行けば、例えば商店の割引券を渡すなど、投票率向上に向けて柔軟に工夫されてもよいと考えます。先ほども言いましたけれども、ぜひとも市町の地域の声を聞きながら、積極的に各市町の選挙管理委員会に委ねることも考えていただきたいと思います。  人生百年時代に向けた施策についてお伺いしたいと思います。  平成時代の幕が間もなく閉じようとしていますが、新時代には大きな変化が待ち構えています。少子高齢化とともに労働人口の減少、平均寿命が延び長寿国日本と呼ばれ、経済もグローバル化の進展もあり、人、物が国境を越えて自由に移動しています。所得や資産の格差拡大も招き、相対的貧困率も悪化しています。  このような現状の中で、人生百年時代に向け生活していかなければなりません。基本的には個々人が考えるべきであろうと思いますが、今、私たちの子供や孫たちのために、これからの七十年、八十年先の将来を見据え、働き方、退職後の生活、老後の過ごし方、そして、日常生活の過ごし方など、元気で楽しく暮らしていける多様で柔軟な一生に向けて道筋をつける役目が私たちであろうかと思います。  昨年二月の定例会におきまして、人生百年時代に関する質問をした際には、人生百年時代に向けた改革に積極的に対応するとの答弁でありました。  そこで、人生百年時代に向けた改革に関連して、幾つか質問させていただきます。  まず初めに、健康寿命の現状分析と延伸に向けた対応についてお伺いいたします。  現在、日本人の平均寿命は、男性で八十一歳、女性で八十七歳、年々平均寿命は延びてきております。今後も医療技術の進歩と個々人の健康志向と努力により、さらに平均寿命が延びることになります。これからの大事なことは、平均寿命の延びと同時に日常生活での支障のない期間の健康寿命を延ばし、平均寿命と健康寿命の差を短くすることであります。  本県の女性の健康寿命は七十三・六歳であり、全国で四十六位と、ワーストツーという驚くべき状況であり、また、男性においても低位になっているということであります。  午前の山下議員の質問でも紹介がありましたが、未病という言葉があります。未病とは、病気と健康の中間にいることをいいますが、七十五歳を過ぎると元気な人と病気がちな人との健康面で、個人差が大きく出てきます。病気にならないのが第一次予防、早期発見が第二次予防、病気でも悪くさせないのが三次予防であります。入り口の一次予防をしっかりして、健康づくりの底辺を広げることが大事であると考えます。  予防医療は病気の人だけでなく、全ての人にかかわることであります。その実践の場は医療機関だけではなく、家庭や学校、職場など日常生活の場であります。また、多くの人々にとってわかりやすく、実践しやすく、そして、確実なものでなければなりません。  県は、健康寿命の延伸を掲げて各種施策に取り組んでいますが、効果のある施策を検討するためには、女性の健康寿命がワーストツーであるという状況を踏まえ、健康寿命の全国との差をしっかり分析して施策に反映していく必要があると考えますが、どういった分析をしているのか、また、それに対しどのように取り組んでいこうとしているのか、予防医療への対応の認識とあわせて知事にお伺いいたします。 49: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 50: ◯知事(湯崎英彦君) 本県の健康寿命は全国的に低位となっているところでございますが、その要因につきましては、比較的軽度であります要支援一、二、要介護一の認定を受けている高齢者割合が高い県ほど健康寿命が短い傾向が見られており、実際本県におきましては約一〇%と全国平均を約一ポイント上回っております。  また、特定健診の受診率が全国三十五位と低位であることや、県民健康意識調査によりますと、病気にかかって初めてみずからの健康を意識し始めるという方が多いことから、病気を予防するための日常的な健康づくりに対する意識に課題があると分析しております。  このため、要支援一、二、要介護一の認定を受けている高齢者割合の低減に向けて、介護予防の取り組みを重点的に推進することとし、来年度からは、高齢者が通える範囲で定期的に集まり、身近な人とのかかわりを持ちながら体操を行う通いの場の設置を加速するための取り組みを充実強化していくこととしております。  加えまして、高齢者は、加齢とともに栄養摂取量が減少する傾向にあることから、通いの場におきまして、高齢者向けの調理教室を開催するなど、いわゆるフレイル対策にもつながる低栄養の予防に向けた取り組みも促進してまいります。  あわせて、禁煙、減塩に取り組む店舗の認証、節度ある飲酒に関する知識の普及啓発などにより、県民の皆様の健康意識を高め、実践につなげていただくとともに、特定健診、がん検診の受診促進、保健指導の実施などによる生活習慣病の発症予防、重症化予防の取り組みを、引き続き、推進してまいります。  このように、健康寿命を延伸するためには、介護予防や生活習慣病予防などの予防医学の観点が不可欠であるという認識に立って、今後とも、人生百年時代を全ての県民がともに支え合い、生涯にわたって健やかで心豊かに暮らしていくことができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 51: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 52: ◯内田 務君 人生百年時代を迎え、健康で過ごせる時間を延ばすことがとても大切であることは明らかであります。ぜひとも、広島県の健康寿命の延伸を早期に実現していただきたいと思いますし、また、個々人に合った健康指導など、健康産業の創設も進めていただければと思います。  次に、HMカードについてお伺いいたします。  県と県医師会では、県内の医療機関、薬局をネットワークでつなぎ、患者の検査、診療、薬といった情報を共有するひろしま医療情報ネットワークを運用されています。このネットワークを利用するためのHMカードをつくられた方から、カープのデザインが気に入ってつくったのはいいが、全く使い方がわからないとのことでありました。カードを持っていても使わなければ意味がありません。カードの使い方やそのメリットを、特に高齢者には丁寧に説明し、理解していただく必要があると思います。  そこで、HMカードの加入の現状、また、カード作成者に対する説明やフォローの状況、さらには医療機関、患者のネットワークへの加入促進に向けた課題と今後の対応について健康福祉局長にお伺いいたします。 53: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。         【健康福祉局長田中 剛君登壇】 54: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 人生百年時代を安心して生活していくためには、病気になったときにも状態に応じた適切な医療を受け、転院または退院後においても切れ目なく医療を受けることができる体制の整備が重要でございます。  ひろしま医療情報ネットワーク、いわゆるHMネットは、このための重要なツールであり、HMカードの発行枚数は現時点で約三万九千枚となっており、昨年度末から約九千枚増加し、順次、発行枚数を伸ばしております。  御指摘の使い方の説明につきましては、ホームページへの情報掲載に加え、HMネット加入薬局におきまして、リーフレットなどを活用しながら使い方やメリットを加入者に直接説明し、そのフォローに努めているところでございますが、特に高齢者につきましては、よりわかりやすい説明がなされるよう取り組んでまいります。  次に、医療機関の加入促進につきましては、医師等へのアンケートによりますと、利用が低調である主な要因として、システムの操作性に課題があることや、使い方の理解が不足していることなどが挙げられているため、遠隔操作によるサポート体制の整備などを優先的に行っております。  さらに、地域の病院、診療所や薬局等にセットで参加していただけるよう、地区医師会、地区薬剤師会、市町などと連携して働きかけるなど、地域の面的な広がりを目指して取り組んでおり、参加医療機関は本年度に入り五十八施設の増となっております。  今後は、病院、診療所の連携に加え、診療所同士の情報共有や医療・介護連携等をより高い次元で実現し、HMネットのさまざまな機能の活用事例等を紹介しながら、引き続き、医療機関の加入促進に努めてまいります。  また、患者の加入促進に当たりましては、昨年八月に電子お薬手帳の運用を開始したところであり、県民の皆様に利便性の高さを感じていただくことで加入者数の拡大に努めてまいります。  引き続き、医療機能の分化と連携及び地域包括ケアシステムの一体的な構築のためのツールとして、HMネットの利用促進を図ってまいります。 55: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 56: ◯内田 務君 HMカードの有効性は非常に大事であります。一人でも多くの人に理解していただき、より多くの人に加入していただくことによって、先ほどありましたように健康寿命の延伸につながるものと考えます。ぜひ、積極的にPRしながら、HMカードの加入促進をお願い申し上げたいと思います。  次に、老老介護について、二点お伺いいたします。  まず、地域包括支援センターの役割等についてであります。  先日、「ぼけますから、よろしくお願いします。」という映画を見ました。呉市で暮らす夫婦のドキュメンタリー映画なのですが、東京で働く一人娘の支援を断り、これまで家事をしたことのない九十五歳の夫が八十七歳の認知症の妻の介護をいたします。その記録をテレビディレクターの娘さんが撮ったものであります。  このように、今後、自宅で老老介護をしながら、また、高齢者一人で生活せざるを得ない人がふえてくるものと思われます。私も老い先を考えると、身につまされ、人の世話にならないように考えてしまいますが、なかなかそうはいかないことも大いにあると思います。映画の御夫婦の愛の深さに感動する一方で、老老介護の現実を目の当たりにし、日本の抱える介護の問題もこの映画を通じて見えてきたものがありました。  それは、支援の必要な人に適切な支援が届いていないということであります。  映画の御夫婦は、自分たちでいろいろな課題を何とかしようと懸命で、支援を求めず、その生活ぶりは困難をきわめます。また、高齢になると、健康であっても相談や手続が難しくなってきます。介護が必要なひとり暮らしの高齢者にとってはなおさらであります。そうした場合、介護や支援してほしいなどの手続を誰にお願いできるのかわからない場合があります。  そこで、総合相談窓口の地域包括支援センターが一定の役割を果たしていくものと思いますが、まず、地域包括支援センターの役割についてお伺いいたします。  また、支援してほしい人が誰に相談し、センターや行政につないでいくのか、健康福祉局長にお伺いいたします。 57: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。 58: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 地域包括支援センターは、支援が必要な高齢者やその家族等からさまざまな相談を受け、必要に応じて医療、介護、生活支援等のサービス提供機関などにつなぎ、継続的にフォローするなど、地域の総合的な相談支援業務を担っております。  具体的には、日常生活の困り事や認知症への対応などの相談に対しまして、高齢者の希望する支援の把握や利用可能なサービス・制度の情報提供、介護サービスを受ける必要がある方への要支援・要介護認定の申請への助言、要支援者等への介護予防ケアプランの作成などに取り組んでいるところでございます。  次に、支援が必要な人を地域包括支援センターや行政へつないでいく役割につきましては、ひとり暮らしの高齢者などで家族の支援が難しい場合は、地域の身近な相談役である民生委員及び児童委員に担っていただくことが望ましいと考えております。  また、認知症や障害などにより判断能力が低下している方々に対しましては、市町の社会福祉協議会が窓口となっております、あんしんサポートセンターかけはしにおきまして、介護サービス等の契約代行や、金銭管理の援助などを行っております。  今後とも、高齢者やその家族が安心して相談し、適切な支援やサービスを利用できる体制の整備に努めてまいります。 59: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。
    60: ◯内田 務君 本当に困っている人が迷わず相談に乗っていただける身近な人が必要だと思います。センターの役割をさらに充実させていただきたいと思います。  先ほど少し答弁にありましたけれども、次に、民生委員・児童委員の活動についてお伺いいたします。  民生委員は、みずからも地域住民の一員として、それぞれが担当する区域において住民のさまざまな相談に応じ、行政を初め、適切な支援やサービスへのつなぎ役としての役割を果たすとともに、高齢者や障害者世帯の見守りや安否確認などにも重要な役割を果たすとされております。私も、この本会議で、過去何度も民生委員の確保や活動について質問させていただき、民生委員が熱意とやりがいを持って活動できる環境づくりに取り組むと答弁がありました。いまだに定数に対し欠員も多く、十分な活動ができていないのではないかと懸念を持っております。  本来、相談や支援を気軽に話せる人は、民生委員・児童委員だと思います。民生委員は、具体的にどう活動されているのでしょうか、また、支援に結びついていく事例がどれくらいあるのか、お伺いいたします。 61: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。 62: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 民生委員及び児童委員の主な活動と、平成二十九年度における県内の政令市、中核市を除いた一人当たりの平均活動実績につきましては、住民からの相談への対応や市町、専門機関の相談窓口等への連絡調整が百四件、ひとり暮らしの高齢者や障害者のいる世帯などを訪問する見守り活動が二百八十七件、高齢者や子育てサロンなどの地域活動の実施、協力が四十五件などとなっており、一人当たりの平均活動日数は百五十八日となっております。  次に、民生委員及び児童委員が市町や専門機関等に連絡し、実際に支援に結びついた件数につきましては、集計したものはございませんが、全国民生委員児童委員連合会が平成二十八年度に実施した調査によりますと、社会的孤立状態にあって課題を抱えた人への対応経験があると回答した民生委員及び児童委員は全体の約三割に当たり、このうち、市町や専門機関等からの支援に結びついたと回答があったのは約六割でございました。  本県といたしましては、民生委員及び児童委員が地域で十分な活動ができるよう、今年度から地区民生委員協議会への負担金を、一協議会当たり平均約九万円から約二十三万円に増額したところでございます。  また、三年に一度の一斉改選に合わせ、地域のニーズを踏まえた民生委員及び児童委員の定数の見直しを行っており、今次定例会に東広島市の定数を増員する条例案を提出しているところでございます。  今後とも、広島県民生委員児童委員協議会や市町と連携し、地域の身近な相談役である民生委員及び児童委員の活動を支援してまいります。 63: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 64: ◯内田 務君 次に、八〇五〇問題、ひきこもりの高齢化、長期化についてお伺いいたします。  人生百年時代に向け、社会は少しずつ変化しており、ひきこもりが長期化するなどで八十代の親が五十代の子供の面倒を見るというケースが八〇五〇問題と呼ばれ、新たな社会問題として取り上げられております。これまで、ひきこもりは、青少年育成の問題として取り上げられており、中高年のひきこもりの方に対しては取り組みが薄く、実態も把握されてこなかったのだと思います。  鳥取県、島根県においては、国に先駆けてひきこもりの実態調査を行い、いずれの調査も、ひきこもりの状態にある方のうち五〇%以上が四十歳以上であったという結果でありました。内閣府においても昨年調査をされ、もうじき結果が公表されることになると聞いております。  そこで、本県での四十歳以上のひきこもりの実態をどう把握しておられるのか、また、そういった方々に対する支援についてどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。 65: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。 66: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 本県における四十歳以上のひきこもりの実態につきましては、島根県、鳥取県のような実態調査は行っておりませんが、平成二十九年度の広島ひきこもり相談支援センターにおける相談五千五百三件のうち四十歳以上が約二割となっていること、また、家族会の皆様からは毎年実施している意見交換会の場などを通じて長期化しているケースが多いと伺っていることなどから、本県におきましてもひきこもりの高齢化、長期化が進行しているものと考えております。  ひきこもりが長期化すれば、親も高齢になることで収入が減り、さらには、親亡き後には本人の生活困窮や孤立が一層深刻になることが危惧されます。  このような状況に対応するため、本県では、今年度からセンターに相談に来ることができない長期ひきこもり者に対して訪問による相談支援の充実を図っており、二十年以上ひきこもり状態にあった男性を医療機関につなげた実例もございます。  一方、各市町では、生活困窮者自立支援制度により、ひきこもりの当事者と御家族の生活全般にわたる包括的な相談支援を実施しており、県といたしましても、八〇五〇問題をテーマとした相談支援員の研修や就労支援の好事例を紹介するなど、市町の相談支援機能の向上を図るとともに、ひきこもり相談支援センターとのより一層の連携強化に努めてまいります。  地域で自立した生活を送るためには、このような行政からの支援のみならず、地域社会全体の理解や支援が不可欠であることから、来年度、地域福祉支援計画を策定し、地域における支え合い活動を促進することで、長期化した中高年のひきこもりの方々や御家族への支援体制を強化してまいります。 67: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 68: ◯内田 務君 実は、先日、苫小牧市のトマトやベビーリーフを栽培する植物工場に調査に行きました。その工場では、市からの要請もありまして、ひきこもりの方で五十歳代の方も仕事の手伝いをしていただいておりまして、事業主の方から、非常に勤務に忠実で休んだこともない、緑豊かなこの環境が本人の健康に非常によいのではないかということであります。先ほどの農福連携と一緒になって対応してほしいと思いますし、この八〇五〇問題は、青少年の問題と違いまして中高年者同士の問題でありますので、解決する時間が余りないわけでありますので、早期に調査していただいて対策を講じるなど、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。  次に、リカレント教育の推進についてお伺いいたします。  人生百年時代においては、より長いスパンで個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するために、何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育の重要性が高まってまいります。リカレント教育がキャリアアップ、キャリアチェンジにつながる社会をつくっていかなければなりません。  一方で、多くの定年退職者は何をしていいのか、何ができるのかわからないという方が多いと思います。私の身近な人にも、働きたいが自分の健康状態を考えるとどういう仕事を選んでいいのか悩んでいるという方もおられます。そういった方々が地域や中小企業で自分に合った活躍の場を見つけられるよう、気づきを得る場があればと思います。  滋賀県のある団体が、寿命が延び人生百年時代が到来しつつあるこれからは、自分の健康に自助努力、自己防衛が必要であり、健康寿命の延ばし方を学ぶ第二の義務教育として、百歳大学の開設を提唱しています。一方、広島県におきましては、地域活動の核となる人材の育成などを目的として、プラチナ大学の開催に取り組んでいますが、平成二十九年度の修了者は五十四人であり、二〇二五年度末の目標も百人と、極めて小規模な取り組みとなっています。  定年退職した方が、自分の人生を豊かにするため広島県の実態、社会情勢を学び、現役で培った技能を生かし、地域の中小企業などで活躍の場を見つけることができるよう、職業訓練や生涯学習も含め、あらゆる再教育の内容と規模を拡充していく必要があると考えますが、本県において人生百年時代におけるキャリアアップ、キャリアチェンジにつながるリカレント教育の意義をどう認識しているのか、今後のリカレント教育推進の考え方と方針について知事にお伺いいたします。 69: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 70: ◯知事(湯崎英彦君) 人生百年時代におきましては、人は教育、教育を卒業した後で仕事、そして退職をした後で老後という三つのステージの単線型の人生ではなく、長い人生をより充実したものとするため、高齢期になっても社会と積極的にかかわり、自分らしく生活していくことが必要となってくることから、転職や再教育といったマルチステージの人生を送ると考えております。  加えまして、生産年齢人口が減少する中、定年退職された方に対して新たなステージで求められる知識、技能・技術を身につける機会を提供することにより、必要とされる企業などで活躍し続けていただくことは、人生を豊かにするとともに、現在、企業において大きな課題となっております労働力不足対策としても意義のあるものと考えております。  こうした中、国におきましては、昨年六月、人づくり革命基本構想を策定し、人生の再設計が可能となる社会を実現するため、何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育を抜本的に拡充することや、意欲ある高齢者に働く場を準備することとしております。  本県におきましては、定年退職された方や離職された高齢者を含め、キャリアアップやキャリアチェンジを促進するため、民間教育訓練機関等を活用した職業訓練の実施に努めているところでございます。  具体的には、求人ニーズの高い介護分野や、求職者ニーズの高いOA、事務分野を中心にした三カ月から二年の職業訓練を実施しているところでございます。  また、県立広島大学におきまして、地域のビジネスリーダーを育成するMBAを開設し、社会人などを対象にキャリアアップにつながる実践的な教育も展開しているところであります。  加えて、高齢者の地域活動への参画を促進するためのプラチナ大学につきましては、定年退職者などを対象に、市町と協同で実施してきたところでございますが、大学修了者の活動状況等を情報提供するなどし、より多くの市町がプラチナ大学を開校できるよう働きかけてまいります。  さらに、県民の皆様が生涯にわたって学び続けるため、図書館などの身近な場所で多様な学習ができる環境づくりを進めてまいります。  今後、人生百年時代を迎えるに当たりましては、国の政策の動向も踏まえながらリカレント教育の充実に努め、県民の皆様が年齢にかかわらず地域や企業などで活躍の場を見つけることができるよう、エイジレス社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。 71: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 72: ◯内田 務君 最後に、人生百年時代に向けた働き方改革への道筋と支援についてお伺いいたします。  社会保障や住宅ローン返済など、生活を維持し賃金収入を得るためには、当然、労働をしなければなりません。例えば、大学を卒業し二十歳代から働き始めると、少なくとも五、六十年間勤務しなければなりません。そうすると、七十歳、八十歳まで、さらにそれ以降も現役で働かざるを得ない状況にあります。一方で、企業の定年制により、元気であっても働きなれた職場を退職することになります。  そこで、八十歳まで働き続けられる労働環境や、定年退職後でも働く意欲のある人には多様な働き方を選べる労働環境の整備に向けて道筋をつけていく必要があると考えますが、人生百年時代に向けた働き方改革について、所見と今後の対応について知事にお伺いいたします。 73: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 74: ◯知事(湯崎英彦君) 人生百年時代と言われる超長寿社会におきましては、年齢による画一的な考え方を見直し、高齢者から若者まで全ての世代の人々が意欲や能力を生かして活躍し続ける社会をつくっていくことが重要であると認識しております。  また、少子高齢化、グローバル化、第四次産業革命の進展など、社会経済環境が激変する中、個人、企業、社会の中で働き方も変化していくことから、個人の側には変化する社会の中でみずから前進する前向きさが、そして、企業の側には多様な働き方を受け入れて活用する柔軟さが求められております。  特に、職業人生が長期化する中、意欲ある高齢者が就業するに当たって、勤務日数や勤務時間、体力面への配慮など、個々の状況に応じた働き方を重視しているという民間調査の結果も出ており、誰もが働きやすい職場環境の整備など、働き方改革が不可欠であると考えております。  こうした中、県内企業におきましても、人手が足りない朝や夕方の時間を勤務時間に選択できる短時間勤務制度、体調に配慮した勤務日数の設定、場所にとらわれない働き方ができるモバイルワークなど、ニーズに応じた柔軟な就業形態の導入のほか、重い物を運ぶ際の負荷を減らす工夫や、作業台の高さの調整など、高齢者が働きやすい職場環境づくりに取り組む事例がふえております。  また、このような工夫は、さる大手鉄鋼事業者での女性向けの工夫の例でございましたが、生産性の向上にもつながっているといったような事例もありまして、経営面でもプラスになるということも認識されているところであります。  本県といたしましては、経済団体等の関係機関と連携いたしまして、県内企業の働き方改革を後押ししているところでございますが、引き続き、こうした身近な企業の取り組み事例を見える化し、積極的に情報発信するなどにより、多様な働き方ができる企業の裾野を広げてまいりたいと考えております。  また、こうした取り組みとともに、高齢者の就労の拡大に向けて、再就職や創業など、多様なニーズに応じた相談対応、多様な就業機会等を提供するシニア向け企業説明会などを実施し、意欲ある高齢者を幅広く支援してまいります。  今後、人生百年時代を迎えるに当たりまして、全ての県民の皆様があらゆるライフステージにおきまして、その個性と能力を発揮しながら活躍できる社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 75: ◯副議長(宮 政利君) 内田 務君。 76: ◯内田 務君 高齢者の活用は人手不足の解消にもつながりますので、元気な高齢者がいつまでも働き続けることができる社会の実現を目指していただきたいと思います。高齢化率でトップを走る日本で、世界の模範となり日本モデルを発信していけるのか、人生百年時代についてもっともっと議論していかなければならないと思います。  終わりに、一言お礼を申し上げます。  西郷隆盛の生き方に思いを寄せ質問させていただいた私でありますが、「西郷どん」が終わり、私も議員としての質問は終わりました。私も、四月二十九日には任期満了であります。天皇陛下が退位される四月三十日の前日であります。私にとりましても歴史に残る思い出の日となり、大変感慨深い思いであります。  天皇陛下の退位に伴い、平成時代が終わります。五月一日には新天皇の即位とともに、新元号の幕あけとなります。新しい元号の中で、今後、政治や経済が大きく動く世の中になるのではないかと思います。  昨年の二月議会と今回、人生百年時代に向け質問させていただきました。激動する時世に目を奪われず、変化に柔軟に対応しながら生きていくことが大事ではないかと思います。  県医師会の速報で拝見しましたが、スマートエージングという考え方があるそうです。老いることを否定するアンチエージングではなく、年齢を重ねるにつれて物事の見方が深まり、人生が豊かになるという前向きな考え方です。そして、私も、スマートエージングにのっとりまして、新たな目標を描きながら夢と希望を持ち、元気で新元号を迎え、百年時代を生き抜いてまいりたいと思います。  最後に、知事を初めとした執行部の皆さん、諸先輩議員、同僚議員の皆さん、議会事務局の皆さん、そして、傍聴に来ていただいた全ての皆さんに感謝とお礼を申し上げ終わります。十二年間、大変ありがとうございました。お世話になりました。(拍手)         【副議長退席、議長着席】 77: ◯議長(山木靖雄君) 引き続いて質問を行います。高山博州君。         【高山博州君登壇】 78: ◯高山博州君 内田先生、帰ってこられましたか。まだ帰っていらっしゃらないようですが、あの言葉を聞くと、もうやめという話もあったのですが、私、高山博州でございます。自民議連でございますが、五年ぶりにこの壇に上がらせていただきます。人間も上がっておりますが、どうぞよろしくお願いします。  四年間にわたって、今議会期で何名の方が質問されましたか。数えてみましたら、百七十七名の方が質問されました。今回は十六名の、私がトリでございます。もう質問することがありません。  そして、今定例会の最後で、平成の最後の質問者として登壇することを許していただきました議長を初め、皆様方、そして、きょうはたくさんの傍聴者にも来ていただきました。大変ありがとうございました。  この四年間の議会を振り返って、私が一番心に残っている言葉、流行語大賞をつけようとすれば、昨年二月の定例会の最終日、山崎先生がきょうはいらっしゃいますが、オイル交換という字をガソリンスタンドで見ると腹が立つ。わかりますか、オイル交換。私も六十五歳、いわゆる高齢者の仲間入りをし、先日、介護保険の保険証が届いたところであります。まだまだ血気盛んであると自分では思っておりますが、山崎先生のようなユニークな発想ができることが若さのあかしであり、長生きの秘訣であると思います。私もそうなりたいものであります。  そして、もう一つ、先日の知事の答弁も名文句でありました。下森議員の市町村合併の総括のときに、ノー原稿で知事がいいのを言いました。コストは少ないほうがいい、成果が重要なことなのだと。これも、なかなか名文句であります。  そのようなことで、本日は、湯崎知事と平川教育長の二人だけに質問させていただきます。人口問題と教育のあり方について質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。  ことしの四月をもって、先ほどの内田先生の話ですが、平成に終わりが告げられます。我々は今、一つの時代の終わりに立ち向かおうとしているのであります。三十年余りの平成の時代とは何であったのか、そのことを考えるため、平成につながる我が国の戦後史を振り返ってみたい。  七十四年前、太平洋戦争が終わりました。戦後史の中で起こった折々の出来事は、まさに現代のありさまを予言しているかのようであります。警鐘は常に鳴らされていたのであります。  私が生まれた昭和二十八年──一九五三年に、小津安二郎監督の「東京物語」が公開されました。私の地元、尾道を舞台にふるさとと東京に分断された家族のすれ違いを描き、家族のつながりとその喪失というテーマを見る者の心に訴えかける作品であり、今日の味気ない家庭、家族像を予見させるものであったようにも思います。いわゆる日本式家族制度の崩壊であります。  次に、有吉佐和子氏の「恍惚の人」が出版されベストセラーになったのが昭和四十七年──一九七二年であります。この小説は、時代は高度経済成長の真っただ中、第二次ベビーブームに沸く中で、今で言う認知症にかかった養父を在宅で介護する嫁を主人公に、世に先駆けて高齢者をめぐる問題を突きつけました。この本を読み、翌年公開された映画を見て、認知症が進行する義父の姿と介護の実情の余りのすさまじさに、とても現実のこととは思えなかったし、そのような時代になるとは予想だにできませんでした。当時の平均寿命が男性七十歳、女性七十五歳、ちょうど湯崎知事と一回り違います。今は年齢が十二歳上回りました。介護制度が充実したとはいえ、こうした状況はどこにでもある日常的な光景となってしまいました。先ほど内田先生の話にありましたが、八〇五〇、老々介護という言葉は、その当時は思いもよらない出来事でありました。  昭和五十一年、第一次オイルショック後の不況の中で、私は大学を卒業いたしました。流行語にもなっている、大学は出たけれど、第二次オイルショックで、当時はひどい就職難でありました。その年にベストセラーとなったのが、先日お亡くなりになりました堺屋太一氏の「団塊の世代」であります。平成に至るまで、戦争のないすばらしい時代でした。ある者は金の卵として高度経済成長期の推進力となり、ある者はバブル経済を中核として支え、また、その規模から経済、社会の動向に大きなインパクトを与え、今、社会保障問題において、若い世代にとっての重要問題になりつつあるのであります。  この団塊の世代を初めとした戦後の日本人が、まさに息をするように吸収し、無条件に信じてきたのが自由、平等、そして平和という価値観であります。これが、戦後を語る上でのキーワードなのであります。これらの価値観自体はいずれもとうといもので、実現されなければならないものであるとは思うが、問題は、我が国の歴史の連続性の中で積み重ねを経て形成されてきたものではない上に、我が国固有の価値観をさておき、自由、平等が何よりも優先すべきものとされてきたところにあると思います。申し上げれば、さきの大戦における敗戦を機に連合軍、アメリカから強制的に押しつけられたものであり、我が国の歴史や風土と連続性を持たない、木を竹で接いだようなものなのであります。本来、そこには違和感が生じてしかるべきところ、戦争の惨禍に打ちのめされ、戦時中の重圧から解放された日本国民は、外から持ち込まれたドラスティックな改革をほぼ無条件に受け入れてしまいました。みずからかち取ったものではなく、外から与えられたものが常識となり、本来望まなかった方向へ動き始めました。  我々が日本国憲法の改正にこだわるのは、九条を初めとした条文の内容もさることながら、我々がみずからの意思により制定した憲法ではなく、GHQによって押しつけられたものだからであります。また、事実上、憲法改正をさせないようにしているとも思える憲法九十六条、いわゆる三分の二条項の存在も大いに問題であります。速やかに国民投票を行い、憲法について国民が責任を持たなければならない時代だと思います。我が国固有の国民性や倫理観、道徳から派生したものではない思想は、その耳ざわりのよさから無軌道に拡散、拡大し、その結果、我が国は、過剰なまでに個の利益を重視する社会へと変容していったのであります。  それでは、我が国固有の国民性や倫理観とは何なのだろうか。向学心、先取の心、清廉さ、共同体の重視、相互扶助の精神といったことが言われています。こうした国民性は、我が国が有史以前から江戸時代末期に至るまで、島国という他国と隔絶した環境の中で、海外から適度な刺激を受けながら独自の歴史を刻み、独特の発展を遂げる中で育まれてきたものであります。  嘉永六年、一八五三年のペリー来航によって受けた衝撃から、日本は幕末の騒乱を経て明治国家を確立し、文明開花、富国強兵の道を歩み出しました。世界と伍して生存を図るべく近代化を急ぐ我が国は、立身出世主義と競争を奨励し、ひたすら規模拡大と効率を追求せざるを得ませんでしたが、戦前の日本人は公の観念を決して失いませんでした。これは、古来から培われてきた村の教育機能や村人相互の扶助意識、地域の共同体の力が維持されていたからであります。また、明治国家においては国民が帰属する共同体が国レベルまで拡大され、一人一人の国民が国に対し帰属意識を持ち得たからであろうと考えます。  帰属する共同体を失ってしまえば、そこにあらわれるのは砂のように分離した個人だけであります。そこには責任や義務を果たそうとする崇高な精神も、他者を思いやる仁愛の心も生じません。日本人としての誇りを取り戻し、日本人が日本人として凛として立ち続けていくために、それぞれが帰属し、よって立つべき共同体を取り戻さなければなりません。  そこで、平成とは、どんな時代だったのか。  まず、平成元年は、ベルリンの壁が崩壊いたしました。平成三年、バブルが崩壊しました。平成七年、阪神・淡路大震災が起こりました。そして、地下鉄サリン事件がありました。平成十一年、国旗・国歌法が成立しました。平成十二年、介護保険制度が始まりました。平成十三年が、あのアメリカの同時多発テロです。平成二十年がリーマンショック、その間、二度の政権交代が起こりました。  広島県では平成五年、新広島空港が開港、藤田知事が就任であります。平成六年、アジア競技大会を開催。平成十年、広島県教育委員会、福山市教育委員会へ文部省からの是正指導。平成十三年、文部科学省へ是正指導報告。平成十五年から平成の大合併。平成十六年、県庁舎建てかえのための基金積み立て休止。平成二十一年、湯崎知事就任。平成二十六年、広島市土砂災害。平成三十年、七月豪雨災害──西日本豪雨災害、死者百二十六名、行方不明五名。  私は、価値観の変容と混迷の時代と言えると思います。  思い起こせば、ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が自由主義陣営の勝利をもって終結したのが平成元年──一九八九年のことでありました。そのとき私たちは、冷戦時代の緊張関係、いつ核戦争が勃発するかもしれないという重苦しい空気から解放され、これで自由で平和な世界が到来するという希望に満ちた気分に浸ったのを思い出します。  しかしながら、世界はそのようには進んでいきませんでした。よくも悪くも私たちに価値観の基準を与えていた思想、主義という背骨が失われてしまったのであります。社会主義諸国との対決というくびきが失われたことにより、世界は資本主義に塗り潰され、アメリカを中心とした経済の論理に席巻されていくことになるのです。これが新自由主義であり、グローバリズムであります。そして、この波に乗ってグローバル企業が最適化を求めて自国外へ進出していき、また、国家がそれを後押しする政策に邁進していったあげく、今、その矛盾が世界各地で噴出してきております。その最も象徴的な出来事が、アメリカのトランプ政権の誕生であります。  アメリカでは、企業が生産拠点をメキシコやアジアなどに移していった結果、デトロイトなど旧工業地帯は失業者であふれる一方で、グローバル経済に乗ってウォールストリートを中心に富裕層が増加したことなどにより貧富の格差が広がっております。グローバリズムの総本山であるアメリカにおいて、みずからの国が生み出した社会経済体制に不満を持った国民によって、アメリカ・ファーストを掲げ保護主義を訴えるトランプ氏がホワイトハウスに送られたというのは、大いなる皮肉であると思います。  また、安価な労働力を求める企業側のニーズと、少しでも経済的なメリットを得たい人々のニーズが国境を超えて合致した結果、世界的な移民の流れが加速し、そのことによって、イギリスのEU離脱や国家主義的な極右政党の伸長など、反グローバリズムの潮流が巻き起こっています。  戦後の東西冷戦の時代を経て、アメリカが覇権を唱えたものの、その後のG7の時代からG20へと多極化が進み、そして、知事がおっしゃったように、今や盟主なきGゼロの時代へと向かおうとしているのであります。こうして世界が混迷をきわめていることは、本来、人々の暮らしを豊かにするはずの経済が、人々の視野や想像が及ぶ範囲から大きく遊離し、無軌道に拡大していくことへの恐ろしさを示していると思います。  現在、広島県の経済を引っ張っているマツダは、アジアに続きメキシコにも生産拠点を構築しているところでありますが、多国籍企業化したマツダは引き続き本県経済の牽引役であり続けてくれるのか、また、世界的な反グローバリズムの動きの中で足をすくわれることにならないのか、大いに危惧するところであります。マツダには頑張っていただきたいことだと思います。  そして、人口問題についての話をさせていただきます。そういう時代背景の中で、知事に一つの質問をいたします。人口問題とは何かということであります。  国立社会保障・人口問題研究所が一昨年公表した推計によると、日本の人口は、二〇九五年には現在の半分を下回り、二一一五年には五千万人程度になるとのことであります。また、平成二十六年に日本創生会議が行った試算によれば、全国の四九・八%に当たる八百九十六市区町村、本県──広島県では三十市区町のうち十二の市区町が、若者の女性の減少により二〇四〇年に消滅の危機に直面すると言われています。ここにいらっしゃる県議会議員のところも、そこに当たるのではなかろうかと思いますが、グローバル化の進展による海外への人材流出といったこともあわせて考えれば、大変な時代の到来であります。  一方で、私は、人口減少の問題が主として国力や活力といった経済力の低下を懸念する観点から語られ、いかに人を効率よく配置しようかという方向で施策が進められているように思えてなりません。それを解決するには、我々日本人が先祖から受け継いできた資産をどうやって守り、次の代に引き継いでいくか、そのために一人一人がよって立つべき、立脚点としての共同体、つまり、地域のコミュニティーをいかに維持し再生させるかという視点がなければならないと考えています。  よく言われているように、人口減少問題の解決のためには二つの視点があります。一つは、人口の総数を維持、または減少を防ぐという視点、もう一つは、ある限定したエリアの中でほかの地域への人の流出を防ぐ、あるいは他の地域から人を呼び込んで人口をふやすという視点であります。  一点目については、つまるところ、いかに生まれる子供の数を維持、増加させていくかということに尽きると考えます。出生数がふえない理由として子供を産み育てることのできる環境の不備といったことが叫ばれますが、究極のところでは子供を産むことが大切なことであるという意識の減退があり、このことには、戦後形成された、過度に自由、平等を重視する価値観が影響しているとしか思えないのであります。ある文芸評論家は、戦後、類を見ないほど極端な個人主義をマスコミ、日教組教育、日本のアカデミズムが推進した。このイデオロギーとしての個人主義が日本の伝統的な家族のあり方を否定し、少子化にも大きく響いていると論じているが、私も全く同感であります。  広島県が平成二十七年に実施した県民の意識調査によると、十五歳から四十九歳までの未婚者のうち、男女とも約三分の一が結婚するつもりはないと回答している。また、本県における二十五歳から三十九歳の県民の結婚している割合は、平成二十七年時点で女性で五九%、男性は四九・八%になっており、結婚したくてもできない状況があることもうかがえます。  子供を産み育てることは、決して親や家族の領域の問題ではない。自分を産み育ててくれた共同体を守り、次代に引き継いでいくことになるのであります。経済的活力の維持向上という即物的な側面のみならず、我々は前世代から受け継いだよきものを次の世代に責任を持って引き継いでいくという、歴史的、時間的な連続性を維持するという側面を、もっと強調していかなくてはいけないと思います。  もう一つの、外に人を出さない、外から人を呼び込むという視点についてであります。東京一極集中はなぜ起こったか、このことは、ちょっと省かせていただきます。中山間地域の話だけをします。  田舎、とりわけ中山間地域は、日本人の精神の原風景であり、心の豊かさの象徴であり、そこには豊かな自然があり、祖先から受け継がれた田園と里山があり、心のよりどころとなる共同体があった。しかし、中山間地域は、戦後の急激な工業化を背景に、国家戦略により労働力の供給源として都市に人口を吸い上げられ続けてきました。  過疎問題は、一九六〇年の高度経済成長期には既に大きな地域課題であったのでありますが、日本国全体の課題として解決しようという流れは巻き起こりませんでした。都市での生活は快楽度が大きくコミュニティー維持の責任もないため、個人や夫婦単位での欲求を優先し、子供を産み育てようという意識が下がるのは必然でありました。現に、東京の合計特殊出生率は極めて低く、子供を産めないまちに若者を集めてきた政策は我が国の人口問題に大きな影を落としているのであります。都市への集積という施策を推進し、都市へ都市へと個人の意識を国が助長しておきながら、いざ日本全体の人口が減少局面を迎えると地方創生が叫ばれ始めるというのはいかがなものかと思うし、今ではそのかけ声すらむなしく聞こえます。
     今、各地で繰り広げられている移住・定住政策は、結局、限られたパイの奪い合いに過ぎません。県内の各市町の間でも、我がまちに少しでも人を引き込もうと仁義なき闘いが繰り広げられています。この競争の果てには何が待っているのか。国は地域間の競争をあおり、結果として生存競争に勝った地域に人口を集積させていこうとしているのではないか。  県は、県外から人を引き込む政策を進めているが、引き込んだ人がどこに住むべきと考えているのか。このまま無軌道に進めていけば、結局、人が集まったのは広島市だけだったということになりかねません。県全体の人口配置についてビジョンを持つべき時代に来たと思います。  また、平成の大合併も都市への集中を助長したのではないだろうか。平成の大合併は、その意義についてさまざまなことが語られており、合併前は県土の均衡ある発展という言葉がありましたが、今では聞こえてきません。少子高齢化の進行や不況に伴う税収減を背景に、行政の効率を上げるために行われたものであり、コミュニティーの維持や再構築といった観点はスローガンとして叫ばれているが、実現されているとは言いがたいと思います。ただ住むだけでなく、地域の共同体の一員として、ここをついの住みかと思い、その居心地のよさを伝えていく義務を果たしてもらわなくてはならないのがコミュニティーであります。  私は、やみくもに人口を増加させようという論にはくみするものではありません。ヨーロッパにおけるデカップリング制度のように、都市部以外の地域でも人々が安心して生活することができ、人口が安定して推移するような手だてを講ずる必要があると考えるのであります。  広島県民が安心して心豊かに暮らしていくために、そして、人口が減少していく中にあっても中山間地域が住みやすい地域であり続けるために、県内の人口配置はどうあるべきと考えているのか、また、住民が帰属意識を持てる共同体の再構築に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  教育のことについて平川教育長にお聞きします。  日本人のありようについて論ずれば、教育の問題について語らざるを得ません。本当に、平川教育長については、初めて教育長を経験して、大変御苦労をかけます。  私は、平成十二年の県議会議員補欠選挙で、この県議会に入らせていただきました。一番は、日の丸・君が代反対を掲げる対立候補との選挙に勝たせていただき、県議会議員としての歩みを始めました。当時の広島県は、平成十年の文部省是正指導を受け、運動団体や教職員組合の介入によって巻き起こされた、日の丸は運動会の万国旗でもだめ、職員会議は最高議決機関、破り年休といった異常な実態からの正常化を図り、改革への道を歩み始めたところであります。私にとっては、学力向上、国や郷土を愛する心や道徳心の涵養などといった、当たり前のことが当たり前にできる教育の実現は、まさにライフワークであり、県議会議員を志した原点と言っても過言ではありません。  広島県には、広島高等師範学校を中心として日本の教育をリードしてきた長い歴史があり、先人たちが堂々と築き上げてこられた教育県広島の歴史と伝統があった。これが、自由、平等といった思想のもとで、学力向上という言葉すらはばかられ、不正常きわまりない実態におとしめられていたのであります。そこに根深くあったのは、同和教育が全ての教育の基底にあるとした、いわゆる同和教育基底論であり、学校では同和教育の視点から学校教育全体を点検、評価する糾弾まがいの総括まで横行するなど、現場はその閉塞感の中で、その教育力を喪失していきました。  決定的な契機となったのは、昭和六十年九月に当時の県知事、県議会議長、県教育長、運動団体、教職員組合、同和教育研究団体が交わした、いわゆる八者懇談会合意文書でありました。この文書に記載されている関係団体とも連携という美名のもとに、運動団体、教職員組合、同和教育研究団体が学校内外で運動論に基づいた主張を展開し、正当化するといった、いわゆる教育介入が繰り広げられたのであります。平成四年には、事もあろうに当時の教育長が国旗、国歌を否定した二・二八文書と呼ばれる文書を提出するという、ゆゆしき事態を招くまでに至ったのであります。  我々の世代は、学校の教師を敬うべき師と仰ぎ、教師も生徒に対し無形の愛情を注ぐことで正しい教育環境と学校の秩序が構築されていきました。しかしながら、運動会はみんなが一番、教師は聖職ではない、労働者である、校長も教頭も教員も生徒も平等、先生と呼ばないでといった風潮の中で、教師は聖職者たる誇りと自覚を喪失し、生徒や保護者、地域からの信頼を失った。教育の基盤が崩壊していきました。  その当時の生徒は今では親になり、教師に対する尊敬の念、教師の権威が失われ、モンスターペアレンツとなってしまいました。子供たちの教師への憧れも失われていき、昨今顕在化している教員のなり手不足──平川教育長が常に頭を痛めていらっしゃいますが、教員不足の一つの大きな要因となっているのではなかろうか。また、関係はないかもわかりませんが、県と市で教職員の初任給で一万一千円の給料の格差があることも大問題であると思います。  こうして荒廃をきわめていった本県教育は、平成十年に文部省から十三項目にわたる異例の是正指導を受けるに至りました。教育内容関係では卒業式・入学式の国旗掲揚・国歌斉唱、道徳の時間の名称・指導内容を初めとした七項目、学校管理運営関係では教職員会議を最高議決機関とする運営の実際などの六項目、この文部省是正指導を契機として、本県では信頼される公教育の確立と教育改革の推進に向け、教育関係者を初めとしたあらゆる方々が血のにじむような努力を積み重ねていったのであります。  闘いの途上にあって、世羅高校の石川校長、民間出身であった高須小学校の慶徳校長、尾道市教育委員会の山岡教育次長、全て尾道市であります、非業の死を遂げられたという痛恨事がありましたが、とうとい犠牲を払いながら、本県教育はその復権を果たしたのであります。いかに時代が変わろうと、あの是正前の状況に戻ってはなりません。十三の是正項目は、決して譲ってはならない教育の生命線であります。  平川教育長におかれましては、本県教育の歴史において、こうした紆余曲折があったことを御存じのこととは思いますが、あえて今回はやらせていただきました。本県教育が荒廃から再生に至る道程についてどのように認識されているか、また、こうした歴史を踏まえ、本県教育をどうリードしていこうとお考えなのか、お伺いいたします。  是正指導十三項目のうち、きわめて重大であったのは、日本人としての道徳の問題であります。人は、何もない空間の中からひとりで生まれ、ひとりで育つのではありません。人は、親がいて、またその親がいて、先祖がいるからこの世に生まれ存在することができ、長い歴史の中で形づくられ積み重なってきた伝統、文化の中で人格を形成し、一人前になっていく。だから、人は、先祖から受け継いだものを、責任を持って次の代に引き継いでいかなければならないのであります。こうした自覚のもと、先人に対する敬意と感謝の念を持ち、よきものを責任を持って受け継ぎ、守り、次の世代に受け継いでいこうとする心を愛国心、愛郷心と呼ぶのであって、国旗掲揚、国歌斉唱はそのことを再確認する行為なのであります。  本県では、全ての公立学校で国旗が掲揚され、国歌が斉唱されるようになりました。しかし、子供たちの心の中に真の愛国心は育まれているのだろうか、わかりません。戦後レジームからの脱却を目指し、公共の精神、伝統と文化の尊重、我が国と郷土を愛することを明記した教育基本法の改正が実現してから、はや十年余りが過ぎました。その精神が広く実現されているようには、とても感じられません。  平川教育長は、本県初の民間出身の教育長であり、前例にとらわれずそんたくなしでおかしいことはおかしいと言えるのが強み、日本の組織の最も悪い点である上意下達もあるとすればなくしていくとおっしゃっていましたが、教育は日本国民の義務であり、まさに公共事業であります。法律や合理性だけで語ることは決してできないということは、忘れないでいていただきたい。  グローバル社会が到来し、国境を超えて人々が行き来するようになりました。海外へ旅立っていく子供たちもふえております。こうした時代だからこそ、子供たちにはよって立つべき足場が必要なのです。日本人の中に日本人としての誇りと自覚がなければ、世界の人々と渡り合っていくことも、真の相互理解にたどり着くこともできません。愛国心がなければ、日本人はグローバル社会の中で埋没し、日本は滅んでしまうでしょう。  この春開校する広島叡智学園においては、世界中のどこにおいても地域や世界のよりよい未来を創造できるリーダーを育成することを標榜されておりますが、外国を知るために、その教育の根幹には日本人として国や郷土を愛する心を育むことを据えていただきたいと思いますし、やがて入学する外国人留学生の諸君に日本人の愛国心というものをぜひ理解してほしいと思います。平川教育長には、難しい時代の中ではありますが、かじ取りのほど、よろしくお願いいたします。  そこで、今日、育成していかなければならない日本人像をどのように認識し、その実現に向け教育はどのような役割を果たしていくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  今議会期、そして、平成最後の私の質問は以上であります。  愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと申します。私たちは、常に謙虚に歴史を振り返りながら自省し、未来へとつなげていかなければなりません。くしくも、この平成の時代の最後の年に、広島県を西日本豪雨という戦後最大級の災害が襲いました。この災害によって多くの貴重な命が失われましたが、私たちはこれを決して無駄にしてはなりません。自然災害の恐ろしさ、驚異を身にしみて感じ、多くの教訓を得たのであります。  次の時代へのスタートにおいては、まずは復旧・復興を何よりも先に進めなければなりません。そして、これまでよりも災害に強い広島県をつくり上げることこそが、犠牲者の方々に対する、私たちに残された使命であります。知事におかれては、広島県が今回の災害を乗り越え、新たな時代を切り開き、県民の方々が本当の笑顔を取り戻すために、先頭に立って底力を発揮していただくことを心より念願いたしております。  終わりになりましたが、今期をもって御勇退される先生方、また、執行部の皆様方、これからも私たちに対して御指導いただくことと御健勝で御活躍されることを祈念いたします。また、私を含め、このたびの統一地方選挙に立候補される方の御当選をお祈りし、見せちゃろ広島の底力と申し上げて私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) 79: ◯議長(山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 80: ◯知事(湯崎英彦君) 人口問題についてお答え申し上げます。  本県人口につきましては、ひろしま未来チャレンジビジョンの人口ビジョンにおきまして現状と将来展望をお示ししているところであり、今後、子供を産む世代の女性人口の減少は避けられず、さらに、高齢者人口の減少が重なることにより、これまで以上の速度で人口が減少していくこととなっております。  人口減少問題は、生産年齢人口の減少による経済活動の縮小にとどまらず、高齢世帯の増加による社会保障負担の増大、さらには医療機能や生活交通の確保等の日常生活を支える機能の低下など、県民生活に深刻な影響を与えるものであることから、一刻の猶予も許さない喫緊の課題であると認識しております。  このため、本県では、平成二十二年にチャレンジビジョンを策定したときから人口減少問題を重要課題に位置づけ、これを克服するため、新たな経済成長、人づくり、安心な暮らしづくり、豊かな地域づくりという四つの分野の政策を相互に連関させて展開し、相乗効果をもたらしながら好循環をつくるという考え方のもと、さまざまな取り組みを進めているところでございます。  しかしながら、本県の中山間地域では、若年層を中心とした人口の流出を背景に集落の小規模化や高齢化が大きく進み、基幹産業としての農林水産業の衰退や地域の担い手不足、空き家や耕作放棄地の増加など、厳しい状況に直面しております。  このため、平成二十六年に中山間地域振興計画を策定し、中山間地域に住む方々が安心して住み続けられるよう、地域特性を生かした観光、農林水産業の振興など、産業面からの仕事づくりのための取り組みや、医療や子育て、介護、生活交通など、安心を支えるための環境整備につきましても切れ目なく取り組んできたところでございます。  さらに、中山間地域は、県土の保全や安定的な食糧供給などの公益的な機能や豊かな自然、地域で培われた歴史や伝統文化などを有しており、こうした豊かな価値を県民共有の財産として理解し合うことは、県全体の発展を考える上で極めて重要であると認識しております。  こうした中山間地域ならではの価値を地域の強みとして積極的に生かすことで、そのよさに共鳴する若い世代のUIターンを積極的に後押しするなど、多様な希望に応じた移住・定住の選択肢として選ばれる地域となるような環境づくりに取り組んでまいります。  また、県内全域におきまして、人口減少・高齢化が進む中、医療・福祉、商業等の機能が集約され、地域住民がこれらの施設に容易にアクセスできるコンパクト・プラス・ネットワーク型の構造への転換が重要であると認識しており、市町と連携しながら検討を進めてまいります。  次に、人と人のつながりを基盤とした地域コミュニティーづくりにつきましては、中山間地域に限らず、県内全ての地域において進めていくことが重要であると考えており、このたびの七月豪雨災害における避難行動や被災者の方々の生活再建に向けた取り組みを通じて、改めて認識したところでございます。  このため、地域住民それぞれが役割を持ち、自分らしく活躍し、お互いに支え合う地域共生社会の実現に向けた取り組みを県と市町が協働して進めていくこととし、来年度には、地域住民や行政等が一体となって地域課題を解決に導くことができる包括的な支援体制の構築を進めていくための方策とロードマップを整理する地域福祉支援計画を策定してまいります。  これらの取り組みによりまして、県民一人一人がそれぞれの地域に愛着と誇りを持ち、県全体が住みやすく個性ある豊かな地域となることを目指すとともに、全ての県民の皆様が、県内のどの地域におきましても、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県の実現に全力で取り組んでまいります。 81: ◯議長(山木靖雄君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 82: ◯教育長(平川理恵君) 二点についてお答えいたします。  まず、本県教育の歴史に対する認識についてでございます。  私は、平成二十九年十二月に教育長に選任され、平成三十年四月に就任するまでの間、歴代の教育長と面談し、平成十年に当時の文部省から受けた是正指導やその後の取り組みなどについてお話を伺いました。  その中で、本県では県教育委員会が当面する課題の円滑な対応を優先する余り、職員団体、同和教育研究団体及びさまざまな運動団体との交渉や話し合いに応ずる中で、しばしば幾多の妥協を余儀なくされ、こうした積み重ねが法令等を逸脱した学校運営や教育の中立性を損なうという状況を生み出し、是正指導を受けるに至った要因とお伺いしております。  是正指導を受けて以来、歴代教育長のもと、県教育委員会は、県民から信頼される公教育の実現に向け、原点に立ち返り、県民総ぐるみでさまざまな改革、改善に取り組んでまいりました。  この結果、本県教育は、全体として公教育の基盤が整い、現在ではさまざまな面で全国に先駆けた取り組みを推進するところまで来ており、是正前の状況に戻るようなことは絶対にあってはならないと認識しております。  こうした本県教育の歴史を踏まえた上で、市町教育委員会や学校関係者と一体となって、真に県民から信頼される公教育の確立に取り組むとともに、学びの変革を初め、さまざまな施策を着実に推進してまいります。  私といたしましては、教育長として、子供たちが将来の夢を描き、自立した社会人として国内はもとより世界で活躍できるような人づくりを進め、子供たちにとって広島で学んでよかったと思える日本一の教育県の実現を目指してまいります。  次に、育成すべき日本人像についてでございます。  教育基本法におきましては、「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」とされています。  さらに、急速なグローバル化が進展するこれからの社会情勢も踏まえますと、本県では、広島で学んだことに誇りを持ち、胸を張って広島、日本を語り、高い志のもと、世界の人々と協働して新たな価値を生み出すことのできる人材が必要であると認識しております。  このような人材を育成する上で学校教育は極めて重要な役割を担っており、あらゆる教育活動を通じて、日本人としてのアイデンティティーを持って日本の歴史や文化を語ることができ、未知の分野にも果敢にチャレンジし、多様な他者と協働して新たな価値を生み出すことのできる人材の育成に取り組んでおります。  教育委員会といたしましては、引き続き、本県の特徴を最大限生かした、広島らしい教育を推進してまいります。 83: ◯議長(山木靖雄君) これをもって質問を終結いたします。  お諮りいたします。ただいま上程中の議案中、県第四二号議案 広島県監査委員の選任の同意については、この際、委員会への審査の付託を省略し、直ちに本会議において議決するに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 84: ◯議長(山木靖雄君) 御異議なしと認めます。  それでは、県第四二号議案 広島県監査委員の選任の同意についてを採決いたします。本案は原案に同意するに賛成の諸君は御起立願います。         【賛成者起立】 85: ◯議長(山木靖雄君) 起立総員であります。よって、本案は原案に同意するに決しました。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         予算特別委員会の設置 86: ◯議長(山木靖雄君) 次に、お諮りいたします。ただいま上程中の議案中、県第一号議案 平成三十一年度広島県一般会計予算から県第一七号議案 平成三十一年度広島県流域下水道事業会計予算までの各案は、十六人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに審査を付託するに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 87: ◯議長(山木靖雄君) 御異議なしと認めます。よってさよう決します。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         予算特別委員会委員の選任 88: ◯議長(山木靖雄君) それでは、ただいまの決定により、直ちに委員会条例第五条の規定に基づき、予算特別委員会委員の選任を行います。  まず、選任する委員の氏名を書記が読み上げます。         【書 記 朗 読】                        予算特別委員会委員                              的   場       豊  君                              西   本   博   之  君                              尾   熊   良   一  君                              佐   藤   一   直  君                              狭 戸 尾       浩  君                              大   島   昭   彦  君                              窪   田   泰   久  君                              高   木   昭   夫  君                              岩   下   智   伸  君                              河   井   案   里  君                              沖   井       純  君                              小   林   秀   矩  君                              安   井   裕   典  君                              松   浦   幸   男  君                              中   本   隆   志  君                              辻       恒   雄  君 89: ◯議長(山木靖雄君) お諮りいたします。ただいま読み上げました十六人の諸君を、予算特別委員会委員に指名するに賛成の諸君は御起立願います。         【賛成者起立】 90: ◯議長(山木靖雄君) 起立総員であります。よって、予算特別委員会委員は指名のとおり選任するに決しました。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         予算特別委員会委員長並びに副委員長の選任 91: ◯議長(山木靖雄君) 続いて、委員会条例第七条の規定に基づき、予算特別委員会委員長並びに副委員長の選任を行います。  お諮りいたします。                        委員長に                              安   井   裕   典  君                        副委員長は二人とし、副委員長に                              岩   下   智   伸  君                              大   島   昭   彦  君
    を指名するに賛成の諸君は御起立願います。         【賛成者起立】 92: ◯議長(山木靖雄君) 起立総員であります。よって、予算特別委員会委員長並びに副委員長は、いずれも指名のとおり選任するに決しました。  この場合、予算特別委員長を御紹介いたします。安井裕典君。         【安井裕典君登壇】 93: ◯安井裕典君 ただいま、予算特別委員長に御選任いただき、まことに光栄に存じますとともに、その責任の重大さを痛感いたしております。  さて、知事は、平成三十年七月豪雨災害からの復旧・復興プランに基づき、創造的復興による新たな広島県づくりに最優先で取り組むとともに、ひろしま未来チャレンジビジョンに掲げる目指す姿である欲張りなライフスタイルの実現についても、引き続き着実に取り組むとされております。  こうした方針により編成された平成三十一年度の当初予算案は、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた十七会計全体で一兆六千七百億円余が計上されております。  社会保障関係費の増加や公債費の高どまりなどにより引き続き厳しい財政状況が続くものと考えられますが、審査機関として執行部との真摯な議論、活発な審議を尽くし、県民の意思を的確に県政に反映していくことが求められております。  本委員会に課せられた使命はまことに重大であり、委員各位並びに関係当局の御協力を賜りながら、岩下、大島両副委員長ともども、精力的に職務を遂行する所存でございます。  皆様方の御指導と御協力をお願い申し上げまして、簡単ではございますが、就任の御挨拶といたします。(拍手) 94: ◯議長(山木靖雄君) お諮りいたします。ただいま上程中の議案中、県第二三号議案 広島県職員定数条例及び広島県学校職員定数条例の一部を改正する条例案は、この際、地方創生・行財政対策特別委員会に審査を付託するに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 95: ◯議長(山木靖雄君) 御異議なしと認めます。よってさよう決します。  その他の各案については、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。議案付託表は後刻お手元に配付いたします。  次に、請願者の追加についてであります。現在、生活福祉保健委員会において継続審査中の請願第二九の一号 中学校卒業までの医療費無料化の早期実現を求める請願について、お手元へ配付いたしておりますとおり、請願者の追加がありましたので、御了承願います。  お諮りいたします。明十九日から三月一日までは、委員会審査等のため、本会議は休会とするに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 96: ◯議長(山木靖雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。  次回の本会議は三月四日午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時五十七分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...