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  1. 広島県議会 2019-02-04
    平成31年2月定例会(第4日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成31年2月定例会(第4日) 本文 2019-02-13 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 92 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長山木靖雄君) 選択 2 : ◯議長山木靖雄君) 選択 3 : ◯砂原克規選択 4 : ◯議長山木靖雄君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長山木靖雄君) 選択 7 : ◯土木建築局長三上幸三君) 選択 8 : ◯議長山木靖雄君) 選択 9 : ◯商工労働局長佐伯安史君) 選択 10 : ◯議長山木靖雄君) 選択 11 : ◯危機管理監(土井 司君) 選択 12 : ◯議長山木靖雄君) 選択 13 : ◯教育長平川理恵君) 選択 14 : ◯砂原克規選択 15 : ◯議長山木靖雄君) 選択 16 : ◯砂原克規選択 17 : ◯議長山木靖雄君) 選択 18 : ◯商工労働局長佐伯安史君) 選択 19 : ◯議長山木靖雄君) 選択 20 : ◯議長山木靖雄君) 選択 21 : ◯議長山木靖雄君) 選択 22 : ◯議長山木靖雄君) 選択 23 : ◯議長山木靖雄君) 選択 24 : ◯議長山木靖雄君) 選択 25 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 26 : ◯議長山木靖雄君) 選択 27 : ◯小林秀矩君 選択 28 : ◯議長山木靖雄君) 選択 29 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 30 : ◯議長山木靖雄君) 選択 31 : ◯経営戦略審議官(山根健嗣君) 選択 32 : ◯議長山木靖雄君) 選択 33 : ◯商工労働局長佐伯安史君) 選択 34 : ◯議長山木靖雄君) 選択 35 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 36 : ◯議長山木靖雄君) 選択 37 : ◯総務局長(竹中正博君) 選択 38 : ◯議長山木靖雄君) 選択 39 : ◯人事委員会事務局長(長谷川信男君) 選択 40 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 41 : ◯福知基弘君 選択 42 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 43 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 44 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 45 : ◯福知基弘君 選択 46 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 47 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 48 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 49 : ◯福知基弘君 選択 50 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 51 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 52 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 53 : ◯福知基弘君 選択 54 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 55 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 56 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 57 : ◯福知基弘君 選択 58 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 59 : ◯商工労働局長佐伯安史君) 選択 60 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 61 : ◯福知基弘君 選択 62 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 63 : ◯福知基弘君 選択 64 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 65 : ◯教育長平川理恵君) 選択 66 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 67 : ◯福知基弘君 選択 68 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 69 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 70 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 71 : ◯福知基弘君 選択 72 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 73 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 74 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 75 : ◯福知基弘君 選択 76 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 77 : ◯健康福祉局長(田中 剛君) 選択 78 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 79 : ◯福知基弘君 選択 80 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 81 : ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 選択 82 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 83 : ◯福知基弘君 選択 84 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 85 : ◯企業局長(坂井浩明君) 選択 86 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 87 : ◯福知基弘君 選択 88 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 89 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 90 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 91 : ◯福知基弘君 選択 92 : ◯副議長(宮 政利君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯議長山木靖雄君) 出席議員六十二名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第四十五 報第三号 2: ◯議長山木靖雄君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成三十一年度広島県一般会計予算から日程第四十五、報第三号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。砂原克規君。         【砂原克規君登壇】 3: ◯砂原克規君 皆様、おはようございます。自由民主党広島県議会広志会・つばさの砂原克規でございます。会派を代表して質問させていただきます。  湯崎知事が就任されて、はや十年がたとうとしております。前任の藤田知事の時代は財政が逼迫しており、多くのビッグプロジェクトと言われた事業はことごとく中止され、財政健全化のため、知事、執行部の職員、そして議員に至るまで給与カットを行い、財政健全化に向け議論したことを覚えております。また、国の指導により市町村合併も積極的に行い、日本でも最も合併が進んだ県の一つとして国から評価を受けたのでした。  当時、私は、市町村合併は過疎化に拍車をかけ中山間地域がますます疲弊するのではないかと指摘しておりましたが、国の方針であり、また、合併特例債も用意されているので、疲弊どころか活性化するという答弁もありました。しかし、振り返って、今、平成の大合併は成功であったと考える県民がどれだけいるでしょうか。  また、藤田知事時代の財政健全化策は一定の効果がありましたが、一方で公共事業は毎年縮小していきました。湯崎県政においてもそれを引き継ぎ、結果、公共事業費はピーク時の四分の一以下に減少してしまいました。その結果、建設業者が激減してしまいました。そして、現在、このたびの豪雨災害復旧のための建設業者の確保に四苦八苦している状況になっているのです。  さて、冒頭に戻って、湯崎県政になり、財政逼迫にあえぎ新規投資できなかった藤田知事時代の県政運営から、新しく大きく変わるのではないかと期待したのは私だけではないと思います。  しかし、知事の就任直後、まず初めに驚かされることがありました。知事の公約であった「瀬戸内 海の道一兆円構想」は、これから考えると言われたからです。  そして、一番初めに手をつけられたことは、民主党政権のもとで行われたものをまねた事業仕分けであります。そもそも、このような事業の点検は、議会が本会議や決算特別委員会、あるいはさまざまな委員会で行うべきであり、なぜ税金を使ってまで外部に委託するのか、あたかも議会が機能していないと言わんばかりであると我が会派は反発いたしましたが、実施されてしまいました。しかし、この事業仕分けはいつの間にか姿を消し、何が残ったのか、全くわからなくなってしまい、そして、知事が提唱し始めたこの試み自体のPDCAについても、語られることはありませんでした。  そして、ファンド事業。我が会派は地方自治体が投資事業をすべきではないとして反対しました。それに対し、知事は、一企業に投資することで、その企業を成長させ、その業界全体ひいては県全体の経済を活性化する効果を生み出すと言われましたが、その結果はいかがでしょうか。知事の言うような産業界の活性化効果はどこにも見られないと思います。それどころか、ファンドの投資内容はどんどん変化していき、今や企業再生ファンドか単なる投資ファンド、果ては海外のファンドが既に投資している企業に重ねて投資し上場を支援するような、当初の趣旨を逸脱したものになっているように思えるのです。  こうした、当初議論したことからいつの間にか本質がずれ、変化してしまう事業が多いと思います。  我々議会は、このたびも新年度予算案について事前に説明を受けましたが、その予算案に組み込まれたさまざまな事業が、一体どのような効果を生み出し、その結果、広島県がどの方向に向かおうとしているのか、理解できないものが多く見られました。なぜ、その事業が必要なのか、その事業で本当に目指す効果が上がるのだろうか。いろいろな点で違和感を持ってしまうのです。そういった点について具体的に指摘し、改善を求めるものでありますが、明確な答弁を期待したいものです。  初めに、知事が掲げる広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動にかかわって、何点かお伺いしたいと思います。  湯崎知事が就任して三度の大きな豪雨災害がありました。平成二十二年の庄原豪雨災害、平成二十六年の八・二〇豪雨災害、そして、平成三十年の西日本豪雨災害であります。いずれの災害においても、多くのとうとき命が失われ、痛恨のきわみであります。偶然ではありますが、湯崎知事は、十年間で三度も大きな豪雨災害を経験されたことになります。  知事は、八・二〇豪雨災害を受け、平成二十七年に「みんなで減災」県民総ぐるみ運動を提案され、災害死ゼロを目指すと言われました。
     平成三十一年度の事業計画においては、昨年の災害で経験した多くの反省点を振り返り、新たな計画を策定していると思いましたが、その内容は平成三十年度の事業とほとんど同じなのです。例えば、自助の部分では、報道機関との連携による知る取り組みの実施などは、平成三十年度と全く同じ文言であり、そのほかの事業もほぼ同じ内容です。昨年十月以降着手された県民の避難行動等に関する研究が加わり、金額が少しはふえていますが、本当にこの事業で県民が救われるか、内容を吟味しておられるのでしょうか。  共助の項目において新規の内容は、自主防災組織による避難の呼びかけの体制づくり支援の一項目。公助に至っては、市町における初動・応急対応等の課題解消に向け短期集中して支援といった新規事業はありますが、市町長を含む図上訓練は、平成三十年度、平成三十一年度ともに五市町を対象に支援することとなっております。あれだけの大災害があっても全く同じ市町数です。本当にこの事業が効果的なのであれば、平成三十一年度は、今まで実施していない市町全てを対象にして実施すべきものではないでしょうか。  そこで、お尋ねしますが、このたびの豪雨災害の教訓を踏まえ、災害死ゼロを目指す広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動に対する県の考え方を県民や市町に徹底すべきだと思いますが、平成三十年度とほぼ変わらないこの事業内容でそれができるとお考えなのか、知事の御所見を伺います。  また、過去三度の豪雨災害の経験を生かし、新たな事業を考案すべきではないでしょうか、あわせて御所見を伺います。  また、今回の災害で新たに判明した課題が、避難場所や避難経路が本当に今のままでよいのかということであります。  我が会派は、災害によって避難場所も避難経路も変わることを指摘し、指定避難場所について再検討を加える必要性を提唱しております。十二月定例会で我が会派の井原議員が避難場所の収容能力について問いただしたところ、百九十万人程度ある旨の答弁がありました。後日、この内容について精査したところ、当該市町の人口を大きく超える収容人員を県に報告していたり、中には人口の五倍という報告をしている市町もあったのです。また、洪水や土砂災害、地震といった災害種別を区別せず、地震の際の避難場所になっている学校のグラウンドも含まれた数字を機械的に合算していたのです。豪雨のときに学校のグラウンドに避難できるでしょうか。  災害別にきめ細かく避難場所を指定し直したり、それに伴って避難経路を示す必要があると思いますが、予算上はそういった事業には触れられていません。私はこういったところに、県の事業に対する違和感を持ってしまうのです。  今述べましたように、現在の避難場所や避難経路を市町と協力して再検討し、新たに指定し直すことが焦眉の急と考えますが、知事の御所見を伺います。  加えて、このたびの災害で、呉市の安浦地域は陸路が遮断され孤立し、物資が届かない事態になり、海上経由で運搬した事例がありました。実は、当時、東広島市から安芸津経由で安浦に至る道路は寸断されておらず、物資の供給ができたのですが、二つの市の間で情報が共有されておらず、県もそのことを把握していませんでした。  このことを教訓として、県が中心となって、災害発生時に国や県、市町の間で情報が迅速に伝達され、共有できるシステムをつくることが喫緊の課題と考えますが、知事の御所見を伺います。  次は、災害復旧の加速化と災害後の県土づくりについて伺いたいと思います。  まず、災害復旧についてでありますが、県は不眠不休で対応し、着々と事業発注に向けて準備を進めておられることについては評価するものであります。  しかし、現実においては、災害復旧のための設計を行うコンサルタント会社や、実際に工事を行う上で欠かせない技術者やオペレーターが不足しており、その対策に苦慮されていると伺っています。このため、平成三十年度九月補正予算により、建設技術者等緊急雇用助成事業が創設され、土木施工管理技士や車両系建設機械オペレーターを確保しようとしましたが、一月末現在で申請が一件にとどまっていると聞いております。  こうした事態を踏まえ、今回の当初予算では、雇用する技術者等の年齢要件を六十歳未満から七十歳未満に変更する、県外居住者のみならず県内居住者で他業種から転職した者なども対象にするなど、助成対象を拡大されたところではありますが、制度の根幹部分は、建設技術者等を新たに雇用する場合、年間総額が六十万円もしくは五十万円を最長一年間助成するというもので変わっておりません。企業サイドに立って見た場合、技術者やオペレーターを一年以上雇用すれば、給与、社会保険、技術者手当等が必要となり、月額換算で五万円程度の補助額では大して足しにはなりません。  この補助制度では、今、県が直面している建設業界における技術者不足、オペレーター不足を補うだけの事業にならず、本当に雇用につながる補助制度を考える必要があると考えますが、知事の御所見を伺います。  ましてや、このたびの豪雨災害により被害を受けた公共土木施設は、県管理のものだけでも二千五百五十カ所に上ると聞いています。余りにも仕事量が多いので建設業者は足りませんし、技術者やオペレーターだけでなく、現場作業者の人手も不足しています。交通誘導員の確保も全くできていない状況と聞いており、復旧・復興の担い手確保について県が打とうとしている策では、どうも本気度が足らないように思えるのであります。  どうしたら人員確保ができるのか、建設業界、警備業界と膝を突き合わせて解決策を協議すべきと考えますが、あわせて御所見を伺います。  災害復旧に加えて、この未曾有の災害から立ち上がり、将来にわたって県民が安心して暮らせる基盤づくりをするためには、県土全体を一から見直し、再構築する覚悟が求められているのではないでしょうか。土砂災害が日本一起こりやすい広島県が安全であるとアピールするためにも、計画的な対策が必要であります。財政面からも、一体、年間どれぐらいの事業費を組むべきなのか、また、組めるのかということを検討する必要があります。  少しでも県民が安心できるよう、災害復旧と県土強靭化に向けたインフラ整備の考え方や整備水準を明らかにして、事業のリストと事業費、年次計画などを盛り込んだマスタープランを策定し、県民に示すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。  あわせて、いつまでにそのマスタープランを策定されるのか、伺います。  私は、県がかかわっているまちづくりの事業についてもさまざまな違和感を持っております。それを順次伺っていきたいと思います。  まず、第一に、県庁の建てかえについて改めてお伺いします。  庁舎については、当面建てかえを行わず、耐震工事を行うことが平成三十年度の当初予算において決まったわけでありますが、その後も本会議や紙屋町周辺地区活性化推進特別委員会において議論が続いております。  振り返れば、知事は、平成二十八年十二月定例会における我が会派の城戸議員の質問に対して、県庁舎の利活用については、紙屋町・八丁堀地区における交通の結節点である広島バスセンターと近接しており、敷地のポテンシャルは高く、広島都市圏の中枢拠点性の向上を図る上において極めて重要であるとされた上で、おおむね三十年後を見据えて策定される都心活性化プランにおける広島市都心部の目指すべき姿を念頭に置いた検討が具体的に始まる時期に、県庁舎のあり方も含めて、改めて検討してまいりたいと答弁されております。また、新たな県庁舎の整備については、さまざまな意見が想定されることや多額の財源確保が必要であることなどから、県民の皆様の御理解をいただくことが重要とも言われています。  この答弁から読み取れることは、紙屋町・八丁堀地区の再開発に当たっては、三十年後を見据えた上で策定される都心活性化プランを尊重するが、コストの面も考慮した結果、とりあえず耐震工事を行っておおむね三十年間はこのまま使用し、都心活性化の議論が始まったら県庁舎の建てかえについても検討するということなのでしょう。  そして、この時点では、耐震化の費用は三十億円であると議会には説明されました。しかし、耐震工事の費用は、リフレッシュ事業を含めて今や約七十五億円まで膨れ上がり、平成二十八年の時点で議論されていた根底が覆されてしまいました。  我が会派は、東京都の豊島渋谷区の庁舎新築において用いられた実質公費ゼロ円の手法についても提言しましたが、全く聞き入れられませんでした。  そこで、庁舎の公費ゼロ円新築の手法について、広島県では真摯に調査・検討はされたのでしょうか、検討されなかったとしたら、それはなぜなのでしょうか、知事にお伺いします。  また、検討された上でなお耐震化を優先されたのであれば、その理由もお答えください。  もし、県庁舎を公費ゼロ円で新築したとすれば、多額の財源確保も不要であり、起債する必要もありません。また、県庁敷地を民間あるいは広島市に開放することを提示できていたら、都心活性化プランそのものも変化し、タイムスケジュールも大きく前倒しされたのではないでしょうか。  次に、富士見町地区県有地の活用についてお伺いしたいと思います。  この事業も既に既定方針となっておりますが、いまだに腑に落ちない、違和感が解消されておりません。何度も同じ問いを発してきましたが、あえてもう一度お尋ねします。  一昨年の九月に動き出した富士見町地区の県有地等を活用した再開発については、広島市の都心のにぎわいと交流を生み出す高次都市機能の充実強化や、さらなる観光振興を図るために行う、そして、広島都市圏に不足している一千人規模の国際会議の開催が可能となる会議場や、その参加者が多く宿泊することができるホテル機能を中心とした多機能複合型施設の進出を受け入れる環境を整備するために行うと説明がありました。  まず、この地域は、先ほど述べた都心活性化プランに含まれる区域と聞いています。紙屋町・八丁堀地区と同様、三十年先も見据えないまま、なぜこの計画に着手したのか、知事に伺います。  また、この事業を進めるに当たって、複数の地権者が持つ土地・建物を一括して取得して、施設を建設、保有する主体として、広島県は公募もせずに、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションが設立した特別目的会社、富士見町開発合同会社を選定していますが、常任委員会等での説明によると、その事業目的が高次都市機能の充実強化やさらなる観光振興という広島県の政策目的に合致しているからという説明でありました。  県有財産を処分する案件においては、何より手続の公正性、公平性が担保されるべきと考えますが、この富士見町開発合同会社を誰が選定したのか、また、どういった理由で選定されたのか、そして、それはどのように公平性を担保できていると考えておられるのか、知事に伺います。  また、広島東警察署の跡地については随意契約で事業者に売却すると聞いていますが、なぜ公募しないのか、伺います。  この事業においては、隣接するエソール広島も移転の対象となりました。県みずからが入居者の立ち退き交渉も行いました。入居していた女性三団体も移転することになりましたが、移転費用も県が負担しました。そして、平成三十一年度当初予算案でも、女性三団体のための事務所の賃借料として約四千八百万円が計上されています。また、同じく移転を強いられ民間賃貸ビルに入居している自治総合研修センターについても、年間で約五千万円もの賃借料が必要になります。  合わせて年間約一億円もの費用負担をしてまで、なぜこの事業を行う必要があったのか、知事に伺います。  また、いつまでこうした費用負担を継続していかれるのでしょうか、あわせて伺います。  この事業は、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションと富士見町開発合同会社とでホテルの運営事業者を決めましたが、その選定過程には広島県もオブザーバーで参加されました。民間企業が行う選考に、なぜ県が加わらなければならなかったか、理解できません。  県は、なぜオブザーバーとして事業者の選定に参加することになったのか、選定の場においてどのような意見を述べたのか、また、選定過程に参加したからには事業者決定の経緯等について議会に説明すべきであると考えますが、説明するつもりはあるのか、知事の御所見を伺います。  この事業の説明を聞いていると、ホテルができると高次都市機能が充実し、コンベンションホールができると国際会議がふえると述べられています。では、具体的に、この施設ができたら一体何回国際会議が開かれ、何人の外国人が来広し、広島県の観光振興にどれだけ資するのかという数値目標は全く示されていません。移転補償費を支払いながら県有財産を競争入札もせず、鑑定評価額で恐らく相場よりも低く売却する手法を見るにつけ、この事業は一体誰のために行うのか、理解できないのであります。また、こういった施設をつくることが本当ににぎわいづくりになるのでしょうか。  次に、広島高速五号線のシールドトンネル工事の工事費増額について伺います。  御承知のとおり、広島高速道路公社は、広島市とその周辺の地域において指定都市高速道路の整備、管理を行うために、広島県と広島市により設立されました。  昨年十月、広島高速五号線のシールドトンネル工事については、工事請負業者より工事費増額の要請を受け、公社は協議に入るとともに、原因の分析と再発防止策の提言を行う第三者委員会を設置しました。工事請負業者から申し出があってから二年、第三者委員会の設置から二カ月余りが経過しましたが、増額金額の提示や増額協議の内容、そして、その原因について、いまだ何の説明もありません。  さきの十二月定例会において我が会派の井原議員が質問しましたが、県は、公社は広島県と広島市の共同出資により設立された別法人との見解を示し、第三者委員会の推移を見守ると答弁されました。広島県と広島市は、公社の設立者であり、出資者であります。説明責任から逃れられるわけがありません。  そこで、工事費の増額とその根拠を、いつ誰が報告するのか、また、今後どのように決着をつける考えなのか、知事に伺います。  平成三十一年度の当初予算案には、広島高速道路公社への出資金、貸付金十八億五千万円が盛り込まれておりますが、県民の皆様の理解を得るためにも早急に責任を持って報告すべきではないでしょうか。この説明もなしに、予算は淡々と計上するという姿勢に違和感を持ってしまうのであります。工事費の増額に伴い、恐らく大幅な出資金の増額を要することとなるのでしょうが、財政的に不安が募るのであります。  続いて、FISEワールドシリーズ広島二〇一九開催支援事業について伺います。  この事業は、昨年二月に突然提案された事業でした。アーバンスポーツの国際大会が広島で開催されるので費用負担をするというものでありました。事業規模も事業内容の説明もともに曖昧で、広島県が五千万円の費用負担までして行うべきものなのか、疑問に思いました。そして、来年度も同額の予算が要求されております。しかしながら、予算が積算された段階では、一般社団法人日本アーバンスポーツ支援協議会からは、昨年四月に行われた大会の決算書も提出されておりません。これで費用負担が適切かどうか、判断できるのでしょうか。  一方で、来年度は、FISEのほかに国際スポーツ大会が三つも広島で開催されることになっています。ジャパンウイメンズオープンテニス、FIVBワールドカップバレーボール二〇一九男子広島大会、ホッケーシリーズファイナル女子の三大会でありますが、これらの大会の開催に対する県の補助額は、それぞれ二百五十万円、四百万円、五百万円となっています。なぜ、こんなに金額の差があるのでしょうか。  たとえ、にぎわい創出のためとはいえ、昨年の決算書も出ていない状況で来年度においても五千万円の支援を行わなければならないと判断した理由は何なのか、また、その金額の根拠は何なのか、あわせて知事にお伺いします。  また、同時に、スポーツを活用した地域活性化推進事業として、アーバンスポーツアカデミーの誘致にかかる予算も計上されております。  予算の内容を見ると、アカデミーの会場借り上げに要する費用も含まれていますが、県が家賃を支援してまで誘致しようとする理由は何か、また、いつまで負担する予定でおられるのか、あわせてお伺いします。  他のスポーツ団体は、競技場や練習場、事務所等の確保に四苦八苦しています。活動費用も各団体がやっとの思いで捻出している状況がある中で、なぜ、この団体だけが優遇されるのでしょうか。他のスポーツでは、にぎわい創出ができないのでしょうか。  次に、教育に関連して、二点お伺いしたいと思います。  一点目として、広島県教育委員会による学びの変革の取り組みについて伺います。  広島版「学びの変革」アクション・プランが策定されてから四年余り、その中核をなす課題発見・解決学習の全県展開が始まってから一年が経過し、この四月には、学びの変革を先導することを目的とする広島叡智学園が開校しようとしております。何を知っているのかを重視してきた従来の学びから、知識を活用し、協働して新たな価値を生み出せるかを重視した、主体的で深い学びへの転換が図られていくということでありますが、果たして学校現場でどのように実践され、子供たちにどのような力がついていくのか、今もって確たるイメージが持てないというのが正直なところです。  知識を活用しようにもその知識の習得がおぼつかない子供たち、わからないところがわからないというような子供たちと、教科書を読むだけで内容が理解でき、みずから進んで知識を求めるような子供たちが混在している教室の中で、どのような課題発見・解決学習が行われ、子供たちは何を身につけていくのでしょうか。結局のところ、一握りのできる子を対象としたプランであるように思えてなりません。  現実には、多くの学校現場で実践される課題発見・解決学習とは、従来どおり知識や技能の習得を重視しつつ、少しでも子供たちの興味・関心を喚起し、学ぶことの楽しさに気づかせようとする営み、つまりは教え方の工夫といったものになっていき、学びの変革と大げさにアピールするほどのものではなくなっていくのではないかと思います。  こうした理念と現実の乖離は、施策の成果目標にあらわれています。昨年の決算特別委員会でも指摘しましたが、アクション・プランの具現化に向けて実施されている、小・中学校課題発見・解決学習推進プロジェクトの成果目標の一つは、全国学力・学習状況調査の平均正答率におけるトップ県とのポイント差の縮小であります。  ここでお尋ねしますが、学びの変革を始めて四年、全国学力・学習状況調査の平均正答率におけるトップ県とのポイント差は縮小するどころか拡大していることについて、県教育委員会はどのように考え、今後どうすべきと考えておられるのか、教育長にお伺いします。  また、学びの変革によって児童生徒に求める姿とは一体何なのか、また、その実現について何をもって評価するのか、あわせてお伺いします。  二点目は、県立広島大学の改革についてお伺いします。  先ほども述べましたが、学びの変革、すなわち、課題を発見し解決する能力を身につけさせる教育は、広島県の小・中・高等学校に導入が進められております。そして出てきたのが、大学にも学びの変革をということであり、新大学設置の提案ということなのではないでしょうか。  昨年の十二月定例会において、我々が判断に必要な材料が提示されておらず時期尚早と反対したにもかかわらず、公立大学法人県立広島大学の傘下に新しい大学を設置することを盛り込んだ法人の中期目標が議決されてしまいました。それからたった一カ月、今次定例会に提案された当初予算案には、新大学の校舎として広島市中心部にある私立大学の校舎を取得するための経費、約三十四億円が計上されております。新大学の設置運営にかかるコストという非常に重要な要素を提示せずに設置の是非を判断させ、その後は既定の方針として当然のように予算を認めさせようとする当局の姿勢には大いに問題があることを改めて指摘させていただきます。  さて、この新大学の設置については、昨年の六月定例会以降、多くの議員が本会議で質問しておられます。先日、中原議員が新大学の教育理念について問いただされましたが、まさに禅問答のように玉虫色で、どのようにでも解釈できるように感じました。結局、この課題発見・解決能力を身につけるための学びの変革は、教育手法であり教育そのものの目的ではないと考えるのです。  平成十年代に行われていた学習指導要領に基づく教育は、ゆとり教育と呼ばれ、全国でこの手法により学校教育が行われていました。ゆとり教育については、国は今でもその考え方自体を否定していませんが、運用方法を間違ったために、自分でものを考える、また、課題を解決する能力が余り身につかず、また、子供たちに勉強することを委ねたがゆえに基礎学力もおぼつかなくなってしまったと言われています。また、ゆとり教育の意義を教師一人一人に徹底し理解させなかったことが、この教育手法がうまくいかなかった原因となったのではないでしょうか。  今回も同様で、新たな教育手法を導入することは結構ですが、全ての指導者にその意義と目的、そして指導方法を徹底することが必要であり、一歩間違うと、ゆとり教育と同じ轍を踏んでしまうのではないかと思います。新大学においては、莫大な費用をかけて新設するのですから、失敗は許されません。ましてや、失敗して被害をこうむるのは学生たちです。  我々が新大学で行われようとしていることについて、共通理解に至るためには、お互いに通用する言葉や物差しがなければいけません。そのための一つの糸口は、新大学の取り組みを評価できる、誰でも納得できる基準をあらかじめ設定し、共有しておくことではないかと思います。  そこで、新大学の成果は何をもって測定しようとされているのか、また、その成功、不成功をいつ、どのように判定されるのか、知事にお伺いします。  また、結果の出ていない新しい教育手法を実践するのであれば、学部・学科といった小規模なレベルから始めていくという考え方もあったはずです。それなのに、三十四億円という巨費を全く唐突に、それも豪雨災害からの復旧・復興のために多大な財政負担を強いられようとしているこの時期に提案されるというのは理解に苦しみます。また、購入した施設の改修工事にも相応の費用が今後必要となってくるでしょう。  県の財政状況が決して楽観視できない今、新大学の施設調達のために大きな投資をするという決断をされたのはなぜなのか、将来的な見通しも含め財源の裏づけはできているのか、あわせて伺います。  災害復旧現場における技術者不足は深刻であります。また、多くの企業で技術者や資格所有者が不足しています。他県や他地区から技術者をかき集めていく施策では、この問題は解決できません。広島県の大学で技術者を育成し、広島県の産業界に送り込んでいくことも喫緊の課題であり、県立大学の今後を考えるとき、そういった学部の新設も視野に入れるべきではなかったのでしょうか。  ここで、一点要望しておきたいと思います。  今次定例会に、土地造成事業会計と、港湾特別整備事業費特別会計における臨海土地造成事業の債務処理に要する資金を積み立てるための基金の創設と、当該基金への積立金の予算計上が提案されております。  この件に関しては、平成二十五年度以降、確かに一定の振り返りがなされ、議会に説明されているところではありますが、資金不足に陥った理由として、バブル崩壊による地価の下落、企業の投資意欲の低迷といった外的な要因に求めるだけで、経営責任を真摯に総括するものとはなっていないように思います。また、反省を踏まえた今後の対応方針については、土地造成事業会計は、施策効果を勘案した総合的な事業評価、県全体の収支による採算性の評価、市町との役割分担によるリスク分散の三つの視点により事業化を判断していくこととされておりますが、その時々でいかようにも捉えることができる曖昧な尺度であると思いますし、港湾特別整備事業費特別会計に至っては、こうした尺度さえ定められておりません。  私は、公共が県政の発展のために投資する土地造成事業については、必ずしも事業単体で収支が均衡する必要はないと思いますが、県民の血税が原資となる以上、数値的なものを含めた明確な基準を定めておくことが必要であると考えます。  そこで、土地造成事業の債務処理を進めるに当たっては、損失が発生した原因や経営責任について真摯に総括し、今後の事業実施に係る明確な基準を策定して、債務処理の方法もあわせ県民の理解と納得を得るよう、情報開示に努めていただくことを要望しておきます。  終わりに、湯崎県政の十年を改めて振り返ってみて感じていることを申し上げます。  この間、ひろしま未来チャレンジビジョンに基づいた諸施策を展開されてきたところでありますが、折々に打ち出されてきた目玉事業の中には、脈絡なく突然に提案された上に、事業を進める中で当初の前提から大きく逸脱していった事業が数多くあります。また、一件ごとの事業費が非常に大きな案件や、話を聞くたびに事業費が膨らんでいった事業も多くあり、本当に冷静な状況分析のもとで、事業の必要性や効果、内容について精査された上で提案されているのかと疑ってしまうこともしばしばであります。そして、各事業が連携して機能し、効果が上がっているようにも見えません。  ここで思い出すのが、バブル景気のころから一九九〇年代中ごろにかけて、通称リゾート法と言われる総合保養地域整備法に基づいて行われたテーマパークやホテルの建設といったリゾート開発のことであります。適切な状況分析や将来の確たる見通しもなく、持続的な事業計画もないまま事業が進められた結果、結局ほとんどのリゾート施設がリピーターを確保できないまま破綻することとなったわけであり、そのようなことにならないかと大いに危惧しております。  先ほども申し上げたように、戦後最大級の未曾有の災害を受けた本県では、県土全体を一から見直し再構築する覚悟が求められております。本県が置かれたこうした状況を踏まえれば、今、改めて冷静に状況判断を行い、既定方針となった施策、事業であっても、もう一度、その必要性と事業効果をゼロベースで検証し、進度調整や撤退も含めた見直しを行うべきではないでしょうか。  また、このたびの予算編成に伴い、これまで縮減が進んでいた実質的な県債残高が六百三十五億円増加し、財政調整基金もほぼ底をつくなど、中期財政運営方針のフレームが崩れてしまいました。今後も、今始まっている事業のランニング費用、そして、災害復旧や県土強靭化のために巨額の財政負担が必要となることに鑑みれば、財政健全化方策について再度検討すべきと考えます。  我々議員や県民が違和感を覚えることなく、みんなが一丸となって元気な広島県づくりに邁進できるよう、適切な御判断をいただくことを要望して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動推進事業についての御質問でございます。  平成三十年七月豪雨災害は、本県にとって戦後最大級の大規模災害であり、かつ、広域にわたって同時多発的に生じた災害であったことから、自助、共助、公助それぞれの課題が浮き彫りになったと認識しております。  まず、平成二十六年の広島土砂災害の教訓を踏まえスタートさせた「みんなで減災」県民総ぐるみ運動では、県民の皆様に災害から命を守るために適切な行動をとっていただくため、知る、察知するなど、五つの行動目標を掲げ、自主防災組織、事業者等と一体となって積極的に取り組みを進めてまいりました。  しかしながら、このたびの災害で多くの被害者が出たことを踏まえますと、災害の発生に直面した場合に適切な避難行動を実践していただくための取り組みは、必ずしも十分ではなかったものと考えております。  そのため、県民の皆様の避難行動について、防災や行動経済学、行動心理学等の有識者で構成する研究チームによる調査・分析を進め、災害に直面した際の意思決定と避難行動に影響を与えた要因、家にとどまるのではなく避難することを選択していただくために必要な要素などを早期に導き出していきたいと考えております。  その上で、「みんなで減災」県民総ぐるみ運動のより一層の充実強化に反映させることとしております。  なお、研究チームによる分析過程におきまして、県民の皆様の行動を後押しする新たな知見が得られましたら、機動的に対応策を追加してまいりたいと考えております。  また、自主防災組織につきましては、このたびの災害後の十月から県内の全組織を対象とした実態調査を実施しており、避難の呼びかけを行った地区では避難をされた方が比較的多かったことがわかったため、十組織をモデルとして、効率的かつ効果的な避難の呼びかけの方法を構築し、その他の自主防災組織に波及させたいと考えております。  さらに、市町の初動、応急対応につきましては、災害対策本部の運営や他自治体からの応援の受け入れ、避難所の運営などの課題が明らかになったところでございます。  このため、来年度から、これまでの市町長を含む図上訓練に加え、各市町の課題に応じ県職員が赴きまして、住民の命や避難にかかわる課題を解消するため、計画やマニュアルの見直し、見直した計画やマニュアルの実効性を確認するための機能別の訓練などを市町と一緒になって行うことで、市町の災害対処能力の強化を図ることとしております。  今後とも、市町や県民の皆様と一体となって、このたびの災害や過去の災害を踏まえた自助、共助、公助の取り組みを進め、災害死ゼロに向け、全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、災害後の県土づくりのマスタープランについての御質問でございます。
     本県では、平成三十年七月豪雨災害を受け、復旧・復興プランを策定し、被災した公共土木施設等につきまして、災害復旧事業や改良復旧事業などに取り組むとともに、社会資本未来プランに基づき、防災・減災対策を充実強化する事業などにつきまして計画的に実施しているところでございます。  平成三十年七月豪雨では、県内の広い範囲で記録的な豪雨に見舞われ、水害、土砂災害が多く発生したことから、学識経験者等の有識者による今後の水害・土砂災害対策のあり方検討会において、発生要因等の分析や今後の対策のあり方などの検討を行い、本年一月に県土の強靭化と防災力の強化に向けた御提言をいただいたところでございます。  本県といたしましては、この提言も踏まえ、中長期的な視点に立った計画的な事前防災を進めていくため、調査・検討に必要な経費を来年度当初予算に計上しており、河川事業においては、現況流下能力の詳細な把握、また、目標となる流量や整備区間の設定、また、砂防事業においては、基礎調査結果を踏まえ、地域の防災拠点、住宅密集地等を保全するために優先的に対策が必要な箇所の抽出などの検討を行うこととしております。  この検討結果を踏まえ、来年度中に実施方針を取りまとめ、その後、市町の御意見をお伺いしながら、平成三十三年度からの新たな社会資本未来プラン及び事業別整備計画の策定に取り組んでまいります。  また、治山事業におきましては、国の治山対策検討チームによる中間取りまとめを踏まえ、今年度中に治山対策の方針を作成することとしており、その方針にあわせて、市町の要望を伺いながら治山施設の整備を行うこととしております。  引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう全力で取り組むとともに、県土の強靭化に向けた取り組みを計画的に実施してまいります。  次に、県庁舎の建てかえについての御質問でございます。  新たな県庁舎整備の検討に際しましては、民間の資金や技術などの活用も含め、幅広く検討していく必要があるものと考えております。  御指摘の東京都の豊島渋谷区の庁舎新築につきましては、資料の収集や職員による聞き取りなどの調査を行い、その内容について把握しているところでございますが、民間のマンション等との合築や敷地の共同利用を行うことが県庁舎のあり方として適当かどうか、また、民間の活発な投資が期待できる首都圏での事例でもあり、地方における実現可能性がどうか、さらに、県庁舎敷地については中心部における貴重な一団のまとまった敷地であり、その活用策としてどのような形が適当かなど、慎重に検討する必要があると考えております。  また、今現在、民間から県庁舎敷地における合築などの具体的な提案はない状況でございます。  このようなことなども踏まえた上で、県庁舎につきましては、費用や施工期間の観点から、急務である防災拠点としての機能確保のため、平成二十三年度から計画的に耐震改修を実施しているところであり、引き続き、着実に進めてまいりたいと考えております。  次に、FISEワールドシリーズ広島二〇一九開催支援事業についての御質問でございます。  欧米の若者を中心に高い人気を獲得しておりますアーバンスポーツは、東京二〇二〇オリンピックの種目となるなど、若者のオリンピック離れを食いとめる切り札として、世界的に期待されております。  一方で、国内におきましては、まだ認知度が低くこれから成長していく余地が大きいことから、日本アーバンスポーツ支援協議会は、フランスで五十万人以上の観客を集めているアーバンスポーツの世界的な祭典でありますFISEを、国際平和都市として世界的な知名度を持つ広島で開催することを決定されました。  こうした中で開催された昨年の大会では、延べ八万六千人が来場して、約八割の方が満足、約九割の方が再来場の意向を示すなど、アーバンスポーツに対する関心の高さと次回大会への期待を感じたところでございます。  地元では、民間事業者が、多くの方に広島を訪れ楽しんでいただくため、大会と連動した定額周遊券の発行や、割引セールの展開、PRイベントの開催などさまざまな独自の取り組みを展開された結果、約五億五千万円の経済効果が得られ、次回大会に向けても、既に、イベントなどのさまざまな取り組みを行っていただいているところでございます。  また、被爆から復興を果たした広島に、大会に参加する世界の若者たちが集い、平和だからこそスポーツを楽しむことができるというメッセージを、世界的に注目を集めるFISEを活用し、世界七十九カ国に向けてインパクトを持って発信することができました。  大会の開催に当たりましては、入場無料で会場内の回遊や入退場が自由であること、複数種目の競技が同じ会場内で同時に開催されることなど、多くの人が会場内外で自由に回遊し楽しむ様子を昨年の大会で目の当たりにしていることから、さらに多くの観戦者が見込まれる次期大会に向けましても、受け入れる自治体として、昨年にも増して来場者の安全対策や救護体制等の整備による安全・安心な観戦環境を確保するよう主催者に対して要望しており、その対策に必要な経費を確認した上で、経費の一部を広島市とともに支援することとしたところでございます。  さらに、日本アーバンスポーツ支援協議会は、国内での競技の裾野の拡大と、選手の育成強化の拠点となるアーバンスポーツアカデミーの設置を検討していることから、これを県内に誘致することで、広島がアーバンスポーツの中心地として国内外に認知され、アーバンスポーツ競技者を志す若者たちが広島に集まり、広島からもトップ選手を輩出することで、FISEの継続開催とあわせて広島を訪れるファンがふえていくことにより、さらなる経済効果を生み出すといった好循環が期待できると考えております。  この好循環を生み出すための基礎となりますアカデミーにつきましては、アーバンスポーツによる地域の活性化を目指す自治体間の誘致競争が激しくなっていることから、他の都市に先駆けて誘致に取り組むこととし、運営の初期費用として必要となる会場借り上げ費用などの経費の一部を、当面の間、誘致のインセンティブとして支援することとしております。  このように、オリンピックも見据えた新しい試みに県として初期の段階からかかわれることは、スポーツを核とした地域づくりを目指す本県にとっても大きなチャンスであると捉えております。  こうした取り組みにより、県内においてアーバンスポーツの裾野が拡大することで、観光、地域経済の発展、さらには民間事業者によるスクールの開設や、スポーツ用具関連事業者の進出などによる産業振興など、地域を活性化させるという中長期的な視点を持って、広島をアーバンスポーツの聖地として発展させていきたいと考えております。  次に、県立広島大学の改革についての御質問でございます。  県立広島大学の評価につきましては、地方独立行政法人法に基づきまして、設置団体の附属機関である評価委員会により百十項目にわたる業務の実績に関する評価を毎年度実施・公表しており、六年を単位とする中期目標の達成に向けた各年度目標の進捗状況と課題の抽出、対応策の策定及び実施により、PDCAを回していくことを基本としております。  新大学におきましても、基本的には同様の手法によることとなりますが、新たな教育モデルが成果を上げているかをチェックするだけでなく、対処すべき課題の早期発見や迅速な対応が可能となる評価項目の設定や評価手法を定める必要があると考えております。  とりわけ、新たな教育モデルの特色であります多様な主体との連携による実践的な教育や、海外を含む複数回の体験・実践活動などの実績や成果を端的にはかる指標が重要であり、課題解決演習などへの参画企業・団体数、海外からの評価を反映する海外の提携大学や提携機関の数といった定量的な評価だけでなく、実践的演習などを通じた企業や団体からの評価、海外で実践したインターンシップなどに対する現地での評価や事業としての成果など、定性的な評価も重要であると考えております。  また、卒業生の進路やその後の活躍によって、大学の評価が定まるまでには長い時間を必要といたしますが、第三期中期目標の最終年となります平成三十六年度には、第一期の卒業生を送り出す予定であり、また、次の第四期中期目標を定める年にもなっておりますことから、この段階で一定の評価を行う必要があるものと考えております。  引き続き、評価の対象とすべき項目や評価手法などについて検討を進めまして、それらを体系的に整理してお示しした上で、開学後は、評価の結果なども公表し、新大学の理念の実現に向けた進捗状況を県民の皆様に明らかにしながら、着実に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、投資を決断した理由でございますが、従来より幼児期から大学、社会人まで一貫した人材育成を進めるという教育改革に取り組んでいる中、高等教育についても平成二十六年から県内大学や有識者とともに検討を進めてまいりました。  また、国におきましても、昨年十一月に公表された中央教育審議会答申で文理横断的なカリキュラムや、社会人や留学生を含む多様な価値観が集まるキャンパスの実現、大学や自治体、産業界などが連携するための地域プラットホームの構築などが掲げられておりまして、今後、全ての大学がそうした変革の実現に向けて取り組みを加速させていくこととなると認識しております。  新大学が実践する新たな教育モデルは、中教審答申の方向性とも一致するものであり、また、人づくりには時間がかかることなども踏まえ、これまで進めてきた教育改革の歩みをとめることなく、いち早く具体化を進め、全国に先駆けて実績を積み上げていくことが必要であると考えております。  また、今回の投資は資産の取得であり、交通結節点に近接し立地の優位性があること、もともと大学施設であり新たな設備の付加がほとんど必要ないなど、県所有地への新築などと比べまして最も安価な取得方法であること、さらには、将来的な県内大学の再編や新大学の規模の拡大などに対処する必要が生じた場合におきましても、柔軟な対応が可能であることから、取得可能なタイミングを逃すことなく投資すべきと判断したところでございます。  次に、財源についてでございますが、今回の既存三キャンパスの学部・学科等の再編と新大学の設置を両輪とする改革に当たりましては、管理部門の共通化や施設の共用を初めとした最大限の歳出抑制に努めるほか、企業などからの受託研究や競争的資金の獲得、寄附講座の導入、有料公開講座の充実など、可能な限り自己財源の確保に積極的に取り組むこととしております。  県立広島大学の運営状況につきましては、毎年度経営状況などを御報告するとともに、経営上の目標数値や達成状況などにつきましても公開することとしており、安定的な法人経営と教育・研究のさらなる充実が両立できるよう、不断の努力を行ってまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長山木靖雄君) 土木建築局長三上幸三君。         【土木建築局長三上幸三君登壇】 7: ◯土木建築局長三上幸三君) 災害復旧の加速化に向けた技術者等の確保についてお答えいたします。  七月豪雨災害は、被害が広域かつ甚大であったことから、優先度の高い箇所から順次事業を実施しておりますが、今後、災害復旧事業等が本格化する中で、技術者等の確保が一層重要な課題になると認識しております。  このため、発注に当たりましては、近接する複数工事の一括発注により発注件数を抑制するとともに、技術者の兼務制限の緩和や遠隔地からの労働者確保にかかる経費を工事費へ計上できることとするなどの対策を講じているところでございます。  また、昨年十月に創設した緊急雇用助成事業につきまして、各地域における説明会の開催により、制度の周知を図るとともに、より活用しやすい制度にするため、建設業団体からの要望や要請を受け、平成三十一年一月から要件緩和などを行ったところでございます。  平成三十一年二月七日付で一件の支給を決定し、現在、建設業者の方々からの問い合わせもふえてきていることから、今後の申請状況を注視するとともに積極的な活用を促すこととしております。  さらに、交通誘導員の確保につきましては、国、県、建設業団体、警備業団体などから構成する広島県交通誘導員対策協議会を昨年十一月末に設置し、情報共有や対応策の検討を行い、今般、交通誘導員の確保が困難となった場合の対策として、従来警備会社に限定されていた交通誘導を工事の施工業者がみずから行うことができる取り扱いとしたところでございます。  引き続き、国や市町、各業界団体などと連携し、技術者等の確保を図り、円滑な災害復旧事業の推進に努めてまいります。  続きまして、広島高速五号線のシールドトンネル工事の工事費増額についてお答えいたします。  高速五号線シールドトンネル工事につきましては、現在、契約当事者でございます広島高速道路公社とJVの間で工事費について協議しているところでございます。  県といたしましては、当事者間でしっかりと協議が行われる必要があるものと認識しており、まずは、公社とJVの協議を見守ってまいりたいと考えております。  その協議の結果につきましては、県と広島市で報告を聴取し、速やかに議会に御報告したいと考えております。  また、増額が必要となった場合には、その対応について県、市及び公社で協議していく必要があると考えております。 8: ◯議長山木靖雄君) 商工労働局長佐伯安史君。         【商工労働局長佐伯安史君登壇】 9: ◯商工労働局長佐伯安史君) 富士見町地区の県有地等の活用につきましては、複数部局にわたるお尋ねでございますが、私が代表して、四点についてお答えいたします。  まず、富士見町地区の県有地等を活用した事業を急いだ理由についてでございます。  中四国地方の拠点都市である広島市は、国際的知名度が圧倒的に高いにもかかわらず、福岡市や札幌市など他の地方中枢拠点都市と比較して、国際会議の開催件数やホテルの施設数が劣っている状況にございます。  また、さらなる観光振興に向けましては、外国人富裕層からのニーズが高い高価格帯ホテルの不足を課題と考え、ホテル事業者や開発事業者へのヒアリングを行ったところ、複数の事業者から早期に広島へ進出したいとの希望がございました。  こうした中、広島東警察署の移転が決まり、都心部にまとまった未利用地が生じることから、関係局が集まり、この土地のポテンシャルを最大限有効に活用するための検討を行いました。  この検討の結果、隣接民有地やエソール広島を含め一体的な区域として活用し、一千人以上の国際会議も開催できるスペースと、会議の参加者が宿泊するのに適したホテル機能を備えた施設の進出を受け入れる環境を整備することといたしました。  また、取り組みを進めるに当たりましては、民間の活力やノウハウを最大限活用し、公平性、公正性を確保するとともに、県のリスクを最小としつつ、早期の進出を強く希望する事業者の受け入れ環境を整備することといたしました。  このたび、こうした施設が進出することによりまして、市内の他のホテルや会議施設と連携してさらに多くの国際会議を誘致することが可能となるとともに、国内外からの多くの人々が広島を訪れ、滞在し宿泊することで、にぎわいと交流が活発化し、さらなる投資を呼び込む好循環をつくり出す契機の一つになるものと考えております。  こうしたことを通じまして、都心の魅力向上や高次都市機能の充実及び強化を図ることにより、三十年先を見据えて策定したひろしま都心活性化プランに掲げる、広島の魅力が人を引きつけ、にぎわいと交流を生み出すという目指す姿の実現に寄与するとともに、広島の都市としての競争力を強化し、国際的なブランド力を向上することで、広島都市圏ひいては広島県全体の活性化につながっていくものと考えております。  次に、土地の売却先を選定した理由についてでございます。  未利用県有地の売却につきましては、原則、一般競争入札とするところでございますが、この取り組みにおきましては、広島東警察署からエソール広島までの区域で官民複数の地権者等の権利関係を一元化することが最大の課題であり、また、各権利関係者におきましても売却の意向が強かったことから、さまざまな手法を検討した上で、県も含めた各権利関係者が合意のもと、それぞれの財産を富士見町開発合同会社に随意契約で売却する手法を採用することといたしました。  なお、県が随意契約で財産を売却することにつきましては、その性質又は目的が競争入札に適しないものなど、地方自治法施行令に規定する場合は行うことができるとされており、過去の判例におきましても、要約とはなりますが、資力や信用などを有した相手方を選定して随意契約することが、地方公共団体の政策目的を達成する上で妥当であり、地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合は、随意契約を行うことができる場合に該当するとされております。  今回の売却先を富士見町開発合同会社とし、随意契約をした理由は、その事業目的が県の政策目的と一致していること、また、事業への理解が高く意欲があること、さらに、資力、信用、技術等を有しており、当社と契約することが県の政策目的を達成する上で妥当であり、県の利益の増進につながることから、事業連携の相手先としてふさわしいこと、加えて、他の地権者においても富士見町開発合同会社が中心となることで、このたびの取り組みを高次都市機能の充実強化やさらなる観光振興につながる社会貢献として捉え、理解、協力を示したことによるものであり、これは、随意契約を行うことができる場合に該当するものであると考えております。  また、この取り組みの一連の手続につきましては、公正性、公平性の確保の観点から、議会や県民の皆様方にも随時説明させていただいているところでございます。  次に、事業実施に伴い派生した費用についてでございます。  富士見町地区の県有地等を活用した取り組みにつきましては、国際会議も開催できるスペースと会議の参加者が宿泊するに適したホテル機能を備えた施設が進出することで、国内外から多くの人々が広島を訪れ、にぎわいと交流が活発化することや、都心の魅力の向上や高次都市機能の充実及び強化を図ることによりまして、都市としての競争力や国際的なブランド力を向上し、広島都市圏ひいては広島県全体の活性化につなげることなどを目的とした、極めて重要な取り組みであると認識しております。  この取り組みの検討を進める中で、エソール広島の建物につきましては、大規模改修の時期や財団の意向を踏まえ、さらなる発展のため必要となる機能や利便性を満たす場所へ移転することとし、エソール広島の土地・建物を売却することといたしました。  また、同じ建物の中で広島県国民健康保険団体連合会が区分所有するスペースを借りていた自治総合研修センターも、移転することといたしました。  なお、エソール広島につきましては、本県の女性活動の拠点という重要な役割が果たされるよう、必要な支援を行っているところであり、賃貸借契約につきましては、従来から五年ごとに活動内容や運営状況の検証のほか、利用者の声や関係者の意見等も聞きながら更新に関する協議を行うこととしており、運営費補助につきましては、毎年度、活動実績や事業計画等をもとに必要額を協議することとしております。  また、自治総合研修センターにつきましては、当面の間は現在の民間賃貸ビルを利用することを考えており、引き続き賃借料が発生いたしますが、より適当な物件がないかについては、県有施設の活用も含めて今後とも継続して検討してまいりたいと考えております。  次に、事業者の選定過程に県が関与した理由についてでございます。  県有財産売却後の運営につきましては、民間の活力やノウハウを最大限活用することが適切ではございますが、このたびの取り組みは県有財産を活用したものであることから、公正、公平、透明な手続の確保、県の政策目的の理解と提案内容への反映という点を担保するため、ホテル等の運営事業者の選定委員会にオブザーバーとして参加したものでございます。  このため、募集要項や事前確認や選定委員会の審査の場に立ち会いましたが、公正、公平、透明な手続の確保や、県の政策目的の実現という観点においても適切に対処されていることが確認されたことから、意見を述べる必要はございませんでした。  また、事業者決定の経緯等につきましては、議会に対しましても、募集要項に基づき審査方法やスケジュール、審査結果等を随時説明させていただいたところでございます。  なお、選定されなかった応募事業者名やその提案内容などにつきましては、富士見町開発合同会社と瀬戸内ブランドコーポレーションが、より多くの応募者を確保するために公表しない条件で公募したものであることから、県におきましても公表しないこととさせていただいております。 10: ◯議長山木靖雄君) 危機管理監土井 司君。         【危機管理監土井 司君登壇】 11: ◯危機管理監(土井 司君) まず、避難場所及び避難経路の見直しについてお答えします。  住民が命を守るために緊急的に避難し、一時的な安全を確保するための指定緊急避難場所は、災害対策基本法において、市町村長があらかじめ災害種別ごとに指定しなければならないこととされております。  このため、県においては、公共施設に加えマンションなどの民間の堅牢な施設を指定することによって、住民の避難に必要な、安全で身近な指定緊急避難場所を確保するとともに、土砂災害警戒区域の指定等に伴う見直しなどを適切に行うよう、市町に対して働きかけてきたところでございます。  一方、指定緊急避難場所までの避難経路につきましては、県地域防災計画において、市町は地域の状況を十分考慮するとともに、住民の意見を取り入れた避難経路の選定を行うこととしております。  避難経路の選定に当たりましては、住民が実際に避難経路を歩いて、災害種別ごとに確認することが重要であることから、県においては、自主防災組織が実施する防災マップの作成や防災訓練などを活用して安全な避難経路の選定が行われるよう、市町に対して助言してきたところでございます。  しかしながら、平成三十年七月豪雨災害においては、一部の指定緊急避難場所や避難経路で、土砂や流木が流れ込んだり、住民が避難したときには駐車場がいっぱいになっていたことなどの課題が浮き彫りになりました。  このため、本年一月から全市町を訪問し、避難勧告等判断・伝達マニュアルを見直すとともに、災害種別ごとに、指定緊急避難場所及び避難経路の安全性の確認や見直し、住民の避難に必要な指定緊急避難場所の確保などの支援を行っているところでございます。  こうした安全性の確認や見直しを行った上であっても、地域によっては避難経路が限定され、道路に土砂や水があふれ、避難が困難になることもあることから、災害が発生し始める前の早い段階で避難していただくことが重要であると考えております。  次に、災害時における国や県及び市町間の情報共有のシステムづくりについてお答えします。  災害発生時における国、市町、関係機関との情報共有は、迅速、的確な初動、応急対応を実施するためには極めて重要であると認識しております。  このため、平常時において、災害が発生した場合における災害情報の収集・伝達手段及び経路などをあらかじめ県地域防災計画や災害対策運営要領で定めるとともに、国や市町、関係機関と毎年会議や訓練を行い、円滑な情報共有ができるよう取り組んできたところでございます。  また、災害発生時においては、広島県防災情報システムを活用して、被害情報や避難情報などを国や市町、関係機関とリアルタイムで情報共有するよう努めてまいりました。  しかしながら、平成三十年七月豪雨災害においては、寸断された道路情報や、指定避難所における必要な救援物資などの情報収集や共有に苦慮したところでございます。  こうしたことを踏まえ、現在、このたびの豪雨災害における県の初動、応急対応について、国や市町、関係機関から意見等をいただきながら検証作業を実施しております。  この検証により、課題を洗い出した上で、大規模災害が広域かつ同時多発的に発生した場合においても、情報共有を含め、初動、応急対応が迅速、的確に行えるよう、必要な見直しを行ってまいります。 12: ◯議長山木靖雄君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 13: ◯教育長平川理恵君) 学びの変革についてお答えいたします。  広島版「学びの変革」アクション・プランでは、これまで取り組んできた児童生徒一人一人の基礎・基本の確実な定着を目指した教育活動に加え、知識を活用し、協働して新たな価値を生み出せるかを重視し、これからの社会で活躍していくために必要な資質・能力の育成を目指した主体的な学びを促す教育活動に取り組んでおります。  児童生徒の身につける資質・能力には、意欲、態度、価値観、倫理観など、数値ではかることが困難なものも含まれておりますが、授業改善が進めば、全国学力・学習状況調査の平均正答率におけるトップ県とのポイント差が縮小すると考え、成果目標の一つとして設定しているところでございます。  全国学力・学習状況調査の平均正答率におけるトップ県とのポイント差を平成二十七年度と平成三十年度で比較すると、小学校が四・三から三・〇へ一・三ポイント縮小しているのに対して、中学校は四・三から四・七へ〇・四ポイント広がっております。  平成二十七年度から、学びの変革パイロット校を指定し、課題発見・解決学習の単元開発と実践を行うとともに、指定校以外への研究成果の普及を段階的に行ってまいりました。
     そのため、学校によって授業改善の取り組みの進捗状況に差があることなどから、現時点では必ずしも十分な成果があらわれていないものと捉えております。  今後、全ての学校で授業研究に取り組むなどして、主体的な学びを促す課題発見・解決学習の実践・改善を行い、学びの変革全県展開の取り組みを一層推進してまいります。  また、広島版「学びの変革」アクション・プランでは、児童生徒にこれからの社会で活躍するために必要な資質・能力として、みずから新しい価値をつくり出す力、多様な他者と協働・協調できる力、生涯にわたって学び続ける力を育成することを目指しております。  児童生徒の資質・能力の変容を適切に評価する方法につきましては、これまでの成果目標に加え、今年度、各学校において資質・能力の評価基準や方法などの研究を進めており、これらをもとに事業の検証を行いながら着実に「学びの変革」アクション・プランを推進してまいります。 14: ◯砂原克規君 議長……。 15: ◯議長山木靖雄君) 再質問を許します。砂原克規君。 16: ◯砂原克規君 答弁漏れが幾つかあったように感じましたけれども、一点だけ、再度伺いたいと思います。  富士見町開発におきましては、その当時、高垣副知事をチーフとして各部局が集まり意思決定をされたと常任委員会で報告がありました。  西飛行場跡地については、こういったものをつくるという、ちゃんとした目的を明示した上で、事業提案を公募されました。しかし、富士見町開発については、事業提案をきちんとした上で公募すれば複数の事業者が手を挙げた可能性があるにもかかわらず、県が独自で株式会社に対してその意思決定をされたということについて、非常に公平性、公正性を疑ってしまったわけであります。  私は、そのとき委員会で、その意思決定をされたときの議事録を出してくれと言いましたところ、議事録はありませんと答弁されました。それから、今の答弁の中でもるる述べられましたけれども、はっきりとした意思決定の理由にどういった点で公平性、それから公正性があったのかということを理解できなかったわけであります。  改めて、この企業に決定したその意思決定の過程とその理由、そして、そこに公平性、公正性がどのようにあったのかということを伺います。 17: ◯議長山木靖雄君) 商工労働局長佐伯安史君。         【商工労働局長佐伯安史君登壇】 18: ◯商工労働局長佐伯安史君) 富士見町開発合同会社に随意契約した理由という御質問でございます。  繰り返しの答弁になりますが、その事業目的が県の政策目的と一致していること、また、事業への理解が高く意欲があること、さらには、資力、信用、技術等を有しており、当社と契約することが県の政策目的を達成する上で妥当であり、県の利益の増進につながることから、事業連携の相手先としてふさわしいこと、加えて、他の地権者においても富士見町開発合同会社が中心となることで、このたびの取り組みを高次都市機能の充実強化やさらなる観光振興につながる社会貢献として捉え、理解、協力を示したことによるものでございます。 19: ◯議長山木靖雄君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時五十六分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 20: ◯議長山木靖雄君) 出席議員六十名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 21: ◯議長山木靖雄君) 書記に諸般の報告をさせます。         【書 記 朗 読】                                    平成31年2月13日  広 島 県 議 会 議 長 殿                                    広  島  県  知  事                                       (財 政 課)            2月定例県議会の追加議案及び説明書について   平成31年2月定例県議会の追加議案及び説明書を,別冊のとおり提出します。 22: ◯議長山木靖雄君) 別冊はお手元に配付しておりますので、朗読は省略いたします。  お諮りいたします。ただいま報告の追加議案十六件を本日の日程に追加し、一括議題とするに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 23: ◯議長山木靖雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         自追県第一号議案         至追県第一六号議案 24: ◯議長山木靖雄君) この場合、知事から追加議案に対する提案理由の説明を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 25: ◯知事湯崎英彦君) ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、平成三十年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。  国は補正予算において、防災・減災や国土強靭化を主とした公共事業等の対策、農林水産業の強化等のTPP対策を打ち出したところでございます。  本県といたしましては、国の補正予算を活用し、平成三十一年度当初予算と一体的に、創造的復興による新たな広島県づくりや欲張りなライフスタイルの実現に向けた取り組みなどを実施することとし、七十四億四千七百四十二万円を追加計上しております。  このほか、社会保障関係費などの事業費の確定に伴い減額の対応を行うとともに、公共事業につきましても、国の認証や事業内容の調整などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど、七百三十億九千二百五十四万円の減額の整理を行うこととしております。  また、本年度予算のうち、やむを得ず翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。  以上の結果、一般会計につきましては、六百五十六億四千五百十三万円の減額となり、本年度予算の累計額は一兆一千五十四億七百四十二万円となります。  また、特別会計補正予算案は十一会計で、二十四億八千九百九万円の減額、企業会計補正予算案は四会計で、八億十八万円の増額となっております。  どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。 26: ◯議長山木靖雄君) 引き続いて質問を行います。小林秀矩君。         【小林秀矩君登壇】 27: ◯小林秀矩君 皆さん、こんにちは。自民議連の小林です。今次定例会におきまして質問の機会をいただきました議長を初め、先輩、同僚議員の皆さんに感謝を申し上げます。  この場においてお礼を申し上げたいと思います。十二月定例会で全国議長会から十五年の表彰を受けました。議長を初め、議員の皆さん、そして、知事を初め、職員の皆さん、県民の皆さんに心から感謝を申し上げます。  あともう少しで十六年目が過ぎようとしておりますけれども、一般質問で山崎議員、緒方議員、私と、三十名の会派の中で十六回と並んでおりましたが、一歩先んじたような気がしております。十七回目でございますが、自画自賛ではありません。中山間地域の声を代弁し、質問を行ってまいりました。きょうも、中山間地域の皆さんの声を県知事に届けるために立っております。どうか、知事を初め、当局の皆さんには、きょうも妻が来ておりますが、ぜひとも明快な御答弁をいただきますよう、よろしくお願いする次第でございます。  質問に入ります。  質問の第一は、七月豪雨災害から見えてきた道路・河川管理者としての責任ある施策についてお伺いいたします。  近年、道路の維持管理が適切に行われていない状況にあると思われます。県が管理している道路は、国直轄区間以外の一般国道及び県道であり、県民にとっては重要な公共インフラであります。しかしながら、路面は安全の限界を超えて傷みがひどく、道路管理者としての責任さえも感じられないほどであります、云々。隣県と比べたらどうでしょうか。比べようがないほど格差が生じています。国直轄の国道と比べてもその差は歴然としており、言葉を失う状況にあります、云々。  河川管理にしても道路と同様に格差が生じていますが、国全体として道路予算より河川予算が脆弱であることは明らかとなっております。その結果、河川も荒れ果て、決して美しい河川にはほど遠い、ましてや、今日では時間雨量百ミリメートルを超える降雨が各地で恒常的に生じております。せめて堤外にある堆積土や群生している草木を完全に除去しなくては、河川管理者としての責任を果たせたとは言えないはずであります。河川管理については、国と協議を進め、財源を確保し、国、県、市町と一体となって、減災のためにも強力に施策展開されることを望むところであります。このことについての御所見を。  これは、私が平成二十八年九月定例会での一般質問、公共施設の管理責任についてお聞きした一部であります。  知事は、二〇一九年度県政運営の基本方針の中で、その中心は創造的復興を力強く推し進める新たな広島県づくりだとし、七月豪雨災害からの復旧・復興を強力に推し進める知事の決意をあらわすものであります。しかしながら、発災後の八月三日の臨時会、そして、初めての九月定例会での知事説明の中には、さきに述べた過去の本県公共事業の取り組みに対する反省の言葉が一言もなかったことは、大変残念な思いをいたしました。本県の財政再建のために三分の一以下になった公共事業費、それをもって公共施設の管理責任を果たされたのかを含め、何人もの議員の皆様が、異口同音に河川堆積土の撤去をと懇願してきたはずであります。  昨年の決算特別委員会でも質問させていただきましたが、再度お伺いいたします。  まず一点目は、七月豪雨災害発災以前の本県の県土強靱化に対するお気持ち、お考えはどうであったのか、知事の御見解をお伺いいたします。  二点目は、公共事業費が現在ピーク時の三分の一以下まで激減しているにもかかわらず、公共施設の管理責任は果たされたとお考えなのか、明快な御答弁をお聞かせください。  三点目は、七月豪雨災害の復興に支障を来しているものがあります。各分野でのマンパワー不足です。公共事業費が激減したことで関連会社の数も激減、就労される方も激減、ましてや公共事業の存在が社会悪とさえ言われ、若者の土木・建築企業への魅力が低下してしまっています。このことは政治の責任として、しっかりと知事も我々議員もともに受けとめるべき大きな本県の課題であります。  この大きな課題に対し、知事はどう思われるのか、そして、対応策はいかにお考えなのか、お聞かせください。  知事、まずは、過去にとってきた土木施策について真摯に向き合い、そして反省なさることが第一であり、その心を持って、これからの具体な創造的復興に全力を傾注していただくことを強く要望しておきます。  またかの報道。消えた年金問題からかなりの時間はたちますが、厚生労働省が行った毎月勤労統計の不正調査問題は、また闇の中に姿を消そうとしています。特別監察委員会の報告書の骨子の中で、統計法違反が一部あったことに対し刑事告発もしないとは、国民に対してどう説明しようと思われているのでしょうか。真相究明もしないまま二十二人を処分し、幕引きをしようとしています。いつものことよであります。その上、委員会報告書には、事業所からの苦情や都道府県の要望を踏まえたと考えられるとし、責任はあたかも事業所や都道府県にもあるとでも言わんばかりであり、大変遺憾なことであります。一度失った信頼は到底返ってこないであろうと思います。組織的な隠蔽はないとされていますが、果たして国民の皆様はどう思っていらっしゃることか。このことはお国の一大事であり、ほっておけないことであります。  そこで、質問の第二は、国の不適切な統計調査に伴う影響についてお伺いいたします。  昨年十二月に、厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査において、約十五年間にわたり本来とは異なる不適切な方法で調査が行われていたことが明らかとなりました。  この統計は、国の統計の中でも重要な位置づけとなる統計法上の基幹統計に当たるもので、雇用や賃金、労働時間について、その変動状況を毎月明らかにすることを目的として調査が行われているものであります。  毎月勤労統計調査の結果は、雇用保険の失業給付や労災の休業補償の金額の算定に加え、月例経済報告や景気動向指数など多岐にわたって使用されており、その影響ははかり知れないものであります。また、地方公務員の育児や介護休業に伴う給付金、公務中のけがで休業した際の補償金、さらには退職手当などが毎月勤労統計の数値をもとに算出されており、このたびの不適切な調査が原因で過少支給されていたことも明らかとなったところであります。  先月、この一件に端を発し、各省庁が所管する五十六の基幹統計の調査を行ったところ、およそ四割以上に当たる二十三の統計について、集計や手続に間違いがあったことが公表されたところであります。  そこで、このたびの毎月勤労統計調査の不適切な実施に伴って県内にどの程度の影響が生じているのか、知事にお伺いいたします。  次に、県職員の給与等への影響についてお伺いします。  毎月勤労統計調査の結果については、国家公務員の給与を決める際に参考にされる、人事院の給与勧告の参考資料として活用されているところであります。  県の人事委員会におかれましては、中立・公正な立場から民間事業従事者の給与や本県職員の勤務条件、国や地方公共団体の職員の勤務条件などの調査を行い、その結果を踏まえて、毎年、職員の給与等に関する報告及び給与改定に関する勧告を行っておられます。例年、この報告及び勧告において、給与決定に関連のある諸般の事情として国家公務員給与や人事院の給与勧告等が掲げられていますが、このたびの国の不適切な統計調査の影響が少なからずあったのではないかと考えられます。  そこで、人事院勧告を踏まえて決定される県の人事委員会による職員の給与勧告へどの程度の影響があったのか、人事委員会事務局長にお伺いいたします。  質問の第三は、働き方改革と見えてこない貧困対策についてお伺いいたします。  現在、世界経済が米中貿易摩擦を初めとした政治リスクによって減速し始めています。また、国内に目を転じますと、アベノミクスの効果が地方に届いておらず、本年十月には消費税がアップされることとなり、また、TPP11も昨年十二月には発効され、本年二月一日には、EUとのEPAが発効されました。その影響も定かではありません。自動車産業を初めとするデータの改ざんは、国内外のメード・イン・ジャパンの信頼も揺るがしています。  以上のような国内外の経済状況の中で、大小を問わず日本企業は生き残りをかけた戦いを強いられています。ましてや本県では、七月豪雨災害の大きな影響を受け、全ての産業、全ての企業が大変な状況下にあると存じます。  昨年十二月二十日過ぎ、聞きなれた友人の声が携帯電話から聞こえてきました。その内容は、「小林、十二月いっぱいで店を閉じる」。私は声も出ませんでしたが、理由を聞く必要もなかったので「ああそうか」との返事だけを送っておきました。  観光客はがた減りし、三連覇の偉業を達成したカープの試合はシーズンオフ、外食は避けて家で食事をと、負の連鎖が外食産業を巻き込んでいます。  このままでよいのでしょうか。国も県も市町もいろいろと経済対策は打ちますが、まだ効果は見えてきません。企業の皆様が今一番求めていることは何なのか。  知事も七月豪雨災害をピンチと受け取られ、それをチャンスに変えると心意気を示されてきました。具体に何をしていけばよいのかをお示しされるべきであり、経済の好循環を生み出す即効性のある起爆剤を見つけることが、今一番、企業の皆様が求めていることではないかと思います。  働き方改革による労働時間の上限規制は、企業にとっては生産量の減少につながり、働き手にとっては残業代が減り、実質的な賃下げにつながることであります。収入の減少に伴って、消費も滞り、ひいては経済が下振れする負のスパイラルに陥ることも懸念されております。  このような経済状況、企業が置かれている環境の中で、働き方改革を断行することが正しいのかどうか、ここは一旦立ちどまって時期を待つしかないと私は思いますが、このことについての知事の御所見を、まずお聞かせください。  次に、見えてこない貧困対策についてお伺いいたします。  子供の貧困が大きな社会問題となっており、本県もこの課題に真正面から取り組んでおられます。しかしながら、私見ではありますが、子供の貧困という表現は本当に正しいのであろうかと常々思うところであります。結局のところ、子供の貧困は、親を初めとした保護者に貧困があり、結果として子供の貧困が起こっており、もともとは保護者の貧困対策をまず考えるべきであり、保護者の貧困対策が適切に行われるまでの間、対象とされる子供たちへの対策を限定的に行うべきと考えます。  保護者の貧困要因は多岐にわたると考えられますが、政治による抜本的な解決策は見えてこないことが残念に思われます。  早急に対応策を講じるように国に対して要請すべきであり、国が示す働き方改革も含め、あらゆる貧困の要因に真正面から向き合い、きめ細かな対策を講じるべきと考えますが、このことについての知事の御見解をお伺いいたします。  質問の第四は、広島県土地造成事業等債務処理基金条例についてです。  政調の際に、何かが違うと、そう思いました。それは素朴な思いからで、この条例案の目的は一体何なのか。基金の新設なのか、債務処理なのか。  はたまた、土地造成事業会計及び港湾特別整備事業費特別会計は長い名称でありますので、勝手ながら、前の会計名をA企業会計、後の会計名をB特別会計とさせていただきます。なぜ、A企業会計とB特別会計における債務処理を一つの入れ物に入れてしまわれるのか、そのわけが全く理解できません。  まず、このことが可能なのかどうかも含めて、知事に御見解をお伺いいたします。  次に、県民に対する説明責任についてお伺いいたします。  この二つの会計の債務処理について、一つの基金新設で可能とされるのはA企業会計、B特別会計が全く同じ性質のものであり、二つの会計を同時に同じ会計諸帳簿で行うことが可能な場合にのみ許される行為であると私は思っています。二つの会計は全く異質なものであることから、それぞれの会計を行い、それぞれの債務処理を行うことが当然であると考えます。  まずは、二会計それぞれの債務超過に至った経緯や経過を御説明されるべきであり、その後に、再建案なり、今後の進むべき方針をあわせて御説明なさる必要を強く感じています。その上で債務処理の可否について諮るべきであり、会計法上では許されるかもしれませんが、税金を使って行う事業であることを踏まえ、県民に対してこのことをきちんと説明される道義的責任があると存じます。  あくまでも基金条例の新設は債務処理の一つの方法案であり、この二会計が持つ大きな問題をすりかえたように思えてなりません。この点についての御所見を知事にお伺いいたします。  次に、全ての会計、資産に対する調査についてお伺いいたします。  一番大切な問題は、二会計を含めた本県の全ての会計をお示しになり、トータルで債務を再確認され、その処理方法も含めて検討されるべきであると考えます。  負の会計もあり、優良な会計もあるでしょう。眠っている売却可能な資産もあることでしょう。真に、今、基金条例を提出されたということは、少なくとも不良な会計や資産をいかに処理するべきかとお考えになったことのあかしであります。  そこで、全ての会計、全ての資産について調査をされトータルで債務に対しての取り組みをすることについて、どのようにお考えになっておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
     質問の第五は、広島県と政令指定都市である広島市との望ましい関係についてお伺いいたします。  政令指定都市とは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の規定により、政令で指定される人口五十万人以上の市をいうとされています。政令指定都市は、都道府県の区域に包括される普通地方公共団体たる市であるが、現行制度上、その組織権能等について一般の市とは異なる取り扱いをされているとなっています。  そこで、一般的、全国的に、政令指定都市が抱える問題点を整理してみますと、第一に、一般の市町村と同一の制度を適用、第二に、地方自治制度の中で大都市の位置づけや役割が不明確、第三に、特例的、部分的で、一体性、総合性を欠いた事務、第四に、その結果として、県との役割分担が非常に曖昧なため生じている二重行政、二重監督などの課題が挙げられます。  現在、全国の指定都市は、大都市としての集積性、高次性、中枢性や都市的課題の存在を背景として、さまざまな形で大都市特有のスケールメリットを上回る都市的財務需要が生じており、歳出増の要因となっています。これに対応した税財政制度が確立していないために、必要な歳入が確保されていないのが実態であります。例えば、インフラ整備に多額の起債をし、債務残高が膨れ上がり、大変厳しい財政状況にあると言われています。政令指定都市広島市においても同様な問題を抱えていると思われますし、将来においては少子高齢化が加速度的に進むと思われ、大変厳しい状況になると危惧しています。  広島市が政令指定都市に移行されたのは昭和五十五年四月一日であり、スケールメリットを求めて移行されたことと存じます。その時代背景を考えてみても、至極当たり前のことであったのでしょう。我々中山間地域に住む者も、中四国の雄として活躍する広島市は誇れる存在でありました。  しかしながら、今日では、前に述べたような大都市の法制化が余りにも未整備であることに加えて、少子高齢化など今日的課題に加え、過去整備したインフラ整備等による多額の債務を有し、行く末に大きな不安を抱きます。広島県にとってもこのことは大きな問題であり、広島市が健全で広島県を牽引していただきたいと思うことは当然のことであります。  そこで、まず、広島県と広島市との現在の関係は良好なのかどうか、将来にわたり広島県と政令指定都市広島市との望ましい関係とはいかなるものか、知事の御見解をお伺いいたします。  次に、広島市に偏る地域政策についてお伺いします。  私見ではありますが、広島県がとるべき行動は、まずは、広島県は広島市との役割分担を初め、全ての共有可能な事柄を協議調整することであると思います。その次には、不足し、制度が確立していない税財政制度の確立を共同で国に対し強く要請すべきと思います。言いかえれば、腹の探り合いをしても、お互いに財政難であることには変わりないのでありますから、広島県と広島市の関係をガラス張りにし、真正面から向き合い、他の二十二市町が困らないよう、置いてけぼりを食わないようにすることが最も大切だと思います。  ここで、広島市との問題ある事業について、不安を感じているものがありますので指摘しておきます。  まず一つ目として、広島高速道路公社については、多額の債務があり、三十年後までに返済するとのことでありますが、本当に返済可能なのかどうか。臭い物にふたをするのではなく、説明されるべきであると思います。  二つ目として、広島市に対する医療費の公費負担についても、長年話し合いをされてきましたが、平成三十一年度においても現行のままであり、どういう結論にしても早期に知事みずからが解決されるべきことだと思います。  次に、平成三十一年度当初予算においても、広島県は広島市に重点配分なさっていることを指摘しておきます。  例えば、地域政策局の平成三十一年度の主要事業について申し上げますと、ほとんどの主要な事業は広島市に偏在していると思われます。MICEにおいても、十二月に広島商工会議所からの提言に対して即座に反応され、調整中とはありましたが、一月初めの政調に掲げておられ、余りにも早い対応であり唖然としてしまいました。  知事のお考えの中には、広島市のみがあるかのように思えてなりません。  そこで、平成三十一年度の県が計画している事業について、広島市に偏在しているという認識がおありか否か、また、MICEの素早い対応について知事の御見解をお伺いいたします。  質問の第六は、中山間地域の進化についてお伺いします。  中山間地域の現状は、待ったなしの状況から、加速度的に崩壊が始まった状況にあります。  一つとして、国による農業改革は農業従事者の心を完全に砕いてしまいました。米をつくることによってさまざまな取り組みをしてまいりましたが、今ではもうその姿も心もなくなりつつあります。  湯崎知事、どうすればよいと言うのでしょうか。  かつて知事がこんなことをおっしゃっています。平成の三十年間はバブルに始まり、それによる後遺症が残ったままであったと。  私も、このことについて異論はありません。とりわけ、中山間地域は平成の大合併が断行され、大きく変わってしまいました。国が提唱し、県が推進役を務めたわけであります。割を食ったのは大合併を行った地域だけであり、今思えば、国の御都合主義にまんまとだまされたと言っても間違いではなかろうと思います。  平成の大合併の前提は、国の形、県の形も変えることでありました。そう信じてきたことも事実であり、いつどうなるのか、いまだに期待している一面もあります。そのことについては今回は話をしませんが、県も平成の大合併の責任者であることはただしておきます。  平成の大合併により中山間地域の力はそがれ、財政は悪化し、人口減少には拍車がかかり、現在ではありとあらゆるところにほころびが生じるようになってまいりました。今では、後戻りしようにもそれは不可能なことであり、前進するしか道はないこともわかっています。しかしながら、その前進する道がわからないのが現状であり、大きな課題となっています。  現政権が掲げるアベノミクス、地方創生はどうであったのでしょうか。中山間地域には全く配送されず、首を長くして待っていますが、いつ届くというのでありましょうか。農業改革のように切り捨てる政策は速やかに断行し、耳ざわりのよいアベノミクスを初め、諸施策は全くと言っていいほど効果が見えていないのが中山間地域の現状であります。  国益という名のもとに、政策的、作為的に、強い者のため弱い者を見殺しにしていると言っても過言ではありません。中山間地域も真に政策的に潰されようとしています。潰される前に生きる道を探る必要を強く感じています。もう、政治のあり方を変えない限り、強い者だけが生き残ります。  知事、どう思いますか。  政府が言う国益とは何を示しているのでしょうか。概念なのでしょうか。政治のあり方を変えない限り、格差はどんどん大きくなり、やがて生きる者と死する者になってしまうと危惧します。  中山間地域の進化は、中央集権からの脱却、言いかえると、地方分権を推し進める政治改革にあるとかたく信じます。誰もが夢を持って心豊かに暮らしていける政治に、自分たちの努力が実を結ぶ政治へと変わる必要性を痛感します。そのことを残されたわずかな時間の中で実行しない限り、中山間地域は生き残ることもできません。元号が平成から変わる本年、平成の三十年間を振り返ると同時に、中山間地域にも新しい時代が来て、誰もが生き生きと暮らし、未来永劫、中山間地域は生き続けることができるなどと夢を膨らませています。  そこで、知事にお伺いします。今の政策を推進していく上で、県民、とりわけ中山間地域に住む人々の豊かな暮らしは実現可能とお考えになられますか、そのことをお教えください。  それにつけ加え、政府が言う国益とは何を示しているのか、そして、湯崎知事がお考えになる県益とは何なのか、中山間地域益とは何だとお考えになられるのかをお教えください。  以上で私の質問を終わります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 28: ◯議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 29: ◯知事湯崎英彦君) まず、道路及び河川管理者としての責任ある施策についてお答え申し上げます。  県土の強靭化を進めることは県民の安全・安心の確保のため極めて重要であると認識しており、社会資本未来プランにおいて、防災・減災対策を充実強化する事業を最も高い優先順位に位置づけて取り組んできたところでございます。  また、県民の貴重な財産である社会資本を次世代へ確実に引き継ぐためには、既存の社会資本の老朽化対策を計画的に推進する必要があることから、橋梁、舗装、河川護岸など主要な公共土木施設の修繕方針などに基づき、施設の健全度評価や緊急性に応じた適切な修繕工事を実施し、施設の機能保全に取り組んでいるところでございます。  さらに、これまでも道路、河川等の適切な施設管理に取り組んできたところですが、より効率的な維持管理のため、防草コンクリート等の道路除草対策や河川の流下能力を確保するための河道しゅんせつなどを本年度から県土保全対策事業に位置づけ、これらの加速化を図ったところでございます。  加えまして、地域の社会資本整備の担い手である建設事業者を将来にわたって確保することが重要な課題と認識しており、広島県建設産業ビジョン二〇一六において、持続可能な建設産業を施策の柱の一つに掲げ、建設業の魅力に関する学生向けの説明会や次世代への発信を目的としたイベントの開催、若手技術者の意欲向上を目的とした表彰制度の創設など、人材の確保・育成に向けた取り組みを業界団体等と連携して進めているところでございます。  一方で、昨年六月、国道百九十一号におきましてのり面の崩壊が発生したほか、平成三十年七月豪雨では多くの水害や土砂災害が発生したことから、学識経験者等の有識者により、道路のり面の崩壊原因等を検証していただくとともに、平成三十年七月豪雨災害を踏まえた今後の水害・土砂災害対策のあり方検討会におきまして御提言をいただいたところでございます。  これらの検証結果や提言を踏まえまして、計画的な事前防災を進めていくための調査検討に必要な費用を来年度当初予算に計上しており、道路、河川、砂防事業に関する中長期的な視点に立った実施方針を来年度中に取りまとめることとしております。  さらに、平成三十年七月豪雨に係る対応につきましては、多くの建設技術者等が必要となることから、緊急雇用助成事業の支給要件の見直しをPRするなど、積極的な活用を促すこととしております。  引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう全力で取り組むとともに、県土の強靭化に向けた取り組みを計画的に実施してまいります。  次に、将来にわたる広島市との望ましい関係についての御質問でございます。  広島県の発展のためには、政令指定都市であり、人口や経済の規模において広島県の約四割を占め、広島広域都市圏の中核を担う広島市の発展が不可欠であり、県と市が適切な役割分担のもと、緊密に連携して施策を推進していくことが重要であると考えております。  こうした観点から、私が知事就任以来、定期的に知事・市長会談を実施し、広島市都心部の活性化や広島西飛行場跡地の活用、平和貢献に向けた取り組みなどにつきまして率直に意見交換を行い、その結果、ひろしま都心活性化プランや広島西飛行場跡地利用計画の策定などにつながるなど、県市間の課題解決やさまざまな事業の推進に向け、連携して取り組むことができていると認識しております。  また、県と市のいずれにおいても実施し得る事務について、県民、市民の利便性の向上などを図る観点からより有益な行政サービスを提供するため、平成二十四年二月に設置いたしました広島県・広島市連携のための合同研究会を定期的に開催し、産業振興や児童福祉など七分野八項目の類似する行政サービスについて、県、市の連携や役割分担の整理と見直しを行ってまいりました。  具体的には、県の西部地域の中小企業等を対象とした窓口相談業務を市の中小企業支援センターへ移管したほか、県の三カ所のこども家庭センターと市の児童相談所の連携強化などに取り組んできたところでございます。  今後とも、広島市長と直接意見交換を行う会談を継続的に開催し、信頼・協力関係を深めることによりまして、共通する諸課題を解決し、お互いの発展に向けた施策を推進してまいりたいと考えております。  次に、広島市に偏る地域振興策についての御質問でございます。  本県におきましては、ひろしま未来チャレンジビジョンに基づき、人づくり、新たな経済成長、安心な暮らしづくり、豊かな地域づくりの四つの政策分野を相互に連関させ、相乗効果をもたらしながら好循環する流れをつくり出すよう、各施策、事業を推進しております。  これは、県内どこに住んでいても、全ての県民の皆様が、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県の実現を目指すものでございます。  特に、豊かな地域づくりを進めるに当たりましては、都市部と中山間地域におけるそれぞれの特性や課題を踏まえつつ、全体のバランスも考慮しながら、事業の推進を図っていく必要があると認識しております。  こうした認識のもと、都市圏の活性化につきましては、広島市都心部が中四国地域の中枢拠点としての機能を発揮し、その効果を広域に波及させることにより、県全体の発展を牽引することが重要でありますことから、広島市と連携いたしまして、ひろしま都心活性化プランを策定し、広島都市圏の魅力創造事業などを行うとともに、広域的な産業振興やにぎわいづくりのため、広島西飛行場跡地活用事業などを実施しているところでございます。  また、県内の各地域におきましても、充実した都市機能やその便益を享受することとあわせまして、それぞれの地域の特性を生かす取り組みを推進することにより、人や経済の好循環、ひいては地域の活力の創出につながるものと考えております。  県といたしましては、今後とも、こうした視点に立ち、都市圏の中枢拠点性の向上と同時に、県内の各地域の活性化に市町と連携して積極的に取り組むことで県全体の発展を図ってまいります。  なお、今回検討するMICE施設は、展示面積が十ヘクタールを超える、これまで県や広島市において検討したことのない次元の異なる大規模なものであり、また、国内のみならず、国際的な競争力を持つ施設として広島市の中枢拠点性を向上させ、県全体の発展を牽引するもので、産業振興やにぎわいの拠点として、国内外から多くの人や企業を集め、県全体に大きな経済効果などをもたらし得るものであることから、その実現可能性について早急に検討する必要があるため、来年度、広島市や経済界などとも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  次に、中山間地域の振興に対する認識についてでございます。  中国山地から島嶼部に至る本県の中山間地域は、県土の保全や安定的な食料供給などの公益的な機能とあわせ、豊かな自然や風光明媚な景観、地域で培われた歴史や伝統文化といった魅力的な宝があふれる地域でございます。  その豊かな価値を県民共有の財産として理解し合い、次の世代にしっかりと引き継いでいくことは、県全体の発展を考える上で極めて重要であると認識しております。  このため、平成二十六年に策定いたしました中山間地域振興計画では、将来に希望を持ち、笑顔で幸せな暮らしが営まれている、そうした豊かさを実感できる中山間地域の実現を目指す姿に掲げております。  その実現に向けましては、都市部にはない魅力である豊かな自然や守り継がれてきた農山漁村の暮らしなど、中山間地域ならではの価値を地域の強みとして積極的に生かすことを基本に、若い世代のUIターンの促進や地域を支えるリーダーの育成など、その推進力となる人づくりに重点的に取り組んでいるところでございます。  また、地域特性を生かした観光、農林水産業の振興など、産業面からの仕事づくりのための取り組みや、地域で安心して住み続けられるよう、これまでも継続的に実施してまいりました医療や子育て、介護、生活交通など、安心を支えるための環境整備についても、切れ目なく着実に取り組んできたところでございます。  こうした人づくりや仕事づくり、生活環境づくりの三つの分野が中長期にわたって好循環を形成し、中山間地域ならではのよさが守るべき価値として将来に引き継がれる中で、地域に住む方々の、真に笑顔のある暮らしが実現するものと考えております。  御質問の中山間地域益とは、このように、お住まいの皆様が地域に愛着を持ち、世代を超えて暮らし続けることができるよう、中山間地域の持続可能性を高めることではないかと考えております。  また、県益につきましては、地域の方々が、それぞれの地域の特性や固有の資源を力や宝として実感し、磨き、そのよさが多様な力として結集され、新たな活力につながっていく中で、県民の皆様一人一人が広島に住み続けたいと思えるよう、県全体の価値を高めることであろうと考えております。  さらに、国益とは、一般的に申し上げますと、国家あるいは国民社会にとっての最良の価値、利益と言われているわけでありますが、この国益を最大限に生み出していくためには、それぞれの地方が多様な姿で発展し、新たな価値を生み出すとともに、その力が合わさることが不可欠であり、これが、より強い国をつくることになるものと認識しております。  しかしながら、現行の中央集権体制のもとでは、社会経済活動や生活文化活動の画一化や硬直化を招き、地方が多様性や独自性を発揮することがなかなか難しいという状況であるため、国から地方への裁量と財源のさらなる移譲を進め、地域みずからの責任と創意工夫のもとで地方創生を推進していくことが重要であり、これにより、中山間地域の方々を初め、県内全域で豊かな暮らしが実現するよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 30: ◯議長山木靖雄君) 経営戦略審議官山根健嗣君。         【経営戦略審議官山根健嗣君登壇】 31: ◯経営戦略審議官(山根健嗣君) 国の不適切な統計調査に係る県内への影響についてお答えいたします。  毎月勤労統計調査の不適切な実施に伴う、現時点におけます本県への影響についてでございますけれども、まず、厚生労働省がさかのぼって雇用保険、労災保険等の追加給付を行うとの方針を示しておりまして、雇用保険の追加給付対象者が全国で延べ約一千九百万人、給付費が約二百八十億円とされており、本県居住者にも当然ながら影響が出てくるものと認識しております。  また、具体的な数値を用いるのは困難でありますが、議員御指摘のとおり、毎月勤労統計調査の数値をもとに算出されますさまざまな給付につきましても、影響が生じるものと認識しております。  さらに、統計の利用や分析におきまして、本県分と全国値との比較をする際に必要な箇所を修正したり、県民経済計算の推計におきまして追加の作業が生じるなどの影響もございます。  なお、本県分の毎月勤労統計調査の結果自体につきましては、現時点で影響はないと考えております。 32: ◯議長山木靖雄君) 商工労働局長佐伯安史君。         【商工労働局長佐伯安史君登壇】 33: ◯商工労働局長佐伯安史君) 働き方改革についてお答えいたします。  生産年齢人口が減少する中、働き方改革は、働きやすい職場環境の整備によって従業員の意欲や満足度が高まり、優秀な人材の確保、イノベーションの創出や生産性の向上などが図られ、企業価値の向上につながる好循環を生み出す重要な経営戦略であると考えております。  こうしたことから、国においては、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を実現するため、関係法令の整備などを通じて働き方改革を総合的に推進しております。  本県におきましても、働き方改革を特に重要な施策と位置づけ、経済団体等の関係機関と連携を図りながら、県内企業の取り組みを後押ししているところでございます。  こうした中、経済団体によって創設された働き方改革実践企業認定制度においては、業種、規模さまざまな百六十六社の企業が認定され、小さな工夫を積み重ねながら成果まで結びついた身近な企業の実践事例がふえてまいりました。  例えば、経営者と従業員の問題意識の共有、業務の棚卸しや無駄の削減、複数の業務をこなす多能工化など、各社それぞれの課題を踏まえて可能なことから地道に取り組みを進めることによって、業務の効率化や従業員の満足度の向上などの効果があらわれており、そうした事例が牽引役となって、取り組む企業の裾野が徐々に広がりつつあると感じております。  一方で、必要性は感じつつも取り組みに着手していない企業も依然として多いことから、そうした企業の主体的な取り組みを進めるため、引き続き、働き方改革に取り組み、さまざまな成果を生じさせている身近な企業の取り組み事例の見える化、専門家を活用した企業への個別支援などに粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。  さらには、企業訪問や関係団体のヒアリングなどの取り組みにより働き方改革を進める上での課題を把握し、中小企業の人材確保に向けた支援、IT等を活用した生産性向上への対応など、それぞれの企業が置かれた状況に応じた支援を、引き続き、実施してまいります。  今後とも、県といたしましては、企業に寄り添いながらこうした取り組みを着実に進めることにより、地域経済のさらなる発展を目指してまいりたいと考えております。 34: ◯議長山木靖雄君) 健康福祉局長田中 剛君。         【健康福祉局長田中 剛君登壇】 35: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 見えてこない貧困対策についてお答えいたします。  子供の貧困は家庭が直面している貧困問題の一部分であり、親を初めとした保護者の貧困とは密接な関係にあるものと認識しております。  この保護者の貧困に対する取り組みにつきましては、国において、従前よりハローワークなどの就労支援や生活保護などの経済的支援が行われており、平成二十六年に策定された子供の貧困対策に関する大綱においても、保護者の生活支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援が掲げられております。  本県におきましても、保護者の支援も盛り込んだ広島県子供の貧困対策計画を平成二十七年に策定し、国と歩調を合わせた取り組みを進めてきたところでございます。  しかしながら、昨年度実施いたしました子供の生活に関する実態調査におきまして、保護者の方々に御自身の十五歳のころの暮らし向きを尋ねたところ、現在の生活が困難な方ほど当時の生活も苦しかったと回答された割合が高くなるなど、これまでの保護者中心の取り組みを続けるだけでは貧困の世代間連鎖が断ち切れないものと考えております。  このため、貧困の連鎖を断ち切るためには、長い期間をかけた継続的な取り組みが必要であり、保護者への対策はもちろんのこと、貧困が子供に連鎖する経路を絶つ取り組みをライフステージの早い段階から実施することが重要になってくるものと考えております。  県といたしましては、国の大綱の見直し状況を注視しつつ、国に対し実効性のある対策を求めていくとともに、貧困の連鎖が生じる要因を正確に把握し、それを断つためのきめ細かな対策を総合的に進めてまいります。 36: ◯議長山木靖雄君) 総務局長竹中正博君。         【総務局長竹中正博君登壇】 37: ◯総務局長(竹中正博君) 私からは、広島県土地造成事業等債務処理基金条例に関する御質問三点についてお答えいたします。  まず、広島県土地造成事業等債務処理基金条例新設の妥当性についてでございます。
     土地造成事業会計及び港湾特別整備事業費特別会計の臨海土地造成事業におきましては、現在有する土地を全て売却するなどしても、今後、多額の資金不足が生じる見込みとなっております。  こうした中、両会計の地域経済活性化に果たす役割、効果も踏まえ、引き続き、両会計における土地造成事業は重要施策であると認識していることから、一般会計において支援を行うこととしたものであり、その上で、このたびの広島県土地造成事業等債務処理基金は、一般会計による負担を計画的に、年度を超えて、平準化した形で行えるようにするために創設するものでございます。  この基金は、地方自治法の規定に基づき、特定の目的のために資金を積み立てるものであり、原因となる会計の別にかかわらず、過去の土地造成事業により生じた今後の資金不足に対する債務処理のための資金として、一つの基金に積み立てるものですが、今後、各会計において資金不足が生じ、一般会計からの繰り入れを行うこととなった場合には、一般会計において必要な額を基金から取り崩した上で、個別に歳出予算に計上し、会計ごとの繰り入れ額を明確にあらわした上で債務処理を実行いたします。  次に、広島県土地造成事業等債務処理基金条例新設に係る県民に対する説明責任についてでございます。  土地造成事業会計や港湾特別整備事業費特別会計が厳しい経営状況に至った要因や経緯などにつきましては、それぞれ検証を行い、平成二十六年二月に、その結果を県議会、また、県民の皆様に対しお示しさせていただいているところでございます。  具体的には、両会計とも景気低迷により売却期間が長期化し、支払い利息が想定以上に膨らんだことや、バブル経済の崩壊以降、分譲価格を引き下げざるを得ず、売却収入で造成原価が回収できなかったことが経営悪化の主な要因であり、現在有する土地を全て売却するなどしても、多額の資金不足が生じる見込みとなっているところでございます。  その一方、両会計の土地造成事業につきましては、雇用の場の創出のほか、産業集積の促進や産業構造の多様化、県税収入の増加など、本県産業の振興や地域経済の活性化に多くの効果が生じているところでございます。  各会計において、こうした総括を行った上で、両会計の地域経済活性化に果たす役割、効果も踏まえ、一般会計において支援を行うこととし、平成二十七年度に策定した中期財政運営方針において、後年度に想定される負担を平準化し、計画的な債務処理を確実に進める観点から、今後見込まれる資金不足に対する基金積み立てを計画的に行うこととしていたものでございます。  このため、このたび、当初計画していた平成三十一年度から基金積み立てができるよう、広島県土地造成事業等債務処理基金を創設することとしたものでございます。  それぞれの会計の経営状況につきましては、平成二十七年度以降も、毎年度、最新の資金収支見通しを踏まえて公表させていただいており、あわせて、未分譲地の分譲促進のほか、維持管理費など経費全般の一層の効率化を図ることで、債務の圧縮を行い、県民の負担が最小となるよう努めているところでございます。  引き続き、両会計において収支見通しを含めた経営状況等について、県議会、また、県民の皆様に対し丁寧に御説明するとともに、毎年度の基金積み立てやそれぞれの会計への一般会計からの繰り入れ状況についても、しっかりと説明してまいりたいと考えております。  次に、全ての会計や資産に対する調査についてでございます。  安定的な財政運営を行っていくためには、一般会計のみならず、他の会計を含めた県の財政状況の全体像を把握することが重要であると考えております。  このため、県の特別会計や企業会計の財務状況につきましては、毎年度の決算期において、監査委員の審査意見を付した上で、議会への報告、公表を行っているところでございます。  加えて、御指摘の土地造成事業会計や債務整理した分収造林事業を引き継いだ県営林事業費特別会計など課題のある会計については、別途、今後の見通し等も含む詳しい経営状況を取りまとめ、議会への御報告を行っているところであり、引き続き、各会計の状況の正確な把握に努め、適切に対応してまいりたいと考えております。  また、県が保有する資産につきましては、平成十九年度に、企業会計やインフラ資産を除く全ての資産について全庁的に調査を行い、売却可能資産を洗い出したところでございます。  その後も、資産のデータにつきましては、二年に一度のペースで調査、更新しつつ、個別の財産の状況を踏まえ、取り組みを進めているところであり、可能なものにつきましては、さらに売却処分を積極的に進めてまいりたいと考えております。  今後とも、一般会計のみならず、特別会計や企業会計、さらには県出資法人も含め、財務状況や資産状況を正確に把握しながら、課題の分析、対応に努めるとともに、七月豪雨災害に伴う厳しい財政状況を踏まえ、資産の活用等の財源確保策について、さらに検討してまいりたいと考えております。 38: ◯議長山木靖雄君) 人事委員会事務局長長谷川信男君。         【人事委員会事務局長長谷川信男君登壇】 39: ◯人事委員会事務局長(長谷川信男君) 国の不適切な統計調査に係る県職員の給与等への影響についてお答えいたします。  人事委員会が行います給与勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保するための重要な制度であると考えております。  この給与勧告の給与改定にかかわる民間従業員の給与データにつきましては、人事院及び広島市などと共同して独自に行う調査により把握しているところでございます。  先般、不適切な事案が明らかとなりました毎月勤労統計調査は、経済情勢の動向を見るための参考資料として取り扱っているものであり、給与勧告に影響を与えるものではないと考えております。  人事委員会といたしましては、今後とも、人事行政の専門的かつ中立的な機関として、地方公務員法にのっとり、適切な給与勧告を行ってまいります。         【議長退席、副議長着席】 40: ◯副議長(宮 政利君) 引き続いて質問を行います。福知基弘君。         【福知基弘君登壇】 41: ◯福知基弘君 皆さん、こんにちは。広島県議会民主県政会の福知基弘でございます。今次定例会において一般質問をさせていただく機会を頂戴いたしましたこと、山木議長、宮副議長を初め、先輩、同僚議員の皆様方に厚く御礼申し上げます。  さて、きょうは湯崎知事に聞いてほしい、県に問いただしてほしいという皆さんの声をもとに質問させていただきます。妻も子供も来ておりませんけれども、お声をいただいた皆さんに、きょうは傍聴に来ていただいておりますので、皆さんの心に寄り添った御答弁を湯崎知事にお願いいたします。また、国の施策において、国民の生命や健康に悪影響を及ぼすのではないか、そんな懸念のある問題について取り上げさせていただきます。  前政権を悪夢のようだったと現政権のトップが言われたようでありますが、政権の評価は歴史が下すものであります。現政権はもっと悪夢のようだったと、将来、評されるかもしれません。たとえ現政権がそうだったとしても、たとえどんな政権であったとしても、広島県の施策が悪夢のようだったと評されることは避けなければなりません。  たとえ国が誤った施策を行ったとしても、地方議会で指摘し行政を正すことによって、地方を守っていかなければなりません。地方分権が進む中で、私たち地方議員の果たすべき役割はますます大きく、責任はますます重くなっていると思っております。こうした思いを持って質問させていただきますので、県民を守るという強い決意を込めた御答弁を湯崎知事にお願いし、本日は一問一答で質問を行いますので、ここで質問用演壇に移ります。(質問用演壇に移動)  まず、ケアラーへの支援についてであります。  障害児を育てている保護者、高齢の親や認知症の家族から目が離せない人、介護を必要とする家族の世話をしなければならない子供たち、アルコール依存症や薬物依存症になった家族の世話をする人など、心や体に不調のある家族や近親者に対して、介護や看病、療育や世話などをする人たちのことを総称してケアラーといいます。  ケアラーには、介護等をしなければならないというプレッシャーが重くのしかかり、さらに、長期間介護等を続けることで社会的にどんどん孤立化していきます。孤立化したケアラーには支援の手が差し伸べられることもなく、追い詰められ、最終的に老老介護を苦にしての無理心中や、認知症の高齢者に対する介護者からの虐待、障害を持った子供を親が殺すなどといった痛ましい事件につながっていきます。毎年のように起こり続けているこうした痛ましい事件をなくしていくためにも、ケアラーへの支援は喫緊の課題であります。  現在、高齢者や障害児・者、難病患者等への支援は、それぞれ行われています。しかし、このような人を介護する人、ケアする人への支援には目を向けてこなかったのではないでしょうか。  平成二十九年度就業構造基本調査の結果を見ると、全国で介護している人の総数は約六百二十八万人にも上っていますが、ケアラーの定義が通常の介護よりも広いことを踏まえると、ケアラーの総数はさらにふえるものと予想され、それだけ多くの皆さんが家族等のケアを行っているということであります。ケアラーにもそれぞれ人生があり、自分の人生を生きる権利があるわけですから、ケアラーが無理なくケア、介護と仕事や学業、地域での活動などを両立し続けることができる権利が保障されなければならないと考えます。  そこで、まず、ケアラーに対する支援の必要性について県としてどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。  また、ケアラーの健康診断や相談の援助など、必要な支援に取り組む必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 42: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 43: ◯知事湯崎英彦君) 家族や近親者の介護を行うケアラーが、仕事や学業と両立して、地域社会の中で孤立することなく介護を継続するためには、介護の負担ができるだけ軽減されるよう支援することが重要であると認識しております。  このため、高齢者を介護する方々に対しましては、介護保険制度の地域支援事業におきまして、介護教室や交流会の開催、介護する方の健康相談、介護慰労金や介護用品の支給などを市町が必要に応じて実施しており、県は事業実施に係る財政支援を行っております。  また、認知症高齢者を介護する方々に対しましては、認知症介護に関する身近な相談役となる認知症介護アドバイザーの養成や認知症の人と家族の会や社会福祉士による電話相談、若年性認知症の人やその家族に対し総合的な支援を行う広島県若年性認知症サポートルームの設置などに取り組んでおります。  次に、障害者等につきましては、発達障害児を抱える保護者に発達障害の育児経験を持つ方が助言を行うペアレントメンターの養成、難病対策センターにおける難病患者家族への相談対応、精神疾患患者の家族会活動への支援、アルコール依存症患者や家族が相談し励まし合う断酒会活動への支援、薬物依存症患者や家族に対する相談窓口の設置などに取り組んでおります。  さらに、来年度からは、重い障害があり医療的ケアが必要な方の介護者の負担の軽減のために、病院の病床を活用して短期入所の定員を確保する事業を新たに実施することとしております。  これらの取り組みを進めることによりまして、多様な状況に対応したきめ細かい支援を行い、さまざまな介護者、いわゆるケアラーが自分の夢や希望を諦めることなく、ケアを受ける人とともに地域で安心して暮らせる環境づくりを進めてまいります。 44: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 45: ◯福知基弘君 今、それぞれのケアを必要としている方々に対して個別に対応しているというような御答弁だったかと思いますが、どうしても、そういう対応をすると、そのはざまで漏れる方が出てくる可能性があると思っております。したがって、ケアラーという形で全ての方を対象に支援していく必要があるのだろうと思っています。  最近は、全国の地方議会あるいは国会でもケアラーの支援について質問されておりますし、少しずつ認識が広がっております。海外では、イギリスにおいて一九九五年に介護者法が制定されて以降、自治体も含めてケアラー支援に取り組んでいますし、また、二〇一四ケア法施行によってさらに前進させるなど、かなり取り組みが進んでおります。イギリスの例などもしっかり研究していただいて、広島県が全国に先駆けて条例を制定するとか、国に対して法整備を求める等のケアラー支援に取り組んでいただくよう要望して、次の質問に移ります。  続いては、要介護者の世話等をする子供たち、ヤングケアラーへの支援についてであります。  家族の誰かが慢性的な病気や障害など、何らかの問題を抱え、介護や看護、見守り等を必要とするにもかかわらず、支える人手が十分にない場合には、子供がその責任を引き受け、家族の世話等をすることもあります。こうした家族の介護等をしている十八歳未満の子供たち、すなわちヤングケアラーへの支援が大きな課題となっています。  平成二十九年度就業構造基本調査によれば、十五歳以上三十歳以下で介護をしている男女は全国で二十一万人にも上っており、十八歳未満の学齢期にある子供たちも相当数含まれているものと思われます。さらに、二〇一六年に神奈川県藤沢市で行われた調査によれば、小学一年生から中学三年生までの全学年で母親や兄弟の介護等をしている児童生徒がいるといった結果が出ており、十五歳未満の子供においても家族の世話を引き受けている実態が明らかになっています。しかし、介護者総数六百二十八万人のうち七七%が五十歳以上であり、若くして介護を担う世代については十分に認識されていない状況であると思っています。  十八歳未満の学齢期にある子供たちが、家族の介護等により学校に通うことができない、遅刻や早退などを繰り返すことなどによって十分な教育を受けることができない、さらには、本人が望んでいるにもかかわらず進学することを諦めるなど、彼ら、彼女らの未来を奪うようなことがあっては断じてなりません。  ヤングケアラーの支援を行うには、その対象者である要介護者の世話等をしている児童や生徒、学生を特定しなければなりませんし、どれくらいの数の児童生徒、学生が県内にいるのか、その実態について、まず把握する必要があると思います。県として実態や数について調査等を行い把握しているのかどうか、お伺いいたします。  さらに、もし把握していないのであれば、きちんと調査を行うべきでありますし、把握されているのであれば、具体的な支援を行うべきと考えます。ヤングケアラーへの支援について、県として今後どのような取り組みをしていこうと考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 46: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。         【健康福祉局長田中 剛君登壇】 47: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 家族の介護等を行っているヤングケアラーの特定や状況を把握する調査は行っておりませんが、学校におきましては、児童生徒が抱える不安や悩みに対して、その理由にかかわらず、教職員が児童生徒の心に寄り添うとともに、必要に応じて、スクールソーシャルワーカー等の人材を活用しながら、医療・福祉・介護等の機関とも連携を図るなどの対応を行っているところでございます。  医療・福祉・介護の現場におきましても、家族の介護等を行っている児童生徒がいる場合は、教育や進学等に十分に配慮するとともに、学校や教育委員会と情報共有や連携を図る必要があると考えております。  あわせて、ケアラーへの支援を行っている関係団体や介護等の相談援助業務を行う機関などに対しまして、機会を捉えて児童生徒への支援を働きかけてまいります。 48: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 49: ◯福知基弘君 未来ある子供たちのためでありますので、調査されていないということでありますから、しっかりと調査もしていただいて、実態をしっかりと把握していただいて、対策もしっかりと講じていただくよう要望して、続いての質問に移ります。  続いて、同じくケアラーである、障害児を育てている保護者への支援についてであります。  障害児を育てるに当たり、保護者は自治体の窓口を訪問して、どのような支援を受けることができるか等、さまざまな相談をしたいと思っています。しかし、多動などの発達障害を抱える子供と一緒の場合、保護者が自治体の窓口で相談している間、子供はじっとしていることができず、出口から外へ出てどこへ行ってしまったかわからなくなるなど、危険な状態にならないよう、子供から目を離さないようにしなければなりません。そのため、保護者はじっくり相談することができず、やむを得ず子供をベビーカー等に乗せて動き回れないようにして相談しているといった声を聞いております。  私は、自治体が障害児を一時的に預かる施設と連携したり、相談窓口の近くに障害児を遊ばせるようなキッズルームを整備するなどの対策を行うべきと考えております。県としては現在、妊娠から出産、子育てまでを一体的に支援するひろしま版ネウボラ構築に向けて取り組んでおられますが、健常児、障害児を問わず、また、障害の程度によらず、しっかりと支援していく体制づくりが必要ですし、むしろ障害児を育てる保護者の苦労は並大抵ではなく、支援の充実が求められています。  そこで、県として、ひろしま版ネウボラを進めるに当たり、障害児を育てる保護者が安心して相談することができる環境の整備に向け、今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのか、お伺いいたします。 50: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。 51: ◯健康福祉局長(田中 剛君) ひろしま版ネウボラでは、妊娠期から子育て期まで、全ての子育て家庭が身近な地域で切れ目のないサポートを受けることができる体制の構築に取り組んでいるところでございます。  ネウボラの相談対応に当たりましては、個別の相談室や子供の遊び場を活用するなど、子供と一緒に来所した場合においても落ち着いて相談することができる環境づくりに配慮はしております。  また、障害があるなど、特に支援の必要な家庭につきましては、児童発達支援センターを初めとする専門機関と連携を図りつつ、必要に応じ、一時預かりなどのさまざまな支援サービスを紹介し保護者の負担軽減にも努めるなど、家族の気持ちに寄り添いながら継続的な支援を行っているところでございます。  このように、それぞれの課題に的確に対応していくためには、ネウボラ相談員の専門性が重要であることから、来年度におきましては、子供の障害を含む専門的な知識や支援技術の習得を目的とした人材育成研修を実施するとともに、連携支援機関である児童発達支援センターの機能強化に取り組むこととしております。  今後とも、子供の障害の有無にかかわらず、全ての子育て家庭が必要な時期に適切な支援を受けることができ、安心して子育てができる環境の整備に努めてまいります。 52: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 53: ◯福知基弘君 しっかり取り組むということでございます。  障害児を育てやすい社会は健常児も育てやすい社会、障害児・者が暮らしやすい社会は健常者も暮らしやすい社会だと障害児を育てている保護者の方が言われておりました。ぜひ、こうした支援にしっかりと県として取り組んでいただくように要望しておきます。  また、きょうは取り上げ切れませんでしたが、今取り上げた二つの問題以外にも、障害者をケアする家族の高齢化の問題、アルコールや薬物の依存症となった家族をケアする人の問題など、ケアラー支援の問題は多岐にわたっております。全てのケアラーに対する支援を改めて要望して、次の質問に移ります。  次の質問は、介護人材の確保に向けたハラスメント防止対策についてであります。  近年、ハラスメント事案が大きな社会問題になっています。特に介護現場においては、サービスの利用者やその家族からのハラスメントが非常に高い割合で行われている実態が明らかになっています。  介護業界及び関連事業に働く人たちで組織された労働組合である日本介護クラフトユニオンが、昨年四月に訪問介護の現場や有料老人ホームなどで働く組合員を対象に行ったアンケート調査によれば、回答者二千四百十一名のうち七四・二%に当たる一千七百九十名が、介護施設の利用者や家族からパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントといった何らかのハラスメントを受けたことがあると回答しています。さらに、そのうちの約九割の被害者が精神的なダメージを受け、一部には精神疾患になっている介護従事者もいるとのことであります。  第七期ひろしま高齢者プランの中における介護人材の将来推計によれば、二〇二五年には介護人材が約六千四百人不足するとのことですが、労働環境の改善が行われない限り人材の確保・定着が図られませんし、介護難民や介護離職をさらに助長しかねません。  こうした状況の中で、私はまず、介護サービスの利用者やその家族に、サービスを受けるに当たってのルールをきちんと守るよう、啓発活動を通じて周知徹底を図るべきだと思います。また、本県で行われている地域ケア会議の中で、利用者、家族からのハラスメント防止対策について検討し、対策を講じる必要があると考えます。  介護現場におけるハラスメント防止対策の必要性について、県としてどのように認識し、どのような対策を講じていこうと考えているのか、御所見をお伺いいたします。 54: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。 55: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 介護職員に対するハラスメントは、その職員の心身の健康被害や休職、離職につながる上、介護職へのさらなるイメージの悪化により、人材確保がますます困難になることが懸念されるところでございます。  このため、本県といたしましては、介護職員が被害を一人で抱え込んだり職場内の一部で潜在化したりしないよう、各法人の組織的な対応力を強化すること及び利用者や家族に対する意識啓発を図ることの両面から対応していく必要があると考えております。  具体的には、現在、国において調査中の介護現場における実態調査結果を踏まえ、福祉・介護サービス関連法人の経営者向けのセミナー等で課題を共有し、ハラスメントへの組織的な対応力の強化を促進してまいります。  また、市町や介護事業者等の関係団体と十分に連携しながら、利用者、家族への意識啓発を図るとともに、地域ケア会議、事業者連絡会議などの活用も含め、地域における介護職員に対するハラスメントの効果的な防止策、対応策を検討してまいります。  こうした取り組みを通じまして、介護職員にとって働きやすい職場環境づくりを推進し、人材の確保・定着につなげてまいります。 56: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 57: ◯福知基弘君 介護現場で働く皆さんの環境改善については、これまで本会議でも何度も取り上げてまいりましたし、認識もしていただいているとは思っております。介護現場で働く方々のケアについて、さまざまな観点から、またしっかり取り組んでいただくように要望して、続いての質問に移ります。  続いては、悪質クレーム対策についてお伺いいたします。  近年、小売業やサービス業など人と接する職種において、人格を否定する暴言や同じ内容を何度も繰り返すクレーム、長時間拘束や土下座による謝罪の要求など、明らかに一般常識を超えた著しい迷惑行為、いわゆる悪質クレームが深刻な問題となっています。  消費者等からの苦情については、もちろん真摯に受けとめ対応する必要があると思います。しかし、このような悪質クレームは、働く人に大きな精神的ストレスを与えて精神疾患を招くおそれがある上、離職等による働き手不足を引き起こしたり、販売機会のロスや対応コストの負担など企業利益の損失を招いており、特に地域経済を支える中小企業にとっては大きな問題であります。  産業別労働組合のUAゼンセンが行った、小売の現場で接客応対をされている組合員を対象とした悪質クレームに関するアンケート調査では、五万件を超える回答が寄せられ、その中の約七四%が業務中に悪質クレームを経験したとのことであります。さらに、そのうち強い精神的ストレスを感じたとの回答が五割を超え、実際に精神疾患になったとの回答も三百五十九件に上っています。  悪質クレームの問題は、小売業や外食産業のみならず、旅行、レジャー産業や交通運輸、さらには介護業界から学校や自治体に至るまで、人と接するあらゆる産業、職業で発生している社会的な問題であります。サービスを受ける側と提供する側がともに尊重される社会でなければなりませんし、その実現のためには、悪質クレームの抑止、是正に向けた対策が必要であり、実態調査や対策の研究、倫理的な消費行動を促すための啓発活動や消費者教育の実施などに取り組むべきと考えます。  そこで、悪質クレームに対する県の認識と、その抑止、是正に向け、県として今後どのように対策を講じていこうと考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 58: ◯副議長(宮 政利君) 商工労働局長佐伯安史君。         【商工労働局長佐伯安史君登壇】 59: ◯商工労働局長佐伯安史君) 消費者等の悪質クレームなどの著しい迷惑行為については、労働者に大きなストレスを与えるだけでなく、働く意欲や生産性の低下を招くなど、地域経済を支える中小企業にとっても経営上の損失につながる社会的な問題であると認識しております。
     平成二十九年の連合による調査では、一般消費者の約六割が消費者のモラル低下を迷惑行為の主な原因として挙げており、また、接客業務従事者の約六割が勤務先における迷惑行為についての対策がとられていないと回答しております。  こうした状況を踏まえ、悪質クレームを行う消費者につきましては、近年社会問題化しつつあることから、厚生労働省労働政策審議会等において議論が行われており、その中で、消費者への周知啓発が必要とされながらも、どこまでが許容される範囲のクレームで、どこからがそれを超えた悪質クレームかといった課題が指摘されているところであり、また、企業内における悪質クレーム対策については、顧客等からの著しい迷惑行為に関する相談対応等の取り組みを明確にした指針について検討が行われている状況でございます。  今後、県におきましても、こうした国の動向を注視しながら、必要な対策のあり方について検討してまいりたいと考えております。 60: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 61: ◯福知基弘君 悪質クレームの問題については、認識もしていただいているようであります。県経済に悪影響が出れば税収にもかかわってくる問題でしょうし、精神疾患にかかれば医療費もかかってくるということだと思います。県庁の窓口でも、こうした悪質クレームの問題があると職員の方からも伺っておりますので、自分事としてしっかり取り組んでいただくよう要望して、次の質問に移ります。  次の質問は、性的マイノリティーの児童生徒への対応についてお伺いいたしますので、教育長は答弁待機席へお願いいたします。 62: ◯副議長(宮 政利君) 教育長、答弁待機席へお願いします。 63: ◯福知基弘君(続) 教育委員会は、これまで、性同一性障害など性的マイノリティーの児童生徒への対応として、指導上の留意事項等を踏まえたきめ細かな対応等を求める通知を出すとともに、生徒指導資料を作成し、校内研修の実施などによる教職員の指導力向上や教育相談体制の確立を目指してきました。しかし、教育現場では十分な研修が行われておらず、教職員が共通認識を図り、組織的な支援体制を整えるには至っておりません。また、教職員によって女らしさ、男らしさが押しつけられたり、男女別の名簿や制服等といった必要のない性別分けが行われている実態があります。  このような状況の中においては、性的マイノリティーは自己肯定感を育みにくく、心身に大きな傷を負うことが危惧されます。二〇一七年七月に閣議決定された自殺総合対策大綱においても、自殺念慮の割合が高いことが指摘されている性的マイノリティーについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、教職員の理解を促進することが求められております。多様性を尊重し、個々の子供の願いや実態に応じた対応が行われなければなりません。  全ての子供の人権を保障する観点から、性的マイノリティーに係る教職員研修が県内全ての学校で行われ、子供へのきめ細かな対応が行われる必要があると考えますが、県内の学校における研修の実施状況について、また、男女別名簿など、必要のない性別分けが行われている状況についてどのように認識しておられるのか、さらに、今後どのように対応していこうと考えておられるのか、お伺いいたします。 64: ◯副議長(宮 政利君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 65: ◯教育長平川理恵君) いわゆる性的マイノリティーに係る児童生徒への対応につきましては、学校生活を送る上で児童生徒の心情等に配慮した特別な支援が必要であると認識しております。  県教育委員会といたしましては、全ての学校において生徒指導資料などを活用し、教職員が性的マイノリティーについて理解を深めるとともに、さまざまな場面において児童生徒に他者の感情を共感的に受容できる想像力等が育まれるよう指導してきたところでございます。  県立学校の校内研修におきましては、大学から性的マイノリティーの専門家を招聘し、LGBTの子供に関する基礎知識等について講義していただきました。  また、スクールカウンセラーが講師となって、児童生徒の心情に寄り添う対応の方法についてアドバイスをいただき、教職員の性的マイノリティーに対する理解促進や指導力の向上を図っている例もございます。  児童生徒の制服や名簿等をどのようにするかにつきましては、特段、法令上の定めはございません。  しかしながら、性的マイノリティーに係る児童生徒への対応について各学校の校長が判断を行う際には、例えば、自認する性別として名簿上扱うなど、その心情等に十分配慮したきめ細かな対応を行うことが必要であると認識しております。  県教育委員会といたしましては、児童生徒が抱える不安や悩みを適切に把握し、性的マイノリティーに係る児童生徒への対応が組織的に行われるよう、各市町教育委員会及び各学校を指導してまいります。 66: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 67: ◯福知基弘君 全国の二十歳から五十九歳までの六万人を対象にしたある調査によると、LGBT層に該当する人が八・九%という結果が出ております。どの学校にも当事者がいるという前提に立って、教職員も子供たちも多様性を認め合える学校を目指さなければいけないと思います。性的マイノリティーの子供たちが安心して通える学校にするために県教育委員会が主体的に対応していただくよう要望して、次の質問に移ります。  次の質問は、旧優生保護法による強制不妊手術の問題についてであります。  この問題は、昨年一月に宮城県の女性が国に対する賠償訴訟を起こしたのを皮切りに社会的関心と問題意識が高まり、本県議会としても九月定例会で旧優生保護法による被害者救済を求める意見書を可決し、国に対して早急な救済措置を講じるよう求めたところであります。  全国的な動きを受け、昨年十二月十日、与党の旧優生保護法に関するワーキングチームと、超党派による優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟とが、それまでそれぞれ検討してきた優生保護法に基づく被害者の被害回復に向けた検討結果を一本化した基本方針案を発表し、この通常国会に法案を提出する方針であることを明らかにしました。基本方針案の前文には、優生保護法に基づき障害を有すること等を理由として多くの方々がその生殖を不能とする手術や放射線の照射を強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきたことに対して真摯に反省し、心から深くおわびすると記載されました。  旧優生保護法が議員立法で成立し、政府の方針に従って自治体が手術を推進したのだとしても、これまでの経緯を踏まえれば、県も真摯に反省し、心から深くおわびしなければならないと思います。また、この問題は、全ての障害者の存在、人権、尊厳を否定する非人道的、犯罪的行為であり、二度と同じようなことが起こらないよう、被害の実態を徹底的に明らかにしなければなりません。しかし、県は、独自の調査等は行わず、新たな立法措置で全国共通の調査を実施すべきとしており、専用電話相談窓口は設置しているものの、非常に消極的な姿勢に終始していると言わざるを得ません。  そこで、旧優生保護法による強制不妊手術に対する県の責任についてどのように認識しているのか、お尋ねいたします。  また、発表された基本方針案には全国共通の調査を行う等の記載はないことから、旧優生保護法でも認められていない違法な優生手術を含め、被害の実態を明らかにすべく、県としてさらに踏み込んだ調査を行うべきと考えますが、あわせて御所見をお伺いいたします。 68: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。         【健康福祉局長田中 剛君登壇】 69: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 旧優生保護法のもとで本人の同意なく不妊手術が行われたことに対しましては、個人としての尊厳や幸福を追求する権利を侵害するものであり、御本人や御家族の心情を察しますと、まことに遺憾であると考えております。  本県におきましては、個人情報を特定する資料がほとんど残っていない中、これ以上の記録の散逸を防止するため、国からの依頼に先んじて関係機関に資料の保全を働きかけるとともに、国の方針に基づきまして、全ての医療機関や障害者福祉施設など約二千五百施設に対して資料の保管状況についての調査を実施したところでございます。  一方で、優生手術は、当時の法律に基づき、国からの機関委任事務として県が優生保護審査会の設置・運営等を行っていたものであり、今後につきましても、国の統一的な方針を踏まえ適切に対応すべきものと認識しております。  現在、国において優生手術を受けた方などに対する一時金の支給等について法制化が進められているところでございますが、対象者やその把握方法などの明確な方針が示されていない状況であることから、独自の調査を行うことは適当ではないと考えております。  県といたしましては、国に対して早期に適切な対策を講じるよう働きかけるとともに、関係の方々の気持ちに寄り添った相談対応に努めてまいります。 70: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 71: ◯福知基弘君 二度とこうしたことが起こらないように、県としてやはり何をしようとしているのか、どうするのかということだと思います。  先ほどの答弁で気持ちに寄り添った対応をしていくと言われましたが、県の専用電話相談窓口に電話された方から、電話をしたら専用窓口だと名乗らなかった、当事者と思われる方から電話の連絡があったにもかかわらず、記録をとったり資料と照合するような対応をされなかったと聞いています。そういった対応をしようということなのですか。  どのように対応すべきだと思っているのか、もう一度御答弁ください。 72: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。 73: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 県では、相談対応の窓口を設置しております。個々の対応に関しましては、不手際があったかもしれません。引き続き、個別の対応について、局としてしっかり対応してまいりたいと考えております。 74: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 75: ◯福知基弘君 答弁されたように、気持ちに寄り添った、心に寄り添った対応を要望しておきます。  国が誤った政策を行って地方自治体がそれを推進した結果、こういう問題が起きているわけでありますから、やはり国の判断と独立した判断を地方がしなければ、また同じようなことが起きるのではないかと思っています。県として独立した判断をきちんとしていただくよう要望して、次の質問に移りたいと思います。  次の質問は、食の安全・安心についてであります。  県民の食の安全・安心の確保に対するニーズは高まっております。平成二十九年度の県政世論調査によれば、輸入食品の安全性に対し不安を感じる割合が七五・一%、また、残留農薬に対して不安を感じる割合は約三割あり、県として安心・安全な食を提供するための環境づくりに努めていく必要があると思います。  現在、小麦やトウモロコシなど、さまざまな食品の原料となる農産物に使われているネオニコチノイド系農薬や、除草剤のグリホサートなどの残留基準が緩和されています。ネオニコチノイド系農薬は空中散布による健康被害も報告されており、残留基準が緩和されれば毎日食べる食品の安全性が大きく脅かされます。二〇一六年に行われた環境省の調査によると、検査した三歳児のうち八割の子供たちの尿から検出されているとのことであり、子供たちの健康への影響も懸念されます。  ヨーロッパでは人体や生態系への悪影響が懸念されるため、予防原則に基づき基準が厳しくされており、EUでは屋外での使用を全面的に禁止することが決定されたものや、承認されていないものもあります。また、発がん性が指摘されている除草剤のグリホサートも販売禁止の動きが起こっています。しかし、日本では残留基準が大幅に緩和されるなど、食品の安全・安心からは逆行しており、特に影響を受けやすい子供たちへの健康被害が心配されます。  私は、子供たちの健康に被害を及ぼす可能性のある情報については特に積極的に提供していくべきと考えますが、県民に対し、食の安全・安心に関する正しい知識の普及啓発にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 76: ◯副議長(宮 政利君) 健康福祉局長田中 剛君。 77: ◯健康福祉局長(田中 剛君) 本県では、食品の安全に関する基本方針及び推進プランを策定し、行政、生産者、事業者及び消費者のそれぞれが食の安全・安心に関して主体的に取り組むことにより、生産から消費に至る各段階において、県民の皆様の健全な食生活の確保と健康の維持を図っているところでございます。  基本方針及び推進プランにおきましては、積極的な情報発信とリスクコミュニケーションを通じて、食の安全に係る相互理解の促進を図ることとしており、食品表示につきまして、県は食品事業者に対して表示制度の周知指導を行うほか、消費者への普及啓発に努めているところでございます。  具体的には、食生活改善推進員の中から広島県食品安全推進リーダーを養成し、地域の料理教室や食育イベントなどを通じて、子供を含めた消費者に対し、食品表示制度を初めとした食品の安全に関する正しい知識を広めていただいております。  また、消費者団体の方々に表示の点検に参加していただくとともに、学習会の開催や事業者との交流事業など、地域において理解を求める活動をしていただいております。  今後とも、食の安全・安心確保に向けて、生産者、事業者及び消費者それぞれの主体的な取り組みを促進してまいります。 78: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 79: ◯福知基弘君 食品表示の基準については、例えば、遺伝子組み換え食品の表示基準が厳しくなり過ぎてほとんど表示されないというようなことにもなりつつあります。農薬の残留基準、食品の表示基準をせめてEUなどの諸外国と同水準にしなければ、子供たちの健康に被害を及ぼす可能性が高いということでありまして、県としてもやはり知らないうちに未来ある子供たちが健康に被害を及ぼすことのないように取り組んでいただければと思いますので、そのように要望して、続いての質問に移ります。  続いての質問は、農薬残留基準が農産物の輸出に及ぼす影響についてお伺いしたいと思います。  県としては、海外市場をターゲットとして、農産物の販売力を強化、市場の開拓を支援することとしておりますが、残留農薬基準の甘さが本県農産物の輸出に対して悪影響を及ぼすといった可能性もあると思います。東京都内で開催された、有機リン・ネオニコチノイド系農薬のヒトへの影響という国際シンポジウムで、日本のネオニコチノイド系農薬の食品残留基準が世界で最も緩い水準にあることが発表されましたが、各国の研究者たちの中には、日本の残留基準の甘さに驚き、自国の子供たちを守るために、日本の農産物の輸入を阻止しなければならないという反応を示す研究者も少なくなかったということであります。  そこで、農薬の残留基準の甘さが本県農産物の輸出に対して及ぼす悪影響について、県としてどのように認識しているのか、お伺いいたします。  また、国に対して基準を厳しくするように働きかけるべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 80: ◯副議長(宮 政利君) 農林水産局長上仲孝昌君。         【農林水産局長上仲孝昌君登壇】 81: ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 本県の農産物の輸出に当たっては、農薬の使用を含め、生産者が相手国の定める安全基準に合うよう栽培を行っていることから、農薬の残留基準が輸出に対して影響を与えることはないものと認識しております。  また、生産者が新たな品目の輸出を希望する場合、県では国から必要な情報を収集するとともに、JA等関係団体と連携し、農薬の防除体系を構築するなど必要な支援を行っているところでございます。  現在、国においては、農薬の安全性の向上等を目的として、平成三十二年度に行う農薬取締法の改正にあわせ、生態系への影響などに関する基準の見直しを検討しており、県といたしましては今後の動向を注視してまいりたいと考えております。  なお、農林水産局におきましては、生産者に対して農薬の安全使用に関する研修会の開催や啓発活動を行ってきており、引き続き、安全な県産農産物の栽培が行われるよう取り組んでまいります。 82: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 83: ◯福知基弘君 この問題は、基準の甘さによって不買運動とか輸出阻止といったものにつながる、ある意味リスク管理の問題ではないかと思っています。県として、そういった悪影響が及ぶことがないように取り組みを要望して、次の質問に移ります。  続いては、水道事業についてであります。  昨年十二月、水道事業の経営基盤強化を目的に、市町村の枠組みを超えた広域連携や官民連携の推進を掲げる改正水道法が成立しました。この改正法には、地方自治体が水道事業の認可や施設を保有したまま運営権を民間企業に売却、委託できるコンセッション方式の導入促進が盛り込まれています。  海外では、水道事業を民営化した後、さまざまな問題が生じて公営化に戻す再公営化の動きが目立ち、二〇〇〇年から二〇一五年三月末までの十五年間で三十七カ国、二百三十五水道事業が再公営化されています。アメリカの会社などが参入すると水道料金は四、五倍になり、低所得者は水道の使用を禁じられ、自治体が契約解除を申し出ると同社は違約金と賠償金を要求してきたという例や、企業の人員削減で水処理が不十分になり、茶色の水が出るといった水質低下が見られたという例もあるとのことであります。  本県の水道事業においては、平成二十九年度に策定した広島県水道広域連携案を踏まえ、県と県内市町で構成する広島県水道広域連携協議会を設置して、全県の事業統合も視野に入れながら、具体的な検討を進めているところであります。  一方で、平成二十七年度から平成二十八年度にかけてコンセッション方式の導入に向けた検討が進められ、水道事業の新たな形態としてコンセッション方式が有効であるとした、県営水道事業における公共施設等運営権活用検討調査報告書をまとめております。この調査報告書では、海外における再公営化の動きについての調査は行われておらず、報告もされていませんが、コンセッション方式導入のリスクとして十分認識しておく必要があると思います。  そこで、県がコンセッション方式を導入するに当たってのリスクについてどのように認識しておられるのか、また、リスクに対する懸念を踏まえ、県の責任において将来にわたり安全・安心な水を適切な料金で安定供給するという決意のもと、コンセッション方式を導入しないことを明言すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 84: ◯副議長(宮 政利君) 企業局長坂井浩明君。         【企業局長坂井浩明君登壇】 85: ◯企業局長(坂井浩明君) このたびの水道法改正では、水需要の減少、施設の老朽化、深刻化する人材不足など、水道が直面する課題に対応し水道事業の基盤強化を図るため、地方公共団体の広域連携の推進のほか、公民連携の一形態として、水道施設を地方公共団体が所有したまま運営権を民間事業者に設定するコンセッション方式についても条例で定め、国の許可を得た場合に導入が可能とされました。  地方公共団体の広域連携につきましては、昨年四月から広島県水道広域連携協議会において将来の厳しい経営見通しを踏まえ、市町の枠を超えた施設の再整備や維持管理業務の共同化、災害時におけるバックアップ施設の整備など、施設・維持管理の最適化や危機管理対策の具体的な取り組みについて検討を進めているところでございます。  一方、コンセッション方式につきましては、市町と協議会において導入を検討しているものではございませんが、国におきましては、今後、海外での事例などを踏まえ、コンセッション方式を許可する際の料金設定やモニタリング体制の基準などについて、パブリックコメントも実施しながら、具体的かつ詳細な制度設計が検討されるものと伺っております。  県といたしましては、引き続き、広域連携の推進役として、地方公共団体の責務である、将来にわたって安全・安心な水を安定供給できる災害に強い水道システムの構築に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 86: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 87: ◯福知基弘君 現在、導入は検討していないということでございます。今後どうなるかということはありますけれども、リスクを完全に排除した形で、県の責任において、将来にわたって安全・安心な水を安定供給していただくよう要望して、最後の質問に移ります。  最後に、広島西飛行場跡地の活用についてお伺いいたします。  広島商工会議所の提言を受け、県は来年度、広島西飛行場跡地、新たなにぎわいゾーンを中心とした観音地区の県有地及び市有地を検討対象地として約二千三百万円を計上し、MICE施設検討事業を行うこととしています。調査会社に委託して実現可能性の調査を行うということですが、広島西飛行場跡地に大型のMICE施設ができれば多くの人が訪問するわけですから、MICE施設誘致のための調査には、当然、公共交通機関をどのように整備することが望ましいのか、また、道路についてどのように整備すべきなのかといったことも調査されるものと思います。  一方、マリーナホップに向かう道路の四車線化についての工事費も、来年度予算には計上されております。クランクを解消し四車線化する事業は、地元議員としては早くやっていただきたいと思っていますが、MICE施設の検討をした結果、例えば道路を六車線化して施設を整備すべきという検討結果が出た場合、四車線化の工事費が無駄になってしまう可能性があります。  したがって、この実現可能性についてきちんと調査検討した上で四車線化の工事に着手すべきと思いますが、県としてどのように整理しているのか、お伺いします。  また、施設検討の結果、実現すべきとなった場合、今の跡地利用計画の中で決まっているスポーツ施設等の今後の方向性についても同時に示す必要があると考えますが、御所見をお伺いします。 88: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 89: ◯知事湯崎英彦君) 広島西飛行場跡地につきましては、現在、新たな産業・雇用ゾーンの北側エリアの土地売却手続を進めており、事業予定者は基幹道路の供用開始を前提として平成三十三年度からの開業を目指しているところでございます。  この基幹道路につきましては、跡地活用に必要な都市基盤として、区域全体の円滑な交通処理を目的に、四車線への拡幅やクランク部分の緩やかな曲線への改善を行うもので、平成三十二年度末の供用開始を目指して、現在、設計を行っているところであり、新たな産業・雇用ゾーンの開業時期に間に合うよう、予定どおり来年度から工事に着手する必要があると考えております。  次に、スポーツ施設等の今後の方向性でございますが、一時的に休止することとした多目的スポーツ広場などの事業につきましては、大規模展示場の実現可能性の検討と並行して、その事業の進め方について県と広島市で連携して整理してまいりたいと考えております。 90: ◯副議長(宮 政利君) 福知基弘君。 91: ◯福知基弘君 時間が来ておりますので、以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 92: ◯副議長(宮 政利君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時五十八分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...