ツイート シェア
  1. 広島県議会 2018-02-03
    平成30年2月定例会(第3日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成30年2月定例会(第3日) 本文 2018-02-22 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 21 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長山木靖雄君) 選択 2 : ◯議長山木靖雄君) 選択 3 : ◯田川寿一選択 4 : ◯議長山木靖雄君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長山木靖雄君) 選択 7 : ◯健康福祉局長菊間秀樹君) 選択 8 : ◯議長山木靖雄君) 選択 9 : ◯教育長下崎邦明君) 選択 10 : ◯議長山木靖雄君) 選択 11 : ◯議長山木靖雄君) 選択 12 : ◯松浦幸男選択 13 : ◯議長山木靖雄君) 選択 14 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 15 : ◯議長山木靖雄君) 選択 16 : ◯環境県民局長森永智絵君) 選択 17 : ◯議長山木靖雄君) 選択 18 : ◯教育長下崎邦明君) 選択 19 : ◯議長山木靖雄君) 選択 20 : ◯警察本部長石田勝彦君) 選択 21 : ◯議長山木靖雄君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十分開議 ◯議長山木靖雄君) 出席議員六十一名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第六十二 報第四号 2: ◯議長山木靖雄君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成三十年度広島県一般会計予算から日程第六十二、報第四号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。田川寿一君。         【田川寿一君登壇】 3: ◯田川寿一君 皆さん、おはようございます。公明党県議会議員団の田川寿一でございます。会派を代表して質問させていただきます。  ことしは明治維新から百五十年ということで、NHK大河ドラマでは西郷隆盛を取り上げ、「西郷どん」という番組が放映されていることは皆さん周知のとおりでございます。この主役を演じる鈴木亮平さんがインタビューに答えて、西郷隆盛が日本人に愛されるようになった理由を、人の痛みを自分の痛みのように捉える人だからだと述べています。西郷隆盛の格言に、我を愛する心をもって人を愛せとあります。まさに、西郷の生き方を象徴する言葉です。社会にこうした精神が横溢すれば、すばらしいことだと思います。  話は変わりますが、先日、トランプ政権は、新たな核戦略指針を公表し、爆発力が低く使える核兵器とも称される小型核の開発を盛り込みました。核軍縮の停滞を危惧するのは私だけではないと思います。混迷する世界はどこへ向かうのか。  ヨーロッパの知性と称される経済学者ジャック・アタリ氏は、二十一世紀の世界は希望とリスクに満ちていると指摘しています。自国第一主義の大統領が誕生し、保護主義が台頭しています。あっという間に危機に陥る可能性があります。混迷の時代を導く新たな理念を、ジャック・アタリ氏は、利己的でなく利他的になることこそが求められると提言しております。ジャック・アタリ氏の注目する利他的とは、西郷どんが、そして、日本人が持つ利他主義の精神にほかなりません。これこそが新しい世界の秩序をリードする希望となると信じます。  私ども公明党の理念は、生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義です。その人間を本源的に考えていくという思想の根底が利他主義です。だから、我が党は、庶民の痛みを和らげるために軽減税率の導入を進めました。我が国で初めて導入された給付型奨学金も、学生の痛みに共感するところから推進したものです。  本日の質問では、西郷どんのように人の痛みを自分の痛みのように捉えて答弁いただければ幸いです。公明党の議員には、小さな声を聞く力があります。本日は、私が聞いた小さな声、そして、弱者の声を届けたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  質問の第一は、核廃絶に向けた取り組みについてお伺いします。  最初に、ひろしまラウンドテーブルでの提言の実現に向けた取り組みについて伺います。  昨年は、私の議員生活の中で画期的な出来事がありました。それは、ウィーンの国連センターでのNPT運用検討会議第一回準備委員会に同時開催された県主催のシンポジウムにおいて、被爆二世として広島の心を語らせていただいたことです。核兵器というと大量殺りく兵器ということはよく知られていますが、放射線の影響やその後の被爆者の苦悩、二世、三世の不安については、余り認識されていません。それが通常兵器のように核を使用する発想につながるのではないかとの指摘があります。まさにその点を、わずか五分間のスピーチでしたが、英語で語らせていただきました。  実は、後日談になりますが、昨年の八月六日平和記念式典で湯崎知事が紹介された被爆体験は、このとき私がウィーンで語った母親の手記によるものです。原爆という言葉を聞くのも嫌、話すのも嫌。原爆という言葉を聞くと、熱い鉄板を押し当てられたようなあの瞬間がよみがえってくる。被爆者の思いは、自分と同じような苦悩を世界中の誰にも味わわせたくないということです。私の母親も、よくそのように語っていました。  今、残念ながら、この被爆者の願いもむなしく核廃絶の流れは停滞しているように感じられます。しかし、希望もあります。核兵器禁止条約の採択、核兵器廃絶国際キャンペーン──ICANのノーベル平和賞授賞など、核兵器の使用を正当化しようとする論理に明確に反対する世界の動きがあることです。今、このような状況下だからこそ、核軍縮の世論を喚起するためにも、被爆県広島の果たす役割は大きいと思います。  昨年、県主催のひろしまラウンドテーブルでは、核軍縮の道筋を専門家が議論し、核兵器保有国と核の傘に頼る同盟国が被爆地広島に集い、核兵器廃絶のプロセスを具体化するための国際会議を開くよう提言しております。また、その開催は、次のNPT運用検討会議に先立って成果を生み出すため、開催時期を十八カ月以内としています。  県としては、この提言実現のためにどのように取り組んでいこうとしているのか、知事の御所見をお伺いします。
     次に、被爆地における賢人会議等の継続的な開催についてお伺いします。  私は、広島が示しているものに人々が興味を失えば、人類は三たび核兵器を使うだろうと深い危惧を抱いております。そのため、私どもは、世界の指導者を被爆地広島にと一貫して訴えてまいりました。その動きは党と連動し、県や広島市とも連携することによって成果を得てきました。NPDI──軍縮・不拡散イニシアチブ外相会合やG7外相会合、そして、オバマ大統領の広島訪問などは、私どもが政府に働きかけてきた成果です。特に、オバマ大統領の被爆地訪問を党の政策として粘り強く取り組んできたのは公明党だけであります。  また、昨年開催された賢人会議についても、広島開催を最初に訴えたのも私どもです。この賢人会議につきましては、我が国が核兵器国と非核兵器国との橋渡し役としての役割をしっかりと果たすために、二年後のNPT運用検討会議までに開催するよう外務省に要望しております。また、その開催は被爆地であることがリアルな被爆の実相を知るために必要であるとも訴えており、広島や長崎の被爆地開催が望ましいと考えております。知事にもこうした考えに理解をいただき、今後継続して賢人会議が被爆地で開催されるよう御協力をお願いしたいと存じます。  ついては、賢人会議の被爆地開催の継続について、どのように認識しておられるのか、知事の御所見をお伺いします。  先日、政府はG20の首脳会議について、大阪での開催を決定したとの報道がなされました。知事は、G20の関係閣僚会議の広島開催について表明されているところですが、こうした国際会議を引き続き広島に招致し、世界の指導者が被爆地広島を訪問する機会がふえていくよう願っております。  そこで、G20の関係閣僚会議を含め、今後の国際会議の誘致について、どのように考えておられるのか、あわせて知事にお伺いいたします。  次は、核兵器禁止条約の締約国会議への参加について伺います。  NPT体制と核兵器禁止条約は、核軍縮の方向性が異なるため相入れないという主張がありますが、両者は共存できると考えます。核兵器禁止条約の交渉会議議長が示した方針でも、NPTとの補完性が示されており、両者は矛盾しません。双方の場で、それぞれ並行して核廃絶への対話を続けることでよいのではないかと思います。NPT体制に対して、核兵器禁止条約が一つの圧力となり、核軍縮が進展することが期待されます。  また、核兵器禁止条約には、条約に加わっていない国やICANのようなNGO──非政府組織にもオブザーバー参加を招請するよう規定されています。これは、核兵器の禁止と廃絶は全ての国々と国際機関と市民社会の参画が欠かせない全地球的な共同作業であることを示した証左と言えます。  日本のような非加盟国でもオブザーバーとして締約国会議に参加できる規定があることから、ぜひ日本にも参加し、唯一の被爆国としての一定の役割を果たしてほしいと考えます。条約は、実施状況を地道にフォローしなければならないため、発効してからのほうが課題が多いと言われています。たとえ現政権が締結できないとしても、核軍縮推進のために日本は関与すべきであると考えます。  そこで、核兵器禁止条約のオブザーバーとして日本が締約国会議に参加することについて、知事の御認識をお伺いするとともに、参加すべきであるとお考えであれば政府に対し要望してほしいと考えますが、あわせて御所見をお伺いします。  次に、旧広島陸軍被服支廠の保存・活用についてお伺いします。  先日の報道では、中国電力の子会社が所有する被爆した旧変電所が解体される運びとなったとのことでした。これにより、広島市内にある被爆建物登録は、一九九六年には九十八件に上っていましたが、今回の抹消で八十五件に減少することになります。無言の被爆の証言者が減っていくことを大変憂いています。  来年度当初予算では、旧広島陸軍被服支廠建物調査検討事業が盛り込まれています。御存じのように、旧陸軍被服支廠は、広島市内で最大級の被爆建物です。昨年は、二十一年ぶりに活用策の検討に向けた耐震調査が開始され、部分保存を含めて今後のあり方を探ることになりました。県の調査では、震度六で倒壊の危険性があり、保存・活用する場合、一棟当たり劣化防止の補修は約四億円、一棟の三分の一から全体を耐震化するには約十二億円から約二十三億円かかると試算しています。  これまで県では、瀬戸内海文化博物館、ロシアのエルミタージュ美術館の分館などとして検討したこともありましたが、私は、多額のお金はかけなくてもよいので、建物を残し、できればこの建物の中で被爆体験を聞くことができるようになればよいと考えております。今でも、市民団体などが現地ツアーを相次ぎ企画しており、見学者が増加しているという状況があります。  私は、この旧陸軍被服支廠の近くの小学校に勤務しておりました。その折、子供たちの平和学習のためにたびたびこの場所に引率しております。爆風で変形した鉄製の窓枠は、原爆の威力を感じるにはとてもよい学習の場でした。先日、この建物の近所で育った方から、この被爆建物だけは絶対に残してほしい。目で見て原爆の脅威を知ることができる得がたい被爆の証言者だとのお話を伺いました。私も、全く同感であります。  実は、私が毎年、他県の修学旅行生を引率して案内する原爆遺構があります。それは、広島城のそばにある中国軍管区司令部跡の地下通信室です。被爆当時、比治山高等女子校の生徒が広島全滅の第一報を伝えた場所です。ここは、毎年語り部の方が椅子を置いて被爆体験を語る場所でした。残念ながら、劣化が激しく、昨年からは中で語ることができなくなりました。  原爆遺構で語るから、被爆体験がより心と体にしみ込むように入っていくのだと伺ったことがあります。この旧陸軍被服支廠も、語り部が被爆体験を語る場所として、今の姿をそのまま残していただけると、平和学習の場として活用できるのではないかと考えます。  現存の四棟のうち、県が三棟、国が一棟所有しています。  まずは三棟の保存の方針を固めていただくとともに、できれば一棟は平和学習の場として活用できる方策を検討していただきたいと考えますが、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、被爆二世として、その健康問題について質問させていただきます。  被爆二世の健康診断につきましては、受診可能な医療機関の拡大や、健診当日に結果が判定できる医療機関の拡大等、県においては努力をしていただいております。また、昨年度から多発性骨髄腫の検査が加えられることになり、一歩前進と受けとめております。こうした中、被爆二世からは、がん検診のさらなる項目追加と、健診結果を継続的に記載する記録帳のようなものが必要だとの声が強く上がっています。  被爆者は、これまで原爆による子や孫への放射線の遺伝的影響について明言を避けてきましたが、その陰で不安を抱き、最近では二世への影響はないとは言えないという発言を始めています。この発言は、二世への差別につながるとして社会的な問題をはらんでいますが、二世の健康状態の悪化を目の当たりにして、被爆者を突き動かしているのだと思います。  私の同級生の被爆二世も、若いときから白血病になり、原爆による親の被爆との因果関係は証明できませんが、二世としての健康不安はつきまとっております。私のように病気への不安を抱えている被爆二世は、ほかにも多くいらっしゃると思います。  そこで、多発性骨髄腫以外の検査項目について、がん検診が実施できるよう、引き続き、国への要望を強めていただきたいと思います。  あわせて、広島県独自の被爆二世健診記録帳を作成し、希望する被爆二世へ配付していただきたいと考えます。健診の記録があれば医師の判断にも役立ちますし、二世健診の受診者の増加にも寄与するものと考えます。他県でも作成例があると伺っております。県は、被爆二世対策は国の責任において行うものと主張しておりますが、二世健診の希望者に渡すのであれば、二世健診の延長として考えてはどうかと思います。厚生労働省は、単県事業で独自に実施するのは構わないと主張しています。  そこで、被爆二世健診記録帳を県の事業として発行してはどうかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。  きょうは被団協の皆様にも来ていただいております。被爆二世の方にも来ていただいております。前向きな答弁を期待しております。  質問の第三は、子供たちの命を守る観点から、胃がん予防に向けたピロリ菌の除菌についてお伺いします。  医学専門家の見解によると、胃がんは、その大半がピロリ菌感染による慢性胃炎がもとになって発症するということです。ピロリ菌は、胃の粘膜に生息するらせん形の細菌です。放っておけば胃の粘膜に炎症などを引き起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になります。除菌すれば、これらの発生を抑制することが可能です。実際、二〇一三年にピロリ菌の除菌治療が保険適用されて以降、胃がん死亡者数が減少してきています。ちなみに、このピロリ菌の除菌治療が保険適用となったのは公明党の実績でございます。  それはさておき、胃がんは予防できる病であるということです。この胃がんの主な原因とされるピロリ菌を早期に発見し治療すれば、子供たちの将来的な胃がんのリスクを抑制することができます。成人では、感染することは特別な場合を除いてありませんので、ピロリ菌は一生に一度測定しておけばよい検査です。もしピロリ菌が胃内にいれば除菌すればよいですし、もともといなければ一生安心です。  最近ではこうした事実から、中高生を対象にピロリ菌検査、除去を実施している自治体がふえています。佐賀県では、中学校三年生を対象にピロリ菌検査、除去を実施し、公費を使って胃がん予防のための取り組みを進めております。鹿児島県では、二〇一七年度から、高校や高等専門学校一年生を対象に、ピロリ菌の感染検査を実施しています。検査費用は県が全額負担します。ピロリ菌除菌に用いる薬の適用年齢が十五歳以上であることから、高校などの一年生が同検査の対象としています。検査方法は、各学校で行う健康診断の尿検査の尿を用いて感染の有無を調べます。  このように、他県でも広がっているピロリ菌の除菌。県もおくれることなく取り組みを開始することを検討してはどうかと考えます。がんは、日本人の二人に一人が発症する国民病です。ピロリ菌の検査、除菌が子供たちの健康を守る取り組みになっていくことを期待します。  そこで、中高生のピロリ菌検査、除菌に助成し、胃がんの予防医療の普及を進めるべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第四は、子供の受動喫煙の問題への対応について質問いたします。  今、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、厚労省は、健康増進法の改正案、つまり、受動喫煙防止法案の策定に向けて動いております。受動喫煙が他人に与える健康への影響としては、たばこの煙に含まれる発がん性物質が、喉、肺など、たばこの煙に直接触れる場所だけでなく、血液を通じて全身に運ばれ、がんの原因になるとされています。しかも、がんだけでなく、脳卒中や動脈硬化などの病気にもなりやすくなると言われています。しかし、日本での受動喫煙対策は、WHOによると四段階評価の最低レベルです。  厚労省の研究班によりますと、受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で年間約一万五千人に上ると推計しています。この死亡推計値で一番多いのは脳卒中で、次いで虚血性心疾患、肺がんが続きます。その報告の中で特筆すべきは、乳幼児突然死症候群が年七十三人としている数字です。一年にこれだけの赤ちゃんが受動喫煙によって亡くなっていると推計されているのです。これを都道府県の人口比で見ると、毎年、広島県でも二人の赤ちゃんが受動喫煙で亡くなるということになります。  子供の受動喫煙の害では、この乳幼児突然死症候群のほかに、気管支ぜんそくや肺炎等があるとされています。さらに、心にも影響し、鬱病や不安障害、注意欠如多動性障害などとの因果関係も報告されています。また、アメリカの研究では、受動喫煙の機会が多いと子供の読解力や算数の成績が悪いと公表されています。子供の受動喫煙は成績を下げるという衝撃的なデータです。  これまで述べた能動喫煙、受動喫煙によるたばこの健康被害については、広く認知されているところですが、近年、サードハンドスモーク──三次喫煙被害と呼ばれる健康被害が注目されています。サードハンドスモークとは、たばこの残留成分による健康被害のことです。たばこの煙を消した後でも、衣類やカーテン、ソファーなどには有害成分が付着しています。この有害成分は長期間揮発することがわかっており、たとえ受動喫煙に気をつけたとしても、付着した有害成分を吸い込むことによって、たばこによる健康被害を受けることになってしまいます。  子供は、自分で受動喫煙や三次喫煙被害を避けることは困難です。成長期にある子供への健康被害に配慮することは、大人の義務であると言っても過言ではありません。  少し別の観点から見ますと、親から続く貧困の連鎖と虐待とたばことは因果関係があると言われております。親の喫煙による子供への心身への影響、それにいらつく親自身の精神の不安定さ、それが虐待を生むと言われております。  これまでるる述べてきましたが、こうしたたばこの被害を考えますと、国の施策を待つ前に、未来ある子供の命を守るために受動喫煙防止対策が必要であると訴えます。東京都では、この四月から、子供を受動喫煙から守る条例が施行されます。  子供を受動喫煙による健康影響から守るため、本県でも子供の受動喫煙に特化した条例を制定すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  また、条例の制定を待たず、いかなる場所においても子供に受動喫煙をさせることがないよう、県民に対して啓発を強化するなど、具体的に取り組んでいく必要があると考えますが、あわせて御所見をお伺いします。  質問の第五は、大規模災害への対応に向けたタイムライン防災についてお伺いします。  現在、私が所属しています社会基盤整備対策特別委員会では、先日、参考人を招いてタイムライン防災について学びました。お招きしたのは、タイムライン防災という考え方を日本に紹介した環境防災総合政策研究機構の松尾一郎先生です。  松尾先生は、行政にとって一番大事なことは、県民の命を守ることです。そのことを訴えに参りましたと話されました。そのとおりだと思います。今は、台風も洪水も土砂災害も、三十年前とは全く違う、これまで経験したことがない災害が起きています。自治体は、災害が起きてから対応するため、そのおくれや不備が指摘されています。そうした中、注目されるのがタイムライン防災です。  今、雨の降り方が変わってきています。気候変動でこれからもっと過激なことが起きる可能性があります。日本に上陸する台風もふえてきています。豪雨もふえています。一市町の防災担当者では対応できない災害がふえているのです。しかし、この市町の防災担当者はかわります。県の担当者もかわります。この防災担当者は、防災担当であって専門家ではありません。ですから、誰が担当者になっても同じ対応ができる仕組みが必要です。県も市町の側面支援をすることが必要です。国土交通省では、施設では防ぎ切れない大洪水は発生するものとの考えに立ち、太田川水系でもタイムラインの検討を始めています。  タイムラインとは、災害前から災害後にかけて、防災関係者がとるべき行動を時系列にまとめたものです。タイムライン防災を進めている自治体では、行動項目に従って漏れなく早目の対応を関係機関に促すことができるのです。例えば、台風での対応を考えますと、通常は注意報や警報の発表から対策本部が設置され、そこから現場での災害対応が開始されます。しかし、タイムラインが導入されたところでは、上陸が予想される数日前から対応が開始されます。そのため、自主防災組織と連携し、住民避難の呼びかけも早く実施されますし、消防団なども暴風雨が来る前に現場対応を終えるのです。  タイムラインでは、関係機関が連携することが大事で、関係機関同士で顔の見える関係をつくり、情報共有を円滑に行うことを目指します。また、避難行動要支援者に関する対応についても、各機関が連携することにより、誰も取り残されることなく対応ができます。タイムラインとは、行政だけが運用すればよいのではありません。地域でも災害対応のタイムラインが連動しなければ、住民の命は守れません。  従来の防災計画と何が違うのか。従来の地域防災計画にない細かい行動計画を、タイムラインで補充、補完するものです。従来の防災計画は当然必要です。それをベースにした上で、タイムラインの詳細行動計画が必要であると考えます。  本県でも、一部住民避難を含めた河川のタイムラインは作成されていますが、さまざまな災害に対応し、多機関が連携したタイムラインは策定されておりません。  そこで、災害多発時代への備えとしてタイムライン防災について検討してはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  先日、先ほど御紹介した松尾先生からメールが届きました。全国を飛び回って、人々の命を守るために御活躍のようです。そのメールに、タイムライン防災もまだ日本に持ち込んで五年目です。帰国後、当時の太田明宏国交大臣に説明し、その後、タイムライン元年と太田大臣がさまざまな場所で言われ、その後押しが大きかったと思います。もしかしたら、参考にしたニュージャージー州ハリケーン対応計画付属書よりも、広く普及している防災対策の一つではないかと思っています。命を守ることにつながればと言い出しっぺとして強く期待するところですとつづられていました。  質問の第六は、教育現場における医療的ケア児への対応について伺います。  子育てや教育の現場では、たんの吸引や人工呼吸器の装着が必要であったり、チューブによる栄養補給などが日常的に欠かせなかったりするなど、医療的ケアを必要とする子供がふえています。こうした子供たちが安心して学び、生活できるよう、学校での支援体制や在宅支援を早期に充実すべきです。  医療的ケア児は、二〇一六年五月に成立した改正児童福祉法で初めて法律上に規定されました。適切な支援を行うよう努力義務を自治体に課しています。  医療の進歩を背景に、低体重や先天性の難病などを抱える新生児は、近年増加傾向にあります。厚生労働省の推計によると、平成二十七年度、十九歳以下の医療的ケア児は全国に約一万七千人。この十年間で約一・八倍になりました。  医療的ケア児といっても症状はさまざまです。人工呼吸器などが必要で、寝たきりのままでケアを必要とする場合もあれば、とても病気とは思えないほど元気に走り回る子供もいます。  公明党は、これまで一貫して医療的ケア児の支援体制の整備を進めてきました。医療ケア確保のために特別支援学校への看護師配置や公立小中学校でのケア体制の整備にも取り組んできました。  県教委では、平成十五年度から医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍する特別支援学校に看護師を配置し、医療的ケアの実施体制づくりを進めてきました。また、現在、本県の小中学校に配置されている看護師数は、昨年五月一日現在で二十一人です。しかし、大阪府では、小中学校にいる看護師が合わせて百人を超えており際立っております。まずは、少なくとも医療的ケアを必要とする子供たちが入学するとき、希望する学校に入学できるような体制を整備していただきたいと思います。  また、特別支援学校や小中学校で看護師が配置された場合でも、人工呼吸器をつけていると、学校側が親の付き添いを求める例があるとのことです。ケース・バイ・ケースですが、できる限り保護者の負担が軽減されるよう配慮が必要であると思います。  そこで、教育現場において、医療的ケア児への支援体制を構築するために、ニーズ、課題などを把握し、どう支援していくか、検討していく実態調査をすべきであると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、医療的ケア児の保護者の負担軽減について伺います。  東京都では、特別支援学校に通う医療的ケアを必要とする生徒への支援について、新たに地域で医療的ケア児の支援にかかわる機関の連絡会を設置し、区、市町村と連携しつつ支援を進めようとしています。これも参考にしてほしいと思います。  また、滋賀県では、医療的ケア児への通学支援に乗り出し、看護師が同乗した送迎車両の運行を行っております。これまで保護者の送迎が原則となっており、保護者への負担が重くのしかかっていました。  本県では、看護師が同乗した送迎車両の運行は行われていないとのことですので、今後、検討してはどうかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  保護者の負担の大きさは理解するものの、医療機関や介護現場でも看護師が不足する中、学校に看護師を配置するのは容易ではないと思いますが、入学時、学校選択の自由が損なわれることがないよう看護師の配置をお願いしたいことと、できる限り保護者の負担がないよう付き添いなどがなくてもよいような努力をお願いいたします。このことについても、御所見をお伺いいたします。  質問の第七は、学習指導要領の改訂についてお伺いします。  二〇二〇年というと、東京オリンピック・パラリンピックのことばかりが話題になりますが、日本の社会と国家の将来について考えると、もっと重要な出来事があります。文部科学省による小・中・高校における教育の基準になる学習指導要領の改訂です。小学校は二〇二〇年度、中学校は二〇二一年度、高校は二〇二二年度と段階的に導入されます。過去に何度も学習指導要領は改訂されましたが、大きな変化がなかったため、二〇二〇年に起きる変化をアクティブラーニングと実用英語の重視くらいだろうと楽観視してはいけません。  日本の教育は、大学入試制度が変わるときに大きく変化します。二〇二〇年には大学センター試験が廃止され、大学入学共通テストが始まります。新しい試験には、マークシート式の問題に記述式が加わり、さらに英語では、読む、聞くに話す、書くを加えた四つの技能が試験されます。英語では、英検、TOEIC、TOEFLなどの民間試験が導入されます。数学でも記述式問題が出題され、国語でも小論文を書く力が求められるようになります。  これまでの教育では、思考力や表現力を児童生徒が主体的に育むことができないので、グローバリゼーションが急速に進み変化が激しい社会状況に対応できなくなる。そのため、今回の大学入試改革と学習指導要領改訂が行われるのです。  教育現場では、先生方が先んじて新学習指導要領が目指す教育内容について研修しようと努力されています。新学習指導要領の移行期間は、小学校が二〇一八年度から二〇一九年度、中学校が二〇一八年度から二〇二〇年度で、まさにスタートしようとしているからです。  今回の改訂では、その内容が革新的であるだけに、学校や教職員のみに対応を任せてはいられません。教育委員会の支援、責任と適切なコントロールのもとで、新しい教育改革を着実に進めていく必要があります。これまでの改訂をめぐる教育委員会の学校支援については、現場に丸投げ、それとも現場を縛るか、このいずれかになってしまうことが現実の姿ではなかったかと経験値から思います。今回は、改訂の趣旨を伝える研修についても、従来からの伝達型の研修会は改善の余地があるのではないかと考えます。  この改訂は、教育課程の編成、実施に向けて、学校と教育委員会の新たな関係を求めています。教科等を横断した教育課程全体の改善について助言を行うアドバイザーの存在も、学校にとって期待するところです。まさに、教育課程をリードできる人材の派遣と育成もまた、教育委員会に問われている課題ではないでしょうか。  そこで、これからの学習指導要領改訂に向けて、今、その理念をどう受けとめ、教育委員会として準備しておくべきこととは何なのか、教育長にお伺いします。  青少年の現状において、自己肯定感が持てず、他者依存、大勢順応的姿勢が強く、みずからが主体的に活動する姿勢は弱い、皮相的な人間関係に閉じこもり、新たな人間関係を忌避するなど、内向き志向の傾向にあると指摘されております。私は、その要因の一つは、授業において一人一人の学習者が学ぶことの楽しさを感得していないことにあるのではないかと、みずからの教師経験を自省しております。さまざまな新たな学習方法が提唱されてきても、真に学び手が学びの楽しさを感得しなければ、皮相的、形式的な授業になってしまいます。このことが、学びから逃避する子供たちを増加させ、内向き志向に追いやっているように思えてなりません。今、学習指導要領改訂に当たり、先生方に学ぶことの根本を問い直し、学習者の一人一人が自己成長を確認し、学びの喜びを感得できる学校にしていただきたいと願っております。  最後に、二〇一八年度当初予算案について所感を述べさせていただきます。  新年度予算案で特筆すべきは、厳しい財政の中でも子供の貧困対策へ重点配分されているところです。湯崎知事は、この予算案について、経済状況などは好転しているが、だからこそ、社会全体から見えにくいところで支援や対策が必要な部分にも、しっかりと取り組んでいきたいと述べられております。子供の貧困対策では、子供に学校周辺で朝御飯を提供するモデル事業や学びのセーフティネットの強化、大学進学時の給付型奨学金の創設等、親から子への世代をまたぐ貧困の連鎖を解消するために工夫された政策であると評価しています。まだモデル事業であったり、予算規模も大きくはなかったりしていますが、子供の未来に投資をする取り組みについて、大いに今後の発展を期待しています。今後の成果の積み上げを、ぜひお願いいたします。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、ひろしまラウンドテーブルでの提言実現に向けた取り組みについての御質問でございます。  核兵器廃絶に向けましては、核兵器禁止条約の採択など、核兵器のない平和な世界へ向けた国際的な機運が高まる一方で、核兵器国の一部には、核兵器の近代化を図るなど戦力強化の動きも見られ、核兵器国と非核兵器国との溝が深まり、核兵器廃絶に向けた具体的な動きが停滞することも懸念されております。  こうした中、昨年八月に開催したひろしまラウンドテーブルでは、議長声明の提案項目の一つとして、核軍縮に向けた具体的なプロセスを進展させるため、核兵器国及び核の傘の下にある国の参加による国際会議の開催が盛り込まれたところでございます。  この提案の実現に向けて、昨年八月、佐藤外務副大臣に議長声明を直接提案し、政府主催の核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の場において、各委員に議長声明を配付いただいたところであり、今後、賢人会議を初め、NPT運用検討会議に向けた日本政府の取り組みに活用いただけるよう、引き続き、取り組んでまいります。  また、国連の中満軍縮問題担当上級代表に対しても、直接議長声明をお渡しし、国連における今後の取り組みの参考として活用いただくよう要請したところでございます。  今後は、四月に発表予定のひろしまレポートの発信の機会を捉えて、核兵器国などに議長声明を送付するほか、今春ジュネーブで行われますNPT運用検討会議第二回準備委員会に際して、核兵器国及び核の傘の下にある国の関係者に対し、本県が主催するシンポジウムへの参加を呼びかけ、議長声明の実現に向けた議論の機会を設けたいと考えております。  被爆地における賢人会議等の継続的な実施についてでございます。  核兵器廃絶に向けましては、各国のリーダーに、被爆の実相に直接触れ核兵器の非人道性について深く認識をいただき、核兵器廃絶への信念を共有していただくことが極めて重要であると考え、各国のリーダーの広島訪問や国際会議の広島開催を働きかけてきたところでございます。  賢人会議につきましては、日本政府が実践的な核軍縮措置を建設的に議論するため、核兵器国と非核兵器国双方の有識者により、対立を乗り越えて核兵器のない世界に向けた提言づくりを目指す、意義深い会議であると認識しております。  このため、被爆の実相に触れていただくことの意義深さに加え、国連軍縮会議との一体的な開催による議論の深まりや発信力の高まりへの期待から、政府に対し広島開催を要請し、実現したものでございます。  広島の会議では、大変熱心な議論が展開されたとのことであり、各委員とも被爆の実相に触れ、平和への思いを共有し、核兵器廃絶に向けて取り組む決意を新たにされたのではないかと考えており、被爆地での開催には、大変大きな意義があったものと受けとめております。  次回の賢人会議は、ことし三月の東京開催が決定しておりますが、今後とも、この会議が継続して広島、長崎で開催されるよう、要望してまいりたいと考えております。  また、G20関係閣僚会議につきましては、広島市と連携し、会議の誘致を行っているところでございますが、こうした国際会議の開催は、核兵器の非人道性について、参加者の皆様に深く認識をいただき、核兵器廃絶への信念を共有していただくことに加え、広島の国際平和の拠点性を向上させる上でも極めて有効であることから、引き続き、積極的に取り組んでまいります。  次に、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加についてでございます。  核兵器禁止条約につきましては、NPT体制におきましても、核兵器のない平和な世界の実現に向け有効な手段の一つであり、本県では、日本政府に対して、条約制定交渉会議への参加を働きかけてきたところでございます。  しかしながら、政府は、核兵器国が署名する見込みが立たず、核兵器国と非核兵器国が協力して核軍縮を進めるべきという日本の考え方と一致しないことから、署名しない立場と承知しております。  一方、日本政府は、核兵器廃絶の取り組みを実質的に進展させるため、核兵器国と非核兵器国との橋渡し役を果たすと表明されていることから、そのためのアプローチの一つとして、条約発効後は締約国会議にオブザーバー参加し、核軍縮の具体的な進展に向け理解を深めていただくことも、意義のあることと考えております。  県といたしましては、日本政府に対し、条約への署名を行うよう働きかけるとともに、締約国会議への参加を検討するよう要望してまいります。
     こうした取り組みを通じて核軍縮プロセスの着実な進展を図り、核兵器のない平和な国際社会の実現に貢献できるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、旧広島陸軍被服支廠の保存及び活用についてでございます。  旧広島陸軍被服支廠は、被爆の実相を今日に伝える最大級の被爆建物であり、また、竣工後百年以上を経過する日本近代建築初期の建物としても貴重なものであると認識しております。  そのような建物としての重要性などを踏まえ、今年度、爆心地から最も近い一号館の耐震性や補強手法などの調査を実施いたしました。  調査の結果、一つ一つの部屋が大きいことなどから、建物の耐震性が低く、内部を活用するための耐震改修には多額の費用が必要なことが改めて判明したところでございます。  今後は、今回の調査結果を踏まえ、また、建物の老朽化が進んでいる状況も考慮し、劣化防止の取り組みを進めていくことを基本として、引き続き、調査・検討を進めてまいりたいと考えております。  具体的には、来年度、今回調査した一号館につきまして、できるだけ外観を損なわないような補修手法を専門家からの意見も踏まえ検討するとともに、平和学習の場としての活用も念頭に、建物の周辺の環境整備についても検討を行ってまいりたいと考えております。  引き続き、広島市や隣接する四号館を所有する国との連携を図りつつ、関係する方々の御意見もお伺いしながら、県所有の貴重な被爆建物である旧広島陸軍被服支廠について、現存する形をできるだけ維持した状態で保存・活用できるよう、検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、タイムライン防災についての御質問でございます。  タイムラインは、防災関係機関等が連携して、あらかじめ災害時に発生し得る状況を想定し、いつ、誰が、何をするかについて時系列で整理した計画であり、先を見越した早目の対応や防災行動の漏れ防止などに有効なものであると認識しております。  このため、県では、平成二十八年六月から、市町や地域と連携し、住民が適切に避難することができる体制の整備を目的として、洪水予報河川及び水位周知河川における洪水のタイムラインを順次策定しております。  また、県及び市町において、災害種別ごとに、発生前から災害の推移に応じた対策や具体的にとるべき行動を盛り込んだ災害対策運営要領やマニュアル等を定めるとともに、実践的な訓練などにより、行政、地域、防災関係機関が一体となった防災体制の強化に努めております。  こうした中、平成二十八年八月、国においてタイムライン策定・活用指針が示され、国土交通省太田川河川事務所では、洪水以外のさまざまな災害も想定したタイムラインを策定するため、昨年十一月に防災関係機関等を構成員として検討会を設置し、県もこれに参加しているところでございます。  今後、この検討会の成果を踏まえ、県内全域におけるさまざまな災害のタイムラインの策定についても検討を進めることとしております。  引き続き、国、市町、地域、防災関係機関と連携して、こうした取り組みを一層強力に進めることにより、災害死ゼロを目指してまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長山木靖雄君) 健康福祉局長菊間秀樹君。         【健康福祉局長菊間秀樹君登壇】 7: ◯健康福祉局長菊間秀樹君) 私からは、三点についてお答えいたします。  まず、被爆二世の健康問題の解決に向けた取り組みについてでございます。  被爆二世の健康不安を解消するための取り組みにつきましては、被爆者に対する援護対策と同様に、国の責任において実施されるべきものと考えており、国からの受託事業として、被爆二世健康診断を実施しているところでございます。  そうした中、被爆二世に対する遺伝的影響を示す調査結果は得られていないことから、県が単独で被爆二世健診記録帳の作成・配付などの新たな事業を実施することは、被爆者や被爆二世の不安を助長するとの声もあり、慎重に対応する必要があると考えております。  県といたしましては、国に対して、被爆二世健診の内容の充実や、被爆二世に対する遺伝的影響についての調査研究のさらなる促進を要望するとともに、受診可能な医療機関をふやし、被爆二世が健康診断を受診しやすい環境を整備するなど、引き続き、被爆二世の声をお聞きしながら、健康不安の解消に努めてまいります。  次に、胃がん予防に向けたピロリ菌の除菌についてお答えいたします。  胃がんのリスク要因としましては、塩分の高い食品の摂取や喫煙などの生活習慣、ピロリ菌の感染など環境要因のかかわりが大きいと考えられております。  こうした中、ピロリ菌検査や除菌につきましては、国のがん検診のあり方に関する検討会において、現時点では、死亡率減少効果を示す科学的根拠がないため、行政が対策として実施することは推奨されておらず、さらなる検証が必要とされているところでございます。  また、他県で先行的に実施されている中高生へのピロリ菌検査と除菌につきましては、若年層ではピロリ菌感染者の割合が極めて少ないこと、胃炎など症状のない健康な若者にも除菌治療を行うことなどから、県が対策として実施するためには、検査・除菌によるメリットと、除菌治療に伴う副作用などのデメリットを慎重に検討する必要があると考えております。  一方で、ピロリ菌の除菌は、胃がんの発症リスク軽減につながると考えられているほか、国が定めたがん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針や、がん教育推進のための教材では、胃がんとピロリ菌感染等の関係を教育することとされております。  このため、来年度、県や広島大学、県医師会などで構成する広島県地域保健対策協議会において、ピロリ菌抗体検査と、治療の啓発・勧奨を行うための体制を検討する予定としており、その結果を踏まえ、若年者への対策を含めたピロリ菌検査と除菌への対応を検討してまいります。  次に、子供の受動喫煙の問題への対応についてお答えいたします。  受動喫煙は、子供の成長や健康に大きな影響を及ぼすとされており、また、子供はみずからの意思で受動喫煙を避けることができません。  このため、受動喫煙を防止し、子供たちが安心して暮らせる環境を整備することは、社会全体で取り組むべき極めて重要な課題であると考えており、本県では、がん対策推進条例におきまして、義務づけ規定を含む受動喫煙防止対策を明確に位置づけ、平成二十八年度から施行実施したところでございます。  具体的な対策といたしましては、子供の利用が想定される学校や児童福祉施設などの施設には禁煙、喫煙所による分煙を義務づけ、遊具のある公園や学校の周辺では利用者が喫煙しないことを努力義務とし、飲食店には喫煙の可否等の表示を義務づけるなど、子供の受動喫煙防止を意識したものとしております。  この条例の策定に当たりましては、学識経験者、医療関係者、学校関係者、飲食関係者、たばこ業界などで構成する広島県たばこ懇話会におきまして、さまざまな立場から議論を重ねた結果、県民総ぐるみで受動喫煙防止対策に取り組める実効性のあるものとなっております。  このため、まずは、現行条例に基づく対策の徹底を図り、子供の受動喫煙防止対策を推進するため、市町や関係団体などと連携した条例の周知や、保健所による飲食店の訪問指導に、引き続き、取り組んでまいります。  また、ひろしま版ネウボラなどにおいて母子健康手帳交付時や健康相談の場などを活用した、妊娠・出産を契機とする禁煙支援への取り組みを継続して進めるとともに、受動喫煙による健康被害の啓発を子育て支援の中で一体的に行うなど効果的な取り組みを実施してまいります。  今後とも、現行条例による受動喫煙防止対策の徹底や、子育て支援を通じた普及啓発などにより、受動喫煙のない、子供たちが健やかに育つことのできる環境を整備してまいります。 8: ◯議長山木靖雄君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 9: ◯教育長下崎邦明君) 三点についてお答えいたします。  まず、教育現場における医療的ケア児支援に向けた実態調査についてでございます。  障害のある児童生徒の就学に当たりましては、各市町教育委員会において実態を丁寧に把握し、その児童生徒にとってどのような教育を行うことが大切なのか、保護者と合意形成を図りながら就学先を決定すべきものと考えております。  その際、学校で学ぶ場合には、医療的ケアの必要な児童生徒が十分な教育を受けられるように、医療、教育の専門家の意見を踏まえた教育環境の整備が必要であることから、県教育委員会では、毎年度、医療的ケアの実施内容や看護師配置数及び保護者の付き添いの有無についての調査を行っております。  この調査内容や就学時に市町教育委員会が保護者から聴取した医療的ケアに関する情報をもとに、県立特別支援学校への入学者や在校生について、必要な看護師の配置を行うとともに、教育形態や医療的ケアを実施する上での留意事項に関する助言を学校に対して行っております。  また、小中学校につきましては、市町教育委員会からの要請に基づき、医療的ケアの実施に係る校内体制、看護師の配置、保護者や関係機関との連携について助言を行っております。  医療的ケアを必要とする児童生徒の教育環境の整備につきましては、日々の安全対策や緊急時の対応について、より丁寧に調査する必要があることから、今後、調査内容の検討を行い、引き続き、児童生徒への必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、医療的ケア児の保護者の負担軽減についてでございます。  県立特別支援学校への通学手段の一つとして運行しておりますスクールバスでの医療的ケアにつきましては、走行中は危険であり実施できないこと、停車する場合でも駐車できる場所が限られ即時のケアができないこと、頻繁な停車は運行時間の長時間化につながり児童生徒の負担となることなどから、乗車中に医療的ケアが必要な幼児、児童生徒につきましては、保護者による送迎をお願いしているところでございます。  滋賀県では、今年度、福祉との連携による移動支援の一環として、スクールバスを使わない形で、訪問看護ステーションの看護師を同乗させた車両で医療的ケアの必要な児童生徒を送迎する複数回の実証実験を行っているとお聞きしております。  医療的ケアが必要な幼児、児童生徒の通学支援につきましては、今後、関係部局と連携し、検討してまいりたいと考えております。  また、県立特別支援学校における看護師につきましては、必要数を配置し、医師の指示に基づいて、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを実施しているところでございます。  一方、体調が悪化した場合に、看護師は医師とは違い、その状態を見きわめ、それに応じた処置を行うことは困難でございます。  このように、看護師が緊急時に実施できる医療的ケアには限りがあることから、人工呼吸器の装着者への対応など命への危険が高い場合には、医師からの学校への指示事項を超える医療的ケアが実施でき、応急対応にも熟知している保護者に付き添いをお願いしているところでございます。  教育委員会といたしましては、緊急時への対応などにおける保護者の負担軽減について、他県状況も把握しながら、引き続き、検討してまいります。  次に、学習指導要領改訂に向けた対応についてでございます。  このたびの学習指導要領の改訂は、社会構造や雇用環境の急速な変化などにより予測困難な時代にあって、子供たちがさまざまな変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや、さまざまな情報を見きわめ知識の概念的な理解を実現し、情報を再構築するなどして新たな価値につなげていくことなど、子供たちにいわゆる生きる力を育むことが学校教育に求められているという理念のもとに行われたものと認識しております。  本県では、既にこの理念を先取りして、平成二十六年度に広島版「学びの変革」アクション・プランを策定し、これからの社会で活躍するために必要な資質・能力の育成を目指し、児童生徒が他者と協働しながら習得した知識を活用することにより、より深い知識の習得やスキルの育成を図ることのできる学習者基点の能動的な深い学びである主体的な学びを推進しております。  主体的な学びの推進に当たりましては、中核となる教員を育成し、この教員を中心とした実践を行っているところであり、こうした実践の成果を踏まえ、課題発見・解決学習に係る事例集を作成し、各学校の授業改善に活用できるようにしております。  平成三十年度には学びの変革を全県展開することとし、各市町に設置していただいております学びの変革推進協議会や指定校等に指導主事を派遣し、講話、演習、協議等を行うなどして主体的な学びをさらに推進いたしますとともに、全ての教員が、学習指導要領に新たに示された何ができるようになるかという目標と、何を学ぶかという内容、どのように学ぶかという方法を一体的に進めることの重要性について理解を深めるよう取り組んでまいります。 10: ◯議長山木靖雄君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時三十四分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 11: ◯議長山木靖雄君) 出席議員六十一名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。松浦幸男君。         【松浦幸男君登壇】 12: ◯松浦幸男君 自由民主党広島県議会議員会の松浦幸男でございます。早速、質問に入らせていただきます。  最初に、市町村合併に関連した課題についてお伺いします。  市町村合併は、前の藤田雄山知事が強力に推し進め、今日に至っているわけでありますけれども、私は、合併は結果的によかったと思っております。因島も合併特例債で、学校を再編整備したり、あるいは総合支所の建てかえをしたりすることができましたが、そういったことが、初めからうまくいったわけではありません。  大きな尾道市と因島市あるいは瀬戸田町、御調町が合併すると、それぞれの町の仕事の進め方や文化が違いますから、工事にかかろうと言っても、なかなか難しい状況があったわけであります。特に、因島の場合には、尾道市のやり方でどんどん進めていくということで、小さい町は小さい町なりにそれぞれいろいろな工夫をしてやってきたわけでありますけれども、いよいよ合併して仕事をしていくとなると、最終的には大きな町の優秀な職員の決断で市長のところへ書類が上がっていきますし、もともと因島市や瀬戸田町の幹部であった職員も支所にいるわけでありませんから、なかなか地域との連携ができず、理解もうまくいきませんでした。  もう一つは、衆議院の小選挙区の区割りで、合併後の市町の区域が一致しない状況があるわけです。尾道市では二つの選挙区、三原市では三つの選挙区を抱えたことになっています。選挙管理委員会は、国や県がお金を出すのだからいいではないかと言いますけれども、三原市ですと、賀茂郡、豊田郡、それから三原市の分と、三回開票しなければならず、今も大変な苦労が続いております。  合併建設計画事業も五年間ぐらいはなかなか前に進んでいかず、合併して五年たったから五〇%進んだかというと、二〇%ないし三〇%ぐらいしか進みませんでした。国の三位一体改革ということもあって、スタート時点で非常に厳しい財政運営を迫られてきたわけでありますけれども、五年を過ぎた後半から、俄然、調整が進み仕事ができるようになりました。  それと同時に、三位一体改革の中の財政健全化にもある程度めどがつき始めました。さあこれからということになりましたが、五年間ほとんど仕事をしていないわけでありますから、合併特例債の期限がもうわずかしかなく、十分使えません。そういった意味で困っておりましたし、普通交付税交付金についても合併算定がえの特例措置が縮小して、交付税が減額されるという問題にも直面してきたわけであります。  合併特例債については、私たちが元気を出して国に働きかけてきた結果、十年の期限が改めて五年延長されて、十五年使えることになり、合併建設計画に基づく事業については、あとの五年も改めて合併特例債の発行を認めるということで、今、順調に進んでおります。もう一つは、交付税の話を県も一緒になって国にお願いしたとき、国は、合併により面積が拡大したことによる経費を交付税に反映できることとなり、合併市町は一気に資金繰りがよくなったということがあり、今日に至っております。  そして、今度は合併から十五年であります。合併建設事業の中には時間がかかり、十五年たったからやめるわけにはいかないものもあり、また、この間、新たに取り組むべきものも出てきています。こうした中、合併建設事業に充当するのとは別枠で、合併特例債を使って基金を造成してもいいということになって、将来積み立てた基金を取り崩して、やり残した事業や新たな取り組みに活用できるということがあり、尾道市でも基金を設ける方針を打ち出しています。  長い間、県が合併をやりなさいという中で、私も太鼓をたたいて頑張ってきたわけでありますけれども、その地域の新市建設計画にかかわる問題では、県が力強い支援をしてきたわけであります。  そこで、基金を使って行う残りの事業についても、引き続き応援していただきたいと思うわけでありますけれども、このことについて知事の考えをお聞かせ願いたいと思います。  また、藤田知事の時代に県が合併を強力に推し進めたときの理念は、住民に身近な市町村が、地方分権の担い手として、多様化、広域化する行政問題に的確に対応できる行政体制を確立するというものであり、市町にできることは市町にと、事務や権限の移譲にも積極的に取り組んでこられました。その結果、対象事務の八割を移譲し、全国トップクラスの実績を残しています。このことは、よくぞ権限移譲をなさった、大成功であったと高く評価したいと思うわけであります。しかしながら、各市町は、社会資本の老朽化対策など、引き続いていろいろなことをやっていかなければなりません。  特に、水道事業の広域化を初め県と市を通じた行政サービスの適正化に向けて、今後、市町とどのようにタイアップして事業を進めていかれるのか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  次に、国民健康保険の県単位化についてお伺いします。  来年度から国保の財政運営が市町から県に移管されますが、県は先日、移管後の市町別の平均保険料の試算を公表し、そのことの新聞報道もありました。公表によれば、来年度は十六市町で保険料がふえることとなっています。特に、いわゆる田舎の市町ほど増加額が大きいように感じます。みんなが病院に行かないから、保険料が少なかったからと言われているようですけれども、国保の財政事情は、どこも大変な状況です。また、国保の財政は独立会計が原則ですが、慢性的な赤字となっているため、法定外の繰り入れを行っている市町は平成二十八年度の決算で五市町あります。  今後、六年間の激変緩和措置を経て保険料の水準が統一され、市町が保険料を徴収してくれるとはいえ、県が運営することになります。それぞれの市町の首長は、どうなるのかと見守っているのが現状です。  そもそも私は、国保については、国が制度設計などを行う番人的な役割、市町は運営者、その中間にある県が市町に対して多少指導しながら運営していくという形が一番よいとずっと言い続けておりましたけれども、保険料が二〇%も上がる市町があるなど、記事を見た県民は余計にでも心配していると思うのであります。また、県への移管は、長期的に考えればいいことだと思いますが、今後の財政収支がどうなるのかなど、まだまだわからないことも多いだろうと思うのであります。  そこで、県が来年度から財政運営を行うわけでありますが、今後、保険料が上がるという懸念もある中でどのように取り組むのか、知事の所見をお伺いします。  次に、広島空港への経営改革の導入による地域活性化についてお聞きします。  平成三十三年度からの広島空港への経営改革導入のスケジュールが昨年十月に国から公表されておりますが、現在の広島空港を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。  近隣の空港である岩国空港は、開港して五年がたちます。山口県は五十億円とも言われる米軍の交付金も活用することで、岩国空港の整備を促進してきたところです。岩国空港は、駐車料金が五日間まで無料であることや、岩国駅からのアクセスがよいということを受け、岩国─那覇線の利用者数の七割が広島県民であるというアンケート調査が公表されております。広島都市圏の西の玄関口としての地位を確立しつつあります。  もう一つ申し上げれば、岩国空港、広島空港いずれを使っても料金は変わらないのであります。私は最近になってこのことを知ったわけでありますが、これはマルチエアポート対応と呼ばれるもので、二つの空港にまたがる旅行の日程において、往復運賃やビジネス切符などが利用できるようになるというものです。こうしたことからも、空港までのアクセスがよい岩国空港の利用がますます進み、周辺地域の活性化も進んでいくのではないかと考えます。  現在、国は、広島空港への経営改革導入に向けた民間事業者からの意見募集を行い、個別事業者からのヒアリングなども行っていると伺っております。今後は、これを踏まえて実施方針の策定・公表が本年十月にも行われる予定であります。平成三十三年四月には空港経営改革がスタートすることとなります。  恐らく、広島空港の運営を目指す企業は、仙台空港や高松空港と同じように格安航空と言われるLCCの就航をふやし利用者の増加を図ることや、空港ターミナル内における免税店などのショッピングゾーンの拡大によりにぎわいづくりを図ろうとする計画が出てくるものと考えられます。しかしながら、経営改革導入後も、広域観光や空港アクセスなどの役割は、引き続き県に残ります。特に、空港アクセスについては、幾ら空港ターミナルを充実させても、そこに至るまでのアクセスを充実させないと、絵に描いた餅となってしまいます。  そこで、県には、空港アクセスの課題解消に向け、しっかりと取り組んでもらうことを強く要望しておきます。そうしなければ、中四国地方の拠点空港、いわばチャンピオン空港を目指す広島空港が埋没してしまいます。  一方、地元からは、広島空港への経営改革導入が周辺地域の活性化につながると期待する声が大きいことも確かであります。本来、空港経営改革は、航空系事業と非航空系事業を一体として、民間のノウハウを活用して空港運営の改善を目指すものであると理解していますが、私自身は、地域の活性化は、人が人を呼ぶ構造で広がっていくものと考えております。空港の活性化が、三原市だけでなく周辺市町に連担して活性化が進まなければいけないと考えております。  そこで、広島空港への経営改革が導入されることにより、広島空港の所在する三原市を含めた周辺地域の活性化につながるのか、御所見を伺います。  次に、浄化槽の法定検査の体制についてお聞きします。  これまで、浄化槽は、公共下水道が導入されるまでの間、便所を水洗化するための暫定施設と認識されておりました。しかし、近年では、比較的安く、短い工期で設置でき、下水道と同等の放流水質まで処理機能が向上しております。尾道市など公共下水道の設置が困難な地域において、その役割はますます大きくなっております。  浄化槽を設置した使用者、県民には、浄化槽法に定められている清掃、保守点検、法定検査の三つが義務づけられていますが、使用者は日ごろの維持管理と清掃、保守点検と法定検査の違いがわかっていないことも多いようであります。  また、県内の浄化槽の法定検査機関は、広島県浄化槽協会と広島県環境保全センターの二機関が県の指定を受けています。どうして二つあるのか、わからない県民もたくさんおられると思います。特に、個人の家や大きな事業所を持っている人は、この疑問を大変強く抱いていると思います。  こういった二つの組織を一つにして、検査費用あるいは手間を省略し合理化していくことについて、知事の御見解をお伺いします。  次に、ファンド事業についてお伺いいたします。  知事の肝いりで平成二十三年に立ち上げたファンド事業は、昨年末で投資期限を迎えました。実績は、合計七社に投資の総額を約五十五億五千万円という結果でした。このことについて、知事は昨年末の記者会見において、もう少し投資できればよかったとおっしゃっておられます。
     この発言は、もう少し頑張ればよかった、頑張れたのではないのかという意味だと私は感じております。このお金を何とか使わないといけないとあがいて、頑張って使おうという形で、最後の二つは、いわば駆け込みのような形で投資が行われたと感じております。特に、最後の学習塾経営会社には、最大の十二億円も投資しております。  本来、行政がファンド事業を行う場合には、そこに公益的な意味合いが備わっていることが求められると思います。最後の投資案件となった、学習塾を主たる事業とする企業への投資については、この企業は、少子化で子供の数が減っていく状況において、同業他社を次々と買収して規模を拡大する一方で、新たに保育と言われる事業分野にも参入しようというものであります。保育は本来、公共が責任を持ってやるべき事業であると私は考えております。  財務省の審議会においても、官民ファンドというものは、投資収益の論理と政策目的が重なり合う領域で機能することが求められているとの指摘があります。  そもそも県のファンドは広島版産業革新機構をうたい、設立に当たっては国の産業革新機構をお手本に立ち上げた経緯がございます。県は、地域における雇用と働く場所をつくり出す、場所を確保する、そのことによって地域の経済を活性化していくことを目指していると思いますが、最後のほうは、本来、民間に任せていてもいいような案件に手を出してしまったように思います。  また、このことを私が県議会の委員会で質問したところ、私やその記事を載せた新聞に対して文句を言ってきた投資先の企業がありました。本来、文句があるのであれば、投資元のファンド会社に言って、ファンド会社から県に報告されるべきでありますけれども、発言や記事に直接牽制をかけてきました。最後にファンドで投資した先は、そういったことを行っているわけであります。  また、昨年十一月に、ファンドの投資先企業が岡山県笠岡市に工場を新設するというニュースが飛び込んでまいりました。私は、このことを備後地域振興協議会で知り、大変驚いたわけでありますが、驚いたのは決して私一人だけではなかったと思います。  県が地域経済の成長に貢献すると言って導入したファンドが、ハンズオンと言うのでしょうか、社外取締役を送り込むなどの手法によって支援を行い、結果的に県外へ工場を建てられてしまいました。設立の目的とは全く真逆のことが起こっており、一体どうなっているのかと思うわけであります。知事は昨年の九月定例会で、我が会派の河井議員の質問に対し、投資という金融機能が地域に定着していくことが重要であると答弁なさっております。  また、当然のことでありますけれども、今後は、最長五年の二〇二三年まで投資企業の支援を行っていくわけで、それぞれの案件について出口をきちんと示していくことが大事であると思います。事業環境の変化は起こり得ますけれども、投資した企業に対して、出口に向かってどういう道筋をつけて、どの程度進んでいるかということを、逐次、県民にも知らせるべきだと私は思っております。そうでなくても、現在のファンド自体のシステムは、役員報酬、ビルの賃借料など、年間で二億円もかかっているわけであります。今後五年間で十億円必要となるわけで、早く手じまいができることにこしたことはないと思うのであります。  私は、このファンド事業が、県の産業政策上どのような効果をもたらしたのかという点について、よいところも悪いところも徹底的に洗い出した上で検証を行うことが重要であると思います。  そこで、県のファンド事業について、投資額が確定した現在の、知事の率直なお考えをお聞かせ願いたいと思いますし、残りの事業期間についても、これまでの評価と個々の投資案件の検証をあわせて行うべきであると考えますが、知事の考えをお聞かせ願います。  次に、グローバルリーダー校についてお伺いいたします。  今年は、平成十年に文部省から是正指導を受けて二十年となる年であります。広島県教育委員会は、このことを受け、学力の向上に努力してまいりました。  平成十年以降、県民から信頼される公教育の実現を目指して取り組む中で、今後の本県教育をリードしていく役割を担う学校として、平成十六年四月に県立で初めての併設型の中高一貫教育校となる県立広島中学校・高等学校を東広島市に開校したことは、御承知のとおりです。この学校は、県内全ての生徒に学校の選択が等しく可能となるように募集区域を全県一円として、学校の達成目標として国公立大学の合格者数七〇%以上などと高い数値目標を掲げて、県民の大きな期待に応えるべく取り組みを進めてこられました。近年では、東京大学、京都大学といった、いわゆる難関校への合格者数が目覚ましくふえるなど、県内でも進学校としてトップクラスの実績を残すに至っており、中高一貫教育校としての特性を生かして、本県教育のリーディングスクールとしての役割を果たしているわけです。  前々から、そういった成果をそれぞれの地域にも広げようということで、少なくとも同じような学校を一つ、二つはつくろうと言っておりましたけれども、なかなか取りかかりませんでした。しかし、ようやく来春、三次市へ中高一貫教育校を開設するということで、一億九千万円の予算が計上されており、非常にありがたいことだと思っております。  県の教育は、少しずつは前に向いて上がっているところでありますけれども、スピード感を持ってやっていかなければ、常に後塵を拝しているような気がしております。グローバルリーダー校、特別支援学校、いじめ・不登校対策と、やるべきことはたくさんありますし、新たに取り組まなければならないことも日々たくさん積み上がっていると私は思っております。  次に、私が最近気になることは、英語教育の問題です。今、県内のものづくりの現場に、多くの外国人労働者がいます。しかも、物すごい勢いでふえております。もはや外国人なしでは日本の製造業は立ち行かず、外国人が欠かせない現状になっていると思います。  私の地元、因島の二十人ほどの鉄工所でもグローバル化が進んで、ベトナム人が三人、フィリピン人が二人、そしてインドネシア人が一人と、日本人を含めて四カ国の従業員がおります。フィリピン人であれば英語が公用語ですから、当然、私は彼らにグッドモーニングと申し上げます。それから、ベトナム人にはシンシャオ、インドネシア人にはスラマットパギと、私は彼らの母国語で挨拶することにしております。母国語で挨拶すれば、相手側も安堵して、気をつけして、日本語でおはようございますと返事をしてくれます。  町なかの中小企業でも四カ国の人が働くなどグローバル化が猛烈なスピードで進んでいる中、このたびのグローバルリーダー校は、うまくいってほしいと思うわけであります。しかし、先ごろ、教員採用候補者の選考結果の発表が延期されるなど、工事費の件も含めて、この学校の開校までのスピードが非常に緩やかで、行き当たりばったりの印象を持っております。  そこで、開校を来年に控えて、校長先生を初めとする教員の確保が運営上大変重要になってくると思いますけれども、このことについて教育長の御所見を伺います。  これまで、英語が必要なのは海外へ進出していく企業だけだと思っていましたけれども、先ほどのように、地域の一般の企業にも多くの外国人労働者がふえつつあります。英語を学習しておくことの大切さというものを考えるわけであります。  大崎上島町に来年春に開校する広島叡智学園は、学校説明会に七百人以上もの保護者、児童が集まり、注目が高まっているところです。今のところ、試験科目に英語はないようですけれども、既に首都圏や近畿などの大都市では、中学校の入試の科目に英語を導入するという私立の学校が、どんどんふえてきているという報道も見ております。二〇二〇年には、英語が小学校で正式な教科になるということもあります。公立中学校の試験内容に英語が加わる日が来るのも、そう遠くないだろうと思っております。  私が心配しているのは、グローバルリーダー校の授業は、高校に進むにつれて英語の使用頻度が高くなりますが、ただでさえ引っ込み思案の日本人の少年たちが、中学校から英語力を磨いて、高校から入学してくる海外の学生と対等にやっていくことができるのかどうかということです。  そこで、グローバルリーダー校の入学者選抜についても将来的に英語を加えるということについて、教育長の御所見を伺います。  もう一つ、本県の教育で気になるのは、いわゆる実業系と言われる商業系、工業系などの専門学科のことであります。産業界の求める人材を育てると言っておりましたけれども、学びの変革の陰で置き去りにされているように思うからであります。  瀬戸内の隣県では、工業科教育に力を入れております。岡山県の玉野市は人口約六万人の町で、市立の玉野商業高校がありますが、この春、新たに機械科が設置され、校名も玉野商工高校になるということです。玉野市といえば、造船や繊維の町というイメージが私にもあるわけですけれども、不思議なことに、これまで工業高校がなかったということであります。昔から、工業高校に行きたい生徒は、外に進学するほかなかったのであります。そのため、地元から工業系を設置してほしいという声がずっと上がっておりました。また、愛媛県今治市でも、県立今治工業高校に機械造船科を平成二十八年から設置しております。  同じ瀬戸内でも、こうして人手不足に対応していこうとしているところがあります。かつて広島県は、工業高校を次々につくりましたけれども、次々におやめになって、尾道工業高校、本郷工業高校といったものがなくなっております。  本県では、平成二十六年に、今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画をつくっておられます。専門学科については、取り組みの方向として、生徒の実態や地域の産業構造の変化等を踏まえ、必要に応じて学科の改編を含めた教育内容の見直しをすることなどが記載されていますけれども、目ぼしい取り組みが見当たらないと思うのであります。  例えば、商業科にしても、最近、国を挙げて観光を振興しようと取り組んでいるわけですから、その後押しをする意味でも、私は商業高校に観光科をつくることがあってもいいと思うのです。以前の委員会でも、このことを申し上げましたけれども、研究しますと言ったままで、いまだ何の成果も上がっておりません。  もう一歩踏み込んで、尾道市では、第三次産業の振興ということで、商工会議所あたりから尾道商業高校に観光科をつくってもらいたいという強い要望もあります。実業学校でも現状にマッチしたことをやっていこうと、地域が頑張っておられるわけです。  そこで、教育委員会として、地域の求める人材育成に向けて、人手不足が続くという状況を踏まえて、専門学科の再編並びに充実をどのようにお考えか、教育長にお尋ねします。  次に、警察組織の改編についてお伺いします。  広島県警察では、昨年一月に広島県警察機能強化ビジョンを策定されました。この計画は、市町村合併や国際化の進展に伴い県内の社会情勢や治安情勢が大きく変化したことからつくられたものであります。計画では、警察署の機能強化という項目があり、主要な項目は、県内に二十八ある警察署のうち定員五十人未満の小規模の警察署が音戸、世羅、江田島、因島の四署がありますが、このうち音戸署と因島署について、それぞれ隣接する呉署、尾道署と統合させるものでありました。  その後、警察本部はこのビジョンに基づき、警察署の機能をより一層充実強化し地域住民の安全・安心を確保するために、警察署の機能強化に向けてを昨年九月に策定されました。そして、小規模警察署の統合案は、昨年十二月定例会において、警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例案が可決し、今年四月からの統合が決まっております。統合される音戸署と因島署は、分庁舎と名称が変わるわけでありますけれども、運転免許証の更新などの行政サービスの継続や、事件や事故が発生したときの二十四時間の初動体制など、より地域に密着した警察行動を行うことができるようになっております。  しかし、こうした一方、昨年五月に広島中央署において、八千五百七十二万円もの多額の現金が盗難されるという事件が起こっております。残念ながら、いまだに犯人の検挙に至っていないという状況であります。県内の警察署の中で、いわゆる旗艦店とも言うべき広島中央署で起こった、この八千五百七十二万円の多額盗難事件は、内部犯行の可能性が極めて高いとされています。この約八千五百万円は、どこかの時点で被害者に返済されるお金であります。  昨年九月、この詐欺事件の被告が県に返還の訴訟を起こしておりますけれども、この現金はいまだ見つかっていない状況であります。仮にこれが出てこなかったら、結果的に県警察のミスということになって、私ども県民の税金から訴訟を起こした詐欺事件の被告あるいは詐欺事件の被害者に返すということになるわけです。  前任の名和本部長は、この事件の解決を見ないまま、今年一月に中部管区警察局長として転出されたわけでありますが、解決できず離任することは本当に残念で心残りと、記者会見で苦しい胸の内を話しておられます。このたび着任された石田本部長には、ぜひ一刻も早く犯人を捕まえていただくよう頑張ってもらいたいと、まずお願いしておきたいと思います。  ところで、昨年末のことではありますが、私の地元の因島でもこれとよく似た、ミニ中央署とも言うべき事件が起こっています。四万円の現金が入った財布が駐在所に届けられたにもかかわらず、対応した警察官がきちんと書類を作成せず因島署にも連絡せず放っておき、数日後、落とした人からの因島署への問い合わせによって、警察官が何もせず放置していたことが明らかになっています。  その事件の少し前にあったことですが、私の趣味である園芸の畑の前に工具箱が落ちていたので、近くの駐在所に届けたときは、駐在所の職員は、箱の形状から中にあった充電器の工具、あるいはアタッチメントまで詳細な記録をとられていました。  ところで、広島県警では、平成二十八年度の減給などの懲戒処分や訓戒などの監督上の措置になった職員が七十九人だったとのことです。私は、確かに警察機能の強化をなさっていることは評価します。しかし、結果、こういうことが起きるのは、警察が組織再編に力を入れて、組織の神経に当たる人の問題がおざなりになっていると思うのです。職員の教育や資質の向上を図ることが、いろいろな問題の解決の一番早い手法です。組織の再編は看板の変更にすぎないと思うわけであります。  昔から、警察には地域から格別な敬意が払われておりました。私の地元、因島では、御調郡時代から、村でお祝い事があるとき、来賓のナンバーワンは村長、その次は小学校の校長先生、その次が署長さんか駐在さんでした。そのようなことは因島だけではなく、いろいろなところで警察は住民から信頼されていたと思うのであります。  そういった中で、因島署と音戸署が、昨年県警がつくったビジョンに従って四月に統合されることになっております。私は、小規模署の統合に反対しているわけではありません。大いに結構なことでありますが、このように警察に対する県民の信頼を失っている状況であれば、一年でも二年でも信頼を回復するまで統合を延期したほうがいいのではないかと思うわけであります。  因島署の所轄人口は、旧因島市、瀬戸田町を合わせて三万二千人です。所轄人口は約一万六千人と、因島署の二分の一の世羅署が今回の統合検討の対象とならなかったことについても、釈然としない思いがするわけであります。  また、因島にも交通安全協会、暴力追放協議会がありますけれども、今まで地域の安全の守り神だと思っていた警察のこの大失態によって、今回、尾道署が管轄するということになると、これまでの協力も考え直そうという声が非常に強くなっております。  ついては、来年度の警察組織の改編において小規模な警察署が統合されることによって、本署からのパトロール活動が強化されたり事件・事故が起きたときの対応がスピードアップされることは、住民にとってはよいことでありますけれども、組織改編の狙いについて、改めて、新しく来られた石田警察本部長の御所見をお伺いします。  最後になりましたけれども、費用対効果の問題で、最近、いろいろな予算が少なく見積もられています。当初の見積もりから、二回、三回と、だんだん予算がふえていくということが起きております。慎重に予算の見積もりを行い、慎重に事業を計画することをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 13: ◯議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 14: ◯知事湯崎英彦君) まず、合併建設計画への支援についての御質問でございます。  合併建設計画は、合併市町の均衡ある発展と一体感のあるまちづくりを実現するため、合併関係市町と県で協議し策定したものであり、県におきましても、合併の効果を高めるため、合併市町の拠点づくりや拠点間の道路整備などに取り組んできたところでございます。  計画期間の終了が間近となっておりますが、合併建設計画に掲げられた県事業につきましては、計画期間終了後も重点化やコスト縮減を図りながら、引き続き、市や町と連携して着実に実施してまいります。  一方、合併市町におきましては、社会情勢や住民のニーズ、地域の実情を踏まえつつ、事業の必要性、緊急性を点検し、優先順位をつけながら、合併建設計画の実施に取り組んでこられたところでございます。  しかしながら、計画期間の十五年を間近に控える中、継続して着実に取り組んでいくべき事業、昨今の人口減少や東京一極集中が進む中で、地方創生等への対応など、新たな課題も生じていると認識しております。  このため、県といたしましても、計画期間の終了後を見据えて安定的な財源が確保できるよう、普通交付税の算定方法の見直しを国に対し強く働きかけた結果、合併により広域化した市町村の実情を踏まえた加算措置が、将来にわたって講じられることとなったところでございます。  また、合併特例債を原資とする基金は、元利償還金について地方交付税措置が講じられる点や、合併建設計画の期間終了後も活用できるメリットがあることから、この基金制度の活用を働きかけてきた結果、尾道市や三原市など、複数の市町で検討が進められることとなりました。  県といたしましては、計画期間の終了後におきましても、地方交付税などの財源の確保に努めるとともに、各市町の実情に応じた有利な地方債の活用や、合併特例債を原資とする基金の活用について助言を行うなど、今後の市町におけるまちづくりをしっかりと後押ししてまいります。  次に、県と市町の行政サービスの最適化についての御質問でございます。  本県では、地方分権改革を推進するため、全国に先駆けて、市町村合併による行財政基盤の強化や市町への権限移譲に取り組んでまいりました結果、住民サービスの向上や地域の特色を生かしたまちづくりが進展してきたところでございます。  一方、高齢化や人口減少、東京一極集中の進行などにより、各自治体におきましては、人員や財源などの経営資源が限られてくる中で、高度成長期に集中的に整備した社会資本の老朽化への対策や、行政サービスの専門化、高度化に伴う専門人材の育成・確保など、県と市町を通じた新たな課題が生じており、とりわけ小規模市町におきましては、単独で対応することに限界があるものもございます。  こうしたことから、平成二十七年十二月に行政経営の方針を策定し、県や市町の枠組みを超え、県と市町との協働、連携、役割分担の取り組みを推進する中で、限られた人員や財源などの経営資源を最大限活用し、県と市町を通じた県全体の行政サービスの最適化を目指していくこととしております。  この方針のもと、これまでも、行政不服審査会の事務や町の公害防止事務など、県が行うことで事務の効率化や水準の確保が図られるものにつきましては、県が主体的に取り組みますとともに、市町が実施している移譲事務で専門性が高いものについては、政令市や中核市が中心となった市町間連携の仕組みづくりに取り組んでいるところでございます。  また、これまでの取り組みに加え、今後、新たに、人口減少に伴う収益の減少や施設の老朽化等に伴う更新需要の大幅な増加が見込まれております水道の分野におきまして、施設の最適化や維持管理の最適化などを図るため、市町と協議を重ねながら広域連携の検討を行い、本年一月にその方向性をまとめたところであり、来年度からは、市町と共同で協議組織を設置し、早期の具体化に向け、取り組むこととしております。  このほか、市町における技術力確保が課題となっております土木、建築の分野におきましても、工事積算、現場監督指導等の専門技能が必要な業務について、市町との意見交換を行いながら、効果的な連携手法等について検討を進めております。  県といたしましては、今後とも、市町の課題やニーズを踏まえながら、県が持つ専門性やノウハウを生かし、県と市町が連携・協力することにより、事務の効率的、効果的な実施や住民サービスの向上につながる仕組みづくりを推進するなど、広域自治体としての役割を積極的に果たし、県全体としての行政サービスの最適化に取り組んでまいります。  次に、国民健康保険の県単位化についてでございます。  国民健康保険制度は、被保険者の高齢化や高度医療の普及などにより保険給付費が増加する一方で、被保険者の所得水準が低いことなどから、財政基盤が弱く、一般会計からの法定外繰り入れによる赤字補填を行わざるを得ないなど、市町村のみでの運営が困難となっております。  こうしたことから、このたびの制度改革は、これまでの市町村ごとの運営から、市町村の垣根を越えた都道府県というより大きな器の中で収支を均衡させ、持続可能な財政運営を図ろうとするものでございます。  今後、人口減少などに伴う被保険者の減少により、一人当たりの保険料負担の一層の増加が見込まれる中で、受益の多寡によらず、みんなが応分の負担を出し合い、お互いを支え合う相互扶助の理念に基づき、被保険者の負担の公平性を確保し、誰もがわかりやすい仕組みとしていくことが必要であると認識しております。  このため、本県におきましては、これまで市町間で異なっていた保険料率について、同一の所得水準、同一の世帯構成であれば、県内どこに住んでいても同一の保険料となるよう、全市町の合意のもと、保険料水準の統一を目指すこととしております。  保険料水準の統一は、平成三十年度から六年間の激変緩和措置期間を設けて、保険料の急激な増加を抑制しながら行うこととしておりますことから、このたびの制度改革に伴う公費の投入により、平成三十年度の県全体の保険料水準の増加率は、〇・五五%の微増にとどまっております。  また、激変緩和措置期間終了後は、一定の公費負担を前提として、法定外繰り入れなどには頼らない運営となるよう、必要な保険料を確保することにより、赤字の解消や削減に計画的に取り組み、財政収支の健全化を図ることとしております。  さらに、持続可能な財政運営を図るためには、県全体で保険料水準の抑制に取り組んでいくことが重要であると認識しておりますことから、効率的な医療提供体制の実現に努めるとともに、医療費の適正化、収納率の向上、保険事務の効率化などにつきまして、市町と連携し、保険者として全力で取り組んでまいります。  次に、広島空港への経営改革導入による地域活性化についてでございます。  広島空港が中四国地方の拠点空港として今後も継続的に発展していくため、航空系事業と非航空系事業を一体化した戦略的な運営を可能とする空港経営改革の導入が進められております。  県といたしましても、昨年度末に取りまとめた県の基本方針に沿って、空港経営改革推進委員会の開催、セミナーや現地見学会の実施といった機運醸成に努めるとともに、観光需要の創出や県内企業のビジネス展開などを促進しております。  具体的には、観光消費による経済効果を高めるため、せとうちDMOや関係県等と連携を図り、訪日観光客の周遊、滞在を促進し宿泊につなげるなど、地域と連携した取り組みを進めているところでございます。  こうした取り組みと、空港経営改革の導入によって期待される広島空港の航空ネットワークの拡充などのさらなる機能強化と相まって、空港を利用した交流人口の拡大が図られるものと考えております。  また、三原市を初めとした空港周辺市町では、食を生かした観光誘客等に取り組んでおられるところでございますが、周辺地域が空港との近接性を生かした観光施策を進めることで、今後のさらなる訪日観光客の増加につながり、地域の活性化に寄与していくものと考えております。  平成二十八年七月に民間運営を開始いたしました仙台空港の例では、空港運営権者が、周辺四市九町をエリアとするインバウンドに特化したDMOと連携し、宮城インバウンドフードフェス二〇一七を開催するなど、訪日観光客の周辺地域への誘客にも取り組んでいると聞いております。  県といたしましては、今後とも、空港経営改革の導入を進める中で、空港運営権者からの積極的な提案を引き出し、周辺自治体等と緊密な連携を図り、空港周辺地域のさらなる活性化に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、ファンド事業についてでございます。  ひろしまイノベーション推進機構の投資につきましては、昨年十二月末をもって新規の投資を決定する期間が終了し、投資件数は七件、投資総額は約五十五億五千万円となりました。  当初想定した投資件数が十件程度、投資可能額が約七十五億円であり、これよりも実績は若干下回りましたが、個々の投資先企業七社のうち、投資決定後間もない二社を除いた五社におきましては、機構によるハンズオン支援のもと、いずれも雇用や売上高などが増加しております。  具体的には、五社合計で、投資前から、売上高が約八十億円、従業員数が約二百四十人増加していることに加え、既に株式を譲渡した二社におきましては、譲渡先企業と相乗効果を発揮し、新製品の開発や大型の設備投資が行われるなど、さらなる成長を実現しているところであり、機構による投資事業が県経済に一定の貢献をしているものと評価しております。  一方で、機構の投資は、投資とハンズオン支援を通じて企業を成長させていくという成長投資であり、地方においては先駆的な取り組みであるため、地域において、その効果、効用に対する理解を広げていく必要があるものと考えております。  そのため、残りの事業期間におきましては、機構は、投資先企業の成長に向けて、ハンズオン支援と株式譲渡などの出口戦略の策定に、これまで以上にしっかりと取り組んでいくことが重要でございます。  県といたしましては、投資先企業に対する支援の進捗にあわせ、体制面など機構の管理をしっかりと行っていくとともに、このたびの投資期間終了を節目として、これまでの機構による投資事業について改めて検証を行い、今後の事業に生かしてまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 15: ◯議長山木靖雄君) 環境県民局長森永智絵君。         【環境県民局長森永智絵君登壇】 16: ◯環境県民局長森永智絵君) 浄化槽の法定検査の体制についてお答えいたします。  浄化槽は、集落が分散するなど人口が密集していない地域において、下水道を新たに敷設するよりも効率的な設置が可能なことから、人口減少の進展等が懸念される中、その重要性は、今後、ますます高まっていくものと認識しております。  現行の法定検査体制につきましては、国により検査項目を簡略化した効率化検査が認められ、事業者から効率化検査実施機関の申請があり、申請内容の審査を経て指定を行ったことにより、二機関体制となったものでございます。  指定前には、毎年、全項目検査の受検が必要であったところ、指定後は、従来からの指定機関で五年に一回、全項目検査を、新たな指定機関で五年に四回の効率化検査を受検することが可能となり、利用者にとって、検査料金の低減や利便性の向上が図られた結果、法定検査受検率は、平成十八年度の二一%から、平成二十八年度は三倍以上の六七%に上昇し、全国平均の約一・七倍を大きく上回っております。  一方、国におきましては、浄化槽を設置した使用者の負担軽減と、より迅速な水質改善を図るため、法定検査のあり方について検討が進められており、本県といたしましても、国の動向を注視するとともに、浄化槽を設置した使用者の方々に検査の仕組みや内容等をより理解していただくための周知活動を、引き続き、進めてまいります。 17: ◯議長山木靖雄君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 18: ◯教育長下崎邦明君) 三点についてお答えいたします。  まず、広島叡智学園における教員の確保についてでございます。  広島叡智学園を運営する上で、学校の目指す理念を実現できる校長や教員の確保が、極めて重要であると考えております。  具体的には、校長、教員いずれにつきましても、学校の理念や教育への深い理解、先進的な教育を絶えず研究、開発、実践し続ける力などを初めとする資質・能力が不可欠であり、これに加えて、校長には、国内外のさまざまな機関とのネットワークを構築する力や、卓越したリーダーシップと組織マネジメント能力などが求められるものと考えております。
     このような観点から、海外の教育機関と連携した教員研修を継続的に実施いたしますとともに、今月上旬には、平成三十年度広島叡智学園教員採用候補者選考試験を実施し、先日、合格者を発表したところであり、今後とも、教員の養成・確保に努め、開校に向けて万全な準備を進めてまいります。  次に、広島叡智学園の入試科目についてでございます。  広島叡智学園の入学者選抜につきましては、現在、詳細な内容を検討中でございますが、入学後、中学校段階における少人数での英語の授業や、オンラインによるマンツーマン英会話などにより、実践的な英語コミュニケーション能力を育んでまいりたいと考えており、英語力は問わないものとしております。  また、学校教育法施行規則におきましては、公立中学校の入学者選抜において学力検査を行ってはならないと定められており、現段階では、英語の学力を入学者選抜で問うことはできないものであると考えております。  一方で、このたび改訂されます新学習指導要領におきましては、外国語教育の充実が図られることとなり、小学校三、四年生から外国語活動が導入され、これまで外国語活動を行っていた五、六年生には新たに外国語科が導入されることから、将来的には、英語に関する興味・関心なども含め、より多角的な視点から生徒の意欲、適性を判断することについても検討してまいりたいと考えております。  次に、専門学科の再編及び充実についてでございます。  産業界における人手不足が続く中で、地域の産業を支えることのできる人材を高等学校段階から育成していくことは、大変重要であると考えております。  このため、商業科や工業科などの職業系専門学科におきましては、平成二十六年二月に策定いたしました今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画に基づき、地域のさまざまな産業、社会を担っていくことができる人材の育成に向け、生徒、保護者や地元企業等のニーズに応じた特色ある取り組みを進めているところでございます。  例えば、尾道商業高等学校商業科におきましては、これまで三年生で選択履修していた学校設定科目、観光一般に加え、昨年度から、二年生において選択できる学校設定科目、地域観光学を新たに教育課程に位置づけ、地域の観光資源についての調査、研究、発信を行うなど、観光都市尾道市の地域特性を生かした学習を行っているところでございます。  昨年度、二年生で地域観光学を学んだ生徒は四名で、このうち一名は地元のホテルに就職が内定しており、今年度の履修生徒数は二十二名に増加しております。  さらには、三年生で履修いたします課題研究において、地元の企業と連携して地域への旅行プランを作成するなど、より実践的な教育内容も取り入れているところでございます。  また、工業高校や工業系学科におきましては、例えば、ものづくり人材育成日本一プロジェクトの、ひろしまものづくり技能検定や、ものづくり企業を退職した熟練技能者の巡回指導において、県内ものづくり企業等の協力を得ながら、地域のものづくり企業が求める技能系人材の育成に努めているところでございます。  教育委員会といたしましては、職業系専門学科等におきまして、引き続き、地元産業界や経済界と連携を図りながら、求められる人材の育成に向けた取り組みを進めますとともに、学科の再編につきましては、生徒、保護者のニーズや卒業後の進路の見通し、社会経済の状況、地元産業界の御意見などを踏まえ、検討してまいりたいと考えております。 19: ◯議長山木靖雄君) 警察本部長石田勝彦君。         【警察本部長石田勝彦君登壇】 20: ◯警察本部長石田勝彦君) 来年度の警察組織の改編についてお答えいたします。  小規模の警察署におきましては、事件・事故の捜査体制や夜間・休日の体制確保に苦慮しているほか、駐在所勤務員が捜査活動や被疑者の護送用務に従事することにより不在になりがちであるなど、警察活動上の課題を抱えている状況でございます。  また、音戸、因島警察署の管轄区域は、平成十七年から平成十八年の市町村合併により、それぞれ呉市、尾道市と合併し、同一の行政区域を複数の警察署が管轄している現状にあるほか、西瀬戸自動車道、いわゆるしまなみ海道や第二音戸大橋の供用開始により、交通事情にも大きな変化が認められております。  このため、音戸、因島警察署につきましては、隣接警察署である呉、尾道の各警察署と統合し、人、物、金といった各種リソースを一括、集中運用することで、警察署の管轄区域における警察力の機能強化を図ることとしたものでございます。  議員御指摘のとおり、地域の皆様から信頼をいただくことが、警察にとって極めて重要なことであると考えており、警察署の統合後におきましても、地域との協力体制が維持・強化されますよう、警察署長や分庁舎長を中心に、地域の皆様との連携につきまして、従来以上に配意してまいります。 21: ◯議長山木靖雄君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時七分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...