岡山県議会 2023-09-13
09月13日-03号
令和 5年 9月定例会 ◎ 令和5年9月
岡山県議会定例会会議録 第3号〇 令和5年9月13日(水曜日) 議 事 日 程 午前10時開議第1 一般質問 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 本日の会議に付した事件日程第1 一般質問 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 午前10時開議
○議長(小倉弘行君) 皆さん、おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 ~~~~~~~~~~~~~~~
△日程第1 一般質問
○議長(小倉弘行君) 日程に入り、一般質問を行います。 質問時間は再質問も含め25分以内と定めます。 なお、一問一答方式の再質問については、その留意事項を演台席に掲示しておりますので、御参照願います。 16番小倉博君。 答弁者は控席へ移動願います。 〔 16番 小倉 博君 登壇 〕
◆16番(小倉博君) 皆さん、おはようございます。
自由民主党岡山県議団の小倉博でございます。 今回2期目の当選をして初めての一般質問をさせていただくわけですが、9月議会の
トップバッターとして質問の機会を与えていただいたこと、身の引き締まる思いがいたします。 それでは、早速でございますが、通告に従いまして質問させていただきます。 先日のお盆休みの日本列島を直撃した台風第7号は、岡山県北に記録的な大雨を降らせました。地球温暖化の影響で雨の降り方が変わっており、「これまで大丈夫だったから」という認識は改める必要があるかもしれません。 台風接近に伴い、局地的な豪雨をもたらす線状降水帯が8月15日午前、鳥取県から岡山県北部にかけて発生しました。線状降水帯の発生は岡山県内では初めてで、鏡野町上齋原では15日の日降水量が530.5ミリを観測し、平年の8月1か月分の2.7倍の雨が24時間で降ったことになるそうです。 そこで、危機管理監にお伺いいたしますが、豪雨災害といいますと平成30年7月豪雨災害を思い出すわけですが、今回の大雨による県内の被害の実態について、現時点で分かっていることを教えてください。
岡山地方気象台によると、今回の大雨は、北から吹きつける風が中国山地にぶつかって雨雲が発達した結果、岡山県北部の山沿いに大雨をもたらしたと言われています。地球温暖化の影響で台風被害は深刻化すると指摘されています。今回の大雨により、台風被害の深刻化は将来の予測ではなく、既に現実のものとなっていると認識しなければなりません。 雨は降り続けば被害が拡大するため、日降水量だけでは被害の大きさは判断できませんが、今回のように県内でも1日に500ミリを超す雨が降るという現実を踏まえ、台風や豪雨への備えを再点検する必要があると思いますが、深刻化する台風や豪雨への備えに対して、何か新たな対策を考えられているのか、危機管理監にお伺いいたします。 「災害は忘れた頃にやって来る」と申しますが、1923年、大正12年9月1日に発生した関東大震災は、大規模な延焼火災などによって10万人以上の死者・行方不明者を出しました。この大規模災害から今年で100年目の節目を迎えております。またいつか大規模災害が起きたら「どのように命を守ればいいのか」、この機会に改めて災害の備えについて考えるべきではないでしょうか。 災害時の備えを考えるとき、「自助」「共助」「公助」の3つの面で災害に備えることが重要です。その中でも「共助」は、災害時において行政や消防等の対応だけでは限界があり、住民が日頃から主体的に防災活動に取り組むことであり、その一つとして期待されているのが地域の
自主防災組織であります。
自主防災組織の岡山県内の組織率は今年4月1日時点で87.9%であり、防災意識は次第に高まりつつあると考えますが、現場では、訓練の中身が手探り状態であるとか、住民の参加率が低い、特に若者の参加者が少ないとか、組織の構成員の高齢化が進み、十分な活動ができない地域もあると聞いています。 「仏作って魂入れず」では、せっかくの組織が機能しません。市町村や地域に任せるのではなく、県としてもしっかり参加して、
自主防災組織の充実を図っていくべきと考えますが、危機管理監の御所見をお伺いします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
危機管理監根石憲司君。 〔 危機管理監 根石憲司君 登壇 〕
◎危機管理監(根石憲司君) 自由民主党の小倉博議員の質問にお答えいたします。 防災についての御質問であります。 まず、台風第7号による被害についてでありますが、幸い人的被害はなかったものの、住家の床下浸水7棟、河川・道路等の損壊、田畑ののり面崩壊、さらには奥津温泉の足踏み洗濯場の流出や宿泊施設への土砂流入などが発生しているところであります。また、被害の概算額としては、現時点で公共土木施設が約23億3,000万円、農林水産関係が約12億5,000万円、旅館など中小企業関係が約6,000万円などとなっております。 次に、新たな対策についてでありますが、県では、平成30年7月
豪雨災害検証委員会からの提言を踏まえ、
県災害対策本部の機能充実や市町村との連携強化、自助・共助の取組促進などを着実に進めてきたところであります。さらに、今年度には、越水などの発災情報を迅速に把握し対応するため、SNSで発信された映像から浸水エリアを推定する民間サービスの導入や、そのエリアにある老人ホームや病院などを速やかに特定できるよう、
総合防災情報システムの機能強化を図ったところであります。 また、こうした様々な取組が災害時に有効に機能するよう、市町村や
防災関係機関との訓練を重ね、さらなる改善を図っているところであり、今後とも、県や市町村の災害対応力の向上に努めてまいりたいと存じます。 次に、
自主防災組織の充実についてでありますが、共助の中心的な担い手として、平時においては防災教育や訓練の実施、災害・避難カードの作成、災害時においては避難誘導や避難所運営などの役割が期待されるところであります。 このため、県では、
自主防災リーダーを養成するとともに、組織の立ち上げから活動の活性化まで幅広いメニューを設けて支援しているところでありますが、今後さらに若い方をはじめ住民の
自主防災活動への積極的な参加を促すため、
県民向け防災体験研修を定期的に開催し、災害の恐ろしさや備えの重要性を周知していくこととしております。引き続き、市町村と連携し、
地域コミュニティーによる防災活動が活性化するよう、粘り強く取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 16番。 〔 16番 小倉 博君 登壇 〕
◆16番(小倉博君) 御答弁ありがとうございました。 岡山県内でも線状降水帯が今後発生することが予想されているわけですけれども、やはり十分なマンパワーをきちんと備えておくことが必要だと思いますので、その辺のところも含めて、しっかり
自主防災組織の充実を図っていただきたいので、よろしくお願いします。 それでは次に、地方分権について質問いたします。 中央集権的な行政の在り方を問い直し、地方分権のより一層の推進を望む声は、現在でも大きな流れになっていると思います。21世紀にふさわしい地方自治を確立することが現下の急務であるとして、1993年6月3日に衆議院本会議で「地方分権の推進に関する決議」が可決されて30年を迎えました。翌日には参議院本会議でも全会一致で可決され、衆参両院が憲政史上初めて
地方分権推進を決議した重みを、当時は政治家も、一般国民も、大きな期待と希望を持って受け止めていたと思います。 決議の中身は現在日本にも当てはまるもので、画一的な中央集権型の行政システムが時代に合わなくなったため、「東京への一極集中を排除し、国土の均衡ある発展を図るとともに、国民が等しくゆとりと豊かさを実現できる社会を実現すること」を掲げていました。 「地方分権の推進に関する決議」がなされて30年以上が経過し、様々な議論がなされている「地方分権」について、どのような考えをお持ちなのか、知事の御所見をお伺いいたします。 決議を出発点に法整備が進み、2000年施行の
地方分権一括法では、国の仕事を自治体に下請させる機関委任事務が廃止され、国と自治体は「上下・主従」の関係から「対等・協力」の関係になり、具体的には、農地転用許可などの権限移譲や国が法令で自治体の仕事を縛る義務づけの見直しといった改革では、一定の成果があったと言われています。しかし、国が実権を握って地方をコントロールする構図は、現在でも根強く残っています。 地方分権の関心が低下した理由は幾つか挙げられると思いますが、最大の理由は、人口減少に伴って自治体の職員も減少し、「もう新たな権限は要らない」という声が小規模市町村から上がってくるとか、「いざというときに頼れるのは国だ」と全国市長会の一部から意見が出たことなどがきっかけとなり、次第に自治体に横並び意識が染みついたと言われています。 かつての地方分権は東京一極集中を是正する有効な手段としてみなされていましたが、この30年の動向を見ても分かるように、現在の自治制度の下で地方分権を進めても、一極集中構造は変わらないと言われています。当時言われていた道州制を導入すれば事情は異なってくるでしょうが、もはや現実的ではないとも言われています。 そこで、
総合政策局長にお伺いしますが、地方分権の目標の一つは多様な地域社会を創造することだったと思いますが、岡山県としても、この30年の成果を無駄にしないためにも、国と岡山県の在り方について考えてみる機会ではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) 自由民主党の小倉博議員の質問にお答えいたします。 地方分権についての御質問であります。 所見についてでありますが、衆参両院の決議から30年にわたる取組により、
機関委任事務制度の廃止による裁量の拡大をはじめ、農地転用や
地方版ハローワーク等の権限移譲、義務づけ・枠づけの見直しなど、
地方分権改革は着実に進展してきたものと認識しております。一方で、国庫補助金等の交付要件として新たな計画策定が求められたり、制度の細かな運用部分にまで国が関与したりするなど、様々な課題も指摘されているところであります。 人口減少や高齢化の進展に伴い地域の課題が多様化する中、その実情に応じた施策を展開し、地域の活性化を図ることが重要であり、引き続き全国知事会などと連携しながら、
地方分権改革を一層推進してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君)
総合政策局長笠原和男君。 〔
総合政策局長 笠原和男君 登壇 〕
◎
総合政策局長(笠原和男君) お答えいたします。 国と岡山県の在り方についてでありますが、住民に身近な行政は、国が定める全国一律の内容によるのではなく、できる限り住民に近い
地方公共団体が自主的かつ総合的に担い、地域の諸課題に取り組むことができるようにすることが
地方分権改革であり、お話の多様な地域社会を創造することにもつながるものと考えております。 この数年、
新型コロナ対策を進める中にあって、本県を含む地方が現場の生の声を国へ届け、そのニーズを踏まえた政策決定が行われるなど、これまでの国と地方との関係性が大きく変化した場面があったと感じております。引き続き、地域の実情に応じた施策を自らの判断と責任において実施できるよう、地方への関与等に関する国の制度を不断に見直す取組を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 16番。 〔 16番 小倉 博君 登壇 〕
◆16番(小倉博君) 知事、局長、御答弁ありがとうございました。 先日、全国知事会の新会長に就任されました
村井宮城県知事が、結果を出す知事会を目指すと抱負を語られておりました。東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけるため政府が打ち出した地方創生も、地方分権も同様、持続可能で豊かな地域をつくるために必要な施策であると考えます。岡山県の進むべき道をしっかりお示しいただくことを期待いたしまして、次の質問に移らせていただきます。 次に、
所有者不明土地について質問いたします。 不動産を持っている人が相続人として行う必要がある手続として、「相続登記」があります。これまで「相続登記」は行わなくても罰則などが科せられなかったために、必要がなければ、費用もかかるので手続をしない人も多いと聞いています。しかし、相続登記がなされないことで所有者が特定できず、「有効な土地利用ができない」ことにより、国レベルでの大きな問題になっています。 2021年4月に民法や
不動産登記法の改正法が成立し、2024年4月1日から不動産を相続した際の登記が義務化されることになりました。さらに、施行日は公布後5年以内の政令で定めるとして、
住所変更登記も義務化されることが決まっています。
相続登記義務化の施行後は、相続で不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由なく登記や名義変更手続をしないと、10万円以下の過料の対象となり、住所変更した場合も不動産登記が義務化され、2年以内に正当な理由なく手続をしなければ5万円以下の過料の対象になることが決まりました。 今回のような大きなルール改正が行われる背景には、
不動産登記簿に正しい情報が反映されないケースが多く、土地の所有者が分からない「
所有者不明土地」が増えており、全国の私有地の約2割を占めるとされています。平成30年国土交通省の土地白書によると、
所有者不明土地が発生する原因は、不動産の相続登記がなされていないことが約66.7%で、約32.4%の原因は
住所変更登記がなされていないことだと言われています。 そこで、
県民生活部長にお伺いしますが、岡山県内の
所有者不明土地の割合はどうなっているのか。また、不動産の相続登記がなされなかったり、
住所変更登記がなされない理由としてはどんなことがあると認識しておられるのか、併せてお伺いいたします。 現在では、土地所有者と連絡が取れないために公共事業で用地買収交渉ができないなどの問題が起きており、東日本大震災や西日本豪雨などでは被災地の復旧工事などが妨げになっているそうです。また、地震や豪雨などの災害は頻発しており、防災のために工事や復旧工事を迅速に進めるためにも、
所有者不明土地を減らしていかなければならないと考えます。 そこで、
県民生活部長にお伺いしますが、
日本司法書士連合会が40~60代を対象に実施した調査では、相続登記の義務化について「知っている」と回答した人は約28%にとどまっているそうです。つまり4人に1人しか相続登記の義務化を知らないのが現状であります。 認知度を高めることが喫緊の課題と考えますが、岡山県内における
相続登記義務化の認知度の現状と相続登記の義務化に対する認知度を向上させる対策について、御所見をお伺いします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
県民生活部長浮田信太郎君。 〔
県民生活部長 浮田信太郎君 登壇 〕
◎
県民生活部長(浮田信太郎君) お答えいたします。
所有者不明土地についての御質問であります。 まず、割合等についてでありますが、これまで県全体の数値を把握する調査は行っておりませんが、お話の約2割という数値は、平成28年度の地籍調査の結果を基に国が取りまとめたものであり、当時調査対象であった県内6市の対象地区における
所有者不明土地の割合は約34%となっております。 また、相続登記等が行われない理由としては、手間や費用がかかることに加え、土地に対する価値観の変化や相続することに対する負担感、関係者が多数の場合の合意形成が困難なことなどがあると考えております。 次に、相続登記についてでありますが、県内の
相続登記義務化の認知度の現状については、お話の調査のほか、令和4年に国が実施したアンケートでの認知度は約33%となっており、本県においても同程度の割合ではないかと考えております。 また、認知度を向上させる対策については、国において、制度の内容や意義について理解が得られるよう広報や説明会等を行っているところであり、県としても、広報について工夫するとともに、市町村と連携を図りながら県民等への周知に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 16番。 〔 16番 小倉 博君 登壇 〕
◆16番(小倉博君) 御答弁ありがとうございました。 土地の所有権登記につきましては、先ほどの数字では33%ということで、3人に1人です。 地域の代表者が土地を所有しているケースもあったり、世代が下がれば下がるほど登記が難しい状況だというのは皆さん御存じだと思いますけれども、中には関係者が100人以上になるケースもあって、相続登記を諦めてしまうケースもあると聞いております。現状よりも、まだこれから先のほうが状況が深刻になるのではないかと考えているところです。岡山県としても、小手先ではなくて抜本的で早急な対策を国に向けて要望する必要があると考えますが、再度御答弁をお願い申し上げます。
○議長(小倉弘行君)
県民生活部長。 〔
県民生活部長 浮田信太郎君 登壇 〕
◎
県民生活部長(浮田信太郎君) 小倉議員の再質問にお答えいたします。 議員お話のとおり、今後、相続に当たっても、例えば関係者が多いという状態をこのまま放置するとねずみ算式にまだどんどん増えていくという弊害もあり、こういった登記については早急に周知していかなければいけないと考えております。 現在、県においては、いわゆる
所有者不明土地に関する情報はホームページに掲載しているところでありますけれども、来年4月1日以降の義務化などについても、より詳しく広報するように努めるとともに、まずは住民の方に直接接する機会の多い市町村とも連携しまして、市町村からの広報誌への掲載とかパンフレットの回覧など、より一層周知を加速させてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移ります。 16番。 〔 16番 小倉 博君 登壇 〕
◆16番(小倉博君) 次に、保護司制度の改革について質問します。 我が国の
保護観察処遇は、常勤の専門家である保護観察官と非常勤の民間の保護司が協働して担っているのが現状であります。令和4年に保護観察を開始した人数は約2万4,000人で、その人数を約1,000人の保護観察官で対応できているのは、約4万数千人の保護司の存在があってこそだと言われています。 保護司は、刑務所から仮釈放された人や保護観察中の少年らと定期的に面会し、生活や仕事の相談に乗るボランティアで、法務大臣が委嘱しています。罪を犯した人たちの更生支援のために重要な役割を担っていると同時に、再犯防止や安全な地域づくりに不可欠な存在であると言えます。 保護司法では、定数を「全国で5万2,500人を超えない」としていますが、近年は成り手が減少しており、2023年1月時点では、特例として再任している70代後半の1,300人余りを除くと、4万5,654人にとどまっているそうです。 保護司の構成年齢はというと、60歳以上が多く、平均年齢は約65歳となっており、高齢化が顕著であります。岡山県内でも、全国と同様に高齢化が進んでおり、委嘱者も減少傾向にあると言われています。 そこで、
県民生活部長にお伺いしますが、岡山県内の保護司の委嘱数と保護観察を開始した人数を教えてください。さらに、現状の保護司の委嘱数で十分対応できているのか、御所見をお伺いします。 「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」における論点の一つである待遇面の見直しも重要であり、保護司法では「給与を支給しない」としていますが、保護司の中には「日中、夜間、土日に時間を割くことも多く、ボランティアの域を超えている」など、活動の大変さを指摘する声があり、一定の報酬を出すべきだとの声もあります。成り手を現役世代に広げるためにも、今後、報酬の可否をめぐる議論は欠かせないと考えます。 検討会での論点のもう一つは、年齢制限の緩和であります。近年は、民間企業で定年延長や再雇用といった継続雇用制度の導入が広がり、高齢になっても働く人が増えているのが現状です。また、保護司の方が住んでいる地域でも人口減少の波は押し寄せており、地域社会を維持するための役職である区長や町内会長、さらには民生委員や愛育委員の成り手を探すのも難しい状況です。この状況を考えれば、保護司の成り手を探すのは困難を極めることは容易に想像できます。 そこで、
県民生活部長にお伺いしますが、岡山県の状況を踏まえ、岡山県の安心・安全を維持するために、保護司制度の見直しについて国に向けてしっかり要望するべきだと思いますが、御所見をお伺いします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
県民生活部長浮田信太郎君。 〔
県民生活部長 浮田信太郎君 登壇 〕
◎
県民生活部長(浮田信太郎君) お答えいたします。 保護司についての御質問であります。 まず、委嘱数等についてでありますが、県内の保護司の委嘱数は、令和5年1月現在で968人であり、令和4年に県内で新たに保護観察を開始した人数は481人であります。保護司は、
保護観察対象者の安定した生活を支えるなど、地域社会の安全・安心につながる重要な役割を担っておりますが、本県では定員1,042人に対する充足率が約93%となっているところであります。 こうした状況を踏まえ、引き続き
保護観察制度を所管する国と連携し、保護司の社会的な認知や評価の向上を図るための広報を実施するなど、保護司の確保に向けた取組を推進してまいりたいと存じます。 次に、国への要望についてでありますが、時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向け、国において本年5月に検討会が設置され、保護司の待遇や年齢条件など、制度の見直しについて議論が始まったところであります。こうしたことから、現時点で保護司制度の見直しについて国に要望することまでは考えておりませんが、保護司を取り巻く厳しい状況を踏まえ、引き続き国における議論の動向を注視してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 16番。 〔 16番 小倉 博君 登壇 〕
◆16番(小倉博君) 最後に、県立高校の再編整備について質問いたします。 これまで多くの議員が地域の実情を加味しながら質問しているところですが、私も、自分の地域の状況を申し上げて、質問させていただきます。 県教委が2018年度に策定した「岡山県
県立高等学校教育体制整備実施計画」は、少子化の加速を受けて、2023年度以降、1年生が100人を下回る状況が2年続けば再編整備の対象とし、80人を下回る状況が2年続けば翌年度の生徒募集を停止するという2つの基準を設定しています。2024年度には、対象校やその組合せなどを盛り込む
再編整備アクションプランを策定するとしています。 本県の県立高校の再編整備については、今日まで様々な議論が重ねられているところでありますが、1年生が一定数に満たない県立高校を再編整備の対象とする基準の1年目に、現時点で真庭市の真庭高校、岡山市の
岡山御津高校、笠岡市の笠岡工業高校の3校が該当していることが判明しております。いずれの高校も、基準日となる令和5年5月1日時点で1年生の在籍数が100人に達しておらず、2024年度も同じ状況が続いた場合は再編整備の対象となります。県教委は、一定の教育水準を保つため再編整備は避けられないとして、2023年度から基準に従って再編整備に計画的・段階的に取り組むとしています。 一方で、高校の存廃は地域の活力とも密接に関わり、各校が存続に向けていかに魅力を高めていくかが焦点となると言われていますが、全体の子供の人数が減少している中で、なかなか対応が難しいと言われています。 今年度、基準の1年目に該当した各校の1年生は、真庭高校84人、
岡山御津高校99人、笠岡工業高校99人であります。2024年度に1年生が100人以上となれば、再編整備は回避される状況です。しかし、基準を回避するための生徒募集になってしまわないかと心配しております。 今年6月、近県の広島県教委が、県立高校の統廃合において、1学年1学級規模の県立全日制高校について現行は、「全校生徒が2年連続で80人未満」であるのを、2024年度以降は「新入学生徒が3年連続で27人未満」に変更するとの新基準の案が報道されましたが、7月には広島県議会から異論が出たという報道もありました。こうした動きを考えると、本県県教委の基準を再考してもいいのではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ここで我が町赤磐市のことを申し上げますと、県立高校は1校もございません。赤磐市は現在人口約4万3,000人規模の市でありますが、同じ規模の市で県立高校が1校もないのは、県内はもちろん、中四国でも赤磐市だけでございます。一部の市民の中には、市内に県立高校を誘致すべきという意見があるのも事実であります。そのような立ち位置の人間からすると、「基準に該当するから再編整備の対象になります」との判断は、少し乱暴な気がします。 そこで、教育長にお伺いしますが、
再編整備アクションプランの策定に当たっては、数字だけで再編整備を決める計画ではなくて、それぞれの地域の事情を十分に考慮した上で策定すべきと考えますが、どのような御所見をお持ちでしょうか。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) お答えいたします。 県立高校の再編整備についてのうち、まず基準の再考についてでありますが、県教委では、少子化が進行する中で、県立高校においては一定規模の活力ある教育を展開し、生徒同士が切磋琢磨できる環境を確保することが重要であることから、県高等学校教育研究協議会の提言を踏まえ策定した実施計画において、生徒数に基づく再編整備基準を定めております。 しかしながら、今後のさらなる再編整備は、地元中学生の進路選択や地方創生に大きく影響することから、昨年12月に県教委の責任として、同一市町に県立高校が1校となっている場合は、令和10年度までは当該校への基準の適用を保留するという方針を定めたところであります。 こうしたことから、基準の再考までは考えておりませんが、それぞれの県立高校の魅力化・活性化をさらに推進し、中学生や保護者から選ばれる学校となるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 次に、
再編整備アクションプランについてでありますが、プランの策定に当たっては、最新の中学校卒業見込み者数や各高校の生徒数の状況のほか、それぞれの地域の実情を考慮する必要があることから、地元自治体や中学生のニーズも踏まえ、策定してまいりたいと存じます。 現在、各高校は、全力を挙げて、基準を上回る希望者が集まるよう、魅力化・活性化に取り組んでいるところであり、県教委としても、引き続き地元自治体と協力しながら、各高校の取組をしっかりと支援してまいります。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 16番。 〔 16番 小倉 博君 登壇 〕
◆16番(小倉博君) 御答弁ありがとうございました。 同じお話になるんですけれど、なかなか前向きなお話が聞けないので非常に残念です。統廃合については様々な意見があることは御承知いただいていると思いますけれども、やはり機械的に統廃合を決めることは多少乱暴ではないかと思っております。地域にはその地域独自の事情や意見があることも忘れていただきたくないですし、地域間のバランスも十分考慮していただきたいと考えているところです。現在のやり方ではいつか限界が来るのではないかと憂慮しておりますが、再度教育長の御答弁をお願いします。
○議長(小倉弘行君) 教育長。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) 再質問にお答えいたします。 答弁でもお答えいたしましたけれども、まずは子供たち同士が切磋琢磨できる環境ということでありますので、やはりある程度の子供たちが同じ場所で意見交換をしたり、議論をしたりしながら勉強できる環境というのは必要と考えております。これが基準の考えでありますが、議員御指摘のように、地元にいろいろな実情等があることも承知をしておりまして、これも答弁でお答えいたしましたけれども、そういった実情についても考慮する必要があると、これも考えております。各地元自治体にもお邪魔させていただいて、いろいろな意見を聞かせていただいておりますけれども、引き続き地元自治体や、それから何よりも地元の中学生のニーズもしっかり踏まえながら、アクションプランについても策定をしてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 以上で小倉君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 21番氏平三穂子君。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 皆さん、こんにちは。日本共産党の氏平三穂子です。 通告に従って質問いたします。 まず最初に、物価高騰対策について。 深刻な物価高に対して、県民から悲鳴が上がっています。食品、日用品、電気代など、あらゆる品目で値上げラッシュが続き、ガソリン価格は過去最高に迫っています。部分的な対策ではなく、総合的な対策が必要です。 電気代やガソリン代の高騰対策、中小企業や農水産業への支援など、中国地方知事会では国に対して要請されていますが、最低賃金のさらなる引上げなど中小企業に対する支援、インボイス制度の導入中止、消費税5%への緊急減税、教育費負担の軽減なども含め、県としてもしっかり国に要請していただきたいと思いますが、知事にお尋ねします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) 日本共産党の氏平議員の質問にお答えいたします。 物価高騰対策についての御質問でありますが、物価高騰は全国的な課題であることから、国において実情を踏まえた必要な対策を機動的に講じるよう、全国知事会等を通じて要請してきたところであり、本県においても必要な項目を検討し、国に対する提案を行っているところであります。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) それでは次に、新型コロナウイルス感染症について質問いたします。 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症を5月8日から5類に位置づけを変更し、全数把握ではなく定点把握を行っていますが、週を追うごとに患者数は増え、確保病床利用率は、5類移行後、過去最高を更新し、入院患者数も増加に転じています。また、新学期が始まりましたが、コロナ感染による学級閉鎖も増えていると報じられています。私も、7月末に2回目の感染を経験いたしました。身近な人の感染も増え、感染力が今までになく強くなっている感があります。 先日、ある病院の感染管理認定看護師から医療現場の実情を聞いてほしいとの要請があり、視察しました。発熱外来は5類移行前と変わらず、連日来院者が多いようですが、医療費の自己負担が始まり、検査費用もかかるため、受診せず、市販薬で対応している人も多いのではないかと思います。 また、この病院は、5類になってもコロナ専用病棟として16床確保し、専属のスタッフで対応していますが、もう14床埋まっているとのことです。しかし、5類に移行してから重点医療機関の病床確保料はおおむね半減し、当面9月末までとされており、連携している地域の拠点病院では、専用病床を置かず、空きベッドで対応しているため、様々な病棟に感染者が点在している実態のようで、対応に苦慮されているようです。今後、入院患者が増えれば、病院間の連携がうまくいくか心配とのことです。 医療機関では、重症の感染者は多くないものの、発熱外来や入院が必要な患者は増えていて、常に緊張感を持って医療活動に当たっていますが、一般の県民感覚は脱コロナの意識となり、温度差の違いに憤りを感じているということです。 そこで、5点お尋ねします。 まず、これから秋の行楽シーズンに入り、人の移動による感染拡大の影響が現れる時期となります。県として、感染拡大防止に向けて積極的な情報発信をすべきではありませんか、知事にお尋ねします。 2、コロナ医療費の公費負担も9月末でなくなれば、経済的理由で治療薬を服用できず、重症化する事例が増えかねません。国に公費負担の継続を求めるべきではありませんか、知事にお尋ねします。 3、医療機関の連携強化についてお尋ねします。5類移行後、入院調整については、行政が関与せず、基本的には医療機関の間で行うようになっています。しかし、医療逼迫時には県が責任を持って入院調整をすべきと思いますが、保健医療部長にお尋ねします。 4、第7波、8波では、中等症以上の方でも高齢者施設に留め置きされる事例が多発し、施設内で死亡された高齢者もおられます。施設は、1人でも感染者が出れば入院してもらって隔離できれば、クラスターの発生を防止することができます。現状でも高齢者施設では重症化する方は少ないようですが、第7波、8波と同程度のクラスターが依然として発生しているようです。高齢者施設でのクラスター対策について、5類移行後、どのように対処されているのでしょうか、保健医療部長にお尋ねします。 この項最後、県では、感染者が発生した、または感染者と同居する接触者に対応した介護サービス事業所などに、サービス提供体制の確保をするためのかかり増し経費を助成していますが、接触者に対応した際に助成されるのは入所系や訪問系のサービスに限られます。通所系にも適用してほしいとの要望がありますが、子ども・福祉部長のお考えをお聞かせください。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) お答えいたします。 新型コロナウイルス感染症についての御質問であります。 まず、情報発信についてでありますが、今年の夏も患者数や入院者数が増加し、お盆を迎え、帰省、旅行など、人と接する機会が増えることから、基本的な感染防止策の徹底等のメッセージを発出したところであります。今後とも、感染状況等を注視し、必要に応じて適切な感染対策等を呼びかけるなど、情報発信に努めてまいりたいと存じます。 次に、医療費についてでありますが、コロナ治療薬は依然として高額であり、患者負担が大きいことによる受診控えや治療控えが生じることが懸念されるため、10月以降においても公費支援が継続されるよう、全国知事会を通じて国に要望しているところでございます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 保健医療部長梅木和宣君。 〔 保健医療部長 梅木和宣君 登壇 〕
◎保健医療部長(梅木和宣君) お答えいたします。 まず、入院調整についてでありますが、5類移行後、幅広い医療機関による受入れ体制の整備や、病床の使用状況等の共有により、医療機関間での入院調整が行われているところです。医療逼迫時であっても医療機関間による入院調整ができるよう、県としては、圏域をまたぐ医療機関の情報提供や、患者の特性に応じた入院先の提案などの支援に努めてまいりたいと存じます。 次に、高齢者施設のクラスター対策についてでありますが、平時から感染予防研修等を行うとともに、クラスター発生時には、保健所や施設所管課、県クラスター対策班が連携し、感染制御や業務継続支援を行っております。また、施設内で療養する場合には、施設の嘱託医や協力医療機関等により、適切な医療提供がなされるよう、施設と医療機関の連携を図っているところであります。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 子ども・福祉部長片山圭子君。 〔 子ども・福祉部長 片山圭子君 登壇 〕
◎子ども・福祉部長(片山圭子君) お答えいたします。 かかり増し経費の助成についてでありますが、補助の対象は、国において施設・事業所の類型等に応じて定められていると承知しており、県としては、これに基づき、適切に対応しているところであります。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 御答弁ありがとうございました。 医療が逼迫したときに、現状でも主立った、今まで急性期を受けていた病院が、今言ったように、もう専用の病室を持っていない、いろいろな外科や内科や空いてる個室に点在して入院を受けている状態だと聞きます。前のように、うちはちゃんと届出をしてコロナの患者を受けるよという病棟がもっと広がったということはあると思うのですけれども、これからそういうところがベッドにコロナの患者を今まで経験がないのに積極的に置けるかというと、非常に難しいのではないかと思います。前は600床ほど県がきちんと確保料を払って確保してきましたけれども、一切それがなくなって、どこの病院も一般の患者を入れていくわけですから、逼迫をすると、結局空きベッドがなければ入院を断っていくという状態に、入院患者のベッドが本当に切迫する、入れるところがない、うちは受けれませんという状態になるのは、私は目に見えてそうなるのではないかと思うのですけれども、そのあたり、あくまでも病院間で連携を取ったり情報を出していくことだけで県としての責任が果たされるとお思いでしょうか。
○議長(小倉弘行君) 保健医療部長。 〔 保健医療部長 梅木和宣君 登壇 〕
◎保健医療部長(梅木和宣君) 再質問に対してお答えいたします。 医療逼迫時における県の役割ということについての御質問でありますけれども、5類移行という意味においては、全体的な方向性としまして、入院措置等といった行政が介入すること、関与することを前提としたような、かつ限られた医療機関に対応を求めるといった特別な対応から、現在移行という形になっておりますけれども、最終的には幅広い医療機関において自立的な調整が行われるということを目指してきているという状況にあります。 そういった中で、入院調整というのも、この大きな枠組みの中であればこの調整を維持していくことになりまして、県としましては、支援という形ではありますけれども、入院調整の一部として、広く言えば入院先の調整の一つとして、入院先の提案とか医療機関の情報をお伝えしていきたい、こういった形の支援をしていきたいと申し上げたというところになります。
○議長(小倉弘行君) 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) そうすると、入院させてもらえない、困ったという場合には、前は保健所がかなり調整をして、県が大体ベッドを全部掌握してたんですけれども、どこも医療機関がなかなか受けてくれない、特に高齢者施設は本当に困り果てて、その場合には結局保健所が調整をするようになるのでしょうか。
○議長(小倉弘行君) 保健医療部長。 〔 保健医療部長 梅木和宣君 登壇 〕
◎保健医療部長(梅木和宣君) 再々質問にお答えいたします。 最終的な入院調整を医療機関が主体的に行う中でお困りになっているということであれば、県に対して御相談いただければ、その支援に乗ることになろうかと思います。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移ります。 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) エリスとか違う株も出てきているとかいろいろ言われて、ウイルスはなくなっているわけではないので、しっかりと県としての役割が果たせるように、私たちは頑張っていかないといけないのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、生活保護世帯のエアコンの設置について御質問します。 今年の夏は、頻繁に熱中症アラートが発令され、異常事態が続いています。今後も猛暑が続くのではないでしょうか。冷房は、今や命綱です。総務省の調査では、熱中症の救急搬送は65歳以上の高齢者が6割を占め最も多く、また発生場所は「住居」が最も多くなっています。 先日、生活と健康を守る会の皆さんが障害福祉課に緊急要請に来られました。玉野市在住の88歳と79歳の生活保護受給者の方から、「エアコンがなく、もう限界だ」という訴えがあり訪問すると、室内が38度もあり、このままでは命に関わる緊急事態だと要請に来られたのです。 国は、2018年4月から、新規申請時には、エアコンがない場合は条件によって設置費用を最大6万2,000円まで支給するようになりましたが、それ以前に受給している世帯は対象外です。このお二人も、2018年以前の受給者です。国は、エアコンを購入するには、「最低生活費のやりくり」か、「県の社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度」の利用を勧めています。しかし、昨今の物価上昇と保護費の減額により、最低生活費からのやりくりは困難であり、社協の貸付けも月2,000円以上の返済が必要な場合もあるなど、受給者にとっては大きな負担となります。 そこで、2点お尋ねします。 まず、生活保護制度は、福祉事務所を持つ市町村が管轄していますが、県として、県内の生活保護受給者のエアコン設置状況について、県民の命を守る観点から、実態を把握すべきではないでしょうか、子ども・福祉部長にお尋ねいたします。 次に、国は、2018年4月以降の新規受給者にはエアコン設置費用の給付を認めました。必要性を認識しているにもかかわらず、それ以前の受給者は対象外としている点については、全く矛盾している制度と言わなければなりません。今後も、毎年猛暑は続くと思われます。県民の命に関わることでもあります。知事には、国に2018年以前の受給者にも設置費を給付するようぜひとも求めていただきたいと思いますが、御所見を伺います。 また、自治体独自のエアコン設置の補助制度をつくっているところもあります。ぜひ県としても補助制度をつくっていただきたいのですが、併せて知事にお伺いします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) お答えいたします。 生活保護世帯のエアコン設置についての御質問であります。 国への要望等についてでありますが、生活保護受給者に対する県独自の補助制度の創設は考えておりませんが、国に対しては、熱中症対策強化の観点による今後の対応等について、実務者会議等の機会を活用し、確認するなどしてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 子ども・福祉部長片山圭子君。 〔 子ども・福祉部長 片山圭子君 登壇 〕
◎子ども・福祉部長(片山圭子君) お答えいたします。 実態の把握についてでありますが、県の所管する9町の被保護者世帯については、各福祉事務所において担当ケースワーカーが世帯を訪問し、生活の実態を把握する中でエアコンの設置状況についても確認しており、個々の状況に応じ必要な支援を行っているところであります。生活保護は、福祉事務所を設置する自治体ごとにその権限と責任の下で実施しており、実態の把握についても、それぞれの自治体において適切に判断・対応がなされるものと考えております。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 県が管轄してる、福祉事務所を持っているところ以外のところは把握できるけれども、私は全県の福祉事務所が把握しているのではないかと思うんですけれども、県として市町村の福祉事務所にも聞いていただいて、例えば大阪府は、1割の世帯が持ってないというのを府としてきちんとデータを出しているんです。だから、私は、県としても、市町村が福祉事務所を持っているところはそこの責任でやっておりますよというだけでは、駄目じゃないかと思うんです。県として、岡山県の生活保護受給者が幾ら、どのくらいいらっしゃるか分かりませんけれども、その中で何割がエアコンを持ってない世帯なのかという実態を把握する熱意は要るのではないかと。それは福祉事務所に聞けば分かるのではないのでしょうか。そのあたり調べていただけませんか。
○議長(小倉弘行君) 子ども・福祉部長。 〔 子ども・福祉部長 片山圭子君 登壇 〕
◎子ども・福祉部長(片山圭子君) 再質問にお答えいたします。 県として、福祉事務所を設置している市町村も含め、全県でどんな状況かを把握すべきではないかという御質問でございます。 基本的には、先ほど申し上げたような、各市町村の中で実態を把握すべきだろうと考えてございます。県の福祉事務所においてもそうでありますけれども、各世帯の状況については、そのお住まいの地域であるとか、世帯の状況であるとか、それぞれ異なるということでありますので、先ほど申し上げたように、これを丁寧に担当のケースワーカーが、個々に世帯を訪問する中でつぶさに把握をしていくというやり方になろうかと思います。そうしたことも踏まえながら、県としては、例えばその県の9町分を含め、県庁としてその全体に調査をかけたり、それを取りまとめたりするということは実施してございません。 ただ、各福祉事務所を設置する市町村に対しては、御承知のとおり、指導監査ということで定期的に指導に行かせていただいておりますので、その中でこのエアコンについての取扱いについて国が通知しているわけでございますので、その国の通知に基づいて適切に対応しているかということについては、県の持っている権限の中で実施をすることも当然にやっていくことと思ってございます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 知事、2018年という線引きをして、それ以後の方には必要だということで補助すると。それ以前の方は対象外というのは、制度というのは確かに区切りが必要なこともあると思うんですけれども、事これは生存権に関わる、命に関わることだと思うんですけれども、この2018年4月以前の人には適用しないという考え方は、やっぱりおかしいのではないでしょうか。知事、どう思われます。
○議長(小倉弘行君) 知事。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) これは、国でいろいろやりくりを考えて下した実務的な判断であろうと考えております。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移ります。 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 次に、介護保険在宅サービスの最前線で奮闘する訪問介護事業所の支援についてお尋ねいたします。 日本は、高齢化社会にこれからどんどん突入し、介護保険サービスの利用者も増えていますが、いよいよ団塊の世代が後期高齢者となり、介護ニーズが一層高まる時代を迎えようとしています。しかし、介護人材の不足は深刻です。 介護労働安定センターが行った令和4年度「介護労働実態調査」結果では、全国の介護事業所全体では66.3%が不足と感じていると回答し、特に職種別の不足感は、「訪問介護員」が83.5%と深刻な状況であり、有効求人倍率も15倍を超えています。 国は、介護人材不足を補うためにICTや介護ロボットの活用を言いますが、訪問介護の現場では使用は困難です。厚生労働省は、深刻な訪問介護員の不足分を、苦肉の策として通所系の職員で穴埋めしようと、訪問系・通所系サービスを組み合わせた「新たな複合型サービス」を創設する案を提案しています。 ですがこうした事態は、訪問介護員を増やすための介護報酬改定や介護保険制度の改善が行われてこなかった結果ではないでしょうか。今後ますます必要とされる訪問介護員ですが、まずこの訪問介護員の人材不足に対する、認識と県として人材確保についてどのように取り組んでおられるのか、子ども・福祉部長にお尋ねします。 先日、「岡山県訪問介護事業所連絡協議会」の役員の皆さんが、県の長寿社会課に訪問介護事業者の実情を聞いてほしいと、懇談と要請に来られました。 訪問介護は要介護者の在宅生活を支える最前線のサービスですが、その実態が変化していることが分かりました。岡山市には訪問介護事業所は217事業所ありますが、その3分の1は施設併設型事業所で、在宅といっても住宅型高齢者施設の入居者だけを対象とし、施設内だけで訪問介護しています。こうした高齢者施設が増えているので、訪問介護事業所も増えてはおりますが、結局施設内での介護をアウトソーシングで行っているのが実態です。 一方で、戸別の家を訪問する事業所は減っています。特に要支援1、2の方に提供される市の介護予防・日常生活支援
総合事業は、単価が低く、採算に合わないため、サービスを引き受ける事業所は少なく、そのため施設入所を余儀なくされた利用者もおられます。 戸別の家に訪問介護を提供する事業所の切実な要望をお聞きしました。 1、人材不足が深刻で、60歳代、70歳代のヘルパーが主力のため、事業の継続ができない。人材確保をお願いしたい。特にコロナ禍で退職した介護員もおられた。 2つ目、ごみ屋敷、猫屋敷、飲酒、セクハラ、パワハラの利用者宅へ一人で訪問に行くことは、身体的にも精神的にも大きな負担である。また、物とられ妄想のある認知症の方への訪問も、1人対応では困難である。2人対応を可能にするよう制度を改善してほしい。 また、長期に入院していた利用者が病院から退院した際の訪問は、腐敗したものにあふれる冷蔵庫の掃除や家の掃除など、かなりの時間を要するが、ほぼボランティアになっている。介護報酬に位置づけてほしい。 訪問介護事業所において、サービス提供責任者は、利用者40人に1人の配置が義務づけられています。しかし、サービス提供責任者は、内勤専従で事業管理をする仕事ですが、そうした仕事のみに従事させることができる事業所は少なく、現場に行き訪問をし、内勤業務をし、請求業務など従事する仕事が多岐にわたっているため、成り手を確保することが困難になっていて、制度の見直しを求めています。 以上述べたことはほんの一部であり、本当に訪問介護事業所は、事業の継続に困難を抱えています。国は、地域包括ケアシステムの構築で住み慣れた地域で暮らし続ける仕組みをつくるといいますが、このままでは住み慣れた自宅ではなく、施設での生活を余儀なくされ、施設に入所できない高齢者はどうなるのでしょうか。 県としてこうした実態をしっかり把握していただき、国に対して介護報酬の見直しや2人対応を可能にする対象者の拡大、サービス提供責任者の在り方の見直しなどを要請していただきたいと思いますが、子ども・福祉部長の御所見を伺います。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。 子ども・福祉部長片山圭子君。 〔 子ども・福祉部長 片山圭子君 登壇 〕
◎子ども・福祉部長(片山圭子君) お答えいたします。 訪問介護事業所についての御質問であります。 まず、人材不足への認識等についてでありますが、高齢者人口がピークを迎え、介護ニーズの増大が見込まれる2025年及び2040年に向け、訪問介護員を含む介護人材はこれまで以上に不足することが想定され、大きな課題と認識しております。 こうした状況を踏まえ、県では、介護職のイメージアップや地域別就職相談会の開催等による参入促進や再就職支援、離職防止、働きやすい職場づくりなど、関係機関・団体とも連携しながら、介護人材の確保・定着に粘り強く取り組んでいるところであります。 次に、実態把握等についてでありますが、介護サービスを提供する団体等とは連絡会議などで意見交換等を行っているところであり、引き続きこうした場を通じて、訪問介護事業所の現状や課題を把握してまいりたいと考えております。 また、国に対しては、これまでも職場への定着促進を図るための一層の処遇改善策等について要望してきたところであり、今後も現状や課題を踏まえた働きかけを行ってまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 御答弁ありがとうございました。 岡山県の訪問介護事業所連絡協議会の皆さんが、もういよいよせっぱ詰まって、長寿社会課の課長にぜひ現状を聞いてほしいということで、いろいろとふれあい公社の方、それからツクイのように企業を運営している、全国展開している人とか様々な方がいらっしゃって、もう異口同音に、戸別の家に行く、この猛暑の中で大変な労力、そして言ったようにパワハラ、セクハラ、いろいろなことがある中で、それでも行ってあげないとその方は生活できないし、死んじゃうわけですから、そういう切実な訪問介護事業所の大変な思いをしている実態をしっかりと県としても把握していただいて、国にもっと方法はないのか、もう八十何%でしょう、訪問介護員が不足している。大変だからもう成り手がいないんですよ。だから、施設とかそういうところのほうが、介護等する人たちにとれば安定的な雇用があるということにもなって、どんどん減っていかざるを得ない。今言ったように、住宅型の介護施設の50床なら50床の中にヘルパーステーションがあって、50人だけを見るという、訪問介護の実態がそういうのにどんどん変わっていっているんです。ですから、そこもしっかり県としても把握していただいて、まさに在宅を支えるヘルパーはもう危機的な状態だと思いますので、しっかりと現状を把握して、意見も聞いていただいて、支援策を何らか講じていただきたいことを、お願いをしたいと思います。
○議長(小倉弘行君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) それでは最後に、高齢者や障害者の選挙権を守り、投票率の向上を図る取組についてお尋ねいたします。 投票率を上げる取組については、選挙管理委員会としても苦労されていることと思います。高齢や障害により、権利としての選挙権を行使できない方が増えていることも、投票率が上がらない要因になっていると思います。 介護保険制度が始まって23年になりますが、在宅生活が困難となった高齢者の受皿として、前出の質問でも述べましたように、高齢者施設が増えています。 そこでまず、お尋ねします。 こうした高齢者施設や病院などで不在者投票を行うことができる指定施設は、どのような要件が必要なのでしょうか。また、県内に不在者投票を行うことができる指定施設は幾つありますか。そのうち実際に不在者投票を実施している施設は幾つあるのでしょうか。全県域で行われた直近の選挙である昨年の参院選の実績でお答えください、併せて選挙管理委員長にお尋ねします。 また、在宅で生活されている障害者や高齢者の方には、郵便等による投票方法があります。しかし、法令では、障害者の手帳1級、2級、内部障害では1級、3級、介護保険では要介護5に該当する方といったように、対象が厳しく制限されている上、複雑な手続もあり、利用者は少ないように思われます。 昨年の参院選における郵便等投票の利用者は何人おられたのでしょうか、選挙管理委員長にお尋ねします。 今年の春、一斉地方選挙を前にして、NHKが障害のある人の投票について、全国の市区町村の選挙管理委員会にアンケートを行っています。その中で、郵便等投票の対象を広げるよう求める回答が40件余り寄せられ、また現行は要介護5の人など非常に狭い範囲に限定されているが、要介護3まで対象を広げるよう国に呼びかけたいなどと選挙管理委員会が回答されています。 岡山県選挙管理委員会として、増え続ける高齢者施設での不在者投票の拡大、また高齢者や障害のある方が選挙権を行使できるよう、郵便等投票の対象者の拡大やその他投票の利便性の向上に向けてどのような取組をされているのでしょうか、選挙管理委員長にお尋ねします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。 選挙管理委員会委員長大林裕一君。 〔 選挙管理委員会委員長 大林裕一君 登壇 〕
◎選挙管理委員会委員長(大林裕一君) お答えいたします。 高齢者等の選挙権行使についての御質問であります。 まず、指定施設の要件等についてでありますが、国の通知では、収容人員がおおむね50人以上の規模が目安とされ、投票の秘密が保持できる設備や人員の配置など、不在者投票の適正な執行管理が確保できることが要件とされております。 また、昨年の参院選では、県内516の指定施設のうち、376施設で不在者投票が実施されたところであります。 次に、郵便等投票者数についてでありますが、昨年の参院選では、岡山県選挙区選出議員選挙における投票者数は73万7,981人であり、そのうち郵便等投票者数は151人となっております。なお、併せて行われた比例代表選出議員選挙における投票者数は73万7,940人で、そのうち郵便等投票者数は153人となっております。 続きまして、高齢者等の選挙権行使についての県選管の取組についてでありますが、高齢者施設での不在者投票の拡大については、これまでも市区町村選管を対象とした研修会や各種啓発冊子の配布等を通じ、不在者投票制度の周知に努めるとともに、郵便等投票の対象者の拡大について、都道府県選挙管理委員会連合会を通じて国に要望をしてきたところであります。 このほか、投票の利便性向上のため、他県の先進事例も参考にしながら、障害のある方への対応マニュアルの整備や投票所までの移動支援、移動期日前投票所の導入などについて、市区町村選管に対し、継続的に働きかけてまいりたいと存じます。 以上です。
○議長(小倉弘行君) 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 御答弁ありがとうございました。 全国の選管にNHKが調査をした結果でも、やはり郵便投票は、障害1級、2級、要介護5の人しか対象でない。要介護5とはほとんど全介助の人ですから、自分で書けないと投票できないということもありますので、本当に対象者があまりにも狭過ぎる。例えば他の選管でも要介護3、4、5ぐらいの対象に広げるべきではないか、国に言っていきたいという御意見も出されておりますが、委員長として、今の郵便投票の対象の問題はどうお考えでしょうか。
○議長(小倉弘行君) 選挙管理委員会委員長。 〔 選挙管理委員会委員長 大林裕一君 登壇 〕
◎選挙管理委員会委員長(大林裕一君) 議員御指摘のとおり、投票機会の拡充ということは重大な課題であると認識しております。国の制度でございますので、これからも国に対して、都道府県選挙管理委員会連合会などを通じて要望を重ねてまいりたいと思っております。 以上です。
○議長(小倉弘行君) 21番。 〔 21番 氏平三穂子君 登壇 〕
◆21番(氏平三穂子君) 選管としての取組でいろいろ工夫されていると思いますけれども、一つ、移動支援については、国も財政的に支援をしていただけるということで、市町村が、選管が、車を出したり、タクシーのチケット代を出したりしながら登録した人を運ぶということについては、あまり一般には広報されてないように思いますので、その移動支援ができるということについてはしっかり広報していただきたい。これは要望です。 もう一つ(パネルを示す。以下パネルで説明)、これ小さなバンのような車ですけれども、この車が地域の隅々に行くんです。これは総務省が出している資料で長野の例ですけれども、こういう移動する車を選管の方が複数で乗って、いろいろな細かいところの地域に行ってあげると。要するに移動の販売車が今行ってますよね、「とくし丸」のようにどんどん細かい地域の中に入っていって、こういう形で選挙ができる取組というのは、本当にこれから高齢化が進んでいる特に中山間地域では必要ではないかと思いますけれど、このあたり、選管としての取組としては、お考えとか提案されたことはあるんでしょうか。
○議長(小倉弘行君) 選挙管理委員会委員長。 〔 選挙管理委員会委員長 大林裕一君 登壇 〕
◎選挙管理委員会委員長(大林裕一君) 議員御指摘の問題は、移動支援、それから車両による移動期日前投票所という御質問でございます。 移動支援につきましては、御指摘のとおり、岡山県内においては3市2町で行っておりますが、いずれも市区町村選管が地域の実情に応じて工夫しているところであります。 御指摘の車による移動期日前投票所については、当県ではまだ実施の事例はございません。御指摘のような他県の先進事例を今後とも、各市町村選管と共有して、投票機会の拡充に努めるよう共に考えてまいりたいと考えております。 以上です。
○議長(小倉弘行君) 以上で氏平君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 35番太田正孝君。 〔 35番 太田正孝君 登壇 〕
◆35番(太田正孝君)
自由民主党岡山県議団の太田正孝でございます。 傍聴にお越しいただいた皆様、ありがとうございます。一生懸命頑張ります。 知事、初当選から10年目となる昨年度の県内への企業誘致件数27件、投資額約2,143億円、雇用者創出数613人と伸ばし、県保有産業団地の区画も僅かとなってきました。知事の大きな成果です。これからは、成果の質も上げ、県内経済の好循環の渦の拡大を期待します。 それには、8年間で藩の力を実質10倍にした山田方谷の産業振興に学ぶべきではないでしょうか。山田方谷は、「事の外に立つ」との教え、「事の内に屈してはならない、客観的に大局を見よ」の下、取組は明快でした。緊縮財政に追われず、産業振興を進めるというものです。推進役は、新組織の撫育方で、開発・生産から販売まで担当。まず注目すべきは、その新商品開発力。地元で取れる良質の砂鉄から、くわやくぎ、稲こぎ機、鉄器等の鉄製品の開発。作るだけでなく、工夫を凝らし、大幅な性能向上も実現。その代表格が3本の刃がある新タイプのくわで、田んぼに刃が深く入り、土の抜けがよく、耕作を楽にし、農民を喜ばせた「備中ぐわ」です。また、くぎも、火事が多い江戸では普請が多く、重宝がられました。ヒット商品はこれら鉄製品にとどまらず、たばこや茶、和紙、ゆべしなどもヒットし、備中ブランドは大ブランドになりました。 山田方谷がすごいのは、これだけではありません。江戸藩邸から各藩の江戸屋敷や近郊の商人への直接営業とお客の囲い込みをしたことです。問屋任せが普通の時代に、自分で売り込み先を考え、営業をかけ、自分のお客をつくったのです。そして、使い込まれて刃がちびた備中ぐわの歯を磨き直して、新品同様に性能を取り戻すアフターサービスも行い、お客の囲い込みをして不動のヒット商品をつくったのであります。そして、お客様が増えると、そのもうけたお金でアメリカ製蒸気船を購入。海伝いに大量輸送、大阪を通過して、江戸での直接販売をしたのです。こうした販売開拓から流通経路の見直し、大量輸送化、直接販売までのビジネスモデルをいち早く日本社会に導入したのが山田方谷です。 さて、本県も「事の外に立つ」との考えを導入しています。現在、冒頭で申し上げた状況がつくられ、本県は負債が増えない体質となってきましたが、喜ぶにはまだ早い状況です。懸念もあります。県の行財政改革の結果、土木設計や産業振興関係の補助金申請審査、お酒の海外販路開拓、障害福祉の研修などのように、県事業はアウトソーシング依存度が高止まりする状態。今、県庁の筋力が落ち、スキルやノウハウも県庁に蓄積されにくくなり、政策立案能力・政策推進力も落ち、「外力に頼る」傾向にあると感じます。いま一度、山田方谷のマネジメントを参考にして、県庁の課題突破力向上を図っていただきたいと願います。 以上を踏まえて、質問に入ります。 1番目、海外への特産品の売り込みについて。 特産品の売る場所を山田方谷が江戸に狙いを定めたのに対して、知事は来年オリンピックが開催されるフランスに絞られております。売り込みに選んだものは、デニムとお酒です。 まず、デニムについて、海外展示会出展補助事業300万円と、服飾専門校が岡山のデニム生地を使用して名を広めていくプロモーション事業762万円の2本立ての戦術を取られています。 フランスで現地調査すると、独自店舗出店や民間アンテナショップでの販売活動などを行っている県内企業の姿を見ることができました。また、訪問したアンテナショップには、デニムの生地のほかに県産畳縁小物も販売されていました。ここでヒアリング調査をすると、日本デニムそのもののシェアは低い状態で、その上、岡山の知名度について、倉敷の名は幾分か知られていたものの、厳しい状況を知ることになりました。岡山ブランドで商品ラインナップをしていくにも、知名度は大きな課題であります。 私は、チーム岡山としてフランスへデニムを売り込むためには、戦略と仕掛けが弱いと感じました。同じ商品が日本での販売価格の3倍になるフランスにおいて、岡山からの2年後、3年後の目標輸出額を設定されていますが、目標輸出額とその達成のための実行計画について、産業労働部長に伺います。 次に、お酒について、岡山県産の日本酒ブランディング・ハイブリッドプロモーション事業が3年間との期限を切って取り組まれています。今年度の事業費は1,252万円。 この夏、私は、県庁から紹介された3軒の日本酒販売店舗に行きました。岡山の酒がない店、またあったとしても岡山の酒と判別できるような販売方法が取られていませんでした。フランスでは、テロワール、ペアリングなどが大切で、店頭でもこうしたアドバイスができるようにするべきです。 また、岡山県が期待している商談会、食事会でのバイヤーとの関係構築づくりから販売拡大をする方法は、フランス進出各県とも取っている方法です。100銘柄を超えるような状況で、先発組の知名度が高くて、岡山県の存在感はまだ高い状況ではありませんでした。 こうした要因は、フランスの仲介業者任せのような仕事の進め方にあると考えます。9月末に岡山の酒蔵の方が渡仏する予定になっています。職員が実態を把握できるように形をとってビジネス支援するように仕事の進め方を改善するべきと考えますが、いかがですか。 また、フランス進出先行各県と岡山県とでフランスの浸透度に開きがあります。日本酒のフランスへの輸出実績は10年で約5.5倍で、同じ仲介業者に頼るにしても、調査レポート、販売改善方法の提案を返していただくべきです。仲介業者からどのような改善案が報告されていますか、併せて産業労働部長に伺います。 海外県内特産品売り込みは、フランスのほかに東南アジアでの岡山産高級フルーツの売り込みがあります。平成18年度から始められ、今年度は海外ブランド力協力プロモーション事業約1,300万円をかけて、8月下旬に台湾でのPR活動も実施しています。反応は上々であったと報道が伝えています。毎年どこの国へ行っても評価が高いのですが、「生産量不足」と「安定した流通ルートの未確立」が大きな課題です。「園地拡大」と「山田方谷のようなビジネス化」をやらなければなりません。高級フルーツの海外販売について3点質問いたします。 海外はもとより、国内でも岡山県産白桃を知らない人が多くいて、鹿児島では販売されていないとも聞きました。現在、全国で岡山県産白桃が販売されている都道府県はどれくらいあるのでしょうか、農林水産部長に伺います。 2問目。6月定例会で取り上げた岡山フルーツ・フラワー公園(仮称)の果樹団地予定地について、ここが果樹団地候補地として残っているのであれば、ここを高級フルーツメガ団地に整備するなどして生産量を増やすべきと考えますが、生産量を増やす方法についてどのようにお考えですか。また、金額・数量ベースで平成18年度の高級フルーツの販売実績と今年度並びに来年度の目標について、併せて農林水産部長に伺います。 3問目。県産高級フルーツを海外で売るに当たって、輸送時間、輸送中の傷、店頭での客による傷、為替等のリスクを誰が取るのかなど、流通に関する課題が多くあります。ほかにも、農家への利益は国内販売よりも本当に高いのか、農家はどれくらい海外での販売を期待しているのか、海外への安定供給のための生産力向上など、多くの課題や疑問があります。「海外販売のリスクの解消」、「農家収入の向上」、「農家の希望尊重」の3点について、今後どのように取り組んでいくお考えなのか、農林水産部長に伺います。 県特産品の海外への売り込みの中で、山田方谷がつくり上げたビジネスの仕組みのようなものを何か構想しておられるのでしょうか。また、その構想の下、今年度以降はどのようなステップを踏んでいくことになっているのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。 2番目の産業の牽引役について。 山田方谷の成功は、前項でお話したとおり、今までになかった「ビジネス」という概念を導入して江戸のビジネスモデルをつくったことによります。変革が必要なときに山田方谷は登場したのです。 今を考えます。私は、バブル崩壊のところで人口減少社会の入り口に立っていたにもかかわらず、戦後人口急増期の昭和の「追いつけ追い越せのキャッチアップ」、「合理化・効率化」の手段を目的にする「昭和のやり方」の成功体験が強過ぎたがゆえに転換することができなかった、もっと言えば、山田方谷のようにシステム転換できる人が登場しなかったとも思います。 今、好むと好まざるとにかかわらず、いろいろと世界も社会背景も変わり、デジタルの価値観を受け入れざるを得ません。デジタルは、アナログのように連続性はありません。デジタル社会では、ある日突然スマホが生まれて世の中が変わったように、これからもある日突然変革が起こります。 もう一つ、デジタルでは小さなことにまで目が行き届くようになったことを忘れてはいけません。どんな小さいことも、世界中から評価されます。社会正義に反すれば、小さなことでも大企業も倒れます。 デジタル時代は、予測不可能な時代とも言えます。不透明な時代に入り、今ほどシステム転換できる令和の山田方谷の登場が待ち望まれているときはありません。 そこで、お尋ねします。 板倉勝静公は、農民出身であるけれども学問の造詣の深い、特に「義」を大切にする山田方谷の抜てきから、「開発・生産・流通・販売・アフターケア」を確立し、藩政改革を成し遂げました。今日取り上げた県産特産品はすばらしいものですが、世界で成功するビジネスモデルまで確立できていない状況です。EVシフト、航空機産業についても、世界を相手にするにはさらなる取組が必要です。時代の岐路に立った今、冒頭申し上げた昭和の時代や平成のデフレ時代とは違う、デジタルを取り入れた令和のやり方へ転換なくして、県の産業振興はありません。国は半導体産業の強化を柱の一つにして国力を高めようとしていますが、岡山県は産業の牽引役をどの分野につくろうとしているのでしょうか、知事にお伺いします。 3番目、人材登用方法について。 板倉勝静公は、総合力が高くマネジメントに優れている山田方谷をブレーンに登用して、藩政改革に成功しました。板倉公の人材登用方法は現代にも生かすべきところが多いと思いますが、板倉公の人材登用方法から県政に生かそうと思うところはありますでしょうか、知事にお伺いします。 次に、カーボンニュートラルの取組について。 日本では、環境省がスマートムーブを国民運動にしようとしています。スマートムーブとは、環境負荷が少ない交通手段を積極的に選択しようとするものです。 交通手段による輸送量当たりのCO2排出量は、2015年度の国土交通省調査データによると、1人が1キロ移動するときのCO2排出量は、マイカーで145グラム、バスで66グラム、鉄道で20グラム、自転車や徒歩はゼログラムです。 2020年国勢調査による岡山県の通勤通学時の自転車利用交通分担率は11.85%、全国8位です。我が岡山は、晴れの国であります。まだ伸び代は十分あります。自転車通勤促進県民運動を県民に呼びかけてはいかがでしょうか。 県民の中のマイカー通勤者の1割が自転車通勤に変わるとどれくらいCO2削減ができるのか、試算いたしました。試算結果を聞いてください。片道5キロメートルをマイカー通勤者が自転車に変えると、CO2は1,450グラム減少。6月の常用労働者数が69万6,846人。出勤時の自動車負担率が75.2%。単純に掛け算すると、県内マイカー通勤者は52万4,028人。その1割の人たちが自転車通勤者に変わって、片道の通勤距離が平均5キロとすると、1日のCO2削減量は75.9トン。年間出勤数を240日として年換算すると1万8,000トン。これは、2013年度運輸部門CO2445万トンに対して、これだけで0.4%になります。スマートムーブの効果は、取り組めば取り組むほど高くなっていきます。 その実践をしているのが欧州です。私は、パリを調査しました。パリ市のPlan Velo 2015-2020は、通勤交通における5%の自転車のシェアを2020年までに15%まで高め、自転車通行空間延長を700キロから1,400キロへと2倍にするとしていました。 今どうなっているか報告します。まず、自転車利用促進の仕掛けとなる自転車貸出制度ヴェリブについて、システムは岡山市が運営しているももちゃりと基本は同じでありますが、利用範囲は約100平方キロのパリ市全域で、300メートルぐらいの間隔でヴェリブの駐輪場整備が済み、パリ郊外も同じ仕組みがあります。 もう一つ大切なことは自転車通行空間確保です。次にこの点を報告します。中心市街地の幹線道路には、ほぼ全部自転車通行帯が整備されていて、象徴的な箇所は(パネルを示す。以下パネルで説明)、「シャンゼリゼ通りから凱旋門のあるエトワール広場へ向かう地下道トンネル」と、「ジョルジュ・ポンピドゥー道路」、(パネルを示す。以下パネルで説明)こちらでございます。前者は2車線の自動車専用道路を自転車専用道路に全部変更しています。後者は高速自転車道路網の一部で、セーヌ川の双方向の自動車専用道の1車線を通行禁止にして、双方向の自転車専用道路にしていました。 パリ市は、国をも動かしています。マクロン大統領は、「自転車道整備目標を2022年末時点の5万7,000キロメートルから、2027年までに8万キロメートルを整備する」、「障害者や低所得者世帯を対象とした自転車購入の支援補助金を2027年まで延長する」、「フランス国内の自転車製造台数を、2022年85万4,000台から、2027年140万台にする」とフランス国民に約束しました。今、取組のさなかで、EVシフトも自転車同様に日本をはるかに上回るスピードで行っています。 こうした動きが世界の中にあるとき、県は、8月に「岡山県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例(仮称)」の準備を進めていると表明されました。マクロン大統領と同じように、自転車政策推進者におなりになったのだと受け止めてもよいのでしょうか。 まず、自転車利用者に変わっていただくためには、パリで実証されているように、自転車通行空間を確保した道路の総延長の延伸が大切です。その延伸に当たっては、自転車通行空間の単路部と交差点部の設計ガイドラインがあれば、設計や延伸速度が加速します。福岡市では既に策定済みですが、本県にはありません。これは、延伸を加速させるためだけでなく、安全面においても必要なことです。 一例を出します。岡山市の交差点部の自転車通行空間が分かりにくい箇所があります。そこでは、左折や直進する自動車に対して、銘々に好きなルートで左折や直進する自転車が衝突しそうになっています。それは、自動車とばかりではなく、歩道を歩く人とも接触しそうな場面が起きています。ここで事故を起こさせないように自転車の走行コースをできるだけ規定して、誰もが自転車の動きを予測できるようにするべきです。 つきましては、単路部・交差点部の自転車通行空間設計ガイドラインを策定する考えはありますか、土木部長に伺います。 また、ガイドラインを策定する場合、協力を求められたなら、警察本部は策定に対してアドバイスなどをしてサポートするお考えはありますか、警察本部長に伺います。 もう一つネックがあります。電柱、標識が自転車通行空間にあり、危険なことです。県は、「県管理道路での無電柱化」と「市町村の無電柱化推進計画の策定」の推奨並びに必要な技術的支援・財政的支援を行うべきです。この件に関する土木部長の御所見を伺います。 3点目。1、2点目のような取組の上で自転車通行空間の確保を図るべきと考えますが、県管理道路でどれくらい自転車通行空間を整備していくのか、その目標総延長を教えてください。土木部長に伺います。 4点目。岡山県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例(仮称)は、スマートムーブへ向けても大切なことです。岡山市中心部だけでなく、倉敷駅前をはじめ、自転車通行空間が十分設けられていないところでも、加害者、被害者を生まない道路づくりをしていくべきです。自転車利用者にとっても安全な道づくりをどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いします。 5点目。例えば県が行っている国の交付金を活用した「晴れの国おかやま」サンサンパワー活用事業では、EVシフトは進めるとしていながら、スマートムーブの考え方を盛り込んでおられません。岡山県地球温暖化対策実行計画において、スマートムーブ、自転車シフト、EVシフトなどによるCO2削減目標も設定すべきではないでしょうか。 また、県民に地球環境に負荷のない交通手段の選択をしていただくスマートムーブを推進していくことを県の事業に盛り込んでいくお考えはありますでしょうか、併せて知事の御所見をお伺いします。
○議長(小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) 自由民主党の太田議員の質問にお答えいたします。 まず、海外への県特産品の売り込みについての御質問であります。 構想等についてでありますが、デニムや日本酒等を海外に売り込むためには、認知度やブランド力の向上を図ることが重要と考えており、現地のファッション専門校と連携したデニムセミナーや、酒蔵が直接消費者等に酒米の特徴や酒づくりの思い等を伝える試飲・販売会の実施など、地域の特性やニーズを踏まえた上で、特産品の魅力を伝える戦略的なプロモーションを展開しているところであります。 また、展示会への出展支援や商談機会の提供、現地の消費者ニーズのフィードバックなども行っているところであり、今後とも、こうした取組を関係団体等と連携して実施することにより、県特産品の輸出拡大につなげてまいりたいと存じます。 次に、産業の牽引役についての御質問でありますが、本県には、産業の中核をなす水島コンビナートの企業をはじめ、優れた技術を有し、多様で厚みのあるものづくり企業が集積しており、これらを強みとして、国のグリーン成長戦略における重要分野に含まれる自動車や半導体、AI・IoT関連など、今後成長が見込まれる分野について、最新情報の提供や大学等と連携した共同研究への支援などに取り組んでいるところであります。 今後とも、本県の強みを生かせるこれらの分野について、産業支援機関等とも連携し、県内企業をしっかりと支援してまいりたいと存じます。 次に、人材登用方法についての御質問でありますが、藩政改革の成功につながった、出身や立場にとらわれない板倉勝静公の人材登用は、現代においても能力主義による登用や外部人材の活用という面で見習うべきものがあると考えております。 県では、これまでも職員の能力に応じた適材適所の人事配置を行うとともに、民間企業等での経験を県政に生かす社会人経験者の採用や、高度な専門性が求められるポストに政策立案能力や専門的な知識、経験を有する外部人材の登用も行っているところでありますが、今後とも、山田方谷のような「事の外に立つ」視点を持ち、時代の変化に柔軟に対応できる多様な人材の確保に努めてまいりたいと存じます。 最後に、カーボンニュートラルの取組についての御質問であります。 自転車条例と道づくりについてでありますが、お話のとおり、スマートムーブを進める上で自転車の役割は大きいと考えており、自転車の利用促進に併せ、安全な利用のための取組が求められるところであります。 条例骨子案では、自転車保険の加入の義務づけや安全への意識啓発のほか、道路交通環境の整備を盛り込んだところであり、引き続き、国、市町村、県警察及び関係団体と連携し、交通状況に応じて歩行者や自転車、自動車が適切に分離された安全で快適な自転車通行空間の整備を推進してまいりたいと存じます。 次に、スマートムーブによるCO2削減目標等についてでありますが、県地球温暖化対策実行計画では、産業、家庭、運輸などの部門別にCO2削減目標を掲げるとともに、エコドライブ宣言者数やシェアサイクル導入市町村数など、スマートムーブに関連した取組目標も設けていることから、スマートムーブによるCO2削減目標を設定することまでは考えていないところであります。 スマートムーブをライフスタイルとして定着させることは重要であり、実行計画に掲げている公共交通機関の利用促進や自転車通行空間の整備、シェアサイクルの普及促進等の取組を進めることにより、県民の行動変容を促してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 産業労働部長宮本由佳君。 〔 産業労働部長 宮本由佳君 登壇 〕
◎産業労働部長(宮本由佳君) お答えいたします。 海外への県特産品の売り込みについての御質問であります。 デニムについてでありますが、県では、岡山デニムの海外での販路拡大に向け、ファッション専門校での岡山デニムセミナーや海外展示会への補助事業等を実施しているところであります。お話の目標輸出額の設定までは行っておりませんが、引き続き県内のデニム関連企業や産業支援機関等と連携し、認知度とブランド価値のさらなる向上に取り組み、フランスを起点とした海外への輸出額の増加につなげてまいりたいと存じます。 次に、日本酒についてでありますが、お話の事業は、特設ウェブサイトによる情報発信やセミナー開催、イベント出展などにより県産日本酒のブランド化等を進めるものであり、現地に設置した営業代行デスクと職員が日常的に連絡を取り、実情を踏まえた事業実施に努めているところであります。 また、デスクからは、レストランや食料品店以外に、近年店舗数が増加している酒専門店へのアプローチを強化し、販路拡大を図ってはどうかといった意見や、市場ニーズに合わせた銘柄の選定や日本酒と料理とを組み合わせた紹介をしたほうがよい等の改善案が提案されているところであります。 引き続き、関係団体等と連携して、効果的なプロモーションを展開することにより、「酒米どころ岡山」のイメージをフランスで定着させてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 農林水産部長万代洋士君。 〔 農林水産部長 万代洋士君 登壇 〕
◎農林水産部長(万代洋士君) お答えいたします。 まず、高級フルーツのうち、白桃についてでありますが、本県産の白桃は、主に地元岡山や首都圏、関西圏等の市場を通じ、取引を希望する百貨店などで販売されております。このたび全国の主な百貨店等での県産白桃の販売状況を聞き取ったところ、39都道府県での販売が確認できました。 次に、生産量を増やす方策等についてでありますが、白桃リノベーション事業やブドウ産地強靱化事業による既存産地の拡充に加え、5ヘクタール以上の生産団地を整備するハイブリッド産地の育成を強力に進めることで、生産量の増大に取り組んでおります。 お話の岡山フルーツ・フラワー公園果樹団地予定地の整備については、メガ団地開発の是非など、今後慎重に検討する必要があると考えております。 また、高級フルーツの平成18年度全農県本部の販売実績は、桃とブドウを合わせて約70億9,000万円、数量は約8,600トンとなっており、目標については、毎年度金額のみ設定しており、令和5年度は約92億円としております。 次に、リスクの解消等についてでありますが、県産果物は国内の卸売市場を経由した輸出がほとんどであり、流通の各段階に関わる者が輸送や為替のリスクを分担しており、産地での流通リスクの解消は図られているものと認識しております。 また、輸出拡大により市場の価格形成に好影響をもたらすこととなり、県産ブドウの販売単価が5年間で25%上昇するなど、農家収入の向上に結びついていると考えております。 産地では、輸出増大に向けた設備の導入や直接海外に売り込みをかけるなど、さらなる輸出拡大に向け、意欲が高まっているところであります。そのため県では、引き続き、海外でのプロモーションや海外バイヤーの招請を実施するとともに、現地の消費者ニーズや県産果物に対する評価等を産地にフィードバックすることで高品質な果物生産につなげ、輸出拡大を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 土木部長長尾俊彦君。 〔 土木部長 長尾俊彦君 登壇 〕
◎土木部長(長尾俊彦君) お答えいたします。 カーボンニュートラルの取組についての御質問であります。 まず、自転車通行空間設計ガイドラインのうち、策定についてでありますが、国は、単路部や交差点部における自転車通行空間の設計の考え方等を示す「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を定めた上で、このガイドラインに基づき、市町村に対し、路線ごとの整備形態等を示す自転車ネットワーク計画を策定するよう求めております。 このため、県独自のガイドラインの策定までは考えておりませんが、市町村が地域の実情に応じた自転車利用に取り組めるよう、必要なアドバイス等を行いながら、計画の策定を促してまいりたいと存じます。 次に、自転車通行空間の無電柱化についてでありますが、県では、平成30年度に「岡山県無電柱化推進計画」を策定し、都市部の第1次緊急輸送道路を優先して無電柱化に取り組んでおります。また、市町村の計画については、各道路管理者や電線管理者等で構成する電線類地中化協議会において協議・調整を行いながら、順次策定が進められているところであります。 無電柱化は、自転車通行空間の安全の確保につながることから、引き続き県管理道路の無電柱化を推進するとともに、市町村の計画策定や事業実施に当たっては、無電柱化の整備手法や国の補助制度についての情報を提供するなど、必要な支援を行ってまいりたいと存じます。 次に、自転車通行空間の目標総延長についてでありますが、自転車通行空間の整備のためには、今後、市町村において各道路管理者や県警察、地域の関係者等の参画の下、対象路線や整備形態等を示す自転車ネットワーク計画の策定が進む必要があります。 このため、現時点で県管理道路における具体的な目標をお示しできる状況にはありませんが、まずは自転車ネットワーク計画の策定を促進することにより、安全で快適な自転車通行空間の整備につなげてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 警察本部長河原雄介君。 〔 警察本部長 河原雄介君 登壇 〕
◎警察本部長(河原雄介君) お答えいたします。 カーボンニュートラルの取組についての御質問であります。 自転車通行空間設計ガイドラインのうち、協力についてであります。 今後、県等からガイドラインの策定について協力を求められた場合には、良好な自転車の交通秩序を実現する観点から、県警察としても必要な協力を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 35番。 〔 35番 太田正孝君 登壇 〕
◆35番(太田正孝君) 御答弁ありがとうございました。 まず、農林水産部長ですが、18年度と今年度、来年度の実績、目標について聞いたのは、これは海外での実績についてであり、全体ではなくて海外での実績、目標はどうなっているか、改めてお答えをお願いいたします。 それから、ガイドライン設定でありますが、これは利用者の立場からいくと、いろいろな交差点に行くとまちまちのような設定になっているので、それを統一していただいて、利用者本位の自転車通行空間をつくっていただきたいと思いますが、どうお考えなのか、土木部長にもう一つ答弁をお願いしたいと思います。 それから、産業の牽引役について申し上げます。 私、ベルギーのダイキンの工場にも行ってきました。(パネルを示す)海外生産がどんどん進んでいく中で、やはり製品の心臓部分であるところ、電子制御の部分ですね。ここについては、日本で作って、現地で組み立てるという形が非常に多いわけですから、こういったところについてはやはり岡山でもっと力を入れていったらどうなのかと思いますが、知事はいかがでしょうか。
○議長(小倉弘行君) 知事。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) 再質問にお答えいたします。 日本の企業が海外にいろいろ進出をしていると。その海外の企業と国内に残している企業、それぞれ並行して生産をすることもありますし、役割分担をしている場合もございます。付加価値の面でも大事、もしくは技術的にも高度、そういったものをあえて国内で作って、海外でそれを使って現地で組立てをする。いろいろなやり方があるわけですけれども、特にマザー工場と呼ばれている、立場的に世界中の工場の中でも上位に位置している、そこでいろいろな開発をして、その成果をほかの工場に持っていくとか、特別な位置にあるそういった工場については、ぜひ我々としてもこの岡山に引っ張ってきたい。もしくは、地元の会社が海外に出るにしても、もともとある工場はマザー工場として位置づけをしてもらいたいと考えているところでございます。議員が言われた心臓部を作る工場の特別な地位にある工場を、岡山県としても今大事にし、かつまた融合するような考え方は現にございます。
○議長(小倉弘行君) 農林水産部長。 〔 農林水産部長 万代洋士君 登壇 〕
◎農林水産部長(万代洋士君) 再質問にお答えいたします。 海外の輸出の数量、金額の御質問でございますが、数量については把握ができておりません。金額につきましては、平成18年度につきましては把握ができておりません。目標につきましては、生き活きプランの生き活き指標におきまして、輸出金額を年額で令和元年度8億円から令和6年度11億円を計画させていただいております。令和4年度現在の輸出金額ですが、目標11億円に対しまして、11億5,000万円という実績がございます。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 土木部長。 〔 土木部長 長尾俊彦君 登壇 〕
◎土木部長(長尾俊彦君) 再質問にお答えいたします。 利用者の立場に立ったガイドライン等の整備をという御質問でございますが、現在の自転車利用通行空間の整備等の取組は、国のつくったガイドラインに沿って、市町村が自転車ネットワーク計画をつくると、これに沿って各道路管理者がそれぞれ整備に取り組むというスキームになっております。この国のガイドラインは非常にきめ細かい内容まで踏み込んでおりまして、実は全部で259ページもあるように非常にボリュームのあるものです。この中には、議員の御指摘のありました岡山市内の自転車の直進性に配慮したガイドラインの内容も含んでおります。この直進性に配慮した安全性を確保するといった内容も含んでいるものでございます。 また、ネットワーク計画の作成につきましては、それぞれの市町村が自主性を持って取り組めるようにというのがポイントになってまして、それぞれ対象の地域、例えば業務地域の中とか観光地とかではそれぞれ利用者の方の特性も違います。こういったものに応じて計画を策定する内容になっておりまして、こういったそれぞれの地域の特性に応じた、また利用者の特性に応じた計画を策定できるように、県としても市町村の策定を支援していきたいと考えております。 以上でございます。
○議長(小倉弘行君) 以上で太田君の質問は終了いたしました。 この際、午後1時20分まで休憩いたします。 午後0時16分休憩 ~~~~~~~~~~~~~~~ 午後1時20分再開
○副議長(江本公一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 24番高橋徹君。 答弁者は控席へ移動願います。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) 皆さん、こんにちは。民主・県民クラブの高橋徹です。 厳しい残暑が続いていますが、平日の夕方以降あるいは休日に県の総合グラウンドに行くと、練習をしているランナーの数が目に見えて増えていることを実感します。おかやまマラソンまであと2か月になり、準備に熱が入っている方も多いようで、機運が盛り上がりつつあると感じています。私は、今回は抽せんに当たったので、42.195キロを楽しみたいと思っています。ランナーだけでなく、設営に関わる関係者の皆様の準備も佳境を迎えていると思います。大会の成功に向け、御尽力、御協力を賜っている方々にエールを送りつつ、通告に従い、質問に移ります。 なお、一部所属委員会所管の案件もありますが、御容赦いただきたいと思います。 まず、賃上げに向けた中小企業支援について伺います。資料を御覧ください(パネルを示す。以下パネルで説明)。 2023年春の労使交渉では、ほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現しました。賃上げは非正規労働者にも波及し、岡山県内でも高水準の妥結結果となっています。他方で、企業規模による格差は広がっています。 県では、この春の県内企業の賃上げの状況をどのように分析し、どう受け止めていますか、知事に伺います。 一方、6月分の毎月勤労統計調査を見ると、正規雇用者を中心とした一般労働者の所定内給与は前年同月比1.7%増にとどまります。経団連集計は大企業、連合集計は労組のある一定規模以上の企業が中心で、当該調査は従業員5人以上の事業所が対象なので、規模が小さい企業での賃上げ幅が小さいと推察されます。物価変動の影響を除いた実質賃金は、パートタイム労働者を合わせ、同1.6%の減少で、15か月連続のマイナスです。労働者全体では、賃上げが物価上昇に追いついていません。 県内企業のうち、中小企業・小規模事業者は、企業数で99.8%、従業者数で82.6%と大半を占めます。中小企業での賃上げは、県民の暮らしを守るという観点からも、県経済活性化の観点からも、重要な政策課題です。 そこで、中小企業支援策について、以下4点を産業労働部長に伺います。 1、県では、中小企業の人材育成を支援するため、「おかやま産業人財育成塾」を開講していますが、受講者数や受講企業数、受講者や企業からの評判など、現時点の運用状況をお知らせください。 2、県は、第3期「エネルギー効率化・新事業展開等による生産性向上支援事業」を実施し、必要な経費の一部を補助しています。今回は、259件の申請に対し、採択は71件にとどまりました。予算の制約等により中小企業の要望に応え切れていないため、4期目以降の制度運用も検討していただきたいと考えますが、御所見を伺います。 3、7月の帝国データバンクの調査では、コスト上昇分を販売価格などに「多少なりとも転嫁できている」企業は74.5%だったものの、「全く価格に転嫁できていない」が依然12.9%もあります。価格転嫁率も43.6%で、エネルギーや原材料価格の高騰により経営が圧迫されている状況が続いています。 中小企業で賃上げを進めるには、コスト上昇分を適切に価格転嫁できるよう、取引の一層の適正化が必要になりますが、県はどのような対応を行いますか。 4、電気料金の負担軽減のため、県では特別高圧電力の供給を受けている中小企業に支援金を交付しています。国は、9月末に期限を迎える電気代等への補助を延長する方向で検討を進めています。県が6月補正予算で措置した中小企業の特別高圧電力への支援も継続していただきたいと考えますが、御所見を伺います。 ところで、本年4月に更新された国の「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージには、「賃金上昇を伴う円滑な労働移動の支援」が掲げられており、リスキリングや学び直しなど、労働者が配置転換や転職などを通じて賃上げを実現していくための施策が提示されています。他社、他業種への転職等を見据えた労働者が働きながら新たなスキルを学べる環境を整備するには、これまでの県の取組の中心であった企業内の人材育成を支援する形とは異なるアプローチが必要です。 県では、国のこのような方針をどう受け止め、どのように対応いたしますか、知事の御所見を伺います。
○副議長(江本公一君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) 民主・県民クラブの高橋議員の質問にお答えいたします。 賃上げに向けた中小企業支援についての御質問であります。 まず、賃上げの状況についてでありますが、県が行った調査によると、中小企業の約6割が今年度賃上げを実施しており、その理由として、「従業員の生活を支えるため」が約7割、「人材を確保するため」が約5割を占めた一方、「利益が増加したため」は約1割にとどまりました。今回多くの企業で賃上げが行われたことは一定の評価ができるものの、企業が収益を上げ、労働者に果実を分配することで消費が伸びてさらなる経済成長が生まれる好循環実現のためには、引き続き企業の生産性向上や競争力強化に向けた取組が不可欠であると考えております。 次に、雇用・労働総合政策パッケージについてでありますが、国の取組は成長分野への労働移動を円滑に進めるものであり、労働者にとっても、転職等につながるスキルを習得することで賃金の上昇が期待されるなど、人材の活性化と生産性の向上を通じた賃上げのサイクルの実現に結びつくものであると考えております。国においては、企業を通じたリスキリングの支援から、個人に対する直接的な支援へ制度の見直しを進めているところであり、県としては、国との役割分担の下、引き続き企業内の人材育成を支援することにより、中小企業の生産性の向上による賃上げの実現につなげてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 産業労働部長宮本由佳君。 〔 産業労働部長 宮本由佳君 登壇 〕
◎産業労働部長(宮本由佳君) お答えいたします。 まず、支援策のうち、おかやま産業人財育成塾についてでありますが、今年度は64コースを設け、定員960名に対して、8月末時点での受講予定者数は1,154名、企業数は91社となっております。また、昨年度、企業と受講者を対象に実施したアンケートでは、研修を受けた効果について、「組織が活性化した」との回答が56.7%、「現場改善により生産性が向上した」との回答が24.7%あり、この人財育成塾が企業の成長・発展の一助になっているものと考えております。 次に、生産性向上支援事業についてでありますが、お話のとおり、第3期においては259件の補助申請があり、審査の上、予算5億円の範囲内で71件の交付決定を行ったところであります。第4期の実施につきましては、現在国において新たな経済対策が検討されていることから、その動向を注視してまいりたいと存じます。 次に、取引の適正化についてでありますが、国において、下請取引に係る各種相談対応の強化など、下請取引の適正化が図られているところであり、県としては、国に対し、適正な価格転嫁をはじめ、取引適正化支援のさらなる強化を要望しているところであります。あわせて、支援機関と緊密な連携を図りながら、経営相談や専門家派遣を行うとともに、経済団体等を通じ、機運の醸成に努めているところであります。 次に、特別高圧電力についてでありますが、県では、国の支援対象とならなかった特別高圧で受電する中小企業を対象に、電気使用量に応じた支援を9月末まで実施することとしております。一方で、電気料金は今後も高騰が続くと予想されていることから、現在国において電気料金等の抑制など新たな経済対策が検討されているところであり、県としてはその動向を注視し、適切に対応してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) 御答弁ありがとうございました。 生産性向上支援事業について再質問させていただきます。 賃上げを単年で終わらせることなく、中長期にわたって持続することが重要だと思っているのですが、そういう意味でも、来年の賃金交渉が行われる時期、つまり今年度末ぐらいまでは中小企業の電気代の補助の継続が必要だろうと思い、先ほど要望させていただきました。 ただ、電気代が高くなっているからこそ、企業や家庭に省エネ化を進めようというインセンティブが働く側面もあるので、そういう意味では省エネ化につながる設備投資とかオペレーションの改善などを後押しする支援というのは非常に重要、もしくはこれがより本質的な話と思ってるんですが、このエネルギー効率化・新事業展開等による生産性向上支援事業というのは補助対象がかなり幅広いので、実際に企業の省エネ化投資にどのように効果が出ているのか教えてください。
○副議長(江本公一君) 産業労働部長。 〔 産業労働部長 宮本由佳君 登壇 〕
◎産業労働部長(宮本由佳君) 再質問にお答えいたします。 この事業によって企業の省エネ化にどのような効果が出ているかということでございますが、議員御指摘のとおり、この事業は幅広に企業のいろいろな生産性向上に向けた取組を支援することにしておりまして、企業も、省エネの設備でありますとか、生産性を上げるような、そのような機器の整備などに使われているところでございます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) 部長、御答弁ありがとうございました。 この補助金というのはいつまでも続けるわけにはいかないと思ってまして、そういう意味では省エネ化を進める、電気代が高いこと自体が一つのインセンティブになるので、それを利用して、そういう投資を促すようなところにある程度光を絞った、光を当てた制度設計も重要ではないかと思うので、これは要望させていただきたいと思います。 その上で知事にお伺いしようと思うのが、我が国が長期にわたって生産性とか賃金が上がらなかった要因として、産業構造の転換が進まなかったという指摘があります。生産性が低い企業や産業に行政の手厚い支援を行うことで淘汰が進まずに、解雇規制や雇用慣行などから働く人も低い労働条件でそこにとどまったために、企業の新陳代謝も、低成長分野から成長分野への労働移動も進まずに低い生産性が維持され、賃金も上がらなかったという話です。こういうのがあって、多分国も、企業支援に直接というよりは、先ほど言った個々の労働者に支援をしていくような取組が強調されているんだろうと理解をしているんですけれども、先ほど言ったように、県の取組は基本的には企業支援が産業労働部はじめの取組だと思ってはいるんですけれども、ここまでリスキリングとかリカレント教育とか、国が声高に言っていることを踏まえて、先ほど役割分担をしながらというのは、多分この手の事業は労働局がやっているので、県としてはこれまでどおり企業支援を中心にお考えなんだろうと思うんですけれども、先ほど私が申し上げた産業構造の転換がなかなか進みにくい、あるいは労働移動が起こりにくいということも踏まえて、県の施策としてどのような取組があるのかというのを改めてお伺いできればと思います。
○副議長(江本公一君) 知事。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) この失われた30年の原因の一つは、日本が産業構造の転換に出遅れた、ほかの先進国のような転換ができなかったからではないかと。私も、かなり同意するところがございます。それにどう対応するかと。いろいろな対応の仕方があろうと思いますけれども、全ての関係者が同じことをしなければいけないことではないと思います。急にこちらからこちらに振れると、それはそれでまたリスクになりますし、我々自身はこの地元の企業をしっかりバックアップする。それはそれで非常に大事な役割だと思っています。国が大きな構造を考えて、そういう方針の変更をすることについては、立派なお考えだとは思います。だからといって、急に我々の方針が大きく変わることには限らないということでございます。
○副議長(江本公一君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) それでは、委託事業者の価格転嫁について伺います。 学校や学生寮の食堂業務などを行う企業「ホーユー」が経営悪化のため営業を停止し、各地の高校などで給食や食事が提供できなくなっています。県内では、岡山操山高校の食堂を同社が運営し、津山高校と津山工業高校の寮で食事を提供していましたが、現在は休止しています。突然の営業停止に困惑が広がっていますが、3校の現状と当面の対応を教育長に伺います。 ホーユーの社長は報道陣に対し、「原材料や人件費の高騰が重なったが、価格転嫁など、施設側との調整ができなかった」と話しています。 ここ数年、外食産業でも年に度々値上げが起こっており、ホーユーのような食堂運営会社も食材や人件費の高騰などに苦しんでいることは想像に難くありません。ただし、学校食堂事業など行政の入札案件では、複数年にわたる契約期間中に想定以上に物価や人件費などが高騰したとしても機動的な対応が難しく、実際、今回のホーユーも、学校や役所に値上げを求めたが応じてもらえなかったとしています。 ホーユーのケースを踏まえ、さきの3校に限らず、学校食堂や寮の食事提供の業務委託において、物価上昇分を適正かつタイムリーに価格転嫁できるような環境整備が必要だと考えますが、現状の対応や問題意識について教育長に伺います。 学校関係施設だけでなく、公共施設の指定管理や業務委託において、契約期間中に急激な物価高騰などが起こったとしても、サービスレベルが低下したり事業継続が困難にならないよう、契約期間の短縮やインフレスライド条項を契約書に盛り込むなど、対策を検討すべきではありませんか、知事の御所見を伺います。
○副議長(江本公一君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) お答えいたします。 委託事業者の価格転嫁についての御質問であります。 対策についてでありますが、物価変動に対応した契約条項を設け、より協議のしやすい環境を整えるなど、それぞれの契約に応じた対応が必要と考えております。また、お話のインフレスライド条項の導入など、急激な物価高騰を踏まえたルールづくりについても今後検討し、業務停止により県民生活に支障が生じないよう努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 教育長鍵本芳明君。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) お答えいたします。 まず、3校の現状等についてでありますが、当面の措置として、津山高校と津山工業高校の寄宿舎については、朝食は各自でパン等を購入し、夕食は地元業者から配達された弁当により対応しているところであり、PTAが運営する岡山操山高校の食堂については、弁当の持参やパンの購入等で対応しております。現在、3校ともこうした対応を取りながら、新たな業者の選定等について検討しているところであり、生徒が安心して食事が取れる環境を速やかに整えてまいりたいと存じます。 次に、学校食堂等での対応等についてでありますが、学校によっては契約書において食事の単価変更についての条項を設けるなど、必要に応じて協議を行う体制を整えているところもあります。一方で、このたびの問題を踏まえ、今後は全ての学校において、契約後も一定の基準に基づく物価変動等に応じた契約変更が可能となるよう、関係部局と協議してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) ありがとうございました。 先ほどの件なんですけれども、教育長も知事も前向きな御答弁をいただいたと思っております。過去二十数年デフレだったので、3年、5年の契約を結んでも、こんなことが起こるというのはあまり制度の中に想定されてなかったと思うんですけれども、こういった時代環境になって、いい工夫というのはいっぱいあると思いますので、ぜひ、対応をお願いしたいと思いますし、とりわけ今回の津山のように、場所によっては事業者があまりないというところもあると思いますので、そういうところについてもどのような形で対応していくのか、ちょっと知恵を絞っていただければと思いますので、よろしくお願いします。 では次に、ももっこカードについてお伺いいたします。 県の本年度の目玉事業とも言える「少子化対策推進事業」には、「ももっこカードアプリ化事業」が盛り込まれました。スマートフォン向けアプリを開発し、来年1月のサービス開始を目指しています。「ももっこカード」は、県が発行している子育て家庭を応援するカードで、妊娠中から小学校6年生までの子供がいる家庭で利用できます。市町村の窓口で申請を受け付け、その場でカードを交付することで対象世帯に広く行き渡っており、累計の発行枚数は約45万枚と伺っています。 県では、ももっこカードに関してどのような現状認識をお持ちでしょうか。利用者からの意見や要望等を調査していますか。また、これまでの発行状況や運用状況をどう評価し、どのような課題があると考えていますか、併せて子ども・福祉部長に伺います。 アプリ化といっても、協賛店で割引を受けるために紙のカードを提示していたのがスマートフォン画面を見せる行為に変わっただけでは、期待外れと言わざるを得ません。例えばアプリを登録する際に利用者情報を入力してもらい、その情報を電子的に管理して、子育て世代のユーザーにとって必要、有用な情報をタイムリーに届ける機能を持たせたらいかがでしょう。 私の提案への御所見も含め、アプリ化に当たり、現行の使い方に加え、どのような機能やサービスを付加しようと考えているのか、子ども・福祉部長に伺います。 アプリは、アップデートを繰り返しながら、将来にわたり次々と新しい機能やサービスを付加できる、従来の紙のカードとは異次元の可能性を秘めたツールだと考えます。そうであれば、アプリ開発時に留意すべき点は少なくありません。思いついたことを列挙しても、市町村が既に運用している子育て支援アプリとの連動やすみ分け、個人情報管理の厳格化、機能やサービスの拡張性・多様性に関する十分な考察、学校や地域との連携など、様々挙げられます。このような問題意識に立てば、この取組は、担当部局のみならず、デジタル推進課や教育委員会、市町村、アプリ開発の専門家や事業者などとの幅広い連携・協働が必要です。 アプリの開発、運用に当たっての現時点での問題意識と推進体制について、知事の御所見を伺います。
○副議長(江本公一君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) お答えいたします。 ももっこカードについての御質問であります。 アプリの開発等についてでありますが、現行のももっこカードの運用上の課題を踏まえ、利用者にとってより使いやすいツールとなるよう、開発を進めているところであります。開発に当たっては、アプリ運用開始後もニーズ等を見極めながら順次機能を拡張していくことも念頭に置いており、所管する子ども・福祉部において、庁内関係部局や市町村等とも連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 子ども・福祉部長片山圭子君。 〔 子ども・福祉部長 片山圭子君 登壇 〕
◎子ども・福祉部長(片山圭子君) お答えいたします。 まず、現状認識についてでありますが、平成18年の制度導入以来、市町村の協力の下、広く子育て世帯にカードを交付し、多くの店舗の協賛を得ながら年々利用が広がっており、地域全体で子育てを温かく応援する取組として普及・定着してきていると感じております。 一方で、利用者がカードを携帯していないと協賛店でのサービスが受けられない、協賛店を探しにくいといった利便性に係る課題のほか、利用者からの意見等について、個別に寄せられることはあるものの、全体の調査等は行えておらず、また利用者への直接的な情報提供が難しいなど、県から利用者へのアプローチの面で課題があると認識しております。 次に、アプリ化による機能等についてでありますが、利用者の利便性の向上等が図られるよう、即時性や双方向性といったアプリならではの特性を生かし、開発を進めているところであります。具体的には、御提案のような利用者の登録情報を基にしたプッシュ型のタイムリーな情報発信や、地域や年齢など対象を絞った通知ができる機能のほか、随時のアンケートなど利用者の声を収集する機能、スマートフォンの位置情報を生かして協賛店を検索できる機能などを付加したいと考えております。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) 御答弁ありがとうございました。 このアプリ化の何かいろいろ考えていくと夢が広がるというか、いろいろなことができるということで思っているんですけれども、逆に何かあまり期待が大き過ぎるとどうなのかというところもあります。 実は私の周りの子育て世代のお母さんなどにいろいろ聞いたりしたんですけれども、一つは、情報伝達手段としてはLINEと連携してほしい。要するにアプリが単独であって、そのアプリを起動させないと、それがうまく情報が見れなかったりするよりも、日頃使っているものにリンクすると非常に見やすいと。実はこの手のアプリが今いっぱいあって、前のクレジットカードが財布に入っているけれど使うことがないのと似たようなもので、携帯の中に入ってるけれど、そのアプリをほとんど使わないということもたくさんあると。ましてやこの子育て支援関係は市町村もやってて、類似のものがいっぱいあるので、類似のものにいろいろな通知が来てると、結局開けなくなってしまうみたいなところがあるので、そういうことができたらいいなというお話を伺いました。 また、この方はということだと思うんですけれど、主婦はクーポンに弱いので、通常の割引以外に何かいろいろな情報が届くとありがたいとか、さっき言った位置情報が分かるのであれば、せいぜい小学6年生までの子供の行動範囲って学区内、あるいはせいぜい中学校区ぐらいなので、いろいろなところの情報よりも、そういう地域の情報があるとありがたいとの意見があったので、お伝えをしていこうと思っておりますが、そういう可能性について、もしコメントがあればお願いします。
○副議長(江本公一君) 子ども・福祉部長。 〔 子ども・福祉部長 片山圭子君 登壇 〕
◎子ども・福祉部長(片山圭子君) 再質問にお答えいたします。 せっかくアプリ化するのだから、いろいろな機能、利用者もいろいろな声があるのではないかということでありました。 お話のとおり、紙のカードとは比べ物にならないようないろいろな内容を盛り込んだり、場合によって互換性のようなことも考えられるのかもしれません。アプリ化によって、先ほど申し上げましたとおり、利用者の声をその中に吸い上げる機能を持たせたいと考えておりますので、そういった中で大いに利用者の声もいただきながら、まずは紙をアプリにするということで、先ほど申し上げた課題を解決するような機能を持たせつつ、運用後も拡張できるように仕様書上盛り込んでおりますので、利用する中で、常におっしゃっていただいたようなアップグレードを図っていくという観点で、先ほどの利用者の声も大いに参考にしながら、あるいは今の議員の御意見も参考にさせていただきながら、ニーズの高いもの、有用性のあるサービスは何かということを見極めつつ、常に改善を図っていけたらと思ってございます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) 御答弁ありがとうございました。 来年1月から運用開始ということで承ってるんですけれども、アプリ化を進めるに当たって、もう既にいろいろなところが取り組んでると思うので、ほかの自治体などの事例も研究してもらいたいと思っております。 アプリ化に限らず、いわゆるDXというのはハードやソフトの開発のスピードがすごく速くて、後から考えるとこうしておけばよかったなとか、こんなこともできたのにな、みたいな話になって、それを修正するのに結構なコストや手間がかかるということはよくあることかなと思ってます。焦って早期に導入するよりも、先行事例を参考にして、後出しじゃんけんじゃないですけれども、そういう対応が結果として賢かったというケースもあると思うので、スケジュール優先ではなくて、アプリ化によって実現したいサービスや生み出したい価値をよく考えて御検討されたほうがいいのではないかという要らぬ心配もしてるんですけれども、そのあたりについてお考えはいかがでしょうか。
○副議長(江本公一君) 知事。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) アプリの開発にはいろいろコツがあるので、失敗しないように頑張ってというエールをいただいたと考えております。おっしゃるとおりでありまして、焦り過ぎる、もしくはあまりにも修正がしにくいような形で焦って期限に間に合わせるというのは、大抵うまくいかない元になるわけでございます。現在、もうどうにも間に合わないと、ちょっと中途半端なものだけれども期限に間に合わせるようなことでリリースさせてほしいみたいな話は聞いておりません。粛々と順調にやってくれているものと考えておりますので、今の時点で、そうですか、じゃあ延ばしましょうとはならないわけですけれども、でもこれは今回のももっこカードアプリに限らず、非常に大事な考え方だと思っています。ただつくることだけではなく、その後のことも考えながらつくるというのは、常に頭に入れて仕事に取り組みたいと思っております。
○副議長(江本公一君) 次の項目に移りますので、答弁者は控席へ移動願います。 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) 御答弁ありがとうございました。 アプリに本当に期待をしておりますし、私の周りの人も非常に期待が大きいので、ぜひお願いしたいと思います。 次に、被覆肥料について伺います。 プラスチックの殻で覆われた被覆肥料は、被膜殻が水田から河川や海へ流出する可能性があることから、県では、これまでの農業従事者へのチラシ配布などに加え、講習会や巡回指導等において注意喚起を行うなど、積極的に流出対策を進めてこられました。取組を評価していますが、圃場からの流出が改善しているかについては検証が必要です。流出は、田植前後をピークに、出水期に多くなります。 直近の流出状況について、県はどのように実態を把握し、現状をどう評価していますか、農林水産部長に伺います。 具体的な流出防止対策の一つに、農業従事者の方に周知することが挙げられます。昨年11月に肥料法に基づく表示基準が改正され、肥料に使用されている被覆原料を肥料の包装袋等に表示することが義務づけられました。農業従事者や環境団体の方などに御協力をいただいて被覆肥料の包装袋等を調査したところ、私が調べた範囲で「プラスチック使用」が明確に表示されている商品は見つかりませんでした。 表示基準の施行に当たり、在庫の包装袋等の使用は1年間の猶予措置があるため、直ちに問題だとは申しませんが、今回の改正に対応した表示について、県はどのように実態を把握し、今後事業者にどのように働きかけますか、農林水産部長に伺います。 この問題は、農業従事者や肥料の製造・販売事業者に働きかけるだけでなく、消費者を含めた社会全体の環境保全に対する意識を高め、改善を目指すという視点も重要だと考えます。例えば販売をするお米のパッケージに、「このお米はプラスチックが流出しない肥料で作られたお米です」ということを表示し、消費者にアピールして付加価値をつける、こういうような対応などが考えられます。 この問題の解決に向けたエシカル消費を促す取組を提案いたしますが、知事の御所見を伺います。
○副議長(江本公一君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) お答えいたします。 被覆肥料についての御質問であります。 消費者を含めた取組についてでありますが、消費者が社会的課題の解決を考慮したり、こうした課題に取り組む事業者を応援する消費活動を促すことは、解決への一つの視点であると考えております。御提案の取組については、現時点では代替肥料の使用方法の確立や価格設定など付加価値のつけ方などの課題もあると考えております。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 農林水産部長万代洋士君。 〔 農林水産部長 万代洋士君 登壇 〕
◎農林水産部長(万代洋士君) お答えいたします。 まず、流出状況についてでありますが、農業普及指導センターが講習会や巡回指導を行う中で、農業者や農業団体とともに流出状況を現地で確認しているところであります。これまでの啓発や代替肥料の現地実証の取組により、被膜殻に対する農家の関心や理解が高まるとともに、浅水代かきや強制排水の防止など、流出対策の取組の拡大が見られ、地域によっては被膜殻の浮遊が減少しており、また代替肥料の流通が増加するなど、取組の効果が現れているものと考えております。 次に、被覆原料の表示についてでありますが、被覆肥料は国が所管する肥料であり、表示基準の製造事業者への対応については、国が把握、指導することとなります。プラスチックや硫黄などの被覆原料の表示は、農家が肥料を選択する際の重要な情報であることから、農家が表示を確認した上で適正に使用することができるよう、農業団体や肥料販売業者等と連携し、周知に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) 御答弁ありがとうございました。 質問を書きながら思っていたのですけれど、多くの農業従事者は予約注文で肥料を購入するケースが多いということで、表示袋に表示しているだけでは、商品が来てから、ああ、こうだったんだということもあるのかなということで、注文書にそういう記載があったほうが、より周知が進んだり、購買する方への動機づけもあるのかなということなので、そういう注文の仕方によってその注文書に明記するとか、そういうことも検討したらいいのではないかなと思っているんですけれども、御所見をお伺いします。
○副議長(江本公一君) 農林水産部長。 〔 農林水産部長 万代洋士君 登壇 〕
◎農林水産部長(万代洋士君) 再質問にお答えいたします。 答弁申し上げましたが、基本的に肥料の扱いは国ということになっておりますが、県といたしましては、農家が使用する際に適正に使用していただきたいということで、プラスチック被覆肥料の扱いについて、これまでいろいろさせていただいてる状況にございます。県といたしましては、例えば農協でありますとか肥料販売業者との意見交換の場というのも設けさせていただいております。農家に気づいていただくということがどういう方法ができるかというのは、そういう場でいろいろな意見交換が可能だと思っております。今議員御提案の内容も含めまして、農家に正しく伝わるような手法について、いろいろ検討してまいりたいと思います。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 次の項目に移ります。 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) ありがとうございました。 先ほどの肥料の問題なんですけれども、私もこの問題を何度か取り上げてきたんですが、非常に最近反省しているのが、農業をやってる方に何とかしろみたいなケースが非常に多いんですね。先ほど言われた浅水の代かきも、実際にやるとなかなか簡単な話ではなくて、なかなかテクニックが要るとか難しいようなところもあると。じゃあ、殻がバーッとたまってるところを網ですくって捨てればいいではないかというんですけれど、網ですくったらそのまま捨てられなくて、土のう袋の土壌みたいなのがすくえれなくて、あれ天日干しして乾いて、それでごみ袋に入れて捨てるということなんですけれど、そこまでやる人がどこまでいるのか。もともとこの一発肥料というのは一回まいただけで楽だから、今御高齢になっている農家の方も使用しているという実態があることなので、農業をやっている人にあれしろ、これしろということだけではどうかなというところがあります。そういう意味で、やっぱり全体で、もちろん販売、製造しているメーカーもそうですし、お米を食べる我々も含めて、いろいろな形で広めていけるようなことにできないかなということで、一つがエシカル消費ということなんですが、ちょっとそういう視点も考えていただければと思いますので、要望しておきます。 最後に、消費者教育について伺います。 労働組合などの調査によると、接客を伴うサービス業の従業員のうち、カスタマーハラスメントを受けたことがある人の割合は、55%~65%に上ります。コロナ禍では、SNS等での発信も含め、「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる小売や飲食の従業員等への差別的な発言が発せられるなどのハラスメントが深刻化しました。また、大手回転ずしチェーンでは、利用客がしょうゆ差しをなめ回すなどの迷惑行為が社会問題になりました。 本年3月に国の「消費者教育の推進に関する基本的な方針」が見直され、新方針では、消費者市民社会の一員としての行動促進が強調されています。消費者市民社会とは、「消費者が、(中略)自らの消費生活に関する行動が現在及び将来世代にわたって、内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会」を指します。その実現に向けた施策として、エシカル消費の推進などが挙げられています。 私は、消費者市民社会の実現には、消費者による度を超えたハラスメントや迷惑行為を防止する視点も必要だと考えています。そうした意味から、岡山市が今年度からスタートした第2次消費者教育推進計画の中に、「人権等に配慮した消費者教育の推進」を掲げ、「カスタマーハラスメントについての啓発」を盛り込んだことを高く評価しています。 県では、「第5次消費生活基本計画」策定の準備がスタートいたします。第4次計画策定時には「消費生活に関する県民意識調査」を行いましたが、第5次計画でも同様の調査を実施し、その中にカスタマーハラスメントや顧客の迷惑行為等に関する設問を入れるなど、消費者市民社会の一員としての県民意識も調べていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。その上で、策定に当たっては、これらの項目も消費者教育の対象に加えるよう検討していただきたいと考えますが、併せて知事の御所見を伺います。
○副議長(江本公一君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) お答えいたします。 消費者教育についての御質問でありますが、令和8年度、2026年度から始まる次期県消費生活基本計画の策定に当たっては、県民意識調査の実施を予定しており、設問の内容については、お話のカスタマーハラスメントや迷惑行為等も含め、今後検討してまいります。 また、次期計画においてこれらの項目を消費者教育の対象に加えることについては、県消費生活懇談会の意見や策定時における社会状況等を踏まえ、検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(江本公一君) 24番。 〔 24番 高橋 徹君 登壇 〕
◆24番(高橋徹君) これもこの議会でも何度か取り上げているテーマなんですけれども、消費者教育、これは消費者庁が管轄してますけれども、基本的には被害者を出さない、詐欺に引っかからないとか、そういうことが中心だと理解をしてるんですけれども、これだけカスタマーハラスメントとか迷惑行為、こういったものが頻発して、社会的な耳目を集めている中で、言わば加害者にならないための教育という視点も必要と思っております。いろいろな検討をして、その中で決めていこうというお話だと思うんですけれども、そういう人権に配慮、あるいは度を超えたのもそうですし、例えばスーパーマーケットなどに聞くと、冷凍食品を常温の売場に置いていってしまう人が割と日常的にいるそうなんですけれど、これはやられた側からすると、廃棄しないといけないので、万引きされたのと同じようなことになるんですけれども、そういうことも含めて、やっぱり消費者の方に意識をしていただくという視点は大切と思います。 私は販売の現場に長くいたので、消費者が持ってる力というのを物すごく感じておりまして、そういう意味では、いろいろな形で啓発活動の強化が効果につながるのではないかと思いますが、改めて御所見をいただければと思います。
○副議長(江本公一君) 知事。 〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(伊原木隆太君) カスタマーハラスメントについて、私も、天満屋ストアの副社長になり2年、そこで勤務をして、天満屋に入ってはその代表者としていろいろな報告を聞く中で、学生の頃に思っていたよりもかなり状況が深刻だということを思いまして、多分天満屋の社長になって1年以内ですけれども、お客様は神様ではありません宣言を幹部に対してしました。それまでも、本当にこれは同じ人間なんだろうかということで、もう絶対的な服従を前提にトラブル処理をしていたということですけれども、大事なお客様ではあるけれども、あちらも神様ではなくて人間であるし、我々も奴隷ではなくて人間なので、あまりにもひどい場合には、これはちょっと我々が許容できるような扱いではありませんということはきちんとお伝えをしましょうという方針に切り替えています。それがどこまで組織の隅々までどれぐらいのスピードで浸透したかは分かりませんけれども、少なくとも私が社長であった10年間は、こんなひどい目に遭ったというときに、いや、君が我慢すれば済むことだという裁定は下さなかったというのははっきり申し上げることができると思います。 これは、アメリカに住んでいるときでも、よくお店には、我々はサービスを拒否する権利を留保していますというカードがお店に貼ってあります。これは法的にどこまで有効なのかというのは結構論争になってまして、この前も最高裁判決があったばかりでありますけれども、例えば人種をベースにするサービス拒否というのは、これは駄目なのは明らかなんです。アメリカのほうが、日本人よりは言うときは言います。それであっても、やはりあらかじめ言っておかないと、もうとてつもないことが起きるということですし、これもアメリカですけれども、あの有名なスタンフォード監獄実験。看守の役と、それから監獄にいる囚人の役を振り分けたら、もともと普通の人たちなんですけれども、看守役の人があまりにも高圧的になって、途中で実験が中止になったというあの有名なやつですね。自分は強いんだと思った途端に、ふだん温厚な人でもとてつもない対応をするということはよくあることですので、そういった、先ほど議員が言われた加害者にならないための教育というのも、私は非常に大事なことだと思っています。ただ、それを計画に盛り込むかどうかについては、これから検討してまいりたいと存じます。
○副議長(江本公一君) 以上で高橋君の質問は終了いたしました。 ~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(江本公一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 ~~~~~~~~~~~~~~~
△9月14日の議事日程
○副議長(江本公一君) 明日の議事日程は、午前10時開議で、一般質問であります。 ~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(江本公一君) 本日はこれをもって散会いたします。 午後2時12分散会〇 令和5年9月13日(水曜日)出席議員 1番 角屋 忍君 2番 井出 妙子君 3番 鈴木 一史君 4番 小原なおみ君 5番 渡邉 直子君 6番 天野 英雄君 7番 坂本 亮平君 8番 正木 美恵君 9番 松島 幸一君 10番 佐古 一太君 11番 本山 紘司君 12番 福田 司君 13番 清水 薫君 14番 大橋 和明君 15番 乙倉 賢一君 16番 小倉 博君 17番 秋山 正浩君 18番 鳥井 良輔君 19番 吉田 徹君 20番 須増 伸子君 21番 氏平三穂子君 22番 荒島 俊造君 23番 大塚 愛君 24番 高橋 徹君 25番 河野 慶治君 26番 渡辺 知典君 27番 福島 恭子君 28番 山本 雅彦君 29番 木口 京子君 30番 市村 仁君 31番 上田 勝義君 32番 小林 義明君 33番 中塚 周一君 34番 江本 公一君 35番 太田 正孝君 36番 久徳 大輔君 37番 中川 雅子君 38番 柳田 哲君 39番 笹井 茂智君 40番 森脇 久紀君 41番 増川 英一君 42番 高原 俊彦君 43番 蜂谷 弘美君 44番 小倉 弘行君 45番 加藤 浩久君 46番 遠藤 康洋君 47番 神宝 謙一君 48番 波多 洋治君 49番 蓮岡 靖之君 50番 小田 圭一君 51番 渡辺 英気君 52番 内山 登君 53番 小野 泰弘君 54番 小田 春人君 55番 千田 博通君 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員 事務局長 清水 浩史 次長 下坂 泰幸 議事課長 安井 誠一 政務調査室長 村上 裕二 議事課長代理 門脇 学 議事課長補佐 難波 喜弘 議事課主幹 松川 一彦 議事課主任 山口 広倫 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局 知事 伊原木隆太君 副知事 横田 有次君 副知事 上坊 勝則君 公営企業管理者 片山 誠一君 危機管理監 根石 憲司君
総合政策局長 笠原 和男君 知事室長 下野間 豊君 総務部長 池永 亘君 総務部次長 中川 担泰君
県民生活部長 浮田信太郎君 環境文化部長 大熊 重行君 保健医療部長 梅木 和宣君 子ども・福祉部長 片山 圭子君 産業労働部長 宮本 由佳君 農林水産部長 万代 洋士君 土木部長 長尾 俊彦君 出納局長 善勝 史君教育委員会 教育長 鍵本 芳明君 教育次長 田中 秀和君公安委員会 委員 大土 弘君 警察本部長 河原 雄介君 警務部長 川口 晃君人事委員会 委員長 吉松 裕子君 事務局長 原田 和広君監査委員 代表監査委員 浅間 義正君 事務局長 有田 裕君選挙管理委員会 委員長 大林 裕一君...