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06月29日-07号

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  1. 岡山県議会 2021-06-29
    06月29日-07号


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    最終取得日: 2023-06-10
    令和 3年 6月定例会          ◎ 令和3年6月岡山県議会定例会会議録  第7号〇 令和3年6月29日(火曜日)                  議  事  日  程                  午前10時開議第1 議第88号(上程,知事の提案理由の説明)第2 一般質問第3 議第66号~議第88号,諮第1号及び報第6号(委員会付託)第4 陳情委員会付託      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 議第88号(上程,知事の提案理由の説明)日程第2 一般質問日程第3 議第66号~議第88号,諮第1号及び報第6号(委員会付託)日程第4 陳情委員会付託      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時開議 ○議長(神宝謙一君)  皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 議第88号(上程,知事の提案理由の説明) ○議長(神宝謙一君)  日程に入ります。 まず,議第88号令和3年度岡山県一般会計補正予算(第8号)を議題といたします。 知事から,提案理由の説明を求めます。 伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  ただいま追加上程されました予算案件につきまして,その概要を御説明申し上げます。 新型コロナウイルス感染症につきまして,今月20日までの緊急事態措置は解除されたところでありますが,引き続き,感染拡大防止対策を行っていく必要があることから,7月20日までをリバウンド防止強化期間と定め,今月30日まで,岡山市全域の飲食店等への営業時間の短縮要請を行うことといたしました。 この措置に伴い必要となる協力金支給等に要する経費につきまして,所要の補正措置を講じるものであります。 その結果,今回の補正予算額は,一般会計において23億8,500万円の増額であります。 補正後の一般会計予算額は,歳入歳出それぞれ8,122億7,700余万円であります。 一般会計歳入予算の内容につきましては,国庫支出金23億8,500万円を増額するものであります。 一般会計歳出予算の内容につきましては,産業労働総合対策費23億8,500万円を増額するものであります。 以上,今回提案いたしました議案につきまして,その概要を申し上げた次第であります。 何とぞ,慎重御審議の上,適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第2 一般質問 ○議長(神宝謙一君)  これより一般質問を行います。 16番山本雅彦君。   〔 16番 山本雅彦君 登壇 〕 ◆16番(山本雅彦君)  皆さん,おはようございます。 自由民主党山本雅彦です。 コロナ対策に最前線で御尽力をいただいている医療,保健福祉関係の皆様,そして知事はじめ県職員の皆様の御尽力に対しまして,心から敬意を表し,感謝申し上げる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。 コロナ禍の今,私たちは以前以上にお互いに優しい気持ちを持っていたわり合いながら,そしてその方の多様性も理解しながら,優しい社会をつくっていかなければいけないというふうに考えております。そして,何より明るく前向きに何事にも取り組む,この姿勢を大切にしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは,私も明るく前向きに質問に入らせていただきます。 まず,ウッドショックについてお尋ねいたします。 国の統計によりますと,日本の木材自給率は平成14年には18.8%と,非常に低い数字を記録いたしましたが,その後,年々上昇を続け,令和元年には37.8%にまで戻ってきております。さらに,国は,令和12年までに木材供給量を,令和元年の1.4倍まで拡大する目標を打ち出しています。 本県においては,県土の7割が森林であり,そのうち約40%が,杉やヒノキなどの人工林ですが,中でもヒノキの植栽率は高く,美作ヒノキとしてブランド化を図っています。県北地域を中心に,品質の高い美作材が産出され,特に高級建材であるヒノキでは,素材生産量全国トップクラスとして有名な地域となっていることは,皆さん御存じのとおりです。しかしながら,現状を見ますと,林業就業者の数は,最近では若手の就業者が増えつつあるものの,30年前と比較すると大きく減少しています。間伐の不足により,山が荒れ,建築材を生産する製材所の数も下げ止まったままであり,林業基盤が低下していると言わざるを得ません。 コロナ禍の今,外材の輸入量が大きく低下してしまったため,国産木材の価格が急騰しております。米国,中国を中心に,コロナ禍住宅需要が高まって,米国での製材価格はこの1年で3倍以上に跳ね上がっています。また,ロシアの原木金融施策やコンテナの不足で,輸入量に制限がかかっているのも原因だとのことであります。この状況を,業界ではウッドショックと呼び,日本国内で住宅価格の上昇や工期の遅れ,価格にも値上げの動きがあるなど,消費者への影響が出ていると報道されています。 そこで,ここ最近の本県での原木市場取引価格の推移,また,製材所からの出荷量の動き,そしてその価格状況はどうなっていますでしょうか,農林水産部長にお伺いいたします。 コロナ禍で,在宅時間が増え,広い住宅を求め,低金利の今,住宅新築を求める動きがありますが,ウッドショックの影響が少なからず出ているのではないでしょうか。県内の新築住宅価格新築住宅着工戸数の推移はどうなっていますか。また,住宅の建築工事の遅れは出ていないでしょうか,土木部長にお尋ねいたします。 米国での住宅需要の高まりは,バブルの様相を呈しているとの見方もあり,これが一時的なものか長期的な流れかを見極める必要があります。安定的な供給力があった外材の大量輸入によって,日本の林業・木材業界は,長らくその価格が低迷し,不況産業となっていました。不況が続いたため,従事者も少なくなり,木材の供給力も低下した状態であったのが,我が国の林業・木材の加工販売業界でした。 こうした状況の中,このウッドショックのピンチをチャンスに変えていかなくてはならないと考えます。言うまでもなく,森林・林業の活性化が本県産業の振興,水源の涵養を含めた自然環境の魅力充実につながります。本県も,県産木材の供給力アップを目指し,支援体制のさらなる強化が求められます。この機を捉え,早急に木材の増産につながる新たな林道の整備,人手不足を補う最新機械の導入支援,担い手の確保など,県内林業への支援が必要であると思いますがいかがでしょうか,追加の予算措置を含め,知事の御所見をお伺いいたします。 充実した森林資源を活用し,地域の活性化につなげるためには,森林所有者まで収益が還元される生産性の高い林業を実現することが必要であると考えております。併せて,知事の御所見をお伺いいたします。 次に,食の安全についてお伺いします。 昨年12月に成立した改正種苗法については,国が農家の自家増殖の実態を十分把握できていないとの御指摘があります。「自家農家による自家増殖の許諾が必要となれば,許諾料を支払うという市場原理が働いて,農家は企業に太刀打ちできなくなることは必至だ。つまり自営農家は,許諾料が上がれば,自家増殖を断念せざるを得なくなる。よって,今すぐ許諾料を課すことをやめて,種苗の育成農家の養成を開始しなくてはならない。そうしなくては,日本の固有種は守れなくなり,有機農法の未来は閉ざされてしまう」とのことであります。有機農法においては,本県においても,オンリーワンおかやま有機推進事業などにより推進していると思いますが,取組状況と今後の取組方針について,農林水産部長にお伺いいたします。 種苗法改正により,大変な努力の結果,消費者からの評価も高い農産品の改良がなされた品種が,無断で海外に流出することを防ぐという大きな効力ができたことは,すばらしいと思います。しかし,改正種苗法によって,農家の手足が縛られ,生産意欲が低下するようでは,種苗法の改悪と言わざるを得ません。おいしく,評価も高いお米や果物,全国に果物王国と誇る本県です。種苗法改正について,県内の生産者,農家から様々な反響,声があると思いますが,法改正についての農林水産部長の御所見をお尋ねいたします。 1990年代から農業分野において,遺伝子組換えが実用化され,現在では,米国をはじめ,多くの国でトウモロコシ,大豆等の遺伝子組換え作物が栽培されています。しかし,遺伝子組換えは,1,生態系への影響,2,食品としての安全性,3,大企業による農業,種子の支配の問題点を指摘する声もあり,生物多様性評価食品安全性評価は行われているものの,消費者の懸念や環境団体からの批判は消えておらず,推進派と反対派の対立が続いています。 近年,世界で栽培されている遺伝子組換えの大豆,トウモロコシ,菜種などは,主に加工用,飼料用であったと思われます。私たちが日常的に直接口に入る食品について,現在,遺伝子組換え食品はどのような食品が,どの程度流通し,遺伝子組換えの表示は正しくなされているのか,本県での状況を県民生活部長にお伺いいたします。 遺伝子組換え食品に次いで,ついに日本でもゲノム編集トマトが承認されました。このトマトは,ゲノム編集技術を用いて,血圧上昇を抑える効果のあるギャバの含有量を高めたトマトだそうです。ゲノム編集とは,生物が持っている遺伝子を効率よく編集する,つまり書き換える技術です。問題は,遺伝子組換え食品は表示をしていますけれども,このゲノム編集トマトは表示がなされていないことです。ゲノム編集トマトがこれから多くの人の口に入り,どのような影響を及ぼすのか,そのデータはまだ出ていません。ゲノム編集食品の表示は必要だと考えます。国は,これを見過ごすことなく表示を義務づけていただきたいと思っております。 さきに申し上げましたように,新型コロナウイルス感染症の陰で,種苗法が改正されました。さらに,私たちの命に関わる食品の添加物,遺伝子組換え食品ゲノム編集食品という大きな変化が急速に進んでいることも,私たちは正しく認識しなくてはなりません。人類は,遺伝子の人為的な組換えに成功し,人間の全遺伝子,人ゲノムの解読も完了しました。さらに,近年では,IPS細胞が製作され,また,より高い精度で遺伝子を操作できるゲノム編集技術が開発されるなど,生命科学は新たな段階に入っていると言われています。遺伝子組換えに次ぐゲノム編集によって,特別な機能成分を含むトマト,有害物質を生成しないジャガイモ,アレルギー成分を含まない小麦,肉づきのよい牛,魚など,開発も進んでいます。 アメリカでは,ゲノム編集食品について,その表示義務はないと報道にあります。ゲノム編集食品の推進者は,ゲノム編集によって起きる遺伝子の核変は,自然界で起きている自然変異と変わらず,従来の品種改良の延長線上にあると主張しています。しかし,誤ったDNAの切断やマーカー遺伝子の残留などが指摘されていることから,2018年7月,欧州,ヨーロッパ司法裁判所は,ゲノム編集は従来の遺伝子組換えと同様の規制対象とすべきと判断いたしました。 こうした世界の動向を受け,国も対応が迫られましたが,外部から遺伝子を導入しないゲノム編集は,遺伝子組換えとみなさないという方針を示し,ゲノム編集食品の表示を義務づけないこととしました。ただし,外来遺伝子が残存する場合は,遺伝子組換えと同じ対応が必要とのことでもあります。 国は,ゲノム編集食品の開発者に情報の提供,届出を求めていますけれども,これは義務ではありません。国民の十分な理解がない状況の中で,この性急な決定は,消費者の疑念と不安を招くおそれがあると考えますが,知事の御所見をお聞かせください。 ゲノム編集も発展途上の技術であり,過大評価すべきではなく,農林水産物,食品等への応用は慎重に進めるべきであります。そのためにも,十分な議論と検証が,そして国民理解が不可欠です。特に,マーケットに並ぶ食品へは,明確にゲノム編集食品であることを表示し,消費者の選ぶ権利を担保するため,国に表示義務を求めるべきと考えますが,併せて知事の御所見をお願いいたします。 次に,空港等の活用についてです。 6月14日,大阪府は,空飛ぶクルマの実用化に向けた実証実験への補助金について,企業の公募を始めたと発表がありました。実際の事業化に向けて,大阪府内で飛行環境や課題などを検証する企業を対象に,500万円を上限として経費の半額を補助することとし,8月中にも2件程度を選ぶ方針とのことです。2025年の国際博覧会大阪・関西万博での空飛ぶクルマの実用化を目指すそうであります。現在,空飛ぶクルマのプロジェクト候補は,世界で200~300件あると言われています。しかし,有人試験までこぎ着けたのは,僅か10件程度で,日本勢では,ベンチャー企業スカイドライブ社1件のみとのことであります。 大阪府に先駆け,国内で初めて空飛ぶクルマ,ドローンの屋外試験飛行が,6月4日,本県の笠岡ふれあい空港で行われました。高度約30メートルに浮上し,全長550メートルを折り返し,5分間安定した飛行をしたそうであります。ドローンの開発段階には,レベル1は空撮・点検,レベル2は農薬の散布・測量,レベル3は本土と離島間,山間地での物流,そしてレベル4は市街地も含めた物流となります。現在は,まだレベル4の実用は法整備がされておらず,法整備のポイントは,ドローン操縦免許制度の導入などにあると聞き及んでおります。今後,ドローンがビジネスや日常生活の様々な場面で普及する中,実証実験や研究が盛んになり,産業用,物流用にと劇的に活用が拡大していくことは間違いありません。また,法整備とともに,ドローン操縦免許制度の導入も進むものと考えます。免許取得には,広大な用地と飛行場が必要と想像できます。これからのドローン新時代に,本県の持つ優位性を生かさなくてはなりません。 そこで,笠岡ふれあい空港に,ドローンによる輸送等の実証実験をより多く呼び込み,さらには,ドローン操縦免許取得の教習所を誘致してはいかがでしょうか。本県が有する笠岡ふれあい空港が脚光を浴びてくることは,間違いありません。他県に先駆け,空飛ぶ車など,ドローン関係実証実験のメッカとして,また,ドローン操縦免許取得の教習所の誘致先として,笠岡ふれあい空港を活用することについて,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 また,本県には,笠岡ふれあい空港のほかにも2つの空港等があります。岡南飛行場での航空人材育成の拠点化,さらにビジネスジェットの新たな拠点として,岡山桃太郎空港の活用も進めるべきと考えます。日本列島の中心,空のへそは岡山,自然災害の少ない安定した気候の岡山,隣接する瀬戸内海上空に訓練飛行ができる大きな空域が広がっている岡山,何よりも県内に3つの空港等を有している岡山です。これらの優位性を生かさない手はありません。県内の3つの空港等の活用次第で,航空産業の拠点と成り得るその可能性があります。本県が有する3つの空港等の活用をどのように進めていくのか,知事の御所見をお尋ねいたします。 最後に,ローカル線についてお伺いいたします。 残念ながら,以前から心配されていたことが動き始めました。今年2月,JR西日本長谷川一明社長は,新型コロナウイルス感染症の影響で,令和2年度の純損益が過去最大の2,400億円の赤字予想になるなど,未曽有の経営状態にあるとして,これまで内部補助によって成立してきたローカル線の維持が非常に難しくなった,関係自治体と一緒になって,持続可能な地域交通を実現できるよう取り組んでいきたい,利用の少ないローカル線について,廃止も視野に検討すると表明されました。具体的な路線名は明らかにしておられませんが,かなりの区間で問題を抱えているとしています。そして,今月7日,利用低迷が続くJR芸備線の一部区間の運行について,JR西日本が廃止を含めた今後の在り方を,沿線自治体や住民と考える組織を設ける方針を固めたとのことであります。 広島県内沿線4市で構成する芸備線対策協議会は,JR西日本に充てた協力要請の中で,具体的な利用促進策として,駅舎施設の活用,特別車両による貸切り列車の運行,使いやすい乗車券の設定の3つを挙げています。また,沿線の様々な施設と関連づけてとあり,観光施設に限らず,学校,商業施設など,生活レベル利用促進も意図しているようです。これら対策協議会の運動が実を結び,成果が得られるよう期待したいと思います。ただ,この区間の沿線自治体である岡山県新見市は,芸備線対策協議会の会員ではありません。備中神代駅があり,その当事者でもある本県から積極的に広島県内沿線市とも連携し,芸備線存続に向けた要望や取組をお願いしたいと思います。 ローカル線では,もともと通勤需要が少ない上に,頼みの綱は,観光客の誘致だったのですが,国内需要は新型コロナによる外出自粛で低迷し,インバウンドに至っては壊滅状態,鉄道事業者にとって抜き差しならぬ状態となりました。そして,私が一番心配しておりますのは,芸備線に接続する姫新線です。芸備線でのこの動きは,残念ながら必ず本県のローカル線へも波及してまいります。姫新線は,姫路から津山を経て新見に至る158.1キロの路線,作備線と呼ばれた津山以西のほうが開通は早く,1930年全通,姫路-津山間は姫路の「姫」に津山の「津」と書く姫津線として,両側から延伸され,全通は1936年,同年に姫路-新見間が姫新線となりました。中国地方内陸の横軸,また,山陰・山陽連絡線の一部として機能し,かつては大阪方面から津山経由で鳥取方面を結ぶ急行「みささ」,中国勝山,新見方面への「みまさか」が運転されました。また,津山から新見,芸備線経由で広島と結ぶ急行「やまのゆ」が運転された時期もありました。しかし,中国自動車道の開通に伴うバス路線の整備や,山陰・山陽連絡の役目を伯備線や智頭急行が中心に担うようになったことにより,姫新線の役割は薄れました。1989年を最後に,優等列車の運行はなくなり,現在では専らローカル輸送路線となっています。そして,地域の生活者の方はもとより,このローカル線の恩恵を受けているのは高校生です。私の地元JR津山駅前での朝の風景は,通学の高校生がにぎやかに連なって今津屋橋を渡っていく。46年前の,いわゆる汽車通であった私自身の通学場面も懐かしく思い出され,いつもありがたく思っております。心配なのは,これからの将来の高校生の通学です。 教育長にお伺いいたします。 新見市・真庭市・津山市・勝央町・美作市内に立地している県立学校の生徒のJRの利用の実態をお示しください。 また,久米南町にある誕生寺支援学校にも,いつも元気に生徒が津山線で通学していますが,その利用状況を教えてください。 今後,各路線の存続が協議され,最悪廃止の可能性もあります。廃止された場合,ローカル線を利用する県立学校生徒の通学に大きな影響があると考えますが,御所見を併せてお聞かせください。 地域の資源として鉄道は,地域を支える大切な財産であり,地域住民の命,暮らしを支えるものであります。今後,姫新線・因美線・津山線の沿線自治体と連携し,新たな協議会の設立や既存協議会等の活用により,ローカル線存続に向けた国やJR等への要望や取組を進めていただきたいと思いますが,県民生活部長の御所見をお伺いいたします。 中国山地の鉄道網が失われてしまう可能性があります。県の中央部,県北部の鉄道がばっさり消えてなくなってしまうという状況も,最悪想像されます。日本の田舎の人々の命と暮らしを守るという観点から,今後,県としてJR西日本ローカル線存続への働きかけをどうしていくのか,国への要望も含め,今後の取組について,知事のお考えをお示しください。 以上,質問とさせていただきます。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の山本議員の質問にお答えいたします。 まず,ウッドショックについての御質問であります。 林業の支援等についてでありますが,国は,このたびの状況に関して,関連の業界団体に対し,実際の需要に基づいた適切な木材の発注や過剰な在庫を抱え込まないことなど,冷静な対応を求めております。また,関係事業者も今後の状況を見極めているところであり,県としても,これらの動向を注視しつつ,適切に対応してまいりたいと存じます。 お話の森林所有者まで収益が還元される生産性の高い林業を実現するためには,切って,使って,植えて,育てるという,林業サイクルを循環させ,安定供給体制の整備を図るとともに,県産材の需要を拡大することが重要であり,引き続き,林業生産活動の効率化や省力化の実現に向け,関係団体とも連携して取り組んでまいります。 次に,食の安全についての御質問であります。 ゲノム編集食品についてでありますが,外部から遺伝子を導入しないゲノム編集技術を用いた場合の安全性は,従来の育種技術を用いた場合と同程度と考えられているところであります。ゲノム編集技術をはじめとする新たな育種技術については,国内外で研究開発が進められている分野であることから,今後,国において流通実態や諸外国の表示制度に関する情報収集が随時行われ,新たな知見等が得られた場合には,必要に応じて取扱いの見直しを検討するとされており,国の動向等を注視してまいりたいと存じます。 次に,空港等の活用についての御質問であります。 3つの空港等についてでありますが,空港は,地域に多様な効果をもたらす資産であり,それぞれの特性を生かしながら活用を図ることが重要と認識しております。このため,岡山桃太郎空港については,主に大型機による定期便等の利用拡大に取り組み,岡南飛行場については,小型機による不定期の航空輸送や人材育成など,幅広い利活用を進めてまいりたいと存じます。また,お話のビジネスジェットについては,岡山桃太郎空港岡南飛行場との役割分担の下,既存施設の有効活用などを通じて利用促進に努めてまいりたいと存じます。 なお,笠岡ふれあい空港については,管理者である笠岡市において,地域の活性化のために利用されているところであります。 最後に,ローカル線についての御質問であります。 今後の取組についてでありますが,ローカル線は,地域住民日常生活に必要な移動手段であり,その維持は重要と考えております。これまでも,JRや沿線自治体と連携し,二次交通の利便性の向上を図るなど,ローカル線利用促進に努めてきたところであります。また,JRに対しては,路線の維持や利便性等の向上などについて,国に対しては,利用促進に取り組む沿線自治体等への支援の拡充を要望してきたところであります。今後とも,将来にわたるローカル線の維持に向け,沿線自治体等と連携し,利用促進に取り組むとともに,国やJRに対して必要な働きかけを行ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  県民生活部長那須信行君。   〔 県民生活部長 那須信行君 登壇 〕 ◎県民生活部長那須信行君)  お答えいたします。 食の安全についての御質問であります。 遺伝子組換え食品についてでありますが,現在流通している遺伝子組換え食品は,大豆,トウモロコシなど8種類の農産物と,豆腐,コーンスナック菓子など33の加工食品に限られており,国において安全性を審査・承認したものが製造・輸入・販売される仕組みとなっていることから,その流通量の把握までは行っていないところでございます。また,食品表示上において,遺伝子組換え食品の表示は義務づけられており,保健所において遺伝子組換え食品の検査や表示内容の監視を実施しておりますが,これまで不適正な表示が行われた事例は確認されていないところであります。引き続き,適正な表示がなされるよう努めてまいりたいと存じます。 次に,ローカル線についての御質問であります。 JR姫新線等についてでありますが,県が参画するJR在来線兵庫-岡山間利便性向上等連絡会議や,因美線・津山線近代化促進期成同盟会により,国やJR等に対しローカル線の維持等について要望を行っているところであります。また,姫新線・因美線・芸備線を利用する会や,津山線利用を促進する会等により,沿線住民に向けたイベント等での資材配布や広報誌による啓発などに取り組み,利用促進を図っているところであります。今後とも,既存の協議会等をしっかり活用し,沿線自治体との一層の連携強化を図り,取組内容を工夫するなど,ローカル線の維持に向けて取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 まず,ウッドショックについての御質問であります。 原木価格等についてでありますが,本県における原木市場の取引価格は,今年3月頃から徐々に上昇し始め,6月には,前年同月に比べヒノキで約2倍,杉で約1.5倍となっております。また,製材所からの出荷量は,3月以降増加傾向にあり,製品市場での取引価格も4月以降上昇し始め,5月には前年同月に比べヒノキで約1.4倍,杉で約1.1倍となっております。 次に,食の安全についての御質問であります。 有機農業についてでありますが,これまで,県では,参入希望者への支援や消費者等へのPRなど,生産振興と販売促進に市町村や農業団体と一体となって積極的に取り組んできたところであります。今後は,こうした取組とともに,生産者に対する栽培技術の一層の普及や規模拡大の働きかけ,消費者ニーズを踏まえた品目の導入促進などを通じて,有機農業のさらなる推進を図ってまいりたいと存じます。 次に,種苗法改正についてでありますが,県内で栽培されているほとんどは,許諾の必要がない一般品種であり,今後も,自由に自家増殖ができます。一方,許諾が必要な登録品種は,その多くが公的機関が開発したものであり,その許諾に当たっては,国のガイドラインに基づき,農業団体等の意向を踏まえるとともに,農業者の営農の支障とならないよう配慮することとされております。県といたしましても,今回の改正法が農業者の負担増大につながらないよう,十分配慮しながら,県育成品種の適正な管理に努め,本県農業の持続的な発展に取り組んでまいりたいと存じます。 最後に,空港等の活用についての御質問であります。 笠岡ふれあい空港についてでありますが,この施設は,農道離着陸場として県が整備し,現在,笠岡市が管理しており,防災訓練や各種イベントなど,その機能を妨げない範囲で多目的に利用されているところであります。また,現在の利用に加え,島嶼部の医療体制の強化や,お話の空飛ぶクルマの実験等に活用する構想もあると承知しており,県では,こうした状況を踏まえながら,今後の対応について検討してまいりたいと存じます 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  土木部長原田一郎君。   〔 土木部長 原田一郎君 登壇 〕 ◎土木部長(原田一郎君)  お答えいたします。 ウッドショックについての御質問であります。 新築住宅価格等についてでありますが,国土交通省の最新の月例統計データによると,県内の新築住宅の単位面積当たりの価格,着工戸数ともに,今年4月までの2年間では,多少の変動はあるものの,おおむね一定の水準で推移しております。また,この統計では,住宅の完成時期について調査対象となっていないことから,着工後の工事の遅れは把握できないところでありますが,今後,新築住宅の着工動向等を注視し,国等とも情報共有を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 ローカル線についてのうち,生徒の利用状況等についてでありますが,お話の新見市・真庭市・津山市・勝央町・美作市内に立地する県立高校9校の在籍生徒のうち,今年度,JRを利用しているのは約23%に当たる1,003人であります。また,誕生寺支援学校の高等部在籍生徒のうち,津山線を利用しているのは約27%に当たる31人であります。仮に,全てのJR路線が一度に廃止された場合,その路線を利用する県立学校の生徒は,通学手段の変更を余儀なくされ,通学時間や通学費の増加が懸念されます。さらには,今後,県立学校へ進学を希望する児童生徒の進路選択の幅を狭めるなど,与える影響はあるだろうと考えております。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  16番。   〔 16番 山本雅彦君 登壇 〕 ◆16番(山本雅彦君)  御答弁ありがとうございました。 実は,昨日,作州県議団,市村先生を中心に,勝央町の県森林研究所,新しく整備いただいた森林技術研修施設を視察してまいりました。大変すばらしい施設で,今後の担い手の確保や林業技術の向上,これでしっかり前進したなと思います。あとは,需要と供給,木材が足りない,多くの木材を出すには,やはり林道,また,作業道の整備です。県もできることをしっかりやっていただけたらと,要望しまして,質問に代えさせていただきます。ありがとうございました。
    ○議長(神宝謙一君)  以上で山本君の質問は終了いたしました。 次の質問者に移ります。 10番大森一生君。   〔 10番 大森一生君 登壇 〕 ◆10番(大森一生君)  皆様,おはようございます。 自由民主党の大森一生でございます。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 岡山県下で1か月余り続いた緊急事態宣言が6月21日に解除され,これもひとえに多くの県民の皆様の御理解,御協力,それと医療関係者の皆様の懸命の御尽力のおかげだと思っております。改めて,感謝申し上げます。 さて,新型コロナウイルス感染症によって私たちの社会生活は,変更を余儀なくされ,人や物,情報などを集約して,経済性,効率性を高め,豊かさを向上させてきた仕組みが一変しました。県政において,最上位に位置づけられ,その推進の羅針盤である第3次晴れの国おかやま生き活きプランにおいて,社会経済活動の本格的な回復に向け,コロナ禍前の状態にただ戻すのではなく,感染症を契機としたデジタル化の進展や地方分散の流れなどの社会変化を,岡山県のさらなる発展につなげていく,そして過去からの延長線上で物事を考えるのではなく,将来の目指すべき姿を描き,これから取り組むべきことをしっかり考え,目指すべき岡山の将来像の実現に向けて,より長期的な視点を持ちながら,根拠に基づく政策立案やデジタル技術の活用により,全ての県民が明るい笑顔で暮らす「生き活き岡山」の実現を目指すとしています。 また,SDGsの17の目標の中の11番目に,住み続けられるまちづくりを,都市と人間の居住地を,包摂的,安全,強靱かつ持続可能にするというものがございます。SDGs未来都市とは,SDGsを原動力とした地方創生,強靱かつ優しい魅力的なまちづくりで,「経済」,「環境」,「社会」の3つのバランスをよく取ることで,持続可能な社会を実現する上で大変重要とされています。 さらに,情報社会に続く未来社会Society5.0において,デジタル革新,イノベーションを最大限活用した超スマート社会へ大きく変わろうとしています。しかし,このコロナウイルスによってこれまで享受してきた集積の経済による経済的なメリットが生かせなくなり,集積の不経済が起きてしまいました。今,集積の経済と集積の不経済とのバランス最適化が,ポストコロナ社会をどのように構築していくのかを考える上で,とても重要になってくると,私は思っています。その集積の経済と不経済の最適化を,文化芸術,美しい景観とデザインを生かしたまちづくり,持続可能な社会の実現に向けたデジタルとアナログの有機的連携で生み出される新たな価値創造について,質問,御提案させていただきます。 昨年9月の定例会で,文化芸術振興についてお尋ねしました。ポストコロナをどのように考え,描いていくのか,そのヒントの一つとして,アメリカ世界大恐慌時のニューディール政策でのフェデラル・ワンと呼ばれる文化芸術政策を御紹介させていただきました。その際の知事の御答弁は,「文化には地域の魅力や価値を高める力があることから,今後とも,文化の力を地域づくりや観光振興などに生かすことにより,本県の持続的発展につなげていく」とのことでした。文化行政という言葉には,余暇の充実や社会教育などのイメージが根強く残されています。文化をめぐる国や自治体の取組を考える際,人権問題として捉え,まちづくりや社会包摂などの幅広い分野に関する不可欠なものであると,私は思っています。 2017年に成立した文化芸術基本法の第2条には,「文化芸術に関する施策の推進に当たっては,文化芸術により生み出される様々な価値を,文化芸術の継承・発展及び創造に活用することが重要であることに鑑み,文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ,観光,まちづくり,国際交流,福祉,教育,産業,その他の各関連分野における施策との有機的な連携が配慮されなければならない」とされました。その3項において,文化芸術の基本的人権についても述べられています。これまで,製造業を中心に経済効率優先で日本経済は発展してきました。しかし,生産要素である資本と労働が国境を越えて移動するグローバル経済の進展とともに,世界経済における日本の相対的位置づけは縮小しています。 そこで,国内人口の縮小や従来型産業のピークアウトによる内需減少を補うため,「クールジャパン」などのソフト産業の振興が急務となり,日本の魅力を展開し,海外需要の獲得を目指したインバウンドの促進のために文化資源の発掘が求められ,観光と文化振興が結びつけられました。また,今,デジタル社会の構築,DXの進展とともに生産性が高まり,働き方の変遷とともに,ポストコロナにおける人間関係の再構築,フェースツーフェースの関係がとても重要になってくるのではないでしょうか。ドライなデジタルと感覚的なアナログの有機的融合が,新たな付加価値の創造につながっていくと思います。地方創生,東京一極集中の是正には,この文化施策のパラダイムシフト,構造転換,新たな価値創造がとても重要になってきています。そして,文化芸術の振興は,少子高齢化に伴う過疎問題,コミュニティー衰退などの課題解決につながっていくのではと思っていますが,知事の御所見をお聞かせください。 また,集積の経済と集積の不経済とのバランス,最適化において,文化芸術や音楽,スポーツの役割がとても重要になってくると思いますが,併せて御所見をお伺いします。 また,文化を核とした地域活性化促進事業の新規事業として,おかやま文化芸術コネクト事業がございます。これは,県内の芸術家たちがコロナ禍においても活動を断念することなく,芸術家自体が地域の貴重な文化資源として認知され,活動の場を得ることができるよう,文化連盟とタイアップして継続的にサポートしていくというものです。また,アートプロジェクトおかやま推進事業として,おかやまAIR地域協働事業,次世代おかやまアーティスト活動促進事業,文化芸術オーガナイザー育成・支援事業,身近にオーケストラ!鑑賞事業があります。コロナ禍にあっても,広く県民が文化に親しみ,実践することができる環境づくりを進め,地域の一体感や活力醸成につなげ,豊かで潤いのある暮らしや活力のある地域を創造するとありますが,これらの事業を推進するに当たって,その事業内容とこれまでの成果と課題を,環境文化部長にお尋ねします。 また,このコロナ禍において,県内の芸術家の皆様の活動も自粛・中止を余儀なくされていると思います。国や県,地元自治体からどのような支援措置が取られているのでしょうか。また,県内で活動されている芸術家の実態や現状などを,環境文化部長にお尋ねします。 岡山県では,様々な文化,歴史,芸術に関する施設がございます。その代表に,岡山県立美術館やモネやエル・グレコのある大原美術館が,高梁市には洋画家の児島虎次郎を顕彰した成羽美術館があります。設計は,建築家安藤忠雄氏によるもので,コンクリートの壁と周囲の緑がとても調和したとても美しい景観となっていて,コロナ以前は企画のすばらしさもあって,多くの来館者でにぎわっていました。 また,アートイベントとして,2010年から始まった瀬戸内国際芸術祭がございます。一昨年は,延べ117万人が訪れたそうです。事業を展開するベネッセと岡山大学が共同で,この芸術祭が地域の持続可能性や島民の暮らしにもたらした影響について研究し,来年の芸術祭期間中にシンポジウムを開いて成果を発表するそうです。岡山大学の槇野博文学長は,「これからの社会は人間の価値や豊かな生き方が重要になる」とコメントしています。以前の瀬戸内国際芸術祭に対する質問で,「瀬戸内海の景観といった地域の強みとなる資源を,アートの力を活用してさらなる魅力の向上につなげるもので,国内外から多くのアートファンが訪れることでにぎわい創出はもとより,宿泊などの経済的な面でも大きな効果があったと考えています。今後は,本県の持つ豊富な文化的資源を有機的につなぎ,工夫して情報発信するなど,本県の魅力をより高めていくことが必要だと考えているところでございます」とお答えになっています。 そこで,お尋ねします。 今後は,本県の持つ豊富な文化的資源を有機的につなげ,工夫して情報発信するなど,本県の魅力をより高めていくとしていますが,現状コロナ禍では難しいでしょうが,おかやま文化コネクト事業などの関連も含めて,本県の文化芸術の振興の今後の展開,方向性をお聞かせください。 また,瀬戸内芸術祭にもっと積極的に関与していくべきだと思いますが,併せて知事の御所見をお尋ねします。 次に,中山間地域の振興についてお尋ねします。 知事の2期8年の大きな成果として,企業誘致がございます。今後,人口減少が進むと予想される中,年々,雇用,人材の確保など,その厳しさを増してくるのではないでしょうか。とりわけ中山間地域での企業誘致は,地場産業,特に建設業との人の取り合いを含め,かなり困難な状況になってきています。企業誘致と同時に,関係人口の創出拡大や,移住・定住といった人の誘致についても考えていかなければ,地域の持続的可能性,岡山県の持続的発展はないのではないでしょうか,知事の考えをお聞かせください。 岡山大学では,地域との連携を図る専門組織として,「地域総合研究センターアゴラ」を開設して10年になります。アゴラは,古代ギリシャの公共広場のことで,市民の集会や政治,経済にまたがる生活の中心の広場で,社会という概念の起源とも言われています。アゴラは,自治体やNPOなどと課題解決への協力,学生のまちづくり参画支援や大学と地域の連携に関する学術研究の蓄積を行い,地域創生に必要不可欠な情報を発信してきました。私も,地域総合研究センターアゴラが開設される前の2010年の第2回ネットワークアゴラで,当時の中村洋平大学院教授と共同で研究発表させていただいた経験がございます。このアゴラに参画された議員の皆様も多いのではないかと思っています。活動を評価する声がある一方,今年2月に西川アゴラ,2018年にまちなかキャンパス城下ステーションを廃止,アゴラが学外に2か所設けていたまちづくり拠点がなくなり,存在感が薄れてきたとの指摘もございます。現在は,まちづくり活動の支援やシンクタンク機能などにその役割を縮小しています。 第3次晴れの国おかやま生き活きプランにおいて,様々な主体との連携,協働による取組の重要性が掲げられ,安心して暮らし続けることができる地域づくりを目指すとされています。これまでアゴラは,地域との連携に多くの功績を残しており,ポストコロナにおける安心して暮らし続けることができる地域づくりの推進を考える上で,その存在は不可欠だと思いますが,アゴラと中山間地域等を結びつける橋渡し役を県として行うことはできないでしょうか,知事にお尋ねします。 また,知の拠点である岡山大学と地域との距離が縮まり,学生と地域が一体となった課題解決に向けた活動は,岡山への愛着度が深まり,定着することが期待されると同時に,学生たちのスキルアップ,キャリアにもつながり,地域の課題発見,解決能力が岡山の未来を創造する次代の担い手確保につながっていくと思いますが,併せて知事の御所見をお尋ねします。 次に,文化観光振興につながる景観行政についてお尋ねします。 以前の一般質問でもお尋ねしましたが,岡山県では,昭和63年3月に,全国都道府県で4番目に,岡山県景観条例が制定されました。その後の平成16年に景観法が制定されたのを契機に,平成19年9月に,晴れの国おかやま景観計画が策定されています。その基本理念の中で,「県及び市町村は行政としての責任を認識し,景観形成施策を積極的に推進し,県民,事業者と協働しながら良好な景観の形成を図っていきます」としています。また,「県民,事業者,市町村,県がそれぞれの責務を担いながら相互連携を図り,次世代につなぐ快適で文化の薫り高い景観づくりを進めていく」としています。 6月に公表された日本政策投資銀行岡山事務所の2020岡山のインバウンド観光動向,「コロナ禍の現状とアフターコロナに向けて」を見ると,外国人海外旅行経験者の意向調査では,観光したい国,地域では,日本を挙げた人が約6割と最も多く,岡山について知っていると回答した人は12.6%,前年は12.7%,行ってみたいと回答した人は3.1%,前年3.8%となっており,伸びしろも含め,改善の余地があると明記されています。ちなみに,岡山への認知度が高い地域は,台湾が34.8%,香港が25.9%でした。また,訪問意欲について,岡山へ訪問したいと回答した人は,全体で3.1%,アジア全体で3.3%,欧米豪全体で2.5%に,岡山を認知する人のうち,訪問意欲のある人は,全体で22.7%となっていて,認知する2割程度の人しか岡山訪問を希望していないことを示しています。また,訪日目的については,主に自然に関する興味が高く,桜,紅葉など,日本特有の四季や有名な史跡や歴史的な建築物の見物に関心があり,岡山訪問希望者は,訪日希望者全体より全項目で関心が高いという結果が出ています。 また,この観光動向に記載されているJTBF,日本交通公社の観光資源台帳によると,岡山が最高評価の「S」に選ばれたのは,広島,岡山,香川,瀬戸内海の多島景観だけで,岡山単独でS評価とされた観光資源はなく,吉備津神社,後楽園,会陽・はだか祭り,倉敷河畔の町並み,大原美術館,瀬戸大橋,閑谷学校跡の7か所がA評価となっていて,B評価にランクされた岡山城のさらなる整備については,評価対象外の旭川の桜並木や岡山県立美術館と組合せ,イタリア発祥の地域創生手法である「アルベルゴ・ディフーゾ」に取り組む矢掛町などと,欧米人の好む歴史を組み合わせたストーリーづくりなど,観光資源のハード面の強化・連携がA評価に引き上げる方策例として挙げられています。 景観法において,「良好な景観は,地域の自然,歴史,文化等と人々の生活,経済活動等との調和により形成されるもの」と規定されています。そこから,経済,歴史,文化,自然が相互に連関して発展していく美しさを伴った創造的な都市像が浮かび上がってきます。美しい景観は,観光客だけではなく,新しい時代や経済を担う創造的人材や芸術家や建築家,デザイナーなど,多様で感受性の豊かな人を引きつけるマグネットの役割を担ってくれるのではないでしょうか。アメリカの創造都市学者のリチャード・フロリダは,「創造性は居心地のよい場所を求める」と言っています。また,「ゲイがたくさん住めるまちは,クリエーティブである」とも言っています。 経済と歴史,文化,自然が相互に連関して発展していく美しさを伴った創造的な都市とするためには,美しい景観,空間の形成が不可欠で,景観は過去の伝統文化を継承しつつ未来を創造していく中で形成されていくと思いますが,景観をもたらす効果について,知事のお考えをお聞かせください。 また,晴れの国おかやま景観計画が策定されてから14年が経過しています。この間,景観に対する意識の変化,インバウンド観光誘致など,景観行政に与える影響が少なからずあったと思いますが,この観光動向を受けて,本県の景観行政をめぐる現状と課題について,お伺いいたします。 また,今後,このハード面での提言を受けて,ハード整備を担当する部局と連携して景観行政に取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか,環境文化部長のお考えを併せてお聞かせください。 次に,防災・減災の視点から,景観行政についてお尋ねします。 近年,気候変動の影響により,気象災害は激甚化,頻発化し,南海トラフ地震等の大地震が切迫しています。また,高度成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が懸念されています。令和2年12月に閣議決定された防災・減災国土強靱化のための5か年加速化対策に,市街地等の緊急輸送道路における無電柱化対策が挙げられています。令和元年の台風15号による局地的な強風により,約2,000本の電柱が倒壊し,道路閉塞に伴う通行止め等により,復旧活動に支障が出ました。また,平成7年の阪神・淡路大震災で倒壊した電柱と電信柱は約8,100本,平成23年の東日本大震災では約5万6,000本が倒壊しています。倒れた電柱は,原則所有者である電柱管理者が処理することとなっており,それまで避難や災害救助の妨げにもなり,停電も発生し,被害が大きくなれば,復旧にも時間がかかることとなります。 阪神・淡路大震災のデータでは,電信柱が約3,600本,電柱が約4,500本で,合わせて約8,100本が倒壊し,被害は地中のほうが多いという説もあったようですが,地中線でそれぞれ0.03%,4.7%の被害率で,架空線ではそれぞれ2.4%,10.3%の被害があり,電信柱では地中線が架空線の80分の1,電柱では2分の1の被害率で,ともに地中線のほうが被害は少なかったとのデータが出ています。東日本大震災でも,同様のデータが出ています。 私たちの身近にある電柱が災害時には凶器であり,障害物になることは明らかであり,国の標榜する国土強靱化計画にも無電柱化は必須であり,災害に強いまちづくりには,電柱は不要です。電柱は,歩道と車道との境界に建っていることが多く,歩行者や車椅子等の通行の妨げになっていることが多く見られます。電柱と自動車の衝突に巻き込まれた事故においては,死亡率が10倍に跳ね上がっているとのデータもあります。昨日,千葉県でトラックが電柱にぶつかり,コントロールを失って児童の列にぶつかるという不幸な事故も起きています。 日本の最初の電柱は,1869年(明治2年)に建てられたそうです。約150年たった現在,全国で約3,600万本あり,年間7万本のペースで増加しているそうです。日本中の桜の木の総数が約3,500万本と言われ,電柱のほうが多い計算になります。日本では,なかなか進まない無電柱化ですが,海外に目を向けると,ロンドン,パリは100%,アジアでは香港,シンガポールが100%,台北が96%,ソウルが49%と進んでいます。一方,東京23区は8%,大阪市が6%,都道府県で見ると,東京都が5%でトップで,岡山県は33位の1%ほどです。 また,外国人観光客が日本に来て驚くのが,空を覆う電柱と電線だそうです。我々日本人からすれば,道路に幾本も立つ電柱や目の前を覆う電線は,ごく普通の光景ですが,欧米の外国人にとっては,奇異な光景に映り,外国人が撮りたがる日本の風景ベストスリーに入るそうです。ちなみに,あと2つはパチンコ屋さんと立体駐車場だそうです。 そこで,お尋ねします。 2016年12月に,無電柱化推進に関する法律が施行され,約2年後の2019年3月に,無電柱化を計画的かつ迅速に推進するための基本計画である「岡山県無電柱化推進計画」が策定されました。策定後の岡山県の無電柱化をどのように進められてきたのでしょうか。その計画の進捗状況と課題,今後の方向性についてお尋ねします。 また,無電柱化のメリットとして,災害に強いまちづくりはもちろんのこと,安全な通行空間の確保,まちの景観向上や祭事,行事の活性化,また,商店街や観光地で観光客が急増するなどの例も多く見られています。さらに,無電柱化は,不動産などの価値を高めるとの調査結果もございます。県内での主要観光地や重要伝統的建造物群保存地区,日本遺産に認定された地区,歴史まちづくり認定地区の無電柱化の状況についても教えてください。併せて,土木部長にお尋ねします。 無電柱化推進法の第1条に,災害防止,安全円滑な交通の確保,良好な景観形成が掲げられ,電柱・電線が歩行者や住民にとって公害と同じような外部不経済であることが指摘されています。また,第5条では,「事業者は,主体的に電柱または電線の道路上における設置の抑制及び撤去を行い,技術開発を行う」としています。電線共同溝による無電柱化は,国がリードしてきましたが,外部不経済となれば,その解消は事業者がリードしていかなければなりません。それには,技術開発が必須で,より優れた技術開発競争が起これば,無電柱化は成長産業になるのではないでしょうか。自動車産業を見れば,火を見るより明らかでございます。また,町並みに多く存在する電柱は,町歩きや海外旅行の一般化により,日本の電柱・電線の多さは,人々の意識が向くようになり,ふだんは意識されないが,一度気がつくと意識にまとわりつく微細な騒音のような存在,いわゆるホワイトノイズになっています。 そこで,お尋ねします。 無電柱化に先進的に取り組むことによって,良好で美しい景観づくりが県や都市のイメージアップ,ポストコロナにおける優位性,インバウンドへとつながっていくと思います。また,これから起こるかもしれない未曽有の災害に対して,防災・減災につながりますし,また,安定的な公共事業の一つにも成り得る可能性もあります。県が中心になって無電柱化推進に取り組んでいってはいかがでしょうか,知事のお考えをお聞かせください。 また,無電柱化は,ガス,水道,下水道と同じく極めてシンプルな事業でありますが,無電柱化を進めるには,地元自治体,事業者や地域住民などとの合意形成など,多くの方との連携・協働がとても重要になってくると思います。併せて,知事のお考えをお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の大森議員の質問にお答えいたします。 まず,文化芸術の振興についての御質問であります。 所見についてでありますが,地方創生への取組が重要な課題となる中,お話のとおり,文化芸術の力を地域づくりや観光振興などに生かすことは,人口減少をはじめ,地域が抱える様々な課題解決や地域産業の活性化につながるものと考えております。県としては,関係団体や市町村など,多様な主体との連携を図りながら,地域で活動する芸術家等の育成支援や,県民,民間団体等の文化活動への参画の促進などを通じ,本県の文化芸術の振興に努めてまいりたいと存じます。 次に,今後の展開等についてでありますが,おかやま文化芸術コネクト事業をはじめ様々な文化振興施策を展開することにより,県内の芸術家への幅広い支援を行うとともに,アートの力と地域資源を結びつけた岡山ならではの取組の情報発信を強化し,本県の地域づくりや観光振興につなげてまいりたいと考えております。また,来年度開催される瀬戸内国際芸術祭は,国内外から多くのアートのファンが訪れる好機であり,県内各地で開催するアートイベントや文化的資源をきめ細かく情報発信することにより,県全体への波及効果を高めてまいりたいと存じます。 次に,中山間地域の振興についての御質問であります。 人の誘致についてでありますが,中山間地域の振興にとって人は大切な要素であると考えており,これまで,県では,首都圏等での移住フェアや県内への移住体験ツアーなど,移住・定住の促進に取り組んできたところであります。現在,感染症を契機に地方移住への関心の高まりや柔軟な働き方の広がりが見られており,この変化をチャンスと捉え,本県に人を呼び込むためのさらなる取組が必要と考えております。今後は,関係人口にも着目し,首都圏でのトップセミナーの開催やSNSの活用などによる魅力発信の強化に加え,ワーケーションの受入れに向けた取組を進めるなど,市町村と連携しながら本県への人の誘致を図ってまいりたいと存じます。 次に,地域総合研究センターについてでありますが,お話のセンターは,学生が地域に入り,自治体やNPO等と協働して様々な地域課題について,現状把握・分析を行い,その解決や地域振興に向けた手法の研究・実践に取り組んでおり,県が実施する「おかやま元気!集落」の関連事業を通じて,センターと地域を支援してきたところであります。こうした学生が地域と主体的に関わる取組は,地域活力の維持や若者の地域への愛着心の醸成,また,関係人口の創出・拡大にも寄与するものと考えており,今後とも,大学等と中山間地域の連携がさらに進むよう努めてまいりたいと存じます。 最後に,景観行政についての御質問であります。 景観がもたらす効果についてでありますが,良好な景観を形成し,次世代に継承・発展させていくことは,郷土に対する誇りと愛着心を育み,県民としてのアイデンティティーを高めるものと考えております。また,県内各地域の優れた景観は,観光振興や移住促進を図る上でも大きな魅力となるものであり,県としては,引き続き,市町村や民間団体等と連携し,本県の豊かな歴史文化,自然環境や各地域の特色を生かした景観づくりに取り組んでまいりたいと存じます。 次に,無電柱化の推進についてでありますが,無電柱化の実現には,多くの関係者間の調整が必要であることから,国,地方公共団体,電線管理者等で構成する電線類地中化協議会の中で情報共有を図り,実施区間や整備手法等の検討を行うなど,関係機関が一体となって取り組むべきものと考えております。また,事業を進めるに当たっては,地域住民の理解や協力も重要であることから,協議会や個別事業の調整会議に加え,地元説明会等を行い,関係者の意向を踏まえながら,無電柱化の推進に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  環境文化部長佐藤将男。   〔 環境文化部長 佐藤将男君 登壇 〕 ◎環境文化部長(佐藤将男君)  お答えいたします。 文化芸術の振興についての御質問であります。 まず,おかやま文化芸術コネクト事業等についてでありますが,現在,県内で活動する芸術家の情報を一元化するアーティストバンクの設置をはじめ,新進気鋭のアーティストの県内各地での企画展や国内外から招聘した芸術家の滞在制作,地域活動などを支援する事業等に取り組んでいるところであります。これまでの成果としては,アートの視点による地域固有の素材の情報発信や本県ゆかりの若手芸術家の育成などが図られたものと考えております。また,課題としては,これらの事業をより多くの地域や分野に広げる必要があると考えており,多彩な文化芸術活動が県内全域にわたって展開されるよう,内容をより一層工夫してまいりたいと存じます。 次に,コロナ禍における支援措置等についてでありますが,感染症拡大により影響を受けた芸術家や文化団体等に対し,関係団体による相談窓口等において,国の給付金などの情報提供を行ったほか,感染防止対策や文化芸術活動に要する経費について,県独自に支援してきたところであります。また,第4波の感染拡大に伴い,延期や中止が相次いでいた文化イベント等については,一部に再開の兆しが見られるものの,コロナ禍以前の状況にはまだ戻っていないものと認識しております。県としては,今後とも,国の各種支援策を適宜情報提供するとともに,活動の場の確保や発表機会の創出などを通じて,芸術家や文化団体等の活動を支援してまいりたいと存じます。 次に,景観行政についての御質問であります。 現状と課題等についてでありますが,行政や民間団体等の連携による良好な景観を守り育て,新たに創造することは,県民の誇りや観光面での誘客など,様々な効果を地域にもたらす一方で,人口減少や高齢化などにより,景観の維持が困難となりつつある地域が見られることも課題として認識しております。このため,県では,住民に最も身近な自治体である市町村において,地域での十分な合意形成を大切にしながら,地域の特色に応じたきめ細かな景観形成が推進されるよう努めるとともに,観光施設等ハード面を所管する部局との連携についても,庁内はもとより,市町村とも連携強化が図られるよう情報提供に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  土木部長原田一郎君。   〔 土木部長 原田一郎君 登壇 〕 ◎土木部長(原田一郎君)  お答えいたします。 景観行政についての御質問であります。 岡山県無電柱化推進計画等についてでありますが,優先着手区間として位置づけている県管理の第1次緊急輸送道路の7区間16.7キロメートルのうち,4区間7.2キロメートルについて事業に着手しております。事業の実施に当たっては,コストの縮減や多くの関係者との合意形成が課題と考えており,今後,より効率的な工法の選定や協議会等を活用した関係者との円滑な調整に取り組み,残る区間の早期着手に努めてまいります。また,主要観光地や重要伝統的建造物群保存地区等での無電柱化の状況については,湯郷温泉や吹屋地区で整備が完了し,倉敷美観地区や蒜山高原などにおいて,市町村が整備を行っているところであります。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  10番。   〔 10番 大森一生君 登壇 〕 ◆10番(大森一生君)  御答弁ありがとうございました。 50年,100年後に美しい景観づくりは,伊原木知事から始まったんだなというふうになるよう期待しまして,どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。 ○議長(神宝謙一君)  以上で大森君の質問は終了いたしました。 次の質問者に移ります。 27番小林義明君。 答弁者は控席へ移動願います。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  自由民主党の小林義明でございます。 新型コロナウイルス感染症の感染急拡大に伴い,本県には先月16日から今月20日まで,緊急事態宣言が発令されました。 初めに,このコロナで亡くなられた方々の御冥福をお祈りし,今なお闘病の方々にお見舞いを申し上げます。 この間,医療従事者の皆様には,県民の命を守るため,懸命の御努力をいただき,心からの感謝を申し上げます。 また,事業者の皆様方には,休業や時短営業などの御協力をいただき,県民の皆様にも,外出自粛,新しい生活様式の中での活動を心がけていただきました。おかげさまで,感染者数は減少し,緊急事態宣言も解除されました。皆様の御協力に対しまして,厚く御礼を申し上げます。引き続き,感染力の強い変異株の感染拡大が懸念されております。気を緩めることなく,「うつらない,うつさない」を合い言葉に,より慎重に新しい生活様式を心がけていただきますように御理解と御協力のほどを重ねてお願い申し上げます。 それでは,提案を交えて質問してまいります。 まず,先日の我が党の代表質問でも触れました幕末から明治にかけての陽明学者で,備中松山藩の財政改革で知られる山田方谷のNHK大河ドラマ化について質問します。 方谷さんは,高梁市中井町西方で生まれ,5歳のとき,新見藩の藩校「至誠館」の篤学で,儒学者の丸川松陰の門をたたき,学び始めます。晩年は,66歳のとき,母親の生地,新見市大佐刑部に移り住み,「刑部塾」を開き,多くの子弟を育て,この地で73年間の生涯を閉じています。 伊原木知事は,昨年2月,103万人余の署名とともに,NHKに山田方谷の大河ドラマ放映を求める要望活動をされています。方谷さんの哲学や公徳や生き方は,今日の行政,教育,経済,福祉など,あらゆる分野に通じ,影響を与えており,そのことがこの100万人を超える署名に現れたものと推察しています。それから1年余が経過した最近,高梁市,新見市の両市議会には,「山田方谷の志に学ぶ会」の議連が,相次ぎ設立されました。 代表質問でもありましたが,現在放映中の「晴天を衝け」では,先日,渋沢栄一と井原市の阪谷朗廬に係るシーンが放送されました。先人の人となりの偉大さとともに,大河で全国放送されたことで我が郷土への誇りを新たにし,元気が沸いてきました。そして,ぜひとも方谷さんを大河ドラマにとの強い思いに駆られています。 知事にお尋ねします。 昨年の要望活動を踏まえ,大河ドラマ実現に向けた知事の現在の思いをお聞かせください。 また,方谷さんゆかりの高梁市,新見市,真庭市のトップによる「山田方谷顕彰会」があります。さらに,倉敷市,備前市,笠岡市,美咲町なども加えた関係自治体とも連携しながら,岡山県挙げて大河実現に向けた取組が必要と考えますが,どう思われますか。 例えば,県とそれらの関係自治体で方谷さんの大河ドラマ実現を求める自治体連絡会を設け,県として連携した大きな動き,盛り上がりを示してはどうでしょうか,産業労働部長の所見をお聞かせください。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の小林義明議員の質問にお答えいたします。 山田方谷の大河ドラマ化についての御質問であります。 実現への思いについてでありますが,昨年,県内にとどまらず,全国からの103万人という多くの署名とともに,山田方谷の大河ドラマ化を求める熱意をNHKに伝えたところであります。私としても,山田方谷の改革理念や志のすばらしさと先人を育んだ郷土岡山の魅力を,全国に向け,広く情報発信できることを強く願っております。引き続き,関係団体等と連携し,時宜を捉えた要望活動を行うなど,大河ドラマ化実現に向け,粘り強く取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  産業労働部長三浦智美君。   〔 産業労働部長 三浦智美君 登壇 〕 ◎産業労働部長(三浦智美君)  お答えいたします。 県を挙げた取組についてでありますが,大河ドラマ化実現のためには,要望活動や県内外での知名度向上に加え,官民が一体となった県全体の盛り上がりが大変重要と考えております。このため,県としては,中心となって活動されている地元の市町村や関係団体と情報共有を図りながら,大河ドラマ実現に向けた盛り上がりが広がり,県を挙げての機運醸成につながるよう,機会を捉えて情報発信にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  次の項目に移ります。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  先ほどは,御答弁ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。 次に,先ほど山本議員からも質問がありましたJR芸備線について,質問をさせていただきます。 JR西日本は,今月,芸備線のうち,新見市から広島県庄原市の区間について,地域の現状や今後の利用促進等を協議する場を設けるよう,岡山県,新見市等関係自治体に申入れました。芸備線は,広島市と新見市をつなぐ全長159.1キロメートルにわたる路線です。そのうちの東半分約75キロメートルが,検討対象となっています。JRは,廃線を前提とした申入れではないとしていますが,地元では,通学や通勤,通院等の日常生活に必要な大切な交通手段がなくなってしまうのではないかと,不安が広がっています。今後,始まるJRとの協議に当たっては,何よりも地域住民の日々の生活を守っていくという視点を大切にしていただきたいと考えますが,芸備線に関するこのたびの申入れについて,県はどのように受け止め,どのように対応していくお考えなのか,知事の御所見をお聞かせください。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 JR芸備線についての御質問でありますが,JR西日本からの申入れは,沿線地域のニーズ等を把握し,利用促進の検討を行う場を設定する内容であったことから,沿線自治体と協議し,検討会に参加したいと考えております。芸備線の役割は,お話のとおり,地域住民の通学や通勤,通院など,日常生活に必要な移動手段であると認識しており,協議に際しては,その必要性を丁寧に訴え,地元自治体の意向を尊重しつつ,将来にわたり持続可能な公共交通サービスの提供が図られるよう,沿線自治体等と連携し,しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  JR芸備線につきまして,御答弁をいただきまして,ありがとうございました。 再質問を差し控えさせていただきました。と申しますのは,これからテーブルに着くというところで,今の時点で推測に基づいて知事の発言を求めるのは,少し難しいかなと判断いたしました。これから議論が進んでいくわけですけれども,将来想像できる未来と想像できない未来があるかと思います。残念ながら,このたびは,想像してしまう,できてしまいそうな感じがいたして仕方がないことでございまして,先ほど山本議員が,こうなった場合はこうだろうという質問がありまして,そうならないように願っているものでございます。地域住民の生活が守られますように,しっかりと県としてもお力添えをいただきたいというふうに思います。 さて次に,豚熱対策についてお伺いします。 去る3月14日,兵庫県丹波市において,豚熱に感染した野生イノシシが確認されたことを受け,同17日,隣接する岡山県と鳥取県が豚熱ワクチン接種推奨地域に指定されました。豚熱は,人に感染することはありませんが,感染力や致死率が高く,一たび豚に感染すると,養豚業者に大打撃を与えることは言うまでもありません。指定地域を受け,県内約4万頭の飼養豚等に対し,ワクチンを接種したと聞いていますが,感染拡大の原因として,豚熱に感染した野生イノシシの関与が挙げられており,野生イノシシからの感染防止対策が求められます。 そこで,農林水産部長に質問します。 ワクチン接種推奨地域に指定以降,県内で野生イノシシの感染事例はありませんか,併せて鳥取県や猟友会との連携協議,経口ワクチン散布の状況など,野生イノシシ対策の詳細を御答弁ください。また,豚熱は流行を繰り返しており,日々の防疫への備えが重要です。国は,野生イノシシの豚舎への侵入を防ぐ防護柵設置費用について,2分の1以内を補助していますが,県内の23農場,愛玩27戸への設置状況について,農林水産部長にお伺いします。 さらに,感染防止の観点から,養豚農家が多い地域でのイノシシの緊急集中捕獲を行う考えはありませんか,併せて御答弁ください。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 豚熱対策についての御質問であります。 まず,野生イノシシの感染事例等についてでありますが,本県がワクチン接種推奨地域に指定されて以降,感染事例は確認されておりません。また,感染防止対策については,猟友会の協力をいただき,捕獲検査の強化と経口ワクチンの散布を計画しております。このうち,捕獲検査については,兵庫県と連携して行っておりましたが,これに加え,鳥取県とも検査地域の選定などについて協議しているところであります。また,経口ワクチンについては,国や鳥取県,猟友会等関係機関と協議を重ね,散布に向けて準備を進めております。 次に,防護柵の設置状況等についてでありますが,県内の農場については,国の補助事業を活用するなどして,全ての農場で野生イノシシの侵入を防ぐ防護柵の設置を完了しており,愛玩飼育についても,全て屋内飼育等により対策がなされております。また,捕獲については,既に鳥獣害対策として,県内全域で強化しているところでありますが,豚熱の感染防止の観点からも,県内全域の生息密度を下げることが有効であると考えられることから,引き続き,こうした取組を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  大体の話はよく分かりましたけれども,私,金曜日か土曜日に口元を蜂に刺されまして,今は大分腫れは引いたのですが,大分腫れまして,草刈りをしておりまして,二,三週間前に蜂の巣がございまして,それでぱっとやったら蜂が出てきまして,何とか蜂の巣を倒して,これでいいだろうと思っておりました。その蜂のところから20メートルぐらい離れたところを草刈りしておりましたら,もう蜂がそっちへ移ったんでしょうねえ,そっから出てきまして,口元を,ネットはかけてたのですけれども,刺されまして,最初のときに集中駆除しておけばよかったと思ったのですけれども,やっぱり駆除しないと移っていくなあと,イノシシの集中駆除を考えませんか。 ○議長(神宝謙一君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 イノシシの集中駆除をしてはいかがかという御提案を頂戴いたしました。 実は,このたびのワクチンの接種地域,推奨地域の指定を受けた後に,農林水産省から岡山県については,豚熱の感染防止に向けてイノシシの捕獲対策どうするのかという御照会をいただきました。私どものほうから,先ほど答弁でも申し上げましたが,既に県下全域で対策しているので,この豚熱対策についても県下全域を強化地域として行いたいというお答えを返したところでございます。 理由は,2つございまして,1つは,本県,養豚場が県内割と各地に点在をしておるという状況がございます。それからもう一点は,まさに先ほど議員お話のあったその蜂の例えではございませんけれども,ある箇所を集中的に捕獲をした場合,生息密度に変化が生じて,そのすいたところに別の場所からイノシシが,また,やってくるということで,やはり我々としては,県下全域一円で同じように捕獲を強化して,全体の生息密度を下げることのほうが,鳥獣害対策の面からも,また,豚熱感染防止体制の面からも有効と考えておりますので,そう意味では,県下全域で集中的に行ってまいりたいと,このように考えておるところでございます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  前向きな御答弁ありがとうございました。 ただ,集中捕獲というのは,今までの県が計画的にやっている,そのスピードと同じでは少し間に合わないかと思うので,少し前倒しをしてでも,早めに,去年も3万頭ぐらい捕っているんですかねえ,もっと捕っていただきたいと思うのですが。県下に何頭ぐらい生息していると,県は推察しておりますか。 ○議長(神宝謙一君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 県内にイノシシが何頭程度生息していると考えているかという再質問でございました。 せんだって,担当の委員会のほうにも御報告をさせていただいたことがあるんですけれども,正確な数字を今ちょっと私,手元に資料を持ってきておりませんので,記憶で申し上げますけれども,大体5万頭前後のイノシシが生息しておるというふうに推測をしております。ただいかんせんイノシシにつきましては,鹿と違いまして,一度に産む子供の数が非常に多いということもありまして,推定値にはかなり幅がございますけれども,いずれにいたしましても,その推定生息数,毎年調査をしております。これが来年はさらに下がるように,先ほど議員の御提案も含めまして,しっかりと捕獲対策に力を入れてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  もうこれ以上聞くなという感じがしましたので,要望に代えますけれども。 この岡山で暮らしている,あるいは議会にいる感覚と,私は新見ですけれども,イノシシの量が大分違うように思います。私たちのところにおりますと,「またイノシシが出たか」,「まだおるか」,「猿も30頭ぐらいの群れがばあっと走っていくぞ」と,こういう本当にイノシシというのは,量が多いなあと思いますので,極力豚熱の対策も含めて,早めに駆除に取り組んでいただきますように要望しておきます。よろしくお願いします。 ○議長(神宝謙一君)  次の項目に移ります。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  低金利政策を追い風にしたアメリカの住宅着工戸数の増加,新型コロナの影響による木材供給量の減少などで,木材の需要が増大し,世界的に産地価格は上昇,海上輸送コストも上がっています。国内においても,今年春先から,輸入木材が高騰し,全国的に不足,国産材も価格が上昇しており,ウッドショックと呼ばれる,まさに衝撃が走っています。木材価格の上昇に伴い,製造業者,集成材メーカーやプレカット加工の業界団体,住宅メーカー,建設業者などから,材料不足,価格高騰,工期,納期の遅れ,住宅販売の低下といった悲鳴が聞こえてきます。経済の中で,住宅建設は総合的に景気を刺激してきました。また,材料不足や高騰による災害復旧工事への影響も懸念され,コロナ禍の新しい心配事であります。 一方,輸入材に押されてきた国産材は,材価の上昇で,林業関係団体を喜ばせているのも事実であります。国産材の供給体制を拡大,構築する,そのための作業道や高性能機械の導入促進,人材の確保・養成などとともに,林業の経済性に関心が集まっている今だからこそ,次世代に向けた植林・保育事業にも力を注ぎたい。そのための森林環境譲与税であってほしいとの思いがあります。 他方,加工メーカーや住宅メーカーから求められているのは,木材の安定供給でありましょう。価格は,市場原理から離れることはできませんが,税制などを含めた政策誘導という考え方もできます。さらに,木材乾燥機の処理能力向上の手だてと増産に伴う労働力の確保も求められています。 農林水産部長に質問します。 山元,林業関係者,加工メーカー,住宅メーカーごとに切り離して考えると,一見利害が反しているかに見えます。しかし,ここは林業が成長産業となるチャンスとも思えてきますが,県は今のウッドショックの影響をどのように分析していますか。本県の現状を踏まえ,今後の見通しと県としての対策も併せて答弁ください。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 ウッドショックについての御質問でありますが,外国産の代替として一部の国産材の引き合いが強くなっているものの,需給動向は不透明であり,見極めが必要であると考えております。今回,外国産の供給リスクが顕在化したことを踏まえ,中長期的には県産材の需要と供給の拡大を目指すことが重要であり,県産材が消費者に届くまでのサプライチェーン構築の支援等を通じて販路の拡大に努めるとともに,担い手の確保・育成や設備投資への支援などに取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  県ができることは,ある意味限られているかもしれません。私なりに考えてみますと,以前知事がよく言われてた,林業というのは生産をどんどんしても,言葉は悪いですが,ふん詰まりで売れていくところが,出ていくところがなくて,ここが大きな問題だと,こう言われた。今は,出ていくところはあるんだけれど,輸入材が減った分だけ国産材は値上がりして,林業者はそれはもう大変ありがたいことなんですが。今,数が足りないから,住宅メーカーとかはプレカット工場とか,そういうところは困っているという状況です。 私なりに県が何ができるだろうかと考えたときに,ちょっと御提案なんですが,結局木を切ったのが足りないから,それを速く乾かして,生産のところへ行く,そこを速くすることはできるのではないかと。となると,乾燥させるのを速くするためには,自然乾燥してたら間に合わないですから,機械でやるわけですが。そういった乾燥機の導入とかに対して,県で何らかの応援ができないんだろうかなと考えてみたのですが,御意見お願いします。 ○議長(神宝謙一君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 木材の乾燥段階の設備の整備について,県で応援ができるのではないかという御質問でございます。 議員御指摘のとおり,私どももこれまでも,これは国庫事業なども活用いたしまして,木材の乾燥設備,それに限らず,例えば,高性能林業機械なども導入の支援に取り組んでまいりました。現在も,その制度はございます。ただ,まさに今のこの状況を踏まえたときに,その制度を活用するかどうかという判断でございますけれども,議員も御存じのとおり,非常に高価な,また,大きな機械でございます。一度乾燥機を,ある工場がさらに増設して入れた。今の状況がこれから数年間続けば,もちろんそれは活用できるわけでございますけれども。入れたその後に,このウッドショックが実は一時的なものであったということで,元の輸入量に戻ったときに,たちまちその乾燥機が十分な効果を発揮できなくなる可能性もございます。そのときのその維持費の負担というのは,結局業者にかかってくるわけでございますので,やはりその辺りは,もちろん我々はその支援については働きかけをするわけでございますけれども,業者のほうの慎重な対応を我々としても見守りたいというのが現在の状況でございます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  ウッドショックについてですが,総合的には,本当に今まで苦労に苦労を重ねて低迷してお金にならなかった山元にお金が入るということは,大変ありがたい,もう大先輩に言わせると,神風が吹いたようなものだということでございますので,ありがたい。しかし,木材産業全体をトータルで考えたときには,うまくバランスが取れないと,いずれゆがんだ形になってしまうということからの質問でございましたので,県として,こういうことをやったらいいだろうということは積極的に進めていただきたいと,お願いいたします。 それでは,次の質問に移らせていただきます。 数年前から,全国各地の自治体で,公務員による副業が広がりを見せています。地方公務員の副業については,地方公務員法により,任命権者の許可が必要ですが,総務省の2018年の調査によると,全国の地方公務員の兼業許可件数は4万1,669件で,このうち1万1,506件が伝統行事,防災・防犯活動,スポーツ,文化芸術活動,環境保全,移住・定住促進などを支援する社会貢献活動であったとありました。公務員の副業の広がりの背景には,人手不足や働き方改革とともに,地域活動へ積極的参加や地域貢献活動の求めが透けてきます。しかし,職員が実際に副業をするに際し,どこまでが許可の対象となるのか,その基準が分からない場合,職員は活動しづらいですし,地域も声をかけづらいことになります。 例えば,新潟県では,営業企業の従事等許可の許可要件を定め,地域振興,文化振興等の社会貢献活動は許可の対象となることを明確化し,公表しています。また,奈良県の生駒市においても,職員が地域活動に従事する際の基準を定め,積極的に職員の副業を位置づけるとともに,これを公表しています。「副業は,お金以上に得るものがある,副業での出会いや経験が自分の幅を広げ,本業にも,プライベートにも生きてくる」とは,公務員の副業先進自治体の神戸市職員のコメントであります。 総務部長に質問します。 少子高齢化で地域を支える力が弱くなってきている今日,本県でも職員の副業を許可するに当たり,具体的な基準はありますか,ある場合,これを公表してはどうでしょう,答弁ください。 また,地域の社会貢献活動の担い手としては,市町村の公務員の存在も欠かせません。県が旗振り役となり,県内市町村においても,許可基準を設定し,公表されるよう働きかけてはどうでしょうか,県民生活部長の答弁を求めます。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 総務部長須江裕紀君。   〔 総務部長 須江裕紀君 登壇 〕 ◎総務部長(須江裕紀君)  お答えいたします。 公務員の副業についての御質問であります。 県の許可基準についてでありますが,地方公務員に適用される地方公務員法の規定により,職員の営利企業等への従事に関しては制限が設けられており,県人事委員会が定めた基準に基づき,職務遂行に支障を及ぼさない場合等に限り許可を行っております。お話のとおり,昨今,地方公務員に公務以外の社会貢献活動等で活躍を期待する声があることなどから,そのような活動等を希望する職員がちゅうちょなく許可申請できるよう,今年3月に,基準を運用する際の考え方等を明文化し,職員に周知しておりますが,今後,県のホームページでも公表してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  県民生活部長那須信行君。   〔 県民生活部長 那須信行君 登壇 〕 ◎県民生活部長那須信行君)  お答えいたします。 市町村への働きかけについてでありますが,人口減少に伴う人材の希少化等を背景として,市町村職員に対し,地域社会での活躍も期待する声があることなどから,希望する職員が職務に支障を及ぼさない場合等において,社会貢献活動等の許可申請を行えることが必要と考えております。このため,今後,こうした制度の周知が図られ,その活用が進むよう,市町村との意見交換などの機会も捉え,営利企業への従事,許可等に関する県の取組や先行事例などについて情報提供や助言などを行ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(神宝謙一君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  ありがとうございます。 この質問に至りましたのは,中山間の過疎地に住んでおりますと,人材不足ということが本当に大きなことでございまして,外部から人材を来ていただくと,あるいは移住していただくということで頑張っているわけですけれども,地域を支えている方が,もう御高齢の方が支えている実態がありまして,じゃあ若い人にもそれに参加してもらおうとなると,残っている人の多くが公務員という壁がありまして,公務員だから,これはちょっと頼むのは難しいなあ,あるいは学校の先生だから頼むのは難しいぞと,こういうことで,本人も,ちょっと市役所へおるもんですからそういうことはちょっと,ということになると,いないのと一緒に計算しなければいけなくなると,本当に人がいない。そういった中で,ぜひ旗振りを進めていただいて,そういう公務員の方々も,学校の先生も,地域づくりにすっと参加できる,少しのお金がいただけても,それは全くみんなボランティアだけでやれというわけにはいかないわけですので,幅をぜひ広げて,優秀な県の職員,あるいは市の職員,学校の先生方に,地域づくりに参加していただきたいと,こういう思いがございますので,ぜひ強力に進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(神宝謙一君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  菊池善信副知事におかれましては,今回の議会を最後に退任されるとの報道がございました。 あの平成30年7月豪雨の発災直後の平成30年7月17日,菊池副知事は就任されました。就任直後から困難に立ち向かわなければならない状況でありました。その後は,新型コロナウイルス感染症という新たな難局にも立ち向かうこととなりましたが,3年間,伊原木知事を補佐され,岡山県のために力を発揮していただきました。その御尽力に心から感謝いたします。 3年間,岡山県で過ごされた感想とともに,本県がさらに発展していくためのメッセージをいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(神宝謙一君)  答弁を求めます。 副知事菊池義信君。   〔 副知事 菊池善信君 登壇 〕 ◎副知事(菊池善信君)  お答えいたします。 岡山県での感想等についての御質問でありますが,小林議員から身に余るお言葉をいただき,感謝申し上げます。 平成30年7月豪雨災害直後に着任し,岡山県にとって未曽有の被害を目の当たりにしました。連日,災害対策本部会議を開催し,全庁挙げて被災者の支援と復旧・復興に取り組みました。昨年からは,新型コロナウイルス感染症への対応として,2度の緊急事態宣言,臨時休校,病床確保,時短要請,事業者支援など,伊原木知事の下,行政の権能を全て使って,経験したことのない対策に当たってまいりました。この2つの非常事態の間には,地方創生の取組,韓国・慶尚南道や台湾との国際交流,おかやまマラソンへの出場のほか,市町村や企業・団体など多くの皆様の声をお聞きしました。 30年の時を経て,初任地である岡山県に戻り,地方自治の現場でなすべき施策を考え,議論し,実行に移す機会を与えられたことは,この上ない喜びでありました。 岡山は,優れた交通拠点性や産業集積,豊かな自然や文化,暮らしやすさなど,誇るべき個性や優位性を有しています。また,様々な分野や地域ですばらしい人材が活躍し,前向きな活動が展開されています。岡山のよりよい未来をつくっていくためには,こうしたポテンシャルを生かし,県や市町村はもとより,企業や団体,地域の皆様がその時代時代で求められていることをしっかり成し遂げることが必要であると考えております。県議には,県議会とともにその先導役を担っていただけるものと確信しております。 いずれコロナ禍も克服され,新たな時代が始まります。岡山県のさらなる発展を心から願っております。ありがとうございました。 ○議長(神宝謙一君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  菊池副知事の今後ますますの御活躍を御祈念申し上げまして,私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(神宝謙一君)  以上で小林君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(神宝謙一君)  以上をもって一般質問を終結いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △諸般の報告 ○議長(神宝謙一君)  この際,御報告いたします。 地方公務員法第5条第2項の規定により,人事委員会の意見を求めました条例案に対する回答でありますが,本件はその写しをお手元に配付いたしておりますので,御覧願います。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第3 議第66号~議第88号,諮第1号及び報第6号(委員会付託) ○議長(神宝謙一君)  これより議案の委員会付託を行います。 諸議案はお手元に配付の「議案付託表」のとおり,それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第4 陳情委員会付託 ○議長(神宝謙一君)  次に,陳情の委員会付託を行います。 6月16日までに受理した陳情6件は,お手元に配付の「陳情付託表」のとおり,それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(神宝謙一君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △休会の件 ○議長(神宝謙一君)  お諮りいたします。委員会開催等のため,明日から7月4日まで5日間休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔 「異議なし」と呼ぶ者あり 〕 ○議長(神宝謙一君)  御異議なしと認めます。よって,5日間休会とすることに決定いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △7月5日の議事日程 ○議長(神宝謙一君)  7月5日は午前10時開議で,議事日程は当日配付いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(神宝謙一君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後0時3分散会〇 令和3年6月29日(火曜日)出席議員   1番 秋山 正浩君       2番 鳥井 良輔君       3番 佐古 一太君   4番 松島 幸一君       5番 本山 紘司君       6番 福田  司君   7番 清水  薫君       8番 大橋 和明君       9番 乙倉 賢一君  10番 大森 一生君      11番 小倉  博君      12番 田野 孝明君  13番 河野 慶治君      14番 渡辺 知典君      15番 福島 恭子君  16番 山本 雅彦君      17番 小林孝一郎君      18番 大塚  愛君  19番 高橋  徹君      20番 須増 伸子君      21番 氏平三穂子君  22番 吉田  徹君      23番 中川 雅子君      24番 木口 京子君  25番 市村  仁君      26番 上田 勝義君      27番 小林 義明君  28番 中塚 周一君      29番 江本 公一君      30番 太田 正孝君  31番 池本 敏朗君      32番 小倉 弘行君      33番 加藤 浩久君  34番 遠藤 康洋君      35番 神宝 謙一君      36番 波多 洋治君  37番 柳田  哲君      38番 高原 俊彦君      39番 荒島 俊造君  40番 笹井 茂智君      41番 増川 英一君      42番 山田総一郎君  43番 蜂谷 弘美君      44番 住吉 良久君      45番 高橋 戒隆君  46番 蓮岡 靖之君      47番 伊藤 文夫君      48番 小田 圭一君  49番 渡辺 英気君      50番 内山  登君      51番 小野 泰弘君  52番 河本  勉君      53番 小田 春人君      54番 天野  学君  55番 千田 博通君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     高田 哲也           次長       米戸 健浩  議事課長     岡本  聡           政務調査室長   平井 哲哉  議事課長代理   安井 誠一           議事課長補佐   岡崎 将丈  議事課主幹    栗原 修平           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       伊原木隆太君          副知事      菊池 善信君  副知事      横田 有次君          公営企業管理者  片山 誠一君  危機管理監    塩出 則夫君          総合政策局長   伊藤 敦哉君  知事室長     笠原 和男君          総務部長     須江 裕紀君  総務部次長    万代 洋士君          県民生活部長   那須 信行君  環境文化部長   佐藤 将男君          保健福祉部長   西嶋 康浩君  産業労働部長   三浦 智美君          農林水産部長   槙尾 俊之君  土木部長     原田 一郎君          出納局長     森下  慎君教育委員会  教育長      鍵本 芳明君          教育次長     梅崎  聖君公安委員会  委員長      金子 雅彦君          警察本部長    扇澤 昭宏君  警務部長     牧  丈二君人事委員会  委員       吉松 裕子君          事務局長     佐藤 昌之君監査委員  代表監査委員   山本 督憲君          事務局長     吉田 光宏君選挙管理委員会  委員長職務代理者 平松 卓雄君...