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03月10日-07号

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  1. 岡山県議会 2021-03-10
    03月10日-07号


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    最終取得日: 2023-06-10
    令和 3年 2月定例会          ◎ 令和3年2月岡山県議会定例会会議録  第7号〇 令和3年3月10日(水曜日)                  議  事  日  程                  午前10時開議第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時開議 ○副議長(遠藤康洋君)  皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 一般質問 ○副議長(遠藤康洋君)  日程に入り,一般質問を行います。 24番木口京子君。 答弁者は,控席へ移動願います。 24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  おはようございます。自由民主党木口京子でございます。 明日は,東日本大震災から10年になります。毎年,この頃になると,あの日のことを思い出します。御挨拶に伺ったお宅で,「今,東北がすごいことになっているのよ」と言われ,夕方自宅に戻って,テレビの映像にすさまじい衝撃を受けたこと。大切な人をなくした人の悲しみは,私の想像の及ばぬほどに深いものだと思います。そして,この間,様々な思いに折り合いをつけながら,生きていらっしゃったであろうことと思います。 ゆっくりと,それぞれの人のペースで癒やされますようにとお祈り申し上げます。 第3次晴れの国おかやま生き活きプランでは,本格的な人口減少・長寿社会が到来する2040年頃を見据えて,20年後,30年後も発展し続ける岡山を目指し,来年度からの4年間,教育の再生と産業の振興を引き続き大きな柱として,施策を推進することとされています。 現実問題として,2040年の日本全国の推計人口は,1億1,000万人強と,現在よりも10%以上減少することが予測されており,また,現在の合計特殊出生率は,諸外国と比較しても低く,年間の出生数は,2019年の86万人ショックに続き,2021年は80万人を切る予測がされている状況です。 こうしたことからすると,第3次プランにある2040年とは,現在,働き盛り世代である第2次ベビーブーム世代が高年齢層になり,現在,この世に生をうけた世代が社会に出る時期のことですので,20年後は,現在と比べると大きく活力が失われています。 先日,上田議員からの,「人口減少が減っても,どうにか町や住民のサービスを維持していけるように,施策を大胆に変えていくことが必要ではないか」との再質問に対して,知事は,おかやま創生総合戦略を最初につくったときの4本の柱についてお話されました。 最初の2つは,自然増対策社会増対策,残りの2つは,それがうまくいかなかったときのためとして,1つは,人口は減っていくが,一人一人の経済力を上げていけば何とか回るのではないか,残りの一つは,人口が減っていき,一人一人の経済力も期待したほどには上昇できない場合でも,周りのつながりによって何とか支えていこうというものでした。 続けて,「人口も一人一人の経済力も増えるという中で,当たり前だった考え方,いろいろなものはますます便利になり,どんどんこれからもできていくという考え方から,なかなか脱却できないまま,実際,今あるものを維持するだけでも非常に財政を圧迫しているということを,我々はもう一度見詰め直す必要がある」と結ばれました。 その言葉で,先日,目にした冊子にあった以下のお話を思い浮かべました。第2次世界大戦時の旧帝国陸海軍の意思決定の在り方,組織論を分析した失敗の本質を取りまとめられた野中郁次郎教授には,常に疑問に思っていたことがあった。 実は,パールハーバーの戦いは,世界の海戦史上画期的な出来事だった。それまでの海戦は,イギリス艦隊がスペインの無敵艦隊を打ち破った1588年以来,350年間,大砲で決着をつけるのが常識であり,日露戦争のときの日本海大海戦もそうだった。 ところが,パールハーバーでの海戦史上初めて飛行機で船を沈めることとなり,アメリカは,それを契機に海の戦いの歴史は変わったと明確に認識して,以後は,空母を主体とする機動部隊での海の戦いに臨むようになり,構造改革を成し遂げた。 ところが,海の戦いの歴史を変えた当の日本は,その後も大艦巨砲に頼り続けて,戦略転換を十分に行うことができなかったのはなぜか。 その疑問を37歳で航空参謀としてパールハーバーの戦いに参画した源田実氏に尋ねたところ,その答えは,「水兵の失業問題は,見逃すことのできない問題だった」という趣旨だったそうです。つまり,今まで水兵とは家族的な仲間意識の中にあり,これからは飛行機乗りの時代だから,君たちの時代は終わったと言うことはできなかったと。 戦後の高度経済成長,バブル期を経て,時に地球の有限性を意識しながらも,大量生産・大量消費の拡大経済から持続可能な社会実現への経済社会づくりに転換し切れないままでいたところに,世界的な新型コロナ感染症拡大,脱炭素化,カーボンニュートラルへの転換が加速化する今,生活者の実態と将来を見据えて方向転換するために,優先順位をつけ,施策を行わねばならない立場の苦悩に共感しつつ,質問に入ります。 以前の議会質問において,ロシアのダーチャを取り上げ,二地域居住の可能性についてお尋ねしました。 少し繰り返しになりますが,ロシアでは,ダーチャという菜園付のセカンドハウスを国民が持ち,食料の大半を自給しています。8割以上の世帯がダーチャを持っていると言われ,平均的なモスクワ市民は,平日は町で働き,週末はダーチャで過ごします。金曜日の夕方になると,都市住民がダーチャを目指して一斉に郊外に向かうため,道路が渋滞してしまいます。夏休みが3か月と長いロシアの学校では,子供は,夏の間,祖父母と一緒にダーチャで過ごし,生きる知恵を学ぶと言われています。 ダーチャは,小さな農の担い手でもあり,農業生産量も多く,ロシア国内で生産されるジャガイモの90%,野菜や果物の70%以上をダーチャが占めているとの統計もあるそうです。 ロシアでは,新型コロナの拡大により,3月末から有給の非労働時間を設けて,外出を制限しましたが,ダーチャに行くのは認められており,自然の中で家族だけで安心して過ごせるので,以前より多くの人がダーチャに出かけるようになったそうです。 感染症を契機に,東京一極集中から地方への流れが広まりつつある中,人々の価値観も多様化し,企業における働き方の変化が進む中で,改めて二地域居住の可能性は高まっていると思います。 移住・定住を促進していく上での二地域居住への取組について,知事のお考えをお聞かせください。 今後,オール岡山の体制で,首都圏を中心に,トップセミナー等プロモーション移住希望者のニーズに合った情報発信の強化を集中的に進め,市町村が行う空き家等の通信環境の整備など,受入れ側の環境整備を行うとされています。 繰り返しになりますが,人々の価値観が多様化し,企業における働き方の変化が進む中で,テレワークワーケーションの可能性は大きいと考えますが,東京からの転出の傾向として,神奈川県,埼玉県,千葉県など,近隣県にとどまっている現状において,岡山県への移住につなげる具体的な取組を県民生活部長にお尋ねします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の木口議員の質問にお答えいたします。 移住・定住についての御質問であります。 二地域居住についてでありますが,感染症拡大を契機としたテレワーク等の普及により,地方に生活の拠点を移し,都市との関わりも副次的に残すといった新たな二地域居住の可能性が高まっているものと考えております。 このため,県では,国や地方自治体等で構成する全国二地域居住等促進協議会に参画し,事例等の情報共有や施策の研究等を行っていくこととしております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  お答えいたします。 具体的な取組についてでありますが,県では,オール岡山の体制で,首都圏を中心に,トップセミナーの開催や効果的なプロモーションを行い,充実した広域交通網や,自然災害が少なく,安全で安心な生活環境といった本県の優位性を情報発信するとともに,市町村が行う空き家改修や地域で移住希望者の各種相談に応じる移住コーディネーターの育成を支援するなど,受入れ環境の整備を進めることとしております。 また,感染症拡大による新しい働き方の普及拡大の流れを捉え,ワーケーション等を導入している企業へのセールス活動を行うなど,首都圏からの移住・定住の促進に積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 二地域居住について,以前質問させていただいたときは,やはりちょっと管理の問題とか,難しい面もあるよという話だったと思います。国も,二地域居住について,住む,住まないだけではなくて,交流人口としてのこれからの方向として,新しい暮らし方として,進める方向であると思いますので,皆さんといろいろお勉強していただきながら,できるだけ進めていただければと思います。 もちろん,全員がそうなるわけではないと思いますが,1つの地域が開かれるきっかけにもなると思います。 それから,具体的な取組については,今お話しいただいた様々な取組の中のその裏側には,いろいろな取組や,いろいろな声がけをされているんだと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 先月,地域創生フォーラム観光振興交流人口拡大で切り開く岡山の未来」を聞きに行ってまいりました。アートディレクター北川フラムさんが,「アーティストは見つけるんです」と言われたことが印象的で,瀬戸内国際芸術祭をはじめとして,北川フラムさんが携わる芸術祭の本当の意味が腑に落ち,現代アートを見る目も変わってきました。 「土地の魅力,土地から引き出されるもの,アーティストは,それを探り,それを作品として創り出していく,その土地の資源を明らかにし,そこで作品を創るプロセスに関わることで,地域の人たちが開かれる。人は外部の人に学び,おもてなしをすることで,交流の楽しさを知り,参加する。その地域に生きてきた人,生きる人が誇りを持つことにより,そこから地域が変わる。食べていける人を増やしていくという,観光とはそこの人たちが幸せを感じること。感じる幸せであり,長続きをするよいものになることだ」と。 あのとき,北川さんが岡山ローカル線を取り上げられ,大井川鉄道の無人駅及びその周辺地域を舞台にした芸術祭,「静岡UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川」や「JR飯山線アートプロジェクト」などの事例を紹介してくださいました。 パネリストとして参加されていた知事も,津山市長も,大変興味を示されていたように感じました。 また,同じく先月に開催されたアートによる過疎地域の再生についての講演会にも行ってまいりました。 福武財団の福武總一郎理事長が,企業理念を体現する場として,アートと建築を手段とした地域再生活力で,年間70万人の国内外からの人々が訪れるベネッセアートサイト直島や,同じ手法を使って中国山東省の農村で行われている取組について,お話されました。 この2つの講演に共通するもの,それは地域の活性化や再生を行うために,アートと地域を結びつけることにより,1つの観光素材として成り立ってきたということです。 県内では,様々なアートイベントなどが行われていますが,観光素材としてのアートの可能性をどのように認識しておられるでしょうか。 また,来年度は,令和4年度のデスティネーションキャンペーンに向けてのプレキャンペーンの年であり,魅力的な観光素材の開発や戦略的なプロモーションを行うとされています。様々な案を既に考えていらっしゃることと思いますが,一過性のものではなく,御紹介しましたアートも含めて,県内それぞれの地域に住む人たちの活気や誇りにつながる,また,長続きのするよいものとしていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 観光振興についての御質問であります。 まず,アートの可能性についてでありますが,アートには,それ自体に発信力があり,人々を引きつけるとともに,地域の資源と組合せ,観光素材として磨き上げ,観光客を呼び込むことで,経済を活性化させ,地域に活気と誇りをもたらす可能性があると考えております。 今後,DCなどを通じて,本県の特徴である刀剣や備前焼などの伝統的アートに加え,県内各地で芽生えた芸術祭などの取組をその地域ならでは観光素材として根づかせるなど,アートを生かした観光振興にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 次に,観光素材の開発等についてでありますが,デスティネーションキャンペーンでは,市町村等と連携し,それぞれの地域の強みやアートなどを掛け合わせた観光素材を開発し,プレDCから本番,その後のアフターDCまで,戦略的にプロモーションを展開することとしております。 一連のキャンペーンにより,県内外から多くの方に訪れていただき,地域自身がそのよさを見直すきっかけにするとともに,さらに満足度が高まるよう観光素材の磨き上げを行うなど,繰り返し訪れていただける観光地づくりに向けた取組が県内各地に広がるよう,関係者と連携して取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 まず,1番のアートの可能性についてお尋ねします。 今おっしゃっていただいたように,アートには発信力がある。北川さんが,「特に現代アートは,芸術の中の10%ぐらいにしか満たないけれども,それを置くことによって,そこをスタートとすることによって,人が取り上げてくれる。そのことが,まずきっかけとなっていく」というようなことをおっしゃっていたと思います。 もちろん,岡山には,伝統的な大変すばらしいアートというか,芸術作品がたくさんあると思いますし,そこには人がそれぞれ培ってきた,そこに携わってきた人の思いが体現されたすばらしいものです。 そこに,いろいろな新しいものとコラボしていく。今,林原でもいろいろコラボしていますけれども,そういうことをいろいろ考え合わせていく上で,それ単体だけではなくて,いろいろな組合せやいろいろ複雑なものを組合せながら頑張っていただきたいという思いについて,お考えをお聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  いろいろ組み合わせることについてどうかとの御質問についてでございます。 私も,アートについては,本当に門外漢でありまして,天満屋の美術で毎週行われる美術展,作家の先生,詳しい方々の前で恥をかかないように勉強しても,何か最後まで本当に分かっているのかな。こういう現代アートについては,福武会長自身からいろいろお話を伺いさせていただいたり,いろいろ聞くんですけれども,私自身が本当に分かったという感じにはなっていません。何か一番うまくいって,分かったふりができているかもしれないぐらいのことなんです。 ただ,何かこれまで思っていなかったようなことを思うと。そういう見方もあるよなという,これまで当たり前だと思っていたことをちょっと横から見せてくれる。別に文章で書いてくれても,まあそうだなということで,同じなのかもしれないですけれども,でも何か感じ方が明らかに違う。例えば小説で読むのと映画で見るのが,同じ原作であっても随分違うのとちょっと似ているのかもしれません。 体感できる,びっくりする,これは本当にアートの1つの要素だと言われています。そもそもで言えば,我々が今古典的なものだと思っているアートも,その時代時代で言えば,かなり革新的であることのほうが多いということでありまして,何か常識を変えていく,社会を変えていく原動力というのが,アートの1つの特筆なのかなということを思ったりもします。 そういう現代アートが,岡山で,もしくはこの周辺でいろいろな花を開かせている。すばらしいことだと思っておりまして,ぜひこのアートの可能性,これも観光を通じての地元の振興というのが非常に大きいわけですけれども,それ以外のことも含めて,ぜひ様々に活用していきたいと思っております。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 私も,現代アートは,正直よく分からないです。よく分からないけれども,面白いなというところがスタートでいいんだなと,この間分かりました。そして,今おっしゃったように,観光が,継続的にこれからも人が来てくれるというところの源は,やっぱりそこの地域で,そこの地域の人が笑顔でいることだと思いますし,そこを結果的に観光でつながっていけば幸いですし,そうなるように,まずは地域が元気でというところに主眼を置きながら,筋道を,そういう流れの中で進めていっていただければと思います。 次に,日本観光振興協会などが主催するジャパン・ツーリズム・アワードで,県立倉敷商業高校商業研究部が企画した「高校生にもできるんじゃ!観光資源を活用した地域振興大作戦」が,高校生として初めて入賞を果たしました。 これまで4年間,親子連れや留学生を対象としたモニターツアーを企画したり,平成30年7月豪雨災害では,インスタグラムで被害のあった高梁川流域での写真コンテストを実施したりと,地域観光振興に向けて取り組んできたことの集大成としての企画が,国内外を通じての関係業界の最大のイベントにおいて入賞されたことは,大変すばらしいことと誇りに思います。 同時に,こうしたことを企画できる能力は,どうやって育成されたのかなと,大変興味深く感じました。 さて,2020年度の新たな大学入学共通テストの実施に際しましては,英語の民間試験導入や国語と数学の記述式問題導入も見送りとなりましたが,これからの大学入試は,1,2年間の受験勉強では太刀打ちができない,いわゆる地頭を問うような試験に変わっていくことは間違いがなく,このような能力のことを社会学の世界では,「身体的文化資本」と呼ぶそうです。 この文化資本という概念は,フランスの社会学者ピエール・ブルデューによって提唱された概念で,文化資本は,細かく3つの形態に分類されます。 1つ目は,客体化された形態の文化資本。これは蔵書や絵画や骨董品のコレクションなど客体化した形で存在する文化資産のことです。 2つ目は,制度化された形態の文化資本。学歴,資格,免許等,制度が保証した形態の文化資本のことです。 3つ目は,身体化された形態の文化資本。礼儀作法,慣習,言葉遣い,センス,美的性向などです。 1つ目は,お金で買うこともできますし,何を買うかのセンスは問われますが,親から譲られるものが多く含まれる点では,ここにも格差はありますが,財力などによってのキャッチアップが可能です。 2つ目は,成人になってからでも,本人の努力によって獲得可能な部分が多い。これも,そもそものスタートラインが違うという経済の格差の問題はありますが,努力のしがいがあります。 問題は,3つ目の身体的文化資本です。平田オリザ氏いわく,「この身体的文化資本をセンスと言ってしまうと身も蓋もないが,様々な人々とうまくやっていく力とでも言い換えれば,それが2020年度の大学入試改革以後に求められる能力にイメージとして近づくだろうか。主体性,多様性,協働性は,いずれもこの身体的文化資本に属する。広い意味での教養=リベラルアーツと呼んでもいい。 ブルデューが挙げたのは,美的感覚や感性を含むセンスやマナー,味覚あるいはコミュニケーション能力などだが,これに加えて人種や民族,あるいはジェンダーや性的少数者に対しての偏見がないかどうかも含まれる」とのことです。 こういった身体的文化資本は,おおよそ20歳ぐらいまでに決定されていると言われています。分かりやすい例は,味覚です。味覚は幼児期から12歳ぐらいまでに形成されるという説もあります。音感や色彩感覚なども,比較的早い段階で形成され,言語感覚,論理性などは,もう少し長期で形成されるようですが,小さい頃からの読書体験や言語環境が子供の成長に大きな影響を与えることはよく知られるようになりました。 しかも,これらの能力は,ほぼ自然に身についてしまう類いのもので,ブルデューに言わせれば,文化資本を身につけようとすること,つまり獲得によって社会的階層を引き上げようとする動機づけは,全てを非文化的なものに変質させてしまうというひどい話ですが,少しでも子供たち一人一人のこの身体的文化資本を育てていくには,本物やいいものに多く触れさせる以外に方法はないと考えられています。 そうだとするならば,演劇やダンス,ミュージカルなどのパフォーミングアーツは,東京の子供たちが圧倒的に有利ということになります。インターネットの時代となり,知識や情報の地域間格差はなくなってきましたが,生でしか得られない部分で大きな差がつく時代となってしまいます。 国際水準の舞台芸術の鑑賞という意味では,東京と地方都市では機会の差は一層大きくなります。 そして,この身体的文化資本の格差の問題は,経済格差と直結してきます。親が美術館やコンサートに行く習慣がなければ,少なくとも小中学生の段階では,子供だけでそこに行くということはないでしょう。親が意識の高い層ならば,夏休みなどを利用して,子供を都市部の美術館や博物館に連れていったり,音楽や演劇を鑑賞させたりします。しかし,そういったところに通う習慣のない家庭は,全くそれらとは無縁のままです。 だから,地方都市ほど,公的な支援がなければ,身体的文化資本の格差が広がりやすくなります。かつて小劇場や舞踏,ジャズや現代アートなどは,地方出身者にとって,東京に出てから触れるべき事柄でした。もちろん,格差はあったと思いますが,東京でそれらに触れることで,ある程度キャッチアップの機会が保障されてきたと思います。 しかし,これからは,それが大学入試の時点で問われるようになります。こうした状況の中で,子供たちの能力を育てていくということに関して,身体的文化資本についてのお考えと取組を教育長にお尋ねいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
    ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 身体的文化資本についてでありますが,お話の身体的文化資本とは,身につけた幅広い文化的素養や豊かな感性,人間性等を指すものであると理解しており,これからの先を見通すことが難しい社会において,主体的に,多様な人々と協働して生きていくためには,必要なものであると考えております。 そのためには,様々な経験を通して子供たちが本物に触れることが大切であると考えており,県教委では,国の事業等を活用しながら,現在,学校において,音楽や演劇等の鑑賞機会の提供や文化芸術の専門家の派遣等を行っているところであり,今後とも,自然体験や社会体験等も含め,幅広い文化的素養や豊かな感性,人間性を育む機会の充実に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 今も,例えば文化連盟による様々な学校の出前授業とか,岡フィルがコンサートに行くという,生の演奏とかを大切にされているのは本当によく分かります。 かなり手を挙げて希望しているがなかなか皆さんのところに行けていないような状況であることも,聞いたことがございます。 今回,身体的文化資本をあえて取り上げさせていただきましたのは,今おっしゃったように,これからの先の見えない時代に,様々な多様な人たちとしっかり共に何かをつくり上げていくことで,まず対話をしてということですね。いろんな立場に置かれた人の様々な気持ちとか,その物の考え方に共感しながら,それでも新しい何かをつくり上げ,共に何かをつくり上げていくための対話ができる人間を育てていくということなんだと思います。 大学入試と直結していると申し上げましたのは,大学入試は,国語などの教科で記述しかなくなったりとか,様々ございましたが,恐らくは,第1次の段階で,ある程度のしっかりした学力の検査は,全国統一で行われていくと思いますし,その後,それぞれの大学がそれぞれの自分たちの学校で望ましい,こういう人たちに研究していただきたい,共にこの学校で一緒に学ぶ仲間としての選択の目を持って,それぞれの学校がお選びになるんだと思います。 そうなるときに,「あなたの意見は違うから,私はそれは相入れない」だけではなく,それぞれあるんだったらそれぞれ対話のできる能力をつくっていくのが,高校卒業までに身につけておかなければいけないこととなってくると思います。 それは,かなり小さいときから,アート,本物,自然体験,文化体験,スポーツも含めて,経験しながら培っていかなければいけない。教育委員会にしても覚悟の要ることだと思います。多分,今以上のお返事が出るとは思いませんが,それでもこれからそういう時代に向けて,教育委員会として,今までののりを越えながら,様々な人たちと連携しながら,いっていただきたいと思いますが,改めてそこのお話をお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 先ほどの答弁以上のお答えをということでございます。議員から,冒頭,お話がありました倉敷商業高等学校の生徒,全国で初めて高校生で入賞したわけでございます。では彼らがすばらしい演劇や芸術作品を見たかというと,それは見ているかも分かりませんけれど,そうではなくて,彼らは,やはり地域に出て,地域の本物に出会った。地域の本当にすばらしい人たちに出会ってきたからこそ,今回のような全国に誇れるような発表ができたのだろうと私は思っています。 そうであるならば,やはり東京に行って演劇を見ることも大事でありますけれども,我々の地域のこの岡山にもすばらしい人,すばらしい出会いがいっぱいあるわけでありますから,学校が大事なことは,子供たちを学校の中だけに閉じ込めておくのではなくて,地域に出して,地域のそういった方々と出会う場を保障していく。それが,地域学であったりふるさと学習だと私は思っているんですけれども,そういった場をつくることによって,地域における本物に出会うことで,お話しの身体的文化資本といいますか,人の中に蓄える魅力であったり話す力であるとか,そういったものを育てていく必要があるというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 確かに,私も地域学の価値はすごいなと思っております。今,普通科高校を含めまして,全県で頑張ってらっしゃいますし,地域で多様な人材,年齢層も違う皆さんと付き合うことは,本当に大切であり,ただもちろん進めていっていただきたいし,多分これからもそうなるでしょう。 ただ,東京に行けと言っているわけではなくて,本物というものもいろんなものがあって,それはもっともっとアートを含めての体験も増やしていただければありがたいなという思いでした。 それでは,平成26年11月議会において,今後,災害対応を円滑に進める上での男女共同参画センターや担当部局の役割をどのように考えているかをお尋ねしました。 知事からは,「男女共同参画推進センターにおいて,防災活動の女性参画や災害時における性差への配慮をテーマとした研修などを実施し,リーダー養成や普及啓発を進めるとともに,男女共同参画担当課が,県防災会議に参画し,避難所における男女のプライバシーの配慮などを防災計画に盛り込んできたところであり,今後とも,こうした取組を通じて,男女共同参画に配慮した災害対応が円滑に進むよう努める」との答弁でした。 こうした県の取組と防災意識の高まりや避難所運営時の女性の視点の重要性などへの理解の広がりから,当時よりも随分とこのような視点が広く行き渡ってきたこととは思います。 平成30年7月豪雨災害を体験し,温暖化による気候変動の影響により,毎年のように風水害被害に見舞われることから,研修や普及啓発の事業に加えて,災害発生時の災害対策本部の情報やボランティア情報などを共有し,女性の視点での災害時の拠点としての役割を担っていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。県民生活部長にお尋ねします。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  お答えいたします。 男女共同参画推進センターについての御質問でありますが,センターでは,男女共同参画の視点に立った災害対応が行われるよう,防災活動への女性の参画や性別に配慮した避難所運営などをテーマとした研修会の開催等を通じて,リーダー養成や普及啓発に取り組んでおります。 また,災害発生時には,災害対策本部などとの情報共有を図りながら,被災市町村に対し,避難所等の環境改善や女性に対する暴力等の予防啓発について助言するほか,被災者からの相談対応を行うなど,女性の視点に立った災害対応に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 私がこれをお尋ねしたのは,普及啓発はできる範囲の中でしっかり頑張ってらっしゃるし,様々な相談にも乗ってらっしゃるんだと思います。私自身が,西日本豪雨のときに,いろんな県の方々から,県議会のお目にかかったことのない方からも御連絡いただきながら,何か女性への支援はないですかということを言われたときに,まずちょっと私自身が,そこのセンターに御連絡をさせていただきました。 やっぱり思っていたほどにその状況の共通認識はなく,ちょっと残念だなと思いましたので,まずは様々なことのワンストップの拠点となるような取組を,今の人材では難しいかもしれませんが,規模拡大も含めながら,今後,考えていっていただきたいと思います。 ありがとうございました。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で木口君の質問は終了いたしました。 答弁者は,自席へお戻りください。 次の質問者に移ります。 29番江本公一君。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  自由民主党岡山県議団の江本公一でございます。 それでは,早速ではございますが,通告に従い,質問させていただきます。 まず,ワクチン接種についてお尋ねします。 本県初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから,間もなく1年が経過しようとしています。感染拡大の防止と地域経済の維持・回復との両立に全力で取り組む伊原木知事をはじめとした執行部の皆様,また新型コロナと最前線で戦う医療従事者など,関係の皆様に対し,改めて敬意を表しますとともに,心より感謝申し上げます。 先月,本県においても,新型コロナワクチンの接種が始まりました。現在,接種が行われているワクチンは,海外の臨床試験で95%の有効性が確認されており,ワクチン接種が新型コロナ終息の切り札となって,一日も早く元気な岡山が戻ってくることを大いに期待するものであります。 今回のワクチン接種では,指導的役割を果たす国,実施主体としての市町村,公益的な視点で市町村を支援する都道府県といった役割分担を基本として,接種体制等を速やかに整備していくこととしています。 短期間で多くの住民にワクチンを接種するという市町村にとっても前例のない事業であり,しっかりと市町村を支援いただきたいと思います。 県では,ワクチン接種体制を確保するため,市町村との協議会を立ち上げるとともに,ワクチン対策室を設置し,市町村との調整に当たっています。 接種を行う医療機関の確保やワクチンの移送体制構築などといった市町村が抱える課題を解決するため,県は,どういった支援をしていこうとしているのでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。 また,ワクチン接種に関して,全国的な動きは報道等で把握できるものの,本県で,どのように接種に向けた準備が進められているのかなどといったことは,なかなか把握しづらいのが実情です。 県では,県内の医療提供体制や感染の状況について,定期的に情報発信を行っていますが,準備状況や今後のワクチン接種の見通しについても,併せて発信していただきたいと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の江本議員の質問にお答えいたします。 ワクチン接種についての御質問であります。 まず,市町村支援についてでありますが,市町村が実施する高齢者等へワクチンを接種する施設の確保に向けて,医療機関への意向調査を実施し,その結果を市町村に情報提供したほか,ワクチンの円滑な移送体制構築のため,移送業者への委託を調整しているところであります。 引き続き,県内でワクチン接種が円滑に進むよう,市町村の支援に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 次に,情報発信についてでありますが,医療従事者向けは,5月の前半までに,高齢者向けは,6月末までに,それぞれ必要な数量のワクチンが供給される旨,先週末に国から示されたところであります。 今後,高齢者への接種に向け,市町村に対し,接種体制の整備を促し,いつ,どこで接種できるか等を県民に分かりやすく情報発信するとともに,ワクチンの効果や副反応についても,新しい知見も踏まえながら,丁寧に伝えてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,やっぱり分かりやすい発信が一番なので,どうぞよろしくお願いいたします。 次に,職場におけるメンタルヘルス対策の推進についてお尋ねします。 自殺は,本人にとってもこの上ない悲劇であるだけでなく,家族や周りの人々に大きな悲しみと生活上の困難をもたらし,社会全体にとっても大きな損失となります。 警察庁の自殺統計によると,昨年の全国の自殺者数は,緊急事態宣言が解除された後の7月以降,増加に転じ,暫定時で2万1,077人と,リーマン・ショック直後の2009年以来11年ぶりに前年を上回りました。 本県の自殺者数は267人と,一昨年の271人に比べて減少したものの,下半期での比較では大幅に増加しており,新型コロナとの闘いが長期化し,今後の見通しも不透明な中,さらなる自殺者数の増加が懸念されます。 自殺を未然に防ぐためには,県・市町村,関係団体・民間団体,企業,県民等が相互に連携・協働し,自殺対策を総合的に推進することが必要です。 そのうち,本県の自殺者の約3割を占める就業者の自殺予防には,職場におけるメンタルヘルス対策の推進が不可欠であることから,県では,職域等に対する自殺予防支援事業として,地元企業を熟知する商工会議所に委託し,中小企業等における人材の育成などに取り組んできました。 私の地元,総社商工会議所においても,産業カウンセラーに依頼し,管理職・人事担当者等の対応力強化を目的としたセミナーや会員企業等を対象とした個別相談会を開催しており,参加した企業からも,大変よい勉強になったとの感想が寄せられています。 職域等に対する自殺予防支援事業は,今年度をもって終了すると聞いていますが,コロナ禍で働き方にも大きな変化が生じている中,多くの人が不安やストレスを抱えながら働いています。 ぜひとも,引き続き職場におけるメンタルヘルス対策にしっかりと取り組んでいただきたいと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 職場におけるメンタルヘルス対策についての御質問でありますが,お話の事業については,今年度で終了しますが,今後は,労働者の働き方の変化やライフスタイルの多様化を踏まえ,職域を含め,地域の関係機関と連携しながら,生涯を通じた健康づくりの支援に取り組むこととしております。 一方,コロナの影響により,社会経済状況が大きく変化し,不安やストレスが高まっていることから,改めて商工会議所と連携し,コロナ禍における職場でのメンタルヘルスの取組を支援してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,前向きな御答弁ありがとうございました。 予算的には,平成30年の豪雨災害,それから昨年から続きます新型コロナで大変厳しい予算状況でありますけれど,どうぞよろしくお願いいたします。 次に,飲食業等に対するさらなる支援についてお尋ねします。 長引く新型コロナ感染症の流行により,客足が遠のいた外食産業では,売上げが大きく落ち込んでいて,業界団体による全国の1月の外食売上高は,前年同月と比べ,21%も減っており,特にパブ・居酒屋業態では,75%も減少しているということです。 本来,繁忙期であるはずの忘年会・新年会シーズンは,ほとんど稼ぐことができず,飲食店の疲弊はピークに達しています。 緊急事態宣言の対象地域では,営業時間の短縮に応じた飲食店に協力金が支給されますが,本県では,売上げが大幅に落ち込んでも協力金が支払われることはありません。店を開けても,お客が来ず,稼ぎがないので,将来を悲観し,事業継続を諦めることを考える事業者も現れています。 緊急事態宣言の対象地域よりも,協力金を受けられない分,むしろ厳しい環境にあると言えます。 他県の中には,売上高が大幅に落ち込んでいる飲食店を対象とした支援金制度の創設を検討する動きも見られます。 ところで,飲食業は,女性のパートタイムや学生アルバイトの受皿となっており,比較的低所得の方も多く働いています。中には,解雇や営業時間の短縮などにより,勤務時間が減少し,もともと少なかった収入がさらに減り,生活が一層苦しくなっている方もいます。 また,飲食業は,食材の卸売やクリーニングなど,取引先も多いので,飲食店での消費が回復すれば,食材の流通などに普及し,地域経済の好循環をもたらすことになります。 飲食業やその周辺産業に関わる人たちが,安定した収入を得て,安心して暮らせるよう,本県においても飲食業等に対するさらなる支援が必要ではないかと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 飲食店等に対するさらなる支援についての御質問でありますが,お話のように,飲食業は,パートタイムをはじめ雇用の受皿であるとともに,飲食店の消費回復は,関連する事業者への波及効果が大きいものと考えております。 こうした中,Go To Eat事業を再開するとともに,緊急事態宣言の影響を受けた飲食店等を対象とする国の一時支援金の受付も開始されたところであり,これら事業の実施状況を踏まえながら,飲食店をはじめ地域経済の維持に必要な支援について,引き続き検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事も肌で感じられて,分かっていると思いますけれど,飲食業は本当に大変です。どうぞよろしくお願いいたします。 次に,稲作の振興についてお尋ねいたします。 我が党の代表質問でも触れましたが,新型コロナなどの影響により,食用米の消費の減少が見込まれることから,国は,令和3年産の米価の安定を図るためには,全国で過去最大規模の6万7,000ヘクタールもの作付転換が必要であるとしています。 こういった国の方針を踏まえ,県や農業団体で構成する農業再生協議会では,主食用米の作付面積を約1,000ヘクタール減らす目安を設定し,農家に国の支援策を紹介するチラシを配り,麦や大豆,飼料用米への作付転換を促しています。 しかしながら,作付転換は,農家にとって大きな負担になります。昨年,トビイロウンカで被害を受けた農家では,なおさらのことです。 また,一度作付転換をしてしまうと,稲作を再開することも困難な場合もあります。 しかも,令和3年産に向けて,既に種もみも入手している農家もあり,作付転換を促されても間に合わなくなることが懸念されます。 我が党の代表質問に対し,「国の交付金を活用し,地域の実情に応じた収益性の高い作物への作付転換の支援をする」との答弁がありましたが,実際に1,000ヘクタールもの作付転換を進めるには,多くの困難があると考えます。 平成26年産米では,前年の在庫を多く抱えていたことに加え,消費量が減少したことから,米価が大きく下落し,農家の手取りは1俵当たり1万円を下回りました。令和3年産でも,作付転換がうまく進まなければ,平成26年産のような米価の下落を招き,もしそうなれば,農家の生産意欲は大きく減退し,農家をやめてしまう者が多数出てきかねず,耕作放棄地のさらなる増加も危惧されます。 一方,県では,売れる米作りを積極的に推進しており,特にきぬむすめでは,食味ランキング5年連続特Aを取得するなど,消費者が求める品種や,有機農業など栽培方法にこだわった付加価値の高い米の生産を支援しています。 作付面積を約1,000ヘクタール減らすという高いハードルの中で,今後,稲作をどのように振興されるのか,知事の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 稲作の振興についての御質問でありますが,県では,5年連続特Aを取得したきぬむすめをはじめとする県奨励品種への集約など,消費者が求める高品質な米の生産を促進するとともに,スマート農業技術の導入等により,生産コストの低減を図るなど,産地間競争に打ち勝つ米作りに努めてまいりたいと存じます。 一方,米の需給調整に必要な作付転換については,国の交付金を活用しながら,業務用にも需要が高いタマネギやキャベツ,市場の評価の高い桃やブドウなど,地域の実情に応じた収益性の高い作物への転換のほか,飼料用米や麦,大豆の作付を支援していきたいと考えております。 引き続き,農業団体等と十分に意見交換しながら,農家の経営安定に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,答弁ありがとうございました。 これは,単県だけのことではなくて,国全体のことであります。今年になって,去年のお米がコロナの影響でなかなか外食産業で使われていないので,非常に余っているから,急に「麦や大豆を作れば応援してやるぞ」と言われても,実際無理なんです。 先ほど申し上げましたけれど,去年の時点で今年の分のもみ種もお米も注文していますし,先ほど知事が言われたような収益性の高い桃やブドウは単年でできるものではないのです。ですから,実際考えて,岡山県内で1,000ヘクタールといってもちょっと規模が浮かばないから,自分で考えてみたんですけれど,1反といったら300坪ですよね。これが1万枚,作付転換しろということなんですよ。僕らは,考えられないことだと思うんです。 僕は,一番何を危惧するのかといったら,先ほども言いましたけれど,平成26年に米価が下落したときに,多くの方が農業を辞めてしまったんです。それは,ちょうど岡山県も,中国地方全体的にもそうなんですけれども,高齢化が進んでいるということと,後継者もいないのに,ここで頑張っても仕方がないのではないかということで,一気にここ5年,10年で,半減どころではない,従来の2割,3割の農家に減っている。 それだけに及ばず,そうなれば,すぐに耕作放棄地が次の年からどんどん増えていって,今,岡山県内の耕作放棄地が増えている現状なんです。 それだけではなくて,波及効果というのは,経済的に言っても,100軒農家があったら,100台コンバインと100台トラクターと100台の田植機が要るんです。だけれど,これをやめてしまって,機械化になって,集約してもうかる農業を目指す上ではいいのかもしれませんけれども,農機具メーカーにしても,それを扱う地元の農機具の修理とかを行っているところには,倒産も出てきている。これが現状なんです。 ですから,全体的なことを考えて,もちろん高付加価値のものをつくることも大事ですけれども,岡山県の農業や田んぼを本当の意味でどうやって守っていくのか,知事の御所見をお伺いできたらというふうに思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  放っておいても,社会が変わっている,このコロナで短期的に大きく変わっている,その中で,岡山の農業,特に稲作農業をどうやって守るかという御質問だと思います。 まず,一般的な話でありますけれども,今,大きな産業があるというのは,これまでの生活に必要とされていたからであります。どんな産業であれ,いいほうか悪いほうかは別として,少しずつ社会が変わっていくときには,少しずつ影響を受けます。 10年後,20年後も,大きな産業としてとどまっていこうと思ったら,必然的にその社会の流れに対応していくということになります。 一番極端な話で言えば,例えばレコード全盛期に,レコードの針をつくっていた会社では,レコードがCDになった途端に,その針そのものは,残そうとしてもそれ自体に意味がないということになります。 農業というのは,食べるものですから,そういうことにはならないわけですけれども,今,1人当たりのお米の消費量が減ってきている,この1世代,2世代で考えると,随分減ってきている。また,胃袋の数そのものが減っております。これは,明らかな懸念材料ということでありますけれども,ちょっと考え方を変えて,日本全体ということになると,また別の対象が必要かもしれませんけれども,岡山ぐらいの,その中の一部で考えれば,まだまだ我々できることはあるのではないか。 別に,ここで新しいことを申し上げるということよりも,これまでも農林水産部それぞれで頑張ってくれているわけでありますけれども,きぬむすめが5年連続特Aを取ったというのも,さらっと私は申し上げましたけれども,これまでずっと我々は特Aなしでやってきたわけであります。最初に取ったときもうれしかったですし,一回だけだとフロックですけれども,2回,3回取ると,これは随分違うぞと,私はハッパかけたぐらいのことですけれども,実際にそれをつくり,指導された方々の努力が実って,もともとそんなにすごいおいしいお米で,有名どころを挙げろといって,岡山県を挙げる人が,例えば東京,大阪でどれだけいたか知りませんけれども,堂々の5年連続ということであります。ちょっと違う方向で言えば,例えば皆さん御存じの新庄村のヒメノモチ,あれも,もともとは外に出すようなものではありませんでした。「自分たちで作って自分たちで食べるものですよ」ということだったのが,意外と地域外の方から,「これまでのものよりもずっとよかったよ」と,大変評判がいいので,半信半疑で少しずつ増やしていって,今こんな代表的な作物になっている。それも,あの冷たい水と,寒暖差という,普通で言えばあまりいい条件と言われないものが,このヒメノモチにとっては非常にいい条件になっている。 それぞれまだまだできることはありますし,ここにいらっしゃる方も多く,私もそういう年齢になりましたけれども,白米を食べたいと。それを余分に買うお金はあるんだと。そうだけれども,食べたい分だけ食べると,年に1回の人間ドックで先生から,体重のことについて,「これはちょっといかんですね」みたいなことを言われます。これは健康問題に関わってくるということで,食べたい分を我慢している方も随分いらっしゃるんだと思います。 ところが,私の好きな某牛丼チェーンは,サラシア牛丼ですか,ある成分と混ぜて炊くことによって,御飯のおいしさは,私はほとんど変わらないように思うんですけれども,でも糖分の吸収を穏やかにしてくれて,健康にいいですよと。ということになると,これは並よりもアタマの大盛りにしようかなとか,いろいろ考えるわけでありまして,欲しいと思っている人はいるわけです。 もっと食べたいと思っている人がいるわけですから,ぜひそういったところにもっともっと工夫して,産業としてこれからもきちんと回るようにしていきたいと思っています。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,いろんな思いを語っていただきまして,ありがとうございました。 私の思いも,このコロナ禍で,農業にまで影響が出ている中,平成26年度のようなことがまた起こったらいけないなと,せっかく岡山県のすばらしい農業があるのに,守っていきたいなという思いからの質問でございました。 次に,農地中間管理事業についてお尋ねいたします。 先ほど申したとおり,令和3年産の主食用米の米価が下落することになってしまうと,農家の生産意欲がそがれるため,耕作放棄地のさらなる増加が危惧されます。 その耕作放棄地の増加を食い止める最後のとりでは,農地中間管理事業だと考えます。 農地中間管理事業は,担い手への農地の集積・集約化を進めるため,平成26年度から開始されました。 令和元年度までの累計貸付け面積は,2,385ヘクタールにとどまっており,農地中間管理機構が目標とする1万1,460ヘクタールの約2割で,目標に遠く及んでいません。 また,借受け希望面積の5,984ヘクタールに対し,貸出希望面積が2,905ヘクタールと大幅に不足しています。 その理由の一つとして,農地の出し手への制度の周知が十分でないことが考えられます。そのため,県職員が積極的に現地に赴き,地域の現状を把握するとともに,市町村や農業委員会,関係団体などと連携して,潜在的な出し手を掘り起こすことが必要と考えます。 農家は,農地に対して愛着を持っており,受け手が公募なので,誰に貸し出されるのか分からず,また農地を一旦貸出してしまうと,返ってこないのではないかと不安に思って,貸し出すことをためらうこともあります。 受け手にとっては,借りた農地を活用し,生産性を向上させることで,最終的にもうかることが必要ですが,出し手には,愛着のある農地をしっかり管理して,集落や地域に迷惑がかからないようにしてほしいとの思いがあるのです。 担い手への農地の集積・集約化を前進させるためには,農地の出し手に,農地中間管理事業の仕組みはもとより,固定資産税の軽減措置や協力金の交付といったメリットを説明し,安心して出してもらうことが不可欠です。 本県の米の生産を守り,耕作放棄地の増加を防ぐためにも,今後,農地中間管理事業をどう推進されるのか,知事の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 農地中間管理事業についての御質問でありますが,今年度の貸付け面積は,前年度実績を上回る見込みであるものの,年間目標には達しておらず,貸出希望農地は,依然として不足している状況にあります。 このため,私からのメッセージを掲載した広報資材を用いて,農地の出し手の不安の払拭に努めるとともに,市町村が設置する農地集積推進チームに普及指導センターなどの職員も参画し,関係機関が一体となって積極的な働きかけを行っているところであります。 こうした活動を通じて,農地の出し手に事業の仕組みやメリットを伝え,安心して農地を貸し出していただくことにより,農地集積の一層の推進に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,これも先ほど言いましたとおり,いろいろな問題があります。大規模化が進んでいかないと,もうかる農業に結びつかないとか,これは機械化に進んでいくこともそうですし,知事も,なかなか今までどおりのやり方では難しいという御答弁ですけれども,私も,実際に農業やっていてそのように感じるところもあります。 ですから,なかなか後継者がいないというのが現状なんですけれども,そのためには,今,せっかくこの事業があるのですから,私は,各地元にある営農組合とか農地中間管理事業が岡山県の農業,農地を守る最後のとりでだと思っております。 先ほど申し上げましたとおり,農家は先祖代々の農地に非常に愛着を持っていますし,大事にしてきた農地を借りた人にはちゃんと管理してほしいと。ですから,これは誰が作るかというのは非常に大きな問題であります。例えば私の地元で言いましたら,用水にしましても,池の水を順番に落としていくんです。何通りも筋があるんですけれども,中には,他人の田んぼを通らないと自分の田んぼに水が入らない,これは通し田という昔ながらの風習なんですけれども,そういったところもあって,これは長い長い時間と先人の皆様の努力と知恵によって,決まった順番があって,今でもそうやって守られているんです。それが急にほかのところから「耕作者がいないから来て作りますよ」といっても,なかなか急に作れるものではないんです。 ですから,やっぱり愛着のある田んぼを借り受ける耕作者の方と貸し出す地主をどういうふうにマッチングをしていくのかというのが,僕は大切なことだなというふうに思っておりますし,やっぱりそこの仲介役を中間管理機構が入って調整していけたら,安心して貸手も借手もそう成立していって,事業そのものが一挙に前に進んでいくように思うんです。結局人と人とのつながりかなと思います。その間に,県の行っているこの事業が入っていって,きちっと,貸手と借手が安心して契約できるようにしていっていただけたらなと思うんですけれど,知事,どのようにお考えでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  この農地中間管理事業,考え方はいいけれども,なかなかうまくいっていないではないかと,地元の農家さんからすると,知らない人が勝手に来て,勝手なことをされても実際困るんだというお話でございます。 本当にそうだと思います。このマッチング,うまくいったらすばらしい。何かマージャンの点棒計算みたいに誰かが8,000点もうかったということは,誰かが8,000点損しているということではなくて,こちらもこちらも喜ぶという可能性があるのが,このマッチングのすばらしいところでございます。 ただ,簡単にいかないのも,また事実でありまして,これは例えば後継者のいない企業のM&Aによる後継者づくり,存続ということ,もしくは大手企業の高齢社員と地元企業のマッチングですとか,うまくいけば双方ハッピーということであっても,実際の例でいえば,お互い思っていることが違ったとか,お互いのしゃべっている言葉,常識が違ってトラブルになった,なりかけたということは起きやすいわけでございます。 でも,そういう中で,いかにお互いの間をつないで,誤解はあるけれども悪意ではないんですよと,これさえしてくれれば随分違うんです,それぐらいだったらできるんですよという,仲立をする人がうまく,いい仕事をすれば,成功率も実績も随分違ってこようかと思っています。 実際,47都道府県の中で,全てが全て苦労しているわけではなくて,幾つかいい実績を上げているというところもあるそうでして,私の顔写真とメッセージを入れたパンフレットを作るというのもうまくいっていると言われている熊本県の例に倣ったわけでございます。 さすがに,ずっとJAの職員もされていた蒲島知事ほどの神通力がないということが,今回分かってしまったわけでありますけれど,ただ,とにかくうまくいっているところは参考にしながら,ぜひこの事業を岡山県もしっかり取り組んでいきたいと思っておりますし,今それぞれの担当者が頑張っているところでございます。 あと,もう一踏ん張りもしくはもう一工夫が足りていないところもあるのかもしれません。これからも頑張っていきたいと思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,ありがとうございました。 このコロナに負けず,岡山県の農業を前に進めていくようによろしくお願いします。 次に,臨時休業による学習の遅れへの対応についてお尋ねします。 このことについては,私は,全ての子供たちが学校の中で一定水準の学力を身につけることができる環境整備が何よりも重要との思いから,昨年9月定例会の一般質問において,保護者や塾のサポートを受けられる子供は,生活リズムを大きく崩すことなく,家庭学習に取り組むことができる一方,経済的な理由で保護者が仕事を休むことができず,日中,子供だけで過ごさざるを得ない家庭では,テレビやスマホ,ゲームの影響を大きく受けてしまう現状を踏まえ,臨時休業の影響を継続して把握・分析していくことの必要性と今後の対応について質問いたしました。 教育長は,夏期休業の短縮や行事の精選等により,授業時数の確保ができる見通しを示しながら,「県独自の学力調査や定期テスト等により,学力の定着状況を把握し,きめ細かな指導に努める」と答弁されました。 学校現場では,学習の遅れを取り戻すことができるよう,一生懸命取り組んでくれていますが,学校間での温度差があり,しっかりとやっているところとそうでないところが見受けられます。 このたびのコロナ禍は,誰もが経験したことのない事態です。教員はもとより,中堅やベテランの教員も日々授業のスピードなどに悩んでいると思われます。 県教委が指導力を発揮することが求められていますが,市町村教委にどのような指導をされているのでしょうか。また,小学3,4,5年生,中学1,2年生を対象に実施した今年度の県学力調査では,小学校5年生の算数を除いて,全国平均を上回るなどの結果が出ていますが,調査結果等をより詳しく見ると,昨年度に比べ,勉強ができる子供とそうでない子供との差が広がっていないでしょうか。 学力の二極化が進んでいるのであれば,解消に向けた対策が必要と考えます。あわせて,教育長の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 臨時休業による学習の遅れへの対応についてでありますが,学校では,臨時休校における学習の遅れを取り戻すために,講義型の授業中心になりがちであることから,県教委としては,学習内容の理解の状況を丁寧に把握し,児童生徒の意見や疑問を大切にした授業を進めるよう,学校訪問や教師向けの通信等で指導してきたところであります。 また,今年度の県学力・学習状況調査結果からは,県全体の状況に昨年度と大きな差異は見られませんが,前学年までに身につけるべき学習内容の定着が十分でない児童生徒もいることから,市町村教委や各学校において結果の把握・分析を丁寧に行うとともに,個々の児童生徒の課題に対応した復習システムや補充学習のための支援員の活用により,つまずきの解消を図るよう指導してきたところであります。 今後も,全ての児童生徒が一定水準の学力を身につけることができるよう,きめ細かな指導に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  いずれにいたしましても,このコロナによって臨時休業があったわけですけれども,コロナによる学習不足で,子供たちに差がついたということのないように,今後とも,取り組んでいっていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。 次に,教員の不足についてお尋ねいたします。 近年,全国的に教員が不足する傾向にあります。平成30年8月に,文部科学省が11の都道府県・指定都市の協力を得て実施したアンケートによると,産休・育休取得者数の増加,特別支援学級数の増加といった欠員や必要教員数が増加する中で,講師登録名簿登載希望数の減少といった臨時的任用教員等の確保が困難になっていることが,教員の不足の主な要因とされています。 本県においても,産休・育休や病休により,欠員が出たときは,県教委や市教委が代替講師を探しますが,すぐには見つからない場合があると聞いています。 代替講師が見つかるまでは,例えば教頭先生が授業を行うなど,学校の中で何とか回していかなければならなくなります。学校とすれば,2時間でも3時間でも授業を教えてもらえる講師を配置してもらえればありがたいのですが,例えばOBである退職教員の中に,体育や音楽等,特定の科目のみの非常勤であれば教えに行ってもよいという方がいても,代替講師の勤務体系は通常,常勤となっているため,ミスマッチが生じてしまうのです。 現在,学校現場は大量退職に伴う大量採用により,20代など若手教員が増えており,今後も,産休・育休による欠員の増加が予想されるなど,教員不足の問題はしばらく続くと思われます。 常勤の代替講師が見つからない場合には,退職教員に非常勤として協力を仰ぐなど,臨機応変に学校現場が助かるような方法を考えてはどうでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 教員の不足についてでありますが,教員が産休・育休等を取得した場合は,県教委が代員として常勤講師を配置することとしており,人材不足の傾向の中で,これまで臨時講師登録会の開催や県内外の大学を通じた講師登録の働きかけ,退職予定者や既に退職した教員への依頼など,講師の確保に努めてきたところであります。 代員の確保に当たっては,学校の負担等を考え,常勤講師の配置を優先に考えておりますが,やむを得ない場合には,非常勤講師で対応している場合もあり,引き続き欠員を防ぐため,状況に応じて柔軟に対応してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  教育長,前向きな御答弁ありがとうございました。 いずれにいたしましても,普通の場合は,産休・育休となれば,代替の教員が常勤というのは,私も非常に理解できます。ただ,現場が非常に遠慮されているところもあるのかどうか,やはり本来なら,県教委,市教委が,代替講師を用意できないという状況の中,それは現場で回しなさいというふうに言われている現場もあったようなので,今日は質問させていただいたんですけれども,ぜひ現場が本当に困らないこと,それから子供たちが何よりも不利益を被らないことを目指してやっていきたいと思いますけれども,その決意をお聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 いろんな理由でお休みになられる先生方はおられるわけでありますけれども,議員御指摘のように,やはり1人先生がいなくなるということは,学校に対して大変負担がかかることだと思います。我々教育委員会としましては,とにかく一日も早く代員が見つかるように,先ほど申しましたように,いろんな手を使って確保してまいりたいと思いますし,常勤の講師が見つからない場合は,議員御指摘のような非常勤講師の配置ということも含めて,学校を早く支援できるような体制をつくっていきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で江本君の質問は終了いたしました。 答弁者は,自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 42番山田総一郎君。 答弁者は,控席へ移動願います。 42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  皆さん,おはようございます。公明党岡山県議団の山田総一郎でございます。 本日は,3月10日,明日は,東日本大震災からちょうど10年の節目に当たります。現地では,10年が経過してもなお,復旧・復興は道半ばであります。被災地の皆様に,この岡山の地からもエールを送りたいと思います。そして,発災直後から今まで,現地を訪問しまして,地元の議員の皆さんや被災者の皆さんといろいろお話を伺ってまいりましたけれども,昨年は,コロナで訪問することができませんでしたので,今年はぜひ伺って,また現地を視察したいというふうに思っております。 それでは,通告に従いまして,質問をさせていただきます。 初めに,新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 まず,今回の新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方に,心よりのお悔やみを申し上げるとともに,現在もこの感染症で苦しんでおられる皆様に,お見舞いを申し上げます。 また,大変な状況の中で,頑張っておられる医療従事者の皆様や様々な現場で関係される皆様に,感謝を申し上げたいと思います。 新型コロナによるパンデミックは,現在の世界にとって健康上も経済的にも,大きな打撃であり,我が国にとっても大きな被害を残し,感染症との闘いは今も継続中であります。 新型コロナにつきましては,問題点が多岐にわたっておりますし,同僚議員からも様々な問題提起もございましたので,私も何点かに絞って質問をさせていただきたいと思います。 まず,学校現場での感染症対策についてであります。 昨年12月,国から,学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」が公表されております。現場では,このマニュアルに従った対応がなされていると思いますが,少し心配しているのが,私のところにも実際に相談があったわけですけれども,現実にマスクをして生活することが困難なお子様がおられました。特に,低学年のお子さんは,自分の意思を教師に伝えることがなかなかできないと思いますので,教員のほうからの目配りが大切になってくると思います。 コロナいじめ等もないようにしていただきたいと思いますが,学校現場での現状・課題について,教育長に御所見を伺います。 次に,ワクチン接種に関してでございます。 予防接種法では,ワクチン接種は,単一の市町村による実施が原則でありますが,岡山県は,先日,国の「ワクチン接種を円滑に進めるため,近隣市町村が連携して接種体制をしいた場合,住民が他の自治体で接種を受けられるようにすることも可能」との取扱いを全県に拡大し,市町村をまたいで通勤,通学する人の接種機会を確保するとともに,医療機関が少なく,単独で実施することの困難な自治体を補完するために,「岡山県内では,居住地以外の自治体でもワクチン接種が受けられる体制の整備を目指し,検討を進めることとした」と公表されました。 これは,全国でも初の取組であり,岡山県が全国の自治体の先鞭をつけたということを大きく評価したいと思います。 そこでこのことに加えて,例えば,単身赴任で県外に通勤する,あるいは県外におられる方,出産のために里帰りして岡山県に来られる方,あるいは帰ってこられる方,あるいは娘さんが出産するということで身の回りの世話で県外に行く,母親ですから高齢者の方とか,そういった方については県域を越えて,現地でのワクチン接種が可能になるのでしょうか。 こうした県域を越えた様々な接種のニーズに,何が対応可能で,何ができないのかといったことについて,県民に情報を周知する必要があると思いますが,併せて保健福祉部長の御所見を伺います。 次に,コロナワクチン接種事業における高齢者並びに障害者の皆さんへの配慮について伺います。 県内の市町村が担う新型コロナのワクチン接種事業について,高齢者や障害者が,円滑に接種を受けるための体制整備の支援が必要です。 まず,高齢者への優先接種とともに,障害がある方への接種について,どう取り組むのか。保健福祉部長にお伺いいたします。 また,具体的に移動が困難な高齢者や障害者について,ヘルパーさんが接種会場まで案内したり,施設で接種したりする取組のほか,接種券などが入った封筒に点字も必要です。これらの具体的な取組について,市町村の状況や県としての指針,市町村への支援内容について,併せて保健福祉部長に伺います。 先日,国会においても,「高齢者や障害者が円滑に接種を受けるための体制整備については,必要な費用は国が全額負担する」旨の答弁がありましたので,よろしくお願いいたします。 ワクチン接種につきましては,先ほど申し上げたように,高齢者以外の接種は市町村の所管になるわけでありますが,市町村間で様々な条件の違いがあります。県としても,市町村間の進捗などに差異ができないように目配せが必要と思いますが,市町村間の差異について,県としてどのように対応していくのか,知事の御所見をお聞かせください。 関連して,今年開かれる東京オリンピック・パラリンピックに,岡山県警察からも,多くの機動隊員や所轄の警察署からも警察官が警備に動員されると思います。首都圏での密も予想される中での勤務も想定されますが,ワクチン接種については,全ての国民が接種を受けられる状態となるためには,大分先になるだろうと思います。 そのため,オリンピック等へ派遣される警察官など,地方の考えによって,優先接種の対象範囲を柔軟に拡大し,めり張りをつけることが重要であります。 ワクチンの優先接種の対象拡大について,国にしっかりと要望していただきたいと思いますが,保健福祉部長の所見を伺います。 そして,このパンデミックにおける一つの特徴としては,この間,日本国内では,インフルエンザやその他の感染症の罹患者もほとんどいない,食中毒の件数も減少している。超過死亡率も,日本では減少しているようであります。 インフルエンザの発生数は,昨年9月から今年2月末までの6か月間で,全国で99.88%減,岡山県内でも99.58%減ということであります。このような新型コロナ以外の感染症等における現象について,知事の御感想とよい意味でのアフターコロナへの展望について,併せて伺いたいと思います。 この項最後に,知事は,昨年12月21日,県内で新型コロナウイルス感染症が急拡大し,医療機関が逼迫した状況にあるとして,「岡山県医療非常事態宣言」を発令し,全ての県民の皆さんへ,様々な感染防止対策の協力を求めました。 予算総括協議会で,我が会派の質問でも伺いましたが,この宣言の効果検証について,知事の御答弁は,「宣言により医療の危機的な逼迫状態を県民にお伝えし,皆様に御協力いただいた結果,新たな感染者が徐々に減少し,ステージ2相当に改善したところであります。引き続き,県民の皆様に感染拡大防止の徹底をお願いしてまいりたいと存じます」と言われました。 私も,県民の皆様の御協力があったからこそ,効果があったことと思います。 一方で,この宣言によって,飲食業などのお店が大きな被害を受けていると思います。先日も,「もう店は死んだ,出口が見えない中,ここまで耐えてきたが心が折れた」と,こういう現場の声を紹介しながら,「昨年秋から今年2月末にかけて,JR岡山駅付近周辺での飲食店では,約50店舗が閉店した」と報道されておりましたが,県下の全ての市町村でも,同じような状況があると思います。 飲食店やその取引業者など,事業者の現状について,知事の御認識をお伺いいたします。 先ほど超過死亡率の減少について申し上げましたが,失業率と自殺者数は相関関係があるというエビデンスがあると聞いており,昨年秋から,国内での自殺者数が増加しております。 岡山県でのGo To Eatも再開されましたが,本当に大変な店舗等への支援がさらに必要であると思います。 そこで県として,飲食店など大きな影響を受けた店舗などの経営者や従業員,非正規,アルバイトの皆さんなどの支援につながるよう,売上減少店舗への補填など,県独自の事業者支援をぜひお願いしたいと思いますが,いかがお考えか,御所見を伺います。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  公明党の山田議員の質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症についての御質問であります。 まず,ワクチン接種のうち,市町村間の差異についてでありますが,県内の市町村において,急ピッチで接種体制の整備が進められておりますが,市町村の規模などにより,進捗に差異が出てくると想定されることから,進捗状況に係る情報共有や共通する課題への対応等について,意見交換を行っているところであります。 今後とも,集団接種会場の運営やワクチンの移送体制など,市町村にとって大きな負担となるものについて,医療関係団体や業者との調整を行うなど,必要な支援に努めてまいりたいと存じます。 次に,新型コロナウイルス以外の感染症等についてでありますが,新型コロナ以外の感染症等の流行が抑制されたのは,異なるウイルス同士で感染を阻害するウイルス干渉や海外からの訪日客の減少などによるといった仮説もありますが,多くの方がマスクの着用や手洗いなどの感染予防に取り組んだ効果であるとの専門家の意見もございます。 このたびのコロナ禍においては,一人一人の基本的な感染予防策の実践が大切であることを強く感じており,パンデミックが終息した後も,こうした衛生観念が根づくことを期待しているところでございます。 次に,事業者のうち,認識についてでありますが,県が実施している調査では,飲食業の1月の売上げは,9割を超える事業者で前年の水準を下回っております。 また,商工会議所連合会や商工会連合会からは,飲食業で廃業が増えていることや関連する事業者にも影響が及んでいることなどを聞いており,厳しい経営状況にあるものと認識しております。 次に,県独自の支援についてでありますが,今月8日から,Go To Eat事業を再開するとともに,緊急事態宣言の影響を受けた飲食店等を対象とする国の一時支援金の受付も開始されたところであります。 これら事業の実施状況を踏まえながら,飲食店をはじめ地域経済の維持に必要な支援について,引き続き検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 学校現場における現状・課題についてでありますが,国のマニュアルでは,常時マスクを着用すべきとされておりますが,活動の状況や児童生徒の様子なども踏まえ,臨機応変に対応することも記載されております。 お話のとおり,障害や疾病等の理由により,マスクの常時着用が難しかったり,自分の意思を教師に伝えることが困難な児童生徒もいることから,教師が一人一人の様子を丁寧に把握するとともに,配慮が必要な児童生徒の状況をほかの児童生徒にも十分に説明し,いじめ等につながることのないよう,しっかりと対応してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長西嶋康浩君。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  お答えいたします。 まず,ワクチン接種のうち,県域を越えた接種についてでありますが,ワクチン接種は,予防接種法により,原則,住民票所在地の市町村で受けることとされております。しかしながら,国において,例外的な枠組みが設けられており,単身赴任の方や出産のために里帰りしている妊産婦の方などは,住所地外での接種が認められているところであり,こうした情報については,今後,県民に対して積極的に情報提供してまいりたいと存じます。 次に,高齢者等についてでありますが,高齢者や障害のある方のうち,施設入所者については,施設内での接種を基本と考えており,在宅の方については,自宅と接種会場との移動に要する費用の補助や会場における手話通訳の配置などの支援を検討している市町村もあると聞いております。 こうした配慮の提供については,協議会を通じて取組事例の情報共有を図ることにより,きめ細かな対応が県内全域で行われるよう,取り組んでまいりたいと存じます。 次に,優先接種の対象についてでありますが,国は,現在確保できるワクチン量に限りがある中で,まずは医療提供体制を守るため,医療従事者に,次に重症化リスクの高い高齢者に接種を行うこととしております。 このため,警察官等への優先接種について,国に要望することは考えておりませんが,国が示した枠組みに沿って,ワクチン接種が迅速に行われるよう,取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  御答弁ありがとうございました。 先ほど,学校では常時マスクを着用という御答弁がありましたけれども,引用しましたマニュアルを見ますと,マスクの着用については,身体距離が十分取れていないときはマスクをすべきだと。ただし,次の場合はマスクをする必要がないということで,気温,湿度,暑さ指数の高い日,熱中症,健康被害が発生するおそれがある場合は,マスクを外してくださいと。 そして,マスクの取り外しについては,生活の態様や児童生徒等の様子などを踏まえて,現場で臨機応変に対応すると,言われました。 マニュアルは,昨年12月ですけれども,今年2月に,学校運営のためのガイドラインが出ました。長く続くことに対応して,引き続き学校における感染症対策で,手洗いやせきエチケット,換気といった基本的な感染症対策に加えて,3密を避けるとか,身体的な距離を確保するとか,そういうことが記載されています。 この新しいガイドラインの中では,マスクの着用の義務づけということがうたわれていないわけですけれども,これはどういうふうに考えたらいいのか。そこら辺を現場にもきちっと伝えていただきたいと思いますが,お聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 通知の中に,マスクという言葉が出てこないけれども,どうなのかというお尋ねかと思います。今お話の通知の中で,手洗いやせきエチケット,換気といった基本的な感染対策という言葉が出てまいりますけれども,この中のせきエチケットで,どういう対応をするのかというと,マスクやティッシュ,ハンカチ,それからいろんなもので口や鼻を押さえることは当然のことでございまして,この中にマスクという意味合いが入っておるというふうに理解をしております。 先ほどお話がありましたマニュアル等にもなっておることから,この通知によって内容が変わったものではないというふうに理解しておりまして,学校へは引き続きマスクの着用というのは指導しておりますが,先ほどお話のありましたように,例えば体育の授業で熱中症の心配があるような場合とか,あるいは個々の児童への対応として,配慮が必要な子に対しては,当然その様子を見ながら対応していくということは,臨機応変にやっていくべきというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  御答弁ありがとうございました。 マニュアルと新しいガイドラインの状況が違うので,若干ニュアンスが違うと思いますので,学校現場でもいろんなことが想定されますので,丁寧な説明と対応をぜひお願いしたいと思います。 それから,保健福祉部長,先ほど御答弁いただきました住民票の所在地以外でのワクチン接種の例外でございますけれども,妊産婦が里帰り出産するためというのがありましたけれども,例えばコロナ禍で,北海道の娘さんが帰ってこられないから,親が娘のところに,しばらく行くという高齢者もいると思いますが,そういったことにも対応できるんでしょうか。お聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えいたします。 住所地以外での接種の例外の取扱いということだというふうに思います。先ほどございました娘の出産等で県外へ行く場合ということだと思いますが,こういった例外規定につきましては,やむを得ない場合ということで,国から例示が示されてございます。その中で,先ほど答弁申し上げましたとおり,里帰り分娩だったり,単身赴任者ということが示されておりまして,こういう方々も事前に当該市町村に申請していただいた上で,住所地外で受けることができます。 実は,この例示の中に,おっしゃったような形で,娘のために高齢者の方が行くということが,示されていませんので,まだこれが適用されるかどうかというのは,ちょっと我々としては判断しにくいところがございますので,ここはもう少し時間がたってくれば,具体が示されると思いますので,そういったものが出てくれば,きちっと県民に周知してまいりたいと思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  先ほどのお話ですけれども,具体的な例示が出てきていないので,また今後,出たらということですけれども,いろんな要望があると思いますので,こちらから国に,こういう場合はどうかという声かけをぜひしていただきたい。今の話以外にもあると思いますので,よろしくお願いいたします。 次に,糖尿病の重症化予防の取組について伺います。 今も収束の糸口の見えない新型コロナウイルス感染症ですが,この流行の中で,糖尿病の人の重症化リスクが注目されています。一方,アメリカ糖尿病学会,ADAでは,糖尿病であっても血糖コントロールが良好であれば,新型コロナウイルス感染症による危険性は,糖尿病ではない人と同等であるという見解を示しており,新型コロナウイルス感染症から命を守るためにも,糖尿病の人は,今まで以上に血糖コントロールに気を配る必要があります。 また,糖尿病は,放置すると網膜症,腎症,神経障害など合併症を併発し,さらに人工透析導入となると,患者さんの日常生活に支障を来すだけでなく,年間約500万円もの医療費がかかり,医療適正化の点でも大きな課題であります。 本県におきましても,重症化予防の取組について,医療機関未受診の糖尿病の人などへの働きかけを強化するため,国保連合会との連携により,そうした人を抽出し,市町村に情報提供することで,市町村から的確に受診勧奨が行われるための取組が進められています。 レセプトデータは,過去5年間までのデータが保存されていると聞いており,糖尿病は,治療中断期間が長くなるほど重症化のリスクが高くなりますので,県が過去5年まで遡って治療中断者を抽出し,市町村にデータを提供するべきと考えますが,いかがでしょうか。保健福祉部長の御所見をお聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 保健福祉部長西嶋康浩君。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  お答えいたします。 糖尿病の重症化予防についての御質問でありますが,これまで国保連合会が抽出したデータを市町村国保に提供し,その活用に関する研修会等を国保連合会と連携して開催するなどの支援を行ってきたところであります。 重症化予防には,レセプトデータを過去5年遡って,治療中断者を抽出するよりも,将来にわたって継続的に特定健診の未受診者を的確に把握し,健診の受診勧奨を徹底することが極めて重要であり,毎年,特定健診とレセプトデータも併せて活用しながら,より効果的に事業を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  レセプトデータを将来的な対応に活用するということなんですけれども,やはり治療を中断している人が必ずいるわけで,その方が,コロナだけでなくて,重症化の様々なリスクがあるわけですから,ここはぜひ県が主体的に関わって,市町村に対する目配せというか,そういう取組をしたらいいのではないかなと思っているんですけれども,いかがでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えいたします。 目配せをして,県としても取り組むべきではないかということだと思いますけれども,御指摘のとおりだと思います。重症化リスクが高い,医療機関未受診者に対する対応というのは,非常に重要だと思っております。 実は,昨年10月に,改正国民健康保険法が施行されまして,その中で,従前,曖昧になっていたところが,少し明確化されます。レセプトデータ等を情報収集,整理,分析というのは,国保連合会の業務として,法律の中で明確化されて位置づけられております。これは審査支払機関の機能強化という文脈で位置づけられたところでございますので,一義的には国保連合会でやるということになってございます。 一方で,県では,やはり無関係ということではなくて,そういったレセプトデータに基づいて,きめ細かな助言だとか支援だとか,そういったことも,引き続きやっていくべきだということも併せて書かれてございます。 あと,県内の状況を見ますと,市町村国保,それぞれ保険者によって,より未受診者をどうやって掘り起こしていくかということで非常に工夫しながら,それぞれの独自の基準を設けてされていることは,我々も把握してございますので,まずは保険者たる市町村で努力していただいて,市町村からも少し意見も聞きながら,今の御指摘,御提案のような内容も含めて,もしそういった御希望があれば,国保連合会,そして市町村国保,我々県もサポートしながら,より県内で的確な対応ができるような形に努めてまいりたいと思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  次に,県では子宮頸がん予防のために,HPVワクチンに関する正しい知識の普及及び子宮頸がん検診の受診促進に重点的に取り組んでおり,昨年度はリーフレットを作成し,小学校6年から高校1年生までのHPVワクチン定期接種対象者の保護者に配付しております。 また,今年は,定期接種の最終年となる高校1年生の保護者には,学校を通じてリーフレットを配付するほか,市町村を通じて新たに定期接種の対象となる小学校6年生の保護者などへの配付を行っています。 国からは,HPV感染症に係る定期接種の対象者及びその保護者への個別送付による情報提供を実施するよう,通知されています。 定期接種実施要綱においても,「やむを得ない事情がある場合を除き,個別通知とし,確実な周知に努めること」とされています。 そこでお尋ねします。 市町村が対象者及び保護者への個別通知による情報提供をするよう,県が市町村に対し徹底すべきと考えますが,いかがでしょうか。市町村の周知状況を含め,知事の御所見をお聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 子宮頸がん予防についての御質問でありますが,個別通知による対象者及びその保護者への情報提供を行うとした国の通知が,今般,出されたこともあり,来年度,8割以上の市町村が個別通知を行う予定と聞いております。 個別通知は,ワクチンの有効性・安全性に関する情報や接種日時や場所などを対象者等に伝えるものであり,引き続き国の通知の趣旨が徹底されるよう,市町村に働きかけてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  子宮頸がんの通知について,8割の市町村で実施されているということですけれど,まだ完全に取組がなされていないということなので,引き続きよろしくお願いしたいと思います。 次に,おかやまマラソン2021についてお尋ねいたします。 2月3日に開催されたおかやまマラソン実行委員会の総会において,今年11月14日におかやまマラソン2021を開催することが決定されました。2年ぶり,6回目の開催が実現するためには,これからも多くの課題や様々な試練があると思いますが,コロナ禍の中での実施ですので,安全・安心なマラソン大会となるよう,万全の体制の構築をお願いしたいと思います。 そこで何点か伺います。 まず,多くの企業が,コロナ禍で経済的に痛んでいる中,今までどおりの協賛金をお願いすることもなかなか困難かと思いますが,どのような大会にしようとしているのか,まず全体像をお伺いします。 また,参加定員ですが,前日受付や当日の更衣室,そして前後の食事,会食などのリスクを考えると,1万2,000人の定員は多くないかとも思います。 定員を少なくするとともに,岡山市民県民優先枠を増やすなどで,リスクを下げる必要もあるのではないかと思いますが,環境文化部長の御所見を伺います。 また,おかやまマラソン2021の経済波及効果については,どのように考えておられるでしょうか。環境文化部長に伺います。 そして,アフターコロナも考えながら,新しいおかやまマラソンのスタイルを考えていかなければならないことも感じます。 こうした諸課題を解決せずに,おかやまマラソンの成功はないと思いますが,諸課題の克服に向けた知事のお考えと,成功に向けた御決意をお聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 おかやまマラソンについての御質問であります。 まず,全体像についてでありますが,これまで5回にわたって開催してきたおかやまマラソンは,地域に元気と感動を与えるとともに,岡山を発信するイベントとして成長してきたと考えております。 そうした中で,昨年の大会中止は,私としても,非常に残念で断腸の思いでありました。 2021大会については,日本陸上競技連盟が示すガイドラインに沿った感染防止対策を講じ,大会に関わる全ての方々にとって安全・安心なものとなるよう,実行委員会において鋭意準備を進めているところであります。 また,地元企業を中心に,協賛のお声がけをしているところであり,地域の盛り上げにできるだけ多くの賛同をいただけるよう努力を重ね,新型コロナウイルス感染症の影響による閉塞感を少しでも打破できるような大会にしたいと考えております。 次に,決意等についてでありますが,おかやまマラソンは,岡山の秋を彩る風物詩として,県民の皆様の間に定着してきていると感じており,今後も,地域に笑顔をもたらす大会として継続していきたいと強く思っております。 そのためには,まずは感染防止対策を徹底し,早期の感染終息を目指して努力することが,何より大切ですが,次回大会に向けては,参加される方や県民の皆様の御理解と御協力もいただきながら,可能な限り,感染リスクの低減を図っていかなければならないと考えており,ウイズコロナの時代にあっても,安全・安心な大会として開催できるよう,関係者と一体となってしっかりと準備を進めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  環境文化部長古南篤子君。   〔 環境文化部長 古南篤子君 登壇 〕 ◎環境文化部長(古南篤子君)  お答えいたします。 まず,参加定員等についてでありますが,交通規制時間の制限や参加料の大幅な値上げ回避といった条件の下,検討を重ねた結果,最も密が懸念されるスタート時のランナー同士の間隔を確保するため,スタートブロックの面積を約1.7倍に拡張することで,これまでの定員の約25%減の1万2,000人の参加が可能と判断し,実行委員会総会で決定されたものであります。 また,県内のランナーへの優先枠の設定数については,現在,事務局において検討しているところであり,次回の実行委員会総会にお諮りし,決定いただきたいと考えております。 いずれにいたしましても,感染リスクについては,受付での密の回避や更衣エリアの拡張,マスク着用の徹底など,各場面できめ細かな感染防止対策を取ることにより,低減に努めてまいりたいと存じます。 次に,経済波及効果についてでありますが,おかやまマラソンは,岡山を情報発信することもその狙いとしており,これまでの大会では,ランナーの約4割は県外からの参加で,2019大会での経済波及効果も17.1億円に上りました。 次回大会において,どの程度,新型コロナウイルス感染症の影響があるかを見込むのは困難ですが,2021大会は,おかやまマラソンの存在をアピールし,2022,2023大会へとつなげていく意義があると考えており,安心して参加いただくことで,「次回も走りたい」と思っていただける大会となるよう,準備を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  御答弁ありがとうございました。 残念なことに,昨年は中止になったわけでございますけれども,今年も,コロナの感染症の状況によって,どういうふうになるか,ちょっと分からない状況でございますけれども,中止する判断の基準は,どこにあるのかということと,もし中止するとなると,いつの段階で判断するのか。かなり先のことですけれども,そこら辺について,現状どのように考えておられるのか,お聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  中止するかどうかの判断の基準,それからいつの時点で決定するのかということでございます。 私自身,今,明確なものを頭の中に持っているわけではありませんけれども,そもそもこれならできそうだ,いや,これは無理だという,それぞれ明確なところになると,これはある種,自明でありまして,どっちもあるなというときにどうするのか,それはこれから考えていくことになろうかと思います。 また,どの段階でというのも,これは難しい話でありまして,あまりにも早く決定すると,いざその頃になると,これならできたなという可能性もありますし,ではぎりぎりまで待つのか,極端な話,数日前まで待って決定するというのは,これは参加する人も準備する人も,振り回されることになりますので,そのような極端にならないような時期に決めておかなければいけない。 どちらにしても,なかなか悩ましいわけですけれども,どこかの時点である程度の目安はお伝えしておく必要があるのかなと,現時点では考えております。 もう少し具体的な考えについては部長に答弁させます。 ○副議長(遠藤康洋君)  環境文化部長。   〔 環境文化部長 古南篤子君 登壇 〕 ◎環境文化部長(古南篤子君)  開催中止とする判断基準でございますけれども,これも先ほど知事が再質問にお答えしましたとおり,なかなか明確なものというのはないですけれども,例えば日本陸上競技連盟が出しているガイドラインによりますと,「緊急事態宣言が出されていたら無理でしょう」というような話があります。出されていないことがやる条件ですよとか,それから大会参加者全員の連絡先だとか,健康状態の管理の体制がちゃんと整っているかどうかというようなことがあります。 こういう事務的なことは,もちろん準備をしていくことになりますけれども,感染状況が日々変わっていきます。願っているのは,だんだん終息に向かって,いい方向に向かっていくだろうなということは,今希望的な観測として持っておりますので,いろんな状態を勘案しながら,また大きな参考になるのは,オリンピックが開催されるであるとか,ワクチン接種でどの程度感染抑制効果が,あるのかといったこと。そういうものを勘案しながら,適切な時期に判断していくということになるかと思います。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  ありがとうございました。 もちろん開催されることを望んでおりますので,適切な判断をお願いしたいと思います。 その上で,先ほどの再質問の部長の答弁にもあったんですけれども,参加者全員の連絡先を明確にして,管理体制がきちっとできていると言われましたけれども,例えば密を防ぐということで,スタート位置を適切に管理すると言われていました。 その後に,受付をという話がありましたけれども,例えば全員の連絡先がきちっと明確になっていて,きちっと連絡が取れる体制になっているんでしたら,例えば当日の受付のゼッケン発行とか,いろんな,事前にそういう管理体制の中で発行できるとか,当日の密を防ぐための方策がいろいろあると思うんですけれども,どのようにお考えでしょうか,お聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  環境文化部長。   〔 環境文化部長 古南篤子君 登壇 〕 ◎環境文化部長(古南篤子君)  当日の密を防ぐために,例えば前日受付とかをするのではなくて,ゼッケンを郵送するとかということをしたらどうかということでございます。現在のところ,実行委員会では,感染の疑いのある方の参加をできるだけ排除していくということで,参加される方の体調管理,体調把握ということが重要と考えております。 このため,先ほど体調管理ができるということで,ランナー全員に対しまして,大会開催前の一定期間の発熱状況,体温測定をしていただいたり,疑いの症状があるかないかという体調管理表を提出していただこうというふうに思っております。 これは,前日の受付のときに,ランナー御本人から提出していただくことで,より確認をきちんとできるということですし,それからもし何かチェック表でどうかなと思うようなことがあったら,問診するという体制も整えることで,できる限り,感染疑いの方を大会に参加していただかないようにするということが必要かと思っておりますので,御提案の郵送については,それをしない手法を取る方が,より安全な大会になるのではないかなというふうに思っております。 また,大会当日は,もちろんサーモグラフィーなどで参加される方の体温,熱を計るということもして,厳重なチェックをしていきたいという思いでございます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  御答弁ありがとうございました。 環境文化部長,ゼッケン郵送については,分かりました。そのほか,密を防ぐための方策を事務局でいろいろ考えられておると思いますので,そこら辺の対応を今後しっかり検討していただいて,安全・安心な大会になるようによろしくお願いいたします。 最後に,自然体験学習の推進について伺います。 アルピニストの野口健氏は,自然体験や農村体験の重要性について,「親の経済格差が子供の学歴格差に通じると言われていますが,そうではない。裕福な家庭の子供は,何でも体験させてもらえるが,その体験格差が将来の学歴格差につながると考えている」というふうに言われています。その上で,公立学校での自然体験学習の重要性を訴えています。 また,子供たちの生きる力,困難を乗り越える強い人づくりのためには,自然体験活動等のアウトドア活動を必修にすべきと述べられています。 経済格差による体験格差によって,将来の学歴格差につながらないために,また子供たちの心身の健全な発達のためにも,学校現場において,自然体験学習をさらに推進すべきと考えますが,知事,教育長の御所見を伺います。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 自然体験学習についての御質問でありますが,教室での学びだけでなく,自然体験や社会体験等様々な体験活動を行うことは,子供たちの心を鍛え,たくましい体をつくる上で意義あることと考えております。 学校での自然体験学習のさらなる推進については,現状とこれまでの取組を踏まえながら,教育委員会において適切に取り組んでもらいたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
    ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 自然体験学習についてでありますが,粘り強さや協調性など,自己を高め,人とつながる力を養う上で,自然体験学習は有効な手段の一つであることから,これまでも,渋川青年の家などで様々な体験活動が行われてきたところであります。 今後,新型コロナウイルス感染症の状況を見据え,各学校が創意工夫しながら,実態に応じた体験活動に取り組めるよう,これまで収集してきた好事例を周知するとともに,利用可能な国庫事業や県事業について,情報提供に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  知事,教育長,ありがとうございました。 知事から教育長に聞けということでしたので,教育長に,しっかりと聞かせていただきたいと思います。 今,アルピニストの野口健さんの話をしましたけれども,私も,いわゆる経済格差が学歴格差につながるというふうにずっと思っていたんですけれど,野口さんは,そうではなくて,経済格差によって,体験格差ができて,それが教育格差につながるんだというふうに言われたんですね。 今,学力調査で,岡山県も好成績を上げているということなんですけれども,困難に当たったときに,それを乗り越える力というのは,学力じゃなくて,体験だというふうに私は思っていますので,子供たちにその体験をさせるということが物すごい大事で,だから経済的に恵まれない方は,その体験の機会が少ないということで,それを公立学校でちゃんと準備するのは,物すごく大事なことだと思うんですね。 その意味で,平成20年度,体験活動が大切だということで,学習指導要領の中で,取り組むべきだというふうに国から通知されていまして,岡山県でも,長期宿泊体験というのを行って,僕は,これが広がっていくのが大切だなというふうに思いまして,教育長にも伺いましたら,ぜひこれを,いろいろな県の事業とか国の事業にというふうに言いましたけれども,国の事業は,あれからもずっと続いているんです。岡山県はやめました。 ですから,僕は,ぜひこういうことは続けていただきたいというふうに思うんですけれども,その事業だけではなくて,この間,岡山県では教育者の指導者の研修もやっていたんですね。それもやめてしまいました。だから,やっていくのかなと思ったら,全然反対で,もう何もなくなってしまっているというような状況だと思います。今後,どういうふうに取り組むのか,教えてください。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 答弁でもお答えいたしましたけれども,自然体験学習自体は,先ほどお話がありました子供たちの,今議会でもお尋ねがあった非認知能力の部分だと思うんですけれども,人とのつながりであったり,それから頑張る力であったり,そういう面で非常に有効であるというふうに考えておりますので,これは先ほどの資料も示しながら,しっかり学校にも働きかけていきたいというふうに思っております。 また,学校でも,今,授業時数の話もございまして,非常に学校自体が窮屈になって,やることがたくさんできておる状況もありますので,そういった中で,各学校がどういう力を一番優先して子供たちにつけていけばいいのかということをしっかり考えながら,その中で,自然体験学習もそうでございますし,そのほか社会体験活動等ともバランスを図りながら,しっかり子供たちに今お話しの力をつけていくように指導してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  42番。   〔 42番 山田総一郎君 登壇 〕 ◆42番(山田総一郎君)  ありがとうございました。 同じ時期に始めた広島県は,今,85%ぐらいの小学校で取り組んでいます。広島市以外の市町村は100%です。 さきのアルピニストの話ですけれども,岡山県を家庭と考えたら,知事がお父さんであり,教育長がお父さんなんですから,お父さんがやると言えばできるわけです。そこら辺について,もう一度答弁をお願いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 県のいわゆる指導性を発揮せよということでございますけれども,先ほどお話ししたように,この価値につきましては,いろんな研修でありますとか,あるいは資料等を作りまして,各学校へは当然指導しておるところでございますけれども,最終的にカリキュラムを作成して,子供たちにどういう力をつけていくのか,どういう教育課程を組んで子供たちを育てていくのかということは,学校中心に行っておりますので,このあたりのところを学校へもしっかり伝えてまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で山田君の質問は,終了いたしました。 答弁者は,自席へお戻りください。 この際,午後1時20分まで休憩いたします。        午後0時18分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時20分再開 ○議長(波多洋治君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 次の質問者に移ります。 38番高原俊彦君。 38番。 答弁者は,控席へ御移動願います。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  民主・県民クラブの高原でございます。 まず,冒頭,現在,コロナウイルス感染症対策に御尽力をいただいている全ての皆さんに,感謝と敬意を申し上げながら,しっかりと取組ができるように,私たちも努力していかなければいけない。そのことを肝に銘じながら,早速に質問に入らせていただきたいというふうに思います。 観測史上最大の地震が東北地方を襲い,未曽有の被害に全世界の人々が衝撃を覚えた東日本大震災から,あしたで10年,14都道県で震災関連死を含む2万2,000人余りの死者・行方不明者を出した災害は,原発事故の影響もあり,いまだに終わりが見えない状況です。 いつ来るか分からない災害に対して,どう備えていくのか,不断の努力が必要であることをお互い肝に銘じ合いたいと思います。 あの災害は,多くの教訓を私たちに残しましたが,今回は,学校防災について触れたいと思います。 宮城県石巻市では,大川小学校の児童74人が津波の犠牲になったことから,遺族が行政の責任を問う裁判を起こし,2018年,仙台高裁は,学校側が避難場所や避難ルートを危機管理マニュアルに定める義務を怠り,市教委もマニュアルの是正指導をすべきだったとして,両者の組織的責任を認め,2019年10月に判決が確定しました。 文部科学省は,高裁判決に沿って,学校防災体制の見直しを求める通知を同年12月に全国の県・市町村教育委員会等に発出し,学校における防災体制の強化や実践的な防災教育の推進を促しました。 それから1年たった昨年9月に,毎日新聞が全国108の市町村教育委員会を対象に行ったアンケート結果では,58%がマニュアルの見直しなどを実施している一方,半数以上が,コロナの影響もあり,校長ら管理職の研修については未定としました。 私たちは,多くの犠牲を払った教訓を生かし,激甚化する災害から子供たちの命を守るために,今できることを最大限実施する責務があると考えます。 岡山県における公立学校の大川小判決水準の防災対策の実施状況について,どのように把握しておられますか。 また,現状をさらに改善するために,どのように各市町村教育委員会に対する指導・助言を行い,県教委としてこれから起こり得る災害にどう向き合っていくのか,併せて教育長の御所見をお伺いします。 文部科学省の通知は,私立学校に対しても発出され,各学校において取り組まれているところと思いますが,どの程度取組が進んでいるのでしょうか,現在把握している私立学校における大川小判決水準の防災対策の実施状況や,各学校での取組を促すために行っていることがあれば,併せてお聞かせください。総務部長にお伺いいたします。 次に,流域治水についてです。 社会資本整備審議会は,昨年7月に,気候変動を踏まえた水災害の在り方についての答申を取りまとめ,流域全体で治水対策を行う流域治水への転換を提言しました。 京都大学防災研究所の中北英一教授は,NHK特集の中で,「これまで国の掲げていた治水の目標を超えた量が降っていて,川から水をあふれさせないという対策だけでは,温暖化の怖さに太刀打ちできなくなっている。パラダイムシフト,劇的な考え方の変革がもう起きている」と述べ,流域治水の重要性について強調されています。 西日本豪雨で,私たちも経験したように,施設では防ぎ切れない水災害は必ず発生することを意識しながら,あらゆる関係者の協働のもと,避難体制の強化とともに,流域関係者が一体となって被害の軽減に取り組むことが重要となります。 国が示している「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」では,「あらゆる関係者により,流域全体で行う流域治水への転換を図る」として,流域治水の考え方に基づき,3つの柱により,流域のあらゆる関係者で水災害対策を推進するとしています。 1つ目は,氾濫をできるだけ防ぐための対策として,集水域における雨水貯留浸透施設の整備,ため池等の治水利用,河川区域における遊水地等の整備,河川整備などです。 2つ目は,被害対象を減少させるための対策として,氾濫域における土地利用規制・誘導,移転促進,水害リスクを考慮したまちづくり,二線堤等による氾濫水の制御などです。 3つ目として,被害の軽減,早期復旧・復興のための対策として,水災害リスクの空白地帯解消等,命だけは守る避難体制の強化,水害BCP作成,TEC-FORCEの体制強化などが上げられています。 令和元年東日本台風で,甚大な被害を受けた7水系の緊急治水対策プロジェクトと同様に,全国の1級水系において,流域治水プロジェクトを策定することになっており,県内3水系においても,素案が公表され,今後,策定予定となっています。 来年度予算では,こうした流れに呼応した重点事業として,水害軽減対策加速事業の実施を予定していますが,次の2点について土木部長にお尋ねいたします。 水害軽減対策加速事業では,岡山県が管理する河川において,令和4年度までに134河川の水害リスク情報の作成・公表を行う予定としていますが,残りの河川の取組の見通しについてお知らせください。 流域治水の対策イメージとして,河川区域における遊水機能の向上や二線堤などによる氾濫水の制御,水害リスク情報の空白地帯の解消,企業等のBCP作成なども例として挙げられていますが,こうした取組は,流域治水プロジェクトにどのくらい盛り込まれる予定なのか,お聞かせください。 また,今後,流域治水を進める上で検討すべき課題や重要と考えていることなどについて,併せて御所見をお聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  民主・県民クラブ高原議員の質問にお答えいたします。 防災対策についてのうち,公立学校の状況等についてでありますが,大川小判決を踏まえた国の通知では,これまでの学校防災体制や防災教育が適切であったかを振り返り,次の対策につなげていくための見直しなどが求められており,今年度の調査では,ハザードマップ等の被害想定を踏まえた危機管理マニュアルの見直しを行った県内の公立学校園は,83.9%となっております。 マニュアルの見直しを含めた防災対策について,取組が十分でない市町村教委に対しては,個別に指導も行っているところでありますが,子供たちの命を守り抜くためには,不断の努力が必要であることから,家庭,地域,関係機関と連携を図りながら,継続的な防災対策の見直しを行うよう,引き続き指導してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  総務部長村木智幸君。   〔 総務部長 村木智幸君 登壇 〕 ◎総務部長(村木智幸君)  お答えいたします。 私立学校の状況等についてでありますが,県内の私立学校園77のうち,危機管理マニュアルを策定しているのは64校・園で,そのうち国の通知を受け,見直しを行ったのが42校・園,見直しを行ってはいないが国の通知内容に対応できているとしている学校園が8校・園であります。 県では,国の通知内容を私立学校園へ周知するとともに,浸水想定区域や土砂災害警戒区域等にある学校園において,避難確保計画が早期に作成されるよう,説明会を開催するなど,私立学校園における防災体制強化に向けた取組を促しているところです。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  土木部長原田一郎君。   〔 土木部長 原田一郎君 登壇 〕 ◎土木部長(原田一郎君)  お答えいたします。 流域治水のうち,水害リスク情報作成等の見通しについてでありますが,これまで洪水予防河川等40河川で水害リスク情報を公表してきており,そのほかの中小河川についても,平成30年7月豪雨で特に被害の大きかった高梁川水系を中心に,令和4年度までに134河川に拡大することとしております。 引き続き,残りの河川についても,背後地の状況等を踏まえながら,順次,作成・公表し,水害リスク情報の空白域の解消・縮小に努めてまいりたいと存じます。 次に,流域治水プロジェクトについてでありますが,今月中に開催する減災対策協議会において,堤防整備や河道掘削,避難路の整備,ダムの事前放流,中小河川の水害リスク情報の作成・公表など,ハード・ソフト一体となった総合的な事前防災対策を水系ごとに幅広く盛り込むこととしております。 また,流域治水を進める上では,流域のあらゆる関係者が連携・協力して,実効性を高めることが重要であり,住民や企業等のより積極的な参画が課題と考えていることから,プロジェクト策定後も,引き続き取組内容の充実・強化を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  御答弁ありがとうございました。 実は,私,大川小学校は現地に伺ったことがあります。すぐそばに山があって,何かあったときはここへ上ればいいのではないかなと思いました。誰が見てもそう見えるような状況の中で,判断ができずにずっとそこにとどまって,水に近いところに避難させてしまった結果がこういったことになっている。 そういったことを裁判のほうも重く受け止めて,非常に大きな責任を学校という組織に対して課している。それを踏まえた今回のマニュアルということになっています。 その中で,先ほどハザードマップについて触れられておりましたけれども,見直しの中では,ハザードマップを超える災害の想定というようなことを盛り込まれていたり,複数の避難場所,避難経路の確保,管理職の高水準の防災知識の習得などが,対応困難なものとしてアンケートで上がってきております。見直しされていると思うんですけれども,そうした水準に届くようなものが,どれくらいできているのか,そのあたりについて,どういう御認識でいらっしゃるのか,お知らせいただきたいと思います。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 この判決の水準に達すようなものがどれぐらいできているのか,認識はどうかという御質問でございます。基本的には,この判決に基づいた通知でありまして,そのことについての趣旨も示された上で,各学校に通知し,見直しを行っております。各学校におきましては,厳しい重い判決でございますけれども,そういったものを踏まえた上で,これまでの避難経路でありますとか様々な対応等々の見直しを行っておると考えておりますけれども,お話しのように,やはり不断の見直しといいますか,出来上がっているものを,例えば人が替わる,校長も替わる,そういった中で,前からあるからというのではなくて,毎年それでいいかどうかということを自分たちの目で見直して,一旦災害が起こった場合には,一体どう動くかということを自分の頭でシミュレーションしておくことが非常に重要だと思いますので,こういった趣旨をこれからも引き続き学校に対して指導してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  ありがとうございます。 先ほどおっしゃったように,不断の見直しというのが必要で,ここで満足するということではないということ。それから校長先生とか管理職も異動されて替わってくるというところの認識も,改めてその都度,皆さんで徹底するということが必要ではないかと思います。これは市町村教育委員会の話かどうか分かりませんが,研修であるとかそういった認識を共有するための取組というのは,今後,どのように進められていくのでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 研修はどういうふうに進めていくのかということでございますけれども,議員御指摘のように,やはり人も状況も変わる,新しい情報も入ってくるという中で,県教委におきましても,こういったいろいろ安全に関わるような担当者の研修を行っておりますので,その中で,最新の情報等も返しながら,あるいは人も替わっていく中で,先ほどのもう一回自分たちで見直し等の指示も行うというような研修も,毎年行っていきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。答弁者は,控席へ御移動願います。 38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  ありがとうございました。 やはり実践として,そういったことがきちんと対応できるか,見直しではなくて,そういったこともしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 それでは次に,公共交通についてお伺いします。 コロナウイルス感染症により,大きな打撃を受けた岡山県経済ですが,3月の日銀おかやま金融経済レポートでは,今年2月までの1年間を振り返って解説しています。 これによると,「昨年春に大幅に落ち込んだ後は,5月下旬に全国の緊急事態宣言が解除され,経済活動が徐々に再開される中,年後半以降は,緩やかに持ち直しの動きが見られている」とのことです。 また,今議会でも指摘があったように,旅行や飲食等の対面型サービス消費では,「年末の感染再拡大を受けて,再び厳しい状況に陥っていて,生産や輸出は持ち直し基調,設備投資は前年を下回るが高水準,雇用労働環境は低下に歯止めがかかっているが,引き続き下押し圧力が強い状況」とのことです。 一昨年までの6年平均と昨年を比較した品目ごとの支出額の推移を見ると,持ち直している品目がある一方,パック旅行,交通などが大きく落ち込んだままとなっています。 公共交通の利用者は,昨年の緊急事態宣言では,全国ベースで利用者が半減し,12月以降では,鉄道とバスの輸送人員が20%減少,高速バスでは60%の減少となっています。 県内のバス路線も減便などにより,何とか維持している現状が続いています。 こうした先行きの不透明感から,これからの公共交通を考える議論も停滞をしています。 岡山市における路線再編議論については中断,吉備線のLRT化協議などが先送りになったほか,市内の路面電車の環状化に向けては,新たな課題も浮き彫りになっています。 おかやま創生総合戦略では,「持続可能な都市を形成するため,既存の都市施設や公共施設等の有効活用を図りながら,地域の拠点に都市機能の効率的な集積や居住の誘導を行うとともに,公共交通ネットワークを軸として,各拠点が連携するコンパクトシティーの実現に向けたまちづくりに取り組む市町村を支援する」としており,今後,公共交通が担う役割は,ますます重要なものとなると思われます。 日常生活や観光を支えるインフラとして,またアフターコロナを展望した公共交通の在り方について,知事の御所見を伺います。 また,岡山県は既にコロナ禍において路線バスなどに使えるプレミアム乗車券の発行を予定するなど,様々な形で現状を支えていますが,岡山市のように高齢者・障害者の運賃補助を検討するなど,さらに踏み込んだ支援策を国や地方事業者と連携し,検討していただきたいと思いますが,県民生活部長の御所見を伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  民主・県民クラブの高原議員の質問にお答えいたします。 公共交通についての御質問であります。 在り方についてでありますが,公共交通は,地域住民の移動手段の確保や観光客などの人の交流の活性化など,地域の生活や経済活動を支える重要なインフラであると考えております。 現在,国において,新たな交通政策基本計画の策定に向けた検討が行われており,その動向も踏まえながら,引き続き国や市町村との役割分担のもと,公共交通の維持・確保に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  お答えいたします。 国等と連携した支援についてでありますが,県では,これまでコロナ禍の影響等を踏まえ,公共交通の運行継続に向けた支援に取り組むとともに,時差出勤やテレワークなど,新しい生活様式が広がる中で,利用促進に向け,プレミアム乗車券の発行の取組を予定するなど,公共交通の維持・確保に努めているところであります。 今後とも,感染状況等を踏まえつつ,交通事業者等の御意見も伺いながら,国や市町村と連携し,必要な支援について検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  御答弁ありがとうございました。 実は,昨年も同じような質問を知事にさせていただいたんですけれども,そのときには,公共交通を考えるときには,悪循環,好循環が働きやすい,そういう特性があるということも言われて,ネガティブフィードバックであるとか,そういったお話をしていただきました。まさに今コロナという状況の中,例えばテレワークであるとか,いろんな社会形態が変わっていく中で,この公共交通に関しては,悪循環が起こる要素が本当にたくさんあるというふうに理解をしているわけでございます。 例えば生活の交通については,有償運送とか様々な手段を今各地域で講じていますけれども,やはり広域の公共交通,先ほど申し上げましたコンパクトシティーの中で,拠点拠点をつないでいく重要性というものを再認識して,ぜひその議論をしっかりと前に進めていただきたい。このように思うわけですが,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  コンパクトシティーなど議論を前に進めるべきではないかという御質問でございます。 公共交通は,本当に難しい問題でございます。もともと1世代前,2世代前,3世代前と,遡れば遡るほど,公共交通はなかった。公共交通がない中で,人々は生活してきた。人口が増えていく,所得が上がっていく,いろいろな技術ができて,安く普及していく中で,公共交通も整備されてきて,これは誰にとってもうれしいということだったわけです。どこから数えていいのか分かりませんけれども,世代ごとに数えていったときに,明治維新以降,非常に幸せな循環が続いてきた中で,初めてその幸せな循環が崩れる可能性を我々は見ているということなのかと思っています。 その一つの原因は,個人で,自家用車で動けるようになったということの副作用でもあります。 我々は,どのレベルを維持するのか。例えば,健康状態にしても,走るスピードにしても,自分自身の一番よかったところを維持しようとすると,なかなか難しい。どのあたりだったら,維持可能か,このあたりは目指さなければいけないのか,その水準の設定も非常に大事だと思いますし,議員が言われたコンパクトシティー,どこは守るのか,県内どこに住んでいても,必ず誰かがやってくるというのを税金でやったら,とても税金はもたないということですので,新たな社会契約をこれからみんなで考えていくということになろうかと思います。 これは,それぞれの地域,市町村と言っても大きいぐらいですけれども,その地域で考えていくことではありますけれども,県庁としても,それぞれの市町村,また市町村の中のそれぞれの地域で,きちんとしたいろいろな合意形成ができるよう努めていきたいと思っています。 ○議長(波多洋治君)  38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  ありがとうございます。 どこの水準にするかというのは,非常に難しい問題だというふうに私も思いますが,例えば路線が廃止されたりであるとか,今,目の前の起きていることについて,やっぱり私たちは真剣に考えなければいけないというふうに思うんですね。 各市町村で,先ほどおっしゃったような生活という意味ではそうかもしれませんが,医療についても,オンライン診療とかこれからいろいろ出てくるのか分かりませんけれども,現実的には,例えば岡山に出なければいけないとか,生活の面でもそういったことがある。ましてや,観光であれば,車で来なくても,そういった観光地をめぐることができるようなインフラをつくっておくというのは,私は大切なことだと思います。 そうしたものを維持していく水準について,まさに今,考えなければいけないのではないかと思いますが,例えばどういう枠組みで,どういうようなことをしなければいけないのかとか,例えば調査なのか会議なのか,分かりませんけれども,今やるべきことについての御認識について,お伺いしたいと思います。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  これはインフラではないかということでございます。インフラでございます。ただ,このインフラの中でいえば,維持コストが著しく高いタイプのインフラでございます。 例えば下水道とかは,一度どんと造ってしまう,造るときに非常にお金がかかりますけれども,造ってしまえばそんなに,建築コストの1割,2割を毎年維持に使わなければいけないようなことはほとんどありません。私は詳しくは知りませんけれども,維持コストは建設コストと比べると1%あるのか,ないのかということかもしれませんけれども,公共交通というのは,路線を引いて,それを毎年,極端に言えば毎日維持することに物すごいコストがかかるので,造っておけばいいのではないかというものとは随分様相が違うというのは,当然のことでございます。 早めにやればやるほどいいということでもないわけでありまして,いろいろな地域の工夫というものを研究していくということが大事なのかと思っております。例えば自動運転というものが,ある程度完璧な自動運転でなくても,いざというときにだけブレーキを踏んでくれればいいというようなタイプの自動運転になるだけでも,運転手の範囲が随分広がりますし,本当に自動運転になるとコスト構造からして全然違ってきますし,診療がオンラインでできるようになったら,そもそも病院に行かなければいけない頻度が激減するかもしれません。そういった周辺環境の変化ということにも,気を配っておく必要もあろうかと思っております。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。答弁者は,控席へ御移動願います。 38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  先ほどの話ですけれども,まさに岡山市では,今,様々な議論はやっているわけでございますし,コストのことは,社会全体がどこにそういうコストを払っていくかというのは,皆さんで決めていくことだというふうに思いますので,しっかりとそういったいろんな視点で継続的に検討を進めていただきたいというふうに思いますので,要望しておきたいというふうに思います。 それでは,次の項目で,若者の多様なニーズへの支援についてお伺いします。 日本においては,現在,急速に少子化が進行しており,2020年の出生数は,87万人と過去最低を更新しています。こうした状況下において,岡山県でも,おかやま創生総合戦略を策定し,人口の自然増・社会増を図る施策を展開しているところです。 人口減少の一番の課題は,若者が進学や就職によって都市圏に流出していることであり,これをいかに抑制・回復するかが焦点となります。 若者が大都市に集まる際の大きな目的となる自己実現に焦点を当て,岡山県内での若者の自己実現の支援体制についてお尋ねしたいと思います。 東京圏で,転入者が現在の仕事を選ぶに当たって重視したことは,男女ともに,給与水準,自分の関心に近い仕事ができることが高い割合を占めています。 給与水準に関しては,簡単には解決しませんが,関心に近い仕事を提供する環境をつくることができれば,地元に働くことも選択肢として入ってくると考えます。 在宅ワークが普及したことを好機として,例えば東京にある企業のサテライトオフィスを岡山に誘致したり,オンラインのメリットを生かした岡山での起業を支援すれば,岡山に住みながら若者が望む仕事をすることができます。 岡山においても,若者の自己実現が可能な環境を提示することができないでしょうか。産業労働部長の御所見を伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 産業労働部長小林健二君。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕 ◎産業労働部長(小林健二君)  お答えいたします。 若者の自己実現が可能な環境についての御質問でありますが,学生が就職先を選択するポイントとして,自分のやりたい仕事や,働きがいのある会社などが上位となっており,こうした環境が整うことが,若者の県内定着の大きな要素と考えております。 このため,インターンシップなどを通じて,働きがいのある魅力的な企業が県内にも数多くあることを伝えるとともに,若者が魅力を感じるクリエーティブな業務を行う企業の誘致にも,今後,力を入れてまいりたいと存じます。 また,起業については,県が行っているビジネスプランの公募においても,学生や高校生からの提案が多く寄せられるなど,若者の起業マインドの高まりを感じており,こうした取組を推進することにより,若者の自己実現が可能な環境を高めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  ありがとうございました。 実は,鳥取県が,テレワーク拠点の整備を支援するということで,先日新聞に載っておりまして,国の交付金を活用して事業者が開設する費用を補助するということや,運営事業者と県が連携して利用企業の誘致活動などもするというようなことも出ておりました。 県内の企業に優秀な人材を送り込む。送り込むというのは言い方はよくないですけれども,働いていただくというのは,すごく大切なことだというふうに思っております。ただそれ以上に,例えば若者が魅力に思うような企業を積極的に誘致という形でそのまま来るのか,違う働き方で,そこで働くことができるのか。今そういう選択肢があると思うので,そういうことを積極的に取り組んでいただきたいというふうに思いますが,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  産業労働部長。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕 ◎産業労働部長(小林健二君)  若者にとって魅力あるような状況を提示したらという再質問でございます。今答弁で申し上げましたのは,実は企業誘致の一つのメニューといたしまして,支店を誘致するというようなものも,我々は設けておりまして,それで活動しております。 その中には,クリエーティブな業務を行うような支店を積極的に誘致しようというような視点でやらせていただいていまして,これまでに情報処理の関係,それからアニメの関係であるとか,そういったものを制作するようなものの支店の誘致を実現しております。 今後も,そういった動きをさらに力を入れて取り組みながら,岡山県が,若者にとって魅力ある職場というものが,数多くできるようにというふうに思っております。 ベースとしましては,まず学生にとって本当に働きやすい職場があるということは大切なので,まずそれをよく知っていただくということが大切かと思いますし,県内企業の中でも前向きにいろんなことをやられている企業もありますので,そういったところをしっかり紹介する,それから誘致するというような2本立てで頑張っていきたいと思っております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。答弁者は,控席へ御移動願います。 38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  ありがとうございました。 それでは続いて,デジタル化の推進についてお伺いします。 コロナウイルス感染症がもたらした新しい生活様式の一つが,人と人との接触を避けるキャッシュレス化です。 キャッシュレス化は,近隣のアジア諸国では,韓国が89.1%,中国が60%,アメリカが45%,イギリスが54.9%と進んでいます。 対して日本は,18.4%と先進国の中でもキャッシュレス化が大きく遅れています。 さらには,最近,バーコード決済などの決済方法の多様化が進んでおり,生活の中で現金を扱う機会が減少しつつあります。 こうした状況から,公金支払いについても,キャッシュレス化が一層進んでいくものと考えられます。 県民が,岡山県に対して支払う金銭として,まず思い浮かぶのが,県民税や自動車税などの県税です。これらについては,既にクレジットカード払いなど支払い方法の多様化が進んでいます。 また,随時支払うものとして,各種手数料・使用料などがあります。これらの支払いに際して,県民の利便性を高めるために,今後一層キャッシュレスによる決済方法の導入を進めるべきと考えますが,どのようにお考えでしょうか。 また,キャッシュレス決済導入に当たっては,必要な事務手数料の取扱いや収入証紙による納付方法の変更など,様々な課題を検討する必要があると思いますが,併せて出納局長の御所見をお伺いいたします。 次に,教育におけるICTの活用について伺います。 コロナ禍だからこそ,オンライン教育を導入する学校が増え,従前の学習では見えなかった新たな学習方法が見いだせたように思います。 現在,GIGAスクール構想によって,各学校の児童生徒に1人1台の端末配置が進んでいますが,教育におけるICTの活用は,様々な可能性を秘めており,GIGAスクール構想で思い描いているもののほかに,ICTの新たな利用可能性を見いだすことができると考えます。 こうした動きを一過性のものにするのではなく,これからの学校生活・学習方法に活用,応用することが,これからの時代の変化に対応するため,必要不可欠ではないでしょうか。 ICTのよさは,物理的な距離を飛び越えることにあり,県内にとどまらず,県外,国内あるいは海外の外部講師をICTでつなぐことによって,校内だけでは,まず経験できない機会を生徒たちに与えることができることにあります。 例えば授業・講演を録画してデータバンクに蓄積し,オンデマンド方式により提供することで,長期入院中や登校が困難な児童生徒たちに対しても,より効果的な方法で学びを保障することが可能になり,さらにグローバルな人材育成の一助になると考えます。 さらには,このデータバンクを利用して,日本語が苦手もしくは話せない在日外国人の児童生徒に対しても,後から吹き替え版で翻訳することや,おのおのが聞きたい部分を繰り返し聞くことが可能になるため,学習に対する意欲の増進と日本語習得の有用な手段になると考えますが,いかがでしょうか。 また,今後,岡山県が取り組もうとしているICTの活用方法や将来的な見通しについて,教育長の考えをお聞かせください。あわせて,お尋ねいたします。 ICTの活用は,多文化共生の実現にも重要な役割を果たすことが期待されます。 現在は,コロナ感染症の影響により,海外との行き来は制約されている状況ですが,2019年末の岡山県における在留外国人は,3万1,569人に上り,増加傾向にありました。 コロナ終息後の見通しは不透明ですが,在留外国人が大幅に減ることはないと思われます。 在留外国人が日本語を学びたくても,日本語教育の人材は限られており,その中でも特に英語,中国語など国際的に話す人が多い言語以外,つまり少数言語を主に使用している在留外国人に対する日本語教育は十分ではないのが現状です。 岡山県外国人相談センターにおける相談窓口は,遠隔での通訳システムを活用し,日本語のほかに19言語での対応が可能となっていますが,内容によって,より具体的な相談が必要な場合などは,曜日が限定されていたり,来所する必要があるなど,柔軟な対応が難しい現状にあります。 少数言語に対応する通訳の数は少ないため,少数言語を使う在留外国人のサポートは難しい状況にあるのだとは思いますが,ICTを活用することで,少数言語使用者に対する十分な支援が可能になると考えますが,いかがでしょうか。県民生活部長の御所見をお伺いします。 最後に,デジタルディバイドの解消についてお伺いします。 ICT活用に際して,考慮しなければいけないのは,インターネットなど情報通信技術の恩恵を受けることのできる人とできない人の間に生じるデジタルディバイドです。 岡山県を含む行政でも,災害など重要な情報を含む各種情報をホームページ等で配信することが一般的となっており,そこにアクセスできないことによって,正確な情報を得られなかったり,場合によっては,機会の逸失による経済的損失さえも生じることとなります。 しかし,総務省の調査によると,高齢になるほど,また所得が低いほど,インターネットを利用していない傾向にあるなど,課題もあります。 特に,コロナ禍においてはリモートワークや遠隔授業が一般的になったことから,社会生活を送る上で,より欠かせない存在となっており,こうしたデジタルディバイドを早急に解消することが喫緊の課題となっています。 デジタル化により,取り残されてしまう人たちのための相談対応やオンライン化された行政手続の利用方法を県民に分かりやすく伝えるための取組など,デジタルディバイドの解消に向けた施策を実施していく必要があると考えますが,県民生活部長の御所見をお伺いします。 また,デジタルディバイドの解消の手段の一つとして,経済的理由により,インターネット接続が困難な人も利用できる公衆無線LANの増設も有効な対策の一つです。 県下における公衆無線LANの今後の整備方針についても,併せてお示しください。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 出納局長三浦智美君。   〔 出納局長 三浦智美君 登壇 〕 ◎出納局長(三浦智美君)  お答えいたします。 デジタル化の推進のうち,キャッシュレス決済についてでありますが,今年度から,自動車税等の納付に,新たにスマートフォン決済が導入されたところであります。 さらに,行政手続のオンライン化を推進するため,現在,対象手続を拡大する準備が進められており,これに併せて,新たなキャッシュレス決済導入の検討を進めることとしております。 キャッシュレス決済の推進に当たっては,お話しのように,事務手数料の取扱いをはじめ様々な課題があることから,県民の利便性のさらなる向上に向けて,収納事務の在り方についても検討しながら,しっかりと課題の整理を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 教育におけるICTの活用等についてでありますが,長期入院中や登校が困難な児童生徒への学習支援策として,データバンクに蓄積した授業等をオンデマンドにより提供することは,一定の効果があると考えております。 また,グローバル人材の育成については,児童生徒が英語でコミュニケーションを図ったり,異文化に触れられるよう,同時双方向のオンラインによる国際交流を一層進めることが重要と考えております。 在日外国人の児童生徒については,お話のそれぞれの言語への吹き替えまでは困難ですが,必要に応じてICTの自動翻訳機能等を活用するなど,個別の学習計画に基づいた丁寧な支援を進めることが重要であると考えております。 今後の見通しについては,既に予習・復習用の教材等をオンデマンドで提供している学校もあることから,こうした取組を含め,対面による授業とオンラインによる教育のそれぞれのよさを適切に組み合わせた新しい学びの構築に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  お答えいたします。 まず,外国人のサポートについてでありますが,岡山県外国人相談センターでは,県内在留外国人の国籍等の状況を踏まえ,遠隔通訳システムを活用し,日本語のほか19言語での電話やビデオ通話による相談対応を行うとともに,弁護士,行政書士による相談等についても,必要に応じて,こうしたシステムの活用や相談回数の拡充等に取り組んでおります。 引き続き,関係団体等と連携し,ICTの活用も含め,県内在留外国人の相談体制の充実について検討してまいりたいと存じます。 次に,デジタルディバイドについてでありますが,県と市町村で構成する電子自治体推進協議会に専門部会を設置し,国事業も活用しながら,通信事業者等の協力をいただき,スマートフォンの操作やオンライン手続の方法を学ぶ機会の提供など,デジタルディバイド解消に向けた具体的な取組について検討してまいります。 また,県では,官民協働で,簡素な認証手続で利用できる岡山Wi-Fiの整備に取り組んでおり,引き続き公共施設をはじめ設置施設のさらなる増加に向け,関係団体と連携し,広報活動を強化するなど,誰でも無料でインターネットが利用できる公衆無線LAN環境の充実に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  38番。   〔 38番 高原俊彦君 登壇 〕 ◆38番(高原俊彦君)  それぞれ御答弁ありがとうございました。 本当に世の中がいろいろ変わっていくので,我々もついていくのに一生懸命なんですけれども,その一方で,今までこんなこと考えもしなかったけれど,できることというのがすごく増えたような気もいたします。これをどういうふうに生かしていくのかが,これから県政においても非常に大きな課題になるのではないかなというふうに思います。 それぞれ今御説明いただいたこと,これからのこともたくさんありますけれども,ぜひ推進に御努力をいただきたいというふうに思っております。 その上で,これは利用できないと,なかなか恩恵を享受できないということではあります。 先ほど推進協議会の中で,具体的な取組について検討していただいているというふうにお伺いしましたけれども,具体的に,例えばどのような取組を実際これからやろうとされているのか,検討段階なら検討段階でいいんですけれども,やはり皆さんが誰でもがそういったことに。 ○議長(波多洋治君)  高原俊彦君,発言時間を超過しております。 ◆38番(高原俊彦君)  (続)取組,触れられるような環境をつくるための方法について,お示しいただきたいと思います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 県民生活部長。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  再質問にお答えいたします。 デジタルディバイド解消に向けて,具体的にどう取り組んでいくかという趣旨の御質問かと思いますけれども,協議会に専門部会を設置しますのは,来年度早々を予定いたしております。 県内でも,市町村が中心ではございますけれども,例えばボランティアグループのお力もいただいて,パソコンに関する相談に応じたり,それから非常に多いのがシルバー人材センターが民間の携帯電話会社と連携して,スマートフォン教室を開催しております。 来年度,国もこのデジタルディバイドに関しては,非常に取り組むべき課題だということで,新しい事業も予定しております。 こうした県内の市町村の取組,それから国の事業,こういったものをしっかりと活用させていただき,そしてやはり民間の事業者の方のお力もいただくことが,非常に重要だろうというふうに思っておりますので,そういった形でぜひ具体的な取組を検討していきたいというふうに思っております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  答弁者は自席にお戻りください。 以上で高原君の質問は,終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(波多洋治君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △3月11日の議事日程 ○議長(波多洋治君)  明日の議事日程は,午前10時開議で,一般質問,議案委員会付託,請願陳情委員会付託であります。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(波多洋治君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後2時12分散会〇 令和3年3月10日(水曜日)出席議員   1番 秋山 正浩君       2番 鳥井 良輔君       3番 佐古 一太君   4番 松島 幸一君       5番 本山 紘司君       6番 福田  司君   7番 清水  薫君       8番 大橋 和明君       9番 乙倉 賢一君  10番 大森 一生君      11番 小倉  博君      12番 田野 孝明君  13番 河野 慶治君      14番 渡辺 知典君      15番 福島 恭子君  16番 山本 雅彦君      17番 小林孝一郎君      18番 大塚  愛君  19番 高橋  徹君      20番 須増 伸子君      21番 氏平三穂子君  22番 吉田  徹君      23番 中川 雅子君      24番 木口 京子君  25番 市村  仁君      26番 上田 勝義君      27番 小林 義明君  28番 中塚 周一君      29番 江本 公一君      30番 太田 正孝君  31番 池本 敏朗君      32番 小倉 弘行君      33番 加藤 浩久君  34番 遠藤 康洋君      35番 神宝 謙一君      36番 波多 洋治君  37番 柳田  哲君      38番 高原 俊彦君      39番 荒島 俊造君  40番 笹井 茂智君      41番 増川 英一君      42番 山田総一郎君  43番 蜂谷 弘美君      44番 住吉 良久君      45番 高橋 戒隆君  46番 蓮岡 靖之君      47番 伊藤 文夫君      48番 小田 圭一君  49番 渡辺 英気君      50番 内山  登君      51番 小野 泰弘君  52番 河本  勉君      53番 小田 春人君      54番 天野  学君  55番 千田 博通君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     那須 信行           次長       米戸 健浩  議事課長     下坂 泰幸           政務調査室長   中西  健  議事課長代理   岡本  聡           議事課長補佐   岡崎 将丈  議事課主幹    藤原 良幸           議事課主任    池上 祐毅           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       伊原木隆太君          副知事      菊池 善信君  副知事      横田 有次君          公営企業管理者  佐藤 一雄君  危機管理監    塩出 則夫君          総合政策局長   片山 誠一君  知事室長     須江 裕紀君          総務部長     村木 智幸君  総務部次長    笠原 和男君          県民生活部長   伊藤 敦哉君  環境文化部長   古南 篤子君          保健福祉部長   西嶋 康浩君  産業労働部長   小林 健二君          農林水産部長   槙尾 俊之君  土木部長     原田 一郎君          出納局長     三浦 智美君教育委員会  教育長      鍵本 芳明君          教育次長     高見 英樹君公安委員会  委員       藤浪 秀一君          警察本部長    扇澤 昭宏君  警務部長     牧  丈二君人事委員会  委員       吉松 裕子君          事務局長     角田 直樹君監査委員  代表監査委員   山本 督憲君          事務局長     岸本 雅博君選挙管理委員会  委員       山名 千代君...