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09月25日-07号

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  1. 岡山県議会 2020-09-25
    09月25日-07号


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    令和 2年 9月定例会          ◎ 令和2年9月岡山県議会定例会会議録  第7号〇 令和2年9月25日(金曜日)                  議  事  日  程                  午前10時開議第1 一般質問第2 議第79号~議第84号及び議第88号~議第95号,報第5号(委員会付託)第3 請願陳情委員会付託      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 一般質問日程第2 議第79号~議第84号及び議第88号~議第95号,報第5号(委員会付託)日程第3 請願陳情委員会付託      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時開議 ○副議長(遠藤康洋君)  皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 一般質問 ○副議長(遠藤康洋君)  日程に入り,一般質問を行います。 10番大森一生君。   〔 10番 大森一生君 登壇 〕 ◆10番(大森一生君)  皆さん,おはようございます。 一般質問最終日トップバッターを務めさせていただきます自由民主党の大森一生でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 最初に,新型コロナウイルス感染症対応につきまして,知事をはじめ,県関係者の皆様,また,最前線で対応されてます多くの関係者の皆様には,深く敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございます。 また,2020年6月に,地域の歴史的な特色や文化財にまつわるストーリーを認定する「日本遺産」に,赤色顔料・ベンガラに着目した高梁市の吹屋が,「「ジャパンレッド」の発祥の地」として認定されました。これで,岡山県ゆかりの日本遺産は,7件となり,今後の岡山県の観光振興,文化財の利活用がさらに進むことが期待されています。知事はじめ,県教育委員会文化財関係者の皆様には,この場をお借りして,厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。 今回の質問は,前回に引き続き,我が郷土の偉人,山田方谷先生のお知恵をお借りしながら,その藩政改革に沿って,現在,県では,「第3次晴れの国おかやま生き活きプラン(仮称)」を策定中でありますが,伊原木岡山県政における人口減少・少子高齢化対策,経済振興の観点から,教育,文化,芸術振興について,考え方をお聞きしたいと思っています。 なお,一般質問5日目,最終日,皆様も大変お疲れのことと思います。再質問,要望は,極力控えさせていただきますので,誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。 また,私の所属する委員会の所管事項に対する質問もあると思いますが,何とぞ御了承のほど,よろしくお願い申し上げます。 それでは,通告に従い質問に入ります。 高梁市の近代史において,山田方谷と,その方谷を取り立てた江戸3大改革の享保の改革の8代将軍徳川吉宗,寛政の改革の松平定信のやしゃご,孫に当たり,徳川家の血筋を引く備中松山藩主板倉勝静は,産業振興,教育などに力を注ぎ,藩政改革を成し遂げました。とりわけ,庶民教育のために「学問所」,「教諭所」などの教育施設の充実を図り,女子教育に尽力し,本年,140周年を迎えます高梁高校の前身である順正女学校の創設者の福西志計子,日本社会福祉の先駆者である留岡幸助,二松学舎創設の三島中洲など,多くの傑出した人材を輩出しています。方谷の晩年は,現在の新見市大佐小阪部に転居し,子弟教育に専念,明治政府からの入閣依頼を断り,明治6年には,岡山・閑谷学校の再興に努めています。晩年は,政治を離れ,ただひたすら後進の育成に努めた人生でありました。その方谷の理念である「至誠惻怛」,「士民撫育」と,彼らのDNAを現在の地域振興のヒントに,少しでも地域の活性化,持続可能性につなげていけるよう考えていきたいと思っています。 「第3次晴れの国おかやま生き活きプラン(仮称)」は,県政の最上位に位置づけられた総合的な計画とし,将来目指すべき岡山の姿を描く長期構想とその実現に向けた行動計画から成り,長期構想では,全ての世代で人口減少が見込まれる2040年を展望し,行動計画においては,教育県岡山の復活,地域を支える産業振興,安心で豊かさが実感できる地域の創造の3点が重点戦略として挙げられています。 2020年6月に,厚生労働省が発表した人口動態統計によれば,2019年の日本人のみの出生数は,前年比5万3,000人減の86万5,000人で,5.8%の減と,減少幅が一段と拡大いたしました。これから子供を産む若い世代にとっての最大の懸念は,現在及び将来の経済環境への不安が挙げられています。団塊ジュニア以降の世代は,それ以前の世代に比べて明らかに所得水準が低下して,各種アンケート調査でも,子供をつくらない理由として,経済的要因を挙げる若い世代が多いことは,よく知られた事実であります。 また,国立社会保障人口問題研究所の「現代日本の結婚と出産,第15回出生動向基本調査」によれば,未婚者に結婚への障害を聞いたところ,男女とも4割以上が「結婚資金」と回答しています。また,同調査によれば,全ての年代を通して夫婦が予定している子供の数が,彼らが理想とする子供の数を下回っていて,とりわけ若い夫婦は,その理由として,経済的要因があることが分かっています。妻の年齢が35歳未満の夫婦では,理想子供の数まで子供をつくらない理由として,およそ8割が「子育てや教育にお金がかかり過ぎるから」を選択しています。2番目に選択率が高かったのは,「自分の仕事,勤めや家業に差し支えるから」となっていますが,その選択率は2割前後にすぎません。 そこで,知事にお尋ねします。 人口減少,少子化の進行に対し,政府は2014年,「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定,2015年には,「少子化社会対策大綱」を策定し,我が国における少子化問題の重要性を再認識した上で,少子化対策の基本的なフレームを定めました。その後も,「ニッポン一億総活躍プラン」,「人づくり革命基本構想」などを矢継ぎ早に策定し,各政策の柱として,少子化対策子育て支援政策を打ち出しています。また,県では,現在,人口減少問題への的確な対応と持続的な発展に向けて,「第2期おかやま創生総合戦略(仮称)」を策定しています。これまでの国,県の人口減少対策の現状と課題についてどのように認識しているのか,お尋ねします。 コロナ禍による経済の低迷,所得の減少,とりわけ若者世代の所得の減少が想定されています。多数の高齢者を少数の若者が支えているという,これまでのステレオタイプのイメージが象徴しているように,将来の若者への負担感が若者の未来を暗くし,不安なものにしているのではないでしょうか。地方政策で重要なことは,地方で暮らす人口を維持することに固執するのではなく,各地域の産業が1人当たりの生産性を上げていき,成長していくこと,換言すれば,その地域の所得を上げることで,賃金,所得が上がるという明確なメッセージが人を呼び込むことにつながっていくのではないでしょうか。今後,どのように対策を講じようとしているのか,併せて御所見をお伺いします。 また,我が国の家族向け社会支出は,近年増加傾向にあります。その内訳を見ると,伸びの中心は現物給付,とりわけ「就学前教育・保育」の伸びであるということが分かります。保育所の受入枠の拡大がこの伸びの要因として現れています。一方,児童手当の現金給付は,近年,減少傾向にあります。現金給付を増やしても,その使途は親の裁量に任されてしまうため,子育て支援に回るかどうかは不透明であるとの指摘もありますが,若い低所得世帯に対する現金給付を増やすことは,少なくとも彼らの生活をサポートする県の明確なメッセージとなると思いますが,知事のお考えをお聞きします。 また,若い世代の子育て環境の構築を少子化対策のスタートラインとし,現物給付の望ましい水準,給付の在り方を再検討し,現物・現金給付のバランスの取れた社会保障制度を再設計することが必要だと思いますが,併せてお考えをお聞きします。 次に,憲法第26条では教育を受ける権利と受けさせる義務について,「すべて国民はひとしく教育を受ける権利とその保護する子女に,普通教育を受けさせる義務を負ふ」とされています。また,教育基本法の第4条において,「教育の機会均等,すべて国民はひとしく,その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず,人種,信条,性別,社会的身分,経済的地位又は門地によって教育上差別されない」となっています。どのような環境に生まれようが,同質的,均質的な教育,平等な選択の機会が子供たちに与えられるようにしなくてはなりません。教育機会の平等,選択について,知事並びに教育長のお考えをお聞きします。 本県の児童生徒数,学級数は,全体的に減少傾向にあり,今後,中学校卒業見込み者数も引き続き減少することが予想され,特に県中部,北部,いわゆる中山間地域においては,顕著になってくると思います。 そこで,今後,どのように進められるのか,お尋ねします。 本県では,平成の大合併により,2000年時点で78市町村から2007年に27市町村まで減り,行財政基盤の確立を目的に,自治体運営の効率化が進められてきました。2000年度以降,高梁市では,県立成羽高校県立川上農業高校県立高梁工業高校の3校の高校と8校の小中学校が廃校となっています。本県の公立幼稚園,小学校,中学校,高校は,どのくらい統廃合が進められてきたのか,県全体の統廃合等の状況について,教育長に伺います。 県立高等学校教育体制整備実施計画において,ほぼ10年ごとに県立高等学校教育体制整備を見直すようになっています。その再編整備は,一定の学校規模が必要との認識から,令和5年度以降は,第1学年の生徒数が100人を下回る状況が2年続いた学校が再編整備の対象となっています。また,第1学年の生徒数が80人を下回る状況が2年続いた学校は,翌年度,生徒募集停止という厳しい措置が取られることとなっています。人口減少,少子化に歯止めがかからない状況の中,また,このコロナの影響も含め,対象となる学校も多くなることが予想されています。地域の置かれた状況,また,コロナの影響を踏まえ,計画を見直す必要があるのではないかと考えますが,教育長にお伺いします。 また,県内各自治体において,移住・定住促進が積極的に推進されています。このコロナも影響し,大地震,頻発する豪雨災害など,岡山県に対する移住相談も増えているとお聞きします。高梁市においても,農業移住を中心に,強力にその移住・定住促進を進めています。しかし,市周辺部の子育て環境は,幼稚園,小学校,中学校が廃校になっていて,地縁・血縁のない移住者にとっては,仕事,農業と子育ての両立は,大変厳しい状況となっていて,最悪の子育て環境となっています。これから予想される高等学校の再編・統廃合が,中山間地域の閉塞感をさらに推し進め,さらなる地域の疲弊につながっていく,この現状をどのように思われているのか,教育長にお尋ねします。 この問題の本質を考えるとき,少子高齢化,縮小する地域における公教育と人口減少,少子高齢化で疲弊する地域のアイデンティティー,郷土愛の喪失の2つの側面を考えなければいけないと思っています。このジレンマのわなに陥らないように,新たな価値観,発想,創造で,この問題を解決していかなければなりません。私たちは,得したうれしさよりも,損をしたがっかり感を強く感じる心理傾向があると言われています。損失がもたらす影響は,利得の約2.25倍になるそうです。得するよりも,損を避けることを優先する傾向があるということです。これは,地域づくり,まちづくりにも言えることではないでしょうか。将来,この地域に住んでいても損をする感覚を持つようになれば,生まれ育った地域が将来の選択肢からなくなるかもしれません。 一方,このコロナ禍で県内の学校でICTの活用により,授業の動画配信や遠隔授業等の取組が進められています。コンパクトシティー化が遅々として進まない状況下で,大きなヒントになっているような気がします。これから物とインターネットがつながるIoT,AI,5Gなどの発展,技術革新により,人と人,人と物,物と物が複雑に絡み合っていくデジタルネットワーク社会が実現しようとしています。それらの技術を活用していけば,住み慣れた町で家族の負担や社会的なコストも軽減され,自然豊かな地域,環境で,勉強に,スポーツに打ち込むことができるようになるのではないかと考えています。高等学校の在り方,教育体制の整備について,考え方を変えていくことが必要ではないでしょうか,知事並びに教育長のお考えをお聞かせください。 次に,岡山県の公共施設マネジメントについてお尋ねします。 本県では,高度経済成長期を中心に,大量に整備された公共施設の老朽化が進行しており,近い将来,多くの公共施設が一斉に大規模改修や更新の時期を迎えることから,公共施設の維持管理,更新費をいかにして適正な水準に抑えていくのかが喫緊の課題となっています。とりわけ,公共建築物のうち,延べ床面積の比率では,学校などの教育施設が全体の54%を占めています。県全体の棟数6,122に対して,学校施設は3,377棟,全体の延べ床面積184万6,777平米に対して,100万384平米となっています。また,公共建築物延べ床面積建築年代別に見ると,建築後21年から50年の施設が全体の約70%を占めているとなっています。今後,大規模な修繕が必要となると言われる築後30年以上を経過している県立学校の施設は,どのくらいあるのか,老朽化等の現状について,教育長にお伺いします。 また,現在の大変厳しい県財政の状況に加え,コロナ禍後の経済低迷,税収の減収が見込まれ,学校施設整備に及ぼす影響も大きいと考えますが,今後,学校施設の長寿命化など,老朽化対策をどのように進めていくのか,併せてお伺いします。 また,現在,高梁市立高梁中学校の1年生に,突然の悲しい事故で車椅子の生活になっている子供さんがおられます。高梁市では,高梁小学校高梁中学校に,外付けのエレベーターを設置していただいています。その子供さんに対する思いやりだけではなく,山田方谷さんの「至誠惻怛」,「士民撫育」,まさに真心と痛み悲しむ心,市民が豊かになることで,市も豊かになっていくという考え方の下,設置していただいています。これは,今日のSDGs,ダイバーシティーといった考え方にもつながっていくと思います。しかし,現在の高梁市内の県立普通科高校の設備対応では,今後の進路の選択肢は限定的となっています。老朽化部分の改修だけではなく,防災対策,バリアフリー化,トイレの快適化,環境負荷の低減なども考慮する必要があると思います。とりわけ,バリアフリー化,特にエレベーター多目的トイレなどの障害のある方に対して対応した施設整備は,どのような考え方で進められているのか,県内県立高校の学区別の設置状況を含め,教育長にお尋ねします。 次に,県立高校の寄宿舎のコロナ対策の状況と施設整備についてお尋ねします。 本県の県立高校の教育体制の整備により,生徒の通学範囲が拡大し,さらに全国募集が拡大されるなど,寮,寄宿舎の担う役割や充実した施設整備の必要性がますます増大しています。また,障害のある児童に対して,個々の心身の状況や教育的ニーズに応じた適切な支援を推進するために,一層の充実が求められています。 高梁高校,津山高校,高松農高の3か所の寄宿舎を視察に行かせていただきました。それぞれ築年数に違いがあり,一くくりには申せませんが,貴重な高校生活,青春の思い出に残るような施設とは言い難いところもありました。教育県復活には,さらにその施設の充実と県全体のバランスとその高校の歴史,地理的環境を考慮した運営が求められているのではないでしょうか。また,このコロナ禍での状況では,さらなる施設整備,食事や生活環境の改善が急務となっていると思われますが,現在,どのような状況になっているのか,現状と課題について,教育長にお尋ねします。 とりわけ,トイレの洋式化,浴室,脱衣場のバリアフリー化,改修,機能向上など,改善しなくてはならないところが多くみられました。親御さんのところを離れて将来の夢を実現するために,勉強に部活に頑張っている生徒たちには,酷な環境に見えます。安全・防犯・防災対策の面でも,多くの改善の余地が見られます。県の逼迫する財政もよく理解はしていますが,教育県の復活と将来生まれ育った岡山に戻ってきていただくためには,よき青春の思い出の1ページとなるように,少しでも多くの予算化と早急な改修をお願いしたいのですが,今後の見通しについても,併せてお考えをお聞きします。 次に,悪質商法についてお尋ねします。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,健康面での不安や雇用や所得などの収入面で先行きの見えない不安が増大しています。また,先日,国内の女性の自殺者が増加し,8月は,前年より4割増えたとの報道がありました。日本国内では,1月から6月の全体の自殺者は,前年同月よりも少なかったのですが,7月,8月になり増加し,8月の自殺者数は,全国で前年同月比15.7%増の1,854人に上り,大幅に増加しています。特に,女性の増加が顕著となっています。その原因として,新型コロナウイルスの影響がもたらす不安や経済的困難が高まった可能性も指摘されています。 そこで,お尋ねします。 近年,そういった社会不安に付け込んだ「カルト」と呼ばれる新興宗教や自己啓発セミナーを装った勧誘などの被害が多くなっていると聞いています。 そこで,このような人々の不安に乗じた,いわゆる「悪質商法」について,岡山県内の被害件数,金額などの実態,現在の対応状況について,警察本部長にお尋ねします。 また,このコロナ禍で会社や大学に通えず,一人暮らしを余儀なくされた方が増えていると思いますが,今後,そのような方を含め,被害防止に向けてどのように取り組んでいくのか,県民生活部長にお尋ねします。 一方,首都圏,関西圏など,県外へ進学,就職していく高校生への対応も必要と思いますが,学校現場での取組について,教育長にお尋ねします。 最後に,日本遺産を活用した文化・芸術等の振興についてお尋ねします。 冒頭に,高梁市吹屋の日本遺産認定について触れさせていただきました。日本遺産とは,地域の歴史的魅力や特色を通じて,我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので,平成27年に創設,指定されている文化財をはじめ,地域を語る上で欠かせない様々な遺産を「面」として活用し,国内外へ情報発信していくことにより,地域の活性化を図ることを目的としています。日本遺産は,全国で104件認定されていて,岡山県関係は7件と,全国で3位タイとなっています。認定7件のうち,世界最古の庶民のための公立学校である旧閑谷学校などの近世日本の教育遺産群,倉敷市玉島などの一輪の綿花から始まる倉敷物語,荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間と,今回の吹屋のジャパンレッド発祥の地の4か所が山田方谷ととても縁の深いところとなっています。これらの日本遺産をどのように岡山県の文化・芸術,教育の振興に生かしていくのか,保存・修復への対応も含め,教育長の御所見をお伺いします。 また,日本遺産を観光振興に生かすために,例えば岡山版観光DMOの設立のような新たな対応のお考えはないのか,今後の取組について,産業労働部長にお尋ねします。 一昨年の曽有の豪雨災害,今回のコロナ禍による税収の落ち込み,経済の低迷などがもたらす岡山県の財政や県民の生活,とりわけ,音楽,文化,伝統芸能などの維持・継承に与える影響は,計り知れません。そして,ポストコロナをどのように考え,描いていくのか,そのヒントの一つに,アメリカの世界大恐慌時のニューディール政策があります。これは,大恐慌時に大統領に就任したフランクリン・ルーズベルトが展開した政策ですが,1933年から始まる第1期のニューディール政策は,世界史などで勉強し,皆さんもよく御存じだと思います。1935年から始まる第2期ニューディール政策では,雇用促進局を中心に,連邦美術プロジェクト連邦音楽プロジェクト連邦作家プロジェクトなどの芸術文化政策が展開されています。これらの政策は,日本ではあまりよく知られていませんが,現在の日本の芸術,文化,景気対策のヒントになるかもしれません。この「フェデラル・ワン」と呼ばれる文化・芸術政策は,アメリカの文化・芸術の窮状を救っただけではなく,これらの蓄積がアメリカの大きな資産となり,結果,ヨーロッパの優れたアーティストの流入を招き,文化・芸術の拠点がヨーロッパからアメリカへ移りました。この「フェデラル・ワン」には,雇用政策と文化・芸術政策の2つの側面があり,この2つの政策は,膨大な外部効果をもたらしました。人類が数十年から数千年にかけてつくり上げた芸術は,文化,観光産業の基になり,芸術は非競合的な要素が強い公共財でもあります。化石燃料は枯渇しても,シェークスピアやベートーヴェンは,幾ら劇団が演じても,オーケストラが演じても,それ自身としては枯渇することはありません。県財政が逼迫する中ではありますが,このような大胆な雇用政策と芸術,文化政策を併せ持つ政策を,従来型公共事業と代替的に取り組むことが,今後の岡山県の持続的発展にもつながっていくのではないかと思いますが,知事の御所見をお尋ねします。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の大森議員の質問にお答えいたします。 まず,人口減少対策についての御質問であります。 現状等についてでありますが,国,県を通じて様々な施策に取り組んでいるところであり,移住の促進や「縁むすびネット」による成婚数の増加など,一定の成果がありましたが,人口の自然減,社会減においては,十分な効果に結びついておらず,未婚化や晩婚化に加え,子育てに対する不安や負担感などが課題であると認識しております。若者の負担感の軽減のためには,子育て世帯への経済的支援の推進や,出産・子育て後の再就職支援などとともに,お話のように,安定した雇用や収入の確保につながる地域産業生産性向上や,成長が重要であると考えており,引き続き,第2期創生戦略の策定を進める中で,具体的な施策について検討してまいりたいと存じます。 次に,現金給付等についてでありますが,平成30年(2018年)の県民意識調査では,現実に持てる子供の数が理想より少ない理由として,「経済的負担が大きいから」と回答した世帯が6割を超えており,現金給付は,子育て世帯への応援メッセージになる可能性がある一方,相当の財政負担を伴うなど,課題も多く,慎重に検討すべきものと考えております。また,現金給付の水準や給付の在り方については,将来の人口構成や経済状況を見通した制度設計が必要と考えており,今後の社会保障制度が持続可能なものとなるよう,国において検討されるべきものと認識しているところであります。 次に,教育についての御質問であります。 機会の平等等についてでありますが,憲法や法律に定められているとおり,すべての国民はその能力に応じてひとしく教育を受ける権利とその保護する子女に普通教育を受けさせる義務があることから,お話の教育機会の平等・選択を含め,基本的には,子供たちに教育の機会均等を確保していくことが大切であると考えております。 次に,高等学校の在り方等についてでありますが,最先端の技術を遠隔授業等で活用することは,授業内容を充実させる可能性がありますが,学校は生徒同士が学び合い,多様な考え方に触れ,社会性,人間性を育む場でもあることから,ICT等の活用と対面での教育のバランスを図ることが重要であると考えており,お話の高等学校の在り方や教育体制整備については,県教委においてしっかりと研究してもらいたいと考えております。 最後に,文化・芸術等の振興についての御質問であります。 大胆な取組についてでありますが,お話の「フェデラル・ワン」は,世界大恐慌の際の雇用促進局による芸術家支援の取組であり,芸術分野の人的資源が維持・育成されるとともに,人々の文化・芸術への関心を高めたとの評価があると承知しております。こうした観点から見ると,本県においても,「I氏賞」などを通じて将来の活躍が期待される芸術家の育成・支援に取り組んでいるほか,コロナ禍で活動自粛を余儀なくされている文化団体等を支援し,県民が文化・芸術に接する機会を確保するなど,本県独自の取組も行っているところであります。文化には,地域の魅力や価値を高める力があることから,今後とも,文化の力を地域づくりや観光振興などに生かすことにより,本県の持続的発展につなげてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長(伊藤敦哉君)  お答えいたします。 悪質商法についての御質問であります。 取組についてでありますが,県では,悪質商法による被害を防止するため,その手口や対処法を紹介する出前講座を実施しているほか,188,イヤヤをダイヤルすれば,最寄りの消費生活相談窓口につながり,消費者被害に関する相談に応じてくれる消費者ホットライン188のPRをテレビ,ラジオを通じて行っているところであります。こうした取組に加え,コロナ禍で通勤・通学できない若者に向けて,被害に遭わないためのポイントを分かりやすく編集した動画をユーチューブで配信するなど,消費者被害の防止に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  産業労働部長小林健二君。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕 ◎産業労働部長(小林健二君)  お答えいたします。 文化・芸術等の振興についての御質問であります。 日本遺産のうち,観光振興についてでありますが,日本遺産は,ストーリー性のある地域の歴史や伝統を国が認定するもので,観光資源としても優れていることから,これまでも,岡山観光WEBで紹介するなど,積極的に情報発信を行ってきたところであります。本年6月の吹屋地区の認定により,本県で7件もの日本遺産が誕生したところであり,お話のDMOの設立までは考えておりませんが,県と市町村,地元観光関係事業者等で構成する協議会が実施するデスティネーションキャンペーンにおいて,それぞれ地域の核となる観光資源として,さらなる磨き上げを行い,県内外に向けてしっかりと発信してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 まず,教育についてのうち,機会の平等等についてでありますが,お話の憲法や法律に定められているとおり,家庭の経済状況や居住している地域等にかかわらず,全ての意志ある子供たちがその能力に応じて教育を受けることができるよう,教育の機会均等や教育水準の維持向上に努めていく必要があると考えております。 次に,統廃合等の状況についてでありますが,平成12年度以降,本県では,統廃合等により公立の幼稚園が136園,小学校が65校,中学校が16校,高校が20校減少しております。 なお,その一方で,平成12年度以降,公立の幼保連携型認定こども園が55園,中等教育学校が1校新たに設置されております。 次に,県立高等学校教育体制整備実施計画についてでありますが,この実施計画は,令和10年度までの県内の各地域における中学校卒業者数の減少等を踏まえ,今後の県立高校の教育体制整備の実施方針を定めたものであり,学校の小規模化が進む中,高校教育の質を確保し,一定規模のメリットを生かした活力ある教育を展開するために再編整備基準を示しているところであります。現時点では,新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえた計画の見直しまでは考えておりませんが,引き続き,県立高校の教育活動全般への影響を把握しながら,適切に対応してまいりたいと存じます。 次に,学校再編等による閉塞感についてでありますが,県立高校が地域の活性化に果たす役割や再編整備が地域に与える影響の大きさを十分認識しており,県教委としても,高校の魅力化等を図り,存続できるよう取り組む必要があると考えております。このため,実施計画においても,県立高校の魅力化,活性化を図ることとしており,中学生から選ばれる魅力ある高校づくりのため,現在,各高校において,地元自治体等と連携しながら,しっかりと取り組んでいるところであります。 次に,高等学校の在り方等についてでありますが,高等学校においては,生徒が集団の中で多様な考えに触れることで,資質,能力を育むことが求められるため,一定の学校規模が必要であり,直ちに高等学校の在り方や教育体制の整備の考え方を変えることまでは考えておりませんが,お話のような最先端の技術により,教育の充実が図られる可能性もあることから,国の動向を注視しつつ,高等学校の在り方等についての研究を進めてまいりたいと存じます。 次に,学校施設整備についてのうち,老朽化の現状等についてでありますが,公共施設マネジメント方針を策定した平成28年時点で,県立学校施設のうち,築後30年を超えているものは,床面積が64万7,000平方メートル余りで,全体の3分の2を占めており,屋上防水や外壁塗装,ライフライン整備等の老朽化が進んでおります。県立学校の施設整備は,長寿命化計画に基づき,築40年経過時に,躯体の状況が健全である建物は,耐用年数を85年に延ばす長寿命化改修を行うことを基本として進めており,併せてライフラインの更新や省エネルギー化等も行うこととしております。老朽化対策の実施に当たっては,各施設の劣化状況や活用状況等を踏まえ,学校ごとに個別施設計画を策定し,優先順位をつけて整備することとしております。 次に,障害のある方への対応についてでありますが,エレベーターを設置している県立高校・中等教育学校は,岡山学区に3校,倉敷学区に1校,設置予定が倉敷学区に1校,美作学区に1校,多目的トイレの設置は,岡山学区に14校,倉敷学区に8校,西備学区に7校,備北学区に2校,美作学区に9校,東備学区に4校となっております。障害のある方に対応した施設整備については,平成29年度に策定した県立学校長寿命化計画において,スロープや手すり等を設置するなど,バリアフリーに配慮した環境整備に努めることとしており,エレベーターについては,学校内の施設の状況や学区内での設置状況等を踏まえ,大規模な改修等を行う際に,また,多目的トイレについては,障害のある生徒や教職員が,入学したり,配置された際などに設置を検討することとしております。 次に,寄宿舎における新型コロナウイルス感染症対策等についてでありますが,各学校においては,空き部屋を活用した1室定員の緩和や空調設置,食堂での着席方法の配慮,入浴時間の分散等の感染防止対策に取り組んでおりますが,生徒数の多い寄宿舎では,生活時間の変更を強いられる等の課題があると聞いております。寄宿舎の施設整備につきましては,校舎等学校施設全体が老朽化する中で,その整備には多額の経費を要することから,長寿命化計画等に基づき,優先順位をつけて取り組んでいるところであります。引き続き,各学校の入舎状況や通学事情等を踏まえ,寄宿舎の運営・整備に努めてまいりたいと存じます。 次に,悪質商法についてのうち,学校現場での取組についてでありますが,県立高校においては,国が作成した消費者教育教材を全ての生徒に配布し,公民科や家庭科の授業等で活用することにより,消費者被害の防止等を図っているところであります。今後,県外へ進学,就職していく生徒が安心して生活を送ることができるよう,卒業前に最新情報と併せて教材を活用するよう学校を指導してまいりたいと存じます。 最後に,文化・芸術等の振興についての御質問であります。 日本遺産のうち,所見についてでありますが,地域の歴史的魅力や特色を示す日本遺産は,地域の誇りであり,貴重な財産であると認識しております。このため,県教委としては,日本遺産を構成する国,県指定文化財の修理補助や技術的助言,情報提供等により,その保存や活用への支援を行っているところであります。また,子供たちに対しても,社会科の授業等の中で,日本遺産を活用した地域の特性に根差した学習を通して,郷土岡山の文化や芸術への理解を深め,郷土を大切に思う心を育んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  警察本部長扇澤昭宏君。   〔 警察本部長 扇澤昭宏君 登壇 〕 ◎警察本部長(扇澤昭宏君)  お答えいたします。 悪質商法についてのうち,実態などについてであります。 国民の不安に乗じて行われる悪質商法について,県警察に寄せられた相談は,本年8月末現在314件で,過去3年間の同期間の平均件数615件に比べ,減少しております。また,本年8月末現在での県内における検挙は,3件3人で,被害者は約100人,被害額は約1億8,000万円となっております。このほか,本年に入り,新型コロナウイルス感染症拡大の混乱に乗じた犯罪の取締りにも努めており,衛生マスクの転売事件を検挙しております。被害防止に向けては,悪質商法についてのパンフレットを各種会合や高齢者を対象とした講話で活用しているほか,警察や市町村の広報誌,県警ホームページなどにより啓発活動を行っております。さらに,本年8月には,県内12の大学が参加した大学ネットワーク会議において,情報提供を行うなどの対策に取り組んでおります。今後とも,県や関係機関などと連携を図りながら,悪質商法の被害防止に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で大森君の質問は終了いたしました。 次の質問者に移ります。 24番木口京子君。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  自由民主党の木口京子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症の収束は,まだまだ見えず,このところ,岡山県では,新たな感染症の急速な増加もなく落ち着いてはいますが,これから冬に向けてインフルエンザの流行と併せて,次の本格的な波が懸念されているところです。医療・介護に従事されている方々にとっては,落ち着きとは関係なく,変わらず気遣いと緊張の中にいらっしゃることと思いますし,県は,今後に向けて,保健所,医療提供体制などの備えをされ,国からの様々な施策も行われてくることと思いますので,県民の安心につながるよう,今後も,よろしくお願いいたします。 さて,世界中を襲う新型コロナ感染症の拡大は,私たちの生活に大きな変化をもたらしました。人々が都市封鎖,在宅勤務,学習を経験し,新しいコミュニケーションツールやコラボレーションシステムが日常生活に加わりました。当たり前だと思われてきた常識,通勤,出張,転勤,判こ,名刺,現金などが激変をし,新しい生活様式や従来にはないビジネスやこれまで気づかなかった新しい価値が現れました。 NEDO技術戦略研究センターが,6月に出された「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」では,グローバル化に依存した世界各国の政治,経済,社会の危機から,反グローバル化,国内回帰,持続可能性の意識の高まりが見られるようになり,コロナ禍後の新しい社会像,社会的価値観として,デジタルシフト,政治体制や国際情勢の変化,産業構造の変化,集中型から分散型への変化,人々の行動の変化,環境問題への意識の高まりなどが挙げられていました。地域経済の回復については,新しい生活様式に対応しながら経済活動を維持・発展させることができるよう,引き続き,事業者に寄り添った支援を行っていただきたいと思いますが,同時に,コロナ禍を契機とした社会変化がどうなるのか,その社会に期待されるイノベーション像とは何かを予測し,岡山県の再生と地方創生に取り組んでいただきたいと思います。コロナ禍後の社会変化とそれによって築かれる新しい未来は,どうなると予見しているのか,併せて,その中でどのような岡山県の未来像を描いているのか,知事の御所見をお尋ねします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の木口議員の質問にお答えいたします。 コロナ禍後の社会変化等についての御質問でありますが,感染症を契機として,サプライチェーン再編の動きや,テレワーク,オンライン会議,遠隔診療,遠隔教育など,社会全体のデジタルシフトの加速化,時間や場所にとらわれない多様で柔軟な働き方,生き方など,社会は大きく変化しつつあると考えております。本県においては,引き続き,広域交通網のクロスポイントや豊かな自然環境といった優位性を生かすとともに,生産拠点の国内回帰や地方への企業分散,過度な一極集中の是正,新しい働き方や移住・定住の進展など,今後予測される変化を的確に捉えながら,県外から多くの人を呼び込み,住みたい,住み続けたいと思える地域を目指してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕
    ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 今まで行われてきた移住や定住への取組,人口減少を何とかしたいという,そして地域を元気にしたいという,今までやってきたことをしっかり加速化していくという御認識,本当に私たち県議会も同じ考えだと思います。結果がしっかりつながっていくような形で具体的に,どうすればいいのか,私も今まで考えてまいりました。これからお話しします持続可能な地域づくりについて,少し考えてみましたが,やはりコロナ禍後のこの社会で,「大規模・集中・グローバル」から「小規模・分散・ローカル」へという流れが加速化していく中で,特に,今,「過疎」と呼ばれている地域での持続可能な地域社会づくりへの取組は,ある意味先進的なのだろうと実感しています。 この夏,持続可能な地域社会総合研究所の藤山浩さんのお話を伺う機会がありました。皆さんもよく御存じかと思いますが,人口安定化を実現するために,Uターン,Iターンによって,1年間に地域の人口の1%程度の定住増を実現すればよい,その新しい定住者を養うために,「地域内消費と地域内生産の循環」を強めることで,地域で1%所得を高めればよいとする「田園回帰1%戦略」を提唱された方です。行政の本質は,現場から始まり,現場に帰る進化のサイクルであり,「診断」から始まる「目標設定」と「地域同士の学び合い」こそ,進化の原動力だとのポリシーを持ち,持続可能な地域社会に向けての全国各地での取組や方法を説明してくださいました。 その方法とは,まず地域の現状と未来を「見える化」する。例えば,どこで30代女性が増えているかを分析して,地図を作成して,全国,県やブロックごとではどのようになっているか,コミュニティーごとではどうか,そして成果を上げている地域に共通する要因は何か,成果を上げていない地域に共通する要因は何かを考えながら,自治体やコミュニティー同士の学び合いを行い,現場のエビデンスに基づく地域政策の形成へとつなげていく。そして次に,現状把握から問題解決につながる分野を横断したシミュレーター・リンクシステムを構築して,地域の人口の分析や予測,地域介護の分析や予測,そして地域経済循環の分析・予測をそれぞれのシミュレーションを行って,人口安定化に必要な定住増加人数,世帯数,必要な所得の創出額,現在並びに将来の介護の状況と係る費用,定住の増加・安定時の介護の費用をそれぞれ算出したり,食料やエネルギーの地産地消,域内循環型の観光や物づくりなどを横断的にリンクさせながら,地域交通,エネルギー,次世代ネットワークの構想をつくって,持続可能な安定した地域社会を実現していくというものです。この取組を行うには,誰かコーチとなる人がいなければ,ちょっと難しいように感じますが,高齢化が進み,人口が減っていく状態を身近に感じながらも,具体的にどうすればよいか分からないでいる人たちが,自分たちに手の届く目標,例えば「今年中に何人」,「あそこのお家が、誰か帰ってくればいいな」とか,具体的にその地域ごとに目標を持つことができることは,大切なことだと思います。 そこで,県民生活部長にお伺いいたします。 今,岡山県が取り組まれている「生き活き拠点づくり」は,分野を横断する「合わせ技」で,小規模な地域社会の中に,新しい持続性を生み出そうとするものであり,今後の持続可能な循環型社会を見通す仕組みでありますが,現在の地域での取組状況はいかがでしょうか。生き活き拠点づくりは,地域の人たちの理解と納得があり,地域の人たち自身が自分たちの地域の未来を少しずつつくっていくことが肝心です。この取組の中で,地域の人口ビジョンをつくり,地域内経済循環などの検討も行っていけば,一層効果的だと思いますが,いかがでしょうか。 県では,「第2期おかやま創生総合戦略(仮称)」を策定されているところですが,その骨子案において,人口減少問題への的確な対応と持続的発展に向けて,「おかやま創生総合戦略」に基づいて進めてきた取組の成果と課題を検証しながら,関係人口,Society5.0,SDGsなどの視点に加えて,このたびの新型コロナウイルス感染症を契機とした地方移住の機運の高まりや,デジタル化の加速の流れを踏まえて施策に反映することとされています。先ほどの知事の御認識と思いと同じで,これを進めていこうということがうたわれています。 また,県は,広域行政を担う観点から,市町村との情報共有や緊密な連携を図り,この戦略を積極的に情報発信し,全ての県民と認識を共有しながら,多様な主体との協働による取組を推進し,県域を超える広域的な課題に対しては,他県と連携した取組を推進するとされています。前回の策定の際に,「地方人口ビジョン」の人口予測や「総合戦略の戦略」について,市町村との整合性や取組についての様々な意見が出ましたが,県としての施策の方向性を出したものだから,必ずしも一致していなくてもよい,市町村とは連携を取っているとのことだったように記憶しております。今回は,「人口概況」ですので,特に数字に差異があるわけではないかと思いますし,施策の方向性が市町村の行っている施策とそれほど異なるとは思いませんが,現場の課題が県の施策によって解決されていくことが実感できるよう取り組んでいただきたいと思います。改めて,地方創生に関する市町村との連携についての御認識と,県全体の地方創生実現における県の役割についてお尋ねいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 持続可能な地域づくりについての御質問であります。 市町村との連携等についてでありますが,地方創生の推進に当たっては,市町村との緊密な連携の下,情報共有を図りながら取り組むことが大変重要であると認識しております。このため,今回の第2期創生戦略の策定に当たっても,県民局ごとのトップミーティングをはじめ,様々な方法で市町村の意見をお聞きしているほか,複数の市町村に共通する行政課題について,専門的な知見を活用して解決策を検討する「地域課題解決支援プロジェクト」を実施するなど,市町村の具体的な取組を支援しているところであります。引き続き,本県の地方創生の実現に向け,市町村としっかり連携しながら,県としての役割を果たしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長(伊藤敦哉君)  お答えいたします。 まず,生き活き拠点のうち,取組状況についてでありますが,お話の生き活き拠点は,日常生活に不可欠なサービス機能を集約した拠点エリアと周辺集落とを,交通ネットワークで結ぶことで,生活機能の維持・確保を図る取組であり,これまでに16市町村で取組が進められております。具体的には,食料品や日用雑貨などを販売する店舗の運営や,高齢者等の移動支援などを住民自らが実施する取組が進められているほか,地域が主体となって子育て支援や世代間交流を推進するための拠点施設の整備や,その運営体制についての検討が行われるなど,それぞれの拠点において,持続可能な地域社会の形成に向けた取組が進められているところであります。 次に,地域人口ビジョン等についてでありますが,住民が主体となった地域づくりを進めるためには,地域社会の将来の姿を人口などの客観的な数値を基に,分かりやすく見える化し,住民自身が地域の現状や課題を認識することが必要であり,県では,専門家の派遣などを通じて,こうした地域の取組を支援しているところであります。また,地域の持続的な維持・発展を実現するためには,地域内需要の拡大や地域資源を活用した産業振興などにより,地域内での経済循環の仕組みづくりを進めることが重要であり,今後,市町村等とも連携し,各地域において,こうした視点を踏まえた検討が行われるよう,取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 まず,県民生活部長にお尋ねしますが,今おっしゃったように,生き活き拠点が16市町村で行われていると,多分ここまで持ってくるのも,政策を何か1つつくろうしたときのそれまでの皆さんの御苦労,地域の皆さんの何回も重ねていった思いの共有とか,本当に大変なことだと思います。それでも,16市町村ということは,まだ取組が行われていない市町村もございますし,市町村によっても,例えば島根県の邑南町になりますと,町の中の小学校区が一つの地域になって,そこに拠点なり,今後の人口ビジョンとかを含めて検討していくという仕組みがそろっています。県内のそれぞれの自治体の小学校区に1つずつというのも,なかなか難しい。本当に内発的な意識を高めていって一緒につくっていくというのは,難しいことかもしれませんが,それぞれの市町村の理解度にもまだまだ差があるのかなと思います。小さな拠点の意味と,そこから今の人口のデータをしっかり分析して,次に向けて地域の中でお金も回していく仕組みをしっかり整えることが必要だと。例えば,6次産業にしても,県外とか,都会の業界の方にお願いをしてしまうと,お金は外に流れていきます。そういうことも含めて,自治体の理解が本当に同じように進んでいけばいいなという思いもございますので,それぞれの市町村によっての理解度をしっかり高めていくために,もう少し何か,啓発もしくはある意味のコーチみたいな形で行っていくおつもりであるのか,どのように具体的に行っていこうとされているのかを教えてください。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長(伊藤敦哉君)  再質問にお答えいたします。 生き活き拠点を,できるだけ多くの市町村に広げるべきではないかといった趣旨の御質問かと思います。 現在の生き活きプランにおきまして,生き活き拠点の取組を行う市町村の数を18市町村まで広げようという目標を立てております。それに対して,今,16市町村で取組が進められているということでございます。おっしゃるとおり,指標にも掲げておりますとおり,これをできるだけ多くの市町村に広げていきたいと思っておりまして,その一環として,去年から生き活き拠点の取組を,特に重点的に,モデル的に支援していこうという,強化事業を始めております。昨年,3つの地区で具体的な計画をつくっていただきまして,現在,その計画に基づいた実施,実行を,進めているところでございますが,こうした取組をできるだけほかの市町村に広げて,いわゆる横展開をさせていただいて,生き活き拠点の取組を県内できるだけ多くの市町村に広げていくような取組を,今後,進めていきたいと思っています。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 強化事業ということで,モデル地区を決めて,今,少しずつその回数を重ねながら,理解を深めていきながら,そういう体制をつくり,横展開していこうということで,それが本当に,今日に明日にできるわけではないと思いますが,これから先の岡山県の地域の在り方,これから地域の人たちが自分たちの地域をつくっていく上での,長い長いこれから先のために,少しずつでも継続して行っていただきたいなと思います。期待しております。よろしくお願いします。 そして次に,市町村との連携について,知事にお尋ねいたします。 例えば,小さな拠点の先進地として,高知県が挙げられています。集落活動センターと呼ばれる高知県版小さな拠点を2012年度に立ち上げて活動を開始して,2019年4月末現在で10市15町4村,50か所の集落活動センターが開所されています。これがいわゆる岡山でいえば生き活き拠点です。その集落活動センターは,分野横断の住民の主体性に加えて,行政の現場の支援や継続性,そして集落活動センター同士のネットワークの面でも,全国的にかなり進んでいると言われています。出発点は,2011年度に行われた全県集落調査から始まっています。そこには,国勢調査に合わせて実施されてきた集落データに加えて,中山間地域の50世帯未満の集落に聞き取り調査,アンケートを行って,それぞれの課題の認識など洗ったところ,やはり中山間地のそれぞれの交通のことや,今後の未来,後継者がいないから地域がどうなるのかという不安に加えて,やはり地元に対する誇り,そしてここにずっと住み続けていきたいという思いが多かったということであります。それを助けるために,集落活動センターを置かれたそうですが,これは前回の計画をつくられる際に,私,同じような質問しています。この集落活動センターをつくるには,あのときお話しした高知県の地域支援企画員の存在,制度が大きかったように言われています。実際に,地域に入り,住民の皆さんと同じ目線で考えて,地域とともに活動することを基本として,それぞれ地域の実情やニーズに応じた支援を行って,地域の自立や活性化を目指していく。そして,分野ごとの出先機関に属さない職員がそれぞれの市町村にきちっと籍を置いて,常駐して,それぞれの職員の視点で自主的に活動する制度だったと,お話ししたと思います。 平成の大合併の後に,県庁職員,地域からどんどん引き揚げてきた,これまでの過程がございます。今,おっしゃったように,次の計画をつくるときに,3つの県民局を主体にして,そこでしっかりトップミーティングを行って,市町村との連絡も取っているということでございますが,それは本当に頑張ってくださってると思いますが,それぞれのかつての旧市町村があったような時代と比べれば,なかなか皆さんに手近なところ,県が本当に近くにいるんだよということは,市町村の自治体を通さなければ,なかなか伝わっていきにくいとも思いますが,やはり改めて今まで行おうとされている市町村との連携に加えて,制度としては難しいかもしれませんが,実際に人が県職員がそこにいてしっかり地域と手を携えながら頑張っていけるという仕組みについては,今後,何か検討していただきたいなと思いますが,いかがでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  県として,それぞれの県内の地域で存在感を出していく,維持していくために何か考えていることはないかという御質問だと思います。 県庁がいい仕事をするためには,実際それぞれの地域で何が起きているのか,そこに住んでいらっしゃる方は,何を心配されていて,どこに希望を見いだされているのかということがきちんと分かっていなければ,よかれと思って一生懸命やっても,結果的に的外れな施策になる可能性が出てきますので,そういったことを実体験としても分かっておく,これは非常に大事なことだと思っています。だからといって,基礎自治体である市町村があるのに,そこよりも前に出ていくということになると,かなり税金の無駄遣いにも成りかねませんし,かえって市町村の警戒心を呼ぶことにもなります。それは,ちょっと極端な話ですけれども。 実際,私,8年前にここに来ましてびっくりしましたのが,優秀な大学を出た非常に成績優秀な若手を,まず県庁からできるだけ遠い場所に数年間送るという,例えば岡山市内で育った新採職員からすると,ここに住むのは初めてという人も随分いるでしょうけれども。それが,非常にいい経験になり,その後の仕事にすごく役に立ったということを言われる幹部が多いのは,多分ほかの県庁もそうだと思いますけれども,私は一つの岡山県庁のよき伝統だと思っています。また,幹部まで出世をして,入庁してから随分たっているにもかかわらず,いまだに岡山県庁からそこそこ距離があるなと思われる地域から,そこに家を建てて,そこから通っている幹部が結構いらっしゃるというのは,私はすごいことだなと思います。住みながら,自分自身「県北がこうなっているんだ」,「井笠がこうなんだ」ということを,家族とともに体感しながら,県庁幹部としての仕事をしてくれている,これは本当に私とすればありがたいことでありますし,また,この数年間,随分多くの市町村が副市長,副町長の立場,もしくはそこまでいかないにしても,非常に大事な部長のポジションに,県の職員,もしくは県のOBを入れていただいております。これは二つの役所の連絡をよくする効果が非常にあります。そういったことで,我々自身,職員自身が地域を体感する,地域に関して我々よりも詳しい市町村のいろいろな生の情報がより入りやすいように,我々の思いも届きやすいようにする,そういったそれぞれの工夫をこれからも続けていきたいと思っています。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 多くの職員の方々がしっかり地域に根差していると,確かにそうだと思います。これから来月,知事も全県を対象にしてお動きになることと思います。コロナ禍の対応も大変かと思いますが,できるだけ地域に足を延ばして,実際に4年前と比べてどうかなということも実感として体にしみ込ませていただければと思います。 次に,GIGAスクール構想についてお尋ねいたします。 コロナ禍後に起こる教育・家庭の変化として,オンライン授業の導入に伴う教育格差の拡大が言われています。4月の休校の際にも,オンライン授業を実施できている学校とできていない学校の間の教育格差が,それぞれの家庭でも実感されました。GIGAスクール構想の早期実現が求められ,補正予算でも「GIGAスクール構想」の加速及び学校休業を想定した県立学校のICT環境整備に要する経費が計上されており,1人1台端末を活用した新たな学びのための整備を進められています。小・中学校では,令和2年度中に児童・生徒1人1台端末が整備される予定であり,県立高校及び中等教育学校後期課程の令和3年度,または,令和4年度の入学生から,学校が指定する端末を購入していただき,生徒1人1台端末の環境を実現していく予定だとされています。 先日は,GIGAスクール構想推進ディレクター2名の就任も発表されました。時間や距離などに制約されないで,個々の生徒にとって個別に最適で効果的な学びができ,校務の効率化が図られ,教師の経験だけでなく,学習履歴や行動等のビッグデータ分析による知見の共有ができることは,すばらしいことです。その先に,「SINET」,サイエンス・インフォメーション・ネットワーク,国立情報学研究所が構築・運営する高等教育を対象とした日本全国の国公私立大学,公的研究機関等を結ぶ世界最高速度の通信インフラを活用できるようになり,初等中等教育や高等教育の交流・連携ネットワーク基盤として機能することになれば,全国の子供たちが最先端のアカデミックな環境に容易にアクセスする機会を得ることができ,都道府県の枠にとらわれない「小中高大連携」の充実や深化につながり,遠隔地の生徒も対象とした「バーチャルオープンキャンパス」の開催など,子供たちの可能性はより広がってきます。 まず,小中高の高速大容量の通信ネットワークの構築,すなわち校内LAN整備の進捗は,どのような状況でしょうか,全ての学校で予定どおり問題なく進んでいるのでしょうか,教育長にお伺いします。 奈良県では,4月に臨時休業の長期化を想定すべきと判断した時点で,「G Suite For Education」の利用を決め,県域の共通ドメインでの導入準備を整えた上で,当時,独自にオンライン化に動いていた奈良市をバックアップして,市内児童生徒の個人IDを発行したそうです。県域で進めることのメリットは,教員の異動や子供の進学があっても,県内であれば同じ環境を使い続けられることにあります。奈良県では,市町村がそれぞれに取り組もうとしていることを,県全体で同じ仕組みを使えるように形を整えるのが県の役割だと考え,その上で市町村や学校間で助け合って自由に使い方を工夫してほしいとされています。 そこで,教育長にそれぞれお伺いします。 岡山県でも,奈良県と同様に,県域で共通の仕組みを整えるため,県が役割を発揮していただきたいと思います。以前から,オンライン教育に取り組んでいる学校もあり,そうしたところともバランスを取りながら進めていくべきだと思いますが,現在の対応状況をお尋ねします。課題があれば,併せてお示しください。 また,教師が不安なく自由にICT環境を利用した先端技術・教育ビッグデータを使いこなすための支援は,迅速性と継続性が必要だと考えますが,どのように行われるでしょうか,現在の状況と今後の計画についてお尋ねします。 今後の感染状況によっては,それぞれの家庭でオンライン授業を受けることが考えられますが,家庭環境による格差が生まれることへの懸念も言われています。日中には,親がいない家庭における学習時の子供たちのケアをどうするのか。親の収入に依存したネットワーク環境の差異や,家庭や地域によって教育機会に差が出ないかとの不安には,どのように対応されるのでしょうか。 また,学校再開後,夏季休業の短縮により臨時休校による学習の遅れに対応され,当初見込んでいた授業時数をおおむね確保することができたとのことですが,休校中にできた学力格差もありますし,授業時数の確保以上に,子供たちが理解できることが大切です。それぞれの子供の習熟度に対して,例年以上に注意を払いながら,継続的な学習支援を行うことが必要だと思いますが,どのような支援をされるのでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 GIGAスクール構想についてのうち,まず通信ネットワークの構築についてでありますが,県立学校では,順次,校内LAN工事に着手しており,おおむね順調に進捗するものと見込んでおりますが,引き続き,全学年の普通教室への整備等が今年度中に完了するよう努めてまいりたいと存じます。また,市町村立学校についても,全ての学校において今年度末までに終了する見込みであります。 次に,県域共通の仕組みについてでありますが,既に県立学校では,お話の教育用クラウドサービスを活用した学習を進めているところであり,市町村教委においては,これまで様々な機種を導入して先行して取り組んでいるところもありますが,このクラウドサービスは,機種にかかわらず活用できることから,県教委としては,アカウントの取得を支援し,県内全域での活用を促しているところであります。課題としては,クラウドサービスの活用に不安を感じている教員もいることから,まずはその活用に関する研修を市町村教委に対して実施しているところであります。 次に,教師への支援についてでありますが,県立学校では,全校で教育用クラウドサービスの活用を推進しており,今後の児童生徒1人1台端末の導入に向け,共同学習での効果的な活用や,学習履歴の蓄積や分析により,学習状況に応じた適切な指導が行われるよう,教員研修を充実してまいりたいと存じます。 また,専門科の県立高校においては,ドローンによる測量実習やタブレット端末からハウス内の温湿度管理を行うスマート農業の学習,ビッグデータを活用する地域経済分析システムを使った探究学習等,先進的な取組も広まってきており,引き続き,こうした好事例の情報共有や各学校への指導・助言に努めてまいりたいと存じます。市町村立学校については,現在,市町村教委からの依頼を受け,県教委の指導主事を派遣して研修を行っているところであり,今後とも,積極的な支援に努めてまいりたいと存じます。 次に,家庭環境の格差への対応についてでありますが,今後の感染状況によっては,オンラインを活用した家庭学習が必要なことから,市町村教委においては,家庭環境による格差が生じないよう,貸出用のWi-Fiルーターの準備を進めているところもあり,家庭において端末を使用することが難しい児童生徒への配慮に向けて,感染予防対策を講じた上で,学校の教室等を開放するなどの対策を検討しているところもあります。また,各学校で家庭での生活リズムの安定に向け,オンラインを活用した健康観察等が行えるよう,市町村教委に対して研修を実施しているところであります。 次に,学習支援についてでありますが,県教委では,学力調査や定期テスト,小テスト等を活用し,児童生徒の学習内容の定着状況をきめ細かに把握・分析するよう指導しております。各学校においては,この結果に基づき,必要に応じて授業の中で学び直しをしたり,個々の児童生徒の課題に対応した復習システムや補充学習のための支援員を活用することにより,児童生徒一人一人のつまずきの解消に努めているところであり,今後も,引き続き,こうした取組を支援してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございました。 ICTの環境は,ツールになりますので,ぜひばらつきのないように心を配りながら,よろしくお願いいたします。 次に,子供たちの育成についてお尋ねします。 コロナ禍をきっかけに,人々が目指す「新しい生活」について,多くの雑誌で様々な特集が組まれています。ファッションライフスタイルの雑誌「VOGUE」では,「HOPE」,希望という一つのテーマを基に,世界で共同プロジェクトを実施しました。「VOGUE JAPAN」では,「HOPE」を富士に具現化し,日本を代表するアーティスト村上隆氏の笑顔の富士山のもとで,仲間たちが遊ぶイラストが表紙になっています。イノベーションがかなえる未来について,連続起業家で投資家の孫泰蔵さんと世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長の須賀千鶴さんへのインタビューでは,「イノベーションがかなえる未来の世界では,私たちは今,学校で学ぶことが当たり前と思っているが,果たしてそうだろうか」とか,「人生100年の時代に,一生学び続け,成長し続けることが人間にとっての喜びであり,幸せだとすると,幼年期,青年期,中年期,老年期などのライフステージの仕切りを取っ払って,自由に流動的に学びたいときに学べばいい。教育は学校の枠組みに収まるべきではないし,そんなふうに変わっていくだろう」とか,「勉強なんて遊びと一緒にできたらそのほうがいいに決まっている」とか,「そのとき学校と空間は,そもそも必要ないだろう」とか,そんな発言が続いていました。 また,未来を担うジェネレーションZの若者たちと働き方やジェンダー,経済の専門家たちによる格差や社会問題と,これからの希望についての座談会では,若者たちがそれぞれ「自分」や「個人」の存在をごく当たり前に尊重し,そこから社会や国を動かしたり,地球に貢献したいと感じていることに感動しました。 そこで,キーになるかもしれないのが,同情,シンパシーではなく,エンパシー,共感という考え方だと言います。ベトナムとタイで8年間暮らし,ジェンダーや人権問題に関心を持ち,啓発活動を行っている高校生,ドイツで10年以上暮らし,難民問題に関心を持ち,教育プログラムの開発を行う高校生は,海外生活などで環境の違いを感じるきっかけがあったのだろうと思いますし,だからこそ他者に対しても想像力が及び,社会問題にも関心が広がったのだろうと思いました。 このように,教育の未来も子供たちの未来も,これまでの教育環境の中で育った世代には,全く想像もつかないような時代に,私たちは何を子供たちに必要な根源の力として育成していくのか,知事のお考えをお尋ねします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 子供たちの育成についての御質問でありますが,これからの子供たちには,人生100年時代やSociety5.0の到来,グローバル化の進展に加え,ポストコロナの状況も見据え,社会の変化に対応しながら,たくましく生きていくことが求められております。このため,AIにはない人間としての強みを生かし,他者と協働しながら新たな価値を生み出す力や,グローバルな視点を持って様々な分野に主体的に挑戦できる力を育成していきたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 確かに,おっしゃるように,本当にどんな状況でもたくましく生きていく,そんな子供たちを育てたいなと思います。 ただそれ以前に同じスタートラインに立てない子供たちも,もちろんいらっしゃいます。お家の家計や,障害など,様々な問題があると思いますが,その子供たちに対しては,知事はどのように支えていきたいと思っていらっしゃるかを,最後にお尋ねします。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  スタートラインに立てない子供たちがいるではないかという御質問であります。スタートラインの定義にもよるとは思いますけれど,今,親が反対して学校に行かせてもらえないというほどの子供はいないと思います。これまでも議会で議論をされてきましたが,やはり,学校に行く前に,家庭教育で随分差もあるし,学校に行ってからもいろいろな差がある,できるだけそういったことに影響されずに,本人の持って生まれた才能,やる気,努力で,それぞれの子供たちが人生を切り開いていくことができるようにしたいと,これはみんなが共通に思っている願いだと思います。それをどのように具現化していくかということだろうと思っています。また,非常に強い意志・能力を持っている子供たちに機会を与えるということも大事だと思います。そういった様々なことを我々悩みながら,また,社会が,我々が思っているよりも速いスピードで,コロナということで急激に変わったりもいたします。コロナで大きく変わったこともあれば,変わらないことも当然あろうかと思います。人生は,長いわけですから,うまく健康管理すれば,100年生きることも不可能ではなくなっている時代,どのように教育をしていくのか,本人も学び続けていくのか,先ほどの「VOGUE」のホームページ見せていただきました。リンダ・グラットン教授のライフシフトに関するコラムも読ませていただきましたけれども,我々として,これまでのやり方をベストとは考えずに,想像力を膨らませて,常に改善を考えて,それで困っている人がいないかどうかを常にチェックしていく,そういうマインドセットが大事だと思っています。 ○副議長(遠藤康洋君)  24番。   〔 24番 木口京子君 登壇 〕 ◆24番(木口京子君)  ありがとうございます。 学校教育,今の段階でセーフティーネットだと思いますので,スタートラインに立てなかった子供たちが,学校の中で,生活する中で,頑張っていける,そして頑張ろうとしている人たちがもっともっと頑張っていける,同じように知事も私たち県議会のみんなも,そのように県の子供たちを支えていきたいと思いますので,どうぞ今後とも,よろしくお願いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で木口君の質問は終了いたしました。 次の質問者に移ります。 31番池本敏朗君。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  皆さん,こんにちは。 自由民主党の池本敏朗でございます。 お昼前でございますが,もう少しお付き合いのほど,お願いいたしたいと思います。 新型コロナ感染症の影響により,経済に大きな打撃を受け,県内の企業は売上げが大きく減少し,先行きが見えない状況になっております。そのような中,県は,3,000万円から4,000万円の融資の枠を広げ,融資規模も拡大し,約5,000億円となりました。迅速な対応を評価する次第でございます。リーマン・ショック時でも,このような融資は行われませんでした。今回の新型コロナウイルス感染症における深刻さがうかがえます。しかし,経済活動を行いながら,コロナウイルス対策をすることは初めての経験で,ちゅうちょすることが多く,試行錯誤の連続でございます。まさしく,ウィズコロナ時代を新生活様式で生きていかなければならないのであります。この時代を乗り越えて新しい生活様式を確立し,経済活動も活発化した世の中をリードしていくのが,行政の大きな役割だと,痛感している昨今であります。 さて,9月16日に,菅新内閣が発足いたしました。岡山県からも,加藤勝信衆議院議員が官房長官に就任し,池田道孝衆議院議員が農林政務官,小野田紀美参議院議員が法務政務官に就任し,これからの活躍が楽しみでございます。 菅総理は,私の大学の先輩になります。働きながら勉強する苦学生でありました。何のコネもない政界に入るに際して,法政大学の学生課に行き,当時の衆議院議員の小此木彦三郎議員を紹介され,秘書になったのであります。菅総理は,最初の所信声明で,「行政の縦割り,既得権益,あしき前例主義を打ち破って規制改革を進め,国民のために働く内閣をつくる」と,力強く宣言いたしました。コロナを収束させ,力強い経済を復活させてほしいものであります。 さて,今回も,コロナ禍における関連質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは,通告に従いまして質問に入ります。 まず,新型コロナウイルス感染症対策条例の制定についてであります。 全国で新型コロナウイルス感染症対策に対する条例が制定されています。少なくとも,9月時点で1都3県が条例を制定しており,この9月議会で提案しているのが2県あります。条例といっても,それぞれの違った視点で制定しておりますが,大きく分けると,患者や家族,医療従事者らに対する差別の禁止,クラスターが出た場合の施設の使用の禁止,休業協力金の給付等が挙げられます。先日,多数の議員からも質問があったように,感染者やその家族,医療関係者等に対して,差別・誹謗中傷等が県内においても発生しております。岡山県でも,これまでの経験を踏まえて,差別等への対応や再度の感染拡大,新たな感染症の発生に備えるために,基本的な考え方や推進体制の枠組みなどを明文化し,はっきりと条例化すべきであると考えますがいかがでしょうか,御所見をお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の池本議員の質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症対策条例についての御質問でありますが,これまで,感染症法などの枠組みの下で,県の行動計画に基づき,感染拡大防止や医療提供体制の整備等を推進するとともに,「ダメ!コロナ差別」啓発キャンペーンを実施し,差別等の防止に取り組んでいるところであります。このたびの新型コロナウイルス感染症のような未知の感染症については,新たな知見も踏まえた柔軟な対応が求められるため,現時点では条例の制定までは考えておりませんが,今後とも,状況に応じて専門家の意見も伺いながら適切に感染症対策を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  状況を踏まえてその適切な措置をしていただきたいと思います。 それでは次に,災害時のLINEの活用についてお尋ねいたします。 災害時の情報収集についてでありますが,県警で一元的に収集するために,LINEを活用してはいかがと提案いたします。 これは,島根県警の例であります。 災害時,県民のスマートフォンのLINEで災害情報を集める取組であります。開設するページは,「島根県警災害情報BOX」と命名され,災害発生時に現場の近くにいる住民などが撮影した写真や状況説明を投稿してもらい,情報を詳しく把握するため,警察官が投稿者に連絡することも想定しているそうであります。救助要請といった緊急時には,引き続き,110番通報をするよう呼びかけますが,これまでは災害現場に近い警察署の署員や本部の応援要員が情報収集に当たり,ヘリコプターを飛ばすといった方法でしたが,今年7月の島根県江の川氾濫で,増水し,主要な道路が寸断され,災害の全容把握に困難を極めた教訓から導入したとのことです。岡山県も,2年前に大きな災害がありました。もし現場の状況がこのようなSNSで発信され,把握することができたのであれば,もっと早い段階で初動対応ができたのではないかと推察する次第であります。LINEであれば,大きな開発費はかかりません。ツイッターなどの文字情報ではなく,写真,動画情報であるため,偽情報による混乱も少ないと考えます。岡山県警でも,LINEを活用した災害時での情報収集の取組を導入し,被災地での救出救助,交通対策,犯罪対策など,災害時の幅広い警察活動に生かしてはどうかと考えますがいかがでしょうか,警察本部長にお尋ねいたします。 また,このシステムは,県警だけではなく,一般の災害情報として防災活動にも使えるものと考えます。これらの情報を知事部局においても共有すれば,道路や河川などの応急対応や県民などへの周知など,様々な事態に迅速に対応できると思いますがいかがでしょうか,危機管理監にお尋ねいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 警察本部長扇澤昭宏君。   〔 警察本部長 扇澤昭宏君 登壇 〕 ◎警察本部長(扇澤昭宏君)  お答えいたします。 災害時のLINEの活用についてのうち,警察活動についてであります。 災害発生時には,様々な手段による情報収集が重要であり,とりわけ発災直後の混乱した状況下においては,被災状況を迅速・的確に把握することが極めて重要であると認識しております。こうした中,LINEを活用した情報収集も考え得る選択肢の一つである一方で,発生場所の特定や緊急性の程度についての把握など,課題も考えられるところであります。お話のLINEによる災害情報の収集につきましては,こうした観点などから,他県の運用状況やその活用事例,成果などについて幅広く研究してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  危機管理監塩出則夫君。   〔 危機管理監 塩出則夫君 登壇 〕 ◎危機管理監(塩出則夫君)  お答えいたします。 防災活動についてでありますが,災害対応を適切に行うため,迅速・的確な状況把握は重要と考えており,LINEを活用した災害情報の収集は,選択肢の一つではありますが,情報の信頼性や緊急性などの課題もあることから,LINEの活用については,今後,国や他県の取組状況も参考にしながら研究してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  島根県警も導入したばかりで,いいか悪いかなかなか分からないという状況等ありますけれども,全国で初めてそのLINEを採用するらしいですので,ぜひともその動向を見据えて参考にしていただきたいと思います。 それと,LINEもフェィスブックもですけれども,偽名や匿名で登録するのではなく,ちゃんとした個人情報,本名で登録するというのが一つの大きな原則だと思います。そうでなければ,誤情報やいろいろないたずらなどがあると思いますので,その辺のフィルターをしっかりすれば十分使い物になると思います。ぜひとも今後の研究材料にしていただいて,努力していただきたいと思っておりますので,このことについて御答弁お願いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  警察本部長。   〔 警察本部長 扇澤昭宏君 登壇 〕 ◎警察本部長(扇澤昭宏君)  再質問にお答えいたします。 本名,実名による情報の真実性の確保等を含めた様々な観点からしっかり検討すべきだという御趣旨と承りました。 議員お話のとおりであると考えております。そういった観点も含めまして,緊急時,非常時における的確かつ正確な情報の収集を何よりも優先して検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  それでは,次の質問に移らさせていただきます。 児童虐待についてお願いいたします。 先日の田野議員の質問と重なる部分もありますが,違う切り口で質問したいと思っております。 児童相談所における児童虐待相談対応件数は,岡山県全体で5年連続で増加傾向にあります。毎年,専門職員の増員をしており,児童福祉司1人当たりの担当ケースは,相当減っております。しかし,5年前の児童虐待相談対応件数が801件,昨年は1,082件で,5年で約35%増えたことになります。「岡山県子どもを虐待から守る条例」が平成27年に制定されました。その効果は,あまりないように思われております。ここ近年,なぜ児童虐待相談対応件数が増えているんでしょうか。その増加要因について,保健福祉部長にお尋ねいたします。 児童相談所の職員は,大変苛酷な環境にあります。虐待の通告を受けてから48時間以内に,子供の安全を確認しなければならないことになっておりまして,四六時中携帯電話を放せず,どこまでがプライベートで,どこまでが仕事であるか分からなくなってしまっております。このような窮状から,専門職員を増員してくれているのは,評価しておりますけれども,それ以上に児童虐待相談件数が増えているのですから,いたちごっこのような様相になっております。このような状況を踏まえて,児童虐待案件に迅速に対応することは,もちろん必要ですが,同時に,児童虐待自体が発生しないような取組が必要であると考えます。今後の児童虐待の見通しと虐待防止策等について,お考えをお示しください。同じく,保健福祉部長にお伺いします。 このような問題を抱えているのは,岡山県だけではありません。日本国中が児童虐待に対してなかなかいい方策がなく,年々児童虐待相談対応件数が増加しているのです。5年前は10万件でありましたが,昨年は16万件と,6割も増えております。 そこで,AIを活用した事例を紹介させていただきます。 三重県では,児相職員が児童の年齢やけがのある部位,種類などを入力すると,AIが県内で過去に対応した虐待対応の記録約6,000件を基に,一時保護の必要性を%で算出するほか,虐待の再発確率や支援終結までの日数を瞬時に予測するそうであります。県は,あくまでも職員の判断をサポートする補助的なツールと位置づけております。昨年7月からおよそ1年間,県内2か所の児相で実証実験をして,メリットが確認できたことから,導入を決定いたしました。職員は,システム搭載のタブレット端末を持ち運ぶため,訪問先の家庭,待機時間中など,場所や時間を選ばず,記録の入力が可能になったほか,システム上の過去の類似事例の閲覧もでき,わざわざ児相に帰って必要な資料を探し出す手間も省かれており,虐待通告を受けてから初期対応後の記録保存まで,最大26時間かかっていたケースがあったところ,10時間ほどに短縮できた例もあるそうであります。 児相の児童虐待相談対応件数は,年々増加し,そのために専門職員の増員もこの議会で多数の議員が要望してきました。県は,その都度,努力を重ね,増員もし,「岡山県子どもを虐待から守る条例」を施行しておりますが,それだけでも追いついていけず,現状のようになっているのであります。三重県が虐待対応にAIを活用しているように,岡山県でも児相にAIを活用した児童虐待対応支援システムを導入すべきではないでしょうか。また,児童虐待対応は,全国共通の課題であり,システム導入費の財政支援についても,国に要望すべきであると考えますが,併せて保健福祉部長の御所見をお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 保健福祉部長西嶋康浩君。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  お答えいたします。 児童虐待についての御質問であります。 まず,増加要因についてでありますが,心理的虐待の件数が特に増加をしており,その多くは,配偶者のDVへの対応時に,その子供への影響を考慮した警察から通告を受けた児童相談所が,心理的虐待と認定したものであります。これは,平成28年度以降,児童相談所と警察の情報共有の徹底など,連携が強化されたことによるもので,これまで潜在化していた事案が明らかになり,件数が増加したものと考えております。 次に,今後の見通し等についてでありますが,近年増加傾向が続いており,当面この傾向は大きく変わらないものと考えております。虐待防止策については,虐待による死亡は新生児が最も多いことから,妊娠中の段階からの相談支援や全戸訪問により,孤立化を防ぐための育児支援を行っているところであります。また,乳幼児以降においては,教職員や主任児童委員等を対象とした早期発見などの研修を行い,市町村が虐待の可能性にいち早く気づくことができる体制づくりに努めております。今後とも,住民に身近な市町村と連携しながら,虐待の発生防止に取り組んでまいりたいと存じます。 次に,虐待対応支援システムについてでありますが,お話のシステムは,導入に当たり多額の費用が必要になることから,費用の低廉化やシステムの有用性,AIの判断が的確かどうかといったことを見極める必要があると考えております。今後,運用の実績や導入の効果などを注視するとともに,必要に応じ,国への財政支援の要望について検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  御答弁ありがとうございます。 実は,先ほどいろいろな見通し等の話がありましたけれども,もうほとんどマンパワーに頼るところだと思います。この議会でもたくさんの議員が児童相談所のいろいろな質問をして,増員につながったのは評価すべきであると思ってます。岡山県も,1人当たりの児童福祉司のケース件数は,ぐっと減っています。ただ,先ほど部長が言われたように,やはり潜在的な部分がどんどん出てくるということですので,先ほどのAIとも関連しますけれども,見守りシステムであるとか,マンパワー以外の防止策といいますか,その辺は何か考えられてますか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えいたします。 児童相談所でのマンパワー以外での取組について,何かあるかということだと思いますけれども,児童相談所,おっしゃるとおり1人当たりの件数は確かに減っている現状でございます。今後も,過度な負担にならないようにする方向で検討している状況でございますが,一方で答弁のとおり,件数は増えていくことは予測されますので,児童相談所のみならず,例えば児童家庭支援センターとか,要保護児童対策地域協議会とか,あるいは市町村の対応力を強化させるとか,児童相談所以外のいろいろな関係者の方々,あるいは関係機関の方々ともよく連携しながら,総合的に必要となる子供たちへの支援をやってまいりたいと思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  この3番目の質問は,まさしく田野議員と重なるところですけれども,三重県の一つの取組については,広島県の湯崎知事が直接見に行ったり,千葉県も導入することが決まっているようですけれども,やはり5年前の10万件から昨年は16万件で,本当に増えているということであれば,やはりこれは岡山県だけの問題ではなくて,全国的な問題だと思います。三重県は導入費を1億2,000万円かけました。例えばそれを47都道府県で分割すると,大した金額にはならないと思います。そのような一つの運動を,国に対してすべきだと思いますし,この一つの答弁に知事は指名しておりませんけれども,例えば全国や中四国の知事会でアピールするとか,スクラムを組みながら,やはり国に対して訴えるべきと思いますけれども,その辺はいかがでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えいたします。 三重県のAIシステムの導入についての国への要望ということだと思いますけれども,我々もAIのシステム,人に頼らないという観点からすると,非常に魅力的なところはあると思います。三重県の担当者に聞いても,やっぱり記録の入力の手間が非常に短くなったりとか,非常にメリットを感じているということも聞いております。一方で,少し聞いてみると,今回6,000件のケースでもってこのAIを確立しているということなので,6,000件だけでなかなか精度の高いものが出ないという,まだまだ問題点があるようでございます。ベテランの職員との感覚がまだちょっとずれがあると聞いており,AIにまだ未熟な部分があるのだろうと思います。これが少し件数が増えてくれば,AIが大分成熟していくのだろうと思いますので,幾つかのところで導入が進めば,AIの成熟度は見えると思いますので,そういったことを我々としても少しキャッチアップさせていただきながら,必要に応じて国に要望してまいりたいと思います。 ある程度成熟度が見えてくれば,それに応じて,国に対して必要があれば要望していくということでございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  ぜひとも検討調査を続けていただいて,それで国に対して要望するということをお願いしたいと思います。 それでは次は,県行政のペーパーレス化についてお尋ねいたします。 平成27年9月議会におきまして,知事部局,議会においてのペーパーレス化についてお聞きいたしました。 そのときの知事の答弁は,次のとおりでありました。 タブレット端末を活用するには,高いセキュリティーを確保しなければならないことから,技術面などの運用テストを行っているところであり,導入コスト面においても,引き続き,検討を重ねたいとのことでした。 先日,知事は,行政手続の見直しとして,約3,000手続・事業の押印の義務づけの見直しを行う方針を発表いたしました。この決断は,コロナ禍におきまして英断であり,評価すべきものであります。しかしながら,5年前にペーパーレス化を提案して以来,表面的には目に見えてきません。最近の県の動向としましては,部内協議等の資料をスクリーンに投映してペーパーレスで協議したとか,庁内20か所を無線LAN化する予定と聞いておりますが,一部の取組であると言わざるを得ません。そろそろ,本格的なペーパーレス化に取り組んでもいいのではないかと思う次第であります。議員活動におきましても,資料を使った住民への説明,写真,動画を使った情報伝達,議会報告での活用といったメリットがあります。また,効率化におきましても,常に正確な情報を共有でき,必要な資料が全てそろい,経費の削減につながるなど,数多くの利点があります。また,議案などの議会関係の資料や県庁の会議に使用する資料には,膨大な紙が使用されております。議会,県庁内双方でタブレット端末導入によるペーパーレス化が実現すれば,膨大な紙資料に係るコスト削減ができ,同時に住民サービスも向上するのではないでしょうか。ペーパーレス化がなかなか進展しないのであれば,まず計画を策定し,その計画に沿って着実に進めることが必要であると考えますが,県庁内についてのこれからのペーパーレス化の計画や進め方などについて,御所見をお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 県行政のペーパーレス化についての御質問でありますが,ペーパーレス化は,お話の紙の節減に加え,業務の効率化にも資することから,庁舎内や現場での業務へ順次導入するとともに,必要に応じて無線LANなどの環境整備を行っているところであります。ペーパーレス化に関する計画を策定することまでは,考えておりませんが,デジタル化を推進する中で,県民利便性の向上や業務の効率化を図るため,費用対効果やセキュリティーの確保に留意しながら,ペーパーレス化を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  一応前向きな答弁とは取っておりますけれども,先ほどの木口議員の質問にもあったように,例えばGIGAスクール構想であるとか,また,国は,デジタル庁ができて,その辺を進めていくであるとか,もう時代の趨勢としては,やはり避けられないことがあるのではないかなと思います。その中で,費用負担ということが出てきますけれども,できる範囲で,例えば無線LANを20か所庁内に行ったとのことですけれども,それと同時に,デジタル化にもしていただけるとか,そういう部分で,ちょっとずつでもいいですから,その辺の進め方で考えている事はないでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  ちょっとずつでも何とかできないかということでございます。 今回のペーパーレス化を進めろという御質問,また,現実的にちょっとでも進めてほしいという再質問,大変私はエールをいただいたと考えておりまして,私自身も工学部出身,スタンフォードで,シリコンバレーで2年いたわけですので,多分この中で一番進めたいのは,私でございます。すごいお金をかけてタブレットも買ったけれども,紙のほうが見やすくてよかったということで,使われないままになったりとか,そういう事例を見ていると,私がやりたいからという思いだけで進めて,何か残骸が残ることにはできない。ただ,進み方の遅さには,本当に私自身じくじたる思いがあります。デジタル化にするためには,まず準備が要ります。例えば,国のいろいろなことで,デジタルで申請できるものがあり,デジタルで申請しようと思ったら,その代わり領収書については別途郵送してくださいということがあります。それだったら最初から紙でやったほうがむしろ速いよみたいな,そういうやろうとする気持ちは分かるんだけれども,実質的には何か効果が出ていないという,そういうことを県庁ではしたくない。でも,何か動かしたいということが,判こは取りあえずやめていこうですとか,今,ちょっと考えておりますのが,私,以前の会社でメールシステムでいろいろなことができるようにしたつもりではありますけれども,やはり古参の社員は,その来たメール全部部下にプリントアウトさせて,それでやっているという。すごく紙がそこで使われており,ちょっと恐ろしくなりました。 でも,役所の中で,県庁の中で,かなりの印刷があるのも事実であります。私自身のところにも来ます。しっかり読み込んで,下線引いてあるものだったら,それはそれでいいんですけれども,また,ちょっと違うバージョンが来ましたといって,また,分厚いのが印刷されると,本当に申し訳ない気持ちになります。そういうのは,メールでもらってファイルで見るほうが検索できたりもします。例えばですけれども,何かの会合の連絡のときに,これまでは全部ファクスでやってましたと,でも実際ファクスにもお金がかかるし,紙が詰まっているとか,いろいろなことがあるから,メールアドレスを持ってる人にはメールアドレスで一斉配信をしますと,いやファクスでないと困るという人には,しょうがないのでこれまでどおりファクスもしますということで,取りあえずファクス1本からファクスとメールの2本立てにして,少しずつファクスの人数が減っていくという,そういうステップもいいんじゃないか,つまりここでいえば,私はタブレット,それからメールアドレスを持っているので,そこにファイルの形で送信してもらえれば,それでオーケーですと手を挙げた議員の先生とか,幹部については,そちらのほうでいくし,いやいやこれまでどおり印刷してくれないとやっぱり何かしっかりした審議ができないという方には,これまでどおりの対応もするというところから始めるのは,一つの手ではないかなということを,今,ちょっと言い出しているところでございます。少しでも前に動かす,強い思いは常に持ち続けたいと思っております。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  非常に前向きな御答弁でした。暫定的でもいいですから,もうちょっとずつ進めていただければ,本当にありがたいと思いますので,どうぞよろしくお願いします。 それでは次に,講演会の講師選定についての質問をさせていただきます。 これからは,委員会に関わることですが,あえて議会で議論をさせていただきます。委員長の許可も取らせていただいております。 男女共同参画推進事業や青少年健全育成促進アドバイザー派遣事業など,様々な県民向け講座があります。これらの事業は,県で直接実施するほか,外部の民間業者によって企画から講師選定,講演会の実践もされております。この中での講師の立場は,絶えず中立,公正,平等でなければなりません。しかしながら,残念なことですが,そこで偏った活動をしたり,不適正な個人的指導も過去にあったと聞いております。もしそれが事実なら,もってのほかと思います。こうしたことが起こらないよう,県は,きちんとした講師選定の基準を持っておくことや,講座内容の確認などを行うことが大切であると考えます。県は,男女共同参画推進事業や,青少年健全育成促進アドバイザー派遣事業などにおける講師選定についてどのような基準を持っているのか,また,委託業者に対してどのような指導をしているのか,講座内容のチェックなど,どのようにしているのか,県民生活部長に,併せてお尋ねいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長(伊藤敦哉君)  お答えいたします。 講演会の講師選定等についての御質問でありますが,県では,男女共同参画や青少年健全育成をテーマとした講演会の講師選定について,明文化した基準は設けておりませんが,各分野において,専門的な知見や講演実績を有する方の中から,講演会の趣旨,目的や主催者の希望に応じて選定しているところであります。また,委託業者に対しては,あらかじめ講演の目的や講師選定に関する県の考え方を示した上で,具体的な内容について協議を行うとともに,県職員の聴講や主催者からの報告等により,講演内容などの確認を行っております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  講師選定については,いろいろ受講者の希望であるとか,その辺の分野からということですが,先ほど部長の答弁を聞いていますと,実際に講座内容を県職員がチェックできるようなことにはなっていないのかなと思います。ですから,ミステリー調査ではありませんけれども,例えば誰か職員がそれを聞いて実際適切であったかどうかとか,その辺の調査を全ては無理でも,する必要はあると思います。その辺はいかがでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長(伊藤敦哉君)  再質問にお答えいたします。 講座内容の確認で,県の職員が直接内容を確認するべきではないかといった御質問でございます。 先ほど御答弁で申し上げましたように,全てというわけではございませんけれども,現在でも県の職員が実際に講演会に出向いて講演内容を確認させていただいている事例もございます。ただ,できるだけ御指摘のとおり,講演内容に問題がないか,これについてやはり県が主催するものについては,きちっとした確認を行う必要がございますので,できるだけ県の職員の聴講の機会を増やす,それから,実際に参加された方のアンケート調査も行っておりますので,そういった様々な手法を通じて講演内容の確認をしっかりやっていきたいと思います。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  先ほどアンケート調査をするとおっしゃっておりましたけれども,それは我々議員が閲覧したりすることはできるものなのでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長(伊藤敦哉君)  再質問にお答えいたします。 アンケートについての公開がされるかどうかという御質問かと思います。 基本的には,情報公開の基準に基づいて判断していくということになるかと思いますので,例えば個人情報とか,そういったものに抵触しない範囲であれば,公開はできるものだと思っています。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  ぜひとも公明正大な形で講師を選定していただきたいと思いますし,また,その辺のアンケートを閲覧できるのであれば,また,そのときお願いしたいと思います。 それでは,災害時におけるホテル等への避難についてお尋ねいたします。 このコロナ禍におきまして,災害時での避難場所を確保するのは,物理的に困難になっております。つい最近,日本を襲った台風では,3密を避け,安全であれば自宅待機や友人,親戚のところに避難等分散化するように提案されております。そのほかに,ホテルや旅館への避難という選択肢が出てまいりました。ホテルや旅館への避難は,3密を避けるためには大変有効で,プライバシーの確保にもなります。国では,災害時におけるホテル避難を推進する方向にあり,全国的に見ても神戸市,宇和島市,米沢市,京都市などが既に導入しております。 県内に目を向けると,7月15日に津山市が旅館組合と協定を結び,高齢者や障害者など市が認めた人を受け入れるようになっております。岡山市でも,各ホテル等の協定が進んでいるようであります。幾つかの市町村では,検討されているようですが,県におきましても,市町村に対して検討するよう助言すべきであると考えます。今年度については,国においても交付金の用意があり,財源は心配する必要はないようであります。今回のコロナ禍において,県内の市町村は,一刻も早くホテル・旅館を新型コロナウイルス感染症対策として,災害時の避難所として利用すべきと思いますが,危機管理監は,今後,どのように市町村に対して助言するつもりなのか,御所見をお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 危機管理監塩出則夫君。   〔 危機管理監 塩出則夫君 登壇 〕 ◎危機管理監(塩出則夫君)  お答えいたします。 災害時のホテル等への避難についての御質問でありますが,県では,避難所における3密状態の回避を目的に,県旅館ホテル生活衛生同業組合に協力いただき,利用可能な宿泊施設のリストを市町村に提供するとともに,独自に避難所周辺の宿泊施設のマップデータをお示しし,活用を働きかけているところであります。また,これらの施設に受け入れる対象者については,要配慮者などを中心に,地域の実情に応じた検討を促しているところであり,新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ,ホテル・旅館の避難所としての利用について,引き続き,市町村に対し,先行事例の情報提供や助言を行ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  3密を避けるために非常に有効な手段だと思います。先ほど危機管理監は,組合に協力していただいて,情報等を市町村にいろいろ提示してもらうというような話をしておりましたけれども,例えば国のこのような予算のバックアップもあるので,こうしたらどうですかというような市町村への具体的で直接的な指導や助言等は,行っていますでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  危機管理監。   〔 危機管理監 塩出則夫君 登壇 〕 ◎危機管理監(塩出則夫君)  再質問にお答えいたします。 市町村に対して,直接こうしたらどうかという助言をしているのかとの御質問だと思います。 同業組合さんには,協力いただき,避難所として利用可能なホテル・旅館等のリストを頂戴いたしまして,県から該当の市町村にこういったところはございますと提示し,災害時に活用を検討するように助言を行っております。また,150程度ぐらいありますけれども,マップデータも,避難所の周辺に宿泊施設をプロットし,お送りしまして,先ほど申し上げた同業組合さんから紹介いただいた施設以外にもこういう施設がありますので,災害時に活用できるよう,それぞれの施設管理者と協議を進める助言も行っており,市町村においてそれぞれの施設管理者と協議が進められているものと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  適切な指導をされているというような答弁と取りました。 それでは,今,市町村で前向きにこれを導入しようかというような一つの数等は,把握されてますか。 ○副議長(遠藤康洋君)  危機管理監。   〔 危機管理監 塩出則夫君 登壇 〕 ◎危機管理監(塩出則夫君)  今,市町村の検討状況の把握しているのかという御質問でありましたけれども,定期的に市町村に今の検討状況をお伺いしておりまして,先ほど議員の御質問の中にもありましたように,岡山市では15施設で協定が締結されています。また,津山市におかれましては,先ほど申し上げました同業組合さんからいただいたリスト以外の取組といたしまして,独自の取組で協定を締結されている。そういった事例も出てきておりますので,今後も,引き続き,調査しながら助言を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  31番。   〔 31番 池本敏朗君 登壇 〕 ◆31番(池本敏朗君)  なかなかできないような市町村もあると思います。ぜひとも指導して,今年中には,27市町村の半分以上はそのような形で,例えば3密を避けられるような避難所があるという形にしていただきたいなという希望です。その辺の感じとして,例えば危機管理監は市町村が今いろいろ動いているのが分かると思いますけれども,手応えとしてはどのような感じでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  危機管理監。   〔 危機管理監 塩出則夫君 登壇 〕 ◎危機管理監(塩出則夫君)  再質問にお答えいたします。 手応えはどうかということでございますが,市町村によりましては,区域内にそういった施設がない場合もあります。また,既存の指定避難所で対応可能と考えておられる市町村もございます。ただ,3密を避けるためには,できるだけ多くの避難所の確保が必要と考えておりますので,引き続き,市町村に対しまして,その旨を助言してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で池本君の質問は終了いたしました。 この際,午後1時20分まで休憩いたします。        午後0時19分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時20分再開 ○議長(波多洋治君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 29番江本公一君。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  自由民主党岡山県議団の江本公一でございます。 早速ではありますが,本日は,支援者の方にいただいた手作りのフクロウのマスクを着けさせていただき,通告に従い質問をさせていただきます。 まず,私学の振興についてお尋ねします。 私立高等学校は,独自の建学の精神と教育方針のもとに,特色のある教育活動を行っており,公立学校とともに学校教育において重要な役割を果たしています。その一方で,少子化の進行により,中学校卒業者は減少が続いており,多くの私立高校は経営が苦しい状況にあります。一部の学校では,教職員のボーナスが出ない,昇給もないとの話も聞いております。本県の私学助成費の令和2年度当初予算は,約139億円であり,前年度比で約25%の増となっているものの,私立学校の運営を支援する経常費補助金について,本県の生徒1人当たりの補助単価は,全国平均を大きく下回っております。特に,高等学校では,全国45位となっており,このような状況を私は大変憂慮しております。 ところで,2019年度,2020年度と,2年連続で県内私立高校の募集定員は増加しており,2020年度は競争率も上がっています。私立高校の人気が高まっているように見えますが,公立志向が根強い本県においては,こうした状況は滑り止めとして私立を受験する子供が多いことの表れではないかとも考えられます。また,経済的に余裕のある家庭では,塾に通わせるなど,子供の教育にお金をかけることができます。東京や大阪のような大都市部では,そうした子供の進学の選択肢には,公立も私立も入っているでしょうが,本県では,塾に通うような子供は,公立高校を目指す傾向が強いと思います。私立高校では,これまで着実に積み重ねてきた進学実績や全国レベルで活躍する部活動,きめ細やかなコース設定など,様々な特色を打ち出して,魅力ある学校づくりに努めています。スポーツ環境が整備された学校で,野球やサッカーを頑張りたい,海外からの留学生が多い学校で国際的な視野を身につけたいなど,学校の特色に引かれて私立高校を希望する子供も多いと思います。子供たちが進路選択を考える際,自分のやりたいことがかなう教育環境が整っている学校への進学を,経済的な理由で諦めるようなことがあってはなりません。 国の方針により,本年4月から,私立高校の授業料実質無料化がスタートしました。高等学校等就学支援金の制度が改正され,年収590万円未満の世帯について,奨学支援金の上限額が引上げられました。こうした国の制度に加えて,独自の支援を行っている都道府県もあります。 大阪府では,国から支給される就学支援金に加えて,府がさらに補助金を上乗せすることで,保護者の授業料負担を軽減する措置を行っています。保護者の負担は,世帯の年収と子供の数に応じて決められていますが,年収910万円未満まで対象となっています。また,神奈川県も,国の制度改正に伴い,本年度から独自の授業料補助制度を,年収750万円未満の世帯まで拡大しています。私立高校には,「お金がかかる」というイメージが付きまといますが,こうした手厚い支援は,子供たちの学ぶ機会を保障するとともに,進路選択の幅を広げることにもつながると考えます。 そこで,お尋ねします。 本県の私立高校を取り巻く現状をどのように認識しておられるのでしょうか。また,知事の目指す「教育県岡山の復活」には,公立のみならず,私学教育の振興も必要です。私立高校の安定的な経営の推進や,保護者の教育費負担の軽減に向けた支援を一層充実させるべきと考えますが,併せて御所見をお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の江本議員の質問にお答えいたします。 私学の振興についての御質問でありますが,少子化が進み,学校を取り巻く環境が厳しくなる中,私立高校では,特色ある教育の推進による魅力向上や,財務状況の改善などの経営努力を行っているものと認識しております。県では,保護者の負担軽減のため,県単独の補助を継続実施するとともに,将来にわたって安定した学校経営が可能となるよう,運営費に係る助成制度の拡充を図ってきたところであり,私立高校の公教育に果たす重要性を踏まえ,引き続き,支援に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  今,私学の現場は,非常に困っております。ある学校ではボーナスがゼロと,また,ほかの学校では寸志程度と,また,ある学校ではボーナスが0.7か月程度に減額されている。もちろん昇給もストップの状況がずっと続いている。伊原木知事の頃ではないですけれども,岡山県が財政危機宣言をしているときに,私学助成も御案内のとおり大幅にカットされました。 そこで,私が総務学事課の責任者を訪ねて,私学振興をお願いしたところ,「県内の私学はいまだ潰れた学校も合併した学校もない,県立は,廃校・合併を今までやってきた,財政危機宣言で県立の学校も給料カットしているんですから,私学も給料カットするチャンスじゃないか,県からの補助でなく,まず職員の給料カットから始めてはいかがですか」と,このように言われました。県立は,廃校しても合併しても,公務員ですから,身分保障がありますが,私学には全くありません。いまだ生徒1人当たり補助単価は,全国平均を大きく下回り,全国45位という現状は,私学にとってはなかなか厳しい現状でございます。知事は,そのように思われていないと思いますけれども,私学も県立のように,廃校・合併をしてもよいとお考えかどうか,お聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  私立の学校についてどう思っているかということでありますけれども,私,もともと民間の経営者出身でありますので,民間の活力が世の中を大きく動かしてきた,社会全体,役所でやってみようという発想は非常によかったと思いますけれども,それを実際に国レベルでやった初めての国は,私の理解ではソビエト連邦ということになります。その後から中国ですとか,いろんなアフリカ諸国が追いかけていったわけですけれども。役所が自動車の製造から,学校の運営から,全てをやると。結局は,国全体が破綻したというのが歴史の教訓であります。今でも,中国は,共産主義ということになっていますけれども,もう横から見ると,普通の資本主義国家よりも,よほど資本主義的な厳しさの下で運営をされている部分も大きくあるわけでありまして,自分たちで何とかしなければいけない。独立経営の工夫が私は全体の水準の底上げ,もしくはバラエティーを豊かにする,非常に大事な効用があろうかと思います。公立で何かしようと思ったら,これはかなり大丈夫だという確信を持たなければできませんけれども,私立の場合は,建学の精神もしくは今の校長,理事長の信念の下で,例えば挨拶もしくは行儀,そういった徳育はもう物すごく大事だという信念を基に,そういう方針を打ち出して,ちゃんと生徒が集まれば,それで回っていく,意外と評判がよければ,その学校の水準も上がっていく,そういうことで評判をかち得た学校が岡山県にあることは,重々承知いたしているところでありまして,ぜひ頑張っていただきたいと思っています。 ○議長(波多洋治君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,ありがとうございます。 知事,ぜひ先ほど申し上げましたように,やっぱり私学というのは,合併をすることと潰れることは,これは一緒のことなので,ぜひとも,全国で45位というのは,非常に情けないことだと私は思います。この現状に至ったのは,岡山県が財政危機宣言になって大幅カットしたからです。それを一日も早く戻して,そして少子高齢化に県と私学が手を携えて子供の教育をやっていきたいと,それにぜひ予算をつけてほしいと,こういうお願いでございます。
    ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  私自身,とにかく今年,毎年毎年を何とかやりくりする,要求されてそこに最小限反応すると,そういった行政ではなくて,将来を見据えた投資ができるようになりたい,投資をするべきだと訴えて8年前,この県庁に来させていただいたわけでございます。教育ほど典型的な投資は,ないわけでありまして,その投資をする先のときに,公立の学校の子供には投資をしますが,私立の生徒には投資しませんということは,一度も申し上げたことはございません。ぜひ我々としても,公立,私立にかかわらず,きちんとした投資をしたいと,これは岡山の子供たちですから当然であります。 私が就任する前ではありますけれども,大変厳しい財政状況の中で,本当に関わった人皆さん断腸の思いで私学の助成費を削らざるを得なかったと思います。これは,そこに何か意地悪したいという意図があったとは,とても思えないわけでありまして,過去にやった大型の投資のうちの幾つかがうまくいかなかったということが原因だろうと,私は理解しています。私とすれば,同じような失敗を絶対にしないと,投資すべきところには投資するけれども,費用対効果がはっきりしないところに大きな投資をしてしまって,それによって将来切ってはいけないところまで切らざるを得なくなるということは,私がこの場にいる限り,そういうことは起きないようにしたい,きちんと考えて予算をつける,必要なところには少しずつでも戻していく,そういう姿勢を保っていきたいと思っています。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。 答弁者は控席へ御移動願います。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事の思いもよく分かりました。私学は,本当に現場が苦しんでおり,一日も早く元に戻していただくことを切にお願い申し上げます。 次に,生徒の進学希望をかなえる高等学校教育体制の在り方についてお尋ねします。 このことについては,私は,一人でも多くの中学生たちが志願校へ入学する夢をかなえ,卒業の日まで本人たちが納得する高校生活を送っていただきたいとの思いから,本年2月定例会の一般質問において,進学を希望する中学生が多いにもかかわらず,募集定員の削減を余儀なくされた全県学区の普通科高校がある現状を踏まえ,「中学生の進学ニーズや各校の魅力づくりへの努力を考慮した募集定員を策定する重要性」について質問いたしました。 教育長は,中学生の進学ニーズ等も考慮する必要があるとの認識を示しつつも,「各高校が地域の中で果たす役割や地域の期待なども踏まえる必要があることから,県全体のバランスの中で検討する必要がある」と,答弁されました。この学校の募集定員と志願者,不合格者数を見てみますと,一般入試と特別入試を合わせて,平成28年度入試280名定員で,一般入試の不合格者は47名,特別入試が46名,合わせて93名です。平成29年度入試は,一般入試で何と81名,特別入試が44名で125名,平成30年度入試は,一般入試が40名,特別入試が36名で76名,平成31年度入試からこのような状況の中,定員を40名減らされ,240名定員となり,平成31年度は,一般入試63名,特別入試33名で96名,本年,令和2年度入試は,一般入試79名,特別入試27名で106名の不合格者を出しています。この現状を放置してよいとは,思えません。県南普通科でも,定員割れが続いている中,なぜ人気校の定員が減らされて定員割れの高校の定員が減らされないのか,私には理解できません。また,少子化の中,人気校であるには,まさに学校の広告となるのは生徒たちです。その生徒たちと先生方を含め,学校の努力のたまものであります。進学希望者の多い高校にあっては,募集定員の策定に当たって中学生の進学ニーズもしっかりと考慮することが,より一層重要になると考えますが,教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 高等学校教育体制の在り方についてでありますが,募集定員の策定に当たっては,お話の中学生の志願状況も重要な要素であり,十分に考慮する必要がありますが,このことにより,周辺部の高校の小規模化が加速するおそれがあることから,県教委では,今後の中卒者数の見通しや中学生の進学ニーズ,学科構成比率に加え,各高校が地域の中で果たす役割や地域の期待などを総合的に勘案し,県全体のバランスの中で検討する必要があると考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  教育長,もう一度言いますけれども,特別入試を除いた実質の不合格者だけでも,平成28年が47名,29年が81名,平成30年が40名,このような中,40名定員を減らして,平成31年が63名,令和2年の今年は79人もの不合格者を出しております。平成30年の不合格者数が40名のときに,定員を減らして次の年が63名,今年が79名落ちたわけですよ,誰が見ても定員を減らしたことは,明らかな間違いではないですか。高校は,地域の期待のためだけにあるものではなく,夢と希望を持って受験する中学生のためにこそあるものだと私は考えます。まさに定員を戻すべきだと考えますが,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 定員について考えるべきではないかということでございますが,先ほども答弁をさせていただきましたけれども,確かに子供たちの希望がどう動いておるかということも十分に把握しておく必要があると思いますし,議員お話の状況というのも承知をしております。もう一方で,県全体の高等学校をどう存続させていくかということも考える必要がございまして,特にお話の学校につきましては,かなり広域から生徒が来ておる学校で,その状況によっては,周辺部からの子供の流入の影響が大きいことも考慮しながら,最終的にお話のような判断をさせていただいたところでございます。引き続き,状況を見ながら全体のバランスの中で考えていかなければいけないと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  平成30年のときに定員を減らしてなかったら,何にも言わないです。非常に人気がある学校なのに,減らしたということを問題点に置いていて,増やしてくださいと言っているのではない,元に戻してくださいと言っているのです。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 今,県全体の動きの状況というのは,生徒数が急速に減少しております。県下,いわゆる学区を設けております学校につきましても,学級減をせざるを得ないという状況の中で,全県学区の学校についても,学級減ということを考えざるを得ない状況があったということでございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  教育長,生徒も学校も教員も,みんな頑張っているから人気が出ているので,やっぱりそこはよく考えて考慮した上で,来年の春の定員を決めていただきたいと思います。 それでは次に,臨時休業による学習の遅れへの対応についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の拡大により,3月から5月にかけて,県内の多くの公立中学校は臨時休業となりました。臨時休業の期間は,設置者である市町村によって開きがあり,県南では,児童生徒が3か月間ほとんど登校することができなかった地域がある一方で,県北では,全く休校していない地域もあります。臨時休業中,子供たちは,多くの時間を自宅で過ごすことになりました。学校の授業を受けることができず,家庭学習に取り組まざるを得ませんでしたが,その学習時間は家庭によって大きく開きがあります。 国立育成医療研究センターが全国を対象に,4月30日から5月31日までの期間で実施したインターネット調査では,家庭学習に1日平均2時間以上取り組むことができた小中学生が4割程度いる一方,1時間以下の小中学生が2割程度いたことが報告されています。同調査では,テレビやスマホ,ゲームなどを見ていた時間についても報告されており,1日平均2時間以下の小中学生が約3割に対して,6時間以上が約1割となっています。そのほかにも,夜寝る時間,朝起きる時間の変化や体を動かす遊び,運動した時間の減少,どなられたりたたかれたりするなど,家庭でのトラブルの増加,さらには,保護者の4人に1人が気分障害,不安障害に相当するような心理的苦痛を感じていたおそれがあることなど,異例の外出自粛と学校の長期臨時休業が,学習の土台である生活リズムや家庭環境に様々な影響を及ぼしていたことが報告されています。保護者や塾のサポートを受けられる子供は,生活リズムを大きく崩すことなく,家庭学習に取り組むことができますが,経済的な理由等で保護者が仕事を休むことができず,日中子供だけで過ごさざるを得ない家庭では,テレビやスマホ,ゲームの影響を大きく受けてしまいます。また,臨時休業が年度末から始まったため,子供たちは,前の学年の授業を最後まで受けられないまま,次の学年に進級しています。夏季休業を短縮するなどして,授業時数を何とか確保していますが,足早に教科書を進めるようなことになれば,授業のスピードについていくことができない子供たちが出てくることも懸念されます。 こうしたことから,このたびの臨時休業をきっかけに,学力格差がこれまで以上に拡大してしまうことを大変危惧しています。臨時休業の判断は,学校設置者である市町村が行ったものですが,高校入試など,全県への影響もあることから,県教委が指導力を発揮することが求められています。私がこれまで一貫して申し上げておりますのは,全ての子供たちが学校の中で一定水準の学力を身につけることができる環境整備が何よりも重要ということです。県教委では,県独自の学力状況調査により,学力の定着状況を,把握・分析し,対応することとされていますが,調査対象は全学年ではないことから,全ての児童生徒への影響を把握することができません。また,個々の児童生徒の課題によっては,今年度中につまずきの解消を図ることが難しい場合もあることから,来年度以降の学力状況調査により,臨時休業の影響を継続して,把握・分析していくことが必要と考えますが,今後の対応について,教育長の御所見をお伺いします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 学習の遅れへの対応についてでありますが,夏季休業の短縮や行事の精選等により,授業時数の確保ができる見通しでありますが,学力の定着状況については,このたびの臨時休業等の影響も踏まえ,より丁寧に児童生徒の状況を把握・分析することが必要であると考えております。そのため,各学校では,学力調査のみならず,定期テストや小テスト等により,定着状況を把握し,必要に応じて授業の中で学び直しをしたり,個々の児童生徒の課題に対応した復習システムや補充学習のための支援員を活用することにより,児童生徒一人一人のつまずきの解消に努めているところであります。来年度以降も,引き続き,学力調査等を活用して,これまでの学習内容の定着状況を把握し,全ての児童生徒が一定水準の学力を身につけることができるよう,きめ細かな指導に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  教育長,どうぞ,今後とも,よろしくお願いいたします。 繰り返しになりますけれど,コロナで長い休校によって,突発的なことではありましたけれども,学習できる環境にあった子供とそうでない子供の学力の差は,今まで以上についていると思います。その上,学年末の休校であったために,新しく4月に新学期に入ってクラス替えが行われました。ですから,例えば英語が足りてないクラスの子と比較的足りてるクラスの子がごっちゃ混ぜになって,また,クラス編制を行われているわけですよね。ですから,足りている子も足りていない子も一緒のクラスで授業が今進んでいるのが現状だということで,県内でも休校が長かった地域も,比較的に短かった地域もあります。もう一度,元のクラスに戻して,足りないところを補うようなことは,時間的にも物理的にも,私も無理だと思います。 私が先ほども言わせていただいたのが,全ての子供たちが学校の中で一定の水準の学力を身につけることが何よりも,大事だと。例えば,算数でいえば,3掛ける3の9は分かりますけれども,0.3掛ける0.3が何で0.09になるのか,掛け算をして何で数が小さくなるのか,このことが理解できないと,数学で頑張ることは,まさにできないですね。自分が頑張ろうと思ったときに,頑張れるような環境の整備が何よりも,私は重要だと考えております。決してこのコロナ禍で学力格差が生まれないよう,教育県岡山の底力の見せどころだと思っておりますけれど,教育長,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 個人の差が開いていることに対してもう少しということでございますが,御指摘のようにそれぞれの学校の状況も違いますし,その子その子の家庭の状況も違います。また,先ほどクラス替えがということもございましたけれども,それは全部のクラスが全く同じ状況で新しい学級がスタートしたわけではないので,個々の差が出ている可能性もあろうかと思います。ここで大事なことは,先ほども申しましたように,一人一人の子供がどういった学力の定着状況なのかというのも,今はクラス全体というよりも,一人一人の個で見ていかないと,いけない時期だと思っております。議員御指摘のとおりだろうと思っておりますので,今いろんな方法で先ほどの学力状況調査の結果,それからそれだけでなく,学年によってはできませんので,小テストまでも含めて,その子その子のつまずいているところを見極めた上で,どの子も取り残さないというのが,やはり一つの大事なことだと思っておりますので,個に応じた対応で何とかつまずきを解消してまいりたいと思っております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  次に,新型コロナウイルス感染症についてお尋ねします。 8月末に取りまとめられた全国知事会からの報告によりますと,6月19日時点で,各都道府県で発生したクラスター238件のうち,約6割が病院,診療所等の医療機関や高齢者福祉施設,障害者施設等の社会福祉施設で発生したものであったとのことです。幸いにも,本県での医療機関や社会福祉施設でのクラスターは発生していませんが,これらの施設は,高齢者や基礎疾患を持つ方など,感染した場合に重症化のリスクが高い方が多く利用しており,施設を利用することで新型コロナに感染するかもしれないという不安から,受診控えや利用控えが広がった結果,症状の悪化や心身の機能低下など,新型コロナの2次被害とも言える影響が発生しています。新型コロナは,無症状者や発症前の患者から感染がある以上,いつ,どこで感染者が発生しても不思議ではありません。それぞれの施設では,細心の注意を払い,感染予防に努めていますが,仮に感染者が発生した場合でも,濃厚接触者をはじめ,幅広い関係者に対する検査の早期実施などにより,クラスターの発生を食い止めることで,少しでも安心して利用者が施設を利用することができるよう,県としても対策を強化することが必要と考えますが,知事の御所見をお伺いします。 また,秋から冬にかけて,新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念されています。本定例会に,季節性インフルエンザの流行期における医療機関の負担を軽減するための,小児に対するワクチン接種の支援に関する補正予算案が提案されていますが,発熱等の症状がある患者が発生した場合,インフルエンザと新型コロナの症状は,類似しているため,感染者と明らかな接触があった場合や,それぞれに特色的な症状がない場合は,臨床所見のみで両者を診断することは難しいとされており,両方の可能性を考えて検査を行う必要があります。県は,新型コロナ流行のピーク時に見込まれる検査需要を1日当たり約700件と見込み,検査体制を整備しています。しかしながら,この検査需要は,これまでの新型コロナ感染状況を踏まえて試算されたものであり,インフルエンザの流行に伴い,新たに必要となる検査数については,含まれていません。季節性インフルエンザの流行に備え,さらなる検査体制の強化が必要と考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 新型コロナウイルス感染症についての御質問であります。 まず,医療機関等の対策強化についてでありますが,接触者に対する検査については,クラスター発生を防止するため,必要に応じて医療機関等に勤務する職員や入所者に,幅広く実施することとしております。また,医療機関等で患者が発生し,クラスターになるおそれがある場合,直ちに専門家チームを派遣し,感染拡大防止対策を講じられるよう,大学等と連携しながら,専門家の派遣スキームの構築に取り組んでいるところであります。今後とも,県民が安心して医療機関等を利用できるよう,感染防止対策への支援やクラスター防止対策の強化に努めてまいりたいと存じます。 次に,さらなる検査体制の強化についてでありますが,新型コロナウイルス感染症の患者に加え,例年と同程度のインフルエンザ患者が発生することも想定し,現在,ピーク時の検査需要の見通しを見直しているところであります。今後のインフルエンザ流行に伴う新たな検査需要に対応するため,引き続き,医療機関等への検査機器の導入支援や,民間検査機関との連携を進めるとともに,簡便かつ迅速に検査結果が判明する,抗原検査キッドの活用により,検査能力の底上げを図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。 答弁者は控席へ御移動願います。 29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  知事,ぜひとも県民の安全と安心のために,全力で議会とともに頑張ってまいりましょう,よろしくお願いいたします。 最後に,トビイロウンカによる影響についてお尋ねします。 県は,水稲に重大な被害を与える病害虫であるトビイロウンカの発生拡大が懸念されていることから,7月9日に,「病害虫発生予察注意報」を発表し,防除の徹底を呼びかけました。その後,さらに発生が多くなり,県内各地で稲が枯れて倒れ,水田の中に穴が空いたようになる,いわゆる「坪枯れ」の発生が懸念されることから,8月19日に,「病害虫発生予察警報」を発表し,追加の防除の徹底を呼びかけてきました。しかし,その後,巡回調査の結果,トビイロウンカの発生がさらに多くなり,県南部から中部の地域において,「坪枯れ」の被害が散見され始めたことから,引き続き,防除対策の徹底を図るため,9月3日に,「食物防疫情報」を発表しました。トビイロウンカが発生した圃場の率は,9月上旬で80.7%に上り,平年の10%に比べ,非常に高くなっており,県内で広範囲に被害が発生すると予測されています。9月9日に発表された国の病害虫発生予報によると,東海,近畿,中国,九州の各地域で,トビイロウンカの発生が平年より多いと予測され,岡山県だけでなく,愛知県,広島県,福岡県など,8県で警報が発表されています。 トビイロウンカは,毎年6月中旬から7月下旬の梅雨の頃に偏西風に乗って中国大陸から飛来し,秋までに3回程度世代交代を繰り返し,9月頃に発生量のピークを迎えます。飛来世代や第1世代で被害が出ることは,ほとんどなく,第2世代,または,第3世代の幼虫や成虫によって被害が生じます。トビイロウンカは,稲の株元に生息し,稲の水分や養分を吸い取ります。増殖すると,同心円状に「坪枯れ」を起こし,次第に周辺に広がっていき,米の品質を低下し,収量が激減します。また,近年では,一部の薬剤に対し,抵抗力を持つトビイロウンカの飛来も報告されています。生産者の方々は,薬剤の散布など,防除を徹底されていると思われますが,今年の岡山県内の米の収量などへの影響が大変懸念されます。 そこで,トビイロウンカの大量発生への県の対策と今年の米の収量や品質への影響の予測について,農林水産部長にお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 トビイロウンカについての御質問でありますが,県では,被害の拡大防止に向け,お話の注意報や警報等の発表に加え,農業普及指導センターによる技術講習会や個別巡回のほか,農協の広報誌への折り込みなど,あらゆる機会を通じて早期防除の徹底をお願いしているところであります。農業者の方々には,圃場巡回と適切な防除に努めていただいているところでありますが,現時点では,収穫期を迎えていない水田も多いことから,収量,品質への影響を予測することは困難と考えております。引き続き,関係団体と連携し,発生状況の周知と防除の徹底を促してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  29番。   〔 29番 江本公一君 登壇 〕 ◆29番(江本公一君)  私どもの地域を含めて,トビイロウンカが発生している圃場の隣の田んぼでも,トビイロウンカが発生していないところがあります。比較的県の奨励品種であり,4年連続特Aを受賞している「きぬむすめ」が被害を受けているように,私には見えます。これは,「きぬむすめ」についているのか,それともわせ,早い品種についているのか,私は専門家じゃないので,分かりませんけれども,これは原因を調べないと,来年以降,また,「きぬむすめ」を植えてもトビイロウンカの被害を受けるようであれば,農家の方も非常に困られると思います。県が原因をある程度調べて県民の農業従事者にお知らせいただけたらと,私は,思っております。 また,被害は田んぼを見たら分かりますけれども,茶色になって穴が空いたように,ぽこぽこになっていますから。共済の申請を積極的にお知らせいただけたらと思います。実は,僕も数年前に同じようなことがあって,そのときは親切なおじさんに,「おめえ早う刈らにゃあやられてしまうぞ」と言われまして,僕も慌てて稲刈りをしたら,「おめえ刈っておえるもんか,写真撮ったんか」と言われまして,結局写真撮って証拠がないと,どれだけ被害を受けていたのかが分からない,そういうことも農家でありながら私は知らなかった。ですから,やはりそこら辺をきちっと説明してあげないと,特に若い農家の方は,全てを承知していないと思いますけれども,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 まず,1点目の議員から御指摘のありました被害の状況で,特に「きぬむすめ」,いわゆる中手品種の被害のほうが多いのではないかという御指摘でございました。 実は,先週も全ての農業改良普及センターの職員に,現地調査をさせました。県下全域で被害が多少発生しておりまして,その状況の中では,時期にもよりますが,わせの被害が多い印象は受けておりました。議員御指摘の点も踏まえまして,その被害がどういう品種に多いのか,あるいは品種による差があるのか,そういったあたりをぜひ今年度のデータをもって,今後の要望に生かしていきたいと考えております。 それからもう一点,御指摘のあった農業共済,さらには収入保険制度も補償の制度ございますけれども,確かに議員御指摘のとおり,被害の予防が第一でありますけれども,発生した被害に対する補償の制度があるということも,特に就農して間がない若い方々にも情報を十分提供できるように,併せて私ども努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  以上で江本君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 25番市村仁君。   〔 25番 市村 仁君 登壇 〕 ◆25番(市村仁君)  自由民主党岡山県議団市村仁でございます。 コロナ禍により,都市化,グローバル化した社会システムの脆弱性が顕在化しています。県民の健康と生活をいかに守っていくのか,重要な局面での9月定例会となりました。その最後の質問者として,登壇させていただくことになりましたが,非常に身の引き締まる思いであります。くしくも,私,県議会議員となって今年で10年になります。また,知事におかれましては,この任期,最後の定例会となります。節目となりますが,本定例会での議員の皆様,執行部の皆様の真摯な御議論に恥じぬよう,誠心誠意務めたいと存じます。 それでは,通告に従いまして質問に移りたいと思います。 まず,美作岡山道路について質問させていただきます。 4年前の9月議会,そして一昨年の9月議会でも,美作岡山道路について質問いたしました。昨年3月には,瀬戸インターチェンジから熊山インターチェンジ,佐伯インターチェンジから吉井インターチェンジの2区間が新たに開通し,予定されている全区間のうち,約6割が供用されました。美作市・西粟倉村選出の県会議員として,ますます県内外から湯郷温泉街へのアクセスが容易になり,観光誘客の促進につながるとともに,美作市中心部の混雑緩和などの効果も出ていることを目の当たりにし,非常に喜ばしく思っております。 さて,以前から重ねて申し上げていることですが,美作岡山道路は,中国縦貫自動車道,山陽自動車道,中国横断自動車道岡山米子線とともに,広域交通のクロスポイントとして利便性の向上など,人流・物流における本県の地理的優位性を飛躍的に高める効果が期待できるわけでありますが,美作岡山道路がその企図するとおりに広域交通網の一部としての役割を完全に果たすためには,残る区間のうち,特に吉井インターチェンジから柵原インターチェンジを経由し,英田インターチェンジに至る約11キロの区間の開通が鍵となってきます。一昨年の9月議会での私の質問について,当時の樋之津土木部長から,用地買収に向けての話合いなど,住民との合意形成については,柵原インターチェンジ付近で内水に対する不安の声があり,当時実施中であった測量の成果や平成30年7月豪雨による浸水実績も踏まえ,美咲町とともに必要な対策を検討し,丁寧に説明するなど,住民の安全・安心の確保に努めるとの御答弁をいただきました。また,昨年11月議会におきましては,内山県議の御質問についての知事の御答弁におきましても,同趣旨の御回答があった旨,記憶しております。その後,10か月ほどたちますが,柵原インターチェンジ付近の用地買収に向けた合意形成は,どのように進んでおりますでしょうか。進捗状況と吉井インターチェンジから英田インターチェンジ区間の事業の今後の見込みについて,土木部長にお伺いいたします。 次に,マイクロツーリズムの推進についてお尋ねします。 近年,グローバル社会とかインバウンドだとか,デジタル化といった横文字が横行しています。こういったものは,ともすれば言葉が一人歩きして,論点がぼやけたり,内容に乏しく,デメリットの目隠しになっているケースが散見されますが,ここで申し上げますマイクロツーリズムというのは,そういった浮かれた話ではありません。コロナ禍にあって,県民の皆さんは,先の見えない鬱々とした日々を過ごし,観光関連産業は危機的な状況に瀕しています。しかし,だからといって感染拡大地域から人が押し寄せてくるようでは,クラスターの発生やコロナ差別が心配です。 打つ手がないように見えますが,私も「転んでもただでは起きない」を信条とする知事を見習い,いろいろと考えてみました。幸いにも,岡山県には,189万人の人口があり,これは域内で経済を回すことのできる十分な規模だと考えます。このあたりは,経済に精通されている知事の御所見を,席を設けてじっくりと伺いたいところですが,岡山には東京タワーや富士山といった突出した観光資源があるわけではない代わりに,北に,西の軽井沢と言われる蒜山高原,南に瀬戸内海,五重塔以外にも数々の歴史ある神社・仏閣,自然豊かなオートキャンプ場,有名温泉だけではない,隠れた秘湯などなど,週末を豊かにしてくれる観光資源であふれているとは思いませんか。「新しい生活様式」などと,上から目線で言われても,暗い気持ちにしかなりません。「御存じないかもしれませんが,県内にこんな秘湯がありますよ」とか,「このキャンプ場の周りをサイクリングすれば,グルメも楽しめますよ」とか,「週末には瀬戸内海の夕日と下津井のタコを堪能しませんか」といった,県民向けの情報発信を盛んにして,暮らしを楽しんでいただければ,安全・安心に十分な経済効果が見込めると思うのですが,いかがでしょうか。 しかも,高速道路が充実している岡山県では,端から端まで二,三時間程度の移動で,非日常が味わえるのです。南の島やヨーロッパに行くばかりが観光ではありません。近くて安くて魅力的であれば,それだけリピートも見込めます。「お盆で里帰りができない代わりに,県北に定宿をつくり,毎年家族で過ごす習慣」というのもすてきではありませんか。観光業支援の切り札として,「県内で楽しむ新しい生活習慣」の普及啓発に取り組んではいかがでしょうか,産業労働部長にお尋ねいたします。 次に,デジタルトランスフォーメーションの推進についてお尋ねします。 菅新内閣の目玉政策に,デジタル庁の創設が挙げられています。これにより,全国の自治体が対応を迫られることになると思われますが,ここでまず大切なのは,慎重に事の本質を見極めて,その認識を共有することだと考えます。経済産業省が平成30年12月に策定した,「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)バージョン1.0」によると,デジタルトランスフォーメーションの定義は,次のとおりです。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し,データとデジタル技術を活用して,顧客や社会のニーズを基に,製品やサービス,ビジネスモデルを変革するとともに,業務そのものや組織,プロセス,企業文化・風土を変革し,競争上の優位性を確立すること」だそうです。「データとデジタル技術の部分」がやたら目立ちますが,この定義について最も重要なのは,「社会のニーズの基に」という部分と,「業務そのものや組織,プロセス,企業文化・風土を変革」という部分だと考えます。つまりは,「社会環境の変化に組織も適応して変化しましょう」という趣旨であります。であるならば,やろうとしていることは,これまでも「市場分析」とか,「業務の適正化」といって,延々とトライしてきたことであると考えます。平井大臣も,「手段が目的化してはいけない」とおっしゃっていましたが,プログラムの更新数などが目標になるようなことがあってはいけないということを申し上げておきたい。IT技術などを活用して,古く,非合理な業務習慣などを刷新することが目的だと考えますが,そういった観点から,まず県庁組織内でのどのように取り組んでいかれるのか,知事にお尋ねします。 次に,コロナ禍における農林漁業者への支援についてであります。 コロナ禍により,飲食,観光業は,危機的な状況にあります。本県におきましては,県民,関係各位の御尽力もあり,第2波収束の兆しが見られますが,世界的には感染拡大の局面にあります。ワクチンや治療薬の開発にも,副作用やその効果について様々な問題が顕在化しており,この闘いには数年を要すると考えなければなりません。長期戦を覚悟する上で大切なのは,食に関することです。飲食,観光業をはじめとする第3次,第2次産業への支援が喫緊の課題ではありますが,時間差で第1次産業への影響が拡大するのは,間違いありません。パンデミック初期には,貿易の停滞による食料危機が懸念されていましたが,最悪に備えるのが危機管理の鉄則です。平時においても,安全保障の観点から,食料自給率の向上は重要な課題ですが,パンデミック下では,食を支える農林漁業者への保護支援策はますます重要となり,安全・安心な県民生活を守る最後のとりでであると考えます。中小企業者への支援は,充実しつつありますが,農林漁業者に対しては,広報が不十分な上に,アクセシビリティーが低い状況です。マスコミでの取り上げも少なく,現場の声が支援に十分反映されているのか,不安を覚えます。農林漁業者への支援策の周知徹底と支援策の最適化について,どのように取り組まれるのか,農林水産部長にお尋ねします。 次に,林業の振興についてお尋ねします。 本県のヒノキなどの人工林資源は,年々充実して本格的な利用期を迎えており,「切って,使って,植えて,育てる」という林業サイクルの循環の推進がますます重要となっております。また,局地的な豪雨や山地災害の頻発等を背景に,国土の保全や地球温暖化対策など,森林の公益的機能に対する国民の期待は,ますます高まっており,森林の整備・保全の着実な推進が求められております。 このような状況の中,森林経営管理制度による森林の経営管理の集積・集約化と,市町村主体での森林整備のための安定財源として創設された森林環境譲与税は,災害防止や国土保全機能強化等の観点から,森林整備を一層促進するために,市町村への令和2年度の譲与額が昨年度の約2倍に増額されました。こうしたことを受け,市町村がこの譲与税を活用して,地域の森林整備を進めていくためには,県が森林経営管理制度に取り組む市町村に一層の支援を行うことが重要と考えますが,どのように市町村を支援していくのか,農林水産部長にお伺いします。 次に,花粉発生源対策についてであります。 「鼻アレルギーの全国疫学調査2019」によると,令和元年度のスギ花粉症有率は,国民の約4割にも上っており,社会的,経済的に大きな問題となっております。 県では,花粉発生源対策として,少花粉杉,ヒノキ苗木の生産体制の整備や普及の加速化を図っており,また,中国地方でも,今年度から,杉同様,花粉症の原因となるヒノキにも取り組んでおられます。こうした中,広域的な連携による花粉発生源対策の取組をさらに推進するため,全国知事会の花粉発生源対策推進プロジェクトチームのチームリーダーに伊原木知事が就任され,先般,第1回目の会議が開催されたところでありますが,今後,チームリーダーとしてどのような意気込みで対策を推進していくのか,本県の取組状況と,併せて知事の御所見をお伺いいたします。 次に,子供たちが落ち着いて学習できる環境の整備についてお尋ねします。 令和元年度の重点事業として,「子供たちが落ち着いて学習できる環境の整備」を挙げられています。その目標の一つに,「公立小・中学校における学級がうまく機能しない状況が発生している学級数」を9学級と設定されていますが,「うまく機能しない状況」とは具体的にはどういう状況なのか。誰が,どのように評価して,原因の究明や対処法を総括的に検討する機能はあるのかなど,疑問が尽きません。そもそも理念としては,機能しない学級は「ゼロ」を目指すべきであり,社会の総力を挙げて対応するべき事象ではないでしょうか。対策として,集中指導員の派遣など行っておられますが,ここまでの取組の状況とその評価について,また,令和3年度の事業終期に向けての意気込みについて,教育長にお尋ねします。 続きまして,ハード面における学校環境整備についてお尋ねします。 現在,衛生面や節水効果の観点から,学校トイレの洋式化に取り組んでおられます。もちろん,そういった観点も大切ですが,「服装の乱れは心の乱れ」と言われた時代があるように,経験的に言って,いわゆる荒れた学校のトイレはかなり汚いです。そして,トイレの汚い3つ星レストランとか,円満だけれども,トイレの汚い家庭というのは,あまり想像できません。最近は,何でもかんでも数値化して評価しようという風潮ですけれども,落ち着いて学習できる環境が整っているかどうかについて,一つの判断材料に,トイレの美化といったものがあってもいいのではないかと考えます。洋式化は,数値化できますが,それを取り巻く数値化できない「美化」について,そのプロセスを含めて正しく評価することができれば,「落ち着いて学習できる環境整備」の取組にも深みが出るのではないでしょうか。こういった観点を踏まえ,学校トイレの環境整備の状況と今後の取組について,教育長にお尋ねいたします。 最後に,国語教育の勧めについてです。 昨今は,英語教育ばかりが注目されていますが,最も重要な国語教育への注目度が低いことを,私は大変残念に思っております。もちろん,外国語を学ぶことは,他国の文化を内面化するという意味で,とても意義深いものでありますが,まず自国の文化をしっかり持っていなければ,海外においてリスペクトされることはありません。「グローバル社会で活躍できる人材育成」などと言って,盛んに英語教育が推奨されますが,そもそも英語圏の人々全員がグローバルに活躍できるわけではありません。一番大切なのは,英語がしゃべれるかどうか以前に,必要な分野に精通しているかどうかなのです。海外で活躍するサッカー選手にとって,会話力は重要であると言われますが,そもそもサッカーが下手では話にならないです。また,「中高6年間も学習して英会話ができないのは,おかしい」という声が聞かれる反面,「小中高12年間勉強したのに,歴史を知らない」とか,「高校でちゃんと教えたのに何で微分,積分ができないんだ」という声は,聞いたことがありません。聞いたことがないのに,歴史学者も,理系の技術者も,ちゃんと育っています。要は,子供たちが,高校,大学と,自分の歩む道を絞っていく段階ごとに,必要な知識を習得していく,基本的な学習能力を身につけさせることこそが,小中学校の段階では最も重要であり,それは「文字が読めること」,「文章を正しく理解できること」,「理解したことを言葉で正しく人に伝えれること」,つまり国語力の習得であると考えます。 そこで,私が御提案申し上げたいのは,教育県復活の切り札としての国語教育の強化です。一例として挙げますのは,橋本武氏による「銀の匙」授業です。簡単に説明しますと,1950年頃から,灘中学校で教鞭を執られた橋本氏が,中学3年間をかけて「銀の匙」という小説を読み上げるというものです。単に,読むだけではなく,通読しつつ,物語中のエピソードごとに寄り道をし,子供に調べさせ,議論させ,理解を深く深く内面化させるというものです。教育関係者で知らない方は,いらっしゃらないと思いますし,評価も様々あると思います。時代も教育制度も異なるため,これをそのまま実行することは,困難だと思われます。しかし,教育県岡山の復活には,地道な積み上げとともに,切り札が必要ではないでしょうか。「銀の匙」授業を参考に,学習力の源泉たる国語力を向上させるべく,「おかやまメソッド」の確立を目指してはいかがでしょうか,知事の御所見をお伺いいたします。 以上,御答弁よろしくお願い申し上げます。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の市村議員の質問にお答えいたします。 まず,デジタルトランスフォーメーションについての御質問でありますが,その推進は,県民利便性の向上や業務の効率化,省力化の観点から重要であり,お話のとおり,社会環境の変化に組織も適応して変化するといった趣旨を十分踏まえ,進めていく必要があると考えております。現在,行政手続のデジタル化を進めるための押印の見直しや,パソコン上の定型的な作業を自動化するRPAの活用などの取組を行っているところであり,今後の国の動向なども踏まえながら,実効性の高い取組を行ってまいりたいと存じます。 次に,花粉発生源対策についての御質問でありますが,県では,少花粉杉,ヒノキの普及加速化を重点施策として推進しており,昨年度の植え替え割合は97%となっております。また,花粉は,広域に飛散することから,県域を越えて連携することが有効であると考え,中国地方知事会においても,スギ・ヒノキ花粉症対策部会を立ち上げ,中国地方一丸となって取り組んできたところであります。さらに,全国に花粉発生源対策を広げていくことが必要と考えていたところ,お話のプロジェクトチームが設けられ,39都府県の参加があったところであります。少花粉杉・ヒノキへの植え替えを進めるためには,木材の利用促進が不可欠であり,全国民の理解,とりわけ都市に暮らす方々の理解と協力を得て取組を進めていくことで,花粉症の低減のみならず,林業の活性化にもつながるものと考えております。このような考えに立って,今後,チームリーダーとして,各地域での取組や課題を共有しながら,それぞれの取組をステップアップさせ,国全体での対策が加速するよう努めてまいりたいと存じます。 最後に,国語教育についての御質問でありますが,言語は,子供たちの学習活動を支える重要な役割を果たすものであり,お話のように,子供たちの発達段階に応じて,日本語の文章を正しく理解し,理解したことを正しく伝えるなど,学習の基盤となる言語能力を身につけさせることは,大切であると認識しております。県教委では,このような言語能力を育成するため,国語科を中心に,どの教科においても自分で考えをまとめ,議論したり発表する機会を増やすなど,言語活動の充実を図った事業改善に取り組んでいると聞いており,私としては,今後も,こうした取組をしっかりと支援してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  産業労働部長小林健二君。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕 ◎産業労働部長(小林健二君)  お答えいたします。 マイクロツーリズムについての御質問でありますが,7月から実施しているおかやま自慢再発見キャンペーンでは,これまでに3,000を超えるおかやま自慢をSNSを通じて投稿いただくなど,県民の皆様に本県の観光資源の豊かさを改めて認識していただいたと感じているところであります。マイクロツーリズムは,お話のように,歴史や文化,食材など,地域の魅力を再発見し,地元愛を高めることにもつながることから,さらに多くの県民の皆様に岡山の魅力に気づき,県内での観光を楽しんでいただけるよう,これまで以上に県民を意識した観光情報の発信に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 まず,農林漁業者への支援についての御質問でありますが,県では,生産者の経営安定に向けて国の各種交付金等を分かりやすく紹介するリーフレットを作成し,普及指導センターが個別に農家訪問するなど,支援制度のきめ細かな周知に努めているところであります。また,新たな消費拡大に向けて,県産和牛肉の学校給食への提供などに取り組んでおります。引き続き,関係団体と連携しながら,情報発信を丁寧に行うとともに,農林漁業者が生産・販売活動に前向きに取り組むことができるよう,ニーズを踏まえながら,状況の変化に応じて機動的に対応してまいりたいと存じます。 次に,林業の振興についての御質問でありますが,県では,市町村との連携推進会議を継続的に開催し,情報共有や課題解決に向けた検討を行うとともに,県が保有する森林資源情報の提供や市町村が行う森林管理の技術支援等に取り組んでいるところであります。さらに,今年度整備している林業技術研修施設を活用して,市町村職員や森林整備を担う林業就業者等の人材育成を図るなど,引き続き,森林経営管理制度が円滑に実施されるよう,市町村をしっかりと支援してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  土木部長原田一郎君。   〔 土木部長 原田一郎君 登壇 〕 ◎土木部長(原田一郎君)  お答えいたします。 美作岡山道路についての御質問でありますが,お話の柵原インターチェンジ付近の合意形成につきましては,昨年12月に地区全体を対象に,今年6月には地区を3つに分けて道路構造などのより詳しい説明会を開催するとともに,内水対策の具体的な検討を美咲町と行っているところであり,引き続き,事業への理解が進むよう努めてまいります。また,吉井インターチェンジから英田インターチェンジ間については,現在,予備設計等を進めているとともに,来年度の国庫補助事業採択を要望しているところであり,今後とも,国に対して強く働きかけを行ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 まず,子供たちが落ち着いて学習できる環境の整備についてでありますが,学級がうまく機能しない状況とは,児童生徒が教員の指導に従わず,授業が成立しない学級の状況を指しており,こうした状況に対しては,これまで,教員OBと警察OBのペアによる集中指導員等の派遣や,該当学級への支援員の配置により,早期解決を図っております。学級がうまく機能しない状況は,平成24年度の26学級に対し,平成30年度には6学級で見られ,減少傾向にあることから,一定の成果があったものと考えております。令和元年度からは,集中指導員3ペアのうち1ペアを津山教育事務所に配置し,より効率的な学校訪問を可能としており,今後も,早期の段階から積極的な学校訪問の継続や効果的な支援員の配置を行うとともに,教員への研修を通じて,学級経営力の向上を図ることで,児童生徒が落ち着いて意欲的に学ぶことができる環境の整備に一層努めてまいりたいと存じます。 次に,学校環境整備についてでありますが,本年4月時点の公立学校のトイレの洋式化率は,小中学校47.2%,高等学校38.6%,特別支援学校83.0%であり,床の乾式化等も徐々に整備が進んでいるところであります。学校のトイレをきれいに保つことは,落ち着いた学習環境づくりにも有効と考えており,県立学校においては,長寿命化改修などの際に,洋式化に加え,床の乾式化,拭き掃除のできる素材の壁,センサー式の換気扇やLED照明など,衛生的で明るく使いやすいトイレの整備に取り組むとともに,市町村教委に対し,こうした改修事例や国の補助制度の紹介,訪問による技術的支援を行っており,引き続き,学校トイレの環境整備に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  25番。   〔 25番 市村 仁君 登壇 〕 ◆25番(市村仁君)  それぞれ前向きな御答弁ありがとうございました。 再質問ではございませんけれども,最後に,コロナがなぜこれほどの混乱を招いているのか,それは感染力や致死率によるものよりは,えたいが知れないからだと考えられます。えたいの知れないものには,人は必要以上に不安やおそれを抱く,そこに差別が生まれる。一見袋小路に思いますが,パンデミックも経済危機も,歴史に学ぶことは可能です。パンデミックなら,ペストやスペイン風邪,経済危機なら,世界恐慌やリーマン・ショックから学ぶことができます。科学的な研究成果と併せて,歴史の知見に学び,県民のために執行部一丸となって対応に取り組んでいただければと思います。そして,冒頭でも申し上げましたが,私は議員として10年,知事におかれましては,2期目の総括に入っておられます。これから民意を問われるわけですが,現在の県政の二本柱である教育の再生と産業振興をさらに進められますよう,ここまでの道のりを見詰め直しつつ,初心を大切に,県政の推進に取り組んでいただければと存じます。ぜひ次の4年間も岡山県の先頭に立っていただきたい,知事にエールを送らせていただき,私の一般質問の結びとさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(波多洋治君)  以上で市村君の質問は終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(波多洋治君)  以上をもって一般質問を終結いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △諸般の報告 ○議長(波多洋治君)  この際,御報告いたします。 地方公務員法第5条第2項の規定により,人事委員会に意見を求めました条例案に対する回答及び地方自治法第243条の2第2項の規定により,監査委員の意見を求めました条例案に対する回答でありますが,両件はその写しをお手元に配付いたしておりますので,御覧願います。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第2 議第79号~議第84号及び議第88号~議第95号,報第5号(委員会付託) ○議長(波多洋治君)  これより議案の委員会付託を行います。 諸議案はお手元に配付の議案付託表のとおり,それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第3 請願陳情委員会付託 ○議長(波多洋治君)  次に,請願・陳情の委員会付託を行います。 9月10日までに受理した請願1件及び陳情10件は,お手元に配付の「請願・陳情付託表」のとおり,それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(波多洋治君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △休会の件 ○議長(波多洋治君)  お諮りいたします。委員会開催のため,明日から10月1日まで6日間休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔 「異議なし」と呼ぶ者あり 〕 ○議長(波多洋治君)  御異議なしと認めます。よって,6日間休会とすることに決定いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △10月2日の議事日程 ○議長(波多洋治君)  10月2日は午前10時開議で,議事日程は当日配付いたします。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(波多洋治君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後2時41分散会〇 令和2年9月25日(金曜日)出席議員   1番 秋山 正浩君       2番 鳥井 良輔君       3番 佐古 一太君   4番 松島 幸一君       5番 本山 紘司君       6番 福田  司君   7番 清水  薫君       8番 大橋 和明君       9番 乙倉 賢一君  10番 大森 一生君      11番 小倉  博君      12番 田野 孝明君  13番 河野 慶治君      14番 渡辺 知典君      15番 福島 恭子君  16番 山本 雅彦君      17番 小林孝一郎君      18番 大塚  愛君  19番 高橋  徹君      20番 須増 伸子君      21番 氏平三穂子君  22番 吉田  徹君      23番 中川 雅子君      24番 木口 京子君  25番 市村  仁君      26番 上田 勝義君      27番 小林 義明君  28番 中塚 周一君      29番 江本 公一君      30番 太田 正孝君  31番 池本 敏朗君      32番 小倉 弘行君      33番 加藤 浩久君  34番 遠藤 康洋君      35番 神宝 謙一君      36番 波多 洋治君  37番 柳田  哲君      38番 高原 俊彦君      39番 荒島 俊造君  40番 笹井 茂智君      41番 増川 英一君      42番 山田総一郎君  43番 蜂谷 弘美君      44番 住吉 良久君      45番 高橋 戒隆君  46番 蓮岡 靖之君      47番 伊藤 文夫君      48番 小田 圭一君  49番 渡辺 英気君      50番 内山  登君      51番 小野 泰弘君  52番 河本  勉君      53番 小田 春人君      54番 天野  学君  55番 千田 博通君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     那須 信行           次長       米戸 健浩  議事課長     下坂 泰幸           政務調査室長   中西  健  議事課長代理   岡本  聡           議事課長補佐   岡崎 将丈  議事課主幹    藤原 良幸           議事課主任    池上 祐毅           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       伊原木隆太君          副知事      菊池 善信君  副知事      横田 有次君          公営企業管理者  佐藤 一雄君  危機管理監    塩出 則夫君          総合政策局長   片山 誠一君  知事室長     須江 裕紀君          総務部長     村木 智幸君  総務部次長    笠原 和男君          県民生活部長   伊藤 敦哉君  環境文化部長   古南 篤子君          保健福祉部長   西嶋 康浩君  産業労働部長   小林 健二君          農林水産部長   槙尾 俊之君  土木部長     原田 一郎君          出納局長     三浦 智美君教育委員会  教育長      鍵本 芳明君          教育次長     高見 英樹君公安委員会  委員       服部恭一郎君          警察本部長    扇澤 昭宏君  警務部長     臼井 伸幸君人事委員会  委員       武井 祐子君          事務局長     角田 直樹君監査委員  代表監査委員   山本 督憲君          事務局長     岸本 雅博君選挙管理委員会  委員       田中 信行君...