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09月24日-06号

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  1. 岡山県議会 2020-09-24
    09月24日-06号


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    最終取得日: 2023-06-10
    令和 2年 9月定例会          ◎ 令和2年9月岡山県議会定例会会議録  第6号〇 令和2年9月24日(木曜日)                  議  事  日  程                  午前10時開議第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時開議 ○議長(波多洋治君)  皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 一般質問 ○議長(波多洋治君)  日程に入り,一般質問を行います。 19番高橋徹君。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  おはようございます。 民主・県民クラブの高橋徹です。 新型コロナウイルス感染症は,これまでの経済社会を一変させた感があります。人々の暮らし方や働き方にも大きな変化をもたらしています。今,社会に起こっている様々な変化の中には,コロナ終息までの一過性のものもあるかもしれません。他方で,今後の社会のニューノーマル,つまり新しい状態として定着するものもあるはずです。本日の私の質問の幾つかは,ウイズコロナポストコロナ時代ニューノーマルへの県の対応をただすものです。有意義な質疑にいたしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。 まずは,資料1というのを御覧ください。(パネルを示す) これは,日銀岡山支店などの発表資料をまとめたものですが,このような統計や調査に加えて,県には市町村や経営者団体,労働団体等から多くの情報や要望が届いていると思います。また,県下の中小企業約3,000社に,新型コロナウイルス感染症に係る調査を実施しているとも聞いています。様々な統計や調査結果,各種団体などからのの声を分析し,県経済の現状及び今後の見通しについてどのような認識をお持ちですか。知事の御所見を伺います。 また,新しい生活様式の実践や,社会のデジタルシフトなど,コロナによる経済社会の変化を踏まえ,今後の県の産業振興策に関して新たな取組を検討すること,これまでの取組を修正すること,逆にさらに強化していくことなどがありますか。産業振興策を修正,転換する場合,第3次晴れの国おかやま生き活きプランにどのように反映されるのでしょうか,併せて伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  民主・県民クラブの高橋議員の質問にお答えいたします。 県経済の情勢等についてでありますが,事業者や支援機関からは,県経済は持ち直しの動きが見られるものの,製造業への影響が拡大しているとの指摘や,今後の雇用情勢を不安視する声が寄せられており,また県の調査でも,業況回復に要する期間について,「分からない」と回答する企業の割合が増加するなど,引き続き厳しい状況が続くものと認識しております。 今後の産業振興策としては,コロナによる社会経済の変化を踏まえ,県内企業のデジタル化への対応やテレワークの推進,電子商取引による販路拡大などの取組を強化する必要があると考えており,こうした取組を第3次生き活きプランに位置づけながら,産業の活性化を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  今,お話のあったとおり,先行きが見通せない,あるいは非常に厳しいという中で,デジタルシフトへの対応,テレワークとか,オンラインによる販路拡大とか,そういうことを申されました。これを一つの機会と捉えて,デジタルシフトを前向きに考えていくというのもありだとは思いますが,どちらかというと,先が見通せないとか非常に厳しいということに関してどうするかということも極めて重要ではないかと思います。そういう産業停滞のリスクに備えてどのような対応をしていくのか。例えば,コロナの影響が最大あと3年くらい続くといったような最悪のシナリオみたいなものも準備しておくとか,そのような発想はあるのでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  コロナについて,最悪の想定をしておくべきではないかということでございます。 当然,いろいろなシナリオに基づいて行動をしていくというのは有効であると,これは一般論でありますが,今回,経済がダメージを受けている一番の理由は,コロナが広がっていて,経済にダメージがあることを承知で感染拡大を抑えなければならなくなっていることで,私からすると,最悪の事態というのは,コロナが手がつけられなくなって,どんどん死亡者が増えていく,それを止められないということで,それを防ぐための自粛のお願いであったりするわけであります。ですので,いつ経済活動を戻せるかというと,新規感染者数が落ち着いた時点であり,今戻している最中であります。結局のところ,経済をどう戻すかということは,いかに早くコロナを抑えるかということであります。今我々は,ワクチン,それから特効薬の登場を待ちながら時間稼ぎをしているわけでありまして,被害が少ない,損失の少ない,いい形の待ち方を,ウイズコロナとして考えることのほうが,むしろ優先順位が高いのかなと,現時点で考えております。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  知事にこういうことを申し上げるのは釈迦に説法と思いますけれども,民間企業の経営計画の場合,プランに対して,これがうまくいかなかったときのために,プランBを用意しておくというのは,割と常識の世界だと思います。例えばこの間の政府のGo To トラベルにしても,もうちょっと感染が拡大したらこうしようというプランBみたいなものがあらかじめ仕込まれていれば,もう少し違った対応があったのではないかという気がします。そういう意味では,生き活きプランの中の生き活き指標などの設定に関しては,そういうプランB的な発想も,目標管理と結びついているだけに必要ではないかと思うのですが,その点はどうでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  プランB,正式に言えばコンティンジェンシープランということでしょうけれども,代替策についてどう考えているのかということでございます。 最悪の事態ということに関して,民間企業が取るべき最悪の事態への対応策と,県の立場でとれる対応は随分違いますので,これについて「特に今の時点で,3年後の最悪の事態に準備はしてません」というのがさっきの答弁だったわけでありますけれども,プランBについては,これは常に考えているというのが正直なところであります。生き活きプランの指標についても,コロナの動き方によって発射点が全然違ってきます。発射点が違えば,現実的な目標も違ってくるわけであります。どれぐらいまで落ちたらどう,どこから始めるということは,今でも想定をしているところでございます。非常に大事な考え方ですので,我々としても常に気をつけていきたいと思っています。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ御移動願います。 19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  先ほどのプランの話ですが,行政のプランというのは,一度つくると根本から見直したり,あるいは目標を下方修正したりするというのが少し苦手な気もしております。4年後にどうなっているのか分からない時期に4年間の計画を立てるということなので,ぜひそういうプランB的な発想というものを計画の中に仕込んでおくことをお願いしたいと思います。 では,次の項目に参ります。 ウェブの利活用によるIJUターン就職支援について伺います。 今年の就活は,ウェブ面接が当たり前になるなど,コロナの感染拡大により大きくさま変わりをしています。IJUターン就職促進の観点から,コロナの影響をどのように捉えていますか,産業労働部長の御所見を伺います。 また,県は,「おかやま就職マッチングフェア」をオンラインで行うなど,感染拡大に配慮した対応を進めていますが,オンラインによる合同企業説明会就職説明会の手応えをどう感じていますか。現時点での評価と課題について併せて伺います。 本定例会の我が会派の代表質問において,ウェブの利用による就職支援活動について問われ,知事は,「インターンシップをはじめ,就職に向けた様々な段階でウェブを活用した就職支援に積極的に取り組んでいきたい」と述べられました。従来から,県外学生の県内企業への就職活動には,移動時間や交通費の負担などの問題がありましたが,ウェブによる説明会,面接等が定着すれば,このような時間的,空間的なハンディキャップは小さくなります。就職活動におけるウェブの活用は,IJUターン就職を促す可能性があります。 以下,私なりに御提案いたします。 まずは,学生を採用する企業への支援です。県内には,オンラインによる採用活動に不慣れな企業は少なくありません。県は,こうした企業を対象に,ノウハウを提供する「オンライン採用面接促進セミナー」を行っていますが,参加企業数や現時点での評価をお聞かせください。 また,新しい就活様式元年とも言える今年の状況を検証し,オンライン面接に限らず,インターンシップ企業説明会など,企業の採用活動全般デジタルシフトをフォローする内容を盛り込むなど,セミナーをリニューアルしてはどうでしょうか。知名度が低いため,学生からのアプローチが期待できず,学生とオンライン上の接点が持ちにくい企業もあります。合同説明会では,たまたま立ち寄ったブースで,事業内容や担当者の人柄などに魅力を感じ,就職につながることも少なくありませんが,ウェブサイトでは,意中でない企業へのリンクはスルーされがちです。県が主催する合同企業説明会オンラインで代替するのであれば,知名度の低い中小企業であっても,学生とつながるための工夫が必要でしょう。ECサイトでは,購買実績や検索履歴などに基づき,製造メーカーや出品企業の知名度に関わらず,ユーザーが関心を持ちそうな商品に誘導する仕組みが備わっています。新しい就活様式に対応し,デジタルマーケティングを活用した就活版ECサイトのような仕組みを構築した上で,県内の中小企業と学生のマッチングを行うオンラインイベントを検討してはいかがでしょうか。 就活をする学生の側に立てば,職場に足を運べないことは会社の雰囲気が想像できない,岡山での生活を想像しにくいなどの不安が残る心配があります。そこで,県内企業への就職を志望する県外学生の不安を解消して,オンライン説明会オンライン面接に臨めるよう,気軽に就職相談できる場所として,県内企業就職希望者向けオンライン就活カフェを開設してはどうでしょうか。就活アドバイザーがカフェに滞在して相談を受けたり,また学生向けに就職支援の動画を閲覧したり,ウェブ面接の対策講座などを受講することもできるようにします。カフェでは,就活同士でオンライン上で情報交換・交流することも可能です。カフェの利用は全て無料にします。 以上,私が提案した企業向けセミナーのリニューアル,オンラインでのマッチングイベントオンライン就活カフェに対する見解も含め,新しい就活様式に対応した県内就職を促進する取組について,知事の御所見を伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 ウェブ利用によるIJUターン就職支援についての御質問であります。 新しい就活様式に対応した取組についてでありますが,今年度のオンライン採用面接促進セミナーは,コロナ禍での最新の動向など,企業の関心が高い内容で開催し,参加した約140社の多くが導入に前向きになるなど,オンライン面接が広がっていると感じております。今後,インターンシップから面接,採用までの就職活動全体のデジタル化への支援が必要と考えており,学生・企業のニーズなどを的確に捉えながら,御提案も参考に,一人でも多くの県内就職につながるよう,大学等と連携し,取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  産業労働部長小林健二君。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕
    産業労働部長(小林健二君)  お答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響等についてでありますが,コロナ禍において,就職環境は厳しさを増しておりますが,一方で,地方回帰の機運の高まりやオンライン面接の拡大により,大都市圏の学生が地方の企業へアプローチしやすくなるなど,IJUターン就職に向けてプラス面も見られるところであります。 また,オンラインによる企業説明会などでは,県外学生の参加が増加するなどの効果が現れる一方,企業と学生が偶然に出会う機会が減少するなどの課題もあるものと認識しております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  御答弁ありがとうございました。 私,先ほど,ウェブを活用することで時間的,空間的なハンディキャップが克服できるのではないかということを申し上げましたが,これ実は逆も真なりということで,地方の学生が首都圏の企業を非常に受けやすくなっているということもあるのではないのか,むしろそっちの心配のほうが大きいのではないのかという気もしていますけれども,知事はどうお考えでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  コロナということで,就職活動の条件が変わってきていて,その中には,我々にとって有利なものもあれば,不利になりかねないものもあります。どういう要素が動いていくのか,それをきちんと見極めた上で対応策を取るということが非常に大事かと思っています。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  今年の大学4年生の就活はほぼ終わりに近づいていて,既に来年,その次の年の就活も始まっているという中で,先ほど,私がオンライン就活カフェというお話をしましたが,実は似たようなサービスが,首都圏への就職を目指す地方の学生に向けて,既に始まっているということであります。これは東京都がやっているのではなくて,民間がやってることですけれども,来年以降の就活に向けて,ちゃんと有効な手を打っていかないと,一方でそういう競争があるということだと思いますが,改めてお考えをいただければと思います。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  東京の大企業は,岡山県の学生を狙っていると,どうなんだということでございます。 まず,一般論として,岡山の学生を外に出さないで,いろいろな妨害工作をして東京の企業のことを知らないうちに県内で就職させようというのは,これは私はどうかと思っています。岡山で勉強した,育った学生が,自分の持てる才能を生かして,挑戦することについて,私は応援をしたいと思っています。その上で,岡山にいい会社があるというのは,私も1社経営したことがございまして,よく分かっておりますので,ぜひそういった会社の魅力も分かってもらいたい。それぞれの会社,自治体が努力した結果,それぞれの学生にとって向いた会社に就職ができるというのが理想でありまして,その理想に向かって,我々としてもできることはしっかりやらなければいけないなと思っています。ハンディキャップが減ってチャンスが出たところはきちんと生かしますし,逆に,これまでそこまで頑張らなくても大丈夫だったところがもろくなるというか,注意しなければいけない状態になっているということであれば,そこにしっかり地元の企業をアピールする努力は必要になろうかと思います。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。答弁者は控席へ御移動願います。 19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  先ほどの就活について,コロナの影響はあるんですけれども,構造的には少子化と,生産年齢人口が減るということで,人材を取り合っていくというところは変わらないところですので,しっかりと対応していただければと思います。 それでは次に,高齢者のICTリテラシーの向上について伺います。 コロナにより,社会全体でデジタル化が加速する一方,インターネット等情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間にもたらされる格差,デジタルディバイドの解消が課題となっています。 資料2を御覧ください。(パネルを示す) これは,総務省の令和元年通信利用動向調査なんですが,これによりますと,調査対象となっている6歳から80歳以上の全体のインターネット利用状況は89.8%,年齢階層別に利用状況を見てみると,13歳から59歳までの年齢階層では97.7%から99.1%なのに対し,60代90.5%,70代74.2%,80歳以上57.5%になっています。この5年の推移を見ると,平成30年までは,60代75%前後,70代50%前後,80歳以上20%前後で,変化はありませんが,スマホの普及が進み,アプリを介した新たなサービスが次々と開発されたことなどにより,令和元年度になって60歳以上の利用が急激に伸びていることが分かります。状況は改善しつつあるものの,70歳以上でインターネットを利用していない人が一定数あり,利用している人としていない人の情報格差は依然残っています。 高齢者のデジタルディバイドに関し,どのような問題意識を持っていますか。知事の御所見を伺います。 アメリカでは,シニアネットという高齢者にコンピューターテクノロジーを活用するための教育を行うことを使命とし,学習センターの設置やボランティア育成を行っているNPOがあります。日本でも,全国各地にシニアネットの名称を冠したNPOや任意団体が,高齢者向けパソコン教室,スマホ教室などを開催しており,これら団体と自治体との連携や協働の事例もたくさんあります。 仙台市では,シニアネット仙台高齢者向け無料パソコン教室に,仙台市などが広報や会場提供などの支援を行っており,佐賀県でも同様の取組を行う団体に対し,県が購入した端末を市民団体に貸与したり,シニアパソコン教室の講師育成のための資格取得費用を補助したりしています。 県内において,シニアネットのような高齢者のICTリテラシー向上を支援する活動を一定期間継続しているNPOや団体はどれくらいあるのでしょうか。 また,県には,そのような団体の活動内容を調査したり,支援したりする体制や仕組みはありますか。併せて県民生活部長に伺います。 シニアネットのような取組は,高齢者が情報端末を使えるようになるためのきっかけづくりやスキルの伝達だけが目的ではなく,地域活動への参加を促進し,介護予防につながる取組としても期待されています。 また,高齢者のICTリテラシーの向上は,ネットショッピングの需要の増,遠隔治療,遠隔医療やモバイル健康診断の促進,リモートワークによる働き方の多様化など,新たなマーケットの創造,拡大や,シルバー産業育成を促し,大きな経済効果を生む可能性があります。加えて,買物弱者対策交通弱者対策,健康管理や介護・見守りのオンライン化,災害時の早期の避難誘導,行政サービスオンライン化の円滑な運用など,高齢者を取り巻く社会問題の解決にも有効です。 高齢者のICTリテラシーの向上は,個々の高齢者にも社会全体にも大きな効用をもたらします。県や市町村がシニアネットのようなNPO・団体を育成または活動を支援する取組が必要ではないでしょうか。知事の御所見を伺います。 一方,総務省は,本年3月から5月に,ICT機器・サービスの利用方法について,高齢者等が身近な場所で相談や学習を行えるようにするデジタル活用支援員制度の実証事業に係る提案を公募しました。全国から14件の提案があり,12件が採択先候補に決定されていますが,県内自治体の応募状況と県におけるデジタル活用支援員制度の活用について併せて伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 高齢者のICTリテラシーの向上についての御質問であります。 まず,デジタルディバイドの解消についてでありますが,急速に進歩するICT技術の利活用を通じて,より豊かな生活の実現が期待される中,高齢者は,一般的に若年層などと比較し,インターネットの利用機会が少なく,デジタル社会の恩恵を十分に享受できないことが懸念されております。このため,市町村等と連携し,パソコン教室の開催等,高齢者がICT技術に親しむことができる環境づくりなどを進める必要があると考えております。 次に,活動支援団体等のうち,育成への支援等についてでありますが,県では,全ての県民がICT技術の恩恵を享受できるよう,高齢者のリテラシーの向上に取り組むNPO法人等に対し,必要に応じて各種情報提供や専門的人材の紹介などを行うとともに,NPO法人等の情報を市町村に提供し,高齢者向け講習会の開催など,官民連携による取組が一層促進されるよう取り組むこととしております。 また,お話の国の実証事業について,県内市町村からの応募はありませんでしたが,その事業成果等を市町村と共有し,今後の取組に生かしてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  お答えいたします。 活動支援団体等のうち,県内の状況等についてでありますが,県内では,市町村のシルバー人材センターが通信事業者と連携して,高齢者向けスマートフォン教室等を開催しておりますが,このほかに,お話のシニアネットのような高齢者を対象としたパソコン教室の開催などを継続的に行っているNPO法人等の情報は把握しておりません。 また,県では,こうした団体に特化した調査や支援などは行っていませんが,NPO法人等の活動については,岡山県ボランティアNPO活動支援センターにおいて,各団体の活動内容等の情報発信や各種セミナーの開催,相談対応などを行うとともに,県民局等において,協働事業を推進するなど,その支援に努めているところであります。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  御答弁ありがとうございました。 実は,この質問を考えるときに,少し気になったのが,今年の3月に,岡山IT利活用指針が発表されていますが,その中に高齢者のICTリテラシーとかデジタルディバイド等に対する言及がほとんどないということもありまして,これは大切なことではないのかと思ったのです。ここに課題認識もなければ施策もないんですけれども,これについてはどうお考えでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  県民生活部長。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  再質問にお答えいたします。 今おっしゃった県の指針につきまして,おっしゃるとおり,高齢者のリテラシーの向上についての記述がないということでございます。この点につきまして,私どもも今の現状を踏まえまして,当然,指針の改定を今後検討する必要があると考えています。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  御答弁ありがとうございました。 実は,私も質問を考えた後に,この資料を改めて見て,(パネルを示す)この1年でものすごく高齢者の利用が上がっていて,多分,来年,コロナもあったので,さらに上がるのではないかと思いますけれども,実はほかの調査もいろいろ詳しく調べてみると,気になることがありました。例えば,オンライン会議やビデオ通話でアプリや端末の操作方法が分からなくて困ったという人は,70代,80代はほかの年代に比べてすごく高くなっています。それから,全国の消費者センターに寄せられる相談は,60代,70代で,オンラインショッピングを含む情報通信関連の相談がほぼ上位を占めているというようなこともあります。70代以上は特に,ICT活用がようやく緒についてきたところですけれども,さらに使えるようになれば,いろいろなことができるようになります。もう一つ,さっき言った悪い面で,例えば,アプリ内課金であるとか不正請求であるとか,そういうようなところでの,トラブルへの対応力というのも教育や訓練によってある程度備わってくるのではないかと思っています。 ほかの県の例をいろいろ見てみると,高齢者がICTを使うようになると,先ほど言ったようなビジネスチャンスが生まれるのではないかという認識があるようで,スポンサーが結構ついて,スマホ教室とかパソコン教室をやるというようなことがあって,それに自治体も加わって,いろいろな形で対応が進むというようなことがあります。 先ほどのIT利活用指針もそうですが,この分野,まだまだ岡山県,頑張れるところがあるのではないかと思っているんですけれども,このあたりについて,改めてお考えを伺います。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  高齢者のICTリテラシーについてどう考えているかということであります。答弁したとおりではありますけれども,あえて付け加えるとするならば,我々や,ここの議場にいる方々は,多分ほとんど使っていて,便利であると同時に,今,インターネットを通じてウイルスを届けられたりですとか,詐欺に遭いやすくなったりですとか,いろいろな問題も起きているところでございます。便利な機械で,便利さだけ享受できるケースのほうがむしろ珍しいわけでありまして,そちらのほうの備えも必要になってまいります。そういったメリット,デメリットを見極めた上できちんと対応していくことが必要です。 例えば,数年前の話ですが,高齢者に向けては,機能をあえて絞ったタイプのものが随分人気が出ていると聞いたこともありますし,比較するのが失礼に当たるかもしれませんけれども,子供たちに通信機器を与えるときに,インターネットにフィルタリングをかけるのと同じような形で,例えば80代や90代の方で我々が期待するような対応力がない場合には,詐欺のメールが入ってきづらくなるようにするですとか,そういった工夫も必要になってくるのかなと思っています。我々としても,安易に広げてトラブルを招くようなことはしたくありませんし,逆にトラブルが嫌だから放っておくという,その2つの極端は避けるようにしたいと思っています。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ御移動願います。 19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  それでは,次の質問に移ります。 危険なバス停の調査と対策について伺います。 9月の初旬,信号機のない横断歩道の近くにあり,バスの停車時に車体の一部が横断歩道にかかるなど,交通事故の危険性が特に高いバス停が,全国に少なくとも2,000か所あることが,国土交通省の調査で分かったと新聞各紙が報じました。同省は,全国約40万か所に上る全てのバス停の危険度を調査中で,年内にも結果を公表するとしています。同省によると,調査では,都道府県ごとに,運輸支局や自治体,警察,バス事業者などで合同検討会をつくり,管内にある全てのバス停の事故リスクを判定し,危険度に応じて3つに区分します。同省が各運輸支局や検討会などから聞き取ったところ,停車時に横断歩道に車体がかかるバス停は,全国に少なくとも2,000か所あったというのが冒頭のニュースの内容です。危険なバス停に関しては,今後,移設などの対策を促すことになっています。 そこで,伺います。 バス停の設置に関しては,様々な法令や規定が関係しますが,県警察では明確な設置基準があるのでしょうか。県警本部長に伺います。 ここからは,県民生活部長並びに県警本部長に伺います。 全国2,000か所の危険なバス停のうち,県内のバス停は幾つありますか。岡山県において,合同検討会は設置されているのでしょうか。年内に県内全てのバス停を調査し,ランクづけした上で公表するとのことですが,現時点での調査の進捗と今後のスケジュールについて,県民生活部長に伺います。 危険なバス停が判明した場合,県や県警察はどのような対策を講じていくお考えでしょうか。県民生活部長並びに警察本部長に伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 警察本部長扇澤昭宏君。   〔 警察本部長 扇澤昭宏君 登壇 〕 ◎警察本部長(扇澤昭宏君)  お答えいたします。 危険なバス停についてのうち,まず設置基準についてであります。 バス停留所の設置につきましては,バス事業者が中国運輸局に認可申請を行い,中国運輸局から公安委員会への意見聴取に対し,県警察が定める調査判断の基準により,交通の安全と円滑の観点から意見を提出しております。例えば,横断歩道や交差点などの側端から30メートル以上離れているかどうかなどの基準を定めており,道路の幅員や交通量なども考慮して判断することとしております。 次に,対策についてであります。 県警察といたしましては,中国運輸局やバス事業者,道路管理者などの関係機関と情報共有及び緊密な連携を図り,必要に応じてバス停留所の移設やバスベイの設置についての申入れを行うとともに,地元住民や利用者の方々の御意見も伺いながら,横断歩道の移設などの検討も進めてまいりたいと考えております。 また,バスの直前直後の横断の危険性や道路横断時の安全確認の徹底について,バスの車内放送などを活用した広報啓発活動を推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  お答えいたします。 まず,県内の状況等についてでありますが,お話の全国2,000か所の危険なバス停は,各地の運輸支局が中心となり調査した結果であると国から伺っておりますが,現時点で,県内の箇所数等については公表されておりません。 今後,岡山運輸支局が主体となって,道路管理者,県警察,バス事業者等の連携の下,ランクづけを含めた詳細な調査を行うこととなっており,その後,関係者で構成する合同検討会を設置し,議論を行い,年内を目途にその結果を公表する予定と聞いております。 次に,対策についてでありますが,県では,関係機関等が連携し,危険なバス停の安全対策について検討が進められる中で,合同検討会の場などを通じて必要な助言を行ってまいりたいと存じます。 また,市町村等と連携し,各種広報媒体により,ドライバーに対し,横断歩道への接近時におけるスピードダウンの徹底などの啓発に努めるとともに,バス利用者に対しても,降車後に道路を横断する際の安全確認の励行を呼びかけるなど,バス停付近の安全確保に向け取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  本部長,ありがとうございました。 バス事業者が運輸支局に申請をして,警察でも安全性を確認するということですが,今言われていた危険なバス停で,最も危険なAランクという基準では,停車時に車体が横断歩道にかかる,または過去3年以内に停車したバスが原因で人身事故が発生したということになっております。恐らくそういうところはかなり危険だということだと思いますが,例えば県内で,過去3年以内に,停車したバスが原因で起こった人身事故の件数について,今分かれば教えていただければと思います。 ○議長(波多洋治君)  警察本部長。   〔 警察本部長 扇澤昭宏君 登壇 〕 ◎警察本部長(扇澤昭宏君)  再質問にお答えいたします。 県内におけるバスが要因となった事故の有無という御趣旨と承りました。 現在,近く開催される合同検討会に向けて,私ども,統計を精査しているところでございます。今のところ,過去3年以内において,停車中のバスが要因となった重大な交通事故というのは承知しておりません。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  ありがとうございます。そういう事故がなくて非常によかったなと思いますけれども,バス停というのは,一度設置した後に,周りの環境が変わることがありますよね。後ろはもう田んぼだったのに,スーパーができたというようなことはあると思いますが,こういう事後に危なくなったというようなことに関しては,何か対応がなされるものでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  警察本部長。   〔 警察本部長 扇澤昭宏君 登壇 〕 ◎警察本部長(扇澤昭宏君)  再質問にお答えいたします。 事後に状況が変化した場合における対応があるのかどうかということでございますけれども,議員お話しのように,確かに事後の状況の変化により危険な状況になっているということも可能性としては考えられます。具体的に,地域住民の方からそういった御指摘をいただいたり,あるいは何らかの交通事故,あるいは危険な状況が現出した場合には,その都度対策を取ることとしております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  2,000のうち幾つかというのは非公表ということだと思いますけれども,実は,1週間ぐらい前に,このバス停のお話をいろいろ調査をしましたが,まず県庁内で,どこがこれを担当するのかというのが,その時点では誰もよく分かっていなかった。運輸支局にも聞いてみましたが,運輸支局も,年内にランクづけをして発表するというスケジューリングの中では,まだ検討会の設置について都道府県に指示をしたりとか,そういう情報共有もうまくできていなかったのかなと思っています。 運輸局の人に,岡山県には何か所あるんですかと聞いたんですが,先ほど言ったように,非公表でした。そもそもどうやって調べているんですかというと,「バス事業者から図面みたいなものを取り寄せて,ピックアップした場所をグーグルビューで調べました」というようなお話だったんです。グーグルビューで安全性が本当に調べられるのかなという気はしたんですが,まだ発表する前のピックアップ段階での報道なので,そこまでの正確性というのはないのかもしれません。少し私が危惧しているのは,これ御承知だと思うんですが,2018年に横浜市で小学校5年生の女の子が,停車したバスを降りて,後ろを通過しているところを対向車にはねられて亡くなりました。同じように,2018年には,高知県でも,小学校4年生の子が重体になったというような事故がありました。そういう意味では,非常に重大な事故につながりかねないことなので,やっつけ仕事のような形で,安全確認について対応が遅れてはいけないなとは思っております。 そういう意味では,今検討会も設置されていない段階で,年内に,全てのバス停を調査して発表するというこのスケジュールについて,少し不安があるんですけれど,そのあたりはどうお考えでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  県民生活部長。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  再質問にお答えいたします。 調査等についての今後のスケジュールという趣旨の再質問かと思います。まず県庁内におきましては,おっしゃるとおり,交通安全あるいは道路の対応ということからすると,土木という形で,かなり関係部局が多くございますが,基本的には知事部局につきましては,交通安全という観点から,私ども県民生活部が窓口でしっかりと対応していきたいと思っています。 その上で,今回のこの調査等につきましては,国が指導して行っております。私どもも,岡山の運輸支局に,いろいろと問合せをさせていただいておりますけれども,今時点では,来月早々に合同検討会の準備会のようなものを立ち上げをされるとお伺いしております。準備会等で調査を進めて,年内には合同検討会を正式に設置した上で,先ほど申し上げましたランクづけ等含めて,調査結果を取りまとめていくという,大まかなスケジュールでお考えになられてると聞いております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 19番。   〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕 ◆19番(高橋徹君)  次に,子供の見守り強化について伺います。 厚生労働省は,学校等の休業や外出自粛が続いていた本年4月下旬に,子供の見守り機会が減少し,児童虐待リスクが高まっているとして,都道府県や政令市などに「子供の見守り強化アクションプラン」の実施を要請しました。同プランは,地域のネットワークを総動員して,支援ニーズの高い子供等を定期的に見守る体制を確保し,児童虐待の早期発見・早期対応につなげるため,市町村に設置している要保護児童対策地域協議会,要対協が中心となって,支援対象児ごとに見守り・支援を担う機関を決め,電話や訪問等による状況把握を,少なくとも週1回実施するものです。 この事業は,行政機関をはじめとした要対協のメンバーだけでなく,地域で子ども食堂やフードドライブなどに取り組む民間団体等に幅広く協力を求めており,民間団体等のスタッフの人件費や訪問経費などに係る経費を全額補助する。支援対象児童等見守り強化事業として31億円の補正予算が措置されました。 県内の市町村におけるこのプランの実施状況はどうなっていますか,保健福祉部長に伺います。 アクションプランの実施に当たっては,民間団体等の協力も得るなど,様々な地域のネットワークを活用することが求められていますが,市町村の要対協に民間団体等が入っている市町村はゼロだと聞いています。要対協への民間団体等の参画が進まないのはなぜでしょうか。また,現状に対する県の問題意識,今後の対応について,併せて御所見を伺います。 アクションプランが画期的だったことは,児童虐待等の早期発見,早期対応の手段として,民間団体等の力も借り,アウトリーチ型の対応を取り入れたことだと思っています。休業期間が終わり,現在は学校も幼稚園も平常どおり開いているため,週に1度のアウトリーチをかけるほどの切迫感はないかもしれませんが,地域のネットワークを総動員して,子供の異常をいち早く発見する体制を整えることの必要性は今後も変わりないはずです。 コロナ禍の影響で,子供に対する宅食サービス等に多くの需要があると聞きます。アクションプランの枠組みにかかわらず,宅食というアウトリーチ型の支援を行っている民間団体等との連携は,対象事業の見守り強化につながる可能性があります。そうした民間団体等の活用,支援について,保健福祉部長の御所見を伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 保健福祉部長西嶋康浩君。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  お答えいたします。 子供の見守り強化についての御質問であります。 まず,アクションプランについてでありますが,全ての市町村で子供の見守りが行われ,支援対象児童及び特定妊婦約4,800名全員の状況把握がなされていると聞いております。また,民間団体等の活動は,小学校区など一定の地域に限定されることが多く,要保護児童対策地域協議会の構成員にはなじみにくいところがありますが,構成員になるか否かにかかわらず,可能な範囲で協力いただける民間団体等を増やしていくことが必要と考えております。 今後とも,市町村に対し,好事例の紹介などの情報提供を行い,専門家の派遣等を通じて,子供の見守り体制の強化を働きかけてまいりたいと存じます。 次に,民間団体等の活用等についてでありますが,民間団体等による宅食のようなアウトリーチ型の支援も,市町村における子供の見守り体制を補完できる可能性があると認識しております。今後とも,市町村が様々な形で子供の見守り活動を行う民間団体等と継続的に連携していけるよう,助言や情報提供に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  以上で高橋君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 18番大塚愛君。 答弁者は控席へ御移動願います。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  皆様,こんにちは。 民主・県民クラブの大塚愛でございます。 故横田えつこさんからのバトンを胸に,県議会の一員にならせていただき,もうすぐ4年になります。時期はずれの1期目を務め終える気持ちでいますが,心新たに,これからも日々,頑張っていきたいと思います。 それでは,通告に従い,質問させていただきます。 初めに,学校給食の小麦について質問いたします。 2月議会で氏平議員からも質問がありましたが,農民運動全国連合会の食品分析センターが,国内の学校給食で提供されたパンを測定したところ,外国産小麦を使用したパンからはグリホサートという除草剤の成分が検出されました。農水省の調べでも,輸入したアメリカ産小麦の9割以上,カナダ産小麦のほぼ全てからグリホサートが検出されており,アメリカなどでは,収穫前の小麦に直接この農薬をかけていることが知られています。 このグリホサートについては,2015年に国際がん研究機関IARCが,人に対して,「恐らく発がん性がある」と発表しており,アメリカでは,これを使い続けた結果,悪性リンパ腫になったなどとして,民事訴訟が4万件以上起こされ,数百億円という巨額の賠償金を命じる判決も出ています。フランスやドイツをはじめ,グリホサートを使用禁止とする国が増えている中,日本では,2017年の日米貿易協定により,残留基準値を大幅に緩和しており,小麦では5ppmから30ppmで6倍に,ソバでは0.2ppmから30ppmと150倍になっており,海外で使われなくなったグリホサートが日本に押しつけられているのではないかと言われるほどの状況になっています。 2017年以降,グリホサートの新たな毒性についての研究が多数報告され,発がん性だけでなく,2代目以降に現れる世代を超えた健康障害や発達期の脳への影響などが指摘されており,日常的にこのグリホサートを摂取している国内の現状に対し,特に子供たちが毎日食べている学校給食をより安全なものにすることが必要だと考えます。 県内の学校給食で提供される主食のうち,お米とうどん用の小麦は国産ですが,パンや中華麺には外国産小麦が使われています。山口県では,県産小麦100%の給食パンを導入しており,長野県や福岡県でも国産小麦の使用率向上を目指しており,全国の市町村でも同様の取組を始めるところが増えています。 本県でも,学校給食の県産,国産小麦の使用率の向上を図っていただきたいと考えますが,教育長の御所見を伺います。 併せて,学校給食の主食で使われている小麦のうち,中力粉と強力粉,それぞれの国内外産別の年間使用量についても教えてください。 県内では,奨励品種の小麦ふくほのかや,津山市を中心に生産されているパン用小麦のせときららなどが栽培されていますが,県内の小麦の年間収穫量を,中薄力粉,強力粉の別に教えてください。 併せて,学校給食の県産小麦使用率を上げることで,農家にとってローカルマーケットを誕生させる効果が期待できますが,給食への使用と合わせた国産小麦の生産促進について,農林水産部長に御所見を伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  民主・県民クラブ大塚議員の質問にお答えいたします。 学校給食での小麦提供についてのうち,県産,国産小麦の使用向上等についてでありますが,学校給食の食材は,安全であることはもちろんのこと,安定的に供給されることや,保護者の負担を踏まえた適正な価格であることが必要でありますが,県内産及び国内産の強力粉は生産量が少なく,一般的に価格も高い傾向にあるため,現状では,まとまった量の導入は難しい状況であります。いずれにしましても,どのような食材を使用するかについては,給食の実施者である市町村教委において適切に判断されるものと考えております。 県内の学校給食で主食に使用される小麦の国内外産別の令和元年度年間使用量は,中力粉については国内産のみで約130トン,強力粉については外国産のみで約500トンとなっております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 県内の小麦収穫量等についてでありますが,令和元年産の収穫量は約3,700トンで,品種別の統計数値はありませんが,中薄力粉品種であるふくほのかが約9割を占めると承知しております。県産小麦については,販売先である製粉会社等の意見を十分反映させながら,高品質,安定生産に取り組んできたところであり,学校給食の麺としても使用されているところであります。県といたしましては,引き続き,農業団体と連携し,水田の有効活用や農業者の所得向上の観点から,小麦の生産拡大に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  御答弁ありがとうございます。 コスト面で,キロ当たり150円ぐらい,強力粉は高くなるわけですけれども,仮にこれを全量国産に切り替えたときの給食費を計算してみますと,1食当たり3円ぐらい高くなるということでした。コストも確かに大切なことですが,今,国産率が20%ぐらいということなので,それをまずは10%増やしていこうとか,そういう動きを県教委としても促すようにお願いしたいと思っています。 先ほど,子供の脳の発達への影響という話がありましたが,この20年間,発達障害が増えているという変化があります。その背景には,このグリホサートやネオニコチノイド系農薬というものの使用量が上げられていることが影響しているのではないかと感じているところです。フランスやドイツのように,予防原則のほうに立って,疑わしいものはなるべく防ごうという考えを,教育のほうでも持っていただきたいと思ってます。また,生産を増やして安定供給するためには,岡山で小麦を作っていこう,使っていこうという,農業と教育の方針とが合わさっていかないと,生産量も上がってこないということがあります。県産・国産を段階的に増やしていくということを,県として考えていただけないかと思うんですが,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 段階的に増やしていくということを県として検討してもらえないかということでございましたが,先ほどいろいろ御指摘がございましたけれども,現在流通しているものにつきましては,国が基準を設けて検査をして,検査を通過したものが流通しておるという状況であると捉えております。先ほども答弁で申しましたけれども,どういう食材を利用していくかということについては,それぞれの給食の実施者であります市町村教育委員会において判断されておるところでございまして,先ほど,小麦とは違いますけれども,米粉の割合を増やしたパンを活用したり,8割使っておるところもございます。そういったそれぞれのところでお考えになりながら,農産物等の活用ということも念頭に,工夫をしながら取り組んでおられるところでございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  学校給食で使っていくという流れがありましたら,農林水産部のほうでも,農家さんに作ってくださいということが言いやすいと思うので,動いていただけないのが残念なところです。今,岡山県内の市町村でも,保護者の方たちが,学校給食で県産,国産小麦を使ってほしいという要望活動を始めようとしております。まずは県民の声を上げていくことも大事だと思います。そういう動きもあることを踏まえて,今までも小麦の生産量をかなり増やしてきていただいて,頑張ってくださっているところではありますが,パン用小麦も含め,これからも生産促進をお願いしたいと思いますので,もう一度お願いいたします。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 県内での小麦の生産をさらに拡大する方向でやっていただけないかという御質問と承りました。 先ほどの答弁の中でも若干触れさせていただきましたけれども,現在県では,うどんですとかおそばですとか,麺用の小麦でありますふくほのかを,奨励品種に位置づけまして生産振興しておりまして,学校給食の麺にも活用されておるところでございます。今後,議員御指摘の地元の声,ニーズでありますとか,あるいは,実は県内で生産される小麦は全て製粉会社に契約で引き取っていただいているという背景もございますので,そういった消費者のニーズを踏まえた製粉会社の意向なども聞きながら,私どもとしても,稲作の裏作としての小麦の生産振興にも努めてまいりたいと,考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。答弁者は控席へ御移動願います。 18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  次に,障害のある方の避難について質問いたします。 毎年のように各地で大きな災害が起こる昨今,特に避難に困難が伴う障害のある方の命を守ることは重要なことです。ある重度障害のある娘さんの親御さんは,2年前に真備町で水害に被災され,充電設備がある病院まで自力で避難されましたが,そこでは「ここに来られても困る」と言われつらい思いをされ,その後は別の病院で受け入れてもらえたのですが,今でも災害時に避難できる場所が事前に決められないことに不安を抱えておられます。また,真備の自宅で被災されたある方は,息子さんの人工呼吸器の充電が残り数分の時点で救助されたということも新聞で報道されました。 このような医療的ケア児者の災害時支援のために,岡山県小児科医会と岡山県医師会小児科部会では,今年6月に,災害時に電源と避難場所を提供する医療・福祉施設と当事者をマッチングするサイト「ぼうさいやどかりおかやま」の運用を始められました。これは本来,公助としてやらなければいけないほど必要なことで,大変貴重な取組だと受け止めています。 現在,県内の25の医療・福祉施設が登録していただいているとのことですが,特に医療的ケア児者の方が多い県南地域では,かかりつけの総合病院で災害時の受入れがかなわない場合も考えると,協力施設の数がまだまだ足りない状況にあるということです。病院や有床診療所における電源設備の調査や,「ぼうさいやどかりおかやま」への協力の働きかけ,協力施設への非常用電源配備への補助など,この取組を支援していただきたいと思いますが,保健福祉部長の御所見を伺います。 昨年の高校生議会では,岡山支援学校の議員から,「ふだんでもバリアフリー化が完全に整っていない状況下においては,災害時になるとより困難を極めているという現状があります。また,避難できたとしても,避難所の電源設備や医師や看護師の関係で,必要な医療的ケアが受けられなかったり,周りに気を遣って思うようなケアができなかったりする現状があります。私たちが自主的に避難するためには数々のバリアが存在します」と,避難についての課題が指摘されました。 障害のある方やその家族の方にお話を伺うと,災害の危険が迫っても,地域の避難所に行くことに抵抗があると感じている方が依然として多くおられます。 昨年度,岡山県内の市町村で発令された避難情報の合計数のうち,警戒レベル4は2回でしたが,レベル3は15回でした。レベル3は,高齢者や障害のある方など,避難に時間がかかる方への避難情報ですが,避難が大変な方ほど,避難を迫られる回数が多く,かつ指定避難所に行くことに不安があるという現状に課題を感じます。 障害のある方をはじめとする要配慮者が,より安心して避難できるようにするためには,避難所施設のバリアフリー化などのハード面,地域や行政の理解や協力というソフト面,両面からの対策が必要となりますが,県としてどのように進めていかれるのでしょうか。現状の課題と今後の取組をお聞かせください。危機管理監の御所見を伺います。 また,要配慮者の避難先として特別支援学校の活用が考えられます。2016年の熊本地震の際には,熊本県内で4校の特別支援学校が避難所として活用されたことが報告されており,そのうちの1校,熊本かがやきの森支援学校では,重度重複障害のある児童生徒と家族,地域住民など,ピーク時には700人の受入れをされたそうです。特別支援学校は,トイレや通路などが車椅子でも移動がしやすい施設構造になっており,手話など,福祉的対応能力が高い教員がおられたり,医療的ケア児者に対応できる設備があるなど,生徒をはじめ,要配慮者の方にとって避難がしやすい環境であったことが分かります。 これまで災害時に県内の特別支援学校でも,生徒や家族が避難されたことが何度もありましたが,避難所としての受入れはされなかったとお聞きしています。特別支援学校を警戒レベル3の段階で福祉避難所として開設することができれば,要配慮者の方たちが安心して早めの避難を実行することができ,かつコロナ禍においては,重症化リスクの高い要配慮者の方たちの感染防止にも寄与します。また,南海トラフ地震の際に,非常に多くの避難者が想定される県南部においては,特別支援学校が福祉避難所として開設される必要性が特に高いと思われます。市町村に対して,特別支援学校を福祉避難所として指定・活用することを促し,災害時の開設に備えた協議を行う必要があると思いますが,これまでの検討状況と併せて保健福祉部長の御所見をお聞かせください。 今年,県が作成した災害時サポートブックは,障害のある方が災害時の避難先やそのための準備を決めて書いておくための手帳ですが,障害のある方やその家族の方からは,自分たちだけで書き込むのは難しいという意見が多く,みんなで取り組める場があればという声をお聞きしています。特別支援学校で,生徒が保護者と一緒にサポートブックについての説明を聞きながら,災害への備えを進めることができる機会を設けていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。保健福祉部長にお伺いします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 保健福祉部長西嶋康浩君。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  お答えいたします。 障害のある方の避難についての御質問であります。 まず,病院の電源設備の調査等についてでありますが,有床診療所の状況は不明でありますが,病院については,平成30年8月の時点で163病院中131病院に非常用電源が配備されているところであります。 お話のような取組は,県としても有意義なものと認識しており,県医師会等を通じて,さらなる参加の呼びかけを行ってまいりたいと存じます。 医療機関に対する非常用電源の補助については,昨年度は要望がありませんでしたが,引き続き医療機関のニーズを踏まえながら研究してまいりたいと存じます。 次に,特別支援学校の活用についてでありますが,福祉避難所は,今年4月時点で320施設が指定されており,このうち特別支援学校の指定は2校となっております。これまで福祉避難所設置・運営マニュアルの周知や,要配慮者支援等に関する研修会の開催を通じて,市町村に対し,福祉避難所のさらなる指定を働きかけてきたところであります。 引き続き,特別支援学校の活用も含め,福祉避難所が地域の実情に応じ,適正に設置,運営され,配慮を要する方々が円滑に利用できるよう,市町村の取組を支援してまいりたいと存じます。 次に,災害時サポートブックについてでありますが,御自身で作成が困難な場合があることから,身近な支援者である障害者団体や障害福祉サービス事業所等に作成支援をお願いしているところであります。 お話の特別支援学校での支援等についても,保護者等からの要望に応じて,学校や障害者団体等と連携し,そうした機会を設けてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  危機管理監塩出則夫君。   〔 危機管理監 塩出則夫君 登壇 〕 ◎危機管理監(塩出則夫君)  お答えいたします。 ソフト,ハード面の対策についてでありますが,災害時,要配慮者が適切に避難し,避難所での生活を安心して送れるよう,支援体制や生活環境の充実を図る必要があると考えております。このため,地区防災計画等作成推進事業などを通じて,地域で要配慮者を支援する仕組みづくりを進めるとともに,市町村に対し,要配慮者が使用可能なトイレの設置やバリアフリー化などのハード対策,相談窓口の設置や専用スペースの確保などのソフト対策を,県の避難所運営マニュアルでお示しし,助言しているところであります。 また,研修や訓練等を通じて,市町村職員の対応力の向上を図っており,今後とも,要配慮者の避難が適切に行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ御移動願います。 18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  障害のある方への避難について,前向きな御答弁,様々ありがとうございました。特に,医療的ケア児者の方が,命を守るために,避難について本当に積極的に考えておられるけれど,場所が見つからないという,この課題が解決できるよう,ぜひ御支援,御協力をお願いします。 また,避難所のハード面については,体育館に多機能トイレがないなど,まだ整備率が上がってない項目もあると思いますので,引き続き向上を目指してお願いいたします。 次に,ヤングケアラーについて質問いたします。 総務省の就業構造基本調査を基にした毎日新聞の独自調査によると,通学や仕事をしながら家族の介護に従事している15歳から19歳の子供,いわゆるヤングケアラーは,全国に3万7,100人いると推計され,この数は,5年前に比べて,少子化にもかかわらず3,000人増えていることが明らかになりました。この数は,介護以外のケアや15歳未満の子供を含めるとさらに多いと言われています。 一般社団法人日本ケアラー連盟によると,ヤングケアラーが担っている内容は,障害や病気のある家族に代わり,料理や洗濯などの家事をしている。障害や病気のある家族の看病や入浴,トイレの介助をしている。病気や障害のある兄弟の世話や見守りをしている。家族に代わり,幼い兄弟の世話をしている。家計を支えるために労働をしているなど,多岐にわたります。 また,同新聞社がケアマネジャーに行った全国調査では,16.5%のケアマネジャーが,担当家庭にヤングケアラーがいたと回答しており,その中でも,生活に支障が出ていた事例として,学校を休みがち,情緒が不安定,孤立感を感じている,進学を断念したなどの実態が見受けられたと答えた方が数割いたことが明らかになっています。また,支援体制が不十分という訴えは96.4%に上り,介護事業者や学校,自治体,医療機関,地域が連携した支援の整備を求める声が多かったことが分かっています。 あるスクールソーシャルワーカーからは,「介護のため不登校になるなど,子供の学ぶ権利が奪われていても,教育現場や行政は,親の手伝いをする良い子との認識で終わらせてしまう」と,同調査に意見が寄せられていますが,本県においても,教員やスクールソーシャルワーカーなどから,独り親世帯などでヤングケアラーとして困難を抱えている子供がいるが,子供自身の自覚がなかったり,現状では十分な支援を届けることができていない実態があるとお聞きしています。 同問題を研究される濱島淑恵教授は,家族のケアで生活に悪影響が出ているという自覚のない人は多く,公的支援としては啓発が重要で,教員や医療福祉の専門家への研修によって理解者を増やし,学校やケアマネジャーがヤングケアラーを発見し,民間団体が支援できる仕組みの必要性を上げておられます。 国では,団塊の世代が後期高齢者になる2025年度をめどに,地域包括ケアシステムの整備を進め,高齢者が地域で暮らせる社会を目指しており,今後,地域や家庭で介護を担う機会はますます増えていくことが考えられます。 一方,子供の貧困率は13.5%,独り親世帯の半数程度が貧困状態など,家庭の格差の問題がある状況の中では,次の社会を担う10代に家族の介護などによる過度の負担がかかることが懸念され,ヤングケアラーの孤立を防ぎ,学業や進路の道が閉ざされる事態を防ぐために対策が必要であると考えます。 埼玉県では,今年3月に,全国初のケアラー支援条例を制定し,今後策定する支援推進計画の中にヤングケアラーの支援策を反映させるために,県内高校2年生を対象に実態調査を行っています。 本県では,このようなヤングケアラーの実態と課題についてどのように認識されていますか。 また,埼玉県のように,高校生を対象とした実態調査を行い,ヤングケアラーの支援を検討すべきではないでしょうか。併せて保健福祉部長に伺います。 また,ヤングケアラーとして負担を抱えている児童生徒に対して,学校の教員がその課題を理解し,関係機関と連携して適切な支援を行っていくことも重要です。ヤングケアラーの増加が懸念される中で,学校としてどのように取り組んでいくのでしょうか,教育長に伺います。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 保健福祉部長西嶋康浩君。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  お答えいたします。 ヤングケアラーについての御質問であります。 実態等についてでありますが,国が実施した2回の調査では,市町村が若年介護者の概念を十分認識していない,家族内のことで問題が表面化しにくく,実態が把握できていないなどの課題が判明しているところであります。 このため県では,この調査結果を市町村に周知し,学校・教育委員会と連携して,適切な福祉サービスにつなげるよう依頼をしております。 お話の高校生を対象とした実態調査までは考えておりませんが,今後とも,市町村において,若年介護者の実態を把握した上で,必要な福祉サービスが適切に提供されるよう,制度の周知等に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 学校での取組についてでありますが,まずは教職員が,若年介護者となっている児童生徒に関わる可能性があることを認識し,研修により,休みがちや授業に集中できないなど,こうした児童生徒の学校生活への影響等について理解を深めるとともに,安心して相談できる信頼関係の構築や相談しやすい雰囲気づくりに努めることで,支援が必要な児童生徒を早期に発見することが大切であると考えております。 さらに,こうした児童生徒はもとより,気になる児童生徒に対しても,スクールソーシャルワーカーの協力を得ながら,支援ニーズを見極め,学習支援など,学校ができ得る支援を行うとともに,市町村が設置する要保護児童対策地域協議会等の関係機関へつなぐことで,早期対応に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  御答弁ありがとうございます。 市町村に働きかけていくということですが,このヤングケアラーに対しては,まずヤングケアラーという社会的な課題に対して理解し,そして実態を把握していくことが必要だと思います。 そこの実態に気がついて,周りの人が配慮をして声をかけてあげるだけでも楽になったという例が新聞でもありました。また,この福祉サービスの情報が届いていなかったから大変だというときには,情報を届けることで助けることもできると思います。ただ現在の福祉サービスでは,救えないといいますか,よりプラスアルファの支援が必要なこともあるのではないかと思っておりますので,これから市町村において実態調査も含め,進めていくというところですけれども,やはり県として,その課題を整理したり,また国に提言していくことも必要だと思いますが,今後の動きについて教えてください。 ○議長(波多洋治君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えいたします。 今後のヤングケアラーに関する動きについての御質問かと思います。 ヤングケアラーについて,まずアセスメントが非常に難しいということが国の調査でも分かっております。本来,守られるべき子供の権利が守られているのかとか,そういったことが,本人も含めて,周りの方々の理解もなかなか難しいということですので,若年介護者であるかどうかの前に,そういった子供の権利や実態を,まずは正しく把握することが非常に難しいということが問題提起されております。県からは,市町村以外に児童相談所にも情報提供させていただいてございます。そういった子供の何かの少しの気づき,ちょっとした気づきに,学校もそうですけれども,市町村の職員も正しく気づいて,それを次につなげていくということがまずは大事だと思いますので,まずこういった国の調査結果等を広く市町村にも周知をさせていただいて,市町村の職員による気づきを広めていくということが大事だと思っております。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  ありがとうございます。 気づきを広げていくということで,大人たちにはそういうことが必要だと思います。一方自分が置かれている状況について,啓発とか,今回の新聞記事などがきっかけになって,全国の子供たちから,「実は私もそうだったんだ」という声が届きました。そういう子供たちに対して,潜在的に抱えている問題に自分が気づいて,そのつらさを伝えるということをするためには,埼玉県が行っているような学校での実態調査というのも一つよい方法ではないかと思いますが,それについてはいかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えいたします。 学校での実態調査等についての御提案と思いますが,答弁でも少しお話をさせていただきましたように,この調査結果等を市町村に周知する際に,市町村の学校と,教育委員会との連携というのが非常に大事だと,議員の御指摘のとおりと思います。ふだん,子供が接しているのは,市町村よりも学校だと思いますので,保健福祉部としても,学校,教育委員会等と連携をして,そういった気づきだとか,必要なサービスにつなげていくという,そういった努力をしてまいりたいと思います。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  御答弁ありがとうございました。 相談しやすい雰囲気をつくっていったり,声を拾っていくことに努めていただけるということで,先ほど,保健福祉部長から,教育委員会との連携の必要性というところもお話しいただきましたが,先ほどもお話ししたように,声を待っているのではなくて,子供たちに大人から歩み寄って,権利がちゃんと保たれているかについて,本当に配慮した場をつくるであったり,声を聞くための努力が求められるところだと思っています。具体的に,今例えば高校の現場で,そういう子供たちの声が届けられるような場というものはあるのでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 実際,子供たちがそういう声を届けるような場があるのかという御質問でございました。先ほど御指摘をいただきまして,まずは教員自身が,こういった実態にある子供たちがいるということを知ることが一番だと思います。それとあと,子供との関係性をしっかりつくっていくということが大事だろうと思います。一番子供にとって身近な大人は担任だろうと思っておりまして,そこから教員側の気づきがあって,実際,SSW等につないでいって,動いていって改善が見られているというような事例は把握をしております。そういう形で,まず一番そばにいる教員の側が,何かおかしいなということに気がつく,それから子供に声をかけて,子供の側からも家庭の様子を聞き取る中で,把握をしていく,それが一番身近な場になっていくのではないかと思っておりますので,まずしっかり教員にこういった事態があるということを,研修等の場で周知を図って,そして動きにつなげていきたいと考えています。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。答弁者は控席へ御移動願います。 18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  最後に,農業分野における温暖化防止対策についてお伺いします。 新岡山県環境基本計画には,野菜,花卉栽培など,農業分野での新エネルギーの利用拡大が,地球温暖化対策としての重点プログラムに位置づけられてきました。県内の農林水産業においても温暖化の影響は顕著になっており,これまで以上に農林水産業における主体的・積極的な取組が求められるところだと受け止めますが,農林水産業における温暖化防止対策実施の必要性についてどのように考えておられますか。知事にお伺いします。 また,現計画の重点プログラムの内容としては,太陽光発電による自動かん水システムの導入施設数とされており,数値目標の115か所に対して,現況は89か所となっています。この89か所に設置された太陽光パネルの発電容量と,それによる温室効果ガスの削減量は幾らでしょうか。農林水産部長にお伺いします。 先週の笹井議員の質問にもありましたソーラーシェアリングとは(パネルを示す),営農型太陽光発電とも言われ,資料の写真にもありますが,御覧のとおり,農地の上に太陽光パネルを隙間を空けて設置し,その下で水稲や麦,野菜,果樹など,様々な作物を作り営農しつつ,同時に発電も行える形態です。全国の設置状況は,平成25年度には96件でしたが,平成30年度には,過去最高の481件の許可が行われ,全国で延べ1,992件が許可されています。 ちなみに,本県では,平成30年度に7件増えて9件となり,ワースト3位からワースト12位に上昇しています。また,30年度までに全国で許可を受けたもののうちの15%は,荒廃農地を活用していることが分かっており,県内でも,休耕地の再生利用の事例が見受けられますが,耕作放棄地の対策にも寄与していると言えます。 次期環境基本計画には,これまでの自動かん水システムの導入に代わり,ソーラーシェアリングの導入や普及啓発を重点プログラムとして設けるのが適切と考えますが,次期計画の農業分野における温暖化対策にはどのような重点プログラムを設けるのか,知事のお考えをお伺いします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  民主・県民クラブの大塚議員の質問にお答えいたします。 岡山県環境基本計画についての御質問であります。 まず,農林水産業における対策実施の必要性についてでありますが,農林水産分野においても温室効果ガスが発生することから,その削減対策が必要と考えており,現在,ハウスの省エネ対策や家畜排せつ物処理に伴う温室効果ガス発生低減に向けた研究に取り組んでいるところであります。 次に,農業分野における重点プログラムについてでありますが,次期環境基本計画については,現在,検討を進めているところであります。そのうち,地球温暖化対策に係るソーラーシェアリングについては,農作物の安定的な収量や品質を継続的に確保する必要があることから,重点プログラムに位置づけることについては慎重な検討が必要と考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 太陽光発電による自動かん水システムについてでありますが,稼働する6か月間の発電容量は約1,300キロワットアワー,これによる温室効果ガスの削減量は約780キログラムと推計されます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  御答弁をどうもありがとうございます。 この営農型発電ソーラーシェアリングは,環境省だけではなく,農林水産省も進めている事業であります。先ほど,重点プログラムに位置づけるには,収量を安定的にしなければいけないので慎重に考えておられるということでしたが,その点について,もう一度,なぜ慎重に考えておられるのか教えていただけますか。といいますのが,全国で平成30年度までに,1,914件のうち,営農に起因して収穫量が減ったのは111件で,僅か6%でした。この6%の111件についても,改善の指導の後で改善が行われ,撤去しなさいと言われた事例は今までないわけなのですが,なぜそこまで慎重になられているのか,理由を教えてください。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  再質問でありますが,これは部長から答弁させます。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 先ほど知事の答弁で,収量や品質を継続的に確保する必要があるとあったが,なぜそこにこだわるのかという御質問であったかと思います。 改めて申し上げるまでもないことでございますが,農業という産業は,植物を育てる産業でございます。そして,その植物は,その成長の過程において,光合成によって二酸化炭素を吸収するという地球温暖化対策に対して大変大きな貢献をしている,そういう産業であろうと,私ども理解をしております。であるならば,私どもとして,農家の方々には,まずは育てる農作物を確かな品質で安定的に確保していく,そのための様々な技術指導やアドバイスをしていくべきであろうと考えます。そうなりますと,その農地,圃場に,太陽光発電施設を設置するということは,農業そのものには直接はつながらないものでございます。もちろん個々の農家の方の経営判断によりまして,「自分のところの圃場に太陽光発電施設を設けたいがどうか」というような御相談には,私ども,今でも対応させていただいて,実際に導入事例もございます。ただあくまでも,第一義的には,農作物の高品質,安定的な収量の確保というのが私どもの務めでございますので,ソーラーシェアリングの導入についても,どうしても収量や品質の確保にこだわらざるを得ないというのが私どもの考えでございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  作物の収量や質を保ちたいというお考えはとてもよく分かります。岡山県は農業に本当に力を入れてこられた歴史があり,その思いは分かります。ただ,今実証実験も済んで,農林水産省も進めていこうとしていて,収量は下がっておらず,品質が落ちたということも報告事例がとても少ないわけです。もちろんソーラーパネルを作ったから,おいしいナスがよりおいしくなったというものはないかもしれません。ただ設置例によっては,年間200万円の売電収入が,農産物の収入にプラスされたという,収入面のプラスということも考えられますので,もう少し積極的に考えていただきたいと思っているんですけれどもいかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 もう少し柔軟に積極的に考えてもいいのではないかという御質問でございました。 議員御指摘のとおり,全国の導入事例では,それを導入したことによって農家の収入の増につながった例があることは事実としてございます。ただ,それは,先ほども申し上げましたが,あくまで個々の農家の経営判断の中で,農作物収入に加えて太陽光発電による収入も得たほうが経営の安定化につながるというような御判断があって,それを進める分には,私どももアドバイスをさせていただくわけでございますけれども,繰り返しになりますが,太陽光発電自体が農作物の成長のために,必ずしも必要なものではないわけでございますし,当然,導入には必要な経費がかかることでございますので,それを農林水産部として積極的に皆さん導入してくださいと,推奨するという立場にはないのではないかというのが,私どもの見解でございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕
    ◆18番(大塚愛君)  改めましてお聞きしますが,知事は2050年度までにCO2実質ゼロを目指すと宣言されました。ゼロにするためには,言うまでもなく,省エネと再エネを増やすことが必要だと思います。そういった中で,環境基本計画のプログラムに位置づける農業分野における取組として,私はソーラーシェアリングというのを県として,円滑により普及していくことを目指して,目標に掲げることは必要なのではないかと思うんですが,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  再質問にお答えいたします。 せっかくこのカーボンゼロ宣言をしたのだから,いろいろ取り組むべきではないか。また,それぞれの農家の判断を尊重してはどうか。議論の中のその2点については,私も賛同するところでございます。具体的な施策として,ソーラーシェアリングということになりますと,今のソーラーパネルの発電効率,まだまだ低いわけでありまして,これがぐんと上がってくれば,また状況も変わってくるかもしれませんけれども,先ほど,部長が答弁いたしましたように,農業にとって一番基本的なものは,日光による光合成,その日光で発電をするわけであります。それが例えば何らかの形で,全く設備も要らずに分けられるということであれば,それはそれでまた考えられるかもしれませんけれども,発電をするために設備を造らなければいけない。その維持費もかかる。日は陰ると。その下でやる農業,これが広く成功するかどうかというと難しいところでありまして,ただこれがもし非常にうまくいくということであれば,我々としても当然,常に方向転換については柔軟でありますけれども,現時点では我々が先頭を切っていくほど,非常にいい取組には,見えていないということでございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  18番。   〔 18番 大塚 愛君 登壇 〕 ◆18番(大塚愛君)  先ほどの例では(パネルを示す),遮光率が37%,68%,33%と,作物によっては3割日を陰らせても,普通に100%照っているのと同じように育っているということが,もう他県に行けば幾らでも事例があるわけですので,このまま岡山県の事例を増やして,何年か待って,これなら行けると判断されるのか。でも,他県にはしっかり事例もありますので,積極的に研究をしていただきたいと思いますが,もう一度お願いいたします。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  他県でいろいろ事例ができているというのは,我々からしても,参考にすべき事例ができているということでありますので,そういった事例についてはきちんと研究をしていきたいと思います。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  以上で大塚君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席へお戻りください。 次の質問者に移ります。 3番佐古一太君。   〔 3番 佐古一太君 登壇 〕 ◆3番(佐古一太君)  無所属佐古一太でございます。 通告に従い,質問させていただきます。 まずは,教育行政に関してであります。 本年,新型コロナウイルスの対応に,鍵本教育長はじめ,委員会の皆様や現場の学校の先生方には大変な御尽力をいただいておりますことに,深く敬意と感謝を申し上げる次第です。 教育大を卒業した多くの私の友人たちも,子供たちの教育の機会を損ねてはいけないと,試行錯誤をしながら,日々,変わりゆく情勢に対応していることを聞くに,教育への熱い思いを感じ,うれしく思います。 さて,今般の新型コロナウイルスは,教育現場に大きなインパクトを与え,教育そのものが行えなくなり,家庭生活や子供たちの精神状態にも悪影響が及んでいると考えます。実際に,学校に通えない子供たちが出ております。しかし,新型コロナウイルスの終息後か,新型コロナウイルスとともにかにはかかわらず,子供たちの学時期は進んでおり,このたびの新型コロナウイルスの状況から学び,生かしていくことが大切であると考えます。 知事は,就任当初から,教育県岡山の復活を県政推進の柱として取り組んでこられました。非行率が低下するなど,成果も出てきていると感じますが,3期目を目指すに当たり,新型コロナウイルス感染症など,昨今の教育を取り巻く環境の変化を踏まえて,今後,教育行政にどのように取り組んでいくつもりであるか,御所見をお伺いいたします。 次に,新学習指導要領についてであります。 高等学校では,新学習指導要領が2022年度からスタートし,2022年度に入学した子供が2025年度に大学入学を目指すときには,新学習指導要領に対応した試験となります。新学習指導要領は,どんな時代になっても,自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,判断して行動することができる「生きる力」を子供に身につけてほしいという願いが込められております。 具体的には,資質・能力の要素として,アクティブラーニングのような主体的・対話的で深い学びを通じて,1,知識・技能,2,思考力・判断力・表現力,3,学びに向かう力,人間性を養っていくことが求められております。今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,様々な障害が生まれているとは思いますが,2022年度から始動するには,本年度と来年度を通じて学校の方向性を定め,先生の学習の場を定めていく必要があると考えます。 GIGAスクール構想が進展している現状も鑑み,県立高校において,今後どのように新学習指導要領に対応していかれるか,教育長にお伺いいたします。 これまでの定例会における答弁においても,教育長は,校長のリーダーシップということを述べられてきました。まさに全国に目を向けると,画期的な学校改革は学校長の力強いリーダーシップによるものが成功例として取り上げられているのを散見いたします。しかし,校長の在任期間は約3年です。初年度,慣れない学校に着任して,校風もその学校の抱える問題も把握していないうちに,直ちに改革を行うことは難しいのではないかと考えます。そうなると,2年目から改革を行っていくことになり,残された任期のたった2年間の取組となってしまいます。すばらしい改革案を提示しても,それが軌道に乗るか乗らないかで転勤してしまう可能性もあり,次の校長がまた違う取組を始めた場合,校長が替わるたびに中途半端な取組が増えてしまう可能性があります。 逆に,後任の校長や学校に大きな負担を残していくことを避け,大きな改革に踏み込めないこともあるのではないでしょうか。今後,校長になる方が思い切ってリーダーシップを発揮できるように,在任期間を延長することや,逆に校長が取り組もうとすることが校風に合わなかったり,他校での実施の要望が強い場合には,在任期間の短縮を考えていく必要があると考えますが,いかがでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。 次に,教育格差に関してであります。 日本においては,学習指導要領を基に,内容や目的が統一され,学習指導要領に沿った教科書検定が行われることで,全国どの学校においても標準化された内容が担保されております。また,教員採用試験によって学校の先生の質も担保され,教育に関わる予算は国によって保障されることで,日本全国どこにいても同水準の教育が受けられる平等な教育環境にあることは世界に誇るシステムであると思います。 少し話は変わって,ハンス・ロスリング氏が書かれた「ファクトフルネス」という本が,世界で100万部を超えるベストセラーとなっております。著書は13の質問から入ります。質問の例を2つ挙げますと,1つ目は,現在,低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を修了するでしょうか。A20%,B40%,C60%。次の質問は,15歳未満の子供は,現在世界に約20億人います。国連の予想によると,2100年に子供の数は約何人になるでしょうか。A40億人,B30億人,C20億人。最終質問を除く12個の質問に対する正答率は,著名な科学者や研究者をもってしても約17%であったそうです。著者は,人が持つ世界のイメージは数十年前のままであり,客観的なデータを基にアップデートしていく必要があり,思い込みで世界を見てはいけないと提唱をしております。 そこで,データという観点から,日本の教育に目を戻しますと,松岡亮二氏が書かれた「教育格差」には,階層と社会意識全国調査SSP,OECD世界の学習達成度調査PISAなど,多くのデータを用いて,日本の現状を「緩やかな身分社会」と説明をしています。PISA2015では,日本はOECDの中で科学的リテラシー1位,数学的リテラシー1位,読解力6位と好成績を収めており,誇らしいことであります。また,PISAの報告書では,SES(Socio-economic Status)社会経済的地位が,国内下位25%であっても,認知能力が国内上位25%である生徒をレジリエント生徒(Nationally resilient students)と定義していますが,日本では,このレジリエント生徒の割合が11.6%であり,OECDの平均11.3%を僅かに上回っています。しかし,平均より上であることに喜ぶこともできますが,日本の1学年が約120万人と計算すると,SESが下位25%で学力が上位25%に入らなかったレジリエントではない生徒が約26万5,000人もいる計算となり,家庭の経済状況がこれだけ多くの生徒の学力に影響を与えている現実があります。このほかにも,松岡亮二氏の本書には,都市と地方,親の学歴,学校間,通塾している割合,文化活動の参加率,家庭の平均蔵書数など,様々な角度から日本の教育格差を客観的データから明らかにしていると言えます。 昨年,江本県議が一般質問において,中学校における授業時間数の不足を指摘され,「家庭の経済格差が学力の差を生むことのないよう,塾に通わせてもらえる子供もそうでない子供も,全ての子供たちが,学校で一定水準の学力を身につけることができる環境整備が何よりも重要」と述べられておりますが,伊原木知事の掲げる教育県岡山の復活に向けて,この格差を縮めていく環境の整備こそが鍵になると考えます。しかし,岡山県をワンチームとして考えるのであれば,できる子供をもっとできるようにすることも大事ではありますが,層を厚く,1校でも多くの学校を引き上げ,全国学力・学習状況調査の全国順位を上げていく,また新しい指標となる問題の正答率を上げて,全体の底上げを図ることが行政としての役割ではないでしょうか。 家庭の経済格差やその他,民間では救うことのできないところを補っていくことが行政の役割であれば,格差を埋め,子供たちの学力を底上げしていくことが重要です。 そこで,限られた資源の中で,選択と集中によるプロジェクトを組み,特に底上げの要望の強い学校や地域に対して,専門部隊によるピンポイントな学習支援策などを行っていく必要があると考えますが,教育長の御所見をお伺いいたします。 次に,読解力に関してであります。 昨年,文教委員会の県外調査において,調査した板橋区教育委員会の取組では,「いたばし学び支援プラン2021」の一部として,読み解く力の育成に力を入れております。この読み解く力育成では,スマート社会到来に備えた子供たちの生き抜く力の育成が重要とし,文章や図表等から必要な情報を取り出し,比較・関連づけて読み取り,その意図や背景,理由を理解,解釈,推論して,解決したり,表現したりする力を身につけていくというものであります。 板橋区では,この取組の前にも,MIM(多層指導モデル)を活用し,アセスメントを行うことで,子供の読みのつまずきをなくしていくという取組を行っております。まだ,研究途中ではありますが,子供たちの国語だけではなく,算数や社会において,教科書を音読する力や,黒板をノートに書き写す力など,現場で感じる子供たちの力はついてきているそうです。 読解力と聞くと,国語科が教えるものと感じるかと思いますが,理科の実験行程や社会の解説,算数の定義等,横断的に必要とされる力であります。 国立情報学研究所教授の新井紀子氏の著書「AIvs教科書が読めない子どもたち」の中でまとめられた2万5,000人の中高生を対象にした読解力調査によると,「中学校卒業する段階で,約3割が内容の理解を伴わない表層的な読解もできていない」,「読解能力値と進学できる高校の偏差値との相関性は極めて高い」等,まとめられております。また,現場の教員の声として,黒板が書き写せない生徒が増えている,筆記試験が難しくて,普通免許や調理師免許が取れない卒業生が少なくないと著書の中に書かれております。実際,私自身も現場の先生に聞き取りをしても,社会科のテストの中で何を問われているかが理解できなかったり,国語科の問いにおいて,主語が誰なのかを理解できないなど,実際に読解力の低さを強く感じることが現場でも散見されるそうです。 また,岡山県倉敷市出身で文部科学省科学技術・学術政策局政策課長の合田哲雄氏の「学習指導要領の読み方,活かし方」では,子供たちの力を引き出すために,対応する学校や子供たちをめぐる状況の変化として,「例えば情報環境や家庭環境が変化し,大人ですら,本来ツールである情報端末に振り回されている中,子供たちの語彙や読解力にばらつきが生じたり,小学生の暴力行為が急増したりしていることです。(中略)また,新聞を定期購読していない世帯も増加し,情報のやり取りがSNS中心になると,文章や情報を構造的に丁寧に読む経験が乏しくなっていることも事実です。子供たちは語彙を知っているという前提で授業をするのではなく,語彙の習得やその活用を重視することが求められています。」と記載されているように,学習指導要領の改訂の基本的な考え方にもなっており,重要な点であると言えます。 読解力という観点からは,過去にも一般質問で取り上げられておりますが,多くは読書力との関連でありました。その中で,平成25年に,小林孝一郎議員が11月定例会で,教育文化について御質問された際,2012年に行われたPISAについて触れられております。そもそもPISAとは,義務教育終了段階の15歳児を対象に,読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシーの3分野について3年ごとに実施されており,過去にも2003年に行われたPISAの結果が2000年より急落したことで,PISAショックとも言われております。 小林孝一郎議員は,2012年に行われたPISAに触れられ,日本の読解力が,前回調査の8位から4位まで上昇したことを上げられております。また,その背景として,フィンランドの読書の仕方や読解教育を参考に,文部科学省が平成17年にスタートさせた読解力向上プログラムについて評価されております。 一方で,日本の子供たちの読書時間が増えても,読解力は頭打ちをしているという御指摘をされている点に注目をすると,第63回学校読書調査において,2000年の中学生の不読率が43%あったのに対し,2017年には15%まで不読率が下がっているにもかかわらず,PISAにおいて,読解力が,2015年にはOECD35か国中6位,2018年には11位と順位を落としております。PISAはそもそも国際的学力を比較するものではなく,子供たちが今後の社会において生き抜いていく力,「キー・コンピテンシー」をはかるものであって,順位によって一喜一憂するものではありませんが,それでも多角的な視点から分析をし,実際の教育に生かしていくことは,子供たちの教育環境を充実させていくことに寄与すると考え,そもそも子供たちは教科書が読めているのかという疑問に関わる読解力が,その一つの視点と考えております。もし,子供たちが教科書を読めていないとすると,「頑張れ」や「ちゃんと読んで」と後押しをしてあげても,その子供たちのやる気や怠慢によるものでなければ,効果のないものとなるばかりでなく,学びの導入部分からつまずいていると言えます。 家庭の経済状況にかかわらず,子供たちが基礎的な読解力と教科横断的に活用できる読解力を身につけ,自ら読む力,学ぶ力といってもいいと思いますが,そういった力をつけた上で,義務教育を終え,進学や就職など,その後の生活においても読解力を生かして学び続けられる土台をつくっていくことが大切なのではないでしょうか。 そこで,知事にお伺いします。 教育県岡山と言われたのは,全国で比べても多くの寺子屋の数や全国1位であった私塾の数,また明治18年の小学校就学率の高さや明治41年高等女学校の数が全国1位であったことに加え,山田方谷や緒方洪庵など,有数の教育者をはじめ,国内外で活躍する人を多く輩出してきたからであります。多くの子供たちが,男女かかわらず学んできた総合力がまさに教育県岡山であります。 PISAの評価基準にも見られるように,求められる能力が昔とは異なる上に,デジタル化に伴い,子供たちが置かれている環境が変化したことで,読解力という基礎学力が低下しているとすれば,GIGAスクール構想によるICTを活用した学習が,一部の児童生徒に対する効果しか得られなくなる可能性があります。全ての子供たちが確実な学びを進めていくためには,国語だけではなく,算数,数学や社会,理科など,様々な科目において,語彙力を高めるとともに,文の構成を正しく把握し,情報を正確に取り出す力を読解力の一丁目一番地として定義づけ,子供たちの読解力を基礎とする教育政策を進めていく必要があると思いますが,御所見をお伺いいたします。 また,岡山県の小中高の子供たちが,現在どれくらい読解力を持っているか,語彙不足や文章からの情報取り出しがうまくできていない子供がどのくらいいるのかを把握し,個々の能力に合った指導につなげていくべきと考えますが,いかがでしょうか。教育長にお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  佐古議員の質問にお答えいたします。 まず,教育行政についての御質問でありますが,就任以来,教育県岡山の復活を目指して取り組んだ結果,学力向上や落ち着いた学習環境の確保等に一定の成果が表れてきております。今後は,Society5.0の到来やグローバル化の進展などに加えて,ポストコロナの状況も見据え,引き続き,学ぶ力の育成や徳育・体育の推進に取り組むとともに,ICTを活用した教育の促進や海外との積極的な交流などに取り組むことで,グローバルな視点を持って,県内外の様々な分野で主体的に活躍できる人材や,他者と協働しながら,新たな価値を生み出し,本県の持続的発展に貢献できる人材の育成を図ってまいりたいと考えております。 次に,読解力についての御質問であります。 教育政策についてでありますが,文章や資料の意味を構造的に理解しながら,正確に読み取る力である読解力を養うことは,全ての学習を進める上での基盤であり,大変重要であると考えております。県教委では,新学習指導要領に基づき,こうした読解力をはじめ,思考力や表現力等を養う授業改善に取り組んでいると聞いており,私としては,今後も県教委のこうした取組をしっかりと支援してまいりたいと存じます。 用意された答弁は以上でございますけれども,私,昨日,ハンス・ロスリング氏の「ファクトフルネス」をざっと読み返してみました。また,新井紀子氏の「AIvs教科書が読めない子どもたち」これも読み返してみました。「ファクトフルネス」の13問の質問,最初に読んだときには半分ぐらい間違えた記憶がありまして,「AIvs教科書が読めない子どもたち」の質問は二十数問ありますけれど,あれは1問も間違えなかったというのは覚えてます。が,逆にあの程度の質問で間違える子供たちが2割も3割もいるということは,これは新井先生が危惧されているように,中学,高校の内容はもっともっと難しいわけですから,まさかこんな問題で間違えるなんてあり得ないだろうと思っていたところで,実際にやってみると,思わぬ結果が出てきて,自分たちが思っていたより下のところで問題があるのが分かったのであれば,そこは取り組まなければいけないし,そこを取り組むことで,これまで幾らやっても成果が出なかったものが,意外とここまで戻れば大丈夫だという可能性も見えてまいりました。 お恥ずかしいのは,私自身,2年か3年前かにこの新井紀子先生の本を読んだわけです。読みましたけれども,そこですぐにいやこれは大変だと,教育長はじめ,指示を出さなかったことについては,今回の質問をきっかけに,ちょっと不明を恥じるようなところがございます。ぜひ今回の質問を契機に,岡山県の先生方に,新井先生の言われる試験をみんな受けてくれとまでは言いませんけれども,自分の児童生徒が本当に教科書が読めているのかどうかということを,もう一度,問い直してもらいたいと考えたところでございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 まず,新学習指導要領についてでありますが,県教委では,全ての県立高校の教員を対象に,平成30年度から説明会や研修会を開催し,新学習指導要領の趣旨や内容への理解を深めるとともに,各学校においては,地域の関係者の意見も聞きながら,育てたい生徒像を明確にし,それを実現するための教育課程の編成に努めているところであります。 また,各学校では,新学習指導要領の趣旨を踏まえ,主体的,対話的で深い学びが実現できるよう,校内研修や授業公開に積極的に取り組んでおります。 今後,ICTの積極的な活用も含め,新学習指導要領に対応できるよう,さらなる授業改善に向けて着実に準備を進めてまいりたいと存じます。 次に,校長の在任期間についてでありますが,学校改革を進めるためには,校長の強いリーダーシップの下,学校や地域の教育課題をしっかりと把握し,明確な経営理念を持って学校経営を進めていくことが重要であると考えており,校長には,着任当初から,早急に学校の実態を掌握し,1年目から改革に着手するよう指導するとともに,実情に応じて在任の期間を延長し,校長が腰を据えて学校経営に当たることができるようにしているところであります。 在任期間を短縮せざるを得ない場合もありますが,今後も,全県的な視野に立ちながら,各校における取組状況を踏まえて,適材適所の校長の配置に努め,学校経営の充実を図ってまいりたいと存じます。 次に,教育格差についてでありますが,教育環境の違いにかかわらず,どの学校においても,全ての児童生徒に一定水準の学力を身につけさせることが重要であると考えております。そのため,各校長に,学力向上に向けての計画を作成するよう指導し,学校経営アドバイザー等が全ての学校を訪問して,学力向上に向けた取組を支援するとともに,全県に授業改革推進リーダー・推進員を配置し,各学校での授業改善を進めることで,教員の指導力向上に取り組んでおります。 また,それぞれの学校において,放課後等に補充学習を実施するための支援員を配置するなど,児童生徒一人一人のつまずき解消に向けた取組も併せて進めることで,全体の学力の底上げを図っているところであり,今後もこのような取組を一層推進してまいりたいと存じます。 最後に,読解力についてのうち,個々の能力に合った指導についてでありますが,学力・学習状況調査における,文章の展開に即して情報を整理し,内容を捉える設問や,2つの棒グラフから資料の特徴や傾向を読み取り,それを関連づけて判断の理由を記述する設問などの結果から,読解力等に課題がある児童生徒がある程度いると考えております。各学校においても,返却されたデータを基に,児童生徒がどの設問でどのように間違えたかを把握・分析し,学校全体で課題を共有し,より分かりやすい授業改善に取り組むとともに,個々の児童生徒の課題に対応した復習システムや補充学習のための支援員を活用することにより,つまずきの解消に努めているところであります。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  3番。   〔 3番 佐古一太君 登壇 〕 ◆3番(佐古一太君)  御答弁ありがとうございました。 まず,再質問として,教育格差についてであります。 教育格差に関しては,戦後,どのように教育格差が縮まってきたかというデータを見ますと,縮まっていないという結論が,示されたものがございます。もちろん全体としてはレベルが上がっているとは思いますけれども,しかしながら,その差というものは縮まっていないというのが現状であるように思います。 そこで,全国共通した課題でありますけれども,岡山県の教育格差を埋めていく上での課題という点について,教育長の御所見をお伺いいたします。 また,読解力についてであります。 知事からは,過分な御答弁をいただきまして,誠にありがとうございます。私と少し重なるところは,海外留学経験があるということであろうと思います。留学をしますと,ネイティブスピーカーとの会話の中で,単語単語はピックアップできている。一方で文全体ではどうかと言われると,何となく理解しているつもりではあるけれども,1つの単語を逃すことによって,全く逆の意味で捉えてしまうということがあるのではないかと思います。そういった意味で,英語であれば,習熟度というのが自分で自己評価ができるけれども,日本語であれば,それが当たり前のように読めている,当たり前のように理解できているというのが前提で暮らしているということがありますので,何が読めていないのか,何が理解できていないかが分からないということが非常に問題であろうと思います。日本のテストなどでは,恐らくは読めていないことが起こると,その後は暗記で学力を上げていかないといけない。そうなってくると,恐らく知事の目指す教育県復活という意味での学力の向上ではないのではないかなと思いますけれども,その辺の御所見をお聞かせいただければと思います。 最後に,読解力に関して教育長にお伺いいたします。 私も,PISAの問題や,先ほど知事からもございました新井先生のRSTのテストを自分で受けてみました。リーディングスキルテストに関しては,ちょっと間違えてしまいましたけれども,最近の読解力に関して,先ほど教育長からも授業改善という答弁がございましたけれども,ある意味では,非常にすばらしい授業改善により,一人も残さない子供たちをつくるために,括弧問題が多くなっている。また,黒板を板書するということをせずに,プリントで渡したり,また今,ICTを利用して,後で写真を撮ったり送ったりすることができるということによって,子供たちが書くということが少なくなっている。社会においても,インターネットの普及等で,書くということがなかったり,断片的に言葉を捉えてしまうということが多くなっている中で,この書くということを再度認識して,教育を進めていく必要があると思いますが,御所見をお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  読解力ということについて,再質問にお答えいたします。 議員から海外留学の話がされました。留学をすると,母国語と外国語のことをいやが応でも考えなければいけないわけであります。私はグローバル対応ということで,今,事実上,英語というのは世界の標準語で,これができないとまずいということで施策を進めているところですけれども,同時に,自分が頭の中で一番深く考えなければいけないときに使う母国語,これが自分自身の能力を規定をしているということでありまして,自分の母国語でしっかり考えられない人は,どんな外国語を習っても,それ以上に深く考えることは当然できないわけであります。その母国語ですが,我々日本語は,日本で育っていれば,どうやったってしゃべれるようになるということをあまり疑っていなかったわけですけれども,実は我々自身,簡単な取扱説明書だったり,簡単な指示であったりということも,実はきちんと分かっていない,取り違えている,間違った理解をしたままでいるということが意外とあるということが分かってきている。ぜひ教育課程にいるうちに,高い水準で,書かれている簡明な日本語は分かるようにしてから社会に出てもらう,これ非常に大事なことだと思っています。これからもしっかり取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 教育格差についての御質問でございましたが,今,全国学力・学習状況調査の結果を見ますと,平均点ということでは,各県の差はまさに縮まってきて,だんご状態になっております。ただここで注意しなければいけないことは,それぞれの子供たちがどうか。まさに議員御指摘のところはそういう意味だと思いますが,ここにしっかり注目していかなければいけないと思っております。学力の面では,秋田,福井というところがよく指摘を受けるわけですけれども,ここの子供たちは,分布を見ますと,高い子供たちが多いわけではないんです。分布を見ると,平均点よりも低い子供たちが極端に少ない。ずっと各県の状況をこれまで県教委挙げて研究してまいりましたけれども,これが秋田や福井の学力を上げている実態だと見えております。 岡山県の教育格差をどう縮めていくのかということでございましたけれども,議員からも御質問がありましたように,低い子供たち,つまりつまずいている子供たちを,どうやってそのつまずきから救っていくのかということが,一番の大きな課題でありますし,やるべきことだと県教委としては思っております。先ほども申し上げましたけれども,つまずいている部分を,個別の支援でありますとか,あるいは分かりやすい授業を進めていくことによって,分からないという子供たちを一人でも救っていくということをしっかりやっていかなければいけないと考えているところでございます。 2つ目の御質問でございますが,読解力の中で,書かせることが少なくなっているのではないかというお話でした。議員御指摘のとおり,まさに私も学校訪問へ行きまして一番気になっておりますのは,そこの部分でございまして,学校訪問の中でも指摘をして帰るわけでありますけれども,穴埋めのプリントでありますとか,プリントを使った学習というのが多いようなところは,確かに散見されます。やはりここのところを直していかなければいけないということで,先ほど申しました授業改革推進員等を各学校にも入れまして,授業改善ということを県を挙げてやっておるわけでございます。その中で,どういう時間を設定していかなければいけないかというと,まずしっかり書かせる。そして,自分の考えをしゃべらせる。そして,議論をさせる。こういう時間を取っていくことが,新しい学習指導要領のお話がございましたけれども,その方向性であります。つまりただ聞くだけの授業から,議論する授業,そして書いていく授業ということに変えていかなければいけないと今取り組んでいるところでございます。 一つの形としましては,岡山県の場合,従来よりは,高校入試におきましても,いわゆる文章でしっかり書かせる問題を増やしております。これは各学校に対しても説明をしておりますけれども,やはり書けないということでは,思考,あるいは表現力がついていないということでありますので,こういったところのウエートも増やし,子供たちの定着状況も確認しながら進めておるところでございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  以上で佐古君の質問は終了いたしました。 この際,午後1時30分まで休憩いたします。        午後0時24分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時30分再開 ○副議長(遠藤康洋君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 27番小林義明君。 答弁者は控席へ移動願います。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  自由民主党の小林義明でございます。 新型コロナウイルス感染症の再拡大も少し落ち着いてきたようでありますが,気を緩めることなく,私たちは,「うつらない,うつさない」を合い言葉に,より慎重に新しい生活様式を心がけたいと思っています。 さて,先般の我が党の代表質問で,知事は,3選を目指し,出馬表明されました。コロナで傷んだ地域経済の再生への取組を大いに期待しております。 それでは,質問に移ります。 本日は,持続可能な中山間地域づくりをテーマに,水道事業の広域化,観光振興や農泊,高等学校の魅力化などについて,提案を交えて質問してまいります。 初めに,本県の水道事業の現状と今後の方向について質問します。 国は,平成30年,水道の基盤強化と広域連携推進を図るため,水道法の一部を改正しました。多くの自治体の水道事業は,人口減少に伴う水道利用量の減少や料金収入の減少,施設の老朽化の課題を抱えています。私の住む新見市においても,本年4月1日,上水道と簡易水道を事業統合し,1つの上水道として運営を始めています。 本県で,平成28年度岡山県水道事業広域連携推進検討会が設置され,県及び全市町村,水道企業団によって,水道事業の広域連携の在り方が検討されてきました。平成31年2月に公表された検討結果の報告書によりますと,広域化のイメージとして,1,施設の共同化,2,管理の一体化,3,経営の一体化,4,事業統合が示されておりました。さらに,県内の地理的要件や水系などを踏まえて,検討会は県内を南東部,南西部,北部の3ブロックに分け,地域部会を設けて具体的に検討したとあります。 そこで,検討会の検討結果から現在に至るまで,本県の水道事業における広域連携の成果の内容を具体的に聞かせてください。 そして,隣の広島県や香川県をはじめ,各地で県内1水道に向けた取組を聞きますが,岡山県は県内1水道を含め,さきに述べた報告書の広域化のイメージのどれを目指そうとしているのか,具体的に答弁ください。併せて保健福祉部長にお伺いします。 本年度の予算には,水道広域連携推進事業として1,545万円が計上されています。説明では,「市町村等の水道事業者ごとの経営環境と経営状況について現状を整理し,将来見通しを推計する」とありますが,現在の事業の進捗状況を聞かせてください。 さらに,来年度は,広域連携パターンの設定も想定しているようですが,何パターンを想定していますか。併せて保健福祉部長にお伺いします。 特に,中山間地域にとって,水道の現状は地域に深刻な影を落としています。県内どこに住んでいても,安全な水の安定供給は生きる基本であります。水道事業の経営は厳しい現状ではありますが,水道施設維持のため,経営改善への取組や,旧簡易水道事業部への国の財政支援の要望も自治体から聞かれます。それらも踏まえ,知事にお尋ねします。 県として,県全体,さらには人口減少の著しい中山間地域の水道事業の基盤強化に対する考えと,安定的な水道事業の運営に対する決意をお聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の小林義明議員の質問にお答えいたします。 水道事業についての御質問であります。 基盤強化に対する考え等についてでありますが,水道事業は,住民の健康な生活に欠くことのできないライフラインであり,水需要の変動や施設の老朽化等に適切に対応し,安全な水が安定して供給されることが重要であると考えております。今後とも,市町村に対し,広域連携推進のための助言等を行い,県民が安心して水道を使用できるよう,水道事業の基盤強化に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長西嶋康浩君。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  お答えいたします。 まず,検討会の成果等についてでありますが,水道事業広域連携推進検討会の報告書を取りまとめて以降,市町村に対し,他県の事例紹介や情報提供を行いながら,報告書に盛り込まれた物資の共同調達,事務の共同委託等の検討を促してまいりました。市町村では,地域部会で検討を進めておりますが,薬品や水道メーターの共同調達や料金収納事務等の共同委託については,現時点ではコスト削減効果が明確でないため,引き続き有効な手法の検討を行うとのことであります。 また,広域化のイメージについてでありますが,現時点では具体的に検討しているわけではありませんが,まずは市町村から丁寧に意見を聞いてまいりたいと存じます。 次に,水道広域連携推進事業の進捗状況についてでありますが,現状の把握と将来見通しの推計を行うため,7月に委託業者と契約を結び,各水道事業者等からの施設の状況や経営状況に関する資料収集と経営分析を行っているところであります。また,広域連携パターンの設定については,今後,複数お示しすることを想定しており,それぞれのパターンごとに将来見通しのシミュレーションを行い,その効果を明らかにしていくこととしております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  先ほど,知事の答弁に,広域連携を進めていく旨のお話がございましたけれども,こうなる,あるいはこうならなければもたないだろうと思えるけれども,今すぐには手が下せないというような問題は世間にたくさんあります。この広域水道事業についても,我が市を見ていると,人口が減っていても維持費はかかり,料金を上げて維持するのは,ほとんど不可能だろうという国の予測があるにもかかわらず,先ほど御答弁いただきましたように,まだイメージは申し上げられないというレベルのようですが,何年先ぐらいに答えが出ますか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えいたします。 何年先ぐらいをめどにまとめていくかということでございますけれども,総務省,厚生労働省,国のほうから,令和4年度末までに水道広域化推進プランの策定を行うよう指示が来ているところでございますので,めどとしては,そういったスケジュール感で行ってまいりたいと思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  県内のどこに住んでも生き活きとして暮らせるというのが一つの県の目標,知事の言葉でありますけれども,今のままでいくと,県南の,利便性が高く人が多いところは,水道料金をそんなに上げなくてもやっていけるけれども,県北のような人口が減っていっているところは,条件不利地であって,なおかつ水道料金さえも岡山市内より高いということになります。それでも移住してくださいといっても,そりゃそうだけれど,水道料金も高いじゃないか,そういう生活インフラの負担が高いのに,わざわざ不便な田舎に住むか,岡山にマンションを買ったほうがいいという話になるのではないかと思います。やっぱり全県下,一つの料金体系,1水道ということは進めていかなければいけないのではないかと私は思うのですが,いかがでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 西嶋康浩君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(西嶋康浩君)  再質問にお答えします。 県内1水道を目指すべきではないかという御質問かと思いますけれども,全国の広域連携の事例を幾つか見てみますと,やはり今おっしゃったように,ある程度中山間地で,将来を考えたときになかなか問題があるだろうという市とか町とか村とか,二,三の自治体が一つになって広域連携が行われているというのが,全国的にはぱらぱら出てきています。今,我々地域部会がやっているのは,主に県民局単位で県を大きく3つに分けてやっていますけれども,そうすると多くの自治体が関わることになるので,なかなか意見の統一を見ることが難しいということです。ほかの全国の事例を考えると,県民局単位にこだわることなく,二,三でも,複数の自治体で集まってもらって,共通の理解の下に,共同調達も含めて,共同でできるようなことが何があるかを考えていただくことから始めると,一歩ずつ進んでいくのではないかと思いますので,そういったことを,県としても調整役として担ってまいりたいと思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  先ほどは御答弁ありがとうございました。 やはり国も,県に旗振り役をしっかりとやってほしいということを求めているように思いますので,国の動向も気にされながら,しっかりと進んでいっていただきたいと思います。 次は,私は,さきの6月議会において,本県の誇るべき社会福祉の4聖人を含めて,「岡山社会福祉の先覚者を訪ねる聖地巡礼」を観光プログラムとして売り出してはどうかと提案いたしました。早速,その方向で,教育旅行誘致のための具体的な取組をいただいていることを喜んでおります。この取組が,郷土を誇り,愛する心を育み,岡山を広く発信することになるものと期待を寄せています。 さて,新型コロナウイルス感染拡大の影響で,本県の観光事業は深い痛手を負っています。国のGo To トラベルの観光支援事業が始まり,さらにGo To Eatも予定されています。その効果が全県に広く及ぶことを願ってやみません。ウイズコロナの観光事業のこれからを考えると,海外からの旅行者がコロナ前のように戻ってくるまでしばらくの時間が必要と思われます。今は,その準備をすること,県内,隣県,国内の旅行者の受入れ体制を構築することが求められています。 実は,これらの取組は,互いに関連し合っております。「コト」を掘り起こし,磨き上げることは,本県の観光資源を太らせ,国内旅行者に多彩な観光選択肢を提供し,満足度を高めることにつながり,インバウンドに対しても地域固有の資源への興味をかき立て,大きな誘客にも好作用します。何より,この時期の取組が令和4年度に開催するデスティネーションキャンペーンに向けての格好の準備になるものと考えます。 ウイズコロナ時代を見据え,どのような準備を行っていくのか,今後の観光振興に対する考えを知事にお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 これからの観光振興についての御質問でありますが,現在,県内及び近隣県を対象に誘客を進めており,感染状況を踏まえ,対象エリアを徐々に拡大しながら,観光需要の回復を図っているところであります。 ウイズコロナ時代の観光振興のためには,県内観光地それぞれの魅力向上が鍵を握ると考えており,おかやま自慢再発見キャンペーンで発掘された観光素材を活用した魅力発信に力を入れるとともに,デスティネーションキャンペーンに向け,市町村等と連携し,体験型観光を中心に素材を掘り起こし,磨き上げるなどの準備を進めているところであります。こうした取組により,コロナにより打撃を受けている観光入り込み客数と観光消費額の回復を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  関連して話を進めてまいりますけれども,手元に県立倉敷商業高校の商業研究部が作成した「あったらいいな!!こんな修学旅行」と題した冊子があります。この冊子でございます。(資料を示す)高校生が自ら企画し,作ったものでございます。備中県民局も応援したと聞いておりますが,高梁川水系を修学旅行で歩むというものでございます。 同校の女子生徒たちが,備中地域の人たちの協力を得ながら,女子高校生の目線からモニターツアーを企画し,その結果やアンケートを踏まえ,高校生の手による高校生のために作られた観光ガイドブックであります。生涯の思い出になる修学旅行を,ぜひ高梁川流域で過ごしてほしいとの熱い思いと,すばらしい体験プログラムの数々が紹介されています。県内の高校生たちの真摯な取組に心が動きました。次は大人がそれをサポートし,大きなうねりをつくっていく責務があるのではないでしょうか。 その方法として,隣の広島県が策定している「広島県農山漁村生活体験ホームステイ実施に係る取扱指針」と同様なものを,本県でも策定してはどうでしょうか。これは,教育旅行の指針であります。市町において,農山漁村生活体験ホームステイを実施する際の受入れ側の取扱いを明確化し,ホームステイ希望者の安全・安心の確保,農林漁家の受入れの質向上を目的に,平成23年に策定しています。1回の受入れは,1農林漁家当たり5人以下とすること,地元食材を使った共同調理,団らんの機会提供など,ホームステイ希望者への提供事項,受入れ農林漁家が受け入れる経費などを定めています。この指針に基づき,広島県は,平成30年度に91校1万3,170人の生徒を受け入れており,大きな需要があります。 そこで,お尋ねします。 倉敷商業高校の生徒たちの取組への感想とともに,広島県と同様の指針を本県も策定し,農山漁村生活体験ホームステイにおける教育旅行の受入れに本腰を入れてはどうでしょうか,併せて知事にお伺いします。 農泊は,生徒の感動ばかりではなく,受入れ家庭にもたくさんの喜びや思い出を生み出してくれます。農泊を通じて,受入れ側も改めて自分たちの持つ地域資源のすばらしさを再確認することになります。訪れた側と受入れ側の双方向のつながりは,その後の関係人口の創出にも結びつきますし,何より来訪に伴う消費や経済的循環が農山漁村の地域活性化につながるはずであります。コロナ後を見据えても,農泊を推進することは,中山間地域振興,活性化の切り札に思えます。県としても力を入れて取り組むべきだと考えますが,知事の御所見をお聞かせください。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 農泊についての御質問であります。 まず,生徒の取組への感想等についてでありますが,お話の冊子には,あふれる笑顔で地域の魅力的な体験が紹介されており,私も生徒の皆さんの熱い思いを感じたところであります。本県では,農山漁村生活体験ホームステイに係る指針は策定しておりませんが,農泊の中でも地域の活性化や所得の向上につながる農家民宿を進めており,その取組の中で,安全対策の確保や受入れ資質の向上に努めているところであります。こうした取組を充実させていくことにより,農山漁村での生活体験を伴う教育旅行の受入れを進めてまいりたいと存じます。 次に,所見についてでありますが,農泊は,訪れる側に感動を与えるとともに,受入れ側も地域の魅力を再発見し,元気とにぎわいを取り戻すことにつながる取組と考えております。このため県では,第3次生き活きプランにおいて,安心で豊かさが実感できる地域の創造を進めるため,新たに農家民宿の推進を位置づけたいと考えており,コロナ禍の影響を受ける中でも,SNS等による農家民宿の効果的な情報発信に取り組むなど,農泊の推進により,中山間地域の振興を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  想像していた以上のいい答弁をいただきまして,本当にありがたく思っております。冊子を見させていただいて,新見のかのさと体験観光協会というところが受け入れた,ここに字で隠れておりますけれども,(資料を示す)これには私も参加していました。そのときに,生徒と,地域の皆さんが,世代を超えて,私はこういう体験がなく,海外でのホームステイしかしたことがありませんが,同じような体験をされて,「また来年会おうね」というような会話が自然と出てきている。これは何も大きなお金を払ってどこどこの観光地に修学旅行に行かなくても,十分やっていけるのではないかと感じました。特に,美星町の天文台や,学校に泊まろうよというプログラム,これも本当に廃校の有効活用にもなるし,学校でみんなで泊まるという体験を,子供たちがこんなに喜んで企画しているということがありましたので,ぜひこういう目線に立った振興もお考えいただきたいなと思います。私自身ではあまり思いつかなかったかもしれない,子供たちの,高校生たちの発案ですから,大事にしたいなと思っておりますので,今後とも,よろしくお願いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  新型コロナウイルス感染症は,学校教育現場に大きな影響をもたらしました。学校行事など,教育活動全般の制約がある中,現場では,児童生徒の学びを確保するための懸命の努力を重ねています。ウイズコロナを想定しながら,今後の教育態勢や教育内容を考える必要を殊さらに思っています。 まず,高校の魅力化と存続についてであります。 国が初めて公表したデータによりますと,全国1,741市区町村のうち,公立高校のない自治体は3割に上るとありました。特に,中山間地域で「高校の過疎化が加速化」しているとあり,本県,我が地域を思いながら,身につまされました。 国は,地域密着の高校を育て,高校の魅力化を地方創生の柱としています。しかし,本県もそうですが,財政事情や効率化などの理由で高校の統廃合が進められています。少子化の現実は理解していますが,高校に通うため,家族で地域を離れると,高校を卒業した後はますます生まれ育った地域とのつながりを失い,定住・人口減対策とは一層逆行する事態が容易に想像できます。まさに,高校なくして地方創生なしであります。 そこで,教育長に尋ねます。 全国で,公立高校のない自治体が増えていることをどのように受け止めますか。 高校の存立と地方創生の関係に対する見解もお示しください。 さらに,高校がその自治体になくなると,高校生は遠距離を通学することになります。長い時間をかけ,通学することで,身体的,金銭的にも生徒に負担がかかり,そのような点からも,なるべく身近に通いたい公立高校があることが重要であると考えますが,併せて御所見を伺います。 国は,2022年春から,都道府県など,学校設置者の判断で,普通科改革による新しい学科の設置ができるようにする方針のようであります。高校の魅力化の先にあることは,学校と社会の連携であり,やがて学校と社会の融合へと向かうことを予感しました。再編を突きつけられた地域は,どこも真剣に高校教育に向かい合い,議論し,将来の地域と高校のあるべき姿を模索しております。 学校設置者として,それをどのように受け止めていますか。 また,国の22年からの普通科改革による新しい学科の設置の方針に対し,本県はどのように受け止め,どのような対応をしますか。 さらに,地域への働きかけやそのための21年度の事業予算化は考えていますか。併せて教育長にお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 高校の魅力化についてのうち,まず高校の存立についてでありますが,地方創生を進める上で,高校には地域を支える人材を育成し,地域の活性化に資する役割があると考えておりますが,一方で,一定程度の規模がなければ,高校教育としての質の確保が難しいということもあります。 全国で,公立高校のない自治体が増えていることにつきましては,全国的に少子化が進む中,各設置者において,公立高校の体制整備に関して難しい判断をされた結果と受け止めております。 また,中学生が通いたいと思えるような公立高校が身近にあることは大切であると認識しており,地元自治体等と連携を図りながら,現在,県立高校の魅力化,活性化に取り組んでいるところであります。 次に,議論の受け止め等についてでありますが,小規模化した県立高校においては,地元自治体をはじめとする地域の協力なくして教育活動の充実は難しいと考えており,お話のような地域では,コーディネーターの配置やコミュニティ・スクールの導入などにより,地域が学校と連携し,一体となって魅力化・活性化が図られており,心強く感じているところであります。 また,普通科改革については,現在,国において検討中ではありますが,普通科の生徒が将来の社会を見通した目標を持ち,意欲的に学習に取り組むための改革であると考えております。 県教委では,既にこうした視点から,県立高校の魅力づくりに取り組んでいるところであり,国の動向を注視しつつ,今後,これまでの成果を踏まえ,地域への働きかけや予算を含め,地域との効果的な連携や新学科の在り方について研究してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  ちょっと総論になりますけれども,高等学校というのは,一定の生徒数がないと教育の質が図れないというようなことを言われましたか。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 高校教育の充実を図るためには,教員も必要でございますし,子供たちの学び合いという部分からも考えて,ある一定の規模が必要と考えております。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  先ほどの佐古議員の話の中にありましたけれど,新しいデータをきちっと見てください。今までずっと言われていたことですけれど,教育長は,義務教育の出身ですよね。では島にある小学校で4人しか生徒がいないところは全然教育になってないのではないですか。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  島に限らず,岡山県にも小規模な小学校等もございますが,その中におきましても,いろいろな工夫をしながら,教育の充実を図っているところでございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  いろいろな工夫をしながら教育の充実を図っているとのことです。高等学校にもできるのではないですか。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 高等学校におきましても,小規模でも維持ができるのではないかという御質問でございますが,高等学校におきましては,学科の特性等もございます。普通科におきましては,受験ということもございますので,ある程度の教科が必要であろうと思いますし,専門科におきましては,それぞれの専門分野の教員の確保ということも必要になってまいりますので,ある一定の規模は必要になってこようかと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  そもそも,自分も現場におりました。私は公立高校が地元になかったほうがいい人間なんです。個人的な発想だと。そういうことではないんです,私がここで議員として言っていることは。地元には,やはりなくてはならない。それは,地方創生の観点からなくてはならないということを,私は言っているわけです。じゃあ,残すためにどうしたらいいんだという話なんです。ある島やあるところでは,小学校や中学校が少人数でもどうしても残さなければいけないと,みんな頑張って,3,4人しか生徒がいなくてもやっているわけでしょう。それが高校になったら,急に合理性だとか言って,どこかに集めてしまおうという,こういう動きが私には感じられるんです。だから,もう一回ここで確認してほしいのは,地方創生を言うときには,公教育の原点に戻ってほしいんです。どこに住んでいようが,みんな同じレベルの教育を受けられるようにするのが公教育なんです。そうでなくて,こっちでは採算が合わないからやめて,こっちの都市に行ってやりましょうというのが私立学校です。採算が合わなくても,日本国中の国民に一定教育のレベルを与えましょうというのが公教育で,そこに私は戻ってほしいんです。 少し総論過ぎるかもしれないけれど,新見のようなところは,地域から県立高校がなくなったら,通うためにお金がかかると言いますが,かかりはしません。若い世代が家族で出ていきますよ。もう移住します。お母さんだけでも。だから,どうしても必要なとりでなんです。そういった思いを持っていただいて,高校の再編についてはしっかりと考えていただきたいんです。 何か御意見があったらお願いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 地域における公立高校の意義というのは,地域の協力を得ながら,その地域の発展にも資する部分があるということは,先ほど申し上げたとおりでございます。ただ,先ほど申しましたように,やはり一方で,質の維持も図っていかなければいけないという部分もございますので,まずは魅力化をしっかり図って,地元の子供たちに地元の公立高校へ来てもらえるような,行きたいといわれるような高校になっていくことが一番だと思っておりますので,そのために全力を尽くしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  先ほどはありがとうございました。 どうしてもその地域で生きていくためには,水道はなければいけない,電気も来なければいけない,教育も受けられなければいけないという思いがあるものですから,そういうところをしっかりと地域振興,地方創生を考えてかじ取りをお願いしたいと切に思うわけでございます。 次の質問に参ります。 新型コロナウイルス感染症拡大予防のため,県内の中学校は,若干の違いはありますが,本年3月から5月の間で臨時休業としました。他県では,来春の高校入試の出題範囲の縮小の方針が打ち出されているところもありますが,本県では,学習の遅れを取り戻すことができるとの判断で,出題範囲の変更は行わないとのことです。多くの中学生にとって,入試は長い人生で最初に迎える進路選択と言えますが,中学生の本年度の学びの現状認識について,教育長にお伺いします。 さて,全国的に新型コロナウイルス感染症をめぐり,修学旅行を中止や延期にした学校に対し,そのキャンセル料を補助する動きが広がっています。本県の県立学校で修学旅行に変更があった場合,予約した宿泊施設や交通手段のキャンセル料を補助する予算案が計上されていますが,その詳細を教育長にお伺いします。 また,私立学校のキャンセル料補助についても対応すべきと考えますが,どのようにされますか,総務部長にお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 学びの現状等についてのうち,まず認識についてでありますが,市町村教委に学習の進捗状況を確認したところ,臨時休業による学習の遅れを解消するため,夏季休業を短縮するとともに,行事の精選等,指導計画を見直す取組が進められており,学習の遅れを取り戻すことが可能と認識しております。引き続き,学力調査や定期テスト等を通じて,学習の定着状況を把握するとともに,補充学習を行うなど,丁寧な指導で生徒のつまずきの解消を図ってまいりたいと存じます。 次に,修学旅行のキャンセル料補助についてでありますが,今回の予算要求では,保護者の経済的な負担の軽減を図るため,県立学校において,今年度中に出発を予定していた修学旅行を中止や延期した場合に生じるキャンセル料等を支援することとしております。各学校に対しては,やむを得ない事情がある場合を除き,キャンセル料が発生しないよう,適切な時期に修学旅行の実施の可否を判断するよう指導するとともに,中止の決定の時期にかかわらず,必要となる企画料金については,適切に支援してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  総務部長村木智幸君。   〔 総務部長 村木智幸君 登壇 〕 ◎総務部長(村木智幸君)  お答えいたします。 修学旅行のキャンセル料補助についてでありますが,私立学校については,修学旅行のキャンセル料が仮に発生することとなった場合,その負担を保護者に求めるのか,設置者である学校法人で負担するのかという判断を各法人でされるものと考えておりますが,まずはキャンセル料の発生の有無や対応の方向等,各学校の状況の把握に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  教育長,ありがとうございました。 教育長の説明はすごく分かりやすくて,よく分かりました。総務部長の説明は,全く私には分かりません。するんですか,しないんですか。 ○副議長(遠藤康洋君)  総務部長。   〔 総務部長 村木智幸君 登壇 〕 ◎総務部長(村木智幸君)  再質問にお答えいたします。 県立高校につきましては,その設置者が県そのものということで,設置者としての判断をいたしまして,予算計上しているところでございます。私立学校につきましては,先ほど答弁で申し上げましたけれども,まずは設置者である学校法人としてどのような対応をされるのかということもあろうかなと思っております。ただいずれにしましても,実際に修学旅行の予定がどうなっているのか,傾向としてキャンセル料の状況がどうなのか等々,しっかり各学校の状況を把握させていただいた上で対応を考えていきたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  国においては,菅首相が,縦割り行政はいけないというようなことを声高々におっしゃっていますが,今の話を聞いておりますと,同じ条件であった場合,こちらの県立のほうは,既に調査も終わって9月補正がもう組まれている。私立学校のほうは,これから調査をして,組むかどうかも分からない。何がどう違うのか。私は,教育長さんにも考えていただきたいのですが,県立高校の生徒にそういう対応をするならば,横目で見て,総務学事課とも連絡を取って,同じ高校生ですから,そこはあまり違った対応にならないように工夫しようというのが県庁のスタンスであるべきではないかと,私は思います。総務部長にお伺いしますが,これは保護者の負担があった場合,それが確認できた場合は,県立と同じような扱いにできますか。 ○副議長(遠藤康洋君)  総務部長。   〔 総務部長 村木智幸君 登壇 〕 ◎総務部長(村木智幸君)  再質問にお答えします。 キャンセル料が発生するかどうかにつきましては,中止,延期の判断の時期等も関係してくると思いますし,旅行会社の扱いにもよるところがあると思います。結果として,キャンセル料が発生することになって,例えばそれを学校が負担するというようなことになった場合,学校法人に対して,私どもとしてどのような支援ができるのか,ということを検討することになるものと考えてございます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  もともと原則論ですけれども,文部科学省に言わせると,私立学校といえども公教育の一翼を担っているということです。そういう意味では,公立学校と何ら変わりはないということを言われているわけです。しかし,今のお話では,県立のほうは,どれだけかかるか分からないけれど,取りあえず予算を組んで,必要のないお金が発生しないようにできるだけ切り詰めて,本当に必要なものは出すようにということを,ここで教育長さんが言われて,9月で予算を組んだ。私立学校のほうも,ここで公立と同じように予算を組んでいただくという動きにはならないものですか。私立高校はこれから調査をして,予算をどうするんですか。 ○副議長(遠藤康洋君)  総務部長。   〔 総務部長 村木智幸君 登壇 〕 ◎総務部長(村木智幸君)  お答えします。 今お話のございましたとおり,私立学校につきましても,公教育の重要な役割を担っていらっしゃるということは,重々そのように考えてございます。そうした中で,今回の対応につきましては,なるべく早く調査を行いまして,必要だということになれば,速やかな予算上の措置を考えてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  27番。   〔 27番 小林義明君 登壇 〕 ◆27番(小林義明君)  ありがとうございました。 時間がありませんけれども,夏休み中の授業についてのクーラーの電気代についても,最初,県立は予算を組みます,私立のほうは,それはと言われたのですが,そのときに私も県立と同じように合わせてくださいとお願いをして,そのときに合わせてくださったんです。合わせてくださったけれど,同じような理由で,同じようなことがまた起きたときには,また別なんです。どうぞ横にらみで行政を進めていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で小林君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 16番山本雅彦君。   〔 16番 山本雅彦君 登壇 〕 ◆16番(山本雅彦君)  皆さん,こんにちは。 自由民主党の山本雅彦です。 質問に入ります前に,今日は,吉備中央町から傍聴にも来ていただきまして,誠にありがとうございます。 それでは,質問に入らせていただきます。 今,私の手元に,地元津山信用金庫のつしん景況レポートがございます。作州地域内の254企業の経営者の方々の景況感を調査しているレポートであります。前期2020年4月から6月の業況判断DIは,新型コロナウイルスの流行に伴い,消費者の外出自粛や企業の営業活動自粛・休業の動きが広がり,全ての地域,全ての業種で景況感が大幅に悪化し,マイナス49.2ポイントと,2012年の調査開始以来最低となりました。そして,今期7月から9月期のDI見通しも,さらに悪化したのではないかと考えられます。 緊急経済対策の効果による消費喚起を期待する声も聞かれるものの,企業,消費者のマインドの低迷や観光需要の回復の遅れ,サプライチェーン・生産活動への悪影響の長期化などへの懸念に加え,新たな生活様式の浸透に伴うビジネスモデルの変容を指摘する声もあり,先行きに対し,大変厳しい見方となったとあります。 本県全域の景気判断も同様であると考えます。国は,経済回復を目指した緊急経済対策を決めました。新型コロナの影響で落ち込んだ景気を下支えするため,既に予算措置された公共事業費を早期執行する方針も経済対策には示されています。1月に成立した2019年度補正予算に1兆5,699億円,3月に成立した20年度当初予算には6兆8,571億円の公共事業費が計上されています。最終年度を迎える「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策」の事業費が盛り込まれていることにより,当初予算に計上された予算規模は,過去10年では,19年度に次ぐ2番目に高い水準です。しかし,リーマン・ショック時の対策を上回るこのたびの緊急経済対策は,報道によれば,事業規模約234兆円となっていますけれども,新型コロナの治療薬,ワクチンの開発,飲食業,観光業など,中小,小規模事業者に対する資金繰りの支援,雇用調整助成金の助成率の引上げなどが柱になっています。新型コロナの感染拡大の抑制,新型コロナで所得や売上げの減少という影響を受けている個人や事業者への支援が優先されているため,2020年度補正予算には,公共事業費は盛り込まれませんでした。 本県でも,伊原木知事のリーダーシップの下,国の政策に呼応した景気対策を次々と打ち出し,コロナ対策に努めています。来年度の予算編成作業に取りかかる今,厳しい財政状況であると十分認識していますが,さらに大胆な景気対策として公共投資を行う必要があると私は考えます。地域経済の活性化策,景気対策として最も効果のある施策は,昔も今も公共事業予算増と考えます。 公共投資によって経済全体を活気づかせようとするならば,その投資が様々な産業に波及することが必要であります。投資する産業が様々な産業に関わっていることが重要です。皆さん,御承知のとおり,公共事業,建設の現場は,鉄やコンクリートなどの部材,トラックやクレーンなどの機械や調査設計技術,そして多くの労働者のための食事,宿泊,さらには医療に及ぶまで,実に多様な産業が関わっています。しかも,それらの産業が,さらに他の産業にも関わっております。公共投資による失業対策として効果を考えるなら,急に失業してしまった人々でも働けるような雇用の創出が必要です。複雑な技術を要する働き口では,大量の人を雇い上げることができません。その点,公共事業の場合には,高度な技能を要する最先端の技術や設計に関する雇用から,いわゆる日雇労働と呼ばれるような雇用まで,実に様々なタイプの雇用を生み出すことができます。 さらに,大きな景気対策,公共投資を行うのなら,その受皿が不可欠です。十分に育成されていない産業にいきなり多額の投資をしたとしても,それを消化し切れるはずはありません。その点,公共事業を担う建設産業は,日本の全雇用の約8%を創出し,GDPの約6%をたたき出す,文字どおりの巨大産業です。本県でも,その雇用も経済規模も日本経済を牽引する産業と位置づけられていることが多い自動車産業のそれよりも大きいのであります。つまり,建設業ほど多額の投資を受け止めることができるような産業は,実質的にはほとんど見当たらないのが現状であります。 残念ながら,新型コロナ感染症の拡大による社会経済の混乱が収束する兆しはまだまだ見えてきません。今後もさらなる経済対策が必要となるのは火を見るよりも明らかです。公共事業は,事業全体が生産行為であるだけでなく,雇用の受皿にもなっています。新型コロナの経済への影響がさらに拡大しようとしている今,公共事業が持つこうした効果を最大限生かすべきだと思います。本県の公共事業予算の拡充について,強く要望いたします。 公共事業をする以上は,経済への短期的なカンフル剤として機能するだけでなく,その投資によって将来の経済成長を促すようなものであることが重要です。この点については,道路も港湾もダムも橋も,経済活動や生活のインフラとして大いに必要とされています。高度情報化社会への備えとして,情報化社会に対応するための光ケーブルの増設や電線の地中化など,情報インフラの整備も同様で,大いに必要とされています。 様々な観点から公共事業が必要とされている以上,それらへの投資は現在の経済を活気づけるだけでなく,将来の本県経済の発展にも大いに貢献し得ると考えます。 コロナ禍における経済対策の柱として,内需を下支えするためにも,県の公共事業の予算増額をお願いしたいと考えます。特に,社会インフラとして,県道の拡幅整備や防災・減災の観点から河川の改修をお願いしたいと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 また,国に対し,公共事業予算の増額を強く要望していただきたいと思いますが,土木部長の御所見をお伺いいたします。 次に,医療体制についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響は,県内の医療の崩壊につながる危険があります。岡山県市長会は,8月21日,医療体制の拡充や感染者の人権擁護など,新型コロナウイルス対策を強化するよう県に提言いたしました。提言では,患者を受け入れる医療機関の経営支援やPCR検査体制の拡充など,医療体制を強化すること,県と市との間でうまく情報共有するための協議の場を持つこと,感染者や濃厚接触者などのプライバシーを守り,人権擁護を徹底することとあり,提言に対し,伊原木知事は,「要望と同時にエールも感じた,より一層情報共有して頑張っていこうと思う」とコメントされておられます。 我々県北の議員や県北の市町村長さんは,県北の医療体制について大変心配しております。その県北の医療機関の核である津山中央病院は,平成11年12月,新築移転し,救命救急センターを併設した新病院としてスタートされました。以来,「お断りしない救急対応」,「最先端の日常診療の提供」を目標に,職員が一丸となって努力していただき,岡山県北における高度急性期医療をしっかりと担ってもらっています。岡山県北医療の要であり,最後のとりでです。地域住民の皆さんの安心を支える本当にありがたい存在です。ただでさえ,少子高齢化,人口減少の病院経営に厳しい時代,将来,県北の急性期医療を担う使命感で,地域の救急医療体制を崩壊させてはならないと,医療スタッフの確保にも大変御苦労されながら頑張っておられます。 その津山中央病院でも,新型コロナウイルス感染症の影響による患者数の減少で,今年3月から8月の減収が,入院収入で約6億円,対前年度比でマイナス11.2%,外来収入が約3億1,500万円,対前年比でマイナス14.5%,合算しますと,この3月から8月の減収は,約9億1,500万円とお聞きしております。緊急事態宣言解除後,一旦戻りかけた患者数も,8月に感染者数が増加したため,新型コロナウイルスへの感染を恐れて受診を控える受診抑制や,感染症指定医療機関であることによる風評被害があり,患者数減が続いていて,この調子でいくと,前年の年間医業収入の11.5%減に相当する年間約15億円以上の減収となると予想されています。収入の減少の結果,今年度計画していた医療関連事業の中断を余儀なくされ,また職員の夏のボーナスが減額支給となり,冬のボーナスは不透明,さらに来年度の事業計画が立たない状況と伺っています。 津山中央病院を例に出し,医療機関のコロナ禍による苦しい経営状況を御説明いたしましたが,多くの医療機関が同様に苦しい経営状況の中,地域医療を守るため,日々頑張っておられます。こうした状況を見過ごしてしまうと,県内医療の崩壊につながりかねません。医療機関への支援が必要と考えます。 地域医療を守るため,日々,努力,御尽力いただいている医療機関に対し,強力かつ大規模な支援を要請したいと思いますが,知事の御所見をお伺いいたします。 次に,移住支援についてお伺いいたします。 2020年,今年5月の東京都の人口,転入転出の動向を見ますと,転入転出ともに,前年同月比で大幅な減少となりました。その結果,転出者が転入者を1,069人上回り,転出超過となっています。これは,外国人を含む移動者数の集計を始めた2013年7月以来初めて,日本人に限っても,東日本大震災の影響があった2011年7月以降初めてのことであったそうです。新型コロナウイルス問題で,新規感染者の数が多く,また緊急事態宣言の解除の期間も他道府県に比べて遅れた結果,東京への転入が大きく減少したことがその背景にあります。東京の大学に新たに入学した大学生が,東京都への移転を見合わせた影響などが大きいとも分析されています。 2020年7月も,5月を上回り,2,522人の転出超過となっており,感染への強い警戒などは今後も続く可能性が高いことから,新型コロナウイルス問題が東京への人口流入に歯止めをかけ,東京一極集中傾向を徐々に変えていくきっかけとなる可能性もあるのではないでしょうか。ちなみに,東京一極集中の是正は,新型コロナ問題で顕在化した課題への対応の5つの実行計画のうちの一つとして,行政のデジタル化やテレワークの推進等とともに,政府の骨太の方針に盛り込まれるとお聞きしております。 コロナ禍の今,ピンチをチャンスに変えるため,本県でもこの機を捉え,集中的に移住・定住策をさらに強力に進めるべきと考えます。現在,本県では,移住ポータルサイト「おかやま晴れの国ぐらし」を開設し,移住計画の立て方,SNSを利用した動画による町の紹介や移住者による体験談の発表,市町村が開催する移住イベントへのリンク,岡山ナイター移住相談会をはじめとした各種セミナーや相談会の開催に努めていただき,その反響も大きくあるとお伺いしていますし,そして実際,ポータルサイトは数年前に比べ,格段に充実しております。 さらには,移住と仕事は切っても切れない関係となります。岡山県しごと情報センター内のIJUターン就職に関する情報でも,大変親切に示されています。中でも,県内市町村と連携した東京圏からの移住支援金制度は価値ある支援と考えております。 さきの自民党総裁選挙でも議論となりました東京一極集中の是正が,今後の大きな政治テーマです。今まさに,移住支援をさらに強化するタイミングと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。 また,新聞報道によりますと,兵庫県は全国から移住を促進するために,県有施設の宿泊費や居住地からの交通費などを補助する「お試し移住」に取り組む方針を固め,交通費などの経費の半額を,1人当たり10万円を上限に補助する案を軸に,年内の事業開始を目指すとのことであります。新型コロナウイルス感染症で,東京一極集中の是正や新しい働き方が模索される中,流入人口の拡大を狙うものであります。 先日,先輩の上田議員も同様の質問をされていましたけれども,改めてお尋ねいたします。 岡山県においても,県主催を含め,各市町村が開催する移住体験イベントに,兵庫県のような交通費等の経費の補助は考えられないでしょうか。県民生活部長にお伺いいたします。 移住・定住にも関連しました次の質問に移ります。 岡山に新首都を,そんな呼びかけを行うフォーラムが,昨年8月10日,吉備高原で開かれました。そのフォーラムでは,吉備高原が日本のへそに位置するという地理的な理由もさることながら,日本列島で災害が相次ぐ中,吉備高原は活断層がなく,地盤が強固なことが明らかになっており,災害に強い地域という地質学的観点でも,首都にふさわしいとのことでありました。御承知のとおり,吉備高原は,中国山地と瀬戸内海の中間に位置し,兵庫,岡山,広島の各県まで連なる標高300から700メートルの山々から成ります。 平成29年に行われた日本地質学会の学術大会では,東北大教授らが,地震波を使って地球の内部構造を3次元的に解析する地震波トモグラフィーと呼ばれる観測手法で調査の結果を発表し,「吉備高原のある地域は,地下20キロまで硬い一枚岩盤から成っており,他の地域よりも地盤が安定している可能性が高いことが分かった」としました。また,NPO法人地球年代学ネットワークのメンバーによる調査により,南北40キロにわたって,3400万年前から流路が変形されていないことが判明されたとされています。地球年代学の研究者でもある同法人の板谷徹丸理事長は,「大陸から日本列島が分離して,日本海が開けた大変動期の影響も受けず,高原の地形は安定しているようだ」と説明されています。 降って湧いたような印象もあるかもしれませんが,平成26年に作家の高嶋哲夫氏が,直下型地震で東京が壊滅的な被害を受け,世界恐慌を招くという小説「首都崩壊」で,吉備高原が首都機能の移転先に選ばれることを描いており,このときも大変注目を浴びました。 吉備高原都市は,昭和50年から岡山県が主導し,人工都市として形成されました。周辺1,900ヘクタールに3万人を居住させるプランを立てていましたが,バブル崩壊後に計画は大幅に縮小されました。吉備高原都市のある吉備中央町は,人口約1万1,000人の小さな町ですが,東日本大震災以降,移住希望者からの問合せが増加しています。平成26年から30年度に138世帯が移住しました。町の担当者によると,災害が少なく,安全だからというのがその理由が多かったとのことであります。山本雅則町長は,「西日本豪雨でも大きな被害はなかった。日本で一番地盤が強い」と強調しています。その上で,「首都機能の移転,分散の議論は掛け声倒れになっている。人口の一極集中は進むばかりだ。一石を投じたい」と意気込んでおられます。 また,赤磐市に開設された地球史研究所所長の乙藤洋一郎神戸大学名誉教授は,「吉備高原が長期に安定した地域であることは分かってきたが,理由は今も不明だ。研究で原理を証明できれば,政府の情報部門などは本当に移転すべきであるといった提案ができるはずだ」と話されています。 このたび新たに総理大臣に就任された菅総理は,行政のデジタル化を進めるデジタル庁の創設を表明され,その設置の作業を加速するよう指示したとの報道があります。そこで,地域活性化の起爆剤として,デジタル庁の誘致を目指してはいかがでしょうか。 平成26年,政府は,東京一極集中を是正する観点から,政府機関の地方への移転について検討を進め,消費者庁の機能の一部を徳島県へ恒常的拠点として設置することを決定しました。また,文化庁においては,国会対応等,東京で行うことが必要な業務は除かれますが,本庁を京都に置くことが決定しています。岡山県には,吉備高原都市という,西日本豪雨でも大きな被害はなく,また長期的に安定した地盤を持つ場所があります。この安定した地盤は,吉備高原都市だけに収まらず,西は高梁市から東は赤磐市まで,岡山県を横断する形で広がっています。こうした岡山県の優位性をしっかりアピールし,デジタル庁のみならず,多くの政府機関を誘致し,新首都おかやまを目指そうではありませんか。新首都おかやまを目指すため,まずはデジタル庁創設の動きに合わせ,その心臓部であり,安全と安定が最重要とされる政府のデータセンターを吉備高原に誘致し,吉備高原都市の活性化を図るべきと考えますが,いかがでしょうか。 さらに,政府のデータセンターの誘致をテーマに,本県選出の国会議員との相談連絡会を立ち上げてはいかがでしょうか。政府のデータセンター誘致を進めることで,本県の優位性をアピールすることにつながると考えます。併せて,県民生活部長の御所見をお伺いいたします。 また,菊池副知事におかれましては,長年,総務省において勤務されており,豊富な知識や豊かな経験をお持ちのことと存じます。このたびのデータセンター誘致を成功させるためのお知恵を頂戴したいと思います。菊池副知事の御所見をお願いいたします。 以上であります。どうぞよろしくお願いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の山本議員の質問にお答えいたします。 まず,公共事業についての御質問であります。 予算の増額についてでありますが,公共事業地域経済の活性化に有効であるだけでなく,県民の生命や財産を守り,社会経済活動を支える重要なものであると考えており,これまでも国の防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策などを最大限活用し,事業を実施しているところであります。 新型コロナウイルス感染症の影響から,さらに厳しい財政状況が見込まれますが,河川改修など,防災・減災に資する事業をはじめ,社会資本の整備に必要な予算を確保し,本県経済の持続的発展につなげてまいりたいと存じます。 次に,医療機関への支援についての御質問でありますが,新型コロナウイルス感染症の拡大により,患者数の大幅な減少が続いており,経営に大きな影響を及ぼしているものと認識しております。 こうした中,県では,国の補正予算を最大限に活用し,感染症の入院患者受入れのための病床確保や,院内感染防止対策などに要する経費への補助を行っているところであります。また,国においては,予備費を活用し,診療報酬や病床確保料の引上げなど,医療機関に対するさらなる支援が予定されているところであります。 今後とも,国と連携しながら,地域の医療提供体制が確保されるよう,医療機関への適切な支援に取り組んでまいりたいと存じます。 最後に,移住・定住についての御質問であります。 移住支援の強化についてでありますが,県では,移住・定住の促進に向け,市町村をはじめ,民間団体等とも連携し,専用のホームページ等を通じた情報発信や,地域の受入れ環境の整備などに取り組んでおります。また,移住と仕事のワンストップ相談窓口の設置や,移住コーディネーターの配置など,首都圏等における相談支援体制の強化を図っているところであります。 さらに,ビッグデータを活用した効果的な情報発信や,オンラインによる移住相談会の開催といったデジタル技術を活用した取組を進めるなど,引き続き市町村等と連携し,移住・定住の促進に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  副知事菊池善信君。   〔 副知事 菊池善信君 登壇 〕 ◎副知事(菊池善信君)  お答えいたします。 吉備高原都市の活性化についての御質問でございます。 所見についてでありますが,今回のコロナ禍により,首都機能の地方移転の必要性がクローズアップされる中,災害リスクが低く,広域交通網へのアクセス条件に優れた吉備高原都市への政府機関の移転は,地域活性化につながる時宜を得た御提案であります。具体的な検討を進めるに当たっては,地元自治体の意向を確認し,お話のデータセンターなど,移転対象とする政府機関等についてもしっかりと協議調整を行う必要があります。また,政府機関の移転は,予想以上にハードルが高いことから,国の動向について情報収集を行いながら,全国知事会等とも連携し,中央省庁等に対して戦略性を持った効果的で継続的な誘致活動を展開していくことが重要であると考えております。引き続き,吉備高原都市の活性化に向け,政府機関の移転をはじめ,様々な方策に全力で取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長伊藤敦哉君)  お答えいたします。 まず,移住・定住についての御質問であります。 交通費等の補助についてでありますが,県では,市町村等と連携し,できるだけ多くの方々に県内での田舎暮らしなどを体験していただけるよう,移住希望者を対象としたバスツアーを開催しております。このため,お話の移住体験イベントへの経費補助を行うことは考えておりませんが,引き続き,移住希望者のニーズを踏まえた魅力的なバスツアーを企画するほか,現下の感染状況も踏まえ,首都圏などの遠隔地にお住まいの方々に対しては,オンラインによる体験会などを通じて本県への関心を持っていただき,将来の移住・定住につなげてまいりたいと存じます。 次に,吉備高原都市の活性化についての御質問であります。 データセンターの誘致等についてでありますが,吉備高原都市は,政府機関の移転先として高いポテンシャルを有しておりますが,県ではこれまで,地元市町村と連携し,政府機関の移転に取り組んできていることから,まずは地元自治体の意向を確認する必要があると考えております。その上で,政府機関の移転に取り組む場合には,移転候補とする政府機関についても,お話のデータセンターを含め,国の動向等を注視しながら,地元市町村と具体的に協議調整を行ってまいりたいと存じます。 また,政府機関の移転を実現するためには,地元選出の国会議員の方々のお力添えをいただくことは重要であり,効果的な誘致戦略を検討する段階では,お話の相談会の形式を含め,国会議員への協力要請等についても検討すべきものと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  土木部長原田一郎君。   〔 土木部長 原田一郎君 登壇 〕 ◎土木部長(原田一郎君)  お答えいたします。 公共事業についての御質問であります。 国への要望についてでありますが,これまでも国に対し,必要な公共事業予算の確保について,本県の実情を踏まえ,事業の必要性・重要性を強く訴えてきたところであります。引き続き,今年度が最終年度となる防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策の延長に加え,河川改修や道路整備など,本県の社会資本整備に必要な予算の確保に向けて,あらゆる機会を捉え,しっかりと国に要望してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上をもって山本君の質問は終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(遠藤康洋君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △9月25日の議事日程 ○副議長(遠藤康洋君)  明日の議事日程は,午前10時開議で,一般質問,議案委員会付託,請願陳情委員会付託であります。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(遠藤康洋君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後2時51分散会〇 令和2年9月24日(木曜日)出席議員   1番 秋山 正浩君       2番 鳥井 良輔君       3番 佐古 一太君   4番 松島 幸一君       5番 本山 紘司君       6番 福田  司君   7番 清水  薫君       8番 大橋 和明君       9番 乙倉 賢一君  10番 大森 一生君      11番 小倉  博君      12番 田野 孝明君  13番 河野 慶治君      14番 渡辺 知典君      15番 福島 恭子君  16番 山本 雅彦君      17番 小林孝一郎君      18番 大塚  愛君  19番 高橋  徹君      20番 須増 伸子君      21番 氏平三穂子君  22番 吉田  徹君      23番 中川 雅子君      24番 木口 京子君  25番 市村  仁君      26番 上田 勝義君      27番 小林 義明君  28番 中塚 周一君      29番 江本 公一君      30番 太田 正孝君  31番 池本 敏朗君      32番 小倉 弘行君      33番 加藤 浩久君  34番 遠藤 康洋君      35番 神宝 謙一君      36番 波多 洋治君  37番 柳田  哲君      38番 高原 俊彦君      39番 荒島 俊造君  40番 笹井 茂智君      41番 増川 英一君      42番 山田総一郎君  43番 蜂谷 弘美君      44番 住吉 良久君      45番 高橋 戒隆君  46番 蓮岡 靖之君      47番 伊藤 文夫君      48番 小田 圭一君  49番 渡辺 英気君      50番 内山  登君      51番 小野 泰弘君  52番 河本  勉君      53番 小田 春人君      54番 天野  学君  55番 千田 博通君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     那須 信行           次長       米戸 健浩  議事課長     下坂 泰幸           政務調査室長   中西  健  議事課長代理   岡本  聡           議事課長補佐   岡崎 将丈  議事課主幹    前田 英雄           議事課主事    中田 智也           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       伊原木隆太君          副知事      菊池 善信君  副知事      横田 有次君          公営企業管理者  佐藤 一雄君  危機管理監    塩出 則夫君          総合政策局長   片山 誠一君  知事室長     須江 裕紀君          総務部長     村木 智幸君  総務部次長    笠原 和男君          県民生活部長   伊藤 敦哉君  環境文化部長   古南 篤子君          保健福祉部長   西嶋 康浩君  産業労働部長   小林 健二君          農林水産部長   槙尾 俊之君  土木部長     原田 一郎君          出納局長     三浦 智美君教育委員会  教育長      鍵本 芳明君          教育次長     池永  亘君公安委員会  委員       服部恭一郎君          警察本部長    扇澤 昭宏君  警務部長     臼井 伸幸君人事委員会  委員       吉松 裕子君          事務局長     角田 直樹君監査委員  代表監査委員   山本 督憲君          事務局長     岸本 雅博君選挙管理委員会  委員長職務代理者 平松 卓雄君...