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06月24日-05号

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  1. 岡山県議会 2020-06-24
    06月24日-05号


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    令和 2年 6月定例会          ◎ 令和2年6月岡山県議会定例会会議録  第5号〇 令和2年6月24日(水曜日)                  議  事  日  程                  午前10時開議第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時開議 ○副議長(遠藤康洋君)  皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 一般質問 ○副議長(遠藤康洋君)  日程に入り,一般質問を行います。 15番福島恭子君。 答弁者は控席へ移動願います。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  皆さん,おはようございます。 福島恭子です。よろしくお願いいたします。 このたびの新型コロナウイルス感染症について,WHOは,昨日,世界の感染者数の累計が900万人を超えたと発表しました。亡くなられ方は,約47万人とも言われています。亡くなられた方への御冥福と治療中の皆様へ御回復を祈りいたします。 人類を恐怖に陥れたえたいの知れない感染症を相手に,県民の皆様,そして医療従事者をはじめ,知事,執行部など,御尽力いただいております皆様に感謝を申し上げます。 それでは,早速質問させていただきます。 まな娘,横田めぐみさんが,13歳の中学生のときに北朝鮮に拉致された横田滋さんは,6月5日に御逝去されました。本当に無念の気持ちでいっぱいだったと思います。御冥福をお祈りいたします。 横田さんは,新型コロナウイルスの影響により,入院先の病院で長い間家族に会えなかったことも報道されておりました。こうした新型コロナウイルス感染症拡大予防の観点から,社会福祉施設等に入所する高齢者が家族と面会できなかったり,楽しみだったカラオケが禁止になったり,外出を控えることで,認知症が悪化,症状が進行しているという相談を受けます。国は,2月に,社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について指針を示しましたが,実際には,施設によって判断せざるを得ない施設任せの状況です。今後,感染拡大を防止することを第一に考えることももちろん大切ですが,感染拡大を防止するために行う外出自粛,面会の禁止により,活動量が低下することで,認知症が悪化してしまう問題に対し,県としてどう対応するおつもりでしょうか。既に取り組んでいる内容がございましたら,併せて保健福祉部長にお伺いします。 続いて,新型コロナウイルスの影響で,子供が家庭で過ごす時間が長くなり,児童虐待が増加,または,見過ごされたのではという懸念があります。長引く休校や外出自粛で学校や地域の目が届きにくくなっているためです。児童虐待相談対応件数が減っている自治体も多数あり,潜在化しているのではと心配しています。テレワーク等で日中も家にいる両親が子供の目の前でけんかをするといった,いわゆる面前DVが増加していることも耳にしました。岡山県と岡山市それぞれ1月から5月の児童虐待相談受付件数面前DVの数,潜在のおそれはなかったのか,傾向を教えてください。 また,潜在化のおそれがあった場合に,取り組んだことがあれば,教えてください。 さらに,受け付けた児童虐待の相談に対して,子供の安全確認など,適切な対応ができたのでしょうか,併せて保健福祉部長にお伺いします。 国は,学校休業や外出自粛等を踏まえた児童虐待防止対策として,子供の見守り強化アクションプランを実施するよう通知しました。県は,支援が必要な家庭に適切に対応するよう,指定都市と中核市を除く市町村に周知することとなっています。現在,児童相談に配置している児童福祉司は,県が34名,児童心理司が20名で,児童福祉司1人当たりの担当は86ケースです。岡山市は,児童福祉司が24名,児童心理司が12名で,児童福祉司1人当たりの担当ケースは47とお聞きしています。アクションプランの実施は,岡山市,倉敷市を含め市町村でしっかりと実施できたのでしょうか。支援対象児童特定妊婦の状況把握と支援,面談等が確実に実施できたのでしょうか。確認できなかったのは,どんなケースか把握されているでしょうか,併せて教えてください。 また,プランでは,民間団体にも幅広く協力を求め,地域のネットワークを総動員し,体制を強化とありますが,感染防止の要請をお願いしている中で問題点等はなかったでしょうか。 さらに,今後,新型ウイルス感染拡大の第2波,第3波が発生する可能性が十分にあるとされています。第2波,第3波に備え,児童虐待の防止に向けたどのような取組が必要とお考えでしょうか。 以上,保健福祉部長へお伺いします。 続いて,児童養護施設出身子供たちについてお伺いします。 専門学校,大学へ進学,または,就職した児童養護施設出身子供たちについては,保護者等から支援が見込まれず,経済的に苦しい状況にある場合が多いのではないでしょうか。県として,こうした状況にある児童養護施設出身子供たちを救う必要があると考えますが,現在,把握している状況と,実施している取組や,今後の対応について,併せて保健福祉部長にお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 保健福祉部長中谷祐貴子君。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  自由民主党の福島議員の質問にお答えいたします。 福祉への影響についての御質問であります。 まず,社会福祉施設等での対応についてでありますが,新型コロナウイルス感染症については,十分な知見がない中で,まずは,重症化リスクの高い高齢者の命を守ることを最優先に考え,面会禁止や施設内での3つの密を避ける取組を要請してきたところでありますが,入所者の活動量の低下などにより,認知症の悪化も懸念されているところであります。今後,国の補正予算を活用しながら,必要な衛生資材の提供や,感染防止のための研修の実施などを進めるとともに,関係団体と連携し,新しい生活様式を取り入れたケアやリハビリテーションの実践事例の紹介なども行ってまいりたいと存じます。 次に,児童虐待のうち,相談受付件数等についてでありますが,1月から5月までの受付件数は,県は588件,岡山市は365件となっており,このうち暴力の目撃等によるもの,いわゆる面前DVは,県が178件,岡山市が66件となっております。県の受付件数は,前年同時期と比べ約50件増加しておりますが,岡山市では約90件減少しており,潜在化のおそれは否定できないものと考えております。県では,多くの県民に関心を持っていただくよう,広報誌等を通じて児童虐待に関する相談窓口の周知等を行うとともに,受け付けた相談については,速やかに子供の安全を確認し,一時保護など,必要な対応を行っているところであります。 次に,アクションプランの実施についてでありますが,岡山市・倉敷市を含む全市町村において,支援対象児童及び特定妊婦約4,800名について,市町村の担当者が家庭訪問や電話等により状況を把握し,必要な支援につなげていると聞いております。このうち,市町村において状況が確認できなかったケースは2件で,その内容については,県としても把握しているところであり,必要に応じ,児童相談や保健所等でも適切に対応してまいりたいと存じます。 次に,問題点についてでありますが,アクションプランの実施に当たり,岡山市や笠岡市などにおいて,民間団体と連携した見守り活動を行ったと聞いております。その中で,日頃からつながりのない子供の状況確認が困難であることや,外出自粛を要請されている中で,訪問が難しかったことなどが課題であったと聞いております。 次に,今後の備えについてでありますが,県では,これまで,虐待相談ダイヤル等の周知による県民意識の向上,児童福祉司の増員等による児童相談の体制強化,専門家の派遣を通じた市町村の対応力の向上などに取り組んできたところであります。再度,学校の休業等があった場合にも,児童虐待を潜在化させることなく,早期発見,早期対応につなげるためには,定期的に状況確認を行うよう,市町村に働きかけるとともに,民生委員等による見守り活動を推進していくことが重要であると考えております。このため,市町村や関係機関と緊密に連携し,こうした取組を進めることにより,子供を虐待から守り,健やかに育む社会の実現を目指してまいりたいと存じます。 次に,児童養護施設出身子供たちについてでありますが,県では,これまで,生活資金等の貸付けや就学・就労に関する相談等の支援を行っており,新型コロナウイルスの影響により,勤務日数が減少したため,生活費や学費が不足しているなどの声が寄せられているところであります。今後,生活資金貸付額の増額や貸付対象の拡大を行うこととしており,こうした情報の提供やきめ細かな相談対応などを通じて,施設出身子供たちの自立を引き続き支援してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  御答弁ありがとうございました。 まず,1項目めからですが,十分な知見がない中で,これからの方針というのは,確かに今すぐ決まることではないとは思っていますが,少なくとも今の状況や,問題点をしっかり集約していくことは,必要と思います。先ほど答弁では,認知症の重症化が懸念されているということだけおっしゃられたんですが,やはりその状況がどうなっているかを確認されているのでしょうか。もしくは,そういった社会福祉施設のほうから,こんなことで困っているというような問題点や課題等が寄せられては来ていないでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  再質問にお答えいたします。 社会福祉施設等での認知症の悪化などの状況や課題について,状況を把握しているかという御質問でございますが,新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,社会福祉施設においてどのような感染対策が行われているか,あるいは施設等でお困りのことがないかといったことは,関係団体を通じて定期的にヒアリングをさせていただいております。また,感染対策の状況やあるいは衛生資材の不足状況についても,調査をさせていただいているところでございます。その中で,認知症が実際に悪化したという具体的な事例までは,県として伺ってはおりませんが,今,少しずつ活動制限が解除され,いろいろな活動も再開してきておりますので,新しい生活様式をしながら,具体的にケアをどうするか,施設職員の方が様々工夫されていると聞いておりますので,県としては,そういった情報を収集して,いろいろな施設に情報提供していければと思っているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  ありがとうございます。引き続き,よろしくお願いいたします。 そして,DV,テレワーク等の話ですが,例えば,毎年の数だけ見ると,ちょっと分かりにくいところがあって,昨年の今頃は,品川区で起きた児童虐待など,いろいろな問題があったので,そういう時には件数が増えたことがある。毎年の比較は難しいとは思いますが,面前DVが増えている傾向にあるかどうか教えていただけたらと思うのですが。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  再質問にお答えいたします。 面前DVの件数の推移についてでございますが,1月から5月の面前DV受付件数については,県では178件でございまして,前年の同時期と比較しますと35件増加しております。岡山市につきましては,1月から5月までの合計が66件で,前年同時と比較して約10件減少しているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  ありがとうございます。 ちょっと数だけ見ると,県のほうは増えてるのでしっかり把握できているかと思うんですが,岡山市のほうはトータルでいうと90件減少,DVでいうと10件減少ということなので,ちょっと潜在化のおそれがあるのかなという感じもしますが,そのあたりは部長はどのようにお感じですか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  再質問にお答えいたします。 潜在化のおそれについての御質問でございますが,確かに新型コロナウイルスの影響で,自宅で過ごす時間が増えていることなどにより,虐待の受付件数が減少していることだけを見ると,潜在化のおそれは否定できないと考えており,県として岡山市にお話を伺ったところ,当然関係機関と連携して情報収集に努めると伺っておりますので,県としても市と連携して児童相談等々において適切に対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕
    ◆15番(福島恭子君)  はい,ありがとうございます。 岡山市は,児相があるので,所管だけでいうと,県と別枠ということになるんですが,多分市民,県民にとってはそんなことは全く関係ないことであって,ましてや子供にとっては絶対に関係のないことだと思います。 それでは,市と県が本当にしっかり連携できているのかというのは,ちょっと疑問に思うような点が今までの質問の中でもあったかと思います。今,部長がこれは連携してと言われていたと思いますが,それが果たして本当にできるのかどうかをもう一度お聞かせ願えたらと思うのですが。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  再質問にお答えいたします。 児童虐待の対応に当たり,岡山市と県の連携についての御質問でございます。 確かに,児童相談の所管自体は,岡山市は岡山市ですし,県は県のエリアが別でございますが,県の要保護児童対策協議会には,岡山市も関係機関として入っておりますし,児童虐待の対応には,当然警察との連携も重要でございますので,そういった研修会も岡山市と県と合同でさせていただいております。職員の交流などもあるところですので,そういった意味での技術的な助言ですとか,具体的な対応に当たっての情報共有に関して連携を密に対応してまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  ありがとうございます。 岡山市以外のところは,県がある程度把握されていると思うので,私もあまり心配していないんですが,岡山市は県内でも最も虐待が多い地域でもありますので,所管が違うからということではなくて,県でもこれからもよく気をつけていただければと思います。 アクションプランですけれども,今4,800件で2件対応できていない,この2件はなぜ対応ができていなかったかをちょっとお聞きしたい。そもそもこのアクションプランが,週に1回は少なくとも確認をするというような内容になっているんですね。4,800件ものケースを,1週間に1回,要対協のほうで確認しろというのは,なかなか結構厳しいことじゃないかと思うんですが,それも2件だけというのはちょっとすごいと思っているんです。これは,1週間に1回必ずそういうふうに見られていたのか,どういう確認の仕方をされていたのか,あと2件のできていない理由も教えていただけたらと思います。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  再質問にお答えいたします。 アクションプランの見守りについてどのように行ったのかという御質問でございます。 この4,800人の対象児童特定妊婦に関しましては,その要保護児童対策地域協議会だけでなく,学校や保育,市町村の担当部署などと連携をして確認するということになっておりまして,例えば,就学児童であれば,学校に確認をお願いする,あるいは就学前の児童であれば,保育や幼稚園にお願いをするということでございます。県内,休業していない学校等もございますので,そちらに関しては,学校経由で確認できた部分も多くありますし,当然保育,幼稚園も同様の状況でございます。そのように関係機関と連携をして確認したので,4,800人ほとんどが確認できたと考えております。 2件の状況につきましては,面会に何度か訪問したんですけれども,会えていないということですので,これから夕方以降に面会に行ったり,あるいは児童相談と一緒に面会に行ったりということで,さらにフォローアップをしていくと聞いております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  はい,ありがとうございます。 4,800人,大変だったと思いますが,しっかりやっていただけてるのではないかと思います。 それから,問題点ですが,要は感染防止をお願いしている中でのということ,これもアクションプランICT機器を用いた通信手段による状況確認というのを提案されていますが,これはちょっと難しいのではないかと,私は思いますが,ICTの提案について部長はどのように思われますか。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  再質問にお答えいたします。 状況確認に当たり,ICTの活用についてどう思うかということでございます。ICTというものの定義がかなり広く,当然電話での確認もICTといえばICTでございますし,最近の若い親御さんであれば,スマートフォンの動画で実際にお子さんを見ることなども可能といえば可能です。対象の児童や御家庭に応じて,可能であればそういったことも活用していくこと,補完的なものとしては使えるのではないかと思っております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  ありがとうございます。 最後に,児童養護施設出身者のことを聞きたいのですが,その前に,2波,3波のお話でちょっと要望させていただきます。岡山県ではなかったんですが,保護者が陽性だったお子さんが,児相に預けられたそうです。すごく大変だったと伺っているので,こうしたことなども考慮して,2波,3波が来ないことを祈っていますが,備えていただけたらと思います。 児童養護施設の子についてですが,今きめ細やかな相談ができるようにという御答弁をいただきましたが,今現在,私が確認している中では,施設出身者の子はやっぱり相談しに施設に戻ってくるらしいんです。そういう受皿になってくださっている施設に対しては,公立でも私立でもすばらしいことと思っていますが,これは現場の努力以外のもう何物でもないと思っています。そういったことについて,やっぱり県としてもしっかり把握して,きめ細やかな相談が,出身者の子供に対してできるようなことを考えていただきたいのですが,このことについて部長にもう一度お伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  保健福祉部長。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  再質問にお答えいたします。 児童養護施設を退した子供たちを施設のほうで受け入れたり,今回の新型コロナウイルスの影響に当たりまして様々努力されていることについての御質問でございますが,県としましても,今回,新型コロナウイルスの影響で生活費や学費が不足して生活困窮した退児童を施設で受け入れた例が2件あると伺っております。そういった施設は,本当に言わばボランティアで,御努力で対応していただいているということで,本当に敬意を表したいと思っているところでございます。 ただ,実際には,制度上はそういった子たちは措置の対象にはならないということもございますので,県としてもそういった制度の弾力的な運用については,国に要望してまいりたいと思っておりますし,また,いろいろ感染対策で必要になる経費等につきましては,今議会で提案している補正予算で様々措置がされておりますので,そういったものの情報提供もしていきたいと思っております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  部長,ありがとうございました。 こういうコロナの中で,児童虐待の担当の方も大変御苦労されていると思うんですけれども,いかんせんうまくいっているときには,何のスポットも当たらなくて,何か事件があったときだけ,もう蜂の巣をつついたように大騒ぎして,「児相が悪い,児相が悪い」と言われてしまうような状況の中でも一生懸命御努力していただいていることに,心から感謝をしたいなと思います。 次に,経済への影響についてお伺いします。 マスクや防護服などの医療用物資をはじめ,農産物や建築用資材自動車部品など多くの物資を中国をはじめとする海外から輸入していますが,このたびの新型コロナウイルスの影響で,多くの医療現場において,医療用物資が不足し,また,工場や工事現場などでの作業がストップする事態が発生し,我が国のサプライチェーンの脆弱性が顕在化しました。県内でも,資材の輸入がストップしたことで,工場や工事現場での作業がストップしたと聞いています。こうした事態により,県内企業がどれほどの影響を受けたのか,県で把握している内容をお聞かせください。また,こうした問題に対する取組についても,併せて産業労働部長へお伺いします。 緊急時に必要となる医療用資材建築用資材自動車部品など,日本の製造業を支える資材については,今後,日本国内での製造を推進していくべきではとも考えます。国も,4月30日に成立した緊急経済対策において,生産拠点の国内回帰を後押しすべく,2,200億円の予算を計上しています。一方で,先週の山陽新聞で,岡山県では,海外展開する企業が4年連続で増加し,2019年末で最多の375事業になったとの記事を目にしました。県として,県内企業における生産拠点国内回帰のニーズを的確に把握し,支援する必要があると考えますが,産業労働部長のお考えをお聞かせください。 新型コロナウイルス感染拡大による影響により,経営が悪化し,株価の下落など,企業価値が低下した企業を狙った海外資本による買収の動きがあり,安全保障の観点から,諸外国において自国の企業を守るため,様々な策を講じる動きがあると伝えられています。このことは,日本においても同様ではないでしょうか。海外資本から県内企業を守る観点からも,新型コロナウイルスの影響により体力の弱まった県内企業を支援する必要があると考えます。6月12日に成立した国の第2次補正予算における企業支援策などを踏まえた,今後の取組方針について,産業労働部長にお尋ねします。 持続化給付金給付対象条件に,2020年1月以降に新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上げが前年同月比50%以上減少した月があると受給ができるが,前年同月期に売上げが少ない事業者は,たとえ今年売上げが少なくても対象外になります。また,2018年に創業して2期目,2019年の秋から売上げが上がり始め,2020年5月頃影響が出てきても,秋に半減しないと給付されません。今が一番大変で給付を受けたい時期なのに受けられないのは,おかしいのではないでしょうか。本来であれば,年間を通じて考えなければならない業種もあります。国の第2次補正予算で,2020年1月から3月,新規開業の方にも持続化給付金が拡充されることになりました。事業の持続を一生懸命しようとしている会社が対象にならないケースや,ルールの落とし穴に落ちてしまった企業,個人事業主の方を把握し,制度の改善を国へ提言するとともに,持続化給付金等国の支援策の対象から漏れてしまった方を救う対策を考えていただきたいと思います。産業労働部長のお考えをお示しください。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 産業労働部長小林健二君。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕 ◎産業労働部長(小林健二君)  お答えいたします。 経済への影響についての御質問であります。 まず,サプライチェーンについてでありますが,新型コロナウイルスの影響で,資材や部品の輸入がストップしたことにより,資金繰りに悪化を来す企業や工場を休止する企業が見られるなど,県内においても影響が現れたところであります。現在,そうした状況は徐々に改善されてきておりますが,県では,こうした企業に対し,無利子無担保の融資制度により,資金繰りを支援するとともに,有事にあっても企業活動が継続できるよう,BCPの作成を促進するなど,県内企業の事業継続支援に取り組んでいるところであります。 次に,生産拠点の国内回帰についてでありますが,新型コロナウイルス感染症の拡大で顕在化したサプライチェーンの問題は,今後の企業の投資戦略においても重要な位置を占めるものと考えております。このため,県では,市町村や関係機関と連携して,企業の動向を的確に把握しながら,お話の国の補助事業の活用を呼びかけるなど,生産拠点の国内回帰も視野に入れた投資の促進を図ってまいりたいと考えており,既存の補助制度も活用しながら,県内企業の支援に努めてまいりたいと存じます。 次に,海外資本への対策についてでありますが,高い技術力を持つ企業が安定した財務基盤のもと,企業活動を継続することは,本県経済の持続的発展のため,大変重要と考えております。お話のように,国の第2次補正予算において,中小企業等に対する資本増強策が強化されたところであり,新型コロナウイルス感染症の影響で財務の安定性が著しく揺らぐことがないよう,金融機関等と連携し,国の制度を活用しながら,本県経済を牽引する企業の支援に努めてまいりたいと存じます。 次に,企業支援についてでありますが,国の持続化給付金は,感染症拡大により特に大きな影響を受ける事業者を対象とした事業全般に広く使える給付金であり,1年のうち一月でも要件を満たせば申請可能であるなど,事業者を幅広く支援する公平性の高い制度となっており,国へ制度改善を提言することは考えておりません。 なお,今後の事業者支援については,国が第2次補正予算で行う施策等を勘案しながら,効果的な支援策を講じることができるよう検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移ります。 15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  ありがとうございます。ちょっと最初に要望だけいたします。 今すぐいろんなことが動くというのは,ないと思うんですけれど,国に提言しないというのはどうかと思いました。しっかり情報を集めていけば,これはやっぱり国とルールについて話しをしないといけないということにもなるかもしれないので,そのあたりを集めていただきたいのです。今回,何かできることないかと,私もいろいろ調べてみました。友人とテイクアウト専用のウェブサイトを作ってみたり,それから食事券を作ってみたりとかいろいろやってみたんですけれど,そういったことに対する補助が全然なかったので,いざというときに頑張る企業も即座に応援できるような,頼りになる行政であってほしいなと思いますので,よろしくお願いいたします。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため,国は,まず新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を示し,さらにテレワークやオンライン会議を推奨する新しい生活様式を示しました。かつて工業化の進展によってホワイトカラーとブルーカラーという区分けができたように,新型コロナウイルス感染拡大の防止によって,エッセンシャルワーカーとリモートワーカーという新しい区分けができたと思います。 最近,リモートワーカーの間では,都市部から郊外への移住が進んでいます。働き方改革と暮らし方改革が,同時に,かつ急激に進んでいる現在,こうした移住のニーズを把握し,リモートワーカーに対して,岡山県への移住を促してはいかがでしょうか,知事の御所見をお聞かせください。 マイナンバーカードは,平成28年1月から国民の利便性向上と行政事務の簡素化・効率化を目的に発行されました。国は,キャッシュレス決済の利用促進のためのポイント付与,クレジットカードとの連携,令和3年から健康保険証の利用など,また,今朝の新聞では運転免許証にもとありましたように,マイナンバーカードの普及のための策を講じてまいりましたが,県内での今年1月までの普及率は12.2%にとどまっていました。しかし,一律に1人当たり10万円が支給される特別定額給付金のオンライン申請に,マイナンバーカードが使用可能となったことになり,この4月からマイナンバーカードの発行の申込みが急増し,各自治体はこれの対応に追われていたと言われています。 自民党では,マイナンバーシステムの振込先の口座番号や連絡先などを登録して,国が名簿として管理する法案を今国会に提出しました。これは,特別定額給付金の現金10万円一律給付に多くの自治体で時間がかかったことを受けたものであり,これにより,国の給付金などを速やかに支給できることとしています。また,現行法では,特別給付事務にマイナンバーの利用が認められていないため,自治体は,10万円の給付事務に必要がなくなった時点で申請された口座番号を廃棄しなければなりません。自民党案は,口座番号を緊急時の給付を目的とする口座として申し出ていただき,マイナンバーとともに登録することで,今後,同様の事態が発生した場合に,速やかに給付金の支給を行えるようにするものです。 また,現在,国において,マイナンバーカードを活用し,公共施設の利用者カードや商店街のポイントなど,各種サービスの共通手段とするマイキープラットフォーム構想が進められています。行政の効率化のみならず,地域経済の活性化のため,国,市町村と連携しながら,マイナンバーカードを普及していくことが重要だと思いますが,マイナンバーカードに対する知事の御所見と普及のための取組について,併せてお伺いします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の福島議員の質問にお答えいたします。 新しい生活様式についての御質問であります。 まず,移住促進についてでありますが,今回の感染拡大を受け,地方移住の機運が高まっており,特にお話のリモートワーカーは,一定の通信環境の下,地方で暮らしながら都市部の仕事を行えることから,移住・定住への関心も高いのではないかと思われます。このため,県では,市町村等と連携し,既存事業の活用により,仕事場の通信環境の整備を支援するほか,各種相談会等を通じて,リモートワーカーのニーズ把握に努め,効果的な対策を検討してまいります。 次に,マイナンバーカードについてでありますが,マイナンバーカードは,行政の効率化を進め,安全・安心で利便性の高いデジタル社会を実現するための基盤であると考えております。このため,県では,国に対し,カードの利活用の拡大を働きかけるほか,県立図書館の利用者カードとしての活用に向け準備を進めるなど,利便性の向上に取り組んでおります。 また,受付時間の延長や事業等での出張受付などを実施するよう市町村に促し,カード申請の促進を図るとともに,マイナポイントのPRイベントとタイアップした啓発活動を行うなど,引き続き,マイナンバーカードの普及拡大に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  知事,ありがとうございました。 移住促進,もうこれは,岡山県でも取り組んでいらっしゃるし,新聞等でももう話題になっていることだと思います。 ただ,ふるさと回帰支援センターに,今年の初頭に伺ったとき,理事長さんがいろんなデータを持っておられたんです。まず移住希望者というのは,一度も訪ねたことのない県には絶対に移住しないということを言われてました。一度も訪ねたことのない県には,移住しないので,まずは1回でもいいから来てもらうことが大事である。岡山県は,Iターンは多いんですけれど,Uターンが少ないそうです。だから,帰ってきてくれない方が多いということで,ほかの県はUターンがまあまあ多いと言われていました。だから,同窓会に狙いを定めているというような県もあるそうで,このように,本当にいろいろなことを御存じでしたので,もちろん岡山県もそのあたりは御存じだとは思うんですけれども,いろいろ工夫していただけたらと思います。 あと,マイナンバーカードなんですが,普及率が私は低いと思っているんですけれども,知事は,この低かった理由を何だと思われますか。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  低い理由は何かということですが,これは他の都道府県と比べて低い理由と絶対値として低い理由,それぞれ違うと思います。私自身は,一般の県民の方には,カードを作らなくても特に一般的な生活に支障がないからだと考えております。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  そうですね,確かにふだん困らない。だから,今回は10万円給付と聞いた途端にマイナンバーカードみたいなところがあったのかもしれません。確かに皆さんにマイナンバーカード作ってくださいと言っても,行政の利便性だけではなかなかやってもらえない。では,なぜ国はこのことについてやろうとするかといいますと,結局は行政事務の効率化だけではなくて,公正で迅速な福祉というところだと思うのです。今回のような事態がいざ突然起こったときに,やっぱりスピード感が全然ないというか,今でも多分10万円が届いていない人,大勢いらっしゃると思うんです。だから,私はこれは何とかするべきだと思うんですけれども,知事はどのように思われますか。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  マイナンバーカードがきちんと普及をしていない,もしくは機能できるような仕組みになっていない,これらについてどう思うかということであります。 大変残念であります。技術的には,もう随分前から出来上がっていて,これが非常に効率的でいい仕組みだということは,私,この国は入れているとか,頭の中に表があるわけではありませんけれども。先進国の,大半の国がもう導入をして活用していることから考えて,日本でこの制度がいい形で導入されていない,全国民がきちんと持つことになっていないのは,本当に残念でございます。私自身は,もう20年も,多分もう少し前,こういう構想がいろいろ取り沙汰されている頃からの推進論者であります。その当時,これは国民総背番号制だということで,随分反対がなされて,導入は遅れ,また,導入されたマイナンバーカードも非常に限定的な用途にしか使えないということは,私は本当に残念に感じているところでございます。今回のことを契機に,しっかりと使えるカードにするべきだと,私自身は考えております。 ○副議長(遠藤康洋君)  15番。   〔 15番 福島恭子君 登壇 〕 ◆15番(福島恭子君)  ありがとうございました。 これも要望でいいんですけれども,こういうマイナンバーカードというものは,さっき知事が言われたように,背番号をつけられるんじゃないかとか,情報が引き出されるんじゃないかとか,皆さんから信用がないというのは,それは私たち政治家も,それから行政も反省すべきところなんだと思いますが,やっぱりこうしたことによって,いろいろなことがスピーディーに展開するということは,ほかの国の例を見たらもう間違いないと思います。特に今回のコロナのことについては,私も政治家として存在意義とか,使命を見直す機会に本当になったなと思っております。知事もいろいろなことを感じられたと思うんですが,そこを最後にお願いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  今は日本の場合,名前と生年月日,あと住所とかで総合的に判断していることが多いわけですけれども,同姓同名の人が同じ日に生まれたことで,取違いというのはやっぱり時々起きるわけなんです。やっぱりこれはダブりのない数字を,別に記号でもいいんですけれども,割り振るというのはもう基本中の基本であります。私自身,アメリカ留学のときにいただいたソーシャルセキュリティーカード,今でも宝物のように取ってます。また,入国した場合には,私はその番号で認識をされることになりますので,大事にしております。今回のマイナンバーカードの普及促進のためのワーキンググループの,有識者6人のうちの1人が私のモニターカンパニー時代の後輩であります。非常に優秀なことを知っている人間でありますので,ぜひ彼も含めて皆さんいい知恵を出してくれることを期待しています。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で福島君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 4番松島幸一君。   〔 4番 松島幸一君 登壇 〕 ◆4番(松島幸一君)  皆様,おはようございます。 自由民主党岡山県議団の松島幸一でございます。 質問に入ります前に,先ほど福島議員も触れられましたけれども,北朝鮮による日本人拉致問題において長年にわたり拉致被害者家族会の会長として,拉致された日本人全員の早期救出のために力を注いでこられた横田滋さんがお亡くなりになりました。この場をお借りして,生前の横田さんの御活動に対しまして敬意を表しますとともに,心から御冥福をお祈り申し上げます。 お嬢様の横田めぐみさんが拉致されてから約40年,無事を祈り,再会を願い,つらく苦しい感情を押し殺しながら,常に先頭に立って活動を続けてこられたものの,願いかなわず,別れなければならなかった横田さんや御家族の無念さを思うとき,悔しさはどれほどだろうか,そして私たちにできることがもっとあったのでないだろうかと,自責の念に駆られます。拉致被害者の御家族,とりわけ御両親は御高齢になっておられ,横田さん以外にも対面がかなわぬままお亡くなりになられた方もいらっしゃいます。政府が認定している拉致被害者は17名,特定失踪者約470名,北朝鮮による拉致の可能性が排除できない行方不明者は878名とも言われます。こうした被害に遭われている御家族の方々は,今この瞬間も再会を願い,活動を続けておられます。拉致は,我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題でありながら,私たちは今なお同じ日本人を取り返せないでいます。全ての人が自分事として捉え,拉致されている日本人全員の早期奪還に向けて行動しなければなりません。県内でも,様々な団体の方が拉致問題の早期解決を願う署名活動を続けておられます。県民の皆様には,お見かけの際に,ぜひ御協力をお願いいたします。 また,県に対しましても,拉致問題についての県民への一層の啓発と国に対して早期解決を働きかけていただくことをお願いし,質問に入らせていただきます。 まず初めに,新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する田園回帰の流れを捉えた本県の取組についてお伺いいたします。 一部所属委員会に関連する質問内容がございますが,御容赦のほどお願い申し上げます。 農林水産省は,本年3月19日,新たな「食料・農業・農村基本計画」の案を示し,そこには新型コロナウイルス感染症への対応策などが追加されました。地域政策において,「田園回帰」の表記が加えられ,地域の維持と次世代への継承のため,幅広い層による農村振興を後押しする考えが示されており,この基本計画案は,3月末に閣議決定がなされました。この基本計画を基に,農林水産省内に,「農村政策・土地利用の在り方」プロジェクトが設置され,去る5月19日に,「新しい農村政策の在り方に関する検討会」の第1回会合が開かれました。 この中で,『新型コロナウイルスの感染の拡大で社会に対立や分断が広がる中,「低密度空間」である農村の価値を見直し,今後の振興策を検討することは,「ポストコロナ社会の設計に直結する」として,広く国民的な議論を期待する』といった指摘がなされました。そして,「農村の実態や要望を把握し,分析調査と課題解決までを一貫して実践する人材を育成する仕組みをつくり,市町村での活用を促すこと」や,「半農半Xなど,なりわいの観点から,農業とその他の所得確保を組み合わせる複合経営による多様なライフスタイルなどへの支援策」を検討することとなりました。新型コロナウイルス感染症という100年に一度と言われる人類の危機にあって,これまで農業・農村との関わりが少なかった都市部の人材が農業・農村の価値や魅力を再認識し,都市と農村を往来したり,農村に定住したりするなど,田園回帰の風潮が大きくなっていることは,農村・中山間地で暮らす我々にとっては一つの希望であり,この流れをつかみ,農村振興,中山間振興につなげていかなければならないと,強く感じております。 この流れは,「岡山移住・定住促進パワーアップ事業」など,移住・定住の促進に重点的に取り組む本県にとってプラスになるものであり,人口減少や高齢化が進む地域の活性化につながるものと考えますが,まず知事に,新型コロナウイルス感染症に起因する田園回帰の流れについての受け止めをお伺いいたします。 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が,東京一極集中の解消に向けて,地方への移住を促進するため,今年1月に,東京,埼玉,千葉,神奈川の1都3県在住の20代から50代の男女1万人を対象に行ったインターネット調査では,東京圏在住者の49.8%が1都3県以外の地方暮らしに関心があると回答し,若い世代ほど移住の意向が強い傾向にあったとのことです。この調査自体は,新型コロナウイルス感染症が拡大する以前に行われたものですが,同本部は,「コロナ禍で地方への関心は一層高まる可能性があり,地方暮らしをPRしていく」としています。 本県は,これまでも,「岡山県移住ポータルサイトおかやま晴れの国ぐらし」の活用や,東京,大阪への相談窓口の設置や移住相談会の実施,このほかにも移住・定住促進応援事業として,県外からの移住者を対象に,空き家改修費を補助する「空き家改修助成事業」や,空き家等を活用した事業等の新規開設に係る改修費などを県と市町村が補助する,「若者×空き家等活用×事業者支援事業」などを実施しているところであり,移住者は,平成28年度には2,773人,29年度3,300人,30年度3,080人となっていますが,まだまだ転出超過が続いているのが現状であります。 こうした中,広島県では,県内に事業を移転,もしくは新設する際に,最大1億円の助成が受けられる制度を市町村と連携し,実施しています。これは,製造業,運輸業,サービス業などを行う企業が研究開発,企画,総務といった複数事業に対する業務,または,全社的な業務を行う部門を広島県内に置き,3人以上が勤務する場合,移転・新設に係る初期費用の半額,転勤するスタッフと一緒に暮らす家族に対して,1人100万円を県が助成するもので,これに併せて事業を設置する市町村より,最大でオフィス賃料の5年間無料,通信回線費5年間無料などといった助成が受けられるというものです。こうした取組の結果,広島県は,仕事をしながら暮らせる地方として人気を集めており,NPO法人ふるさと回帰支援センターが調査した2019年移住希望地域ランキングでは,全国2位に輝いています。 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて,テレワークの推進がうたわれ,地方に住みながら都会とつながるという働き方も一つとなっています。国のまち・ひと・しごと創生総合戦略第2期でも,昨年度始まった東京都23区在住・在勤者が地方へ移り住んで就業や起業した場合,転居や事業などの資金として,最大300万円を支給する制度が継続されており,こうした機会を捉えて,本県への移住・定住を促進すると同時に,中山間地に多く存在する空き家の活用を促すために,さらに市町村と連携し,空き家活用による居住や事業開設への助成拡大を考えていく必要があると考えますが,県民生活部長のお考えをお伺いいたします。 さらに,新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に,企業の地方移転も進む可能性があると考えます。また,生産拠点の国内回帰等によるサプライチェーンの再構築の動きも見られます。企業の県内移転や生産拠点の県内誘致が実現すれば,県内企業にとって新たな受注の獲得につながるとともに,雇用も確保できると考えますが,企業の県内移転,企業誘致を促進するための本県の取組方針を産業労働部長にお伺いいたします。 一方で,中山間地域の振興に当たり,本県では,地域の実情に合わせた施策を県が重点的,効果的に実施していくために,基本方針として,岡山県中山間地域活性化基本方針を定めていますが,平成26年の改訂以降6年が経過しており,中山間地域の現状と課題にも変化が生じています。平成31年2月定例会での小林義明議員の基本方針の見直しを問う質問に,知事は,「おかやま創生総合戦略と生き活きプランの改訂スケジュール等を踏まえ,改訂内容,また,時期を検討してまいりたいと存じます」と答弁され,その後,今年2月に開催された予算総括協議会における我が会派からの質問において,今年度,基本方針を見直すと,明らかにされました。今年度は,おかやま創生総合戦略と生き活きプランの改訂が予定されていますが,中山間地域活性化基本方針の改訂に当たっては,新型コロナウイルス感染症の拡大に起因するこの田園回帰の流れを受けての施策を盛り込んではどうかと考えますが,知事に御所見をお伺いいたします。 また,中山間地域は,人口減少や高齢化が進み,雇用情勢などが年々大きく変化している状況を鑑みて,一定の期間を定め,各種プランの改訂時に呼応して見直しを行うべきだと考えますが,併せて知事のお考えをお伺いいたします。 次に,デジタル技術を活用した防災対策についてお伺いいたします。 本県でも,今月10日に,梅雨入りが発表され,13日から14日,また,18日から19日にかけては,県内各地で大雨に見舞われるなど,今年も災害発生への懸念が高まっています。特に,平成30年7月豪雨を経験した本県は,今現在も公共土木施設や農地・農業用施設等の復旧工事を進めているところであり,本年度からの重点事業として,河道内整備事業(新ふるさとの川リフレッシュ事業)による河川氾濫リスクが高い箇所からの河道掘削や樹木伐採の実施,あるいは河川への水位計や監視カメラの増設,また,地域防災計画の作成支援や地域防災リーダーの養成など,ハード,ソフト両面からの防災対策を推進しており,今後,さらなる充実が求められています。そうした中,全国的にデジタル技術を活用した危険予測や災害の未然防止,防災対策を取る自治体が増えています。 例えば,広島県では,最新のデジタル技術を駆使して課題解決を図るプロジェクト,「ひろしまサンドボックス」の取組において,のり面崩落の予測を実現する新たな技術のアイデアを全国から募集し,実際にその提案を基に,実証実験が行われています。2018年6月に,広島県内の国道でのり面崩落事故が発生し,その土砂に巻き込まれた男性が死亡したという事故を教訓に,崩落の原因究明,対策工法及び今後ののり面対策の在り方について,検討が重ねられました。その中で,「コンクリートで固め,グラウンドアンカーで固定,さらにロックネットで覆うというような工法を全部ののり面には適用できない,ハード対策も重要だが,ソフト対策を充実させる必要があり,のり面の監視により,危険箇所の目星をつけ,崩落を未然に防げないか」という声があり,この取組が始まりました。それまでも週に1度,道路パトロールカーでの点検や5年に1度の専門機関による斜面チェックなどを行っていたそうですが,人の目で全てを把握すること,日々の細かな変化に対応することは難しく,デジタル技術の活用が必要という結論に至ったとのことです。 具体的な提案として,民間バスやスクールバスに小型カメラを搭載し,岩盤に変化が起こっていないかを監視するシステムや,AI内蔵型小型カメラを用いた定点監視による落石や音などののり面崩落の前兆現象の把握,また,樹木の頂点を座標としてずれを感知し,崩落を予測するシステムなど,全国の企業や団体から,それぞれの持つ技術力を駆使した提案がなされました。こうしたデジタル技術の活用は,多くの自然災害が発生している本県においても,非常に有効であると考えます。広島県の事例のように,民間企業の技術を活用することにより,企業の新たな技術開発の後押しになる可能性もあります。デジタル技術を活用した災害の未然防止,防災対策について,知事の御所見をお伺いいたします。 また,スマートフォンやSNSなどを利用し,広く県民から情報を受け取る仕組みも考えられないでしょうか。 大阪市では,市民にまちの管理を手伝ってもらう取組として,「おしえ太郎」というシステムを始めました。これは,公共施設の不具合や道路のひび割れや段差,雑草の繁茂,不法投棄などといった情報を,市の「おしえ太郎」というページにアクセスし,写真と位置情報を送付することで,担当部署が情報を確認するという仕組みです。 また,東京都でも,住民らがスマートフォンで道路の損傷や不具合を撮影し,スマートフォンで投稿する道路通報システムを一部エリアで試行しています。対象の葛飾区の担当者は,「この通報システムにより,現場に行く前に画像で状況を把握でき,効率的に対応できる」としており,同じようなシステムは,和歌山県や千葉県千葉市でも運用されています。これらの自治体では,道路状況の把握などが主の運用ですが,例えば,これを災害の未然防止に活用することは考えられないでしょうか。地域住民にしか気づけない小さな変化や前兆,災害につながる危険箇所を住民に写真や位置情報で投稿してもらうような仕組みを構築し,そうした情報から県が緊急度,必要性に応じて対応を検討していくことで,多くの情報の把握と業務の効率化にもつながると考えます。道路状況の把握はもとより,岩盤の変化や落石や音などののり面崩落の前兆現象,樹木のずれなど,スマートフォンやSNSを活用して,県民から情報を収集し,それを防災・減災に生かしていく仕組みづくりについて,有効性への御所見と今後の展開の可能性について,土木部長のお考えをお伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の松島議員の質問にお答えいたします。 まず,田園回帰についての御質問であります。 所見についてでありますが,お話のとおり,新型コロナウイルス感染症の拡大を受け,感染リスクが高い都市部に比べ,自然に恵まれ,人間らしい生活を送ることができる地方の暮らしが再認識され,移住・定住への関心が高まっているものと考えております。県では,この機を逃すことなく,安全・安心な生活環境など,岡山の優位性を情報発信しながら,移住・定住の一層の促進に向け,各種施策を展開してまいりたいと存じます。 次に,中山間地域活性化基本方針についてでありますが,今回の改訂に当たっては,第2期創生戦略や第3次生き活きプランとの整合性を図りながら,地方移住の機運の高まりやテレワークなど,新しい働き方の普及をはじめとする感染症を契機とした社会の変化も踏まえ,検討することとしております。 また,基本方針は,計画期間を設けず,施策の基本的な方向性を示すものであり,各種計画等の関係や社会経済情勢の動向等を勘案しながら,適時適切な見直しを行ってまいりたいと存じます。 次に,デジタル技術を活用した災害の未然防止についての御質問であります。 所見についてでありますが,本県では,公共土木施設の定期点検等は,目視で行っており,点検の精度向上や省力化に加え,災害発生の予測等が課題となっております。お話ののり面崩落を予測するなどのデジタル技術を活用したシステムは,災害の未然防止に有効であると認識しており,民間企業等の新技術を登録している国のデータベースを活用するとともに,他県の先行事例も参考に,有効性や経済性等を見極めた上で,デジタル技術の導入について検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  県民生活部長伊藤敦哉君。   〔 県民生活部長 伊藤敦哉君 登壇 〕 ◎県民生活部長(伊藤敦哉君)  お答えいたします。 田園回帰についての御質問であります。 移住・定住の促進等についてでありますが,今回の感染症拡大を受け,地方移住への関心が高まっていることから,県では,市町村等との緊密な連携の下,ソフト,ハード両面から,移住・定住の促進に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。このうち,空き家活用については,住宅関係団体等と共同運営する空き家情報流通システムを通じて広く情報発信するとともに,移住相談においても,相談者のニーズに応じて物件情報のほか,国・市町村を含めた各種支援策を紹介するなど,移住者の住まい等の確保に向け,しっかりと取り組んでまいります。 また,お話の助成拡大については,移住・定住施策全体の効果検証を進める中で,その必要性を検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  産業労働部長小林健二君。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕 ◎産業労働部長(小林健二君)  お答えいたします。 企業の県内移転等についてでありますが,お話の企業の地方移転や生産拠点の国内回帰について,現在までのところ顕著な動きは見られておりませんが,企業の動向の的確な把握に努め,そうした動きがあれば,充実した交通インフラなど,本県の優位性をアピールしながら,県内への移転,投資の促進につながるよう,全力で取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  土木部長原田一郎君。   〔 土木部長 原田一郎君 登壇 〕 ◎土木部長(原田一郎君)  お答えいたします。 デジタル技術を活用した災害の未然防止についての質問であります。 情報収集についてでありますが,県では,ロードサポーター制度を設けており,道路の落石,陥没などについて,電話により県民から毎年100件程度の情報提供を受け,維持管理に活用しているところです。 御提案のスマートフォン等を利用した仕組みは,迅速に位置を特定し,より多くの情報を入手できる点で有効であると考えられますが,災害の未然防止に活用するためには,前兆現象の把握や判断が難しいことに加え,情報の緊急性や信頼性などの課題もあることから,今後,他の自治体の取組状況を参考にしながら,デジタル技術を活用した情報収集について研究してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  4番。   〔 4番 松島幸一君 登壇 〕 ◆4番(松島幸一君)  御答弁ありがとうございました。 どちらの質問に対しましても,知事からは,大変力強いお考えをお伺いできたと思っております。 また,知事も先般の一般質問でも触れられましたが,19日付の山陽新聞で,県への移住相談が急増しているというような記事が載っておりました。コロナの影響もあって,4月,5月の2か月で45件の相談が寄せられて前年同期の2.5倍に上っているということであります。ぜひとも岡山の魅力,その中でも中山間地域の魅力をしっかりと広く伝えていただいて,移住・定住につなげていきたいと思っております。 その中で,移住希望者の方の懸念事項としまして,交通の不便さであったり,収入の減少といったネガティブイメージが挙げられております。そうした中で,この中山間地域活性化基本方針の見直しを基にした,さらなる中山間地域の振興を行っていただく中で,そうした懸念の払拭のために,交通利便性の向上ですとか,雇用の場の確保,また,医療体制の充実等をしっかりと行っていただきますように要望させていただきます。 デジタル技術を活用した災害の未然防止につきましては,県が積極的な姿勢で活用に取り組むことによって,災害の未然防止だけでなくて,企業の新たな技術開発にもつながるなど,広く県民にとって有益な事業になるのではないかと考えております。県民の安心・安全を守るためにも,ぜひ前向きな御検討をお願いいたします。 今年こそ,災害の少ない夏になりますようにと願いつつ,質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で松島君の質問は終了いたしました。 次の質問者に移ります。 23番中川雅子君。 答弁者は控席へ移動願います。   〔 23番 中川雅子君 登壇 〕 ◆23番(中川雅子君)  皆様,おはようございます。 民主・県民クラブの中川雅子です。 先日,このコロナで外出が難しい時期でしたが,ある1通のメールが届きました。それは,元バルセロナオリンピックでヨットのコーチをされていた方から久しぶりのメールだったんですけれども,トヨタのスープラのウエット旋回ブレーキテストのユーチューブの動画が貼り付けられていまして,何のことかと思って開けてみると,非常に路面がぬれているところできっと止まる,そういった動画でした。そこに一言,このウエット旋回ブレーキの性能は心の質や気立てとしつけと全く同じだと書かれていました。この難解な問いに答えるために,岡山トヨペットの末長会長のところにお伺いしに行きましたら,車はどんなに進化しても,タイヤが地面についている限り,ブレーキ,エンジン,タイヤこそが本質,走ることと止まることが本質であり,その質がどうであるかということが車の本来の力であると教えていただきました。この回答をいただきながら,コロナのおかげで時間もたっぷりいただいたので,少し考えていきましたら,この10年くらいでアップルや日立や松下,(聴取不能)とか,そういったメーカーが自動車製造に参入するような時代,また,テスラのような,開発力のある会社が移動物体のメジャーにどんどんなってくるような,こういう時代に,何が本質かを分かって見極めていないと,次の時代をなかなか乗り切っていけない,そういったことを示唆してメールを送ってこられたんだと思いました。 そのときに,知事の,「コロナでたくさん大変なことはあったけれども,日々の当たり前が奇跡のようなありがたいことであった」という言葉を思い出しまして,ああそれがやっぱり生きていく上でのまさに見えていなかった本質かもしれないなあということも感じました。それと同時に,どんなに時代も流れたり,発展や発達があったとしても,岡山の本質は一体何だろうか,そういった疑問がずっとまだ胸に残っているままでありますけれども,そういったことを感じながら今回は質問を書かせていただきました。 それでは,通告に従いまして質問させていただきます。 まずは,第3次晴れの国おかやま生き活きプラン(仮称)についてお尋ねいたします。 今年の1月に内閣府が開催した第48回総合科学技術・イノベーション会議にて,人々の幸福を目指し,その基盤となる社会・環境・経済の諸課題を解決するための目標が設定されました。この目標は,「ムーンショット目標」と命名されています。2045年にシンギュラリティを迎える,いわゆる2045年問題の解決も含めて,30年後の日本の未来像を提案していると,担当者からお話を伺いました。 ムーンショットとは,アポロ計画を開始するきっかけとなった1961年5月25日のアメリカ連邦会議特別両院合同会議における第35代大統領ジョン・F・ケネディの「我が国は,目標の達成に全力を傾ける。1960年代が終わる前に,月面に人類を着陸させ,無事に地球に帰還させるという目標である」というスピーチに由来しています。現在では困難だが,実現によって大きなインパクトがもたらされる壮大な目標,挑戦を意味するビジネス用語としてシリコンバレーから広まり,グーグル等で企業戦略用語としても用いられています。 ハーバード・ビジネス・レビューの中の記事で,優れたムーンショットは,魅力的かどうか,実現可能性があるかどうか,斬新かどうかの3点が重要だとうたわれています。目標は,大きく6つあり,目標1は,2050年までに,人が身体・脳・空間・時間の制約から解放された社会を実現,目標2は,2050年までに,超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現,目標3は,2050年までに,AIとロボットの共進化により,自ら学習・行動し,人と共生するロボットを実現,目標4は,2050年までに,地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現,目標5は,2050年までに,未利用の生物機能等のフル活用により,地球規模で,無理・無駄のない持続的な食料供給産業を創出,目標6は,2050年までに,経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピューターを実現という中身になっています。 世界から尊敬,信頼をされる科学技術大国を目指し,国全体の課題解決にも有効であることから,地方自治体や民間等を含めた社会全体に取組を広げることも視野に入れて研究が進められています。 このような動きがある中,岡山県では,新晴れの国おかやま生き活きプランが今年度で終了することから,第3次晴れの国おかやま生き活きプランの策定が行われます。行動計画の期間は,令和3年度から令和6年度までの4年間ですが,長期構想では,高齢者人口がピークを迎え,その後は全ての世代で人口減少が見込まれるおおむね20年後の2040年頃の目指すべき岡山の姿を示すこととなっています。長期構想で設定する本県の目指すべき姿は,ムーンショット目標年次まで残り10年という状態のものであることを踏まえて,県は,このムーンショット目標をどのように捉えていますか。 国では,大きな予算を投じてムーンショット目標の達成を図っていくことになります。デジタルシフトによる仕事や教育の変化への対応は重要であり,企業活動や県民の暮らしも,今後,大きく変化していくものと思われます。国が人々の幸福を目的に,先進技術を活用した新たな取組を進めようとする中で,県が県民に示す未来像は,国の目指す目標をしっかりと取り入れるべきだと考えます。第3次プランの長期構想にムーンショット目標に掲げられた2050年までに達成すべきことを取り入れていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 以上,併せて知事の御所見を伺います。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって,新しい生活様式が示され,県民生活や社会が大きく変容していきます。そのことを踏まえたプランづくりとなりますが,それを執行する大本の県庁の在り方,職員の意識改革もプランを遂行していく中での重要な要素となります。リモートワークの定着や庁内システムへのAIの導入等,近い将来には,県庁内の仕事の取組方についても変化があると予想されます。このような変化が待ち構える中において,現在の若手職員,つまりこれからを担う職員の皆さんがキーパーソンになると思います。若い職員は,様々な変化に強く,将来県庁の主戦力となっていくことから,今後の社会の変化に対応する職員個人や組織としての準備を行い,県庁が柔軟に対応していくための若手職員で構成されるチームをつくってはいかがでしょうか,総務部長の御所見を伺います。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  民主・県民クラブの中川議員の質問にお答えいたします。 第3次晴れの国おかやま生き活きプラン(仮称)についての御質問であります。 ムーンショット目標についてでありますが,この目標は,我が国の科学技術の大胆な革新を目的として,最先端の研究開発を支援することによって,2050年までの実現を目指すものと承知しており,実現すれば様々な社会課題の解決に資することから,その成果に期待するところであります。この目標が目指す未来像は,第3次生き活きプランにおいて,将来の目指すべき岡山の姿を展望する上で参考になる点もあると考えており,こうしたことも念頭に,今後,プランの検討を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  総務部長村木智幸君。   〔 総務部長 村木智幸君 登壇 〕 ◎総務部長(村木智幸君)  お答えいたします。 若手職員のチームについてでありますが,社会環境が大きく変容する中にあって,将来を担う若手職員への期待はますます大きくなっていると考えており,研修や民間の能力開発プログラムを通じ,戦略的思考力や問題解決能力などの向上を図るとともに,自発的な勉強会を支援し,自己啓発を促進するなど,若手職員の育成に取り組んでいるところであります。こうした中,新型コロナウイルス感染症の拡大による社会や仕事の取組方の変化に柔軟に対応していくことも重要と考えており,お話のチームの設置等も含め,どのような方法が有効かを研究しながら,若手職員の育成に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 23番。   〔 23番 中川雅子君 登壇 〕 ◆23番(中川雅子君)  先ほどの御答弁ありがとうございました。 本当に大きな目標でありますので,それに対応していくだけのすばらしい企業も,この県庁の頭脳も,私,岡山にあると思いますので,しっかりと未来の目標に向かって,県民にも希望にあふれるものであればいいなと思っております。 それから,県庁の研修などしっかりしていただいて,本当にありがたいと思います。そういった変化に耐え得る柔軟な対応ができる方々が増えていくと,それが年次を増して風土となっていくと思います。県庁が次の世代の風土をどのようにつくっていくのかという視点も非常に大事だと思いますので,そういった大きなスパンで,これまでのことを参考にしながら,また,新しい時代を築くには何がよかったのか,また,岡山県庁の本質は何だったのかみたいなこともしっかりとこの際に話し合い議論していただければ,ありがたいと思っています。どうもありがとうございました。 それでは,次の質問に参ります。 ICT教育でございます。 新型コロナウイルス感染症スマートフォンやICT技術とともにある時間が増加しました。教育では,GIGAスクール構想の実現に向けた取組が始まり,従来よりも小中学生がインターネット環境に身を置く機会が増えていきます。小中学生のネット等の長時間利用が懸念されていますが,これからの時代に,ICTの環境に長時間身を置くことは,ある意味,避け難いことと思います。これからは,生活とICTは切っても切れない関係となり,何らかの形でICTとともに歩む人生となることは,必至です。制限をかけていくことに時間や労力をかけるよりも,リテラシーを高めたり,ネット上でのコミュニケーション能力を向上させたり,長時間使用する場合に起きる健康リスクを防ぐための方法や,肉体的・精神的ストレスの解消法など,ICT環境と積極的に付き合っていくことに重点を置いたほうが得策ではないかと考えます。 問題になっているネット依存は,ストレスの解消や寂しさを紛らわすためのものとして,ネットやSNSを利用していることが原因なのではないかと思います。ネットをしていないと話題についていけない,仲間外れにされるかもしれない,なんとなく暇潰しをしていて癖になったなど,長時間使用してしまうことになる背景があり,ネット依存になってしまう原因を理解しながら,ICTとうまく付き合っていく意識づけが必要です。GIGAスクール構想を進めていくに当たり,同時に,小中学生へのICTに関する指導も変革していかなければいけません。疎外感を感じないためのものではなく,知識や情報,様々な人とのつながりなどを得る,自らを高めるものとして,ICTの積極的な利用につなげるような指導が必要ではないかと思いますが,教育長の御所見を伺います。 また,GIGAスクール構想を進めることによって,児童や生徒は,自分に合った指導が受けられ,先生は,それぞれの教え子の理解度を把握することができるようになり,家庭学習の場面でも,ネットを活用した情報収集などを行うことが身につくようになります。この構想による成果をしっかりと出すためには,学校と家庭がICTに対する意識を高めていかなければなりません。ICTのような新しいことに関しては,子供たちの学ぶスピードは,驚くほど速く,全ての先生が子供たちを常に引っ張り,最もよい活用方法を模索していく必要がありますし,家庭では,子供たちにとってネットは遊びだけのものではなく,学習の中心になっているという認識を持つようにならなければなりません。GIGAスクール構想を進めていくに当たって,学校現場への意識づけはどのように行うのか。また,家庭の認識をどのように変えていこうとしているのか,併せて教育長の御所見を伺います。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 ICT教育についてのうち,まず積極的な利用につなげる指導についてでありますが,ICTを活用することは,児童生徒が幅広い情報を集めたり,様々な人とつながることで,学びをさらに深め,自らを高めることができる手段として有効であると考えております。児童生徒のICTの積極的な活用に向け,今後とも,発達段階に応じた基本的な操作や情報セキュリティーの知識,情報モラルを身につけさせるとともに,授業の中で児童生徒が主体的にICTを活用することを促す指導の充実を図ってまいりたいと存じます。 次に,学校現場への意識づけ等についてでありますが,GIGAスクール構想を進める上で,学校現場に対しては,児童生徒がICTを効果的に活用して学びを進めている姿を明確にイメージできるよう,各教科等の具体的なICT活用事例集を現在作成しており,その周知を図ることで,教員の指導力向上に努めてまいります。 また,家庭に対しては,ICTを活用した授業を参観する機会を設けたり,保護者研修会で保護者にもICTを活用した学習を体験してもらうなど,家庭学習でICTを活用する意義や必要性について理解を深める取組を推進してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  23番。   〔 23番 中川雅子君 登壇 〕 ◆23番(中川雅子君)  まず,ICTの積極的な利用につなげるような指導のところでございますが,本当にこの仕組みづくりがとても大事だと思います。その前に,やはりインターネット,ICTの環境を利用して何をしようとしているのかという動機づけは非常に大事だと思います。そこが明確になっておく必要があると思います。「嘘と孤独とテクノロジー」というスティーブン・ピンカーというハーバード大学の認知心理学者の書かれた本によりますと,学習内容を整理したり,復習したりすることで,それが定着することがテストの意義であるということよりは,テストをするのが好きか嫌かみたいなことに固執してしまうことがあるが,何が意義であるのかがきちっと分かれば,子供たちはそちらのほうに向かうことがあるというようなことが書かれてあります。また,初めから非常に学習意欲が高い人は動機を与えるだけでその先にどんと進むことができるんですが,ほとんどの人にはしっかりとした構造的なサポートが必要であるということが言われています。インターネットは,同時に物すごく社会とつながっているので,社会性と,それからこれを使って自分が何を発見,学んでいくのか,何を教えられていくのか,そこをやはり先生も明確にしておくことが大事だと思いますし,また,それを扱う上で自分が物に対してのリテラシーというものをしっかり高めておかないと,モラルと先ほどおっしゃっていただきましたが,それを使って自分が,何を学び,自分自身を,社会を高めようとしているのか,こういった視点をやはり見逃さないように,ファシリテートしていくような力が先生にも求められていくと思いますが,そういったことの指導の基になる先生への指導が,今どのあたりまで充実されているのか,お伺いいたします。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 指導の基になる先生たちへの指導は,どの程度できているのかというお尋ねでございますが,先ほどの議員のお尋ねからいきますと,要は,ICTを使うことによって,何ができるようになるのかということを子供たちにしっかりと伝えていくことが大事なのではないかという御指摘かと思っています。 まず,その前に,それを教える教師自身がICTを使うことによってどういうことが実現できるようになるかを,イメージすることが大事なのではないか。つまり,ICTを活用することによって,これまでできてきた教育にプラスアルファでどういう広がりができていくのかをイメージさせることが大事なのかなと理解させていただきました。 このことにつきましては,先ほども申しましたように,まず教師のほうに,ICT活用によって一体どういう授業ができるようになるのかをイメージさせるような事例集を作成しております。例えば,ICTを活用することによって,子供たちに,国語の授業であれば,類語を検索して,これまで子供たちが持っていた言葉以上のものを使って,自分たちが表現したいことが表現できるようになる,使えなかった言葉が使えるようになる,そういったことを,授業の中でどうしていけばいいのかイメージする具体例を提示するようなことを考えております。各教科でこれはやっておるわけでございますけれども,そうして授業の広がりがさらにできるようになり,深まりもできてくるということを,まず教師のほうに,イメージさせていきたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  23番。   〔 23番 中川雅子君 登壇 〕 ◆23番(中川雅子君)  御答弁ありがとうございました。 しっかりイメージした後は,実践を重ねることで分かることがあると思います。先生方の中でも世代の違いにより,それに慣れ親しんでいる世代と,自分がその教師経験を積んでいく中においてICTが入ってきた世代という,ここのギャップもあると思います。同じ現場の中でのそういった理解度の差も埋めていかないといけないと思います。そのあたりのことも踏まえて,ぜひぜひイメージの後の次の実践が,テストでも学んだらテストという感じで,そこのところが肝だなあと私は感じております。ぜひとも引き続き,よろしくお願いいたします。 その2問目の質問なんですが,今,多く寄せられている意見として,家庭の中で何時間ぐらいさせたらいいのか,何時間ぐらい携われたらいいのか,たくさんやってると,遊んでいるようにも見えて不安になるとか,お母さんやお父さんたちから漠然とした不安感みたいな御意見を聞くことがあります。また,先生方からも,指導方法とかを下ろされるんだけれど,具体的に自分が本当に使えるのかどうか,それをやったときに自分が間違えやしないかとか,本当に理解ができているかどうか,自分の習熟度を知りたいとか,そういった意見も挙げられています。子供たちは,今,赤ちゃんでも勝手に自分で操作して自分の見たいものをやったり,ゲームを僅か3歳,4歳でも,どんどん勝手にお母さんやおばあちゃんのスマートフォンを開けて自分のやりたいことを進めていっているような形で,誰も教えていないのにどんどん進めていっているような状況です。私たちは学びをしながらそれをいかに教育材料として,これから自ら高め,社会を繁栄させていくものとして,利用させていくのかを学ばないといけない。子供たちのことよりは,実は私たちの家庭とか地域とか,そして教える側のほうのリテラシーであったり,習熟であったりが大事なのではないのかと考えております。そこのあたりの家庭に対して,「こうやったら安心ですよ」とは,はっきりと言えないと思いますが,そのあたりの不安感を解くことも,家庭学習を進め,学びを進めていく中で,大事なことであり,そこの家庭の理解ある中において進むこともたくさんあると思います。そこのあたりの認識,もう一度御答弁いただけますでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 家庭の不安を解いていくためにはどうすればいいのかというお尋ねかと認識いたしました。 最初のところの中で,一体何時間使わせたらいいのかということもございましたけれども,これは例えば,鉛筆や下敷きを一体何時間使ったらいいのかということに等しいようなことであります。これからは道具としてパソコンを使っていくわけで,子供たちがそれを使って自分の学びをどうしていくかは,子供たち自身が決めていく話であります。それに応じて,例えば,こんなことを調べたい,こんな人とつながりたいと思えば,どんどん使っていくようになっていくと思いますので,何時間使えばいいというものではなく,子供たちにそれを使いたいという気持ちにさせていくことは,非常に重要と思っております。 ただ,お話の中で,子供たちはゲームをして遊んでいるんじゃないかという親の不安があるという御指摘がございました。これは,つまり何をやっているか分からないことへの親側の不安だと思うので,ここについては,先ほども申しましたけれども,それで一体どういうことが学べるのかを,親自身にも気づいていただかなければいけない。この長期休業の間で,ある県立高校で保護者の方に集まっていただいて,子供たちがやってるそのオンライン学習を体験していただくということやりました。すると,「ああこんなことができるんだ」ということを親自身も気がついて,子供たちがやっていることについて大変理解ができたという取組がございました。こういうことをもっと進めていって,一体オンラインで何をやっているのか,どういうことができるのかということも親御さん方にも体験していただきながら,子供たちの学びを家庭の中でも支援していただくとともに,先ほど申しましたように,教師のほうもどんなことができるのか,しっかりと把握をしながら,道具としてICTをしっかり活用する取組を進めていきたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  23番。   〔 23番 中川雅子君 登壇 〕 ◆23番(中川雅子君)  ありがとうございました。大変力強い御答弁ありがとうございます。 やはり漠然とした不安が何であるのかをきちっと洗い出して,御家庭の不安,それも子供を信用していないとかじゃなくて,もし自分の認識や何かで子供を傷つけてしまったり,導き方を間違えてしまったらどうしよう,新しいものに対してこれからどう対応していったらいいのかなど,自分たちの世代にはなかったものをどのように家庭の中で受け入れて進めていくと,子供たちが伸びていくのかというところにいろいろと不安感や,また希望感もあるので,それをぜひとも家庭の中だけではなくて,先生の中からもしっかり洗い出して解消していただきたいと思います。例えば,アンケートを取るとか,何かの方法でその不安感の解消を進めていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ○副議長(遠藤康洋君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  不安感の解消に努めたらどうかということでございます。 先ほど申しましたように,保護者のほうへ,ICTの導入についてどういう御意見を持っているのかをしっかりアンケート等で確認させていただいて取り組んでいくことは,とても大事だと思います。それから教師側のほうにつきましても,先ほどベテランの先生と若手というお話がございました。確かにギャップがございます。現在,学校のほうでは,こういった若手とベテランを組み合わせて,少人数のチームをたくさんつくって,その中で若手はベテランの方にICTの使い方を教える,ベテランは授業の仕方をしっかり若手に教えるということを取り組んでいきたいと思っていますので,そういった中で分からないことをしっかり情報交換しながら,いい形でICTが学校に導入されていくように努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 23番。   〔 23番 中川雅子君 登壇 〕 ◆23番(中川雅子君)  最後の質問は,観光についてです。 ウィズコロナ,アフターコロナを見据えて,観光の在り方や滞在習慣の変化を受入れ,進化していく必要に迫られました。移動制限が今回のように出た場合,ターゲットは,県民や近隣県の方々となり,その方々に喜んでもらえるようなサービスに変える必要があります。地元野菜を売りにしたディナーは,地元野菜が当たり前の人たちにどのように訴えて響かせていくのか。どこまで丁寧に接客,サービスを行うのかといったことから,週末のリフレッシュ目的ではなく,リモートワークでの環境変化的な利用等のスタイルの変化や密を避けるための施設の使い方に至るまで,見直しが必要です。今までと大きく環境スタイルが変わるため,観光そのものの概念も変化していくと考えます。観光業に携わる皆さんと県や観光連盟が両輪で岡山の観光をこれから復活させていくためには,その概念を再整理し,ともに取組を進めていくことで誘客ターゲットのずれや認識のそごを防ぐことが大切と考えますが,どのようにお考えでしょうか,産業労働部長の御所見を伺います。 クーポンの発券等で観光をスピーディーに復活していくことは,必要だと思いますが,観光そのものの位置づけが変化していくことを考えると,根本の解決にはなりません。コロナを含め,想定外な事態があったとしても,持続可能な観光を考えていくことは,今までも大切な課題であったと言えます。平成27年の9月議会で,私は,岡山市内在住者で県内の温泉地に行ったことのある人は少ないと聞き,岡山市民70万人が県内を旅行することも県内観光の推進につながり,県民が県内へ旅行する県内旅行率ナンバーワンの岡山県を目指すことも発展につながるのではないかと質問しました。その問いに対し知事は,県民の県内旅行を促進することは,県外からの観光客の受入れ拡大と同様に,本県の観光振興につながるので,県民に向けてもイベントを活用した観光PRやテレビ,ラジオの情報発信などに取り組んでいるところであり,県外からの来訪拡大と併せ,県民の県内旅行の増加にもつなげてまいりたいと答えていただきました。あれから5年がたとうとしています。今までの取組状況や県内旅行率から見た成果はいかがだったのでしょうか。課題や方策についても,併せて産業労働部長にお伺いいたします。 いまだ入国制限がかかっている国が多い中,インバウンドの需要を見込むことは難しいですが,来るべきときのために準備は必要と,誰しもが考えていると思います。どの国からの制限解除になるかも見当がつかず,展開が見えにくい中,県は,今後のインバウンドについてどのように展開しようと考えておられますか。併せて,コロナによりそれぞれの国の文化や宗教の中で生活様式が変わり,旅行や観光の在り方も変化することと思います。そうした変化に関する情報収集を行い,観光事業者にフィードバックしてはどうかと考えますが,産業労働部長の御所見を伺います。 また,UNWTO(国連世界観光機関)が定めた観光の再開への指針には,「信頼」という言葉が使われており,コロナにより,より一層行政も,事業者も,旅する側にも,もてなす側にも,安心や安全の確保が課せられた上での観光だということを改めて認識しなければなりません。国,文化,宗教を超えて共通の安心・安全を見いだし,確保することで,信頼を勝ち得ることが前提で,その上で楽しんでいただける観光の発掘が大切ですが,県は今後の観光の在り方や進め方をどのようにお考えでしょうか,知事の御所見を伺います。 ○副議長(遠藤康洋君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 観光についての御質問であります。 今後の観光の在り方等についてでありますが,感染リスクが存在する中での観光は,感染防止対策により,一定の安全・安心を確保した上で取り組むことが基本であり,その上で,県内から近隣県,全国,そして世界へと対象の拡大を図っていくこととしております。また,感染症によりオンラインで観光を楽しむなど,新たな動きも出てきており,こうした動きも参考に,新しい時代の観光の在り方を模索しながら,誘客の促進と観光消費の回復を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  産業労働部長小林健二君。   〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕 ◎産業労働部長(小林健二君)  お答えいたします。 まず,概念の再整理についてでありますが,お話のように,ウィズコロナ時代の観光は,県内や近隣県など,いわゆる近場からの誘客の重要性が高まり,地元の方々にも満足してもらえるサービスをしっかりと提供していく必要があるものと考えております。こうした認識を観光関係事業者や市町村,関係機関等で共有した上で,観光素材の磨き上げやプロモーションを展開するなど,ウィズコロナ時代における誘客の促進と観光需要の回復に努めてまいりたいと存じます。 次に,県内旅行についてでありますが,継続して県民向けPRを行った結果,平成30年の県内観光客数は約650万人で,5年前と比べ,大きく伸びており,観光入り込み客数に占める割合は約45%となっております。インバウンドはもとより,県外からの誘客も回復が鈍い状況にある中,県民に県内を楽しんでいただくことが重要であり,県民向け宿泊クーポンの発行やキャンペーンの実施により,まずは県民に岡山の観光を盛り上げていただくよう取り組んでまいりたいと存じます。 次に,今後のインバウンド等についてでありますが,この機に,体験型コンテンツの開発や受入れ環境の整備に努めるとともに,観光地等の情報をSNSなどで継続して発信しており,来るべき回復時には,3密を避けた自然体験など,ニーズに合った観光素材をPRし,効果的な誘客対策を実施してまいりたいと存じます。 また,新型コロナウイルス感染症に伴う各国の観光に対する考え方や嗜好の変化については,岡山県PR現地デスク等を通じて適宜情報収集を行い,把握した現地の状況については,県外国人観光客受入協議会等を通じて,観光関係事業者に対し,迅速に情報提供しているところであります。 以上でございます。 ○副議長(遠藤康洋君)  23番。   〔 23番 中川雅子君 登壇 〕 ◆23番(中川雅子君)  御答弁ありがとうございました。 オンラインでの新しい形の観光ということで,この間も近所の方々は,外に出られないし,海外旅行はもちろん行けないので,グーグルマップで旅行したと言われていました。オンラインで岡山の旅行を楽しんでいただきながら,解禁になったときに「岡山にぜひ行きたい」という心の動きを見いだすようなものを促進していただいたり,また,観光消費をどこで拡大させていくのかというところが大きなポイントだと思います。なかなか人が来れない中,どこでこの観光消費をつくっていくのか,オンライン上でつくっていくのか,それから何を,今後,観光の楽しみとして見いだしていくのかというところにも着目していただいたり,また,岡山県が直接信頼できる情報提供者をつくっていくとか,そういったことをしっかりと進めていただいて,これからの岡山県の観光を発展させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(遠藤康洋君)  以上で中川君の質問は終了いたしました。 この際,午後1時まで休憩いたします。        午前11時58分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時再開 ○議長(波多洋治君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 40番笹井茂智君。 答弁者は控席へ移動願います。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  公明党の笹井茂智でございます。 新型コロナウイルス感染症により,多くの県民の皆様が影響を受け,今なお困難な生活を余儀なくされています。また,医療従事者など県民の命を守る最前線で日々仕事をされている皆様には,心より感謝申し上げます。 知事には,県民の命を守るとの決意で,これからも対応していただくことをお願い申し上げます。 それでは,通告に従いまして質問に入らせていただきます。 まず最初に,野焼きについての質問をさせていただきたいと思います。 知事は,提案理由の説明の中で,PM2.5の原因の一つとなる稲わらの野焼きを減らすために,稲わらをすき込む取組を支援する晴れの国ブルースカイ事業を通じて,今後,農業団体等と連携した推進会議を開催するなど,焼却処理からの転換を進めると話されました。ぜひとも力強く推進をしていただきたいと思います。 2015年11月8日,第1回おかやまマラソンが開催をされ,全国から集まった約1万4,000人のランナーが,秋の岡山路を疾走しました。しかし,残念なことに,コース近くの収穫の終わった田んぼで野焼きが行われており,息苦しさと臭いで口と鼻を覆ってしまいました。岡山平野というか,干拓地での秋の風物詩なのかもしれませんが,実行委員会に何とかならないものかと相談させていただきました。農家の方々も,風向きなどに気をつけながらの作業とは思いますが,田んぼと住宅との混住化が進む中,非農家をはじめとする地域住民の方々にとって,つらい時期になっていることは間違いないと思います。また,稲わらだけでなく,もっと深刻なのが,もみ殻の焼却です。稲わらの野焼きは,数時間で終了しますが,山のように積まれたもみ殻は,昼夜を問わずくすぶり続け,室内にもその臭いが浸透し,家の中の衣類などにも嫌な臭いがついてしまいます。廃棄物の野焼きは,廃棄物処理法によって原則禁止ですが,農業や林業,漁業を営むためにやむを得ず行われる廃棄物の焼却などは,野焼きの禁止の例外とされています。しかし,今述べたように,PM2.5の発生原因であり,人体への健康被害のリスクや住民からの苦情など,生活環境への影響が大きくなっています。困っている人がいれば,農家の皆さんと協力をして,共生ができる社会をつくっていくことが私たちに託された使命であると思います。そのためには,まず野焼きによる環境への負荷や近隣住民に迷惑がかかっていることについて,農家の方々への周知が必要であります。また,野焼きをやめるに足る農業技術の取得も必要であり,推進会議を中心に,農業団体の力を借り,県の農業普及指導員も含め,対象となる農家の稲わらの圃場へのすき込みや,肥料化,飼料化などに転換していただく必要がありますし,もみ殻についても,何らかの対応が必要と考えます。野焼きについての農家の方々への周知や稲わらやもみ殻に対する技術面での指導等について,農林水産部長の御所見を伺います。 また,稲わらの野焼きの状況について,調査対象地域の野焼き率とそれら地域の測定地点でのPM2.5の測定結果,住民からの苦情や相談の状況について,環境文化部長にお伺いします。 次に,こうしたPM2.5などの大気汚染防止のために,県では,田んぼでの野焼きを減少させようと,先ほど申し上げました晴れの国ブルースカイ事業を実施しており,農家の方々に野焼きをするのではなく,稲わら等を田んぼにすき込んでもらうための分解促進剤の購入補助など,4つの事業が実施されるわけですが,それぞれの事業でどういった効果を得ようとしているのか,お聞かせください。また,この事業の目標設定は,PM2.5の環境基準達成率なのでしょうか,環境文化部長に,併せてお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  公明党の笹井議員の質問にお答えいたします。 野焼きについての御質問であります。 農家への周知等についてでありますが,県では,野焼きについて,農業団体等と連携し,周知に努めているところでありますが,稲わら,もみ殻は,有機物を豊富に含み,すき込むことで地力が高まり,土壌改良が進むことから,農業普及指導員が技術講習会等様々な機会を通じて活用を促しております。引き続き,農業団体等と連携し,環境への影響を含めて,きめ細かな情報発信と説明に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  環境文化部長古南篤子君。   〔 環境文化部長 古南篤子君 登壇 〕 ◎環境文化部長(古南篤子君)  お答えいたします。 野焼き率等についてでありますが,現在,調査対象地域である県南の岡山市などのうち,特に稲作が盛んな地域を中心に野焼き率の調査を行っているところです。また,PM2.5の状況ですが,児島湾干拓地周辺の測定地点では,秋に濃度が上昇することなどにより,環境基準を達成しておらず,本県の達成率が不名誉にも全国ワーストワンとなっている主な原因の一つが野焼きではないかと考えております。さらに,住民からは,野焼きの臭いがひど過ぎて洗濯物が外に干せないなど,様々な苦情が秋に増加する傾向にあります。 次に,晴れの国ブルースカイ事業についてでありますが,推進会議を設置して関係団体が一体となって取り組む体制を整えた上で,農業団体等と連携し,稲わら等を焼かずにすき込むなどの有効活用について複数の方法で啓発を行うとともに,一部の地域では,お話の補助も実施することとしており,EBPMの考え方を踏まえたこれらの取組の成果を衛星写真を活用して検証したいと考えております。こうした手法により,効果的にPM2.5の環境基準の達成率の向上を図り,快適な生活環境の確保につなげてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  農林水産部長,ありがとうございました。 私がなぜこういう質問をしているかというのは,私もそういう地域に住んでいる一人でございます。1つは,この事業というのは,本当に難しい事業だと感じています。農家の方に負担をあまり強いてもいけないと思いますし,一方で,野焼きをされている農家の人が悪いというようなイメージを持たれても困ると思っていて,野焼きされてる方は県南の多分一部の方なんだというように思っております。ですから,そういう方に丁寧に,上手に農業団体等と連携をしていただきながら,先ほど言われたような技術を普及していくことを考えていただきたいと思います。農家の方が悪いということがないようにお願いしたいと思いますけれども,いかがでございましょうか。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  再質問にお答えいたします。 農家への指導に当たって,くれぐれも農家の方が悪いというような印象を持たれないようにとの御質問を頂戴いたしました。議員御指摘のとおりでございまして,様々な事情があり,あるいは過去からの慣習で野焼きをしておられるという現状があるのだろうと,私も認識をしておるところでございますけれども,一方でこの稲わら,それからもみ殻をすき込むことで地力を増すというような,有効性を十分農家の方に御説明し,あるいはもし事情によってすき込むことはできない,したくないというような御希望があれば,例えば,地域のJAを御紹介する。JAでは,例えば,畜産農家へ敷きわらとしての提供などのルートを持っておりますので,そういった形で有効活用していただくことを,私どもとしても丁寧に御説明をしながら理解を得てまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  ありがとうございました。 ぜひ丁寧に進めていただければありがたいと思っています。 それと,晴れの国ブルースカイ事業のことでございまして,しっかりと,取り組んでいただければ,ありがたいと思っているんですけれども,先ほど質問の中にも言いましたけれども,この事業の目標設定というのは,あくまでPM2.5の環境基準達成率ということでよろしいんでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  環境文化部長。   〔 環境文化部長 古南篤子君 登壇 〕 ◎環境文化部長(古南篤子君)  再質問にお答えいたします。 晴れの国ブルースカイ事業の目標設定でございますけれども,環境基準を達成する測定局の数をできる限り多くするというのが基本的には目標になると思っております。実は,平成28年から30年度の3年間におけるPM2.5の環境基準の達成率は,県内51%という,非常に低い状況であります。今回から,晴れの国ブルースカイ事業をやることによって,今後,稲わらの野焼きによる影響がなくなったものと想定しまして,今,県内に測定局が27ございますので,測定局のできるだけ多くで環境基準を達成できるようにしたいと思います。理想をいえば100%なんですけれども,なかなかそこは難しいと思いますが,稲わらの影響を大きく受けている測定局では,できるだけ環境基準を達成するようにしたいということでございます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  ありがとうございます。 私が難しい事業だというのが,まさにそこ。見えづらいというか,何というか,野焼きとそのPM2.5は,環境省でも影響があるという知見が出ているのを存じ上げていますので,少なからず影響しているということでしょうけれども,それをこの事業で少なくしていくことで,どこまで環境基準を達成するのかどうなのか,要するに分かりづらいと思っています。私は逆に言えば,本当に野焼きをゼロにしていくような目標設定があってもいいのではないのかと思いますが,そのあたりの部長のお考えがあればお願いします。 ○議長(波多洋治君)  環境文化部長。   〔 環境文化部長 古南篤子君 登壇 〕 ◎環境文化部長(古南篤子君)  野焼きをゼロにするような取組をしてはどうかということでございます。 今回の事業で,衛星写真を活用して,最終的に野焼きをしている田んぼがどのぐらい減ったかを検証するような形にしております。基本的には,田んぼが野焼きをしないことを目標にしていますけれども,PM2.5に着目しますと,野焼きは一つの大きな原因ではありますが,それ以外の要因もございます。PM2.5の環境基準達成を,野焼きだけで達成できるかというと,そこはちょっと疑問がありますので,基本的には先ほど議員がおっしゃいましたように,野焼き率をできるだけゼロに近づけていくことでやっていきたいと思っております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  ありがとうございました。 また,しっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。 次は,学校等での新しい生活様式の対応についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症では,学校等でも3か月に及ぶ休業という影響が出ており,学びの保障の観点から,夏休み等の短縮により,学習時間を確保することになりました。長期にわたる休業がもたらす負の影響が大きい可能性があると思います。過去の研究では,天候や教員のストライキ,狙撃事件などによって余儀なくされた臨時休業が,子供の学力や学歴,将来の賃金などに与えた影響を推定しており,こうした研究の結果は,一貫しております。臨時休業の悪影響は,決して小さくないということです。そして,臨時休業の影響を受けやすいのは,より低学年の子供ともあります。また,文部科学省が4月16日時点で臨時休業にすると答えた1,213の自治体に行った調査では,教員と児童生徒の同時双方向のオンライン指導を通じた家庭学習を実施している自治体は,僅か5%にとどまっており,しかもオンラインの遠隔教育の効果を実証した研究の見解は,いまだに分かれているとも言います。こうした過去の研究からすると,新型コロナウイルスによって生じた3か月にわたる臨時休業は,平均的な学力を低下させ,併せて学力格差を拡大させた可能性があるのではないでしょうか。 初めに,こうした考え方についての教育長の御所見と学力テストなどの活用による検証など,今後の対応についてのお考えをお聞かせください。 さて,授業再開に合わせて,学校等では,新しい生活様式への対応に大変な御尽力をいただいております。教育現場の先生方に心より敬意と感謝を申し上げます。 国から「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」が作成され,学校等では,このマニュアルに基づいたチェックリストを作成し,児童生徒に対しての対応や指導を行っていると聞いております。私も,保育や幼稚園,小学校,中学校,高等学校,特別支援学校に伺い,校長や園長からお話を聞きました。保育や幼稚園,小学校では,「なかなか3密をなくすことができない」,「机や備品などの消毒が大変」,「マスクの励行が難しい」など,中学や高校では,「登校時の健康観察が時間的に制約される」,「手洗いができる場所がトイレに限られる」,「夏休みの授業対応と熱中症の対策が心配」など,特別支援学校では,「3密が防ぎ切れない」,「クラスター発生時の応援体制が確保されるのか心配」,「子供のストレス」など,改めて現場での対応の御苦労を伺うことができました。 まず,現在も学校に登校のできない児童生徒が県内にどれほどいるのでしょうか,状況をお知らせください。 また,こうした登校のできていない児童生徒の学びの保障としてどういった対応が行われているのか,併せて教育長にお尋ねします。 先ほど申し上げたように,特に幼少期や特別支援学校において,3密を避けることは,国の定めるガイドラインどおりにはいかないようであります。市町村教委では,国のマニュアルを受け,チェックリスト等を作成して,衛生管理を徹底していますが,県立学校での対応について,県教育委員会からどういった指示をされているのか,教育長にお伺いします。 次に,県立特別支援学校14校のうち,5校が寄宿舎を持っており,子供たちが共同生活をしています。親元を離れて共同生活する中で,健やかに成長しているとのお話も伺いました。一方,共同生活の中での新型コロナウイルス感染症対策は,教職員,関係者の方にとっては,大変な御苦労であります。寄宿舎における児童生徒への感染予防対策について,教育長の御所見をお聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 学校等での新しい生活様式についてのうち,まず学力格差についてでありますが,市町村によって状況は異なるものの,臨時休業等の影響により,多くの学校では,通常どおりの授業が行えていないことから,現時点では,学習の遅れがあるものと考えております。 まずは,夏季休業を短縮するなど,臨時休業により失われた授業時間の確保に努めるとともに,県学力状況調査等を実施することで,児童生徒一人一人の学力の定着状況を把握・分析し,個々の児童生徒の課題に対応した復習システムや補充学習のための支援員の活用により,つまずきの解消を図ってまいりたいと存じます。 次に,登校できていない生徒等についてでありますが,県立中学・高校・特別支援学校のうち,6月5日時点で,基礎疾患等により登校を見合わせている生徒等は88名,感染症に関する登校への不安から学校に登校できていない生徒等は18名と把握しております。また,市町村立学校において感染症に関する登校への不安から学校に登校できていない児童生徒は,調査時期が異なりますが,小学校で80名程度,中学校で60名程度いるものと把握しております。こうした生徒等については,家庭の状況に応じ,保護者の協力の下,授業プリントや課題の配布等を行うとともに,ICTも活用しながら,教職員による学習指導や学習状況の把握など,必要な措置を講じているところであります。 次に,衛生管理についてでありますが,感染防止のためには,マスクの着用や手洗い,適切な換気が重要であることから,国の衛生管理マニュアルや主な留意点をまとめた県の通知により,それぞれの校種において,こうした事柄の周知徹底を図っているところであります。また,特別支援学校では,教員や児童生徒同士が接触するなど,特に感染リスクが高い学習活動が多いことから,そうした活動については,実施の必要性や代替の内容について検討するよう指導しております。さらに,視覚的に理解できる分かりやすい資料等を活用することで,発達段階や障害の有無を問わず,児童生徒が感染症を正しく理解し,感染のリスクを自ら判断して回避する行動を取ることができるよう,指導しているところであります。 次に,寄宿舎の感染予防対策についてでありますが,机の配列を変更した食事や少人数での入浴,就寝時の布団の配置の工夫等,新しい生活様式に基づいた感染予防対策を各校の実態に合わせて実施しているところであります。また,発熱等の風邪症状が見られる場合には,国の通知等に基づき他の児童生徒との接触を避け,別室で待機し,保護者の迎えを待つこととしております。今後とも,児童生徒の健康安全を第一に考え,適切に対応してまいりたいと存じます。 以上でございます。
    ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  ありがとうございました。 この3,4,5月,大体3か月間お休みをしていて,2月末時点の学力とこの6月1日の学力がイコールなのか,もしかしたらマイナスになっている可能性もあるのではないか。私はマイナスになっていて,マイナスからのスタートをこの6月1日から切って,そこにもって限られた時間の中で子供たちは一生懸命授業を受けないといけない状況になっているんだろうと思っています。 昨日,渡辺知典議員も御質問をされていましたが,多分この3か月間というものを取り戻すために随分長い期間がかかるんだろうと思っておりまして,先ほども質問をちょっとさせていただきましたけれども,県独自の学力テスト,ぜひこういうものを活用していただいて,現状の調査で終わるのではなくて,さらに分析等を行っていただきたい。できましたら第三者機関,大学等とも連携をして,そういう調査分析にもしっかり取り組んで,子供たちのためになる学力テスト,調査,分析をしていただき,知見を取ってほしいということですが,いかがでしょうか。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 学力テストを活用して調査分析をしっかりやったらどうかということでございますが,このコロナに関する対応があります以前から,学力テストを経年で,それから春に学力テスト,秋の段階で,また,確認テストをやっていくことにつきましては,サイクルをつくって,積み上げがどう子供たちに定着しているのかを分析的に把握していくということで,行っておるところでございます。通常でありましても,それをやっていくわけでありますけれども,特に今回御指摘の3か月間という部分が子供たちの学力定着にどう影響しておるのかは,特に確認していかなければいけないと考えておりますので,それも含めてこの学力テストの結果について分析してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  はい,ありがとうございます。 エビデンスという言葉がいいのかどうかというのはあれですけれども,ぜひ活用,そして子供たちのためになるような取組をこれからしていただければありがたいなと思います。要望を改めてお願いしたいと思います。 衛生管理についてでございます。 先ほど御答弁にもありましたが,幼少期とか,支援学校等々では,やっぱりなかなか密を避けられないというのは,行って見させていただいてよく分かりました。それは,もう仕方ないことなんだろう。その上で,学校の先生は,もう最大の努力をしながら,目をかけながら,注意をされていらっしゃいました。受け取る側の子供たちは,当然分かっている子もいますけれども,よく分からないけれども,何かコロナというのは怖いんだなと思っている幼少期の子たちもいると思います。 そういった中で,例えば,そういう子供たち,特に幼少期の子供たちに,新しい生活様式が分かるような,リーフレット,ペーパーみたいなもの,ほかの県の教育委員会とか,いろんなところでちょっとネットで検索したら出ていたんですけれども,そういう分かりやすいものを子供たちに提供することで,ちょっと意識が高まるのではないのかと思っているんですけれども,教育長のお考え聞かせていただければと思います。 ○議長(波多洋治君)  教育長。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  再質問にお答えいたします。 分かりやすいリーフレット等を使ったらどうかという御質問でございましたけれども,御指摘のとおりでありまして,やはり文字だけで説明をする,あるいは言葉だけで説明するというのは,伝わりにくいことがございます。特に,幼少期,あるいは特別支援学校などで学ぶ子供たちにとりましては,やはり視覚で分かりやすく理解するということは,大変重要でございます。答弁で申し上げましたけれども,そういった資料,実は地元の岡山大学で非常に効果的な資料を作っていただいておりまして,御紹介もいただいております。これは全ての県立学校に紹介をして活用するように,もう既に指示しておりますので,そういったところでこういった資料を使う,あるいはそれを紙芝居のようにしまして,子供たちに話をする材料に使っておるところでございます。こういった取組を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  ありがとうございました。 しっかりと市町村立の学校にもそういうものの情報提供していただくよう,お願いしたいと思います。 最後4番目,寄宿舎の問題です。 これは,もう要望ですけれども,さっきまさに教育長が言われたとおり,密になりやすいし,教職員の先生方がもう本当にクラスターが起こったらどうなるんだろうかということを心配されていらっしゃいました。いろんな対策が必要かと思いますけれども,しっかりと県教委からの支援を重ねてお願いしたいということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。 40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  次に,県有施設の指定管理者への対応について伺います。 新型コロナウイルス感染症により,岡山県有施設の管理を行っている指定管理者においても大きな影響が出ていると聞いています。指定管理者制度とは,従来,自治体や自治体の外郭団体などが独占していた公の施設の管理を,民間企業やNPO法人にも門戸を広げることにより,管理運営の効率化やサービスの向上を図る制度です。 本県では,現在,70の施設で導入されています。今回の新型コロナウイルス感染症により,多くの施設が休館となり,特に利用者から施設利用料を徴収し,収益を確保している施設では,収入の低下が著しくなっています。また,従業員の感染予防や再開に向けての感染予防対策にも経費が膨らんでいるようです。国の事業者支援制度が活用できるようですが,問題が解決しているようではありません。地方創生臨時交付金の活用事例集を見ると,公共施設等の維持管理体制持続化事業として,指定管理者制度や民間委託を導入している公共施設等が閉館,休止等が実施された場合に,再開後の円滑な管理を行う観点から,点検管理や環境整備等に対する支援経費に交付金を充当できることになっています。県での指定管理者への今までの対応と,地方創生臨時交付金などを活用した今後の支援についてお尋ねします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  公明党の笹井議員の質問にお答えいたします。 県有施設の指定管理者への対応についての御質問でありますが,新型コロナウイルス感染拡大の影響が生じる中で,それぞれの施設管理の状況を把握するとともに,必要に応じて指定管理料の支払い時期の前倒しや,雇用調整助成金など,国の事業者支援策の活用について,助言等を行ってきたところであります。今後とも,状況を継続的に把握し,県有施設の適正な管理運営に支障が生じないよう,お話の地方創生臨時交付金の活用も含め,必要な支援について検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  ぜひ御検討いただけるということなので,どうぞよろしくお願いします。 その上で,要望に近いことなんですけれども,まさにこれからの制度の維持にも関わることで今年度の指定管理者の募集というのは,今年度やらないといけないわけでございまして,しっかりとそのあたり注視をしていただいて,指定管理者の皆様が安心して県有財産の管理を行えるようにしていただきたいと思っております。知事のそのあたりの御所見をお聞かせいただければと思います。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  指定管理について,もしくは予期せぬ損害が出た場合にどう思っているのかというところであります。 これは,法律的にどう考えるのか,道義的にどう考えるのか,我々の原資が全て税金であることについて,いろいろな観点からいろいろな議論がなされると思うわけでありますけれども,まずやはり基本は契約だと思っております。ただ,特に日本においては,アメリカでこんな分厚い契約書を結んでというのとは随分違って,何か不測の事態が生じたら,双方誠意を持って話し合うということで,199ページ分を包括している場合も多いわけであります。 我々岡山県庁が,なぜ指定管理を取っているのかというそもそも論に戻ってみますと,自分たちでやったほうがよほど安くていい仕事ができるのであれば,それはもう自分たちがやればいいわけでありますけれども,なかなか役所が現業の仕事をすると,過去いろいろな問題が起きたことに鑑み,ぜひ民間の活力を使う,彼らのほうがいろいろな自由度を生かしながら,自分たちがやるよりもいい仕事を安くしてくれることが,可能性として多いと。もしくは,ひどい場合には,5年なら5年で別のところに託すことによって県民に大きな問題を永続させることなく切替えができる,いろいろないいことがあるわけであります。そこで,我々が要求するいろいろないい点の中で,コストというか,幾らでやってくれるのかというのは大きいですし,サービスレベルがどうなのかというのは,非常に大きいわけです。ただ,何か不測の事態が起きたときに,リスクを吸収してくれるのかということをあまり期待しますと,かなりでかい会社でなければ,そもそも受けられないということになります。 日本,世界には,岡山県庁よりもでかい会社は,幾つかあるわけですけれども,大体それぞれのでかい会社というのは,自分のずうたいの重みを維持するので苦労しているところも多く,そういうところに委託をしてもなかなか安くなったり,機動的になったりということは,ちょっと考えにくいわけであります。ですから,我々とすれば,何か突拍子もない,想定もしてなかったことがあれば,そのリスクについて我々が,基本的には考えましょう。あなた方はとにかく比較的リーズナブルなコストでしっかりしたいい仕事をしてくださいねというのが,多分大きな考え方として正しいのかなと思っているところであります。だからといって,何か起きたら全部持ちますよということを明言するつもりもないわけでありまして,しっかりこれから検討をしていきたいと思っております。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  最後は食育の推進についてお尋ねします。 今年も梅雨を迎え,生活空間は湿っぽくなっています。 さて,日本語研究の第一人者金田一春彦氏によると,雨そのものを指す「五月雨」という言葉がありますけれども,それに対し,梅雨は雨の降る季節のことだというふうに言われてます。同時期の雨に2つの名前があるのは,「田植という日本民族にとっては非常に重要な時期に降る雨だからこその期待」とその著書に語られております。 話は変わりますが,さて岡山県では,平成18年12月に,岡山県食の安全・安心の確保及び食育の推進に関する条例を制定するとともに,条例に基づく「岡山県食の安全・食育推進計画」を策定し,県民の健康で豊かな生活の実現を図っています。6月は,食育月間でもございます。食文化を守り,健康増進を図る食育基本法制定から今年は15年の佳節でもあります。例えば,平均寿命は年々延び,全国では男性80.77年,女性87.01年,また,健康寿命も延伸し,かつ平均寿命と健康寿命の差は小さくなっています。一方で,生活習慣病が死因の約6割を占め,予防や改善は国民的課題になっています。死亡原因には,食生活や運動,喫煙などの生活習慣が起因することが少なくありません。食育を推進するために,県内各地で様々な取組が行われていると思いますが,知恵と工夫が試されていると思います。今だからこそ,子供たちやその親の世代への食育推進を県がリーダーシップを取って進めていただきたいと思います。 岡山県でも,推進計画に基づき,各種施策が実施されていますが,まず第1に,県内市町村での食育推進計画の策定状況と今後の食育推進の進め方について,保健福祉部長に御所見を伺います。 第2は,学校での食育の推進ですが,授業や給食を通じて,子供たちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることが大切です。栄養教諭の先生の力が大きいわけですが,本県における栄養教諭の配置状況及び食育に係る授業内容について,教育長にお伺いします。 第3は,コロナ禍での対応です。 岡山県では,県産和牛肉を学校給食に提供することが決定しました。代表質問でもお尋ねしたわけですが,外食産業の低迷などで生産者も大きな影響を受けています。こうした機会を利用して,農林水産物の地産地消を進めるため,学校給食メニューの開発支援や家庭等へのレシピの提供,総合的な学習の時間などの授業における食育と農業を組み合わせた食農教育への支援に,新しく,または,さらに取り組んではいかがでしょうか,農林水産部長の御所見をお聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 保健福祉部長中谷祐貴子君。   〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕 ◎保健福祉部長中谷祐貴子君)  お答えいたします。 食育の推進についての御質問であります。 市町村の計画策定状況等についてでありますが,全ての市町村において,食育推進計画を定めているところであります。食育の推進は,健全な心身を培うとともに,円滑な人間関係を築き,ひいては地域づくりにもつながる重要な取組と認識しており,地域の人や知人,友人が集まって食事をすることなどを進めてきたところであります。しかしながら,新型コロナウイルス感染症の影響により,こうした取組が困難になる場合もあることから,家族がともに食卓を囲み,バランスのよい食事を取ることに重点を置くなど,工夫しながら進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  教育長鍵本芳明君。   〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕 ◎教育長(鍵本芳明君)  お答えいたします。 食育の推進についてのうち,栄養教諭の配置状況等についてでありますが,本県では,給食を実施している学校417校中,兼務も含め355校に栄養教諭を配置しており,未配置校については,学校栄養職員が食に関する指導を行っております。栄養教諭は,その専門性を生かしながら,担任等と協力し,朝食摂取の重要性や生活習慣病を予防するための食事の取り方,栄養バランスを考慮した食品の選び方などについて,各教科等の授業や給食時間において指導しているところであります。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 地産地消についてでありますが,コロナ禍により,外出自粛などで家庭消費が増加し,食への関心が高まっており,こうした時期こそ,地元産品に対する消費者の理解を深める好機であると考えております。このため,生産者団体等と連携し,学校給食等における地域食材の一層の提供や,児童が桃の収穫等を行う農業体験学習の実施を支援するなど,地域や学校,家庭での地産地消の推進を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  40番。   〔 40番 笹井茂智君 登壇 〕 ◆40番(笹井茂智君)  御答弁ありがとうございました。 食育,大切なことなんですけれども,幅が広くて,例えば,今回3か月の学校の休業の中で,子ども食堂さんも閉鎖という形の中で,随分子供たちの食というものが変わっていったんだろうと思ってますし,そういった意味では,学校給食もまさにそうだろうと思っています。だからこそ,家庭が大切で,農林水産部長に今,御答弁いただきましたけれども,ぜひ学校とか,家庭での食の安全・安心,食育というものを今こそ進めていっていただきたいと思っております。どうか力を合わせて対応していただきますように心からお願い申し上げまして,質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。 ○議長(波多洋治君)  以上で笹井君の質問は終了いたしました。 次の質問者に移ります。 13番河野慶治君。   〔 13番 河野慶治君 登壇 〕 ◆13番(河野慶治君)  皆さん,こんにちは。 本日最後の質問をさせていただきます。 新型コロナウイルスでございますけれども,岡山県で44日ぶり,25人目の発症が本日あったということで,今,報道で,流れておりました。クラスターや第2波とならないように,引き続きの御尽力をよろしくお願いいたします。 本日,質問内容の中でも現状の部分に関しましては,若干意味合いが違ってくるかもしれませんが,通告のとおりに質問を始めさせていただきます。 まず初めに,新型コロナウイルス感染症による観光産業への影響と対応についてお尋ねいたします。 今回のコロナ禍の影響を最も早く受けた産業の一つが観光産業です。人の移動と消費が根幹をなす観光産業において,移動制限,自粛は,甚大な影響を与えており,ゴールデンウイーク期間を含めた長期休業が続き,その影響は,本県の観光関連事業者を直撃しています。今月から,移動自粛の緩和が進み,再開している旅館,飲食店等も増えておりますが,6月の旅館予約数は,前年度比6割程度となっているなど,その回復の兆しはまだまだ見えない状況が続いています。 そのような中,この夏を中心に展開される国の「Go To トラベルキャンペーン」,本県や市町村,観光連盟等による宿泊クーポンの事業等をはじめとした観光振興施策は,厳しい状況にある中において,観光需要を喚起する事業として大変期待されております。しかしながら,新型コロナウイルスに対する免疫獲得や新薬,有効なワクチンの普及までまだまだ時間を要することからも,秋頃から感染の第2波があった場合には,第1波と同様に,移動制限,自粛を行わざるを得ないことが想定され,その影響は深刻なものとなることが懸念されています。これらの状況を踏まえた上で,今後,数年は続くことが予想されているウィズコロナの時代の観光振興にどのように対応していかれるのか。また,その後のアフターコロナの展望についてお伺いしていきます。 まずは,ウィズコロナの時代における観光振興の取組についてであります。 今回の第1波における緊急事態宣言は,4月7日に,感染症が拡大傾向にある東京,大阪等の大都市圏を中心とした地域で発令され,16日に,全都道府県へと拡大しました。その後,感染拡大をある程度抑止できたことにより,5月14日に,本県を含む39県が,また,5月25日には,全都道府県において緊急事態宣言が解除され,それぞれの地域で休業要請や移動自粛等の緩和・縮小が段階的に示され,6月19日に,全面的な移動自粛の解除へ移行したところであります。このような流れで,移動自粛とその解除が進んでいったのが第1波の対応であり,第2波においても,同様の流れとなることが想定され,体力を削られている観光業界に壊滅的な影響を与えてしまうことからも,第2波が起きた場合でも,可能な限り緩やかに社会経済活動を縮小,また,再開させていくような取組が観光業界等への経済的影響を最小限に抑えるためにも必要であると考えます。 さて,マイクロツーリズムという言葉が最近話題になっております。直訳すれば,「小さな旅行」で,世界的に有名なリゾート運営会社である星野リゾートが,ウィズコロナ時代を乗り切り,アフターコロナの時代に生き残るための戦略として提案され,広く認知されつつあります。星野社長の説明を引用すれば,マイクロツーリズムとは,自家用車で10分から1時間程度で行くことのできる近場の観光,旅行で,現在でもそこそこの需要があることや,長距離移動ではないので,ウイルス拡散につながらない,ウィズコロナの間の観光人材の雇用を維持できる,地元の方々ともう一度地域の魅力を再発見していくことができるなどのメリットがあるとされています。このふだんはあまり訪れないごくごく近場への旅行や,いつもは日帰り圏内というイメージだった観光地への宿泊など,これまでになかった旅行需要を喚起していくことは,感染拡大期において,段階的に限定したエリアで観光を維持しつつ,感染終息期には,同様に徐々に回復させていく戦略として有望なものであり,感染第2波への対応策としても検討してみる価値があるのではないでしょうか。 そこで,マイクロツーリズムの概念等を導入したウィズコロナ時代における観光戦略について,本県でも取組を進めてみてはいかがかと思いますが,知事のお考えをお聞かせください。 続いて,アフターコロナの時代の展望と観光振興についてお尋ねします。 先述のとおり,コロナウイルスによる影響は,観光業界を直撃しており,このウィズコロナ時代を生き残るためにあらゆる対策を講じていくことが,本県観光振興にとって重要であることは言うまでもありませんし,県においても,様々な取組を進めていただいております。一方で,コロナの影響を受けるより以前から,県内の観光地において,観光客数,宿泊者数が減少しているところもあり,ウィズコロナを乗り越えても,その傾向に劇的な変化が期待される状況にはないと思います。それら減少の要因として,大型団体旅行から,個人・小規模グループ旅行への旅行形態の変化や,旅行者の趣味,嗜好の多様化,宿泊施設や温泉街の老朽化等が指摘されており,様々な需要の変化を捉えた上で,アフターコロナの時代に向けた観光戦略を練っておく必要があると考えます。 さて,全国的にも同じような流れが起きており,特に地方の温泉街の衰退は顕著となっていますが,そのような中でも,存亡の危機から全国トップクラスの人気温泉地へと復活した熊本県の黒川温泉をはじめ,星野リゾートが初めて温泉街全体の再生に取り組んでいる山口県の長門湯本温泉,泊食分離や地元の協力で共同浴場への入浴を可能にし,シャッター温泉街を再生させた長野県湯田中温泉など,これまでも全国の多くの温泉地で再生・活性化に挑戦し,成功している事例も多くあり,それらの温泉地で共通しているのは,温泉旅館の関係者が主体となって連携しながらマスタープラン等を作成し,それらを基に地域内外の協力関係を強化しながら,新たな観光需要の創設等に挑戦した点であると言われています。本県にある魅力的な観光地,温泉地においても,アフターコロナの時代を展望しながら,果敢に挑戦する第一歩を踏み出すべき時期であると考えます。特に,このウィズコロナの間には,大きな投資等は難しいかもしれませんが,この大変な時間を逆に利用して,県内温泉地の再生・再興に向けたチームワークづくりに注力していくことは,長期的な本県観光振興に大きく寄与するものと考えます。県としても,アフターコロナ以降の中長期的観光振興戦略として,ウィズコロナの間に,各温泉地において,再生・活性化に向けた様々な取組を関係者と一緒になって進めていただければと考えますが,知事のお考えをお聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の河野議員の質問にお答えいたします。 観光振興についての御質問であります。 まず,マイクロツーリズム等を導入した観光戦略についてでありますが,マイクロツーリズムは,近距離での移動を前提としており,安全・安心な旅行であるとともに,歴史や文化,食材など,地域の魅力を再発見し,地元愛を高めるなどの効果ももたらすものと考えております。今後,県内の観光需要喚起に取り組む中で,県民の声をしっかりと把握しながら,マイクロツーリズムの視点を生かした観光地づくりに,市町村や観光関係者等と連携し,取り組んでまいりたいと存じます。 次に,温泉地再生の中長期的な取組についてでありますが,県内の各温泉地では,関係者が一体となって危機を乗り越えるため,宿泊券つきのクラウドファンディングを実施したり,融資制度など,支援策の勉強会を開催するなど,それぞれ力を合わせて取り組んでいると聞いております。この機会を捉え,地元市町と連携し,各温泉地の思いをしっかりとお聞きしながら,それぞれにふさわしい再生や活性化に向けた中長期の取組を強力に後押ししてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  13番。   〔 13番 河野慶治君 登壇 〕 ◆13番(河野慶治君)  ありがとうございます。 まず,マイクロツーリズムですけれども,昨日も上田議員から質問がありました。その御答弁と同じように,各地の魅力を上げていくということにつながるのだろうと思いますが,この話の質問の内容は,どちらかというと,渡辺知典先生の質問での教育長とのやりとりにあった,段階的に緊急事態が出され,移動自粛をしていかなければならない,そのときにどういう判断をしていくのかというところに加えて,インバウンドから国内,遠方,そして県内,また,近距離等,マイクロツーリズムとして流れていく中で,その都度どのような取決めをしておくのか,発信していくのか。感染拡大期,縮小期もそうですけれども,大きな不安,混乱を招いている状況にある中で,何かを発信することにかなり否定的な反応も多いかと思いますので,あらかじめその辺の段階的な対応をどのようにマイクロツーリズムを使いながらやっていくのかというのを,感染症の専門家の方々や,また,経済活動を続けていく上での経済学の専門家の方々と,この第1波を終わった第2波までの間にある程度取決めをしてつくっておくということが大事ではないか。そういったことを質問させていただきたかったんですけれども,知事のお考えをお聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  マイクロツーリズムの導入について,医療関係の専門家,経済関係などもっと肉づけを今のうちにできないかということでございます。 これは,結局のところ,リンク理論というか,我々自身,よく6人介せば世界中の誰ともつながっているという話がありますが,誰ともつながっているかどうは別として,かなりの部分カバーできるというのは,事実であります。 例えば,私,総理大臣にお会いしたことがありますので,総理大臣は各国首脳と大体会っているので,ですからトランプ大統領とも私は一人を介して知り合いだということも言えますし,その手のロジックを使えば,結構1人,2人,もうマックス3人ぐらい介するだけで,多分ここにいらっしゃる方は,世界中のかなりの方ともう知り合いだと。結局ふだんの付き合いは非常に狭いところ,近いところで終わっているのに,時々遠いところとコネクションがあるので,そういうことが起きると。これは,実は感染と全く同じ構図になっていまして,実際のコロナウイルスというのは,くしゃみをしても2メートルだとか,3メートルぐらいしか飛ばない。そのくせに何で遠くで発症したものがこんなにすぐ世界中に広まったかというと,遠くまで旅行したり,出張したりする人がいるからであります,数は少ないんですけれども。そういう人が1人いれば,そこからスタートします。逆に言えば,そういうことを止めれば,100人のうちほんの数名のそういう遠距離移動する人を止めることができて,近くだけで回せば感染症に対して非常に安全にいろいろな業務をふだんどおり行うことができるのであります。それが簡単にできる場合もあれば,非常に難しいところもあります。 例えば,今回非常に悩ましかったところの一つは,県と県は,国と国が入国制限をするような形では全く制限ができなかったとか,マイクロツーリズムを志向して近場から今お客さんを集めているんですよという宣言自体は,別にホームページに書けばいいだけの話ですけれども,旅館業法によってこのお客様の予約は受け入れるけれど,このお客様の予約はお断りするということが公式にはできないことになっている。非常に明示的に禁止をされているというところがマイクロツーリズムには非常に難しいことになっております。 実際には,行くほうだってそこまで迷惑かける意図はないことが大半ですから,お互いさまで,今は近くを回りましょうということが随分各地域地域の了解事になってくればいいのかなと思っています。ぜひそういった地域地域で盛り上げることを,これから,特にこういう感染症が身近な危険として認識されているうちは,広げていく必要があろうかと思います。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  13番。   〔 13番 河野慶治君 登壇 〕 ◆13番(河野慶治君)  ちょっと感染の拡大期の縮小の仕方と感染収束期の拡大の仕方の部分で,そこちょっとずれがあるのかなあと思うんですが。感染拡大期,他県からの県境またぐ往来を知事としては,もう自粛してほしいと,お願いしたいですね。でも,移動する権利はあるわけで,それは止められない。旅館街で言えば,例えば,美作三湯,旅館街の今回もありましたけれども,やっぱり大阪で感染が出ているけれど,自分はかかっていないから泊まりに行きたいんだと,ちょっと離れたいんだという方が大勢おられて,そこをいかに止められるのかというのは,これは旅館業法で止められないわけですから。では,誰が判断をして,そういったことをきちんと言えるのかというと,やっぱり知事になると思うんですね。不安が渦巻いたときに,知事が専門家会議してそれで決めるというのは,なかなか理解が得られないと思うんですけれども,例えば,大阪モデルとか,いろいろ賛否あるかもしれませんが,収束している今の時期に専門家の方や経済学の方々とある程度の取決めをしておいて,それをときに合わせて発信していく。発信していくことで,旅館からすると,岡山県としては今自粛をお願いしていますということで,断るというか,お願いとしてもっと強く言いやすくなる。そういったことの部分を,感染拡大第1波のときに経験したこともありますし,いろいろなことがあったと思いますので,その辺を踏まえた形で第2波に備えていただきたいという趣旨で質問させていただいておりますので,もう少しその辺のお話しがあれば,お聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  大阪モデルみたいなのがあったほうが観光客が戸惑わないのではないかという質問だと理解してお答えいたします。 今は,もう歓迎しております。ここまで落ち着けば。岡山市のほうで新たに感染者が分かったようでありまして,私はその詳細までは知りませんけれども,こういうぽつりぽつりという程度であれば,これはもう十分コントロール可能だと。ここからどっと出て,それが毎日増えていくということになったら,これはもう当然フェーズを切替えて,残念ながら我々自身も締めていかなければいけないわけであります。今は,もう歓迎しているわけでありますが,いつになったら締めるのかということについては,何度かここの場でお伝えしましたけれども,基準を示すことはかえってよくない場合もございます。さきに言った基準に縛られてしまって,今の時点では本当はこっちはしたくないんだけれども,そっちにしてしまうということがありますので,一般的な国の指標と我々自身が持つべき指標,そう変わるとは思っていないところでありまして,もしこれは締めなくてはいけないということになりましたら,私はすぐ記者会見をするなり何なりでお示ししたいと思います。何度も言いますが,今は歓迎している状態でございます。 ○議長(波多洋治君)  13番。   〔 13番 河野慶治君 登壇 〕 ◆13番(河野慶治君)  ちょっと時間もありますので,要望にさせていただきますが,拡大期,縮小期の違いもありますので,不安がどんどん募ったときに,今回も旅館様は開けたい,でも受入れちゃいけないとか,いろんなジレンマがあったと思います。やっぱり感染拡大の防止の部分と,あと経済活動の自粛,経済活動を回していかないといけない,維持をさせていかなければならない部分の,このバランスという2つの命題が今回第1波で大きく見えたものと思います。第2波が長期化したら,それこそもう旅館街さんは,もう3か月も4か月も休むことになると,とんでもないことなりますので,やはりできるだけ段階的に縮小して,段階的に再開させていく,そういったところにマイクロツーリズムを入れていただいて,その都度知事の発信もお願いしたいと思います。 続いて,2番目のアフターコロナに向けた展望でありますけれども,これも,今は本当に観光業界の方,これまでにない大変なことになっているわけでありまして,しかもこれは長期的にも不安な部分もあります。今も再開はしてますけれど,土日や書き入れどきでも,やはり感染防止対策のため,マックスでも6割,7割の受入れしかやってないんですね。これをずっと続けていかなければならないということで,大きな不安の中にあります。 1つ,他の温泉地の事例も出させていただきましたが,今までできなかったことで今回できるようになったのが,危機感の共有です。これまでは,旅館の大小やターゲットの違いとか,歴史的ないろんな関わりだとか,いろんなことがあって,なかなかまとまりが悪いところも多かったんですが,もう今みんな危機感を同じにして,将来に対し不安を持っている。こういうときに集まって将来を考えて,投資が呼び込めれるような温泉街にもう一回戻していこうというのを,旅館の役割であるとか,温泉街を一つの旅館と見立ててどういうふうにマネジメントしていこうか,今,そういったことを非常にしやすい時期なんだろうなと思います。ぜひ力を入れていただいて,国や県,また,民間の投資も巻き込めるような,そういった第一歩になるようにお願いしたいと思うんですが,知事のお考えをお願いします。 ○議長(波多洋治君)  知事。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  今回,まだ温泉地をはじめとする地域の大事な観光地は危機の中にあると,この危機を何とかチャンスに生かせないだろうかと,県庁もバックアップしてくれないだろうかと,そういう趣旨だと思います。 もう本当にそのとおりであります。私,以前の仕事では,温泉地よりは商店街のほうが身近にあったわけですけれども,昔にぎわっていて,今ちょっと苦しんでいるという点では似てる,あといろいろな主体が関わっているという点でも似ていると思います。ある有名な地域おこしの方が,日本中の旧市町村全部回ったという方ですけれども,商店街の再生にも何度か関われたことがあるそうで,言われていたのが,もう放っていても大丈夫なところも幾つかあるんだと,それでうまくいったところが幾つかあるんだと,うまくいったところというのは,本当にこのままじゃもう駄目だということで,みんなの気持ちが1つになったところなんだと。中途半端なところは,幾らこんな事例がとか,こういう理論がとかといっても,いやそりゃそうだけれど,自分は居心地のいい状態は手放さないよということだと駄目なんだと。 議員が紹介してくださった黒川温泉,長門湯本温泉,湯田中温泉,全て共通しているのが,それぞれの旅館が一番好きなとおりやるよと,もうどんと宣伝も打つし,うちに予約したんだったら,泊まるのは当然夕食もお土産も全部うちでやってもらうよという,自分の会社の最大化をしているのが多くの観光地の実態であるわけですけれども,それぞれの3つはトータル,その地域として一つのすばらしい場所であって,自分はその得意なところを担当するよという,この部分最適なのか,全体最適なのかというところで随分違うと思っています。 商店街の話にちょっと戻らせていただきますけれども,商店街,この近くもそうですけれども,実は飲食のお店が少ないんですよ。行く人からすると,もっと食べるところ,飲むところが欲しいんですけれども,飲食は利益率が低いわけなんです。ですから,それぞれの地主からすると,飲食なんてやりたくないんです。例えば,衣料品を売るともうかるので,衣料品を売りたい。でも,行く人からすると,衣料品ばっかりだと疲れちゃうんですよねえ。これが例えば,大手のショッピングセンターのモールだと,衣料品のお店は賃料高くして,食品のところは賃料を安くすることで,トータルお客様にとっていい環境をつくったりできる。温泉街もそれぞれの方が自分のベストを追求すると,行った人からすると,うんということになるわけでありまして,今回の危機感を何とかうまく生かせてトータルとしてもっといい,ジブリの映画に出てくるような,もしくは京都で,私,先斗町のあたり大好きですけれども,ああいう何か歩いてて本当にすてきなしっとりした町並みで,みんなが浴衣を着て草履でもげたでも何でもいいですよ,そぞろ歩きをしてるという,そういう雰囲気の温泉街ができればいいなあと考えているところです。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移ります。 答弁者は控席へ移動願います。 13番。   〔 13番 河野慶治君 登壇 〕 ◆13番(河野慶治君)  知事,ありがとうございました。 いろいろな思いを同じにさせていただいたと思っておりますし,最初の人を集めて人づくりをしていく,研修するというのは,そんなにコストかかるものでもないでしょうし,大きな投資すること考えれば,ぜひそういった第一歩を踏み出す勇気をみんなと一緒に与えていただければと思います。よろしくお願いします。 それでは続いて,木材産業の振興についてお尋ねいたします。 これまでの議会でも申してきましたが,今,私たちは歴史的に見ても,これまでと比べ物にならないほどの森林資源を手にしています。また,戦後に植林された樹木が成長し,大量の大径材を初めて利用することができるようにもなっており,それら森林資源の利活用は,林業成長産業化による地域産業の振興はもちろんのこと,治山治水機能,石油資源に替わる地球環境に優しい資源としての特性からも,持続可能な社会の発展に欠かせないものであります。今回のコロナウイルスによる影響は,木材業界にも,木材産業にも及んでいると聞きます。特に,経済的な不安等により,新設木造住宅着工戸数の減少が続くことが予想され,その影響は木材需要にも大きく及ぶものと考えます。 そこで,お尋ねいたします。 本県の新設木造住宅着工戸数の現状,また,今後の推移予測についてどのように分析されているのか,農林水産部長の御所見をお聞かせください。 また,木造住宅の需要拡大の策があれば,一緒にお願いいたします。 次に,本県は,全国トップクラスのヒノキの生産量を誇り,その利用可能な資源量の充実とともに,海外への輸出を通して新たな木材需要の創出を図るため,平成24年度から,県産ヒノキの海外輸出への取組支援を行ってこられました。今後も,国内の木材需要の低迷は続くことが懸念されている中で,我が国の木材,中でも本県のヒノキを海外に啓発し,新たな需要創出,販路拡大につなげていく上においても,海外輸出支援の取組は非常に重要なものになると考えます。現在,コロナ感染症の影響で海外との調整が難しい状況にあると思いますが,輸出支援への取組から約8年を経過していることもあり,ここで県産ヒノキの輸出について,これまで実績等を検証し,次なる戦略へとつなげていく機会とするべきではないかと思いますが,輸出を目的とした県産ヒノキ販路開拓支援事業の検証並びにそれを基にした今後の展開等について,農林水産部長にお尋ねいたします。 この項最後に,人材育成についてお尋ねいたします。 これまで申してきたように,豊富な森林資源や大径材を初めて手にしている状況にあることや,高品質で効率的な製材品をつくるための乾燥技術や製材技術,また,それらを認証するJAS規格への適合など,様々な環境,技術の変化,進化が木材産業にも起きております。今後の新たな需要創出や販路拡大の観点からも,より高品質で経済的な製材品を生産・加工していくことが,木材産業にとって大変重要であり,そのためにも,次代を担う人材育成が必要であると考えます。県内の事業者や青年組織では,これら技術の勉強会等に積極的に参加し,研究や技術の導入に進んで取り組んでおられると聞きますが,県においても,大径材の加工技術の研究等への積極的な取組や,国内外マーケティングへの事業者等の参加促進などを通して積極的な人材育成をお願いしたいと思いますが,農林水産部長の御見解をお聞かせください。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 農林水産部長槙尾俊之君。   〔 農林水産部長 槙尾俊之君 登壇 〕 ◎農林水産部長(槙尾俊之君)  お答えいたします。 木材産業の振興についての御質問であります。 まず,新設木造住宅着工戸数の現状等についてでありますが,本県の今年1月から4月までの着工戸数は,対前年同期に比べ約7%減少しているところであります。また,民間シンクタンクによると,新型コロナウイルスの影響により,今年度の木造住宅を含む新設住宅着工戸数は,全国で73万戸と,前年から15万戸減少すると推計され,本県においても同様の状況になることが懸念されます。このため,県では,木材関係団体と連携し,県産材を使用した木造住宅への支援制度の利用を一層働きかけるとともに,製材工場や設計士,工務店等が連携した県産材が消費者に届くまでのサプライチェーン構築への支援など,住宅への県産材の需要拡大に努めてまいりたいと存じます。 次に,県産ヒノキ販路開拓支援事業についてでありますが,県では,平成24年度から,延べ65社に対し,韓国等での展示商談会への出展を支援してきたところであり,その結果,本県の昨年の木材輸出量は約8,000立方メートルと,平成25年から倍増しており,一定の成果があったものと考えております。今後は,木材輸出に取り組む新たな企業等を優先的に支援するとともに,引き続き,本県の優れた木材加工技術による高品質な県産ヒノキ製材品の普及PRや,市場調査に基づく販路開拓に取り組むなど,木材関係団体と連携し,一層の輸出拡大に努めてまいりたいと存じます。 次に,人材育成についてでありますが,県では,これまで,中径材の加工や乾燥技術等を中心に研究を行い,その成果を技術支援に活用してきたところであります。この研究成果等を基に,大径材の利活用や乾燥技術等についての技術支援を行うとともに,今後,地域からの要望等を踏まえ,新たな研究課題について検討してまいりたいと存じます。 また,木材関係団体と連携し,海外での展示商談会や市場調査,セミナー,首都圏での木製品フェア等への木材事業者の参加を引き続き促してまいります。こうした取組を通じ,木材産業における人材育成に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 13番。   〔 13番 河野慶治君 登壇 〕 ◆13番(河野慶治君)  部長,ありがとうございました。 木材関係,本当にいろいろ変わりつつあるところもあります。中径材であれば,そこから柱や板材をちょっと取るだけですが,大径材になると,今度はその中からどうやって工夫をして柱や板を取っていこう,材を取っていこうかと,そこにはまた,年輪の状況等によって強度もあって,その取り方によってはJAS規格に適合しないとか,いろいろなことが研究すれば幾らでもあると思います。真庭にある木材の加工研究室においても,そういった技術の研究や乾燥,ヒノキは匂いがやっぱり大事ですから,その匂いがなるべくしやすいような,匂いが残るような乾燥技術を今でも研究されていて,このたびも本を先生が出されておりましたけれども。そういった一流のもう研究者もおられますし,そういった方々とどんどん積極的に話しながら,今後の需要拡大・販路拡大,しっかり頑張っていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 それでは最後,自然との共生についてお尋ねいたします。 まずは,グリーンインフラの推進についてお尋ねいたします。 蒜山から鳥取県に越える国道482号沿いに,自然豊かな草原地帯が広がっており,そこには国の国内希少野生動植物種に指定されているフサヒゲルリカミキリや岡山県の希少野生動植物に指定されているサクラソウなど,多様な草原性の動植物が生息,生育しています。この草原地帯は,地域の方やボランティアが山焼きを行い,森林への遷移を抑制することで保全されており,地元や観光客からも,生物多様性に触れることができる場所として注目されています。今後も,環境意識の高まりや持続可能な社会づくりへの関心が増していくであろうことからも,自然との共生を体感できる場所として適切な管理体制の整備が求められています。 さて,国では,社会資本整備重点計画において,グリーンインフラの取組の推進が盛り込まれております。グリーンインフラとは,自然が持つ多様な機能を賢く利用することで,持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラ整備のことを指し,ヒートアイランドの抑制や生物の生息空間の保全といった環境への効果と,健康促進や環境教育,レクリエーションといった人間活動への効果を併せ持つインフラ整備を行うことを指しています。国道482号における道路改築工事におきましても,グリーンインフラに沿って草原地帯の管理や観光につながる整備は,これまでもお願いしてきたところでありますが,幅広く自然との共生を守っていくためにも,地域や周辺環境に配慮したグリーンインフラの整備に力を入れていただきたいと思いますが,土木部長の御所見をお聞かせください。 最後に,次期晴れの国おかやま生き活きプランにおける自然との共生についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルスのような新興感染症パンデミックは,14世紀にヨーロッパで起きたペストをはじめ,16世紀,大航海時代に広まった天然痘やインフルエンザ,近代では,20世紀初頭に発生したスペイン風邪等がありました。これら歴史に残るパンデミックは,人の移動が広域的かつ盛んになることで起きたと言われており,人の社会的,経済的活動が大きく関係していることが指摘されています。また,新興感染症の起源は,野生生物との接触にあって,森林伐採や人の活動エリアの拡大によって野生生物が生活する場所を荒らし,本来触れることのなかった生物と接触するようになったことが原因であるとも言われており,新型コロナウイルスは,社会経済的活動に加えて,経済格差や貧困の問題,また,資源搾取等の課題を人類に突きつけている点についても様々に指摘がされています。 石油等の化石燃料の大量消費による地球温暖化,それに伴う異常気象,豪雨災害等の頻発,過度な自然破壊,資源搾取による地球規模での新興感染症パンデミックの発生など,もはや人類と自然の関係は,限界に来ているとも言っても過言ではない状況にあり,SDGsの目的を達成するための地球規模の新しい社会経済活動様式の中でも,特に自然との共生社会への移行における視点が重要と考えます。それらを踏まえた上で,本県では,新晴れの国おかやま生き活きプランに続く次期プランを策定中でありますので,次期プランにおいて,自然との共生に視点を置いた持続可能な社会のための施策の推進にも大きく力を入れていただきたいと思いますが,知事の御所見をお伺いいたします。 ○議長(波多洋治君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  お答えいたします。 自然との共生についての御質問であります。 第3次晴れの国おかやま生き活きプラン(仮称)についてでありますが,地球温暖化を抑制し,感染症も見据えた持続可能な社会を実現するためには,自然との共生は重要であると考えております。現行の生き活きプランにおいても,地域の豊かな自然の保全を推進し,将来にわたる継承を目指すこととしており,第3次プランの策定に際しても,自然との共生や持続可能な社会の推進の観点も踏まえ,今後,検討を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  土木部長原田一郎君。   〔 土木部長 原田一郎君 登壇 〕 ◎土木部長(原田一郎君)  お答えいたします。 グリーンインフラについてでありますが,生物の生息・生育の場の提供や良好な景観形成など,自然環境が有する多様な機能をインフラ整備に活用し,持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラの考え方は,大変重要であると考えております。県においても,道路事業や河川事業などにおいて,生態系や景観に配慮した設計とするなどの取組を行っているところであり,引き続き,地域の実情やコスト,安全性などを考慮しながら,グリーンインフラを推進してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(波多洋治君)  13番。   〔 13番 河野慶治君 登壇 〕 ◆13番(河野慶治君)  まず,グリーンインフラについてですが,この蒜山のフサヒゲルリカミキリ,御存じでしょうか。日本の固有種で非常に珍しい魅力的な虫でありまして,全国でも長野県のごくごく一部と蒜山のごくごく一部にしかいません。これは,ユウスゲを食べて,ユウスゲに産卵して,自生,生育できるんですけれども,山焼きをすることによってそのユウスゲがほかの植生に負けずにちゃんと生えてこれる。そこでカミキリがちゃんと生息できるということで,まさに人と自然との共生を実感できる非常にすばらしいものでもあります。こういったものを本当に大切にしていただいて,こういったグリーンインフラの整備,今後も進めていただければと思います。 すみません。最後なんですけれども,ちょうど昨日,今日の質問で緊張して,なかなか寝つきが悪かったんですけれども,テレビを見ていましたら,瀬戸内海がなぜできたのか,どうやってできたのかというのをちょうどやっておりました。四国からずっと関東から九州まで延びる中央構造線が,もともとは中国大陸とユーラシア大陸と一緒だったものが1億年前に剥がれて,日本列島を形成していった。300万年前に淡路島と四国の間の今の鳴門の渦潮が発生するところ,そこがずれて崩壊したことでもともと山や平地だったところに海水が入ってきて,今の瀬戸内があるということでした。私もしまなみ海道を渡って芸予諸島を見たときに,何か身近な感じがしたんですね。これは山々の,何かそんな雰囲気がしてたのを思い出しまして,あれは実は山のてっぺんが見えているだけなんだということです。自然の中で起きてくるこういった大きな地殻変動は,私たちにはどうにもすることはできないとは思いますけれども,私たちの人類の活動が起因として起きている地球温暖化であるとか,こういったパンデミックの発生というのは,やっぱり私たちが責任を持って解決に向かわなければならない。これは後世に対しても,私たちは今の時代を借りて生きているわけですから。そういった観点からも,次期プラン等にも積極的にこの自然との共生やSDGsの概念をしっかり取り込んでいただいて,すばらしい計画とし,また,次期羅針盤として活用できることをお祈り,お願い申し上げまして,質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 ○議長(波多洋治君)  答弁者は自席へお戻りください。 以上で河野君の質問は終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(波多洋治君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △6月25日の議事日程 ○議長(波多洋治君)  明日の議事日程は,午前10時開議で,一般質問,議案1件委員会付託,委員長報告,採決及び議案12件委員会付託,陳情5件委員会付託であります。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(波多洋治君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後2時32分散会〇 令和2年6月24日(水曜日)出席議員   1番 秋山 正浩君       2番 鳥井 良輔君       3番 佐古 一太君   4番 松島 幸一君       5番 本山 紘司君       6番 福田  司君   7番 清水  薫君       8番 大橋 和明君       9番 乙倉 賢一君  10番 大森 一生君      11番 小倉  博君      12番 田野 孝明君  13番 河野 慶治君      14番 渡辺 知典君      15番 福島 恭子君  16番 山本 雅彦君      17番 小林孝一郎君      18番 大塚  愛君  19番 高橋  徹君      20番 須増 伸子君      21番 氏平三穂子君  22番 吉田  徹君      23番 中川 雅子君      24番 木口 京子君  25番 市村  仁君      26番 上田 勝義君      27番 小林 義明君  28番 中塚 周一君      29番 江本 公一君      30番 太田 正孝君  31番 池本 敏朗君      32番 小倉 弘行君      33番 加藤 浩久君  34番 遠藤 康洋君      35番 神宝 謙一君      36番 波多 洋治君  37番 柳田  哲君      38番 高原 俊彦君      39番 荒島 俊造君  40番 笹井 茂智君      41番 増川 英一君      42番 山田総一郎君  43番 蜂谷 弘美君      44番 住吉 良久君      45番 高橋 戒隆君  46番 蓮岡 靖之君      47番 伊藤 文夫君      48番 小田 圭一君  49番 渡辺 英気君      50番 内山  登君      51番 小野 泰弘君  52番 河本  勉君      53番 小田 春人君      54番 天野  学君  55番 千田 博通君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     那須 信行           次長       米戸 健浩  議事課長     下坂 泰幸           政務調査室長   中西  健  議事課長代理   岡本  聡           議事課長補佐   岡崎 将丈  議事課主幹    前田 英雄           議事課主任    池上 祐毅           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       伊原木隆太君          副知事      菊池 善信君  副知事      横田 有次君          公営企業管理者  佐藤 一雄君  危機管理監    塩出 則夫君          総合政策局長   片山 誠一君  知事室長     須江 裕紀君          総務部長     村木 智幸君  総務部次長    笠原 和男君          県民生活部長   伊藤 敦哉君  環境文化部長   古南 篤子君          保健福祉部長   中谷祐貴子君  産業労働部長   小林 健二君          農林水産部長   槙尾 俊之君  土木部長     原田 一郎君          出納局長     三浦 智美君教育委員会  教育長      鍵本 芳明君          教育次長     高見 英樹君公安委員会  委員       金子 雅彦君          警察本部長    扇澤 昭宏君  警務部長     臼井 伸幸君人事委員会  委員       吉松 裕子君          事務局長     角田 直樹君監査委員  代表監査委員   山本 督憲君          事務局長     岸本 雅博君選挙管理委員会  委員長職務代理者 平松 卓雄君...