令和 2年 2月定例会 〇 令和2年2月
岡山県議会定例会会議録 第4号〇 令和2年3月4日(水曜日) 議 事 日 程 午前10時開議第1
一般質問 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 本日の会議に付した事件日程第1
一般質問 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 午前10時開議
○副議長(
小倉弘行君) 皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 ~~~~~~~~~~~~~~~
△日程第1
一般質問
○副議長(
小倉弘行君) 日程に入り,
一般質問を行います。 26番
上田勝義君。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 皆さん,おはようございます。
自由民主党県議団26番
上田勝義でございます。 令和2年は,十二支の最初のねずみ年ということで,新たなことを始めるのによい年と言われていましたが,
新型コロナウイルスへの対応,対策に追われる厳しい
スタートとなりました。国,県,
地元自治体が一丸となって取り組んでいただき,早期に終息することを願うものであります。そして,県民の皆様には,デマに惑わされることなく,マスクやトイレットペーパー,
ティッシュペーパー等,
紙製品購入へ冷静に対応していただくことをお願いいたします。この時期は,花粉症の時期と重なって,マスクや
ティッシュペーパーは,患者さんにとって必需品であります。
伊原木知事の御尽力で,少花粉杉への植え替えを鋭意進めていただいておりますが,まだまだ日本中の杉,ヒノキが植え替わるには時間がかかります。どうぞ御理解を頂きますようにお願いを申し上げます。 さて,今日は,晴れの国おかやまで数少ない雨の日となりましたが,通告に従いまして,まずは晴苺について質問をさせていただきます。 「
くだもの王国おかやま」が誇る
ブランドイチゴ,晴苺についてであります。先日の民主・
県民クラブ住吉議員の代表質問では,この晴苺の
ブランド力強化にどう取り組むのかということでありました。私は,この議論をもう少し深めさせていただければと思います。私の地元では,知人が昨年夏から新規に
イチゴ農家を目指して,ハウスを建てて,
イチゴ栽培を始めました。しかも,この晴苺の栽培に挑戦をしています。12月の
ブランド発表と同時に出荷し始めて,味も粒の大きさも,満足いくものでありました。私も,気になるので,定期的に
イチゴハウスを訪問して,生産者の方と
意見交換をさせていただいております。今は2回目の収穫が始まったところであります。実は,ちょっとイチゴを頂いてまいりました。(イチゴを示す)これが晴苺でございます。地元でも,それから皆さんも目にすることが少ないのではないかなと思いますが,ぜひチャンスがあれば,食べていただければと思っております。また,この
ブランドイチゴを使った
フルーツパフェを提供していただき,広報,
情報発信をしていただいている地元岡山のお店にも伺い,食べました。御一緒いただきました多くの皆さんに御好評いただき,
ブランド育成に向けて,「
くだもの王国おかやま」の柱にする,いい
スタートが切れたのじゃないかなと感じました。ただ,課題があるとすれば,安定した粒の大きさと供給量が不足していることではないかと思われます。お店のメニューとして出されるのに,粒の大きさ,数量の確保に苦慮されているとお聞きしました。県内のお店でこの晴苺をなかなか見ることができない,貴重なものになっているようであります。この供給量の拡大や
栽培技術向上の取組を具体的にどのように進めていくのか,お聞きします。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君)
自由民主党の
上田議員の質問にお答えいたします。 晴苺についての御質問でありますが,県では,首都圏での
ブランド化に向けた取組を進めておりますが,激化する
産地間競争の中,晴苺の
ブランド力を確立するためには,高品質な生産を行う技術の普及と安定的な供給体制の整備が重要であります。このため,
農業団体等と連携し,
技術研修会の充実を図るほか,各産地との
意見交換を行い,そのニーズ等に応じたきめ細かな技術指導を実施するなど,
栽培技術の向上に取り組んでまいります。また,施設整備への支援等により,既存産地の
生産拡充を図るほか,
イチゴ生産者の確保・育成や
生産団地整備の検討など,供給量の拡大に向けた取組を進めてまいります。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 御答弁ありがとうございました。 もともと品種は晴苺じゃなくて,おい
Cベリーという品種で,その中で粒の大きさでありますとか,色,形が優れていること,生産者の中でこの研究会に入られている方と,限定された中で晴苺という
ブランドが名のれるという,
瀬戸ジャイアンツの
桃太郎ぶどうと同じような位置づけではないかなと思いますが,おい
Cベリーを栽培されているけれども,晴苺ではないという形が多く,スーパーマーケットとか,売られてる産直市場に行ってみても,この晴苺を見ることはほぼない。それに加えて,岡山県産のイチゴすら並んでいないというのが,今の県内の現状ではないか。やはり熊本,それから福岡産のイチゴが並んでる場合が多くて,県産のイチゴをどうすれば買えるのだろうかという感じがいつもするわけで,この晴苺となると,なかなか県内の皆さんにも食べていただくこともできない。例えば東京辺りの市場に打って出ようとすると,ある程度数量がないとなかなか相手にされないところもある。生産者の方とも話をするんですけれども,一気に増やす生産拡大は難しい話だし,今されている方々に晴苺に替えてもらうのも,非常に難しいようなことをお聞きします。その中で,晴苺を,2年目に向けて進めていこうとすると,かなりバックアップしていかないと取り組んでいただけないのではないかと思うんですけれども,次の年に向けてさらに拡大して支援をしていくような,力強い知事の答弁が欲しいと思うんですけれど,いかがでしょうか。
○副議長(
小倉弘行君) 知事。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) 再質問にお答えいたします。 まず,議員には,デニムのこととか,イチゴのこととか,
フルーツパフェのこととか,もしくはワインのブドウの生産とか,岡山県が取り組んでいるいろいろなことのPRに励んでいただいております。本当にありがとうございます。私も,今日は
デニムスーツでやってまいりました。 晴苺,もしくは岡山県のブドウということでありますが,もともとの
スタートについて確認させていただきたいわけでありますけれども。例えば桃,ブドウ,非常に品質が高いけれども,量が少ないから,東京において存在感を出せない。これは課題でありますけれども,イチゴはさらに面積で不利な状況からの
スタートということになっております。この栽培面積が岡山県は何番目かというと,実は30位であります。1位の栃木県と比べて,作付面積が10分の1以下のところから,それでもこの「
くだもの王国おかやま」,
ラインアップを広げて,年間で戦えるようにするためにはイチゴだということで,そこからの
スタートになっています。量ではかなりビハインドがありますけれども,質ですとか,作る方々の思いというか熱心さでは十分勝機があるということで取り組んだわけでございます。おっしゃるとおり,晴苺,おい
Cベリー,そのほかの品種の関係ということでいえば,この品種だったら自動的にこの
ブランドということにあえてしておりません。これは,トヨタとレクサスの関係のように,トヨタが作ったから自動的にレクサスになれるというのではなくて,皆様方にこれは本当にすばらしいものなんですと言えるものだけに晴苺の名前を冠している。この
ブランドを本当に大事に考えて,これから育てていこうということでございます。当然,東京でしっかりしたポジションをつくっていきたい,ほかの県のすばらしいイチゴに対抗していきたい,地元の皆さんにも楽しんでいただきたい,いろいろやりたいことはあるんですけれども,何が一番大事なのかということでいえば,まず日本中で,東京で勝てるというのが大事なんですけれども,いろいろなライバルに伍して戦うということが大事ですので,地元の皆さんに楽しんでいただくのは,あえて劣後させている状態でございます。申し訳ないと思いながら,その戦略を取っているところでございます。
サントリーの新浪社長にこの前お会いしたときに,日本の
ウイスキーはもともとは物まねだみたいなところから始まったわけでして,今,非常に評価をされています。
品評会等で本場のスコットランドの
ウイスキーに勝ったりしています。世界中で飲まれるようになった,原酒が足りないというときに,社内に出した指示が,「社員は飲むな」と,ほかの会社のものを飲んでいいかどうかは別で,とにかく
サントリーの
ウイスキーは飲まないでくれと,本当に欲しいお客様のために取っておこうという,普通の社員からまず消費しようというのと真逆のことでありますけれど,それに近い感じであります。すみません,ちょっと長くなっております。ということで,一生懸命頑張ってまいります。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 御答弁ありがとうございました。 イチゴの場合,
フルーツ王国おかやまの中でも,約半年イチゴは収穫期間があります。非常に長い期間で,聞いてみますと,私もあまり詳しくなかったんですけれども,今回,いろいろと生産者の方と話す中で,1シーズンに3回取れると。取って休んで,取って休んでと3回取れるんだということで,それが半年やる中でちょっと長くいけるっていうことなんだなということが分かったわけであります。先ほど言われたように,桃,ブドウにしても,知事は売るところをしっかりPRしていただいておるわけですけれども,やはり作るものをしっかり作っていかないと,売るものもないと売れないということになりますので,この栽培するところについては,今まで以上にそれぞれの,ブドウ,桃を含めて,御尽力いただければと思いますので,今後とも,よろしくお願いいたします。 ここで終わります。
○副議長(
小倉弘行君) 要望ですか。
◆26番(
上田勝義君) はい。
○副議長(
小倉弘行君) 次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 知事,よろしくお願いいたします。 昨日は,
小林孝一郎議員が
デニムスーツで,今日は,大橋議員も知事も
デニムスーツを着ていただいておりますけれども,こういうことは広がっていくように願うところであります。 次に行きます。 「
天文王国おかやま」についてであります。 これまで星,天文台等を何度か質問させていただきましたが,このたびは,岡山県
地域課題解決支援プロジェクト,天文・
星空資源の活用による誘客促進ということで,
関係市町とともに「
天文王国おかやま」の
情報発信に努めていただきました。広報活動,
自治体連携事業,
来場者アンケートの結果から,この
プロジェクトの成果について
総合政策局長にお伺いいたします。 また,知事は,今定例会の
知事提案説明で,
観光振興について,来年度も引き続き,
フルーツをテーマに
キャンペーンを展開するとともに,
通年点灯に向けて準備が進められている瀬戸大橋のライトアップ,これはもう
通年点灯ということは決まったようでありますけれども,これと「
天文王国おかやま」などの
コンテンツを活用し,
滞在型観光につなげてまいりますと説明されましたが,今までのこの
プロジェクトの成果をどのように次への展開につなげていこうとされているのか,今後の県の関わり方や
関係市町との関係も含めて知事に伺います。 次に,日本初の
光害防止条例の制定から30年の節目を迎えた井原市美星町で,星空の
世界遺産版である「
星空保護区」のうち
ダークスカイ・コミュニティについて,アジア初の認定を目指して
星守プロジェクトが進められています。
星空保護区の認定制度とは,光害の影響のない,暗く,美しい星空を保護・保存するための優れた取組をたたえる制度であります。認定に当たっては,
屋外照明等に関する厳格な基準をクリアする必要があります。そのため,井原市では,美しい星空を守るために,まず100個の防犯灯を
光害防止型の防犯灯に取り替える経費捻出のための
クラウドファンディングが
スタートし,当初の目標200万円を大きくクリアして,最終目標の500万円をも超え,約600万円が集まったようであります。美しい星空を守ることへの関心の大きさを物語る結果ではないかと思います。井原市のこの
星空保護区認定に向けた動きに県としてどういう支援ができるのか,知事にお伺いいたします。 また,「宇宙県長野」や「星取県鳥取」に負けない,「
天文王国おかやま」の
観光素材としての
コンテンツの磨き上げを通じた地元機運の醸成という観点から,県民総力を挙げて盛り上げていけるよう,
星空ガイドとなる
星空案内人,星の
ソムリエの養成を目的とした講座を開講してはどうか,知事にお伺いをいたします。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) お答えいたします。 「
天文王国おかやま」についての御質問であります。 まず,
地域課題解決支援プロジェクトのうち,展開等についてでありますが,天文をテーマとしたこれまで2年間の取組の成果を踏まえ,
関係市町村が主体となって,来年度に向け,新たな協議会の設立が検討されております。県としては,この協議会に
オブザーバー等の形で参画し,引き続き取組を支援するとともに,来年度の
観光キャンペーンにおいて,夜を楽しむ
観光素材として「
天文王国おかやま」の星空や
関連施設を活用するなど,滞在型・
周遊型観光の推進につなげてまいりたいと存じます。 次に,
星空保護区認定の支援についてでありますが,井原市美星地区においては,全国に先駆けて光害を規制する条例を制定し,照明の規制や基準に適合する照明設置に対する助成など,独自の施策を積極的に展開されております。このたびの活動は,こうした地域の特性をさらに活性化させようとするものであり,取組も順調に進捗していると承知しております。
星空保護区として認定されるためには,光害についての活発な
教育啓発活動も求められているとお聞きしており,県としても,光害を規制する県条例に基づき,引き続き光害に関する普及啓発に取り組んでまいりたいと存じます。 次に,
星空案内人の養成についてでありますが,
滞在型観光を推進する上で星空は重要な
観光素材であり,これまでも
観光プレゼンテーション等を通じて「
天文王国おかやま」のPRに取り組んでいるところであります。
星空案内人の活動により,
観光コンテンツとしての魅力がさらに高まるものと考えており,県としても案内人を増やすため,講座の開講を
関係機関に働きかけてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君)
総合政策局長片山誠一君。 〔
総合政策局長 片山誠一君 登壇 〕
◎
総合政策局長(
片山誠一君) お答えいたします。
地域課題解決支援プロジェクトのうち,成果についてでありますが,天文・
星空資源を活用した誘客促進を図るため,7市町と県で協議会を設立し,「
天文王国おかやま」を
キャッチコピーに定め,
県外イベントでの広報や
スタンプラリー等に連携して取り組んだ結果,テレビやラジオ,天文の専門誌など県内外の多くのメディアに取り上げられ,
関連施設が幅広く認知されるなど,連携の効果が現れたところです。また,イベントで実施した
アンケート調査では,天文とコンサートやキャンプを組み合わせるアイデアなど,今後の取組の参考となる意見が多く寄せられたところであります。本
プロジェクトを通じ,本県の持つ天文・
星空資源のポテンシャルを関係者が再認識するとともに,各自治体が誘客促進に向けた方策のきっかけを得たことなどが成果であると考えております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 御答弁ありがとうございました。 今のお話を聞いておりますと,成果は非常にあったと解釈すればいいのかと思っています。
アンケート調査の結果を見ると,非常にいい評価を頂いていると思いました。これを次に,例えば旅行のツアーとして組み入れていただけるような形にこれから持っていけたらいいのかと思うんですけれど,その辺りはどう思われますか。
○副議長(
小倉弘行君)
総合政策局長。 〔
総合政策局長 片山誠一君 登壇 〕
◎
総合政策局長(
片山誠一君) お答えいたします。 これまで2年間の
プロジェクトの取組の中でも,
モニターツアーなども実施し,手応えをある程度感じているところでございます。先ほど,知事の答弁にもありましたように,来年度,
観光キャンペーンの中でさらに,
ツアー商品の造成などにも,担当部局において取り組む予定と聞いております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 今,その
プロジェクト自体は,
総合政策局でやられたわけですけれども,次は,観光ということになるので,部署としては観光課が受け持つことになるんでしょうか。
○副議長(
小倉弘行君)
総合政策局長。 〔
総合政策局長 片山誠一君 登壇 〕
◎
総合政策局長(
片山誠一君) お答えいたします。 この
地域課題解決支援プロジェクトにつきましては,複数の市町村に共通する様々な課題について,県も入った形で2年間検討を進めて,それぞれその取組を市町村で自走していただくように発展させるということを主眼としております。2年間,特にこの天文の取組については,様々なメディアも取り上げて,手応えを感じているところでございます。今後,市町村を主体とした組織が設立されるということで,私どもとしても,これまで2年間関わってきたことを踏まえまして,引き続きそうした組織には関わっていくと同時に,県としては,今後,
先ほどお話がありましたように,大きな観光の施策の中でも,来年度,特に天文等もテーマとして取り扱うということでございます。私どもも,これまでの関わりの中で引き続き目配りをしてまいりますし,ある意味,一つの大きなテーマとして県庁全体として,取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 御答弁ありがとうございました。 私,11月の定例会のときに,
クラウドファンディングについて,瀬戸内市の山鳥毛の
プロジェクトについて取り上げさせていただきました。その後,一気に進んで,爆発的に集まったようで,すごいなと,民度の高さというか,非常にそれを感じたわけであります。今回の星空についての
プロジェクトも,一気に
クラウドファンディングの金額が上がっていくのを見て,まだまだ捨てたもんじゃないなということを非常に感じたわけであります。そんな中で,この
星空保護区認定ということが,この「
天文王国おかやま」にとってもこれから先,もっと進んでいく中で,これに認定されるとなると,非常に大きな財産にもなると思います。さらに,
先ほど総合政策局長が全庁的に取り組むと言われたんですけれども,これからの観光ということでこれをぜひ進めていただきたい。
フルーツ王国おかやまでも,
フルーツの場合は作らないといけませんけれども,この
天文王国の場合は,今ある自然の資源をそのまましっかり我々も使っていくことが大事だと思います。今,
新型コロナウイルスで沈んでいる気持ちを,星空を見て癒やされるというのも,我々の持つ自然のすばらしさかなと思います。今の時代,星空を夜見ながらという,心の余裕のない時代なのかなと思う中で,長野とか鳥取に負けないで,我々があるものを
観光資源として進めていけるように,知事としても前面で進めていただくような発言,発信をしていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
○副議長(
小倉弘行君) 知事。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) いかがでしょうかということでありますけれども,議員おっしゃったとおりでございます。本当に岡山の環境,非常に天体観測に適している環境であります。私も,先日3.8メートルのせい
めい天体望遠鏡をのぞきに行かせていただきました。やっぱりすごいなというのが実感であります。いろいろ拝見させていただきました。この大気が安定しているのが,単に暗いだけではない価値のあることでありまして,ぜひこの岡山の特徴をしっかり生かしていきたいと思います。元天文少年としても頑張ってまいります。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君)
星空案内人については,これから検討していくと言われたんですけれども,実は去年,秋に倉敷の
ライフパークで毎年この
星空案内人の養成講座があって,どんなことをやってるのかと,私,行きました。約3か月行かなければいけないんですけれども,高校生から結構高齢の方まで,私も高齢に近いですけれども,40人ぐらい集まられて,この星の
ソムリエという講座を受けて,最終,認定されるわけであります。
星空観望会とかでスタッフとして働いてもらうとか,加わっていただく人を養成することでもあります。この岡山の星を,星だけではなくて,星空全体をPRするためにも,底上げするのは非常にいい制度だなと思います。私がこの
ソムリエという講座があるんだということをSNSに上げたら,どうやったら取れるのかということを興味を持たれた方が結構大勢おられたので,これは倉敷だけではなくて,いろんな地域で開いていただきたいと思います。往復の時間とかは結構大変なので,今の7つの市町がされる中で,そこで回って開催することで県が支援をしていただく形がいいのかなと思うんですけれども。先ほども支援をすると知事言われたので,回すといいますか,県内の地域で開いていただけるような形を取っていただければと思いますけれども,その辺りどうでしょうか。
○副議長(
小倉弘行君) 知事。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) 具体的にどうするんだということですが,まだ具体的に決まっているものは何もありませんで,この
関係機関に働きかけていきたいということなんです。とにかく何か盛り上げようというときには,みんな来てねというだけじゃなくて,
自分たち自身も勉強してその楽しさが分かるということです。私,いろんなところで岡山の桃,ブドウを試食というか,PRに回るときに,
自分たちの部隊には,まず試食して,おいしいというのが分かってから,市内販売や試食会をしないと,自分はおいしいって分かっていないのに,「おいしいですよ」というのはよくないということを常に言うんです。
天文王国を売り出そうとするんだったら,
自分たち自身がこの岡山から見える空がどんなものなのかを知っておくのは,本当にいいことだと思います。私,中学受験をする必要がなかったものですから,小学校5年生,6年生,中学校1年生のころなんて毎晩,1時間ずつぐらい空を見ておりました。そのおかげもあって,今でも
オリオン座がよく分かるという,1時間もかけなくても分かったかもしれませんけれども。そういうことで,本当にぜひ広めていきたいと思っております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 次の項目に移ります。 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) ぜひ,知事,御支援をよろしくお願いします。 次に,SDGsについてであります。 2030年を目標とする国際社会の指標であるSDGsが国連で採択されてから今年で5年になりました。また,期限まで10年となり,ようやく多くの場面で議論されるようになってきました。新聞を見ても,SDGsの活字を見ない日はありませんし,胸にSDGsのバッジをつけた方を多く見かけるようになりました。今定例会の公明党の代表質問で荒島議員からSDGsの推進について,また過去にも平成28年11月定例会での笹井議員の質問に始まり,多くの議員がこのSDGsについて質問を重ねてきた経緯があります。「誰一人取り残さない」を理念に掲げるSDGsですが,達成すべき17のゴールと169のターゲット達成への道は,平たんではないと思われます。 ただ,広告大手電通の2019年調査で,岡山県がSDGsの名称認知率で全国トップだったとの報道がありました。地方自治体によるSDGsの達成に向けた優れた取組を提案した「SDGs未来都市」の60都市として,これまでに岡山市,真庭市と西粟倉村が選定され,その中でも特に先導的な取組を行う「自治体SDGsモデル事業」の20事業に真庭市,西粟倉村が選定されたことが大きな要因と考えます。 また,岡山経済同友会や岡山大学等,産官学でそれぞれ研究・普及に努めていただいていることが今につながっているのではないでしょうか。岡山経済同友会の次期代表幹事に内定された桑田茂氏は,会見で,岡山県が抱える課題として,「若い世代を中心に東京一極集中の流れが止まっていない」と指摘し,もう一人の代表幹事,宮長雅人氏は,「産官学に金融,言論,市民を加えた「産官学金言民」が連携し,SDGsの考え方を通じて地域課題を解決し,地方創生につなげたい」と述べられています。 先日の荒島議員の本県においても「積極的なSDGsの取組が必要だ」との質問に知事は,「次期プランの策定過程において,その取扱いを検討してまいりたい」とし,「おかやま創生総合戦略の延長改訂案において,SDGsに関する記述を基本的な考え方に盛り込んだところである」という答弁をされました。しかし,人口減少や地域経済の縮小等,喫緊の課題を抱える中,地方自治体のSDGs達成に向けた取組こそが,その課題解決に資するもので,地方創生を推進する原動力になるものと思われます。本県でも,今後,SDGsの具体的な実践に向けての取組が求められます。推進組織の設置,執行体制の整備等,岡山県庁としてどう取り組むのか,県民に向けてどう発信していくのかが重要であると考えます。推進組織の設置,執行体制の整備等,また全庁的な政策目標の設定について,知事にお伺いをいたします。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) お答えいたします。 SDGsについての御質問でありますが,持続可能性を核とするSDGsの視点は,人口減少や地域経済の縮小といった課題に対応し,地方創生を推進する上でも参考になる点も多いと考えております。お話の推進組織の設置は考えておりませんが,先般お示しした,「おかやま創生総合戦略」の延長改訂案において,「SDGs等の視点を踏まえ施策を推進する」との記述を盛り込んだところであり,今後,次期プランの策定過程においても,その取扱いを検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 御答弁ありがとうございました。 非常にもやっとしたというか,17の目標を見ても,具体的に数字があるわけではないので,自分はこれとこれとこれというような,できることをやっていくみたいなものかなと。私,まだあまり理解できてないので,バッジはつけないことにしてるんですけれど。これからやっていくとすれば,今のSDGsは,国連の話であって,岡山県でやるとすれば,ローカルSDGs岡山版みたいなものをつくっていかなければいけないのかなと思うわけであります。先般,SDGsをカードでやるということで参加させてもらったんですけれども,高校生が自分の町の問題点をカードにして,それをSDGsに当てはめてどうやるかというゲームと,それから岡大の先生がされてたもう一つは,SDGsを基にまちづくりをしていくのに,問題点をいろいろつくって,どうやって組み合わせてやるかというそんなゲームだったんですけれども,なかなか理解がし難いもので,随分やっていく中でやっと分かってくるみたいなところがあったんです。やはり17の目標というのは,生きていく中でやらなければいけないことのベースなのかなということを感じたので。先ほど申し上げましたように,知事としては特別に県の中に組織はつくらないと言われているんですけれども,県民に対してSDGsの分かりやすい,岡山県としてはSDGsをこうやって取り入れて,こうやっていきたいという,何かそういうものもつくられたほうがいいのかなと思うんですけれども,知事としては,そういうものをつくっていこうというお気持ちはありませんか。
○副議長(
小倉弘行君) 知事。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) 再質問にお答えいたします。 このSDGs,もともとが持続可能性を高めていこうということですので,これは本当にすばらしいことだと思っています。今の民主主義,100年前,200年前のいろいろな政体と比べると随分よくなったところがたくさんありますけれども,今,生きている人で投票をして,今,生きている人に訴えるということになりますので,今の人にはいいけれども,次の世代,その次の世代にとってはひどいことになることでも意外と通ってしまうというのが,現在の民主主義の大きな欠点だと思っています。そういうことを,「いや,持続可能性って大事だよ」ということをみんなが今まで以上に意識することで,私はよりよい社会をつくれると思っています。 SDGsのつくり方,私も詳しいわけではありませんけれども,もともとのミレニアムゴールズ,この発展途上国のためのいろいろな目標をつくったものを,「まあせっかくつくったんだから先進国もやってみましょう」みたいなことでみんなでやるようになったということであります。これは,性質上非常に網羅的な話になっています。それぞれ,実際にやろうとすると,矛盾というか,コンフリクトが生じるようなことも全部入っています。例えば,道路交通についてこのようなことをやってみるとすると,渋滞はなくそうという,もっと移動を早くしよう,歩行者には優しくしよう,工事は減らそうとか,誰も文句を言えない目標が10あると,それについて文句はないんですけれども,実際に早く進もうとすると事故が増えたり,歩行者に厳しくなったり,渋滞を減らそうとするととか,これをやろうとするとこっちにはむしろマイナスということがあるので,その網羅的な目標をつくっただけでは,どっちに行くかということは自然と出てくるわけではない,だからこそみんなに受け入れられやすいというのもあるんですけれども。実際のところには,今の我々の課題を解決しようと思ったら,全部やればいいんだろうけれども,じゃあ,まずやるのは何なのという優先順位をつけるということとは発想はむしろ逆でありますので,その網羅しているよさはそうなんですけれども,実際には我々自身選択をしなければいけないということも同時に忘れてはいけないと思っております。私,このSDGs,もし自分の権限で変えさせていただけるのであれば,今,日本に一番必要とされている持続可能性の問題は,財政でありますけれども,実は財政が,17も上げている中に入っていないことは,ちょっと先進国向けではないなと思っております。ぜひ18番目,財政の安定性は入れてもらいたいと思っております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 26番。 〔 26番
上田勝義君 登壇 〕
◆26番(
上田勝義君) 御答弁ありがとうございました。 言われるとおりで,具体的なものがない本当にもやっとした目標で,私自身も思ったのは,もうSDGsは,自分ができるものを取り入れて,「俺はここはこうやるよ」ということでいいのかなと,それ全部やろうとすると,先ほど言われたように非常に難しい話だし。ゲームで感じたのが,さっき財政の話を言われましたけれど,お金も絡めてそのゲームはあったんですけれど,整合性が取れなくなって,町が破綻するというようなゲームだったんですけれども。やはり取り入れていくところ,それを自分で選びながら,しかしながら全体でやろうということだから,これはやっぱりやらなければいけないと思いますので,これからつくられるプランの中に取り入れていただいて,しっかり進めていただけるようにお願いして,質問を終わらせていただきます。皆さんありがとうございました。
○副議長(
小倉弘行君) 以上で上田君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 次の質問者に移ります。 8番大橋和明君。 〔 8番 大橋和明君 登壇 〕
◆8番(大橋和明君) 皆さん,おはようございます。
上田議員に続きまして,
デニムスーツで今日は登壇させていただきます。
自由民主党岡山県議団の大橋和明と申します。よろしくお願いします。 今回で2回目の
一般質問となりますが,よろしくお願いしたいと思います。 さて,今年7月には,いよいよ56年ぶりに2020東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。前回の東京オリンピックが開催された昭和39年は,東海道新幹線東京-新大阪間が開業,浜松町-羽田間でモノレールが運転開始など,多くのインフラ整備がなされ,高度経済成長が加速しました。今年のオリンピック・パラリンピックを契機に魅力ある日本文化を全世界に発信し,日本経済が成長することを期待いたします。 一方,昨年12月以降,中国の武漢市において
新型コロナウイルス感染症の発生が複数報告されて以来,世界各国で感染の報告が続いています。日本においても,今年1月16日に
新型コロナウイルスに感染した患者が初めて確認され,現在まで中国を中心に世界で9万人を超え,日本でも200人を超える患者が確認されました。厚生労働省は,職場内での感染拡大を防ぐため,テレワークの活用や時差通勤,社員が安心して休めるような環境整備を企業等に求めています。また,これまで政府による様々な対策が取られてきましたが,イベントの相次ぐ中止や公立小中高校の休校など,私たちの社会生活にも大きな影響が出始めています。
新型コロナウイルスの問題は,健康被害だけでなく,経済的損失も計り知れません。一日も早い終息を祈るばかりでございます。 それでは,通告に従いまして質問を始めさせていただきます。 一部所属委員会に関する事項や既に何度も議会で取り上げられた事項も含まれておりますが,今後,岡山県にとって大きな課題でございますので,御了承をお願い申し上げます。 まず,大規模災害に対する備えについてお伺いします。 一昨年,西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた真備町では,被災者が避難所に殺到して定員を大きく上回るなど混乱が生じ,車中泊や遠方の避難所への移動を強いられた住民や,土砂災害の危険から,予定された避難所が利用できない事態も発生するなど,緊急避難場所,避難所の確保に課題を残しました。現在,県ホームページに掲載されている市町村の緊急避難場所等の指定数を見ると,津波,洪水で大災害に見舞われたとき,被災者が十分に避難できる数の避難場所等が指定できているのか疑問です。公共施設だけでは不十分な場合,民間事業者の施設などをもっと積極的に指定する必要があると考えます。 そこで,避難場所等の充実についてお伺いします。 本県は,住民の何割が避難できることを想定して,避難場所等を指定するよう市町村に助言しているのでしょうか。また,現在の数で足りているとお考えでしょうか。必要数の考え方に関し,併せて危機管理監にお伺いします。 また,津波,洪水,土砂災害など災害の種類によっては,避難する場所として適さない避難所もあります。例えば,海抜1メートル以下の県南部の田園地域では,津波,洪水ではほとんどの避難所が使用できません。鉄筋コンクリート2階建て以上の建物は,役所,学校施設以外になく,またそこへ行くにも数キロあり,到底高齢者など避難行動要支援者が移動することはできません。災害発生時には避難所として使用できる2階建て以上の多目的施設を積極的に整備する必要があると考えますが,危機管理監の御所見をお伺いします。 さらに,要介助者など災害時の避難生活で配慮が必要な人を受け入れる福祉避難所についても,指定数は増えているものの,人手不足や周知の在り方など運営上の課題も多く,受入れ可能人数は不足しているとも聞きますが,県内の福祉避難所の状況と課題を踏まえた今後の対応方針について,併せて保健福祉部長にお伺いします。 次に,避難所の質の向上についてお伺いします。 平成25年8月,「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組方針」が策定され,さらに平成28年4月に新たに「避難所運営ガイドライン」が発表されました。避難所の開設のみならず,その質の向上に前向きに取り組むことは,被災者の健康を守り,生活再建への活力を支える基礎となります。阪神・淡路大震災では全ての避難所が閉鎖されたのは6か月後,東日本大震災では9か月後,西日本豪雨では5か月後と,避難所生活が長期化しています。 そういった中,避難所の生活環境は生活空間の広さ,プライバシーの確保,設備の充実など多くの課題があります。先般の全国自治体アンケートによると,市区町村の95%が避難所の改善が必要とし,そのうち半数がプライバシーの確保が課題と考えていることが分かりました。本県でも,一番多いのは,プライバシーの確保で6割,2番目は,洋式トイレの配備,増備,3番目は,段ボールベッド,簡易ベッドの配備,増備とのことでした。 そこで,危機管理監にお伺いします。 人道的な避難所運営のための行動理念と最低基準を示したスフィア基準では,避難所の1人当たりの広さは3.5平方メートルと記載されていますが,本県では,プライバシーの確保の観点から,市町村に対し避難所の1人当たりの面積基準をどのように助言しているのでしょうか。 また,アンケート結果で上位の段ボールベッドや仕切り板など,市町村の備蓄はどのような状況でしょうか,併せてお伺いいたします。 また,多くの場合,学校の体育館などが指定避難所として使われますが,アンケート結果で上位の洋式トイレの配備をはじめ,テレビの配線,Wi-Fi環境の整備,コンセントの増設,十分な電気容量の確保,バリアフリー化などハード面の整備は,事前にしておくべきであると考えますが,現在の整備状況と今後の対応方針について,併せてお聞かせください。 次に,食料,物資の面から,十分に行き届かない,逆に過剰に届くといった避難所での格差が生まれています。一方,全国から大量の救援物資が届く中,被災者ニーズとのミスマッチ,供給過多という新たな課題も生じています。復旧が進む過程で被災者の求めるものが刻々と変化し,被災当初には役立った物資も後には不要になってしまい,その保管費用や処分費用が被災自治体の予算を圧迫する第2の災害が発生しています。被災地に必要な物資を必要な場所に無駄なく届けることができるよう,支援物資のマッチングに加え,ボランティアのニーズ,安否確認など,様々な被災地の情報を集積し,分析できる情報システムを岡山県として整備してはどうでしょうか,危機管理監にお伺いします。 次に,自主防災組織についてお伺いします。 西日本豪雨のとき,避難指示の発令にもかかわらず,実際に避難した人は,僅か数%だったとの報告もあります。これは,水害,地震など危険が目の前に迫っていても,日常生活の延長線上の出来事だと判断し,「自分は大丈夫」,「まだ安全」などと思い込んでしまう,「正常性バイアス」という人間の心理的な傾向だそうです。実際に避難指示等が発令されたとき速やかに避難行動に移せるよう,地域の自主防災組織が中心となって情報収集や伝達,避難誘導や応急救護など,日頃から実践的な防災訓練を繰り返す必要があります。しかし,地域防災の重要な役割を担う自主防災組織は,高齢化,若年層の参画,防災リーダーの育成,実効性のある避難訓練の実施など様々な課題があります。特に,効果的な実践活動に向けて必要な調整や誘導を行う防災リーダーの育成が求められており,本県でも,自主防災活動の事例発表や地域での効果的な活動につながるワークショップの実施など,近隣地域のリーダーが共に学び合う防災リーダー研修が毎年行われております。 そこで,危機管理監にお伺いします。 本県では,自主防災組織の組織率を来年度までに82%とする目標を掲げていますが,平成31年4月現在,全国39位の77.1%で,市町村別に見ると53.1%から100%までかなりの差があります。なぜ市町村によってこれだけの差があるのでしょうか。その分析の下,組織率100%を目指して取り組んでいただきたいと思いますが,市町村間での組織率の差に関する見解と組織率の向上に向けた今後の取組について,併せてお伺いいたします。 次に,防災士の養成についてお伺いします。 本年1月現在,防災士の認証者数は,全国では18万8,000人で,岡山県では2,874人となっています。近県では,愛媛県が1万4,000人と突出しています。愛媛県内では,自主防災組織のリーダーはもちろんのこと,地域に密着している企業,団体職員,社会福祉施設の職員,学校の教職
員,さらには大学生や高校生まで養成講座の対象を拡大し,幅広く防災士の資格が取得できるよう取り組んでいます。岡山県においても,NPO法人日本防災士機構による民間資格,防災士の育成事業に補助制度を設けていますが,南海トラフ地震等に備え地域防災力の強化を図るため,防災士を養成する仕組みをさらに推進してはどうでしょうか,危機管理監にお伺いします。 次に,公明党荒島議員の代表質問でもありましたが,公立夜間中学の設置についてお伺いします。 国は,平成29年2月施行の「教育機会確保法」に基づき策定された基本方針において,全ての都道府県に少なくとも1つの卒業資格が認められる夜間中学の設置を目指す方針を示しました。対象者は,戦中戦後の混乱期に義務教育を修了できなかった人,不登校の時期が長かったなどの事情から実質的に十分な教育を受けられないまま学校の配慮等により卒業した人,母国で十分な教育を受けられなかった外国人など,何らかの事情で学齢期に義務教育の機会を十分に得られなかった人たちです。現在,東京,大阪,兵庫,広島など9都府県,27市区に33校が設置されています。また,徳島県では,令和3年春に県立の夜間中学を開設するということが決定されました。開校すれば,全国初の都道府県立の夜間中学となります。 本県では,平成28年に岡山県中学校夜間学級調査研究委員会を設置し,ホームページ,広報誌,公民館,図書館,社会福祉協議会,ハローワーク等でのニーズ調査を実施したところ,電話相談は23件で,公立夜間中学の通学希望者は僅か5件だったため,「現時点で直ちに中学校夜間学級を設置する状況にない」という判断となりました。しかし,毎日は通えないが,月1回の頻度だったり,特定の教科だったりすれば学びたいという意見が多かったため,岡山市,倉敷市,津山市,備前市の県内4か所で定期的に「学び直しの教室」を開いています。その後,昨年9月から10月にかけて2回目のニーズ調査を実施し,学びたい人の数や期待することなどを調べ,設置の必要性を検討するとしています。また,岡山市では,昨年6月から8月のニーズ調査で約1万4,000枚を配布し,約800件の回答結果を基に,今年6月に市内2か所で月2回の読み書き,計算を教える夜間教室を開設する方針を示しました。現在,岡山市には平成29年4月に開校した,ボランティア団体が運営する自主夜間中学校が1か所あり,10歳から80代の約200人の生徒が月に2回利用しています。このように,本県では,学び直しの教室はあるものの,公立夜間中学は開校されていないのが現状です。 そこで,お伺いします。 高知県では,ニーズ調査で1万7,000枚を配布し,回答が約1,200通あったそうです。本県の2回目のニーズ調査では約350件の回答があったとのことですが,県民ニーズを判断する上で十分な数値ではないような気がします。前回調査と比べて,配布の場所や配布枚数の増加など,どのような改善をされたのでしょうか。また,2回目の調査結果をいつ公表するのでしょうか,併せて教育長にお伺いします。 また,県内4か所に開設している学び直しの教室の利用状況とその活用の具体的方針について,教育長にお伺いします。 次に,平成22年の国勢調査では,全国の未就学者数は約12万8,000人で,岡山県は1,306人との報告があります。これは小学校を卒業していない人数で,中学校を卒業していない人数を加えるとさらに増加します。公立夜間中学の設置については,他県の状況,ニーズ調査の結果,学び直しの教室の利用状況などから総合的に判断されると思いますが,戦後の混乱で義務教育を受けられなかった高齢者や不登校であった児童生徒のために,学び直しの場としての役割を持つ公立夜間中学は,最後のセーフティーネットであると考えますが,知事及び教育長の御所見をお願いします。 次に,若者の早期離職対策についてお伺いします。 昨年の全国の就職率は,景気拡大と企業の高い採用意欲を背景に好調な就職環境が続いたことにより,大学卒業者は97.6%,高校卒業者は98.2%,共に高水準でした。一方,厚生労働省が昨年10月に就職後3年以内の離職状況を取りまとめた調査では,新卒の離職率は,大学卒業者は32%,高校卒業者は39.2%と,依然として高い状態にあり,新規採用者の早期離職は,多くの企業で課題となっています。 厚生労働省の平成30年若年者雇用実態調査によると,離職の理由としては,1位は労働時間,休日,休暇の条件が30.3%,2位は人間関係が26.9%,3位は賃金の条件が23.4%,4位は仕事が自分に合わないが20.1%となっています。このように,早期離職の主な原因は,採用前のミスマッチや職場内での人間関係となっています。若手社員が早期離職した場合,給与,賞与に加え,採用コスト,入社後の研修,教育コストなど損失額は1,000万円を超えると言われています。金銭面以外でも,スキル・ノウハウの流出,社員のモチベーションの低下,業務負担増による連鎖退職,SNSへのネガティブ投稿による企業イメージの低下など,企業が被る損害は小さくありません。早期離職者にとって,正規社員として再就職は難しい場合もありますし,若者の非正規社員を減らすためにも,職場定着に対する支援が重要となってきます。 そこで,お伺いします。 現在,岡山県では,「若者の職場定着推進事業」により,若手職員向けの離職防止研修と,経営者や人事担当者向けの若手職員とのコミュニケーション研修などを実施しています。また,来年度の重点事業調書では,大学卒業者の3年以内の離職率について,平成30年の実績の35.7%から32.3%と3.4%改善させる目標としていますが,これまでそれぞれの研修を毎年何回実施し,何人の受講者がいたのでしょうか。そして,その取組をどのように評価されているのでしょうか,併せて産業労働部長にお伺いします。 次に,愛知県では,若手社員の職場定着に力を入れている企業の取組についてインタビューを行い,若者職場定着取組企業事例集を作成し,研修などの様々な機会を捉えて県内企業に周知しています。この事例集は,若者が早期離職する主な原因である,入社前後のギャップ,職場の人間関係,安心して働ける環境など,企業と若者との間の働きやすいということへの認識のずれを埋め,課題解決へ道筋を探っていくための内容となっています。本県では,時間外労働の削減や休暇の取得の促進など,働きやすい職場づくりに積極的に取り組み,国の認定を受けている県内企業の取組をまとめた,働きやすい職場づくり取組事例集を作成して,働きやすい職場づくりを進めようとする企業に広く活用されています。しかし,そもそも働きやすい職場とは,愛知県の取組から分かりますように,提供する企業と入社を考えている学生とでは少し認識にずれがあるかもしれません。その相違を埋める施策を推進しない限り,若者の早期離職の問題は改善されないと思いますが,産業労働部長の御所見をお伺いします。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君)
自由民主党の大橋議員の質問にお答えいたします。 公立夜間中学の設置についての御質問であります。 所見についてでありますが,公立夜間中学は,義務教育を修了できなかった方や,病気,不登校で十分な教育を受けられず卒業した方,外国籍の方などが普通教育を受けることができる場であると承知しており,県教委が設置している調査研究委員会で検討を進めてもらいたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 危機管理監吉田邦成君。 〔 危機管理監 吉田邦成君 登壇 〕
◎危機管理監(吉田邦成君) お答えいたします。 大規模災害への備えについての御質問であります。 まず,避難場所等の充実のうち,必要数の考え方についてでありますが,災害対策基本法では,指定緊急避難場所は堤防等の防災施設の整備の状況や地形などを総合的に勘案し,また指定避難所は想定される災害や人口の状況などを勘案し,市町村が指定することとされております。このように避難場所等については一定の割合で避難者が発生することを前提に指定するものではないことから,市町村に対しては,地域の実情に応じて必要な避難場所等を確保するよう助言しているところでありますが,大規模災害時に広範囲で避難情報を発令した場合の対応には懸念もあり,今後,市町村とこうした課題について検討してまいりたいと存じます。 次に,多目的施設の整備についてでありますが,市町村においては,これまでも学校施設のほか,コミュニティハウスや公民館,集会所などの公共施設も避難場所等に指定するとともに,企業の協力を得て商業施設や工場を活用するなど,避難場所等の確保に努めているところであります。お話の多目的施設の整備については,市町村において各種公共施設の配置や平時における活用等を十分検討をした上で,適切に判断されるものと考えておりますが,県としては,必要な場合は,国の支援制度等を紹介するなど,助言してまいりたいと存じます。 次に,面積基準等についてでありますが,災害時に避難所を円滑に運営するため,県では,市町村と共同で避難所運営マニュアルを作成しており,この中で避難所生活が長期に及ぶ場合の1人当たりに必要な最低面積として3平方メートルを示しているところであります。また,市町村における備蓄状況については,段ボールベッドは14市町村で約1,400台,仕切り板は14市町村で約1,700枚となっておりますが,7月豪雨災害では,約2,200台の段ボールベッドを国からプッシュ型支援として受けたところであり,今後とも,国,他自治体との連携や関係団体との調達協定の活用などにより,必要な物品の確保に努めてまいりたいと存じます。 次に,ハード整備の状況等についてでありますが,国の調査によると,公立学校の体育館への多目的トイレ設置状況は,平成31年4月時点で2年前と比べ約10ポイント増加するなど,防災機能の整備は一定程度進んでいるものと考えております。避難所における良好な生活環境の確保は,大変重要であり,これまでも市町村に対し国が示した指針に基づき整備を進めるよう働きかけておりますが,お話のとおり,事前のハード整備はWi-Fi環境の整備や電気容量の確保など多岐にわたっており,県としても必要な場合は国とも連携を図りながら,民間事業者等と防災協定を締結するなど,しっかり支援してまいりたいと存じます。 次に,情報システムの整備についてでありますが,災害時には支援物資のマッチングが大変重要であり,国では7月豪雨災害の経験も踏まえ,避難所のニーズや調達などの情報を一元的に管理できるシステムの開発を進めており,来年度から運用予定でありますが,本県では,他県に先駆けて,1月の物資オペレーション訓練で試験的に活用したところであります。このほか,お話のとおり,有効なシステムは様々に考えられますが,広域化する大規模災害では,他の自治体からの支援が円滑に行われるよう全国統一のシステムが望ましいことから,必要なものについては国が主導して検討するよう働きかけてまいりたいと存じます。 次に,自主防災組織の組織率についてでありますが,自主防災組織は,自治会や町内会をベースに結成されるのが一般的であり,こうした地縁組織の活動状況や地域住民の防災に対する関心の度合いなどにより,その組織率に差異が生じているものと考えております。このため,今年度から自主防災組織の活動を促進する事業や,その中核を担う防災リーダーを養成する研修会を拡充するとともに,来年度は,未結成の地域において組織の立ち上げ支援を行う新たなモデル事業を実施したいと考えており,市町村と連携を図りながら,こうした取組を積極的に推進し,組織率向上につなげてまいりたいと存じます。 最後に,防災士の養成についてでありますが,県では,資格取得を支援する市町村に対する補助制度を設けており,多くの市町村で取組が進んでいるところであります。自助・共助の充実が求められる中,防災の専門知識を有する防災士の活動への期待は高まっており,今年度から実施している地区防災計画の作成を支援するモデル事業においても,防災士の方々には積極的に参画いただいているところであります。今後,市町村にこうした防災士の活動について積極的に情報提供をするとともに,引き続き補助制度の活用を促すなど,防災士の養成を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 保健福祉部長中谷祐貴子君。 〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕
◎保健福祉部長(中谷祐貴子君) お答えいたします。 大規模災害への備えについての御質問であります。 避難場所等の充実のうち,福祉避難所の状況等についてでありますが,平成31年4月時点で301施設が指定されており,その約8割が高齢者福祉施設となっております。また,運営に関しては,災害時における人手不足や平時の事前周知が不十分といった課題があり,県では,支援者の対応力向上に資する研修会を開催するとともに,市町村への説明会等を通じて,平時からの住民への周知を働きかけているところであります。引き続き,福祉避難所が適切に運営されるよう,市町村の取組を支援してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 産業労働部長小林健二君。 〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕
◎産業労働部長(小林健二君) お答えいたします。 若者の早期離職対策についての御質問であります。 まず,若者の職場定着推進事業についてでありますが,この事業は平成29年度から実施しており,新入社員向け研修は,毎年3回程度開催し,これまでに394人が,また経営者向け研修についても,毎年3回程度開催し,214人が受講されております。受講した新入社員からは,「会社での目標が明確になった」「モチベーションの上げ方が分かった」などの声が,また経営者からは,「若手社員とのコミュニケーションの取り方が理解できた」といった声が聞かれるなど,参加者の満足度は高いと考えており,引き続き受講者の声をしっかり聞きながら,効果的な研修となるよう取り組んでまいりたいと存じます。 次に,企業と学生の認識相違についてでありますが,「勤務条件がよくなかった」「仕事が自分に合わなかった」などが若者の主な離職理由との調査結果もあり,県では,これまでも学生が企業の実情を肌で感じることができるよう,企業見学バスツアーやインターンシップの推進に取り組んできたところであります。来年度は,インターンシップの機会をさらに充実するとともに,女性社員による女子学生を対象とした説明会を新たに企画するなど,よりきめ細かく対応することとしており,こうした取組を通じて,企業と学生の認識の相違が生じないようしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 教育長鍵本芳明君。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) お答えいたします。 公立夜間中学の設置についてのうち,まずニーズ調査の改善等についてでありますが,前回調査よりも多くの回答を得るため,配布枚数を約2万7,000枚から約3万8,000枚に増やし,設置場所を県内の全ての図書館や公民館等へ広げ,併せてポスター掲示やSNSでの発信とともに,新聞等にも取り上げていただくなど,幅広く周知を図ってまいりました。また,英語版・中国語版等を作成し,多言語にも対応したところです。現在,調査研究委員会において,どのようなニーズがどこに,どれくらいあるのかなど,調査結果の分析も含め多様な意見が交わされているところであり,公立夜間中学の設置の必要性や在り方など,今後の方向性を打ち出すためにはさらなる協議が必要との意見が出されたことから,来年度のできるだけ早い時期の公表を目指し,引き続き調査研究を進めてまいりたいと存じます。 次に,学び直しの教室についてでありますが,12月末時点で県内4か所で49名の方が登録し,教室ごとに開催頻度は異なりますが,1回平均4名程度の方が参加しております。参加者は,小学生から70代で,外国籍の方も含まれております。今後,この事業の成果を市町村に普及するとともに,公立夜間中学の設置の必要性や在り方などの検討の材料ともしてまいりたいと存じます。 最後に,所見についてでありますが,公立夜間中学は,通常の中学校同様,毎日通学し,義務教育段階の学習内容を学ぶ機会を保障する場であり,お話の義務教育段階の普通教育を必要とする方の社会生活を支える役割を持つものであると考えております。こうしたことから,県教委では,調査研究委員会においてニーズの具体的内容を把握・分析し,公立夜間中学の設置の必要性や在り方など今後の方向性について,委員会に参加している市の教育委員会とともに協議しているところであります。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 8番。 〔 8番 大橋和明君 登壇 〕
◆8番(大橋和明君) 御答弁ありがとうございました。 何点か要望して,質問を終わりたいと思います。 まず,大規模災害の備えについてですが,先ほどの説明もいろいろありましたが,現在の避難所を見ても,被災者が体育館の硬い床に毛布を敷いて雑魚寝をしている姿をよく見ますけれども,もう数十年前と全く変わらない光景を私たちは目にします。避難所生活が長期化すると,エコノミークラス症候群や持病の悪化を招き,災害関連死につながるおそれもあります。食料,日常生活品はもちろんのこと,段ボールベッドや仕切り板などの避難所生活の長期化を想定した物資の備蓄,先ほど14市町村と言われましたが,そちらの備蓄ももっと市町村に広げていただきたいと思います。そして,特に学校の体育館など,避難所として指定されている施設では,ハード面において避難所としての機能を有していないと避難してきても何もできませんので,そういったハード面の整備に取り組んでいただきたいと思います。 次に,夜間中学の設置についてですが,教育を受ける権利は,学齢期に何らかの事情で義務教育の機会を十分に得られなかった人など全ての人に保障されます。学び直しの場としての役割を持つ夜間中学の設置は,多様な学びを実現するものでございます。「新晴れの国おかやま生き活きプラン」に教育県岡山の復活を掲げている本県としては,積極的に御検討いただきますよう,よろしくお願いします。 次に,若者の早期離職対策についてでございますが,若者の3年以内の離職率は,中卒7割,高卒5割,大卒3割が離職する七五三現象とも言われております。若干の改善はあるものの,水準のほうは20年前と変わっていないようです。早期離職は鬱病やひきこもり,自殺など様々な社会問題とも大きく関連しています。過去の社会が若者の早期離職に対策を講じていなかったことが,現在の8050問題を起こしている一つの要因ともなっておりますので,若者の早期離職対策にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 以上,3点を要望しまして,私の
一般質問を終了します。御清聴ありがとうございました。
○副議長(
小倉弘行君) 以上で大橋君の質問は終了いたしました。 次の質問者に移ります。 19番高橋徹君。 答弁者は控席へ移動願います。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) 民主・県民クラブの高橋徹です。 私,
デニムスーツではないんですが,某デパートで買わなければいけないという事情がありまして,広い意味では岡山産だと思っておりますので,よろしくお願いします。 早速ですが,通告に従い,質問に入ります。 所属委員会マターの質問がありますが,部局をまたがる課題の一部ということで御了解を頂きたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため,3月2日から県立学校が臨時休業に入りました。政府の唐突な要請に応え,見切り発車で休業に踏み切る形になり,現場には様々な課題が山積しています。今回の政府の要請に対する知事の受け止めをお聞かせください。 また,休業に入り,今日が3日目ですが,現在の学校現場の状況と解決しなければならない課題の主なものを教育長に伺います。 共働きや独り親の家庭で,子供の面倒を見てくれる場所や人が探せない保護者への対応が求められています。預け先を探す,面倒を見てくれる人に来てもらう,自分が休んで面倒を見る,基本的には3つの中から対応を考えることになります。小学校の休業に際しては,放課後児童クラブの開所時間の延長や学校による一時預かりに多くの市町村が取り組んでいます。放課後児童クラブに聞き取りをすると,支援
員の不足,施設の狭さやぼろさ,感染防止対策の不徹底などを指摘する声が聞こえてきます。放課後児童クラブは,市町村の所管ですが,昼間,子供だけで過ごさざるを得ない小学生の居場所として極めて重要な役割を果たします。運営面の諸課題の解決に向け,県もできる限りの支援を行っていくべきだと考えます。放課後児童クラブの支援について検討していることはありますか。保健福祉部長に伺います。 また,面倒を見てくれる人を探すという点では,利用者の自宅で子供を見てくれるシッターの活用も選択肢の一つです。特に,単発的,突発的に子供の面倒を見てくれる人を探す場合,シッター利用は,便利です。安価で手軽にシッターが使えるような仕組みや工夫は検討できませんか。併せて伺います。 次に,仕事を休んで子供の面倒を見るケースです。まず,県は,保護者が子供の面倒を見るために休暇取得を申請した場合には,格段の配慮をしていただくよう県内企業に要請していただきたいと思います。併せて,啓発活動を強化し,子供を理由にした休暇が取得しやすい機運を醸成していただきたいです。これらの点についてどう対応されますか,産業労働部長に伺います。 やむを得ず仕事を休んだ場合の手当や休業補償などの支援策も必要です。時給や日給で働く非正規労働者の収入減への対応も求められます。安倍首相は,2月29日の記者会見で,休職する保護者の所得減少に対応するための新たな助成金制度を設けると表明し,正規,非正規を問わずしっかり手当てをすると述べました。県では,県内企業に政府の支援制度をしっかりと周知するとともに,特別な有給制度や休業手当の導入・運用など,休業補償や収入減を補填する仕組みの整備を働きかけていただきたいと考えます。また,必要に応じて,県内の実情を踏まえた独自の支援制度も検討していただきたいと考えますが,いかがでしょうか,産業労働部長の御所見を伺います。 北海道帯広市では,休校の影響で看護師らが出勤できず,外来診療を一部制限する病院が出ました。休校の影響で医療機関の機能低下が懸念されますが,県内の状況をどのように捉えていますか。また,このような懸案に対しどのように対応されますか,保健福祉部長に伺います。 学校休業に伴い,保護者をはじめとする県民から様々な相談ニーズが出てきます。放課後児童クラブ,休暇取得や休業補償,中小企業や医療機関への支援等,相談内容は多岐にわたります。あらゆる分野の相談に対応できる相談窓口を設置すべきだと考えます。その際,どこに相談すればよいか分かりにくい,相談をたらい回しにされるということがないよう,相談体制を工夫する必要があります。最短で目的の部署につながり,相談者がストレスを感じることなく,気軽に相談できる体制整備が必要だと考えますが,いかがでしょうか。知事の御所見を伺います。 以上,いろいろ申し上げましたが,今回,最も影響を受けているのは,子供たちです。卒業式など,例年この時期に行われていた行事が中止または規模縮小になり,残念な思いをしている子供たちがたくさんいます。今のクラスで過ごす最後の時間が急に奪われ,2月28日は,学校も先生もばたばたで十分な説明もお別れもできないまま,事実上終業になった学校もたくさんあります。茨城県つくば市が今回の休業に関し子供向けに出したメッセージをお手元に御用意しました。(パネルを示す)皆さんのお手元にもあると思います。子供たちの残念な気持ちに思いをはせ,その不安を取り除くために,知事から子供たちに向けメッセージをお願いいたします。議会答弁にとどまらず,メディアやホームページなどを使って子供たちに届く形で発信していただきたいと思いますが,いかがでしょうか,御所見を伺います。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) 民主・県民クラブの高橋議員の質問にお答えいたします。 公立学校の臨時休業についての御質問であります。 まず,要請の受け止めについてでありますが,今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であることを踏まえると,子供の居場所の確保等,様々な課題があるものの,一斉休業に取り組むことにより子供たちの健康と安全を守るとともに,感染の拡大を防止する上で効果が期待できるものと考えております。 次に,相談窓口の設置についてでありますが,県では,
新型コロナウイルス感染症に関する専用の相談窓口を設け,この窓口で相談を受け付けた上で,相談内容に適切に対応できる部署で具体的な相談対応を行っております。この相談窓口の一層の周知を図り,県民からの相談にしっかり対応してまいりたいと存じます。 次に,子供たちへのメッセージについてでありますが,このたびの臨時休業は,子供たちの健康・安全を第一に考えた対応であり,感染の広がりが早く収まり,みんながそろって学校に通えることを待ち望んでいるところであります。メッセージの発信をというお話でありますが,様々な機会を活用して,こうした私の気持ちが子供たちに伝わるよう努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 教育長鍵本芳明君。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) お答えいたします。 学校現場の状況等についてでありますが,現在,各学校では,学年末の成績処理などを行ったり,今後の登校日において課題等を配付する学校では,その準備を行っているところであります。また,放課後児童クラブ等の受入れ体制が整っていない場合には,学校で子供たちを預かっているところもあると承知しております。臨時休業中においては,子供たちの居場所の確保のほか,適切な学習習慣や生活習慣の確立,健康管理の徹底,特別な支援を必要とする児童生徒への対応など様々な課題がありますが,市町村教委や
関係機関等と連携しながら,子供たちが健康・安全に過ごせるよう努めてまいります。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 保健福祉部長中谷祐貴子君。 〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕
◎保健福祉部長(中谷祐貴子君) お答えいたします。 まず,放課後児童クラブへの支援等についてでありますが,今回の臨時休業に伴う課題に対応するため,居場所の確保等について県教委と連携を図るとともに,時間延長やクラスの追加,スタッフの確保等について市町村を支援してまいります。 また,シッターの活用については,比較的安価に利用できる会員相互の助け合いの仕組みである,ファミリーサポートセンター事業に取り組む市町村を支援するとともに,国において,企業主導型ベビーシッター事業が拡充されたことから,その周知に努めてまいりたいと存じます。 次に,医療機関の機能低下についてでありますが,現時点で直ちに医療機能が低下するとの情報はありませんが,一部の医療機関では,子供の居場所を独自に設けて対応していると聞いております。今後,子供の居場所の確保が進むよう,放課後児童クラブの時間延長やスタッフの確保等について市町村を支援することとしており,こうした取組について医療機関等と情報共有してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 産業労働部長小林健二君。 〔 産業労働部長 小林健二君 登壇 〕
◎産業労働部長(小林健二君) お答えいたします。 まず,休暇取得への配慮要請等についてでありますが,県では,感染症の拡大を受け,中小企業への影響や支援策の情報を共有するため,国や産業支援機関等を構成
員とする会議を立ち上げ,緊密に連携し対応しているところであり,休暇取得の配慮についても,こうした場などを通じて働きかけてまいりたいと存じます。 また,啓発については,これまでも働き方改革に積極的に取り組む企業を紹介した事例集などにより周知してきたところでありますが,このたびの感染症への対応を契機に,休暇取得の在り方について職場内で改めて検討するよう働きかけるなど,休暇が取得しやすい機運の醸成を図ってまいりたいと存じます。 次に,支援制度の周知等についてでありますが,「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援に関する助成金」の概要が一昨日明らかになったところであり,今後,制度を活用するために必要となる企業の対応なども含め,県内企業に確実に情報が届くよう,国や産業支援機関等と連携して周知してまいりたいと存じます。 なお,独自の支援制度については,国において幅広く支援策が検討されており,その内容を注視しているところであります。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) 学校現場の今の課題で,少し詳しく知りたいことがあるので,再質問をさせていただきます。 突然休業になったことで,3学期のある一定の期間にやるべき勉強ができなかったことがあると思うんですが,これはどうされるんですか。
○副議長(
小倉弘行君) 教育長。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) 再質問にお答えをいたします。 できなかった勉強の内容をどうするのかでございますけれども,復習等に関わる分については,課題等で家庭学習をするように指導をしておるところでございます。前年度残っておる新しい学習内容につきましては,次年度が始まりまして,必要に応じ補充的に次の学年において行う対応を取っていくように考えております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) 放課後児童クラブの支援ですが,人員とか居場所の確保とかということに触れられたんですけれども,例えば厚生労働省は,放課後児童クラブについて小学校の空き教室を活用し,利用児童が過密状態になるのを防ぐとか,休校した学校の教員が支援
員として学童で子供たちを見守ることも可能とするという通知が出ていると伺っています。私も,学童,何校か昨日,おととい,行ってまいったんですけれども,多分御承知のように,教室より狭いところに50人ぐらいの子供がひしめいていて,別に勉強しているわけじゃないですから,要するに遊んでいるわけで,プロレスごっこをしている子もいれば,トランプをしている子もいる。その子たちについてはどう考えても,学校で普通に授業をしているよりも感染リスクが高いと,恐らく誰が見ても思うと思うんです。そういう状況が一つの現実としてある。でも,今,来てくれる子供を断るわけにはいかないと思いますから,場所を増やす,あるいは少人数単位にしてある程度管理しようとしたら,当然つく人が増える,これがもう欠かせないと思うんです。 それともう一つ,マスクとかアルコール消毒液とか,ドアノブのところに何か貼るようなものとか,そういう感染グッズみたいなものも対応できることではないかと思うんですが,この辺りについては具体的に何かお考えがありますでしょうか。
○副議長(
小倉弘行君) 保健福祉部長。 〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕
◎保健福祉部長(中谷祐貴子君) 再質問にお答えいたします。 放課後児童クラブの確保や感染対策についてでございます。 まず,お話がありましたように,空き教室を活用すること,また教員の方がみなしの支援
員として放課後児童クラブでも活動していただけることと併せて,例えば昼食を取るときは1メートル程度,子供と子供の間に間隔を取ること,あるいは手洗いをしっかりすること,それからトイレやその他,子供たちがよく触る場所の消毒をしっかりやっていただくことなど感染対策につきましても,併せて周知をさせていただいているところでございます。 それから,マスクや消毒液等につきましても,今,児童クラブの受入れ状況や対応状況を情報収集しておりますので,併せて状況を伺っているところでございます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) 市町村が対応することになると思うので,県としては,側面支援になると思うんですが,例えば,今日のニュースにも出ている,学童保育で1メートル空けて座るのは,現場を見たことがない人だけが言えることで,1人に1個机があるわけでもないですし,そんなスペース全然ないです。無理なことを言って,現場がかえって失笑することがないようにはしていただきたいと思うんです。空き教室とか体育館を使用したりすれば,ある程度の対応ができるとは思うんです。この辺りについて,学校との連携があるので,部長のところだけで言えることではないのかもしれませんけれども,今のところどのような考えでいらっしゃるか教えてください。
○副議長(
小倉弘行君) 保健福祉部長。 〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕
◎保健福祉部長(中谷祐貴子君) 再質問にお答えいたします。 放課後児童クラブ,スペースの確保が重要であるという御指摘でございますが,お話のとおりで,当然ながら空き教室や学校施設を積極的に活用していただくことにつきまして,保健福祉部と県教委それぞれ連携を取りながら一緒に市町村に働きかけを行っているところでございます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) 学童の問題は,県教委にもお願いという形になると思うんですけれども,特に学校施設の活用については,しっかりとやっていただければと思います。学童では,勉強しようと思う子も勉強できないと思います。にぎやかですから。例えば図書館が開放されれば,そういう子が勉強できるかもしれないですし,いろんな工夫はあると思いますので,いろいろ課題はあると思いますが,お願いしたいと思います。 メッセージですけれども,私も,放課後児童クラブに行ったり,支援学校に行ったりして,生徒とか保護者あるいは学校の先生にお話を伺いながら,思ったことがあるんですが,私の今の質問もそうですけれど,何か大人の事情にばかり議論が行っていて,そこにいる学校の主役の子供に本当に寄り添っているんだろうかというような気がしました。卒業式に向けて,先生にサプライズで歌を歌うために必死でいろいろ練習をしてきたのも全部飛んじゃいました。このときにそんな情緒的なことを言ってどうするんだと批判はあるかもしれないんですけれども。支援学校に行くと,何が起こっているのかよく理解できないけれど,何かが起こっていることに不安を感じて,非常に情緒が不安定になっている子供もいらっしゃるということであります。そういうところにやっぱりきちっとしたメッセージを届けるのは,多分岡山県では県知事しかいないと思うんですね。そういう意味では,知事から,いろんな機会を活用してということでございますので,ぜひ子供たちに届くメッセージをお届けいただきたいと思います。改めてその点についてお伺いします。
○副議長(
小倉弘行君) 知事。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) 生徒児童にきちんとメッセージを届けるべきじゃないかということでございます。いろいろな思いが私の中に巡っておりまして。私,毎年卒業式と入学式には,小中高校それぞれメッセージを発出いたしております。どれぐらいの子供たちが見てくれているのか分かりませんけれども,私とすれば,それぞれの自分がその年代,年齢だったときを思い出しながら,思いを乗せているつもりであります。当然,私自身も,一人一人,学校ごとに言いたいぐらい,まとめて小学生,中学生のみんなに言う機会があれば,ぜひ言いたいという思いと,今,これだけ混乱をさせて,その収拾に努めなければいけないときに,見方によっては売名とも取られるようなことを,市町村が主管の小学校,中学校に私が乗り込んでいって,自己を正当化することが,この2日目,3日目にやることなのかということもございます。ただ,全部終わってからメッセージを出すのがタイミングとしてどうなのかと,優先順位のことでいろいろ悩んでいるところでございます。いずれ県民の皆さんに説明をする,お願いをする,改めてお話をする場が取れればいいなと思っているところでございます。今,この場で一言ということであれば,本当に申し訳ないという思いでございます。ただ,今のこの我慢は,後から考えれば仕方のないことだったということを理解していただくことを期待しています。また,なくして初めて分かることもございます。大げさなことで言えば,私,親がいないことのつらさについて,母親を亡くして初めて分かったものであります。同級生で,もう若い小さいころからそういう状況にいた友達が何人かいますけれども,本当の意味でこのつらさは分かっていなかったということが分かるわけであります。ふだんの何げない日常が失われて初めて,友達と普通にふざけ合う,先生の授業を聞くことがどれだけありがたいことなのかが多分分かると思います。この場合は,数週間,数か月すれば戻るはずの日常ですので,ぜひ勉強できることがいかに幸せなのかをかみしめた上で,また学校に戻ってきてもらいたいと思っているところでございます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 次の項目に移ります。 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) ありがとうございました。 いろいろお悩みもあるようですが,やっぱりこういう有事こそリーダーの言葉というのは,本当に重いものだと思います。ぜひいろいろな機会を捉えてお願いしたいと思います。 では,
新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。 まずは,情報公開についてです。 感染者の情報提供をめぐり,都道府県によって公表内容に差が出ています。各自治体が,住民の不安解消と個人情報保護との兼ね合いを見極め,個別に判断していることから,対応は自治体間で異なっています。全国知事会は,国に対し情報公開の統一的な対応方針づくりを求めたところであり,先般,国から情報の公開に係る基本方針が示されました。感染症法は,感染者情報について予防に向けた積極公開とともに個人情報への配慮を求めています。今後,岡山県で感染者が出た場合の情報公開の基準について,知事の御所見を伺います。 次に,検査体制についてです。 昨日の議論にもあったとおり,現在,県が1日に対応できる検査件数は20件であり,原則1人当たり2種類の検体を検査しているため,検査の上限は1日10人だと聞いています。他県では,主治医が検査が必要だと判断した患者であっても,検査のキャパシティーがいっぱいで検査に至らないケース,検査に時間がかかるケースも出ているそうですが,岡山県では,医師からの検査要請に全て即日対応できています。ただし,一たび県内で感染者のクラスターが発生すると,検査対象が激増する可能性もあり,今の水準で十分かといえば心もとない気もします。県では,現在の検査能力の水準をどのように捉えていますか。また,リスク管理の観点から,民間検査会社の活用も検討するなど,検査能力を引き上げる必要があると考えますが,いかがでしょうか。併せて保健福祉部長に伺います。 国の検査能力について,政府はこれまで1日最大約3,800件と説明していましたが,2月26日の加藤勝信厚生労働大臣の国会答弁で,実績は,2月18から24日の総計6,300件,1日平均900件と,想定の4分の1にとどまっていることが判明しました。検体の採取や運搬に伴う困難や,人手や設備の不足が背景にあるとのことです。岡山県では,検査のオペレーションに関わる要員やロジスティクスなど,検査能力をフルに発揮できる体制は整っていますか,現時点での認識と課題について,保健福祉部長に伺います。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症への対応についての御質問であります。 情報公開の基準についてでありますが,国から示された基本方針では,個人情報の保護に留意しつつ,感染防止のために必要とされる情報は,原則公表することとされております。県では,この方針を踏まえ,感染源となる接触歴や症状の有無,行動歴,移動手段など,対策を講じる上で必要な情報は積極的に公表してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 保健福祉部長中谷祐貴子君。 〔 保健福祉部長 中谷祐貴子君 登壇 〕
◎保健福祉部長(中谷祐貴子君) お答えいたします。 まず,検査体制のうち,検査能力の水準についてでありますが,今後,医療機関からの検査依頼が激増した場合,対応し切れないことが懸念されます。このため,検査体制の強化を図るとともに,中国地方各県との連携や民間検査会社の活用なども検討してまいりたいと存じます。 次に,認識等についてでありますが,現在,環境保健センターにPCR検査に携わる技術職員を1名増員するとともに,保健所職員による検体搬送も円滑に行われており,検査機器の能力を最大限に活用できていると認識しております。今後,検査件数の増加に備えた検査体制の強化が必要であり,専門的な知識や熟練した技術を持つ応援職員の確保を図るとともに,検査機器の増設も予定しているところであります。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 次の項目に移ります。 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) 続いて,おかやまアダプト推進事業について伺います。 おかやまアダプトは,認定を受けた住民や企業が道路,河川・海岸,公園の一定区間を自分の養子とみなし,我が子に対するように愛情と責任を持って定期的な清掃・美化活動を行うものです。認定を受けた団体には,清掃用具等の購入費として県から交付金が支給され,県がボランティア保険に加入し,市町村がごみの回収処理に協力します。新規団体の募集期間は,毎年3月下旬から1か月,対象は10人以上のグループです。 私は,アダプト事業を高く評価していますが,これに登録しようとすると,あらかじめ10人集めて団体をつくり,書類を書いて申請し,交付金を受け取り,報告書を提出して費用を精算しなければなりません。個人が,あるいは少人数のグループが気軽にボランティアをするにはハードルが高いと言わざるを得ません。一定規模の団体があらかじめ日時を決め,事務局がいろいろ準備をして,「いっせいの」でやる活動を想定しているのでしょうが,今は,SNSなどで,「あさってどこそこでごみ拾いするので来れる人は来て」と呼びかけ,集まった数人で汗を流す,みたいなこの指留まれ型のボランティアが盛んになっています。スマホでいつでも登録でき,活動事業費は不要,保険未加入でもオーケー,活動場所は不特定でも登録可能で,活動報告も画像や動画,位置情報が入った報告をその都度ネット上に投稿するような形にできないでしょうか。登録者には自治体からボランティア用のごみ袋が支給され,その袋であれば最低限の分別で居住地のごみステーションに出すことができるというイメージです。気軽にできる分だけ,活動回数は年12回以上とか縛りを厳しくしてもいいかもしれません。この枠組みにおいて行政の重要な仕事は,交付金よりも情報拠点となるプラットフォームを用意することではないでしょうか。具体的には,個人参加型アダプト登録者の活動報告,情報交換,交流の場をネット上に整備することです。もちろん,従来の団体型アダプトの方にも利用を呼びかけます。団体型,個人型双方の清掃エリアをサイト上の地図に落とし込み,見える化することができれば活動エリアの重複も避けられるでしょう。さらに言えば,個人型アダプト登録者がごみ袋をわざわざ市役所などに取りに行かなくても,コンビニなどでもらえるようにすれば,より気軽に参加できそうです。私からの提案への所見も含め,現行のアダプト制度の見直しや,気軽に個人や少人数グループがボランティア活動に参加でき,ウェブサイトなどを通じてボランティアの輪が広がる仕組みづくりについて,知事の御所見を伺います。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) お答えいたします。 おかやまアダプト推進事業についての御質問でありますが,御提案やボランティアの輪が広がる仕組みについては,今の時代に合っており,不特定の方に気軽に活動に参加していただく上で効果がありますが,現在の事業が町内会など地域住民の愛着心を深めることを目的としているため,なじみにくいと考えております。このため,直ちに導入することは難しいと考えておりますが,アダプト団体の構成
員の不足や高齢化などの課題解決に有効な面もあり,御提案の内容も参考にしながら,引き続きアダプト事業が持続可能なものとなるよう検討を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) ありがとうございます。 おっしゃるとおり,現在のアダプトの制度とちょっと趣旨というか考え方が違うのはそうなんですが,この議会でも度々アダプト制度が議論になるように,今のやり方に課題も多い,例えば高齢化で担い手が不足している,じゃあ,若い人がボランティア,ごみ拾いに興味がないのかというとそんなことないと思うんですよね。恐らく,回覧板で案内が回ってきても,
自分たちにとっては違うものだと思っているから広がりを欠いているかもしれない。そのためのいろいろな工夫について,やっぱりこれは検討すべきではないのかなというのが,私の問題意識です。例えば県庁の所管も,そもそも場所を基軸に成り立っているので,道路は道路整備課,河川は河川課,公園は都市計画課,児島湖は環境管理課が所管していまして,それぞれの場所でのアダプトをどうするかはそれぞれ考えるんですけれども,アダプト制度そのものをどうするかについては,リードするところがちょっと見えにくいと感じます。そうした仕組み的な部分についてもいろいろ考えていただきたいと思うんですが,いかがでしょうか。
○副議長(
小倉弘行君) 知事。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君) アダプト制度,いろいろ問題が出てきているのではないかということであります。時代が変わっていく以上,あるときにできたいい制度も,少しずつずれていくことも十分あります。いろいろな部署にまたがっているというのは,悪いことではなくて,部局横断のいい仕組みができているということの裏返しでもあります。このアダプト,それぞれの場所と地域であったり,団体が養子になって,私が里親として面倒を見ますよという養子縁組ですよね。実は今,保健福祉部で里親を募集して,なかなか環境に恵まれない子供,施設にいる子供を引き取ることを進めています。その里親の方々には本当に感謝しています。幅広く,もっと募集したい思いと,「ちょっとやってみて,駄目だったら辞めりゃいいや」みたいな程度の覚悟で手を挙げられると,振り回される子供はひどい目に遭うわけであり,ある程度の覚悟はぜひ持っていてもらいたい。アダプト制度についても,そこまでじゃないにしても,書類を出すのが面倒くさいぐらいのちょっと似たようなハードルが気になってる人がここを1年間見るといって,本当にちゃんと見てくれるのかという思いもございます。ですから,アダプト制度は,ある程度しっかりした団体がしっかりした覚悟を持ってやっていただくのにすごく向いたやり方であります。議員が言われてるように,SNSでいろんなつながり方ができるわけですから,もっとカジュアルに,いろんな形で自主的に呼びかけて参加していただくことをもっともっと県としてもバックアップするのはいいことだなと思うと同時に,みんなが,使いやすくなったということも考えられなくはないんですけれども,その手のことを県がやったら,どんどんいろんな人がいろんなアイデアでやって,大体姿が見えてから整理をするほうが,県とすれば多分得意なのかなとも思っているところでございます。いずれにしても,大変すばらしい動きですので,応援,支援をしていきたいと思います。
○副議長(
小倉弘行君) 次の項目に移りますので,答弁者は控席へ移動願います。 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) 知事,ありがとうございました。アダプト制度の中に落とし込むかどうかというのは,確かにあるんですけれども,SNSか何かで勝手にボランティアでやっててもいいわけですよね。なぜそう言うかというと,これ実はごみ袋とごみ捨てというのが,非常に重要で,例えばボランティア袋というのは,ある市町村もあれば,ない市町村もあります。岡山市は,もともとごみ袋が有料なので,これをやろうとすると,多少ですけれども,お金がかかるという問題があるけれども,ボランティア袋があればただでできる。もっと重要なのはごみ捨てで,ボランティア袋に入れてれば,2分別にできるんですよね。ところが,ごみ袋は家に持って帰って,そこで捨てるのが鉄則ですから,その地域のごみ出しの分別ルールに従うとかなり面倒くさいんです。ペットボトルもあれば,茶色の瓶もあれば,透明の瓶もあるものを燃えないごみで一緒に入れてますから。分別をやるのが非常に難しいというのか,手間暇がかかることだったり,あるいは岡山市のボランティア袋を瀬戸内市で捨てようとしたら持って帰ってもらえないとか,近所のごみの管理をしているおばちゃんに嫌みを言われるとか,そういうようなことがいっぱい起こるので,それが心理的ハードルにつながっているところがある。市町村ごとのごみ処理については相当難しい問題があるのは分かるんですが,何か工夫のしようがないかなというような問題意識もありましたので,ぜひ御検討いただければと思います。 それでは,次の質問に移ります。 岡山市は,性的少数者のカップルに証明書を発行するパートナーシップ宣誓制度を7月にも導入すると発表しました。性的マイノリティーである2人がパートナーシップ関係にあるという宣誓書を出した場合,市が対象者に要件を満たしていることを確認の上,パートナーシップ宣誓書受領書を交付するという制度です。同様の制度は,2020年1月20日現在,全国では大阪市や福岡市など33自治体で導入されており,県内では総社市に続く2例目になります。 同性愛者や性同一性障害など,性的マイノリティーは,レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダーの頭文字を取ってLGBTと称されます。LGBT当事者の割合は,これまでの様々な調査から,全世界的には全人口の4%から10%とされています。日本では,2018年の電通総研による6万人を対象にした調査で,8.9%がLGBTであったとされ,人口の11人に1人,学校であれば1クラスに2人から3人くらいであると推計されています。2016年3月に策定された第4次岡山県人権政策推進指針では,様々な人権をめぐる問題の一つとして多様な性が取り上げられており,性的マイノリティーの人たちへの偏見や差別を解消するため,啓発,教育に取り組むとしています。現在,県ではどのような啓発,教育を行っているのでしょうか。また,県として,岡山市や総社市のパートナーシップ制度をどのように評価していますか,併せて県民生活部長に伺います。 県は,人権問題に関する県民意識調査を実施するなど第5次指針に向けた取組を
スタートさせており,次年度には策定が本格化します。第5次指針において性的マイノリティーに関する諸課題をどのように位置づけ,対応されますか,県民生活部長に伺います。 性的マイノリティーへの配慮や支援については,学校現場の対応がとりわけ重要です。2016年の宝塚大学日高教授の調査では,10代のLGBTのいじめ被害経験率は49.4%,10代のLGBTの不登校経験率は31.9%で,性同一性障害に限れば5割を超える方が不登校を経験しています。性同一性障害の子供は,制服を着る,トイレに行く,体操服に着替えるなどが苦痛で学校に行けなくなることがあります。ある調査では,10代のLGBTは,自殺念慮や自傷行為経験の割合が高くなるという結果も出ています。岡山大学病院の性同一性障害当事者への
アンケート調査によると,性別違和感は物心ついたころから始まることが多く,約9割が中学生までに性別違和感を自覚していましたが,そのうちの9割はそのことを周囲にカミングアウトできていませんでした。特に学校の教員はカミングアウトの対象外で,言っても理解されない,男は男らしく,女は女らしくとか言われ,傷ついたなどの声も聞かれます。他方で,大人になってから,先生に支援してもらいたかったと答える人は多く,学校内の環境整備や支援の方法を考える必要性は高いと思われます。 そこで,お尋ねします。 教員のLGBTに関する認識を深め,学校で当事者に対する適切な対応が行われるよう,全教員を対象にした研修を行っていますか。また,県立学校における多機能・多目的トイレの設置,学校図書館へのLGBT関連書籍の配本,制服選択制の実施,男女混合名簿の採用状況はどのようになっていますか。性的マイノリティーの子供たちの生きづらさや不安の解消に向け,今挙げた諸課題をさらに前に進め,学校現場の環境整備を図っていただきたいと考えますが,それぞれにどのように対応されますか,教育長の御所見を伺います。
○副議長(
小倉弘行君) 答弁を求めます。 県民生活部長房野文彦君。 〔 県民生活部長 房野文彦君 登壇 〕
◎県民生活部長(房野文彦君) お答えいたします。 性的マイノリティーへの配慮等についての御質問であります。 まず,啓発等についてでありますが,県では,LGBTなどの性的マイノリティーについて分かりやすく説明したチラシを作成し,各種イベントなどで配布するとともに,相談機関の相談
員や県職員を対象とした研修をはじめ,一般の方を対象とした講座にLGBT当事者による講演を取り入れるなど,理解を深めるための啓発,教育に取り組んでいるところであります。 お話のパートナーシップ制度については,多様な生き方が認められ,性的マイノリティーの方が自分らしく生きることができる社会の実現につながる取組であると考えております。 次に,第5次人権政策推進指針(仮称)についてでありますが,昨年8月に実施した人権問題に関する県民意識調査では,体と心の性別に違和感がある人など,多様な性の問題についても調査を行ったところであります。この調査結果やパブリックコメントなどから課題を整理するとともに,人権政策審議会の議論なども踏まえ,性的マイノリティーの方の人権にも配慮しつつ,次期指針の策定に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 教育長鍵本芳明君。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) お答えいたします。 教員への研修等についてでありますが,県教委では,全校の人権教育担当者を集めた研修会において性的マイノリティーについて取り上げ,その内容を各校の校内研修等で共有しております。多機能・多目的トイレについては,県立学校69校のうち57校で設置しており,各校の状況を勘案し順次整備を図っているところであります。学校図書館の書籍については,県教委から直接配本することはしておりませんが,学校が必要に応じて購入できるよう支援しているところです。また,制服選択制を実施している学校は69校中28校,男女混合名簿の採用は27校でありますが,これらは各学校が実情に応じ判断するものであり,県教委としても,必要に応じて指導,助言してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 19番。 〔 19番 高橋 徹君 登壇 〕
◆19番(高橋徹君) ありがとうございました。 これは,一気にあしたから何か変わるような話でもないとは思うんですけれども,実は私,この性的マイノリティーの方々のワークショップみたいなことに参加したことがあります。中学生のLGBT当事者の方が,うちの学校はくそだって言っているんですね。何でなのって言ったら,うちの学校の図書館にはLGBTの本が一冊もなかったと,でも見直したのは,職員室のところにそういうポスターが貼ってあったと。それを聞いたときに,この子は学校の図書館でずっとそういう本を探したんだろうなと,探して一冊もなかったところに失望したんだけれど,職員室にそういうのがあったのを少し希望のように思ったんだろうな。こういう当事者が,マイノリティーっていうんです。11人に1人というのは,実はAB型の人とか左利きの人と変わらないぐらいの割合ということになる。それぐらいの割合でそういう方々がいらっしゃるという想像力を我々は持たなければいけないのかなと思いました。例えばそういう図書館に本が配本されることは,そんなに物すごく難しいことではなくて,やろうと思えばできることかもしれないなとも思っております。そういう意味で,できる範囲の努力を少しずつ積み重ねながら,そういうマイノリティーの方への配慮を進めていただきたいなと思うんですけれども,その辺についてどうお考えでしょうか。
○副議長(
小倉弘行君) 教育長。 〔 教育長 鍵本芳明君 登壇 〕
◎教育長(鍵本芳明君) 再質問にお答えをいたします。 できる範囲の努力を積み上げていく必要があるのではないかというお尋ねでございますが,やはり一番は,教員がそういった情報を正確に持つということ,そういう意味でも,先ほど申し上げました研修というのは,非常に大事であろうと思っておりますので,まずはそこに力を入れているところでございます。 それから,先ほどの書籍につきましては,県の側からこれがいいよと全部の学校にどんと置くのではなくて,それぞれに学校で研究していただく中で,こういう本を買いたいんだということについては,特に予算をつけてその購入を支援している状況でございますので,引き続きこういった努力を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(
小倉弘行君) 以上で高橋君の質問は終了いたしました。 答弁者は自席にお戻りください。 この際,午後1時10分まで休憩いたします。 午後0時11分休憩 ~~~~~~~~~~~~~~~ 午後1時10分再開
○議長(蓮岡靖之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を継続いたします。 12番田野孝明君。 〔 12番 田野孝明君 登壇 〕
◆12番(田野孝明君)
自由民主党の田野孝明でございます。 初登壇の昨年6月議会から9か月がたち,2回目の質問になります。本日も,コロナウイルス感染防止が叫ばれる中,遠路はるばる傍聴にお越しいただき,誠にありがとうございます。 早速,通告に従い,質問に入らせていただきます。 毎年,日本各地で自然災害が発生しており,昨年9月から10月にかけて首都圏を直撃し,記録的な大雨となった台風が記憶に新しいところでございます。台風による災害は,毎年発生しておりまして,他県で発生したものであっても,我が事として捉え,次の出水期に向けて日頃からどのように備えておかなければならないのか,どのような対策ができるのかを考えていかなければなりません。 9月9日に台風第15号が千葉市付近に上陸いたしました。この台風が通過したコースは,三浦半島を通過し,東京湾の内側から外側へ抜けるもので,非常に強い勢力を保ったままで関東に近づいていくという,過去にはあまり例のないものでありました。50年に一度と言われる暴風が吹き荒れ,千葉県や神奈川県を中心に1,000本以上の電柱が損壊するなど,ひととき93万戸近くが停電をいたしました。中には,木が倒れかかったことが原因で電力の復旧に1週間もかかったところがありました。岡山県の北東部,津山市勝北,奈義町,そして私の地元であります勝央町では,広戸風が吹きます。風害への対策はなかなか難しいものがありますが,どのような備えをすれば被害を減らすことができるのか,改めて考えさせられました。 また,10月12日,記録的な大雨となった台風第19号では,千曲川や多摩川などが氾濫し,全国71の河川で100か所以上の堤防が決壊いたしました。一昨年,岡山は,豪雨災害を経験し,水害の恐ろしさは県民誰もがよく理解していると思います。今回の台風第19号による被害の原因を京都大などのチームが日本気象学会の論文に発表したことで,昨日山陽新聞に出ておりました。十分な対策を行うことの重要性を改めて認識させられました。 そこで,お伺いいたします。 一昨年7月の西日本豪雨,昨年の台風19号のような災害が発生した場合に,岡山県内の被害を最小限にとどめることに関して,県民の期待は非常に大きいものがあります。水害への備えとして,県では,豪雨災害によって決壊した河川や被災したところの改良復旧工事等に取り組んでおられるところで,当然これも非常に重要なものです。こうした工事を進めていくとともに,定期的に河川の堤防を確認し,壊れているところは速やかに修繕するなど,日常的な取組によって安全性を保つことも,県民の期待に応えるものだと思います。また,河川に堆積している土砂をしゅんせつして,十分に流下能力を確保しておくことも,同じく県民の期待に応えるものです。来年度予算案では,新ふるさとの川リフレッシュ事業が大幅に増額されており,こうしたものをしっかり進めていただき,まずは次の出水期に向けて,水害に十分な備えをしていただきたいと思いますが,土木部長の御所見をお願いいたします。 次に,11月議会でも先輩議員諸氏が質問されましたが,自衛隊との連携についてお伺いいたします。 昨年12月4日,アフガニスタン東部で,農業支援などに取り組んでいた中村哲医師が乗った車が銃撃され,ボディーガードを含む6人が亡くなりました。心から御冥福をお祈り申し上げますとともに,この理不尽に人の命を奪う行為に憤りを感じた次第でございます。日本国内の平和という点におきましては,改めて十分に保たれていることに関係の方々に深く感謝するものでございます。平和は,ただ単に待っていても訪れるものではなく,抑止力としての自衛隊の方々の日々の訓練に思いを致し,ふだんから緊急事態に備えておくことは,大変大切なことだと考えております。今回のような新型肺炎の危険性がある中で,別の災害が発生した場合の対処などを想定してみると,安閑としてはおられません。 昨年,岡山県防衛議員連盟で福岡県庁をお訪ねしました。福岡県では,知事と自衛隊,警察,消防等の方々とのトップ会談を設けておられまして,様々な訓練を実施していました。
伊原木知事には,初当選されて間もなく,日本原駐屯地にお越しいただき,感謝申し上げます。一昨年の豪雨災害での自衛隊の方々の御尽力に対しまして,改めて自衛隊の大切さを認識いたしました。11月議会での
小林孝一郎議員のトップ会議を開催してはどうかとの
一般質問に対しまして,知事は,関係者が一堂に会する岡山県防災会議を毎年度開催しているとお答えになりましたが,私としては,1対1での会談を行って,今よりも一層緊密な関係を築けないものかと思っておりますので,ぜひ御検討いただければと思います。また,自衛隊の方々への感謝の思いは言い尽くせないとの御答弁もありました。その思いを胸に,改めて日本原駐屯地に足をお運びいただけないかと願うものであります。自衛隊
員の士気も大いに上がることは,間違いありません。知事の御所見をお伺いいたします。 次に,いじめの問題についてお伺いいたします。 神戸の小学校で教師によるいじめの調査結果が2月21日に発表され,改めて驚きました。「いじめは駄目だ」と子供たちに教え,正しい道へと導かなければならない教師が子供たちの目の前でもいじめを行っていたとは,言語道断の話であります。そうした場面を見た子供たちが,いじめを行うことに対する罪悪感を失ってしまったり,相手の立場に立って考えられないなど,子供たちの健全な心の育成に悪影響がないように願ってやみません。 昨年10月,文部科学省から「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」が発表されました。全国の国公立,私立小中学校と高等学校,特別支援学校における昨年度のいじめの認知件数は,54万3,993件で過去最多だったとのことでありました。認知件数のうち,いじめ防止対策推進法に規定する,骨折など心身に大きな被害を受けた重大事態の発生件数は,602件で前年度の約1.3倍になっています。文部科学省の担当者は,認知件数が大幅に増えた要因について,「いじめを広く定義した平成25年施行のいじめ防止対策推進法を踏まえ,積極的な認知を求めてきたことが大きい」と説明し,問題解決の第一歩として肯定的に捉えているようですが,実際のところはどうなのでしょう。 そこでまず,岡山県内の小中高でのいじめの状況と増減の原因について,教育長の御所見をお伺いいたします。 また,国公私立小中学校で年間30日以上の不登校となったものが16万4,528件,そのうちいじめが原因となったものは1,037件,国公私立の高等学校では全体で5万2,723件,いじめが原因となったものは208件とのことです。また学校から報告があった児童生徒の自殺者は332人,前年度から82人増え,うち9人はいじめの問題があったとのことです。332人のうち,小学生は5人,中学生は100人,高校生は227人で,中学生は昨年より16人増え,高校生は昨年より67人増えています。この調査によって,どこまで正確に児童生徒の状況を把握できているのかという問題はあると思いますが,いずれにしましても,いじめが原因となって不登校になることや,自らの命を絶つといったことはあってはなりません。いじめを原因とした不登校や自殺はもちろんのこと,いじめそのものを根絶することについて,教育長の強い決意をお聞かせください。 次に,情操教育についてお伺いいたします。 教科等の年間授業時数につきましては,教育活動が年間35週以上にわたって行われることを前提にしており,1週間に1時間の授業が行われるとすれば,年間35時間ということになります。そうした中で,小学校高学年の音楽,図画
工作の授業は,18年前は70時間あったものが現在50時間に減っております。体育の授業に関しては,105時間から90時間になっており,これもまた授業時間が減っている状況にあります。 以前,音楽の先生にお話をお伺いいたしました。小学校の情操教育は重要だという認識を忘れてはいけないのではないでしょうかと疑問を呈しておられました。その先生がおっしゃるには,子守歌を歌っている児童は1割だそうです。今どきのお母さんは子守歌を歌っていないことが原因であり,一方,子供にはスマホを与えているので,保育園児からスマホがいじれる,これでいいのでしょうか。家庭も学校も余裕がなくなってきている。いま一度心を育てる教育にも挑戦してほしいといった,その先生が日頃考えておられる音楽教育の重要性に対する様々な思いをお聞きして,改めて学校での情操教育の時間について考え直してみました。 教育県岡山の復活は,大変重要なことであり,新晴れの国生き活きプランでは,学力向上プログラム,徳育推進プログラム,グローバル人材育成プログラムの3プログラムを掲げて,様々な取組を行ってきております。徳育推進プログラムでは,重点施策として,道徳教育の充実による規範意識の確立が挙げられており,「子供たちの規範意識や人間関係構築力,自尊意識を高め,豊かな情操を育むため,学校教育全体を通じて様々な体験活動等を交えながら,道徳教育の充実を図る」という内容が記載されております。私は,音楽,図画
工作,体育の授業を通じて,この生き活きプランに掲げられた徳育推進プログラムの重点施策がより一層進められるのではないかと思っています。持って生まれた個性を発揮し,クラスメートたちと一緒になって一つの作品を創り上げること,物事をよく観察して表現すること,クラスやチームで一丸となってスポーツなどに取り組むこと,それぞれが豊かな情操を育むことに効果があると思います。 先日,2月15日に津山では,今年31回目を迎えた幼児音楽祭がありました。それはそれは見事な発表会となりました。一生懸命練習した幼児たち,その子供たちを指導した先生や保母さんたちにとりまして,その経験は後々に大きな意味を持つものと思いました。 昨年,成功裏に終わりましたラグビーワールドカップ2019年の効果もあり,にわかラグビーファンが増えました。私もその一人ですが,「One for all,All for one」とは,「一人はみんなのために,みんなは一つの目的のために」という意味であります。音楽,図画
工作,体育の授業を通じ,昨年の流行語大賞にもなったワンチームの精神を子供たちが学び,学校生活の中で豊かな情操を育んでいくことは,極めて重要なことだと思います。音楽等の授業を通じた情操教育について,教育長の御所見をお願いいたします。 次に,鳥獣被害について質問をいたします。 昨今,勝田郡奈義町ではカラスが異常に増えております。群れをなして朝,夕,電線にとまっているカラスは,景色を真っ黒にしてしまっていて異様です。飛んでいるときも空が黒く見えるぐらいです。地域では,和牛の肥育農家が大切に育ててきた出荷前の牛が死んでしまうという被害が出ました。牛の餌を入れているところを飼槽と言いますが,牛の餌をカラスが食べて,そのときその飼槽の中でふんをして,牛は餌と一緒にそのふんを食べてしまう,そのふんが牛にとってよくないわけであります。かつてはぱんぱんに張ったホルスタインの乳房に浮き出た血管をつつき,出血をさせたために死亡したり,病気になるなどの被害がありました。また,子牛の目をつついたりという被害も出ています。黒大豆,野菜などの農産物新芽の食害も発生しております。カラスから農産物を守るために農業者が自ら取り組むことのできる効果的な対策として,田畑を防鳥ネットで覆うなどの対策もあるようですが,経費のこともあり,農業者が取り組むのは,大変なことだと思います。日本に生息している主なカラスは,くちばしの形によってハシブトガラスとハシボソガラスに分けられます。ハシブトガラスは肉類を好み,ハシボソガラスは植物を好むそうですが,巣がどこにあるかはまだ分かっておりません。以前はおりによって駆除を進めていこうとしていたようですが,現実に大量に生息しているカラスを見ると,今はうまく運用できていないように感じております。いろいろと努力はしているようですが,農畜産業を守るために必要な駆除ができているのかというと,程遠いのが現状であります。 そこで,農畜産物をカラスの被害から守るために,被害対策の専門家の現地派遣をし,生息に関する実態調査を行った上で,市町村とも連携をした広域的な対策をお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか,農林水産部長にお伺いいたします。 最後に,酪農についてお伺いいたします。 日米貿易協定が1月1日に発効されました。畜産,酪農対策については,関税の削減によって外国産の牛肉などが増加すれば,畜産・酪農農家には大きな痛手になりかねません。さらに追い打ちをかけるように,今回の
新型コロナウイルスの感染拡大防止策により,各種イベントの自粛,全国小中高の臨時休校の方針により学校給食の停止などで消費が減っております。現に,出荷価格が下落しており,深刻な状況にあります。国の肉用牛肥育経営安定交付金制度である,いわゆる牛マルキンによる肉用牛経営の安定を図る対策については,畜産農家の皆さん方の経営の大きな助けになるものです。それぞれの農家では,餌の工夫による品質の良い肉の提供のために涙ぐましい努力をされておられますので,県におかれましても,引き続き経営安定に対する支援をお願いいたします。また,何より県内で生産された牛肉や豚肉,牛乳などを県民の皆様方に消費していただくことが,大変大事なことですので,消費拡大のために積極的な取組をよろしくお願い申し上げます。 酪農に関しては,搾乳などの重労働を毎日行っており,また生き物相手のため,十分な乳量になっているのか,乳質が悪くなっていないのか,牛が病気になっていないのかなど,片時も気の休まることはありません。そうしたことが背景にあるためなのか,酪農家は後継ぎが見つからず,高齢化が進んでおり,後継者の確保や育成が大きな課題です。自分の子供が後を継いでくれなかったり,自分が使っていた施設を引き続き使ってくれる第三者が簡単には見つからないので,何百万円もかけて施設を処分しているのが現状です。この酪農家の第三者への継承について,現在どのような取組を行っているのか,また取組を行った結果としてどのような成果があったのか,農林水産部長にお伺いいたします。 また,やむを得ず廃業してしまった酪農家の施設にはまだ使えるものがあります。規模を拡大しようとしているところや新たに酪農に取り組もうとしている方々に,そうした施設を融通するような取組はできないのでしょうか,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 以上,よろしくお願いいたします。
○議長(蓮岡靖之君) 答弁を求めます。
知事伊原木隆太君。 〔 知事
伊原木隆太君 登壇 〕
◎知事(
伊原木隆太君)
自由民主党の田野議員の質問にお答えいたします。 日本原駐屯地への訪問についての御質問でありますが,豪雨災害では部隊の撤収に当たり,日本原駐屯地司令が県庁を訪問してくださいました。その際には,余人を交えず,猛暑の中,災害廃棄物の撤去に取り組まれたことなど,様々なお話を伺うとともに,心からお礼を申し上げましたが,私としては,ぜひとも早い機会に駐屯地を訪れ,隊員お一人お一人に直接感謝の気持ちを伝えたいとの思いを強くしたことは,記憶に新しいところであります。その年の暮れには,駐屯地行事に参加させていただくことができましたが,厳しい任務を遂行する隊員を支える御家族の皆様にもお礼を申し上げることができ,また,駐屯地を挙げて私を歓迎いただき,忘れ得ぬ一日となりました。今後とも,駐屯地の記念行事など,機会を捉えて訪問し,駐屯地の皆様との交流を深めるなど,自衛隊との連携強化に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(蓮岡靖之君) 農林水産部長伊藤敦哉君。 〔 農林水産部長 伊藤敦哉君 登壇 〕
◎農林水産部長(伊藤敦哉君) お答えいたします。 まず,カラス被害への対策についての御質問でありますが,県では,これまでカラス被害に対し,市町村や猟友会等と連携の上,防風・防鳥ネットを活用した防護対策や,専用おりによる捕獲対策などに取り組んできた結果,県全体の被害金額は減少傾向にありますが,一方で生息数が増加している地域もあると聞いております。このため,今年度から地域に専門家を派遣し,カラス被害への対策についてのアドバイスを頂く取組を開始したところであり,今後,各市町村の意向も踏まえ,こうした取組の拡充を検討し,専門家の協力の下,生息状況等を確認しながら,効果的な対策を広域的に進めてまいりたいと存じます。 次に,酪農についての御質問であります。 第三者への継承についてでありますが,酪農においては,後継者がなく,廃業に至る農家がいる一方で,新規参入の意向があるものの,多額の初期投資が妨げとなっているケースもあります。このため,県では,関係団体と連携を図り,酪農家の継承希望に関する調査を実施し,その結果を踏まえ,参入希望者とのマッチングを行い,農地,施設,牛などについて第三者への継承を推進しており,現在までに4件が成立しております。初期投資の大きい酪農にあっては,第三者への継承は,担い手確保の手法として有効であると考えており,引き続き酪農生産基盤の維持に向け継承の取組を進めてまいりたいと存じます。 次に,施設の融通についてでありますが,後継者がなく,第三者への継承もできず,廃業に至った場合,利用可能な機械等については,その多くが酪農組合などを通じて他の酪農家等へのあっせんが行われ,有効活用されておりますが,牛舎については未利用のまま放置されているケースが散見されております。このため,県では,関係団体と連携し,ホームページ等により利用可能な空き牛舎の情報を提供するなど,規模拡大を希望する方等の利用を促進しているところであり,引き続きこうした取組を通じて,施設の有効活用に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(蓮岡靖之君) 土木部長樋之津和宏君。 〔 土木部長 樋之津和宏君 登壇 〕
◎土木部長(樋之津和宏君) お答えいたします。 水害への備えについての御質問でありますが,これまでも定期的な堤防点検や河川巡視を行い,堤防や河道内の状況の把握に努めており,点検結果等に基づき,緊急性を踏まえ,堤防や護岸の修繕,しゅんせつや樹木伐採等の対策に取り組んできたところであります。現在,堤防点検等で見つかった修繕の必要な箇所について対策を行うとともに,リフレッシュ事業や3か年緊急対策等により集中的に河道内の掘削等を実施しているところであり,次の出水期はもとより,今後の水害にしっかりと備えてまいりたいと存じます。 以上でございます。