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12月05日-02号

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  1. 岡山県議会 2017-12-05
    12月05日-02号


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    平成29年11月定例会          〇 平成29年11月岡山県議会定例会会議録  第2号〇 平成29年12月5日(火曜日)                  議  事  日  程                  午前10時開議第1 代表質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 代表質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時開議 ○議長(伊藤文夫君)  皆さん,おはようございます。 これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 代表質問 ○議長(伊藤文夫君)  日程に入り,代表質問を行います。 質問時間は30分以内と定めます。 自由民主党岡山県議団代表45番井元乾一郎君。   〔 45番 井元乾一郎君 登壇 〕 ◆45番(井元乾一郎君)  皆さん,おはようございます。 自由民主党岡山県議団の井元乾一郎でございます。 きょうは,遠路傍聴に来ていただきまして,ありがとうございます。 私は,今議会に提案されました補正予算案を初めとする諸議案並びに当面する県政の重要課題につきまして,自由民主党岡山県議団を代表し,知事,教育長並びに警察本部長にお尋ねいたします。 ところで,岡山県とえにしの深い御皇室ですが,天皇陛下の御意思に沿い,再来年4月30日に御退位,5月1日に新天皇御即位と決める歴史の1ページに遭遇しました。県民皆様と御皇室の弥栄を願うものであります。 さて,過日,おかやまマラソンが開催され,海外からはもとより,全都道府県からのエントリーをいただきました。岡山の秋を代表する一大イベントとして全国的な大会に成長しつつあることを,大変喜ばしく感じています。また,さきに第48回衆議院議員総選挙が執行されました。我が党は,10年,20年先も見据えた日本のあるべき姿とその道筋を示した責任ある確かな政策を公約に掲げ,全力で戦い抜きました。結果,自由民主党は,全国で公示前と同じ議席数を確保するとともに,岡山県においては,14年ぶりに5つの小選挙区全ての議席を得ました。御支持,御支援いただきました皆様方に深く感謝申し上げます。長期政権は,それだけ重い歴史の使命を負うことでもあり,見合う仕事をなし遂げねばなりません。自民党県議団においても,国への意見具申など,地方議会の役割を積極的に果たしてまいる決意でございます。 また,本年は,地方自治法施行70周年であります。昭和26年就任の三木行治知事は,復興の時代背景から,「働ける場所と,より多くの収入を得て文化的な生活ができる郷土を築く」と表明され,昭和39年就任の加藤武徳知事は,経済発展が生んだ公害などのひずみから,「公害のない健康で住みよい人間尊重の社会づくり」を表明され,昭和47年就任の長野士郎知事は,真の豊かさを求める時代背景から,「人間尊重,福祉優先を旗印とする」とされたのであります。平成8年就任の石井正弘知事は,戦後50年の発展を支えた制度の柔軟な転換の時代背景から,「活力に満ちた県政へチャレンジ」をうたわれ,平成24年に登壇された現伊原木隆太知事は,超高齢社会・人口減少を初めて経験する時代背景に,「経済の活性化と教育の再生」を岡山県発展の礎とするとされ,今おのおのの施策が展開されております。 自民党県議団は,いつの時代にも県政与党の立場の責任を果たしてきたことを誇りにするとともに,岡山県の隆盛に尽くした歴代議長,先輩議員に感謝するものであります。歴史に鑑みて,一層県政があまねく県民の身近にあるべく気を引き締めてまいります。 それでは,「急がば回れ」を心にとどめつつ,以下,具体にお尋ねしてまいりたいと思います。 まず初めに,来年度の予算編成についてお尋ねします。 本県の財政は,たび重なる行財政改革に取り組んできた成果に加え,昨今の景気回復,税収増加とも相まって,一時の厳しい状況からは改善を見せています。人事委員会勧告も,民間給与の伸びを反映して,職員給与の引き上げを求めるものとなりました。知事は,これまで民間経営者としての経験を生かして県政を推進し,全ての県民が明るい笑顔で暮らす「生き活き岡山」の実現を目指してこられました。先般公表された行政評価では,最重要課題として取り組まれた「教育の再生」,「産業の振興」について,学力向上や企業誘致など一定の成果を上げられています。しかし,一部には,十分ではない項目もあります。「生き活き岡山」の実現のためには,行政評価の結果も踏まえ,これまで以上に創意工夫を凝らした効果的な事業を展開していく必要があると考えます。「新生き活きプラン」の2年目となる来年度予算編成については,知事の「岡山」を思う気持ちを込めた,めり張りのついた予算が基本方針になっていると存じます。どのような施策に重点的に予算配分をしようとするのでしょうか,知事のお考えをお伺いします。 次に,中山間地域の振興についてお尋ねします。 中山間地域では,人口減少や高齢化が急速に進み,地域の担い手の減少や耕作放棄地の増加,生活交通網の弱体化など,地域を取り巻く状況は一層厳しくなっています。県は,新生き活きプランに,「中山間地域等活力創出プログラム」を掲げ,「おかやま元気!集落」の組織づくりや活動支援,若者による地域の魅力再発見や課題解決の取り組みを支援するなど,地域の活力創出に取り組んでいます。中山間地域に暮らす人々が安心して暮らし続けることができる地域づくりを進めるには,市町村,NPO,企業と連携し,地域による自主的な活性化の取り組みを拡大させるとともに,日常生活に必要なサービス機能を維持・確保することが重要です。中山間地域の振興に向け,県としてどのような目標を定め,どう取り組みを進めていくのか,御所見をお伺いします。 また,市町村では,地域おこし協力隊員が地域資源を活用し,新たな事業を起こすなど,特色のある取り組みが展開されています。これら市町村の取り組みを支援することも重要です。あわせて御所見をお伺いします。 次に,移住・定住の促進についてお尋ねします。 人口減少問題の克服や東京一極集中の是正が全国的に大きな課題となる中,近年,地方に暮らすことへの関心が高まっています。移住・定住の促進は,若者や子育て世代など,新たな活力を地域に呼び込むことにつながり,「おかやま創生」を進める上で大変有効と考えます。県は,平成27年度から31年度までの5年間で,県外からの累計移住者数を1万人とする,「岡山移住1万人プロジェクト推進事業」に取り組んでおり,市町村においても,「お試し住宅」の整備や「移住者と地域住民との交流会の開催」など,創意工夫を凝らした取り組みが行われています。累計移住者数1万人の目標達成のためには,移住希望者に数多くある候補地の中から安心して本県を選んでもらうための取り組みが重要です。移住による人口の社会増を目標に,県と市町村が連携し,情報発信や受け入れ体制の充実・強化など,移住希望者のニーズにきめ細かく広域的に対応するとともに,独自性のある取り組みを行う市町村を県内に広げていくべきと考えます。今後,移住・定住の促進にどのように取り組まれるのか,御所見をお伺いします。 次に,産業の振興についてお尋ねします。 まず,企業誘致の推進についてです。 県は,すぐれた操業環境や優遇制度などをセールスポイントに,積極的に企業誘致を推進してきました。その結果,最近では,玉島ハーバーアイランド真庭産業団地への企業立地が決まっており,地域経済の活性化と新たな雇用の創出が期待されます。一方,空港南産業団地の整備を進めるなど,市町村と連携しながら産業用地の確保に取り組んでいるものの,本県への進出を希望する企業のニーズと提供できる産業用地に隔たりが生じている場合もあるようです。多くの雇用を生み出し,県内企業への取引拡大につながるよう,首都圏等で人的ネットワークを活用しながら,本県のPRに努め,未分譲地へ優先的に企業を誘致することが求められています。同時に,企業ニーズに対応した用地を提供するため,時機を失うことなく,産業用地の確保や民有地情報の収集・提供など,立地環境の整備もあわせて進めていく必要があります。生き活き指標では,企業立地件数を4年間累計で120件,つまり年30件を目指すとしています。今年度の企業立地件数の見込みはどうでしょうか。また,その達成に向けて今後どのように取り組むのでしょうか,あわせて御所見をお伺いします。 次に,中小企業等の販路開拓等の支援についてお尋ねします。 県は,これまで,県内中小企業小規模事業所の「稼ぐ力」の向上を図るため,経営面での支援や人材育成など,さまざまな支援に取り組んできました。その一つとして,平成27年度から,県内ものづくり企業を一堂に集めた中四国最大規模の「おかやまテクノロジー展」を開催しています。この展示会は,本県の技術力の高さを県内外に広くアピールするとともに,県内企業と県外企業とのマッチングの機会をつくり出しています。昨年度の出展者へのアンケートによると,87%が「有益だった」と回答しており,来年1月に3回目を開催する今年度は,昨年度の152を超える172の企業や関係機関の出展が決定しています。また,将来を担う若者に,県内企業の魅力を知ってもらうため,県内の工業系高校を中心に来場を呼びかけるなど,人材確保につながる取り組みも進めています。こうした展示会の開催など,効果的な商談機会の提供を行い,県内中小企業等が持つ独自の製品やすぐれた技術が販売に結びつくよう,さらなる支援に取り組むべきと考えます。この展示会のこれまでの成果はどうだったのでしょうか。また,その成果を踏まえ,今後,県内中小企業等の販路開拓や販路拡大の支援にどう取り組むのでしょうか,あわせて御所見をお伺いします。 次に,働き方改革をめぐる取り組みについてお尋ねします。 国は,3月に,長時間労働の是正や非正規雇用の処遇改善などを盛り込んだ「働き方改革実行計画」を公表し,関連する制度整備に向けて検討を進めています。県でも9月に,「岡山県中小企業・小規模事業者働き方改革推進会議」を開催し,経済団体や労働組合,岡山労働局等と課題や取り組み状況について情報共有を行いました。これまでの日本経済の成長を支えてきたのは,労働者の勤勉性や高い能力であり,賃金が労働力・サービスの対価であることを忘れてはなりません。こうした点を踏まえ,働き方改革に取り組むに当たっては,我が党は長時間労働の是正など,働きやすい環境づくりに努めるとともに,深刻化する労働力不足に対応できるよう,労働生産性の向上を着実に進めていく必要があると考えます。9月の推進会議においてどのような協議が行われたのでしょうか。また,協議を踏まえ,今後,働き方改革にどう取り組むのでしょうか,あわせて御所見をお伺いします。 次に,農業の担い手育成と経営規模拡大についてお尋ねします。 本県の農業就業人口は,この10年間で約4割減少しています。農業者の高齢化が進行し,耕作放棄地もふえています。このような中,農業を持続的に発展させるためには,新規就農者,認定農業者,集落営農組織など,地域農業を支える多様な担い手の確保・育成に引き続き取り組む必要があります。 そこで,農地を見れば,農地の集約化ができない地域も多くあります。本県の農地の約8割は水田であり,土地利用型農業が中心であるものの,担い手への農地集積率が低いことから,農地の中間的受け皿となる農地中間管理機構を通じた農地の集積・集約化を進め,経営規模の拡大を図る必要があります。さらに,本県農業の発展のためには,農業をもうかる産業として確立しなければなりません。白桃のおくて品種の導入,ブドウの既存産地の面積拡大,水田を活用した野菜の大規模団地の育成など,農業の高付加価値化を推進すべきものと考えます。今後,農業の担い手育成と経営規模拡大や高付加価値化についてどのように進めていくのか,御所見をお伺いします。 次に,県立高等学校教育体制整備についてお尋ねします。 社会情勢が急速に変化していく中で,次代を担う人材の育成は,本県の最重要課題です。岡山県高等学校教育研究協議会では,先月,平成40年度を目途とする県立高校の教育体制整備についての提言がまとめられました。学校や学科の適正配置についても示されており,これを受け,県教育委員会は,来年度中に教育体制整備の実施計画を策定する予定と伺っております。県立高校は,地方創生の観点から,地域コミュニティーの核としての役割も期待されており,生徒が減少する中で,地域を支える人材の育成など,これまで以上に地域と連携しながら学校の魅力づくりを進めていくことが強く求められます。一方で,学校の小規模化により,現在の教育内容や質を維持していくことが困難な高校が生じることも想定されます。複数の高校で各校の特色や役割を考慮しながら,学科の集約を図るなどの対応も必要です。地元自治体を初め地域の企業や住民による学校を支援する組織などと,教育上の課題,まちづくりを含めた将来のビジョン,地域支援の必要性を共有し,高校の再編整備のみならず維持についても検討していくことが,我が党としては不可欠と考えます。今後,どのように取り組まれるのか,教育長の御所見をお伺いします。 次に,学校の運動部活動についてお尋ねします。 運動部活動は,生徒がより高い水準の技能や記録に挑戦する中で,スポーツの楽しさや喜びを味わい,学校生活に豊かさをもたらす意義を有しています。また,生徒の自主性や協調性,責任感などを育成する場としても大きな役割を担っています。しかしながら,行き過ぎた活動は,生徒のけがや故障の原因になるだけでなく,教員の長時間勤務の大きな要因にもなります。このため,国は,運動部活動の運営の適正化に向けて,今年度中に総合的なガイドラインを策定する予定と聞いております。運動部活動の実施に当たっては,生徒の健康管理,教員の勤務時間の適正化のため,練習方法の見直し,休養日の徹底,支援員の活動など,適切な対応が必要です。特に支援員を活用する際には,学校や担当職員と支援員が十分に意思疎通を図りながら取り組みを進めることが不可欠と考えます。県教育委員会は,現在,休養日の設定や支援員の派遣等に取り組まれています。これまでの取り組みの成果と課題,それらを踏まえた今後の取り組みについて,教育長にお尋ねします。 次に,第8次岡山県保健医療計画の策定についてお尋ねします。 国は,超高齢社会の到来に対応するため,「病院完結型医療」から地域全体で治し,支える「地域完結型医療」への転換が必要であり,医療や介護が必要な状態になっても住みなれた地域で安心して生活を継続し,尊厳を持って人生の最期を迎えることができるようにしていくことが重要であるとの基本方針を示しています。本県においても,今後,さらに進む人口減少や高齢化を見据えて医療費を抑制しながらも,医療サービスの質を低下させない体制の構築が求められています。地域の状況に応じた医師等の確保や医療が保健・福祉と連携をとりながら,必要なサービスを地域において切れ目なく提供できるよう,地域包括ケアシステムを構築していかなければなりません。県は,平成30年度から6年間となる第8次保健医療計画の策定に向け,関係者と協議を進めています。新しい計画は,良質かつ適切な医療を効果的に提供するため,医療機能の分化・連携を進めるとともに,在宅医療や介護サービスの提供体制を充実させていくことを盛り込んだものにすべきと考えます。特に地域において,医師や看護師を確保することは,極めて難しくなっています。こうした課題をしっかりと見据えながら,新計画でどのような基本方針を打ち出し,施策をどう展開されるのか,御所見をお伺いします。 次に,スポーツ推進計画についてお尋ねします。 本県では,スポーツの一層の推進を図るため,平成24年7月に,岡山県スポーツ推進条例を制定するとともに,平成25年3月には,県民の豊かなスポーツライフの構築,未来に羽ばたくアスリートの育成や支援などを目指した「岡山県スポーツ推進計画」を策定しました。今年度は,平成25年度から平成34年度の10年間を計画期間とする「スポーツ推進計画」の中間年度に当たるため,この3月に策定された国の「第2期スポーツ基本計画」を踏まえた見直しが行われており,先般,素案が公表されました。岡山国体から12年が経過し,各競技で世代交代を迎えており,次世代を担うアスリート,指導者を育成すること,東京オリンピックパラリンピック等の開催を契機に,より多くの県民にスポーツの価値を広め,スポーツに親しむ機会を一層拡大することなどが求められています。新しい計画により,こうした課題を解決していくとともに,県民一人一人がスポーツを通じて郷土岡山を誇りに感じ,未来に夢が持てるようスポーツの推進に取り組むべきと考えます。計画素案が目標に掲げる,「する」,「みる」,「ささえる」,すべての県民がスポーツで笑顔輝く生き活き岡山の実現に向け,どのように取り組んでいくのか,御所見をお伺いします。 次に,道路交通網の整備促進についてお尋ねします。 暫定2車線区間が残っている中国横断自動車道岡山米子線は,先般,付加車線の着工式が行われました。高速道路の安全性等の向上のため,全線4車線化を着実に進めていく必要があります。高速道路網を有効かつ十分に生かすためには,補完する形で地域間や交流・物流拠点間の連携を強化する地域高規格道路等の整備が必要です。特に,岡山圏域と美作圏域の交流促進等のために,美作岡山道路を早期に全線開通させなければなりません。また,県南部都市圏の大動脈「国道2号岡山バイパス」は,中国地方最大規模の交通量を擁する区間であることから,随所に慢性的な渋滞が発生しています。産業活動等に支障を来さないよう,総合的な渋滞対策を推進することが必要です。中四国のクロスポイントとしての優位性を保ち,生産性の向上,企業誘致の推進,観光客の増加等を図るためには,国道53号,180号,313号,429号など主要な国道も含め,道路交通網の整備を着実に進める必要があります。今後,どのように取り組まれるのか,御所見をお伺いします。 最後に,県警察の諸課題についてお尋ねします。 まず,交通安全対策についてでございます。 本県では,交通死亡事故が大幅に増加しています。8月17日は,「交通死亡事故多発全県警報」を発令し,対策を強化したにもかかわらず,その後も死亡事故が相次いだことから,期間を延長して,さらなる対策に取り組みました。10月には,一度に多くの方が亡くなる悲惨な事故が連続して発生し,10月22日に,本年2回目となる警報を発令しました。このような警報の期間延長や年2回の発令については,いずれも過去に例がなく,極めて深刻な事態となっています。一方,他県では,いわゆる「あおり運転」など非常に危険な運転による悲惨な事故が発生し,交通安全に向けた国民の関心が高まっています。県警察では,交通指導取り締まりはもちろん,高齢ドライバーへのドライブレコーダーの貸し出しやホームページを通じた注意喚起など,工夫を凝らした各種対策に取り組んでいます。こうした取り組みをさらに強化し,実効性のあるものにしていただきたいと思います。年末年始の慌ただしい時期を迎えることもあり,いま一度交通死亡事故の抑止に向けた警察本部長の決意をお伺いします。 次に,初動警察活動のさらなる強化についてお尋ねします。 県警察は,平成21年,初動警察活動の強化を図るため,全国警察に先駆けて独自にPITシステムを導入しました。治安の向上に多大な効果を発揮したこのシステムを,警察庁は高く評価し,同種のシステムを全国に広めるなど,全国警察に誇れるものとなっています。このシステムは,導入から8年が経過したため,今年度,スマートフォンを利用した新システムに更新する予定と聞いています。新たにどのような機能が追加され,どういった場面での活用が期待されるのでしょうか。さらに,初動警察のさらなる強化にどのようにつなげるのでしょうか,県警察が新システムに寄せる期待も含めて,それぞれ警察本部長の御所見をお伺いします。 以上,当面する県政の諸課題を取り上げましたが,時間の制約もあり,その他の諸課題につきましては,一般質問に委ねることといたしまして,私の自由民主党岡山県議団代表質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。 ○議長(伊藤文夫君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  自由民主党の井元議員の代表質問にお答えいたします。 まず,来年度の予算編成についての御質問でありますが,本県発展に向けた好循環の流れをさらに大きく,確かなものとし,成果が実感できる県政を力強く推し進めることを基本方針としております。これを踏まえ,新生き活きプランに掲げる「教育県岡山の復活」や「産業の振興」に加え,人口減少問題への対応として,総合的な少子化対策や働き方改革などの自然減対策,若者の還流対策を初めとした社会減対策など,社会経済情勢の変化を捉えた施策を積極的に実施したいと考えております。今後とも,将来を見据えた投資と財政規律のバランスを考えながら,生き活き岡山の実現に向けしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 次に,中山間地域の振興についての御質問でありますが,岡山県中山間地域活性化基本方針に掲げる,「みんなで支え合う元気な地域づくり」を目標として,「おかやま元気!集落」の自主的な取り組みの支援を進めるとともに,日常生活に必要なサービス機能の維持・確保を図る「生き活き拠点」の形成を促進するなど,市町村と連携し,各種の取り組みを行っているところであります。今後とも,こうした取り組みにより,中山間地域の活力創出をハード,ソフト両面から,総合的,効果的に進めてまいりたいと存じます。また,地域おこし協力隊については,任期終了後の継続配置や起業等を,市町村を通じて支援するとともに,隊員相互の交流や情報交換等を目的とした連携・交流会を開催しているところであり,引き続き,中山間地域での特色ある取り組みがさらに広がるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。 次に,移住・定住の促進についての御質問でありますが,移住者1万人の目標達成のためには,本県の魅力発信や受け入れ体制の充実・強化を加速する必要があると考えており,今年度は東京で移住先として人気の高い長野県との合同相談会を初めて開催したほか,過去最多となる6回の移住体感ツアー等の実施や,市町村が行う受け入れ体制づくりの支援にも新たに取り組んでいるところであります。また,お話の各市町村の独自性のある取り組みは,移住先を決める上での重要な要素の一つとなることから,特色ある取り組みを進めるよう,市町村への働きかけにも努めております。今後とも,市町村と連携しながら,本県への移住・定住のさらなる促進に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 次に,産業の振興についての御質問であります。 企業誘致の推進についてでありますが,今年度の企業立地件数は,現時点で県営団地へ13件,市町村営団地及び民有地へ9件,合計で22件となっており,現在,交渉を進めている案件も複数あることから,年度内に立地決定を一件でも多く上積みできるよう取り組んでいるところであります。企業誘致推進に当たっては,企業のニーズに対応した労働力と用地の確保が大きな課題となっており,引き続き,人材確保や未分譲地への誘致に努めるとともに,空港南産業団地の整備や市町村営団地の開発支援に加え,造成を伴わない工場跡地や廃校のさらなる掘り起こしなどにより,産業用地の確保を図り,生き活き指標の目標達成に向け,全力で取り組んでまいりたいと存じます。 次に,展示会の成果等についてでありますが,おかやまテクノロジー展は,過去2回の累計で,県内外から約1万3,000人が来場し,これを契機に,10月末現在で162件,約1億6,000万円の取引が成立しており,また,出展企業では,販路開拓等に対する意欲の高まりも見られるところであります。今後とも,こうした成果を踏まえ,テクノロジー展の充実を初め大都市での商談会など,さまざまな商談機会の提供や契約成立に向けたフォローアップの強化により,販路開拓等を積極的に支援してまいりたいと存じます。 次に,働き方改革についてでありますが,お話の会議では,先進的な取り組みを進めている県内中小企業6社から,残業時間の削減など具体的な取り組み事例を紹介いただくとともに,出席者からは,「働き方改革の必要性について,企業への周知が必要」,「業種や企業規模に応じて取り組むべき」,「働く人の目線でも検討すべき」といった意見をいただいたところであります。今後,このような意見も踏まえ,企業の取り組み意識の醸成や好事例の積極的な発信による横展開を進めるとともに,生産性向上や労務改善に取り組む企業へのきめ細かな支援に努めるなど,働き方改革にしっかり取り組んでまいりたいと存じます。 次に,農業の担い手育成等についての御質問でありますが,もうかる農業の実現には,経営感覚を備えた人材の育成と経営規模拡大,高付加価値化を市町村や農業団体などと緊密に連携しながら総合的に進めていく必要があります。このため,各産地における新規就農者の受け入れ体制の充実を図るとともに,現在,担い手の育成拠点施設として再整備中の三徳園において,就農に向けた研修のほか,先進的な栽培技術や経営ノウハウを学ぶ実践的な講座を実施し,地域農業のリーダーとなる農業経営者の育成などを加速化することとしております。また,引き続き,農地中間管理機構等と連携し,認定農業者や集落営農組織など,担い手への農地の集積・集約化を着実に進め,経営規模の拡大を図るとともに,新品種・新技術の導入や桃・ブドウに続く新たな品目の育成などを通じて,高付加価値化に取り組んでまいりたいと存じます。 次に,第8次岡山県保健医療計画についての御質問でありますが,急速な高齢化などに対応するため,限られた医療資源を有効かつ効率的に活用しながら,疾病の予防から治療,リハビリテーション,介護まで,良質なサービスの提供体制を確立することを基本方針として,計画の策定を進めているところであります。施策の展開に当たっては,市町村や医療関係団体,大学等の理解と協力を得ながら,医療機関の機能分化と連携を進めるとともに,医学部の地域枠やナースセンターなどによる医療従事者の確保,地域包括ケアシステムを担う人材の育成などを行い,県民誰もが良質な保健・医療・福祉サービスが受けられ,住みなれた地域で安心して自立し,暮らせる社会の実現を目指してまいりたいと存じます。 次に,スポーツ推進計画についての御質問であります。 おかやまマラソンの盛り上がりやトップクラブチームの活躍,さらには東京オリンピック・パラリンピックを控え,県民のスポーツに対する関心が高まっています。こうした状況を踏まえ,計画素案では,幼児期から高齢期まで,ライフステージに応じた運動・スポーツ活動を推進するとともに,次世代の競技力向上などを目指したアスリートの育成と持続可能な指導システムの構築を図り,さらにスポーツを通じた地域の活性化やスポーツ環境の整備を進めることとしております。今後,県議会や県民の皆様の御意見をいただいた上で計画を決定し,全ての県民が「する」,「みる」,「ささえる」というさまざまな形でスポーツの楽しさや喜びを実感できるよう,市町村・関係団体と連携し,しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 最後に,道路交通網の整備促進についてでありますが,まず岡山米子線については,先般,付加車線の着工式にあわせて早期の全線4車線化を求める共同宣言を行ったところであり,関係者と一体となって国への働きかけや利用促進に取り組むこととしております。 次に,美作岡山道路については,来年度の供用に向けて,瀬戸・熊山間,佐伯・吉井間の整備を推進しており,未着手区間についても,事業化の準備を進め,早期の全線開通を目指してまいります。また,国道2号岡山バイパスについては,今年度,期成会として渋滞対策に取り組むこととし,経済団体にも参画していただいたところであり,関係市町村等と協力して機運の醸成を図り,強力に要望活動を展開することとしております。本県の優位性を生かし,産業振興や地域間の連携強化などを図っていくためには,道路交通網の整備は非常に重要であり,これらの道路整備に加えて,国道53号や国道313号などの主要な道路についても,着実に整備を推進してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  教育長竹井千庫君。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  自由民主党井元議員の代表質問にお答えいたします。 まず,県立高校の教育体制整備についてでありますが,このたびの提言では,高校教育としての質の確保に努めるとともに,高校が地域の振興に果たす役割についても考慮することが盛り込まれており,特に小規模化する学校については,学科の集約や再編整備を視野に入れながらも,生徒や保護者,地域にとって魅力のある学校づくりに取り組む必要があるとされております。県教委としては,中学生から選ばれる魅力ある高校のあり方をさらに検討する必要があると考えており,まずは県民向けに提言の内容を説明する会を県内6地区で開催し,幅広く御意見をいただくとともに,地元自治体等と協議の場を設け,普通科と職業科とのバランスにも配慮しつつ,地域に必要な高校の教育内容や活性化策等について意見交換をしてまいりたいと存じます。こうしたことを踏まえ,来年度中に実施計画を策定することとしておりますが,さらに県外の先進的な取り組みについて情報収集を行い,速やかに実施するなど,高校が地域の期待に応えられるよう,しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 次に,運動部活動についてでありますが,支援員派遣の成果としては,対象とする部の顧問だけでなく,派遣校の教員全体の勤務負担軽減や,専門的な指導による生徒の意欲や技能の向上等があります。また,休養日についても,公立高等学校は週1日以上,中学校は週2日以上設けることとし,10月現在の調査では,全ての部で実施できております。こうした取り組みの効果を上げるためにも,医・科学的な根拠に基づく指導が重要であり,現在,国において行われている調査研究に期待しているところであります。課題としては,支援員の人材確保や支援員が単独で対外試合に引率できるメリットを生かし切れていないことなどがあります。今後,国の動向を注視しながら,市町村教委等に対し,指導実績を有する人材や支援員を活用した好事例の紹介などにより,生徒の健康や競技力,教員負担のバランスのとれた運動部活動の推進に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  警察本部長西郷正実君。   〔 警察本部長 西郷正実君 登壇 〕 ◎警察本部長(西郷正実君)  自由民主党井元議員の代表質問にお答えいたします。 県警察の諸課題についてのうち,交通安全対策であります。 本年11月末現在の交通事故状況は,昨年同時期に比べて人身事故件数は減少しておりますが,死亡事故は議員御指摘のとおり大幅に増加をしており,夜間に発生した高速道路における事故など,一度に複数の方が犠牲になる事故を含め,死者数は91人で,前年同時期に比べ22人の増加という厳しい状況にあります。これらの死亡事故の主な特徴点は,高齢者の割合が約56.0%と依然として高いこと,夜間歩行中の死者が24人で,そのほとんどの方が夜光反射材を着用しておられなかったこと,正面衝突による死者が19人で,昨年同時期に比べ12人増加していることなどであります。これらの状況を踏まえ,県警察では,議員お話のように,高齢ドライバーに対し,ドライブレコーダー映像を活用した個別指導を実施しておりますが,今後,この取り組みを拡大してまいります。また,飲酒運転,交差点における信号無視や歩行者妨害,夜間における速度違反などに加え,いわゆる「あおり運転」に当たるような車間距離不保持違反などの取り締まりを強化しておりますが,今後,事故の発生実態に即した取り締まりを一層進めるとともに,これまで速度取り締まりが困難であった住宅地周辺の生活道路においても,機動的な取り締まりを行ってまいります。さらに,悪質な事故に対する危険運転致死傷罪による立件,夜間の信号運用の調整による交通流の安定化なども行ってまいります。現在の交通死亡事故増加の背景には,県民全体に交通事故の危険性や交通安全意識が十分に浸透されていない現状もあるものと考えております。県警察では,今年度,春・秋の交通安全県民運動では,「交通ルール 守るあなたに ありがとう」のスローガンのもと,交通指導取り締まりを初め関係機関・団体,ボランティアと協働した街頭指導,各種講習会などを行ってまいりましたが,今後は,これらを一層充実するとともに,自動車ディーラーと協働した「交通安全スクールリレー」の実施店舗数の拡大等により,全ての道路利用者に対するマナーアップを図ってまいります。これから年末年始の慌ただしい時期を迎え,交通事故の増加が懸念されますが,「年末・年始の交通事故防止県民運動」と連動し,交通死亡事故を一件でも発生させないよう,県警察の総力を挙げてまいります。 次に,初動警察活動のさらなる強化についてであります。 議員御指摘のとおり,現在のPITシステムは,警察官を事件現場等に迅速に派遣し,通信指令室との情報共有を図るシステムとして運用してまいりましたが,導入から8年を経過したため,新たな機能の追加も容易であるスマートフォンによる新しいPITシステムを整備させていただくことになりました。新しいシステムには,活動する警察官の現在位置を確認する機能や盗品車両照会機能などの既存の機能に加え,動画撮影機能や現場で活動する警察官もみずからの位置と周囲で活動する他の警察官の位置を容易に確認できる地図表示機能などとともに,外国語と日本語を音声で認識し,翻訳する機能を搭載する予定でございます。これらの機能により,現場で撮影された動画をリアルタイムに送信することが可能になるため,より的確な指揮が可能になるとともに,現場で活動する警察官も,周囲の警察官の位置を地図上で確認できるため,相互の連携が強化されるほか,今後,ますます増加する来日外国人に対する迅速・的確な対応が可能となるものと考えております。今後,これらの新機能を活用することにより,初動警察活動に携わる全ての勤務員の連携を一層強化し,県民の皆様の安全と安心を実現してまいります。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  次の質問者に移ります。 民主・県民クラブ代表23番三宅和広君。   〔 23番 三宅和広君 登壇 〕 ◆23番(三宅和広君)  民主・県民クラブの三宅和広でございます。 本日は,倉敷市,早島町から傍聴にお越しをいただきました。ありがとうございます。また,今回の機会を与えてくださいました先輩,同僚議員の皆様,また,質問準備に当たって執行部や議会事務局を初め多くの方にお支えをいただきました。改めて感謝を申し上げます。 それでは,会派を代表して,通告に従いまして県政の諸課題について,知事,教育長,警察本部長にお伺いをいたします。前向きな御答弁をお願い申し上げます。 まず初めに,平成30年度予算のあり方についてお伺いいたします。 さきに示された平成30年度の予算編成方針は,基本方針,要求基準ともに平成29年度の方針がほぼ踏襲をされています。しかし,分類別に見ると,一般行政経費の事業費のうち,準義務的経費以外の経費については,一般財源ベースで平成29年度当初予算額を要求上限とするとされており,この部分は産業労働部,教育委員会を除く部局が平成28年度当初予算額の97%を要求上限とするとされていた平成29年度の予算編成方針と異なる表現となっています。事業費は,平成22年度の予算編成方針以降,いわゆるマイナスシーリングが続いてきましたが,平成30年度の方針では,ゼロシーリングになっています。重点事業として計上される事業費もありますので,この部分のゼロシーリングだけを捉えて積極予算に転じたと判断はできませんが,今回のゼロシーリングの意図について,知事の御所見をお伺いいたします。 また,多年度にわたりマイナスシーリングを続けることには限界があり,また,弊害も少なくないという声も聞きます。県庁職員の仕事の仕方や発想が消極的になり,新しいことにチャレンジしようという意識が薄れてしまうのではないかという懸念もあります。シーリングを運用するに当たって,知事が留意していることについてもあわせて御所見をお伺いいたします。 また,予算編成方針には,その年度に知事がどのような県政を行うのか,県の重点取り組み課題は何かなどについて,県民に与えるメッセージ効果があるように思います。「平成30年度重点的に推進すべき施策に関する方針」に示されている施策は,どれも重要でありますが,総花的な印象は否めず,わかりやすいメッセージとして伝わってきません。現時点で,平成30年度はこうしたいという予算を編成する上での意気込みや具体的な政策分野があればお聞かせください。 続いて,生き活きプランの政策推進と県民満足度調査等についてお伺いをいたします。 知事は,これまで,「さまざまな分野でまいてきた種が芽吹いてきており,加速し始めた好循環の流れをさらに大きく確かなものとするため,着実に成果を積み上げることで,県民の皆様にそれを実感していただける県政を力強く推し進めていく」とされてきました。そうした中,平成29年度県民満足度調査結果や平成28年度の生き活きプランの達成度を検証した「行政評価」,そして「おかやま創生総合戦略」の「効果検証」が公表されました。結果の中には,県民の重要度や行政評価の達成度が高いにもかかわらず,県民の満足度が低い項目があります。例えば,企業誘致・投資促進プログラムや観光振興プログラム,防災対策強化プログラムなどの項目がそれに当たり,県民から期待され,成果も出ているにもかかわらず,残念ながらそれが十分に県民に伝わっていないのではないかと考えられます。 そこで,お尋ねします。 「行政評価」と「県民満足度調査」のギャップを踏まえた知事の率直な御感想をお聞かせください。また,知事の言われる「成果が実感できる県政」を進めるためには,行政の自己評価と県民満足度との関係を県民の皆様にわかりやすく示すことが必要と考えますがいかがでしょうか,あわせて御所見をお聞かせください。 次に,快適な生活環境を保全する観点から,海ごみ対策についてお伺いいたします。 岡山県では,9月から11月を,児島湖流域環境保全推進期間と定めています。湖沼のうち,全国でもトップクラスで悪い児島湖の水質環境を県民の力で改善するために,岡山県では,毎年児島湖流域清掃大作戦を行っており,今年度も11月5日に県下一斉に実施されました。プラスチックごみなどの生活環境から流れ出たごみを初め大型のごみなど,さまざまなごみが例年集まっており,その数は減ることはありません。河川流域や海岸を離れたごみは,海を漂う漂流ごみとなり,いずれ海底ごみとして瀬戸内海の海底に堆積します。瀬戸内海には,1万3,000トンもの海ごみが堆積していると言われ,その量はふえ続けているのではないかと思われます。 海ごみについて,岡山県は,昨年,「海岸漂着物等対策推進地域計画」を策定し,重点区域を設定し,回収と発生抑制の両面から対策を進めることとしています。これまでも「ポイ捨て防止」など環境保全の活動は,長きにわたり実施されてきましたが,従来は公衆衛生,環境美化などの視点が中心であったと思われます。しかし,現在は,マイクロプラスチックなどが国際的にも新たな脅威として認識されており,ごみの問題が生態系に影響を及ぼすおそれのある問題になりつつあることを共有する必要があるのではないでしょうか。 そこで,お尋ねします。 海ごみ,特に海底ごみ回収における漁業者の協力は必要不可欠です。県でも,回収対策として,海底ごみステーションの設置などを市町村を通じて支援していますが,それを利用する漁業者の理解促進も図らなければ効果を上げることができません。水揚げの際,ごみに悩まされている漁業者に気持ちよくごみ回収に協力してもらうためには,何らかの動機づけが必要と思われます。今後,どのように取り組まれますでしょうか,御所見をお伺いいたします。 また,手の届きにくい海に流れ出る前に,回収を進めることも重要であり,河川や海岸における清掃活動は欠かせません。岡山県では,県管理河川,県管理海岸について,平成13年度から「おかやまアダプト」を実施し,地域住民,企業,各種団体等の活動団体と行政が連携をして,美しいまちづくりに取り組んでいますが,そういった団体に対してもパンフレットを活用するなどにより,海ごみ問題を周知しつつ,一層県管理河川や県管理海岸におけるアダプト活動の充実を図っていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。将来において,社会の担い手となる子供たちに環境保全意識を高めることも必要であります。学校内外の活動の中で,環境保全に関する学習を行っていると思いますが,うっかり捨てたごみが何年にもわたり海の底にたまって回収されない現実を知ってもらうことは,意識の醸成につながると考えます,いかがでしょうか,教育長の御所見をお伺いいたします。 次に,子育て支援充実の観点から,保育の質の確保についてお伺いをいたします。 3歳から5歳までの幼稚園,保育園の無償化の議論が国において進められています。就学前教育の効果が最も大きいのは,親から適切な教育投資が期待できない子供に対してであり,その意味では,経済的な格差なく就学前教育が受けられる環境をつくることは,必要であります。また,特に保育所については,女性の働く意欲の向上,待機児童解消に向けた受け皿の整備が進み,さらにこれから費用負担が軽減されることを通じて,保育所に対するニーズは一層高まることと思われます。保護者の負担軽減も重要だと考えますが,しかし重要なのは,これからの日本を支える人材をつくるため,幼い子供が1日の大半を過ごすことになる環境やそこで提供される保育の質も重要な課題であると考えます。例えば,国立保健医療科学院の元部長田中哲郎氏の分析によると,園児10万人当たりの施設における死亡率は,認可保育所が0.22人であるのに対して,認可外保育所は5.86人と,大きな差があることが示されています。また,待機児童解消のために新たに設けられた地域型保育給付の対象事業や企業主導型保育などについて,保育の質が担保できているのかの検証についてはこれからであります。行政が行う指導監査は,基準どおりに施設整備や人員配置が行われているかが問われますが,どのような保育が子供たちに行われているのかまでは踏み込んでいません。それを補う仕組みとして,福祉サービスの第三者評価がありますが,保育所については努力義務にとどまっています。岡山県下の保育所における第三者評価の取り組みについて,認可保育所,認可外保育所それぞれの全体の施設数と取り組んでいる施設数をお知らせください。認可外保育所については,行政の目が行き届きにくいことも踏まえて,そういった保育所の第三者評価の取り組みを後押しする施策の必要性についてもあわせてお伺いいたします。 また,岡山県においては,就学前教育スーパーバイザーやアドバイザーを配置することで,保幼小の接続や公立幼稚園等の指導体制の充実に取り組んでいますが,幼稚園,保育所を含めた就学前教育全体の質の向上に取り組むことの必要性についてお伺いいたします。 次に,保健・医療・福祉充実の観点から,介護保険制度等の改正についてお伺いいたします。 来年4月の介護報酬,診療報酬等の同時改定を控え,社会保障を取り巻く議論が活発になっています。今年成立した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」では,慢性期の医療・介護ニーズへの対応のため,新たに医療と介護を一体的に提供する介護医療院を創設することや,「我が事・丸ごと」の地域福祉推進の理念を掲げ,地域住民の地域福祉活動への参加を促進するための環境整備を行うこととされています。また,全市町村が保険者機能を発揮し,介護予防・重度化予防等の取り組みを推進するため,データに基づく課題分析により,介護保険事業計画を策定するとともに,適切な指標により実績評価を行い,その結果公表を行うほか,目標達成の状況に応じて財政的インセンティブを付与することなども盛り込まれています。交付金などの財政的インセンティブは,ともすれば認定申請の抑制や要介護認定の抑制,サービス利用の抑制にもつながりかねず,そのあり方には慎重にならなければなりません。地域間格差の拡大や要介護認定の意図的抑制が起こらないよう,また,取り組み過程も評価することなどを含め,県としても国へ十分な意見を述べるべきと考えますが,いかがでしょうか。 また,地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進においては,市町村の地域福祉計画と同様に,都道府県にも地域福祉支援計画の充実が求められています。岡山県で策定している岡山県地域福祉支援計画(改訂版)については,今後,どのような扱いとなるのか,御所見をお伺いいたします。 次に,産業の振興の観点から事業承継についてお伺いいたします。 景気回復基調の中で,企業倒産は減少傾向にあるものの,「休廃業,解散」は緩やかに増加しています。中小企業白書の分析では,経営者の高齢化が進むとともに,営業利益率の比較的高い中小企業の休廃業が見られ,その背景には,後継者不足があるのではないかと言われています。具体的には,国全体では381万社の中小企業・小規模事業者の経営者の過半が60歳を超えており,今後10年間で約半数の200万社程度が世代交代の時期を迎えることが見込まれています。また,60歳以上の中小企業経営者の半数が廃業を予定しており,約3割が後継者不足という調査結果があります。岡山県においては,サービス業の経営向上のための実態把握を行うため,アンケート調査を実施中であり,その中に事業承継に関する項目も含まれているとお聞きしています。県内中小企業・小規模事業者の事業承継に関する施策を検討する上でも,ぜひ現状を適切に把握した上で取り組んでいただきたいと考えますがいかがでしょうか,御所見をお伺いいたします。 また,利益を上げているにもかかわらず後継者がいないために休廃業を余儀なくされることは,税収や雇用が失われることを通じて地域経済にとっても大きな損失をもたらしますし,その事業者が製造業のサプライ・チェーンの一端を担っている場合には,県内のほかの企業の生産にもマイナスの影響を与えます。中小企業庁の調査では,直近5年未満で事業承継を行った経営者の中で,親族内で後継者を確保することができた割合は3割程度にとどまっている反面,従業員や社外の第三者に対する承継は6割を超えています。このことから,第三者も含めた親族外承継を促進していくことが必要であります。岡山県における事業引継ぎ支援センターの設置は,全国的に見ても早く取り組まれましたが,残念ながら平成28年度の事業譲渡の成約目標16件に対して実績は13件にとどまっています。譲渡希望の相談件数が78件もあったにもかかわらず,実際の譲渡が13件にとどまった要因についてお伺いするとともに,今年度の状況についてもあわせてお伺いいたします。 また,事業承継を実際に着実に進めるためには,事業引継ぎ支援センターだけでなく,自治体や商工会議所・商工会,中小企業団体中央会などの経営支援機関,金融機関等を通じた案件の掘り起こしが必要となります。その際,中小企業の経営者自身が自分の置かれている状況や事業価値に気づいていないことが多いため,中小企業・小規模事業者の状況を確認してもらうことが肝要です。そのための取り組みとして,中小企業庁は,事業承継診断を実施することとしており,実施のための仕組みとして,事業承継ネットワークの立ち上げを都道府県に働きかけています。現在は,19県がこのネットワークの構築や事業承継診断に取り組んでおり,そのほかにも独自事業として,事業承継診断等,同様の取り組みを4県が行っています。岡山県においては,まだ取り組みが行われていませんが,今後の事業承継ネットワークの構築に向けた取り組みについてお伺いいたします。 次に,暮らしの安全推進の観点から,交通安全対策についてお伺いいたします。 県内における本年の交通事故死亡者数は,64年ぶりに80人を切った昨年を上回り,本年11月末現在で91人の方が亡くなられています。昨年同期比で22人も増加をしている現状であります。8月17日及び10月22日と,本年は2回の「交通死亡事故多発全県警報」が発令されました。1年に2回の発令は,1999年の制度創設後初めてのことであり,極めて深刻な状況と言えます。特に高齢者の比率が高いことや薄暮時間帯での多発傾向を踏まえて,取り締まりの強化等,具体的にどのような対策に取り組まれるのか,警察本部長にお伺いいたします。 また,本年6月,神奈川県内の東名高速道路で,静岡市の夫婦が死亡する追突事故が発生しました。夫婦の車を追いかけ回したあげくに進路を塞ぎ,追い越し車線に無理やり停車させたことに起因する事故であります。この事故を契機に,「あおり運転」に対する関心が高まっています。交通事故防止や交通マナー向上のためには,さまざまな関係団体を通じた広報啓発活動とともに,警察による取り締まりが有効だと考えます。 そこで,本県における車間距離不保持の検挙実績はどのような状況か,お伺いいたします。 また,大阪府警は,あおり運転等悪質危険な違反の取り締まりを強化しており,10月27日から,その旨をホームページに公開しています。交通事故防止,交通マナー向上に向けて,本県においてもあおり運転等悪質危険な違反の取り締まりを強化してはいかがでしょうか,あわせて警察本部長にお伺いいたします。 次に,農林水産についてお伺いいたします。 県土の7割以上を占める中山間地域は,水源涵養や食糧生産など,重要な役割を担っている反面,傾斜地などの条件不利な場所が多いのと同時に,鳥獣被害の深刻化,人口減少,高齢化,担い手不足など,厳しい状況に置かれており,集落機能や地域資源の維持など,さまざまな面で課題を持っています。その一方で,豊かな自然,景観,気候,風土条件を生かして収益力のある農業を営むことができる可能性を秘めた重要な地域であります。このため,意欲を持った前向きな農業者が活躍できる環境をつくり,中山間地の特色を生かした経営を通じて,中山間地農業を元気にしていく必要があります。国は,地域コミュニティーによる農地等の地域資源の維持・承継を図りつつ,地域の特色を生かした農業の展開,都市と農村の交流や農村への移住・定住を促進するために,平成29年度から中山間地農業ルネッサンス事業を創設しました。例えば,集落営農の法人化や6次産業化,地産地消の取り組み,あるいはインバウンド事業を呼び込むための農泊や農業と教育,福祉などと連携した交流の仕組みづくりなどの取り組みを行う際に,さまざまな制度の中山間地への優先枠の設定や交付金の条件緩和,補助率の引き上げなどが行われています。農業生産のみに着目した取り組みではなく,観光や教育,福祉などさまざまな分野と連携した交流の取り組みについて,市町村と県が連携して計画を立てることも特徴の一つであり,また,予算額も平成30年度概算要求では,平成29年度の400億円から500億円に拡大されており,中山間地振興に向けた大きなチャンスだと考えます。しかし,一方で,農業以外の分野の取り組みについては,計画に位置づけられながらも,本事業の予算を活用できない分野があるなど,課題も存在しています。この制度を活用するためには,複数の市町村単位で中山間地農業の振興を図る「地域別農業振興計画」を県が策定し,計画に位置づけることが求められていますが,本県における取り組みの状況についてお聞かせください。また,この事業の活用をさらに進めるための課題についてもあわせてお伺いいたします。 次に,歴史的建築物の活用についてお伺いいたします。 市町村や県の指定重要文化財までには至らない古民家等の,いわゆる「歴史的建築物」については,現在,空き家化や解体などが進んでいますが,他方で,宿泊施設,レストラン,ゲストハウスなどとして積極的に有効活用し,地域活性化やインバウンドの促進に貢献させたいというニーズが高まっています。特に,中山間地には,良質な古民家が多く存在をしていますが,空き家化,老朽化などの課題を抱えています。木造家屋に限らず,近代のコンクリートやれんがづくりの建築物にも,歴史的,文化的価値の高いものがあります。こういった建築物を増改築や大規模修繕,用途変更を行う際には,現行の建築基準法に適用させなければならないことが多く,大がかりな工事が必要となったり,屋根や外壁の素材を変更しなければならないために,利活用が断念されるケースも存在します。そういった状況を回避するために,建築基準法では,条例に基づいて特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定した建築物については,建築基準法の適用を除外することができるとされています。現在では,兵庫県や京都市など10自治体が制定し,4自治体が制定を検討中です。岡山県内では,津山市が本年6月に条例を制定しましたが,全国的に見ても条例の制定,活用が進まない状況です。国においては,歴史的建築物を活用し,魅力あるまちづくりを進めるため,建築基準法適用除外に関する条例づくりや,その活用のガイドラインの策定を進めているところです。これまで課題となっていた建築物の歴史的,文化的な価値を維持した上で,どの程度の安全性を確保すべきかの技術的なよりどころとなるものであります。岡山県においても,条例の制定を検討し,地域における歴史的,文化的な価値のある建築物を活用しながら残していく取り組みを進めるべきと考えますが,いかがでしょうか。また,建築主事のいる市町村である特定行政庁に対しても情報提供を行い,条例制定を促すことについてもあわせてお伺いいたします。 次に,教育県岡山の復活に関連して,教職員の負担軽減についてお伺いをいたします。 文部科学省が行った2016年度の教員勤務実態調査によると,国が示す「過労死ライン」に達する週20時間以上の残業を行った教諭は,中学校で57.7%,小学校で33.5%に上ります。この割合は,労働力調査に基づく他業種の状況と比べると,いかに学校現場が過重労働かがわかります。例えば,建設業は,週20時間以上の残業を行った労働者の割合は13.1%,製造業は8.3%であります。その上,学校現場では,勤務時間中は休憩時間がほとんどなく,過密労働が続いています。教員の多忙化,長時間労働の弊害は,授業準備や自己研さんの時間が減り,また,組織全体としての業務改善や学習の機会をなくし,その結果,さらに多忙化が進むという悪循環をもたらします。また,教員の精神的な不調や病気による休業や,最悪の場合には自殺に発展するケースもあり,経験を積んだ教員を失う結果をもたらします。その結果,教員が不人気な職業となり,人材確保に困ることになります。これらは全て,児童・生徒に対する教育の質の低下をもたらし,将来的に社会全体の大きな損失となります。これを改善するためには,正規教員の数と割合をふやすことで,一人一人の負担を軽減するとともに,教員が担っている業務が多岐にわたって大量にあることにメスを入れ,教員が手放してもよい仕事を明確化し,その部分はほかの人に任せ,教員は教育に専念することだと考えます。その意味で,簡単な事務作業から教員を解放する教師業務アシスタントは,学校現場からも高く評価をされている施策であります。平成29年度からは,中規模校まで配置ができるよう基準を設けて,教師業務アシスタントの配置を進めています。この基準に基づくと,約160校に配置をすることができるはずですが,平成29年度は予算を十分確保することができず,実際は121校の配置にとどまっています。来年度は,最低でも160校全てに配置できるようにするべきでありますし,160校を超えて可能な限り教師業務アシスタントの拡充を行うべきと考えますが,御見解をお伺いいたします。 また,市町村に対する地方交付税の基準財政需要額の算定には,小学校で18学級,中学校で15学級を標準として,1名の学校事務職員の人件費が見込まれています。岡山県においては,多くの市町村が県費の学校事務職員の配置のみにとどまっていますが,全国的に見ると,交付税措置に基づいた市町村費の学校事務職員が配置している自治体が多い都道府県もあります。学校事務職員の適正な配置は,教職員の負担軽減につながるため,県費の学校事務職員の配置を維持・拡大しながら,同時に市町村費の学校事務職員の配置を進めるべきと考えます。交付税措置をされている点では,特別支援教育の支援員や学校司書と同様でありますので,これらの人員の配置と同様に,県教委から岡山県下の市町村に対して情報提供を行っていただきたいと考えますが,教育長に御見解をお伺いいたします。 以上で民主・県民クラブを代表しての質問を終えさせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。 ○議長(伊藤文夫君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  民主・県民クラブの三宅議員の代表質問にお答えいたします。 まず,平成30年度予算編成方針についての御質問であります。 シーリングについてでありますが,人口減少問題など多様化する新たな課題にスピード感を持って対応するため,総枠の範囲内で現場に近い部局の裁量をふやし,主体性を高めることで,より柔軟な予算編成が行えるよう,今回のシーリングを設定したものであります。こうした方針により,財政規律を緩めることなく,職員の前向きな思考を引き出し,ひいては生産性の向上,働き方改革に資するものと考えております。 次に,意気込み等についてでありますが,予算編成方針では,好循環の流れをさらに大きく,確かなものとし,成果が実感できる県政を力強く推し進めることを基本方針としております。これを踏まえ,新生き活きプランに掲げる「教育県岡山の復活」や「産業の振興」に加え,人口減少問題への対応として,自然減対策や社会減対策などの社会経済情勢の変化を捉えた施策を積極的に実施したいと考えております。 次に,県民満足度調査等についての御質問でありますが,行政評価と県民満足度調査の結果を見ると,成果が得られ,満足度も高い分野がある一方,一定の成果がありながら満足度が低い分野もありますが,いずれも県民の皆様の率直な思いとして真摯に受けとめております。行政評価は,指標の達成度を重視した施策の評価を行い,その見直しにつなげていくことを目的とし,県民満足度調査は,新生き活きプランの体系ごとの満足度と重要度を調査し,今後の県政運営に反映させることを目的としているものであります。引き続き,より効果的な施策の実施やわかりやすく関心を持ってもらえる広報に努めることにより,確かな成果を県民の皆様に実感していただけるようしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 次に,海ごみ問題についての御質問であります。 漁業者の協力についてでありますが,海底ごみの多くは,河川等を通じて流入したものと考えられますが,漁業者においては,みずからの漁場を守るため,回収活動に取り組んでいるところであり,網に入るごみの量が10年間で半減した地域も確認されております。県では,こうした成果を踏まえ,漁業者に対して海底ごみの回収が操業時の負担軽減や漁場環境の改善につながることなどを丁寧に説明し,回収活動への一層の理解と協力を求めながら,引き続き,関係市などと連携して,円滑な処理に努めてまいりたいと存じます。 次に,おかやまアダプトについてでありますが,参加団体数が年々増加するなど,河川・海岸等への愛着心を育む取り組みとして着実に地域に浸透してきており,こうした取り組みは,海ごみの軽減にもつながると考えております。このため,お話の海ごみ問題についてもホームページ等を活用し,参加団体等に周知するとともに,県民や市町村などと連携・協働し,河川・海岸等のアダプト活動をしっかりと進めてまいりたいと存じます。 次に,保育の質の確保についての御質問であります。 保育所における第三者評価の取り組み状況等についてでありますが,県内の認可保育所384施設,認可外保育所84施設のうち,第三者評価をこれまでに実施したのは,認可保育所8施設であります。国の福祉サービス第三者評価事業の対象に,認可外保育所は含まれておらず,その後押しは考えておりませんが,県では,毎年実施している指導監査において,児童一人一人の発育への配慮など,保育の質についても確認しているところであります。 次に,就学前教育全体の質の向上についてでありますが,就学前教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培うもので,その質的充実を図ることは重要なことと考えております。そのため,保育の質の向上を目的とした研修を計画的に実施しているほか,県教委では,お話のスーパーバイザーを研修講師として保育所にも派遣するとともに,保幼小合同の協議会を設置し,保幼の連携や小学校への円滑な接続を推進していると聞いております。今後とも,県教委や市町村と連携し,就学前教育全体の充実に努めてまいりたいと存じます。 次に,介護保険制度等の改正についての御質問であります。 国への意見についてでありますが,介護予防等のための新たな交付金の制度設計に当たっては,地方と十分に協議し,市町村の規模等により不公平が生じることのないようバランスがとれた評価項目とすることや,要介護認定の抑制につながるようなペナルティーを設けないこと,さらに評価結果による優劣の比較ではなく,好事例の提供等により,取り組みを促すことなど,真に自立支援,重度化防止等に資する制度となるよう,先般,全国知事会を通じて要望したところであります。 次に,岡山県地域福祉支援計画についてでありますが,県では,同計画に基づき,市町村において住民やボランティアなど,多様な主体が行政と連携しながら進める地域福祉の取り組みを支援してきたところであります。このたびの法改正により,子供や高齢者,障害のある人などの各分野を超えた地域生活の課題解決に向けた支援などについて計画に盛り込むこととされており,今後示されるガイドラインを踏まえ,適切に対応してまいりたいと存じます。 次に,事業承継についての御質問であります。 適切な現状把握についてでありますが,事業承継が進まない要因は,その必要性や手順への理解不足,後継者の不在など企業ごとにさまざまであることから,先般実施したアンケート結果を活用するとともに,商工会議所・商工会などの支援機関や金融機関と,県内企業の現状や課題について情報交換や意見交換を行うなど,適切な現状把握に努め,取り組みを進めてまいりたいと存じます。 次に,譲渡が進まない要因等についてでありますが,事業引継ぎ支援センターによれば,相談件数に比べ事業譲渡が進んでいない要因としては,譲り受けを希望する買い手が見つからない場合や,売り手と買い手との間で売買のタイミングや価格が折り合わない場合が多いとのことであります。また,今年度の状況については,10月末現在で,新規の相談件数が50件,譲渡件数が8件となっていると聞いております。 次に,ネットワークの構築についてでありますが,現在,改訂作業中の中小企業振興計画には,主な施策として,「事業承継の支援」を位置づけ,支援機関等が情報共有し,連携するためのネットワークを構築するとともに,経営者の気づきを促すための事業承継診断を実施することを盛り込んでいるところであります。また,先般開催した商工会議所や商工会,金融機関などと構成する県中小企業対策会議においても,事業承継をテーマに議論したところであり,今後,他県の例も参考にしながら,本県の実情に即した取り組みを検討してまいりたいと存じます。 次に,中山間地農業ルネッサンス事業についての御質問でありますが,本事業は,既存の事業に中山間地への優先枠を設けるなど,地域の多様な取り組みを総合的に支援するものであり,本県では,新規就農者のブドウ栽培に向けた荒廃農地の再生利用や,福祉・教育分野との連携による野菜栽培を通じた新たな雇用創出などの取り組みが23市町村で行われております。本事業は,今年度から始まったものであり,支援内容の拡充に向けた国の動向も踏まえながら,制度のメリットなどについて地域への一層の浸透が図られるよう市町村と連携し,優良事例の情報発信やセミナーの開催などに取り組み,さらなる活用に努めてまいりたいと存じます。 次に,建築基準法適用除外に関する条例の制定についての御質問でありますが,古民家等の保存・活用は,地域活性化やインバウンド促進などに有効であると考えております。このため,利活用する上での課題や市町村の意向の把握に努めているところであり,国のガイドライン策定状況も踏まえ,市町村と連携して,条例制定を含め,建築基準法の適用除外について研究してまいりたいと存じます。また,特定行政庁である市に対しても,国の動きや先進事例等の情報を提供するとともに,必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。 最後に,教職員の負担軽減についての御質問であります。 教師業務アシスタントの拡充についてでありますが,平成27年度から2年間のモデル事業の結果を踏まえ,一定規模以上の学校を対象にアシスタントを配置することとしており,県教委からは,お話の基準を超えての配置は考えていないと聞いております。また,基準を満たす全校への拡充については,現在の実施状況を検証するとともに,市町村等からの要望等を踏まえ,県教委と十分協議してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  教育長竹井千庫君。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  民主・県民クラブ三宅議員の代表質問にお答えいたします。 まず,海ごみ問題についてのうち,子供たちの環境保全意識の醸成についてでありますが,学校では,自然や環境についての理解を深め,それらを守ろうとする実践的な態度の育成を図っておりますが,お話の海底ごみ等の問題を取り上げることは,環境への意識を高める上で有効と考えております。このため,環境教育に関する研修で,海底ごみなど新たに注目されている問題への理解と指導方法の工夫を図り,子供たちが主体的に考え,行動する環境学習の推進に取り組んでまいりたいと存じます。 次に,教職員の負担軽減についてのうち,学校事務職員の適正な配置についてでありますが,本県においても,県費負担事務職員の未配置校や児童生徒数の多い学校への対応のため,お話のように,市町村費による事務職員を配置している市町村もあります。県教委としては,現在,教職員の時間外勤務の縮減に向けて教員と事務職員のより効果的な業務分担について研究を進めているところであり,他県等の例も参考にしながら,県費負担事務職員を補完するものとして,市町村費による事務職員が配置されるよう,市町村教委に情報提供してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  警察本部長西郷正実君。   〔 警察本部長 西郷正実君 登壇 〕 ◎警察本部長(西郷正実君)  民主・県民クラブ三宅議員の代表質問にお答えいたします。 交通事故の防止のうち,具体的な取り組みについてであります。 議員御指摘のとおり,本年11月末現在の交通事故死者数は91人で,昨年同時期に比べ22人の増加という非常に厳しい状況であります。これらの死亡事故の主な特徴点は,高齢者の割合が約56.0%と依然として高いこと,夜間歩行中の死者が24人でそのほとんどの方が夜光反射材を着用されていないこと,正面衝突による死者が19人で昨年同時期に比べ12人増加していることなどでありますが,このような実態を踏まえ,県警察では,高齢ドライバー対策として,「ドライブレコーダーを活用した個別指導」や「自動車ディーラーと協働した高齢者交通安全スクールリレー」などを展開しており,これらのさらなる拡充を図ってまいります。また,日暮れの早まるこの時期は,交差点における信号無視や歩行者妨害,速度違反などについて,薄暮時間帯における取り締まりを強化しておりますが,今後,事故の発生実態に即した取り締まりを一層進めるとともに,これまで速度違反の取り締まりが困難であった住宅地周辺の生活道路などにおきましても,機動的な取り締まりを行ってまいります。 次に,車間距離不保持の検挙実績などについてであります。 いわゆる「あおり運転」は,一般のドライバーに危険を感じさせる悪質・危険な行為であり,これには危険防止を理由としない「急ブレーキ禁止違反」,急な進路変更による「進路変更禁止違反」,執拗にクラクションを鳴らす「警音器使用制限違反」などが該当する場合もありますが,御質問の車間距離不保持違反に該当する場合もあり,当該違反につきましては,本年11月末までに,昨年同時期と比べ9件多い20件を検挙しているところであります。これらの悪質・危険な運転につきましては,これを抑止していくため,パトカーや白バイによるレッド走行などを強化する一方で,違反を現認した場合や110番などの通報を受理した際には,しっかりと取り締まりを行ってまいります。また,いわゆる「あおり運転」により事故が発生した場合には,危険運転致死傷罪の立件も行っているところでありますが,今後も,危険運転致死傷罪に当たる場合は,これを適用し,危険な運転をしたドライバーの責任を追及してまいります。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  この際,午後1時まで休憩いたします。        午前11時43分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時再開
    ○議長(伊藤文夫君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質問を継続いたします。 公明党岡山県議団代表42番高橋英士君。   〔 42番 高橋英士君 登壇 〕 ◆42番(高橋英士君)  公明党県議団の高橋英士でございます。 早速県議団を代表して質問に入らせていただきます。 さきの衆議院選では,全国の党員,支持者の皆様から,献身的な御支援をいただき,心より感謝と御礼を申し上げます。残念ながら改選前の議席には届きませんでしたが,私どもの目標でありました中国ブロック比例2議席死守という目標は達成することができました。また,この選挙が政権選択の選挙であったという面では,自民・公明の与党両党で3分の2を上回る議席を獲得できたことは,引き続き,自公連立政権が日本のかじ取りを担うことに,国民の信任を得たと確信するところであります。私どもは,この選挙戦を通じてお約束をしました政策の実現に向けて,引き続き,全力で闘ってまいる決意でございます。 それでは,以下,具体的な質問に入ります。 初めに,このたび発表されました平成29年度行政評価並びにおかやま創生総合戦略効果検証についてでありますが,知事が重点公約に掲げている教育の再生や産業の振興など,どのように評価され,来年度予算にどう反映しようとされているのか,まずお尋ねをいたします。 中でも,平成28年度児童生徒の問題行動等調査によれば,県内の児童生徒による暴力行為の1,000人当たりの発生率は,小中高いずれも全国平均を上回っています。個別に見ると,小学校は年々発生件数が増加しており,中学校は発生件数は減少傾向にあるとはいえ,なお全国平均を上回っていますし,高校は全国平均1.8を3.4と大きく上回っており,児童生徒の暴力行為が今なお深刻な状況にあることが明らかになっています。これまで,学校警察連絡室を設置し,それなりの成果を上げてきたことは一応認められるものの,暴力行為が低学年化し,小学校の暴力行為に対し十分な対策が講じられていないこと,高等学校の発生率が高くなっていることなどが明らかになっています。今回の調査結果をどのように受けとめ,今後,どのような対策が必要と考えておられるのか,知事にお尋ねします。 次は,このたび示された岡山県公共施設マネジメント方針に基づく「平成29年度策定予定の個別施設計画」について伺います。 それによれば,平成29年度に計画を策定する公共建築物が45計画,インフラ施設が5計画となっており,いずれも今年度中に個別施設計画を策定することになっています。さらに,平成30年度から32年度にかけて,公共建築物については残り196施設の計画を策定することになっていますが,そこで考えなければならないのは,今後の修繕・更新に係る費用についてであります。今年3月に発表されたマネジメント方針によれば,公共建築物については,平成26年度,27年度の実績額の平均は約46億円でありますが,今後,40年間に要する費用は合計約4,423億円,年平均で約111億円と試算され,特に平成40年度ころから建てかえ費用の急激な増加が見込まれるとしています。同じくインフラ施設の修繕・更新に係る近年の年間事業費は約200億円であり,橋梁を例にとっても,従来どおりの事後保全を行おうとした場合の今後50年間に要する費用は約2,320億円,年平均で約46億円と試算されており,インフラ施設全体ではさらに多額の費用が見込まれています。公共建築物やインフラ施設の整備は,県民の安心・安全に直結するもので,後回しにすることはできないわけですが,今,試算されている額は,本県財政にとっても大きな負担となることは間違いないと思われます。中長期の財政計画をどのように展望されているのか,知事の御認識をお聞かせください。 次は,いわゆる働き方改革について伺います。 厚生労働省と中小企業庁は,来年度から,中小企業・小規模事業者の働き方改革に対する支援を強化していくため,来年度予算の概算要求に相談支援体制の強化や社内環境の整備に対する支援額約1,041億円を計上していることは,報道されているとおりであります。具体的には,今後,国が全都道府県に,仮称ではありますが,「働き方改革推進支援センター」を新設し,就業規則の見直しへの支援や同一労働同一賃金導入マニュアルの作成,そしてそれらを通しての生産性の向上などについて,専門家による個別相談支援を行うことになっていくと承知していますが,本県の働き方改革の取り組みについてお尋ねいたします。 このように,国を挙げて働き方改革の取り組みが進められている中において,地方自治体の非正規職員の待遇改善がおくれていることが指摘されています。総務省の調査によれば,平成28年4月1日時点で,非正規の地方公務員は全国で64万3,100人となっています。これは,8年前と比較すると14万5,300人で約29%ふえることになります。一方において,1時間当たりの賃金が800円を下回るケースが多いほか,通勤のための交通費を支給していない団体も400を超えるなど,非正規職員の劣悪な待遇の実態が浮かび上がっています。ことしの5月には,改正地方公務員法等が国会で可決成立したことで,非正規職員の待遇は大きく改善されることになると思われるのですが,本県の実態とこの法改正を受けて,今後,どのような取り組みをされるのか,考えを知事にお尋ねします。 ところで,このように働き方改革といえば,専ら「同一労働同一賃金」など待遇改善に重きが置かれている感がありますが,ICTなど情報通信技術の発達やその基盤整備が進む中,「働き方改革」の有効な手段としてテレワークが注目されております。インターネットなどICTを活用し,自宅やサテライトオフィスなどで場所や時間にとらわれずに仕事をする働き方のことであり,通勤時間などを削減することで,仕事と育児,介護などを両立できる柔軟な就労形態として注目されています。既に本社機能の一部を地方で担うサテライトオフィスの誘致に取り組む自治体もふえてきており,「テレワークは地方創生の切り札でもある,テレワーク社会の到来を視野に入れ,雇用創出や働き手を集める戦略を立てて実践できた地方は生き残ることになる」との指摘もございます。政府は,2020年の東京オリンピックの開会式に当たる7月24日をテレワークデーと命名し,2020年まで毎年この日に全国の企業などにテレワークを実施するよう呼びかける運動を始めています。本県も,このテレワーク社会に向けて企業等にも積極的に働きかけていくべきと考えますが,県庁の取り組みを含め,現状と今後の取り組みについて,知事の御所見をお聞かせください。 次は,児童虐待防止について伺います。 県内の児童相談所における児童虐待への対応件数については,岡山市の児相対応分も含め,全体で922件で,対前年比121件15.1%の増加となっております。児童相談所が相談対応等を行った児童のうち9割強は,在宅支援となっており,市町村を中心とした在宅支援を強化する必要があります。国では,本年度より,市町村の対応強化のために,子ども家庭総合支援拠点の整備やスーパーバイザーの配置などに対する財政的な支援制度を創設して,市町村の体制整備をバックアップしていますが,県内市町村の取り組み状況についてお尋ねします。 また,県としては,児相を中心に困難事例に対する専門的な対応力の向上を図るとともに,市町村の対応力強化についても,職員の研修や単独での体制整備が困難な小規模な市町村などについては,広域的な調整を行うなど,市町村を積極的に支援していくべきと考えますが,知事の御所見をお聞かせください。 ところで,平成27年度に発生した児童虐待による死亡事例72例84人のうち,最も多かったのはゼロ歳児でありました。出産後の急激なホルモンバランスの変化を初め,育児によるストレスや疲労が原因となり,意欲の低下や不眠といった症状を引き起こす「産後鬱」への対策など,産後ケアが大変重要であります。重ねて,近年ふえている高齢出産であれば,体力面での負担も大きいと考えられますし,核家族化が進み,身近に頼れる人がおらず,不安を増幅させていることもあります。しかしながら,産後ケア事業を実施しているのは,昨年度で全国の市町村の1割程度にとどまっていると聞きます。県では,平成27年度から,「産後ママあんしんケア事業」を実施し,産後間もない母子に対する産後ケアを推進しています。また,国では,本年度から,産後ケア事業を行う市町村を対象に,産婦健診2回分の費用について助成する制度を創設し,産後ケアの普及を図っているところですが,県内の市町村における産後ケア事業などの取り組み状況について伺います。 また,「産後鬱」への対応を考えたときには,産科と精神科の連携をこれまで以上に強化する取り組みも必要ではないかと考えます。児童虐待のみならず,自殺対策としても位置づけられる「産後鬱」対策の取り組みについて,あわせて知事の御所見をお聞かせください。 次は,座間市の事件について何点かお尋ねします。 神奈川県座間市のアパートで,切断された9人の遺体が発見されるという事件が発生しました。残虐非道な犯行に怒りを禁じ得ません。事件の猟奇性や残忍性に目を奪われがちですが,あらわになったインターネット交流サイトの危険な闇を放置してはなりません。自殺や犯罪の温床として社会問題化した自殺サイトは,警察や接続業者による監視が行き届きつつありますが,悪意を持つ人物が容易に相手の懐に入り込めてしまう側面を忘れてはならず,こうしたネットに潜む危険性から利用者を守るための対策が急務です。先日報道されていました,県警察が津山市立鶴山中学校で開催した「インターネットモラル教室」のような取り組みを,より広く展開していくことが必要と考えます。本県におけるSNSを通じて子供が被害者となるような犯罪の現状と課題,被害防止のための今後の対策について,警察本部長の御所見をお聞かせください。 また,サイバーパトロールで自殺願望などの不適切な書き込みを発見した場合,現在ではどのような対応がとられているのか。精神保健部門との連携を図り,適切な相談窓口に誘導していくような取り組みが必要ではないでしょうか。現状と課題,今後の対策について,警察本部長の御所見をお聞かせください。 さらに,警察庁の調査では,被害に遭った児童のうち,インターネット利用に関する学校での指導状況について,「指導を受けたことがない」,または「わからない,覚えていない」と回答した児童が約半数となっております。座間市の事件では,高校生の被害者が遠距離にもかかわらず容疑者と接触し,被害に遭っていることを踏まえて,スマホやインターネット利用に対する指導の今後の取り組みについて,教育長の御所見をお聞かせください。 一方で,SNSは,身近に相談相手がいない若者にとって,安心して本音を吐き出せる場所になっているのも事実です。ネット上に吐露されるSOSに応える対策をあらゆるレベルで強化・充実させることは,時代の要請ではないかと考えます。長野県では,公明党の提案により,ことし9月,LINEを活用したいじめ相談を中学・高校生を対象に試行した結果,2週間で1,500件超と,想定を上回るアクセスがあり,547件の相談に応じたそうであります。「死にたい」などと検索した人のパソコン画面に,相談を促す広告を掲載し,4年で600人以上の相談に応じたNPO法人もあるそうです。ネットを利用した相談には,人手や予算面での制約,支援者や団体の信頼性をいかに確保するかという問題はあると思いますが,国もSNSを活用したいじめ相談体制の構築に取り組むと聞いており,文部科学省は18年度予算の概算要求で約1億円を盛り込み,一部の学校や地域で試行する方針であります。インターネットで自殺願望やいじめなど深刻な悩みなどを発信する若者の受け皿として,本県においてもSNSを活用した相談窓口の整備や啓発活動などの取り組みを提案しますが,知事並びに教育長の御所見をお聞かせください。 また,被害者が一人で抱え込まずに支援機関や周囲の大人にSOSを発信できていればと悔しさも感じるところであります。本年7月に,政府が決定した新しい「自殺総合対策大綱」に新たに盛り込まれた適切にSOSを出すことについての指導,「SOSの出し方に関する教育」に積極的に取り組む必要を感じますが,本県における現状と課題,今後の取り組みについて,教育長の御所見をお聞かせください。 次は,観光振興について伺います。 日本版DMOの第一人者である大正大学の清水愼一教授は,観光の意義について,「観光による豊かな地域づくりを通して,地域を元気にすることにある」と述べられています。また,観光戦略の基本は,「観光地づくり」ではなく,観光地域づくりであり,全ての産業,地域全体を活性化する手段としての「観光」を提唱されており,目指すべき観光は,「観光施設周遊型」ではなく,「滞在交流型」であるとも言われております。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によりますと,今回の訪日で経験したことの中で,「ショッピング」は85.9%でありますが,次回したいことでは,42.6%にダウンしております。また,「四季の体感」は,今回5%であったのが次回27.6%,大きくアップしており,訪日外国人の志向はショッピングから体験にシフトする傾向が他の項目からも明らかであります。このような訪日外国人のニーズを取り込むため,これまでどのような取り組みをしてこられたのか。また,そのようなニーズを広域で取り込むために,2016年3月から,「せとうちDMO」に参加しているわけでありますが,これまでの取り組みと成果について,あわせて知事に伺います。 また,訪日外国人を岡山に呼び込むためには,航空ネットワークの充実が大切なことは言うまでもありません。新規国際LCC路線のみならず,成田空港への直行便についても検討できないのか,御所見をお聞かせください。 また,高松空港も広島空港も,民営化を検討しておりますが,高松空港の計画を見ますと,目標も高く,施設の改修も壮大で,かなり大がかりなものであります。岡山空港の民営化については,どのように考えておられるのか,あわせてお聞かせください。 次は,瀬戸大橋開通30周年記念事業について伺います。 来年4月は,瀬戸大橋開通30周年の佳節を迎えることになりますが,当初は瀬戸大橋の開通で倉敷児島地域の観光客の大幅増が期待されました。確かに,開通初年は約380万人と,児島は鷲羽山や由加山を中心に,観光客で大いににぎわいました。しかし,その後は,年々減少傾向が続き,昨年の児島地域の観光客数は,集計地点は異なるものの3分の1弱の120万人となっています。DCや記念イベントも開催されてきましたが,単発で終わっております。11月補正予算では,瀬戸大橋関連費として1,980万円余りを計上されていますが,今回の記念事業実行委員会事務局は,土木部監理課になっており,まさに橋の開通を祝うことが目的になっております。今後の観光客増にどうつなげていくのか,30周年記念事業を契機に本県の観光客の継続的な増加につながるような取り組みをすべきと考えますし,そのためにも,全庁一丸となって取り組むべきであると考えますが,知事の御所見をお聞かせください。 また,瀬戸大橋のライトアップ点灯日数の拡大については,これまでもたびたび国に要望してまいりました。環境省との交渉もあるわけですが,どのような見通しを持っておられますか,お尋ねいたします。 次は,今深刻になりつつある「人手不足」対策について伺います。 ことしの10月に,岡山県商工会議所連合会が発表したアンケート調査によれば,回答があった約400社のうち,全体の79.4%が人手不足であると回答し,その中で建設業が88.1%,製造業が84.4%,サービス業が79.7%,人手不足と回答しています。このことを裏づけるように,岡山県の10月の有効求人倍率は1.83倍を記録しています。その背景には,景気の改善を反映した側面もさることながら,働く世代の減少があると言われています。主な働き手となる15歳から64歳の人口は,全国でこの20年間に1,000万人近く減少したと言われていますが,少子化が今後さらに進行していくことを考えると,人手不足はますます深刻になります。企業の人手不足について,本県の現状をどう把握されていますか。そして,どのような対策を講じようとされていますか,知事にお尋ねいたします。 次は,私立高校の授業料無償化問題等について伺います。 全国の自治体で,私立高校の授業料の軽減や無償化の流れが強まる中,公明党がさきの衆議院選挙の公約に掲げていた私立高校の授業料の実質無償化が,19年度導入に向けて具体的な検討が始まっています。もっとも地方自治体における私立高校授業料の軽減・無償化の動きは,大阪府から始まり,今ではほとんどの都道府県が軽減措置を実施するなど,子供たちが教育の機会をより多くの選択肢から選ぶことができる環境が全国的に整いつつあることは,憲法の定める「教育を受ける権利」にも合致するものであり,まことに喜ばしいものと考えるところであります。ちなみに,東京都は,今年度から,年収760万円未満の世帯を対象に,私立高校授業料の実質無償化を実現しましたが,その結果,進学希望者が大幅にふえ,生徒数は昨年度に比べ8,448人増の5%アップしたというデータもあります。このように,私立高校授業料の実質無償化が国の制度として導入されることになれば,私立高校を希望する生徒は大幅にふえることは容易に想像することができ,本県としても私学の振興策をさらに進めていく必要があると考えますが,知事の考えをお聞かせください。 ところで,このたびの岡山県高等学校教育研究協議会の提言では,「社会情勢の変化等を踏まえた見直しの必要性」に言及しながらも,公私の生徒受け入れ比率70対30を,今後も,継続するとしています。子供の特性を最大限に尊重する立場に立てば,すぐれた建学の精神や個性に応じた授業等を展開している私学にも広く道を開くべきであると考えますし,授業料の差がなくなれば,確実に私学を希望する生徒がふえることは,他県の例からも明らかです。この公私比率70対30の見直しについても早急に検討すべきと考えます。他県の状況もあわせて教育長にお尋ねいたします。 次は,このたび発表された岡山県立学校施設の長寿命化計画等について伺います。 法定耐用年数を超過した建物が増加し,老朽化が進み,その対策が迫られる一方において,現在の厳しい財政状況を踏まえたとき,建てかえを行わずに施設を改修することによって長寿命化を図ろうとすることは,当然のことと考えます。 そこで,以下2点お尋ねします。 1点目は,現在建てかえ,あるいは改修が必要と思われる施設数と今後必要となる大まかな予算について,教育長にお尋ねします。 2点目は,特別な支援を必要とする児童生徒に配慮した施設整備についてですが,私はこれまで何度となく県立高等学校へのエレベーターの設置を訴えてまいりました。こうしたかいもあってか,平成23年度には岡山大安寺,同25年度には総社南,26年度には岡山操山の高等学校にそれぞれエレベーターが設置されたところであります。しかし,残念ながら,倉敷,津山圏域には,いまだエレベーター設置校が一校もないことから,昨年2月定例会では,「一日も早く設置すべし」と訴えたところ,教育長は,「学校施設の個別施設計画の中に今後のエレベーターの整備方針を記載する」と答弁されています。倉敷,津山圏域の高等学校は,今回の個別施設計画の中に入っているのか,具体的にどこの学校に設置されようとしているのか,整備方針について教育長にお尋ねいたします。 最後に,警察行政について警察本部長に伺います。 現在,全国各地で認知症と思われるドライバーによる高速道路の逆走や小学校の登校時の列に突っ込むなど,重大な事故が多発しており,このような事態に対応するために,臨時認知機能検査や臨時高齢者講習等,高齢者運転対策の推進を図るための規定が整備された改正道路交通法が本年3月から施行されております。しかしながら,この制度は,75歳以上の方を対象としているため,これだけでは認知症等の症状を有するドライバーの交通事故を全て防ぐことはできないのではないかと考えています。やはり,年齢にかかわらず,病気等により運転に不安を感じる方々,また,その家族の方からの運転適性相談を受理する体制等を充実させることが必要と考えますが,警察本部長の御所見を伺いたいと思います。 また,9月議会で,我が党の増川議員が運転免許センターの窓口に,保健師あるいは看護師等の医療系の専門職員を配置してはどうかとの質問に,警察本部長から,「本年7月から試行的に保健師を派遣しており,相談を受けている」との答弁をいただいておりますが,その後の状況について伺うとともに,事の重大さを考えると,先進各県の事例を参考に,我が県においてもきちんとした形で導入すべきと考えますが,警察本部長の御所見を伺います。 次に,津山市内で空き家や倉庫などを狙った放火と見られる連続不審火が,本年1月以降20件以上発生している事案について,警察や消防,消防団が警戒を強化してはいますが,犯人はいまだ逮捕されておりません。県警察におかれましては,地域と協力して,津山市民の皆様の不安を解消するために全力を挙げていただきたいと思います。これから年末年始に向かい,県民の皆様の体感治安の向上のためにも,各種犯罪防止に向けて警察本部長の御決意をお聞かせください。 以上で公明党県議団を代表しての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(伊藤文夫君)  答弁を求めます。 知事伊原木隆太君。   〔 知事 伊原木隆太君 登壇 〕 ◎知事(伊原木隆太君)  公明党の高橋議員の代表質問にお答えいたします。 まず,平成29年度行政評価等についての御質問であります。 評価等についてでありますが,全体の指標の達成状況を見ると,道半ばと考えておりますが,非行率が大幅に減少し,企業誘致や観光で多くの指標が目標を達成するなど,一定の成果を上げているところであります。来年度予算では,この好循環の流れをさらに大きく確かなものとするため,「教育県岡山の復活」や「産業の振興」,さらには人口減少問題の克服に向けた「おかやま創生」に取り組み,成果が実感できる県政を力強く推し進めたいと考えております。 次に,児童生徒の暴力行為についてでありますが,中学校では,組織的な生徒指導体制の強化や学校警察連絡室との連携等により,発生件数が6年前の半分以下になるなど,大きく改善しましたが,依然,小中高ともに全国平均と比べて発生率が高く,落ちついた学習環境づくりに一層取り組む必要があると存じます。このため,学校警察連絡室による効果的な活動事例の全県への普及を初め,道徳教育や体験活動,非行防止教室等の充実により,規範意識の向上等に取り組めるよう,県教委をしっかり支援してまいりたいと存じます。 次に,マネジメント方針等を踏まえた財政計画についての御質問でありますが,御指摘の費用は,一定の条件下での試算であり,今後,劣化状況を踏まえた長寿命化対策の計画的な実施により,できる限りトータルコストの縮減や平準化を図ることとしております。その上でも,多額の財政負担が毎年度見込まれることから,交付税措置のある有利な起債や長寿命化基金の活用などの財源対策を講じることで,財政運営への影響が最小限となるよう工夫してまいりたいと存じます。 次に,働き方改革についての御質問であります。 県の取り組みについてでありますが,9月に関係者による会議を開催し,県内中小企業6社から残業時間削減など,取り組み事例を紹介いただくとともに,意見交換を行ったところであります。今後,会議での意見も踏まえ,国とも連携し,企業の意識醸成や好事例の横展開を進めるとともに,生産性向上や労務改善に取り組む企業へのきめ細かな支援に努めるなど,しっかり取り組んでまいりたいと存じます。 次に,本県の非正規職員の実態等についてでありますが,一般的な事務補助職員の賃金は,1時間当たり約900円であり,他の職員についても,それぞれ業務内容に応じたものとなっていると考えております。また,お話の地方公務員法等の改正により,平成32年度に会計年度任用職員制度が導入されることから,制度の趣旨を踏まえた適切な運用となるよう,現在,準備を進めているところであります。 次に,テレワークについてでありますが,企業等に対しては,これまでも広報誌などにより,国の支援制度を紹介してきたところであり,今後とも,働き方改革推進会議において紹介された取り組み事例の横展開を図るなど,テレワークの普及啓発に努めてまいりたいと存じます。 なお,県庁においても,情報セキュリティー確保の必要性や労務管理などの課題を踏まえながら,引き続き検討を進めてまいりたいと存じます。 次に,児童虐待防止についての御質問であります。 市町村の対応力強化のうち,取り組み状況についてでありますが,児童虐待への対応力強化のため,今年度から,全ての市町村の要保護児童対策地域協議会に保健師等の専門職が配置され,関係機関との連携が一層円滑に図られるようになったところであります。スーパーバイザーの配置や子ども家庭総合支援拠点の整備については,現在のところ,取り組んでいる市町村はありませんが,今後の取り組みが進むよう,県としても適切に助言してまいりたいと存じます。 次に,県の支援についてでありますが,これまでも,要保護児童対策地域協議会に,児童相談所職員が参画するとともに,弁護士や精神科医などの専門家を派遣するなど,市町村の対応力強化を図ってきたところであります。さらに,今年度からは,新たな研修により,児童相談所及び市町村職員の専門性の向上を進めており,身近な地域で包括的・継続的な対応が行えるよう,広域的な連携調整も含め,市町村を積極的に支援してまいりたいと存じます。 次に,産後ケアのうち,市町村の取り組み状況についてでありますが,国が新たに創設した産婦健診事業を実施している市町村はありませんが,産科医療機関の空きベッドや助産所を利用し,心身のケアや育児のサポートなど,きめ細かい支援を行う産後ケア事業については,現在,11市町村が取り組んでいるところであります。 次に,「産後鬱」への対応についてでありますが,妊産婦の自殺や児童虐待を予防する観点から,産科と精神科の連携は重要であると考えております。このため,県では,今年度,産科医や精神科医,助産師等で構成する会議を開催し,産後の母子支援のあり方などの検討を進めているところであり,その議論を踏まえ,今後,市町村と連携し,「産後鬱」対策についても取り組みを強化してまいりたいと存じます。 次に,SNSを活用したいじめ対策等についての御質問であります。 相談窓口の整備等についてでありますが,青少年が相談しやすいメディアを活用することは,重要と考えておりますが,相談件数や相談時間,必要なマンパワー等の想定が難しいなどの課題もあり,県教委が一部の学校で試行しているいじめ等の相談・報告システムや国の研究事業などの検証を踏まえ,検討してまいりたいと存じます。 次に,観光振興についての御質問であります。 訪日外国人ニーズの取り込み等についてでありますが,フルーツ狩りやトレッキング,着物の着つけ体験などをPRするとともに,訪日客が体験型商品を民間サイトで予約決済できる仕組みづくりにも取り組んでおります。せとうちDMOにおいても,サイクリング,クルーズなどテーマを定め,訪日客向けの商品開発等を進めており,玉野市での宿泊型ヨットクルーズなどの成果があらわれているところであります。 次に,新規航空路線の検討等についてでありますが,お話の成田線の重要性はかねてより認識しており,国際路線も含め,次の新規就航先の一つとして,今後とも,可能性を探りたいと考えております。また,岡山空港の民営化についてでありますが,県と岡山空港ターミナル株式会社が協力し,空港の効率的な運営に努めているところであり,直ちに民営化することは考えておりませんが,空港の持続的な発展を図る上での選択肢の一つとして,今後も,先行導入事例の動向を注視しながら研究を進めてまいりたいと存じます。 次に,瀬戸大橋開通30周年事業についての御質問であります。 継続的な観光客増加への取り組みについてでありますが,観光担当部局においても,記念事業を契機として,夕映えの瀬戸内海を楽しむクルージングやバスの運行拡充,ライトアップに合わせた宿泊プランの充実など,観光事業者と連携した取り組みを推進することとしており,今後とも,児島地域の観光資源の情報発信に努め,観光誘客の拡大を図ってまいりたいと存じます。 次に,ライトアップ日数の拡大についてでありますが,香川県や本四高速株式会社と連携し,30周年の節目に合わせた拡大について,国と協議しているところであり,御理解いただけるものではないかと考えております。30周年以降については,このたびの協議も踏まえ,引き続き,国に対して一級の観光資源としての価値等をしっかりと説明し,その拡大に向けて働きかけてまいりたいと存じます。 次に,人手不足対策についての御質問でありますが,有効求人倍率は高水準で推移しており,県内企業の労働力確保は大変厳しい状況にあると認識しております。このため,県では,合同就職面接会やUターン就職相談会の実施,子育て中の女性を対象とした就職促進,誰もが働きやすい職場環境づくり,企業の生産性向上への支援などに取り組んでいるところであり,引き続き,こうした取り組みの充実を図りながら,人手不足対策を進めてまいりたいと存じます。 最後に,私立高校授業料の実質無償化についての御質問であります。 私学の振興策についてでありますが,これまでも,公教育の一翼を担う私立学校の重要性を踏まえ,教育条件の維持向上などに取り組んできたところであり,今後とも,お話の国の動向を注視しながら,私学助成の充実に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  教育長竹井千庫君。   〔 教育長 竹井千庫君 登壇 〕 ◎教育長(竹井千庫君)  公明党高橋議員の代表質問にお答えいたします。 まず,インターネット交流サイト等を通じた犯罪対策についてのうち,学校での指導についてでありますが,報道によると,このたびの事件は,現実社会での悩みや寂しさなどから,SNSへ投稿した内容に対し,悪意を持つ人物が接近したものと推測されます。このため,今後,SNSへの書き込みが犯罪被害の入り口になることなど,事例をもとに危険性が実感できる指導を行うとともに,教師がスクールカウンセラー等と連携し,生徒の発するサインを見逃さず,不安や悩みをしっかり受けとめる体制づくりを進めてまいります。 次に,SNSを活用したいじめ対策等についてのうち,相談窓口の整備等についてでありますが,県教委では,今年度途中から,匿名により気軽に相談・報告できるSNSを活用したシステムを県立学校2校で試行しているところであります。お話の長野県の取り組みでは,子供の悩みに初期の段階で対応できる一方,増加した相談件数に対応する人員の確保等が課題であると聞いております。今後の対応については,県立学校での実施状況を検証するとともに,国の動向や他県の状況を踏まえ,検討してまいりたいと存じます。 次に,SOSの出し方に関する教育についてでありますが,学校では,不安や悩み,ストレスへの対処法を学ぶ心の健康教育に努めておりますが,依然としてひとりで問題を抱え込む児童生徒も見られるところであります。お話の大綱に新たに盛り込まれたSOSの出し方に関する教育は,自殺予防に有効と考えられ,今後,教職員に対して大綱の趣旨を周知し,SOSの受けとめ方等の研修を行うとともに,児童生徒に助けを求める力を身につけさせる方法について,専門家の意見を聞きながら研究してまいりたいと存じます。 次に,私立高校授業料の実質無償化についてのうち,公私比率の見直しについてでありますが,高教研でも私立の割合をふやす意見がありましたが,毎年5月時点で公立の希望者が90%程度であることや,私立の受け入れ実績が30%に達しつつあることなどから,公私比率は70対30を継続することが適当であるとの結論に至っております。県教委としては,高教研の決定を尊重することとしておりますが,お話のような状況になれば見直しの検討も必要と考えております。また,他県の状況については,平成28年度,27都道府県で公私比率が設定されており,公立の比率が70%以上となっているのは20道府県であります。 次に,県立学校施設の長寿命化計画についてのうち,建てかえ等が必要な施設数等についてでありますが,県立学校は74施設あり,平成32年度までに建てかえや改修の実施計画となる個別施設計画を策定することとしております。現在,18施設は計画策定中であり,その他は調査中のため,建てかえや改修が必要な施設数や予算額はお示しできませんが,最近の実績では,学校施設の大規模な長寿命化改修には,1校当たり数億円を要しております。いずれにしましても,個別施設計画を策定する中で,しっかりと内容を精査してまいりたいと存じます。 最後に,エレベーターの整備方針についてでありますが,今年度,個別施設計画策定予定の施設の中には,倉敷,津山圏域の高校も含まれております。また,エレベーターの整備方針については,学校施設のうち,倉敷天城高校と津山高校は,改築時にエレベーターの設置スペースを設けており,県教委としては,今後,個別施設計画を策定する中で,このような施設のエレベーター整備を図りたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(伊藤文夫君)  警察本部長西郷正実君。   〔 警察本部長 西郷正実君 登壇 〕 ◎警察本部長(西郷正実君)  公明党高橋議員の代表質問にお答えいたします。 まず,インターネット交流サイトなどを通じた犯罪対策のうち,現状等についてでありますが,本年11月末現在,SNSに起因して犯罪の被害者となった18歳未満の子供の数は42人であり,全てが女性で,そのほとんどが性的被害であります。これらの被害者は,気軽にSNSの相手と連絡をとってしまったこと,全員フィルタリングの設定がなされていなかったこと,家庭におけるスマートフォンやインターネット利用のルールが不十分であったことなどが原因で被害に遭っており,多くの子供や保護者がいまだSNSの危険性を認識していないことが課題であると考えております。このため,県警察といたしましては,従来から,小中高校におきまして,「インターネットモラル教室」やインターネットの危険性について取り上げた「非行防止教室」を開催しており,本年はこれらを11月末現在で167回開催しております。また,保護者会などの場におきましても,被害の現状やフィルタリングの重要性などについて積極的な啓発活動を実施するとともに,県下全ての携帯電話事業者に対して,繰り返しフィルタリングの普及促進をお願いしているところであります。さらに,サイバーパトロール・モニターの体制を大幅に改め,本年11月から,新たに10人の大学生を委嘱したところであり,若者の視点も活用しながら,子供が被害者となるような犯罪の未然防止を徹底してまいります。 次に,不適切な書き込みへの対応などについてであります。 インターネットへの自殺願望などの書き込みについては,インターネット利用者やサイト管理者などからの通報に基づき認知し,プロバイダーなどに発信者情報を確認して,自殺防止の対応をとるなどしており,そのようなケースは県警察で毎年数件ありますが,サイバーパトロールにより認知したものはありません。これらの対応においても,県外者の書き込みの場合においても,当該県の警察と連携し,迅速な対応をとる必要があるなどの課題があります。県警察といたしましては,自殺願望などの書き込みについては,引き続き,関係部門などからの通報も積極的に受理するとともに,サイバーパトロールでこれらを認知した場合にも,発信者を特定し,自殺防止の対応をとるなど,適切に対応してまいります。 次に,警察行政についてのうち,認知症などの症状を有するドライバーの交通事故対策についてであります。 まず,相談体制などの充実についてでありますが,病気などに関する運転適性相談の件数は,本年11月末現在で,脳卒中で130件,認知症で40件など,合計650件に上っているところでありますが,高齢化の進展もあり,運転免許試験官や保健師のほか,運転適性相談に関する研修を受けた職員などの相談を受理する職員を順次増強しているところであります。今後,交通安全体験車「おかやまふれ愛号」による出張交通安全教育の会場においても,運転適性相談を受けるなど,相談機会の拡大を図るとともに,運転適性相談窓口についての広報を強化してまいります。 次に,保健師等の配置についてでありますが,現在も警察職員の健康管理を担当する保健師を運転免許センターへ継続して派遣しており,11月末までに認知機能の低下が疑われる方などから相談を263件受理しております。これらの相談におきましては,更新時の認知機能検査で第1分類となった方に対し,認知機能の低下を理解していただき,医師の診断を受けることや自主返納を決心させるなど,大きな効果が見られております。保健師等医療系専門職員を配置している都府県がふえていますことから,医療系専門職員の配置について前向きに検討しているところであります。 最後に,体感治安の向上に向けた決意についてであります。 本年11月末現在の刑法犯認知件数は,暫定値ではありますが,1万311件であり,昨年同時期と比べ11.9%の減少で,この状態で推移すれば,15年連続で減少となる見込みでありますが,内容的には自動車盗や侵入犯罪などは増加しており,決して安心できる状況ではありません。また,議員御指摘のとおり,津山市内では不審火が連続して発生しているところであり,これらの犯罪につきましては,引き続き,地元消防団などとも連携し,警戒活動を強化するとともに,解決に向けて鋭意捜査しているところであります。県警察では,年末年始に県民の皆様が安全に,また,安心して過ごしていただけるよう,12月1日から1月8日までの間を,犯罪や事故を防止する重点期間としております。本日,県,教育庁,公益社団法人岡山県防犯協会及び防犯・交通ボランティアなどと合同で,歳末パトロールを行いますが,各警察署におきましても,これを皮切りに,期間中は警戒態勢を強化し,金融機関やコンビニなどを対象とした強盗や周辺でのひったくり,一般住宅に対する侵入犯罪などの各種犯罪の未然防止のため,目に見える形で防犯ボランティア団体,関係機関などと連携したパトロールを強化してまいります。例年,年末・年始は大きな事件・事故が発生することが多いことから,警察本部と警察署の連携を一層強化し,すきのない警戒活動を行うとともに,事件発生時においては,迅速・的確な捜査を実施してまいります。 以上でございます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(伊藤文夫君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △休会の件 ○議長(伊藤文夫君)  お諮りいたします。明日から12月7日までの2日間休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔 「異議なし」と呼ぶ者あり 〕 ○議長(伊藤文夫君)  御異議なしと認めます。よって,2日間休会とすることに決定いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △12月8日の議事日程 ○議長(伊藤文夫君)  12月8日の議事日程は,        午前10時開議で,一般質問であります。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(伊藤文夫君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後1時57分散会〇 平成29年12月5日(火曜日)出席議員   1番 須増 伸子君     2番 鳥井 良輔君     3番 大塚  愛君   4番 高橋  徹君     5番 河野 慶治君     6番 渡辺 知典君   7番 福島 恭子君     8番 山本 雅彦君     9番 小林孝一郎君  10番 市村  仁君    11番 上田 勝義君    12番 小林 義明君  13番 中塚 周一君    14番 江本 公一君    15番 青野 高陽君  16番 太田 正孝君    17番 木口 京子君    18番 花房  尚君  19番 中川 雅子君    20番 氏平三穂子君    21番 森脇 久紀君  22番 荒島 俊造君    23番 三宅 和広君    24番 柳田  哲君  25番 池本 敏朗君    26番 渡辺 吉幸君    27番 小倉 弘行君  28番 加藤 浩久君    29番 遠藤 康洋君    31番 神宝 謙一君  32番 西岡 聖貴君    33番 波多 洋治君    34番 久徳 大輔君  35番 高橋 戒隆君    36番 蓮岡 靖之君    37番 高原 俊彦君  38番 住吉 良久君    39番 笹井 茂智君    40番 増川 英一君  41番 山田総一郎君    42番 高橋 英士君    43番 佐古 信五君  45番 井元乾一郎君    46番 伊藤 文夫君    47番 小田 圭一君  48番 渡辺 英気君    49番 内山  登君    50番 小野 泰弘君  53番 河本  勉君    54番 岡崎  豊君    55番 小田 春人君  56番 天野  学君    57番 千田 博通君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     内田二三雄         次長       矢吹  巧  議事課長     竹原 祐一         政務調査室長   渡邊 謙二  議事課長代理   下坂 泰幸         議事課長補佐   安井 誠一  議事課主幹    新井 祐二         議事課主任    平澤 郁男           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       伊原木隆太君        副知事      宮地 俊明君  副知事      佐藤 兼郎君        公営企業管理者  佐藤 一雄君  危機管理監    山本 哲也君        総合政策局長   村木 正司君  知事室長     房野 文彦君        総務部長     亀森 敏宏君  総務部次長    古南 篤子君        県民生活部長   松尾 茂樹君  環境文化部長   小川 敏朗君        保健福祉部長   荒木 裕人君  産業労働部長   横田 有次君        農林水産部長   上原  毅君  土木部長     田井中靖久君        出納局長     守本  堅君教育委員会  教育長      竹井 千庫君        教育次長     鍵本 芳明君公安委員会  委員長      服部恭一郎君        警察本部長    西郷 正実君  警務部長     小野寺 毅君人事委員会  委員長      森  義郎君        事務局長     水田 健一君監査委員  代表監査委員   山本 督憲君        事務局長     徳田 浩一君選挙管理委員会  委員長      藤原 健補君...