島根県議会 2023-09-03
令和5年9月定例会(第3日目) 本文
地元産業界からも、地域のインフラ整備に必要不可欠な建築、土木系の資格を持った人材が地域には必要といった意見が多く聞かれましたが、工業教育の学びに土木系の学びを加えることで、工業教育のさらなる充実、特色化を図るべきとの意見について所見を伺います。
近年の江津高校における卒業後の進路状況によれば、令和元年度から令和4年度まで、各年度で7名から9名島根県立大学への進学者があり、県立大学との連携による高校の魅力化、特色化に期待する声があります。また、江津工業高校では従来から就職希望者が多く、例年地元企業への就職を希望する生徒の割合が高いほか、一定の生徒がポリテクカレッジ島根へ進学しています。
こうしたことから、江津地域における普通科教育、工業教育において、これまで以上に島根県立大学やポリテクカレッジ島根との連携が必要と考えますが、所見を伺います。
統合に対して様々な意見がある中、2校を統合した新設校に期待をする声があったのも事実であり、新たな魅力により、県内で1番、さらには全国に誇れる高校にしてほしいとの意見がありますが、今後の検討に向けての考えを伺います。
県教育委員会においては、6月
定例会における今後の方針案の説明に当たり、江津地域の子どもたちの進路の
選択肢の確保と教育活動の充実を最優先に考え、検討するとされました。そして、これまでの学校関係者や地域説明会などにおいては、関係者がそれぞれの立場から、子どもたちの教育環境を守るために必要な意見が述べられてきたところです。
県教育委員会には地域の意見にしっかりと応えていただくとともに、今後も引き続き地域の意見を丁寧に聞いていただきたいと思いますが、年内をめどとされる方針決定に向けてどのように検討していくのか、教育長に伺います。
次に、しまね海洋館アクアスの魅力アップについて伺います。
7月25日、防災地域建設委員会の県内調査で、しまね海洋館アクアスを訪問し、集客力を高める取組、地域連携を図る取組について説明を受けるとともに、意見交換などの調査活動を行ったところです。
アクアスは2000年4月に、当時、中国、四国地方最大級の水族館としてオープンをしました。オープンした2000年の入館者数は約135万人、翌2001年には約60万人となり、その後シロイルカによるバブルリングパフォーマンスの開始や、大手携帯電話会社のCMの放送、ペンギン館のオープンなどを経て、2020年のコロナ禍では臨時休館などの影響もあり、約20万人まで落ち込んでしまいました。
コロナ禍においてもコロナ交付金を活用して、プロジェクションマッピングの導入や自動改札機の導入に取り組んでこられました。2022年11月には、開館23年目にして入館者1,000万人を達成し、節目を迎えたところです。
そのような中、6月8日に、1999年にロシアからやってきたシロイルカのケーリャが亡くなりました。アクアスのシンボル的存在としてこれまで活躍し、先述しました大手携帯電話会社のCMで親しまれ、幸せのバブルリング、しまね海洋館アクアス、そして島根県や石見地方を全国に発信をしてくれました。
アクアスでは23年8か月を過ごし、アーリャとの間にシーリャとミーリャが生まれています。これまでの活躍に対して感謝の気持ちでいっぱいです。寂しいことではありますが、推定年齢は25歳から27歳で、シロイルカの寿命は、公式なデータはありませんが、30歳から40歳とも言われており、少し早い死ではありますが、心から冥福をお祈りしたいと思います。
シロイルカは、北極海とその周辺の冷たい海域に生息しており、ケーリャもロシアからやってきました。しかしながら、昨今シロイルカを含む海洋哺乳類等の輸入をめぐる状況が厳しくなってきています。イルカの飼育やパフォーマンスに対し反対意見が増えてきており、飼育状況等に関し訴訟に発展するケースもあるとのことです。
アメリカでは1972年に海産哺乳類保護法により、野生から搬入した海産哺乳類の所持、輸出入が制限されており、保護以外の目的で野生個体の搬入は30年以上行われていないと言われています。カナダにおいては、連邦議会において国内の水族館でイルカや鯨類の保有を禁止する法案を可決し、救助やリハビリのための保有や科学調査などの場合を除き、野生のイルカを捕獲し、保有、繁殖、輸出入をすることを禁止をしています。
そして、ロシアでは、2018年11月に、ウラジオストクから東に120キロ離れたナホトカのスレドニャヤ湾で、主に中国への輸出計画をしていた動物業者が、シロイルカ87頭とシャチ11頭を捕獲し、海上生けすで飼育をしており、その管理方法について環境保護団体が指摘、SNS等を通じて世界に向けて現状を発信したことにより、州知事や大統領までがコメントを発する事態となりました。
そして、州政府が捕獲されている鯨類全てを解放する方針を示し、捕獲されていた約100頭の鯨類全てが野生に戻されました。その後、期間限定ではあるものの、2021年8月、ロシアから鯨、イルカの輸出を一時的に禁止する政令が発出され、海洋哺乳類を捕獲をすることを禁止する法案が下院に提出、修正後に通過したとの報道がありました。
このように、今後ロシアを含む海外からのシロイルカをはじめとした海洋哺乳類の輸入が極めて困難な状況となります。海外からの輸入が困難となれば、国内で現在飼育されているシロイルカによる繁殖しかシロイルカを増やしていく方法はありません。
アクアスではシロイルカの繁殖に成功した実績を持っていますが、近親交配を避け、繁殖を行うには、アクアスの努力だけでは限りがあります。シロイルカの海外からの搬入が厳しくなる中、館内でのシロイルカの繁殖、また国内のシロイルカ飼育施設とのブリーディングローン等による繁殖について、所見を伺います。
アクアスでは集客力を高める取組として、旅行エージェントへの営業活動や、10月から3月の閑散期対策、年間パスポート会員を増やす取組を行っています。また、10月21日には県やしまね縁結びはぴこ会などの主催で、アクアスを会場に、恋するアクアコンが予定をされていると伺っています。
2021年7月に館長に就任した湊直樹館長が県職員時代を含む、これまで培ってきた経験などを生かし、アクアスの職員一丸となって、魅力アップ、集客力アップに取り組んでいただいております。
現在アクアスでは、障がい者就労支援やJRとの連携、アクアスマルシェ・市町村の日など、単に集客力アップだけでなく、アクアスの強みを生かしながら、にぎわいの創出や雇用の創出につながる地域連携の取組を進めています。今後の展開について伺います。
アクアスは、学校支援施設、社会教育施設としての役割を有しています。水槽展示や、川や海の観察などを通じて、子どもたちへの深い学びの提供にも貢献をしています。コロナ禍においては、県内公立学校の修学旅行等での利用が増えました。今後はコロナ禍前の旅行先への回帰が予想されます。引き続き、県内の子どもたちに教育活動の中でアクアスを訪れてもらい、学校支援施設、社会教育施設としての役割を大いに発揮してもらいたいと考えます。
アクアスの所管は地域振興部となっておりますが、教育委員会の立場からも、アクアスを活用した学びについて積極的な取組を促すことが必要だと考えます。県教育委員会としては、しまね海洋館アクアスをどのように位置づけているのか伺います。
あわせて、県内公立学校の教育活動でのアクアスの積極的利用を求めますが、所見を教育長に伺います。
次に、3項目め、難病患者への支援と社会参加について伺います。
難病とは、一般的には治りにくい病気、治療法が確立されていない病気のことを言い、医学的に明確な線引きがあるわけではありませんが、世界中で確認されている難病は4,000とも5,000とも言われています。
昭和47年に厚生省が難病対策要綱にて、1、原因不明、治療方針未確定であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病、2、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の多い疾病と定義をされています。
長期の療養を必要とすることで、大きな経済的負担が強いられることから、国が難病の患者に対する医療等に関する法律を定め、基準に基づいて、医療費助成制度の対象としている難病は指定難病とされ、現在338疾病が指定をされています。
一方で、指定難病となっていない難病も多数あり、医療費助成等の対象から外れ、難病と闘っておられる方がたくさんいらっしゃるということを忘れてはいけません。
まず、難病患者への支援について伺います。
県では、難病相談事業等をヘルスサイエンスセンター島根に事業委託し、しまね難病相談支援センターで事業を行っています。県内における難病患者数の推移と傾向について伺います。
あわせて、しまね難病相談支援センターへの相談件数の推移と傾向はどのようになっているのか、お尋ねします。
難病と診断された場合、難病指定医から診断書が出され、保健所に対し医療費助成の申請書等を提出することで医療受給者証が発行され、指定医療機関での受診、治療が行われます。ただ、難病は治療方法が確立されておらず、手続も煩雑であることから、患者、また患者家族が混乱するケースが多いと認識をしています。特に、手続は医療機関、保健所、役所などの複数の機関での対応が必要で、大きな労力が必要と聞きます。難病と診断された場合の患者、患者家族への諸手続におけるサポート体制を充実すべきと考えますが、所見を伺います。
このように入り口の段階から大きな不安と負担が重くのしかかる難病に対して、行政や社会全体における理解と支援が必要と考えます。難病患者に対し、県はどのような支援を行っているのか伺います。
あわせて、支援の充実にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、難病患者の社会参加、就労支援について伺います。
治りにくい、また治療方法が確立されていないという難病の特性から、難病患者の就労には配慮と支援が必要です。治療を続けながら、十分に働ける患者が多い一方、症状が重く、日常生活に支障のある患者も多数おられます。
また、障害者手帳を取得できる患者と、そうでない患者がおられ、明らかに一般の就労では難しい状況であるにもかかわらず、障がい認定を受けられないという実態や、障がい者雇用枠での就労を諦め、生活保護を受ける患者、無理をして一般雇用で働き、体調を悪化させる患者もいるというふうに伺っています。
障害者の雇用の促進等に関する法律は、難病患者についても障がい者と同様の対応を企業に求めており、難病というだけで不採用とすることなどを禁止し、働きにくさを解消する合理的配慮の提供を義務化しています。
一般雇用における難病患者への配慮も義務づけられていますが、現在の難病患者に対する就労支援の仕組みでは対応し切れない部分があります。難病患者は、体調の変動等による就労困難と、職業
選択の制約を伴う場合がある中で、現在の就労支援等の枠組みでは対応し切れないところの支援が重要です。
そこで、難病患者の就労支援に対する県内の状況と課題について伺います。
難病の治療と両立しながら、充実した職業生活や社会参加ができる社会づくりのため、難病のある方の多様な就労困難性と就労支援ニーズの特徴を行政や支援機関等が理解し、ニーズに合った支援の在り方を検討し、県内各事業所等における難病に対する理解の促進、就労環境を整備していく必要があると考えます。県内事業所等における難病患者の就労に対する理解の促進、就労環境の整備の推進について所見をお尋ねします。
県は、障害者の雇用の促進等に関する法律の規定に基づき、一定数以上の障がい者雇用に取り組んでおられます。障害者手帳を有する難病患者については、障がい者雇用の中に含まれ、障害者手帳を有しない難病患者については、一般の採用枠での採用となります。
民間においては、障害者の雇用の促進等に関する法律の障がい者雇用率の算定に難病患者が含まれないということもあり、難病患者の方の就労が思うように進まないのではないかと受け止めています。そのためにも、障がい者雇用率の算定に難病患者が対象となるよう、国に働きかけていく必要があると考えますし、県としても率先して、障害者手帳のない方も含めた難病患者を積極的に雇用していくことが必要だと考えます。
また、採用後の就労についても、通院などの難病特有の問題により、働き続けることが困難な状況をなくし、職場の理解と支援により、安心して働き続けるための配慮が必要であり、県がその姿勢を示すことによって、市町村や民間に対しても、難病患者の採用や雇用について促していけるのではないかと考えます。難病のある県職員への配慮はどのようになっているのか、総務部長にお尋ねをいたします。
次に、警察官の確保とワーク・ライフ・バランスについて伺います。
まず、警察官の確保についてです。
第一生命が実施している、大人になったらなりたいものランキング2023年の調査で、小学校男子では、1位が会社員、これもちょっとあまり夢がないなと思ったりもするんですけども、2位がユーチューバー、動画編集者、3位がサッカー選手で、4位が警察官であります。いろんな機関がこういった調査をしておりまして、ほかのものも見ても、順位によって多少変動があるんですけれども、小学校の男子のランキングでは警察官が入ってくるんですけども、中学校、高校の男子、女子はそもそもトップ10に警察官が入らない状況であります。
ちなみに、私は小学校2年生の子どもがいるんですけども、保育園のときは何になりたいかと、ケーブルテレビが息子にインタビューしたときに、警察官になりたいと言っておりました。昨日夜改めて電話で、将来何になりたいのかと聞いたところ、大工になりたいということで、ちょっとその振り幅に動揺もしているんですけども、小学生ですので、いろいろ変遷をしていくというのは、これは当たり前のこと、普通のことなのかなと思っております。ですけど、小学校のときに男の子が警察官になりたいと思っていたのが、成長するにつれてだんだん少なくなっていくというのは、大変残念なことかなというふうに思います。
話を警察官の確保に戻したいと思いますが、島根県の警察官採用試験における応募者数は、平成25年度の521人に対し、令和4年度は254人と10年間で半減しており、島根県の警察官を目指す人が少なくなっています。
また、1次試験受験者数は平成30年度が289人に対し令和4年度が188人と、応募はしたものの、他の都道府県の警察本部や他職種を受験し、結果的に島根県の警察官採用1次試験を受験しなかった応募者が毎年多数存在をしている状況です。
県民の安心・安全と治安の維持を図る上で不安が残る状況と受け止めますが、この要因についてどのように分析をしているのか伺います。
あわせて、分析に基づき、どのような募集活動に取り組んでいるのか、警察本部長に伺います。
県警察においては、令和2年に策定した島根県特定事業主行動計画で、全警察官に占める女性の割合を令和6年度末までに10%とする数値目標を掲げていますが、県警察管の採用試験における女性の応募者数は、平成30年度が110名、令和4年度が58名、1次試験受験者数は、平成30年度が62名、令和4年度が47名となり、過去5年の女性の合格者数の平均は17名となっています。
ストーカーやDV、性犯罪の捜査や被害者支援の観点からも女性警察官の必要性は高く、各警察署にも一定数の女性警察官が配置されることが望ましいと考えます。
加えて、女性警察官の活躍に関して言えば、全国的に女性の県警本部長が誕生したというようなニュースを時折耳にすることもありますが、本県の警察においては、女性警察署長誕生の道のりはまだまだ遠いのかなというふうに受け止めています。やはり、県警察において女性の幹部職員がなかなか誕生しないということは、女性が昇進していく上での様々なハードルがあるのではないでしょうか。そのハードルを取り除き、女性でも男性と同じように昇進ができ、情熱とやりがいを持って、県民の安全・安心と治安の維持のために働くことができる環境を早期に整備する必要があると考えます。
そこで、女性警察官の増員確保について、現状に対する分析、認識及び今後の目標について伺います。
あわせて、女性警察官の幹部への登用状況について伺います。
次に、警察官のワーク・ライフ・バランスの推進について伺います。
昨日の代表質問で、金崎公安委員長が所信を述べておられましたが、職員が大切にされる職場づくりが公安委員長の目指す県警察の柱の一つとして位置づけられておりました。ぜひその前進に全力を傾注していただきたいと思います。
女性警察官の割合を増やしていく取組等により、女性警察官を増やしても結婚や妊娠、出産を機に離職を
選択される方もおられます。育児、家事を女性だけが行うものとは思っておりませんが、まだまだ女性に負担が偏りがちであることと、広い県内、定期的な転勤を伴う職種であることが影響しているのではないかと考えます。
ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組み、育児などについても夫婦で助け合って取り組むことで、女性警察官の離職を食い止めることも必要な対策だと考えます。
そこで、女性警察官の幹部登用を拡大するためには、働き盛りの時期に出産や育児期を迎えた女性警察官が昇任意欲を失うことなく、仕事と家庭を両立できる職場環境の整備が必要であると考えますが、県警察における警察官のワーク・ライフ・バランスの推進と、働きやすい職場づくりについて、これまでの取組状況と今後の取組について伺います。
最後に、子育て世代の経済的負担の軽減について伺います。
昨日の代表質問でも関連する質問が行われていましたが、次元の異なる少子化対策の実現のため、令和5年6月にこども未来戦略方針が策定をされました。少子化が我が国が直面する最大の危機として、若者人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、少子化を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であり、我が国の持てる力を総動員し、少子化対策に取り組む方針を示しています。
若い世代の所得を増やす、社会全体の構造、意識を変える、全ての子ども・子育て世帯を切れ目なく支援する、この3点を基本理念に掲げ、経済成長の実現と少子化対策の強化を車の両輪とし、岸田総理も児童手当の大幅拡充、高校教育費の負担軽減、出産費用の保険適用など、長年指摘されながらこれまで実現できなかった、経済的な支援策の拡充を思い切って実現するとの考えを表明をしています。
県では令和3年度から県内全域で、小学校6年生までの子ども医療費助成が開始され、令和4年度からは県内全域で中学生に何らかの医療費助成が始まりました。
市町村が県の補助制度以上の積極的な取組を行うことにより、着実に環境整備が進んでいますが、国における議論、検討がどのように進んでいくか、依然不透明な部分もある上、物価高騰やエネルギー価格の高騰が家計を直撃する中、子育て世代においては、家計に占める子育てに関する支出が大きいことから、影響も多いものと思われます。子育て世代の経済的負担を軽減する施策は、多額の財源を必要とすると思いますが、少子化対策を少しでも前に進めるためには、充実が必要ではないかと考えます。
そこで、子育て世代の経済的な負担を軽減する施策として、例えば子ども医療費の助成の拡充、保育料の軽減、給食費負担の支援などが考えられますが、それぞれどの程度の額が必要になるのか、所要見込額と、それを踏まえた知事の考えを伺いまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
3:
◯議長(
園山繁) 丸山知事。
〔丸山知事登壇〕
4:
◯知事(
丸山達也) 坪内
議員の御質問にお答えいたします。
最初の御質問は、県立高校の在り方を考えるに当たって、この望ましい教育環境をいかに考えるかということについてであります。
高校教育におきましては、6月の施政方針で申し上げましたとおり、子どもたちの
選択肢を確保した上で、充実した教育を提供し、卒業後の進路につなげていくことが重要であるというふうに考えております。
このため、県立高校は県内各地に設置することが望ましいわけでありますけれども、近年の少子化、過疎化の進行によりまして、学校の小規模化が避けられない状況にございます。一定の学校規模が確保できれば、教員配置の充実によりまして、常勤の教員による手厚い指導や、子どもさんの学びたい科目が開設できるなど、学習の充実や
選択肢の広がりにつながり、進路志望の実現可能性が高まってまいります。
また、充実した学校行事や部活動などによりまして、互いに切磋琢磨する機会が増え、社会性、自主性などを身につけることにもつながります。
現在は、中山間地域、離島におきましては、学校の規模を一定水準で確保するということよりも、地元の中学校を卒業した生徒さんが、この地元自宅から通える学校がないということが生じないようにということのほうを優先いたしまして、1年1学級、あるいは1年2学級であっても、高校を維持をしているところでございます。
一方で、市のエリアにおきましては、市内に複数の学校がある、あるいは他の地域の高校への通学が可能であるという状況もございますので、中山間地域、離島と同じような対応が子どもさん方にとって最適であるのかどうかということについて、検討の余地があるというふうに思っております。
この点につきまして、教育委員会において地元の皆様、関係の皆様の御意見を幅広く聞いてもらって、検討をしてもらいたいというふうに考えているところでございます。
次に、子育て世代の経済的負担を軽減する施策として、子ども医療費の助成の拡充、保育料の軽減、給食費の負担といった3点につきまして、それぞれの所要額見込みと、それを踏まえた私の認識、考えについてお答えいたします。
子育て世代の経済的負担を軽減する施策につきましては、現在しまね結婚・子育て市町村交付金や、その他の補助金、市町村の独自財源によりまして、県と市町村が連携をして取組を進めているところでございます。
所要額の見込みにつきましては、こういった財源をどういう割合で県と市町村が負担するかといったこと、これは未定でございますので、その点は考慮せず、公的負担全体としての総額として、この試算額をお答えをいたします。
まず、子ども医療費につきましては、現在は市町村まで県が一定支援をしておりますので、県が支援をしていない中学生及び高校生の医療費助成の額を試算いたしますと、既に市町村単費で負担されて実施しているものも含めまして、総額で約7億4,000万円と見込んでおります。
次に、保育料につきましては、こちらは各市町村ごとに様々な軽減策が実施されておりますので、県内全てで第1子から第3子以降までの保育料が無償化される場合に、追加で必要となる額を試算いたしますと、約16億1,000万円を見込んでおります。
最後に、給食費につきましては、県内全ての小中学生の給食費が無償化される場合の額を試算いたしますと、これも既に市町村が単独で一部負担等をされているもの、無償化をされているものを含めた金額といたしまして、約28億3,000万円というふうに見込んでおるところでございます。
これらの額につきましては、先ほど申し上げましたとおり、県と市町村がどういう割合で負担するかということは考慮せず、県市合わせての公費負担全体としての試算をさせていただいたところでございます。
また、県が仮に支援するとした場合には、既に市町村が市町村単費で実施されている経費については、支援をしないというわけにはいきませんので、全体を公平に一定の割合で支援をしていくということが必要になるというふうに考えているところでございます。
これらの施策につきましては、今申し上げました数字のとおり多額の財源を要しますので、これら全てに一度に対応するということは難しい状況にございます。したがいまして、県議会の皆様の御意見を伺いながら、市町村と共に優先順位を含めて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
私からの御答弁は以上でございます。
5:
◯議長(
園山繁) 籏野総務部長。
〔籏野総務部長登壇〕
6:
◯総務部長(籏野敏行) 難病のある県職員への配慮についてお答えいたします。
職員の中には、難病のある方も一定数おられると承知しております。職員の採用に当たりましては、個別のヒアリングを実施しておりますし、採用後も自己申告や所属でのヒアリングなど、疾病に限らず、様々な個別事情を申し出ていただける機会を設けております。このような機会を通じまして、本人からの申告があり、難病があることが把握できれば、必要な配慮を検討してまいります。
疾病の種別や程度などは一人一人異なりますので、プライバシーに留意しながら、それぞれの状況に応じた配慮をしていくことが必要であると考えております。実際には、例えば通院中の医療機関があれば、通いやすい勤務地へ配置するといったことや、担当事務を見直して、体への負担を軽減したり、休暇を取りやすくしたりするといった配慮を行っております。
今後も、難病のある職員も含めまして、必要な配慮をきめ細かく行うことで、安心して働き続けることができる職場づくりに努めてまいりたいと考えております。
7:
◯議長(
園山繁) 藤井地域振興部長。
〔藤井地域振興部長登壇〕
8:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 初めに、シロイルカの繁殖についてお答えします。
国内のシロイルカは、現在アクアスを含む4施設で、雄8頭、雌13頭の合計21頭が飼育されています。昨今の国際情勢から、今後海外からの新たな搬入は難しい状況にあると考えられます。
飼育施設同士で動物を相互に貸出しあるいは借入れする契約、いわゆるブリーディングローンについて、アクアスではペンギン、カリフォルニアアシカ等の事例があり、このうちペンギンは繁殖に成功しております。シロイルカについては、他の飼育施設でブリーディングローンの事例はありますが、繁殖の実績はまだありません。
こうした中で、まずは今後も継続してアクアス内での繁殖に取り組んでいくとともに、一方で有効な方法の一つとして、ブリーディングローンも視野に入れながら、国内の他の飼育施設との関係をこれまで以上に強化していく必要があると考えております。
次に、にぎわいの創出や雇用の創出につながる地域連携の取組の今後の展開についてであります。
アクアスは県西部における大規模集客施設として、その強みを生かし、これまでも地元の関係団体等と連携し、にぎわいの創出や飲食店の出店による地元食材の販路拡大など、地域の活力につながるよう取り組んでまいりました。
最近の具体的な取組としては、アクアスマルシェ・市町村の日で、7月に川本町を第1弾として開催し、アユのつかみ取り体験など、多くの親子連れなどでにぎわい、町の魅力をPRしました。
明後日も川本町、美郷町、邑南町の3町によるアクアスマルシェ・邑智郡の日が予定されております。また、地元自治体と連携し、シニア世代を対象とした健康増進のためのコンテンツを開発中で、管内にウオーキングコースを設定し、高齢者が楽しみながら館内歩きを実施する企画を検討しているところです。
県としましては、アクアスを拠点として地域の活性化につながる取組が進むよう、市町村や関係団体に促してまいります。
9:
◯議長(
園山繁) 安食健康福祉部長。
〔安食健康福祉部長登壇〕
10:
◯健康福祉部長(
安食治外) 初めに、難病患者数の推移と傾向及びしまね難病相談支援センターへの相談件数の推移と傾向についてであります。
難病患者数につきましては、県で把握しております、難病と診断され、医療費助成の対象となっている患者数でお答えします。
県内の患者数は、国の衛生行政報告例によりますと、令和3年度末時点で6,441人となっており、平成29年度からの4年間で626人、11%増加しており、この患者数の増加の主な原因は、高齢化によるものと考えております。
次に、傾向としまして、まず令和3年度の年代別の構成割合は、60歳以上の割合が全体の65%を占めております。
令和3年度の患者数を、疾患別で患者数の多い順に見ますと、パーキンソン病が1,020人で全体の16%、潰瘍性大腸炎が766人で12%、全身性エリテマトーデスが306人で5%であり、これら3つの疾患で全体の約3割を占め、全国と同様の傾向となっております。
次に、しまね難病相談支援センターの相談件数につきましては、直近の令和4年度は2,492件となっており、平成29年度からの5年間で502件、25%増加しております。相談内容は、患者会の運営に関するものが21%、病気や病状に関するものが16%、就労に関するものが12%となっております。相談の手段としましては、電話によるものが約7割となっております。
次に、難病と診断された場合の患者、家族への諸手続におけるサポート体制についてであります。
難病と診断された際の医療費助成の手続に当たっては、診断後に病院、市町村役場、保健所などの複数の窓口を訪れる必要があり、また手続も複雑であることから、患者さんやその御家族には御負担をおかけしているところでございます。
患者さんや御家族から手続の内容や、その方法について保健所などに御相談いただくこともありますが、病院で難病と診断された段階から申請に至るまでの諸手続を、患者さんや御家族に丁寧に御説明をした上で、手続がスムーズに行われるようサポートすることが重要であると考えております。
このため、県としましては、今後病院の御協力もいただきながら、病院において診断後に必要な手続を、県が作成しましたパンフレットなどを活用し、説明していただくことを依頼するなど、患者さん、御家族の御負担が軽減されるようなサポートに努めてまいります。
次に、難病患者さんに対する県の支援内容と支援の充実に向けた取組についてであります。
県では、医療費助成のほか、難病相談支援センターと共に、疾病ごとの患者家族会の支援や就労相談などの各種相談を行っておりますほか、難病の中でもALSなど重症神経難病の患者さんに対しては、保健所が患者さんの生活や医学的管理のサポートなどの支援を行っております。
患者・家族会の支援におきましては、会の運営を行う新たな担い手が不足をしておりますため、具体的に会の活動を理解していただけるよう、疾病別に難病サロンを開催して、新規会員を増やす取組を始めております。
各種の相談のうち、就労相談は保健所での対応が難しいため、これまで県西部に対面で相談できる拠点がなかったことから、今年度は浜田市と益田市において出張相談会を行うなど、就労相談を受けることができる体制整備を行ったところです。
ALSなど重症神経難病患者さんの支援においては、診断早期から多くの医療、介護や福祉の関係機関が連携した支援が必要になりますことから、昨年度改定しました在宅療養支援のための手引を関係機関で積極的に活用していくこととしております。
今後も患者さんや御家族の声にも耳を傾け、市町村を含めた関係機関と連携しながら支援の充実に努めてまいります。
次に、難病患者さんの就労支援に対する県内の状況と課題についてであります。
先ほども御説明しましたように、難病相談支援センターでは、就労に関する相談も行っております。相談内容としましては、就労中に難病と診断された後に働き続けるための体調管理など、療養に関することや、難病に対する職場の理解に関すること、新たな就労先を見つける際の労働環境に関すること、就職活動で利用できる制度など就労に関することなどがあります。
相談を受けた後の支援としては、療養に関する支援については保健所や医療機関が、就労に関する支援についてはハローワークなどがそれぞれ支援を行っております。ハローワークでは、就職を希望される患者さんへの症状の特性を踏まえた事業者への働きかけなど、きめ細やかな就労支援を行ったり、在職中に難病を発症した方の雇用の継続についての助言など、事業所への総合的な就労支援を行っておられます。
また、県においても、県内7か所に設置をしております障がい者就業・生活支援センターで、患者さんや御家族の支援に加え、事業所からの相談に応じて患者さんに仕事への適性や適応を事前に確認する体験をしてもらったり、雇用後の職場への定着支援などを行っているところです。
就労支援を通じて把握した課題といたしましては、
議員からも御指摘がありましたように、患者さんが治療と仕事を両立させる上で、例えば仕事に従事する際に、患者さんが抱えておられる外からは分かりづらい症状に対して、職場の理解をどう得るのかという課題や、症状に応じたトイレ、手すりなどのバリアフリー化や、仕事をサポートする体制があるかなど、職場環境をどう整備していくのかという課題がございます。
最後に、事業所における難病患者さんの就労に対する理解の促進と、環境整備の推進についてであります。
難病患者さんの就労に当たっては、難病の多様な特性を事業所に理解していただくことが必要であると考えております。難病について事業所の理解を深めてもらうため、難病相談支援センターでは、患者さんの就労に特化したパンフレットを配布し、就労支援の相談窓口の紹介や、難病患者さんのトライアル雇用制度、継続雇用した場合の助成金などの制度の周知を行っております。
また、難病患者さんの就労に当たっては、症状や体調を考慮し、ニーズに合った就労環境の整備が必要であると考えております。県では、職場内のバリアフリー化やテレワークの導入整備といった職場環境の整備を行う事業所に対し、助成金による支援を行い、働きやすい職場づくりを進めております。さらに、患者さんが安心して働き続けることができるよう、国の助成金を活用して、職場支援員の配置を事業所に働きかけております。
今後も難病患者さんの御意見にも耳を傾けながら、難病特有の課題の把握に努め、ハローワークなど関係機関と連携して、事業所の就労に対する理解の促進と環境整備の推進に取り組み、難病患者さんの就労につなげてまいります。
11:
◯議長(
園山繁) 野津教育長。
〔野津教育長登壇〕
12:
◯教育長(
野津建二) 初めに、江津地域の高校の在り方に関する基本的な方針案で想定している普通科系の学級数についてお答えします。
基本的な方針案においては、普通科系の学びを江津高校の卒業生の進路
選択の傾向を考慮し、文系進学と資格職を目指す進学の2コース、各20人の1学級40人としております。
議員御指摘のとおり、これまでの説明会、審議会でも中学校卒業後に普通科系進学者が多いことや、理系の学びが必要であることなど、普通科系を増やすべきとの御意見や御要望をいただいているところであります。
確かに、近年推進してきた理数教育の成果もあってか、今年3月の卒業生は前年までの傾向と比べると、理工系への進学者が少し増えている状況にあります。基本的な方針案の想定にこだわることなく、理工系への進学状況等も踏まえ、普通科系のコース設定や人数について、審議会の御意見なども伺ってまいります。
次に、工業教育に土木系の学びを加えることについてであります。
地元の商工会議所、商工会からは、建築、土木の資格を持った人材を地元産業界は必要としているという御意見を伺っています。
先ほども答弁いたしましたが、基本的な方針案にこだわることなく、工業科のさらなる充実、特色化のために、地域のニーズ、子どもたちのニーズを踏まえ、いただいた御意見について検討してまいります。
次に、県立大学やポリテクカレッジ島根との連携についてであります。
江津高校から県立大学へ進学する生徒、江津工業高校からポリテクカレッジ島根に進学する生徒は一定数おり、また両校が高校の近くにあることから、連携した学びが展開されることは、高校にとっても大きな魅力となります。そういった点からも、両校との連携を一層深めることはとても重要なことであります。
これまでも県立大学と江津高校とは連携協定やコンソーシアムを通じて、地域で行うイベントの運営や清掃ボランティアなど地域活動等に共に取り組んできており、特に浜田キャンパスの地域政策学部や国際関係学部との連携を深めることが期待でき、加えて出雲キャンパスの看護栄養学部、松江キャンパスの人間文化学部との連携についても進めていきたいと考えております。今後、県立大学、ポリテクカレッジ島根ともよく相談し、できる限りの連携が取れるよう努めてまいります。
次に、新設校への期待、今後の検討の方向性についてであります。
仮に両校が統合され、新設校が設置されることになった場合、江津地域のみならず、多くの子どもたちが進学したいという希望を持つような魅力的な学校としなければなりません。新設校の魅力としては、県内初の普通科系と工業科が併設された高校であるという点があります。
例えば、普通科系の探究活動に工業科の知識、技術が加わり、より深みのある活動ができるようになる、工業科のものづくりに普通科系の探究活動で得た視点やアイデアが加わり、新たな製品づくりに生かされる、普通科系の生徒が工業科の授業を
選択できたり、資格を取得したりできる、進学を希望している工業科の生徒が普通科系の生徒と共に進路指導を受けることができるなどのメリットが想定されます。加えて、先ほど申し上げた県立大学、ポリテクカレッジ島根との連携も大きな魅力になると考えます。
これらにより、仮に統合した場合、統合してよかったと言われるような学校を目指します。また、仮に統合しないという結論になったとしても、それぞれの学校が伝統を引き継ぎ、一層魅力ある学校となるよう取り組んでまいります。
次に、今後どのように検討していくかについてであります。
これまで説明会等でいただいた意見は、都度都度対応案や考えを整理した資料を作成し、次の説明会等で配布することで議論の重複を避けたり、より深い議論ができるようしてまいりました。現在は、有識者で構成される総合教育審議会で地域の関係者に対する意見聴取を行うなど、議論していただいているところであります。
今後は、これまでいただいてきた学校関係者や地域住民、地元産業界からの意見、総合教育審議会での議論を踏まえ、議会の御意見も伺いながら、基本的な方針案にこだわることなく検討し、必要であれば修正した上で、パブリックコメントなど何らかの形で広く意見をいただく機会を持ちたいと考えております。
次に、しまね海洋館アクアスをどのように位置づけているのか、また県内公立学校の教育活動でのアクアスの積極的な利用を求めることについてであります。
博物館相当施設として指定されている社会教育施設であるしまね海洋館アクアスは、児童生徒にとって貴重な学習の場であり、教科書や映像だけでは得られないリアルな体験を通じて、海洋環境や生態系等について理解を深めることができる重要な施設であります。
アクアスの積極的な利用については、県の教育委員会が学校に対して、特定の施設のみの利用をあっせんすることはできませんが、学校は理科や社会、遠足や職場体験など様々な教育活動で活用しております。
最近では、益田養護学校や江津清和養護学校、松江緑が丘養護学校で、遠隔操作が可能なロボットを利用してリモート校外学習を行い、アクアス職員から観察のポイント等を教わりながら、教室からロボットを自分で操作し疑似体験するなど、新しい施設利用の取組もありました。
このように、学校のニーズにアクアスが対応していただいておりますので、従来の利用の形にとらわれず、アクアスが貴重な学びの場として効果的に利用されるように工夫してまいります。
13:
◯議長(
園山繁) 中井警察本部長。
〔中井警察本部長登壇〕
14:
◯警察本部長(
中井淳一) 初めに、警察官採用試験における応募者減少の要因分析と、採用募集活動の取組についてお答えします。
警察官採用試験における応募者の減少は、若年人口の減少、民間企業の人手不足、他の職種の公務員との競合といった新卒採用市場の競争激化に加えて、仕事がきつい、厳しいといった警察官の職場環境に対するネガティブなイメージがあることも要因の一つと考えています。
こうした状況を踏まえ、現在県警察では、警察官という仕事の魅力ややりがい、さらには実際の職場環境についてより知ってもらい、興味を持ってもらうことが重要と考え、そのための情報発信に力を入れています。
具体的には、ユーチューブやSNSによる情報発信のほか、高校、大学、専門学校等における業務説明会、オンラインでの業務説明会の開催、合同企業説明会への参加も行い、業務内容や先輩警察官の体験談等について紹介しています。
また、実際に警察官と触れ合い、仕事を体験してもらうことが、より深く知ってもらうために効果的との考えから、警察学校や警察署において、高校生や大学生等を対象に職業体験、施設見学、職員との意見交換を一体的に行う、いわゆるオープンポリスを開催しています。
本年8月、警察学校で開催したオープンポリスでは、76名の学生や社会人の参加をいただき、参加者からは、島根県の警察官に憧れを感じた、警察の仕事がとても身近なものに感じたなどといった声が寄せられたところです。
さらに、将来の警察官志望者を増やすため、小中学校の子どもたちを対象に、体験型のイベントを各地で開催しています。そのほか、採用試験についても、時期や内容も含め、より多くの方に受験してもらえる柔軟な実施手法について検討しているところです。
今後とも様々なメディアを通じた情報発信、オープンポリス等の積極的な開催、より柔軟な採用方法の検討など、優秀な人材の確保に向けた取組を推進してまいります。
次に、女性警察官の増員確保に関する現状の分析と認識、今後の目標についてお答えします。
県警察では近年、女性警察官の採用に積極的に取り組んでおり、過去5年間の新規採用者数に占める女性警察官の割合は約24%となっております。その結果、令和5年4月1日現在、県警察の女性警察官の総数は158人と、10年前の約2倍となっており、全警察官に占める割合は10.5%と、全国における割合、11.4%と大差ない水準となっています。
警察の業務には、女性が被害者となる性犯罪や、配偶者からの暴力事件における捜査や被害者支援など、女性警察官による対応がより適切な業務が多くあるため、現在県内全ての警察署に女性警察官を配置しており、今後もさらなる充実が必要であると考えています。
女性警察官増員の目標については、島根県特定事業主行動計画の目標は既に達成しており、現在は令和8年4月1日までに警察官に占める女性の割合を12%とする目標を掲げています。今後も引き続き優秀な女性警察官の確保に取り組んでまいります。
最後に、女性警察官の幹部登用状況と、その拡大に向けたワーク・ライフ・バランスの推進、働きやすい職場づくりについてお答えします。
女性警察官の幹部への登用状況については、現在7名の女性警察官が警部以上の幹部となっています。警察の場合、階級制であり、昇任するためには試験に合格する必要があることや、先ほど申し上げたとおり、近年大幅に女性警察官の採用を拡大しており、まだ勤務年数の浅い女性警察官が多いことから、このような状況になっていると認識しています。
今後、より多くの女性警察官を幹部に登用していくためには、
議員御指摘のとおり、仕事と家庭を両立できるワーク・ライフ・バランスの取れた、働きやすい職場環境の整備が極めて重要であると認識しています。
このため、年次有給休暇や特別休暇の取得促進、時間外勤務の縮減に引き続き取り組むほか、男性職員の育児休業等の取得促進に特に力を入れております。今年度からは、子どもが生まれた男性職員は妻の出産休暇及び育児参加休暇を5日以上、産後パパ育休を2週間以上、原則取得することとしております。その結果、男性職員の育児休業取得率は、令和4年度の27.3%から令和5年度は、7月末現在ですが、67.6%と大きく上昇しているところです。
また、女性職員の意見を踏まえた環境整備にも積極的に取り組んでおり、全ての警察署における女性専用仮眠室の整備などハード面の充実のほか、マタニティー制服の導入、育児休業取得予定者に対する研修や、育児休業中の職員に対する情報提供による職場復帰への支援なども行っています。
今後も女性職員の声を積極的に吸い上げるとともに、他機関の取組も参考にしながら、女性警察官が長く働き続けることができ、その能力を十分に発揮できる職場づくりを推進してまいります。
15:
◯議長(
園山繁) 福田
議員。
〔福田正明
議員登壇、拍手〕
16:
◯福田正明議員 自由民主党ネクスト島根の福田正明です。
初めに、水力発電について。
私どもと同世代の元国土交通省河川局長竹村公太郎さんは、「水力発電が日本を救う」という著書で、日本のダムによる水力発電の有用性を世に問われました。竹村さんは、また、ベストセラーになった「日本史の謎は地形で解ける」の著者でもありますが、自来私は水力エネルギーを強く意識するようになりました。
竹村さんは、現在、日本のエネルギー自給率は10%以下である。人類の歴史を見れば分かるが、エネルギー自給率10%の文明は存続し得ない。未来に向かって日本は自前のエネルギーを確保しなければならない。戦後日本は無尽蔵の中東の石油を消費して、最先端の経済国家となった。しかし、経済産業省ホームページによると、石炭の可採年数は109年、石油は53年となっている。つまり今生まれた赤ちゃんが50歳になる頃には石油と石炭の価格は暴騰して、手が出ないエネルギーになっている。今でも日本はエネルギーを入手するのに毎年20兆円も海外から買っている、それだけの国の富が流出している。そうした危機感から、再生可能エネルギーとして既設ダムの有効活用を訴え続けておいでです。
こうした経緯もあり、国は平成29年、ダム再生ビジョンを策定するなど、その主張の成果が見え始めています。
国土交通省は、令和5年4月下旬、斐伊川上流部の国土交通省管理の尾原ダムに水力発電を導入する計画を公表されました。
質問の第1は、国土交通省は現在発電に利用していない尾原ダムに発電施設を新設し、水力発電に向けて事業化を検討すると聞いていますが、今回公表された内容について企業局長からお知らせください。
あわせて、企業局の対応方針をお聞かせください。
質問の第2は、県管理の既設ダムについて、発電施設の設置の状況と、発電施設のないダムへの設置の可能性を伺います。
あわせて、企業局での水力発電の新規開発や既設発電所のリニューアルなど、水力発電の増電につながる取組について伺います。
3番目の質問です。
我々の世代は、戦後の荒廃した国土が復興していく過程をつぶさに見てきました。ダム屋を自認される竹村公太郎さんも、そうした時代の要請に邁進された一人だと思います。
巨大ダムは山村に大きな犠牲を強いてきた、一部の人々の犠牲の上に繁栄を築くという近代化の過程で行ってきたこのやり方は、現代にあってはもはや時代に合わない。3つの巨大ダム建設を経験し、水源地域の人々のつらい心情を理解しなければならない、そういう人生を送ってきたという竹村さんは、これからの日本には既設ダムの活用、砂防ダム、農業用水路など1,000キロワット以下の小水力発電によって、日本列島を分散型エネルギー列島にすべきと、水力発電の復権を強調されます。
水という原材料はただで、太陽エネルギーなので一切輸入することはありません。我が県でも全て純国産の原料と技術による持続可能なエネルギーを手にすることができます。
知事に伺います。
島根県における水力発電開発を積極的に推進すべきと考えますが、御所見と課題をお聞かせください。
次に、宍道湖の課題解決と有機農業の推進について。
私は、宍道湖漁師だった父親の急死により、東京から家族でUターンし、家業の宍道湖漁業を引き継ぎ今年で45年、ベテラン漁師になりました。
早朝、秋鹿町の沖合に仕掛けたます網と呼ばれる長さが130メートルほどの定置網を引き揚げ、網に入った魚を自宅の選別場に持ち帰り出荷するまでが仕事です。45年間、秋から翌年の春までの半年間、漁期に入ると12月31日まで出漁、正月は元日と3日を休むだけで、2日から初漁に出かけ、4月まで休みはありません。私どもは4年に1度選挙がありますが、基本的には直前まで仕事をしてから走り回ることにしています。
1、2月の寒風吹きすさぶ湖上での作業は難儀なときもありますが、それでも一仕事終える頃、真っ白く輝く大山の肩から荘厳な朝日が上り、松江の町を照らしていく光景を見ると、さあ今日も頑張ってこの町で働くぞと意欲が湧きます。私は、宍道湖・中海の淡水化阻止を掲げて県議選に初当選し、今は県議会
議員の仕事と宍道湖漁師の二刀流の職業を天職だと思っています。
私が30代の頃、宍道湖では70統もます網操業が行われていました。この漁獲の対象は、いわゆる宍道湖七珍と呼ばれる魚種ですが、漁獲の中心はワカサギで、ます網が主力漁法の稼ぎ頭でした。船が沈むほど捕れたときもありました。平成6年に重要な漁業資源であるワカサギが激減して以来、不漁が続き、ます網漁業は衰退していきました。
そこで、私は魚や湖水の状態など、宍道湖の様子を長らく見てきて、湖の健康診断をしてきたつもりですので、漁師の肌感覚で質問します。
宍道湖では今から30年ほど前の平成5年は冷夏多雨の年で、ワカサギは豊漁でしたが、翌年平成6年の猛暑渇水の年を境にワカサギは激減し、現在ではその姿をほとんど見かけなくなりました。その原因は、夏場の宍道湖の水温上昇だと聞いてきました。
ところが、4年前の令和元年11月に科学雑誌サイエンスに、ネオニコチノイドは水生食物網を破壊し、漁獲量を減少させるという英語の論文が掲載されました。殺虫剤農薬のネオニコチノイドは、ワカサギが激減した前の年、平成5年から使用が始まっています。ネオニコ殺虫剤の対象はカメムシやウンカなどの水田で生息する害虫です。ネオニコチノイドはこれまでの農薬と異なり、分解しにくいため、下流の宍道湖に流出し、昆虫など生息する水生動物を激減させた。ワカサギとウナギの漁獲量の減少はそれらの餌となる水生動物の減少による可能性があると書かれているそうです。
ネオニコチノイドは水溶性で、魚介類に蓄積されないということですから、その点ではシジミなどへの影響は心配ないでしょうが、水生動物を激減させれば、それを餌にする魚類の漁獲量が減少するのは明らかですから、宍道湖漁業にとっては非常に大きな打撃です。
さらに、今年令和5年4月、陸水学の雑誌に「宍道湖における定置網による魚類と甲殻類漁獲量の長期変化」という日本語の論文が掲載されました。宍道湖漁協に保管されている昭和54年度から平成20年度の30年間にわたるこの宍道湖のます網での漁獲資料がデータとして使われています。
その資料は、冷夏多雨の平成5年度と猛暑渇水の平成6年度が中間年で、その前後、各14年の8種類の魚について漁獲量の変動が示されています。それによると、宍道湖で水生動物を餌とするワカサギ、ウナギ、ハゼ類、エビ類の平成7年度以降の明確な激減が図示されています。
加えて、夏季、夏場の水温データ記録もあり、宍道湖での平成7年度以降の長期的な水温上昇は起きていないことも示されています。
一方で、ワカサギの激減はネオニコチノイドによるものではないとの複数の論説がインターネット上に載っています。反論理由の一つは、ワカサギは冷水性の魚なので、夏季の水温上昇によって激減したという点です。この主張については、平成6年以降のワカサギ不漁は夏季高水温のみの影響ではないと考えられると、平成13年、島根県の報告書において明記されています。
いま一つは、宍道湖のワカサギ稚魚の餌である動物プランクトンは、島根県のデータでは激減していないとなっていますが、サイエンス論文に使われている国土交通省のデータでは、この動物プランクトンは平成5年から激減しています。
いずれのデータが正しいか分かりませんが、サイエンス論文では、さらに宍道湖のユスリカなど昆虫類や多毛類、貧毛類の減少について書かれているそうです。
こうした事実を踏まえると、宍道湖の魚類の激減は夏季の高水温だけが原因ではなく、ネオニコチノイドにより宍道湖の水生動物の激減が起き、これらを餌とする魚類の激減につながった可能性があると考えられます。
日本で使用されているネオニコチノイド系殺虫剤農薬は、EUやアメリカ、また台湾や韓国では一部しか許可されていません。許可されている一部のネオニコチノイド農薬も、残留農薬基準が日本と比べて厳しいようです。
さて、農薬を使うことは悪いことなのかという問いかけに対して、農業者以外ではもちろん悪いと答える人が大多数だろうと思います。健康にも環境にもよくないことは言わば常識と思われます。しかし、事は単純ではありません。
日本政府が2050年までに有機の農業面積を今の50倍に増やす、みどりの食料システム戦略を打ち出したとき、現場の反応は賛否両論だったと聞きます。ようやく世界の潮流に沿って、我が国も有機の方向にかじを切ったかという期待の声と、現実的な施策に乏しく、絵に描いた餅に終わるのではという冷ややかな声です。
現場を無視して、政府がいきなり農薬と化学肥料を禁止したせいで収量が激減した農家への補償が追いつかず、経済破綻につながった昨今のスリランカの悲劇が思い出されます。9割が慣行農法の日本で、移行の仕方を誤れば、同じ轍を踏むリスクは高いとの見方があります。
世界の有機食品市場が急成長する中、日本の消費量はまだまだ少ないのが現状です。有機は値段が高いという消費者と、継続的な買手の確保が難しい生産者の間で、なかなか広がらずにいるようです。
ですが、近年その対立構造にある事態を変える動きが全国各地に広がっています。その鍵となる考え方があるようです。有機農業は、いわゆる慣行農業に対するもう一つの農業ではなく、約100年前まで人類が長年にわたって当たり前に行ってきた本来の農業そのものだと言われます。このことを考えのベースに置いて、その共通する鍵は、子どもたちが暮らす未来において農業はどうあるべきかという観点が、対立構造の壁を乗り越えることが可能だったという点です。
島根県における有機農業への取組は、古くから県内各地で個人的に取り組まれたり、旧柿木村などのように地域を挙げての取組など、様々な形態や作物で実践され今日に至っています。
また、島根県は都道府県単位としては全国に先駆けて、推進体制の整備や後継者育成の一環として、当時全国で初となる県立農業大学校に有機農業専攻コースを設置し、また各種支援策を設けるなど有機農業の推進に力を入れ、耕地面積に占める有機JAS認証面積比率が全国1位のときもありました。現在も島根農林水産基本計画の重点推進事項の中で有機農業の拡大が掲げられ、一層の推進が図られています。また、有機農業推進計画を策定し、鋭意有機農業の推進に取り組む市町村があることも伺っています。
先般、JAしまねでも全県下で有機農業の拡大に取り組む方向性が示され、既に取組が始まっているという新聞報道を拝見し、生産者、JA、行政が一丸となって取り組む体制の下地が整ったと言えるのではないでしょうか。
JAの取組といえば、平成18年11月に発生した宍道湖産シジミへの残留農薬問題を思い出します。それは、麦や大豆、水稲などの除草剤として長く使われていた農薬の成分のチオベンカルブが、平成15年の食品衛生法の改正により新たに制度化されたポジティブリスト制度で設定された一律基準値を超えるシジミが散見されたことです。なお、そのシジミを食べたとしても健康上の影響がないことは、当時確認されています。
直ちに、宍道湖漁協はシジミの操業及び出荷を自主的に停止する対応を取りました。そのとき宍道湖周辺の当時のJAは行政と連携し、その秋の麦へのチオベンカルブを成分とする除草剤の使用を中止するため、既に農家へ配布されたものを含め、JAが当該農薬を回収するとともに、次年度以降も使用しない方向を決断されました。このときの県農林水産部をはじめとする関係機関の連携と素早い対応かつ決断は今も記憶に鮮明です。
そこで、ワカサギをはじめとする宍道湖の魚類減少を考察するに当たり、島根県が全国の先頭に立って今後も有機農業の推進に取り組んでいくために、質問並びに幾つかの提案を申し述べます。
まず初めに、平成4年6月、国連環境開発会議、地球サミットでのリオデジャネイロ宣言は、当時斐川町在住で小学生の坪田愛華さんが命がけで書き上げた「地球の秘密」、その訴えは待ったなしの地球の存続のために現状を少しでも好転させようとの願いです。
農業分野においては、今こそ地球環境、生物多様性を意識し、子どもたちの未来を本気で考える状況であり、行動するときではないでしょうか。全国的にも注目度の高い島根県における有機農業の推進について、知事の考えと決意を伺います。
次に、私から幾つか提案をしますので、その提案に対する御意見を伺います。
1つ目は、生産者をはじめ幅広い関係者による常設の有識者会議の提案です。
有機農業の推進は、単に化学合成の農薬や肥料を使わないで栽培すればいいといった単純なものではなく、約100年かけて社会のありようを含め、いろいろ変えてしまったものを軌道修正しなければならない課題なども関わってまいります。そのためには一つ一つの課題にしっかりと向き合い、十分に議論し、着実に取り組んでいくことが求められるからです。メンバーの選定に当たっては、県内の各層からの人選を中心に、有識者は議題などによって必要に応じ適任の有識者を招聘するやり方がよいと思います。
2つ目は、取り組めそうな課題に対しては、スピード感を持って取り組むため、プロジェクト方式による課題解決手法です。
具体的取組の一つは、かつて島根県農業の稼ぎ頭であった水稲を中心にした水田農業を有機農業にいち早く転換するための取組です。
雲南市では、毎年ひなをかえすコウノトリの野生復帰が進んでおり、また出雲市においてもトキの野生復帰を目指した取組が継続されています。コウノトリやトキが日本の空からいなくなったのは、明治初期の鉄砲による乱獲と、その後の環境の破壊によって数を減らし、とどめを刺したのは農薬と言われます。十分な餌を捕食することができなければ、結果として子どもを育てたり、生きていくことができなくなったのだと思います。
かつてコウノトリは、田んぼに植えたばかりの苗を踏み荒らす害鳥でした。そのコウノトリが豊かな環境のシンボルになりました。どんなに自然が豊かになって餌が豊富になっても、飛んできた鳥たちを撃ち殺したり、追っ払ったりするところでは鳥たちは暮らすことはできません。
野生復活を目指す意義は、コウノトリやトキを空に帰そうを合い言葉にして、コウノトリやトキも住めるような環境、すなわち豊かな自然と、自然と共生する文化をもう一度取り戻そうということだと思います。そのためにも島根県内の水田の中にいろいろな生き物が帰ってくる農法が不可欠です。そうした状況が形成されれば、島根県内の水田や水環境をはじめ、健康な食べ物への評価も高まり、結果として経済行為にもつながっていくものと考えます。そして、水田農業で取り組めたことが、畑作における有機農業への取組にもきっといろいろなヒントを示唆してくれるものと思います。
私が提案する有識者会議とプロジェクト方式について御意見をお聞かせください。
2つ目の取組として、県内の幼稚園や保育園、小中学校全部に有機農業による学童農園の設置を推進してはいかがでしょうか。既に県内各地で市町村が関わったり、生産者や地域の協力で類似の活動が行われている事例もありますが、未来を担う子どもたちに環境保全や生物多様性の確保の重要性を実体験から認識してもらい、食の安心・安全への関心を高めることは、未来に向けて重要な取組になると考えます。御意見をお聞かせください。
さらに、関連して、学校におけるオーガニック給食への取組の推進を提案させていただきます。御意見をお聞かせください。
以上、宍道湖問題と有機問題について述べましたが、具体的な問題について質問します。
まず、宍道湖のネオニコチノイド問題について伺います。
ワカサギの激減は夏季高水温のみの影響ではないと平成13年に島根県内水面水産試験場から報告が行われているように、宍道湖の水産資源の動向を把握することは、このような問題を考える上で基礎となるものであり、重要です。
そこで、宍道湖の水産資源の動向を伺うとともに、今後も継続して調査していくのか、農林水産部長に伺います。
2点目は、これまで水質汚濁対応のため、湖沼と河川でCODや栄養塩の観測が続けられています。宍道湖におけるネオニコチノイド問題が明らかになった今、この問題に対応するためには河川と湖沼の定期的なネオニコチノイド濃度測定が必要です。島根県はこれまでこの観測は全く行われていません。新たな対応についてどのようにお考えか、環境生活部長に伺います。
質問の最後は、知事にお尋ねします。
宍道湖は、多種多様な生き物が生息する湖であることが望ましいと考えますが、宍道湖周辺の市民は、宍道湖がどんな湖であってほしいと願っていると思われますか。
また、近年水草の大量繁茂が景観や水産資源への影響だけでなく、住民の生活にも影響を及ぼしていますが、現在宍道湖で喫緊の解決課題は何だとお考えか、あわせてその具体的な対策についてお聞かせください。
以上、よろしく御答弁をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
17:
◯議長(
園山繁) 丸山知事。
〔丸山知事登壇〕
18:
◯知事(
丸山達也) 福田
議員の御質問にお答えいたします。
最初の御質問は、本県における水力発電の積極的推進についてであります。
国の第6次エネルギー基本計画におきまして、水力発電は安定した出力を長期的に維持することが可能な脱炭素電源として重要であるとされ、県といたしましても、地域の未利用資源を活用した有効な発電方法として取り組んできたところでございます。
これまで、水力発電の導入を進めるために、発電に適した地点の調査結果の公表や、事業可能性を調査する事業者への支援、また電気事業者として、県自ら水力開発を実施するなどしているところでございまして、平成24年度から平成25年度にかけまして、河川や水路、ダムなどの86か所の導入候補地のうち、導入可能性が高いと考えられる26か所を詳細に調査いたしまして、そのうち6か所で事業化したところでございます。
県といたしましては、これまでもこういった水力発電の推進をしてきたところでございますけれども、経済性が高い地点から順次開発が進んできたわけでございますけれども、近年は、残る候補地が奥地でございますので、土木工事や電力系統への接続が困難となることや、発電設備が小規模となり、初期投資の負担が大きくなるなどによりまして、開発に向けた検討が慎重になる傾向が見られるところでございます。
県といたしましては、今後も県営の発電所を適正に管理するとともに、事業化を検討する市町村や事業者の方々への支援を引き続き行いまして、県内の水力発電の増電に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
次に、本県におきます有機農業の推進についてでございます。
有機農業は、化学肥料や農薬を使用しないことで環境への負荷を低減する生産方法でございまして、生物多様性など環境保全への社会的な要請や、生産資材が高騰している現状におきまして、有機農業の推進は農業の持続的発展の観点からも重要であると考えているところでございます。
その一方で、有機農業には一般的な生産方式と比べまして、多くの労力を要します上に、収量が劣るということ、また有機農産物の価値を理解、評価し、適正な価格で購入する消費者が十分に必要であるといった課題がございまして、有機農業の推進には、まずはこの有機農業に取り組む農家の経営が成り立つようにしながら取り組んでいくことが欠かせません。
このため、県といたしましては、有機農業の生産拡大に向けまして、収量の安定や生産者の増加のための取組といたしまして、栽培技術の確立、普及や機械、施設の共同利用の推進、販売拡大の取組といたしましては、県産有機農産物の価値を高く評価していただける首都圏の量販店と連携した販売拡大や、県内の学校給食での利用促進などに取り組んでいるところでございまして、引き続き積極的に有機農業を推進していきたいと考えているところでございます。
次に、宍道湖周辺の県民の皆様が、宍道湖はどんな湖であってほしいと願っておられるかということについての所見についてお答えいたします。
人の考えは様々でございますので、これは一義的に申し上げられないということを前提として、県といたしましては、5年ごとに湖沼水質保全計画を策定をいたしておりまして、段階的に環境基準の達成を目指して、様々な水質保全対策を関係者の皆様の御協力をいただきながら進めているところでございます。この計画の中で、おおむね令和15年度を目標とする望ましい湖沼の将来像を明らかにした長期ビジョンを定めているところでございます。
この長期ビジョンの策定に当たりましては、意見募集を行いますとともに、県内3か所で宍道湖・中海の将来を語る会を開催いたしまして、直接県民の皆様から御意見を伺ったところでございます。
これらに寄せられました御意見を踏まえまして、みんなで守り育む命、豊かできれいな宍道湖を掲げ、豊かな生態系を育み、人々が親しみ安らげる水環境を実現し、湖を訪れていただく全ての方々が快適である、肌で感じられる環境を目指すことといたしております。
これは個々には御異論があるかもしれませんけども、県総体といたしましては、こういった方向で取り組んでいるということでございます。
最後に、宍道湖の喫緊の課題解決と、その具体的な対策についてであります。
宍道湖を代表する水産物はシジミでございます。現在は資源量自体は高水準でございまして、当面の漁獲量は安定すると見込んでいるところでございます。
しかしながら、資源量は環境要因などによりまして大幅に変動する可能性もございますし、これまでも変動した場面もございました。引き続き、資源動向を注視いたしまして、資源管理の取組を継続することが重要であると考えているところでございます。
そして、
議員から御指摘をいただきました水草につきましては、平成24年度以降急速に繁茂拡大いたしまして、船舶の運航障害や腐敗を伴う悪臭発生などによりまして、生活環境に影響を及ぼすような年もあり、常に注視が必要な課題でございます。
水草が大量に繁茂した場合には、この宍道湖の管理者、河川管理者であります国土交通省の出雲河川事務所が、漂着した水草の回収を実施をいたします。県といたしましては、国だけで対応し切れないなどの場合に、緊急的にこの補完的役割といたしまして、水草の回収を行う用意をしているところでございます。
また、漁業者の皆様が中心となって実施をしていただいております水草の除去などの活動を支援をしているところでございます。
私からの御答弁は以上でございます。
19:
◯議長(
園山繁) 西村環境生活部長。
〔西村環境生活部長登壇〕
20:
◯環境生活部長(
西村秀樹) 宍道湖のネオニコチノイドに係る対応についての考えについてお答えします。
令和元年度にサイエンス誌に掲載された論文は、ネオニコチノイド系農薬の使用が、ワカサギ等の餌となるオオユスリカ幼虫や動物プランクトンといった生物を殺傷することにより、漁獲量減少の原因となる可能性として示されたものです。
これは餌となる動物プランクトンの現存量が、日本で最初に登録された、イミダクロプリドを成分とするネオニコチノイド系農薬の登録時期とほぼ同時期に減少していることから推察されたものでありますが、生物体内の農薬成分の残存濃度等のデータが示されていないことから、直接的な因果関係を示したものではないと認識しております。
このため、県の当時の整理としましては、論文内容について、その後の専門的な研究により科学的評価が蓄積される中で、対応を検討することとしております。
県としましては、その状況を注視しておりますが、現時点では、令和元年度当時と比べ状況に変化はないと認識しております。
一方、平成30年の農薬取締法の改正により、登録されている全ての農薬について、15年ごとに再評価を行う仕組みが導入され、必要な場合には随時登録等の見直しが行われることになりました。その結果はまだ出ておりませんが、国内での使用量が多いネオニコチノイド系農薬などの再評価も令和3年度から開始されております。今後ともこうした論文等や国の再評価の状況について注視してまいります。
21:
◯議長(
園山繁) 野村農林水産部長。
〔野村農林水産部長登壇〕
22:
◯農林水産部長(
野村良太) 最初に、
議員から御提案のありました有識者会議とプロジェクト方式についてお答えします。
まず、有識者会議につきましては、有機農業を通じた地域の環境保全の取組に向けては、
議員御指摘のコウノトリやトキの取組に見られますように、市町村あるいは地域における固有の環境課題にスポットを当て、地域住民や専門家等も交えた合意形成、理念の共有を経て進めていくことが合理的であると考えております。
現在、県内の市町村では、国の事業を活用しながら、地域ぐるみで有機農業を推進する取組が行われており、県としてはこうした地域に根差した取組の中で、有識者等を交えた振興方策の検討がなされていくことが、より効果的であると考えております。
県としましては、農林水産基本計画において、有機農業の推進方針について、市町村やJA等の関係者との間で一定のコンセンサスが得られている中で、生産拡大を着実に進めていくことが重要であると考えており、現時点では県として有識者会議等の設置は考えておりませんが、今後市町村の取組や社会情勢の変化の中で、県全体として取組が必要となることがあれば、有識者会議等の設置も今後検討していきたいと考えております。
次に、プロジェクト方式につきましては、県では農林水産基本計画において、有機農業の拡大を重点推進事項として取り組んでおり、その推進に当たっては、県庁、農業普及部、農業技術センターが一体となり、市町村、JAとも連携し機動的に取組を進めているところであり、県としてプロジェクト方式による推進を図っていると考えているところでございます。
次に、県内の幼稚園や保育園、小中学校全部に有機農業による学童農園の設置を推進することについてお答えします。
学童農園の設置につきましては、総合学習や社会科といった教育の一環として、小中学校等が主体となって判断されるべきものであり、県として一律に設置を進めていくことは難しいと考えております。
一方、現在県として、学校給食での有機農産物の活用推進に取り組んでいるところであり、この一環として副読本の作成や圃場見学、生産者の出前講座などを行っており、こうした取組の中で、
議員御提案の学園農園については、学校での設置ではありませんが、生産者圃場における学童の有機農業体験の取組事例を紹介したり、情報提供するなど、今後も児童・生徒の有機農業への理解を深めるための取組がさらに広がるよう、県として取り組んでまいりたいと考えております。
次に、学校におけるオーガニック給食への取組の推進についてお答えします。
学校給食で有機農産物を利用いただくことは、有機農産物の価値を児童、生徒、保護者、学校関係者に広く理解いただく上で意義のある取組と考えております。このため、県では子どもから大人まで、有機農産物の理解を深めていただける機会として、学校給食での提供を積極的に進めており、昨年11月のしまね・ふるさと給食月間では県内8市町、79校において利用され、令和2年に比べ取組校数は1.5倍、取扱品目は2倍以上になっております。
県では各地域で生産された有機農産物の学校給食での利用が一層進むよう、引き続き市町村や学校関係者などに対して品目、生産者などの生産現場の情報提供やマッチングを進めてまいります。
最後に、宍道湖の水産資源の動向及び今後の調査についてお答えします。
宍道湖の水産資源の動向につきましては、国の統計によりますと、最も漁獲量の多かった昭和48年は全体で約2万2,000トンあり、その内訳はシジミが86%、ワカサギやフナ、ハゼ等の魚類が6%、エビ類が8%でありました。その後、漁獲量は減少し、近年では約4,000トンで推移しており、全体の99%がシジミとなっております。
水産技術センターでは、水温や塩分等、水産生物の生息環境や水産資源に関するモニタリングを実施しており、シジミでは生息密度や貝の大きさの計測、シラウオ、ワカサギでは産卵状況や稚魚の分布調査等により資源状況を把握しております。
これらの結果は漁業者に提供し、自主的に禁漁期間を設けていただくなど、資源回復の取組等に活用されており、県としましては今後もモニタリング調査を継続してまいります。
23:
◯議長(
園山繁) 三島企業局長。
〔三島企業局長登壇〕
24:
◯企業局長(
三島正司) 初めに、尾原ダムにおける水力発電の事業化検討の公表内容及び企業局の対応方針についてお答えいたします。
国土交通省では、近年の気候変動の影響による水害の激甚化、頻発化を踏まえた治水対策のさらなる推進や、2050年のカーボンニュートラルなど脱炭素社会の実現に向けた取組を加速させるため、ハイブリッドダムの取組を進めておられます。ハイブリッドダムの取組とは、官民連携によりダムを有効活用し、3つの政策目標、すなわち治水機能の強化、水力発電の促進、地域振興の実現を図るものであります。
この取組として、尾原ダムを含む国交省所管の3つのダムを対象に、既設ダムへの発電施設の新増設の事業化に向け、民間事業者の参画方法や事業スキーム等について検討を行うと公表されています。
国が示している今後のスケジュールは、今年度事業化に向け、民間事業者から事業の実現可能性やスキームについて意見を募集し、令和6年度以降、発電事業や地域振興に新たに参画する民間企業の公募を行うダムを選定し、事業化を目指すとされています。公募の対象となるダムは、3つのダム以外も含めて検討されるとのことであります。
次に、企業局の対応方針です。企業局としては、今後の国の動向を注視するとともに、公募が行われた場合には、国から示される公募要領の条件を確認した上で、事業に参画できるか検討を行ってまいります。
次に、県管理ダムにおける発電施設の設置状況と、発電施設のないダムへの設置の可能性について、あわせて企業局での増電の取組についてお答えいたします。
県管理ダムは、土木部、農林水産部、企業局それぞれの部局で管理しておりますが、まとめてお答えいたします。
まず、県管理ダムにおける発電施設の設置の状況ですが、島根県が管理するダムは管理者別で、土木部13、農林水産部3、企業局2の計18ダムございます。このうち、発電施設が設置されているのは、土木部8、企業局2の計10ダムでございます。
一方、発電施設が設置されていないのは、土木部5、農林水産部3の計8ダムございますが、構造上、発電施設の設置が不可能なダムが土木部3、農林水産部3の計6ダムあります。残りは、土木部の2ダムですが、このダムへの発電施設の設置の可能性については、調査の結果、採算性が得られず、設置は困難と判断されております。
次に、企業局での水力発電の増電に向けた取組についてであります。
まず、発電所の新設ですが、平成25年度に土木部が実施した調査の結果から、土木部管理の大長見ダムと山佐ダムへ発電所を新設いたしました。そのほか、雲南市から譲り受けた田井発電所を新規開発しております。
一方、既設発電所のリニューアルですが、平成26年度から老朽化した9つの発電所のリニューアルに着手し、これまでに7発電所が完了しており、順次運転を再開しています。今年度、残りの2発電所が工事を終えると、計画した全ての発電所が運転再開する見込みです。リニューアルにより、これまでより効率のよい機器に更新したことで、発電電力量の増加を図っています。
また、企業局では県内における小水力発電の拡大、継続を図るため、小水力発電事業に取り組もうとする県内の団体へ技術的な助言や情報提供等を行っており、これまで市町など8つの発電所のリニューアルを支援してきました。今後も県内団体への技術支援も含めて、水力発電の増電に努めてまいります。
25:
◯議長(
園山繁) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。
午前11時58分休憩
午後1時2分再開
26: ◯副議長(山根成二) それでは、会議を再開いたします。
引き続いて一般質問を行います。
須山
議員。
〔須山隆
議員登壇、拍手〕
27: ◯須山隆
議員 民主県民クラブの須山隆でございます。ただいまから4項目にわたりまして一般質問させていただきます。執行部の明快な答弁をよろしくお願い申し上げます。
まずは、県立高校の再編問題についてであります。
この問題につきましては、午前中、坪内県議のほうから質問もありましたが、非常に統合ありきで、既に何か、条件闘争のような体をしているわけでございますけれども、私のほうからは、そもそもこの再編問題はどうあるべきか、基本方針を知事に尋ねたいと、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
県立高校の再編問題につきましては、前回の6月
定例会の冒頭、知事施政方針並びに提案理由説明の中で、江津高校と江津工業高校の統合を表明されました。このことは、県議会にとっても青天のへきれきであり、その後の一般質問の教育長の答弁からは、既に統合の目標年次や、具体的なクラス編制などが示されるなど、あまりにも早い展開に目を丸くしたものでした。
この問題を論議するに当たっては、少し歴史を振り返らなければなりません。県立高校の魅力化ビジョンが平成31年に策定されましたが、それ以前は、平成21年度から平成30年度を計画期間とした県立高等学校再編成基本計画という計画がありました。この計画では、基本的な考え方として、これからの高校教育は、社会の急速な変化に的確に柔軟に対応していくとともに、生徒の興味・関心、能力・適性、進路の多様化などに適切に対応していく必要があり、各学校においては、創意工夫を生かした特色のある教育活動を展開する中で、自ら学び、自ら考える力の育成を図るとともに、基礎的、基本的な内容の確実な定着や、豊かな人間性の育成を図り、生徒に生きる力を育むことが一層重要となってくるとしている一方で、今後高校再編成を推進するに当たっては、中長期的な観点から、中学校卒業予定者の推移や、各高校の志願者の動向、さらには地域のニーズや実態などを考慮しつつ、実施していくこととするが、そのためには行政や地域、企業や関係団体が連携し、総力を挙げて取り組んでいくことが必要であるとしていて、統合ありきの議論となっていました。
そして、この計画の中には、具体的な高等学校の統廃合基準というものがあり、専門学校に至っては、専門高校または総合学科を設置する高校が1学年2学級となったり、2学級となることが見込まれる場合には、原則として近隣の高校と支障ない形での統合を検討するとした明確な基準があったんです。
この計画では、その前段に、普通科及び普通系の専門学科、職業系の専門学科、総合学科のそれぞれが今後どうあるべきなのかを切々と説いているにもかかわらず、統廃合基準では、そうした各学科のあるべき姿とは別にして、学級が減った高校は近隣の高校と統合を検討するとした、数の論理のみでの統合基準に強烈な違和感を感じたのは、私だけではありませんでした。
当時、こうした入学者数の減少だけで統合の検討を余儀なくされたのが、江津地区の江津高校と江津工業高校、浜田地区の浜田高校、浜田商業高校だったのです。当時、私はこのような高校の本来のあるべき姿を考えることなく、数の論理だけで統合を決定するやり方に激しく抵抗いたしました。当時は、何度となく一般質問でも取り上げ、県主導で設置された地域での高校の在り方検討会においても、検討会の委員一人一人に説得に回ったことを今も覚えています。
こうした流れを変えたのが、平成31年2月に策定された県立高校魅力化ビジョンだったのです。このビジョンでは、島根の子どもたち一人一人に、自らの人生と地域や社会の未来を切り拓くために必要となる生きる力を育むため、学校と地域社会が、その目標を共有し、協働を図りながら、島根の教育をよりよいものに高めていくとし、全ての高校において地域社会と共に魅力ある高校づくりを推進し、生徒の個性や適性に応じた多様な学びを追求できる体制や、望ましい教育環境を整備するとして、単に数の論理で高校を統廃合するのではなく、高校自体に魅力を持たせて、しまね留学などを積極的に推進することにより、県外からも入学生を募るといった方針に大きくかじを切ったのです。
特に、浜田地区、江津地区の県立高校の在り方の方向性としては、5つの視点が示され、その中でも普通科や専門学科は限定的な地区の中で議論するのではなく、石見部全体での位置づけの中で議論すべきと明確に方向性を示され、このビジョンにより、これまで議論されていた江津地区の江津高校と江津工業高校、浜田地区の浜田高校と浜田商業高校の統合問題は白紙に戻されたのです。
このビジョンは、島根県の高校教育の在り方を大きく変えた画期的なビジョンであり、その流れは令和2年に策定されたしまね教育魅力化ビジョンに受け継がれ今日に至っています。
このような議論の変遷を経て、現在の高校の魅力化ビジョンがあるにもかかわらず、今回の江津地区だけの入学者数の動向だけを理由に、江津地区の中だけで普通高校と専門高校を統合するというのは、明らかにこれまでのビジョンとは逆行するものです。これでは、先祖返りをしたというそしりは免れません。
知事、このような理屈で高校の統合を進めようとするのなら、江津の次は浜田高校と浜田商業高校の統合さえも復活させようとしているのではないですか。あの県立高等学校再編基本計画から、県立高校魅力化ビジョンに大きくかじを切った大英断をほごにするおつもりですか。今後の島根県の県立高校の再編成についてどのようにお考えか、知事の見解をお聞きいたします。
2点目に、教職員の働き方についてお伺いをいたします。
丸山知事は、先日の定例記者会見において、文部科学省が4月に実施した全国学力テストの結果について、この年代で当然に身につけていなければならない学力をはかる問題の正答率が、全国で5割しかない問題があることを取り上げ、義務教育の体をなしていない可能性があると、国の教育行政を批判されました。その上で、各学校での教員の長時間労働が常態化している問題を取り上げ、教員は一生懸命やっている、補充できず、欠員が出るほど現場が疲弊しているのに、この正答率というのは教育行政の失敗であり、文部科学省の責任だと断言し、学習指導要領の見直しを求めました。この
発言は、次の日の山陰中央新報の記事にも取り上げられ、つい先日も改めて詳細が報じられたところであります。
私たち民主県民クラブは、定例記者会見の前日に行われました教職員組合3団体と知事との懇談会の冒頭の挨拶の中で、直接内容を聞いていましたから、丸山知事の怒りは肌で感じておりました。
この問題は、昨日の白石県議の質問の答弁でも少し説明されましたが、多分あれでは語り尽くせなかったんではないかというふうに思いますので、丸山知事のほうから、改めてこのことについての詳細なる解説をお願いしたいと思います。
これまで私を含め多くの
議員が教職員の働き方改革や教員不足問題について、県議会の場で何度も取り上げ、その対応について求めてまいりました。特に、今回問題となっている全国学力テストの県内の結果が一貫して右肩下がりなのに、思うような対策が打てていない状況については、前回の
議員任期の最後に私のほうから、その改善策について求めてまいりましたが、納得の得られるような答弁が返ってきていない状況にあります。
それは、今の教育行政の抱える課題の多くは文部科学省マターであり、県教育委員会で行えることは、財源的にも制度的にも極めて限定的であると判断しているからであり、それは知事の
発言からもよく感じ取れます。そのことは、私も十分理解しているつもりではありますが、では県教育委員会は手をこまねいて見ているだけなのかといえば、決してそんなことではありません。
これまでも県教育委員会として、様々な手だてを講じてきているのも承知しており、今まさに進行中のものもあります。そうした様々な施策の効果の検証については、もう少し時間を要することでしょうから、次回以降の質問戦で取り上げたいというふうに思います。
ここで取り上げたいのは、現場で起きている諸問題をいかに表面化して見える化するかということであります。
今起こっている様々な問題の多くが、文部科学省マターであるにもかかわらず、国の動きが鈍く、いまだ解決に至らないのは、問題の表面化が不十分で、その重大さが国に届いていないからなのではないでしょうか。そのよい事例として、教職員の長時間労働問題があります。
県教育委員会は、昨年教職員の働き方改革の検証結果を発表しました。それによると、時間外労働時間の縮減目標である月平均45時間以内を達成した一方で、ワーク・ライフ・バランスが改善されたとする数値が未達であったとの報告がありました。まずは、この検証結果の詳細についてお伺いをいたします。
また、時間外労働時間の縮減が図られたにもかかわらず、なぜワーク・ライフ・バランスの数値が未達になってしまったのか、その原因についてどう分析されているのか、お伺いをいたします。
先ほど触れました教職員組合3団体と知事との懇談会の場において、時間外労働時間に関する現場からの報告では、決して労働時間が縮減したとは言えないとのことでした。朝は、一仕事してから机に着いて出勤ボタンを押し、夜は退勤ボタンを押してから仕事をする、いわゆるサービス残業が横行している、それどころか、学校で仕事を行うだけでは間に合わず、自宅に持ち帰って仕事を行う、いわゆる持ち帰り仕事が増大しているというのです。この期に及んで、サービス残業などあってはならないことであり、持ち帰り仕事などは長時間労働以外にも様々な問題が含まれており、言語道断です。
なぜこのようなことが起きているのでしょうか。現場に教職員の働き方改革で成果を求めるあまり、管理者からのプレッシャーで、こうした問題を暗黙に容認している実態があるのではないでしょうか。教職員の働き方改革が根源から解決するには、まずはこうした実態を明らかにして、文部科学省に対してその結果を突きつけるべきであり、その結果を基に、人員の加配や学習指導要領の見直しなど、文部科学省が指導して教育改革をすべきなんです。
まずは、県教育委員会は現状をしっかりと把握する必要があります。県教育委員会として、サービス残業がある実態を把握していますか。持ち帰り仕事がある実態を把握していますか。もし把握していないとすれば、まずそこを徹底究明して、事実を明らかにすべきです。見かけ上で労働時間の縮減を達成したと喧伝しても、決して問題解決にはなりません。徹底した実態究明が必要と考えますが、教育長の所見をお伺いをいたします。
3点目に、最低賃金引上げに伴う中小企業対策についてお伺いいたします。
最低賃金は毎年10月に改定されますが、それに向けて中央最低賃金審議会は7月28日に全国加重平均で41円、率にして4.3%引き上げることを目安として取りまとめました。これにより、前年度の961円に対して今年度は1,002円となり、全国平均での時給が初めて1,000円を超えることとなりました。
これを受けて、各都道府県では、個別に審議会において審議され、8月18日には各都道府県の最低賃金が出そろったところであり、結果的には全国加重平均で43円引上げの1,004円で決着をいたしました。
今年度の最低賃金の大幅な引上げは、昨年度の大幅引上げとなった31円をさらに上回る記録を更新した引上げ額となりました。この背景には、御案内のように急激な物価高があると思われますが、本来、審議会では使用者、労働者、有識者の代表が協議して引き上げるよう決定するものですから、引上げ額が極端に大きい数字になることは、支払う側である使用者から強力な抵抗に遭い、抑えられるのが常であります。ところが、昨年に引き続き今年も大幅な引上げが実現したのは、まさに政治主導と言えます。
今年の中央最低賃金審議会の議論に入るに当たり、岸田首相からは、最低賃金の平均値は1,000円まで引き上げることが必要と公言され、議論をリードしてきた経緯があります。岸田首相からは、1,000円を実現した後は、2030年度までには1,500円まで引き上げるべきと、今後の議論に大きく影響を与える
発言も飛び出しています。
現状の物価高を勘案した場合、こうした最低賃金の引上げは遅きに失したぐらいであり、中にはこの程度の引上げでは、昨今の物価上昇には追いついていないとの評価もあるところですが、いずれにしても歓迎すべきものであると言えます。
これにより、労使関係だけに頼っていてはなかなか引き上げられなかった県内の賃金引上げに大きな影響を及ぼすことになり、最低賃金付近で就労されていた労働者のみならず、県内労働者全体の賃金水準の引上げに大きく寄与することになるでしょう。
そこで、まず昨今の国主導による最低賃金の流れについてどのように評価をしているのか、お伺いをいたします。
これまで最低賃金の改正においては、地域別最低賃金の全国的整合性を図るため、中央最低賃金審議会が都道府県を4ランクに分けて、引上げ額の目安を示してきました。しかしながら、今年度より地域別最低賃金の差が生じていることや、ランク数が多ければ、その分、ランクごとの目安の差が生じ、地域別最低賃金の差が開く可能性が高いなどの理由から、ランク数がA、B、Cの3ランクとなりました。3ランクに改正となった理由については納得ができるものの、それぞれのランクの引上げ額の目安が、Aランクが41円、Bランクが40円、Cランクが39円と、引き続き地域別最低賃金の差が開く構図は変わっていません。
また、このランク分けの基準も、Aランクはこれまでの基準どおりとし、BランクはAランクの労働者数と同程度とすることとなっており、Cランクはその他扱いのようであります。
そもそも、これまでの経緯から、最低賃金が地域によって大きく差を生じさせることとなったことから、その是正が図られているはずなのに、引上げ額の目安がなお差が生じる方向になっていることや、本来重点的に引上げが必要なCランクを重視したランク分けになっていないことなど、制度に違和感を感じます。
そこで、こうした最低賃金を決定する制度について、本来であればどうあるべきとお考えなのか、お伺いをいたします。
また、こうした制度改正は、積極的に国に対して具体的に要請すべきと考えますが、知事の所見をお伺いをいたします。
さて、最低賃金の推移を島根県のほうに目を移してみると、昨年は33円の引上げ、今年は47円の引上げということで、中央審議会が示した目安を大幅に上回り、昨年、今年ともに全国トップクラスの引上げ水準でした。ランク分けを見ても、島根県は当然Cランクであろうと思いきや、ランクの中では最下位ではありますが、堂々のBランクに食い込んでいます。これにより、島根県の最低賃金は904円となり、全国平均の1,004円と比較すると100円の差まで縮小しました。しかしながら、まだ100円の格差があるということですから、引き続き引上げを要望する必要があります。
こうした大幅な最低賃金の引上げは、労働者にとっては朗報であったでしょうが、賃金を支払う側の使用者にとってはかなりの負担を強いられることとなります。島根県においては、その多くが中小企業であり、最低賃金程度の水準で雇用している企業も多いことから、その影響は計り知れないものと推察をいたします。昨今の最低賃金改正が労使の健全な交渉で決着したものではなく、国が主導してなし得たものであるのならば、国の責任は重大なものと言えます。
こうした状況を鑑み、国及び県ではこれまで様々な中小企業対策を打ち出してきました。そこで、国及び県がこれまで取り組んできた中小企業対策はどのようなものがあったのか、お伺いをいたします。
また、こうした対策は、賃金支払いに苦しむ中小企業に的確に効果を発揮しているのか、その分析についてもお伺いをいたします。
これまでこうした議論は県議会の場で多くの
議員によって繰り広げられてきました。しかし、中小企業に対し的確に効果のあった事業はあったかといえば、私の答えはノーです。
国は、中小企業向け賃上げ促進税制を導入し、一定の賃上げを実施した企業には法人税の一部減免を行っているのですが、賃金を支払うのも青息吐息の企業の中で、どれほどの企業が法人税を支払えるほどの黒字を出しているのでしょうか。
また、県はいきいき職場づくり支援補助金の中で、賃金アップ支援枠を創設して、一定程度賃上げした企業に対し、設備投資に一定の補助をすることとしています。しかし、先ほどと同様、賃金を支払うことに窮している企業が設備投資など可能でしょうか。また、恒常的に増える賃金に対し、1回こっきりの補助金で効果が得られるのでしょうか。既に現行の支援制度では限界があると言わざるを得ません。賃金引上げを余儀なくされる中小企業に対し、あまねく効果のある対策を検討すべきです。
特に、近年の最低賃金の引上げが国主導で行われているのですから、国の責任は重大です。県で対応することに限界があるとするならば、税金や社会保障の観点から具体的にその対策を検討し、国に対して強く要請すべきと考えますが、知事の所見をお伺いをいたします。
最後に、再生可能エネルギーの推進と環境影響評価についてお伺いをいたします。
環境影響評価、環境アセスメントとは、事業を実施するに当たって、環境にどのような影響を及ぼすかについて自ら調査、予測、評価を行い、その結果を公表して、国民、地方公共団体から意見を聞き、環境保全の観点から総合的かつ計画的に、より望ましい事業計画をつくり上げていこうとする制度です。
この環境影響評価の対象となるのが、ダム、道路、鉄道、空港、発電所などの13種類の事業であり、再生可能エネルギーと称される太陽光や風力などによる発電施設もその対象となります。事業規模の大小でも対象範囲が決まっており、一定程度の事業規模以上がこの環境影響評価の対象となります。
環境影響評価の手続の流れとしては、配慮書、方法書、準備書、評価書という4つの手順を踏んで進められるのですが、その手順を踏むごとに都道府県知事及び市町村長は、事業者もしくは国に対し意見を付すことができ、事業者に対して一定の規制をかけることができるようになっています。
現在、島根県内で環境影響評価の手続中の事業は8事業あり、いずれも風力発電の設置に係る環境影響評価です。こうした中、地元自治体からかなり強い反対意見が出ている事業も見受けられます。
そこで、まず現在の県内における環境影響評価の手続の進捗状況と、意見書としてどのような点について意見が付されているのか、お伺いをいたします。
環境影響評価というかなり厳密な審査があるにもかかわらず、設置自治体を中心とした地元からは厳しい反発を受けている事例が目立ちます。技術的な指摘もありますが、反対の多くの理由は、地元住民に対して十分に説明がなされておらず、理解が得られないままに事業が進行している点であります。
こうした点について、地元自治体からは再三にわたり意見書により指摘をして、地元住民の理解を図るよう求めてきているのですが、一向に改善されてはいません。それは、この事業の許認可を国が有しており、地元自治体から意見書を提出しても、その強制力がないことに起因しています。このような制度的な瑕疵とも言える点を補完するために、各自治体で独自に条例等を制定して規制しようとする事例があるようです。
そこで、都道府県レベルでこうした独自の条例を制定して規制しようとしている事例がどの程度あるのか、お伺いいたします。
また、条例制定によって、こうした制度の瑕疵とも言える点を補完できているのかどうか、お伺いをいたします。
本当に条例で事業者に対し規制をかけることができるのか、全国的な条例設置の広がりの状況を見ても疑問が残るところです。技術的な審査については環境影響評価に委ねるとしても、地元住民の十分な理解とは、どこで図れるのでしょうか。一人でも反対者がいれば、地元住民の理解が得られていないと言えるのか、悩むところであり、このことは条例で解決できる領域ではないのではないかと考えてしまいます。
では、地元の了解をどのように判断すればよいのでしょうか。唯一の方策として思い浮かぶのが、原発を設置する際に事業者と地元自治体とが締結しているような安全協定を結ぶことにより、地元自治体に設置同意の権限を持たすことはできないかということです。もしこうした協定を締結できるとするならば、住民の代表である議会や首長が議論の末、同意、不同意を判断することができ、地元住民の意思を最大限反映された形となるのではないでしょうか。
現在の再生可能エネルギーの推進は、原発同様、国の掲げるエネルギー基本計画にも盛り込まれています。こうした施設を受け入れるには、技術的な議論だけではなく、様々な方向からの議論が必要となります。これを地元住民と事業者との協議に任せるのではなく、地元自治体が主体的に関わり、最終判断は地元自治体ができるような事業者との協定が必要と考えます。
島根県は、国への重点要望の再生エネルギーの推進の項で、風力発電等に係る許認可等の手続において、地元住民の理解を得ないまま設置が進むことがないよう、法整備を図るとともに、地元自治体の意見が適切に反映される仕組みを早期に構築することと要望しています。
この具体的な手法として、地元自治体との協定の締結により、地元自治体が同意権限を有することができるようにするなど、国に対して具体的な要望をしてはどうかと考えますが、所見を知事にお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
28: ◯副議長(山根成二) 丸山知事。
〔丸山知事登壇〕
29:
◯知事(
丸山達也) 須山
議員の御質問にお答えをいたします。
最初の御質問は、県立高校の再編についての私の考えについてであります。
県立高校をどのように設置をするかということにつきましては、県知事と同様、独立した執行機関であります教育委員会において決定をなされます。当然、予算編成権、それから総合調整権という意味で一定の関与は可能でございますけれども、原則としてこういった事柄、この方針については教育委員会において検討され、決定されるべき事柄となりますので、私からはこの問題についての認識をお答えをさせていただきます。
午前の坪内
議員へのお答えの中でも申し上げましたとおり、県立高校におきましては、地域の生徒の
選択肢を確保した上で、充実した高校教育を提供し、卒業後の進路につなげていくことが大切でありまして、そういったことが実現できるように、県内各地域に設置することが望ましいと考えております。
そのため、近年では中山間地域、離島におきましては、学校の規模を一定水準以上に確保することよりも、地元の中学校を卒業した生徒さんが、親元から地元で通える高校がないといったことが生じないようにするということを優先いたしまして、1学年1学級、あるいは1学年2学級であっても高校を維持しているところでございます。
また、市部につきましては、学級減などを行いながら、単独校を維持をいたしております。しかしながら、さらなる少子化、過疎化が進行すれば、魅力化の取組だけでは学校の小規模化が解決できず、充実した高校教育を提供することが困難になってくることが懸念されます。
その際、近くの高校と統合することで、一定の規模を確保するのか、あるいは提供するその教育の内容の充実度が、一定程度制限されることをやむを得ないとして、より小規模であっても単独を維持するのかということの判断が必要となると考えております。
このたびの江津地域の教育委員会の検討というのは、今申しました前者の視点に立って案のたたき台をつくり、地元の御意見を伺っているところであります。一定程度具体性を持たなければ、意見の言いようがないということもあろうかと思いますので、一定の案をつくって提示されているというふうに理解をいたしております。
こういった状況は出生数の動向や、中学校卒業後の進路、地元の高校への関わり方など、地域によって状況は違いますので、現時点で一律の基準をつくって判断することは適当ではなく、個別に検討していくことが適当であろうというふうに思っているところでございます。
そして、この検討について冒頭申し上げましたとおり、私が方針を決定して指示する立場ではございませんので、執行機関であります教育委員会におきまして、この提示した案に対する地元の御意見を幅広く伺いながら、コンセンサスを得てほしいと思いますし、必要があれば、この提示した案の見直しをしていくということになろうかと、そういうことになるのではないかというふうに思っているところでございます。
次に、全国学力調査に関しまして、さきの
定例会見で私が
発言した内容についての真意等についての御説明でございます。
若干昨日の白石
議員への御答弁と重なりますが、先日の
定例会見におきまして私が取り上げましたのは、文部科学省が4月に実施されました全国学力調査の小学校6年生の算数の問題の中で、椅子4脚の重さを量ると7キログラムでした。この椅子48脚の重さは何キログラムですか、その求め方を式や言葉を使って書きましょう、また答えも書きましょうという問題でありました。ですので、単純に計算式を書いて答えが合っていれば丸になるのかどうか、ちょっとそこは採点基準は知りませんけれども、この問題の最終的な正答率というのは島根県が48.7%、全国の平均が55.5%でありました。
私は、教育委員会から御説明を聞いたときには、全国平均との差が、全国平均を下回っているということについて、詳しい御説明をされようとしたんですけども、私はそれ以前、高い低い、全国平均で55%、それよりも下がっているというのは、それはそれで解決しなきゃいけない課題が本県にありますけれども、日本全体において55%ということ自体で、これは大きな問題があるのではないかと思ったところでございます。
この問題は、小学校5年生で習う問題でありますけれども、その個別の要素を見ますと、計算のもとになります掛け算は2年生、割り算は3年生で習います。つまり、その掛け算の計算自体ができない可能性もあります。計算の掛け算を実生活において適用することができないということも考えられます。割り算においても同じであります。
どこでつまずいたかは一人一人違うと思いますけれども、いずれにしても2年生の段階か3年生の段階か、5年生の段階で理解できていない分野があるということを示しておりまして、仮に2年生のところでつまずいているとすると、6年生ですから、6年生の頭ですから、3年ぐらい算数の時間によく分からない授業をずっと受けてきている子どもがいるということにもなりますし、これがこのまま放置されていけば小学校6年生、中学校3年生の間、なかなかその内容についていくのは難しいということになるわけですので、ゆゆしき事態だというふうに思ったところでございます。
この問題が解けなかった要因としては、一つの理由には大きく時間の制約があったということで、落ち着いて解けなかったという要因はあろうかと思いますので、この問題だけ出されて10分で解いてくださいと言われれば、もうちょっと点数は上がったのかもしれませんが、いずれにせよ50%が100%になるわけではないと思いますので、全国の小学校の子どもの半分が解けなかったということは、やはり掛け算や割り算自体でつまずいているか、その掛け算や割り算を実生活に当てはめて使うということができていないかという問題が、そういう問題が半分の子どもさんに生じているということであります。
こういった、これは文章問題なので応用問題じゃないかというふうに形式的に言われる方もおられますけども、算数を生きる力として使っていこうと思ったら、この応用はできないといけない、応用の基礎中の基礎であります。計算はできるけども、実生活で使えないということでは、学習指導要領が目指しています生きる力になりませんから、そういう基礎的な分野の学力を身につけずに、次の段階に進んでいることというのは、子どもたちに分からないことを増やしていくことになりますし、授業を全く分からないし興味もないし、同時に興味もなくなっていくものに自分の時間を使わされているという状況を、学校の中で生み出していくということにつながります。
そして、学校を終えて、こうした学力を身につけずに義務教育を終わらせて、最終的に実社会に出ていくということになりますと、これは義務教育の役割を果たしているのかということになりますので、義務教育の体をなしていない可能性があると
発言したものであります。
私は、義務教育は非常に大事だと思います。これは一つの説でありますけども、我が国が幕末から明治に至る段階で、アジアの多くの国は西欧列強の植民地となった時代に、日本はそういったことにならず、独立した国として継続しましたけれども、その幕末期に日本の状況を見た外国、欧米列強の方が、識字率が高い文明国だと、欧米列強の国よりも識字率が高い、つまり当然義務教育をしている水準ほど高くはないはずですけども、一般庶民を含めて、寺子屋も含めてそういう庶民にも教育が普及していると、商人は当然できないといけないですしという、そういうことが教育が基礎になって我が国の歴史がありますし、たしか昭和の合併というのは中学校をきちんと運営できる水準でやっていこう、つまり戦後義務教育が小学校までから中学校までになって、中学校まで市町村において運営しないといけなくなった、中学校を運営できるぐらいの規模として、一定の数値目標を設けて昭和の合併を進めた、そういうことを含めても地方行政の根幹は教育からスタートしておりますし、それだけ大事だから、お金をかけてきたということであります。
これは社会学的に見ても我々の社会が、例に例えれば、階級社会が残っていると言われる国に比べると、自分が生まれた親の状況に左右されずに自分の進路が幅広く開かれている、そういう国であり続けようと思えば、こういう義務教育がきちんとした役割を果たしていかなければ、その生まれた家庭環境で自分の人生は、この世界はすごく制約されているというふうに子どもが思ってしまう社会というのは、成長する社会じゃないはずですし、実際に、これは最近、親ガチャという言葉があるそうです。親に恵まれてないと自分の人生は開けないというふうにやゆする言葉だそうですけども、そういったことが我々の社会の中で広がりつつあるという危機感を持って、対処しないといけないというふうに思っているところでございます。
繰り返しになりますけども、生きる力という意味での典型的な、ものすごく基礎的な応用問題の算数ですけども、これが実現できていないということは、学習指導要領が目指す生きる力を育むということを、小学校6年生の段階で対象となる子どもさんの半分ができてないわけです。ですから、小学校の義務教育が半分の人に対して実現できてないという状況は間違いなく成功していないと思います。
ですので、もう一つ申し上げると、このテストをしながら、今の学校の先生方は、この問題を解けなかった子が解けるようにしようとする時間が恐らくないでしょう。これだけの率直に申し上げて忙しくて新規採用、採用試験で人が、倍率がどんどん下がっているというふうな状況の多忙を極める学校現場で、先生の裁量で時間を確保して、この問題ができなかった子どもが、これは困るからといって補習をしてあげるということもままならない、つまりこんなテストはするけれども、できなかった子どもを放って、放りっ放しにしていこうとしている教育システムになっているということですので、それはやっぱり改めないといけないと思います。つまり、私は学習内容を何も調整せずにやったほうがいいこと、できないといけないことに加えてやったほうがいいこと、この間総合学習とか、我々が求めてきたふるさと教育もそうかもしれません。そうだと思います。道徳教育、英語、プログラミング、いろんなものをこの間追加されてきました。何も削られずにですね。そういうことを我々も反省しなきゃいけないと思いますけども、それを制度化された側が過剰になっている教育課程を整理する、または
選択制にする、そういったことを通じて、できたほうがいいことを身につけれるようにはするとしても、できないといけないことができるようにするということが、おろそかになっている現状を早く直さなければいけないのではないかというふうに思っているところでございます。
こういった状況を改善するために、過剰になっているところを削って、子どもさん方の個別のつまずきを直すために準備をする時間とか、それを実際に子どもさんに対応する時間をつくっていかなければなりませんので、そういうことをするために学習指導要領を抜本的に見直して、中身を削って、または
選択制にして、市町村教育委員会単位だと思いますけども、
選択制にする、優先順位をつけるということなどの全体の仕組みを改めなければならないというふうに申し上げたところでございます。
次に、国の指導によります最低賃金についての評価であります。
今年度の目安の決定におきましては、政府方針として全国加重平均1,000円を達成することを含めて、この審議会でしっかり議論を行うというふうにされていることを踏まえて、中央の審議会で議論が重ねられました。その結果、最低賃金が消費者物価を一定程度上回る水準であることが必要だということが総合的に勘案されまして、先ほど
議員から御紹介いただきましたランク別の目安が答申をされたところでございます。
この目安を参考に、実際の決定は各都道府県単位の地方最低賃金審議会で議論がなされ、24県で目安を上回る上げ幅となったところでございます。このことは消費者物価の上昇が続く中で、最低賃金に近い賃金水準で働く方々の生活の維持にとって、必要なことであったと考えているところでございます。
ただ、一方でこれはトレードオフの世界でございますので、最低賃金は企業の規模や経営の状況、価格転嫁がうまくいっているかといった状況にかかわらず、全ての企業に適用されます。したがって、政府が最低賃金について一定の方向性を示して進めるのであれば、それと並行して厳しい経営状況に置かれている地方の、これは地方に限りませんけど、中小企業全体に無理なく賃上げの原資が確保できるように、国が責任を持って支援の継続拡大や追加の措置を講ずる必要があるというふうに考えているところでございます。
次に、上位ランクほど目安が高く示される現在の制度についてどうあるべきと考えるか、制度改正を国に要請すべきではないかということについてお答えを申し上げます。
現在、この企業の規模や社会資本整備の状況など、また企業の集積度など大都市圏とこの地方の間で大きな格差がある現状におきまして、全国一律の目標設定をしていくということについては、最低賃金の低い地域ほど目安を高くするようなことになりますので、地方の企業経営に過度な負担が生じ、事業継続や雇用継続に支障を来すことが大変懸念されます。また、各地域の最低賃金は各地方の最低賃金審議会において、この国が示した目安を参考にしながら労働者側の委員、使用者側の委員、公益の委員がこの議論を尽くして決定されるものでございます。これ自体には合理性があると私自身は受け止めておりまして、現行制度そのものについて改正を求めることは考えていないところでございます。
次に、中小企業の対策として、税金や社会保障の観点を含めて、国に対して具体的な対策を要請すべきではないかということについてであります。
議員から御提案いただいておりますように、税制や社会保障制度において、最低賃金引上げによる企業の負担を軽減するということも一つの手段かもしれませんが、それよりも中小企業にとっては、これは最低賃金の格差がなぜ生じるかということは、本体の賃金に差があるからであります。最低賃金にだけ差があるのではなくて、給与全体に地域間の格差がある、企業の集積に格差があるということでありまして、ですので最低賃金だけに着目するのではなくて、賃金全体で捉えなければいけないと思っております。
今後、上昇し続ける賃金水準に対しまして、中小企業が持続的に賃上げができるようにしていくためには、税、社会保障の観点よりも賃上げの原資の確保がなされることが最も重要だというふうに考えております。
賃金引上げを政府が政策的に誘導するのであれば、中小企業がこの人件費を含む各種コストの上昇分を適正に価格転嫁できるように、取引先に対してできるようにして、賃上げの原資を確保できるように、国が責任を持って環境整備を行うべきだと考えております。つまり、賃上げの要請をされ続けて実現をされた政府の力で、取引における適正な価格転嫁、これを大企業が大本ですから、そこからやってもらうということに取り組んでもらうべきではないかと考えております。
大企業が取引先に対しまして、人件費を含むコスト上昇分を取引価格に反映させる適正な価格転嫁に応じなければ、大企業と中小企業の賃金水準の格差も既に今年も開いている感じがしますけども、これが続き、このことが大企業の集積が集中する大都市と、そうではない地方の格差につながっていく、そして最終的には賃金を上げることができない地方の中小企業の人手不足による事業縮小や廃業につながりかねないわけであります。
したがいまして、春の重点要望におきまして、下請取引の適正化に向けた発注企業への働きかけや、取締りの強化を公正取引委員会や中小企業庁に求めてまいりました。公正取引委員会の事務総長のところに行きましたけども、都道府県知事が来るのは初めてだというふうに言われました。私からすると、取引価格の改定に応じないのは優越的地位の濫用です。優越的地位の濫用に含めるべきです。そして、課徴金を科す、別にカルテルだけが悪いんじゃない、価格転嫁を受けれるのに受けない、企業を放置しているからこんなことになるんじゃないか。ですので、そういう法制度も含めて本気でやろうと思えばできないことはない、大きな企業からやっていけば、上流からやっていけば手っ取り早くできます。小さな企業同士の取引なんかGメンで見なくていいので、大きな会社の大きな取引を見てもらって、改善をしてもらうというふうなことを含めて実効ある政策、制度が実現されるように、国に引き続き強く訴えていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
最後に、風力発電の関係で、協定の締結を通じた同意権限を地元自治体に与えるといったことなど、国に対して具体的な要望をしてはどうかということについての私の所見であります。
島根県といたしましては、
議員の問題意識を踏まえまして、風力発電に係る協議会等の席において、地元住民の理解を得ないまま設置が進むことがないように法整備を図るとともに、地元自治体の意見が適切に反映される仕組みを早期に構築するように、春の重点要望から行ったところでございます。
協定の締結につきましては、具体案につきましては、正直申し上げまして現実的ではないと考えております。この原子力発電所と風力発電所、同じ発電所ですけども、原子力発電所だけで地域電力、大きな電力会社とかが設置する原子力発電所だから協定締結をしています。同じ中国電力の発電所である三隅の火力発電所にそういう安全協定はありません。そういうことをしなければ、立地が恐らく実現できなかったという経緯があるんだと思いますけども、そういう自分の持ち物、発電所というのは電力会社の持ち物です。その稼働するかしないかということを他者に委ねるというのは、非常に異例中の異例であります。これを地域電力でもない事業者の皆さんが、これは協定ですから、自分がやろうと思わなければできませんので、協定を締結してくれるというふうに期待するのは難しいだろうと思いますし、そういった任意に委ねることというのは制度ではありませんので、制度としては協定締結を義務づけるという法制度も難しかろうと思いますので、別のもっと違うようなやり方になるのではないかというふうに思うところであります。
あとは、やはり原子力発電所との並びでいっても、なかなか風力発電所でその原子力発電所と同じような強い規制を法的に求めるというのは、なかなか難しいのではないかというふうに思っておりますけれども、現在生じている様々な各地域でのトラブル、これを制度的に解決していかないと、個別に事業所が対応するということも余計に可能性が下がりますので、結果的に風力発電を推進することにならないという意味において、今環境省なり新エネルギー庁で検討が進められているというふうに伺っておりますので、まずはその推移を見守りたいというふうに考えているところでございます。
私からの御答弁は以上でございます。
30: ◯副議長(山根成二) 西村環境生活部長。
〔西村環境生活部長登壇〕
31:
◯環境生活部長(
西村秀樹) 風力発電施設の設置に係る現在の県内における環境影響評価の手続の進捗状況と、意見書にどのような意見が付されているかについてお答えします。
現在手続中の事業は8事業あり、そのうち1段階目の配慮書が終了した事業が2事業、2段階目の方法書が終了または手続中である事業が4事業、県として最後の意見が言える3段階目の準備書が終了または手続中の事業が2事業あります。知事意見においては、騒音、水環境、動植物、景観など環境保全の見地から配慮を求めているほか、地域住民等の懸念事項を十分に把握した上で、積極的に情報提供し、理解が得られるよう、丁寧かつ十分な説明をすることを各段階で事業者に求めております。
次に、風力発電施設の設置に係る都道府県レベルで、独自の条例を制定して規制しようとしている事例がどの程度あるのか、また条例制定による効果についてであります。
環境影響評価法の対象とする事業規模より小さな事業にも手続を義務づける条例は、全ての都道府県で定められておりますが、事業者が地域住民等に事業計画を説明し、住民の理解を得るよう努めることなどを求める内容を含む条例を定めているのは、把握している範囲で、風力発電に関しては兵庫県、山形県の2県です。
このような条例を制定することで、環境影響評価に関する法律及び条例の対象外となるような小規模事業についても、事業者による住民説明の機会が設けられるなど、地域の実情に応じて、地元住民と事業者の合意形成を図る上で、一定の効果はあると考えられますが、地元住民等の理解を得なければ手続が進まないということを担保する制度にはなっておりません。
また、これら条例制定による効果についてですが、条例制定した県への聞き取りによりますと、手続を最後まで終えた事例がまだないため、現時点では効果の有無を答えることは難しいとのことでありました。
32: ◯副議長(山根成二) 新田商工労働部長。
〔新田商工労働部長登壇〕
33: ◯商工労働部長(新田誠) 国及び県がこれまで取り組んできた中小企業対策の内容と、その効果の分析についてお答えをいたします。
国の中小企業支援施策は、長く低利融資のほか、販路開拓や新商品開発、人材育成のためのソフト事業への支援が中心でございました。平成24年度の補正予算におきまして、いわゆるものづくり補助金が予算化されて以来、ハード事業への支援が拡充され、中小企業の生産性向上のための設備投資、IT導入などの取組のほか、新分野展開、業態転換等の事業再構築を支援する補助事業が継続的に実施されてきております。
県におきましても、アドバイザー派遣による経営改善のほか、販路拡大や新商品開発などへの支援、近年ではエネルギーコストの削減や、生産性向上を促進する設備投資、デジタル化の支援などを強化しているところでございます。
今申し上げましたこれら国や県の支援施策による効果を包括的にはかり、分析することは難しいのでありますが、個々の事業、例えばしまね産業振興財団を通じて実施しておりますアドバイザー派遣や助成事業を例として見ますと、令和元年度から令和4年度まで計486社を支援しておりますが、この中で付加価値額が増加した企業は、4年間の平均では55%に当たる265社、令和4年度では129社のうち66%に当たる85社となっております。このような例もございます。
この例は、あくまでも支援策のごく一部でございますので、コロナ禍など厳しい経営環境下にあったことを踏まえますと、中小企業の支援策として一定の効果も現れているのではないかと捉えております。今後も各事業の効果の把握に努めまして、中小企業の支援策に生かしてまいりたいと思います。
34: ◯副議長(山根成二) 野津教育長。
〔野津教育長登壇〕
35:
◯教育長(
野津建二) 初めに、教職員の働き方改革の検証結果についてお答えします。
県教育委員会では、令和元年度から令和3年度までを重点取組期間と位置づけ、働き方改革を進め、昨年12月に検証結果を公表いたしました。その結果、時間外勤務については、全校種平均で取組前から44%減少いたしましたが、年間360時間以内の数値目標を達成できたのは特別支援学校のみでありました。
時間外勤務の詳細を見ますと、月30時間未満の者が50%いる一方で、月60時間以上の者が18%いるなど、教職員の間での二極化の傾向が見られます。また、いずれの校種においても、教頭と主幹教諭の時間外勤務が他の教職員と比べて多くなっています。
さらに、
議員御指摘のとおり、ワーク・ライフ・バランスが取れていると感じる教職員の割合は、平成30年度に45%であったものが、令和元年度57%、令和2年度64%と増加しましたが、令和3年度は42.6%に低下いたしました。この要因としては、令和3年度には多くの学校で新型コロナウイルス感染症が発生し、精神面を含めた教職員の負担が増大する中、新学習指導要領への対応が重なったことや、近年の深刻な教員不足による負担増も影響していると考えております。
次に、教職員の勤務に関する実態究明についてであります。
現在、教職員のより詳細な勤務実態を把握するための調査を行っております。調査期間は、調査に係る学校現場への負担を考慮し、9月から11月までの間で学校が任意に定める1週間としております。対象校は、全校種の約1割となる計38校を抽出し、教職員数は全体の7分の1、約1,000名を対象としております。
調査項目は、5日間の勤務日における休憩時間の取得状況、1週間の持ち帰り仕事の状況、ワーク・ライフ・バランスに関する意識の3点であり、休憩時間と持ち帰り仕事については、1日ごとにその有無や時間、内容を調査用紙に記録することとしています。
調査の実施が管理職等への過重な負担とならないよう、個々の教職員の回答の集計は全て県教育委員会で行い、分析結果につきましては、まとまり次第公表したいと考えております。
36: ◯副議長(山根成二) 野津
議員。
〔野津直嗣
議員登壇、拍手〕
37: ◯野津直嗣
議員 自由民主党ネクスト島根、野津直嗣です。
2回目の質問でございまして、本会議場で質問するのは初めてでございますので、少し私の変わったプロフィールと政治的な背景も少しお話ししながら、6分ほどお時間をいただいて、あまり議場では聞き慣れない言葉等もあるかもしれませんけども、お伝えをしたいと思っております。
私は以前、松江市で臨時職員として、ごみ収集をしておりました。また、プライベートでは音楽、DJやバンドマン、こういったことをしておりました。まだ山陰にもライブハウスがなかった時代です。田舎の若者が東京を夢のように憧れていた時代、お盆や正月に帰ってくる友人たちがあか抜けて見えた時代です。
1970年代にイギリスのロンドンから、世界中のミュージシャンへ広がっていったドゥー・イット・ユアセルフという言葉があります。今では、頭文字を取りDIYという言葉で、自分でいろいろなものを製作する言葉として使われておりますが、正確には少し違います。この言葉の意味は、人のせいにするな、人が動かないのならば自分自身でやりなさい、あなた自身でやりなさいという大きな意味です。これは、私がバンドマンのときから変わらぬ、今も変わらぬ自分の政治や行動の基本理念です。
私たちがあの時代志したのは、島根や松江でも夢や理想は実現できる、そう信じて手探りで山陰の音楽シーンをここまでつくってまいりました。山陰のバンドで初となる全国ツアーを行ったり、レコード会社をつくったり、そして地元のバンドのCDを出したり、山陰各地でライブのイベントをしたり、田舎でもできるということを証明したかったからです。
そのうち、仲間からライブハウスをつくる人間が現れ、今では多くのライブハウスがこの山陰にでき、そしてその場所からOfficial髭男dismをはじめSaucy DogやOmoinotakeなど多くのバンドが日本で活躍していることを誇らしく思います。
私は音楽のみならず旅が好きで、日本各地、世界各国をバックパッカーのように旅をしました。人や文化、価値観に触れるためです。アフリカの貧民街では片腕を切り落とされた少女と出会いました。その少女の腕を切り落としたのは、実は御両親、哀れみを多く受けるために物乞いという仕事でしっかりとお金を稼いで、その子が将来死なないように御両親が腕を切り落とした、悲しい御両親の行動。またブラジルの貧民街ファベーラでは、ピストルの音が絶えず、少年が銃を持ち、その子どもたちと一緒にサッカーで交流をしたり様々なことをしました。世界は広く、多くの価値観が存在することを深く知りました。
そして、2009年、フィールドを変えて松江市議会
議員選挙に挑戦をいたしました。今まで政治に無関心であったろう若者や多くの人たちが市議会に送り出してくれました。
議員2年目に目が見えなくなる難病、午前中の坪内
議員の
発言にありましたけども、網膜色素変性症という難病と告げられ、医者には50歳で目が見えなくなっていると言われました。難病ですから、当然治療法も今の状況ではありません。私の目の難病は徐々に視野が狭くなり、最後は視力も失っていくという進行性の難病です。現在、視野は皆さんの約10分の1、今はほとんど真っすぐしか見えておりません。また、暗い道は歩くことができません。よって、県議会や県政関係者の皆様には、視察先や議会活動中など、特に宴席の場でお酒などが注がれていることが視野に入らず、無視したように見えたり、人にぶつかったり、挨拶など見過ごす場合があり、失礼があるかもしれません。どうか御容赦いただければと思います。
しかし、世の中には、こんなことよりもはるかに困難を抱えておられる方が大勢おられますから、ここで先ほどお話ししたのは、皆さんをはじめ、県民、市民の皆さんに今後の活動で御迷惑をおかけすることがあるかと思って、改めてお伝えをさせていただきました。
目の治療は、昨年最新の知見が発表され、そう遠くない将来に病気が克服できると私自身は信じております。
さて、島根の人は真面目で勤勉で保守的だとか、いろいろな表現がありますが、それでも地域の共同作業など決して便利とは言えない暮らしの中で、ふるさとを一生懸命に守っている人たち、私は島根県民が日本一、誰かのために汗をかいている県民だと信じています。知事も私たち県議会
議員も、そんなひたむきな県民の代表であり、日々の思いを背負っていると思っています。
最近、今の日本の諸問題を改めて考えたときに、ふと思うことがあります。昨日の知事の話の中にも幾つか共通する部分が出てまいりました。それは一つのマインドです。今日よりも明日のほうが明るい未来だと確信を持って言える人が、私も含めてこの議場、日本や島根に何人おられますか。人が明るく笑顔で生きていく地域をつくっていくために、一丁目一番地にしなければいけないことは何ですか。抽象的ですが、最も大事なことは、私の病気もそうですが、希望をみんなが持つことなんだろうと思っています。
先般ある方に言われました。この日本は、希望を忘れている、これが諸問題の根源じゃないですかと。希望とは今日よりも明日のほうが明るいと信じるエネルギーです。それは一個人から家族に伝わり、地域に広がり、市町村に広がり、島根県、全国につながっていく感情であり、どんな政策よりも多分大事な社会を動かす国民のエネルギーです。
バブル期の日本にはそういうエネルギーが多分あったはずです。私自身も、また皆さんもこの島根で一生懸命に生きて、このふるさとで最期は死んでいくのだろうと思います。そして、この地にはこれからの未来を生きる家族や大切な人たちが残ります。その人たちのためにも、政治が希望を忘れてはならないと改めて強く思います。
改めて皆さんと共に、目の前にある高い壁を越えて、希望を持った取組を知事や執行部、
議員の皆さん、県民の皆さんとできることを信じていますし、長くなりましたが、事情と思いの背景の説明をさせていただきました。
改めて質問に入ります。
次期総合計画の計画策定の基となる県民アンケートの調査に関して質問します。
私は過去、まちづくり会社を2つ立ち上げました。そのときに様々な自治体の政策をつくる仕事もしており、そんなとき、ある言葉がありました。それが、だろう企画というものです。例えば、あの地域は不便だからかわいそうだろうとか、いろいろな状況を○○だろうと想像して政策を打つと失敗をすることをだろう企画といいます。
成長する企業は、ターゲット客の情報、ニーズを最も大事にします。では、行政はどうやって情報を取るのでしょうか。行政の皆さんが地域の人から得る情報、代弁者たる
議員の声、様々な情報の取得の仕方があります。一方で、近年は県民が恐らく一番最初に相談する相手はインターネットの
検索サイトではないかと思います。介護で困れば、松江市、介護、相談などで
検索し、公的な窓口に相談する流れも多いと思います。サービスを提供する者にとって、相手が何を求めているかを知ることは、最強の財産であり武器です。
話を元に戻し、県議会でも人口減少対策や、最終ゴールである県民の幸福のための議論が行われております。そんな中、先般6月議会である答弁が気になりました。それは、令和4年度中山間地域住民生活実態調査の暮らしの幸福感の答えでした。いわゆる不便だと思われている中山間、過疎地域の住民の実に87.7%が幸福だとアンケートに答えている事実です。人口規模や経済的不便さではない価値提供によって地域の幸せをつくっていけるという、東京では獲得できない、島根にとっては希望の持てる調査結果であると思います。
しかし、これを喜ばしいと思う一方、私はこの一定の幸福感や満足感こそが、島根県が地域衰退から脱却できない大きな理由ではないかとも感じています。昨日知事からあったように、国家のフレームは非常に大事です。国づくり自体が既に持続可能ではない構造になっています。強く共感し、頑張っている県民を代表し、変革を求めていく議論だと思います。同時に、この地で生まれ育った者として、まだやれる工夫、腹のくくり方があるのではないかと思うのです。
私たちは一体何のためにこの議場で議論しているのか、地域というコミュニティーを残すことが目的か、地域が残れば県民が幸せになるのか、県民が幸せならば、地域はなくなってもよいのかという根本的な政策目標の問いをより深く考える必要があります。
例えば、アンケートの設問を変えて、皆さんが住む地域は30年後も未来は明るいと思いますか。自分が住む地域を残したいと思いますかと設問したときの結果は、想像に難くないと思います。
県民の心理や環境まで、本音の部分まで解析する必要性、県民の皆さんが自分事として状況を直視する必要性から、島根創生は始まるのだと感じます。その上で、客観的なデータや現場情報を組み合わせ、導き出せる施策の議論が、だろう企画ではなく、よりタイトな施策になっていくと感じます。
島根創生計画も次期計画では政策目標を今以上に目標を見える化し、県民と共有する工夫や、より深い県民調査が必要ではないかと思います。
そこで、県民のニーズや実態を捉え、一定のデータや数字に基づいた政策、施策提供が求められます。こういったことを踏まえて、次期総合計画では、より深く的確な施策に反映できる、県民へのアンケート調査やそれに伴う施策が必要だと思いますが、所見をお伺いいたします。
次に、ACP、アドバンス・ケア・プランニングについてお聞きします。
ACP、アドバンス・ケア・プランニングとは聞き慣れない言葉だと思いますが、以下ACPと略します。これは、人生の最期について家族で話したりすることをACPといいます。例えば、健康な高齢者の皆さんに死の話や、それを前提に話すことはとても勇気が必要で難しいことです。しかし、これは高齢者だけでなく、今を生きている私たちにとって、明日は何があるか分かりません。残された遺族、また故人にとっても悔いを残すことなく、生涯を終えることが大切なことだと感じています。人は誰しも死から逃れることができません。このACPの取組を多くの人に知ってもらい、人生の最期や遺族が新しい人生のスタートを切れるように、この問題から目をそらさないことが大事であると思います。
現在、厚生労働省が取組の推進を図るわけですが、今回の調査の中でも、島根県の取組をかいま見させてもらい、様々な角度、手法でアプローチされていると思いました。多くの皆様に知っていただく機会と捉えた上でも、改めてこのACPについて、認知の現状や、島根県で行っている取組などを伺います。
次に、島根県を担う大切な子どもたちを取り巻く環境の変化について伺います。
その中で、子どものテレビやユーチューブ、スマホやゲームなどのスクリーンタイムの変化について伺います。
コロナ禍で、子どもの自宅での活動が増え、スマートフォンやゲーム、ユーチューブなどを見る機会が増えていると、様々なメディアで言われています。
日本医師会と日本小児科医会では共同で昼夜逆転現象、学力低下、脳機能へのダメージ、コミュニケーション能力、視力、体力などへの影響について懸念を啓発するポスターを作成しておられます。こういった状況の中で、島根県の子どもの電子デバイス、テレビ、スマホ、ユーチューブ、ゲーム等のスクリーンタイムはどうでしょうか。
まず、島根県の小学生や中学生の電子デバイスのスクリーンタイムの直近5年間の数字と今後の対策について伺います。
2点目、また乳幼児の電子デバイスのスクリーンタイムの直近5年間の数字と今後の対策についてを伺います。
次の質問は、島根県立宍道湖自然館ゴビウス、通称ゴビウスの改修についてです。
ゴビウスは言うまでもなく、子どもたちや家族連れでいつもにぎわっています。大規模ではなくても、身近な宍道湖・中海をはじめとした周辺の魚を気軽に触れられることで、皆さんも御家族連れで行かれたことがあるかと思います。
さて、そのゴビウスもオープニングから年月がたち、多くの皆さんが懸命に運営されているおかげで、きれいには見えますが、現実の部分としては、通年を通して老朽化対策が必要な状況ではないかと思います。小さい補修を繰り返せば、その場の補修費は小さくて済みますが、結果的に最後は改修しなければなりません。支払いも膨らみます。自宅ならば、そういう改修をするかという議論もあります。結果的には、最後に県民に大きな負担が残ることになるものと思いますが、さてそのゴビウス、実によい施設です。
老朽化を感じさせない施設の展示には、スタッフなど現場の皆さんや関係者から、魅力を伝えたいという思いがあふれていて、そういう小さな積み重ねがゴビウスの魅力を生んでいると感じます。
そこで、質問です。
近年、SDGsや水環境の大切さ、循環型社会の意識が高まり、ふるさと体験学習も盛んです。抜本的な老朽化対策のみならず、ぜひともゴビウスをさらに魅力的な施設に改修していただきたいと思いますが、所見をお伺いします。
次に、この県庁周辺の土地や駐車場、建物の在り方についてお伺いします。
この県庁がある殿町は、島根県の中でも屈指の土地です。松江城のそば、観光やまちづくり、都市景観、土地の価格など、様々な面からです。県民の大切な資産の有効的な運用は既にしておられると思いますが、以下の視点から質問します。
田部元知事は、以前この島根県庁が松江城の一部であったことから、県庁、県民会館、図書館、武道館など計画を立てて配置したと聞いております。改めてこの計画の趣旨、内容についてお伺いをいたします。
そして、具体的に私が気になるのは、県民会館と東庁舎の駐車場を含む共有空間、そして県立図書館の駐車エリア、そしてこの議事堂の南にある老朽化の激しい立体駐車場のエリアです。議事堂横のエリアだけ見ても大手前駐車場の大手前広場よりもはるかに広い面積を持ってます。
田部元知事の考え方は、現在の概念で言うランドスケープデザインではないかと思いますが、なぜ今議会でこの質問をしたかといいますと、現状このまま放っておいて、議会の横の立体駐車場とか、こういったもの、駐車場の老朽化が進めば、またその場所に新しい駐車場を建て替える、そしてその単純作業のまま、大事なこのエリアが全体の配置計画もなく、ちぐはぐなままになるのではないかと思っているからです。
立体駐車場も、その横にある車庫も古くなっています。この土地単価が高いエリアに市の景観条例に沿った形で立体駐車場や、また別の形など有効的な土地活用のアイデアも考えれば出てくるのだと思います。
いずれにせよ、一度この周辺については、県庁の来庁者、県議会、図書館、武道館、県民会館などの利用者、県庁職員、観光客などの利用者、また松江市のまちづくり観光エリアですので、十二分に松江市とも協議して、いずれ来る改修などの時期に、田部元知事までとは言いませんが、計画的に建設やレイアウトなどの計画を備えていただきたいというのが質問の趣旨でございます。所見を伺います。
次に、隠岐諸島に触れます。
島根の魅力が伝わり切れないのは、昔からよく言われる言葉です。日本全国、世界各地を旅して回りましたが、あれほどのスケールを持った地域はないと思うのが隠岐諸島です。冬季の物理的な自然の問題はあります。しかし、隠岐4島がにぎわえば、瀬戸内のインバウンド観光で受益する高松市と同じで、県東部全体への観光に波及するのは間違いありません。
私は、現在も現場で地域づくりやまちづくりをライフワークとしております。その中で、今や島根の観光の主要となった美保関の観光も、10年前あの地で神と海の祭という小さなフックイベントを仕掛けました。そのときも必ず人気の観光地にするという目標と計画を定めて、地域の皆さんとずっとやってまいりました。フックとはマーケティングの分野で、人の興味を引き、心に引っかける仕掛け、つまり最初の仕掛けという意味で使います。
私は、島根県の中で最もフックがかけやすい地域が隠岐諸島だと思っています。毎年プロモーションを打つだけでは駄目なのは、皆さん御存じのとおりだと思います。フックのコンテンツ、内容、ターゲットを絞り、時期とスパンを決め、人材育成も同時進行で戦略的に土台づくりを行っていく必要があります。
そこで、改めてということになると思いますが、隠岐の観光の現状と可能性について、また基礎的な課題は何か、今後の支援の在り方について所見をお伺いいたします。
また、県民の皆さんの知らない部分で、既に富裕層たちの旅行手段も変わり、いわゆるプライベートジェットなどの旅行や、数十人規模の貸切りチャーター機やヘリコプターなどで来県する方法が実は増えているのではないかと思います。
そこで、隠岐空港を含む県内各空港の貸切りチャーター機、ヘリコプターなど直近5年間の利用状況と、また問合せ状況等をお伺いいたします。
最後に、島根県全体の観光についてお伺いします。
インバウンドの話をするときに、どうしても総論として、都会地から島根にインをする手段や目的が議論の主になるわけですが、今回は島根に長期滞在することにより、インバウンド回復に向けたフックや認知度や高付加価値につながるという考えについて質問します。
例えば、萩・石見空港をチェックインし、島根県を縦断し、隠岐・出雲空港をアウトしていくというような、そんなイメージです。島根県内には、世界遺産級の素材がたくさん眠っています。石見神楽、農海産物、すばらしい秘湯や自然環境、石見銀山、出雲大社、松江城、足立美術館、雲南のたたら、隠岐諸島、またこれに圏域である鳥取県の大山、三徳山、鬼太郎ロードを加えれば、2週間の滞在でも十二分に耐えれる世界遺産クラスの観光コンテンツがそろい、周遊も可能です。この距離や地域にこれだけの素材が眠っているのは、全国の地域でもそう多くないと思います。
しかし、まだそれぞれの素材が、ストーリーや一体性を持った旅行スタイルになっていない現状だと思います。その中で、国の観光庁においては、先ほど述べた一定のエリアを周遊するロングストーリーなどの観光地や商品造成の支援をしています。
島根県では、先般6月議会でも質問にあったように、個別地域の観光地づくりを支援をしています。野球と同じで、チームが強くなるためには、それぞれの選手が強くならなければいけませんので、役割と施策の方向性については、島根県の施策については強く共感するところです。
そこで、質問をします。
島根県の方向性を評価する一方で、観光の個別地域の支援のみならず、ストーリー性を持った広域観光の視点も大事だと思いますが、所見をお伺いをいたします。
以上、御答弁をよろしくお願いします。また、御清聴いただきました
議員の皆様、執行部の皆様ありがとうございます。御答弁をよろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
38: ◯副議長(山根成二) 丸山知事。
〔丸山知事登壇〕
39:
◯知事(
丸山達也) 野津
議員の御質問にお答えいたします。
最初の御質問は、次期の総合計画におきまして、県民ニーズなどをより的確に把握するための県民へのアンケート調査や、それに伴う施策提供の必要性についての認識であります。
アンケート調査によりまして、県民の皆様のニーズや実態を把握し、それらに基づいた施策、事業を展開すること、実施することは、県政にとって重要なことであるというふうに考えておるところでございます。
現在、本県におきましては、県民の皆様の意識を把握し、今後の県政推進のための基礎資料といたします県政世論調査を毎年度実施をしておるところでございます。また、前回の総合計画、島根創生計画を策定いたしました令和元年度には、県民の皆様の施策に対する満足度やニーズを把握するための意識調査を行いまして、政策、施策の立案などに反映したところでございます。
さらに、これは適宜でございますけども、特定の政策の目的、政策ごとにより深く県民の皆様のニーズや実態を把握する必要がある場合には、この御質問にも取り上げていただきました中山間地域住民生活実態調査のほかにも、子育て、結婚に関する意識調査や子どもの生活に関する実態調査などの各種アンケート調査を行いまして、施策の立案、調査などに活用をいたしておるところでございます。
次の創生計画の策定に向けた県民ニーズの把握の方法につきましては、今後具体的に検討してまいりたいというふうに考えておりますけども、調査の手法や設問を工夫いたしまして、より的確に県民の皆様のニーズや実態、また県施策への評価が把握できるように工夫をしていきたいというふうに考えているところでございます。
次に、県庁、それから県民会館、図書館及び武道館などの配置計画の趣旨や内容についてお答えをいたします。
昭和35年に当時の田部長右衛門知事の強いリーダーシップの下で、官公庁施設を1団にまとめていくという1団地化を目標とした県庁の島根県庁周辺整備計画の策定が開始されまして、建設用地の取得や施設移転などの難しい課題に取り組まれたところであります。
昭和39年には多くの県民の理解がいただけるように、学識経験者及び関係機関の代表者から成る委員会を設置して、広く専門的な意見を聴取しながら作業が進められ、松江市のマスタープランとの関係の下に、計画的な整備が行われたものであります。
この島根県庁周辺整備計画は、松江城を主体とする景観の保持と、この景観、そして庁舎群との融合化を主眼としております。松江城天守や城山からの展望、眺望を県庁舎によって妨げないことや、市街地と庁舎群の一体化についても考慮がなされているところでございます。
このように松江城と宍道湖の水を主体とします歴史的景観を保持しながら、市街地中心の整備計画を局所的、短期的な解決にとどめずに、将来のマスタープランとの関連の中で計画し、整備された成果が、我が国地方都市の再開発の一つの方法論として打ち出されたものでありまして、他の地方公共団体が同様な計画を進める際の指針になるものとして高く評価をされまして、昭和45年に島根県庁周辺整備計画とその推進と題しまして、建築界において最も権威があります日本建築学会賞を受賞したことが、まさに意義深さ、そして高い評価を物語っているというふうに考えております。
最後に、県庁周辺の建て替え計画についてお答えをいたします。
県庁周辺において、現在の諸機能、諸施設を建て替えをしていく際に当たりましては、この昭和35年の大整備におきましては、前提がちょっと異なりまして、昭和31年に焼失した県庁舎の再建を契機として、県の機関が市内10か所に分散していたもの、それからこの刑務所が問題になっていた、そして近代的な文化ホールの要請が高まっていたといったことを受けた整備でございましたけども、現在の状況について大きく変更を求められるものではなく、いずれそれぞれの施設が、今駐車場の話が出ましたけれども、老朽化していったときに、その施設だけをどうするかということではなくて、次に老朽化を迎えるもの、その次に老朽化を迎えるものを全体として順次整備をしていくというふうになっていくのではないかと考えておりまして、島根県の本庁舎につきましても耐震強化をいたしまして、あと数十年は使える状況になっておりますので、そういう耐震補強のやり方だったり、建て替えだったりいろんなやり方があろうかと思いますけども、今の機能を大幅に拡張して何かをしていくということよりは、今の機能をいかに維持していくかということと、それぞれ手を入れる時間、タイミングが異なってくるというものを、全体として先々を見ながら、どう組み合わせて対応していくかということになろうかと思いますので、この昭和35年のような大整備をしていくための構想をまとめていくということにはならないのではないかというふうに思っているところでございます。
したがいまして、そういったざっとしたアウトラインしか持っておりませんので、具体的な整備計画を持っているわけではございませんけども、基本的には県行政として今求められますそれぞれの施設の役割、機能を踏まえまして、それぞれの施設の老朽度、その経年の状況を踏まえて、全体としてどのような立地、規模にしていくべきかということにつきまして、まずは県行政としての機能を果たすべき各施設でございますので、県議会と十分な議論をした上で、御指摘にもございました、この松江市のまちづくりといったものの整合性を図るような観点から、松江市を含めた関係機関などから御意見を伺って、計画整備をしていくことになるだろうというふうに考えているところでございます。
私からの御答弁は以上でございます。
40: ◯副議長(山根成二) 安食健康福祉部長。
〔安食健康福祉部長登壇〕
41:
◯健康福祉部長(
安食治外) 初めに、アドバンス・ケア・プランニング、ACPについての認知の現状や取組についてであります。
昨年度、厚生労働省が実施しました、人生の最終段階における医療、ケアに関する意識調査では、ACPについて知っていたかとの設問について、聞いたことはあるがよく知らない、または知らないと回答した割合が、一般国民では93.6%、医師は53.7%、看護師は53.8%、介護支援専門員は52.1%となっており、一般国民への普及啓発とともに、医療、介護従事者の知識、技術の習得も必要であることが分かります。
そのため、住民に対しましては、本人や身近な人のもしものときに備えて、日頃から考え、話し合うような機運を醸成していくことが大切であります。
県内では、市町村を中心に、終末期やみとりをテーマとした住民向けのシンポジウムや講演会、本人が関係者と話し合いながら、終末期の迎え方などを記入するエンディングノートを活用した出前講座が行われているほか、出雲地域の住民と県立大学看護学科の学生、教員が協働し、ACPをテーマとした寸劇が企画されるなど、様々な取組が行われております。
また、医療、介護関係者に対しては、本人の意思決定支援ができるような知識、技術に関する研修を実施し、適切な支援が提供できる人材を養成していくことが必要であります。県内では、市町村や医療機関において、医療、介護の関係者を対象とした研修会などが開催されております。
今年度、県におきましても、8月に医師を中心とした医療従事者を対象に、医療機関におけるACP実践のための研修会を実施し、約60名の方に受講していただきました。また、昨年度からは介護従事者を対象に、ACPの基本的な知識の取得のため、ある特別養護老人ホームで暮らす高齢者が亡くなるまでの300日を記録したドキュメンタリー映像を見ながら、介護施設におけるみとりの現場を疑似体験することができる研修会を実施しており、2年間で約900名の方が受講予定となっております。
引き続き、市町村や医療、介護関係者等と連携しながら、アドバンス・ケア・プランニングの普及を進めていきたいと考えております。
次に、乳幼児のテレビやスマートフォンなどへの接触時間の状況と対策についてであります。
県では、乳幼児健診の標準的な内容を示したマニュアルを作成しており、県内の市町村ではこのマニュアルを活用して、テレビやスマートフォンなどへの接触の状況について、1歳6か月児健診と3歳児健診の際に問診を行っております。
問診で、テレビ、DVDの視聴時間を聞いておられる市町村のデータによりますと、1日2時間以上視聴する子どもの割合が、1歳6か月児では、平成29年度は8.2%、平成30年度11.9%、令和元年度11.5%、令和2年度12.6%、令和3年度11.9%となっており、また3歳児では、平成29年度は17%、平成30年度16.6%、令和元年度15.1%、令和2年度16.5%、令和3年度17.2%となっております。
また、ゲームやスマートフォンアプリなどで遊ぶ時間を聞いておられる市町村のデータによりますと、ほぼ毎日遊ぶ子どもの割合が、3歳児では、平成29年度は10.2%、平成30年度11.6%、令和元年度13.3%、令和2年度14.7%、令和3年度15.5%となっており、テレビやスマートフォンなどに接している子どもの割合は増加傾向にあります。
乳幼児期は、親子の愛着形成や正しい生活習慣を身につける上で大切な時期であります。テレビやスマートフォンなどに接する時間が長いと思われる子どもの保護者に対しては、問診の際に、子どもの発達面との関連も見ながら、接し方を伝えることが大切だと考えており、今後もマニュアルを活用しながら、市町村の乳幼児健診の充実に取り組んでいきたいと考えております。
また、市町村では、テレビやスマートフォンなどとの接し方について、子どもの健康づくりの柱の一つとして、地区活動を実施されたり、母子保健関係者の資質向上のための研修会を開催されるなど、様々な啓発の取組を行っておられますので、参考となる取組を把握し、他の市町村にも情報提供してまいりたいと考えております。
42: ◯副議長(山根成二) 野村農林水産部長。
〔野村農林水産部長登壇〕
43:
◯農林水産部長(
野村良太) 県立宍道湖自然館、通称ゴビウスの改修についてお答えします。
ゴビウス修繕につきましては、県の所有する施設の長寿命化などの取組を定めた島根県公共施設総合管理計画に基づき、大規模な修繕等も含め計画的に行っております。
県としましては、現在の施設が十分に機能していることから、現時点では老朽化対策以上の抜本的な改修は考えておりませんが、県民から親しまれ続ける施設となるよう、魅力アップの視点を持ちながら、長寿命化対策に取り組んでまいりたいと考えております。
44: ◯副議長(山根成二) 新田商工労働部長。
〔新田商工労働部長登壇〕
45: ◯商工労働部長(新田誠) 初めに、隠岐の観光の現状と可能性、基礎的な課題、今後の支援の在り方についての所見についてお答えをいたします。
まず、ここ10年の隠岐観光の動きを島根県観光動態調査の宿泊客延べ数で見てみますと、世界ジオパークに認定を受けた2年後の平成27年が11万9,000人であり、これをピークとして、コロナ禍前まで減少傾向が続き、令和元年には9万6,000人となりました。
新型コロナの影響により、令和2年は6万3,000人、令和3年には6万人と、さらに大きく減少しましたが、昨年は8万6,000人と、令和元年の9割まで回復しております。
隠岐は、本土と比較して観光客の季節変動が大きいため、夏場の繁忙期を除く閑散期や中間期の観光客を増やし、宿泊施設などの稼働率を上げていくことが、本土側以上に大きな課題であります。
また、宿泊施設の数は、令和4年時点で71件、部屋数は約630室で、収容力は定員ベースでは約1,800人となっていますが、個人や小グループでの旅行が多い最近の傾向の中で、個室を希望される方も多く、そうした需要に各宿泊施設が十分応え切れてないといった実情もございます。
さらに、観光客や旅行会社などからは、島内での移動に必要なレンタカーやタクシーの数が十分にない、あるいは昼食場所の少なさや、飲食店で隠岐の食材が食べられないといった指摘が寄せられることも伺っております。
こうした課題に対しまして、最近の動きとしては、民間事業者による40室規模のホテルのほか、古民家を改修したゲストハウスやグランピング施設など、多様な宿泊施設の新規開業が続いております。また、国の補助事業を活用し、既存の宿泊施設の高付加価値化を図るための改修など、受入れ環境の整備を図る動きも各町村で出てきております。
さらに、閑散期と中間期の観光客数の底上げを図る試みとして、近年は航空機のチャーター便を利用したツアーの誘致が進められており、昨年度は36便の運航により、1,759人の受入れ実績があったところでございます。
現在、隠岐の観光振興に関しての情報発信、誘客対策、人材育成といった施策は、4町村と県、民間団体などで組織するDMO、隠岐ジオパーク推進機構が主体となって担っております。ユネスコ世界ジオパークに認定されたことで、類いまれな自然や歴史、恵まれた文化などが注目されておりますが、環境保全と観光振興を両立するというジオパークらしい動きが形になり、島民の方が誇りを持って生き生きと暮らしておられる姿が理想的だと私は感じております。
そのことが、ジオパークである隠岐地域の魅力をより高め、国内外に向けた大きなアピールとなり、ひいてはさらに観光客を引きつけることになると、そうした可能性があるというふうに私は考えております。
県としては、今後もこのDMOの一員として、ジオパーク認定の意味と、隠岐地域の観光振興をめぐる様々な課題にしっかり向き合い、課題解決に積極的に参加することで、支援してまいりたいと考えております。
次に、観光客の長期滞在化に向けて、観光の個別地域の支援のみならず、ストーリー性を持った広域観光の視点が大事であるとのお考えについての所見についてであります。
観光客の長期滞在化が進めば、宿泊だけでなく、飲食や土産等の消費拡大にもつながり、観光消費額も大きく押し上げられるものと思います。島根県の観光の現状を見ますと、令和4年の島根県観光動態調査によれば、旅行の内訳は、日帰りが56.8%、1泊2日から2泊3日が39.7%、3泊4日以上が3.3%となっております。
また、国全体で見ましても、観光庁が公表している令和4年の旅行・観光消費動向調査によりますと、観光目的で宿泊つきの旅行をした方の旅行回数は年1.15回、平均泊数は1回当たり1.65泊にとどまっており、コロナ禍前の平成29年まで遡ってみても、大きな変化は見られません。
外国人観光客につきましては、コロナ前の令和元年の訪日外国人消費動向調査によれば、滞在期間は6日間以内が全体の過半数を占めております。その中でも、フランス、スペイン、オーストラリアなどからの観光客では、14日以上の長期滞在の割合が高くなっております。
このうち、平均の宿泊数が約17泊と最も滞在期間が長い
フランス人観光客の状況を見ますと、東京、大阪、京都など大都市での滞在が長い反面、島根や広島など地方での滞在は2日程度までにとどまっており、実態としては、長期滞在であっても、大都市を拠点に、地方各地を巡る旅行スタイルが主流となっていると推察されます。
こうした中では、一足飛びに県内での長期滞在を促す仕掛けよりも、まずは2泊を3泊に、3泊を4泊にと宿泊数を少しずつ延ばしてもらうための取組を積み重ねることが必要ではなかろうかと思います。旅行者の目線で、既存の文化や地域の資源の価値を見詰め直し、
議員が御指摘のようなストーリー性を感じさせ、より広域で周遊を促すような仕掛けを含め、国内外から島根県を訪れる方々にとって、より満足度の高い体験をしていただけるよう、市町村や民間事業者の方々と共に考えてみたいと思っております。
46: ◯副議長(山根成二) 五十川土木部長。
〔五十川土木部長登壇〕
47: ◯土木部長(五十川泰史) 隠岐ジオパーク空港を含む県内各空港における直近5年間の貸切りチャーター機、ヘリコプターなどの利用状況及び問合せ状況についてお答えします。
まず、利用状況につきましては、平成30年度から令和4年度までの5年間で、隠岐ジオパーク空港で131回、出雲縁結び空港で8回、萩・石見空港で57回の利用がありました。
また、問合せ状況につきましては、スポットの空き状況や利用のための手続の確認といった簡易なものについては記録が残っておりませんが、記録が残っているもので、平成30年度以降で1件あり、プライベートジェットのチャーターサービスを行っている東京の旅行会社から、隠岐ジオパーク空港に対して、給油の可否、機体からの動線、ラウンジの有無等を確認するものでありました。
48: ◯副議長(山根成二) 野津教育長。
〔野津教育長登壇〕
49:
◯教育長(
野津建二) 小中学生のスクリーンタイムについてお答えします。
スマホや携帯式ゲームなどを含めた、いわゆるテレビゲームを1日2時間以上する子どもの割合については、文部科学省の全国学力・学習状況調査において、直近5年間では、令和3年と令和4年に調査が行われております。傾向を見る上で、それ以前に実施された平成29年の調査結果も加えて申し上げますと、小学校6年生では、平成29年が23.1%、令和3年が47.3%、令和4年が51.6%、中学校3年生では、同様に28.5%、52%、45.5%でありました。
なお、令和4年においては、SNSや動画視聴の時間が1日2時間以上の割合についても調査が行われ、小学校6年生が29.7%、中学校3年生が45.1%でありました。これらの結果を見ますと、小中学生において、かなりの割合でスクリーンタイムが長時間にわたっているという傾向にあります。
県教育委員会では、1人1台端末等ICTの活用が推進される中で、スクリーンタイムの増加による児童生徒への影響を科学的な根拠等を基に正しく理解するため、令和3年度に幹部職員等を対象として、県立大学の山下現理事長による脳科学から見たゲームやネットへの向き合い方についての研修を実施したほか、専門家による学校保健担当の教員や養護教諭に対する研修なども実施してまいりました。
また、学校現場に対しても、そうした影響について児童生徒や保護者等が正しく理解し、予防のための具体的な行動に結びつけられるよう、学校や保育所等が実施する講演会や研修会などに専門家や専門医を外部講師として派遣するなどの支援を行っております。
引き続き、スクリーンタイムの影響について正しい理解が進むよう、市町村教育委員会と連携して取り組んでまいります。
50: ◯副議長(山根成二) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。
次の本会議は9月19日に開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時59分散会
発言が指定されていません。
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