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平成28年5月定例会(第4日目) 名簿
平成28年5月定例会(第4日目) 本文

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  1. 島根県議会 2016-05-04
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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成28年5月定例会(第4日目) 本文 2016-06-03 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 48 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長絲原徳康選択 2 : ◯園山繁議員 選択 3 : ◯議長絲原徳康選択 4 : ◯知事溝口善兵衛選択 5 : ◯議長絲原徳康選択 6 : ◯総務部長松尾紳次選択 7 : ◯議長絲原徳康選択 8 : ◯健康福祉部長藤間博之選択 9 : ◯議長絲原徳康選択 10 : ◯農林水産部長坂本延久選択 11 : ◯議長絲原徳康選択 12 : ◯商工労働部長安井克久選択 13 : ◯議長絲原徳康選択 14 : ◯病院事業管理者中川正久選択 15 : ◯議長絲原徳康選択 16 : ◯教育長鴨木朗選択 17 : ◯議長絲原徳康選択 18 : ◯山本誉議員 選択 19 : ◯議長絲原徳康選択 20 : ◯知事溝口善兵衛選択 21 : ◯議長絲原徳康選択 22 : ◯地域振興部長穐葉寛佳選択 23 : ◯議長絲原徳康選択 24 : ◯健康福祉部長藤間博之選択 25 : ◯議長絲原徳康選択 26 : ◯商工労働部長安井克久選択 27 : ◯議長絲原徳康選択 28 : ◯副議長(中村芳信) 選択 29 : ◯吉野和彦議員 選択 30 : ◯副議長(中村芳信) 選択 31 : ◯知事溝口善兵衛選択 32 : ◯副議長(中村芳信) 選択 33 : ◯政策企画局長(新田英夫) 選択 34 : ◯副議長(中村芳信) 選択 35 : ◯農林水産部長坂本延久選択 36 : ◯副議長(中村芳信) 選択 37 : ◯商工労働部長安井克久選択 38 : ◯副議長(中村芳信) 選択 39 : ◯教育長鴨木朗選択 40 : ◯副議長(中村芳信) 選択 41 : ◯須山隆議員 選択 42 : ◯副議長(中村芳信) 選択 43 : ◯知事溝口善兵衛選択 44 : ◯副議長(中村芳信) 選択 45 : ◯農林水産部長坂本延久選択 46 : ◯副議長(中村芳信) 選択 47 : ◯商工労働部長安井克久選択 48 : ◯副議長(中村芳信) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時2分開議 ◯議長絲原徳康) おはようございます。これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  引き続き一般質問を行います。  園山議員。  〔園山繁議員登壇、拍手〕 2: ◯園山繁議員 おはようございます。一般質問を行います。  5月27日、アメリカ大統領が広島を訪問しました。わずか50分足らずの時間であったにせよ、その訪問が持つ意味は戦後の71年に匹敵するほど大きく、ワシントン講和条約、沖縄返還に続く、日米和解の象徴的な出来事として長く歴史に残るものであり、「71年前の雲一つない晴れた朝、空から死が降ってきて、世界は一変した。閃光と火の壁が町を破壊した。そして人類がみずからを滅ぼす手段を持ったことを明示した」と始まったオバマ大統領のメッセージは、「なぜ我々はこの地、広島にやって来るのか。そう遠くない過去に放たれた恐ろしい力について思案するために来るのだ。世界はここで永遠に変わってしまった。しかし、きょう、この町の子どもたちは平和に一日を過ごすだろう。それは何と貴重なことか。それは守るに値することであり、全ての子どもがそうあるべきだ。これこそ我々が選択できる未来だ。広島と長崎が核戦争の夜明けとしてではなく、私たち自身の道義的な目覚めの始まりとして知られる未来だ。無辜の人々が、残酷な戦争によって殺されたことを記憶にとどめる。過去の戦争、そして未来の戦争の犠牲者に思いをはせるのだ」と結ばれた17分のスピーチは、きっと未来に語り継がれるものでありましょう。  海外では、日本は敗戦国で、かつ原爆や激しい空爆の犠牲者で、戦勝国の行為に謝罪や言及を求めるだろうと、そういう観測があったようであり、アメリカでも訪問に反対の意見が多かったと聞きます。しかし、私は、オバマ大統領の訪問でマスコミを含めて大方の日本人にはそうした意識が少ないことに、日本人の精神性、性根はきちんと残っていることが確認でき、安堵し、とてもうれしく思いました。それは、古事記に書かれている大国主命が天津神と国津神の争いに敗れた国譲り、勝海舟と西郷隆盛との江戸城無血開城に象徴されるように、いずれも日本人が和上の精神として受け継いできた現実をありのままに受け入れる寛容さがまだ残っていると実感できたからであります。  1890年に来日、帰化し、学生に英米文学を教える傍ら、鋭い感性で日本人の内面や文化の本質を突く作品を残した小泉八雲は「蓬莱」という作品で、「西方から邪悪の風が蓬莱に吹き渡り、あの不思議な生気は、ああ悲しいことに風の前にかき消えていきます。今やあの生気は散り散りになって漂うばかりです」と100年も前に、日本人の美徳が西洋化され失われるのではないかとの予測をし、心配していますけれども、生活様式やさまざまな面で西洋化が進んだものの、どっこい、日本人の精神性はまだしっかりと残っていると実感できたのであります。  それを支えているのが、神々の時代から和上を伝え、先年、60年に1度の大遷宮でよみがえりを果たした大国主命が鎮座する出雲大社であり、平成15年に豊かな海づくり大会で行幸あそばされた折に皇后様がお読みになった「国譲り祀られましし大神の奇しき御業を偲びて止まず」という歌に、改めて味わいを感じるのであります。  今、島根県の人口は69万人を割るところにあります。危機にあって、職員各位に松下幸之助翁の言葉を贈ります。「できない理由よりできる方法を考えろ。とにかく始めてみなはれ。前例がないでなく、前例をつくりなはれ。物事は道を定め希望を持って歩むとき開かれる」という言葉であります。どうか県庁一丸になって、前を見て進んでいこうではありませんか。  それでは、お尋ねいたします。  初めに、地域医療のあり方について伺います。  国は、医療介護総合確保推進法を制定し、都道府県に対し地域医療構想の策定を義務づけるとともに、増大する一方の医療費総額を抑制する方針を示し、今般の診療報酬改定において7対1看護を志向する急性期医療施設に対する規制を強めるなど、その方向は今後さらに強化されるものと思われます。とりわけ、救命救急の要諦をなすICUの超高密度医療提供体制の要件付加や在院日数制限の厳格化は、地域医療における病病連携はもとより、病診、病療の連携、役割分担の強化がなければ、医療の提供体制そのものを崩壊させる危険性があります。在院日数の厳格化によって、最近、救急車で病院に搬送された患者が、在宅で介護できる状況まで回復していないにもかかわらず医師から退院を告げられ、家族が右往左往する事例を複数見聞きいたしました。  そこでまず、島根県の地域医療構想の策定状況についてお尋ねをいたします。  また、現状で想定する医療圏域ごとの急性期、慢性期、療養期のベッド数の試算と見通し、施設介護と在宅介護の数値予測を明らかにするとともに、平成26年、28年の診療報酬改定の主たる変更点について御説明ください。  厚生労働省は、増大する医療費の総額を抑制するために地域包括ケア体制の整備をうたっておりますが、島根県の現状は、とてもそうした体制が機能する状況とは言いがたいものであります。今後、サービスの提供体制整備やマンパワーの確保、地域医療機関と介護、療養施設との連携など、システムが有効に機能するまでのロードマップを、いつ、どのように示されるのか、お尋ねいたします。  本年3月、長谷川包括外部監査人から県立病院の包括監査の結果を報告されました。その内容は、医師、看護師の確保の必要性から資金収支の内容、事務手続のあり方まで実に詳細に調査されており、極めて適切で、真摯に受けとめるべきものと考えます。監査人の指摘に対する県立病院の受けとめ方と経営改善の方向をお示しください。
     さらに、監査人は、このまま推移したのでは県立病院に対する県の財政支援は難しくなるとの懸念を示され、従来の交付税標準算定の一定交付から、診療科別の収支実績やシビアな計数管理などによる合理的な支援数値の算定交付に改めるべきと述べられております。どこにどのような経営阻害要因を抱えているのか、どこにどれだけの財政支援が必要かを冷静に見きわめ、必要な支援がきちんと担保される仕組みをつくる必要があると考えますが、知事の所見をお示しください。  次に、漁業、漁村の病弊対策について伺います。  最近、漁業者から、サザエ、アワビ、ウニ、とりわけアワビやバフンウニの水揚げが激減しました、モズクやアラメ、ハバノリの収穫は従前の1割から2割です、ことしの春の漁は去年に比べて4割減ですなどと聞きます。以前の質問で、沿岸の磯焼けの状況を問いましたら、県内湾岸地域の調査を実施すると答弁をいただきましたが、調査結果を明らかにするとともに、県内沿岸地域の磯焼けの状況をどのように把握し、そしてその対応をどう考えられるのか、また、採貝、採藻の漁獲状況とあわせて答弁を願います。  磯焼けの原因は必ずしも特定されていませんが、一般的にはウニやヒトデの食害、土砂流出などによる環境変化、山林環境の変化による栄養不足、水質汚濁などが要因として上げられております。私は沿岸地域に約60年住んでおりますけれども、例えば島根半島沿岸地域を例にとりますと、周辺環境変化は海岸の松枯れ、海岸道路の整備に伴うのり面のコンクリート化が顕著で、ほかには農地や山林の荒廃があります。海岸環境の回復に必要な視点と対策については、随分前にNHKテレビで「プロジェクトX」という番組がありました。北海道の知床半島周辺で海岸べりの森の再生によって豊饒の海をよみがえらせたことが放映されましたが、漁村の再生のためにも早急に有効な対策が必要と考えますが、所見をお示しください。  過去、何度も申し上げてきましたが、県内の漁村の病弊は著しく、沿岸漁業就業者が置かれた状況は非常に厳しいものであります。過去、現状を問うと、その都度、島根県の担当者からは何年も前の漁業センサスの数字が返ってまいります。対策のベースが実態と大きく異なる5年も前の数値を用いて、どうして有効な対応が打てるでしょうか。県内漁業の状況について、直近の就業者数、平均年齢、粗生産額と新規就業者の状況及び県内の漁村の人口、戸数の推移についてお聞かせ願います。  また、大中型まき網船団による沿岸地域での夜間操業は、個人の沿岸漁業者や定置網漁業に少なからぬ影響を与えているように思います。島根県は水産取り締まり船「せいふう」を新造しましたが、この際、違法操業の取り締まりの状況と今後の対応についてお聞かせください。  ところで、国はTPP対策として、平成27年度補正予算で沿岸漁業対策として漁船の近代化、省エネ化などに資するリース事業などを事業化したと聞きます。その内容と県内の対応状況についてお聞かせください。  仄聞するところでは、5月中旬に説明会を開催し、6月上旬にそのエントリーを締め切るといった性急な手続を求められているとのことでありますけれども、説明会がアリバイづくりであってはなりません。国の事業情報の情報開示が遅延した理由があればお聞かせいただきたいと思います。  3点目は、HACCP、GAPの導入状況について、そしてまたその促進について伺います。  HACCPは、食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因を分析して、それを最も効率よく管理できる部分を連続的に管理して、安全を管理する手法であると言われております。また、GAPは、少し難しい日本語になっておりますが適正農業規範と書いてございます。農業において、ある一定の成果を得ることを目的として実施すべき手法や手順などをまとめた規範、また、それが適正に運用されていることを審査、認証する仕組みのことであると解説をされております。  島根県版のGAPである美味しまね認証制度が実施されてから8年目を迎えました。市場のバイヤーから求められるGAP水準にあるとの評価を得、大手量販店の参入要件をクリアできるステージになったとも聞いております。ただ、美味しまね認証制度は産品の残留農薬除去からスタートしたもので、厳密な生産履歴記録を求めるGAPとは若干性格を異にすると思いますけれども、現状はいかがでしょうか。  ところで、TPPやEU、東アジア包括経済連携協定など自由貿易拡大に伴い、今後の県産品の全国展開や輸出には、美味しまね認証制度から生産管理のJGAPやグローバルGAPの取得への移行が求められると思います。つまり、美味しまね認証制度は次のステージへのスキルアップを求められる時期を迎えたと考えられるのですが、どのようにお考えになっていますか。  次に、県内事業者のHACCPの導入状況の現状と義務化に向けた対応についてお尋ねいたします。  国は、HACCP方式の導入義務化方針を示しました。通例ではこうした場合、島根県は零細事業者が多いとして当分の間は導入を猶予するという例外規定を適用し、先延ばしにすることが圧倒的に多いように思います。しかし、HACCPの導入は、島根県の食品業界を国際標準に引き上げる千載一遇のチャンスであると思います。県産食品の市場評価を向上させ、安全・安心の評価を確たるものにするためにも全国に先駆けた対応を求めますが、御所見をお聞かせ願います。  4点目は、教職員等の待遇等について伺います。  県職員、知事部局、教育委員会、警察官の勤務状況について、その詳細を明らかにしてください。具体的には、職員数、平均年齢、給与、実支給額の平均、年間勤務時間、残業の実態と手当の状況、特に残業時間については、その平均と最大値、残業手当の平均と最高額及び支給総額についてお聞かせください。  また、有給休暇の取得状況について、全体及び職種別の数値をお知らせ願います。  給与実態については近隣県と若干の差異があるとも聞いておりますが、その状況比較ができれば支給状況をお知らせください。  仄聞するところでは、職員への各種手当支給と勤務評定の実態について、一般職員と警察職員、教育職員に差異があるとのことですが、実情はどうでしょうか。  そして、県内公立高校の学力と大学進学の状況について伺います。  週刊誌には、ことしの大学受験の結果が詳しく報道されております。その結果を見ますと本年春の状況は、従前優位にあった本県は大きく凋落し、特に島根県と鳥取県を比べてみますと、公立高校の間で大きな差がついたように感じます。以前、東大や京大などの難関大学合格者数、合格者率というのは他の都道府県に比べて低いのではないかと聞きますと、私立学校の多い都会地域と比べると、島根県の子どもたちは受験に取り組む年齢が遅く、また、学習塾等で学力を補足、向上させる機会が少ないから、それでですよと、準備が遅いからだ、そういうふうに答弁されましたけれども、全県的にIT対応の学習塾が出現しており、都市部と周辺部に従前ほどの格差はないように思います。小中の全国学力テストの結果では、島根県では全問正解の子どもの数が全国平均より少ないと聞きますが、高校生の学力について県教委はどのように捉えていますか。  私は、全国学力調査の結果や大学入学試験の合格者の報道を見る限り、島根県の小中高校の児童生徒の学力は低下し、近隣県におくれをとったことは紛れもない事実と感じております。県教委は算数指導の強化を図る方針を示していますが、学力が伸び悩んでいる根本要因に踏み込まない対症療法的な対策では、結果は限定的だと思います。学校は学力をつけるということが第一義ですが、近年、それ以外の意義が強調され過ぎて、本来の目的が希薄になったのではないかと思うのであります。35人学級の完全実施によって、現場のマンパワーは他地域と同等または平均以上となったと思いますけれども、鍛える体制になったかどうかは疑問であります。教員が児童生徒に本当に向き合って、目標と意欲を持って十分な学習指導や生活指導ができるための体制整備、これをどう図っていくのかということに意を用い、今後の方針を示していただきたいと思うのでありますが、御所見をお尋ねいたします。  最後に、人材確保等の問題について伺います。  全国のポリテクカレッジの入所状況を見ますと、かなりの志願者がありますが、江津市にあるポリテクカレッジ島根は定員割れの状況が続いております。先端的な機材と指導スタッフが置かれた工業系の施設は松江高専と遜色はないように見えるのですが、圧倒的に知名度が低いのであります。県内の企業経営者や採用担当者の多くはポリテクカレッジとポリテクセンターを混同し、高校の進路指導教諭の認識も同様で、せっかくの施設が生かされていないように感じますが、その要因は何でしょうか。  同僚議員は、石見地域の高校生にポリテクカレッジ島根を高校課程3年と専門課程2年の江津高専と位置づけ、産業人材の養成施設としてもっと活用すべきとの提言を行っていますが、まさに至言で、直ちに取り組むべきだと思います。また、高卒採用者を採用後にポリテクカレッジへの進学ができる制度を県内の事業者に対し積極的にPRすべきであり、産業人材のスキルアップ施設として活用すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  企業の生産性向上には投資が不可欠な要素であります。投資といいますと、ほとんどの人は設備投資による生産手段の高度化を想起します。しかし、従事者のスキルアップ、いわゆる無形資産投資が不可欠の要素であることは言うまでもありません。そうした意味では、工業系の技術者養成施設であるポリテクカレッジは県内事業者にとって生産性向上のツールであり、県は政策的なアピールを強化すべきですが、どのような対応をおとりになりますか。  島根県は、県内に不足する医師、獣医師、看護師、介護士、保育士などの人材の確保対策として、卒業後の県内従事を条件に進学に必要な資金の貸し付けや奨学金の支給を制度化し、実効を上げてまいりました。私は、これを一歩進めて、県内の事業者が高校生を採用し、採用後に大学や資格修得に必要な専門学校へ進学させる制度を創設してはと思っています。  現在、定年退職の年齢は60歳、多くが再雇用されるとしても、県内で65歳前後に職を離れる人が年間6,000人から8,000人に対し、少子化によって島根県の出生数は5,000人からたかだか5,500人であります。マンパワーの不足は明白で、資格が必要となる高度人材の確保はますます至難となることは容易に予測できるのであります。今のうちに、いわば青田刈りして人材を確保する制度を、自治体と事業者が共同でつくって実施してはどうかと考えます。方式はいろいろ考えられますが、零細企業の多い状況を考えれば、企業が支払う給与相当の進学費用を無利子で貸し付けする制度や、参加企業を募集して基金を創設し奨学金として支払う制度などが現実的だと考えますが、島根版の人材確保対策を検討してはいかがでしょうか。  最後に、インバウンドの対策について一言申し上げます。  外国人観光客の受け入れのために、空港や駅、観光地、道路などのサインは英語や韓国語、中国語などの表記となり、Wi-Fiの整備やトイレの洋式化など設備改善も進んでまいりました。しかし、ほとんどの人は、失礼ですが私のことです、中学校、高校で五、六年英語を習いましたけれども、話せず、聞けず、書けずでございます。外国人の受け入れに必要な英会話は全く不十分。しかし、間違いなく外国人観光客は増加し、関係者には英会話習得が必要最低限の無形資産投資であります。  島根県は、松江と出雲、浜田に県立大のキャンパスを有しております。山陰DMOの設立によって、このほど山陰地域限定ではありますけれども通訳案内士が誕生し、活動が開始されました。この人たちを講師にして、県立大のキャンパスで講義のない週末や夜間、長期休業中に、英会話や中国語や韓国語の講座を実施していただきたいのですが、いかがでございますか。対応ができますかできませんか、お尋ねをして、私の質問を終わります。(拍手) 3: ◯議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 園山議員の御質問にお答えをいたします。  最初の質問は、地域医療構想の策定状況についてであります。  地域医療構想は、2025年に向け、各地域の実情に応じた医療体制を構築するための出発点として策定するものであります。これを機に、医療や行政の関係者が将来の地域医療のあり方について認識を共有することが大事であります。現在、7つの2次医療圏ごとに市町村や医療、介護関係者などが集まり、策定に向けた議論が精力的に進められております。この議論の中で、在宅医療をどのように充実させていくか、病院間の機能分担と連携をどうするか、病院と診療所、介護施設等との連携をどう図っていくかなどについて話し合いが行われています。構想自体の取りまとめは、県の医療審議会の審議などを踏まえ、今年秋ごろの策定を目指しております。  次の質問は、地域包括ケアシステム構築に向けたロードマップを、いつ、どのように示すのかという質問であります。  地域包括ケアシステムの構築に向けましては、とりわけ医療と介護の連携が重要であります。医療分野では、在宅医療の確保や医療連携体制、医療従事者の確保等を定める医療計画を5年ごとに策定をしております。一方、介護の分野では、介護サービスの目標量や市町村への支援等を定める介護保険事業支援計画を3年ごとに策定をいたしております。この2つの現行計画は平成29年度に終了いたします。平成30年度に両計画が同時に新たにスタートすることとなります。次期医療計画は、訪問看護等の在宅医療の提供体制について、また介護保険事業支援計画は、特養等の施設サービスや訪問介護等の居宅サービスについて、地域医療構想と整合性を図りながら、30年度の前、29年度中に策定していく考えであります。  次に、県立病院に対する県の財政支援のあり方についての質問であります。  地方公営企業法におきまして、公立病院に対して一般会計が経費を負担するのは、1つには、性質上、公立病院収入を充てることが適当でない経費、例えば救急医療などであります。2つには、能率的な経営を行っても、その収入を賄うことができない経費、例えば僻地医療などであります。この2つに限るものだというふうにされております。県立病院は、県全体の医療提供体制を確保する上で欠かすことのできない病院でありますが、医療を取り巻く状況が大きく変化する中で、まず県立病院みずからが状況の変化に対応していく必要があります。そうした中で、一般会計からどういった支援が必要なのかについて、経営状況等さまざまな分析も踏まえながら検討していく考えであります。  なお、議員もお触れになったわけですが、今回の包括外部監査人から指摘された経営分析指標等も参考にしながら、関係部局にしっかりと検討してもらう考えであります。  次の質問は、漁村の再生のためにも早急に有効な対策を講ずべきではないか、所見を問うと、こういう質問であります。  沿岸漁業と漁村の現状を見ますと、高齢化によるリタイアと申しますか、仕事をおやめになる人々が続いておるわけでありますが、そうした中で、新たな担い手参入が少ないこと、また魚価の低下、資材費の高どまりなどにより経営が困難な状況にあること、これらにより漁業就業者、漁村人口が減少し、活力が低下傾向にあります。こういうふうに認識をしております。島根半島などの比較的小規模な漁村の沿岸漁業者は、主としてアワビ、サザエなどの磯根資源を利用する方々がほとんどでありますが、これらの磯根資源を育む藻場の減少は、こうした沿岸漁業者の経営の根幹にかかわる重要な問題であります。このため、県では次のような対策を講ずることとしております。  第1に、磯焼け対策として海域の調査や海藻の増殖試験を実施し、効果が認められたものは早期に現場導入することとしております。第2に、魚の産卵場や稚魚の保護育成場である藻場増殖場の整備を、平成29年度から順次県内全域で実施することとしております。第3に、海岸環境の回復に向けて、植林や間伐を推進し水源涵養機能等の持続的発揮を図る考えであります。さらに、漁業、漁村の再生のため、将来を担う新規就業者のさらなる確保を目的として、今年度から漁村出身の若者を対象に、親元漁家での研修ができるよう制度を拡充をいたします。また、漁村の中核となっている沿岸漁業者については、国の事業を活用しながら収益性の改善等による経営の安定化を推進していく考えであります。  次に、県内食品の市場評価を向上させ、安全・安心の評価を確たるものにするためにも全国に先駆けた対応が必要ではないか、所見を問うという御質問であります。  議員がお触れになりましたが、HACCPやGAPの推進は、安全・安心な県産品の評価を高め、販路拡大を図る上で有効な手段だと認識をしております。国ではHACCPの義務化等が検討されていますが、県としましては国の動きにかかわらずHACCPの導入を積極的に推進をしていく考えであります。このため、HACCPにつきましては、推進体制を強化するため全保健所に専門職員を配置をいたします。GAPにつきましては、認証が受けられるよう普及指導員等による必要な支援を実施し、これまで以上に積極的に推進を図る考えであります。  次に、児童生徒の学力等に関しての質問であります。  教員が十分な学習指導や生活指導ができるための待遇面を含めた体制整備をどう図るのかといった質問であります。  児童生徒に学力をつけることは、議員御指摘のとおり学校が果たすべき大きな役割であります。教育委員会からは、教員の指導力を高める取り組みや各学校が組織的に学力育成に取り組む体制づくりを進めていくというふうに聞いております。例えば、学校の学力課題に応じて授業改善の研修会を開くといったことも始めているようであり、こうした取り組みの積み重ねが児童生徒の学力育成につながることを期待をしておりますし、やはり全国各地でいろんな工夫をしながら子どもの教育を行っておるわけでございまして、そういう意味で、先進地域のやり方などもこの島根に導入をするといったことも必要ではないかというふうに考えております。  また、学校現場の教員には多忙感があるといったような事情もありますが、教育委員会からは、現場の教職員には児童生徒としっかり向き合って、質の高い教育を提供していくということでございます。また、教員の待遇面につきましては、後ほど他の職種や近隣県との比較について、総務部長から報告をさせることといたします。  次に、島根の企業が経営の改善等のために専門人材を確保するということが必要なわけでありますが、それが難しい状況になっているが、この問題に対して、専門人材を確保する制度を自治体、事業者が共同でつくって実施してはどうかという御質問であります。  県が行っております企業からの聞き取りによりますと、団塊世代が退職をする、あるいは若者の理系離れなどによりまして、専門的な人材や生産現場の人材の確保が徐々に難しくなっているという状況が起きております。県では、中堅以上の専門人材を確保する際の経費の支援、専門人材確保支援窓口による相談による対応などに取り組んでおりますが、最近の経営者の声を踏まえますと、さらなる取り組みの必要性もあるように感じております。今後、生産年齢人口の減少が見込まれる中、優秀な産業人材の確保育成は地方にとりまして大変重要な課題であります。議員御提案の資金貸し付けや奨学金制度などにつきましては、企業や市町村の意見なども聞きながら効果の上がる方法を検討していく考えであります。以上であります。 5: ◯議長絲原徳康) 松尾総務部長。  〔松尾総務部長登壇〕 6: ◯総務部長松尾紳次) 県職員の勤務状況につきまして、私のほうから一括してお答えをさせていただきます。  まず、職員数でございます。平成27年4月1日現在で、職員全体では1万2,698人でございます。  なお、この基準日につきましては、できるだけ他の数字との整合を図るために、以下同様でございますけども27年4月1日とさせていただいております。  内訳でございますけども、一般職員、これは知事部局職員と各行政委員会の事務局の職員を合わせた一般職員でございますけども、これが3,268人。そして、教育職員7,613人。内訳といたしましては、高校の教育職、高校の教員でございますが1,732人、小中の教員5,050人、そして学校事務を含む教育委員会の事務局職員831人、合計で7,613人でございます。そして、警察職員が1,817人。内訳といたしましては、警察官が1,510人、警察事務職員が307人となっております。  次に、平均年齢及び扶養手当や時間外手当なども含んだ全ての手当を含んだ平均給与月額につきましては、職員全体では44.3歳で42万1,181円でございます。内訳といたしましては、一般職が44.2歳で41万3円、そして高等学校教員が44.5歳で43万5,719円、中小教員が46.3歳で43万70円、警察官が38.6歳で42万9,709円となっております。  次に、年間勤務時間でございますけども、これは職員全て1人当たり1,867時間45分となっております。これは全て同じでございます。  次に、平成27年度の残業の実態と手当の状況でございます。まず一般職でございますけども、平均残業時間数は176時間、最大は1,567時間、手当の平均額は48万6,000円、最高額は516万6,000円、支給総額は約13億3,000万円でございます。次に警察職員でございますが、これは警察事務と警察官を含めた数字でございますけども、平均残業時間数は220時間、最大は914時間、手当の平均額は59万3,000円、最高額は307万円、支給総額は約9億9,000万円となっております。この2つを合わせた職員全体で、平均残業時間数は191時間、手当の平均額は52万7,000円、支給総額は合わせまして23億2,000万円となっております。  なお、教員につきましては、時間外勤務手当の支給対象外であるため時間数は把握されておりません。参考までに教育委員会が把握しております実績といたしましては、これは労働安全衛生法に基づき把握をしてるものでございますけども、1カ月に100時間を超えて時間外勤務を行った者の平成27年度の実績といたしましては、月平均342人程度で、これは全体の5.2%に当たる数字でございます。  続きまして、有給休暇の職員1人当たりの年平均取得日数でございます。これにつきましては、昨年分につきましては現在調査集計中でございまして、平成26年の実績で数字を答えさせていただきます。職員全体では9.7日。内訳といたしましては、一般職員が10.7日、教育職員、これは教員と学校事務を含めた教育委員会職員ということでございますけども9.6日、警察官、警察事務を合わせた警察職員で7.7日となっております。  なお、26年度の数字ではございますが、過去3年の実績を見てみますと、ほぼ数字的には同じ状況でございます。  続きまして、給与の実態について、近隣県と比較した状況についてお答えをさせていただきます。  まず、一般職員の給料でございます。これは、国家公務員を100としたラスパイレス指数で比較をいたしますと、島根県が97.6、鳥取県が91.8、広島県が99.8というふうになっております。  なお、教員と警察官につきましては、このラスパイレス指数がございません。したがって、全ての手当を含んだ平均給与月額、これは各県が公表している数字でございます。この資料から比較をしてみますと、同じく27年4月1日現在でございますけども、高等学校の教員、島根県が平均年齢44.5歳で43万5,719円、鳥取県が45.1歳で41万8,063円、広島県が45.8歳で44万3,835円でございます。中小の教員につきましては、島根県が46.3歳で43万70円、鳥取県につきましては45.0歳で40万3,120円、広島県が44.1歳で41万6,092円となっております。また、警察官でございますけども、島根県が38.6歳で42万9,709円、鳥取県が36.5歳で41万2,563円、広島県が38.5歳で42万7,605円となっております。  なお、一般職についてはラスパイレス指数でございましたけども、一般職についても同様の比較をしてみますと、島根県につきましては44.2歳で41万3円でございますが、鳥取県は43.2歳で38万1,587円、広島県が44.3歳で42万3,627円というふうな数字となってございます。  次に、期末勤勉手当の年間支給月数でございます。これは全ての職員が同じ月数でございまして、島根県が3.9月、鳥取県が4.1月、広島県が4.2月となっております。こうした違いは県職員の給与が県内の民間給与水準と均衡させるということから、こういった違いも一つの要因として出てきております。  次に、職員への各種手当支給と勤務評定の実態でございます。  まず、各種手当の支給でございますけども、これは一般職員、教員、警察官、それぞれの職種、業務に応じた手当を支給してございます。例えば、一般職につきましては税務手当や福祉業務従事手当、教員につきましては、これは週休日の部活動の指導等ということで教員の特殊業務手当、また学年主任等にかかりましては教員業務連絡指導手当、また、警察官につきましては捜査特別手当、警ら手当等々がございます。これらは、業務に従事した場合に特殊勤務手当として支給されているものでございます。これに加えまして、教員の場合は全職員に支給される固有の給与が2つございます。1つは、義務教育等教員特別手当というものでございまして、これは教員の人材確保を目的として、月額8,000円を上限として小中高全ての教員に毎月支給をされているものでございます。もう一つは、教職調整額というものでございます。これは、授業の準備や課外での指導など、教員の勤務における自主性や創造性による活動を評価したものでございまして、給料月額の4%が管理職を除く小中高の教員に毎月支給をされているものでございます。  次に、勤務評定の実態についてでございます。一般職員の場合、勤務評定の結果を人材育成に活用をするとともに、給与の一部に反映をしております。また、任用に当たっての参考ともしているとこでございます。教員の場合は勤務評定の結果を給与への反映はございませんけども、評価の結果を本人にフィードバックをして、資質能力、意欲の向上につなげ、適材適所の校内の人事配置に活用をしております。警察職員の場合は勤務評定の結果を給与、そして昇任試験などの任用に反映をしております。私からは、以上でございます。 7: ◯議長絲原徳康) 藤間健康福祉部長。  〔藤間健康福祉部長登壇〕 8: ◯健康福祉部長藤間博之) 地域医療とHACCPの2項目、3点についてお答えをいたします。  最初に、地域医療構想で想定するベッド数の試算等でございます。  地域医療構想では、入院ベッド数を国が示した方法で試算をし、盛り込むこととなります。現在2次医療圏ごとのベッド数は調整中で数字が出ないために、その算定のもととなります医療需要推計、患者数の推計でございますが、これについて申し上げますと、2025年の1日当たりの県内入院患者数は5,595人、これは2013年と比較しまして197人の減というふうに試算をしております。病床別には、高度急性期が459人の同様に10人の減であります。急性期が1,691人、23人の増、回復期が1,801人、139人増、慢性期が1,644人、349人の減でございます。また、圏域別で見ますと、松江圏域が2,112人、2013年と比べまして32人の減、雲南圏域が457人で68人の増、出雲圏域1,386人、257人の減、大田圏域351人、96人の増、浜田圏域648人、94人の減、益田圏域523人、2人の減、隠岐圏域116人、19人の増となっております。今後、この数値をもとに圏域ごとの必要ベッド数を推計する予定でございます。  将来の実際のベッド数の見通しにつきましては、ベッドの回転率の向上ですとか在宅医療の転換がどの程度進むのかにもよりまして、現時点で見通すことは難しい状況でございます。関係者が検証いたしまして、地域に必要な体制が整うよう継続検討をしてまいります。  また、施設介護と在宅介護の数値予測につきましては、2025年度の医療需要推計で1日当たりの在宅医療患者数を1万1,786人、これは2013年と比べて1,451人の増と試算をしております。これを現在の施設と在宅の患者割合により試算をしてみますと、施設入所が必要な患者、これが4,733人で888人増、自宅で訪問医療を受ける患者、7,053人で563人の増というような予測になっております。今後、実際に地域で必要な体制が整うように必要な支援をしていく考えでございます。  次に、平成26年、28年の診療報酬改定の主たる変更点についてでございます。  平成26年度及び28年度の診療報酬改定につきましては、改定の視点はともに共通でございますが、1つには、医療機能の分化、強化、連携を一層進めるということ、それからまた、地域包括ケアシステムを推進すること、これを主眼とした報酬設定となっております。具体的には、急性期を担う病院におきまして、主に重症患者を診ることに重点を置いて、さらに短期に退院させるということが求められております。また、在宅医療を支援する地域包括ケア病床の新設、それから在宅医療専門の医療機関の新設など、在宅医療の充実を目指した報酬改定となっておるところでございます。  次に、HACCPの導入促進に関しまして、県内事業者のHACCP導入施設の状況と、導入義務化に向けた対応についてどうかということでございます。  HACCPは、食品の衛生管理を行う上で、食中毒や異物混入等の発生を防止するための最も有効な手法と認識をしております。HACCPには、食品衛生法に基づいた国、厚生労働省の承認制度がございまして、現在島根県では2つの事業者の食品製造施設が承認をされております。また、島根県では、ハード面重視の国の承認基準とは別に、製造工程管理のソフト面を中心とした県版HACCP制度を創設をいたしまして、これも現在、2つの事業者から届け出を受けております。  この県版HACCPというのは、これ国の指針に基づいて実施しておりますが、現在国の有識者会議において、この義務化について検討をされております。この対応につきましては、先ほど知事も申しましたが、島根県といたしまして食品事業者の衛生管理のさらなる徹底を図るという観点から、こうした国の動きにかかわらず、HACCPの導入をこれまで以上に積極的に推進していくということとしております。また、このために、今年度から全ての保健所に専門職員を配置いたしまして、HACCP導入の推進体制を整えたところでございます。以上であります。 9: ◯議長絲原徳康) 坂本農林水産部長。  〔坂本農林水産部長登壇〕 10: ◯農林水産部長坂本延久) 私からは、漁業、漁村、そしてGAPなど大きく2項目、6点についてお答えいたします。  まずは、県内沿岸地域の磯焼けの状況及び採貝、採藻の漁獲状況などについてでございます。  磯焼けの状況につきましては、県の水産技術センターにおきまして、平成26年度に県下18地区の採貝、採藻漁業者を対象に聞き取り調査を実施いたしました。その結果、藻場が減少したとの回答が18地区中16地区ございました。特に島根半島の東部と隠岐の南部では、藻場減少の度合いが大きいとの回答がありました。これは7割から9割程度の減少ということでございます。時期としては、平成元年ないし5年ごろから藻場の減少が始まったとの回答結果でございます。  一方、漁獲状況でございますが、県内の平成27年のサザエ、アワビ、藻類の漁獲量については、平成20年と比較いたしまして、サザエは3割減少、アワビは5割減少、特にモズク、ノリなどの藻類については7割と大きく減少しております。その関係についてですが、ただ、先ほど申し上げた漁業者からの聞き取り調査による藻場減少の状況と漁獲量との間の関連性は現状では明確にわかっておりません。この関連性を明らかにすべく、平成27年度から30年度にかけて県内4カ所で、潜水調査などによりまして藻場の種類や量の変化などをモニタリングする定点観測を行っているところでございます。  続きまして、2点目でございますが、県内の漁業、漁村などの状況についてでございます。  漁業の就業者につきましては、県の調査、これは漁港背後集落の現状把握のために実施している調査でございますが、この県の調査によりますと、直近の数字、平成26年の就業者数は3,640人で、毎年平均120人程度減少している傾向でございます。  次に、新規就業者につきましては、直近の数字でございますが、平成27年度の新規就業者数については27人で、平成23年度から5年間の合計で見ますと169人となっています。内訳については、定置網、まき網、底びき網等の雇用型の漁業が主体で、釣りなどの沿岸漁業経営を目指す自営型については、年平均4人程度の状況です。  漁業就業者数の平均年齢につきましては、これは漁業センサスから推計したものですが、これはセンサスの直近の数字、平成25年で見ますと平均年齢は58歳となっています。  沿岸漁業の粗生産額について見ますと、これは県の集計による数字ですが、直近の平成27年は48.5億円で、10年前に比べると21%減少しています。これを漁業種類別に見ますと、特に刺し網、採貝漁業で40%以上と大幅に減少している状況です。地区別に見ますと、出雲地区は16%減少、隠岐地区は15%減少、石見地区は35%と、石見地区で大幅に減少しております。  漁村について見ますと、直近の平成26年度末の県全体の漁村人口は5万485人で、近年は毎年およそ1,300人程度減少している傾向です。漁村の戸数については、同じく平成26年度末の数字ですが2万1,281戸で、この10年間で1割減少しております。このように漁業就業者や沿岸漁業の生産額とともに、漁村人口なども減少しているという状況でございます。  続きまして、3点目でございますが、違法操業の取り締まりの状況と今後の対応についてでございます。  県の漁業取り締まり船「せいふう」でございますが、これは県内外のまき網や底びき網漁業などを対象に、漁業者などからの通報による取り締まりや違法操業の抑止のための監視活動を行っております。昼夜を問わず、年間100日程度実施している状況でございます。近年の検挙件数につきましては、これは県に寄せられる違反通報が減少していることなどもありまして、年間数件程度、ゼロ件から2件程度で推移しております。今後の対応ですが、新しい「せいふう」が導入されましたことを機に、速力が向上し、高性能のレーダーあるいはカメラを備えたという能力を最大限に活用して、監視取り締まりを実施してまいりたいと考えております。  続きまして、4点目ですが、国の水産関係のTPP対策の内容と県内の状況、情報開示の状況などについてのお尋ねでございます。  国の平成27年度補正予算で水産業競争力強化緊急事業が事業化されました。このうち沿岸漁業に関連するものとしては、次の3つの事業がございます。1つは、効率的な操業体制確立のための支援や収入向上、コスト削減実証の取り組みを支援する広域浜プラン緊急対策事業というものがございます。2つ目は、省力、省コスト化のための機器整備を支援する競争力強化型機器等導入緊急対策事業というものがございます。3つ目は、中核的漁業者が所得向上対策に取り組むための漁船導入を支援する浜の担い手漁船リース緊急事業の3つが主なものでございます。
     これらの事業の実施には、漁村地域が広域的に連携しまして、浜の機能再編や担い手育成の具体策をまとめた、いわゆる広域浜プランの策定が必要となっています。現在、JFしまねが中心となって準備作業中でございます。県としては、プランの策定などを行う委員会に参画いたしまして必要な支援を行うこととなると考えております。まずはJFしまねにおいて、漁業者の要望などを踏まえ、丁寧に検討されていくことが重要だと考えております。  また、議員の話にございましたが、先ほど申し上げた事業で言いますと3つ目に当たります浜の担い手漁船リース緊急事業でございます。これは、中核的漁業者の漁船導入を支援するという事業でございますが、全国レベルでは4月下旬、県内では5月中旬に説明会が開催されました。1月末に国でございました国の補正予算に関する説明会から時間を要しているということでございます。このことについて、国によりますと、新規事業であるためリース債権の保全の方法など事業実施に向けた具体的な仕組みの構築が必要であり、これに時間を要したというふうに聞いています。  続きまして、大きく2点目ですが、美味しまね認証制度の現状などについてでございます。  議員御指摘のように、食のグローバル化、あるいは取引先からの要求水準の高まりもございまして、農産物につきましても、より高度な生産工程管理が求められるようになっております。例えば青果物の基準項目数で見ますと、美味しまね認証が63項目であるのに対し、いわゆるJGAPが138項目、グローバルGAP、いわゆるGGAPが218項目と、チェックポイントがより細分化されている状況でございます。また、意図的な異物混入の防止手順など、美味しまね認証にはない項目などもございます。一方、この美味しまね認証につきましては、平成21年度から認証品目数や認証農場数をふやしてきております。1つは、基本となる項目、ポイントについて県が公的に認証するという仕組みでございまして、このことによる信用力の向上が得られると。あるいは、2つ目としては、島根県産であることをあわせて表示する機能も持っておりまして、JGAP、GGAPにはない部分の評価もいただいているというふうに考えております。  最後に、美味しまね認証に関しまして、美味しまね認証から次のステージへのスキルアップが必要ではないかという点についてでございます。  議員御指摘のとおり、県産品の全国展開やあるいは輸出に当たりまして、美味しまね認証にない厳格な生産履歴の記録を求めるJGAPやGGAPの認証を取得することが求められる場面がふえていくと考えられます。県としては、例えば輸出向けの品目ですとか、あるいは6次産業化における原材料の調達、あるいはインバウンドへの対応など、取引先などの求めに応じてそれぞれの場面に適した認証制度が活用されるように支援していきたいと考えております。このため、先ほど知事から答弁しましたように、GAPについては、県の農業普及職員を中心にJGAP指導員などを引き続き養成しまして、研修会や個別指導などを通じて必要な場面での取得を支援していきたいと考えております。以上でございます。 11: ◯議長絲原徳康) 安井商工労働部長。  〔安井商工労働部長登壇〕 12: ◯商工労働部長安井克久) 私からは、産業人材の育成とインバウンド観光について、4点お答えいたします。  まず、ポリテクカレッジ島根の施設が活用されていない要因についてでございます。  御指摘のとおり、ポリテクカレッジは、近年、数年にわたって定員割れが続いております。この要因としては、1つには、ポリテクカレッジ自身の高校や企業に対する情報発信が弱かったこともあると考えますが、県としても、ポリテクカレッジが県内産業に資するすぐれた人材を養成する極めて重要な施設であるという認識と企業等へのPRが十分でなかったことがあると考えております。そのため、ポリテクカレッジの充実した訓練内容や100%に近い就職率、最新の設備や優秀な指導体制などの魅力が、高校生や保護者、企業等へ十分に伝えられていなかったと考えております。  次に、ポリテクカレッジの産業人材育成施設としての活用についてお答えします。  短期大学並みのものづくり人材の養成機関であるポリテクカレッジは、高校の新卒生徒だけではなく、企業の従業員を入校生として2年間受け入れる制度を持っております。また、その在学中に企業が支払った賃金の一部について、国の助成を受けることもできます。しかしながら、企業の従業員の入校は極めて少ないと聞いております。企業は、従業員をポリテクカレッジで学ばせることにより従業員の技術力向上を通じて企業の競争力の強化が図れること、また、従業員の人材育成に重きを置く企業として人材確保の上からも効果が期待できます。こうしたポリテクカレッジを使った従業員のスキルアップの効果、利点を、県としても広く企業に周知してまいります。  次に、技術者養成施設であるポリテクカレッジの政策的なアピールを強化すべきであり、どういう対応をとるかという御質問でございます。  議員御指摘のとおり、今後、企業が経営を維持していくためには生産性の向上が必要であり、そのためには設備投資を行うか、長期的視野に立ち従業員一人一人のスキルの向上を図る人材育成の投資を行うかであるということを、まず県としても企業に対してしっかり伝えてまいります。そのためにも、ポリテクカレッジが県内にあって、松江高専に類するような設備と指導陣を備えていて、製造業に在職している職員を長期で受け入れ、育成できる唯一の施設であること、また設立から20年を超え、県西部では卒業生が製造業の企業の中核として活躍していることなどを、ポリテクカレッジとともに関係の業界、企業、高校等に知らせるとともに、先ほど知事の答弁にもございましたが、何らかの対策も検討しながら、その活用を働きかけてまいります。  それから次に、通訳案内士を講師にした県立大学での外国語講座の実施についてお答えいたします。  インバウンド観光の推進には、関係者が語学力を高め、外国人観光客サービスの向上を図るということは大変重要でございます。山陰地域限定通訳案内士については、2月に研修を開始し、島根県においては5月18日に50名の方が合格され、今後の活躍が期待されております。御提案の県立大学を会場に通訳案内士を講師として関係者向けの語学講座を行うことは、1つには通訳案内士の活用そのものに加え、通訳案内士本人にとっても現場に対する理解が深まること、地域力を高める事業に県立大学としても貢献できることなどの効果も見込まれるため、実施に向けて検討をしてまいります。以上でございます。 13: ◯議長絲原徳康) 中川病院事業管理者。  〔中川病院事業管理者登壇〕 14: ◯病院事業管理者中川正久) 監査指摘の受けとめについて、まずお答えをいたします。  県立病院の運営につきまして、包括外部監査を通じてさまざまな御指摘をいただいたところでございますが、第三者の専門的な視点から大変貴重な御意見をいただいたものと認識をしております。事務手続上の御指摘に関しましては、速やかな改善を図っているところでございます。また、県立病院の運営に関する御指摘の意図を重く受けとめ、もう一段の工夫をしていく必要があると考えております。今後の経営改善の方向につきましては、監査人の御指摘、御提案はもちろんのこと、国や県の医療政策の動向や県民のニーズの変化等を踏まえつつ、検討する必要があると考えております。  今後、公立病院改革プランとして、将来的な取り組みを整理していくこととしておりますが、まずはその前提となる次の取り組みを進めていく必要があると考えております。1つは、健康福祉部や関係機関とも連携した必要な医療従事者、特に医師と看護師でありますけれども、必要な医療従事者の確保。1つは、職員が高いモチベーションを維持しながら働けるよう、勤務環境のさらなる充実。あと一つは、地域包括ケアのかなめとなる地域の医療機関等との連携強化であります。これらの取り組みを含め、さまざまな工夫をしながら県立病院に期待される医療の確保と経営改善を両立してまいります。 15: ◯議長絲原徳康) 鴨木教育長。  〔鴨木教育長登壇〕 16: ◯教育長鴨木朗) 高校生の学力と大学進学状況等に関しまして、2点の御質問にあわせてお答えをいたします。  高校の入学時における高校生の学力の状況を高校入試から見ますと、全体の傾向として、基礎的、基本的な力はかなり定着しておりますが、論理的、総合的に考え、処理、表現する力に課題が見られます。また、5教科の総得点が500点満点で400点以上のいわゆる高得点者の割合は、近年減っています。また、高校入学後の状況につきましては、指導に当たる教員の意見として、高校1年生から2年生にかけては全体的には徐々に伸びていきますが、3年生になると伸びがとまる傾向にあります。これは、難易度の高い問題に対応する力が十分に身についていないためであると考えられております。  また、大学の進学状況につきまして、ことし春の卒業生で全体に対します割合で言いますと、国公立大学19.5%、私立大学20.0%となっており、ここ数年同じような傾向にはありますが、いわゆる難関大学への合格者数は減少しております。このことは、小中学校の全国学力・学習状況調査で把握している学力の状況と同様でありまして、小学校段階から高校までを通じまして、一人一人の児童生徒が持つ能力を伸ばし切る指導や家庭での学習習慣を身につけさせる指導の面で、本県の学校教育に基本的な課題があるものと考えております。  このため、高校では教員の指導力を高めるために、現在次のような取り組みを進めております。1つは、教科指導充実のための非常勤講師配置事業といたしまして、普通科高校の進学指導に精通した退職教員を非常勤講師として配置し、教員に指導技術を伝承していくこと。2つ目は、教科リーダー養成・活用事業として、教科指導に意欲を持って取り組む中堅教員をリーダー教員に指定し、授業研究や県外研修などで力量を高めてもらい、校内外でその成果を波及させていくこと。そして3点目ですが、「チームしまね」進学対策事業として、学校の枠を超えて数学、理科の教員が大学入試センター試験の問題分析を行ったり、みずから教材開発を行うなど、県内教員にその成果を普及していくこと、こういった事業を行っているところでございます。学校現場と課題意識を共有しながら、教員の指導力の向上、さらには児童生徒の学習習慣の定着に向けた取り組みを重点的に進めていきたいと、このように考えております。以上でございます。 17: ◯議長絲原徳康) いいですか。  山本議員。  〔山本誉議員登壇、拍手〕 18: ◯山本誉議員 民主県民クラブの山本誉でございます。  まずもって、熊本、大分地方を中心とした大震災により、関連死も含めますと50名以上の方が亡くなられました。心からお悔やみを申し上げますとともに、今もって避難生活をされてる皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  さて、一般質問に移ります。  通告しております三江線の存続問題、そして地域医療の充実について、この大きく2点について質問をさせていただきます。  まず、三江線の存続問題についてでございます。  この問題については、昨年から3回続けてこの壇上から一般質問で取り上げてるところでありますけども、日を追って、沿線住民を始め県民にも関心が高まってきていると思っております。このことについては、知事も十分御理解をいただいていることと思っております。  今日、衣食住とあわせ交通問題は人の生活に必要不可欠の要素であり、中でも移動手段の保障に基づく国民の交通する権利、いわゆる交通権は、現代生活権の一つであると言えます。人権問題の視点で言うならば、憲法25条にいう「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、これに値すると思います。さらには、13条における人格権、14条の平等権も、この生活権とあわせ該当するものと思っております。  三江線の問題については、先ほどの衣食住とあわせた交通権という視点とあわせ、今国が進めようとしている、まさに地方創生と表裏一体の関係にあり、廃線は地方に暮らす人々にとっては生存権や生活権を侵害する問題だと受けとめています。この間知事は、県としての三江線に対する認識は一貫して大切な交通機関との認識を示されていますが、先ほど申し上げたように、生存権や生活権を保障するために必要な交通機関としての認識に立っていただくことはできませんか。  島根大学法文学部の関耕平准教授の、これは山陰中央新報の談論風発の紙面に掲載された「三江線の存続・利活用の意義」と題した寄稿を紹介したいと思います。三江線が廃止となれば、第1に、実際の利用者の移動手段が奪われ、しかも利用者は、通院するお年寄りや通学の高校生であり、いわば交通弱者であること。第2に、三江線に乗ってくる地域外からの人の流れが絶えてしまう。第3に、沿線の観光協会や自治会、若者たちが一丸となって観光鉄道としての活用も含め、今後の活性化や利用促進のために全力で取り組んでいるが、こうした地域を元気にする可能性も奪われ、将来の地域の可能性が奪われると指摘をされています。まさにそのとおりだと思います。  赤字を理由として廃線を検討するのであれば、島根県は山陰線、木次線も抱え、ともに赤字路線です。いずれも必要な交通機関に変わりはありません。今回、三江線がターゲットにされて存廃の議論の対象となっていますが、これが山陰線だった場合でも大切な交通機関として済まされますか。必要な交通機関との認識にはなりませんか。知事の見解を改めてお伺いいたします。  さらに、関准教授は、かつて国鉄と呼ばれたJR西日本は、今や4分の3の株式が金融機関や外国法人によって保有され、純然たる民間企業になってしまっていますが、株主の要望に応えて収益性をひたすら重視し、三江線を廃止してもよいのか、JR西日本の社会的、公共的責任が問われようとも指摘をされています。  次の質問に移ります。  この間、2月14日から4回の検討会の後、鉄道としての存続の可能性について一定の論点整理を行ったとして経過報告が行われ、経過報告の結果、沿線6市町で構成する三江線改良利用促進期成同盟会から、JRとして三江線の運行を継続する可能性を高めるための方策について検討するように、また、新交通プランについて検討を始めるよう指示があり、まず鉄道としての存続の可能性の検討がされました。この検討結果について、5月14日から28日にかけて沿線8カ所で2回目となる住民説明会が開催をされております。  そこで、伺っておきたいのは、この間、県は実務者検討会議の進行役を担うという立場の中で、会議は全て非公開で開催をされていますが、非公開としなければならない理由は何でしょうか。住民は会議後のコメントを新聞やテレビ報道によるしか情報を得ることができず、今後の鉄道のあり方を左右する大切な問題の議論が非公開で進められることは納得できません。見解を伺います。  次に、4回のこの検討会はJRから示された資料に基づいて検討されたことと思いますが、その資料の一部と思いますが、三江線活性化協議会のホームページに載せられています。三江線に関する検討会議第1回経過報告書として掲載をされています。人口推移と三江線利用のデータや乗車人員の推移、過去の災害と復旧費などなど、グラフや一覧表で表示をされていますが、特に注目するのは報告書で収支状況が示されておりますけれども、三江線については2,000万円の収益に対して9億2,000万円の費用で営業損益が9億円となっています。数字だけ見ると、収支の余りのギャップに驚くだけですが、この間JRは、利用促進の施策を追求するのではなく、行き違い設備の撤去を始めとして運行本数の削減や、安全対策を放棄して徐行運転としたダイヤを正規のダイヤとするダイヤ改正を行うなど、あえて利用しにくくしてきた歴史と経過があります。運行方式別の収支の検討についても、現在の運行状態での検討であり、赤字を強調した報告と言わざるを得ません。山陰線や木次線の収支も比較する必要があると思いますが、検討委員会の行司役としての見解を伺います。  住民に対する説明会としては2回目となりますが、私も川本会場、そして先般は江津市の川平会場にも、それぞれ伺ってきました。存続を求める声が圧倒的だと私は認識をしておりますが、県として住民の声をどのように捉えておられるのか、お伺いをいたします。  先般、松江において、私が実行委員長として開催をいたしました三江線など地方鉄道を考えるシンポジウム、これにおきましては、県からも交通対策課長にもおいでいただき、御来賓としての挨拶もいただきましたが、県としても三江線など地方鉄道は大変重要な社会基盤との認識を示されました。まさにそのとおりだと思います。また、最後までシンポジウムに参加をいただきましたので、内容については十分御理解をいただけたものと思います。  このシンポジウムの中で基調講演をいただいた交通権学会会長の上岡直美氏は、交通問題を住民の立場で地域の立場で研究をされておられ、交通というのは単に移動手段ということではなく、生活全体を支えるセーフティーネットであり、権利としての交通であるとのお話でした。  また、シンポジウムでコーディネーターを務めていただきました島根大学名誉教授の岡崎勝彦氏の問題提起についても、大変重要な発言がありました。ここで少し長くなりますが紹介をし、見解を求めたいと思います。  岡崎教授の発言です。交通権共有主体である国民、住民の権利保障に直接関係する三者の法的地位について見ておくならば、まずもって自治体の役割とは、地域住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。これは、地方自治法第1条の2のことであります。  次に、鉄道事業主体であるJR西日本は、その公共性確保義務として、輸送の安全を確保し、鉄道等の利用者の利益を保護するとともに、鉄道事業等の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする。これは、鉄道事業法の第1条であります。  さらには、国にあっては、当初の議論からは多くの後退が見られるものの、差し当たり交通政策基本法に見る我が交通権保障の直接的責任主体として、交通に関する施策の推進は、国民等の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識のもとに行われなければならない。これは、交通政策基本法の第2条であります。  そして、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保などについても、国は、国民が日常生活及び社会生活を営むに当たって必要不可欠な通勤、通学、通院その他の人または物の移動を円滑に行うことができるようにするため、離島に係る交通事情、その他地域における自然的、経済的、社会的諸条件に配慮しつつ、交通手段の確保その他必要な施策を講ずるものとする。これも交通政策基本法第16条。このようなことになっております。これらの各規定をして、実質的にも真に住民、利用者、国民目線に向かわせる方向づけこそ交通権の具体化にあると述べられております。  また、あわせて、鉄道は地域住民の移動手段として公共性が高く、廃線となれば憲法で保障する生存権や生活権などが侵害されるとの指摘もありました。そして、パネラーの方からも、JRと地元だけの問題ではない、国の施策として路線を守るべき。さらには、地元では一生懸命存続に取り組んでいるのに、行政に危機感がない。私たちの町を消そうとしているなどなど、政治の姿勢を問う声も多くありました。このように衣食住とあわせて移動する手段の保障に基づく交通権としての三江線の存続についてどのような見解をお持ちなのか、お伺いをいたします。  昨年策定されました島根県総合戦略においては、中山間地域、離島対策として生活交通の確保が位置づけられています。JR西日本が提案している持続可能な交通体系の構築を図るためには、三江線、木次線、山陰本線などの鉄道網をまず存続させた上で、鉄道と接続するバス路線等の配置を考えることが必要だと思います。鉄道から転換したバス路線を基幹交通として位置づけ、それと接続するバス路線を配置するのでは持続可能な交通体系の構築を図ることは難しく、島根県総合戦略にある生活交通の確保にはつながらないと私は思います。見解をお伺いいたします。  最後に、商工労働部長にお伺いしますが、先般、浜田で開催をされました石見観光振興協議会の総会において、山陰両県への外国人観光客誘致活動のために、4月22日に山陰インバウンド機構を立ち上げたとの報告がありました。今後、山陰インバウンド連絡会議を設置して、県、市町村、観光連盟、観光協会、地域DMO、民間企業などで活動していくとのことでありました。  外国人観光客誘致活動において認識しておいていただきたいのですが、先ほど紹介した三江線など地方鉄道を考えるシンポジウムにおいて、パネリストとして報告をされた元川本町観光協会職員であった有田恭二さんが、この方は三江線の存続のために、そして地域を守るために、毎日川本駅へ出かけ、川本駅におり立ってこられる人々との出会いを大切にして、おもてなしをするために観光案内や町内めぐりの地図を配ったりされています。平成25年7月からほぼ毎日活動されていますが、この間、有田さんによれば、47都道府県のうち21都道府県からのお客があったとの報告がありました。  さらに驚きなのは、何とドイツからわざわざ三江線に乗りに来た方との出会いがあったとのことでした。そのドイツの方とのお話の中で、ドイツは自動車王国だけど、ドイツの鉄道は文化であると胸を張って話されたそうです。そして、ドイツはドナウ川などの湖畔を列車が走るが、ここは渓谷美だ、本当に来てよかったと言われたそうであります。  ほかにも、ブラジル、アメリカ、台湾の方も川本駅に三江線に乗ってこられたということですが、アメリカの方は、昨年10月の三江線廃止への報道がアメリカのウエブサイトに載ったのを見て、来られたそうであります。こうして見ると、まさに三江線は外国人観光客誘致の大きな素材として活用できるものだと思います。今後、連絡会議において、インバウンドの現状把握、情報共有に、ぜひこの有田さんの話を活用していただきたいと思います。  少し前置きが長くなりましたが、観光資源としての三江線の存続についての所見をお伺いいたします。  何としても存続をしていただきまして、地域を元気にする可能性や将来の地域の可能性を奪うことのないよう強く求めて、三江線の質問を終わります。  次に、大きな2点目です。地域の医療体制の充実についてお伺いいたします。  医療体制の充実について、島根県としての考え方をお示しください。  この問題については、昨年9月議会でも取り上げました。医師の偏在の解消に向けて取り組んでいくとの答弁をいただいているところではありますが、全ての県民がそれぞれの地域で安心して暮らせる社会を実現するため、良質かつ適切な保健・医療・福祉サービスの効率的な提供を目指しますとして、平成25年度から29年度までの5カ年計画として島根県保健医療計画が策定され、さらに各圏域ごとの計画も具体的に示されております。現在もこの計画に基づいて鋭意努力されてることについては敬意を表するものであります。  しかし、実態はどうでしょうか。医師の偏在の解消は進んでいるのでしょうか。一気に解決できる問題だとは思っておりませんが、医師数についていえば、10万人当たりの数では、島根県の医師支援ガイドブック2016年度版によれば島根県は279人で、10万人当たりでは全国13番目です。この数字の上では医師は一定程度充足しているかのように思えますが、100平方キロメートル当たりの医師数の密度となると全国29番目となり、特に石見地域においては、依然医師不足は深刻となっています。私の地元の済生会江津総合病院では、医師や看護師不足から300床の病床を260床に減らし、救急の受け入れについても小児科については24時間の受け入れができていません。まさに、住む地域によって命にまで格差が生じていると言っても過言ではないと言えます。まず、石見部、特に浜田圏域の中核病院における診療科の偏在の現状についてどのように認識されているのか、お尋ねをいたします。  県として、現在の医師の偏在について、なぜこのような事態になったのか、以前にも伺っておりますが、改めて原因と現状についてどのように分析されてるのか、お伺いしておきます。  また、こうしたことに対する県の医師確保の取り組みの進捗状況と成果についてお示しください。  この間の取り組みの中で、島根大学における地域枠や県の奨学金を利用して医師となった人は既に160名に達し、毎年、医師の総数は増加をしており、しまね地域医療支援センターによる支援も精力的に取り組まれてることは承知しておりますが、地域住民からは実感として受け取れないと言われています。県内にとどまっている医師の勤務先の地域はどうなっているのでしょうか。偏在の解消につながっていると考えておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。  また、昨年9月の補正予算で、地域医療を支える医師確保養成対策事業のうち新規事業として、新専門医制度の実施に向けて島根大学附属病院に県内医療機関をローテーションする医師の専門研修医の調整機能を整備するとされました。その結果は出ていますか。どのように受けとめられてるのか、お伺いをいたします。  そして、ことし3月末に島根大学病院は、病院長をトップとして島根大学の医師の派遣検討委員会を発足させたとの報道がありました。これまで診療科ごとに派遣を決められていたのを、今後は窓口を島根大学病院に一元化し、県やしまね地域医療センターも参加し、検討して、不足感の大きい病院に派遣できるよう調整し、医師の偏在解消につなげるとの報道があったものです。設置されてまだ3カ月足らずではありますが、立ち上げ以降の各圏域や地域の病院からの派遣要請の状況と、検討結果としての実績は出ているのでしょうか、お伺いをいたします。  また、委員会の中で積極的にかかわっていただくことを期待しておりますが、県の所見をお伺いいたします。  最後に、県として、島根の医師の偏在を解消し均衡ある医療の保証をするために、今後どのように取り組んでいかれるお考えかを伺っておきます。  県の医師確保対策の取り組みが県西部の医師の偏在に対しても早く効果としてあらわれ、また大学の医師派遣がよい形で運営をされていくよう、島根県として積極的に取り組んでいただくことを求めて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 19: ◯議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 20: ◯知事溝口善兵衛) 山本議員の御質問にお答えをいたします。  私からは、三江線についての現状、考え方について申し上げたいと思います。  三江線につきましては、沿線地域にとりまして大事で必要とされるものでございますが、利用者が非常に少なくなっており、どうしたらいいのかということを関係者間で検討することが必要な状況になっているということだと思います。そこで、関係者の方々が相談をし、今年2月から、三江線をどうするかという問題について、沿線6市町、JR西日本及び島根、広島両県で構成する検討会議を立ち上げ、鉄道の存続可能性も含め、持続可能な地域公共交通のあり方について検討を行おうということに合意して、現在その検討が行われてるということだと思います。県としましては、関係者間で丁寧な議論がされ、適切な方向性が見出せるよう努めていく考えでございます。以上であります。 21: ◯議長絲原徳康) 穐葉地域振興部長。  〔穐葉地域振興部長登壇〕 22: ◯地域振興部長穐葉寛佳) 三江線に関する5点の御質問にお答えいたします。  まず、三江線に関する検討会議が非公開で行われていることについての見解についてであります。  この検討会議は、2月14日に第1回会議を開催しておりますが、その際、検討会議の枠組み等について議論を行い、会議については次の理由から非公開で進めることを関係者間で確認をしております。まず、検討会議は、三江線改良利用促進期成同盟会へ報告するための論点整理に向けて参加者間で率直な意見交換を行う場であり、自由闊達に意見交換できるような環境、会議運営が重要であること、また検討会議の場では、JR西日本の企業情報を取り扱う可能性があり、会議を公開することによりJR西日本の権利や競争上の地位などを害する可能性があること、これらがその理由であります。  この検討会議で議論をし整理した内容については、適時、期成同盟会へ経過報告を行うこととしており、4月21日に期成同盟会へ第1回目の経過報告をした資料について、全て公表されております。また、沿線の市町では、期成同盟会への経過報告の内容についてそれぞれ住民への説明会を開催されており、丁寧な対応に努められている、そのように受けとめております。  次に、検討会議で山陰線や木次線の収支についても比較する必要があるのではないかとのお尋ねについてであります。  JR西日本が、三江線について利用者のニーズにより合致した持続可能な地域公共交通の構築に向けた検討に入りたいという趣旨の申し入れを行った理由は、おおむね次の4つとされております。まず1つ目に、三江線は鉄道が本来想定しているような拠点間の移動が極めて少なく、大量輸送機関としての鉄道の特性が発揮できていないこと。2つ目に、三江線沿線住民に対して平成26年度に実施したニーズ調査によれば、通院、買い物などの市町内で完結する少量かつ多様な移動が、この地域の移動実態であること。3つ目に、三江線活性化協議会において5年間継続して取り組みを行ってきたものの、三江線の利用者の減少に歯どめがかかっていないこと。そして4つ目に、平成18年と25年には大規模な自然災害が起こり、いずれも膨大な経費をかけて復旧しており、今後も同様の災害が発生するリスクが高いことであります。このように、JR西日本が三江線が赤字であることを理由に今回の申し入れを行っているわけではなく、山陰線や木次線など他の路線の収支状況と比較する必要性は低いものと考えております。  次に、住民説明会での住民の声をどのように捉えているかとのお尋ねについてであります。  検討会議から期成同盟会に行った第1回経過報告に係る住民説明会については、沿線市町において5月14日から5月28日にかけて開催をされました。県としても県内の4市町5会場の説明会に同席をし、直接住民の方々の声を聞かせていただきました。その説明会では、住民の方から三江線の存続を望む根強い声があったその一方で、新交通プランがどういったものになるのか関心を示される声もありました。沿線市町においては、こうしたさまざまな住民の声を聞きながら、合意形成を図るべく丁寧な対応に努めておられます。知事からも答弁いたしましたとおり、県としては引き続き関係者間で丁寧な議論がなされ、適切な方向性が見出されるよう努めてまいります。  次に、交通権としての三江線の存続についてであります。  議員御指摘の交通権については、誰であっても、居住地や移動能力等にかかわらず、公共交通機関によって移動する権利が保障されるべきとの考え方がその背景にあるものと認識しておりますが、我が国において概念として確立されるまでには至っていないと承知しており、これについてコメントすることは難しいと考えております。ただ、いずれにしても三江線の問題については、持続可能な地域公共交通のあり方に関し、現在検討会議において精力的に議論が交わされているところであります。繰り返しになりますが、県としては引き続き関係者間で丁寧な議論がなされ、適切な方向性が見出されるよう努めてまいります。  最後に、バス路線を基幹交通とした場合、生活交通の確保にはつながらないのではないかとのお尋ねについてであります。  生活交通確保の基本的なあり方として、市町村や地域住民が最適な交通手段の組み合わせを地域の実情に応じて選択することが重要であり、そのことが交通手段の持続性や安定性を高めることにつながるものと考えております。県では、総合戦略に掲げる生活交通の確保のための取り組みとして、地域の実情に応じて最適な交通手段の組み合わせが選択されるよう、今年度新たな財政支援制度を創設したところであり、引き続き交通弱者の移動手段の確保に向けて取り組んでいく考えであります。以上でございます。 23: ◯議長絲原徳康) 藤間健康福祉部長。  〔藤間健康福祉部長登壇〕 24: ◯健康福祉部長藤間博之) 地域医療の体制について、7点お答えをいたします。  最初に、石見部、特に浜田圏域の中核病院における診療科の偏在についてでございます。  石見地域は、医師の不足により引き続き厳しい医療体制にあると認識をしております。特に浜田圏域におきましては、中核病院であっても小児科や耳鼻科、麻酔科など特定の診療科で引き続き常勤医師が確保できなかったり、また整形外科や呼吸器科などで常勤医師が1人体制になっております。これによりまして、外来診療や入院診療を制限したり、緊急手術ができなかったりするなど、地域の医療体制の維持に大きな影響が出ているというふうに認識をしております。  次に、現在の医師偏在につきまして、なぜこのような事態になったのか、原因と現状の分析についてでございます。  地域の医師不足の大きな要因は、医師の専門医志向、大病院志向を背景といたしまして、とりわけ平成16年度から始まりました新しい初期臨床研修制度の導入が大きいと考えております。これによりまして、症例数の多い都市部の医療機関に若手医師が集中し、従来ほどは地方の大学医学部に人材が残らなくなったため、大学が地域の医療機関へ医師を派遣する力が低下したことなどによるものと理解をしております。とりわけ石見地域は、主な派遣元であります島根大学や鳥取大学と距離が遠いということも、地域偏在という状況に、より影響があるというふうに認識をしております。
     次に、県の医師確保の取り組みの進捗状況等でございます。  県の医師確保の取り組みは、医師を呼ぶ、育てる、助ける、この3本柱で行っております。最初の、呼ぶ。これは現役医師の確保ということでございますが、これにつきましては、医師の登録制度であります赤ひげバンク事業を通じまして全国から県外医師の招聘を行っております。平成14年度から平成27年度までに140名を超える県外からの赴任があったところでございます。次に、育てる。これは若手医師の養成ということでございますが、これにつきましては、島根大学医学部の地域枠推薦や奨学金等の貸与制度により育った医師が今年度で160名となりまして、うち120名の医師が県内で研修勤務をしております。助ける。これは地域で勤務する医師を支援をするということでございますが、これにつきましては、ドクターヘリによる広域搬送ですとか、まめネットによる遠隔医療診断、代診医の派遣といった支援のほかに、院内保育所の整備ですとか処遇改善の手当の充実などを行っているところでございます。  次に、地域枠や奨学金を受けた医師のうち、県内に勤務する人数及び勤務先、これがまた偏在の解消につながっているのかという質問でございます。  本年4月1日時点で、島根大学の地域枠や奨学金等の貸与制度により育った医師160名のうち120名が、現在県内で研修勤務をしております。勤務地域の内訳は、松江圏域が24名、雲南圏域が2名、出雲圏域が70名、浜田圏域が13名、益田圏域が8名、隠岐圏域が3名となっております。県全体では着実に増加をし、県西部地域でも徐々に増加をしておりますが、現時点で医師偏在の解消につながるまでには至っていないというふうに認識をしております。  次に、島根大学附属病院における専門医研修の調整機能の成果についてでございます。  平成29年度から始まります新専門医制度の対応といたしまして、若手医師が島根県内の病院をローテートしながら専門医資格が取得できるように研修プログラムが策定される必要がございます。そのため、プログラム策定の中心となります島根大学に、各診療科と地域医療機関との調整を委託したところでございます。これによりまして、新たな専門医研修19の領域のうち、形成外科を除く18の領域におきまして研修プログラムが作成をされました。現在、新専門医制度の認証機関でございます日本専門医機構に申請中でございますが、県内各地域の医療機関と連携をしたオール島根の研修プログラムが策定されたものというふうに考えております。  次に、島根大学医学部附属病院に設置された医師派遣検討委員会についてでございます。  この委員会は、従来診療科ごとに派遣が決められていたものを、大学病院の中で申請窓口を一元化いたしまして、診療データ等に基づいて大学としての派遣の適否を判断しようとするものでございます。これによりまして、透明性、公平性のある派遣につながるものというふうに理解をしております。3月に開催されました第1回の委員会では、県西部の2病院から非常勤医師の派遣申請がございまして、検討の結果、それぞれの病院に対して当直応援が決定をされて、4月から派遣が開始されたところでございます。県としましては外部委員の立場でこの委員会に参画しておりますが、地域医療のために必要な医師が適切に派遣されるように、しっかりと働きかけをしてまいりたいと考えております。  最後に、医師偏在解消に向けて、今後県としてどのように取り組んでいくのかという質問でございます。  医師確保の具体施策につきましては先ほど述べたとおりでございますが、今後、島根大学の地域枠や奨学金の貸与を受けた医師が、毎年度20名から30名程度、さらに増加をしていく見込みでございます。これらの医師につきましては、島根地域医療支援センターや大学等との連携によりまして、そのキャリアアップと地域の医療ニーズを踏まえた勤務計画を作成することとなります。偏在解消に向けましては、その計画づくりの中で、県西部を始めとする医師不足地域での早期の勤務や定着につながるように取り組んでいきたいと考えております。  他方で、地方、とりわけ離島、中山間地域における医師不足、診療科偏在は、全国的な課題でもございます。これは国全体の政策的な誘導も必要であるということから、引き続き国に対しましても実効性ある対策を要望していきたいと考えております。以上であります。 25: ◯議長絲原徳康) 安井商工労働部長。  〔安井商工労働部長登壇〕 26: ◯商工労働部長安井克久) 1点、外国人観光客に対する観光資源としての三江線の存続についてという質問にお答えいたします。  外国人観光客にとって、沿線の日本的な景観などが楽しめる地方鉄道は魅力ある観光資源の一つであり、また外国人が広域で周遊する場合には、鉄道はよく利用される交通機関であります。今後外国人観光客に広域で山陰を周遊してもらうために、官民で4月に設立しました山陰インバウンド機構では、山陰の自然、歴史、文化などの魅力の情報発信などに取り組み、また、石見観光振興協議会では新たに外国語版のホームページ作成などに取り組みますが、こうした機会に、三江線を始め県内の鉄道沿線の魅力ある観光資源を海外に向けて情報発信をしてまいります。  三江線沿線にはこうした観光面での価値がありますが、一方で、三江線の問題については、進められております関係者間での議論において、こうした観光の要素も含めて総合的な検討がなされていくと考えております。したがいまして、ここで観光面だけを捉えて御質問のあった存続の問題について云々するということは難しいものと考えております。以上です。 27: ◯議長絲原徳康) この際しばらく休憩し、午後1時10分から再開をいたします。        午後0時5分休憩        午後1時12分再開 28: ◯副議長(中村芳信) それでは、会議を再開いたします。  午前中に引き続いて一般質問を行います。  吉野議員。  〔吉野和彦議員登壇、拍手〕 29: ◯吉野和彦議員 公明党の吉野和彦でございます。  まずは、4月14日、16日に熊本県、大分県を中心に九州を襲った大地震によりお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。  また、県におかれましては、地震発生以後継続して職員を被災地へ派遣され、現地での支援活動を実施されていることに心からの敬意を表します。  派遣された職員の皆様の健康に十分配慮した上で、被災地からの職員派遣要請につきましては今後もできる限りの対応を続けていただきますこと、切にお願い申し上げます。  それでは、通告に従って、質問に入らせていただきます。  初めに、若者の政策形成過程への参画についてお伺いします。  昨年、改正公職選挙法が成立し、今夏の参議院選挙からの18歳選挙権が実現しました。選挙権年齢の引き下げは、少子高齢化が進む我が国において、未来を担う若者の声をこれまで以上に政治に取り入れるためであります。より早く選挙権を持つことにより、社会の担い手であるという意識を若いうちから持っていただき、主体的に政治にかかわる若者がふえてほしいと総務省のホームページにありますが、私も全く同じ思いであります。  18歳選挙権が決定した後に、若者の政治的関心を高める動きに注目が集まっております。県内でもさまざまな取り組みがなされております。松江市内では、中学3年生と市議会議員との懇談形式の授業が行われ、市政を始めとした意見交換が活発になされたようであります。参加した市議会議員に感想を伺いましたが、思ったよりも市政に対してしっかりとした意見を聞くことができた、今後の市政に生かすことができるヒントが得られた、若者の声を聞くことの大切さを実感したとのことでありました。  ところで、国政選挙における年代別投票率について総務省が発表したデータによりますと、直近の国政選挙では60代と20代で投票率に半分以上も開きがあります。具体的には、平成26年12月の衆議院議員選挙では、20代の投票率32.58%に対して60代は68.28%となっております。平成25年7月の参議院議員選挙では、20代33.37%に対して60代は67.56%でありました。平成の初めまでは20代の投票率が50%を超えていたことから、若者の投票に対する意識の低下が近年顕著になっていることがうかがわれます。  また、平成25年に内閣府が日本を含む7カ国の満13歳から29歳までの若者を対象とした意識調査の結果が「子ども・若者白書平成26年度版」に掲載されておりますが、社会をよりよくするため社会問題に関与したいと思っている日本の若者の割合は4割強、自分自身が参加することにより、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれないと思っている割合は約3割にとどまっており、いずれも日本が最低になっております。このような結果から、若者の政治的無関心の一因は、若者の声が政治に反映されにくく、若者が社会における影響力を実感しにくいためと考えられるのではないでしょうか。  近年、地方自治体において、若者の声を政策に反映しようとする取り組みが盛んになっております。13歳から30歳までの青少年モニターを公募し、年4回程度アンケート方式による意見聴取を行っている例や、若者のグループワークによる政策提言を受ける仕組みをつくっているところ、また、アクティブラーニングの一環として、自治体から与えられた政策課題の解決法を授業の中でまとめ、政策形成を実体験するなど、そのやり方はさまざまです。特に、昨年全国の自治体が策定した地方版総合戦略の取りまとめにおいては、若者の声を聞く取り組みが多くの自治体で行われました。本県でも、若者の意見を聴く会として県下3カ所で行われたと聞いております。  そこで、お伺いいたします。  昨年行った若者の意見を聴く会の実施状況と所感をお聞かせください。  今後の県政を推進する上で、例えば子育てや若者の雇用対策など、まさに若者が当事者となる施策や世代間での合意が不可欠な分野などにおいて、若者の意見が積極的かつ適切に反映されるよう、政策形成過程へ若者が参画する仕組みづくりが必要だと考えますが、知事の所見を伺います。  次に、農業における農業機械開発やICT活用などによる農工連携についてお伺いします。  近年、奥出雲町や川本町を中心にエゴマの生産が広がりを見せています。奥出雲町では、平成17年度にわずか0.3ヘクタールから栽培を開始し、昨年度は31ヘクタールにまで栽培面積を拡大し、全国の市町村別栽培面積で日本一となりました。10年間で100倍の栽培面積拡大を達成できた背景には、エゴマ油の大ヒットがあります。  地方によって、エゴマはじゅうねんと呼ばれ、食べれば10年寿命が延びると言い伝えられています。エゴマに多く含まれるα‐リノレン酸を摂取すると血液がさらさらになることや、アルツハイマーの予防効果があることも報告されています。こうしたことがメディアに取り上げられ、今や県内産のエゴマ油は出荷すれば即売り切れる状態で、地元で買い求めることもかなり困難な状況です。県内産のエゴマ油は、海外産のものに比べるとα‐リノレン酸の含有量が高い上に、無味無臭であり、どんな料理にも合うことや消費者の食の安全・安心志向から、たとえ倍半分の値段であっても県内産から売れていくとのことで、まさに今後に期待できる農産物であることは間違いないと感じております。  ところが、実際栽培している農家の方にお話を伺うと、まだまだ課題が多いとのことでした。機械を使った収穫においては、エゴマの種子が実り、地面に落ちるまでの極めて短期間にこの種子を収穫しなければなりませんが、収穫適期からおくれてコンバインで収穫すると、歩どまりがかなり悪くなります。また、手刈りの場合は、脱穀などの調整作業に多くの手間がかかると聞きました。これらの課題解決が、今後の農家の利益を生むか生まないか、さらなる栽培面積の拡大ができるかできないかにつながっていく、まさに正念場なのであります。  エゴマは冷涼な地域であればどこでも栽培可能なことから、島根県の中山間地域に広げることも可能であり、先般も大田市においてエゴマ生産組合が設立されたところでもあります。島根県の今後の新たな特産品を考えるときに、当然、国内の他産地との競争に勝つことが必要であり、そのためには、他の地域では余りやっていないような農産物を選択することもあるのではないかと考えます。その際、エゴマの場合と同様、農産物の特性に合わせた農業機械の開発などの支援が必要になるのではないでしょうか。  そこで、お伺いします。  県は、エゴマの特性を捉えた上で農業機械の開発など、これまでどのように支援し、今後どのように対応するのか、お伺いいたします。  全ての産業に共通することですが、今後人口減少社会に対応し、収益を伸ばしていくためには、生産性の向上や省力化の推進が不可欠であります。それは農業においても例外ではないと考えます。  ところで、世界第2位の農産物輸出国であるオランダにおいては、農業のICT化が非常に進んでおります。オランダの国土面積は日本の9分の1、人口は8分の1、耕作面積は日本の約4割、決して広い国土や耕作地があるわけでも、人口が多いわけでもありません。しかし、ICTを導入し、主に、花卉、ジャガイモ、トマト、キュウリ、キノコ、チーズを輸出しておられます。このように農業はICTとの相性が高いと言えると思います。一方、日本の国内でも、農業が盛んな地域では積極的にICT導入が図られているようですが、国内全体ではまだまだこれからだということです。  先日、秋田県に伺い、同県の農工連携の状況について聞かせていただきました。秋田県内の製造業や情報通信業と農業関連事業者が連携して、おのおのの技術やノウハウを有効に活用することで農業分野にイノベーションを起こし、農業及び製造業等両者の振興を図ることを狙った取り組みが行われておりました。具体的には、63企業、団体が参画する次世代農業機器研究会を立ち上げ、セミナーや意見交換などを通じ、県内農業をめぐる課題を共有化し、その課題解決に向けて最適な企業等でコンソーシアムをつくって、農業機械やICT化機器の開発を進めておりました。秋田県は国内屈指の農業県であり、本県と置かれた状況の違いはありますが、先ほど申し上げた農業機械開発や農業のICT化など、県内農業関連事業者と県内製造業や情報通信業が連携することの意義は大きいと考えます。本県においても、企業と連携するなどして農業分野でのICT活用などをもっと進めてほしいと考えますが、県内での現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。  次に、学校教育におけるIT人材育成について伺います。  IT業界での技術者不足は、今や慢性的な状況となり、都会地でも地方でも全国的に人材確保に苦慮している状況です。IT企業の誘致が進む本県ですが、人材確保面では年々厳しさが増しているのではないでしょうか。このまま限られた人材を奪い合う状況を続けていても、根本的な解決にはつながりません。新たにIT技術者として業界に進む人をふやすしかないのは誰の目にも明らかであります。そのためには、小中学校段階から将来のIT人材を計画的に育成していくことが大変重要であり、今般政府において閣議決定された新成長戦略にも、小中学校でのコンピューターのプログラミング教育を平成32年以降に必修化するとの項目が盛り込まれました。  県内では、松江市の松江第一中学校で、平成23年度くらいからRubyを用いた授業が始められております。松江市教育委員会では、全市内の中学校でこの取り組みを広げようと、平成25年度から指導案や教材を作成し、担当教員への研修を行い、平成27年度に先行して8校がスタート。そして、今年度からは全校でRubyを活用した授業が始められました。  この授業は、技術科の中で学習する計測と制御の単元で実施されており、3年生時の8時間程度学習するところが多いようです。この教材用に開発したスモウルビーによりロボットを動かすプログラムをつくり、実際にロボットを動かして与えられた課題をクリアしていく、このようなカリキュラムになっております。Rubyを使えるようになることが目的ではなく、全ての生徒にRubyを体験してもらうこと自体が目標とのことで、興味、関心を持ってもらうためのきっかけづくりとして取り組んでおられます。体験型の授業であり、授業を受けた生徒の皆さんからは好評を得ているとのことでした。県内東西の高等技術校でも、将来の理系人材育成のために、小学生を中心に同じような内容のロボット教室を実施しております。県内で既に始まっているこれらの取り組みを、早期に県内全体に広げていくことがIT技術者の裾野を広げるために必要だと考えますが、教育長の所見を伺います。  ことし、IT企業に入社した方々の合同新入社員研修を見学させていただく機会がありました。熱心に受講される皆様の姿から、各企業でのこれからの活躍される様子がうかがわれるようでしたが、1つ気になることがありました。圧倒的に女性が少ないことでした。コンピュータープログラミングに最も必要なのは国語力であると聞いたことがあります。文系の学生がIT業界に入ったという話もよく聞きます。また、IT企業では、テレワークの活用などにより長く働ける環境づくりに取り組んでおられるところも多く、女性の活躍しやすい職場の一つではないかと思います。しかし、学校教育のどこかの段階で、女性の多くがIT技術者への進路選択を考えなくなっているのが実情であり、最近、土木女子というキャッチフレーズで女性の業界への進出を進めようとしている建設業と同様、抜本的な対策が必要なのかもしれません。  そこで、現在県において、出雲商業高校など3校でモデル的に実施されている県内IT関連企業の技術者を講師に招いて行っている授業についてお伺いします。  この事業で、IT業界の最先端で働いておられる技術者の方が講師を務めておられますが、この狙いは何でしょうか。また、授業を通じて生徒の皆さんの進路に対する考えの変化は出てきているのでしょうか。お聞かせください。  また、今後の展開をどのように考えておられるのか、所見を伺います。  県内でIT技術者の養成を行っている専門学校の状況も見させていただきました。大変驚いたのは卒業後の進路です。ほぼ全員がIT技術者として、しかも県内の企業に就職しているとのことでした。以前は採用してくれなかった企業へも、最近卒業生を送り出せるようになり、企業とのパイプも太くなりつつあることを学校関係者は喜んでおられました。また、誘致企業への就職も近年ふえてきたとのことで、専門学校が県内IT企業への人材輩出元として重要な役割を担っておられることを再認識しました。専門学校は、より現場の実務に合ったカリキュラムを組み、即戦力となり得る人材の養成を目指されております。重要なのは、県内企業とのさらなる交流だと感じました。企業側から、技術者を講師として派遣してもらい、実務に即した授業を実施することや、専門学校で指導に当たる教員を企業側に受け入れてもらい、研修をすることなど、人材の輩出元、受け入れ先がさらに連携を深めることは重要だと思います。このような取り組みについての所見を商工労働部長にお伺いいたします。  県内の高等学校などを卒業して、県外のIT技術者を養成する専門学校に進学する生徒もおられるのではないでしょうか。県外に進学すれば、ほぼ島根に戻って就職することはないものと思います。あくまで進学先を決めるのは本人でありますが、島根にはIT技術者を求める企業が多くあり、県内の専門学校では、ほぼ全員がそうした企業へ就職できていることを進路指導を担当する教員に知ってもらい、また、高校生や保護者に対するPRの場を県外専門学校と同等に設けていただきたいと思いますが、教育長の所見をお伺いいたします。  県内IT企業の新卒求人が最も高いのは、高等専門学校及び大学でIT技術を専門的に学んだ卒業生だと思います。しかし、現状は、他の学科に比べても県内就職率が低いのではないかと危惧しております。現状をどのように認識され、今後どういった方向で対策をしていくお考えか、お聞かせください。  最後に、県内公立図書館のネットワークについて伺います。  公立図書館の主なサービスとして、図書館の蔵書等の資料提供と、そして図書資料の利用についての相談、これは具体的に申しますと、資料を使ってさまざまな質問に回答する業務であるレファレンスや、本の案内、検索、探索方法のアドバイス、利用者が求めているさまざまなテーマや内容の本を紹介する読書案内などの形で提供されます。この大きく2つのサービスがあります。  県立図書館の使命の一つとして、県内のどの地域にお住まいの方にも、これらのサービスを受けられるようにすることがあります。しかし、現在、県立図書館は松江の本館と浜田の西部読書普及センターしかなく、また、限られた人員、蔵書、予算で業務を行っており、そうしたサービスを実施するのは非常に難しい現状であります。全国的には、図書館同士が連携してサービスを提供するネットワーク化が進められております。  先日、鳥取県立図書館を訪問し、今最も力を入れていることを尋ねたところ、やはりネットワークの強化を上げておられました。鳥取県立図書館は、貸し出しやレファレンスなどのサービスの質の高さから西日本を代表する図書館として名高いのですが、県立図書館で受けられるサービスを、そのまま県下全域に行き渡らせたいとの熱い思いが担当者の話から伝わってきました。当然ながら、鳥取県内の各公立図書館にもさまざまな状況があり、どうしたら理想に近づけられるか、試行錯誤の真っただ中だということでしたが、現状に甘んずることなく、さらに向上していこうとする姿勢に頭が下がる思いでありました。  県内においても、県立図書館のイニシアチブにより、書籍等の提供については図書館相互の貸し出し体制が構築され、物流も整備されていると伺っておりますが、どのような体制で遠隔地に住む県民の方に書籍等を貸し出しされているのか、また公立図書館のない地域への対応状況をお聞かせください。  近年、図書館のもう一つの主要サービスである図書利用相談サービスのニーズが高まっており、ビジネス支援など、利用者のための問題解決型のサービスに取り組む図書館もふえております。一方で、人員面の制約や職員のスキル、蔵書等の不足から、小規模図書館においては相談サービスの中でもレファレンスが十分に行えない館もあると聞いております。そうしたことから、県立図書館と公立図書館が連携してサービスに対応する、まさにネットワークによる対応が必要だと考えます。  そこで、お伺いします。  県立図書館における昨年のレファレンスと県内の公立図書館からのレファレンスの状況及び県立と公立との役割分担など、連携体制の現状をお伺いします。  この公立図書館ネットワークの利用者として忘れてはならないのが、各小中高等学校及び特別支援学校の図書館です。公立図書館に比べても、さらに脆弱な人的、物的体制で、調べ学習などの図書館活用教育を担っている学校図書館においては、公立図書館との連携なくして活動のさらなる推進は困難だと思います。  学校図書館司書の方からお話を伺うと、子どもたちに利用しやすい図書館づくりや、本の魅力を伝えることで本を好きになる児童生徒がふえる喜びや、図書館活用教育の一翼を担うやりがいが伝わってくる反面、一様に多忙感を感じておられます。調べ学習では、一人一人の子どもたちの調べたいこと一つ一つに最適な本を探す必要がありますが、蔵書数に限りがあり、学校図書館に適当な本がない場合はほかの図書館から借りる必要があり、それには時間と手間が必要ですが、その確保が難しいようです。児童生徒からの図書館利用の相談も同様です。この状況を図書館同士の連携により改善する必要があると思います。そもそも学校図書館がない地域や十分な対応ができない館もあると思いますが、学校図書館への支援の現状と今後の支援強化について、教育長に所見を伺います。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 30: ◯副議長(中村芳信) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 31: ◯知事溝口善兵衛) 吉野議員の質問にお答えをいたします。  私からは、県の政策形成過程への若者の意見の反映をどうするのかと、こういう質問でございます。  私も若い人たちの意見を聞くことは重要だと考えております。例えば昨年度の知事公聴会では、隠岐の観光関連の若手の事業者の方々、あるいは県内の若手の農業者の方々などから、お話を聞く機会を持ちました。また、いろんなとこで若い人に会うことがあるわけでありますが、そうした機会に若い人たちの意見を聞く、話をするということに心がけております。若い人の意見の反映の場としては、例えば財政健全化の推進のために設置をしております改革推進会議がありますが、その委員には島根大学の学生にも参画してもらっております。その他多くの審議会でも公募枠を設けまして、若者たちの参加を呼びかけておるということでございます。  また、広く若い人たちに意見をいただくため、条例や各種計画など県の重要な政策形成に当たりましてはパブリックコメントを求めるわけであります。意見の公募でございますが、それを実施してるほか、県民ホットラインでは県政に係る提案を随時受け付けておりまして、これらの意見にどう対応するかについてはホームページで公表をしております。そういう仕組みの中で、若者を始めとした県民にいろんな意見を出していただく、我々に届けていただく、これを進めていきたいと考えております。  また、今年から選挙権年齢が18歳まで引き下げられたのでありまして、地域の若者たちに県政への関心を高めてもらえるような場、そういう場を設けることについて、どうするか今検討中でございます。こうしたいろんなチャネルを通じまして、若い人たちが県政に意見を言う、あるいは我々も県政の考えをお伝えをする、そういうことを進めていきたいと考えております。 32: ◯副議長(中村芳信) 新田政策企画局長。  〔新田政策企画局長登壇〕 33: ◯政策企画局長(新田英夫) 若者の意見を聴く会の実施状況についてお答えいたします。  昨年9月に策定作業を進めておりました島根県総合戦略について、若者を中心に広く御意見を伺うため、若者の意見を聴く会を開催しました。松江、浜田、隠岐の3会場で、県内にUターンした若者や農業に魅力を感じてIターンした若者なども含め、約120人に参加いただきました。島根が目指す将来像や取り組みが知りたいという思いで参加した若者が多く、当日に行ったアンケートも含めまして、島根をよくするためのアイデアや県外から見た島根の印象、島根への要望など、さまざまな意見をいただきました。若者を始め広く県民の皆様の意見をお聞きし、それを施策などにどう反映したのかをお伝えすることで、島根への関心を一層高めていただけるよう努めてまいります。 34: ◯副議長(中村芳信) 坂本農林水産部長。  〔坂本農林水産部長登壇〕 35: ◯農林水産部長坂本延久) 私からは、農業の関係で2点お答えいたします。  まず1点目は、エゴマに関する農業機械の開発などについてのお尋ねでございます。  このエゴマにつきましては、私も何度か、このエゴマの栽培加工に取り組んでおられるグループの方からお話を聞かせていただいております。その中でもエゴマの収穫などについては、御指摘のとおり、収穫の際に脱粒して歩どまりが悪いといったような点が課題になっていると聞いております。これは、以前から栽培されているほかの産地でも同様の課題がございまして、コンバインの改良なども現状では技術的に難しいと承知しております。このため、現在のところ収穫適期、収穫に適した時期にこれを逃さず効率的に作業ができるように、コンバインの利用体制などを整えるということが現実的な対応かと考えております。県としてもそういう観点で、議員から御紹介ありましたけれども、奥出雲町に対しましてコンバインの導入などを支援した例もございます。  また、収穫時期を分散させるために、熟期、熟する時期の異なるエゴマの作付も普及指導したりしております。  なお、中長期的には脱粒してしまう性質の改善、あるいはわせ系統の育種も有効な手法であると考えておりまして、県の農業技術センターが取り組んでいくこととしております。  もう一点の手刈りによる収穫における脱穀作業などの効率化につきましては、地元業者が行う脱穀機の改良を県の農業普及部が支援しております。これは、間もなく実用機の試験運転の段階になるというふうに承知してるところでございます。  2点目の御質問でございますが、農業分野でのICT活用についてでございます。  このICTの活用につきましては、1つは、省力化による担い手の負担の軽減、あるいは適正な管理による高品質な作物の生産、また新規就農者等への栽培技術の伝承、継承などの面で有効なものと考えております。このため県では、昨年度から、JAしまねとともに農業のICT化に向けた次のような取り組みを進めております。1つは、水田にセンサーを設置しまして、遠隔地から水温や水の量を把握しまして品質向上を図る実証試験。また、生産者への指導記録を電子化しまして、今後の技術指導に活用するための検討などを行っております。また、畜産農家につきましては、県内のIT企業とも連携して開発された牛の分娩の前兆などを遠隔地でも把握できるシステムなどが活用されてるところでございます。このほか、さまざまな事例ございますけれども、それらも含めまして、今後農業現場でのICTの活用普及が民間企業が主導になって急速に進むものと考えております。県としてもこうした動向を捉えまして、島根の実情に合った取り組みを支援していきたいと考えております。以上でございます。 36: ◯副議長(中村芳信) 安井商工労働部長。  〔安井商工労働部長登壇〕 37: ◯商工労働部長安井克久) IT人材に関して、2つの御質問にお答えします。  まず、県内IT企業と専門学校との連携についてお答えします。  平成27年3月の専門学校の情報系学科から県内企業へのIT技術者としての就職は約7割で、そのうちIT企業へは約5割でした。これをもっとふやしていくために、県では昨年度から次のような施策を行っております。1つ目には、専門学校の2年時の授業にIT企業が参加して、グループ形式でプログラミングの技術や企業の現場で実際に用いる開発手法等の技術指導を行う、こうした取り組みに対しての支援。2つ目には、企業と専門学校の教員が連携して専門高校の生徒にプログラミングの習得や技術指導を行う、こうしたことへの支援を始めております。こうしたこともございまして、平成28年3月の県内企業へのIT技術者としての就職率は約9割となり、そのうちIT企業へは約6割となりました。今後も、さらなる地元就職者数の増加と定着につながるよう、IT企業と専門学校の実践的な交流が拡大されるように支援してまいります。  次に、大学、高専における県内IT企業への就職の現状と今後の対策等についてお答えします。  平成28年3月に卒業した島根大学数理システム科情報専攻、それから松江高専情報工学科の現状を聞き取りしましたところ、まず島根大学では、情報専攻の卒業生のうち就職をしたのは33人で、そのうち県内IT企業に9人が就職しております。次に、松江高専では、同じく卒業生のうち就職したのが18人で、そのうち県内IT企業に3人が就職しております。いずれも県内IT企業への就職は二、三割と、少ないということでございます。この背景には、島根大学は、情報専攻の専門課程を学習した学生がITとは異なる分野へ就職してる事例もあると。それから松江高専の場合は、県内外のIT企業からの引き合いが多い中で、現状では県外の大手企業への就職を希望する人が多いということでございます。  これをさらに県内へ振り向けるために、次のような取り組みを始めたところです。1つには、学生と県内企業との接触の場をふやしたり、経営者層とのコミュニケーションの機会をふやしていくことです。2つ目には、学生が県内企業と一緒に技術開発や研究を行えるような場所を県が運営したり、企業のそうした活動を支援するということであります。
     このことについて少し具体的に申しますと、今年度から、しまねソフト研究開発センターにおいて島根大学の院生と県内企業が一緒に先駆的テーマに取り組むワークショップを開設し、毎週、県内企業2社と学生12人の参加が予定されています。それから、これも今年度からですが、県内のIT企業3社がそれぞれ独自でITとものづくりを組み合わせた新しい技術開発を学生と共同して行う場を開設しております。大学、高専の学生が積極的に参加して、新しいものづくりに挑戦していく予定です。こうした県内のIT企業と大学生、高専生等とのさまざまな接点をふやしていくことにより、県内IT企業就職への動機づけ、それから定着につなげていきたいと考えております。以上です。 38: ◯副議長(中村芳信) 鴨木教育長。  〔鴨木教育長登壇〕 39: ◯教育長鴨木朗) IT人材の育成と図書館ネットワークに関しまして、6点の御質問にお答えをいたします。  まず、プログラミング教育についてであります。  プログラミング教育には、論理的思考力や創造性、問題解決能力といった資質、能力を育む、そういう側面があるとされております。あわせまして、将来、IT技術者を目指そうとする意欲を持った子どもをふやしていくことにもつながると考えております。国においては、学校教育で実施するプログラミング教育の意義、小学校段階における効果的なプログラミング教育を実現するために必要な条件整備について検討が行われております。その検討の論点としましては、例えばどのような教科等でどのように実施すればよいのか、どのようなICT環境が最低限求められるのか、日本のカリキュラムに合った教材開発のあり方はどうだろうといった課題について議論が交わされているところであります。県としては、こうした動向につきましてアンテナを高くして情報収集を進めてまいります。  次に、専門高校で県内のIT技術者を講師としてお招きをし授業をしておりますIT人材育成事業についてお答えをいたします。  議員から御紹介いただきましたこの事業は、県内IT企業が求める人材の育成を目指すために、情報関連の授業内容をIT産業界の実務に即した内容に変更いたしまして、平成26年度から取り組んでおります。この事業におきまして企業の技術者の方に講師を務めていただきますことは、生徒が日進月歩を続けるITを身近に感じ、興味、関心を高めることができるとともに、学校と県内IT企業の連携がより深まり、高校生の県内就職の一助となる、このような狙いを持って進めております。生徒は、専門技術を習得することのすばらしさを実際に感じることができますとともに、専門家から評価を受けるわけでありますので、そのことによりまして生徒本人の自信につながっております。また、県内IT企業の技術力を知ることによりまして、県内就職に関心を持つ生徒が現実にふえつつあると、このように聞いております。今後も県内IT企業と連携を深めまして、IT人材育成の充実が図られるよう、この事業を進めてまいりたいと考えております。  次に、県内専門学校の魅力を高校生や保護者などへPRしていくことについてお答えをいたします。  まず、高校の教員は、島根の若者と県内企業をつないでいる県内の専門学校のよさを認識しております。その上で生徒の進路指導に当たっております。高校生に専門学校等を紹介する進路ガイダンスを開催しておりますが、このガイダンスは生徒の進路希望を踏まえながら実施しておりまして、これまでのところIT分野では県外の専門学校の出展も多い、そういう状況にございます。このため、IT関連の県内専門学校に対する生徒や保護者の理解が進むように、各高校に対しまして積極的な情報提供に取り組んでもらうよう、今後呼びかけを行ってまいります。  次に、県内の公立図書館のネットワークに関連いたしまして、まず遠隔地や公立図書館のない地域への県立図書館の蔵書の貸し出しについてお答えをいたします。  県立図書館では、インターネットで蔵書を検索したり貸し出しを申し込めるシステムを設けておりまして、ホームページ上で利用できるようにしております。これによりまして、遠隔地にお住まいの県民の方々もパソコン、スマホから貸し出しの手続を行い、最寄りの市町村立図書館で貸し出しと返却を無料で行うことができるようにしております。また、インターネット環境がない方の場合は、お近くの市町村立図書館などで手続を行えば、県立図書館の資料を取り寄せることができるようにしております。  なお、県内で市町村立図書館が未設置の、3団体あるわけですが、それらの地域におきましては、実質的には公民館図書室で同様のサービスを提供いたしております。  次に、県立図書館におけるレファレンスの状況や市町村立図書館との連携の体制についてお答えをいたします。  昨年度、県立図書館が受け付けたレファレンスの件数は、年間1万1,000件を超えております。その内訳でありますが、本の所蔵の有無を調べる書誌調査と言っておりますが、これが8,148件、次に特定のテーマに関する本を調べる文献調査、これが2,344件、そして特定の事柄、事実に関して調べる事実調査、これが574件となっております。これらのうち市町村立図書館等からレファレンスを依頼されたものにつきましては、書誌調査が61件、文献調査が33件、事実調査が12件の計106件ございました。県立図書館と市町村立図書館のネットワークを活用いたしまして、市町村立図書館ではなかなか回答ができにくいような内容の依頼に対しましては県立図書館がかわりに調査を実施したり、案件によっては国会図書館などとも連携して対応しております。このほか、市町村立図書館職員のレファレンスの能力を高めると、そのことを目的といたしまして職員研修や出前研修などを行って、人材育成にも努めているところでございます。  最後に、学校図書館への支援の現状と今後の支援強化についてお答えをいたします。  県立図書館では、学校での授業や調べ学習などによく使用される、そのような図書を中心に、学校図書館支援パッケージといたしまして、県内のそれぞれの市町村に約2,000冊ずつを寄託する方法によりまして、各学校の教育活動の支援に努めております。また、学校図書館から個別にリクエストがあった図書につきましては個別貸し出しも行っております。学校司書の人材養成、資質向上の面では、小中学校の学校司書を対象に県内2カ所で年4回の研修を、そして高等学校、特別支援学校の学校司書を対象に年1回の研修会を開催をいたしております。また、学校図書館へのレファレンス支援の面で申し上げますと、教育活動の参考になるインターネット上の有用なサイトが幾つかございますが、そのサイトをまず紹介いたしまして、そのサイトの利用方法についても情報提供支援をしているところでございます。  今後の支援の方向性といたしましては、学校司書と司書教諭との連携、そして学校図書館と市町村立図書館等のネットワークが円滑に機能していくように、合同の研修機会や先進事例の情報提供などを通じて県立図書館ならではの支援機能を担っていきたいと、このように考えております。以上でございます。 40: ◯副議長(中村芳信) 以上をもちまして吉野議員の質問は終了いたしました。  須山議員。  〔須山隆議員登壇、拍手〕 41: ◯須山隆議員 民主県民クラブの須山隆でございます。  ただいまから大別4点にわたりまして一般質問をしたいと思います。知事及び関係部長の明快なる答弁をよろしくお願い申し上げる次第でございます。  まず1点目は、知事の政治姿勢についてお伺いをしたいと思います。  国におきましては、国会最終盤に野党による内閣不信任案が提出されました。これはまさに、前回の衆議院選挙時に消費税10%への引き上げを平成29年4月まで繰り延べた際、再延長は絶対しないと明言したにもかかわらず、経済情勢を消費税引き上げに耐えられるような状況にまでに回復させられなかったアベノミクスの失敗の責任を問うものでありました。しかし、与党自民党は数の力で一蹴し、安倍首相は国民に信を問うべき衆議院の解散をすることもなく、国会は閉会となりました。既に選挙モードに突入し、選挙戦一色の様相を呈してきています。今回の参議院選挙は、憲法改正を可能とする勢力確保をうかがう与党と、安倍政権の暴走をストップさせるための勢力の結集をもくろむ野党の激突の構図となっています。今回の選挙の結果次第では、日本の行く末を大きく変えるだけではなく、地方としても自分のこととして真剣に向き合う必要があると感じています。特に、この選挙戦を通じて争点になるであろう政策について、島根県知事としてもどう考えるか県民に明らかにすることは極めて重要なことであると考えています。  そこで、何点かお聞きをいたします。  まずは、消費税問題であります。  消費税については、現行では、黙っていても来年の4月には8%から10%に引き上げることになっており、その法律からは経済条項も削除されています。しかし、GDPや各種指標を見てみても、消費税を8%に引き上げたときの消費マインドの冷え込みは回復しておらず、現時点において10%に引き上げるのは得策ではないとの認識が大勢を占めています。こうした実態を踏まえ、民進党は、党首討論の際に岡田代表から、今は消費税を引き上げるべきではない、しっかりとした経済対策を打ち、消費マインドを上向かせ、税収を上げるのが先決であり、具体的には2年程度先延ばしすべきだとの提言を行い、国会最終盤には法案も提出をしたところであります。  これに対し安倍首相は、当初、消費税10%引き上げの判断は参議院選挙が終わってから、などとんでもないことを言っておられましたが、それはさすがに無責任と感じられたのか、伊勢志摩サミット終了後に判断したいと軌道修正をされました。しかし、このサミットで、事もあろうに現在の世界の経済情勢がリーマン・ショック直前のような危機的状況にあるとの爆弾発言を行い、多くのアナリストからひんしゅくを買ったのは新聞報道のとおりであります。まさに重要なサミットにおける経済分析を、消費税増税先延ばしの正当化の道具に使うとは、とんでもないことであります。  また、引き延ばす期間を2年半とする根拠が、次の参議院選挙に影響がないようにするためというのですから、あいた口が塞がりません。このような、これまでにも増した強引な手法は、さすがに与党内にも異論が続出しましたが、それすら押さえつけて自分の思うままの政権運営を行い、自民党執行部もあけて通している状況となっています。今後は、さらなる経済対策が必要として、財政再建などどこ吹く風と言わんばかりに選挙対策でばらまきをする構えなのですから、たまったものではありません。専ら選挙対策優先で、国民不在の議論が続いているわけであります。このように、アベノミクスは既に破綻していると断言できると思っていますが、溝口知事はどう評価しておられるのか、お伺いをいたします。  また、経済対策を単なるばらまきとせず、財政規律と両立させるためにはどういった手法が適当と思われますか、所見をお伺いをいたします。  次に、安保関連法制についてであります。  このことについては、昨年強行採決するまでは合憲か違憲かの議論が活発に行われ、国会の外においても活動が盛んでありましたが、このところ報道による恣意的な誘導もあってか、その熱も下がりぎみであり、まさに安倍首相の思惑どおりとなっています。しかし、このことは、憲法が認めていない集団的自衛権の行使を解釈の変更による閣議決定で行使を可能にしたという、まさに立憲主義を破壊した暴挙だったのであり、このことを参議院選挙の争点とすることなく、国民の審判の判断材料から意図的に外すということはあってはならないことであります。こうした、そもそも論が深まることなく既定路線かのごとく着々と法律が施行され、PKOの活動が見直されていくさまを見ていて、恐ろしさを感じているのは私だけではないはずであります。  知事は、このことについても、国の専権事項と言わんばかりに自分の考えを示さないできました。しかし、県民が戦場に駆り出されるのも目前に迫っているのです。国の暴走にブレーキをかけるためにも、地方から明確なメッセージを出すことが極めて重要なことだと感じます。昨年、強行採決された安保関連法制のプロセスの是非について、知事の所見をお伺いをいたします。  また、安保関連法制自体の是非についての所見もお伺いをしたいと思います。  4月14日に発生した熊本を中心とした地震は、その後の16日の本震に続き、かなりの規模の余震が数多く観測され、多くのとうとい命を失うとともに甚大なる被害をこうむりました。改めて亡くなられた皆様にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。  本来、地震の少ないと言われるこの地域が突如群発地震に見舞われたことにより、地域住民の動揺ははかり知れないものがあります。自然をなめてはいけないと改めて強く感じた出来事でした。しかし、このようなことがあっても、鹿児島県にある九州電力川内原発は停止することなく稼働し続けました。原子力規制委員会によれば、今回の地震の規模は川内原発の基準値以下であり、安全上の問題はないとしていますが、自然による想定外を考慮するなら、一時的ではあっても稼働を停止するという判断があってもいはずです。ここでも、住民の安全より経済が優先される形となりました。  そもそもこの川内原発の再稼働は、伊藤鹿児島県知事が、国が全ての責任を持つという確約がとれたとして再稼働を容認したのですが、万が一、事故が起こった場合、一義的に県民の安全を守る責任を果たすべきは県であり、それを国に転嫁して県は責任を放棄することなど言語道断であります。万が一、事故が発生した場合、県民の安全確保のために必要な防災計画について、安全・安心研究センターが川内原発再稼働前に原発から30キロ圏内の5市町村の住民アンケート調査をしたところ、そうした県の姿勢を見透かすかのように、恐らく安全に避難できないと、安全に避難できないと回答した住民が、川内市で69.5%、それ以外の市町村で61.7%に上っています。それほど防災計画が机上の空論で、住民に受け入れられていないということなのであります。  翻って、島根県はどうでしょうか。島根県も一般的には地震が少ない地域と言われていますが、近しいところでは平成12年10月6日に発生した鳥取県西部地震が思い出されます。このときの地震の規模は震度6強、マグニチュード7.3で、平成8年に震度階級を改正して初めて震度6強を記録した地震となりました。このときの被害の状況は、負傷者138名、家屋の全壊が395棟、半壊が2,583棟、一部損壊が1万4,938棟でありましたが、マグニチュードが7を超す大地震であったにもかかわらず、人命を失わずに済んだのは不幸中の幸いであったと言われています。  また、日本地球惑星科学連合の大会で京都大学防災研究所の西村卓也准教授は、地震の引き金となるとされる地盤のひずみがたまりやすい地域の一つに、山陰を上げています。これは、GPS(全地球測位システム)データの解析から明らかになったもので、島根県の東部から鳥取にわたり広くひずみが蓄積されていることがわかります。このように、山陰におきましても決して大規模な地震が発生する確率が低いわけでもなく、特に、今回西村准教授が発表されたデータはまさに新しい知見であり、島根原発の再稼働を考えるときに重要な判断材料になると考えますが、溝口知事の所見をお伺いをいたします。  また、鹿児島県のように、国が全ての責任を持つという確約がとれたからといって手放しで再稼働を容認するようなことは、県民の命を預かる首長としてはまことに無責任であり、まずは防災計画が実効あるものにすることこそが一番重要なことであると考えますが、溝口知事の所見をお伺いをいたします。  この質問につきましては、昨日の大国議員さんの質問で、知事は再質問に対して答弁をされていますけども、その中で、発言の中に規制委員会の見解がどうであるかということも確認する必要があるとか、規制委員会の審査が終了しないとなかなかできない、こういった答弁されてますが、私はこれは筋違いだと思います。規制委員会は基本的にその原発のハード的な了解を得るもんでありまして、これ当然得られなければいけない。その上に立って、再稼働を判断する上で防災計画の実効性、これが一番重要なんでないかと、こういうふうに問うてるわけでございますから、この実効性をどう問うかということはいろいろあるかもしれませんけども、一番重要なのはそこだと、そこを再稼働の判断基準にすべきだと、こういうふうに質問をしてるというふうに認識しておりますので、そういうつもりで答弁をお願いしたいと思います。  次に、TPPに係る農業対策についてお伺いをいたします。  今さら説明するまでもなく、TPP交渉においては、米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、甘味資源作物を重要5品目と位置づけ、関税撤廃の例外品目とすることにしていました。しかし、交渉は全く秘密裏に行われ、交渉経過は全く説明されず、気づいてみると、例外品目とは何の話と言わんばかりに関税が撤廃されることが明るみになりました。なぜこのようなことになってしまったのか。TPP全体の交渉の枠組みの中で駆け引きはあって当然でしょうが、国会決議までした決まり事がほごにされ、その詳細な説明もないのですから、何ともやりきれません。  中山間地域が多くあり、零細で小規模農業者を多く抱える島根県にとっては、まさに死活問題であります。溝口知事は今定例会の知事提案理由説明要旨の中で、TPP対策について国の施策も活用して担い手への農地集積や地域の特性に応じた農業の競争力強化を進めていきたいとしていますが、本当にそのような思惑どおりにいくのでしょうか。  5月22日、浜田市役所前におきまして、住民目線で政治を変える会主催によります住民目線で政治を変える浜田集会が開催され、今般の参議院選挙で島根、鳥取選挙区から立候補を予定してる福島浩彦さんから、この国の政治のあるべき姿について語っていただきました。この集会では市民によるリレートークが行われ、農業従事者、子育て世代、学生、戦争体験者の方々から、おのおのの立場からの思いを訴えていただきました。  その際、農業従事者の代表として、浜田市弥栄町の生産組合の組合長から現状を訴えていただきました。その方の話によると、組合発足22年、作業方法の見直し、資材の一括購入、エコ栽培による高付加価値化、販売業者に直接出荷するなどして中間マージン分を出荷額に上乗せするなどして収益アップを図ってきた。それでも、高齢化、米価低迷による収入減により、耕作面積の減少は避けられない。この上、TPP協定が発効し、これまで以上に安価な米が輸入をされることになれば、島根県の農業に壊滅的な打撃を受けることになる。TPPは絶対に反対してほしいというものでありました。島根県で水稲農業を営む農家の方の意見は、大方がこうした意見なのではないでしょうか。  平成26年度実績で県別の米生産量を見てみますと、1位が新潟県で57万6,000トン、島根県は約9万1,000トンとなっています。それに対し、ウルグアイ・ラウンドのミニマムアクセスによる無関税輸入量が年間77万トンで新潟県の生産量より多く、TPPにおけます追加の8万トンは島根県の生産量にほぼ匹敵するのですから、農家の方の心配は深刻さを増すばかりであります。国の対応を待っているうちに、島根の農業は姿を消してしまうのではないでしょうか。  そこで、島根県の農業事情を勘案するなら、TPPに対して断固反対する姿勢を鮮明にするべきと考えますが、溝口知事の所見をお伺いをいたします。  また、もしこのまま国からの説明にあるようなTPP協定が発効するならば、島根県の農業に対してどのような影響があると分析をされているのか、お伺いをいたします。  大別2点目は、石見地域の観光についてであります。  観光振興については、島根県としても総合戦略の大きな柱として、これまでも積極的に推進してこられました。その結果、出雲部を中心に出雲大社の大遷宮ブームが今も継続しており、主な観光地や宿泊地は活況を呈しているようであります。こうした出雲部を中心とした流れを島根全体のものにしようと、オール島根という号令のもと、その上に石見独自の観光資源を加味しながら、出雲部から石見部への観光客の流入をもくろみ、取り組んできましたが、ここ数年、そうしたもくろみは見事に外れ、石見部の観光は一向に好転していないのが現状です。そうした現状を客観的な数字で確認する必要があると思いますが、まず平成27年までの5年間、出雲部と石見部の観光入り込み客数と宿泊客数の推移についてお伺いをいたします。  今年度は総合戦略元年として、観光振興についても、これまで取り組んできた事業に加えて今回新規に盛り込んだ事業もあるようであります。石見全体での観光素材としては石見神楽があり、これを核とした観光振興は、これまでも石見部全体の石見神楽協議会の設立や夜神楽の上演などを取り組んできました。しかしながら、それぞれの取り組みが単発的なプロモーションとなっており、確たる実績には結びついていないのが現状であります。そこで、今年度から石見神楽のブランディングに取り組み、実質的な観光客の増につなげたいとの思いがあるようであります。  そこで、県の考えている石見神楽のブランディングの目的、目標、具体的な施策内容についてお伺いをいたします。  石見部の観光振興については、これまで西部県民センターにある商工労政事務所と石見部の各市町で構成する石見観光振興協議会でさまざまな取り組みを行ってきました。しかしながら、石見部自体が余りにも広大な面積を有しており、点在する観光資源を有機的に結びつけるにはかなり無理があったようにも思えます。そうした反省点をもとに、今後、観光振興を石見部全体で考えるばかりではなく、石東、石央、石西の3ブロックに分けて、その地域の観光特性に合ったような施策を取り組むこととされました。この広い石見部をより細やかに対策を打つという点では極めて合理的な手法であり、評価すべきものと考えます。  そこで、県の考えているブロック別の観光振興対策について具体的にどのように描いておられるのか、お伺いをいたします。  こうしたブロック別の細やかな取り組みをすることは、結果としてその地域にある観光資源の魅力を積極的にアピールでき、他地域や他県への連携ができるものと確信をしています。特に他地域や他県とのつながりは基礎自治体を超えての取り組みとなり、どうしても県の力に頼らざるを得ないのが実情であります。現在、浜田の商工労政事務所の皆さんには、少ない人数の中で、この広い石見部の中を東奔西走してもらいながら取り組んでいただいており、大変感謝申し上げるところでございますが、今後こうしたブロック別での細やかな対応をしていただくにはマンパワーの増強が不可欠と感じています。石見部の観光振興をもう一段進めるためにも、職員の増員も含めた体制強化が必要と考えますが、所見をお伺いをいたします。  私は、かねがね島根の観光振興を考える場合、出雲と石見部は違った切り口で検討すべきと考えていました。オール島根という言葉に違和感を感じていたのです。神話の国しまね、ご縁の国しまねというくくりは、確かに石見神楽の醸し出すところは神話でしょうが、ご縁という言葉には石見部ではぴんときません。いずれにしても、そのことで出雲と一体感があるとは肌で感じないのです。であるならば、やはり出雲とは違うコンセプトでアピールしていくことが重要であり、島根の観光振興に対する考え方を大きく転換しなければならないと考えますが、所見をお伺いをいたします。  大別3点目は、浜田漁港の振興についてであります。  浜田漁港につきましては、先日、水産庁より高度衛生管理基本計画が発表されました。この計画は、水産物の高度な衛生管理を実現するための基本的な考え方や講ずる措置等を示したものであり、全国にある特定第三種漁港13港のうち、唯一浜田漁港が策定されていなかったのですが、このたびようやく策定の運びとなりました。  この計画に基づく水産流通基盤整備事業の概要は、主にまき網用と沖底用の2つの高度衛生管理型荷さばき所を整備するもので、平成28年度から平成32年度までの5カ年にわたり約45億円の事業費が投じられます。浜田漁港の水揚げを見ても、水揚げ量は年々減少しており、水揚げ高も魚価の低迷により伸び悩んでいます。現在、沖合底びき網がリシップ事業を終えて鮮度のよい魚を持って帰ることができるようになり、魚価への反映を期待しているところですが、県外船などのさらなる受け入れや、ブランドの取り組みによる魚価の引き上げが急務であり、今般の水産流通基盤整備事業は浜田漁港にとってまさに追い風となるものであり、これを契機に漁獲高がV字回復することを祈るばかりであります。  そこで、先ごろ発表になりました高度衛生管理基本計画の概要と、水産流通基盤整備事業の今後のスケジュールについてお伺いをいたします。  今回の基本計画は、現在JF浜田支所の上屋がある4号岸壁と、その西側に当たる7号岸壁がその計画の区域となっているようであり、現在使用しています浜田マリン大橋の下のあたりにある5号岸壁と6号岸壁は区域外となっているようであります。この2つの岸壁は、現在水揚げ岸壁として使用していますが、新しい荷さばき所が整備された後はどのように利用する予定なのか、お伺いをいたします。  その際、耐震化などの検討が必要ではないかと案じますが、御所見をお伺いをいたします。  今回の基本計画は、一番海側の用地、いわゆる1線用地のみが対象となっています。しかしながら、本来、浜田漁港の機能を検討するならば、その陸側の2線用地やお魚センターのある3線用地の利活用も含めて検討することが重要と考えます。現在、浜田漁港高度衛生管理協議会が立ち上げられて、その中にワーキンググループを設置して検討が進められているようでありますが、検討状況についてお伺いをいたします。  また、漁港用地にはもともと利用計画が張りつけてあり、利用目的が決まっています。県におきましても、今回整備される高度衛生管理型荷さばき所を中心として浜田漁港をどのように整備していくのか青写真を持っておく必要があると思います。現段階でどのような青写真をお持ちなのか、お伺いをいたします。  大別4点目は、西条柿あんぽ柿構想についてであります。  西条柿は、島根県内でも果樹栽培としてはブドウに次ぐ出荷額を誇っており、島根県内において幅広く生産されており、島根県の特産品としての位置づけもされているところであります。しかし、近年の産地の現状を見てみると、毎年20ヘクから30ヘクタールの栽培面積が減少してきており、今後も減少方向にあると予想されています。それに伴い、出荷量も毎年30トン程度減少しています。また、生産者の年齢が年々上昇してきており、年齢70歳以上の方が40%を占めるまでになっています。このままでいくと、4年後には出荷量が400トン、生産者は200名にまで減少し、栽培面積は80ヘクタールを下回り、70歳以上の生産者が半分を占めるようになると予想をされています。このままでいけば柿の産地として全国に通用しなくなり、柿の生産も衰退の一途をたどることになります。なぜこのような状況に陥るのか。一にも二にも生産者への収益性が悪いからであり、若い方が柿でやっていこうと思っても成り立たないからであります。  柿においても、ただ生果をつくって販売するだけではなく、あんぽ柿などのつるし柿に加工し販売ルートも確立する、6次産業の取り組みが必要となってきているのであります。生果で売れば、キロ当たり200円から400円であるものが、あんぽ柿に加工すれば、キロ当たり2,500円から3,000円にはね上がるのですから、取り組まない理由はありません。既に平田では先進的にあんぽ柿生産を取り組まれ、生産者の収益が上がったと聞いております。  そこで、島根県内の西条柿の生産とあんぽ柿の加工状況についてお伺いをいたします。  西条柿の生産者をふやすためには、収益の増加は欠かせません。兼業であっても、一般的なサラリーマンの年収の半分ぐらいは柿の生産で稼ぎたいところです。では、現状において、柿の生産者の1戸当たりの平均所得は幾らぐらいなのか、お伺いをいたします。  また、仮定の話で恐縮でありますが、2ヘクタールで柿を生産する農家で平均的な価格で取引されている場合、生果だけで出荷した場合と、全てあんぽ柿に加工して出荷した場合とで所得でどれぐらい差が出るものか、お伺いをしたいと思います。  こうした西条柿の現状を打開するために、今年度から、しまねの西条柿もうける産地育成事業を立ち上げられました。この事業は、西条柿園リース団地活用促進事業と、あんぽ柿生産拠点施設整備事業の2つの事業から成り立っています。この2つの事業は、いずれも西条柿が今後継続して生産していくには欠かせない事業として注目するところです。  この事業により、島根県内における西条柿生産に一つの道筋が見えてきたように思えますが、順風満帆とまではいきません。いろいろと解決しなければならない課題があるようであります。その中でも今後の鍵を握るのは、高付加価値による単価アップ、すなわちブランド化の取り組みです。このことについては一生産者で取り組む方法もありますが、生産量を考慮するなら、県全体で一つのブランドを取り組むほうが効果がありそうです。ブランドの取り組みは従来の生産に一手間も二手間もかかるわけでありますから、生産者は嫌がるかもしれませんが、それが単価にはね返ることを肌身で感じたなら、その努力もいとわないでしょう。そのためにも、単価のアップをしっかり生産者にフィードバックさせることのできる仕組みづくりが必要であります。そのため、JAともしっかりとした体制づくりが重要になってきます。  そこで、今年度から取り組むしまねの西条柿もうける産地育成事業の概要と、それを基軸としたあんぽ柿によるブランド化についてどのような考えをお持ちか所見をお伺いをして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 42: ◯副議長(中村芳信) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 43: ◯知事溝口善兵衛) 須山議員の御質問にお答えをいたします。  最初の質問は、アベノミクスの評価と経済対策における財政規律についての御質問であります。  アベノミクスにつきましては、これは始まって以来、日本経済の回復に対しまして一定の役割を演じてきているというふうに思います。例えば円安による輸出の拡大でありますとか、大企業などによる賃金の引き上げの実現、新卒者の就職内定率の向上、有効求人倍率の向上などに、そうした面が見られるわけであります。他方で、地方では中小企業が中心で輸出関連企業も少なく、その効果が十分に実感できない状況でもあります。中小企業におきましては、円安によるコスト上昇に直面し、家計では賃金の上昇が物価の伸びに追いついていない状況も見られるわけであります。  こうした中で、経済対策を進めるに当たりましては、今後もふえる社会保障財源の確保も含め財政の健全化を図りながら、幅広い分野あるいは業種において経済成長を実現し、家計や中小企業、地方経済にも景気回復の効果を波及させるよう効果的な対策が必要だろうというふうに思いますが、いろんな制約があるから難しい状況が続いておるということではないかと思います。  私見ではありますが、大局的あるいは中長期的に見ますと日本経済全体として、新興国の追い上げでありますとか、技術の差がどんどんなくなっていっておるわけであります。あるいは日本の社会が高齢化社会に急速に進んできておるといった構造的な面があるわけでございまして、財政、金融等だけで局面を短期的に大きく変えることは難しい面があるだろうという気がいたします。やはり中長期的に若者たちがいろんなものに挑戦していく意欲と申しますか、意志と申しますか、そういうものが経済、社会を元気にするエネルギーになるわけでありまして、そういうものが必要でありましょうし、技術開発もいろんなとこでどんどんできる時代であります。それもすぐ伝搬をするわけであります。そういう中で、ほかの国に負けないような技術開発をしていくっていうことは容易なことではないわけでありますが、そういうことをやっていく。  他方で、国民の多くの人々が豊かな自然とかそういうものが大事だというふうに思う考え方ですか、これは広がっとるわけでございまして、いろんなことをやりながら、住みやすく豊かな日本を目指していろんな政策をとっていく、これはなかなか容易なことではありませんが、そういう道を歩んでいく必要がある。そのために、政治だけでなく国民も努力をしていく必要があるんではないかというふうに思います。なかなか難しいことですから、こうしたらいいっていうことは誰が考えても簡単に答えが出ることではないんではないかという気がいたします。  次に、安全保障関連法についての御質問でございますが、これはこれまでもこの議会の場でお答えをしてますが、大体同じことになりますが、この安全保障関連法は、平成27年5月に国会提案されて以降9月に成立するまでの間、与野党間でさまざまな論議がなされてきたわけであります。例えば、自国が攻撃されていなくても他国への攻撃に反撃できる権利の合憲性はどうかとか、いろんな論議がなされたわけであります。そうした中で、この法律は国会において成立したものであります。他方で、国民の皆さんの中には、今なおさまざまな意見や不安の声もあるわけでございます。したがいまして、安全保障関連法は国会で成立し、実施に移されておりますが、政府は引き続き国民や国際社会の理解が得られるよう努めていく必要があるということでございます。  それから、次の質問は、京都大学防災研究所、西村准教授のいろんなひずみに関するデータに関連しての質問でございますが、原発の安全性を確保するため地震に対する評価は大変重要であり、原子力規制委員会が専門的立場から審査される枠組みとなっております。また、新規制基準では、原子力規制委員会は地震に対する安全性の審査に当たっては、最新の科学的、技術的知見を踏まえることとなっております。議員から御紹介があった西村准教授の研究につきましては、県としても先日原子力規制庁に、こうしたデータがありますということを伝えたわけでございます。いずれにしましても、原子力規制委員会には適切な対応をとっていただきたいというふうに思っております。  島根原発2号機の安全性につきましては、規制委員会に対して審査終了後など適正な時期に説明を求め、その上で、原子力安全顧問など専門家の意見を聞きながら審査結果を確認をしていく、そういう考えでございます。  次に、原発再稼働を考える際、まずは防災計画が実効あるものにすることが重要であるが、所見を問うという質問でございます。  原発につきましては、事故の発生や拡大を抑えるため、安全対策に万全を期すことは最も重要でございます。このため、原子力規制委員会の新規制基準では、地震、津波などの大規模な自然災害への対策の強化、さらに、万が一シビアアクシデントが発生した場合に対処できる設備等の整備が求められているのであります。しかしながら、安全対策を実施しても事故のリスクは完全にはゼロにならないものでありますから、万が一の事故が発生した場合の防災対策も必要でございます。このため、国と、関係する島根、鳥取両県と原発周辺6市とが連携した作業チームで、避難計画を含む原子力防災対策の充実を図っており、現在、避難に必要なバスや福祉車両の確保、広域避難受け入れ先の受け入れ態勢の整備、スクリーニングの検査体制の整備などを鋭意検討中でございます。今後も引き続きこの作業チームによる避難対策の検討を進め、さらに防災訓練などを繰り返し行い、実効性を高めていく努力をしてまいります。  次に、TPPについて断固反対すべきと考えるが、所見を問うという御質問であります。  県では、TPPにつきましては関係者の不安を払拭するため、引き続き影響や関連対策等に関する国の考え方を丁寧に関係者に説明をしていただくよう、5月中旬、議会とともに春の重点要望において政府に要望をしたところであります。また、必要な予算を長期にわたり安定的に確保し、国の責任において万全の対策を講ずることや、特に規模拡大やコスト削減に限界のある中山間地域等への対策を要望してきたところであります。県としましては、総合的なTPP関連政策大綱に盛り込まれた対策が適切に実施されるよう、引き続き要望していく考えであります。  これに関連しまして、TPP協定が発効すると県内農業にどういう影響があるかということでございますが、これにつきましては以前にも申し上げておりますけども、TPPが発効した場合の影響額について、国に準じた方法で試算した結果、島根県の農産物の生産減少額は約4億8,000万円から9億5,000万円で、その大部分が牛肉と豚肉の生産にかかわるもんであります。国の試算は、例えば米につきましては輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることから、主食用の流通量は増加しないという前提で影響を見ております。また、TPPの対策の効果により国内の生産量が維持されるなどの前提で行われており、県もこの国の前提に準じてしたものであります。以上であります。 44: ◯副議長(中村芳信) 坂本農林水産部長。  〔坂本農林水産部長登壇〕 45: ◯農林水産部長坂本延久) 私から、浜田漁港と西条柿あんぽ柿に関する、大きく2項目7点についてお答えいたします。  まず、浜田漁港の高度衛生管理基本計画の概要と今後のスケジュールについてでございます。  水産庁は、特定第三種漁港である浜田漁港を対象に、本年5月23日に高度衛生管理基本計画を策定して公表いたしました。その基本計画の概要は、主に次の4点でございます。1点目は、現在の4号岸壁とその西側の7号岸壁及びその背後用地を、高度衛生管理対象区域に設定する。2点目は、4号岸壁に沖合底びき網漁業などまき網漁業以外を取り扱う荷さばき施設、7号岸壁にまき網漁業用の荷さばき施設を整備する。3点目としては、荷さばき施設は閉鎖型を基本とし、鳥獣等の侵入防止、人や車両の入場制限、十分な作業スペースの確保などにより、異物や病原菌による水産物汚染の防止を図り、陸揚げから搬出まで一貫した衛生管理を実施する。4点目としては、さらに衛生管理とあわせて、地区外の漁船の誘致をするなどして浜田地域の水産業の振興を図るというものです。整備スケジュールについては、浜田市が事業主体となって平成28年度から、先ほど申したまき網を対象とする7号荷さばき施設の設計に着手し、平成30年度末の完成を目指します。引き続いて、まき網以外を対象とする4号荷さばき施設の整備に着手し、平成32年度末の完成を目指すというものです。  なお、県は、荷さばき施設の整備に先行しまして平成28年度から、岸壁の耐震性能強化や大型化した県外のまき網の運搬船等が利用できるよう計画水深を深くする改良工事に着手しまして、平成32年度の完成を予定しております。  続きまして、2点目ですが、5号岸壁、6号岸壁の取り扱いについてです。  新たな、先ほど申した荷さばき施設の整備後、5号、6号岸壁については陸揚げ岸壁としては使用せず、漁船の休憩岸壁として利用する予定です。耐震化については、主要な陸揚げ岸壁である4号、7号岸壁を優先するため、5号、6号岸壁等については、将来的な陸揚げ状況にもよりますが、現在のところ具体的な計画は持っておりません。  続きまして、浜田漁港高度衛生管理協議会のワーキンググループの検討状況、そして浜田漁港の整備についての青写真いかんという点について、あわせてお答えいたします。
     浜田漁港高度衛生管理協議会のもとに、分野ごとの専門的な課題について検討を行うワーキンググループが設置されています。これは、市場ワーキンググループと地域振興ワーキンググループの2つで、県も委員として参加しています。御質問の2線用地、3線用地の利活用に関しては、地域振興ワーキンググループで検討することとされております。平成28年、本年3月に開催した会議におきまして、現在不足している冷凍冷蔵庫の必要性や、あるいは観光振興の面から、新たな荷さばき施設と公設水産物仲買売り場やお魚センターとの連携などについて検討しております。県としては、青写真を示すというよりは、まずこのワーキンググループにおいて関係者がしっかり意見を出し合い、検討することが必要であると考えております。県としては、具体的な整備計画が固まれば、利用計画の変更など適切に対応していく考えでございます。  続きまして、大きく2項目めですが、西条柿あんぽ柿についてでございます。  西条柿の生産とあんぽ柿の加工状況についてでございます。  島根の西条柿につきましては、生果と干し柿の一つであるあんぽ柿で産地が形成されています。松江、出雲、浜田地域など県内全域140ヘクタールで栽培されております。生果につきましては、瀬戸内市場を中心に出荷されておりまして、平成27年産で見ますと、出荷量が542トン、販売額が1億4,000万円となっています。あんぽ柿につきましては、100トン余りの原料である生果から生産されておりまして、関東から九州までの市場に出荷されております。平成27年産で見ますと、出荷量が42トン、販売額が9,500万円となっております。  続きまして、柿生産者の1戸当たりの平均所得、あるいは生果だけで出荷した場合、あんぽ柿に加工して出荷した場合の比較等についてのお尋ねでございます。  柿生産者の1戸当たりの平均所得につきましては、これは平成27年産のJAしまねの出荷実績から算出しますと、その前提として平均栽培面積が30アールとなっています。それにより柿による平均所得を出しますと、23万円程度となっております。これは、小規模に兼業として栽培されている農家が多いということでございます。一方で、産地の中核となるような専業農家の例を見ますと、平均的な栽培面積は1.5から2ヘクタール、その前提で事例を見ますと、柿生産者の平均所得は510万円から680万円程度となっておりまして、こういった方は専業的な経営が成り立っているというところでございます。こうした専業的な方は、反収や品質向上に取り組んでおられるということが背景にあると思います。  議員お尋ねの試算でございますが、これはあくまで平均的な姿として試算しました。前提としては、平成27年産の平田地区における全ての生産者の出荷実績をもとに、面積2ヘクタールで試算しますと、1つは、生果で出荷したのみの場合におきましては、この生果の1キロ当たりの単価が284円となっております。それでいきますと、年間所得は200万円程度。2つ目として、全てをあんぽ柿の原料としてした場合におきましては、1キロ当たりの単価が302円となっております。これによると、所得は240万円程度となります。生果出荷のみよりも、この場合では40万円程度多くなっております。これは一つの試算例でございますが、実際の出荷におきましては、単価の高い上位の規格品を生果に仕向け、下位の規格品をあんぽ柿原料にするなど、両者をうまく組み合わせて農家所得の向上につなげるということが期待されております。  最後の御質問ですが、しまねの西条柿もうける産地育成事業の概要と、あんぽ柿によるブランド化についてのお尋ねでございます。  議員御指摘の、今年度からスタートした県の事業、しまねの西条柿あんぽ柿もうける産地育成事業は、次のようなものです。1つは、西条柿園リース団地活用促進事業というものでして、新規就農者などの担い手を確保し、原料の安定供給を図るため、JAや生産者団体が柿園のリース団地を整備し、これを農業者にリースする場合のリース料の一部を補填するものです。2つ目としては、あんぽ柿生産拠点施設整備事業というものでございまして、生産の拡大と製造方法や品質、規格の統一を図るため、市町村や農協などがあんぽ柿の広域拠点となる生産加工施設を整備する場合に支援することとするものでございます。県としてはこうした事業を通じまして、産地が連携してあんぽ柿の統一ブランドづくりを進めることを支援してまいりたいと考えております。以上でございます。 46: ◯副議長(中村芳信) 安井商工労働部長。  〔安井商工労働部長登壇〕 47: ◯商工労働部長安井克久) 観光について、5つの質問にお答えいたします。  まず、平成27年までの5カ年の出雲部と石見部の観光入り込み客延べ数、宿泊客延べ数の推移について、県の観光動態調査によりお答えします。  観光入り込み客延べ数ですが、出雲部は、平成27年は5年前の平成23年と比べて28.6%増の2,642万人となっております。この間、平成25年には、出雲大社平成の大遷宮の効果により過去最高の3,001万人となっております。石見部は、平成27年は23年に比べ3.6%減の649万人となっております。この間、平成23年から26年まで微減が続いた後、平成27年には津和野今昔の日本遺産認定などにより微増となっております。  次に、宿泊客延べ数です。出雲部は、平成27年は23年と比べて8.3%増の279万人となっております。この間、平成の大遷宮があった平成25年には過去最高の299万人となっております。石見部は、平成27年は23年と比べ31.1%増の77万人となっておりますが、これは、浜田市が平成25年度に集計する宿泊施設を再調査し、23施設が加わっておることによるものでございます。したがいまして、これを除きますと、実質的には平成23年から26年は減少傾向が続いており、27年はビジネス客の特需などにより前年より増となっております。  次に、石見神楽のブランディングの目的、目標、具体的な施策内容についてお答えします。  石見神楽のブランド化に向けて、県では平成25年度から予算を拡充し、観光客に地元での神楽鑑賞の機会をふやす、また東京や大阪での公演開催などを取り組んでまいりました。石見神楽の魅力をさらに多くの方に知っていただき、観光客誘致を促進するため、今年度、石見神楽のプロモーション戦略を策定いたします。その内容は、1つには、首都圏における石見神楽の認知度や関心度などの現状分析、それから専門家の助言に基づく効果的な情報発信や、来年度以降の広報宣伝計画づくりなどです。この戦略の策定に当たっては、石見観光振興協議会や石見神楽広域連絡協議会とも十分に連携を図ってまいります。この目標ですが、石見神楽定期公演での年間鑑賞者数を27年度実績の1万7,745人から、4年後ですけど31年度には2万人へ、定期公演1回当たりの平均鑑賞者数を平成27年度実績の80人から31年度に100人へとするほか、平成31年度における首都圏での石見神楽の認知度や関心度についても、現状分析を踏まえて目標値として今検討しております。  次に、石見地域のブロック別の観光振興対策についてです。  県、市、町、観光協会等で構成する石見観光振興協議会では、平成27年度から、石東、石央、石西の各ブロックごとに重点的に誘客するエリアなどを設定し、PR活動に取り組んでおります。各ブロックの特色及び重点とするマーケットですが、まず石東ブロックでは、石見銀山や三瓶山、温泉をテーマとして、県外は広島、岡山エリア、県内も出雲部からの誘客を図っていくこととしております。石央ブロックでは、アクアスや新鮮な海の幸、A級グルメなどの食、石州和紙や石見焼といった伝統工芸品を主要な観光資源として、距離的に近い広島市周辺からの誘客をターゲットとしております。石西ブロックでは、日本遺産の津和野や清流高津川、棚田などをテーマに、萩・石見空港を利用する首都圏や山口、広島方面からを主要なマーケットとして設定しております。今後、こうしたブロック別の取り組みの効果等も検証しながら、石見の観光振興を推進していきたいと考えております。  次に、石見部の観光振興について、職員の増員も含めた体制強化が必要ではないかという御質問です。  石見部の観光振興を西部県民センターの中で主として担ってるのが、先ほどお話しした石見観光振興協議会です。この協議会は、島根県西部県民センター商工労政事務所内にあり、浜田市から派遣されている職員1名と、西部県民センター商工労政事務所の職員6名が事業運営に当たっております。今後、石見圏域の観光振興を安定的に担っていくために、圏域の市町のさらなる参画も重要であり、こうしたことから、来年度以降、圏域の市町から協議会の派遣について、1名から2名に増員されると伺っております。県としては、協議会が1名ふえて8名の体制で効果的な運営ができるよう十分な検証をしながら、今後も県庁や県観光連盟を含めた業務の割り振り、あるいは市町、民間との連携分担等、引き続き考えてまいります。  最後に、石見独自のコンセプトによるアピールについての御質問にお答えいたします。  ご縁の国しまねプロモーションでは、首都圏等の大きな観光需要を島根に取り込むことを一つの柱として、知名度の高い出雲大社や神話などをイメージしやすいご縁や神々といったコンセプトにより、観光客誘致、誘客を行ってきております。石見部には、出雲大社のような全国にぬきんでた知名度の高い資源はないわけですから、首都圏等のマーケットに対しては、この出雲部を絡めて空路や新幹線を活用して石見部への周遊を促すようなアピールのほうが効果的であると考えております。  一方、山陽、四国あるいは九州北部などのエリアは、石見部からの距離が近いなどから、石見部の魅力を効果的にアピールすれば誘客につながることが期待できます。そのためには、まずはどのマーケットを狙うか、宿泊型か日帰り型か、あるいはどの時期かといった基本的な観光戦略を官民で共有していく必要があります。同時に、県外のそれぞれのマーケットから石見を目的地に選択してもらうために、石見神楽や温泉、食、海などの観光資源がどこでも楽しめるエリアといったことをプロモーションとして実施していければと思っております。先ほどお話しした石見神楽のブランディングは、その核になり得るものだと思っております。  今後、民間事業者の方や市町村の皆さんとよく話をしながら、こうしたプロモーションやアピールを進めていく上で石見のコンセプトが効果があるとするなら、それを研究して、つくっていきたいというふうに考えております。以上です。 48: ◯副議長(中村芳信) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は6月6日に開きます。  本日は、これをもって散会をいたします。        午後3時2分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...