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平成27年9月定例会(第2日目) 名簿
平成27年9月定例会(第2日目) 本文

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  1. 島根県議会 2015-09-02
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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成27年9月定例会(第2日目) 本文 2015-09-16 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 37 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長絲原徳康) 選択 2 : ◯議長絲原徳康) 選択 3 : ◯中村芳信議員 選択 4 : ◯議長絲原徳康) 選択 5 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 6 : ◯議長絲原徳康) 選択 7 : ◯政策企画局長丸山達也) 選択 8 : ◯議長絲原徳康) 選択 9 : ◯健康福祉部長藤間博之) 選択 10 : ◯議長絲原徳康) 選択 11 : ◯議長絲原徳康) 選択 12 : ◯農林水産部長坂本延久) 選択 13 : ◯議長絲原徳康) 選択 14 : ◯土木部長冨樫篤英) 選択 15 : ◯議長絲原徳康) 選択 16 : ◯教育長藤原孝行) 選択 17 : ◯議長絲原徳康) 選択 18 : ◯公安委員会委員長服部京子) 選択 19 : ◯議長絲原徳康) 選択 20 : ◯警察本部長(米村猛) 選択 21 : ◯議長絲原徳康) 選択 22 : ◯白石恵子議員 選択 23 : ◯議長絲原徳康) 選択 24 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 25 : ◯議長絲原徳康) 選択 26 : ◯地域振興部長(鴨木朗) 選択 27 : ◯議長絲原徳康) 選択 28 : ◯商工労働部長(安井克久) 選択 29 : ◯議長絲原徳康) 選択 30 : ◯教育長藤原孝行) 選択 31 : ◯議長絲原徳康) 選択 32 : ◯白石恵子議員 選択 33 : ◯議長絲原徳康) 選択 34 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 35 : ◯議長絲原徳康) 選択 36 : ◯教育長藤原孝行) 選択 37 : ◯議長絲原徳康) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時2分開議 ◯議長絲原徳康) おはようございます。これより本日の会議を開きます。  日程第1、「諸般の報告」をいたします。  9月4日に開かれました決算特別委員会で正副委員長の互選が行われ、お手元に配付の名簿のとおり選出されましたので御報告いたします。    ──────────────────     決算特別委員会正副委員長名簿     委員長   岡 本 昭 二     副委員長  池 田   一     副委員長  山 根 成 二     副委員長  加 藤   勇     副委員長  生 越 俊 一    ────────────────── 2: ◯議長絲原徳康) 日程第2、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  各会派の代表質問を行います。  質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。  自由民主党議員連盟代表中村議員。  〔中村芳信議員登壇、拍手〕 3: ◯中村芳信議員 自由民主党議員連盟の中村芳信です。ただいまから会派を代表して質問を行います。知事始め執行部には明快な答弁をお願いをいたします。  現在、我が国においては、人口減少問題にどう対処していくかということが大きな課題になっております。本県におきましても、県版の総合戦略の策定に向けた作業が大詰めを迎えているところです。まず、地方創生について伺います。
     全国的には平成20年に人口減少が始まり、平成26年の全国の合計特殊出生率は1.42と9年ぶりに低下、出生数も過去最低の約100万人にとどまるなど、厳しさを増しています。一方、島根県の人口は、昭和30年の92万9,000人をピークに、大都市部への人口流出など転出者が転入者を上回る社会減による人口減少が進行し、さらに平成4年からは出生者が死亡者を下回る自然減も加わり、平成26年の県人口は69万7,000人にまで減少しています。  そうした中、昨年の日本創成会議のまことにショッキングな問題提起を受け、国においては、まち・ひと・しごと創生のための法律、長期ビジョン、総合戦略、そしてこの6月には、基本方針の閣議決定と矢継ぎ早な動きを見せ、この国の人口減少問題に取り組むため、東京一極集中の是正、若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現、地域の特性に即した地域課題の解決を基本的な視点として、地方創生に取り組むこととしています。  鳴り物入りで始まった国の地方創生ですが、知事には、これを好機と表現をされました。確かに、これまで地方の衰退に無関心であった中央政府が人口減少問題に重い腰を上げたことは歓迎すべきことであると思います。しかし、地方の疲弊は、長年のこの国の経済構造、社会構造の問題であり、加えて、本県の実態を見れば、そう手放しで喜んでばかりではいられないように感じているところでもあります。果たして人も仕事も、東京を始め大都会から地方に来るのか。もし、それを本当に実現させようとすれば、国内外に浸透した市場社会のメカニズムやグローバル化経済に強く変更を迫る大胆な国土の構造改革に乗り出す政策が必要なように思います。  しかしながら、国の戦略を見る限り、そうした国策の名に値するようなものは見当たりません。それどころか、むしろみずからの地域資源を活用した多様な地域社会の形成を目指すとうたい、人口拡大期の全国一律のキャッチアップ型の取り組みではなく、地方みずからが地域資源を掘り起こし、それらを活用する取り組みが必要。また、地方分権の確立が基盤となるとしていた長期ビジョンの理念は、6月の基本方針では、地方では人材、資金の両面において地域内部でほぼ完結した経済構造となっており、地域内外を人材や資金、技術や情報が自由闊達に行き交うことにより期待される地域間の相乗効果が見られず、日本経済のダイナミズムも形成されていない。その結果、地域経済は既存事業が生産性の低いまま存続するという苦しい状況から脱却できていない。このため、地域経済に人材と資金を呼び込めるような生産性の高い、活力にあふれた産業を形成するとされ、議論の大きなすりかえが行われてきているように思います。要するに、経済産業省流の中央の経済論理を地方へ貫徹させようとするわけです。加えて、来年度の新型交付金1,000億円に見られるように、わずかな財源で、創意工夫、創意工夫と言って地域間競争をあおり、結果責任は地方に押しつける、そうした国の姿勢が透けて見えるばかりです。  知事、地方への財源の配分も含め、国の地方創生長期ビジョンから基本方針までの動きを、私たちが目指していかなければならない島根の地方創生と比べ、どのように見ておられますか。まず、伺います。  しかし、国がどうあれ、島根県はこの課題を避けて通ることはできません。2040年、島根県は、社会減がとまり合計特殊出生率が2.07になった場合にのみ、唯一生き残れる可能性があることが人口シミュレーションでわかった以上、なおさらです。知事、島根県の地方創生を一過性のものとせず、島根を将来にわたって守り発展させていくためには、それを受けて立つ気構えが、我々県民の負託を受けた者の使命であると思っています。知事の地方創生に向けた決意のほどをお聞かせください。  また、県が示した、2040年人口の社会減の収束と合計特殊出生率2.07の試算とそのシミュレーションは本当に厳しいものです。しかも、これから数十年間、私たちはこのシミュレーションの線に追いついていってるかどうかといった意味での緊張感が常に求められる以上、市町村や県民との意識の共有が求められます。この点、既に市町村それぞれの事情や思惑、考えもあり、県との違いも出てきているようです。島根県の人口ビジョンと総合戦略の市町村との問題意識の共有についてどのように思っておられますか、伺います。  さて、本県の人口の社会減あるいは少子高齢化は、全国に先行して既に60年近く前から進行しており、そのため、昭和40年代の過疎地域対策緊急措置法制定へ向けての県の果敢な挑戦、昭和50年代の新島根方式の取り組み、平成に入ってからの定住財団の設立、そして議員提案の中山間地域活性化基本条例の制定等々、県、市町村を挙げて対策に取り組んできており、その歴史は50年にも及びます。そして、こうした取り組みのほかにもさまざま試行錯誤を繰り返す中で、本県の中山間地域施策やUIターン施策、子育て支援策の中には、全国的に見ても引けをとらないものもあるように感じています。  しかしながら、現実を見れば、いまだ社会減に歯どめはかからず、自然減は加速度的に進んできており、特に石見、隠岐を中心とした中山間地域、離島の人口減少は著しいところです。  昭和35年、この島根県の中山間地域には55万5,000人の県民が住み、非中山間地域には32万2,000人の県民が住んでいました。果たして、平成22年。中山間地域には32万5,000人、非中山間地域には39万2,000人。逆転です。そして、この間の中山間地域の人口減少が、本県全体の人口減少そのものとなっています。そういうことからすれば、知事、国の基本方針や他県の事情はいざ知らず、本県の地方創生総合戦略の正面には、中山間地域、離島の産業、経済、社会の再生のための施策を据えても構わないと、私たち議員連盟では考えています。県版総合戦略において、中山間地域、離島の対策をどのように考えておられますか、お聞かせください。  また、地方創生は、人口目標を設定して取り組むという点で厳しさが求められます。そして、そういうことからいえば、施策の総合性や整合性がとれていれば、それでよしというものではありません。時に施策のめり張りや取捨選択が求められる場面があると、私たち議連では考えています。この点、今議会初日の知事の提案理由説明では一定の配慮がなされたと理解をしていますが、いずれにせよ、施策のめり張りや取捨選択などによって、知事がどこに向かって県政のかじを切っていかれるのかが県民にわかりやすく伝わることが必要な場面が来ているように思います。知事のお考えをお聞かせください。  さらに、そうしてでき上がったまち・ひと・しごと創生島根県総合戦略であったとしても、そこに載せられた施策、対策を実効性あるものにしなければなりません。そして、それが最後に問われるのが、これから始まる予算編成であろうと思います。しかし、この点、国の新規財源に多くを期待できない中、既存予算の見直しによって財源の捻出を図ることも想定しなければなりません。総合戦略の施策、対策の実効性を担保する予算編成の方針についてお聞かせをください。  さて、東日本大震災から4年、そして阪神・淡路大震災から20年が経過しました。また、今後、発生が予想されている巨大地震として、南海トラフ地震、首都直下型地震などが上げられています。国においては、このような大規模自然災害等に備えた国土全域の強靱な国づくりを推進する、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法を平成25年12月に制定し、この基本法に基づいて、国土強靱化基本計画が昨年6月策定をされたところです。  さて、その基本計画で注目すべきは、基本目標の一つに、国家・社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されるが掲げられ、そのための基本的な方針として、依然として進展する東京一極集中からの脱却、「自律・分散・協調」型の国土の形成が明確にうたわれていることです。つまり国土強靱化を推し進めていけば、おのずとそれが地方創生の実現に大きく貢献していくことを意味しています。そして同時に、地方創生を強力に進めていくことができれば、国土はどんどん強靱化されていくということもまた意味しています。また、国土強靱化のために想定されているミクロレベルの各種施策の推進が、地方の産業、経済にも大きく影響するとされており、両者の間には大変強力でポジティブな相互関係があるように思っているところです。  地方公共団体においては、基本法に基づいて、国土強靱化に係るほかの計画の指針となるべき地域計画を策定することができるとされています。国からは、国土強靱化とは、あらゆるリスクを見据えつつ、どんなことが起ころうとも最悪な事態に陥ることが避けられるような強靱な行政機能や地域社会、地域経済を事前につくり上げるものとの考え方が示されているようですが、地域防災計画との関係を含め地方創生の視点から、島根県においては、国土強靱化地域計画の策定に当たってどのような考え方で取り組まれていかれるのか伺います。  また、今後どのようなスケジュールで進めていかれるのか、あわせて伺います。  さて次に、本県の地方創生総合戦略の成否の鍵を握っていると言って過言でない中山間地域対策について伺います。  本県の中山間地域対策については、個々の集落では地域運営が厳しくなっている現状に対応するため、公民館エリア等のより広い範囲を地域運営の基本単位とすることを明確に打ち出し、対策が進められています。具体的には、それぞれの地区ごとに人口や暮らしの条件等を分析したしまねの郷づくりカルテによる情報の提供や、地域が早急に取り組むべき課題について重点的に支援するため、過疎債ソフトを活用した市町村との連携による支援制度の創設のほか、部局横断の中山間地域プロジェクトチームによる現場レベルでの支援などに取り組まれています。  また、国のまち・ひと・しごと総合戦略においても、これまで島根県が進めてきた中山間地域における地域運営の仕組みづくりと同様な考え方で、一定のエリアにおいて基幹集落に生活に必要な機能、サービスを集約し、周辺集落とネットワークで結ぶ小さな拠点の形成が提唱されています。しかしながら、県内の多くの中山間地域では、その疲弊や弱体化は依然としてやまず、担い手の不足による地域活力の低下はますます深刻化してきており、世代交代や若い人の参画を積極的に促していくとともに、UIターン者や地域おこし協力隊など外部からの人材を確保していく必要に迫られています。  こうした状況を踏まえながら、島根県の中山間地域では、これまで以上に住民の暮らしを支える日常の社会生活機能の維持、確保を図りつつ、同時に、雇用と収入の創出と拡大を図りながら、地域のポテンシャルを高めていくことが何よりも求められています。また同時に、今後も人口減少、少子高齢化が加速度的に進むことが予想される本県の中山間地域において、各分野にまたがる課題に総合的、一体的に対応するため、引き続き部局横断体制で対策に当たり、市町村、地域住民と一緒になって取り組んでいかなければなりません。  そこで、総合戦略の柱とも言える中山間地域対策について、これまでの取り組みの成果や課題を踏まえ、今後の展開をどう図っていかれるのか伺います。  次に、再生可能エネルギーの導入は、太陽光発電など一部は自然条件によって発電量に影響を受けるものの、エネルギー供給源の多様化や自給率の向上、地球温暖化の防止、地域資源の利活用による地域の活性化、非常時のエネルギー確保など、幅広い効用が期待をされています。このことから、県では導入の推進を図るため、本年2月に島根県再生可能エネルギーの導入の推進に関する条例が議員提案により制定されました。  一方、国においては、同じく本年7月に2030年度の電源構成、エネルギーミックスが決定をされ、水力を含めた再生可能エネルギーの割合は、現状の11%から22から24%程度へ倍増されました。同時に、温室効果ガス削減に向けてエネルギーミックスと整合的なものとなるよう2030年度における削減目標も決定されたところですが、22から24%程度への倍増は非常に大胆な目標であると理解をしています。  ともあれ、県においては、条例に基づく再生可能エネルギー及び省エネルギーの推進に関する基本計画が新たに策定をされ、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギーの推進について、島根県が目指すべき方向が明示をされました。つきましては、エネルギーミックスなど国のエネルギー政策を踏まえた今後の島根県の再生可能エネルギー導入推進の考え方について伺います。  さて、列車の車窓から眺めるたびに、その美しさに魅了される宍道湖・中海ですが、魚介類の生息など豊かな水産資源を育み、渡り鳥の飛来やレクリエーション等の憩いの場や観光資源として、県民にさまざまな恩恵をもたらす財産となっています。両湖は、平成17年にラムサール条約湿地に登録されてから、本年11月には10周年を迎えます。条約の趣旨である環境保全と賢明な利用、ワイズユースに対する地域住民の意識の高揚を図ることを目的に、島根、鳥取両県及び関係自治体、そして地元住民の皆さん等の協働による中海・宍道湖沿岸の一斉清掃が平成18年度から毎年行われるなど、継続的な取り組みがなされています。ことしは8,000人を超える参加者があったと聞き、環境保全の意識が地域に浸透してきていると感じているところです。  一方、流域の下水道等の生活排水処理施設の普及も進み、汚濁負荷量の削減に努力されていますが、残念ながら酸素消費量COD、全窒素や全リンは環境基準に適合しておらず、水質の改善に苦慮してる現状が見受けられます。このような中、宍道湖・中海両湖の水環境保全の取り組みが進んでいるところですが、ラムサール条約に登録されて以降の県の取り組み状況と今後の方針について伺います。  次に、国は、医療介護総合確保推進法に基づいて、都道府県に2025年の医療需要とそれに対応した機能別病床の必要量を定める地域医療構想の策定を義務づけました。これは、今後、急激に医療ニーズが拡大することに対応して、在宅医療を推進することで病床数の増加を抑制しようとするものと理解をしています。さきの議会で知事は、地域医療構想の策定は病床の削減を目的にしたものではないという答弁をされたところでありますが、国のこうした方針に対して、島根県の地域医療も大きな影響を受けるのではないかと危惧をしているところです。  島根県の中山間地域や離島、あるいは県西部地域においては、看護師、医師等の医療従事者の確保に苦慮している状況は依然として続いており、小児科の受け入れを制限するなど具体的な問題も生じています。また、診療所の医師の高齢化も進んでおり、地域での診療機能の確保も今後大きな課題となってきます。  こうした状況の中で、国が示す在宅医療への移行という方針については対応できない地域もあり、結果として地域の医療提供体制が維持できなくなることも懸念をするものであります。私は、地域の実情に応じてさまざまな医療提供の形があってもよいのではないかと思いますが、地域医療構想の策定を通じてどのような医療の姿を目指していかれようとしているのか、知事の考えを伺います。  次に、この7月、27年度の地域医療介護総合確保基金、医療分の第1回目の内示がありました。本県への内示は、要望額19億3,000万円に対して10億1,000万円余りで、そのうち地域医療構想の達成に向けた施設、設備整備については満額回答、医療従事者の育成、確保、在宅医療の推進等については、要望額の12億9,000万円に対し3億7,000万円余りの内示であったということです。  今回の内示に関しては、地域医療介護総合確保基金をめり張りある配分にするとした経済財政運営と改革の基本方針2015などに基づいて、地域医療構想に関する事業が優先された結果、残りの事業分が大きく削られ、昨年度と相当異なる点があったということです。当然、これに対し、本県始め各都道府県、全国知事会、そして日本医師会は、2回目の内示では在宅や医療関係者の確保にも十分な配分を行うことなどを厚生労働省に要請したところです。病床の機能分化、連携以外の在宅医療の推進及び医療従事者の確保は依然として重い課題であると考えますが、2回目の内示について、その後の状況はどのようになっているか伺います。  また、地域医療再生交付金は本年度で終了します。同様の考え方が来年度も踏襲された場合には、必要な事業の継続が難しくなると思います。これへの対応は現時点でどのように考えておられますか、あわせて伺います。  次に、いわゆる団塊の世代の全ての方々が75歳以上となり、医療や介護などのサービスが増大する2025年に向け、高齢者が住みなれた地域でできるだけ自立した生活を送られるよう、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援のサービスを切れ目なく提供する地域包括ケアシステムを構築していくことが重要な課題となっています。  この地域包括ケアシステムの構築は、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて主体的に取り組んでいく必要がありますが、とりわけ医療と介護の連携が重要であることから、県も市町村と連携するとともにシステムの構築に向けた取り組みを支援していく必要があります。地域包括ケアシステムの構築に当たっての医療と介護の連携に向けた現在の取り組みの状況について伺います。  さて、昨年11月定例会において、認知症に関する専門診断や専門相談、かかりつけ医への研修等を行う認知症疾患医療センターについて、その地域型の設置を求める請願が提出をされ、議会では、今後増加が予想される認知症高齢者に対する施策の強化を図るため、県東部、中央部、西部という複数設置を考慮する必要があるとの理由から、全会一致で採択をしたところです。これを受け、執行部においては国と協議を進めてきたところですが、その結果、本年度から島根大学医学部附属病院を現行の地域型から基幹型として、同時に、益田市の松ヶ丘病院と安来市の安来第一病院を新たに地域型として設置することとしました。執行部の迅速な対応を評価したいと思っています。  そうした中、国においては、本年1月、認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランを取りまとめました。7つの柱から成るプランですが、やはりその肝は、認知症の様態に応じた適時、適切な医療、介護等の提供にあると理解をしています。その中で、国は、早期診断、早期対応を軸とし、妄想、鬱、徘回等の行動、心理症状や身体合併症等が見られても、医療機関、介護施設等での対応が固定化されないよう、最もふさわしい場所で適切なサービスが提供される循環型の仕組みをつくるとし、とりわけ早期診断、早期対応については、かかりつけ医や薬剤師の認知症対応力向上、認知症サポート医の養成のほか、認知症初期集中支援チームの設置を図るとしています。  現在、認知症の有病者は全国462万人、10年後の2025年には700万人になるとされていますが、内閣府の高齢社会白書によれば、要介護者等について介護が必要になった主な原因は、脳血管疾患が17.2%と最も多く、次いで、認知症16.4%、高齢による衰弱13.9%などとなっています。本県においても、全国とさしたる違いはないと思いますが、県はこの早期発見、早期対応という課題にどのように取り組んでいかれますか、伺います。  また、認知症施策においては、これまで述べてきた患者の治療を担う医療とケアを担う介護との連携がますます強化される必要があろうかと思います。この認知症施策における医療と介護との連携については具体的にどのように考えておられますか、あわせて伺います。  次に、本県の地方創生について、中心的な役割を担ってもらわなければならない少子化対策について伺います。  離島や中山間地域においては、若年層を中心とした人口の流出や高齢化の進行などにより地域運営の担い手不足が深刻化してきており、地域のコミュニティーの維持や必要な生活サービスの確保が困難となってきています。そうした中、地域にとどまった若者のうち、特に男性の結婚が難しい状況がかねて続いています。要因としては、出会いの場が少ないこと、都市部に比べて独身女性の数が少ないこと、物理的な距離によるアクセスの問題などが考えられます。人口減少問題への対応が求められる中、若者の結婚は全県的な課題ではありますが、とりわけ離島や中山間地域における結婚の動向は、第1次産業などの後継者確保とあわせて集落の存続に深くかかわっており、これらの地域における結婚支援は、行政として重点的に取り組むべき重要な課題と考えています。  そこで、離島や中山間地域における結婚支援について、具体的にどのような取り組みを進めていかれるのか伺います。  次に、本県の生活保護受給者数は、本年7月速報値で6,133人と、引き続いて高い数値で推移していますが、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、ことし4月から生活困窮者自立支援法が施行されました。この制度では、福祉事務所を設置している市町村が相談窓口を設置し、専門の支援員が相談者一人一人の状況に合わせた支援プランを作成し、相談者に寄り添いながら問題解決に向けた支援を行うということです。経済的に困っておられる方々の早期発見と問題解決のため、この制度を十分に生かしていくことが必要です。相談支援の実施主体は市町村ではありますが、県としても、県内の実施状況を把握し、課題に対して適切な対応を行っていくことが、この制度を円滑に進め、実効性あるものにすることにつながると考えます。  そこで、生活困窮者に対する相談支援の実施状況と見えてきた課題、これに対する県の取り組みについて伺います。  さて、環太平洋パートナーシップTPP協定は、7月末まで開かれた交渉の閣僚会合において、大筋合意に至らず、依然として不透明な状況が続いています。TPP協定が締結されれば、農林水産業だけでなく、地域の雇用、食の安全、医療制度等、国民の生活や地域経済、社会が崩壊していくおそれがあり、特に本県の場合、農業は、地域の経済、社会を支える基幹産業であることから、より深刻な影響が出てくることが懸念をされています。そのため、私たち議会も再三にわたって国に意見書を提出してきたところです。  また、後で議論をしますが、ポストTPP対策として始まった農地中間管理機構事業。開始1年目とはいえ、昨年は全国的にも、本県においても振るわなかったということは、裏を返せば、TPPへの参加が日本の農業、そして島根の農業にとってイバラの道であることを明示しているように思っているところです。いずれにせよ、交渉の進捗状況の情報提供が不十分な場面も多々あり、今後の展開次第では、これまで以上に農家の不安が広がるおそれもあります。県としても、ことし6月、国へ重点要望を行っているところですが、重要5品目の関税引き下げの動きなど仄聞している現状を踏まえると、県として今後どのような取り組みが必要か、知事の所見を伺います。  次に、農協改革について伺います。  全国農協の上部組織である全国農業協同組合中央会、JA全中の権限を大幅に縮小し、地域の組合の調整を担う一般社団法人にすることや、全農の株式会社化を可能とする規定などを盛り込んだ農協法改正案が、先ごろの国会で成立しました。これもまた、環太平洋経済連携協定交渉の妥結をにらんだ、いわゆる国の言うところの農業の競争力強化を図っていくためのポストTPP対策であると理解をしています。  しかし、全国の農協に対するJA全中監査の義務づけを廃止し、そのかわりに公認会計士監査を義務づければ地域の農協が自由に経済活動を行うことができるといった発想は、いささか見当外れで、それで問題が解決するとはとても思えません。国は、日本農業の不振の責任を一方的にJA全中に押しつけ、その政治力をそぐことだけに腐心しているように感じてなりません。確かに、これまでJA全中は地域農協に対する会計監査や業務監査を行ってきました。そのことが、かえって全中が統制してるといった誤解を生んだ面もあると思いますが、経営統制までやっていたわけではありません。  このたびの改革は、あくまでも農業、農村の再生につなげていくための手段でなければならないものであり、地域の農協が本来の目的である農業振興を果たしていくためには、地域ごとの課題をしっかり見据えていくことが重要です。そのため、今後は農協の地域における役割や農業者などの意見を踏まえた上での改革とすべきであると考えますが、知事の所見を伺います。  次に、新たな農林水産業・農山漁村活性化計画次期戦略プランの策定について伺います。  現在、現行プランの成果の見込みと課題の分析、評価、課題を踏まえた取り組みの方向性の検討が農林水産部を中心に行われています。そうした中で、集中的取り組みが必要な課題へプロジェクトを重点化、県全域プロジェクトと地域プロジェクトの連携強化、他部局との連携によるプロジェクトの設定等が次期プラン策定に当たっての視座とされていますが、これらはプランの整合性や集中化、あるいは熟度を高めるといった観点からいえば理解はできるものです。しかし一方で、現行2期プランの策定時には想定されていなかったTPPの問題や、あるいは地方創生に向けた課題への対応など、島根の農林水産業を取り巻く状況に大きな変化が起きていることも事実です。そして、これら次期プランの策定に当たり、避けて通れない取り組み課題となると思います。  そこで、第3期戦略プランの策定に向けて、今後の本県農林水産業を取り巻く状況の変化を踏まえ、今後どのような方向性を持って計画の策定を行っていかれるのか伺います。  さて、TPPを見据えた政府の農業分野の成長戦略を担う柱の一つである農地中間管理機構がスタートして、1年半近くになりました。しかし、ことし5月に公表された昨年のその実績は、決して芳しいものではなかったということです。事実、農林水産省の資料によれば、昨年度1年間で担い手に集まった農地は全国で6万3,000ヘクタールに上るのに対し、農地中間管理機構による新規集積面積は7,300ヘクタール、年間集積目標に対する機構の寄与度5%、このうち本県はそれぞれ538ヘクタールと138ヘクタール、9%です。本県において低調であった原因を執行部はどのように分析されておられますか。まず、伺います。  次に、農地中間管理機構の実績、寄与によらない農地の集積は全国で5万5,000ヘクタール、本県では400ヘクタール余りあります。果たしてこれらの集積は何によってなされたのかといえば、都道府県主体の中間管理機構創設前からある市町村や農業委員会、農協を主体とした農地利用集積円滑化事業等の農地の集積、集約化を推進する事業であったのではないかと考えます。そして、これまでの集積事業の核心は、地域農業の将来像をどう描くかを軸にした出し手と受け手の話し合いに基づく合意にありました。農地の流動化を図るには、受け手との信頼関係の構築を含め、農家が安心して貸し出せる環境づくりがまず求められますが、この点、県は中間管理機構事業を進めるに当たってどのように考えておられますか。伺います。  また、昨年度、中間管理機構に借り受けを申し込んだのは、県内で370件、このうち貸し付けが実現したのは70件で、445ヘクタールでした。そして、実現した地域の9割は県東部地域であったとのことです。面積が狭い上に急傾斜地が多く、のり面の草刈りなど作業量も多いのが山間地域の農業です。借り手に名乗りを上げる個人や農業法人が必然的にあらわれにくくなるのも道理です。中間管理機構の制度は全国一律の仕組みで動いていますが、平野部と山間地域とでは事情が異なります。施策に地域的な差を設けるよう国に要望すべきと考えますが、いかがですか。伺います。  また、現在国において、規制改革会議農業ワーキンググループ・産業競争力会議実行実現点検会合の議論を発端に、農地中間管理機構事業を軌道に乗せるための方策の一つとして、農地は固定資産税が低く抑えられており、その保有コストの低さが、時に転用期待も手伝い、耕作放棄地の発生を助長しているとして、そうした所有者の税負担を重くすることで半ば強制的に農地を手放させて中間管理機構に貸し出すよう促す、一方で、貸し出した場合には税負担を軽くする、そうした余りにも短絡的で的外れ、あるいは理不尽な議論が本気でなされているところですが、この点、知事の所見をお聞かせください。  次に、本県の畜産業は、県内農業産出額の約3割を占めるなど県内農業の大きな柱の一つであり、とりわけ中山間地域、離島を抱える本県において、和牛繁殖経営は畜産業自体の振興だけでなく、例えば畜産農家から稲作農家への堆肥の供給と稲作農家から畜産農家への稲わらなどの家畜飼料の供給を互いに行う、いわゆる耕畜連携の取り組みや、放牧による耕作放棄地の活用など、地域資源を有効に活用できる観点から地域を支える重要な産業となっており、期待をされています。  これまで県では、しまね和牛の振興について、産肉能力の高い優秀な牛を整備する質の向上対策と、新たな担い手の育成と増頭を推進する量の確保対策とにポイントを置き、各種施策に取り組まれています。しかしながら、しまね和牛の現状を見ると、農外からの企業参入、酪農家などによる新規の飼養や大規模農家が増頭する動きも進んできているものの、高齢化や後継者不足により、約10年前の平成15年における肉用牛飼養戸数2,445戸、飼養頭数3万4,418頭に対し、平成26年には飼養戸数が1,112戸、飼養頭数が3万1,167頭と減少傾向にあり、産地の活力減退が懸念される状況にあります。このような状況を踏まえ、これまでの課題解決に向けた取り組みと、しまね和牛の振興に向けた今後の対応について、知事の考えを伺います。  次に、本県の林業、木材産業は、豊富な森林資源を背景とし、経済や雇用、環境面からも中山間地域の重要な産業の一つです。県西部においては、木材生産、木材加工、チップ製造など、林業、木材産業に設備投資や新規雇用への積極的な動きが見られ、地元の事業体からは久々に業界に活気が出ているとの声を聞きます。このような中、地方創生県版総合戦略の中で林業、木材産業の振興が位置づけられていることは、森林率が全国第4位である島根県らしい取り組みであると思っているところです。  一方で、現在の製材、合板、チップなどの木材需要に対する供給の状況を見ますと、県産原木自給率は33%にとどまっており、木材増産や雇用拡大の余地は十分にあるように思っているところです。このような状況の中で木材の生産拡大に積極的に取り組むことは、中山間地域での雇用の創出や定住の促進につながり、林業、山村を活性化できるのではないかと考えます。本県における林業の成長産業化に向けた取り組みに対する知事の考えを伺います。  次に、国内人口の減少や少子高齢化に伴う消費構造の変化、就農人口や農業所得の減少、耕作放棄地の増加など、日本農業を取り巻く情勢が近年大きく変化していることを受け、国は農業の発展のために6次産業化の推進を明確にしているところです。具体的には、平成23年に六次産業化法が施行されて以降、平成25年6月の日本再興戦略において農林水産業を成長産業にすることを打ち出し、同年12月の農林水産業・地域の活力創造プランや本年3月の食料・農業・農村基本計画等によって、6次産業化の推進を具体的に示しています。  一方で、本県に目を向けますと、農林水産業及び食品産業は基幹産業であるとともに地域を活性化する重要な役割を担っているところではありますが、その規模は小さく、産業競争力は低く、6次産業化の取り組みにおいては、これまで国の施策も十分に活用できていなかった状況であったことも認めなければなりません。  しかし、豊富な地域資源を活用しながら新たな価値を付加させ、雇用、所得を増大させるため、6次産業化の推進を図ることは県勢の発展にとって必要不可欠なことです。このため県では、しまねブランド推進課内に専任スタッフを配置するとともに島根の6次産業推進ビジョンを策定し、その推進を図っているところです。国の方向性も踏まえ、島根県における6次産業化推進の考え方について知事の所見を伺います。  次に、本県の観光振興について、県では一昨年度からご縁の国しまねキャンペーンを開始し、ことし6月からはEXILEなどのタレントをイメージキャラクターとしたプロモーションを行うなど、さらなる認知度の向上を目指しており、観光客増大とそれに伴う地域の活性化が期待をされているところです。  一方で、尾道松江線の全線開通や山陰自動車道の伸長など高速交通網の整備促進により観光客の周遊エリアは拡大してきており、特に外国人観光客や遠方からの観光客が周遊するエリアは広く、宿泊日数も多い傾向にあるため、今後の入り込み客数の増加がかなり期待をできることから、他地域と協力した魅力ある観光づくりなど広域的な観光振興についても、より一層強化していく必要があるのではないかと思います。  現在観光庁では、インバウンド対策として複数の都道府県をまたがって、テーマ性、ストーリー性を持った一連の魅力ある観光地をネットワーク化した広域観光周遊ルートの形成を目指し、先般6月、瀬戸内ブランド推進連合と瀬戸内観光ルート誘客促進協議会が申請したせとうち・海の道など、全国7件を認定をしたところです。県版の総合戦略においても観光の振興は大きな位置づけを与えられており、外国人観光客誘客も含め、広域連携を強化するとしていますが、今後、他県との広域的連携にどのように取り組んでいかれるのか、知事の考えを伺います。  次に、中小企業、小規模企業の振興について伺います。  全国的にはアベノミクスにより景気が回復基調と言われる中、県内企業の数は、近年減少に歯どめがかからず、先行きについても、世界の経済動向による大手企業の発注の変化や円安等によるコスト上昇など、厳しい経営環境が続いています。島根県は、特に中小企業、小規模企業の割合が高く、地域経済を支え、雇用の中心的な担い手であることから、中小企業等の振興に関する考え方を示すための基本条例を制定すべきとの声もあります。こうした中、中小企業、小規模企業は、経営の安定化のみならず、人材の確保や事業の継承など厳しい課題を抱えている現状にあり、地方創生を推進するためにも、総合的かつ持続的な支援が必要です。ついては、中小企業、小規模企業の振興に向けた基本的な考え方や具体的に進めていくべき施策について、知事の考えをお聞かせください。  次に、土砂災害対策について伺います。  本県は、地形が急峻で、県土の約80%を山地が占めており、また、広い範囲で風化花崗岩が露出するなど地質も悪く、全域が特殊土壌地帯に指定されています。このため、一たび集中豪雨が起きると、土石流、地すべり、崖崩れが発生し、これまで幾度となく多くのとうとい人命や貴重な財産が失われてきました。県では、これらの災害を未然に防止するため、土石流対策、地すべり対策、崖崩れ対策を進めているところですが、土砂災害危険箇所は全県で2万2,296カ所、うち保全対象家屋が5戸以上、また5戸未満であっても公共施設がある箇所である要対策箇所を5,889と整理をされ、対応に当たっているところです。しかし、その整備率となると18.4%といった状況です。  そうした中で、国の交付金事業や補助事業の採択要件等を見ますと、例えば砂防事業、1億円以上の事業で公共施設、人家50戸以上、対象保全耕地30ヘクタール以上。急傾斜地崩壊対策事業、急傾斜地の高さ10メートル、人家10戸以上で7,000万円以上の事業費等々となっており、本県の危険箇所の実態に合っていないように感じているところです。実際、これらの採択要件に合わず事業採択できない箇所や、採択されていても集落の中で1戸だけ取り残されている地域を見てきています。国費を多く獲得する努力も怠れませんが、同時に、交付金事業や補助金事業の採択要件の緩和を国に求めていく必要があると感じていますが、考えをお聞かせください。  また、採択要件に該当しないため、施設整備の対象とならない危険箇所について、今後県としていかなる取り組みを進めていかれるのか、お聞かせをください。  さて、県版地方創生総合戦略においては、日常生活に必要な機能、サービスを集約化等によって維持強化するとともに、交通弱者の移動手段を確保する交通対策により、中山間地域における小さな拠点づくりを進めるとしています。もちろんそのためには、基幹集落あるいは地域の拠点と周辺集落とを結ぶ生活に密着した道路基盤の整備を推進することが、今後大きな課題となってくると思っているところです。この点、県も、現に生活に密着する主要地方道や一般県道を数多く抱えていますが、その改良率たるや、主要地方道のほうは県平均72%ですが、一般県道は45%、しかも中山間地域、離島では、それら平均改良率に双方とも遠く及ばない地域や、いずれかが極端に低い地域が散見をされます。総合戦略を基盤の面から支える中山間地域、離島における今後の県道の整備について所見をお聞かせください。  次に、教育委員会では、昨年7月、第2期しまね教育ビジョン21を策定し、急速に変化する社会を生き抜くために必要な力を子どもたちに身につけさせるため、向かっていく学力、広がっていく社会力、高まっていく人間力という3つの教育目標を掲げ、家庭や地域と連携した教育を進めています。中でも学力の育成は、子どもたちが将来社会の一員として自立し、夢や希望を実現するための基盤となるもので、学校教育に課せられた一番重要な使命だと思います。  しかしながら、近年の全国学力・学習状況調査等の結果から、島根の子どもたちの学力について、算数の勉強は好きだという子の割合が全国一少ないとか、家庭学習の時間が短いなど、さまざま課題があると聞いています。そういった現状や課題を踏まえ、学力の育成に関する施策を具体的に推進するため、教育委員会では昨年8月、しまねの学力育成推進プランを策定したところです。現在までの取り組み状況、また8月末開催された地方創生総合戦略の県内町村会との意見交換会の席において基礎学力の向上を求める意見があったということですが、先日公表された今年度の全国学力・学習状況調査結果での島根県の厳しい状況を踏まえた今後の取り組みについて、お聞かせをください。  次に、ことし3月、県内高校を卒業した高校生の就職希望者のうち78.2%が県内に就職する一方で、例年3,000人を超える高校生が県外の大学や専門学校に進学をしています。地方創生が叫ばれ、人口減少対策が求められている中で、島根県で育った子どもたちができる限り県内で就職したり、県内に定住する取り組みを行うことが、ますます重要な課題となってきています。  子どもたちがふるさとに愛着や誇りを持ち、卒業後は県内で就職しよう、あるいは一旦県外に進学しても、将来は島根に帰ってきたい、島根のために貢献したいと思うようになることが大切です。そのためには、子どもたちがふるさと島根の自然、歴史、文化、伝統などに対する愛着や誇り、理解を持てるように、これまで県の取り組んできたふるさと教育を継続していくことが重要です。また、同時にというかそれ以上に、子どもたちが県内企業のことを認識することや地域の課題に取り組む学習をしたりすることで、自分たちが島根に貢献しようとする意欲を育むことも重要です。高校卒業時の県内就職に向けた取り組みの状況とその成果、また、県外へ進学する高校生が将来的に島根に帰ってこれるような取り組みについて伺います。  次に、人口減少が続く中、県立高校においては地元からの入学者数が減少している状況であり、それを打開するためには、地域内外から生徒が集まるような魅力と活力のある学校づくりが求められています。その一環として、離島、中山間地域においては、高校と町村が連携して、その魅力化、活性化に懸命に取り組んでいるところです。学校と地域が連携、協働して子どもたちの教育を推進することにより地域社会に活力がもたらされることは、地方創生の観点からも大変意義のあることだと思います。こうした取り組みが功を奏し、地元の生徒が少ない離島、中山間地域の県立高校を中心に、県外からの入学生がふえていると聞いています。県外からの入学者の推移について伺います。  また、あわせて、来年度からは県外募集する高校を拡大をするようですが、これまでの経緯と今後の方針について伺います。  さて、平成28年度全国高等学校総合体育大会中国ブロックの開催がいよいよ近づいてまいりました。この大会は、来年7月から8月にかけて中国5県を中心に開催されるもので、島根県でも体操、新体操、柔道、ボート、テニスの5種目が開催されます。選手の皆さんは日々練習を重ねていることと思いますが、島根県の高校生の活躍を心から願ってやまないところです。  全国高校総体は、高校生が夢や目標の実現に向けてみずから挑戦する意欲や創造性を育むものであり、地域の未来を担う人材を育成する大会でもあります。また、高校生だけでなく、次代を担う小学生や中学生も間近でこの大会を観戦することで、スポーツ競技に対する夢と希望を持てるのではないかと期待もしています。大会の開催まで1年を切りましたが、この大会を多くの方々に周知し、大会開催の機運を高めるとともに、その成功に向けて着実に準備を進めていく必要があります。現在の島根県での大会開催準備状況と、大会を成功させるための取り組みについてお聞かせをください。  最後に、本県における犯罪情勢は、平成26年には刑法犯認知件数が4,772件と、ピーク時の平成15年の9,217件から半減しており、減少傾向で推移しています。しかしその一方で、凶悪事件の発生、子ども、女性が被害者となる犯罪や高齢者を狙った特殊詐欺被害が後を絶たない状況です。さらに、県立大学女子学生の事件など未解決事件として今なお残っており、県警察では懸命な捜査を展開されていますが、一日も早い解決を願っているところです。  このような状況の中、県民の治安に対する不安感は根強いものがあり、特に少子高齢化が進む本県においては、子ども、女性、高齢者の安全・安心を確保することが重要であり、その対策に取り組む必要があります。安全・安心が確保されていることは、活力ある社会を実現するための前提です。本県においては、日本一治安のよい島根の実現を目指していますが、県民が安全で安心して暮らせる地域社会を実現するためには、警察による活動のほか、防犯ボランティア、自治体などとの連携による取り組みも必要であると考えます。米村本部長におかれては、8月、本部長として着任をされましたが、新本部長としての抱負と、安全で安心な地域社会を実現するための対策をどう推進されていかれようとされるのか伺います。  また、公安委員会においては、先月7月12日に服部京子公安委員長が就任をされました。服部委員長におかれましては、平成25年9月から2年間、公安委員として県警察の管理、監督に当たってこられており、その経験を生かして、委員長として手腕を発揮されることを期待をしています。本県の警察行政につきましては、先ほど申し上げた治安対策の推進や交通安全対策の推進、災害発生時の対策の推進など、ますます課題と責任が大きくなってきていると思っています。こうした中、服部公安委員長に、就任に当たっての県警察の管理、監督についての抱負と県民の治安をあずかる委員長として、その所見を伺います。  以上をもちまして私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 5: ◯知事溝口善兵衛) 中村議員の御質問にお答えをいたします。  最初の質問は、政府の地方創生に対する考え方が、地方への財源配分も含め、国の最初の段階の考え方から最近における基本方針までの間に少し変化があったのではないかと、それについての考え方、見方を問うと、こういう趣旨の御質問でございます。  私も、議員が御指摘されてるような面があるような感じはいたしますが、私の考えを申し上げますと、地方における人口の減少は、言うまでもありませんが次の2つのプロセスから長い間かけて生じたもんであります。高度経済成長が始まり、大都市部とその周辺で経済発展が進み、雇用の場が急速に拡大をし、それに伴い、地方から若者が流出するというプロセスが長い年月にわたって続いた結果、生じた問題であるわけであります。  そして、そのプロセスには、当初予想しなかったような2つの大きな副作用があったということであります。若者が集まる大都市では、子育てが難しく子どもの数がふえない、そういう問題が出てまいりましたし、子育てがしやすい地方では、子どもを産み育てる若者たちが少なくなるので子どもがふえないと。そういうことで、そうした大きな副作用によりまして、地方だけでなく日本全体も、この人口減少のスパイラルから抜け出せないような厳しい状況に陥ったというのが現状だろうというふうに思うのであります。  したがいまして、長年にわって起こったことでございますから、そうした流れを逆転をさせていくというためには、やはり大きなインセンティブですね、大都市から地方へ企業や人が移転するような強いインセンティブがなければ、市場のメカニズムではいかないわけでございます。そういう意味で、そういうインセンティブが働くような施策を国も県もとっていかなければならない。しかし、そのためには、そのインセンティブをもたらすエネルギーを地方に付与しないと、それはなかなか難しいわけでございます。  しかし、国は厳しい財政状況がずっと続いておるわけでございます。消費税の話も難しい問題でございます。この先、日本全体の財政の状況を変えていくっていうことは、国全体、国民全体の税に対する負担をどうするかっていう大きな問題が、その背後にあるわけでございます。そういう状況の中で、政府もできることを一生懸命やっとられますけども、地方への人の流れを大きくつくり出すほど大きなものになるかどうかということが問われておるんだろうというふうに思います。  私どもとしましては、島根の地方創生実現に向けまして、新型交付金を始めといたします国の支援、施策の拡充を今後とも求めてまいりますとともに、私ども自身も、県の厳しい財政の中でいろんな工夫をして、この人口減少に対応できるような施策の展開を図っていくということが大事だというふうに考えております。  次に、こうした中で、地方創生に向けた私の決意について問うという御質問であります。  人口減少対策、地方創生を着実に進めるためには、国の施策の一層の拡充、地方財源の増強を働きかけていかなければならないということは、先ほど申し上げたとおりでございまして、知事会などもそうした要請を国に対して行っているところであります。しかし、たとえ国の支援が十分でなくても、そしてまた県の厳しい財政状況がありましても、県としましては財源の捻出をし、雇用の創出につながる産業振興、子育て支援を強化するなど、できることに最大限の努力をして取り組んでいかなければならないと考えているところであります。そのために、県議会、市町村、県内各界の皆さんと連携をいたしまして、地方創生の実現に向け、全力を尽くしてまいります。  次に、島根県の人口ビジョン、総合戦略についての御質問でありますが、市町村との問題意識の共有が必要だが、どう思ってるかという御質問でございます。  この点についてはいろんな機会に申し上げておりますが、市町村の人口目標は、幾つかの市町村では社会動態や自然動態に高目の目標を設定することにより、それぞれの市町村がその地域一丸となって人口問題に対処していこうという住民の方々、あるいは行政当局の機運を高めて、その運動に弾みをつけていこうという努力目標的な面があるわけでございます。一方、県の人口目標は、県全体として目指すべき最低ラインとも言うべき目標として、厳しい状況にありますけども設定をしておるということでございます。先ほども申し上げましたように、その達成のためには、県自身も人口減少対策の拡充にさらに努力をすることに加えまして、政府による国の施策の拡充、地方創生財源の増強が必要でございまして、この点は私どもも要請してまいりますし、知事会としてもそういう要請を行っていくということでございます。  このような状況を勘案いたしますと、各市町村が地域全体で人口問題に取り組んでいこうという機運を高めようとすることは一つの考えでございまして、大事なことだと私も思いますが、市町村が直面する厳しい人口問題のそれぞれの現実や、これに対する県の考え方にも御理解をいただく必要があると考えておりまして、先般の市長会あるいは町村会の場でも、そういうことを申し上げたところでございます。  次に、総合戦略における中山間地域、離島対策についての御質問でございます。
     議員御指摘のように、中山間地域、離島は、過疎化、高齢化が最も早く進み、人口の減少による最も大きな影響を受けた地域であることに鑑みまして、中山間地域、離島への対策は、県の最も大きな課題の一つというふうに認識をしております。このために、特に中山間地域、離島におきましては、地域の特性を生かした雇用、就業につながる産業振興を図ること、そしてまた、日常生活に必要な機能、サービスを確保し、安心して暮らせる地域を維持していくことが必要であります。そのため、県の総合戦略では、地域の特性を活かした安心して暮らせる島根づくりという基本目標の中で、中山間地域、離島対策を大きな柱として掲げ、力を入れて取り組んでいくことといたしております。  次に、総合戦略の施策のめり張りや取捨選択についてどういうふうに考えているのかという御質問でございます。  基本目標は、御承知のとおり4つでございます。雇用の創出、そして2番目に子育て支援、3番目に人の島根への定着、回帰・流入、UIターン絡みの話でございます。そして、特に中山間地域で厳しい状況が続いておるわけでございますから、魅力ある地域社会の維持形成と、この4つを挙げておるところでございます。その中で、やはりボリュームとして非常に大きな課題であるのは1番目と2番目でございます。中山間地域を含め県全体として雇用がふえるようにするということ、そのために産業振興をどのように行っていくかということは大事な課題でございます。そして、それによりまして、若者たちが島根にとどまる、あるいは島根に帰ってくる、あるいは島根に来られるという中で、若者たちの子育てに対する支援を行っていくということが大事な要素でございます。  中山間地域問題につきましては、あとの質問でまたお答えを申し上げますが、具体的な選択についてどういうふうに考えているかということで、具体例に則しまして産業振興と子育て支援について若干申し上げたいと思います。  まず、産業振興につきましては、地域産業の振興を行うということでございまして、その中にしまねソフト研究開発センターというのを、この11月に設けることにしております。これによりまして、ソフト系IT産業の振興を行う、これは都市部に限らず中山間地域にも影響は及ぶだろうというふうに考えております。それから、新しいビジネスとして地域資源を生かしたヘルスケアのビジネスを創出をしていくということでございます。  それから、島根は物づくり産業が安来などにあるわけでございますけども、特殊鋼メーカーや関連企業の航空機産業など産業集積のポテンシャルを生かした企業の競争力を強化をしていくと、いろんな支援をしていくと。そして、中小企業の方が多いわけでございまして、事業承継を契機とした経営革新に向けた取り組みを支援することなどによりまして円滑な事業承継を図っていく、推進をしていくといったようなことがございますし、産業振興の2番目としまして、企業立地の推進ということがございます。島根県の企業立地の制度は非常に進んでおると私どもは考えておりますけども、これをさらに充実強化をすると。さらに、そうした中で中山間地域に企業立地が進むように、いろんな手当も追加をするということを考えております。  それから、島根はやはり観光に大きな資源があるわけでございまして、観光の振興ということでは、海外現地法人を活用した海外プロモーションの展開を行うと。そして、受け入れ体制強化による外国人観光客の誘客の拡大を行いました。そして、観光につきましては、また後ほどの質問で出てまいりますけども、中四国各県との連携、鳥取県との連携、山口県との連携、そうしたことを進めてまいります。  農林水産業につきましては、売れる米づくりや生産販売、経営に至る総合的な支援など水田農業の推進をさらに行ってまいりますし、共同子牛育成施設の整備によるしまね和牛の産地の振興を行ってまいりますし、木質バイオマス発電の稼働に対しましても、原木増産のための生産流通基盤の整備を進めてまいります。漁業におきましては、漁獲物の高鮮度化、ブランド化などを推進してまいります。  次に、雇用対策につきましては、高校生、大学生に対するインターンシップへの参加を進める対策をとろうと考えております。また、若者と県内企業のマッチングの推進をいろんな方法で行ってまいります。それから、企業が行う人材育成定着の取り組みに対する支援の強化によりまして、新卒就職者の定着率の向上を図ってまいります。  それから、大きい項目として2番目でございますが、子育て支援がございます。結婚ボランティアの増員によりまして市町村や企業内への配置を図る、それによって結婚支援を行うと。それから、しまね縁結びサポートセンターっていうのをつくるわけであります。これが11月に松江の本部ができますし、1月に浜田でできます。こういうことを通じまして、結婚の機会をふやすといったことをやってまいります。  それから、妊娠、出産、子育ての支援につきましては、市町村での保健・医療・福祉の関係機関と連携した相談支援体制づくりを推進してまいりますし、年度途中の保育所待機児童の解消による子育て環境の向上、国の制度の対象とならない市町村の保育、教育環境整備への支援の推進を具体的に進めてまいります。  さらに、既に申し上げておりますけども、県議会からいただいた御意見も踏まえまして、雇用創出、子育て支援などにつきまして追加的な措置を検討中でございますけども、10月の初めぐらいにはお示しする最終案の中に盛り込むことを考えておるといったことでございます。  次に、総合戦略当初予算についての御質問でございます。  総合戦略の施策、対策の実効性を担保するためには、必要となる財源の確保が御指摘のように大事でございます。歳入面での対応は、地方創生関連の新型交付金につきましては国の概算要求で1,080億円が計上されていますけども、現段階では詳細は不明でございます。したがいまして、この新型交付金や地方交付税につきまして、総額の確保、財政力の弱い地方部への手厚い配分、地域の実情に応じて効果的に活用できるような自由度の高い交付金とするよう、引き続き国に要望してまいります。  次に、歳出面での対応でございますが、既存事業の徹底した見直しによりまして地方創生に資する内容にするとともに、新規事業の財源を捻出してまいります。こうして確保した財源を最大限に有効活用しまして、地方創生・人口減少対策として効果的な事業に予算措置をしながら、現在進めている財政健全化も着実に推進していきたいというふうに思っております。今後、総合戦略策定の過程でいただいた県議会、市町村、各界からの御意見等も踏まえながら、予算編成に取り組んでまいります。  次に、国土強靱化地域計画についての御質問でございます。  議員御指摘のとおり、国土強靱化とは、あらゆるリスクを見据えつつ、強靱な行政機能や地域社会、地域経済を事前につくり上げていこうとするものだと思います。国の計画では、災害時でも機能不全に陥らない経済社会システムを平時から確保することなどを理念としまして、東京一極集中からの脱却、「自律・分散・協調」型国土の形成などを基本的な方針としてまとめられております。  県の地域防災計画は、災害発生時の応急対策や復旧、復興対策、治水施設整備の促進など、直接的な防災対策を中心に災害発生時の被害を最小限にとどめるための計画としております。強靱化計画は、これらの災害予防対策に加え、高速道路や空港など交通ネットワークの整備充実や再生可能エネルギーの導入促進など、想定される最悪のリスクに対する平時の対策もまとめる必要があると思います。このように国土強靱化地域計画では、全ての自然災害を対象として、ハード、ソフト両面から平時に必要な施策について取り組む方針をまとめていく必要があると考えております。  次に、中山間地域対策のこれまでの成果、今後の課題等につきましての御質問であります。  中山間地域における地域運営につきましては、議員御指摘のように、もともと集落ごとの対策を進めてまいりましたが、次第に広域的な対策が求められるようになり、現在は公民館エリアを基本とする取り組みを推進しております。一方、人口減少問題に対処するためには、長期的視点に立って中山間地域の積極的な地域再生を図っていくことが重要であり、住民主体の議論を踏まえ、市町村と一緒になって小さな拠点づくりなどを進めてまいります。  小さな拠点づくりは、3つの側面があるわけでございます。買い物などの生活機能を確保する、交通弱者など生活交通を確保していく、6次産業など地域産業の振興の3つでございます。やはり、その中で雇用の場がふえるということが大事でございますが、産業面では中山間地域のさまざまな地域資源を活用した産業振興を図り、その収入が地域内での消費活動につながるような経済の好循環を形成するように行ってまいります。ソフト系IT産業や製造業を対象に、中山間地域への企業立地対策を強化する考えでございます。これはまだ具体的なところは詰めておる段階でございます。  それから、単体の事業では収益性や雇用力が十分でない場合におきましても、事業の複合化や多様な経済主体の参加を通じまして雇用の場を創出をしていきたいと考えております。いわゆる半農半Xをさらに拡大をするとか、あるいは農林漁業体験プログラムを観光に活用するとか、あるいは農家でレストランをされるとか、あるいは産直施設を拡充をする、そんなようなことも具体的な取り組みとして考えております。  また、住民主体の取り組みの基礎となる地域の人材確保育成のため、地域づくりの担い手の世代交代や若い人の参画を積極的に推進してまいります。UIターン者や地域おこし協力隊など、外部人材の確保も促進してまいります。住民主体の取り組みをコーディネートしたり、リーダーの活動をサポートしたりする人材の配置を大幅に拡大してまいります。こうした考えに立ちまして、中山間地域で住み続けることができる条件を確保しながら、地域の魅力を高め、若い世代の定住につなげていきたいと考えております。  次に、再生可能エネルギーについての御質問でございます。  国のエネルギー政策におきましては、再生可能エネルギーは太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマス、地熱などとされており、国はそれぞれの特性を踏まえまして、国民負担の抑制を図りながら最大限の導入拡大を図る考えでございます。国は今年7月に、この考え方に基づきまして政策決定を行っておりますが、エネルギーミックスでは、2030年度に再生可能エネルギーの構成割合を22%から24%程度に設定をするということをされております。また、エネルギーミックスと整合性のとれた温室効果ガスの削減目標を設定をしております。  県は、こうした国の決定との整合性を確認をいたしまして、先般、再生可能エネルギー及び省エネルギーの推進に関する基本計画を策定をいたしました。その中で、再生可能エネルギーの発電に占める比率の目標でありますが、国は先ほど申し上げましたように2030年度に22%から24%とする目標でございますが、県は2019年度に30%にするといった高い目標を早く実現するよう設定をしているところでございます。  次の御質問は、宍道湖・中海の水環境保全の取り組みについての御質問であります。  宍道湖・中海は豊かな水産資源や美しい景観に恵まれ、県民にさまざまな恩恵をもたらしてきたかけがえのない財産であります。平成元年に両湖の水環境の保全対策を総合的かつ計画的に推進するため、湖沼計画を策定し、国や流域市町とともに実施をしてきております。そして、平成17年11月にラムサール条約に登録をされまして、これを契機に、島根、鳥取両県による一斉清掃などが始まりまして、県民の幅広い参加によりまして、この中海・宍道湖の恵みを守り育てようとする意識が広がってきてるというふうに思います。自然環境に配意した農業の推進などに対する理解も広がっておりますし、下水の処理なども進んできたわけでございますけども、水質につきましてはいまだ環境基準が達成できていない状況でございます。ラムサール登録10周年となる今年は、第6期湖沼計画が始まる年であります。湖への親しみを持って守り育てようとする住民の意識をさらに高め、環境保全の取り組みが一層進むよう、国や流域市町とともに努めてまいります。  次に、地域医療構想についての御質問でございます。  国は、急激な高齢化の進展の中で、社会保障制度を持続可能なものとするため医療体制の効率化を図る観点から、各都道府県に地域医療構想の策定を義務づけております。県としましては、病床機能の見直しや在宅医療の推進といった国全体の医療の方向性には基本的にしっかり対応していく必要があると考えております。他方、地域によって病院施設や医療従事者の状況は異なっております。また、介護サービスの受け皿や高齢者の生活状況等もさまざまであります。そのため、地域の実情に応じ、住民の方が真に安心できるような多様な医療の提供体制をつくることは必要だというふうに考えております。  来年度を目途に作成をいたします地域医療構想は、法令により国が示した方式で当面作成することとなりますが、それは将来の各地域のあるべき医療体制を議論していく上での出発点となるようなものでありまして、これで全てが決まるというものではないというふうに理解をしております。現在、圏域ごとに設けたこうした検討の場で、医療や行政の幅広い関係者が医療構想について検討を始めたところであります。そうした議論を通じまして、各地域に望ましい医療体制をつくっていかなければならないというふうに考えております。そして、取り組みの過程で明らかとなった課題につきましては、国に対して正確に意見を伝え、制度の柔軟な運用や見直し、必要となる財源の確保などを求めていく考えであります。  次に、離島や中山間地域における結婚支援の具体的な取り組みについての御質問であります。  離島や中山間地域における結婚につきましては、独身の女性、男性もそうだろうと思いますけども双方が少ないといったこと、あるいは出会いの場が少ないことなどから深刻な状況にあるというふうに思います。  今後、結婚対策を県全体で強化してまいりますが、離島、中山間地域におきましては、その実情を踏まえまして、次のような取り組みを実施する予定であります。いわゆるはっぴぃこーでぃねーたーがいない、あるいは少ない離島、中山間地域を含めまして、はっぴぃこーでぃねーたーの方々を全市町村に配置をしてまいります。また、先ほど申し上げましたが、しまね縁結びサポートセンターを松江と浜田に設置をいたします。これは、それぞれの市町村の域内で出会いをするということじゃなくて、県内で結婚の希望のある方々の要望を全部まとめまして、そうした中で見合いの場を広くしようというセンターでございまして、市町村を超えた広域的な出会いの場づくりを進めてまいります。  また、中山間地域など、ゆったりした場所での暮らしに魅力を感ずる都市の若者たちが非常にふえてるわけでございます。そういう方々が島根においでいただくよう、市町村や島根定住財団と連携をしまして、体験型婚活ツアーでありますとか、あるいは農業の分野で働いていただくように移住をしていただくとか、そういうことを進めてまいります。東京でのしまねUIターンフェアでは、子育て、縁結びブースを設けまして、子育てや結婚に係る支援策について情報提供、あるいは勧誘を行ってまいりたいと思っておるところでございます。県としましては、離島、中山間地域の地域課題にもきめ細かく対応していきたいと考えておるところであります。  次に、TPP協定への対応についての御質問であります。  この問題につきましては、県議会とも一緒になりまして国に要望してきておりますが、引き続き次のような点を要望していく考えであります。1つは、影響が甚大な農産品などにつきましては関税の撤廃の例外措置を確保すること、2番目に、交渉の進展について適時に十分な情報提供、説明を行うこと、3番目に、国益を損なうというようなことになるのであれば、TPP不参加を含め国民の意向をよく汲んで慎重な対応をすること、この3つであります。一方、TPP協定への参加いかんにかかわらず、農林水産業につきましては、地方創生戦略の方向も踏まえ、地域の特性に応じた再生強化に向けた施策を講ずることが重要であります。県におきましても、担い手の確保、農地集積等による経営基盤の強化、売れる物づくり、6次産業化等の取り組みを一層進めていく考えであります。  次に、農協改革についての御質問であります。  このたび農協法の改正案が可決成立いたしましたが、これまで国には次のように要望しておるところであります。農協改革の制度的運用に当たっては、農協が地域で果たしている役割などの実態を十分に把握し、農業者、農業団体、地域住民などの意見を踏まえ、現場に即した改革となるよう配慮すること、これが重要であると考えております。県としましては、今後とも改革の趣旨である農業者の所得向上に向け、JAしまねと連携をしながら、農業、農村の振興に取り組んでまいります。  次に、農水省の耕作放棄地への課税強化の問題について申し上げます。  農水省は平成28年度税制改正要望の中で、農地中間管理機構への貸し付けなど、農地の利用の効率化及び高度化の促進を図るための農地の保有に係る課税の強化、軽減等の措置を要望しております。しかし、これ以上の説明は農水省からはされておらず、詳細は不明であります。こうした議論につきましては、実態を十分に踏まえまして、政府・与党の税制改正の議論の中で慎重に検討されるべきであるというふうに考えております。  次に、しまね和牛の振興についてであります。  しまね和牛につきましては、子牛価格は全国の価格に比して安いことや、繁殖雌牛の頭数あるいは生産農家の数が減少しているという課題があります。この課題に対しましては、これまで次のような対応をしておりますが、一定の成果があります。質の向上につきましては、全国トップクラスの種雄牛が誕生しております。高い産肉能力を持った繁殖雌牛への世代交代が進んでおります。量の確保につきましては、農外企業の参入が増加をしております。また、集落営農組織等が新たに牛を導入して子牛生産を開始するなどの成果が出ておるというふうに思っております。さらに、こうした数をふやすことが大事であると考えておりますが、新規参入者等への増頭をサポートするため、共同の子牛育成施設整備を支援をしたり、あるいは中核経営体による増頭、牛の数をふやすっていうことでありますが、増頭支援を行う、低コストの飼料を安定的に確保するため、放牧や水田飼料作物の活用等、耕畜連携の推進を一層進めるなど、生産基盤の強化を進めてまいります。  次に、林業の成長産業化に向けた取り組みについての御質問であります。  これまで循環型林業の確立に向けた取り組みにより、近年、木材生産量の増加や原木自給率の向上などの成果が出ております。木材生産量は、平成23年度に31万立方メートルでありましたのが、平成26年には41万立方メートルに増加しております。県産原木自給率は24%でありましたが、平成26年には33%まで上昇をしております。しかし、原木自給率は33%で、原木増産にはさらなる余地があるわけでありまして、今後、3つの対応を考えております。1つは、生産基盤整備や県独自の主伐促進策による原木やバイオマスの増産。大阪など大都市での展示商談会による販路開拓により、県外出荷量の拡大。3番目に、伐採跡地での着実な再植林の推進。こうしたことによりまして林業の循環を本格軌道に乗せ、林業の成長産業化を促進する考えであります。  次に、島根県の6次産業化推進についての御質問であります。  国は、6次産業化の推進を農林水産業の成長戦略の柱の一つに位置づけ、近年、その推進の核として、農林漁業成長産業化ファンドの積極的な活用を推進しております。一方、中山間地域等を多く抱える島根県におきましては、こうした国の制度活用に至らない単独での小さな取り組みが多いわけでございます。このため、県では平成26年度から、多様な事業者が連携をして、生産、加工、販売が一体となった取り組みでありますとか事業規模の拡大に向けた取り組みなどを県単事業で支援をしております。今後、市町村や関係団体等と連携した支援体制を強化しつつ、引き続き6次産業を推進していく考えであります。  次に、観光における広域連携についての御質問であります。  まず、お隣の鳥取県との関係では、観光庁がインバウンド対策として進める広域観光周遊ルートにつきましては、7月に鳥取県と共同で国へ追加認定するよう要望を行ったところであります。また、8月に国土交通大臣が来県された際には、同様の要望を私から直接行いました。  次に、山陽、四国との連携でありますが、広島県とはやまなみ街道沿線の情報発信や神楽のPRを行っておりますが、今後、温泉やスキー場などを活用した浜田道沿線の誘客を強化をしたり、さらに、愛媛を加えまして3県で、やまなみ街道としまなみ海道を活用した日本海から太平洋までの広域周遊に取り組んでまいります。山口県とは、萩の世界遺産、津和野の日本遺産などを活用し、さらにSLやまぐち号や萩・石見空港を活用した連携をさらに強化していく考えであります。中国5県では、官民が連携をしまして海外へのプロモーションを行っております。先般はタイで行いましたが、今後はせとうち・海の道ルートと山陰ルートを結びつける取り組みも進める考えでおります。今後、各県と連携を密にしながら、インバウンドを含む広域観光の推進に積極的に取り組んでまいります。  最後になりますが、中小企業、小規模企業振興に向けた対策についての御質問であります。  御指摘のように、島根の中小企業は事業所数で全体の99%を占め、その8割以上が小規模企業であり、地域経済と雇用の中心的な担い手であります。一方、競争の激化や経営者の高齢化、人手不足などにより厳しい環境にあります。県では、こうした課題に対応するために、商工団体や金融機関などと連携し、さまざまな対策を実施をしております。企業ごとの経営プランの策定支援、経営技術や販路などの専門家派遣や制度融資、地域資源を活用した新商品開発、販路開拓への助成などを行っておりますが、今後さらに企業の経営力強化に向けた新たな分野への挑戦の支援でありまして、具体的には、地域資源を生かした新産業の創出に向けたヘルスケアビジネスの創出の促進、バンコクで島根オフィスを設置をしておりますが、そうしたところを通じまして、海外での受注開拓や進出に向けた支援を行ってまいります。また、事業承継の促進につきましては、円滑な承継に向けた計画の策定支援、後継者による新商品開発、販路開拓などの取り組みへの支援、事業承継の意識づけのための普及啓発や相談対応など、きめ細かい支援を行ってまいります。以上でございます。 6: ◯議長絲原徳康) 丸山政策企画局長。  〔丸山政策企画局長登壇〕 7: ◯政策企画局長丸山達也) 私からは、国土強靱化の地域計画の策定スケジュールについてお答え申し上げます。  国土強靱化の県計画を策定をするために、現在、各部局の職員等から成りますワーキンググループを立ち上げまして、計画の対象と考えられます施策についての現状の確認や今後の取り組み方針について整理をしているとこでございます。今後、11月議会に素案を御説明した上でパブリックコメントを実施し、2月議会に案をお示しし、いただいた御意見を踏まえて、年度内に策定をしたいと考えておるとこでございます。以上でございます。 8: ◯議長絲原徳康) 藤間健康福祉部長。  〔藤間健康福祉部長登壇〕 9: ◯健康福祉部長藤間博之) 私からは、医療、介護など大きく4項目、6点についてお答えをいたします。  最初に、医療介護総合確保基金についてであります。  4月中旬に国から基金の内示があり、大変に厳しい内容が示されたことから、早速知事と私が上京いたしまして、厚生労働省に対し、島根県の現状や課題を説明をし、必要な事業は継続的に実施できるよう強く要望したところでございます。また、全国的にも同様の配分状況であったことから、7月末の全国知事会においては緊急要望が取りまとめられました。その後、国からは、2次配分に当たって各県の事情にも十分配慮するという考えが示されたものの、病床の機能分化、連携のための施設整備に重点化するという基本的な方針は変わらないという説明がございました。このようなことから、島根県が要望している事業への配分に関しては極めて厳しい状況であるというふうに認識をしております。今後、国の2次内示に向けまして、島根県の状況や医療従事者の確保対策等の必要性を理解してもらえるよう、あらゆるチャンネルを通じて働きかけてまいります。  次に、基金事業の来年度に向けた対応についてでございます。  国の平成24年度の経済対策で始まりました地域医療再生基金によりまして、これまで医師の奨学金や地域医療支援センターの運営など、重要な対策を実施してまいりました。再生基金は本年度末で終了いたしますが、その後継として医療介護総合確保基金が設けられておりまして、医療従事者の確保対策等にも利用できるということが法律上明記をされております。県といたしましては、この新たな基金を活用して、奨学金の貸与など必要な事業を継続的に実施していきたいと考えております。  一方で、議員御指摘のように基金の配分方針に関して、来年度も今年度の考え方が踏襲された場合には、継続が必要な事業の財源確保は極めて厳しい状況になるというふうに見ております。そのため、国に対しましては、先ほどの2次内示に向けた取り組みと同様、島根県の実情をよく説明をし、基金の配分を働きかけてまいります。また一方で、県といたしましても、これまで実施してきた事業につきまして、より効果的、効率的な内容になるようによく検討していきたいというふうに考えております。  次に、地域包括ケアシステムの構築に当たっての医療と介護の連携に向けた現在の取り組み状況ということでございます。  地域包括ケアシステムのよりよい構築に向けては、御指摘のとおり医療と介護の連携が最も重要であるというふうに認識をしております。そのためには、介護保険の主体である市町村や介護の事業者、また一方で在宅医療の中心を担う医師会や医療機関、この相互の情報共有や連携、協力した事業実施が不可欠だというふうに思います。その円滑な推進を図る手法といたしまして、国から取り組みの方向が示されておりまして、地域医療における医療介護資源の把握ですとか、それを踏まえた課題の抽出、対応策の検討、医療介護関係者の相談支援や研修、これら8項目の事業を平成30年度までに実施をするということになっております。県といたしましては、市町村がこうした取り組みをしっかり進めていくことができるよう積極的に支援する考えでございます。現在、保健所が中心となりまして、それぞれの取り組みの作業シートを作成をしたり、あるいは進捗状況を確認するヒアリングや会議を行っているところでございます。今後とも、医療介護関係者の顔の見える関係づくりというのを全ての市町村が積極的に取り組むこととなるように、引き続き支援してまいりたいというふうに考えております。  次に、認知症対策についてでございます。  県では、認知症の早期発見、早期対応に向けまして、1つには、地域での医療拠点となる認知症疾患医療センターの運営、それからまた2つには、市町村による認知症対策の取り組みへの支援、これを2本柱として取り組んでおります。1つ目の柱につきましては、議員御指摘があったように、10月に地域型の認知症疾患医療センター、これが安来第一病院と益田市の松ヶ丘病院に開設をされる、また島根大学医学部の附属病院を含めまして、県の東部、中央部、西部の3カ所で体制が整います。これによりまして住民の利便性が高まりまして早期対応が可能になるとともに、今後この地域型のセンターにおきましては、医療介護関係者の協議の場づくりですとか、かかりつけ医や介護職員の研修などを担っていくっていうことになっております。  一方で市町村は、保健師や介護福祉士などの専門職が認知症前の初期の段階で自宅を訪問し、本人や家族のサポートを開始する体制、これを平成30年度までに整備をしていくこととなります。県といたしまして、この認知症疾患センター同士の定期的な連絡会議の開催ですとか市町村の専門職の育成に対する支援を行うことによりまして、認知症の早期発見、早期対応に向けた体制整備に取り組んでいきたいと考えております。  次に、認知症施策における医療と介護の連携についてでございます。  認知症は、単に治療という医療的側面だけではなく、日常生活における暮らしですとか生活環境にも大きくかかわることから、医療と介護の連携が重要であるというふうに認識をしております。特に、認知症患者とのかかわりが深いかかりつけ医ですとか日常的な介護に当たる訪問介護員、これが認知症に対する正しい知識を持って、日ごろから相互に情報を共有しながら容体の変化に早期に対応できる体制、それをつくることが大切でございます。そのためには、専門的知識を有する認知症サポート医、これはかかりつけ医の相談役でございまして、また市町村、地域包括支援センターのアドバイザー役でもありますが、この存在が重要になります。県といたしまして、国への派遣研修を通じたこの認知症サポート医の養成、また医療介護関係者に対する研修によりまして、認知症施策における医療と介護の連携に取り組んでいきたいというふうに考えております。  最後に、生活困窮者対策について、相談支援の実施状況と県の取り組みがどうかということでございます。  生活困窮者自立支援制度は本年4月に始まりまして、6月までの3カ月間の新規相談件数は県全体で486件となっております。市町村による制度周知も含めまして、まずは円滑に動き出したものというふうに認識をしております。  次に、この間の取り組みで見えてきた課題ということでございますが、本年の6月に行った市町村アンケートでは、次のような点が明らかになりました。1つには、生活困窮者の相談内容が就労の問題ということだけではなくて、個人の健康ですとか家族の問題といった多岐にわたりまして、適切な支援策が早期に見出せない事例があるということ。それからまた、相談者の心情や状況に応じて支援策を本人と一緒に考えるというような相談技術の向上が必要であるということ。それから3つには、直ちに就労できない方の職業体験の場や居場所などを確保する必要があるといったことでございます。  こうした課題に対しまして、県といたしましては、まず市町村の相談員への研修を強化するとしておりまして、困難事例の検討ですとかカウンセリング技術の習得といった、より実践的な内容を研修に盛り込んでいくということとしております。また、就業体験の場や居場所の確保につきましては、島根県社会福祉協議会と連携いたしまして、福祉事業所の受け入れ先など、その開拓を進めてまいります。いずれにいたしましても、新たな制度が動き出したばかりでございまして、今後さまざまな課題が生じてくるというふうに考えられますが、制度が円滑に運用されるように引き続き市町村とともに取り組んでいきたいというふうに考えております。私からは以上でございます。 10: ◯議長絲原徳康) 中村議員の質問に対する答弁の途中ですが、この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。        午前11時57分休憩        午後1時2分再開 11: ◯議長絲原徳康) それでは、会議を再開いたします。  午前中に引き続き中村議員の質問に対する答弁を求めます。  坂本農林水産部長。  〔坂本農林水産部長登壇〕 12: ◯農林水産部長坂本延久) 私からは4つ、質問に対してお答え申し上げます。  1つ目は、現在農林水産部で検討中の新たな農林水産業・農山漁村活性化計画の次期戦略プランの策定の方向性についてでございます。  これにつきましては、議員御指摘のとおり、現在策定中の地方創生総合戦略との一体的な施策展開が重要でございます。このため、地方創生と連動したプロジェクトですとか、同様の成果指標、KPIを設定しまして、具体的な実施につなげていく考えでございます。また、今後の農林水産業を取り巻く情勢の変化ですとか国の施策の動向などを的確に反映しながら、本県の実情に合ったプランとして取りまとめてまいる所存でございます。  続きまして、2点目の御質問でございます。農地中間管理機構の実績が本県において低調であったこと等の分析についてでございます。  新規の農地集積の面積につきましては538ヘクタールでございますけれども、近年の農地集積面積が年間100ヘクタールから300ヘクタールで推移しておりますことを鑑みますと、昨年度は従来よりは集積が進んだものと認識しております。しかしながら、国から示された目標に対しての農地中間管理事業の寄与度などが低くなってることは事実でございます。その理由といたしましては、次のようなことが考えられます。1つは、議員御指摘のとおり、これまでは農地利用集積円滑化事業によりまして市町村が中心になって農地集積が進められてきたところでございますが、一方、農地中間管理事業では県の機構が主体になるなど、これまでと大きく異なる制度となっております。このため、農業者等への事業内容の周知が十分でなかったということが上げられます。また、こうしたこともございまして、推進体制づくりに時間を要し、農地の出し手の確保ですとか借り受け希望者とのマッチングが十分にいかなかった点があるといったようなこと。さらに、農地中間管理事業につきましては貸借期間が原則10年と長く、5年程度を希望される受け手との要望と制度がそぐわなかった点があることなどがあると考えているところでございます。  続きまして、3点目の御質問でございます。農地の流動化を図るためには、農家が安心して農地を貸し出せる環境づくりが必要という御質問についてお答え申し上げます。  農地集積を円滑に進めるためには、農地中間管理機構が地域の話し合いに積極的に参加することなどによりまして、出し手と受け手との信頼関係を構築する必要がございます。このため、これまで農地の流動化に大きな役割を果たしてきた市町村との連携を、より強化していくことが重要であると考えております。このため、今年度から地域の実情に通じた方を機構の推進員として圏域ごとに配置いたしまして、地域に密着した事業推進に当たることとしております。  最後に、4点目の御質問でございますが、農地中間管理事業に関しまして、施策に地域的な差を設けるべきとの御質問にお答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、地域によって事情が異なる中、県として農地集積を円滑に進めるため、国に対しまして担い手不在地域の農地を引き受ける担い手、受け手に対する支援策の充実ですとか、地域の実情に応じた制度の柔軟な運用について要望してきているところでございます。こうした中で、来年度に向けた農林水産省の概算要求におきましては、受け手支援のための新たな交付金の要求が行われておりまして、また、制度の柔軟な運用についても検討されているところと聞いているところでございます。引き続き県としては、国に対して中山間地域の担い手への支援策の充実や地域の実情に応じた制度運用について強く要望してまいる考えでございます。以上でございます。 13: ◯議長絲原徳康) 冨樫土木部長。  〔冨樫土木部長登壇〕 14: ◯土木部長冨樫篤英) 土砂災害対策事業について2点、県道整備について1点、御質問がありました。  まず、土砂災害対策事業について、国の採択要件の緩和を国に求めていく必要があるのではとのお尋ねでございます。  土砂災害対策事業の国の採択要件は、事業を優先すべき箇所について国から示されているものと理解しております。本県では、この要件を満たす箇所であっても未対策の箇所が数多く残されてることから、まずはこれらの箇所から優先的に事業を進めていく必要があると考えております。しかしながら、要件に該当しない箇所についても今後対策が必要となることから、採択要件の緩和については中長期的な課題として認識しております。いずれにしましても、限られた予算の中、地元ニーズ、緊急性、コスト等、総合的に判断し取り組んでまいります。  次に、国の採択要件に該当しない危険箇所に対する取り組みについてお尋ねがありました。  国の採択要件に該当しない危険箇所のうち緊急性の高い箇所については、県単独事業による取り組みのほか、他の土砂災害対策を所管する部局と連携して取り組むとともに、あわせてハザードマップによる周知などのソフト対策についても、市町村と連携して取り組んでまいります。
     最後に、総合戦略を基盤の面から支える中山間地域、離島における今後の県道整備についてお尋ねがありました。  県道の整備については、高速道路へのアクセス道路や生活圏中心都市へ連絡する道路など幹線道路、その他の道路を生活関連道路として位置づけ、これまで幹線道路の整備を重点的に行ってきております。また、生活関連道路については、おおむね50戸以上の集落から幹線道路や市町村中心部を連絡する区間を優先整備区間として整備してきており、改良率は生活関連道路全体で47%であるのに対し、優先整備区間は69%となっております。今後、総合戦略において中山間地域や離島で安心して住み続けるための条件整備に当たり、日常生活に必要な機能やサービスを集約化することなどによって維持強化し、あわせて交通弱者の移動手段を確保する交通対策の検討を進めることとしております。土木部といたしましては、この検討状況を注視し、地域と連携しながら必要な道路整備について検討していきたいと考えております。以上でございます。 15: ◯議長絲原徳康) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 16: ◯教育長藤原孝行) 4点についてお答えいたします。  1点目は、しまねの学力育成推進プランの取り組み状況と全国学力・学習状況調査を踏まえた今後の取り組みについてであります。  まず、しまねの学力育成推進プランの取り組み状況ですが、県の教育委員会と市町村教育委員会の協働組織である学力育成会議を設置し、連携して学校現場への指導や支援を実施しております。そして、授業の質の向上、家庭学習の充実、学校全体での対応をプランの3つの柱に据え、具体的な取り組みを推進しています。授業の質の向上では、県の指導主事が学校に出かけて研修を行う出前講座や学校訪問指導を充実し、校内研修を活性化させ、教員の指導力の向上を図っています。家庭学習の充実では、全ての児童生徒の保護者に配布している広報紙教育しまねで、スマートフォンなどの使用時間と学力の関係を紹介し、家庭での規則正しい生活の確立を呼びかけています。そして学校全体の対応では、学校を組織的に運営する力を向上させ、子どもたちが学習しやすい環境を整えるため、各学校の管理職やミドルリーダーの研修を計画的に実施しています。  今年度の全国学力・学習状況調査については、中学校理科を除いて平均正答率が全国を下回る、全問正解やそれに近い児童生徒の割合が全国に比べて低い、記述式問題の正答率が全国を下回るものが多い、小学校の算数については算数の勉強が好きな児童の割合が全国で最も低いなど、大変厳しい結果でした。こうした結果を踏まえて、有識者などから幅広く学力育成に関する意見を聞く会を開催する、算数指導のプロジェクトチームを立ち上げて学習指導の改善充実に取り組む、全ての小学校を訪問し、授業改善に向けて指導、助言を行うなどの新たな取り組みを実施してまいります。  2点目は、高校卒業時の県内就職に向けた取り組み状況と、その成果。県外へ進学する高校生が、将来島根に帰ってくるような取り組みについてです。  まず、県内就職に向けた取り組みですが、県内の求人確保策として、県、島根労働局、教育委員会が一体となって早期の求人確保に取り組んだり、各学校が地元企業の求人開拓をしたりして、県内就職しやすくなるような環境づくりを行っています。また、県内企業の説明会や企業見学を通じて、高校生の県内企業への理解促進を図っています。  県内就職率が低い県西部の高校でも、地元企業へ関心を向けるため、江津工業高校では、地元企業説明会への3年生全員の参加や、地元企業担当者と生徒、保護者との交流会の開催、益田翔陽高校では、地元企業に就職した先輩を招いて全校生徒への現状報告会を実施などの取り組みを行っています。さらに、高校生が県内企業と主体的にかかわる取り組みとして、インターンシップや地元企業と連携した課題研究、商品開発などに取り組んでいます。こうした取り組みにより、専門高校を中心に高校生の島根に対する意識は高まっており、就職を希望する生徒の県内就職率も年々増加しております。  次に、県外へ進学する高校生が将来的に島根へ帰ってくるような取り組みについてですが、普通科高校でも企業見学や説明会、地域課題解決学習などを実施しております。例を挙げますと、益田高校では大学卒の求人を出す県内企業を集めた企業説明会を実施し、大学卒業後の県内就職を考える機会を提供しています。そして、松江北高校や浜田高校など多くの高校で地域の課題の解決策を考える学習に取り組んでいます。また、高校生のしまね学生登録を奨励しています。これは、高校卒業後に県内企業の情報などを届けて県内就職に関心を持ってもらうために、ふるさと島根定住財団が行っている登録制度ですが、現在、高校卒業時の登録状況は5割となっています。登録数がふえるよう呼びかけ、県内就職への関心を高めていきたいと考えています。  3点目は、県立高校の県外からの入学者数の推移、県外生徒募集の取り組みについてです。  県立高校では、県内中学生の進路保障の観点から、県外生徒受け入れ枠は各校原則4名以内としております。しかし、離島、中山間地域の8校と浜田、隠岐両水産高校では、地域の中学校卒業予定者数が入学定員に満たないことや島根の水産業維持のため、この上限を撤廃し、県外からの生徒を積極的に受け入れています。積極的な県外生徒募集を開始したのは平成22年度入試からですが、その当時、県外からの入学生は県全体で54名でした。平成27年度には151名に増加しています。県教育委員会としては、地方創生、人口減少対策の観点も踏まえ、次の入試から新たに安来、情報科学、大東、三刀屋、邇摩、江津、江津工業、浜田商業、益田翔陽の9校について、県外生徒受け入れ枠の上限を撤廃することとしました。今後も県外生徒を積極的に受け入れ、教育活動の充実、学校の活性化に努めてまいります。  4点目は、平成28年度全国高校総体の島根県での開催準備状況と大会を成功させるための取り組みについてです。  中国ブロックで開催される高校総体の開催まで1年を切りました。島根県では、体操、新体操、柔道、ボート、テニスの5種目を開催いたします。今年4月に県実行委員会を設立し、関係機関と連携して、宿泊や輸送、緊急時の対応などについて協議を進めています。これを受けて、会場地となる市町においても実行委員会が設立され、県から派遣した各競技の専門教員と一緒になって準備が進められています。  大会を成功に導くためには、選手の強化はもとより、競技や大会運営の補助に携わる高校生活動に取り組むことが重要だと考えています。選手の強化策としては、県内で開催される5種目について、男子6校、女子7校を特別強化校に指定し、県外遠征や強豪校を招いての合宿を行っています。また、大会を支える高校生活動の取り組みとしては、この夏の近畿総体へ、3つの高校から5名の生徒を派遣し、大会運営などの状況視察を行いました。あわせて、今月には出雲市駅や浜田駅などJRの5つの駅で、8つの高校から34名の生徒が参加し、大会開催のPRを行っています。高校総体は、選手はもちろん、競技の運営補助や大会のPRなどを行う高校生によって支えられています。多くの高校生が何らかの形で大会にかかわり、全国から訪れる選手をおもてなしの心で迎え、高校生のスポーツの祭典を盛り上げてまいります。以上です。 17: ◯議長絲原徳康) 服部公安委員長。  〔服部公安委員会委員長登壇〕 18: ◯公安委員会委員長服部京子) 中村議員の御質問にお答えいたします。  公安委員会の任務は、警察の民主的運営を保障するため中立公正な立場で警察を管理することであります。私は、県民の代表として、県民目線に立ってしっかりと意見を述べるよう努めてまいりました。また、これまでの2年間で、警察署、駐在所などを積極的に視察督励してきたほか、長期にわたり困難な捜査を地道に続けている捜査員や、災害現場などにおいて命がけで人命救助や行方不明者の捜索活動等に従事した職員への激励を行ってきました。こうした活動を通じまして、警察業務の労苦とその職務のとうとさについて、私なりに理解できたものと思っております。このように現場の実態を十分に踏まえた上で、真に血の通った管理に意を用いることにより、職員一人一人が使命感と誇りを持って職責を果たし、県民の皆様の信頼に十二分に応えてくれるものと信じております。  さて、本県における治安情勢に目を向けてみますと、刑法犯の認知件数は大幅に減少しているものの、高齢者が被害となる事件、事故が後を絶たない状況にあります。また、体感治安に影響を及ぼしている未解決事件の一日も早い解決が望まれているところです。このような厳しい状況下にあって、県警察におきましては、関係機関とも連携いたしまして街頭防犯カメラの設置促進や、高齢化が進む本県の特徴を十分に踏まえた治安災害対策を強力に推進しているところであり、必ずや県民の皆様の期待に応えていくことができると確信いたしております。良好な治安維持は県民共通の願いであり、公安委員会といたしましては、日本一治安のよい島根の実現に貢献できますよう、県警察と信頼と緊張の関係を保ちながら尽力してまいる所存であります。どうか議員各位を始め県民の皆様には、公安委員会、そして県警察に対し一層の御理解と御協力を賜りますよう切にお願い申し上げまして、私の答弁とさせていただきます。 19: ◯議長絲原徳康) 米村警察本部長。  〔米村警察本部長登壇〕 20: ◯警察本部長(米村猛) 新本部長としての抱負と、安全で安心な地域社会実現のための対策について御質問をいただきました。  まず、警察本部長としての抱負について申し上げます。  本県における刑法犯認知件数は、本年8月末現在2,246件であり、昨年同期比で778件減少しておりまして、数字の上では各種犯罪抑止対策が一定の成果を見てる状況にあります。その一方で、県警察の数年来の重要課題であります県立大学女子学生被害に係る死体遺棄等事件は、犯人未検挙のまま6年目を迎えているほか、高齢者が被害者となる特殊詐欺や交通死亡事故の発生など、いまだ県民の皆様が安全・安心を真に実感されている状況には至っていないものと認識をしております。そこで、日本一治安のよい島根を目指し、こうした諸課題に向け職員一同全身全霊で取り組むとともに、加えて県民の皆様にも御協力をいただき、温かいまなざしを持った地域社会全体での総合的な対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。  次に、安全で安心な地域社会を実現するための対策について申し上げます。  今日、技術の進展や人口構成など社会状況が大きく変わってきております中で、犯罪の被害に遭いやすい方に対する新たな事態に対して、警察として的確に対応していくことが求められております。こうした中、警察といたしましては、子ども、女性、高齢者の安全を確保するため、声かけ、つきまとい事案に対する先制的な予防活動、高齢者宅への訪問活動、地域安全情報の提供、パトロール活動などの犯罪抑止対策と各種捜査による検挙対策を強力に展開しているところであります。  議員御指摘のとおり、県民が安全で安心して暮らせる地域社会を実現するためには、警察だけの力ではなく、防犯ボランティア、自治会、事業所を始め関係機関、団体などとの連携協働を進めていくことが重要であります。地域コミュニティーの弱体化が懸念される中、高い志を持った皆様の御協力を得て、地域社会における重層的なセーフティーネットを構築し、安全で安心な地域社会の実現を目指してまいりたいと考えております。以上でございます。 21: ◯議長絲原徳康) 民主県民クラブ代表白石議員。  〔白石恵子議員登壇、拍手〕 22: ◯白石恵子議員 民主県民クラブの白石恵子でございます。会派を代表いたしまして、質問をいたします。  初めに、平和安全保障法制について伺います。  昨年の7月1日、安倍内閣は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定いたしました。そして、1年たった7月、これを前提として、具体的に集団的自衛権を行使できるようにする法案である武力攻撃事態法、PKO法等の改正を行う平和安全法制整備法案と、他国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する新法、国際平和支援法案を提出しました。平和安全法制整備法案は、10もの法律の改正を一括するものであり、これらの法律は法案ごとにさまざまな問題点があります。1つずつ審議すべき重要な法案だと思いますが、100時間を超える委員会の質疑をしたから十分審議をしたとして、7月16日、衆議院で野党の反対する大混乱の中、とうとう可決されてしまいました。現在は参議院で審議中です。日々刻々と状況が変わりますが、きのう、きょうと中央公聴会、地方公聴会が開かれ、きょうにも委員会の採決が行われるような状況になっております。また、今週中には参議院での可決を目指すということをニュースで言っておりました。しかしながら、参議院での審議過程を見ると、議論はますます混迷を深めているようです。  この間、衆議院での可決の前、憲法学者がそろって違憲だと言ったことを契機に、国民の反対の声が起こり始め、学生や子どもを持つ若い母親、学者、宗教者、一般の人たちを巻き込んで、大きなうねりになっています。ネットなどでは、若い人がだまされているとか、アルバイトで雇われているとか、この動きを批判する書き込みもありますし、衆議院で可決後、国民は通ってしまったらすぐ忘れるとか、特に抗議の電話などかかっていない、反対は利己的だなど、国民の声を軽く見る与党国会議員の発言もありました。しかし、国民は、幾ら首相がもっと平和になる、国民を守るために必要だと言っても、この法案が他国の戦争に参加する道を開くものだと敏感に察知し、また政府の強引なやり方に不安と恐怖を感じて行動を起こしています。すぐ忘れると言われた国民は、忘れもせず、諦めもせず、8月30日には国会を取り巻き、霞ヶ関にもあふれる全国各地から集まった人々で埋め尽くされました。また、全国でも松江を含む200カ所以上でこうしたデモが開催されました。  参加した方の声を報じたメディアは少ないのですが、それでも幾つかの新聞報道では、戦争を経験した高齢者の、戦争前夜の雰囲気だ、不安に思うという声、若い母親の、子どもが人を殺したり殺されたりする国にしたくない、子どもたちのために今できることをという思い、学生の、後で声を忍んで泣くよりも今声を上げなければという発言、社会人の、武力で争いは解決できないなど、参加した人の声を伝えています。私も一人の母親として、また3人の孫を持つ祖母として、他国の戦争に巻き込まれるおそれの強い安保関連法案に賛成することはできません。  8月30日に引き続き、各地で毎日のように法案反対のデモや集会が開催されています。私も、9月5日、松江市で開催された県内の2つの大学人有志の主催であります安保関連法案廃案を求める島根県民集会に参加しました。この集会には750人もの方々が集まり、あらゆる立場を超えて、憲法を時の政権が勝手に解釈変更するのは立憲主義に反するという1点で声を上げると主張されていました。引き続き12日には、松江では初めてとなる弁護士会主催や平和フォーラム主催など、集会とデモが続いています。  また、各地で地方議会からも法案反対の声が上がり始めています。広島県庄原市では自民党議員の方が中心になって法案に反対する会を立ち上げ、廃案を求める署名を集めて政府・与党に提出していますし、三次市でも反対の議員連盟が発足しています。県内でも津和野町議会、大田市議会が安保法制の廃案を求める意見書を可決しています。世論調査でも今国会の成立は過半数が必要ないと回答するなど、何としても今国会で法案を可決しようとする政府・与党の動きに反対する声がますます大きくなってきています。  この法案に賛成の人は、平和のために武力は必要だ、平和にするのはどうすればいいかを考えて賛成している、戦争法案でなく平和法案だと言っています。しかし、私は長らくDV被害者支援に携わってきた経験から、暴力は人を幸せにしないと実感しています。DVと武力は違うと言われるかもしれません。しかし、相手に有無を言わせず、力で言うことを聞かせるというやり方には通じるものがあると思うのです。安保関連法案は日本を取り巻く不穏な情勢に対峙するためと言われますが、相手より強い武力を持てば、相手もまたそれより強い武力を持とうとするでしょう。私は、国と国との争いも、個人の争いと同じように粘り強い外交で解決すべきだと思うのです。力でねじ伏せられた相手には、恨みしか残りません。その恨みが、また戦争への道をたどることになると思うのです。  松江市では、市民ボランティアが10年以上、平和をつくり出すためには教育が大切だという考えのもと、戦乱の続くアフガニスタンに学校を建てる活動を続けています。かの地では学校も攻撃の標的になっていますが、日本人のつくった学校は、自分たちを攻撃しない友好国がつくった学校として攻撃されていないそうです。もし安保法案が可決されたらせっかく建てた学校が攻撃されてしまうと、ボランティアの方々は心配しています。このように、平和をつくることは武力とは対局の場所にあると思うのです。  首相は、集団的自衛権を持つことは積極的平和主義だと言います。しかし、ノルウェーのヨハン・ガルトゥング博士が定義する本来の積極的平和主義とは、戦争のない状態だけでは消極的平和であり、貧困や差別のない構造的な暴力のない状態を言うのです。  一たび戦争が起これば、戦場で戦うのは今法案を通そうとしている政治家ではなく、反対している人を含む多くの若者たちです。悲しむのはその母であり、妻であり、恋人です。戦争は、いつも弱い人、貧しい人をさらに苦しみへと追い込むものであることは、今も地球上で続いている多くの戦場を見れば明らかです。法案が通っても、他国の戦争に参加するのは自衛隊とされていますから、自衛隊に入らなければ関係ないと思う人もいるかもしれません。また、首相は、安保関連法案が通っても徴兵制にはならないと明言しておられます。  しかし、今春の防衛大学校の卒業生が自衛隊に入隊する割合や防衛大学校への応募者が減ったと聞いていますし、現実に戦地に送られ、武器を持って戦い、人を殺さねばならないとなれば、みずから自衛隊に入隊する若者は少なくなるでしょう。折しも労働者保護ルールの改正案も出されていて、派遣法の改正は10日に可決、成立しました。制度として徴兵制をしくことはなくても、自衛隊員が足りなくなれば、例えばアメリカのように貧困層の若者が自衛隊にリクルートされることがないと言えるでしょうか。かつて就職難の時代に、破格の給料を示されてリクルートされた例を知っています。また、26日の参院安保法制特別委員会の質疑で、防衛省が民間企業の新入社員をインターンシップとして自衛隊に2年間入隊させる制度を検討しているという資料が出たことからも、決して杞憂ではないと考えます。  国で決めるべきことと知事は言われるかもしれませんが、県東部のすぐ隣には美保基地があり、西部の隣には岩国基地があって、今でもオスプレイの飛行訓練に子どもたちがおびえていると聞きます。島根県民の命と生活を守る立場の知事として、決して人ごとではないはずです。知事の安保法制に対する御所見を伺います。  次に、地方版総合戦略についてお伺いをいたします。  地方創生というかけ声が大きくなったのは、昨年、日本創成会議・人口減少問題検討分科会の増田寛也氏が発表した推計が全国に衝撃を与えたことが発端です。2040年に全国の1,800市町村のうち523市町村が人口1万人を切り、消滅のおそれがあるという内容で、島根県では、実に8割の市町村が消滅危機自治体との内容でした。この発表によって、全国の自治体に大きな衝撃が走りました。もちろん、島根県では他の自治体以上に大きな衝撃だったと思います。  国も大慌てでまち・ひと・しごと創生法を制定、創生本部を設置しました。この国の性急な施策展開により、全国一斉に地方版総合戦略の策定に取り組むこととなりました。総合戦略を策定しなければ補助金がもらえないとあっては、大急ぎで策定せざるを得ません。国の予算獲得のために、しっかりした戦略が立てられないような事態は避けなければなりませんが、地域住民が自分たちの住む地域の自立を真剣に考える機会になるという意味ではチャンスだと思います。住民から県や市町村に、こんなことをしたいから支援してほしいと提案があることを期待したいと思います。  しかし、人口減少は今に始まったことではなく、長い時間をかけて政策的に東京を始めとする都会へと若者を誘導し続けた結果として、地方には若者がいなくなり、歯どめのない人口減少が引き起こされていると思うのです。特に島根県では、人口減少は長年の悩みであり、平成4年以降、死亡数が出生数を上回る自然減となり、最近では社会減と合わせて年間5,000人以上の人口減少が続いています。  ですから、県では20年も前から定住対策に取り組み、ふるさと島根定住財団では出発当初の若者への就職支援から、今ではUIターン支援、地域づくり活動やNPO活動の情報紹介など、定住を進めるためにたくさんの事業展開をしています。また、皆様御存じのとおり、しまね暮らし推進課では、平成24年からしまねの郷づくりカルテを作成、公民館単位の地域で現状を知ってもらい、地域を再生させるために地域の住民で知恵を絞ってもらう仕掛けを続けています。それでも、なかなか成果が上がったとは言えず、厳しい現状が続いています。とはいえ、人口減少対策では島根県は先進地と言えるでしょう。ですから、この夏も京都府や福井県が視察に訪れたと聞いています。先進県として追われる立場にある島根県は、今まで以上の知恵を絞ってさらなる対策を打ち出さなければ、すぐに他県に追いつかれ、追い越されてしまうでしょう。  そういう目で見ると、素案として示された県の総合戦略は、基本目標が4つ掲げられていますが、内容は今までやってきたことの継続か上積みで、新しい戦略が見当たりません。戦略というからには、現状分析がされ、それをもとにした目標があって、目標達成のために新しい発想の新しい戦略が明確に見えるものでなければならないと思います。素案ですから、これからもっと具体的に示されると期待していますが、現段階で知事が考えられている課題と目玉となる施策をお伺いいたします。  島根県の現状は、自然減約4,200人、社会減1,300人、年間5,500人が毎年減っています。総合戦略で目指すのは、2040年に人口55万人、2060年に人口47万人にすることだと聞いております。そのためには、2040年までに社会移動を均衡させることと、合計特殊出生率が2.07になることとなっています。その目標を達成するためには、県外転出者を減らし転入者をふやしてその差を埋めることと、死亡する人数を相当数カバーするだけの出生数が必要です。  出生率を現在の1.63から2.07まで上げるには、出産年齢の女性が2人から3人の子どもを産むことが必要です。それも大変なことですが、たとえ達成できたとしても、出産年齢の女性が少なかったら、一人の女性が幾ら多く産んでも人口はふえません。大事なことは、若い人が出ていかない、戻ってくる施策と、女性が住みたい、住み続けたいと思う施策を、島根の地域性を生かしてつくり上げることだと思います。そして、その実現のために思い切った予算をつけることです。  そこでまず、若者が出ていかない、戻ってくる施策について、4点伺います。  若い人が出ていかない施策としては、一般的には雇用創出が語られます。今までも島根県は企業誘致など多くの施策を打ってきました。企業誘致や雇用拡大による雇用の場の創出は、言うまでもなくこれからも大切です。島根県では、平成19年からことし9月3日現在までに合計149件の企業誘致に成功し、目標の従業員数を達成すれば雇用は3,698人ふえることとなっていますので、一定の成果を上げていると言えるでしょう。リーマン・ショック後の海外移転からの回帰現象も起こっているので、今後の取り組みも期待はできるとは思います。しかし、他県も同じ政策をとっていますから、今後はなかなか成果が出ないということも考えられると思います。  また、素案にあるように、県内の多くの中小企業の支援や就職希望者とのマッチングも大切ですが、今までもされてきた支援を検証した上で、新たな支援策を考えられているでしょうか。事業内容のブラッシングや新しい仕事内容を生み出すなど、若者が魅力を感じる中小企業へと転換しなければ、やはり若者は県内で就職しないでしょう。新しい事業創設のための事業支援や工業デザイナーなどの人的支援、女性が働きやすい職場を生み出すためのコーディネーターなどの人材の育成と確保が求められています。中小企業のための今後の支援について、県のお考えをお聞きします。  また、島根の特色を生かした新しい発想の仕事は考えられないでしょうか。以前からUIターン施策としてある半農半Xは島根県の独自の施策ですが、さらに、6次産業化や有機農業のような特色のある農業を積極的に推進することや、島根の木材を使って学校や家を建てることをもっと推奨することで、農業者、大工や左官など従事者が少なくなってしまった仕事につく若い人をふやすこと、あるいは伝統工芸や染色なども、島根の自然や伝統を生かした仕事として定住を考える若者に向けてみてはどうかと思います。若者が島根に行けばおもしろい仕事があると思えるような島根県の特色を生かした仕事の創出や情報発信について、知事の考えをお伺いいたします。  松江の例ですが、若い女性がネイルアートや雑貨、小物の店等の起業をする例もふえています。雇用の場に加えて、起業を始めもっと多様な働き方を支援するための空き家や空き店舗、廃校の活用等、島根の特色を生かした支援は現在でもあると思います。しかし、若者が起業を考える場合、事業計画や資金面での支援も必要ですが、それに加えて、活用できる物件など一貫した支援情報は必要なところにきちんと届いているでしょうか。なかなか必要な情報にたどり着けないこともあるように思います。起業をする若者への情報提供や支援がワンストップで受けられるような仕組みづくりについて、考えをお伺いいたします。  県内には大学が2つしかなく、専門学校の種類も限られていますから、若い人が進学のために一定程度流出するのは覚悟しなければなりませんが、たとえ都会で就職しても、いずれ帰ってきたいと思ってもらいたいと思います。以前から、ふるさと教育や海士町に触発された高校魅力化など、既に取り組みは始まっていますが、子どものころから育った地域を誇りに思う気持ちを養うことに加え、海士町の夢ゼミのように、いずれは帰ってきて島根のために働こうとする目標を持って進学をしてもらうことが大切だと思います。  また、図書館活用教育や人間関係づくり推進事業、生活体験学習など豊かな育ちを育むことで、自分の子どもも同じように育てたいと思ってもらえれば、子育て期に帰ってくる可能性も高くなるのではないでしょうか。知事は、若い人が出ていかない、あるいは帰ってくるような、幼少期から青年期までを通した人づくりはどうあるべきと考えられますか、お伺いします。  次に、女性が住みたい、住み続けたい県について、2点伺います。  素案には女性の活躍推進はありますが、若い女性の定住対策がありません。女性たちが住みたいまちは、どんなまちでしょうか。最近、私の知人のお孫さんが、東京から孫ターンをしました。夏休みなどにおばあちゃんの家で過ごし、松江の穏やかなたたずまいやゆったりした暮らしに魅力を感じ、住んでみたいと思ったそうです。ほかにも、都会では味わえない食の魅力や、顔の見える環境だからこその人とのつながりなども魅力なのかもしれません。ずっと住んでいる者には見えない魅力を彼女たちは感じているはずです。そこを地元の私たちもしっかり理解し、意識していかねばならないと思います。単身で移住してきた女性を把握するのは難しいかもしれませんが、できることなら若い女性の移住者に理由を聞き、施策に生かしてはと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。  浜田市では、女性職員の発案で、介護職につくことを条件に資格取得支援や家賃補助、引っ越し支援金、研修終了後奨励金など手厚いシングルペアレント施策を打ち出し、5人枠に多くの問い合わせがあったと聞きました。邑南町は、数年前から日本一の子育て村を標榜し、子育てに手厚い支援を行っています。2人目以降の保育料の無料化、病児保育や障がい児保育、一時保育の実施、中学までの医療費無料化、予防注射無料化、不妊治療費助成、そして生活面でも就労面でも手厚い支援がそろっています。特にシングルペアレント施策をうたっているわけではないですが、シングルマザーが多く移住しているそうです。浜田市も邑南町も、市町長がしっかりとその政策を打ち出し、多くの予算をつけ、職員挙げてその施策に取り組んでいることが成功の要因だと思います。  県としても、思い切って医療費無料化や保育の充実など子育て支援を県全体で進められるよう市町村に使い勝手のよい補助金を出すことや、事業者が社員の育休など子育て支援を進めやすくする施策など、市町村や県内事業者の努力を後押しする施策や予算支援が必要だと考えます。ここで暮らして結婚し子育てをしたいと女性が思えるような、各分野での魅力ある施策と予算づけを期待したいのですが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、UIターン施策について伺います。  とかく田舎はよそ者を排除する、人との関係が近過ぎて息苦しいなどと聞きます。島根で生まれ育った若者が都会に出ていく理由の一つは、田舎の人間関係が濃過ぎることがあるようです。また、Iターンが定着せず、離れてしまう理由の一つは、よそ者を受け入れない地域性とも言われます。いずれにしても、地域の人間関係は定住にとってとても大きな要因です。上手に若者とつき合うことを地域が学ぶことも大切ではないかと思います。  邑南町では、職員から、邑南町で子育てをする魅力は地域みんなで子育てができること、徹底した移住者のアフターフォロー、お金が安いから、仕事があるからということが最優先ではないという話を聞いたと仄聞いたしました。呼び込んだ後のUIターン者定住の鍵は、ここにあると思います。つまり、これと思った事業、打ち出すべき事業には思い切った予算をつけて若い人を呼び込み、呼び込んだ人に定着してもらうために、地域の人とのよいつながりを移住者との間につくっていくことだと言えます。  繰り返しになりますが、よそ者を排除しない地域づくりや近い人間関係を心地よい距離に保つ工夫は、若者の定住を考えるときの大切なことの一つです。また、UIターン者には10年寄り添うアフターフォローが必要とも言われています。郷づくりカルテを活用して地域振興に取り組む地域は県のプロジェクトチームが支援していますが、市町村や地域が定住者を受け入れる風土づくりやアフターフォロー体制をつくる支援もあわせてできるといいと思うのですが、いかがでしょうか。お伺いをいたします。  次に、頑張っている地域を生かす取り組みについて伺います。  政府が地方創生と言い出したとき、創生という漢字に違和感を覚えました。創生は新しくつくることです。しかし、地方はずっとそこにあり、人口減少に以前から取り組んできました。国も県も、再生とか再興、あるいは自立しようと頑張っている地域をどう応援するのか、その頑張りをどう共有するのかという視点が大切ではないでしょうか。  島根県で言えば、全国的に有名になった海士町は言うに及ばず、先ほど紹介しました邑南町、江津市等、地区で言えば浜田市弥栄や益田市の真砂地区など、先進地域のノウハウを学び、広げていくこと、自分の地域であれば何が魅力なのか、どう生かすのかを考える場も必要だと思います。そして、先進的な取り組みをしている地域には、地域再興への熱い思いと行動力でリーダーとして引っ張っていく人材が必ずいます。県は、先進地を生かして学ぶ場として地域のネットワークをつくることや、地域のリーダーとなる人材を育てることに力を入れてほしいと思いますが、お考えをお伺いいたします。  次に、島根の力を引き出すことについて県の考えを伺います。  このたび、中山間地域研究センターの藤山研究統括官が「田園回帰1%戦略」という本を出されましたが、そこで語られているのは、実は田舎の田舎に人が入っていることでは、島根県は全国でもトップランナーであり、その風を生かしつつ、私たちの暮らしをどうつくり直していくのかが問われている、そしてそのヒントや材料は私たちの足元にあるということです。島根県自身が持つ魅力に誇りを持って、島根に帰って来てほしい、島根に来てほしい、一緒にここで暮らそうと言えるためには、島根の魅力、島根にある力をどう引き出すのかが大切だと考えます。  藤山氏は、公民館単位で4歳以下の子どもの増減を調査されていますが、特にまちの中心部ではなく、さらに奥に入ったところ、いわゆる田舎の田舎の約33%のエリアでふえています。子どもがふえているということは、若い女性もふえているということで、30代の女性は42%ふえています。それは、恐らく早くから人口減少に悩み、試行錯誤しながら定住対策に取り組んできたからではないかと思います。  都会から移住してきた人の話として、都会は便利さや高収入は保障されているが、人のつながりや自然の豊かさ、伝統はないという話が紹介されていますが、これが島根の強みと言えるのではないでしょうか。それは、今まで島根にずっと暮らしてきた私たちが余り重きを置いてこなかったものであり、若者はむしろ田舎臭いとして嫌ってきたものではないかと思います。今、よそ者として島根に来た人から改めて田舎の持つ魅力に気づかされています。そうであれば、島根の中でも一番田舎に勝ち目があるとも言えます。  それぞれの小さなエリアで自分たちの地域の魅力に気づき、それに磨きをかけること、そして、ここはよいところ、一緒にここで暮らそうと言えることが人を呼び込むことにつながります。しかし、なかなかそこに長く暮らしている人には地域の魅力には気づけないものです。地域が持つ魅力に気づき、磨きをかけることに県がどんな支援ができるか、お考えをお聞かせください。  また、若者が定住し、結婚して子どもを持ち、そこでずっと生活していく、あるいは若い家族が子どもを連れて移住するために必要なのは、今、県でも進められようとしている小さな拠点に小学校が存在していること、また自転車やスクールバスで通える範囲に中学校があることです。今子どもが少ないからといってすぐ統廃合をするのではなく、維持できるよう子どもをふやしていくぐらいの気概を持って、人口の増加に向け取り組んでほしいと思いますし、努力をしているところは時間的な余裕を持って見守ってほしいと思います。  小規模校については、少人数であるために人間関係が固定してしまうことや競争意識が少なくなることなどデメリット面が多く語られます。しかし、小規模校ならではのよさもあるはずです。一人一人の学力に応じた指導ができること、一人一人に先生の目が行き届くこと、地域の人との密接なつながりと地域ぐるみの教育ができることなど、多くのメリットも評価すべきです。小さな拠点づくりを考えるとき、そのエリアにある小学校、通える範囲の中学校を維持することの必要性や小規模校のメリットについて理解してもらえるよう、市町村教育委員会に何らかの働きかけができないか、教育長に考えをお伺いいたします。  また、離島、中山間地域の高校を残すことも大変重要だと思います。今後の再編に当たってのお考えをお聞かせください。  時々、観光でヨーロッパに行くと、小さな集落があちこちに存在しています。教会はどこにもあるけれど、大きな企業があるわけではなく、農業や牧畜、伝統のチーズやワインづくりなど農産物を加工した6次産業をなりわいとしている様子です。こういう仕組みを島根でつくっていくことが、地方が生き残る戦略の柱になるのではないかと思っていました。  藤山氏も、地域経済は企業誘致や観光振興だけでなく、もっと足元を見詰め、エリア内の経済循環を活発にしていくことと言われます。地域で稼いだお金を地域外に出さない工夫をすることであり、例えば地産地消を進めること、地域内の資源を活用すること、再生可能エネルギーを進めることで、国外、県外に流れていっている地域のお金の1%を地域で回せるようにするなどの提案がされています。  慶應義塾大学教授の片山先生の講演でも、魅力ある雇用の場の創設とともに、地域の貿易収支の赤字を減らすことが地域創生の処方箋だ、例えば6次産業化により県産品の素材に付加価値をつけて商品として県内外に流通させる、県予算もできるだけ県外に出ない政策を考えるなどの例を挙げられていました。  先日、江津市で家具デザインのオフィスを経営されている平下氏に出会いました。氏は江津市出身で、江津市のビジネスコンテストを知り、過疎高齢化が進む郷里にデザインを通じて何か役に立とうと応募され、空き家を地域資源として捉え、心地よい空間に再生し人を呼び込むプランで大賞をとられました。そのプランを実現され、元銀行だったオフィスの1階はおしゃれなバーに生まれ変わり、2階では江津の松材を使った座り心地のいい椅子やテーブルの試作品が並んでいました。県内松材は以前とても価値が高く、市場の価値を左右するぐらいだったそうです。ぜひその価値を生かしたい、またできるだけ地域のものを生かしたいと、椅子の座面には地元のおばあさんに編んでもらったイグサや、障がい者施設で織られた布が使われていました。雇用も生んでおり、3人で始めた会社が8人に拡大しているそうです。  このように、地域の魅力や資源を生かし、雇用を生み、できるだけ地域で稼いだお金が地域外に出ていかないようにする工夫をそれぞれの地域で実践してもらうことができれば、地域の活性化につながるはずです。地域で経済を循環させることを市町村や地域住民によく理解してもらい、住民や商店、事業所に実践してもらえばと思うのですが、県のお考えをお伺いいたします。  また、県自身も、県の予算ができるだけ県外に流出しないようにすることが大切だと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、地方を再生するために望まれる県職員像について伺います。  地方版総合戦略の主役は地域住民とそれを支える市町村ですが、県職員は、県全体を見渡す広い視野を持ち、県内の成功事例を広め、各分野で縦割りになっている補助金を集約して情報提供し、現場に入ってともに考え、地域だけでは解決できないことに力をかすといった役割が求められると思います。そのためには、現場発想のできる、現場に気軽に入っていく行動力を身につけた職員が求められます。  また、県庁も縦割りを排し、横でつながりながら情報を共有できる組織であることや、市町村や地域を支援する立場として地域にある人材を発掘すること、その人材を育てること、先進地域の知恵をかりるため人材バンクを持つなど、従来型ではない仕事の仕方が求められると思います。以前と比べ、格段に県の地方機関が少なくなっている現在、どうすればそういう職員をたくさん育てていけるか、県としてしっかり考えてほしいと思います。地方版総合戦略を進めていく上で望まれる、現場感覚を持った行動する県職員をどう育てていくのか、知事のお考えをお聞かせください。  以上で質問は終わりです。御清聴ありがとうございました。(拍手) 23: ◯議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 24: ◯知事溝口善兵衛) 白石議員の御質問にお答えをいたします。  最初の質問は、安全保障法案に対する所見いかんと、こういう御質問でございます。  日本という国の安全保障をどう確保するかということは、日本全体の問題であり、国民の代表である国会において論議、決定がなされるものでございますが、現在におきましても、国会でいろんな与野党間でやりとりがあるわけでございます。この国会の中におきまして、国会の審議ルールと与野党間の話し合いに基づいて議論を尽くして決定されるべきものと考えております。  次の御質問は、総合戦略の課題と目玉となる施策についての御質問であります。  総合戦略の素案におきまして、基本目標として位置づけられておりますのは4つでございます。1つは、やはり雇用を確保するということで、魅力ある就業の機会をつくること。そして2番目は、子育てを支援をしていくということでございます。子育て支援に良好な環境を生かして、若者が結婚して子どもを産み育てることを推進をしていくということであります。3番目は、人々の定着、回帰・流入を促すことで、地域を担う人材を確保するということでございます。この部分は、最初の就業機会をつくることとも関連をしとるわけでございますけども、UIターンなどの推進を行うといったことが、この内容に入ってまいります。そして、人口減少に対応しながら魅力ある地域社会を維持形成をしていくということは4番目の基本目標でございますが、中山間地域、離島などにおいて人口の減少が早くから最も厳しく進んでおるわけでございまして、そういうところの地域をどういうふうにしていくかという課題でございます。  これらの課題に対します施策の主要なものを上げてみますと、産業振興におきましては、しまねソフト研究開発センターを創設をし、それによるIT産業の振興を行うということが1つあります。また、観光が島根の大きな資源でございますが、中四国各県など他県と連携をした広域連携による観光誘客を促進をしていくということでございます。それから、現在ヘルスケアを一つのテーマとしたビジネスが起こりつつあるわけでございますが、それの創設による地域資源を生かした産業の振興を行っていくことなどを考えております。  2番目に、子育て支援につきましては、結婚ボランティアの増員やしまね縁結びサポートセンターの設置による結婚支援の強化を図る考えでございます。また、年度途中の保育所待機児童の解消による子育て環境の向上なども行ってまいりたいというふうに思っております。  それから、人の流れづくりでありますが、ふるさと教育を就学前の子どもから高校生、大人まで拡大をすることによりまして、地域を担う人づくりを推進をしていくということがあります。また、県内高等教育機関との連携強化による大学生等の県内定着を促進をしてまいります。  地域社会の維持形成につきましては、小さな拠点づくりや地域資源を生かしたコミュニティービジネスの事業化支援など、中山間地域対策を推進してまいる考えであります。さらに、総合戦略で掲げてる目標を着実に実現するため、県議会からいただいた御意見も踏まえまして、雇用の創出あるいは子育ての支援などにつきまして追加的な措置をまとめて、10月上旬にお示しをする予定であります総合戦略の最終案に盛り込んでいきたいと検討を進めているところであります。
     それから、島根の特色を生かした仕事の創出、情報発信についての御質問でございます。  島根県がほかの地域と違う一つの特色として申し上げますと、これはいつも言ってることでありますけども、やはり豊かな自然があり、古きよき文化歴史が残っている、そしてまた各地においてぬくもり、温かい地域社会が残っておるということではないかというふうに思います。これらは、経済的な豊かさとは別の一つの豊かさでありまして、現在若い人たちの価値観、あるいはライフスタイルがどんどん変わってきて多様化しているわけでございますが、県外の方々からはこうした島根の特色を評価する人も非常にふえておると私は感じておるわけでございまして、そういう意味で、議員と同じように島根の特色を生かした仕事づくりを行ってまいりたいと思います。  具体的に少し御紹介申し上げますと、県外のIT企業が豊かな自然やゆとりのある生活を求めて進出を実はしてきております。最近の例で申し上げますと、松江市にオフィスを開設したIT企業、ITソフトでありますけども、企業は築140年の古民家を活用して、そこをオフィスとして使ってシステム開発などをやるということがございますし、雲南市におきましては、地元の蔵元と連携をして、そこの建物を活用しながら、杜氏の知識、技術をデータ化した酒づくりの支援システムの開発などにも取り組むということで、立地をしてきておられます。浜田市におきましては、廃校となった校舎を活用して、そこでクリエーティブなシステム開発を行うといったようなこともあるわけでございます。津和野市においても、これは地元の方が大阪でIT企業をやってたわけですけども、そういう御縁で、また地元に帰ってそういうソフト開発をやるといったような動きが出てきております。これをさらに推進をしていきたいということです。  また、豊かな自然を生かすということでは、林業に魅力を感じて多くの方々が就業されてきております。最近の例で申し上げますと、循環型林業の推進により、林業の新規就業者は近年70人前後で推移をしております。26年度は81人に増加をしてるということでございます。また、就業者のそうした平均年齢は、年々そういうことで若返りの傾向にあるようでございまして、平成16年が約52歳でございましたが、昨年度、26年は47歳ということでございます。また、ふるさと島根定住財団の産業体験事業を活用して、農林水産業や伝統工芸などの仕事に従事された方もかなりおられます。  ふるさと島根定住財団はUIターンしまね産業体験事業というのをやっております。平成8年から平成26年度までの間に約1,600人ぐらいの方が体験をされまして、うち670人ぐらいが島根に定着をされたということであります。その定着の例といたしましては、農林水産業あるいは陶芸、石州和紙、酒造業あるいは木工業、そういう業種があるということでございます。  このような仕事や働き方の情報を全国に広く周知するために、インターネットを活用した情報発信を行っております。ふるさと島根定住財団のくらしまねっとというUIターン者向けのサイトがありますし、また、同財団では新規学卒者向けのしまね就活情報サイトをつくっております。また、ソフト系のIT企業向け情報サイトとしてしまねスタイルといったものもつくっておるところであります。また、島根に興味を持つ方に直接情報を伝えることも重要でありまして、首都圏でのIT技術者交流会や、各地で各種相談会、企業ガイダンスなどを開催をし、こうしたものもさらに進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、若い人が出ていかない、あるいは帰ってくるような人づくりについて御質問がありました。  子どもたちが県内に残ったり、進学後に帰ってくる人づくりの取り組みとしましては、教育委員会で特にふるさと教育、地域に根差したキャリア教育ということで力を入れてきております。ふるさと教育は、小中学校では地域の豊かな教育資源を活用したふるさと教育を行うことで、ふるさとへの愛着や誇りを持つ子どもを育てる、あるいは地域に貢献しようと、そういう意欲を高める、それによりまして将来の定着につなげようとしておるわけであります。  また、地域に根差したキャリア教育ということでは、高校でそうした地域課題の学習を行っております。幾つか例挙げますと、出雲高校や矢上高校では、キャリア教育の中で地域の課題を見つけて解決策を探る学習に取り組み、市町に対して提言などを行っております。そういう過程で地域を勉強するということでございます。地域を理解し、地域を愛し、地域の役に立ちたいと思う生徒を育てることが、こういうことを通じて生じてくるというふうに考えているのであります。  また、地域ぐるみのキャリア教育としましては、雲南市と江津市では、高校、市教育委員会、地域関係者が連携した地域ぐるみのキャリア教育のモデル事業を実施して、地域が一体となって人づくりを行っているということでございます。今後もふるさと教育、地域に根差したキャリア教育を推進する中で、島根の未来を担う人づくりが一層進展することを期待をしております。  次に、魅力ある結婚、子育て支援施策と予算措置についての御質問がございました。  若者、特に女性が県内で働くことができ、安心して子育てができる環境をつくるということは大変大事なことでございます。本会議の冒頭で申し上げましたが、現在子育て支援の追加措置を検討中であり、総合戦略の最終案に織り込む考えでございます。さらに、総合戦略を推進するための具体的施策は、総合戦略の策定の過程でいただいた県議会、市町村、各界からの御意見なども踏まえながら、今後の予算編成を通じまして決めていきたいというふうに考えております。  それから、県の予算をできるだけ県外に流出させないような取り組みについての御質問がございました。  地域資源の活用や県内で経済循環させる取り組みは、県内経済の活性化や雇用の創出等に寄与するものでありまして、県においても県産品の利用促進や県内企業の受注確保に取り組んでおるわけでございます。幾つか例を御紹介申し上げますと、県内の県産品の利用促進につきましては、県産木材、石州瓦などの消費拡大や地産地消の推進を行っております。島根の木建設利用促進事業は平成27年度の予算では1億2,000万円でございます。石州瓦利用促進事業は3,000万円、地産地消推進事業は1,300万円といったぐあいでございます。  県内の優先発注や県みずからの県産品利用につきましては、物品の購入や公共事業を始めとする工事発注等の県内企業への優先発注ということをやっております。官公需における県内中小企業者への優先発注について、県からも関係者に通知をしておるところでございます。平成24年で見ますと、県内企業の発注率、事業がございまして、そのうち県内企業に発注した件数は80%であります。金額で86%ということでございます。建設事業とかそういうもの、ほかにも物品の調達とかありますけども、対象金額が、先ほどのパーセントで申し上げた根っこの数字は約1,200億円弱でございます。また、県内企業が開発した新商品の認定制度による利用促進ということもやっております。  それから、県や市町村等の公共建築物や公共工事等における県産木材の積極利用も行っておるところでございます。平成26年度の県産木材利用実績は約6,000立方メートル弱でございます。今後も県の施策立案や予算の執行に当たり、職員の意識をより高めることなどによりまして取り組みを一層進めていく考えでございます。  それから、地方総合戦略を進める上でも現場感覚を持った県職員ということが必要であるが、見解いかんということでございます。  私も御指摘のとおりだと思っております。私は、新規採用者の職員でありますとか、あるいは職員の訓示等におきましてよく言ってることは、こういうことでございます。県民の方が何を考え、何を望んでおられるのか、現場をよく見て、よく話をお聞きし、それを県政に生かすよう努めることだということを申し上げておるところでございますが、職員が現場感覚を養うために幾つかの活動を行っております。1つは、新規採用職員の企業体験研修というようなことを行っておるところでございます。これは平成23年度から行っておりまして、スーパー等へ5日間ぐらい派遣をするということでございます。それから、市町村との職員の相互交流を行っております。これは平成5年から平成27年まで86人が対象となっております。そしてまた、NPO法人や公民館への短期派遣の研修なども行っておりまして、これは平成20年度から行っております。NPO、公民館等へ5日から10日程度派遣をしておるということでございます。派遣実績は、平成20年から昨年度まででありますが延べで約240名をそういう研修に派遣をしておるとこであります。  県自身もやりますが、職員の中には自発的に地域社会の人々と一緒に活動する動きが非常に広がっておるように思います。一例を申し上げますと、松江の水燈路がございますけども、それに協力いたしまして、県庁舎のライトアップでありますとか、県の前の公園、そこにあんどんを設置するなど、これは職員が自発的にやってたりしております。また、西部では、石見神楽を練習して地域の公演に参加をするといった職員もおります。あるいはスポーツ少年団の指導等、地域でのボランティア活動をする職員もふえておるというふうに思います。私も、これも常々言っておるわけでございますけども、家庭と職場だけでなく、3つ目として、やはり地域社会と一緒になっていろいろな活動をしてほしいということを言っておりますが、職員も自発的にそういうことをされる方がふえておりますから、今後もぜひともそういう方向に向かって拡大が進むようにいたしたいと思っております。以上であります。 25: ◯議長絲原徳康) 鴨木地域振興部長。  〔鴨木地域振興部長登壇〕 26: ◯地域振興部長(鴨木朗) 総合戦略に関連いたしました5点の御質問にお答えをいたします。  まず、若い女性の声を定住施策に生かすことについてであります。  ふるさと島根定住財団がことし4月、移住者を対象にアンケート調査を行いました。その中で、島根に定住して最もよかったこと、これは回答は1項目のみの設問でございますが、それに対する回答の中で、豊かな自然の中で生活できると回答した女性が27%、やりたい仕事ができる21%、両親や親戚の近くで生活できる11%などとなっておりました。  また、定住財団や市町村の定住支援窓口には、男女を問わず若い世代からいろいろな声が寄せられております。自然の中でゆとりを持って子育てがしたい、伝統や文化に触れた生活や体験がしたい、こういった相談が多く寄せられております。こうした声を受け、定住財団では、これまでも例えば親子連れで島根を体験できるように助成メニューを追加したり、体験先として石州和紙の製造、あるいは染色、織物など、そういった体験先を開拓するなど、支援の拡充を図ってきております。  また、近年では、UIターン希望者の中でいわゆる女子会を望む声などもございまして、例えば婚活とか島暮らしといったテーマで同世代が率直に語り合う、そういう機会を東京、大阪で設けております。今後もこうした取り組みによりまして若い女性の声をよく聞きまして、定住政策に生かしていきたいと考えております。  次に、移住者を受け入れる風土づくりやUIターン後の定着に向けた支援についてお答えをいたします。  県では、情報発信から相談、体験、仕事や住まいの紹介、UIターン後の定着支援まで、定住財団と市町村が核となりまして、希望者お一人お一人にきめ細やかな対応をしております。こうした定住支援を現場で担う職員の声を聞いてみますと、よそ者を受け入れる寛容さ、若者の意見も取り入れる柔軟性、多様性と個性を尊重する人権感覚、そして地域を残したいという熱い思いを持った人々の存在、こうした地域が移住者に選択されるという傾向がうかがわれております。  一方、定住財団や市町村に加えまして、県の中山間地域対策プロジェクトチームでは、現場に出向きまして住民の皆さんにみずからの地域の将来像を話し合ってもらったり、若い世代の移住を受け入れるために地域がどう変わっていけばよいのかといったことを地域と一緒になって議論してきております。このように、定住を支援するプロセスで得られた知見、これを関係機関の情報共有などを通じまして、これまでも住民主体の地域づくりの議論の中におのずと反映されるようにしてきたと、このように考えております。今後の現場支援に当たりまして、従来にも増して移住者に選択されるような地域の魅力づくりに向けまして住民の皆さんの主体的な議論を喚起していきたいと、このように考えております。  次に、地域間のネットワークづくりや地域リーダーの育成についてお答えをいたします。  県では、中山間地域研究センターや定住財団などが中心になりまして、さまざまな研修会などを開催しております。市町村や地域住民の方々にも多数御参加をいただいておりますが、その研修では県内の先進事例を学ぶ機会が大変多くなっております。こうした研修の機会それ自体が、地域づくりを志す方々にとりましてはお互い同士の人脈づくりや触発され奮起するきっかけになっておりまして、その後の情報交換や相互視察などにもつながっております。  また、地域の人材育成につきましては、地域のリーダーや地域おこし協力隊、集落支援員などを対象とする研修会を毎年開催しております。人の話に耳を傾ける傾聴の力やコミュニケーション力、地域の現状を把握し課題を抽出していく分析力、具体的な実践活動の企画立案力、そして実践活動の輪を広げていくためのマネジメント力、こうしたことを身につけていただいております。こうした従来の人材育成の手法に加えまして、今後、地域を支える人づくりを本業とする公民館の活動との連携を模索したいと考えております。現在市町村や公民館長会との意見交換を始めたところであります。  次に、地域が持つ魅力に気づき、磨きをかけるための支援についてお答えをいたします。  当たり前に見えていたものが実はかけがえのない宝物だと気づくことが地域づくりの始まりだと、このように言われております。いわゆるよそ者や若者の目線を通して地域のよさを再発見することもございますし、地域づくりを志す住民がみずからの地域の将来像を議論する中で地域の存在意義に気づくということもございます。例えば定住財団ではこうした考え方に対しまして地域づくりに対する支援を従来から続けてきており、一定の成果も出ていると考えております。  また、しまね田舎ツーリズムでは、県外者との交流を通じまして島根に住む人々が日々の暮らしや地域の魅力を再発見し、積極的な情報発信につながっております。しまね田舎ツーリズム、この10月から2回目のキャンペーンを行います。合計で131の体験プログラムを提供することになっておりますが、参加者の満足度を高めていくために、事前に受け入れ側の実践者向けの研修を行うというようなことで、そういったことを通じまして、地域の魅力を再確認した上でそのよさを情報発信すると、このような流れができ上がっていっているのではないかと考えております。  さらに、移住を志す若者が定住財団や市町村の支援を得て起業をいたしまして、さらに新たなUIターン者を呼び込むと、このような流れも生まれてきております。このように、移住、定住や地域づくりの分野では、従来から県や定住財団による支援メニューを幅広く用意しております。今後も地域の魅力に気づき、磨きをかけてもらう取り組みを支援してまいりたいと考えております。  最後に、域内の経済循環の効果をよく理解してもらい、実践してもらうことについての御質問にお答えをいたします。  中山間地域には、個性豊かな自然環境や地域資源があり、これらを効果的に活用して雇用を生み出し、収入が地域内での消費活動につながるような経済の好循環、これをつくり出していくことが大切でございます。こうした考え方は、今後中山間地域で持続可能な地域運営の仕組みをつくり上げていく上で大切な視点でありまして、県内各地で先駆的な取り組みが進められております。  幾つか例を挙げますと、例えば美郷町内では、出雲市内の保育所の給食用食材としての無農薬米、この契約栽培が励みとなりまして、作付農家が拡大しております。邑南町では、野菜の生産者が企業組合を立ち上げまして、道の駅瑞穂の指定管理者となって産直市を開設し売り上げを伸ばしております。スーパーキヌヤさんでは、地域の生産者、加工業者の産品を地域の独自ブランド商品として立ち上げ、全店舗で地産地消を進めておられます。また、社会福祉法人いわみ福祉会さんでは、福祉事業を核としながら、レストラン、パン、洋菓子の製造販売、果樹農園、養鶏、乗馬牧場、神楽工房など事業の多角化を手がけ、地域の経済循環に大きく貢献をしておられます。県では、こうした県内各地の先駆的な事例について、市町村や地域づくりの担い手にわかりやすく紹介し、共感を広げていきたいと思います。さらに、具体的な実践活動に取り組もうという段階に至った地域に対しましては、県、市町村による課題解決型チームや民間専門家を重点的に派遣するなど、実現に向けた支援を行っていきたいと考えております。以上でございます。 27: ◯議長絲原徳康) 安井商工労働部長。  〔安井商工労働部長登壇〕 28: ◯商工労働部長(安井克久) 2点についてお答えいたします。  まず、若者や女性が魅力を感じ、働きやすい企業づくりに向けた中小企業への支援についてお答えします。  中小企業が発展していくためには、経営力の強化とともに、若者や女性が魅力を感じて働きやすい企業を目指す、これが今後ますます重要になってくると考えております。県では、これまで経営力の強化に向けてはしまね産業振興財団や商工団体等と連携して、技術力や生産力の向上、あるいは人材育成の支援、新たな事業展開に向けた専門家の派遣、新製品や新技術の開発に向けた助成などを実施してきております。  また、職場環境づくりという視点では、これまで企業の役員を対象としたワーク・ライフ・バランスの推進のための研修会や、中小、小規模企業にアドバイザーを派遣して、就業規則等の見直しなどの労務管理に関する助言や情報提供を行ってまいりました。また、昨年度から、しまねいきいき雇用賞として雇用や人材育成面で魅力のある職場づくりを行っておられるモデル的企業を表彰し、このすぐれた取り組みが県内企業へ拡大するよう努めております。また、今年度からは、人材の育成や職場の魅力向上による人材の定着に向けて、新たに計画を策定し推進しようとする企業に対して専門家を派遣するなどによる手厚い支援を開始したところであり、現在17社が取り組んでおられます。今後、こうした施策を通じて、またさらに事業者や商工団体等の意見を聞いて、経営力の強化や新しい分野のチャレンジ、また職場環境の向上などを支援して、若者や女性が魅力を感じる企業づくりが進み、さらに就業が進むよう支援を強化してまいります。  次に、若者に対する起業、創業の支援についてです。  起業を実現するまでには、事業計画を策定した上で資金調達、人材の確保、また店舗やオフィスの場所選びといったさまざまな準備が必要です。議員の御指摘のとおり、経営の経験がまだ少ない若い人にとっては非常に課題も多く、その都度都度、相談あるいは支援が受けられるような環境が必要です。こうしたことから、起業を目指す人にとって身近な場所で支援が受けられる市町村や商工団体の役割は重要であります。国においても、平成26年に産業競争力強化法が施行され、市町村を中心としたワンストップの相談窓口の整備を促す支援制度が設けられています。現在この法律に基づいて、8市1町で創業支援事業計画が策定され、起業の支援に取り組まれていますが、その内容や進捗度合いには違いがあります。御質問にありましたように、空き家や空き店舗などの物件の情報提供についても、商店街の空き店舗調査を定期的に実施して蓄積したデータを随時提供できる市町村もあれば、自前の情報は持たずに不動産関係の事業者につないでいくと、こういうやり方をしてるところもあります。  県としましては、市町村のこうした主体性のある取り組みをさらに促して、起業支援のサービスのレベルを上げていく、そうなるように支援をするということが一つの大きな役割であると思っております。そのため、昨年度から、市町村などの支援者向けの合同のセミナーを開催して、他県の優良事例の紹介や情報交換会をさらに深めております。また、しまね産業振興財団は、起業家を育成するマネジャーの資格を持つ職員や専門相談員を配置し、広く起業を目指す人の相談を受けております。さらに、財団は全市町村と協定を結んで、この起業の支援も含めた実務的な連携を行っております。県としましては、今後こうした取り組みを充実して市町村への支援や情報提供などを行い、地域のワンストップ相談窓口が充実するように努めてまいります。以上です。 29: ◯議長絲原徳康) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 30: ◯教育長藤原孝行) 2点についてお答えします。  1点目は、拠点としての小中学校の必要性や小規模校のメリットを、市町村教育委員会に働きかけることについてです。  小中学校は児童生徒の教育のための施設であるだけでなく、各地域のコミュニティーの核として、防災、保育、地域の交流の場としての機能をあわせ持っています。県内の各地域、特に離島、中山間地域においては、小中学校を拠点とした地域づくりが進められていることは承知しております。県教育委員会としても、このような取り組みに対してできることから応援していきたいと考えています。  小規模校の教育の推進については、例えば島根県へき地教育研究大会に指導主事を派遣し、小規模校での効果的な指導方法などについて積極的に指導助言しています。また、小規模な小学校に多く見られる複式学級の指導充実のため、平成25年3月に複式学級指導の手引を作成したのに加え、平成26年度から複式教育推進指定校事業を実施して、より効果的な指導のあり方を研究し、成果の普及を図っています。県教育委員会としては、このような取り組みを拡充し、市町村教育委員会と連携しながら、小規模校の教育がさらに充実するよう努めてまいります。  2点目は、高校再編成の考え方についてです。  県立高校については、望ましい学校規模を確保し生徒にとって魅力ある教育環境を整え、学校の活性化を図るという考え方に立って、統合再編成の検討を進めることとしています。ただし、離島、中山間地域では、学校が地域コミュニティーや文化的拠点の一つであったり、生徒などの存在が地域の活力を引き出していたりする場合も多いため、地域における高校の存在意義などについても考慮しつつ、慎重に検討を進める考えです。  また、次期県立高校再編成基本計画については、来年度に設置する検討委員会で協議いただく予定ですが、離島、中山間地域の学校が地方創生に向けて重要な役割を果たしているということも踏まえて検討いただきたいと考えています。以上です。 31: ◯議長絲原徳康) 白石議員。  〔白石恵子議員登壇〕 32: ◯白石恵子議員 御答弁ありがとうございました。  知事に1点、教育長に1点、再度お伺いをいたしたいと思います。  知事には、地方版総合戦略について、課題と目玉施策ということでお伺いをいたしました。4つお答えをいただきました。4つ全て大事だよという、4つともとても大事だということだろうと思うんですけれども、あえてその中で、これはどうしても外せないという、もう本当にこれは柱だと知事がお考えになるものがあれば、お答えをいただきたいというふうに思っています。  それから、教育長のほうには、地域のエリア内に小中学校を残すことと、市町村教委に働きかけができないかっていうことをお聞きをいたしました。小さい学校への教育の充実ということはお答えいただいたと思うんですけれども、そこの小さい地域に小規模の小中学校を残していくことの大切さというものを市町村教育委員会とよく連携をして、残していけるような働きかけが県教委としてできないだろうかということももう一つお伺いをしたいと思っておりましたので、お答えいただければと思います。以上です。 33: ◯議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 34: ◯知事溝口善兵衛) 基本目標4つのうち、どれがっていうことですが、人口の減少の問題は、提案理由でありますとかいろんなところで言っておりますけども、やはり島根から子どもを産み育てる若い人たちが県外に多く出ていかれて、県内で子どもを産み育てる人々が少なくなったっていうところに、島根の中ではそういう問題が一番大きいんだろうと思います。他方で、若い人たちがいても結婚をしないとか、あるいは子どもを産み育てることは難しいといった問題も、この問題と同様に大きな影響を持っておるわけですから、若い人たちがいないと、これどうにもならんわけでありますから、若い人たちをふやすようなことがあり、そしてその人たちが生み育てるようにできる支援をやっていくと。この2つじゃないかというふうに思います。 35: ◯議長絲原徳康) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 36: ◯教育長藤原孝行) 小中学校は、御承知のとおり市町村立でございまして、そういう離島、中山間地で、その市町村が判断されて地域づくりのために残していかれて、それを大切にしていかれるところは非常によく理解しておりますけども、県教委として、お尋ねのように残していってくださいということは県教委の立場としてはなかなか言いづらいとこございまして、そういう意味で、残されたとこについては一生懸命応援していきますけれども、今の残していくように働きかけることについてはなかなかできないということでございます。 37: ◯議長絲原徳康)  これをもって代表質問を終了します。  以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は9月17日に開きます。  本日は、これをもって散会いたします。        午後2時49分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...