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平成26年9月定例会(第4日目) 本文
平成26年9月定例会(第4日目) 名簿

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  1. 島根県議会 2014-09-04
    平成26年9月定例会(第4日目) 本文


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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成26年9月定例会(第4日目) 本文 2014-09-24 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 34 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長岡本昭二選択 2 : ◯吉田政司議員 選択 3 : ◯議長岡本昭二選択 4 : ◯知事溝口善兵衛選択 5 : ◯議長岡本昭二選択 6 : ◯農林水産部長石黒裕規選択 7 : ◯議長岡本昭二選択 8 : ◯萬代弘美議員 選択 9 : ◯議長岡本昭二選択 10 : ◯知事溝口善兵衛選択 11 : ◯議長岡本昭二選択 12 : ◯防災部長大國羊一) 選択 13 : ◯議長岡本昭二選択 14 : ◯健康福祉部長原仁史選択 15 : ◯議長岡本昭二選択 16 : ◯農林水産部長石黒裕規選択 17 : ◯議長岡本昭二選択 18 : ◯土木部長冨樫篤英選択 19 : ◯議長岡本昭二選択 20 : ◯萬代弘美議員 選択 21 : ◯議長岡本昭二選択 22 : ◯知事溝口善兵衛選択 23 : ◯議長岡本昭二選択 24 : ◯萬代弘美議員 選択 25 : ◯議長岡本昭二選択 26 : ◯副議長(小沢秀多) 選択 27 : ◯嘉本祐一議員 選択 28 : ◯副議長(小沢秀多) 選択 29 : ◯知事溝口善兵衛選択 30 : ◯副議長(小沢秀多) 選択 31 : ◯防災部長大國羊一) 選択 32 : ◯副議長(小沢秀多) 選択 33 : ◯教育長(藤原孝行) 選択 34 : ◯副議長(小沢秀多) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時3分開議 ◯議長岡本昭二) これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  引き続き一般質問を行います。  吉田議員。  〔吉田政司議員登壇、拍手〕 2: ◯吉田政司議員 おはようございます。隠岐選出の吉田です。  初めに、特定国境離島法案について伺います。  隠岐を有する島根県や対馬始め多数の離島を抱える長崎県などが中心となって働きかけてきた、国境に位置する有人離島の保全、振興に関しての必要な制度、いわゆる特定国境離島法案が議員提出される方針が固まったと、先月報道されました。法案の提出時期については、29日からの臨時国会提出も取り沙汰されておりましたが、来年の通常国会での提出が強まったようであります。いずれにいたしましても、このことは排他的経済水域の基点となる国境離島に住み、国家的役割を担っている離島の島民にとっては、安全など身近な日常的な暮らしのみならず、急速に減少している島の人口にもかかわることであり、それゆえに島に住む者の大きな願いであります。  報道によると、具体的には特定国境離島保全・振興特別措置法案として、特に離島の保全に関することと地域社会の維持に関することの両面からの必要な制度を創設し、島の管理強化、振興を図って、安全・安心の確保や本土との格差是正に一層努めていこうとするものであります。  振り返ってみますと、離島振興法は昭和28年、1953年に本土との隔絶性に起因する後進性を除去するための格差是正を目的として、10年間の時限立法として制定されました。それからずっと変わることなく、島の振興、島民の福祉の向上に多大の役割を果たしてきました。それが半世紀の時を経て50年たった2003年に、格差是正の法から国家的役割を担う離島を振興する法に性格は変わってくるわけであります。  そのきっかけとなったのは国連海洋法条約で、200海里排他的経済水域が振興法の枠内に入ってきたことにあります。日本は1996年に国連海洋法条約を批准しております。その後、排他的経済水域が国土形成計画法の計画事項の中に組み入れられ、海洋が国土として位置づけられるのは10年ぐらい後になります。そして海洋基本法が制定され、離島の保全は国の責務であることがうたわれました。ですから、2003年の離島振興法改正以降も、200海里法の影響を受けて離島の状況は大きく変わってきたのであります。  言ってみれば、こうした時代的背景や国内外の情勢の変化が国境離島の今日的価値を認識させる大きな要因になりましたし、離島に人が住んでいることの重要性の理解につながったと思っております。したがって、2013年、60年目の改正離島振興法はこれまでと大きく変わりましたが、その主因の一つは200海里にあると私は判断しています。  さて、このような状況を踏まえ、改正離島振興法は第1条の目的において国家的役割を明確化し、定住人口の促進を図ることが強調され、そのためには産業の振興、交流人口の拡大が必要としております。そして、離島地域の条件不利の大きな要因として、人の往来や物資の流通に係る経費の低廉化を具体例に挙げ、改善を目指す努力を約束したわけであります。  第1条の2項では、目的を踏まえて、基本理念にのっとり、振興、施策を講ずるのは国の責務であり、単に地方自治体だけではないことを明記しました。さらに附則において、国境離島と明示はしていませんが、特に重要な役割を果たす離島として、別途、所要の措置を検討する法制上の措置を含む取り扱いを示しました。また、条件不利の改善を促進するために附帯決議も行われました。  これまでの流れをかいつまんで申し上げましたが、改正離島振興法では国境離島新法の追加を視野に入れ、必要性の道筋、レールを着実に引いてこられたと思われます。今のところまだまだ道半ばであり、具体策は法制化後に取り組んでいくことになるわけで、実現に向けての協議の正念場はこれからではありますが、振り返る中で、改めて幾多の困難を乗り越えてこられた多くの皆様方の、国境離島をどうにかしなければならないという熱い思いが感じられます。  それでは1点目に、特定国境離島新法は、離島の保全、振興策や財政上の措置にどういった内容の事項が盛り込まれる見通しなのか、新法の概要についてお聞かせ願います。  国境離島の指定については、近隣諸国に向き合って安全保障が懸念され、かつ海洋秩序、権益に重要な役割を果たしている島10島ほどを特定国境離島として指定し、島の安全や振興を図っていこうとするもので、候補地として上げられているのが、北から礼文、利尻、奥尻、佐渡、隠岐、山口県の見島、壱岐、対馬、五島、沖縄県の与那国であります。  2点目は、国境離島の保全について伺います。
     離島の保全に関する事項については、その中の一つに、自衛隊、海上保安庁などの国の機関を常設する努力義務が盛り込まれると報じられました。このことは、当然近隣諸国の海洋進出の動きや有事をにらんだものであり、国境防衛や不法入国者を防ぐ体制の強化、海上監視体制の充実強化を図りたいとするものであります。  ところで、国は列島の南方においては、現在離島防衛の空白を解消するために、南西地域の守りの強化を進めています。奄美大島だけでなく、宮古、石垣両島にも、海空の自衛隊に加えて新しく陸上自衛隊の配備が検討されております。  さらに、特定国境離島の指定の候補地については、北から、礼文ですが、礼文には分屯地があり、陸上自衛隊の沿岸監視隊が配置されております。奥尻、佐渡、見島は、分屯基地として航空自衛隊の警戒隊が配置されています。壱岐には対馬に本部を置く海上自衛隊の壱岐警備所があります。朝鮮半島からわずか50キロしか離れていない対馬には、陸上自衛隊の対馬駐屯地、海上自衛隊の対馬防備隊本部が置かれ、上、下の対馬にはそれぞれ警備所もあります。また、対馬の海栗島と五島にも分屯基地があります。沖縄県与那国は尖閣諸島から150キロメートルの距離にありますが、2016年3月末までに陸上自衛隊の沿岸監視隊を配備する予定であります。  そういたしますと、特定国境離島指定候補地のうち自衛隊が配置されていないのは利尻と隠岐だけになりますが、利尻の場合は礼文に隣接していますので、実際は隠岐だけということになります。  日本列島はかつてのような北方からの脅威はやや薄れましたが、朝鮮半島の緊迫の度合いは一段と高まってきております。しかし、日本海最前線での北朝鮮有事に備えての対処できる体制の整備は必ずしも十分とは言えず、手薄な状態にあります。したがって、国家的役割を担っている国境離島の安全・安心の確保と国境防衛や不法入国者を防ぐ体制の強化は一層重要になっております。  島根県は、これまでに県政の重要課題として、隠岐分屯地の設置、海上監視体制の強化充実を国へ要望してきました。報道によると、新法では、自衛隊、海上保安庁など国の機関の設置の努力義務が明記される方向にありますが、新法の打ち出す特定国境離島地域保全のための対応についてどう捉まえて評価しておられるのか、所見を伺います。  特定国境離島候補の一つである隠岐島は、竹島が位置し、暫定水域の大方を占め、そして排他的経済水域の基点として日本海の最も重要な前進基地であると認識しています。しかし、不測の事態への備えや国境防衛、監視取り締まり、不法入国者などへの対応の実態は、特定国境離島指定候補の中でまさに守りの空白な離島であります。したがって、最新式の機能を備えた巡視船の配備など監視体制の充実強化が急がれているわけですが、国境離島の保全のための意気込みが示される中、改めてより積極的な対応を求めまして、所見をお伺いします。  次に、国境離島においては、いずれの離島もたがわずに国の常設機関の誘致ができればと強く願っているわけですが、この際、自衛隊、海上保安庁以外に、国の常設機関として隠岐島に設置するのにふさわしい施設などについて、どういったものが考えられるか。今後、島の活性化のためにも積極的に働きかけていく必要があると認識しておりますが、所見をお伺いします。  次に、国境離島の地域社会の維持に関して伺います。  具体的には、人の往来や物資の流通の低廉化についてであります。このことは国境離島に住む者の念願であり、改正離島振興法において、与野党は共通認識のもと検討改善の意向を強く示したと理解しております。したがって、新法に明記され、具体策が検討されるものと思います。当然のことですが、国境離島に人が住むことの不可欠な条件、本土との競争可能な最低条件として、JR並み、物資は本土トラック並み、こうした理念に基づいて運賃低廉化の支援事業は創設されなければならないと、国境離島に生活する者の一人としては認識いたしております。  ところで、奄美大島においては交通確保に係る支援制度が改正になり、国を中心とする財政支援措置によって、島民は航空2分の1以上、航路では一定額の運賃割引制度が7月19日から実施されております。特定国境離島指定候補地とは地理的条件など置かれている状況は違いますが、この支援事業は大いに参考になるものと思っております。  そこで、新法に係る運賃低廉化の支援事業の創設については、かねてより要望され、期待しておりますが、その辺の見通しについてはどう受けとめておられるのかお伺いします。  次に、沿岸漁業の状況と振興について、2点伺います。  1点目は、クロマグロの資源管理の影響と対応についてであります。  クロマグロの資源が深刻な状態にある日本近海を含む北太平洋海域の資源管理について、国際漁業管理機関の小委員会は、去る9月4日、日本が提案した未成魚の漁獲量を半分に減らすことで合意しました。  日本は世界一のマグロ消費国、輸入国でありますので、資源を守るための規制強化の声が上がるたびに環境保護団体などから非難の矢面に立たされています。しかしながら、漁業が盛んな国で、日本ほどマグロの資源管理を実践してきた国はありません。かつて大西洋クロマグロの資源管理のときもそうでした。大西洋クロマグロが絶滅危惧種としての登録をワシントン条約会議に提案されたことがありました。そのときの国際世論の意向は登録の方向と、マスコミなどからも可決の見通し情報が発信されていました。  ところが、EU諸国やアメリカなどの賛同した提案は、事前の情報とは裏腹に否決になりました。この結果は、意外にも日本の政府にとっては予定どおりのシナリオであったそうです。なぜかと申しますと、ワシントン条約会議に提案される以前に、日本が中心になって漁獲量の大幅削減を提案し、クロマグロのとり過ぎを抑制させる方向を認めさせていたからであります。  こういうことができましたのは、申し上げましたように、日本が自国船に対する厳格な管理を実践してきたからでありますし、同時に、それはワシントン条約の絶滅危惧種登録を回避するための行動でもあることは言うまでもありません。ただ、漁業管理は旗国主義でありますので、規制の緩い諸外国が多いのは課題であります。  一方、水産庁は、国内関係者に対しましては国際会議直前に全国会議を開催し、未成魚の漁獲枠を、2002年から2004年の平均漁獲量の半分として4,007トンとする方向を示しました。こうした方針は、先々の資源の回復はもちろんですが、絶滅危惧種への指定回避にも必要であり、また世界一のマグロ消費国、そして経済的な影響、食文化などの面からも仕方のない措置と判断されます。  問題は、沿岸漁業への影響がどうかにあります。日本の沿岸漁業への全体配分枠は上限2,007トンで、この量を、日本の沿岸地域を6地域に分けて、過去の実績に応じてそれぞれの上限枠を設けて配分することになろうかと思われます。島根県は日本海西部地域に属しますが、地域の未成魚上限枠は100トン程度とされています。日本海西部地域の対象は、北から福井、京都、兵庫、鳥取、島根の5府県であります。  島根県の昨年2013年の漁獲量は、西部地域への割り当て総トン数を上回る112トンで、内訳は定置30トン、石見のひき縄42トン、隠岐40トンであります。このような状況でしたが、隠岐の場合は回遊量が少なく、予定した量を確保することができませんでした。石見も少なかったかと思います。それでも、西部地域の割り当て量はこれより少なくなっています。  そこで、各ブロックに配分された割り当て量については、具体的にどういった考えに基づいて管理されるのかお伺いします。  隠岐のクロマグロの稚魚ヨコワの漁獲は養殖用の種苗が主体で、未成魚ですのでかなりの影響が考えられます。石見のひき縄の対象も未成魚で、同様であります。隠岐では、ヨコワの回遊量は年ごとにかなり変動がありますので見通しの立てにくいところはありますが、通常の回遊量であれば1億円以上の水揚げがあります。ヨコワ釣りは、何よりも燃油の消費が少なく、運賃などの経費もかからず、その上、高齢者にも向いた漁業であります。イカ釣りや一本釣り漁業が低迷する中で、沿岸漁業の一つの柱として育ってきただけに、残念であります。  そこで、沿岸漁業が衰退する中でクロマグロに活路を開いてきたわけですが、国の資源管理による漁獲量減に伴う影響について、国はどういった手だてを講ずるのか、県の方針はどうなのか、対応についてお伺いします。  先月、8月末に発表された2013年に実施した漁業センサスの速報値によると、本県の海面漁業就業者数は、前回5年前と比べ17.8%減の3,032人、60歳以上の高齢者が全就業者に占める割合は58.8%、また水揚げなし、水揚げ高100万円未満の経営体の割合は50.6%となっています。これだけで年々厳しい状況になっていることがわかりますが、就業者の高齢化が一本釣りを中心に進んでいることからすれば、沿岸漁業の高齢化のさらに厳しい実態、経営状況が見てとれます。  今の状態では、10年もすれば一本釣りを中心とする専業の沿岸漁業者はほとんど残らないだろうと思われます。最大の原因は、漁業で十分な収入が得られなくなっていることにあります。高齢者が多く就業していること自体、何ら問題はありませんが、その元気な高齢者が海に出たくても出られなくなってきている現状が問題であります。高齢者がどんどん働いて収入を上げてこそ、若い後継者も育ってきます。  さて、このたびのクロマグロの未成魚の資源管理を通して、沿岸漁業の実態が改めて浮き彫りになりました。漁業者の不安や痛みはなかなかわかっていただけないところもありますが、喫緊の課題として沿岸漁業者の収入の向上、漁業が成り立つ仕組みが問われることになりました。この際、沿岸漁業者の生活が安定するような漁業の振興、仕組みへの取り組みなど有効な対策について所見をお伺いします。  次に、2点目の藻場の保全と有効活用について伺います。  中山間地域・離島振興特別委員会の調査で海士町の海藻センターに行ったとき、隠岐の海域はアワビ、サザエの食料になるアラメなどの褐藻類の割合が高いことや、多種多様な海藻が非常に多く生息しているとの話がありました。また、ある調査によると、日本の海の健康度は世界第11位で、世界的に多様な海洋生物が生息している海である、こういう結果が発表されたことがありました。  そういった好評価を受けている隠岐の海、日本の海ではありますが、近年、日本の沿岸域における水産資源の生産力は低下傾向にあると懸念されています。その原因の一つには、磯焼けなどでの藻場の減少や消失が上げられています。藻場は、サザエ、アワビ、ウニなどの餌料になりますし、魚類の産卵、生育場所の役割やプランクトンの栄養素を供給する場として極めて重要であります。磯焼けの原因としては、ウニや魚の食害説、海水温の上昇説、鉄分の不足などが上げられていますが、県内の沿岸の藻場の状況、進行する磯焼けの現状についてお伺いします。  長崎県対馬の磯根資源の漁獲量を見ますと、アワビは平成16年94トンでありましたが、平成24年には34トン、3分の1程度に減っています。サザエは同様に1,083トンから512トンになり、2分の1になっています。水揚げ量減少の一番の理由は磯焼けと言われ、海水温が上昇するにつれて温度に適した魚が来て、アワビやサザエの餌になるアラメ、カジメなどを食べ尽くして磯焼け状態になった、こういう話が漁業者の話として紹介されていました。  そこで、アワビ、サザエの餌となるアラメ、ワカメ、ホンダワラなどの褐藻類の割合が他海域と比較して高いと言われる隠岐、及び県全体におけるアワビ、サザエの漁獲量の推移についてお伺いします。  昨年夏は大変な暑さが続き、山口県の日本海沿岸一帯において、県西部もそうかと思いますが、藻場を形成するアラメ、カジメなど藻類が大量に枯死、消失しました。原因は水温上昇と考えられ、褐藻類は水温が29度を超えると成長がとまるそうですが、水温が平年より3度ほど高くなり、30度になったことによる影響とされています。  今年は昨年と打って変わった天気になりましたので、藻場も回復しつつあると思われます。しかしながら、将来を見据えますと、地球温暖化が進む中で海水温の上昇が予測されていますので、水温上昇による藻場の枯死、消失が頻繁に発生、拡大することが懸念されます。今後、藻場の減少防止にどう取り組み、藻場の保護、回復や磯焼け防止への対応を図っていかれるのかお伺いします。  日本の水産業の生産額は、2012年1兆4,178億円で、30年前のピークの半分以下になっています。漁獲量は現在ベトナムにも抜かれ、世界第9位になったそうで、生産額、漁獲量ともにじり貧の状態が続いております。このような状況の中で、今年の水産白書は養殖に焦点が置かれ、日本の漁業において生産量で22%、生産額で34%を養殖が占めるとして、限りある天然資源を維持し、国内水産業を成長させるには、今後、養殖業の発展が鍵を握ると報告しています。島根県では魚類養殖には不利な条件にあるため、貝類や海藻類などの無給餌養殖が主力になると思いますが、県下養殖漁業の実情と今後の展望についてお伺いします。  次に、離島の人口減少の抑制、活性化には、豊かな海の維持、有効活用が不可欠でありますが、海藻の薬品、サプリメントへの活用や次世代エネルギーへの活用、新たな海藻養殖の導入など、海藻類の有効活用の促進に向けての海のゆりかご構想の取り組みはどう進められているのか。その成果、今後の海藻を生かした産業創出の可能性と県の対応についてお伺いします。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 3: ◯議長岡本昭二) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 吉田議員の御質問にお答えを申し上げます。  現在、自民党で検討されております特定国境離島新法の概要について聞くという質問でございます。  国境離島に係る新法の制定につきましては、県としても国に対しまして、平成22年の春からでありますが、重点要望を行っておるところでございまして、与党において検討が進められているということは大変ありがたいことでございます。  報道等によりますと、まだ内容は詳細まで決まってないようでありますが、法案としては2つ案があると。これは前からそういう議論があるわけでありますけども、有人離島としての国境離島、それから無人離島でありますけども国境にあって資源の管理等で重要なものと、この2つの法案があるような報道でございますが、まだはっきりしておりません。  議員がお聞きになっておりますのは、隠岐を含む有人離島の関連だと思いますが、その点について申し上げますと、有人関係の国境離島の新法は、報道等では、国境に近く人が住んでいる離島を特定国境離島に指定をした上で、国境離島における道路、港湾などのインフラ整備を進めたり、そのための国の助成を引き上げるといったようなこと、あるいは港湾、空港施設の維持管理に対する地元の負担を軽減するということでありましたり、やはり人が住んでいるということが大事でありますので、中小企業や漁業への支援といった財政支援の強化というものが盛り込まれるよう議論がされておるようであります。それに加えまして、自衛隊や海上保安庁などの機関の常設を促し、国境防衛や海洋秩序に対する体制強化などを図っていくとされているようであります。  次に、こうした特定国境離島地域保全のための対応について、どのように評価しておるかという御質問であります。  先ほど申し上げましたが、報道によりますと、新法では特定国境離島の保全のための対策として、自衛隊、海上保安庁など国の機関の設置、国が適切に管理すべき土地の買い上げ、買い取りなども講ずるというようなことが議論をされておるようでございます。そういう意味で、私どももこうした法案が国会に提出され成立するということは大変大事なことでありまして、今の動きを注視をしておるところでございますが、議員立法でございますので、島根県選出の国会議員の方々も、この法案の作成には関与されておられるようでありますので、こうした方々などとも通じまして、必要な対応を図っていきたいというふうに考えておるところであります。  次に、こうした新法と関連しまして、海上保安庁による海上監視体制の充実強化についての御質問がありました。  この問題につきましては、これまでも県の重点要望として海上保安庁に対して、海上警備上の観点から巡視船の増隻、大型化など、海上監視体制の強化を要望してまいりました。島根県の状況につきましては国においてもよく理解していただいておりまして、昨年度、平成25年度でありますが、浜田海上保安部へ、新船巡視船いわみが配備をされたところであります。従来の監視船は総トン数680トンでございましたが、これがほぼ倍の1,250トンに更新をされております。そして、大型化、高速化により、救難救助体制、災害対応体制など充実が図られているところであります。今後とも、引き続き大型巡視船の配備など監視体制の充実強化に対しまして、国に対し要望を行っていく考えであります。  次に、自衛隊、海上保安庁以外に、国の常設機関を隠岐の島に設置することについての御質問がありました。  私どもも、これも大事な課題だと考えております。国の政策として隠岐地域に国の機関を設置することは、人、企業、政府の機関の分散にもつながり、隠岐の活性化に大事なことだというふうに考えておるところであります。これまでも民間の方々などから、──宇宙線の監視研究施設のようなもの──施設を設置してはどうかというような提言もなされてきたわけでありますけども、県としましても、今後どのような国の機関の設置が考えられるのか、よく研究をしていきたいというふうに考えております。  次に、国境離島との間の船賃の低廉化の問題でございますが、これにつきましても、これまで重点要望等で支援策が講ぜられるように要望してきてるところでございます。離島振興法が先般改正された際、平成25年度に離島活性化交付金制度が創設をされました。戦略的産品の輸送費が支援をされるということが初めて行われるようになったわけでありますが、人の移動の費用の低廉化は行われてないわけでございます。今般の自民党内における新法の検討におきまして、離島航路の運賃の低廉化も議論されているとの情報は私どもも聞いております。最終的にどのようになるかはなお不明でありますけども、私どもとしても、こうしたことが盛り込まれるよう自民党の関係者の方々などとも連絡をとったりいたしまして対応していきたいというふうに考えているところであります。以上であります。 5: ◯議長岡本昭二) 石黒農林水産部長。  〔石黒農林水産部長登壇〕 6: ◯農林水産部長石黒裕規) 沿岸漁業の実情と振興につきまして、クロマグロ、それから藻場の関係、お尋ねがございました。  まず、太平洋クロマグロの漁獲量管理の考え方についてお答えいたします。  議員から御紹介がありました太平洋クロマグロの漁獲量管理でございますけれども、来年の1月から国が全国で実施をするものでございます。国では、本年7月から8月にかけまして、隠岐を含む県内の4カ所で説明会を開催しております。その説明会におきましては、漁獲量管理の考え方について国からは次のような説明がございました。  まず、議員からも御紹介がありましたけれども、漁獲枠につきましては、各県や各漁業種類、こういった単位ではなく、当面は全国で6つのブロックをつくりまして、ブロック単位で設定していくということ。それから、漁獲状況については国がモニタリングをしていくということ。それから、漁獲量の消化状況に応じまして、国から漁業者に注意報、警報、操業自粛の要請、こういったことを発出していくという説明があったところでございます。  次に、資源管理による漁獲量の減に伴う影響について、どのように手当てをしていくのかというお尋ねがございました。  クロマグロ、これが隠岐の沿岸漁業の一つの柱となってきている、そのことにつきましては議員から御指摘があったとおりだというふうに思っております。そういうクロマグロの資源管理が国の方針で実施されるということでございますので、その資源管理によりまして漁業者の経営に影響が生じるということでございましたらば、国において責任を持って必要な支援策を講じるということが基本になろうかというふうに思っております。  今申し上げた国の説明会におきましては、クロマグロの資源管理に取り組まれますひき縄釣り漁業者などに対する支援策といたしまして、減収時、収入が減った場合に、漁業共済によりまして補填が出るわけでございますけれども、この補填を手厚くする、あわせて受けやすくする、こういったことを検討しているという説明がございました。県といたしましては、こうした国の支援策の検討状況をよく見守っていくとともに、関係の漁業者の方々の御意見をよく伺いまして、さまざまな機会を捉えて、国に対して必要な支援策を要望していきたいというふうに考えております。  次に、沿岸漁業の振興についてお答えいたします。  沿岸漁業につきましては、議員から御指摘があったとおり非常に厳しい状況があるということでございます。議員から御指摘のような、漁業者の方々の不安、痛み、こういったものが生じている、そういう状況もあるというふうに考えております。  そういう厳しい状況を踏まえまして、国のほうでも農林水産業・地域の活力創造プラン、こちらの中で、浜の活性化に取り組み、活力ある漁村を実現するということがうたわれているところでございます。具体的には、漁村地域ごとに水産業を核として地域の活力を再生するための具体的取り組みを定める浜の活力再生プラン、いわゆる浜プランを策定して、5カ年をかけて漁業所得を1割以上アップすることを目指すというふうにされているわけでございます。  県内では現在8カ所の漁村地域で、漁業関係者や市町村とともに浜プランの策定を進めているところでございます。具体的には、1つ目には、定置網漁業や一本釣り漁業、この漁獲物の品質向上やブランド化の取り組み。2点目として、観光客等への地場水産物の提供など、地産地消や6次産業化の推進。西郷地域や大田の地域で検討が進められてます。3つ目として、養殖ワカメや養殖イワガキの生産量の増大と販路開拓。松江や海士の地域で検討がされています。それから、アワビ、サザエなどの磯根資源の増殖。浦郷でございますとか出雲や益田、こういった地域で検討が進められています。こういった取り組みは、今各地域で検討が進んでいるところでございます。  県といたしましても、この浜プランの策定を推進し、その実効性を高めるために、本年度から新農林水産振興がんばる地域応援総合事業、いわゆるがんばる事業でございますけども、この新たなメニューとして漁業構造改革支援を設けておりまして、国や県の既存の関連施策では支援対象とならない、そういうソフト事業、また小規模のハード事業、こういったものを対象といたしまして、漁業所得向上の取り組みを支援することとしております。今後、浜プランを着実に進めるとともに、従来から取り組んでいる水産物消費拡大対策や担い手対策についても推進いたしまして、沿岸漁業の振興を総合的に図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、県内沿岸の藻場、それから磯焼けの現状についてお尋ねがございました。  近年、議員からも御指摘がありましたとおり、一部の海域において海藻が減少したといったような情報が漁業者の方から寄せられております。このため、今年度から5カ年の計画で水産技術センターによる藻場の分布、モニタリング調査を開始したところでございます。全県的に漁業関係者への聞き取り調査を行い、藻場の分布状況を調査するとともに、藻場の減少や磯焼けの原因、それから対策、こういったことを検討することとしております。  なお、全県的な藻場の調査につきましては、若干古いデータになりますけれども、過去、1994年に実施された環境省の全国的な基礎調査の結果では、地域単位での藻場が消失するような大規模な磯焼けというものは、その当時は確認されなかったということでございます。  次に、隠岐、それから県内のアワビ、サザエ、この漁獲量の推移についてお答えをいたします。  平成16年から平成24年のアワビ、サザエの漁獲量の推移を見たところ、アワビにつきましては、平成16年には県全体で55トン、隠岐地域で約11トンであったものが、平成18年にはそれぞれ約69トン及び約12トンに増加をしたところでございますけども、その後減少傾向となりまして、平成24年にはそれぞれ約34トン及び約5トンにまで減少しております。この減少の程度を見ますと、隠岐地域のほうが全県平均よりも若干減少の幅が大きいようでございます。  一方、サザエにつきましては、平成16年には県全体で約516トン、隠岐地域では約180トンであったものが、平成20年にそれぞれ約566トン及び約263トンまで増加をいたしましたけれども、その後、同様に減少傾向となりまして、平成24年にはそれぞれ約185トン及び約146トンにまで減少しているものでございます。サザエについては、全県平均と隠岐の減りぐあい、それほど差はないようでございます。  こうしたアワビやサザエの漁獲量の変動につきましては、漁業者の数、それから操業回数の変化、こういったことや、藻場などの環境の変化、また近年流行しているアワビの伝染病、伝染性疾病、この影響による資源量の変動など、さまざまな要因が考えられるというふうに思っております。  次に、藻場の保護、磯焼け防止対策についてお答えをいたします。  藻場の保護、回復や磯焼け防止のための具体的手法としては、ウニなどの食害動物の駆除、それから岩盤清掃、人工的な藻の移植などが知られているところでございます。県内では隠岐地域におきまして、国の離島漁業再生支援交付金を活用して、食害動物の駆除やアマモ、ホンダワラの移植に取り組んでおられるところでございます。また、益田地域の漁業者グループが国の水産多面的機能発揮対策事業を活用して、食害動物の駆除や岩盤清掃を試験的に実施しているところでございます。  さらに、今申し上げたとおり、水産技術センターで今年度から全県的な藻場の分布状況モニタリング調査を開始したところでございまして、今後その結果を踏まえて、必要な対策を検討していくこととしたいというふうに考えております。  次に、県下の養殖業の実情と今後の展望についてお答えをいたします。  議員から御指摘がございましたとおり、島根の沿岸地域、沿岸海域は魚類養殖には不向きな環境にございますので、餌を与える必要がなく、比較的狭い湾内でも育てることができる貝類や藻類を主体として、島根県では養殖業が営まれております。主な産品はイワガキとワカメでございまして、いずれも隠岐と島根半島を主な漁場として、平成25年にはそれぞれ200トンの収穫量となっております。  県といたしましては、県の活性化計画・第2期戦略プランの中でこうした貝類や藻類の養殖生産の拡大を図るため、イワガキやワカメの品質向上、養殖作業省力化技術の普及、ハバノリなど新たな藻類養殖種の検討、定置網漁業とワカメ養殖の複合経営化など、こういったことに取り組んでいるところでございまして、引き続き貝類、藻類の養殖振興を進めていきたいというふうに考えております。  最後に、海のゆりかごづくりプロジェクトの取り組み状況についてお答えをいたします。  県の活性化計画・第2期戦略プランの中で、隠岐地域においては藻場の造成や海藻類の新たな有効活用を推進する海のゆりかごづくりプロジェクトを展開しているところでございます。具体的には、隠岐の島町、西ノ島町、知夫村では、ハバノリなど新たな海藻養殖の導入、アマモ、ホンダワラの移植、鉄分の補給による藻場の生育環境の改善、こういったことに取り組んでます。また海士町では、十六島ノリなどの新たな養殖技術の開発、緑藻類から虫歯、歯周病予防に効果があるとされるレクチンという物質を抽出する、また海藻からエネルギー源としての糖分を抽出する、こういった取り組みを行っているところでございます。  プロジェクト全体の実施状況を見ますと、養殖技術開発につきましては少しずつ成果が出てきておりますけれども、藻場の造成や有効成分の開発、実用化にはさらに継続的な取り組みが必要な段階にあるというふうに認識をしております。県といたしましては、引き続き必要な技術的支援を行うとともに、いわゆるがんばる事業、それから国の離島漁業再生支援交付金、こういったのを活用いたしまして、このような取り組みを推進していきたいというふうに考えております。以上です。  失礼いたしました。先ほどサザエの漁獲量の推移ということでお答えを申し上げたときに、平成24年のサザエの県全体の漁獲量につきまして185トンと申し上げましたけども、約385トンでございます。訂正させていただきます。失礼いたしました。 7: ◯議長岡本昭二) 萬代議員。  〔萬代弘美議員登壇、拍手〕 8: ◯萬代弘美議員 日本共産党の萬代弘美です。  私は、暮らし、命、福祉を守る立場で、大きく3点について伺います。  最初に、子ども・子育て支援新制度について伺います。  来年4月から、保育、幼稚園など子育てにかかわる制度を根幹から転換する子ども・子育て支援新制度の実施が予定されています。新制度は、企業参入による保育市場化を目指した保育所制度の改革をベースとして、民主党政権時代に、民主、自民、公明の3党合意によって強行されました。新制度は、これまでの市町村の責任で保育を提供する現物給付の制度を改め、利用者と事業者の直接契約を基点にする現金給付の仕組みに変更をし、市町村の保育実施の責任を後退させるものです。  このような仕組みのもとで、小規模保育を始めとする地域型保育事業が導入されます。小規模保育などの基準では、一部を除き、保育士の資格要件が不要となり、市町村の研修を修了した家庭的保育者だけでも事業を可能とするものとなっています。保育士配置基準の緩和は、保育格差を生み出すことになりかねません。  私は、この間、保育関係者や保護者の方から、新制度についてお話を伺ってきました。保育関係者からは、「新制度になってもこれまでと同じような保育ができるのか」、また保護者からは、「市が行っている保育料の第3子無料化に所得制限が設けられました、保育料の負担が心配です」など、新制度に対する不安の声が寄せられています。  新制度では、認可保育園や小規模事業の認可基準、保育料徴収など、実施主体である市町村が判断することが多くあり、県内市町村では独自に上乗せを行い、基準の改善を図っている自治体もあります。格差のない保育を進めることは、国と自治体の責務です。そのために、児童福祉法第24条第1項の市町村の保育実施の責任を基本とし、現行の保育水準を後退させないよう、県と市町村が連携して維持、拡充を図るべきです。  以上の立場から5点伺います。  まず1点目は、新制度における営利企業の参入についてです。  新制度は、待機児童の解消を図るために、保育士の配置基準が緩和された小規模保育事業などを推進することで、企業を参入しやすくしようとしています。このことは、国と自治体の保育に対する責任を後退させ、保育を営利企業に委ねるものにほかなりません。横浜市では待機児童ゼロを目指し、規制緩和を進め、企業参入を促してきました。しかし、その結果、保育所の人件費比率は社会福祉法人が70.7%であるのに対し、株式会社では53.2%となっています。このように、営利目的の企業保育所は人件費比率が極めて低い傾向にあり、保育士の待遇が劣悪になることから職員の入れかわりが頻繁となり、保育の質の低下をもたらしている例も生じています。保育の営利化や規制緩和を進めるのではなく、公的保育責任を拡大すべきと考えますが、所見を伺います。  2点目は、保育士の処遇改善についてです。  保育現場からは、「職員の待遇改善をしていかないと働き手がいなくなる」、「特に男性保育士がやめていく」、「求人募集をしても人が集まらず人材確保ができない」などの声が寄せられています。  今日、保育園の保護者の中には、母子家庭などで経済的困難を抱えている家庭がふえてきており、また、多動傾向やパニックを起こすなど配慮が必要な子どももふえています。こうしたさまざまな困難を抱えている保護者を励まし、一緒に子どもの成長を見守っていくことは保育士が寄り添える環境が必要であり、ゆとりを持って働けるように、職員配置基準の見直しと処遇の改善は欠かせません。しかし、政府は新制度発足に当たって、予算がないことを理由に、職員配置の最低基準の改善や給与の引き上げなどの処遇改善を先送りしています。県として国に対し、消費税頼みではなく公費を投入し、専門職にふさわしい水準までの給与の引き上げや職員配置の抜本的な改善を強く求めるべきです。所見を伺います。  3点目は、認定こども園の認可基準についてです。  認定こども園は、施設と保護者の直接契約となるため、市町村の保育実施責任が曖昧となっています。国は、幼保連携型こども園の学級編制、職員、設備及び運営に関する基準を提示していますが、国の認可基準には問題があります。それは、1学級の幼児数は35人以下となっており、いわゆる35人学級を是認しています。今日、県内の小学校1、2年生は30人学級になっている中、35人は多過ぎると考えます。また、食事の提供については、アレルギーやアトピーの子どもたちがふえる中で、全国ではアナフィラキシー症候群などの重大事故が起こっているケースもあり、外部搬入を容認すべきではありません。国基準では、学級定数は30人以下に改善すること、20人以下の施設では調理員、調理室の必置義務はないとされていますが、外部搬入の容認ではなく、自園調理方式による給食の提供を行うこと、園舎の建物は2階以下とするなど、基準以上に改善すべきと考えますが、所見を伺います。  4点目に、オプション保育について伺います。
     新制度では、英語や体操などをオプション保育として、自治体の合意があれば保育料に上乗せ徴収をすることが可能になります。しかし、市町村が入所先を決めることから、選択できない保護者にとっては負担増になります。関係者からは、「保育が商品になり、就学前の子どもが金もうけの対象になってしまう」、「親がお金を払って子どもに次々と早期教育を受けさせるような事態になりかねない」、「子どもが日常生活や遊びの中でさまざまなことを学び発達する場所が、利益目的のオプション保育によって阻害されかねない」など、オプション保育の導入を懸念する声が出されています。保育格差をなくす上でも、上乗せや実費徴収は進めるべきではないと考えますが、所見を伺います。  5点目は、新制度の周知についてです。  新制度への移行における国の対応のおくれは、新制度が保育制度を根底から変える戦後初めての大きな改革であるにもかかわらず、保護者や保育関係者に制度内容がほとんど周知されていないという問題を引き起こしています。出雲市認可保育所保護者会連合会が保護者に行ったアンケートでは、子ども・子育て支援新制度を御存じですかとの問いに、知っていると答えたのはわずか8.7%で、1割にも満たない結果となりました。保育現場からは、「保護者から保育料はどうなるのかとの問い合わせがあっても答えられず困惑している」、「行政から保護者への説明は保育園独自で行ってほしいと言われた」などの声が出され、新制度への移行に対して大きな戸惑いが生じています。保護者や保育関係者に対し、新制度について丁寧でわかりやすい説明をすべきです。所見を伺います。  次に、米価の下落対策について伺います。  米の収穫時期を迎える中、生産者米価が大暴落し、県内各地の農家からは、「この低米価では米づくりは続けていけない」と悲鳴が上がっています。2014年度産の生産者米価であるJAの概算金は、前年度より3,000円も下回り、米1俵の値段が8,000円から9,000円となりました。農水省の調査では、2012年産米60キロ当たりの生産費は約1万6,000円であり、ことしはその半額で米を売るという異常事態です。これでは、稲作労賃ゼロのただ働きの上に、肥料や資材代も捻出できません。特に、大規模経営、集落営農組織ほどその影響は大きく、このままでは経営が立ち行かなくなります。  県内農家の方からは、「トラクターなどの農機具代などの返済や修理代もかかる、米価が下がれば田んぼをつくっても支払いができない」、「年末の通帳引き落としが怖い」、「20町歩から30町歩の集落営農を始めたが、大規模農家ほど大変、やめる人も出ている、労務費は皆さんに働いていただいた賃金なので払わなければならない、運営はどうしても資金不足になる、来年度は短期の借り入れをしないと作付ができない、安倍農政改革は法人潰しだ」などの悲痛な声が寄せられました。  私は、今月4日から5日にかけて、昨年、県西部を襲った豪雨災害の現地調査を実施いたしました。被災された農家からは、「田んぼの復旧はこれからで、来年の植えつけに間に合うか心配、来年も植えつけができないようなことになれば、農業を続けていけるかどうか不安です」と訴えられました。ことしの米価の暴落は、こうした被災者を一層窮地に追い込むことになるのではないでしょうか。  そもそも今回の米価下落の原因は、安倍内閣が進めるTPPを前提とした国の需要調整責任を放棄し、農家に自己責任を押しつける農政改革によってつくられたものです。安倍政権は、ことしから米に対する経営安定対策助成金を10アール当たり7,500円に半減させ、2017年には打ち切る方針を決定しました。また、米価が下がった際の補填金でもある米価変動補填交付金も事実上、廃止しました。このことが米価下落に拍車をかけ、複合的に被害を広げています。  米価下落は、政府がその気になればとめることができます。それは、これまでやってきた政府備蓄の古米を主食用外に処理し、新たな買い上げや途上国への支援などを行うことです。自然相手の農業生産に過剰や不作はつきものですが、作柄や価格の変動に応じて政府が需給調整するのは当たり前のことであり、世界の常識です。アメリカでさえもやっていることです。TPP参加や市場任せの農政は、消費者にとっても国産米の安定供給や食の安全・安心が大きく脅かされることになります。国民の主食の安定確保に政府が責任を持つのか、その責任が鋭く問われています。  島根県にとっても、農家の減少は大きな影響を及ぼします。来年は農業センサスの年です。地方交付税の中の農業行政費は、農業センサスの農家数によって決まります。しかし、この間、毎年1,000戸の農家が消滅しています。試算では、5年間で5,000戸減るとなると年間約10億円の財源を失うことになります。このまま減少を放置すれば、県財政の上からも大きな問題です。安定した米づくり支援は島根の農業にとって欠かせない施策であり、急がれます。  6月県議会で我が党の尾村利成県議の質問によって、誘致企業に対して5年間で83億円もの補助金、助成金を投じた結果、わずか24人しか常用従業員数がふえていなかったことが明らかになりました。私は、誘致企業への支援を否定するものではありませんが、県内の基幹産業である農業を守るためにも、今こそ支援策を強めるべきです。  そこで、4点伺います。  1点目は、国の責任についてです。国に対し、過剰在庫米を買い上げ、需給と価格安定に責任を持つよう強く求めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。  2点目に、再生産を保障するために、県独自で費用や資材費などの物財費を補填するなど農家への支援策を進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。  3点目に、県はTPPの影響について試算していますが、米価下落による県内の稲作農業生産の縮小の影響を試算するべきと考えますが、いかがですか。また、試算結果はいかなるものか伺います。  4点目に、県の人口対策、定住促進にとって、県土の9割を占める中山間地の農業、米づくりの安定は欠かせないと考えます。県として、米価暴落対策本部を設置し実情把握に努め、農家への抜本的支援策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。  最後に、土砂災害対策について伺います。  質問の前に、広島市では、8月19日夜から20日未明にかけての集中豪雨による土砂災害で多くの方が犠牲になられました。亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表すとともに、被害を受けられた皆様に心からのお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い生活再建、復旧を願うものです。  私は、今月初旬、広島市安佐北区、安佐南区の被災地を視察してきました。また、米価下落対策の質問の中でも紹介しましたが、昨年の豪雨災害から1年余りがたった県西部の津和野町、邑南町の復旧現場の状況を視察し、住民の皆さんから御要望をお聞きしてきました。広島市では被災された住民の方から、「一日も早く平穏な生活を取り戻したい、行政の強力な支援が欲しい」、「これからどこで生活再建をしたらいいのか、ここで住み続けることができるのかとても不安」と話されました。  県西部では、大規模な河川や道路などは目に見える形で着々と工事が進んでいる一方、土砂や石などが流入した田んぼなどは、被災直後のまま取り残されている箇所が数多くあることを確認しました。町の職員の方からは、「仕事の発注はとりあえずめどが立ったが、期間中に事業が完了するかどうかわからない」と復旧に向けての課題をお聞きしました。  邑南町の住民の方は、「30年前から砂防ダムの建設を要望し、やっと2基のうちの1基が整備されることになった」と一日も早い砂防ダムの整備を願っておられました。私は、今回の視察調査を通じて、被害を繰り返さないため、抜本的な防災対策を進めなければならないと強く感じたところです。  今回の広島の災害は、島根県も昨年県西部で豪雨災害に見舞われたことからも、決して他人事ではありません。被災地の視察調査を踏まえ、4点伺います。  1点目は、土砂災害のハード対策についてです。  土砂災害の対策には2つの対応があります。1つは、住民に危険箇所を周知し、避難対策を整備するなどのソフト面の対策、もう一つは、土石流の勢いを弱める砂防ダムなどの施設整備を行うハード面での対策です。県内の土砂災害のおそれがある危険箇所は2万2,296カ所あり、全国で広島県に次ぐ2番目の多さです。その中で、緊急に砂防ダムなどの対策工事が必要な要対策箇所は5,889カ所あり、対策が終わっている箇所は、わずか18%です。しかし、県の砂防予算は、1999年のピーク時の全体事業費160億円余りと比べ、今年度の砂防関係予算全体では43億6,600万円余りに激減しています。土砂法関係職員も3人しか配置されておらず、必要に応じて土木職員の支援によって支えられている状態です。対策のおくれを改善するためにも、抜本的な予算や人員の確保は不可欠です。国に対して砂防予算の増額を求めるとともに、県として砂防予算を増額し、砂防担当職員をふやすべきと考えますが、所見を伺います。  2点目は、ソフト対策としての特別警戒区域の指定についてです。  住民に危険な地域を周知し、避難対策を整備する上で重要なことは、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域イエローゾーンと、土砂災害特別警戒区域レッドゾーンの指定です。今回大きな被害をもたらした広島市安佐南区の八木、緑井の両地区では、土砂災害警戒区域の指定がゼロでした。県西部の豪雨災害でも指定されていない箇所で被害が出ています。島根県内の土砂災害警戒区域イエローゾーンの指定は全国で一番多い3万1,989カ所ありますが、土砂災害特別警戒区域レッドゾーンの指定は旧江津市の912カ所と、指定がとてもおくれています。気候変動の影響によって記録的な豪雨が多発する中で、土砂災害への備えを拡充すべきです。土砂災害特別警戒区域の指定を急ぐべきと考えますが、所見を伺います。  また、要対策箇所の再点検を進めるべきと考えますが、所見を伺います。  3点目は、土砂災害特別警戒区域に指定されると、建てかえや新築に規制がかかり、住民にとって大きな負担となる問題についてです。  私は、国が支援策を全く講じない中、県単独での住宅補強支援事業の実施は評価をするものです。しかし、島根県の住宅補強支援事業の補助には、補強費の23%、74万円の上限額が設けられており、その額が実態に合っていないという問題があります。鳥取県が行っている同事業は、定住対策とあわせて限度額が200万円となっています。県として制度を拡充するとともに、住民負担の軽減や移転費用の支援を国に要望すべきと考えますが、所見を伺います。  4点目は、局地的豪雨災害を踏まえ、防災対策の強化についてです。  防災に対する備えで重要なことは、1つに、必要な防災施設の整備と安全点検を徹底するなど、防災のまちづくりを進めること。2つに、地震や津波、豪雨などに備えた観測体制の整備を進め、自治体の防災体制、消防や住民の自治組織などを中心とした防災力の強化を図ることです。住民にとって身近で実効性のある防災計画にしていくために、専門的な知見を持つ行政の積極的な支援が必要と考えます。  そこで、伺います。  県として、住民参加を基本に据えた避難経路や避難場所の確認を始め、要援護者の避難支援計画、福祉避難所の指定など、市町村に対する支援、助言をさらに講じるべきと考えますが、所見を伺います。以上で質問を終わります。(拍手) 9: ◯議長岡本昭二) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 10: ◯知事溝口善兵衛) 萬代議員の御質問にお答えをいたします。  最初の質問は、米の需給と価格安定に向けた国への要望についてであります。  8月末、JA島根中央会や県農政会議など関係団体6団体から、平成26年産米概算金の下落や、今夏の長雨、日照不足による米価の下落の懸念など厳しい状況の中で、国の対応などにつきまして緊急要望を受けたところであります。私はこの要望を受けまして、9月の初めに農林水産省に出向きまして、政府として米全体を中長期的にどのようにしていくのか、その過程で安定的な需給調整などが行われるよう、よく検討していただきたい旨、要請をしてまいりました。今後も国の重点要望などいろいろな機会に、引き続き農家経営が安定するよう国に要請をしていく考えであります。  次に、農家の再生産を保障するため、県独自で物財費を補填するなど農家への支援策を進めるべきと考えるけれども、所見を伺うと、こういう質問でございます。  議員は、米づくり農家に対する国の助成が作成される中で、こういうことを検討すべきではないかということでございますが、国の農政改革、このたび農政改革でありますが国の直接支払交付金などは廃止しましたが、その振替、拡充措置として、次のような対策を講じておるわけであります。1つは、農地を維持することに対する多面的機能支払いの創設、2つ目に、飼料米等による水田フル活用を実現する水田の有効活用対策、3つ目は、農地中間管理事業による農地集積の促進などの措置を講じていますので、県としましては、これらの振替、拡充された対策を有効に活用して、地域の実情に即した米づくりを推進していくことが大事だと考えております。  現在、国の農政改革を先取りをしました県内で行われております先駆的な取り組みの事例を、水田農業展開モデルとして農林水産部が取りまとめているところであります。次年度以降の営農に生かせるよう、県内各地への普及啓発を行っていきたいというふうに考えておりますが、例えばそのモデルとしましては、圃場整備を契機とした法人化による大規模水田経営と6次産業化のモデル、また集落営農組織の経営多角化と日本型直接支払制度を有効活用したモデルでありますとか、集落営農組織の広域連携による地域農業の振興をモデルとした9事例でございますけども、そういうものを作成しまして、県内各地での普及啓発を行い、農家経営が安定するように努力していきたいというふうに考えておるところであります。  次に、砂防予算の増額と防災担当職員の増員についての御質問がありました。  砂防関係施設を始めとします社会インフラ整備につきましては、従来より財政的な制約がある中で、地元のニーズ、緊急性、コスト等を総合的に勘案しまして、優先順位を見ながら実施をしてきたところであります。今後とも地域の実情をよく把握しながら、着実に整備を進めていく考えであります。  県の砂防予算の大宗は国の補助事業でございまして、国に予算の増額を要請し、必要な予算の確保にも努めていくと。近年では単独の予算もふやしたこともございます。平成22年から24年度、要援護者関連施設が山口県において災害に遭ったということで、このときは県の単独の予算を若干増額をしまして、この整備を優先的に進めたということがございます。しかし、大宗が国の補助予算でございますので、国に対して増額の要望をさらに行っていきたいということでございますけれども、国の砂防予算全体がずうっと近年減少してきておるわけでございます。これは公共事業全体の予算とも関連をしているわけでございますが、そういう点はありますが、よく国にも要望をしていきたいというふうに思います。  技術職につきましては、砂防事業以外の道路や河川等の事業にも携わっておりまして、各事業が円滑に進みますよう事業規模等に合わせて適切な人員配置を行っていく考えであります。  次に、土砂災害特別警戒区域内の住民に係る負担の軽減についてであります。  土砂災害特別警戒区域は住民に著しい危害が生ずるおそれのある区域でありまして、これに対する対応としましては、砂防施設の整備などによるハードの対策、あるいはそこにお住まいの住民の方々が建築物の補強、あるいはその地域から移転をされるといった場合の支援でありますとか、あるいはさらに避難対策自体を強化するソフトの対策も必要な地域であります。  こうした安全性を確保するための手段の一つとして、島根県では、区域内で住まいを改築される方に対しまして住宅補強に必要な費用を支援する制度を設けたわけであります。この制度は個人資産である住宅に対する支援でありまして、住宅の耐震化支援など他の類似の制度と比較しても同等の助成措置になっていると考えておりますが、鳥取県のほうで若干高い基準を設置をされてるということでございますが、この制度は平成21年度に鳥取県が導入をされ、島根県は平成22年度に県の単独事業として導入したものでございますが、この両県以外に、ほかの県ではこういう単独措置はとってないわけでございます。  そしてまた次に、国の制度としましては、レッドゾーンに住宅を所有する住民の方々が安全な場所に移転する際に、建物を除却する、そして建設に要する経費の一部、助成限度額は800万円程度でございますが、それを国が2分の1、県が4分の1、市町村が4分の1ずつ負担する制度があります。この制度は平成13年度に開始を国が行ったものであります。こうした危険地域にある住宅の補強や移転に対する県や国の助成措置につきましては、今般の広島県での災害も踏まえながら、その見直しについて国の考え方も聞きながら、県としても今後検討していきたいというふうに考えておるところであります。以上であります。 11: ◯議長岡本昭二) 大國防災部長。  〔大國防災部長登壇〕 12: ◯防災部長大國羊一) 避難対策に関する市町村に対する支援についてお尋ねいただきましたので、お答えをさせていただきます。  避難場所の設置など災害時の避難対策は、従来から市町村が地域の実情を踏まえて実施していらっしゃるところです。こうした中、昨年6月の災害対策基本法の改正により、市町村には一時的に難を逃れる場所、緊急指定避難場所と申しますが、そういう場所を、土砂災害ですとか洪水ですとか津波ですとかというような災害の種別ごとに指定をする、そういうようなこと、あるいは避難に特に支援を要する方々の名簿、避難行動要支援者名簿と申しますが、そういう名簿を作成することなどが義務づけられました。  市町村では、住民の方々と一緒になって避難対策に取り組まれているところですが、市町村が行うべき対策が多くなり、また求められる内容が複雑、高度になってきたことから、御苦労されているという話を伺っておりました。こうしたことから、私どもでは市町村の避難対策を支援するため、今年度から防災危機管理課の職員一人一人にそれぞれが担当する市町村を割り当て、その職員が直接市町村に出向いていって相談に応じたり、あるいは市町村からの電話等による相談をその職員がワンストップで対応するというような体制をつくりまして、相談体制についての強化を図りました。  また、年度初めに県が開催する災害関係の説明会の中で、各市町村担当の方々が自分のところの取り組みで他の団体の参考となるような事例を発表してもらったり、逆に課題を提起してもらったりする、そういう場を設け、市町村相互の間の連携強化を支援する、そういうことなどをして市町村に対する支援の強化を行っているところです。この夏も全国各地で豪雨災害が発生し、防災対策の強化が求められています。県としては、引き続き市町村の避難対策を始めとした防災の取り組みを支援してまいります。 13: ◯議長岡本昭二) 原健康福祉部長。  〔原健康福祉部長登壇〕 14: ◯健康福祉部長原仁史) 私のほうへは、子ども・子育て支援新制度につきまして5項目の御質問をいただきました。  まず、新制度は保育を営利企業に委ね、質の低下をもたらすものであることから、規制緩和を進めるのではなく、公的保育責任を拡充すべきと考えるが、どうかということについてでございます。  子ども・子育て支援新制度は、全ての子どもが健やかに成長するために安定財源を確保して、子育て支援の量的拡充と質の改善を図ることを目的としております。保育所の運営主体は、これまでと同様に市町村、社会福祉法人、株式会社などでありまして、新制度が保育所の営利化や規制緩和を進めることを主眼とするものであるというふうには認識しておりません。市町村が保育の実施義務を担うことは改正児童福祉法第24条に規定されておりまして、新制度の移行後におきましても、市町村による公的保育責任は公的に担保されているというふうに承知しております。  次に、国に対し保育士給与の引き上げや職員配置の改善等を強く求めるべきと考えるが、どうかということについてでございます。  新制度におきまして、保育士の給与の引き上げや職員配置の改善等に必要な財源につきましては、子ども・子育て支援法案等に対する国会の附帯決議におきまして、1つに、幼児教育、保育、子育て支援の質、量の充実を図るためには1兆円超程度の財源が必要であること。2つに、今回の消費税率の引き上げ、これは5%から10%に引き上げるということでございますが、この引き上げにより確保する7,000億円程度以外の3,000億円超について、速やかに確保の道筋を示すこと。3点目に、今後の各年度の予算編成において財源の確保に最大限努力するものとすることというふうにされておりますが、現在までのところ、この所要財源の全額を確保するめどは立っていないところでございます。  県では、これまでも国に対しまして、量的拡充と保育士の処遇や職員配置の改善などの質の改善を同時に実施するための十分な財源の確保を求めてまいりました。引き続き、国に対してこのことについて求めてまいりたいと考えております。  次に、認定こども園の施設等の基準についてのお尋ねがございました。  新制度におきましては、市町村は保育所のほか認定こども園等により必要な保育を確保しなければならないこととされております。また、認定こども園に対する市町村の関与はこれまで以上に強化され、資料提出を求める権限や立入検査権等が付与されることとなっております。  また、認定こども園の学級編制や給食、園舎につきましては、保育所や幼稚園と同様な基準が適用されることとなっております。議員が主張されますように、認定こども園に保育所や幼稚園を超える水準を求めることは、認定こども園に過度な負担を求めることとなるため適当ではないと考えております。  次に、上乗せ徴収や実費徴収は進めるべきではないと考えるが、どうかということについてでございます。  まず、上乗せ徴収につきまして、新制度では、保育所や認定こども園が園の特色あるサービスを提供するために必要な経費について上乗せ徴収を行う場合は、保護者への説明と文書での同意を得ることがルール化されます。また、私立保育所につきましては、これに加え、現行制度と同様、委託者である市町村にあらかじめ協議をして同意を得ることも必要でございます。保護者は、県が公表することになります上乗せ徴収の額や理由等を参考に、希望する入所先を選択し、市町村に申し込みをし、市町村はこの保護者の希望を踏まえた上で入所先の調整を行うこととなっております。仮に希望した保育所等に入れない場合でありましても、上乗せ徴収は個々の保護者への説明と同意が前提であります。上乗せ徴収を行っている保育所等への入園によって支払いを強制されるものではございません。  次に、実費徴収についてです。  給食費や保護者会費等の実費徴収についても、保護者への説明と同意が必要とされております。実費徴収は、保育に必要な経費として保育料とは別に徴収されるものであり、児童ごとに金額が異なるなど、一定の合理性があるものと考えております。  なお、新制度では、低所得者世帯について徴収された実費を市町村が補填する、いわゆる補足給付の仕組みが設けられることとなっております。  最後に、保護者、保育関係者に対し、新制度について丁寧でわかりやすい説明をすることについてであります。  議員おっしゃるとおり、子ども・子育て支援新制度の円滑な実施に向けた制度の周知は大変重要であると認識しております。保育関係者に対しましては、ことし7月に市町村との共催によりまして県内6カ所において説明会を実施するとともに、関係団体等の会議や研修会等にも出向き、制度の説明や意見交換を行いました。保護者に対しましては、今後市町村におきまして、新制度の概要や利用申込方法等について広報紙やチラシの配布等により広報が行われる予定となっております。また、県におきましても、県の広報や新聞媒体等を活用し、新制度の概要等について情報提供を図ってまいります。県及び市町村が歩調をそろえて、保護者、保育関係者に丁寧でわかりやすい説明を行っていくことで、新制度の実施に遺漏がないように期してまいりたいというふうに考えております。 15: ◯議長岡本昭二) 石黒農林水産部長。  〔石黒農林水産部長登壇〕 16: ◯農林水産部長石黒裕規) 私からは、米価下落対策について、2点お答えをいたします。  まず、米価下落による県内の稲作農業生産の縮小の影響を試算すべきではないかということでございますけども、このような試算をすることは、次の2つの理由により難しいと考えております。  まず1点目に、米価の最終的な下落幅、これが未確定であるということ。つまりJAの概算金、これは確かに示されたわけでございますけれども、概算でございまして、今後、その販売の状況によりまして精算が行われます。精算時の追加払いということがあるというのが1点ございます。それから、JAを経由しない契約取引、直接販売されてるそういった生産者の方もおられます。そういった方々の米価につきましては取引の当事者間で決めることでございまして、JAの概算金が下がったからといって、必ずしも下がるとは限らないと。こういったことから、米価の最終的な下落幅というのが確定していないということでございます。  それから2点目として、ことしの作柄、収量でございますとか品質でございますとか、そういったことがまだ確定していないということでございます。こういった2つの理由から、影響を試算するということは難しいというふうに考えております。  次に、県として米価暴落対策本部を設置し、実情把握に努め、農家への抜本的な支援策を講じるべきという御指摘でございました。今年産の米の作柄や価格の動向につきましては、日ごろから、本庁また各圏域の農業普及部、こちらにおきまして実情の把握に努めてきたところでございます。  このような中で、先月8月末には、関係の団体から緊急融資制度の創設についての要望もございました。こういった状況を受けまして、今般JAグループと連携した無利子融資制度を創設して、11月1日から開始することにしております。また、この融資制度の開始に先立ちまして、明日から農業普及部や農業技術センターに経営や栽培に関する相談窓口を設置することにしております。現時点ではこのような体制で、今年産の米価下落に対応していく考えであります。以上です。 17: ◯議長岡本昭二) 冨樫土木部長。  〔冨樫土木部長登壇〕 18: ◯土木部長冨樫篤英) 私からは、土砂災害特別警戒区域の指定及び要対策箇所の再点検についてお答えいたします。  土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンのための詳細な調査につきましては、平成30年度までに完了するよう計画的に行っております。これまでは、市町村の意向により市町村単位で指定することを中心に検討を進めてきておりましたが、今後は早期の指定を図るため、調査を終えたところから、順次区域単位での指定につきましても市町村と協議をしてまいります。  次に、要対策箇所につきましては、平成14年度の取りまとめ以降10年以上経過していることや、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンの調査により新たな知見が得られていることから、市町村の意見を聞きながら要対策箇所の再点検を行ってまいります。 19: ◯議長岡本昭二) 萬代議員。  〔萬代弘美議員登壇〕 20: ◯萬代弘美議員 今御答弁いただきましたけど、1点について再質問させていただきたいと思います。  それは、米価下落のこのたびの大変な、農家の皆さん苦労していらっしゃいますけども、この米価の下落に対する支援について、重ねて質問をさせていただきたいと思います。  今御答弁いただきましたけれども、今の米の値段が前年に比べ3,000円下がったと。この値段は農家の皆さんの生産額にも追いつかない、その半分にもならない、半分という非常事態であるという、この事態に対する支援を求めたわけです。しかし、今御答弁の中では、国が米価安定対策などいろいろ施策を講じているから、それに沿って、県としても集落営農の応援、また大規模経営、普及啓発など、農家支援を行っていくというような御答弁だったわけですけれども、今この米価の暴落によって一番困っているのは、集落営農、法人など大規模な農家ほど大変な事態になっているということです。その悲痛な声については先ほど質問の中でも触れましたので、あえて重ねて申し上げませんけれども、今稲刈りのまだ真っ最中でして、そういった皆さんが本当にこのまま農家を続けていけるかどうか、来年植えつけができるか、こういったことで悩んで苦しんでいらっしゃいます。この事態に対して、県として緊急な支援が必要ではないかということを申し上げているのでありまして、国の農政の問題やらは、波及的な問題を広げているということであります。  このたびの農家の暴落の一番の背景は、卸業者などが今の国の農政などの方向も見据えた上で、在庫をたくさんに抱え込んでいたものを放出すると、国が需給調整を行わないという中で、こういった事態の中で今起きている問題でありまして、今言いましたように、農家の皆さん、来年どうなるのかと。県のほうでは緊急融資を設けられたことは私は評価しますけれども、続けていけるかどうかという希望も見出せないような事態になってます。やっぱりこのままでは離農が進みますし、これ以上離農が進めば、国の主食である米を確保することも非常に不安定になっていく、その瀬戸際に立たされていると思います。  島根県は中山間地を抱えた地域です。私は、先般災害でも歩きまして、中山間地に行くたびに思いますけれども、農家の皆さんが田んぼの堤など、本当にきれいに刈り込んで田んぼを管理しておられる、そういった様子が一転をして大変な状態になってるわけです。そういった皆さんが離農されるんではないか、そうなった場合に、本当に多面的な田んぼの機能である、災害を防ぐ自然のダムと言われる田んぼが守っていけるかどうか、このことが本当に心配になったわけですけれども、そういう島根県の状況を踏まえて、ぜひとも県として、また先ほどは例えばの例で物財費を補填してはどうかということを申し上げましたけれども、財政的な支出を行って、農家の皆さんの支援を行うべきだということを思いますけれども、重ねての質問になりますけれども、再度知事に御答弁いただきたいと思います。 21: ◯議長岡本昭二) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 22: ◯知事溝口善兵衛) 萬代議員の御質問にお答えを申し上げます。  現在起こっております米価の下落、いろんな要因があるわけであります。1つは、議員がおっしゃられた在庫の放出っていうことがあるということでございますし、また民間と申しますか、政府が直接ではありませんけども、需給の状況を見ながら買い上げをするっていうようなことも行われておりますけども、そういうものがどうなるかっていうことも1つあろうかと思いますが、他方で、中長期的に農家経営が安定をするように、いろんな対策も講じていかなきゃいかんと。  いろんな要素がありますし、それから今年の場合は、長雨、日照不足による影響がまた農家経営にどういう影響を及ぼすのか、十分見通しが今の段階ではっきりしているわけではありませんけども、そういう中で、県としましては無利子の貸し付けっていうことを当面の緊急対策として導入をしたわけでありまして、これはJAのほうも協力をされて、この無利子貸し付けの仕組みができたわけでありますけども、こういうことを行いながら、萬代議員がおっしゃられた中長期的に農家の方々が米づくりから離れることになる、そうした問題をどう考えるかということもあります。そういうことも我々も考えていかなきゃいかんことは当然のことでございまして、それは国の農家経営に対するいろんな仕組みが変わったわけでございますけども、変わっておりますけども、振替て別な制度をつくるといったことも行われておりますから、そういう影響などもよく見まして、よく検討していきたいというふうに思っておるとこでございます。以上であります。 23: ◯議長岡本昭二) 萬代議員。  〔萬代弘美議員登壇〕
    24: ◯萬代弘美議員 国の動向なり、また今後の状況を見て判断をしていかなければいけないというふうなお話でしたけれども、今先ほどから繰り返し言っておりますように、緊急事態だと、来年できるかどうかわからないといったような農家の皆さんの苦悩があるわけです。その背景には、国の農業政策が大きく影響しているということも言えますけれども、私はこういった事態にあって、島根県の基幹産業である農業をしっかりと守るという県の姿勢を示すことが大事ではないかというふうに思います。その意味では、今史上最低の米価に下がったというこの事態に、県がただ手をこまねいているということでは済まされないと思いますので、ぜひとも県として財政的な支出をされるよう重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。 25: ◯議長岡本昭二) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。        午前11時55分休憩        午後1時3分再開 26: ◯副議長(小沢秀多) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて一般質問を行います。  嘉本議員。  〔嘉本祐一議員登壇、拍手〕 27: ◯嘉本祐一議員 議席番号2番嘉本でございます。一般質問に入らせていただきます。  「安来千軒 名の出た所 社日桜に十神山」、七七七五調のこの歌に代表される安来節は、安来市民はもとより島根県内、日本国内の人々に親しみを持って受け入れられてきました。  安来節の起源は、北前船が頻繁に日本海を往来した江戸時代にさかのぼるとされています。寄港地では船乗りを迎える町が発達し、さまざまな唄が歌われるとともに、その唄は船乗りの手で、また別の港に伝えられていきました。当時、米や鋼の積出港として栄えた安来港も、全国津々浦々を回る船の寄港地で、北前船で境港にもたらされた唄が、さんこ節として姿を変え、さらに出雲節を経て安来節が生まれたと言われるように、全国からさまざまな影響を安来節は受けてきました。安来節は全国の民謡のるつぼの中から生まれたのであります。北前船を通じて、全国各地の民謡の文化、生活文化をたどる上で、安来節の歴史的、文化的意義は大きいものがあると考えます。  また、安来節が日本の大衆演芸史に残した足跡も偉大なものがあります。「わたしゃ出雲の 安来の生まれ 子守りうたから 安来節」という歌がありますが、明治の時代、子どものころから安来節を歌っていた渡部お糸が、安来市の荒文旅館において文部省の役人の前で安来節を披露し、できばえが抜群であったのに役人が驚き、郷土芸能として保存するよう激励したということがきっかけで、渡部お糸が安来節とともに頭角をあらわしたそうであります。  大正5年、東京蓄音機株式会社や鷲印レコードがお糸の安来節のレコードを制作したことにより、安来節が全国に普及、流行し、大正6年から、渡部お糸の一座が東京鈴本亭などで興行を始め、首都の人たちに披露されたということであります。そのお世話をされた人たちの中に、後の総理大臣若槻禮次郎氏もおられたということであります。  大正8年には、大阪吉本興業が寄席の不況打開策として安来節を採用し、道頓堀で開幕し、大成功をおさめたということをきっかけに、東京と大阪で安来節の専門館が誕生したほどでございます。このころ、渡部お糸は全国各地はもとより、朝鮮半島、台湾、満州まで巡業を行っていました。お糸の成功に刺激を受けて、多くの出雲、伯耆の芸人が一座を組んで、関西や浅草に出ていきました。各劇場は競って舞台に取り入れ、大正10年ごろの興行界は安来節一色に染まったそうであります。  昭和になってからも、戦前、戦中には病院、前線などへの慰問をする役割を安来節は果たしました。戦後になってから、一時NHKのど自慢大会などのテレビ番組で安来節の出演が盛んとなり、多くの民謡ファンの支持を受けました。今でも安来市内では安来節演芸館を中心に安来節の公演が日常的に行われ、毎年8月には安来節全国優勝大会が開催され、全国から安来節のつわものが集い、そのわざを競います。そして、市内外を問わず、安来節は余興として振る舞われ、社会の潤滑剤、安定剤として、今もその役割を果たしています。  安来節の興隆の背景には何があったのでしょうか。民謡は古くから、農業などの重労働から心や体を癒やす余興として長く支持されてきました。また、富国強兵や戦後経済成長の時期においては、農山村出身の労働者の人たちが都市に移り住み、大都市の人口の大きな部分を占め、忙しく働きながら日本の社会経済の屋台骨となる中で、ふるさとに対する思いを温め守り、日々のつらい仕事や雑事から解放してくれたものの一つが民謡であったと思います。その代表として、一人の図抜けた才能の持ち主、初代渡部お糸によって全国に広められたのが安来節だったと言えないでしょうか。安来節の歌詞をごらんになれば、日常の出来事やそれに対する思いを取り上げたもの、身近な自然や歴史、伝統や文化に対する賛美など、私たちの生活を題材にしたものがとても多く、それが共通の要素として全国の人たちに受け入れられたのだと思います。安来節は地域の人とともにありながら、同時に全国の人たちとともにあったのです。  今から103年前、明治44年に安来節保存会が設立されました。今では全国に65支部が存在し、会員数は約3,700名を数えます。同保存会は、先ほど紹介した安来市での安来節全国優勝大会の開催や安来節演芸館での常設公演はもとより、年の初めの唄い初め会、桜まつり、お糸まつりや、安来節の修業をする皆さんの講習会や研修会、国内外の公演、国内の全国民謡大会への出場など積極的に行い、正調安来節の保存、継承に努めておられます。  「花の安来で 生まれて育ち 今じゃ世界の 安来節」という歌もあります。平成元年から、国外の公演だけを見ても、平成3年ニューヨーク島根文化展、アメリカジャパンウイーク、平成6年環日本海国際親善サイクリングinウラジオストク、平成12年まつりinハワイ、平成12年韓国密陽市親善訪問、平成18年パリ公演、平成19年のドイツ公演、ハワイ公演があります。  平成23年には安来節保存会創立100周年記念式典を開催し、市内外の皆さんにより100周年を祝いました。ことしは初代渡部お糸60回忌追悼記念祭も開催されました。ちなみに初代お糸は、昭和23年、島根県知事より安来節の振興並びに観光宣伝の功労者として第1回文化功労章を受け、現在の家元4代目お糸は、平成24年に文化庁より地域文化功労者表彰を受けておられます。  こうした経緯を踏まえ、ことし7月に、安来節保存会が中心になって保存、継承している正調安来節が安来市の無形文化財に指定されたところであります。このことについてどのように受けとめておられるのか、知事と教育長にお伺いいたします。  また、島根県が正調安来節を文化財に指定することについてどのように考えられるか、お伺いいたします。  次に、県内消防団の支援について伺います。  阪神・淡路大震災、東日本大震災で、火災の消火、救命、救助で大きな役割を果たしたのが消防団であります。ことしの広島、昨年の島根県西部を中心とした豪雨土砂災害でも、消防団の存在は欠かせませんでした。大きな災害では市町村の消防本部の隊員だけでは手に負えませんが、大災害に備えた消防職員を常に雇用していることはできません。そこで、防災における消防団の役割が大変重要になってまいります。災害が起こったときにすぐに現場に駆けつけてくれるのは地域の消防団であり、消防団は、平常時、非常時を問わずその地域に密着し、住民の安心と安全を守る重要な役割を担っています。  しかし、過疎地域の消防団では、少子高齢化、農業から会社勤めへの労働形態の変化、住民の意識の変化などにより、新たに団員として参加する若い人たちが減少し、高齢化が進行しています。私の住む安来市においても消防団員の高齢化が進み、新たな団員の募集についても御苦労をされておられます。  そこで、県内の消防団の定員と実数の推移、募集状況、課題についてお伺いいたします。  昨年、平成25年12月13日に、議員立法による消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が公布及び施行されました。この法律は、地域防災力の充実強化に関し基本理念を定め、国と地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、住民の積極的な参加のもとに消防団を中核とした地域防災力の充実強化を図り、住民の安全の確保に資することを目的としています。  第3条の基本理念においては、「地域防災力の充実強化は、住民、自主防災組織、消防団、水防団、地方公共団体、国等の多様な主体が適切に役割分担をしながら相互に連携協力して取り組むことが重要であるとの基本的認識の下に、地域に密着し、災害が発生した場合に地域で即時に対応することができる消防機関である消防団がその中核的な役割を果たすことを踏まえ、消防団の強化を図るとともに、住民の防災に関する意識を高め、自発的な防災活動への参加を促進すること、自主防災組織等の活動を活性化すること等により、地域における防災体制の強化を図ることを旨として、行われなければならない」と定めています。  また、あえて国及び地方公共団体の共同の責務として、第4条において、「国及び地方公共団体は前条の基本理念にのっとり、地域防災力の充実強化を図る責務を有する」としております。  この法律の公布施行と同日に、消防庁次長名で各都道府県知事に、主に以下の点について留意し、消防団を中核とした地域防災力の充実強化を一層推進するよう、また都道府県内市町村に対してもその旨を周知するよう、消防組織法第37条に基づく助言として通知をされております。  まず第1に、消防団への加入の促進であります。今後、大規模災害時のみに出動を限定した団員、消防職団員OBによる団員、郵便局職員で構成される分団を始めとした機能別団員、分団制度の積極的な導入など、より一層の加入促進。また、防災訓練等における消防団との連携、みずからの地域はみずからで守るという意識の啓発を図るために必要な措置、各種イベントでの消防団の活動内容の紹介や歴史的、伝統的価値の再認識などにより、消防団に対する地域の住民の理解が深まるよう努めることなどとしております。  第2に、公務員の消防団員との兼職に関する特例であります。一般職の職員が消防団員を兼ねる場合における報酬等の取り扱いについての特例により、より一層、地方公務員の入団促進を図ることとされています。  第3に、事業者の協力であります。地方公共団体においては、勤務者に対して防災意識の高揚や防災活動に積極的に参加しやすい環境づくりに取り組むこととされています。国と市町村が運用する消防団協力事業所表示制度の活用等により、協力事業所の社会的評価や信頼性を高め、事業所における消防団活動へのより一層の理解及び協力を促進すること。現在、表示制度の導入市町村数が低位にとどまっている都道府県においては、市町村における表示制度の速やかな導入を促すこと。また、入札参加資格にかかわる優遇措置等の特例措置、長野県及び静岡県において実施されている事業税の減免措置など、より一層事業者の協力を得るための取り組みを推進することなどとしております。  そのほか、大学等の学生に対し、消防団活動の一層の理解を深めること。消防団員の処遇の改善、消防団の装備の改善、消防団員の教育訓練の改善及び標準化、自主防災組織等に対する援助などについても、一層の取り組みを要請しております。  消防団員数を維持、増加させることについては、主に市町村を中心にさまざまな取り組みが見られます。最近の例で言いますと、宮崎市がことし8月から、市内の飲食店などと協力して宮崎市消防団応援の店を開始しておられます。協力店が、団員やその家族に料金割引などのサービスを提供する試みであります。飲食店や代行運転業、映画館など45店舗が集まったそうであります。協力店では、団員やその家族のみに配られるカードを提示することでサービスの提供を受けられるということであります。料金割引、料理やドリンクの提供などのサービスは各店が決め、協力店には消防団応援の店のステッカーとポスターが提示されているということであります。  山梨県中央市でも、消防団員確保に向け、団員や家族に割引などのサービスをするサポート店を募集し、団員サポート事業を実施、飲食店、雑貨店、時計・眼鏡店、郷土資料館なども協力されております。店舗ごとにドリンク1杯サービスや料金の8%引き、入館料無料などの特典を設けているそうであります。  岐阜県の美濃加茂市を始めとする2市7町1村を構成市町村とする岐阜県中南部の可茂地域では、共同で消防団員とその御家族が登録事業所で料金割引などの特典を受けることができるサービスを提供しておられます。消防団員本人とその御家族1名に限り団員シールが配布され、それを113カ所のサービス登録事業所に提示すると特典が受けられるということであります。飲食店、食品店、ガソリンスタンド、カラオケ、エステ、理髪店、衣料品店、化粧品店、時計店、農機具販売店、カイロプラクティック、アミューズメント施設における割引、子どもの塾の入会金無料化、新聞店による中日ドラゴンズの先行予約チケット先行販売に至るまで、さまざまなサービスを消防団員やその御家族に提供されています。  静岡県では、ことしの4月から、ふじのくに消防団応援連盟事業が実施されています。静岡県内の消防団員及びその同居の家族が、ふじのくに消防団応援連盟に参加している団体が運営する観光施設を利用する際、身分証明書等及び家族であることがわかる書面を提示すると、入場料が半額になるという事業であります。  また、愛媛県では、えひめ笑顔で消防団員応援プロジェクトがことし4月から実施されています。こちらは、県内の市町の民間企業等から広く参加を募り、県内全域で消防団の皆さんの応援をされており、国内でも都道府県では初めての試みだそうであります。  また、女性団員を含めた団員を募集する試みもあります。茨城県ではホームページにおいて消防団の歴史や組織、活動内容、身分や処遇、団員数、県内の市町村、消防本部の問い合わせに加え、女性消防団員の勧誘をされています。富山県では、女性消防団活動事例集などもホームページで紹介されています。  静岡県では、県内の大学、短大の学生に積極的に消防団に入団してもらおうと、キャンパスに職員を派遣して勧誘活動をしておられます。また、先ほども触れましたが、長野県や静岡県では、消防団員がいる事業所に対して県の税金である事業税を減免する制度を設け、企業や事業所の職員が消防団員になることの理解を促しています。  第一義的には、消防団員の募集や消防団の活性化については市町村の仕事でありますが、先ほど御紹介した法律の要請もあります。また、現実問題として、県内の市町村の個々の取り組みだけでは有効な対策が打ちにくいというのが現実ではないでしょうか。私は、消防団やそれを支える人たちの地域における社会的評価をさらに上げていくことが一番大事だと思っておりますが、県内の消防団員数を維持、増加させること、あるいは消防団の活性化を図るための支援策についてお伺いいたします。  次に、10月18日に行われる予定の原子力防災訓練について伺います。  島根県においては、昭和57年からおおむね2年に1回、原子力防災訓練が実施され、特に平成13年からは今まで毎年実施されてきました。特に東日本大震災後の平成23年度原子力防災訓練においては、従来の島根県と松江市に鳥取県及び30キロメートル圏内の周辺市を加えた新たな枠組みで、初動活動を中心として、原子力緊急時における防災関係機関相互の連携による防災対策の確立及び防災業務関係者の防災技術の習熟を図る訓練が実施されたところであります。  平成24年度においては、広域避難計画に基づく実働避難訓練や避難先での避難所運営訓練を実施することにより、計画の実効性の検証、及び課題の洗い出しを図り、あわせ社会福祉施設の避難訓練が実施されました。また、緊急時モニタリング訓練の実施と検証、鳥取県との緊急時通信連絡訓練が行われました。  平成25年度は2日間にわたって訓練が実施され、原子力防災体制の見直しにあわせ、原子力災害発生時における防災関係機関相互の連携による防災対策の確立及び防災業務関係者の防災技術の習熟を図ること、また住民、学校等の参加により、原子力災害発生時の避難対応力の向上を図るとともに、原子力防災に対する理解の向上を図る目的で、緊急時通信連絡訓練、オフサイトセンター設置運営訓練、住民、学校、要援護者の避難措置等訓練、緊急時モニタリング訓練、緊急被曝医療活動訓練などが行われたところでございます。  このたびの10月18日に行われます予定の原子力防災訓練の具体的な内容をお伺いいたします。  また、過去の訓練における関係機関、団体、住民の皆様などのフィードバックも大事であります。どのような異なる訓練を今回の原子力防災訓練に入れたか、そして特に重点を置く訓練は何かを伺います。  最後に、県政運営について知事にお伺いいたします。  第2次安倍改造内閣が、9月3日発足しました。同日の記者会見において安倍首相はこう述べておられます。「改造内閣の最大の課題の一つが、元気で豊かな地方の創生であります。人口減少や超高齢化といった地方が直面する構造的な課題に真正面から取り組み、若者が将来に夢や希望を持つことができる魅力あふれる地方をつくり上げてまいります」ということでありました。  その上で、地域活性化のほか、地方分権、道州制改革など、ありとあらゆる地方政策にかかわる権限を集中して、新たに地方創生担当大臣を創設したこと、そのため、農政のプロとして地方の実態に通じ、何よりも経験豊富で実行力の高い石破氏が地方創生大臣となったということであります。  また、9月5日のまち・ひと・しごと創生本部事務局発足式においては、石破地方創生大臣は訓示の中で、「各省庁のいろんな要求を全部束ねて0.7を掛けて、ホチキスでとめるようなことは絶対にやらない。そして、東京対地方の対決の構図には絶対にしない。これは日本を新しい形につくる、そういうような事業である」と。「霞ヶ関や永田町で考えていることと現場との間に乖離がある限り、絶対に共感も得ないし、政策も実行を得ない。この国に生きてよかったという思いを国民が等しく持てるように、全身全霊でお互いに努めてまいりたい」と決意表明をされておられます。  創生本部の本部長は安倍首相、副本部長は菅官房長官、石破地方創生大臣がつかれ、まち・ひと・しごと創生会議の12名のメンバーには、浜田市出身のコマツ相談役坂根正弘氏もおられます。創生本部は有識者の意見も聞きながら、2015年から5年間の具体的な施策と工程表を示す総合戦略と、人口減少や少子高齢化に対応する今後50年の長期ビジョンを年内に取りまとめるということであります。  安来節にこういう歌がございます。「山に切る木は かずかずあれど 思い切る木はさらにない」。しかし、国はやる気満々です。地方創生に向け、異次元の施策に取り組むということであります。国には思い切った施策を打つ準備がなされていますし、島根の提案を国の支援を得ながら実行できる、よいチャンスであります。島根県の国会議員の皆さんもそれぞれ要職につかれ、応援していただける体制は整っております。  大切なのは、地方が当事者としてそれ以上に覚悟を持つこと、地方単独でも実施できる有効な施策を持つこと、地域の実情に応じた具体的で説得力のある提案が国にできることだと思います。島根県の県政の大きな課題は、産業振興による雇用の創出と子育て支援であると考えますが、知事に、産業振興による雇用の創出、子育て支援についての意気込みと今後の取り組みの目玉は何かお伺いいたします。以上でございます。よろしく御答弁をお願いいたします。(拍手) 28: ◯副議長(小沢秀多) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 29: ◯知事溝口善兵衛) 嘉本議員の御質問にお答えをいたします。  最初は、安来市が正調安来節を市無形文化財に指定したことについて、どのように受けとめているかという質問であります。  議員が御紹介になりましたように、民謡はどこでも古くから、生活の中であるいは仕事の中で歌われてきたものでありまして、特に古い時代におきましては、つらい仕事あるいは重労働から体を癒やしたり、あるいは集落の会合などでも慰安として歌われてきたものでありまして、人々の心の中に残っておって、決して捨てられない文化の一部を形成をするようになっているというふうに思います。そういう意味におきまして、安来市が今般、正調安来節を安来市無形文化財に指定されたということは時宜を得たものだというふうに思います。地元での保存、伝承活動がますます盛んになりまして、県内外でさらに安来節が人々に愛好され、普及していくことを期待する次第であります。  次に、国によります地方再生の取り組みについて、意気込みと島根の目玉は何かといった御質問であります。  政府が、こうした日本全体の人口問題あるいは地方再生といった問題に本格的に取り組もうとされるのは、初めてと言っていいことでございます。そういう意味におきまして、こういう機会を活用いたしまして、好機と捉えまして、島根の発展のために全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。  そこで、島根としての目玉と申しますか、大事なことは何かということでございますが、この前もこの場でお答えをしたことがありますけども、日本全体で人口問題に対応しようとしますと、やはり子育て支援をどうするか、そのため、子どもの出生率あるいは出生数をふやすということが一番大事でございますが、地方におきましては社会増減ということが大切なわけです。特に島根のようなところはそうでございます。島根の人口が減っていくのも、大都市で産業がどんどん発展しまして、そこへいい職場を求めて島根から若者が出ていき、そのために島根の人口が減っていったということでございますから、島根としてはやはり社会増減の観点から、産業を振興して島根の中で職がふえるようにすると、これが島根のやるべき仕事の大きな部分ではないかと思いますね。  そして、子育て支援を国全体としてやる、あるいは子育て支援のために結婚、そして子どもの出産、そして子育て、そういうプロセスを進めるためには、やはり国全体として大きな支援措置が必要だと思います。欧州などで行われてるのはそういうことでございまして、そういう点は財政全体の問題として国全体として考えていかなければなりませんけども、島根自身としてもできることをやっていかなければならないというふうに思います。  そういう意味で、島根の中で若者が働ける場をふやすというためには、企業誘致でありますとかIT産業の振興、物づくり産業、農林水産業の振興、あるいは観光振興、そしてそうしたためのインフラ整備ということをやっていくっていうことが引き続き大事でありますし、また、こうした産業振興でカバーできない分野があるわけですね。若者が島根に移り住んで、一定の仕事をしながら子育てなどをしたいといったようなことにつきましては、やはり定住という観点からいろんな対応をしなければならないわけでありまして、定住アドバイザーを配置したり、産業体験事業や無料職業紹介事業を実施したり、そういうことが大事でございます。  そして、国全体として取り組む話として、子育て支援という大きな枠組みの中で、これは気持ちだけではなかなか進まないわけで、現実的な問題ですね、教育に対する負担、あるいは保育所に対する負担、あるいはそういうものをどうやってふやすかと。これはやはり巨大な財源を必要とするわけでございます。それは国の財政の再建とも絡み、どういうことがどういうふうにできるかと。国全体で考えなければいけない問題でございますが、県としてもできる対応として、例えば小規模保育事業への支援でありますとか、保育料の軽減、乳幼児医療の助成、あるいは縁結びの応援としての婚活でありますとか、そういうことはどんどんやっていかなければならないというふうに思っておるところであります。  こういったことが基本的な考えではないかと思いますが、県内の市町村の意見などもよくお聞きをしながら、総合的に中長期的な視点を持って対応していきたいというふうに考えておるところでございます。  いずれにしても、人口の減少っていうのはゆっくりしたペースで長年かかって進むわけでございまして、やはり粘り強く努めていくということも大事な課題だというふうに思っておるところでございます。以上であります。 30: ◯副議長(小沢秀多) 大國防災部長。  〔大國防災部長登壇〕 31: ◯防災部長大國羊一) 県内の消防団の支援、来月18日に予定しております原子力防災訓練、主に2つの分野について御質問いただきましたので、順次お答えをさせていただきます。  まず、消防団についてであります。  消防団は市町村に置かれる非常備の消防機関であり、地域に密着し、大きな動員力を有していることなどから、地域防災力の中核的な役割を果たしていただいております。その行政上の位置づけは、団員としては特別職の市町村の職員であり、その定数は市町村の条例で定めるということになっております。県内の団員総数は平成元年に約1万5,000人であったものが、今年度は約1万2,400人となるなど減少傾向が続いております。  また、定数に対する充足率も本年4月1日現在で92.4%と、充足率100%ということではございません。その募集状況につきましては、毎年3月から4月にかけて定年等による団員の退団が多くなることから、総務省消防庁は1月から3月を消防団員入団促進キャンペーンの期間に位置づけ、広報活動を展開しております。県もポスターやリーフレットを配布したり、また職員へも入団を呼びかけるなどしているところであります。各市町村では、広報紙やCATVによる呼びかけや消防団員による地域への働きかけなどの募集活動を実施しております。  また、その抱える課題についてでありますが、団員の減少を少しでも食いとめるため、団員にやりがいや充実感を持って活動してもらうこと、会社員など被雇用者が約8割を占める現状にあることから、消防団活動に対する事業所の理解を促進すること、女性の方や学生の方を始めとする新たな担い手を発掘するため、消防団への理解を深め、広く県民の方々に関心を持ってもらうことなどが課題であるというふうに認識をしております。  次に、消防団員の数を維持するため、あるいは増加するための支援策についてであります。  県としては、次のような取り組みを現在実施しております。まず、団員の方々にやりがいや充実感を持って活動していただくために、消防大会を開催し、消防関係で貢献のあった団体や個人の方々の表彰を行っております。また、消防操法大会を開催し、日ごろの訓練の成果を披露する場を提供させていただいております。  団員の方々が在籍される事業所の理解を促進するため、消防団活動に協力的な事業所について表彰させていただいたり、あるいは総合評価方式の入札工事において加点をする制度を導入いたしました。また、有利な融資制度の対象に、そういう事業所を加えるということをしております。  消防団への理解を深め、広く県民の方々に関心を持っていただくために、テーマとして「消防団の輝く一瞬」ということを掲げた写真コンテストを県消防協会と一緒に実施をいたしました。県庁ですとかあるいは県内で行われるイベント会場などでその作品の展示を行って、広くごらんをいただいております。  また、消防協会や消防本部と連携して、消防団員の方々の災害への対応力を向上させるための研修にも力を入れております。議員から御紹介いただきました消防団員を支援する事業についても、市町村やあるいは関係機関ともよく相談してまいりたいというふうに考えております。団員減少をとめる特効薬となる対策はなかなかございません。市町村や関係機関と協力して、消防団の魅力向上、活性化、充実強化に向けた取り組みを今後も粘り強く行っていきたいと考えております。  次に、原子力防災訓練についてでございます。  まず、18日に実施します訓練の具体的な内容についてのお尋ねがございました。  個別の項目ごとに申し上げますと、初動対応の訓練といたしましては、トラブルが発生したときの対応手順の確認、あるいはオフサイトセンターと国や県、市の災害対策本部の間でのテレビ会議による避難指示伝達手順の確認というようなことを行いたいと考えております。  住民の方々の避難措置訓練あるいはスクリーニング訓練では、30キロ圏外の避難経路上においてスクリーニングを受けていただき、避難先において原子力防災について学習をしていただくということを考えております。  また、要援護者の方々の避難措置等の訓練においては、10キロ圏内の社会福祉施設を対象とした屋内退避訓練、あわせて支援物資の搬送手順の確認やヘリコプターを使用した救急搬送、そういうことを行いたいというふうに考えております。  緊急時モニタリング訓練としては、可搬型のモニタリングポスト等を用いて、30キロ圏域内での測定ポイントにおける緊急時における放射線の測定を行いたいというふうに考えております。  緊急被曝医療活動訓練としては、新たに被曝医療機関となった施設がたくさんございますので、そういうところの職員の方々を対象とした被曝の医療実習を行いたいということを今計画しているところでございます。  最後に、過去の防災訓練と異なる内容はどういうことなのか、また特に今回重点を置く内容はどういうことなのかというお尋ねがございました。  まず、昨年度の訓練と大きく異なる点といたしましては、今年3月に地域防災計画の原子力災害対策編を修正し、放射性物質が放出される前と放出された後における防護対策の実施基準をそれぞれ新たに設定をいたしました。ことしの訓練は、この点を踏まえまして、放射性物質が放出された後の住民避難訓練を初めて実施したいというふうに考えております。  次に、今年度重点的に取り組む項目といたしましては、まず広域避難に伴うスクリーニングについてでございます。  本年6月に国が示しましたスクリーニングの考え方を踏まえた訓練を実施したいと考えております。具体的には、30キロ圏の境界の周辺の、さらには避難の経路上にスクリーニングの場所を設定したいというふうに考えております。また、自家用車のスクリーニングを実施するために、これはゲートモニターと申しますが、2本の支柱の間を車が通ることで車の汚染の度合いを測定する、そういうゲートモニターというものも使用しましたスクリーニングを実施してみたいというふうに考えております。  さらには、松江市及び安来市の方は鳥取県を通過して岡山県に避難していただくという計画を既に策定したところでございますので、それを前提としまして、鳥取県とスクリーニングの場所を共同で運営するということで、鳥取県内でスクリーニングをするということをやってみたいというふうに思っております。  また、わかりやすい広報ということも課題として掲げたいと思っております。昨年度の避難訓練に参加された住民の方々から、行政機関の出す広報文、いわゆるお知らせの文書について、専門用語が多いとか横文字が多くてわかりにくいという御指摘をいただきました。これを踏まえまして、ことしの訓練では、できるだけわかりやすい一般的な言葉に言いかえた広報を実施してみたいというふうに考えております。まだ、今検討の途上ではございますが、従来ですとPAZあるいは略してパズと言ってみたり、UPZというふうな言い方をしておったものを、例えば5キロ圏とか30キロ圏という言葉に言いかえてみたらどうかとか、避難行動要支援者という言葉がございますが、こういう言葉を、お一人では避難が難しい方というふうに置きかえてみたらどうかというふうなことで、今いろいろ検討しているところでございます。  さらに、要援護者の方々の施設、社会福祉施設等での屋内退避訓練でございますが、昨年から放射線防護対策を実施しておる施設がたくさんございます。そういう要援護者施設での屋内退避訓練を実施をしたいと思います。そこでは、施設の職員の方々による、入所していらっしゃる方に対する屋内退避の支援の手順を確認していただく、あるいは防護対策で設置をしました機器の稼働手順、いわゆる動かす際の手順の確認をしていただく、さらには、屋内退避は一定の期間ということになりますので、当該施設への物資の補給やあるいは補給するものを受け入れていただく手順の確認、そういうことをことしは新たにしてみたいというふうに考えております。  また、そのほか、発電所から5キロ圏内の小学校において、保護者の方々が子どもさんを学校に迎えに来るいとまがない、そういうケースも想定いたしまして、一時的に児童の方を5キロ圏外の避難所に退避いただいた上で、その退避したところに保護者の方々がお越しいただいて引き渡すという訓練も実施してみたいということで、今準備を進めているところでございます。以上でございます。 32: ◯副議長(小沢秀多) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 33: ◯教育長(藤原孝行) 安来節について、2点お答えします。  1点目は、正調安来節が市無形文化財に指定されたことについて、どのように受けとめているかであります。
     正調安来節は、北前船寄港地の安来周辺で船乗りに歌われた唄から発生し、その後、大衆芸能として発展してきたものであります。このたび安来市は、その歴史的背景や歌唱法、伴奏などの特質を評価して、市の無形文化財に指定されたと伺っております。これにより、今後、正調安来節の保存や継承、普及について、一層の振興が図られていくものと受けとめているところです。  2点目は、正調安来節の県の文化財指定についてであります。  県が文化財の指定を行う場合には、大学の研究者や市町村などの調査成果に基づき、県や県文化財保護審議会委員が調査検討し、審議会での答申に基づいて県教育委員会が指定することとしています。県では、これまで安来節などの民謡を文化財指定したことがないため、まず県文化財保護審議会委員や専門家と相談しながら、民謡の県文化財指定について研究してみたいと考えています。その上で、正調安来節について県指定に値するかどうかの調査研究を進めてまいります。以上です。 34: ◯副議長(小沢秀多) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は9月25日に開きます。  本日は、これをもって散会いたします。        午後1時51分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...