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平成24年11月定例会(第3日目) 名簿
平成24年11月定例会(第3日目) 本文

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  1. 島根県議会 2012-11-03
    平成24年11月定例会(第3日目) 本文


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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成24年11月定例会(第3日目) 本文 2012-11-28 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 36 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長原成充選択 2 : ◯岡本昭二議員 選択 3 : ◯議長原成充選択 4 : ◯知事溝口善兵衛選択 5 : ◯議長原成充選択 6 : ◯農林水産部長原仁史選択 7 : ◯議長原成充選択 8 : ◯商工労働部長西山彰選択 9 : ◯議長原成充選択 10 : ◯嘉本祐一議員 選択 11 : ◯議長原成充選択 12 : ◯知事溝口善兵衛選択 13 : ◯議長原成充選択 14 : ◯総務部長赤松俊彦選択 15 : ◯議長原成充選択 16 : ◯教育長今井康雄選択 17 : ◯議長原成充選択 18 : ◯副議長絲原徳康選択 19 : ◯藤間恵一議員 選択 20 : ◯副議長絲原徳康選択 21 : ◯知事溝口善兵衛選択 22 : ◯副議長絲原徳康選択 23 : ◯農林水産部長原仁史選択 24 : ◯副議長絲原徳康選択 25 : ◯土木部長(西野賢治) 選択 26 : ◯副議長絲原徳康選択 27 : ◯吉田政司議員 選択 28 : ◯副議長絲原徳康選択 29 : ◯知事溝口善兵衛選択 30 : ◯副議長絲原徳康選択 31 : ◯地域振興部長(楫野弘和) 選択 32 : ◯副議長絲原徳康選択 33 : ◯環境生活部長(伊藤修二) 選択 34 : ◯副議長絲原徳康選択 35 : ◯教育長今井康雄選択 36 : ◯副議長絲原徳康) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時3分開議 ◯議長原成充) おはようございます。  これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  昨日に引き続き一般質問を行います。  岡本議員。  〔岡本昭二議員登壇、拍手〕 2: ◯岡本昭二議員 おはようございます。自民党議員連盟の岡本昭二でございます。  ただいまから一般質問を行いますので、知事を始め関係部長の答弁をよろしくお願いを申し上げます。  初めに、しまね和牛の振興策についてお伺いをいたします。  5年に1回開催され、和牛のオリンピックとも言われる第10回全国和牛能力共進会が、先月の10月25日から29日の5日間、長崎県佐世保市のハウステンボスを主会場に開催をされました。今大会では38道府県により選抜された480頭が長崎県に結集し、各区において成績を競うこととなり、島根県からは1区の種雄牛部門から9区の去勢肥育部門までの全区に、選抜された27頭が参加をいたしました。しかしながら、その成績は新聞や雑誌にも取り上げられているとおり、前回の鳥取全共の成績よりもさらに厳しい結果となったことは、皆さん御承知のとおりであります。  こうした状況を受けて、今月の県内子牛市場での影響を心配しておりましたが、幸いにも市場は平穏であったとのことで、まずは一安心いたしたところでございます。しかし、全共の結果は、しまね和牛のさまざまな評価にも少なからず影響が出ると考えられ、今後の畜産振興においても悪影響が出るのではと危惧を抱いているところでもございます。  今後、中長期的にしまね和牛の振興策を考えるとき、鳥取全共後に策定された和牛振興策の検証、点検を早急に行うことがまず必要であり、その上で、このたびの長崎全共の成績を踏まえた徹底した検証をすることが重要と考えております。  そこで、改めて今回の成績について、現時点でどう総括されているのか、またどのように検証を進めようとされているのか、お伺いをいたします。  さて、本県の和牛経営は、元来、役牛時代からの流れをくむ繁殖経営が主体で、バブル経済崩壊までは生産された子牛の7割以上が県外へ引き取られておりました。特に、昭和62年に本県で開催された第5回全国和牛能力共進会において、第7糸桜号の産子が優秀な成績をおさめた後、平成3年の牛肉の輸入自由化に向け全国的に牛肉生産が乳牛の雄牛から和牛へシフトする需要が高まる中、繁殖雌牛の購買客が増加をし、本県中央家畜市場の子牛価格が全国最高を記録をいたしました。この時期、奥出雲町では、市場で子牛が100万円以上で販売された生産者で100万円の会が生まれ、同様な動きが他の市町村でも起きていたと伺っております。  このような状況の中、市場評価が高まった糸桜系雌牛の県内保留も進み、繁殖雌牛の大部分が糸桜系に偏重することになったのであります。その結果、県内繁殖雌牛を活用して純系の気高系、兵庫系の種雄牛造成が困難となり、系統間交配の特性が生かされず、購買者の評価は年々低下をしてきたところでもあります。  その後、バブル経済の崩壊に伴い、牛肉枝肉価格、子牛価格が低迷するとともに、全国の新興産地が台頭する中、県内では1頭飼い、2頭飼いを中心に小規模農家の廃業に伴い、飼養頭数の減少が現在まで続いている状況にございます。  一方、県の畜産技術センターが所有をする種雄牛を父とする子牛の家畜市場への上場頭数の割合を見ますと、平成16年には80%を占めていたものが、平成23年には35%と急激に減少をいたしております。  さらに、今回の長崎全共での成績不振も相まって、県の種雄牛造成を今後とも継続していくことに対し、一部生産者からは異論も出てきている状況にあります。
     では、なぜ畜産技術センターの精液が使用されず、急激に減少したのか、どのように分析をされているのか、お伺いをいたします。  県の種雄牛造成については、鳥取全共後に各生産者団体と関係機関で構成されたしまね和牛生産振興検討会の意見を踏まえた方針のもとに、糸桜系以外の種雄牛を主体とした造成が実施されていると伺っております。種雄牛造成には種雄牛の子牛の肥育成績が出るまで約5年間を費やし、一般の評価を受けるまでにはさらに数年が必要です。このように能力の評価を得て一般に利用されるまでに長い期間を要する種雄牛造成については、特に生産者や関係者に理解を得るよう継続した説明を行わなければ、現場で混乱を招き、それまでの努力が水の泡に帰することもございます。  種雄牛造成は多大な労力と費用、期間を要する取り組みであります。種雄牛造成をしている県として、関係者、生産者に対して県有種雄牛造成方針についていま一度きちっと説明の上、理解を得て、揺るぎないしまね和牛の改良方針を示すべきだと私は考えております。  改めて県有種雄牛の造成の意義及び今後の方針について、考えをお伺いをいたします。  本県の畜産は、農業粗生産額のうち約3分の1を占める基幹作目で、平成22年には200億円と水稲の生産額182億円を上回る状況にございます。しかし、肉用牛の戸数及び頭数は、平成19年には1,948戸、3万4,935頭であったものが、平成24年には1,331戸、3万2,872頭と大幅に減少をし、しまね和牛の生産基盤の弱体化が著しい状況となっております。  和牛の繁殖経営は、中山間地域や離島地域を多く抱える島根県にとって、里山や遊休地などの地域資源をうまく活用できる部門であり、新たな担い手としての受け皿について工夫すれば、今後とも欠くことのできない、むしろ有望な産業として見込まれるのではないかと考えております。  和牛の飼養頭数の減少に歯どめをかけ、しまね和牛ブランドを再構築するためには、今こそ総合的な和牛振興策が必要であり、行政としても最優先課題の一つとして速やかに取り組むべきではないかと考えますが、知事の考えをお伺いをいたします。  しまね和牛振興を取り巻く状況は10年前とは大きく変わり、肥育については少頭数飼いが減少し、大規模な多頭飼いへとシフトしてきています。一方、繁殖牛については、10年前に2万頭いた牛が現在は約9,000頭に減少し、各地における市場開催も危ぶまれる状況になっております。肥育牛を県内で購入しようとしても購入できず、県外の牛を購入している現状にあります。  私は、繁殖と肥育のバランスのとれた和牛振興を図るためには、県内の肥育農家の要望に応えるだけの子牛生産が実現できれば、島根の和牛振興は大きく発展するものと考えますし、ぜひとも取り組むべきと考えます。そのためには、和牛生産基盤再生に向けた対策を早急に実施すべきだと思いますが、今後具体的にどのように振興を図られるのか、お伺いをいたします。  長崎全共において、全国トップの宮崎県の状況がどうなるのかが注目を集めておりました。それは、口蹄疫などにより多くの基礎牛を失う被害を受けたにもかかわらず、短期間に全力で取り組み、全国トップの地位を守った、このことは宮崎県の畜産関係者の並々ならぬ努力に敬意を表しますとともに、心からの評価をいたしたいと思います。  それを思えば、島根県は2回にわたり全共で大敗をしており、名声を取り戻すことができていません。もっと戦略を考え、熱心に取り組めば、必ず名声は取り戻せるものと私は信じております。畜産関係者と島根県が一体となって、名声を再び島根県に取り戻すことを私は期待をし、この質問を終わらさせていただきます。  次に、林業・木材産業の振興についてお伺いをいたします。  先日、浜田圏域の林業関係者との意見交換で、島根の林業・木材産業が歩んだ歴史を振り返る機会を得ました。我が国の豊かな森林は、戦時中に急増した木材需要に応えるために伐採された森林を速やかに再生をし、国民生活と木材産業の基盤を造成しようとの強い志のもとに、森林所有者、森林組合などの事業体が半世紀以上にわたる努力と投資を重ねて育んだものであります。  この間、国産木材の価格は昭和55年ごろに史上最高の値をつけたものの、安い木材が大量に輸入されたことから、今日では原木の市場価格は約3分の1、木材製品は約2分の1にまで下落をし、国内の林業・木材産業は苦境に耐えながら、森林資源の成熟を長い間待ったものであります。  さて、この10年間の島根の林業・木材産業の動きをたどってみますと、実にさまざまな困難を乗り越え、来るべき森林資源の成熟期に備えて、一つ一つ布石となる取り組みを実行してきたことがわかります。例えば、間伐の低コスト化により収入を確保する列状伐採方式の導入、杉やヒノキが豊富なエリアを木材生産団地と位置づけて作業道を集中的に整備する取り組み、安全で効率的に木材を生産できる高性能機械の積極的な導入、これらは今も精力的に取り組まれ、木材の生産性は着実に向上しております。  一方、林業経営への意欲低下がもたらした荒廃森林を県民とともに再生するために、水と緑の森づくり税を創設をし、国に対して森林所有者負担を必要としない間伐と作業道整備の制度創設を働きかけ、実現させました。これは、時代の先を見据えて取り組みをリードした県と、これに応えるべく事業体が日々努力したからこそできたものであります。同時に、率先して現場に立ち、直接声を聞き、積極的に活動してきた私たち自由民主党島根県議会議員連盟の所属議員の取り組みも大きく貢献したものと、私は自負をいたしております。  全国第3位の森林率を誇る島根において、豊富な森林資源を生かした林業・木材産業が地域経済の活性化に及ぼす影響は、他県にも増して大きいものがございます。島根の林業・木材産業を県内経済再生の牽引役にするためには、まず木材生産量を増大させること、第2に、メード・イン島根の木材製品の販路を拡大すること、第3に、循環型林業を永続的なものにするための森林組合と民間事業者による仕組みづくり、今後この3つの取り組みが特に重要と私は考えております。  今年4月、木材生産量を増大させる目的で県が創設をした原木生産促進事業は、林業経営の意欲喚起だけではなく、森林組合や木材業者の緊密な連携により循環型林業の規模の拡大にも効果があると、県内各地で高く評価し期待を寄せる声を伺っております。今後は、成熟した森林資源を質の高い製品に加工し、県外にもどんどん出荷をしてもうける、そうした積極的な取り組みに大いに期待をいたしたいところであります。  具体的には、今年4月に設立された木材製品県外出荷しまね事業体連合による、製材品や合板など木材製品の販路を拡大する取り組みであります。島根県の人口減少に伴って住宅需要が縮小に向かうものと予想されますが、だからこそ現在進められている公共施設、住宅、さらに福祉施設や商業施設において木材需要をしっかり押さえながら、あわせて県外販路を拡大していく取り組みが重要であります。事業体連合は、県が県外販路の拡大に前向きな事業者を募って組織化し、住宅建築や木材消費量の多い大阪、名古屋で木材製品の展示・商談会を開催をされております。  私は、島根の森林資源が利用期を迎える中で、県内で加工された木材製品の販路を拡大する取り組みが、島根の林業・木材産業の行く末にとって非常に重要なことと考えます。今年度、これまでに開催した木材製品の展示・商談会の状況と、今後の販路拡大の取り組み方針をお伺いをいたします。  また、木材製品の県外販路を拡大していくためには、人工乾燥、JAS認証、プレカット、不燃処理など他県産の木材製品にまさる製品づくりが重要であり、そのためには加工施設の整備、技術者の養成、さらには事業体と試験研究機関が連携をして、新たな加工技術を積極的に導入することが必要と考えます。  今後、付加価値の高い木材製品づくりに向けた体制強化について、どのような考えで臨まれるのか、お伺いをいたします。  さらに、こうした川下での木材製品の積極的な販路拡大にあわせ、川上において循環型林業をより高いレベルのものにするための仕組みづくりも必要であります。私の地元浜田では、森林組合が木を切って売り、その後に植林をして育てることを森林所有者から一括して任せてもらった上で、民間の木材業者と協力して伐採と原木販売を実施をし、収益を還元するプロジェクトを約5,000ヘクタール規模のモデル団地で計画しております。  このプロジェクトには、県と市町村の積極的なサポートもあり、エリア内の森林資源を低コストで生産するために作業道を約9キロ整備し、さらに安全で効率的に木を伐採できるハーベスタや、大量の丸太を一気に運搬できるフォワーダなど高性能機械も導入しております。プロジェクトで取り組んだ3カ所の生産性は、取り組みの初期の現段階でも既に従来に比べて30%以上も向上しており、将来はこれを約2倍にまで高めることを目標に、積極果敢な取り組みがされております。  作業道の整備や高性能林業機械の導入などにより、林業就労の環境改善も進み、石央森林組合ではこの5年間に新たに13人の若者が就労し、現在平均年齢は43歳と、10年前に比べて12歳も若返り、重要な作業を担うオペレーターなどとして活躍しており、林業だけでなく地域全体の活性化に波及しつつあります。  私は、浜田で始まった森林所有者に収益を還元するためのダイナミックなプロジェクトは、全国のモデルになり得るものと考えております。循環型林業を永続的に運営していくためには、各地域でこうした取り組みを進めていくことが不可欠であります。  そこで、県としても積極的にサポートしてもらいたいと考えますが、所見をお伺いをいたします。  次に、浜田港を中心とした貿易振興の考え方についてお伺いをいたします。  浜田港は、島根県西部のほぼ中央に位置をし、自然条件にも恵まれていたことから、古くから九州や北陸地方など国内のみならず、海外との交易も盛んでございました。明治32年には外国貿易港として開港し、島根県唯一の国際貿易港として、木材の輸入を中心に発展を続けてきたところであります。平成13年には韓国・釜山港との国際定期コンテナ航路の開設、平成20年にはロシア・ウラジオストク港との間にRORO船が就航し、平成22年には国土交通省より、全国103の重要港湾のうち43港が認定された重要港湾の一つにも認定をされました。  さらに、昨年11月には中国、韓国、ロシアなど日本海周辺の対岸諸国の経済発展等を我が国の成長に取り込みながら、日本海側各港湾の役割の明確化と港湾間の連携を図ることにより、日本海側港湾全体の国際競争力を強化をし、ひいては日本海側地域の経済発展に貢献するため、日本海側拠点港として浜田港が選定をされたところであります。また、この日本海側拠点港には、県東部の企業に身近な港である境港も同時に選定されたところでもあります。  近年、国内市場が将来的に縮小していくことが見込まれている一方で、アジアを中心とした新興国の経済発展のスピードには目覚ましいものがございます。  島根県としても、こうした海外の活力を地域や産業の活性化に積極的に取り込んでいかなければなりません。このことへの認識について知事はどのようにお考えか、お伺いをいたします。  浜田港や境港が有する国際航路を活用した貿易の一層の拡大に、今後とも積極的に取り組んでいくことが必要でありますが、企業が貿易に取り組む場合、通関や物流に関する手続や現地の多様なニーズへの対応、契約や代金回収に係るリスクなど、海外特有のさまざまな問題がございます。また、昨今の円高への対応など、新たな課題への対応も求められております。企業単独での取り組みには限界があるのではないかと私は思っております。  浜田港では、販路開拓の取り組みなどもあり、最近木材について、海外、特に韓国などへの輸出がふえていると伺っております。また、これまで不定期運航だったRORO船が、来月12月からは定期運航されることが決定をされ、中古車や石州瓦などの建材、食料品など、浜田港の利用や対ロシア貿易の拡大が期待をされるところであります。また、来年春には倉庫も完成するなど、その取り組みが進められると聞いております。  企業が安心して貿易に取り組めるようにするためには、官民が一体となった取り組みを進めることが必要であり、行政がしっかりとバックアップしていく体制をつくっていくことが重要であると思います。  そこで、環日本海時代における北東アジアを見据えた国際貿易港として、浜田港、さらに境港の今後の発展が大いに期待をされるところでございますが、現在の浜田港の貿易の状況及び今後の貿易振興に対する県の考え方についてお伺いをいたします。  また、浜田港の利用拡大については、今後管理体制、受け入れ体制、地元浜田市を始めとする関係市町と県との連携強化、組織の見直しが必要と考えますが、あわせて商工労働部長にお伺いをし、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 3: ◯議長原成充) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 岡本議員の御質問にお答えをいたします。  最初は、しまね和牛の振興策について所見を問うと、こういう質問であります。  議員が御指摘になられましたように、畜産の粗生産額は平成22年で約200億円、これに対しまして水稲の生産額は182億円ということで、農業生産において畜産というものが大きな役割を演じておると。また、この和牛の繁殖経営は中山間地域、離島などの里山あるいは遊休地を活用してできる分野であると、そういう意味で大変大事な産業だと、こういうことであります。私も同感であります。  しかし、肉用牛につきましては、生産農家の戸数あるいは飼育する頭数などが減少しておるという問題があるわけでございまして、やはり質と量、両面において総合的な和牛振興を行っていく必要があろうというふうに思います。  まず、質に関連しましては、5年前の鳥取全共以来、生産者の方々、関係団体の皆さんと一体になりまして、しまね和牛の復興に取り組んでまいりましたけれども、残念ながら長崎全共では厳しい結果となったわけであります。私どもはこのたびの結果をよく検証し、生産者の皆様を始め関係者の方々と一体となって、しまね和牛の振興を図っていきたいというふうに思います。  今後の対策の主なポイントとしては、1つは産肉能力のすぐれた種雄牛を造成していくということであります。繁殖農家の方々が信頼して利用できる精液を持つ種雄牛、そして肉質等にすぐれ、また県内の繁殖雌牛群の血統構成にも対応できる種雄牛を造成していくと、これが大事な課題でありまして、これをさらに進めていかなければならないというふうに思います。  また、能力の高い繁殖雌牛群の整備を行うということがもう一方で大事なわけでありまして、産肉能力が高くて、体が大きくて豊かな繁殖雌牛群への世代交代を進めていかなければならないというふうに思います。こういう点につきまして生産者、関係団体等と協力して、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思います。  次は、量の確保であります。やはり一定量のしまね和牛が市場に出回ってまいりませんと、ブランドを確立するということは難しいわけでありまして、そのためにはやはり新たな担い手を育成するとともに、飼養する牛の数をふやす、これが大事なことだと思います。高齢化等によりまして、小規模農家が廃業されるということが多いわけでありますが、それを補うために、放牧を活用した省力・低コスト生産による集落営農組織などの肉用牛飼養への参入を進めると、そういったことで量をふやしていくという両面でやらなければならないというふうに思います。こうした量と質の両面からの対策に精力を傾けまして取り組んでまいりたいと、それによってしまね和牛の再興を目指していきたいというふうに考えておるところであります。  次は、アジアの近隣諸国等新興国で経済が発展をする段階になり、中所得者層などもふえてきておって、そういう市場への取り組み、これが日本の経済の発展、安定にとっても大事であるという御指摘であります。まさにそのとおりでありまして、この島根の近辺では定期航路がありますロシア、韓国などがそういう状況にあるわけでありまして、浜田港あるいは境港といった日本海側の拠点港を活用して、そういう国々との国際貿易を拡大をする、これは県にとって大事な課題だというふうに思います。  浜田港と定期航路のある国としては、ロシア・ウラジオストクと韓国があるわけであります。その状況を見ますと、ロシアでは国際RORO船が定期航路となったウラジオストクを中心に経済発展がかなり進んでいると。特に今年9月にAPECの総会が開催されまして、それに向けましてホテルの建設であるとか、あるいは市内の道路の整備でありますとかいろんなことが行われまして、いろんな事業が進みまして、ロシアが極東における一つの大きな拠点となる動きが始まっておるわけであります。また、ロシア自身もWTOに加盟をして貿易の自由化を進める、多分関税なども引き下げていくということになるでしょう。そしてまた、こういう動きに呼応して日系の自動車メーカーの工場進出があるわけであります。トヨタ、マツダ、マツダは我々とも関係の深い企業でありますけども、工場を建てる。あるいは住宅もどんどんふえるわけでありまして、日系の住宅メーカーによる宅地開発も進んでおる状況であります。  韓国でありますけれども、韓国の定期コンテナ航路の運航につきましては、輸出日数が従来の5日から1日というふうに4日短縮されて、韓国との経済的な距離が非常に近くなったわけであります。こうした改善された利便性を活用しながら、韓国内の建材需要による、例えばヒノキの丸太の輸出の拡大などもあるようでありまして、こうした建材の輸出あるいは石州瓦の輸出、あるいは島根の豊かな食材、食品、そうしたものをロシア、韓国に向けて輸出をしていく、あるいはロシア・ウラジオストクの日本企業による自動車工場に対して、自動車部品などが浜田港から輸出されるように、これは瀬戸内に工場がありますから、いろいろ競争もあろうかと思いますが、そういう面でも努力をしていく必要があろうと思います。こうした動きが県内企業の取引拡大と浜田港の振興につながりますよう、県としても積極的に支援をしていきたいというふうに考えておるところであります。以上です。 5: ◯議長原成充) 原農林水産部長。  〔原農林水産部長登壇〕 6: ◯農林水産部長原仁史) 私のほうには、しまね和牛の振興と林業・木材産業の振興という2点の御質問がございました。  まず、和牛振興についてでございます。  最初に、長崎全共の総括と検証についてお答えいたします。  今回の成績につきましては、御案内のとおり1区から9区までの全ての区を通しまして、目標としていました上位入賞に届かないという厳しい結果に終わったところでございます。そうしたことから、直ちに関係機関とともに検証を開始したところでございます。  まず、子牛を生産するための牛、いわゆる種牛につきましては、前回の鳥取全共の反省をもとに、特に体積に富む牛を選抜をし、出品したわけでございますが、圧倒的な飼養頭数を誇る宮崎県、鹿児島県など九州勢を中心に個体の体積、牛群のそろいにおきましてずば抜けた牛が出品されまして、我が県としては期待した成績を上げることはできませんでした。  ただ、こうした中で若雌牛、これはまだ子牛を産んでいない、いわゆる未経産牛でございますが、これを出品対象とする第2区、第3区及び第7区では、体積に係る各審査項目で前回の成績を上回っておりまして、これまでの検証では、この点に鳥取全共以降に改良を加えた成果が見られるとする意見もあったところでございます。今後は、こうした若雌牛を中心に、能力の高い雌牛の保留及び増頭に向けた取り組みを強化することが必要と考えております。  一方、しまね和牛の評価に大きく影響する食用に供する牛、いわゆる肉牛でございますが、これにつきましても今回は上位入賞を果たすことができませんでした。この要因は、特に肉質を判定する脂肪交雑、いわゆるサシにつきまして、上位入賞県の牛は大半が5等級であったのに対しまして、島根県の牛は大半が4等級にとどまったということにあると考えられます。このため、出品者を始め関係機関からは、産肉能力にすぐれた種雄牛及び繁殖雌牛群の造成確保、そして全共の出品条件である24カ月齢未満ですぐれた肉質に仕上げる早期肥育技術を確立することがぜひとも必要という強い指摘があったところでございます。  今後はこうした指摘も踏まえまして、先進県に出向き、直接取り組みなどの情報を収集するほか、専門家の意見も聞きながら早急に次回の全共を担う種雄牛を選定するとともに、優秀な繁殖雌牛群の確保や肥育技術の確立などに取り組んでまいりたいと考えております。  次に、なぜ畜産技術センター精液の利用が急激に減少したのかという御質問に対するお答えでございます。  畜産技術センターが所有する県有種雄牛の精液の利用は、授精する繁殖雌牛の飼養頭数の減少によりまして年々減少する傾向でございましたが、平成20年に一気に、前年平成19年1万2,479本であったものが、これの約2分の1の6,300本まで減少し、その後現在までほぼ同数で推移しています。この急激な減少は、議員の御指摘のとおり、県内の繁殖雌牛の血統構成が糸桜系に偏り、全体の8割強を占めるに至ったにもかかわらず、県においてこれに対応する糸桜系以外の優秀な種雄牛の造成ができなかったこと、加えて平成19年に開催された鳥取全共での成績不振が、県有種雄牛離れに拍車をかけたことによるものと考えております。  次に、県有種雄牛の造成の意義及び今後の方針についてでございます。  県有種雄牛を造成する意義は、しまね和牛の長所を維持した能力の高い種雄牛の精液を安価でかつ安定的に供給し、市場評価の高い子牛の生産につなげることにより、県内繁殖農家の経営安定に資することにあると考えております。議員御指摘のとおり、種雄牛造成は評価を受けるまでに長い期間を要することから、将来の繁殖雌牛群を想定し、これに系統的に適合する種雄牛を計画的に造成していくことが肝要でございます。現在、県が行っている種雄牛の造成につきましては、平成20年当時の糸桜系に偏重した雌牛群の状況を踏まえ、糸桜系以外の種雄牛の造成を進めてきているものでございます。  一方、これまでの牛群改良等の取り組みによりまして、現在では糸桜系以外の雌牛の比率も相当程度高まってきておりますことから、この先10年を見据えた対策としては、これら糸桜系以外の雌牛に対応した種雄牛の造成も視野に入れる必要があるというふうに考えております。  今後は、こうした県の種雄牛造成の考え方につきまして、さまざまな機会を捉えまして生産者などへ十分に説明なり話し合いを行いまして、理解を得られるように努めてまいりたいと考えております。  次に、繁殖と肥育のバランスのとれた和牛生産基盤の再生に向けた具体的な対応についてでございます。  繁殖農家の戸数、飼養頭数の減少は、しまね和牛の生産基盤の弱体化につながり、肥育素牛の供給にも支障をもたらすとともに、ひいては中山間地域農業の衰退にもつながるおそれがあるというふうに思っております。  このような急激な飼養頭数の減少に対応するためには、県内において頭数の増加が図られている隠岐地域のように、放牧を利用した低コスト生産を県内全域に普及することが必要であるというふうに考えております。とりわけ中山間地域等を抱える島根県におきましては、水田、耕作放棄地、里山等を活用した放牧の導入が容易であると考えられますことから、共同で農業に取り組み、まとまった土地利用ができる集落営農組織等を新たな畜産の担い手として育成し、飼養頭数の増加につなげていきたいと考えております。  また、農家の所得向上のためには、子牛の品質を高めることが必要であります。そのため、繁殖雌牛群の若返りによる全体的な能力向上に取り組むことも必要であると考えておるところでございます。  今後は、このように量と質の両面から、しまね和牛の生産基盤を強化するために必要な対策を総合的に講じていく考えでございます。  以上が畜産の関係の御質問に対するお答えでございます。  次に、林業・木材産業の振興についての御質問にお答えいたします。  まず、木材製品の展示・商談会の開催状況と今後の取り組みについてでございます。  本年4月、県が音頭をとりまして、県内の木材加工業者19社、関係5団体と設立しました木材製品県外出荷しまね事業体連合は、8月に大阪市で、10月には名古屋市で、それぞれ木材問屋や建築士、工務店を対象とした木材製品の展示・商談会を開催いたしました。商談会では、統一的に神々の国しまねの木と銘打って、各社製品の規格、性能、施工例を掲載した製品カタログを作成し、木材製品の大消費地である関西圏の61社、中京圏の112社と商談を行いました。この中で特に、良質な島根松のはり・桁材や、高級感のある仕上げを施した杉内装材などが高い評価を受け、県産木材による製品の売り込みに大きな手応えを感じたところでございます。  来場した企業からは、その後製品サンプルの送付や見積もりの依頼が多数あり、既に複数の工場の製品につきまして新たな取引が始まっておりまして、今後さらなる拡大が期待されるところでございます。来年1月には広島市で開催される島根ふるさとフェアに事業体連合の木材製品展示ブースを設けまして、山陽での販路拡大にも取り組むこととしております。  県としましては、今年度から3年間を県外販路拡大の重点期間と位置づけまして、事業者や関係団体と知恵を出し合いながら、積極的な取り組みを展開する方針でございます。  次に、付加価値の高い木材製品づくりに向けた体制強化についての御質問にお答えします。  県外で開催した木材製品の展示・商談会では、来場した木材問屋、建築士、工務店から製品の品質に関する問い合わせが数多く寄せられたところでございます。各地からさまざまな製品が集まる大消費地での販路を拡大するためには、品質面で競争力の高い製品を出荷することが大変重要であるということを再認識いたしました。  県としましては、ハード面では補助事業や制度資金による製材加工施設の導入支援、ソフト面ではJAS認定の取得支援、人工乾燥技術の現地指導などを行っております。県内工場もこうした質の高い製品加工に積極的に取り組み始めたところでございます。  また、中山間地域研究センターでは、今後需要の大きな伸びが期待される燃えにくい木材の加工や、内装にも建具にも使えるパネル加工の技術を独自開発をいたしました。現在、この技術を県内工場へ移転する準備に入っておりまして、より質の高い木材製品の加工に寄与するものと期待しております。引き続きこれらハード、ソフト両面から支援を行っていくことにより、県産木材の県外での製品競争力を高めてまいりたいと考えております。  最後に、循環型林業の確立に向けた各地域の取り組みに対する県の支援についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、循環型林業を持続させるための仕組みを、各地域ごとに民間と行政が連携して構築することが重要であるという考え方から、今年度から県下7圏域ごとに新たなプロジェクトを立ち上げ、推進を図ることとしております。浜田圏域ではこれに先駆けまして、平成22年度から森林組合のマネジメントのもと、県内最大規模の5,000ヘクタールの森林を団地化し、作業道を集中して整備しているところでございます。ちなみに、県内の木材生産団地の平均面積は約220ヘクタールでございます。  また、森林組合が伐採事業者等と連携して、原木の伐採、販売から再植林までを森林所有者にかわって一体的に行う先進的な取り組みが進められております。この取り組みにより、合板工場への原木の安定的な供給、原木市場・製材工場への良質な原木の供給といった成果が出つつあります。  県としましては、今後この浜田圏域での取り組みをモデルにしながら、各圏域における取り組みを積極的に支援する方針でございます。以上です。 7: ◯議長原成充) 西山商工労働部長。  〔西山商工労働部長登壇〕 8: ◯商工労働部長西山彰) 私のほうからは、浜田港の貿易の状況及び今後の貿易振興などについて2点お答えをいたします。  まず、浜田港の貿易の状況ですが、直近の平成23年の浜田税関支署管内の貿易総額は約337億円、輸出が約40億円、輸入が約297億円と、前年実績を約39億円上回る状況になっております。リーマン・ショックで平成21年に大幅に落ち込んだ輸出入は、回復傾向にあると思います。主な貨物としては、輸入が石炭や木材、輸出は中古車や人造繊維などであります。  また、釜山への定期コンテナ航路の取扱本数は、平成23年度で20フィートコンテナ換算で2,292本と、前年度に比べて若干減少いたしましたが、ヒノキ丸太等の輸出が前年度比3.5倍と大幅に増加いたしました。年度によって変動はあるものの、おおむね増加傾向にあります。  また、浜田港における今後の貿易振興の取り組みについてですが、定期コンテナ航路については、本年5月に運航ルートが改善し、釜山への輸送日数が大幅に短縮されました。来年春には物流倉庫の供用も開始されるため、特に神戸港などを利用している近隣企業に対して、浜田港利用を提案していく考えです。  また、ロシア・ウラジオストクへの国際RORO船航路については来月12月以降、月2便の定期航路となります。これによって企業が計画的な輸出入を行うことが可能となりました。浜田港の貿易額の約7割を占めるロシアにつきましては、ことし8月のWTOの加盟や、ウラジオストクでの自動車生産の拠点化に伴う自動車部品の新たな物流など、ビジネス機会や貿易の拡大が期待されます。  県では現在、浜田港ロシア貿易拡大プロジェクトにより、国際RORO船とシベリア鉄道を組み合わせることで、例えば山陽や九州など西日本一円からロシア全土に向けた貿易物流網の構築に取り組んでいるところでありますが、こうした新たな動きを受け、新規貨物の発掘などに取り組んでまいります。  また、境港については、中国や韓国、日本・韓国・ロシアを結ぶ貨客船など多様な航路があり、港湾施設も充実していることから、鳥取県や関係機関とも連携し、境港の利便性をPRしていきたいというふうに考えております。  次に、浜田港の利用拡大に当たっての体制についてお答えいたします。  浜田港の利用拡大に当たっては、これまで県、浜田市、地元金融機関などで構成する浜田港振興会を中心にポートセールス活動を行ってきたところです。近年、他の港との競争が厳しさを増す中で、ポートセールスに当たっては港の施設や設備の状況、また物流や荷役の状況を一元的に提案することが求められております。このため、今年度新たに浜田港振興会に加え、港湾管理者や荷役業者を加えた浜田港ポートセールス調整会議を立ち上げ、利用者が求める情報を一元的に提供できるセールス活動を実施しているところです。今後、こうした取り組みの成果を踏まえながら、浜田港の発展につながる体制を構築していきたいと考えております。 9: ◯議長原成充) 嘉本議員。  〔嘉本祐一議員登壇、拍手〕 10: ◯嘉本祐一議員 おはようございます。議席番号2番、嘉本祐一でございます。一般質問に入らせていただきます。  前回の9月定例会におきまして、私は原子力災害に関連する広域避難計画について質問をいたしました。私の質問に対して知事は、計画に基づいた避難の訓練をすることが大事だ。ことし2月の原子力防災訓練においては、松江市だけではなく出雲、雲南、安来市、周辺の鳥取県、境港、米子市などとも一緒になって、県、市、警察、消防など防災機関の初動対応の訓練、行政だけの訓練をしたこと、来年の1月には、行政だけでなく住民の方々にも参加いただく実動訓練を実施するということで準備中であること、こうした訓練を繰り返し実施して、実効性のある防災体制の確立に努めていきたいという御答弁でございました。私も住民参加の実動訓練が大変重要だと考えております。
     そこで最初に、来年1月に行う予定の原子力防災訓練の目的は何か、知事に伺います。  先月10月28日に佐賀県玄海町の九州電力玄海原発で、東京電力福島第一原発事故級の事故が発生したことを想定した原子力防災訓練が佐賀県、福岡県、長崎県の合同で行われました。関係機関との連携強化や住民の意識向上が目的で、福岡、佐賀では福祉施設のお年寄りや保育園児を含む住民計1,700人が避難訓練に参加されたということでございます。3県の職員は佐賀県庁に集まり、国の避難指示などを地元自治体に伝える手順を確認したり、放射線量の計測や医療機関と連携して救護所を設け住民の被曝検査や除染したりする訓練が行われました。  住民の避難訓練は30キロ圏にある福岡県糸島市と佐賀県の玄海町、唐津市、伊万里市の4市町で実施され、それぞれの県内において子どもたちやお年寄りの誘導方法や、ペットを連れ自家用車で避難する人への対応が確かめられたそうであります。  新聞報道によれば、現段階でも防災訓練によってさまざまな課題が出ているようでございます。避難訓練について言えば、例えば県境を越えた避難支援の詳細な確認の必要性、策定した避難ルートの再検討、離島があるという地域的特性から、天候を考慮に入れた船による避難のシナリオづくりと臨機応変の対応、乳児の避難の対応、乳幼児と保護者との連絡体制の確立、施設入居者の移動において地域の住民も含めた協力体制の見直し、独居老人・聴覚障がい者・視覚障がい者の移動や対応、モニタリングポストの操作方法の職員への普及・拡大、夜間の訓練の必要性、避難所での生活の仕方についての手引の必要性などが課題として挙がっております。  また、先月10月24日には、北海道電力泊原発から30キロ圏の緊急防護措置を準備する区域にある後志管内の13町村が参加する中で、北海道の原子力防災訓練が行われました。避難対象地域の人口約7万8,000人の1割近い約6,000人が参加する大規模なものでした。このうち、住民は約1,700人がヘリコプターや船、バス、JRなどさまざまな移動手段で30キロ圏外へ避難しました。ここでも積雪を前提とした厳冬期の訓練、除雪のあり方、交通手段の選択肢を増加すること、放射線に対する基礎知識の普及、情報伝達する場合の住民が理解しやすい言葉の選択、保護者との連絡のとり方などが課題として挙がっているようであります。これから全国において原子力防災訓練が重ねられるごとに、原子力防災の準備が進んでいくことと思います。  そこで、来年1月に行われる原子力防災訓練の具体的な訓練の項目と内容、参加機関、参加対象者、規模について伺います。  また、計画されているたくさんの具体的訓練の中で、特に今回力を入れる訓練があろうかと思いますが、原子力防災訓練の特徴は何か伺います。  防災訓練の目的は、訓練を筋書きどおりに整然と終えることではありません。防災訓練結果を隅々まで検証して不備を洗い出し、その不備を改善、解決することが何よりも大切だと考えます。その意味で、常に防災訓練後に検証をすることが重要だと考えますが、どのように行う予定か伺います。  行政、参加機関内部だけではなく、参加団体、住民の皆様との意見交換による検証も大事と考えますが、所見をお伺いいたします。  次に、島根原子力発電所をめぐる島根県内首長、鳥取県と米子市、境港市首長との意見交換会について伺います。  原子力災害が万が一起こった場合は、甚大な影響を受ける可能性を共有する自治体の皆さんが同じテーブルに着くことは、大変意義深いものがあると考えます。  島根原子力発電所をめぐる諸課題等についての意見交換をするために、去る10月29日に島根県知事と原子力発電所周辺3市、出雲市、安来市、雲南市の市長との間で、そして11月1日に島根県知事と鳥取県、米子市、境港市の市長との間で意見交換会が行われたということでございます。意見交換会ではどのようなことが話し合われたか、知事にお伺いいたします。  また、それについての知事の所感と、それに関連して今後島根原子力発電所をめぐる諸課題等についてどのように取り組んでいく意向か、知事にお伺いいたします。  次に、小学校、中学校、高等学校におけるキャリア教育について伺います。  キャリア教育については、池田議員、岩田議員など、さまざまな視点から熱心な質問が過去にされておりますが、私としては3つに絞って質問させていただきます。  小中高等学校の児童生徒たちが自分の好きな仕事、憧れの仕事、あるいは今まで考えもつかなかった仕事を学んだり体験したりすることによって、社会と仕事がどのようにかかわっているか、その中で自分の人生にとって仕事とはどういう意味を持つのか、仕事の厳しさや仕事をするために必要な技術、技能、知識、協調性、忍耐力、今なぜ自分が勉強しなければならないかなどということについて真剣に考えていくことは、大変大切なことであります。キャリア教育により自分の進路がより明確にされ、動機づけがしっかりし、それが学力向上あるいは技術や技能の習得にもつながるということは、経験的にも明らかであるように思います。ましてや、今仕事で求められる技術、技能、専門知識などはどんどん高度化しており、これからも高度化し続けることが予想される中で、キャリア教育はますます重要になってくると思います。  また、地域全体でキャリア教育を行うことにより、地域での就職の可能性も高くなり、そうした小中高等学校で養成した能力が地域の企業などの就職先に生かされ、地域の発展につながるということもあるでしょう。厳しい経済情勢の中で、若年無業者の問題、不安定な仕事への就職、仕事と個人のマッチングなどの問題の解消について、キャリア教育が果たす役割も大きいと思います。  また、自己実現などとも言われますが、仕事を通じてみずからが理想とするところを追い求め、それが個人としての満足、幸せにつながっていくということもキャリア教育の効用の一つであると考えます。そのためにも、児童や生徒の学校生活、地域生活、家庭生活、社会生活の中においてキャリア教育が根づいていかなければならないと考えます。  また、キャリア教育は、幼児期における挨拶などのしつけ、親子の会話や手伝いなどに始まり、義務教育の段階から体系的に各学校段階の取り組みを考えていくことが重要だと考えますが、島根県の小中高等学校のキャリア教育においてそれぞれ目指すところを教育長に、それが何かということを伺います。  さらに、小中高等学校において有効なキャリア教育を行っていくためには、キャリア教育の企画、実施、チェック、改善のそれぞれの段階において、学校、教育委員会を中心として、商工団体、農業団体、地域の経営者などの産業界、福祉団体、NPO、PTAなど地域全体で取り組む必要があると考えます。市町村、県レベルにおいてどのような推進体制をとっているか、お伺いいたします。  最後に、島根県においてはキャリア教育について、今後の課題をどのように捉えておられるか伺います。  4番目に、小学校、中学校、高等学校における英語教育について伺います。  我が国の教育基本法においては、第1条に、教育は人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないと記されております。要するに、知・徳・体のバランスのとれた個人、公の中の個人としての確立を目指しているものと言えると私は思います。  申し上げるまでもなく、小学校、中学校、高等学校の教育は言語活動を通して行われ、その言語に関する能力を育成する中核的な役割を果たすのが国語、日本語であります。一方で、国家間の人、物、金、情報の動きが加速的に活発化している21世紀社会において、外国語の習得も大変重要であります。  島根県の企業が海外に進出し、技術、技能指導するケースも出てきておりますし、これからは外国の企業が島根県に進出することも考えられます。いまだに人数としては少ないにしても、外国からの観光客を島根県に積極的に誘致するということも、島根県の政策課題であります。  県内に滞在する外国人の数もふえております。外国人登録者数を見ますと、1990年12月末におきまして2,000人だったものが、2011年12月末現在で5,425人となり、この約20年間で2.5倍に増加しております。中国、ブラジル、韓国、フィリピン、アメリカなど58カ国と国籍の多様化も進んでおります。  また、家庭においては、コンピューターを通して世界中に接続しております。外国語によるホームページ数は日本語のそれよりも圧倒的に多く、テレビでもさまざまな外国語による番組が放映されています。印刷された本も日本語よりも外国語のものが圧倒的に多く、外国語を習得している場合とそうでない場合の情報格差は明らかであります。  世界にはさまざまな外国語があり、意思疎通をする手段としてはそれぞれ重要でございますが、英語が国際共通語として中心的な役割を担っている点に鑑みれば、英語の習得が大変重要な課題であります。  しかしながら、日本の英語教育の到達レベルを世界の物差しと比べてみますと、大変心もとない状況にあります。英語力の到達度をはかる物差しの代表的なものがTOEFLでございます。TOEFLは世界130カ国以上の国の大学や大学院などの入学試験の判断基準などに採用されている、母国語を英語としない学生の皆さんなどが受験する英語のテストです。中でもTOEFL─iBTは聞くこと、話すこと、読むこと、書くことという4つの総合能力を測定する試験でございます。  2011年1月から12月までに行われましたTOEFLのテストとスコアデータの報告書から抽出した、TOEFL基準による国別のTOEFL─iBTのスコアの平均を上から見てみますと、試験の平均の値が出ている163カ国中、オランダが第1位、第2位がシンガポール、第3位がオーストリア、ベルギー、デンマーク、第6位がスイス、第7位がフィンランド、ドイツ、ポルトガルとなっております。近隣の韓国と香港は大分下がって、ともに70位、中国は102位、肝心の日本は137位でございます。これは直近の数値でございますが、こうした状況は以前から国内外において指摘されていたことでございます。これらを踏まえて、我が国では英語教育についてさまざまな議論が重ねられてまいりました。  平成20年1月に中央教育審議会が「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」という答申を出し、それを受けて文部科学省が学習指導要領をそれぞれ改定し、その結果、平成23年4月から小学校5年生、6年生において外国語活動が導入されました。また、平成24年4月から、中学校においては学ぶ語数を900語から1,200語に増加し、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことの4技能をバランスよく育成するための授業が行われております。さらに、来年、平成25年4月からは、高等学校において英語による授業が導入されることとされ、指導する標準的な単語数が1,300語から1,800語に増加されることになりました。  こういった動きなどを踏まえて、島根県の小中高等学校の英語教育においてそれぞれ目指すところは何か、教育長にお伺いいたします。  日本の小中高等学校の英語教育におきましては、さまざまな教材を用いたり工夫が施された授業が行われたりしています。英語指導助手、これからはALTと便宜上呼ばせていただきますが、このALTの活用も一つでございます。  さて、小中高等学校、また学校によりALTの仕事は異なるということですが、英語の授業、英語活動、教材作成の補助、特別活動や部活動、地域における国際交流活動の協力などが仕事の主な内容になるということでございます。母国語を英語とするALTの活用の仕方によっては、児童や生徒たちの英語力向上、国際理解向上などに大きく寄与すると考えます。  しかしながら、英語の授業においてALTを十分に活用しているかというと疑問が残ります。私が過去に直接会ってお話を伺った県内のALTは10人を超えると思いますが、それによると、もっとたくさんの時間、生徒の指導に携わりたい、自分が授業のために有効に使われていない、そして時間的な余裕もあるというような意見が多かったように思います。  ことしの9月に、語学指導等を行う外国青年招致事業を通じて派遣されているALTの皆さんが、オンラインアンケートにより実施された調査の報告書がございます。45の都道府県に在住する399名のALTと民間ALTの1名が回答したもので、内訳は約50%が小学校、58%が中学校、43%が高等学校に勤めておられるということでございます。そして、市町村に所属しているALTが54%、都道府県に所属しているALTが46%ということでございます。  1週間の授業時間の平均について、回答者の33%が11から15時間と答えております。また、仮に週平均35時間の勤務だとすると、ALTの約5人に1人が勤務時間における授業時間の割合が30%以下ということでございます。また、授業の計画にかける時間を見ますと、全体の51%が週5時間以下、30%が6時間から10時間、11%が11から15時間と回答しておられます。どれぐらいの時間を授業中に過ごすのが適当かは議論の余地があるでしょうが、私のヒアリングとあわせて見ると、やはり時間的に言ってもさらに多くALTの活用がなされてもよいのではないかと思われます。  一人一人の児童生徒にとってみれば、週におよそ1回程度ALT補助のもとで授業を行っているという理解をしておりますが、やはりしっかりとした学習をしようと思えば、少なくとも週に2回はALT補助のもとでの授業が必要とも考えます。授業以外でもイベントや部活動などの活用も必要でしょう。  そこで、伺います。  島根県においてもALTの活用や増員に限らず、英語教員の増員、さまざまな授業方法、教材の選択などにおいて改善のための検討を重ねておられると思いますが、島根県の英語教育において目指すところを達成するために、小中高等学校における英語教育をどのように具体的に実施しておられるか、そして新たな取り組みはあるか伺います。  新たに改訂になった学習指導要領には、児童生徒の英語力の到達レベルについての具体的な数値目標が書かれておりません。文部科学省では、平成22年11月に外国語能力の向上に関する検討会を設置し、生徒の外国語能力の向上のため、目標設定のあり方を始め指導方法、教材のあり方などの方策について検討を進め、「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策~英語を学ぶ意欲と使う機会の充実を通じた確かなコミュニケーション能力の育成に向けて~」という報告書をまとめて、平成23年7月に文部科学省より発表されました。  その提言の第1番目に、生徒に求められる英語力についてその達成状況を把握・検証する、が挙げられ、積極的に英検やGTEC for STUDENTS等の外部検定試験を活用し、実際に生徒の英語力を把握・検証することが必要であるとしています。  私も客観的な尺度により生徒の学習の進捗状況を把握・検証することは大事だと思います。例えば、外部試験であればどれだけの児童や生徒がどのレベルの試験を受けているか、その合格率などが考えられると思います。  目標設定、達成状況の評価への外部試験の導入については、平成21年の2月定例会において、岡本議員の質問に対して当時の教育長が、英語検定などのような資格の取得は生徒にとって目標となり、また励みともなる。受験料の負担を伴うが、できるだけそうした目標を掲げさせて、生徒の英語力を高めることにつながるようにしていきたいと考えているという趣旨の答弁があったところでございます。  そこで、伺います。  島根県においては、小中高における英語教育の目標設定をどのようにしているか、またその達成状況はどうか伺います。  また、小中高等学校の島根県の英語教育について、今後の課題についてどのように認識しているか伺います。  私の身の回りにいる子どもたちを見たときに、それぞれ程度の差こそあれ、職場体験を通じて、将来自分がつきたい仕事について興味や関心を持っている子がふえたなと実感しております。外国においてもキャリア教育が行われており、特に米国ではキャリア教育に熱心でございます。米国の子どもたちがいかにして仕事について学んでいるか、日本の子どもたちも興味や関心を持つと思います。  米国でのキャリア教育の内容は、テキストやビデオなどインターネット上に多数あり、全て英語でございます。米国の若者がさまざまな職業について現場で仕事をしたり経験したりしている様子を紹介したビデオ、例えばユーチューブのジョブシャドウイングなどやテキスト形式の教材、ACTなどがあります。キャリア教育の教材を英語を通して学ぶことにより、進路も英語も学べるという一石二鳥のチャンスではないかと思います。  島根県において、米国のキャリア教育のインターネット上の教材、データベースを英語教育の一部として活用することはできないか、教育長にお伺いいたします。  以上、具体的な御答弁をよろしくお願い申し上げます。(拍手) 11: ◯議長原成充) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 12: ◯知事溝口善兵衛) 嘉本議員の御質問にお答えをいたします。  私からは、原子力防災訓練の目的と、鳥取あるいは周辺市との意見交換会に関連した質問についてお答えをいたします。  原発につきましては、やはり原発自身の安全確保ということが最も大事な課題でございます。しかし、万が一のことも起こり得るわけでありますから、そのために防災対策、訓練等をしなければならないという関係に立つわけでありますけども、万が一の場合に備えて放射性物質がどのように飛散するか、そういうモニターを整備をしたり、あるいは行政機関の中でいろんな連携をとらなければなりませんから、そういう連携網の機械等の施設整備と申しますか、そういうことがあるわけであります。あるいは避難道路の整備といったものも、そういうインフラの整備ということで関連をすると思います。  もう一つは、やはり住民の方々が避難をする、ふだん通常の場合ないことでありますから、いろんな知識を持ち、避難の仕方などを経験をされるということが大事でございます。それで避難訓練を行うわけであります。  それから、避難をするためには一定の計画が必要であります。市全体をカバーする計画、あるいは30キロ圏域の市全体としてどうするかという計画もつくると、こういういろんなことがあって、そういう一つとして訓練を行うということであります。  昨年度におきましては、福島原発事故を受けまして、ことしの2月になりますけども、避難訓練を行ったわけです。それは議員御紹介になりましたように、従来は松江市と県とということでございましたが、松江市以外に鳥取県、そして島根では出雲市、雲南市、安来市、鳥取県では米子市、境港市の行政機関も加わりまして訓練をしたと、こういうことでございます。参加した方々は県の職員であり、市の職員であり、あるいは警察、消防などの防災関係の行政機関でありまして、初動態勢をどうするかということをまず中心に訓練をしたということであります。  その後、避難計画自身についてのいろんな作業が進んでまいりまして、30キロ圏域にかかる島根県では4市が広域避難計画をつくるということをやって、大きな枠組みができましたので、先般公表したと。この計画もまだまだ細部を詰めていったり、国の協力を求めなきゃいかん分野がたくさんあると、こういう状況であります。  そこで、訓練につきましては、その避難計画なども念頭に入れまして、来年の1月に行うと、こういうことにしておるわけです。内容としましては、住民の方々が参加して行われる実動避難訓練、それから30キロ圏外の避難先での避難所運営訓練など新たに盛り込んで行うわけであります。  目的は、やや抽象的になりますが、3つ掲げております。1つは、原子力災害発生時における県、市、警察、消防など防災機関相互の連携による防災対策の確立に向けての訓練と、こういうことです。第2に、防災業務関係者の防災技術の習熟をさらに進めると。第3に、住民の方々あるいは学校等の参加による原子力災害発生時の避難方法の習得、あるいは原子力防災に対する理解の向上などを目的として行います。  もちろん、こうした目的は今回の訓練だけで対応できるわけではありませんし、住民の方々の参加も一部でありますから、さらにこうした訓練を続けていかなければならないというふうに思っているところでございますし、また議員も御指摘になりましたけども、事故の対応によってもいろんな違いが出てくるわけです。あるいは時刻によって夜中であるとか朝方であるとか、あるいは雨が降っているとか雪が降っているとか、いろんな対応がありますが、そういうものはこれから先、そういう場合にどうするかということもよく考えて、訓練などにも取り入れていく必要もあろうかと思いますが、現時点では今申し上げたようなことであります。  2番目の御質問は、先般出雲市、安来市、雲南市の市長、そして別の場でありますが、鳥取県の知事、米子市、境港市の市長と意見交換をいたしました。その意見交換ではどんなことが話されたのかということと、それについての所感についての御質問であります。  県内3市、それから鳥取県、鳥取県の2市、私どもとも意見交換したいという希望は持っておられまして、私どものほうも9月でございましたか、原子力規制委員会ができまして、原子力安全に対する体制が変わったわけでございます。そこで、どういうふうな方向で物事が進んでいくのか、まだはっきりしない点がございましたので、タイミングを見ておりましたけども、10月29日に出雲市、安来市、雲南市と会合し、11月1日に鳥取県知事、米子市長、境港市長と意見交換を行ったと、こういうことでございます。私どものほうから、国の機関、原子力規制委員会、そして経産省の資源エネルギー庁などがどういう方向で安全対策、安全基準を対応しようとしているか、我々一定の情報を持っておりますから、そういう情報を提供して御意見を伺うというのが1つであります。  そして、そういう中では政府の対応がはっきりしないものもたくさんありますから、そういうものにつきましては、共同してできるものについてはまた政府にも一緒に申し入れていくとか、あるいは個別にやるということもありますが、そういうことを行うということ。それから避難訓練、避難計画などの作成も鳥取県でも行っていますし、我がほうでも行っていますから、そういう点について意見交換をしたということであります。  広域避難計画につきましては、避難先あるいは避難の手順など、あらかじめ定めておくことが重要だということは、もう異論のないことでありまして、さらに実効性を高めていくようにいろんな訓練、積み重ねが必要だということでありました。  また、避難所の運営でありますとか、スクリーニングでありますとか、あるいは要援護者の避難などにつきましては、これはやはり国によく申し入れていきませんと、我々だけでは解決できませんので、そういう点をやっていこうというようなことで、大体同じような認識を持っておられるというふうに思います。  次に、これらの島根の3市、鳥取県、そして鳥取の2市におかれましては、中電との関係で原子力の安全協定があるけども、松江市あるいは県の場合、稼働等について大きな変更等がある場合には事前の了解を得るという規定がありますが、周辺市等につきましてはないわけでありまして、そういう点については以前から鳥取県、関係周辺市は言っておられることはよく承知をしております。私も平井さんからとか、あるいは県内周辺3市長さんからもお聞きはよくしておりました。  その点は、私のほうも国に対しましては、中電は電力事業者の一つですから、電力業界全体がどうかということがないと、なかなか中電だけでこうするというわけにいきませんし、電力業界がやはり国とよく話をしなきゃいけませんし、電力業界は国の電気事業法に基づいて事業をやっている法人ですから、それはやはり国がどうするということがやっぱり大事なわけであります。そういう意味で、規制委員会でありますとか、当時は保安院がまだありましたけども、保安院に対しまして、国がこうした問題をどう考えるか、関与してやる必要があるということをずっと言っております。しかし、国のほうは体制がまだ整ってないという状況ですということを説明をしてあります。そんな状況でございます。  それから、意見交換の所感でありますが、先ほど申し上げましたように、率直な意見交換によってでありますけども、避難の計画、方法等の進む道につきましては、意見の違いは余りなかったと思います。その方向で協力を強化していく、こういう場でいろんな意見を聞きながら対応していくということが大事だというふうに思っています。  そして、それに関連をしまして、議員の御質問は、島根原発をめぐる諸課題への取り組みいかんと、こういうことでありますが、先ほど申し上げましたように、やはり一番大事なことは、新たにできました原子力規制委員会が安全基準を確立をし、それに基づいて安全対策を決められて、それを個々の原発についてチェックをして、必要な改善があるならある、こういうところがあるということがまず進むということが一番大きな課題です。それはまだ基準も対策の案もできてないわけであります。いろんな報道等から見ますとまだまだ時間がかかる状況にあるように思います。しかし、こういう問題に対しましても、必要な意見等は我々自身も言っていかなければならないというふうに思います。  それから、もう一つの問題は、万が一の場合に避難というものをどうするのか、先ほど申し上げましたように、訓練でありますとか各地域で広域の避難計画をつくる、それをさらにエラボレートしていく、さらに訓練などを通じて住民の方々の知識、体験がふえる、そういうことをやっていかなければならないというふうに思いますし、要援護者などにつきましては、国が、例えば自衛隊が出動しないと円滑にできないといったようなことは福島でもありますから、やり方はある程度国においてもわかっておりますけども、そういうマニュアルのようなものを、どこに申し込んでどうするといったようなものを国がおつくりになることが必要だということを言っておりますが、まだ進んでおりません。  あるいは、避難先でいろんな運営の仕方、物資の調達あるいはとりあえずの経費の負担の仕方、いろいろあろうかと思いますが、そういうものについてもやはり国の対応が必要であります。そういう点をさらに進めていくといったようなこと、いろんな課題がございます。私どもとしては、島根県、そして鳥取県、関係市の意見をお聞きするとともに、全国知事会あるいは原発立地13道県で組織する原発協がございますので、そういうことを通じて意見を国によく申し入れていきたいというふうに考えておるところであります。 13: ◯議長原成充) 赤松総務部長。  〔赤松総務部長登壇〕 14: ◯総務部長赤松俊彦) 私のほうからは、1月に予定をしております原子力防災訓練の項目と、若干具体的な内容についてお答えをさせていただきます。  御質問に対する順序が前後いたしますが、まず訓練の特徴ということについてから御答弁をさせていただきます。  知事が答弁いたしました訓練の目的ということと重なる部分があるわけでございますが、今年度予定をいたしております訓練は、さきに取りまとめた広域避難計画に基づき行う初めての訓練であるということでございます。特定の側面でありますとか場面に特化、重点的に何か行うというような発想ではなしに、島根原発でのトラブル発生から各種防災機関の通信連絡など初動の対応、オフサイトセンターの立ち上げ、あるいは一般住民や学校などの避難開始から終了に至るまでの一連の流れを、一般住民の方々の参加を得て関係機関が連携し実践し、検証をしていくというふうなものであるというふうに考えてございます。  次に、具体的な訓練の項目でございますが、初動対応訓練といたしまして、原子力災害発生時におけます各防災機関の対応手順の確認でございますとか、通信連絡訓練などを考えておるところでございます。  また、オフサイトセンターの設置運営訓練でございますが、各機関からの要員の派遣、あるいは島根県と鳥取県の災害対策本部のテレビ会議システムを用いた情報伝達訓練などを行うことにしておるところでございます。  次に、避難指示が発令された場合の避難の訓練を実施をすることとしてございます。一般住民を対象とした訓練でございますが、これは30キロ圏内の6市がそれぞれで実施をするということにしておりまして、屋内退避指示の情報伝達の訓練、あるいは屋内退避の訓練というのを行うとともに、30キロ圏外への避難訓練の実施ということも考えておるところでございます。  また、学校でございますとか災害時の要援護者には特別な配慮が必要でございますので、今回は学校と社会福祉施設を対象に訓練を別途行うということにしておるところでございます。  まず、学校の訓練でございますが、防災無線等を活用いたしました緊急時の通信連絡、児童等の屋内退避あるいはバスによる避難訓練。社会福祉施設、これは入所施設を想定してございますが、この訓練では、まず施設内での情報共有、家族の方々への連絡、入所者の方々の施設から避難車両までの誘導というようなものを行うこととしておるところでございます。  次に、避難中における交通規制の訓練でございますが、避難車両の交通誘導を検討をしておるところでございます。また、避難後におけるものでございますが、1つ目といたしまして、自衛隊災害派遣運用訓練といたしまして、避難所における炊き出し支援でございますとか、避難者あるいは避難車両に対する除染活動というような訓練を行いたいと考えてございます。  また、医療活動訓練でございますが、避難住民の方々のスクリーニング検査というような項目についても考えておるところでございます。  また、一連の避難措置を検討する前提と申しますか、検討する際には、必要な放射線の情報というようなものを得ていく必要がございます。緊急時のモニタリング訓練も予定をしておるところでございまして、内容でございますが、30キロ圏内での空間線量の測定でございますとか、鳥取県との情報伝達・共有というようなことなどを考えておるところでございます。  参加機関でございますが、島根・鳥取両県、30キロ圏内の6市、警察、消防のほか、自衛隊などの国の機関、学校、福祉施設などを予定をしておるところでございます。  参加対象者でございますが、参加機関職員に加えまして、一般住民の方でございますとか児童生徒というようなところも予定をしておるところでございます。  規模というような点でございますが、参加機関でございますとか参加対象者を含めまして、年内をめどに現在調整をしておるというふうな状況にございます。  続きまして、訓練の検証というようなことについての御質問でございますが、今回の訓練の評価・検証につきましては、訓練参加者によるものと第三者機関によるものという、2つの方向から検証を行うというふうな考えでございます。  1点目の参加者によるものでございますけれども、これについてはアンケート調査を実施をいたしますとともに、御指摘ございました参加団体でございますとか、参加をいただいた住民の皆さんからの意見を伺うというような方法についても検討していきたいと考えておるところでございます。  また、第三者機関によるものについては、公益財団法人の原子力安全技術センターでございますとか、独立行政法人の原子力安全基盤機構による訓練の評価を予定をしておるところでございます。  このような訓練の検証でございますとか、御指摘ございました他県における事例というようなものを、今後の避難計画でございますとか防災訓練の内容にフィードバックをしていきたいというふうに考えておるところでございます。以上でございます。 15: ◯議長原成充) 今井教育長。  〔今井教育長登壇〕 16: ◯教育長今井康雄) 大きく2点、キャリア教育と英語教育について御質問いただきました。  1点目のキャリア教育についてでございます。  まず、小中高のキャリア教育において、それぞれ目指すところは何かという御質問でございます。  小学校ではふるさと教育やふるまい向上などを通して、ふるさとへの愛着・誇りを醸成し、社会人としての基礎的な力を養うこと、それから中学校では職場体験や外部人材の講話などを通し、社会人に必要な能力を育成することを目指しております。また、高校では地域・社会や産業界、関係機関との連携をしたインターンシップや課題研究など、さまざまな教育活動を通しまして地域や職業を理解し、社会人・職業人として必要となる能力や態度を育てるということと、それから将来の島根を支える気概を持ち続ける生徒を育成する、こういったことを目指しております。
     それから、2点目でございます。小中高において有効なキャリア教育を進めるための推進体制についてでございます。  現在、県内の市町村で取り組まれているいい事例といたしまして、雲南市の取り組みがございます。雲南市では、市としてのキャリア教育の目標を設定いたしますとともに、学校、保護者、地域、企業などの連携をスムーズに行うためにコーディネーターを各中学校に配置をいたしまして、キャリア教育を市全体で推進をいたしております。  また、今年度から浜田市におきまして、小中学校が連携したキャリア教育推進のモデル事業、こういった事業が実施をされております。こうした取り組みが今後県内で広がることを期待をいたしているところであります。  それから、高校でございますが、キャリア教育担当者を各高校に配置をいたしまして、企業や地域と連携をしながらキャリア教育を推進しているところでございます。  それから、3点目でございます。キャリア教育の課題ということでありますが、3点ございます。  1点目が、小学校、中学校、高校と12年間にわたります継続的で一貫したキャリア教育を進めるために、学校種間の連携を図っていくこと。それから2点目が、学校が家庭や地域、企業などの理解と協力を得て互いに連携をしながら、子どもたちの各発達段階で効果的なキャリア教育を推進していくこと。それから3点目でありますが、何よりも教員のキャリア教育に対する理解の促進と指導力の向上を図る、こういった3点が大きな課題だと思っております。  それから、大きい2点目の英語教育について、5点ほど御質問をいただきました。  まず、1点目でございます。小中高等学校におきます英語教育の目指すところは何かということでございます。  小学校では、外国語の音声や基本的な表現になれ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養うこと。それから中学校では、聞く、話す、読む、書くなどのコミュニケーション能力の基礎を養うこと。また高等学校では、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うこと、こういったところがそれぞれ目指すところでございます。  それから、2点目でございますが、英語教育を今どういうふうに実施しているか、それから新たな取り組みがあるかという御質問でございます。  大きく2点ございまして、1つが教員の指導力の向上でございます。その中で、英語教育を新たに導入をされました小学校教員につきまして、外国語活動の研修を始めておりますし、それから中高の英語科につきましては、リーダー養成の研修を行ってきているところでございます。  それから、2番目の指導方法の充実でございますが、1つが少人数指導の実施ということで、中学校では約6割の学校でこれが実施をされております。高等学校では英語の少人数指導を行うための加配ということで、15名を配置をいたしております。  それから、指導方法の充実のもう一点でございますが、御質問にもございました外国語指導助手を配置をいたしております。市町村で59名、県立学校で17名が配置をされております。活動ですが、中学校では現在週1.5回程度、それから高等学校では週1回程度ということでございまして、御質問にございましたこのALTのもう少し効率的な活動というのが必要かなということを思っております。  それから、新たな取り組みでございますが、今年度英語力を強化するための指導方法の改善のモデル事業、こういった事業を浜田高校を拠点に展開をいたしております。今後研修会を開きまして、その取り組みを各高等学校へ周知を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、英語教育3点目でございます。英語教育の目標設定、それからその達成状況がどうかという御質問でございます。  英語教育につきましては、数値による目標設定というのは大変難しいということから、各学校ではそういった数値目標の設定は行っていないと承知をいたしております。そうした中で例えば中学校でございますが、県の学力調査を活用いたしまして、前年度の調査で明らかになりました課題を解決すると、こういったことを大きな目標としているというふうに伺っております。  それから、高等学校におきましては、現在各学校に対しまして新学習指導要領の考え方に基づきまして、来年度から学習到達目標、これも数値目標ということではなくて、読み、書き、聞く、話す、こういったことについて定性的な目標を設定をいたしまして、その達成状況を把握・検証するよう、こういった指導を現在行っているところでございます。  それから、御質問にもございました外部試験を活用した目標設定ということですが、現在はそういった目標設定を行っている学校はございません。ただ、島根県の中学校、高等学校の多くでは実用英語の技能検定の試験が行われております。受験する生徒の割合ですが、全国平均を残念ながら下回っておりますが、合格率は全国平均を上回るという状況にございます。  この検定ですが、検定日が全国一斉の日にちで決められているということ、それから経済的な負担と、こういったことで全ての生徒が受験するということは困難でございますが、生徒の英語学習の目標や励みとなります。また、英語力の伸長を図る手段の一つとして有効であると思っております。できるだけ多くの生徒に受験をしてもらいたいと考えているところでございます。  それから、今後の英語教育の課題ということでございますが、中学校につきましては、県の学力調査の結果を見ますと、例えば長い英文の内容や要旨を理解する力の育成、それから英語が役に立つ、楽しいと、こういう実感を持たせる、こういったことが課題ではないかと考えております。  それから、高等学校におきましては、今後新学習指導要領によりまして英語の授業を英語で行うということが基本となりますが、これに伴いまして教員の負担感あるいは生徒の学力に差異がある、こういったことが大きな課題ではないかなと思っております。今後も研修などを通じまして、教員の指導力の向上などに努めていきたいと思っております。  また、先ほど申し上げました外国語指導助手の効率的な運用、こういったことについても意を用いていく必要があるというふうに考えております。  最後に、インターネットにおきます教材・データベース、これを活用したらどうかという御質問でございます。  私どもも今後インターネットの活用など、ICTを英語教育の中に効果的に取り入れ、生徒の発達段階、それから興味、関心に即して適切な題材を取り上げるなどいたしまして、生徒の学習意欲を高める指導が行われるように努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 17: ◯議長原成充) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。        午前11時54分休憩        午後1時3分再開 18: ◯副議長絲原徳康) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて一般質問を行います。  藤間議員。  〔藤間恵一議員登壇、拍手〕 19: ◯藤間恵一議員 自民党議員連盟の藤間恵一でございます。今回は災害関連とナラ枯れ、図書館全国大会について質問を行います。以前に伺った項目も含めて質問いたしますので、知事を始め関係部長の真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。  まず、県内におけるナラ枯れ被害についてお伺いします。  県内におけるナラ枯れの被害は、昭和61年に益田市の旧美都町で初確認された後、平成に入って17年に江津市、浜田市、益田市、津和野町で発生し、以降県西部を中心に被害が拡大してきました。平成22年には被害木の数が2万6,212本に増加し、当初県西部で確認されていた被害が、その後県西部から東部へ次第に移動してきております。ことしになって安来で初めて被害木が確認され、松江市でも被害が増加してきている状況であります。  そもそもナラ枯れはナラやシイ、カシなどの樹木、特に島根県内ではコナラが枯れる被害が最も多くなっておりますが、これらブナ科の樹木の伝染病が原因で発生します。体長5ミリ程度のカシノナガキクイムシ、通称カシナガと呼ばれておりますが、この虫が樹木にせん孔した孔道にカビの一種のナラ菌という菌を植えつけることにより媒介し、感染します。感染するとナラ菌が繁殖し木の内部の細胞が死んで水分の通導が阻害され、梅雨が明ける7月下旬ごろから枯れ始め、ブナ科の木を枯死させてしまいます。  被害木の特徴としては、1、紅葉時期より前に7月下旬ごろから葉が変色し始め、冬でも枯れ葉をつけたままでいる。2、木の幹に1.5ミリ程度の小さな穴が多数あいている。3、木の根元に多量の木くずや虫のふんが多量に排出され、たまっているなどが挙げられます。また、カシノナガキクイムシは太い木を好むようで、被害は直径30センチ以上の径の大きな木に多く発生する傾向にあります。径の小さい木は、加害されても樹液がしみ出してカシノナガキクイムシが木の中で死んでしまうため、枯死に至る木は少ないようです。  菌の拡散を放置すれば、防除が困難になり、景観や災害防止などの森林機能の低下も懸念されます。被害の発生した木の処理方法としては、枯死した木を伐倒し被覆して薫蒸する伐倒薫蒸処理や、枯死した木に1メートル50センチの高さまで10から20センチ間隔で穴をあけ薬剤注入する立木NCS注入とがあります。さらに、予防的な対策としては、カシノナガキクイムシが発生する前に幹に薬剤を注入する樹幹注入があります。しかし、いずれも手間や費用のかかる方法であり、数本の処理ならいざ知らず、数百本、数千本単位となると、とても個人レベルでできる方法ではありません。  先ほど述べましたように、カシノナガキクイムシは径の太い木を好むようです。そもそも、かつては中山間地の貴重な収入源として、県内各地でまきや炭への利用が盛んに行われていたため、径が大きくなるまでに伐採され、結果的に被害が抑えられていたものと思われます。しかしながら、近年山に人の手が入らなくなり放置された林が多く、そのことが被害拡大の要因の一つと考えられております。したがって、被害を未然に防ぐためには里山林の利用伐採を進め、カシノナガキクイムシが好む直径の大きな木になるまでに木を切ることが有効な対策の一つとされております。  さて、ナラ枯れの発生状況に話を戻しますが、県の取りまとめによると、県内における今夏の被害木は6,644本、前年比54%に減少したとあります。しかしながら、発生地区の内訳を見ると、県東部の被害木数が増加しており、島根半島で被害が出た松江市では前年比約30倍の550本にふえ、出雲市も1.6倍の1,532本に達しています。安来市ではことし初めて19本の被害が確認されています。逆に、これまで被害の中心だった県西部は、浜田市が前年4,096本に対し240本、江津市が前年1,010本に対し192本となるなど、県西部9市町全てで被害木数が減少をしております。  この県西部の被害木が減少した状況を、県としてどのように認識しておられるのか伺います。  また、菌を媒介するカシノナガキクイムシは、2から3キロ以上飛ぶとされ、風に乗れば数十キロ移動する可能性もあります。県西部での被害木数が対前年比38%に減少した一方で、県東部においては発生のなかったエリアで新たに発生するなど、被害木数が対前年比183%と大幅に増加しております。市町村においては被害を防ぐため、森林組合等とも連携し、発生状況の把握、住民への周知、国・県の補助事業を活用した対策等が講じられていると伺っておりますが、以前から心配しておりました県東部で被害が拡大してきている状況を受け、県として今後どのような対策をとっていくお考えなのか伺います。  次に、住宅の耐震化についてお伺いします。  さきの6月議会でも質問いたしましたが、住宅の耐震改修について、なかなか進んでいない状況があるようですので、再度質問をいたします。  県では、平成19年2月に島根県建築物耐震改修促進計画を策定し、平成27年度末までに住宅の耐震化率を90%とする目標を設定しております。同様に、平成21年度には県内全市町村で耐震改修促進計画を策定し、その中でほとんどの市町村が耐震化率90%の目標を設定し、中には100%の耐震化率を目標として設定されている町もあります。  先般、8月30日から9月5日までの建築物防災週間に合わせ、国土交通省中国地方整備局において、平成23年度末現在の中国地方の市町村別の住宅耐震化率が調査されました。この調査は同整備局が初めて実施したもので、震度6強から7程度の地震でも倒壊しないとされる、建築基準法に基づく耐震性能を持っている一戸建てやアパートなどの住宅の割合を調べたものであります。  去る9月4日にその調査結果が発表されましたが、それによると島根県では最も高かったのが松江市の71.2%、最も低かったのは海士町の38%で、全体的に市部に比べ町村部で低い傾向でありました。また、さきに述べた耐震改修促進計画策定時から2年以上が経過しているにもかかわらず、全ての市町村で耐震化率が増加していない、または数%しか増加していない状況でありました。耐震改修促進計画で設定した耐震化率の目標数値を達成するには、今後4年間で数十%引き上げなければ目標達成ができない市町村がほとんどという厳しい状況であります。  東日本大震災における被害を目にし、自宅の耐震について不安を感じられた方も多かったと思われますが、一方で島根県ではそんなに大きな地震は起きないだろうと深刻に受けとめていない方もあるのではないでしょうか。さらに、耐震化に係る費用は決して少額ではありません。耐震について不安は感じつつも、多額の費用を考えるとなかなか踏み切れないという方も少なくないと思われます。  しかしながら、県内でもかつて1872年に起きた浜田地震では、551人の死者と4,506戸の全壊被害が発生しておりますし、お隣の鳥取県でも1943年に起きた鳥取地震では、1,082人の死者と7,485戸の全壊被害が発生しております。東日本大震災から少しずつ日数がたとうとしている今こそ、かの物理学者、寺田寅彦の著書「天災と国防」にある「天災は忘れたころにやってくる」という言葉を改めてかみしめる必要があるのではないでしょうか。  そこで、住宅の耐震化率向上に向けた取り組みについてお伺いをします。  まず、耐震化に係る県の補助制度についてであります。  平成24年7月から制度の拡充を行い、耐震診断費用も補助対象とされたところですが、その対象は木造住宅の耐震改修費補助を行っている市町村に限定されております。このことは、改修補助制度を持たない市町村を早期の制度創設へ誘導することを狙ったものであり、以前質問した際にも、耐震関係の補助制度の拡充や、新たに補助を行う市町村がふえるよう市町村に対し働きかけるとのことでありました。ついては、それら制度拡充や県の働きかけに対するその後の市町村の対応はどのような状況でしょうか、お伺いをします。  また、耐震改修促進のための普及・啓発に関する費用についても補助対象とされ、耐震補助制度などについて市町村と連携して周知するとのことでありましたが、どのように周知されているのか、今年度の取り組み状況をお伺いをします。  さらに、耐震改修に要する負担を軽減するため、しまね長寿の住まいリフォーム助成事業を活用してリフォームをしようとされる方々に対し、あわせて耐震化も検討するよう働きかけることも一つの方法と考えます。しまね長寿の住まいリフォーム助成事業を活用する方は、当初予算で想定した件数よりも多く、今回の補正予算でも追加の要望が上がっているほどであります。また、同事業の一室でも耐震改修の補助については、島根県独自の制度でありますが、大規模地震の際、圧死することなく生存できる空間を確保するために、また改修費用を抑えるために有効な対策ではないかと思われます。  そこで、この制度の周知方法と現時点での補助実績についてお伺いをいたします。  次に、減災の観点から緊急輸送道路の確保についてお伺いをします。  地震災害時の人命救助活動や災害応急対策活動に必要な物資、人員の緊急輸送を行う緊急輸送道路については、道路沿いに建つ建築物の倒壊によって閉鎖されることのないよう、建築物の耐震化を進めることが大変重要であると考えます。とりわけ大規模な建築物の緊急輸送道路への倒壊は影響が大きく、それらの耐震化を進めるためには、まず耐震診断を行う必要があり、その促進のための対策が必要であると考えます。  そこで、お伺いします。  緊急輸送道路沿いの大規模な建築物の耐震診断の現状及び促進について、どうお考えか伺います。  次に、河川水系の堤防緊急点検等治水対策についてであります。  国土交通省は、7月の九州北部豪雨を受けて、国が管理する河川の堤防の緊急点検を実施し、先般9月にその取りまとめ結果を公表いたしました。それによると、島根県については、要対策延長が斐伊川水系で37.5キロメートル、江の川水系で12.1キロメートル、高津川水系で1キロメートルという結果となっております。九州北部豪雨では、川の水が堤防を越えた流下能力不足のほか、堤防全体に水が浸透して決壊した浸透、地下に水路ができることで堤防の端を崩落させるパイピングが決壊の要因になったことから、今回の調査は既存の点検結果や被災履歴をもとに、九州豪雨と同様に決壊リスクを流下能力不足、浸透、パイピング、水衝部の侵食に区分けし、対策が必要な部分の総延長をまとめたものであります。  さきに述べた県内3水系の対策が必要とされた中身を見ると、堤防高が局所的に低い等の流下能力不足が最も多く37キロメートル、次いで浸透で11.6キロメートル、そしてパイピングの4.1キロメートルの順となっております。  この3水系を管理する国土交通省は、来年度以降、流下能力不足には築堤や川底を深くする工事により流水量をふやし、浸透やパイピングには遮水シートを敷くなどの補強工事を行う方針としておりますが、その対策を実施するに当たっては、背後地の人口、資産等を踏まえ、優先順位をつけながら選択と集中により実施するとしております。  そこで、お伺いをします。  管理するのは国であることは承知しておりますが、そこに住む住民にとっては命にかかわる問題であります。県として今回の結果についてどう捉え、また国へどう働きかけていかれるのか伺います。  最後に、全国図書館大会島根大会についてお伺いします。  去る10月25日から2日間、松江市において「古事記編さん1300年、神々の国しまねから文化を伝え、未来を創る図書館を」と題して全国図書館大会が開催をされました。前回は37年前の昭和50年、第61回大会が島根県で開催され、それ以来の島根大会でありました。  振り返ってみますと、平成20年においては県内の小中学校で学校図書館担当職員、いわゆる学校司書等が配置されていたのは全体の27%にすぎませんでした。そこで、平成21年度予算において学校司書等配置事業として約1億3,000万円を予算化し、学校司書等を配置する市町村の支援をすることとしました。この事業を実施することで小中学校への配置率はその後一気にふえ、平成24年6月現在で99%となっております。また、県立高校では平成23年度から県立高校図書館教育推進事業により100%の配置率となっております。  今回の全国大会の開会式に私も出席させていただくことができました。そのとき、私の隣の席に座っておられたのが国立国会図書館の大滝忠則館長でありました。その大滝館長が私に、開会式が始まる前気さくに話しかけてくださったのですが、その話の中で、図書館を活用した教育について島根県がいかに積極的な取り組みをしているのか、話をしていただきました。その話を聞いたときに、今回の全国大会が人口72万人弱のこの小さな島根県において開催されることの理由を改めて感じ、大変感激したところであります。  さらに、今大会では12の分科会が開催されましたが、この分科会において島根県内関係者から17の事例発表、事例報告などがなされました。県内関係者の取り組みを広く全国に発表、PRする場にもなったと言え、大いに成果のあった大会であったと言えるのではないでしょうか。  そこで、これまでの県内の取り組みも踏まえ、今大会に対する知事の所感をお尋ねをいたします。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 20: ◯副議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 21: ◯知事溝口善兵衛) 藤間議員の御質問にお答えを申し上げます。  私からは全国図書館大会に対する所感についてお答えをいたします。  この全国図書館大会、御紹介のとおり10月末に、25、26日に開催をされ、全国から延べ1,400人の方々が参加されたということであります。私は、大会の開会式で大会長として歓迎の挨拶をし、若干島根の取り組みなどにつきましても言及をしたわけであります。全体で12の分科会が開催され、議員御紹介のとおり島根県からは6分科会で17の事例を発表をされたと、こういうことであります。  県の取り組み、学校司書の配置、市町村立図書館に図書を寄託して学校図書館で活用するとか、あるいは未就学児の読書習慣定着のためのしまね子育て絵本を市町村立図書館に寄託をするとか、あるいは今般の古事記1300年に関連した行事と申しますか、関連したものとして、学校図書館や公立図書館に古事記や神話あるいは郷土の歴史等に係る図書を緊急に整備をするとか、そんなことをやり、そういうことも紹介されたようであります。  こうして子ども読書県しまねの取り組みが全国にPRできたということは、議員の御感想と同様に、私どもにとってありがたいことだったと思います。  教育委員会のほうから聞きますと、参加者からは学校図書館活用教育など、島根の取り組みについて大変参考になったという評価をいただいたという話がありました。また、島根県の図書館関係者にとりましても、他県の事例を勉強することによりスキルアップを図ったり、あるいは図書館同士で連携をしたりネットワークを構築するいい機会になったという感想があったというふうに聞いております。  この大会を一つの契機としまして、さらに図書館活用教育の充実など、県全体で読書活動の推進に取り組み、子どもたちの健全な生育、発育に資するよう、我々も引き続き努力をしていきたいというふうに思います。以上であります。 22: ◯副議長絲原徳康) 原農林水産部長。  〔原農林水産部長登壇〕 23: ◯農林水産部長原仁史) 私からは、ナラ枯れ被害についての御質問にお答えします。  まず、県西部でナラ枯れ被害が減少した状況についてどのように認識しているかという点についてであります。  議員御指摘のように、ナラ枯れ被害は樹齢が40年程度以上、直径が30センチ程度以上の高齢化した木に被害が集中するという特徴がございます。県西部のナラ枯れ被害は、データをとり始めた平成15年に165本だったものが、平成21年には6,906本、さらに平成22年には2万5,750本と大きく拡大いたしました。その後は減少に転じ、平成24年、ことしの被害量の速報値では4,219本となっております。  被害対策としましては、切り株から芽が出る性質、これによって天然更新が可能となるというわけですけども、この性質を利用して面的に伐採し、パルプ等に利用することにより、ナラ林を若返らせることで被害が起きにくい森林にすることが有効であります。このため、被害拡大のペースが上がった平成21年度以降、被害が集団的に発生している森林を中心としまして、被害拡大のおそれがある区域を含めて一体的に伐採し、伐採木をパルプ用にチップ化して利用する面的対策を重点的に実施してまいりました。  また、こうした面的対策と同時に、その周辺部でも素材生産業者によるパルプ用原木の生産が促進された結果、県西部においては被害に遭いやすい高齢化したナラの木が減ったことによりまして、ナラ菌を媒介するカシノナガキクイムシの密度も低下し、被害量が全体として減少したものと考えております。  次に、県東部で拡大するナラ枯れ被害の今後の対応についてお答えします。  議員御指摘のとおり、県東部におきましては平成19年に飯南町で初めてナラ枯れ被害3本が確認されて以降、年々被害が拡大しておりまして、平成24年の被害量は2,425本という報告を受けております。このほど、今年度の被害調査の速報値がまとまりましたので、今後各圏域ごとにナラ枯れ被害拡大防止のための地域対策会議を開催し、防除対策が必要な箇所の検討を行う予定としております。  県としましては、この検討結果をもとに来年度以降、県東部におきましても面的対策を主体とした防除対策を着実に実施していくことにしております。 24: ◯副議長絲原徳康) 西野土木部長。  〔西野土木部長登壇〕 25: ◯土木部長(西野賢治) 私のほうからは、住宅の耐震化及び国における堤防緊急点検の結果についてお答え申し上げます。  まず、住宅の耐震化に係る制度拡充や、県による働きかけを受けた市町村の対応状況についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、本年7月から県の市町村への補助制度を拡充するとともに、7月30日に市町村への説明会を開催して拡充内容を説明し、耐震改修費の補助制度を持たない7市町村に対して、早期制度化の働きかけを行いました。その結果、益田市におきまして、平成25年度から耐震改修費の補助の制度化を検討されていると聞いております。  そのほかの6町村からは、耐震改修への住民の関心が低い現状においては制度化は難しいとのことから、具体的な検討には至ってないと聞いております。引き続き、これらのまだ制度化していない町村に対し、耐震改修の必要性をよく説明し、耐震改修費の補助が制度化されるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、耐震補助制度の県民への周知について、市町村と連携した取り組みの状況をお答えいたします。  県では、できるだけ多くの県民の方に住宅に関する地震防災、耐震対策について知っていただくため、今年度新たに耐震改修費の補助制度を持つ12の市と町との共催で、住宅に関する耐震対策講座を開催することといたしました。この講座では、地震防災の専門家である大学の研究者を招いて、過去の県内における地震災害の状況や、地震に備えて何をすればよいのかなどをわかりやすく説明していただきました。あわせて、県の担当者からは一室でも耐震改修の補助制度について、市と町の担当者からは、市と町の防災計画や耐震の補助制度について説明をしております。
     既に7会場で開催し、延べ416名の参加者がありました。今後、12月11日の出雲市での開催まであと5会場で開催する予定であり、耐震改修費の補助制度を持つ12の市と町の全てで開催することとなります。  講座に参加された住民の方からは、地震に備えて具体的にどのようなことをすればよいのか理解できたとする感想が多いものの、まだまだPRが足らないとの御意見もいただいております。今後はこれらの御意見を踏まえて、耐震改修の必要性をより多くの県民の方に理解していただけるよう、一層の普及啓発に努めてまいります。  続きまして、しまね長寿の住まいリフォーム助成事業の周知方法についてお答えいたします。  まず、事業を開始した平成21年8月から、県及び申込窓口である財団法人島根県建築住宅センターのホームページにおいて広報を開始しております。また、新聞や地域の生活情報誌への広告の掲載を今年度は4月から合わせて6回行っております。さらに、5月には設計事務所や工務店、電気や水道の工事業者を対象といたしまして、一室でも耐震改修の補助制度を中心とした説明会を各県土整備事務所単位で開催いたしました。  今年度の補助実績につきましては、11月22日現在の申込件数が、バリアフリー改修分が452件、一室でも耐震改修分が17件で合計469件となっております。  議員からの、この助成事業を活用してバリアフリー改修をされる方々に、あわせて耐震化も検討するように働きかけたらいいのではないかという御提案につきましては、一室でも耐震改修制度を導入いたしました昨年10月から、バリアフリー改修の申し込みをされた方に、受付窓口において一室でも耐震改修の補助についてのお知らせをしており、両方の補助を利用された件数は13件となっております。一室でも耐震改修の利用件数は昨年度の4件からは増加しておりますが、ひとり暮らしの高齢者の方などの家屋全体の耐震補強を行いにくい方々に、もっと活用していただきたく考えており、引き続きこの制度の周知を図り、活用の促進に努めてまいります。  次に、緊急輸送道路沿いの大規模な建築物の耐震診断の現状と促進についてお答えいたします。  地震による倒壊等によって多数の者が危害をこうむるおそれがあり、また道路交通に支障が生じるおそれのある昭和56年以前に建設された緊急輸送道路沿いにある3階建て以上、かつ床面積の合計が1,000平米以上の建築物に対し、県では所有者に対し耐震診断を求めております。これに該当する建築物は31棟あり、このうち10棟は耐震診断を終わっており、残り21棟は未実施となっております。これらの建築物の耐震診断費は高額であること、また島根県においては公的な助成制度がないことから、所有者の負担が大きく、耐震診断が進んでいないと考えております。  緊急輸送道路沿いの建築物に対する所有者への耐震診断助成は、東京都ほか6県で制度化されております。県におきましても現在負担軽減策などを検討しているところであり、今後これらの建築物の耐震診断が促進されるよう働きかけてまいる所存でございます。  最後に、国の河川堤防の緊急点検結果についてお答えいたします。  国が管理しております斐伊川、江の川、高津川の河川堤防の緊急点検結果について、浸透により堤防が崩壊するおそれのある箇所や流下能力が不足している箇所などを、9月4日に国土交通省から公表されました。これらの対策といたしましては、流下能力不足には堤防の整備や川の掘削など、堤防への浸透や堤防の底に水みちができることで生じるパイピングには、浸透を抑制するシートや矢板の設置などの工事が実施されると聞いております。  現在の事業の状況といたしましては、斐伊川においては対策が必要な37.6キロメートルの箇所のうち、現在大橋川では追子地区、中海では野原地区など3地区で堤防の整備が行われております。江の川につきましては、対策が必要な8.7キロの箇所のうち、現在川平地区など4地区で堤防の整備が行われております。高津川につきましては、対策が必要な1.0キロの箇所のうち、現在大塚地区で堤防の整備が行われている状況です。また、各河川の未着手箇所につきましては、背後地の人口や資産などを踏まえ、優先順位をつけながら対策が実施されると聞いております。  県といたしましても、この緊急点検結果を踏まえた対策は、地域住民の方々の安全で安心な暮らしを確保するため重要な施策であると考えており、この対策に必要な予算も含め、社会資本整備の予算が確保されるよう、今後とも国に強く働きかけてまいりたいと考えております。私のほうからは以上でございます。 26: ◯副議長絲原徳康) 吉田議員。  〔吉田政司議員登壇、拍手〕 27: ◯吉田政司議員 隠岐選出の吉田でございます。一般質問を始めます。  初めに、離島振興法について伺います。  隠岐がよくなれば島根県もよくなる、私は常々そういう思いで取り組んでいます。御承知のように、来春から全国254の島で改正離島振興法による新しい島づくりが始まります。離島振興対策実施地域の人口は、国勢調査によれば昭和38年には89万人でしたが、平成22年には38万人に減りました。ですから、50年間で人口は約43%になっています。  一方で、日本の人口は同期間50年間で9,616万人から1億2,805万人にふえており、大ざっぱに言えば離島は減って40%ほどになったわけでございますが、反対に日本の人口は30%ほどふえたということであります。  また、人口減少率と高齢化率について過疎地域と比較しますと、これまで離島のほうが過疎地域より減少率が2%から2.5%高くなっています。離島の高齢化比率も同様であります。したがって、一般的な比較で見ますと、離島は他の条件不利地域よりも総じて厳しい状態にあります。今後、財政的にもっと厳しくなると思われますが、10年後、今より元気が出てくるかどうかは、島民の自覚と意欲次第。そこで島の自主・自立の道を着実に切り開く視点から、改正離島振興法についてお尋ねをいたします。  1点目は、隠岐で開催された隠岐振興フォーラムについて伺います。  来年4月から施行される改正離島振興法に向けて、隠岐振興フォーラムが11月9日、隠岐の島町で開催されました。溝口知事、原議長には大変お忙しい中、出席をいただき、また交流会にも参加され、意見交換の場を持たれました。島民の方々は、めったにない知事、議長との交流に大変喜んでおられました。とりわけ、知事、議長に竹島のアシカを描いた漫画を見せておられた年配のお二人は、こうした機会を得られた感謝と喜びにあふれていました。この場をおかりいたしまして、企画し汗をかいてくださいました皆様方に厚くお礼を申し上げます。  さて、隠岐振興フォーラムは隠岐島文化会館を久しぶりに満席にし、島民の関心の強さや熱い思いが少なからず伝わってきました。当日は国土交通省の離島振興課長の基調講演、4町村で活動している地域づくりの実践者による事例発表、高校生の意見発表、そしてパネルディスカッションが行われました。離島の活性化をどう進めるのか、その取り組みについての具体的な提案や、島の課題や問題点などについての意見を通して、これからの隠岐について考えました。  そこで、安心して住み続けられる島を目指しての新しい島づくりのスタートに向けて開催された隠岐振興フォーラム、その後の交流を通してどう感じられたか、知事の隠岐への思いを含めてお聞かせ願います。  次に、振興計画の実施についてお伺いします。  かつて隠岐は島根県の宝島と言われたことがあるそうです。しかしながら、魅力がいっぱい詰まった島も、それが埋もれたままでは輝かすことができません。磨きをかけなければ、それは持ち腐れということであります。そういった意味では、フォーラムは埋もれた宝を見つける、磨きをかけるチャンスでもありました。  フォーラムにおいて、高校生は意見発表の中で、住んでいる人が愛着を感じる、誇りに思える島であってほしいと提案をいたしました。そんな島であればこそ、幸せに感じ、安心して住み続けることができるわけで、そういった島になれば、住む人には宝島でしょうし、島外からもおのずと人が集まる島になれると思われます。  さて、改正離島振興法には国の責務が明確に記されましたし、離島の支援内容は人や物の移動費用の低廉化、雇用機会の拡充、介護サービス人材の確保・育成など新たな条項が加わりました。また、活性化交付金制度、特区制度の創設、そして配慮規定など内容的には充実されたと言えるかと思います。もちろん、新たな法整備を検討しなければならない残された課題もあります。  この新たな離島振興法を活用した計画は、まず島の4町村が一緒になって、自立する島になるためにはどうすべきか、どうしたら人や物を呼び込める島になるのかを真摯に考え、そしてそれを隠岐島住民に投げかけ、話し合い、そうした上で取りまとめた住民の意向を反映した計画案をつくり、それを県に提言し、県はその計画を尊重しながら、地域ならではの計画にするものであると承知しています。  そこで、伺います。  県は改正離島振興法を活用して、10年間を想定しながらどういった島づくりを隠岐4町村と目指していくのか、創意工夫と重点配分が肝要でありますが、県の描く島の将来像について伺います。  離島振興法の内容は、充実され仕組みはよくなりましたが、出されたメニューを食べるだけでは従来と大してかわりばえもなく、宝島づくりには食べて味わい、なおかつ地域にとって欠かせない盛りつけや味つけ、メニューを提案しながら、宝島に埋もれている魅力を十分に引き出すことが求められます。何といっても大切なのは、隠岐の住民が改正離島振興法の趣旨をしっかりと理解し、これまでのどちらかというと受動的な姿勢ではなく、みずから考え、みずから解決していく姿勢を持つという意識改革であります。新しい時代に向けた宝島づくりの実現のための計画実施にどんな姿勢で取り組んでいかれるのか、県の役割について所見を伺います。  どんなに高価でうまそうな食事のメニューを並べてみても、手をこまねいて見ているだけしかできなければ何の役にも立ちません。計画に基づいた諸事業を実施するには、喜んで食べてもらえるように、またこの計画に基づいた事業を着実に実施し、安心して住み続けられる島の実現を目指していくには、引き続き国などの支援が必要なわけですが、計画実施のための国の財源状況の見通しについて伺います。  次に、活性化交付金について伺います。  交付金の事業計画は、町村の意向を踏まえながら、離島振興計画に基づく事業を実施するために県が作成するものと承知しています。交付金については、基本的施策に関する配慮規定が予算の根拠に位置づけられ、ソフト事業に幅広く使えるようにもなり、例えば若者の定住促進のために、産業振興、雇用創出事業などの一貫した施策の総合的な支援も、活用次第で可能になったと認識いたしております。  この離島活性化交付金こそ、みずから考え、みずから実行していくことを旨としたすばらしいツールであり、まさに新しい隠岐島活性化を目指していくに、まことに時宜を得たものであると思っております。したがって、各町村は知恵を絞った活用、独自のアイデアで活用することが望まれるわけでありますが、雇用の受け皿であった公共事業が大幅に縮減し、観光産業が元気のない中だからこそ、島の振興、発展を左右する可能性を持っている活性化交付金の活用次第で、10年後にはまちづくりに大きな格差がついていると考えております。  そういった視点からすれば、戦略的なソフトの活用、ハードに絡ませてソフトをいかに活用していくのかが大きな課題であります。そして、それを使いこなし、活用する人材の育成こそが最大のテーマであると思います。  宝島づくりに向けたソフト施策の充実、離島活性化交付金の活用をどう図っていくことが期待されるのか、また肝心の財源の状況はどうなのか、活性化交付金制度にかかわる課題や問題はどこにあるのか、どう対応していかれるのか、お伺いします。  次に、交付金にかかわる雇用の創出予算のあり方について質問します。  離島においては、企業誘致による産業の振興、雇用の確保については非常に困難なものがあります。それは、島の実情が物語っております。ですから、条件の厳しい離島では、かなりの無理をしてでも、国や県の支援を受けながら地域の資源を活用した地域ならではの雇用創出事業に取り組んでいくわけであります。  そもそも、積極的に攻める姿勢がなければ向かえるものではありませんが、当然そうした事業を軌道に乗せるのは難しく、自立するまでには相当な年数もかかります。したがって、継続した雇用を創出していくためには、中長期的な予算措置が必要となります。島の実情、特性、個性に応じた財源の活用、運用が可能であってこそ雇用創出事業、産業振興の見通しもついてくるかと思われます。  島における雇用の創出などにかかわる財政支援のあり方、そのあたりの戦略的なソフトの対応、取り組みについてどう考えるのか、所見をお伺いします。  次に、離島の運賃の低廉化について伺います。  改正離島振興法には、第1条の目的条項に、事例的に人と物の移動費用の低廉化が挙げられております。法律の書き方もあるかと思いますが、具体的な事例として第1条目的の条項で取り扱ったことは、離島の産業振興を図る上で、ひいては定住促進のための前提条件として欠かせないとの認識を積極的に示したと受けとめております。  また、衆参の国土交通委員会の附帯決議の中にも同様な形で盛り込まれました。委員会では、その上で施策の充実などについて検討を加えての実現を求めていますが、このことは離島振興法の中で詰めていくには限界があるために、残された課題と理解いたしております。  さて、知事は6月には質問に答えて、低廉化が改正法に抽象的だが入るようなので、そういうものをてこにしながら、実際的な支援を要請していく必要があるとしております。  そこで、離島住民の家計に占める交通費の支出は、地域によって全国平均より2割から5割高い調査結果がありますように、運賃問題は離島の住民生活の上からも産業振興の面からも全ての隘路となっており、改正振興法が掲げた定住促進のためにも、速やかな法制度の整備が期待されております。また、運賃の低廉化については、改正法の第1条の目的に具体事例として明記され、国会決議においては例示として挙げ、実現を要請しているわけですが、知事はどう受けとめておられるのか、また、これからが正念場と理解しているわけですが、知事は実現に向けて今後どう取り組んでいかれるのか、改めて所見をお伺いいたします。  次に、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律、いわゆる標準法の改正に伴う教職員の増員についてお伺いをいたします。  離島振興法第15条教育の充実、第2項に、国及び地方公共団体は、公立高等学校に勤務する教職員の定員の決定について特別の配慮をすることがうたわれました。あわせて、標準法の一部改正が行われ、附則に、規定により算定した数に政令で定める数を加えることが明記されました。これによって離島の教職員の加配が法によって可能になったわけであります。  中心になって訴えてこられた山内海士町長は、教員増を訴えに訴え続け、5年かかってようやく実現した。離島の高校から働きかけて法律を改めさせるのは異例中の異例だが、諦めずにやってこられたのは、島前高校の歴史を築いてきた方々のとうとい頑張りがあるからとコメントされています。このことは、今後の離島教育の充実、発展に大きな成果になるでしょうし、島民はもとより、少子化の進む離島教育に勇気と希望を与えるものであります。  今回の法改正により、離島の高校における教育の充実が一層図られると思いますが、隠岐にあります3つの高校の教職員数は来年にはどう変わってくるのか見通しについて、またどういったメリットが考えられるか、お伺いをいたします。  次に、海岸漂着物の回収処理について伺います。  海岸漂着物の問題は、長い海岸線を有する島根県、そこに位置する市町村の大きな問題であります。とりわけ四方を海に囲まれて、県内どの地域よりも水産業の依存度が飛び抜けて高い隠岐の島にとっては、極めて深刻な問題であります。水産業の基盤である海洋環境、進めている海のゆりかごプロジェクトなどに少なからぬ影響はあるでしょうし、プラスチック、ポリ容器、ロープや発泡ブイなどの漁具類は、海岸の環境悪化や汚染を一段と進めつつあります。  さて、漂着ごみの回収処理については、これまで町村と自治会や民間団体、ボランティアが一緒になって、それぞれの役割を果たしながら回収・処理を行ってきました。また、平成21年には海岸漂着物処理推進法が制定され、それに基づき創設された地域ニューディール基金を利用して、重点地区を決め漂着物の回収・処理事業を行ってきたところであります。  近年、漂着ごみは多様化し、年々ふえる傾向があり、住民も地域も海岸管理者の自治体も、その回収・処理には大変苦慮しているところであります。もはや沿岸の自治体だけで処理するには労力や費用が多額で限界に達しており、ごみの回収・処理を円滑に進めるには、国の財政支援や対策が強く望まれているところであります。  そこで、21年から地域ニューディール基金事業で漂着ごみの回収・処理を行ってきましたが、今後の財政措置の見通しはどうか、地域ニューディール基金の拡充、延長についてお伺いをいたします。  また、ごみの実態調査をして、回収・処理方策や発生源対策などの課題の整理を行い、ごみ対策の地域計画の策定もほぼでき上がったと思います。今後のごみの回収・処理の方策について伺います。  さらに、ごみ対策推進のための活性化交付金の活用策についてもお伺いをいたします。  県下の地域によっては、中学生が海岸清掃を行ったり、中学生と地域が一緒になって海岸や海底の清掃活動を行うところもあるようです。近年、西ノ島町においては、大阪からの修学旅行の中学生が環境教育の一環として、地元観光協会の協力のもと、海岸清掃を行っています。  そこで、県下の学校においても海岸清掃を行い、ハングル文字のプラスチック容器や漁網、ロープなどを拾い集め、漂着ごみの実態を学んだり、海の生態系や地球環境などについて調査活動をするなどの一貫した環境教育を行ってはと思います。今後、そういう方向での環境教育を積極的に進めることも肝要と考えていますが、所見を伺います。  次に、住宅政策について伺います。  人口90万人とうたわれている島根県の人口は、平成22年の国勢調査では71万7,000人になりました。このままいくと70万人を割るのは時間の問題と思われます。そのように離島の人口減少と高齢化は今後ますます進むと考えられ、改正離島振興法には定住促進を掲げております。一層の促進を図っていかなければ、やがて役割を果たせない離島も出てくるであろうということですが、隠岐においては今まで西ノ島町も海士町も、定住促進に一生懸命取り組んできた町であります。  西ノ島町は、町民の1割がIターンで占められております。特に、漁業就業者の確保に力を入れてきましたので、現在まき網の乗組員の50%がIターンであります。あと10年すれば地元船員は10%程度になると言われております。また、海士町は日本の海士町となって、船場におりたときから雰囲気はちょっと違っているように、平成22年3月末で156世帯、257人のIターン者が定住しており、ふえつつあります。  IターンやUターンの受け入れには、仕事がなければならないのはもちろんですが、住むところも欠かせませんので、両町ともに家の確保に四苦八苦しながらの対応が現状であります。西ノ島町では、体験宿泊施設は常に満杯の状態にあり、常時四、五戸のあいている家が必要ということでした。  そこで、両町ともにUIターン向けの良質で低家賃の住宅確保が課題になっており、最近は定住促進住宅の整備だけでなく、定住者向けの住宅確保に空き家の再利用に取り組んでおります。  この際、県はUIターン向けの住宅政策として、定住者のための空き家の再利用に係る改修など、支援事業にどう取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  隠岐支庁は、公共事業も少なくなり、職員数も減りました。行財政改革にもよりますが、400億円から65億円の公共事業になれば当然のことでしょう。結果、古くなった宿舎は平成17年より入居停止、平成22年度には寮を含めて28戸の用途廃止を行いました。それでも現在、世帯用宿舎は10戸ほど入居者がいない状態にあります。  隠岐の島町においては、公営住宅入居の競争率は比較的高く、町部の住宅入居の抽せんは10倍近くになると聞いております。そういう状況もあって、あいている県職員住宅が借りられないかという声はよくあります。  この際、今後、県職員住宅はますます空き家がふえることは確実の状況にありますが、隠岐での若者の定住促進のために有効活用を検討する考えがあるかどうか、お伺いをいたします。  次に、竹島の日にちなんだ学校給食の実施についてお伺いをいたします。  報道によると、松江市は来年の2月22日竹島の日あるいはその前後に、市内の小中学校の給食に隠岐産の食材を使用し、給食にあわせて竹島の日の制定の意義や歴史を校内放送などで紹介するそうです。子どもたちの竹島への関心を高めるには有意義であり、すばらしい企画であると思います。  そこで、食材の確保の問題もあるでしょうから、隠岐産食材あるいは島根県沖でとれた海産物を使って、県下全小中学校に松江市の竹島の日の試みを広げることを提案いたしますが、実施について所見を伺います。以上で終わります。(拍手) 28: ◯副議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 29: ◯知事溝口善兵衛) 吉田議員の御質問にお答えを申し上げます。  最初の質問は、隠岐振興フォーラムについての感想であります。  このフォーラムは11月9日、隠岐の島町で開催をされたわけであります。来年4月の改正離島振興法施行に向けまして、隠岐の振興でありますとか、あるいは定住の促進について機運の醸成を図り、そのために関係者が集まって意見交換をしようという目的でありました。隠岐広域連合、島根県議会、島根県、島根県教育委員会、4者により開催をされたわけであります。  当日は満員の会場で、地元の水産高校の生徒の方々、地域づくりを隠岐で実践をされている方々など多くの方が参加をされて、隠岐での活動あるいは隠岐に対する思いを語っていただき、私どもとしても大変参考になる意義深い会合であったというふうに思います。  その後の交流会におきましても、多くの方々が参加をされ、隠岐の皆さんが隠岐振興に向けて一生懸命頑張っておられる、元気に活動されている、島を愛する気持ちをよく感じることができたというふうに思います。今回のフォーラムを契機に、島民を挙げた隠岐振興に向けての取り組みがさらに進むよう期待をしますし、私どもも支援をしてまいりたいというふうに思うところであります。  次に、改正離島振興法を活用して、10年を想定し、どういった島づくりを目指すのか、県の描く島の将来像、目指すべき像でございますね。それについての見解を聞くという質問であります。  隠岐の将来像につきましては、このフォーラムでは高校生から発言がありました。議員も御紹介されたわけでありますけども、島民の方々全てが隠岐への誇りと愛情を持って、幸せに暮らしていくことができる島にしたいということでございます。私どももそうしたことが実現できるように、支援をしなければならないというふうに思っているところでございます。  そのためには、例えば今度の改正法の中に一つの精神が盛り込まれたわけでありますけれども、離島航路の運賃の低廉化、それによります産業の振興あるいは観光の振興などによりまして、隠岐での雇用機会が増大をする、そこへUIターンの若い方々が入ってこられる、そうすることによって離島と本土とのいろんな障壁、格差といったものが低くなっていく、そういうことを目指して対応しなければならないというふうに思います。  例えば、産業振興でありますと、ジオパークなど隠岐の豊かな自然を活用しまして、多くの観光客がまたこの隠岐の島に来られるように努力をする、あるいは地域資源、隠岐の海産物あるいは隠岐牛あるいは西ノ島町の漁業のようなものもありますけども、あるいは隠岐の木材、森林の資源を活用する、そうしたことによって産業の振興と雇用の確保を図り、UIターンなどで若い人が来られる、そしてそうした若い人が子育てがしやすいように安心できる医療体制、あるいは福祉の充実などを図っていく必要があるというふうに思います。  そうした若者たちの子どもたちが、またその地で育つことによりまして、そういう新しい人材が隠岐を支える人材になっていくということも、こういう計画の中で考えていく必要があろうというふうに思います。  いずれにしましても、県が策定をします離島振興計画におきましては、観光や産業の振興、人材の育成など隠岐振興に必要な具体策を盛り込み、島民の方々、地元町村、県が一体になって取り組んでまいりたいと思います。  次に、離島活性化交付金についての御質問がありました。  このたびの離島振興法改正により、新たにソフト事業に活用できる離島活性化交付金が創設をされたということは、一定の評価ができるわけであります。  隠岐地域では、これまで整備をしてまいりましたハードを有効に活用して、新たな定住・交流人口を創出していくため、ソフトの施策の充実を図るということは極めて大事であります。国の来年度の予算におけるこの面での概算要求額は、総額で8億円と聞いております。離島の数からしますと非常に小さい額であります。この交付金制度の詳細については、まだ未確定の部分が多いわけでありますが、引き続き予算の増額と制度の充実につきまして、国に対して強く要望を続けていく必要があるというふうに思います。  次に、雇用創出等にかかわる財政支援についての質問であります。  離島での雇用の創出のためには、やはり議員も御指摘になりましたけども、豊かな地域資源を活用して、隠岐ならではの産業を創出していくということが大事ではないかというふうに思います。先ほども申しましたが、例えば隠岐牛の振興でありますとか、あるいは海産物の活用ということでありますと、生きたままイカを遠隔地に送って販売をするとか、あるいはサザエでサザエカレーを新たに開発して販売をするとか、あるいは隠岐の島町における原木シイタケを県外大都市部に販売をする、カキの養殖なども進んでおるわけでございますが、そうしたものをこれまでも取り組んでおりますけども、さらに拡大、充実を図っていくということ。さらに最近では海士町における海藻を活用した発電技術でありますとか新製品の開発、隠岐の島町では日立造船と連携して、海藻を原料とした肥料の開発なども進んでおると聞いているところでございます。  こうした取り組みが実際の事業として発足し、拡大をしていくためには、隠岐4町村が地元の企業とともに長期的な視点に立って事業を立ち上げ、展開していくことが必要でありますし、そういう中で、県ではそうしたプロジェクトをいろんな形で支援をしていくということではないかと思います。  県の支援としましては、例えば地域資源を活用した商品開発などを支援する、しまね地域資源産業活性化基金助成事業というのがあります。そして、販路拡大につきましては、県産品販路拡大事業というものがあります。そして、建設業の新分野への進出を支援するために、建設産業新分野進出促進事業補助金といったものがあるわけでございまして、こういうものも活用をしていきたいというふうに思います。  また、離島活性化交付金は、先ほど申し上げましたが、制度がまだはっきりしてないわけであります。しかし、複数年度で、基金のような形で活用することも可能ではないかと言われておりますけども、これを雇用の創出事業にも当然活用できるのではないかというふうに思っております。  次に、離島航路、隠岐航路の運賃の低廉化についての御質問でありますが、議員がお触れになりましたように、今回の離島振興法の改正において、第1条の目的のところに新たな文言が入ったわけであります。それは、人の往来及び生活に必要な物資等の輸送に要する費用が他の地域に比較して多額である状況を改善すると。これはある意味で画期的な規定ではないかと思います。  そして、衆参の国土交通委員会の附帯決議におきましては、衆議院の場合は、「例えば、人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策の充実等について検討を加え、所要の措置の実現を図ること。」ということで、委員会から附帯決議がついて政府に要請をしているわけであります。  私どもは、これまで離島航路は動く国道だと、それと同じようなものなので、運賃の低廉化について国が大きな役割を果たすべきだという主張をしてまいりましたが、そういうことについて一定の理解が進んだものというふうに思います。  県としましても、新たに創設された離島活性化交付金に盛り込むべき施策の提出を求められておりますけども、その県の案の中には、隠岐航路の運賃低廉化を支援するための事業も入れておるわけでございます。ただ、ソフト事業の交付金はまだ額が小さいですから、なかなかそういうものまで回らない可能性があるわけですけども、引き続き努力をしていく必要があろうというふうに思います。  今後も、運賃の低廉化実現のため、国に対して地元町村と連携しながら、国会議員の先生方のお力をおかりしながら、法改正の趣旨に沿った支援の強化を要望していきたいというふうに思っているところであります。以上であります。 30: ◯副議長絲原徳康) 楫野地域振興部長。  〔楫野地域振興部長登壇〕
    31: ◯地域振興部長(楫野弘和) 私からは、離島振興法など3点についてお答えをいたします。  まず、離島振興計画の実施に対する取り組みについてでございます。  島根県離島振興計画につきましては、現在、県、隠岐4町村並びに隠岐島関係諸団体で構成いたします離島総合振興会議において策定する提言書、そして4町村が策定いたします計画案を反映させ、来年2月をめどに県の計画案として取りまとめる予定といたしております。  隠岐地域の振興においては、議員御指摘のとおり、隠岐の住民の方々がみずからの地域をどうしたいのかを十分に話し合い、決定し、行動していくことが何よりも大切と考えております。離島振興計画には隠岐島民の方々が取り組む具体的な方策を盛り込み、知事も申し上げましたけども、県として計画の実現に向けて県議会、隠岐島の住民の方々、隠岐4町村、関係諸団体と一緒になって取り組んでまいります。  次に、計画実施に向けた国の財源状況の見通しと、あわせて活性化交付金の漂着ごみ対策推進などへの活用についてお答えいたします。  このたびの国の概算要求におきましては、離島振興法改正に係る幾つかの予算が要求されております。離島活性化交付金は、先ほど知事が申し上げましたが、定住促進、交流促進、安全安心向上事業などに活用できる制度ではありますが、詳細については未確定な部分があり、議員御指摘の雇用対策や漂着ごみ対策への活用を含め、幅広く活用できるよう国に要望してまいります。  離島活性化交付金以外の事業といたしましては、妊婦の受診及び出産に対する支援が新規で要求され、離島高校生修学支援事業も増額要求されており、その点は評価しております。全体的には厳しい財政状況を反映し、現状維持または一部減額要求されているものもあり、十分とは言えない状況と考えております。現在策定中の島根県離島振興計画に基づく事業が着実に実施され、隠岐地域の定住や交流の促進が図られるよう、今後も国に対し十分な予算確保を要望してまいります。  次に、空き家改修等支援事業の取り組みについてでございます。  定住促進に当たり、UIターン者の住まいの確保は非常に重要でございます。UIターン者の戸建ての安い賃貸住宅へのニーズは高いと認識いたしております。  県では、市町村が空き家を借り受け、または買い上げてUIターン者向けの定住住宅とする場合に、修繕費を助成する空き家活用助成事業を実施しております。助成額の上限は250万円ですが、特に隠岐地域は、離島の状況に鑑み、上限を300万円と優遇いたしております。県といたしましては、市町村などと連携した空き家所有者への意識啓発、貸し出し可能な空き家の掘り起こしや、空き家を活用した定住住宅整備の市町村への働きかけなど、引き続きUIターン者の住まい確保に取り組んでまいります。  最後に、県職員用住宅等の有効活用についてでございます。  県では、UIターンによる定住を促進するため、平成17年度から空室のある県職員宿舎等を市町村の要請に応じて、定住希望者が住宅を見つけるまでの一時的な仮住まいとして提供いたしております。  県職員宿舎の設置趣旨からいたしますと、町民の方々が長期に入居することは困難であると考えておりますが、今後県職員宿舎の空室がふえる場合には、宿舎の用途廃止、売却など、市町村の要請にも対応できるよう有効活用を検討してまいります。以上でございます。 32: ◯副議長絲原徳康) 伊藤環境生活部長。  〔伊藤環境生活部長登壇〕 33: ◯環境生活部長(伊藤修二) 私からは、海岸漂着物の回収・処理についてお答えをいたします。  まずは、地域グリーンニューディール基金の拡充、延長についてです。  海岸漂着物の処理につきましては、国による地域グリーンニューディール基金によりまして、当初は実施期間といたしまして平成21年度から23年度で、島根県に対して総額3,200万円が財源措置されたところでございます。その後、実施期間のみが1年延長され、今年度までとなったところでございますが、来年度以降につきましては、今のところ基金の拡充、延長は見込まれていない状況でございます。  なお、海岸漂着物処理推進法で定めます海岸漂着物対策を推進するための国の財政措置について、来年度以降の対応が定まっていないことから、引き続き国に対しまして必要な財政措置の要望を行っていきたいと、このように考えております。  次に、今後の漂着ごみの回収・処理の方策についてであります。  これにつきましては、島根県海岸漂着物対策推進地域計画、そういった計画を年度内に策定をして取り組むことといたしております。具体的には、海岸漂着物の実態を踏まえまして、海岸漂着物対策を重点的に推進する区域の設定、さらには海岸管理者、県、市町村、地域住民等の役割を明確にし、連携して取り組むこと、そういったことなどを定め、海岸漂着物の円滑な処理と発生の抑制を効果的に推進していきたいと、このように考えております。  最後に、学校において海岸清掃や調査活動など、一貫した環境教育を積極的に進めることも肝要と考えるがどうかという御質問でございます。  議員からは、大阪からの修学旅行生によります西ノ島町での環境教育の事例の紹介がありましたが、県内の学校においても隠岐地域を始め各地の小学校、中学校、高等学校で海岸清掃や漂流物調査などを通じた環境教育が行われているものと承知をいたしております。こうした環境教育の取り組みは、海岸漂着ごみの現状に対する理解を深め、環境保全に対する意識の向上や、ふるさとを愛する心の醸成に大きく寄与するものと認識をいたしております。  今後、学校での取り組みが広がるよう、教育委員会を始め関係機関と連携をいたしまして、具体的な事例の情報提供でありますとか取り組みの働きかけを行っていきたいと、このように考えております。  失礼いたしました。最初の答弁の中で、地域グリーンニューディール基金の島根県の総額3,200万円と申しましたが、3億2,000万円でございます。失礼しました。 34: ◯副議長絲原徳康) 今井教育長。  〔今井教育長登壇〕 35: ◯教育長今井康雄) 2点についてお答えをいたします。  まず1点目が、隠岐の3高校の来年度の教職員数の見通し、それから加配された場合のメリットという御質問でございます。  御紹介がございましたが、今回の離島振興法の改正によりまして、離島の高校におきましては、教職員数につきまして政令で定める人数が加配されるということになりました。現在のところ、この政令の内容はまだ明らかにされておりません。県といたしましては、国に対しまして隠岐3校の教員の加配について具体的に要望いたしておりますが、あわせましてこの加配の考え方、これを早急に示していただくように働きかけもしているところでございます。したがいまして、現状のところ、来年何人ということはまだ申し上げられる段階にはございません。  それから、この改正によりまして教員が増員になるということになる場合のメリットでございますが、少人数指導など、よりきめ細やかな指導が行えるようになる、あるいは選択科目をふやすことで、例えば理系での進学に対応できる、それから指導者がふえることによりまして部活動も活性化される、こういったメリットがあると思っております。  その結果、現在いろいろ取り組まれておりますが、従来、島外に進学していた生徒が島に残るとか、あるいは県外からも高校生が入学をしてくると、こういったことが期待をされるわけであります。現在、地元と高校で取り組んでおります高校の活性化事業にも大いに弾みになるものというふうに思っております。今後、国に対しまして、引き続き強く加配を要望していきたいというふうに思っております。  それからもう一点、竹島の日にちなんだ給食についての御質問がございました。  これも御紹介にありましたとおり、松江市では来年の竹島の日の前後に隠岐産の食材を使った学校給食、アラメを使ったサラダというふうに聞いておりますが、そういった食事を提供し、あわせて子どもたちへの竹島の日の啓発も行いたいという計画と聞いております。  私どももこうした取り組みは、竹島の日の意義を子どもたちに理解させる上で大変効果がある、ユニークな取り組みであるというふうに思っておりますので、早速教育委員会の広報紙等を活用いたしまして、各市町村に紹介していきたいというふうに思っております。  今後、こうした試みも含めまして、工夫を凝らした取り組みが県内の各学校、市町村で広く行われることによりまして、子どもたちの竹島への関心がさらに高まっていくように努めてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。 36: ◯副議長絲原徳康) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は11月29日に開きます。  本日は、これをもって散会いたします。        午後2時33分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...