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平成17年6月定例会(第4日目) 名簿
平成17年6月定例会(第4日目) 本文

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  1. 島根県議会 2005-06-04
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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成17年6月定例会(第4日目) 本文 2005-06-29 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 60 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長倉井毅選択 2 : ◯上代義郎議員 選択 3 : ◯議長倉井毅選択 4 : ◯知事澄田信義選択 5 : ◯議長倉井毅選択 6 : ◯総務部長濱田省司選択 7 : ◯議長倉井毅選択 8 : ◯健康福祉部長正林督章選択 9 : ◯議長倉井毅選択 10 : ◯教育長広沢卓嗣選択 11 : ◯議長倉井毅選択 12 : ◯上代義郎議員 選択 13 : ◯議長倉井毅選択 14 : ◯知事澄田信義選択 15 : ◯議長倉井毅選択 16 : ◯野津浩美議員 選択 17 : ◯議長倉井毅選択 18 : ◯知事澄田信義選択 19 : ◯議長倉井毅選択 20 : ◯地域振興部長藤原義光選択 21 : ◯議長倉井毅選択 22 : ◯健康福祉部長正林督章選択 23 : ◯議長倉井毅選択 24 : ◯農林水産部長法正良一選択 25 : ◯議長倉井毅選択 26 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 27 : ◯石橋富二雄議員 選択 28 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 29 : ◯知事澄田信義選択 30 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 31 : ◯総務部長濱田省司選択 32 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 33 : ◯環境生活部長(井上勝博) 選択 34 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 35 : ◯健康福祉部長正林督章選択 36 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 37 : ◯農林水産部長法正良一選択 38 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 39 : ◯商工労働部長(山下修) 選択 40 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 41 : ◯石橋富二雄議員 選択 42 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 43 : ◯知事澄田信義選択 44 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 45 : ◯小室寿明議員 選択 46 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 47 : ◯知事澄田信義選択 48 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 49 : ◯政策企画局長(三宅克正) 選択 50 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 51 : ◯総務部長濱田省司選択 52 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 53 : ◯環境生活部長(井上勝博) 選択 54 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 55 : ◯健康福祉部長正林督章選択 56 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 57 : ◯小室寿明議員 選択 58 : ◯副議長(洲浜繁達) 選択 59 : ◯知事澄田信義選択 60 : ◯副議長(洲浜繁達) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時7分開議 ◯議長倉井毅) おはようございます。これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  引き続き一般質問を行います。  上代議員。  〔上代義郎議員登壇、拍手〕 2: ◯上代義郎議員 おはようございます。自民党議員連盟の上代義郎でございます。私は、竹島問題を初め医療、福祉問題につきまして質問を行いますので、知事初め関係部長、教育長の御答弁をお願いいたします。  けさの新聞を見ますと、天皇皇后両陛下におかれては、さきの大戦の激戦地であったサイパンを訪問され、韓国平和祈念塔と沖縄の塔の二つの慰霊碑に拝礼されたと報道されております。このことが日韓両国の理解と親善の一助になればと念ずる次第でございます。  さて、本県県政議会史上類を見ない国内外の注目を集めた議員提案による竹島の日を定める条例を可決した2月定例会からはや3カ月が過ぎました。本議場に立ちますとき、あの厳戒の中での緊張した情景がほうふつとしてわいてまいります。  韓国政府は、条例可決の翌17日、竹島の日を定める条例は、第2の侵略とみなすとして、これまでの対日路線を事実上修正し、新たな対日政策、新原則を発表、外交戦争とまで言い切り、竹島の日を定める条例と教科書問題をめぐる日本の動きを過去の植民地政策を正当化しようとする動きととらえ、断固対決するとの声明を発表しました。そして、日韓交流の破棄、中断が本県を初め全国各地に広がりました。  我が国政府の対応は、専ら感情的にならずに冷静に対応するとのコメントが繰り返されました。そして、多くのメディアからは、さまざまな論議がなされました。  この中で、竹島の領土権に関しては、我が国固有の領土であることの共通認識が大多数見られ、また竹島の日を定める条例制定については、真の日韓友好への大きな意義、島根から全国に広げよう、凛とした外交と議論を、政府は事なかれ主義ではいけない、政府腰定まらず、政府は真剣な努力をといった条例制定の意義とねらいに理解ある論評をいただいたように思います。  中には、竹島をいっそ韓国に譲ってしまってはと夢想する記事も話題を呼びました。  また、多くの国民の皆様からは、島根県議会の行動に対する支持と賛同、協力が寄せられました。そして去る6月20日、ソウルにおいて日韓首脳会談が行われました。会談では、メディアを含め、国民だれしもが竹島問題が会談のテーマとなり、問題解決へ向けての糸口が少しでも見出されるのではと期待したのでありますが、結果は、御案内のとおり竹島問題は会談の俎上にも上らず、報道によりますと竹島問題を双方が議論しなかったのは、対立をあおるのではなく、理性的に友好を深めるようにというのが会談の趣旨とし、同問題の議論を念頭にさえ置いてなかったというのであります。  そして、韓国外交通商省幹部は、会談直前、17日ラジオ番組で、竹島は韓国固有の領土で外交交渉で扱う理由はないと機先を制していたと報じています。では一体、竹島の日を定める条例は、第2の侵略とまで言い切った韓国側の意図は一体何なのか、こうした首脳会談でこそ冷静に主張し、問題解決を図るチャンスととらえるべきではないでしょうか。  一方、日本側としてもこの問題を真正面からとらえ、首脳会談を竹島問題交渉のチャンスとして、竹島は、明らかに日本の固有の領土であり、韓国により半世紀以上にわたって不法占拠されているこの現実を、そして、それによって被害を受けている我が国漁民の問題を外交交渉のテーブルに乗せ、議論する努力をなぜしなかったのか。そうした日本の不作為、及び腰外交が事なかれ主義が韓国をして、日韓の間に領土問題は存在しないなどといった言質を与えることになっているのではないでしょうか。  外交交渉は、米韓首脳会談においてブッシュ大統領も言われているように、主張すべきは主張してこそ理解と解決が図られるのではないかと思います。韓国側も領土問題は存在しないの一辺倒ではなく、1965年、日韓基本条約締結時に合意した日韓紛争解決交換公文に従い、竹島問題に素直に対処することが成熟した民主主義国家としての配慮ではないでしょうか。それとも俎上に上げにくい外交交渉の見えない部分があるとでもいうのでありましょうか。  一方、島根県においては、竹島の日を定める条例施行以来、竹島領土編入100周年記念講演会の開催を初め、国への重点要望においては、国際司法裁判所への提訴、学校教育への導入、所管組織の設置、国における竹島の日の制定などを強く訴えられ、また竹島問題に関する歴史研究組織の立ち上げ、新しい啓発パンフレットの製作と国際版の企画、竹島その歴史と領土問題の文献の発刊など、さまざまな取り組みが見られています。加えて、日韓漁業問題に関し初めての日韓水産資源協議が持たれ、県の要求の第一歩が記されたことなど、その間の御努力を高く評価するものであります。  また、澄田知事並びに宮隅前議長、倉井議長にあっては、それぞれのお立場で全国の知事、全国の議長に対し、広く竹島の日を定める条例の制定施行に理解を求められるとともに、竹島の領土権確立へ向けて国への要望決議を促され、それが実現しつつあることにつきましても敬意を表する次第であります。
     また、私どもも北海道根室市における北方領土全国研修会へ野津議員とともに出席し、また民間団体による熊本市での領土問題研修会へのメッセージ、広島市における教育正常化シンポジウムへの出席等々を通じて、本県議会の竹島の日を定める条例制定のメッセージを伝えてまいりました。  いずれの大会におきましても、島根県議会の決断と行動に対してすべての参加者の圧倒的な賛同と支持をいただいたこと、また、全国から数多くのメールやファクス、手紙を通じて本議会に対し激励とこれからの活動への協力が寄せられていることを申し述べておきます。あわせてこの場をかりて、県内はもとより全国の激励をいただいた皆様に感謝を申し上げます。  竹島問題を考えるとき、領土権と国際交流という二つの命題が常に議論されますが、国家と国家が親善友好を深めるためには、領土か交流かの二者択一ではなく、国家である以上、国民にとって最大の国益である領土問題を解決してこそ真の友好交流が図られるものと確信をいたします。もちろん解決までには長いイバラの道もあるかもしれませんが、お互い成熟した民主主義国家として、英知を出し解決への努力を惜しまないことが何より両国国民にとって重要であると考えます。  私自身、この理不尽な竹島問題に取り組んで9年間、時にはその取り組みの効果を疑問視する鋭い指摘や批判など、さまざまなことがよぎりますが、竹島の日を定める条例の制定を第一歩として、今後とも知事初め執行部の皆さん、議員各位、そして広範な県民の皆さんとともに、ひるむことなく両国国民の相互理解を深めながら問題解決へ向け取り組んでまいる覚悟であります。  以上、経過の一端を申し述べましたが、これらの視点に立って幾つかの質問を行います。  質問の第1点は、竹島問題に関する知事の基本姿勢についてであります。  知事は、竹島問題に対し知事御就任以来、県議会での答弁、有識者との懇談、そしてさまざまなメディアとの会見、また韓国関係者との交流を通じて竹島の日を定める条例の制定前後を問わず、一貫した領土権確立へ向けての腰の据わった対応に終始され、その毅然たる基本姿勢にまずもって敬意を表します。知事は、今定例会冒頭の所信表明でも、竹島の日を定める条例制定を契機とした内外の動き、その対応について述べておられますが、ここで改めて何点か伺います。  その一つは、韓国が竹島の日を定める条例制定をめぐり、第2の侵略とみなすとまで言い切り、対日新原則まで表明したのを初め、激しい反日デモ、また慶尚北道議会の竹島の月、馬山市議会の対馬の日の制定、日韓交流の破棄、中断、竹島観光の動き等々さまざまな反応がありましたが、知事は、これをどのように受けとめておられましたか伺います。  その二つは、我が国外務省首脳の実効的に意味のないことを県民感情だけで決めるのはいかがかといった心ない発言など、我が国政府が取り続けてきた態度についてであります。  島根県議会が可決した竹島の日を定める条例制定のねらいは、重ねて申しますが、いたずらに韓国との対立をあおるものではなく、竹島が島根県に編入されてから100周年、日韓基本条約締結から40周年に当たる中で、このまま推移すれば、竹島問題は国民の理解も関心も得られないまま風化しかねない。場合によっては時効問題も生じかねないのではないかという危惧、日韓両国の親善友好ももちろん大切ですが、同時に、竹島海域の漁業秩序の確立、そして領土問題は、日本として譲ることのできない国家主権にかかわる問題であることに思いをいたし、外交権のない島根県にできることは何か、冷静に熟慮の上、国民世論を啓発し、日本政府が積極的に動ける関係をつくり、一日も早い領土問題の解決と真の親善友好を願い、条例制定に至ったものであります。知事は、条例制定から3カ月を経て、こうした政府の態度についてどのような感想をお持ちですか伺います。  その三つは、島根県民初め全国の皆様が本県条例制定に寄せたさまざまな反応について、ただいまの時点でどのように総括されていますか伺います。  その四つは、さきの国への重点要望についてであります。  今回の要望では新たに国際司法裁判所への提訴を加えられました。領土問題の解決は、両国政府が積極的に協議し、合意に達することが最も重要でありますが、それがかなわないなら日韓基本条約締結時に交わされた交換公文により、両国内で解決できない場合は調停によって解決を図るものとすると明記されたことに従い、国際司法裁判所という公正な第三者の判断を仰ぐことが解決への道だと考えます。昭和29年、韓国は、日本側の提訴の提案を拒否しました。韓国側は、なぜ国際機関の調停を受け付けようとしないのでしょうか。自国の主張に自信があるなら堂々と主張し合うべきではないでしょうか。日本政府も、もっと韓国に働きかけるべきであると考えますがいかがでしょうか。今回の重点要望の状況にあわせお考えを伺います。  この項の最後に、こうした内外の反応、交流の破棄、中断、政府の動向、そして国民が知事に寄せる期待等を含めて、今後どのような基本方針でもって竹島問題に臨まれるのか伺います。  次に、去る6月20日ソウルで行われた日韓首脳会談について、どのような所感をお持ちかお聞かせください。そして、この秋にも予定される次回会談へ向けての思いもあわせてお尋ねします。  次に、日韓漁業問題についてであります。  平成11年1月22日、日韓新漁業協定が発効、韓国との間で双方のEEZ及びそれぞれの国が主権を有する暫定水域が確定し、秩序ある操業、また、資源管理が円滑に行われると期待された日韓漁業問題は完全に裏切られ、今日まで韓国の漁船による日本のEEZ内での不法操業、また、竹島領有権問題を理由に応じてこない暫定水域の資源管理問題について、我が国が求めていた政府間協議がやっとこの5月開催され、一定の前進があったと聞いていますが、これらの状況並びに今後の取り組みについて県の対応を含め伺います。  また、さきの対馬沖で起きた韓国漁船による不法操業とその取り締まりをめぐる問題は、本県海域においても十分予想されるところであり、日本側として毅然とした対応が求められていると思いますが、あわせて伺います。  第2点は、竹島の日を定める条例施行を踏まえての諸施策についてであります。  冒頭申し上げましたように、県では、本条例制定以来、さまざまな施策を打ち出しておられ、この御努力を高く評価するものでありますが、竹島問題研究会の設置を初め主な施策の状況と今後の取り組みについて伺います。  第3点は、領土教育と竹島についてであります。  領土をないがしろにして栄えた国は、古今東西一国もありません。領土は、譲ることのできない国家主権、国家の尊厳にかかわる基本問題であります。そして、その素地をつくるのは教育以外にはないのではないかと考えます。にもかかわらず、我が国固有の領土である竹島に関する学校教育は、皆無の現状であります。  このため、県並びに県教委におかれては、国に対し学校教育において竹島問題が積極的に扱われるよう重点要望を重ねられ、さらに教科書出版会社に対しても、竹島に関する記述を求める同様の要望活動を行われたと承知しております。時あたかも平成18年度から中学校で使用する新しい教科書の採択事務が現在進行中と聞いております。また本県では、竹島の日を定める条例が施行され、県は、今後条例の趣旨にふさわしい取り組みを推進するため必要な施策を講じることが求められています。そこでこうした視点に立って何点か伺います。  まず一つは、領土教育の重要性と竹島問題についてであります。  私は、去る5月、広島県下の市町村議員で構成する教育を考える市町村議員ネットワーク主催の教育シンポジウムに招かれ、竹島問題についての提言をする機会を与えられました。そこでは、教育の場で領土問題が等閑視されてきたことが竹島問題の解決をおくらせてきた大きな原因ではないか、領土を守る、国民を守る、教育の正常化の必要性が討議され、学校教育に竹島問題を導入することの意義が強調されました。  また中山文部科学大臣は、去る3月29日の参議院文教科学委員会で、有村治子参議院議員の質問に答えて、竹島と尖閣諸島が日本固有の領土であることについて学習指導要領の次回改訂で明記する意向を表明されました。また、6月11日、静岡市でのタウンミーティングで、竹島の領土権問題に関連して、領土がどこからどこまでであるかを教えるのは基本中の基本と述べ、竹島が日本固有の領土であることを学校で教えるべきだとの考えを強調したと報道されております。本県にとりましては、まことに力強い発言であると思います。この際、いわゆる領土教育の重要性と竹島問題について知事の御見解を伺います。  質問の二つは、領土教育の現状と問題点についてであります。  これまで竹島問題は、学校教育の中でどのように取り扱われてきたのかであります。まず学習指導要領での取り扱いであります。北方領土と竹島はどのように扱われているか伺います。  次に、現行教科書の記述の現状について、小・中・高校別に何社中何社が記述し、その記述は具体的にどう表現されているのか、竹島が我が国固有の領土と記述されている教科書があれば出版社の名を挙げてください。  次に、本県学校教育現場における指導の実態についてであります。  まず、小・中・高校で使用している教科書名とその出版社名について伺います。そして、その教科書は、竹島について全く触れていないか、触れているとすればどのように記述しているか伺います。あわせて竹島についての指導の実態を小・中・高校別に伺います。  質問の三つは、新しい検定教科書についてであります。  新しい教科書では、竹島はどう扱われ、今までとどう変わっているかであります。まず、竹島に関する記述状況について伺います。高校については、改訂は来年度以降と聞いておりますので、小・中の義務教育について答えてください。竹島について記述している出版社は何社中何社ですか。そして、その記述はどう表現されていますか。特に竹島の日を定める条例の趣旨に沿った記述と申しますか、竹島は我が国固有の領土であると記述している出版社はどことどこですか挙げてください。竹島は我が国固有の領土であるが、韓国が不法占拠していると政府の公式見解どおり正しく記述している出版社はどこですか挙げてください。そして、竹島に関し全く触れていない出版社はどことどこですか挙げてください。  質問の四つは、竹島について現行教科書と比較しての変化と申しますか、改善状況について伺います。変化があったとすれば、その背景には何があったと考えますか。感想をお聞かせください。  質問の五つは、平成18年度教科書の採択についてであります。  まず採択の仕組みと採択に至るスケジュールについて伺います。次に、県教育委員会の採択に関する役割と権限について伺います。  次に、採択の基準やルールについてであります。と申しますのは平成13年の教科書採択に当たっては、検定に合格したつくる会の歴史教科書に対し、中国、韓国からの圧力を初め国内諸団体からの嫌がらせなどが続発したと聞いております。このため、当時の文部省では、平成14年8月30日、都道府県教育長に対し、初等中等教育局長名で教科書制度の改善についての通知を出し、調査研究のための資料の充実、保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実、静ひつな採択現場の確保、開かれた採択の一層の推進などについて改善を指示したと聞いております。こうした背景も踏まえて伺います。  次に、前の質問と関連しますが、前回平成13年の採択に当たっては、特定の出版社の歴史教科書を採択しないよう妨害した団体があったと聞いていますが、本県における事態はどうだったか伺います。当然のことですが、今回の採択に当たって本県においてそのようなことがないよう要望しておきます。  次に、採択に当たって教育公務員がしてはならない規範があれば聞かせてください。  この項の最後に伺います。今全国は、島根県が来年度の新しい教科書の採択に当たってどのような教科書を採択するのか注目しております。採択に当たっては、島根県が施行した竹島の日を定める条例の趣旨に沿うことが当然と考えます。県としても、できるだけの努力なり指導助言を行うべきであると考えますが、御見解を伺います。  あわせて採択権を有する市町村教育委員会におかれては、領土教育の重要性を認識され、適切な採択が行われることを期待いたします。また、竹島問題に限らず歴史、公民教科書の採択に当たっては、内外の雑音に惑わされることなく、日本のあすを担う子供たちにどの歴史教科書が最も適切かという国家の大事を考えて対処されんことを強く要望いたします。  第4点は、竹島資料館、これは仮称でございますが、資料館の設置についてであります。  議員各位の中にも北海道納沙布岬にある北方館を視察された方々もあろうかと存じますが、私は、竹島問題に関しても国民世論を盛り上げ、また領土教育に資するためにも竹島問題の発生状況や歴史的経緯を展示する竹島資料館を県内に設置することが重要と考えます。また、竹島の日の条例制定の趣旨からも必要と考えます。北方領土問題に関しては、昭和55年8月、北方館が開館して領土問題に対する国民の理解と認識を深めております。竹島資料館の設置に関し、国への要望を含めて知事の御見解を伺います。  なお、このことに関しましては、竹島領土権確立議員連盟の総意であることを申し添えておきます。  第5点は、離島、中山間地域の医師確保対策についてであります。  昨年4月、研修医の待遇改善と医療の質を向上させるために始まった臨床研修制度により、大学病院が医師不足の状態となり、地域の自治体病院などに派遣していた医師を引き揚げる事態となり、地域の医療に深刻な影響が出ていると言われております。そのせいでしょうか、本県の離島、中山間地域にあっては、産婦人科、小児科医師など医師不足が深刻となっております。医師の不在は、少子化対策、地域振興はもとより、国民の生存権にかかわる重大な問題であります。この問題については既に質問が行われておりますので重複を避けますが、1点だけ伺います。こうした事態に対し、県でできることには限界があると思いますが、国民の医療に責任を持つ国の検討状況について、どのようになっているのか、また県とのかかわり合いはどうなのか伺います。  質問の最後に、知事に1点だけ伺います。去る2月の定例会では、県単独の医療費助成制度の見直しをめぐり活発な議論があったことは御承知のとおりであります。当時、私も文教厚生委員会の一員として議論に加わり、慎重に審議をいたしました。結果として、県議会としては40年ぶりの附帯決議を付して議決したことは記憶に新しいところであります。  障害者自立支援法制定の動きなど、障害者を取り巻く環境が大きく変化しようとしている中で、まさに障害者福祉全般にわたる充実策を打ち出すことは待ったなしの状況にあると思います。今議会でも障害児施設等の法人移管の方向性も打ち出されております。私は、今こそ現状を直視し、見直すべきは見直しながら障害者のことを思い、障害者の方々が幸せに暮らしていける施策を積極的に実施すべきと考えます。2月議会以降、さまざまな検討がなされていることと思いますが、障害者福祉施策全般にわたる施策の充実について、知事はどのような考え方のもとに取り組むお考えなのかお伺いし私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 3: ◯議長倉井毅) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 4: ◯知事澄田信義) 上代議員の御質問にお答えをいたします。  まず、竹島問題についてであります。  さきの定例会における竹島の日を定める条例の制定をめぐって、その前後から現在に至るまで国の内外からさまざまな反応がありました。  まず、国の内外からは手紙、電子メールなどを通じて2,500件を超える反響をいただいておりますが、その大多数は本県の立場に賛意を表するものでした。それらの反響に対しましては、大変心強く感じるとともに国民世論の喚起という観点からもまことに喜ばしいことだと思っております。  反面、韓国側からは、交流の破棄通告や対抗的な条例制定など、やや感情的とも思われる強い反発があり、これにより各地の自治体が進める交流事業に少なからぬ影響を及ぼしたことにつきましては、非常に残念な思いであります。  竹島問題の早期解決に向けては、先般も国に対しまして外交交渉の進展や広報啓発活動を所管する国の組織の設置などを求めて重点要望活動を行ってきたところでありますが、このたび改訂されます中学社会科教科書への竹島問題の記載に若干の前進が見られますものの、全体としては具体的な進展に乏しい状況にあります。  竹島問題につきましては、今までにも申し上げてきたとおり、日韓両国間において領土問題に関する主張は主張として毅然と述べ合いながらも、お互いに冷静に理解し合う成熟した関係を築き、両国政府の外交努力によって平和的に解決すべきであると考えております。  その具体的な手法として、今回の国への重点要望において国際司法裁判所における解決という新たな提案を行いました。韓国側が領土問題の存在自体を否定する立場に立つ限り、その実現は容易ではありませんが、我が国が公正な第三者の判断に服する用意があることを改めて宣言し、問題解決へ向けて国際世論に訴えかけることが事態打開の糸口となり得るのではないかという考えによるものです。  そうした私の考えからすれば、先般行われました日韓首脳会談において竹島問題が議題にすら取り上げられなかったことは、まことに残念であると言わざるを得ません。本年中にも予定されている次回以降の首脳会談などの機会において、ぜひともこの問題を議論の俎上に乗せ、外交交渉の新たな展開が見られることを強く望むものです。  次に、日韓政府間協議の状況及び今後の取り組みについてです。  日韓新漁業協定の発効以降、県といたしましては、機会あるごとに関係省庁などに対し、本協定に基づき国の責任で暫定水域における資源管理方策の確立を図るよう強く求めてまいりました。長年の要望がかない、ことし2月、日本海の暫定水域を含む水域での資源管理について、政府間協議を行うことにようやく合意し、5月に第1回目の日韓水産資源協議が開催されました。第1回の協議においては、漁業資源の持続可能な利用及び保存協力について意見を交換し、具体的な実施方策について今後も協議を継続することで合意したと聞いております。次回協議は韓国で開催されることとなっており、具体的な日程と場所は今後協議されることとなっています。  県といたしましては、第一義的には竹島の領土権を確立し、日韓の中間線を確定することを求めてまいりますが、それが実現するまでの間、関係漁業者などと連携をとりつつ、暫定水域における資源管理体制が確立されるよう引き続き関係機関に対して働きかけてまいります。  次に、韓国漁船の不法操業をめぐる対応についてです。  ことし5月31日に対馬沖の我が国排他的経済水域で発生した事件は、韓国アナゴかご漁船が立入検査を拒否し、海上保安官を乗せたまま韓国の排他的経済水域まで逃走したものです。本県沖合におきましても、依然として韓国漁船の違法操業は後を絶たないことから、先般の対馬沖のような事件が起こる可能性があると考えております。我が国排他的経済水域における漁業秩序の維持及び本県漁船の安全操業を確保するためには、韓国漁船による違法操業を根絶することが重要と考えており、県といたしましては、引き続き韓国漁船に対する監視、取り締まり体制の強化を関係機関に対し要請してまいります。  次に、領土に関する学校教育の重要性と竹島問題についてであります。  国家そのものの存立の基盤である領土について正しく認識することは国民として当然のことであります。そのためにも学校において日本の領土について学習することは極めて重要であり、学習指導要領でも日本の領土について小学校、中学校、高等学校と児童生徒の発達段階に応じて指導することとしております。  本県では、昨年から文部科学省に対して学習指導要領の中で竹島を取り上げることを、また、教科書会社に対しては竹島問題を取り上げ教科書に記載することをそれぞれ要望してきたところであります。その結果、今回の検定に合格した中学校の教科書の中で、竹島について記載した教科書がふえたことは竹島問題に対する理解を深める上で喜ばしいことであります。今後も国や教科書会社に対する要望を継続し、竹島を通じて日本の領土問題を正しく認識できる児童生徒が一人でも多くなるよう取り組んでまいります。  次に、竹島資料館についてであります。  竹島の領土権確立のためには、その背景として竹島問題に関する国民の理解を深め、その解決に向けた意識の高揚を図ることが何より大切です。議員御提案の竹島資料館の設置につきましては、そうした啓発活動を進める上で一つの有効な手段と考えておりますが、領土問題は、国家の基本にかかわる問題であることや、北方領土に係る啓発施設が国の外郭団体において整備されていることを考えれば、国において主体的に取り組んでいただくべき課題と考えています。  この問題については、隠岐地区の町村長などで構成される竹島領土権確立隠岐期成同盟会も国が隠岐の島町に竹島漁労歴史記念館、仮称でありますが、竹島漁労歴史記念館を整備するよう要望しております。県としましては、まずは国においてこうした資料館の設置問題も含め、竹島問題についての啓発活動を主管する組織を設置していただくことが必要であると考えており、引き続き国の担当組織の設置について強く要望してまいります。  次に、障害者福祉の充実についてであります。  障害者福祉は今大きな転換期にあります。平成15年度には、支援費制度が導入され、また現在障害者自立支援法制定に向けた議論が活発に行われるなど、これまでの制度や仕組みを大きく見直し、障害者の自立支援を基本に置いた改革が進められようとしています。加えて、新たな課題となっている発達障害者や高次脳機能障害などへの対策も急務であります。  私は、こうした大きな転換期の中にあって、本県においても自立支援や発達障害などへの対応は喫緊の課題と考え、健康福祉部にその検討を早急に進めるよう指示し、これまでに地域における自立した生活の支援強化のための基本的考え方を取りまとめたところであります。その柱には、国の動向や本県の現状、さらには障害者の皆様からの強い要望等を踏まえ、自立支援に不可欠な相談支援の充実と地域生活移行のための条件整備、そして特に現状でサービス基盤が不足し、対策を強く求められている極めて重度の障害者への支援の充実の三つを掲げています。  具体的には、これらの柱のもとにグループホームなどの住まいの場や共同作業所など働く場の確保、また障害者を地域で支える人材の育成や相談体制の確立、そして家族の過重な負担となっている介護を軽減する対策、さらには発達障害者支援センターの早期開設などが必要と考えています。現下の財政状況は極めて厳しく、財政改革を実行している最中ではありますが、やるべきことは責任を持ってやり遂げるとの信念を持ち、実施可能なものから順次取り組んでまいります。  私は、これらの支援策を早急に実行することこそが2月県議会での障害者福祉全般にわたる施策の充実を求める附帯決議におこたえする唯一の方策であり、障害のあるすべての方々やその御家族、そして県民の願いにこたえていく道と信じ全力で取り組む決意であります。 5: ◯議長倉井毅) 濱田総務部長。  〔濱田総務部長登壇〕 6: ◯総務部長濱田省司) 竹島問題に関します施策の展開についてお答えを申し上げます。  竹島問題につきましては、これまで竹島・北方領土返還要求運動島根県民会議との連携によります啓発活動や国への重点要望活動などを行ってまいりましたけれども、去る2月定例会で制定されました竹島の日を定める条例の趣旨を踏まえまして、県といたしまして、竹島問題についての国民世論啓発のための施策の一層の充実をいわば質量両面でこの充実を図ってまいりたいと考えております。  既にこの3月には、竹島の島根県告示100周年の記念事業といたしまして領土問題講演会を開催したところでございますけれども、先般は、竹島問題の歴史に関する客観的な研究、考察、あるいは日韓両国の論点整理などを行うために竹島問題研究会を設置したところでございます。御案内かと思いますが、さきの講演会にも講師をお願いいたしました拓殖大学の下條教授に座長をお願いいたしまして、地元の研究者などによりましてこの問題の客観的な検証、整理をしていきたいというふうに考えております。  今後、新たにその問題の啓発のためのパンフレットにつきまして韓国語版、英語版のものを作成するというような取り組みでございますとか、ただいま申し上げました研究会の成果なども盛り込んだ県民の皆さんにわかりやすい啓発資料の作成、配布といったことも進めてまいりたいと考えております。  今回の条例制定を契機といたしまして、全国的にも竹島問題への関心あるいは認知度が高まっている中でございますので、今後県が行います啓発活動が新聞、テレビなどで大きく取り上げられて、全国的にさらに認知度が高まるというような相乗効果が期待できるような積極的な取り組みを考えてまいりたいと思います。 7: ◯議長倉井毅) 正林健康福祉部長。  〔正林健康福祉部長登壇〕 8: ◯健康福祉部長正林督章) 医師不足についての国の検討状況及び県とのかかわりあいについてお答えします。  現在、国においては、主として僻地保健医療対策検討会と医師の需給に関する検討会の場で医師の確保について検討がなされております。まず、僻地保健医療対策検討会においては、平成18年度からスタートする第10次僻地保健医療計画の策定に向けてさまざまな検討がなされております。  この中では僻地診療所及びそこに勤務する医師の確保や僻地診療所を支援する立場にある中核的な医療機関のあり方、僻地における特定診療科の医師の確保策などを課題として取り上げ幅広く検討がなされております。一方、医師の需給に関する検討会においては、今年度中を目途にその対策を取りまとめることとなっております。  近年、医師数はふえているにもかかわらず、特定の地域や特定の診療科などで医師不足が生じている現状を踏まえ、単に医師の総数だけでなく、医師の就業の実態等を勘案し、都道府県別、地域別、診療科別に需給の推計が行われることと聞いております。全国的に医師不足が顕在化する中で、国としてどのような方策を打ち出されるのか、本県にとっても重大な関心事でありますので、両検討会での検討内容や議論を注視しているところであります。  次に、これら国の検討会と県とのかかわりについてであります。ことし3月、僻地保健医療対策検討会が開催された際に、検討会から要請を受け、本県から職員を出席させ、本県の地域医療を取り巻く状況と医師確保の取り組みを報告させました。同検討会は、本県のみならず常に他府県とのかかわりを持ちながら地方の実情を踏まえた検討がなされております。 9: ◯議長倉井毅) 広沢教育長。  〔広沢教育長登壇〕 10: ◯教育長広沢卓嗣) 竹島問題の学校教育についてお答えをいたします。  まず、北方領土と竹島の学習指導要領での取り扱いについてであります。  学習指導要領では、日本の領土について、小中学校の社会科や高等学校の地理、現代社会、政治経済の各科目において指導することとなっております。その中で北方領土については、中学校ですが、北方領土が我が国の固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすることと明示されておりますが、竹島について具体的に指導するようにとの記載は、小・中・高を通じて学習指導要領にはありません。  次に、現在使用されている教科書における竹島に関する記述についてであります。  まず、小学校社会科では全5社、五つの会社とも記述しておりません。中学校社会科では、歴史的分野では全8社とも記述しておりませんが、地理的分野で7社中1社、公民的分野で8社中1社が記述しております。高校では、地理で6社中4社、日本史で8社中2社、現代社会で12社中3社、政治経済で11社中3社がそれぞれ記述しております。  その内容は、例えば日本と韓国の間には日本海の竹島をめぐる問題があるなどであり、竹島が我が国固有の領土であると明記した教科書は扶桑社の中学校公民のみであります。  次に、県内の小中高校で使用している教科書と指導の実態についてであります。  県内の公立学校においては、小学校社会科は東京書籍の教科書、中学校社会科では東京書籍と帝国書院のものをそれぞれ使用しておりますが、いずれにも竹島に関する記述はありません。また県立高校においては、地歴科・公民科において科目別、学校別に計12社、35種類の教科書を使用しており、そのうち地理の東京書籍、二宮書店、教育出版、現代社会の一橋出版、政治経済の清水書院の計5社、6種類の教科書に竹島についての記述があります。  その内容は、200海里の設定には領土が問題となり、竹島の領有権問題が再燃することになったなどであります。
     また、本県の学校現場における指導の実態につきましては、昨年度来、竹島について指導している県内の公立学校は、小学校では269校中73校、率にして27%、中学校では107校中91校、85%、高校では45校中45校、100%であります。  各学校では教科書以外にも資料集や新聞記事など多様な教材を工夫しながら小中学校では社会科、高校では地歴科、公民科を中心に我が国の領土、我が国の歴史、国際社会の動向、島根県の地理・歴史など多岐にわたる内容と関連させて指導しております。この中には、水産高校の漁業の授業で扱うなど、竹島を地域産業と関連させた形で指導している学校もございます。  次に、新しい教科書における竹島の記述についてであります。  校種別に申し上げますと、小学校では既にことしから改訂された教科書を使用しておりますが、先ほど申し上げましたとおり5社とも記述されておりません。今回検定に合格した中学校用教科書では、地理的分野で6社中2社、公民的分野では8社中3社が記述されております。歴史的分野は8社とも記述されておりません。  このうち御指摘の竹島は我が国固有の領土と記述されている教科書は、扶桑社の公民と東京書籍の公民の2社、加えて韓国が不法占拠していると記述されているものは扶桑社公民の1社であります。地理、公民とも竹島に関して全く記述がなかったのは教育出版、清水書院、日本文教の3社であります。  竹島に関して記載されている教科書がこれまでの2社から5社になった背景には、県及び教育委員会による国や教科書会社への要望活動の成果があったものと評価しております。  次に、教科書採択についてであります。  市町村立の小中学校で使用される教科書は、県内に五つあります採択地区ごとに協議を経ながら8月31日までに各市町村教育委員会の権限で採択されます。各採択地区においては、地区を構成する教育委員会の代表者及び保護者代表などを委員として協議会を設け、独自に行われる教科書の調査・研究の結果や県教育委員会の指導・助言などを参考に協議が進められることとなります。  この教科書採択に際して県教育委員会の指導・助言として採択手続に関する一般的な指針である採択基準や選定に必要な資料などを各採択権者に提供しております。また、採択が外部からの働きかけによって左右されることなく、適正かつ公正に行われるよう静ひつな環境の確保に努めているところであり、教育公務員としても公正な採択事務を妨害するような行き過ぎた行為は厳に慎むことが必要であります。  一方、国においても各教科書発行者に対して、独占禁止法などに基づき宣伝行為について厳しく指導を行っておりますし、教科書業界においても自粛措置がとられております。こうした状況の中、前回平成13年度でありますが、前回の採択において各種団体等からさまざまな要望はありましたが、県内におきましては御指摘のような妨害行為等があったという報告は受けておりません。  先ほど申し上げましたように、今回竹島について記述された中学校社会科の教科書がふえましたことは、文部科学省、教科書発行者への要望活動の成果であると一定の評価をしておりますし、また、本県の児童生徒が県民として竹島の歴史や現状を学ぶことは望ましいことであると考えております。  しかし、教科書の採択は、竹島の記述の有無だけで判断されるものではなく、総合的、客観的な視点から検討し、各採択地区の児童生徒にとって最もふさわしい教科書が採択される必要があると認識しております。県教育委員会といたしましては、採択事務が静ひつな環境の中で適正かつ公正に進められるよう引き続き指導・助言をしてまいります。以上でございます。 11: ◯議長倉井毅) 上代議員。  〔上代義郎議員登壇〕 12: ◯上代義郎議員 知事さん初めそれぞれ御答弁いただき大変ありがとうございました。  1点ほど特に要望申し上げます。先ほど竹島資料館の設置について知事の御答弁を伺いました。資料館設置そのものの必要性については、重要性についてはよく認識しておるというように理解をいたしましたが、具体的にじゃそれをどうつくるかということについては、国とのかかわり合いの中で今後検討するということでございますが、私は、この竹島資料館というのは、竹島問題を考える上での、もちろん教育上の問題とかいろいろありますが、私は、一つの象徴的なですね、ものではないかと思います。私も納沙布岬へ行きましてですね、望郷の家とかあるいは北方館という資料館を見ましたときにですね、国民としての眼下に歯舞、色丹、そして遠くに国後、択捉が見えるわけでございますが、この北方館があることによってですね、非常に全国から行かれた皆さんの北方領土への認識といいますかね、強いものがあります。  ぜひともですね、つくられる場所が隠岐の島か松江市かはともかくとして、とにかくやっぱりあらゆる工夫をいただきまして、ぜひとも早い機会にですね、この資料館の設置が実現しますことを強く要望して再質問にかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。 13: ◯議長倉井毅) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 14: ◯知事澄田信義) ただいまの北方領土についての資料館をごらんになっての感慨を込めてですね、竹島の資料館についての建設について御要望がございました。  私どもも思いは共通でございまして、ひとつ先ほど申し上げましたように国に対してですね、竹島問題を所管する組織の確立と、あわせて資料館の建設についてですね、今後要望してまいりたいと思います。いろいろこれからも御相談の上、検討を重ねまして、できるだけ実現ができますように努力してまいりたいと思います。 15: ◯議長倉井毅) 野津議員。  〔野津浩美議員登壇、拍手〕 16: ◯野津浩美議員 自民党議員連盟の野津浩美でございます。通告いたしました2点について質問をいたしますので、知事を初め関係部長の答弁をよろしくお願いいたします。  最初に、鯨問題について。今月20日から韓国蔚山で開かれていたIWC年次総会は、ことしも例年どおり商業捕鯨の再開については何の進展もないまま捕鯨支持国と反捕鯨国との溝も埋めることもなく、ただただむなしさと腹立たしさだけを残して24日にその幕を閉じたところであります。40年以上も前に決議された捕鯨モラトリアムを解除することもなく、保護一辺倒に走るIWC国際捕鯨委員会は、もはやその名に値しないと断じざるを得ません。保護が目的であれば護鯨委員会とでも改名すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。  以前の質問の際にも説明申し上げておりますが、この際あえて再度申し上げます。そもそも捕鯨モラトリアムとは、欧米諸国が世界のあらゆる海域で無秩序に行ってきた商業捕鯨に戦後我が国も参加をして、これらの国々とともに南氷洋を中心に効率性の観点からナガス、シロナガス等の大型種に的を絞った捕獲を積極的に行った結果、乱獲状態となり、これら鯨種の個体種が激減し、絶滅のおそれが出てきたことから、これを保護し資源の回復を図ることを目的としたものであります。  ところが、モラトリアムの対象鯨種をイルカを除くすべての鯨としたため、意図しない事態が発生をいたしております。一番ふえてほしいシロナガス、あるいはナガスについては思ったほど効果が上がらず、ミンクを初めとする繁殖力の強い鯨種がどんどんふえていったのであります。特にシロナガスについては、モラトリアム、これがモラトリアムをやるきっかけになったわけですが、開始した1960年における推定値500頭が以後45年たった現在、たかだか2,500頭前後でしかなく、南氷洋での捕鯨が始まったころの推定生息数2万数千頭以上の10分の1程度しか回復していないのであります。  これはいわゆる空き家効果と呼ばれる現象で、捕獲された鯨のえさ場に繁殖力の強い鯨が入り込んで増殖し、えさ場を奪ってしまう結果、減少種の回復が妨げられていることを指しております。それゆえ、シロナガスを初めとする資源回復がおくれている種の回復を図るためには、繁殖力の強い鯨を駆除してやらなければ速やかな回復が望めないことは自明でありましょう。人為的にもたらされた自然秩序の乱れは、人間が意図的に手を入れて回復することが必要だと思います。  さて、科学的根拠を欠くIWCの捕鯨モラトリアムの継続は、偏った鯨種の増殖を招き、さまざまな影響があらわれつつあります。そのような中、我々島根県民、なかんずく隠岐島民にとって最も身近な形で起こったのが先般来の相次ぐ高速船と鯨との衝突事故であります。  この件に関して私の第一印象は、だから言わんこっちゃないでありました。先ほど申し上げているとおり、野放図な鯨保護対策が招いた結果であると思ってます。幸いにも人的被害はなかったものの、一つ間違えれば大変な事故につながりかねなかったことは容易に想像のつくところであります。  そこで、人命にもかかわりかねないおそれのあった今回の事故に対し知事の所感を伺うものであります。また、原因である鯨の日本海における状況についてどのように把握、認識されているのかもお示しください。  次に、今回の事故の状況とその影響についてお知らせください。あわせて県として、事故後の対策はどのようにされたのか、関係機関との状況も含めて伺います。  また、運航会社である隠岐汽船や船主の隠岐振興がとった事故の対応状況について、県はどのように承知しているのかもお聞かせください。  今後、安全運航に向けて抜本的対策を講じるべきと考えるところでありますが、県、運航会社、船主、地元町村等関係機関を含めた対策はどのようになされられるのかも伺います。  鯨対策については、第一義的にIWCにあると考えられますが、このたびの人命にもかかわりかねない事故の原因である鯨は、海上交通の安全対策にも、先ほど述べた本来資源回復すべき鯨種の繁殖に関しても駆除を考えなければならないと思うところであります。来年度以降のIWC年次総会の場で、このことをアピールするよう国に働きかける考えはないのか伺います。  また、今後は海上交通の安全確保と漁業被害も含めた中で、国に対し鯨の海洋資源として適正な管理を求めていただきたいと思いますが、県は、どのように対応されるのかお伺い、この項の質問を終わります。  次に、遺伝子組みかえ食品と品種改良についてであります。  いわゆる食の安全については、過去から現在に至るまであらゆる食品についてさまざまな観点から議論がなされてまいりました。野菜や穀物、食肉、乳製品、水産物、あるいはこれらのものを材料とする加工食品等に関する安全性についての議論は尽きることがありません。さらにここ10年ほど前からは、これらに加えて遺伝子組みかえ食品についてのそれが取りざたされるようになってまいりました。  御承知のように我が国は、世界有数の食糧輸入国であります。特に穀物類は、米を除くと90%以上を輸入に頼っており、トウモロコシと大豆の大部分はアメリカからであり、菜種はカナダからであります。遺伝子組みかえ食品の輸入は、1996年9月3日に厚生省に設置されていた食品衛生調査会で菜種3種、トウモロコシ2種、大豆とジャガイモを各1種ずつの安全が確認されてから以降、始まっております。  当時、アメリカの組みかえ作物の生産量の割合は低かったわけですが、収量がよく、労働力が少なくて済むため、年ごとにその割合は増加していき、1999年には生産された大豆の半数、トウモロコシの約3分の1が組みかえであったと言われております。そして、この年までは遺伝子組みかえ食品である旨の表示が義務づけられていなかったので、組みかえ作物を材料にした菓子、きな粉、パン類、めん類、豆腐、納豆、みそ、しょうゆ、糖類、食用油などはだれもがどこかで口にしているはずであります。特に、トウモロコシから取ったコーンスターチは応用範囲が広く、これを素材としてビールなどのアルコール飲料、水あめ、砂糖までがつくられており、私も含め、この議場内におられる酒好きの方々は漏れなく口にされたことがあると断言できるのであります。  このように言われると、多分皆様方は余りいい感じがしなかったと思います。それは遺伝子組みかえ食品については、ある漠然とした違和感といいますか、うさん臭さを感じているからにほかならないからだと思うのであります。  そして、なぜそのような感じを受けるかといえば、遺伝子組みかえに限らず、先端技術全般について我々が得ることのできる情報量は圧倒的に少なく、偏ったものである場合が多く、さらに幾ら十分な情報があったにしろ、遺伝仕組みかえを含め先端技術の理論は我々素人にとってはほとんど理解不能であるし、また専門家の間でも往々にして意見が分かれるところがあるからだと思っております。  結局、よくわからんが、何となく危なそうだからさわらぬ神にたたりなしとばかりに無視するか、排除してしまうということになります。そして、理論は小難しくてよくわからんが、感じとして危なそうなのは共感できるので、こういう部類の人たちとその技術について否定的な見解を持つ学者たちが集まって一つの勢力を形成することになります。  遺伝子組みかえに関しても例に漏れず、このような組織が形成され、組みかえに対する反対論を展開しております。例えば細菌や動物の遺伝子を作物である大豆やトウモロコシ、ジャガイモに組み込み、殺虫性や抗菌性、除草剤耐性を持つ本来自然界にはあり得ない作物をつくってしまう。こんなものを食品として人間が食べて本当に大丈夫なのか、がんやアレルギーの原因になるのではないか、また、栽培されている農場から自然界に飛び出して、何らかの形で新たな環境汚染につながるのではないか等々、よく耳にいたしております。  また、先ほどの表示の件につきましても、組みかえ食品の安全性に対して疑問があるので、食べたくない人たちに判別できるようにすべきとの意見から実現したものであります。  さて、一方で、我々素人がちょっと危ないんではないのと思えるような組みかえ技術がなぜ開発されたのでしょうか。それは第一義的に農業の効率の問題でありましょう。アメリカなどの広大な農地での農業は、殺虫剤や除草剤一つまくにも大変な労力を要します。そこで、作物自体に殺虫性や除草剤の耐性を持たせ、その手間を省こうとしたわけであります。ここに先ほどのちょっと危ないんではないのという安全性の問題が起こるのであります。  我々一般人もそうでありますが、積極的に組みかえ技術に反対する人たちも同様に、もともと自然界に存在しない食物は食べたくないと考えるのは当然のことであります。だからこそ作物についても自然農法、有機農法、無農薬農法等がもてはやされるわけであります。しかし、ちょっと考えてみるとおかしなことにも気づきます。そもそも我々が口にする農作物は、もともと自然界にあったものなのでしょうか。米、麦、トウモロコシ、白菜、キャベツ、ホウレンソウなどすべて原種は自然界にあったものでしょうが、これらの作物は何千年も、あるいは物によっては1万年以上もの歳月をかけて、人間が手を加え少しずつ少しずつ改良してきたものであります。つまり、人工的につくりかえた物であります。したがって、ほとんどの作物が原種とは似ても似つかない姿形をしております。トウモロコシに至っては、その原種はもはやこの地球上には存在しないと言われております。このような作物を自然のものと言えるのでしょうか。大いに疑問に思うところであります。  ただ、この改良は、人工交配手法で行われており、植物が本来持っている性質を利用したもので、遺伝子組みかえとは根本的に違っているとは言えるのでしょう。しかし、組みかえ技術が開発される前には、人工交配とは別に放射線や化学薬品を使った突然変異による品種改良が盛んに行われておりました。この手法は、約30年前から用いられるようになった方法で、放射線あるいは薬剤を使って遺伝子DNAを傷つけて突然変異を起こさせようとするものであります。突然変異は、自然界に存在する現象であり、生物の進化に欠かせないものではありますが、有為な変異は気の遠くなるような長い時間の中でたまにしか起こらない事象であります。これを人工的に短時間に起こさせようとするものが今の人工的な放射線あるいは薬剤による突然変異の手法であります。結果、やみくもに多数の遺伝子を傷つける方法であります。遺伝子組みかえ技術も遺伝子操作ですが、この突然変異の手法も立派な遺伝子操作であります。したがって、目的とする突然変異が起きたのであれば、他の遺伝子DNAも突然変異が起こっているかもしれません。遺伝子組みかえ作物は、表示の義務とともに厳しい安全審査も義務づけられておりますが、突然変異による品種改良は安全審査も表示の義務もありません。何となく釈然としない思いがするのは私だけなのでしょうか。  もっと不思議なのは、遺伝子組みかえに批判的な人たちです。彼らは、この人工的突然変異による品種改良に対しては何も言ってないのであります。したがって、外国のバイオテクノロジー会社は、突然変異種による除草剤耐性の大豆をつくって高い値段で日本に売り込んでいるのであります。ヨーロッパでも、この遺伝子組みかえに対しては表示義務や厳しい検査がありますが、この外国の会社は、ヨーロッパには売り込みはしておりません。そんな高いものはヨーロッパの農業者だれも買わないということですが、安全性を重視する日本では高い値段で買うという可能性があるということで、結局安全審査も表示義務もないので、ばかな日本人が安全だと勘違いして買ってくれると思っているのではないかというふうに思います。そのようなことが許されるのであれば、我が国の消費者は大変な損害をこうむることになりかねないと大変危惧するところであります。  さて、長々と御説明申し上げたとおり、遺伝子組みかえ作物には、不必要なまでに厳しい安全審査や表示義務が課せられておりますが、化学薬品や放射線による突然変異を用いた品種については何の義務も課せられておりません。これはなぜでしょうか。また、安全の確認はどのようになされるのでしょうかお伺いをしたいと思います。  次に、県の試験研究機関においては遺伝子組みかえや突然変異による品種改良は行っているのでしょうか。仮に行っていないとすれば、どのような方法で品種改良の研究を行っているのかも伺っておきます。  食の安全は、県民にとって最も重要な事柄の一つです。安全性について県民に正確に理解していただくことが大変重要なことと考えます。しかし、かなり高度な知識や能力がなければ理解どころか誤解さえ生じかねず、場合によっては県民に多大な経済負担を与えかねないと考えております。どのような方法で情報を正確に理解させるのか伺って質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 17: ◯議長倉井毅) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 18: ◯知事澄田信義) 野津議員の御質問にお答えをいたします。  まず、超高速船レインボーの事故についてであります。  超高速船レインボーと鯨と思われる海洋生物との衝突事故が先月と今月の2回にわたり起こりました。幸いに、いずれも乗客・乗員にけが人はありませんでしたが、外国や国内の他の航路では、死傷者が出た例もあり、今回はまことに不幸中の幸いであったと思います。  近年、山陰沖や隠岐島周辺で鯨の目撃情報がふえているということから、レインボーの運航に際して、隠岐汽船では監視の強化や事故海域での減速運転などの対策を行っているとのことであり、引き続き安全運航に努めていただきたいと思います。  次に、IWC(国際捕鯨委員会)年次総会におけるアピールの国への働きかけと鯨資源の適正管理についてであります。  さきに開催されたIWCの年次総会において、日本政府は、商業捕鯨の再開を目指すという基本的立場に立ち、調査捕鯨の拡充などについて加盟各国への働きかけに最大限努力したと聞いています。  県といたしましては、捕鯨再開に向けて国が積極的、精力的に展開しているこのような外交努力を期待を持って見守ってまいります。  なお、レインボーの衝突事故につきましては、鯨と思われる海洋生物によるものと考えられるものの、その特定はなされていませんが、海上交通の安全確保の観点からの懸念があることを国に伝えてまいります。いずれにいたしましても、科学的根拠に基づいた鯨資源の適正な管理が必要と考えており、このような観点から国の取り組みを促してまいります。 19: ◯議長倉井毅) 藤原地域振興部長。  〔藤原地域振興部長登壇〕 20: ◯地域振興部長藤原義光) 超高速船レインボーと鯨類の衝突の事故の状況についてお答えいたします。  超高速船レインボーが先月の15日に続きまして今月15日に航行中、鯨と思われる海洋生物と衝突いたしました。先ほど知事からもお答えいたしましたように、幸いにも乗客・乗務員に負傷者がなく、まことに不幸中の幸いであったというふうに思っております。  最初のレインボーIの衝突事故での損傷した箇所でありますが、船体を水上に浮き上がらせて航行しますための、その高速で進むための船体の下部に取りつけてあります水中翼の前側の左の支柱とその支柱を取りつけます取りつけ部分が損傷いたしました。このため部品の製作、それから取りかえを行うという必要が生じまして、約2カ月間の運休を余儀なくされ、来月の7月16日からの運航の再開を予定しております。  また今月15日のレインボーIIの衝突事故では、同じように前の翼の左側の支柱の取りつけ部分が損傷いたしまして、幸いにも軽微であったために4日後の19日から運航が再開できたわけであります。  次に、事故の影響と今後の対応についてでありますが、超高速船の運航休止やダイヤ変更によりまして、利用者の利便性が損なわれました。これから利用者が多くなります夏の時期を迎えまして、観光客や帰省客の影響を懸念しているところであります。  また、県の対応については、事故直後に隠岐汽船に対して公共交通機関としての航行の安全と利便性の確保を要請するとともに、対応について協議を行ったところであります。  次に、運航会社などの対応状況についてでありますが、隠岐汽船では、最初の衝突後に監視の強化、鯨類の目撃情報の収集、シートベルト着用の徹底、衝突を想定した操作訓練などの対策を行っております。  さらに、2度目の事故を受けまして、事故海域付近での航行の速力、通常が時速約70キロメートルで航行しておりますが、それを55キロメートルまで減速いたしまして運転いたしますとともに、若干コースの変更、迂回を行うというふうなことを行っております。  また、現時点で考えられますこれ以外のハードの対策といたしましては、佐渡汽船とかあるいは九州汽船で導入されておりますが、鯨の天敵でありますシャチの鳴き声を発生させる鯨類忌避音発生装置というふうなものを船に取りつけまして、そのシャチの泣き声を発生させて鯨類を近づけないというふうなことを行っておるようであります。両汽船では、導入後に大きな事故が起きていないというふうなことから、ある程度の効果はあるのではないかというふうに聞いております。  この装置の設置については、隠岐汽船と船主であります隠岐振興において、第1番目としましては、取りつけの技術面において可能かどうかという点、それから第2点目としては、取りつけた場合の効果とそのためのコストという両面におきまして、現在検討がなされています。  県といたしましては、引き続きその導入の面も含めまして関係機関と連絡をとりながら適切な対応をとっていきたいというふうに考えております。 21: ◯議長倉井毅) 正林健康福祉部長。  〔正林健康福祉部長登壇〕 22: ◯健康福祉部長正林督章) 食の安全に関する御質問にお答えします。  まず、放射線等により品種改良した作物の安全性の確認についてでありますが、国連食糧農業機関、FAOといいますけれど、それと世界保健機関WHOが合同で設置し、最新の科学的知見を集めて国際的な食品規格を定めているコーデックス委員会において、放射線照射による品種改良により作出された作物の食品としての安全性に関する基準が示されていないことから、世界各国において、それらの技術を利用して品種改良した作物の食品としての安全性については確認されていないのが現状であります。  こうしたことから、我が国においても同様に安全に関する確認体制がとられておりません。  なお、独立行政法人農業生物資源研究所放射線育種場に放射線等による突然変異を利用した作物の品種改良について問い合わせをしたところ、遺伝子の変化の起きている箇所が極めて限られており、人の健康に影響を及ぼすアレルゲンや有毒成分をつくり出す可能性は極めて低いとの見解でありました。  また、過去40年以上の間に放射線等を利用した突然変異育種により作出された世界で2,000種に及ぶ作物については健康被害の報告もありません。  次に、食品の安全性についての県民に対する情報提供に関してでありますが、食の安全・安心が注目をされている中、県としても県民に対する情報提供が必要であると考えております。  これまでも県におきましては、職員衛生講習の開催や県のホームページなどを通じて、食品の安全性に関して県民への情報提供に努めてまいりました。  また、行政のほか、消費者、食品事業者、生産者などそれぞれの立場の方が集まり、意見交換を行いながら相互の情報交換を図るリスクコミュニケーションも本年2月より開始したところです。今後は、放射線照射により品種改良された作物等に関する情報提供などについても検討してまいりたいと考えております。 23: ◯議長倉井毅) 法正農林水産部長。  〔法正農林水産部長登壇〕 24: ◯農林水産部長法正良一) 私からは二つの点についてお答えいたします。  まず、日本海における鯨の状況についてであります。  国が10年前に行った資源量推定によりますと、日本海に生息する代表的な鯨であるミンククジラの資源量は約1,600頭とされております。また、平成14年から平成16年の間で日本海に面する8府県におきまして、定置網などにより捕獲された鯨の頭数、これを調査しておりますが、この頭数については46頭から50頭と横ばいで推移をしております。  最近の日本海における鯨の資源動向を正確に把握できる情報はありませんが、さきのIWC総会において、我が国、韓国、ロシア、中国とのミンククジラに関する共同調査決議が採択されたと聞いております。国に対して日本海の鯨資源に関するより正確な情報把握を求めてまいります。  次に、本県における農産物等の品種改良の状況についてであります。  農産物の品種改良は、例えば味がおいしいとか、収量が多いとか、つくりやすいとか、そういったことのために安定した食料生産のために絶え間なくさまざまな手法を用いて全世界で行われてきております。  本県におきましても、交配により得られた種から十数年の歳月をかけて育成した酒米の佐香錦や島根県独自のメロンであるゴールドスターなどの品種を育成してきたところであります。しかしながら、これまでの改良の手法では、品種の育成などに長年の年数がかかることから、品種改良のスピードを速くするため、近年は突然変異等を活用した新しい技術が開発されております。この手法の一つとして放射線を利用した品種改良の方法があり、例えば鳥取県を中心に生産されている黒斑病に強い品種ゴールド20世紀などの育成に活用されております。  本県でも、現在独立行政法人農業生産資源研究所等の協力を得ながら農業技術センターにおいて放射線を使ったボタンの新品種の育成に取り組んでいるところであります。  また、遺伝子組みかえによる品種改良については、現在、ボタンの花の色やしぼりが発生する仕組みを解明するための基礎的な研究を行っておりますが、今後の取り扱いにつきましては、県民の幅広い意見を聞きながら方向性を検討することとしております。 25: ◯議長倉井毅) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。        午前11時41分休憩        午後1時7分再開
    26: ◯副議長(洲浜繁達) それでは会議を再開いたします。  引き続いて一般質問を行います。  石橋議員。  〔石橋富二雄議員登壇、拍手〕 27: ◯石橋富二雄議員 県政クラブの石橋富二雄でございます。一般質問を行いますので、知事及び関係部長の真摯な答弁を求めるものであります。  まず1点目は、東アジアとの友好促進についてであります。  戦後60年目という節目のことしは、東アジアの国々と友好交流を深める絶好の機会のはずでありました。しかし、中国との関係におきましては、経済活動は熱いほど順調であるけれども、政治の世界は冷え切っているとの意味合いから、政冷経熱と言われてまいりました。これが現在では悲しいことに、政治は空洞、空っぽという意味の政空経熱ではないかなどとやゆされるほどになっているのであります。  このような中で、ことしの5月、共同通信社が日本、中国、韓国の国民意識を比較するために世論調査を行いました。その結果は、小泉首相の靖国神社参拝につきまして、日本では参拝すべきではないが57%を占めました。一方、中国、韓国ではいずれも80%を超える人が参拝すべきではないと答えております。  また、日本への親しみという項目では、余り感じない、全く感じないという回答が中国で83%、韓国で75%に上ったのであります。3年前の02年の調査のときには、中国は67%、韓国が69%とかなり低く、それだけ日本への親しみを持った人が多かったのであります。このわずか3年の間に急激に対日感情が悪化していることが浮き彫りになったわけであります。  この背景には、最近の歴史教科書問題や竹島領有権問題、東シナ海のガス田開発など、互いの国民感情を刺激する問題が続出したことも一因ではありますが、何といっても最大の要因は、永久戦争犯罪人が合祀されている靖国神社への小泉首相の公式参拝にあると思うのであります。  小泉首相は、2001年の首相就任以来、靖国神社を参拝することで、みずからの政治信念や改革への決意が揺るがないことをアピールをしていました。しかし、その結果、自縄自縛状態に陥っていますが、東アジアでの孤立感を深めていることをもっともっと自覚すべきではないかと思うのであります。  私は、首相の靖国参拝が東アジア友好促進の大きな足かせになっていると思うのでありますが、知事は、どのように考えておられますのか御所見を伺うところであります。  2点目は、日韓友好促進についてであります。  先週の6月20日に行われました日韓首脳会談は、歴史認識や教科書問題、靖国神社問題について率直に意見を交わされましたが、双方の溝は埋まらず、合意事項は低い水準にとどまったとの評価であります。特に友好交流中断のきっかけとなりました竹島問題については、全くかやの外に置かれたようであります。期待していましたせっかくの首脳会談でありましたが、この問題が一言も言及されなかったことは解決までにはほど遠いものがあると思わざるを得ません。さまざまな犠牲を払ってまで行った竹島の日制定は、政府にやる気を喚起するために踏み切ったはずでありました。このようなことでは大山鳴動、ネズミ1匹出ずということになるのではないかと危惧をするものであります。そこで、このたびの日本政府の折衝、外交交渉につきましてどのような感想を持っておられますか、知事の御所見を伺うものであります。  さて、韓流ブームが盛り上がりを見せる中で、ことしは日韓国交回復40周年、日韓友情年と言われ、日韓両国の友好親善が大きく進展するものと期待をされていました。しかし、竹島の日条例制定が韓国側から予想をはるかに上回る強い反発を受け、県内はもとより全国各地で交流事業がキャンセルされるなど、その波紋を広げています。韓国側の発表によりますと、日韓で友好関係にある自治体80組のうち39組が断絶しているようでありますが、まさに異常事態であり、これは当分続く気配でもあります。独島を所管する韓国慶尚北道と竹島を持つ島根県とは、お互いに火種を抱えていることは承知の上で姉妹提携をし、相互交流を続けて15年になります。友好関係発展という大きなビルは、れんがを一つ一つ積み上げないと建設できないが、破壊することは一瞬で可能だとよく耳にする言葉でありますが、まさにその言葉どおり、あっという間に反日感情が高まって交流中止など直ちに影響が出、ショックを受けている自治体、民間団体も多いのであります。  条例制定施行から3カ月がたちましたが、この間にはさまざまな出来事がありました。冷静に現状認識、現状分析しながら今後の取り組みに生かすため次の10点について質問をいたします。  まずは竹島の日を定める条例の制定を契機として県内外からさまざまな意見が参っております。交流も次々と中止に追い込まれていることもあって、条例施行の前後では当然世論も変化をしてきております。そこで県が受けた投書、電話、メールなどにおいて意見の趣旨にどのような変化が出ているのか伺うものであります。  次に、これまで友好交流を実践されてきている全国及び県内の地方自治体、経済文化団体の交流実績について伺うものであります。そして、この友好交流実績団体の中で条例制定後、どれだけの交流中止、延期が出ているのか、その実態について伺うものであります。  さらには、交流中止などの影響を受けました自治体に対しまして、本県としてはどのような対応をしてきているのか問うものであります。また、アシアナ航空の乗客激減など、経済的な影響が出ている民間経済団体への対応はどうしているのか伺うものであります。  去る5月31日夜に発生いたしました韓国漁船違法操業事件では、日韓双方の主張に大きな相違があるなど緊迫した状態が発生をしたばかりでありますが、反日感情が高まりを見せる中、日本漁船・漁民の安全は確保されているのか伺うものであります。  また、韓国の慶尚北道議会は、去る6月9日、日韓両国が領有権を主張する竹島をめぐって毎年10月を独島の月と定め、日本との交流を制限をする条例を制定いたしました。これは本県議会が条例を成立させて、本県が施行したことへの対抗措置で、竹島の日条例が廃棄されるまで両自治体や両議会の交流も禁止しているものであります。  知事は、これを受けて自治体間交流と領土問題は切り離していくべきで大変残念である。冷静に理解し合う成熟した関係が構築できるよう望むとのコメントを発表されたようでありますが、私には他人行儀な発言に思えてなりません。改めて御所見を伺うものであります。  先週の6月21日竹島問題研究会が発足いたしまして、大いに期待するところであります。しかし、せっかくの研究会に韓国側の研究者がいないのはなぜでしょうか。100年以上前からの歴史認識や古文書の解読をめぐってかなりの相違点がある中にありまして、これで公平な、公正な研究結果がまとまるのかどうか疑問に思うのであります。見通しについてお伺いしたいと思います。  また、竹島の領有権決着に向けて、知事はしきりに国際司法裁判所への提訴を考えていると発言されてきていますが、果たして勝訴できる自信はあるのでしょうか。また今は提訴を主張をすればするほど双方の溝は深まり、交流再開への道は遠ざかる一方ではないかとの指摘もありますが、いかがでしょうか御見解を伺います。  最後でありますが、首脳会談でも竹島問題は主要テーマとはならず、両県同士の全面対決が表面化をし、いよいよ解決の糸口が見出しにくくなってきています。領有権の問題は、政府の外交に任せざるを得ませんが、友好交流再開に向けてのアプローチ、努力は島根県の責任、責務でもあります。覆水盆に返らずと申しますが、一度失った友好交流をもとに返すのは決して容易なことではありません。しかし、交流中止をいつまでも放置するわけにもならないのであります。友好交流復活に向けてどのように進めていこうとされているのか、トップリーダーとしての決意のほどを伺うものであります。  3点目は、中海・宍道湖圏域の広域観光の問題であります。  山陰の中核地域である中海・宍道湖圏域は、古くから歴史に彩られた文化や豊かな自然環境を共有しながら発展をしてまいりました。この圏域は、中海・宍道湖淡水化事業が中止となったことによる自然環境の再認識とラムサール条約登録、また、平成の大合併で5市2町に再編されて、70万人の人口が集積する日本海沿岸地域でも極めて発展性の高い地域として、さらには対岸諸国をもにらんだ中核圏域としての大きな可能性を秘めた地域でもあります。  ここ10年の社会環境の変化を見ますと、高速道路開通や山陰線の高速化、境港5万トンバース整備、出雲・米子空港からの国際便などの就航、境港のFAZ(輸入促進地域)指定、また松江・出雲地域の観光トップブランド創出事業の重点地域指定など大きなプロジェクトが進行しているところであります。  このようなこれまでの投資を最大に生かすことができるのが山陰の基幹産業とも言える観光の振興であります。この圏域は、自然、歴史、文化に恵まれ年間の入り込み客数2,000万人以上の観光地群を持つ日本海側を代表する観光エリアであります。鳥取県中西部地域は、霊峰大山の雄大な自然や古刹、温泉に鬼太郎ロードなど多くの観光資源を持ち、広域観光としての魅力も持っています。また、島根県東部地域は、全国に名高い安来節や足立美術館に温泉群、出雲大社に代表される数々の神社や古刹があり、荒神谷遺跡など古代日本文化を語る上で欠かすことのできない地域の一つでもあります。  このような観光資源を生かすため、今日ではさまざまな分野で中海・宍道湖圏を取り巻く広域観光についての新たな機運の盛り上がりが急展開を見せております。今年1月には中海・宍道湖を囲むように点在する20の社寺が宗派や神仏を超えて出雲の国社寺縁坐の会が設立をされ、4月には出雲国神仏霊場が開かれました。  また、6月には山陰両県の官民44団体が大同団結をして中海圏周辺の観光振興を図る中海・宍道湖・大山圏域観光連携事業推進協議会が発足をいたしました。また、美保湾でのアゴすくいも初夏の風物詩として、またペーロン船も脚光を呼びそうであります。さらには、作家の五木寛之氏が日本列島北から南まで2年間をかけて100の寺を訪ね歩いた旅の旅行記、講談社発刊の百寺巡礼は大好評のようであります。この中には、鳥取県の三朝の三仏寺投入に、大山寺、安来の清水寺、そして一畑薬師が詳しく紹介されていますが、これなども広域観光推進に必ず追い風になると思うのであります。  まず、そこで広域観光を強力に推進していくに当たり3点について伺います。  まず、一つは山陰の人口の4割を占め、潜在能力が非常に高いこの地域と観光推進の将来性についてどのような分析をされているのか伺います。  次に、中海・宍道湖を中心とした広域観光推進において、乗り越えなければならないハードルもありますが、特にどのような課題があると認識されているのか伺うものであります。  また、本事業推進に当たっては、両県の連携と行政・民間のパートナーシップは不可欠でありますが、本県としてのビジョン、振興方針について伺うものであります。  最後は、日本脳炎予防注射中止勧告についてであります。  日本脳炎は、予防接種法の規定に基づいて定期の予防注射が行われていますが、厚生労働省は5月30日、現在供給されている日本脳炎ワクチンによって重症の副反応が起こる可能性があるとして、都道府県を通じて当面市町村が実施する定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨を差し控えるように通達いたしました。  これは、厚生労働省の疾病・障害認定審査会が日本脳炎予防接種と重症の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)とに因果関係があると認定したことによるものであります。  集団接種を実施している最中に日本脳炎予防注射が中止となった場合など、該当する子供を持つ保護者の心配、不安は大きいものがあります。保護者の心配を少しでも取り除くため、次に質問をいたしますので、専門家である健康福祉部長のわかりやすい答弁を期待するものであります。  まず、日本脳炎は、日本脳炎ウイルスの感染によって起こる中枢神経の疾患で、人から人への感染はないようでありますが、どのような症状の出る病気なのか。また感染ルートや流行の地域、日本での発生事例などについてまず伺うものであります。  次に、現行の日本脳炎予防接種スケジュールは、どのようになっているのか伺います。  さらに、日本脳炎ワクチンを接種したことによる急性散在性脳脊髄炎とはどんな病気なのか。また、日本脳炎ワクチン接種による副反応は、急性散在性脳脊髄炎以外にどのような副反応が起こるのかあわせて伺うものであります。  このたび厚生労働省が予防接種注射中止の緊急勧告を出さなければならなかった経過について伺います。  そして、緊急勧告を受けた後の本県の緊急対応について、そして現場の市町村では集団接種、個別接種実施中でありますが、どのような対応をされているのか。また、混乱は起きていないのか伺うものであります。  また、日本脳炎が流行している国や地域への渡航者など、希望者についてはどのような対応をするのか伺うものであります。  最後に、これまで使用していましたワクチンよりリスクの少ないワクチンが研究中のようでありますが、今後の日本脳炎予防接種はどうなっていくのか、今後の展望について伺い、質問を終わります。大変どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) 28: ◯副議長(洲浜繁達) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 29: ◯知事澄田信義) 石橋議員の御質問にお答えをいたします。  まず、首相の靖国参拝と東アジア友好促進についてであります。  首相の靖国神社参拝に関しましては、中国や韓国からさまざまな形での反発があり、先般の日韓首脳会談の折にも激しい議論になったと伝えられております。靖国神社に対しては、第2次世界大戦を賛美する施設ととらえる見解と、今日の日本の平和と反映の礎として犠牲になられた戦没者の方々のため、年ごとの新たな平和の誓いを行うために参拝しているという首相の見解との間には深い溝があり、首相の気持ちを理解していただくためにはまだまだ長い時間がかかると感じております。  また、東アジアの外交関係につきましては、議員御指摘のようなさまざまな直ちに解決することが難しい問題が横たわっております。戦後60年、我が国が平和国家としての道を歩んできたこと、そしてこれからも歩み続ける我が国の姿勢を理解してもらうための外交努力を節に望むものであります。  次に、日韓首脳会談についてであります。  報道によりますと、先般行われました日韓首脳会談におきましては、残念ながら竹島問題は議題として取り上げられなかったとのことであります。このことは竹島の領土権の早期確立を願う本県にとりましては、まことに残念な結果と言わざるを得ません。常々申し上げておりますとおり、領土問題は、すぐれて国家間の問題であり、国際司法裁判所における解決を含め、新たな外交交渉の展開が図られるよう今後とも粘り強く政府に働きかけてまいります。  次に、独島の月条例案についてであります。  報道によりますと、去る6月9日、韓国慶尚北道議会において、本県の竹島の日を定める条例への対抗措置として、同条例を破棄しない限り本県との交流を行わないなど、厳しい内容を含んだ独島の月条例案が可決され、現在施行に向けての手続が進んでいるとのことであります。  地方自治体間の交流と領土問題とは切り離して進めていくべきと考えている私といたしましては大変残念な思いです。本県と慶尚北道は、これまで互いに竹島という問題を抱えながらも15年間にわたって交流を続けてきましたし、今後とも両県道が緊密な関係を保つ必要があると考えています。私といたしましては、このような基本的な考え方に立ち、お互いに努めて冷静に対応することが重要との思いから、引き続き理性的な対応を呼びかけてまいります。  次に、竹島問題研究会についてであります。  竹島問題に関して今後日韓両国が理性的に議論を進めていく土台づくりのためには、この問題についての歴史や両国の主張を客観的に整理することが必要と考え、先般、竹島問題研究会を新たに発足させました。この研究会は、竹島を所管する島根県として設置するものであることから、そのメンバーは主として地元に在住する歴史や地理などの専門家、歴史資料の解読に精通した研究者などから選考いたしました。座長には、竹島問題に詳しい下條正男拓殖大学教授に就任いただきましたが、私としては、できるだけ幅広くいろいろな観点からの意見を聞いた上で、客観的・公平にみずからの主張を補強するための我田引水などに陥らないように、事実関係を積み重ねるような形で研究を進めていただくことを期待しており、下條座長にも、先般このような考えをお伝えしたところです。  研究会のメンバーに韓国の研究者がいないとの御指摘がありましたが、この研究会には、竹島問題に関する日韓両国の主張を客観的に整理していただくことをお願いしておりますので、今後の研究会活動の中では、韓国側の主張を支持する研究者をお招きしてその見解をお聞きする機会を設けることも検討されると思いますし、必要があれば韓国人の研究者も招聘して、より議論を深めていただければと考えています。  次に、国際司法裁判所への提訴についてであります。  竹島の領土問題は、すぐれて国家間の問題であり、これまで以上の外交努力なくしては解決が難しいものと認識しております。このため、さきに行った国への重点要望においては、国際司法裁判所における解決を含め、領土権の早期確立に向けた外交交渉の新たな展開が図れるよう強く働きかけたところです。  竹島問題の解決のための国際司法裁判所への提訴については、1954年、昭和29年でありますが、1954年に日本政府から韓国政府に対し、国際司法裁判所への付託を提案したにもかかわらず、韓国政府が日本との間に領土問題は存在しないとの理由から、日本政府の提案を拒否した経緯があります。このような経緯もありますので、国際司法裁判所への付託自体が容易でないことは事実ですが、我が国が公正な第三者の判断に服する用意があることを改めて宣言し、問題解決へ向けて国際世論に訴えかけることが事態打開の糸口となり得るのではないかという考えによるものです。  また、勝訴できるかとのお尋ねでありますが、竹島が歴史的にも国際法の上でも我が国固有の領土であることは明らかでありますし、また、このことは県民の多くの賛同を得ていると考えております。  次に、友好交流復活についてであります。  これまでにも繰り返し述べてきましたように、慶尚北道と島根県とは、日本海を挟んで対岸に位置し歴史的にも文化的にも古くからのつながりがあります。また、私が知事に就任いたしましてから、初めて姉妹提携の相手としてどこを選ぶか、いろいろ検討を重ねましたが、そこで選んだのが慶尚北道であります。以来、15年にわたる交流を積み重ねてまいりました。行政だけではなく、文化やスポーツなど幅広い分野で人と人との交流のきずなが深められてきました。慶尚北道のイン知事をお招きして、今はもうなくなりましたが、この県庁のテニスコートで私も一緒にテニスをしたこともございますし、さまざなま分野で慶尚北道とはさまざまな人の交流がですね、深められてきた間柄であります。  私個人の気持ちとしても、私が存じ上げている韓国の皆様には、厚い友情を感じておりますし、韓国の歴史、文化、自然に対しても親しみを覚えており、これは多くの県民の皆様とも共通するものだと思います。すぐれた国際感覚を持ったあすの島根を担う人材を育成するためにも、また、歴史や文化を生かした活力のある島根を築いていくためにも、これまで培ってきた人と人とのつながりを大切にし、交流再開の道を模索したいと考えています。  確かに現状では、友好関係を早急に改善する手だてはなく、問題の解決には時間がかかると思われますが、国と国との関係を超え、信頼と誠実に基づいた関係をつくり上げたいという私の気持ちを韓国や慶尚北道の皆様に伝えていきたいと考えております。  次に、中海・宍道湖圏域の広域観光についてお答えをいたします。  今日、観光においては、観光客ニーズの多様化や高度化に伴い、観光スタイルが急速に変化し、行動の広域化や多様化が進んでおり、こうした変化に対応するためには、より観光客の視点に立った行政区分にとらわれない広域的な取り組みが求められております。  こうした中で、この中海・宍道湖圏域は、議員御指摘のとおり知的好奇心を満たしてくれる歴史文化遺産や心いやされる大自然の景観など、数多くの魅力的な観光資源が集積しており、極めて高いポテンシャルを有する観光エリアであります。また、今後ますます個人の趣味や関心に即したテーマ性やストーリー性のある観光の人気が高まることを考えますと、個人の多様なニーズにも十二分に対応できる素材を有したこの圏域の将来性は非常に高いものと評価をしているところです。  今後、この圏域で一層の観光振興を図るためには、いかに他地域との差別化を図るかが重要であり、多様で個性的な地域資源をより魅力的な観光商品としてお客様に提供できる仕組みづくりや圏域全体のイメージづくり、共同での情報発信などを地域が主体的に行う体制を構築することが大きな課題であります。  こうしたことから、この5月には、この圏域を全国的な知名度と競争力のある観光地として売り込むために、松江・出雲圏域の自治体と関係団体、県による神話の国縁結び観光協会を設立するとともに、お隣の鳥取県とも連携し、山陰路観光キャンペーンや外国人観光客の誘致など、さまざまな取り組みを進めております。また、両県の経済界やNPOなどにおいても連携して観光振興に取り組む体制づくりを進めておられ、そうした地域全体の盛り上がりを心から喜ばしく思っているところです。  さらに、ことし開設された「出雲國神仏霊場巡り」や本年11月に登録を目指している宍道湖・中海のラムサール条約、平成19年3月開館予定の古代出雲歴史博物館などは、この圏域の豊かな歴史文化や自然を新たな切り口で全国にPRできる千載一遇のチャンスでもあります。この機を逃さず、地域の機運を追い風とし、両県が協調しながらこの中海・宍道湖圏域が全国の広域観光のモデル地域となるよう全力を挙げて取り組みを進めてまいります。 30: ◯副議長(洲浜繁達) 濱田総務部長。  〔濱田総務部長登壇〕 31: ◯総務部長濱田省司) 竹島の日を定める条例関係の御質問についてお答えをいたします。  条例施行前後の本県が受けた意見の状況についてまずお答えいたします。  本県が竹島問題に関しまして電子メール、手紙、電話などによりまして受け取った意見は、先週までの累計で国の内外から合わせて2,500を超える件数となっているところでございます。それぞれの意見の内容についてすべてを分析、分類できているわけでございませんが、現在までのところ分析できている部分について見ますと、意見総数のうちの8割近く、約2,000件余りが3月末までの時点に寄せられておりますけれども、この時点で見ますと、その大多数が条例の制定趣旨に賛成という立場からの意見でございます。  その後、寄せられた意見の件数そのものが大きく減少しておりまして、また中身を見ますと、単純に賛否を分類しにくい意見がふえているという傾向はございますけれども、それらを除きました賛否のはっきりしたものについて、その割合、比率を見ますと、やはりおおむね同様な傾向でございまして、賛成とするものが圧倒的に多い状況にございます。  次に、交流中止などの影響を受けた自治体に対しまして、本県がどのような対応をしてきたかという点でございます。  この条例が可決をされた直後に韓国の地方自治体との交流に支障が出るのではないかという懸念もございましたので、全国の都道府県、それから韓国の自治体と交流提携を行っております市町村など、合わせまして101団体に対しまして本県の考え方を説明し、理解を求める書簡を知事名でお送りをしたところでございます。  また、県議会におかれましても同様に各都道府県の議会の議長さんに対しまして議長名での書簡が送られたところでございます。  さらに、この4月には全国知事会の理事会・正副会長会議がございまして、その場で知事みずから本県の姿勢を説明をするなど、積極的に理解を求める取り組みを行ってまいりました。  また、この条例に関連いたしまして大韓民国の全国市・道知事協議会会長、これは日本で全国知事会長さんのような立場の方ですが、その方からは、我が国の全国知事会の麻生会長あてに抗議をするというような書簡が送付をされたわけでございますけれども、麻生知事会長からは、こうした問題を生じているときこそお互いが理性的な対応をすることが必要だという旨の返信も行われておりまして、こういった過程を見ましても、本県の考え方につきましては、全国各県の知事さん方の御理解もいただいているというふうに考えております。以上でございます。 32: ◯副議長(洲浜繁達) 井上環境生活部長。  〔井上環境生活部長登壇〕 33: ◯環境生活部長(井上勝博) 全国、県内の自治体等による日韓交流の状況についてお答えします。  韓国の自治体と姉妹提携等に基づく交流を行っている自治体の数は、先ほど総務部長も申しましたが全国で101団体であります。交流の具体的内容までは把握しておりませんが、さまざまな交流が行われているものと思われます。このうち県内では、慶尚北道との姉妹提携を進めてまいりました本県を初め松江市が晋州市と、安来市が密陽市と、晋州、密陽、これは慶尚南道に所在する都市でございます。また、大田市が大田広域市との姉妹友好提携に基づきまして文化、スポーツ、教育などの分野で交流を行ってきております。そのほか出雲市は巨済市、醴泉郡及び高郡と、浜田市は浦項市と教育分野で児童生徒を中心とした交流を進めてきております。  次に、竹島の日を定める条例制定後における全国県内の交流中止、延期の実態についてであります。全国101自治体のうち、およそ4割の自治体が当初計画していた交流事業を一部または全面中断しております。残るおよそ6割の自治体がこれまでどおりの交流を続けているというふうに聞いております。  本県におきましては、慶尚北道からの姉妹提携の撤回と断交宣言の後、各部局で計画しておりました各種の交流事業が実施できない状況になっております。また、松江市においては、レディースハーフマラソンへ招待していた晋州市選手団の出場辞退がありました。安来市においても、安来節など伝統芸能団の訪韓が中止になるなどの影響が出ております。このほか、民間レベルや学校間の交流についても中止や延期という状況が出ております。  このような状況にございますが、本日の新聞に、安来市と密陽市の民間親善協会が、この秋にも姉妹縁組の調印を行うという報道がございました。この中で、竹島や靖国のことは話したくない、私たちの関係は変わらない、政治の話は抜きで友人として交流を深めたいとの密陽側のコメントがありました。このような動きが全国的に強まることを期待したいと思いますが、知事の答弁にありましたように、県としましても、さまざまなレベルで努力をしていかなければならないと考えております。 34: ◯副議長(洲浜繁達) 正林健康福祉部長。  〔正林健康福祉部長登壇〕 35: ◯健康福祉部長正林督章) 日本脳炎に関する御質問にお答えします。  まず、感染ルート及び症状等についてでありますが、日本脳炎は、ウイルス性の疾患で、感染しても症状なく経過する場合がほとんどですが、時には感染後、一、二週間の潜伏期を経て、数日間の急激な発熱と頭痛を主訴として発症し、重症の場合は急激に光への過敏症、意識障害、神経障害を生じます。  感染経路としては、豚などの動物の体内でウイルスが増殖された後、その動物を刺したコガタアカイエカという蚊などが人を刺すことによって感染します。なお、人から人への感染はありません。  流行地域としては、極東から東南アジア、南アジアにかけて広く分布しています。近年の日本における患者発生は年間数名で、本県においては平成になってからは14年に1名の発症がありました。  次に、現行の日本脳炎予防接種スケジュールについてでありますが、予防接種法施行令に基づいて対象者が定められており、生後6カ月以上から16歳未満の者に対し、3期に分けて計5回の接種をすることになっています。
     次に、日本脳炎ワクチン接種に伴う副反応である急性散在性脳脊髄炎(ADEM)についてでありますが、この病気は、各種ウイルス感染あるいはワクチン接種後にまれに発生する脳神経系の病気で、発熱、頭痛、けいれん、運動障害等の症状があらわれます。ステロイド剤などの治療により完全に回復する例が多く、良性の疾患とされてますが、10%程度の方に運動障害など神経系の後遺症が見られることもあります。  また、日本脳炎ワクチン接種によるADEM以外の副反応としては、じんま疹、発疹のほか発熱などの全身症状、発赤、はれなどの局所反応があります。  次に、今回、国が勧告するに至った経過についてですが、本年5月、疾病・障害認定審査会において日本脳炎ワクチンと接種後の重症DAEM発生との因果関係を認める判断がなされたことから、現時点ではより慎重を期すため、定期予防接種として現行の日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨は行わないよう厚生労働省が5月30日に各都道府県に対し勧告を行ったものです。  この国の勧告を受けて、予防接種の実施主体である市町村長あて勧告通知文書をファクスまたはメールで送信し、30日の午前中には全市町村へ着信したことを確認しております。  また、保健所及び薬事衛生課において、市町村等からの相談及び問い合わせに対応できる体制をとったところです。各市町村においては、国の勧告に従って積極的な干渉を差し控え、集団接種は中止しておりますが、特に希望のある者に対しては個別接種を行っております。こうした対応で大きな混乱はなかったことを確認しております。  次に、特に予防接種を希望される方への対応についてですが、市町村では、職員や医師から予防接種の効果及び副反応を十分理解できるよう説明を行い、同意書を提出していただいた上で実施されております。  最後に、今後の日本脳炎予防接種についてでありますが、日本脳炎の予防接種を継続する必要性については、専門家から指摘されているところであり、よりリスクが低いと期待される組織培養法による日本脳炎ワクチンが現在開発中であることから、供給体制が整い次第、接種勧奨が再開されると考えております。 36: ◯副議長(洲浜繁達) 法正農林水産部長。  〔法正農林水産部長登壇〕 37: ◯農林水産部長法正良一) 漁船・漁業者の安全確保についてお答えいたします。  我が国排他的経済水域における韓国漁船の違法操業は後を絶たず、本県漁船も漁具被害などを受けていることから、引き続き関係機関に対して監視体制、取り締まり体制の強化を求め、本県漁業者が安心して操業できるよう努めてまいります。  なお、竹島の日条例の制定以降、本県沖合で日本と韓国の間で操業トラブルが増加したという情報はございません。 38: ◯副議長(洲浜繁達) 山下商工労働部長。  〔山下商工労働部長登壇〕 39: ◯商工労働部長(山下修) アシアナ航空など経済的な影響を受けている民間経済団体への対応についてお答えをいたします。  まず、韓国と経済取引のある県内企業の経営への影響につきましては、把握している範囲、具体的には産業振興財団が行っている経営相談や聞き取り調査の範囲で申し上げますと、現時点では影響はないと伺っております。  また、観光関係につきましても、県内宿泊施設の全宿泊者に占める韓国人宿泊者の割合は、約0.1%であり、現状においては県内の旅館、ホテルなどの観光施設に対する経営的な影響はほとんどないものと推測されます。  しかしながら、議員御指摘の米子-ソウル便は、条例制定以降、これは風評被害的な要素もありますが、搭乗率が低下し、今年4月、5月と2カ月連続で過去最低となっております。また、今後の予約率も低い数字となっており、こうした状況が続けば路線そのものの存続ができなくなるおそれもあります。そうした場合、現在鳥取県と共同で取り組んでいる米子便を利用した韓国からの観光客の誘致事業の前提条件が大きく揺らぐことになりますし、また韓国と取引のある県内企業にも幾らかの影響は出るものと考えております。このため、県といたしましては、その動向に十分注意を払ってまいります。  一方、アシアナ航空では、現在、格安ツアー商品の設定などの取り組みが行われておりますが、県といたしましても、路線維持の観点から鳥取県や周辺自治体とも連携し、観光客誘致を通じて側面支援を行ってまいりたいと考えております。  なお、県職員に対しても利用促進に向けた情報提供など積極的な働きかけを行っております。以上であります。 40: ◯副議長(洲浜繁達) 石橋議員。  〔石橋富二雄議員登壇〕 41: ◯石橋富二雄議員 議長の許可を得ましたので1点だけ再質問させていただきます。  国際親善や友好交流前進のためには、数々の困難や課題を乗越えていく、そのためには互いに理解し合うことが大事であります。特に相手の気持ちを逆なでしないようなことは当然でありますが、言っていいこと、言ってはならないこと等々を配慮する心配りが必要だと思うのであります。いけないことはいけない、しかし、言うことだけは言うだけでは何の解決も前進もないと思うのであります。挑発するような言動は極力避けるべきで、特に内にあるものは言葉を考え、解決するべき、これは長い間外交を担当されました重要人物の言葉でありまして、私もこうしていこうと思っているのでありますけれども、それはさておきまして、竹島の日条例の制定は大変大きなインパクトを与え、国民世論を喚起した面では予想をはるかにはるかに超える効果があったとは思います。  しかし、一方では自治体交流、民間交流まで次々とキャンセル等々ありまして、これまた予想を大きく上回る負の影響が出たわけであります。まさに手詰まり状態ではありますが、当事者とされましては何とか交流再開の糸をたぐり寄せる必要があろうかと思うわけであります。例えばホッケーの高校生とかサッカー交流の小学生などが訪韓や友情交流を夢見ていたわけでありますけれども、それも中止させられて、大きなショックを受けているようであります。子供たちは自分の学生時代に再開はできるのか、いつごろになるとできるのか、一番極めて単純な質問をしているわけであります。そういう点の答弁がなかったように思うわけであります。特に今度の議会は、2月議会で条例が決まって初めての議会であります。交流の断絶した39でしたか、自治体の方々あるいは関係者は、この議会での知事のメッセージを強く注意深く聞いていらっしゃると思うのであります。総務部長の答弁によりますと、これまで中止となったところについては、特に特段説明等々があったような話はありませんでした。特にこの場で知事の方から改めてメッセージをいただきたいと思います。今回の知事提案の中にはピンチはチャンス、こういう言葉がたしかありました。幾ら困難であっても何としても活路を見出していく決意があったわけでありますが、この竹島問題、友好再開に向けても、そういう決意で臨んでいただきたいと思うわけであります。  全国のあるいは県内の本当に関心を持っていらっしゃる方々に、知事から改めてメッセージを発表していただきますように、それを再質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 42: ◯副議長(洲浜繁達) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 43: ◯知事澄田信義) 再質問がございましたが、私、常々申し上げておりますとおり、領土問題は領土問題、それはそれとしてですね、韓国との交流、また私どもやっております慶尚北道を中心といたしました姉妹提携交流、これをぜひとも続けていくべきであるというこの信念に当初から揺らぎはございません。  そういう意味でですね、私どもは、常にそういう姿勢でですね、臨んでまいりましたし、ぜひとも領土問題は領土問題としてお互いに主張をきちんとしながら、毅然とした態度で臨み、しかしながら、先ほど申し上げましたように慶尚北道との交流というのは東アジアのさまざまな国の自治体との交流に先駆けて、これを基軸として北東アジアにおける交流を進めてきました、その基軸として非常に大切にしております。そういう意味で今お話がございましたスポーツ交流、あるいは青少年交流、あるいはさまざまな分野の民間交流を含めてですね、私どもは常にそれを進めていこうという姿勢で臨んでおりますし、そうしたメッセージは、絶え間なく事あるごとに出しております。  今回もですね、そういうお話がございましたが、それこそ今のピンチはチャンスという言葉も出てまいりましたけれども、私どもは常にそうした意味での交流の門戸は広く開きまして、常にそうした姿勢を堅持しながら呼びかけを続けてまいりたい。少しでもそうした糸口が見つかればですね、私どもとしては非常にうれしい気持ちでおります。韓国側にもぜひそうした私どもの気持ちを理解していただいて、交流のきっかけをですね、つくっていただきたいという願いでいっぱいでございます。 44: ◯副議長(洲浜繁達) 小室議員。  〔小室寿明議員登壇、拍手〕 45: ◯小室寿明議員 県政クラブの小室寿明です。本会議場での質問も最後となりました。お疲れのところと思いますが、おつき合いをいただきたいと思います。  質問の前に、議論のあります竹島の日条例について1点申し上げたいと思います。  澄田知事は、我が島根県、そして島根県議会は、韓国の人に対して誠実に向き合って領土問題と切り離した友好交流を続けたいというそういう気持ちであるということを述べられました。そして韓国の側が感情的になってるんじゃないかというようなお話もあったように思います。  1点だけ申し上げたいのは、あの竹島の日条例可決後、私は、韓国のテレビ局、新聞社7社から取材を受けました。なぜ今竹島の日条例なのか、私に聞かれても困ると、提案者にぜひ聞いてほしいと何遍も申し上げましたけれども、提案者も、そして知事の方もですね、取材に答えてくれないと、私は、賛成はしなかったけれども、この県議会で条例を可決された議会の一員として、やはりきちっと述べるべきは述べるべきだろうということで取材に応じました。さっき知事が言ったように、領土問題とは切り離して友好交流を継続させてほしいということを繰り返し私は申し上げたところでございます。  そういう誠実さが若干欠けていたんじゃないかなという思いを強くしております。  それでは質問に入らせていただきます。  まず、世界に誇る島根の財産、中海・宍道湖の保全と活用について伺います。  去る5月20日、環境省の第3回ラムサール条約湿地検討会が開かれ、北海道のサロベツ原野など12湿地を地元自治体の賛意が得られた湿地として確認する一方、中海・宍道湖は、引き続き地元調整を要する湿地と位置づけられております。  11月のウガンダでの条約締約国会議に向けて日程がタイトになってきているようですが、課題の整理、合意形成など調整は順調に進んでいるのでしょうか。  ところで、この湿地検討会で調整済みとされた鹿児島県の屋久島永田浜は、ウミガメの産卵域として国際的に重要な湿地と位置づけられております。同様に、鹿児島県の串本沿岸海域、沖縄県の慶良間諸島海域は、サンゴ礁の生息域として、山口県の秋吉台地下水系は、洞窟性動物の生息域として位置づけられ、それぞれの湿地特性に着目した登録方針が地元の理解、順調な調整へと結びついているようです。  翻って、我が島根県では、農業者や漁業者からの反発が喧伝されております。これは中海・宍道湖にとって何が貴重で何をどう守り生かしていくべきなのかという視点を明確にしないまま、水鳥保護、鳥獣保護区の手続論を先行させてきた県の方針の不十分さが一因ではないかと思えてなりません。  中海干拓淡水化事業の中止という20世紀型開発事業の終えんを受け、澄田知事は、ラムサール条約の登録方針を打ち出しました。それは中海・宍道湖のたぐいまれな汽水環境、豊かな生態系を生かし、持続的な漁業・水産利用、自然体験型の観光・レクリエーション、知名度を生かした農業ブランドの確立など、賢明な利用を図ることが21世紀型の地域づくりであり、ラムサール条約登録をその転機としたいとの澄田知事の強い思いがあったと受けとめております。  であるならば、水鳥保護にとどまらない賢明な利用の理念に基づく基本方向を明示し、目的に沿った実効性ある推進体制を整備するなど、総合的・戦略的な取り組みが不可欠と思いますが、現状は、知事の熱意が十分関係者に伝わっているとは言いがたく、登録への県民の関心は必ずしも高いとは言えません。そうした観点から以下幾つか質問をいたします。  何のための条約登録か、何を目指し、何をなすのか、豊かな生態系を持つ汽水域を将来にわたり保全・活用していく基本理念を明示するとともに、賢明な利用についての具体的な計画づくりや推進体制など県の基本的な考え方をお尋ねいたします。  これまでの経過を踏まえるなら、登録にあわせ過去の地域開発によって失われた自然環境を修復・再生する視点が欠かせません。そのため、これまで国や県、民間団体などが蓄積してきた水質モデル、シミュレーション結果を有効に活用することが必要と考えますが、県は、各種水質モデルやこれまで実施された水質・環境予測などの科学的知見をどう評価・活用しているのかお尋ねいたします。  関連をし、中海・宍道湖の第4期湖沼水質保全計画を策定する過程では、環境省の専門家会議による総合レビュー調査が行われてきました。その結果はどうだったのでしょうか。総合レビュー調査の知見が第4期湖沼水質保全計画にどう生かされたのを含め、明らかにしていただきたいと思います。  次に、農林水産省中四国農政局が実施している堤防開削シミュレーションの進捗状況及び知事が提案している森山堤防の最小限の開削の実現の見通しと論拠をお聞かせいただきたいと思います。  農水省は、一定のシミュレーションの経過を踏まえ、水質・治水上のメリットはないと語ったと報道されていますが、その真偽と県の対処方針についても明らかにしていただきたいと思います。  質問の第2は、男女共同参画の推進について、特に県職場における役職配置について伺います。  先進的に少子高齢化の進む島根県にとって、山積する生活課題を克服し、元気ある地域として将来に引き継ぐには男女共同参画が大きな試金石であり、あらゆる政策決定の場に男女が共同で参画をし、責任を分かち合う社会を実現することによってこそ、住みたい、住みよい島根が実現すると確信しております。そのためにもまず県みずからの実践、先導が強く期待されるところであり、そこで、今年度も県議会発行の県職員役付名簿、これでありますが、を参照し、男女の役付状況を整理いたしました。  澄田知事や濱田総務部長は、これまで積極的な女性の役職配置を約束されており、期待が膨らみましたけれども、あに図らんや、今年度も全く進展はなく失望させられております。  この県職員役付名簿には、県庁の副主査以上、出先のグループ課長以上の役付職員が掲載されております。病院職場を除く知事部局、企業局、教育委員会事務局等の合計は1,278ポストであるのに対し、女性職員はわずかに55人、女性職員のシェアは4.4%で、昨年と全く同じであります。全100ページ中、女性職員は計4ページちょいという勘定になります。この分厚い名簿の中でわずか4ページしか女性職員は載っていないという勘定になります。ちなみに、県が公表している2004年度版しまねの男女共同参画年次報告、政策・方針決定過程への男女共同参画の状況の項、県内公務職場における女性管理職の割合は、市町村が12.8%で進展が見られているのに対し、県はわずかに4.2%、99年以降の6年間、横ばいないし低減傾向というていたらくぶりであります。  さらに、今回この質問を行うに当たり、先ほどの55名の役付女性職員にアンケートを行い、県職場における男女共同参画、とりわけ女性の役職配置について意見をいただきました。結果は既に人事当局にお知らせしており、省略をいたしますが、役職についている数少ない女性職員でさえ、男女が決して平等に取り扱われていない県職場の人事の不合理さに強い不満を訴えられておられることを申し添えておきます。  澄田知事には、アンケートの意見等もごらんをいただき、人事管理も含めた抜本的な見直しによって島根県が男女共同参画の先導的な役割を発揮されることを強く訴え、以下具体的に質問をいたします。  政策・方針決定過程への男女共同参画を進める観点から、県の計画・施策等を調査・審議する審議会等の委員の選任については、両性のどちらか一方が4割以下にならないよう条例で義務づけられております。条例施行から2年が経過をしております。その運用状況はどうなっているでしょうか。また、その成果をどのように把握・評価しているのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。  県として政策決定を担う役職への男女の配置をどう把握しているのでしょうか。男女別、職種別、年齢別の役職配置状況をお示しいただくとともに、現状分析を踏まえた問題認識を明らかにしてください。  島根労働局が作成した企業の経営革新のための男女共同参画PRパンフレットでは、女性の管理職配置をポジティブアクションの一つに位置づけております。この点、適材適所の人事と開き直り、具体的措置に余りに消極的に過ぎる県人事当局の姿勢は、今や反社会的行為ですらあると私は思いますが、現状を改革する県当局の実効性ある対策、ポジティブアクションの具体化を求め、県の対処方針を伺います。  質問の第3は、県立福祉施設の民営化についてです。  県立3福祉施設の民営化方針が突如報道されたのが昨年の11月、私は、手順前後で混乱を来した経過から、結論ありき、スケジュールありきであってはならないことを主張し、12月県議会では永田健康福祉部長にその旨答弁をいただきました。さらに、2月県議会では、保護者の理解と納得を得られるよう努力すると知事が答弁されたのは耳に新しいところであります。  しかし、今県議会には、当事者である保護者、現場の合意のないまま、来年4月、3県立福祉施設を廃止する条例が提案されており、拙速で合意を欠いた今回の提案には大きな憤りを覚えます。  澄田知事、あなたや部長が結論ありき、スケジュールありきではない、保護者の理解と納得を得られるよう努力すると答弁してきたことと、今回の提案はどう整合するのでしょうか。特に、知的障害児施設さざなみ学園、こくぶ学園の県立存続を求める署名は、都合10万人に迫るものであります。  太陽の照りつける猛暑の中、また、雨をついて署名集めに奔走された保護者会の皆さんの心情は、ひたすら障害を持つ子供たちのあすを願う純粋なものであります。その署名を添え、嘆願された保護者会の皆さんの切実な訴えに、澄田知事、県当局はなぜ背を背けるのか、私には理解することができません。確かに障害者福祉施策を含め、時代は大きな転機を迎えております。島根県政がしゃにむに自立・改革に向けた取り組みを進めなければならない現状にあることを私も十分に受けとめて、しかし、だからといって当事者である県民や行政最前線で苦闘する現場を軽視し、理解と納得のない政策決定を平然となす県当局の姿勢を是とすることはできません。  それは、かつて私が何よりも大切に思ってきた県行政とは似て非なるものではないのか。そういうもろもろの思いを抱きながら、以下質問をいたします。  県立3福祉施設の民営化について、財政難でなぜ福祉を切り捨てるのかとの根強い疑問の声があります。仮に財政論であるなら、今日のいびつな職員構成など課題を放置し経営改革に消極的であった健康福祉部は、その責任をどう受けとめているのか、まずお聞かせください。  次に、さざなみ学園、こくぶ学園の知的障害児施設の民営化方針について、保護者会、該当職場の理解と納得が得られているのか明らかにしてください。  また、両施設を拠点に実施をされ、高い評価を受けてきた在宅の地域療育事業の民営化については、対象者にきちんと説明し理解が得られているのか、あわせて明らかにしていただきたいと思います。  知的障害児施設の県立存続を求める10万人署名は、県民との協働を掲げる県政にとって政治的・行政的にとても重い意味があると思います。署名を添え、県立存続を嘆願された保護者会の皆さんの切なる思いを澄田知事はどう受けとめたのか、所感をお聞かせください。  民営化の根拠とされるあり方検討会報告では、施設で蓄積された福祉ノウハウを新たな分野に生かすとの方向が提起をされ、これを受けた県は、自立支援や発達障害者支援センターなど在宅の新たな分野のサービスに責任を持って取り組むと強調してきました。障害児者福祉サービス全体の充実を図る方向の中で、施設を民営化するというのであれば、まず在宅サービスをいつ、どのような体制で具体的に充実させていくのか。それは現在の施設運営に充当されている県費との見合いで、どの程度の財源措置となるのか明らかにすべきと思います。その姿を具体的にお示しいただきたいと思います。  障害を持つ子供たちが成長し発達していくためには、経験豊富で質の高い職員の確保が不可欠であり、今回の民営化によって職員数も、質も、サービスもともに低下してしまうのではないか、保護者会の皆さんの懸念はまさにここにあります。  しかしながら、県は、3回の説明会でも移管後のサービス内容や水準は、移管先が決まらないと示せないと公言、無責任かつ不誠実な対応に終始してきました。移管先が決まってからサービスが決まるなどとは本末転倒であり、これでは保護者会の皆さんが納得できないのも当然と思います。移管後のサービス内容や水準について、県はどのように考えているのか明らかにしていただきたいと思います。  障害を持つ子供の絶対数が減少していく中で、民間福祉法人が決められた措置費のみで施設を継続的に運営していくのは相当厳しい現実があります。まして施設規模が小さくなればなるほどその懸念が高まるのであります。この点、県の基本認識はどうでしょうか。また、永続的な施設運営をどう担保するのかについても伺います。  澄田知事は、民間施設の管理者や諸団体から自信を持ってお受けをし、十分対応が可能と聞いているとしていますが、「民間の受け皿のあるなしは、やる気の有無ではなく、やれる体制があるかどうかで論じられ判断されなければなりません。」「民間の受け皿のあるなしは、やる気の有無ではなく、やれる体制があるかどうかで論じられ判断されなければなりません。」県内で現に知的障害児施設の運営を行っている民間法人は、松江市島根町の松江学園を運営する社会福祉法人山陰家庭学院ただ一つであります。その2.5倍の定員を持ち、充実した職員体制を整えているさざなみ学園、こくぶ学園に匹敵する民間法人をここ半年で確保することがそう簡単なこととは私には思えません。移管に際しては、現行のサービス水準を低下させないとの原則に立ち、一定の経験を有する職員を確保するなど、保護者も納得できる明確な条件を設定した選考が必要となりますが、県は、民間法人の選考基準をどのように考え、また、十分な体制を整えた民間法人の確保の見通しをどう立てているのかお尋ねをいたします。  澄田知事は、議案の提案理由説明において、移管に当たっては、入所児童への影響を極力避けるために「保護者等の意見を十分にお聞きし、万全の対策をとって、移管が円滑にできるよう最善を尽くす」「保護者等の意見を十分にお聞きし、万全の対策をとって、移管が円滑にできるよう最善を尽くす」と明言されていますが、では、先般6月13日、保護者会から出されている移管に当たっての要望事項に具体的にどうこたえる考えなのか明確にしていただきたいと思います。  最後に、身体障害者授産センター、さざなみ学園、こくぶ学園の土地、建物など県施設の民間への移管は有償なのでしょうか無償なのでしょうか。施設の建設費、現時点での時価評価はそれぞれ幾らになるのでしょうか。今後、老朽化が進む中でかさんでいく維持修繕費や建てかえ時の対応なども含め、県として施設の移譲の考え方を明らかにしていただきたいと思います。  質問は以上でありますが、終わりに5月末の1週間、私は、アフガニスタンを訪問する機会を得ました。目的は、島根から送った募金400万円を活用し、昨年8月完成したチャルディヒ小学校を訪ねることであり、5月26日、パキスタン国境に近い東部ナンガラハル州にあるチャルディヒ小学校を訪問、生徒、先生400人の歓迎を受けました。学校の理事長マザル・ナシュクさんから、この村は、20数年の戦争ですべてが破壊され、何もありませんでした。こうして学校ができ、安心して学ぶことができて、とても感謝しています。私たちは貧しいので形でお返しすることはできませんが、あなた方の健康と幸運のために祈りますとお礼のあいさつをいただきました。  私たちは、子供は世界の宝であり、それを育てるのが私たち大人の責任。だから何も特別なことをしたわけではない。あなた方が大きくなったとき、世界の人たちと仲よくしてくださいと子供たちに語りかけ、島根の少年サッカーチームから提供いただいた使い古しのサッカーボールを贈って交流をしました。  あの9.11テロとアフガニスタンの空爆以降、私たちは、戦争の根底にある貧困と暴力の連鎖を断ち切ることを願い、地域が自立する基盤である教育の復興を目指し募金活動を進めてきました。幸い、多くの島根県民、小・中・高等学校の児童生徒、先生などの支援をいただき、学校建設という形を実現することができました。  2,000もの学校が足りないと言われるアフガニスタンにとって、私たちの取り組みはささやかなものですが、それでも荒廃したアフガニスタンの大地の上に一粒の麦の種のように根をおろし、小さな芽となり成長している現場を目の当たりにし、とても誇らしく、うれしく受けとめたところです。そして、満足な水も食べ物、学校もない、働くところもない、ないない尽くしのアフガニスタンで、きらきらと目を輝かせながらお医者さんになる、先生になりたい、エンジニアになると語ってくれた子供たち、また、そういう子供たちのために学ぶ環境を整えようと懸命に取り組んでいる現地の人たち、平和、自立へと苦闘するアフガニスタンの人たちに触れ、今財政危機で意気消沈のていにある島根の私たちに最も必要なのは、未来へと立ち上がる勇気、前向きな気持ちではないかと受けとめました。  最後に、県民一人一人の立ち上がる勇気と実践で、頑張ろう島根とすべての県民の皆さんに訴え、私の質問を終わります。ありがとうございます。(拍手) 46: ◯副議長(洲浜繁達) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 47: ◯知事澄田信義) 小室議員の御質問にお答えします。  まず、宍道湖・中海のラムサール条約登録に係る基本的な考え方についてであります。  宍道湖・中海の豊かな自然は、県民にとって貴重な財産であり、これを保全・活用し圏域の振興を図っていくということは、本県にとって重要な課題であります。  このため、豊かな自然環境を保全しながら、これを有効に利活用し、水産業や観光など産業の振興等を図っていこうとする賢明な利用を基本理念とするラムサール条約への登録を目指すこととしました。このような賢明な利用を実現するため、宍道湖・中海の環境保全対策の一層の推進、環境に配慮した農業の振興、汽水域としての特性を生かした水産業の推進、観光や地域の産業振興の四つの項目に取り組むこととしておりますが、このような取り組みを進めるためには、県や市町はもとより、地域住民の理解や参加が不可欠であると認識しております。  こうした観点から、6月11日に宍道湖・中海ラムサール条約と賢明な利用を語る会を開催し、関係者間の連携や専門的知識だけではなく次世代を担う子供たちに対するわかりやすい取り組みの重要性など、多くの意見をいただいたところであります。今後ともシンポジウムなどを通して、幅広く住民やNPO、関係団体などの声を聞きながら賢明な利用の具体像や推進体制などについて検討してまいりたいと考えております。  次に、女性の管理職の登用についてであります。  職員の登用に当たりましては、性別にとらわれることなく一人一人の持っている能力を最大限に生かし、組織目標を達成するための最適な配置を行うことが最も重要であると認識しています。  本県におきましては、御指摘のとおり管理職員を初めとする役職員への女性の登用率は、男性に比べて低い状況が続いております。私といたしましても、このような状況はできるだけ早く改善すべきものと考えておりますが、政策決定を担う管理職については、政策立案能力を磨くなど一定の職務経験が必要であるということから、短期的に解決することはなかなか困難であると考えております。  このため、中長期的な女性管理職員の登用を念頭に、当面はグループリーダー級の役職員の育成が必要であり、幅広い職務経験を積むことができる能力開発の仕組みなどを構築する必要があります。今後、女性職員を初め関係者の意見を聞き、御指摘の点も踏まえ、具体的な改善策を検討してまいります。  次に、県立障害児施設の社会福祉法人への移管についてであります。  まず、署名についてであります。先般、保護者の代表の皆さんから提出されました私あての署名は、保護者を初め多くの県民の皆様の声であり、真摯に受けとめております。その署名の提出の際、私は、直接保護者のお一人お一人から、親として子供を思う切なる気持ちをお聞きし、私自身、胸の詰まる思いがいたしました。また、移管は、子供にとって環境の変化を伴うものであり、保護者の方が不安や心配な気持ちをお持ちになるのも無理からぬことだと思いました。  こうした保護者の方々の思いや署名に託された願いにこたえていくことは大切ではありますが、一方で今日、障害者福祉が大きな転換期にある中で、障害者の地域における自立支援や発達障害者の支援などに迅速に対応していくこともまた障害のある方々の切実な願いであり、これにこたえていくことも私に課せられた大きな責務であります。  このたび、私は、熟慮の上、さざなみ学園、こくぶ学園を社会福祉法人へ移管することといたしましたが、今は署名提出の際、直接お聞きした保護者の方々の子供を思う気持ちをしっかりと受けとめ、移管に当たっての諸準備に最善を尽くすことを改めて強く思っているところです。  次に、保護者会からの要望事項についてであります。  去る6月20日、今議会に県立知的障害児施設の廃止条例案を提案することを踏まえて、さざなみ学園、こくぶ学園の両保護者会長から連名で社会福祉法人への移管に当たっての要望書が提出されました。この要望書には、今後の進め方など全般的なことや移管先法人の選定、また移管後の施設運営、あるいは引き継ぎの体制など多岐にわたる事項が盛り込まれていますが、その一つ一つに移管に伴う環境変化が子供たちの生活へできるだけ影響が出ないようにしてほしいという親としての切実な思いが込められております。私としては、この要望を真剣に受けとめ、これにおこたえしていくことが保護者の皆様方に最善を尽くすと約束した私の責務であると考えています。  現在、健康福祉部において移管に当たっての具体的な措置を検討しているところでありますが、要望の中には細部の調整が必要な事項もあり、今後も必要に応じて保護者の方の御意見を伺いながら検討を進めていく必要があると考えています。
     私は、こうした調整や検討の過程の中で、保護者の皆様の理解に努め、できる限り安心していただけるような具体的な対応策を取りまとめることで保護者の皆様の切実な思いにこたえていく覚悟であります。 48: ◯副議長(洲浜繁達) 三宅政策企画局長。  〔三宅政策企画局長登壇〕 49: ◯政策企画局長(三宅克正) 森山堤防の開削についてお答えをいたします。  まず、堤防開削シミュレーションの進捗状況などについてでございます。  中国四国農政局からは、シミュレーション結果については、7月12日までにはまとまると聞いておりますが、しかしながら、その結果の公表時期については明らかにされておりません。県としては、結果がまとまり次第、速やかに提示をしていただくよう要請をしているところであります。  また、先日の5月15日の衆議院農林水産委員会におきまして、シミュレーションに関して水質・水位にはほとんど影響がないと農林水産省から答弁があった、このような新聞報道がございました。  これについて中四国農政局に確認をいたしましたところ、シミュレーションの作業途中段階における状況報告を受けての答弁であり、現時点で結果について提示できる状況ではないとのことでございました。  次に、堤防開削の実現の見通しについてであります。  堤防開削につきましては、現在実施されているシミュレーションの結果をもとに、中海に関する協議会の中において議論することとなりますが、県といたしましては、開削の影響を見きわめた上で昨年12月の両県合意が一刻も早く実現するよう農林水産省に求めていきたいと考えております。以上でございます。 50: ◯副議長(洲浜繁達) 濱田総務部長。  〔濱田総務部長登壇〕 51: ◯総務部長濱田省司) 男女共同参画の問題に関しまして、特に人事面での対応についての御質問2問についてお答えをいたします。  まず1点目は、島根県附属機関等の設置及び構成員の選任等に関する条例の運用状況について、いわゆる附属機関等の委員構成についての問題でございます。  平成16年度末現在で見ますと、この条例に定めます附属機関につきましては、委員が任命されております機関が全部で54機関ございますが、このうち男女いずれの構成員数も目標といたしました40%を超えているものが28機関となっております。前年度この目標達成機関18機関でございますので、プラス10機関、大幅に増加をしたというところでございます。  また、残る26機関が未達成ということになっているわけでございますが、このうちには、一つには例えば役職が法律などで当て職となっているものでございますとか、構成員に資格が定められておって、資格のある女性の絶対数が極めて少ないといったようなもの、あるいは該当業種に女性の絶対数が少ないといったような事情がある機関がございますので、こういったものを除きまして、実質的な目標の未達成機関として考えられますのは8機関程度が残るのみという状況になっているところであります。  こうした実態についてどう評価をするかという点でございますけれども、この委員の候補者といたしまして女性をできるだけ多くリストアップしたこと、あるいは団体からの推薦をお願いをする際に、推薦団体に対しまして男女の均等な登用の趣旨を御説明し、女性候補者への振りかえをお願いをするといったような努力をしてきたことが功を奏したのではないかというふうに考えております。  また、その効果といたしまして、附属機関等におきまして女性の構成員が増加したことで女性の意見が一層反映されやすくなったことはもとよりでございますが、会議において互いに意見を述べやすくなったといったような御感想、効果などを聞いているところでございます。  なお、この附属機関以外の協議会等でこの条例の対象となってまいります機関が61機関ございます。このうちで目標達成までいっておる機関は16機関にとどまっておりますけれども、こういった機関を含めました附属機関等におきます男女の均等な登用につきましては、引き続き関係いたします部局に対しまして一層の取り組みを働きかけてまいりたいと考えております。  2点目に、県の職員における女性登用の問題でございます。特に政策決定を担う役職員の男女配置の状況についての御質問でございます。  全体の範囲といたしまして御指摘ございました病院事業は除いたところで、かついわゆる基本的にライン系の管理職でというところで数字を御報告をいたしたいと思います。まず、グループリーダー級以上の役職員のうち女性が占めている比率、これにつきましては先ほど議員の方からも御指摘ありました数字とおおむね同じでございますが、それを職種別に見ますと、事務系の場合で見ますと4%、技術系では5%にとどまっているという状況でございます。  次に少し角度を変えまして全女性職員のうち役職員に登用されている者の比率がどの程度であるかという点を年代別に見ますと、40歳代の職員で見ますと全女性のうち8%、50歳代で見ますと31%が役職員に登用されているという状況でございます。  ただ、これを男性職員と比べてみますと、男性職員で同様に見てみますと40歳代では23%、50歳代で見ますと87%が役職員に登用されているという状況でございまして、こういう切り口で比較をいたしますと、議員から御指摘がございましたように女性職員がグループリーダー級以上の役職員につく割合は大変低くなっているというのが実情であるというふうに考えております。  こういった原因といたしましては、全体として、まず比較的中高年の年齢層におきます女性職員の割合がもともと全体の1割程度というふうに低いということが挙げられると思います。  低うございますので、管理職の中で女性職員のシェアを取ると4%、5%程度にとどまってしまうという事情はあろうと思います。  また、これに加えまして、より本質的にはややもすると、この職員配置におきまして固定的な職務に配置をしてきたということから、能力開発あるいは職員のキャリア形成という面で問題があったということは、それは否めないと思います。  一方、今後でございますけれども、現在でも40代未満の年代で見ますと、女性職員の割合が約3割に上昇をしてきております。こうしたことや将来の女性登用ということをにらみまして、近年におきましては、ここ10年ほどでございますけれども、従来女性職員が余り配属をされておりませんでした例えば税務部門でございますとか用地交渉などの部門を含めました幅広い職務経験を積めるように職域の拡大を進めてきているところでございます。  今後は、女性職員の意向を尊重しながらということは当然でございますが、それは尊重しながら、さらにさまざまな職務が経験をできるよう機会の提供に努めて職域の拡大を一層図っていきたいというふうに思います。  また、職員の固定的な職務分担意識を改めるということも重要であると考えておりますので、管理職あるいは女性職員などを対象といたしました研修の一層の拡充を検討してまいりたいと考えております。  さらに、現実問題といたしまして、女性職員の場合、このキャリアの形成にとって重要な時期に現実問題、育児という時期に当たるという問題もございます。ということを考えますと、育児休業を取得した職員が円滑に職務復帰ができるように情報提供を行っていくというようなことも含めまして子育て期間中の職員の働きやすい環境整備という問題にも取り組んでまいりたいと思います。  なお、アクションプログラムというようなことでの御提案もいただいておりますけれども、事柄の性質あるいは実態から考えまして、例えば数年後に女性の管理職登用率を何%とするといったような数値目標を設定するということはなかなか難しいと考えておりますけれども、先ほど申し上げました女性職員の能力開発の機会を保障していくという対策につきまして、これは一定の目標を掲げて具体的に決めていくという取り組みをすることによりまして、女性職員の登用をさらに進めてまいりたいと考えております。以上であります。 52: ◯副議長(洲浜繁達) 井上環境生活部長。  〔井上環境生活務部長登壇〕 53: ◯環境生活部長(井上勝博) 中海・宍道湖の保全と活用についての御質問にお答えします。  まず、これまで実施されてきた水質・環境予測など科学的知見をどう評価・活用しているのかというお尋ねについてであります。宍道湖・中海につきましては、議員御指摘のとおりこれまで国や県、民間団体などにより各種の水質予測等が行われてきております。これらの水質予測等は、それぞれの事業目的に即した条件設定のもとに行われ、その目的に沿って評価・活用されてきたものと理解しております。  例えば農林水産省においては、堤防開削の水質予測が行われ、中海に関する協議会での検討資料として活用されようとしております。また、民間においては、堤防開削だけでなく潜堤の構築やくぼ地の埋め戻しなどの一定の条件で予測が行われております。  一方、県におきましては、湖沼水質保全計画の策定に当たり、独自のモデルを使って、各種汚濁負荷削減対策による水質改善効果を予測し、水質目標の設定のために活用しております。今後とも科学的知見の集積に努めたいと考えております。  次に、総合レビュー調査についてのお尋ねであります。  この調査は、環境省が平成14年度から3カ年かけて行った調査であります。調査の目的は、これまでの湖沼水質保全対策を根本的に総括し、新たな施策体系のあり方を構築するというものでありました。環境省は、この調査により湖沼水質が改善しない理由と問題点を特定し、その成果に基づき湖沼水質を実質的に改善するための今後のあり方を提言としてまとめるとしておりますが、まだ調査結果は公表されておりません。  また、この調査による知見を第4期の湖沼水質保全計画の策定にどのように活用したのかというお尋ねであります。  県としては、計画策定に当たりまして調査、議論の段階であっても活用できるものはできるだけ取り込むという考え方で臨んでまいりました。例えば総合レビュー検討会の議論の中では、魚介類を取って湖外へ持ち出すことで窒素や燐の除去効果があるという指摘がなされました。この点を踏まえて、漁業を通じた水質保全の推進を今期の計画には盛り込んでおります。また、この検討会の中の宍道湖・中海サブチームの専門家の指導を受け、栄養塩である窒素の水中における複雑な挙動をより実態に合うよう水質モデルの改良等も行っております。  総合レビュー調査結果は、先ほど述べましたように、まだ未発表ですが、いろいろな提案も盛り込まれると聞いております。今後、報告書が公表されれば、これを十分活用しながら宍道湖・中海の水質改善に取り組んでまいります。 54: ◯副議長(洲浜繁達) 正林健康福祉部長。  〔正林健康福祉部長登壇〕 55: ◯健康福祉部長正林督章) 県立知的障害児施設の社会福祉法人への移管に関する質問にお答えします。  まず、職員構成についてであります。  現在のような高年齢層に偏った職員構成になったのは、昭和40年代に入って、さざなみ学園の入所定員の増加や、こくぶ学園の開設により同時期に多数の専門職員を採用する必要が生じたためであり、やむを得なかったものと考えております。  次に、保護者会の納得等についてであります。  保護者会への説明は、昨年12月以来、これまでさざなみ学園、こくぶ学園それぞれ3回行い、見直しについての基本的な考え方、社会福祉法人移管後の運営費の試算、他県の先行事例の紹介、県の障害者福祉施策の取り組みについて、資料も提供しながら説明し意見交換を行ってきました。  また、それ以外にも、両学園の役員の方などと幾たびかにわたって話し合いの機会を設けたところであります。そうした説明会や意見交換会において話し合いを繰り返すことにより、当初は移管反対の声の中でなかなかお話しすることができなかった移管に当たって、子供さんへの影響が極力ないよう県として方策を考えていることなどについて説明できるようになり、また保護者の方々からも、できるだけ安心できるような措置をとってほしいというようなお話も伺えるようになってきました。  一方、職員に対しては、これまでに5回、さまざまな機会を通じて考え方を説明してきたところです。このように繰り返し説明を行ってきたものの、移管について保護者の皆さんや職員の納得が必ずしも得られたとは思っていませんが、そうした中で6月20日には、両学園の保護者会長から連名で移管に当たっての要望書が提出されました。  今後は、この要望書の内容も踏まえながら、保護者の皆さんに安心していただくために移管に伴う子供たちへの影響が極力ないよう、しっかりとした準備を行ってまいりたいと考えております。  また、地域療育事業については、在宅の障害児へのサービスとして通園療育やプール開放などを展開しているところですが、社会福祉法人へ移管した後も、県の委託事業として引き続き行うこととしており、今後、その旨を適宜利用者の皆さんに説明してまいります。  次に、障害者福祉の充実についてであります。  障害者自立支援法制定の動きなど、障害者福祉は大きな転換期にあります。このような中で、障害者の地域における自立支援や新たな課題となっている発達障害者等への対応について、国の動向や障害者等の要望を踏まえ、支援強化のための基本的考えを取りまとめたところです。  具体的には、地域における自立した生活の支援強化を基本とし、障害者の地域生活を支える相談支援の充実、生活の場や働く場の確保などの地域で自立した生活が営めるような条件の整備、そして極めて重度の障害者への支援の充実、さらには発達障害者支援センターの早期開設などを考えております。  これらの支援策につきましては、具体的事業内容の精査を行っているところであり、予算規模、体制について現時点で申し上げることはできませんが、実施可能なものから順次取り組んでまいります。  次に、移管後のサービスについてであります。  知的障害児施設は、知的障害のある児童を入所させて保護するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的としております。したがって、入所する児童は、その児童の年齢や有する能力、障害特性等に応じて必要な訓練や支援を受け、また、さまざまな活動を経験することで社会生活に必要な生活習慣の確立や社会参加能力が育成されることが必要です。  そのためには、個々の児童の年齢や有する能力、さらには障害特性等に応じた個別の支援計画を立て、その計画に基づくサービスを提供し、しかも、それに対する適切な評価ができることが必要と考えます。  また、近年増加している自閉症や注意欠陥多動性障害など、従来とは違った特別な配慮が必要な発達障害児や被虐待児等に対する適切な対応も必要です。  県としては、これらの知的障害児施設に求められているさまざまなニーズにきちんとこたえ、保護者の方に預けて安心と言っていただける施設であることが基本にあるべきと考えます。こうしたことを選考基準に明確に位置づけて、サービスが提供できるように選定委員会で十分審査いただき、両学園を移管するにふわさしい法人を選んでいきたいと考えています。  さらに、法人選定後、保護者の意見も踏まえた施設運営が可能となるよう、保護者代表、法人、県で協議する機会を設け、県としても必要な対応をしてまいりたいと考えております。  次に、法人による措置費のみでの継続的運営と、その担保についてであります。  近年、障害児を家庭で育てることを選択する保護者が増加する傾向が見られ、こういった面は入所児童数の減少要因となりますが、療育手帳を所持する児童数が増加傾向にあり、また、施設の養護機能を必要とする入所児童数も増加する傾向が見られます。そうしたことから、施設への入所を必要とする児童は、今後とも一定数見込まれ、それに伴い措置費についても一定の収入は確保できるものと考えています。  また、このたびは特別な事情もあり、移管後の安定的な施設運営に資するため、建物については無償譲渡する方向で検討していることに加え、そのほかにも安定的な運営に資する条件整備について検討を進めているところです。  次に、法人確保の見通しと選考基準についてであります。  移管に当たり一定の経験を有する職員の確保は大切なことであり、そのため、選考基準の中にそうした一定の基準を設け公募してまいりたいと考えております。  また、法人確保については、県内には多くの社会福祉法人があり、その中には両学園に勤務するに十分な経験を有する人材を相当数抱えている法人もあり、また選定された法人が学園で勤務するにふさわしい新たな人材を求めることも想定されますので、両学園の移管先法人は確保されるものと考えております。  次に、土地、建物の取り扱いや施設の建設費、時価評価額、また今後の改築費の対応等についてであります。  まず、土地、建物の取り扱いについてでありますが、移管先の社会福祉法人は、事業を円滑に引き継ぎ、安定的に運営できる基盤が必要であることから、建物については、先ほども申し上げましたとおり、法人へ無償譲渡する方向で検討しているところであり、土地についても、できればそうした方向で検討したいと考えております。  次に、施設の建設費、時価評価額のお尋ねですが、建設費については台帳価格、時価評価額については定額法により試算したところによりますと、さざなみ学園は建設費12億3,700万円、時価評価額9億3,200万円、こくぶ学園は建設費10億7,000万円、時価評価額9億3,500万円、授産センターは建設費11億5,500万円、時価評価額7億6,500万円となっております。  また移管後の維持補修あるいは改築等への対応についてでありますが、現時点での補修が必要な部分については、県として対応することを検討しておりますが、移管後の改築等については、基本的にはそれぞれの法人で行っていただき、県は国の施設整備助成制度の枠内で助成していくことになると考えております。以上です。 56: ◯副議長(洲浜繁達) 小室議員。  〔小室寿明議員登壇〕 57: ◯小室寿明議員 2点再質問をさせていただきます。  まず、県職場における女性の役職配置についてであります。  現状に問題があることを認識しながら、できるだけ早く改善していくと知事は明らかにされました。ただ、能力を有し、そういう職員を育てるには、短期的な解決は難しいというような御返事ではなかったかと思います。大変残念な回答であります。  一つ紹介しますが、松江市の松浦市長、さきの市長選挙のマニフェストの中で、市職員男女別役職比率の同率化を2009年度までに達成するとの目標を掲げておられます。任期4年間の間に市役所の職員の男女比と同等の役職配置率を実現するという政策公約でありまして、さすが県都松江の市長と評価をするわけであります。  一方、部長の方からもいろいろ言いわけがましい話がございましたが、40歳以上の男性職員2,408人、女性職員577人、女性のシェアは19.3%であるのに対し、わずか次長級、課長級、GL級で126人しか女性が配置されていない。男女比率からいってもですね、3分の1程度しか役職配置をされていない、さらに言うと、人事課の資料でも明らかでありますが、5年から10年昇任が遅くて、また○○級という美名に隠れて政策決定に携わることのないスタッフ職に位置づけられている女性職員が多いというのも大きな問題だと思います。  こういう問題認識を持ちながらですね、全然改善しようとしない県の対応に私は、巧言令色鮮し仁という言葉を送りたいと思います。  そこでですね、問題認識を持っているわけですから、ぜひこの1年ぐらいの間にアクションプログラムをつくってですね、何年か先にはこういうふうに持っていくんだという具体的なものを示していただきたいことを再度お願いをし、答弁をいただきたいと思います。  次に、県立福祉施設の民営化の問題でありますけれども、保護者会への説明は結果として対象者の半数しか行き渡っていないというふうに聞いております。在宅の部分については、さっき答弁があったように、これからということでありますから、まだ説明していないということであります。きょう、るるいろんなことを説明がありましたけれども、条例議案は確かに開会日に説明、提案がありましたけれども、来年4月から移管するという説明があったけれども、中身の説明は全く、これは保護者に対しても我々に対してもないわけですから、納得しろという方がなかなか無理なわけでありまして、そういう意味では、これもですね、私は協働を掲げながらスピードのみを先行させる改革じゃないのかなと、これも巧言令色鮮し仁というふうに私は思っております。  最後に、知事にお願いをしたいわけでありますが、6月3日、さざなみ学園、こくぶ学園の保護者会の要請を知事は受けられたわけであります。かねて用意のペーパーを見ながら、民間移管の方針を即答されたと聞いております。45分間の話し合いを経て、次の予定があるという障害者福祉課長の声を受けて退席をされたということであります。  最後に、知事、せめて1年待ってもらえませんかと頭を下げて懇願される保護者の声に、全くこたえることなく、すがる保護者に背を向けて退席されたと私は聞いております。その様子を聞いて、私は、何と冷たい県行政なのかなというふうに思いました。私も言うべきことはございます。保護者会の皆さんの心情を胸に置きながら、私も頭を下げて知事に懇願したいと思います。  県立福祉施設の民営化の方向は、もはや断腸の思いで受けとめざるを得ないとして、それでも受け皿法人が全く見えていない現状の中で、短兵急に期限を切って移管を急ぐことは問題なしといたしません。  県が障害児福祉にぎりぎりまで責任を果たすためにも、また受け皿となる民間法人が円満に移管を受けていく力を養うためにも、何よりも子供たちがパニックを起こすことなく新しい指導員になじんで健全な発達をしていくためにも、移管の時期について来年4月に固執をせずに柔軟に対処していただきたいと思います。澄田知事に重ねて心よりお願いをし、御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 58: ◯副議長(洲浜繁達) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 59: ◯知事澄田信義) 再質問にお答えいたします。  まず、男女共同参画社会の実現についてでありますが、巧言令色鮮し仁という言葉を引用されましたけれども、私どもは、現在の難しい実態、それを踏まえてですね、巧言令色鮮し仁にならないように、ぜひですね、それに取り組んでいきたい、これには非常に難しい点が多々あるよということをお示しした上でですね、努力をしたいということで申し上げたつもりであります。ひとつそういう精神に立ってですね、私も就任以来、男女共同参画社会、女性登用については全力を尽くしてまいったつもりでありますけれども、今後ともですね、できるだけ早くそうした目標が達成できるように取り組んでまいりたいと思っております。  それから、さざなみ、こくぶ両学園の問題でございます。  先ほども申し上げましたように、保護者会からいろいろ御要望がございました点については、本当に胸の詰まる思いがしたということは申し上げましたが、そうした気持ちを持ちながらも、また県としてはやるべき大切なことが多々ある、そうした点に力を入れてまいりたいというお話もしたところであります。  先ほど申し上げましたとおり、保護者会から提出された要望書の内容を踏まえながら、十分にその期待にこたえ得るよう全力を傾けたいと思っております。  移管に伴う条件整備について早急に調整をいたしまして、平成18年4月の移管に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。保護者の皆さんが安心してお任せをいただけるような体制づくりに全力を挙げて取り組みたいと思いますので、よろしくひとつお願い申し上げます。 60: ◯副議長(洲浜繁達) これをもって一般質問を終了します。  以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は6月30日、第1会議室で一問一答質問を行います。  本日は、これをもって散会いたします。
           午後3時14分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...