• "満足感"(/)
ツイート シェア
  1. 鳥取県議会 2023-02-01
    令和5年2月定例会暫定版(2/20 代表質問) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ        午前10時00分開議 ◯議長(内田博長君)ただいまから本日の会議を開きます。  この際、御報告を申し上げます。  本議会に提案されております議案第40号「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」について、地方公務員法第5条第2項の規定により、人事委員会の意見を求めておきましたところ、同委員会から回答がありましたがその写しは、お手元に配付のとおりであります。  本日の議事日程は、県政に対する代表質問であります。  これより、代表質問を行っていただきます。  9番森雅幹議員 ◯9番(森雅幹君)(登壇、拍手)皆様、おはようございます。会派民主の森雅幹です。今日は、赤い勝負ネクタイをしてまいりました。代表質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。  トルコ・シリア大地震では死者が4万6,000人を超え、5万人を超えるのではないかと案じております。ビル崩壊を目の当たりにして、プレート地震の怖さを改めて感じた次第です。日本をはじめ国際社会の積極的な被災者支援が求められるところであります。  日本でも南海、東南海、首都直下地震などプレート型地震が予想されており、これに備えることが急務と言えます。改めて鳥取県としても災害応援協定に係る準備、訓練などの深化が求められております。  一方、ロシアのウクライナ侵攻は、今月24日で1年を迎えます。戦闘は、いまだ出口が見えません。ロシアは、原発を攻撃するという暴挙の上、核兵器使用で脅すなど、これまでの国際条約国際秩序が通用しないものとなりつつあります。  日本は、米国追従一辺倒ではなく、日本国憲法の理念を国際社会に反映させるべく独自の外交努力を今こそ重ねるべきだと考えます。  被害を受けているウクライナ国民子供たちの思いを共有するとともに、この戦争の一日も早い終結を祈ります。  本日は、県政全般を議論する代表質問としては異例かも分かりませんが、「しあわせ」ということをキーワードに、これまで議論してきた延長線上で3期12年間のまとめとして精いっぱいの議論をしたいと考えております。よろしくお願いを申し上げます。  まず、「しあわせ」とは何かということで質問をいたします。  コロナ禍が長期化し地域の絆が希薄化する中で、高齢者を中心とした孤独死の増加など、社会的な孤独・孤立問題はより深刻化しております。また、出会いの機会の減少や若者の経済的不安定により、婚姻数は急減し、未婚者が増加しております。そして、婚姻数の減少に加え、子育てに係る経済的負担の不安から、少子化傾向に拍車がかかっております。  コロナ禍によりこうした課題が顕在化する中、さきの12月定例会で鳥取県孤独・孤立を防ぐ温もりのある支え愛社会づくり推進条例が可決されましたが、これまで家庭内に埋もれていた様々な問題に手を差し伸べるものであり、今まさに家族の在り方、地域の在り方が問われているのだと思います。そして、こうした課題に対応するためには、子供の頃からの教育の役割も重要だろうと考えます。  こうした観点から、まず人としての「しあわせ」とは何か、そして、孤独死、少子化、未婚、教育について、知事、教育長と議論をしてまいります。  ハッピー、ウエルビーイング、人それぞれに多様な幸せ感があります。また、年齢にもよって変わってまいります。決して同じではないと思いますが、幸せについて常に意識する必要があるのではないかと考えております。  幸せな人生を送る上で、重要とされているのが、健康、家族、家計、愛着関係人間関係だと言われております。また、例えばウクライナとか、今回のトルコ、僅かな時空のずれが人の運命を左右いたします。他人との比較の中に幸せは存在しませんし、同じ生活環境にいながらも、人間は考え方次第で幸せにも不幸せにもなれます。
     50歳を過ぎて、慶應大学今井むつみ先生の勉強会に参加をしていて、幸せは人間関係の中にしか存在しない、どんなに金があろうと、物質的に豊かになろうとそこには幸せはないと教えられ、それまで深く考えたこともなかったため、私には衝撃でありました。幸せはこんなに身近に、あるいは遠くにあるものだと実感をいたしました。  「しあわせ」について知事の認識を求めます。  学校は、よりよき人生を送る大人をつくる装置だと考えております。また、人間は生まれ、成長、成熟、老いから死というライフサイクルの中で生きております。大人になり健康・体力・資力等が一番充実しているときだけではなく、各ライフサイクルでの幸せについて子供のときから常に考える必要があると考えますが、教育長の所見を求めます。  以上、壇上での質問とし、以降自席で質問をいたします。 ◯議長(内田博長君)9番森雅幹議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森雅幹議員代表質問にお答えを申し上げます。  森雅幹議員におかれましては、この間長きにわたりまして県政を担っていただきましたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。  本日ここに代表質問をされるわけでございますが、その際に私どものこの社会、あるいは家族、あるいは教育、様々な観点からその究極のものであります「しあわせ」という形を探ろうではないかと、こういう議論を提起されているのではないかと思います。まさにこれまで3期にわたりまして森議員がこの議場で追及してこられたこと、それと私たちは向き合う機会をいただいたと思います。心から感謝を申し上げたいと思います。  冒頭におっしゃいましたトルコ・シリアの問題、ウクライナの問題、世界は今激動の中にあり、だからこそ幸せということについてもう一度足元から見詰め直すべきなのかもしれません。  トルコ・シリアにつきましては、今も救出活動は続いていましたが、このたびほぼ全域にわたりまして一旦そこは終了しながら復旧・復興へとかじを切ることになりそうです。  ただ、その中で連日のように報道される人々が救出される姿、これを見るにつけまして世界も捨てたものではないなというふうにも思います。世界中の人たちが心を寄せ合いまして命を助けようと、今トルコあるいはシリアのほうに物資を送ったり、救援隊を送ったりしています。  本県は、いささか遠く離れているということもありますが、県各地の私どもの事務所におきまして募金活動を始めたわけでございます。なかなか物資の調達が難しいということも言われていまして、お金という形が今現地では非常に得難い援助であると、こういうことも言われておりますので、そういう意味で県としても向き合っていきたいと思っておりますが、あわせまして、議員も御指摘されましたように、建物など、そうした耐震性をはじめとしたこうした災害に対する力強さ、強靱さというものをやはり我が国あるいは本県もよく考えなければならないのだろうというふうに思います。  昨日も報道番組の中でトルコの人がかつてこういうことをおっしゃっていたというお話が出てきましたけれども、被害は地震で起きたのではなくて建物で起きていると。確かにそうなのかもしれません。であれば防ぎ得るものというものがあるはずであり、別の形で幸せを守ることもできるのではないかと思います。そういう意味でまた私どもも教訓として、このスタートを新たにしなければならないのかなというふうに考えます。  また、ウクライナの戦争からこうしたことが現にこの地球上で起こり得るということを目の当たりにさせていただきました。残念ながら今1年を迎えようとして、解決の兆しどころか緊張の高まりが続いているところであり、ドイツにおいてミュンヘンでの安全保障をめぐる会議、それから我が国が主導してG7の話合いということもあれば、また米中間での話合いということもなされる。世界中が今平和をどう取り戻していくか真剣に協議をしているさなか、今朝も北朝鮮はミサイル2発を日本海に向かって撃ちました。  さらに金正恩の妹、金与正が声明を出されまして、太平洋を射撃場とするかどうかはアメリカの態度次第だというふうに言い放っています。ちょっと謎かけでありますが、太平洋を射撃場にするということは日本の上空を通過していくミサイルが次々と飛んでいくということにも聞こえるわけであります。そういう意味で我が国の中でもこれはそうした意味ではないかということでの報道も始まっているところであり、全く安寧というものがもたらされることがありません。  戦争は究極の人権侵害であって、決して引き起こしてはならないことは万人の共通理解であったはずでありますが、残念ながら領土をめぐること、あるいは民族をめぐる考え、これがある一定の独りよがりなことになってコミュニケーションというものが失われてしまうとあっという間に幸せが世界中から吹っ飛んでしまうということも現実に起きているわけであります。  こういう中、私たちは、かじ取りの難しい次の鳥取県や日本、世界を動かしていかなければなりません。今後とも森雅幹議員のいろんなアドバイスがいただければと思います。  そういう中、今お話がございましたのは、「しあわせ」についてどういうふうに考えるべきなのかというお問いかけでございます。  今井むつみ先生のお話がありました。今井むつみ先生は、そういう人間関係の中に重要な幸せの要素というものがあるのではないかとおっしゃっておられて、チームで取り組むことの重要性をつとに訴えておられます。それとあわせて、それぞれ各個人個人の強みというもの、これも重要だとおっしゃり、その個人をつなぐコミュニケーション、これも非常に大切なことだとおっしゃっておられます。  同じような研究やそうした御見識というのは最近も世界でも出ているところでありまして、ロバート・ウォールディンガーさん、ハーバード大学のほうで研究をされたということも私どもも記憶するところでありまして、2つほどグループをつくって、追跡調査をかなり長期間にわたってやると。その長期間にわたる成果というのがだんだん明らかになってくるわけでありますが、やはり人間関係というものが、特に身近な人との人間関係、家族ということも含めてですね、そうしたところがしっかりと保たれてきた人というものは自分が幸せであると、幸福であると感じる、自己認識をする、それにつながっているという、そういう研究成果であります。  また、興味深いのは、ウォールディンガーさん自身も医学のほうの関係もあって、これが健康にも影響していると。健康が保たれているというのは、こういう人間関係ということと関係性があるのではないかと。これがある意味世界のメッセージになりまして、こうしたことがいろいろと人口に膾炙することになったわけであります。  確かにそういうことはあるのだろうなというふうに思います。幸せという言葉として、議員は今ハピネスとか、あるいはウエルビーイングという、最近はウエルビーイングははやりかもしれません、そういう言葉を出されました。私もアメリカにいてちょっと空気感も味わったりするわけでありますが、その幸せというものに対する捉え方というのはやはりそれぞれの文化だとか、地域性もあるような気もいたします。  恐らく欧米で幸せということを感じる大切な要素というのは、一つは、ピースフルネスといいますか、平和とか平穏ということもあるのではないか。恐らくそれは神という存在との関係もあるのかなと、私はある意味勝手に思っているところがあります。つまり信仰がやはり強いですね。特にそうした信仰心というのがむしろ道徳のようにも考えられるところもあって、それで永遠の平和とか、それから神様とつながっている、そういうようなこと、そういう意味でピースフルネスとか、ハピネスとか、そうしたものがあるのではないかなと。  ウエルビーイングというのは、もちろんそうした要素もありますが、多分最近出てきたもので、どちらかというと今満足できるものがあるかとか、生活が十分できるかとか、そういうことの要素というのが逆に入っているものなのかなというふうに思います。こういうものの組合せの中でそれぞれの国でやはり幸せというのを考えているのかなというふうに思います。  日本の場合、先ほどの今井むつみ先生のお話がまさにそうかなと。私も拝聴させていただきましたが、興味深く思っておりますのは、「しあわせ」という文字の書き方であります。学校でも今、幸福の「幸」という字を当てて幸せと読ませる、それが当たり前でありますけれども、しかし、戦前だとか、かつての、何といいますか、小説などを読んでもそうでありますが、結構「しあわせ」というのは、そうです、「仕る」に「合わせる」と書いて「仕合わせ」と読ませる。それが多分伝統的な日本の心に、感性にフィットするのかなと思います。  結局自分一人だけ大変楽しくても、ふと見ると周りに誰もいない。それは寂しくないですかと。日本人というのは、多分弥生の昔から農耕社会とも言われていまして、村社会、あるいは一つの縦社会の人間関係のようなもの、そういう場の民族なのだろうと思います。そういう場の中でそれぞれが育まれ、そして生活をし、恐らくだからこそ力を発揮し得る、そういう人々なのかなと。そうであればお互いに「仕り合う」、「奉仕し合う」、そうやって結びつき合うことの中に本当の幸せという形を見いだしていくのではないかなということだと思います。  幸福の「幸」という字は、何か一瞬の満足感にもなるような気がいたします。もちろん大切な言葉であり、そういう意味でのものというのはあると思うのですが、その辺が今、私たちが見失いかけていて、今、森議員が今井むつみ先生のお話に引いておられるような失ってはならない価値観であり、社会の構成要素、一つの原則ではないかとも思います。この辺を上手に再表現していくことが、本当の意味の幸福な社会をつくる道筋なのかなというふうに思います。  そんな中で鳥取県というのは、実はポジションはよいのではないかと思います。最近移住者がコロナ禍で減りはしなかった。むしろ過去最多を記録するのが昨年度でありました。何がそういうふうに心に響くものがあるかなというと、こうしたところで人々がお互いに自然豊かなところで絆というものを持ち続けて生きていること、これが一つの価値観としてもう一度認められてきているのではないかなというふうに思うわけであります。  ただ、これが現代の日本や世界の中で主流なのかどうかよく分かりません。最近も福井県の池田というまちで移住者について七か条というのを出されました。これが非常に問題化しているようにも思うのですけれども、ただ、これは恐らくどちらにも言い分があって、やはりみんなでやってきたことというのは最低限守ろうよという地元の人たちと、それからどちらかというとそういうものではなくて、お金を出してここに引っ越してきたのだから好きにやらせてくれと。町内会費も納めないということのようですね。  こういうようなことの相克というのは、実は現代の中に起こりやすくなっていて、ネット社会だとか、いろんなことが実は作用しているのではないかと思います。割と独りよがりに生きていこうと思えば生きていったり、その人たちがネットを通じて例えばサイバー攻撃をかけて、僅か一握りの人たちが世界を脅かしたり、大きな詐欺事件を起こしたり、そういうことが確かに起こるようになってきていて、それで生きていけばいいということになり始めているのかもしれません。  私たちはそうではなくて、リアルな現実社会がまだ十分に機能しているところでありまして、その現実社会の中で何か困ったことがあったらお互いに助け合うということが私たちの幸せの基礎条件という社会なのだろうというふうに思うわけです。  議員がおっしゃるように、こうしたことは子供たちからの成長の過程でも獲得されてき得るものでありますし、そういうことも大切に思いながら子育てだとか教育にも向き合っていくべきなのだろうと思います。  ドロシー・ロー・ノルトさんですね、アメリカの詩人というか、作家というか、この方の言葉の中に、If children live with friendliness、もし子供たちが親しみの中で、親しみを受けて育ったのであれば、they learn the world is a nice place in which to live、その子たちはこの世界というものがその中で住むのにすばらしいところだと考えるようになるでしょうという言葉であります。やはり愛情の中、それから議員がおっしゃるような一定の人間関係の中で育ってこそ子供たちは自分の住むこの世界、社会というものが居心地がいい、ここで生きていてよかったなというふうに考えられる、そういうようになるのではないか。これをドロシー・ロー・ノルトは、その表現の中で描いておられるというふうに思います。  こういうのはやはり世界的な一つの考えるテーマなのだと思いますし、今こうした戦争だとか、大きな自然災害、こういうような中で人々が本当に希望を持って生きていくためにこうした議論というものは価値があるし、子供たちを育てていく上でも頭に入れておくべきことなのではないかなというふうに考えております。 ◯議長(内田博長君)足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員の代表質問にお答えを申し上げます。  3期12年の長きにわたられたこの議場での様々な御提言に私からも感謝を申し上げたいと思います。  奇遇ではありますが、私も赤の勝負ネクタイを今日はかけさせていただきましたが、まさしく3期12年の思いの非常に凝縮された子供たちにとっての「しあわせ」とは何かという本当に大きなテーマで御質問をいただきました。  改めてこの御質問を聞きながら、子供たちのためにと、よくそういうふうに私も使いますが、子供たちのための幸せづくりとはという観点で、私たち教育行政に関わる者がどんな仕掛けをしていくべきなのかということを改めて考え直すきっかけとなった御質問であったように思っております。  物質的な豊かさ、精神的な豊かさ、古くから言われてきました。では、どちらを求めるべきなのか。これは両方とも大切な要素ではないかなというふうには思います。  そういう中で今、国は次期教育振興基本計画を策定中ですが、その中にも議員から御指摘のあったウエルビーイングという言葉がキーワードになってきております。様々な状況の中での幸せ感、満足感を示す言葉であると同時に、人生の生きがいですとか、生きる意味だとか、それをずっと長きにわたって考えていこうとする、よりよく生きるための仕掛けづくりというのがその基本計画のコンセプトになっているのではないかなというふうに思っているところでございます。  現在このコロナ禍も相まって、子供たちは様々な人との接点、接する機会というのが失われております。友達はしかり、さらには地域の人もしかり、そういう中だからこそ子供たちライフサイクルの中で各成長段階に応じた人との関わりということが私も非常に重要になってくる、改めてそこを仕掛けづくりをしていくことが必要ではないかなというふうに思います。  この秋には総務教育常任委員会の皆様方で島根県の津和野高校を訪問いただきました。そこで津和野高校の生徒さんが地域の大人の方とトークフォークダンスという、いろいろな課題について語り合う、そんな場面を見られたということを伺っておりますが、そうした仕掛けは本県でもCHA3(チャチャチャ)プログラムという形で議会から応援もいただきながら実施しています。人と出会うチャンス、そして何かを変えていくチャレンジ、そしてその変えるというチェンジ、このCHA、これを3つを組み合わせた形で、中学生が大学生と、さらに地域の大人という3世代にわたっていろんな地域の課題、あるいは自分の人生観、そしてまたその中に自分の幸福感、そういったものを語り合う仕掛けもしてきているところでございます。それらはやはり子供たちにとって、こんな考え方がある、こんな生き方がある、身近な大人、あるいはちょっと先輩の大学生がこういうふうに考えている、そういう人と人とをつなぐ大きな仕掛けになっている。この取組は、島根県津和野高校に負けないように、さらに充実をさせ、広めていきたいなというふうに思っているところでございます。  私も「しあわせ」ということを考えるに当たって、中学校2年生のときに「幸せとは何か」という作文を書いて出したことを思い出しました。議員がおっしゃったように、幸せは人との比較ではない。我が家も貧しい家庭ではありましたが、両親に育てられ、その中で自分で何を考えていくべきなのか、そういったことをしたためた作文でありました。つまり自分がしっかり見えていると同時に、周囲の人との人間関係の中からでしか幸せ感というものはつかめないのではないか、そういうふうな思いで書いたことを思い出しました。  教育の目的は様々あろうかと思いますが、この人と人との関わり合い、その中でしか見えない幸せ感、これをなかなか形で表すというのは非常に難しいことではございますが、知事もおっしゃった幸福の「幸」という字ではなく、仕合わせる、お互いに支え合うという、こういうふうなことがやはり人間にとっての大きな幸せ感につながる。それをいろんな世代、年代を超えた人との関わり合いをいかに構築するか、これが教育の中で仕掛けていけるものではないかなというふうに改めて思ったところでございます。  今進めておりますふるさとキャリア教育は、まさしくそういう仕掛けを打って出るのに非常にぴったりの取組だと思っておりますので、教育における大きな狙い、目的としての子供たちにとっての幸せ、これが何かということをより今後も追求しながら子供たちのためにできる仕掛けをつくってまいりたいと思います。 ◯議長(内田博長君)最初に、森議員に確認をいたしておきたいと思います。先ほどの登壇での質問の終了は、通告1についてのことですか。あと2から5は、再登壇ということでよろしいですね。 ◯9番(森雅幹君)はい。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)議長からの御指摘ありがとうございました。  今、答弁をいただきまして、改めて知事の「しあわせ」感、あるいは教育長の「しあわせ」感を聞きまして、ああ、本当だというのを改めて感じました。  特に昔よく小説の中で見た「仕合わせ」という、「仕る」「合わせる」というこの字ですよね。それを聞きながら、私は理学部生物学科出身ですので、ちょっと生物学的なことで考えると、人間は群れで生活していたのですよね。何万年も前から群れで生活をしていて、群れで生活していると当然人間関係の中で生活をしているわけです。その人との触れ合いの中でオキシトシンというホルモンが出て、そのホルモンが出ることによってお互いに幸福感が生まれるというのが生物学的な考え方であります。それが日本語の中でも和語としての「仕合わせ」という文字をそういうふうに当てていたというのは、本当に生物学的な考え方からしてもまさにそのとおりだなということをちょっと改めて知事の答弁を伺って思いました。  この「しあわせ」というものが、今急速に核家族化が進み、あるいは後のほうでもまた述べていきますけれども、一人世帯がどんどん増えていっている、こういったことによってそれが人生の選択として個でいることが本当に幸せにつながっているのかどうかといったことが私は大きな課題だなというふうに思って今日は質問をさせていただくことになりました。  そこで孤独死の話に持っていきたいと思います。  昨年私の近くで3人の方が孤独死をされました。1人は、同級生でした。結婚もして、子供も生まれたのですけれども、結局離婚をし、家も土地も全部売ってしまって、最期は独りで市営住宅にいたのですけれども、亡くなって相当日数がたってから見つかりました。非常にショックでありました。もし近くに人がいれば死なずに済んだのではないか。そういったことがもう自分の近くで1年間に3人もあるということで、非常にショックでした。  米子の市役所に行って、孤独死はどれぐらいあるのでしょうかと聞きました。孤独死の統計はないのだそうです。ですけれども、実態として、例えば生活保護の家庭であるとか、あるいは市内で独りで亡くなっていて発見された、そして葬儀を挙げる人もない、そういった人は市が代わりに葬儀をするみたいなことをやっているのだそうです。それが2022年、1年間で27人おられるということでした。  県にもこの統計があるかと聞いたのですけれども、県にはありません。人口規模から計算して鳥取県で推測をすると90人になります。単純計算ですけれども、新聞にも出ませんし、全然報道もされません。しかし、孤独死をされている方が県内で、単純計算ですけれども、100人近くあるということが現実問題なのだということをぜひ皆さんにも御承知おき願いたいと思います。  東京都には統計がありまして、23区内における65歳以上の孤独死が2003年には1,440人ほど、それが2020年には4,207人、3倍近くまで急激に増えています。これはもしかすると鳥取県でも起こっているのではないか、そのようにも考えられるところであります。これには地域のコミュニティー力だとか、高齢化率、そういったもので増減はあるだろうと思いますが、これはどんどんどんどん増えていく可能性があるのだということであります。  一人世帯がどんどんどんどん増えております。もともと子供さんが県外在住でおられない。そしてパートナーのどちらかが亡くなり、死別をされて独りになっておられる高齢者の方々、県内にたくさんあります。また、一方で、未婚の方々も増えております。もはやこの一人世帯は全世帯の4割を超えて、もちろん独身の方、若い方もいるのですけれども、そういった方を含めて全世帯の4割を超えて、一番多くなっております。また、現在ひきこもりの方々、こういった方々はいらっしゃるのですけれども、これは間違いなく一人世帯になっていかれる、そういったことが考えられるところであります。今後どのような社会が考えられるのでしょうか。またその対策について知事に所見を求めます。  また、鳥取県は孤独・孤立を防ぐ温もりのある支え愛社会づくり推進条例を昨年12月に制定しております。この条例によって孤独死を減らすことができると考えていらっしゃるのでしょうか、知事の所見を求めます。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)議員から重ねて孤独死などにつきましてお尋ねがございました。  そうした統計というのはなかなかあるわけではございませんけれども、ただ、この20年ぐらいの間に単独の1人で構成されている世帯の比率は23%ぐらいから3割程度まで引き上がってきておりまして、これは全部が高齢者というわけではないと思います。もちろん学生さんでも一人世帯になり得ますので、その辺はあるにせよ、ただ、その中にやはり高齢者等の独居世帯も増えているというふうに想像されるところであります。  高齢者の夫婦の世帯については推計もございまして、これによれば令和7年頃に65歳以上の夫婦世帯、2人世帯ですね、2人だけの世帯というものはピークを迎える。その後また減ってくるということであります。令和12年頃に75歳以上、こうした高齢者夫婦世帯がピークを迎えて、その後減ってくると。  高齢者の独居世帯につきましては、令和22年に向けまして増え続けるのではないか、こういうように人口の統計上は今、本県推計を置いているところであります。  したがいまして、議員がおっしゃるように、こうした問題というのは、先ほど孤独死のお話がございましたけれども、そういうことにつながりやすい高齢の方の独居、あるいは非常になかなか老老介護などにつながることで注意が必要な高齢者のみ世帯というものが増えてくる傾向にあって、ただ、団塊の世代がそうした時代に入ってくるピークがもうそろそろであり、令和7年、令和12年でそうした夫婦世帯というものは今度は減少に転じてくる。恐らく単独世帯というのもその後いずれは減ってくるのではないかというふうにも思われます。  いずれにいたしましても、そういう意味でここからもう10年やそこらはこうした傾向が強まってくるように想像しておいたほうがいいし、そういう意味で考えるべきなのではないかと思います。  このたびお亡くなりになられた、孤独でという方など心からお悔やみを申し上げたいと思いますが、そうしたことは本県でも起こり得るのではないか。また、大都市部でそれが急増しているようにも見えるけれども、どうなのだろうかと。これは想像の域を出ないところはありますけれども、ひょっとするとやはりコロナの関係でリアルのコミュニケーションですね、お互いに対面等がやりにくくなっている中でそうした現象が起きている可能性がないわけではないと思います。  今はオミクロン株であって、昨日も80名の発見にとどまっています。日曜日なのでということだと思いますが、重症化は大分減ってはきていますけれども、高齢者を中心に起きているという最近の現状はありますが、かなりそういう意味で重症化しやすいウイルスだった時期に本県でも日々いろいろと我々もああだこうだ大変な作業をするのですけれども、そういう中で気になるものはやはりあったのは事実ですね。やはり罹患をされて、結局独居世帯で、そういう意味で家族が見に行ってようやく分かって、それから病院に運ぼうとかということ、当然我々はそのサポートをするわけでありますが、ただ、そうしたもののなかなかスムーズにいきにくい事例もあって、結局は命に関わるということもあり、関係者も非常に心労を募らせておられまして、私どももこういうようなケースということで重要にランクづけして、その後の対策を再構築したということもございました。  コロナということで孤独という問題がクローズアップされたということは、それはやはりあるのではないか。特に大都市部の場合は、関係性が見えにくい、それは地方以上に見えにくいものでありまして、それで4,000人だとか、そうした急増に結びついている可能性はあるのではないかと思います。  そういう意味でさきの県議会におきまして孤独・孤立を防いで温もりのある支え愛社会を推進していこうという考え方の条例を皆様の御賛同を得て我々が成立させたのは大きな意味があると思いますし、これに基づいていろんなアウトリーチを含むアプローチを社会の中で顕在化させる必要があるのではないかと思います。  最近もいろんな事例がございまして、例えば地域包括支援みたいなことがあります。そういう中で日吉津では定期的にそうした独居世帯等を見て回るようにされておられます。こうしたことが多分とても有効になるのだと思うのですよね。  日野町でも最近民生委員さんがちょっと様子がおかしいということで家のほうを見に行かれると倒れておられる。それで通報して、警察、消防とかが来られる。それで田舎のよさだと思いますが、消防などが来られたときも、冷蔵庫の中に救急のキットが入っているのですよね。こういうのをまた御近所さんが御存じなわけで、それはこれを使ってくださいとかということで、結局は事なきを得るのですけれども、そうしたことがやはり、プライバシーの侵害とかということは現代社会でよく言われますけれども、ただ、それよりも大切な近所のお互いに一定の距離感の中で見守り合う、これの有効性というのは本県は発揮できるのではないかなというふうにも思います。  そういう意味で私どもも中山間地見守り協定というのを結んで、いろんな企業の方や事業所の方も見回っていただくようにしているわけでありまして、最近も新聞社さんでそういうようなことを見つけられた例とか、西のほうでは安達商事さんがありますが、安達商事さんが回られる中で、やはり最近どうも注文が減ったと、それはおかしいなということで見に行ってみますとやはり異変がありまして、それによって事なきを得るといいますか、通報に基づいた対策が取れるということがあります。ですから、こうしたことはちょっとしたことで今おっしゃる孤独死だとか深刻な事態を防ぐことはでき得るのではないかと思います。  そういう意味でこの条例に基づいていろんな施策を組んでいけばいいし、市町村とも連帯をしたり、いろんな事業者さんと一緒に行動できるのではないかと思います。  当初予算の中でも幾つか計上させていただいていることはいろいろございまして、例えば前も議論をさせていただいた団地ですね、西部の団地などでもこうした福祉機能というものを持たせてコミュニティーの再生を図ろうと、こういうようなことをやってみたり、それから市町村の重層的な支援体制を応援する補助予算というものを当初予算の中でも組まさせていただいたり、このようにしてまずはスタートを切ったところでありますが、議員が御提案のように条例を生かした孤独死を防ぐような対策というのは十分なされ得ると思いますし、その意味で鳥取県が先行すべきではないかと考えております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)この孤独死、昨年3人も私の近くであったという話をしたのですけれども、統計がないというのが、やはりちょっとこれは行政として手を打っていく上においてやはり非常に重要なファクターだと私は思います。ぜひ市町村と連携をして、これは数字をやはり追っていく必要があるのではないかと思いますので、ぜひまたそれについては御配慮を願いたいというふうに思います。  続いて、少子化についてのお話をさせていただこうと思います。  2022年の出生数が全国で80万人を割って77万人になりました。当初の予測よりも11年も早い80万人割れということであります。  そんな中、鳥取県は、2022年の出生数が前年を上回ったという報道を聞きました。全国で唯一だそうであります。県や市町村の取組に最大限の敬意を表したいと考えます。  また、この出生数ということをめぐって議場内でも議論がありまして、出生率を何とか上げると、そういうような議論がたくさんあったのですけれども、川部議員が出生率よりも出生数だということで議論をされました。私もまさに出生率より出生数だというふうに思います。今1人の女性が一生涯に産む子供の人数が合計特殊出生率という数字で、それが上がった下がったみたいな話をしているのですけれども、実際に子供を持つ家庭の今どれぐらい子供が欲しいかという数字がたしか2.2で、それに現状は1.8というところまで近づいているということで、私はそれはそれでいいなと思っています。  問題は、出生率というよりは出生数がいかに上がっていくか、まさに川部議員が議論されていたその中身だと思います。この出生数が減ってきたということは、日本の社会の中の労働力不足や経済規模の縮小、税収減、社会保障制度の破綻など、これまでの日本社会を揺るがす大問題であります。  しかるに、この少子化は30年以上前に予測をされておりました。子供の数は減っていくよということは予測をされているのにもかかわらず、この少子化問題に決定的な政策は打たれず、どんどんどんどんと進んできたわけであります。一方で、未来世代に1,000兆円を超す借金をも今も積み増している状況であります。  国は、中国、ロシア、北朝鮮の脅威をあおって、国民の代表機関である国会の審議もないままに増税を含む防衛費の倍増のGDP比2%にするということを海外で公約をいたしました。中国やロシア、北朝鮮の脅威は否定をしませんが、少子化はまさに確定的な我が国の存立危機事態ではないのか。私はそう思うのですが、知事に所見を求めます。  また、少子化対策として、ようやく国会では子供を育てることについて、家庭なのか、社会なのかということについて、もう一回社会でと。民主党政権の時代にいっとき社会で育てるということで子ども手当を創設しましたが、政権交代とともにあっという間に社会で育てるのではなくて家庭だよというふうに戻されてしまっていたものを今ようやく社会でというふうに戻すような議論がされているということで、私は歓迎をしたいと思います。この子供を社会で、あるいは家庭で育てるその考え方について知事の所見を求めます。  また、私の子育ての時代から見ると、育児支援はかなり充実してきた感がありますが、出生数は右肩下がりに減っております。あわせて、90年以降に急激に未婚率も上昇しております。少子化の大きな要因について知事はどのように考えていらっしゃるのか伺います。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員から重ねてのお尋ねがございました。  少子化対策は、今緊急の危機にあるのではないか。その認識は、まさにそのとおりではないかと思います。結局分かってはいたけれども、それで手は打っていたように見えたけれども、あまり効いていなかったということなのかなというふうに思います。  現状はどういうふうなことかというと、ちょうど今から50年ぐらい前が第二次ベビーブームでありました。あのときは年間の出生数210万人というふうに言われています。先般、大騒ぎをしていますが、80万人を切るという見込みになったということであります。半世紀たって3分の1ぐらいにまで減ろうとしているということですね。それほどまでに子供の数が急減しているということであります。  これは合計特殊出生率で見てもそうでありまして、第二次ベビーブームの頃は2.14でありましたから、順調に増える状況にあったわけであります。しかし、現在は国全体で1.34。本県は1.5を超えていますけれども、かなり減ってきているということですね。  実は世界は今二極化していて、こういうように急激に減っている兆候の国と、それから減りかけたけれども、戻しかけている国とがあるように思います。それはどういうことが起きているのかというのは非常に見にくいのですが、恐らく子供さんを持つことに対するその意識のことだとか、あるいは社会構造として子供さんを持つ前段階でのパートナーづくりなども含めまして、そこのところの問題が若い方々を中心にして急速に何か変化してきているということなのかもしれません。  ちょうど我々の世代ですね、昔、小学校の社会とか、中学校で学んだこと、よく言われていたのは、人口ピラミッドというのは当時はよく見たものであります。あの人口ピラミッドというものの、日本はピラミッド形であると習ったものでありまして、ベビーブームのところはちょっと膨らみますけれども、全体として広がっていると。今でもインドなどはピラミッド形なのだろうと思うのですね。  釣鐘形とかといって人口が減る傾向になり得るのが、これはヨーロッパの国々とあの頃教えてもらったものであります。上のほうの年齢層のところが結構膨らんでいまして、下のほうはへこんできている。この釣鐘形と言われるものにまさに今、日本はなっているわけですね。  片方で、当時この釣鐘形だと言われていたのがフランスなど、そうしたところでありますが、最近スウェーデンなども大分持ち直していて、もう1.9を超えてくる、スウェーデンもですね、フランス等も割と2前後になってきている。ドイツも一旦おっこったものがまた伸びてきている。その裏にはやはり少子化対策、子育て世代に言わば訴求するようなきめ細かな対策を打ったり、あるいは、子ども手当であれ、児童手当であれ、そうした制度的な大きな財政保障というのをつくっているというのがあるのではないかとも言われます。  片方で、日本が先ほど申しましたように1.34ということでありますが、最近は隣の韓国も1を切ったといって大騒ぎをしています。0.8ぐらいまで落ちていて、ちょっと考えにくいぐらい子供さんが減ってきている。人口の合計特殊出生率が急減してきているということですね。
     あの中国も日本を下回る1.2ということでありまして、すっかり東洋のほうがむしろ釣鐘形になって、西洋のほうが、ピラミッド形ではないですけれども、かなり人口構成としては正常を取り戻しつつあるということであります。この違いが何なのかというのを考えながら、有効な政策をやはり打っていかなければいけないということだと思います。  政府が何もしなかったわけではないと私も思います。先ほどの民主党政権時代の子ども手当のお話もあれば、今もそういった議論もしていまして、遡ってみれば平成に入って1.57ショックという言葉が躍りました。あれを受けてエンゼルプランというのができて、それで保育対策などを充実しようと。さらに少子化対策基本法というのがその後できて、あるいは次世代育成のための法律ができたり、こういう中で幼児教育のこととか、保育のことだとか、子育て環境のことなど交付金の創設も含めて国も一定のことはやっているのですけれども、では、それで止まったかというと止まっていないということであります。効いていないということだと思うのですよね。  本県は平成22年に子育て王国を宣言させていただきまして、その後、議員も御案内のように条例をこの議会で制定していただいたり、大分大きな御議論を申し上げて、保育料の無償化であるとか、小児医療費の助成制度、高校3年までだとか、少人数学級、あるいは最近でいえば産後ケアであるとか、いろいろとやってきています。それであの当時、我々も1.43まで下がった平成20年から持ち直して、1.6を超えていく、全国でも上位に入るようになってきましたが、その背景にはそうした子育て政策が、どれが効いたかまだよく分かりませんが、やはりああしたことで増えてきているという状況はあったと思います。現に本県の特徴としては、第3子以降の出生の割合が23%でありまして、他の都道府県に比べて優位に高いわけです。ですから、それはやはりお子様をもうけられる、そうしたインセンティブが特に多子世帯のほうにも効いていて、これは恐らく保育料の軽減であるとか、医療費の問題だとか、そういうのがやはり経済的負担が緩和されるということは一つあったのではないかというふうに思います。  これが社会に深刻な影響をもたらすわけでありまして、我が国は戦後、それから1970年代ぐらいまでは人口ボーナスという、人口が増え続けることで経済も成長するという黄金期を得たわけですね。これが高度成長という経済の現象にもつながっていました。  しかし、その後は人口オーナス期と言われます。子供たちが減ってくる。それによって人口が減る局面に入ってくる、それによって経済のパイも小さくなる、活力が失われるということで、この人口オーナス期に残念ながら今長く入ってきているわけであります。  そういう意味で議員がおっしゃるように待ったなしの緊急事態であるということで、政府としてはぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、我々もできる限りのことをもう一度巻き直してやっていく必要があるだろうと。政府においては、新年度に入ってこども家庭庁をつくることになりましたし、こども基本法というものも施行されることになり、今マインドチェンジを図ろうとしていると思います。  昨日も小倉大臣がここ鳥取県に入られまして、実はその後、今度は岡山の奈義のほうに行かれて、ここで岸田総理も合流をされまして、奈義の状況を見ていかれました。あそこは合計特殊出生率2.9ということで、非常に評価をされる成果を出したということであります。  実は小倉大臣がこちらに立ち寄られたのは、鳥取県もそういう意味でよくやっているので見に来たということでありました。  そこでこちらのお母さんたちのお話を直接聞いていただきました。大臣は、その話に非常に感銘を受けたようだったのですが、例えば働き方改革を一生懸命本県はやっていますよね。  その一つの例として、明和会という、議場でも取り上げたことがありますが、介護だとか、精神保健、そうした施設のほうで自由度の高い選択できる働き方というのを選べるようになっていますね。休みの取り方とか、時間の使い方とかですね。それでちゃんと職位も保障されてくるということでありまして、こういうもので職場の中で支え合うことを非常にうまくやっているというお話で、これは実は厚生労働省だとかからも度重ねて表彰を受けている職場であります。渡辺医師会長がその経営者なのですけれども、渡辺会長がおっしゃっていましたが、これをやるためには25%ほど職員を増やさなければいけないと。つまりそれだけ休みやすくなるわけですね。だから職員の数が増えて、ただ、1人の、ちょうど子育て世代が中心になるわけです。主力メンバーで、その方々が職場の中でまた順番に職位を上げていって中核に入っていく成長期になるのですね。そういう方々が働きやすくするために、休みも取りやすい、お互いに補い合うとしたら、それほど定数も増やしてやるという、そういう気構えでやってこられたということをおっしゃっていました。  また、身近なお話もいろいろとあって、例えば産後ケアが非常に鳥取県の場合、応援をしてくれているのはいいのだけれども、まだまだやはり需要はあると。もっと増やすべきではないかというお話があったり、それから不妊治療も非常に高いと。これなども鳥取県はそこは応援はしているのですけれども、ただ、国全体、大臣が来られていますので、やはりこれは今ようやく1人目ができたけれども、2人目に挑戦するのはまた大変だというようなお話が出たりしまして、そういうのを一通り大臣のほうでも聞いていただきました。  私からは、小児医療費の無償化など、助成制度を市町村と協力してやるけれども、国がペナルティーをかけるというのはあまりではないかと。これなどはお金をかけずにペナルティーを外せばいいだけなので、それだけで少子化対策にもなるわけで、そうしたことや不妊治療の保険適用の範囲拡大だとかをぜひやってくださいというようなお話を申し上げました。  大臣は聞き取って帰られましたけれども、非常に感銘を受けておられて、こういう鳥取県のようなことをもっと横展開をしていくことが大切だという認識を述べられたり、現場の声をこれから聞きながら4月以降の子育て政策に生かしていきたいと、こういうふうにおっしゃっていました。  総理は、おおむね同じようなことを奈義のほうでもされたというふうに報道をされておられます。  こうしたことで、やはり本当に子育て世代に届くような対策というのをやっていくことが一つポイントになるのではないかなというふうに思うわけであります。  そうした中、いろんな識者の分析がありますけれども、一つ重要というふうに思えるのは、いろんなことが先送りをされているのではないかという分析であります。それは先ほどの海外とのことでいいますと、ヨーロッパなどは実は婚外子の割合が高いというのは、これはそれについての考え方はいろいろあると思いますが、事実は事実でございます。ところが、日本だとか、東洋ですね、韓国なども当然そうですし、中国などもそうだと思います、そうしたところではやはり結婚が前提になるのですよね。結婚が前提でやはりお子様をもうけるという、社会の一つのリジッドな原則があると思います。  そのパートナー探しのところが先送りになってきている。これを送っていって、それが今度は子供さんをもうけることの先送りになっている。これが実はよくミオ・ファティリティ・クリニックさんの見尾先生などもおっしゃるのですけれども、本来人間の人生サイクルには合わなくなってきているわけでありまして、別に何か特別な意味を込めるわけではありませんが、もっとそうしたパートナーづくりとか、それから適切な年齢でお子さんにチャレンジしていただくというようなことというのはもっと見直されてもいいというふうにおっしゃる専門家もいらっしゃるわけであります。この辺はやはり一つの今後のポイントになるかと思いますし、本県もまだ十分にそこは機能できていない政策分野があるのではないかと思います。  一つには、子育て環境をしっかり整えて、ワーク・ライフ・バランスなどがちゃんと取れるようにする。男女の協力、両性の協力ということも当然あるわけであります。そういうこととあわせて、そしてやはり西洋とちょっと東洋の違いがひょっとしたらあるのかもしれない。人生のライフサイクルというものをもう少し変えていく。それはなかなか今出会いのチャンスがないという若者が5割以上であります。ですから、そういうチャンスづくりなども含めて政策のてこ入れというのは必要なのではないかと思います。  そうした意味で子育て王国もこれから言わば新子育て王国といいますか、次のステージをきちんと目指すべき段階に入っているのではないか。恐らく新年度に入りますと国も大きく政策を入れ替えてくる可能性がありまして、このタイミングを捉えて我々もその政策の飛躍的なバージョンアップというものを考えるべき時期ではないかと考えております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)少子化についての質問をしたところでした。私、先ほど生物学科だったという話をしたのですけれども、前にもこんな話をしたことはあるのですけれども、人間は、あるいは動物は、あるいは植物は、豊かになってくるとといいますか、生育環境がよくなってくると、いわゆる食料ですね、食料が豊かになってくると子供をつくらなくなってくる。これは生物学的なプログラムが入っています。植物もそうです。同じように肥料を与えれば与えるほど植物は大きくなりますけれども、種はつくらない、そういったことが起こるのですよね。ですから、そういった食物が足らないとか、いわゆる飢餓のところの国が子供がどんどんどんどんできる。それはこれの原理にまさに当たっているわけです。  日本は、豊かな国になってきて、子供の数が減ってきた。おまけに農耕社会の時代は子供は労働力でしたから、子供はありがたいものでした。どんどん増やさなければいけないものだったのですが、今の社会は残念ながら子供はリスクなものになってしまって、子供を抱えると仕事ができない、あるいは自由な時間がない、そういう逆にリスクという形での国民の間に、あるいはマインドが県民の間にできてしまっている。このことをやはり変えていく必要があるなというのが私の思いです。  特に教育費の問題は、やはり大きく大きく係っていて、例えば今の大学生が卒業して、400万円の奨学金を抱えて卒業します。この400万円の借金を返すためにとても結婚など考えられませんという方たちが実はたくさんいるのですよね。また、子供をつくる上で、1人産んだけれども、2人目はとてもではないけれども、大学に行かすなどということは、2人行かせられないという人たちもやはりあるのです。だからそういった意味で、これは鳥取県の政策だけに限りません。やはり国としてこの教育費問題をどうやっていくのかというのは大きな課題だと思います。ぜひこういったことについても議論を進めていただきたいなという思いであります。  先ほど知事のほうからは未婚の問題をお話しされました。出会うチャンスがない人たちが増えていると、こういったことです。  今日、資料を議長の許可を得まして皆さんに配付しております。ちょっと見ていただけないでしょうか。図表1、生涯未婚率、50歳時点で婚歴なしの割合の推移というグラフです。私は、1988年に結婚しました。当時は未婚率というのは5%ぐらいだったのですが、90年時点から急激に上がっていきます。ここのグラフでは2015年の数字が男性で24.2%、女性で14.9%ですけれども、2020年の数字を申し上げます。男性は2020年が28.3%、女性が17.8%です。男性は3.5人に1人が今50歳時点で婚歴がありません。3.5人に1人です。女性は5.5人に1人が実は婚歴がない、そういった状況になっているということです。  図表2を見てください。私は、結婚しない選択は当然あると思っているのですけれども、結婚したいのにもかかわらず、結婚できないということがもしあっているとしたら、これは大変なことだということで、図表2は18歳から34歳で一生を通じてみていずれ結婚するつもりという人たちのグラフです。ほぼ変わりません。9割ほどの人たちは、いずれ結婚するというふうに考えていたのですが、だんだんだんだんいつの間にかチャンスもない。それから例えばこの90年代から急激に非正規労働者が増えていくのですけれども、若者の非正規労働によって、300万円の壁とか、いろいろあるのですけれども、そういった形で結婚できないというふうに考える人たちがどんどんどんどん増えていく。その結果、この今2022年時点で28.3%、17.8%という数字が出ている。このことが私は日本の社会を大きく変えてきているのではないか。結婚しない選択は当然あると思いますし、そういうことだと思うのですけれども、結婚したいのに結婚できない、こういった人たち、もし結婚していたら子供もできていたかもしれない、そういうふうに思うと非常に残念なところになっているわけです。  そこで図表3を見てください。日本における18歳から34歳の若い男女の交際相手がいない割合の推移です。今、急激に交際相手がいないという方たちが増えています。これは2015年で男性で7割、女性で6割、交際相手が現在いないという人たちです。  さっきの図表1番に戻ってもらって、28.3%の男性が婚歴なしなのですが、このうちの7割は実は女性と1回も交際したことがないという人たちだそうです。  図表4を見ていただきたいです。一生独身でいることを決意、覚悟した後、結婚したいと思うようになった理由。1回はもう自分は結婚しない、そういうふうに思ったけれども、途中で考えが変わったという人たちはやはりいるわけです。そういった人たちは何が原因だったかというと、男性は寂しくなったという人たちが25.8%。それから女性は老後を1人で生活することが不安になったからという人たちが35.3%。これは年代が上がっていくとどういうふうになっていくかというと、男性も女性も年齢が上がっていくたびに老後1人で生活することが不安になっていくと。年齢が上がれば上がるほど老後1人、先ほど孤独死の話をしましたけれども、1人でいることが怖くなってきて、もう一回結婚に挑戦したいと思うようになっていると、こういうことです。  そこで、この未婚問題をどういうふうに考えていくかということなのですけれども、先ほど知事は今後考えていきたいということをおっしゃいました。  そこで鳥取県の場合、バブル以降急激にこの未婚の方々が増えているのですけれども、未婚増加の原因について知事の所見を一つ求めたいと思いますし、現在鳥取県は、この結婚問題をとっとり出会いサポートセンターのえんトリーに丸投げみたいな形に実はなっているのですけれども、現在結婚する方の一番多い割合がマッチングアプリだとか、ネットを通じて出会った人たちで結婚するという割合が非常に増えています。今までみたいに近所の仲人おばさんだとか、そういった方たちはもう消えてしまいまして、またいわゆるかなり近い親戚でさえおまえのところのはまだ結婚しないのかなどということを言うことはもう全くできないことになっていまして、1人で自分でこのネットにアクセスするしかもう実はないことになっています。  そこで、鳥取県がやっているこのえんトリーをもっともっと私はこれを充実していかなければいけないと考えているのですけれども、えんトリーのこれまでの実績、課題について知事にお尋ねをいたします。  また、独身者の先ほど7割に交際経験がないと言ったのですけれども、いわゆるこれはコミュニケーション力が私はないと思うのですよ。例えば、男性でも、40歳、50歳になっても結婚する方たちは結構あるのですけれども、それはいわゆるバツ1の人たちなのですね。男性で40歳、50歳になっても結婚できる人たちというのはバツ1の方々が結婚される可能性は非常に高くて、1回も結婚したことのない人たちというのは残されてしまうのですよ。これはやはりコミュニケーション力がなくて選ばれないと、こういうことになっているのではないかなと思うのですけれども、そういうことを考えると、この婚活イベントだけではなくて、コミュニケーション力も養うような何かそういった事業をやっていかないとこれはもう駄目なのではないかと思うのです。この縁結びの実績を増やすための方策として何が必要かということについて知事の所見を求めます。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員から重ねてのお尋ねがございました。未婚対策といいますか、結婚対策、これについて今後何が必要なのかという観点であります。  これはおっしゃるように、やはり非常に重要なパートを占めると思うのですね。ただ、割と政策的には少し後回しにされてきた部分ではないかと思います。全国的に見ますと茨城県がこの先頭を走ってやったというふうに言われていまして、平成13年からこういう婚活事業に県が乗り出しています。元は平成9年から茨城の労福協さんの結婚相談というベースがありまして、この中で県として前向きに取り上げていこうということになったようです。  全国的にはどうかというと、結構この婚活的な話というのは、結婚相談所という民間の事業者が片方である。そういうものの民業圧迫になるとか、それからそうした結婚の縁結びということに公が乗り出していいのかどうかとか、そういうそもそも論などもありまして、なかなか広がらなかったところでありました。  本県は、平成20年にやはりこうした少子化という状況も念頭に置きながら、最初にそういう縁結びに向けたイベント支援だとか、そうした婚活に関わる事業をスタートさせて、いろいろ紆余曲折ございましたけれども、やはり直接マッチングをしなければいけないとして、平成27年からえんトリー事業というものを法人会のほうに委託をしながら始めたところでございました。東部、西部で始めて、中部も加わり、だんだんと今増やしてきております。  特に最近少し効果が出たかなと思われるのは、縁ナビというふうに呼んでいますが、縁結びのナビゲーター、いわゆる仲人役ですね、この方々を動かすようになりまして、これで昨年度は過去最多、36組ということになり、そのマッチングがうまく進んだのも200件ぐらいで、最終ゴールイン36組まで行きました。これは過去最多になりました。今実績としては、そういうふうに徐々に上げてはきたり、浸透はしてきてはいるのですけれども、ちょっとやはりコロナで加入者が少し伸び悩んだりしたこともありましたし、やはり今登録されているのは男性が圧倒的に多いですね。女性の倍ほどは男性であります。700名余り、800名近く今登録されていますけれども、500人以上は男性であります。その辺はだからもっと市町村と一緒に掘り起こしをしたり、あるいはどうしても県の事業ということもありまして、県内中心でありますけれども、県外の交際ということも当然あり得るわけですよね。そんなに大きな県ではありませんので、うちの場合は。  そういう意味で今模索をしておりますのは、島根とか岡山と共同でこういうことをさらに進めましょうと。これまでも島根県のしまコさんという事業はあるのですが、こういうものと一緒にやることを始めてきておりますが、そういう婚活イベントも花回廊のほうでさせていただいて、これを新年度以降また本格的にやっていく準備に入りました。  岡山もやはり知事同士で話をしまして、婚活イベントなどいろいろ手を組んでやっていこうと。こちらも花回廊でテストイベントをさせていただき、新年度以降本格化していくというようなことを今もくろんでおります。  いろんな要因がこの未婚が増えていることにはあると思います。これについては慶應大学の津谷先生とかが分析をされていますと、やはり女性の高学歴化が進んできて、それでなかなか、先ほどの先送りの問題というものも起きてきているというようなことも言われます。  社会保障・人口問題の研究所のほうでも分析をされると、いわゆる結婚のメリットというのは総体的に低くなっているのではないかということを言われたりする。先ほど社会の目ということを言われましたが、昔はやはり結婚していることで初めて何か社会的ステータスとか信用力ということがあったわけでありますが、そういうものが今薄れてきているということを人口問題研究所のほうで言われたり、それから結婚のメリットというものも総体的に減ってきているということも言われております。  そうしたようなことはいろいろとある中で、そうはいっても議員がおっしゃるように8割以上の人は結婚について肯定的に考えておられる。ですからチャンスに恵まれないと、56%の方が結婚相手、いいパートナーに恵まれないから、出会わないからということでありまして、実はそうしたマッチングの機会を利用する若い方々は増えてきています。リクルートさんなどが全国調査をしますと、年々やはりそうした結婚相談といいますか、マッチングサイトやマッチングの仕組みの利用者は増えてきていて、今これも過去最多で、3分の1ぐらいの方々が実は利用されているようになってきています。  その中でやはり公的な出会いの場というものに安心感があるのだと思いますが、これを望まれる方というのもやはり3割近くまで増えてきています。こういうようなことを考えれば、やはりもっと踏み込んでいくべきなのだろうと思うのですね。議員のほうからも御指摘がございましたように、アプリなども本県も開発していってもいいのではないだろうか。あるいは市町村とタイアップをして掘り起こしを図っていったり、縁ナビというそういう仲人役というものも、やはりどうしてもちょっと領域としてはやはり引っ込み事案になりますよね。なかなかちょっと誰かが背中を押してあげて初めて、では、ちょっと本気で考えようかなというふうになるということもありますし、そういうきっかけというのがやはり必要なのかもしれません。そういう意味でそういう縁ナビさんの活用だとか、他県との連携ということが考えられようかと思います。  議員のほうでおっしゃる婚活力といいますか、コミュニケーション力、これについては本年度もえんトリーさんに委託をしましてブラッシュアップセミナーをやっております。参加者もちゃんとおられまして、皆さん問題意識も持って参加をしていただいていると思いますが、こういうことも含めてやはりもう少しこの婚活事業というのを正面から捉えた対策を県としても考えていかなければいけないと思います。えんトリーさんもいろいろとノウハウはつけてこられていまして、市町村だとか、関係機関、あるいは他県とも協力をしながらより強力に展開をしていく必要があるのではないか。これによって結婚の先送りというのをできる限り小さくして、これが恐らく出産の機会、そのさらに適正な時期まで戻してくることにも貢献するのではないか、少子化対策になるのではないか、こういうふうに考えております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)知事のほうから、結婚にメリットが少なくなってきているという、そんな研究結果があるというお話でした。知事がおっしゃるように、私の結婚した時代、結婚したということを言ったら、やっとおまえも一人前になったなとか、そんなことを言われた時代でありました。確かに結婚したからといって一人前になったなというようなことは言わなくなったなということは本当に思います。  実は経済的なメリットはすごくあるのですよね。1人で生活しているところが2人で生活すると、これは物すごく経済的にメリットはあるのですけれども、そんなことは全く報道といいますか、流れませんから、結婚のメリットはないのだ。時間を取られる。また、いろんな人間関係の間でいいときもあれば悪いときもいっぱいあるのだよみたいなことばかりで流れて、そういったことが結婚の障害になっているということもまさにそうだと思います。  また、婚外子の話がさっき知事のほうからありました。日本の社会は、過去から婚外子の方々が大体2.5%から2%ぐらいな割合でしかおられないということで、社会として婚外子を認めないような空気がずっと過去から続いているというのは現状であります。そういう中にあって、フランスとかの例を出されましたけれども、確かに婚外子を認めていくということが社会としては私は必要だと思っています。そうすれば子供も増えるのではないかということもあるかもしれません。  しかしながら、今独り親の世帯がほぼほぼ貧困になっているこの状況を考えれば、今の社会の仕組みの中で婚外子をどんどん認めていくということには今の社会の中では難しいところがやはりあるのではないか。子供の絡む場面では、やはり難しいというところがありますので、これはそちらとセットで、先ほども子育ては社会がするものだというふうに世の中が変わっていく、そういう状況も含めてセットで婚外子も認めていくということを今後やはり日本社会の大きな課題だと思っていますので、今後国で検討されてほしいなというふうに考えている次第です。  あと、えんトリーでやっていただくような事業ですけれども、先ほどコミュニケーショントレーニングが必要だというふうに言ったのですけれども、またこれは後で美術館の話でもしたいのですけれども、これは美術館で対話型観賞がこれにはぴったりかなと思っていますし、それから家族向けのプログラムも私は必要だと思っていまして、今日質問するに当たって本を3冊ぐらい読んだのですけれども、一つ、今日の資料にも出しています。「データで読み解く「生涯独身」社会」というこの天野馨南子さんが出された本の中には、過干渉の親が子供の結婚を邪魔しているというようなことを書いていらっしゃいます。特にモンスターペアレントが出現したことによって大きく社会が変わってきて、子供の結婚を邪魔している。いつまでも子供として囲っていたい、こういった親が増えている。また、それによって、子供部屋おじさんという言葉が書いてあったのですけれども、子供をずっと家に囲ってしまって、生まれたときからずっと子供部屋で過ごしていって、そのままおじさんになってしまうという人たちを子供部屋おじさんと言うのだそうです。そういったことも起こっているということで、家族向けのこういったことも私は必要ではないかなというふうに思っていますので、そういったことも知事には頭に入れておいてほしいなということを申し上げておきます。  次に、教育について質問をしたいと思います。  この「しあわせ」についてというふうに今回考えていますので、話をしていく上で教育の目的についてということで知事と教育長に所見を求めるということで通告していたのですけれども、ちょっとこれは省きまして、失敗の奨励というところをちょっと質問したいと思います。  教育の問題についてですが、最近失敗とか、不正解、先生の持っている正解と自分が考えている正解が違うのではないか、そういったことでその失敗を極度に恐れる子供たちが増えているというふうに聞いています。  先生が用意していた答えと自分の考えが違っていたらクラスのみんなにどう思われるだろうかとか、いじめられたりばかにされたりしないだろうか、そういったことを過度に気にする子供たちが増えている。確かにうちの子供もとにかく小学校、中学校で目立ってはいけないと、もうとにかく人と違うことをしてはいけないと、そういったことでとにかく人と同じことをしなければいけないということで、もうとにかく目立つことは駄目だみたいなことを言っていたのを思い出しています。そこで、それが結局ひいては自分の考えと他者の考えが違うのではないか。それをとにかく一緒にしなければいけないというようなことがどんどんどんどん入っていって、自らの考えを率先して発表しないだとか、そういったことにつながっていると思います。また、12年間の小・中・高の学校で直接こうしなさいといって先生から指導されるわけではないのですけれども、自分では考えないとか、そういったことが先生が答えを言うまで待っている、そういったことをいつの間にか体得している、そういったことにつながっているのではないかなというふうに考えています。  また、みんな一緒にという指導の下で、みんなが同じ答えになるような、あるいは考え方さえも同じになるようにいつの間にか誘導されている。そういったことがまさに均質な子供をつくる装置に学校がなっているのではないかとさえ考えている状況です。  そういう中にあって、先日、ミャンマーで長年にわたって無償の医療活動をされている吉岡秀人医師という方がいらっしゃいまして、この方のNHKの「最後の講義」というテレビ番組を見ました。もう何年にもわたってミャンマーで無償の医療提供をされているのですけれども、そういった中で吉岡医師は、本当の失敗は行動や挑戦をしないこと。目的を達成するよりもそれまでのプロセスに意味があるのだと。行動しないこと、あるいは考えないことによって、そのプロセスが失われてしまうということで、まさに私はそのとおりだと思います。結果的に失敗するかもしれないけれども、挑戦するということによって、そのプロセスが大事なのだということをおっしゃっています。学校現場での試行錯誤あるいは挑戦、失敗の奨励が特に求められていると考えますが、教育長の所見を求めます。  現実社会の中では正解は存在しません。限りなく白に近いグレーから黒に近いグレーまで全てグレーであります。そんな中で社会の要請は、個性を持って様々な視点で物事を考え、最適解を発見・選択できる人をつくることではないかと考えますが、教育長の所見を求めます。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から重ねて教育の目的に関するような質問として、挑戦、試行錯誤あるいは挑戦と失敗の奨励というふうな観点、そしてまた様々な視点で物事を考え、最適解を発見・選択できる人材を育成することについてお尋ねをいただきました。  おっしゃるとおり、かつて指示待ち族という言葉が社会を一世風靡いたしました。周りと同じことを行っていれば大丈夫だし、それから周りの大人から指示を受けること、それが正解なのだろうし、大きな間違いではないこと、そういう中で子供たちの自主的な、あるいは独創的な考え方が制御されてきたというふうな歴史、背景もございました。  それは学校現場でいえば、ある意味授業の中で一斉授業が、教員が教壇に立ってこうだこうだというふうに朗々と述べる、そのことをただひたすら聞く、書く、そういうふうな学習環境があったことを私も思い出しますが、今大きくそうした学習スタイルが転換していることは議員も御承知ではないかと思います。アクティブ・ラーニング的な学びと言ったり、あるいは探究的な学びという形で子供たち同士が互いにテーマ、課題に対して議論を重ね、そしてどうすれば解決できるのかというふうな課題解決型の学習が進められているところでございます。  そういう中で議員から御指摘のありました失敗、そして挑戦というふうな観点、例えば今、米子東高校でも合い言葉は御存じでしょうか。「打って出る」。ちょっと私も驚いた感がありましたが、子供任せであった学校がどんどんと社会に、またそうした舞台に打って出るということを合い言葉に様々な研究会や発表会または大会等に参加をしていらっしゃいます。  また、この秋、倉吉でありました日本女性会議で初めて高校生チームが数チーム参加しました。その中に倉吉西高のチームがLGBTについてのテーマ発表を行ったわけですが、指導助言者であった東京大学の上野教授からその後、本当に自分事としてあなた方は捉えていますか、友達から打ち明けられたらあなたはどうしますか、こんな厳しい御指導を仰ぎ、その子たちも精いっぱい考えた発表だったのですが、その指摘に舞台裏で大泣きをしておりました。でもそのことが改めて自分たちの考えのやはり浅さといいますか、足りなかった部分に気づいて、本当に探究するとは、あるいはこの問題を掘り下げるとはということで、その子たちは新たなそれをエネルギーとして今後に向かっていこうという、そういう決意をお聞きしたところでございます。まさしくトライ・アンド・エラーの精神を象徴したそんな一風景だったなというふうに思っているところでございます。  これは先ほど申しました探究的な学びがチームで考えたり、友達と切磋琢磨しながら、ああでもない、こうでもない、議員がおっしゃる解のないところに自分たちで解を見つけていこうとする取組の一つの例、一端でございますが、そうした探求上の失敗を繰り返しながらこの新たなチャレンジに向かっていく。私も挑戦という言葉は座右の銘にしているくらい、挑戦なくして成果は絶対に得られない。そこには怖さもあり、また涙することもあるでしょうが、子供たちがそうした失敗を恐れない姿こそ、これは探究的な学びだけではなく、部活動でも得られることではないかなというふうに思っているところでございます。ぜひそうした子供たち、生徒たちの挑戦心を育めるようなそんな機会の創出を今後もしっかりつくってまいりたいと思います。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)教育長の答弁に心強い気持ちになりました。  本当に子供たちが直接的に学校からの指導で挑戦を怖がっていく、あるいは失敗を恐れていくということではないのですけれども、子供たちが生きていく中で自分たちはいつの間にかそれを体得してしまっている。そこのところが私は大きな大きな問題なのだと思うのです。先生はそんな気は全然ないのだと思うのですよ。ですけれども、結果的に子供たちがそういったことになっていっているということは、学校システムの中にそういった問題をはらんでいるのではないかなと思うのですよ。だからそのことについて実はどうしたらこれを変えられるのかということをやはり真剣に私は議論していただかないと、要するに今の仕組みの中では予定していないのだけれども、結果的に生まれてくる副産物みたいな感じで実は子供たちは自然に体得している状況だと思うのですね。このことが一番問題だと思うのです。それはやはり内部でよくよく何でこんなことになっているのかということはぜひ考えていただきたいなということを申し上げておきます。  次に、学校スポーツの件で質問をさせていただきます。  これもさっきの話と同じようなことにつながっていくのですけれども、1月30日の新聞には、スポーツの暴力相談が最多だったということで出ておりました。体罰は減っているけれども、スポーツの指導の中での暴言は増加傾向である、こういったような見出しでありました。私は、このスポーツ、非常に大事だと思うのですけれども、そこで結果が出るわけですよね、スポーツは。勝ち負けで結果が出ます。勝者はたった1人です。例えば市の大会でいっても、市の中ではたった1人あるいは1チーム。県の大会でも最終的に勝者は1人あるいは1チームです。それが全国大会に行って、たった1人の勝者になるわけですね。あとは全部敗者なのですよ。全部敗者です。その敗者になったときにどんな教育的効果が得られるのか、そこが学校スポーツの私は一番のポイントではないかと思うのです。確かにすごい選手を育てていく選手強化ということは一方にはあると思うのですが、学校でやる意義というのは、先ほど挑戦の問題を言いましたけれども、この負けたときにこれまでやってきたプロセスがいかに自分たちのためになっているかが実感できる、そういったことがないことには学校でスポーツをやっている意味は私はないと思っています。  そこで今、働き方改革の下で、学校スポーツの外部委託、外部化がどんどん進んでいきます。そこで外部化すると、その外部の指導者の方々の評価は、これはいい成績を残すことでしかないのですね。教育的効果があるかどうかとかということについては、その外部指導者は評価されないのですよ。そうすると私はこのことがちょっとずれてくるのではないかなというふうに思っていて、特に親御さんたちは、この成績が出る、選手強化をされて大会でどんどん勝って上に上がっていくということについては物すごくこれは同調されていく、そういった同調しやすい空気が保護者の間にもいっぱいあるのです。そういったことになってくると、いわゆる外部指導が進むことによって学校スポーツの中に今以上に勝利至上主義ということがばっこするのではないかということを危惧しています。私は、この勝利至上主義を含めて暴力・体罰は学校スポーツからなくすべきだということを考えていますが、改めて学校スポーツの意義を教育長にお尋ねします。  また、あわせて、外部化の中でそれをどう実現していくのか、教育長にお尋ねをいたします。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から重ねて学校スポーツの意義という観点でお尋ねをいただきました。  冒頭にお話がありました勝利至上主義という言葉、そしてまた勝者は1人、敗者、負けるということの意味、私もかつてそうした指導者の一人としてこの経験を重ねてまいりました。15年間の指導経験の中で、夏、最後の勝者となったのは私も一度きりでございました。あと14回は負け続けていたことを思い出します。その14回の負けにどんな意味があったのかを子供たちと共に考えること、それはプロセスこそその結果をしっかり受け止めて、次なる人間関係ですとか、あるいは生き方につなげていく、そういう意味で私自身も大切にしてきたところでございます。  ただし、勝利至上主義は私もどうか、駄目だなとは思いますが、勝利を目指すことは非常に人生において大事なことであり、そのために自分に今足りないことは何か、また今何をすべきなのか、そして仲間と共にできることは何か。その勝利という目的を目指す上でこれは、目的、目標ですかね、上でしか得られないことも多々あるだろうということを、これはラグビーにおいても、サッカーにおいても、やはりその一つの目的に向かって、目標に向かっての取組ということには大きな意義があろうと思います。  ただし、一方で、議員から御指摘のありました暴言ですとか、もちろん体罰は許されるべきことではなく、そうした相談がまだなくならないことや実態としてそうしたことがあったこと、全国の強豪校で次々と明らかになっているようなことが新聞にも出ることは非常に私も経験者として悲しく、切なく思っているところでございます。  中学校の部活動が外部委託の方向で動いてはおりますが、その担当をしていただくような方についてもその点、この学校におけるスポーツの意義、部活動ではなくなっても子供たちにおけるスポーツや文化活動の持っている意味をしっかり伝える研修会等は計画をしておりますし、12月に出ました国のほうからのガイドラインにもそのことは明確に明記されているところでございますので、勝利至上主義に走らない。ただし、勝利を目指す中で子供たちと共に学び、考え、体現できること、そのことをしっかりそうした関わっていただく多くの指導者の方々、これは教員も含めてではございますが、大事にその視点を持った取組となるように進めてまいりたいと思っております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)教育長から甲子園を目指した経験を基にお話をいただきました。まさに教育長のおっしゃるとおりだと思います。  ぜひ、その勝利を目指してやっていくということは非常に大事なことだと思います。例えば箱根駅伝の青学がずっと連覇をしていた何年かがありました。これは私はいわゆる大学駅伝の練習とか考え方を大きく変えてきた青学の優勝だったと思います。また連覇だったと思います。それは何だったかというと、今まで、何でもかんでも指導者の言うことを聞いて、指導者のとおりに何でもかんでも練習していくという考え方から、そうではなくて、自分たちで何が足りないか、どうしたらいいのかということを選手たちが自ら考える。そのことによって青学が強くなってきたということが報道をされておりました。  自分のことといいますか、米子東も復活したのは、自分たちは今何をすべきかということを選手自らが考える、そういったことを監督が指導していって、そのことによって久しぶりに復活して甲子園に行けた、そのことだと思います。  要するにこれまで長い間スポーツでどんどんどんどん勝っていくところは、すばらしい指導者がいて、その指導者のスパルタ訓練によって何でもかんでも言うことを聞いて、その言うことを聞かなかったら駄目なのだというような世界から、自ら考えてどんな行動をすればいいのかということを一人一人が考えるような、そういったスポーツ指導に今変わってきつつある。このことがすごく重要なことだと思いますので、ぜひそのことを徹底していただきたいなと思うことと、先ほども言いました外部化によって私は勝利至上主義がもう一回がんと出てきて、なおかつもう一度指導者が自分の言うことを聞かないやつは使わないとか、いろんなことが起こってしまう、外部化によってそんなことがもう一回起こってしまうのではないかという非常に危惧があります。ぜひそのことは教育長も、外部化が今後進んでいきますので、どういったことになっていくのかということをぜひ見ていただきたいですし、どうやってそれを防ぐのかについて今考えがあればお答えを願いたい。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から学校スポーツの在り方について重ねてお尋ねをいただきました。  米子東高の例、そして青山学院大学の例を引き合いに出されながらのお話でございましたが、おっしゃるとおり今大きなスポーツの世界もそうした方向転換をなしてきているところでございます。全国で名立たる学校がたくさんあるわけですが、指導者の考え方一つで子供たちがどういうふうに動いていくのかということが変わってきます。  その一つに、やはりおっしゃるとおり子供たち自身がどうすべきなのかを考える、このことは大きな今基礎になってきているように私も思っております。強豪チームはたくさんあるわけですが、駅伝にしろ、野球にしろ、サッカー、ラグビー、陸上、一つ一つ全てを取ってもそうした個々に自分の足りないところを考える姿勢というものが大事にされてきていることはあります。ぜひその辺りの考え方を広めていくように努めたいと思っておりますし、また外部化に伴うその防止につきましても子供たちをどう育てるのかという視点が、単なる競技の指導者ではなく、子供たちの育成がまず大前提であること、だから休ませるときは休ませる、これも指導者としての大きな使命だろうというふうに思っております。その辺りの子供たちに関わるという部分での視点をまずしっかりベースにした研修であったり、あるいは指導の在り方をしっかり徹底していけるような鳥取県にしていきたいというふうに思っております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)ぜひそういった形で。結局それが私は子供たちの挑戦、またそれが自分の頭で考える、そのことによって実は子供たちの幸せにつながっていくのだというふうに私は考えているところであります。  次に、朝鑑賞について質問をいたします。  12月議会でもこの朝鑑賞について質問をしたところですし、先日は埼玉県まで視察に行っていただいたということで、大変ありがたく感じております。  校内暴力だとか、いじめとかといったことについては、いろんな対策が取られてきました。これは目に見える形でそういったことが起こるために、そういった表面に出てくるものにいろんな対策が取られてきたというふうに思います。  ですが、私はこれはいずれも対症療法だったなと。私は、何でこうやっていじめが起こるのか、何で校内暴力が起こってくるのか、あるいは不登校についても何で不登校になってくるのかといったことの対策が根本から打ててこなかった。単なる不登校だったら学校に戻すということを考えるということで、学校は変わらないけれども、子供に変われみたいな形での対策が何らか取られてきたということでしかなかったかなというふうに思っています。  いじめもこれだけ大問題だということになっているのにもかかわらず、子供たちの間にはいじめがいまだになくなりません。私は、これもいじめはやはり、先ほども何回も同じ話しをしてしまうのですけれども、均質な子供たちをつくっていく中にあって、ちょっと違うことを捉えて、子供たちはそれを違いを捉えていじめになっていっている、私はそういうふうに考えています。それをもともと違いがあるのだよという子供たちの社会にしないことには、幾ら表面的ないじめを押さえつけても絶対に出てくる問題だと思います。  そういう中にあって、このいじめのことに私はつながる話だと思うのですけれども、先ほどミャンマーで無料の医療をやっておられる吉岡医師の話をしたのですけれども、吉岡医師はこういうふうに言っておられます。「自らの感性でしか他者を想像できない。自分の経験でしか他者を想像できない。他者の痛みは絶対に分からない。いじめた相手の痛みなどは絶対分からない。ゆえに、自分を大切だと思えない者に他者が大切だとは思えないと。自分が大切だと思っている人にしか人は大切だと思えない。自分の人生を大切にし、自らの存在・価値が貴いと思わなければならない。子供一人一人に対して君は大切な人だよいうメッセージを伝える必要がある。」というふうにテレビの番組の中でおっしゃっていました。まさにそのとおりだと思うのですね。子供たちの間で全然考えもしないうちにいつの間にかいじめている。相手のことの痛みも全然分からない。そういった中であって、表面上いじめをなくそうという話をしても、これは幾らあってもいじめはなくなりません。
     そういった中にあって、また一方で、教室には黙って椅子に座って、校内暴力もしないし、それから不登校もしない、いじめもしないけれども、ただただ教室の中にずっと座って黙っている子がいます。多分どの教室にも必ず1人、2人いるのだと思います。私の経験もそういった子たちがいました。この子たちは、日がな一日先生の言っていることは分からないなと思いながらも外を見て時間が終わるのをひたすら待っていって、授業を邪魔しませんから先生はその子に対して具体的な何らかのアクションを起こさない。そういった形でその子たちは実はずっと置いてきぼりにされてきました。  そういった子たちが、私は、前回から提案しているのですけれども、今回提案している朝鑑賞という、こういった取組をすることによってそんな子たちが先生との関係を取り戻し、あるいはクラスの中での子供たちとの関係を取り戻し、またさっきも言っていたいじめをしている子供たちの間の関係もまた取り戻していく、コミュニケーション力を取っていく、そういったことが大きな大きな武器になるのが私は朝鑑賞ではないかなというふうに思うのですが、また、いじめの防止の具体策として、みんなの考えが違うこと、あるいは違うことが貴いこと、お互いの違いを認め合うこと、そういったことがこの朝鑑賞だと思うのですけれども、私はそういったことにつながっていく本当に夢のあることではないかなというふうに考えています。  特に一番効果があるというか、最終的には何か成績が上がるなどということもあるのですけれども、私はさっきも言った教室に1日6時間ずっと座って黙っている子、この子がしゃべって授業に参加していく、このことは私はすごいことだと思うのです。このことがこの朝鑑賞で一番すごいのではないかなと私は思っているのですが、朝鑑賞がそういった形の具体策になっていくのではないかと考えますが、教育長の所見を求めます。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から朝鑑賞につきまして重ねてお尋ねをいただきました。皆の考えが違うこと、あるいはお互いのその違いを認め合うことの大切さにもつながるそういう取組ではないかという御指摘でございました。  お話にありましたように、12月議会でもこの森議員からの御質問に対して、その意義ですとか効果等についてはお答えをさせていただきました。  今回その御質問も受けて、埼玉県坂戸市にあります桜中学校というところを武蔵野美術大学の三澤先生のちょっと御助力もいただきながら訪問させていただきました。百聞は一見にしかずというまさしくそのとおり、子供たちが朝の僅か10分間でありながら、それぞれの思いを一つの絵画を通して自分の感じたこと、考えたこと、そしてまたその発表を周りの人の発表もしっかりと受け止めながら、そこで非常に温かい時間、そして、ああ、こんな見方もあるのだね、こんな受け止め方があるのだねというふうなことを共有されていらっしゃる、そんな現場を拝見することができました。このことが議員から御指摘がありますいじめでありますとか、あるいは逆に教室の中で置いておかれているであろう子供たちが自分の存在感や存在意義をその絵を通し、また鑑賞を通して発言していくこと、そしてまたその周囲の子供たちがそれを認め得る機会になること、そうしたいい仕掛けではないかなということを改めて実際に見させていただいたところで感じたところでございます。  鳥取市の桜ヶ丘中学校でもそういう、桜咲タイムと言っておりますが、そういう一つのテーマにお互いに意見を交わし合って正解を求めない、そんな取組をしていらっしゃる例もございます。  また、この朝読書の時間をそうした朝鑑賞だったり、スキルタイムといったような形で変えていくこと、いろんな仕掛けがやはりそこは取れるのではないかなというふうに思っているところでございます。つまり子供たちが自分の存在感をしっかりとそこで発揮できるような機会、その一つにこの朝鑑賞の場はなり得るものではないかというふうに思い、そうしたことを広めていくための先生方への研修も今既に行っておりますが、これが実際に現場の子供たちに、子供たちの幸せのために届くような仕掛けというのが今後進めていくべき課題ではなかろうかなというふうに思っているところでございます。ぜひ今回の視察も含めて、また議員から御指摘をいただいた点も含めながらこの朝鑑賞の在り方を各市町村教育委員会のほうとも話をしながら、その方向性の検討をしっかりしてまいりたいというふうに思います。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)私は、教育の意義、目的とかというのは、よりよい人生を送るための基礎力、それは自分で考え、判断、行動、責任を取ると、こういうことだというふうに考えてきましたが、最近この上にコミュニケーション力といったことも大きなファクターだと思ってきました。  特にそのコミュニケーション力というのは、幾ら本を読んでも、人から話を聞いてもこのコミュニケーション力は育ちません。自分から話をしないことには育ちません。これは自転車に乗ること、どんなに本を読んでも自転車には乗れません。人からどんなに指導されても自転車には乗れません。自分で何回も転んで、試行錯誤しないと乗れません。コミュニケーションも人と何回も話をしないことには、コミュニケーション力もつきません。そういった意味で子供のときからこのコミュニケーション力というのを育てていく大きな大きなこのツールになるのだというふうに私は期待をしています。  もっともっとこういった朝鑑賞について早く知っていれば、もっともっと早く紹介できたなと思うのですけれども、もう私は今からでも十分遅くないと思っています。ぜひ二十世紀梨のように、松戸で生まれた二十世紀梨が鳥取県で花を開いたように、埼玉県で生まれたこの朝鑑賞が鳥取県で花を開いていくということを私は妄想をしております。ぜひともお願いをしたいなと思うところであります。  それで朝鑑賞で、その延長上なのですけれども、私はこの対話を通してコミュニケーション力が人を育てるというふうに思っていますし、それから実は全ての教科のハブにこの朝鑑賞がなれるのではないのか、朝鑑賞や図工が全ての教科のハブになれるのではないかなと思っていまして、先生方の間でも授業を考える上でこの朝鑑賞といったことが非常に重要、先生同士のコミュニケーションツールにもなるのではないのかなというふうに考えていますので、ぜひとも御検討をお願いする次第であります。  午前中最後に、「しあわせ」とは何かということで最後に質問をしたいと思うのですけれども、先ほど紹介した吉岡秀人医師は、なぜ無償の医療提供を続けるのかという問いに、他者のために生きるということは自分のために生きるということだと。最も人を幸せにした人が最も幸せになれるというふうに番組最後で語られました。これは仏教用語の利他、他人を利する、利他ですね、それからことわざの情けは人のためならずといったことに通じるものだというふうに思います。  今日、質問の中で「しあわせ」というのは人間関係の中でしか生まれない。人と人とが接し合うことによってオキシトシンというホルモンも出てきて、それで幸せになれるのだというような話もしましたけれども、自分以外の他者と共によりよき人生を生きること、それが私は幸せなのだというふうに思うに至りました。  行政並びに教育はともに個人が幸せに生きるための手助けをすることということが私は究極の使命だと考えているのですけれども、知事、教育長に所見を求めます。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員から重ねてお話がございました。吉岡秀人さんのお話だとか、あるいは生物学的なアプローチ、非常に含蓄のあるお言葉を賜ったと思います。  私も思い起こしますと、自分の中心にあるのは幸田露伴の幸福三説という考え方であります。すごく難解で、書生の議論にもなっているものでございますが、露伴は幸福には3つあると。  それは段階を追っていくわけでありますが、単に幸せを自分で楽しんでいるだけというのは非常に浅はかといいますか、価値を置いていないのですね。  まずは惜福という、福を惜しむ、これが重要だと。なぜか分からないけれども、自分の経験では福を惜しむ人が本当に幸せになれると。これは自分が与えられた、あるいは見いだしたそういう福を全部使い切るのではなくて、ある程度使い残しながら生きていくということですね。慎み深い、何か日本的な考え方かなとも思います。  2番目に、それよりも若干高いのが分福という言葉であって、自分が得た福を分けるものだというものであります。スイカに例えて露伴は説いているのですが、自分の手にした甘いスイカ、それを自分で食べ尽くせるわけではなくて、それを周囲の人と分かち合うこと、そこにより高い幸福というものがあるということです。  最大の幸福、一番高い幸福は植福であると。福を植えるということですね。まさに先ほど二十世紀梨のお話がありましたが、果樹であればそれを今私たちが植える。それがいずれ時代がたって、そこからたくさんの実がついてきて、それをまた幸福を受け取る人たちが社会に生まれてくると。これこそが最も高い福の在り方ではないか、そういう幸福三説というのを説いておられるわけです。  議員がおっしゃるのは、まさに植福というものを進めるものではないかと思います。議員のこの3期12年にわたりまして、そうした福の木を育てていただいたのだと思います。それが多くの方々が、先ほど朝鑑賞のお話もありましたけれども、いろんな知恵やそうした提言が今後の幸福に生きてくるのではないかというふうに思うわけであります。  そうした考え方でいきますと、吉岡さんがおっしゃるように、自分だけが幸せになるということは実は幸せになれないことであると。このことを子供たちとも分かち合っていく、それがまた教育なのだろうと思います。  本県におきましては尚徳館というのがこの近くにあって、1757年に造られたものでありますが、水戸学がこれを持ち込んだのは最後の藩主、12代慶徳公であり、実際にそこからは奥田義人さんだとか、この近くの学校を開いた遠藤董先生だとかそうした、岸本辰雄先生もそうです。意外に教育というふうに言っていられるわけですね。それは盲聾の学校を開かれた遠藤先生もそうですし、それから岸本先生も明治大学を開かれて、さらに奥田先生は中央大学を開かれたわけであります。そういうように植福の一つの価値というのが鳥取の教育の中からも生まれたように思います。  これから時代は大きく変わる中で、ぜひそうした幸せの在り方とか、教育の在り方を私たちは一つ大切にして新しい歴史に挑戦していく、この姿勢こそが求められるのではないかと思います。 ◯議長(内田博長君)足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から「しあわせ」に向けての教育の使命とはというふうな観点で重ねてお尋ねをいただきました。  今日、この「しあわせ」ということが大きなキーワードとして、いろいろ私自身もこの議場で考える契機となりました。幸せの定義というのは、本当におっしゃるとおり人それぞれ、また他人との比較で生まれるものでもないこと、健康状態、あるいは経済的、あるいは家族、また自分自身の達成感であったり、自己肯定感であったり、様々な要因の中でその自分なりの幸せというものを考えていくことが必要なのだろうなというふうに思います。  先ほど知事は、露伴さんの3つの段階の幸せをおっしゃいました。  ある禅僧が幸せとはということで4つ定義をしていることが私はこの生き方の一つの支えになっております。1つ目は、人に愛されること。2つ目は、人に褒められること。3つ目は、人の役に立つこと。そして最後、4つ目は、人に必要とされること。  いずれもこれは議員が御指摘のとおり、そのコミュニケーション力、すなわち人間関係の中でしか幸せというものは見いだせないのではないか、踏み出せないのではないかということを物語っている、私自身この教育に関わる者、30数年たちますが、人へのこだわりということで自分自身この教育の道を進んできたように思っております。ぜひ学校現場であってもその人と人とがどう触れ合い、その中でどのように違いを認め合い、そして自分なりの考え方をしっかり持っていくべきかというその教育の原点がそこにあろうかというふうに思っております。  私の大好きな歌に海援隊の「人として」という歌がございます。御存じかと思いますが、「人として人と出会い、人として人に迷い、人として人に傷つき、人として人と別れて、それでも人しか愛せない」、最後にこんなフレーズがございます。様々な価値観が多様化していく中で、でも人間として生まれてきた以上、人間としての関わりを大切にすることが教育の中での、また学校というその舞台での大きな使命ではないかというふうに肝に銘じているところでございます。  そうした人間関係を大切にしていく、そんな鳥取県の教育、温かく、そして夢のある教育が推進していけますよう取り組んでまいりたいと思います。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)1番の項目ということで、「しあわせ」とはということで質問をさせていただきました。  いろんな時点での幸せも、一人の個人にとってもいろんな時点での幸せがありますし、最終的な死を目前にしての幸せというものもあります。私は、この一番最後に死を目前にして自分の人生を振り返って、ああ、幸せだったなというふうに思って死ねる、そういったことを目標にしたいと思います。  去年の1月にうちの母が亡くなりました。私はまだまだそんな日が来るとは思っていなかったのですが、たまたま母の手を取って、脈を取って、今脈がどれだけだということで、午後から来る主治医に伝えるために脈を取って測っていました。その中で手を握りながら母は逝きました。本当に母は幸せだったのかなというふうに自分としては思っています。そういうような形で最期を迎えたいな、また多くの方にそういった形で最期を迎えていただきたいなという思いを持っております。  そういった意味で、「しあわせ」とはということで今日は1番目のことで議論をさせていただきました。このことがやはり今だけではないのだということ、人はそれぞれ長い人生を持っていて、その中でいつの時点でも幸せということを求めているのだということももう一度伝えて、この1番目の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ◯議長(内田博長君)暫時休憩いたします。  午後の本会議は、1時20分より再開いたします。        午後0時21分休憩    ────────────────        午後1時20分再開 ◯副議長(広谷直樹君)再開いたします。  引き続き、代表質問を行っていただきます。  9番森議員 ◯9番(森雅幹君)(登壇)2番目として、鳥取県立美術館について伺います。  2025年にいよいよ県立美術館が開館をいたします。非常に楽しみにしております。これまでのこの議場でも様々な期待が述べられ議論されてまいりました。しかし、いろいろな意見を取り入れたがために、人を、まちを、県民がつくるというスローガン倒れになりはしないかと危惧をしております。  改めて県立美術館の在り方について知事、教育長と議論をしたいと考えております。  入館者目標が独り歩きすることを一番危惧しています。  これまでの美術館の仕事は、1番として、作品を良好な状態で保存し、未来に引き継ぐこと。2番目として、美術史について作家・作品を研究しその成果を企画展として開催し観覧者に提供する。同時に、図録を作成し、全国の美術館・図書館に配付をする。あわせて、教育普及も行っているというものであります。  中でも一番の花形は、企画展の開催であります。美術館の観覧者は企画展で作品を見るというより、学芸員が研究した成果を解説文やキャプション、あるいは音声ガイドから教えていただく。つまり、作品を見て楽しむというより学芸員のレポートを読み、知識を学ぶという形になっております。実際、作品を見ている時間よりキャプション等を見ている時間が多いという統計があります。作品についての自己による考察や評価はないため、楽しむということにつながっておりません。結局、美術史に興味のある一部の人だけが楽しむということになっております。  全国一の貧乏県である鳥取県が高額な有名作品を購入できるわけもなく、また有名作品を多数借りての企画展、これには高額な保険料、運送費がかかります。したがって、有名作品を多数借りての企画展は何度も開催することなど到底できるわけもありません。  開館当初は物珍しさで入館者は記録されますが、2度目の来館は見込めず、新たな美術館ファンは増えません。以降は固定された従来からの美術ファンだけが出入りする美術館になってしまいます。  全国に多数の美術館が存在しますが、この議場の議員の皆さんも地方の美術館を観光目的で訪れたことがあるでしょうか。確かに金沢21世紀美術館は入館者数250万人超と報告されております。これは美術館のすぐ横に日本でも超有名な観光地・兼六園があり、そこに行くため美術館の無料区域を通過する人がカウントされており、それが250万人ということであります。勘違いをしてはいけません。すぐ横にある石川県立美術館は加賀百万石前田家の秘宝が展示してある美術館でありますが、私が行ったときには残念ですが、がらがらでありました。20年10月にその隣に国立工芸館も東京から移転してオープンしておりますが、推して知るべしであります。  県立美術館が観光の拠点となるというのはまさに幻想であります。改めて美術館設置の意義・ミッション(あるべき姿)を明確にすべきであります。知事、教育長に所見を求めます。  次に、原子力発電所についてであります。  岸田政権は、福島事故による大変大きな犠牲の下決定された原発電力比率を可能な限り低減していくという政府方針を覆し、ウクライナ危機、エネルギー危機に乗じて、国民的な議論が全くないまま、脱炭素の重要な担い手として2030年の電源に占める原発比率を20から22%とし、原発再稼働を進めると閣議決定をいたしました。さらに、廃炉の建て替えや新型炉建設にまで踏み込んでおります。全ては現在の世代が金銭的な利益を得るために未来世代にツケを回すことになります。  運転リスク、安全保障リスク、廃棄物リスク、電力コストなど全てを国民の前に提示し、国民的議論をして初めて決めるべきであります。そもそも原発はグリーンなのか。原発がその役たるのか。60年以上、いや100年以上先の世代に影響を与えるこんな大事なことを、原発推進派だけの実行会議メンバーで決めていいものか。議事録を見ると、立地や隣接自治体・住民の苦悩など一顧だにしないままに、まさに今だけ、金だけ、自分だけの議論しかありませんでした。これまでの原発政策を転換したGX基本方針及び決定経過について知事の所見を求めます。  淀江産業廃棄物処理施設についてであります。  クローズド型について12月議会で副知事は、環境管理事業センターは平成28年8月から9月にかけて各自治会の役員に資料を示して説明をし、回覧も依頼したと答弁をされました。私は、それを受け、私の間違いだった、訂正するとまで述べました。この議論に基づき住民の皆さんがどんな資料なのか情報公開請求をされました。  それは、オープン型だけを資料で示した上で、参考として最後の1行があるのみでありました。  その1行は、「なお、クローズド型(屋根あり)もありますが、国内では平成10年度に初めて導入され、設置実績は約70件程度で、廃止事例もなく、施設の廃止確認要件等、未だ技術的知見が十分ではありません。」という一言でありました。  これを見て愕然といたしました。メリット・デメリットさえなく、非常に失望をいたしました。  埋立方式をめぐって地元及び水利権者に対しメリット・デメリットをよくよく説明するべきであります。  環境省は、近年、地域住民への配慮からクローズドシステム型の処分場が増えてきているとしています。  改めて、埋立方式についてクローズド型を関係者によく説明するとともに、導入検討すべきと考えますが、知事に所見を求めます。  最後に、県職員・教職員についてであります。  優秀な職員の確保のためには給与・手当が重要であります。ラスパイレス指数95.8、全国最下位をどう認識しているのか。  優秀な者が県職員を選択しないことについてどのように捉えているのか、知事、人事委員会委員長の所見を求めます。 ◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員の代表質問にお答えを申し上げます。  まず、1つ目には、県立美術館につきまして、県立美術館の意義やそのあるべき姿を明確にすべきではないか、どういうふうに考えているのかというお話、これが教育長と一緒にございました。  教育委員会のほうが美術館を所管していますので、詳細な話や実際に現場の皆さんの考えておられることはそちらのほうでまたお聞き取りをいただけるのかなというふうに思います。  この美術館というのは、長く本県でも待望されてきました。しかし、なかなか実現せず、実現を考えた矢先に見直しになったこともございました。大きな議論をさせていただきまして、この議場でも一番大きなイシューとして議論された末に、この美術館がいよいよ令和7年に開館をするという運びになります。  私は、この間の県民の皆さんや、あるいは議会での様々な議論、その中にはやはりこの美術館ができたらこうあってほしいという目的、思いがあったと思います。それをある程度私どものほうで忠実に、誠実に実現へと向けていくのが我々この美術館開設者としての役割ではないかと思います。  そういう意味で、議員は観光のことをおっしゃいましたが、観光だけではないと思うのですね。恐らく多義的なものでありまして、それを、曖昧といえば曖昧なのかもしれませんが、こういうような効果もあった、ああいうことにもなったということが後々、10年、20年、50年、100年とたって、この美術館があったがゆえに鳥取県の子供たちはああいうふうに成長したとか、それから地域の魅力がこういうふうに増していったとか、そういうような帰結が見られるようにやはりいろいろとビルトインを考えていくのではないかと思います。  もともと美術館というのは、イタリアのメディチ家のギャラリー、ギャレリア、廊下に飾った、細長い部屋ですね、細長い部屋に飾ったものからギャラリーという言葉が生まれ、美術館というものができるようになりました。それは結局言えば富の象徴であるとともに、それを一般の人にも見せるという役割ができたのだと思います。  その後、イギリスにおける大英博物館であるとか、フランスのルーブルだとか、そういうものができてきました。これらは植民地支配を通じていろいろなそういう美術品あるいは歴史的な遺物というものを収集した、言わば国の富の一つの象徴を国威の発揚としても見せるとともに、特にフランスなどはそうでありますが、そうしたものが絶対王制から共和制国家に変わりまして、大衆がこういうことを我々としては保有をし、それをみんなで分け与えるものだというような思想があったのだと思います。  その後、ニューヨークのほうでメトロポリタン美術館ができるとか、スミソニアンの財団でワシントンのほうにできるとか、これらは新大陸で文化芸術はないところにそうした一つの文化芸術基軸を設けようとしたわけであります。ワシントンの博物館などは一切合切無料で鑑賞できるというものでありまして、いわゆるそれはみんなの共有財産だというようなことだったのだろうと思います。つまり収集し、保有し、それを公開するという、これが美術館の原則として洋の東西を問わず歴史をかけて確立してきた基本的な役割であろうかと思います。これは未来に向けて文化や芸術を伝えていくという人類の発展のための道具立てとして美術館、ギャラリーというものを考えるのだと思います。  これは鳥取県としても一つ重要なセクターとして考える必要があり、特に初期ですね、西尾県政時代にやはり大分集めた地元の作家の関連の作品を収集したわけでありますが、こういうものを検証して後世にも伝えていく、そういう収集、保存、そして公開の役割という基軸はやはり我々は持っておく必要があるのだろうと思います。  それとあわせまして、観光のこともよく我々実際県民の皆さんからは伺います。観光というか、地域の魅力として、やはり美術館一つなくては行って見るものもないということがあります。  幸か不幸か、ウォーホルの作品が注目をされて、鳥取県立美術館もある意味有名になったという面がございますけれども、こうしたものを捉えながら売り出していくチャンスというのは生まれているように思います。  現実にもこの近所でも、例えば大原美術館、こちらは10万人年間集めるものでありますし、足立美術館は20万人のお客さんがやってきます。収集の数はそんなたくさんないとは思います。  ただ、大原美術館のすごいコレクションですし、あれが歴史的な伝建群の中に美観地区にあるがゆえに観光と一体化して大原美術館というのが目的地になり、地域の言わば価値を高めていると思います。  足立美術館に至っては借景の日本庭園がジャパニーズガーデンとして世界でナンバーワンだというようなこともあり、世界中の人たちも集まりますが、あの足立美術館に至ってはあれがなければ誰も行かないと言ってもいいぐらい、周りに何もないところであります。  ですから、そういう意味で集客というのは全く望めないわけではなくて、その辺もやはり一定程度意識していくべきかなと。特に県中部の方々は美術館ができることで何とかにぎわいをつくりたいというふうに考えておられますので、このことは私たちも一つ重きを置いて考えるべき戦略的視点かなと思っています。  あともう一つ大切なのは、やはり教育のことだろうと思います。アート・ラーニング・ラボというものを構想しているわけでありまして、あの美術館に子供たちがやってきて本物に触れると。それに触発されて人間というのは成長するものだと思います。  また、子供たちに限らず、公民館とか、そうした地域の拠点にも出前で出かけていくとか、あるいはデジタルアーカイブを活用しながら時空を超えてそうした作品も伝えていったり、また各地の美術館とネットワークを組んで、そういうものを県内でどこからでもアクセスできるようにするとか、いろいろと工夫をしながら学びの場や、あるいは芸術活動の支援の在り方としてこの美術館を活用するのは非常に重要な視点ではないかと思います。こういうようなことが私ども設置者として期待しているところでございますが、ぜひ教育委員会のほうでも御検討をいただければありがたいというふうに思います。  私はあまり悲観ばかりしていないのですけれども、例えば槇文彦さんが、槇事務所が結局設計をしました。プリツカー賞を取られる偉大な建築家でもいらっしゃいますけれども、そこで構想しているのが、1階部分に広間とか縁側とかを造って、それから3階のほうからあの辺りを見渡すようにする。それをまた各地の美術・博物館、そうしたところと一緒にネットワークでつないでいく。また、その中に体験コーナーといいますか、そういうものを造って、1階から2階、3階と回遊できるようなスペースを造っているわけですね。これは今、森議員がおっしゃったような21世紀美術館、金沢のと同じようなところがありまして、パブリックスペースというのを一定程度確保しながらこの美術館を運営し、言わば立ち寄っていただく、いろんな方々に訪れていただく、これが恐らく近隣の例えば梨の記念館とか、未来中心だとか、それからあちらのほうの大御堂廃寺の歴史遺産だとか、そういうものと結びつきながら有機的に役割を果たし得るのではないかなというふうに思っております。これが保存だとか、公開だとか、また教育的な効果だとか、地域に魅力を与える観光的な視点だとか、そうしたものにもつながっていけるポジションをある程度は確保できるのではないかと期待をいたしておりますが、それを絵に描いた餅にせずにしっかりと実現していくのがこれから数年間の私たちの務めなのだろうと考えております。  次に、原子力発電につきましてお尋ねがございました。原子力発電につきまして、GXの基本方針、決定の経過等々どういうふうに考えるのかと、こういうお話でございます。  これにつきましては私たちは周辺地域として島根原発2号炉の再開を目前に見ているわけでありまして、今私たちとしては一つ一つ今後もチェックをしていこうという段階であります。我々周辺の立場からすれば、そういうことを丁寧にここからやっていくということだと思いますし、国のほうで言われているような40年プラス20年、さらにそこに審査期間を加えてというのは一つのプロセスの問題でありまして、島根原発自体からいえばまだ40年たっていない炉でありますから、まずは一つ一つ丁寧に見ていくということなのだろうと思っております。  そうしたことが我々周辺地域としての基本姿勢ではないかと思いますが、今、議論の提起のありましたGXの問題、あるいは延長の課題については、これはそれこそ全国的な視点、それから世界のエネルギー事情であるとか、また技術、それから本当の安全性に何が必要なのか、この辺を専門的にも知見を総合して慎重に御判断いただくべきものだろうと思っております。  そしてそのプロセスを運用するに当たりまして、我々周辺に対しても真摯に対応していただく、こうしたことが必要なのではないかと考えております。
     今回のGXの基本方針は、12月22日に政府が出したものであります。それ以前の6月の段階に骨太の方針でそのあらあらの部分につきましては示されたものを検討されていったのだと思います。今、総理も国会で議論に応じておられまして、丁寧に議論を尽くし、そして地元も含めて説明していくという基本姿勢でおられます。  この課題というのは、世界的には日本はちょっと特殊なところもありまして、年限を切ったということですね。これは東日本大震災の直後にこうした考え方が示されたこともあって年限を切っているところでありますが、ただ、世界的に見るとこうした設定の仕方をしているところはなくて、実は日本の特有の問題でもあります。特有の問題が正しいか間違いかということは分からないです。ですから、それがこれを続けるのがいいのか、あるいはそうではないのか、これはまだまだやはり今後も議論していく必要があると思いますし、現に先般、2月13日には原子力規制委員会が持たれました。ここでこの延長の問題につきまして討議がなされまして、4対1で延長の政府案を可とするものになったわけであります。その過程でやはりスケジュールありきではなくて、せかされるという言い方を先生方がされていましたが、そういうことではなく、やはりきちんとした専門的な議論を重ねて本来アプローチすべきだということは委員会の複数の方々がおっしゃっておられたのが印象的であります。  反対をされたのは石渡先生でございますけれども、石渡先生が反対をされたのは安全ではないからという言い方ではなかったです。石渡先生は、原子力規制委員会での審査に付せられている期間、これを40年だとか、その後延長すればまた20年ということでかもしれません、そこに加えて審査に付せられた期間が当然乗っかると。ただ、その審査に付せられている間、期間が乗ることが安全性の確保とあまり関連性がないのではないかという議論の提起の仕方なのですね。それがプラスするのは危険だということではなくて、科学的にこれは関連性はないのではないかと、こういうことをおっしゃっていたのだと私には聞こえました。  いずれにしましてもこれは一旦は規制委員会を離れてはいますけれども、議論は今度2月10日に、法案ですね、原子力基本法であるとか、原子炉等規制法だとか、そういうものの一括の法案が政府のほうから国会のほうへ出されることになりましたので、国会において今後この議論というのは続いていくのだというふうに思います。そういうものに私どもとしては注目をさせていただきたいと思いますが、冒頭に申し上げましたように我々の関心は安全性でありますので、果たしてこれが安全の観点からいかがなのかと、そういう観点での御議論なり、あるいは法案を出されるのであれば、その法案の中身については慎重に考えていただきたいと思います。  政府のほうの考え方は、法案の中身としても緩めるものではなくて、例えば10年ごとにきちんと審査をしていくのだとか、安全の確認というのは大前提であるとか、そういうことはこのGX実現に向けた基本方針だとか、今回の法案の考え方の中でも総理も含めておっしゃっているところであります。  ただ、総理も国会で答弁をされていますが、もうたくさん説明をしたし、随分たくさん議論をしましたよと総理は胸を張っておられますけれども、ただ、現実にはそう言っているさなか規制委員会のほうでもっときちんと議論を尽くすべきではないかという御意見も出ていますので、政府としても謙虚にこうしたことを受け止めていただいて、今後の丁寧なフォローアップをお願い申し上げたいと思います。  次に、淀江の産業廃棄物処理施設につきましてお尋ねがございました。  以前のこの議場での答弁等につきましてお尋ねがあったものでございまして、その際コメントをさせていただいております副知事の亀井のほうからこの点につきましては御答弁を申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても前の議会でも申し上げましたとおり、安全かどうかというのを専門的にもしっかりと調べていく、そういうことが仮にこの許可申請が出てきた後は特別の手続もつくって私たちは考えていくべきだと思っております。  最後に、ラスパイレス指数のお話に絡めまして、職員の確保、こういうことにつきましてお尋ねがございました。  このラスパイレス指数というのは、一つのモデルケース案に基づいて行われているわけであり、森議員ももう市役所時代からよく御案内のとおりのものでございます。ですから、必ずしも給料表がそのままなっているわけではないのですね。いろんな運用が組み合わさって、ラスの結果というのは出てくるわけです。  議論は議場でもございましたし、私どもも真摯に交渉も重ねてきておりますし、後ほどの人事委員会さんもその辺の適正な運用についてよく目配りをしていただいております。  そういう意味で私どもがちょうど引き継いだ頃の平成18年頃ですと、その給料表のつくりといいますか、給料の仕組みとしては1,000対965ぐらいで、本県は若干全国よりも低い感じがありましたけれども、平成26年頃から大分また改善も重ねてきていまして、上がってきているという状況はございます。特に給料表のつくりなのですが、給料表のつくりとして、そこが一般の国家公務員の給料表と変えてきた部分があります。これについては審議の中でもこれまでもお聞き取りいただけたと思うのですが、実は今、国公準拠に完全になっていまして、給料表自体は国の給料表を使っていると。それで逆に、初任給については、我々流にいうと4号給上に飛びつくという言い方をしますけれども、実は初任給はむしろ国よりも上に上げてランクづけをして給料表に入っていくことにしております。したがいまして、実は採用時で他の自治体だとか国と比べて悪い給料にはなっていないわけですね。その後の年齢を重ねていって、いろんな職員構成とかの中でラスパイレスの全体というものは出てきているということです。  私どもは職場の改善ということを今後も、これまでもやってきましたし、それから多分公務員を目指される方というのは恐らく給料だけで考えていないと思うのですね。森議員もそうだったと思いますし、どちらかというとみんなのために仕事ができる。それで公務員は身分保障がありますから、決して一生をかけて食いっぱぐれるということにならない。であれば一定の水準をいろいろ人事委員会の仕組みなどで担保してもらっている限りはそう大きな差がないというふうに普通公務員というのは考えていると思うのですね。そこを捉えて、例えばラスパイレスが低いから行かないという選択には必ずしもなっていない。  現実に私どものこのたびの募集、直近でいっても大体ラスパイレスは低い数字になっていますけれども、職員の採用、応募倍率というふうに計算をしますと全国の大体真ん中ぐらいであります。実際受験を受けに来て、面接などもありますから、志望動機なども聞きますけれども、鳥取県は面白そうな仕事をしているので、ちょっと挑戦しましたというような子が実は少なくないのですよね。やはりやりがいを求めて若者たちは挑戦してくるわけでありまして、必ずしも県職員を選択しないということにはなっていないのではないかと分析をしているところであります。  しかし、職場の環境づくりにつきましては、私どももデリケートな問題もいっぱい入っていますので、謙虚に受け止めて、今後も改善を図ってまいりたいと思っております。 ◯副議長(広谷直樹君)亀井副知事 ◯副知事(亀井一賀君)淀江産業廃棄物処理施設につきまして補足の答弁をいたします。  まず昨年12月の答弁についてでありますけれども、その際、森議員のほうからは、クローズド型について地元はそういった存在があることすら知らないのだという御質問でありましたので、いや、そうではなくて、地元の皆さんクローズド型があるということは認識されていると、そういった趣旨で、その一つの例示といたしまして、平成28年、環境管理事業センターが地元に対して、自治会に対して説明しました内容、そういったところにつきまして答弁をしたものであります。  その一例といたしまして、平成28年、環境管理事業センターが地元自治会に対しまして説明をした際に、議員のほうから紹介がありました、最後のほうに付記されたそういった資料をお出しいたしまして、その際に自治会のほうからは、どうしてオープン型にするのだと、オープン型を選択した理由ですとか、そういった質問もございましたので、環境管理事業センターのほうではクローズド型、そういった内容も踏まえたお答えをしたというふうにもお聞きしております。  12月の議会の答弁と多少かぶりますけれども、平成27年に環境管理事業センターのほうに整備の事業主体が移りまして、整備の仕方、それを別案ということで検討を始められました。  そして平成28年にその別案につきまして地元自治会のほうに説明をされた。それが先ほど申したところでありますけれども、それから後に条例手続が始まりまして、意見書の提出、それに対する見解書、再意見書、それからそれに対する再見解書、そういった手続を条例手続の中で進めてまいったわけでありますけれども、その中でもオープン型を選択した理由でありますとか、そういったことをお答えする際にクローズド型の内容も踏まえたお答えをされているというふうに伺っているところであります。  こういったことで条例手続が終結して、現在に至っているわけでありますけれども、環境管理事業センターのほうでは地元の自治会のほうと環境保全協定について、その内容について、例えばどういったものを、どういった廃棄物を搬入するのか、そのルールでありますとか、それから運営の状況の監視体制、こういったものを内容といたします、その協定の内容について協議を進めてまいりました。このたび全ての自治会のほうから環境管理事業センターのほうにその基本的な方針、趣旨ですとか、目的ですとか、それにつきましては了承するという旨の書面が参っているところというふうにお聞きをしております。  いずれにしましても今、環境管理事業センターのほうでは、9月の県議会でお認めをいただきました予算に基づきまして詳細設計を進めているという段階でございます。  その詳細設計が終わりましたら、地元の自治会でありますとか、あと農家の皆さんですとか、そういった皆さんのほうに環境管理事業センターのほうが説明をしっかりしていくというふうにお伺いしておりますので、その際に地元の皆さんのほうからの御質問ですとか、そういったものにも真摯に対応するように、そういったことはしっかりと求めてまいりたいというふうに考えております。  また、知事が答弁いたしましたように、これから仮に法律に基づきます許可申請が出てまいったときにはしっかりとした審査体制でその施設の安全性を担保するように厳格に審査をしてまいりたいというふうに考えております。 ◯副議長(広谷直樹君)足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員のほうから県立美術館のあるべき姿、ミッションということで御質問をいただきました。  先ほど知事が申されましたとおり、長い年月を経て、また議論を経て、令和7年春の開館に向けて今着実に工事も進んでいるところであり、随分建物の姿も見えてまいりました。5月頃には上棟式を迎えることができる予定となっており、知事も申された収集、保有、そして公開という大きなこのテーマを大切にしながら、鳥取県らしい美術館のあるべき姿をしっかりと形づくってまいりたいというふうに思っております。  御承知のとおり、「未来を「つくる」美術館」、これを大きなコンセプトとしながら、5つの機能、収蔵、調査研究、展示、教育普及、連携という、この5つの機能が十分に発揮できるような様々な仕掛けをこの美術館では繰り広げてまいりたいと思い、それらを通して子供たちだけではなく、全ての人々にアートを通した学び、これを一つ大きなキーワードにして展開をしていこうというふうに考えております。  先ほどもお話に出ました広間というこの空間を利用しながら、展示に関連したワークショップですとか、県民のアイデアによるイベント企画、あるいは県民と共につくるプログラムなど、鑑賞だけではなく体験型、そして学びを一緒につくるという県民、来館者と共につくり上げていく、そうした学びの創造につながるような仕掛けがアートを通した学びということになろうかというふうに思います。  大切なことは、そうして来館いただいた方に、心の高まり、そしてまた心の豊かさ、そういった部分を感じてもらえるような仕掛けをいかに広げていくかということがミッションであるというふうに思っております。その意味で、この芸術、文化の特有な、人々の心を耕す、そんな県立美術館であるために、これは大人も、そして子供もかかわらず、様々な学びを通して様々な未知なる世界への想像力、あるいは、自分の深い思いがかき立てられるような、そんな仕掛けになることがこの県立美術館のミッションであろうかというふうに思っているところでございます。  どんどん近づいてくる中で、いろんな様々な御意見もいただきました。それらを謙虚にしっかり受け止めながら、鳥取県らしい美術館を目指して、一歩一歩確実な歩みを進めてまいります。 ◯副議長(広谷直樹君)小松人事委員会委員長 ◯人事委員会委員長(小松哲也君)森議員の代表質問にお答えします。  鳥取県のラスパイレス指数についての認識、また、職員の対応についてお尋ねをいただきました。  まず、ラスパイレス指数の認識についてでございますが、地方公務員法第24条第2項では、職員給与決定の原則としていわゆる均衡の原則が定められておりまして、県職員の給与につきましては、国及び他の地方公共団体の職員の給与、民間事業の従業者の給与、生計費、その他の事情を考慮して定めることとされております。また、同法第26条の規定により、人事委員会は、毎年少なくとも1回、給料表が適当であるかどうか、県議会及び知事に報告するものとし、あわせて、適当な勧告をすることができるとされております。このため、当委員会では毎年、県内民間事業所の従業員の給与を調査し、県職員の給与と比較し、格差が生じている場合には原則としてその格差を解消するよう、給料表の改定などの勧告を行っているところでございます。  当委員会では、近年、給与制度については、公務としての類似性を重視して、国家公務員の給与制度を基本としつつ、給与水準に関しては、納税者である県民の方々の理解と納得を得る観点から、県内民間の給与水準をより反映させることを基本とする考え方を取っております。  本県のラスパイレス指数が都道府県最下位というふうになっていることにつきましては、このような県内民間給与水準を反映した給与勧告や、いわゆるわたりの廃止による適正な人事任用など、地方公務員法の趣旨に沿って適切に取り組んだ結果と認識しております。  次に、職員の採用についてでございますが、近年、採用試験受験者数の減及び受験競争率の低下については、ラスパイレス指数が高い低いにかかわらず、全国の自治体で課題となっているところでございます。本県も厳しい状況にはありますが、鳥取県職員大学卒業程度の採用試験における受験者数、受験競争率は、募集職種や実施時期が異なるため単純比較はできないものの、他県と比較して低いものではなく、受験者数は、最近5年間、300から400人前後の水準を維持しております。先ほど知事が答弁されたとおり、仕事のやりがいなど総合的に考えて県職員を選択されているのではないかと考えております。 ◯副議長(広谷直樹君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)それでは、県立美術館について質問したいと思います。  この県立美術館については、もう何回も何回も質問してきまして、ちょっとしつこくて申し訳ないのですけれども、本日午後からの質問は、これまで質問してきたやり残しみたいなスタイルで質問していますので、御了承願いたいと思います。  知事からもあまり入館者数についてはこだわらないよというような趣旨の答弁をいただいたと思います。教育長からも入館者数ということについての言及はなかったのですが、往々にして、今後、県の財政当局並びに県民の意見として、この入館者数だけで判断をしてしまうということが必ず起きてくるところだろうと思います。  そこで、私は、この県立美術館の目的、ミッションといったものがはっきりと県民に向かって話ができる、このことが非常に重要だと思います。その意味で、今日の答弁をもちろん可としたいですし、それから、新しい美術館という形で次なる発展があるのではないかというふうに私は考えているところです。  クラシックのファンで一定の方々がクラシックコンサートにいらっしゃいます。これもほぼ固定のファンの方であると。美術館も言わば固定の方々が美術館に、あるいは現在博物館の美術展にも来ておられると思います。鳥取県立美術館で県民がつくる美術館というふうにうたっていますので、今日は、先ほど教育長から答弁があったように、心の高まりだとか豊かさを広げる、心を耕す美術館になるんだという言葉がありました。本当に共鳴をするところです。一人でぽつんと行って、展覧会に行って、心を耕したという感じにはなかなかならないところなのです。これには本当に仕掛けが要るのだろうというふうに私は思います。  そこで、私は、鳥取県立美術館を旭山動物園にしてほしいということでお話をしてみます。  旭山動物園、皆さん、御存じだと思います。北海道旭川市にある旭川市立旭山動物園であります。この動物園は、昭和42年に開館したのですけれども、開館当初40万人ぐらいの方が来られた。公共施設のありがちなパターンで、最初は人がばんと来るのですけれども、だんだんだんだん人が来なくなった。当時、26万人ぐらいまで減っていたということなのですけれども、新しく当選された市長が、もう動物園は駄目だから水族館にしたいということで、動物園長を呼ばれて相談をされたそうです。  旭川市は内陸ですので、海水を持ってくるということができません。水族館を造るには莫大な金がかかるということで、動物園しかないなということで、今ある動物園を何とかしようという話になったそうであります。  この旭山動物園は旭川市立ですので、もちろん動物園の飼育員として採用された職員もいるのですが、ある日突然事務をしていた職員に辞令をもって旭山動物園の職員を命ずという辞令が出るわけです。そこで、もともといた旭山動物園の職員と全くど素人の公務員が一緒になって、少ない入館者をどうしたらいいかということで、頭をひねりました。そういった中で、それまでの一般的な動物園は、朝、動物にバックヤードで餌を与えて、食べた後、満腹になって外に出るというスタイルだった。そういうことで、入館者が来たときには動物がどこにいるか分からない。陰に隠れて寝ている。ライオン舎を見に来たのに、ライオンは、ああ、あそこに尻尾があって寝ているねと、こういうような状態だったわけです。  来た人をどうやって楽しませるかということを考えたときに、もぐもぐタイムというのを考えました。入館者が来たときに餌を与えて、食べている姿、生き生きとしている姿を見せる、そういった生態展示であります。それから、オランウータンは樹上生活をしている動物でありますので、木の上に登って、木の上で木から木へと渡っていく、そういったことをふだんやっているわけです。動物園舎と園舎の間には通路があって、その通路の上を棒を1本渡して、オランウータンがそこをまるで樹上生活をしているように園路の上を1本の棒を伝って渡っていく、そういったことをやりました。そこに来た人たちは、うわあ、すごい、こんな動物園初めてだということで話題になりました。テレビやマスコミがいっぱい書きました。「旭山動物園の奇跡」として本も出ました。今までの動物園の常識をごろっと変えました。まさに旭山動物園の奇跡でした。それから大きく人の流れは変わって、旭山動物園は150万人が来るような動物園に生まれ変わりました。来た人は楽しかった、また来たい、そういった動物園に変わったわけです。今では、日本の動物園は、この生態展示、行動展示をするのが当たり前、それが動物園の一般的なことになりました。  私は、これがキーワードではないかというふうに思うのです。今までどおりの美術館であれば、固定された美術ファンしか来ない。そうではなくて、これまでの美術館とは違う美術館に、それは今回のアート・ラーニング・ラボ、学びをする美術館になるんだということで教育長が答弁された、ここにキーワードがあるのではないかなと私は考えています。  これまでの美術館は、先ほども言いましたように、学芸員さんが企画展をやって、それが花形でした。もうその花形を今度は教育普及の学芸員さんも花形にしようではないですか。子供たちに、そして大人たちに、美術館に行って楽しかったなといったことを感じられるような、それは先ほど教育長が言われた体験的、そういったことも非常に重要なパターンだと思います。ぜひそういった、これまでの美術館とは違った美術館だということになれるチャンスが私は鳥取県立美術館にはあるのだ、それもアート・ラーニング・ラボという機構は全国の美術館どこにもありません。どこにもないのです。どこの美術館も教育普及もやっています。教育普及はおまけなのです。おまけなのです。ここに重点を置いた美術館になるということは、全国で唯一無二の美術館になるということなのです。  国立美術館機構も今年の4月1日から、アートリサーチセンターというものをつくります。そこには、鳥取県立美術館の計画の策定委員に入っておられた稲庭彩和子さんが東京都美術館から国立近代美術館に替わられて、そこの研究員になられる、アートリサーチセンターの研究員になられる予定です。  先日、稲庭さんに出会って、今後の美術館はどういった美術館になるべきでしょうかというお話をしました。そうすると、稲庭さんは、ちょっと前にロンドンに美術館の調査に行ったと、テート美術館に行ったと。テート美術館では、今月ワークショップをやると。どんなワークショップをやるかというと、50代の閉経について考える。50代の閉経ですよ。50代の女性の閉経を考えるワークショップをテート美術館が主催してやるのだというふうにおっしゃいました。もう自分としては、「何ですか、それ。」と。「ええ、美術館でそんなことをやるの。」というふうに聞かれたそうです。「いや、美術館は社会の問題を考える場所なのです。」ということをテート美術館の担当は言われたそうです。  世の中の美術館は、世界の美術館はどんどん変わってきている。そこで鳥取県立美術館も全国にない、このアート・ラーニング・ラボを使って、新しい美術館の在り方を発信できる、そういったチャンスが私たちにはこの県立美術館建設に当たって与えられているのだというふうに私は考えているのです。全国どこにもないこのアート・ラーニング・ラボをいかにやっていくかということは非常に重要なことです。  担当の学芸員さんと話をしました。すると、全県の4年生を招待するということも大変なことなのです。これは大変なことです。どうやって学校と調整を取りながら、バスの手配をしながら、いつ美術館に入ってきてもらうのかということを調整することだけでも大変です。もうこれは決まっていますから、これはやらなければいけない。このアート・ラーニング・ラボが多分担当するのでしょう。ですから、それができて、順調にいけば、その後で次のことを考えますみたいな話だったのです。  私はそれでは駄目だと思っているのです。問題は人なのです。人を最初に配置しなければ、もう二度と増員などできません。新しくつくるこのアート・ラーニング・ラボ、全国で唯一無二の美術館になるために、どんな仕事をさせて、どれだけ人が要るのだということをはっきりと開館前に決めて動いていかなければいけない、私はそういうふうに思っています。ぜひ、アート・ラーニング・ラボ、この業務の人員体制、そういったものについてどういうふうに考えているのか、教育長にお話を伺います。 ◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。  足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から、県立美術館における唯一無二の存在となるためにというふうなお話や、アート・ラーニング・ラボがどのような業務をし、そしてどんな体制で臨むのかということについて、重ねてお尋ねをいただきました。  旭山動物園のお話を引き合いに出されながらのお話でした。おっしゃること、非常によく共感いたすところであり、最後にできる県立美術館であるからこそ、この鳥取県らしさを前面に打ち出した仕掛けを発信していきたいなというふうに思っております。それがまさしく、繰り返し御指摘いただいたアートを通した学び、アート・ラーニング・ラボという仕掛けではないかなというふうに思っているところでございます。  現在の博物館でもそうした取組を、御存じのとおり、毎週土曜はアートの日と題した子供向けの仕掛けですとか、ギャラリートーク、アートシアターの上映とか、そういうふうな、まず下地づくりは博物館でもやってきたところでございます。では、これを新しくできる県立美術館として、美術を通した学びに昇華させていく上で、議員からも御指摘のあったキーワードは楽しいと思えること、そして、行けば何かに出会えるわくわく感、分かりやすい言葉でいくと、私はこの2つではないかなというふうに思い、繰り返し足を運びたくなる、行ってみたくなる、そんな体験ができる場所だということが非常に大事だろうなというふうに思っております。  そういう意味では、県民の方をはじめとして、来館される方が鑑賞、参加だけにとどまらず、参画する、その様々な取組に提案をしたり、あるいは一緒に多様な楽しみ方をつくっていく、美術を開くプログラムですとか、あるいは美術館、美術を深めるプログラムですとか、そういう参画型の仕掛けになるようなアート・ラーニング・ラボ、そういうことを深く掘り下げてまいりたいなというふうに思っているところでございます。  その意味で、その体制づくりとして、人がもちろん大切になってくるわけでございますが、発達段階に応じた年齢別にもやはり仕掛けは必要かなと思います。小学生、中学生、高校生向けの企画と、または、例えば障害のある方に関しても、聴覚に障害があろうと視覚に障害があろうと楽しめる対話型鑑賞もある、そういうことも模索してまいりたいし、それから、高齢者向けにも、例えば認知症の方でもその美術というものを一端をしっかり理解していただくような仕掛け、やはりそういう意味では、そこを仕掛けていく人というのは本当にキーワードであり、大切な存在だろうなというふうに思っております。  そういう中で、小学校4年生の招待もあります。確かに、例えば学芸員やスタッフが倍増、3倍、そういうふうなことも必要なのかもしれませんが、私はそれ以上に多くの方に参画いただくという意味では、今、養成もしております県民のファシリテーターの方々のお力をいかに引き込んでいくのかということ、そして、子供たちへの学びという点では、教員も大きな戦略になろうかなと。美術館を通してどういうふうなことを、子供たちの心を耕すのかという意味では、教員の方々やさらには高等教育機関の大学教員の方々なども含めながら、それらが総合的なスタッフになれば、固定的な職員だけではない、このアートを通じた学びの仕掛け人が生み出せるのではないかなというふうに思っております。  そういうふうな柔軟性を持って、単なるスタッフ増ではなくて、そうしたことももちろん視野に入れながらではございますが、様々な多くの県民の方、教員の方も含めたそういう体制構築をした美術館を通し、このアートを通じた学びを展開できたらというふうに考えております。 ◯副議長(広谷直樹君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)あまり職員の体制ということですから、どう追及してもちょっとそれが前に出るということにはならないかと思うのですけれども、まだ新しい館長が決まっていませんので、実は本当は館長とこういった話をしたかったのですけれども、近々、多分館長も決まる、発表されるのではないかなと思いますが、ぜひ館長がどういうふうに考えるのかということはやはり非常に重要な点であろうと思います。  私はすごくこの美術館が旭山動物園にということまで、漫画のような話ですけれどもこういったことを一人で考えて、やってほしいということを申し上げました。まだできていませんので、今後、どういうふうにでもできるというふうに思います。このアート・ラーニング・ラボのプログラムとしては、私はいろんなことが考えられる。例えば、不登校の子供たちに来てもらって、対話型鑑賞をする。このことは、不登校の子たちには物すごい効果があるというふうに私は思いますし、例えば、営業系の職員さんたちだけのプログラムをつくるとか、あるいは、ひきこもりの人たち、不登校やひきこもりの人たちだけ、あるいは、今日はえんトリーの話をしましたけれども、コミュニケーション力が足りない方々、えんトリーと一緒になって、えんトリーのコミュニケーション力養成講座という形でこのアート・ラーニング・ラボが活躍できる場面も、私はあるのではないかというふうに思いますし、大人と子供が一緒に一つのグループで対話型鑑賞していく、これも物すごく大人にとっても子供にとっても魅力のあるプログラムになると思います。もちろん、子供だけ、大人だけのプログラムもあると思うのですけれども、それから、新規採用職員の研修の場、これは公務員だけではなくて、民間の新規採用職員の研修の場にもなると私は思うのです。  そういうものも含めて、いろんな可能性が実はこのアート・ラーニング・ラボにはあると思うので、ぜひ体制をしっかりつくっていただいて全国唯一無二のものにしていただく、そのことによって、私は先ほど集客は見込めないということで否定的な話をしたのですけれども、全国唯一無二のアート・ラーニング・ラボを生かした美術館ということになれば、全国から物すごい人が来ると思います。美術館関係者ではなくて、いろんな人が来ると思います。そういったことも含めて、どういうことができるのかということをぜひ考えていただきたいと思います。もう一度教育長に答弁を求めます。 ◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。  足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員のほうから、アート・ラーニング・ラボの体制整備、ひいてはそれがこの唯一無二の美術館の姿にというふうな御指摘、御質問をいただきました。  今、様々なアイデアもいただいたところでございます。同年齢の子供たちはもちろん、異年齢の子供たち、つまり、発達段階に応じて、感じ方、見方も変わってきます。それがさらに大人との対話型鑑賞となれば、さらにその見方が自分の将来の生き方にもつながるような仕掛けであったり、また、出会いの場として美術というものを通したその空間の大切さと時間の大切さ、そしてそこに対話が生まれるというえんトリーとの活用、様々なアイデアをいただきました。そうやって考えていくと、本当に一つの学び、美術を通した学びといってもいろんな切り口があるのだろうなということを感じながら聞かせていただきました。  ぜひ自由な発想といいますか、独創的な発想、頭を軟らかくして、どんな仕掛けがこの鳥取県立美術館ならではの取組ができるのかということを柔軟に、そして創造的に考えながら、仕掛けづくりに努めてまいりたいと思います。ありがとうございました。 ◯副議長(広谷直樹君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)教育長に伺いました。  知事にもちょっと改めて、先ほど私、旭山動物園にということで提案をしておりますが、唯一無二の美術館になるということが知事の側から受け止めていただいた評価ですかね、ちょっとそういったこと、あるいは期待ももし持っていただければ、その期待についてお話しいただければありがたいと思います。 ◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員から、美術館につきまして重ねてのお尋ねがございました。  私も賛同するものでありまして、やはり美術館をどういうふうに活性化するかというのを今からいろいろプログラムを考えるべきだろうと思います。そういう意味で、先ほども申しましたが、アート・ラーニング・ラボというのを学びの拠点としての美術館の機能というのは一つの中核で考えていただければと思います。  現在、大分県なども幼稚園、小学校、中学校、そうしたところを巻き込んで、そういう出前も含めた、あるいは館に来ていただいて、そういうアートラーニングの場をつくる、あるいはそうした様々な普及啓発活動、こういうものを手がけておられますが、後発の私どもであるからこそ、プログラムをいろいろ考えてもよいのではないかと思います。  旭山動物園の場合は、平成8年に小菅園長さんが着任をされて、まず、みんなでやられたのは、いかにこの動物園がつまらないかということの調査からでありまして、こういうことをやったらいいのではないかとか、それを来園者にアンケートをされて、そういう中で、議員がおっしゃったように、いろいろ生態をそのまま展示をするとか、あるいは夜行動物の状況に応じて見ていただけるようにするとか、そういういろんな工夫が出てきて、だんだんと人気を博していったわけであります。  結局、そういうカスタマーズサティスファクション、つまり顧客満足度を高めていくようなことをやっていくことが当然美術館の価値も高めていくことにもなるのだろうというふうに思います。  そういう意味で、胸が高鳴るような美術館の思い出を子供たちもつくっていただいたり、また、子供でなくてもそういう芸術に対して興味のある方々に来ていただいて、そうしたプログラムも体験型であったり、また展覧会なども見ていただければよいのではないかなというふうに思います。  恐らくそれなりのコレクションも県の画人たち、あるいは芸術家のものもありますし、また、それ以外のコレクションもいろいろとあるわけでございますし、今後もそうした活動をしていくわけですね。言わば、そうした胸がときめくような、議員がおっしゃいましたけれども、わくわくするような、そういう美術館というのをソフト面も含めてつくっていくべきだと思います。  19世紀のムソルグスキーの作曲した「展覧会の絵」という組曲があります。「タンタンタン、タタターン、タタターン、タタタン、タンタン」です。あれは10枚の絵を順番に見ながら行くときの胸の高鳴りとか、その情景だとか、そういうものを織り込みながら、幾つかのフレーズを繰り返し使ってみたり、展開してみたりという、そういう組曲だということであります。ああいうように、あれは歩きながらムソルグスキーが感情を覚える、それが曲の中に表現されるわけです。ああいうふうに一つの歩きながら見ていくときのテンポ、その胸の高鳴り、高揚感、それがやはり美術館の展覧会のよいところなのだろうと思うのです。  小さいかもしれませんけれども、こういうものをここ鳥取県の美術館でも体験できる、そんなわくわく感をぜひみんなで協力しながらつくり上げていきたいと思います。 ◯副議長(広谷直樹君)換気のため、暫時休憩いたします。  午後2時40分から再開いたします。        午後2時32分休憩    ────────────────        午後2時40分再開 ◯議長(内田博長君)再開いたします。  引き続き、代表質問を行っていただきます。  9番森議員 ◯9番(森雅幹君)知事からは、鳥取県立美術館を旭山動物園にという私の提案にも賛同いただくような答弁をいただきました。ぜひ、新しいことをやるという美術館が私は本当に日本の美術館の中でも必要だと思っていますし、また、そのことができる美術館で、また全国唯一無二の美術ラーニングセンター、アート・ラーニング・ラボを抱える美術館ということで出発します。期待をしておりますので、ぜひ、知事、教育長によろしくお願い申し上げます。  次に、原子力発電所についてですが、知事からは、国に対しては真摯な対応をしてもらいたいというような答弁がありました。境港市や米子市も再稼働同意に当たっては、それぞれの議員がもうぎりぎりの判断をして、本当にそれでいいのかどうかということをぎりぎりの判断をして同意に至ったという経過がございます。そういったことからすれば、今回60年超ということがほぼほぼ簡単に決まってしまった。上のほうで勝手にそれが後出しじゃんけんのように決まってしまったということについては、私は非常にこれは問題だと思っています。これまでの手続をもう一回見直すという必要もあるのではないか。少なくとも、国及び規制委員会の説明を求めるべきだと思いますが、知事の所見を求めます。
     あわせて、知事もおっしゃいましたが、規制委員会が今回、多数決で決めた、なおかつ時限を区切られて結論をせかされたということも委員の方々からは出ています。  これまで原子力委員会というものが経産省の中にあったのですけれども、規制する側と推進する側が一緒にいたということで批判を受け、それで、第三者委員会の規制委員会になったはずであります。ところが、今回、このような形で委員が替わり、また、国のほうからの圧力をもって規制委員会の決定が変わってくる。こういったことになると、規制委員会の信頼を極めて損ねた問題だと思います。このことについて、知事はどのように考えていらっしゃるのか伺います。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員から重ねて原子力発電所につきましてお尋ねがございました。  恐らく、ある意味のそうした問題意識はお互い変わらないのかなと思って伺ってもおりました。つまり、拙速に決めるべきものではないだろうと。慎重に、やはり科学的知見、要は、我々は特に周辺だからこういうことを申し上げるのかもしれませんが、安全かどうか、この一語に尽きるわけです。それについて十分検証しながら、年限の問題というものは見直すのであればこういう理由で見直すのだと、言わばそこの合意を形成したり、関係者の納得とかを得ていく、そういうプロセスというのはやはり重要なのではないかなと思います。そういう意味で、今回、少しどたばたしているように我々からは見えるようなところがあります。  ただ、本当にその延長が妥当か妥当でないかというのは、多分、これは別次元だろうと思いますし、今回の原子力規制委員会の議論、2月13日にありましたが、そこの議論は議員はどう捉えたかということはありますけれども、私は結構真面目に見ているなと思って、実際、採決が分かれたことも含めて、では、そういう意味で、原子力規制委員会にはきちんと学術的な良心というのは十分残されているだろうというふうにかえって思いました。  いずれにいたしましても、まだプロセスの途中だと思います。これから国会における法案審議というのが本格化するでありましょう。その中で、新しく示された考え方というのが出てくる。40年、そして延長20年、これはもう前の民主党政権のときから決まっていることですが、それに加えまして、審査期間の部分を乗せることは可能な運用にしようとか、それから10年以内ごとにチェックをする機会というのをつくっていくとか、安全というものを大前提にしていくと、こういうことが法案の中に盛り込まれてきます。それを基にしてどういう議論を国会の中で尽くされて、安全というものの仕組みを将来に向けてつくっていかれるのか、この辺は我々注目していかなければいけないと思っております。  本県として、この課題について、我々がどう今後進めていくかということですが、1つポイントになるのは、2号炉自体は平成元年にできたものであります。それから40年ということであれば、それは令和11年でありますので、まだ正直その40年の中にあります。ですから、ここで議論というのは、いきなり延長問題に入ってこないだろうと思います。  ただ、私どもはこの議会での全員協議会でも大分やり取りをさせていただきましたとおり、この問題については、先回で終わってはいなくて、今後、例えば工事認可申請とかそういうようなタイミングのときに、また本県のほうに改めて協議、意見照会が来るはずですし、説明があるはずです。そういうときに、この問題の考え方を関係機関に問いただすということは少なくとも我々としてもやっていいのではないかと思っています。  今後、国会での議論もよくフォローしながら、こうした延長の課題について、何か根本的な安全に疑義があるのかどうかというのは慎重に我々も見極めていかなければならないのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、世界的にはいろんなやり方があって、先ほど申しましたとおり、例えば、フランスだったらば、10年以内ごとにチェックをしてまた延ばすということをやっていく。それはどこで終わりということは、実はセッティングがありません。アメリカも40年で区切りがあって、その後、チェックをして20年延ばし得る。その後も20年、その後も20年延ばし得るような仕組みでチェックをしていくと。要は、設備、施設が本当に安全かどうかというものを担保をするというのが多分主眼になっていまして、この辺は我が国だけがちょっとやり方が違うところでもあります。この辺の意味は、正直、素人の僕らにはよく分からないところもありまして、恐らく東日本大震災の直後の判断が入っているので、そこもよく検証していただきながら、何が安全にとって重要なのか、根本なのか、この辺は政府、あるいは規制委員会のほうでもお考えを我々のほうにもいずれそうした今後の協議の機会などに示していただく必要があるのではないかと考えております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)原子力発電ということは、本当に我々の世代だけではなくて、これからの未来世代の皆さん、まだ生まれていない人たちにも大きく大きく影響することであります。それが本当に一部の人たちだけで決めてしまった。今後、国会で私たちの代表の人たちが議論するということにはなっていますが、本当は国民の声をもっともっと聞いてやるべきことではないかなと私は考えています。  そういった意味で、今後、こういった国及び規制委員会の説明、そういったことをぜひとも求めていただきたいということを申し上げて、これについては終わります。  次に、淀江産廃の問題ですけれども、副知事からは、全ての自治会から了承の文書を受け取ったというようなことですので、オープン型だとかクローズド型、そんなことではなくて、もう今までのオープン型でそのままいきますよという、そういった答弁だったのかなというふうに受け止めました。私としては非常に残念です。これまで住民の側には十分なデータや資料も与えずに、それを一方的な環境管理事業センターが内部で考えたものをよしとして、それだけを判断材料に与えて、これでよしとしてくださいとしてやってしまったということは、私は非常に残念です。  これ以上このことを突き詰めはいたしませんが、やはり後になってからでもクローズド型がよかったなということになるのだろうと私は思います。そういった意味で、ぜひこのことは忘れないでいただきたい。  また、処分場の下に敷く防水シートですね、防水シートの有効性といいますか、このメーカー保証が10年だということです。その10年のものが何十年もそこにあるということで、淀江の母親の会の方々は本当に安全なのかということを心配されています。誰も保証していません。なおかつ、母親の会の皆さんは、今現在の、例えばどこかの処分場の浸出水で、それを使って試験を県でもやるべきではないかというふうにおっしゃっています。そういった不安を一つ一つなくしていくことが信頼を得る、付近の方々の幸せ、そういったことにつながるのだろうと思います。ぜひそういった意味で、丁寧な取扱いをやっていただきたい。こういったことも申し上げておきます。  最後に、5番の県職員、教職員の問題についてであります。  私は、公務員の労働組合の出身であります。やはり県職員の給与の水準、あるいは教職員の給与の水準だったり、あるいは働き方、そういったことについては非常に関心があります。今回の質問についても、労働組合の側から、県職労や教職員組合から質問してくれと頼まれたわけではありません。私の側で、やはりこれは問題だなという思いで今質問をしています。質問するからには、傍聴に来てねということで案内だけはしたところです。  しかし、今日、知事と人事委員会の委員長からの答弁で、ラスパイレスは結果なので、あまり気にしていませんよと。それから、応募者もそんなに変わりませんよと、全然いいですよという、そういった答弁でありました。全く危機感はないよと、こういう話だったのですけれども、鉄永議員がいらっしゃるときに最終的にこのわたりの廃止をいたしました。その結果、鳥取県職員の当時若い職員が一番割を食いました。2級に滞留という形で、大量に滞留しています。その結果、ラスパイレス指数というのは、高卒、短大卒、大卒、それぞれに分けて、経験年数でどれぐらいの給料をもらっているかというのを国の職員数に当てはめて、それで国と比較をするという仕組みです。これは、鳥取県職員と国の公務員の高卒、大卒、短大卒の割合が違ったりすると大きく変わってくるのですけれども、両方とも基本的に大卒を採っているというようなところから、そんなに違いはないというふうに考えています。  そこで、例えば、文系でいくと弁護士さん、理系でいくとお医者さん、いわゆる一番優秀な人たちが向かっていく職業というようなことになっているかなというふうに思っています。もちろんやりたいことがあって、そこに向かっていくという人たちはいるのですけれども、一番難しい資格の職業だということになっていると思います。そこには、優秀な学生が向かっていくのです。なぜかというと、それに見合った報酬が予定をされているのですね。そこがやはりみんなが職業選択をしていく上においては重要なファクターなのです。例えば、町村議会で立候補する人がいないという話があります。これも報酬とのバランスが取れていないということがやはりそこに問題があるパターンです。  断トツに低い鳥取県のこの状況、このことはいろんな弊害が起きています。現在、若い職員の中で、特に土木の職員は途中で辞めていく技術職員が非常に多いというふうにも聞いています。それが民間に行ったり、あるいは市の職員に替わったり、こういった形です。そういったことも含めて、この給与水準、やはり考える必要があるのではないか、そういうふうに思います。  現在、ラスパイレス指数が全国でいくと98以上は42県です。ほとんどですね、98以上。そこから2ポイントも3ポイントも差がある最下位という鳥取県は、私は問題だと思います。人事委員会として、こんなに差がある理由は何だと考えているのか伺います。  また、採用試験を早めておりますが、民間企業は大学3年で内々定を出すところもあるので、競争も難しいという状況です。県よりラスパイレス指数が上で、勤務場所の異動もない鳥取市や米子市に優秀な人材が流れていってしまうという現実。このラスパイレス指数が最下位というのは採用にどのような影響があると考えているのか、改めてもう一度、知事、人事委員会委員長の所見を求めます。  また、教育委員会では、負担軽減のためいろいろな対策をしておりますが、それによって受験者が増えるようになるには、まだまだ時間がかかると思います。全国では、教員採用で2倍を切っているところもあります。いわゆる教員職場のブラック問題が大きな大きな影響です。このことを一つ一つやはり解消していく必要があると思います。教育長の決意について伺います。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて森議員からお尋ねがございました。  まず、産業廃棄物処分場につきましては、今日の森議員のお言葉もしっかりと受け止めさせていただきまして、今後の適正な執行にそのまま反映をさせていきたいと思います。  おっしゃるように、シートの安全性の問題とかそういうことも含めて、いずれ、事業者側からこういう設計に基づいてこういう仕様でという話が出てくるのでありましょう。そういうことが出てきた暁には、今度は我々は許可の審査のほうに入りますが、そこで科学的、専門的知見で果たしてそれが安全なのかどうかについては、丁寧にチェックをさせていただき、関係の皆様にもお示しをさせていただくなど、きちんとした対応を取り、後世に遺恨を残さないようにすることは森議員の願いだと思いますので、受け止めさせていただき、しっかりと努めさせていただきたいと思います。  また、職員の処遇についてでありますけれども、議員のほうでおっしゃいましたが、ラスパイレス指数がどうでもいいということを言っているわけではございません。議員のほうから先ほど、ラスパイレスが低いから実際採用ができないのではないかというような趣旨のお話がございましたけれども、そこはそうそう連関はしていないのではないかということで申し上げたわけであります。  お尋ねも改めてございましたが、例えば、実は、全国で都道府県のラスパイレス指数が一番高いのは静岡県です。102を超えるポイントになっていまして、しかし、静岡県の令和4年の競争倍率からいきますと、鳥取県が20番台でありますが、静岡県は30番台であります。どうしてこういうことが起こるかというと、必ずしも給料だけを見ているわけではなくて、いろんな要素が絡み合って、実際に志望するかどうかということがあるのだと思います。  大切なのは、我々、給与条例主義に基づいて、地方公務員法に基づいて条例で定められたルールに従って運用することに、言わば財政民主主義といいますか、その給与の正当性を求めている仕組みに公務労働はなっていますので、その仕組みの中で泳ぐということでございますが、ただ、その中でも適正に運用されているかどうかというのはやはり最低限私たちは見ていかなければいけないわけです。  土木職のお話がございましたが、実は、土木職の民間への流出というのは本県に限らずどこでも起こっています。逆に、建設業者へ行っていただければ分かると思うのですが、人手が足りないということをどこもおっしゃっていまして、むしろそちらのほうで給料が上がったり、ハンティングをするということになるわけですね。これは全国的な傾向でありまして、そういうことが起きがちでありますが、では、それを放置しておいていいかというと、我々、自然災害だとか、あるいはインフラの整備などもございますので、やはり一定の処遇上のことも考えていかなければいけないということになろうかと思います。これまでも獣医師さんなどもそうでして、獣医師さんもやはり民間の犬猫病院だとか、そういうペット関係の小動物のほうにもともと学生の興味もあることもあって、民間就職のほうにやはり流れる。牛や豚ということで、県庁に入るというのはそんなに必ずしも魅力的ではないわけです。  そういう意味で、処遇をこういう面で改善して、また、インターンシップなどもやったりして、いろいろとリクルート活動をやる、こういうことはやはり職種によってはあり得ると思います。ですから、おっしゃるような土木建築関係とか、そういう職種に応じた対応の仕方というのは、今後も柔軟に考えていくべきものがあるだろうと思います。  そういう意味で、そういう土木系も含めたこのたびの専門職の採用試験につきましては、人事委員会のほうとも協議をさせていただきながら、いわゆる一般教養試験というのは新年度からは免除をすることにさせていただき、ハードルを下げて、4月からの募集も3月1日募集に前倒しすると。そういうことなどを通じまして、今、年々リクルート状況というのは民間、公務を問わず変わってきていますので、それに即して、私どもも柔軟に枠組みの変更をしてまいりたいと考えております。 ◯議長(内田博長君)足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から、教員の働き方改革の推進について教育長の決意はということでお尋ねをいただきました。  全国的に教員の志願者が激減、減少する中で、教員の志願者確保というのは本県でも喫緊の課題になっていることは十分認識をしております。短期的、あるいは中長期的な取組で採用試験の在り方を見直すなど、随分改善を重ねてきたところではありますが、その一方で、この御指摘のあった教員の働き方改革ということ、これも今後も継続して取り組んでいく大きな課題だろうというふうに思っております。  子供たちの様々な活動に我々教職員は関わる中で、子供たちと共に喜怒哀楽を共にし、その姿を見ながら自身の成長だったり、喜びを感じたりなどしてきたわけですが、そうした先生方が疲弊をされていくことは、もちろん子供たちのためにならないこと、そしてまた優秀な人材が教員を目指さないということにもつながる、負のスパイラルにつながってしまうのではないかという大きな課題意識を持っているところでございます。  私自身、平成26年、学校管理職の時代にモデル校としてスタートして、27年度から様々な改善施策に取り組んでまいりました。今設定しておりますプランでは、月45時間、年間360時間、長時間勤務者の解消ということを大きな目標としながら、さらには、このコミュニティ・スクール等の導入も含めて、教職員のこれまでやってきた業務のさらなる見直しや分担、そしてまたゴールデンウイークや秋の連休等を挟んだ体験的学習活動休業日等を導入するなど、様々な取組を進めてきているところではございますが、なかなか抜本的な解決に至っていないのが現状でございます。  そういう意味で、私自身の経験も踏まえて、この教員にとっての働き方改革は、いつが終わりではなくて、この子供たちのためにできることに注力できる環境づくりを一つ一つ目の前の課題を解決したり、あるいは先を見通した教員確保に努めたり、加配の充実を図る、様々な施策が取れようと思っております。いつが終わりではなく、日々更新し、改善、向上していけるような、そんな環境づくりに今後も努めてまいります。 ◯議長(内田博長君)小松人事委員会委員長 ◯人事委員会委員長(小松哲也君)森議員の質問にお答えします。  本県のラスパイレス指数について重ねてお尋ねをいただきました。先ほどの答弁でも申し上げましたが、当委員会では、地方公務員法の規定に基づき、毎年県内民間事業所の従業員の給与の調査結果等を踏まえ、県職員の給与水準が適当なものとなるよう、給料表の改定などの勧告を行っております。  今年度におきましては、令和4年10月に給料表を国に準じて改定すること、子に係る扶養手当の額を国と同額に引き上げること等を知事及び県議会議長に勧告させていただき、さきの12月定例県議会において、勧告に沿った改正条例案が議決されたところでございます。  一方、ラスパイレス指数は、地方公務員、国家公務員それぞれについて、学歴及び経験年数による区分別に平均給料月額を算出し、各地方公共団体の職員構成を国家公務員と同一と仮定して、地方公務員の給与の水準を算出するものでございまして、都道府県の中では本県が平成25年から最下位となっているところでございます。  その要因としましては、先ほどの答弁と重なるところもございますが、県内民間の給与水準を反映した給与勧告や、いわゆるわたりの廃止等により、給料の級別の職員構成が国や他県と異なっていることなどが考えられるところでございます。なお、ラスパイレス指数は、平成25年には91.6でございましたが、令和4年には95.8と、近年は改善の傾向が見られるところでございます。  当委員会としましても給与水準が職員の士気等に一定の影響を与えることは理解しておりまして、勧告に当たっては、職員組合や任命権者の意見を聞きながら、法令の趣旨に沿い、かつ納税者である県民の方々に御理解、御納得いただけるものとなるよう判断を行っているところでございます。  今後とも、公平、中立の立場から、適切な勧告を行っていきたいというふうに考えております。  続いて、ラスパイレス指数の職員採用への影響についてお答えいたします。  先ほど答弁しましたとおり、採用試験の見直しなど工夫を重ねていることで、一定の受験者数を確保してきているところでございます。例えば、知事の答弁にもありましたとおり、令和5年度から、大学卒業程度の技術専門職の採用試験におきまして、これまで第一次試験に実施していた教養試験を廃止し、募集開始を1か月以上早めて事務職と同日とし、募集期間を拡大することとしました。  議員御指摘のとおり、近年の学生の皆さんの中には、転勤などによる環境の変化を望まない傾向も見られることから、県内全域に転勤する可能性がある県よりも、エリアが限定される市町村を選択される方は一定数おられると考えます。  しかし、多くの皆さんは、就職先を決める際には、やはり仕事の内容、やりがい等が重要な要素になっているものと考えます。そのため、当委員会としては、県職員の仕事の具体的なイメージを持っていただくため、従来から開催している仕事説明会について事業の説明だけではなく、そもそも県職員の仕事にはどんな仕事があるのか、職員が日々どのような業務を行っているのか、より具体的に説明するよう工夫したり、インターネットによる情報収集が中心となっている学生の傾向から、とりネットのトップページに職員採用専用ページのリンクを設定しております。  当委員会としましては、優秀な人材確保のため、任命権者と連携しながら、さらにより多くの方に県職員を目指していただけるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)私が考えるに、結局のところ、2級滞留者が大量に出ている、これが国と大きく違っている、そのことが一番ラスパイレスを結果的に下げている要因だというふうに私は考えています。なぜ国は2級に滞留せずに3級に上がっているのかということは調べていただいて、鳥取県の標準職務表を考えていただく必要があるのではないかと私は思います。  制度が変わって以降入った職員と、それ以前の職員との間には非常な格差ができています。これが埋められない状況になっているわけです。結果として2級に滞留している。なぜこうやって差が出ているのかということについてぜひ研究をお願いいたします。  西部出身者の特急券利用の問題についてに移ります。  この問題は、過去にも質問させていただいて、2分の1だったものが3分の1になったということで前進がありましたが、まだいまだに特急券利用の3分の1の自己負担があるというようなことになっています。現在、特急券利用で県庁に通っている職員が全部で120人ほどあって、西部からは40人ほどだそうです。西部から100人ぐらい通っているものだと思っていましたけれども、実際は40人ほどだそうです。  JRの高速化というのは、県民の皆さんにもたくさん寄附をしていただいて、その結果としてこの高速化ができ、現在、私もその恩恵にあずかって、西部から特急で来させていただいています。本当に、特急でも2時間かかっていたのが1時間ということになったということは非常に大きかったと思います。県職員についても、時間がちょっとかかりますけれども、時間がかかるというか、要するに時刻表に左右されるということがあるのですけれども、通えるということになったことは非常によかったと思います。現実問題として、西部から通っている職員は、西部に親を残し、鳥取に家を建てるということが一般的でありました。今でもそういった職員が多いのですけれども、結果的に西部の実家は年寄りだけ、中には、一人で住んでいた母親が連絡がないなと思っていたら亡くなっていたと、そういった職員もありました。  私は、多くの職員がこうやって西部から通える距離になっている、JRを使えば通える、もっともっとこれ職員を増やしてほしいのです。西部の空き家をつくってほしくない。  今度、北条道路が令和8年に完成するそうです。そうすれば、車でもっともっと、今、1時間半かかっていたものが1時間15分とかそういったことになるかも分かりません。そうすると、JRの利用も減って、車に替わるかもしれません。そうすると、ただでさえJR利用が少ない中でも、県職員がみんなこぞって車利用になって減ったといったことにも私はつながりかねないと思っています。どうやってJRの利用促進をするのかということも、私は県職員がJRを使って通勤するということも大きなことだと思っています。そういった面も含めて、現在3分の1を負担していることについて、知事、ぜひこの特急料金を負担してほしいと思っているのですけれども、いかがでしょうか。人事委員会委員長にも併せて伺います。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員から重ねてのお尋ねがございました。  まず、給与のことにつきましては恐らく、議員もおっしゃいましたけれども、もともとは鉄永議員がお元気なとき、この議場で大分こういう給料の問題をいろいろ取り上げられまして、そういうことの中で本県は、いわゆるわたり廃止という、当時、公務員制度運用上問題だったことを是正したというような実績がございます。その中で、今度は結局どういう職を設けるかになってくるわけですね。例えば、農業の関係の方であれば、農業職の中で、それぞれの職階に基づいた職務というものをやはりつくっていく。この辺の丁寧な作業というのはやはり大事なのだと思うのです。  理論的には、やはりきちんとこの辺のことを職場の実情も見ながら考えていくという作業を、地道ですけれどもやっていくことでだんだんと是正は図られていくのだろうと思います。  なお、先ほど平成25~26年頃にちょっと違いがあるとおっしゃいましたけれども、あれはどういうことかというと、給料表を大分いじっているのです。それまでやはり給料の表の中で下がる要因があったと。実は、これを徐々に直していって、平成29年ぐらいには国家公務員と変わらないか、あるいは国家公務員を上回るぐらいの給料表に本県はなっているのです。この辺、ちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、多分、その後の級の張りつけとか、実際のキャリアライフの問題で、こういうものは全部組み合わさって最後合成して、ラスパイレス指数が出てくるものですから、ただ、肝腎の給料の水準自体がおかしいというところは実はもう是正されていまして、そこのところで平成29年頃から大分改善されているように見えるのは、実はその辺の給料の構造改革をやっているからです。あと、次の感覚としては、恐らく職の問題、職をどういうふうにつくっていくかということなどが残されたテーマとして本来あるのではないかと、私は今、お話を聞いていて思いました。  その辺はぜひ今後もよく研究をさせていただいて、適正な給料の執行になるように、我々執行部側も頭の整理をしていきたいと思っております。  特急料金の手当の支給についてですけれども、これは御案内のように、平成30年度に実は私どももかなり思い切って変えたところであります。  今、全国の趨勢はどうなっているかですが、大体国準拠でありますので、国は3分の2という私どもとは違う2分の1でありますし、2分の1を支給するのと併せて2万円を上限とするというのが国のやり方です。さらに、国は人事異動に伴ってそうした遠距離通勤が生じた場合に対象とするということにいたしております。  私どもは、この平成30年度に改正をするに当たりまして、限度額は設けないと。3分の2を支給するので、3分の1のところで青天井で、その特急料金も見ていくことになります。ちなみに、人事異動とは関係なく対象にしますので、幅広くやっているところであり、全国的には恐らくトップスリーぐらいに対象はいいようになっていると思います。ちなみに、中国5県で見てみますと、島根県は2分の1の支給であります。ですから、3分の2の当県よりも少ないはずです。それから、問題は、意外に限度額なのですけれども、広島とか岡山、山口、広島は9万円台ですし、岡山は6万4,000円、山口は7万円が上限ということでありまして、結局、天井にかかってくるとそれで支給が止まってしまったりするわけですね。ですから、そういう意味では、本県はここは、データを見ていただければ、いいほうだとお考えいただければと思います。  ただ、さはさりながら、今のSDGsのことであるとか、それからせっかくある高速鉄道を生かすこと等々、いろんな考慮要素はあっていいと思いますので、この辺はまた真摯に検討をしてもよいテーマではないかと思っていますが、これも人事委員会の御判断があって動ける部分でもありますので、人事委員会のほうとまた今後もよく私どもなりにも協議をさせていただきたいと思います。 ◯議長(内田博長君)小松人事委員会委員長 ◯人事委員会委員長(小松哲也君)通勤手当に関しまして、特急料金の自己負担についてお尋ねをいただきました。  本委員会では、地方公務員法に定める情勢適応の原則及び均衡の原則に基づき、先ほど申し上げましたけれども、給与制度については公務としての類似性などを勘案し、国の制度を基本としつつ、給与水準については国及び他の地方公共団体の動向を踏まえながら、県内の民間事業所従業員の給与水準をより適切に反映させるよう努めております。  特急料金に係る通勤手当につきましては、平成29年度に県内の従業員数50人以上の民間事業所を対象に調査を行いました。その結果、回答のあった105の事業所のうち、特急を利用して通勤している従業員がいる事業所数は19、そのうち特急料金を全額支給していたのは4事業所でございました。しかし、当時は、国と同様に特急料金の2分の1を通勤手当として支給していたところ、やはり、職員に相当程度の経済的負担が生じているということで、平成29年の人事院勧告及び報告の中で、通勤手当の見直しについて報告を行いました。これを受け、平成30年度から、特急料金の3分の2を支給するよう見直され、現在に至っているところでございます。これは、国や国と同様の制度となっている28都道府県と比べ、手厚い制度となっていると考えております。  一方で、特に昨今の物価上昇により、実質賃金がマイナスとなっている中、特定の職員に経済的負担が生じているということについては、当委員会としても課題として受け止めております。特急料金を含む通勤手当制度、水準については、引き続き職員団体、任命権者双方の御意見を伺いつつ、国や他県の制度、国における給与制度見直しの動向、県内民間事業所の実態、職員の負担など、諸般の状況も踏まえながら真摯にその在り方を調査、検討していきたいと考えております。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)ぜひ検討していただきたいということを申し添えます。  最後の質問とさせていただきます。組合交渉についてであります。  知事、教育長ともに、それぞれ組合交渉に一度も出ておられません。報告は聞いておられるかもしれませんが、直接聞くのと、やはりフィルターがかかったものを聞いておられるのとは、私は全然違うと思います。  知事、教育長の周りの幹部職員はもちろん知事、教育長の人事権で任命するわけでありますけれども、全てイエスマンになっているのではないか、そのようにも私は思います。やはり違う視点で物事を言う組合との交渉をされるということは、私は職員を理解する上で非常に重要なことだと考えています。ぜひとも、少なくとも1年に1回ぐらいは、別の目で県政を見ている労働組合と直接交渉に臨んで意見交換をするべきだと考えますが、知事、教育長の御所見を承ります。 ◯議長(内田博長君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)森議員から重ねてのお尋ねがございました。  組合の皆さんと胸襟を開いた話をすべきではないかと、こういうことだろうと思います。森議員も市職労の御出身でございますので、いろいろと御経験もあり、貴重なアドバイスをいただいたものと受け止めさせていただきます。  ちょっと私のこれまでの思いを若干申し上げれば、実は、私の前の時代には、私も立ち会いましたけれども、組合交渉はやったことは1回だけございました。あれは例の3%、4%、5%カットですか、大分大騒ぎになりまして、県庁の周りでデモもされたりということもございましたし、やはり組合としっかりと話をすべきタイミングということで、それで委員長さんはじめ、お出になられて、第4応接室かどこかだったと思いますが、私ども執行部側の幹部も出て、当時の知事も含めて交渉をさせていただいたことがあり、その後、考え方の整理をして妥結をするというような経験がございます。ただ、実は、それ以外は多分組合と話をしておられないという状況だったと思います。  私が就任した平成19年以来、実は、片山さんという職員組合の委員長さんがおられまして、この方から、一度やはり給与面でもお話をしたことがあります。これは組合交渉というか、もしかすると交渉と並行してやった協議だったのかもしれません。それ以外に、実は、やはりお互いに話を聞いてもらう必要があるので、そういう場をセットしてくださいと、そういうふうに委員長からも言われて、何をやったかといいますと、いわゆる県職連合という形で教組の皆さんとか、現業企業労働組合、そうした方々など、県庁関連の職場の皆さんとそうした意見交換の場というのを実は年に何回かやったり、それから、定常的には年1回ぐらいやっていたものです。それで、5~6年は続いたのではないでしょうか。井中委員長のときもさせていただきました。  しかし、その後、実はそうした要請が来ていないということでありまして、私はもともとやはり庁風づくりということに興味があって、やはり職場の空気をつくっていかなければいけないと。そういう意味で、話合いをすることには全くやぶさかではございませんし、議員も今、いみじくもおっしゃいましたけれども、毎年の交渉の際も出るべきタイミングがあれば出ますよと、それは人事当局ともお話をさせていただいております。  ですから、今後もそういう意味で、組合交渉というと、結局、実は法的には非常に限定的な場面でして、勤務条件というものを議論する法律の協議の場ということになりますが、それにとどまらず、そうした意思疎通を図る、コミュニケーションを取るということは、私はあっていいだろうと思います。  ただ、今、議員もちらっとそういう言葉を使われましたが、平井の周りがイエスマンばかりだというような言い方が残っている限りは、やはり信頼関係を持って話し合うことはできないのではないかということを思います。これは実は職員のことを思っているのですけれども、ここにおられるうちの職員の誰がイエスマンだというのですかと。私はそういう人は多分いないと思います。結局、公務労働の組織というのはやはりある程度こうした議会の場、デモクラシーがありまして、それに従ってやはり私たちは仕事をしていく。ある意味、一つの方向性を共有しながら動いていくものですから、そういう意味では、ベクトルは割とそろいやすい、そういう職場なのだろうというふうに思います。  ただ、イエスマンという言葉の中には、何も考えずに自分は判断しないで、それでどちらかというと上の人の御機嫌を取ってやっていくと、こういうイメージで実は語られる、どちらかというと蔑称であります。そういうような言葉で県庁の外にも喧伝をされるというようなことは、やはり県庁職員の多くの方の名誉にも関わるところがあると思います。  議員はよく分かっていると思うのですが、やはり交渉なり協議というのは、お互いの信頼関係がないとできないものだと思っています。ですからそうした信頼関係をつくるという環境をつくっていただければ、そうした話合いということは私はもともとやっているほうでありますので、ただ、井中委員長の後はそうした要求がないというのもまた事実なので、その辺はまた今後、関係性をどう考えるかということだと思っております。  ただ、誤解なきように申し上げれば、年々の組合交渉なり、そういう賃金確定の問題などは、今のこの組織の中で人事関係者と組合と真摯に協議をして、毎年妥結した上でこの議場に条例改正を持ち込んでいますので、その辺につきましては御信頼をいただければありがたいと思います。 ◯議長(内田博長君)足羽教育長 ◯教育委員会教育長足羽英樹君)森議員から、組合交渉への出席、意見交換をということでお尋ねをいただきました。  教育委員会のほうでは、毎年1回、教職員組合の幹部の方々と私と、それから事務局の幹部で意見交換をする場を年度当初に設定をしております。先ほどあった、喫緊の教員の働き方改革ですとか、また、最近の定年延長の課題、さらには、人員確保に向けた教員、講師確保といったような直近の課題について、率直な意見交換をする場を毎年設けさせていただいております。
     それに加えまして、各専門部が教職員組合さんのほうにもございますが、それぞれのそうした声にもそれぞれ担当者がしっかりそれぞれ丁寧に耳を傾けるような体制で取り組んでおります。  また、私は、その点については、他県にはない、非常に丁寧な取組をしてくれているというふうに、かつて私もそういう場に参加をしましたけれども、丁寧に参加をしてくれており、そういう意味では、現場のそうした生の声、課題にしっかり耳を傾けるような体制をつくってきているところでございます。  子供たちや学校を取り巻く課題、それをよくしていきたいという思いは、教職員組合の方も、そして我々も同じ方向を向いているというふうに思っております。今後もそうした声にしっかり耳を傾ける姿勢、そしてそれはもちろん私も聞く機会を持っておりますので、しっかりその場を通しながら、現場の課題認識に沿った教育行政の在り方を推進していけるように取り組んでまいりたいと思います。 ◯議長(内田博長君)9番森議員 ◯9番(森雅幹君)知事からも教育長からも前向きな答弁をいただきました。  ただ、知事のほうからは、私の発言の中のイエスマンという言葉に反応されて、イエスマンという言葉がある限りというようなことでの答弁を受けました。このイエスマンになっていないかという言葉、確かにそうやって失礼な言葉だというふうに知事は受け止められたということでありました。私が考えた中では、やはりいろんな形で権力者がやっていくと、どうしてもその周りは自分が任命をするということになっていくと可能性があるということをこうやってイエスマンという形で書かせていただきました。失礼な言葉であったということで、私も改めて、ちょっとまずかったかなというふうにも先ほどの知事の答弁を受けて思いました。  ただ、どうしても労働組合は任命権者と利益が全て同じというわけにはなりません。どうしても違いがあるからこそ、労働組合というものを組織しています。その違いは理解をしていただかないといけないと思っています。  今日は、少なくとも年1回はということでお話をしました。知事からは、逆に労働組合から話したいと言われていないよということが答弁でしたので、県職労、県職連合には、知事との交渉を求めなさいということは伝えたいと思います。  こういう形で、労働組合というものは、基本的にどうやって職場環境をよくしていこうか、あるいは賃金を、自分たちの生活をどうやってよくしていこうかということを考え、交渉課題に上げて、話合いをいたします。そこにはいわゆる夢物語みたいなことを出して、課題として上げて、交渉するわけでも何でもありません。自分たちの生活に根づいた切実な問題を交渉課題として上げて要求をしているところであります。ぜひ、そういった意味で、最終決定権者、任命権者としてそういう場に私は出ていただきたい。もちろん、それ以上の話合いの場を持っていただくということについて、大歓迎であります。ぜひともそういった場を持っていただくということをお願いして、この質問を終わりたいと思います。  最後になりました。以上、長時間にわたって知事、教育長と議論をさせていただきました。お礼を申し上げます。  また、知事からは、先日、福間県議と共に、表彰とともにもったいないお褒めのお言葉をいただきました。先輩である福間県議への言葉であったとは思いますが、私にいただいたものとして大切にしたいと思います。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。  3期12年間、46回、質問に立ちました。そのうち、教育、美術館の問題を捉えて30回、原発、産廃で27回、質問をいたしました。今回、これまでの質問のまとめという形で質問をさせていただきましたが、具体的なものというよりは、概念的なものを、今日も「しあわせ」とは何かというようなことを議論させていただき、それを県政に生かしていただきたい、そういった思いで質問をしてまいりました。知事をはじめとした執行部の皆さんと共有できたものやできなかったものも数ございます。残念ながら、今日の質問はうまくいったなといったときは一回もありませんでしたけれども、その場での質問の真剣勝負が、議論できたことは、私の宝物として今後もずっと私の中に残っていくものと思います。  私たちは、先輩世代からこの日本社会、鳥取県の社会を引き継いでおります。その間には、高度経済成長、ジャパン・アズ・ナンバーワン、日本経済が絶好調のときも経験をいたしました。今では、その日本経済を引っ張った電機業界は今は見る影もない。産業界も日本の力もどんどん衰えてきている。その影には、今日も議論した少子化の影が大きく響いています。  ここ30年で国の借金は激増して、国民1人当たり1,000万円を超えております。私も含めて、年齢が60代以上の人たちが生きるのはあと20年ほどです。国民1人当たり1,000万円といっても負担するのは20年ほどです。ところが、若い世代、あるいは今生まれていない世代の人たちは1人当たり2,000万円も返すかもしれません。そういうようなものを全て次の世代に私たちは引き継いでいきます。今だけ、金だけ、自分だけという時代が長く続いてきた結果であります。  未来世代が幸せを感じられるように、未来世代に私たちが環境、社会インフラ、社会システムなど、何を残してきたのか、そして何を残していくのか、これが大きな課題であります。そういった課題を国会やこの議会を通して議論し、解決していただくことを深く望むところでございます。  議員の皆様には生意気なことも随分発したと思います。この場を借りて、御容赦をお願いしたいと考えます。  最後に、鳥取県、そして県民の皆様、議員の皆さん、そして知事をはじめとする執行部の皆さんの幸せと弥栄を祈念して、発言を終わります。ありがとうございました。(拍手) ◯議長(内田博長君)これをもって、県政に対する代表質問を終了いたします。  本日の議事日程は全て終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後3時43分散会    ────────────────...