▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(内田博長君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。
それでは、議案第1号「令和5年度鳥取県
一般会計予算」から第21号「令和5年度
鳥取県営病院事業会計予算」まで及び第38号「鳥取県基金条例の一部を改正する条例」から第79号「鳥取県
新型コロナウイルス感染拡大防止のための
クラスター対策等に関する条例の一部を改正する条例」までを一括して議題といたします。
これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
27番澤紀男議員
◯27番(澤紀男君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
本日は、
鳥取県議会最後の一般質問となります。よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして、初めに、森林・林業の振興と人づくりについて質問をいたします。
令和3年3月に作成されたとっとり森林・
林業振興ビジョンでは、森林は、県土を守り、豊かな水や美しい景観を提供するとともに、木材をはじめとする林産物を供給するなど、私たちの生活に欠かすことのできない県民共有の財産であり、森林は、地球温暖化を防ぐ大きな役割を担っている。鳥取県では、パリ協定に基づき、2050年
温室効果ガス総排出量ゼロを目指して、2030年度
温室効果ガス総排出量60%減の目標を掲げ、この目標を実現するために、二酸化炭素の吸収源となる森林整備について、従来の間伐に加えて、皆伐再造林にも取り組み、森林の若返りを推進するとしております。
知事には、2030年度
温室効果ガス総排出量60%減へ向けた現状と課題、また、県内の
森林J-クレジットの推進に対する現状の評価と今後の取組課題について伺います。
また、森林機能の保全、維持、向上の観点から、
森林環境譲与税の配分は、森林面積に比例させるよう国へ働きかけることを会派要望したところ、県も同様の方針とのことですが、今後の対応について、知事にお尋ねをいたします。
次に、とっとり
ウッドチェンジ戦略事業について伺います。
森林施業では、流通量の増加が見込まれるA材、製材用原木の供給を外材や他県産材から県産材へ転換、
ウッドチェンジを進める絶好の機会と捉え、品質管理や知識・技術向上のための人材育成を鳥取県
木材協同組合連合会に業務委託をしております。
木材乾燥技術の向上を図るため、
乾燥材生産指導者育成研修会のほか、JAS製品の品質の向上へ向けた
人工乾燥処理構造用製材工場の現地診断、心あり平角の乾燥技術の開発に向けた
乾燥技術実証試験を行っております。
そこで、知事には、1つ目に、県産の製材用原木の供給体制、流通や木材価格の現状について、どのように捉えているのか。
2点目に、県内の
乾燥材生産の現状と今後の展望について伺います。
3点目に、委託事業として行っている
乾燥材生産指導者育成研修や
木材乾燥技術向上現場指診断についての評価と今後期待する成果について伺います。
そして、4点目、委託事業では、平角の含水率20%を目標に、高温セットによる天然乾燥・
人工乾燥併用実験が行われております。現状と課題、また、将来はニーズに応じた含水率の
乾燥木材加工技術の確立も競争力を高める技術として効果的と考えられますが、知事の所見を伺います。
次に、とっとり
林業技術訓練センターを視察いたしました。愛称のGut Holzは、平成28年10月に
オーストリアから招聘した
ピヒル森林研修所の
マルティン・クロンドルファー所長がこの施設に愛着を持って提案された言葉で、
オーストリアの林業関係者の間で、安全作業で木材を生産しようというスローガンで使われているとのことです。
その
オーストリアでは、1990年以降、素材生産量を約1.5倍に増やしながらも、
林業労働災害を約半減させております。Gut Holzでは、その要因を伐倒技術の基礎訓練を行う研修所の存在が大きいと考え、
チェーンソーによる伐倒や枝払い、風倒木伐採、
キックバックなどの各装置を使い、安全に特化した反復練習ができる
林業研修体制を整え、日本一安全な林業を目指しております。
また、天候に左右されることなく、
チェーンソーによる伐倒技術の練習ができる
全天候型実習施設を昨年4月にオープンをいたしました。建設に当たっては、県営施設では初となる県内産のCLT、直交集成板や構造用合板と鉄骨を使った
ハイブリッド構造を採用しております。
そこで、知事には、1つ目に、本県の林業の担い手である
技術者育成に取り組む上で、Gut Holzをどのように位置づけるのか、あわせて、これまでの評価と今後の展望についてお伺いをいたします。
そして、2点目、Gut Holzの起源となった
オーストリアの
ピヒル森林研究所とはコロナの影響で交流を中断されていると伺いました。森林技術や安全対策の向上に資する関係と捉え、継続した連携・交流が必要と考えますが、所見を伺います。
そして、3点目に、県営施設では初となる県産材と鉄骨の
ハイブリッド構造の採用について、どのように評価をするのか、また、今後の県有施設での採用について所見を伺いたいと思います。
そして、4点目に、全国の林業における労働災害では、死亡事故の6割が
チェーンソーでの伐倒による事故となっています。県が委託して制作したDVD、「正確で安全な伐倒作業
チェーンソー操作の虎の巻 これを学べば免許皆伝」は、一般の人が見ても大変に分かりやすい内容であり、このDVDの活用をはじめとした
林業労働安全対策に関わる普及啓発について所見を伺います。
そして、5点目ですが、林野庁は、令和3年11月24日の通知で、林業の死傷率1000分の25.5を10年で半減させることを目指しております。
労働安全対策の強化として、下肢の
切創防止用保護衣の着用を義務づけております。本県では、とっとり
森林緊急通報カードの活用、普及を推進していますが、それぞれの現状と課題、今後の取組についてお伺いをいたします。
次に、とっとり花回廊について質問をいたします。
日本最大級の
フラワーパーク、とっとり花回廊は、花卉文化の発信拠点として、県内で生産が盛んな花壇苗をはじめ、
メインフラワーであるユリやバラ、
クリスマスローズなどの季節ごとの花の展示や園芸教室を開催するほか、新品種展示による情報発信、自然観察や作業体験など、
体験型イベントの開催やSNSを意識した展示、企画など、年間を通して花に親しむ機会を提供しております。
冬季に開催される
フラワーイルミネーションは、夜空の下、100万球の光がきらめき、感動の世界にいざないます。今年度の入園者は24万人を超え、
イルミネーション入場者も5万6,000人と、年間入園者の5分の1が冬の
イルミネーション入場者として定着をしております。
とっとり花回廊の新たな取組として、米子高専と
イルミネーションの
電子制御共同研究をはじめとした様々な分野での連携を目的に、
包括連携協定を結んでおり、今後の成果が期待をされます。
また、とっとり花回廊は、毎年延べ数で約1,700人の障害者の方の雇用、就労の場となっています。
そこで、知事にお伺いをいたします。とっとり花回廊では、花壇苗の拠点として毎年40万鉢が納入されています。しかし、生産農家の高齢化、後継者不足もあり、平成27年度には32軒あった生産農家が令和5年度には12軒に激減することが見込まれ、花壇苗納入の影響が出ると考えられます。今後の対策について所見を伺います。
そして、2点目、米子高専との
包括連携協定により行った
イルミネーションシステムの開発や子供たちが
イルミネーションのプログラミングを学ぶ
米子高専デジタル教室をどのように評価をするのか、今後の協定への期待と併せてお伺いをいたします。
そして、3点目、花回廊では障害者作業所A型同様の
最低賃金契約のほか、
花回廊マルシェイベントにも出店参加しておりますが、どのように受け止め、今後に期待をするのかお伺いをいたしたいと思います。
そして、次に、再犯防止について。
県立ハローワークの
刑務所出所者の就労支援について質問をいたします。
県民総活躍の社会を目指すために、就労困難者の就労支援は
県立ハローワークの重要なミッションとされています。鳥取県
再犯防止推進計画においては、
刑務所出所者の就職困難者の就労支援を担う機関として、
県立ハローワークが明記されているところです。そして、
県立ハローワークがそのミッションを果たすためには、鳥取労働局や
国ハローワーク、
鳥取保護観察所と連携し、同等の情報を共有しながら取り組むことが効果的であるとしております。
また、国の
就労支援チームの
地方版ハローワークの参画も認められたところであり、
県立ハローワークも支援チームの活動に積極的に参加し、実効性のある支援となるよう、その一翼を担うとしております。
昨年9月29日の私の一般質問におきまして、再犯防止における
県立ハローワークと国との連携について取り上げました。知事からは、なかなか今隘路に入っているとの発言がありました。
その後、県は、国の関係機関である鳥取労働局、
鳥取保護観察所と協議を行い、
刑務所出所者への就労支援について課題を明確にし、今後の方向性を示しております。
知事には、この関係機関と協議した課題と方向性について、どのように評価をするのかお伺いをいたします。
また、出所者の雇用の相談窓口であるコレワークとの連携について、
県立ハローワークが
刑務所出所者の就労支援、
職場定着支援を効果的に行うためにも、受刑者が出所する前の段階から支援に入ることが重要で、そのためにも出所者の受刑者情報を集約、管理しているコレワークの情報を共有できるよう県は取り組んでこられましたが、国の壁は厚く、実現をしておりません。
公明党の
日下正喜衆議院議員、
法務委員会所属、同席の下、直接、厚労省、法務省の担当者にヒアリングを行いました。国の担当者からは、
県立ハローワークは就労支援を担っていると認識しているので、再度、現場にて現状を確認することとなったが、コレワークとの情報共有については、
県立ハローワークとの共有は認めていないとの回答に終始したことから、これからも情報共有へ向けた継続的な取組が必要と感じたところでございます。
一方、
県立ハローワークでは実効性のある取組につなげるために、全国の刑務所はコレワークへの案内をし、認知度を高めることで個別に出所者の就労要請を受けることとしていますが、こうした状況に対する知事の所見を伺いまして、壇上からの質問といたします。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)澤議員の一般質問にお答えを申し上げます。
澤議員から冒頭、これが県議会での最後の御質問だという御発言をお伺いをし、胸に迫るものがございました。
これまで長きにわたりまして、今日も取り上げていただいた再犯防止の扱い、再犯防止につきましては、全国でも
再犯防止推進計画を最も早く本県がつくるなど、大きな注目を集めてきているところであります。また、
環日本海時代をにらみまして、どういうようなダイナミックな交流をし、そして、それを観光だとか、あるいは物流だとか、に
ぎわいだとかにつなげていくかということをライフワークのように重ねておっしゃってくださっていました。また、障害者のことにつきましても、今日もわかとり作業所の言及がございましたが、障害者の皆さんが生き生きと活躍できるように、工賃のアップなどにつながるようなこと、あるいはそれぞれの、例えば腎臓の問題等々、そうした課題に応えられる温かい地域社会、そういう包摂できる
地域社会づくりに貢献をいただいたところでありまして、本当に感謝の誠をささげさせていただきたいと思います。
本日、まず、環境問題、特に森林の関係につきましてお話が多くございました。
まず、
温室効果ガス排出60%削減に向けた現状等についてどうか、また、
J-クレジットの推進についていかがかということ、さらには、
森林環境譲与税についての働きかけ、また配分の見直し等はいかがかということでございます。
これにつきましては、世界の課題ではありますが、今大きな目標を持って、
環境イニシアティブという旗を立てて、本県としてCO2の削減に、貢献していこうといたしているところであります。その一つのターニングポイントといいますか、一里塚として、2030年は国の目標を上回る60%を削減をするということを目標に今やっているところでございます。
これにつきまして、現状は、削減率26.6%となっておりますが、これは全国のものを8ポイント以上上回る削減幅になってきております。この間、
バイオマス発電等も今新しい計画が着々と動いていますし、そういう発電等を通じた
再生可能エネルギーでのCO2削減ということが見込まれるところであり、また、片方で住宅の課題も省エネ化を進めていこうということがある意味順調に動いているなどがございます。そういうようなことと併せて企業ベースのこうしたCO2削減の取組も排出ゼロを目指す企業さんの数も徐々に増えてきていますし、実践活動も進んでいるところであります。
あと問題は、自動車などのモビリティーのことにつきましては、これはやや進みが悪いところがございますが、全国的な、あるいは世界的な技術開発によって、ここは変わってくるものだと思いますが、一つの射程圏内には、依然として目標の達成に向けて動いているというふうに分析はいたしております。
ただ、これから、議員が今日取り上げられました森林の吸収源対策、これが大きな要素になってくると思います。すなわち間伐の推進は、おかげさまでこの15年ほどは大分進みました。さらに、木の年齢も上がってきていますので、皆伐再造林に向かっていく、あるいは今おっしゃったような、そうした企業と一緒になって森林の保全に動いていく、これが大きな役割を果たすだろうと思います。
J-クレジットにつきましては、今、10のところが動いていまして、パートナーの企業も展開が進んできたところであります。こういう機運を盛り上げていきましたのも、これまで共に森を守っていこうという、山陰合同銀行さんとのプロジェクトが最初でありましたが、こういうところから始まりまして、今
J-クレジットという、要は成熟された市場的な取引のほうに動いているところであります。
現在いろいろともくろみがありまして、全国的にも証券取引所、東証のほうが関与する
仕組みづくりということもございますし、また、民間の会社と連携をして、
J-クレジットの販売を促進しようと。これは多分、企業側もCSRやSDGsということがございまして、ニーズがあるんだと思います。その辺のつなぎをしようというのを本県は、例えば銀行さんと一緒にこれまでもやってきましたけれども、さらに全国企業も一緒にやっていこうというお声もかかるようになってきました。ある意味、都道府県の中でこの
J-クレジットについては、一日の長を取っているポジションにあると思っています。
こうした森林の取組を進めていく上で、
森林環境譲与税が重要でございます。これは少し厄介な状況になっているところがありまして、その配分基準でありますが、半分は私有の人工林の面積でということになっているのですが、ただ、20%は働いている方々、それから30%は人口ということで私有は取られていまして、この人口は、当然ながら人口の多いところでは響いてくるわけであります。そういう意味で、例えば大阪市などは人工林とかはないのですけれども、ただ、3億円の配分を受けていると。それから、横浜もほとんどございませんが、4億円の配分を受けている。鳥取は9,900万円ということでありますので、何なのかなという感じもするのですね。東京23区、ここも当然ながら人工林など造成はありませんけれども、各23区の平均でも5,000万円ほど受けているわけです。
結局、そういう意味でもっとこの配分のやり方を見直すべきではないかというのは地方を中心に上がっていまして、このたびの税制改正の際にも与党でも議論がなされたようでございまして、この見直しの検討ということに言及がございます。
今後もこうした見直しをぜひやっていただけるように、公明党さんとも一緒になりまして働きかけを強めていければと考えております。
次に、乾燥材につきましてお尋ねがございました。
その乾燥材の現状や今後の展望ということ、それから技術者の育成や現場の指導など、また含水率の技術開発等々のお話があり、製材用の原木の供給体制、これを今どういうふうに見ているのかということでございます。
今の原木の供給は30万9,000立米ほどまで上がってきました。かつてから比べますと倍増を上回るような状況でありまして、特にその中で、製材用の原木は8万6,000立米ということであります。ある意味大分増やしてはきましたけれども、さらにもう一歩これから増やしていこうと思うと、先ほどの皆伐再造林だとか、そうしたことなどに向かっていく必要があるだろうということになるわけです。
現状の市況でありますが、一時期
ウッドショックと言われました急激な高騰というのは今収まりつつあります。
ただ、残念なのは、
ウッドショックのときに上がったときに一遍にこれを出していれば、結構それだけ実入りがあったはずなのですが、その辺がなかなか山ですぐに切りに行けないとか、供給体制の問題などがやはり出たところでございます。
そういう意味で、サプライチェーンマネジメントシステムというのをつくっていこうというふうに今考えておりまして、その
推進フォーラムをやっているわけでありますが、これによって、川上から川中、川下と情報共有しながら、適切に必要な材が山のほうでも切り出されるようになると。やはり注文を出してすぐ切れるものではありませんけれども、ただ、そうしたトレンドも取ったり、それから現場の供給側のほうのニーズに沿った
森林施業体制というものも組みやすくなるわけであります。
若干時間はかかりましたが、いよいよこのシステムに着手するというところまでやってきました。こういうことなどをやって、流通とか、あるいは木材価格のコントロールなどにつなげていければというふうに考えております。
その中の乾燥材でありますけれども、これも平成10年代半ばぐらい、割合が10数%でありました。今は4割ぐらいまで増やしてきました。
この間、議会の御理解もいただきながら、そういう乾燥材のための機械の導入助成などを拡大をしてきたり、議員のほうでお話がありました人材育成も進めてきました。例えば乾燥材に向けた研修は、今年度3回ほどはもう実施をしているところでありますし、現場指導のほうにも1回、こういうことで出かけている機会が11月に16日から18日までございました。こうやってやはり技術を磨いて、それでてこ入れしていくということをやっているわけでありますが、なかなか増えなかった乾燥材の割合も、今何とか4割ぐらいまではやってきたということであります。
議員がおっしゃった、さらに含水率を精密にやる技術開発などは多分、次の課題になると思います。それを例えば注文に応じてきめ細かく何%、何%というふうに供給するためには、結構な投資も必要であったり、技術も必要であったりしますが、これにつきましても県産材の
利用推進指針も改正をしたりしているところでありまして、こういう供給ができるように研修会をやったり、現場と調整をしたりして、一歩一歩それに近づいていければと考えております。
次に、Gut Holzにつきましてお尋ねがございました。
このGut Holzの評価であるとか、それから
ピヒル森林研究所との協力体制であるとか、それからこのGut
Holz自体、県産材と鉄骨との
ハイブリッド構造になっている、これをどういうふうに考えるのかと、こういうこと。それから労働災害での状況ですね。これについて、
森林緊急通報カードも含めまして、こういう
林業労働災害というものにどういうふうに対応していくのかと、こういうことでございます。
このGut Holzがそもそも構想されました背景には、林業における労働災害が多発をしていたということがございます。かつては、こうした4日以上の休業者の数とかを見ますと、30人以上いた時期もございましたけれども、今は10名程度に大体抑制をされてきております。やはりまず、林業に入ったときの研修体制ということも一つありますし、それから意外に事故が多いのは、ちょっと慣れてきたときですね。ですから、そうした人たちの技術をさらにアップしていくということが必要であります。
また、
オーストリアの現場に、実際に林業関係の森林組合の方とか、若手の林業家などが行ったり、職員も同行したりしましたが、そうやっていろいろと視察をしてみると、やはり例えば機械化が進んでいるとか、それから特に、モビルスーツみたいに格好いい防護服を着ているわけであります。こういうものもやはり導入していこうと。それでその防護服などの支援、援助の助成制度などをつくりまして、いろいろと現場のほうでも改革を進めていきました。労働災害的なことでは、例えば蜂の被害というのが結構あったのですが、こういうものもエピペンを普及させていくとか、アレルギーの抗体検査を普及させるとか、様々なことを林業の現場の安全確保に向けていったわけであります。
それによりまして、労働災害も一定程度は抑制をされてきていると思いますし、国のほうもこの辺を重視をしているところでありまして、今後も展開を強めていこうと考えます。
そういう中、そうした森林組合の皆さん等と話をする中で出てきたのが、とっとり
森林緊急通報カードというものであります。これは、同じようなことをやはりヨーロッパとかでもやっていて、もし万が一のときに、働いている方の情報というものを身につけておくことで、その後の緊急措置がしやすくなるということであります。こういうのを平成27年に取り入れるわけでございますが、今では全ての森林組合に行き渡るようになりました。
ただ、森林組合以外の事業体もありますので、そうしたところはまだ完全には普及していません。さらにそうした意味で御理解を得られるように周知に努めてまいりたいと考えております。
こういうような考え方の一環としてGut Holzが構想されたわけであります。やはり
チェーンソーでの伐倒時等の非常に重大な事故というが多いわけです。その
チェーンソー技術を磨くということをやったり、もちろん座学的なことも含めまして習得をしていくということをいたしたわけでございます。
そういう中で、ただ、やはり雨が降ったり、天候の問題がありまして、そうすると結局、せっかくその研修を組んでも実施ができないということになるものですから、そういうことで事業体のほうからもいろいろと要請もございまして、屋根つきの研修施設を造ったわけです。こうしてGut Holzが出来上がってきたところでございます。
これにつきましては、
ピヒル森林研究所との間で、毎年のように交流があった時期がありました。ただ、議員のほうの御指摘もございますが、コロナの関係で今それが中断をしておりますけれども、我々のほうでも今後も協力関係を大切にさせていただきまして、なお一層そうした安全確保に向けた体制づくりを強化していければというふうに考えております。
こういう海外とのいろんなやり取りの中で、いろいろと鳥取県も林業自体が変わってきたと思っています。例えばロープウエーを使って施業するとか、大型機械を導入してやるとか、こういうのは
オーストリアなどでは非常に大規模にやられているわけですね。それで、安全性も確保しようということで、こうした技術向上などの取組もあって、言わば林業というのは人気の職業になっている。さらに、その林業を通して出てくるそういう木材チップなどがバイオマス発電などにもつながっていまして、言わば循環型の産業として林業を大切にしているわけであります。
本県もそれを見習って、そして大型機械の導入などをやることによって、先ほど申しました30万立米という生産にも今大分向上してきたところでございます。今後もそうした海外との技術交流等も含めまして、展開をしっかりやっていければと思っております。
次に、とっとり花回廊につきまして、何点かお尋ねがございました。
とっとり花回廊での花壇苗の納入につきまして、高齢化や後継者不足ということで影響が出るのではないだろうかと、こういうお話でございます。それから、米子高専と一緒になりまして
イルミネーションをやったりしているけれども、こういうのはいかがであろうか。また、わかとり作業所の活用につきましてどのように受け止めて、期待をしているのかと、こういうお尋ねでございます。
とっとり花回廊は平成11年に開園して、それ以来、多くの観光客に訪れていただいたり、また、地元でもリピーターの方も多く、親しまれている施設となってきました。何より、四季を通じていろいろな花が見られる。ただ、花は生き物なので、これを支えるのは結構大変です。
開園当初、平成11年頃も新聞に大きく見出しも出たりして、花回廊ではなくて、草回廊だというふうにやゆされたこともありました。それで、JAさんとかと一緒になりながら、言わば花卉生産者の育成ということをこの舞台を活用してやってきたわけであります。一番中心になりましたのは、JA西部の花壇苗部会でございまして、こちらのほうでこうした40万鉢の生産体制の協力を得てきたわけでございます。ただ、これはかつて30戸ぐらいあったものが今12戸まで生産農家が減少してきているところでありまして、議員がおっしゃるように高齢化が進んできたということですね。平成11年からもう時もたってきましたので、元気だった方もそろそろやめようかということになるわけです。
ただ、逆に、1戸当たりの生産高というのはむしろ広がってきておりまして、30戸ぐらいあったものが今12戸になって、がたがたと減ったかというと、そうでもなくて、何とか生産自体は維持をしています。今1戸当たりの出荷ということでも、かつて最盛期に30戸ぐらいあったときは1万6,000鉢ぐらいだったものが、今は1戸当たり2万9,000鉢ぐらいになっていまして、倍ぐらいまでこちらも増やしてきているわけですね。ですから、農家は倍ちょっと減っていますけれども、生産能力は各農家さんで倍近くまで上げてきていると。これの組合せでありますので、一定程度の供給は今も確保できており、出荷自体は大体2割減ぐらいにとどまっていると我々としては受け止めています。
ただ、この生産農家の後継者もいろいろとありまして、例えば最近も浜田さんという生産農家の家では、後継者の翔太さんがそれをお父さんから受け継ぐ形で今一緒に生産されています。
また、これ以外にも花壇苗の関係など、鳥取県の苗物・鉢物生産研究会というのが、これは中部も含めてございまして、今、遠藤さんが会長を元気にされています。遠藤さん自体は花回廊の出荷をされておられます。こういうようなところの別の人たちはまた元気な方々もいらっしゃって、そちらのほうでは、むしろ花回廊への出荷にも関心を示していただいていまして、販路拡大の一環としてそうしたことも選択肢に入れていただいてはどうかなということであります。
いろいろと工夫をしながら、花壇苗の確保につきまして現場のほうでもやっているというふうに御理解をいただければと思いますし、私どもも、これは花卉振興という花の栽培振興の舞台として、花回廊を構想していましたので、そうした実が上がるようにJAと協力をしながらこの体制づくりに私たちも力を尽くしてまいりたいと思います。
それで、米子高専についてでありますが、このたび
包括連携協定というのを令和4年に結ばれたわけです。この中で
イルミネーションも入っていました。今回、花回廊に入って、入り口近くのところにクリスマスツリーのようなものが立っていました。このツリーは米子高専の生徒さんが手がけられまして、動くような形でツリーが見える、そういう
イルミネーションを自ら考案をしていただいたところです。それから、子供たちに対するデジタル教室ということもされまして、その一環として、その下のほうの庭園のところの
イルミネーションをそうした子供たちの発想による
イルミネーションで今回展開をしたわけであります。
こういうことが大きな自信になりまして、米子高専の生徒さんにもある意味手応えを感じていただき、それから子供たちも自分たちが作った
イルミネーションが実現をしたということもありまして、大変に喜んでいただいています。教育という観点でも、こうした花回廊の効果も出ているのかなと思いますので、今後もこうした協力関係を大事にしていっていただきたいと思っています。
わかとり作業所についてでありますけれども、わかとり作業所も長く雇用の場としてこの花回廊を活用していただきまして、1,700人役というレベルでの活用につながっています。これにつきましては、平成22年にこの議会のほうでも附帯決議をいただいて、指定管理に付したこともございまして、観光ですとか、こういう障害者の声も含めた経済や雇用、それから花卉振興など、そうした実が上がるように、その委託を受けて、十分配慮してやってくれというようなことがございまして、それに基づいて、今も観光事業団のほうでわかとり作業所の活用も図ったり、シルバー人材センターの活用も図ったりして地域に貢献しているということであります。
わかとり作業所の中では、フラワー分場というのがございまして、こちらのほうで皆さん元気に活躍をしていただいているのですが、これについて、最低賃金並みを払っていけるようにしてあります。本来これはB型の作業所ですので、そこまで要求水準ではないのですが、それぐらい手厚い体制を取って、清掃などの軽作業の採択をしているということであります。また、最近は、レクリエーションとして花回廊のマルシェイベントなどにも入っていただいたりしていまして、これはセルプひのみたいな別の、ほかからも来ていただいてやっていただいたりしまして、こうやって幅の広い協力関係というものをつくっているわけであります。
このように、こうした障害者雇用なども募集要件に加えることなどで、そうした花回廊の役割というのも広がっていると考えております。
最後に、再犯防止につきましてお尋ねがございました。
これについては、雇用人材局長のほうからも詳細な経過等のお話をさせていただきたいと思います。
これも、まず、議員のほうからは、出所した後の働き場所を探すという意味で、この近くにあるそういうセンターなどを活用していろいろとマッチングをしたいということを奨励していただきまして、大分いい具合にいろんな意味で軌道に乗ってきた部分があると思います。
そういう中で、
県立ハローワークというのを県独自で実は鳥取県はやっているわけでありますが、これをコレワークという、刑務所を出られた後、就業する際のマッチングの資格といいますか、そういう役割も果たすべきではないかという澤議員の提起がございまして、それで我々もこういう大事な議会という場で出た御意見でありますので、国にも精力的に、それが実現できるかということで働きかけをしてまいりました。
平成30年頃、私自身も国の役人に頭を下げに行ったこともありますし、それから政治家の方々にも、こちらに来られたときに申し上げたりしてきたわけでありますが、先ほど日下代議士を交えて働きかけをしていただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。
これにつきましては、私どものほうでもこうしたいわゆる就労困難者の就業をお手伝いするべきだという、我々の
県立ハローワークの役割を考えておりまして、そういう意味で、そこに当然その出所者の情報も得ながらマッチングにつなげていくということを想定するわけでありますが、国のほうは、実はかたくなに拘泥していまして、「そうしたことはおまえらはやらなくていい」と言わんばかりの態度が続いています。澤議員もそこの感じを多分見て捉えたと思うのですが、これを延々と5年ほど繰り返しているというのが今の実情でございまして、私としてはもうそろそろ本来の
県立ハローワークの使命を大事にすべきなのかなとも思っております。
すなわち、こうした就労困難者の支援ということはやるべきであると思いますし、その意味で人材も得て、配置して準備を進めてまいりましたので、これを基軸にして就労困難者の就労支援ということをしっかりやっていく、そういう土台にさせていただきたいというのはいかがかと思っております。
その際に、国側から、法務省や厚労省のほうからやはり逆に我々のほうにきちんと手伝ってほしいというふうに言ってくれば、手伝ってやるということではないかなというふうに思います。私も職員がこれでいつも悩んでいるのはちょっとふびんでならないところもございまして、ただ、やっていることは正しいことだと思っておりまして、そうした社会復帰をしていく、そういう特に就業困難の極みの部分がありますので、それに対するサポートというのはしっかりやっていったり、また、私ども別の観点では、いろんな関係団体と一緒になりまして、再犯防止の枠組みというのをつくってきましたし、就労支援のセンターなども運営しておりますし、そういうものをいろいろと組み合わせながら、この分野では我々なりの役割も果たしていけばいいのではないかなというふうに考えております。
議員のほうにはこうした議論の大きなきっかけをつくっていただきまして、この再犯についての就業問題というものをクローズアップしていただいたことでありまして、その志というのを我々もしっかり受け継いでまいりたいと思っております。
◯議長(内田博長君)荒田雇用人材局長
◯雇用人材局長(荒田すみ子君)それでは、
刑務所出所者の就労支援につきまして、補足の答弁をさせていただきます。
県立ハローワークでは、令和元年9月に専門就業支援員を配置いたしまして、出所者の就労支援に取り組んでまいりました。これまでに21件の就労支援を行いまして、そのうち6人の就職が決定いたしましたし、約100社を企業訪問いたしまして、受入れに前向きな企業44社を確保したところです。そのほかにも、依頼に応じまして刑務所での職業講話や釈放前指導など行って、こうした活動を評価いただきまして、関係機関から直接依頼をいただくようにもなってきたところでございます。
一方で、国の個別支援のスキームにおきましては
県立ハローワークが参画できない状況にございまして、9月議会以降、改めて保護観察所や労働局と協議をしましたところ、従来の流れを踏襲をして、支援チームを立ち上げない形で国のみで対応していたですとか、情報共有のための同意の手続等を用意していなかったといったことでございました。こうした現場レベルの問題につきましては、協議を重ねていく中で、支援要請を行う際の手順を見直す形で
県立ハローワークが支援チームとして参画できるような方法に見直すですとか、協力雇用主の情報も同意をもらった上で提供するといった改善のほうに向かっておりまして、3月16日開催予定の関係機関との連絡会の中で、こうした方向性も確認をする予定としております。
しかし、コレワークや受刑者と専用求人の情報が共有されずに、出所前段階からの就労支援に
県立ハローワークが関われないということにつきましては、やはりこの制度改善の見込みが薄いという状況にございます。そういった状況にもございますので、
県立ハローワークとしては、現場でできることに注力をしていきたいというふうに考えておりまして、議員からも御紹介いただきましたように、
県立ハローワークとしては、就職困難者の就労支援というのがミッションでございますので、ここに注力をして、強化をしていきたいと思っております。
具体的には、専門就業支援員を中心に、就職困難者支援の体制づくり、関係機関とのネットワークの構築、支援員のスキルアップ等を強化をしていきたいと思っておりまして、
刑務所出所者につきましても、こうした中で引き続き取り組んでいきたいと思っておりますし、個別の依頼に応じて就労支援を行っていきたいと考えております。
◯議長(内田博長君)27番澤議員
◯27番(澤紀男君)知事のほうから答弁をいただきました。
森林・林業関係については、引き続き質問しますので後に回したいと思うのですけれども、まず、最初、花回廊のことを質問し、知事のほうから3点にわたって答弁をいただきました。
特に、
包括連携協定、ここのところについては、これは非常に今後の期待が持てる、教育関係もということも含めて答弁がありましたので、副産物としてまだまだいろんな活用のほうが出てくるかもしれない、こういうふうに期待をしておりますので、しっかりと花回廊のほうでは進めていただきたいなと思っています。
それともう一つ、障害者の方、これの部分で、雇用、就労の場となっているということで、附帯決議の話も知事からしていただきました。
私はもう一歩実は進んで、やはりマルシェという言葉が出てきました。コロナの関係で、その後1回やっただけでなかなか進んでいないということのようなのですけれども、1つは、せっかく花回廊という県の大きな中心施設の中でマルシェをやっている。障害者の方が、祭典となるような、そういうマルシェに育て上げるということもやはり今後一つの大きな目標として取り組んでいくということで、障害者の支援にもしっかりとつながっていくような取組もお願いをしたいなということを思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それと、最後の再犯防止のことです。知事とは長年、大分、昨年も論議をいたしまして、非常に、何と言いますか、闘争心を持ちながら実は言ったのですけれども、知事のおっしゃる部分もあります。知事の言われることもよく私も理解できる部分はあるのですけれども、やはり話の中で出たのが、最後のほうですけれども、やはり県立のハローワークのいわゆる経験年数、実績ということも少し言われて、出てきましてね、そこまで言われるのだったらと、声出して言いませんけれども、思ったのは、やはり実績も必要だなというようなことをちらっと言われたのです。では、実績があればできるのかなというふうに私は思っています、そこのところは。実績ということを言われますと、年数も浅いですし、なかなか難しいなと思うのですけれども、これから私はやはりつくっていくべきだと思っています。
そういう意味で、知事がちょっと考え直すというふうに言われたのですけれども、何とか進めてほしいなと私は非常に思っておりますし、これを一つはやっていくことで大きな流れも出てくる。そこのところが本当に大変なことだと思っています。だけれども、現場のほうではやってみたいという声もお聞きした部分もありまして、できることの中でしっかりと取組を進めていくということも、コレワーク等ですよ、いろんな形でやってみることも必要ではないかなというふうに思っていまして、私は諦めないでいただきたいなということをちょっと申し上げたいです。
そのことをまたちょっとコメントをお願いします。すみません。
それで、ちょっと時間が大分ありませんですね。森林・林業ということに進めていきたいと思うのですよね。
まず、KC-46Aにつきましては、地域振興部長のほうからお答えを申し上げます。
また、原発の関係につきましては、これは危機管理局長のほうからお答えを申し上げますが、原発回帰をやると私は先ほど一言も言っていません。基本的に従来のスタンスを変えるものではなく、緩やかなエネルギー革命を起こすという意味で、今も例えば境港でバイオマス発電の動きがありますけれども、こういうような形を大きくはやっていくのだろうと。あと、私どもの県民の最大の関心はやはり安全だと思いますので、その地元の安全につきまして、しっかりと国やあるいは中電と協議をしていくという立場でございます。
新型コロナの第八波につきまして、何点かお尋ねがございました。
これにつきましては、新型コロナウイルス感染症本部事務局長の西尾のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、5月8日以降も感染は続くわけでありますので、これからはやはり、病院の医療提供体制をどういうふうにするのか、それが図られるバックグラウンドづくりが重要です。政府のほうには我々知事会を通しても同じ要望をしておりますけれども、やはり診療報酬の問題だとか、あるいは病床確保に係る一定の制度の継続であるとか、そうしたことなどをしっかりとやっていく必要があるのだろうと思います。
そうしたことなどをこれから、まずは3月13日にマスクの件で一つの節目がある、それから5月8日に新しく5類のほうに移行をすると。ただ、これ段階的にやりながらも、感染がなくなるわけではないということを念頭に置きながらの対策が継続して求められていると考えておりまして、今、病院の医師会のほうともいろいろと調査をさせていただいているところでございまして、そういう鳥取県独自の安全の確保策というのを考えていく所存でございます。
最後にインボイスにつきましてお尋ねがございました。
これにつきましては、総務部長からお答え申し……(「インボイスはないです」と呼ぶ者あり)インボイスはないですか。では、最後ちょっと聞き間違ったかもしれません。
◯副議長(広谷直樹君)木本地域づくり推進部長
◯地域づくり推進部長(木本美喜君)KC-46A等の配備計画について答弁をさせていただきます。
美保基地への配備を決定しております空中給油輸送機は、昨年、配備のほうを了承いたしました6機でございまして、既に2機が納入されておりますので、今後は令和5年度に2機、令和6年度に2機の4機が予定をされております。なお、この4機は、前の中期防衛力整備計画に基づくものでございます。
このたびの防衛力整備計画におきましては、今後5年間で整備される主要装備の数量として空中給油輸送機KC-46A等を13機整備するとされておりますけれども、その配備基地につきましては明記はございません。昨年12月に防衛力整備計画が公表されて以降、この13機の中に美保基地への配備があるのかどうか、中国四国防衛局に説明を求めておりますけれども、現時点では未定とお聞きをしております。配備基地に関する動きがあれば、まずは速やかに情報提供をお願いしているところでございます。これまで、県と中国四国防衛局との間では、美保基地の運用に変更が生じる場合には、速やかな情報提供や事前協議等を適切に行う旨の取決めを行っておりまして、新機種の航空機を配備する場合のみならず、配備機数を増やす場合にも事前に協議をしていただけるものと考えております。
仮に今後、美保基地への空中給油移送機をはじめ航空機の追加配備の協議がございました場合には、防衛局に対しまして丁寧に説明をしていただくよう求めてまいりますし、県としても増機の必要性、訓練飛行の頻度、騒音に関すること、安全対策の状況など、地域の安全・安心が確保されるか、また、基地周辺の住民の皆さんの生活影響が課題とならないかなどにつきましてしっかりと確認し、境港、米子市の意見を確認、また、議会への御報告、御相談など手順を踏みながら、地元が必要と考える対応を国に求めてまいりたいと思っております。
◯副議長(広谷直樹君)水中危機管理局長
◯危機管理局長(水中進一君)原子炉の高経年化と再稼働について、補足の答弁をさせていただきます。
現在、議員の御指摘のありましたことにつきましては、高経年化として保安規定の変更の認可申請がされておるところでございまして、現在、申請基準で追加された機器、それから耐震評価の反映も必要なことから、現在審査中でございます。
一般的に原発につきましては、プラントの安全と安定運転を確保するために、定期事業者検査や日々の保全活動を行いまして、最新知見や国内外で発生した事故、故障の再発防止対策を反映させまして、必要な機能や性能を維持できるように、予防的に設備や機器の取替えが行われております。しかしながら、一般的に機器の材料は時間とともに劣化するため、通常の保全活動に加えまして、経年劣化の兆候を早期に検知いたしまして必要な措置を行うことで事故、故障を未然に防止する経年劣化の管理が法令で義務づけられているところでございます。
この経年劣化の管理については、追加の高経年化の観点から、耐震安全性評価を含めた技術評価として行われ、運転開始後30年以降、10年ごとに事業者が安全機能を有する全ての機器、構造物について中性子の照射脆化等に着目して、劣化の現状等、劣化予測等による健全性評価を高経年化技術評価として取りまとめ、その評価結果に基づいて長期施設管理方針を取りまとめて、保安規定に記載して申請し認可されることが必要で、事業者はこの保安規定に基づいて追加された保全活動を行い、国のほうは原子炉規制検査で厳格に確認することになります。
なお、保安規定につきましても、先ほど述べましたように、島根原発の申請基準合格につきまして、そのときに安全を第一義として、安全新規制基準に係る安全対策を進めることについて、前提つき条件で了解したところでございますので、今後は、再稼働までのこの保安規定の手続等についても一つ一つ説明を受けて、意見を提出していく予定にしております。
◯副議長(広谷直樹君)西尾新型コロナウイルス感染症対策本部事務局長
◯新型コロナウイルス感染症対策本部事務局長(西尾浩一君)コロナの関係で4項目について御答弁を申し上げたいと思います。
まず、外来診療に関しての加算の継続の有無でございます。
これにつきましては、国が外来医療に関する診療報酬上の特例など、そういったことを段階的な見直しを行うということはおっしゃっておりまして、その具体的な方針は今月3月上旬に示される予定でございます。今のところまだ加算が継続するかどうかというのは不明でございます。
次に、空床確保料のことについてお尋ねがございました。
この件につきましては、国のほうから11月に県と医療機関が事前協議しておくことで、コロナ病床以外の病床でコロナ陽性者の入院を継続する場合に、病床確保料の対象とするということが可能だということが示されたことを踏まえまして、本県で取扱いを始めたところでございます。これは自院での入院を継続していただくほうが、そのコロナ以外の疾患で入院されている方の転院によるような負担が軽減でき、確保病床の逼迫も回避できるというふうに判断したからでございます。現在それで合意をいただいている機関が31機関ございますので、その機関がこの取扱いによりまして事後報告によって遡ってそのゾーニングなどによって発生する休止病床の空床補償を受けられるようになったということでございます。ということでありますので、その方針決定が速やかにできるようになったというふうに歓迎の声をいただいているところでございます。
即応病床数の2倍であるということにつきましては、国が昨年1月から適応しているルールでございまして、医療機関には既に一定の理解をいただいているというふうに判断をしております。特段、不満の声を私はお聞きしておりません。
また、クラスター対策についてでございます。
このクラスター対策につきましては、実際に早期の対応が必要ということで1名からの報告を求めてきたところでございますが、これまで何回も様々な経験をされて、それぞれの施設が経験を積まれて、早期対応の重要性については御認識いただいているところでございます。ということでありまして、その初期対応に非常に負担がかかっておって、簡素化してほしいというような御要望も承ったところでございます。それでこのような形で見直しをさせていただいたというものでございます。
また、5類になった場合に、その自己負担額はどうなるのかということのお尋ねがございました。
これにつきましては、外来診療を行った場合には、その1回の外来受診に当たっては……。
◯副議長(広谷直樹君)時間となりましたので。
暫時休憩いたします。
再開は、午後3時5分といたします。
午後2時56分休憩
────────────────
午後3時05分再開
◯副議長(広谷直樹君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
2番山川智帆議員
◯2番(山川智帆君)(登壇、拍手)皆様、こんにちは。山川智帆と申します。
政治とは何のためにあるのでしょう。常に自分に問いかけています。住民がやはり幸せになる仕組みをつくるため、心より信じています。先般も代表質問で森議員が、政治と幸せ、幸福をかけて代表質問がありました。知事は幸田露伴先生の幸福学を、そして教育長は禅僧的幸福論をおっしゃられました。それを聞いて、やはり幸せと人間の持つ欲というのは切っても切れない関係だなと実感しました。
マズローが言う人間の欲求には、5段階あるということで、ピラミッド形式で言われています。まずは、生理的欲求、食べること、そして次は安全の欲求、自分の自らの命を守ること、そして社会における欲求、社会においてどのグループに属するか、そしてどう承認されるか、それがあった上で、最後に自己実現ができることが言われています。あえて、今回、ここでは生理的欲求、安全欲求、どう身を守るかという観点から、2点質問に入りたいと思います。
まず、海岸浸食にですが、鳥取県は海岸整備で県の海岸は延長、長さ130キロあります。海岸線の約6割を占める砂浜です。しかし、近年、鳥取県の海岸はひどく浸食傾向にあります。砂浜がほとんどなくなっている地域もあります。国のデータでは古いものしか見当たりませんでしたが、平成4年までの13年間、過去13年間どれぐらい砂浜が浸食されたか、鳥取県の海岸は、その浸食面積全国9位、平均浸食量は全国ワースト1というデータでした。つまり、県の資産が削られているということです。近年、台風や異常気象が発生し、頻発し、この浸食が加速していると専門家は警笛を鳴らしています。住民も実感しています。県は、平成17年、鳥取沿岸の総合的な土砂管理ガイドラインを策定されました。砂が削られたら、別の場所から砂を持ってくればいい、このサンドリサイクルを中心として、これが困難だったら必要最低限の人工リーフ、構造物などの整備をするとされています。
ここで、皆生海岸、淀江漁港から境港工区まで16キロの範囲の説明をさせていただきます。
国の直轄事項と県の直轄事項があるのですが、皆生から境港の10.2キロの工事区間を取り上げます。過去の経緯を説明したいと思います。
昭和の初めに皆生温泉の市街においては源泉、薬師堂、そして清風荘、金魚亭、これらが海岸浸食によるダメージを受けました。そこで、昭和35年、全国初となる国の直轄工事として区域指定がされました。昭和46年から57年、12個のテトラポットが建設され、トンボロ現象という凹凸型の現象ができてきました。この凹凸型の現象は、平成15年においては安定水位の傾向にありました。しかし、その2年後の平成17年において、テトラポットは見た目がよろしくないという景観上の理由から、人工リーフに変更がされました。そうしましたところ、トンボロ現象は消失し、著しい掘りが生じています。
テトラポットと人工リーフと申しましたが、いずれも波を消す効果があるものです。テトラポットの特徴は、昭和24年、フランスのネールピック社が発売され、モロッコの火力発電所の護岸工事に用いられたものです。語源は、4本の足から成っていて、日本においては昭和30年度に普及しました。
人工リーフにおいてですが、海岸に見えたらいけないということで、海岸に並行して捨て石を積んで海岸の表面上に見えないように幅広にフラットに表示して、海から見えないものになされました。
ここでパネルにおいて説明させていただきます。まず、ビフォーとアフターという形でお手持ちの資料にもありますが、最初改良前ということですが、こちら左手がテトラポットのものです。こちらが改良されたものが人工リーフのものです。これを皆生に住んでいる人は大体もう、小さいときから海水浴が子供の遊びだったのですけれども、ここのテトラポットまで行ったら、泳げない人もカニを捕ったり、テトラポットの上に乗って磯釣りができたりしていたものです。海は途中までは浅かったのですけれども、途中いきなり深くなる感じです。
こちらのアフターなのですが、人工リーフなのですが、このフラットで海の表面から見えない状況になっているのですけれども、こちらになると全体的に浅瀬になっていまして、浅瀬になっているので深くはないのですけれども、その代わりもうこのトンボロ現象、この凹凸型の現象が全部消えて大体なくなってきまして、テトラポットまでは渡れない状況になってきまして、そして同じに砂も削られる率も高くなっている現状なのです。
もう1枚の資料で説明させていただくのですけれども、まず皆生の華水亭と天水の間のところに海に渡る階段があるのですけれども、皆生では砂をサンドリサイクルで、砂が削られたとしても、そんなにそこまでないから、緊急的にサンドリサイクルというのをやらせてもらっているよということなのですけれども、今年の1月に降った大雪の後に撮った写真なのですけれども、こちらは階段からもう転落してしまう状況です。砂がえぐられ、天端まで砂がえぐられる状況になっています。皆生、あまりないよというふうに言われるのですけれども、半年前に、ちょうど令和4年9月、台風14号がありまして、こちらでも緊急要請、砂を日吉津から持ってくるという事業をやった半年後にこの大雪でなっている、緊急的ではない、年に2回も起きる状況になっているのが現状です。
そこでお聞きします。これまでの経緯と事業評価についての認識をお聞かせください。
続きまして、コロナ禍の葬儀についてお伺いします。
コロナ禍において、コロナで亡くなられた方にお見舞い申し上げます。コロナのときの葬儀とコロナではないときの葬儀というのはどう違うか、皆さん、御存じでしょうか。コロナになったら、24時間以内に火葬しないといけないです。体から出る体液というのは、やはりそれに詰め物をして、二重で袋がかけられて、お骨を取る収骨するのも人数制限があったり、実際、遺族は本当に十分な最期のお別れができないという声を聞きました。やはり大切な、皆さん大切な人との、気持ちの整理がつくためには、悔いあるお別れをすればするほど悲しみを長引かせるということで、国も厚労省が1月の初めに遺体の搬送や葬儀に関する制限を緩和しました。この国の緩和制限を受けた鳥取県内の現状についてお伺いします。
お見送り状況はどうなっているのか、関係者といっても医療関係者、そして葬儀屋さん、火葬場、広域組合だったり、その関係者との協議状況はどうなっているのか、壇上でお伺いします。以上です。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)山川議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、皆生海岸の整備事業についてでありますが、詳細は県土整備部長、蒲原のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、山川議員も非常に詳しくおっしゃっていただきましたので、そういう流れであるというふうに御理解いただければいいかと思うのですが。
やはり日本海というのは非常に波が荒いわけです。特に冬季の風浪被害、これはやむところがないわけでありますし、日本海側は全国的にそうですけれども、風浪被害が強まっているのではないかなとも言われます。もしかすると水位が関係しているかもしれませんし、もちろん異常気象ということもあるかもしれません。ですから、従来よりもかなり状況は厳しくなっているというのを今、現状では念頭に置かなくてはいけないのかなと思います。
ただ、遡ってみますと、おっしゃるとおり、以前、皆生海岸の中で温泉が湧いて大変ににぎわいができ始めるわけでありますが、どんどんと海岸の浸食が進んでくると。それで、金魚亭のお話もございましたけれども、非常に見るも無残な状況になりかけて、本県とあとほか2か所ぐらいあったと思いますが、国の直轄事業で海岸事業をやるということに、昭和35年に踏み出したわけであります。そういう意味で非常に由緒正しきといいますか、長い沿革のある、そういう歴史的な大事業でありますが、正直まだ終わっていないし、厄介なのは、相手は自然であります。美保湾は、ふだんは穏やかに見えるわけでありますが、時に荒波を立てて牙をむいてくると、そんなときに一気に削り取られていって、住むところすら脅かされるという状況があった。そこで、今、テトラポットのお話がありましたが、トンボリが一つの名物になるぐらい、皆生海岸の工事が進んだわけであります。
この皆生海岸の整備事業、全部で12堤ということで、できてきておるわけでありますが、そういう中で、平成14年ぐらいに地元のほうの意見がむしろあって、トンボリというのはある意味特徴的で、面白い幾何学形状ではあるのですが、本来の自然護岸とは大分違いがありますので、やはり観光地でありますから、それはいかがかということがあったのだと思います。したがいまして、華水亭のところの辺りでそうした潜堤化といいますか、人工リーフ化が進められることになったわけであります。これは国の名誉のために言えば、むしろ地元が声を上げてやっていただいたという経緯もありまして、あの当時の状況としては、そういう選択であったのだろうと思います。
また、片方で富益工区とか、あと恐らくはこれから和田の辺りも含めて、順次整備が進められていかなければ、結局どこか塞いでも、そこの空いたところが削り取られたり、それから砂が動き回りますので、境港のほうではヨットハーバーが埋まってしまうということになるわけです。ですから、常に動きを取らなければいけないわけですね。
現在の基本的なスタンスは、平成17年にガイドラインを有識者や国、それから地元なども入った形でつくり、基本はサンドリサイクルでやろうということになっています。サンドリサイクルで間に合わないところはハード事業をやると。これはある意味リーズナブルなお話でもあるのかもしれません。特に事業費のことを考えますと、護岸堤を造るというのは結構な事業費がかかりますし、また自然との関係でいえば、自然をある意味形状変更していくということになる面もありまして、そういう意味で慎重さというのは一定程度求められるのかなと思いますが、平成17年にはそういうガイドラインをつくられたということでございました。
しかるに、我々も同じ状況を目の当たりにしていますが、台風で、あるいは雪の後だとか、つまり大きな波が来たわけですね。そういうときにかなり大きな浸食が起こっているという現状があります。これは皆生にとどまらず、全県的にもあって、本当に悩ましい我々の課題です。例えば岩美のほうの東浜だとか、美しい砂浜でありますけれども、そういうところが、浦富やらいろいろございますが、結局どんどんと取られてしまうと海水浴もできなくなれば、道にも迫ってきます。そこで、最初は護岸堤とかいうことをやっていました。しかし、それもまた形状的にどうなのかなということもあって、砂丘の辺りもそうですが、サンドバッグを埋めるという新しい手法を取ったりもしました。ただこれもなかなか試行錯誤です。最近記憶に新しいのは、国道9号のところ、浜村温泉のところがやはりあっという間に削られてしまいまして、しばらく国道9号の通行不能ということにもなりました。ですから、この山陰に住まいする以上、この波との闘いは終わることがないわけであります。
そういう意味で、今、いろんな試行錯誤の一環だと思うのですが、皆生方面においてはこういう護岸堤やあるいは潜堤の人工リーフ、こういうものができてきて、以前よりは大分進化したと思います。ただ、正直に申し上げて、平成17年のガイドラインの合意自体がどこまで正しいのかということも含めて、やはり相手が自然ですから、自然の前にこうなったということを最大の証拠として、私たちは事業について、やはり国と地元と一緒になって考えていかなければならないのではないかと思います。
2つ目に、新型コロナにつきましてお尋ねがございました。
みとりの問題というのは非常に難しいし、身につまされるものでもあります。正直申し上げて、最近の新型コロナの状況を見ても、感染される方が大変御高齢だったり、基礎疾患が進んでいる方ばかりになったということもあるのでしょうが、そういう意味で、病院に入れるよりも、家でみとりたいという人も少なくないのですね。最期をどういうふうな形でお別れをするのかというのは非常に重要であり、かつての武漢株から今のオミクロンに替わる中で、みとりの形態というのも変わってくるのだろうと思います。
そういう意味で、1月に入りまして、1月8日だったかと思いますが、国のほうで方針変更をされました。これはかねてそういう課題が指摘されていた中で、片方でオミクロン株の重症化率のことだとか、対応の変化が可能ではないかというのが背景にはあるのだろうと思います。やり方を変えて、それまでは納体袋に入れるという、ある意味簡単に隔離措置ができるやり方ではありますけれども、もっとも御遺族や多分旅立たれる御本人にとりましても寂しい形なのだろうと思うのです。それは取らなくてもいいよと、「おくりびと」という映画にも出てきましたが、通常、最後に納棺師がいろいろと体の世話をします。通常、病院ですと病院のスタッフが結構される、慣れたものです。そのときに例えば鼻の穴とか、要はウイルスが出そうなところをきちんと閉じていくと、そういうような措置ができていれば、納体袋というのは不要ですというようなことを基本とする方針変更がなされました。
ただ、これを実際に適用するに当たりまして、議員も今おっしゃいましたが、現場の葬儀屋さんだとか斎場なども含めてどういう話合いをしたかということなのですが、早速皆さんから疑問も上がりまして、そういう声を踏まえて、1月16日頃だったと思いますが、説明会といいますか話合いをするということになり、それで我々の地域のローカルルールとして決め事もさせていただき、その後は極めてスムーズに流れているのではないかと思っています。どういうようなことかというと、基本的には病院のほうでやっていただく、ただ御自宅でやるとかそういうような場合には、その葬儀屋さんだとか業者のほうでされる、そういう体の清拭と言いますけれども、拭くとかそういう作業をいろいろとやって、それで最後のお見送りのあの体制へということになります。基本的には恐らく普通はかかりつけ医さんが最後の御臨終も含めて関与されますので、そうした医院のほうでもそういうことはなさっていただくというのが通例あると伺っております。
いろいろと場面によってやはり違いはありますけれども、適切にこうしたガイドラインの変更も含めて、県内でも処置が行われ、最期の時間というものを大切にできる環境づくりについて、県としても心配りをしてまいりたいと思います。
◯副議長(広谷直樹君)蒲原県土整備部長
◯県土整備部長(蒲原潤一君)皆生海岸のこれまでの経緯と事業評価につきましての補足の答弁をさせていただきます。
昭和35年に皆生海岸の一部が新潟県や佐賀県とともに全国で初めて直轄工事区域に指定されまして、浸食対策として人工リーフや離岸堤などの海岸保全施設整備によりおおむね安定をしているという状況でございます。工区は、東から議員の御指摘の皆生工区、それから両三柳工区、夜見工区、富益工区、和田・大篠津工区は、これは県管理区間でございます。さらにその西側に境港工区というふうに分割をして事業を進めていただいておりまして、事業評価上の予定施設は、沖合施設といたしまして離岸堤人工リーフが23基、緩傾斜護岸が720メートル、離岸堤補強が5基、施設改良が5基、サンドリサイクルが年間8,000立米から3万立米で、全体事業費272億円の事業計画を昭和35年度から令和7年度にまたがって実施をするということで、進捗率が今91%というふうに直轄事業のほうはなってございます。直轄のほうは平成29年度から富益工区で人工リーフの改良に着手されておりまして、残る2基の完成に向けて工事が進められているという状況でございまして、令和3年度の事業費でいきますと補正込みで3億3,200万円、令和4年度は4億5,400万円でございます。県は、両三柳工区の一部で県管理河川の河口が閉塞しているというところに対応して、サンドリサイクル等を同エリア内で実施をしているという状況でございます。
◯副議長(広谷直樹君)2番山川議員
◯2番(山川智帆君)皆生海岸事業というふうに言うと、やはり皆生だけと思うかもしれないですけれども、やはり皆生、両三柳、夜見、富益だったり工区を含むのですけれども、その総事業費の移り変わりというのを見ると、総事業費というのは、維持管理費も含んでいるのですけれども、維持管理費も砂の移動をするサンドリサイクルと人工リーフの改良などを含むのですけれども、日野川河川事務所から実際維持管理費はどれぐらいだったか出してくださいということをお願いしましたら、令和2年と3年は6億4,000万円、令和1年は4億1,000万円、平成30年は1億9,000万円ということでした。総事業費においては、昭和35年、国の直轄工事ということで着手したのですけれども、計画がまだされていなかったということで、総事業費の算定はこの時点ではされていませんでした。その以後、数年ごと、5年なり3年ごとに事業評価をされたところ、そのところでちょっと気になることがあるので確認をしたいのですけれども、平成15年においては総事業費が328億円だったのです。平成26年においては総事業費、この見直ししたときには272億円になって、要は56億円下がっているのですけれども、これって大丈夫なのでしょうか、理由な何なのでしょうか。この内訳資料を見ると、平成15年においては砂を取る施設が1基計上してあるのですけれども、平成26年においては載っていないのです。だったり、ほかの差だったりがあるのですけれども、これは大丈夫なのでしょうか、確認させてください。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)国におきまして長期的な視野に立ち、それから施設の見直しなども適宜行いながらやっているところであります。私どもも適宜、地元も含めて協議をしながら進めておりますが、先ほども申し上げましたとおり、今後のことについては、やはりもう一度見直すべきところもあれば、それは県も間に入りながら議論をしていくべきなのだろうと思うのです。最終的にはどうやって海岸浸食を止めるのか、またいろいろコストパフォーマンスのことを考えて、サンドリサイクルがなされることを基本とすることで恐らく総コストを下げようとしたのだろうと思うのですけれども、ただ本当にそうなるのかというのは、相手は自然ですし、どうも海水の水位がひょっとすると上がっていて、想定以上に削られているという状況が人工リーフの中にはあるのかもしれませんし、我々としてはある意味、さめた目でこの問題についてアプローチする必要があると思います。
詳細のその経緯につきましては、県土整備部長からお答え申し上げます。
◯副議長(広谷直樹君)蒲原県土整備部長
◯県土整備部長(蒲原潤一君)整備計画、全体事業費の全体事業の内容の経過につきましても補足の答弁をさせていただきます。
議員御指摘の平成15年度に策定されました全体計画は、総事業費で328億円でございまして、例えば離岸堤が15基、先ほどの砂を取られる施設が1基というふうになっていた、それ以外にもあるのですけれども、令和4年度の同じ内容が離岸堤等の沖合施設が23基というふうに、事業の内容が適宜その都度その都度、見直し評価をされているという状況でございます。浸水防護やそれから浸食防止の目標につきましては、それを達成できる計画となっているというふうに伺っておりますので、その点につきましては支障がないものと承知しております。
◯副議長(広谷直樹君)2番山川議員
◯2番(山川智帆君)国の直轄事業なので、やはり国も国会において事業の見直しというのが必要だと思いますが、ただ審議する上で、その関係者である県に意見照会をやはりされています。令和4年9月に中国地方整備局事業評価監視委員会に諮る対応方針の作成に関わる意見照会について知事の回答があるのですけれども、概略すると、国の方針については異存ありません、事業執行に際しては附帯意見に留意して、できる限り経費縮減を図られるようお願いしますとあります。海岸浸食に対して過分にコストはかけるものではないとは思うのですけれども、ただ必要なものであれば、コストはかけるべきだと思いますし、削減すべきではないと思うので、そこら辺を踏まえて、もう一度認識をお聞かせいただけたらなと思います。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)山川議員から重ねてお尋ねがございました。
恐らく山川議員がおっしゃっているのと、我々の回答のスタンスは大きく異ならないと思います。とにかくコストを下げろと言うつもりではございません。現実に何がリーズナブルなのかということは十分考えていただければいいですし、それとあわせて、実務としてはこの計画につきましては地元との協議をする仕組みになっていますし、先ほど申し上げました地元の協議会組織というのもございまして、ここに専門家も入り、また、国交省や我々、そして地元の関係者も入り、それで考え方を整理しながら、具体的な事業変更をするのであれば、それに関わっていくということであります。
冒頭申し上げましたとおり、今もうこの皆生海岸の事業は終わったという感じでは多分ないと思うのですね。現実にも浸食については解決していないし、今年度の波浪災害を見ても改善すべき部分があるように思います。もくろみはどうあれ、この種のことはやはり結果が全てだと思いますので、現実にその災害が防止できる状況になるというのを我々は見届けなければならず、今後も精力的に国に働きかけをしてまいりたいと思います。
◯副議長(広谷直樹君)2番山川議員
◯2番(山川智帆君)先ほど今の回答があったのですけれども、やはり県としても県民としても海岸浸食を何とか防げないかという思いは一緒だと思います。先ほどの国からの諮問に対しての意見照会の回答の附帯意見なのですけれども、皆生海岸だけではなくて、日野川だったり天神川の砂防工事だったりも一緒に出されていまして、概要としては、皆生海岸においては事業推進をお願いしたい。ただ、浸食対策に対しては推進してくださいよ、人工リーフなどの効果の影響に対しては検証をお願いしたいとあるのですが、先ほど知事が言われたように、やはり結果が全てだと思うのです。そのために、結果が全てだからこそ、日野川の浸食の実態をやはり把握する必要があると思うのです。日野川河川事務所のホームページで、皆生海岸事業の事業評価において計画がなされているのですけれども、平成10年度にはサンドリサイクルが302万立方メートル、平成15年においてはサンドリサイクルが150万立方メートル、5年で半分になっています。ただ、全体目標なのか、それとも何年スパンを目途にしているかは明記していないので、平成20年から26年には、先ほど部長も言われましたが、上限が年間3万立方メートルということが記載してありました。では、計画は分かったのですが、実績はどうなのでしょうということで、日野川河川事務所にサンドリサイクルの実績を出してもらったのですけれども、令和3年においては年間3万3,000立方メートルなので、計画よりも3,000立方メートル、上限しているのです。しかし、年度によっては年間5万立方メートルを超えているときがあるのです。これの御認識はいかがでしょうか。
そして、令和2年度3月の鳥取県が公表しています、鳥取沿岸海岸保全基本計画においては、国の浸食実態調査、平成4年までの13年間分がこちらに載っていますが、平成4年度までのものしか載っていないのですね。そのときには、鳥取県は平均浸食量がワースト1、浸食面積は9位ですよということなのですけれども、現在令和5年度、平成にすると35年、30年以上たっているのですが、現状としての認識はどうなのでしょうか、お聞かせください。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)詳細につきまして、重ねて蒲原のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、今この時代時代に応じてやり方が変わってきている、最初は離岸堤でやっていたものを潜堤にしたりとかいうこともありましたし、それからサンドリサイクルを入れることでトータルコストも含めた影響を緩和できないかということもあったのですが。ただ、今、例えば、やはり砂はどうしても動くものですから、境港のほうまで実は影響しているのですね。この事業が本当に難しいのは、例えば、ここがこうやって蓋をしたとなると、今度は行き場を失った砂が別のところ行ったりということがあるわけですね。だから、その辺はやはり大きく分析をしながらやっていかないといけないということで、常時、モニタリングをして、それで話合いをするというのが多分当面の基本的な方向性ではないかと思います。
そういう意味で、技術的な委員会を設置をして、そこに県も入っていますし、それから、皆生海岸利用促進懇話会というのを地元も含めて入って、それで随時協議をしていくというやり方であります。
そういう意味で、いろいろと分析もしながら、効果があったこと、あるいは、これはちょっと見直したほうがいいことというのは柔軟に、我々は少なくとも地元としては考えてまいりたいと思いますが、詳細につきまして、その経緯や数値等、部長のほうからお答え申し上げます。
◯副議長(広谷直樹君)蒲原県土整備部長
◯県土整備部長(蒲原潤一君)砂のリサイクルの関係について補足の答弁をさせていただきたいと思います。
先ほど議員のほうからも御指摘がありました、日野川の河口を出た砂が潮の流れに乗りまして東から西のほうへと流れていくわけですが、皆生工区ほかのそれぞれの施設の効果で海岸のほうが安定をしていると。一番下手のほうが、今一番、砂がたどり着くものが少なくなっているということで、富益工区につきましては、まさに議員がおっしゃられたように、計画上は3万立米近くの砂を毎年入れるようなペースでどうだろうかというふうに計画をされておりまして、実際それを過去10年間のデータが今お手元にあるのだと思うのですけれども、やはり2万立米から多いときには5万立米というのは御指摘がありましたが、大体そのオーダーとしては匹敵するような砂を入れて安定を保っているという状況かと承知をしております。
こういった計画上見積もられたものが実際的にその時々の砂の手の入り方ですとか浸食のされ具合に応じて土砂の大きい少ないというのは毎年々にあるのだと思うのですけれども、大体匹敵した土砂によりまして安定が保たれているというようなことだと理解をしておりまして、当時ワーストワンだったという浸食量が、この令和4年度ベースでどうなのかというデータが正直手元にはございませんけれども、そういった過去計画で見積もった量の土砂を投入し続けて何とかキープをしているという状況から鑑みますと、鳥取県の海岸の浸食状況につきましては、なお状況としては当時と変わらなく、それなりにしっかりと対応していかなければいけない状況というふうに承知をしてございます。
◯副議長(広谷直樹君)2番山川議員
◯2番(山川智帆君)ちょっと正直、部長の説明はよく分からなかったのですよ。砂が結局浸食されてえぐられてしまうと、要は県の面積、県土面積が減るのです。要は国土面積が減るのです。地政学においては、日本は海に囲まれているのでシーパワーを持つ、中国だったり韓国だったりはランドパワーというふうに言われるのですけれども、日本においては海に囲まれていて、海岸線の長さは世界で6位と言われています。この県の面積、国の面積がなくなってしまうからということで、国も頑張っているのですけれども、実態調査が平成4年という古いものだと、本当、現状はどうなっているのという話で、国自体もどうなっているの、鳥取県自体もどうなっているのはもちろんなのですけれども、それが分からないと対策も何もないと思うのですね。先ほど部長の説明が分からないと言ったのは、その答えがなかったので、令和4年の数字を、新しい最新版を聞いているのではなくて、平成4年からのこの30年たった経過、一番新しいのが令和元年度ですよでもいいのですけれども、その傾向を知りたかったわけです。その回答がなかったので、後日でもいいので、資料を国からも求めていただきたいなと思います。
やはり、今、専門家も指摘していますし、誰もが分かるように、異常気象が発生しています。津波が起きないと否定できるいわれはないのです。ですから、やはり事態を把握するためにも、この間も大雪の後、現場に行ったら日野川河川事務所の方も来ていました。皆生のほうの方が言われましたからということを言われたのですけれども、皆生がテトラポットから安定的にトンボロ現象ができて、安定的に砂が留意していたけれども、人工リーフにしたために西側がえぐられてしまって、両三柳工区、そして夜見、富益工区に行って、今は県直轄の和田・大篠津もやはりもうやらないといけないのではないか、境まで行ってしまうのではないかと言われている状況なのです。
だからこそ、実態を把握していただいて、指摘したいのが、景観よりも何よりも防災・減災、防護ということのほうがやはり大事だと思うのです。そこがない限り、海から何十センチしか飛び出たらいけないみたいな形だと、やはり守ることができないと思うのですよ。なので、景観よりも防護だ、国の面積を守るのだ、県の面積を守るのだということを方針として決めていただかないといけないのではないかと思うのですけれども、そこら辺についての知事のお考えはいかがでしょうか。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて山川議員から海岸につきましてお尋ねがございました。
実は我々よく海岸事業の要請活動を国のほうにも申し上げたり、国会議員の皆さんも一緒になってやってくださることもありますが、国土を守るというのは一つのキーワードで我々も使っております。だからこそ、国も直轄事業でこの皆生海岸を取り上げていただいているのではないかと思います。
現状、先ほど部長もいろいろと申し上げましたけれども、要は、どうしようもないほどやはり波の力が結構強いのですよね。ですから、削られていく傾向にあることは変わっていない。その場所が多分、今度こっちを塞ぐと、今度は向こう側に行ったり、砂も動きますから余計なところが埋まったりということもあります。こういうことが起きていて、それが全部その昔の鉄穴流しがなくなったからだで片づけられない問題だと僕らは思っていまして、それはやはり国も直轄事業のさらなる拡大や見直しも含めて考える可能性というのは当然持っていただきたいと思っております。
そういう意味で、実はいろいろと長年にわたりまして、仕掛けは若干できていまして、技術検討委員会というのをつくっていると。ここに専門家も入って、砂の動きだとか、それから波の波力がどういうふうに影響しているかとか、これがこの形状との関係。一つよく分からないのは、人工リーフ化したことに伴った何らかの影響があるのかもしれないし、人工リーフ化して、最初は結構止まっていたのですよ、それでトンボリがなくなってということだったと思うのですけれども。ただ、あの丸いものがなくなって、いい具合に海岸が落ちついたかなとも思っていたのですが、最近の状況では、やはりこれで少しえぐられているようにも思えなくもないと。それは正直、私自身は素人ですから、なかなか科学的判断をしかねるところではあるのですけれども。ただ、そういう意味で、この技術検討委員会ですとか、あるいは地元のほうでの皆生海岸利用懇話会だとか、こういうところでやはり議論を続けていくべきなのだろうと思うのですね。
現状は全部、12基とはいえ、つながった形でできているわけではなくて、穴がどうしても開いていると、その中にはやはり小さな河川が流れているというような問題などもあるのですけれども、やはり総合的にアプローチをして考えていかないといけないのではないかなということでありまして、多分、山川議員の問題意識とこれは近いのだと思うのですが、安全ということを基本的に考えた上で、どういう解決策がいいのかというのを我々も今後も問題提起していきたいと思いますし、地元の意見も伝えていければなと思っております。
一つちょっと気になるのは、多分国は、これ実は大論争がありまして、せっかく造った離岸堤を潜堤化するという、人工リーフ化するというのをかなり寄り切るような形で地元が意見を出してやった経緯があるのです。そのことに多分、国側は若干の遠慮というか、ある意味、議論がうろちょろしたら困るなという、そういうことは多分根っこにはあるのではないかと思います。
いずれにいたしましても、過去の経緯いろいろあるとは思うのですが、さめた目で何が正しそうなのか、どうしたらよさそうなのかということで、試行錯誤にどうしてもなりますけれども、次の一手、次の一手と打っていかないといけない。多分、皆生海岸の事業はなかなか終わらないのではないかと思っております。
◯副議長(広谷直樹君)2番山川議員
◯2番(山川智帆君)知事がさめた目でやはり試行錯誤しながら、皆生海岸のことだったりをやっていきますみたいなのを言われたのですけれども、技術検討委員会だったりも何度か傍聴したことがあるのですけれども、間隔をどれぐらいにしようか、では、今度は高さを変えてみようかみたいな議論だったのですね。
ここであえて言いたいのが、やはりテトラポット、従来工法のテトラポットを、どうしても何か見た目がよろしくないということで排除されているのですけれども、従来工法とその人工リーフのすみ分けというか併用という選択肢はないのかというふうな形で思うのですね。というのが、やはりテトラポットのほうが人工リーフよりも砂の流出を防ぐ効果が高いのです。従来工法というふうに言ったのが、土木学会論文だったり皆生海岸がまとめられたものだったりを見てみますと、やはり人工リーフは波が浅瀬になる、それで穏やかな海岸においてはいいですけれども、実際、工法とかは計画とか設計が難しいですよみたいな形が書いてありまして、日本消波ブロック協会のホームページを見ていますと、テトラポットは、冒頭にも言いましたが、フランスで昭和24年に造られて、現代でいう円柱の4本の足があるのですけれども、もともとは丸い足の4本の足だったのです。しかし、いかに効果があるものかということを突き止め、現代の形になったということです。私たち素人から考えて、整形のものだと防護力って高いのではないのと思うかもしれないのですけれども、このテトラポットの4本の足というのがあると、隙間に波がぶち当たったら入って、分散して、波の力が、エネルギーが弱くなるのです。ですから、昔はテトラポットだったらこういうふうになっていましたよというふうに言ったのですけれども、入ってちょっとだと浅瀬なのですね、最初は。でもいきなり深くなるのですよ。段々にこういう形になっているのです。逆に人工リーフだと、もうずっと浅瀬なのですね。なので、砂の削られる率というのも、見た目はこれが見えなくて人工リーフのほうがよろしいかもしれないのですけれども、4本の足のテトラポット、海の場合だと大体20トンあって、1個が20万円ぐらいみたいなのですね。
なので、いかに将来に向かって、やはり効果があるものを、景観が重視だからこのテトラポットは排除してくださいよ、ほかの工法とのすみ分けということでテトラポットは排除ということではなくて、やはりあらゆる場所に対応したいろんな形がテトラポットにはあるので、その併用を検討、検証いただけたらなと思うのです。
境港のほうにも影響するのではないかというふうに言われていたのですけれども、そのとおりで、和田と大篠津を国の直轄にしてもらったらいいではないか、それもそうなのです。でも、テトラポットの工法を排除しないで、工法を検証していただくということと、この事業はいろいろ住宅だったりも回っていたら、背後の資産においては、住宅は雨水を用水路に流して、それが海に流れるように設計してありますので、砂が流れるということは河口閉塞にもつながって、雨が一定量を降ると逆流して床下浸水だったりになって、結局いろんなところに根が張っていて、この海岸浸食がいろんなところにつながっているので、やはりそのテトラポットを含めて、従来の工法との併用を検証いただけないかなと思いますが、いかがでしょうか。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)詳細につきまして、県土整備部長の蒲原のほうから重ねてお答えを申し上げたいと思います。
最近の災害の傾向として、やはり大分、豪雨があったとき、弓ヶ浜の真ん中の辺りでも水がたまって湛水したことがございました。ああいうのはやはり中小河川についての河口のところの閉塞的な状況というものが併せて起こったりすると、そうしたことが拍車をかけるわけであります。境港でも最近もそうした問題もあったりはしたのですけれども、やはりいろんな問題が実は組み合わさってつながっていまして、非常に悩ましいと。多分国交省さんも物すごく悩ましくて、僕らもそうですけれども、だからお互いに知恵を出し合って、どういう方法がいいのかなということを真摯に考えていくということだし、学者の皆さんの御意見もやはり総合していくということなのだろうと思います。
そういう意味で、テトラポットの併用的な活用というのはできるのかどうか等の課題、今日御提起いただきましたが、議場の議論というのはまたそうした場におきましても御紹介を申し上げていきたいと思います。
◯副議長(広谷直樹君)蒲原県土整備部長
◯県土整備部長(蒲原潤一君)直轄事業で適用されています工法の関係につきまして、補足の答弁をさせていただきます。
議員のほうからもパネルによって御指摘がありました。人工リーフのほうは汀線、いわゆる地上から見えるところは後退しているように見えるのですけれども、実は1.5メートルから2メートルぐらいの水面から下がったところの面積は、ビフォーとアフターでそんなに変わらない。それから、人工リーフの前浜は、議員御指摘されたように勾配が緩くなって、むしろマリンレクリエーションとしては使い勝手がいい面もあるというように評価をされている面もあるようです。さらに、冬場、このように緊急養浜をしなければいけないほど浸食される場合があるのですけれども、夏場にはそれが元のような地形に季節変動によりまして戻って、大きな目で見たときには、均衡状態が維持されているのではないかという一定の評価があるというふうにも聞いてございます。
その上でではございますが、先ほどから御指摘がありましたように、年に2回も緊急養浜をするような事態が発生をしていると。地域住民から砂浜が削られることに不安があるというような意見が国交省のほうにももちろん十分伝わっておりまして、気候変動の影響を確認した上で、今後の対応を検討すべきというふうに議論がされていると。そういった技術検討会のほうには、国のほうももちろん参加させていただいておりますので、そのような議論に加わらせていただきまして、よりよい方向を探っていきたいと思っております。
◯副議長(広谷直樹君)2番山川議員、質問回数、あと2回ですので。
◯2番(山川智帆君)はい、ありがとうございます。
人工リーフは一定の成果はあるということで、おっしゃられることは重々理解するのです。それで、国がその事業費を出してくださったということは理解するのですが、土木学会論文だったりを見ると、やはり西側が極端にえぐられてしまって、実際、今でも皆生工区では3基、それで富益では両端において沈下して改良が必要で、それでかさ上げが必要ということで記載してありますので、やはり一番、将来に向かって県の面積を減らせないようにもですし、地域住民の生活の安全、身を守るためにも、一番いい併用方法だったりを検証をいただけたらなと思います。重ねて、これは要望をしておきます。
そして、コロナのことについてお伺いしていきたいと思います。
コロナの葬儀で、結局、国はガイドラインを改正したのですけれども、このことはそのガイドラインが改正された1週間後の出来事ですけれども、実際、手術した後、病院でコロナにかかってしまって、そうしたら葬儀しないといけないと言われたのだけれども、次の日までには火葬しないといけない。家族の収骨も3人までしか駄目だ、それで袋詰めにされて、顔を見ることも、関係者も、誰も気持ちの整理ができないという相談を受けました。副知事にお願いをしたところ、結局、3人しか収骨したらいけないと言ったのは感染対策を講じた上で、10人までとしてもらいました。そして、袋詰めについてはガイドライン1週間後ですので、その県から病院への通達が間に合わなかったみたいで二重にはされていたけれども、1枚が胸まで下りていて、顔を触ることはできましたよ、御配慮をいただいたので、ありがとうございましたということは言われたのです。
同じようにコロナで亡くなられた方だったり、コロナではなくても、コロナ期間中に病院で亡くなられた方だったり、いろんな方に聞くと、やはりどうしても亡くなられた方の顔を見たり骨を収骨したりとかをしないと気持ちの整理がつかないことをおっしゃられていました。今コロナで本当に家族葬になって、流れ焼香になっていったりとかしていますが、いろんな人に聞くとどうしても弔い不足、気持ちの整理がつかないので地域を挙げて、竹で灯籠を作ったりとか、いろんな人とつながってみんなで送り出してあげていたよという話をするのです。コロナの2週間目になって、1月16日に、医療関係者、そして葬儀屋さん、そして火葬をする広域行政が連携して説明会をしましたということで説明を受けましたので、今後も株の状況でいろいろ状況が変わってくるかもしれませんが、感染対策を徹底した上で、やはり誰しもが大切な方との気持ちの整理はしたいと思いますので、それを踏まえた上でやってあげていただけたらなと思います。
今日の質問は、生と死を取り上げました。死に対する恐怖があるからこそ、政治がその防護をできると思います。政治は生と死にも深く関わっていて、やはり皆さん、今、挨拶回りとかされているのですけれども、「政治家はうそばかり言うから嫌いだわ」とか、「政治って何だよ」とかと言われるのですけれども、やはり無関心でいたり、選挙に行かないよというふうにやっていても、ずかずかと私たちの生活に入り込んでくる、こんな大事なことをということをまず再認識しました。要は、皆が当事者意識を持って、適切な情報共有をした上で、その物事をやっていかないといけないなと思いました。
蒲原県土整備部長は国交省から来てくださっているということで、国に対しての要望、先ほどの海岸浸食に対しての要望をしていただきたいということと、今回、広谷副議長だったり、海岸浸食を議場で議論されている皆さんの議事録を見まして、やはりそのお話ししたところを、工法だったりのことは情報共有していきたいねみたいな話をさせてもらいました。これをテレビで見ている方だったりで、現場で自分はこの先進事例を知っているよということがあれば教えていただきたいです。知事には、国土の面積を削る、県の面積を削るということで、海に属しているみんな共通の課題だと思いますので、知事会においてもこの工法の早期検証、抜本的な解消を求めていただけたらなと思います。情報共有をどうぞ今後ともよろしくお願いします。回答ができましたら、何とぞよろしくお願い申し上げます。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)山川議員から重ねてのお尋ねがありました。
コロナの看取りの件につきましては問題提起をしていただきまして、今確かめましたけれども、私どもの副知事のほうにもお問合せがあったと、そういうような動きをしていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
なかなか、機微に触れることで対応が難しいし、急に変わったわけですね。1月6日頃だったと思いますが、国の通知があって、ニュースになりましたけれども、それで混乱があって、我々も1月18日頃にみんなで話し合う機会をやって、それで正直、葬儀屋さんだとかお医者さんだとかいろいろとお立場や考え方も違う中で調整を図りながらやっていくと、これが多分、行政のプロセスとしてどうしようもないことだと思いますし、皆さんがコロナと闘っている中で、ただ片方で最後のお別れをしっかりやりたいというお気持ちにどう寄り添っていくのか、みんなで工夫するということだと思うのですね。こういうプロセスをきちんと取っていくことが一つ大切なことであって、コロナというのは、そういう意味では我々にはいい一つのレッスンにもなったのではないかなと思っておりますし、今後ともこうした際にいかに地域の中で協力をし合ってネットワークを張って対処していけるかということであるかと思います。
皆生海岸の話も重ねてお話がございました。これも非常に厄介なことであります。今、波浪災害は多分全国で非常に激化しているのではないかという感覚を実は我々持っているのですね。ですから、ほかの県の知事さんとも、うちもこうだああだというのは意外に話が合うところでありまして、その原因はよく分からないです。それに対する処方箋は幾つかあるのですが、自然相手のことなので、財政のことはもちろんありますけれども、財政以外にもやはり影響があるということです。
実はこのトンボリの話も、今日は安全面の話に終始をしてやっていますけれども、見直しをした頃は逆の議論だったと思います。非常に景観上よろしくないということがあって、やはりほかを見ればちゃんとリーフにして、きれいに見える海岸にして、それが温泉地の景観ともマッチをするということはあるのではないだろうかと。そういう、実はその地元の声の中で見直しをされた、それが果たして今のこの気象条件の中で変わってきたのか、うまくいっているのかというのはやはり絶えず検証しなければいけないということでございます。
そういう意味で、多分この議論は最終段階に入っていこうとするときには、やはり地元の考え方をもう一回確認しなければいけないのだと思うのですね。国交省も何度も行ったり来たりもできないと思いますし、また、ほかの海岸の部分も、和田やら夜見のところやいろいろありますし、そういうところ、全体を貫いて検討していくという作業を根気よくやっていくのだと思います。そんな意味で、地元の声を聞きながら、しかし、議員がおっしゃるように、どういうふうに命を守っていくのか、安全を守っていくのかということだろうと思います。「荒波やあるいは低き雁の列」と、原石鼎さん、この方は山陰の方です。恐らく同じ海を見ていたのだと思うのですね。波が荒い冬場、そこに少し低めに雁が飛んでいく。多分、風が強いのでしょう、そういう厳しい条件の中で、私たち山陰は地域を守っていかなければならない、雁のように命を守りながら旅をしていかなければならないわけでありまして、そういう宿命と向かい合わせでいることを自覚しながら、ただ片方で観光だとかそうしたことも考え合わせて、今日をきっかけに、この問題については提起を国のほうにもしてまいりたいと思っております。
◯副議長(広谷直樹君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後4時05分散会
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