▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(内田博長君)ただいまから本日の会議を開きます。
この際、御報告を申し上げます。
監査委員から、令和3年10月の
例月現金出納検査の報告が議長の元に提出されましたが、その報告書は、既に配付している写しのとおりであります。
本日の議事日程は、県政に対する代表質問であります。
これより、代表質問を行っていただきます。
14番
鹿島功議員
◯14番(鹿島功君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
県議会自由民主党の鹿島でございます。昨日より師走となりまして、何かと気ぜわしい月となりました。一昨日ですか、日本に新しい
コロナウイルス、
オミクロン株なるものが入ってきまして、外国人の入国禁止の措置が取られました。またしても経済活動にブレーキがかかってしまいました。
そのような中、本日は、会派を代表して、
新型コロナを乗り越え、安心・安全な県民の暮らしを支えるために、今後の県政運営はいかにあるべきか、知事、教育長、
警察本部長と議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
アフターコロナを見据えた県政運営の基本姿勢、平井県政4期目の総仕上げに向けてということで、未来への礎づくりをテーマに、新時代の創造を掲げられた4期目の平井県政も残すところあと1年半ほどになりました。とりわけこの2年間は
新型コロナ対策に奔走され、思いどおりの県政運営がかなわなかった面や、むしろ密から疎へ社会全体の価値観が逆転し、地方回帰の萌芽も見られる中で、新たな局面に合わせた未来志向の地方創生に向けて
ギアチェンジを図っていく
土台づくりの期間にもなったのではないかと思います。
知事は、これまでの議場での議論において、今任期の総合戦略や政策項目について、目標に対して一定の成果が見られ、おおむね順調であると振り返ってこられました。
新型コロナの影響が直撃した観光、海外誘客や貿易、販路開拓などについては、数字上の成果が見えない中ではありながら、キャンプやサウナ、アウトドアツーリズムなどの観光資源の掘り起こしや磨き上げ、また、
コロナ収束後に海外市場に打って出る意欲的な県内企業に対しては
オンライン商談会などで後方支援するなど、堅実な県政運営を図ってこられたものと思います。
改めて、今、この
新型コロナの感染拡大によって顕在化した本県が抱える課題や強みを踏まえながら、
デジタル化や脱炭素社会など新たな社会環境の中、本県が進めるべき地方創生に向けて、県民の皆さんの納得と共感が得られる県政運営を図っていただきたいと考えます。
ついては、今任期の目標として掲げられた政策項目の実現状況や令和新
時代創生戦略の進捗に対する中間評価として、これまでの総括と今
任期最終年度に向けた意気込みについて、知事の所見を伺います。
今後の予算編成に当たっての方針と
財政運営上の課題についてお尋ねします。
新型コロナの影響による経済活動の停滞、法人税収の落ち込みや個人消費の伸び悩みを要因として、政策実現の裏づけとなる令和2年度の
県税収入額は前年度に比べ16億円減の617億円と、依然として財政状況の厳しさがうかがえるところであります。
一方で、年明け1月からは、アジア・
オセアニア諸国間で
世界最大規模と言われるRCEP、地域的な
包括的経済連携協定が発効することとなり、海外需要を背景とした製造業などで持ち直しの傾向が見られるような明るい兆しに期待されるところです。反面、今後も引き続き、
半導体不足やコロナ禍による
サプライチェーンの停滞、日米間の金融政策に伴う円安進行と原油・原材料高といった懸念材料もあり、地方財政においても予断を許さない情勢は変わりません。
そのような中、本県においては、継続的な
感染症対策と
医療提供体制の構築、地域経済の立て直しに必要な財政需要のため、
一般財源総額確保を中心に、適宜、国に対する要望活動に尽力していただいているところであります。
政府においても、このほど岸田政権として経済対策をまとめられ、18歳以下への給付金や困窮学生に対する支援金、観光支援、
GoToトラベル事業の再開、介護職や保育士、看護師らの処遇改善を盛り込むなど、コロナ禍で傷んだ分野に即効性のある手当てが今月予定される臨時国会に諮られるということであります。
衆議院選を経て、言わば16か月予算にもなるであろう今後の国の大型の経済対策を踏まえ、本県における来年度の当初予算に向けて、
予算編成方針や今後の
財政運営上の課題について、知事の所見を伺います。
衆院選の結果を踏まえた岸田新内閣への期待について。
今年10月、行政の
デジタル化や
ワクチン接種をはじめとする
新型コロナ対策など、幅広く堅実な政権運営を果たされた菅総理に代わり、岸田新政権がスタートしました。岸田新総理は就任後初の記者会見で、丁寧で寛容な政治を進め、国民の信頼感をしっかりと取り戻すと述べられ、国民の声を聴く政策の展開に期待を寄せるところであります。
また、
スピード感を持って臨まれたさきの衆議院選の結果を踏まえて、民意が示されたと総括されましたが、私は、決してこの結果に慢心せず、コロナ禍を乗り越え、国民、県民の皆さんが希望に満ちあふれる未来に向けて、ここ鳥取から取り組んでいかなければならないと強く感じた次第であります。政権発足、そして衆院選を経て第二次組閣から間もなく、「成長と分配の好循環」、「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに、新しい
資本主義実現を掲げ、持続可能な社会の創造へ
スピード感を持って我が国をリードしていただくよう、地方からも声を上げていかなければなりません。
平井知事におかれましては、
全国知事会長や
デジタル田園都市国家構想実現会議など
政府諮問会議の委員として深く関わりを持っておられますが、
アフターコロナを見据えた県政運営を考えるに当たって、岸田新政権へどのようなことを期待されるのか、所見を伺います。
次に、逆境を乗り越える県民の暮らし、基盤の再構築に向けて、
新型コロナ克服に向けた取組についてお尋ねいたします。
新型コロナの感染拡大において、デルタ株の猛威により過去最大の流行となった第五波により、都市部において医療崩壊のような状況に陥り、適切な医療を受けられないまま亡くなる症例も多数発生しました。
その後、8月下旬をピークに
新規感染者数は減少し続け、9月末には全国で
緊急事態宣言等が解除され、ここまで国内の感染状況は落ち着いている状況ですが、冬場に向けて第六波の襲来や
季節性インフルエンザとの同時流行により医療逼迫を招くのではないかと懸念の声が聞かれます。
政府が示した次の感染拡大に向けた取組の全体像の中では、第五波のピーク時の2倍の感染力に対応した
コロナ対応病床の3割増強、臨時の医療施設の具体化、自宅・
宿泊療養者への
オンライン診療、往診、訪問看護の体制確保など、
医療提供体制を強化することとしています。
新たな変異株等により発生が懸念される第六波や
季節性インフルエンザとの同時流行に備えるため、感染が落ち着いている今こそ、感染再拡大に向けた備えを整えるべきと考えますが、いかにして県民の命を守るための
医療提供体制を再構築していくのか、改めて知事の所見を伺います。
ワクチン接種については、12月から3回目接種を開始予定であり、2回目接種から8か月経過した人から順に接種していく方針が出されています。当初、12歳以上を接種対象としていましたが、18歳未満の3回目接種の安全性等のデータが不十分なため、当面、接種対象を18歳以上に引き上げることとなりました。
しかしながら、2回接種済みの方の中には、
ファイザー製や
モデルナ製等の複数の
ワクチン接種が混在しており、その他に2回の
ワクチン接種を終えていない方もおられることから、国や市町村と十分協議の上、県民が混乱しないような接種体制を構築することが必要と考えますが、いかにして円滑な接種体制を構築していかれるのか、知事の所見を伺います。
次に、コロナ禍の中、企業活動において、
オンライン化、
デジタル化の導入、進展が劇的に進み、業務の合理化、効率化など副産物が生まれたのは既に御承知のとおりであります。中には度重なる県内外での
緊急事態宣言や時短要請を受けながらも、例えば飲食業界などで新たな分野への事業転換や事業の多角化に取り組まれている事業者もおられるようです。特に比較的若手の経営者を中心とする企業において、
デジタル化を基盤として、
電子商取引での商品販売や社員の
テレワーク化、宅配、
持ち帰り事業への新規参入、所有する社屋を
ワーケーション用に貸し出すなど、コロナ禍をきっかけに新たな商機を見いだす事例もあり、将来の
デジタル社会の事業環境に合わせた頼もしい変化であったと思います。
一方、後継者がいない高齢の事業主の方々を含め、
感染予防対策のため対面を避けて事業継続できるといった
デジタル化の恩恵を得る以前に人材や技術的な面で
デジタル化の導入を敬遠され、コロナ禍において事業をストップせざるを得ないという方もあったのではないかと思います。将来を見据えれば、自ら積極的に
デジタル化を進める事業者だけではなく、
デジタル化に二の足を踏む事業者が取り残されることのないように、
商工団体等と連携するなど、
デジタル化を基軸とした伴走型の
経営体質改善・強化支援も必要ではないかと考えます。コロナ禍を乗り越え、持続的に事業継続していくことができるよう、これまでの取組と今後の支援の在り方を含め、知事はどのように認識しておられるか、所見を伺います。
次に、
鳥取版みどりの
食料システムの構築について、活力ある
農山漁村づくりの実現に向けてお尋ねします。
我が国の
農林水産業を取り巻く環境は、生産者の高齢化や現場の
担い手不足など、生産基盤の先細りといった構造的な課題だけではなく、
地球温暖化や自然災害の激甚化など
自然由来のリスクのほか、4割にも満たない我が国の
食料自給率における市場の
グローバル化とそれに伴う
地政学リスクなど、将来に向けた不確実とも言える中で、我が国の農業政策の支えを頼りにやっと成り立っているような状況であろうと思います。
他方、SDGsという時代の要請を背景に、
新型コロナをきっかけとした
デジタル化や脱炭素化、消費行動の変容など、ピンチともチャンスともなり得る局面の変化の真っただ中にあるものと思います。
そうした状況を踏まえて、今年5月、農水省はみどりの
食料システム戦略を策定されました。将来にわたって食料の安定供給を図り、生産者側においては安心・安全な品質を安定的に生産する体制を整えるとともに、それを下支えする消費者側の地産地消を促進することで、生産、加工、流通、消費に至る川上から川下までの持続可能な
食料システムを構築しようとするものであります。
本県においては、既に農業生産1千億円
達成プランや鳥取県米プランなど、現場の実態に即した実効性ある
食料システム戦略が整えられ、それぞれの目標年度を照準とした取組が展開されているところであると認識していますが、このたび示された国の戦略について、本県においてどのように落とし込みを図っていくのか、知事の所見を伺います。
また、
農林水産行政における戦略や政策の実効性を確保するためには、根本的に生産者側の
持続可能性が担保されるべきであり、生産者がもうかる仕組みが構築されなければなりません。現行においてGAP認証を取得するなど高度な
生産管理体系での取組を進めている生産者もある中で、例えば高コストな有機栽培による農産物など、その付加価値が市場において適正に評価され、
ブランド力と重ね合わせて他県の農産物との差別化が図られるべきですが、本県としていかにその下支え、側面支援をすべきであるか、知事の認識を伺います。
次に、世界に打って出る
鳥取ブランドの
基盤づくりについて。
鳥取県といえば二十世紀梨ということについては県外での
イメージ調査でも定着しており、梨の生産地として常に1位を誇ってきました。また、和牛についても、和牛といえば鳥取とすべく、2030年までに鳥取和牛の名を全国にとどろかせるとの目標を掲げた
和牛振興計画が策定されたところであり、今後、全国でどのように躍進していくのか期待されるところであります。
一方、果樹については、柿の新種、輝太郎や
大栄西瓜等が海外において高値で取引されるなど、近年評価が高まっているところでありますが、他県の産地に比べて現状では量と質、
輸送コストなどで後れを取る部分もあり、県としても継続して解決に向けた対応、生産者の側面支援に尽力していただいているところであります。
特に二十世紀梨については、海外輸出の歴史も数十年に及び、貴重な青梨ということで人気も高いですが、生育の手間が余分にかかることなどから、ここ数年で大きく生産量を減らしており、国内での出荷分を確保するのに精いっぱいであるとも声を聞いております。二十世紀梨の産地鳥取県としての看板を維持するためにも、海外輸出の販路を維持しつつ、生産者の高収益化を図った生産・流通体制の構築が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
次に、逆境をはね返す強い
農業づくりについて。
新型コロナの影響で外食需要が低下する中、外食用に割り当てられていた米の需要が大幅に減少し、全国的な米余りが大きな問題となっています。意欲的な米農家の可能性を広げるため、50年近くにわたって続いた減反政策が2018年に終了した直後にこの
新型コロナの感染拡大であり、まさに想定のできない災害でありました。需要が減った分は国が責任を持って過剰在庫として市場隔離したり、特別な
米価支援策を講じるなどして、生産者や流通業者に負担をかけることなく対応する必要があります。
本県においても、飼料用米などへの転作を進めるなど火急の対策を講じているところですが、
農業生産額の実に2割を占める米価の落ち込みは、農家経営を圧迫するだけにとどまらず、本県経済に対しても深刻な影響を及ぼすこととなります。
せんだって、
自民党総裁選において、岸田総理は新自由主義からの脱却を掲げ、地方や農家を守るための農業政策について言及されました。自民党部会においては、2020年産米を対象に15万トンの特別枠を創設し、米の
長期保管経費など全額助成を行うことで市場に流通する米の抑制策を明らかにしましたが、県民の重要な主食である米を守るためにも、この状態を何とか打破していけるよう、農家の負担や影響を軽減させる安定化策が必要です。本県においては、国への要望も含め、どのように対策を取られるのか、知事の所見を伺います。
以上で壇上での前半部分の質問を終わります。
◯議長(内田博長君)14番
鹿島功議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)鹿島議員が行われました代表質問にお答えを申し上げたいと思います。
鹿島議員のほうからは、冒頭、今の状況につきまして、師走という季節が始まったわけでありますが、
オミクロン株が明らかになったと。これにより経済にブレーキがかかるのではないか。しかし、私たちは生活を守らなければならない。そういう意味で、どういうことをこれからしていくのか。また、平井のほうには、そういう意味で、言わばこれを
ギアチェンジをする機会というふうに捉えなければならないのではないか、こういうようなお話がございました。そして、私たちのこの
ふるさと鳥取県には課題や強みがある。そういう意味で、地方創生を住民の皆さんの納得と共感を得ながら進めなければならないのではないかと、こういうようなお話がございました。
冬の山寺に薪割る奥は雪、飯田蛇笏の句でございます。今、その鹿島議員のお話を伺いながら、そんな情景が頭に浮かんできました。冠雪がございました大山は、これからさらに雪が深まっていくでありましょう。そこに大山寺をはじめとした仏閣がございます。そうしたところでまきを割っている様子、そういうのにも重なって見えるわけであります。しんしんとこれからまだ雪が降ってくるでしょう。それは
オミクロン株かもしれません。また、あるいは世界の情勢の中で、現在、原油価格の問題であるだとか、不確定要素があまりにも多くあるようにも思います。しかし、そういう中、私たちはふるさとを守りながらしっかりと寺でまきを割るかのごとく、生活というものを維持していかなければなりません。その大きな後ろ盾となるのが私たち県政の役割であり、県議会と私とが共有する使命ではないかというふうに思うわけであります。決意新たに、もう1年となったということがございましたが、私たちはこのもう1年目を仕上げの時期として捉えて、精いっぱいの仕事をしていかなければならないのだと思います。また、それだけの値打ちがある1年でもあるのではないかと思います。
今の状況を見ますと、かなり不透明感もあって、特に去年、それから今年とコロナ株の影響を大きく受けました。そういう意味で、
ギアチェンジでいえばローギアに入れざるを得なかった時期なのだろうと思います。新年度を見越してみれば、私たちはセカンドに、さらには
トップギアへと、そうしてギアをチェンジしていけるような方向性を出していかなければなりません。これは経済政策をはじめとした様々な政策によるところもあろうかと思いますし、また、なかんずく、まずは健康と命を守れる土俵を、環境をしっかりとこの鳥取県内でつくっていく、そういう
新型コロナ対策を果たせるかどうかというのが一つの大きな前提条件になるのではないかと思います。そういう意味で、重要な1年というものを最後に私たちは残したのではないかと思っております。
そういう意味で、幾つかの項目についてお話がございました。今任期の目標として掲げた政策項目であるとか令和新時代の創生戦略の進捗状況やその評価はどうなのか、また、16か月予算という予算の編成方針、
財政運営上の課題についてはどういう状況なのか、また、新たに誕生した岸田新政権に対してはどういうふうに捉えているのか、こういうお尋ねがございました。
これまで3年近く私たちは県政を担当してまいりました。私自身は55の政策目標を掲げました。そこでは、ひと新時代、あるいはしごと新時代、安心新時代、それからふるさと新時代、そうした観点で55掲げてきたということでございます。さらに、あわせまして、地方創生についての総合戦略というのを設けました。これら双方、点検をさせていただいておりますが、幸いなことに9割ほどは目標を達成して、順調な状況であろうかと思います。
例えばこの任期の冒頭で皆さんと議論をさせていただいたのは、
経済成長戦略ということでありました。これを果たすために、その新しい補助体系というものをつくりました。これがスタートの年に切ったかじであるわけでありますけれども、そういうようなことが現在ある意味奏功しているわけですね。
新型コロナの中で何とか活力を維持していこう、自由な発想で立ち向かっていく企業を応援しようという、その礎になっていますし、現在、我々のほうで例えば
危機突破応援金とか、そうした
事業転換支援などを随時用意させていただきましたが、こういうものを活用しながらいろいろな企業さんも動いていく、そういう土俵になっているのではないかと思います。
また、例えば農業生産につきましても、先ほど梨のお話もありましたが、スイカなどを取ってみても比較的順調にこの3年ほどは推移してきましたし、また、ブロッコリーについても同様な状況ではないかなと思います。スイカについて申し上げれば、低
コストハウスというものを大分展開をしてきたということもございまして、安定的な生産につなげてくることができたのではないかなというふうに考えておりますし、産地の元気というのは広がっていると思います。これは裏作である花卉栽培などと相まって、コロナ禍ではありますけれども、一定の所得を農業でも獲得できる状況も生まれてきているのではないかなというふうに思います。
こういうようなことで、幾つかの指標については順調であり、それは大方大半でもあるのですが、例えば海外との関係、あるいは観光の誘客数であるとか飲食店を中心とした活力の問題等々、想定外のことがやはり起きているわけであります。特に海外との関係では、本県は、ちょうど
上海吉祥航空が就航したときにこういう事態になりました。ですからあまり飛ぶ実績がないままに一旦休止をしているという状況が続いています。また、香港航空もそうでありますし、エアソウルにつきましてもそうであります。そういう中で、実はこうした
海外キャリアは結構経営に行き詰まっているところがございまして、
上海吉祥航空は国内便で盛り返していますが、非常に予断を許さない状況が続いていると。
DBSクルーズフェリーにつきましても同様のことが起きたわけであります。言わば振出しに戻りつつあるのだろうというふうに思いますが、ではこれをどういうふうに今後また立て直していくのか。この次の1年間は悩ましいながらもその辺のチャレンジをしなければいけないときなのだろうと思います。幸いなことに人脈は残っていますし、この間も私たちのほうで向こうでのいろんなPR活動などもSNSなどを通じましてやっていて、一定の地歩は固めてはいると思うのですけれども、これをどういうふうに取り戻せるのか。
オミクロン株でなおまた不透明感が出てきたということではないかと思います。
ただ、霧はかかっても晴れるものであります。コロナもいずれ終わるときがあるでありましょう。本県でも
関西ワールドマスターズゲームズというものを用意していたわけでありますけれども、これは恐らく26年くらいを目標に、今、世界機関のほうで、IMGAという機関のほうで検討中でありますけれども、またどこかのタイミングでやることになると思います。残念ながら隣の兵庫県でやる世界のパラ陸上、これも昨日再延期が決まりまして、本来であれば延期して来年やるはずだったのですけれども、これも2024年ぐらいに延びるのではないかと。そういうようにいろんなものが歯車が狂ってきておりますが、来年はともかく、再来年ぐらいになるとだんだんとある程度の予定、見込みを立てやすくなるのかもしれません。
そういう中、日本はG7を迎えるわけですね。このG7、今、広島が手を挙げているところであります。そういうように中国地方の中でもG7を開こうかということがあり、岸田総理のお膝元でもありますので、あながち蓋然性がないわけではないのかもしれません。そんなときに鳥取もある意味、中国地方として世界に向けてアピールする機会というものを考えてみるということもあり得るのではないか。いろいろと私どもなりに意欲的にチャレンジしていくということをこういう海外との関係においてもなしていくべきではないかなと思います。
そういうような中で、これからローギアだったものをセカンドからトップに入れ替えていくという鹿島議員の言う
ギアチェンジということを念頭に置けば、
デジタル化とか、あるいは脱炭素といった新しい世界が抱える社会変革、経済成長のテーマというものを私たちも追求してみたいというふうに思います。
また、そのための人材育成にもやはり我々はチャレンジしていくべきでありましょう。例えば国際人材を育てる意味で、
国際バカロレアというものがございます。こういう
国際バカロレアを
倉吉東高校でやってみようと。なかなか小さな県でやるのは大変なのですけれども、ただ、立ち止まるだけではなくて、そういう可能性というものを鳥取の子供たちにも用意すべきではないだろうか。そういう意味で今議会でも提案をさせていただいたところでございます。
また、今、
スーパー農林水産業士というものを高校生などでつくっているわけですね。こういうものを例えば工業分野でも考えられないだろうか。そんなようなことをまた当初予算に向けて検討してみるということもあるのではないか。例えば鳥大さんと連携をしながら、
農林水産業士は推薦入学という枠組みを使いながら、農業大学校だとか、そういうものと組み合わせてやっていくというものでありますけれども、こういうものを私どもは工業分野でもまた考えてもいいのかもしれません。いろんな形でチャレンジできる鳥取県というものを将来のために用意していく。言わば種植えを新年度に向けて考えてもいいのではないかと思います。
そういう意味で、環境を整えながら、移住定住であるとか、あるいは副業であるとか、恐らくコロナ後は住み方と働き方が大きく変わると思うのです。住み方と働き方が言わばリシャッフルされてくる。もう一度根本から見詰め直すきっかけを世界のパンデミックが我々人類に与えたのではないかと思うのです。これは一極集中打破についても大きなテーマになり得るのでありまして、この辺も我々の言わば新年度の突っ込みどころではないかと思いますし、今年度、できる限りのそのためのレールを敷くことを最後の数か月でやっていくべきではないかと思っております。
そういう意味で、岸田新政権が今掲げていることは、私自身は割と地方にフィットする、鳥取県にもフィットするのではないかと思います。例えばデジタル田園都市国家構想というものを掲げておられます。全くこれは想定外ではあったのですが、平井のほうにもその委員になれというようなお達しが来まして、出席をさせていただきました。恐らく年内にもう1回ぐらいやることになって、これからデジタル田園都市国家構想推進に向けて始動させようという意図が政権にはあるのではないかと思います。
岸田総理のお話を何度かお伺いする機会を得ましたし、その会議でも議論をさせていただきましたが、総理の考え方は、地方に伸び代があるというところです。田園都市国家構想は大平正芳先生が亡くなられる前に提唱されたものでございますけれども、それを今の日本や世界に置き換えておられるのだろうと思います。
デジタル化というものをあえて地方で実装化していくと。それによって今までにない産業が生まれるでありましょうと、活力があったり利便性ができるのではないか、これによって地方に暮らすということのハンディキャップを一挙に解消していこうということではないかと私は思っております。これを恐らくこれから政策の中で具現化していくのでありましょう。私自身もそういう意味で
デジタル社会構想会議のほうで提唱させていただいたのですが、そういうデジタル田園都市国家を進める交付金を創設すべきだと、地方が使い勝手がよいものをやるべきだということを主張させていただきました。実は昨日は担当の村岡山口県知事が東京のほうで担当大臣の牧島大臣にその旨の要請活動もされておられるわけでありますけれども、こういうことが現実にも先般の閣議にかけられた経済対策の中でも見えてきておりまして、結構これは実現に向かってくるのではないかなというふうに思います。そうしたいろんな可能性を私たちは新しい政権の中に見いだすことができるのではないかと思います。
脱炭素ということもおっしゃっておられまして、これも鳥取と絡むところだと思います。また、聞く力を言わば根源として提唱された方でいらっしゃいまして、地方側との様々な意見を聞くチャネルも積極的に設けていただけるのではないかと思います。この辺など、私どもとしても期待できることはあろうかと思いますし、国と地方の新しいパートナーシップをこの岸田政権の中で知事会長として模索してまいりたいというふうに考えております。すなわち、今まで我々は国に対して陳情、要請するということで結構知事会という存在意義があったと思うのですけれども、それだけではなくて、やはり我々地方側でも、特に
新型コロナ対策のようにきちんと役割を果たしていくことで国民の安全・安心や活力再生というものをつくり上げていく、それは現場でなければできないことでありまして、このことに岸田政権は重きを置いてくれるのではないかなというふうに思います。
そういう意味で、いろんな話合いのチャネルというのを例えばコロナ対策であるとか、環境政策であるだとか、そうした様々な分野で私たちは持ち出し得るのではないか。このことを実は先般、全国知事会議の開催をしたとき総理のほうに投げかけました。総理のほうでは、様々なチャネルを通じて話し合っていきたいと、こういうお言葉がありました。従来の政権とは若干そこは異なり得るのではないかなというふうに期待をいたしているところであります。
財政につきましてのお話もございました。16か月予算ということでありまして、先般提案理由説明でも申し上げましたけれども、ぜひ議会のほうでも御配慮をいただきまして、追加の提案をお認めいただきたいというふうに思います。
今、政府のほうでは経済政策として55兆円を上回る大型の対策を打ち出すことにされておられます。これを来週開会する国会に提案されるのでありましょう。その提案がなされましたら、速やかに私どものほうで予算編成をさせていただきたいと思います。それで、今議会中にぜひ提案をさせていただき、その経済政策を具現化していきたいというふうに思います。この中には
新型コロナ対策が入っておりますし、地方創生臨時交付金の大幅増額を私ども要望させていただきました。全国知事会議の席で総理がおっしゃったのは、6兆8,000億円増額するということであります。かなりの大型でありますけれども、この中には恐らくかつての協力金と言われる大都市における飲食店対策の精算のお金が大分入っていると思います。ですから生身の地方創生臨時交付金として事業者支援など我々が要望しているところに充てられるものがどれほど出てくるのか。ただ、大体1兆円から2兆円の規模で自由度の高い、我々が要望したものに近いところが出てくるだろうと。私どもは2兆円を要望していましたので、ほぼその方向性というのは出していただけたのではないかなと思います。これも相当霞が関から抵抗があったのですけれども、総理のほうにも直訴をさせていただいたり、関係大臣のところにも申し上げたりしまして、結構霞が関のまだ冷ややかなムードはあるのですけれども、政治的には実現しそうだなというふうに今思っているところでございます。こういうものも速やかに実行に移して、例えばそうした事業者対策とか、観光対策だとか、この辺を年内から新年にかけて始動させていくことができるように、議会の御協力を仰ぎたいというふうに思っております。こういうものも含めての議員がおっしゃる16か月予算ということになろうかというふうに思います。
大きな問題は、やはりコロナを完全に克服していくことがこの16か月の中でテーマになると思うのですが、それを前提としながら経済社会を回復させていくと、少なくともローギアからセカンドへ入れていくと、このぐらいは我々は見越していかなければなりませんし、ジャンルによっては
トップギアに入れていくことは可能かと思います。例えば、半導体の問題はあるのですけれども、割と製造業は好調でございます。半導体だとか、燃油だとか、幾つかの不確定要素はあるものの、やはり世界的にはコロナからの回復を待っていまして、それを先取りするかのように世界経済が動き始めている面もございます。ですからそうした意味で、早く成長できるものはそうしたレベルで投資をしていき、また、今傷ついているところにはそうしたところに対する対策を打っていく。これは今回の県としての追加補正予算であるとか当初予算の中でぜひ盛り込んでいければと考えているところであります。その財政誘導目標という県民の皆様との共通のお約束を議会と平井との間で協議をさせていただき、何とかこれを果たしながら、次の任期へとつないでいかなければならないと思います。このめどは、来るべき当初予算編成の中でお見せしたいというふうに思います。
環境はさほど悪くもないと。簡単でもありませんけれども、コロナ禍でも実現可能ではないかなという兆しもあります。例えば税収ですね。決算ベースで昨年度は775億円でございました。今、決算見込みを我々は考えているのですけれども、今まで見えてきたところでは、20億円ぐらいここから上振れした形で今年度は終わるのではないかと思われます。不思議に思われるかもしれませんが、先ほど申しましたように製造業が比較的好調なところがあったり、また、これも意外に思われるかもしれません。金融機関も悪くないのです。これは多分、鳥取県独特の融資制度を設けまして、これで利子補給をして、保証料も出して無保証料、それから金利ゼロで企業さんが融資をつないでいっていると。これは金融機関からすると恐らく利益になっているのですね。ですからそういう意味で、金融機関の決算はそんなに悪くないということです。
こういうようなことがございまして、若干税収が上振れモードになっていると。それから、臨時財政特例債も含めた実質的な地方交付税というジャンルでは、政府は一般財源総額を基本的にはキープすると新年度に向けて約束をされています。そこに加えて、今、追加の補正予算の中にも交付税の増額分が見えています。これは全部使える交付税ではなさそうなのですけれども、少なくとも一部は使える交付税が入ってくるのではないか。そこのところを見越しますと、新年度予算を組んでいくだけの財源は得られるのではないかと期待をいたしております。最終的にはちょっと年末締めくくって政府予算が見えてからでないと分かりませんが、そういう財政フレームの中で、ぎりぎりのところで財政誘導目標を果たしながらも予算編成をある程度積極的に組めるのではないか、こういうように考えているところであります。
次に、
新型コロナにつきましてお話がございました。新たな変異株がございまして、
医療提供体制をどういうふうに再構築し、県民の命を守っていくのか、また、ワクチンについて、接種体制、市町村が混乱なくどのように進めていくのかと、こういうお尋ねがございました。
オミクロン株が世界に衝撃を与えております。この
オミクロン株というのは今までにはない特徴がございます。変異が非常に多いということであります。具体的には、N501Y、これはアルファ株にも入っていましたし、ベータ株にも入っていました。さらに、K417Y、これはベータ株と言われる南アフリカで見られた株に入っていたものであります。これらのほかにも大体30ぐらいの変異があって、特に感染症の場合に大事なのはスパイクと言われる人間の体の中に入ってくっつく部分のところの変異が数多く見られるということです。当初、武漢型で見られたとき、私たちもちょっと驚きましたが、意外にうつらないなと思ったのですよね。それがアルファ株、大分うつるようになったなと。さらにデルタ株、とんでもなくうつるなと。さらに今回の
オミクロン株。そういう意味ではある意味ウイルスが進化しているかもしれない。世界中の学者が懸念をしているところでございます。そして、特徴としては、L452Rというのを持っていないと。この変異はデルタ株に見られる変異です。一番特徴的な変異。世界中をウイルスが動き回る中で、デルタ株とは全く別系統で言わば進化を遂げてきたウイルスの登場ということだと思います。
今、南アフリカが震源地のように言われていますが、よく分かりません。昨日ぐらいですと、イギリスのスコットランドでプライベートなイベントで複数感染したのではないか。すなわち市中感染があったのではないか。それから、オランダにおきましても早めの感染が見られたなど、アフリカでも流行は見られるわけでありますが、実はヨーロッパでも見つかっていなかったけれどもあったのではないかという可能性もあります。
この
オミクロン株は、世界中に回っているのですが、なかなかゲノムを解析しないと見つからないということもありまして、不思議なのは、2例目の日本での感染例が見つかりましたけれども、あれはペルーからの飛行機なのですね。ペルーから入ってきた人。ですからペルーで感染したと思われるのが普通の疫学的な考え方でありますけれども、ところがペルーは今、感染国になっていないわけです。南米では見つかっているのはブラジルだけであると。事ほどさようでありまして、実は潜んで各地にあるのかもしれないと。だからこれが今広がる局面にあるのかもしれないと。デルタ株もそうだったわけですね。インドであったと言われています。これがインドで爆発的な広がりを見せたと。それからしばらくたちながら、各地で爆発的な広がりが出てきたと。日本もそのうちの一つであったわけです。
ウイルスというのはこういうものでありまして、もういいかげん学者の皆さんも学習したらいいと思うのですけれども、小さいところからだんだん上がってくるのですよ。それで、ウイルスというのは強いウイルスが現れますと、我々は現場で見ていますから分かるのですが、やたらとうつし回るわけです。広がりが速いのです。だからそれがぐっと立ち上がるように見えるわけですね。広がりが速いものが優勢になるのはそちら側のほうがやはり広がるからでありまして、従来の株を上回るものであればそれ以上のスピードで広がります。ここが時々対抗するのですね。本県でも7月頃はそうだったと思います。従来型のものとデルタ株とが競い合うように入り込んでいました。米子の繁華街でも同じビルの中でも違うウイルスの型が入り込んでいると。不思議なのですけれども、こういうことが起こると。そういうものだと思ったほうがいいのですよね。それがいつの間にかデルタ株が優勢になって、うちの県もデルタ株一色になりました。こういうような過程というのを常にたどっていくわけですね。一旦落ち込んだようであっても次のものが出てくると。今度出てくるとまた強いものが出てきて、また山が上がっていくと。こういうようなことを繰り返しているわけでありまして、そういう意味ではいずれは日本でも同じことが起きてもおかしくない。
だからやはり備えなければいけないわけでありますが、ただ、今は感染レベルは非常に低いと、本県は、結局11月が終わりましたけれども、お一人の感染だけであります。このお一人は県外に行っておられた人でありまして、県内で広がっていったわけではないと思います。
そういうようなことでありますけれども、これが逆に次の予兆でもあるわけですよね。パンデミックを繰り返しつつ、感染症というものはいずれは衰退していくということではないかと思います。
衰退も突然起こります。こうやってウイルスの数がどんどん増えていくように見えて、どこかでやはり歯車は狂ってくるのだと思うのですけれども、日本では、いまだに謎ですけれども、急に減ってきたと。だからそういうようなことをウイルスは起こすのだというふうに思ったほうがいいのですが、ここに人出であるとか、ワクチンであるとか、いろんな説明をつけたがるのですけれども、それだけでは絶対に説明はつかないのですよね。だからやはりその辺は学者の皆さんももう少し冷静に、我々現場の意見も聞いてもらって、何が起こっているかを学術的にも解明していただく必要があるのかな、それが次に備えることになったり、感染症というものと人類が向き合うヒントにもなるのではないかなというふうに思います。
この
オミクロン株は、ややこしいのは、スパイク細胞のところに変異が多く起こっているということでありまして、今のワクチンがどれほど効くのかなということがあります。それはモデルナの社長さんもおっしゃっているし、ファイザーについても言われているところであります。ただ、ワクチンが全く無効かというと、恐らく重症化予防には効くのではないかという学者さんが多い。だから最初の発症を予防するということだとか感染を予防するというところでどれほど効くかは、スパイク細胞のところのアミノ酸が変異していますから分からないですけれども、それが体内に入ってきた後、重症化するかどうか、中でウイルスが増殖するかどうかについては、一定の作用はあるかもしれないということかなと思います。ちょっと専門的なことなので分かりかねるところもあるのですけれども、何らかのメカニズムが働いているのかもしれません。南アフリカのお医者さんは世界に向けて公表されていますけれども、意外に重症化が少ないのではないかというふうにもおっしゃっています。今、世界中がこの辺の検証作業をしているということです。
あともう一つ厄介なのは、デルタ株でロナプリーブが効いたなと思います。ところがこのロナプリーブが果たして特効薬になり得るかどうか、これも検証が冷静に必要なのだろうというふうに思います。こういう意味で、ワクチンだとかそういう点滴の薬剤、さらに、今、政府が調達しようとしている経口薬、こういうところがどこまで効くのか、ちょっと今、不確実性が出てきているということだと思います。
そこで、私たちがまず今の段階でやらなければならないのは、やはり議員がおっしゃったように検査とか
医療提供体制をしっかりと整えておくと、このことに恐らく尽きるのだろうというふうに思います。もともとワクチンだとか医薬品がないときからも鳥取県は頑張ってきました。その鳥取方式が恐らく奏功したのだと思いますが、全国でも第一波、第二波、第三波、第四波と抑えてきたわけですよね。やはりこの成功体験に基づいて、我々はこのやり方を徹底すべきだろうというふうに思います。
そういう意味で、
医療提供体制につきましては、ベッドの増床を図りたいと思います。337床であるところを、今、病院さんを回りながら、協力していただける病院も出てきまして、345床確保できるということであります。これは国の基準では243床あればいいということですね。ただでさえうちは多いのです。多いのですけれども、それからさらにもうちょっと増やしておこうと。さらに、臨時医療施設として、今ホテルで使っているものでも5床ほど加えられないだろうか。さらに、臨時医療施設5床以外のところにつきましても、実際上は診療所的に使えるようにならないだろうか。これはちょっと鳥取県独特かもしれませんけれども、そこを医師会ですとか、看護協会ですとか、薬剤師会などとも調整をしながら、そのめどを今立てつつあります。もし診療所的な使い方ができるようになれば、そこで例えばロナプリーブのような点滴薬の治療とかをしたりということも可能になりますし、そういうようにして、ベッド以外のところの補完、病床以外のところの補完の部分というものを広げていけないだろうか。
また、在宅療養なども含めて改善を図ることもあるだろうと。例えば小児科です。デルタ株は、我々が計測したところでは、Ct値と言われるウイルスの量、これがその前のアルファ株と比較をしますと一定程度低く子供さんに出ていました。子供さんはほかの大人とかと比べるともっと顕著に出るのですよね。西部でもありましたけれども、保育所のクラスターなどが起きました。ひょっとすると子供さんにうつりやすいということがあったのかもしれないと、それがデータ的に我々は見えたのかもしれないというふうに思っています。
そういう意味で、小児科の先生方と相談をさせていただきまして、タブレット端末を活用して遠隔医療的に日々見守っていただくということができないだろうか。やはりお子さんの場合、コミュニケーションの問題もありますので、症状を見分けるのが難しいところがあったりします。そういうようなことをやってみよう。あるいは検査につきましても、小児科の先生の御協力を得て、検査を小児科のほうでやっていただくということであります。そのときに、サライバクリアという、こういう特殊な計測器といいますか、検定の機材を購入させていただいて、サライバクリアを使ってお子さんでも適正に検体を取りやすくするというようなこともやってみようと。このようなことで、お子さん対策ということを一つ考えるのかなと。
また、取り残される人、例えば障害者さんだとか、お年寄りとか、そういう方々につきましてもお預かりの仕組みというものを整えていこうとか、こうやって在宅も含めて
医療提供体制について一定の対策を取ってはどうかと思います。
また、検査につきましては、先ほどL452Rという変異がないということを申し上げました。このL452Rがないことを逆手に取って、あえてデルタ株のスクリーニング検査をしてはどうかと。そうすると、L452Rマイナス、陰性ということが出た場合に、今、基本的に日本はデルタ株ですから、それは
オミクロン株かもしれないというきっかけになるわけです。そうであれば、全数これをまた全ゲノム解析にかけると。全ゲノム解析は結構時間がかかるものですから、そういうものは必ずやるようにしようと。当面は、今、全然陽性者はいませんから、全数やってもいいのです。ですがだんだん増えてきても、まずはL452Rのスクリーニングをかければ、それでまず一時的な判定はできるかもしれないと。ひょっとすると
オミクロン株かもしれないとなったら、そういう前提で受け入れ方を考えるとかということをやり始めて、それでその後、ちょっと数日かかりますけれども最終判定をすると、こんなようなことをやってみようか。また、既に導入した機材を上手に使うことで検査能力もさらに上げようと。こういうことなどをいろいろとやって、検査につきましても充実を図ってまいりたいと思います。
それで、ワクチンのことも今、非常にホットイシューになってきております。全国知事会でも大分議論がございまして、一昨日は堀内大臣とテレビ会議で議論をさせていただきました。私のほうから申し上げましたのは、今、鹿島議員がおっしゃったとおりのことでありますけれども、ちょっと市町村に混乱が起きかねないと。一つは、ファイザー社のもので2回接種をこれまで市町村がやってきたわけですね。モデルナ社が実は45%ぐらい本県は2月、3月に配布をされるということになります。このモデルナ社製に慣れていないので非常に市町村は拒否感があったのですけれども、11月29日に市町村長と各医師会長と、みんな集まってのハイブリッド会議をやりまして、そこで市町村長が御了承されまして、モデルナも使おうということではあるのですけれども、それで県のほうでも県営の接種会場をつくってモデルナ接種の応援をしようということに、今、乗り出そうとしています。
こういうようなことは一応は受け入れていただくにしても、ただ、住民の皆さんが果たしてモデルナを打ってくれるかどうかということがあるわけです。やはりファイザーがあったほうが恐らくスムーズに進むのですよね。堀内大臣にもはっきり申し上げたのですけれども、今、8か月経過した人に打つにしても、ファイザーが足りないのであれば、何とかモデルナを使ってくださいと、国民の皆さんにも言って、そうすると早く3回目接種が回りますからと、そういうように政府としても表明してもらわないと我々も動きにくいということを申し上げました。
また、8か月を6か月にできるかどうかということもありまして、我々としてはできれば早く打ちたいと。今、韓国なども6か月どころか5か月、4か月とだんだん短くしてきているわけですね。イギリスもそうです。それはやはり、効くかどうかはよく分からないですけれども、少なくとも重症化の問題もあるので、打てるものなら早めに3回目接種はやったほうがいいと。これは日本でも基本は変わらないはずなのですよね。結局ワクチンが多分足りないのだと思うのです。ワクチンの制約の中で組むと8か月経過した者を中心にということなのだと思うのですが、もっと正直にそこをやはりおっしゃっていただいたほうが国民も協力するのではないかということを率直に申し上げたのですね。
恐らく政府のほうでは、こうした地方の空気も聞いていただきましたので、来週、総理のほうで国会の論戦に臨まれるのではないかというふうに思います。今、厚労省が示しているときよりももう少し枠を広げた6か月経過した方への接種というものを表明されるのではないかという報道が今朝から始まっていまして、そうした政府の動きにまた期待をさせていただきたいというふうに思います。
それで、できるだけ市町村の混乱なくまず初動が進むように、鳥取県独特のやり方を今させていただいております。最初はコロナ患者を受け入れる病院が中心なのですね。昨年の冬から春にかけて打ち始めたところは、まず協力病院と言われるコロナ病床を持っておられるところを中心にして最初に打ち始めているわけです。17病院あるのですが、これにつきましては、市町村が集団接種会場だとか個別接種会場を設けるのではなくて、病院で打ってもらえばいいではないかと。手っ取り早いですしね。1、2回目もそうやって打ったわけです。ですからそういうように本県としてはドライブをかけさせていただいて、17病院全て自院で打つということになりました。それから、400余りある診療所、クリニックにつきましても、そのうちの300は自院で打つというふうに御了解をいただきました。ですから市町村の手間は大分そこでほどけるはずです。少なくとも初動においてはほどけてきまして、高齢者の接種に重点を置いて準備をしていただければよい状況になったのではないかなと思います。
いずれにいたしましても、これらにつきましては、接種の在り方、政府としても6か月経過者をどうするかということを今後また表明されるかと思います。またそうしたところも踏まえながら、臨機応変に対応していきたいと思いますし、市町村のサポートを県としても行ってまいりたいと思います。
次に、コロナ禍における企業活動につきまして、
デジタル化に二の足を踏む事業者が取り残されることがないように対応を取ってはどうか、商工団体などと連携をして経営体質の改善や強化を図ってはどうだろうかと、こういうようなお話がございました。
先ほど申しましたように、危機突破応援補助金を皮切りにしまして、私どもでは経営の多角化だとか事業転換の助成制度などを随時実は打ち出してきております。例えば危機突破の応援金で米子のカジマ自動車、たまたま同じ名前ですけれども、そういう会社さんでは特定整備というものができるように、そういうセンサー、スキャンツールを購入すると。これによって自社で全て特定整備ができるようになると。こういうように業態転換をして収益構造を改善しようと。これは県の補助金を入れてやっておられます。
このことは、
デジタル化などでも同様のことがあるわけでございます。例えば米子の尾澤運送さん、前の議長さんのところですけれども、あそこなどは、伴走型のデジタルによる支援制度というのを県のほうで当初予算でつくりましたけれども、これを活用されて、今、そういう伴走支援事業に乗っかって、いろいろと経営の構造改善を図ろうとされておられたりします。
また、クリエイティブサポートという会社がございます。ボクシングの入江聖奈選手、伊田武志さんという方がコーチされています。あの方の会社なのですけれども、ここもこういうデジタルサポートを受けるという県の事業に今乗っかって、いろいろと経営支援を受けようというふうになってきております。こういうように、いろいろと伴走支援を議員がおっしゃるような形で今進めつつあります。
さらに、一定の事業費を多く必要とするような事業につきましても、6月の補正予算で入れた事業がございまして、これを基にして、例えば製造業であるとか、印刷業であるだとか、一定の規模の会社でも5社ぐらいは既に手が挙がってきています。そうしたようにして、やはり非接触型だとか、今の
デジタル化の波だとか、こうした需要や社会の情勢に応えるような形で企業活動を支援して、コロナ後も生き残り、成長していける
土台づくりをしていければと考えております。
次に、農業につきまして、何点かお尋ねがございました。みどりの
食料システム戦略について、本県としてどういうふうに対応をしていくのか、また、GAP認証を取得するなど高度な
生産管理体系を進める生産者があるけれども、有機農業等について差別化が十分図られていないのではないか、側面的にも支援が必要ではないか、こういうようなお話がございました。
本県としても、今、1千億円
達成プランというものを軸にして、JAグループとか農業者と一緒になりまして、意欲的に生産振興を図ろうとしているところでございます。そういう中におきまして、有機、特別栽培、これも重要な成長品目ではないかと考えているところでございます。
そういう中、議員のほうでおっしゃいましたけれども、国のほうで示されましたみどりの
食料システム戦略、これは2050年のゼロエミッションというものを念頭に置いてやっていこうと、それで化学農薬とか化学肥料の使用量を減らしていくということなど、環境と調和した農業というものを目指そうという戦略でございます。今、例えばネオニコチノイドのような攪乱性のある農薬などを本県も含めて避けるようになったりとか、いろんな動きがございますけれども、一朝一夕にできるということでは多分ないのだろうと思いますが、目標年度をいろいろと掲げて具体的な戦略をこれから国が出してくると思います。国の詳細はまだ明らかになっておりません。したがいまして、それを見ながら私どもも臨機応変に対応していきたいと思いますが、本県としても、例えばビニールとか、そういうものの使用等の問題もございまして、廃プラスチックの排出削減など、様々な環境テーマについても農業として我々も育てていかなければならないと思います。これまでもJAグループなどとそうしたものの支援メニューについては話合いをしてきました。
有機栽培等もその大きな柱でございまして、これまでも鳥取県は、例えば有機JASの認定者に県庁自体がなろうと。これについては、あとは2県ぐらいなのですけれども、全国でも3県しかありません。特に有機JASの加工品のところは本県が全国で唯一その認定者になっているところです。これによりまして認定料を下げることができますし、それから気軽に、遠くまで申請しなくてもよくなります。向こうの出張旅費だとかが要らなくなりますから、そういうメリットがこういう面ではあるのかなと思います。
また、技術開発等もございまして、例えば農業試験場における稲の有機栽培の研究など、これも有機特別栽培研究室というものを設置させていただいて、実際にそうした研究をしているわけであります。
そのほかにも、販路開拓という意味でも、私どものほうでそういう事業者を紹介するということなどもこれまでやってきました。最近もいろんな動きがありまして、有機栽培等をやっておられる方々がネットワークをつくられました。これは徳本さんという方が会長をされていまして、田中さんだとか、そうした方々がいろいろと関わられて全県的なネットワークをつくって、有機栽培の関係の方々は割と孤立していたのですね。その方々が共同で例えば勉強会をしようとか、販路開拓についてやっていこうと。このネットワークを我々としても支援をしながら進めていこうというふうに考えております。それで例えば関西のほうに売り込みをかける。新年度、こういうパイプを強化できないかなというふうに考えております。
具体的には、オーガニックのバイヤーがあるわけでございます。ヘルスライフという会社が関西で最近急成長していまして、もともと京都の会社なのですが、兵庫だとか大阪だとかも含めまして、店舗を増やしてきております。特にハイエンド層ですね、環境に対する関心が高い、食べ物に対する関心が高い層、そういうところがこうした有機栽培を求めるようになってきていまして、例えばこのヘルスライフのほうに大山町でいえば國吉農園さんなどが卸しておられる。そういう販路がつき始めています。こういうバイヤーとのマッチングの機会をまた新年度も拡大できないかなというのを今検討しているところです。
それから、先ほど申しました農業試験場の有機特別栽培研究室もいっそ改組をして、もっと幅広くグリーン農業といいますか、そうした方向に転換できないかなと。例えば今までどういう研究をしているかというと、イトミミズを使って有機栽培を進めようと。イトミミズによって、言わばそこから出されるものでとろとろの物質ができるわけです。このとろとろの物質が田んぼを覆うわけですね。これによって虫がつきにくくなる。そういう意味で農薬が要らなくなる。昔はそういうようないろんな生物の循環というものが農業に作用していたのでしょうけれども、そこにいろんな農薬を使うようになりましたが、そういうことからまたイトミミズとか、そういうものも活用できないかなと。また、田んぼの中に例えば仕切りを入れることによってゾウムシの侵入を抑えようとか、これもそういう意味で農薬等に頼らなくてもできる手法になります。こういうことを実は本県も地道に研究をしてきておりまして、こういうものをさらに拡大できないかなというところでございます。
例えばずいせん生産組合さんというのが鳥取市内にもあるのですが、平木さんだとか、そういう方々がやっておられます。こちらのほうでは例えば島根のイオンさんだとか、販路をやはり持っておられるのですね。正直、有機栽培はロットが多く出るわけではありません。ですから、今、そうした大切な販路先をもう大分確保しつつあります。こういうものをやはり全県展開でもマッチングをしていけばいいのではないかなと思います。
例えば陣構、こちらは伝統的に長くそうした有機栽培によります紅茶だとか、煎茶だとか、最近はエキナセアとか、そういうものをされているわけでありますが、こうしたものもやはり販路をぜひ挑戦してみたいというお話もございまして、そういう意味で、関西だとか、そうした販路開拓の機会、オーガニックバイヤーとの出会いというものを新年度に向けて考えてはどうかと思っております。
それから、二十世紀梨につきましてお話がございました。これにつきまして、海外輸出の販路を維持しつつ、生産者の高収益化、そういう生産・流通体制の構築はいかがかというお尋ねでございます。
幸い、今、二十世紀梨が見直されてきております。これは鹿島議員も気づかれておられると思います。数年前まではちょっと考えられなかったのですが、今、生産量が全国的に青梨がなくなってきていることも多分あるのだと思います。それから、もちろん栽培技術がうちのほうでも発達してきて、それが評価されているというのもあると思います。今シーズンでいいますと、ハウス物はキロ当たり756円、また、露地物でありましても476円ということで、過去最高ないしは過去2番目というところなのですね。このコロナ禍でもそうです。それほどになってきまして、もう一度我々も二十世紀梨の栽培の応援をしようと、実は昨年度ぐらいから方向転換をし始めています。例えばジョイント整枝であるとか、ああした手法を導入したり、あるいはハウスの導入であるとか、こういうのに従来よりも高率の補助を適用させていただいて、二十世紀梨の生産、これは鳥取の一つの名物でありますので、もう一度立て直しをしていこうと、新甘泉だとか、ああいう梨と併せて二十世紀梨を守っていこうということであります。
ところがやはり今、生産量が順次減ってきているのと、大玉の生産が気候によっては乏しくなったりします。今シーズンでいえば、台湾とか、そういうところのマッチング率、向こうがこれだけ欲しいといったところにどれだけ応えられたかは、5割を切ってきているわけですね。この辺は売り逃しがあるということでもありまして、何とかならないのかなというのをまた関係者と今、作戦協議をしているところでございます。
実は私どもも台湾のほうにも仕掛けをしてきておりまして、台湾の女性等をターゲットにしたニュースメディアにおきまして、鳥取の梨をPRさせていただいたりしております。香港もそうなのですけれども、特に台湾は青梨がお好きのようです。そういう意味で、青梨の需要というのがありまして、今、赤梨ばかりでありますから、希少性もあるし、単価も高いということがございます。ですからこのマーケットというのはやはり大切にしていく必要があるのだろうと。そういう意味で、二十世紀梨の支援ということを新年度に向けても強化をしていきたいと思います。例えば霜対策で防霜ファンであるとか、散水機であるとか、気象条件をチェックするようなモニタリングの機械であるとか、こういうものの助成を新年度に向けても検討させていただいたり、二十世紀梨の振興策にもてこ入れをしてまいりたいと思います。
あわせまして、お米につきましても、安定化策が必要だし、国に対する要望も含めてどういうふうにしていくのかということでございます。
これにつきましては、先般、県選出の国会議員の皆様にこの米対策について、私ども、地方六団体として要望させていただきました。そういうことに応えるかのように、一定の施策は国からも出てきたように思います。例えば米の供給量を一部隔離するような政策について、岸田総理がコメントをされ、農林省からもそうしたものも出てきています。本県としても、どういう誘導策が使えるのかを今、JAとかと協議をしているのですが、必ずしも全部うまく使えるわけではなさそうなのですけれども、ただ、例えば販路開拓とか、そうしたことなどはやはり我々としても積極的に打って出ていきたいというふうに考えております。このたびの経済対策、それから当初予算でもこれは盛り込まれてくると思いますので、そういう国の施策も活用しながら、我々の要望した結果を生かしてまいりたいというふうに思います。
また、飼料用米がやはり重要でありまして、飼料用米というものを一定程度生産していこうということにどうしてもなると、主食用米ではなかなか難しいのであれば、飼料用米のほうにシフトということがあります。
これにつきましては、先般、JAグループと私どもで農政懇談会というのをさせていただきましたときにJAさんのほうから要望がございました。この交付金の支給額、3,300円なのですが、これを5,000円に県として引き上げてくれないかということがありました。重要な時期でありますので、こうした要望にも応えていく必要があるかなというふうに考えております。
また、いわゆる転作作物ですね、こちらのほうもやはり農業全体で考えると、米がなかなか難しければ、ほかのところに転換していくことというのは非常に重要であります。典型的にはブロッコリーだと思います。このブロッコリーにつきましては、平成30年度から元年度にかけまして、冷蔵庫を整備してきました。また、このたびは野菜の広域センターがオープンをしたところであります。先ほど申しました追加補正等も含めて、こういう産地のてこ入れの事業に我々としても手を挙げて獲得を図っていければなと思います。例えば大山町地区におけるそういう機械化でありますとか、それから、隣の琴浦町も今、ブロッコリーの主産地になってきていますが、そういったところでの冷凍庫であるとか、そうしたものなどをいろいろとてこ入れをしながら、このようにして新しい米以外のところへの転換等も支援する、そういう産地化の支援策というものも重要ではないかというふうに考えております。
◯議長(内田博長君)換気のため暫時休憩いたします。
再開は11時40分といたします。
午前11時31分休憩
────────────────
午前11時40分再開
◯議長(内田博長君)再開いたします。
引き続き、代表質問を行っていただきます。
14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)ただいま答弁をいただきました。霧はかかっても必ず晴れる。不透明性、不確定要素があるが、総仕上げに向かっていく価値のあるこれからの1年であると力強い言葉があったと思います。しっかりと今後取り組んでいただきたいと思います。
そういう中で、さきの衆議院選においても東京一極集中の是正は議論を進めるべきテーマとして、様々な考えが述べられてきたことと思います。
新型コロナ感染症の発生を機に地方回帰の流れが進展する中で、中央省庁の移転、民間企業の本社機能移転などについて、これまで以上に積極的に推進すべきと考えますが、地方の声を届ける
全国知事会長としてのお立場も踏まえて、今後、本県としてどのように国や企業に働きかけていかれるのか、知事にお聞かせ願いたいと思います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)一極集中を是正する働きかけにつきましてお尋ねがございました。
議員がおっしゃるように、コロナということが一つの方向転換になりつつあります。現実にも、今、東京におきましては、転出、転入のバランスが変わってきまして、転出のほうが超過することになり始めています。去年、今年とこの傾向は変わっていません。特に23区を対象にこのたび調査をしたところでは、大体47%の20代、30代といった若い方は地方移住に興味があると言っています。また、全年齢でも大体4割弱ぐらいということでありまして、今まで考えられない意識の変化が起きています。その理由というものを上げてもらっているわけでありますけれども、人口が密集していて自然が少ないと、だから人口密度が低い自然豊かなところということで地方ということを考える、こういう回答が多いのですよね。やはりコロナが影響していることは間違いないのではないかなというふうに思います。
これは企業活動だとか、あるいは国家の機関であってもそうだろうと思います。本県では、かつて農研機構の梨の栽培試験地につきまして手を挙げさせていただき、今、私どもの園試のほうに来ています。こちらのほうで今、栽培試験をやってくださっていますけれども、県も協力してやっていますが、割と糖度の高いものが得られていて、これは黒斑病に強くて、わせの品種を狙っているのですけれども、まずまずの試験結果が今得られつつあるということであります。10年がかりぐらいでやるものなのですけれども、今、そういうような状況にありますし、また、もう一つ、職業能力開発総合大学校についても高度な職業訓練というものを鳥取で開発しようと、その開発の舞台が鳥取市にあります国の機関にできまして、ポリテクセンターの中に設置をされ、室長がお一人こちらに赴任されていますし、兼務の部屋の方々もいらっしゃるということであります。現実にも自動車についてはその高度な育成プログラムを開発されまして、今、そこからさらに医療とか、そういうものの関連産業だとか、こういうふうに向かってきているところでございます。こういうものを生かして、国の職業能力開発総合大学校の講師の皆さんなどの御協力も得ながら、県内でのそうした人材開発プログラムの研修などが進められるようになってきました。
こういうように一定の成果は本県としても得つつあるわけでございますが、まだこうしたものは終わりはないわけだろうと思います。今後も知事会としても、あるいは関西広域連合でもこのたび文化庁が来たり、消費者庁の一部組織が来るとかというようなことがございますが、こういうものに加えて、さらなる地方移転をまた我々としては求めてまいりたいと思います。
また、企業につきましても、例えばインフォメーション・ディベロプメントさんが米子のほうに来られました。舩越社長さんの大英断があってということになりますけれども、まずは総務管理的な部門がBPOセンターとかということでこちらのほうに来られました。さらに、今、クラウドということで、次なる舞台転換もございまして、40人だとか、職員がどんどん増えてきているのですね。これは実は目標としていた職員増よりも大分速いペースで今増やしていただいています。それだけのニーズがやはり東京の企業、市ヶ谷なのですけれども、あるということですよね。こちらのほうが自然環境が豊かであったり暮らしやすいと。特にそういうIT系の企業にとってはあまり場所というのは関係なくなってきていますので、こちらでも素地があるということの実証だったと思います。
さらに、そのほかの企業さんにもいろいろと働きかけをしていまして、例えば最近、源吉兆庵さん、米子と鳥取に工場がございますが、こちらは新会社を米子市内に設立していただきました。これは源吉兆庵さんの乳業部門なのですけれども、フォーシーズンズというヨーグルトを開発、製造するという会社でございます。今の開発、製造自体は岡山県内でやっていますが、いずれはこの鳥取県内、米子に本社を置いていただきましたので、本社機能をこちらにつくっていただいたということであります。
こういうような本社機能をそのままつくるということ以外にも、工場展開などもございまして、例えば鶴見製作所さん、これはポンプのメーカーであって、米子にございますけれども、もともとは京都だったと思います。大口径のポンプ、例えば東京オリンピックのスラロームだとか、ああいう会場などはあのポンプを使っているわけです。このポンプの大型のものをこちらで造るだとか、そうした機能を米子とか南部町のほうに拡充をするというようになってきておりますし、また、同じく京都で尾池工業さんという企業さん、これは倉吉のほうに工場がございますけれども、これもこのたび私どもとの話合いが成立をしまして、京都にある一定の部門を倉吉のほうに移していただいて、こちらでさらにラインの拡張をするということが本決まりになりました。これからも粘り強くこのように働きかけをしてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)
新型コロナのワクチンについて、年代別の接種状況では、全世代で2回目接種が8割を超えている中、10代、20代は6割前後と、やはり若年層の接種率が低い状況が見られます。その要因として、若年層は重症化率が低いにもかかわらず、
ワクチン接種の副反応が強いから、
ワクチン接種によって妊娠ができなくなる、遺伝子が組み換えられる、マイクロチップが埋め込まれるなどのネット上でのデマを本当に信じている若者も多くいるように伺っています。
そもそも最近の若者は、新聞どころかテレビもあまり見ず、自分が知りたいときに知りたい情報をインターネットやSNSで入手するというスタイルになっているようです。こうした若者に対しても、その生活スタイルに合った媒体を活用して正確な情報を提供し、正しい情報に基づいて判断してもらうことが重要であります。
県もこうした問題意識の下、今年度、SNS等を活用したターゲティング広告を行い、効果検証をするとともに、デジタル時代の広報に向けて戦略の策定を予定されています。
この
ワクチン接種に限らず、どの世代も取り残されないよう、全世代に必要な情報を伝えていくためには、時代のニーズや各世代のライフスタイルに合わせて、きめ細やかな広報を積極的に打っていく必要があると考えます。ターゲティング広告の効果検証の状況、そして新たな広報戦略策定に向けた検討状況について、知事にお尋ねいたします。
◯議長(内田博長君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)議員から、SNS等も活用した情報発信、デマ等につきましてお話がありました。
議員がおっしゃるように、デマというのは最近特に目立つようになってきたと思います。それはやはりコロナの社会になりまして、SNSだとかネットに頼る、直接のコミュニケーションがまた格段に減っているということもあろうかというふうに思います。特に議員がおっしゃるように若者層は今までのメイントラックのそういう広報媒体から離れてきているのですね。ある調査によりますと、テレビの視聴時間は高齢者層と若者層を比較しますと若者層は半分だということです。それから、新聞を読まないというのも当たり前になってきていると。特に年齢が若くなりますと、ネットのニュースよりもむしろSNSのほうに情報源を求めたりすると。こういうように顕著にやはり時代が移ってきていまして、そうした方々がSNSの情報だけですと物すごいデマに左右されやすくると、これが各地で社会の分断を生み出しているもとにもなるのではないかということであります。
議員がおっしゃったワクチンのデマについて、アメリカで興味深いものがあるのですけれども、ワクチンに関するデマの65%は12人の人がつくっていると。たった12人です。その12人の人にいろんなフォロワーがいて、その12人の人は実は物品販売などで、ネット上でビジネスがそれにつながっていると。結構こういうことでいろんなバイアスがかかった情報に左右されやすいということですね。それが結構デマを生み出していると。
千葉大の黒川先生なども同じような指摘をされていまして、やはりそういうデマには一つの傾向があるというようなことでございまして、今の人々の不安心理というものを利用しながら、さっきおっしゃったような例えばマイクロチップを人の体に埋め込むのだとか、そういう途方もない荒唐無稽なお話が信じられるようになってきているということであります。これは非常にゆゆしきことであります。
こういうような状態というものを考えていくためにも、私も
デジタル社会構想会議という政府機関で発言をさせていただいているのですが、
デジタル化には正の局面と負の局面と両方あると、こういうデマの拡散のようなこと、それがさらには人権侵害になったりいじめになったりすると、
デジタル化を進めるということと併せてやはりその防御体制というものも考えていかなければいけないということを主張させていただいているわけです。多くの専門家の方々もその点は共鳴していただいている。なかなか難しいのですけれども、そういうようなことになってきております。
こういうようなことを逆に我々も広報戦略上も考えなければいけないので、
デジタル化社会における広報戦略検討委員会というのをこのたび16日に発足させようと考えております。ここにおきまして、議員がおっしゃるSNSなどを活用した広報の在り方、それから例えばホームページの作り方であるとか、この議場でもいろいろと指摘をされたことを専門家を交えて検討させていただきたいというふうに思います。その成果というものを年度内にも一定程度得まして、新年度予算にも反映させていきたいと思いますし、それから、随時いろんな成果物を出していただいて、我々の情報戦略に活用させていただこうと考えております。
いずれにいたしましても、やはりこうした
デジタル化社会というのは不可逆的に進むでありましょうから、好む好まざるにかかわらず、我々もそれに適応していかなければならないと考えておりまして、今後もこの議場での御意見だとか専門家の御意見なども取り入れて、広報戦略を考えていきたいと思います。
◯議長(内田博長君)14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)次に、
新型コロナ対策に関わる保健所の体制強化のため、今年度当初の組織改正において、総合事務所の福祉保健局、生活環境局、地域振興局を再編して、保健師、衛生技師等の専門人材を集約した保健所を総合事務所の内局として位置づけ、職員も増員されました。さらに、第五波の感染拡大により保健所業務が逼迫する中、本庁各所属では各保健所業務の応援を最優先として総勢50名の応援体制を確保、OB・OG保健師の活用、市町村からの保健師派遣体制の確保など、機動的な体制強化により、この難局を何とか乗り切られたと伺っています。専門性が必要な業務とそうでない業務に整理した上で、感染拡大期にオール県庁で応援する体制、さらに市町村や民間にも応援を依頼して、県下一丸となった体制づくりが功を奏したものと思います。マンパワーが潤沢でない小さな県だからこそ、こうした機動性が求められ、地域の絆が強い小さな県だからこそ、皆が一致団結できたのではないかと思います。
今後、第六波などの感染拡大に対しても同様の体制で臨むこと、さらには、必ずしも今回のような危機対応だけでなく、平常時においても全県的な大きなプロジェクトに当たっては、職員のワーク・ライフ・バランスの推進の観点からも、機動的な組織運営で取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)
新型コロナ対策をはじめとしまして、機動的で柔軟な組織運営を県庁としてもやるべきではないかという御指摘をいただきました。
全く同感でございますし、議員がおっしゃったように、残念ながら私どもは全国で一番小さな県庁ですから、人材が限られていますので、いざというときにアメーバ的に応援をし合うことを考えないと、大きな縦割り組織を維持していくだけでは到底あらゆる事象に対応できないということだと思っています。その典型が今回のコロナ対策でありました。議員からもお話ございましたように、今年度に入るに当たりまして、
新型コロナ対策本部の事務局整備をさせていただきました。ただ、ここに至るまでも随時50名程度の応援をするとか、こういうことをやってきたものを基にしまして、正式の組織として発足をさせたものでございます。
今から第五波から第六波に向かっていくことを想定しなければなりません。そこで、例えば20名ほど、今、第五波を経験した専門職員の皆様を応援職員としてあらかじめ任命しておくと、これでふだんから感染動向だとか、そういうことに関心を持ってもらって、前回の第五波での経験を生かしてすぐに即戦力で第六波の応援に入ってもらう。そういうことをあらかじめつくっておくということを今回やっております。
それから、市町村に入れ替わり立ち替わり当番のようにして応援に来ていただきました。ちょっと我々も現場で感じたこととしては、いきなり来ても
感染症対策はなかなか難しいのですよね。ふだんの保健所行政で母子保健をやっているとか、そういう保健師さんがすぐに適応するのは大変なので、研修会をやろうと。これは50名程度、鳥大さんなどにも協力していただきながら、研修会を今、進めているところでございます。
それから、専門職員の前倒し採用を今やろうとしておりまして、今、組織改正の時期ではありませんが、次の4月を迎える前にもやるべきことはやっていこうというふうに考えております。
こういうことは、我々はプロジェクトチーム方式でこれまでも展開してきたことでありまして、例えば農福連携などもそうなのですね。これも農業部門と福祉保健部門とが一緒になりまして、チームを組んでやると。それで、具体的には、例えばこの仕事はこの施設でやってもらうということでマッチングをしていくわけです。これが大事であります。こういうようなことを部局を超えて横断的にやるプロジェクトチームをつくりまして進めておりまして、こういうのはやはり効果があるのではないかなと思っております。例えばマッチング、最近の例でいえば、大山のピーナッツ生産組合と米子の大平園さん、ここでマッチングをして、例えばピーナツの皮むきだとか、そうした作業を福祉施設のほうでやっていただくようにさせていただいたりしています。
こういうようなことで、やはり小さい組織であるがゆえに、大きな人口規模の自治体ではできないような総力戦に向かっていく体制づくりが重要だと考えております。
◯議長(内田博長君)14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)次に、無利子、無担保のいわゆるゼロゼロ融資に関する国の補助制度が令和2年度末で終了する中、本県は、応援金交付など制度を維持、拡充しながら、コロナ関連の倒産を全国で最も低く抑え込んでいます。しかし、何度も繰り返すコロナ流行の波で疲弊し切っている事業者にとっては、ここからが本番であり、復活に向けて巻き返しを図ろうとされているところかと思います。コロナ禍で売上げが著しく減少した県内事業者にとって、当面の課題は資金繰り対策であり、感染流行が落ち着いたように見える今、令和3年度で支援を打ち切ってしまっては、結局巻き返しが図られないまま倒産ということになりかねません。
コロナ禍以前の借入れを含め、今後到来する返済期限に向けて、国へのさらなる要望を含め、県としても事業者のニーズに柔軟に対応する支援策に取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)鹿島議員から、金融支援、そのフォローアップにつきましてのお尋ねがございました。
本県は、いわゆるゼロゼロ融資と言われるものを独自に民間の金融機関を活用してやっております。相当出費も大きいのですけれども、ただ、その分機動性も高く、使っていただけています。実に1万件以上の利用がございまして、1,877億円の貸付額ということになっています。これは空前の規模でありますし、全く従来の枠組みを超えるところで、他県と比べても非常に大きい。これが結局企業の資金繰り支援になっていまして、昨年度は倒産件数は20件にとどまっています。これは全国最少ということであります。今年も全国最少という規模で今進んでいるところでございます。
このように一定の効果を上げることはできたのですけれども、そろそろ返還が始まるわけですね。据置期間の設定はございますが、平均してみると大体2年ぐらいというのが実際の借入れです。皆さん堅実ですので、据置期間なしでどんどん返していったほうがいいと思っておられる会社さんも多いものですから、必ずしも据置期間を十全に取らないと。今、大体75%ぐらいは2年以内ぐらいでありまして、今まさに償還が始まってくるという段階まで来ています。
そこで、11月19日にコロナ禍対策金融協議を金融機関のトップの方々とさせていただきました。いろんな意見が出ました。一つは、このゼロゼロ融資と言われるものをやはりもうしばらく延長してもらいたいと。この声を受けまして、今、3月いっぱいまで延長することにさせていただいたところなのです。あと、今後いずれにせよ転換してくるので、その転換についての応援が必要ではないかと、業態転換だとか、新商品への挑戦だとか、そういうこともやはり前向きに考えていかないといけない、それがコロナ禍の融資の中で見えてきたというのですね。それでそうした事業展開を応援する新しい助成制度というのも何だったら追加補正で検討する必要があるかなというふうに思っております。
さらに、フォローアップが大事だということになりました。数多い融資先の中であぶり出していって、結局10数件、今、企業支援のネットワーク、金融機関だとか、商工団体だとか、一緒になって支援をするのがございます。そういうのを今、実はフォローアップ事業としてあぶり出しをさせていただいておりまして、そういうものに個別に今後経営の立ち直りをサポートしていこうというようにさせていただいております。議員がおっしゃるように、これから実際コロナが明けた後の経済、産業、雇用の継続というものが重要でありまして、しっかりと力を入れてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)続きまして、鳥取和牛について、来年の鹿児島全共で好成績を切に願い、余念なく準備していただくようお願いしたいと思います。
かつて岐阜県の飛騨牛は、全共で好成績を収めたことと、その後のブランド化、販売戦略で一躍トップブランドになりました。今後、鳥取和牛の人気化を図っていくためには、課題が2つあると認識しています。一つは、鹿児島全共で肉質日本一の連覇、もう一つは、市場への供給量の持続的な確保であると考えます。
県内の食肉加工処理の能力、規模が小さく、施設が老朽化していることもあり、結果的に他県での処理へと流れてしまう実態があり、畜産王国再興のため、避けて通れない課題であると考えます。特に肉販売においては、東・中・西それぞれの生産者がばらばらなところに出荷しています。鳥取和牛の一大ブランド化を図るためには、まずは生産、加工、販売の川上から川下までの一気通貫の純県産化を図るべきではないかと思いますが、施設整備や人員体制を含め、高いハードルを乗り越えなければなりません。現状と今後の対応について、知事はどのように認識しておられるのか伺います。
◯議長(内田博長君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)鹿島県議から、和牛振興につきまして、重ねてのお尋ねがございました。
これにつきましては、宮城全共が私どもにとっては大きなターニングポイントになったと思います。あれで白鵬85の3が注目をされましたし、百合白清2という本県の種雄牛も注目されました。それから、御案内のように、今、子牛の価格は全国でナンバーワンに本県市場がなってきているぐらいに注目を集めているところでございます。
議員がおっしゃるように、まずこの産地を形成するためには、やはり増頭して一定の供給量というものをつくっていかないといけません。それはもちろん農家の収入にもなります。そういう意味で、ここの増産のてこ入れを和牛全共の成功からやっているわけでありますが、例えば繁殖雌牛でいえば、5年前は3,000頭規模だったものが、今は5,000頭を超えるというところまで急増させることができました。これを裏打ちしているのは、例えばクラスター事業など、大規模な経営というものを我々は応援をしたり、それから、導入事業あるいは保有の事業につきまして、支援制度を県としても設けてやってきております。こういう方向性を今後しっかり続けていかなければいけないと思いますし、そういう担い手となってくださる農家と一緒に進めていく必要があると。また、ブランド防衛のためには、和牛条例をつくりましたけれども、そうした私どもの特定種畜、大事な種雄牛を遺伝子として守っていくということも県独自に始めさせていただいたところでありますし、和牛の振興計画をつくり、その生産、それから販売、ブランド化、こういうものを進めていこうということであります。
その意味で、やはり東京市場というのが一つは重要でございまして、東京市場への挑戦ということを宮城全共の頃から我々も本格化させてきております。幸い向こうの有力バイヤーも評価をしてくださるようになりました。やはり上物率が高いですし、脂の質もいいということを評価してくださっています。例えば大山町の岡崎さん、比較的若手の一貫農家でありますけれども、こちらのほうでは定常的に東京市場に出荷していただいています。それをすると東京の市場は鳥取の市場と違っていいものはいいとしてきちんと評価してくれるというふうにおっしゃっていまして、やはりこういう取組を我々も一つは継続していかなければいけないのだろうと思います。これが恐らくブランド化につながってくるということです。
先般11月19日に東京の六本木で鳥取の県産品のキャンペーンを観光振興と兼ねてさせていただきました。六本木ヒルズというテレビ朝日のあるビルでやったわけであります。そのとき大山町出身のまひるさんというガンバレルーヤのタレントさんにも登場いただきました。そこで期間中、ジョエル・ロブションという一流のお店のコース料理に鳥取和牛をメインとして出してもらっています。その日から始めまして、12月の半ばまでやっているのです。その試食をしていただきましたけれども、まひるさんも非常に太鼓判を押しておられまして、鳥取和牛をアピールされておられました。こういう和牛だとかジビエだとか、そういう肉でも十分に我々は評価され得るものだということがよく分かってきておりまして、こうしたことを一つの体制にしていきたいと思います。これをまたブランド化を進めていきたいと思いますし、ホテルニューオータニ、紀尾井町の東京のものであるとか、それからレストランフェアであるとか、積極的に展開をしていきたいと思います。
また、先般、残念ながらお亡くなりになられましたが、シェ・イノ、井上さんですね、大山町出身でいらっしゃいますが、世界を代表するような有名シェフでいらっしゃいました。御冥福をお祈り申し上げたいと思いますが、その御縁で今もシェ・イノさんのほうで鳥取和牛などを扱っていただいております。お話をお伺いしますと、私も雑誌の対談で御一緒させていただいたのですが、やはりほかの肉と違ってお客様の受けもいいと、産地はあまり明らかにしないのだけれども、鳥取の和牛だというのは自信を持って申し上げているというようなことでありました。こういうところを私たちはてこ入れしていきたいと思います。
あわせて、鳥取の食肉センターであります。これは今年4月からJAグループさん、全農さんがもともと経営者でございますから、そういうところなどが中心になりまして、今、話合いを始めているところです。その検討委員会の中で、今、いろんな議論をさせていただいております。鳥取県としては、これは民間の企業がやっているものではありますけれども、鳥取で和牛全共をやったときも、改修をさせていただくとき、相当県費を投入させていただきました。これは昭和58年にできた老朽化が進んできた施設でありますので、このたびも、その改革案につきましては、私どもはしっかりと受け止めて、県としての応援の施策を今後展開してまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)先月、本県議会の畜産業の発展を考える会において、議員連盟活動の一環として畜舎の視察を含め実情を調査した際、県、市町村における職員獣医師の不足が懸案であると伺いました。昨今は豚熱や鳥インフルなど、一たび発生すれば畜産農家が壊滅的な打撃を被る疫病もあり、日頃の研究を含めた防疫対応、農家に対する指導など、基幹的業務に当たるマンパワーに不安があり、新たな人材確保や人材育成を含めた体制構築が急がれると考えますが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)行政の獣医師等の体制整備につきましてのお話がございました。重要な論点でありまして、実は全国の畜産関係部局が悩んでいるところでございます。中国地方においても不足感がありまして、各県、なかなか獲得に苦労しているということであります。
そこで、2つあるわけでありますが、一つは、それを補うような体制づくりというものも必要でありまして、本県では、例えば豚熱の関係で、ワクチンの論点があります。もし万が一のときは
ワクチン接種をどんどんやっていかなければいけないということになっていまして、これを今、我々は進めているわけですね。こういうときに民間の方々にも認定させていただいて、民間獣医師の活用ということをしたり、それから県職員のOB獣医師の方にも入っていただいて、県の会計年度任用職員のような形で臨時雇用させていただきながら進めていくと、こういうように本体をまた補うようなものを一つ今つくっております。
あと、獣医さんの獲得に向けましては、例えば獣医さんたちの雑誌があります。そこに掲載をさせていただきまして、その広告を見て、現実に鳥取県のほうに入ってきてくださった方が出てきました。どうもこの方法は一つ効果があるようです。
あと、鳥大さんなどは、インターンシップでこちらに送り込んでいただくようにしております。そういう中でも県のほうでの採用ということも出てきておりまして、やはりこういうことをやりながら、もともと数の少ない職種でありますから、1人入っただけでも大分違いがありますので、そういう形で私どもとしても確保をしていきたいと思います。現状においても70名以上確保しておりまして、全く不足するという形ではないのですけれども、そういうような形でこれからも対策を取っていきたいと思います。
そういう意味で、処遇のことが課題になるのですが、本県では平成22年にまずは特殊勤務手当の改正をさせていただいたり、その後、平成27年には、初任給調整手当というのですが、最初に採用するときに飛びつく給料があるのですね。これの割増し額の引上げをしました。当時3万円、6年目までということだったのですが、それを4万5,000円、9年目までとしまして、2倍以上に実は当時この初任給調整手当を引き上げております。今日も御指摘がございましたので、また他県の動向も見させていただき、遜色ない形で、鳥取県を目指していただけるような勤務条件につきまして検討させていただきたいと思います。
◯議長(内田博長君)14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)近年、人の住む住宅地まで鹿やイノシシが出没することがあまり珍しくないことになりました。鳥獣による農作物被害も、ピーク時よりは減少したものの、同じような規模で推移しています。
行政や地元住民の皆さんの御努力もあり、捕獲頭数も年々増加している一方、捕獲頭数を維持することでようやく生息数と同数で推移し、落ち着いている状況と聞いております。
特に鹿については、これまで県東部での被害が目立っていましたが、徐々に西部地域へ分布拡大が進んでいるとのことです。この現状に対してどのような対策で被害を食い止めるお考えであるのか、あわせて、日野郡方面での林業分野への注意喚起として、鹿の食害対策にどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見を伺います。
また、捕獲した害獣の利活用策として、本県はとっとりジビエのブランド化や情報発信、販路開拓に尽力され、特に先月亡くなられた、先ほども知事がおっしゃいました大山町出身、シェ・イノの井上旭シェフなど、多くの料理人の方々の協力を仰ぐなど、熱意を持って取り組んでこられました。
害獣の捕獲頭数に対する解体頭数では、令和2年度が約22%と、全国と比較しても高い利用率ですが、さらにうまく解体、加工することができれば、まだまだ利用率を上げる余地があり、そのためにはジビエ利用に向けた食肉加工、解体処理技術の向上や人材の育成ほか、捕獲、解体加工、販売を含めた一連の体制構築と、その連携を支える協議会の組織的な下支えが必要であると考えます。県として今後どのように取組を推進していくのか、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)鹿島議員から、鹿の被害とジビエにつきましてお尋ねがございました。
鹿につきましては、今では全県的に見られるようになりました。それは少しずつやはり山の中を多分動いているのですね。東から西のほうに動いていますし、だんだん山から里のほうに動いてくると、こういうような傾向が全体としては見られるところでございます。そういう意味で、鹿について、お話のあったジビエなども絡めながら対策を取っていく必要があると思います。
まずは鹿の害そのものの対策をどう取るかということでありますが、現状、ピーク時は2億数千万円ぐらいの鳥獣被害がございましたのが、今、1億円を切るぐらいになっていまして、一定の効果は出てきているのですね。それは狩猟の捕獲圧を高めること、それから柵だとか、そういうものであります。鹿の場合、一般的に言われるのは、一定レベルまではまず柵で囲うことが重要であると、それから、さらにそのレベルを超えてきた場合に、総数を減らしていく、個体数管理の方向で狩猟のほうにも重点を置くと、大体こういうような対策が全国的には言われるところでございます。
議員がおっしゃったように、西部でいいますと、今、日野郡のほうでそうした状況が見られて、江府町では95頭ですかね、そういう生息の調査も出てきているのですけれども、東部とか中部に比べますと実はまだそんなに多くはないのです。このぐらいのところですと、植林に対する被害はそんなには報告はございません。ただ、これに対して何とかしなければいけないだろうということで、日野郡のこういう鹿の被害を防止していくための協議組織をつくられまして、今、まず分析をしたり、鹿のトレースをしたり、対策の検討をされているところでありまして、こういうものを我々としても一つは支援をしていくのかなと思います。今の生息数の密度からいいますと、多分鹿の防護柵をつくることが重要でありまして、こういうものの支援をまた新年度も含めて展開をしていきたいというふうに考えております。日野郡では地域おこし協力隊の方にも入っていただいて狩猟なども進めておられまして、こういうことが有効に作用すると思っております。
また、それとあわせて、ジビエの問題がございまして、ジビエで活用することで山と食料の循環を起こすことができるようになりまして、非常に重要だということでありますが、先ほどお話があったシェ・イノさんも、今もランチメニューで本県産の鹿肉を使ってくださっておられます。また、11月19日から今日まで六本木で行われている先ほどのレストランフェアにおきましても、レグリスであるとか六本木うかい亭におきまして、鳥取の鹿肉を使って出していただいております。
こういうようなことで、実は今、本県のジビエの活用率は全国的にも指折りのところまで上がってきました。大分処理の仕方がよくなってきたということがあります。そういうこととか、あと料理のこと、活用のことなどを含めまして、いなばとほうきでそれぞれにジビエの推進の協議会が立ち上げられました。中西部のほうきのほうは、菅原さん、前、ANAクラウンプラザにおられたシェフが会長になられまして、平成30年からだと思いますが、最近そうした組織を強化されておられます。ここで例えばテスト的に肉を供給したりして顧客をつかもうと、これで県内外のそういうお店を10個ぐらい今つかまえてきたというのが最近ございました。また、そういうジビエのフェアを折に触れて開催されて、県民の皆様にも知っていただくと。県のほうでも、ちょっと今はなかなかやりづらいですが、東京や大阪のシェフを呼んできてマッチングをさせたりということを我々もやったりしているところであります。
そういう意味で、こうして進展してくるわけでございますが、特に西部の場合はその処理をどこで行うかということですね。これは南部町のほうでもございますし、大山町のジビエの工房が動き出しまして、大変に評判もよろしいわけであります。安藤さんとか池田さんとか、そうした方々が一生懸命になってされておられまして、それがジビエに親しむことにもなると。特に人材育成ですね。解体処理の研修をそこでもされて、そういうことがまたさらにジビエの活用のほうに西部全体の機運を盛り上げていただく重要な役割を果たしていただいております。
これからもそういうようなことで、鳥獣被害対策、それからジビエの振興につきまして、鳥取県として、関係者と協力しながら推進を図ってまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)先ほどイノシシ、鹿の話につきまして、駆除の話を聞きました。先月でしたか、岡山県と鳥取県の県境議員連盟で会合を持ちまして、その際に駆除の方法を決めて一斉駆除をしているというような話も聞き、鳥取県と岡山県、有害鳥獣については県境はございませんので、そういうところで一緒になって、これからも岡山県と合わせた被害対策をやっていただいたらというようなことで、そのときにも協力しましょうというような話をしましたので、ぜひ知事もよろしくお願いしたいと思います。
それでは、午前中、最後となりましたが、追及をさせていただきます。
近年多発する豪雨災害などの大規模な自然災害は、もはや免れられないものとなっており、そのたびごとに農地やため池等の農業用施設、林業用施設等は被害の危機にさらされているところもあります。
県としても、災害発生のたびに補正予算を組んでいただき、災害防止の観点から、原形復旧に取り組まれていることについて感謝申し上げます。
ただ、人口減少社会における人材不足を前提に、農村基盤整備の大黒柱となる農業土木職員が町村部では少ない現状を踏まえて、県が技術研修などを行うことで、少ない人数でも県、市町村で一体となって県全体の農業土木行政の能力向上を図っていく必要があるのではないかと考えます。また、あわせて、頻発化、激甚化する自然災害にも適切に対応できるよう、将来的な体制強化、職員採用の増につながる取組も考えていかなければなりませんが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)鹿島県議から、災害対策につきまして、重ねてお尋ねがございました。
議員がおっしゃるように、今や異常気象が通常気象になり始めているのではないかと思うぐらい、大変な災害が続いているところでございます。今年もやはり7月の七夕の時期に梅雨の関係の長雨、行きつ戻りつしながら度重ねて東・中・西それぞれが襲撃を受けたということになりました。さらに追い打ちをかけるように台風がやってきて、また、秋雨による農業被害、こうしたものが立て続けに起こったところでもございました。
こういうようなことが常態化していると考えた場合に、それぞれ自治体の役割がありますけれども、どのように復旧活動を円滑に進めることができるかというのが課題になってきます。
本県は残念ながら人口規模が少ないところでありまして、ふんだんに職員を抱えられるわけではありませんから、市町村が実は一そろえ人材をそろえるわけにもなかなかいかない。特に町、村はそうでございます。その辺は県とやはり相互乗り入れをしながら協力し合っていったり、ウイングを広げて民間の皆様と協調していくことも大事です。現実にも、今、半分以上の自治体におきまして、例えば建設業協会とか、土地改良連合会とか、そうしたところと協定を結ばれまして、災害時の応援というものを決めておられます。現にこれが機能しているというのがあります。
それから、実際に災害が起こったとき、これは私の考え方というのもあるわけでありますけれども、積極的に市町村に応援に行くというようにさせていただいておりまして、例えば平成30年の台風24号ですかね、あのときには琴浦町でかなり大きな被害がありました。あのときは農道が崩壊して、お一人残念ながら命を落とされるということもございました。あちらこちらで被害が重なりまして、とても町役場では人材的に対応できないわけです。そのときは農業土木の職員4人を6クール送り込みまして、合計21名、ずっと災害査定に至るまで支援をさせていただきました。こういうことをやはり柔軟にやっていかないと、本県のような場合、人を雇うことで解決しようと思っても、なかなか役場で農業土木の職員を雇用することは難しいですから、こういうようなことを今後も機動的にやっていきたいと思います。
あわせまして、こういう農業土木のいろんな研修会を定常的に行ったり、それから、実務では災害査定というのがございまして、こういうものをこなしていかないと、その後の復旧工事が進まなくなります。これをどういうふうに効率的にやっていくかということがありますので、災害査定の実務上の研修の場というのもセットをさせていただいており、これは県も大分関わった形で、国の職員にも協力をいただいて、市町村向けにさせていただいております。
こういうことを丁寧にやっていきながら、災害に対する備えを確かなものにしてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、1時30分より再開いたします。
午後0時35分休憩
────────────────
午後1時30分再開
◯副議長(広谷直樹君)再開いたします。
引き続き、代表質問を行っていただきます。
14番鹿島議員
◯14番(鹿島功君)(登壇)観光需要回復と関係人口拡大に向けた取組について、
アフターコロナ時代の交流実現に向けてということで、後半部分としての質問をさせていただきます。
コロナ禍を経験して、飲食、観光、宿泊業界などを中心に、事業者の皆さんにとっては大変苦しい状況が続いてきました。
政府においては、飲食店での会食人数の制限や県境をまたぐ移動の自粛、イベント会場の収容人数など、
緊急事態宣言下においても
ワクチン接種証明によって行動制限を緩和するワクチン・検査パッケージを活用した技術実証の取組を踏まえて、年明け以降、GoToトラベル再開の方針を示されました。
新たな変異ウイルスの感染拡大に注意を払う必要がありましたが、本県においても技術実証による成果の蓄積を踏まえつつ、飲食店等を対象にした安心対策、認証制度と併せて、今後は観光誘客の面でも旅行者側、受入れ側の双方の安心・安全を担保しつつ日常を取り戻していくよう、観光、消費需要の回復に向けて取り組むタイミングを見極めていくことも必要であります。
ついては、
ワクチン接種の意向がない方への対応などを含め、政府のワクチン・検査パッケージの課題や成果についてどのように認識しておられるのか、また、観光誘客の再開に向けた今後の方針について、知事の所見を伺います。
次に、鳥取砂丘西側エリアの整備については、昨年4月、鳥取砂丘の利活用と保全を考える鳥取砂丘未来会議から鳥取市に対してサイクリングターミナルと柳茶屋キャンプ場へのグランピングやオートキャンプ場の整備の提言がありました。その後、鳥取市所管のこの2施設に県が所管するこどもの国キャンプ場を加えた計3施設において、キャンプやグランピングを中心とするサービス展開、砂丘西側の核となる施設として観光誘客が期待できるという調査結果が出ました。
これを受けて、県は、民間活力を導入し、一体的に整備する方向で、鳥取市と協議を進められます。今議会には地方自治法第252条の2に基づく連携協約を締結するよう提案されています。
西側ビジターセンターやリゾートホテル構想、将来的には山陰近畿道の南北線も整備される中、県東部の観光拠点としてのポテンシャルの向上が期待されますが、砂丘の東側エリアを含めて、鳥取砂丘全体について、どのような全体像を描いておられるのでしょうか。具体的な姿は鳥取市との連携協約を締結後に検討ということもあるかもしれませんが、知事が描いておられる青写真の一端でも御披瀝いただけませんでしょうか。
次に、生涯スポーツ大会を契機とした健康増進、交流推進について。
スポーツを核とした本県での大規模な交流・誘客イベントとしては、2024年の全国健康福祉祭、ねんりんピックが予定されています。3年後ですので、
新型コロナは既に収束していることを願うところですが、参加者の中心が高齢者であるため、心理的な側面も含めて、安心・安全な大会の開催となるよう、ウィズコロナを念頭に置いた運営が必要であります。
本来、生涯スポーツというのは、老いも若きも、性別や体力、体格の違いも超えて、楽しく、心身ともに健康増進を図りながら人と交流できるものであり、特に高齢者においては生きがいづくりになるものと考えます。ねんりんピックのようなイベントの開催をきっかけに、大会前後においても日常的なスポーツ行動につながることを期待するものであります。
まずは3年後のねんりんピック開催に向けて、この8月に基本構想策定委員会が立ち上げられ、今年度中に基本構想を策定されると伺いました。県内への経済効果もさることながら、参加者だけでなく、多くの県民の健康活動の契機としていただきたいと考えますが、大会開催に向けた今後のスケジュールや機運醸成の取組などについて、どのように展開されるのか、知事の所見を伺います。
次に、盛土規制の実効性の確保について、安心・安全な県民生活の実現に向けてお尋ねします。
7月に発生した静岡県熱海市の大規模な土石流災害を受けて、県は、危険な区域への盛土等を規制する条例の検討に着手し、4回にわたる専門家会議による検討を経て、今定例会に鳥取県斜面の安全の確保に関する条例案を提案されました。規制対象は、残土処分場など一定規模以上の盛土等を行う行為、太陽光、風力発電施設などの斜面地に一定規模以上の工作物を設置する行為、500立米以上の建設発生土の搬出であり、これらについて、知事の許可を必要とし、違反者には罰則も設けられています。条例の内容については、専門家の方々が議論を尽くして規制内容に抜け道がないよう適切に取りまとめられていると考えますが、あとは条例の実効性をいかに確保するかということが重要ではないかと思います。
このたびの条例案においては、土砂の不法投棄や無許可の工事等を監視するため、巡視員を配置して定期巡回等を行うと規定されていますが、日々県内各地で様々な工事が行われている中で、それらの監視を徹底するのはなかなか困難ではないかと思います。自らが発注者となる、あるいは民間の開発行為等の許可を行う県において、規制対象となり得る事案を市町村と共有しつつ巡視活動を行うなど、規制の徹底に向けた関係機関による連携が必要かと考えますが、この条例による規制の実効性をどのように確保していくのか、知事の所見を伺います。
次に、米子道4車線化と境港までの延伸についてお尋ねします。
一昨年の令和元年9月、国交省から高速道路における安全・安心基本計画が示されました。米子道では、江府から溝口までの約3.4キロ区間について来週10日に供用開始となるなど、順次整備が進められています。残るは溝口から米子までの約4キロ区間の事業化であり、また、平成18年に事業凍結となった米子北インターまでの約5キロ区間の凍結解除と境港までの約16キロ区間の延伸であります。事業化に至るまで、ルート設定や構造の検討から都市計画決定、環境影響評価など、長い道のりをたどることとなりますが、境港は言うまでもなく漁港、港湾として日本海側の重要拠点であります。背後には中海・宍道湖・大山圏域の約60万人の人口を抱え、食品関連の製造業や森林資源、バイオ、医療機器ほか、金属加工など素形材産業の集積もあり、世界に開く玄関口としての可能性を秘めた将来二重丸の地域であります。
この秋の国要望においても国交省の道路局長から、重要港湾や空港もあり、重要度が高く、道路整備の必要がある。凍結された米子北インターまでを含め、境港まで結ばれないと意味がないとまでの反応があったと伺っています。ぜひこの追い風の中、米子道の全線4車線化と境港までの延伸について、一歩でも議論を進めていただきたいと考えますが、今後の見通しや、県としての取組など、知事はどのように認識しておられるのか、所見を伺います。
次に、高齢ドライバーの視点に立った交通安全対策について。
昨今、高齢者の車の運転については、逆走やアクセルとブレーキの踏み間違えなどにより、加害者となってしまうケースが頻発しています。誰しも年を取れば視力が落ちる、焦点が合わせづらくなる、反射速度が遅くなるなど、身体的な衰えや運転技術の鈍化は避けられないことであります。一方で、高齢者の運転免許自主返納を求める風潮は、高齢者の日常生活において、生活の全てを奪うことにもつながりかねないのであります。
こうした中、道路交通法の改正により、来年5月から安全運転サポート車に限定した運転免許制度が始まるとともに、一定の違反歴のある75歳以上を対象にした運転技能検査が義務づけられます。本県においても、高齢者向け安全運転講習のさらなる充実や高齢者専用区域など通行エリアのすみ分けを図るような一歩先を行く交通安全対策も考えられるのではないかと思います。車の運転が日常生活に欠かせない高齢者にとっても、周囲の県民にとっても、いかに安心・安全が担保される社会としていくのか、知事及び
警察本部長の所見を伺います。
次に、消防・防災体制についてお尋ねします。
これからの季節、火の取扱いに特に注意が必要な時期となります。
県内の消防体制については、現在では20代半ばを中心に30代前半までの若手が全体の約半数を占めるなど、若返りが図られています。日頃の鍛錬と経験を積むことで、より充実強化が図られることに期待するものであります。
一方、地域の実情や土地カンにたけ、地域防災力の中核を担うべき消防団員については、全体の団員数の減少と高齢化が顕著であります。今後、将来に向けた消防団の担い手を県として市町村に寄り添って対応していく必要があります。3年前の平成30年度には将来にわたって持続可能な消防体制、消防力の維持、充実に向けた消防体制研究会が設置されましたが、
アフターコロナにおいても地域の安全が守られる消防体制となるよう、地域で活躍する消防団員が存続できる人材確保の在り方を含めて、知事はどのように認識しておられるのか伺います。
次に、教育・子育て行政について、まずは学力向上に向けた取組についてお尋ねします。
令和3年度の全国学力・学習状況調査の結果がこの8月に公表されました。本県の学力結果においては、小学校国語が全国平均並みである一方、小学校算数と中学校の国語と数学では全国平均を下回ったとのことであります。一方、学習に対するアンケートでは、特に小学校算数について、算数が好き、授業がよく分かるなど、肯定的、積極的な学習姿勢に大きく変わってきたという結果が見られたとのことであります。学校現場における研究、授業改善と子供たちが主体的に取り組める対話をベースとした授業づくり、分かるということを喜びとともに実感できることを目標とする算数大好き!プロジェクトの取組などがこのたび成果に直結したものであろうと思います。
これまでの全国学力調査結果などを基にした授業改善の取組の結果が県内小中学校で広く共有されるなど、年度によって変わる全国順位に一喜一憂せず、今後とも実りある取組としていただきたいと考えますが、教育長の所見を伺います。
次に、学習意欲を喚起する家庭教育への関与について。
全国学力・学習状況調査の中には日々の生活に関する調査項目もありますが、子供たちの学力向上につながる手がかりは子供たちの日常を整えることにあるものと思っています。
教育委員会では、従来から心とからだいきいきキャンペーンとして、しっかり朝食を食べよう、たっぷり寝よう、長時間テレビを見るのはやめようなど、学校、家庭、地域の3者が連携を図りながら、子供たちの健全育成に向けて取り組まれています。また、家庭内で子供の成長を見守りながら自立を促していくため、平成25年以降、「家庭で応援!小学生スタートブック」を作成されています。子供たちの生活習慣や将来の夢、身につけるべき生きる力についてそれぞれ目標を掲げ、子供たちに寄り添った家庭教育となるよう支えていこうとする教育委員会の姿勢がうかがえるところです。
子供の成長過程を考えれば、幼少期や小学校低学年のうちに規則正しい生活習慣を身につけること、例えば朝御飯をきちんと取る、早寝早起きする、「ありがとう」、「こんにちは」などの挨拶ができることなどが人格形成の土台になるものと思います。そして何より学年が進むにつれて学習に向かおうとする姿勢や意欲につながる心を育む基盤になるものと考えます。
昔と比べて家庭でのしつけや保護者による子供への接し方など、教育行政としてどこまで踏み込むべきであるか、難しい課題もあるかと思いますが、教育長のお考えをお聞かせください。
次に、女性の社会進出を促す子育て支援策の在り方について。
子育て王国とっとりの建国以来、県が保育サービスの充実や放課後児童クラブ等の支援など、働きながら子育てしやすい環境整備を進めてきた中で、結婚、出産後も働く女性が増えてきたことにより、30代を中心に出産や育児のため働く女性が減少するM字カーブは解消されつつあります。
しかしながら、その雇用形態を見ると、平成29年の女性の非正規雇用者は50.8%と過半数を占めており、女性の正規雇用率を年齢、階級別に線グラフで表すと、20代後半でピークとなり、その後、出産期以降に低下を続けるL字カーブを描いています。これは、女性の仕事の受皿が増えたものの、結婚や出産を機に非正規の仕事に移行される方が多いということを示しています。
もちろん働き方は人それぞれであり、非正規を望まれる方も一定程度あるかもしれませんが、社会全体に男性は仕事、女性は家庭という風潮が依然として根強いためにこうした現象が起こっているのではないでしょうか。
一方、平成31年の鳥取県の少子化対策等に関するアンケート調査では、理想的な子供の数は3人という回答が最多であるのに対して、現実に持てる子供の数は2人との回答が最多となっております。このギャップの理由としては、経済的負担が大きいに続き、仕事と子育ての両立が難しい、子育ての肉体的、精神的な負担が大きいという回答が多く、女性の子育てにおける負担感が少子化の一因となっていると推察されます。性別の違いを問わず、働きたい人全てが希望する形態で働ける社会を実現するためには、夫婦がともに子育てと仕事を両立できる環境は必要であり、ひいてはそれが子供を持つ数の理想と現実の差をなくす夫婦が望む家庭環境につながり、少子化の抑制にも寄与するのではないでしょうか。
コロナ禍で少子化に拍車がかかる中、テレワークなど多様な働き方が現実化してきた今こそ、ワーク・ライフ・バランスの観点から、男女ともに働きながら安心して子供を育てることができる環境づくりが必要ではないかと考えますが、これまでの取組の総括と今後の取組方針について、知事にお尋ねします。
次に、北朝鮮による拉致問題についてお尋ねします。
本県においては、拉致被害者である米子市の松本京子さんのほか、特定失踪者、拉致の可能性を排除できない方として、日南町出身の古都瑞子さん、伯耆町出身の上田英司さん、大山町出身の木町勇人さん、米子市の矢倉富康さんが実に40年以上もの間、家族と離れ離れとなっています。言うまでもなく、この北朝鮮による国家ぐるみの誘拐人質事件は絶対に許されるべきではありません。
本県としては、平成22年から毎年、拉致問題の早期解決を願う国民のつどいを開催していますが、拉致被害者の家族の方々も年を取られる中、何の進展もないまま時間が経過していく現状は、事態を悪化させているということであります。平成14年の拉致被害者5名の帰国から来年で20年となります。松本さんをはじめ、何とか早く御家族の再会を願うばかりであります。
この9月には外務大臣を経験された岸田新内閣が発足し、先月の全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会においても、拉致問題は岸田内閣の最重要課題であり、私の手で必ず解決するとのコメントがありました。
本県としては、この拉致問題の早期解決に向けてどのように取り組んでいくのか、改めて知事の所見を伺います。
また、一方で、拉致問題は過去のことではなく、今現実に起こっている、現在進行形の人権侵犯事件であります。若い世代が知らないということにならないよう、学校教育の場において、正しい知識と理解を促すよう取り組んでいただきたいと思いますが、教育長の所見を伺います。
次に、ミサイル発射問題に対する県民の安全確保策について。
今年もまた北朝鮮による弾道ミサイルが、とりわけベニズワイガニの漁期に入った9月と10月に計6回、日本海に向けて発射されました。一部は我が国の排他的経済水域、EEZ内に落下したと推定されています。特に近年は潜水艦から発射される弾道ミサイルや変則的な軌道で飛翔するとされる新型ミサイルなど、警戒レーダーで完全に捕捉することが難しいものであるとのことであります。地域の平和と安全を脅かすこのような愚行は断じて容認できるものではありません。
知事におかれましては、
全国知事会長の立場を含め、その都度抗議声明を出されています。今後も政府と連携して、船舶、航空をはじめ、国民、県民の安全確保と速やかな情報共有に努めていただくとともに、特に日本海を取り巻く緊急事態に即応できる国家としての法体系整備を強く求めていくことを含め、引き続き強い姿勢で対応していただくようお願いするものであります。
他方、私が一番懸念するのは、国民、県民の皆さんの危機管理意識が薄れてしまわないかという点であります。約18年間の金正日体制において16発だったミサイル発射は、この10年間の金正恩体制で既に100発目を目前とするところとなりました。日本海側に住まう我々鳥取県民においては、1発1発が有事であります。漁場、水産資源を含め、島根原発や美保基地などの重要施設も有する山陰地方において、県民一人一人の生命、財産が損なわれることのないよう、本県としての情報発信や緊急避難誘導の在り方など、平時において整えておく必要があると考えますが、現状についてどのように認識しておられるか、知事の所見を伺います。
以上、壇上での質問とさせていただきます。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)鹿島議員の代表質問にお答えを申し上げます。
まず、ワクチン・検査パッケージにつきましてお尋ねがございました。
ワクチン接種の意向がない方への対応、あるいは観光誘客の再開に向けた方針などにつきましてお尋ねがございました。
これにつきましては、先ほども議論がございましたように、
オミクロン株が今、世界中で見つかっているところであります。したがいまして、特に海外との往来については、まず非常に難しい初動であろうと。まずは水際で防がなければなりません。政府もいろいろと試行錯誤を繰り返しているようで、国際便への予約を一斉に全部やめるというようなことをおっしゃっていましたが、今日になりまして、それを撤回されるということもございました。いろいろと行きつ戻りつはあるとは思うのですが、まずは国境管理でしっかりと止めることが大事でありますし、その間、国内で動けるという場合には、旅行などできるような環境をさらに促進していくということは重要でございます。
そういう意味で、本県では#WeLove山陰キャンペーンを島根県と共同して実施していまして、これがやはり今の観光需要を支える効果はあるようです。三朝のある大きな旅館さんは、本来ですと大都市部から来るわけでありますけれども、今は鳥取県のお客さんが一番多いというふうに言っておられます。やはり#WeLove山陰キャンペーンの効果というのは大きいだろうと。島根県よりもやはり特に県内のお客さんが多いのですね。島根県のお客さんは大体2割弱ぐらいではないかと思います。総じてむしろ県内の方が県内の魅力を発見するということがありまして、これは経済効果もありますしふるさとの魅力をもう一度再認識していくという、そういう言わば一石二鳥の効果もあったのかなというふうに考えております。
こういうようなことを経験しながらやっているわけでありますが、徐々に今の感染状況であれば近隣観光まで広げていってもいいだろうと。そういう意味で、政府のほうも政府の方針の中で近隣観光も含めた隣県への宿泊クーポンの発行などを追加する措置を取られたところであります。そういうようなことを受けた上で、新年になりまして、また感染状況を見てGoToトラベルの再開を考えるということであります。
こういう場合に、議員がおっしゃったワクチン・検査パッケージが使われることになります。政府はこのたび説明会を開催されまして、観光については、国の補助のある制度については、ワクチン・検査パッケージを導入することになっております。したがいまして、本県におきまして今県内向けの#WeLove山陰キャンペーン、あるいは島根県向けがございますけれども、本来であればワクチン・検査パッケージを導入すべきということになりまして、県内向けにつきましては、来年の1月1日以降の宿泊分についてはワクチン・検査パッケージを適用するようにということでございます。これはちょっと国の制度は変わってしまいましたので、本県もこれを考えなければならないということになりました。また、島根県との関係でもワクチン・検査パッケージを受けていれば国の補助が入るということになりますので、今後この在り方を隣県、島根県と協議をしていくことになろうかと思います。
ワクチン・検査パッケージを伴う隣県の宿泊助成などにつきましては、さらにほかの県とも今話合いを始めております。明日には兵庫県、それから広島県の両知事とそれぞれ例えばオミクロン対策とか地域交通対策だとか、あわせて、観光問題につきましてもテレビ会議方式で両県知事会議を相次いで行うことにいたしております。その際に、この隣県の観光支援制度、これの導入について協議をさせていただきたいと考えております。岡山県とは実はもう既に話合いは両県知事会議で終わっていまして、岡山県側は同意をしておられます。これからそうやってそれぞれの県と協議をさせていただき、状況が整ったところからそのような適用範囲の拡大ということも感染状況をにらみながらやっていくことになります。
その際に、ワクチン・検査パッケージの適用ということが国から求められております。ワクチン・検査パッケージでありますが、ワクチンを打った方についてはなるべく簡便にこれが適用できるようにということでありまして、例えば携帯電話のカメラで写真を撮って、皆さんの接種証明書が、この画像をもってワクチン・検査パッケージが適用できるようになるということでございます。また、国においては、アプリなどを今開発中だということでありまして、そういうものを使いながらなるべく支障がないようにということだと思います。
問題は、議員がおっしゃるように、ワクチンを何らかの理由で打てない方の関係でございます。これについては検査を義務づけるわけでありますが、大分政府とここはやり取りをしました。ワクチン・検査パッケージの構想が出てきたのは総選挙の前です。その頃から我々知事会、また私も政府の分科会でも発言を繰り返しておりまして、やはりこれはワクチンと同じようにワクチンを打てない人も何らかのチャンスを与えないといけないものですから、国によって無料の検査をやるべきだということを求めていました。このたび政府から示されたものとしては、それを受ける形で都道府県が中心になって無料検査というものの会場を設営すると。あるいは薬局と、それからそういう検査の会社と共同して、薬局においてもそういう検査を受けられるようにするなど、そういう方針がこのたび出てきました。私どもとしては、それはそれで了とするのかなと思っております。こういう形で一応曲がりなりにも年度内は無料ということが出てきましたので、まずはやってみるということなのだろうというふうに思っております。
いずれにいたしましても、こういうようにいろいろと工夫をしながら経済社会活動、観光も含めて少しずつ戻していくということを感染状況が落ち着いている間には行っていくことになると考えております。
次に、砂丘につきましてお話がございました。県東部の観光拠点としての鳥取砂丘、そのポテンシャルを向上させる、これについてどういうような構想を考えているのかと、こういうお話であります。
鳥取砂丘は2.4キロ掛ける16キロの広範囲にわたる116ヘクタールの広大なところでございます。壮大さというのはやはり万人を感動させ得るものだろうと思います。現実にも鳥取県についての観光地のイメージを聞きますと、鳥取砂丘と答える方が9割であります。今最近伸びているのが水木しげるロード、これが5割でございまして、4割ぐらいが大山というふうにお答えになります。つまり鳥取県の観光イメージを砂丘は担っていると思ったほうがよくて、私自身は初当選の頃から鳥取砂丘は鳥取県の顔だというふうに申し上げておりました。
実はそれまで鳥取砂丘をめぐっては県と地元とのいろいろなちょっと意見の食い違いなどもないわけではございませんでしたけれども、そこを全面的に修正をして、協調体制の中で国も巻き込んでやっていこうと。そういう中で、今ではビジターセンターが政府によってできまして、市と我々県とで共同で運営組織もつくり、今やっているところでございます。
私の当時のイメージとしては、鳥取砂丘はもっと活用できるだろうと。例えばパラグライダーのようなものであるとか、それからサンドボードだとか、今いろいろとヨガなども含めて活用がなされたり自転車などファットバイクも出てきました。ああいうのがあまりなかった時期でありますけれども、もっと活用できれば緩めていって、その片方で今でいうSDGsでありますけれども、例えば草を取る除草作業などをやりながら、みんなでこの自然を守るというサンクチュアリーにすると。それはイメージとしては、群馬県の尾瀬のようなイメージですね。美しいところをみんなで配慮をしながら長く残していこうという運動をすると。その運動をすることがむしろこれからの観光の言わば吸引力になってくるのではないだろうかというふうに考えたわけです。
そういう意味で、就任当初に設けたのが日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例というのを制定させていただきたいと議会にお願いを申し上げました。罰則だとか名称の修正をいただきながら、これが言わば砂丘の憲法のような形で鳥取県には今制定されているわけでございます。これが基本になりまして、利活用と保存とを二兎を追うような形のハーモニアスなそういう運営を今しようということでありまして、当時描いていた言わば理想の姿に近い形で徐々に動いているということかなと思います。
ただ、残念ながら観光客の数は、片方で水木しげるロードの観光客が伸びているのと比べますと、あまり伸びがあるわけではございません。ただ、ここにきて
新型コロナということがあり、こうした鳥取砂丘が見直されるチャンスにも来ているだろうというふうに今見ているところでございます。現実にも最近、寺田蘭世さんが乃木坂46というグループを卒業されるということで写真集を作られた。これに鳥取砂丘がふんだんに使われていまして、それ以外にも鳥取県の様子だとか、あれは神戸などもあるのですけれども、メインが割と鳥取砂丘で写真集を作られたのですね。これがつい先頃でありますけれども、オリコンの週間BOOKランキングでナンバーワンになりました。このような形で非常に今取り上げられてきているところであります。この寺田さんの場合は我々が呼んだわけではなくて、あちらが気に入って来ていただいたということなのですけれども、これはほかのところでも、鳥取市がちょっと観光プロモーションで呼んだのが竜星涼さんという男性タレントでありまして、これもやはり売り出すということで、砂丘を題材にしてやっておられると。
このようなことでありまして、市場価値というのはやはりあるのだろうというのが最近の状況ではないかなと思います。現実にも今修学旅行は増えています。その目的地の一つは結構鳥取砂丘でございます。どういうことが起きているかというと、先ほど申し上げたサンドボードだとか、あるいはパラグライダーだとか、そうしたものは利用者数が昨年より倍増しているのです。これは修学旅行生がここを利用されているということであります。結局コロナになりまして、学校の中で相談したり保護者の皆さんと協議をされて目的地を定めるわけですね。本来は海外に行くとか北海道に行くだとか、そういうものがありましたが、ある学校ではそういう遠くに行くというところから修正して広島、岡山に行くというところからさらに修正して鳥取に来たと、こういうようなことでありまして、コロナから見てやはりよく抑えている地域、我々の頑張りというのがこういう意味で観光素材として貢献しているということのようです。これは多分後戻りはないかもしれません。健康だとか、それから安全性、それでそこには大自然などの当然ながら従来からの魅力があり、砂丘というのはその中でも絶対性のある唯一のものでございますので、こういうところはやはり素材として光り得るのではないか、このことを大切にしていこうと。
そこで、本議会に提案をさせていただいておりますのが鳥取市と鳥取県で連携協約を結びたいということです。これは砂丘の利活用、それから保全を連携してやっていこうというものでございます。例えば目指すことは、これから西側のほうのエリアが大事になってくるだろうと。鳥取市はリゾートホテルを今誘致しようとされていますが、それ以外にも最近のはやりのものがあると。それはキャンプ地であります。キャンプ場については柳茶屋にキャンプ場がございます。それから鳥取県のほうの管理でこどもの国にもあると。こういうものをつないで一体的に民間活力を導入してもっと使ってもらうということがあるのではないだろうか。実は最近こういうキャンプ場のリニューアルというのが効果を上げているのが一向平であるだとか、あるいは南部町もそうですし、それから日野の鵜の池とかああいうのはみんな実はリニューアルです。それでお客さんが結構予約満杯で来てしまうのですね。ですからそういうことでもう一度こういう市場性が出てきたので、ここを一つ核にしてもいいのではないかというふうに考えているのです。
鳥取砂丘の本体はやはり東側の馬の背を望むところだと思うのですが、適当な距離感があって静かにキャンプをするとか、あるいはこどもの国、これも近々50周年を迎えます。そういうようなことをいろいろ題材にして、そして今度ビジターセンターが建設をされます。西側のビジターセンターを基軸としていろいろと体験館、あるいはガイドツアー等が可能ではないだろうか。最近はamulapoさんが月面生活というのを体現するような、そういうところも考えておられる。こういうようなことで、次の展開を連携協約で応援をしていってはどうだろうかと、このように考えているところでございます。
次に、ねんりんピックにつきましてお尋ねがございました。
ねんりんピックにつきましては、3年後の秋頃ということでありまして、まだ具体的な期日などは設定しているわけではございません。現在、基本構想の策定委員会をこの夏から立ち上げまして、会議を繰り返しているところでございます。目標としては今年度いっぱいぐらいで基本構想をまとめていこうというふうに考えております。
ねんりんピックは実は非常に集客性もある一種のスポーツツーリズム的なところがございます。現実にも2年前の和歌山のときは、56万人のお客様が来られたというところでございまして、27の種目について争われました。また、中国地方でも6年前に山口でねんりんピックが開かれました。このときは54万人のお客様が来られまして、25の種目で争われたということでございます。こういうようにかなり短期間に集客するものでございますし、結局、高齢者の方以外の御家族などもみんなで高齢者の応援にやってくるということがありまして、旅の形になっているところがあります。そういう意味でねんりんピックはいろいろな大会の中でも各県が取り合っているそういう人気のイベントでもあります。せっかくのこの機会を我々も得たわけでありますから、3年後の成功に向けてしっかりとこれから進めてまいりたいと思います。
今年度いっぱいかけてどういう種目をやるのかということであるとか、それから例えばマスコットキャラクターをどうしようかとか、大会テーマであるとか、大会テーマについては今公募をしまして、全国から1,000ぐらいアイデアが集まってきております。マスコットキャラクターなどもちょっとこれからつくるわけでありますが、月並みにやったらまたトリピーの焼き直しなのでしょうけれども、例えば弥生人がこれからもっとはやれば弥生人みたいなものをモチーフにすると、多分考古学ファンは割と高齢者が多いですから、そうしたところのイメージにもなるかもしれません。そのようなことを今ちょっと自由な発想で議論をしているところでございまして、いましばらく時間をいただきながら、また最終的には議会と御相談をさせていただきたいと思います。
それで、来年度には県の実行委員会を発足させまして、再来年度、これが1年前になりますが、市町村の実行委員会をつくる、それで、3年後に本番を迎えると、このようなスケジュール感で今やっているところであります。
そういう意味で、もう大分迫ってきまして、コロナの状況にもよりますが、例えば来年度であれば、プレイベント的なことを県としてもやってみて、やはり県民の皆様にも認知していただかなければいけませんし、全国の皆様にも、ああ、2年後は鳥取でねんりんピックをやるのだなという意識を持っていただく。もちろん開催地に出向いてPRすることもありましょうし、県内での様々なスポーツイベントに行って、それでいろいろと盛り上げることもありますけれども、プレイベント的なことを来年度ぐらいになったら始めて求心力を高めていく必要があるだろうというふうに考えております。
ねんりんピックが終わりますと、じきに
関西ワールドマスターズゲームズが来るわけです。
関西ワールドマスターズゲームズも年齢層が高い方の国際スポーツイベントでございますので、ねんりんピックからさらにワールドマスターズゲームズへとブリッジを架けていくと。このようなことで本県もスポーツ振興策を展開していくことができるのではないかなというふうに考えております。
次に、盛土規制の条例につきましてお話がございました。この規制の実効性をどういうふうに確保していくのかというお尋ねでございます。
盛土というのは、例えば宅地造成であるとか、あるいは残土処分などで典型的には出てきます。この盛土が2,000平米、1メーター以上のものであるとか、それから高さが5メーターというようなものであるとか、こういうものにターゲットを絞りまして、そういうのは届出をしていただいて許可を得てくださいと。その間に技術審査をしまして、本当にこれで大丈夫なのかというのをチェックしようというものです。許可がない限りは着工できないということになります。同じように、最近問題なのは斜面に工作物を造るというものがあります。15%以上の斜度の斜面に工作物を造るようなとき、こういうものについてもやはり同じように許可の対象にしてはどうだろうかと、こういうアイデアで今条例をつくらせていただきました。
議員がおっしゃるように、実効性を保っていかなければなりません。したがいまして、工事が始まっても6か月ごとに定期的に検査をしようということでございますとか、あるいは中間検査や完成検査、こういうものもやっていこうと。さらには工事が終わった後も完了後10年間はそういう見守りをしていくというようなことでございまして、こういうアフターのところも、これも我々のほうで監視をしていこうと、そのための巡視員を設置しまして見ていこうと。中には市町村の許可のものなどもありますので、市町村と一緒にそういうときには鹿島議員がおっしゃるように役割を果たすということも考えてはどうかなというふうに思います。これでもし言うことを聞いていただけないというときには行政命令を出すと。さらに罰則というものに進んでいくと。罰則につきましても、2年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰条もつけさせていただきまして、これも実効性担保ということになるのではないかと考えていますし、一定の工事につきましては補償料を求めようと。言わば供託していただきまして、そこに質権を設定して、それでもし言うことを聞いていただけていないとか手入れが悪いという場合には、これを使って行政代執行をかけていくというようなことにしていこうと、こういう構想でございます。
それで、これは実際には施行されて来年度の話でありますけれども、そのとき以降に着工するものにはこの許可が必要ですよということになります。それは条例の中に第7条というのがありまして、着工前に許可を受けるということを義務づけております。ですから工事が始まる前に受けてもらうものですから、これから工事が始まるものは施行後は全て対象になるということになります。これが盛土、あるいは切土、それから工作物、こういうものが対象になるというふうに御理解をいただければと思います。
このような形でしっかりと実効性があるものにして、熱海のような事故が起きないように我々としても最大限対策を取ってまいりたいと思います。
次に、米子道の全線4車線化と境港への延伸について議論を進めるべきだと、こういうお話がございました。
米子道につきましては、令和元年に国のほうで安心・安全の計画というものがつくられました。高速道路の4車線化というものを一定の路線を指定しまして、10年、15年の間に完成を目指すというふうに分類されました。幸いなことにその中に米子自動車道が入りまして、皆様の運動のおかげと感謝を申し上げております。
12月10日にいよいよ江府インターチェンジ付近の3.4キロが供用開始ということになります。これについては、先般11月15日にNEXCO西日本の前川社長が来られまして、その御報告をいただき、私のほうからは、残る部分についての進捗をぜひ図っていただきたいとお願いを申し上げたところでございます。その余につきましても、溝口-江府間においての4.2キロが平成31年に事業化をされまして、昨年は蒜山と江府の間、4.7キロ、これが事業化をされ、今年度に入りまして残る江府-溝口間の3.4キロ、これも事業化をされるということになりました。これは大体めどが立ってきつつあるということだと思います。
それからあと、米子-境港間についてもお話がございました。これは昭和41年に国のほうの予定路線になったものであります。そのうち米子インターチェンジまでの間は開通をしてきていますが、そこから境港のところがまだできていないと。そういう中で、平成18年に米子-米子北間については事業をやめるということになりました。私が就任したのが平成19年なので、これをひっくり返すことに実はずっと心を砕いてきたというところでございます。それで、具体的には平成24年に地元の連携をやりまして、国の事務所も入れて米子-境港間の地域の高速道路についての勉強会を開始し、いろいろと議論をさせていただきました。それで、平成29年に当時の国交省の青木副大臣のほうを訪ねまして、地元の2市1村をまとめてもらえればというようなお話がございました。平成29年4月に伊木米子市長が誕生しました。この後に米子市との行政懇談会をさせていただいたときに、米子-境港間の道路、これをぜひやりましょうということを申し上げたところ、米子市も応じられました。境港市もそのとき前向きになりました。実はなかなか米子、境港の意思の一致が難しい時期がございまして、私も間に入るような形でそこが整いつつあり、そこに日吉津の話も交えて前へ進もうということになったところでございます。
その後、いろいろと紆余曲折があるわけでございますが、昨年の11月には宍道湖中海圏域の8の字の道路を議題として、これは国交省の主導でやってもらったのですが、そういう高速道路は必要だということの結論が出まして、その中に米子-境港間が入っているということであります。これについては、先般、斉藤新国土交通大臣のほうにもお伺いをさせていただきました。一部県議の方と一緒に要望活動をさせていただいたのですけれども、この際も国交大臣のほうからかなり率直なお話がありまして、大切な段階に入っていると。非常に事業費がかかりそうな路線ですと。ですから、財源のことも含めて今後よく協議をさせてもらいたいと。簡単に言えばそのようなお話だったと思います。
私どものほうでは、今地元でこれも協議会を設けまして、アンケート調査などを今やっているところでございます。こういうものを取りまとめながら地元としての考え方というのを年明け以降、また国に伝えさせていただきたいと思っております。議員が一歩ずつでもというお話でありますが、一歩ずつかもしれませんが、今そのような形で前に着実に進んできているというふうに手応えを感じているところでございます。
次に、高齢者向けの安全運転講習等、高齢者の運転の安全についてのお話が私にもございました。県警本部長のほうからもいろいろとお話があろうかと思います。
これにつきましては、平成28年に支え愛交通安全条例というのを制定させていただきました。これを受けて、例えば踏み間違え防止だとか、そうした高齢者をサポートするような器具についての助成制度もつくらせていただきまして、こういうのを県独自にスタートをさせていただいたところです。それから安全講習等も含めて展開をしまして、PR活動もしました。そうこうしているうちに国のほうでこういうサポカーというのですが、サポートカーの助成制度ができました。国のほうで県がやっていたものを引き継ぎながら今応援をしていただいているところでございます。